東京宝塚劇場花組公演「太王四神記」。



第2幕1場 コムル村~幻想

一幕も二幕も、ヒョンゴ(未涼亜希)のピンスポで始まる。
小池さん、どんだけまっつが好きなんだ…(^ ^)。なんつったって“海馬の帝王”だもんな(←しつこい)。


「コムル村の民は、“チュシンの王”として目覚めたあなたに忠誠を誓います!」

白い“コムル村の制服”を着てタムドクを取り囲むメンバーは、スジニ(愛音羽麗)、ヒョンミョン(望海風斗)、くみちゃん(芽吹幸奈)、ネコちゃん(彩城レア)、アーサー(煌雅あさひ)、彩咲めいさん、鞠花ゆめちゃん、銀華水さん、花輝真帆さん、神房佳希さんかぁ……。いつもアーサーに気をとられてしまうのですが、センターちょっと下手の娘役さんは誰でしょう?



タムドクを“王”と呼ぶ村人たちに向かい合い、彼は
「僕はなによりも、なぜキハが父上を殺したのかが気になるんだ」と告げて、立ち去る。

「キハ、教えてくれ、なぜ僕を苦しめるのか?」と呟きながら。


小池さん……。
ここはせめて、「キハと暮らすために国も父王も捨てようとした自分など放っておけ」(NHKの太王四神記公式サイト 第十話あらすじより)」くらいのことを言わせてやってください。
いくらなんでも、チュシンの王として覚醒した身で「王位なんてどうでもいいもん!キハの方が大事だもんっ!!(←意訳)」は無いのでは……?


ドラマの台詞だと、タムドクは『王たる自覚をもってやるべきことを選択している』けど、舞台の台詞だと『王たる自覚がない』としか思えない。行動(コムル村を離れて王宮へ向かう)は同じなんですけど、動機が違う。一つ一つは細かいことなんですけど、主役の心理の変化を追っていくと、ここで断絶があって勿体ないなあと思うのです。

だって。
新公にはこの場面がないから、一幕ラストで覚醒したタムドクが、そのまま神剣を持ってヤン王葬儀の場に現れて、カウリ剣の儀式を受け、「父上の遺志、しかと承りました!」となり、次に王になるためにカンミ城へ向かうぞ!っていうところまで、タムドクの気持ちがぶれなくてすむんですよ。
それ(テジャ城での覚醒)まで、タムドクは「王になりたくない」と思っていた。それは、いろんな理由があったわけですが、最終的にはそれ(“王になること”)がタムドクにとっての“義務”だから嫌だった訳ですよね。

で、覚醒した=自らに課せられた義務に納得した、んだと思うんですよ。責任を自覚した、というか。

その上で、『コムル村の忠誠』を受け入れることは拒否する。
偶々知り合ったスジニやヒョンゴという個人の友情はありがたいけれども、自分が宿命の王だから、という理由で奉げられる団体の忠誠は受け入れられない。
それが、「自分のことなど放っておけ」という台詞の、本来の意味だと思うのです。


タムドク・キハ・ホゲの掛け合いの歌はとても好きなんですが、その歌につながる伏線としてコムル村を出すと、コムル村があまり説明されていないこともあって、判りにくいんですよね。
ちょっと不適切だったんじゃないかなー、と思います。
あえて芝居の場面として「高句麗の隠れ里」を出さなくても、普通に二幕の幕があいたら、いきなり板つきでタムドクが歌いだしても、別に問題ないと思うんだけど、ダメなのかしら……。




第2幕2場 ヤン王葬儀

三人のコーラスが終わり、ホゲだけが舞台に残ると、いったん暗転して紗幕があがる。
二つのポンファ通り&武道大会に並ぶ、猫的“オペラグラスを持つ手が(疲れて)震える”場面の始まりです。


幕があがると、天地神堂での儀式の最中。
コーラスを歌いながら、ヤン王の棺とその前の花のセットを人力で舞台前方に運ぶ兵士たちが結構ツボ。真ん中に偉そうに立っているコ将軍と、両側を固めるイルス&チョク・ファンが格好良い♪
鎧にマント姿の彼らは、舞台上をところせましとウロウロしている色とりどりの大きな衣装に紛れて見えなくなりがち。この作品は、やっぱり二階がお勧めです★……イルスもチョク・ファンもコ将軍も、それぞれがバラバラにいろんな小芝居をやっていて、全部チェックするのはほとんど不可能ですけどね……(T T)。

あとは、とりあえず、舞台下手にじっと直立不動で立っている兵士二人(華月由舞・白華れみ)をお見逃しなく。超可愛いですから!



5色の衣装に身を包んだ各部族のみなさまが、次々にポジションを替えながら入れ替わり立ちかわり、ちょっかいを掛け合い、脅しをかけあい、コソコソ噂話をしているのを視ていると、あっという間に場面が終わります。

基本的には武道大会の息子以外のメンバーを残しつつ(ケマ部族以外)、近衛隊など他のメンバーも入れていて、結構微妙なメンバー構成なんですよね。あと、息子たちをさりげなく入れ替えて出しているのがなんとなくおかしい(笑)。



(赤)ケマ部族(夏美よう/遼かぐら、煌雅あさひ、白姫あかり、朝陽みらい)
遼かぐらちゃんの小芝居、とても好きです。チョルロ族や、時には天地神堂の大神官の言でさえ、莫迦にしたように鼻で笑う仕草がとても嫌味でかっこいい。タムドクが現れ、「カウリ剣の儀式を受ける!」と言った瞬間にも、そして刺された瞬間にも、思いっきり「ニヤリ」とするんですよーっ(はぁと)ああ、素敵にどSなお姉さまになってくれそう…(嬉)。
アーサーは、そんなかぐらちゃんの後ろにどっしりと構えて見守っている風情が素敵です。なんだか今回、アーサーは見守り役ですね。新公もコ将軍だし(^ ^)。
白姫あかりちゃん、近衛兵もカッコイイけど、この場面も好きです。まだ他の場面では見分けられないのですが、この公演の間に覚えるぞー!



(青)ソノ部族(眉月凰/月央和沙、天宮菜生、天真みちる、和海しょう)
えーっと、セドルさん死んだら青族に生まれ変わったのね!と毎回突っ込まずにはいられません(^ ^)。息子たちは皆生まれ変わっているんですけど、よっちが一番目立つんですよ。
最初に観たとき、青族のキレイな男役さんは誰だろう、と思ったらはるちゃんだった(^ ^)とことん好みなんだなあ(照)。ここは普通に“中性的な”男役に見えます(^ ^)。可愛い~♪
天真くんはどんな場面でも手抜きなしで顔芸してくれるのでついつい観てしまいます☆

ふ、と思った。
…『表情豊か』と『顔芸』の違いって、何…?



(黒)チョルロ部族(悠真倫/彩城レア、日高大地、大河凜、舞月なぎさ)
他4族に真っ向から対立するフッケ将軍の後ろで、うんうん頷いたり、ヨン・ガリョの発言に「なに言ってやがる!」みたいに威嚇してみたり、ころころ表情が変わったり、かなり面白い。黒族はこの場面ではドラマの中心にいるので、メンバー一人一人が芝居をがんばらないと盛り上がらないんですよね。
新公を観て、大河くんは芝居巧いなあと感心したんですが、ここでもとても表情豊かにいい小芝居をしているので、観ていて楽しいです。
舞月なぎささんって、ロケットで日高くんの二人隣くらいにいますか?美人ですよねー♪



(黄)スンノ部族(紫陽レネ/輝良まさと、花峰千春、銀華水、鳳龍あや)
ハマちゃんいつの間に生まれ変わっ(以下略)
花峰さん、卒業したちあき(白鳥かすが)に似た美貌、という印象の人なんですが、なにげにちょこちょこ動いていて、要チェックです。
銀華さんは、天真くんに負けない顔芸っぷりがかなりツボ。



(緑)カンノ部族(夕霧らい/望月理世、浦輝ひろと、神房佳希、航琉ひびき)
初めて観たとき、「り、理世ちゃんがこんなところに!」と感動したところ。やっぱり美人だなあ、とつくづく思います。理世ちゃん、あと5cm身長が低かったら、シャープでかっこいい、素敵な娘役さんだったろうなあ……。っていうか、この役でも“娘役がこんなところに”と思わせてしまう理世ちゃんって(汗)。
浦輝さんは、他の場面では結構ほんわかした雰囲気につくっているのに、ここだけなんだかえらくシャープで怖いくらいです。意外と、メンバーの怖さは緑族が一番かも、と思ったりする。




忙しすぎて天地神堂の大神官さまや巫女さんたちまで目が回らないのですが、絵莉さんのこの場面の芝居の声色の使い分けがいいなあ、と毎回思います(←耳は足りているらしい)。

なんとかカウリ剣の儀式を回避しようとする大神官と、なんとしても儀式に持ち込みたいヨン・ガリョの間で、ああいえばこういう議論が盛り上がる。
ちなみに、「カウリ剣」は剣の名前ではなく(剣の名前は“チュモ神剣”)儀式の名前なんでしょうか。古代日本でいう“盟神探湯(くがたち)”みたいなものなのかなあ?


「誰が皇子を刺せましょう」
という大神官様の、強い調子が印象的です。

でも、そんな目論みもホゲの一言で潰えさる。
「私なら、同じチュシンの星の下に生まれました」

ホゲの意図がどんなにミエミエでも、もうどうしようもない。
「草の根をわけてもタムドクを捜し…」

「それにはおよびません!」
そう呼ばわりながら登場するタムドク。さすがの格好良さです。主役だー!という迫力。



タムドクに王の死の真相を尋ねられ、
「陛下は自害なさられたのです」と答えるキハ。

『なさられたのです』…って、変な日本語!と思うんですけどどうなんでしょうか。
っていうか、そんな瑣末なことはどうでもいんですが。
せっかくヤン王が「タムドクにお前を憎ませろ」と遺言して死んで、その悪夢に何度も苛まれているはずなのに、 そんな言い訳を本人の前でしちゃったら、意味ないじゃん!!



ここでタムドクが差し出す剣は、一幕ラストで彼が掲げた蛍光灯 光の剣ではなく、仕掛けが無いのでずっと華奢にできています。別物すぎてちょっと笑えるくらい。
ホゲが剣を受け取ると、それをキハが奪い取る。
「朱雀の守り主が、天に問います!」


…この場面の芝居の間とか、刺したあとのキハの表情とか、ホゲを気遣うイルスとか、回りの各部族の反応とか、、、新公の方が良かったところもあり、本公演はさすがだなあと思うところもあり……。
すみ花ちゃんキハは、タムドクが生き返った瞬間に、人形に血が通ったように瞳が急に潤んで、涙がぽろっとこぼれたんですよね。あれはすごかった!タムドクに剣を突き立ててから、生き返るまでの数分間、キハも死んでたんだな、と納得できる芝居でした(*^ ^*)。

彩音ちゃんは、あまり感情が表情に出ないタイプなのですが、タムドクが助かったとわかった瞬間に姿勢が崩れるのが凄く良かった。それを支える祐飛さんの、愛のない冷たい瞳が好きです。
ホゲが愛しているのは、やっぱりキハじゃなくてタムドクだと思う。(きっぱり言うな)



キハによって心臓に神剣を突き立てられ、倒れるタムドク。
取り縋るスジニの泣き声。

…ふ、と音楽が変わり、タムドクが目覚める………。

ここの間が、どうにも短すぎるような気がします。もうちょっとタメがあってもいい。
みわっちの泣きが止まるのも、ちょっと唐突すぎる。

でもまぁ、タムドクが生きていると判った瞬間の、まっつの笑顔がとても可愛いです★



「タムドク皇子は潔白である!」
という大神官の宣言に、思いっきり反論するヨン・ガリョ。

「青龍と白虎、二つの神器の護り主が敬い、慕う、その者こそがチュシンの王。
 それがはっきりするまで、タムドクが仮王として、ヨン・ホゲが将軍として国を治めよ」

たしかに、その気になればタムドクの方が視界が広いし、良い王になりそう。
勇敢で武術に長けた(はずの。イカサマしたけど)ホゲは、将軍として、司令官として既に実績がある。

「天地神堂の決定である」

と言われて、錚々たる部族長や有力者たちが一言も言い返せない。
神の預言でなくとも、彼女の言にはそれだけの重みがあるし、やはり現実に沿った発言をしているっていうのも事実なんでしょうねぇ……。




第2幕3場

カーテンが下りて、タムドクとヒョンゴたち三人が場に残る。
と同時に、上手から出てくるチュムチたち。

「天地神堂のおふれを聞きました!残りの神器を探すんですね?」
当たり前のようにそう訊いてくるパソン。

『ぼくはね、ぼくは、王様になんてなりたくないんだよ……』
そんな本音を、言いだせるはずもなく。

……いや、もう、この時のタムドクは、それは本音じゃないんですよね。

「父上の遺言、しかと承りました!」
と言ったとき、彼はついに、自分の運命を受け容れたのだから。
従うことをあんなに嫌がっていた運命、一度は本気で捨てようとした運命を。
積極的にアイディア(「狩に行くふりをして、河伝いにカンミ城を目指そう!」)を出して、実現の可能性を探りながら。


誰のために?という「一番大切なところ」を、置き去りにしたままで。




そういえば。
どうでもいいツッコミですが、火天会はカンミ城の主を殺した後は、すぐ引き上げたんですよね。サビ城も同じく。火をかけて、どんな小さな隅もあまさずに捜索したら、あとは見捨てて去るだけ。
なんとか隠れて逃げ切ったチョロを連れたカグン将軍が城に戻って、散らばった部下たちを集めて“西百済”という国を再建しても、火天会は黙認というか無視するんですね……。

うーん。そのまま国を支配する、っていう発想は、プルキルには無かったんでしょうか。
不意をついたとはいえ、いくつもの城を同時に落とすだけの実力があるのに、もったいない。
部下たちは、プルキルが操っているだけで自分で判断することができない生き人形たちだから、殺すことや探すことはできても、支配することはできない、とか、そういうこと?

っていうか、とにかくプルキルの目的が謎だ。
私にはわからない理屈で動いているんだなあ、彼は…。(しみじみ)





タムドクチームが左右にハケて、中央のセットからヨン家一党が登場。

「残りの神器はどこにある?」
性急に問いただすヨン・ガリョ。

「わかりません…」
そこまではずっと自信満々にいろんな策謀をめぐらしてきたチョ・ジュドが、初めて自分の無力にうちひしがれる。
そこに、勝ち誇ったようなプルキルの声。
「水晶玉に訊きました……」



しかし!
プルキルの水晶玉は、自分の支配下にあるキハを映したり操ったりすることはできるけれども、自分の支配下にないもの(他の三つの神器のありか)を示すことはできない。だから、ここで彼が
「西百済に青龍があり、北の靺鞨に白虎がある」
と告げるのは、十数年前の「チュシンの夜」にあがった烽火の記憶にすぎません。

実際には、白虎の神器はパソンが持って国内城に来ているんだから、水晶玉が当てにならないのは事実。でも、この時点ではそんなことはまだ判らない。ミョンヒョン山を示したプルキルの力の幻影に、全員が惑わされたまま。


「西百済を攻めるとなると、戦争になる」
「国王(代理のタムドク)の許可なく戦争はできない」

「ならば、靺鞨の蛮族を成敗するふりを!」

すっ、と手をあげてチョク・ファンを呼び、遠征の準備を命ずるヨン・ホゲがかっこいいです。
そして、「はっ!!」というチョク・ファンの返事が、とてもとても男前(*^ ^*)。
やっぱりしゅん様素敵だわー♪(最後はそれか)



.
東京宝塚劇場花組公演「太王四神記」。



第16場 高句麗内あちらこちら(この場面タイトルに、いつもウケてしまいます)

ミョンヒョン(?)山でタムドクとキハが岩屋に篭ると、暗転して下手に部族長たちが登場。
「息子たちが帰ってこない!!」と騒ぐ父親たち。

ここでは、チョルロ族の長・フッケ将軍も他の三人と一緒に怒り狂い、王家への反感を募らせます。
二幕では、真っ向からヨン・ガリョや他3家と対立してタムドク側につくのに、なぜ?という疑問に対しては、某友人が「さらわれた直後は頭に血が昇っていたんだねー」とあっさり答えてくれました(^ ^)。
なるほど納得。


しかし、「息子たちはヨン・ホゲにまかせて、父は王宮へ!」というのも乱暴な話だよなあ、と思うんですけどどうなんでしょう。
普通、父親ならとりあえず息子のもとに駆けつけたいんじゃないの?「兵はお貸しするから、王宮はよろしくお願いします」と言いたいでしょうに。それとも、“頭に血が昇っていて”思いつかなかったんでしょうか…。




本舞台にライトが入り、上手奥からヨン・ホゲを先頭に一軍が向かってくる。
この軍隊は、本来はヨン家の私兵であるべきだと思うんですよね。目的が目的なので。
でも、プログラムには「高句麗軍」と書いてあるし、チョク・ファンもいる。こんな悪辣な企みにも正規軍を連れてこれるっていうのは、すごいなーと思うんですよ。
高句麗という国にとって、このときまでヨン・ホゲは唯一無二の凄い英雄だったってことなんですよね、たぶん。


下手のセットの上で、朝陽を浴びて衣服を直すタムドク。

「ずいぶん早起きだな。それとも眠れなかったのか」
硬い声で問いかける。

「生まれてはじめてぐっすり眠った」
ホゲの胸の裡になど気づかない王者の、暢気ないらえ。

「炎の巫女よ」
切なく問いかけるホゲ。

「なんのお話かわかりませんわ」
すげなく振り捨てるキハ。


大劇場の頃はあまり思わなかったのですが、最近、ホゲはもしかしたら、進軍しながら迷っていたのかもしれないな、と思うようになりました。
“親友”でいられたはずの皇子と、“あなたこそ真の王!”と言ってくれた炎の巫女。
当たり前のように与えられた王座を捨てて逃げ出したタムドクと、その手を取って走り出したキハ。


この短いフレーズの会話の中で、硬く凍りついた表情の中にあった陰りが徐々に消えていくのが、とても怖いんです。ホゲが、本当の意味で「戻れない道」を歩き出すのは、この朝の会話からなんじゃないか、と思えて。



まだ迷いはある。
でも、戻る手段は捨ててしまった。
……壊してしまった。なにもかも。




「一緒にテジャ城へ来てほしい。四部族の息子たちが火天会に誘拐された」

この言葉をきいて、うなづくタムドク。
タムドクには何もわかっていないんだなあ、と思うのはこんな時です。
彼は、自分が何を捨ててきたのか解っていない。
彼が捨てようとしたものは、“王座”。それを拒否したら、もうセドルを救うことも、キハを守ることも、何もできないのに。
自分の愛するものを幸せにしてあげることが、できないのに。


「王位は譲る!」
そんな一言で譲れるものではないのだということに気づかない。
気づこうとしない。

彼が、生まれながらのチュシンの王、だから。


王位は譲る。
でも、セドルは救いたい。
キハを守りたい。自分の手で幸せにしたい。

それは、無理な我侭だ。
自分の望みを叶えたいなら、責任をとらなくてはならない。

責任のある地位につかなくては、自分の望みは叶えられない。


仲間を救いたい。
愛する人を幸せにしたい。
国を豊かに富ませたい。
戦で人が死なない国を創りたい。


そのすべてを叶えるために、彼は王になるしか、ない。






セドルを救うために、ホゲと共にテジャ城へ向かうことを肯うタムドク。
友を救うために、愛する女を人質に渡す。


「だいじょうぶ。また会える」
あまりにも遠く、虚しい口約束。

キハの方が、現実が見えているんでしょうね。
「大丈夫。すぐ会える」
とは言えない男に、切なげに、でも優しく微笑みかける。

「さようなら」
とは、口には出さずに。


……まぁ、実際、タムドクにはあまり選択の余地はないんですよね。
剣こそ向けられてはいないけれども、ホゲの口調こそ依頼になっているけれども、実際には逃げ切れなくて捕らわれたも同然なのですから。
愛しい女と引き離されるのも、当たり前っちゃ当たり前。

それとも、セドルを助け、隙を見てもう一度逃げ出してキハを迎えに…くらいのことは考えているのかな?
この時点では、スジニたちがどこまで味方してくれるのかは判ってないだろうけど、コ将軍や近衛隊は味方カウントできるし。



そんなこんな、いろんな思惑が交錯しつつ、場面は変わって国内城下。
ヒョンミョンがちゃっかりヨン家の情勢を調べて、報告している。

コムル村の民は“チュシンの王”を探しているわけで。
この時点での“チュシンの王”候補は、未だヨン・ホゲだけ、ですよね?武道大会でタムドクの怒りに神器が反応した時、ヒョンゴは「チュシンの王が怒ると光るんだ!」と教えてくれるけど、誰の怒りに反応したと思ったのかは語らないし。プルキルははっきりと「ヨン・ホゲ様こそチュシンの王」だと確信してたし。

なのに、なにがどうなってタムドクに味方することになったんでしたっけ…?
単に仲良しになったから応援する、ってことでいいのか?(こういう、大事なときに大事な人とちゃんと知り合い、仲良くなって味方を増やす、っていうのが“宿命の王”の特徴)



ここで、「テジャ城に向かわなくては!」という気分的な盛り上がりを音楽がちゃんと演出しているのも、小池さんらしい手腕だなあと感心しています。
「いますぐ向かおうテジャ城に~~~!!」という全員コーラスの盛り上がり。
その後すぐに、王座の間の静かな空気が流れるところが、お見事!って感じ(^ ^)。




第17場 玉座の間

キハをつれて国内城へ戻るチョク・ファン(祐澄しゅん)。
大劇場で初めて観てからずっとしゅん様に煮えっぱなしの猫ですが(私一人じゃないことが段々判ってきてちょっと安心)、前場のミョンヒョン山ラストでの「しゅっぱぁーーーつっ!」という掛け声のカッコ良さに毎回うっとりしています☆

で、ここで声をかけるコ将軍にキハを渡したがらないのは、キハをタムドクに対する人質だと思っていて、タムドク派のコ将軍に渡したくなかったからなのかなー、と、ちょっと思ったりもしました。

…いやあの、天地神堂は全面的にタムドク派なので、それはないでしょ>自分。
天地神堂がタムドク派であることをホゲたちが知らない…ってことはないか。「天地神堂が僕を推しても、貴族会議は君を推すだろう」ってタムドク自分で言ってたもんなあ。

じゃあやっぱり、単純にコ将軍への反感、ってことになるんでしょうかねぇ。あのムッとした感じは。ふえええん、しゅん様CSとかでトークしてくれないかしら…。



幕があがって、玉座に座るヤン王。
ヤン王の言動は、なにからなにまで謎だらけなんですが、ここもかなり謎な場面だと思います。

だって、
「私はお前を王にするまでは死ねないのだ」
と言っていたはずなのに、
タムドクは未だ王になってはいないのに、“タムドクのために”自害するなんて!


まぁたしかに、タムドクの性格を考えたら、キハがタムドクの前から突然姿を消したからってアッサリ諦めてくれそうな気はしませんが…。
でも、別に忘れかねてうじうじしたって良いじゃん、と思っちゃうんですよね…。一番簡単なのは、火天会の回し者だということがわかった時点で殺すことなんじゃないのかな?死んでしまえば、いくら心を残したっていずれ諦めるしかないんだから。


……あ。
そういえば、キハはヤン王にとって命の恩人なのか。そりゃー、あまり理不尽に殺すわけにはいかないな。
となると、自分が死ぬしかないのか。なるほど……(納得したらしい)



一番の問題は、ヤン王がタムドクを愛しているようには見えないこと、だと思うんです。
「ひ弱な皇子のふりをしろ」というのは、火天会の目を眩ませるために必要な措置だったのかもしれませんが。
なんだか、愛する王妃を死なせた息子……と、そんなうがったことを考えてしまうほど、ヤン王の言動には、タムドクへの愛が感じられないんです。
そして、ヤン王が愛を持って接していないからこそ、タムドクは「王座」に夢が持てずにいたんじゃないのかなあ、…と。


タムドクは、神剣で刺しても死なない“チュシンの王”。
もしかしたらヤンは、“チュシンの王”たりえなかった自分と息子との差を計っては、落ち込んだりしていたのかもしれません。
そんな忸怩たる思いが、事態が切羽詰ったときに溢れてしまう。自分を滅ぼして、タムドクに傷をつける方向に。



…ここまで書いてきて、初めて気づく。
近衛隊が侍る玉座の間に、堂々と忍び込んでいるサリャン&火天会士たち。彼らは最初から(というか、常時)潜んでいるんでしょうか。それとも、キハのいるところならテレポーテーションできるとか、何かそういう超自然的な話なんでしょうか…。

いずれにしても、その気になればどこの城でも自由自在に落とせそうな彼らに、なんのために残りの神器が必要なのか、理解できません(T T)。

どう見ても出場選手の中で圧倒的に一番強そうなホゲ様がなぜイカサマをするのか、っていうのと同じ疑問だな。
自分の実力に気づいていないのか、単純にイカサマが楽しくてヤメラレナイのか、どっちなんでしょうね(^ ^)。
(たぶん、プルキルは後者)




カクダンとサリャンの一騎打ち。ここの殺陣(栗原直樹)がカッコよくて大好きです。
ちゃんと“殺陣”になっていて、カクダンが斬られるところまで説得力がある。斬られる理世ちゃんがもっと巧ければ、もっとかっこいいんだけどなあ…(理世ちゃんは斬られ役じゃないから!)


カクダンの危機に、駆け込んでくる近衛兵たち。
はるちゃん(天宮菜生)ちゃんも後姿が色っぽくて好きなんですけど(←注目するポイント違うから!)、最近一番のお気に入りは遼かぐらさん。前髪を二房下ろした髪型もツボ(*^ ^*)なんですけど、なんたって格好良いのは、ここでカクダンに「盾になれ」と言われた後、火天会のメンバーと闘いながら、囮になって一人で上手袖に向かうところ。超男前なんです!!
ぜひぜひチェックしてみてくださいませ(*^ ^*)。




惑乱するキハを助け出したサリャン。
チュシンの王の子を身籠ったキハは、大長老の術を撥ね退ける。

っていうか、ここまで来たら“タムドクこそがチュシンの王”なのは明らかですよねぇ?
なのになぜ、プルキルはいつまでもホゲに固執するんだろう……?かっこいいか(黙)





第18場 テジャ城

いきなり「たのもーう」と声をかけるタムドク皇子。
…どこの時代劇かと(汗)。


タムドクに呼びかけるチョ・ジュド(紫峰七海)の声が素敵!花組は、というか、今回の公演はホントに声の良い人に台詞が回っている印象(審判のアーサーとか)
この場面では、顔を隠しているけど「ああ、あのモミアゲの濃い悪い人ね」と観客にわからせないといけないので、特徴のある美声のふみかは適役だなあと納得しました。新公の彩城レアちゃんは、そのあたりがちょっと弱かったのが残念。



門が開かれると、矢ぶすまになった4人の戦士。
…この4人、結構長時間さらされているにも関わらずピクリとも動かないのが凄いなーと思いながらいつも見ています。
彼らを見つめるタムドクはどんな貌をしているのか?といつも思うのに、つい違うところ(大抵しゅん様、ときどき高句麗軍のきらりんや姫花)を観てしまってます。楽までにはなんとか…(汗)。


タムドクを成敗しようとするホゲ。
「誰も手を出すな」
と言われて、びっくりしたように構えをくずすイルスが可愛いです。
っていうか、一番びっくりしているのはタムドクだよね?こんなにシリアスな場面なのに、あまりにも真っ正直に鳩豆なタムドクを観ると、つい笑ってしまいそうになるんですけど(汗)。
いやー、ホゲ様、無理あるわー。あの人を陥れようとしても、なんか無駄な気がしてなりませんってば。



緊迫した場面にかかる「待った!」の声。
「誰だ」
「タムドク様の仲間だよっ!」

…せめて「近衛隊だ!」くらい言おうよ、スジニ。



カクダンの報告を聞くタムドク。
それをみているホゲ。

…ホゲは、適当な処で切り上げさせて、近衛隊と彼らと合流した面々を捕えて殺すべきだった…と思うんですけど。
いちお、そのツモリなんですよね?実際には神剣が覚醒してしまって、全員逃げられてしまったけれども。



あの蛍光灯 神剣を掲げて立つタムドク。
重いだろうなー、などと、つい不謹慎なことを考えてしまう私をお許しください。


上手で剣を構えたまま、目線もホゲに向いたままのイルスと、
剣を降ろして、ただ呆然とタムドクを見上げるチョク・ファン以下の高句麗軍たち。

ここまでホゲについてきた彼らの、そのとまどいが、酷く哀れに思えてなりません。




「今蘇る 私の中に」

神剣を掲げて、チュシンの王が歌いあげる。

「人と人が永遠に愛し合える国」

チュシンの王として覚醒し、自ら望む“国”のビジョンを語る。

「人と人が信じ合える世界 それが私のチュシンの国」

それは夢、それは希望。
それでも、そんな国を夢見て我は往かん、と。




「私は生まれた 同じ星の下に」

そう歌うホゲが、とても切ないです。
彼はもう、戻れない道に踏み出しているのに。
戻るつもりなど、無いというのに。




…と、いうところで。
やっと一幕終了、です。あははは(乾笑)。

.
先がさっぱり見えない日記ですが、公演の終わりが見えてきてしまったのでがんばりたいと思います。
東京宝塚劇場花組公演「太王四神記」。
(もうどこまで書いたか覚えてないよ……あ、二度目のポンファ通りまでだった。……まだ一幕かっ!!)



第13場 高句麗一武道大会

武道籤をあっちの通りに売りに行こう!とスジニたちがタムドクを連れて上手にはける前に、背景の壁が飛んで、武道大会のセットに。どぉん、どぉんと鳴る打音にあわせて、ゆっくりと盆が回ってくる。このときのワクワク感ったらないですよね(^ ^)。「もうすぐはじまる武道大会♪」という静かなコーラスがだんだん盛り上がっていくのが良い!!
ここの演出、大好きです☆胸が熱くなる☆

新公では時間短縮のためにこの演出が丸ごとカットされて、いきなり闘いから始まったのですが。
スジニたちの会話の途中から後ろで盆が回り始めたことにすごく驚きました。「え、え、盆が回り出しっちゃったよ!どうするの一体!?」と客席でオロオロしてた(汗)。最初からあの演出だったらとまどいもなかったのかなあ……?でも、やっぱり回ってくる間の五軍紹介が大好きなので、無くて寂しかったです(T T)。



審判アーサー(煌雅あさひ)の声にあわせて、ワンフレーズづつパフォーマンスを見せる各軍のメンバーたち。
それぞれを応援する人たちが、その都度盛り上がって応援しているんですが。
…ここもポンファ通りなみに目が足りない場面なんですよねー。いつもいろんなところに目移りしまくった末に、終わってみたらなんにも覚えてなーい(嘆)。



こないだ初めて気がついてすごくツボったのは、青軍パパ(眉月凰)の親バカっぷり(^ ^)。
いつもは上手奥の観客席に気をとられて、あまり下手のパパたちが観れていないのですが、先日、たまたまそっちをチェックしたんです。
パパたちは3人ともそれぞれにパフォーマンスが大仰で楽しいんですが、服の色どおりにいつもクールな青軍パパが、滅茶苦茶ハイテンションに息子に向かって手を振り、手をメガホンにして何か叫んでいるなんて!(^ ^;ゞ。

漠然と、黄軍パパ(紫陽レネ)のパフォーマンスが一番激しいだろうと予想していたんですけど、いやいや青軍が一番オモシロかったです。
緑軍パパ(夕霧らい)は、パフォーマンスというか、ちょっと色気を振りまいて引っ込んでいたような(汗)。あの行動は日替わりなんでしょうか。次回観るときは忘れずにチェックせねば。



上手の観客席は、凄いです。激しいです。
とりあえず、“ホゲ様のお気に入り”の座を譲る気なさそうなきらりん(華耀きらり)・くみちゃん(芽吹幸奈)の二人は、赤い札を必ず一枚は持っていて(^ ^)、赤軍の紹介のときとかにはそれを振ってアピールしてます。ホゲ様もたまには応えてあげればいいのになー。(←そんな余裕ないから)
きらりんは赤のほかに緑を持ってるときが多いかな?らいらい同期だからでそうか。右手に赤、左手にもう一色、みたいな感じで両手をあげて振ってたりする。(←やりすぎなところが可愛い)。セドルよっち(月央和沙)も同期なんですけど、黒を持ってることは少ないような。
くみちゃんは、私が見るといつも赤しか持ってない気がします(^ ^)。
さあやは緑か黄色が多い…かな。赤を持っているのは殆ど見たことありません(残念)。あと他に、絶対赤を持っているのはアルバイトのめおちゃんとじゅりあ。特にじゅりあは、赤しか持っていないことが多いような気がします。



一通りパフォーマンス(入場行進?)が終わると、あらためて競技が始まる。

まずは、青軍(浦輝ひろと/天真みちる・真輝いづみ・和海しょう)と黄軍(瀬戸かずや/花峰千春・銀華水・鳳龍あや)の闘い。
平場に8人が広がって、2人づつ4組に組んだとき、一番手前の上手側でジャンプする青軍の天真みちるくんに惚れました。ジャンプそのものというより、着地のなめらかさが凄くキレイ。音も無く舞い降りるんですよね。基本的に、ジャンプ力があって着地の静かな人が好きなので、嬉しいです。(でもロケットの顔芸はかんべんしてほしい……)
いつもそこに目を奪われているうちに決着がついてしまうのがちょっと残念。天真くんと組んでいるのが誰かもわからないんですよねー。黄軍は全員区別がつくはずなんだけど、天真くんしか見てないらしい…。


……という勢いで逐一書いているといつまでたっても終わらないので、ちょっと飛ばします。
あああ、天地神堂の巫女さんたちを全員わかる自分になりたかった……。



とりあえず。大劇場の最初の頃にも書きましたが、
祐飛さん、あなたはイカサマする必要まったく無いですからっ!!




第14場 謀略

息子を王位に就けんと策謀を寝るヨン・ガリョ様の腹黒さが素敵です。
でも、新公ヨン・ガリョの優しさと甘さも大好きだ(*^ ^*)。



そういえば。
ここでも語られる、「四部族の息子たちを攫って殺し、タムドクの仕業にみせかける」という謀略ですが。


ドラマのあらすじを読み直したのですが、ヨン・ガリョたちは『王がタムドクの即位に反対させないために部族長の息子たちを人質に取った』と部族長たちに信じさせる のですね。
最初から殺すことが目的ではなく、王が彼らを人質にしたと思い込ませることで反感をあおることが目的だった、ということであれば、一応謀略として成立する…かも?

ここはともかく、タムドクの即位に反対させることが目的なんですよね。
タムドク(“ひ弱な皇子”)に王位を継がせることに元々反対な部族長たちが『部族長の息子たちを人質にしてまで有能な後継候補を退け、無能な愛息子を王位に就けようとする姑息な王』に従うはずもなく、反乱の中でヤン王自身が退位せざるを得なくなるのも時間の問題。

息子たちを直接的に殺したのがタムドクかどうか、よりも、息子たちを攫ったのが王であると信じさせることの方が重要のような気がするし、納得もしやすいですよね。

舞台における“謀略”の意味不明さは、物語全体の「ご都合主義」というか「ヤっちゃった感」をすごーく強めていると思うので、もう少し慎重に潤色してほしかったなあ、と思います。


花組はもうどうしようもないから、星組版はこのあたり手を入れてほしいなあ。
セームの葬儀の後、「それなら良い手がございます」の次に
「息子たちを攫い、部族長たちに『王に脅迫されている』と思い込ませる」
という、ちょっと複雑な内容をうまく説明するだけで、後はほとんど変更なしでいけると思うんですよね。
で、「王を惑わす軟弱な皇子タムドクをヨン・ホゲが成敗する」とか、さ。(←ちょっと乱暴)


なーんてことを思いつつ。


「あの巫女はタムドクの恋人か?」
「どうせタムドクの片思い」
「だが手を取って逃げた」
「相手は皇子。恥はかかせられない」

という掛け合いが、とても好きだったりします。

ホゲの切ない思いが、悲しい。
「手を取って逃げた…」と呟くときの目が良い。
愛してはいないのに、恋しい。
恋しいから、切ない。
そうやってプルキルの前に隙だらけで立っているホゲの“若さ”が、いろんな経験を積んで初めて演じられる“若さ”であり、無理して背伸びしている“青さ”だから、とても哀しくなるのです。

“若さ”ゆえの先の視えない怖さ、というものは、先を知っているからこそ現実味をもって感じられるのかもしれません。
……こんなことを考えるのは、観ている私がもう若くないからなのかもしれませんが…(^ ^;ゞ



ドラマのホゲは、(いろんな人の話を総合すると)本気でキハを愛しているんですね。
キハのために全てを奉げてしまう?という話を聞きました。

花組の、本公演のホゲは、一人の人間としてのキハのことは全く愛していないのだと私は解釈しています。
ホゲはキハという女を知らない。どんな女で、どんな考えを持っていて、どんな生き方をしてきたのか、そんなことは、なにひとつ。
ただ、「彼を王だと言った女」に、“恋”をしているだけ…。

“王座”という目に見えぬものに恋をした男の、アイデンティティそのもの。
それは、母 との確執 の妄執にさらされた末の、究極の自己愛であり、「王にふさわしからぬ」心のありようだった…。





第15場 ミョンヒョン山

山道を往くタムドクとキハ。
上手の端で、プルキルの水晶玉に見入るヨン家チーム。

ここの演出も巧いなあ、と思います。サリャンが上手袖から水晶玉を持って現れると、舞台中央から移動して上手に集まるわるものチーム。同時に後ろがあいて、山道のセットが回ってくる。
おしのび用の気軽な衣装だけど、生い立ち的に山になんて行ったことがないであろうタムドクと、イベント用の巫女の正装のままのキハ。
どちらも、なんとなく歩きにくそうなところがツボです。

プルキルが水晶玉に術をかける(?)と、キハの肩の烙印が熱を持ってキハを操ろうとする。
「先に行ってください…後から参ります」
あれは、「このまま私は大長老の許に連れ戻されてしまう…でも、タムドク様だけは逃がして差し上げなくては!」ってことでいいですか?

…っつーか、観劇中はそんなこと全く考えず、ひたすら、彩音ちゃんの白い肩よりもっと白い真飛さんの手に見惚れている自分って…。



タムドク(=チュシンの王)がキハの肩の烙印に手を当てることで、プルキルの力が消される。
これってつまり、プルキルの力自体が神器のパワーを利用したもの、と解釈しても良いのでしょうか?若返ったのも子キハ(=朱雀の神器)を手に入れた後だし。
神器は潜在的に超自然的なエネルギーを持っているので、うまくそれを利用すれば何でもできる(←「百億の昼と千億の夜」のオリハルコンとか)。そして、その利用方法を知っているのは、この時代にはプルキルただ一人だった。(神話の時代には当たり前の技術だったかもね)

ただ、神器自体が“チュシンの王”の支配下にあるので、タムドクが望めば神器のパワーはタムドクの意思に従う。…タムドクは、生まれながらの超能力者で、本能的に神器のコントロールができる、ってことでいいのかな。(←何か納得したらしい)
ってことは、“烙印の力が消された”時点で、『チュシンの王』の正体は明らかだ、と…。(あれっ?)


「烙印の力が消された…」
という大長老様の呆然とした呟きを最後に、上手のわるものチームは暗転。
タムドクとキハのラブラブな愛の賛歌に。


この歌、好きなんです実は。「あなたの瞳に希望の光が見えたから」好きになったの、と告白するキハに対して、「それは、僕が君を見ていたからさ」と応えるタムドク……気障すぎて、初恋だとは思えません。女の子の口説き方は誰に教わったんですか?コ将軍は無理ですよねぇ…。
…まぁ、タムドクさんは「キハと一緒にいる」かぎり、「絶望にうちひしがれる」ことはないはずなので、プログラムの歌詞を改めて読むと、矛盾しているなあ、と思うんですが(*^ ^*)。


「生れ落ちたこの岩屋で、僕はもう一度生まれなおしたい。…きみとふたりで」
甘い囁き。


にっこり笑ってうなずくキハの手を、っていうか結構手首あたりをギュッと握って、カーテンの中に入っていくタムドクさんの性急な様子が、微笑ましくて可愛いです☆




長くなってしまったので、また切ります。
……せっかく武道大会を諦めたのに、一幕終わらないなんて……(↓)。
.
東京宝塚劇場花組公演「太王四神記」。
今日は、二回ある「ポンファ通り」でのいろんな小ネタを集めてみたいと思います。

面白いネタに遭遇された方は、ぜひコメント欄にレポをお願いします★



◆新人公演◆

たった一度の新人公演。最初のポンファ通りでもいろんな人がいろんなことをしてくれて、とても忙しくて大変な思いをしながら観ていたのですが。

なにもかも吹っ飛ばすほど面白かった小ネタがあったので、それだけ書いておきます。

◇二度目のポンファ通り(籤売り)。
セームの転生・華耀きらりんが、本公演のじゅりあちゃんと同じ青い服に身を包んで、ポンファ通りをひやかして歩く。上手端まで来たところで、刀剣の並んだ小さな店にふと入り、一本一本、ためつすがめつ眺めて、ちょっと手にもって振ってみたりする。
…兵士でもないのに、何故そんなに真剣なんだよ姐さん?(また王様を暗殺するための武器でも探してんの?)(きらりん、二幕は兵士ですけど何か)

で。

一振りを手に持って、2、3度振り、満足したかのようににっこりと微笑んで、
そのまま、売り物を持ったまま店を出ようとしやがりました。

さっきまで、道端でコマーシャルソングを歌い踊るパソン(華月由舞)の隣でにこにこしていたチュモン(冴月瑠那)が、ダッシュで追いかけて、きらりんの肩をぐいっと掴む。
「あら?」という風情で振り返って、にっこりと華のように微笑むきらりん。
ちょっとタジタジしながらも、引き下がらないチュモン。

2,3秒見合ってから、きらりんが「ちっ…」という顔をして肩をすくめていたのがめっちゃツボでした。はい。でも、その後剣を返したんだったかお金を払っていたんだか覚えてない……。
そのまま上手にはけていったのは覚えているんだけどなあ。

……というワケで、私は新公ヒョンゴ(真瀬はるか)の占い風景はほとんど見てません(滝汗)。
あっちはあっちで小ネタの宝庫だったようなので、みなさまからの情報をお待ちしております!



◆本公演◆

◇籤売り
セーム様の転生・花野じゅりあは、手相占いをしているヒョンゴ(未涼亜希)に色目を使うのに忙しい。
列に並んで順番を待つ間も、ちょっとはみだしてはアピールしまくり。
やっと自分の番が来た!!という嬉しそうな笑顔。

しかし、ツンデレなまっつはいきなりそこで手相占いをやめて、誰か(スジニだったかなあ、誰だったかなあ…)とおしゃべりを始める。止まらない。
じゅりあのことは無視。
焦れるじゅりあ。

…たしか、最後にはじゅりあちゃんが力づくで手相を見させていたような気がします。
腕をがしっと掴んで自分の差し出した掌を支える形をとらせてました。女王様素敵っ!



◇店街
上手から登場したイルス(マメ)が、袖にむかって「ホゲさま~!」と声をかけるはずのところ。
マメちゃんが振り返った瞬間に、なぜか上手の端にいた誰かが思いっきりぶつかってきて、「あ、ぶつかった」と思った瞬間に喧嘩が始まりました(^ ^;ゞ。
たしか、さりげなくホゲ様が仲裁していたような気がするんだけど、あんまり良く観てなかった…。



◇店街
トラジの店の女の子たち。全員でコマーシャルソングを歌った後は、そこらに居る人々を片っ端から誘って営業活動にいそしんでいらっしゃいますが。
いつもちゃんとセンターちょっと下手の舞台前面にスタンバイして上手から出てくるホゲ様を待つチャンミ(きらりん)。その日はたまたま、ご贔屓筋でも通りがかったのか、誰かと話している間にイルスが出てきてしまったらしい。
慌てて話をぶったぎり、「あれはヨン家のホゲ様よ!」と叫びながら走りだしたきらりん。
無事、定位置(ホゲ様の下手隣)を確保し、満面の笑みで「はぁーい」と言うきらりん。
……そんなきらりんがダイスキです。

そして、一瞬にして置き去りにされたお相手が、ちょっと肩を落として見送っていたのがツボでした(笑)。
あああ、あれは誰だったんだろう……(大劇場の最初の頃だったので、誰が誰やら/涙)



◇店街/籤売り
セームの転生・じゅりあの小芝居も毎日違ってて面白いんですけど、チョロの前世・めおちゃん(真野すがた)も相当に素敵です。籤売りでも、毎回買う枚数も種類が多くて、どうしてそんなことに、と思うほど、持ちきれないほど持ってたりするんですよねー。あんなんで元を取れるはずないよねぇ…。スジニが売っているんなら、チョロは前世からスジニ狙いなのねっ! と納得するんですが(←するな)、売ってるのヒョンミョンだしなー…。
きっとボンボンなんだね!(^ ^)

ガツガツしたヤル気満々の下級生の中で妙に浮いてしまうめおちゃんの存在感、かなり好きです。何かを売りつけられるときの、ちょっと困ったように眉を寄せた笑顔がとても可愛い(^ ^; と、思う ゞ。



なんだか他にもいろいろあったはずなんですけど、ネタが細かすぎて、多すぎて思い出せませんでした(汗)。
もっとこまめに書いておけばよかった……(反省)。



東京宝塚劇場花組新人公演「太王四神記」。


まずは、90期のルナちゃんから。


チュモン(冴月瑠那/嶺乃一真)
パソンの華月由舞ちゃんの項でも書きましたが、今回このパソン&チュモンのコンビは、本公演と新公とで解釈が全然違っていて、すっご~~~く興味深く面白かったです。

月組のみりおくん(明日海りお)をちょっと縦長にしたような美貌のルナちゃん。チュモンは肩をちょっと超えるくらいの長髪(ストレートだったかゆるいウェーブだったか…?)で、真面目な貌をしていると本当にキレイでした。…いや、表情豊か(時々やりすぎ)なのは変わりませんけど(笑)。
出番自体は本公演も新公もたいして変わらないルナちゃんですが、面白いくらいキャラクターがちがっていて、感心してしまいました(^ ^)。「愛と死のアラビア」の悪いマムルークも良かったし、意外に芝居が出来る人だったののか……?(←意外って何よ意外って)



本役の嶺乃一真くんは、パソンの一花が少女系なのに輪をかけて可愛らしく、「愛と死のアラビア」のメドヘッドそのものという感じでしたが、ルナちゃんのチュモンは、うってかわって大人っぽく、茶目っ気にあふれた豪放磊落なキャラクターとして組み立てようとしていた、ふうに見えました。
由舞ちゃんのパソンが仇っぽい美女系なので、その後につき従うちょっと粗野な、野生の残った男っぽい男、という構図が絵になる感じ。ただ、ルナちゃんは元々が細面の美形なので、そういう役作りをしても粗野にも男臭くも見えないんですけどね(汗)。でも、器の大きいやんちゃな男にはちゃんと見えたと思います♪

嶺乃くんのチュモンは、観ていても一花の扱いも本当に“使い走り”っぽくて、靺鞨を出るときに道で拾った孤児、とか、そういうイメージで見ていたのですが。
ルナちゃんのチュモンは、由舞ちゃんパソンの弟子には見えず、その師匠の弟子、つまりパソンから見たら兄弟子なんじゃないかな、くらいの関係に見えました。結局、才能を認められて師匠の名を継いだのはパソンで、チュモンは女の身で刀鍛冶を継いだパソンを守りたい、と思った、みたいな。
あるいは、もともと刀鍛冶の仕事自体が“打つ人”と“支える人”に分業しているのが当たり前なものならば、この二人は仕事上でもプライベートでも「コンビ」である、ということなのかもしれませんが。


まぁ、そんな推察はおいといて。

新公のパソンとチュモンは、間違いなくデキてましたね(*^ ^*)
ありゃーコンビじゃなくてカップルだよ(笑)。結構クールな二人なのであまり人前ではイチャイチャしない(^ ^; んですけど、タムドクとキハが空に舞い上がってしまった後は、チュムチとタルビのカップルをからかいつつ、チュモンの腕はパソンの腰から離れない、みたいな(^ ^;ゞ。
いやー、なんてことない場面でも、さりげなーくパソンを気遣ってスキンシップしているルナちゃんが男前で、素敵でした(*^ ^*)。ああ、いい役者だなあ~~~!!



あえて一つ、なおしてほしいところを指摘するとしたら。
もう少し、役作りするときに姿勢も見直してみるといいのではないか、と思いました。元々ちょっと猫背のような気もするんですよね、ダンサーなのに(^ ^)。シウ部族役でちょこまかチュムチに突っ込んでは蹴られているときは多少背中が丸くても構わないんですけど、戦いの場面でもそのままなので、弱そうに見えてしまうなーと思っていたんです。
チュモンは、あの役作りだったらもっと堂々と動いてもいいと思うのですが、姿勢が悪いのと、全体に動きが小さいので、ご本人が考えているよりも子供っぽく見られる一瞬があるんじゃないかなーと思います。“自分のやりたい芝居”をしっかり持っている人のように見えるので、それを実現できるよう、爪の先まで意識してほしいなあ、と思います。

……あ、あつすぎる……私ってば(^ ^;ゞ




91期以降は、残念ながらわからない方も多いので、一部の方だけ簡単に、覚えている範囲で書かせていただきますね♪


まずは、91期。

ヨン・ホゲ(鳳真由/大空祐飛)
これも相当解釈の違う役になっていました。ヨン・ホゲは物語のキーになる役で、これを研4でやるなんて無茶な…と思っていたのですが、しっかり演じ切れていたと思います。生田さんのご指導の賜物かな?(^ ^)ビジュアルもちゃんと計算されていて、声も良く、なかなかの好演思います。

キャラクター設定は本役の祐飛さんとはかなり違っていて、もっとずっとボンボン風味でしたね。靺鞨でのイルスやチョク・ファンとのやり取りは、思わず「巻き戻してもう一度観たい!」と思ってしまったくらい、なんだか違う場面になってました。
…「愛の無い結婚」の場面は、違った意味で「巻き戻してもう一度!」と思いましたけど(歌が丸ごとカットされていて吃驚…)

なんだろうな、全体に、“可哀相”感が強かったような気がします。すごく普通に育った「良い子」だったんですよね、鳳ホゲは。子供っぽいわけではないんですけど、なんとなく“現実と闘う力を持たない”という意味で、存在として子供の位置にいる気がしました。
本公演ほど、母への依存は感じなかったかな。母に愛されるためには王になるしかなかった、という切迫感はなかったような気がします。
父親が優しくて良いパパだった分、「父上の分まで俺ががんばるぞ!」みたいに思いつめちゃった一面はあったのかもしれませんが。


そして、面白いなーと思ったのは、たいもんタムドクとの力関係の変化。
物語の最初、タムドクとホゲがラブラブしている場面では、タムドクの方が下に見えたんですよ。年齢が、だけじゃなく、立ち位置としてホゲが上にくる感じ。
だけど。タムドクは父王を守るために仮面を捨ててセームの前に立ったときに、一気に成長を遂げる。だから、この直後、邸の前ですれ違うタムドクは、すでにホゲより上位に見えるんです。それだけ、タムドクの急成長が目に見えたんですよね。

それに対して、新公のホゲは、あまり成長しません。
運命に流されて、諦めた目をしていろんなことをしでかしてしまう、そんな解釈だったような気がします。溜息を吐いて諦めてしまう。すべてを。
それを歯がゆく思うチョク・ファン(浦輝)の大人っぽい渋さと、良しとして共に突き進もうとするイルス(輝良)の若さと性急さ。それらが象徴する、ホゲの弱さ。


本公演では、タムドクはそれほど目を瞠るほどの成長はせず、終始皇子様を貫いていて、むしろホゲの変化が鮮やかです。
本公演のホゲは、プルキルに唆されたわけではなく、自らの意思で間違った道に踏み込んでいくのですから。道を間違えたのではなくて。踏み外したのでもなくて。

そういう「意思」というか、「狂気」を、新公では必要としなかった。
鳳くんが表現できなかったのか、ホントは出来るけどさせなかったのか、真実のところはわかりませんが、その違いにこそ、生田さんらしさが出ていたのだと思います。


……やっぱり、生田さんのオリジナル、観てみたいなあ……。
あるいは。柴田さん、新作書いてあげてくださらないかな。生田さん、柴田さんとの相性も良さそうな気がするんですけど。
………あの、次の宙組なんてどうでしょうかねぇっ!!(*^ ^*)




イルス(輝良まさと/日向燦)
儲け役のイルス。輝良くんは、外見的にどちらかと言うと“強面”タイプなので、チョク・ファンの方が似合うかなあとも思ったりしたのですが、最後まで観るとやはりこの配役で正解だな、と納得しました。
本公演のマメちゃんと祐飛さんは、本当に「悪友」とか「幼馴染」とか「乳兄弟」とかいう表現がぴったりで、なんでも相談できる頼りになる兄貴、みたいな感じだったんですけど、輝良くんと鳳くんの間にはそこまでの親密さは感じられませんでした。
…実生活では、新公の二人の方が同期だし、そういう空気も醸しやすそうな気がするんですけどねぇ。やはり年の功、なのかな(^ ^)。まぁ、銀ちゃんとトメさんですからねぇ…。舞台の上での付き合いの深さ濃さは、研4の同期同士なんかよりずっと上なのかもしれません。

あまりに海馬が逃げてしまって、靺鞨での歌がどうだったのか記憶が定かではないのですが、ずっこけた記憶もないのでちゃんと歌えていたんだと思います。今回の新公、何がすごいって歌を聞いてずっこけた人が皆無だったのが凄い、と。
鳳くんも上手かったし。女の子たちも皆達者だったし。
…レベル高いよなあ、花組下級生…。




92期。

ヒョンゴ(真瀬はるか/未涼亜希)
途中でまっつと入れ替わっても気づかなかったかも、と思ったくらい、見事に自然にヒョンゴ先生でした。
どちらかと言うと、大劇場の最初の時のまっつのお芝居に似ていたかな?まっつの芝居は、東宝に来てどんどん可愛らしくかつ面白く(^ ^)なっているので、現時点での芝居と比べるとちょっと違う部分もあるのですが、私は初見の時のまっつヒョンゴのイメージが強く残っているので、逆に真瀬くんのヒョンゴがめちゃめちゃフィットでした(笑)。

声がいいのは本当に強いなあ。それも、ハマコさん(未来優希)さん系の美声じゃなくて、まっつ系の、耳に心地よくてすっと入ってくる美声なんですよね(*^ ^*)。初めて観たときは、まだ大分ふっくらしてらしたけど、わずか一年で随分スッキリして、化粧もキレイになって……(感涙)、本公演のシウ部族なんて、何回か「あの美形は誰だっけ?」って考えちゃいましたよ私…。
ああ、デキる人が、ビジュアルもみるみる改善されていくのを観るのはとても幸せです。誰かさんに爪の垢でも差し入れてあげたい(苦笑)。




子タムドク(月野姫花/野々すみ花)
何もコメントすることはありません。とにかく可愛かったです。この上もなく。

惜しむらくは、子ホゲより10歳近くも年下に見えた、というか、聴こえたな……。
(子ホゲ12歳、子タムドク4歳、とか、そんな感じ)




93期

ヒョンミョン(大河凜/望海風斗)
「愛と死のアラビア」の可愛いヤシムくんが印象的だった大河くん。あれは子役だったので、大人の役はどうかなあ?と思っていたのですが、想像していたよりずっと良かったです。可愛いけど(苦笑)。
歌も安定。この学年であれだけ声ができていれば立派なものなんじゃないかと思います(*^ ^*)。

たいもんは割と正統派二枚目として演じていたと思いますが、大河君はちょっとトリックスターっぽく作っていて、落ち着いた安定感のあるヒョンゴと良いコンビでした。本公演も、最初はそうだったはずなんだけど、最近段々逆転しつつあるので(^ ^)、なんというのかな、懐かしかったというのが近いかな(笑)。
最後、空を舞うタムドク&キハの下でのスジニとのやり取りで何か面白いことをしていたんですけど、忘れてしまった……あああ、何だっけなぁ~~(T T)。




セドル(真輝いづみ/月央和沙)
フッケ将軍のよっちの項でも書きましたが、顔だけでなく、声も芝居もよっちに良く似ていて上手でした。芝居巧者のよっちについて勉強させてもらう、良い機会だったんだろうと思います。
この学年で、そういう役付けをしてもらえるのは素敵なことですよね♪
次はぜひ、また全然違う役で観てみたい人です(^ ^)。






ちょこまかと途中で書いてきた演出の変更点を最後にまとめようと思っていたのですが、文字数も限界だし、だいいちあまりに時間がたって、記憶が曖昧になってしまったので諦めます。がっくり。

とにかく、花組新人公演、このまま劇団四季のウィークデーマチネ公演みたいに毎週500円引きで上演してもいいんじゃあ、と思ったくらい質の高い公演でした。楽しかったです!
祐飛さんが花組に組替えして、1年。大劇場2作品を経て、下級生もずいぶん覚えたもんだなあ、私(^ ^)。
…ちょっと感心。

おかげで本公演も忙しすぎて、一回観るとぐったり疲れるんですけど……(←いつもじゃん)



それにしても、贔屓目抜きで、今回の新公はとっても良かったです!
充実したキャストを優秀な演出家がさばいて、もともと良い作品なんですけど、ちゃんと「新公」が一つの作品として成り立っていたことに驚きました。
そして、経験の浅い下級生たちが、その「作品」に真摯に取り組み、成果を出してくれたことがとても嬉しいです。

皆、あと約2週間、がんばってねっっ!!


東京宝塚劇場花組新人公演「太王四神記」。


昨夜、90期のほとんど書き上げて、最後にちょっと付け加えようかなー、とか思っていたところで、データがあっさりと消えてしまいました。
くすん。

というわけで、せっかくの連続更新も、14日間で止まってしまった……(T T)。
いや、だから何、って感じですけど(汗)。すみません。また今日からがんばります(^ ^)。



というわけで、90期の面々です。なんだか、花組研5も芸達者な人が多い期ですねぇ♪予想外にお気に入りが多くって、ちょっとびっくり(@ @)。



大神官(芽吹幸奈/絵莉千晶)
さすがは実力派の大神官さま。何の違和感もなく、安定した芝居と存在感と、そして、貫禄!研5とは思えない落ち着きっぷりがとってもステキでした。
新公では最初の神託がカットされているので(ヒョンゴの説明だけ)、芝居として作り上げるのが難しかっただろうなあ、と思うんですよね。本公演では、あの場面だけで“大神官”の立ち位置も存在意義も説明されてしまうわけで、そこを飛ばされてしまうと“どんな人物か”を見せる場面がなくなってしまうから。

そのあたり、くみちゃん&生田さんはどう出るのかなーと思っていたのですが……。
エキセントリックに憑依状態になって神託を授ける場面はないんですけど、今思い返してみると、あれっ?無かったっけ?と思ってしまうくらい自然に“大神官サマ”でした。位の高さと、慈愛に満ちた雰囲気。エキセントリックな場面がないせいか、母のようにタムドクを見守ってきた雰囲気も感じられて、とても良かったです。

アルバイトは、最初のポンファ通りくらいしか気がつかなかったなあ…。やわらかな量感のある人なので、情愛の深い役が似合いますね。そういえば、一幕ラストの「チュシンの星~♪」という影ソロは、本公演は絵莉さんがやっていらっしゃるみたいですけど、新公はやっぱりくみちゃんだったんでしょうか?キレイな声でした。




チョ・ジュド(彩城レア/紫峰七海)
いろんな意見があると思いますが、私は結構ネコちゃんのチョ・ジュド、好きでした。
本公演とは全然違う、ネコちゃんらしい“野心にあふれる小者”っぷりをちゃんと作っていたのが良いなあ、と思って。

ふみかのチョ・ジュドは、本当に格好良くて男前で頭よさそうで大物感が漂っていて、ヨン・ガリョの懐刀らしさがすごくあって。この作品世界で一番のワルはお前だろう?という感じさえ受けたのですが。
ネコちゃんは声も高いし、動きも小さくて、なんだか本当に“小者”って感じだったんですよ……。あんなに野心満々なくせに!

でも、それは一概に“悪いこと”だとは言いきれなくて。
しゅん様のヨン・ガリョが、本役のはっちさんとは全然違う、優しくてちょっと優柔不断な、真面目で控えめなパパだっただけに、その隣で野心をむき出しにガツガツ事態を転がそうと企むチョ・ジュドと、チョ・ジュドを手玉にとって操ろうとするプルキルの悪意に満ちたやり取りが、すごく面白かったんです。
ネコちゃん自身が意識して作った役作りではなかったかもしれませんが、生田さんが巧く指導したなー、という感じでした。

実際ネコちゃんは今まで、スッとした二枚目役なのにやりすぎて“野心家”で“下心ありあり”みたいに見えてしまう、ということがありましたので、今回ちょっと新境地だったんじゃないかと思います。こういうアプローチもあるんだ、ということに気づいたところで、もう一度自分の演技を考えてみてほしいなあ。特に、声のトーンと口調の工夫を。キャラクターに見合った声と口調で喋れるかどうか、っていうのは、芝居を組み立てる上で、すごく重要なことだと思うので。
歌える人なので、台詞の声ももうちょっとコントロールできるはず!がんばれ!




チャンミ(遼かぐら/華耀きらり)
近衛隊ですっかりお気に入りになったかぐらちゃん。本公演では終始黒い軍服に身を包み、禁欲的な色気と男前な激しさで目立っている人ですが、新公はうって変わって薔薇色の華やかな衣装に身を包み、化粧も髪型も華やかに、表情も色っぽくて良かったです。基本的に、トラジの店の女の子たちが出てくる場面はどれも目が泳いでいて余り役に立たないのですが、存在感もあったと思います。
意識して声を聞いたのは初めてでしたが、意外と良い声だなあ(←緊張してたけどね!)。

アルバイトはあまり気がつかなかったのですが、ヤン王葬儀の場の兵士はキリッとしていて格好良かった♪本公演では赤の一族の服を着て、結構攻撃的な表情で動き回っている場面ですが、新公は無表情に、微動だにせず立っているのをついつい注目してしまった(笑)。
プログラムを見て気づく。二幕ラストの阿佛蘭寺にも出てたんですねぇ。気がつかなかったなぁ…(T T)。




コ将軍(煌雅あさひ/扇めぐむ)
文句無く格好良かったです。渋くて立派で押し出しがよくて、すっごい素敵!
「銀ちゃんの恋」で、輝良まさとくんと並んでいる姿をずっと見ていたので、どちらかと言えば小柄で、歌もダンスもイケてて……ちょうど「銀ちゃん」初演に出ていた卯城薫さんみたいなイメージの人かと思っていたのですが、いやー、全然違った(汗)。おとめを見て愕然としましたよー!まさか祐飛さんより大きいなんて!!(@ @)。
「銀ちゃん」の頃よりちょっと痩せたんでしょうか?なんだか、パッと見た感じのバランスが違ってて、一時期の樹里咲穂さんに似てるような気がするー、とか思ってみたりしました(汗)。

……もとい。
本公演では普通に兵士だったりコムル村の民だったりするアーサーですが、新公はコ将軍、ということで、ちょっとした仕草にも別人かと思うような重々しさがあったのが印象的でした。なんていうか、強そうなの(*^ ^*)。チュムチの剣をはじく場面だけじゃなくて、とにかく出てくるだけで、不思議と「強そう!」という気がする。
武人としての動きが完全に身についた人、と思わせる何かがあるんでですよね。……何が違うんだろう。わかんないんですけど。
下級生の癖に、どうしてそんなに押し出しがいいのよ貴方(涙)。

とにかく声の良さで得をしている人ですが、今回はそれだけでなく、コ将軍のタムドクやヤン王に対する情愛が感じられたのが凄く良かったです。なんだか、ヤン王が身罷られてからは、だいもんタムドクを父親みたいな目をしてみてるんだよね。で、ラストのホゲとタムドク一騎打ちを見ながら、大きな目をさらに大きく見開いて、うるうるさせていたのが印象的。…今にも泣くんじゃないかと思いました。

そうか、コ将軍はタムドクとホゲの友情を知っている数少ない人の一人なんですね……(二人っきりのときはタメ口の仲であることまで知っている)。切なかっただろうなあ…。




子ホゲ(梅咲衣舞/白華れみ)
本公演では子ヒョンゴの衣舞ちゃん。ちょっと寂しげな美貌が、まっつ(未涼亜希)の子供時代にぴったりでしたが、新公の子ホゲも無邪気に元気で可愛かったです。ただ、ヨン・ホゲの鳳真由ちゃんがかなりの丸顔なので、細面の衣舞ちゃんがどう育つとああなるんだろう?と素朴に疑問に思ってしまいましたけれども(^ ^;。
とにかく、れみちゃんの勢いのある子ホゲとは全く違う役作りでした。タムドクも全然違うから、あれはあれでいいんでしょう、きっと(汗)。

声がちょっと不安定だったのですが、何か迷いでもあったのでしょうか?本公演の子ヒョンゴでは全然違和感ないのに…。うーん、ちょっと子ヒョンゴが良すぎて、私個人の期待値が高すぎたかもしれません。

アルバイトは、ひたすら町民と兵士をとっかえひっかえやっていた印象。ヤン王葬儀の場では巫女さんだったんですね(プログラム見て知りました)。あ、あと、阿武蘭寺の産婆か。うーん、気がつかなかったなぁ…(すみません)。




チョロ・審判(瀬戸かずや/真野すがた・煌雅あさひ)
いやー、めおちゃん(真野すがた)とは随分雰囲気の違うチョロでした。まず、登場での荒くれ感が違う!カグン将軍のらいらいが、息子を溺愛する父親みたいだ、という印象はらいらいの項で書きましたが、瀬戸くんのチョロも、カグン将軍に対する態度が全然違うんですよね(*^ ^*)。

『チュシンの星の夜』に城が火天会に襲われた後、おそらく城主(眉月凰)は、神器をその身に収めた息子をカグン将軍に任せて逃がし、自分は残って火天会と闘い死んだ……んですよね?
カンミ城と西百済が、その後どのような運命を辿ったのかわかりませんが、火天会はサビ城からもあっさり引揚げたところをみると、カンミ城も神器を家捜ししがてら、皆殺しにしてあっさり焼き棄てたはず。その後、どこかに逃げて潜んでいたカグン将軍&チョロの主従が城に戻っても、城は廃墟、兵士は全滅……そんな状況だったのではないか、と。

そんな中、カグン将軍とチョロがどうやって城を再建し、西百済を強兵の国として再興したのか、たぶんドラマにも描かれちゃいないんだろうな、と思うのですが。
瀬戸くんのチョロは、(私の思い過ごしかもしれませんが)ちょっとした“盗賊団の首領”としても通用しそうな荒くれ感があって、「ああ、苦労したんだねぇ…」と素直に思ったんですよ(苦笑)。

なのに、タムドクのおかげで神器から解放され、美貌を取り戻すと、いきなり王子様になるところがステキ(はぁと)。
二枚目の戦士らしい姿を取り戻したチョロを、すっごい嬉しそうにカグン将軍が見凝めているのがツボでした!

武道大会での審判は、本公演とは演出が全く違っていて、4軍の紹介場面が丸ごとカットされていたのであまり目立つ役ではなくなっていましたが、それでも滑舌が良くて声も良かったです。アーサーの響きの深い声にくらべると、ちょっと硬質の、カーンと通る声ですね。次はぜひ、歌も聴いてみたいです。




チュムチ(夏城らんか/朝夏まなと)
本公演では、冴月瑠那ちゃんと並んでまぁくんにぴったりついているシウ族の一人を演じている夏城さん。チュムチの出ている場面は殆ど出るので、いい勉強になったんじゃないかなーと思います。

笑顔が明るくて、根っから優しそうな、ほんわかした印象のある人ですが、チュムチは予想以上にぴったり似合ってました。ゆゆちゃんとの並びも、本当にそこだけ花が咲いたように可愛らしくてうっとり♪♪ 声も優しいし、とにかく何もかも優しくて可愛い印象の人ですね!あまり荒くれ者っぽさは無く、田舎から都会に出てきて、わくわくして未来に夢をいだいている少年っぽさがありました。良い子だなあ~♪




タルビ(瞳ゆゆ/野々すみ花)
かーわーいーいーーーーーっ!!
丸顔にくりんとした大きな瞳。幼い見かけのようだけど、本公演で遊女(?)をやっているだけあって色っぽくてコケティッシュ。夏城さんとの並びもお似合いで、ホント可愛かったです(惚)。

本公演では、「カンミ城に向かうぞ!」⇒「腹が減っては戦は出来ん。誰か料理の出来る知り合いはいないか?」⇒「俺に心当たりがあるぜ!!」(←概略)という流れで連れてこられるタルビですが、新公ではここも演出が変わって、カンミ城に向かう前にタムドクチームが出てくるのがそもそも一回だけ。戦の準備をするぞ!という場面が丸ごとカットされて、パソン特製の鎧を身に着けて出てきたタムドク一行の中に、別れを惜しむ恋人たちが一組。それが、チュムチとタルビでした。
別れを惜しむその様子を見て、ヒョンゴ(違うかも?)が「腹が減っては戦は出来ん。ちょうどいいから、一緒に来てくれないか?」とタルビに頼み、タルビがチュムチの方を一瞬振り返って「はい!(^ ^)」とついてくる……と言う流れになっていて、何の疑問もなく、むしろ本公演より納得できる構成になってました!
…生田さん、すげー。この場面を削った数分で、本公演なら何か追加できただろうに、もったいない気がするよ(涙)。

とにかく、タルビの登場にとってつけた感が無くなっているので、かえってチュモンとタルビのラブラブな印象が強くなっていたと思います。由舞パソンに「帰ったらタルビと夫婦になるんだろう?」からかわれる場面も、夏城くんの満面の笑顔の柔らかさ、情の深さに、おもわず感動してしまったくらい、良い場面になっていました(*^ ^*)。
あーあ、それにしてもゆゆちゃん可愛いなーーー。



今日のところは以上に。
……すみません、ルナちゃん(冴月瑠那)のチュモンだけ、長くなりすぎなので後日アップしますね☆
っていうか、最近ちょっとルナちゃんに嵌りすぎだ私……。




東京宝塚劇場花組新人公演「太王四神記」。

あれから、早いもので一週間が過ぎてしまいました。
あっという間の一週間だった………。先週の木曜が新公、金曜に次期宙組トップコンビ発表、月曜に「逆転裁判2」発表、木曜日に七帆くんの卒業が発表………衝撃的なニュースがてんこ盛りすぎて、新公の記憶がどんどん上書きされています。
あああ、早く吐き出さねば…。



スジニ(白華れみ/愛音羽麗)
元気いっぱいで可愛い美少年でした!鎧姿も、なんだか本公演の兵士(ヤン王葬儀の場での兵士があまりに自然でいつも見惚れてます)がそのまま動いているみたいで、良く似合ってました。動きもキビキビしてて強そうだし、「補欠二名参上!」という台詞の決まることといったら(*^ ^*)。

ただ、本来男役のみわっちの方がむしろ雰囲気が柔らかいような気が……したのは、声が硬いせいでしょうか。とんがってガツガツしてて、たくましい女だなあ、という印象。
…うーん、だいもんも真由ちゃんも小柄だから、れみちゃんがかなり大柄に見えた、ってのもあるのかもしれません。でも、男役にはまったく見えなかった。どう見ても娘役だった……。不思議なものですね。

花嫁衣裳を着せ掛けられて、とまどっているれみちゃんが可愛かったです。あそこは前後の場面との関係で本公演とは上下が逆になっていたので、ちょっと目が泳いでしまったのが残念。もっとしっかり観ればよかった…。ヒョンゴとヒョンミョンの反応とか、あんまり良く見てなかったんだよね(涙)。。。




カクダン(天宮菜生/望月理世)
シャープでキツくて、とても格好良い近衛隊長でした。
ヤクルトのトークショーで、「オスカルを意識してみた」みたいなことを言ってましたけど、ああ、言われてみればなるほどねー、と思わせるものがあったような気がします。

最後に神剣をタムドクに渡すところについても、「悔しいんです」と話しながら、涙をこらえていたはるちゃん。本当に入り込んでいたんだなあ…。私も、実は新公のあの場面で泣いたんですよね。上手側の席だったのでカクダンの表情は見えなくて、剣を受け取るだいもんタムドクの貌を観ていたんですけど、ものすごく辛そうな貌をしていて。だいもんのタムドクは、全体に感情過多なくらい激情を表に出していたんですが、あの場面の爆発の迫力は凄かったんですよ。
そりゃー神器も光ったり宙を飛んだりするよねえ、と納得の迫力でした。
たった一回の新公だったからこそ、あそこまで入り込めたんだろうなあ、と思いますが、はるちゃんの芝居も良かったんでしょうねぇ(*^ ^*)。

私は、はるちゃんって言うと「蒼いくちづけ」のノエルくんが真っ先に浮かぶので、ああいうキリっとした女丈夫が似合うとは思わなかったのですが、なかなかに激情的で高圧的な女王様っぷりが素敵でした。しかも、スタイルがよくて美しい。っていうか、あのカラダはマズいだろう!!禁欲的な軍服に包んで隠してしまうにはあまりにもったいない、隠し切れずに溢れてしまいそうな華やかな肢体。キレイだなあ………(照)。




パソン(華月由舞/桜一花)
私の中では、今回の新公の功労者の一人になってます(^ ^)。

いつの間にこんなに歌えるようになったのでしょうか!?私が初めて花組の新公を観た頃は、「…(黙)」って感じだったのに(汗)。
ポンファ通でのパソンのソロを楽々と歌いながら踊りまくり、華やかにポーズをきめる由舞ちゃん。一花の少女っぽいアリス系のパソンより声のトーンも低く、見た目もちょっと姐さんチックに作りこんで、とても綺麗でした。チュモンのルナちゃんとも凄くお似合いで、いい雰囲気(*^ ^*)。
年齢が、パソン>キハ>タムドク・ホゲだとはっきりわかるところが良かったです♪

声質がすごく独特なので、どうかなあと思っていた人ですが、ここ1年くらいで急激に伸びましたね!!歌も芝居も安定してくると、あの個性的な声が、逆に“他の人にない魅力”になるんだ、ということが嬉しい発見でした。

本当に美人だし、芝居も良いし、とにかく魅力的な人です。せっかく歌えるようになったんだから、最後に一回、新公ヒロインをやってみてほしいような気がするんですけどねぇ…。
花組は、一花、さあや、きらりと新公ヒロインをしていないけれども魅力的で大役を勤められる娘役さんがたくさんいらっしゃって、私はいつも幸せです♪(ここにさあやが入るのは私だけ?…すみません)




サリャン(嶺乃一真/華形ひかる)
本公演のチュモンで、あどけない笑顔が可愛くてきゅんきゅんしてしまう嶺乃くん。相変わらず何もできない(T T)人ですけれども、サリャンという、それなりに難役のはずの役をそれなりにこなしてしまうあたり、もしかしたら凄いひとなのかもしれない、と思いました。

声はずいぶん落ち着いてきましたね。トゥスンの時はけっこうすっぽ抜けていたけど(トゥスンはそれでも別段問題はなかった)、さすがにサリャンは抑えた声で喋れていて、良かったと思います。うん。
スタイルが良いだけで許されることってたくさんあるなあ、とも思いつつ(^ ^;ゞ




チョク・ファン(浦輝ひろと/祐澄しゅん)
やっぱりこの人は、渋い…。
新公イルスの輝良まさとくんと二人、大柄で渋くてかっこいい二枚目がホゲさまの両側に立っている構図が、めっちゃ萌でした。

本公演のしゅん様が、公演を重ねてどんどん可愛らしくなっていっているのに、新公の浦輝くんはひたすら渋くて格好良かったです。あれならコ将軍とも対等に渡り合えるだろうな、と。

声がとても素敵なひとので、台詞が少なかったのが残念!靺鞨の場面の迫力、凄かったです…。
ホゲが本公演ほど壊れていないので、チョク・ファンも反発するのではなくひたすら諫言しているんですけどね。いや、本公演のチョク・ファンがホゲ様の無道に反発しようとしていたのは大劇場の最初だけで、今はやってないんだってば(涙)。

ホゲとチョク・ファン、本公演では同世代っぽい感じなのに、新公はかなり年齢さがありそうな感じでした。チョク・ファンのホゲに対する感情も、“同世代の英雄”に対するものではなくて、“可愛い主人にひたすら尽くすじいや”みたいだったのが興味深かったですね。
チョク・ファンは最後まで真面目にホゲの身を案じながら心配そうについていくんですけど、立場的には本当に“コ将軍と対”になっている感じがしました。

88期が卒業したら、ああいう色っぽいオジサマ役はこれから浦輝くんがやってくれるのかしら(*^ ^*)。ちょっと期待…。




東宝で卒業する湖々マリアちゃんは、残念ながら今回は役もなく…(T T)ポンファ通りでも見つけられませんでした。何もコメントできなくて、ごめんなさいm(_ _)m。
続きはまた、近いうちに。


ヤクルトホールにて、花組トークスペシャルに参加してまいりました♪



出演者は、愛音羽麗・朝夏まなと・天宮菜生の三人。
みわっちは、ベージュのひかりもののスーツに、黒のインナー、ブラウンの靴。大人っぽくお姉さんでキメてました。
まぁくんは、グレーのスーツにインナーはピンクで春らしく爽やかに。
はるちゃんは、トリコロールな膝上ワンピに白いカーディガンと靴を合わせて、髪は高い位置でまとめて毛先をくしゃくしゃさせた…(説明できない)とにかくめちゃめちゃ可愛かったです(*^ ^*)。
最後にいただく写真は大劇場(?)で撮ったものらしく、はるちゃんの髪型が全然違ってて残念!今日の写真が欲しかったよーーーー(泣)。




みわっちもまぁくんも、ナウオンなどでちょっとトークを聞いた事があるくらいなのですが、テンションたっかーーーーーい!特にみわっち。ちょっと感心するくらい、ハイテンションで盛り上げてくれました(笑)。めちゃくちゃ楽しかったです!!
まぁくんは、もっと甘えたなタイプかと思っていたのですが、予想外にしっかりしているんですね。むしろ暴走するみわっちを抑えていたような(^ ^;ゞ。
そして、はるちゃんは天然
以前観たきらりんも相当面白かったけど、さらに遠慮がなくて面白かったです。っていうか、全然回りが見えてないのがめっちゃ可愛い。みわっちが面白がっていろいろイジるのを、笑って眺めているまぁくん、という関係がなかなかにツボでした。



とりあえず、トリビアをいくつか。

・高句麗軍の兵士は、全員新作衣装。

娘役な兵士たちは、『小さいおじさん』と呼ばれている。

・二幕で兵士たちが持っている盾は、2.5kg。これを片手で持ち上げて走る、とかの振りがあったり、さらに剣も持っているので、かなりたくましくなった。

・チュムチの髪は、真ん中だけ鬘。(「どうやってつけているの?」という竹下さんの質問に、まぁくんはそれは秘密です」と答えていました)

・チュムチの衣装についている毛皮には、「ジョン」という名前がついている。(部族の皆それぞれに名前がついている…という話だったと思います。ルナちゃんのはなんていうんだろう?)

・チュムチは、全編佐賀弁で通すお稽古があった。

佐賀弁でのチュムチについて、まぁくんが熱く(?)語っているとき、はるちゃんがすごく自慢げに「佐賀弁がお上手なんですよ!」とコメントしたのが滅茶苦茶面白かったです。みわっちが「出身地だから」と突っ込むまで、一瞬空気が止まってました。天然…(^ ^;ゞ
その流れで、みわっちに「じゃあ何か佐賀弁で喋って!」と言われたまぁくん。「今日は雨ですね」とか、今の心境とか、一生懸命佐賀弁で喋ってくれました。客席は大喝采!そして、はるちゃんが“憧れの目”で真っ直ぐにまぁくんを視ていたのが、もう本当に本当に天然で、たまらなく可愛かったです!!


シウ部族の衣装については、「あの時代における異空間的な雰囲気を出してほしい」と言われたそうです。みんな耳まわりに羽飾りをつけたり、毛皮をつけたり、明らかに他とは違う衣装なんですよね。異民族だと一目でわかるようにしたかったのでしょうね。



竹下さんがみわっちに、「花嫁衣裳も着ちゃうんですよね?」とフったら、みわっちはまず最初に「大丈夫です!雛人形は昨日(3日)のうちにすぐに片付けたんで」みたいな、ちょっと不思議な返しをしていました。いや、言いたいことはわかるんだけど、何故そこに飛ぶんだみわっち。
で、話を戻して、「あの衣装がすごく素敵で(トップ娘役さんが着るような衣装ですよね!と嬉しそうに)、でもフラレてしまうので、袖で泣いてます」としみじみと語っていました。

で、袖でみわっちが泣いていると、チャラ(チョロ=真野すがた)が来て慰めてくれるんだそうです。「俺にしとけよ」って(^ ^)。
実際、ドラマではチョロがスジニに片思いしているという設定があるらしいですね。舞台では、その設定は全く反映されていないのですが、めおちゃんは勝手に引っ張っているらしく、袖ではいろいろちょっかかけてくるんだそうです。みわっちにちょっと嫌がられていました(^ ^)。
チョロ、良い奴なのにね。っていうか、めおちゃんってそういうキャラなのかー、可愛いなあ。

っていうか、この話で一番笑えたのは、みわっちが「『これからも兄と弟のようでいてくれ』って言われて振られるんです」って言ったこと。
そ、そりゃー振られるだろう普通………(汗)っていうか、言ってないから!

で、その話から「も、もう、男役がどうしても出ちゃうんですよー」という言い訳になって、「こないだ神話で真飛さんがフラついたときに、思わずがしっと支えちゃった」というエピソードやら、「でも、こないだ殺陣師の先生に『あれ、本当は男役だったの?』と言われちゃった♪」やら、いろんな話に発展してました。…みわっち、話が拡がり過ぎですから(笑)。



そんなこんな、スジニについていろいろ語っていくうちに、「お母さん(サビ城妃/天宮菜生)がいけないんだよね、娘二人放り出して勝手に自殺しちゃうから」みたいな話になりまして。
はるちゃんが一生懸命「ご、ごめんなさい。よく言われます」と謝ってました。
……誰に言われてるんだそんなこと(^ ^;。


で、最終的に「スジニは本当に良い娘なんですよ!」というみわっちの主張に、はるちゃんが「さすがあたしの子ですよね!」と真顔でコメントしてくれて、大爆笑でした。「あんたは何もしてないじゃん!」と突っ込むみわっちの勢いが素晴らしかったです。そして、突っ込まれても凹まないはるちゃんが、本当に本当に可愛かったです♪♪


はるちゃんの本役である近衛兵は、ドラマでは(一幕のラストに?)全滅するんだそうですね。でも、舞台では生き残るので、はるちゃんは「あの後近衛兵たちは、カクダンさんを偲びながら幸せに暮らすんだろうと思ってます」と言ってました。……そ、そうなの?(汗)




本公演についてはそんなところかな…。あと、フィナーレの青龍は、「勝手にリズムを取ってください」みたいなところもあって、割とフリーに躍ってる、って話がありましたね。格好いいですよね、青龍も玄武も。

新公についても色々話してくれました。まぁくんのプルキルについては、とにかく面白い、と。
「本公演ではすみ花ちゃんと恋人なのに、新公では操る役で…」みたいな話になって、(本公演の前に)「信じてね」って言ってる、と。
「人間不信になりそうだよね」とみわっちにコメントされてました。


はるちゃんは、カクダンについて「本役も近衛兵だから同じような役かと思ったんですけど、全然違いました」と。「外に向かう役だから(公的な身分を持つ役で、グループの代表として外部と折衝がある、ってことを言いたかったらしい)、いつもはしないような細かい芝居があって…」と、いまひとつ意味のよくわからないことを一生懸命語っていました。
で、最後に「神剣を持ってタムドク様の前に出るときは、本当に悔しくて……」と、声を詰まらせて、ちょっと泣きかけてましたね。その一生懸命さ、全力投球っぷりが本当に可愛いです。
これからもがんばってほしいなあ。

みわっちが、「はるちゃんの、最初の『しっつれ~い』が好きだった」とコメントすると、ものすごく嬉しそうに「えっ(はぁと)、わかりましたぁ?」と。
「大劇場の時とは、ちょっと意識して変えてみたんです。オスカルみたいにやりたくて」だそうです。
で、まぁくんに「ああ、近衛隊長だもんね」と突っ込まれてました。
とにかく、みわっちが気づいてくれたことが嬉しかったらしく、花が咲いたみたいに嬉しそうでした(*^ ^*)。私も、あそこの言い方とかすごく好きだったんですけど、そんなに思い入れがあったとは(笑)。本当に可愛いなあ~(でれでれ)。




今の公演については、そのくらいでしょうか。
どなたかフォローをお願いいたします☆


≪初めて観た作品は?≫
はるちゃん…星組のエリザベート。
「印象は?」と聞かれて「吹奏楽部だったので、オケボックスを観てました」と答えるはるちゃんに爆笑でした。本当に天然だなこの子。
二回目に観にいったときに、誘ってくれた人と出待ちをして、素敵だなあ!と憧れた、と。
で、「舞台姿じゃないんだ」とすかさず突っ込まれてました(笑)。

まぁくん…マミさんの「うたかたの恋」佐賀公演。
「ああ、これだーっ!」と思ったそうです。
で、大劇場で観たのは「タンゴ・アルゼンチーノ」。みわっちが「出てたーーーーっ!」と大興奮して叫んでました(^ ^)。

みわっち…阪急沿線に住んでいたので、普通に観ていた。
受験を決意したのは、ナツメさんの「ベルサイユのばら~フェルゼン編」。


で、そこから受験の話になって。
まぁくん「独りで受験しました。知っている人誰も居なくて浮いてた。でも、受験会場で友達ができて…」と。

ま「田舎から出てきて、浮いてる人同士で」
み「誰?」
ま「宙組の蓮水ゆうやです」
み「…ちーちゃんってどこだっけ」
ま「神奈川」
み「…田舎ちゃうやん!」
ま「いや、……田舎っていうか、宝塚をよく知らない同士?みたいな」

この二人の会話、おもしろいなあ。なんだか、テンポのいい漫才でも聞いているみたいでしたよ(笑)。


あとは…。「夢をこの手で」とかいう『お受験ビデオ』があるんだそうですが、そのモデルが83期だったらしく、「あれを見て、夢をこの手で掴むんだ!と思ってました」というまぁくんのコメントと、それを聞いて照れているみわっちが……きゅんっ!(*^ ^*)


≪抽選会≫
いちいち口ドラムを鳴らしながら読み上げる三人が可愛かった!!


≪ディナーショー「Prism」のこと≫
三人とも愛音羽麗ディナーショー「プリズム」のメンバー(あと二人は扇めぐむくんと華月由舞ちゃん)。
「とにかくお稽古期間が短くて、全国ツアーの間も津々浦々で練習していた」と。
「この土地に行くまでに、この歌が歌えるようにがんばろうね!」と励ましあっていたそうです(笑)。あのオモローなベルばらの裏には、そんな苦労があったんですね(涙)。


≪下級生⇒みわっちの印象≫
まぁくん「暖かくて、すごい気ぃつかいで…」と熱く語っていたのですが。
はるちゃんが「本当にびっくりするくらいに(優しいんですよ)!」とコメントした瞬間、司会の竹下さんが「そうは思ってなかった?」と真顔でツッコミ(^ ^;。
「ど、ど、どうしてそんなことをっっっ!!」と動揺しまくりなはるちゃんが、これまた可愛くて可愛くて(煮)。

あっさり撃沈されたはるちゃんの代わりに、まぁくんが「とにかく優しくて、本当は、真ん中で歌っているみわさんを支えなくちゃいけないのに、もう世話になりっぱなしで…」みたいなことを一生懸命語ってフォローしていました。優しいなあ、まぁくん。


≪みわっち⇒下級生の印象≫
まぁくんについては、あまり印象的なことを言わなかったですね。なんだか、みわっちとまぁくんは本当に仲が良さそうで、あらたまってコメントするのが照れくさい、みたいな雰囲気でした(^ ^)。

で、はるちゃんについては。
「とにかく歌が大好きで、ずーっと歌っている」と。
「はるちゃんのエトワールが決まったときはすっごい嬉しくて、すぐお祝いした」と、本当に嬉しそうでした。いやー、いいお姉さんだなあ(惚)。
ちなみに、エトワールが決まったのは、実はTCAの頃だったそうです(梅田からお祝いした、と言っていた)。……だから、大劇場のプログラムには「パレードの女(歌手) 愛音/桜/天宮/野々」としか書いてなかったのかな?12月20日頃に決まって、それから原稿差し替えて印刷したんじゃ製本が間に合わないもんねぇ…。


≪これからの抱負≫
みわっち。「4月には研13になります」という話から、「2008年は中日劇場で幕をあけて、舞姫の再演があって…」と去年を振り返って語る中で、さりげなーく「愛と死のアラビア」を飛ばしてました。
正直者め……。

まぁくんは、「新公も卒業するので今まで以上にがんばります」的な、ごく普通のことを言っていたと思います。全体に、まぁくんは割とまともなことしか言わないというか、案外マジメなタイプなのかな、と思いました。

はるちゃんは、「一年前は、蒼いくちづけのノエル役で…髪の毛も2cmくらいしかないベリーショートで」と。
そうかー、あれからまだ、たったの一年なんですねぇ(呆然)。まだ祐飛さんが合流していなかった花組。…ものすごく遠い昔のような気がします(^ ^;ゞ。 可愛かったなあ、はるちゃんのノエル少年(*^ ^*)。

今ではひっつめでまとめられるほど髪も伸びて、本当に可愛い女の子です♪「女役楽しいです♪」という幸せそうなコメントが嬉しい。
新公もあと一年かー。がんばって欲しいです☆




とにかく、みわっちがあんなに面白い人だとは知らなかった、ってくらい、面白いトークでした!
最後にお見送りしてくれたみわっちの、暖かい笑顔、忘れません♪
そして、まぁくんも、はるちゃんも、二人とも本当に可愛かった(はぁと)。幸せな時間を過ごさせていただいて、ありがとうございます☆



東京宝塚劇場花組新人公演「太王四神記」。


どういう順番で書くか迷っていたのですが、ここはやっぱり、学年順に88期から☆



ヤン王(扇めぐむ/星原美沙緒)
なんかコメントが見つからない。あまりにも当たり前に渋くて巧くて格好良くて、髭が似合ってて。何の違和感もありませんでした。
「愛と死のアラビア」でも同じくほっしゃん先輩の役だったので、もうちょっと違う役が観たかったなー、とも思うのですが。そうは言っても、何が観たいのかというと特に……だしなあ。
優しくて温かみがある個性の持ち主なので、いっそのこと、正反対のチョ・ジュドとか一度演じてみたら勉強になっただろうに、とも思うのですが…。でもあれは、ネコちゃんぴったり適役だったしなあ。うーん難しい。
…あ、フッケ将軍なら観てみたかったかも。重厚な芝居を得意とする人だけど、本公演でああいう役が本当に来るようになるまでには何年もかかるから…(T T)。その点、フッケ将軍みたいな役なら案外多いし、とみぃがあまりやったことのない役のような気がするので。逆に、よっちもああいう軽みのある役は本当に巧いけど、格の高い役はあまり観たことがないから、この二人が交代するとお互いすごく勉強になるんじゃないかな、と。

……独立した一つの公演としてみるならば、とみぃのヤン王とよっちのフッケ将軍という配役で正解なんですけどね。どっちも本当に巧かった。
ヤン王は歌が無かったのがとても残念です。せっかく歌えるのにぃ。




カグン将軍(夕霧らい/高翔みずき)
か、か、か、かっこいい………。
新公は、神話からそれに続く「チュシンの夜」の一連の事件が割愛されているため、チョロの胸に“城主”が神器を隠す場面がなかったりして、本公演以上に『謎な人物』なのですが(アルバイトも多いし)。
しかし格好良かった!らいらいは、やっぱりどこか色っぽいんですよね。大人の男の色気がある。さお太さんのカグン将軍が、どちらかといえば枯れた“老将”だとしたら、らいらいのカグン将軍は、まだまだ現役!という空気がありました。
素顔はあんなに童顔でかわいいのになあ(^ ^)

二度目の、武道籤を売っているポンファ通りにカグン将軍がいないので、あれっ?と思いました。確かに、居てもあまり意味が無い場面ではあるんですけどね。本公演でも、観るたびに「どうしてここにカグン将軍が…」と思っちゃいます。一回や二回観た程度の観客は「チュシンの夜」にチラッと出てきたことなんて覚えてないし、カグン将軍自身も名乗らないし、何をするでなく、出てきて引っ込むだけだし。
もし、“意味が無いからパス”したのであれば、生田さん天晴れ!!なんですけどね(^ ^)。

カグン将軍は、武道会での居方がポイント!
武道会は忙しいので、あまりじっくり注目していたわけではないのですが、最後の方でタムドクが怒って神器が発動したときの反応が、回りの人たちと全然違っていて「ああ、この人はちゃんと知ってるんだな」と解る芝居をしていたのが面白かったです。
食い入るようにタムドクの方を視るカグン将軍。最初は神器が光っている方を視て、そこから視線をずらしてタムドクを視る。そのときの、大きくうなずいた感じ(たぶん)がカッコよかったです(*^ ^*)。

二幕のカンミ城の場面では、ほとんど将軍というより乳父(?)か何かのようにチョロ(瀬戸かずや)を見守っていて、すごく微笑ましかったです。チョロもすごく将軍を頼りにしている感じがして、“城主”があのチュシンの夜の騒ぎで死んでから、ずっと守ってきたんだろうなあ、とか、そういうつながりを感じさせる二人でした。
そして、チョロを見守り、タムドクの前に膝をつくらいらいのカグン将軍は、やっぱり色っぽかった(*^ ^*)。

◇アルバイト情報◇
最初のポンファ通りで、かわいい童顔の美青年がいるなーと思ったららいらいでした。ここはかなり忙しい場面で、メインのメンバーを見て、らいらいとルナちゃんと由舞ちゃんをチェックしたあたりで力尽きてしまったのですが……。みんな勝手なことするのやめようよ(T T)。
らいらいは……あれっ?何色だったっけ。芥子色?あああ、やっぱり5日もほっぽったら忘れちゃうよねぇ~(せっかくチェックしたのに/涙)。




ヨン・ガリョ(祐澄しゅん/夏美よう)
本公演ですっかり煮えまくったしゅん様のヨン・ガリョ。ヨン・ガリョ単体でどうこう、というよりも、人間関係をきっちり造りあげてきたのが凄く良かったです。
セームとガリョの夫婦関係、ホゲとの親子関係、チョ・ジュドとの力関係、そして、プルキルとの関係。すごくきめ細かく、相手を見て芝居をしていたと思います。キャラクターとしては硬軟両方できるけど、芝居のタイプは基本的に受け芝居の人なんですね。

はっちさんに比べて、かなりおっとりとした、優しくて気の弱いパパでした。降嫁してきた王家の姫を大事にして、どんな我侭でもきいてきたんだろうな、という感じ。妻を愛して、大事に思っていて、彼女の望みを叶えることが自分の望みになってしまっているタイプ。
ガリョの性格は、しゅん様の性格なのかなあ。それとも、生田さんの指導なんでしょうか。あそこまではっきりとキャラクターが違うと、本当に面白いです。

本公演の靺鞨の場面で、マメちゃんだけに歌わせてしゅん様は台詞なので、しゅん様って歌えないんだーと素直に納得していたのですが(汗)、なんのことはない、巧いじゃないか!
とみぃみたいな、いかにも“美声”というタイプではないですが、台詞としてきちんと気持ち伝えられる芝居歌でした。やわらかみのある良い声♪ ああ、あの歌が聴けただけでも結構幸せです(笑)。

「愛と死のアラビア」の新公で、アジズの格好良さにはかなり落ちていたんですが、あらためて“老け役”のしゅん様を観ると、この人が作るキャラクターの優しさっていうのが興味深いですね。なんとなく、桐生園加ちゃんに似たイメージを持っていたんですが、園加はどちらかというと“愛されキャラ”で、しゅん様は“愛しているキャラ”あるいは“許すキャラ”なんだな、なんてことを思いました。相手の良い所も悪い所もひっくるめて、許してしまうタイプ。
ちなみに、らいらいは多分“愛するキャラ”で、とみぃは……何だろう(汗)。しゅん様に似てるかな?




トラジ(愛純もえり/初姫さあや)
気合一発!完璧に作りこんだ“美少女”モードのさあやに比べると、比較的落ち着いた感じの「女主人」でした。お客様が来ても飛び上がって喜んだりしてなかったよね?(^ ^)。
ソロもさすがだし、お芝居も良かったです。

◇アルバイト情報◇
二幕のヤン王葬儀の場で、赤メンバーに入ってあれこれ小芝居してましたよね?可愛かったー!(それでいいのか?赤チーム!)




産婆(聖花まい/初姫さあや)
これまた、気合一発!!悪魔の笑みを浮かべた妖しい美女・さあやに比べて、仕事熱心なマジメな産婦人科医、って感じがしました。……っていうかさ、今気がついたんですけど、聖花さんって「銀ちゃんの恋」でも産婦人科医やってたよね?(^o^)。しかも産むのは子夏(野々すみ花)だし。……ぴったりじゃないか!!(吃驚)

白衣があんなによく似合っていた聖花さん、赤と黒の衣装もちゃんと着こなして、キレイでした。「まもなく産み落とされます」というさあやの名調子も、聖花さんなりの解釈で聞かせてくれました。
…アルバイトはあちこちでしていたけど、ごめんなさい、チェックする余裕が無かったです…(T T)。




プルキル(朝夏まなと/壮一帆)
いやぁ、もう、楽しそうで楽しそうで、見ているだけで幸せでした。
見た目は驚くほど壮ちゃんにそっくり!!よくあそこまで作りこんだなあ、と感心しました。
声が全然違うんですけど、黙って立っているだけの場面だったら、途中で入れ替わってても解らなかったんじゃないか、と思うほど似てましたね。外見は(笑)。

役作りがどうこうという役ではない(解りやすく世界征服を夢見る“悪役”)ので、あまり深いところは突っ込みませんが、今まで新公主演をずっとやってきて、最後にこの役をやらせてもらったまぁくんは、とても幸せな人だと思います。
今までは役をこなすだけで精一杯で、舞台全体が見えてないなーと思うことが多かったのですが、今回は、本当に全体が見えているなあ、と感心したので、その空気を忘れずに、これからもがんばってほしいです♪♪
本公演のチュムチもすごく良いし、伸び盛りなんでしょうね、今。「Mind Traveller」もとても良かったし、小池さんはまぁくんみたいなタイプが好きなんでしょうねぇ…。




セーム(華耀きらり/花野じゅりあ)
素晴らしかった!!
鮮やかな色の衣装と、何がどうなっているのか良くわからない、不思議な髪型。華やかで毒々しくて美しい、しゅん様のヨン・ガリョが足元にひざまづいて香油を奉げるのもわかるような、圧倒的な美女でした。

そして、
とにかく芝居の解釈が本公演とぜんぜん違っていて、吃驚しました!!

最初の、「わが子ホゲこそ王にふさわしい!」と息子自慢を始めてしまうあたりは本公演ともそんなには違わないんですけど、タムドクとの会話がぜんぜん違いました。
セームも違うし、タムドクも違う。だいもんの芝居で一番印象的だったのは、この短い叔母との会話の間に、まるで別人のように変貌してしまった(仮面を脱ぎ捨てた)ことだったのですが。
きらりんのセームが、また、だいもんの芝居を細かく受けて、その印象を増幅してくれるのが凄かった。まるで見てはならぬものを見てしまったかのように、仮面を脱いだ皇子を凝視しているセーム。彼女はこの時、どんな地獄を見たのだろうか、と。
搾り出すような「お・ま・え・は~~~っ!!」というかすれ声を聴きながら、鳥肌が立ちました。

芝居としては、高度なものを求めすぎて技術が追いついていなかった印象もありますが、まあ新公だからなあ。自分に足りない部分、特に声のコントロールの必要性は切実に感じたところでしょうから、これから頑張ってくれればいいです。自分のやりたい芝居をイメージどおりにやれる役者になってほしいなあ、と、心から思います。

きらりんって、可愛い遊女はホントに可愛いし、お嬢さまな姫君をやらせればうっとりするほどだし、ミニスカにブーツでアイドルすればもう「きゃーっ!」って感じだし、何をやっても本当に素敵で魅力的なんですけど、一般的にはきゃぴきゃぴした役の方が得意だと思われているような気がするんですよね。
でも、こういう痛々しいほどプライドの高い、譲らない女、というものを、萌えを持って演じられる役者って、実は珍しいと思うんです。「銀ちゃんの恋」の朋子が良かったのも、姿の可愛らしさや思い切りの良いぶっ飛び具合だけじゃなくて、その裏にある女心の痛さと怖さをちゃんと表現していたからだと思っているのです。
誰かに対する悪意をきちんと自覚した上で、悪意を持つに到った経緯を納得させ、悪意を持つことによる自分自身の心の痛みまでちゃんと伝えてくれる役者、それも脚本には何も書いていないのに…というのが、今回セームを見てつくづくと感激したところでした。

今の公演が終わったら、次は全ツですね。
祐飛さんの最後の花組公演を、一緒に回ってくれて、嬉しいです(*^ ^*)
ああ、一場面でもいいから祐飛さんと組んでくれぇぇぇ~!!(祈)




フッケ将軍(月央和沙/悠真倫)
…この人は、本公演ではフッケ将軍の息子のセドルなんですよね………。
私のアタマの中では、新公以来ずーっと、よっちのフッケ将軍とよっちのセドルが会話してます(^ ^;ゞ
また、新公セドルの真輝いづみさんが、なんとなーくよっちに似てるんですよね。
いやはや、あんなに完璧な親子、初めて見ましたよ。
生田さん、絶対確信犯(←別に犯罪じゃないから…)だよね?
【お詫び:最初にアップしたとき、真輝さんのお名前を間違えておりました。謹んでお詫び申し上げますm(_ _)m】

まりんさんのフッケ将軍は、相当にウザいおっさんキャラ。新公も、芝居の骨子は変わっていないし、スジニに花嫁衣裳を着せる場面も確かにウザいことはウザいんですけれども、本公演よりはまだ“タムドク皇子に幸せになってほしい”という祈りを感じることができたような気がします。
タムドク皇子が自分の息子を助けようとしてくれたことを心から信じて、苦労している皇子に、少しでも幸せになってほしい、と…。
そんな気持ちが嵩じての嫁探しだとわかるので、大神官のくみちゃんも本公演の絵莉さんほど本気で怒らないし、まわりのメンバーも、なんとなーく生温い目で見守っていたような気がします。
あと、この場面については、タムドクだいもんの反応の間も良かったです(*^ ^*)。「あー、みんなが僕のことを気にしてる…どうしよう…」という逡巡がちゃんと見えて、話を切るタイミングをはかっているのが解るんですよね。回りの空気が変わったのに気づかないで、スジニを褒めているまとぶんのタムドクも可愛いんですけど(^ ^;、やっぱりここは、タムドクが庇ってあげないとフッケ将軍が可哀相なことになるので、ね(苦笑)。

で。
よっちのフッケ将軍は、朴訥な田舎者ですけれども、決して“面白い人物”では無いんですよね。
彼がマジメにやればやるほど、周りとのテンポがずれて面白いことになってしまうんですけど、彼自身が面白いわけではない。そのあたり、生田さんもきっちり抑えて指導したんだろうな、と思いました。
出番前半の「チョルロ族の長」として出てくるところは普通の老人(?)なんですけど、鎧を着てカンミ城に行くあたりから、「ああ、そっかこの人将軍なんだ」という雰囲気があったのも良かったと思います。若い頃は本当に強くて、人望もあった将軍。年齢を重ねて軍人としては引退して予備役生活だったけれども、鍛錬を怠っていたわけではない(腹は出てますけどね)。戦場勘を取り戻せれば、まだまだ戦える!!……と、そんな感じにちゃんと見えたので。
一本筋のとおった「将軍」ぶりで、タムドクチームの長老としてきちんと機能していました。

真瀬くんのヒョンゴが割と軽めの役作りだったので、フッケ将軍が長老、ヒョンゴが参謀、コ将軍が重石、みたいな役割分担がはっきりしていたのも良かったです。役割分担がはっきりしない軍隊は、見るからに弱そうなので(汗)。



以上8人。芸達者ぞろいの88期も、ついに新公卒業ですね。
これからは本公演で、もっともっとご活躍くださいますように♪

そういえば、トップ娘役のあやねちゃんも88期だけど、今回は出てないんですね。
みなこちゃんも、すみ花ちゃんも、トップになったら新公出ないのでしょうか……。若くして就任すると、アンサンブルで出たりしますよね?下級生も彼女たちの芝居を間近で観る機会があると勉強になると思うので、ぜひ出て欲しいなあ(^ ^)。


東京宝塚劇場にて、花組新人公演「太王四神記」を観てまいりました。


すみ花ちゃん、だいもん、ブラボー~~~っっっ!!


今回は芸達者さんの多い88期のラスト新公だったから、88期中心に書くつもりだったのですが………、
きらりん、とみぃ、しゅん様、らいらい、よっち、まぁくん、愛純さん、聖花さん……みんな大好きだし、みんなみんな凄く良くて素晴らしかったんですけど!!



彼らが作る、がっちりとした土台の上で、見事に息づいて華を咲かせたお二人に、乾杯!






新公演出は、生田大和さん。
私、生田さん演出の新公はいくつか観ていますけれども、毎回感心しています。
役者をきちんと観て、脚本をきちんと読み込んで、役者に合わせて演出を変えることができる演出家なんですよね。みんな、すごく勉強になると思う。新人公演自体のレベルが上がるのは勿論なんですけど、そこで得るものって他の新公より大きいんじゃないか、なんてことを毎回思います。

また、不思議と生田さん演出の新公って実力派が良い役をやってるんですよね(*^ ^*)。「バレンシアの熱い花」のみーちゃん(春風弥里)もそうだし、今回のだいもん(望海風斗)も典型的な“生田新公”役者って感じ。演出の良さと役者の実力が、ちょうど良く噛み合って、良い舞台を作り上げていたと思います。



それにしても、みごとな潤色でした。2幕一本立て作品を、休憩を抜いて二時間弱。月組の「ミー&マイガール」新公(演出・齋藤吉正)も実に自然で見事なまとめ方でしたけれども、「太王四神記」のカットの仕方は芸術的!
「ミー&マイガール」は、それでも「フルでやらせてあげたかったなあ…」と思ったのに、今回は本当に、もしかして本編もこれで(休憩だけ入れて)、フィナーレをもっと派手に長くやるっていうので良いんじゃないの!?と思わせる出来の良さ。

大きく場面としてカットされたのは、「神話」~「チュシンの夜」まで。ここをヒョンゴ(真瀬はるか)の説明Onlyですっ飛ばし、いきなり少年タムドク(月野姫花)にヤン王(扇めぐむ)が言い聞かせている場面から始まります。サビ城陥落の場面がないので後半のキハとスジニの出会いが意味不明だったりはしますけど、それ以外はほとんど問題無かったような。それと武道会前のタムドクとヤン王の意味不明な会話や二幕冒頭のコムル村、キハとプルキルの銀橋、「愛の無い結婚」の歌(場面自体はある)、、、くらいだったんじゃないかな?
あとは、細かくいろんなところをつまんだり変更したりしているんですけど、とにかく流れが自然だったことに感心しました。「エリザベート」新公みたいに、ヒョンゴがひたすら喋り捲りで説明してるんじゃないか、とか結構心配していたんですが(^ ^)、そんなことは全然なく、ヒョンゴの台詞で増えたり変わったりしたのも、冒頭の説明の内容が変わったことくらいじゃないかしら?


しかも!役者のキャラに合わせて細かく演出が違ってるんですよっ(*^ ^*)。
公演全体が、新人公演というより全くの「別バージョン」という感じの完成度でした。

芸達者な88期の面々を思う存分使ってしっかりとした舞台を作り上げた上で、下級生を巧くノセてしまう…そのあたりのセンスが抜群に良いんだろうなあ、と思いました。





だいもんのタムドク。
欠点は、歌う時に笑顔になってしまう(発声の基本で頬をあげるんですが、これが笑顔にしか見えない)ことと、甲冑があんまり似合わないことくらい。あとは本当に、素晴らしかった~!
笑顔の明るい、不器用だけど優しくて魅力的な青年でした。
本公演と何が違うのかわからないんですけれども、全然違っていたんですよねぇー。

…あ、そうだ、すっごい可愛かった★です!特に一幕。本公演よりかなり幼い雰囲気を、わざと作ってたんだと思います(本役のヒョンミョンより全然若かったので)。
本公演を観ていてつくづくと思う、「タムドクってホンっトにガキっぽい……」っていうところが、逆に説得力をもって演じられていたのが凄いなーと思いました。ガキっぽいからこういう行動に出る。だからこういうことになる。そりゃーこうなるよね、でも、タムドクだからこういう助けの手が現れて、こうなる……ああ、やっぱり運命だったんだ、と、

そこに一本筋を通したな、という印象でした。


そして、最初の印象がすごく幼いだけに、「愛する人を疑ってばかり、愛とはなにか疑ってばかり」と歌うころの大人びた哀愁と色香に、愕然としました。

本公演を観ているときは、あまり“時間の経過”ということを考えたことがなかったのですが。
新人公演はタムドクの成長物語という面がすごく強く出ていたので、時間がどんどん流れていくのが見えるんですよね。
一幕の、見た目も中身も子供っぽいタムドク青年。初めてコ将軍やホゲ以外の人と触れ合って、いろんな間違ったことをして、、、でも魅力的だった彼の輝きと、見た目はそんなに変わらないのに、中身はまるで浦島太郎の玉手箱をあけたかのように大人びて。“やりたいこと”ではなく“正しいこと”をしようとしている彼の寂しげな後姿を見凝める、その寂しさ。


タムドクという“チュシンの王”が「紛うことのない存在」なのは、“愛される存在”だからなのだ、という構図が、凄く納得できました。
生田さん、よくその意味付けを見出したものだと本当に感心します。(小池さんは違うイメージで演出しているような気がする…)






そして、すみ花ちゃん!
いやぁー、もう、本当に素晴らしかった!なんだか、全然違う役みたいでした。キハ。

彩音ちゃんのキハは彩音ちゃんのキハで完成されていて素敵なんですけど…
なんていうのかな、物語の中の位置づけが、全然違う!と思いました。

まず。キハが、タムドクよりホゲより、ちゃんと歳上に見える!
新公はサビ城陥落の場面がなく、キハとタムドクの年齢設定については何も情報がありません。別段、本公演同様タムドクが歳上ってことになっていても、なんら問題は無いわけです。

でも、キハが歳上だからこそ、男たちは素直に泣きつけるんですよ。
これって、設定的には結構重要なことです。キハが歳上だからこそ、縋りつく男たちが格好悪くないんです。


そして。
まだ下級生なのに、あんなに可愛らしいのに、包容力があるのが素晴らしい。

セームが死んだ後、「親友を裏切った」タムドクが銀橋を渡って本舞台に戻ってきたとき。
すみ花ちゃんのキハは、タムドクを待っていたことがはっきりと解りました。噂を聞いて、彼を心配して駆けつけてきたんだろうな…というのが、最初に出迎えたときからはっきりと解る。
そして、彼女の心配そうな顔をみて、タムドクがふと微笑むんですよね、微かに(←たぶん。上手の席だったので、あまりよく見えませんでしたが)。
その瞬間のすみ花ちゃんの、タムドクを包み込むような優しい笑顔。
くしゃっとした泣き笑いの表情だけで、タムドクを抱きしめたように見えました。




彼女の最大の武器は、情感の深い声。あの声で、「ヤン王さま、なぜ自ら死を選ばれたのですか…」と絶望に満ちて呟かれると、聴いている観客にまで絶望が沁みてくる。
ああ、「愛の無い結婚」のデュエットを聴いてみたかったなあ……。



他にも印象的なことはとてもたくさんあったのですが……
いちいち書くことができないくらい、とにかく素敵だった!
お姉さんで、柔らかくて、なのに芯はしなやかに強く、折れない。ひっそりとした野の花のようでいて、たくましい野生と繊細な花序をもち、枯れることなく毎年咲いて、見る人の心を和ませる。

すみ花ちゃんの芝居は、リアルとかファンタジーとかという言葉を飛び越えたところにあるんですよね。
炎を操る巫女、神器の守護者…そういうファンタジーの道具立てを使って、誰よりもリアルな女を描き出すことができる。
男を愛し、子供を作り、その男に添えないと知るや他の男に嫁ぐことを承知して、世界を犠牲にしても子供を守ろうとする。そういう、強烈な意思とリアルなパワーを持つ“女”。


雪組のみなこちゃん(愛原実花)とか、ちょっとタイプが違いますけれども宙組のウメちゃん、星組のあすかちゃんも、リアルとファンタジー、両方を演じられる役者です。トップ就任済みのお二人は、あまり負の感情を本気で出したことはないんですけど、やれば多分できるんだろうと思う。(あすかちゃんはその昔、「琥珀色の雨にぬれて」フランソワーズで大失敗したことで成長しましたが…)

でも、すみ花ちゃんのラストの迫力は、本当に凄かった。ああ、黒朱雀になるというのはこういうことか、と。
だからこそ、キハを救うために全てを投げ出すタムドクが、より輝かしく美しく見えた のだと思うのです(*^ ^*)。




そういう意味で、今の若手娘役の中ですみ花ちゃんと雪組のみなこちゃん(愛原実花)の二人は飛び抜けていると思います。すみ花ちゃんの小夏も、みなこちゃんのボニー、アニス、静香さんも、本当に凄かったもんなぁ…強烈でしたわ、ええ(*^ ^*)。
私が視る始めたころの宝塚(←そんなに昔じゃないんですけど…)は、あまりそういう要素をヒロインに求めることはなかったと思うのですが、最近は大劇場でも結構面白い作品をやるので、負の感情を出せる役者は貴重だな、と思います。いわゆる「宝塚らしさ」とは違うのかもしれませんけれども、私にとっては、役者の好みを語る上で、とても大切な要素だったりします(あくまでも、好み、ですが)。





小池さん演出の本公演は、ごく宝塚らしい、シンプルな勧善懲悪ものだと思うのですが。…これだけテーマが違って見えるのは、生田さんの功績だと思います。


…とりあえず。

生田さん、そろそろバウでもやりませんか?
オリジナルでどんなものを出してきてくれるのか、すごく楽しみにしておりますので(*^ ^*)。


.
毎度のことながら、先が見えないレポートです。
花組公演「太王四神記」。



第11場 ヤン王の寝室

上手端にタムドク、下手端にヤン王が立って、会話を交わす。
「タムドク。自分の有能さを、ヨン・ガリョに明かしてしまったな…」
そう、小言を述べるヤン王。



小池さんの脚本において、全ての行動が謎に包まれているのは、実はヤン王なんじゃないかと思うのですが……どなたか私に、ヤン王の真意を説明してくださいませんか?(泣)。
そもそもヤン王は、火天会について何を知っているのでしょうか。「チュシンの王だと知られれば、命を狙われる」というのは、火天会の目的を知っていないと出てこない台詞ですよね?

そもそもヤン王は、甥のホゲをタムドクの身替りにするつもりだった、って解釈であってますか?
チュシンの王はホゲであり、タムドクは愚かでひ弱い皇子だと喧伝して、火天会にホゲを狙わせ、命を(あるいは身柄を)奪わせるつもりだった。
だから、いくらホゲが優秀な青年に育っても、脅威とは思っていない。いずれ火天会によって奪われる命。競争相手のホゲが消えてから、少しづつタムドクの“愚か者の仮面”をはがし、王位に就ける。

だから、「お前を王位に就けるまでは、私は死ねない」……そりゃ、そうなんだけど(^ ^;


そう考えてくると、ヤン王とセームの兄妹の争いは、蛇とマングースの闘いだったんだな、と納得するんですよ。
息子を(自分の代わりに)王にすることしか頭になくて、あれこれ動いた末に破滅する妹と、
火天会を使って息子の地位を脅かす甥を暗殺しつつ、その機を捉えて火天会をも滅ぼそう、くらいのことは考えていた兄。

おそらく、ヤン王は幼い頃から自分を莫迦にしていた妹を、心の底で憎んでいたんだろうなぁ、とか邪推したくなってしまうんですよ。その怨みの深さと、純粋な悪意に。




でも、彼はセームの小細工には気がつかない。それは、ヤン王自身の人徳に問題があるんじゃないかと思ってしまうのです。
猜疑心の強い、悲観的な支配者。

傍に近づける医者はただ一人で、そのただ一人とも信頼関係が築けていない。あるいは、医者の人間性を見抜けていない。彼の身体を純粋に心配し、あれこれチェックする人間も身近には居ない。唯一、息子タムドクだけが心配して書庫に籠もり、キハを連れてきてくれたことで命が助かるが、その行動自体を咎めずにはいられない……。



実際、この後の行動を考えても、ヤン王が何を考えているのか私にはさっぱりわかりません(泣)
もしかしたら、ヤン王は王位を継いだ自分に引け目があったのかもしれない。その「生まれには疑いがある」ということで。
だから、自分の息子に王位を継がせることに拘ってしまい、結果として大きく国を乱す……


……舞台で観ていると、ヤン王の行動はすっごく謎です。
謎なのはヤン王の行動だけじゃないから、まぁいいけど(汗)。




ところで。
ヨン・ガリョはセームのしていたことを知らなかった、と私は思っているのですが……
どうなんでしょうね。知っていたんですかねぇ?
チョ・ジュドも、どこまで知っているんだか。解らないことだらけだな。






そういえば、セームの通夜の場で書くのを忘れていたんですが、
プルキルが提案した「悪企み」って………あれは意味のあるものなんですか?(率直な疑問)

①ヤン王の快気祝いに、葡萄大会、違う、武道大会を開催する。
②闘っている隙に4部族の息子たちをさらって辺境へ連れて行って殺し、その罪をタムドクになすりつける。
③四部族の長を煽って王家への反乱を引き起こす。
④(ヤン王を退位させて?)ホゲを王位につける。


……えーっと。

①は良いんです。王の病気で沈んだ国民の気持ちを引き立て、景気を良くする好企画ですよね。
④も、わからないでもない。というか、ソレが目的だからね。

しかーし。
②の意味がわからない。これは③を実現するための企みですよね。でも、今現在タムドクに全く人望がないのに、③までしないと④が実現できないのか?
この時代の王位継承が、そんなにルール化されているとは思えないんだけどなあ。

そもそもホゲに王位を継ぐ権利がないんならわかります。大和朝廷だったら、ヨン家に降嫁したセームの血筋には、もう王位継承権は認められないはず。
でも、以前からホゲは王位の候補の一人だったわけで。血筋でタムドクか、能力でホゲか?ってところまでは来ていたわけでしょう?何故今更、そんな大騒ぎを引き起こしてまでタムドクを引き摺り下ろさなくてはならないのか?

朱雀の神の、詔まで戴いたというのに。



だから、これはやっぱり全面的にプルキルの企みなんだと思いたい。その目的も、脚本に書かれているようなことではなく、“闘い”のエネルギーがプルキルのパワーの源なのだ、って感じで。
高句麗世界が乱れれば乱れるほど、憎悪や悲しみ、苦しみを糧としてプルキルのパワーは増し、どんどん若返る…みたいな。

うーん、楽しそうな壮ちゃんのプルキルを観るたびに、この人の本当の目的はなんなのかなあと思ってしまいます……「世界を手に」して、そこで彼は何をしたいんだろうか、と。




……暗い話が長くなってしまってすみませんm(_ _)m。


第12場 ポンファ通り

何度観ても何を観ていいのかわからなくて、ぼけーっと眺めて居るうちに終わってしまう、切ない場面です(T T)。完全に目が“溺れて”いますね、私。


幕が開いたら、とにかく武道籤を売っているコムル村一党をチェック。「ヒョンゴが勝負の行方を占っている」……とプログラムにありますが、どう見てもヒョンゴは手相を見てます。手相でどうして“勝負の行方”がわかるんだろう(T T)。(白華)れみちゃん個人が賭け(籤)に勝つか負けるかがわかるのか?もう籤買っちゃってるのに?……意味不明。
(れみちゃんを例に出したのは、なんかすごく真剣っにヒョンゴ先生の手相占いを聞いてたから。深い意味はありません)


ヒョンミョンは首から箱を提げて、籤の販売中。お釣りを出すのがメチャメチャ早いんですけど、間違いとかないんだろうか。
前にも書きましたが、ここに出てくるめおちゃん(真野すがた)とじゅりあちゃんが面白い。あースタイルよくてカッコイイ街人がいるなー、と思うとめおちゃんだし、あー派手な美人、と思うとじゅりあだし(笑)。何度でも引っかかる私。
天真みちるちゃんの笑顔が好きです。なんか元気になる。そして、真瀬くんが好きだ。観ているだけで幸せになれる。

籤を買おうと並んでいる列に横入り(?)してくるシウ族の3人(朝夏まなと、冴月瑠那、夏城らんか)。みわっちスジニがぶらぶらと歩いてきて、さっとチュムチの服から財布を抜き出す。
それを見咎めるタムドク。
……すみませんすみませんすみません、私はあまりにいっぱいいっぱいで、タムドク様の登場を観たことがありません(T T)(ちなみに5場のヨン・ホゲも、きらりんが「ホゲさまよ!」と叫ぶまで観たことがない)。タムドク様は花道から登場されるのでしょうか。それとも袖から?“初めての外出”の割には堂々としてるよなーと毎回思うんですけど、登場から堂々とされているのでしょうか。それとも段々自信がついてくる感じ?
最初から自信たっぷりなのだとしたら、それは皇子様だからなのかしらん。と、誰にも答えられそうにない疑問をこねくってみたりして。


スジニの腕を掴んだまま、奪った財布を返すようにと促すタムドク。
そういえばスジニが女の子だと気づくのはいつなんでしょうね。最初から解っているように見える日もあるし、違うような気がするときもあるんですが。
【Cul様をはじめ、いろんな方に一斉に突っ込んでいただきました。スジニが自分で「少年!?女の子だよっっ!!」っと言ってるじゃんねぇ…(汗)。大変失礼いたしました!ご指摘いただいた皆様、ありがとうございますm(_ _)m】



財布を差し出されて、破顔一笑、嬉しそうに礼を言うまぁくんが可愛いです。そして、「お前ってホントドジだよなー」みたいに囃したてるルナちゃんと夏城くんが素敵(はぁと)。
喜ぶまぁくんに、お礼を強要するみわっち。女は強いなあ。

タムドクを振り返って、「見逃してくれた礼はこの店でいい?」みたいなことを言う。……トラジの店って、やっぱり焼肉屋なんでしょうか?スジニが入りたがってるってことは。
ここでもまた飛び上がって喜んでいるさあや。自分の顔を指差して、うんうん頷いてたのは見ました。タムドクt「トラジ?」「あ、あたしよあたし」みたいな会話をしていたような気がします……(曖昧)。



タムドクたちが店に入ろうとしたあたりで、上手にパソン姐さん(桜一花)が登場。
剣(「龍星」でウメちゃんが使ってた二本組のアレ)を両手に持って歌い踊る一花は、本当に本当に可愛いです(きゅん)。しかし、パソンは「チュシンの星が輝いた」子供時代にある程度の年齢になっていたはずなので、おそらくはキハより上、タムドクやホゲより10歳近く歳上のはずだと思うんですが………
なんてことはもう気にしません。だって一花だもん!可愛いよーホントに可愛いよー(*^ ^*)。


パソンに声をかける、チョルロ族のセドル(月央和沙)。
「山奥の田舎もんが、この剣の価値がわかるのかい!?」って一花、酷い(涙)。チョルロ族の出身地って、靺鞨とどんだけ違うんですか?靺鞨も相当な田舎だと思うんだけど。
そんなパソンを一所懸命フォローしている(でもイマイチ役に立ってない)チュモン(嶺乃一真)が無駄に可愛くて、つい注目してしまいます。


この間に、もう上手にはケマ族(日向燦、煌雅あさひ、鳳真由)が来ている。
パソンに声をかけ、商談に行く途中で……チョルロ族を「田舎もん」と莫迦にすることは忘れない。嫌味いっぱいのマメちゃんがとても素敵です。
アーサーの笑顔が好きだ。しかしこの人、どうしてこんなところで紅い甲冑をつけているんでしょうか。忙しいだろうに……(←余計なお世話)

この場面の用事はホゲ(あるいはヨン家)の私用なので、公的身分をもつチョク・ファンは居ません。ちょっと寂しい…(T T)。




ケマ族の軽口にシウ族が乗った形で、シウ族とチョルロ族が喧嘩を始める。
結構派手な取っ組み合い。いい年して、往来でそんなことすんなよ……。

店に入っていたはずのタムドクたちがいつの間にか居て(早っ)、喧嘩を止めに入る。大劇場の最初の頃は、なんかお店の前で屯ってたら巻き込まれちゃった、って感じだったと思うんですけど、いつの間にかタムドクが積極的に止めに出てくるようになったんですね。
手にした剣?で楽々と剣戟を止めるタムドク。

彼は、コ将軍や近衛隊のメンバー、そしてホゲ以外の人と戦ったのは、これが初めてなんですよね?もうちょっと「へぇー、普通の人ってこんなに弱いんだー」みたいな感動があってもいいような気がしたりもしましたが、まぁ、いらないのかな?

それを、上手セットの壇上で眺めるカグン将軍(高翔みずき)が素敵なオジサマっぷりなんですが、残念ながらこの時点ではかなり意味不明な人です。スポット浴びていることも含めて、すごく謎。



で、セドルの「高句麗一強いのは自分だと思っていたが、お前には勝てん!」という台詞があり、
「それではこのタムタム、武道籤はセドルに賭けよう!」と宣言するタムドク。
ちゃんとヒョンミョンから札も買って(毎回3枚4枚と押し付けられているのが笑えます)、ちゃんとお金を払って籤を買う皇子様。
それも、そこそこの小銭は用意してあるのが良いですよね♪身支度といい、お金といい、、、、タムドクのお出かけの準備を調えたのは誰なんでしょうね。カクダンじゃないよなあ(←カクダンも私用で街に遊びに出たことなんて無さそう)。やっぱりコ将軍……かなあ?ちょっと萌え。




そのまま、「あっちの通りまで籤を売りに行こう!タムタムもおいで!」と連れて行かれるタムドク。
そのままの勢いで、次の「武道大会の場」になだれ込むわけですが。




……国王快癒祝いのイベントに、皇太子が(公式に)出席しない、、、あり得ない事態だと思うんですが(涙)。どうなんでしょう……


.
花組東宝劇場公演「太王四神記」について。



第9場 運命

母親・セームの死を知って取り乱すヨン・ガリョとヨン・ホゲを最後にライトが落ちて、
下手端に立ち竦むタムドクにスポット。


銀橋を歩きながら歌う「運命」の歌。

「今宵、たった一人の友達を喪った/心許せる友はもういない/孤独を抱いて生きていくのが運命だというのか……?」


父なる王は、タムドクに「王になれ」と言い聞かせて育てた。
父なる王は、タムドクにそれ以外のことは何も教えてくれなかった。

人は誰しも孤独なものなのだ、と。

心許せる友を得るためには、自分の一番大切なものを差し出しさなくてはならないのだ、と、

……そんなことは、なにひとつ。






冒頭のホゲとタムドクのラブラブな銀橋で、ホゲは言います。
「お前を疑うなんて、あるはずがない!」


ホゲには自信があった。
タムドクには負けない、という自信が。
あるいは、タムドクに負けても、俺は大丈夫だ、という、そんな根拠のない自信、が。


それは彼が、タムドクを信じていがから。
彼が嘘をついているはずがない、と。

だから、明るい瞳で言うことができる。
「俺がお前を疑うなんて、あるはず無い!」と。


でも、その言葉はタムドクにとっては鋭い刃だった。
彼は嘘をついている。初めて出会ったときから、言えずにいたことが、ある。
自分がチュシンの王だという預言を享けていること。
自分は運命の王だということ。


それでも彼は、ホゲが好きだった。
自分が彼に嘘をついていることを知っていても、
自分が嘘をついていることを彼が知ったら、きっと嫌われてしまうだろうと思いながらも、

それでもタムドクは、ホゲが好きだった。

明るくて、元気で、しっかりしていて、優しくて、強くて、かっこいい、

この世で一番のヒーロー、最高のカリスマを、愛していた。



「君が王なら」

それはどんなにか、素晴らしい王だろう。
素晴らしい世界を造ってくれることだろう。

だから僕は、そんな国の、
君が王として君臨し、支配する素晴らしい国の、
ただの普通の民になりたい。


それはタムドクの素直な思いで。
つまりそれは、ただ「僕は幸せになりたい」という、ただそれだけの呟きで。

それをタムドクは“ささやかな、なのに叶わない夢”だと思っている。



でも、それは間違いだ。
彼は“紛うことなきチュシンの王”なのだから。

タムドクは、全ての責任を放棄し、ホゲに押し付けて逃げだす幻想にとらわれている。責任から逃れることさえできれば、後はどうなってもいい、と。


責任がなければ、権利もないのだということに気づかない。
権利とは、威張り散らす権利とか、欲しいものを手に入れる権利とか、そういうことではなくて、
責任を取る覚悟と能力のない者には、守りたいものを守る権利も無いのだということに、未だ『守りたい者』を持たない子供な彼は、気づかない。




ヤン王は、まず最初にタムドクにそれを教えるべきだった。
「チュシンの王であることを秘密にしろ」と教える前に。
王として、臣下に弱みを見せてはならぬ、と教える前に。





「人を愛する心凍らせ/硬く冷たく氷のように生きていくことが運命なのか/それがチュシンの王だというのか…」




溜息のようにこぼれる、ハスキーなまとぶんの声がとても好きです。
彼の悩みは大きく間違っているんだけれども、誰も彼に「正しいこと」を教えてあげていないから仕方が無いんだろうなぁ……、と切なく思います。


彼は、今すぐにとって返して、親友に縋りつくべきなのです。
「すまなかった…お前を守るためには、こうするしかなかったんだ」と訴えるべきだ!



たとえそれでホゲが許してくれなくても、
たとえそれで、自分の真実をホゲに知られて更に嫌われる結果になったとしても、

それでも、一度はそこで縋りついておくべきだった。

そうしておくことで、たとえホゲとは決定的にダメになっても、次の出会いを大切に出来ただろうに。


でも、タムドクの歩みを留めるものは誰もいない。
唯一の心開ける相手、コ将軍も行ってしまった。



……そして、
銀橋を渉りきったところで、タムドクはキハに出会ってしまう。




少女のように純粋に、タムドクを心配するキハ。
タムドクを心配し、ただただ訳もわからずに許してしまう、キハ。

キハに闇雲に許されてしまったことで、タムドクは自分の傷を治す場を与えられてしまう。
そしてこの時、
他ならぬタムドクが縋りつく相手を間違えたときに、賢王と名将が一致協力して政を執る高句麗、という夢に到る道は完璧に閉ざされる。

チュシンの王が自ら「間違った道」に踏み込んでいく。



小池さんにはそんな意図は無いんでしょうけれども、
銀橋が、「この世」と「あの世」を繋ぐ橋、であるかのように見えてきます。
悩みながら、迷いながら、橋を渡って。
タムドクは、早くも「後戻りできないところ」にきてしまったのだ、と。




……そんなことを思いながら。
すごく不器用に、なのにものすごく幸せそうに、そっとキハを抱きしめるタムドクを観るたびに、「……まぁ、しょうがないか…」と思ってしまうのです。
そのくらい、まとぶんのこの一瞬に懸ける思いは凄いんだろうな、と。



で。
キハの年齢はタムドクよりだいぶ上のはずなんだけど、きっと火天会の魔術で年を取るのが遅くなっているってことでいいですか? (←納得)






第10場 セームの通夜

タムドクと別れたキハは、プルキルの手の中に落ちる。
“烙印の力”というのは、催眠術とは全然違うものなんでしょうか。……違うんだろうな、たぶん。よくわからないけど。

プルキルは、ヨン・ガリョ邸の宴で「チュシンの星の下に生まれたヨン・ホゲ」というセームの妄想(←事実ですけど)を吹き込まれている。とにかく『チュシンの王』を操って“4種の神器”を集めさせ、それによって“世界を支配する”という、……どっかの特撮ヒーローモノの悪役が、子供をさらいながら言いそうなネタを大事にしているプルキルがとても素敵です。

……でも、この場合の“世界”って、朝鮮半島のそれも北半分とかなんですよね?……狭いなあ(^ ^)。




紗幕があがって、母の棺に取りすがるホゲの場。

「母上が私のために国王を暗殺しようとしたなど…信じられません」


ホゲはこのときまで、自分が王にふさわしいと思っていたわけじゃないんですよね。
ただ彼は、『王にならなくてはならな』かった。
ただ、母の歓心を得るために。

だから今まで、あらゆる努力をしてきた。
王にふさわしい男になるタメに。



でも。
母が逝ったことでもその夢は醒めず、逆に彼女の夢が彼の義務になってしまう。
そして父もまた、セームの夢をかなえるために、今までよりも積極的に策略をめぐらすようになる。


……プルキルの狙いどおり、に。




大長老に操られ、タムドクと一緒に居たときとはまるで別人のような、美しいキハが、プルキルの先導で登場する。
紅い袖を翻して、“朱雀の神”に奉げる踊りを踊って、


「ヨン・ホゲ様こそ、紛うことなきチュシンの王!」



この言葉が、ホゲの理性を奪う。


今まで愛してきた(そして軽んじてもきた)タムドクに跪き、母の罪の許しを請う機会を、喪ってしまう。



自分がチュシンの王であるならば。

ならば、母の念願は正しいのだ。
母の行動は正当なもの。なぜならば、それは正しく“チュシンの王”を玉座に就けるための行動なのだから。


そんな言い訳をして、心を閉ざす。
タムドクの正義を認めない。
自分の庇護下を出たタムドクに、何が出来るものか、どうせ何もできないくせに、と思いこもうとする。

早々に誰かに苛められて、自分のところに泣きついてくるに違いない、と。



でも。
そんなことは、もう、あり得ない。

彼はタムドクが嘘を吐いていたことを知らなかった。
タムドクの真実を、見抜けなかった。

だから今まで彼を守ってきたのだし、彼に対する感情は尊敬ではなく、優越感の混じったものだった。

でも、今は知っている。
彼が自分を、欺いていたことを。

なぜ欺いていたのか、なぜ今まで何も言わなかったのか、胸倉を掴んで問い詰めればいいのに。
殴りつけて、蹴り上げて、「俺が王になったって、お前なんか知るもんかっ!!」と叫べばいいのに。


タムドクの裏切りは、ただ母を死に至らしめたことだけではない。
いやむしろ、母の死がどうこうよりも、今まで自分を欺いていたことにこそ怒りが沸いてくる。

母が死んだのは自分のためだ。
自分を玉座に座らせんと逸ったがゆえに、母は死んだ。
死ななくてはならなかった。

きっかけを作ったのはタムドクだとしても、
最終的に背を押したのはタムドクだったとしても、
罪を負うのはタムドク一人ではない。



でも。
自分を欺いてきた罪は、タムドク独りの罪だから。


「それが真の言葉なら/俺は正しく王位を得たい」


タムドクが投げ捨てたものを拾うのではなく、正式に認められたい。

タムドクより自分が王にふさわしい、と、
タムドクではなく、ホゲにこそ王になってほしい、と乞われたい。


友に裏切られた絶望の中、細い一筋の蜘蛛の糸に縋るように、炎の巫女の言葉に縋りついて。

「炎の巫女よ/俺の道を照らしておくれ」

俺の心に、光を与えてくれ、と、

……祈るように、叫ぶように、



瞳を闇に沈めたまま。




闇に沈んだホゲを、虎視眈々と狙う虎族の魔術師の存在を知りもせず、
……知ろうともせず、に。






どうでもいいことですが、天地新堂の大神官/絵莉千晶が、最初にヤン王の妃/初姫さあやに託宣を降すときの声とか、この場面でのキハの声とか、「神の詔」を伝えようとする巫女の声は素敵です。…怖いけど(^ ^;ゞ



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花組東宝劇場公演「太王四神記」について。



第8場 ヨン・ガリョ邸

いきなり下手に可愛い女の子たちが現れ、踊っているところから始まる場面。
宴に華を添えるため、選りすぐりの侍女たちを余興に踊らせてみた…みたいな設定なんでしょうか。このメンバーだと銀ちゃんチームの菜那くららちゃと桜帆ゆかりちゃんがかろうじてわかるくらいかな。…がんばって覚えなくては。



本舞台に光が入ると、ヨン家のメンバーと宴の客---各部族の族長たちが登場。
ヨン家(ヨン・ガリョ)は、五部族会議のリーダー的な地位にあるようですね。大和朝廷における蘇我氏みたいな感じなのでしょうか。しかーし大和朝廷では、蘇我氏の人間は王にはなれない(娘を王妃にして、王妃が王の死後王位を埋めることはできても、その子供は王になる権利がない)んですけど、高句麗は違ったんでしょうか…。

招く側は、ヨン家の主・ガリョ(夏美よう)、奥方セーム(花野じゅりあ)。
招かれたのは、各部族の長(ソノ部族長・眉月凰、スンノ部族長・紫陽レネ、カンノ部族長・夕霧らい)。
…ちなみに、チョ・ジュド(紫峰七海)は明らかに「招く側」なんですけど、彼はヨン家の家司なんでしょうか。それとも、他家の貴族で、ただヨン家側についているというだけなのでしょうか…。
3部族の長に対する態度がかなり上から目線なので、ヨン家の家司ってことはないような気もしつつ、歴史的には、王宮で強大な権力を持つ家があると、そこの家司が王家直参より立場が上になるのも良くあるコトなので、なんとも言えないですよねぇ。

こういう、細かい人間関係の積み重ねが、ドラマには描かれていたんだろうなあと思うんですけどねぇ……本は読めても、映像は無理だわ私(涙)。




えっと、理屈はおいといて。
青・黄・緑の色鮮やかな衣装に身を包んだ長たちが皆素敵です(はぁと)。
それぞれの色の持つ意味については以前ちらっと書きましたが、なんだか、そんなことどうでもよくて、それぞれのキャストに一番似合う色を着せたんじゃないか、と思っちゃいました(^ ^)。

すっとした二枚目の王子には、クールでシンプルな藍の衣装。髪もすっきり下ろして、見ようによっては3人の中で一番若々しい。上級生だけあって口火を切るのは彼が多いんですが、重みがあって素敵です♪
貫禄のある男前なレネさんには、ちょっと派手目な山吹色の衣装。髭も濃い目で、ちょっと南方系?とか勝手に思っています。台詞はそんなにないんですけど、芝居巧者だけあって小池さんに頼られているなぁと思います。彼が入っているから、族長たちの芝居はすごく安心して観ていられる♪
そして、可愛い童顔のらいらいは、明るい緑の衣装に作りこんだ髪、作りこんだ髭で、物凄く作りこんだ“中年男”を演じています。……色っぽいんだこれが(*^ ^*)。なんだか、なまめかしいの。声が高いせいか、若くして家を継いだ青二才みたいにも見えるんですけど、あまりにもオジサマの色気がありすぎて、ちょっと年齢不詳な感じです(笑)。でもカッコいい!!
……つい数ヶ月前はマコトだったなんて想像もできない変わりっぷりで、観るたびにびっくりするんですよね。(らいらいより、あの「二枚目イルス」がトメさんだったコトの方が衝撃的だけど)


3人とも、美人でスタイルよくて衣装映えするメンバーですよね☆意外と若いんですけど、よく健闘していると思います。組長のヨン・ガリョに位負けしないで立てているんだから大したもんだ!


チョ・ジュドのふみかちゃんは、立場はいまひとつよく判りませんが、ヨン・ガリョにとっては頼りになる参謀、って感じなんですよね?情報を集めてきて、打つべき手を考えてくれる人。
ホゲがヨン家を継ぐときには、もしかしたらイルスがその立場に立つのかもしれません。……そう思うと、ちょっと悶えてしまう(汗)。



この宴の目的は、具合の悪いヤン王が近く逝去することを見越して、その後の族長会議での後継者決めの流れを、あらかじめホゲ即位の方向に誘導しておこうというもの。
無論、酒だけではなく、お持ち帰りいただく金塊とか、そういうお土産もご用意しているでしょうし、強大な西域の商人とのつながりを見せ付けておこぼれの期待をもたせ、とにかくヨン家について損はないと思わせる。
チョルロ部族が反対したとしても、3家がヨン家につけば問題ないのですから……。

話をそちらへ持っていこうとするガリョ&チョ・ジュドの老獪さと、あまり深く考えずに「うちの息子」自慢をし始めるセームの可愛らしさが、たまらなく素敵です☆




宴が盛り上がっているところに、侍女が入ってくる。
「奥方さま、タムドク王子がお見えです」

取次ぎを待たずに、タムドクとコ将軍があがりこんできて、人払いを願う。




まぁ、ここで説明されるセームの行動は、無計画にもほどがあるんですけどねぇ…。

最初、医者に王家の証の指輪を与えたセーム。指令はおそらく、「兄上の命を縮め参らせよ」。
なので、医者は薬草茶にトリカブトを仕込む。お茶なんだから多分葉っぱを使ったんでしょう。葉は根に比べて毒性が弱いし、直接食うんじゃなくて煎じたものをさらに煮出して飲むだけで、そう簡単に死ぬはずがない。トリカブトは激烈な急性毒ですが、慢性毒としての効きはそんなに良いものではないので。
具合は悪くなったものの、なかなか死なない兄。なので、これまたヨン家の紋章入りの金を形のままで与え、「もっと強烈な毒」を飲ませるよう依頼をした。

頼むから、大事な息子のためにも、もう少し頭を使ってください>奥方様

なぜそんな杜撰な計画で今までばれなかったのか疑問。ヤン王は、人間不信がひどすぎて側近がいなかったんでしょうか。少なくとも、愛されて尊敬されている王なら、こんなことにはならないよなあぁ……。





この場面を見ながらいつも思うことがあります。
セームは、息子(ホゲ)を愛しているんだろうか?

彼女にとって、ホゲは自分の分身であり、自分が女の身であったが故に果たせなかった宿願(王になる)を果たすための道具だった。
可愛くて優秀で勇猛な息子を自慢には思っても、それは、騎馬兵が立派な愛馬を愛するのと同じ気持ち。そう、彼女は母性のない女だと思うのです。いつでも自分が一番で、息子に対しても見返りを求めるタイプ。愛してあげるから強くなりなさい、愛してほしいなら王になりなさい。王にならないあなたには何の価値もないわ、と……。

これがじゅりあの個性なのか、セームの元々のキャラクターなのか判然としませんが、私としては、セームにじゅりあを配した時点で小池さんの狙いだったと思いたいところです。



生まれて三日で母を亡くし、政務に忙しい父を遠く見ながら一人寂しさを噛み締めていたタムドク。
若く美しく高貴な母に構われ、可愛がられ、ペットのように世話をやかれて、でも「愛されて」はいなかったホゲ。

二人の少年が出会ったときには「君が王なら僕は将軍になる」と言ったホゲ。
たぶん、高句麗という国にとっても、それが一番幸せな形だった。紆余曲折の末、ふたたびタムドクの胸の中に戻ったホゲは、もう一度同じ歌を歌う。人々の幸せを望むなら、それが一番良い形だった、と気づいて。
でも。
この場面の前、大人になったタムドクとホゲは、お互いに愛し合い、許しあいながら、それでも「君が王なら僕は将軍になる」とは言ってあげられなくなっている。自分自身の気持ちとしては言いたくても、周囲の思惑や相手の気持ちが読めてしまう優しい二人の青年は、お互いに相手に対しても自分に対しても嘘を吐くしか、ない。


王位を継ぐために学ぶべきことは多く、それに追われるあまり「普通であること」に憧れを抱くタムドク。
母に愛してもらうには王になるしかなく、そのために塀の上で一人自主練を繰り返していた、ホゲ。


「君が王なら、僕は平民になる」
大臣にも、将軍にも、なってあげられない。君を喜ばせるためならそうしてあげたいけれども、多分、無理なんだ……だから。

俺がお前を疑うなんて、あるわけない!」
そうさ、あるわけがないんだよ、……君と僕と、この世にただ二人だけでいられるのならば。




そうしてタムドクは、親友の母、自分の叔母の胸に刃をあてる。

あなたがホゲを愛しているなら、彼の名誉をお守りください。
……ホゲを、あなたの息子を、愛してあげてください、と。





「流言飛語を懼れ、医者は極刑に処しました」
無言でセームに自決をほのめかしながら、タムドクは急いで邸を出ようとする。
ホゲが帰ってこないうちに、と。

……願いも虚しく、ちょうど帰ってきたホゲにばったり出会う。
「どうした?」
屈託のない笑顔で話しかけてくるホゲ。この二人は、ガキ大将ともやしっ子、に近い関係なんだろうなと思うんですよね。ホゲはどちらかといえば支配的な攻めキャラで、騎馬隊長のチョク・ファンがつっかかったときも庇ったように、今までずっと弱っちいタムドクを外部の暴力から守ってきたんだろう、と。
彼は、タムドクが実は自分と同じチュシンの星の許に生まれたことを知っているし、武芸も本当に女しか相手にならないほど酷いわけではない(自分には及ばないにしても)ことも知っているのだから。

タムドクは、本当の本気でホゲと刃を交えたことがないことは自覚しているにせよ、基本的にはホゲの言うとおりにして生きてきた。それがこのとき、初めてホゲに秘密を持つわけです。
自分が本来ホゲより上の立場(皇子)であること自体も長い間彼の瑕であったのでしょうけれども、今はそれにホゲの母を奪ったという秘密が加わる。

常に自分の前に居て、向かい風から守り、自分を引っ張ってくれていたホゲを、超えたくない。

このときのタムドクは、まだほんの子供なのです。
一人で街に出たことがない。
一人で城の外に出たことがない。

まだ父親の腕の中から出たことがない、子供。




そして。
ホゲもまた、この時点ではなにも気づいていない。

タムドクの闇にも、

……自分のうちの深い闇、にも。


.
花組東宝劇場公演「太王四神記」。


もろもろ綴っているうちに、【4】まで数えていたんですね。あまり内容のあることは書いていないのに(←いつものことじゃないか)



先日から、というか、初遠征以来煮えっぱなしのチョク・ファン(祐澄しゅん)様については、ちょっとだけ落ち着いて観れるようになってまいりました(^ ^)。

っていうか、絶対1月4日のチョク・ファンは、今とは違う(ここで煮えて書いているような)お芝居をしていたはずなのですが、今は明らかに違いますね……(寂)。それも、なんとなくなんですけど、当時も『しゅん様自身が考えて役作りした結果』そうなっていたのではなく、偶然だったような気がしてなりません………(^ ^;ゞ。






とりあえず。
靺鞨での、腰の剣に手をかける場面も、右手がまったく動かなくなったので、ホゲ様を斬る意思は無いようです。もちろん、上司が間違っていると思ったから諫言しているわけで、それが聞き入れられない屈託を「偽りの結婚」の場面まで引きずっているのは変わってないんですけれども、あんまり深読みするのは違うんだなぁ、と(涙)。

……もう、いいです。諦めます。
ホゲ様の最期の場面で、膝から人形のように崩れ落ちる姿だけで、私は満足です……(; ;)。


で、「上司に諫言する」部下と、「ひたすら忠義を尽くす部下」について、夜野愉美さまが素敵な文章を書いていらっしゃったので、一方的で申し訳ありませんが、リンクさせていただきますね♪♪
http://nights-entertainment.blog.so-net.ne.jp/2009-02-19




で。
大劇場公演を観たあとで、神話時代から若きタムドク&ホゲの銀橋までは書いたので、その続きを少しづつ書いていきたいと思います♪



第5場 ポンファ通り

何回観ても、観たいものが多すぎて目が泳いでしまい、結局何がなんだかわからずに終わる名場面(笑)。

タムドクとホゲが銀橋を渡りきり、暗転すると、すぐに明るい音楽が入る。
両袖からいっぺんに出てくるセットと人々。

ヒョンミョン(望海風斗)の“鴨の干物”売りの歌。だいもん、今回はちゃんと大人の役で嬉しいです。いや、子役も可愛かったけど(*^ ^*)。
それを受ける町民(真瀬はるか)の“客の日干し”のソロ。真瀬くん、大抜擢!!だと思うんですけど、なぜか違和感のない落ち着きっぷりが凄いです。大物だなあ。研3?とは思えない達者さ。この人のヒョンゴが本当に楽しみです。

人が多すぎて、動きすぎてて、全然追いかけ切れていない猫ですが。
冴月瑠那ちゃんはセンター付近の店で野菜?か何かを売っていたような気がする。買い物してるのか口説かれているのかいまひとつ判然としなかった娘役さんは、可愛かったけど誰なんだろう(涙)。
浦輝ひろとさん、瀬戸かずやさんもどっかの店で何かを売ってたような気がする。どこだっけ。どっちかはルナちゃんと一緒だったかも(違ったらごめんなさい)。そうこうしているうちに、上手花道にスジニたちが登場してしまうので、チェックが出来ないんですー(言い訳)。


花道から、銀橋へ元気良く飛び出してくるスジニ(愛音羽麗)と、それを追いかけてくるヒョンゴ(未涼亜希)。詐欺まがいの商売をしていたコムル村の“同士”ヒョンミョンが、二人を見つけて下手から銀橋へ出てくる。
ヒョンゴに「お前、村長になったんだって!?」とタメ口で話しかけるヒョンミョン。ヒョンミョンとヒョンゴは、同世代だと思ってていいんでしょうか?

「着替えと、あんたの辻占いの店の準備は整ってるぜ!」と二人を連れて行くヒョンミョン。
とりあえず、ヒョンミョンが首都に潜んで情報を集める役割を負っていること、ヒョンゴとスジニも目的をもって都に出てきた、ってことがちゃんと解ります。このあたりの脚本の無駄の無さは、素直に小池さんすごい…と思いますね。



街のセットのセンターが開いて、華やかな衣装の娘たちが登場。
豪華絢爛、百花繚乱!!
トラジ(桔梗/初姫さあや)、チャンミ(薔薇/華耀きらり)、メファ(梅/白華れみ)、モラン(牡丹/華月由舞)、ポッコッ(桜/芽吹幸奈)、ナリ(百合/梅咲衣舞)、モンニョン(木蓮/瞳ゆゆ)、クカ(菊/花蝶しほ)、スリョン(睡蓮/月野姫花)……

わが愛しき花娘たち!(はぁと)

服はそれぞれの花のイメージに合わせているらしく、桔梗のさあやは大人びた薄紫、薔薇のきらりんは華やかな刺繍の入ったピンク、牡丹の由舞ちゃんは白に紅いアクセントの衣装で、絞りの入った白牡丹を思わせる、とか、みんな本当によく似合ってて可愛いですーーーーっ!!
瞳ゆゆちゃんだけは、“西域の美女”なので黒塗りにぱっちり目のお化粧で、濃い青みのピンクの衣装がよく映えて美しい。木蓮(木蘭)自体はせいぜい雲南省あたりの原産のはずで、そこまで黒い肌ではないはずなんですけど……まぁ、西域の花であることは間違い無いからいいのかな(^ ^;。


最初に歌いだすのは芽吹さん。いい声だなあ(惚)。それを受けて由舞ちゃんのソロ。……巧くなったなあ…(感心)。ちょっと低めのハスキーな声が色っぽくて好きです♪続いてきらりん。振りも結構オーバーアクションで、とにかく「華やか」という言葉が似合う人です。
一息ついて、店主(?)のトラジが歌いだす。落ち着いたまろやかな声。この人も滑舌がいいので、説明が聞き取りやすくてありがたいです。王妃役のときに見せた天女のような慈愛に満ちた“母”の笑顔と、トラジ役での、一癖も二癖もある「遣り手姐さん(←そんな用語は無い!)」としてのニヤリ笑顔。このひとの抽斗の奥深さに、本当にうっとりします。

女の子たちは、出番は結構多いんですけど声を出すのはここだけかな?うーん、何度観ても本当に可愛いなぁ~~(*^ ^*)。




この前後で、上手から紅いマントをつけた騎馬隊の面々が登場。
イルス(日向燦)、嶺乃一真くん、彩城レアちゃん、アーサー(煌雅あさひ)、鳳真由ちゃん。
それぞれ、店を物色したり女の子にモテたり、いろいろしているんですけど……なんだかもう、チェックしきれないんで諦めつつあります(だって女の子たちが可愛いんだもん!)(そんな投げやりな…)


騎馬隊の面々を店に誘う女の子たち。
舞台センター付近で、誰かを誘っていたきらりんが、ふと上手に視線を滑らせて、いきなりハートマークを撒き散らし、今まで話していた相手を無視して叫びだす。
「ちょっと!あれはヨン家のホゲ様よーーーーっ!!」

……ホゲ様、かっこいいです。女の子に囲まれて、鼻の下伸ばしていてもサマになる。
思わず溜息をついて諦めたくなったくらい、二枚目でした。
そして、そんなホゲ坊っちゃんを自慢げに見ているイルスが好きだ(^ ^;ゞ。

「一時間だけだぞ!」というキメ台詞(?)と共に、トラジの店の牡丹の間に通されるホゲ様一行。
…ホゲ様の台詞をきいたさあやの喜びようが素晴らしいです。手を打って飛び上がってるよこの人。………かわええ~~~(壊)。





時系列がちょっと怪しいのですが。
たしか、トラジの店の女の子たちが歌い踊るのを見ていたスジニが、このあたりでちょっと溜息をついて「あたし、ここでは男の子になるよ!」って言う…んでしたよね?
それはもっと前でしたっけ?

とにかく、トラジの店に入っていったホゲ様を見ながら、「あれがチュシンの星が輝く夜に生まれたヨン・ホゲか…(神器を見る)まぁ、しばらく様子をみてみよう」と落ち着いた声で呟くヒョンゴ。
とにかく辻占の店を開くことになり、「チラシを配ってこい」と言われて「えぇ~、あたしがぁ、じゃなくて、俺がぁ~!?」と律儀に言い直しながら舞台センターへ出てくるみわっち。

同時に上手から登場するのは、キハを先導するサリャン(華形ひかる)。
みわっちスジニに「そこの白髪のおにいさん!」と呼びかけられて、憮然として顔をあげるサリャンが素敵♪
しかーし、「急いでいるからどけ」っていうだけで良いはずなのに、サリャンに「ヤン王さまの具合が悪いのでご祈祷に行く途中なのだ」まで喋らせてしまう小池脚本の無駄のなさに感動します。で、二人が下手に立ち去った後、「噂だ噂だ!」と歌いだすトラジとヒョンミョンたちが凄い生き生きとしたエネルギーに満ち溢れていて、素敵。ホゲ様一行が“牡丹の間”にしけこんだ後も、客引きのため(?)に通りに残っていた甲斐があったね、さあや(*^ ^*)。



ちなみに。
“トラジの店”は……焼肉屋だってことでいいんでしょうか?劇場のすぐ近くにもありますけど(爆)。プログラムに広告載せてもらえばいいのに、商売っ気ないんだから…(^ ^;





第六場 王宮の書庫

「タムドク皇子とヨン・ホゲ様と、どちらがなるのか高句麗王!?」という人々のコーラスがキマると、くるりと盆が回って、王宮の書庫に。


下手端で、サリャンがキハに「神器に関する書物を探せ」というプルキルの指令を伝える。
書庫に忍び込むキハ。

街中の喧騒からはほどとおい書庫の中では、「文字さえ読めない」と言われているタムドク皇子が、父王の病を治す方法はないかと書籍を調べている。
ホゲの知らない、タムドクの真実。王宮の奥深く隠され、ほとんど「白痴」に近い風評を流されて。コ将軍や近衛隊の面々以外には軽んじられてばかりの自分を、そうあらねばならないことは解っていても、悔しくは思っているんでしょうね、きっと。

母は疾うに亡く、政務に忙しい父は遠い人で会うこともままならず、親友・ホゲとの交流も余人に知られてはならない。そんな中で、偶々知り合った天地神堂の巫女の不思議な存在感に心惹かれる。それはなんとなく、解るような気がします。

でも、会ったばかりの女を父王の許に連れて行くのは、もう少し慎重に考えたほうがいいと思うよ…?





第七場 ヤン王の寝室

王の病状を確認するため、後宮に向かう二人。

誰何して目的を聞くカクダンや近衛兵、侍女たちの目を怖れてびくびくしているキハが結構可愛い(^ ^)。
書庫で調べものをしていたときの暗い顔とはうってかわって、悪戯っ子っぽい顔をして先導するタムドク。書庫で「能力を教えてくれたら、書庫に忍び込んだことは黙っていてあげる」と言う場面もそうなんですけど、この辺のキャラクター設定にまとぶんらしさが出ていて、“可愛い男の子”なんですよね、皇子様は。隠されて育った彼にとって、これが「生まれて初めての冒険」だったんだろうなあ、と……。

ヤン王の寝室で、心配そうに、でも“遠い人”を視る眼で父王を見るタムドク。

父王に近づき、触れ、父王の口にするものに手をつけるキハを、見張る気配もなく好きなようにやらせているのはちょっと問題のような気もしますが。まぁ、チュシンの王には“信じるべき人”と“そうでない人”を一目で見分ける能力があるのかもしれん……と思うことにします(汗)。



医者の煎じた薬草茶に毒が入っていたことがわかり、なにやら決意の表情のタムドクにスポットがあたって、暗転。次の場面に行くわけですが。


長くなってきたので、今日はこのあたりで☆

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東京宝塚劇場にて、花組公演「太王四神記」を観劇してまいりました。


やっぱりこの作品、華やかで美形ぞろいで切ない、という「宝塚」の必須項目をすべて網羅した名作なんだなあ、と思いました。星組さんでの続演(?)が発表された今、花組メンバーの「俺たちが歴史を作るんだ!」的な気合もかなり感じられる(←多分気のせいですが)ような、熱気に溢れていました。
せっかくの良い作品なのに、公演期間が短くなってしまってとても残念なのですが(涙)、そうは言っても今年の中では少し長めのこの公演、がんばって通いたいと思います!



真飛さんのタムドク皇子は、最後に遠征したときに観たよりも、すこーし優しい感じになっていたかな?世界を覆う皓い翼が、すこーしづつ形を成しつつあるなあと思いました。
ただ。前回のトマスの時も書いたような気がしますが、この人のお芝居って、シリアスな芝居の中にちょこっと入る茶目っ気が魅力なんですよね(^ ^)。だから、今回みたいにここまで徹底してシリアスなお芝居だと、なかなか良さを出すのが難しいのかなあ、とか思ったりもして…
いや、ほんとに正統派の美形なんで、それだけでもいいのかなと思ってしまうんですけど(^ ^;ゞ



祐飛さんのヨン・ホゲは、大劇場でいろいろ作りこんできたものをいったんリセットして、最初(正月明け)に観たときの空気に戻っていたような気がします。
スタートに戻ったわけではなくて、螺旋状に一段上がった感じなんでしょうけれども、結構今回の役は私が観た限りでもずいぶんいろんなやり方を試していたように思うので、一通り試した上でまたリセットするその勇気が凄いなあ、と思います。
千秋楽までの変化を楽しみにしたいと思います。



桜乃彩音ちゃんのキハは、またちょっと大人っぽくなって良くなってました。
星組さんでは、(夢咲)ねねちゃんが花組同様キハになるのか、また違う、ドラマ版にのっとったストーリーでスジニをするのか(その場合、誰がキハをするのか)わかりませんが、彩音ちゃんのキハには彩音ちゃんにしかない魅力があると思うので、もっともっと舞台を楽しんでほしいなぁ、と思います。



壮ちゃんのプルキルは、もう最高です(*^ ^*)。文句なし!
「眠れ、愛しい子よ…」という歌が、すごく良くなってました!壮ちゃん、歌いまくりっぽいバウ主演に向けて、ボイトレがんばっているんでしょうねぇ…。世界を支配するに足る、良い声でした♪






この後、ふつうならみわっちとかまっつとかのことを語るところなのですけれども。
……あえて、(祐澄)しゅん様レポートを(笑)。

まずは神話時代の熊族から。
熊族の中ではかなりセンター付近にポジションをとっているしゅん様。基本的にはあまり表情を動かさないんですけど、虎族の女王カジン(キハの前世)が神の子ファヌン(タムドクの前世)に紅い紅玉(=火の力の源)を差し出した瞬間に、嬉しそうににこぉっと微笑むのが印象的でした。


チョク・ファンとしての最初の登場。
コ将軍(扇めぐむ)との嫌味の応酬が、台詞は同じなんですけど言い方がちょっと激しくなっていたような?(気のせいかもしれません)
カクダン(望月理世)率いる、女ばかりの近衛隊を、そして、彼女らを練習相手にしているタムドク皇子への莫迦にしきった口調と見下しきった目線が、実にイヤらしくていいです。
タムドクとチョク・ファンの“稽古”に割ってはいるヨン・ホゲ。ヨン・ホゲの名乗りを聞いた瞬間の、チョク・ファンの動揺がなんだか好きです。ところで、チョク・ファンはケマ部族(族長はヨン家)の一員、と思って良いんでしょうかねぇ?

ついでに近衛隊メンバーに一言。
自分たちへの侮辱は無表情で黙殺し、タムドク皇子への侮辱にカッとする理世ちゃんがステキです(はぁと)。
一人だけ、比較的最初から好戦的な遼かぐらちゃんも、この役ですっかりお気に入りになりました(^ ^;


靺鞨にて。
ここで、敬愛するヨン・ホゲに諫言し、祈るように、乞いるように連ねた言葉をすげなく拒否され、思わず腰の剣に手を伸ばそうとして、止めるチョク・ファン将軍を、皆様どうぞお見逃しなく。
(最後に遠征したときは、ずいぶん反応が弱くなっていたので心配したのですが、また強くなってたんでちょっとホッとしました ^ ^;)


ヨン家の宴にて。
最初、ヨン・ガリョがいろいろ話している間は、トラジの店の女の子(っていうか白華れみちゃん
メファ)にせまられてタジタジしている、女っ気ないにもほどがあるだろうって感じの可愛い将軍。
れみちゃんがちょっと離れて、息をついたところで、チラッとセンターを視る。
センターに居るのは、キハと二人で「愛の無い結婚」を歌いながら前に出てきたヨン・ホゲ。
ちょっと切ない眼でそちらを視ながら、れみちゃんが持ってきてくれたグラスを、「乾杯」の発声にあわせて、そっと掲げ……誰かと喋っているヨン・ホゲを陰ながら(ちょっとれみちゃんから逃げ腰な感じでしたが)見凝める眼は、最初に落ちたときと同じ、切なくて遠い眼だったと思います。

その後、スジニが入ってきてキハと会話を始めたあたりで、奥に向かうヨン・ホゲ。
共に奥へ向かいつつ、祝いの挨拶でもしているのか、穏やかにホゲと語り合うチョク・ファン。
上手側から話に加わるイルス(日向燦)。

イルスが入ったあたりで、なんとなく口数が減って、穏やかな瞳のまま、少しホゲから離れるチョク・ファン。そのまま近くの女の子(?)と談笑をはじめて…

初めて観たときの、ここですっと下手側に離れてじぃーーーーっとホゲを見凝める、という芝居は、やっぱりもうやらないみたいです。あの眼がすきだったのに。とても悲しい(T T)。




……っていうかさ、もうちょっとホゲ様も観ようよ>自分
イルスも良い味出してるよー?(←知ってます)



武道籤の売り上げは、確認できたところではトラジ(さあや)が緑(?)一枚、チャンミ(きらりん)が赤ともう1つ違う色(?)を一枚づつ、アルバイトのめおちゃんがなんか色んな色を4枚くらい持たされてました。同じくアルバイトのじゅりあも、結構買わされていたような…。
タムドク様は黒を三枚押し付けられて苦笑してました。で、お金を渡したらヒョンミョンが飛び上がって喜んでた(笑)。いったいいくら渡したんだ?…皇子様なんだから(^ ^;







とりあえず、このしゅん様煮えした頭を冷やしてから、出直したいと思います………(- -;ゞ

.
年が明けてから、いろいろと書きたいものが溜まってきているのですが……
シアタークリエの「スーザンを探して」とか、
いのうえひでのりの「リチャード三世」とか、
わらび座の「天草四郎」とか、
宝塚月組「夢の浮橋/Appacionado!」(新公も)とか、
宝塚雪組「カラマーゾフの兄弟」の続きとか、
同じく雪組「忘れ雪」の原作の話とか、、、、、、、



でも。

とりあえず、やっぱり大劇場花組公演「太王四神記」について、東宝が始まって記憶が塗り替えられてしまわないうちに、メモを残しておきたいと思います。
今更ですが、すみませんm(_ _)m。


ちなみに、色んな小ネタについて、2月1日の日記のコメント欄にCul様から詳細なコメントをいただいております。ご興味のある方は、ぜひお読みになってくださいませ♪
……それ以外に、か……。難しいなあ(^ ^;ゞ



・ポンファ通り
プログラムを見て知ることってたくさんありますねー。
このポンファ通り、漠然と「城下町」だと思っていたんですが、プログラムには「国内城下」と書いてある。あの王宮のある城は、「国内(クンネ)城」っていうんですね!ほほーっ。

で。
ポンファ通りを彩る花々、トラジの店の女の子たち。
女主人のトラジ(さあや)を中心に、きらりん、れみちゃん、由舞ちゃん、芽吹さん、梅咲衣舞ちゃん、瞳ゆゆちゃん、花蝶さん、姫花ちゃん……ホントにカワイコちゃんばっかり!
「世界中の美女を」と歌っているとおり、アラビア系の美女(瞳ゆゆ)がいたりするのが不思議な感じ(笑)。ゆゆちゃんホントに可愛いなあ(*^ ^*)。…いえ、全員が本当に可愛いんですけどねっ!(言い訳)
ホゲ様が登場したときの、女の子たちの目の色の変わりようが面白かったです。さあや、女主人のくせにそんなに嬉しそうにしてていいのか?きらりん、うっとりしすぎだからっ!(^ ^)

その後の、武道籤(これが、耳で聞いていると何度観ても「葡萄食うぜ」と聴こえて困りました……)の場面では、タムドクがお忍びで来ているんですよね。
タムドクは、この前の場面で「独りで外に出たことがないんだ。…君(キハ)を案内できない」と落ち込んでいたので、早速出てきたのね、とわかるわけですが。
なんだか、『はじめてのおでかけ』にしては慣れてませんか?カッコよすぎだし(笑)。

で。この場面をあらためて見て、ああ、タムドクはセドル(月央和沙)と仲良くなったから、飛び入りの補欠を買って出て、結果的にホゲさまを陥れることになったのね……と、納得してみたりしました(←多分違う)

武道籤を買う列に並ぶメンバーがの小芝居が大好きです。どの籤を買うのかはその日によって違うみたいですねぇ。うっわー、チェックするの大変そう……(←するのか?)

あ、それから。チョロ様として登場する前にアルバイトで稼いでるめおちゃん(真野すがた)とか、セーム様の出番が終わってアルバイトを始めたじゅりあちゃんがステキなのでお見逃しなく♪




・天下一武道会

盆が回って観客席が後ろからパンしてくるとき、端に立ってきゃいきゃいと赤軍に声援を送っているトラジの店の女の子たちがめっちゃ可愛い。たぶんみんな、自分が買った籤に合わせて芝居をしている…… と思う(笑)。この場面は全体的に忙しすぎて、完全に目が泳いでおります(T T)。


で。
ちょっと拘りたいので、高句麗の五部制についてちょっと復習してみた。

高句麗は、そもそもは部族連合として成立。連合の中心になった五族(消奴部、絶奴部、順奴部、灌奴部、桂婁部)は、元はそれぞれに土地を領有する豪族(部族国家の王)。これが、王族の権威が伸張するにつれて豪族から王直属の大臣へと移り変わっていったのは、たぶん大和朝廷の進化と同じようなものだったのでしょう。
次第に五族は、豪族としては解体され、内・前・後・左・右の五部として国家権力に組み入れられていく。

…あるいは。
元々、騎馬民族には「中・前・後・左・右」の五部で一つの軍隊として機能する発想があったらしいので、それが伝わったのかもしれませんね。
ちなみに、ちょっと調べたところ、「5色」はあくまでも「陰陽五行」から来た青(東・左)・赤(南・前)・白(西・右)・黒(北・後)+黄(中央)であって、青・赤・黒・緑・黄ではないみたいなんですけどねぇ…。
#緑が入る場合は、白ではなく黒と入れ替えになるらしい。

作品全体のテーマが四神の神器を探す話で、この「四神」を象徴する色も陰陽五行から来ているので、凄く混乱する。朱雀の神を崇めるヨン家が朱で、でもこれは朱天会にはホントに関係無いのか? とか、気にしなければいいと解っていてもつい悩んでしまう…(; ;)。

赤軍(部族名不明。ヨン家+騎馬隊長)夏美よう、大空祐飛
黒軍(チョルロ部族)悠真倫、月央和沙
黄軍(スンノ部族)紫陽レネ、瀬戸かずや
緑軍(カンノ部族)夕霧らいらい、輝良まさと
青軍(ソノ部族)眉月凰、浦輝ひろと

青軍の“ソノ部族”と、西百済のカンミ城(青龍の神器の在り処)とは何の関係も無さそうだし、黒軍とコムル村はもちろん関係ない。そもそも、どうして青龍(東)が「西百済」で、朱雀(南)が「東百済」なの?白虎(西)は北方だしさーー、とか、突っ込み始めたら止まらなくなってきました(汗)。

とりあえず、黄色は「真ん中」で王の色、なので、王族が黄色でないとおかしいのでは?というのと、
ホゲの衣装は多くが紫なんですけど、王または大臣筆頭の貴色であったはずなので、なんか謎…
とか思ってしまう(^ ^;

五族を青・赤・白・黒・黄色に、天地神堂を緑にすれば、まだ少しはわかりやすかった、かな?
まぁ、どのみち二重構造になっているのは同じなので、やっぱりわかんないかなあ(涙)。



ホゲが闘いながら銀橋を渡ってきて、上手の客席に乱入しそうになる場面、とっさに袖で顔を隠すタムドクと、それをチラっとみて「ん?」という顔をするヒョンミョン(あれ?スジニだったかも?)が面白かった。

タムドクは、ホゲがイカサマしていることを知って、助っ人に入るんですよね?(確かパソンが説明している…あの場面、忙しくてあんまり観客席を観れないのですが)
…イカサマの槍を振り回すホゲさまが格好良すぎて、イカサマをする必要性を全く感じませんが、なにか?





娘役な兵士たち。

小池さんって凄いなあ、と思うのは、大量のキャストをサバキきれるところ。
正塚さんみたいに、舞台上に5人以上の人間がいる時間の方が短い、みたいな作品も下級生にお気に入りが多いと辛いものですし、だからと言って、木村さんみたいにただ舞台の上に飾っておけばいいというものじゃない。
さすがに80人からいる登場人物全員にキャラクターや運命を与えることは難しいでしょうけれども、それなりにちゃんと「勉強になる(=意味のある)」芝居をつけつつ、多人数が舞台上にいる時間を長くとる、という離れ業をやってのける。

一幕ラストのテジャ城はじめ、二幕クライマックスの、「戦場」にいたるいくつもの場面で、「高句麗軍」というくくりでお揃いの鎧を身につけている兵士たちの中に、娘役がたくさん混ざっていることをご存知でしょうか…?
特に二幕の「戦場」は多くて、愛純もえり、華耀きらり、白華れみ、天宮菜生、華月由舞、芽吹幸奈、花蝶しほ、初花美咲、月野姫花……花組の誇るきれいどころが勢ぞろい、というていです。
いやあ、初めてこの公演を観たとき、センター奥で巨大な盾を構える姫花ちゃんに仰天して、周りを良く観たらきらりんにれみちゃん、はるちゃん、由舞ちゃん……「えええええっっ!?」という驚きでした。
たしかに、娘役を総動員しないととてもあの壮大なフォーメーションは実現できなかったでしょうけれども…。

いやはや。それにしても、小池さんは偉大ですね(*^ ^*)。

とりあえず、色々探すのは無理にしても、姫花だけは観てあげてください。めっちゃ可愛いので(惚)。わりとずーっとセンター上手よりの最前列にいたと思いますので、すぐ判りますから!!

……っていうか、姫花だのきらりんだのの兵士を観た後で同じく兵士に混ざっている望月理世ちゃんをみつける、なんていうか、不思議な感覚(笑)。なんか男役の中に華奢で細っこい美人が混ざってる、っていう兵士の中に娘役が混ざっているのを見つけたときと同じ違和感があるんですよ。……理世ちゃん、ちゃんと男役なのにぃー(^ ^;




・フィナーレ
ロケットは、月野姫花ちゃんに釘付けです。っていうか、なんでこんなに姫花ちゃんに釘付けなんでしょうか私。

青龍の群舞は、皆カッコイイから絶対観よう!!と思いながら臨むのに、ふと気がつくと、さあやときらりんを追いかけて目が勝手に上手に行ってしまっています……。
二人ともかーわーいーいーーーーっ!!

玄武の群舞は、祐飛さんが出てるんですけど忙しいです。前列から最後列まで全部観たいのに、意外と舞台が暗くて、というかライトが断続的なのでゆっくり観られなくて悲しい。
アーサーがなぜかすごく眼を惹きます。色っぽくなった?ルナちゃんきれいすぎる!そして、真瀬くんもつい見入ってしまう人の一人ですね。日高くんは、もっと伸び伸び踊るダンスの方が似合ってるのかな?ヒップホップ(?)は難しいですね(T T)。

白虎のデュエットは、まず衣装が可愛くて好きです。毛皮だー♪せっかくなので虎縞にしたらいいのに、という友人の発言に爆笑して以来、衣装を見るたびに笑いがこみ上げます(^ ^)
それにしても、真飛さんがトップになって以来、デュエットダンスは三回とも同じような振り付けで残念……。「RED HOT SEA」で、二回もデュエットがあるのに二回ともがっちり組まないでポーズをキメてちょっと動いて、キメて、絡んで、キメて……みたいな振付だったので、今度こそ!と思っていたのになー。
「RED HOT SEA」も「II」がつくので、ぜひデュエットのどちらかは振付変えてくださいっ!>草野さん

パレードのエトワールは、はるちゃん。いい声でした♪♪

お芝居のパレードは、どうしても衣装も役の衣装だから、ショーのパレードの総スパンの羽根つきとかに比べたら地味目だし、音楽もマイナーな歌しか歌ってないキャラクターは不利だったりするんですけど(「マリポーサの花」のエスコバルのパレードはちょっと気の毒だった…)、
今回はうまくまとめたなあと思いました。
さすが、小池さんのフィナーレは黄金のワンパターンですよねっ!


……他にもいろいろあったような気がするのですが、とりあえず東宝待ち、ってことで、
この辺で……m(_ _)m。




花組大劇場公演「太王四神記」について、ごくごくごくごく一部の限られた方(←多分、私だけ)に、残念なお知らせがひとつ。


数日前、祐澄しゅん様が演じるチョク・ファン将軍について、この欄で熱く語った私ですが。
http://80646.diarynote.jp/200901280207082835/
さらに熱く煮えたぎったコメントを下さったCul様が、最新のニュースを送ってくださいましたm(_ _)m。



今日2回観劇しました…私が妄想したこと全部、誤解だって言われてるようにキッパリと、チョクファンのホゲへの想いを示す仕草は無くなってました

…私たちが、あんなに熱くコメント欄で煮えてから、わずか一週間なのにっ(T T)。
はっ。もしや、あんな煮えたぎった日記を読まれて、逃げられてしまったのでわ…………
しょぼーーーーん。

武人としての潔癖さは無くなって単に性格が優しい人になってました。
まっかつで諫めるのは本当に見かねたからだし、武道会での槍は、驚きはするものの、すぐ王とタムドクのやりとりに気を取られて、ホゲをどうこう…とは思わないみたい。

まあ、武道会での反応は元々一瞬でしたけどねぇ。
うーん、そこまで変わるとなると、小池さんの演出指示なのかな?という気がしますね。
だとすると、東宝までの間に元に戻ったりはしないのかなあ(T T)。

ヒョンミョンも、ホゲの死を激しく悲しんでくれたのは、私がみた幻想だったみたい 都暮らしが長い感じもしなくって(鴨売りは皆さんと仲良さそうなままだけど)、ヒョンゴたちと同じ表情で通りで歌うようになりました。…悲しい。

なんか、細かい芝居は各人整理されて、チームごとにまとまりましょう、そして神器とタムドクを盛り上げましょう、という方向に感じた。
確かにエネルギーが一方向にまとまって大きくなったけど、あの繊細な個人芝居は(萌を差し引いても)大好きだったのになぁ…

そう、そうなんですよね!!
花組さんは、大劇場では観るたびに印象が違う(変わったり戻ったりする)人が多いなーと思ったんですけど、今回は特にその印象が強いです。皆お稽古では段取りを覚えるだけで精一杯だったのかな?(汗)
大劇場公演も終盤に入って、やっと「タムドクを中心にした物語世界」がまとまり始めた印象があります。初日あけてすぐに見たときは、もっと群衆芝居な感じだったので。
何をやっても群衆芝居になってしまう月組っ子を長年見ててきたので、こうやって、好き勝手な方向を向いていたメンバーが、短い公演期間にどんどんセンターを引き立てる方向にまとまっていくのを見ると、ついつい吃驚してしまいます。芝居の組み立て方みたいなものが違うんでしょうねぇ(^ ^)。


またお稽古場で見直してから東上してくれると思うので、楽しみにお待ちしています☆
……しゅん様のお芝居だけは、もう一回ご検討いただけると嬉しいんですけどねぇ(^ ^;ゞ。








そして、そうこうしている間に、花組さんの全ツとバウの振り分けが発表になりました!

壮ちゃんのバウは、専科から萬あきらさんと藤京子さん、長はまりんさん(悠真倫)。二番手はみつる(華形ひかる)……ってことになるのかな?
ふみか(紫峰七海)、(初姫)さあや、マメ(日向燦)、、、、、芝居ができる人を全部もって行こうとしたんでしょうね、木村さん。責任もって、彼らを連れてっただけの意味のある作品を書いてくださいよねっっっ!!
あああ、組替え早々の天咲千華ちゃんもバウか!!がんばれ~~~っ!!




全国ツアーは、 組長さんが長で、専科から京三紗さん(喜)。
……て、あれっ?さおりさん(高翔みずき)は……??
今度こそ踊りまくるさおりさんが観られるはず、と思っていたのに、またお休みなの?大丈夫なのでしょうか…(泣)。


みわっち(愛音羽麗)かまっつ(未涼亜希)、どっちかはバウだと思っていたので、メンバーの豪華さにかなり驚愕してます。凄く嬉しくて楽しみなんですが、、、めおちゃん(真野すがた)にまぁくん(朝夏まなと)、だいもん( 望海 風斗)……スターが勢ぞろいしてますけど、こんなに役あるんですか?「哀しみのコルドバ」って(泣)。88期のスリータワー(扇めぐむ、夕霧らい、祐澄しゅん)まで勢ぞろいしてますけどーっ!?
娘役も、(桜)一花に(華耀)きらりん、(白華)れみちゃん、はるちゃん(天宮菜生)、(華月)由舞ちゃん、(月野)姫花ちゃん、、、、猫的にはめっちゃ勢ぞろいなんですけど、ホントにちゃんと使いきれるんでしょうか。心配。




とりあえず。「哀しみのコルドバ」はよく判らないのでおいといて。
「Red Hot SEA II」ですが……

まとぶんと祐飛さんの割り振りは変わらないとして。
壮ちゃんポジには基本的にみわっちが入ると仮定すると、妖精さんは、番手どおりならまっつになるんですよね…?
うーん、でもまっつは動かないような気がするなあ。出番を減らしてだいもんで来るか、娘役にして一花でいくか、どちらかのような気がする。ペドロは姫花ちゃんとか?★


かもめ&引き潮のチーム大空(まっつ&みつる)からみつるが抜けてしまいますが、ここに入るのは誰なんでしょうね。「かもめ」の男役二人は、娘役さんの群舞の中に入っても違和感の無い背丈がポイント(←ごめんなさい)のような気がするので、まっつとだいもんなんじゃないかなー?、と予測。
一花が妖精さんなら、きらりんのかもめAもありかしら(*^ ^*)。わくわくわくわく。
「引き潮」は、祐飛さん&きらりん、まっつ&一花or由舞、めおちゃん&姫花、、、、とか?(^ ^)



まぁ、実際にはみわっちが丸ごと壮ちゃんのところに入るわけではないんでしょうし、「II」がついているくらいなので構成とかも変わるんでしょうね。 変更点だけでも、先にわかるといいのになあ。
ま、でも。いずれにしても楽しみだ~!




そういえば、花組は組本出ないんでしょうか。星月雪と出て、次の東宝で花組も出ると思っていたのですが、噂を聞かない……。なぜかしら。
宙組さんもまだ出てないですよね。次で出るのでしょうか?タニちゃんとウメちゃんの扮装写真とか、見たいですもんねぇ~♪♪




大空祐飛さんが花組に異動して、ちょうど一年が過ぎました。

……早いものですね。本当に。





ほとんど卒業公演のつもりで通いつめた「Hollywood Lover」。
月組ファンでもあった猫にとっては、月組から卒業したら、あとはもう余生くらいに思っていたのに。


今、あんなにも楽しそうに、そして何より幸せそうに舞台に立っている祐飛さんを観るたびに、涙がでるほど幸せな気持ちになります。
何度も書いていますが、暖かく迎えてくださった花組のみなさまには、心から感謝しています(; ;)。ありがとう!





…と、いうわけで、
今日観たわけではないのですが、先週遠征したときの花組公演のレポートを。




正月休みに観てから、半月。
一番「変わった」!と思ったのは、まとぶんのタムドクでした。
いかにも裏のない「真っ白な」二枚目っぷりに終始した役作りから、少しずつですが懐の深さを感じさせる王者像を創りつつあったと思います。

小池さんの作品って、割と単純な「勧善懲悪」モノになりやすいのですが(←それこそ“宝塚的”潤色の天才、と呼ばれるゆえん)、私みたいなひねくれたファンには、それだと物足りなかったりするんですよね。でも、タムドクがなぜ王位を拒否するのか?が見えてくると、ドラマが重層化して面白くなってくるんです。
ヨン・ホゲが玉座を欲するのは、ある意味当然のお約束。それだけではドラマとして弱い(ひねくれ度が足りない)。

なぜタムドクが玉座を拒否するのか?
命を救ってくれたキハをさえ疑わなくてはならない父王を幼い頃から見てきて、そんな立場になりたくないと思っていた、から。
だからこそ、父王の死を知って、「自分はヤン王のようではなく、“愛に満ちた世界”を創るために王になるのだ」という自覚を得て、神器を集める決意をしたのだ……
という流れがきっちり見えてきたのが、すごく納得できました。



あとは、まとぶんの癖なのかな?すこーし早口なのと、台詞の語尾を少し切り捨てるように言うのが一本調子で乱暴者っぽい口調になりがちなのが変われば、すごく良いんじゃないかと思います(はぁと)
「街へ独りで出たことがないんだ…(こんなんじゃ)君を案内できない」という台詞とか、これはアランじゃなくて深窓の皇子様なんだから、あんまりぶっきら棒に言わないで、ゆっくり間をとって落ち着いて喋ってほしいんですよね。
可愛い女の子の前で緊張している、っていう芝居ともまた違うし。



あと、キハはホントはやっぱり、もう少し歳上の役作りでお願いしたいなあ。
ホゲ様を相手にしているときは良い感じなのに、まとぶん相手になると途端に純情少女になるのが……それだけタムドクが素敵だってこと!?って感じなんですけど(汗)、
特に、この「独りで出たことがないんだ…」の場面は、
タムドクが王として自分の進むべき道に迷っているときに、王たるべき彼を認め、守ろうとしてくれた初めての女なわけですから。
もっともっと大人な、タムドクを守ってあげたいくらいの感じでいいと思うんですよね…。

今のままじゃ、何もわからない子供に「あなたは王だもの、きっと素敵な王様になるわ!」とかなんとか言われてその気になっちゃった莫迦皇子、みたいじゃないですか(T T)。





そして、そのチュシンの王の目覚めを目前で見たホゲは惑う。
…俺は、何のために玉座を望むのか?と

チュシンの星の輝く夜に生まれたから?
王座を切望していた母(本当は、自分が玉座に座りたかった)のために?
(幼い頃から王たるために鍛錬を重ねてきた)自分自身への褒美として?

タムドクは、世界を支配するためではなく、新しい世界を創るために、
忌避してきた玉座を希むことにした。

…ならば、自分は?


自分の手の中に何もないことに気づいたとき、“英雄”としてのホゲは、壊れてしまう。
他人(母だけど)の希みを自分の望と見間違えたときから、少しずつ始まっていた崩壊が、自分の真実の希みが何か見失ったことを知って、歯止めが外れてしまう。

そこにつけこんだプルキルの悪意が、怖かった。



最初に観たとき、私はごく素直に「どうしてプルキルはそんなにホゲに執着するんだろう?」と思ったんですよね。
実はホゲが好みのタイプだったのか?とか、勝手に邪推してたりしたんですけど(苦笑)。

今回あらためて観て、プルキルは最初から知っていたのかもしれないな、と思いました。
最初から、ホゲがチュシンの王ではないことを知っていた
チュシンの王ではないからこそ、自分の付け入る隙がある。
自分の思うように操ることができるだけの、隙が。

炎の巫女の預言を与えて、ホゲの魂を闇に堕し、自分のものにする。
英雄でもある彼をうまく操って、神器を集めさせる。真実のチュシンの王が座る玉座でないならば、神器さえあればどうにでもなる。
……そんなことを考えていそうな感じ。

真実のチュシンの王が座ってしまえば、神器を集めたくらいでどうなるものでもない。
それこそ、チュシンの王の血を引く子供の血で神器を洗うとか、そういう困難な儀式を必要とする。
…だったら、嘘で玉座を埋めてしまえばいい、と。





そうしてホゲは、「あなたこそチュシンの王なり」との預言を与えてくれた炎の巫女に縋りつく…。

それは最初から、愛ではなく、執着だった。
自分がキハを愛していないことを知りながら、
キハが自分を愛していないことを知りながら、
それでもキハを手放すことができない。キハがいなければ、自分はチュシンの王でいることができないから。

紅玉と引き換えにキハをプルキルに渡したとき。ホゲは自ら、炎の巫女の預言さえ否定する。
「俺はチュシンの王ではない。…だが、そんなことは関係ない」
俺は、高句麗の王になるのだから、と。


どんな国を創るのか。
ここに到ってもまだホゲははっきりとしたイメージを持つことができない。
彼は英雄。偉大な王を得て仕えることができることが、彼にとっても国にとっても一番の幸せ。
そして、その次の幸せは、平時の王となることだった。

でも、今は変革の時代。チュシンの星が輝きを放った後。
平時の王は勤まっても、導く先の見えない英雄に、変革を乗り越えることは出来ないだろう。
…“チュシンの王”でなければ。









ところで。

キハとホゲの「愛の無い結婚」の場面での、騎馬隊長の(祐澄)しゅん様(チョク・ファン将軍)の芝居が変わっていたんですけど……いつからなのっっ!?
正月休みに観たとき、ホゲ様をじぃーーーーーっと凝視するチョク・ファンの視線の強さに、真剣に心が震えたんですけどっ!

なんか、こないだは普通にパーティーの客と談笑していて、ホゲ様の方なんて全然見てなかったんですけど(T T)。ええーーーっ、なんでぇー?小池さんに注意されたんでしょうか…ぶつぶつ。


靺鞨(まっかつ)での戦闘場面で、ホゲの方針(虐殺してでも神器の情報を集めろ)に真っ向から反対したチョク・ファン。私は、この場面を見るたびに、小野不由美さんの「十二国記」シリーズの短編集、「華胥の幽夢」に収録された「乗月」を思い出します。

「王」の間近で、その「王」の悪政に悩んだ重臣が、王を討った、その後の物語なのですが。
重臣がその「王」のことを語る場面がとても印象的で。

『今から思えば』と、小野氏の筆は地の文で喝破する。
『彼は、王の転落をあれ以上見ていたくなかったのだ。なぜそんな、自らに泥を塗るようなことをする、自らを玉座と誉れから追い落とすようなまねをするのだ、と叫びたかった』

話自体は「太王四神記」とは全く関係のない物語なのですが、この靺鞨での場面と、その後の結婚式でのチョク・ファン将軍の苦しみは、そういうことなのかな、と思ったんですよね。
武芸には自信のあった自分でさえ、「腕を磨いて出直します!」と言わざるをえない英雄が、誰からも愛されて、市民たちにも人気のある御曹司が、なぜそんな愚かな真似をするのか!?と。

虐殺などしなくても、無理な戦争を始めなくても、
そもそも神器などなくてもいいじゃないか!…と。

『チュシンの王』でなければ王座に就けないわけではない。
実際、ヤン王は神剣を胸に享けて死んだ。ということは、「真の王」ではないということ。
4つの神器を集めなくても、玉座に就くことはできるのだ。
タムドク皇子を斬って、天地神堂を切ればいい。
どうせ五部族会議(選帝候みたいなもの)はヨン・ガリョに掌握されている。
放っておいてもホゲを推すはず。

なのになぜ、罪を犯してまで『チュシンの王』にそんなに拘る?



結婚式で食い入るようにホゲ様を見凝めるしゅん様を見ながら、そんな妄想の声を聴いていたのですが。
……違ったのか……ちぇっ(涙)



まぁ、チョク・ファン将軍は最後までホゲについているわけで(←そりゃそうだ)、
そんなに思い詰めて、チョク・ファンがホゲを討ってしまったら話がひっくり返ってしまうので。

仕方ないかな、と思ったりもしつつ(汗)。





世間一般では、こういう(食い入るようにホゲを凝視している)イメージがあるのはイルス(日向燦)のようですが。
イルスさんは、元々ヨン家の家司みたいなので、ある意味ホゲに従うのは当たり前なんですよね。
元々騎馬隊長という役職にあり、ヨン家の者ではないはずのチョク・ファンが惚れてしまう(←妙な意味ではありません)ところが好きだったんだけどなー。なんといっても、イルスはホゲに従うばかりで反論がないところが萌え足りない(苦笑)。



ホゲ様のラストで、全身で絶叫するマメちゃんと、小さく呟きながら(←ほとんどマイクには入ってない)、呆然と崩れるしゅん様。私はストイックな人に弱いのかなあ(*^ ^*)。




花組大劇場公演「太王四神記」 続き。

昨日から、まとぶんが二幕で歌う「♪愛とは何か間違ってばかり…」「♪命賭けて愛した人は…」っていう(たぶん)歌のメロディがぐるぐる頭の中を回っています。
ああいうメロディライン、凄く好き。コード進行など、どこかで聞いたことがあるような気がしてならないのですが、心当たりのある方はいらっしゃいませんか…?

そして、なぜか「ファントム」のオープニングの音楽(「僕の叫びをきいてくれ」のリプライズ)もぐるぐる回ってる(^ ^;)。「太王四神記」って、なんか音楽の傾向が「ファントム」に似てませんか?……気のせいですかね(^ ^;ゞ




さて。

第二場 チュシンの星~王の誕生

チュシンの星が輝くのを見て、火天(ファチョン)会の大長老をやっていたプルキルは、「チュシンの王の誕生に呼応して輝くはずの神器を探せ」と会士たちに命じ、国中に振り向ける。
とにかく4つの神器を集めたものが勝ち、であるらしい。

この前の神話場面から、すでに火天会士の先頭に立っているサリャンがとっても怪しい(^ ^)。






玄武の神器はコムル村に。

護り手であるヒョンゴ(後のまっつ。子役は梅咲衣舞ちゃん)はまだ少年で、先代村長(悠真倫)の管理下にあり、旅をしながらも火天会の目からは無事隠し通したらしい。

“コムル村”の由来がよくわかりませんが、『火天会に先を越されないよう、ホンモノのチュシンの王のために4つの神器を集めとけ』とかいう言い伝えでもあったんですかね。
神話時代の熊族の末裔だとか、そういう感じなのでしょうか…(←てきとー)

梅咲衣舞ちゃんの子ヒョンゴが、めっちゃ当たり役でした。ちょっと寂しげな細面が、まっつの子供時代にぴったり(^ ^)。大人ヒョンゴと子ヒョンゴが隣(ちょっと離れてますけど)に並んで立っている場面があるんですが、この子がこうなるのね、すごく納得!!って感じでした。
声も可愛いし、無理して作った子供っぽさじゃない自然な“少年っぽさ”があって、とても良かったです♪






朱雀の神器は、東百済のサビ城に。

王の誕生に呼応した神器の輝きを隠し切れず、火天会によって火を放たれた城では、護り手であるキハ(後のあやねちゃん。子役は月野姫花ちゃん♪)はまだ幼く、その母である王妃(天宮菜生)はキハとその妹を逃がして自害。
キハ自身も結局は逃げきれず、抱いていた妹を床下に隠してそのまま火天(ファチョン)会に捕えられる。

ここの王妃様のはるちゃんがそれはそれは美しく、若さに似合わぬ威厳もあって、とても素敵でした。子供たちを見送って、厳しい貌で自害するときの思い切りの良さも好きです。今回は台詞無しだったような気がしますが、本役の近衛隊隊士もシャープで印象的だったし、やっぱ美人は得だなぁ~(*^ ^*)。

姫花ちゃん、スタイルが良すぎて(←頭が小さくて、頭身のバランスが大人っぽい)あまり幼な児には見えないのですが、舌っ足らずな喋り方が可愛くて良かったです。
タムドクとヨン・ホゲはこの日に産まれたわけで、当然キハの方が二人より歳上なんですけど、ここでせいぜい4つか5つの子供に見えないと本編に入ってからちょっとね…って感じになってしまうので、さらに可愛く幼くなってくれるとうれしいです。
それにしても本当に可愛いなぁ……。ピンクの衣装がすごい良く似合ってる。火天会に捕まって、プルキルの烙印を受けるために肩を剥かれるところが凄く萌えです(^ ^;;

火天会が去ったあと、床下に隠された赤児を見つけて抱き上げる子ヒョンゴ。
額の黒朱雀の烙印を見つけて怯える様子が可愛い。そして、「…あ、消えた♪」と嬉しそうに村長(悠真倫)に見せる仕草が、ちゃんと少年っぽいのは凄いなーと思います。不慣れな感じがよく出てる。役者だなあ…。

ちなみに、この赤児がスジニなんだから、スジニの方が何ヶ月かタムドクより歳上です。「これからも兄と妹のように…」は無いんじゃないのか?>小池さん






青龍の神器は、西百済のカンミ城に。

護り手であるチョロ(後のめおちゃん。子役は華耀きらりん♪♪)はまだ少年だが、神器を護ろうとした父によって、心臓の中に神器を隠される(神器は何をしても護り手を殺すことはないらしい)。

カンミ城主は、たぶんプログラムに「城主」としか書いてなかった王子(眉月凰)だと思うのですが…すみません、展開が速すぎて目が泳いでいたのでよくわかりませんでした(涙)。

きらりんは可愛い。本当に可愛い。目の大きな、野兎のように怯えきった美少年が、そっと胸元をあけて神器を受け入れるまでの逡巡が、それはそれはイロっぽくてクラクラしました。はい。萌え。
あの美少年が、長じてめおちゃんになるのか……それも萌え(←意味不明)






白虎の神器は、北方靺鞨(マッカツ)の鍛冶師の村に。

この場合、パソン(桜一花)は護り手ではないので、父親(紫峰七海)か兄(天真みちる)が護り手だったんでしょうか。展開が早すぎて、よく聞き取れなかったのですが。
とにかく、パソンの父は刀の柄から神器を外し、兄に渡して逃がす。鍛冶師なら、うった刀じゃなくて鍛えるための鎚にでも神器がついていそうな気もしますけどねぇ…。神剣なのでしょうかアレは。
兄は妹パソンを背負って逃げるが、すぐに追い詰められ、妹を薦に包んで隠し、自ら火天会に囚われる。(殺されるんでしょうか。それとも、ドラマでは後で出てきたりするのかな…?)

昨日も書きましたが、パソンが滅茶苦茶可愛いくて、見てるだけでドキドキします。はい。

本編に入って、大人パソン(同じく桜一花)の弟子としていつも一緒に居る嶺乃一真くんとは、どんなシチュエーションで出会って弟子になったのかしら、なーんてことが気になったりして。
火天会が去った後、パソンは父も兄も居なくなった村に戻って、鍛冶の修行をしていたと思っていいのかしら、とか…(T T)。






第三場 成長

少年タムドク(野々すみ花)と少年ホゲ(白華れみ)。

ヤン王(星原美沙緒)は皇子タムドクが“チュシンの星が輝く刻”に生まれた子供だということを隠し、「愚かでひ弱な皇子を演じる」ことを命じる。

タムドクに付き従うコ将軍(扇めぐむ)がめっちゃカッコイイです。髭萌え♪


一人で槍の稽古をするタムドクのところに、遊びに来たホゲ。
“チュシンの星が輝く刻に生まれた親王”として知られ、強く賢い有能な王となるべく鍛えられていたホゲは、タムドクに槍を教え、二人は友情を育む。

「君が王なら僕は将軍になる」
「君が王なら僕は……友達になる!」
「もうなってるよっ!」

……無邪気に笑いあう二人。

お約束の場面ではありますが、ラストまで一回観てから再度見ると、しみじみと泣けてきます。
すみ花ちゃんの透明で純粋な、いかにも花娘らしい朗らかな柔らかさと、れみちゃんの硬さ、いかにも元月娘らしい力強さや元気さの対比。さすが小池さん、子役の配役がどれも絶妙です(*^ ^*)。
これだけ子役が出てきていながら、ヒョンゴを筆頭に「なぜこの子が成長してこの人に…?」という疑問が沸くキャストが一人もいないのは快挙!すごいなー、どうやって決めたんでしょうか。この役割は。






子供たちの槍の稽古が一段落ついたところで、大人タムドクが登場。
近衛隊と騎馬隊の争いから、タムドクと騎馬隊長(祐澄しゅん)の立会いになり、そこにヨン・ホゲが登場して水を差す…という流れは、簡潔に人間関係を伝えられる巧い展開だな、と思いました。

近衛隊長は、この作品で卒業する望月理世ちゃん、今回本当に良い!です。ファンの方は男役姿が観たいでしょうけれども、私は今まで観た理世ちゃんの芝居の役の中ではこのカクダンが一番好きです!
そして、近衛隊の美女ぞろいっぷりに震えました。転向組のはるちゃん(天宮菜生)が特別大柄にも男っぽくも見えない、カッコイイ女たち。なのにちゃんと色っぽさもあるのは、さすが花娘ですね(*^ ^*)。
まだ他の3人はいまひとつ見分けられていないのですが、前髪を長めに脇に垂らしている美女に、軽く撃ち抜かれました。あれは誰なんだろう…。動きのしなやかさで目を惹いたのですが。

あんなに美女ぞろいで目の保養なのに、一幕だけな上に理世ちゃん以外は戦闘場面やダンス場面もあまり無いのがとっても残念。

そして、しゅん様(←めちゃくちゃ男前!!今回かなりしゅん様落ちしました)率いる騎馬隊は、輝良まさとくんが居るバージョンと居ないバージョンと両方観たので、ちょっと混乱してます(汗)。
とりあえず日高(大地)くんは鎧がよく似合ってました(^ ^)。

あ、日高くんと言えば、神話時代の黒朱雀が良かったです。抜群のスタイルとなめらかな腕の動きで、あえて日高くんにやらせた小池さんの気持ちがわかったような(^ ^)。



この後の、タムドクとホゲの仲良し場面は、まぁ本当にありがちな場面なんですけど(^ ^)。
ただ、子供時代は「君が王なら僕は将軍になる!」と暢気に歌っていたホゲが、その言葉を言わなかったことと、
タムドクが「君が王なら僕は平民になる。君と争ったり、疑ったり(疑われたり)したくないんだ」とかなり正直なことを言うのが印象的でした。

そんなタムドクに、「俺がお前を疑ったりするはずがない」と、やっぱりコイツ暢気だなと思わせる言葉を吐くホゲが可愛いです(*^ ^*)



血筋でいえば、玉座に近いのは、タムドク。
そして、タムドクは自分がチュシンの王であることを知っている。

ホゲは、「タムドクがチュシンの王なり」という神託を受けていることは知らないけれども、血筋で上位のタムドクが、実は自分と同じ刻(チュシンの星が輝いた時)に生まれたことを知っている。
だから彼は、能力(武芸や軍略)で自らが玉座の器であることを証明しなくてはならない。


タムドクは、そうやって幼い頃から玉座に向けて奮励努力してきたホゲを知っている。
奮励努力しなくてはならなかった友を、一番近くで見守ってきたのは自分なのだから。
だから彼は、自分よりも友の方が玉座にふさわしいと思っている。

玉座は民のためのものであり、であればこそ、その座に相応しい者が埋めるべきだ、と、無意識のうちにそう思っている。
そして多分、その無意識の認識こそ、彼がチュシンの王である証。

だからこそ、ホゲにはチュシンの玉座は埋められない。
彼は人の世の王なのであって、神籍に入って玉座を埋めるべき存在ではないから。
ホゲには、愛する女が黒朱雀と化して世界を焼いても、彼女を射落とすことはできないだろうから……




そして。
危ういバランスで均衡を保っていた二人の間に、傷がつくのは、もうすぐ。
タムドクがホゲ以外の「喪いたくない」存在に出会うのは、もうすぐ。


「喪いたくない」ものを知ったとき、タムドクは生まれてはじめて「望み」を抱く。

そして、いかなるものであれその「望み」を叶えるためには、大切なものを護るためには、権力を握らなくてはならないことに気づいてしまう。



チュシンの王が目覚めるのは、もうすぐ……





花組大劇場公演「太王四神記」より。



まっつ(未涼亜希)=ヒョンゴ 高句麗の隠れ里・コムル村の(新しい)村長

オープニングで上手花道にセリ上がりで登場します!ファンの方はお見逃し無く!!
全体を通して「語り手」という位置づけで、特に一幕前半の怒涛の展開は、滑舌がよくて声の良いまっつがわかりやすく説明してくれるからかろうじてついていける……という感じです。

あまり“説明役”のいる戯曲って好きではないんですけど、今回はどうしても必要だったのがよーくわかりました(T T)。かの「レ・ミゼラブル」以上にプロローグで説明しなくてはならないことが多すぎて、しかも言葉(地名とか)に親和性がなさすぎて耳に残らない(涙)。
まっつほど明瞭で聞き取りやすい語り口でも、一瞬でも気を抜いたらもう何もわかりません……(T T)。

まぁ、まっつの語る物語を「聞く」相手がいれば別に問題無かったのに、と思うんですけどね。ドラマではスジニに話して聞かせてたみたいですし。ただ、みわっちは神話の中でセオをやらないといけないから、ヒョンヤン(望海風斗)に、とか。あるいは誰かに子スジニをやらせるとかでも良かったのになぁ…。



みわっち=セオ/スジニ
かーわーいーいーーーーっ!!
プロローグ(神話時代)のセオの衣装が、シンプルなんですけどすごくよく似合ってて、可愛いです。虎族の女王カジン(桜乃彩音)の衣装がちょっと男っぽい赤みの強いものだったりするせいもあって、みわっちの方が娘役みたいでした(^ ^)。
スジニになてからも、まっつと同じ衣装で銀橋を駆け抜けていっても、肩にもつかないくらいのショートカットに鎧をつけた軍装に乱暴な言葉遣いでも、ちゃ~んと“男の子っぽい女の子”に見えたのが素晴らしいです。本当に性別を超越した人だ…。これでフィナーレは誰よりも男前でカッコイイんだから詐欺だよなー、と思いましたわ(*^ ^*)。

踊りながら歌う場面とかもあるんですけど、すごく聞きやすくてびっくり(←すみません)。音域があっているのか、娘役しているときの方が肩の力が抜けるのか…(^ ^;。小池さんってさすがだなあ、とあらためて思ってしまいました。



みつる(華形ひかる)=サリャン
東宝公演のプログラムでは、写真撮りなおしてあげてください、小池さん……。
とお願いしたくなるくらい、プログラムでは鬘も眉もなにもかもがもうだめ、って感じですが、舞台では普通に銀髪の美形さんでした。火天(ファチョン)会のメンバーで、壮ちゃんに従って2000年生きてきた……のかな?最初の場面にも居るってことは、そういうことでいいんでしょうか。
ちょっとラストに関わるので詳しくは書きませんが、二幕後半の祐飛さんホゲ様との場面は相当おいしいです。銀ちゃんとヤスふたたび(笑)。出番はそんなにありませんが、印象に残る良い役でした☆……だからさ、写真差し替えてあげてくれってばー!



めおちゃん(真野すがた)=青龍/カンミ城主チョロ
プロローグで青龍として踊った後、しばらくお休みのチョロ様。二幕でチョロ様として登場してからは、割と出ずっぱりでまとぶんに付き従いますが、それまでは暇を持て余して(?)いるらしく、町人としてだいぶバイトをされています♪この町人がすごくかっこいいんです♪一幕後半の町の場面では、たしか上手の方で小芝居していたはずなので、観てあげてくださーい(^ ^)。
本来のチョロ役では、登場時の気怠げな王子様っぷりと、仮面が取れて素顔が現れたときの「案外いい男だねぇ」という誰かの溜息がすごく納得できる美形っぷりでポイントGET!って感じでした。橘さんもそうでしたけど、めおちゃんのキャラにあっていてすごく良かったと思います。




桜一花=北の靺鞨(まっかつ)出身の鍛冶職人、パソン
かーわーいーいーーーーっ!!
子役も自分でやってた一花ちゃん。髪を横でひとまとめにした少女パソンが死ぬほど可愛いです。お兄ちゃん(天真みちる)におんぶされたときの小ささとか怯えようとか、もう完璧、って感じ。天真みちるくんも、短い場面ながら妹への愛が感じられていい場面でした。
大人になってからは、弟子(?)の嶺乃一真くんを連れ歩く姐さんですが、とにかく可愛いので何しても許してしまう(笑)。結構いろんなところで本題に絡む重要な役だし、ソロもあって一花らしい活躍ぶりでした。ああ、このところ一花ちゃんは立て続けに美味しい役にあたっていて幸せです。








…この調子で書いていくと全然終わりそうにないので、今日のところは神話の場面に話を絞りたいと思います。
私も3回観てやっと話の流れがわかるようになったので、これからご覧になる皆様に(ほんのちょっとですが)おすそわけというか、お伝えしたいと思います☆



第一場 神話時代

炎を操る虎族の女王カジンと、心優しい熊族の娘セオの対立。
虎族は魔力をもって熊族を支配する。炎を操る女王カジン、強大な魔力を持つ魔術師プルキル。二人の指導者を持つ虎族に、熊族は抗うことができない。

虎族によって弾圧される熊族(=人間)を救うため、“神の子”ファヌン(天を崇める北方民族?)が地上に降り来たりて、女王カジンの炎の魔力を宝玉に篭め、セオに与える。これによって力を喪った虎族は支配者の地位から脱落し、地上に平和が訪れる。
ファヌンとセオは愛し合い、子が生まれる。

しかし、魔力を奪われたカジンもまた、ファヌンに恋をしていた。プルキルに唆されたカジンは、セオの子を奪い、紅の宝玉と引き換えることを要求する。
わが子を救うため、宝玉を渡そうとするセオ。
地上の平和のため、セオを止めようとするファヌン。そのファヌンに、セオは「自分の子供を死なせる平和に意味など無い!」(←台詞はうろ覚えです)と言い放ちつつ、それでも一瞬は戸惑う。

しかしカジンは、宝玉を差し出そうとするセオを待たず(たぶん逡巡しているのを見てムカっときたんだろう)、子供を谷に投げ落とす。
子供を殺された衝撃のあまり、黒朱雀に変化するセオ。
地上を襲う炎を鎮めようと、ファヌンは雲・風・雷(←だったかな?)の3神を率いて雨を呼ぶが、セオの炎に抗しきれず、最後には自らセオを矢で射て落とす。




…ちょっと面白い神話なので、詳しく書いてみましたが。

実際の高句麗建国神話は、天帝の子と河の神の娘が結婚し、その子が長じて初代国王(朱蒙)になるというもの。「太王四神記」で語られる神話は、これより古朝鮮建国神話に良く似ています。こちらは、「天帝の子ファヌンが地上に降りると、熊と虎が「人間になりたい」と近づいてきた。人間に変化するためのルールを両者に伝えたが、そのルールを守れたのは熊だけだったので、ファヌンは熊女を愛し、世界樹の下で子供を作った。この子が長じて初代国王(檀君)になった」、というもの。熊は水に近しく、高句麗神話の河の神と同様、水の神(蛇)を崇める農耕民族のことではないかという説があるようです。

私が読んだ本には、檀君神話で人間になれなかった虎がどうなったのかは書いてなかったのですが、望みをかなえた熊を恨んで何かをしたというエピソードはあっても不思議はないですね(私が読んだのは日本の神話を解釈する目的で周辺国の神話をまとめたものなので、各国の神話の詳しいところはよくわからないのです)。
また、四神思想が入る前は“赤虎は炎、白虎は風”というモティーフもあったようなので、虎族が炎を操ったのも不思議はないのかもしれません。


しかーし、この神話で不思議なのは、最終的に黒朱雀になって地上を滅ぼそうとしたのは熊族のセオ(みわっち)であってカジン(あやね)ではなかったことなんですよね…。それなのに、炎の紅玉(朱雀の神器)の護り手は、セオの転生・スジニ(額に黒朱雀の烙印があった)ではなく、カジンの転生・キハ。なんか理屈に合わない。

そして、ファヌン(まとぶん)が愛したのはセオであって、カジンは一方的な片思いだったこともちょっと不思議。ドラマでは、タムドク(まとぶん)とキハ(あやね)とはいろいろありつつも、最終的にタムドクが選ぶのはスジニ(みわっち)なのでつじつまがあうのですが、小池版ではトップ娘役=キハですから、タムドクの恋人は完全にキハ一人なので…。
そのあたりは、配役的にどうしようもないところではあるのですが、細かい伏線に拘る小池さんらしくない杜撰さだなーと思ってしまいました。

まぁ、観る側が細かいことを気にしなければいのですけどね(苦笑)。




この時の三神(青龍・白虎・玄武)は、めおちゃん・まぁくん・だいもん。銀髪の鬘にそれぞれの色のメッシュを入れて、ビジュアルもがんばってました。
ただ。
いやー、わかるんですけどねぇ、雨・風・雷の“三神”+炎で“四神”、なのかーーーーーっ。

………なんだか素直に納得できない私は、ただの「創竜伝」ファンなのかもしれま(黙)

もとい。
中国系の「四神」思想と、扶余系の「五部族」思想が話の中で(舞台演出としても)混ざっているのが、一番の混乱の元かもしれませんね。






ファヌンは、セオを射ち落としたあと、

♪いつの日かチュシンの星が輝く夜に
♪世界を治める王を遣わす
♪チュシンの王は私に代わり
♪愛に満ちた世界を造る

と予言し、4つの神器を残して天に帰っていった。

虎族の魔術師プルキルは、秘密組織・火天(ファチョン)会を作り、その大長老としてチュシンの王の誕生を待つことにする。


……いいんですけどね、小池さん。
大長老の目的は、「チュシンの王を探し、その手許に自然と集まるはずの4つの神器を奪い、世界を制すること」…ってことでいいんですよね…?
いつの間にプルキルは、「4つの神器をそろえたものが世界を制することができる」ことを知ったんでしょうか。しかも、その4つの神器と護り手の仲を裂くための方法を、どうやって知ることができたのでしょうか……。
虎族の魔術師としてカジン様に仕えていた頃から知っていたのかなあ…?


ま、そんなことはともかくとして。
とにかくプルキルはそういう目的を抱いて、2千年の雌伏の時間を過ごす。

そして、あっという間に2千年後。
チュシンの星(チュシン=朝鮮、でいいんですよね…?“チュシンの星”って、北極星とかそういう意味はないのかな…違うよな、多分)が輝いを強めたとき、高句麗の王妃と王の妹は二人して臨月を迎えた。
余談ですが、占星術で輝く日がわかったようなので、たぶん何か天文学的に意味のある現象だったんでしょうね、「チュシンの星」。

王妃(初姫さあや)の清純で神秘的な美しさと、王妹(花野じゅりあ)の毒々しい野心に満ちた笑顔の落差にヤられました。小池さん、さすがに女役の扱いが秀逸です。美しい二人が美しく両側に並んで「眠れ良い子よ」と歌う場面が、たまらなく好きだったりします。美女二人は母として神々しいほどに美しく、音楽もいい(はぁと)




……というところで、今日のところは終わりにさせていただきます。

ああ、さあやの美しさの1/3(3役なので)だけでも伝えられて良かった……(^ ^)





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