博多座公演「大江山花伝」 続きです。…まだ先は長いなあ…すみません。



■第十場B 綱、頑張る(岩屋の裏庭)

紗幕があがって、“雨ざらしの杭”(←どう見ても岩ですが…)につながれている綱(北翔海莉)にスポット。
……おかしいなあ。どうして萌えがないんだろう。長髪の美形が身動きできないよう縛られてるっていうのに(←何を期待しているんだお前)


この場面は、前場の胡蝶の台詞(「降ってきたねェ…」)を受けているんですよね。ちょうど雨が降り出したところ。ですが、場面転換の前に公時(鳳翔大)と広次(風馬翔)の会話が挟まるので、ちょっと解りにくくなってます。初演もこういう演出だったのでしょうか。
まだ姫たちが居る間に、舞台の反対側で公時と広次の会話を入れて、で、全員はけてから胡蝶の台詞で暗転して雨の音が大きくなり、それがすっと引いてライトイン、の方が、すんなり入れると思うのですが。




岩につながれたまま、降り出した雨を気にする綱。
そこに、蓑と食べものを持って、藤の葉(野々すみ花)が走りこんでくる。いきなり「遅くなりました!」と言うのでちょっと吃驚してしまいます(^ ^)。確かに、雨が降り出してからちょっと間があるんですけどね。

茨木童子の身の回りの世話をさせられている彼女は、結構自由もあれば時間の余裕もあるのでしょう。自分が無理矢理ついてきたばかりに、綱さままで鬼たちに見つかってしまった、と恐縮している藤の葉は、共に暮らすうちに解ってきた鬼たちの弱点を語りきかせます。
「鬼たちは、みんなが皆お酒を呑みます。だから、酔いつぶしてしまえれば…」
必ずお救いしますから、時をお待ちくださいませ、と。



全般的にキリッとした二枚目に役作りしているみっちゃんですが、ここでの藤の葉との会話は、間のとりかたも声の調子も、二枚目半から三枚目すれすれといった感じ。確かに、原作でも綱はちょっとコミカルな部分を担当してはいるんですけどね。でも、綱という男は、本人が面白いんじゃなく、あくまでも生真面目で実直で“真っ直ぐ前にしか進めない”猪タイプ、なんですよね。そこが、猫のように回りくどくて後ろ向きな茨木にとっては、すごく微笑ましいというか可笑しい、という存在なので。もっともっと、まっすぐにひたすら愚直にやっても良いのになあ、と思ってしまいました。
前半の活躍場面では、すごく硬軟自在で有能な武人に見えるのに、ここだけコミカルな感じになるのがちょっと勿体無かったのかも?いや、でも、切り替えの早さはさすがだなと思うんですけどね(*^ ^*)。

とにかく、鬼チームのチームワークが良すぎるので、このあたりの綱は、たった一人、敵陣で孤軍奮闘!という感じなんですけど(^ ^;、がんばっていただかないとラストシーンにつながらないので。笑顔ひとつで茨木を惚れさせてほしいな、と(←おい)


…などと呟きつつ、

「綱さまが掴まったのも、元はといえば私が無理についてきたから…」
としおらしくうなだれる藤の葉に、
「いや、そなたのせいではない。たかをくくって一人で乗り込んできた自分が間違っていたのだ」
と雄々しく言う綱は、ホントに格好良い、です(*^ ^*)。





藤の葉と綱が語らう場に、ふと現れる茨木童子。
「酒呑童子に見つかると面倒だぞ」
さりげなく、藤の葉を差し向けたのは自分であることを匂わせつつ、危険を知らせる。察しよく持って来た蓑笠や食べ物を持って立ち去る藤の葉。ちょっとだけ残念そうに、藤の葉を見送る綱が可愛い(^ ^)。


茨木が通りすがりに物陰から眺めていた胡蝶を呼んだところに、仏(蓮水ゆうや)と佐渡(天玲美音)が、都の姫たちを連れて通りがかる。
二人は、ここに綱が捕らわれていることを忘れていたんでしょうかねぇ?姫たちを連れてどこかへいく途中っぽかったけど、わざわざここを通ったのは何故なのかしら。

「茨木童子、この野郎(綱)を、いつ叩っ斬りますか?」
佐渡に問われた茨木は、微かに笑んで、
「…俺がその気になったときに」
その台詞を聞いて、ふと顔をしかめる話題の主、綱。



このあたりの場面で、綱を探しにきた公時がセットの奥に登場して、綱を見つけて喜び、声をかけようとして、茨木がいることに気づき…という細かい芝居をしているのですが。
…なんだか、出早をしてしまったように見えて仕方がなかった…(ごめんね、大ちゃん)
しかも。
初日はそれだけの場面だったと思うんですけれども(多分)。二週目に観たときには、仏に追い立てられて上手袖にはけようとする花園衛門(愛花ちさき)を見つけた公時が、これまた声をかけようとする、という芝居が加わり、さらに、花園衛門も公時に気がついて、お互い言葉は交わさないまでもお辞儀をしてハケる、という、長い芝居になっていたんですよね。
これは、中村さんの演出?正直、花園衛門と公時の場面は後にあるので、ここはスルーした方がキレイだったのに、、と思ったのですが……。




姫たちを追って仏たちが立ち去ると、茨木は胡蝶も追い払う。
…茨木に「あっちへ行ってろ」と言われて、「んっ…」と不満げにしなをつくる胡蝶も、めっちゃ可愛いです(*^ ^*)。

胡蝶を見送る背中に、綱が声を掛ける。
「…あのとき、なぜ俺を助けた?」
面倒くさそうに応じる鬼。
「言ったろう。退屈しのぎだと」
「お前ほどのものが、何故あんな非道いことを?」
真顔で問う綱に、ちょっとおどけたような口調で、
「嫌といえば親父様が怖いし」
そのまま、ふと貌を曇らせて。
「……自ら狂うて、忘れたいことも、ある」


茨木の心の闇は、綱には想像もつかないんでしょうね。
ふと自嘲の笑みを唇に刻みつつ、綱の顔を見て
「それに忘れるな。俺も茨木童子。大江山の鬼だ」
と強い声で告げる茨木の、生温くて昏い、深い闇なんて。

そんなものと縁のない綱だからこそ、茨木も愛おしく思うのでしょうけれども。




それでも、何かを感じたらしく、無意識に話題を変えようとする綱。
「藤の葉を知っていたのか?」
…恐る恐る尋ねる綱の、不安げな貌が実に可愛いです(^ ^)。藤の葉への想いを告白する綱と、それを軽く受け流す茨木。それでも、人の外面ではなく本質を見ようとする綱の真直ぐな視線が、茨木にとっては、痛くもあり、甘くもあり、、、という感じなのでしょうね。


綱との会話に興じて、明るい笑い声さえあげる茨木。
そこにやってきた(通りがかった?)酒呑童子。愉しげな茨木の様子に、苛立ちを見せる。

…パパ?
あのぉ。それって、なんだか……綱に嫉妬しているようにしか見えませんってば………(汗)。



先ほど茨木童子に投げたのと同じ質問(何故都を襲うのか?)を、鬼の長にも率直に投げる綱。

そもそも、先に手を出したのは都人のほう、
我らの所業はただの復讐、
そんな説明を、素直に受け入れる綱。やっぱり、この素直さが『渡辺綱』という人物の魅力なんでしょうね。でも、それで納得したからといって、黙りはしないんですけど。
「都の人々すべてに罪があるわけではない!」
そんな正論に、反論できない酒呑童子。

激昂して綱に詰め寄る父を、咄嗟に止める茨木。
「父上!このものは私に任せると言われたはず!」
縛られて身動き取れない綱との間に立ちはだかる息子を見て、踵をかえす父親。

「お前に教えることがある。来いっ!」





茨木に付き従っていたはずの春風(蒼羽りく)と秋風(星吹彩翔)が、この場面では最初から酒呑童子と共に現れ、どちらかといえば茨木を追い詰める側に立つのが、不思議といえば不思議でした。
あの二人、もしかして、茨木が勝手なふるまいをしないように、酒呑童子がつけた監視役なんじゃないのか……?




■第十一場 父子の童子 

ここは、祐飛さん自身が「芝居とショーを通じて、一番きつい場面」だと仰っていた場面。
たしかに、あの大きな衣装で飛ぶわ回るわ、いつか怪我をするんじゃないかと心配でした(汗)。千秋楽が無事に終わって、良かったよ。


歌詞の内容は、結構深刻なんですよね。
人として生きるもならず、
父の息子として跡を継ぐだけの決心もつかない、

そんな茨木の、血を吐くような叫びに浸る場面、の、はず、なのですが……





…………この場面って、原作では、綱(と藤の葉)を庇う茨木に怒った酒呑童子が、息子を鞭で折檻する場面なんです(滝汗)。
あれええ?とがっかりしてしまった私は……なんか、この格調高い作品を鑑賞する資格に、だいぶ欠けているような気がします……(T T)(←自覚はあるのか)。






■第十二場a 茨木の告白

茨木と酒呑童子の連舞がキまって暗転、場面はまたもや、岩屋に近い路に。
転換の都合で暗転の時間が長めなのですが、暗転してすぐから、鬼たちの賑やかな歌声(主に五蔵?)が暗闇の中から聴こえてきます。

照明が点くと、すぐに「かかれーっ!」の号令が入り、下手側にたむろっている鬼たち(三田〜九呂)が上手袖から出てきた姫たちに襲い掛かるのですが。
姫たちの列の中ほどにいる千年杉(萬あきら)に、「コラァっ!!」と一喝されて、そのまま素通りして逃げていくのが、ホントに先生に見つかった中一男子そのもの(涙)で、めっちゃおかしい。
一緒に混ざっていた四面(花露すみか)だけ、逃げそびれてうろうろしているところを見つかって、
「女だてらに、お前まで!」
と叱られ、セットの裏に逃げていくんですけど、その途でさりげなく待っている九呂(風馬翔)の心配そうな顔が、ツボでした。楽の直前くらいに気がついたのですが、もう少し早くから観ておけばよかったなあ…。



鬼たちに襲われる心配もなくなった姫たちは、愉しげに水汲みの途を辿ります。
「酷い地獄が待っていると想っていたけど、あんたのような穏やかな鬼もいるのねぇ…」
落ち着いた様子で千年杉に話しかける伊勢式部(鈴奈沙也)。身の危険がないとなれば、人間の、いや、女の順応性というのは、もしかしたら鬼よりずっと上なのかもしれません。
落ち着いた声音で、回りの女たちも鎮めてしまう鈴奈さんの柔らかさは、さすがだなあと感心します。


ただ。

作品全体として考えると、ここで「鬼たちは必ずしも敵じゃない」ということを示してしまうので、頼光たち武将側の考えと、ギャップが生じてしまうんですよね……。
「そこまでしなくても良いじゃん!」と思ってしまうんです(- -;ゞ

まあ、原作と違って鬼たちを完全に滅ぼすわけではないので、そこはちゃんと解決されているんですけどね。人里はなれた山奥で、ヒトと鬼の共存を目指す、という物語になっているので。


……そうして、人との関わりを捨てられない茨木だけが、大江山に残る。
残る理由を、彼だけが抱いていたから……。




蒼乃夕妃ちゃん、月組娘役トップスター内定、おめでとうございます(はぁと)。



日生劇場「キーン」から、二年。名前を覚えたのはその前の「Hallelujah Go! Go!」ですが、やっぱり私にとってのまりもちゃんとの出会いは、「キーン」のアンナ役でした。

見事なスタイルと、舞台の上での見事な存在感。まろやかなのに強さのある声、舞台上なのに表情が伝わってくる、明解で印象的な芝居。
霧矢さんの相手役として考えると、ちょっと背が高すぎる…というか、全体的に大柄すぎる気がするのですが、そこはまあ、劇団もプロなので。たぶん、大丈夫だと踏んでの結論なのでしょう。
実力派同士、がっつり組んでいただいて。ぜひぜひ、ミュージカル作品をたくさん上演してほしいです。伝説の「ハウ・トゥ・サクシード」とか、「メリー・ポピンズ」とか、、、「Crazy For You」や「I Wonna Dance!」みたいなゴキゲンなラブコメディも、きりやんには絶対似合うでしょうし♪♪

まあ、でも「スカーレット・ピンパーネル」は、いかにもやりそうですねぇ。それはそれで楽しみですが、私は、きりやんには是非ショーヴランを歌って欲しかったんだけどなあ……(複雑)。


なにはともあれ。
……まずは、「ラスト・プレイ」をきちんと見送ってから、ですね。

月組っ子たちが、みんな、みんな、幸せでありますように。




まりもちゃんの異動が12月21日付、ということは、、、もう年内は他の異動は無いってことでいいんでしょうか?あひちゃんが卒業したら、そのあたりの期が誰か動くかな?と思っていたのですが……無いのかな?

ってことは。
ってことは、もしかして。
もしかして、ひょっとして、
2月以降に誰かが異動して来る可能性はあるとしても、中日公演の風吹役はもりえちゃんって思ってもいいんでしょうか……?(*^ ^*;;;;









…タイトルと関係ない話ですみません。

赤坂ACTシアター「逆転裁判2」、千秋楽おめでとうございます♪そして、紗羽優那ちゃん、ご卒業おめでとうございます。最後の最後に、陪審席の座席位置がわかってよかった(^ ^)。可愛かったです。これからもがんばってね。

と、いうわけで、私はもちろん千秋楽ではなく、最後の週末に再び観てまいりました。



っていうか。
コミックス「逆転裁判」の三巻を買っちゃいました!!
だってだって、冥ちゃん(=舞台ではフランジスカ・ヴォン・カルマ)が、本当に可愛いんですもん(*^ ^*)。

冥ちゃん 藤咲えりちゃん、「バレンシア」の新公のときからホントに綺麗だと思ってましたけど、いやーーーー、いい役者になりましたよねえ(*^ ^*)。可愛いし、歌えるし、芝居できるし、大人っぽいし、、、ぜひ「カサブランカ」新人公演でイルザをやってみてほしい(ことだま、ことだま)。すみ花ちゃんとは全然違うイルザになりそう☆
でもって、ラズロはぜひともかいちゃん(七海ひろき)で!!

……鳳樹いちくんのルノー警部、月映樹茉さんのシュトレッサー、風羽玲亜さんのサム、、、、、
し、しまった、駄目だわ、これじゃ役が足り無すぎる(泣)。
小池さん、宙組はタレントが多いので、役はたくさん作ってあげてくださいねっ(切望)。




っていうか、また話がそれているからっ!!>自分

いやー、何度観ても蘭トムさんのフェニックス・ライトは素敵だなあ(*^ ^*)。優しくて、可愛くて。ともちんのエッジワースは、大仰な仕草の間が少し変わって、笑いが出やすくなったような気がします。…私が笑いすぎなのかな??ホント、ゲームのファンの方には、どちらがイメージ近いのかぜひぜひ訊いてみたいです。
…なんだか、前回とあまり変わり映えのしない感想ですみません。だって、本当にそう思ったんですもん。


みーちゃんのディック刑事は……なんか、先週観たときよりも、動きが細かくなっていたような気がします。運動量、倍くらいに増えてると思う!捜査中もせかせかとあっち行ったりこっち行ったりしてるし、ソロの間も、歌いながら滅茶苦茶動き回ってるし、、、証人として証人台にいるときも、なーんかそわそわそわそわしてるし。
何より、二幕の終わりにマヤちゃんたちと一緒に出てきたときの怪我が。あれは多分、倍くらいに増えていたと思います
少なくとも、あの首の包帯は前回はしてなかったぞーー!!

そんな、常にやりすぎなみーちゃんが、本当に本当に大好きです。
今回はお化粧もキレイだった!!(←贔屓目?)その調子でがんばれ!!




…で。
作品そのものについて、ちょっと語ってみます。
【ネタバレしてます。ご注意を】



二度目の観劇だったので、脚本的な覚悟もできていたらしく、今回はかなり素直に物語を受け入れることができました。うん。
まぁ、あの、ニックはちょっと優し過ぎるし、いくらなんでもそれはタラシだろうとも思ったけど(^ ^;、まぁ、でも、わかるような気はしたし。

カッコイイから許しちゃおう(*^ ^*)って感じ。




でも。
ルーチェ(純矢ちとせ)の電波少女っぷりは、自分ではどうにも説明がつかないんですよね…
せーこちゃん好きなので、なんとか彼女の心理を説明できないか、と色々考えてみたのですが。


もしかしてこの話、ローランド(かいちゃん)のキャラクターを、もっと『裏社会に生きるやさぐれた大人の男』に設定して、ルーチェはローランドに対して『お金持ちで、自分と母親を助けてくれる優しい人』という以上の感情を持っていなかった、という前提にしたら、すんなり納得できるんじゃないかなー?と思いました。

ローランドは、最初から真剣にルーチェに恋をしているんだけど、ルーチェは子供(少女)すぎて彼の気持ちに全然気がついていない。年齢さもそれなりにある。
でも、ローランドは、“いつかルーチェも大人になって、俺の気持ちもわかってくれるだろう”と思って待っていた。

そんな状況の中で、事件が起こる。


ローランドの生い立ちとか、事件のあらましは、あのままで良いんです。
なお。
そもそも、ローランドは殺し屋に冥の狙撃を依頼するんじゃなくて、「確かに俺は、毒薬を持って教会へ行った(殺意があった)が、話をしているうちに奴が心臓発作で倒れたんだ。実際には何もしていない!」と訴えるべきだった、とか、そういう理屈は、作品として面白くないので却下させていただきます(^ ^;ゞ




ニックは、ローランドが嫌な奴だと思っているので、ルーチェを彼から引き離そうとする。
「君は真実をちゃんと見極めなくちゃ」
僕が見せてあげる、と高らかに(?)歌い上げるニックに、ルーチェは恋をする。それが、彼女の初恋。

だから。
裁判が終わった後に、彼女はニックに尋ねる。
「あたし、レオナさんになれますか…?」

ルーチェを好ましく思いつつも、裁判でのローランドの答弁を聞いて、彼を誤解していたことを知ったニックは、ルーチェを諭す。全ては誤解だった。彼は君を愛している。君は彼を支えてあげなくては。
僕には、……レオナがいるから。(←痩せ我慢)




……こういう展開じゃ駄目なんですかねぇ?一応、心理としては説明がつくような気がするんですけど。




しかーし。
実際の脚本も演出も、全然こんなふうではない。
ルーチェは、ローランドという恋人がいながらニックに魅かれ、
ニックは、あんなに夜の浜辺でルーチェを口説いておきながら、告白されるとあっさりと「駄目だ」と拒否する。
……どっちも結構酷いと思う……


でも、鈴木さんの脚本も演出も、そうなっているんですよね。

まず、ローランドが若くて可愛い。
明るい色のスーツを着せて若さを強調し、裁判長にわざわざ
「あなたを見ているだけで、笑みが零れますよ」
みたいなことを言わせて可愛らしさを強調して。
オープニングムービーでのルーチェとローランドが、お人形さんみたいにほのぼのとラブラブで可愛くて、紗幕があがっても、そのまま“可愛い二人”だったりとか。


せめてもう少し、ローランドのスーツの色をダークにするとか、最初の登場場面ではサングラスをかけさせるとか、、、そういう小道具部分ででもローランドの『裏の貌』、あるいは『裏社会とのつながり』をもう少し感じさせておけば、二幕の殺し屋さんの登場も唐突感が無かったと思うんですよね。
あまりにも、最初から好青年で良い子でルーチェと同世代でラブラブの仲良しで…に見えてしまうと、その後の展開がどうしても納得できない(涙)。


念のため明言しておきますが、かいちゃんやせーこちゃんの芝居に問題がある、とは全然思っていないんですよ。
問題は制作側にあるわけで。こういう展開にするのなら、キャラクターの設定や演出、そして一つ一つの台詞を、鈴木さんがちゃんと吟味しないといけないんじゃないか、という話です。



かいちゃんは、ただの好青年しかできないタイプじゃない、もっと幅広い役を実在感をもって演じられる人だと思うし、せーこちゃんは元々繊細で揺らぎやすい少女系の芝居が得意な人。
十分に複雑な芝居に対応できる二人をそろえておきながら、その展開は無いだろう…と思うんですよ。二幕終盤のかいちゃんの答弁が凄ければ凄いほど、“勿体ない……”と思ってしまったのが凄く悔しい。
せっかくの良い場面なのにさ。「親父の……形見だったんだ」っていう声のトーンとか、本当に良くやっていたと思うんですよ。
でも、あの芝居で、観ている観客の心はすごく動くんですけど、ルーチェの心には全然響いてないんですよね、あの脚本では。だって、ルーチェはニックのことで頭がいっぱいなんだもん。

ローランドが一番訴えたかったのは、ルーチェに、だと思うのに。



そんな。
鈴木さん、頼むよーーーーっ!!と思ってしまったのでした…。
パート1は面白かったのになあ。パート2って、難しいものなんでしょうねぇ…。




と、いうわけで。

ぜひ。

鈴木さんにはもうしばらく精進していただいて、

で。

ぜひぜひ、数年後には「逆転検事」を上演してほしい!!
かいちゃんのエッジワース&エリちゃんの冥で。
(←そっちか!)(@ @)



……えっと。
か、かいちゃんって、クールな役もできるのかしら……?(←観たことない)




宝塚宙組博多座公演「大江山花伝」より。




■第九場 幼き誓い

皆がはけて、舞台上に残る茨木(大空祐飛)と藤の葉(野々すみ花)。

「大江山へ何をしにきた」
茨木の静かな問いに、微かに笑みさえ浮かべて
「死にに」
と言い切る藤子。


幼い日の遠い記憶に圧されて、娘の腕を取る、鬼。
見覚えのない大きな火傷の痕に、驚いて手を放す。

「三年前の大火事で…」

“藤子。やはりお前は藤子か”
“あたしの茨木”

確信は胸の裡で呟かれるのみ。
二人はただ、言葉もなく見つめあい、どちらからともなく、吹き寄せられるように寄り添って舞い始める。

♪とけてはかなき うすむらさきの…

澄み切ってやわらかな、カゲソロの響き。
この静かな声は、どなただったのでしょうか。……花音舞ちゃん?違うかな。


「藤子」
「…誰のこと?」

笑顔さえ浮かべて否定してみせる、少女。

♪茨木と藤子は筒井筒……

風にのって届く、語り部の歌。
同時に、舞台奥には幼い茨木(綾瀬あきな)と藤子(百千糸)が現れる。

「他の女の子と遊んでは嫌!」
幼い少女のわがままに、少年は頬笑んで頷く。
「好きなのは藤子だけじゃ」
「本当?」
嬉しそうに手放しで笑う少女に、少年の笑みはさらに深く。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
と言って袖に消えていく藤子も超可愛いんですけど、それを待つ茨木の、なんだかとろけてしまいそうな笑顔がまた、幸せそうで良かったです♪♪

袖から戻った藤子が抱えている箱をみた茨木が、不思議そうに問い掛ける。
「なにこれ?」
「藤子の宝物につける焼印よ」
「焼印!?……でも、熱いだろう?」
素朴な疑問と僅かな恐れを、迷わずに口にする。
「そりゃ熱いわよ。焼き鏝だもの…」
憮然として応える藤子の、その愛おしさといったら(*^ ^*)。

藤子の強さ。頑固なまでの意思の固さ。思い込んだら絶対に譲らないところ。そういうところは、この幼い時代から全然変わっていないのだ、と、微笑ましく思います。
大江山に茨木が居ると知れば、綱に拒否されても無理矢理についてくるその行動力、も。

えびちゃん(綾瀬)の少年茨木は、娘役としては少し低めの声といい、少し固めの台詞の言い方といい、実に実に少年として違和感が無く、とても良かったです。衣装も似合ってたし、本当にいい子だなあ♪
焼き鏝を当てて倒れた藤子を抱き上げて頬ずりする時の笑顔には、どこか切なげで、苦しげで。でも嬉しそう、という微妙な翳りがあって、大人になった茨木の哀しい運命を想像させてくれたし。

それにしても、焼き鏝を捺して倒れた二人に「二人はとても幸せでした」というナレーションって……どうよ。




そんな、幸せな日々がずっと続くと信じていた、幼い日々。
15になったある日、茨木の姿が急に見えなくなった。

神隠しにあったのか、鬼にさらわれたのか、
……行方は杳としてわからぬまま



必死に探して回る藤子。
“茨木、どこ?あたしの茨木”
宝物を失くした少女の深い嘆き。藤の花に守られた館の奥で、嘆きながら寂しさに身をやいて。
茨木の父の呟きなど、聴こえぬふりで。
「生まれたばかりの赤子であったあの子を拾ったとき、…その白い額には、ありありと……」
なにかを削り落とした痕があった、と、そんな呟きは。

♪とけてはかなき うすむらさきの

幼い日の思い出。
茨木と藤子。大江山の藤波の中で、それぞれの胸に湧きあがる記憶。



そんな幼い日々の藤紫の記憶を焼き尽くすような、炎の記憶。
藤子の身の裡を今も灼く、三年前の、炎。

父も、母も、身よりも、屋敷も、一族郎党すべてを奪った、三年前の“大火事”。
それに巻き込まれた藤子の、過酷な運命……。





すみません、ここでちょっと突っ込んでもいいですか?

ここで、カゲコーラスは綱と藤子の出会いについて、「(火事に巻き込まれて倒れているところを)市中見回りの綱に拾われ、身分を隠して召し仕え…♪」と歌っていますが。

だったら、綱が藤子の顔の火傷を知らないって、おかしくないか?

それに。芝居の冒頭、一条戻り橋で、春風は確かに「近頃屋敷に召抱えた者」と言い方をしているんですけど。
三年前が“近頃”って、いくら「この間の戦争」が応仁の乱だと言われる(←本当か?)京の都でも、ちょっと時代錯誤じゃないでしょうか。


ちなみに、原作では藤の葉は本当に「最近雇い入れたばかり」です。綱は最初、名前もあやふやで、親しげな様子は全く見せません。あくまでも「下働きの娘」という位置。
藤子の、火事から綱の屋敷に入るまでについては原作でも特に説言及されていませんが、「都を荒らす鬼」の風評を知って、頼光の四天王である綱の屋敷にもぐりこんで大江山に来る機会を狙っていたのだ、ということは最後の方で語られます
そのあたり、舞台でははっきりとは語られないのが残念です。




「そして藤子は視たのだな……綱の舘で、この花びら文様のあざを」

追憶から醒めて、茨木がつぶやく。

綱が斬った大江山の鬼の腕に、ついていた文様。それを視て、少女は心を決めたのだ。
「……この、茨木のいる大江山で死ぬのだと」
藤子の想いに引きずられるように、ゆっくりと、自らをかき抱くように抱きしめて、
「あさましの姿や、この身」
細い指が、まるで掻き毟るように爪を立てる。

「あさましや……」

茨木の嘆きを慰めるように、男役声で繰り返される主題歌が、心に沁みてきます。



この場面は、短い時間で茨木と藤の葉の因縁を説明し、しかも二人の現在の心情まで全部伝えきろうという、かなり意欲的な場面になっています。
カゲコーラスのナレーションと、子役の芝居、そして、断片的な片言台詞。なかなかそれだけでイメージを伝えるのは難しいと思うのですが、コーラスのメンバーも、子役のメンバーも、茨木と藤子も、実にうまくかみ合っていたと思います。“伝えたいこと”のイメージがはっきりしていれば、ちゃんと伝わるものなんだなあ、と思いました。



そうそう。もう一つ突っ込みネタがあった(^ ^)。
この場面、終わったらすぐに五蔵(風羽玲亜)が登場するんですけど、ここのカゲソロは何処で歌っていらっしゃるのでしょうか?場面全体で男役のカゲソロは最後だけなのに、さっつんはどう考えても無理ですよねぇ…?(天玲美音さんは余裕)
普通に袖で歌ったら、いらん雑音を拾っちゃうから無理だと思うんですけど、そうでもないのかな。それとも、博多座のカゲボックスは、下手の袖に入ってのすぐのところにある、とかですか?…謎。




■第十場A 綱、頑張る(岩屋に近い路)

場面タイトルはこうですが、綱は出てもきません(^ ^)。

攫われた姫たちが水汲み(?)に行く途中。(たぶん。荷物が軽そうなので、まだ汲んでいないと思われる)

そこに、鬼たち(三田~八飛)が「地獄の一丁目」を歌いながら登場。号令一下、姫たちに 襲い掛かる じゃれつく鬼たち。
とりあえず、手近なところで花園衛門(愛花ちさき)に三田(雅桜歌)、橘少納言(大海亜呼)に八飛(美月遥)、紅少将(花里まな)に六歩と七曲……が行ってた、かなあ?(違うかも)
四面(花露すみか)は、センターか下手あたりをうろうろしていたような気がする。「WEST SIDE STORY」のエニボディズみたいに、アニタをレイプする仲間たちに怯えて泣き出すことはなく、むしろ、男の子たちと一緒になって姫たちをからかっていたような?

センター付近で花園衛門にじゃれつく三田。その腕を、傍に居た伊勢式部(鈴奈沙也)がいきなり取って、思いっきり噛み付いて、
「お前があたしを攫ってきたんだから、責任を取っておくれよ」と責める
責められたあげくに、怯えて(?)逃げ出す三田は、どう見ても中学生男子か、へたすると小学生なんですけど、あれで良いんでしょうか。…可愛くてたまりませんが、なにか。



他の男の子たちも、本当に中学生男子の集団下校、って感じで、不思議なくらい“怖さ”が無いんですよね。身体もまだまだ成長途中の、小六か中一くらいの子供たちが、下校の途中で通りがかる美人OLに声をかけてる図、みたいな感じ。
なんとなく、五蔵がガキ大将で六歩が参謀、七曲は心優しい力持ち系で、八飛は生意気盛りの年少組(←さ、三田の立場は…?)という感じがします。

そんな、日が暮れるまで外遊びするのが当たり前だった時代の子供たちなら、自然と身についていたはずの役割分担を、さりげなく体現している彼ら。このくらいの子供にとっては、戦も遊びも大した違いはないんだろうな、と、切なくなりました…。



三田が伊勢式部に追われてハケた後、花園衛門には五蔵が行った……かな?なんだか、五蔵と六歩でそのあたりは順繰りに手を出していたような気がします(- -;ゞ
そして、ついにキレた橘少納言が「滝壷に身を投げて死んでやる!!」と騒ぎ出しても、誰も気にとめない。「お前なら飛び込んだって良いんだぜ!」って、酷いよ五蔵(T T)。

そこに、下手花道から胡蝶姐さん(花影アリス)一行が登場。
「お前たち、東の溜まりだろう?酒ぁくらって持ち場を離れて、どういうつもりだい」
ピシッと叱る胡蝶姐さんがカッコいい(はぁと)。

「胡蝶姐さん、相変わらず威勢がよござんすねえ」
軽くいなそうとする六歩。慌てて頭をはたく五蔵の状況判断は確かだな。
で、薊姐さん(綾音らいら)が一歩前に出て喋りだした途端、舞台の上手端に逃げていく五蔵。『頭のあがらない姉さんに悪戯を見つかった弟』にしか見えません。でも、そんな状況にも関わらず、姫君に声をかけるのを止めない五蔵は、ただの負けず嫌いなのかも。
五月雨(琴羽桜子)が「しおらしい女なんて古いんだよっ!!」と怒るのに、あえて七曲が「へへーん」みたいな態度を取って、余計怒らせているのがいかにも中学生男子らしい(^ ^;。ぶち切れた五月雨が、吹っ飛んでいって「七曲の莫迦ぁ~~~っ!!」と掴みかかったのが可愛かった★
その合間にも、鬼灯(妃宮さくら)ちゃんはつかつかと花園衛門にしつこく絡む八飛のところに行って、「あたしとゆーものがありながらっ!!」と怒っているし、薊姐さんは、何も言わずに五蔵の背後を取って、「五蔵っ!」と叱りつけてるし……
いやはや。人間関係 鬼関係が入り組んでいて面白いです(^ ^)。
怒られる前にとっとと謝ったらしく、最後は腕を組んで仲良くはけていく六歩と蛍火(舞姫あゆみ)とか、ちぃちゃくなってこそこそと逃げていく四面とか、そこにはいろいろなドラマがあったのでした…。




子供たちが片付いた後、溜息をついて見送りながら、「花園さん」と声をかける胡蝶。
「はい?」
「…これからは、千年杉のおじさんにでも、ついてきてもらうんだね」

「そうですね、……そうします」
礼は、言わない。頭も下げない。

鬼に囚われた自分を、哀れむことに忙しくて。




……花園衛門って、良い役ですよねぇ。誇り高く、凛とした、なのに脆い部分のある、美しい女性。
愛花ちさきちゃんは確かに可愛いんですけど、そういう権高さや強さ、プライドが高いゆえの冷静さみたいなものはあまり感じられなくて、ちょっと残念な気がしました。結構キーパーソンだと想うんだけど。




姫たちを見送った胡蝶が、ふと空を見上げたあたりで、上手花道に樵に扮した坂田公時(鳳翔大)と、綱の部下・広次(風馬翔)が登場。
「ああ、やっぱり降ってきたねぇ……」との呟きを遺して去る胡蝶。

胡蝶がハケるのを待って本舞台に駆け込み、「やはり花園衛門だ!」と歓喜の声をあげる公時。
スタイルの良い大くん、何を着ても似合うなあ(^ ^)。樵も格好良いです。いや、むしろ、武家らしく鎧などなど…をつけているときより、こっちの方が数段似合ってる(^ ^;
口調も自然で、いちいちキメようとしてはひっくり返っていた頼光館での台詞回しより、ずっと良いです(*^ ^*)。

「公時さま、ご無理をなさらぬよう」
そう、心配げに声をかける広次。いかにも真情の篭った声で、よかったです。風馬くんも美月くんも、学年の割に芝居心があっていいなあ、と感心します。これからの宙組は……安泰!?かもね(^ ^;ゞ




赤坂ACTシアターにて、宙組公演「逆転裁判2」を観劇してまいりました。



フェニックス・ライト(蘭寿とむ)、ロッタ・ハート(美風舞良)、裁判長(風莉じん)、ディック・ガムシュー(春風弥里)、マヤ・フェイ(すみれ乃麗)の5人は、パート1から同役で続演。
せーこちゃん(純矢ちとせ)は、前回も出ていたけど役が全然違ってて、あと出ていたのは、光海舞人、天輝トニカ、紗羽優那、千紗れいな、七瀬りりこ…の、5人だけ?(抜けている方がいらっしゃったらごめんなさい!)

美羽あさひちゃんや七帆ひかるくんたち、卒業されてしまった方も多いんですけど(T T)、改めて思い出してみると、すっしーさん(寿つかさ)をはじめ、博多座組に回った人が多かったんですよねぇ。「逆転裁判」で覚えたのに、「薔薇に降る雨」では見つけきらなかった可愛い下級生たちが、博多座ではすごく目について幸せでした(^ ^)。





ゲーム「逆転裁判」と宝塚とのコラボ作品、第二弾。
正直、柳の下に二匹目のどじょうはいるのか?と思いながら観にいったのですが。




蘭トムのフェニックス・ライトは、やっぱり優しくて可愛くて、魅力的でした(*^ ^*) 今はもう居ないレオナに捕らわれすぎていて、ライトの一番いいところを封じられたまま、どうやって生きていくか…みたいなテーマがちょっと微妙でしたけど、でも、やっぱり可愛い♪また逢えて、良かったです♪

いやー、もしパート3が実現したら、祐飛さんも犯人役か何かで出演しないかな(^ ^)。「古畑任三郎」みたいに、特別ゲスト待遇でどうでしょう。結構嵌ると思うんだけどなー。




ともちん(悠未ひろ)のエッジワースは、予想外に外見も嵌っていたし、良かったと思うんですよね。ちょっと色気が洩れすぎてて、あまりクールなキャラではなくなってましたけど(^ ^)。私はゲームを知らないのですが、原作ファン的にはどちらがイメージ近いのかなあ。

ただ。今回のエッジワースは、あまりにもパート1とキャラクターが違いすぎていて、違和感はかなり強かったですね。役者が違うのもあるんですけど、それ以前に、脚本的に根幹が別人になっていたので。
まぁ、さりげなくライトが「あいつ、よく喋るようになったな」などと突っ込んだりしてくれるので、全く繋がらないということはないのですが。「あの事件(レオナ公判)で人生が変わったんだ」みたいなことも本人がちゃんと説明してくれるんですけど、『人が変わった』という芝居を、実際に違う人がやるのは難しいよなあ……というのをしみじみと思いました。




せーこちゃんは、前回はレオナの妹で、事件全体のキーになる人物でしたが、
今回は、最初の公判の被告人・アレイア先生(光あけみ)の娘ルーチェという、まったくの新キャラ。弁護士志望で、ライトに憧れていて、でも、恋人(七海ひろき)もいて、、、という、割とありがちなキャラでした。
母親を救うためにライトの依頼人となり、母親は無事嫌疑が晴れたものの……という、脚本的には物語りの真ん中に常に絡んではいるのですが、あまり“ヒロイン”という感じではなかったですね。恋愛も絡まないし、ライトと出会ったことで人生が変わるわけでもないし。
どうせなら、モニカ(レオナの妹)のままでよかったんじゃないか、という気がします。レオナを喪った彼女を救えるのは、ライトだけだろうと思うし。モニカなら、アレイア先生を知っていてもおかしくないし……。
せーこちゃん自身は、美人だし歌も芝居もできる素敵な娘役さんなのに、いくらなんでもルーチェじゃどうにもやりようがない(T T)。本人の能力でカバーできる範囲を超えていると思いますね。もう少しなんとかしてあげて欲しかったなあ……>鈴木さん


ルーチェがあんな役なら、藤咲えりちゃんのフランジスカ・ヴォン・カルマの方が、よっぽど『女主人公』としてのヒロイン役に相応しい役だったような気がします。
主人公(ライト)が今でも一途にレオナを愛し続けているという設定自体がかなり宝塚ばなれしているわけで。だったら、いかにも宝塚作品のヒロインっぽいルーチェというキャラを出してくるよりも、全く宝塚ヒロインらしくない冥ちゃんを作品の女主人公に据えて、恋愛を絡ませずに裁判での闘いを中心に描いた方が面白かったのでは、と思うのですが……。

その、フランジスカ・ヴォン・カルマの藤咲えり。わたしはゲームも漫画も読んではいませんが、キャトルレーヴに売っていた漫画の表紙だけは見たんですね。表紙に出ている冥ちゃん(三巻だったかな…?)のイラストを見て、思わずふきだしました。えりちゃん、GJ!!すげーそっくりです。何がって、美しいボディラインと脚線美が。
金髪ボブの鬘も良く似合うし、大人っぽい美人で、あの衣装が良く似合って、、、いやー、ホント素敵でした。(はぁと)(熱弁)




美風さん・風莉さん・みーちゃん(春風弥里)・れーれ(すみれ乃麗)の続演軍団は、さすがの余裕、という感じでした。それぞれに皆パワーアップして、みーちゃんはセンターで一曲あったり、美風さんはいろいろバイトしていたり、同じ役とはいえ、ちゃんと工夫されていたと思います。
しかし。
ふとした疑問なんですが。みーちゃんの刑事がカリフォルニアに居るのは「人事異動で」ってちゃんと本人が説明していたけど、裁判長閣下はどーしてこちらに……?




かいちゃん(七海ひろき)は、ルーチェの恋人・ローランド・スミス。いやー、格好良かったです。前から気になってた人だし、「薔薇に降る雨」の新人公演でかなり惚れてた自覚はありましたが……落ちましたね。ええ。
いろんな矛盾のある役なんですけど、その矛盾を吹き飛ばしてしまうだけのパワーを見せてくれたのが嬉しかったです。なんというか。小さくまとまらないで、大きく掴みに来たことを評価したいな、と思います。…ちょっとキャラが複雑(?)すぎて、場面ごとに別人になってしまったきらいはありましたが、大事なところはちゃんと抑えてくれたので、気持ちよく感情移入できました。
…でも、髪は、プログラムくらいの方が似合うと思うなー。…あんまり長いと、それだけで胡散臭くなっちゃうし、ね(^ ^;ゞ





それ以外では、メアリー・ウェーバー(最初の事件の被害者の秘書)役の美影凛さんと、殺し屋役の光海舞人さんくらいしか本当に役がなくて、あとは皆、「陪審員」とか「若者」とか、そんなんばっかり。まぁ、陪審員たちはとにかくずっと舞台上にいるので、贔屓組だったら十分な出番なんですけどねぇ。まだ下級生覚えていない猫には、哀しい感じでした。
二幕の裁判で、下手の陪審席の一番下手にいる可愛い娘役さんはどなただったんでしょうか…。
過去のライトの愛月ひかるさんは、顔がみえなくて残念なんですけど、後姿でスタイルの良い人だなあと思いました。でも、手下役とかで見つけきれなかった(T T)。あと、若者で目についたのは安里舞生さんかな。あまり確信はありませんが、多分。スタイル良くてびっくりしました。






…と、ゆー感じで。

キャストはそれぞれ、続演の人もはじめての人も、みなさん良くやっていて、とても良かったのですが。
今回のパート2は、残念ながら、脚本的にはパート1とは大きな差があって、ちょっと残念な出来だったな、と、思いました。これが、見終わった後の正直な感想、です。

パート1は、なんだかんだ言っても、レオナ(美羽あさひ)との愛や、エッジワース(七帆ひかる)との友情など、テーマになる“想い”がはっきりしていたんですよね。で、なによりも、ライトの“信じる”想い、レオナを、エッジワースを、とことんまで信じる気持ちの強さが全編を貫いていて。
だから、いろんなお遊びや細かいギャグも、その太い幹があればこそ、きちんと枝葉として働いていたのですが。

そう。パート1が面白かったのは、もちろんゲームの設定をうまく舞台に取り込めたことや、キャラクターが嵌っていたことなど、いろんな条件がうまく噛み合っていたからこそなのですが。でも、やはり脚本自体が舞台作品として良くできていたことが大きいと思うんですよね。あちこち綻びはありつつも、そこには圧倒されるほどの純粋な「愛」があり、「信じる」心があったから。ライトが“信じた”からこそ、レオナもエッジワースも、喪ったと思い込んでいたモノを取り戻し、新しい一歩を踏み出すことができたのだ、という展開が。

そして、彼らが新しい一歩を踏み出したからこそ『真実』も『蘇った』のだし、ひいては『事件』も『解決』したのだ、というところまで、綺麗につながっていたから、ラストに物凄いカタルシスがあったんですよね。


でも。

パート2で一番残念だったのは、フェニックス・ライトの一番のパワーの源である“信じる”という能力について、その対象となるべき人物がいなかったこと、でした。

ライト自身は変わっていないのに、優しさも可愛らしさも何も喪っていないのに、“信じる”対象を見失ったことで、自分の一番の能力の発揮のしようがなくなってしまう。
最初の被告人となるアレイア先生のことは信じているんですけど、それは別段、何の障害もなく普通に信用しているだけで、特に語るようなことでもないし。
二幕で弁護を担当する人のことは、そもそも全く信じていない。むしろ、有罪にしてやりたいくらいの勢いです。

“信じる”ものを喪ったとき。“何があっても信じ抜く”という能力を封じられたとき、ライトの切り札となるものは何なのか。
それは本来、宝塚なんだから、『愛』であったり、そういう“何か”であってほしいんですよね。でも、ライトは『愛』もレオナに捧げてしまって残っていない。そういうときに、彼は何をもって闘うのか?


それはエッジワースも同じなわけで。彼は、レオナ公判まで自分のテーマソングだったはずの「私が決めたルール」という主題歌を喪っている。どういう基準(ルール)で判断したらいいのか、根本的なところが揺らいでしまっているんですよね。
そういうときに、何をもって闘うか。ライトとエッジワースの、悩みの根幹は同じなわけです。
だから二人はもう一度闘う。法廷という戦場で。

でも。
……二つの裁判を経ても、結局答えは出ていない、と思うんですよ。
なんとなく終わった感が強くて。二人の悩みは、全然解決してないじゃん!!と思う。
エッジワースは、自分の悩みは放置したまま、冥ちゃんの悩みだけ解決してあげようとするし。
ライトもまた、しかり。



なんとなく闘って、なんとなく裁判が終わって、なんとなく、“ま、これからもがんばろうね”的な、生温いラストシーンになだれ込む。
お約束っちゃお約束なんですけど、そういう安易なラストに持ち込むんだったら、最初からそんなテーマを堕さなければいいのに、と思いました。
エッジワースを出さないで、レオナの名前も、回想シーンだけにして。
レオナとの恋はきちんと終わらせて。連作ものの探偵小説は、作品ごとにヒロインが違うのが当たり前なんですから、割り切ってそうすればいいと思うんですよね。
エッジワースを出さなくても、冥が居れば話は進められるんですから。


ライトの一番の力は、“信じる”力。
だから、どうか。どうか、信じさせてあげてほしい。

あの、優しくて不器用で一生懸命で、誰よりも可愛らしい、あの男に。



宙組博多座公演「大江山花伝」。




やっと物語の本筋が動き始めたところですが、ちょっと原作との違いとかを語ってみたくなっております。
……原作・舞台共にネタバレしておりますので、どうぞご注意くださいませ。




■第八場 綱と藤の葉、捕わる

月光の中、主題歌「うす紫の恋」を口ずさみながら、山道(客席)を歩く茨木。
この作品において、通奏低音のようにずっと心の中に流れている主題歌。何度も何度も、繰り返しいろんな人が歌う。茨木が歌い、藤の葉が歌い、また茨木が歌い、、、、

♪とけてはかなきうす紫の
♪夢の狭間にたゆたいて
♪あとに残るは風ばかり 風ばかり

……そういう物語なんですよね、真実に。





原作は中篇で、基本的に綱(=倭人)側の視点で描かれています。
そんなに長い話じゃないので、鬼たちの生活なんて全く描かれていません。ところどころに茨木と藤子の追憶と幻想が混ざるくらいで、それ以外は、ほぼ語り手は綱。徹頭徹尾、鬼は人間の敵として描かれるのです。

鬼側のキャラクターは、悪役カウントの酒呑童子と、それに付き従う鬼丸くらい。
胡蝶もいないし、千年杉もいない。可愛い子鬼たちも、暴れん坊の少年たちも、誰もいない。

そして。
当たり前のように、茨木以外の鬼と人間とのエピソードは全くありません。
京の女たちと鬼たちのエピソードも一切なく、酒呑童子は、茨木の母について「お前が生まれてから……時どきはわしにも笑いかけてくれるようになっていたのに」と語る。
そのくらい、隔絶された人間関係。とてもとても、「わしはお前の母をこよなく愛おしんだ。二人は幸せであった」どころの騒ぎじゃない。いや、酒呑童子が茨木の母をこよなく愛したことは事実だったのでしょう。でも、『二人が幸せであった』かどうかは、今となっては誰にもわからない。

鬼側の理屈(自分たちはヴァイキングの末裔で、黄色い髪や白い肌を懼れた倭人たちに山奥へ追われ、悲惨な生活のうちに姿が変わっていった云々)は述べられますが、要するに「鬼にとっては人間(倭人)は敵」で、「人間(倭人)にとって鬼どもは敵」でしかないのですから。
彼らがどう望もうと、あくまでも。



その間を繋ぐものとして、鬼と人間の混血である茨木というキャラクターを設定したのが、木原さんの慧眼であったとするならば。

大空祐飛は、この、鬼と人間が完全に敵対する世界の中で、そのどちらにも属さない茨木というキャラクターを、生きられる稀有な人だった、と、思っていたのです。
だから。
……そんな茨木を観ることができなかったのは、彼女が属する世界は宝塚歌劇なんだから絶対に無理だと判った上で、でも、やっぱり残念だった、と思ってしまいます。


もしも、柴田さんのお目がまだ無事でいらっしゃったなら。
彼は、祐飛さんにどんな茨木を創ってくれたのだろうか。
実際にイタに載ったものと、そんなに大きく変わらない……の、かなあ…?





二十数年前。

柴田さんは、宝塚作品としてこの物語を換骨奪胎する中で、「愛するべき鬼たち」という新たな設定を作り上げました。

乱暴ものだけれども、身勝手でわがままだけれども、でも、愛されるべき子供たち。
そう、柴田作品となった「大江山花伝」の中で、鬼たちはほぼ全員、『子供たち』になっていた。
乱暴もので、短気で、身勝手で、欲しいと思ったら攫ってきてしまう、抑えのきかない子供たち。
子供でないのは、長である酒呑童子と、千年杉の二人くらいで。胡蝶と茨木は、混血ゆえに子供で居続けることもできず、大人になってしまった孤独な二人…なのだ、と。




二十数年前に、自ら酒呑童子を殺し、鬼族を滅ぼして自らも滅ぶ茨木童子の話など、宝塚で受け入れられたとは考えられません。

だから、柴田さんの改変は、正しい方向でした。いえ、今だってそんなのは難しいだろうと思います。第一、鬼たちのエピソードを全部削ることになるから、全然役がなくなってしまうし。




でも。


……「どうして山攻めなんてするんだよ!?」「彼らは子供だってだけで、姫君も殺してないし、悪いことしてないじゃん!」と頼光四天王たちを恨んでしまう私の心は、どうしたらいいんだよーーーーー。
(←千秋楽を過ぎた今でも、この切なさは鮮明に胸に残っていたりします)






…余談が長くなりました。

夜歩きの果てに朝を迎えた茨木は、“岩屋御殿”の前で胡蝶に出会います。っていうか、胡蝶は帰ってこない茨木(「後でな」って言ってたのにー!)を待って、あの扉を出たり入ったりしてたんだろうな……。まんじりともせずに。
哀れな娘心。そうとしか表現のしようもない思いの深さに、絶望的な気分になります。


「また、森の泉に行ってきたの…?」
そっと尋ねる胡蝶。

これ、なんの説明もなく尋ねられ、茨木も何のフォローもせずに無視してのける、あまり意味があるとも思えぬ会話なのですが。
……“鬼の泉”のことを言ってるんですよね?
到底忘れられるはずもない記憶、どんなに辛くても忘れたくはない記憶を映しだす、凍らぬ泉の水鏡。

♪ひとでなしの明け暮れに 指の間からこぼれて散った
♪夢のむかしを拾い集めて 温めて
♪ひそかにそっと 水に映し 飽きもせず見つめる

この歌を歌うのは、この場からずいぶん先の話ですし、そのときには、直前のドラマティックな場面に心を奪われて、このささやかな会話は忘れられているのですけれども。
取り戻せない過去の罪を、自分自身の過ちを、それであってさえも懐かしく、慕わしく、何度でも繰り返し視ずにはおれぬ、茨木の絶望の深さ。その真実の痛みを知ることも許されずに、ただ茨木の纏う月光の眩さに手を触れることもできずにいる胡蝶が。

『三年前』の事件について、何も知らないはずの胡蝶。宴での歌といい、この意味深な台詞といい、知らずに言っているのだとしたら随分と残酷なことよ、と思います。…いや、たぶん、泉のほとりで何時間でも過ごす茨木のことを、今で言うひきこもりくらいに思っているのかな(汗)。そして、宴での歌は、へたをすれば茨木自身が歌って聞かせたのかも、とも思う。
それは、彼の絶望を呼び出す召還の呪文、だから。

くらき瞳の君知るや そも、悪しかり鬼とは茨の木よ、と






茨木を心配する胡蝶は、子鬼たちを呼び寄せて、上衣と履物、そして薬湯を持ってこさせます。
まぁ過保護な姐さんですな(^ ^)。
無邪気なひなげしの、「まだ残ってるわ!お薬は残しちゃ駄目よ!」という台詞に、ちょっと目を白黒させて、仕方なさそうに苦そうな薬湯を飲み干す茨木が、なんとも言えず可愛らしいです。
ひなげしの「はい、おりこうさん♪」という台詞がすごい好き。茨木がさっきまで纏っていた月光の鎧が、子鬼たちのキラキラに射込まれて、すっかり外れてしまった感じ。胡蝶の口許もすっかり綻んで、朝が来たんだなあ、という気がするのが不思議です。

「幼いものは可愛いな。鬼とはいえぬ」

そんな、すっかり寛いだ雰囲気の中、ふと茨木の口からもれた呟き。
ここぞ、とばかりに三年前のことを聞き出そうとする胡蝶の必死さが、すごく可愛い。ここで黙って、そのままの茨木を丸ごと受け入れてあげるだけの懐があれば、茨木も胡蝶を愛したかもしれないのに。
なのに、胡蝶は尋ねてしまう。三年前のこと、を。

……なぜ鬼になったのか、を。





そんな危なっかしい会話をしているところに、春風が駆け込んでくる。
「見張りが、人間を二人、捕まえました」と。

興味なさげに立ち去る茨木。
春風・秋風に指示を与えて、皆を連れてくるように言う千年杉。千年杉に「春風は長の童子に、秋は四天王の誰かに知らせてこい」と指示されるのを、姿勢を小さくして見上げながら聞いているりくちゃんとモンチがかなりツボでした(*^ ^*)。


五蔵を先頭に、山伏の格好をした綱(北翔海莉)と、侍女姿のままの藤の葉(野々すみ花)を連れて現れる、三田から九呂までの面々。三田と六歩と八飛が綱を抑えて、七曲と九呂が藤の葉を連れて……いたような(?)。
普通にじさまに報告する五蔵の美声が毎回ツボでした。そして、「人間にしちゃ滅法つえぇ野郎だぁ〜!」という、六歩の特徴のある喋り方が、巧いなあ、と、これまた毎回感心していました(^ ^)。

上手から登場した羽黒が綱に質問をしているうちに、いったん引っ込んだ茨木が再び音も無く出てきます。……あの引っ込みは、どうやら衣装を調えていただけだったらしく、肩からひっかけただけだった上衣が、ちゃんと帯に入ってる(^ ^)。
で、山伏に変装していても、茨木童子には綱だとわかるらしい。綱の方は、行者に変装した茨木に全く気がつかなかったのに!(←字の大きさに、たいした意味はありません)

あっさりと綱の正体をバラし、窮地に陥れておきながら。
藤の葉の懇願で、一瞬の躊躇を見せつつも豹変する茨木を、冷たい目で見ている父上が、結構怖い……と思うんですけど。まさこちゃんだからあんまり思わないけど(^ ^;ゞ、あそこは結構、父子的には怖い場面ですよねえ?
原作では、この時はたまたま酒呑童子が留守だったから、茨木の好きなように差配できた、ということになっているんですよね。舞台も、四天王の羽黒や天竜が来ているんだし、ここであえて酒呑童子まで出さなくても良いような気がするんだけどな。

……ここであっさり「父上」と呼ばれて丸め込まれている酒呑童子を見ていると、ついつい、息子にベタ甘なただのダメ父に見えてくるんですが……(涙)、私だけ?



うー、一日一場でやっていたら、マジで終わらないのでは(溜息)。



相変わらず終わりの見えない感想文です。
宙組博多座公演「大江山花伝」。


鬼たちの宴からなんですけど、鬼たちの一人一人については以前も書いたので、いちおうリンクしておきます。
http://80646.diarynote.jp/200908120316522855/
これもまだ、何回かしか観ていない頃の感想なので、今はちょっとイメージが違っていたりもしますが…。



■第七場 鬼たち、集う

どんなに疲れ切っているときでも、この場面にくると、もの凄い勢いでテンションがあがっていた私。場面が終わるまでオペラグラスが一瞬も降りることがない、と、隣に座っていた友人に指摘されたりしました(汗)。どうりで観終わったあと肩が凝るわけだ。……ってゆーか、宴が終わるとオペラグラスが降りるっていうのは、祐飛さんのファンとしてどうなんだろう…。



「大江山にお連れください!」「ならぬ!」という、綱と藤の葉の幕前のやり取りのあと、紗幕の向こうに光がはいり、舞台は鬼たちの棲家、大江山へ。




少し間をあけて、ちょっとおどろおどろしいファンファーレ(?)のあとに続く軽やかな前奏。紗幕があがって、鬼たちが舞台前へ出てくる。
センターに羽黒(天羽珠紀)。踊りながら「地獄の一丁目」を歌う、楽しそうな鬼たち。四天王と四面、五蔵、六歩、七曲、八飛、九呂。全員が大きな朱塗りの盃を持って、実にイキイキと、個性的で、とにかく楽しそう(^ ^)。
個人的には“首塚”という歌詞にあわせて盃を首の高さにあげ、その上で頭をふりふりするところが好きでした。あと、「青鬼、赤鬼」と言われて、あの鬼メークでニコっと笑う珠洲さんとちーちゃんが好きだ。いや、普通に全部好きなんですが。


「地獄の一丁目」が終わると、千年杉(萬あきら)がセンターに出てきて、「鬼も十八、番茶も出花♪」と言いながら、鬼娘たちのナンバーに。
薊姐さん(綾音らいら)、鬼灯(妃宮さくら)、蛍火(舞姫あゆみ)、五月雨(琴羽桜子)が可愛らしく「ちょいな♪」と歌い踊るのに無理やり混ざって踊ろうとするけど、さっぱり振りがわかっていない四面(花露すみか)。以前も書きましたが、結局四面の謎は解けないまま千秋楽を迎えてしまいました(T T)。とりあえず、最初はからかうように声をかけただけですぐに引っ込んだ仏(蓮水ゆうや)が、二度目は結構ちからづくで後ろにどかしていたのが興味深かったです。たしかあれは、天竜か誰かに言われたっぽい感じだったんですよね…。下手の岩の前にしゃがみこんで抗議の声をあげる四面に、七曲(松風輝)が盃をあたえて宥めていたのが面白かったんですが、最後の週末はやってなかったような気がする。あの、盃を二つ持って、シンバルみたいに打ち合わせて楽しそうに笑っていた四面が可愛かったんですけど。

この場面は、日替わりでいろんな人がいろんなことをしていたので、かなり混乱しています…。
基本的に春風(蒼羽りく)と秋風(星吹彩翔)は下手奥のセットに腰を掛けて、千年杉がナンバーを終えて帰ってくると、ずっと三人で呑んでいた気がします。秋風は比較的クールに手酌で呑んでて、春風は笑顔で子供たちの相手をしたり、いろいろしていたような。
その隣では、佐渡(天玲美音)が手酌で呑んでいて。空になった徳利(?)を二、三回振って、怒って投げ捨てる、みたいなことをやってたりしました。そのあと、いつもはその辺を探して、“どこにもねぇ~~~!!”みたいになってから前に出て、「酒もってこ~い!!」の芝居になるのですが。何回か、そこらを探しているうちに秋風か誰かが使っていた徳利を見つけて振ってみて、“やっぱりねぇぞ!”みたいな時があったのですが…………実はその後、場面が落ち着いてから、同じ徳利で穏やかに酒を注いでいる秋風がいたりした日もありました(笑)。

女性陣は、ただ「都の女」と表記されたえびちゃん(綾瀬あきな)と百千糸さんがセットの下手側(舞台としては真ん中あたり?)でおとなしく座り、その上手側の花園衛門(愛花ちさき)と紅少将(花里まな)が基本的に酒呑童子(十輝いりす)に酌をして、檀の下に伊勢式部(鈴奈沙也)と橘少納言(大海亜呼)、そして上手端には桂尚待(花音舞)と堀河の姫(千鈴まゆ)ちゃんがいた…と、思います。たぶん。
ちなみに、佐渡に「酒をもってこい!」と責められて、最初に「申し訳ございません~」と前に出るのが千鈴まゆちゃん、後から出るのが花音舞ちゃんであってます…か?(ドキドキ)


男鬼どもは、自分らのナンバーが終わると思い思いの場所に散るのですが…えーっと。六歩(月映樹茉)と九呂(風馬翔)が下手手前のあたり、七曲がその奥、佐渡がセットの真ん中あたりに腰掛ける感じで、羽黒は上手手前に座り込み、酒呑童子の前あたりに他のメンバー(天竜、仏、五蔵、八飛)が溜まっていたような…(曖昧)。で、千年杉のナンバーが終わって佐渡が騒ぎ出す前に、保昌から着替えて出てきた三田(雅桜歌)が下手から飛び込んできて、六歩たちのグループに参加、という感じだったと思います。
鬼娘たちがナンバーを終えてはけると、蛍火は迷わず六歩のところへ。薊姐さんは下手の、胡蝶(花影アリス)がいるあたりへ。鬼灯と五月雨は舞台奥のグループに参加する感じでした。

酒呑童子が「都の女たちの歌を聴かせてもらおう!」と声をかけると、男鬼たちが姫君たちを舞台前に追います。ここで、伊勢式部が「もうお許しください~」と泣き崩れるのを、花園衛門が宥めて、歌いだす、と芝居は流れていくのですが。
この会話の間、鬼灯と八飛が並んで仲良く立っていたのに気がついたのは、千秋楽の直前でした(汗)。あらあら。この後の、胡蝶のナンバーの後ろでは、鬼灯はどう見ても仏狙いだったので、いつのまに八飛とくっついたのかしら?と思っていたのに…(考えすぎ)(^ ^;

都の女たちの真ん中で歌いだす花園衛門。その美しい衣装にじゃれつくようにちょっかいを出しながら、合いの手をいれる三田。たぶん、三田は伊勢式部も、顔じゃなくて衣装が気に入って攫ってきたんだろうな……。
蛍火に言われて、三田を片付けにくる六歩が、なんだか凄く大人びていて格好良いです。名前から見ても、この後の場面の行動からみても、一応三田が年長という設定なんだと思うんですけど、とてもそうは見えません(きっぱり)。



泣き崩れて歌えなくなった姫君たちに、怒りをぶつける五蔵。若いのに怒鳴り声が効いていて、格好良かったです。姫君たちに関しては五蔵が一番の苛めっ子という設定なんですよね。…良く見ると美形なのにね。(←関係ない)

四天王も加わっての怒鳴り声に姫君たちがますます怯えるのを見かねて、胡蝶が凛と声をかける。
「お待ち。」
す、と音もなく立ち上がって、
「あたしが替わるよ、そこをどきな」
いやー、ここの胡蝶さんは本当に格好良いです。勿論、ナウオンでも話題になった「なんだい羽黒、あたしじゃ不足かい?」は最高です(*^ ^*)。いやー、イイオンナだわ♪

胡蝶に呼ばれて「あいあいーっ♪」と可愛く返事をする子鬼たち、りんどう(舞花くるみ)、われもこう(瀬音リサ)、ひなげし(愛咲まりあ)が、ものすごくかわいい。中でも、われもこうの瀬音リサちゃんがめっちゃ可愛くて、すっかりお気に入りになりました。
それにしても。この三人、髪に飾る花は自分の名前とは全然関係ないんですね。りんどうとひなげしがピンク、われもこうが黄色だったもんなあ。りんどうは青紫、われもこうは濃紫……じゃないのか?ひなげしは色んな色があるから、ピンクでも間違ってないけど。三人ともものすごく可愛いし、色が役名とあっていれば、もっと覚えやすかったのになあ…。

「♪山陰の泉に映る 昏き瞳の君や知る…」

胡蝶の歌は、茨木を呼び出す呪文のようです。原作の外伝である「鬼の泉」を想起させる歌詞は、たぶん、確信犯なんでしょう…。
呪文によって召還された茨木は、さりげなく段差につまずいたりしながら(^ ^)胡蝶に手を引かれて舞い始めます。それまで千年杉と呑んでいた春風・秋風がさりげなく後ろについて舞ってくれるのも見処。彼ら二人は散々飲んでいたハズなんですけど、全然酔ったようには見えない……一番足許があやういのは、今まで宴には参加していなかったはずの茨木だよねぇ?

舞うメンバーが多くなったので、彼らが舞台前に一列に並ぶとほとんど舞台全面をつかってしまい、下手で呑んでいた六歩たちのグループが慌てて避けてたり、意外と細かいところが面白い(^ ^)です。
ここはなんというか、鬼たちの宴の一番の盛り上がり、という空気がちゃんとあったのが、すごく良かったと思います。回りで呑んでいる連中も、真ん中を注目してヤンヤヤンヤと盛り上げながら自分たちも愉しむ、という感じがちゃんとでていたし。いかにも仲が良さそうで、すごく楽しい宴でした。……都の姫君たちを別にすれば、ですが(^ ^;ゞ




舞い終えた茨木は、一方的に宴の終了を宣言します。
えーっと、酒呑童子の許可も得ずに、「俺の命令がきけんのか」とか言っちゃって大丈夫なんだろうか…とか思いつつ。いやー、酒呑童子は息子にぞっこん(←なにか意味が違う)だから、息子の言うことはなんでもきいちゃうんだろうけど。
「せっかく盛り上がってきたのに!」と反論する天竜を抑えて、「天竜、行くぞ」と声をかけるのは、四天王の中では一番下かと思っていた佐渡なんですよね。実は、初日の頃は誰が喋っているのかよくわかっていなくて、この台詞は羽黒が言っているんだと思っていたんですよね。…まさか、佐渡だったとは。ちょっと酔いが醒めたかのように、低い声で少し早口に「行くぞ」と言う佐渡は、えらく二枚目な感じで。それまでのワガママな末っ子っぽいイメージから、随分イメージが変わったのでした。

そして。
せっかく、“茨木童子も出てきたし、さあこれから盛り上がるぞっ!!”と思っていたのに、あっさり振られて悄然と立ち竦む天竜が、なんだか可哀相でした(T T)。
茨木が胡蝶に呼ばれて御簾の影から登場したとき、その一番近くにいるのは天竜なんですよね。楽しそうに飲んでいた天竜が、胡蝶の仕草に誘われるようにふと横を見て、思わず歓喜の笑みを(メークでよくわかりませんが)浮かべるところがすごく好きでした。言葉は荒いけど、本当は優しい鬼なんだと思うんですよね。それは羽黒もそうなんですけど。


茨木の(酒呑童子の?)意を受けた千年杉が、皆を送り出す。
…しかーし。「見張りの交代の時間だろう!」って言って追い出してるけど、ここにいるメンバー以外にいったい誰が居るとゆーんだろう……





茨木の身体をいたわりつつ、「長に逆らってはダメ」と諭して去っていく胡蝶。いい感じに包容力をみせて、美しく余韻を残してました。「後でね」という柔らかなクドキがすごく好き。「…あぁ」という茨木の応えも、さりげなくていい感じです。
…すぐに忘れられちゃうんですけどね、そんな約束(T T)。

茨木と二人になった酒呑童子は、まず、「酒呑童子」と呼びかけられたことに苛立ちをみせる。
「何故、父と呼ばぬ?」
公演の半ばから、無理して威厳を出そうとするのをやめて、ごく素直にムッとしたように言い返すようになったまさこちゃんの芝居は、(酒呑童子としてはどうかと思わないでもないのですが)場面としては間違ってないのかも、と思いました。
年齢としては父親である酒呑童子の方が上なんですけど、もともと妖力のある二人はきっと歳のとりかたも違うんだろうし、前向きでパワフルで体育会系の父親の方が、後ろ向きで理屈っぽい息子より子供っぽいことなんて、そんな事例、いくらでもあるだろう、と。


京の都への襲撃の激しさを諌める茨木。あまりにやりすぎて彼らを本気にさせては、個々の戦闘能力では勝っても、数に劣る自分たちに勝ち目はない、と。
それはすごく当たり前の理屈なんですが、残念ながら酒呑童子には伝わらない。
自分たちの来し方を語り、お前ももっと、鬼らしくもっと猛々しくあれ、と言い捨てて去る酒呑童子。この、去り際に着物を翻すところがとても格好よくて、毎回見惚れてました(*^ ^*)。


一人取り残されて、紀の国守の屋敷で育った15年間を思い出す茨木。
月の光に照らされて、屋敷に溢れていた美しい藤の花と、藤の花のように美しい姫を思い出しながら……。

夢見るように空に視線を泳がせて、ゆっくりと舞台を降りる茨木の、その不思議な存在感。
残念ながら、下手の最前列とか、前方通路席とか、そんな素晴らしい席に座ることはなかったので、あまり真近で観ることはなかったのですが。…ああいう客席降りは、あんまり近くないほうが楽しいような気がします、なんて、ちょっとすっぱい葡萄みたいなことを言ってみたりする(^ ^;ゞ

どうでもいいことかもしれませんが。あの場面、大劇場公演だったら銀橋なんだろうなあ……(しみじみ)。それはちょっと観てみたいような気がします(^ ^)。




無事、CSニュースに流れた「カサブランカ」の制作発表を見ることができました。
そっちを録画したらハードディスクが足りなくなって、「派遣のオスカル」は途中で終わってしまい、「GOGO5」の録画には失敗しましたが……まぁ、そういうこともあるさ。

いやー、テンション上がりました。
すみません、実際に舞台で観るのが、もんっのすっごく楽しみです(^ ^)。「時のすぎゆくままに」、本当に名曲だなあ。……舞台でもリックは歌うんでしょうか。ドキドキ。


しかし。
……小池さん、祐飛さんをメーク“アップ”できるヘアメークさんは相当にレアな存在なので、制作発表だろうとポスター撮影だろうと、本人にやらせたほうが良いと思いますよ……(泣)。
祐飛さんもすみ花ちゃんも、終了後の二人のトークの時の方がぜったい美形だ(↓)

…まぁ、舞台は心配いらないでしょうけれども…。











そして。月組の新人公演キャストが発表されましたね♪

アリステア   瀬奈 じゅん 明日海 りお
ムーア     霧矢 大夢  珠城 りょう
グラハム    未沙 のえる 宇月 颯
ジークムント  遼河 はるひ 紫門 ゆりや
ヴィクトール  桐生 園加  貴千 碧
ローレンス   青樹 泉   鳳月 杏
クリストファー 龍 真咲   煌月 爽矢

エスメラルダ  城咲 あい  蘭乃 はな
アイリーン   憧花 ゆりの 彩星 りおん
ヘレナ     羽桜 しずく 愛風 ゆめ
ポーリーン   蘭乃 はな  琴音 和葉

たくさん発表されたんでちと驚きました(汗)
みりおくん、今回は花組のまぁくん(朝夏まなと)みたいに敵役に回るのかなーと思いましたが、瀬奈さんの役でしたね。7年間の総仕上げ、悔いのないように楽しんでほしいです。
霧矢さんの役は、94期の珠城さん(@ @)。大抜擢ですが、ジュラも違和感なくやっていたから、そこそこ歌えるみたいだし、「二人の貴公子」でも良い芝居をしていたような気がするので、結構期待しています。
芝居巧者の未沙さんの役に宇月くん、あひちゃんの役にゆりやん、園加の役は当たり前のようにまんちゃん、もりえちゃんの役に杏ちゃん、というのは、ものすごく正しい配役のような気がします(^ ^)。そして、まさおの役をやる煌月さん、全然キャラが違うような気がするんですけど、デキる人なだけに、どんなふうに料理されるのか楽しみです(*^ ^*)。

娘役はちょっと意外?前回あいちゃんの役だった咲希あかねちゃんは、あーちゃん(花瀬みずか)の役あたりでしょうか。りおんが、先に名前が出るような役だったことがめちゃくちゃ嬉しいです。
愛風ゆめちゃん、「エリザベート」の侍女で一際目についた美少女ですが、ちゃんと芝居をするのを観るのが初めてなのでちょっとドキドキ(^ ^)。蘭ちゃんは、「浮橋」でしずくちゃんの役、今回であいちゃんの役と、トップ娘役空位の月組でヒロイン格の役を歴任していますね。その蘭ちゃんの役には、二学年上の実力派、琴音さん。これは結構、蘭ちゃんにプレッシャーかも。

作品が全然見えてこないのですが、新公のキャストを観ただけでちょっとテンションがあがりました(*^ ^*)。








余談はこのくらいにして(?)、博多座公演「大江山花伝」。
ちょっと昨夜中途半端なところで終わってしまったので、まずはその続きから。




「その唐櫃、開けてはなりませぬ」

という声と共に、上手花道に登場するのは、行者・左近少輔の先触れ二人(蒼羽りく・星吹彩翔)。
二人が花道で座し、一行を出迎えに出ていた綱の部下(美月遥)が舞台に戻ったところで、濃い色の着物をまとった左近(大空)が登場。髪は後ろで束ねて、いかにもな行者装束。……しかーし、水色の袴の裾からは、黒地に金の文様がちらっと覗いてますが……良いのか?それは(^ ^;ゞ。
ここでは、綱の部下たちも正体には気がつかないんですね。流れる水がないと無理なのでしょうか?



りくちゃんの捧げる三方に載っていた鈴をさりげなく取って、櫃のある方へ向かう。
すり足で進みながら、りん、と鈴を鳴らしながら。


鈴が一色鳴るごとに、人々は眠りに落ちていく。
皆最初から膝をついている状態だから、寝るのも早い早い。意外にあっさりと眠りはじめる頼光さまがチャーミングです。四天王でいきなり寝るのは(鳳樹)いちくんの卜部だったかな?保昌は、主君(頼光)を守ろうという気概があるらしく、意外としぶといんですけど、でも、一顧だにされないままにいつの間にか眠ってしまうのがちょっと可哀相(汗)。
左近さんにとっては、持ちこたえていたのは綱だけなんでしょうね。必死で抵抗して、無理矢理立ち上がる綱に向かって、鈴を一振り。りん、と音が響いて、綱ががっくりと膝をつく。ここの、言葉も何もない“闘い”が、実は結構好きでした。

左近がそうやって綱を相手にしている間に、榊の枝を持って周りをぐるぐる回っていたりくちゃんとモンチが、他のメンバーに とどめをさす 最後の眠りを与えて回ります。
あやしげな笑みを口許に刷いて、すーっと歩き回る二人。初日頃は結構バタバタしていた印象もあったのですが、慣れというか、若い人は成長が早いというか。後半は気配も音もなく風のように動き回ってて凄かったなあ。


綱以下の全員がとりあえず倒れこんで起き上がれなくなると、三人は唐櫃の回りに集まって。
左近が春風に鈴を投げ、秋風が蓋を開けてくれた櫃の中から奪われた左手を取り出し、ナウオンでちーちゃん(蓮水ゆうや)がやってみせたポーズをとって、暗転。
あの場面、ちーちゃんが誉めていたとおり、効果音の入り方といい、暗転の前に一瞬赤いライトになるところとか、いかにも歌舞伎めいたキメ場面になっていて、迫力がありました。
演出として新味のあるものではありませんが、宝塚だと意外と珍しいかも。

左近さんはそのまま舞台奥のセット裏にはけて早替り。起き上がった綱たちが右往左往するのを、セットの上から見下ろして、勝利宣言をしてはけていく。
「GOGO5」で、樹里ちゃんが「一番好きな衣装(場面?)」と言っていた、黒地に金のおどろ紋(?)の着物。いかにも“ワルい”感じの企み笑顔といい、この翳の濃い作品の中で、ここだけ別人のようにイキイキとした茨木さんでした。




■第六場 綱、出立

下手に消えていった茨木を睨むように、空を睨んで「おのれ!」と独白する綱。
そのまま定位置に戻ると、場は頼光の館に戻ります。
四人の役割分担を決めて、命をくだす頼光さんが超絶格好良い♪

ここの4人の会話とか、最後にはけるときの小芝居でのいちくんについては以前書いたので……
えーっと。こんなところでしょうか。
なんだか今日は、余談の方が長かったような気がする(^ ^;;;ゞ





千秋楽を打ち上げてから、早いもので一週間以上が過ぎてしまった、宙組博多座公演「大江山花伝」。

このまま放置するときっと書かないままに終わってしまうので、本当に今更で恐縮ですが、突っ込みつつの感想文の続きをアップさせていただきますm(_ _)m。
一回めはコチラ⇒ http://80646.diarynote.jp/?day=20090822





■第四場 一条戻り橋で、斬る

北から一条、二条…と数える、京の都の大通り。一条大路は、都がひらかれた当初は都の最北だったはずですが、、、今はもう、かなり北の方まで市街が広がっているのであまりそういう気はしません。一条大路より、少し外側の今出川通りの方が広くて交通量も多いし、そこまで行っても、まだまだ市街地は先まで広がっている感じがするし。
でも、大江山伝説の時代(平安中期)は、これが都の最北の橋だったのでしょうね。橋のたもと(北西側)にあった安倍晴明の屋敷址が、ご本人を祀る晴明神社になったのと、時代はあまり違わらないはずですから。

ちなみに。
豆知識ですが、平安京の朱雀大路(中央通)は、現在の京都で中心となっている烏丸大通りではなく、かなり西に寄った千本通り付近であったはず(朱雀大路の南の始点だった羅城門址の位置からみても)。
現・京都御所は、後世、戦乱や火災などで内裏が機能しなくなったときに仮の御所として使った里内裏がそのまま御所になったもので、平安時代の大内裏はもっとずっと西側にありました。
従って、堀川は御所の西を流れる川ではなく、東側を流れていたはず。堀川にかかる一条の橋は、すなわち御所の東北、いわゆる鬼門、艮の方角にあたるということになります。

……だからこそ、一条戻橋には、鬼も気軽く出てくるし、陰陽師・安倍晴明も邸を構えたのでしょうね。
一条戻橋、という名前自体、“死者が戻ってくる橋”という伝説があってついた名前のようですし、『異界へつながる橋』である、というイメージが色濃く残る橋だったのでしょう。


現在に残るのは、暗渠すれすれの細い川にかかるコンクリ造りの情緒もへったくれもない普通の橋だし、東北の方向もひらけていないし、そもそも内裏の跡地も見えないし……、ありし日の姿を想像するにはちょっと難しい感じでした。
(かなり昔に晴明神社を観光したときの記憶で書いていますので、今はもしかしたら違うのかもしれません)



ただ。残念なことに、大江山は丹後半島説(大江山)を取っても亀岡市説(大枝山)をとっても平安京より西側になってしまって、鬼門じゃないんですよね(T T)。うーん、亀岡説だと微妙に未申(裏鬼門)かな?という感じだけど、一条戻橋とは関係ないし、……うみゅー、なんか残念だ(^ ^; せっかくここまで道具立てが揃ったのになー(↓)





なーんて薀蓄はどうでもいいですよね。つい長くなってすみません。



頼光さま(寿つかさ)のお邸から、渡辺綱(北翔海莉)だけにスポットが当たって独白→みっちゃんが回れ右(?)して、頼光の部下という立場らしく“ちょっと急ぎ気味”の足取りで数歩舞台奥へ向かう→ライトが点くと、そこにはもう戻橋のセットが…という展開が、実にキレイで判りやすかったです。
しかし、頼光の邸は左京の一条にあったはず。そこから戻橋を通って、綱はどこへ帰ったんでしょうか。御所の警備にあたっていたのかな?

みっちゃんは、舞台の中ごろまで進んでそこで上手に折り返し、端で待っている部下二人(美月遥、風馬翔)と合流。軽く一息入れて、『お館さま』らしい悠然とした足取りで、京の街を歩き出します。



空気を切り裂くような、ピィーッという鮮やかな笛の音。
橋の上には、被布をかぶった上臈姿(えらくデカいですけどなにか?)のシルエット。その、距離感が不思議です。

橋のたもとに控える侍女(春風/蒼羽りく)から声がかかる。
「もうし。渡辺綱どのとお見受けいたします。」

場面転換の間、ちゃんと吹いている振りをしていた横笛を、胸元にしまいこもうと密かに四苦八苦しているりくちゃんは、なんだか凄く可愛かったです。公演の後半にはすっかり慣れて落ち着いてしまったのが、ある意味残念(^ ^;ゞ


ふわりと橋を降りた被衣のシルエットは、土手の柳の下で履物を脱いで、侍女たちの傍に立つ。


もう一人の侍女(秋風/星吹彩翔)が、やわらかく問いかける。
「頼光四天王のおひとり、綱さまに、主よりお尋ねがございます」

この93期コンビの、研3とは思えぬ台詞のなめらかさは凄いなあと思うんですよね。声も良いし、表現力もある。
この場面は侍女だから女声だけど、後半の鬼として喋るところも本当に巧い(*^ ^*)…この期は本当に各組人材が豊富で凄いなあと感心します。成績最上位の男役だけでも、月組なら輝城みつるくん、花組なら大河凛ちゃん、雪なら彩風咲奈さん、と、すぐ活躍ぶりが思い出せる人が揃っているし。組にもよるんでしょうけれども、もうすぐこの辺りが新人公演の中心クラスになっていくんでしょうねぇ…。い、いつまでついていけるだろうか私(涙)。


「女人がたばかりの夜歩きは無用心」と諭す綱に、異世界から吹き来る風のような声が応える。

「……大江山の、鬼が出ると謂やるかえ?」

初日は、この不思議な響きにちょっと吃驚しました(^ ^;ゞ
祐飛さんの素の女性の声じゃなくて、男役を作ったうえで、女の声の作り声をした響き。二重・三重のフェイク。
なかなか慣れなかったけど、あれはあれで、なかなか真似のできない技術のような気がする…。



「お気をつけください。水に映った被衣の中は、まさしく魔性!」

そう注進にくる綱の部下も、初日はただ段取りどおりに教えに来るだけだったと思うのですが、お盆頃には、ちゃんと“ん?”という表情をしながら、ふと川面を覗き込んで→吃驚して→慌てて注進に走る、という流れがちゃんとできるようになっていたし、最後の頃には、“あやしい上臈”の被衣の中を覗き込もうとしてみたり、同輩に川面に映る影を指差して教えたり、二人で一緒に首を傾げていたり、なんだか色んなことをするようになっていました(汗)。
こちらは研2、94期のお二人。……お芝居、楽しそうですね(^ ^)。




「おのれ!」
気合一発、剣を抜く綱。

被っていた被衣で太刀を受け流し、そのまま小刀で応戦する茨木。距離が離れたら、妖力で相手を“独楽のようにくるくると回し”て翻弄する。

しかし綱も剛の者。振り返りざまの一刀で鬼の腕を斬りおとすところは、タイミングといい、なんといい、さすがです♪

で、ラストのキメの「その腕、ひととき預け置くぞ!」という声は、本来の茨木の声なんですよね。
ちょっと戦闘モードだけど、なんとなく好きな声です。



個人的なツボは、この戦いが始まると同時にそそくさと下手にハケて、着替えてすぐに出る春風・秋風。
もちろん、ここで初登場する鬼さんたち(四面/花露すみか、五蔵/風羽玲亜、六歩/月映樹茉、七曲/松風輝)も大好きです★ポーズが、なんというか、仁王像みたいですよね♪


一番最後、盆下がりでセリ下がった茨木を見送って、しばらく妖術にかかってくるくる回っている綱一党。超高速で安定して回っているみっちゃんが素敵です(^ ^;ゞ




で。この場面について、突っ込みポイントは二つ。

○腕を斬られてセリ下がるときの衣装なんですけど、あれは両肩落ちているのが正解なのでしょうか?片袖残っているほうが正解なのでしょうか?落ちないのが正解かと思っていたのですが、それだとあまりにも、私が正解を観た確率が低すぎ…(T T)。

○「近頃、お邸に召抱えられた人の中に、主の存知よりが…」と春風ちゃんが言ってましたが、、、いったい、藤の葉(野々)を綱が雇い入れたのはいつのことなんでしょうか?
 




■第五場 茨木、取り返す

みっちゃん+部下二人の見得切りで舞台が暗転すると、入れ替わるように下手花道にスポット。
ヒロイン・藤の葉(野々すみ花)の登場です。

プロローグで歌われた主題歌「うす紫の恋」を口ずさみながら、綱の邸の庭掃除をする藤の葉。桂の左側の前髪と横を長めに作り、軽くフェースラインにかける。髪の隙間からのぞく横顔も可憐で美しく、「オグリ!」で鍛えた白塗り化粧は、多少時代は違いますが、さすがに綺麗♪ 紅の入れ方も自然で、すみ花ちゃんらしい『美しい姫』だったと思います。

顔に特別な瑕をつけることはせず、観客の想像(創造?)に任せていたのですが、その点は初演もそうだったのでしょうか?私は、宝塚では、そうそう(心情的・予算的・時間的に)特殊メークは使えないでしょうから、中途半端に瑕痕をつくるくらいなら何もしないでいてくれた方が好きなように想像できて良いと思っているので。この演出は、大賛成です。


下手花道から、舞台中央からやや上手よりあたりまで掃除をすすめてきたところで、次の場面が始まります。


上手袖から、大きな台を運んでくる綱の邸の使用人たち。
無邪気に話し始める少年役は、93期の結ちゃん(結乃かなり)。頬骨の目立つ大人っぽい美人ですが、ここは少年役なのでちょっと仕草も男っぽい感じ。宙組の子役、特に男の子の役をやっている娘役は巧くて感心しました。皆、とても自然で、無理のない男の子に見えますね♪ 声もしっかりしていて、良い芝居をする人たちでした。
結ちゃんについては、今回は残念ながら娘役としては台詞が無かったのですが、今後の活躍が楽しみです。


鬼の腕が入った櫃から恐ろしげに目を逸らす侍女は、94期の咲花莉帆ちゃん。おとめを見ると、かなりの美人さんだと(丸顔だけど)思うのですが、まだ日本物の化粧が苦手なのかなあ?台詞は短い一言だけなんですが、可愛いらしくてちょっとお気に入りです(*^ ^*)。


「あの、腕に残る、あの花びらのようなものは何でござろう?」と、わいわい語り合う主従。
その台詞がふと耳に入って、驚きのあまり箒を取り落とす藤の葉。目を見開いて空を睨むすみ花ちゃんの、あの空気はすごいなーといつも思います(汗)。



箒が倒れて大きな音がしても、しばらくは誰も気づかず……間があいてから、やっと綱が振り向いて藤の葉の様子に気づく。
「藤の葉?どうした?」
「い、いいえ、なんでもございませぬ」
当たり障りのない会話で空気が動き出したところに、綱の部下の兼吉(美月遥)が軽口をたたく。
「最近雇い入れた者の中に知人がいると鬼が言っていたが…まさか、お前ではないだろうな?」
傍にいた広次(風馬翔)が、軽くいなすように
「いくらなんでも、鬼の知り合いは可哀想だ」
と諭すときの言い方が、凄く好きです♪



「もう間もなく悪霊退散の行者が来るから…」と部下たちを下がらせたところに、頼光一行の登場。
綱の武勇を讃えつつ、四天王の4人もきちんと順番に並んだところで、『鬼の腕』を見ようと唐櫃に手をかける頼光。


「その唐櫃、開けてはなりませぬ」

その声、さっきの「その腕ひととき預け置くぞ!」「また会おうぞ」と同じ声ですけど?
どーして判らないんだ、綱よ………。



……すごくどうでも良いことなんですけど、自ら頼光の座所をつくりに甲斐甲斐しく動いている保昌どの(雅桜歌)が、可愛くて可愛くてなりません。
なーんてことを告白しつつ、続きはまた、いずれ近いうちに。




放心

2009年8月26日 宝塚(宙)
宙組博多座公演が千秋楽を迎え、
月組大劇場公演「ラストプレイ/ヒートオンビート」での卒業生が発表された、
8月25日。



三週間の博多座は体力的にも限界で、今日は一日、仕事をしながらぼーっとしてしまいました。




宙っ子の笑顔が眩しくて。
ラストプレイを迎える月っ子の笑顔が、懐かしくて。

ああ、こうして“好きな組”が増えていくのは、幸せなことなんだろうな、と。


…今は、まだ少し、胸がイタイけど。





千秋楽の昼の部は、なんだか悪戯っ子の妖精がとりついたかのように、祐飛さん筆頭に(汗)皆、カマしたり噛んだり音を外したりひっくり返ったり、もう大変f^_^;。


でも、まるでそれをカバーするかのように、芝居は凄く良かったです。
皆が本当に役に入って、新鮮な気持ちでお互いの言葉を聴いていたのが印象的でした。
前回まで、少し投げやりな方向に向かいつつあった茨木が、いきなり繊細で優しい少年に戻っていたことに驚きました。そうすることで綱に対する親近感が増し、「この首くれてやろうと」思った、ことが納得しやすくなっていたし。
藤子も綱も、酒呑童子も、皆良かったです(はぁと)




千秋楽は、打って変わって端正な芝居。
大きな失敗もなく、鬼っ子ひとりひとり、姫ぎみたちのひとりひとりが、役に集中して、大切に、楽しそうに動いていました。

あの舞台をナマで観ることができたのは、本当に幸運だった、と思います。



早く他の皆と合流した舞台を観てみたい!!全員揃っての「カサブランカ」が楽しみです。





星組東宝劇場公演は、お二人が無事復帰されて、でも、今度はヒロさんがお休み。ヒロさんのヤン王は、星原さんとは全然違う心弱いキャラクターが説得力があって素晴らしかったので、早くお元気になってほしいですが、代役が水輝涼くんなら安心なので、しっかり治して養生して欲しいな、と思います。
お大事に。そして、これ以上増えることのありませんように(祈)



カレンダーのメンバーも、なかなか不思議ですね。
やっぱり、何人か異動があるのかなあ?と思っちゃいました。
決まっていることがあるなら、早く発表してくれ>劇団(涙目)



樹里さんの「GOGO5」は、とりあえず「まさこちゃんが本日のスターだった」(友人談)とゆーことしか解らず、来月のCS放送がノーカットであることを祈るのみ。
あああ、参加したかったなあ……





いろんなことがあった8月。
…充実した一ヶ月でした。


…体力、つけないといけませんねえ……。



.
今日一日、色々なコトがありすぎて、容量オーバーしています。




月組卒業生は、ただただ、切ない。
皆きっと、それぞれに考えて、考えて、考え抜いた末の決断なのでしょうけれども。
でも。
それでも、まだまだ輝いている貴女たちを観ていたかったよ、と。



世界はまだ終わらない。
空は墜ちてこないし、
地面だって割れてない。
でも、
…あなたたちは、もう、いってしまうんだね……。



遼河はるひ様、
音姫すなお様、
城咲あい様、
麻月れんか様、
羽桜しずく様、
麗百愛様、

あなたたちの幸せを、心から祈っています。








そして。
南の地では、博多座公演が無事千秋楽を迎えることができました。


一人の休演者もなく、三週間強の公演をやり抜けたことが、とても嬉しい。

萬さんを入れて総勢40名、皆が幸せそうな満面の笑顔で、
月組卒業生のショックから立ち直れない私を、慰めてくれました。



この三週間強で、曲がりなりにも40人全員の名前を覚え、顔も(素化粧か白塗りか鬼化粧か黒塗りなら)大丈夫なところまでは来た私。
萬さん、すっしーさんから咲花莉帆ちゃんまで、みんなみんな可愛くて、素敵です(はぁと)。

またひとつ、大好きな組ができた幸せを噛み締めながら。


さあ、次は逆転裁判です!!p(^^)q
楽しみだ〜〜(はぁと)!
星組さんの休演者のニュース、…心配です、本当に。
どうぞお大事に。そして、これ以上広がることのないように、祈っています。




そして。
東宝からは遠く離れた、宙組博多座公演「大江山花伝」。


ショーの方は一通り書き終わったので、今度はお芝居のほうを(^ ^)。
舞台と原作、両方のネタバレをしておりますので、あらかじめご了承くださいませ。



木原敏江原作の、往年の柴田侑宏作品。演出は中村暁。
どういう経緯で祐飛さんのプレお披露目がこの作品に決まったのかは判りませんが、きっと柴田さんは、祐飛さんが茨木を演じることを心から喜んでくださったに違いない!、、、と、勝手に思っていたりします。
とにかく祐飛さんがスターになれたのは、柴田作品との相性の良さというのは絶対にあると思うので。
最初の大役は「チェーザレ・ボルジア」の新公マキァヴェッリだったそうですし、私が落ちたのは全ツのミケロットでしたし、「黒い瞳」のプガチョフは決定打だし(^ ^)。
ちょっと飛んで「飛鳥夕映え」の鎌足と石川麻呂、「あかねさす」全ツの中大兄。どれも“ちょっと美味しい役”ではなく、きちんと物語のある、素晴らしい役で。
こういう役で、祐飛さんは育てられたんだなあと思います。だからこそ、「哀しみのコルドバ」のリカルドを、あれだけドラマティックに演じられたんだろうな、と。

だから、お披露目作品も柴田作品だったのはとても嬉しいです。

でも。
どうして月組中日「紫子」は大野さんが演出されるのに、博多「大江山」は中村さんなの?(涙)プレお披露目っていう条件は一緒なのにー(嘆)。





■プロローグー夢の藤波ー

緞帳があがると、檀の上に白と金の衣装を着た茨木が背を向けて立ち、美しいコーラスが、物語を語り始める……

♪藤波の藤波のうつろう時の夢なれや
♪ああ夢なれや


この作品は、どちらかというと舞踊詩に近い、というか……語り部がいなくて、その代わりにカゲコーラスがいろいろ説明をする構造になっています。だから、カゲコーラスをBGMだと思っていると全然話がわからずに終わる(^ ^)。
原作自体がわりとポエティックなつくりなので、こういう構成にしたんだろうなあとは思うのですが……原作を知らない方は、どう思われたのでしょうか。



壇上の茨木が、ゆうるりと振り向いて扇を外す。

♪月影にうつろう花のおもてこそ

びょうびょうと風が啼くような、寂しげな声。
あまり艶のない祐飛さんの声には、こういう使い方があるんだなー、なんて思っているうちに、上手袖から藤子(野々すみ花)、下手袖から渡辺綱(北翔海莉)が登場。三人の連舞に。

♪ほろほろと うす紫の 
♪ほろほろと 身に降りかかり

明朗とした緩やかな音楽に合わせて舞う三人。私には日本舞踊の素養がまったくないので得手不得手はわかりませんが(汗)、同じ振りなのにそれぞれに微妙に違っていて、たおやかな茨木、勇壮な綱、気の強いな藤子、というキャラクターがちゃんと出ていたような気がします。

♪とけてはかなきうす紫の
♪夢の狭間にたゆたいて
♪後に残るは風ばかり

初見ではただただ綺麗なオープニングだなあと思ったんですが、二回目からは、ラストを観ているのですごく切ない。
絶望が浄化されて、ここにあるのは、ただ夢幻ばかり、だから。


この場面の歌詞は、プログラムにも明記されているとおり、原作のラストのひとコマでの綱の述懐…というか、物語を〆る言葉を元にしています。
ちょっと言葉の順番が違うくらいでほぼ同じなんですけど、一つだけ“ふじむらさき”を“うすむらさき”に変えてるんですよね。音で聴くと濁音の濁りが目立つからなのか、柴田さん的には深い意味があったのか……。



■第二場 酒呑童子、襲う

幕が降りて、幕前で華やかな貴族たちの宴が始まる。

♪この世をばわが世とぞ思う
♪望月の欠けたることのなしとおもえめ

有名な藤原道長の歌を歌う三人の女官は、真ん中が百千糸、下手に綾瀬あきな、上手に瀬音リサ。口火を切るももちさんのソロが、とてもなめらかな、コロコロとした可愛らしい声で、良かったです。ももちさんはこの公演、たくさん歌がありますけれども、個人的にはここが一番好きかも。
あきなちゃん、リサちゃんのコーラスが、とても可愛い(*^ ^*)。

後ろに居並ぶ姫君たちと貴公子たち。えーっと、花道の姫君たちは、結乃かなりちゃんと咲花莉帆さんが上手、舞花くるみちゃんと愛咲まりあさんが下手……だったかな?違っていたらすみません。

バチバチっという効果音が入って、照明が明滅。姫君たちが一人づつ、鬼の神通力で操られて、くるくると回りながら袖へ駆け抜けていく。
カゲで「ああっ!」とか、「姫君が!!」とか、いろんな声が入るのですが、あそこは録音なんでしょうか…?誰が喋っているのか全然わかりませんが(涙)。とりあえず、姫君たちのさらわれていくタイミングと、「○○が!」という悲鳴のタイミングは全く関係なかったです。
若い公達は、さらわれた姫を追うでなく、ただ舞台の真ん中に固まって震えているばかりだし(汗)。

そうこうしている間に姫君は全員さらわれて、公達も逃げ出します。そして、紗幕があがると、幕のうちには、見栄をきった鬼たちが。

何も無い広い空間での、シンプルなせりの使い方が見事です。
姫君(愛咲まりあ)を腕に抱えてふてぶてしく笑う酒呑童子(十輝いりす)を中心に、上手に羽黒(天羽珠紀)と佐渡(天玲美音)、その外側に五蔵(風羽玲亜)。下手は天竜(珠洲春希)と仏(蓮水ゆうや)、その外側には六歩(月映樹茉)。
初日は皆さんお化粧がとってもステキで、どうなることかと思ったものですが(汗)、巧くなったのか、私が見慣れたのか、皆すごく格好良かったです(真顔)。キメポーズも決まってる(はぁと)。
鬼たちが美形ぞろいで、すごく幸せ♪♪




プログラムを見ると、幕が降りて鬼たちが駆け去り、それを追う頼光四天王が両花道から登場して悔しがるところまではこの場に入るみたいですね。
で、ここで攫われたのは?と訊かれて「堀河の二の姫と紅少将」と応えているところを見ると、花園衛門が攫われた中に居たのは気のせいだったのかな、ねぇ、公時?(^ ^)。



■第三場 勅命、下る

藤原保昌(雅桜歌)が上手に登場。涼しげな切れ長の目元がかっこいい♪
頼光登場を告げたところで、場面は切り替わって源頼光(寿つかさ)の邸に。

綱、公時(鳳翔大)、季武(鳳樹いち)、貞光(澄輝さやと)が下手に並んで座る姿が、なかなかキまるようになりましたね。頼光さまも、服装は公家風のままだけど、だいぶ雰囲気が武士らしくなった気がします。ちょっとしたことなんでしょうね、こういうのは。
基本的に、綱は押し出しの良い立派な若大将、公時が搦手の立役者、季武と貞光は元気いっぱいの若武者、という感じなんでしょうか。鬼の妖術を警戒する季武は、慎重で考え深い性格設定を表しているんでしょうけれども、さりげなく怖がり設定を加えて笑いを取っているのはさすがです。土壇場に弱いタイプなんだろうなf^_^;。
おおらかで華やかで、あまり考え深くはなさそうな貞光さんは、とても可愛いです♪


大事なことをあれこれと説明する公時。柔らかくて深みのある声なので、普通に喋るぶんには良いけど、見栄をきるには向かないなあ…と残念に思っていたのですが、だいぶ良くなりましたね♪まだちょっと手に汗握りましたけどf^_^;



ひとつきばかり前の、茨木童子との邂逅を指摘された綱。「…はかりしれね奴」と呟きながら、何がそんなに引っ掛かるのか、自分でもわからない。ただ、茨木は気になる。…そんな逡巡を見せながら、場は回想場面へ。




戻り橋からは、長くなりそうなのでいったん切ります。


公演もあと三日間、ですね。
何事もなく千秋楽を迎えられますように……。


宙組博多座公演より、「Apasionado!!2」がまだ続いてます。(今夜終わる予定)




■第五夜(熱望)

萬さん&組長・副組長さんの「シボネ」が終わると、奥の紗幕が開いて、舞台中央に固まっている7人の戦士たちにスポット。
祐飛さんをセンターに、両側にまさこちゃん(十輝いりす)と(鳳翔)大くん、上手側にちーちゃん(蓮水ゆうや)と(鳳樹)いちくん、下手側は(蒼羽)りくくんと松風輝くん。
3組に別れて順番に踊る振りが少しあって、祐飛さん(オンラド)のソロに。

この場面全体が(ラグリマの前まで)完全な新場面なわけですが。
音楽はほとんど月組で使った音楽のヴァリエーションで、完全な新曲は最初のオンラドのソロのみ。でも、このソロがまた良い曲なんですよ。祐飛さんのかすれた色っぽい声に良く合ってる。
青木朝子さんの音楽もKAZUMI-BOYさんの振り付けもとても好きなので、新場面をこのお二人に担当いただけたのは、とても幸運なことだなあと思います。ええ。なんだかすごく幸せ(*^ ^*)。
やっぱり、祐飛さんはショースターとしては色々弱い分、芝居で惹きつける人なので、芝居仕立ての場面をつないだショーが、もの凄く楽しいです。はい。

♪あのぬくもりも 熱いくちづけも
♪今はただ幻に変わるのか

と歌う祐飛さんが、誰よりも幻のようで。

そして、戦士たちが守ろうとした「♪遥か彼方の愛しき命」の象徴、すみ花ちゃんアマブレの伸びやかな“生命”のダンスと、二人の魂の邂逅。

それを斬り裂こうとするかのように鳴り響く、重たいドラムの響き。



祐飛さんのソロが終わった後の、ソルジャーたちのダンス場面での音楽は、月組で使われたものとほぼ同じだと思います。途中ですみ花ちゃんが踊るところも、月組では最初の“幸せな恋人たちのいる風景”で流れていた音楽とほぼ同じ……だと思う。たぶん。
同じ音楽を使っているのに、順序を変えて全く違うコンセプトの場面にしっかりと嵌めこんで、違和感もないところが凄いなあ(^ ^)。


祐飛さんの軍服は、ちょっと階級章っぽいものがついていたりしたような気がします。…夢かもしれません。斜めに被った小さな帽子と髪型があまりにも似合いすぎで、衣装まで目が届かなかったんだもん(^ ^;ゞあれだけ派手に踊るのに、びくともしない帽子が可愛い(汗)。
まさこちゃんの衣装は、カーキ色の上衣に迷彩のパンツ。大くんは全身迷彩で、ちーちゃんは上下カーキ色の軍服だった、ような気がします。いちくん、りくくん、松風さんはどうだったかな……。
ああ、やっぱりKAZUMI-BOYさんの振り付けは格好良いわ(*^ ^*)みんな良いダンサーなんですけど、やっぱり銃の構え方は祐飛さんが一味違う気がします。こういうのは経験値が出るものなんでしょうね。なんたって、9年前の博多座で既に一人前の戦士だったからなあ……(苦笑)。
りくくんは、若いせいか、なんとなく動きも元気が良すぎてあまり悲愴感を感じないのですが、動きがとにかく綺麗なのでつい目がいきます。スタイル良いなあ(*^ ^*)。

撃たれ方は、皆さんなかなか工夫していらっしゃいました(←振り付け?)個人的に、大くんの倒れ方が好み。いや、だから何?って話ですが(^ ^;
まさこちゃん以下の全員が撃たれて斃れ、祐飛さん一人が舞台前面にふらふらしながらも立っているときの集中力というか、客席を巻き込むテンションにちょっと驚きます。こういうパワーのある人だということに、あらためて気づいてみたりして。……なんだか、だんだん痛いファンになりつつあるような気がする。

舞台奥で斃れているひとびとを隠すように紗幕が降りてきて、その前に倒れ伏すオンラド。
何かを求めるかのように、あるいは何かを遠くへ飛ばそうとしているかのように、背をそらし、腕をまっすぐ上に伸ばして指先を開くオンラド。微かに震える手首がすごく綺麗。

力尽きたように、小さくちいさく丸まってセリ下がっていくオンラド。遠く見送るかのように、上手袖からみっちゃんが、下手袖からアリスちゃんが登場。ここからの構成は、ほぼ月組版と同じなんですが、アリスちゃんのソロフレーズが増えているので、場面全体は少し長くなっているのかも(?)
月組ではきりやんが力強く歌った再生の歌は、宙組ではみっちゃんとアリスちゃんでワンフレーズづつ。みっちゃんの声は、本当に癒し系ですね。柔らかく伸びて空気に溶ける、拡がりのある優しい声。アリスちゃんの声もいいです。もともとこういう歌の方が向いてる声質ですよね。みっちゃんの声との相性も良くて、祈りのある歌でした。


月組版で、卒業するちわわ(涼城まりな)と朝桐紫乃ちゃんが踊ったリフトは、愛花ちさきちゃんと珠洲春希さん。あれは二人の卒業記念だったんだから、無しでもいいのに、と思ってしまいました。しのちゃんとちわわは、サイズも随分違うせいか(?)軽々とした素晴らしいリフトだったけど、宙のお二人は背もそんなに違わないし、安定感に欠ける気がする(T T)。
そもそもこの場面にこのリフトがそんなに必要だったのか?と思ってしまいました。やはり、女性同士での肩より高いリフトは危険なので、見せ場として意識して創る場合以外は必要ないと思うんですよね…。月組の二人は卒業記念という思い入れがあったけど、今回はそれもないし。
月組版をご覧になっていない方は、どう思われたのでしょうか…?。



紗幕が上がって、中階段でポーズを取る祐飛さんとすみ花ちゃん。
祐飛さんの衣装は、月組の麻子さんのと同じ?(←すみません。白銀だったことしか覚えていない/汗)。すみ花ちゃんの衣装は、去年の雪組公演「ミロワール」の「NIGHT&DAY」でとなみちゃんが着ていた衣装ですよね?(ちょうど同じ時期にCSで全国ツアー映像が流れていたので気がつきました)。ずいぶんスタイルが違うのに、宝塚の衣装部さんって本当に凄いなあ、とあらためて思いました(今更)。

穏やかな微笑みを浮かべて組子たちを、そして、すみ花ちゃんを見凝める祐飛さん。この暑苦しいほど熱いショーの中で、一番きれいな、優しい表情だったと思います。踊り狂う組子たちの間を縫うように歩きながら、嬉しそうにすみ花ちゃんと見つめあい、組子たちと目線を交わして。

目には見えない糸が、少しづつ紡がれて、張り巡らされていくような。博多座公演という織物が、すこしづつすこしづつ、カタチになっていくのが見えるかのようでした。
ああ、「RED HOT SEA」のフィナーレ前の白の群舞も好きだったけど、この場面も凄く好き♪




■第七夜(熱狂~アパシオナート)

開放感のある華やかさで場面が終わり、上から金色の帯幕が落ちてくる。
一瞬の暗転の後、いつの間にか舞台上に登場している三神。そのまま上手袖からカンタオル(まさこ、大、ちー)が登場。ここの音楽は月組版と同じだと思っていたのですが、友人から違う曲だと教えてもらいました(^ ^;ゞ。……ああ、月組版、早くCSで流れないかなあ(←DVDを買いなさい)
月組のときはお気に入りの下級生が軒並み出ていたせいで注意力散漫になっていたらしく、ほとんど何も覚えていないのですが。今回は三人しかいないので、じっくり観ました♪ いやー、三人ともカッコいいなあ~(惚)。


紗幕があがると、いきなりロケットが登場する宙組版。先頭に立って階段を降りてくるりくくんのスタイルには、観るたびに瞠目します。なにあの脚(@ @)と、思わず二度見してしまう凄み。
宙組下級生は、スタイルの良い人が多いですねえ(幸)。
途中で三人で踊るいち・りく・モンチ(星吹彩翔)が、三人とも驚愕のスタイルだし。その前に、カスタネットの音に合わせて座っているメンバーの間をしゃなりしゃなりと歩いてくる6人が全員凄い、ってのも珍しい。
ロケットに入っていないカンタオルの三人もかなりのものだし、まあ、眼福な組だこと(嬉)。

個人的に、澄輝さやとさんのスタイルと美貌にはかなり本気で見惚れました。ああ、これでもう少し台詞が喋れれば、言うことないのになあ……(涙)。そして、雅桜歌ちゃんがやっぱり好きらしい。どうしてこうも彼女に目が行くんでしょうね。ロケットも超可愛いです。男役最上級生でその可愛らしさは、、、良いのか?本当に?




ロケットが極まると、階段にスタンバイした祐飛さん+お姉さま方にスポット。
あいちゃんポジに入っているアリスちゃん、初日と比べてもまるっきり別人みたいに磨かれて、綺麗になったような気がします。ぶんちゃん(絵麻緒ゆう)と組んで、突然しっとりと可愛くなった紺野まひるちゃんみたいだなあ…。

5人の美女たちをとっかえひっかえ、ちょっとづつ絡む振り。こういうのってショーでは良く見るシーンですし、このショーだけでも花たちとここと二箇所もあるし、あまりなんとも思っていなかったのですが。
今回あらためて、こういうのはトップスターの特権的シーンなんだなあ、ということに気づきました。祐飛さんがこういうシーンの真ん中にいるのが、すごく不思議な気持ち。



女たちと踊っている間に、階段の上に勢ぞろいする黒燕尾の男役たち。
客席に背を向けて階段を一歩づつ昇り、三角形の頂点にぴったりと嵌る祐飛さん。

ナウオンで言っていたのは、この場面ですよね。
いやあ、本当に良い場面ですよね。何度見ても本当に飽きないというか。
幸せで、幸せで。

すっしーさんはじめ、出演している組子の男役全員、19人の心が一つにまとまった黒燕尾。
団体競技に強いといわれ続けた宙組の、面目躍如というところでしょうか。
上手席ではすっしーさん、下手席では珠洲さんに釘付けになりがちなので、要注意。
いやー、黒燕尾って本当に経験値がものを言いますよね(感心)。元々ダンサーのすっしーさんや珠洲さんが、この学年まで磨き続けてきたラインの美しさは、本当に眼福です。いくらスタイルが良くても、下級生にはなかなか得られない類の美しさ。
決してダンスが得意とは言えない祐飛さんも、積み上げてきたものは誰にも負けないんだな、と、そんなことをあらためて実感したりします。



そして、黒燕尾が終わると、次も新場面。
みっちゃんのソロで始まる、トップコンビデュエット。
ここのみっちゃんのソロも好き。「♪大空を熱く染め上げる」とゆー、藤井さんの確信犯的歌詞も素敵(^ ^;。リベルタンゴに似たコードをカウンターメロディっぽく使った音楽も、凄くカッコいい。
ここは最初から最後まで新曲…なんですよね?麻子さんのソロダンスのところと同じ曲かと思っていたのですが、そもそもあれはタンゴじゃなかったような気がするし。


御織ゆみ乃さんの振付は情熱的で色っぽい。猫的には、もっともっと二人でしっかりホールドして踊って欲しいのですが、、、難しいのかなあ、あれは。

祐飛さんとすみ花ちゃんは、お互いにちょっと意地っ張りなところがあるけど、実はめろめろに惚れ合った恋人同士……ってところでしょうか。
こっそり台詞を宛てたくなったくらい、芝居がかったデュエットダンス。
どちらかというとすみ花ちゃんがツンデレ(照れ屋?)で、祐飛さんが軽く肩をすくめながら包容力を見せる、みたいなイメージみたいでしたね。いや、理屈をこねなくても本当にお似合いすぎるくらいお似合いの二人。いいですよねえ、こういうのも(デレデレ)。

ナウオンやトークショーではあんなに可愛らしくてふにゃふにゃしたすみ花ちゃんが、こういう場ではきちんと大人っぽく、凛と立っていることに感心します。黒塗りで少し吊り眼気味のメークに、シンプルなデザインのピンクのドレスがとても似合ってる。
顔は可愛らしいのにスタイルは意外と肉感的で、そのアンバランスさが凄く魅力的。
いつまで組めるか解りませんが、どうぞ、どうぞうちのひねくれデビルをよろしくお願いしますね。



デュエットが終わると、アリスちゃんのエトワールでパレードが始まる。
月組では研ルイスさんがメインで、すずな(憧花ゆりの)と羽咲まなちゃんがコーラスをつける形だったエトワールですが、宙組はアリスちゃん一人。響きの豊かな美しい声で、とてもいいエトワールでした。

階段上には、りくくん以下の下級生が8人。やっと全員見分けがつくようになりました(はぁと)。みんな可愛い。
大くんとちーちゃんが降りて、十輝くんが降りて、みっちゃんが降りて、すみ花ちゃんが降りて。

そして、祐飛さんが段上に登場。

……私は昔から、羽のサイズに関しては何の感慨もない人なのですが。
パレードの一番最後に登場して、階段の中腹で立ち止まって歌いながら組子たちを見る祐飛さんの幸せそうな笑顔と、視線を交わして嬉しそうに迎えてくれる皆の笑顔が。
どんな羽よりも、私を幸せにしてくれます。

初日はまだ、段取りどおりに本舞台に目を向けただけだった祐飛さんが、本当に組子たちを一人一人見てるなあ、と思った二週間後。
初日はまだ、段取りどおりに階段の上を見てるだけだった組子たち。中には祐飛さんが動いても目線が動かない子がいたりしたのに、二週間後には、はっきりと祐飛さんを見凝めて、祐飛さんに微笑んでくれている。
それがどんなに、嬉しいことか。
上手花道のつけねで、歩いてくるパレードメンバーを待つ雅桜歌ちゃんたちの、くしゃっとした笑顔。
本舞台に戻る祐飛さんを、下手に並んでしゃんしゃんを持った宙っ子たちの目が追いかけている、それが、どんなに幸せなことか。


……ありがとう。


本当に、ありがとう。みんな、大好きです(*^ ^*)。



久しぶりに、録画して大事にとってあった(?)「宙組エンカレッジ・コンサート」を観てみました。
たっちん(和音美桜)のために遥々バウまで観にいったコンサートなのですが………(^ ^;ゞ、ごめんなさい、お目当てさんや元々知っていた数人以外は覚えられなかったんですよね(汗)。
でも、だいぶ個人を認識した今、あらためて観ると凄く面白いです。ああ、捨てずにとっておいて良かったぁ〜。
とりあえず、「夢やぶれて」が良かったのが記憶に残っていたので、あれが花露すみかちゃんだと知って、とても嬉しいです。そうか、彼女は芝居の人かと思っていたのですが、歌手でもあるんですね。
花音舞ちゃんも素晴らしい美声(*^ ^*)。美人さんだし、これだけ歌えるんなら将来が楽しみ♪

……そして、つくづくと暁郷くんの卒業が痛い……(←今更)。




というわけで、博多座宙組公演より、「Apasionado!!2」の続き。



すみません、昨夜は眠くて、ファンタスマの歌手を書いてないことに気がつきませんでした。

えーっと。

91期の天玲美音さんと、92期の百千糸ちゃん。
月組が86期のマギーと90期のりおんと93期の花陽みらちゃんだったのに、ずいぶんと下級生で、しかも二人だけ。初日は頑張ってるなあと思ったのですが、何度か観るうちに、やっぱりもう少し迫力がほしいなーと思うようになりました(汗)。
天玲さんの声はすごく安定していて良かったし、素直な声が音楽にあっていたんですが、もう少しパンチがあるともっと良いのになあ。みっちゃんの声が癒し系なだけに、馴染んでしまって少し勿体無かったような。

ももちさんはソプラノが強みの歌手なので、音域的に苦戦していた印象。りおんは元男役だけあって、中音域に艶と迫力があったので…
あの音域を得意とする歌手は、宙組内に他に居るんじゃないか、と思っちゃいました。男役二人でもいいだろうし、ヴァレンティノの花露すみかちゃんと逆でも良かったのでは、と思うのですが。
……いえ、ももちさんも十分良かったですよ(^ ^;。上をみればきりがない、って話なので、誤解なさいませんように。







■第三夜(熱視線)

ヴァンピーロのチカへのキスで暗転すると、下手花道にスポット。
まさこちゃん(十輝くん)・ちーちゃん・大くんの三人が、花道のつけねで帽子を片手にぱたぱたと扇いでいます。すげー暑そう(実感)。
音楽が入って、慌てたようにポーズを取る三人。真ん中ポジションをめぐってまさこちゃんと大くんが醜い争いを繰り広げるのをよそに、涼しい顔で歌いだすちーちゃんがめちゃくちゃカッコいいです(*^ ^*)。
博多座は客層の違いもあるのか、こういう場面で拍手が入らないのですが、三人のじゃれ合いが楽しいのでこのままでいてほしい気がします。

♪瞳はCool、と、目元に手をあててウィンクするまさこちゃん。
♪唇はSoft、と、色っぽく微笑んで投げキスをするちーちゃん。
♪指先はSexy、と、前に伸ばした手を誘うように軽く握る大くん。
……スタイルがよくて可愛い、素敵なトリオだなあ、と思います。ええ、心から。
しかーし、最後の「ラテンラヴァー♪」のロングトーンだけは、もうちょっと聴きあってほしいなあ(涙)三回に一回くらいは調和していたんだけど、残り二回はちょっと……(T T)。



幕があがると、ナターシャ(花影アリス)とアクトリスたち。
アリスちゃん、滅茶苦茶良くなりましたね!!歌もさすがです。語る口調のヴァリエーションの幅が、もう少し広ければ完璧って感じ。月組のあいちゃんより随分と幼な妻でしたが、それはそれで、憧れのスターを語るキラキラ感があってよかったと思います。

アクトリスの唯一の男役は、雅桜歌ちゃん。……ちょっとデカいけど、細くて可愛いです。よね?(強制)。アシンメトリーに巻いたブロンドがよく似合って麗しいんですけど、なにかどこかがアンバランスで、不思議な気がする……何故なんでしょうね。見飽きません。
ブロンドの巻き毛に白いドレスが花音舞ちゃん、髪をきっちりとアップにしたのが花里まなちゃん、黒いドレスが千鈴まゆちゃん、ストレートボブが瀬音リサちゃん……で合ってますか?かなり歌える人が揃っているので、日替わりでいろんな人に歌って欲しい気がします(^ ^)。


「椿姫」でソロを歌う妃宮さくらちゃんは、白い大きな帽子が目印。今回、ほんとうにさくらちゃんが可愛いです(*^ ^*)。気合が感じられてとても印象的。……ただ、せっかくのソロなのに、気合ばかりが空回りして、高音部で硬くなってしまっていたたのが残念です。もっと肩の力を抜いて、落ち着いて歌えば絶対大丈夫なのに、、、、
「血と砂」のソロは花露すみかちゃん。月組のオトキチ(音姫すなお)が綺麗なソプラノだったので、花露さんのパンチの効いた豊かな声に吃驚しました。でも、あの場面にはそっちの方があっているような気がします(*^ ^*)。
「熱砂」のソロは綾音らいらさん。場面的には、もうちょっと色気がほしいような気もするんですけど(^ ^)、カッコいいです。ええ。




三つの撮影を一瞬で駆け抜けて。ルドルフ・ヴァレンティノの死のニュースが流れる。
今の今まで全盛期のルドルフの映像に見入っていたメンバーが、ふ、と顔を曇らせるところとか、段々に芝居としてまとまってきているのがすごく楽しいです。

紗幕があがると、舞台奥にソファが一つ。
月組版では舞台奥の壁面が全面鏡だったのですが、博多は普通の壁だったので、祐飛さんが歌う歌の
「鏡の中のお前 お前は誰?」という歌詞がちょっと謎(^ ^)。
あの鏡、博多まで運べなかったんでしょうかねぇ……でも、祐飛さんの芝居なら、鏡は無いほうがいいかな、と思いました。必要なのは、その場に現実に存在する鏡ではなく、彼の心の中の鏡だから。

祐飛さんルドルフのダンスは、ほんとうに一本のお芝居のよう。
初日に観たとき、一番印象に残ったのは、ラストにソファへ戻る前の、微かな微笑みを浮かべて遠くを視る、その貌でした。
今さっき、たしかにこの手の中にとじこめたはずの、夢。
それが、指の隙間から逃れでて、天へと昇っていくのを見送る貌が、なんというか、ひどく透明で。


お盆頃には、もっといろんな感情が溢れ出るのを堰きとめているような貌をしていらっしゃって。また全然違うイメージになっていて驚きました。
私は初日の方が好きなんですけど、今の、苦しげな、切なげな、痛々しい表情も良いんですよねぇ(*^ ^*)。
祐飛さんのことだから、また楽に向けて解釈が変わっていくんでしょうね。いろんな芝居を観ることができて、幸せです。


カゲソロは松風輝さん。やわらかくて幅のある良い声で(^ ^)、本当に、何度観ても聴いても良い場面です♪ いやー、祐飛さんのダンスで感動する日がこようとは。……やっぱり、トップブーツには魔法がかかっているに違いない(^ ^;ゞ





■第四夜(熱帯夜)

とりあえず。萬さんを中心にしたトリオの歌とか、花畑の皆様のことは先日書きましたので。
……えーっと、フロルの話?難しい(^ ^;ゞ なかなかフロルたちを視るのは難しいんですよね。特に今回は、本公演と違って人数が半分なので、同じメンバーがひたすらぐるぐる出てくるし。

最初のまさこちゃん(紫)の後ろは、男役さんたち。
その次の珠洲さん(赤)の後ろは、娘役さんたち。
いちくん(オレンジ)の後ろは二度目の男役さんで、大くん(ピンク)の後ろは二度目の娘役さん、だったっけか?

次のすっしーさん(黒薔薇)の後ろは、風の神である鈴奈沙也さんを中心に、オハの二人(天羽・天玲)。
次のちーちゃん(緑)から最後のみっちゃん(青紫)までは、全員が止まらずに渡って行って、最後に小柄な綾瀬あきなちゃんが可愛くはけていくと、みっちゃんが一人舞台に残り、幕があがって本舞台のピラミッドが登場、という展開。

花たちのうち、みっちゃんと珠洲さんの二人はヴァレンティノにも戦場にもまるっと出ていないので、結構しっかりと化粧を直しているのかな、と思いますが、まさこちゃん・ちーちゃん・大くん・いちくんの4人は、次にすぐ戦場に出ないといけないからそうそう化粧も替えられないはずなのですが、皆本当に可愛かったです。
初日は一人で嬉しそうににっこにこだったピンクの大くんが、お盆の頃には、ちょっとクールに男前に、と変わってきていたのが面白かったです。あと、若さ溢れるキュートなオレンジのいちくんが、だんだん色気が出てきて、正しく“女装”になってきているのがなんだか嬉しい。
まさこちゃんやちーちゃんは可愛らしさを増してきたし、みっちゃんもキュートになってきて、何度観ても幸せな場面だわ(^ ^)。

月組のときは、ピラミッドの上のアベハ(蜜蜂)に絡むのは“ヒラソルオチョ”という役名の若手男役のダルマさんたちだったのですが、今回はそのものずばり、花たちがお相手をしてくれます(幸)。んー、まさこちゃん・みっちゃん・珠洲さんとしか絡まないのは勿体無いよ(涙)。ちーちゃん以下とも絡んでほしい!っていうか、すっしーさんの黒薔薇さまにも居てほしいのになあ……。



オルキデア(野々すみ花)との色っぽく情熱的なデュエットダンスをはさんで、下手にはけていくアベハ。別れ際の、オルキデアからのパワフルな投げキスと、それに応じるアベハのウィンクが、すごく心を許した感じで幸せです。……なんて可愛いんでしょうか、二人とも。

左右から登場するロサ(薔薇)たちは、6人しかいないけど、すごく濃いです(^ ^)。とりあえず、琴羽桜子ちゃんは上手の端だったはず。すんなりと細いシルエットにあのパンツルックがよく似合ってました♪
ここの歌は、元々霧矢さんが朗々と聴かせてくれたところなので、ただでさえ厳しいのに、ちょうど音域的にも娘役には難しいところ。そういう、いろんなハンデがあるなかで、すみ花ちゃんは本当によくがんばっていたと思います(←可愛い子には甘いらしい)。
とりあえず、「熱く激しい、まるでハリケーン♪」の歌い方が色っぽくてすごく好きです(*^ ^*)。祐飛さんもそうですけど、すみ花ちゃんも台詞を語るように歌うタイプなんですよね。



全員が登場して、総踊りになったところで、黒金の衣装に着替えた蜜蜂が再登場。
ここの盛り上がりは本当に楽しいです。どこ観ていいのか迷ううちに終わってしまって、ああまた何も観なかった……と落ち込む、その繰り返しです(苦笑)。

場面が終わったあとの別れ際にも、今度はお互い熱烈な投げキッスを飛ばしているトップコンビ。なんだかなあ、可愛すぎて本当にでれでれしちゃいますよってば(汗)。




そして。

客席から登場する、雷・風・雨の三神。
夏の日の夕まぐれを冷ます夕立のように、ざあっと音をたててやってきて、すぐに去っていく嵐。



考えてみれば、祐飛さんってショーはここ二年弱、「RED HOT SEA」と「Apasionado!!」という二作続けて黒塗りの熱いショーしかやってないんですね。
“クールビューティー”がウリだった時代もあったはずなのに、不思議なものです(^ ^)。




博多座宙組公演より、「Apasionado!!2」



暑い博多での“体力の限界への挑戦”ゲームが、とりあえず一段落つきました。
いやー、本当に限界だった……(T T)。
「大江山花伝」も「Apasionado!!」も作品として好きなので、一回観るだけでも体力使うのに、何回観たんだ私(涙)。お盆休みにこんなに疲れ切るなんて、社会人として私は大丈夫なんだろうか……と、悩みつつ。でも、とりあえず今は、我慢するつもりはないので。いけるところまでイッてしまうつもりだったりします(汗)。

いきなりこんなアタリ役を戴いてしまって、これから先のトップ人生大丈夫なのか、と心配になるほどの作品でお披露目できた幸せを、噛み締めながら。





年始に観た月組版との変更点については、先日だいたいのところは書きましたので。
場面ごとに、それ以外のことを。




■前夜(静寂)

レイナ、というと、9年前に博多座にも来た「Blue Moon Blue」のマミさん(真琴つばさ)の役もそんな名前だったなあ、とかしみじみと思い出したりします(^ ^)。

イエロで出てくる娘役さんたちが皆男前で驚愕。娘役が男前なのは月組だけかと思っていたのに、宙組の娘役もなかなか(^ ^)。
舞姫あゆみさんのダンスは、ちょっと元花組の舞城のどかちゃん系のカッコよさ。琴羽桜子ちゃんのダンスも男前で大好きです。百千糸ちゃんは、歌のひとかと思っていたのですが、ダンスもいけるんですね。びっくり。

宙組さんは、丸顔で頬がふっくらした娘役さんが多くて、結構見分けるのが難しい(涙)。
それぞれの立ち位置を書こうと思っていたのに、意外と覚えていなかった(汗)すみません。




■第一夜(情熱)

一番最初の「Ah〜Ah〜」は、回数を重ねて、少しづつ本来の音程に近づいてきたような気がします。初日には、新曲を戴いたのかと思いましたが(←ありえないわ)、楽までにはなんとか…なる、かな?
麻子さんの声は、どちらかというと軽やかで明るい、華やかな音質なので、こういうねっとりと重たい音楽を歌わせるとちょっと勿体無かったりするのですが、祐飛さんの色っぽいハスキーな声は、ほの昏いラテン音楽によく似合いますね。初日はずいぶん篭ってるなあと思ったのですが、今はだいぶ声が前に出てきたし。……かすれてはいるけど、音程さえあっていれば、言うことないのにな(T T)

大きな改変点は中詰め後の場面くらいで、音楽も構成も衣装も殆どは全く同じショーなのに、明るく元気なラテンショーから、翳りのある音楽に彩られた芝居三本立て+合間にショーつき、みたいに違って見えるのは何故だろう……。
とことん芝居の人なんですねぇ、祐飛さんは。そして、すみ花ちゃんも。

その、とことん芝居なショーで、ちゃんと楽しそうに小芝居している下級生が、皆本当に可愛いです(はぁと)。



中階段にずらっと並ぶ男役たち。他組より大小の差が大きいのに、動きが綺麗に揃っているのは宙組の強みですよね。皆スタイルが良いので、変わり燕尾がカッコいい♪

今回はたまたま上手席が多かったのですが、クールに踊るちーちゃん(蓮水ゆうや)にあやうく落ちかけました(汗)。そして、後列で“一生懸命”に踊っている雅桜歌ちゃんにまた見惚れてしまった。本当に好みのタイプらしいです。
下手席では、ひたすら前列端の珠洲さんに見惚れていたんですが、気がつくと(鳳翔)大くんのウィンクに釣り上げられていたり、モンチ(星吹彩翔)の笑顔にころっと転んでたり、なかなか忙しかったです。


男役が平場に下りると、階段に娘役が勢ぞろい。あの衣装は大好き!なんですけど、中でもすみ花ちゃんの頬からデコルテにかけてのラインが絶品で、すごく似合ってます(*^ ^*)可愛いなあ(うっとり)。



娘役も平場に降りてきて、祐飛さんがハケると、階段のみっちゃんにスポット。
さすがみっちゃん、伸びやかな高音がすごく気持ち良いです。色っぽいかすれ声がウリの祐飛さんと、澄明な美声のみっちゃん、雰囲気をガラッと変えられる、良いコンビだなあと思います。……お二人のデュエットとか歌い継ぎは、少なくていいんだけど(苦笑)(さすが藤井さん、わかってらっしゃる)。



音楽が変わって、すみ花ちゃんセンターに。
ここは、月組ではまさお(龍真咲)が歌ったところですよね。まさおも男役としては高音域を得意にする人ですが、さすがに娘役とは音域が違うんだなあ……。というか、まさおは胸声の音域がびっくりするほど広い(高い)んですよね。娘役の裏声であの音域を響かせるのは非常に難しい(T T)。
「Apasionado!!」は、元々月組の特殊な態勢に合わせて、娘役トップがいない珍しい構成のショー。場面ごとに、どれをすみ花ちゃんにやらせるか、っていうのは、藤井さんも相当に悩まれたんだろうなあ、と思います。
考えてみれば、あいちゃんもしずくちゃんもソロらしいソロを歌っていないので、すみ花ちゃんは新曲を歌うか男役が歌っていたところに入るかしかないし……

でも。すみ花ちゃんに歌わせるなら、もう少し音域を配慮して変調するなり、何か工夫してあげて欲しかったような気がします。ちょうどチェンジボイスにあたるみたいで、ものすごく歌いにくそうだったんですよね。ここもそうだし、白い蘭でのソロもそうなんですが。

それでも、すみ花ちゃんは結構負けてなくて、初日に比べれば格段に良くなってきました!(^ ^)わずか二週間であんなに音域が広がるのか、と、若い下級生の伸びしろに目を瞠る思いです。
あああ、それにしても可愛いなああ(でれでれ)。



短い場面ですが、すみ花ちゃんのソロの間、バックのダンサーは小人数になるので、その組み合わせを……えっと、たぶん間違いがあると思うので、ご指摘いただければ幸いですm(_ _)m。

センターはみっちゃんとアリスちゃん。舞台前方、上手側にまさこちゃん(十輝いりす)とえっちゃん(大海亜呼)、その奥にたまちゃん(天羽珠紀)と(舞姫)あゆみさん。下手側は、前列が珠洲(春希)さんと(愛花)ちさきちゃん、奥にちーちゃんと(妃宮)さくらちゃん。
最奥は、上手が大くんと桜子ちゃん、下手が(鳳樹)いちくんと(百千)糸ちゃん、だったような気がします。たぶん(^ ^;ゞ。
フォーメーションが結構動くので、場所はかなり適当かも。

……ふええぇん、月組の時、この場面ってこんなに照明暗かったんでしたっけ??顔が全然見えないよ〜〜(涙)。さすがに、まだシルエットだけで誰だかわかる人はほんの数人なので、かーなーりー難しかったです。
でも、場面としてはあのくらいの照明でいいのかなあ。こう、夜の酒場で蠢く男女、みたいなイメージで観てしまいました。



音楽が止まり、紗幕が降りて、メンバーが戻り……
皆が客席に背を向けて、ポーズをとっているところが凄く好きです。男役も娘役も、それぞれに背中にも個性があるんだなあと実感します。

そして、衣装を変えた祐飛さんが登場。
なんだか、一つの場面の中で着替えて出てくるのって、トップスターにはよくある構成なんですけど、あらためて観ると忙しいものなんですねぇ……。再登場した祐飛さんを中心に、もう一度全体がまとまって、盛り上がって、盛り上がって、、、、
大劇場・東宝では、全員がクラップしながら銀橋を渡っていた場面。銀橋のない博多座では、祐飛さんだけが客席に降りて、他のメンバーは舞台上でぐるぐる回っているだけなのがちょっと寂しい(涙)。

ついつい舞台上で、あの難しいリズムのクラップを打ちながら、歌いながら、舞台の上を走る組子たちを追ってしまって客席の祐飛さんを見ていない(見えない)のですが……前方席に座られた方、どんな感じだったのか教えてくださいまし(^ ^;ゞ


個人的に、祐飛さんが舞台に戻って総踊りになったときは、下手前列で踊っている妃宮さくらちゃんに釘付けです。スタイル良いですよねぇ♪鬼灯ちゃんも超可愛いけど、黒塗りも美形で、ちょっと悪戯っ子みたいな笑顔がコケティッシュで大好き。
クールに踊るちーちゃんがふと垣間見せる微笑にちょっと落ちてます。

祐飛さんとすみ花ちゃんは、それぞれに場面を担当しているのでここではあまり絡みは無し。ちょっとお預け、という感じです。その絶妙の距離感がまた、たまらない(*^ ^*)。





■第二夜(熱毒)

紅薔薇を手に、女たちと絡むアパショナード。
最初がちさきちゃん、次が(綾音)らいらさん、そしてえっちゃん、あゆみさん。それぞれ個性豊かな上級生ダンサーで、色っぽいです。

えびちゃん(綾瀬あきな)の純真そうな持ち味がこの場面にはぴったり。ヴァンピーロとの並びも綺麗です。黄色いドレスがよく似合ってる♪ 紅薔薇でチカを誘う祐飛さんが、なんだか悪い人みたい(汗)。
誘われるままにすーっと上手花道の方へ行くえびちゃんの、素直に明るい笑顔に癒されます。
雷・風・雨の三神に薔薇を奪われて吃驚するところとか、とにかく素直で可愛い。

……でも。どんなにヴァンピーロが格好良くても、チカが可愛くても、この場面はバックが楽しすぎてなかなかメインのお二人を観る余裕がありません……(涙)ごめんなさい。


とりあえず、桜子ちゃんは、前列の上手内側。ストレートのショートボブの鬘がシャープな顔に良く似合っていて、場面の最初、うつぶせになって頭だけ起こし、片脚を高々と挙げてニヤリと笑うところがダントツでかっこいい!(*^ ^*)。途中、みっちゃんセンターに上手にいちくん、下手に桜子ちゃんの三人で踊るところがありますが、そこよりも、私は群舞の中でガツガツ踊っているときの方が好きです(惚)

下手からスタートして、途中で上手側に来る、つややかなストレートの鬘は結乃かなりちゃん。頬骨の高い大人っぽい貌ですが、ダンスもかなり大人っぽい感じ。身体が柔らかくて流麗に踊る人で、もっとスローなダンスも観てみたい気がします。

ものすごい勢いでフォーメーションが変わる場面なので場所を特定するのがなかなか難しいのですが、最初に寝ているときに桜子ちゃんの近くに居たのが、舞花くるみちゃんでしょうか。ちょっとウェーブのかかったショートの鬘にキツめの黒塗り化粧で、お芝居とはずいぶん雰囲気が違いますが、いいダンサーですね。
最初のところでは下手の奥で踊っている、ちょっとふわふわした感じの茶髪は、愛咲まりあちゃんであっているでしょうか?小柄だけど、ジャンプ力とキープ力は凄かった!ような気がします。美人さんなので、将来が楽しみです。

男役も、よくがんばって踊っていたと思います。いちくんのダンスは学年の割に男らしくて、娘役の男前さとはまた違う、着実に積み重ねてきたものを感じますね。やっぱりちょっと樹里ちゃんに被るような気がする(♪)。
(蒼羽)りくちゃんとモンチは、並んでいても別々でも、不思議なくらい目立ちますね。りくちゃんは、せっかく持っているものが凄いんだから、もう少し表情の作り方を考え直してみてほしいような気がします。……おとなしくなっちゃったら、それはそれで寂しいんでしょうけど(汗)。
さっつん(風羽玲亜)は、たしか上手スタートだったと……(←あまり自信がない)。とにかく、どこかの場面では上手にいて(←おい)、めちゃくちゃ色っぽい流し目で客席を絨毯爆撃してました(^ ^)。ああ、がんばってるなーと思っちゃいましたけど(汗)。




とりあえずは、そんなところでしょうか。
次回はヴァレンティノから、ですね(^ ^)。


宙組博多座公演「大江山花伝」 女鬼たちCHECK&卜部小ネタ。



最近、大江山の鬼チームに思いいれが強くなりすぎて、段々綱や公時たちが憎らしくなってきております(^ ^;ゞ
もう少し、茨木と綱の心の交流が色濃く出ないと、鬼チームのチームワークに負けてしまうんじゃないかと……いや、私個人の心の中の問題ですけど(汗)。

まぁ、原作と違って酒呑童子たちはちゃんと新天地を求めて去っていくので、問題は無いんですけどね……。
別れを告げるメンバー以外の、三田・四面・五蔵・六歩・七曲・八飛・九呂も、女鬼たちも、子鬼たちも、千年杉さんも、ちゃんと全員一緒に逃げるんですよね? …千年杉以外は、みんな頼光の手下として山攻めに加わってますけど、なにか?




さて。それでは、女鬼たちについて。


四面(花露すみか)
女なんだけど、角があって、男たちに混ざって戦い(見張り)に出ている。でも、千年杉には「女だてらに!」と怒られてるし、本人的には女の子たちに混ざりたい気持ちがあるらしく、鬼の宴で、「鬼娘たちの唄だぞ〜」と言われると参加したがって、仏(蓮水ゆうや)にしまわれたりしている。
……彼女の設定は、正直、よく判りません。原作にも居ないキャラですし、舞台上での説明も特にないし。酒呑童子が「男たちの姿は変わってしまった」と述懐していますけれども、稀に女の子でもそういう特徴が出てしまう子がいる、という設定なのでしょうか。
あいのことか半陰陽みたいな、悲しい設定があるのか、それとも「ウェストサイドストーリー」のエニボディズみたいな存在なのか?いや、実際に彼女にだけは角が生えているわけで、基本的には哀しい物語なんだろうと思うんですけどね……。

藤子(野々すみ花)が捕まって、その顔の傷がさらし者になったときに、わざわざ綱のところに行って「お前も知らなかったのかい?」と嫌味たっぷりに言うところから、おそらくはかなり苦しい運命の中で生きている子供なんだろうな、とは思うんですけどね。どういう設定なのか、ご存知の方がいらっしゃいましたら是非!!教えてください。



薊(綾音らいら)
鬼娘たちの中ではリーダー格で、だいたい口火を切るのは彼女かな?宴の場面では薄紫、後半は薄いピンク。鬼娘も色の好みは可愛いんだな、と思います。
宴では、特に誰と仲がいいということは無かったような気がしますが(姐さんらしく、いろんな人と呑んでいる)、男鬼たちが都の女たちに絡む場面では、五蔵を気にしてます。……恋人、というよりは、姉弟みたいな感じですけど(笑)。

三田(雅桜歌)が伊勢式部(鈴奈沙也)に追われて逃げた後、舞台の真ん中で「俺たちだって悪くないだろう?」みたいなことを言って女たちをからかう五蔵が、薊姐さんが話はじめた途端に舞台の上手端まで逃げていくのがメチャクチャ可愛いです。……結局叱られてつまみ出されちゃうんですけどね(^ ^)。




鬼灯(妃宮さくら)
可愛いです。はい。メークも髪型もめちゃくちゃ可愛い!!緑の衣装もすごくよく似合ってて、千年杉の歌に合わせて「ちょいな♪」といれる合いの手もめちゃくちゃ可愛い♪♪
男鬼たちが都の女に絡む場面では、八飛(美月悠)に「あたしというものがありながら、莫迦ぁ〜〜!!」と怒っているんですけど、そのわりに、宴では八飛にはクール。むしろ、仏にしなだれかかったりしていて、仏狙い!?みたいな感じです。あれえ?……でも、可愛いから何でも許してしまうんですけど(*^ ^*)



蛍火(舞姫あゆみ)
宴では、舞台下手で六歩(月映樹茉)と注しつ注されつ、ずっと呑んでました。基本的に六歩とラブラブ設定らしく、他の男鬼たちが都の女に抱きつく場面でも、六歩だけは、からかうような台詞を吐きながらも、あんまり手は出してない(^ ^)。…芸というか、役づくりの細かさが素敵(はぁと)
そして、最後に仲良く二人ではけていくのがとても可愛いです★




五月雨(琴羽桜子)
大好きな桜子ちゃん。小さな顔に大きな髷が良く似合って、個性的です♪台詞は少ないけど、意外に真面目キャラで、面白い役どころですよね。千年杉をヨイショして、三人の姉さんたちに「よーいしょっ」と片付けられているところがキュートで可愛いです。
後半は薄青の衣装で、都の女を口説いていた七曲(松風輝)を責めてますよね。なんだか、責めかたも可愛くて、大好きです♪



5人全員が山攻めの兵士に入っていますが、あの中では上級生のせいか、メークも仕草も格好良くて大好きです♪がんばれ〜〜!!





頼光四天王の方は、以前とそんなに印象は変わってません。
坂田公時(鳳翔大)は、花園衛門に語りかける台詞とか、綱と話すときとかはすごく良い声が出ているので、あとは「いざ、大江山へ!」などの決め台詞をなんとかキメてほしいなあ、と思うんですけどね(*_*)

碓井貞光(澄輝さやと)には、とにかく姿は滅法良いのだから、もう少し台詞をがんばってほしいなあ……と。

卜部季武(鳳樹いち)は本当に巧いなあ!!一番好きなのは、澄輝くんが「奴らはおかしな術を使うだろう?」と言って、渡辺綱が「鬼とは何だ?」と悩むのに応えるところです。めっちゃ格好良い!!
そして、その直後、突然袖から出てきた藤の葉に驚いた綱が立ち止まって、残り三人がそれにぶつかった場面の反応が、最高に好きです(はぁと)。

一番最後に歩いてきて、何か出たのかと怯えるように、すぐ前に居る碓井の服の袖を「きゅっ」と握って……
大したことではないのが解って「ほぅっ」と息をついたところで、振り返った碓井に「なにしてんのー?」とからかわれ、憮然として離れるまでの一連の流れが、めちゃくちゃ自然で、大好きです。何度観ても笑ってしまう(^ ^)。
そして、失点を取り返すかのように意味もなくふんぞり返って歩き出して、袖に入る直前にまた碓井にからかわれているところまで、、、どこまで脚本なのかわかりませんが、非常にいい流れで、碓井役の澄輝くんとの息もぴったり!!でした(^ ^)。
ぜひぜひ、ご注目くださいませ。



他にも小ネタはいくつかあったと思うのですが、また思い出したら書きますね。
ああ、お盆が終わってしまう……(寂)。



地震や台風の被害にあわれたみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。



猫は今、台風を乗り越えて、博多に来ております。
すみません、暢気で。博多座の客席には、宙組花組月組のジェンヌさんがたくさんいらっしゃって、とても華やかでした。みなさん楽しんでくださったかな?(^ ^)……ご無事で戻ってくださいね(祈)。





初日ぶりの「大江山花伝/Apasionado!!」観劇でした。
いろんな予想をしておりましたが。
全ての予想を上回るほど、別物の舞台でした。

……いや、もしかしたら、単に初日の私がぶっ飛んでいただけなのかもしれませんが(汗)。





初日で観て、あれぇ?これってハプニング?と思ったことの殆どが、実はハプニングじゃなかったことに、まずびっくりしました(どこのことかは秘密)。


だけど、
Apasionado!!の一番最初の「Ah~」の音程は、やっぱり違ってたんじゃん!!……まだだいぶ違いますけど、でも、だいぶ“どっかで聴いたような気がする曲”になってきてました。

あああ、初日映像で流さないでくれてありがとう>CS。
DVDを撮るのはいつかなー?それまでになんとか、いや、どーしても駄目ならアテレコで(←無理)




もとい。

まずは、「大江山花伝」。

…なんか、、、別物でした(そればっかり)。




それだけではなんなので(いや、それが感想のすべてなんですけど)、
まずはいくつか突っ込みを。

○春風・秋風は、どうやって綱を見分けたんだろう(戻り橋)

○綱よ、行者の顔を見て何故気づかないんだ……。

○どうして、茨木に顔がばれてる綱が偵察に出るんでしょうか。意味ないと思うんだけど。
 (あ、掴まることを全く考えていないのか)

○春風・秋風は、どうして綱に気がつかないんだろう…(大江山) 



……全部綱の関係じゃん(↓)。





あと、真顔な感想も、すこしだけ。


祐飛さんの茨木は、ずっと月の光を纏っているんだな、と思いました。
今回はお披露目公演で、ずっと周りとは少し光量の違う白っぽいスポットライト(←トップライト?)を浴びているせいもあるんですけれども、どの場面でも常に月の光を浴びているように見えるんです。
プロローグの“夢の藤波”、一条戻橋での綱との邂逅、大江山の鬼たちの宴……茨木が登場する場面はほとんどが夜の場面で。常に月の光を、それも、おそらくは満月ではなく、十六夜か十七夜か……これから新月へ向かってゆく下弦の月の光を享けている。特に、鬼の宴では、他のメンバーが浴びる光は焚き火の炎かな、と思うのに、茨木が出てきた瞬間に、しんと冷たい、皓い光があたりに満ちる。

連れ舞う胡蝶(花影アリス)の白い貌が、薄紅に染まってやわらかく綻びても、空気はぴいんと張り詰めたままで。
そして、ふ、と月が雲に隠れる、それが宴の、終わりを告げる。



酒呑童子と話をした後、一人残って歌う茨木の肩をぬらす露は、夜露。
そのまま、そぞろ歩きで夜を過ごして、胡蝶と出会うのが、朝。
演出的には普通の表現なのに、そういう時間の経過、追憶に浸ったまま夜が明けたことにも気づかずに彷徨いつづける茨木の絶望の深さを、ちゃんと印象づけるいい場面になっているなあ、と思いました。




あと、印象的だったのは、茨木の衣装でしょうか。
たしか、原作では茨木はずっと女装(?)しているんですよね。酒呑童子が、妻の面影を残した息子に女性の服を着せていた設定だったはず。

でも、柴田さんの脚本は、むしろ逆なんだな、と。
酒呑童子は、息子に強くあることをこそ希んでいる。自分の跡継ぎとして、覚悟を決めて、男であるように、と。
そして、茨木童子は、むしろ父への反感から、わざとなよやかな格好で過ごしている……のかもしれない、と。

父である長の童子の期待に応えたい気持ちはある。
修行の結果、妖術も身についた(←原作では、妖術が使えるのは酒呑童子と茨木童子の二人だけ)。

でも、という心が、再び角を生やし男のナリをすることを拒否しているのではないか、と。



そんな想像もふくらむ、茨木童子のたたずまいでした。





綱のみっちゃんは、なんだか男前になってた(はぁと)。
KYで藤子の気持ちが全然見えてないところがかえって可愛い(^ ^)。茨木が、訳もなくいとおしんで庇う気持ちが、なんとなくわかってしまう………なんというか、猪というより瓜坊(猪の仔)みたいな可愛らしさがありました。
もちろん、武者としての立ち回りの鋭さがあってこその可愛らしさなんですけどね(^ ^)。そのあたりの切り替えは、さすがだなーと思います♪

役者としては、どちらかと言えば陽光が似合うタイプはずのみっちゃんですが、祐飛さんと並ぶと、月の灯もいいもんだな、と思いますね。
ラストの深山での独白の場面は、特に、やわらかな月の光を感じます。
ソロの歌はもちろん(言うまでもなく!!)素晴らしいんですけど、ちゃんとみっちゃん自身の言葉に聴こえる真摯な言の葉が、とても綺麗なんですよね。この作品で、一番好きな場面かもしれません。(←え?)





藤子のすみ花ちゃんは、ラスト前のモノローグに迫力が出てきて、凄い気迫です。ここの台詞は、すごく柴田さんらしい台詞だなあと思って聞き入っています。うーん、文字で読みたいくらいの名調子ですよね。

初演では、もう少し綱と茨木で揺れる女心……みたいな感じがあったのでしょうか?今回のすみ花ちゃんは、ただ“お舘さま”への感謝の念と、彼が捕らわれたのは自分のせいだという責任感で助けようとしているだけで、綱個人に対する恋愛感情は全く感じないのですが(^ ^;。
真っ直ぐで、純粋で、“あたしの茨木”のことしか頭にない藤の葉と、鈍感でKYで、ひたすら優しくて包容力のある綱の、すれ違ったなりに確実に結ばれた信頼の糸が、すごく綺麗に見えました。
そんな綱だからこそ、茨木とも友情の弦を結べたのだろうな、と思えて。
そこまで考えての藤の葉の役作りだとしたら、本当にすごいな、すみ花ちゃん。





胡蝶姐さん(花影アリス)は、ますます佳い女になってました。
設定がちょっと若くなったかな?初日に観たときは、もしかして茨木童子より歳上設定!?とか焦ったのですが、もうそんな風には見えない。
でも、素敵です。やっぱりダントツで良いのは「あたしじゃ不足かい?」ですよね(*^ ^*)
「よっ!胡蝶姐さんっ!!」という掛け声が、気持ちよくはいるところがとても好きです。

それにしても切ない役だなあ、と。
後半になって、“三年前”の事件の回想にうつる前の場面とか。
それまで散々、「三年前のあのとき、何があったの?」と尋ねてもはぐらかされるばかりで。千年杉に諭されて口をつぐんできたのに、藤の葉に問われるままに語りだす茨木を見守る、その、澄んだ瞳。悲しみを湛えて伏せられながらも、でも、話を聞かずにはいられない女心。

……あたしに語ってくれているのじゃないことくらい、解ってはいるのだけれど。
あの娘に語る言葉なぞ、聴きたくない。
でも、好きな人のことが知りたくて、聴かずにはいられない。

あたしのいばらぎ。
あたしだけの、あたしだけが知っている、いばらぎ。

胡蝶は胡蝶で、そう抱いているんだろうな、と想いながら。






初日一回ではまるっきり目が届かなかった大江山チームが、だいぶ解ってきたので、ここにメモさせていただきます♪

乱暴者だけど思慮深い羽黒(天羽珠紀)。
四天王のまとめ役。緑色を効果的に使った鬼化粧がすごく綺麗で、初日からきっちり仕上げてきていた数少ない人のひとり。胡蝶とのさりげないやり取りとか、愛があるのが大好きです。

短気だけど案外優しい青鬼の天竜(珠洲春希)。
他の役で出る必要がないから思いっきり鬼メークしている四天王の中でも、ダントツで目立つ蒼化粧の珠洲さん。この人の化粧は、毎回度肝を抜いてくれるよなあ……もとが美人なだけに、目立ちまくり。
キャラクターも、沸点は低いけど、小さいもの・弱いものには案外優しいところが可愛い。ラスト前の滝壺で、胡蝶の腕を掴んだときの訴えるような表情が好きです。

目配りが広くてしっかりものの赤鬼、仏(蓮水ゆうや)。
四面(花露すみか)が女の子チームに入って踊ろうとするのを止めたり、佐渡が暴れるのを抑えたり、結構抑え役なんですよね。昔話のイメージだと、なんとなく赤鬼の方が乱暴ものに見えるんだけど、綱が「茨木のほかにも死なせるには惜しい奴がいる」と言う中には、仏も入っているのかな、とか想像してみたりします。

わがままで短気で、乱暴者の佐渡(天玲美音)。
宴席でいきなり「酒もってこい!」と騒いだり、何かと騒ぎが起こるきっかけになっているキャラクター。役的にも実際にも四天王の中の最下って感じなので、大変だろうなあ…と思いながら観ています。
佐渡とカゲソロボックスをいったりきたりで、忙しそうですけど、がんばってね(^ ^)。



三田(雅桜歌)
私はどうやら、雅さんのファンらしいです(たぶん)。
あー、鬼の中にソバージュヘアのえらく格好良いひとがいるなー、とゆーのは初日に思ったんですが、まさか藤原保昌と二役だとは思いもよらなくて。
私好みの美形がいっぱいいて嬉しいなーくらいに思っていたんですが、…なんのこたぁない、同じ人だったとゆー(汗)。
“美女と間違えて”伊勢式部(鈴奈沙也)を攫ってきた張本人、だそうですが。
宴席で歌を歌う花園衛門(愛花ちさき)の衣装の裾を弄っているところを六歩にしまわれたり、伊勢式部に迫られたり、かなりコミカルな役どころですが、しっかり仕事をしていました。
保昌の声がすごく好きなんですけど、三田のときはちょっと軽めの声で、意外と芸が細かかったり。……あー、危険な嵌り方してるなあ……。


五蔵(風羽玲亜)
こちらも以前から気になる人だったのですが、今回は大活躍です!歌が聴けて嬉しいです。
朱色(?)の衣装に合わせてか、かなり赤ら顔に地色を作っているので、兵士の時はかなり目立ってます(^ ^)。
悪戯っ子設定で都の女たちにちょっかいを出しまくっているわりに、結構弱気だったり、女の子には優しかったりするのがツボです。もうちょっと真面目に見張りしようね(^ ^)。綱を掴まえたところまでは良かったのに、その後はざるになってるぞ?


六歩(月映樹茉)
兵士とかでも出ているせいか、鬼メークは薄いんですけど、表情がすごく良いのでちゃんと鬼に見えました。どちらかというと強面系で、持っている武器も大きいし、強そうな感じが出てますね。その分、不器用な感じがなんとなく可愛いです。
芝居の雰囲気とか、ちょっと花組の真瀬くん系、かな?と思ったら、同じ92期ですか。この期って、もしかして、顔芸で選んだのか……?


七曲(松風輝)
鬼たちは皆暗い色で口紅をひいている中で、一人紅い唇なのがちょっと目立っていましたが、兵士では口紅だけ直して普通に混ざっていたので、なるほど!と思いました。
唇にポイントを置くだけあって、ニヤリ笑いがワルな感じでいいです。都の女たちへの絡み方もちょっと強引な感じ(^ ^;


八飛(美月悠)
ちょっとぼさぼさな感じの短髪の鬼。鬼灯(妃宮さくら)ちゃんが彼女設定らしく、都の女たちに絡む場面で出てきた鬼灯に「八飛のばかぁ~~~!!」と怒られてました(*^ ^*)。ちょっとぼーっとした感じのキャラなんですけど、結構言うことは言うので、面白い役作りだなあと思います。
綱の部下もやっているし、一番最初の公達もあるので、めちゃくちゃ出番も多いし、着替えも大変そう。顔をいじれないぶん、鬘をもう少し工夫してもいいのに、とは思いますが、美形だからあんまり隠すと勿体無いしな……(←おい)


九呂(風馬翔)
こちらは、むしろ綱の部下の方がメインの役になるのかな?
坂田公時(鳳翔大)が捕らわれた綱を探して忍び込んでくるときにも付いて来るし、綱が解放された後、膝まづいて太刀を渡しながら「御太刀を!」と捧げるときの、感動を押し殺したような低い声がすごく印象に残るので。
逆に、鬼の方ではあんまり印象に残ってないような気が(汗)。山攻めの踊りの方が印象に深いかも。



男役はそんなところでしょうか。
女役陣については、また後日★



博多座宙組公演より、「Apasionado!!2」

すみません。また昨夜も途中で寝てしまった(汗)。
しかも、変な格好で寝てしまったので、かえって疲れが増した気がする……
早く博多に行って、ゆっくりしたいです(←意味不明ですよ?)




■第三夜(熱視線)

前回書き忘れたのですが。
ここのカゲソロは、松風輝さん(月は沢希理寿)でした。りずちゃんのソロも素晴らしかったけど、松風さんも素晴らしかったです(*^ ^*)。92期か~~。

風羽さんが90期、天玲さんが91期、松風さんが92期。娘役では、花音舞さんが90期、百千糸さんが92期。……このあたりが若手歌手の中核になるんでしょうか。若いところまで使われていて、すごいなあ♪



■第四夜(熱帯夜)

お待ちかね!というか、ショーの最大の見せ場でもある、麗しい花畑。

まずは、雷神(萬あきら)と、それに従うオハ(葉っぱのことらしい。月には無かった)のたまちゃん(天羽珠紀)と天玲美音さんが登場。稽古場レポートによると、ここはこの三人だけが“男”で、あとは“蜜蜂”の祐飛さんを除く全員が“女”であるらしい。

三人の歌を聴きながら、上手の舞台つけねに立って、後姿でふるふるしている大きなシルエットがすごく可愛いです(^o^)。

最初は、すみれ色のヴィオレッタ(十輝いりす/遼河はるひ)。
トップバッターとして気合の入りまくった美しさで、とにかく全部が可愛いかったんですけど。
でもやっぱり、後姿で出番を待ってふるふるしている時が最高に可愛かったような気がする。……まさこちゃんの女装は、本人が幸せそうなのが好きです。可愛いものとか好きそうですよね。

次は緋色のペンサミエント(珠洲春希/龍真咲)。
ペンサミエント=三色スミレ、だそうなんですが、なぜ衣装は赤なんだろう……。
まさおはイケイケギャルでしたが、珠洲さんは色っぽいお姉さまって感じでした。っつーか、濃いなーーーーっ。

次はオレンジのチューリップ(鳳樹いち/明日海りお)。
素敵だ……。みりおくんがあまりにも可愛かったので、どうかなーと思っていたのですが、そりゃーもう、濃ゆいめの美しさで、つぼみじゃない、開ききる寸前の華やかさがありました。

次はピンクのカーネーション(鳳翔大/青樹泉)。
これは、もう。
ホントにダントツの可愛らしさで。
月のもりえちゃんも可愛いかったんですけど、月組は他にもみりおとかまさおとか、ふつーに女の子なメンバーが入っていたので“可愛い子たちの一人”って感じだったのに、宙は、他がみんな濃い目の攻め系美女たちだった中で、大くんが、一人だけ少女みたいで。
確信犯なピンクといい、登場の順序といい、狙い済ました感じでした。さすが藤井さん、GJですわっ♪♪

次は黒薔薇さま(寿つかさ/越乃リュウ)。
毒々しい麗しさは、さすがすっしーさん。なのですが……月ほどのインパクトは無かったような気がします。回りのインパクトが強すぎて、ね(!)

次はハスミン(=ジャスミン)(蓮水ゆうや/星条海斗)。
迫力美女のちーちゃん、すごくカッコいい!むしろ黒薔薇様で観たかったくらい色っぽかったです(*^ ^*)。

トドメは、青紫のラヴェンダー(北翔海莉/桐生園加)。
……みっちゃん。
可愛いよ。すっげー可愛い。でも、どうしてあなたは笑いを取りにくるとやりすぎてしまうの?樹里ちゃんのディナーショーの昔からネタだった園加の女装に負けるもんか!!という気合は解るんだけど、本当にそれでいいの!?
「雨に唄えば」を観たかぎりでは、園加と違って(←ごめん園加、そんなあなたが好きよ)、ふつーに美女になれる素材のはずなのにっっっ!!(ちょっと涙目)


衣装は、稽古場映像を観てちょっとだけダルマを期待していたのですが、残念ながら(?)月組と同じ、膝までのぴったりしたパンツに膨らんだ裾で、脚は殆ど見えませんでした(がっくり)。
しかーし。思っていた以上に、あの衣装は腰のラインがあらわになる衣装なんですねぇ……。
まー、ある意味、ダルマより色っぽいです。隠されていると余計萌える。……などとしみじみと思っていた私は完全にオヤジだなあ(涙)。

たまちゃんがオハ役だったのが、とても残念。宙組でも有数の濃さのたまちゃんを、ここに投入しないなんて!!もったいなーい!
でも、そんなに出せないのか……(涙)。

みんながワンフレーズずつ歌ってくれるのは嬉しかったけど、銀橋がないのは、この場面には致命的でしたね(涙)。本舞台のダルマさんたちと銀橋と、どっちを観るか迷った月組公演が懐かしい。……今回の方が、一人一人をじっくり見れて楽しかったですけど(^ ^)。



盛り上がったところで、蜜蜂(アベハ・大空祐飛/瀬奈じゅん)が登場。
お花さんたちと次々に絡む。……んですけど、絡む人絡む人、みんな祐飛さんより大きいよ!(@ @)。みっちゃんも高いヒール履いてるし、小さいのは珠洲さんくらいじゃないか?
で、その珠洲さんが、一番濃ゆくねっとりと踊ってくれるのが嬉しい。

……この、一人づつと絡む時間、短すぎるんですけどぉ(涙)。



ピラミッド型に組みあがったセットの上に、オルキデア(野々すみ花/霧矢大夢)が登場。
ものすごく情熱的な、色っぽいデュエットダンス。
瀬奈&霧矢も色っぽかったですけど、あれは男役同士だったせいか、なんというか、ネタというか(汗)、「おー、やってるやってる」的な(←なんだそりゃ)かっこいい麻子さんと美しい霧矢さんを見せつけるため、みたいな“見世物”っぽいノリがあったと思うのですが。

新トップコンビお披露目公演の、最初のデュエットダンスからそれですか!?と思うほど、リアルに色っぽい場面になっていました(^ ^;ゞ
ドキドキ。




皆が戻ってきたところでいったん蜜蜂がはけて、深紅の紅薔薇(花影アリス/城咲あい)とオルキデアが並んで踊る群舞へ。うーん、ここは白い衣装のままのすみ花ちゃんはちょっと不利でしたね。どうしたって深紅が目立つ。でも、眼福な並びでした♪♪衣装の似合いようではすみ花ちゃんに一票、そして、二人ともホントに可愛い♪♪
アリスちゃん、やっとデコルテに肉がついてきたのでしょうか?今までは、あまりにも細すぎてちょっとでも胸元のあいたドレスが全く似合わない人でしたけど、衣装の補正がいいのか、今回はキレイに似合ってました。肌を出すドレスが着られるようになると、ショーでの華やかさが段違いに上がりますよね!その調子で、がんばってください!!



祐飛さんが着替えて再登場して、総踊りへ。
……花組全国ツアーに引き続き、ノリノリに盛り上がる中詰めの総踊りで客席下りがないのは、地方公演ではすごく残念です(T T)。
絶対全員(フロルとロサだけでもいい!)下りてくれると思ってたのにぃ。……藤井さんのばかあ!!
……明日からでも、突然下りるようにならないかなあ(^ ^)。



中詰めの熱が去ると、客席後方のドアから、雷神・風神・雨神の三神が登場。
萬さんが熱唱する「シボネ」が素晴らしいです。半年前からさらに進化し、深化して。楽しいショーの一場面なのに、思わず涙が出そうでした。
花畑の毒に当てられて舞い上がった心を、地上に繋ぎとめてくれた、歌。
ありがとう。萬さんが居てくださって、本当に良かったです。



■第五夜(熱望)

幕が上がると、そこは戦場。(プログラムによると、アフリカの荒野らしい)新場面です。昔のショーの一場面、というわけでもない、らしい?
……全面的に斎藤さんの発案なんじゃないか、っつー気がするのは私だけでしょうか。藤井さんと斎藤さん、仲良すぎだよホントに。


兵士オンラド(大空祐飛)の歌が、しみいるように優しくて、とても好きです。青木朝子さん、いつも祐飛さんに素敵な歌を書いてくださって、本当にありがとうございますm(_ _)m。

共に闘っているソルジャーは、十輝いりす・鳳翔大・蓮水ゆうや・鳳樹いち・松風輝・蒼羽りく。ってことは顔がわからないのが松風さんってことですね。よしっ!!
6人の踊りがきれいに揃っていて、とても気持ちがいいです。月組でも花組でも、ダンスが揃うってことなかったもんなあ……(月も花も、そこが魅力なんですってば)
振り付けはKAZUMI-BOY。祐飛さんとは相性のいい振付家ですが、やっぱり格好良い踊りを躍らせてくれる人ですね(はぁと)。



舞台奥のセットに登場する、幻想の恋人・すみ花ちゃん。青いシンプルなドレス一枚で、まるで「RED HOT SEA」の「引き潮」のような、シンプルなダンス。二人のデュエットダンスは、心に沁みるように優しいです。触れ合えない幻だからこそ、心を深く傾けて踊る、美しさ。
幸せな夢を、引き裂く銃声。
戦いに戻る男たち。
それぞれに、守るものがあるから、闘う。
……敵もまた、同じように。


戦士たちは次々と斃れていく。
守るべきものを守れたのか?
叶わぬ夢は、いくつ?



■第六夜(熱愛)

戦士たちの死を哀しんで、涙の精ラグリマS(北翔海莉・花影アリス/霧矢大夢・城咲あい)が野辺送りの歌をおくる。ここのみっちゃんの歌が、とても好きです。
次第にメンバーが加わって、大階段に銀白の衣装に身を包んだトップコンビが登場、希望に溢れた総踊りへ。

えーっと。ここは、トップ「コンコンビ」なのをのぞけば月組版と構成は同じ……かな?たぶん、ですけど。振りもだいたい同じだったような……月組で、卒業したちわわ(涼城まりな)と(朝桐)紫乃ちゃんが卒業記念で踊っていたパートも、同じようにあったし(珠洲&愛花)。


ありがちな場面なんですけど、やっぱり良いんですよね。こういう、救済と浄化のダンスシーンって。
月組の時も大好きな場面だったので、また観ることができてとても嬉しいです♪
宙組の群舞は、やっぱりパワフルだなあ。祐飛さんは、一回死んだ時に少しは休めたのか(?)、吹っ切れたように元気な笑顔でした。……ほとんど振りらしい振りはついてないけど(汗)。



■第七夜(熱狂~アパシオナート)

三神からスタートして、幕の間からカンタオルの三人(まさこちゃん、大くん、ちーちゃん)が登場。
ここ、月組ではあひちゃんだけがメインで、あとは89期~91期の若手ばかり6人が踊る場面だったのですが、宙組ではまさこちゃんセンターで三人、ほぼ均等な感じの場面になっていました。メンバー的にはヴァレンチノの場面のスタートと同じですが、音楽がスパニッシュなので雰囲気はぜんぜん違う(^ ^)。
三人ともスタイルが抜群に良くて、緋色の短い上着に黒の細身のパンツというスパニッシュの定番衣装が異常に良く似合ってました。めちゃくちゃ格好良い(*^ ^*)。
個人的に、ちーちゃんの脚さばきが色っぽくて好きです(←マニア)



月組では、幕が上がると大階段に麻子さんと娘役たちの場面⇒ロケット⇒黒燕尾の男役群舞⇒麻子さんのソロダンス⇒パレード、という順序で、ロケットSのちわわがハケる時に麻子さんとちょっと絡んだり、といったサービスがいろいろあったのですが。
宙組では、カンタオルたちの後にすぐロケットに入り、祐飛さん+娘役⇒黒燕尾⇒デュエットダンス⇒パレード、と大きく順序を入れ替えていました。

別に、特に違和感といったものはなかったのですが、なんで変わったんでしょうね?すみ花ちゃんがロケットSをするわけでもないし。
……あ、男役が足りないのか。ロケットと黒燕尾でメンバーを分けるだけの人数がいないから、間にお姉さまたちの場面を入れるしかない、と。
なるほど!!やっぱりいろいろ、難しいものなんですね、ショーの続演って。



花組時代に縁のなかった黒燕尾の群舞。久しぶりに観た黒燕尾でしたが、回りのメンバーが違うせいか、不思議な感じでした。違和感、というのは違うのですが……“化学反応”って言葉がいちばんしっくり来るかな?
これから、千秋楽に向けてどうなっていくのか、とても楽しみです(*^ ^*)。






それにしても。
銀ちゃんと小夏を観て予想していた以上に、祐飛さんとすみ花ちゃんは、ショーでもお似合いのコンビでした。
そんなことが、とても嬉しい。

なんというか、場面場面で全く違う色を出せるコンビなんですよね。ショーの一場面一場面を、歌とダンスのある芝居として創りあげる、同等の芝居力を持った二人。


白蘭と蜜蜂のダンスは、見ていられないほどリアルに熱く、色っぽく、
オンラドとアマブレのダンスは、幻想の光に照らされて、透き通るように優しく、
そして、フィナーレのデュエットは、ただただ幸せそうに、でもちょっとだけ、甘えたっぽいツンデレな感じで。


多少技術的な面でいろいろ(主に祐飛さんに)あっても、そんなものを吹っ飛ばせるだけの芝居パワーがあるコンビ。
この人のファンでいつづけたのは、正解だったんだな、と、心から思えたショーでした。
……すみません、痛いファンで(^ ^;;;;;;;;;;;

ま、お披露目初日の直後くらいは、大目に見てやってくださいまし。(ひらきなおり)




……また、今頃は全然違う作品に化けているんでしょうねぇ………
早くまた観たいですっ(*^ ^*)。



花組の壮さんが、お誕生日の前日に博多にいらっしゃったというのは本当でしょうか(汗)。
今頃、お誕生日パーティーしているのかな、博多で(^ ^)。


初日の幕があいて間もない今、大劇場公演のお稽古で超忙しいでしょうに、花組っ子たちが大挙して観に来てくれたと聞いて、もの凄く嬉しい気持ちが湧いてきました。
すみ花ちゃんも、祐飛さんも、さぞ嬉しかったでしょうねぇ(^ ^)宝塚はひとつなんだなあ。
ってゆーか、日本は狭いのね、彼らにとっては(^ ^)うらやましー。(←たぶん、私も相当に日本を狭くしてると思うが……)






それでは、博多座宙組公演、ショー「Apasionado!!2」について、覚えている限りのことを。
キャストの「/」の後は、月組公演での役者です。


■開幕前。

幕前のロゴが「Apasionado!!」になってる(「2がついてない)。……まさか、そのうちどっかで「3」を上演するつもりじゃないだろうな?
まぁ、大劇場よりだいぶ舞台の横幅が小さいので、「2」がなくてもファサードの幅ギリギリでしたけどね。



■前夜(静寂)

氷の女王レイナ(野々すみ花/城咲あい)が上手袖から登場。ゆったりとした踊りのラインがとても綺麗(はぁと)。少し遅れて、イエロたちが登場。月組では麗百愛ちゃんと蘭乃はなちゃんの脚上げ合戦が楽しくてしょうがなかった場面ですが、宙組さんにもキレイに踊る人がたくさんいました(^ ^)…さあ、千秋楽までに全員見分けられるようになるかな?

全編の語り部的な役割を務める三神、雷神(萬あきら/同)、風神(寿つかさ/磯野千尋)、雨神(鈴奈沙也/梨花ますみ)が登場。萬さんが居てくださるから安心感がありますね、このショーも。



■第一夜(情熱)

中階段に小林幸子 我らがトップスター、大空祐飛。
ビジュアルは「おお!」と思ったんですけど、歌の出だしでいきなりコケました。……麻子さん、あんな歌歌ってたっけ??(たぶん緊張していたんだと思われ…/涙)
衣装が引き抜かれ、ちゃんと歌詞が入って「歌」になってからは、まぁ、そこまで酷くはなかったかな?

いやーーーー、トップマイク&トップスポット(そんなものがあるのか?)って凄いものなんだなあ。(感心)

中階段で男役たちのスパニッシュな群舞。皆黒塗りが似合っててかっこいいです♪
ここの流れは月組と大きくは違わなかったような気がする……んですけど、どうなんでしょう。うー、私の海馬ってホントに役にたたないなあ……



■第二夜(熱毒)

群舞の熱を冷ますように、一人幕前に残る祐飛さん。
いつの間にかその手には紅い薔薇が握られていて。三神に見守られながら、お姉さま方(大海亜呼、綾音らいら、舞姫あゆみ、愛花ちさき)と絡む。
月組では85期三人娘(美鳳、音姫、天野)+憧花だったこの場面、ちょっとだけ若返ってますね。とはいえ、座組の上級生で入ってないのは花露すみかちゃんと妃宮さくらちゃんくらいだけど。
えっちゃんの身のこなしはさすがカッコいい〜♪ 舞姫さんのダンスも素敵です。好きだなあ。

黄色いドレスの少女・チカ(綾瀬あきな/羽桜しずく)は、ホントに可愛い〜〜〜♪♪
祐飛さんから薔薇を受け取って、嬉しそうに微笑み、握り締めて棘で怪我をする…という素直な芝居が可愛くて、とても良かったです♪

上から降りてくるヴァンピーロ(北翔海莉/霧矢大夢)は、細かいパーマの長髪。「薔薇の封印」新公のフランシスみたいだ〜!と、私の回りでは大評判でした。私はあの新公は観ていないのですが、「シニョール・ドン・ファンのレオみたいだなー」と思ったので、要するにそういうことだったらしい(^ ^)。
でも、宙組全体が若くて元気なせいか、健康的で優しいヴァンピーロも、あまり違和感無かったような気がします。チカとの並びも似合ってました♪

ファンタスマたちのダンスは、やっぱりカッコイイ〜〜〜!!
とりあえず、ちわわ(涼城まりな)ポジでカッコヨク踊る娘役さんにすごく惹きつけられました。たぶん琴羽桜子ちゃんだと思うんですが……。桜子ちゃん、芝居ならすぐ見つけられるのに、そういえばショーで見つけたことがあまり無かったかも(^ ^;ゞ。
まだちょっとピヨ?っとなっている人もいましたが、全体によく踊れていて、皆素敵でした。宙娘たちも意外と男前な踊りをしてくれて嬉しいです。
鳳樹(いち)さんも格好良かったし、(蒼羽)りくちゃんも目立ってました。あと覚えているのは……ええっと(汗)。
……すみません、また観たら書きます

マギー(星条海斗)がガツガツ歌っていた歌手は、天玲美音。かなり緊張していたみたいですが、いいものをもっている人だなあと思いました。芝居のカゲソロのほとんどに入るだけあるなあ。次回の観劇のときは、期待しています!
女役の歌手は、百千糸ちゃん(彩星りおん、花陽みら)一人になってましたが、若いのに定評のある歌手だけあって、さすがでした。



■第三夜(熱視線)

舞台転換の銀橋渡り(銀橋はないけど)は、まさこちゃん(十輝いりす)、(鳳翔)大くん、ちーちゃん(蓮水ゆうや)の三人。月組では青樹泉・龍真咲・明日海りおだったところですね。
三人のコミカルな芝居が可愛くて、CSの稽古場映像からずっと楽しみにしていた場面ですが、本番も楽しそうでした♪まさこちゃんの後ろに隠されまいと挙動不審な大くんが超可愛い(*^ ^*)。歌も巧くなっていて驚きました。ちーちゃんは前から巧かったけど、今回は三人とも良かった♪

ルドルフ・ヴァレンチノ(大空祐飛/瀬奈じゅん)の二場面目の妻ナターシャ(花影アリス/城咲あい)が、彼のことを語る。
ここのあいちゃんが、大人っぽくてしたたかで最高に素敵な女だったので、可愛いアリスちゃんはちょっと苦戦気味?観ている私が、初心にもどってアリスちゃんの可愛いナターシャを観なくてはいけないんですけどね。あいちゃんの、まろやかで甘い声が耳に焼き付いていると、なかなか難しい…。
でも、アリスちゃんも黒いドレスを麗しく着こなしていて、とても良かったと思います。早く二回目を観たい!

最初の思い出は「椿姫」。
ヴィオレッタは愛花ちさきちゃん(月は萌花ゆりあ)、ソロは妃宮さくらちゃん(月は羽咲まな)(aiaiさま、ご教示ありがとうございました!)さくらちゃんの歌が好きなので嬉しかったです♪
ちさきちゃんは思いの外に身のこなしが大人びていて、アルフレート(=ヴァレンチノ)よりも歳上にちゃんと見えました。
……お芝居で父親だったまさこちゃんといい、ちさきちゃんといい、皆すごいなあ。それとも、祐飛さんが凄いのか…?

音楽が終わった途端に、繋いだ手を“すごく嫌そうに”思いっきり振りほどいて冷たく背を向けるちさきちゃんが、ちょっと格好良かったです。まだ若い駆け出しのヴァレンチノと、タイトルロールを演じる大女優の関係がみえて、良かったと思います。
監督役(寿つかさ/越乃リュウ)の「アクション」という声が好きだ☆


次の思い出は「血と砂」。
ドンニャ・ソルはえっちゃん(月は美鳳あや)、ソロは花露すみかちゃん(月は音姫すなお)。
衣装は月と同じでした。どうやって入ったんだ、えっちゃん?(←みっぽーの時に縮めてただけで、普通の衣装ですから!)

……とりあえず、祐飛さんがフアン・ガルラードを演じている、っていうだけで、涙が出るほど色んなモノがこみ上げてきます。
こんな日が来るなんて、本当に思ってなかった……。月組版を観たときから、この場面って祐飛さんも似合うだろうなあ、とか思っていたので、なんだかホントに夢みたいな気持ち。
すみ花ちゃんも含めて、もちろん祐飛さん自身も出演するのは全く初めての新作ショー。お稽古もさぞ大変だったと思いますが、この場面があるから藤井さんもあえてこの作品を選んでくれたのかな、と思ったりします。……などと、あまり公演に関係ないところを暑苦しく語ってみたりして(^ ^; すみません。

ドンニャは、あまりガツガツしないでもう少し誘い受けでもいいかなあ、と思いましたが、あの激しさが、えっちゃんらしくて格好良い。初日は、ラストにソファに戻って脚をあげるキメがちょっと遅れ気味?だったので、がんばってほしいなあと思います。

ナンバーが終わった後の関係は、月組版よりクール。お互い対等に、お仕事はちゃんとやりますよ、という感じに、目もあわせずに去っていくのが面白かったです(単にヴァレンチノの早替りが大変なだけかも?)


次の思い出は「熱砂の果て」
ヤスミンが舞姫あゆみさん(月は蘭乃はな)、ソロは綾音らいらさん(月は憧花ゆりの)(aiaiさま、ご教示ありがとうございました!)

舞姫さん、ヤスミンとしての儚げな可愛らしさもあって、とても良かったです。
ナンバーが終わったあとの芝居も良かった!大スターであるヴァレンチノにそっけなくされても、憧れずにはいられない若い女優の純粋な憧憬の念が伝わってきました。可愛いなあ。


ラスト、大スターとなって孤独を得たヴァレンチノの、ソロ。ファンの私がびっくりするほど踊れていたんですけど。(←気のせいだよたぶん)
……歌はよく“トップマイク”って言葉を聞きますけど、“トップブーツ”ってあるんでしょうかねぇ…?なんか魔法がかかってるやつ。

ダンスって芝居なんだな、と、あらためて実感しました。
あれはただのダンスシーンではなく、ヴァレンチノの孤独をあらわす場面だから。
ショーの一場面で片付けてしまうのが惜しいくらい、芝居としてきっちりとヴァレンチノ役を作ったうえで踊っている祐飛さんが、さすがだなあ、、、と。

振付はANJUさん。たぶん麻子さんと同じ振りではないと思うので、振付しなおしてくれたのでしょうか……?ありがとうございますm(_ _)m。ヤンさんもお忙しいのにすみません…(←勝手に謝らないように)
技術的なことはよくわかりませんが、びっくりするほどなめらかに踊っていて、月組最後の本公演となった「MAHOROBA」と、一年半の花組生活で、ずいぶんショーでの居方は鍛えられたんだなあ、、、と、しみじみと関心しました(今更でホントにすみません)。


……ゆうひさんのヴァレンチノを観ることができて、本当に幸せでした。
ありがとう。ありがとう藤井さん。ありがとう劇団。ありがとう宙組。




ショーのクライマックス、熱帯夜の花畑から先は、また後日♪



宙組博多座公演「大江山花伝/Apasioonado!!2」について。


……昨夜は、書いている途中で寝てしまいました(汗)。すみません。



やっと、録画していたNOW ON STAGEを見ました。
あああ、皆、本当に可愛いなあ(*^ ^*)。

前半は、まだまだ緊張感が溢れている様子が画面から伝わってくるなーと思っていたんですが(汗)、お芝居の話の後半あたりから突然盛り上がったのが面白かった(^ ^)。
ちーちゃん(蓮水ゆうや)と(鳳翔)大くんが一生懸命盛り上げてくれたのがとても嬉しいです。二人とも、本当に可愛いなあ(はぁと)(いや、もちろん他のメンバーも皆可愛いです♪ )

ショーについてのコメントで、「娘役も可憐に寄り添うって感じばかりじゃなくて……」というコメントがあって、そうだよね、元々月組の(=月娘の)ショーだもんね!と思ってしまいました(^ ^)。
いや、宙娘は可愛いね、って意味ですよ☆もちろん♪


……博多の歩道で踊るちーちゃん大くんすみ花ちゃんに会いたい(*^ ^*)。






さて、それでは、本番のイタに載った「大江山花伝」のレポートを。



■源頼光方

源頼光(寿つかさ)は、想像よりも公家寄りのメークや装束でしたが、それでもちゃんと武士らしい精悍さがあるのがすっしーさんらしくて素敵でした。場面としては少ないのですが、しっかり締めてくださって、いい組長さんですよね♪


四天王のうち、渡辺綱のみっちゃんは、昨日も書いたからちょっとおいといて。


坂田公時の大くんは、ちょっとヘタレだけど、おいしい役を真摯に演じていて、良かったと思います。私は本当にこの人の台詞の声が好きらしく、愛花ちさきちゃんの花園衛門と話す場面とか、ラスト前の綱との会話とか、思ったより台詞がたくさんあって嬉しかった(^ ^)。茨木の回想の中に登場する六郎太も、物語の核となる大切な役を丁寧に演じてくれて、良かったです~♪
ただ、四天王を名乗るほどの武士には見えなかった……のは、残念なところでありました。上背があるのに立ち姿が頼りない感じがするので、姿勢とか補正とか、もっともっといろいろ試してみてほしいなあ、と思います。
(「いいお手本が来たことだし」と書こうとして気づいた。祐飛さんのアレは自前なので、補正は教えられないよね…)


卜部季武(鳳樹いち)
思ったより装束が良く似合っててとても格好良い。この人も手堅い芝居をする人ですね。若いのにしっかりしてるなあ、という印象。特に目立つ場面はなかったような気がしますが、ただ立っているだけの場面でも何となく雰囲気に重みがあって、四天王としての存在感が感じられました。


碓井貞光(澄輝さやと)
あまりキャラクターを出すほど出番がなかったかな、という感じでしたが、何かしよう!という意欲はうっすら見えたような気がします(^ ^)。がんばれー!


頼光の部下・藤原保昌(雅桜歌)
四天王よりちょっと身分が上の人物として描かれていて、貴族的な美貌が立派な装束に負けず、よく映えていました。ああいう役でさりげなく格上感を出すのって難しいと思うのに、がんばってましたね。「逆転裁判」でも目についた人ですが、美人だし、台詞もしっかりしていて素敵でした(*^ ^*)。



■鬼たち

千年杉(萬あきら)
萬さんというと、ついつい色気たっぷりのオジサマを思い浮かべてしまうのですが(汗)、これはまた、吃驚するほど枯れた、雰囲気の優しい“おじいさま”でした(汗)。
いやあん、萬さん素敵っ!!(*^ ^*)ディナーショーも行きたかったよ~~っ!!(一年の間に、そんなのディナーショーばっかり行けません……)


羽黒(天羽珠紀)、天竜(珠洲春希)、仏(蓮水ゆうや)、佐渡(天玲美音)
頼光四天王は結構いろんな場面で4人で行動するので覚えやすいのですが、鬼の四天王は、4人だけの場面って無いし、鬼メークだし(^ ^;、でちょっと見つけるのが大変でした(汗)好きな人ばっかりで私は楽しかったけど、一人ひとりにもう少しエピソード(キャラ)があるのかなーと思っていたのでちょっと残念。
まあ、キャラが立ってくるのはこれからなんでしょうね。お盆休みの遠征が楽しみです♪

鬼たちの宴でソロを歌うたまちゃん(天羽珠紀)、相変わらずいい声だなあ(*^ ^*)。鬼メークもさすがで格好いい(はぁと)。
珠洲さんはいつ観ても美しい!!立っているだけでも引き込まれるような迫力がありますよね。凄いなあ。
ちーちゃんは上背があるせいか、姿勢がいいのか、ごく普通に鬼に見えました(←誉めてます)。髪型が好きだ。
天玲さんは思い切った鬼メークで面白かった。メークはあれで固定なのかな。それとも、まだ進化途中?


春風(蒼羽りく)、秋風(星吹彩翔)
いつも茨木童子と一緒にいる傍仕えの二人。最初の一条戻り橋の場面では、“侍女”なんですね。女装だったのか……(←気がつかなかったのか)(すみません)
いやー、表情豊かで可愛いです二人とも。メークはがんばりすぎだけど(^ ^)。次に私が観るころには、いろんなことに慣れて、少し余裕が出てくることを祈りつつ。

しっかし、後半の山攻めの場面で兵士に入っているりくちゃんと星吹さん。鬼メークがめちゃくちゃ目立ちすぎで、シリアスな場面なのにちょこっと笑ってしまいました(^ ^;ゞ。この場面の前はしばらく時間があるし、後は鬼としての出番もないんだし、もうちょっと直しちゃっても良いと思うんだけどなあ。下級生は忙しいのでしょうか……。


りんどう(舞花くるみ)、われもこう(瀬音リサ)、ひなげし(愛咲まりあ)
小鬼、というにはちょっと柄の大きいのが混ざってますが(汗)、超可愛かったです。
胡蝶姐さんのアリスちゃんに呼ばれて、「はぁい」って返事する声がめっちゃ好き!もうちょっと仕草に工夫がほしいような気がしましたが、小鬼というより普通に“子役”のイメージで演じていらっしゃるのでしょうか……?



■都の女たち

伊勢式部(鈴奈沙也)
鬼たちにさらわれて大江山に囚われ、下働きとしてこき使われている女たちの中でも、リーダー格の式部さん。
どちらかと言えばお笑い担当ですが、しみじみとした述懐もあったりして、いい役なんですよね。さすが鈴奈さん、貫禄のある女丈夫っぷりでした。


橘少納言(大海亜呼)
式部の下で、皆をまとめるような立場にいるらしい(?)少納言。ショーでは大活躍のえっちゃんですが、今回はちょっと辛抱役って感じかな?いじられてばかりの役ですが、さすがに間が良くて楽しいです。一人で目立つ場面はないけど、案外と出番も多くて嬉しかったです。
下級生とばかり思っていた彼女も、もう女役としてはこの座組で上から二人目。本公演になっても、美風さんに次いで三人目(ちなみに、4番目はアリスちゃん!)。上級生になったんだなあ…(しみじみ)


花園衛門(愛花ちさき)
娘役の中では藤子、胡蝶に継ぐ役。本当に柴田さんの脚本は娘役の大役が多いなあ…。
最初の鬼たちの宴で歌を強要されたときも、凛として応対する役ですが、鬼たちが迫力あるだけに、ちょっと線が細いかなあと思いました。ふわふわと可愛いだけじゃない、強さとしなやかさを持った女性像だと思うので、もうちょっとがんばってほしいなあ。……相手役の大くんが可愛いので、バランスが難しそうですが(汗)。
二役の萱野は、茨木の回想に出てくるだけなので難しいとは思うのですが、茨木の現状の鍵となる人物なので、もう少し個性を出してほしいような気がします。……これは、愛花さんより演出家に言うべきか?


桂尚侍(花音舞)、堀河の姫(千鈴まゆ)、紅少将(花里まな)
三人とも可愛かった~(*^ ^*)。
脚本的には案外書き込まれていたような気がするので、もっともっと個性が出てくるのを期待しています♪



■そのほか

少年茨木(綾瀬あきな)
ショーでは丸一場面ヒロイン格の場面があったりして大活躍の可愛い人。「逆転裁判」でも可愛かったので、活躍が楽しいです♪繊細な少年らしい少年で、茨木の子供時代というのがすんなり入りました。装束も髪もよく似合ってて可愛い♪


少女藤子(百千糸)
すみ花ちゃんの子供時代と言われてすんなり納得できる丸顔(^ ^;ゞ。
わがままで気の強い、でもそんなところが魅力的な姫君で、焼鏝の場面も説得力がありました。「薔薇に振る雨」新公では公爵夫人だったのに、打って変わって可愛いなあ☆


山攻めの兵士たち
花露すみかちゃん筆頭に、娘役も総動員のダンスシーンで、ちょっと「太王四神記」を思い出しました(^ ^;。
もちろん鬼たちも総動員だから、どうみても鬼の顔してる人たちが鬘を外しただけで弓矢持って踊ってて、面白いのなんの(汗)。
しかし、宙組の群舞は揃ってますね(*^ ^*)。長年月組を見慣れていたので、なんだか新鮮(汗)。



■カゲソロ

全体に、カゲソロの多い作品でした☆しかも、そのカゲソロ(男役)をすべて同じ人が担当するのは、何か演出上の意図でもあるのでしょうか…。もうちょっといろんな人に振っても良かったのでは、って気もするんですけどね。
筒井筒、綱が囚われた岩屋、滝つぼ前、そして、ラストのデュエットのカゲ。すべて、男役は風羽玲亜・天玲美音のお二人なんですよね。(滝つぼ前は風羽さんのみ、筒井筒は鈴奈・花音・百千の娘役三人も参加)。
まだ、どちらがどちらの声なのかは判りませんが(汗)、お二人とも、とても良い声でした(*^ ^*)
まだまだ、巧い人が隠れていそうだなー、宙組は。



駆け足でしたが、キャストごとの感想でした。またお盆休みにも行くので(ホントに莫迦だ)、作品についてはそのときに。
ショーは……あああ、こんなことになると知っていたら、もっと月組に通っておいたのになあ…(←邪道)




博多座にて、宙組博多座公演「大江山花伝/Apasionado!!2」を観劇してまいりました。



「あと三時間」というコメントを出したまま、放置してしまってすみません(滝汗)。
とりあえず、無事に幕が降りて、ホッとしています。


いまさらみたいですが。
祐飛さん、すみ花ちゃん、宙組デビュー、本当におめでとうございます!!






お芝居は、ああ、これが名作の誉れ高い「大江山花伝」か、と(^ ^)。
幕が開くまでテンションMAXのまま下がらなくて、いったいどうなることかと自分でも不安だったのですが、お芝居が始まった途端に落ち着きました(^^)v。
やっぱり不安だったんだろうな、と。初めて一緒にお芝居をつくるひとたちとの舞台、というもの、そのものが。

…莫迦みたい。外の舞台では、そんなの当たり前、なのに。





ということで、一応(それなりに)冷静に観ていられたんじゃないかな、と思います。
若干ですがネタバレありなので、ご注意を。


祐飛さんは、ちょっと喉が辛そうでしたけれども、翳りを抱いて光を愛し、闇に憧れる鬼を、愛情深く演じていらっしゃいました。
初日なだけに、いろいろとハプニングなのかどうなのか??というコトもありましたけれども、ほぼ、役をまっとうして息づくことができていたと思います。
対・藤子(野々すみ花)だけではなく、対・渡辺綱(北翔海莉)、対・酒呑童子(十輝いりす)、そして対・胡蝶(花影アリス)。彼を取巻くそれぞれの思惑、そして、彼が彼らに向ける想いがどれも切なくて、「ただ人として生きてみたかった」という茨木の悔恨が痛々しく胸に残りました。

柴田さんの「大江山花伝」は初めて拝見しましたので、初演とどのように違っているのか、とかは全くわかりませんが、原作の外伝にあたる、萱野とこぞ丸のエピソードが入っていたことに驚きました。祐飛さんの茨木だったら、むしろそちらをメインにした作品を観たいと思っていたくらい、痛みの深い物語ですが、あの短い時間で台詞で説明してしまうには、ちょっと難しいエピソードなんですよね……。
原作をご存じない方にあの痛みを伝えるには、もっともっと芝居を深めていかないと難しいんじゃないかな、と思ってしまいました。まぁ、
本来は演出家がなんとかする仕事だとは思うのですが、今回は、祐飛さん、がんばれ!!……って感じです(汗)。



渡辺綱のみっちゃんは、かっこよかった!
もうちょっと不器用で生真面目な猪武者らしさがあっても良かったかな、とは思いましたが。藤の葉に対する態度(彼女が断るはずがないと頭から決めているところとか)など、どちらかと言うと“良家のボンボン”っぽい役作りでしたが、あれは演出指示だったのでしょうか。
あー、でもみっちゃんの殺陣は格好良いなあ……。



酒呑童子のまさこちゃん。大柄なのを生かして大役に取り組んでいましたね。
装束もよく似合い、貫禄も充分。今日のところははだいぶ緊張していたようですが、これから祐飛さんともしっかりコミュニケーションを取って、芝居を深めていってほしいなあと思います。

しかし、学年にして8学年も違うのに、ちゃんと父と息子に見えるこの二人って……(^ ^;ゞ




胡蝶のアリスちゃんは、文句なく美しく、芝居も素晴らしかった!!
アリスちゃんって、今までは妹的な、あるいはマスコット的な役が多かった印象でしたが、今回は姐さんと呼ばれるにふさわしい艶やかさで、華のある佳い女っぷり。
鬼たちにイジられる都女たちをさりげなく庇う風情といい、一心に茨木を慕う切なさといい、気合いの入った美貌といい、「バレンシアの熱い花」新公イザベラを彷彿とさせる麗人ぶりで、可憐な藤子と素晴らしいバランスでした。
柴田作品には、本当にいつも“佳い女”が出てきますよね(嬉)だからこそ、ドラマに深みがあるんだな、と、アリスちゃんの胡蝶を見て、あらためて思いました。




藤子のすみ花ちゃんも文句なしに可憐で、なのに意志が剛くて、、、譲れない一線(茨木)を守り抜く、という真っ直ぐな気持ちが嬉しいくらいで。
ラスト、滝壺の前で手をかざし、「一歩も通さぬ!」と宣ずる藤子の凛とした美しさに、かなり惚れました(←今更)




ショーは、盛り上がりました!!
月組版も何度か観ているはずなのに、中詰め後のシーンが新場面になっていたこと以外はあまり大きな変更点に気づくことなく……

うん、やっぱりこのショー、大好きだ!!



で、その新場面。
月組の「レオン」の場面がまるっと差し替えになっていたのですが。
祐飛さんが、博多座で、迷彩服で、銃を持ってる!!

ぜんぜん違うんですけど、あの、幻の「BLUE MOON BLUE」博多座版を思い出してしまいました………。
藤井さん、ありがとうm(_ _)m。


すみ花ちゃんの白い蘭が、最高にキュートで可愛かったです(はぁと)

……あちこちで下級生に落ちたりしていたので(汗)、また後日詳しく書きたいです♪


ご挨拶は、組長のすっしーさん(寿つかさ)が穏やかな口調で。
「この公演から宙組生になった二人を紹介します」と言ってくださったときは、なんだか感無量という感じでした。……ちょっと拍手を引っ張りすぎてしまってすみません(汗)(←誰に)



祐飛さんのご挨拶は、「暑いですね!」から始まって。
夏が大好き、暑いの大好き!な筈の祐飛さんが、この冷夏にそんなことを!?と思いましたが、やっぱり、今までとは出番もやるべきことも、そしてスポットライトの光量も段違いに違うんだろうなあ、と納得したりしました。



ありがとう、と、幸せそうに繰り返す祐飛さんの姿を見ながら、

私も、ありがとう、と、

祐飛さんに。
すみ花ちゃんに。
みっちゃんに。
まさこちゃんに。
そして、宙組の皆様に。

この公演にかかわったすべての方に、100万回の「ありがとう」を、と。


わずか三週間の夢の時間を、ただただ、悔いのないように、と。

愛を込めて、祈っています。


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