宙組新人公演「クラシコ・イタリアーノ」を観劇いたしました。



91期生のみなさん、新人公演ご卒業、おめでとうございます!
長にして初主演のあっきー(澄輝さやと)、
侯爵夫人クラウディア(五峰)の(藤咲)えりちゃん、
ピザ屋のおかみ(美風)の(花里)まなちゃん、
外務大臣、CMディレクター(風莉)、酒場のヴァイオリン弾き(天羽)と八面六臂の大活躍だったてんれーさん(天玲美音)、
サルヴァトーレの秘書ファビオ(愛月)の役を女性に変えて演じていたえびちゃん(綾瀬あきな)、
ペッピーノの妻・ジーナ(琴羽)の(舞花)くるみちゃん。

あらためて並べてみると、華も実もあるメンバーですよね。
これからは、本公演でのご活躍をお祈りしています!




あっきーは、本当に格好良かった!新公初主演、本当におめでとうございます(^ ^)。
スーツの着こなしもGJでした(*^ ^*)。ただ、ラストのナポリの場面での白シャツは残念な気もしましたが……(T T)。
台詞は本当に巧くなりましたよね!!前半の殻に閉じこもったサルヴァトーレの堅い台詞回しと、後半のナポリでの自分を思い出してからの柔らかさの差をつけつつ、ちゃんと一人の人間として通っていたのが良かったと思います。
歌は、得意な音域が微妙に祐飛さんとずれていたのが残念ですが、がんばってました(^ ^)。

きっと素はすごく素直で優しい人なんだろうなあ、、、と思わせる個性をベースに創り上げたサルヴァトーレは、表面的には祐飛さんの芝居をなぞっているのに、出てくるものが全然違うのが面白いなあ、と。いやあ、お芝居って難しくて、そして、楽しい。



初ヒロイン(おめでとう!)のゆうりちゃん(伶美うらら)。
大人っぽい美人さんですよねー(*^ ^*)。すみ花ちゃんは生まれながらに「何もないところで転んできました」というナチュラルなドジっ娘ですが、ゆうりちゃんは緊張のあまり足がもつれた感じに見えたかな。
プルチネッラの歌とダンスは難しそうなので、どうかなーと思っていたのですが、十分に魅せてくれて、とても魅力的でした(^ ^)。頭声のコントロールはまだまだでしたが、芝居としては良かったと思います♪

2階席だったので客席登場のところはよく見えなくて、、、っていうか、あの場面の警官役の二人(美月遥、桜音れい)は事件だったので、だいぶ吹っ飛んじゃいましたけどね!
ちなみに、桜音れいちゃんは超ミニスカポリスで、美月くんと逢引の真っ最中、という設定でした。銀橋の付け根で熱烈にキスしてる真っ最中にミーナに声をかけられ、いなくなってもう一度仕切り直し!というところで袖から「今、何時ですか?」と可愛い声。怒り狂った美月くんが素敵でしたー。興が殺がれた感じでクールに立ち去る二人が、もう(*^ ^*)。ああ、1階席で観たかったなあ~!
迎える警官側が笑いを取ってくれると、ミーナはやりやすいよね、と感心しました。大劇場のときは、あまり話題になっていなかったような気がするんですが、、、あの時もやっていたんでしょうか?



レニーの愛ちゃん(愛月ひかる)。
思いのほか本役のテルくんに良く似ていたことにびっくりしました。元々大きくわければ同じカテゴリーに入るタイプだとは思っていたのですが、本当に似てた(^ ^)。そして、似ているだけに愛ちゃんの発声(発音)の課題が浮き彫りになった気はしましたね。芝居は良い物を持っている人なだけに、「トラファルガー」から1年半、そろそろ技術面のブレイクスルーがほしいところです。



マリオのりっくん(蒼羽りく)。
いやー、良かった!ホントに良かったです。酒場の場面、初めて泣きました(; ;)。
りっくんの芝居はまっすぐに相手を見凝めて、そのすべてを役として受け止めてくれるんですよね。怒っても笑っても呑んで騒いでも、そこに居るのは「マリオ」で。マリオとして全てを見ていてくれる。

「俺がお前を追い詰めたのか?」と訊かれたときの貌。
酒場でのダンスで、振り向いてサルヴァトーレと目があった瞬間の、貌。

りっくんの切なさは、不思議なくらいすっと心に沁みてきます。時代の流れを読み切れずに必死で抗おうとするサルヴァトーレを、傍らで見守ることに疲れてしまった悲しみ。もう傍にいられないことが切なくて、辛くて、でも、選んだ道は間違いじゃない。これから先の道は離れてしまうかもしれないけれども、今まで一緒に歩いてきたことは絶対に無駄じゃなかったし、間違いでもなかった、、、そんな爽快感。そんな両極端な感情にかき乱されたマリオの心が、とても好きでした。

歌は、ねえ……がんばってくださいね。
別に巧くなくても良いんですよ。その芝居力でなんとか誤魔化せるくらいになれば、鬼に金棒。本人比で少しづつ良くなってきているのはわかるのですが、声自体は良いので、音程がもうちょっと安定すればなあ……(祈)。



アレッサンドロおやっさんのかける(風馬翔)。
良かった!!個人的には、今回の新公の立役者だったと思っています。「黎明の風」新人公演の吉田茂を思い出しました。

最初の場面(ナポリの海の散歩シーン)は、「若いなー」と思ったのですが、施設の職員(彩花まり)との場面で「お」と思い、BARの場面で「おおっ」となって………
そして、インタビューの場面の「年老いた男」っぷりに泣かされました。特に最初の登場の、歩き方や仕草のぎこちなさに。回想の中のおやっさんから10数年後という時の流れ以上に、息子と思ってきたサルヴァトーレを喪ったショックで一気に老けてしまった……みたいな、アレッサンドロ側のドラマがちゃんと見えたのが良かったんだと思います。
残念ながら、場面が進むにつれて少しづつ「いつものかける」が出てきたかな?とも思いましたが、なんとか最後まで演じきってくれました。……最後の退場で思わず拍手をしそうになってしまいました(^ ^;。




かなり役の多い作品なので、男性の役を女性に替えて娘役が演じていたり、意外な人がアルバイトをしていたり、、、全部をチェックはできませんでしたが、いろいろと興味深かったです。

新公演出は上田久美子さん。なかなか意欲的な、アグレッシブな演出でした。役者を良く見てくれて、その個性に合わせて自由にやらせてくれる人という印象をもっているのですが、今回もそんな感じでしたね。
場面はいじらないけど、台詞は細かいところが結構変っていたと思います。力のある人に自由にやらせつつ、最後にはちゃんと辻褄を合わせる、そのあたりの匙加減も、なかなかに絶妙でした(^ ^)。
どんな作品を作る方なのか、そろそろオリジナルを観てみたい気がします♪



FNS歌謡祭の録画に失敗しました………
昨夜、苦労してHDをあけたのにぃぃぃぃぃーーーーー!!(悲嘆)


しかも、今日は家にケータイを忘れるという失態で、ワンセグで視ることもできず(涙)。あーもう!CSニュースでちらっとでも流れると良いのですが……。

しかし、キンキファンの友人とTMRファンの友人から早速メールが入っていたりして、地上波の威力をあらためて思い知りました。すごいなあ。スカイステージも楽しいけど、やっぱり地上波での舞台放映とか歌番組への出演って、興味喚起や離反客の呼び戻しには有効だと思うんですよね。
自力でチケット取って観に行くところまでには至らないけど、テレビで一回視てるとハードルが下がるらしくて、誘ったら付き合ってはくれるんですよねー、みんな(^ ^)。





それでは、あと少しなので「クラシコ・イタリアーノ」のツボを。

■第11場 抽象空間(He is the Rival)つづき
・以前にも書きましたが、撮影中止が決まったと告げられた時のスタッフたちの反応がそれぞれで好きです。ちょっと残念そうに、でもあっさりと片づけを始めるりっくん(蒼羽)、残りたそうな様子を見せるモンチ(星吹)、そんなモンチの肩に手を置いてなだめるかいちゃん(七海)。
・「これで撮るんだ!本当の俺の作品を!」と宣言すると同時に始まる若者ソングシーンが気恥ずかしい気がするのは、私が年をとった証拠でしょうか。それとも、景子さんもうちょっとなんとかしてくださいと言っても良いのでしょうか。
・ペッピーノ(蓮水)に呼び止められたマリオ(北翔)が銀橋の真ん中で一瞬立ちどまって振り向くのは、大劇場からそうでしたっけ?最初の遠征のとき、あー、このマリオは立ち止まらないんだなー、と感慨深く思ったのは気のせいだったのでしょうか……?(ありがち)
・「これが最後の条件だ。コスト削減と世界市場に供給できる大量で均質な生産の確保」というヘンリー(悠未)の冷たい声を聞きながら、眉間にしわを寄せて苦悩を見せるサルヴァトーレ。
・『人々の想いを遺してFade Out』というト書きを実現しようとする役者たちに、頭が下がります。


■第12場 下町のBAR
・下手の花道から登場するマリオの吹っ切れた笑顔。
・「俺の生まれ育った町は……」とちょっと甘えた口調で語るえなちゃん(月映)。どうしてこんなに好きなんだろう。
・「マンマの味が恋しくて、故郷に帰るのかい?」ハキハキと気風の良い女を演じる凜ちゃん(美影)……どうして辞めちゃうんだぁーーーーーっ!!!
・マリオたちとサルヴァトーレの視点の違いを、台詞で説明しようとするとすごく陳腐になるんだなあ、、と思いました。観ていればわかるはずだから、酒場で語り合うのは思い出話だけでいいと思う。
・それもこれも全部解説せずにいられないのは、景子さんの癖だと思うわけです。良くも悪くも、変らないなあ。
・静かに語る二人をチラチラ視ている他のメンバーが、「威勢の良いのやってくれ!」とマリオが言った瞬間に破顔一笑するのが好きです。
・初見のとき、たまさん(天羽)がピザ屋で歌わなかったのがちょっとショックだったので、この場面で歌ってくれてすごく安心しました(^ ^)。
・祐飛さんの酔っ払った演技は天下一品のリアルさだなあ。さすが、一時期は毎公演酔っ払い役を演じてただけのことはある。
・テーブルに突っ伏す祐飛さんの背中のラインが好きです。あと肩の角度とか。
・椅子の背にかけた上着をそっとかけてあげるマリオの優しい手と、そんな兄をじぃっと視てるペッピーノの目線が好きです。100万言の台詞よりも雄弁に伝わるものがある、と思う。
・ト書きに「朝の小鳥の声」とあることに瞠目。朝まで放置されたのかサルヴァトーレ。

■(つづき)回想
・「ビアンカって……まだ子供じゃないか」と拗ねたように言う祐飛さんが死ぬほど可愛い。
・「そうか、……佳い女になったんだな」しみじみした声に悔恨がにじむ。
・だんだんアレッサンドロと言い争いになっていくにつれて、哀しそうに口元がゆがみ、手に力がはいっていくサルヴァトーレ。自分を認めてくれた最初の人を、説得できずに逃げた自分。直視するには辛すぎて、目を逸らすには痛すぎて。それでもそれはみんな、過ぎたことなんだけど。
・「あなたの心が求めているものは、いったい何なのかしら?」というクラウディアの問いに、答えは見つかったのか、どうか。

■(つづき)下町のBARの外
・ミーナはどうやってサルヴァトーレを見つけたんでしょう。野生の勘?
・「私にもできることがあるって、貴方が信じさせてくれたから」
 「あなたは人をしあわせにできる男じゃない」と言ったクラウディアは、間違っていたんだよね。
「あなたはたくさんのひとから愛されている」
景子さんから祐飛さんへのメッセージ、「Hollywood Lover」の時から変らないなあ。いやもしかしたら、「The Last Party」のときから…?


■第13場 作業場でのインタビュー
・この場面は、全てがツボで全てが好きです。
・えなちゃんのつけたポケットは、叩くとビスケットが出てくるんだと思う。
・冗談は抜きにして、えなちゃんニーノの「アメリカ」に対する夢と希望は、あまりに真っ直ぐすぎて胸が痛い。
・かける(風馬)のやさぐれ感が好きだなあ。
・極秘ですが、こーまい(光海)は、ホントはお寝坊さんなんだそうですね(^ ^)。
・すべてが終わって「シチリア人は世界一しぶといんでしょ?」の後、サルヴァトーレが差しだす右手の手首が好きです。そして、一瞬びっくりして固まるレニーが可愛い(はぁと)。


■第14場 ローマ空港
・以前にも書きましたが、ここの場面で毎回「RENT」を思い出します。マークが撮りたいのもドキュメンタリーですよね。
・レニーが歌いあげる、限りない「肯定」の意志が好きです。「この世に生まれた それだけでLUCKY」って、良い言葉だなあ。なかなかそんな境地には至らないけど。
・「World is Beautiful、Life is Wonderful!」『世界』は美しくて、『人生』はワクワクするほど素敵。逆じゃないところがレニーらしくて、そして、テルくんらしいと思う。祐飛さんが歌うなら逆かもね。みっちゃんだと、「どっちも両方!」ってなりそうだ(^ ^)。
・でも!そういえば、レニー、前場では「人生は美しい、でしょ?」って言ってるよね……?


■第15場 ナポリの海。
白シャツ最強。
・丸首のTシャツが惜しいとも思うけど、だからといって中に何も着ないわけにはいかないしねえ……。
・かなりな唐突感のある場面ではありますが、景子さんにしてはうまくまとめた方だと思いました。少なくとも「堕天使の涙」のラストよりはずっといいです。ホッ。
・子育て中の祐飛さんのところに押しかけてくるすみ花ちゃん。「シャングリラ」もそうだったけど、ベテランコンビとなった今の方がかえって初々しく見えるのが不思議。
・きゃいきゃい言いながら祐飛さんの回りを走り回る子供たちが可愛いです。
・第6場の終わりの、サルヴァトーレが思わず「最低最悪の女だ!」と言ってしまった場面を再現して、「絆」のデュエットに持っていくあたり、景子さん巧いなあと感心します。
・ラストシーンの祐飛さんの笑顔、とても可愛いです。景子さんありがとうございました(^ ^)。



東京宝塚劇場宙組公演「クラシコ・イタリアーノ」のツボ集、その2。



■第七場(つづき) 抽象空間
・施設の女職員(藤咲)の、いっそ冷静なほどにつけつけした物言いが聴こえないかのように宙を視ている少年サルヴァトーレの意地っ張りな貌が好きです。しかし、君はいったいえりちゃんに何をしやがったんだい?
・「少しでいい、誰かが自分を認めてくれると信じられれば」という、前場でのサルヴァトーレの台詞。信じてもらえた瞬間のサルヴァトーレと、ミーナ。信じてくれた相手と、自分自身を信じようとする二人。それこそが人と人との『絆』である、という作者の主張と、その気持ちを思い出そうとするサルヴァトーレ。

ナポリの下町は本当にツボだらけなので、後ほどあらためて書くかもしれません。仮面劇を観てる観客たちが面白いんですよー♪


■第八場 チネチッタの撮影スタジオ
・大劇場で観た時、撮影前にミーナを視たレニーたちの態度がちょっと変わるのが面白いなと思ったのですが、東宝ではあまり目立たなくなったような?実際にカメラを回してみて、「おおっ!」という空気感を重視してるのかなあ。
・いや、だって、昨日とは立ち姿からして違うじゃないですか<ミーナ。テストなしの一発撮りをするってことは、昨日の彼女とは違うって気がついてるからだと思うんだけどなあ(だってフィルムが勿体ないじゃん!)←
・今日のミーナなら、3歩歩かせても大丈夫そうだよ。
・「初めて、微笑った」の優しさ、、、、サルヴァトーレさんあなた……(惚)
・エットーレ(澄輝)の台詞を聞きながら感慨に耽る。若い人の成長ってすごいですね。


■第九場a 作業場
・花道での会話。「マリオは必要な人間だ。私……いや、会社にとって」っていう確信犯的な言い直し台詞に毎回苦労している祐飛さんがとても可愛い。
・マリオが何か言うたびに“びくっ”となる職人たちの反応が人それぞれで面白い。聞えないふりで作業に没頭する人、気になって仕方ない様子でチラチラ横目で視てる人、面白そうにじぃーっと視てる人。そんな回りに全く気がつかないマリオ。
・何度か書いてますが、「一針一針を人の手で縫う」ことと、既製(吊るし)服というポジショニングがどうも繋がりません。いや、昔は機械で縫った方が手縫いより高価だった時代もあるわけだけど、これはそういう話じゃないし。
・ペッピーノ(蓮水)が「金儲けは大切だよ……」と言い始めたとき、心配そうに名前を呼び掛けるジーナ(琴羽)が大好きです。お兄ちゃんに逆らったことなんて無かったんだろうなあ。マリオとペッピーノ、かなり年が離れた兄弟に見えるんですが、実際はどういう設定なんでしょうね。


■第九場b オフィス
・ブランドに対する敬意の全くないロナルド(鳳樹)の提案。「欲しいのはクオリティではない」と言われてしまえば、ブランドホルダーとしては交渉の余地がないような気がするんですよねーーー。
・ブランドホルダーであるサルヴァトーレ。営業部門と、もしかしたら経理部門も束ねているかもしれないジュリアーノ。それぞれの立場で、もっと言葉を尽くして話し合っていたら、、、もしかしたら、と思うときがあります。


■第九場c CM撮影現場(オフィス)
・ちや姉(風莉)、素敵ーーーっ!!!
・銀橋にガールズが並ぶ場面で、エプロンをなおしてるすみ花ちゃんがツボです。後ろでトースターや洗濯機と戯れている若者たちも大好きなんですが、ガールズが可愛すぎてなかなか目が届かない……。


■第九場d チネチッタの撮影スタジオ
・偉そうに座ってインタビューを受けているジョルジオ(凪七)が結構ツボです。どんな話をしてくいたの坊や(^ ^)。
・フランク(春風)の「ローマの休日?……らっきい♪」は、東宝に来て普通になっちゃいました。……いや、そうあるべきなんでしょうけど、ポーズとかみーちゃんらしくて面白かったのになー。
・肩を落として、とぼとぼと機材を片づけるモンチ(星吹)と、ボードになにやら書きこみながら、考え込んでいるりく(蒼羽)。いや、だから何ってことないんですが。あれ?そういえばこの時かいちゃん(七海)は何をしていたっけ?……今度観てみます。


■第十場 フォロ・ロマーノ
・ホリゾントに浮かび上がる、祐飛さんの背中ーーー!!
・景子さんの背中萌えは、とてもとても良いと思います。
・レニーも背中がんばれ!(←そこ?)


■第11場 抽象空間(He is the Rival)
・ルサンクの「サルヴァトーレとジャコモ、対立のステージング」というト書きがツボです。
・まさこちゃんの「それもあ~なたから学んだんだぁ」という、妙に間延びしているのに重みがある台詞回しが最近ツボになってきました。
・「こんな結果ではなかったはずだ……悔しいねえ」という公爵(鳳翔)の台詞が、何かに似てる……とずっと思っていたんですが、思い出しました。「マラケシュー紅の墓標ー」のみおさん(憧れのスター・あすかに金の薔薇をプレゼントできない自分の不甲斐なさを嘆いてたんだったかな?)だ!!(←ごめん大ちゃん)
・舞台奥で踊っている下級生たちがすごく可愛いです。この場面も目が4つくらいほしい。



ところで。今更かもしれませんが、この物語の舞台って何年頃なんでしょうか?
終戦頃(1943年)にサルヴァトーレは10歳。シチリアを出てから十数年。
修行して一人前の職人になるのに10年以上かかるとして、今30代後半くらい?とすると、1960年代後半から1970年くらい、、、かなあ?でも、クラーク・ゲーブルが亡くなったのは1960年なんだよね………職人の修行期間って意外に短いのでしょうか??

……などと考えていたら、なんてことない、「1960年代」と明記してあった(^ ^;ゞ
クラーク・ゲーブルファンのおばあちゃんは、もうボケちゃっていたのかしら……。


東京宝塚劇場宙組公演「クラシコ・イタリアーノ」のツボ集、その1。
すみません、ご覧になっていない方にはさっぱりわからない内容になっていると思いますが、ご容赦くださいませ。

良い作品ですので、ぜひ観てあげてください(^ ^)。



■第一場 チネチッタの撮影スタジオ
・レニーの「ハーイみなさん、ごきげんよう」が結構好きです。テンションあがる。
・グランチェッロと聞くたびに、「大きな空」と思ってちょっと笑える。
・「ストップ!」という声と共に椅子に座った祐飛さんにスポット。その度に、「どうしてハート型の紅い椅子(「シニョール・ドンファン」で紫吹さんが座ってらした椅子)を使わないんだ!!と怒りを覚える。
・祐飛さんの「そして、ミュージック!」の「U」の長音の発音がなぜかツボです。
・身体にぴったりしたミニスカートに網タイツの娘役さんたちは全員超ツボです。ええ。えりちゃんかわいーーーーーー(←全員じゃなかったんかい)。


■第二場 同
・ジョルジオ(凪七)の回りで「だるまさんころんだ」みたいになっている下級生たちがめっちゃ可愛い。個人的に、百千糸ちゃんが可愛いです(はぁと)。
・今回追加された(マイクが入った?)レニーの台詞「最後、セリ下がってましたよ…」が、週末に観たときより目立っていたような気がするんですが(^ ^;ゞ。そこは軽いツッコミだから、もう少しさりげなくお願いします。


■第三場
・大劇場の後半に観た時は、客席でミーナに話しかけられた人が「あっち」と全然逆の方向を差したりして、ミーナが「違うと思うんだけど…」とぼやきながら銀橋へ向かったりしてましたが、東宝はまだみんなおとなしいですね(^ ^)。
・「おまわりさん!」と呼びかけられたときの警官役のお二人の表情とかがとっても良いです!
・字が読めないのは確かにミーナの責任じゃないけど、それでどうして映画学校に入学できたのかが不思議なのは私だけでしょうか。筆記試験は無いのかな?あと、字が読めない役者って、どうやって台詞を覚えるんでしょうか。誰かに読んでもらうの……?
・泣きだしたミーナに、サルヴァトーレは何を囁いてあの大芝居をさせているんでしょう。
・「仕方ない。彼女でいこう」の「仕方ない」はいったいどこから?


■第四場 作業場
・大劇場の最初の頃は、ちーちゃん(蓮水)の歌が始まっても仲間たちは「あー、はいはい」って感じだったはずなのに、いつの間に耳までふさぐようになったんだ……?
・カメラマンのかいちゃん(七海)にアイロンをいじられて叱りつけるマリオの迫力。
・この場面では、メインで芝居をしているメンバーよりも、その回りでわらわらしている職人たちが面白いです。何となく浮かれていたのが、マリオに怒鳴られてシュンっとなっているこーまい(光海)、アメリカ人たちを物珍しげにワクワクしながら眺めているえなちゃん(月映)、一生懸命仕事をしながらチラッチラッと上目遣いで見上げてる女の子たち。みんな可愛いなあ。


■第五場 レセプションパーティー
・この場面はすみからすみまで見どころ満載なのでいろいろキョロキョロしてあげてください。
・初対面のサルヴァトーレに対するロナルド(鳳樹)のやさぐれ感が素晴らしいです。「さすが、アメリカの成金とはわけが違う」という上から目線な嫌味っぷりも素敵なんですけど、それ以上に「すごいお屋敷ですね」という言葉に籠められた侮蔑なんて、誰にも真似ができない気がする……。
・大ちゃん(鳳翔)のおっとりした貴族っぽさが結構ツボです。クラウディア(五峰)の尻に敷かれてるどころか、指先でぽいっとされているところがとても好きです。
・クラウディアの「あなたは誰かを幸せにできる男じゃない」っていう台詞が、作品全体を貫くテーマの一つになっているところが好きです。とはいえ、真実は「クラウディアはサルヴァトーレが幸せにしてあげられるような安い女じゃない」 だと思うんですけどね。


■第六場 チネチッタの撮影スタジオ
・普通の撮影で、何百回もNG出すとかありえません(その前に終了する)。っつか、フィルムがもったいないよ。
・撮影が終わった後、マイクを回収するモンチ(星吹)が好きです。大劇場はミーナに対してもっと優しかったと思うんだけど、東宝になってからは結構冷たい。疲れたー!という芝居になってて、これはこれで面白いです。
・モンチがマイクを回収するのをさりげなく待ってるりく(蒼羽)が可愛い。


■第七場 下町のPizzeria
・ここはもう、観たい人が多くて大変です。目があと8個ほしい(←具体的)
・えなちゃんの口上は理屈抜きで好きです。どうしてあんなに可愛いんだ。
・今までずーっと偉そうに表面を取り繕っていたサルヴァトーレが、ナポリ時代におやっさんの前で見せていた可愛い貌を初めて見せる場面。こういうのが「きゅん」なんだよ、と思う。
・靴磨きの少年(花乃)と兄貴(和希)、そしてかける(風馬)くんのエピソードが好きです。ゆいちゃん(結乃)とデートしてるかけるくんのデレデレ笑顔を視るたびに、「(靴磨きで)汚しちゃってごめんね」と思う(^ ^;ゞ。デート前だからめかしこもとうして靴磨きを頼んで、なのに汚されちゃったらそりゃ怒るよね(T T)……ああいう細かい小芝居って、自分たちで考えるんでしょうか。それとも、植田景子さんの指定?
・サルヴァトーレの「ナポリの海…」という台詞を聞くたびに、「あの日のサンセット…」を思い出します。
・祐飛さんの「懐かしいものを見せてもらった。ありがとう」の言い方の優しさは、ギャップ萌すぎて犯罪だと思う。あれじゃ女の子は惚れちゃうよ!!



ずいぶんはしょったつもりだったのに、意外と長くなってきたので、このへんでいったん切ります。
こうやって書きだしてみると、相当にツボだらけだなあ(←好きなんだってばこの作品)


そうそう。
だいぶ先の場面ですが、レニーがインタビューを終えた後の場面で流れてる音楽が、ミュージカル「RENT」のエピローグ前(マークが壁にこの一年の映像を映し出す場面)に似てるような気がするんですけど、気のせいでしょうか?
あの音楽が鳴るたびに、つい回りの壁を視てしまう私は、立派なRENTフリークです(^ ^)。



今回、下級生娘役さんのお化粧がちょっと派手目になっていて、誰か化粧指導が入ったのかな…?と思いました。今までとはだいぶ違う気がするんですが、どうでしょう。……と言っても、前回は日本物⇒黒塗りのショーだったので「今まで」が良く判らなくなっていますが(汗)。
派手目なメークが似合う人もいるけど、微妙な人も何人かいて、お化粧って難しいなあと思いました。中でも気になったのはありさちゃん(瀬音リサ)。元は可愛いのに、立ち位置もあがってきて目立つ位置にいるのに、メークがイマイチでとても残念。目元はもっとすっきりさせて、チークはそんなに幅広くつけずにメリハリ付けた方が絶対良いのに!!


東京宝塚劇場宙組公演「クラシコ・イタリアーノ/ナイス・ガイ」を観劇してまいりました。



大劇場で観た時の感想……というか、雑感はこちらに書かせていただきました。
http://80646.diarynote.jp/?day=20111107

えーっと。
脚本的にも芝居(役者)的にもかなり完成度が高くて、その完成度ゆえにかえって感想を書くのが難しい……と悩んでいるうちに大劇場が終わり、そのまま東宝が始まってしまいました。
いちおう宙組ファン(←最近すごくあやしいけど)の一員の日記として、公演の真っ最中なのに更新が20日ぶりってどうなんだ?いかんいかん!



……というわけで、東宝を観てまいりました。

人の動かし方とか間の取り方とか、細かいところの変更点はいろいろあったような気がしますが(少年サルヴァトーレのマイクが入っていたりとか)(レニーの「最後、セリ下がってましたよ…」とか)、とりあえず台詞レベルで違っていたところで気がついたのは2箇所ですかね(他にもあると思いますので、気がついた方教えてください!)。

1つ目は、最初の撮影前のミーナの電話。これは、場面として追加されてますね。
「初めての仕事が決まったんよ!明日が撮影!」
と“おばあちゃん”に掛ける電話で、大劇場からあった「CMが決まった!」という電話の前振りになるわけですが。

最初の撮影直前のミーナと、それを無事撮り終え、オーディションにも参加して、お情けではなく自力で仕事を獲得したミーナ。『誰かがいる』ことに気づいて、強くなった彼女の変化を表すための場面追加なんだろうなーー、とは思うのですが……あまりに短いうえに、相手のいない「電話」というのは、ちょっと難度が高すぎるような気がしました(; ;)。
すみ花ちゃんは可愛かったけど、どうせ増やすならレニーとミーナの会話(インタビューを取りたいとサルヴァトーレに伝言をする場面)が観たかった……いや、そこまでの時間はなかったかもしれませんが(^ ^;ゞ

しっかし、ほんの1,2分だと思うんですけど、この場面を入れるために何かを削った……はずですよねえ?転換の時間とかを削って捻出したのかなあ……?



もう一つは、マリオたちの酒場のシーンで、駆けつけてきたサルヴァトーレがマリオに掛ける言葉。
「ジュリアーノ(寿)が、お前に辞表を提出させたと聞いた」
という台詞が追加になって、これに続けて大劇場の時の
「俺がお前を追い詰めたのか?」
につながったんですよね。

ここの会話は、ル・サンクが出た時にだいぶ話題になりました。
印刷された脚本では
「ジュリアーノが、辞表を出すようお前を追い詰めたと聞いた。俺は、お前を守れなかった」
というセンチメンタルな台詞になっていて、、、いやー、削除されて良かった、と思ったものです。

しかし、東宝で変更された台詞は、同じことを言っているのに全然ニュアンスが違うのがすごいな、と感心しました。さすが景子さん(^ ^)。このたった一言があるかないかで、マリオの立場は全然違うものに見えてくるし、作品の印象さえ、だいぶ変わったような気がします。

脚本の台詞だと、サルヴァトーレとジュリアーノは完全に対立し、マリオは『犠牲者』になってしまう。マリオ自身がどう考えているかによらず、サルヴァトーレはジュリアーノに敗北したことになってしまうんですよね。だから、削除した。それは、正しい。

でも、この会話がないと、マリオがすごく勝手な男になってしまう。辞める必要はないのに、何もかも面倒になって、全部捨ててしまうヴァガボンドみたいな印象が残ってしまうんです。もちろん、実際にはマリオはそういう人間ではないはずので、台詞がなくてもそこは芝居でカバーするべき(してほしかった)部分ではあるんですけどね。

だから。
東宝で追加された台詞によって、ジュリアーノの立場がはっきりしたのはすごく良かったと思います。
ジュリアーノがサルヴァトーレの意志を無視してマリオを追いだしたわけじゃない。マリオがサルヴァトーレの意志を無視して勝手に出て行ったんでもない。サルヴァトーレの中にはジュリアーノに賛同する部分とマリオを必要とする部分の両方があって、ジュリアーノにもマリオにも、そしてサルヴァトーレ本人にも、その迷いは判っていたんですよね。だからこそジュリアーノが動き、だからこそマリオは納得し、、、、だからこそ、サルヴァトーレの目も醒める。
自分が今歩いている道は、本当に自分の理想につながる道なのか?ということを、考え始める……。


話の展開的に、ジュリアーノがヒューストン(悠未)から金を貰ってマリオを切ったとか、そういう話じゃないはずなんですよね。
ヒューストンの目的は「アメリカ市場で馬鹿売れする(=大儲けできる)廉価なナポリスーツ」であって、何もサルヴァトーレ自身が欲しいとかそういう話じゃない。(←違いますよね? ^ ^;ゞ)
グランチェッロ側から売りこんだのか、ヒューストンが買いにきたのか、そのあたりは語られませんが、たぶん、最初の頃は「廉価なナポリスーツ」を提供してくれそうだったのはグランチェッロだけだったんですよね。
けれども、業界トップのグランチェッロは、プライドが高くて扱いにくい。何かというとすぐ「伝統の…」とか言い出して、歴史のない自分たちを馬鹿にしている(←ように聴こえる)
後から出てきた成り上がりのアジャーニの方が、言うなりになるだろうから、最初の話はなかったことにしてしまいたい。だから、グランチェッロがとても呑めないような条件を突きつけて、あとくされなく切ってしまおう……というのが、物語のスタート時点でのヒューストン側の意向のはず。

サルヴァトーレも、それは気づいているんでしょうね。先方は自分の商品に惚れこんで買いにきたわけではなく、話題性と物珍しさがほしいだけだ、と。品質が良ければそれに越したことはないくらいは思っているかもしれないが、それが付加価値になるとは思っていない、と。
だったら、こちらからお断りだ!……と自分の方から切り捨てるには、先行投資をしすぎてしまっている……というのが、グランチェッロ側の状況。少なくとも、ジュリアーノはそう思ってるんですよね。そういう台詞もあるし。
……たぶん、ミシンを大量に買っちゃってたんでしょう(^ ^)。

そんな状況の中で、今のマリオの存在は、邪魔でしかない。サルヴァトーレが決断するのを待っていては遅すぎる。だったら私が……とジュリアーノが動くのは、とても良く判ります。
長々と書いてしまいましたが、たった一言付け加えただけで、ジュリアーノとマリオの立場が全く違って見えるのが面白いなあ、と感心しました。

まあでも、こうなるとますます、サルヴァトーレ(とマリオ)が去った後の「グランチェッロ」の行く末が厳しそうに思えるんですが……仕事場の若者たちは大丈夫なのでしょうか(; ;)。
ジュリアーノも頑張ってくれるとは思うのですが、サルヴァトーレのセンスも技術面を支える存在もないとなれば、価格競争に陥るのは時間の問題ですからねえ……(泣)。




なーんて、、、余計なことばかり書いているような気がしますが。
そのくらい、本当にいろいろなことを考えてしまう作品でした。私にとっては。

その中でも、一番切ないのは、「アメリカ」という夢への純粋な憧憬なのかもしれません。
それは豊かさの象徴であり、平和の象徴であり、幸せの象徴でもあり……なにより、憧れのすべて、だったのでしょう。

映像の中の、ニーノ(月映)の語り。
「皆で手分けして作ったスーツがいつかアメリカに渡るかもしれねえ……そう思うと、ワクワクしてさ」
そのときの、えなちゃんの笑顔……。
手の届かない憧れだけど、憧れることができる自分は幸せなんだ、と。生きることだけに必死だった頃を思えば、夢を視ること自体が夢のようだよ、と。台詞ではそんなこと全然言ってないのに、そんな声が聴こえるような気がしてするんです。

「戦後のイタリア人にとって、アメリカは憧れそのもの。豊かさこそが幸せだと信じ、それを追い求めてきた。……だが、そのために喪ったものもあるのかもしれない。この国も、そして、自分も」
というサルヴァトーレのインタビューの直後なだけに、余計その憧れの純粋さが胸に沁みます。切なくて、痛々しくて、でもその純粋さが羨ましい、そんな感じ。

このお芝居はいろいろ胸に痛い台詞がたくさんあって、あちこちでうるうるしながらも泣くのは堪えている……んですが、その努力が無に帰すのは、だいたいこの場面ですなんですよね。映像を見ながら唇を噛みしめているサルヴァトーレも好きすぎる。
……毎回、あの場面のレニーの貌を見ようと思うんですが、未だ果たせてません(^ ^;ゞ おやっさんは結構観てるんだけどなあ。。。




宙組大劇場公演、千秋楽おめでとうございます!
あもたまさん(天羽珠紀)、
珠洲(春希)さん、
綾音らいらさん、
(琴羽)桜子、
(美影)凜ちゃん、
こーまい(光海舞人)、、、
みなさん、ご卒業おめでとうございます!!

CSニュースは明日ですよね。ドキドキ……(朝から泣かないように)



10月11月となんだかんだいろいろあって、宙組公演の感想は最初の週の遠征先でちょこっと書いただけになってしまいましたが、もちろんあの後もちゃんと観ておりまして(さすがに、梅田まで行って花組だけ観て帰ったりしない笑)、観るたびにツボが増えています。

作品自体も佳作なんですが、それを出演者たちが盛り上げて、徐々に「名作」に近づけている、という手応えがあるんじゃないかな。
ゆうひさん・すみ花ちゃんは最初からある程度出来上がっていたし、テルくんも良かったけど、たとえば撮影チームのアシスタント(りく・モンチ)とか、仮面劇団メンバーとか、新公を終えて公演後半に入ったあたりで個性が出てきて、人間関係も見えて面白くなったなあ、と。
特に、帰国が決定した後の撮影チームで、レニーにかなり心酔してるっぽいモンチと、そんな彼を心配そうに見守るカメラマンのかいちゃんのちょっとした小芝居が大好きだったりします。
あああ、東京公演が本当に待ち遠しい!!


ただ、特に「クラシコ・イタリアーノ」については、手放しで「素晴らしい名作!」だと思っているわけではないんですよね。もちろんいい話だし、キャスト含めた「舞台作品」としての完成度は高いと思うし大好きなんですけど、「名作」にカウントするにはちょっと設定に無駄が多いな、と。
……「無駄」という言葉がふさわしいのかどうかわかりませんが。えーっと、初見の時から気になっていたのは、物語の中で「対立軸」がぶれていること、でした。



物語の前半でフィーチャーされるのは、サルヴァトーレが始めた「既製服スーツ」。これは、オートクチュールとプレタポルテの対立ではないんですよね?サルヴァトーレの店ではどうやら分業によって効率化した手縫いの吊るし服を売っているらしいし。レニーが、初日の仕事を終えてから「ナポリ中のテーラーを回っ」て手に入れた服を翌日着てきているってことは、そういうことですよね?
袖丈やズボン丈くらいならすぐ直してくれるかもしれないけど、身頃や肩のラインまで一晩で直すのは無理でしょう。つまり、マリオが中心となったグランチェッロの工房のメンバーは、実際にそのスーツを着る人に逢うことなく型紙を取り、最後まで仕立てているわけです。
そして、そのスーツの製法の開発には、全面的にマリオが協力していたはず。そうでなくては工房を仕切ることなどできませんから。

斬新な色・形・材質による「お洒落なスーツ」の誕生。これは、マーケティングでいう「争点(論点)の移動」です。それまで「格を担保するための制服」だったスーツを、「日常のお洒落着」にした、ということですから。
これが定着すれば、グランチェッロ以外のスーツを着ている人は「野暮」ということになる。「新しいスーツ」は独占販売なわけです。しかも、日常に着るモノとなれば、一人の人間の購入数(在庫可能数)が激増します。「スーツ」の予算を奪い合うのではなく、「衣服費」全体がパイになる。
そして、その「争点の移動」を可能にしたのは、マスコミへの情報提供の一本化によるブランドイメージの確立と、商品品質の担保、そして、分業体制による「圧倒的な生産力」と、それによる売り場の独占……そんなところでしょうか。そして、この「商品品質」と「生産力」のバランスを担保していたのがマリオの存在だった……。

物語の後半、サルヴァトーレとマリオが対立するのは、このバランスを「生産力」側に傾けようとする力に対して、マリオがそれまで抱えてきた不満が爆発した、という展開になるわけですが、、、
ここが、どうしても脚本的に弱くなっているんですよね。
だって、マリオは「既製服スーツ」に不満はなかったはずなんですよ。
良く判らないけど、たぶん、一人の仕立て職人が型紙からポケットつけまでスーツ製造のすべての工程を一人でやるのが最高峰なんですよね?で、グランチェッロみたいな、型紙もある程度決まっている上、工程ごとに職人をわけて効率をあげるやり方は、スーツの格としては落ちるけど、だけど、技術の無い人間に簡単な仕事を与えて育てつつ、生産量をあげて価格を下げられる(大衆化)というメリットがある。


セルフ市場でのマーケティング理論を物語の中でうまく使ったなーと感心しつつ、結局のところ、景子さんの向かう方向はいつも同じなんだろうな、と思うんですよね。

毎回思いだすのは、「Hollywood Lover」での、ステファーノの台詞。
「『ハリウッド』の娯楽性と、俺の芸術の融合点を見つけるんだ」「大衆受けを狙ったゴージャスな映像を入れたからって、サラ・ベルナールのドラマが描けないってことにはならない。やるからには最高を目指す」っていう、あれです。

サルヴァトーレの一番の拘りを「伝統(クラシコ)」=手縫いでしか実現できない品質におきつつ、それでも、どこを妥協すれば「大衆」に届けることができるのか。それこそ、彼がマリオと徹底的に考えたところのはずですよね。
だったら、そこをもっともっと描いてほしかったと思うのです。
そこを曖昧に「既製服スーツは成功した」っていうところからスタートすると、マリオとサルヴァトーレが対立する意味がわからない。あるいは、最初から対立するしかなくなって、和解する意味がよくわからなくなってしまう。

大衆受けだけで創られたものは、愛されるけれどもすぐに飽きられてしまう。
芸術性だけで作られたものは、興味を持ってくれる「客」との出会いの場が少ない。
その両方の「良いところどり」をするための彼の努力が何だったのか、グランチェッロの「既製服スーツ」が守ろうとしたものが何なのか、、、それを、もっとちゃんと描いてほしかったなあ……と思うんですよね。
そこが「対立軸」であるべきだったと思うし、そこが解決したときに「和解」がある、っていう展開じゃないと、すごく中途半端な印象が残ってしまうな、と。
サルヴァトーレがナポリに帰って伝統の技を伝えて行こうと決意するのは、いい。
でも、そのときに、彼が元々希求していたはずの「大衆に届けられるスーツ」という夢はどうなったのかの結論だけは、きちんと片づけてほしかったなと思うのです。

サルヴァトーレにとって、アメリカに進出するという夢を見ることは必要でした。その夢に破れることも、それで目が覚めることも。
でも、「目が醒めた」結果、ナポリに帰って「サルヴァトーレ・フェリのスーツじゃなきゃ着ない」という目が肥えたお客さんだけを相手にする商売に戻る、っていうのは違うんじゃないか?と思わずにはいられない。グランチェッロの、「大衆の手に届く、着ているだけで幸せになれる軽やかなスーツ」みたいなコンセプトを、ジュリアーノは本当に守ってくれるんでしょうか。マリオもサルヴァトーレもいないのに。



なんて、いろいろ書いていますが、まあその程度なら普通は芝居でカバーできるんですよね。
ちょっと物語後半の無理やりさがあるだけなんだから。
でも、それを芝居でフォローするには、みっちゃんのマリオが残念ながら力不足だったな、と思います。みっちゃんは、技術力が高いだけに「一人の人物としての共感」を得る前に「場面ごとに最適化した芝居」をしてしまう人なので、工房にいるときと酒場にいるときで全くの別人になってしまうんですよね……。
さすがみっちゃんで、酒場の場面の芝居はそこだけ観ると凄く良いんだけど、工房でサルヴァトーレと対立している場面の人物像とは全くつながらない。サルヴァトーレの幼馴染で、仲良くやってきた単なる「良い奴」に見える。声もアクセントも、語尾の切り方さえ違う。場面によってそういうところを変えられるのは技術としてすごいなと思うけど、大した時間が過ぎたわけでもない同じ一人の人物を演じているはずなのに、何故変える必要があるのか、と思うんですよね……。
みっちゃんをマリオに据えるなら、対立軸を整理して、サルヴァトーレとマリオは和解せずに終わらせた方が良かったんじゃないかと思いました。いえ、具体的にどうすればいい、というアイディアがあるわけではないのですが。
んー、初日直後に観た時は、みっちゃんもそこまで違和感なかったんだけどなあ……(; ;)。








本題とは全く関係ない話で恐縮ですが。
明日(11月8日)は、日本青年館公演「血と砂」の千秋楽からちょうど10年の記念日になります。

今年のスケジュールが発表されたときは「おお~」と思ったこの日付。
今となってはごく普通の良作公演の千秋楽で、私自身は普通に働いて過ごしていたし、明日は研修の後「カナリア」観劇だし。あははー、という感じなのですが、やっぱり、いろいろ考えることはありますね。
2001年という年は、大空さんのファンにとっても、そして現代に生きる人間としても、大きな事件のあった濃い一年間で、思い起こせば本当にいろいろなことがありました。
あれから10年目にあたる今年は、何かにつけて「あれから10年……」と思うことがたくさんあるのですが。そんな中でも、11月8日という日付は、やっぱりすごく思い入れがあるんですよね……。
それにしても。バウの初主演から10年間在籍した人って、過去に存在するんだろうか?(←祐飛さんがすべての前例です)



そして、もっと全然関係ないのですが!
「クラシコ」と入力したいのに、何度やっても懲りずに「暮らし粉」と変換してくれる私のパソコン。なんか料理でもしてくれるのか君は!


今、帰宅してカウンターを見たら、70万ヒットを超えていました♪♪
いつも読んでくださるみなさま、コメントくださるみなさま、本当にありがとうございます!!

これからも、ぜひぜひどうぞよろしくお願いいたします。
そして、みなさまのコメントをお待ちしています(^ ^)。



さて。
宝塚大劇場にて、宙組公演「クラシコ・イタリアーノ/ナイス・ガイ」を観劇してまいりました!!



お芝居は、植田景子さんの渾身の宛書き。

シチリア生まれのイタリア人で、名前のイニシァルは「S」なサルヴァトーレ・フェリ=大空祐飛。

ナポリの海ちかく、仮面劇の一座に生まれた「何もないところで転ぶドジっ娘」ミーナ=野々すみ花。

サルヴァトーレのアメリカ進出を取材に来たアメリカ人カメラマン、レニー=凰稀かなめ。

そして、サルヴァトーレの右腕として工房を仕切る仕立て職人のマリオ=北翔海莉。

マリオの弟・ペッピーノの蓮水ゆうや、サルヴァトーレやマリオたちを仕込んだナポリ仕立ての親方に汝鳥ゆう、、、魅力的なキャラクターが満載で、久々に彼女の宛書き能力を堪能できて楽しかったです。
祐飛さんは眉間のシワあり、笑顔あり(はぁと)
すみ花ちゃんはもう、ホントなホントに可愛かった!!
テルくんは、あの独特の「見守る目線の優しさ」みたいなのが生かされていて、意外とこういうさりげない役って存在感を出すのが難しいんですけど、良かったと思います。

そして、みっちゃん!!
久々に、こねくり回さずまっすぐ「マリオ」に向かってるみっちゃんに会えて、嬉しいです!!
良い役だなあマリオ。酒場の場面のラスト、サルヴァトーレに上着を掛けてあげる時の、沁み入るような優しい瞳がすごく好きです。



「伝統」あるいは「芸術性」へのこだわりと、「革新」への渇望。
景子さんの作品には良く出てくるテーマですが、「革新」へむかう気持ちが常に「大衆」に向いているのが彼女のいいところだと思っています。
「貴族」「特権階級」のためのスーツではなく、「大衆」に届けることが可能なスーツを、という想い。

最終的に、そのテーマの結論は出さないのですが、「マーケティング」の観点から観ると、なかなかに面白いところに突っ込んでくれたんじゃないかな、と思います。



サルヴァトーレのアメリカ進出の取引先となる悠未ひろ、サルヴァトーレと敵対する十輝いりす…たちが若干中途半端に終わってってしまったのは残念でしたが、盛りだくさんなエピソードと盛りだくさんな宙組スター陣を破綻もさせず、よく使い切ったほうじゃないかなあ(^_^)。

温かな涙が溢れて、観終わった後は前向きになれる作品でした。
大劇場公演の100分間のお芝居のなかでは、今のところ(雪組のみ未見)は今年の一番♪です♪



ショーは、藤井くんの、藤井くんによる、藤井くんのためのショー!!でした(^w^)
祐飛さんとテルくん、という「耽美」ができる二人が揃った組を担当できて良かったね!と素直に喜びを分かち合いたいと思います(はぁと)。


…ま、細かいところはおいおいこなれていくでしょうから、次回観劇のお楽しみに取っておきましょう♪



あらためまして。
昨日、宙組の次回公演での卒業生が発表されました(T T)。


■天羽珠紀(83期)
最初の出会いはバウホール公演「フリーダム」だったなあ……と遠い目をしてみる。
あのソロ、すごく好きだった。今でも時々、鮮明におもいだすことがあります。
そうやって、樹里ちゃんが異動してからウメちゃんが異動してくるまでの数年間、私にとってのたまちゃんは、「見分けがつく唯一の宙組下級生」でした。

時が流れ、いつの間にか上級生になっていたたまちゃん。私がウメちゃん目当てで宙組公演も複数回観るようになった頃には、癖の強いベテランの上級生として、印象に残るけれども出番の少ないピンポイントの役が回ってくるようになっていたたまちゃん。

祐飛さんが組替えしてきてからは、最初の大江山以来、すべての作品に一緒に出てくれた……のかな?
博多座、シャングリラ、銀ちゃん、ヴァレンチノ、、、毎回本当に良い仕事っぷりで祐飛さんを支えてくれて、感謝しています。メロソープも大好きだったし、それ以上に「ファン」の時の怖さがとっても好きでした!

なんでもできるけど、何をやらせても癖がある。そんなたまちゃんの一番の当たり役は、私にとっては「ル・プティ・ジャルダン」のロワゾー4役です。
だから。彼女が卒業を発表したいま、最後の作品が植田景子さんの作品であることに、つい意味を探してしまう私がいます。

最後の役は「パオロ・プッティ」。あおいさん(美風)と夫婦で、すみ花ちゃんの父親……とか、そんな感じでしょうか。
ロワゾーを超える役に、最後に出会えることを祈りつつ。



■珠洲春希(83期)
最初の出会いは、たぶん「ファントム」の従者、だと思います。初見の時は、従者は一人しかいないと思っていたくらい、こっしーさんに釘づけでした。すごく印象的なダンスを踊る人だなと思って、それ以来ずっと、ショーのたびに追いかけていました。

宙組には珍しいくらい、お洒落でセンスのいい美人さん。
祐飛さんが宙組に来てからは、大劇場以外でご一緒したのは博多座くらい、かな。でも、結構一緒にやっている印象が強くいんですよね。「カサブランカ」のジャン、「トラファルガー」のジャービス提督と癖のある人物でしっかり組んだうえで、回ってきたのが「誰がために鐘は鳴る」のアンセルモ。こっしーさんのお芝居ではベストアクトだったと思ってます。あの時に見せてくれたロバートとの絆。こっしーさんがいてくれて、こっしーさんのアンセルモに逢えて、本当に嬉しかった。ありがとう。

私にとって、こっしーさんの一番は、「宙・ファンタジスタ」の火星の場面で、ともちん(悠未)と踊っていた、あのダンスです。
だから、最後の作品が藤井さんであることにも納得はするんだけど、逆に、中日の「Apasshionado!!」にも出てほしかったのに……と残念に思ったりもします。
あの場面、再演されないかなあ。みっちゃんのソロをたまちゃんにして、同期3人で。別に、銀橋を渡る人がいなくたって、場面としては成立するし、すみ花ちゃんが出てくるまではともちんメインで場がつくれると思うんだけどなあ……。



ともちん(悠未)が「クロスロード」のアルフォンソの影、たまちゃんが「フリーダム」、こっしーさんが「ファントム」の従者。気付いたタイミングはそれぞれ違っていたし、この3人が同期だってこともつい最近まで気がつかなかったけど(^ ^;ゞ、今になってみれば凄いメンバーなんだなあ、宙組83期。
83期も、ついに劇団全体でともちんとみわっちの二人だけになってしまいますね。さびしい……
でも、退団発表の前に「Graph」の83期特集を読んでおいて良かったです。もう一回読みなそうっと(T T)。



■綾音らいら(88期)
らいらちゃんとの最初の出会いは、「Paradise Prince」新人公演のメイ。
でも、本当にちゃんと認識して、役を離れても見分けがつくようになったのは、たぶん「大江山花伝」からだと思います。
芝居もダンスも「しっかり者」という印象で、頼もしい女役さんだなと思いながら見守っていました。

宙組は上級生の女役が豊富なので、なかなか役がつきませんでしたが、「誰がために鐘は鳴る」とか、いつも良い芝居してたのになあ~(溜息)



■美影凜(90期)
最初の出会いは「カサブランカ」ってことになるのかな?
ぱっと眼を惹く美人で、スタイルが良くて、声が綺麗で、歌えて踊れる!なんて貴重な人材なのかと思うけど、さっぱり役がつかないままに研6を迎えていたんですよね……つくづく、勿体無かったなとおもいます。
去年くらいから急激に役がつくようになって、露出も増えて(CSの「ヤングパワー」とか。日経ホールのトークとか)、そして「Rising!」での抜擢。密かなお気に入りが突然アイドルになったみたいで、勝手に寂しくなったりもしつつ、嬉しかったんだけどなあ……。
まさかここで卒業されてしまうとは(涙)まだ研8なのにー!

ああいう、大人っぽくて歌えて踊れて芝居もできる美人は、これからが使い時なのになあ。「トラファルガー」のナポリ女王とか、すごく良かったのに。ああいう役が本役で回ってくるようになるまでにはもう少し辛抱が必要だけど、でも、あの優雅な仕草や雰囲気は貴重だったと思うんだけどなあ(T T)
制作側のスタッフも、残念に思っているに違いない……



■琴羽桜子(90期)
最初の出会いは、いちおう「大江山花伝」の五月雨、ということになるのでしょうか。
その前から、新人公演で何度かタラちゃん(愛花)の役っ桜子は、なんとなく判っていたはずだけど、でも、あんまりよく覚えてはいないんですよね(すみません)。
やっぱり五月雨の出会いは印象的だし、それ以上に「Apassionado!!」の格好良さが印象的でした。

研7だった去年、「トラファルガー」のジョセフィーヌ(本役:五峰)に「誰がために」のピラール(本役:京)と、女役として最高峰に近い役を歴任し、きちんと結果を出した実力派。可愛くて芝居ができて踊れて、私の中ではすでに“スター”の一人だったんだけどなあ……。

博多座、シャングリラ、ヴァレンチノと、「Rising!」の時期以外はずっと祐飛さんと一緒だった桜子。「ヴァレンチノ」では、ドラマシティ公演の時のレポートにも書いたけど、ハリウッドでのエキストラの場面の桜子が最高に面白かった……。
ファンの活躍も見事だったし、他の場面でもいろいろ弾けてて楽しそうだたなあ(*^ ^*)。
「黙示録の四騎士」でジュリオの相手役を務めるリハーサルシーン。(蒼羽)りっくんと踊っているときのぎこちなさと、ルディーと踊りだした途端に出てくる伸びやかさの対比がすごかった。ああいうのって、技術で相手を巧く見せることって出来るんですね……(もちろん、振付が絶妙なんだとは思いますが)。そして、踊り終わったあとの“ぽーーーーーーっ(*^ ^*)”とした、“心ここにあらず”みたいな雰囲気づくりも、すごく良かったと思います。あれこれ話しかけてくるりっくんを無視して(時には肘鉄も食らわせながら)、一生懸命ルディーの気を惹こうとしているのが凄く判りやすくて面白かった!!(^ ^)。

まあ、なんといっても圧巻は、ハイレグダルマでルディーにまとわりつくコロスでしたが。あの色っぽさと美しさ、そして怖さ、、、、あれはホント、半端なかった……。

でももう、桜子が決めたことなんだから。
引き止めはしません。引き止められるはずもないし。



ただひとつだけ。
藤井さん、お願いだから、ダンサー・桜子とダンサー・凜に、ちゃんとした見せ場を!!

……卒業生に限りない愛を注いでくれる藤井さんだから、期待してもいいかなあ……?



■光海舞人(90期)
そして、こーまい。
こーまいが卒業、と聞いた瞬間に、月組のきっしー(彩央)の卒業が発表されたときの衝撃を思い出しました。
しかーし!!君はきっしーより更に2年も若いんだぞ!!!
まだまだやるべきことを終えてないんじゃないのか!?

……と、叫びたい気持ち。
あんなに良い芝居をするのに、役らしい役がなかなかつかないこーまい。
「ヴァレンチノ」での活躍ぶりが、目の裏に残っているのが切ないです。

ハリウッドのエキストラ募集で、「ついてねえなあ、おい」と一言良い置いて去っていく男の、その背中の哀愁と絶妙のしょぼくれ具合が本当に素晴らしかったなあ(*^ ^*)。
煮えたぎっていた「ファンの女の子」、何度かある「店」の場面で、客として見せるちょっとした気配りと傲岸さ。こういう役で、ここまでいろんな表現ができるってすごいことだよなあ、と思いました。

景子さん、お願いだからこーまいにも「ちゃんとした」役をあげてくださいね。
こーまいの最後の役は、ミゲル。名字がないのが気になりますが、ちゃんと本筋に絡む、思い出に残るような役でありますように。



宙組青年館公演「ヴァレンチノ」、千秋楽おめでとうございます。
そして、妃宮さくらちゃん、ご卒業おめでとうございます!



なんだか、作品についていろいろ書きたいことがあったんですが、昨日力尽きて寝てしまったらもう千秋楽という(T T)。
7日間10公演。長いようで短いようで長いようで、やっぱり短かったな、という気がしています。
観るには十分な期間だけど、咀嚼して自分の中で解釈をまとめるには時間が(体力も?)足りない。そんな感じでした。


まあ、とりあえずは深く考えず、せっかく観ることができた千秋楽の様子を。

まず。

カイちゃんが化けました。
青年館の初日でもすごく良くなってて、おお!と思ったカイちゃん(七海ひろき)のナターシャ。
その後も観るたびにいろいろ違っていて、おもしろいなあと思っていたのですが。
千秋楽にまた大きく変わっていて、びっくりしました(@ @)。特に違うなあと思ったのは2幕かな。最後の「おしまいね、なにもかも」につながる心情の動きを丁寧に見せていて、一人の女性としてすごくなめらかになった気がしました。


もちろん、カイちゃんだけじゃなくて、祐飛さんはじめみんな色々違っていたし、普段の公演よりも「これで最後だ!」という気持ちが強かったような気がします。
やっぱり、一度中途半端な形で終了させられた作品が奇跡の再演を果たしたことで、観客の気持ちもずいぶん違うけど、演者の思い入れはもっと大きいんだろうなあ、と実感しました。


さくら(妃宮)関連は……お芝居では特になかったと思います。(←見落としてるようでしたら教えてください!)
いつも宙組の千秋楽は、カフェの場面とかで卒業生の回りに人が集まっていろいろやるのが定番のような気がするんですが。今回はテックスの店でも人の動きはそんなに変わらなくて。
フィナーレのダンスで、衣装に白い花をつけていたのが嬉しかったです。今回は特例だったので、そういうのも何もなしかなあ、と思っていたので。

フィナーレの最後、いったん音楽が止まって皆が奥に並び、祐飛さんが「アランチャ」を歌いながら一人ずつ目を合わせつつ回っていく場面。
さくらのところまできたら、いつも目礼だけで素通りする祐飛さんが、思いっきりさくらをハグしてあげてました。
サプライズに驚いたさくらの笑顔に、いきなり泣けました(^ ^;



挨拶はごくシンプルにまとめた祐飛さん。
さくらにもちょっと振って、笑顔で見守っていたのが可愛かったー(*^ ^*)。




祐飛さん、29名の宙組生徒たち、そして、スタッフのみなさま。

この素晴らしい作品を再演してくださり、本当にありがとうございましたm(_ _)m1.
「ハッピーエンド」とは違うけれども、「ハートフル」ではある物語。
今、この時に、この熱い夏に、30名誰ひとり欠けることなくこの物語を紡いでくださったことに、心から感謝しています。




日本青年館宙組公演「ヴァレンチノ」。

月曜日の今日は、花組さんの休演日だったおかげで、客席がとっても豪華でした♪
壮さん、まりんさん、まぁくん、由舞ちゃん、だいもん、浦輝さん、アーサー、、、、OGでは(花影)アリスちゃん、紫陽さん、、、他にも何人か。あと、私は気がつかなかったんですが、安奈淳さんがいらっしゃってたそうですね。わー、すごいなー。


奇跡の再演の初日があいてから、2日。
わずか2日で、これまた奇跡のように進化している舞台に、瞠目しました。
一人ひとりの集中力が30人分集まると、こんなに凄いものになるのか(@ @)。ルディーやジューンたちメインキャストも素晴らしいけど、今回本当にすごいなあと思ったのは下級生たちです。通し役でこそないけれど、だからこそ、この短い公演時間にいくつもの役を生きる彼女たちが、それぞれの場面を精一杯に生きているのが印象的でした。
彼らがそうだからこそ、真ん中でストーリーを進めるルディーが、ジューンが、ナターシャが、ジョージが活きてくる。そういうところも、小池さんの天才ぶりがよくわかる、ような気がします。



で。
まずは、ドラマシティの時に書いていた文章にリンクさせていただきます。
http://80646.diarynote.jp/201103280224255887/
http://80646.diarynote.jp/201103290306101259/
http://80646.diarynote.jp/201103300312546724/

そのうち続きを書こう…と思っていたんですが、おそらく公演期間内に書き終わることは不可能だろうなあ……さて、どうしたものか(^ ^)。


まずは、【3】までに書いた部分で、ドラマシティの時とは大きく変わったことがあれば、それを書こうと思ったのですが。
「大きく変わった」ことは、無い……かな?

細かいところはいろいろと変ったような気がするし、全体から受ける印象はずいぶん違うのですが、台詞や動きがすごく大きく変わったところは無い……ような気がする。

でも、何かが違う。何か大きなものが変った。
そんな気が、します。



たとえば、ナターシャ。
回数を重ねるにつれて、段々と明確になってくるキャラクターの違い。

……うまく書けるかわからないんですが。
ドラマシティのナターシャは、それなりに才能のあった新進デザイナーが、恋に目がくらんで、そして、自分の真実から目を逸らしたために自滅してしまった……と思ったのですが。
青年館のナターシャは、そもそもの登場から、あまりスタッフに敬意を払われていないような気がしました。
ナターシャの才能とセンスを讃えるのは、ナジモヴァだけ……に見えるんですよね。

大女優ナジモヴァのお気に入りだから、みんな何も言わない。
ナジモヴァとナターシャの間に恋愛感情があるかないか、って話をしているんじゃないんですよ。せーこちゃんとカイちゃんのコンビに恋愛感情の入る隙間(?)は無いんですけど、ただ、ナジモヴァが認めるナターシャを、スタッフたちは否応なく受け容れるしかない……という空気をなんとなく感じるのです。

ある意味、ナターシャが、二幕で出てくる「ムッシュ・ボーケール」のヒロイン・ビーブ(妃宮さくら)の同類のようにも見えました。
ラスキー(寿)の愛人で、スタッフたちはそれを知り尽くしているから彼女の言うことは何でも聞く。監督のシドニー(月映)も、他のメンバーも。でも、女優としての彼女の才能を認めているかというと、そんな風には視えない。
だから。ナターシャがビーブを悪く言うのが、同類嫌悪のように見えてくる。ラスキーの愛人であることに満足しているビーブと、あたしは違う。大女優ナジモヴァが認めた天才。そう思いたい。だから、思いこんでる。思いこもうとしている。
回りのスタッフたちも、そういう目でナターシャを視ているような気がしてくるんですよね。


「自分」を信じて、「愛される自分」を信じて、そして人を愛してきたルディーの傍で、心を病んでいくナターシャ。自分の才能を過信して自滅したナターシャが、ルディーというインスピレーションを喪って「男爵」と共にアメリカに帰ってきたときの気持ちを想像すると、なんだか泣きたくなるんです。
「The Last Party」のゼルダ。高村光太郎の妻、智恵子。

ルディーはナターシャを喪っても変わらない。彼の心は、自由だから。
だから、ナターシャはルディーを喪っても何も変わらないというフリをする。それが彼女のプライドで、虚飾で、仮面で。

もしも。
もしも彼女が、素直に「ロドルフォ」を愛していたなら。
ファルコン・レアで、ルディーの「家族」になってあげることができていたなら。

……もし、も。




カイちゃんのナターシャが、すごく好きです(告白)
もちろん、すみ花ちゃんのジューンも、みーちゃんのジョージも、ともちんのデソウルも好きだけど。
でも、カイちゃんのナターシャが、すごく好き。

小池さんにもう少し時間があって、ナターシャとルディーの関係をもう少し深めた脚本に直すことができていたらなあ……。
ナターシャと別れ、「自立」を目指したルディーが「監督になりたい」という夢を語るのが、すごく切ないことであるような気がします。別れた後のナターシャを語るエピソードを、もう一ついれて欲しかった。伝聞での「男爵と一緒」だけじゃなくて。



今でも十分に、祐飛さんもカイちゃんも、役者にできる範囲で深めてくださってるんですけどね(^ ^)。観客は欲深いものなんです。


宙組青年館公演「ヴァレンチノ」、初日おめでとうございます!


未曾有の大震災から5ヶ月。
これを長いというべきなのか、「あっというま」だというべきなのか、とても悩む部分はあります。
いや、そんなこと悩むんじゃなくて感じろ、って思うんですけどね。でも、なんか悩んでしまうんです。私の家族や仲の良いともだちでさえ被害を受けた人が何人もいて、今も避難生活を送っている友人さえいるというのに。

本当は、5ヶ月って長いんですよね。
2月に生まれたばかりだった友人の娘が、もう這い這いしていたことに衝撃を受けたり。
宙組っ子たちも、あの後いろいろあって、大劇場公演と東宝を経て、その上で今日があるわけで。当時はまだ組子だった蘭寿さんが花組でお披露目公演を迎え、ほとんど同時に東京で初日を迎えることになったのも必然、、、なのでしょう、きっと。
それでも、ひどく短かったように感じられるのは何故なのか。3月11日より前のことは、ひどく遠い過去の出来事のように感じられるのに。



それでも、舞台の幕があがれば、そこにあるのは別世界で。
現実世界ではいろんなことがあっても、やっぱりそれは舞台の外のお話で、この舞台の上は夢の世界だから。

演出の実務が小柳さんに代わったせいか、細かい演出がずいぶん変わっていたり、
役者の演技が全くの別物になっていたり、、、書きたいことはいろいろあるのですが。
それでも、舞台の上にある夢は、大震災直後にドラマシティで観せていただいた夢とおんなじで。

ひどく脆くて、眩しくて、そして切ない、オレンジ色の夢。
ルディーが夢見た、オレンジの実る丘の、夢。




「舞台に立つ意味を毎日考えながらの公演だった」と挨拶で仰った祐飛さん。
三谷幸喜さんが震災直後の「南へ」公演後に述べた挨拶をひいて、「お客さまに笑顔になってもらえるように」と仰っていたのが印象的でした。
ドラマシティでの「笑顔になることを恐れないで」に続き、舞台に立つ人の覚悟が見える言葉だな、と。

当時の三谷さんの挨拶についての記事はこちら。
http://www.nodamap.com/site/news/206

私も、当時この三谷さんのコメントを読んで号泣した記憶がよみがえり………実は、本編よりもこの挨拶で泣いてしまったりしました(^ ^;
祐飛さんってすごいなあ。




それにしても!
わずか一週間前まで、床山さんのかつらを被ったり黒塗りに化粧替えしたりと大忙しだったメンバーが、時代も国も全く違うハリウッドへ。
ご本人たちもさぞかし大変だったんだろうなと思いますが、この一週間「ヴァレンチノ」のお稽古に明け暮れて(←たぶん)すっかり切り替えられていた出演者に比べると、観る側はまだ前公演の余韻が全然抜けていなくて(汗)、ちょっと世界についていけてないような気がしました(^ ^;ゞ

明日も観るので、それまでに絶対切り替えるぞー!
(仕事ですけどなにか)



宝塚歌劇団宙組のみなさま、東京宝塚劇場公演千秋楽おめでとうございます!


七瀬りりこちゃん、お誕生日おめでとうございます&ご卒業おめでとうございます。
可愛いリボン形にセットされたお花がとても可愛くて、可愛い笑顔によく似合ってました。

ご挨拶は、ところどこちょっと詰まったところもありましたが、ハキハキと明るく率直に!という感じ。これからもどこかで活動されるつもりがあるようで、嬉しかったです。今日のエトワールは本当に凄かった。あの歌は、ぜひまたどこかで聴かせてほしい!



天輝トニカちゃん、ご卒業おめでとうございます。
ショーのソロの後に拍手を入れたかったけど、音楽的に入れられなくて残念でした。千秋楽は二階席だったので、黒スーツのキビキビしたダンスが堪能できて嬉しかった!胸のお花も、全員がいれているチーフと同じ赤の花をさりげなくつけていて、センス良いなーと感心しました。オープニングの砂塵でつけていた渋い緑の花もとてもステキだった(はぁと)。


ご挨拶は、シンプルにまとめてしっかりと。笑顔が眩しくてとても格好良かったです。カーテンコールで祐飛さんに「何か一言」と言われて、りりこちゃんに「お誕生日おめでとう!」って言ったのにはちょっと泣けました。下級生からみたら、素敵なお姉さんだったんでしょうね。
私も宙組っ子たちと一緒に言えて良かったです。トニカちゃんのおかげで、素敵な時間を過ごさせていただきました。
トニカちゃんのこれからの人生が、幸いなものでありますように。



妃宮さくらちゃん、大劇場&東宝卒業、おめでとうございます!
まだまだヴァレンチノがありますので、今はくだくだしく感慨を語るつもりはないのですが……ショーの中詰めのソロで、拍手ができて良かったです。そして、良い挨拶でした。本当に本当に、素晴らかった!

今まで、本当にありがとう。
あと少しですけど、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m。



毎回書いているような気がしますが、お芝居は今日の11時公演が一番良かったと思います。
三成さまが物凄く繊細で、優しすぎちゃってひどいことになってましたけど、あの痛々しさはとても私の好み。
そして、すんごい細かいことかもしれませんけど、関ヶ原前の銀橋での疾風とのやり取りがとても良かったです。三成自身もちょっと不安を感じていながら、それを振り棄てて走り去ったところが絶妙に良かった(^ ^)。
「正義は勝つ!」という台詞を不安げに置く祐飛さんを初めて観て、とても新鮮でした!


ショーはやっぱり千秋楽が良かったなあ(*^ ^*)。
「祈り」でのみんなの表情がすでに恍惚としていて、とても良かった。感動しました。
祐飛さんって凄いなあ。ダンサーじゃないのに、ああいう表現ができるんだ……。

走り回り、飛び回っていた組子さんたち、お疲れさまでした。
ヴァレンチノ組の30名も、19日までどうぞよろしくお願いいたします!


そして。

祐飛さんもご挨拶で触れていましたが、花組のみなさまが東上されるのを、楽しみにお待ちしています(はぁと)。



東京宝塚劇場宙組公演「美しき生涯/ルナ・ロッサ」。

いよいよ明日で楽というところまで来てしまいました。
昨日からたまちゃん(天羽珠紀)も山伏とキャメルマン、そしてパレードの3場面に復帰して、元気そうな顔を視ることができました。まだ全場面じゃないけど、それでも、全員揃って千秋楽を迎えられそうなことがとても嬉しい。
やっとちや姉(風莉じん)の歌に慣れたところだったので、久しぶりのたまちゃんの山伏は、なんだか懐かしかったです♪ ああそうそう、こうだったこうだった!みたいな(^ ^)。



先週あたりに、ものすごく繊細になっていた祐飛さんの三成は、今日はちょっと力強さを取り戻して、でも痛々しさはそのまま、という微妙なラインで演じきってくれたような気がします。
日によってあちらを強調したりこちらを詰めたり、いろいろやってくれる人ですが、さすがに明日へ向けてまとめに入ったかな?という感じ。
すみ花ちゃんの茶々も、祐飛さんの弱さに乗じて強さを増しているようで、さらに魅力的。力強くて押しが強くて我がままで、最高に可愛いです(*^ ^*)。
明日はどこまで行ってしまうのかしら、あの二人……。



お芝居がまだ半分くらいしか書いていないのですが、とりあえず明日で楽なので、気になっているところだけ書きとめておきたいと思います。中途半端ですみませんm(_ _)m。


■第十場 大阪城(文禄2年=1593年)

三成と疾風が銀橋を渡りきってはけると、本舞台に秀吉と寧々がお拾(秀頼)を抱いて登場。

「二人目の子も、お前さまにはまったく似ておりませんなあ」
「淀に似たんじゃ。わしに似んで良かった」

秀吉は、拾を自分の子だと思っているんでしょうか。
未沙さんは、腹の底が深すぎて、まったくわかりません(^ ^;;;
自分の子だと当然のように思っているようにも見えるし、違うと知っているようにも見える。

ただ、一つ間違いないのは、秀吉は赤児を自分の子であると言いたいのだ、ということ。
自分には子を作る能力があると思いたいのかもしれないし、彼なりに淀を愛していて、彼女の立場を護りたいのかもしれないし、あるいは単純に彼女を自分に縛っておきたいのかもしれない。
……やっぱり、秀吉さんの考えていることは全然わかんないや(涙)。私程度が偉そうに解釈するには、深すぎる……。


で。
美穂さんの銀橋は、本当に本当に素晴らしいです。
この歌を聴けただけで、この作品の価値があると思う!(←言いすぎ?)



■第十一場A 聚楽第

朝鮮遠征を諌める五奉行。
五奉行はそれぞれ立場が違うので、あんなふうに5人揃って同じ考えを述べるようなことは考えにくいけど、まあ、気にするまい。
個人的に、増田長盛が割と好きなので、りくがやると聞いたときはちょっと嬉しかったんですよね。なのに、実際観てみたら単なる記号だったのが残念。
でもまあ、三成以外の4人は、あれしか出番ないのによく膨らませたなと思います。大劇場の前半とは別人のように、ちゃんとキャラがあるのがすごい。


朝鮮征伐(←もうこの言い方しないのかな)を続ける理由として秀吉が述べる「外敵が必要」というのは、正しい理屈なんですよね。たくさんの政権が、統一を果たしたところで揺らいでしまうのは、軍隊の処理の失敗からなのですから。
でも、それではいつまでたっても『民』は幸せにならない。
主君と三成の、もしかしたら初めてかもしれない、意見のずれ。

今までなら、対立しても話は聞いてくれたはずの秀吉は、もはや三成と会話しようとはしない。本題と関係のない話をして、会話が成立しなくなってしまった。
それは、子飼いの部下に裏切られた秀吉の報復なのか、それとも……?
「耄碌」という言葉が、三成の脳裏をかすめた、、、かもしれません。



■第十一場B 淀城(文禄4年=1595年)(秀吉逝去は1598年)

「みな死ねば良いのでございます」

九場で三成に頼んだ通り、茶々の傍付きになった疾風が、茶々の耳に毒を吹き込む。

「秀吉も寧々も皆、この世を去り、関白英次を亡き者にすれば、天下はお方さまと秀頼君と、石田三成のもの」

淡々と静かに、けれども深い熱を抱いて。


この場面、新人公演では茶々と疾風が向かい合い、膝をついた疾風に立ったままの茶々が話しかける、という、ちゃんと二人が「会話」をしている場面になっていたんですよね。
この演出良いなーと思い、本公演もこうすればいいのに、と思っていたのですが。本公演の疾風は、あの淡々と醒めたところが個性なので、お互いの顔を見ようとしない本公演の演出の方が合うんですね。なるほど納得。

二人があの立ち位置で喋っていると、疾風の存在が幻であっても話が成立するなーと思うんですよね。
この会話自体が、茶々の妄想なんじゃないか、と。

関白英次を亡き者にするよう、秀吉に願えと疾風は言う。
茶々は「なんてことを!」と言いながら首を横に振るけれども、
……女童たちは謡う。「間もなく関白秀次さまは無実の罪で切腹」。



さて、ここで問題です。
茶々は本当に秀次の死を願い、秀吉を唆したのでしょうか……?


私は、すみ花ちゃんの茶々は、そのくらいやっても不思議はないと思っています。
彼女は、一刻も早く秀頼を正式な秀吉の後継者としてお披露目しなくてはならなかったのですから。

だって、
……彼女は、秀頼が秀吉の子でないことを知っていたはずなのですから。




私は、以前ちらっと書きましたが、「秀頼は三成の子ではない」と考えていたりします。
祐飛さんご本人は、当然三成の子だとお考えのようでしたが……すみません、やっぱりそうは見えないんだよー。

新人公演を観て、この三成なら、茶々が立ち直るまで何度も慰めに行ってもおかしくないなと思ったし、その結果として子ができたとしても、あんまり気にしないんじゃないかと思った。
秀吉が認めたなら、全力でそれに従うべきだ、と、そんな風に考えていそうに見えたので。


でも、祐飛さんの三成は、なんていうか、繊細すぎるんですよ……


脚本的には、どうにでも解釈できるようになっていると思います。
本人たち以外は、「100人からの側室がいるのに、子ができたのは淀殿一人」と、淀の密通を疑っているけど、本人たちはそれらしいことは一切言わないので。


私が脚本的にひっかかったのは、牢獄での茶々と三成の会話でした。
「契りを交わしたあの晩」……あの言い方は「契りを交わした夜」が二回も三回もあったようには聞えませんよ?
「初めて契りを交わしたあの晩」ならわかるんですけど。なぜあえてそこで単数なんですか?

そして、あの世で夫婦になるお許しを…の場面でも、夫婦のことしか言わないんですよね。
子供のことは言わない。家族三人で、とも言わない。
まあ、鶴松のことも言わないので、ここは生きている限り子供のことは口には出さぬと誓っているとか、そういう可能性もありますけど。


でも、素直に聞けば、三成は秀頼を秀吉の子だと考えていると思っていいんじゃないかな、と。

そうなると、矛盾が生じる。
茶々は、秀頼を三成の子だと思ってるよね……?
少なくとも、秀吉の子だとは思ってない。たしかにそう見える。


と、いうわけで。
やっぱり私の結論は、「疾風が三成になりすまして茶々を慰めに訪れた」です(^ ^)。
たぶん、そんなに回数は重ねてないと思うんですよね。1回か、せいぜい数回、傷心の茶々を慰めるために。
子供が出来たのは運命なのだと思う。だから彼は、最期まで茶々と秀頼につき、我が子と愛する女が死んだときに出家する。
その間、なんと15年。でも彼は、茶々にも秀頼にも感づかれることなく、忍びに徹していたのでしょう、きっと。

だから。彼は大阪城が落ちたとき、ホッとしたのかもしれません。

これでやっと、俺も自由になれる。
あとは三成、頼んだぞ、と。


大津城に茶々を連れて向かう前の「幸せな男だ…」という独白は、そういう意味だったんじゃないかなー?と。
三成を喪った茶々を護るのが自分の使命だと、そう覚悟を決めた男の貌。



あはは。本文に書いちゃった(^ ^)。
でも、これ、ありだと思うんだけどなあ。……駄目でしょうかね、やっぱり。


鶴松が死んだ後の立ち回りでの会話でも、三成は明解な返事をしないんですよね。
逆に疾風が自分の気持ちに気づいてしまう。抑えきれない想いに。

「俺とおまえは、光と影……」

どちらが光でどちらが影なのか、祐飛さんとテルくんだと、微妙だな……なんて思いつつ。

うーん……やっぱり無理かなあ(無理だよ)





話は違いますが、大石さんの脚本について、思ったことを書きとめておきます。

大石さんの脚本は、第三者視点の脚本だな、と思いました。
登場人物の誰の視点でもないから、誰のモノローグもない。あるのは会話だけ。比較的モノローグに近いのは5回ある銀橋わたりのソロ(三成、正則、疾風、寧々、茶々)くらいで、「説明台詞」どころか、モノローグとかが全然ないんですよね。
じっくりと時間をかけられる2幕物ではなく、筋立てがシンプルなことが多いワンシチュエーションものでもなく、大河ドラマを短くまとめた1幕物で、しかも団体客の多いタカラヅカで、説明台詞もモノローグもない(!)というのは、作劇としてかなり面白い試みだったんだな、と改めて思いました。


また、七本槍の描き方も面白かった。第三者視点だからあまり一人ずつの心情には踏み込まなんだけど、最初のおにぎりの場面では一致していた「三成をはじめとする文治派への反感」が、関ヶ原をはさんでどんどんバラけていくのが面白かったし、それぞれのメンバーがそれぞれの立場でいろんなことを考え、思想的に成熟していく様子がどんどん明解になていく様子が面白かったです。
「おかかさま」である寧々の懐を抜け出して、「世界」を見つけた子供たち。初めて海をみたガンバのように、吃驚して塩水をかぶっていればいいんですよ、ええ(^ ^)。

大劇場の頃、7人ともそのあたりの表現に迷っていた感じだったけど、回を重ねるごとにだんだんにしっくり噛み合ってくるのが楽しかった。彼らも手ごたえを感じて楽しかったんじゃないかな。いい勉強になったと思います♪





それにしても、今回はショーについて殆ど書いてないなあ。
結構好きなショーなんですけどね。下級生を探すのも楽しいし。


泣いても笑ってもあと一日。
素敵な一日になりますように。



宙組公演「美しき生涯」について。
もうすぐ千秋楽なのでちょっと焦りつつ(^ ^;



■第八場B 愛と義の狭間

前場で茶々と三成が抱き合ったところから始まる、「悪夢」の時間。
暗転後のスポットを浴びて、山伏(天羽/代役は風莉)の朗々たるソロ。
「愛と忠義 どちらを選べばいいのか」
繰り返されるフレーズが悲しく耳に残ります。

たまちゃんの声も好きだったけど、ちや姉の声もドラマティックで良いなあ(感心)。

カルマダンサーは素晴らしきダンサーぞろい。去年のプラズマメンバーがほとんどはいってるよ!!今回の公演で、芝居ショーを通じて一番のダンスシーンといえば、この場面だと思ってたりします(^ ^)。
珠洲さん、あこ姐(大海)、(鳳樹)いちくん、(美風)凜ちゃん、(琴羽)桜子、あっきー(澄輝)、えびちゃん(綾瀬)、(舞花)くるみちゃん、アリエッティ(百千)、愛白もあちゃん、ゆいちゃん(結乃)、かける(風馬)。12人全員素晴らしいけど、個人的には新公でも同じ場面に入ってたゆいちゃんがすごく好きでそこばっかり観てしまいます。ゆいちゃん、本公演では下手奥で踊ってるけど、新公は上手側だったんだよね。あこ姐の位置なのかな?この人の身体は鞭のようにしなやかで、長い手足をしならせて空気を切り裂く感じなのがとても好みだったりします。
あとは化粧がなんとかなればなー。カルマダンサーは良いんですが、ショーの化粧はまだまだ改良の余地があると思うんですよね。惜しい!

あとは。。。やっぱり珠洲さんのダンスは別格で格好良いです!(はぁと)
あっきーのダンスもきっちりしてて好きなんですが、あまりにも美人すぎて、すっかり娘役だと思って観てる自分に時々気付いたりしてます。
娘役もみんな巧いけど、やっぱり桜子のキビキビしたダンスが大好き!えびちゃんのバネ、くるみちゃんのしなやかさ、そして、凛ちゃんの優雅。宙組下級生のダンスのレベルは高いなあ。


……などと、あちこちキョロキョロしているもので、あんまり祐飛さんとすみ花ちゃんを観てないかも(^ ^;ゞ
カルマ(業)に翻弄される三成と、手を伸ばしても何もつかめない茶々。切ない恋人たちの芝居も大好きなんですが……ごめんなさいm(_ _)m。



■第九場 大阪城・北の丸

ここで、やっと冒頭の場面の続きに戻ります。

「若様でございます!」と呼ばわりながら城の中を走り抜けるたつの(すみれ乃)。
花見の宴の会場から、ぐだぐだとお喋りしながら中庭に向かう脇坂(春風)・平野(鳳翔)、糟屋(蓮水)、片桐(凪七)。
「おかしいとは思わぬか」
「100人からいる側室で、お子を産みまいらせたのは茶々さまお一人」
「……お子は、本当に上様のお子か……?」
「しぃっ!滅多な事を言うな!!」

誰の耳があるかもわからぬ銀橋で、そんな危険な話をするなよ!うつけ者ども。と思いつつ。

ここは、ちーちゃんが「こうだぞ!」と言いながら切腹の真似をするところが何故か好きです。あと、意外とカチャの芝居が好きだったりする。ひょうひょうと浮いた雰囲気があるのが、片桐という人間のイメージに合っているような気がします。……なんとなく。

本舞台で、喜々として棄丸(鶴松)を抱いている秀吉、
それを見守る茶々、そして、茶々づきの侍女となったさぎりとたつの。
真ん中あたりでぽけらっっと呑気に笑っている、えなちゃん(月映)の笑顔がすごく可愛い。

現れた三成に、棄丸を抱くよう勧める秀吉。
「淀からも言え」
と言われて、逡巡しながら、三成の貌も見ずに
「抱いてやって……おくれ」
と呟く茶々が切ないです。

登場したときから、どこかおどおどとした三成の態度。
いろいろバレバレすぎて、これは絶対秀吉も知ってて言ってるよね、と確信してしまうんですよね。三成の態度も、茶々の態度も、なんかおかしいもん。

三成に抱かれて、機嫌を直して笑いだす棄丸。
そんな光景の眩さに、茶々は思わず目を伏せ、秀吉は手を打って喜び、寧々は眼を逸らし、
……さぎりとたつのは、ニヤリと口の端で笑いながら目を交わす。

「へくちっ」
とくしゃみをして、茶々に部屋へ戻るよう諭される秀吉。
表を伏せてついていく寧々。
息をついて、すっ、と三成の傍に寄り添おうとする茶々。

ふいに棄丸の様子が変わる。
一気に緊迫感を増す空気。
御匙を呼びながら足早に下手袖へ戻る一同。舞台表に残るさぎり(純矢)。
客席へ笑みを残して、上手へ向かう。……寧々のところへ報告に行こうとしたのかな?

そんな彼女の前に、立ちふさがる疾風。
「鶴松君に毒を盛ったのはお前だな!命じたのはおねか!?」

……この台詞のイントネーション、ちょっと違和感があるのは私だけでしょうか。
「どくをもったのは」ってあのイントネーションであってるのかなあ…?

まあ、そんなことはおいといて。
せーこちゃんの「知らぬ」「知らぬ!」といういらえも、毎回若干の違和感をおぼえておりまして。
ここの会話は、新公の方がすんなり入れたんですよね。特に(藤咲)えりちゃんの最初の「知らぬ」のさりげなさは秀逸だった。それでこそ、二度目の「知らぬ!」の迫力が活きたんですよね。公演も終盤になった先週あたりから、せーこちゃんの二度目の「知らぬ!」も迫力を増して格好良くなってきたんですが、最初の返事はもう少し自然な感じでもわかると思うんだけどなー。

さぎりの懐剣と疾風の長剣での立ちまわり。ここは、大劇場の方がちゃんと剣を合わせてる感じがしたような気がします。東宝ではセットの位置が微妙に違うのか、立ち位置が変わったような……闘っているようには見えなくなっちゃったんですよね……残念だ。

崖(?)に追い詰められたさぎりが、振り向いて構える。
「いつまでもあんたに舐められてはいないんだよ!」
さすが元男役。迫力のある良い声です。
「あたしだって、しのびだからね」
……でも、その後の台詞はもうちょっと色気というか、甘さがほしい……と思うんだけどなあ……。


覚悟を決めたさぎりの迫力に呑まれて、一瞬剣が止まる疾風。
「鶴松ーーーーっ!」
茶々の悲痛な叫び。

一瞬気をとられた隙に、剣先をつかんで自らの胸に納めるさぎり。
驚きのあまり咄嗟に動けない疾風。

「良かった……あんたに、逢えて」

精一杯の、愛の告白。
愛してはいけなかった男に別れを告げて、ちゃんと「愛している」と教えるために。
「生まれてきた、かいが、あった……」
これがあたしの心臓の音。あんたには判っているはず。
そんなフレーズをソラミミしながら、身を投げる女を見守って。

「姉上!」

本舞台下手で、さぎりの妹・たつのが叫ぶ。
茶々たちといったん引っ込んだたつのが、首尾よく仕事を終えたことを姉に報告しに来たんですよね、たぶん。あるいは、寧々のところに直接報告に行くところだったのかな?
とにかく彼女は中庭へ戻ってきて、そして、姉の最期を見届けることになる。
……交わされた会話は聞えなかったけれども、命を喪う瞬間は視た。。
疾風の腕に握られた長剣が、姉の胸に突き刺さり、そのまま落ちた……その光景だけは。

たつのはこの後、ラストシーンまで出てきませんが、この場面の後は何をしていたんでしょうね。そのまま(出てこないけど)寧々のスパイとして茶々についたままだったのか、寧々との契約を破棄(?)して別のところへ行ったのか。
ラストの登場があまりにも唐突なので、なんだかいろいろ考えてしまうんですよね(^ ^。



たつのが一瞬で姿を消すのと同時くらいのタイミングで、セット上の疾風の前に立ちふさがる三成。
鶴松君を喪って泣き崩れる茶々を慰めてやらんでいいのか?と思いつつ、

……彼は、もしかしたら息子を喪ってホッとしていたのかもしれない、なんてことを考えています。
罪の子を喪って心のどこかで安堵しつつ、嘆き悲しむ茶々を視ていられなくて、いそぎ秀吉に報告するために傍を離れた……そんな感じなんじゃないでしょうか。あのタイミングで登場する、ってことは。
続く疾風とのやり取りの中で、鶴松を奪われたことに対するコメントはまったくないしね。



茶々を護るために、自分が傍仕えできるように取り計らってくれ、と頭を下げる疾風。
それが無理なら、危険因子を取り除く。つまり、寧々を殺すぞ、と。

秀吉の側近、七本槍をはじめとする武断派の連中や、前田氏など織田家中の頃から付き合いのある格上の連中を抑えるのに絶大な力をもっていた北政所を、みすみす斬らせるわけにはいかない、と、剣を抜いて疾風を留める三成。


ここでの会話は、この後の展開(の解釈)にとってかなり重要なのですが……
疾風は、茶々の心を救うためにもう一度抱いてあげるべきだ、それで子供ができれば、彼女の立場も護られる(秀吉との間に子供はできないから)、と主張する。
三成は愛と忠義に揺れて逡巡し、はっきりとした返事はしない。

ただ、疾風の本心に気付いてしまったから、彼の望み(茶々の傍について護る)については肯って、剣をおさめる。

主君と愛する女と、どちらも選びきれない自分には、姫を護りきれないことはわかっていたから。



「俺とお前は光と影……」

祐飛さんとテルくん、お二人の並びがお似合いすぎて、ドキドキします。
……歌のピッチも、最近はだいぶ合ってきたかな……?




ちなみに。
この作品の中で、棄丸は生まれて数日で死んだように描かれていますが、史実では病弱ながらもそれなりに生きたようですね。
逝年は数えで3歳。天正19年(1589年)、だそうです。

いっそ、数日で亡くなっていたほうが、秀吉も諦めがついたのかもしれないな、と思いつつ。



宙組公演「美しき生涯」について、続き。

このあたりから、私的には本題に入った感があります(^ ^)。



■第七場 大阪城(天正16年?)(←初が嫁いだのは天正15年。鶴松が生まれたのが17年)

江も初もそれぞれに嫁ぎ、大阪城に一人残された茶々。
「我が父は猿ではないっ!」と言い捨てた時から数年が過ぎ、「筑前」と呼び捨てていた頃から数えても2年ほどが過ぎて。

「茶々は上様にお願いがございます」

楚々と手をついて、頭を下げる姫君。

誇り高い茶々が、三成が欲しいと秀吉に頼む。気持ちは通じているはずなのに、いくら待っても何も言ってくれない三成への恋心、隠しきれない切ない女心。恋をしているからこそ女はより美しくなり、その美しさが権力者の所有欲を刺激する。

このとき茶々は満19歳。数えで20歳、そろそろ「薹がたった」と言われる年頃?
このまま放っておかれては、尼にでもなるしかない。そう思って、精一杯の勇気を出して、「猿」と蔑んできた男に頭を下げる。
三成を、愛しているから。

「三成には許嫁がおります。……宇多頼忠の娘、あやと申す者…」

前場で三成本人に問うたときには、許嫁などいないと言っていたのに。
そう思うそばから、三成の言葉が耳に蘇る。

「上様からご命があった場合には…」

どこか自信無さげな、あやふやな口調。それでも、嘘がつけない三成が言っていたことだから、たぶん、そういうことなのだろう、と、茶々にはわかる。
それ以上のことは、わからないにしても。

「姫様はもっと巨きな男をお望みなさいませ」

猫なで声で囁きながら、秀吉が茶々の手に触れる。
嫌そうに顔をそむけながら、それでも手を振り払うことのできない茶々にスポットが残って、暗転。



ふすまが一枚動いただけで、別室で秀吉と三成の会話が始まる。
この作品最大の見せ場の一つ!

いやはや。この場面は、一挙手一投足どころか、三成が身じろぐたびに揺れる髪の先の動きまで、なにもかも完璧だ!と叫びたくなるほど大好きです!!
って、あはははは。



……あまりにも萌え萌えすぎて止まらないので、ちょっと割愛させていただきます(^ ^)。



「愛と忠義 どちらを選べばいいのか……!!」

呻く三成。
懊悩する三成を囲んで、心配そうに見守る女童たち。

「名もなき少年 拾い上げ育ててくれた」
「今では立派なもののふ」
「上様への恩義、三成さまは忘れまじ」
「忘れまじ……」

繰り返される無邪気なコーラス。
邪気の無いのが一番おそろしい、と思ったりします。4人ともめっちゃ可愛いんですけど、ね!



■第八場 大阪城

隠し部屋(物置)で逢引している疾風とさぎり。
……逢引というか、さぎりを誘い込んだという意識なんでしょうか。疾風的には。

三成と茶々を監視する寧々の「耳」を、その場に留めようとする疾風。
「茶々を護る」という疾風の意志と、そんな疾風を愛してしまった さぎりの気持ち。

「今夜、お前に動かれては困るのだ…」

うすうす疾風の気持ちに気付いていながら、進んでその手に囚われようとする女。
さぎりの本心に気付いていながら、見ないふりで茶々を護ろうとする疾風。

新人公演の疾風は、護りたいのが茶々なのか三成なのか途中からわからなくなっていたような気がしますが、本公演の疾風は、すべての関心があくまでも茶々に向いていたと思います。

考えれば考えるほど、根本的に設定の違う演出になっていたんですねえ……(しみじみ納得)。



同じ頃、茶々の部屋での三成と茶々。
いやー、ここに至る一連の場面の流れは素晴らしい!と、観るたびに感心しています。

愛する女を犠牲に捧げて社会的正義(「民の平安」)を実現しようとする三成と、彼の理想を受け容れて、共に生きようと決意する女。
「きれいごと」と片づけられがちなテーマだと思うんですが、二人の芝居が、ちゃんと「人間としての実感」を伴って伝わってくるところが、とても好きです。

思想的な背景は、かなりキリスト教的なものに近いと思うんですよね。
愛する女=一番大切なものを犠牲に捧げて、社会的正義(「民の平安」)を実現しようとする三成。これってあんまり日本の思想風土には無い考え方だと思うんですよ。毎夜の祈りの時間に、一番大切なもの(クリスチャンであればイエス・キリスト)を心の祭壇に捧げて、自分の心の平安を祈るのがキリスト教の本質であるとするならば、それにかなり近い思想だと思うのです。

愛する女だからこそ、心から大切に思っているものだからこそ、躊躇なく犠牲に捧げる。神に命じられて息子を捧げようとするアブラハムのように。
でも、その捧げものに価値があるから、神が望みを叶えてくれる、、、っていうのとはちょっと違うんですよね。自分が大切に思うものだからこそ、それを神にお返しする、それだけです。お返しすることによって、代わりに得られるのは、神の守護。利益そのものじゃないんですよね。「神が自分を見ていてくださる」という確信。あるいは、「神が見ているのだから、自分は間違っていない(間違うはずがない)」という確信。

「自分は間違っていない」という確信を得たときに、人は思いもよらない力を発揮します。とくに、それが社会的正義(と自分が信じるもの)の実現に向いた時のパワーは、十字軍にせよイエズス会による宣教活動にせよ、半端ないものがあります。勘違いでも何でも、それこそが西洋社会の発展を支えた原動力であり、近代文明への扉を開くきっかけでもあったのですから。


三成がキリシタンであったという事実はありませんが、この時代、経済に関係のする人間なら誰だって宣教師とはある程度の交流があったはずで、こういう思想が出てきても違和感はないんですよね。考え方自体は、宗教とは無関係な人間の心理として、ありな考え方だと思うし。
ただ、脚本的に直接表現が全くないので、どうなんだろう?とは思いますが。大石さんが三成をキリシタンだと解釈しているとも思えないし。どういう思想的背景をもってここの場面を描いたのか?というのは、是非とも聞いてみたいポイントではありますが。


ま、でも。
いずれにしても、茶々は三成の懇請を受け容れ、秀吉の側室となることを肯います。
それと引き換えに彼女が望むのは、初恋の男との一夜。

「ただ一度、義を棄てて、愛に生きておくれ……」

女には、思想もへったくれもない。
ただ、絶対に自分からは求めてくれない恋しい男が欲しい一心で、願いを口にしてしまう。
彼を苦しめてしまうことは判っている。でも、自分だって苦しい。だから、愛していると言っておくれ。たとえ一夜の夢であっても、夢を見せて慰めておくれ。

こんなことでもなければ、三成は決して行動してはくれなかったでしょう。
だから。もしかしたら、茶々にとっても渡りに船だったのかもしれません。だってほら、三成がこの躯を抱きしめてくれる。

今この時だけは、この男は妾のもの。
明日はまた関白のものになってしまうとしても、今夜だけは。



愛する女の「一生に一度の願い」を、三成は断れない。
だから、すべての罪を自分で背負っていこうとする。

柴田攻めの時などには結構謀略的なことも担当していたはずの三成が、夜討ちもできないほど莫迦正直な「義」一本の男になってしまったのは、この、たった一夜に棄ててしまった「義」を拾い集めるためだったんじゃないか?と思っています。
彼なりに、主君を裏切ってしまったことを償おうとして、戦国の世を生き抜いた武将としてはあり得ないほど、杓子定規に「義に生きる」男になりきろうとしたのではないか、と。

……ただ一度の過ちを、覆い隠すために。




宙組新人公演「美しき生涯」について、その3。



◆大谷吉継(春瀬央季/七海ひろき)
せっかく綺麗な人なのに、メインの見せ場で覆面なのは残念……と、本公演と全く同じことを思ってしまいました。そのぶん、北ノ庄とか関ヶ原の武将、あるいは大阪城や長浜城の近習で美形っぷりは十分楽しめるんですけどね(^ ^;ゞ

新人公演の秀吉(松風輝)は、本公演とは全然違っていたのですが。その中でも特に、この場面で見せた、三成に対する悪意、あるいは憎悪のようなものがとても印象的だったのですが。
本公演では、ただ心配そうに三成を見守っている大谷が、新人公演では、思いっきり主従二人から目を逸らしていたのが面白い解釈だなと思いました。

うーん、やっぱり大谷と三成のエピソードは、ちょっとでいいから脚本の中に入れて欲しかったなあ……(涙)。


◆前田玄以(七生眞希/鳳樹いち)
僧侶でありながら信長の嫡男に仕えてその息子(三法師)を預かり、清州会議で秀吉が勝利するきっかけをつくった玄以。長く京都所司代をつとめ、一筋縄ではいかない人物ですが、まあ、この作品の中では単なる「五奉行」という記号なので、経歴を云々しても仕方がない、かな?
台詞もしっかりしているし、所作も存在感も、過不足なく演じていたと思います。ショーでもバザールの少年とか楽しそうに踊っていて、つい観てしまうんですよね(^ ^)。あれと、この僧侶姿、同じ人が演じてるのに、不思議だなあ。


◆長塚正家(実羚淳/愛月ひかる)
「シャングリラ」の雹の子供時代で、ポケッと立っていた実羚くん。ここに来て急に役がついて目立つようになったし、ショーでもすごい良い位置で踊ってますよね。芝居も所作も問題無かったし、下級生には「成長期」があるんだああ、としみじみ……。


◆増田長盛(和希そら/蒼羽りく)
先日も書きましたが、すごい下級生なのに声の良い子だな、と。りっくんも良い声なので、この役は声で選んでいるのか?(いやそんなはずはない)とさえ……
今回あたりから急に出てきたような気がするのですが、次回を楽しみにしています。


◆徳川家康(天玲美音/寿つかさ)
天玲さんの正しい使い方、、、かも、と思いました。牢獄での三成とのやりとりが、なかなか深くて良かったです。素敵♪


◆女童(愛白もあ、夢涼りあん、彩花まり、美桜エリナ)
4人ともよくがんばっていました。お化粧は表情とあわせてもう一工夫、かな。
歌は、ユニゾンはよく揃っていたけど、ハーモニーになるとがくんと崩れるのがなんとかなればなあ。本役の4人はさらっと歌っていますが、、、場数の問題なのでしょうか、やっぱり。


■天輝トニカ(山伏/天羽珠紀、清州の丘の領民、柴田軍の武将/澄輝さやと、関ヶ原前の領民、ラストの商人)

最後に、今公演で卒業してしまうトニカちゃんについて。
いろんな役を演じていましたが、一番大きいのは山伏……ですよね?すごく良かったです!ショーのバザール前の歌もすごく良いんですけど、なんというか、雰囲気のある歌を歌える人ですよね。

本公演でたまちゃんがやっている役とあっきーがやっている役をほぼカバーしていたと思うんですが、どこで出てきてっもすぐに見分けられる美貌もあとわずかかと思うととても残念。ご本人の新しい世界でのお幸せと、妹さんたちのご活躍を祈っています。、



東宝劇場宙組公演「美しき生涯/ルナ・ロッサ」、10日ぶりに観劇してまいりました。
公演も残すところあと一週間。お芝居もショーも、終わりが見えてきたせいか凄い盛り上がりようになってきました。
特に、牢獄から処刑台にかけての芝居の緊迫感はものすごくて、2階席の隅に座っていても、劇場全体を覆う空気がピンと張りつめているを感じます。大袈裟じゃなく、本当にしわぶきの音ひとつ聴こえないんですよね。大劇場の後半からもうそんな感じでしたけど、東宝にきて、また更に静かになったような気がします。客席の全員が息を呑んで観てる……そんな感じ。

あれを一日二回とか、観てるだけで疲れるのに、公演をする側はキツいでしょうね。
「ヴァレンチノ」の思い出しも始まっているみたいだし、青年館組は大変だなあ(T T)。
ともあれ、休演日だけでもしっかり休んで、体調を整えてください! 



たまちゃん(天羽珠紀)の休演から1週間半が過ぎましたが、まだ復帰できないのでしょうか…。休演日明けの火曜日から復帰してくれると良いのですが。

と思いつつ、いちおう代役をまとめておきます。
7月20日の日記にも判る範囲で書きましたが、その後判ったことも追加してまとめてみました。間違いなどありましたらご指摘ください。

・清州の丘
台詞は美月遥ちゃんが言ってた……のが本来たまちゃんの台詞ですよね?こっしーさん(珠洲)は、位置だけたまちゃんの位置に入ってたけど、台詞は元々の自分のを言っていたと思います。一人減った分は朝央れんくんが入ってフォローしてました。

・山伏 風莉じん
ちや姉、素晴らしかった!20日は代役初日だったせいか物足りなかったけど、今日は本当に良かったです。豊かでドラマティックな、深い声。「O Fortuna!」という感じでした。

・関ヶ原前
代役なしで、男役はこっしーとちや姉の二人でした。


<ショー>

・プロローグ 砂の男 実羚淳(?)
たまちゃんの位置を正確に覚えているわけではありませんが、実羚淳くんが前場の砂塵(最初に上手から入ってきて踊りだす人)から抜けて砂の男に入っていたので、たぶん。

・バザール 七海ひろき
かいちゃん落ち着いてきて良かったでです。歌もいいけど、その後の買い物してる芝居も楽しい。可愛いなあ。
かいちゃんの位置には研2の和希そらくん。本役が「バザールの男」で、ランプ屋のあたりでいろいろ売っていたんですが、、、今は立場が逆なんですね(^ ^)。結構ガツガツ踊る人なので、いなくなってしまって残念です。ちなみに、新人公演ではりっくん(蒼羽)の増田長盛を演じていて、下級生なのに声の出来てる人だなーと感心しました(^ ^)。
あ。和希くんの位置に誰が入っていたのか(誰か入っていたのか?)は不明です。すみません。

・キャメルマン 風莉
ちや姉、こちらも凄く良くなってました♪ちや姉のとぼけた声で「僕じゃだめ?」といわれると、ちょっときゅんっとくるわ(^ ^)。

・アラベスク 
ここで朝央れんくんを見たような気がするんですが、、、代役に入っていたんでしょうか?本来はここには出てないですよね……?

・祈り 美月遥
他のどの場面より「祈り」の代役が一番大変なんじゃないかと思うのですが、下級生なのに美月くんよく頑張ったなあ……!
ただ、途中でちょっとだけたまちゃんがセンターになる場面があるんですが、そこはさすがに美月くんじゃなくてあっきー(澄輝)がやっていたと思います。残念だけど、場面最下であれは無理よね(^ ^)

そして、コーラスに入っていた美月くんは、すぐ後のロケットにもちゃんと出てました!すごい(@ @)。神官たちのコーラスも大した長さじゃないのに、どうやって着替えたんだろういったい。……まさか、あの砂塵のベージュの衣装を脱ぐと真っ青、とか、そういうオチ……?

・エピローグ(神殿) 桜木みなと
新公の時も書きましたが,今回の公演、ずんちゃんがカチャにそっくりに見えるのは私だけでしょうか?痩せたから?化粧が変わった?この場面も、一瞬『なぜカチャが二人!?』って思ってしまいました(汗)
しっかり踊れてて、特に悪目立ちはしていなかったと思います(^-^)。バザールの少年も頑張っているし、今回は大活躍ですね。



代役でがんばっている皆さんにも、そのほかの出演者にも、怪我の無いよう、病気の無いよう祈っています。
願わくば、全員揃って、元気に千秋楽を迎えられますように。



宙組新人公演「美しき生涯」について


何の順番に書こうかなと悩んでいたのですが、とりあえずプログラムの登場順に。

◆さぎり(藤咲えり/純矢ちとせ)

可愛かった―(はぁと)。
オープニングと北ノ庄落城直後の宴と、宴席の群舞のセンターを二回とっているさぎりですが、ライトが入る前のシルエットで、思わず「……ちいさっ!」と思った……というのはおいといて。
本公演の女童も可愛いけど、大人っぽい化粧でもやっぱり可愛いなあ、と思います(←贔屓目)。意地っ張りで負けず嫌いで、芯はすごく優しいんだけど、それを覆う鎧は厚く堅固で……そんな印象を受けました。
疾風と闘うために、着物を脱ぎ棄てて本性を現すところとか、表情がその前までと全然違うことに感心しました(^ ^)。ついついあの衣装に食いついてしまうのですが、あそこはもっとちゃんと表情を見ておけばよかったな、と思います。

せーこちゃんみたいなたおやかな色気はないけど、クールでハンサムな本質に反して疾風を愛してしまう矛盾へのアプローチには、きちんと説得力があったと思います。なんといっても、新人公演は本公演よりも疾風がものすごく可愛かった(←誉めてます)ので、上級生であるさぎりが疾風に向ける気持ちも、だいぶ母性に寄っていたような……。

いやあ、りくくんとえりちゃん、良いコンビだったと思います(はぁと)。二人とも、相手の呼吸を受けてお芝居をするタイプなので、やりやすかったんじゃないかなあ(^ ^)。



◆福島正則(澄輝さやと/北翔海莉)

「誰がために鐘は鳴る」のエル・ソルドに続き、難役に挑んだあっきー。
『あんまり頭はよくないかもしれないけど(←自分で言ってる)、精悍で若々しいまっすぐな若者像』みたいな正則で、同じまっすぐでも、愛ちゃん三成の「まっすぐ」と、あっきー正則の「まっすぐ」が違うってことがすごく判りやすくて、興味深いお芝居だなと思いました。
銀橋のソロは、音が飛ぶところでぶつぶつ切れてしまうのが若干気になりましたが、歌に流れてしまわずに台詞らしく気持ちをいれて語っていたのは評価したいなと思いました。

牢獄へ向かうやり取りににじむ困惑と、最後に三成と見凝めあって別れの礼を交わす場面の切なさは、すごく好きでした。
演出的にも結構細かいところが変わっていて、生真面目でちょっと粗野だけど心優しい福島正則、というイメージに、より近い役づくりだったような気がします。



◆豊臣(羽柴)秀吉(松風輝/未沙のえる)

未沙さんの、底しれぬ…というか、底光りするような凄まじい秀吉に比べて、ごくまともな中年男であり、ごくごくまともな老人になっていく秀吉。
非常に有能で人好きのする明朗で率直な一面と、卑屈で疑り深い、猜疑心と悪意に満ちた一面の両つの面を持つ男。
彼が一番、三成の清廉さを憎んでいたのかもしれないな、と、そんな妄想を弄びながらの観劇でした。

三成のキャラも本公演とは全然違うから、結果的にお互いが持っている感情というか、秀吉が三成に与えるプレッシャーの種類が違うように見えるのが面白かったです。同じことやっているのにね(^ ^)。



◆おね(百千糸/美穂圭子)

いやもう、ここは期待値のハードルもすごく高かったんですが、芝居も歌も期待以上でした(^ ^)。素晴らしい!!



◆福島正則の妻(花里まな/鈴奈沙也)

台詞回しの名調子ぶりなど、だいぶ鈴奈さんの影響を色濃く受けているなあと思う部分もありましたが、上級生らしくしっかりと場をまとめていたのはさすがでした。あっきーと同期なだけあって、芝居の息もあっていたし、間で笑いもとれていて、とても良かったと思います。
あと、個人的には関ヶ原前の妻たちのナンバーが好きです。あそこの鈴奈さん好きなんですけど、花里さんもとても良かった(*^ ^*)。


◆加藤清正(風馬翔/悠未ひろ)、妻(七瀬りりこ/風莉じん)

良いコンビでした!りりこちゃん、最後の新公でなかなか面白い思い出を作ってくれて、ありがとう♪
かけるはともちんの役も馴れたものですが、和物も良く似合ってて格好良かったです(*^ ^*)


◆加藤義明(月映樹茉/十輝いりす)、妻(桜音れい/美風舞良)

まー、もう、桜音れいちゃんが可愛くて可愛くて!!(惚)えなちゃんとの並びがお人形さんみたいで、そのままお雛様にして飾っておきたいくらい可愛かったです!!
それにしても、あの大阪城ロックの落ちは、誰が考えたんでしょうねえ。まさか桜音れいちゃん自ら!?いやいや、そんなことないですよね?普通に演出の岡本さんの指示ですよね…?

えなちゃんの芝居は、どちらかというと莫迦に絞った役づくりで、あのメンバーの中で唯一三成の偉大さに最後まで気付かない、という役割をきっちりと演じていたと思います。
……そして、何よりも!衣装がなんとなかなって、本当に良かった!!……宝塚の衣装部さんってすごい。っていうか、日本物の衣装ってすごい~!(感涙)


◆脇坂安治(星吹彩翔/春風弥里)、妻(舞花くるみ/花音舞)

モンチの今回の髪型と化粧は、ちょっと意外な線を狙ってきたな、と思いました。眠狂四郎とか似合いそう、、、かも!?

みーちゃんが、ポップアップ・タイムで「脇坂は三成に対する敵愾心が強い」っていう話をしていましたが、その辺の役づくりはモンチもひっぱったのかな、と思いました。
7人のキャラクターが結構被ってる中で、脇坂はちょっと違う視点で物を見ている人、という感じは伝わってきたので、良かったんだと思います。


◆平野長泰(美月遥/鳳翔大)、妻(綾瀬あきな/愛花ちさき)

ラブラブな新婚夫婦な設定はそのままで、優しい笑顔の美月くんが軽々とえびちゃんを抱き上げていたり、スキンシップの激しい夫婦でした♪
本役の大ちゃんと違い、すこーし斜に構えた感じの平野で、格好良かったです♪


◆糟屋武則(星月梨旺/蓮水ゆうや)、妻(夢莉みこ/花露すみか)

美男美女のカップルで、目の保養でした。いやはや、いいなあ。
星月さんは西軍武将のいでたちがめちゃくちゃ格好よくて、あまりの二枚目っぷりに見惚れてしてしまいました。もっとしっかり恋愛譚のある役で観てみたいです。ビバ日本物!


◆片桐且元(桜木みなと/凪七瑠海)、妻(?/大海亜呼)

ずんちゃんがカチャにそっくりすぎてびっくりした!!
すごい痩せた……のかな?そのせいなのか、化粧のせいなのか。
今までにも何度か新公でカチャの役をやっているけど、似てると思ったのは初めてでした。素顔とかも全然似てないのに……なんでだ。
ラスト、牢獄へ向かう花道での吹っ切れたような芝居がすごく良かったです。片桐は関ヶ原の後、豊臣側に戻って秀頼たちを護ろうとする(そして、大阪の陣の原因を作ってしまう……汗)んですが、その決意がここできちんと見えるような芝居になっていたのが、目から鱗でした。

ところで。
すみません……プログラムには片桐且元の妻が載っていないのですが、ずんちゃんって一人でしたっけ……?ううう、覚えてない!!すみません(T T)覚えていらっしゃる方、教えてくださいm(_ _)m。



◆たつの(伶美うらら/すみれ乃麗)

綺麗な子だなとは前から思っていましたが、本当に綺麗な人ですね。
姉のはずのえりちゃんが小柄なので、さぎりとたつのが二人で並んでいる姿を見るとちょっと笑ってしまうのですが(^ ^)、でも美人姉妹だなあと嬉しくなります!
私の知る限り、新公でもバウなどでも役らしい役はついたことがないと思うのですが、「若様でございます!」という台詞も、ラストに疾風を討ちにくる場面の芝居も、れーれの完コピではありましたが、それなりに破綻なく演じていたので、次の作品でどんな役がつくのか、楽しみになりました♪



◆小姓(花乃まりあ/彩花まり)

本役の彩花まりちゃんがとても可愛くて芝居もいいので、お気に入りの役ですが。
花乃さんも可愛くて良かったと思います。ただ、秀吉と茶々を最初に引き合わせた場面で、茶々や三成が去った後、上座に戻る秀吉についているのは彼女ではなくて侍女の一人(夢莉みこ)だったのがちょっと不思議でした。花乃さんは次の場面の弁財天に出るので、三成を案内してきたらすぐにはけてしまうのですが、、、うーむ、そこまでして弁財天に出すのか……。



◆弁財天のソロ(瀬戸花まり/七瀬りりこ)

綺麗な声で、誰だろう?と思ったら瀬戸花さんでした。良かったです。でも、宙組には歌姫がすごくたくさんいるので、上級生を使ってみても良かったのに……と思ったりもしました。もっと歌姫をつかってやってくれ……。



◆市(すみれ乃麗/妃宮さくら)

良かったです!終始、れーれとは思えないほど低い声で喋ってましたが、あれは演出指導なんでしょうか。落ち着きのある大人の女で、とても良かったです。ああいう役もできるんだ!という驚き。
やっぱり、娘役にとっても場数って大事なんだなあと思いました。

後半は、弁財天とカルマダンサーとおしどり……かな?どれも可愛かったです。カルマダンサーは、後半になるまで気がつかなかったのであまり観られなかった……やっぱり開幕前のプログラムチェックは必須だなあ(T T)(だって、仕事帰りにギリギリで行くんだもん!!無理!!)(T T)。




あれれ?終わらなかった……もう一回続きます。



月組トップ娘役蒼乃夕妃さんが、明日の大劇場公演初日から部分休演すると発表がありました。
「怪我のため」とのことですが、無理をしないでしっかり治して、楽までにちゃんと全面復帰してほしいなと思います。
休演するのは「フィナーレの女」ということで、、、デュエットダンスかな?と思うのですが。
代役はまいまい(萌花ゆりあ)。しなやかなダンサーなので、素敵なダンスを見せてくれると思います!まりもちゃんがゆっくり落ち着いて休めるよう、がんばってくださいね!




さて。
東京宝塚劇場にて、宙組新人公演「美しき生涯」を観劇してまいりました。



新人公演演出は岡本寛子さん。
初めて聞くお名前のような気がしますが、なかなか面白い演出だったと思います。大阪城ロックのアドリブ的なところだけでなく、結構変更点があって、二本立ての普通のお芝居で、脚本も外部の方なのに、思い切ったことをするなあと感心しました。

細かい変更点はいろいろあったのですが、一番印象的だったのは、ラストのおしどりの場面の最後、セリ上がった檀の上で寄り添った三成と茶々が、お互いの名前を呼んだことでしょうか。
……予想していなかったので、びっくりしました(@ @)が、これはこれで、アリだなあと思ったラストでした。



石田三成役は、二度目の新公主演でこの難役にぶち当たった愛月ひかる。
いやー、祐飛さんとは全く違うアプローチでしたけど、なんというか、、、母性本能をくすぐる三成だったような気がします。
内面は柔らかいのに、外面は剛の者っぽく取り繕った感じが、愛ちゃん自身のオンとオフのギャップと重なって、面白い芝居になっていたような気がします。

祐飛さんほど受け受けしい感じではなく、もう少し健康的な、両親に愛されてまっすぐに育った日向の大樹のような三成像。秀吉のキャラクターが本公演とはだいぶ違ったせいもあってか、若々しくて恋に一途な、優しい三成だったような気がします。

「誰がために鐘は鳴る」のロバートみたいなキャラクターの方が、愛ちゃんには合っているような気もしますが、彼女なりの三成で、これはこれでアリだなあと思いました。何より、茶々に対する愛が盲目的に一途で、この三成さまなら子供ができるまで何度でも夜中に忍んでいく姿が想像できるかも……と、思いました(^ ^)。




茶々は、初ヒロインでこの難役にぶち当たってしまった瀬音リサ。
声が綺麗で可愛らしくて、ヒロインをとても楽しみにしていたのですが。
……予想外に難役だったんですねえ、茶々って。

まずは化粧で負け戦になってしまったのがとても残念。あと、得意の歌も、ソロがラストまで無かったのは不運だったような気がします。デュエットはどうしても相手がいるので……相手の歌をカバーして自分も輝くには、もう一踏ん張り技術と気合を入れなおさないと無理な気がしました。声は綺麗なんだけどなあ。今回ショーで大分歌ってますが、それもすごく良いんだけどなーーーーー。

芝居は丁寧に演じていたのですが、もともと難しい役な上に、圧倒的な経験不足はいかんともしがたいな、と。去年までの一年間、スカイフェアリーズとしてテレビカメラの前で喋ることには慣れたけど、役らしい役がついたのも3月の「ヴァレンチノ」が初めて、大劇場公演で通し役を貰ったことなどない、という経験値でやれる役ではなかった……と思います。
素は可愛いんだけどなーーーー、残念(T T)。





疾風役は蒼羽りく。この新公、上から三人が三人とも同期(93期)なんですね!花組「愛のプレリュード」の新公も、主演は93期の初主演コンビだったし、最近93期の躍進ぶりは本当に凄いなあ、と思います。
りくくんの疾風は、こちらもテルくんとは全然違っていて、すごく良かったです。まず、なんたって台詞の声が良いんです!!(*^ ^*)。色っぽくて、柔らかくて。そして、キャラクターが可愛いんです。甘えたじゃなくて、ツンデレで可愛い。関ヶ原前の銀橋とか、すごく真顔で三成のことを心配していて、なんだか微笑ましくてたまりませんでした。

りくくんの疾風は、茶々のことは勿論好きなんだけど、三成のことも相当好きだな、と(^ ^)。
いや、テルくんの疾風も三成のこと相当気に入ってるよね、と思うんですが、、、何が違うんだろう、この二人。まず「好き」と「気に入ってる」の違いかなあ。



……疾風のことを語り始めると止まらなくなってしまいそうなので、とりあえずはこのあたりで。



宙組公演「美しき生涯」について。



先日書いた第4~5場(琵琶湖)で、書き忘れたことがありました。
お茶々さまの衣装の話。

最初に大劇場で観た時、『この(秀吉に最初に引き合わせる)場面で、いきなり三成の衣装と茶々の打ち掛けの紋が同じなのって、どうなの?』と思ったんですよね。
三成の袖と同じ色で同じ紋様(大きさは違いますが)の打ち掛けって……と。
まあ、着のみ着のまま北乃庄を逃れた茶々に、土豪の息子にすぎない石田家が用意した一張羅なんだろうから、同じ紋でも仕方ないか……とか無理やり納得させていたのですが。

東宝に来たら衣装が変わっていて、『ああ、やっぱりおかしいと思ったんだなー』と思って(^ ^)。
そのまま忘れていたのですが、先日の大空さんのお茶会でその話が出て、思い出しました。

……そうか、祐飛さんが言いだしたのか。なるほど納得(^ ^)。





というわけで、続き。



■第五場B カーテン前

さぎり(純矢ちとせ)、たつの(すみれ乃麗)と共に琵琶湖へ降りて行く茶々を追い掛ける三成を呼び止める疾風。

横柄なもの言い。率直というか、露骨な言いまわし。テルくんの台詞術はちょっと甘えたな感じに聴こえがちなので、ああいうクールな台詞はあんまりむかないなあ、と思ったりもします。
「早くお茶々さまを」と「抱かぬか」の間にタメをおくのは良いんですが、「だ」を吐き捨てるように言うのが、あんまりキャラにあっていないような気がするんですよね。ここはもっとクールに、さらっと言っていいと思うのですが(台詞そのものが露骨なので、言い方があまりいやらしいと余計に露骨な気がするし)。

疾風が七本槍を話題にすると、下手花道でくしゃみをする福島正則(北翔)と加藤清正(悠未ひろ)。
わざとらしいくしゃみといい、台詞といい、ともちんの声が良い感じに柔らかくて、とても好きです。みっちゃんの硬い声といい対比で、この二人に会話させたくなるのもわかるなあ(^ ^)。



■第六場 大阪城・中庭(天正13年)

大阪城が落成したばかりの秀吉軍の精鋭が、巨大な城の中庭で奥方連れてワイワイ観光中(^ ^)。

幕があがるといきなりロックがかかる。音楽は手島恭子さん。ギターのソロが格好良くて、印象的な場面です。着物を振り乱して踊る七本槍がめっちゃカッコいい(はぁと)。エアギターをかきならすところであれこれがんばっている7人が素敵です。

メインで芝居をしている福島夫婦(北翔・鈴奈)や加藤清正夫婦(悠未・風莉)もとても良いんですが、個人的に、回りで無言の芝居をしているメンバーが好きなので、ちょっと突っ込ませてください。

平野夫妻(鳳翔・愛花)は、新婚らしくラブラブ。ロックの中でもしっかりキスしていて、それをあおいさんに見つかって思いっきりからかわれていたりするのが楽しいです。
ダンスが終わって芝居に入っても、この二人だけは全く話を聞かずにひたすらラブラブしていて、、、可愛いったら、もう(*^ ^*)。
思えばこの二人は「パラダイスプリンス(新公)」「大江山」「シャングリラ」など、何度も組んでいるんですよねー。観ていて本当にほほえましくて、可愛い恋人たちでした。

加藤嘉明夫妻(十輝・美風)は、、、組むのは「カサブランカ」以来かな?小さなあおいさんのフリーダムさと、大きなまさこちゃんの安定感がしっくりと噛み合う、いいコンビだなと思います。

糟屋夫妻(蓮水・花露)は、さりげなく仲の良い友達感覚な二人。前に出ての芝居はあまりありませんが、同期らしい、何でもポンポン言い合える関係がほの見えて、やり取りに納得感があるんですよね。石田さん、狙ったのならすごいなーと思います。

脇坂夫妻(春風・花音)は、芝居の中でずーっと花音さんのお腹を撫でているみーちゃんが優しくてとても好きだ。あと、「そんなに言うなら三成の嫁になれ!」と言われて「きゃっ(はぁと)」となっているあいこちゃんがめっちゃキュートで可愛くて、そんな妻を見て目を丸くしているみーちゃんが大好きです。

片桐夫妻(凪七・大海)は、もう見るからに姐さん女房で(^ ^;ゞ。カチャの頭をぽんぽんと撫でているえっちゃんを何度か観ましたよ私。……可愛いなあ。そして、ラストのオチ(「なにゆえ、茶釜なのだ?」)が決まらない(←演出?)カチャを見守るえっちゃんが好きです。



14人が下手袖へぞろぞろとハケたところに、上手から登場する茶々、さぎり、たつの。
「大阪は騒々しいのぅ……」
という台詞を、この間で言えるすみ花ちゃんは、やっぱり凄い女優だなと思います。

「お呼びでございますか」
三成の静かな声。喜色を浮かべて振り向く茶々。

「大阪へ来たら、毎日そなたに逢えると思うたに…」
切なげに訴える姫におされ、一歩さがる三成が可愛い。我侭で強気な茶々と、控えめで消極的な三成。
両想いなのに、どうにもまとまりそうにない、それが、恋。




そんな二人の様子を寧々に報告するさぎり。
「引き続き、二人から目を離さぬよう」
指示を受けて戻る途中にで、疾風とすれ違う。

いきなり手裏剣を投げる疾風、
いきなり着物を脱ぎ棄てて、ミニの黒装束に網タイツという格好になるさぎり。
その衣装替えは石田さんの趣味ですか?

さぎりの反撃をあっさりとかわし、バックを取って口説きに入る疾風。
まあ、こう来れば女が落ちるのは「ノバ・ボサ・ノバ」以来の宝塚のお約束なので(汗)、まあ、何も言うまい。まあ、なんだかんだ言ってもこの場面は好きです。短いけど、テルくんとせーこちゃんんのデュエットが好き。この二人、昔は雪組で一緒に芝居していたんだなあ……と思ったりしました。せーこちゃんが雪組で女役だった期間は短いけど、テルくんと組んだこととかってあるのかなあ?



この調子で書いてたら、やっぱり千秋楽に間に合わないような気がしつつ、
今宵はここまでにいたしとうございます。



1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >