日本青年館にて、雪組公演「心中・恋の大和路」を観劇してまいりました。



泣いた………(T T)

……散々言いつくされていることですが、この作品を観るときは、タオルをお忘れなく!!





私は汐風幸さんが大好きだったので、17年前の再々演もバウホールまで観に行ったわけですが、、、、
あの時も「目がとけるほど泣く」という慣用句の意味を理解できそうなほど泣きました。泣きながらサバキ待ちして、何人かの方をギョッとさせたのも懐かしい思い出です(^ ^)

宝塚にもこんな完璧な「芝居」があるのか、と感銘をうけ、本格的に宝塚に嵌った、思い出の作品。

バウのみの予定だったのに、千秋楽に青年館東上が発表されて、嬉しかったなあ。八右衛門はケロさん(汐美真帆)からコムさん(朝海ひかる)に交替して、だいぶ雰囲気の違う作品になっていましたが、やっぱり泣くだけ泣いたなあ……。その後、OG公演として上演された瀬戸内美八さん、若葉ひろみさん、峰さを理さん版も観て(当たり前に号泣)、百周年の今年は、ドラマシティ&青年館で、壮ちゃん、あゆっち、まっつという雪組シルバートリオでの上演。

今でも、「宝塚作品で一番好きな作品は何か」と問われたら、「心中・恋の大和路」と答えるかもしれない程度には、本気でこの作品は宝塚の代表作の一つだと思っているわけですが、、、



それほどの名作を、この百周年の年に任された、我らが壮一帆!
壮ちゃんの忠兵衛の、一本筋の通った前向きな愚かしさが、すごく壮ちゃんらしくて新鮮でした。

幸ちゃんの忠兵衛から感じた“弱さ”とは違う、“愚かな強さ”とでも言うべきもの。
大和へ「逃げる」幸ちゃんと、新口村に「向かう」壮ちゃん。恋にも人生にも前のめりな、おそらくは商売にも前のめりだった時期があったのだろう忠兵衛像が、とても新鮮で、そして、それゆえに哀しかった。壮ちゃんって、若者を演じても中年のサラリーマンを演じても、どこかに「若さゆえの愚かしさ」を隠し持てる役者なんだな、と思いました。
もはや叶わ夢だけど、壮ちゃんのロミオが観たかったな、と。プレスギュルヴィック氏の、という意味ではなくて、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を、壮ちゃんとあゆっちで観てみたかった。そんなこと、今まで思ったこともなかったのに。どちらかと言えば、壮あゆで観たい作品はマクベスだったはずなのに……。



あゆっちの梅川。衣装が違うせいか、そこは技術なのか(?)、貴咲美里ちゃんが苦戦していた裳裾の処理がきれいで、女郎としての立ち居振舞いもちゃんとできていたと思います。
忠兵衛の愛想づかしと、それに対する懐剣での自死のほのめかし。女郎とその客の駆け引きめいたやり取りの中に真を見出す忠兵衛と、そんな忠兵衛に運命を預ける梅川。その一連の芝居が自然で、翌朝の忠兵衛の「わたしはあんなに、梅川をいとしいと思たことがない」という台詞に説得力がありました。

あーーーー、それにしても、若葉ひろみさんの梅川は、根っからの純粋培養な「お女郎」感が素晴らしすぎた。。。。あゆっち、がんばれ。



まっつの八右衛門。ケロさんのいかにも「遊び人の旦那」ぶりとも、コムさんの「忠兵衛の遊び仲間」っぽさとも違う、飛脚宿の主と米問屋の主の、商売を超えた友情が、胸に沁みました。
お、と思ったのは、与平(月城)をかもん太夫(大湖)に引き逢わせた翌朝、「昨夜は場所柄控えたが」と番頭たちに告げるときの重みです。あの重み、「お金のことはキチッとしたい」という台詞を、真面目そうにではなく、商売人ゆえの真剣さとちゃんと伝えてくれる芝居力はさすが、、、とあらためて思いました。

新口村での忠兵衛とのやりとり、そこからの「この世にただ一つ」の絶唱は、まさにこの世にただ一つのものでした。。。。(号泣)幸ちゃんの時は与平役のハマコさん(未来優希)が歌ったのですが、歌としては本当に素晴らしかったけど、、、、やっぱり八右衛門が歌ったほうがこの作品は嵌るな、と思いました。




名作の中の名曲、「この世にただひとつ」。
一幕でこの曲が歌われるのは、廓の中で、忠兵衛と梅川が気持ちを確かめあう場面ですが。
あの場面の暗転前のポーズが、2幕ラストの雪山での最期のポーズと全く同じであることに、愚かな私は今日気が付きました。
……あの時にはもう、すべては決まっていたこと、と。そういう意味なのでしょうか。。。。震撼。



横堀川で、三百両を懐に立ち竦む忠兵衛。
「三百両や、石ころや、だが三百両や、石ころや………!!」という絶叫が、まだ耳に残る気がします。
壮ちゃんの忠兵衛を観ていると、あの金を懐にして新町に向かうのは、その金をおかみに渡すためなんだな、と、そう素直に感じられました。
幸ちゃんの忠兵衛は、迷ってしまって決心がつかず、とりあえず先延ばしして梅川に逢いにいっただけのようにも見えたのですが、壮ちゃんは違うなと。店に渡すつもりで新町に向かい、店に入る前に我に返って思いとどまる……それまで毎日そうしていたように、そうなるはずだった。八右衛門が、余計なことをしてさえいなければ。

いや、もちろん、八右衛門が間違っていたわけでもない。すべては運命だった。間が悪かった……それだけのこと。
「間ぁが悪かったですみますかっ!!」と叱りつける藤屋さん(香稜)の迫力は、さすがでした。。。。ごめんですめば警察はいらない。間が悪かったですめば罪人もない……残念なことに、世の中はそれでは回らないのだから。




最後に、もう一つだけ。
そういえば、私はこの作品の嶋屋(飴売り)で、蒼海拓さんのファンになったんだった……!!と鮮明に思いだしたくらい、久城あすくんの嶋屋さんが素敵すぎて、もう、最初から最後まで釘づけでした(T T)(泣くな)。
青天姿の麗しさ、憎々しい台詞の口跡のよさ、そして歌の素晴らしさ!! やばい、本格的に嵌る予感。。。


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CSニュースで、壮一帆さんの記者会見を視ました。


なんか、壮ちゃんらしかった!
「雪組に組替え(=トップ就任)を言われた時に、3作と決めました」ときっぱり言ってのける壮ちゃん。
(蘭寿さんには相談した?)「相談はしません。決めてたんで。報告したら、『早くね?』って言われました」と爽やかな笑顔の壮ちゃん。
私も同じこと言いたい……(でも、もう決めてたんだから仕方ないけど……)

でも。
短距離ランナーのように、短い期間にすべてを燃やしつくす、と言い切った壮ちゃんの、、、もともと細身で頬骨の高い人ではありましたが、それにしても驚くほどの細さ、頭蓋骨の線がくっきり見える貌……さすがに怖くなりました。
3作、1年8カ月。短いけれども、本当にそこに全てを賭けてくれているんだな、と感じて。むしろ、あと半年、本当にもつのか?と心配になったくらい(←余計な心配ですみません)。

それは、「ラストタイクーン」Now On Stageの蘭寿さんも同じで。舞台を観た時はそんなに感じなかったのですが、こんなに痩せていたのか、と。。。祐飛さんも、最後の数ヶ月は凄かったけど、蘭寿さんも壮ちゃんも……やっぱり、研19とか21とか、「大人の芝居」を見せてもらうには、ある程度の学年にならないと難しい面もあるけれども、体力的には相当に厳しいんだろうな、と、改めて思ったのでした……フェアリーだから年齢はないけど、体力に限界はあるよね、やっぱり。

もう一度、木村作品で主演する壮ちゃんを……「外伝・虞美人ー劉邦篇ー」とかじゃなくて、ちゃんとした作品がいいけど、とにかく、壮ちゃんトップ時代に、絶対に木村作品をやるだろうと思っていました。
3作目が大野さんと発表されたときに、「あ、じゃあ4作やるんだな」と素直に思ったくらいには。

まあ、そんな繰り言をいくら言っても仕方がない。壮ちゃんにしても、他の組子にしても、今は次の公演のことしか考えていないだろうし、私も、通えるだけ通うつもりでいます。

大好きな壮ちゃん。まずは忠兵衛を、楽しみにしています!!



ところで。
壮ちゃん、最後にディナーショーしないの!?
(どうせチケット取れないだろうけど!でも、努力くらいは!)

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雪組トップスターの壮一帆さんが、次回大劇場公演で卒業するとの発表がありました。


全く予想もしてなかった、とは言いません。
その可能性があることはわかっていたつもりです。

全ツの主演者が発表されたときから、最大でも4作なんだろうな、という覚悟はきめていたし、もしかしたら3作かもしれない、というのも、考えたくなかったから目をそらしていたけれども、可能性があることはわかっていました。


でも。それでもなお、最大でも4作だけど、最低でも4作やってくれるに違いない、と、何の根拠もなく思っていたんですよね。

……「思っていた」のじゃなくて、「信じたかった」、のかな。




3日前、「Shall we ダンス?/Congrturations of TAKARAZUKA」の千秋楽で。お芝居のラスト前、壮ちゃんが銀橋で歌う「CHANGE]を聴きながら。

ああ、もうこの歌を聴くのも最期か、次にこの曲を銀橋で歌う壮ちゃんに逢えるとしたら、サヨナラショーなんだな……と思ったら、ものすごく泣けてしまった自分を、鮮明に思いだしました。

「♪ありがとうの言葉を勇気に変え/明日への道 走りだそう」

の歌詞と共に胸を叩く手の力強さにキュンとして、

「♪ありがとうの気持ちをこの手に込めて/差し出す 君への思い/Shall we dance?」

と差し出される手の優しさに、胸がギュッとなって、、、もう本当に、壮ちゃん大好き!!と叫び出しそうになって。

これだけの「主役力」、、、というか、演じた役の心情に観客を巻き込む「共感力」を持っている役者は、けっこう稀有なんじゃないかなあ、と思ったのでした。



今にして思えば、組子は知っていたんでしょうか。
「CHANGE」の前の路上ダンスもノリノリでしたが、お芝居中盤の「残業PARTY NIGHT」の最後、盆が回っていくところで、壮ちゃんを囲んだみんなが「ヘイリーさん!ヘイリーさん!(えりたんとも聴こえましたが…?)」とコールしていたんですよね。観ていた時は笑っていたのですが、、、そういうことだったのかな、と思ったりもして。
他にも、けっこう、卒業生だけじゃなくて、組子たちがやたらに壮ちゃんに絡んでるなあ、とは思ったんですよね。観ているときはキュンキュンしていただけでしたが、みんななりに、メッセージをくれていたのかなあ……(T T)。




「若き日の唄は忘れじ」「ベルサイユのばら」「Shall We ダンス?」「心中・恋の大和路」「一夢庵風流記」。まだまだ、壮ちゃんで再演してほしかった作品や、演じてほしかった役や、壮ちゃんのために宛書きしてほしかった演出家がたくさんいたのですけれども。
それでもなお、この5本(若き日×2で6本?)の芝居を観ることができた幸せに、心から感謝しています。


壮ちゃん、
宝塚に入ってくれて、雪組トップになってくれて、たくさんの素敵な役に逢わせてくれて、本当にありがとう。

8月31日まで半年とちょっと。
さいごまで、壮ちゃんらしくドSに、下級生たちに突っ込みつつ、元気いっぱい走り抜けてくださいますように。




東京宝塚劇場にて、雪組新人公演「Shall we ダンス?」を観劇いたしました。


非常にレベルの高い、楽しい新人公演でした(はぁと)
演出は本公演と同じく小柳奈穂子さん。本公演と同じ演出家が新人公演を演出すると、「ああ、本当はこういう風に作りたかったのかなあ」と思うことが多いのですが、今回はあまりそんなこともなく……本公演も楽しいけど、新人公演もすっごく楽しい!!と素直に幸せになれる、そんな感じでした。


ヘイリー・ハートの月城かなとくん。
初主演おめでとうございます!!美貌、長身、歌唱力、台詞回し、どこにも穴のない、貴重な新進スター。落ち着いた、地に足のついた温かな空気感が、この温かな作品にぴったりだったなと思います。
まだ若いのに、大人っぽくてさりげない色気もある「ハンサム」ぶり。歌唱力があるのは知っていたつもりでしたが、銀橋を一人で渡るソロで場を持たせられたのはさすがでした。すごいなー!!

ただ、「芝居の厚み」とか「人物の深み」とかいう面では、やっぱりまだまだ若いんだな、と思ったりはしました。月城くんが悪いわけではないのですが、時間を味方につけないと出来ないことというのはあるな、と。
なまじ、若くても落ち着きのある大人っぽいハンサムで、本役と大きく役の方向性を変える必要のないタイプだったうえに、役柄的に若さや直情っぷりがあまりプラスにならない役だったので、足りないところが鮮明に見えてしまった気はしました。それでも、実力にものをいわせて破綻なくまとめたところはさすがで、研5の初主演としては十分な出来だったと思います(*^ ^*)。


エラの星乃あんりちゃん。
ヒロイン役は何度か演じている人ですが、いままでは可愛いイメージの役が多くて、こういう大人っぽい、近寄りがたい空気をもつ役は初めてみたような気がします。
本公演のエラが見せる孤独感や人間不信、内向的な性向とは少し違う、どちらかといえば攻撃的な、苛々が表に出た人物像。役づくりに苦労したんだろうなあ、というのが随所にみえたような気もしますが、過去に起こった事実としての“リーダーの裏切り”に対して、人間不信から自己嫌悪に向かった本役と、怒りが勝った新人公演の違いが興味深かったです。
どちらもありだと思うし、その違いに対する、小柳さんのアプローチも面白かったですね。本公演は、ヘイリーの人物としての厚みや信頼するに足る誠実さがエラの人間不信を融かしたんだな、と思いましたし、新人公演は、ヘイリーの真っ直ぐさや温かさが、エラの怒りを鎮めて目を醒まさせたという印象でした。

本公演では眼鏡をかけて「生意気な子供」役を演じているあんりちゃん。エラは、化粧も髪型もとてもきれいで大人っぽくて、窓際に佇む姿を見初められるのもわかる美しさでした。ただ、、、この役については、もうちょっと神秘性があるといいのになあ、とは思いました。なにがどう、と具体的に何かあるわけではないのですが。
あ、でも、歌はもうちょっと精進を祈ります。。。がんばれ!!


アルバートの彩風さん。
いやはや、恰好良かったです。物語のキーになる役。まっつの絶妙のバランス(実年齢はエラより歳下だけど、精神年齢は上、という感じ)をなぞるのではなく、エラより少し歳下の、すこし粋がった若者感が新鮮でした。
すっきり痩せて恰好良くなって、自然に視線を惹きつける魅力が出てきたな、と、ちょっとほくほくしました(^ ^)。新人公演を卒業して、これからのご活躍がまた楽しみです♪


ドニーのホタテ(帆風)。
巧過ぎる………っっっ!!!
普段のぺったりと七三に撫でつけた髪もあやしげで(^ ^)良かったし、踊っているときの、ちょっと長めのドレッドっぽい鬘も似合っていました(*^ ^*)。芝居の間も歌も、そして競技会でのパワフルなダンスも、なにもかも良かったです。
なんでもできるホタテ。なんでもできるからこそ、ドニーもできて当たり前的なイメージがあって、こういうタイプもちょっと損だなあと思ったりもしました。アルバートとか、あるいはミハエルみたいな役も一度観てみたかったような気もします。いや、これから本役でやってくれればいいのですが!!(期待)



まずはここまで。他の方も後日書きたいです。。。


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東京宝塚劇場にて、雪組公演「Shall we ダンス?/CONGRATULATIONS 宝塚!!」を観劇いたしました。

楽しすぎた!!


年末に書いた「2013年のMy BEST 宝塚作品」では、お芝居の一位は花組の「愛と革命の詩」にしたのですが、、、東宝公演同士で比べたら、やっぱりこっちの方が上位になりそうです。「愛と…」は、東宝の後半にどんどんボルテージが上がっていったけど、「Shall…」は開幕直後の今の時点でこれだもの!!楽が近づく頃には、いったいどうなってしまうのだか。
だって、ねえ?今でもこんなに楽しいのに!!ですよ(^ ^)。


元々の映画が名作なのは間違いありませんが、その良さは、決して宝塚的な良さではないと思うんですよね。それなのに、その良さを殺さずに、宝塚作品として見事に成功させた小柳さんの手腕は、大したものだと思います。
(関係ないけど、今の小柳さんなら、萩尾望都作品にもう一度挑戦してみてもいいのでは、、、と思ったりしています)





壮ちゃんがいつの間にか身につけた、燦然と輝く主役力というものが、フェルゼンや文四郎のような役だけでなく、ヘイリーのような“普通の二枚目”でも十分発揮されていたことに、本当に感動しました。
観ている間中、壮ちゃんすごい、壮ちゃん格好良い、壮ちゃん素敵、壮ちゃんすごい、と繰り返してしまったくらい、本当に魅力的な「普通の男」でした。役所さんの素敵さとはまた違う、ちゃんと「タカラヅカのトップスター」としての輝きをもった上で、「普通の男」を舞台の上に描き出す。ヘイリー・ハーツという名前を持つ一人の男を、一人の夫、一人の父親を、ごく普通に、当たり前に。
優しくて真面目で、家族想いで……でも、ふとしたはずみに「日常」の扉を開いて「冒険」に飛び込でしまうやんちゃな一面にも説得力があるんですよね。不思議なスターだなと思います。スターっていうか、役者、でしょうか。。。いやもう、本当に素敵でした(*^ ^*)。



そして、まっつ(未涼)。まっつ、復帰おめでとうございます!!
やっぱり、本役は全然違うんだなと思いました。アルバートさんの一言一言の説得力が全然違うんですよね。エラ役のチギちゃん(早霧)との芝居の相性は、ベルばらのオスカルとアンドレでもすごく感じましたが、、、いやもう、本当に良かった。
エキシビションでの登場場面で、「若きプリンス」と紹介されたときはちょっと笑いそうになったりもしましたが(←ごめんなさい)、内面は落ち着いて一見老成して見えるけれども、実年齢は若い(エラより歳下)、実力派スターという風にちゃんと見えたのが凄いな、と。そして、そういうキャラなのに、本領ではないアイドルダンスでそれなりに客席を魅了している、という情景にすごく説得力があって。ちょっと斜に構えた歌の表現もすごく素敵でした(はぁと)。

その後のエラとの会話の誠実さ、毒を吐くミハエル(蓮城)やバーバラ(大湖)に対する批判的な視線、バーバラが倒れた時の驚愕と、病院での上着を脱いだ立ち姿。表面上はクールに見えて、その中身はとても包容力のある、率直で誠実で熱血な正義漢、、、という二面性の面白さ。
こういう役だったのか、という驚きと、こういう役だからこそ、ラストのパーティーでエラに手を差し出すキャラクターに説得力があるんだな、と思いました。立ち位置はどう見てもエラより“目下”なのに、その瞬間に発揮される包容力。「ブラックジャック」で見せた、ツンデレがふとした瞬間に見せる包容力の凄まじい大波に、何もかも持って行かれたなと思いました。



本格的な女役に挑戦したチギちゃん。チギちゃんの魅力でもある「不器用」な感じがすごく生きた、魅力的な役でした。ヘイリーさんが見惚れるに足る美しさ、「ラプンツエル」と呼びかけたくなる神秘性があるのがすごくいいな、と。
不器用で、自分自身を守るためにハリネズミのようになっていた女の子が、競技会でヘイリーとバーバラを拳を握りこんで応援する姿。その可愛らしさがアルバートの心を動かしたんだろうなと思うと、なんだか本当に愛おしくなります。

まあ、競技会があんな事故で中断してしまった後で、笑顔で銀橋を渡りながら歌う歌の内容にはちょっと疑問もありますが(^ ^)、でも、わかるような気もするんですよね、彼女の気持ちは。ダンスが楽しい、という気持ち、踊ることで人を幸せにする人が存在することの意味。それを教えてくれたヘイリーへの、まっすぐな想いがとても美しく見えました。



ヘイリーの妻ジョセリン(愛加)と、その娘エミリア(星乃)。可愛らしくてキュートで優しくて行動力があって勘がいい、この妻とこの娘がいたら、浮気はしない(できない)と心の底から納得できる、そんな素敵な家族。
競技会での事故の後、彼が心底反省したのは、この家族に心配をかけていたことに気がついたから、なんですよね。あの瞬間まで、彼はジョセリンが自分の行動に気づいているとは思っていなかったのだから。それでも、男はもう一度だけ扉をあける。自分が飛びこんだ小さな冒険の、後始末をするために。そして、もう一度「新しい明日」に向かって歩き出すために。
眼鏡女子なあんりちゃんも、「ミッキサーミッキサーミッキミッキサー♪」と歌いながらはけていくあゆっちも、本当に本当に可愛くて、宝塚ってすごい……と思いました。



物語の鍵を握る愛されキャラ、ドニー役のともみん(夢乃)と、バーバラ役のせしるの圧倒的な迫力も素敵でした。映画のキャラクターをそのままではなく、作品(物語)における彼らの存在意義を整理して、タカラジェンヌが演じるべき役に仕上げた小柳さんのセンス、その設定をきちんと生かして、作品をもりあげてくれた役者たち。いろんなものが「噛み合ってるなあ」と随所で感じることのできた作品でした。

それぞれの理由でダンス教室に通い、ヘイリーたちと共に競技会を目指すジャン(鳳翔)とレオン(彩風)、エラの個人レッスンの生徒であるザッキー(大澄)、教室でダンスを教えるシーラ(梨花)やアーカム(香稜)、ドニーやヘイリーの同僚キャシー(透水)、バーバラの娘コニー(桃花)、、、本当に、魅力的なキャラクターを上げ始めたらキリがないです。エラの父親(香音)も素敵でした(さすが)し、色んな場面で通行人として存在する老夫婦(央雅・白渚)も、とても良かった!!

一人ずつ挙げていてもキリがないので、最後に、あまりにもあまりにも印象的だった探偵さん(奏乃)を。
誠実な胡散臭さ という絶妙なバランスを崩さない、探偵らしいといえばあまりにも探偵らしいし、やりすぎだといえばあまりにもやり過ぎで、なのに、素敵といえばこの上もなく素敵なクリストファー・ジョーンズ。あまりにも胡散臭すぎて、シーラにばれるのも当たり前だという納得感がまた面白かったです。

そして、探偵助手のポール(大劇場では帆風、東宝では彩凪)。大劇場で観たホタテのポールがあまりにも嵌り役すぎて、これは本役の翔くんは大変だろうなーと心配していたのですが、よく頑張っていたと思います。助手として探偵に絡んでいるところは、可愛くて良かったと思います!
ただ、あの役は「語り手」なので、説明部分の台詞がもう少し自然だと良いんだけど、という気はしましたね。まあ、まだ初日があいたばかりなので、これからだと思いますが(^ ^)。



他にもまだ、会社員も教室の生徒たちもダンサーチームも、一人ずつ語りたいくらいなのですが。
とりあえず。エキシビションのダンサーチーム、まなはる(真那)とひーこ(笙乃)のカップルダンスは必見です!!とだけ。下手側のセンターよりで踊っていたのですが、ひーこの軽やかさとまなはるの濃さが良いバランスで、同期ならではの遠慮のなさが良い意味で目を惹きました。
……いやあの、6組全部、どれも本当に素敵なんですけどねっ!(*^^*)



お芝居も楽しくて、ショーも楽しくて盛り上がりまくりで、とにかく楽しい二本立てでした。
チケットは完売のようですが、ちらほらサバキも出ていたので、ぜひぜひ早いタイミングで一度観に行ってくださいね!絶対リピートしたくなっちゃうと思うけど!(^ ^)


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今日は、雪組大劇場公演の集合日。
5人の卒業生が発表されました(T T)。
香音有希さん、亜聖樹さん、芽華ららさん、夢華あみさん、凰いぶきさん、、、千秋楽まで、よろしくお願いいたします。

全国ツアーでも芝居達者なところを見せつけてくれた香音さん、亜聖さん。上級生になればなるほど魅力を発揮しそうな役者が、この学年で抜けてしまうのはあまりにも残念すぎて……ショックすぎる(T T)。
この公演が終わったら、89期はたった二人、93期も3人になってしまうんですね(涙)。

94期の芽華ららちゃん、96期の夢華あみさんと凰いぶきさん。3人とも、これからだったのになあ。特に、夢華さんは、研1の時に娘役スキル0で抜擢された時の悪印象が強すぎて、、、最近やっと、将来はいの莉さんや花音舞ちゃんみたいな素敵な女役さんになれるかも、と期待しはじめていたのにな……。
なんというか。
卒業を発表したときに、惜しむ前に「なんだったんだろうあれは」と思わせてしまうような抜擢をしてはいかん な、と、あらためて思ってしまいました(- -)。





配役も発表されましたたが、まずは、ぜんぶおいといて、一言叫ばせてください。

月城かなとくん、新公初主演、おめでとうございます!!

次かその次くらいにはもしかしたら…と思っていましたが、思ったより早かったなあ(*^ ^*)楽しみ!!
新公は、チギちゃん(早霧)が演じるエラ役がヒロイン格のでしょうか。で、そこに(星乃)あんりちゃん?なるほどー!あんりちゃん、全ツがすごく良かったので、期待です。
それで、あゆちゃんの演じる本公演のヒロイン役は誰が演じるんでしょうか……それこそ、夢華さんの予定だったけど、卒業することが決まって変更になったとか?だったら今日発表されなかったことも納得ですが。
大人っぽいタイプの方がいいのであれば、長の期の舞園るりちゃんとか?雪組さんは下級生に可愛い子がいっぱいいるから、誰がきても眼福になりそうで楽しみです。あるいは、いっそのこと思いっきり若いところで、98期の星南のぞみちゃんとかどうでしょう?(←どうって何が)





本公演配役は……映画を観ていないので何ともいえませんが、話題の「竹中直人」がやっていた役がともみん(夢乃)、「渡辺えり」が演じた役が(大湖)せしる、で合っているのでしょうか?それとも、それはともみんの役の相手役候補になっているあゆみちゃん(沙月)?

大ちゃん(鳳翔)の「不器用な男性」と、その婚約者きゃびぃ(早花)のカップルも滅茶苦茶楽しみだー!

個人的には、「ダンサー」の男女がおいしすぎて、彼らの扱いが気になるところです。
……「めぐりあいは再び」の旅芸人sみたいなものなのか、それとも……(ドキドキ)





月組全国ツアー「仁」の配役も、今日出たんですね。
個人的な希望はいろいろあったのですが、、、残念ながらほとんど外れちゃいましたね。

コマちゃん(沙央)の龍馬と、美弥さんの恭太郎。どっちも楽しみです!
勝先生にはるうちゃん(光月)。ここの頑張りが肝心、かな。

齋藤さん、やったね!と思ったのは、ルロンさんのみずきちゃん(瑞羽)と、みあちゃん(都月)の夕霧太夫です。夕霧は演出的にあのラストの演出は出来ないと思うけど、落ち着いて佳い女を見せてほしいなと思います。
ルロンさんは、初演が初演なので大変かと思いますが、顔の濃さなら負けないので(^ ^)がんばってほしいなと思います♪

としちゃん(宇月)が佐分利先生で、からんちゃん(千海)が山田純庵。小柄な二人が角つきあわせてかんかんがくがくやったら、楽しそうですね。
としちゃんは、せっかくコマちゃんがいるんだから、あの軽やかなお芝居を勉強させていただけたらいいな、と思います。

ちなつちゃん(鳳月)の高岡は、「切れ者」な感じが出ると良いですね。くノ一の楓が早桃さつきちゃんなので、可愛いコンビになりそう♪(←いや、ちゃんとシャープに演じてくれると思います)

みくちゃんの野風は普通に楽しみです。うーん、でも「メリー・ウィドウ」のヒロインも観てみたかったよーーーー。

ちゅーちゃん(咲希)とまいまい(萌花)は、逆でもいいじゃんかー、と思いつつ……


まあでも、概ね納得の配役ですよね(^ ^)。
あまり予定があわなくて、いろいろなところには行けないのですが……そのぶん、集中して観劇したいと思います。楽しみにしています♪♪


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花組大劇場公演、千秋楽おめでとうございます。
盛り上がったんだろうなあ。。。みーちゃん、本当にお疲れさまでした!他のみなさまも、ゆっくり充電してくださいね。東京で、お待ちしています!




さて。
ちょっと時間がたってしまいましたが、雪組バウホール公演「春雷」について。

出演者(主な配役)が発表されたときに驚愕して遠征を決め、ポスターの美しさにワクワクしたこの作品。
実際に舞台を観ても、舞台面の美しさには感銘を受けました。中でも、舞台奥にずっと鎮座するおおきな樹がとても印象的で、時代感のある衣装もとても綺麗で、とにかく美しかった!

作・演出は原田諒。衣装は有村淳、舞台装置は大劇場の「愛と革命の詩」と同じく、松井るみ。
松井るみといえば、数々の舞台で印象的な装置を創ってきたひと…というか、私にとっては「装置が凄いなー」と思ってプログラムを見るとことごとく松井さん、という人。宝塚の舞台に参加されるのは同じ原田さんの「南大平洋」に続いて二度目だと思いますが(←コメントありがとうございました)、それがまた大劇場とバウとで同時なところも面白い偶然……なのでしょうか。
舞台全体を括る象徴的な大きなオブジェと、それを引き立てつつ舞台転換するちいさなセット(作品によって吊り物だったり運ばれてきたりいろいろですが)の組み合わせが絶妙で、結果的に舞台転換もスピーディーになる。演出と一体化した装置が得意なひとだから、うまく使いこなせれば舞台の質が格段にあがるんですよね。

しかし。
花組公演を観た時もちょっとだけ思ったのですが、生半可な作品では、松井さんの装置を使いきれないんですね……。
なんというか、装置が印象的すぎて、それに負けてしまうんです。セットありきの演出に見えてしまって、作品世界に入りにくい。
入ってしまえばあの「世界そのもの」のような装置が最大の味方になるのですが、そこまでいけるかどうかは演出(脚本)にかかっているのだな、と、あらためて思いました。

原田さんの作品は、舞台面の美しさには定評があって、「ロバート・キャパ」の空とか、「華やかなりし日々」のレビューシーンとか、本当に綺麗なんですよね。今回も、大きな樹を背景にした森の場面の美しさは格別でした。登場人物の美しさも含めて、これだけの美形ばかり集めたキャスティングができたことも含めて、プロデュース力はあるひとなんだろうな、と思います。
ただ、今回は、残念ながら原作から改変したところが悉く失敗していて、結果的に、彼の「物語」の構築力の弱さが露呈した形になったなと感じました。



「春雷」の原作は、ゲーテの名作「若きウェルテルの悩み」。
この作品の中でも象徴的に使われる「オシアンの歌」は、1765年にイギリスの詩人マクファーソンが「古代スコットランドの吟遊詩人オシアンによる叙事詩」であるとして発表したもの。この真贋については諸説あるようですが、同時代人であった若き日のゲーテは、「新しく発見された古代の叙事詩」である、と認識していたのでしょうね。
突如発見された古代の文書……いまでいえば、「死海文書」みたいなものなんでしょうか?叙事詩(物語)だから、それとはまたちょっと違うかな。むしろ、「東日流外三郡誌」みたいなものなのでしょうか?もしそうだとすると、「常識ある大人」を自称するアルベルト(鳳翔)が偉そうに「そんなお伽話を読んでいるのか」とシャルロッテ(大湖)を非難するのもわかる、かも。

原作のクライマックスで、長々と引用される「オシアンの歌」。
「春風よ、我を呼び起こししは何ゆえぞ」で始まるこの歌は、ウェルテルの決意を象徴する詞になっています。原田さんは、この詩をあまり具体的には使っていませんが、「我が葉をふるい落す嵐は迫れり」というあたりから今回の作品のタイトルをつけたのでしょうか?
春の嵐によってうちたおされる英雄と自分自身を重ねた、身勝手な若者のイマジネーションをあざ笑うように、舞台奥に鎮座していた世界樹の存在感。本来、その辺をねらった演出だったのだろうな、と推測はできるのですが、残念ながら終盤の脚本も演出も中途半端で、しかも、最後にゲーテの場面に戻したりするものだから、テーマがブレちゃったな、と、非常に残念に思いました。



とにかく、今回の作品の脚本面での最大の問題は、最初と最後に「若きゲーテ」を出したところだと思うんですよね。
なんというか、、、後味が悪い、というのかな。ウェルテルの選択の結果を見せられた後で、ゲーテの歓喜を見せられると、、、ウェルテルは運が悪かったんだね、というか、そういう気になってしまって……そう、とにかく後味が悪いんです。
ウェルテルは「若き」のまま消えうせ、ゲーテは「大人」になってたくさんの作品を後世に残す。その差がどこにあったのか、というところが、こういう展開にする場合に重要なことだと思うのですが、あの展開だと、二人の違いは「幸運」ということになってしまうのがなあ……。

せめて、ゲーテを出すにしても、「若き」ゲーテではなく、晩年の功なり名とげたゲーテなら、まだわかったかもしれないのですが。でも、それだと多分、原田さん的には意味がないんだろうな……たぶん(よくわかりませんが、たぶん)

そもそも論になりますが、原田さんには、「原作」である「若きウェルテルの悩み」に、もっとまっすぐに向き合ってほしかったな、と思う。彼の悩みが何であったか、観客にウェルテルの何を伝えたかったのか。
映画は映画でいいと思うけど、「原作」と「映画」の間には何らかの「解釈」があるわけだから、シチュエーションだけ拝借してはいけないと思うんですよね。ちゃんと「映画」を原作にするならそれもありなのですが、今回は違うのだから。
初の「原作もの」でしたが、「作品世界」に対する敬意というか重みの掛け方が、残念ながら私とはとことん合わないんだなあ、と思いました。



もう一点、今回の演出上の大きな疑問。
嵐の夜、ウェルテルとロッテの間に既成事実を作らせた意味は何だったのでしょうか?

あそこにラブシーンを入れるのはわかります。でも、本来は抱擁か、せいぜいキスどまりであるべきでは?
そこまでやったら洒落にならない。嵐の夜に、しかも野外ですよ?抵抗しないロッテもあり得ないし、あきらかに服が駄目になるだろうに気がつかない家族もどうかと思う。いくら母親がいないとはいえ……
いや、そんなことはどうでもよくて。
その後の展開のすべてが既成事実がない前提で進んでいくのが、、、本当に気持ちが悪くて、とにかく無理でした(涙目)。
ロッテ自身もそんな事実は無かったかのような態度だし、、、あのラブシーンがああいうことになったのは後付けだったと聞きましたが(しかも、実際の動きの細かいところは大ちゃんが付けたらしい/汗)、、、それならそれで、それ以降の脚本をそれに合わせて修正しないと、物語全体の構成がぶっ壊れるってことが何故わからないんだ!!(怒)

いろいろな点で、原田さんは、もう一度、「宝塚」で自分がやりたいことが何なのか、というか、やりたい何かが宝塚にあるのかどうか、考え直してみたほうがいいのではないかと真顔で思った観劇後でした



そういえば、上でもちょっと書きましたが、何故「春雷」というタイトルになったんでしょうね。ナウオンとかでもタイトルの話はしていなかったような?(聞き逃していたらすみません)
内容的には「若きウェルテルの悩み」で良かったと思うんだけどな。ゲーテを出したこと自体がそもそも蛇足の極みなのだし。



キャストは本当に皆素晴らしかったので、それはまたあらためて書きたいと思います!




仙台のイズミティ21にて、雪組全国ツアー公演「若き日の唄は忘れじ/ナルシス・ノアール」を観劇いたしました。


ゲリラ豪雨と共に初日を迎え、台風と共に千秋楽を終えた全国ツアー。
台風18号が日本列島に着実に接近する中、私自身は、マンニィが関東に来るより前に東京を発ち、公演が終わった時にはもうすっかり通り過ぎた後だった……という、むしろ東京で何かを観ようとするより楽だったのではないかという一日でしたが、仙台は前日に豪雨だったそうで、、、いや、大変でしたよね。
雪組ファンのみなさま、お疲れさまでした。

どんな土砂降りでも突風が吹いても、交通機関さえ動いていたら這ってでも仙台まで行くぞ!と思ったくらいには、どうしても文四郎さまに逢いたかった私。愛は強し、と、改めて思ったのですが……。

壮ちゃんの文四郎さまには、それだけの価値がありました。
たった2週間前の市川で観た文四郎さまの素敵さとはまたレベルの違う、あまりにも圧倒的な恰好良さ。凛として清冽な、真っ直ぐな生き様が美しくて、愛に溢れていて、本当に素晴らしかった。

最後にもう一度、壮ちゃんの文四郎さまにお逢いできて、本当に幸せでした。



幕開きのソロの「16歳」の声。
若さと未来に溢れた少年の、まだまだ「なにものでもない」笑顔と、声。

役者というものの、年齢を超越した存在感には何度も感銘をうけてまいりましたが、今回の壮ちゃんは、本当にすごかった(@ @)。チークの入れ方、眉の描き方、声の出し方から、立ち方、歩き方、ちょっとした仕草も作品の前半と後半で別人のように違っていて。

心と技術、両方が釣り合っての文四郎さまの造形は
本当にありえないほど美しかった……(惚)。
「思い遺すことばかりです……!!」とか、その後の背中とか、、、とにかく、すべてが大好きすぎてもう……、もう!!(泣)(←言葉にならない)



もとい。
壮ちゃんが素敵すぎました、というのは当たり前の感想すぎるので、他に印象に残った方について。



逸平のともみん(夢乃)の、すべてにおいて「本能」で生きているところが大好きです。
文四郎の考えていることなんて全く理解できていないのに、全ての場面において真実をちゃんと見抜いているんだよね。その、わかっていなさと正しさの加減が絶妙で、文四郎は彼の存在に本当に救われただろうな、と思いました。
父との最後の面会の後、文四郎の替わりに泣いてくれる逸平。
本能的に文四郎とふくの気持ちに気づいていながら、文四郎に否定されると素直に受け容れる逸平。
そして、おふくの名を出した与之助を、慌てて留めようとする逸平。
言葉にすることは大概間違っているんだけど、でも本能で真実を見抜いてしまう不器用で優しい逸平が、大好きです。


与之助の彩風さん。いやもう、ヘタレな若者にはかなりのキャリアを積みつつある彩風さんですが、今回はかなりの嵌り役になったな、と思います。
“なまっちろくてひょろんとした”というイメージ通りのビジュアルと、ちゃんと頭が良さそうにみえる涼やかな声と明晰な台詞回し。八重歯が可愛い丸顔の男役って大変だなあとばかり心配していたけど、この半年くらいでまた痩せて、一段と男らしくなったな、と思いました


全然全く違うんですけど、なんとなく、「ロミオとジュリエット」のモンタギュー家の3人を思い出した3人でした。
壮ちゃんロミオ、ともみんベンヴォーリオ、彩風さんマーキューシオ……ちょっと観てみたい、かも(*^ ^*)。



江森(亜聖)と新川(和城)
山根(月城)の“金魚のふん”な二人。二人とも若いのに声が良いですよね。巧いのは知っていたけど、あらためて感心しました。
少年時代の、闇雲に苛々して嫌味を吐きだす感じと、大人になって本気で「敵対」したときの
ああ、やっぱり雪組新公観たいよ~~。


ふく(愛加)の両親(央雅、麻樹)。
央雅さんの声が本当に素敵(うっとり)。説明台詞をあんなに色っぽく(違)語ってくれる人は滅多にいないと思います。。。ゆめみさんの落ち着いた声との組み合わせも良かった♪


藤次郎(香音)
物語の序盤、火事見舞いを持ってくる、村の総代。助左衛門の性格やいろんな立場(設定)を伝えるためのエピソードですが、自然な芝居がとても気持ち良かったです。そして、クライマックスの欅御殿からの脱出で再び登場したときの存在感は、さすが。いい男ですよね、本当に。
娘の桃花ひなちゃんがまた可愛くて素敵に怖くて、とても良かったです。香音さんの娘なら、そのくらいの気働きはできるかも!?と納得させられました(^ ^)。


留伊(透水)
中日では、もう少し迷いが感じられた留伊。武部のキャラクターが変わったせいか、留伊の怒りが直接的になって、全体にわかりやすくなった気がしました。
歌声がとても好きなので、歌がなくて残念……。


萩(星乃)
可愛かった可愛かった可愛かった!!
中日でも可愛いと思いましたが、この半年でずいぶん大人っぽくなったな、と思いました。
……与之助が可愛すぎるから?


逸平の妻(笙乃)
いやー、可愛いです。頭ちいさくて細くて、日本髪がなんて似合うの(でれでれ)。
与之助の結婚式で、調子にのってベラベラ喋り出す夫をピシャッと抑える口調とか、素敵でした!顔に合わないハスキーな声が、こういう台詞だと映えるなあ、と、こんなところで大野さんに感心。いや可愛かった。


磯貝(朝風)と北村(煌羽)
欅御殿でふくを守る二人の武士。彼らが忠誠を尽くす「おふくさま」としての彼女の価値を教えてくれる役ですが、、、市川では、ごく個人的にちょっとだけ残念に思ったのですが、仙台ではとても良かったです。
私が観た時がたまたまイマイチだったのか、この2週間で替わったのか、私の気のせいか、さてどれだ?(^ ^)(磯貝の朝風さんについては、私が慣れたというのが大きいかも。中日で演じた久城さんの声が大好きなので)


役名のある人たちはこんなところでしょうか。
あとは、欅御殿の侍女たちがとても素敵でした(はぁと)。ひなちゃん、あんりちゃに加えて、うきちゃん(白峰)、妃桜、華蓮……なんという美女ぞろい!しかも、小太刀を構えた姿の極まりよう、目線の鋭さ!!雪娘おそるべし!!(*^ ^*) 




思ったより長くなってしまったので、ショーについてはちょっとだけ。

一言でいうなら、ゆるやかで落ち着いた、大人なショー、でした(^ ^)。
イズミティは1階しかないのですが、後方席でも意外と舞台が近く感じられて、とても観やすかったです!

どの場面も好きなのですが、、、一番好きなのは、実は「ジェラシー」かもしれません。。。
うきちゃんの挑戦的なウィンク爆撃に撃墜されたり、あんりちゃんの笑顔にふらふらしたり、ひーこのクールな表情にときめいたり、ひなちゃんの美しさにうっとりしたりしているうちに終わっちゃうんですけどね……(滝汗)。

「光と影」の後、喪服のあゆちゃんと一緒に出てくるコロンビーヌ二人(桃花・白峰)の無邪気な怖さに、ちょっと吃驚しました。華やかで可愛らしいトップ娘役を囲む、若手娘役二人。お二人の個性的な存在感は、これからの雪組の大きな切り札になるかもしれないな、と、楽しみになりました(^ ^)。

あとは、全ツのショーのお楽しみ、ロケットが素晴らしかった!
センターを取った彩風さんの美脚……というか、もともと脚が長くてスタイルが良いのは知っていたけど、本当に痩せたなあ!!(@ @)
腰回りがあんなにスッキリすると、シルエットはまるで別人ですね。。。すごいなあ。

若いと思っていた彩風さんも、もう研7。次で新人公演も卒業ですね。
これから先、どんなふうに成長していかれるのでしょうか。予想外に壮ちゃんとの相性も良かったし、これからもがんばって、お芝居の勉強をしてくれたらいいなあ。さらなるご活躍をお祈りしています。




千秋楽のご挨拶は、すずやかに、そして真っ直ぐに想いを伝えてくれて、とても温かな気持ちになりました。
カーテンコールのラストの一言に篭められた「気持ち」を、忘れません。


本当に素敵な公演でした。
台風の間を縫って全国を巡ってくださった雪組&雪組ファンのみなさま、本当にお疲れさまでした(^ ^)。

大劇場公演、めっちゃ楽しみです!!!


市川文化センターにて、雪組全国ツアー公演「若き日の唄は忘れじ/ナルシス・ノアール」を観劇いたしました。

素晴らしかった!

「若き日の唄は忘れじ」
冬の中日で初めて観劇し、心底から感動した名作。こうして、ふたたび壮ちゃんの文四郎さまにお逢いすることができて、とても幸せです。

そういえば、水さんととなみちゃんのお披露目だった「星影の人」も、中日では初顔合わせの初々しさが逆に新鮮で良かったけど、「エリザベート」を経た秋の全国ツアーではまた全然違う、しっとりとした魅力があって、とても素敵な公演だったなあ……なんて懐かしく思い出したりして。
どちらもお芝居が日本ものなのは偶然なんでしょうけれども、、、やっぱり日本物は(作品と人を選ぶけど)良いものだなあ、と思いました(^ ^)。


そして。
今回の全国ツアーは、出演者の関係で、中日とはだいぶキャストが変わったわけですが……キャストに合わせて演出が全く違うことに、本当に驚きました。
大野さんすげー!!
脚本を(ほとんど)変えてないのに、演出だけでこれだけ違う作品になるなんて!!


中日ではキング(蓮城)が演じた武部春樹に、大ちゃん(鳳翔)が演じた佐竹の要素を足した役をまっつ(未涼)が演じて、チギちゃん(早霧)が演じた小和田逸平をともみん(夢乃)が演じる。これが役の重みづけを大きく変えた部分ですが……いやはや、大野さんのまっつへの信頼というか期待というか……まっつにこういう役をやらせたかったんだな、というのがすごく伝わってきたし、まっつ側も、大野さんの期待に応えようという気合をすごく感じました。

石栗道場の師範代だった佐竹。彼にあった「剣豪」という要素を加えた武部のキャラクターは、とても複雑な、興味深いものになっていたと思います。単なる立身出世を望む策謀家ではなく、「剣」に生きたかったのに、「剣」に選ばれなかった哀れな剣士、というものに。
文四郎を温かく見守り、その成長を心の底から言祝いでいた佐竹とまったく同じ言葉を与えながら、心の底では文四郎を憎んでいた武部。文四郎の不運は、武部の眼の前で「剣」に選ばれてしまったことだった……たぶん。「剣」に選ばれた文四郎を羨みつつ憎みつつ、なのに、憎む理由から目をそらして生きるしかない武部が哀れにさえ見えて、、、こんな複雑な物語になりえたのか、と、目から鱗でした。
脚本はほとんど変わってないのにーーー!!

もちろん、まっつの武部はそれだけの男ではなくて。志摩守のために忠義を尽くし、牧助左衛門(夏美)の動向を探り…と大活躍。むしろ、里村(蓮城)のほうが武部に巻き込まれたんじゃないかと思ってしまうほどの有能っぷりがすごい。ナウオンで「(里村邸のメンバーは)みんな武部が好き」と大野さんが言ったとのエピソードが披露されていましたが、、、まあ「好き」っていうと若干語弊があるけど、「武部が中心」であることは間違いなかったですね。うん。

あとは、最初の野合わせでの文四郎と武部の遣り取りがすごく印象的で。
物語の終盤、逃避行のラストにラスボスとして武部が登場した時、あの野あわせの場面をすごく思い出しました。「秘剣・村雨を」と要求する声の響きが、とても好きです。まっつのああいう切羽詰まった芝居って珍しい気がするので、とても嬉しい(^ ^)。


他にもいろいろ印象的な役替りは多かったのですが、、、逸平と与之介(彩風)もまた全然違ってて、面白かったです。それこそ全く同じ台詞で同じ動きのはずなのに、ぜんぜん違いすぎて、、、本当にびっくり。
中でも凄いと思ったのは、、、壮ちゃんと彩風さんって11期違うんですよね。壮ちゃんとともみんが5期。なのに、16歳の親友トリオ、と言われて、違和感無かった!! 星組「ロミオとジュリエット」Aパターンで、ロミオを演じた礼音くんとベンヴォーリオの礼くんの学年差が10期で、あれだけ「親友に見えない!」って言われていたのに。
もちろん、研5の礼くんと研7の彩風さんの経験値の違いも多少はあるかもしれませんが、やっぱり壮ちゃんの16歳の違和感のなさが凄いってことじゃないかな、と思いました(*^ ^*)。

ともみんの逸平は、本能的な優しさとパワーのバランスがすごく良かったです。チギちゃんの逸平はもっと文四郎に近い感じがあったけど、ともみんの逸平は、本能的に文四郎を理解してはいてもそれを言葉に表せない感じがすごく可愛くて、絶妙な距離感のある遣り取りが、一つ一つがどれも大好きになりました。

彩風さんの与之介は、本当に情けなくて可愛くて、、、ちょっと違うんですけど、私が最初に彩風さんに注目した「凍てついた明日」のジョーンズを思い出しました。守られてばっかりで、それを情けないと思っているんだけどどうしようもない子供。そんな与之介と並ぶと、あの可愛いあんりちゃん(星乃)がすごく大人に見えて、箒を構えた姿勢がとても凛々しく決まっていて、、、素敵すぎました(*^ ^*)。

側室のきゃびぃ(早花)は、哀しかった。。。。中日のヒメ(舞咲)は、どちらかといえば「怖さ」が勝った印象だったと思うのですが、きゃびぃからはもっと、なんというか人間らしい感情がいろいろ見えたような。
台詞もない、動きだけの役ですが、ちょっと能でいう「直面」を思わせる無表情から、逆にいろんな感情が伝わってくるような気がしました。

石栗先生のにわにわ(奏乃)のとぼけた味わいと温かみは、飛鳥さんの重みや包容力とはまた違う役づくりで、とても興味深かったです。佐竹さんという存在がいなくなって、事実上道場を一人で切りまわしているわけですが(^ ^)、あのとぼけた調子で毎日を楽しく軽やかに過ごしていらっしゃるんだろうな、と、そんな想像をしてしまったほど、自然な「先生」感がありました。

山根清二郎の月城かなとくん。月城くんがどうこうというより、作品的に、中日で犬飼と山根に役が分れていたのが統合されて、文四郎との対立軸がわかりやすくなったなと思いました。剣士として武部に憧れているのもわかりやすかったし。
と言いつつ、設定とかなんとか全部ほっといて、月城くんが恰好良かった!!いやはや、二枚目ですね。って今更なんですけど、あれだけ大きな役で芝居しているのを観るのは初めて…少なくとも新公以外では初めてだと思うのですが、声の良さと押し出しに感動しました。あれで研5?95期、おそるべし(←いまさらだってば)




「ナルシス・ノワールII」
岡田さんの傑作ショーのリメイク。私は初演を観ていませんが、だいぶ違うのだそうですね。
中詰めは「ローズ・ガーデン」と同じだそうですが……「ローズ・ガーデン」観たはずなのに全然まったく記憶に無かった…(汗)。言われてみればたしかに、黒水仙というよりは薔薇という感じの場面だなあと思ったのですが。本当にそうだったとは。

その後の「光と影」は元々「ナルシス・ノワール」の場面なんですよね?ってことは、そこからフィナーレまでの構成は同じ?
全体的に、洗練された美しい場面の連続で、これぞ「ロマンティック・レビュー」の真髄というものなのかもしれないな、と思ったりしました。先年再演された「ル・ポアゾン」は(←これもだいぶ場面の入れ替えがあったようですが)、もう少しエネルギッシュというか、エロティックな場面があったりして体温があがる気がしましたが、「ナルシス・ノワールII」は、もう少し穏やかな、「気持ちいい」感じがありました。
一種の“充足感”、なのでしょうかね、あれは。

ちょっと全体の観にくい席だったので、詳しいことはもう一度観てから書きたいと思います。
あ、でも、娘役についてちょっとだけ。
ひーこ(笙乃)かわいいよひーこ!! ひなちゃんがお姉さんで美しすぎてすごくびっくりした(いまさら)。 うきちゃん(白峰)、今回はあんまり目立ってなかったような気が……彼女には、もっと布地の少ない衣装を着せたいです(真顔)。 




蝉しぐれの似合う季節、と壮ちゃんが初日のご挨拶で言っていましたが、、、休憩の間に劇場の外に出たら、本当に蝉の声が聴こえて、なんだかあらためて感動したのでした。

最後の仙台まで、誰も怪我などすることなくあの世界を生ききってくださいますように!
次の観劇を、楽しみにしています。


雪組公演「ベルサイユのばら」フェルゼン篇、千秋楽おめでとうございます。
そして。
ソルーナさん(磯野)、大樹くん、ご卒業おめでとうございます。


もちろん今日の公演は観られませんでしたが、先週拝見させていただきました(^ ^)。
いやー、中日で大羽背負った壮ちゃんを観てはいましたが、本公演の大階段を最後に降りてくる壮ちゃんを、組子全員が出迎えるところが観られて、すっごい嬉しくなりました!
祐飛さんのときも本当に嬉しくて幸せだったけど、ホントに、掛け値なしで、同じくらい嬉しかったです。



作品については、、、もう何も言うまい。という感じなので黙っておきます。
あ、でも、一つだけ言いたい!先日CSで、昭和のころのベルばらを観たのですが、すごく良かったです!なぜ、いま、あれをやらないの!?「ベルサイユのばら」は、いつの間にあんなに変な作品になっちゃったのでしょうか……(涙)。



もとい。
脚本は、周りでご覧になった方々から聞いていた以上にひどい内容でしたが、、、でも、思ったよりも違和感なく世界に入れた気がします。壮ちゃんの研18という学年は、伊達ではないんだな、と思いました。あの酷い脚本と演出で、それでも「フェルゼン」という貴公子の存在を納得させてしまうだけの、気迫。そう、あれは「気迫」だったのだと思う。18年の間に様々な経験をして、栄光も挫折も両方を知っている人だけがもつ、気迫。
立ち姿の美しさ、口跡の涼やかさ、一つ一つの所作に溢れる気品。今まで磨いてきた「男役」のスキルのすべてを懸けて、あのどうしようもない脚本に取り組んでいた壮ちゃん。……次の「Shall We Dance?」が、壮ちゃんのスキルにふさわしい、佳い作品であることを祈ります。

ま、その前に文四郎さまですから!楽しみ!



アントワネット役のあゆちゃん(愛加)。最初の出番がいきなりフェルゼンとの別れだったので吃驚しましたが、豪華なドレスに負けない豊かな美しさで、似合っていたと思います。「フランスの女王 マリー・アントワネット」というよりも、華やかで明るい、そこに居るだけでぱぁっと場が華やぐような眩しさのある美女、という印象でした。
牢獄のシーンの台詞回しについては、型があるんだなあ……と懐かしくとなみちゃんの台詞回しを思い出しておりましたが、、、いや、、元々好きな場面なんですけれども、あらためて良い場面だなあ、と思いました。
となみちゃんはもっと「女王」イメージが強く出ていた印象で、それゆえに「フランスの女王として死なせてください」という台詞もすんなり入ってきたのですが、あゆちゃんはもっと「普通の女性」っぽいイメージだったので、そんな彼女が、最期を前に涙をこらえ、決死の覚悟で愛する人に別れを告げる、その「必死さ」が切なくて、、、薔薇のように華やかで明るい、可愛らしい笑顔だけが最後の印象として残る、そんなマリーでした。

ルイ16世のソルーナさん。あゆちゃんとの並びは、とても数歳違いには見えませんでしたが(←当然か)、とても優しくて、愛に溢れた、でも、それを伝えられない国王陛下でした。寂しいというか、切ないひとだな、と。フェルゼンの帰国の報に対して、「困る」と言う陛下の迷いのなさに、彼の最期の言葉として伝えられている台詞につながる「人間」としての大きさを感じました。
この人だったら、国民の反乱を「ばかばかしい」とか言わないと思うけど……なんていう脚本への文句は脇に置いとくつもりだったのですが。……いやでも、長い男役スターの最後の役、もっと脚本的にもちゃんと描きこまれたまともな役だったらなあ、と、残念に思ったことは正直に書いておこう、かな。




オスカルのチギちゃん(早霧)と、アンドレのまっつ(未涼)は、どちらもとても良かったです!
硬質な美貌のチギちゃんは、ストイックなオスカルのイメージによく似合っていたし、まっつの一歩控えた優しさは、原作のアンドレファンでもある猫の心を見事に射抜きました(^ ^)。
ちょっと話は逸れますが、この公演を観るまで、私の一番好きなアンドレは樹里ちゃんのアンドレ(稔幸さんのオスカル篇)だったんですよね。原作の前半でのイメージに近い、「ちょっとお間抜けで可愛い」アンドレで、本当に大好きだったんです。でも、今回のまっつは、原作の後半における「オスカルを優しく見守っている、大人な」アンドレのイメージそのままで(*^ ^*)。いやー、本当に素敵だった!!いつかチギちゃんがトップになる日がきたら、この二人でオスカルとアンドレ篇を上演してほしいなあ、と思ったりしたくらい、二人の並びもよかったし、芝居の相性も良かったし、とにかく素晴らしかったです♪



国王陛下につき従う従者の二人(真那、久城)が無駄に可愛かったり、花祭りのダンサーが(私的に)えらく豪華だったり、“国王陛下の最期”を噂する村人たちの会話(割台詞)が妙に不自然で「村祭りのお芝居の練習中」みたいだったり、、、っつか、ヴァレンヌ逃亡事件もないのにいきなり死刑判決っていうのも無茶な展開だなおい、とか、、、、あ、いけない、脚本に突っ込んじゃいけないんだった(^ ^;ゞ まぁとにかく、組子の出番については色々言いたいこともありますが、全体として、脚本の不備を役者がカバーした(カバーし得た)珍しい公演だった、と思います。


願わくば、もうこれ(と年末の「風と共に去りぬ」)を花道に、100周年以降は植田紳爾氏は制作から一切手をひいてくださることを心の底から祈りつつ、、、

壮ちゃん、あゆちゃん、お披露目公演のご盛況、おめでとうございます!
次の作品を、楽しみにしています(^ ^)




今日は、雪組さんの大劇場公演集合日。

専科の磯野さんが、この公演を最後に卒業されることが発表されました。
華やかな99期の初舞台公演で、専科の重鎮がまた一人去っていく。色っぽいダンスともの固い芝居。「血と砂」でのエル・マタドールもとても素敵でした。とても寂しいけれども、はればれと見送ることができるといいな、と思っています。


集合日ですので、詳細な配役も出ました。他の組のトップさんが特出される間、まっつやチギちゃんは何をするのかなー?と思っていたのですが、チギちゃんはベルナール(普段は彩凪翔)、まっつはランベスク公爵(普段は鳳翔大)、だそうですね。
えーっと。ベルナールって、フェルゼン篇ではどういう役割になるんでしょうね?オスカル篇のベルナールは良い役ですが、フェルゼン篇(←わたるさんのしか観たことない)のベルナールって……印象にない……。
そして、ランベスク公爵って誰でしょう。大ちゃんはアルマンもやるみたいだから、まっつがランベスク公爵を演じるときはアルマンだけになるってことですよね?ってことは、王宮の場面にしか出てこないのかな。出番少なそう(T T)。

チギちゃんがベルナールを演じる間、翔くん→アラン(彩風)、彩風→ロセロワ(帆風)、帆風→フランソワ(久城)。ってことは、その間あすくんは民衆を演じるのかな?役替りの中に入ったのはなんとなく嬉しいです!民衆も熱そうだなあ。。。観れないけど。


ロザリーは、まさかの(!)きゃびぃ。……ロザリーかぁ。小柄だけど、持ち味は大人な役者なんですよね彼女は。大好きなんだけど……新人公演で演じる星乃あんりちゃんの方が似合いそうだなあ(涙)。

ジャルジェ夫人はいるけど、ジャルジェ将軍はいないんですね。オスカルの母としてではなくて、アントワネットの侍女として出るのでしょうか?いや、オルタンス(大湖)がいるから、やっぱりオスカルの母として出るのかな。。。


新人公演も、主な役はほとんど出ましたね。早い!!
個人的には、ホタテ(帆風)のアンドレと久城あすくんのジェローデルが楽しみです!!花瑛ちほちゃんのオルタンスも、このタイミングでの発表というのに驚きました。本役もせしるだし、えーちゃんのシャープな強さが生きるカッコイイ系の役だったら嬉しいな。
あと、組回りから美貌で目立っていた研1の星南のぞみちゃんがさっそく新公で役がついてて、これも楽しみです♪




これから始まる公演についてはこのくらいにして、(すっかり間があいてしまいましたが)雪組公演「ブラックジャック~許されざる者への挽歌~」について。


千秋楽は、まっつの声も復調して、全部歌ってくれたそうですね。
私は残念ながらフルバージョンのブラックジャックにはお逢いできませんでしたが、記録として残るモノが本来の形に限りなく近いものになったのならばとても嬉しいです。

早く放映してくださいね、CSさん(はぁと)。




この作品の鍵は、どうしても地味になりがちな「ブラックジャックの日常」を吹っ飛ばすキャラクターとして設定されたバイロン侯爵のともみんと、カトリーヌせしるのハーレクイン・カップル。
彼らの人生の中でも特別にドラマティックな数日(数ヶ月?)間がメインとなっているせいか、凄まじいエネルギーがあるんですよね。普通の人よりも長い人生なんだから、普通の人より低燃費で生きていそうな気がするけど、ともみんは逆に、あのエネルギーで死を遠ざけているんじゃないか、というか、、、なんだか、そんな納得をしたくなる迫力でした(^ ^)。

正塚さんお得意の、心根は熱いのに表面的にはクールな主人公と、彼の恬淡とした日常をぶち壊しに顕れる暑苦しい二番手、という組み合わせが好きだなあ、と、あらためて思いましたなり。

「ブエノスアイレスの風」「クロスロード」「マリポーサの花」そして「メランコリック・ジゴロ」。
……ブラックジャックとバイロン侯爵の間には、特に友情めいたものはありませんでしたけどね(^ ^;ゞ



ブラックジャックとの間に友情が成立しているのは、山野先生(真那)と、トラヴィス(帆風)。

下級生ながら芸達者な二人ですが、二人とも本当に良かった。正塚さんが好きそうな役者だから、きっとおいしいだろうと思っていたけど、予想以上に大事にしてくれたなあと思います。
特に今回、まなはるが久しぶりに本領を発揮していて、とても嬉しかった!8年も学年の違うまっつと「対等」な友人役は難しかったんじゃないかと思いますが、落ち着いて演じていたと思います。とにかく声が好きなのですが、それだけじゃなくて、台詞の間がすごくしっくりくる。顔芸ばかりが言われがちですが、技術というか、そういうセンスのある人なんだと思っています。

山野がストレートにぶつけてくる優しさに、ちょっと捻って甘えるブラックジャックがとても可愛くて、それを笑って受け容れるまなはるくんの温かみが、とても良かったです。久しぶりに役らしい役を貰ったまなはるくんが幸せそうで楽しそうで、大先輩を相手に臆することなく発揮された包容力と、リアルな存在感に、いつの間にこんなに大きくなったのかと感心しました。
「凍てついた明日」のジェレミーから5年。こういう包容力のある役者に育つとは正直思っていなかったので、新鮮な驚きでした。

同時に、下級生に素直に(ではないけど)甘えるまっつの可愛らしさにも感心しましたけどね(^ ^)。


何をやっても危なげなく巧いホタテの使い方がまた、抜群に良かったです。
なんていうか、ブラックジャックがものすごく気に入ってしまうキャラクターの説得力がすごい(^ ^)。

帰国すると宣言したときのひどく寂しげな貌をするブラックジャックと、それに気がついて思わず目を逸らし、“気がついてません”な芝居をするトラヴィスの優しさがとても好きです。全然身辺警護の役は果たせていないけど、でも、その職務に一生懸命なところがブラックジャックの心を射ぬいているんですよね。

そして、ホタテの本当に凄味は、ただ可愛いだけじゃなくて、意外に恰好良いところにあると思います!
まっつがめっちゃ気に入ってて、いじりたくて仕方ないげなところがまた可愛いです(はぁと)。



そしてもう一人、カイト(彩風)。正塚作品によく出てくる“世の中をなめた不良少年”ですが、世を拗ねる理由(脚の怪我)がはっきりしているのと、彩風さんらしい素直さがあいまって、とても爽やかなイメージに仕上がったなと思います。

それにしても痩せましたよね。顔が丸顔だからわかりにくいけど、身体の線が出る衣装を着ると驚きます。年上彼女のエリ(沙月)との並びも良かったし、だいぶ色気が出てきたなあ、と、贔屓目かもしれませんが思うんですよね。
素直な芝居が魅力の人ですが、今回、最後にブラックジャックの家の前にケーキを置いて立ち去るときの晴れ晴れとした笑顔が印象的でした。うん。がんばれがんばれ。




正塚作品は、主人公が誰か(何か)を深く愛していないとつまらないものになりがちなんですが、今回の「ブラックジャック」は、主人公が関わる人々すべてを深く愛しているのがとても良かったな、と。
「許されざる者への挽歌」という副題のついた物語ですが、この物語には、具体的な意味での「許されざるもの」はいないんですよね。ピノコは「本来は存在しないはずの命」ではありましたが、「許されない」者ではない。バイロン侯爵だって、そういう存在であるというだけで、存在自体が罪だという訳ではない。

むしろ、ブラックジャックは、自分自身のことを「許されざる者」だと思っているんじゃないかな、とちょっと思いながら観ていました。実際には許されているんだけれども、家族を喪い、名医の手で縫いとめられた自分の命を、そういうふうに感じていたんじゃないか、と。
それが、ピノコという家族を得て再生する。だから「挽歌」なのかな、と。

「ゆるされざる者」はもういない。でも、「ゆるされざる者」として生きてきた時間は無駄ではなかった。愛を知ったから。山野の友情、患者たちの感謝。そのすべてに感謝をしつつ、「ゆるされざる者」として生きてきた自分の過去に挽歌を捧げる。
「ハッピーバースデイ、ピノコ」と囁く言葉の優しさと、その言葉を離れたところで呟く孤独と、孤独だった過去へ捧げる挽歌が、「変らぬ想い」として溢れだす。愛する世界へ向けて。

ブラックジャックの孤独に気がつかないピノコだからこそ、ただまっすぐに愛することができるし、
ブラックジャックの孤独を知りぬいている山野だからこそ、待っていることができる。
誰よりも優しくて、誰よりも暑苦しい、ブラックジャックのことを。



他にも、きゃびぃの看護師(五條)とか、金髪美女の雛月乙葉さん(クリキントン)とか、なにかと話題の大澄くんとか、バイロン侯爵家の侍女頭の舞園るりちゃんとか、印象的な登場人物がたくさんいて、とても楽しかったです♪


この成功を引っ提げて、月組大劇場公演「アルセーヌ・ルパン」に挑む正塚さん。
しっかりした原作があるわけなので、大劇場でもヒットが出ますように、祈っています。

.
日本青年館にて、雪組公演「ブラックジャック~許されざる者への挽歌~」を観劇して参りました。



あらためまして、まっつ、東上公演主演おめでとうございます!

「ブラックジャック」連載40周年記念、ということで持ち上がった企画だそうですが、まっつのブラックジャックがとても素敵で、この役を演じるまっつに逢えてよかったなあ、と思いました。

孤独なんだけど、孤立してはいないブラックジャック。
クールにみえて実は熱血だし、客観的に周りを視ているように見えて、実は物凄く自己中で我侭で、、、そして、一生懸命な人にはとても優しい。一見クールに見えるところが「らしい」気がして、まっつが生来持っているクールな外観と不器用な優しさのギャップがそのまま魅力として生かされた「宛書き」っぷりに、正塚さんさすが!!と思いました。

某TCAでの「ブラックジャックの影」でまっつを知った私は、とても正しかったのかもしれない、と(真顔)



どんなストーリーか、と言われるとちょっと説明が難しくて。
……BJの“とある一年間”を淡々と綴っただけの主筋と、ドラマティックでSFチックで、ある意味すごく“タカラヅカ”的なラヴストーリー(夢乃&大湖)と、ものすごく“正塚晴彦”的な不良少年の更生物語(彩風・沙月)、、、そんな3つの物語が、BJを中心に交錯する作品、とか言えば少しは伝わるのでしょうか。

BJと「出会う」SPのホタテ(帆風)、謎の男バイロン侯爵(夢乃)、不良少年カイト(彩風)、それぞれに向けるBJの愛情がとてもキレイで。元同級生の山野(真那)、看護師の五条(早花)、そして、彼が命を与えるピノコ(桃花)に捧げる愛の、温かさと、深さ。
まっすぐに向けられる愛情に対しては、ちょっと照れがあるBJがとても可愛いです。ひねくれて受けるBJと、それを笑って受け容れる周囲。その交感がとても温かくて、寒い冬の公演なのに、逆にほっこりと温かな空気に浸らせていただきました(^ ^)。


ああ、みんな可愛かったなあ~~!!

中でも、ヒロインではないけど、主役の一人だったピノコの桃花ひなちゃん。少し前に卒業した89期の花夏ゆりんちゃんに似た寂しげな美貌と、コロコロした可愛らしい声。美人なのに新人公演でもなかなか役がつかなくて、やきもきしていた92期に、新公を卒業する今になってこんな大役が舞いこもうとは……。
1幕も2幕も、ラストで全部持っていった彼女の「一生懸命」さが、まっつBJの優しさを引き出し、この作品を支えたのだと思いました。

物語の舞台となる1年間。
BJにとっては28分の1年でも、ピノコにとってはそれが全てで、
ピノコにとって全てであるなら、BJにとってもそれが全てなわけで。

そんな二人がひっそりと寄り添ってすごす夜が、温かく平和なものでありますように、と祈りながら。
孤独を嗜んで生きてきたはずのBJが初めて得た温もりが、永遠のものになりますように、と。


正塚さん、まっつを愛してくれて、この作品を創ってくださって、ありがとうございました。
あなたの復活が、とても嬉しいです。次作にも期待しています!



雪組中日劇場公演「若き日の唄は忘れじ/シャイニング・リズム」。


「若き日の唄は忘れじ」は、原作・藤沢周平の「蝉しぐれ」、脚本・大関弘政、演出・大野拓史。1994年の初演から20年弱が過ぎ、時代も環境も(演出も)変わっても、名作の薫り高さは変わらないのかな、と思いました。……いや、初演をリアルタイムでご覧になった方にはいろいろ仰りたいことがあるのかもしれませんが、私にとっては、素晴らしい名作以外のなにものでもなくて。

壮ちゃんの凛々しさ、チギちゃんの勢い、コマちゃんの温かさ。
少年時代の呑気な三人がそれぞれに真っ直ぐ自分の道を歩んでいくさまと、そうやって大人になっても、顔を合わせれば少年時代に戻ってしまう様子が、とても爽やかで、切ないほど美しかったです。
噂には聞いていましたが、想像以上の名作でした。演出の大野さんも良い仕事をしたと思うし、役者たちも実によくやっていたと思いますが、とにかく脚本が素晴らしかった!伏線のひきかた、拾い方、場面のつなぎもなめらかで違和感なくて。。。そしてなにより、言葉の美しさが!これぞ日本語の美しさ、和物の真骨頂だと思いました。こんなに美しい言葉の応酬を味わったのは久しぶり。会話の一つ一つにも無駄がなくて、とにかく素晴らしかった!
追っ手に追われて乗り込んだ舟の上、幼いころに流した笹舟を思いながら指きりの小指を見せるあゆちゃんと、それを視て苦しげに眼を逸らす壮ちゃんと。ラストシーンの緋毛氈の上、ちんまりとお雛様のように並んで言葉を交わす二人の間に流れる空気。言葉とは裏腹な気持ちを明解に突きつけてくれる壮ちゃんの芝居に、何度涙をぬぐっても止まりませんでした。



なんて真面目な感想はおいといて(←えっ?)、観ながらずっと叫びたかったこと。

壮一帆に今まで侍役をやらせなかったなんて、歌劇団はなんて勿体無いことをしてきたんだ!!


頬骨の高いすっきりした二枚目の細面に、青天がなんて美しく似合うことか!
剣道の初段を持っているという壮ちゃん。ご本人は「剣道は試合のための稽古だから、『見せる』ための殺陣は全然ダメ」と仰ってましたが、、、いやいや、上段に構えたときの腰の据わりようといい、安定感のある足さばきとい、流れるような剣の動きといい、、、本当に美しかったです。
殺陣は斬られ役が肝心とはよく言われることですが、今回は斬られ役より斬る側が魅せてくれた、珍しい例だと思いました(はぁと)

いやはや。日本物は集客が大変かもしれませんけど、それでもあえて、壮ちゃんには本公演で和物、それも武士ものをやってほしいです(*^ ^*)。江戸時代の旗本が理想だけど、、、もっと昔なら、たとえば伊達正宗とか真田幸村とか、、、、さらに遡って北条四郎義時とか、梶原景時とか、そういう感じの役!あああ、素敵だろうなあああ~。

なんというか、私って自分で自覚していた以上に壮ちゃんのファンであることに気がついてしまった名古屋でした(^ ^)。



メインのキャストは、82期の壮ちゃんと、87期のチギちゃん(小和田逸平)・コマちゃん(島崎与乃助)。
少年時代も大人になっても、どちらもあまり学年差を感じさせなかったのは、壮ちゃんが流石だったのか、下級生二人がしっかりしていたのか、……空気感を揃えられる、素敵なトリオでした。コマちゃんの組替えでこの3人の並びが二度と視られないのが、とても残念です。


相手役のあゆちゃん。最近では珍しい、新人公演を卒業してからの就任になりましたが、さすがの可愛らしさ(14歳!)と、藩主の側室「おふくさま」になってからの落ち着き、両方を備えているのはさすがだな、と思いました。
壮ちゃんが華奢な人だから、もう少し絞ってほしいなーとは思うのですが、壮ちゃんが組替え就任なだけに、組内から出てくれて良かったな、と思っています。がんばれ!


佐竹金十郎の大ちゃん(鳳翔)。いやー、青天の似合いようは壮ちゃんに負けず劣らずの素晴らしさでした!!声は「黎明」の頃から大好きだったので、こういう大人な役もいいなあと感心しました。
……ショーの挙動不審っぷりは面白かったですけどね!そんな大ちゃんが大好き!(真顔)


武部春樹のキング(蓮城)。良い人しか似合わないと思っていたキングが、意外にがんばっていたな、と思います。まだまだではありますが、ともみん、大ちゃんと長身スタイル抜群の上級生が組替えしてきて、今までのぬるま湯から少し脱皮しようとしているのかな、と思ったり。元々良い物を持っている人だと思うので、自分の魅力を見直すいい機会になっているなら嬉しいなあ。


加治織部正のがおり(香稜)。余命を数えられるような老人の役のはずなのに、ちょっと若々しすぎて違和感がありました。秘剣「村雨」を伝授する場面の落ち着きはとても良かったんですが、役は役なんだから、ちゃんとそこは演じてほしかったなあ。。。がおりちゃんならできたはずだと思うし。
ショーは大活躍でしたね!中でも、「クールリズム」は組んでいる白峰さん共々、素敵すぎて目眩がしそうでした。カッコいい~~~!!



■文四郎の家族:

助左衛門(文四郎の父)の夏美ようさん。
壮ちゃんが、「どうして言えなかったんだろう、あなたの子供に産まれて幸せだったと」と言いながらボロボロ泣いている場面。CSで稽古場風景を視た時からすごく印象的だったのですが、生舞台で実際に「父親」としてのはっちさんを観た後でその台詞を聴くと、本当にぐっと来てしまって……なんだかもう、こっちがボロ泣きでした(T T)。いい親子だなあ。
ショーでは、花組でも最近なかったくらい踊りまくってくれて、なんだかとっても素敵でした(*^ ^*)。


登世(文四郎の母)の梨花さん。
「仁」に続き、愛情をあまり表に出さない厳しい母親が本当に似合っていて、最近のみとさんは神がかっているような気がします。こういう母親に育てられたからこそ、まっつもみみちゃんも壮ちゃんも、ああも愚直なほど真っ直ぐに育ったんだな、と、そんな納得がすとんと落ちてくる。「和物の雪組」復活のきっかけは、案外みとさんの組長就任かもね、なんて思ってしまいました。


留伊(文四郎の実姉で武部の妻)の透水さらささん。
ちゃきちゃきしたしっかり者感がとても似合っていました。落ち着いてますよねー。背も高いし、大人っぽくて、壮ちゃんの姉にちゃんと見えたのはさすがでした。
ヒロインを演じた新人公演は観られなかったけど、これからも歌って踊れる佳い女枠での活躍の機会は多いだろうし、上級生になればなるほど楽しみなひとです。


藤十郎の朝風れいさん。いままでどちらかというと身分の高い役が多かったので、腰の低い朝風さんがちょっと新鮮でした(^ ^)。かっこいい~~~♪


小柳甚兵衛の央雅光希さん。役がつくたびに思いますが、ほんとうに巧いんですよね。早く上級生になってほしいわ(真顔)。



■里村側

里村左内のにわにわ(奏乃)。さりげない「悪意」の表現がとても怖くて、良かったです(^ ^)。ああいう貌を観てしまうと、ショーでキラキラ笑顔で踊っているのが信じられない気がしてなりません。
いやでも、そういえば「シャイニングリズム」の初演時、お芝居では異端審問官やってたんだなこの人は……。


三緒(にわにわの娘でキングの妾)の千風カレンさん。
父親譲り(?)の含み笑いが良い感じに怖くて、こちらもとても素敵でした。線の細いキングと並んだときの違和感は、演出的には予定通りなんだろうな、という気がします。歌があまり無かったのが残念。


おふね(藩主の側室)のヒメ(舞咲)。怖くて恐くて強くて、とても素晴らしかった。無表情におふくを打ち据える手首の細さや首筋に浮き上がる腱が印象的で、哀しい人だな、と感じました。


山根清次郎の彩凪翔くん。
文四郎の真っ直ぐな輝きに負けてしまった哀しいひと。単なる嫌な奴じゃなくて、そういう哀しさを見せたのは良かったなと思いました。発声がどうにかなればなあと思い続けて一年。。。がんばれー、という気持ちです。


犬飼兵馬の月城かなとくん。
これだけの大役がついたのは初めてでしょうか?美形だし殺陣もきれいで芝居上手で、感心しました。ご活躍を楽しみにしています。。。ベルばらの次あたり、ぜひ。


里村邸の侍女、白峰ゆりちゃん。仇っぽい娘役さんがいるなー、と思っていたら。。。ショーのクールリズムで、がおりちゃんと踊る彼女のあまりの美貌と色気に撃ち抜かれました。。。美人なことは知ってたし、ダンサーなことも知ってたけど、、、あの罪な空気は何事ですか!? なんで次がベルばらなんだ!!色気のつかいどころがないなんて、勿体無い!!



■おふくさまの周辺、その他

萩(おふくの腰元で、後に与乃助の妻になる娘)の星乃あんりちゃん。可愛くて元気で、与乃助を尻に敷いた感じがとても魅力的でした。いちおう二番手娘役という立場での出演だったと思うのですが、あゆちゃんとは違う魅力があって、良かったと思います。
ショーは「クールリズム」のセンターは、だいぶ色気が出てきて、初演時みたいな“視てはイケナイ”感はなくなってきたかな、と。歌はもうちょっと頑張ってほしいけど、バウヒロインを経て、ずいぶん成長したなあ、、と思いました。


磯貝(おふくの護り手)の久城あすくん。恰好良かった!!まだ若いけど、和物の似合う爽やかな美貌がとても良かったです。ショーのロケットボーイは可愛くて可愛くて(*^ ^*)。これからもがんばって!!


琴代(逸平の妻)のひーこ(笙乃茅桜)。チギちゃんとちゃんと絡む場面はあまり無かったのが残念ですが、花嫁道中は可愛かったなあ~。そして、ショーは相変わらずのガツガツぶりで、さすがの一言。スパニッシュのひーこが素敵すぎて息が止まりましたわよ……!



そんなところでしょうか。

ショーの感想もだいたい書いたつもりですが。。。中村一徳さんのショーってやっぱり良いなあ、と、観るたびに思うんですよね、毎回。ワンパターンといえばワンパターンだけど、「黄金のワンパターン」は、やっぱり「黄金」と言われるだけあるんですよね。
一つ一つの場面が良いのもさすがなんですが、場面のつなぎがさすがベテランの味、というかんじ。「クールリズム」も好きだしスパニッシュも好きだし、次から次とスターが出てくる中詰めも、まっつが抜けて翔くんが入った「光と影」も、王道のフィナーレも、みんなみんな大好き!です。一徳さん、ありがとう!

そういえば。「光と影」の場面、最初に踊りだす「影」は、橘幸さんと、もう一人はどなただったのでしょうか?橘さんって歌が得意なイメージがあったのですが、ダンスもキレイで感心しました(^ ^)。メイクや髪型はもう少しがんばってほしいけど、これからに期待しています!

【コメントで情報をいただきました。影のもうお一人は、永久輝せあさんだそうです!Aさま、ありがとうございました♪】



最後に、もう一度だけ。

壮ちゃん、あゆちゃん、お披露目おめでとうございます!
千秋楽まであと少し。たくさんの思い出ができますように。

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中日劇場にて、雪組公演「若き日の唄は忘れじ/シャイニング・リズム」を観劇してまいりました。


まずは。
壮ちゃん、雪組トップスターお披露目公演、おめでとうございます!!

最近の充実ぶりをみていて、トップとしての組替えではあってもあまり心配はしていなかったのですが、
予想以上にしっくりと真ん中が似合う華やかさと、前向きでパワフルな舞台姿に、ただただ驚くばかりでした。


時が来た、っていうのは、こういうことなんだろうなあ、、、と。
壮ちゃんだけをずっと観てきた、とは言えないながらも、ここ数年、壮ちゃんからは眼を離さずにきたつもりの私からみても、やっぱり、この人の時は「いま」来ているのだな、というのがわかるような気がしました。

組替えしてトップになる、いわゆる「落下傘」という立場に引け目を感じることなく、組を引っ張って行きたい方向が明解で、実に迷いがない。その確信に満ちた後ろ姿に、組子はついていけるだろうなと思いました。壮ちゃんも、内心にはもしかしたら多少の迷いもあるのかもしれませんが、そういうものを感じさせない真っ直ぐさ、後ろを振り向かない潔さが、この作品で彼女が演じる牧文四郎という役柄にもぴったり合っていたような気がします。



真っ直ぐで真摯で、そして明るくパワフルなトップスターと、可愛くてキュートなトップ娘役、そして、そんなトップコンビをしっかり盛りあげてくれる組子たち、専科のみなさま。
まだ組の半分ですが、素晴らしいお披露目公演でした。
初演に思い入れのある方にはいろいろな想いもおありかと思いますが、芝居もショーも、とても良かった…と思います。贔屓目かもしれませんが(^ ^)、壮ちゃんが本当に素敵で、うっかり惚れそうでした(汗)。


チギちゃん、コマちゃんの同期並びがラストであることを惜しみつつも、壮ちゃん・チギちゃんの男役コンビもなかなかお似合いだったし、トップが変わった影響か下級生娘役が一気に魅力を増した感があって、とても楽しい公演でした。
これにまっつ以下のブラックジャック組が加わった本公演が、、、ベルばらであることがとても残念ですが(←だって役が少ないんだもん涙)、良い組になりそうでとても楽しみです。

公演もそろそろ中日。どうぞみなさま、怪我などなさらないよう気をつけつつ、名作と名古屋をたっぷりと満喫してください!

作品や出演者についての感想はまた後日(^ ^)(←いつ?)



東京宝塚劇場雪組公演、千秋楽おめでとうございます。
そして、キムちゃん、みみちゃん、杏奈さま、ハウルくん、ご卒業おめでとうございますm(_ _)m。

キンっと澄んだ、明るい一日。
寒かったけど、最後まで雨も降らず、良いお天気で何よりでした。雪組子もファンのみなさまも、本当にお疲れさまでした。



卒業されるみなさまへの気持ちは先日吐き出したので、今日は他のみなさまについて。


■緒方洪庵(飛鳥裕)
西洋医学所頭取。高名な医者だけに、こういう展開の話だと完全に味方につくか、敵に回るかどちらかだと思うのですが、やっぱり飛鳥さんには善人が似合うなあと改めて思いました。
出演されていることに違和感がなさすぎて、ショーの群舞で真剣に探してしまいました(汗)。そういえば今公演からは専科さんなのか。……だけど、ハッチさんもナガさんも踊れるんだからショーにも出てほしかったよ(T T)。

■佐分利祐輔(沙央くらま)
龍馬と共に江戸に出てきた蘭方医。コマちゃんお得意のとぼけた役で、説明の多いグループ芝居をしっかり支えて、素晴らしかった!
ただ、ちょっとこういう役が続きすぎている気もしました。こういう役を安心して任せられるのがコマちゃんしかいないのもわかるんですが、意外と役柄の幅が広い人なので、もっといろんな役で観てみたいなあと思います。
いやむしろ、こういう役を楽しそうに演じているコマちゃんが印象的すぎて、そればっかりやってるような気がするだけなのかもしれませんが……

■山田純庵(彩凪翔)
緒方先生の許、西洋医学所で学んでいた医師。最初は仁に反発するが、コレラに罹り、それを治療してくれた仁に傾倒する……というありがちなキャラクターでした。癖のある役でやりやすかったのかもしれませんが、なかなか頑張っていたと思います。あとは、もうちょっと声が通ればなあ……惜しい。

■仁友堂メンバー(沙月、真那、他)
今回プログラムをよく見ていなかったので、一人ひとり役名があることにびっくりしました(しかも、刺客にまで名前があるよ?)(←いまさらすみません)(^ ^;
真那くんは蓑田玄沢っていう役だったのね。この人は実在の人物だったのでしょうか?(お茶会まで行ったんだから質問に書けば良かった…)。ちなみに、「玄沢」って杉田玄白・前野良沢のパクリかと思ったら、実際に「玄沢」という医者がいたようなので、医者としてはありふれた名前なのかもしれませんね。
割り台詞だけど思ったより台詞が多くて、私は真那くんの声が好きなので幸せでした。ああ、新公観たかったなあ………(泣)。
「フットルース」に続いて沙月さんとずーっといちゃいちゃしているのでてっきり恋人かと思っていたら、あれは姉弟なんだそうで(^ ^)、ちょっとシスコンじゃない?と思いつつ、微笑ましく見守ってみました(^ ^)。

他のメンバーも、コマちゃんの指導のもと(?)キムちゃんをまっすぐに視ているのが伝わってきて、いいチームだなあと思いました。東宝は後半で観たので、「京に行け!」と仁と咲を送り出す場面とか、みんな泣きそうになっていて、、、ぐっときましたね(; ;)。
仁が江戸で得た「居場所」は、やっぱり立花家じゃなくてこの仲間たちであり、「仁友堂」という建物が出来る前からゆっくりと築かれていった絆なんだな、と感じました。



■新門辰五郎(夏美よう)
火消し「を組」の頭取。いやー、渋いね恰好良いね!大親分らしい見得切りの迫力が、おもわず拍手したくなるレベルだったのはさすがでした。むしろ掛け声かけたかったよ(^ ^)よっ、頭取っ!って(^ ^)。
史実を言うなら、辰五郎は勝による江戸城明け渡しのときもまだ頭取をしていたはずなんだけど(勝の切り札の一人だったはず)、、、原作でも仙吉に跡目を譲って隠退したことになっているのかな。まあ、仙吉が名前ごと継いだことになっているなら不思議はないか。

■千吉(夢乃聖夏)
大劇場公演では雪組デビューとなったともみんは、いかにもともみんらしい熱くて可愛い、そして空気の読めない役でした(^ ^)。お駒ちゃんへのベタ惚れっぷりは可愛いし、ウザくても可愛い!!(真顔)ランベルト先生に続く「ともみん」らしさ、無駄に暑苦しい優しさが、これからも雪組でうまく生かされることを祈ります。

■お駒(大湖せしる)
縫製の仕事をしながら弟妹を育てている江戸娘。手先が器用で、……懐がさびしいと、ついつい他人の懐を狙ってしまうスリ稼業に精をだして、幼馴染の千吉に怒られたりしてますが、、、むしろ千吉に怒られたいだけじゃないのかと思うくらいには、千吉のいるところでばかりスッているような(^ ^)。
もともと美人だし、「双曲線上のカルテ」のわがままお嬢さんもなかなかがんばっていましたけど、、、着物姿の婀娜っぽさはまた格別でした(*^ ^*)。ちょっと個性的な髪型も良かったし、美味しい役をちゃんとおいしく演じていて、とても良かったです。ともみんともお似合いだった!

■火消したち(香音、透真、他)
辰五郎親分を中心に銀橋で歌いながら見得を切る場面があるんですが……みんな粋でいなせで、恰好良かったです♪
香音さんは冒頭の恭太郎の付人でも目立っていたし、りーしゃは現代での患者役もあったけど、やっぱり二人ともこの火消し役がメインという気がしました。出番はあまり多くないけど、恰好良かったー♪

■読売り(久城あす)
長七郎、っていう名前があったんですね。そういえば、何度か呼ばれていたような気もする。
声もいい口跡もいい、ダンスもいい!!最近すっかりお気に入りの下級生ですが、期待に応えた出来だったと思います。メインで出ている時以外も、仁友堂の開院祝いとか、さりげない小芝居がとても自然で、大好きです。

■喜市(星乃あんり)
原作では主要人物の一人であると聞きましたが、今回のお芝居ではちょっと目立つ子役…という感じだったかな。でも、仁をからかうアドリブは観るたびに違っていて、たぶん毎日替えていたんだと思いますが、よくがんばったなあと思います。可愛かった!

■澤村田之助(帆風成海)
ホタテは本当に達者だなあ(感心)。
歌舞伎役者としての口上も見事だけど、仁友堂の開院祝いで、さりげなく「いまも役者を続けていられるのは仁先生のおかげなのさ」と語る声の絶妙な色。「当代一の女形」らしい柔らかな物腰と口調のなめらかさ、さりげない美しさがとても良かったと思います。さすが!

■歌舞伎役者たち(大澄、悠斗、月城、永久輝)
綺麗どころの下級生が並んでましたね。眼福、眼福!口上+見得も、大劇場最初に比べると別人のようにみんなよくなってて、下級生にとって3ヶ月は長い時間なんだなあと思いました。



■鈴屋の主人夫婦(奏乃はると、麻樹ゆめみ)
吉原の廓では一番の大店、と言われる鈴屋の主人夫婦。とはいえ、遣り手というよりは、野風に「おやじさま、おふくろさま」と呼ばれるにふさわしい穏やかな人柄で、にわにわの温かみによく似合っていたと思います。そんなんで商売大丈夫か?と思わないでもないけど、逆にそういうところが信頼されたりするのかも。
呼び出しを張ったことがある夕霧太夫のために尽力したり、、、と、こういう主人の許でなら女郎も幸せだったかも、と思えた二人でした(; ;)。

■野風(愛加あゆ)
夕霧の妹女郎で、現・鈴屋の呼び出し。姉女郎のために仁を呼びだし、梅毒の治療を依頼する。これがきっかけで仁はペニシリン製造=歴史の改変に踏み出し、それが仁友堂の礎となっていく。そして、次には自分の病気の治療(手術)を依頼する。。。実は、この物語のドラマの根幹を一人で担当している人なんですよね。
作劇的に、野風の手術は、現代でゆめを救えなかった仁の再生の象徴となるエピソードなので、もう少し丁寧に処理してほしかったような気がするのですが……「この場所で生きていく」と決意した仁の心象風景の中で処理してしまったために、ちょっとわかりにくかったんじゃないかなー、と思いました。だからといって、「長い春の果てに」みたいな手術ダンスをするわけにもいかないし、処理としては難しいところだったとは思いますが。
……こうやって考えると、「仁」と「長い春の果てに」って、結構被るなあ。やっぱり「仁」を石田さんが潤色してたらどうなったのか、興味深いわ。

話が飛びますが、病床の夕霧が野風を幼名で「ちどり」と呼ぶ声がとても好きです……っていうのは、野風の項目に書くことじゃないかな。でも、そう呼ばれて、泣きそうな貌で「ねえさん」と返す野風もとても好きなので、あえてここに書いておきます。
ちなみに。私は原作知らないんですが、野風も現代からタイムトラベルして来た人なんですか……?

■ジャン・ルロン(鳳翔大)
こんなに大ちゃん宛書きの役があるとは!!(@ @)。村上もとか、恐るべし。

■濱口儀兵衛(朝風れい)
醤油醸造ヤマサの頭取。いやー、渋くて良い男でした。貫録ついてきたなあ(感心)。



■中岡 慎太郎(蓮城まこと)
中岡としての出番は最後の方にちょっとだけ、という感じでほとんどしどころはありませんでしたが、スマートな美剣士でとても恰好良かったです。殺陣も悪くなかった……というか、全体的に殺陣のレベルは(T T)
作品の前半ではがおりちゃんとコンビで酔っ払いを演じていて、とっても可愛かったです(*^ ^*)。

■近藤勇(香綾しずる)
白黒の新撰組の羽織が良く似合って、恰好良かったです。しどころのない役ではありましたが、銀橋をただ渡る、っていうのがこんなに難しいものだったとは、、、というのは目から鱗でした。がおりちゃんなら何でも出来ると思っていたよ……。
作品の前半はキングとコンビで酔っ払い。鼻を真っ赤にしての好演(^ ^)でした♪

■高岡玄斉(彩風咲奈)
こちらも前半はずっと傀儡師でほけほけ江戸の町を歩いていましたが、「高岡さま」としての出番では、がんばって仕草もゆったりと、貫録を見せるように努力していたなーと思います。しかし……うーん、何が足りないんだろう……(; ;)。
あと、これは彩風さんが悪いんじゃないんだけど、高岡さまが楓を引きとめなかったら、彼女はあっさり龍馬に追いついて止めをさせたんじゃないか?と思ったりしました(^ ^;

■楓(笙乃茅桜)
ぴったり宛書きすぎて、これまた村上もとか恐るべし、と思いました。え、ルロンさんも楓ちゃんも、原作にもいるキャラクターなんですよね?ね?だって、もし楓が吉正オリジナルキャラだったら、ミニスカのくの一コスだったはずですもんね?
音もなく走ってきて、高岡さまの脇にピタッと座るところとか、めちゃくちゃ好きです。懐刀で斬りかかるところも素敵過ぎて!ああもう、今回は楓といいショーといい、ひーこに釘づけでした。

■沖田総司(煌羽レオ)
見た目はシャープで総司にぴったりだと思うのですが。。。あの奇妙な口調は齋藤さんの演技指導なんでしょうか?新公とかで観たかぎり、普通に喋れる子だったはずなのになあ。なんというか、ちょっとオカマっぽいような奇妙な口調……せっかくの良い役なのに、もったいないー!(T T)



……そんなところかな。
他にも印象的な役がたくさんあって、下級生までみんな出番も多くて、遣り甲斐のある作品だっただろうな、と思いました。
「生きる使命」が、人それぞれに違っていることが強く印象に残りました。ひとりひとりが違う人生を、違う使命を抱えて、それでも手を取り合って生きていく、、、たとえ道が離れても、今まで手を繋いで歩いてきたことに意味があるんだ、と、そんなイマジネーション。まだ若いトップコンビの、早すぎる卒業にふさわしい、未来を感じさせる作品になっていたと思います。



といいつつ、最後にひとつだけ。

「万事は尽くした」って……言いたいことはわかるけど、、、いいのか?



東京宝塚劇場雪組公演「仁」。


全編にわたり、卒業生たちへの、そして雪組子への齋藤さんの愛が籠められた、楽しい作品でした。

役が多いだけではなく、大勢が出ている場面が多くて、しかもそれが無駄じゃないところがとても好きです。
「江戸の町」の温かみ、絆の深さ、、、そういったものが如何にこの作品にとって重要なモチーフであるか、それを100%理解して、幸せそうに演じている組子たち。江戸に生きる人々が全員愛しくて、その一途なエネルギーにほだされて、思わず私も「この場所で生きてみたい!」と思ってしまいそうでした(^ ^)。
あの時代、生きていくのはそれなりに大変だったと思うんですけどね。

それにしても、舞台が江戸であるせいか、大政奉還に至るまでの血なまぐさい事件がすべて割愛されているのは興味深いなと思いました。
あのあたりの数年間って、戦乱続きというイメージがあったんですが・・・関東では何事もなかったんだっけ。蛤御門から続く一連の戦は、確かに全部西日本だけど。桜田門外の変が1860年の早春、坂下門外の変が1862年の2月で、仁先生がタイムスリップするのがその数ヵ月後?(←季節がよくわからないけど) その後は、大政奉還の1867年の年末まで、江戸は平和だったんですよね、たぶん。火事や伝染病や、事件はいろいろあっても、政治に関わらない一般庶民にとって、江戸に「戦」はなかった。平和な江戸。平和な都市。

「現代」で恋人を喪った(救えなかった)という瑕を背負い、外界との関わりを絶って孤独に生きていた名医が、平和な江戸の街の清澄な明るさと優しさに触れて心を開き、「この場所で生きていこう」と決心するまでの説得力。あの詰め込み過ぎなエピソードの羅列の中でも押さえるべきところを外さなかった脚本と、「江戸のひとびと」の圧倒的な存在感に助けられて、キムちゃんの丁寧な芝居がちゃんと生きていたのが良かったのだと思います
どちらかといえば明るさとかパワー重視にみられがちなキムちゃんですが、繊細な芝居も良いんだということを最後に表現できて、良かったんじゃないか、と(^ ^)。



仁と深くかかわることになる、咲ちゃんと恭太郎さん(未涼)、そして二人の母親・えい(梨花)。
治療方法のなかったコレラで命を落とした父親(江戸末期のコレラの流行は、箱根で止められて江戸には入らなかったとも言われていますが、まあ、そんなことはおいといて)のために、医者を志す娘。一途で頑固な妹が目に入れても可愛くてしかたない兄と、躾に厳しい母親。厳しいけれども、愛情に溢れた良い家庭。
みみちゃん演じる咲ちゃんを観ていると、幸せになる切符を持っている娘なんだな、と無条件に信じられる。この娘を幸せにしなくちゃいけない、と。
そして、その幸せはこの江戸の町にあるのであって、東京にはないんだろうな、と。

仁先生が「将来」を考えないのは、自分がいずれは現代に帰れると思っていたからなんですよね。
ゆめの居ない東京に帰りたいという渇望はない(だから比較的すんなり江戸に馴染んだ)にせよ、やっぱり自分の生きる場所は東京であり、東都大学病院だという気持ちはあったはずだから。
でも、「この場所で生きていく」と決意したとき、驚くほどすんなりと過去の自分と訣別できた自分を発見する。きっかけになったのは咲の存在であっても、「自分の居場所はどちらなのか」と問い続けてきた自分の出した答えは、もっとずっと前からわかっていたことなんじゃないか、と。
仁には咲と一緒に東京へ帰るという発想は、ない。東京で愛した女はゆめで、江戸で愛した女は咲。ゆめと咲は貌が似ているだけで、同一人物ではないから。最終的に2012年の東京に戻ってきた彼にとって、本当に生きるべき世界がどちらなのか、一度出した答えが間違っているのかどうか、、、それはもう、決して答えの出ない問いだから。
それでも、咲は一途だから。仁が150年後に還っても、自分が選んだ道を、自分が選んだとおり、迷いなく、ますぐに歩いていく。その道の果てに、仁がいることを信じて。


で。
話は飛びますが、まっつの恭太郎がとても好きです。妹にめろめろで、女に弱くて、でも一本筋がとおった旗本の総領息子。
青天が素敵だとか、裃が似合ってるとか、道着が普段から着ているみたいに自然だとか、そういう視ればわかることはおいといて(^ ^)、不器用で一本気な男、ってまっつにぴったりだなあと思うんですよね。
お母様のみとさんと合わせて、本当に不器用で一途で一本気な家族だなあ、と。まさに遺伝、というか(^ ^)。
豪放磊落な坂本龍馬(早霧)とは気が合わない、と言いながら、自分とは違う考え方と視野の広さをもつ龍馬に対する微妙な感情を隠さないところがとても可愛い(*^ ^*)。フェリペにムーアと、役の心の闇の部分を顕わにする役が続いたこともあって、今までならあまり表だって表現しなかったであろう嫉妬や卑屈さを素直に出した役づくりが、とても新鮮でした。
幕府を護る一本の剣であろうとした恭太郎が、土壇場でやっぱり龍馬を斬れないのは、龍馬との関係だけではなくて、仁(や咲)がその場にいたから、、、という構図がとても切なくて。戦いの高揚の中で高岡側の武士を斬り捨て、戻れない道に入り込んだところで、そこまでしても龍馬を護れなかったことに気がついて絶望の表情で手を伸ばすところが、角度的に顔はあまり見えないのですが、ひどく切なくて、、、(T T)。



チギちゃんの龍馬は、豪放磊落でちょっと阿呆な一面と、その裏にある活動家としてのエネルギーのバランスがとれてきて、大劇場で観た時よりずっと良くなっていたと思います。この芝居では、龍馬個人の活動にはほとんど触れられず、仁(恭太郎)に見せる面だけが強調されて表現されるわけですが、、、それでも、ちょっとしたところでちゃんと裏を感じさせるところとか、うまいなーと思いました。
チギちゃんが宙組で演じた「龍馬伝」の龍馬は、主役だったからそのあたりはやりやすかったと思うのですが、ああいう役を脇で演じるのって難しいんだろうなあ、とあらためて思いました。



みっちゃんの勝先生は、ちょっと若づくりだなーと思いましたが(仁や恭太郎と同期生に見える……のは先入観かもしれませんが)、二枚目のセンセーで、素敵でした(はぁと)。
1862年には39歳。仕草を重々しくするほどの年ではないけど、26歳の坂本龍馬や、もっと若いかもしれない恭太郎と同世代に見えるのは、ちょっと勿体無いなあと思いました。見た目以上に、声が高いのが若く見えてしまう要因の一つなので、せめて髭くらいつけたほうが良かったんじゃないかと思いますが、、、そのあたりは拘りなんでしょうかね。
とはいえ、裃を着て銀橋で恭太郎と会話する場面がとても好きです。息子のように思っている恭太郎の身を心配しつつ、幕臣として口をつぐみつつ、、、という腹芸が良かった。江戸の街を質にして西郷と交渉する凄腕の政治家としての一面は見られませんでしたが、同期のスターとがっぷり組んで、計算だけではない芝居を少し見せてもらえたような気がします。



他にも魅力的な人がたくさんいて、書ききれないかも・・・・・↓


ところで。
訊いてはいけないことかもしれませんが、一つ質問してもいいですか。
なんだか思わせぶりに語られる野風の子供ですが、あれはいったい、誰の子設定なんでしょうか………?
(原作では、実は……というのは聞いたのですが。舞台でもそうなの?)



東京宝塚劇場にて、雪組公演「仁/GOLD SPARK」を観劇いたしました。


大劇場で初日あけてすぐの公演を観て、、、今日はそれ以来の観劇でした。
いやー、大劇場で一ヶ月、そして東宝で半月。こういう群衆劇は、練り上げられると別物になりますね。
大劇場でもすごく面白いと思ったけど、今日はずいぶん泣かされました。

名作、と言うにはちょっと悩ましいけど(←だって齋藤さんだし!)、役者への愛に満ち、なにより卒業生への愛に溢れた物語で、いろいろ無茶なところはたくさんありましたけれども(^ ^;、素敵な時間を過ごさせていただきました!



いやもう、なんといっても花魁・夕霧役の花帆杏奈ちゃんのセリ上がり&別れの挨拶があぁっっっ!!!
……号泣。ああもう、杏奈ちゃん大好き杏奈ちゃん大好き杏奈ちゃんだいすき・・・・。
前半の病の床で寂しげに横たわる姿も美しいし、弱々しいのに芯のあるたおやかな声も美しい。華やかな大輪の花ではなかったけれども、柔らかでなめらかな立ち姿の美しさ、仕草や裾さばきの艶やかさ、そして、髪型やアクセサリーのセンスのよさなど、キラッと光るもののあるひとでした。芝居が巧い人ではなかったかもしれませんが、上級生になって、合う役を与えられるようになってからどれも印象的で。CSのサヨナラ番組を視ながら、ああ、昔はこんなだったんだな、としみじみしたり(^ ^)。
前回公演で涼花リサちゃんが卒業してしまって、すごく寂しかったけど、でもまだ雪組には杏奈ちゃんがいるから!と自分を慰めていたのになあ。。。。と落ち込みながらの観劇だったのですが、豪華な花魁の衣装に身を包んだ杏奈ちゃんにセリの上から満面の笑顔で「夕霧は幸せでありんした……おさらばえ」と言われたら、もう納得するしかないんですよね。

幸せだったんだよね、杏奈ちゃん。
齋藤さん、ありがとう。感謝しています。



もう一人の卒業生、91期の詩風翠さんも、簪職人の佐吉役、とても良かったです。ハッタリの効く人にはハッタリの役を、小芝居の得意な人には小芝居できる役を与える。座付き作家の面目躍如というか、とても正しい座付き作家だな、と思いました(^ ^)。
大劇場公演の初日すぐとは別人のように自由自在に動いていて、とても良くなってたと思います。いやー、面白い役者になりそうだったのに、もったいないなあ。。。



私は「仁」は原作もドラマも知らなかったのですが(タイムスリップして幕末に行っちゃう医者の話、としか)、最後までみて、そもそも胎児のエピソードはいらないんじゃ……?と思ってしまった程度にはあんまり展開が理解できていませんでした。
2回目を観て、まあ、いろいろカットされているんだろうなー、と、「銀河英雄伝説」のカットぶりを思い出しながら想像してみて、少し納得してみました。うーん、原作を知らない身で勝手な話をするならば、あれで、頭蓋の中から取り出した畸形胎児を院長さんと二人で育てていくというラストになるなら、説得力があったんじゃないかなー、と思ったりしました。
原作ファンにとっては「とんでもない!」な話なんでしょうけれども(^ ^)。

なんというか、大劇場で観たときは、「この場所で生きていく」と言って指輪を渡しておきながら、あっさり現代へ戻って、恋人を取り戻して幸せに暮らしました的な仁先生に、ちょっと納得しがたかったのですが。
「千秋楽」を目前にした今、あらためて観てみると、「この場所で生きていく」と決めても、その約束が護れないこともある……ということが逆に切ない、ということに気がつきました。
いやもちろん、キムちゃんの卒業についてはキムちゃん自身が決めたことなんでしょうけれども。ただ、「時が来てしまった」というのも一つの事故みたいなものであることもあるわけで。そういうことだったのかな、と思ったり。

ラスト、銀橋に立つ「現代」の二人を見守る組子の目線の優しさに、「その時代にやれること」から逃げなかった仁先生へのエールを感じて、ひどく嬉しくて、切なくて、そして、温かな気持ちになったのでした。



キムちゃんの卒業は、本当に、「なぜ、いま?」という疑問が大きすぎて。
卒業間際の蘭香レアちゃんに落ちた過去を持つ猫にとっては、長いこと「気になる下級生」だったキムちゃん。
正直、ファンだったことはない・・・・かもしれないけど、「エリザベート」のルキーニ以降のキムちゃんは、ちゃんと「作品を組み立てられる」スターだったな、と思います。「忘れ雪」は作品としては酷いものでしたが、あのキムちゃんは結構好きでした。圧倒的な歌唱力と、観客を巻き込む熱量のある芝居。そういえば、あの作品も医者(動物相手だけど)でしたね。
いろいろ足りないものも多くてカラ回りしていたけど、でも、あの頃を境に、カラ回りはしてもブレなくなって、ああもう大丈夫なんだな、と思った記憶があります。

とはいえ、その後もいろいろありました。ユミコさんが卒業して、水さんが卒業して、プレお披露目のドラマシティ公演ではあゆちゃんと組み、大劇場のお披露目公演では二人のジュリエット、、、、紆余曲折の末に全国ツアーでやっとみみちゃんと正式にコンビを組んでお披露目をして。これでやっと順風満帆かとおもいきや、次の大劇場作品がまさかの「仮面の男」(T T)。……祐飛さんとは全く違う意味で、いろいろあった人だったなあ、と思います。
それでも、一作ごとに存在感を増し、大きくなっていったキムちゃん。いま、雪組の立派なトップさんとして組子全員と作品世界をコントロールしているのをみると、あともう少しみていたかった……と思ってしまうのですが。
キムちゃん自身が決めたことならしかたない、と、頭ではわかっていても。



そして、みみちゃん。
「咲は武士の娘です!」と繰り返す、気丈で頑固な武家の娘は、みみちゃんにぴったりだなと思いました。
憧れに一途で諦めが悪くて、頑固で、、、自分の選んだ道なき道を、たった独りで歩きだす勇気のある娘。
幕末という時代を「仮住まい」だと思っていた仁先生が、「この時代で生きていく」ことを決める、そのきっかけになったひと。
みみちゃんの一途さは、人を巻き込む力があるんだと思います。みみちゃんが行きたいというなら、行かせてあげたいと思う。みみちゃんが居てほしいというのだから、傍に居てあげなよ、と思ってしまう。そういう「強い願い」がもつパワー。

みみちゃんの希なら、なんでも叶えてあげたい、と、きっとだれもが思うんだろうな、と、そんなふうに。
病を退治して、みんなに幸せになってほしい、という咲の願に、仁先生が抵抗できなかったように。
そのあたり、齋藤さんはホントに巧いなあ、と思います。

研2になったばかりの「凍てついた明日」メアリー、それから「マリポーサの花」で新公ヒロイン、「忘れ雪」ヒロインと抜擢が続いたみみちゃん。となみちゃんの卒業をうけて、このままトップ娘役になるのか?と思ったときもありました。
みなこちゃんのトップが決まってからも、劇団の秘蔵っ子というか掌中の珠というか、そんな感じに大事に育てられて。轟さんと組んだ「オネーギン」で劇的な成長を遂げ、ジュリエットで花開いたみみちゃん。「黒い瞳」でお披露目されてからも、一作ごとに成長して今にいたるみみちゃん。

特別な技能があるわけではないけれど、娘役らしい可愛らしさと優しい声、一途で情熱的な芝居で私を魅了したひと。キムちゃんとの相性もよい「名コンビ」でしたが、壮ちゃんとの並びも観てみたかった………みみちゃんの卒業は本当に残念です。「オネーギン」で、やっと「お芝居」というものが掴めてから、たったの2年。「同時退団が夢だった」とまで言われると、引きとめても仕方がないんだろうなあ、とは思うのですが。。。もう2,3作、いろいろな役を演じてから卒業してほしかったなと思います。





なんだか長くなってきたので、作品とショーについては、後日またあらためて書かせていただきたいと思います。

ただ、一つだけ。
原作を知らないのに偉そうに書いて申し訳ないのですが・・・私はこの物語をみながら、宮部みゆきの「蒲生邸事件」を思い出しました。
時間旅行ができる特殊能力者の生き様と、火事に巻き込まれて2.26事件直前の東京に飛んできた少年の選択。仁先生が一度は選ぼうとした道と、運命の意思。
「その時代に生きる」ことと、「その時代を生きる」ことの違い。僅かな違いのようにみえて、決定的かつ根本的に違う、生き方……2.26事件が終わって、「蒲生邸事件」の主人公の少年が、物語の終盤に大通りで叫ぼうとしたことと、明治維新の動乱のさなかに、仁先生が何度も呑みこんだ疑問。それでもなお、彼らを魅了し、選択を迷わせるのは、「その時代を生きる」ことに迷いのないひとびとの、惜しげもない、あたたかな笑顔なのだろうか、と。
仁先生が生きるべきだった時代は、本当はどちらだったのだろうか、と、そんなことを考えながらの帰路になりました。



最後に。

あんどうなつは、美味しかったけど、ちょっと食べにくかった(涙)。
東宝のロビーの売店は皿がないんですよねー。お皿に載せてフォークかなにかで切って食べたい食べ物なんですが、紙にくるんであるだけなので・・・餡にかぶせてあるビニールをとったら餡も全部とれてしまったりして、ちょっと切ない気がしました(T T)。


そして!!
あんどうなつは東宝でも発売されたのに、どうして「ロミオの焼き林檎」は駄目だったの……!?
(←調理とサーブ、どっちも無理だからですよ)(……しょぼーん)



雪組日本青年館公演「双曲線上のカルテ」、千秋楽おめでとうございます!
千秋楽ではありませんが、なんとか観ることができましたので、簡単に感想を。


脚本・演出は石田昌也、原作は渡辺淳一の「無影燈」。
ハッチさん(夏美)のキャラクターが「相棒」の官房長官そっくりだとか、そういう突っ込みどころはいろいろありましたが、やはり原作がしっかりしている上にキャラクター主体で動かせる物語は石田さんの得意分野なんだな、と思いました。


難病を抱え、自らの死を見据えつつ医療の道を歩むフェルナンド先生に、早霧せいな。
石田さんとチギちゃんといえば、宙組時代のワークショップ「殉情」が思いだされます。身分違いの恋を成就させるために、こいさん(和音美桜)を縛りつけようとする強い意志。搦め手から攻められて、気がついた時には身も心も絡め取られ、完全な支配を許していた春琴に与えられた、歪んだ幸福。

石田さんにとってのチギちゃんは、そういうキャラクターなんだな、と思いました。
「殉情」の佐助と今回のフェルナンドは、表に顕れた人格はまったく違うんですけれども、最後の一線で『自分のやり方を譲らない強さ』が同じなんですよね。運命を受け容れて淡々と生きているように見えて、最期には愛した女を自分の運命(意思)に巻き込み、絡め取って逃がさない。
その意思の強さで、運命に抗う力を持つ男。

やっぱりこの人は、「神の道具」でしかないニジンスキーは似合わないんですよたぶん。もっと人間らしい、はっきりとした意思を持っている役が良いんだと思う。そして、今回は石田さんの演技指導もあってか、久しぶりにちゃんと舞台の上で嘘を吐いているチギちゃんを観ることができて良かったです。
そのあたりの外堀がちゃんと埋まっていると、彼女の最大の武器である文句なしの美貌が生きるなあ、と感心しました。いやー、あれは落ちるわ(真顔)。



フェルナンドの同僚・ランベルトに、組替えしてきたばかりの夢乃聖夏。
いやー、ともみん、好きだなあ……。
無駄に暑苦しい正義心や友情を押しつけておいて、大事なところでフェルナンドの意思を尊重する優しさがあるところ、とか、ホントにぴったり。いや、それは勿論、石田さんの設定(脚本)がよくできているんですけど(^ ^)、でも、ともみんの芝居も、そのあたりの匙加減が素晴らしかったと思います。
ああいう役は、まず嫌味なく暑苦しいという両面のバランスがとれていないとうまくいかないと思うんですけど、そういうところ、ともみんという役者は稀有な存在なんじゃないかなあ。

チギちゃんと同期の87期。フィナーレの扱いもかなり大きくてびっくりしました。
とにかくお二人の並びがいろんな意味で眼福でした(^ ^)。さらにこれに大ちゃんが加わる大劇場公演が楽しみだ!



フェルナンドやランベルトと同じ病院で働くナース・モニカに星乃あんり。
可愛いは正義(きっぱり)。
ただただ純粋で素直な「娘役らしい娘役」。チギちゃんにはもっと包容力のある娘役の方が似合うと思っていたのですが、あそこまで純粋で素直で幼いと、それはそれでチギちゃんの包容力が増してみえて良かったと思います。
芝居面でどうこういうような役ではなく、ただ純粋に可愛く在れば(フェルナンドが振り返ったときに
そこで微笑んでいれば)いい、という感じの役でしたが、微笑み一つでフェルナンドの闇を中和しなくてはならないわけですから、それはそれですごいパワーが必要なんだろうな、と思いました。

一年前の「灼熱の彼方」の妹姫は、可愛いけど「どうしたらいいのかわかりません」と顔に書いてあるのがしっかり読めた気がしたものですが。研3から研4への1年間というのは、長いものなのですね。
「可愛い」だけを武器に、闇に沈んだ男を救う天使になった、あんりちゃん。
ラストの、「フェルナンド、見える?」の一言は、すごく良かったです。これからのご活躍、期待しています。



病院長(夏美)の娘・クラリーチェに、女役に転向したばかりの大湖せしる。
美しいは正義。
スタイルも化粧も仕草も芝居も、何もかも「転向したて」だとは思えないくらいハイレベルでした。ええ。
これで色気があれば完璧なんですが……まあ、そこまで要求するのはちょっと酷なのかなあ……なんて思いつつ、大事なことは何度でも書きましょう。美しいは正義。

あんりちゃんという典型的な「幼くて可憐な花」と、せしるのシャープな美貌やクールな持ち味の対比は見事で、、、その両者に対するフェルナンドの態度の差とか、最終的にクラリーチェをちゃんと護ってくれそうなランベルトの優しさとか、、、いろいろ台詞では説明しきれない色んな事を観客に納得させるのに、このキャスティングは神だなあ、と思いました。




……そして。
このシリアスな物語を最後まで観て、一番印象に残ったのがチギちゃんの最後の挨拶だった、とゆーのは、……どうなんだろう(^ ^;ゞ




祐飛さんが卒業して、ちょうど1ヶ月……

……などと感慨にふけるつもりだったのですが、、、今日1日で仰天するようなニュースがたくさん発表されましたので、いろいろ吹っ飛んでしまいました(^ ^;ゞ


いろいろなことがありすぎて、とても全部にはコメントできないので、今日のところは、一つだけ。



壮ちゃん、雪組トップスター内定おめでとう!!



今だから書きますが。

……正直、期待していました。

予想していた、とは言いませんが、期待はしていた。キムちゃんの衝撃の退団発表があってからずっと、壮ちゃんがキムちゃんの後を継いで、雪組のトップスターになってくれることを。

現・雪組2番手のチギちゃんには、心から申し訳ない…と、心苦しく思いつつ。



祐飛さんと壮ちゃんが同じ組で一緒の公演に出たのは、わずか大劇場公演2作、期間で言ったら1年弱。
短い時間だったし、お互いいろいろな想いがあったんだろうと思いますが、それでも、絆は色濃いものだったと思うし、祐飛さんという前走者がいたからこそ、壮ちゃんも踏ん張れたのかな、と勝手に想像したこともありました。

祐飛さんと壮ちゃんが「トップ」という立場で並ぶ姿を視ることはできなかったけど、蘭寿さんと同期で並んでくれるのはとても嬉しい。いやもう、壮ちゃんがトップになってくれるだけで嬉しい。本当に嬉しい(*^ ^*)。

雪組時代の壮ちゃんとはまるっきり違う役者に成長した壮一帆。今の彼女が、キムちゃんたちが卒業した後の雪組に加わってどんな化学変化を起こすのか、楽しみにしています。
その前に、博多座の「フットルース」と日本青年館の「双曲線上のカルテ」、そして大劇場公演「JIN」を精一杯応援してからのことですけど、ね。





昨日の日記の最後に書いた、月組振り分けも出ましたね。
ずいぶん遅いと思っていましたが、今日の発表待ちだったのかなあ。年末の花組も一緒に発表されましたものね。

月組も花組も、なかなかバランスの良さげなメンバーで、楽しみです。全部観られますようにー!


で、……花組バウ公演、ヒロインは誰かなー(期待)(田渕さん、信じていい?)


日曜日に、東宝劇場公演の千秋楽を迎えた雪組。
その雪組に関して、仰天のニュースが流れました。


「雪組 大湖せしる 女役転向について」(@ @)。



え?せしるって……研11、ですよね?
新公主演経験のあるスターが、研11で女役に転向!これを『仰天のニュース』と言わずして何をいうのか!?



もとい。
小柄でほっそりした美形のせしるは、ショーとかでもしょっちゅう女役をやっていたし、なんといっても「ロミオとジュリエット」の愛が素晴らしかったこともあって、女役転向はとても楽しみではあるのですが。
うーん、でもなあ。「男役が時々女役をする」のと、転向して「もう二度と男役として踊ることがない」ってのは、全然違うことなんですよね……(T T)。せしるのダンスは本当に恰好良いから、女役は勿論楽しみなんだけど、男役のダンスがもう見れなくなるのはとても寂しい。


以前、月組の彩星りおんや愛希れいかが転向を発表したときも書きましたが、こういうのって、もう少し早く発表するわけにはいかないんでしょうか……?
せしるの最後の男役姿を目に焼き付けたかったのに……と思う隠れファンも少なくないと思うのですが。(←自分のことです)

それとも、ご自身のファンには事前にこっそり案内したりしてるのでしょうか……(T T)。



でもまあ、かおりちゃん(晴華)とリサちゃん(涼花)を続けて喪った雪組の美女軍団の補強としては最善の人材である、というのはとても納得するので、仕方ないんでしょうね、きっと。
歌と台詞はちょっと不安が残るけど、ホンモノの美人だからなあ。




スケジュール的には、次のバウ公演から女役として出演。……ということは。

えーっと、も、もしかして、ともみん(夢乃)の恋人役とか、そんな事件 がありえたりするんでしょうかっっっ!?
わーわーわー、そんなことになったら楽しみすぎるっっっ!!

ああ、そうか。
ともみんと大ちゃん、近い学年の長身美形が二人も来てくれるから、せしるの女役も組む相手に困らなくなるんですね。(←ロイヤルストレートフラッシュでのチギちゃんとの並びも可愛かったですけどね!)
今までは、転向したくても回りが小柄すぎて無理でしたもんね!!なるほどー、研11での転向にも理由はあるのかもしれませんね。


バウで、あるいは次の大劇場公演で、美女・せしるがどんなふうに使われるのか、楽しみにしています!
とりあえずは、石田さん!!どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m



【7月1日まで、あと34日】

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