茅田砂胡 全仕事1993-2013 (C・NOVELSファンタジア)
2013年11月26日 読書
「デルフィニア戦記」などを書かれた作家・茅田砂胡さんが、作家生活20年を記念して作られた、ほぼ全ページ書き下ろしで700ページ強の本。
……いや、まあ、京極夏彦の一連の本を見ているので、そんなもんかと思うのですが。でも……あまりに重たくて持ち運べないし、分厚すぎて結構読みにくい(T T)一所懸命拡げて読んだけど……やりすぎ注意、ですね。バラけたりしたらどうにもならないし。いやあ、いまの製本技術ってすごいなあとしみじみ思いました……(^ ^;ゞ。
内容は、基本的に茅田さんの人気シリーズ(デルフィニア戦記、桐原家、もものき事務所、レディ・ガンナー)の番外編……の、新作(^ ^)と、イラストを描いていた沖麻実也・鈴木理華・成る瀬かおり・睦月ムンクの書き下ろし漫画など。他にインタビューや対談も少し。これで1500円は安い……かも(^ ^)
デルフィニア戦記番外編の「紅蓮の夢」をドラマ化したCDつきの豪華版もありますが、このCDがなかなか良かったです。「デルフィニア戦記」、アニメ化すればいのになー(←とっくにしてたらすみません)。
私が好きで読んでいる作家さんの中では比較的順調に新刊が出ている方なので、これからもがんばってほしいなと思います。最近ちょっとストーリーが弱いものが多いのですが、キャラクターの魅力と文章のテンポの良さでついつい読んでしまう(^ ^)。次の新刊を楽しみにしています!!
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……いや、まあ、京極夏彦の一連の本を見ているので、そんなもんかと思うのですが。でも……あまりに重たくて持ち運べないし、分厚すぎて結構読みにくい(T T)一所懸命拡げて読んだけど……やりすぎ注意、ですね。バラけたりしたらどうにもならないし。いやあ、いまの製本技術ってすごいなあとしみじみ思いました……(^ ^;ゞ。
内容は、基本的に茅田さんの人気シリーズ(デルフィニア戦記、桐原家、もものき事務所、レディ・ガンナー)の番外編……の、新作(^ ^)と、イラストを描いていた沖麻実也・鈴木理華・成る瀬かおり・睦月ムンクの書き下ろし漫画など。他にインタビューや対談も少し。これで1500円は安い……かも(^ ^)
デルフィニア戦記番外編の「紅蓮の夢」をドラマ化したCDつきの豪華版もありますが、このCDがなかなか良かったです。「デルフィニア戦記」、アニメ化すればいのになー(←とっくにしてたらすみません)。
私が好きで読んでいる作家さんの中では比較的順調に新刊が出ている方なので、これからもがんばってほしいなと思います。最近ちょっとストーリーが弱いものが多いのですが、キャラクターの魅力と文章のテンポの良さでついつい読んでしまう(^ ^)。次の新刊を楽しみにしています!!
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丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)
2013年6月27日 読書
小野不由美の人気シリーズ「十二国記」の新刊をGETしました!
今回は本編ではなく、シリーズ2冊目の短編集。前半の二篇は、「yomyom」に掲載された短編で、後半の二篇は書き下ろし。12年ぶりの書き下ろしですよ!!……感慨深いわ……。
このシリーズ、今までの作品はほとんどが「王」を中心に物語が進んでいたのですが、今回の新刊に掲載されているのは、ほとんどが「王」には拝謁もできないような下官たちの物語。
自分の職務を全うするために全てを懸ける人々の「想い」が詰まった物語でした。
大事に読もう、と思って、まだタイトルにもなっている「丕緒の鳥」しか読んでいないのですが。。。「yomyom」で読んだときも泣いたけど、また泣きました。「創る」こと、そして「伝える」ことの難しさ。命を懸けても、何を捧げても、受け取り手がいなければ何も伝わらない、その絶望と、「良き観客」を見出したときの歓喜。その落差の大きさと、彼が伝えようとしたモノの重さが、とても痛々しくて、切なくて。
小野さんの語る「ひと」の生き様は、どれもとても魅力的で、美しい。
あと3篇、早く読みたい気持ちが半分、読んでしまうのがもったいない気持ちが半分、のせめぎ合いです。
読んでいると、こういうリアルな表現力のある文章を書けるようになりたいなあ、と思ったことを思い出したりして、しみじみします。……12年ぶりだものね。一言一言を大切に咀嚼しながら読みたいと思います!!
ああ、本編の続きも早く出ないかなあ~~~(^ ^)。
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今回は本編ではなく、シリーズ2冊目の短編集。前半の二篇は、「yomyom」に掲載された短編で、後半の二篇は書き下ろし。12年ぶりの書き下ろしですよ!!……感慨深いわ……。
このシリーズ、今までの作品はほとんどが「王」を中心に物語が進んでいたのですが、今回の新刊に掲載されているのは、ほとんどが「王」には拝謁もできないような下官たちの物語。
自分の職務を全うするために全てを懸ける人々の「想い」が詰まった物語でした。
大事に読もう、と思って、まだタイトルにもなっている「丕緒の鳥」しか読んでいないのですが。。。「yomyom」で読んだときも泣いたけど、また泣きました。「創る」こと、そして「伝える」ことの難しさ。命を懸けても、何を捧げても、受け取り手がいなければ何も伝わらない、その絶望と、「良き観客」を見出したときの歓喜。その落差の大きさと、彼が伝えようとしたモノの重さが、とても痛々しくて、切なくて。
小野さんの語る「ひと」の生き様は、どれもとても魅力的で、美しい。
あと3篇、早く読みたい気持ちが半分、読んでしまうのがもったいない気持ちが半分、のせめぎ合いです。
読んでいると、こういうリアルな表現力のある文章を書けるようになりたいなあ、と思ったことを思い出したりして、しみじみします。……12年ぶりだものね。一言一言を大切に咀嚼しながら読みたいと思います!!
ああ、本編の続きも早く出ないかなあ~~~(^ ^)。
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月の影 影の海(上) 十二国記 (新潮文庫)
2012年8月17日 読書
発売から2カ月ちかく経ってしまいましたが……
私が愛してやまない作家・小野不由美さんの大人気シリーズが新潮文庫から出ていますので、ぜひご紹介したいと思います(^ ^)。
このシリーズ、初版は講談社ホワイトハート文庫から出ていて、、、要するに「ライトノベル」に分類されていたため、意外と知られていなかったと思うんですよね。
しかも、ライトノベルって毎年すごい数の新刊が出るから、最新巻がでてから7年とかになると、さすがに本屋に並ばなくなってしまうし(T T)。
今回の刊行は、ちゃんと続編を書いてくれる予定での再刷(出版社違うけど!)のようなので、安心して読んでいただける(10年とか待たされたりしない)と信じています! ……ですよね!?>>小野さん
もとい。
このシリーズが新潮社から出ることを知った時の日記はこちら。
http://80646.diarynote.jp/?day=20120404
こっちでも書いてますが(っていうか何度か書いてる気がする)、小野さんの描く「世界」って、すごくリアルなんですよね。
完全な別世界を構築し、そこに住まう人々を具体的にイメージできる創造力と、それを他人(読者)の脳みそでも的確に映像としてイメージさせられるだけの表現力を併せ持った作家であるのみならず、ものすごく哲学的なテーマを、ものすごくリアルな状況や事態、あるいは感情に落としこんで提示できる発想力があるから。
「十二国記」の第一話である「月の影、影の海」は、現代(といっても20世紀ですけどね!)日本を舞台にスタートします。
あまり主体性のない、優等生だけど気弱で平凡な女子高校生・陽子が、ある日夢の中から顕れた妖怪たちに襲われて、異世界に連れ去られるのが物語の発端。
何もかも見慣れぬものばかりの異国で、殺されそうになる陽子。妖怪に襲われた隙に逃げ出して、そのまま見知らぬ国を彷徨う……平和な祖国に帰ることだけを心の支えに。「平和な祖国」にも、自分の居場所がなかったことなど、忘れたふりをして。
上下巻にわかれたこの物語の中で、上巻はひたすら陽子の悲惨な道行きが語られます。
何度も襲われ、騙され、殺されかけて、次第に猜疑心ばかりが表に出るようになるまでの様子が、克明に、酷薄なまでに描かれていて、、、気分が落ちている時に読んだら、よけい落ち込んでしまうかもしれません。小野さんの筆はリアルすぎて、感情的に巻き込まれてしまうんですよね。悲惨な時はとことん悲惨に、後ろ向きな気持ちはとことん後ろ向きに。
でも、下巻で救い主に出会ってから、自分の往くべき道を見出すまでの陽子の葛藤は、ひどく真摯で、そして貴重なものです。この葛藤を追体験できることは、ちょっと大袈裟ですけど、人生を豊かにする(^ ^)と思う。「どっちも選べないなら、やるべきことをやるほうを選ぶといい、後悔しないですむように」という言葉にどんな風に納得するのか、とか。
陽子の感情は、決して小説のヒーロー(ヒロイン)らしい前向きで正義に偏ったものではなく、ごく平凡でリアルで、結構後ろ向きな、実感としてとらえやすいものであることが、この物語のポイントなのだと思います。理解できる……すくなくとも、納得はできる。彼女の最後の選択も。そして、そういう風に心を動かしていけば、人の信頼を得られるかもしれない、と思うことができる。ただ本を読んでいるだけなのに、自分自身の感情がそう動いていくのが面白くて、何度も読み返したものです。
今回の出版は、出版社も違うし、単なる再刷ではなくリライトもしているとのことですが、ざっと眺めた限りでは若干の用語を直したくらい……かな?という印象でした。いや、すみません、好きなところだけ飛ばし飛ばしで読んだだけなので、部分によっては大きく直しているのかもしれませんが(汗)(汗)
なにはともあれ、小野さんの満足できる形で再刊行できているなら、ファンとして何よりの喜びです。お願いだから、続編ちゃんと出してくださいね!(切望)……10年、長かったわ……。
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私が愛してやまない作家・小野不由美さんの大人気シリーズが新潮文庫から出ていますので、ぜひご紹介したいと思います(^ ^)。
このシリーズ、初版は講談社ホワイトハート文庫から出ていて、、、要するに「ライトノベル」に分類されていたため、意外と知られていなかったと思うんですよね。
しかも、ライトノベルって毎年すごい数の新刊が出るから、最新巻がでてから7年とかになると、さすがに本屋に並ばなくなってしまうし(T T)。
今回の刊行は、ちゃんと続編を書いてくれる予定での再刷(出版社違うけど!)のようなので、安心して読んでいただける(10年とか待たされたりしない)と信じています! ……ですよね!?>>小野さん
もとい。
このシリーズが新潮社から出ることを知った時の日記はこちら。
http://80646.diarynote.jp/?day=20120404
こっちでも書いてますが(っていうか何度か書いてる気がする)、小野さんの描く「世界」って、すごくリアルなんですよね。
完全な別世界を構築し、そこに住まう人々を具体的にイメージできる創造力と、それを他人(読者)の脳みそでも的確に映像としてイメージさせられるだけの表現力を併せ持った作家であるのみならず、ものすごく哲学的なテーマを、ものすごくリアルな状況や事態、あるいは感情に落としこんで提示できる発想力があるから。
「十二国記」の第一話である「月の影、影の海」は、現代(といっても20世紀ですけどね!)日本を舞台にスタートします。
あまり主体性のない、優等生だけど気弱で平凡な女子高校生・陽子が、ある日夢の中から顕れた妖怪たちに襲われて、異世界に連れ去られるのが物語の発端。
何もかも見慣れぬものばかりの異国で、殺されそうになる陽子。妖怪に襲われた隙に逃げ出して、そのまま見知らぬ国を彷徨う……平和な祖国に帰ることだけを心の支えに。「平和な祖国」にも、自分の居場所がなかったことなど、忘れたふりをして。
上下巻にわかれたこの物語の中で、上巻はひたすら陽子の悲惨な道行きが語られます。
何度も襲われ、騙され、殺されかけて、次第に猜疑心ばかりが表に出るようになるまでの様子が、克明に、酷薄なまでに描かれていて、、、気分が落ちている時に読んだら、よけい落ち込んでしまうかもしれません。小野さんの筆はリアルすぎて、感情的に巻き込まれてしまうんですよね。悲惨な時はとことん悲惨に、後ろ向きな気持ちはとことん後ろ向きに。
でも、下巻で救い主に出会ってから、自分の往くべき道を見出すまでの陽子の葛藤は、ひどく真摯で、そして貴重なものです。この葛藤を追体験できることは、ちょっと大袈裟ですけど、人生を豊かにする(^ ^)と思う。「どっちも選べないなら、やるべきことをやるほうを選ぶといい、後悔しないですむように」という言葉にどんな風に納得するのか、とか。
陽子の感情は、決して小説のヒーロー(ヒロイン)らしい前向きで正義に偏ったものではなく、ごく平凡でリアルで、結構後ろ向きな、実感としてとらえやすいものであることが、この物語のポイントなのだと思います。理解できる……すくなくとも、納得はできる。彼女の最後の選択も。そして、そういう風に心を動かしていけば、人の信頼を得られるかもしれない、と思うことができる。ただ本を読んでいるだけなのに、自分自身の感情がそう動いていくのが面白くて、何度も読み返したものです。
今回の出版は、出版社も違うし、単なる再刷ではなくリライトもしているとのことですが、ざっと眺めた限りでは若干の用語を直したくらい……かな?という印象でした。いや、すみません、好きなところだけ飛ばし飛ばしで読んだだけなので、部分によっては大きく直しているのかもしれませんが(汗)(汗)
なにはともあれ、小野さんの満足できる形で再刊行できているなら、ファンとして何よりの喜びです。お願いだから、続編ちゃんと出してくださいね!(切望)……10年、長かったわ……。
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4月1日に、ごくごく個人的に大きなニュースがありました。
かなり本気でエイプリルフールなんじゃないかと思っていたのですが、3日過ぎて削除されないところをみると事実みたいなので、喜びを表明させていただきます♪
いままで講談社から出版されていた小野不由美さんの「十二国記」シリーズが、新潮社で新装開店……じゃない、とにかくリニューアル発行されるそうです!
http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/
この人は、私の中では田中芳樹と並ぶ遅筆作家でして。
「十二国記」の第一巻である「月の海、影の月」が講談社X文庫ホワイトハートから発売されたのが1992年。「大空祐飛」さんと同い年のシリーズなんですよね。
その後、外伝を含めて(というか、どれが本篇でどれが外伝なのかよくわからない)長編5篇、短編集1冊が出て……そのまま、10年間という時間を深い眠りの中で過ごしたものがたり。
小野不由美。
文章による表現力というか、イメージ喚起力の非常に高い人で、幻想的な設定をリアルにイメージさせるすべにたけた作家。ご本人は自分のホームポジションは『ホラー』だと考えていらっしゃるようですが、その卓越した文章力を一番発揮できるのは、こういうファンタジー作品だと思うんですよね。
リアルな現実とも、リアルなSF的未来世界とも違う、完全な別世界を構築し、そこに住まう人々をイメージしきれる創造力と、それを他人(読者)の脳みそでも的確に映像としてイメージできるまでに表現しきれる、稀有な人。
でも、稀有なだけに、その世界構築と文章化には死ぬほど時間がかかるんでしょうね(T T)。
その辺は理解できるつもりなのですが……それでも、10年は長かった……!!
いったい全体何があったのかはわかりませんが、新潮社にうつったら、バリバリ書いてくれるのかなあ?
「十二国記」と表裏一体の関係にある「魔性の子」(91年)や、「東京異聞」「屍鬼」などの作品はもともと新潮社から発行されているので、もともと付き合いはあるんでしょうし、
正直、ファンとしては、出版社なんてどこでもいいから書いて!!(涙)という感じなのですけどね……。
まあ、なにはともあれ。
ここ数年は、講談社の別の文庫で展開されていた「ゴーストハント」シリーズのリライトにかかりきりだったようですが、それも一段落したので、ぜひともがんばっていただきたいな、と、心から思います。
私が生きている間に、ちゃんと完結しますように!(真顔)
【7月1日まで、あと88日】
かなり本気でエイプリルフールなんじゃないかと思っていたのですが、3日過ぎて削除されないところをみると事実みたいなので、喜びを表明させていただきます♪
いままで講談社から出版されていた小野不由美さんの「十二国記」シリーズが、新潮社で新装開店……じゃない、とにかくリニューアル発行されるそうです!
http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/
この人は、私の中では田中芳樹と並ぶ遅筆作家でして。
「十二国記」の第一巻である「月の海、影の月」が講談社X文庫ホワイトハートから発売されたのが1992年。「大空祐飛」さんと同い年のシリーズなんですよね。
その後、外伝を含めて(というか、どれが本篇でどれが外伝なのかよくわからない)長編5篇、短編集1冊が出て……そのまま、10年間という時間を深い眠りの中で過ごしたものがたり。
小野不由美。
文章による表現力というか、イメージ喚起力の非常に高い人で、幻想的な設定をリアルにイメージさせるすべにたけた作家。ご本人は自分のホームポジションは『ホラー』だと考えていらっしゃるようですが、その卓越した文章力を一番発揮できるのは、こういうファンタジー作品だと思うんですよね。
リアルな現実とも、リアルなSF的未来世界とも違う、完全な別世界を構築し、そこに住まう人々をイメージしきれる創造力と、それを他人(読者)の脳みそでも的確に映像としてイメージできるまでに表現しきれる、稀有な人。
でも、稀有なだけに、その世界構築と文章化には死ぬほど時間がかかるんでしょうね(T T)。
その辺は理解できるつもりなのですが……それでも、10年は長かった……!!
いったい全体何があったのかはわかりませんが、新潮社にうつったら、バリバリ書いてくれるのかなあ?
「十二国記」と表裏一体の関係にある「魔性の子」(91年)や、「東京異聞」「屍鬼」などの作品はもともと新潮社から発行されているので、もともと付き合いはあるんでしょうし、
正直、ファンとしては、出版社なんてどこでもいいから書いて!!(涙)という感じなのですけどね……。
まあ、なにはともあれ。
ここ数年は、講談社の別の文庫で展開されていた「ゴーストハント」シリーズのリライトにかかりきりだったようですが、それも一段落したので、ぜひともがんばっていただきたいな、と、心から思います。
私が生きている間に、ちゃんと完結しますように!(真顔)
【7月1日まで、あと88日】
諸葛孔明 時の地平線 1〔文庫〕 (小学館文庫 すA 6)
2011年8月11日 読書
宙組公演千秋楽が終わって、あっ!というまに木曜日が終わってしまいました。
もういくつ寝ると「ヴァレンチノ」(はぁと)。だけど、その前に仕事が終わらないと休めないーーー(←涙も出ません)。
そんな悲惨な状況ですが、最後に一つだけ、私が大石静さんの「美しき生涯」を観ながら心の片隅で思いだしていた、諏訪緑の「時の地平線」をご紹介(^ ^)したいと思います。
三国志時代の蜀の知将、諸葛孔明を主人公にした作品。
普通に歴史漫画としても非常に面白い作品なんですが、大石さんが語ろうとした「三成」の、作品中ではまったく説明されていない部分を補完するイマジネーションを与えてくれた作品でした。
……たぶん、この作品とあの舞台を観て、そんな連想をするのは私だけなんだろうけど(^ ^;
漢王朝末期。黄巾の乱で焼け出され、弟妹と共に各地を放浪する少年、諸葛亮(孔明)。
彼と、その乱を鎮めて泰平の世を取り戻そうと闘っていた軍人・曹操との出会いが、歴史を動かすエネルギーを解放する……というエピソードから始まる物語。
戦乱のために荒れすさんだ世界に翻弄され、そんな世界を憎むしかない少年・孔明。
頭が良くて視野が広く、戦略思考に長けた彼は、ひたすらに「戦い」を憎み、農業の発展に身を捧げようとする。「食べる」ことで人々を幸せにするために。
けれども。「時代」は彼を放ってはおかなかった……。
こうしてストーリーを思い返してみると、三成と孔明、全く共通点がないんだなあ(@ @)。
三成は曲りなりにも「土豪の息子」で、焼け出されたわけでも農業を学ぼうとしたわけでもない。主君の妻を愛してしまうわけでもないし、主君に扇子でいじめられたりもしない(←そこ?)
とにかく、舞台から見えるところにいる時の三成と、「時の地平線」の孔明は、ぜんぜん似ていない…んだな、と思うんですよね。
たとえば、彼の「第一になすべきこと」は「民に平穏をもたらすこと」であって、主君である劉備への忠義は、それを実現するための道具なんですよね。もちろん、劉備自身が非凡な道具、、、いえ、非凡な主君であって、孔明の性急さを常に押しとどめ、「『平穏』を一気呵成につくることはできない」と教えさとしてくれたりするんですが、、、まあ、そんなところも全然違う。
じゃあ、どこでこの作品を連想したのか?というと……
結局は、全く語られることのない三成のシチュエーションに似た設定があるから……なんですよね。
たとえば、何故に三成がそんなにも(茶々を犠牲にしてまで)「民の平穏」を望むのか、という問いかけのヒントになったりとか。
あるいは、朝鮮出兵に対する「軍縮」という論点が最終巻のテーマだったりするし。
孔明が南方を旅する話とか、結構荒唐無稽な話がまざっていたりはするのですが、全体的に、かなり政治色と友情色の強い、「仲間たち」の物語。
三成との関係は、たぶん全然感じないのが普通だと思いますが(滝汗)、作品としても普通以上に面白いので、もし機会があればぜひ眺めてみてください♪
実はこの作品、以前から祐飛さん主演で舞台化されないかな~と思っていた作品の一つでした。役が多くていろんなエピソードがてんこもりにあるので、舞台化したら面白いと思うんですよ。
まあ、大河ドラマなのでどこを切り取るかで出てくるキャラクターも変わってくるし、なにより恋愛要素が薄いので宝塚で取り上げるのは難しいんですけどね。
でもまあ、祐飛さんの孔明には逢えなかったけど、三成には会えたから、良いかな(^ ^)。
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もういくつ寝ると「ヴァレンチノ」(はぁと)。だけど、その前に仕事が終わらないと休めないーーー(←涙も出ません)。
そんな悲惨な状況ですが、最後に一つだけ、私が大石静さんの「美しき生涯」を観ながら心の片隅で思いだしていた、諏訪緑の「時の地平線」をご紹介(^ ^)したいと思います。
三国志時代の蜀の知将、諸葛孔明を主人公にした作品。
普通に歴史漫画としても非常に面白い作品なんですが、大石さんが語ろうとした「三成」の、作品中ではまったく説明されていない部分を補完するイマジネーションを与えてくれた作品でした。
……たぶん、この作品とあの舞台を観て、そんな連想をするのは私だけなんだろうけど(^ ^;
漢王朝末期。黄巾の乱で焼け出され、弟妹と共に各地を放浪する少年、諸葛亮(孔明)。
彼と、その乱を鎮めて泰平の世を取り戻そうと闘っていた軍人・曹操との出会いが、歴史を動かすエネルギーを解放する……というエピソードから始まる物語。
戦乱のために荒れすさんだ世界に翻弄され、そんな世界を憎むしかない少年・孔明。
頭が良くて視野が広く、戦略思考に長けた彼は、ひたすらに「戦い」を憎み、農業の発展に身を捧げようとする。「食べる」ことで人々を幸せにするために。
けれども。「時代」は彼を放ってはおかなかった……。
こうしてストーリーを思い返してみると、三成と孔明、全く共通点がないんだなあ(@ @)。
三成は曲りなりにも「土豪の息子」で、焼け出されたわけでも農業を学ぼうとしたわけでもない。主君の妻を愛してしまうわけでもないし、主君に扇子でいじめられたりもしない(←そこ?)
とにかく、舞台から見えるところにいる時の三成と、「時の地平線」の孔明は、ぜんぜん似ていない…んだな、と思うんですよね。
たとえば、彼の「第一になすべきこと」は「民に平穏をもたらすこと」であって、主君である劉備への忠義は、それを実現するための道具なんですよね。もちろん、劉備自身が非凡な道具、、、いえ、非凡な主君であって、孔明の性急さを常に押しとどめ、「『平穏』を一気呵成につくることはできない」と教えさとしてくれたりするんですが、、、まあ、そんなところも全然違う。
じゃあ、どこでこの作品を連想したのか?というと……
結局は、全く語られることのない三成のシチュエーションに似た設定があるから……なんですよね。
たとえば、何故に三成がそんなにも(茶々を犠牲にしてまで)「民の平穏」を望むのか、という問いかけのヒントになったりとか。
あるいは、朝鮮出兵に対する「軍縮」という論点が最終巻のテーマだったりするし。
孔明が南方を旅する話とか、結構荒唐無稽な話がまざっていたりはするのですが、全体的に、かなり政治色と友情色の強い、「仲間たち」の物語。
三成との関係は、たぶん全然感じないのが普通だと思いますが(滝汗)、作品としても普通以上に面白いので、もし機会があればぜひ眺めてみてください♪
実はこの作品、以前から祐飛さん主演で舞台化されないかな~と思っていた作品の一つでした。役が多くていろんなエピソードがてんこもりにあるので、舞台化したら面白いと思うんですよ。
まあ、大河ドラマなのでどこを切り取るかで出てくるキャラクターも変わってくるし、なにより恋愛要素が薄いので宝塚で取り上げるのは難しいんですけどね。
でもまあ、祐飛さんの孔明には逢えなかったけど、三成には会えたから、良いかな(^ ^)。
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ザ・タカラヅカⅤ 宙組特集 (タカラヅカMOOK)
2011年7月22日 読書 コメント (2)
台風の名残か、涼しい夕方。
キャトルレーヴで、「ザ・タカラヅカV 宙組特集」を購入してまいりました。
「IV」の時に、組替えの狭間でどの組にも載れなかった祐飛さんとすみ花ちゃん。
そんな二人が「V」の表紙を飾っていることに、大きな安堵を感じずにはいられません。
そして、表紙を開いて目次をめくると、いきなり衝撃の(*^ ^*)黒燕尾軍団!!
いやーーー、イケメン軍団とはこのことか、と♪
中のページもトークもどれも面白かったですが、やっぱり血液型グループショットが秀逸でしたね。
……大空さんを真剣に探してしまいました。ちゃんと見つけたけど、2度見……いや、3度は見なおした、かな(- -;ゞ
トークの組み合わせはくじ引きで決めたらしいのですが、祐飛さん・みっちゃん・カチャという元月組メンバーが集まったのが、偶然とはいえ面白いなと思いました。
次のチームはテルくん・すみ花ちゃん・れーれ、りく。
その次は、ともちん・かいちゃん・せーこ・愛ちゃん、でした。
宙組の大きいもの。身長、ココロ、胃袋、声、主演の肩幅、チームワーク、笑いへの探求心、目標、宙組愛、根性。
そんなコメントを残す祐飛さんが大好きです。
っていうか、「マイブーム=オールバック」って、何……(^ ^;ゞ
……とにかく買って損はないです(^ ^)。お勧め!!
ああ、楽しい本になって良かったなー♪
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キャトルレーヴで、「ザ・タカラヅカV 宙組特集」を購入してまいりました。
「IV」の時に、組替えの狭間でどの組にも載れなかった祐飛さんとすみ花ちゃん。
そんな二人が「V」の表紙を飾っていることに、大きな安堵を感じずにはいられません。
そして、表紙を開いて目次をめくると、いきなり衝撃の(*^ ^*)黒燕尾軍団!!
いやーーー、イケメン軍団とはこのことか、と♪
中のページもトークもどれも面白かったですが、やっぱり血液型グループショットが秀逸でしたね。
……大空さんを真剣に探してしまいました。ちゃんと見つけたけど、2度見……いや、3度は見なおした、かな(- -;ゞ
トークの組み合わせはくじ引きで決めたらしいのですが、祐飛さん・みっちゃん・カチャという元月組メンバーが集まったのが、偶然とはいえ面白いなと思いました。
次のチームはテルくん・すみ花ちゃん・れーれ、りく。
その次は、ともちん・かいちゃん・せーこ・愛ちゃん、でした。
宙組の大きいもの。身長、ココロ、胃袋、声、主演の肩幅、チームワーク、笑いへの探求心、目標、宙組愛、根性。
そんなコメントを残す祐飛さんが大好きです。
っていうか、「マイブーム=オールバック」って、何……(^ ^;ゞ
……とにかく買って損はないです(^ ^)。お勧め!!
ああ、楽しい本になって良かったなー♪
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関ヶ原 (新潮文庫)
2011年6月23日 読書 コメント (2)
司馬遼太郎氏の「関ヶ原」を読んでいます。
宝塚とはまったく無関係な「石田三成ファン」の歴女に勧められて読み始めたのですが、これは面白い!!です(^ ^)。
それなりに歴史好きの一人として司馬遼太郎の本は結構読んでいたつもりだったのですが、これは完全に抜けていました。理由は明らかで、家の本棚に無かったからなんですが……どうやら、母がこの本が好きすぎて、自分の部屋の大事な本を置いておく所にずっと隠していたらしい(汗)。そんな理由(^ ^;
素直に、名作だと思います。
「美しき生涯」を観劇する前に読むかどうかはちょっと意見の分かれるところだと思いますが、純粋に作品として面白い本だと思います。司馬遼太郎の抜群の文章力で、安土・桃山時代の後半という過渡期に引き込まれます。お勧め。
文庫で上中下の3巻になる長編ですが、みなさまもぜひどうぞ(^ ^)。
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宝塚とはまったく無関係な「石田三成ファン」の歴女に勧められて読み始めたのですが、これは面白い!!です(^ ^)。
それなりに歴史好きの一人として司馬遼太郎の本は結構読んでいたつもりだったのですが、これは完全に抜けていました。理由は明らかで、家の本棚に無かったからなんですが……どうやら、母がこの本が好きすぎて、自分の部屋の大事な本を置いておく所にずっと隠していたらしい(汗)。そんな理由(^ ^;
素直に、名作だと思います。
「美しき生涯」を観劇する前に読むかどうかはちょっと意見の分かれるところだと思いますが、純粋に作品として面白い本だと思います。司馬遼太郎の抜群の文章力で、安土・桃山時代の後半という過渡期に引き込まれます。お勧め。
文庫で上中下の3巻になる長編ですが、みなさまもぜひどうぞ(^ ^)。
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「ゴーストハント(悪霊シリーズ)」復刊!
2010年10月15日 読書「復刊ドットコム」さんより、小野不由美さんの「悪霊シリーズ」が、リライトのうえ復刊されるというニュースがありました。
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=33948
ご存じの方がいらっしゃるかわかりませんが(^ ^)、作家の小野不由美さんが、1989年~92年にかけて講談社X文庫 ティーンズハートで書いていた「悪霊シリーズ」というシリーズがありました。
いちおう7話8巻で完結し、そのあと新シリーズとして同じキャラクターが活躍する「ゴーストハント」シリーズを、ティーンズではなくホワイトハートで書き始めたのですが、1話2巻が出たのみで中断。ご本人が「もう書かない」と宣言されて、ファンが涙にくれていたシリーズでした。
学校で起きる超自然的(?)な事件を解決するために呼ばれた「拝み屋」の一人が、「ゴーストハント」を名乗る超美形の17歳男子で、、、というところから始まる物語なんですが、主人公の少女(現場となった学校の生徒)をはじめ、登場人物のキャラクターがとにかく魅力的で、こういうミステリー要素の強いホラー作品にありがちな類型的でつまらない悪役も出てこない、リアルなストーリー展開も秀逸で、すごく面白かったんですよね。
ただ、書いていた文庫がティーンズハートだったので、内容も書きっぷりも「ティーンズ向け」をものすごく意識して、かなりがんばって書いていたんだろうなあ、という感じはひしひしと伝わってきたような(^ ^)
ホワイトハートで「ゴーストハント」を書いていた頃に、ティーンズハートのシリーズについても「いずれリライトしてホワイトハートに入れたい」というようなことを仰っていたので、楽しみにしていたのですが、中断してしまってそれもなくなったのか、、、(涙)と思っていたのですが。
まさか、リライトして復刊するとは!!
あれを全巻リライトしていたんなら、十二国記の新刊が出なくても仕方ないかな……(涙目)。
小野さんは大分県出身。ホラーやファンタジーを得意とする作家で、代表作は「十二国記」と「屍鬼」……ってことになるのかな?「悪霊シリーズ」は「十二国記」を書く前に書いていたシリーズなので、若干若書きというか、ちょっと他の作品とは文体が違います(上でも書いたとおり、ティーンズ向けを意識しすぎたせいもあると思う)が、緻密な設定・リズムのある読みやすい文章・想像が広がる表現力・骨太な構成力など、基本的な方向性は同じで、一言で特徴を言うなら「緻密」なタイプ。
ただ、文章も構成も緻密にやりすぎて、「十二国記」なんて、本編はもう7,8年停まったまま(T T)ときどき思い出したように短編が発表されるくらいで、いったいどうするつもりなんだろう……と不安が募っていたのですが(^ ^;ゞ
……あれこれいろんなシリーズをあちこちに書き散らかして、全部未完になりそうな田中芳樹さんよりはマシかしらね。
今回の復刊シリーズも、これから約一年をかけて隔月で刊行していくそうなので、しばらくはお忙しいのかしら。復刊はとてもうれしいけど、新刊も待っているんだけどなあ(^ ^;ゞ。
ま、せっかくなので「悪霊」シリーズの妄想配役だけ書いておきます。まったくもってイミフかもしれませんが、まあ、いなだ詩穂さんがなかよしで連載していたので、KCNコミックを探して眺めてみてくださいな(^ ^)。
ナル 大空祐飛
麻衣 野々すみ花
ぼーさん 蘭寿とむ または 悠未ひろ
リン 蓮水ゆうや
ジョン 凪七瑠海 または 月映樹茉 または……あっきー(澄輝さやと)かな?
安原さん 七海ひろき
綾子 純矢ちとせ
真砂子 藤咲えり
ここに書いていない人は、依頼者側(話はオリジナルになると思うので考えてません)か、裏でバウ公演にでも出てるだろう、って感じで。←
ちなみに、この配役の個人的な目玉は、安原さん=カイちゃん、です(^ ^)。
本つながりで。
こないだ、角川春樹事務所のハルキ文庫から「佐藤さとる童話集」が出ていたので、買ってしまいました。(2010年7月刊行の分)
中身をよく見なかったのですが、家に帰って読んでみたら、全部持ってる本に入ってた(^ ^)。
でも、久しぶりに読む作品ばかりで、なんだかすごく懐かしかったです。挿絵は近江カズヒロさん。村上勉さんじゃない挿絵で佐藤作品を読むのがたぶん初めてなので、なんか違和感がありました(^ ^)。
佐藤さとるといえば代表作は「誰も知らない小さな国」なんでしょうか。私は「わんぱく天国」と「ジュンの秘密のともだち」が好きだったなあ……。いや、もちろん「誰も知らない小さな国」で始まるコロボックルシリーズも大好きなんですけどね。
童話なんだけど、日常性と非日常の両方をまたぐリアルさが好き。戦争に関する記述のさりげなさは秀逸だと思うし、子供の目線の鮮やかさがいいなあ、と思う。
久しぶりに他の作品も読みたくなってきました(^ ^)。
あああ。
佐藤さんはもうだいぶお年だろうから仕方ないにしても、どーして私の好きな作家は軒並み遅筆なんだ(凹)ぶつぶつ……
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http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=33948
ご存じの方がいらっしゃるかわかりませんが(^ ^)、作家の小野不由美さんが、1989年~92年にかけて講談社X文庫 ティーンズハートで書いていた「悪霊シリーズ」というシリーズがありました。
いちおう7話8巻で完結し、そのあと新シリーズとして同じキャラクターが活躍する「ゴーストハント」シリーズを、ティーンズではなくホワイトハートで書き始めたのですが、1話2巻が出たのみで中断。ご本人が「もう書かない」と宣言されて、ファンが涙にくれていたシリーズでした。
学校で起きる超自然的(?)な事件を解決するために呼ばれた「拝み屋」の一人が、「ゴーストハント」を名乗る超美形の17歳男子で、、、というところから始まる物語なんですが、主人公の少女(現場となった学校の生徒)をはじめ、登場人物のキャラクターがとにかく魅力的で、こういうミステリー要素の強いホラー作品にありがちな類型的でつまらない悪役も出てこない、リアルなストーリー展開も秀逸で、すごく面白かったんですよね。
ただ、書いていた文庫がティーンズハートだったので、内容も書きっぷりも「ティーンズ向け」をものすごく意識して、かなりがんばって書いていたんだろうなあ、という感じはひしひしと伝わってきたような(^ ^)
ホワイトハートで「ゴーストハント」を書いていた頃に、ティーンズハートのシリーズについても「いずれリライトしてホワイトハートに入れたい」というようなことを仰っていたので、楽しみにしていたのですが、中断してしまってそれもなくなったのか、、、(涙)と思っていたのですが。
まさか、リライトして復刊するとは!!
あれを全巻リライトしていたんなら、十二国記の新刊が出なくても仕方ないかな……(涙目)。
小野さんは大分県出身。ホラーやファンタジーを得意とする作家で、代表作は「十二国記」と「屍鬼」……ってことになるのかな?「悪霊シリーズ」は「十二国記」を書く前に書いていたシリーズなので、若干若書きというか、ちょっと他の作品とは文体が違います(上でも書いたとおり、ティーンズ向けを意識しすぎたせいもあると思う)が、緻密な設定・リズムのある読みやすい文章・想像が広がる表現力・骨太な構成力など、基本的な方向性は同じで、一言で特徴を言うなら「緻密」なタイプ。
ただ、文章も構成も緻密にやりすぎて、「十二国記」なんて、本編はもう7,8年停まったまま(T T)ときどき思い出したように短編が発表されるくらいで、いったいどうするつもりなんだろう……と不安が募っていたのですが(^ ^;ゞ
……あれこれいろんなシリーズをあちこちに書き散らかして、全部未完になりそうな田中芳樹さんよりはマシかしらね。
今回の復刊シリーズも、これから約一年をかけて隔月で刊行していくそうなので、しばらくはお忙しいのかしら。復刊はとてもうれしいけど、新刊も待っているんだけどなあ(^ ^;ゞ。
ま、せっかくなので「悪霊」シリーズの妄想配役だけ書いておきます。まったくもってイミフかもしれませんが、まあ、いなだ詩穂さんがなかよしで連載していたので、KCNコミックを探して眺めてみてくださいな(^ ^)。
ナル 大空祐飛
麻衣 野々すみ花
ぼーさん 蘭寿とむ または 悠未ひろ
リン 蓮水ゆうや
ジョン 凪七瑠海 または 月映樹茉 または……あっきー(澄輝さやと)かな?
安原さん 七海ひろき
綾子 純矢ちとせ
真砂子 藤咲えり
ここに書いていない人は、依頼者側(話はオリジナルになると思うので考えてません)か、裏でバウ公演にでも出てるだろう、って感じで。←
ちなみに、この配役の個人的な目玉は、安原さん=カイちゃん、です(^ ^)。
本つながりで。
こないだ、角川春樹事務所のハルキ文庫から「佐藤さとる童話集」が出ていたので、買ってしまいました。(2010年7月刊行の分)
中身をよく見なかったのですが、家に帰って読んでみたら、全部持ってる本に入ってた(^ ^)。
でも、久しぶりに読む作品ばかりで、なんだかすごく懐かしかったです。挿絵は近江カズヒロさん。村上勉さんじゃない挿絵で佐藤作品を読むのがたぶん初めてなので、なんか違和感がありました(^ ^)。
佐藤さとるといえば代表作は「誰も知らない小さな国」なんでしょうか。私は「わんぱく天国」と「ジュンの秘密のともだち」が好きだったなあ……。いや、もちろん「誰も知らない小さな国」で始まるコロボックルシリーズも大好きなんですけどね。
童話なんだけど、日常性と非日常の両方をまたぐリアルさが好き。戦争に関する記述のさりげなさは秀逸だと思うし、子供の目線の鮮やかさがいいなあ、と思う。
久しぶりに他の作品も読みたくなってきました(^ ^)。
あああ。
佐藤さんはもうだいぶお年だろうから仕方ないにしても、どーして私の好きな作家は軒並み遅筆なんだ(凹)ぶつぶつ……
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今日、たまたま本屋に寄ったら、波津彬子さん著「幻想綺帖」第一巻が出ていたので、買ってみました。
いや、波津さんは以前から好きなんですが、なぜここであえて取り上げたかというと。
この本の帯に、来年2月の朝海ひかるさん主演「MATERIAL」(荻田浩一演出)の原作が波津さんの「雨柳堂夢咄」だと書いてあったからなんです。
……すみません、情報に疎くて。
朝海さんが荻田さん演出のダンスアクトに主演されることは勿論存じ上げていたんですが、「雨柳堂」とは全く結びついていなかったので、もの凄く吃驚いたしまして。
「雨柳堂夢咄」、私は連載第三回目くらいからの熱烈なファンなんです(汗)。まさか、あんなマイナーな(今にも消滅しそうな途切れがちの出版状況だった)作品を舞台化しようなんて猛者がいたとは……
いや、というか、やっぱり荻田さんはどっか私と趣味が近いところがあるんじゃないか、と(汗)(荻田さんの信者の方、本当にすみません)。「雨柳堂」といい、「蜘蛛女のキス」といい、なんだかすごいなーと思ってしまいます。「蜘蛛女のキス」も、「日本最終公演」とまで銘打たれてたのに再演しちゃったんだもんなあ。凄いよなー、とゆー感想しかでないんですが。
ここまできたら、いっそのこと○○も○○も……と思ってしまう今日この頃(^ ^;ゞ
「蜘蛛女のキス」といえば……来年の再演の蜘蛛女は、金さんなんですよね。コムさんも良かったけど、また違う「蜘蛛女のキス」が観れるのがとても楽しみです♪
「雨柳堂夢咄」は、“この世のものならぬモノを見、声を聞く”不思議な少年・蓮を主人公に、彼の祖父が営む骨董店「雨柳堂」を舞台にした連作短編集で、単行本にして12巻まで出ています。朝日ソノラマの美麗な大型本と、最近文庫にもなって、もう全巻文庫化したのかな?
ここ数年(?)雑誌「ネムキ」の連載も止まっていたのですが、ここに来て再開したのは舞台化の恩恵もあるのでしょうか?だとしたら、荻田さんと朝海さんには心から感謝!ですね。早く新刊が出ますように♪
「雨柳堂」には視覚的に美しい物語がたくさんあるので、うまく舞台化してほしいなあと思います。
……でも、梅田芸術劇場のコムさんの写真は、蓮ファンとしてはちょっと受け入れがたい(T T)。それとも、コムさんは蓮じゃないのでしょうか…?
蓮は、神ではなく、魔性の生き物でもなく、でも、ただの“ちょっと不思議な能力を持つ少年”というわけでもない、曖昧で運命的な存在。「銀の三角」のラグトーリンの同類でありながら、普段は、ごく生真面目で祖父思いの好青年、ってところがツボなんだけどなあ……。
基本的に、どの物語も主人公は別にいて、蓮自身はただの狂言回しなんですが……あれを舞台化するとしたら、オムニバスにいろんな咄をつないで、朝海さんだけが通し役で蓮として踊る……みたいな感じになるんでしょうか。お芝居ではなく“ダンスアクト”だから、ラストに脚本的な結論がなくても問題ないでしょうし。
まぁ、でも、舞台とは関係なくても、幻想小説やファンタジーがお好きな方なら波津作品は絶対気に入ると思いますので(^ ^)。ぜひ機会がありましたらご一読くださいませ。
ちなみに、波津さんの作品で「雨柳堂」以外の私のお勧めは、プチフラワーの「異国の花守」シリーズと「パーフェクト・ジェントルマン」、女性の情念を描いた「水に棲む鬼」…あたりでしょうか。まぁ、基本的にどれも好きなんですが(^ ^)。
ここまで既刊について書いておいて、なんだか今更ですが……
今回の新刊「幻想綺帖」は、中国の奇談や泉鏡花・芥川龍之介らが書いた幻想的な短編を漫画化したものを集めた短編集。有名どころでは「山月記」や鏡花の「化鳥」が入っています。あと、個人的には、いかにも波津さんらしい展開の「藤の杜のおぢい」や、芥川原作の「夜半の膳」のトボけた後味、ミャンマー生まれの英国作家・サキの「開いた窓」のシンプルなオチの見事さ、などが面白かったです。サキの作品は、たぶん原作も面白いんでしょうけれども、絵で見てこその怖さ・面白さもあるので、他の作品も漫画化してほしいなあと思ったり(^ ^)。
テーマがあるような無いような、ちょっとオムニバスな感じの短編集ですが、そのごった煮感も波津さんらしいといえば波津さんらしい感じ。ただ、いつもだと単行本にはあとがきの替わりに「日々平安 波頭濤子先生の日常」という日常漫画がついていて、これが非常に面白いのですが、今回は作品が難しいせいか、作品解説に終始した普通の“あとがき”だったのがちょっと残念(涙)。
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いや、波津さんは以前から好きなんですが、なぜここであえて取り上げたかというと。
この本の帯に、来年2月の朝海ひかるさん主演「MATERIAL」(荻田浩一演出)の原作が波津さんの「雨柳堂夢咄」だと書いてあったからなんです。
……すみません、情報に疎くて。
朝海さんが荻田さん演出のダンスアクトに主演されることは勿論存じ上げていたんですが、「雨柳堂」とは全く結びついていなかったので、もの凄く吃驚いたしまして。
「雨柳堂夢咄」、私は連載第三回目くらいからの熱烈なファンなんです(汗)。まさか、あんなマイナーな(今にも消滅しそうな途切れがちの出版状況だった)作品を舞台化しようなんて猛者がいたとは……
いや、というか、やっぱり荻田さんはどっか私と趣味が近いところがあるんじゃないか、と(汗)(荻田さんの信者の方、本当にすみません)。「雨柳堂」といい、「蜘蛛女のキス」といい、なんだかすごいなーと思ってしまいます。「蜘蛛女のキス」も、「日本最終公演」とまで銘打たれてたのに再演しちゃったんだもんなあ。凄いよなー、とゆー感想しかでないんですが。
ここまできたら、いっそのこと○○も○○も……と思ってしまう今日この頃(^ ^;ゞ
「蜘蛛女のキス」といえば……来年の再演の蜘蛛女は、金さんなんですよね。コムさんも良かったけど、また違う「蜘蛛女のキス」が観れるのがとても楽しみです♪
「雨柳堂夢咄」は、“この世のものならぬモノを見、声を聞く”不思議な少年・蓮を主人公に、彼の祖父が営む骨董店「雨柳堂」を舞台にした連作短編集で、単行本にして12巻まで出ています。朝日ソノラマの美麗な大型本と、最近文庫にもなって、もう全巻文庫化したのかな?
ここ数年(?)雑誌「ネムキ」の連載も止まっていたのですが、ここに来て再開したのは舞台化の恩恵もあるのでしょうか?だとしたら、荻田さんと朝海さんには心から感謝!ですね。早く新刊が出ますように♪
「雨柳堂」には視覚的に美しい物語がたくさんあるので、うまく舞台化してほしいなあと思います。
……でも、梅田芸術劇場のコムさんの写真は、蓮ファンとしてはちょっと受け入れがたい(T T)。それとも、コムさんは蓮じゃないのでしょうか…?
蓮は、神ではなく、魔性の生き物でもなく、でも、ただの“ちょっと不思議な能力を持つ少年”というわけでもない、曖昧で運命的な存在。「銀の三角」のラグトーリンの同類でありながら、普段は、ごく生真面目で祖父思いの好青年、ってところがツボなんだけどなあ……。
基本的に、どの物語も主人公は別にいて、蓮自身はただの狂言回しなんですが……あれを舞台化するとしたら、オムニバスにいろんな咄をつないで、朝海さんだけが通し役で蓮として踊る……みたいな感じになるんでしょうか。お芝居ではなく“ダンスアクト”だから、ラストに脚本的な結論がなくても問題ないでしょうし。
まぁ、でも、舞台とは関係なくても、幻想小説やファンタジーがお好きな方なら波津作品は絶対気に入ると思いますので(^ ^)。ぜひ機会がありましたらご一読くださいませ。
ちなみに、波津さんの作品で「雨柳堂」以外の私のお勧めは、プチフラワーの「異国の花守」シリーズと「パーフェクト・ジェントルマン」、女性の情念を描いた「水に棲む鬼」…あたりでしょうか。まぁ、基本的にどれも好きなんですが(^ ^)。
ここまで既刊について書いておいて、なんだか今更ですが……
今回の新刊「幻想綺帖」は、中国の奇談や泉鏡花・芥川龍之介らが書いた幻想的な短編を漫画化したものを集めた短編集。有名どころでは「山月記」や鏡花の「化鳥」が入っています。あと、個人的には、いかにも波津さんらしい展開の「藤の杜のおぢい」や、芥川原作の「夜半の膳」のトボけた後味、ミャンマー生まれの英国作家・サキの「開いた窓」のシンプルなオチの見事さ、などが面白かったです。サキの作品は、たぶん原作も面白いんでしょうけれども、絵で見てこその怖さ・面白さもあるので、他の作品も漫画化してほしいなあと思ったり(^ ^)。
テーマがあるような無いような、ちょっとオムニバスな感じの短編集ですが、そのごった煮感も波津さんらしいといえば波津さんらしい感じ。ただ、いつもだと単行本にはあとがきの替わりに「日々平安 波頭濤子先生の日常」という日常漫画がついていて、これが非常に面白いのですが、今回は作品が難しいせいか、作品解説に終始した普通の“あとがき”だったのがちょっと残念(涙)。
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コバルト文庫「帝冠の恋」(須賀しのぶ著)
…diarynoteには、本にレビューをつける機能もあるらしいのですが、なぜか機能していないらしい……。なんだかなあ、もう。
えーっと。愚痴はおいといて。
この作品は、ミュージカル「エリザベート」の影の主役・ゾフィー大公妃の、若き日の恋物語を描いた作品です。
舞台は19世紀、ウィーン。
ハプスブルク家に嫁いだ美しく聡明なバイエルンの王女ゾフィーと、ナポレオンの血をひく美青年フランツとの禁断の恋模様。
著者は須賀しのぶ。コバルト文庫の「キル・ゾーン」シリーズが好きでずっと読んでいたのですが、これはちょっと毛色が変わっていて、「こんなものも書くのかー!」と感心した作品。
発売されたのは2008年の4月。私が買ったのは、たぶん夏ごろ…だと思うのですが。
読み終わってからほどなくして月組「エリザベート」の発表があったので、「エリザベート」のゾフィー役の配役が発表されたら書こう!」と楽しみに取っておいたネタでした(^ ^)。
……まさか、あいあい(城咲あい)のゾフィーが観られるとは、露ほども思っていなかったのですが!
話としても大変面白い作品ですが、この美しく聡明でやんちゃなゾフィーが、長じてあのゾフィー大公妃になるのか、と思いながら読むと、余計楽しいです。
そして。クンツェ&リーヴァイが残酷なまでにリアルに描いた、人生の終わりに近づきつつある厳格なゾフィー大公妃を観ながら、彼女の若かりし日々を思い描くであろう自分が、その時にいったい何を思うのか、興味津々です。
全てを賭けてフランツ青年を愛し、求めたバイエルンの王女ゾフィー。
バイエルン王家の血を色濃く継いだ、早熟の天才であったゾフィー。
一皮剥いてしまえば、ゾフィーもエリザベートも、結局のところは“バイエルンの天使”たち。案外と近しい生き物だったんでしょうね。
ハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフとは、別種の生き物。近くに寄り添っているようで、まるっきり重なり合うところのない親子。
ただ、ゾフィーは恋よりも国を選んだ「王者」の血筋であり、シシィは最後まで「国」を理解できなかった「子供(瀬奈)」または「天使(白羽)」だった、という違いはありましたけれども。
…あ、いえ、あいあいやカチャ(凪七瑠海)がどういう役作りをするかわからないので、そのあたりの解釈も違うかもしれませんね。お二人の解釈がどんな方向に落ちるのか、幕が開くのを楽しみに待っています(^ ^)。
…個人的には、バウあたりで上演しても面白いんじゃないか、と思ったりするんですけどね。
具体的にキャストとかを考えているわけではありませんが。っていうか、主役のフランツがちょっとヘタレなので、脚色が難しそうですけれども。(ゾフィーの方が何倍も格好良い)
「エリザベート」の番外編、ってことで、小池さんが創ってくれたらいいのになー。…無理か(^ ^;。
「帝冠の恋」は、ミュージカル「エリザベート」とは全く関係のないところで、ひとつの歴史小説として普通に読んでも面白いと思います。
私が須賀作品を好きなのは、リズムのある読みやすくて明朗な文体とか、事物の描写のわかりやすい的確さとか、キャラクターの個性が豊かで意外性に富んでいるところとか、ストーリーの突拍子のない面白さとか……いろいろあるのですが。
この作品は彼女の良いところが前面に出つつ、キャラクターにはきちんと時代性に合わせた思考をさせていて、安心して読めたと思います。扱う時代も興味深いし、せっかく文章力・構成力のある人なので、もっと歴史物を書いてほしいなあ、と思ったりします(^ ^)。
……とりあえず、あいちゃんのゾフィーを観る前に、ゾフィーという一人の女傑の、ミュージカルでは語られていない一面を知るともっと面白いかもね、ということでご紹介させていただきました☆
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…diarynoteには、本にレビューをつける機能もあるらしいのですが、なぜか機能していないらしい……。なんだかなあ、もう。
えーっと。愚痴はおいといて。
この作品は、ミュージカル「エリザベート」の影の主役・ゾフィー大公妃の、若き日の恋物語を描いた作品です。
舞台は19世紀、ウィーン。
ハプスブルク家に嫁いだ美しく聡明なバイエルンの王女ゾフィーと、ナポレオンの血をひく美青年フランツとの禁断の恋模様。
著者は須賀しのぶ。コバルト文庫の「キル・ゾーン」シリーズが好きでずっと読んでいたのですが、これはちょっと毛色が変わっていて、「こんなものも書くのかー!」と感心した作品。
発売されたのは2008年の4月。私が買ったのは、たぶん夏ごろ…だと思うのですが。
読み終わってからほどなくして月組「エリザベート」の発表があったので、「エリザベート」のゾフィー役の配役が発表されたら書こう!」と楽しみに取っておいたネタでした(^ ^)。
……まさか、あいあい(城咲あい)のゾフィーが観られるとは、露ほども思っていなかったのですが!
話としても大変面白い作品ですが、この美しく聡明でやんちゃなゾフィーが、長じてあのゾフィー大公妃になるのか、と思いながら読むと、余計楽しいです。
そして。クンツェ&リーヴァイが残酷なまでにリアルに描いた、人生の終わりに近づきつつある厳格なゾフィー大公妃を観ながら、彼女の若かりし日々を思い描くであろう自分が、その時にいったい何を思うのか、興味津々です。
全てを賭けてフランツ青年を愛し、求めたバイエルンの王女ゾフィー。
バイエルン王家の血を色濃く継いだ、早熟の天才であったゾフィー。
一皮剥いてしまえば、ゾフィーもエリザベートも、結局のところは“バイエルンの天使”たち。案外と近しい生き物だったんでしょうね。
ハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフとは、別種の生き物。近くに寄り添っているようで、まるっきり重なり合うところのない親子。
ただ、ゾフィーは恋よりも国を選んだ「王者」の血筋であり、シシィは最後まで「国」を理解できなかった「子供(瀬奈)」または「天使(白羽)」だった、という違いはありましたけれども。
…あ、いえ、あいあいやカチャ(凪七瑠海)がどういう役作りをするかわからないので、そのあたりの解釈も違うかもしれませんね。お二人の解釈がどんな方向に落ちるのか、幕が開くのを楽しみに待っています(^ ^)。
…個人的には、バウあたりで上演しても面白いんじゃないか、と思ったりするんですけどね。
具体的にキャストとかを考えているわけではありませんが。っていうか、主役のフランツがちょっとヘタレなので、脚色が難しそうですけれども。(ゾフィーの方が何倍も格好良い)
「エリザベート」の番外編、ってことで、小池さんが創ってくれたらいいのになー。…無理か(^ ^;。
「帝冠の恋」は、ミュージカル「エリザベート」とは全く関係のないところで、ひとつの歴史小説として普通に読んでも面白いと思います。
私が須賀作品を好きなのは、リズムのある読みやすくて明朗な文体とか、事物の描写のわかりやすい的確さとか、キャラクターの個性が豊かで意外性に富んでいるところとか、ストーリーの突拍子のない面白さとか……いろいろあるのですが。
この作品は彼女の良いところが前面に出つつ、キャラクターにはきちんと時代性に合わせた思考をさせていて、安心して読めたと思います。扱う時代も興味深いし、せっかく文章力・構成力のある人なので、もっと歴史物を書いてほしいなあ、と思ったりします(^ ^)。
……とりあえず、あいちゃんのゾフィーを観る前に、ゾフィーという一人の女傑の、ミュージカルでは語られていない一面を知るともっと面白いかもね、ということでご紹介させていただきました☆
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宝塚雪組バウホール公演「忘れ雪」の原作、「忘れ雪」(新堂冬樹著)を読了いたしました。
カテゴリーを雪組にするか読書にするか迷ったのですが、とりあえず「読書」にしておきます(^ ^)。
想像していたより、児玉さんは原作に忠実に劇化したんだな、と思いました。
表面的には、ですが。
普通に面白かったと思います。もうピュアな心では読めなかったので(ラストも知っているし、そもそも舞台で意味不明だったところは原作ではどうなの?というのが読み始めた動機だったし)、何も知らずに普通の小説として読んで面白い作品なのかどうかはコメントできませんが、とりあえずバウ公演をみて「うーん、あちこち穴があるけど案外面白かった、かも?」という感想をもたれた方にはお勧めします(^ ^)。
ただ、プロローグ(8年前のストーリー。全面的に深雪視点)以外は徹頭徹尾一希の視点で語られるので、予想していたより抜けてたエピソードは少なかったです。
京都の深雪の義父母のエピソードは元々少なかったし、南の出番も、深雪が失踪した後で一希を訪ねてくるところがあるくらいで大した違いはなかったし、鳴海の家族関係に関するエピソードも大きな違いはありませんでした。むしろ、鳴海の父親に関しては舞台の方が扱いが大きかったくらい。
まぁ、抜けてるところが大事だった、っていうのは予想どおりでしたけれども。
以下、舞台と小説、両方ネタバレありなのでご了承ください。
まず、一番印象が違うな、と思ったのは、一希が深雪に再会(一希は初めてだと思っている)したその瞬間に、完全に一目惚れしていること。
舞台では、「クロス!」という深雪の声とヘッドライト、そして急ブレーキの音?だったかな?事故をイメージさせて、流れの中でアクセントになる場面として印象的に演出し、そのまま手術室に持ち込んでいるので、一希と深雪の“出会いの場面”として独立させる余裕がないんですよね。
あの演出、普通は一希自身が事故にあうときに使う演出だから、初めて観たときはちょっとびっくりしたんですが、原作ではクロスは単に道をむりやり渡って一希に飛びついてくるだけで、車にはねられたわけではありません。ガラス片を踏んで怪我をしただけ。
舞台のクロスはぬいぐるみだから、飛びついてくる表現が難しい。だから、深く考えずにクロスが事故ったことにしたんだろうな、と推測はできますし、「出会った瞬間の一目惚れ」の表現ができない分、手術が終わった後の説明の場でいろいろ小細工しているわけですが、なんていうか、この時点のキムちゃんの一希は、普通に医者として患者の飼い主に説明しているだけに見えるんですよね。で、ミミちゃんの深雪だけがあれこれヒントを出すけれども、一希は全然気がつかない、と。
……ここは、大先輩の正塚さんを見習って、「運命を感じていた…」とかモノローグで言わせてしまえ!と思うくらい、結構大事な場面だと思うんですけどねぇ。
なぜ、この一目惚れが大切かというと、一希が深雪の手紙を読んで初めて自分の気持ちに気づいた、という設定であれだけの行動に出る、というのは、ちょっと無理があると思うからです。
音月桂、という役者の熱量は半端ないので、そうは言いつつも結構納得して観ていたわけですが、原作を読んで「おお!」と思ったんですよね。
そうか、そもそも一希は一目惚れしているのか、彼女に。
7年前の思い出なんてなくても、彼女に惚れてしまう。だから、それは結局のところは運命なのだ、と、
…ああ成程、そういう話だったのか、と。
そして。
そうして深雪に一目惚れしてしまった一希は、深雪の行動を深読みして誤解する。
深雪には、忘れられない昔の恋人がいる、そして自分は、彼に似ているらしい、と。
「あなたに似た人を知っていたの」という深雪の話は、そのまま児玉脚本にも使われています。
でも、対する一希のリアクションが違う。原作の一希は、その話を聞いて「その男に似ているから、彼女は俺に興味を持つのか…」と思いこむ。そして、「彼女が過去を忘れてやり直そうと思った男が南なら、彼女は南と幸せになるべきだ」「それが前向きな人生というものだ」と考える。
そのあたりの思考の流れがすごく自然で、やっぱり「地の文」がある小説はこういう繊細な心の動きを表現するのが楽でいいよね、と思うのですが。
でも、演劇でもこれが表現できないはずはないんですよ。モノローグを入れすぎるのはどうかと思いますけど(←Studio Lifeの倉田惇なら、解りやすく地の文をすべてモノローグにいれて、あげく私に『朗読劇かよっ!』と突っ込まれているでしょう)、もっと別の方法があったはず。
鳴海との会話で「お前、惚れたな、深雪ちゃんに」「…そんなことはない。彼女には婚約者がいる。それだけじゃない、俺はただ、彼女の昔の恋人に似てるだけなんだ…」って言わせるだけでいいと思うんです。それがあれば、キムちゃんの演技プランも変わっただろうし。
観客は「そうじゃないよ!深雪が言ってるのはあんたのことなんだってば!」って思うんでしょうけどね(^ ^;
こういう伏線があってはじめて、一幕ラストの深雪の手紙の件が意味を持つ。
この伏線が引けてないから、「変な手紙」になっちゃうんです。
そもそも、原作では一幕ラストの深雪の手紙は一希の家に届いたのではありません。
送られてはこなかった。あれは、「送られなかった手紙」なのです。
クロスを喪い、悲しみにくれた深雪は、ついに積極的な行動に出る。
「独りで家に帰りたくない。一緒に来て」と一希を誘い、家に連れて行く。
そこで「抱いて」と迫る深雪。
深雪が愛しているのは自分ではなく、『昔の男』だと思っている一希はそれを拒否する。
「南さんよりも、初恋の彼よりも、先に出会っていたなら…」、そんな台詞で。
怒った深雪は一希を追い出し、そのまま二週間がすぎる。
音沙汰のない深雪が恋しくてならない一希は、ついに決心して深雪の家をもう一度訪なう。
そこで一希が見たものは、
空っぽの部屋と、
イーゼルに架かった一枚の絵(「青年と犬」)、
そして、思い出をつづった一通の手紙。
「送られなかった手紙」だからこそ、綴られた言葉は自分勝手な欲望と虚しい希望に溢れ、思いがけないパワーを持つ。
相手のことを思いやることなく、自分の頭の中で完結した世界にのみ存在する、言葉たち。
…だから、送らない。
『あんな手紙を郵送するような女、やめとけ!』と誰もが思うような手紙。でも、それがそもそも「送られなかった手紙」であったなら。
「早く追いかけろ!」と思うしか、ない。送れなかった女心が、切ないから。
どんな手紙を書くか、そして、その書いた手紙を、送るか送らないか。
そこにこそ、「橘深雪」という人物が出ているわけで。
そこを無視して、切手を貼って出してしまった瞬間に、「橘深雪」というキャラクターが壊れてしまう。
人間、というのは、そういう繊細なものなのだということを、児玉さんは知るべきだと思う。
深雪については。
彼女は特に「絵」に夢を懸けていたわけではなくて、「絵」の存在意義は舞台と同じな感じでした。深雪の受けた衝撃に「絵を描けなくなった」という悲しみがあったのでは??
、、、とゆーのは、私の深読みしすぎでした(T T)。
手紙を送らなかったこと、事件直前に親友(新山初美/舞台版には出てこない)に電話で「一希さんが来ないの。…あとで病院に行ってみるわ」と言っていた、というエピソードがあったのが、一番の違いかな。あとはそんなに人間像としては変わってなかったと思います。
静香(愛原実花)や満(大湖せしる)、中里(蓮城まこと)あたりは、想像していたより原作に近いキャラクターでした。もっと全然違うのかなーと思っていたのですが。
あ、満は…満自身のキャラクターは同じなんですけど、兄との関係はちょっと違ってたかな。ライターの持ち主を探すことを兄に頼まれるような存在ではないし。それどころか、静香に裏切られて「無条件に人を信じる」ことができなくなった一希が最初に疑うのは、実の弟の満だったりするんですから。
ただ、たまたま犯人につながるものを見つけてM.S.の事務所に辿り着き、兄に知らせる…という流れは舞台も同じです。それを鳴海に密告されて、リンチに合うのも。
鳴海はずいぶん違いました。
まず、鳴海が深雪に惚れるのは、深雪が事故で失明して、「一希さんにはもう会えない」と絶望の淵に沈んでから。
高校一年生の時に拾った仔猫と同様、『小さくて傷ついたもの』ものに弱い鳴海。最初は同情から、そして次第に愛へ、と……
……それならわかる!!納得!
いや、別にいいんですよ。鳴海がもっと早く(舞台でソロを歌っていた頃)から深雪を好きでも。でも、それだったらやっぱり、鳴海と深雪の場面を一つ作るべきだと思うんですよね。
それは完全に児玉さんの創作ってことになるわけですが、それはあのソロの前の父親との二度目の場面自体が原作ではありえないし……。
なんであんな中途半端な変更をするのか、それが不思議です。
あとはまぁ、そんなに違わなかったかな。一希を愛しているのも同じ(←おい)だし。
事件の裏が一希にバレた後の言い訳は、やっぱり文字で読んでるせいかわかりやすかったです。
あ。「俺が(笹川に)言ったのは『桜木の弟が見張っているから事務所から出るな』と、それだけだ。まさかこんなことになるとは…」という言い訳はさせてあげてほしかったなあ。一希のキャラを考えたら、まず最初に確認したいところだろうし。
笹川宗光(緒月当麻)は、全然違いましたー。
昌明さんではなく、鳴海義行様LOVE!だった(T T)。
「そんな勝手なことをするなら、お前(昌明)も始末してやるっ!」とか叫んじゃうんですよ、笹川ったら。いやー、ここに関してはナイスな変更でした(^ ^)>児玉さん
まぁ、それはともかく。どうして「鳴海代議士が南に脅迫されていた」なんて原作にないネタを創ったりしたんですか?何のために?
原作どおり、南と争って飛び出してきた深雪を通りすがりに撥ねてしまって(←過失)、それを隠そうとして喧嘩になって、つい…でいいと思うんですけど。
事件に代議士を巻き込みたかったのかな?それにしては舞台上でも中途半端な扱いでしたけどねぇ>飛鳥組長。
ラストで、清一郎の元に戻って桜木動物病院を支えようとする満と、事件直後に亡くなった義行を最期まで「父さん」と呼んであげられなかった鳴海の対比を、もう少し舞台ではクローズアップしても良かったのではないか、と思いました。
原作はとにかく一希視点なので、そういうところが描かれないかわりに、一希や深雪の心理を丁寧に追っているわけですが、舞台なら、逆に細かい心理を追うよりも、そういうエピソードで話を膨らませたほうがおもしろくなると思うんです。
まぁ、児玉さんの力量を考えると、無謀なことはやめておけ、って気もしますけどね。
何はともあれ、なかなか面白く読ませていただきました。
原作は原作で、舞台とは無関係に突っ込みどころ満載な作品ではあるのですけれども(^ ^;ゞ
……最近、突っ込みどころがないと面白くない、とか思ってないか?>自分
.
カテゴリーを雪組にするか読書にするか迷ったのですが、とりあえず「読書」にしておきます(^ ^)。
想像していたより、児玉さんは原作に忠実に劇化したんだな、と思いました。
表面的には、ですが。
普通に面白かったと思います。もうピュアな心では読めなかったので(ラストも知っているし、そもそも舞台で意味不明だったところは原作ではどうなの?というのが読み始めた動機だったし)、何も知らずに普通の小説として読んで面白い作品なのかどうかはコメントできませんが、とりあえずバウ公演をみて「うーん、あちこち穴があるけど案外面白かった、かも?」という感想をもたれた方にはお勧めします(^ ^)。
ただ、プロローグ(8年前のストーリー。全面的に深雪視点)以外は徹頭徹尾一希の視点で語られるので、予想していたより抜けてたエピソードは少なかったです。
京都の深雪の義父母のエピソードは元々少なかったし、南の出番も、深雪が失踪した後で一希を訪ねてくるところがあるくらいで大した違いはなかったし、鳴海の家族関係に関するエピソードも大きな違いはありませんでした。むしろ、鳴海の父親に関しては舞台の方が扱いが大きかったくらい。
まぁ、抜けてるところが大事だった、っていうのは予想どおりでしたけれども。
以下、舞台と小説、両方ネタバレありなのでご了承ください。
まず、一番印象が違うな、と思ったのは、一希が深雪に再会(一希は初めてだと思っている)したその瞬間に、完全に一目惚れしていること。
舞台では、「クロス!」という深雪の声とヘッドライト、そして急ブレーキの音?だったかな?事故をイメージさせて、流れの中でアクセントになる場面として印象的に演出し、そのまま手術室に持ち込んでいるので、一希と深雪の“出会いの場面”として独立させる余裕がないんですよね。
あの演出、普通は一希自身が事故にあうときに使う演出だから、初めて観たときはちょっとびっくりしたんですが、原作ではクロスは単に道をむりやり渡って一希に飛びついてくるだけで、車にはねられたわけではありません。ガラス片を踏んで怪我をしただけ。
舞台のクロスはぬいぐるみだから、飛びついてくる表現が難しい。だから、深く考えずにクロスが事故ったことにしたんだろうな、と推測はできますし、「出会った瞬間の一目惚れ」の表現ができない分、手術が終わった後の説明の場でいろいろ小細工しているわけですが、なんていうか、この時点のキムちゃんの一希は、普通に医者として患者の飼い主に説明しているだけに見えるんですよね。で、ミミちゃんの深雪だけがあれこれヒントを出すけれども、一希は全然気がつかない、と。
……ここは、大先輩の正塚さんを見習って、「運命を感じていた…」とかモノローグで言わせてしまえ!と思うくらい、結構大事な場面だと思うんですけどねぇ。
なぜ、この一目惚れが大切かというと、一希が深雪の手紙を読んで初めて自分の気持ちに気づいた、という設定であれだけの行動に出る、というのは、ちょっと無理があると思うからです。
音月桂、という役者の熱量は半端ないので、そうは言いつつも結構納得して観ていたわけですが、原作を読んで「おお!」と思ったんですよね。
そうか、そもそも一希は一目惚れしているのか、彼女に。
7年前の思い出なんてなくても、彼女に惚れてしまう。だから、それは結局のところは運命なのだ、と、
…ああ成程、そういう話だったのか、と。
そして。
そうして深雪に一目惚れしてしまった一希は、深雪の行動を深読みして誤解する。
深雪には、忘れられない昔の恋人がいる、そして自分は、彼に似ているらしい、と。
「あなたに似た人を知っていたの」という深雪の話は、そのまま児玉脚本にも使われています。
でも、対する一希のリアクションが違う。原作の一希は、その話を聞いて「その男に似ているから、彼女は俺に興味を持つのか…」と思いこむ。そして、「彼女が過去を忘れてやり直そうと思った男が南なら、彼女は南と幸せになるべきだ」「それが前向きな人生というものだ」と考える。
そのあたりの思考の流れがすごく自然で、やっぱり「地の文」がある小説はこういう繊細な心の動きを表現するのが楽でいいよね、と思うのですが。
でも、演劇でもこれが表現できないはずはないんですよ。モノローグを入れすぎるのはどうかと思いますけど(←Studio Lifeの倉田惇なら、解りやすく地の文をすべてモノローグにいれて、あげく私に『朗読劇かよっ!』と突っ込まれているでしょう)、もっと別の方法があったはず。
鳴海との会話で「お前、惚れたな、深雪ちゃんに」「…そんなことはない。彼女には婚約者がいる。それだけじゃない、俺はただ、彼女の昔の恋人に似てるだけなんだ…」って言わせるだけでいいと思うんです。それがあれば、キムちゃんの演技プランも変わっただろうし。
観客は「そうじゃないよ!深雪が言ってるのはあんたのことなんだってば!」って思うんでしょうけどね(^ ^;
こういう伏線があってはじめて、一幕ラストの深雪の手紙の件が意味を持つ。
この伏線が引けてないから、「変な手紙」になっちゃうんです。
そもそも、原作では一幕ラストの深雪の手紙は一希の家に届いたのではありません。
送られてはこなかった。あれは、「送られなかった手紙」なのです。
クロスを喪い、悲しみにくれた深雪は、ついに積極的な行動に出る。
「独りで家に帰りたくない。一緒に来て」と一希を誘い、家に連れて行く。
そこで「抱いて」と迫る深雪。
深雪が愛しているのは自分ではなく、『昔の男』だと思っている一希はそれを拒否する。
「南さんよりも、初恋の彼よりも、先に出会っていたなら…」、そんな台詞で。
怒った深雪は一希を追い出し、そのまま二週間がすぎる。
音沙汰のない深雪が恋しくてならない一希は、ついに決心して深雪の家をもう一度訪なう。
そこで一希が見たものは、
空っぽの部屋と、
イーゼルに架かった一枚の絵(「青年と犬」)、
そして、思い出をつづった一通の手紙。
「送られなかった手紙」だからこそ、綴られた言葉は自分勝手な欲望と虚しい希望に溢れ、思いがけないパワーを持つ。
相手のことを思いやることなく、自分の頭の中で完結した世界にのみ存在する、言葉たち。
…だから、送らない。
『あんな手紙を郵送するような女、やめとけ!』と誰もが思うような手紙。でも、それがそもそも「送られなかった手紙」であったなら。
「早く追いかけろ!」と思うしか、ない。送れなかった女心が、切ないから。
どんな手紙を書くか、そして、その書いた手紙を、送るか送らないか。
そこにこそ、「橘深雪」という人物が出ているわけで。
そこを無視して、切手を貼って出してしまった瞬間に、「橘深雪」というキャラクターが壊れてしまう。
人間、というのは、そういう繊細なものなのだということを、児玉さんは知るべきだと思う。
深雪については。
彼女は特に「絵」に夢を懸けていたわけではなくて、「絵」の存在意義は舞台と同じな感じでした。深雪の受けた衝撃に「絵を描けなくなった」という悲しみがあったのでは??
、、、とゆーのは、私の深読みしすぎでした(T T)。
手紙を送らなかったこと、事件直前に親友(新山初美/舞台版には出てこない)に電話で「一希さんが来ないの。…あとで病院に行ってみるわ」と言っていた、というエピソードがあったのが、一番の違いかな。あとはそんなに人間像としては変わってなかったと思います。
静香(愛原実花)や満(大湖せしる)、中里(蓮城まこと)あたりは、想像していたより原作に近いキャラクターでした。もっと全然違うのかなーと思っていたのですが。
あ、満は…満自身のキャラクターは同じなんですけど、兄との関係はちょっと違ってたかな。ライターの持ち主を探すことを兄に頼まれるような存在ではないし。それどころか、静香に裏切られて「無条件に人を信じる」ことができなくなった一希が最初に疑うのは、実の弟の満だったりするんですから。
ただ、たまたま犯人につながるものを見つけてM.S.の事務所に辿り着き、兄に知らせる…という流れは舞台も同じです。それを鳴海に密告されて、リンチに合うのも。
鳴海はずいぶん違いました。
まず、鳴海が深雪に惚れるのは、深雪が事故で失明して、「一希さんにはもう会えない」と絶望の淵に沈んでから。
高校一年生の時に拾った仔猫と同様、『小さくて傷ついたもの』ものに弱い鳴海。最初は同情から、そして次第に愛へ、と……
……それならわかる!!納得!
いや、別にいいんですよ。鳴海がもっと早く(舞台でソロを歌っていた頃)から深雪を好きでも。でも、それだったらやっぱり、鳴海と深雪の場面を一つ作るべきだと思うんですよね。
それは完全に児玉さんの創作ってことになるわけですが、それはあのソロの前の父親との二度目の場面自体が原作ではありえないし……。
なんであんな中途半端な変更をするのか、それが不思議です。
あとはまぁ、そんなに違わなかったかな。一希を愛しているのも同じ(←おい)だし。
事件の裏が一希にバレた後の言い訳は、やっぱり文字で読んでるせいかわかりやすかったです。
あ。「俺が(笹川に)言ったのは『桜木の弟が見張っているから事務所から出るな』と、それだけだ。まさかこんなことになるとは…」という言い訳はさせてあげてほしかったなあ。一希のキャラを考えたら、まず最初に確認したいところだろうし。
笹川宗光(緒月当麻)は、全然違いましたー。
昌明さんではなく、鳴海義行様LOVE!だった(T T)。
「そんな勝手なことをするなら、お前(昌明)も始末してやるっ!」とか叫んじゃうんですよ、笹川ったら。いやー、ここに関してはナイスな変更でした(^ ^)>児玉さん
まぁ、それはともかく。どうして「鳴海代議士が南に脅迫されていた」なんて原作にないネタを創ったりしたんですか?何のために?
原作どおり、南と争って飛び出してきた深雪を通りすがりに撥ねてしまって(←過失)、それを隠そうとして喧嘩になって、つい…でいいと思うんですけど。
事件に代議士を巻き込みたかったのかな?それにしては舞台上でも中途半端な扱いでしたけどねぇ>飛鳥組長。
ラストで、清一郎の元に戻って桜木動物病院を支えようとする満と、事件直後に亡くなった義行を最期まで「父さん」と呼んであげられなかった鳴海の対比を、もう少し舞台ではクローズアップしても良かったのではないか、と思いました。
原作はとにかく一希視点なので、そういうところが描かれないかわりに、一希や深雪の心理を丁寧に追っているわけですが、舞台なら、逆に細かい心理を追うよりも、そういうエピソードで話を膨らませたほうがおもしろくなると思うんです。
まぁ、児玉さんの力量を考えると、無謀なことはやめておけ、って気もしますけどね。
何はともあれ、なかなか面白く読ませていただきました。
原作は原作で、舞台とは無関係に突っ込みどころ満載な作品ではあるのですけれども(^ ^;ゞ
……最近、突っ込みどころがないと面白くない、とか思ってないか?>自分
.
最近、浅田次郎を読み直しています。
あまりにも仕事が忙しくてぶち切れそうになっているのですが、浅田次郎はそういうときに良いような気がする。
あまり頭を使う人が出てこないから、頭が疲れているときにいいのかもしれません(^ ^;ゞ
私のお勧めは、なんたって「プリズンホテル」です♪
そもそもの最初は、石川禅ちゃんと毬谷友子さんが主演した音楽座ミュージカル「地下鉄(メトロ)に乗って」を観て、感動して読んだのが最初だった浅田次郎ですが、いろいろ読んでみて、やっぱり「プリズンホテル」かなあ、と。
「鉄道員」とかもモチロン傑作なんですけど、それでも私は、こういうスラップスティック(?)で大笑いできるのに切ないヤクザものは、この人しか書けないと思うんですよね。
特に好きなのは冬の章ですかねぇ…。ヤクザたちの寂しさを呑みこむ冬山の美しさが印象的で。秋の章の“往年の大歌手”も魅力的なんですが、やはり冬の章の“血まみれのマリア”こと阿部まりあ婦長が最高かな、と。
浅田さんの語る「ヤクザ」が、いわゆる「暴力団」とは違う、幻想の世界にしか存在しない「任侠団体」なところが良いんだと思います。私は、市東亮子さんの漫画「やじきた学園道中記」なんかも大好きだったりするわけですが、あちらにも「カタギ」とは別の世界に生きる任侠団体がよく描かれていますよね。ああいうのは、カッコいいなあ、と。
任侠団体、っていうのは、本来は社会の底辺を支える存在だったはずだと思うんですよ。「プリズンホテル」にも繰り返し出てきますが、「普通の社会にうまく嵌らない子供」たちの受け皿だったわけです。「奉公先でうまくいかない子」を引き取って、兵隊として使う代わりに食事の世話からすべてのしつけをする、“擬似家族”。盃を交わして、本当の「親子」になり、「兄弟」になるわけです。
あくまでもそれは「一家」であって、お上のいう「団体」ではないんですね。そこにいるのは、全員が“家族”だから。
ただ。
“集団”があれば、
“親父のためなら命もいらねぇ”という若い衆が集まっているとなれば、
そこには暴力が生まれてしまう。
たとえ、元は自分と家族の身を守り、地域社会を守るための“力”であったとしても、そこに「リーダー」と「兵隊」がいれば、それは「軍隊」になりうるわけです。
そして「軍隊」は、抑える力がなければ容易に「暴力」に変化する。
それは歴史の必然です。
荘園を守るために呼び込んだ武士たちが、土地を支配し、最終的に天下を取るのも必然。
外国と闘うために設置した“軍隊”に支配され、滅びるまで戦いつづけなくてはならなくなったのも、必然。
実社会では、とっくに「暴力団」に堕した彼らが、まだ「任侠」でいられる世界。
表の社会からはみ出した者たちが、まだ「一家の人間」でいられる世界。
そんな世界が、この平成の日本のどこかにあるのかどうか、私にはよくわかりませんけれども。
“世話になった”、あるいは自分を“男にしてくれた”親父さんに感謝し、「親が白いといやぁ、黒いカラスだって白いですねと肯くのが極道だ」とまで思い込める、
そうやって自ら道をふさぎ、自分の行く末を狭めて、目の前の道だけを真っ直ぐに歩くことが幸せな人もいるのです。
…たとえ、彼らの存在そのものが許されない社会になってしまったとしても。
他の道など、もう選べるはずがないことを知っていても。
「プリズンホテル」は、行く場所のない人々の吹き溜まり。
それでも、彼らが彼らなりに幸せになろうと努力することを、邪魔する権利のある人は誰もいない。
天国のような温泉に浸かって、
天使のような支配人に見守られて、
一人では歩くこともできない弱い彼らは、
手に手を取り合い、一家全員で固まって、歩きにくい一本道をただ歩いていくのです。
極彩色に輝く極楽、ただそれだけを目指して。
.
あまりにも仕事が忙しくてぶち切れそうになっているのですが、浅田次郎はそういうときに良いような気がする。
あまり頭を使う人が出てこないから、頭が疲れているときにいいのかもしれません(^ ^;ゞ
私のお勧めは、なんたって「プリズンホテル」です♪
そもそもの最初は、石川禅ちゃんと毬谷友子さんが主演した音楽座ミュージカル「地下鉄(メトロ)に乗って」を観て、感動して読んだのが最初だった浅田次郎ですが、いろいろ読んでみて、やっぱり「プリズンホテル」かなあ、と。
「鉄道員」とかもモチロン傑作なんですけど、それでも私は、こういうスラップスティック(?)で大笑いできるのに切ないヤクザものは、この人しか書けないと思うんですよね。
特に好きなのは冬の章ですかねぇ…。ヤクザたちの寂しさを呑みこむ冬山の美しさが印象的で。秋の章の“往年の大歌手”も魅力的なんですが、やはり冬の章の“血まみれのマリア”こと阿部まりあ婦長が最高かな、と。
浅田さんの語る「ヤクザ」が、いわゆる「暴力団」とは違う、幻想の世界にしか存在しない「任侠団体」なところが良いんだと思います。私は、市東亮子さんの漫画「やじきた学園道中記」なんかも大好きだったりするわけですが、あちらにも「カタギ」とは別の世界に生きる任侠団体がよく描かれていますよね。ああいうのは、カッコいいなあ、と。
任侠団体、っていうのは、本来は社会の底辺を支える存在だったはずだと思うんですよ。「プリズンホテル」にも繰り返し出てきますが、「普通の社会にうまく嵌らない子供」たちの受け皿だったわけです。「奉公先でうまくいかない子」を引き取って、兵隊として使う代わりに食事の世話からすべてのしつけをする、“擬似家族”。盃を交わして、本当の「親子」になり、「兄弟」になるわけです。
あくまでもそれは「一家」であって、お上のいう「団体」ではないんですね。そこにいるのは、全員が“家族”だから。
ただ。
“集団”があれば、
“親父のためなら命もいらねぇ”という若い衆が集まっているとなれば、
そこには暴力が生まれてしまう。
たとえ、元は自分と家族の身を守り、地域社会を守るための“力”であったとしても、そこに「リーダー」と「兵隊」がいれば、それは「軍隊」になりうるわけです。
そして「軍隊」は、抑える力がなければ容易に「暴力」に変化する。
それは歴史の必然です。
荘園を守るために呼び込んだ武士たちが、土地を支配し、最終的に天下を取るのも必然。
外国と闘うために設置した“軍隊”に支配され、滅びるまで戦いつづけなくてはならなくなったのも、必然。
実社会では、とっくに「暴力団」に堕した彼らが、まだ「任侠」でいられる世界。
表の社会からはみ出した者たちが、まだ「一家の人間」でいられる世界。
そんな世界が、この平成の日本のどこかにあるのかどうか、私にはよくわかりませんけれども。
“世話になった”、あるいは自分を“男にしてくれた”親父さんに感謝し、「親が白いといやぁ、黒いカラスだって白いですねと肯くのが極道だ」とまで思い込める、
そうやって自ら道をふさぎ、自分の行く末を狭めて、目の前の道だけを真っ直ぐに歩くことが幸せな人もいるのです。
…たとえ、彼らの存在そのものが許されない社会になってしまったとしても。
他の道など、もう選べるはずがないことを知っていても。
「プリズンホテル」は、行く場所のない人々の吹き溜まり。
それでも、彼らが彼らなりに幸せになろうと努力することを、邪魔する権利のある人は誰もいない。
天国のような温泉に浸かって、
天使のような支配人に見守られて、
一人では歩くこともできない弱い彼らは、
手に手を取り合い、一家全員で固まって、歩きにくい一本道をただ歩いていくのです。
極彩色に輝く極楽、ただそれだけを目指して。
.
帝国劇場「ラ・マンチャの男」を観てきました、とか、草月ホールの石井一孝さんのライブ(ゲスト:樹里咲穂)に行ってきました、とか……の話は、どっちも非常に素晴らしくて、あまりにも素晴らしくてモノスゴ〜ク長くなりそうなので(^ ^;ゞ、今日はパスさせていただくとして。
最近、またちょっと本屋通いをしています。
先月「yomyom」を買った頃から本屋に行く頻度があがったのですが、なんだか最近行くと必ず数冊買い込んでしまって(汗)、
いつ読むんだろうこんなに、って感じなんですけどね。
とりあえず坂木司さんのまだ買ってなかった2冊(「ワーキング・ホリデー」「ホテル・ジューシー」を見つけて買ってしまったあたりから箍が外れたみたいなんですが(汗)。
坂木さんの作品は、基本的に文庫化されるのを待つつもりだった(劇場通いで貧乏だから)のに、衝動買いしてしまった(笑)。なんで我慢できなかったんだろう…。
もうひとつは、宮部みゆき。
図書館で読むつもりだったのに、たまたま私が行くといつも借り出されていて読めないことが続いていたので、つい買ってしまった「ブレイブストーリー」。
今頃かよ、って感じで申し訳ないんですが、だいぶ嵌ってます(^-^)。
私は、この人の作品はどれも好きなんですが、とりあえず一つだけあげろと言われたら、マイナーな作品ですが「蒲生邸事件」なんですよね。
他にもかなり硬派なSFを何本も書いている人ですが。
「ブレイブストーリー」みたいなファンタジーノベルもさすがに達者だなぁ…と感心しつつ、もう「蒲生邸事件」みたいな作品は書かれないのかしら?と寂しく思ったりもします。「クロスファイア」の原型となった作品が入っている「鳩笛草」とかも、非常に好きなんですよね。超能力を持つがゆえに社会からはじき出されてしまう「彼ら」の哀しみを表現するには、彼女くらい天才的な構築力と文章力が必要なのです。っていうか、彼女だからこそあれだけのリアル感のある“超能力者”が描き出せるのだと思うので。
「クロスファイア」あたりからSFの作風が派手方向に行ってしまって寂しく思っていたのですが……
……いえ、「ブレイブストーリー」も、素直に面白いです。ファンタジーノベルとして、秀逸な出来だと思っています。心から。
まだ半分しか読み終わってませんけど。
でも、たまには硬派なSFも書いてくださるといいんだけどなぁ……(T T)。
そして。宙組の「黎明の風」の影響か、つい「群青に沈め」というタイトルに惹かれて買った一冊。
作者は、「邂逅の森」で直木賞を獲った熊谷達也氏。名前くらいは存じていましたが、作品を読んだのは初めてでした。
彼を著名にした「森」シリーズとは全く違う内容の作品のようですが、予想外に面白かったです。
神風隊(飛行機)、回天隊(魚雷)、海龍隊(潜水艦)、震洋隊(ボート)……様々な特攻隊が組織された太平洋戦争終末期において、伏龍隊、と名付けられた、“もう一つの特攻隊”に放り込まれた新兵たちの物語。非常に丁寧に少年たちの心理を追った佳作でした。
特攻隊=神風隊というイメージがあったんですけど、実際にはいろいろあったんですね。いえ、それ以前に、そもそも「特攻」というのは通常句ではないんですよね……。あくまでも「特別攻撃隊」の略称であって、日本語に元々「特攻」という詞があったわけではない。そんなことも解っていないレベルの読者(自分)にとって、ものすごくリアルに『彼らの日常』を、しかも淡々と描き出してくれたこの作品は、
切なくて、痛々しくて、…だけどやっぱり、切なかった。
熊谷氏の描きだす深い森の物語を、読んでみたいと思いました。
などなどいろいろ買い込んでしまったので、GWはちょっと読書三昧しようかなー、と、
……全然片付く気配の無い部屋を見ないように眼を背けつつ思ったりして……
うちに遊びに来てくださる予定のみなさま、もうちょっと待っててね(笑)。
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最近、またちょっと本屋通いをしています。
先月「yomyom」を買った頃から本屋に行く頻度があがったのですが、なんだか最近行くと必ず数冊買い込んでしまって(汗)、
いつ読むんだろうこんなに、って感じなんですけどね。
とりあえず坂木司さんのまだ買ってなかった2冊(「ワーキング・ホリデー」「ホテル・ジューシー」を見つけて買ってしまったあたりから箍が外れたみたいなんですが(汗)。
坂木さんの作品は、基本的に文庫化されるのを待つつもりだった(劇場通いで貧乏だから)のに、衝動買いしてしまった(笑)。なんで我慢できなかったんだろう…。
もうひとつは、宮部みゆき。
図書館で読むつもりだったのに、たまたま私が行くといつも借り出されていて読めないことが続いていたので、つい買ってしまった「ブレイブストーリー」。
今頃かよ、って感じで申し訳ないんですが、だいぶ嵌ってます(^-^)。
私は、この人の作品はどれも好きなんですが、とりあえず一つだけあげろと言われたら、マイナーな作品ですが「蒲生邸事件」なんですよね。
他にもかなり硬派なSFを何本も書いている人ですが。
「ブレイブストーリー」みたいなファンタジーノベルもさすがに達者だなぁ…と感心しつつ、もう「蒲生邸事件」みたいな作品は書かれないのかしら?と寂しく思ったりもします。「クロスファイア」の原型となった作品が入っている「鳩笛草」とかも、非常に好きなんですよね。超能力を持つがゆえに社会からはじき出されてしまう「彼ら」の哀しみを表現するには、彼女くらい天才的な構築力と文章力が必要なのです。っていうか、彼女だからこそあれだけのリアル感のある“超能力者”が描き出せるのだと思うので。
「クロスファイア」あたりからSFの作風が派手方向に行ってしまって寂しく思っていたのですが……
……いえ、「ブレイブストーリー」も、素直に面白いです。ファンタジーノベルとして、秀逸な出来だと思っています。心から。
まだ半分しか読み終わってませんけど。
でも、たまには硬派なSFも書いてくださるといいんだけどなぁ……(T T)。
そして。宙組の「黎明の風」の影響か、つい「群青に沈め」というタイトルに惹かれて買った一冊。
作者は、「邂逅の森」で直木賞を獲った熊谷達也氏。名前くらいは存じていましたが、作品を読んだのは初めてでした。
彼を著名にした「森」シリーズとは全く違う内容の作品のようですが、予想外に面白かったです。
神風隊(飛行機)、回天隊(魚雷)、海龍隊(潜水艦)、震洋隊(ボート)……様々な特攻隊が組織された太平洋戦争終末期において、伏龍隊、と名付けられた、“もう一つの特攻隊”に放り込まれた新兵たちの物語。非常に丁寧に少年たちの心理を追った佳作でした。
特攻隊=神風隊というイメージがあったんですけど、実際にはいろいろあったんですね。いえ、それ以前に、そもそも「特攻」というのは通常句ではないんですよね……。あくまでも「特別攻撃隊」の略称であって、日本語に元々「特攻」という詞があったわけではない。そんなことも解っていないレベルの読者(自分)にとって、ものすごくリアルに『彼らの日常』を、しかも淡々と描き出してくれたこの作品は、
切なくて、痛々しくて、…だけどやっぱり、切なかった。
熊谷氏の描きだす深い森の物語を、読んでみたいと思いました。
などなどいろいろ買い込んでしまったので、GWはちょっと読書三昧しようかなー、と、
……全然片付く気配の無い部屋を見ないように眼を背けつつ思ったりして……
うちに遊びに来てくださる予定のみなさま、もうちょっと待っててね(笑)。
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小野不由美さんのこと
2008年3月11日 読書新潮文庫の季刊誌「yom yom」に、作家・小野不由美さんの短編が掲載されています。
http://www.shinchosha.co.jp/yomyom/
2月末には店頭に並んでいたはずの雑誌なのですが、先月からあまり人間的な生活を送っていない猫はずっと本屋にいく暇がなく(T T)。会社の近くのちっぽけな本屋は、ビジネス書ばっかりでyom yom置いてないしさー(溜息)、というわけで、
今日、かーなーり無理矢理買いにいって参りました。
この日記を読んで下さっている方のうち、どのくらいの方が小野さんをご存知なのかわからないので、ちょこっと解説を。
小野不由美。
もともとはホラーとミステリを中心に書いていた作家。その後、ホラー色の強いファンタジーを書くようになって、今、一番有名なのは講談社ホワイトハートのファンタジー「十二国記」シリーズ(数年前にアニメにもなりました)。
もちろん、それ以外にも色々書いていらっしゃいます。1998年に出した「屍鬼」が大ヒットして、いろんな賞の候補になってたけど…何か受賞したんだっけかな、ちょっと忘れてしまいましたが。
ちなみに、プライベートでは推理小説作家・綾辻行人さんの奥様でいらっしゃいます。
まぁ、なんとなくですが、京極夏彦さんあたりと同期っぽい印象をもっています。よく対談とかしてたし、仲良いっぽかったし。
ホラー色の強いミステリやファンタジー、純然たるホラー、などなど……分類しようとすると結構幅広く書いていらっしゃるのですが、
一番の特徴は、世界設定の緻密さと、その緻密な設定をあますところなく伝えきる、卓越した文章力。
ミステリを読めば、その緻密な設定や構成力に感心するばかりですし、
ファンタジーやホラーを読めば、「実在しない存在」「現実ではない世界」の表現のリアルさに圧倒されて、存在しないことが信じられなくなってきます。
それだけの表現力を持った、稀有な作家。
…しかーし。
細かい設定の緻密さが仇となって、「十二国記」シリーズは2001年の「黄昏の岸 暁の天」の後、翌年に短編集が出ただけで、新作は待てど暮らせど出ないままに、丸7年。
「黄昏…」の前も5年ばかりあいたので、待ちぼうけには慣れてますけどねぇ、ファンは。…それでも長かった………。
やっと出た新作は、「丕緒の鳥」。
シリーズの番外編なので、本編を読んだことの無い方にはあまりお勧めできない、のかなあ?単独でも面白いと思うのですが、世界設定の説明があんまり書いていないので、全然意味がわからないかもしれませんね。
うーん、残念。
でも、せっかく新作が出たところなので、これを機会に、ご興味のある方はぜひ「十二国記」本編のほうを読んでみてくださいませ。
“ちょっと怖い話”が嫌いでない方は、新潮文庫に入っている「魔性の子」から読み始めることをお勧めします。
「魔性の子」は「十二国記」シリーズではないのですが、先にこの作品を読んでから、講談社ホワイトハートの「月の影 影の海」上下二巻を読むのが、ねこのお奨めです(はぁと)。
怖い話があまり好きではない方でしたら、ぜひ「月の影 影の海」からお読みくださいませ。
前半は痛くて辛い話ですが、後半はカナリ号泣ポイントがたくさんあります。
今回の新作は、「月の影 影の海」の、ちょっと後…の物語、です。
7年ぶりの「十二国記」。小野さんの文章力には一点の曇りもなく、相変わらず緻密に構築された世界観に圧倒され、結構ぼろ泣きしました。
待っていて良かった……っていうか、これが出たってことは、もう遠からず本編も出るってことですよねっっっ!!!?
……またここから5年、とか言わないよね?(ちょっと弱気)
こうやってプロモーションして、ちょっとづつ小野作品のファンを増やして、少しでも作者に次作へのプレッシャーをかけモチベーションをあげてもらおう、という気持ちをこめて。
ちなみに、私が彼女の作品で一番好きなのは、
なんといっても「東亰異聞」です。
文庫にもなったので(たぶん、新潮文庫)ご興味のある方はぜひ本屋で探してみてくださいませ。お勧めです(そんなに怖くはないです)。
個人的な希望としては、大野さんにうまく脚色していただいて、外部の小劇場作品として上演してくれないかなー、なーんて儚い希望を抱いていたりします。
“人ならぬモノ”が出てくる作品なので、いろいろとタネも仕掛けも必要だし、恋愛が絡まないので現役では無理なのですけれども(涙)。
作品の内容には全くふれていませんが………とりあえず、小野さんという作家をご紹介するという目的は果たされたかな?
…っていうか、こんな内容なら「yom yom」が手に入るまで待たなくても、出てすぐ書けばよかったんじゃないのか…?(T T)。
.
http://www.shinchosha.co.jp/yomyom/
2月末には店頭に並んでいたはずの雑誌なのですが、先月からあまり人間的な生活を送っていない猫はずっと本屋にいく暇がなく(T T)。会社の近くのちっぽけな本屋は、ビジネス書ばっかりでyom yom置いてないしさー(溜息)、というわけで、
今日、かーなーり無理矢理買いにいって参りました。
この日記を読んで下さっている方のうち、どのくらいの方が小野さんをご存知なのかわからないので、ちょこっと解説を。
小野不由美。
もともとはホラーとミステリを中心に書いていた作家。その後、ホラー色の強いファンタジーを書くようになって、今、一番有名なのは講談社ホワイトハートのファンタジー「十二国記」シリーズ(数年前にアニメにもなりました)。
もちろん、それ以外にも色々書いていらっしゃいます。1998年に出した「屍鬼」が大ヒットして、いろんな賞の候補になってたけど…何か受賞したんだっけかな、ちょっと忘れてしまいましたが。
ちなみに、プライベートでは推理小説作家・綾辻行人さんの奥様でいらっしゃいます。
まぁ、なんとなくですが、京極夏彦さんあたりと同期っぽい印象をもっています。よく対談とかしてたし、仲良いっぽかったし。
ホラー色の強いミステリやファンタジー、純然たるホラー、などなど……分類しようとすると結構幅広く書いていらっしゃるのですが、
一番の特徴は、世界設定の緻密さと、その緻密な設定をあますところなく伝えきる、卓越した文章力。
ミステリを読めば、その緻密な設定や構成力に感心するばかりですし、
ファンタジーやホラーを読めば、「実在しない存在」「現実ではない世界」の表現のリアルさに圧倒されて、存在しないことが信じられなくなってきます。
それだけの表現力を持った、稀有な作家。
…しかーし。
細かい設定の緻密さが仇となって、「十二国記」シリーズは2001年の「黄昏の岸 暁の天」の後、翌年に短編集が出ただけで、新作は待てど暮らせど出ないままに、丸7年。
「黄昏…」の前も5年ばかりあいたので、待ちぼうけには慣れてますけどねぇ、ファンは。…それでも長かった………。
やっと出た新作は、「丕緒の鳥」。
シリーズの番外編なので、本編を読んだことの無い方にはあまりお勧めできない、のかなあ?単独でも面白いと思うのですが、世界設定の説明があんまり書いていないので、全然意味がわからないかもしれませんね。
うーん、残念。
でも、せっかく新作が出たところなので、これを機会に、ご興味のある方はぜひ「十二国記」本編のほうを読んでみてくださいませ。
“ちょっと怖い話”が嫌いでない方は、新潮文庫に入っている「魔性の子」から読み始めることをお勧めします。
「魔性の子」は「十二国記」シリーズではないのですが、先にこの作品を読んでから、講談社ホワイトハートの「月の影 影の海」上下二巻を読むのが、ねこのお奨めです(はぁと)。
怖い話があまり好きではない方でしたら、ぜひ「月の影 影の海」からお読みくださいませ。
前半は痛くて辛い話ですが、後半はカナリ号泣ポイントがたくさんあります。
今回の新作は、「月の影 影の海」の、ちょっと後…の物語、です。
7年ぶりの「十二国記」。小野さんの文章力には一点の曇りもなく、相変わらず緻密に構築された世界観に圧倒され、結構ぼろ泣きしました。
待っていて良かった……っていうか、これが出たってことは、もう遠からず本編も出るってことですよねっっっ!!!?
……またここから5年、とか言わないよね?(ちょっと弱気)
こうやってプロモーションして、ちょっとづつ小野作品のファンを増やして、少しでも作者に次作への
ちなみに、私が彼女の作品で一番好きなのは、
なんといっても「東亰異聞」です。
文庫にもなったので(たぶん、新潮文庫)ご興味のある方はぜひ本屋で探してみてくださいませ。お勧めです(そんなに怖くはないです)。
個人的な希望としては、大野さんにうまく脚色していただいて、外部の小劇場作品として上演してくれないかなー、なーんて儚い希望を抱いていたりします。
“人ならぬモノ”が出てくる作品なので、いろいろとタネも仕掛けも必要だし、恋愛が絡まないので現役では無理なのですけれども(涙)。
作品の内容には全くふれていませんが………とりあえず、小野さんという作家をご紹介するという目的は果たされたかな?
…っていうか、こんな内容なら「yom yom」が手に入るまで待たなくても、出てすぐ書けばよかったんじゃないのか…?(T T)。
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