東京宝塚劇場にて、宙組「黎明の風」新人公演を観てまいりました。



人材豊富な宙組88期が主要人物のほとんどを占めた新人公演。
作品も興味深いし、(私的には)新鮮な顔ぶれで、だいぶ前からとっても楽しみに待っていた公演。

…始まってすぐに、あれ?と思いました。

せっかく、雰囲気の若々しい鳳翔大くんが白州次郎、大人っぽい色気のある蓮水ゆうやくんがマッカーサーという絶好のキャスティングなのに、どうして本公演どおり白州次郎の方が年上設定の演出のままなの?

先日の日記でも書きましたが。
この作品(本公演)の、ほとんど唯一と言ってもいい作品的な欠点は、白州次郎とマッカーサーの年齢の逆転だと思います。
それは、史実がそうなのに違うなんて変よ!という話ではなく(いや、それもちょっとありますが)、そういう設定にすることによって、ストーリーの山場となる白州の土下座の場面が、とってつけたかのようになってしまうから、です。
他にも、少なくとも、「17年か…やっと祖国に帰れるな…」という台詞の重みが感じられなかったこととか、
マッカーサーが前途ある若い司令官に見えるために、ラストの演説も、「じゃ、帰国して少し休んだら、次はソビエトに攻め込むか!」(←いやそんなハズはない)みたいにカラッと明るく見えたこととか、

挙げ始めればキリがないのですが……。


せっかく新人公演をこのキャスティングでやるのであれば。
別段、脚本自体に「白州次郎>マッカーサー」という年齢設定を名言した台詞があるわけじゃ、ない。見た目がそう見える(ように演出もされている)というだけ。
だったら。

新人公演では、若々しい白州次郎(約25歳)&シャープな大人のマッカーサー(約32歳)くらいの、本来あるべき設定の公演を観ることが出来るに違いないわっっっ!!


なのに。


……あれ?
そのまんまじゃん………

新公の演出家って、誰だっけ?

(こっそりプログラムを見る)

………児玉明子さんか……(がっくり)。



児玉さん演出の新公、といえば、どうしても忘れることのできない「ガイズ&ドールズ」新人公演。

一本物の公演を一幕にまとめて上演するというので、どこをカットするのかと思っていたら。
一幕をほぼそのまんま上演して、
一幕のラストの場面が終わって、

…幕が開いたら、結婚式(二幕ラスト)だった!

衝撃の幕切れ。



この人は何を考えて演出家を志したんだろうか、と、心の底から疑問に思いました。

しかも。
宝塚の演出家は、ただ「やりたいものを創る」だけではすまないんです。
座付きである以上、指導者でなくてはなりません。指導者にならなくてはなりません。

彼らは、役者の成長に責任があるのです。
それは、宝塚だけじゃない。劇団所属の演出家は、皆そうです。



「ガイズ&ドールズ」で初ヒロインだった城咲あいちゃんの芝居は、それはそれは酷かった。わりと最近まで、彼女は芝居はできないんだと思い込んでいたほどに。
今、彼女があれだけの実力を持ち、「演技派」とさえ呼ばれているのを嬉しく見るたびに、あのときの酷い芝居はなんだったんだろう、と思います。

もう7年も前の、あの怒り。

指導力の無い人に、新人公演の演出をさせないであげてほしい。
指導力の無い人は、“宝塚の座付き演出家”からは外してあげてほしい。

必死でがんばっているタカラジェンヌたちが、可哀相だから。




そして、今回。
…あの時の城咲あいちゃんと同じ感想を抱いてしまった、主演の大くん。


素晴らしいスタイルと、美貌と、雰囲気の若々しさ。温かみのある落ち着いた声。
えてしてああいう美貌の持ち主は声が高過ぎたり硬かったりすることが多いのですが、大くんは良い声ですね。発声さえ一から勉強しなおせば、歌も台詞ももっと良くなると思います。
ちょっとカミカミでしたけど(苦笑)、滑舌自体は轟さんより良かったですし。

ただ、なんというか「芝居」の意味が解ってないのかな、と思ったのです。
白州次郎の「侍ジェントルマン」、「決して表に出ることのない、影の協力者」……そういう彼の「思い」を、どう表現すればいいのかさっぱりわかっていない…
そんな風に見えました。

やりたいことはある。
イメージは、ある。
でも、轟さんと同じようにはできない(←当たり前)し、する必要もない。だって持ち味が違うんだから。

じゃあ、どうしたらいいのか?

それがわからないまま、とりあえず脚本を覚えて立ち位置を覚えて振りを覚えて…それからどうしたらいいのかなあ?いいのかなあこれで?と思いながら舞台にあがってしまった人。
そんな印象。

目線の動きやちょっとした仕草が、“振り”の域を出ていなかったのが気になりました。

……だから、指導力の無い人に、新人公演の演(黙)


ああ、演出が大野さんか生田さんだったらなあ……、というのが一番の印象でした(T T)。


…。



…コホン。



軍服が似合いすぎて似合いすぎて、他の服を着ている姿が全く想像できなかったちーちゃんのマッカーサー。
落ち着いた貫禄ぶりで、物凄くカッコよかったです。

そして、
なんたって!歌が巧い!(吃驚)

「バレンシアの熱い花」の十輝くんの役も凄く良かったけど、今回はホントはまり役でした。
あの冷たい瞳の美男が、いったいぜんたいどうやって“どM”の佐吉になるつもりなのか皆目見当もつかなくて、すごーく観たくなってしまいました(^ ^)。行けるかなあ…。





そして。

ただ一人、新公のレベルを超えていた、みー(春風弥里)ちゃん。

本役の汝鳥さんが、あまりにも映像の吉田茂本人に似すぎていて驚くくらいなので、それを超えることはさすがに出来ませんでしたが。

しかし。

……貫禄!

なんて格好良いんだろう。あんな格好良い人が、戦後の日本を作ったのか。


ショーなどで笑いを取るためではなく、「老人を演じる」ために必要な杖のつきかた、歩き方、立ち方、そして“不自然な”背(腰)の反らし方。



和子役の愛花ちさきちゃんが、可愛いんだけどちょっと落ち着きすぎていて、吉田茂の娘ではなく妻に見えてしまったのはご愛嬌、として。

あの髪のロマンスグレイっぽさがまた最高に美しかった!!
まあ、結構長い時間が過ぎる物語なので、できれば3段階くらいに分けて外見も老けていったほうがよかったのかもしれませんが…。でも、あそこまで完璧な鬘を作ってしまうと途中で変えるのがもったいなくなってしまうわよね、と納得してしまうほどよく似合ってました(*^ ^*)。

しかーし。最後だけでもいいから髭つけて欲しかった!!切望!



一番好きなのは、講和条約に調印した後、夜景を見下ろす吉田の、背中の小ささ。

それまでは精一杯、虚勢のように肩を張っていた“じいさん”が、まるで別人のように、ふわんと小さく見える。
愛嬌と稚気にみちた、わがままで自分勝手な“おもろいじいさん”の、長い長い一日が漸く終わる。

最後に一本葉巻を吸おうとして、

咳き込んで、


男が泣くわけがないだろう。
これは「煙が目に沁みただけだ」と、有名な決まり文句で誤魔化して。


このときの、搾り出すような声が、また良かったです〜(*^ ^*)。



みーちゃんも歌える人なので、歌がなかったのはとても残念ですが。
吉田茂を観ることができて、幸せです。

そして、

ちーちゃんのマッカーサーを観ることができて、よかった。
本当〜!に、格好良かった!!(惚)



大くんも“ビジュアル完璧”で、これから経験を積んでいったらもしかしたら、と思わせる輝きがあったし♪

そんな、ピカピカと輝いている88期トリオを愛おしく見つめながら。

…月組の85期トリオを、切なく思い出してみたりしながら。


みんなみんな、がんばれ、と。
新人公演も、あとたったの一作。お互いにみつめあって、磨き合って、追いかけあって、
みんなみんな、幸せであってほしい、と。

そんなことを、祈りたくなった新人公演。

観ることができて、本当に良かったです♪♪



東京宝塚劇場にて、宙組公演「黎明の風/Passion」、そして、新人公演「黎明の風」を観て参りました。


「黎明の風」という作品について、
まずは、個人的な好みの話から。

えー、賛否両論あるかと思いますが、私は結構好きかも、です(^ ^;



関係ないけど、そういえば私は「猛き黄金の国」も大好きでした(笑)。「パッサージュ」との組み合わせだったこともあって、轟さんのトップ時代では一番通った公演でしたし。

他にも、わりと石田さんの作品には好きなのが多いんですよね。「銀ちゃんの恋」「殉情」は今まで観た宝塚作品の中でもかなり上位に入る作品です。……宝塚ばなれしたところも含めて、好みなんだと思います(^ ^;ゞ



で、「黎明の風」。

まだ総括がなされていない“現代史”、第二次世界大戦の直前から朝鮮戦争〜サンフランシスコ講和(安保締結)まで、という、現代政治に大きく関わるさまざまなことが始まった時代を語る物語。
関係者にはまだまだ存命な方も多く、あの時代の「総括」は当分難しい。つまり、“観客の統一見解”といったものは、この時代に関しては無いと思った方が間違いない。

にも関わらず、当代にいたっても非常に微妙な問題(憲法問題とか)について、かなり突っ込んだ意見が出てくるんですよね、この作品は。

なのに、不思議と木村作品を観たときのような不愉快な押し付けがましさを感じないのは、その思想が「自明の真理」「神の言葉」として語られるのではなく、「ある人物の思想の産物」、「ある人物の個人的な意見」として出てくる言葉だから、なのだと思います。



「戦争なんてなければよかったのに」という「この世の真理」が語られることは、この作品においては、ない。
ただ、白州次郎という男の面白さを示すために、
「戦争が起これば食料が足りなくなる。だから俺は、田舎に行って農業をやる」
という名言を吐かせただけ、の。


思想を思想として声高に主張し、観客を染め上げることを目的とする作品ではなくて。
ただの娯楽作品として、「こんな面白いことを言った人がいたんだよー!」と、軽いノリで描き出す物語。

本来ならば青筋を立てて、畏まって語らなくてはならない話題なのに、と怒りを覚える人がいるのは当然だと思う。作劇上の制約も大きいし、思想的にも、政治史、経済史としてもごくごく浅いところしか語られていないのですから。

でも、石田さんの作品は「その時代」を生きる人びとの匂いが濃く漂うところが良いと思うんですよね。
底辺に生きる“庶民”の持つエネルギー。やみくもに「上」を目指す野心とは違う、“自分にもきっと何かできることがあるに違いない!”という思い。
悪い方向悪い方向へと流れていこうとする『時代』を、なんとか押しとどめようと必死で努力する子供のような、純粋だけれども報われない努力の美しさ。

コメディの印象が強くありながら、意外と破滅的な人物をよく描いているところも、きっとそういう話がお好きなんだろうなあ〜、と思います。



この作品は、結構思想的な言葉の多い作品ですよね。それも、とっても微妙なテーマが扱われていて。
憲法に関する考えも、安保に関する思想も、それが「真理」で「正しい道」で、それ以外は「間違い」だ、というスタンスで語られたなら、それは何らかのプロパガンダ作品に堕ちるわけですが。

実際の台詞はほとんど、「吉田茂」や「白州次郎」や「ダグラス・マッカーサー」や、そのほかのさまざまな実在の人物が、実際に誰かに語ったとされている言葉たち。

そういう考えで日本を動かそうとした人がいたんですよ、という、そういう作品。



戦後の日本を束ね、経済復興への道筋をつけた吉田茂。

彼の懐刀として、裏で日本経済の、日本外交の基盤を作った白州次郎。

彼らが、時に正面から、時に搦め手から全力で対抗しようとしたGHQ総司令官マッカーサー。



形式上の主役は白州次郎ですが、作品の主題はこの3人による日本経営であり、敗戦国の自尊心、モチベーションの保ち方。
なによりも、一番に「吉田茂」なんだよなぁ、と、
汝鳥さんの名演技を観ながらしみじみと感じ入りました。

裏も表も使えるコマは全部使って、
時には姑息に、時には大胆に、
日本の国益と日本国民の幸せを、勝ち得るため、に。





で。

だいぶ話が飛んでしまいましたが。

私はこの作品、実は結構泣いたわけですが。
キャストさえ“本来の”キャスティングがなされていれば、私の中の名作カウントに入った作品かもしれないなー、と思っていたりします。

では、何が間違っていたかといえば、

なんといっても白州次郎とマッカーサーの年齢設定、なんですけどね…。


だって。
白州次郎が老練な政治家で、マッカーサーが未経験な若者では、話が成立しないんです!

マッカーサーが百戦錬磨で、17年も祖国に帰ることなく転戦し続けてきた有能な軍人であり、白州次郎が恐れを知らぬ自尊心の高い働き盛りであればこそ、土下座の意味があるのです。

ちなみに。終戦(1945年)当時の実年齢は、白州次郎43歳、マッカーサー65歳、吉田茂67歳。
宝塚作品でこのとおりの年齢でやることはできませんが、せめて白州次郎30歳、マッカーサー45歳くらいの設定で考えてもらいたかったなあ、と。


タニちゃんの白州次郎、轟さんのマッカーサー。
こうだったら、もう少し面白くなっただろうに、と思うのです。



それからもう一つ、蘭トムくんが演じる辰美英次のキャラクターが…

広島で家族を亡くした彼と、真珠湾攻撃で弟を亡くしたグルーパー中佐(悠未ひろ)の対比の面白さに、本公演では気づかなかったんですよね、私。

日本軍の、宣戦布告無き不当攻撃と、
アメリカ軍の、非戦闘員に対する無差別攻撃と。

いずれも国際法的に禁じられた戦闘行為による、二つの“家族の死”。それを表現する、二人の態度の違い。

感情豊かに激しい怒りを爆発させ、日本人を皆殺しにしたいくらいの勢いで激するアメリカ人(=グルーパー中佐)と、
黙って哀しみに耐える日本人(=辰美)、という対比に使われるはずのキャラクターだったと思うのですが。

……蘭トムくん、熱すぎます…。

この対比という点に関してだけは、新公のカチャと暁郷(この二人同期なんですねぇ…しみじみ)、お二人を観て初めて気がつきました。面白い表現だったと思います。





ほんの戯言ですが。

この作品、今の花組出上演したら面白かっただろうになぁ、と思っちゃいました。

真飛さんの白州次郎(洒落者でやんちゃな野郎系)
祐飛さんのマッカーサー(フィリピンでの場面は無しでもいい)
壮ちゃんの辰美(クソ真面目で素朴で、一生懸命な軍人)
みわっち(愛音羽麗)のグルーパー中佐
まっつ(未涼亜希)のブレストン大佐

………ぴったりのような気がするのは私だけっ!?

女性陣も、役が豊富なので面白そう。マッカーサーの出番を減らせば、吉田和子にすみ花ちゃん、ジーンにきらりん、従軍記者のポーラにれみちゃん、でぴったり♪
ブギの女と東京ローズは、一花ちゃんかさあやちゃん(どちらがどちらでも)が希望です(^ ^)。



…なーんて、あり得ないからこそ暢気なことを言っていられるんですけどね(笑)。

もし、お気を悪くなさった方がいらっしゃいましたらごめんなさい!!ほんの思いつきなんです…

今の私が本気で花組本公演で観たいと思っているのは、まずは決定済みの「血と砂」、そして「黒い瞳(もちろん謝演出)」の、2作品です(*^ ^*)。(←マジ? ・・;)




ウメちゃん、
ウメちゃん、
ウメちゃん、

だいすきだから、

わすれないから、

まっているから、


ウメちゃん………(T T)。



東宝の休演は、やむをえないと思っていました。
丸々一公演を終えて、役替りをするようなもの。今の大劇場→東宝の短いお稽古期間では、多分無理なんだろうな、と(理性では)予想していたので。

でも。

でもまさか、梅田芸術劇場「雨に唄えば」まで休演とは…。



不安で心配で、いたたまれない。
いやなことばかり考えてしまう。



好きな人が楽しそうなら、しあわせ。

好きな人が辛そうなら、哀しい。

好きな人ががんばっているから、がんばれる。

ファンとはそういうもので、
私はそんな、単純なファンで。





でも。

ウメちゃんはがんばっているだろう(絶対!)から、

それが心の底から信じられるから、

だから。




がんばれ、ウメちゃん。



……待ってる、から。




ウメちゃん、
ウメちゃん、
ウメちゃん、

だいすきだから、
わすれないから、
まっているから、

だから、ゆっくりやすんでね…。




ここ数日忙しくてあまりネットを見ていなかったので、夜野さんのブログではじめて状況を知りました。

ウメちゃんの順調な快復を心から祈っています。

お稽古中の怪我、ということで、その場にいた宙組さんのメンバーも、さぞ衝撃は大きかったことでしょうね。怖いです。
トラウマが残らなければいいのですが。
やっぱり、舞台人にとって「怪我」って怖いものでしょうからね…。

でも、ここであせらないでね>ウメちゃん&劇団。
怪我を克服して復帰したダンサーはたくさんいます。でも、快復途中で復帰して、無事だったダンサーはいません。

どうぞゆっくり養生して、
しっかり治して、
ついでに他に悪いところがないか調べてみたりなんかして、

次にお会いするときは、100%の笑顔を見せてくださいねっ!!



かわいいウメちゃん、
かっこいいウメちゃん、
キレイなウメちゃん、

あせることはないよ。
みんなあなたがだいすきだから。
なかないで、
ちゃんとなおして、

また、喝采とライトをたんまりとあびておくれ。



だいじょうぶ、
だいじょうぶ、
だいじょうぶ、
きっとウメちゃんはだいじょうぶ、

あなたも、おおぜいのひとにあいされているのだから。



代役を務めるたっちん・まさみちゃん・カチャ、
さらにその代役をつとめるみなさん、
そして、彼らをフォローし、支えるみなさん……

ウメちゃん抜きの闘いに臨む宙組さん全員にとって
喜びのある公演になりますように。

.
昨日(22日)は、宙組大劇場公演の集合日だったんですね。

遠征中のため書き込み出来なかったのですが……。



美郷真也さん、
音乃いづみちゃん、
彩羽真矢さん、

以上三名の卒業が発表されてしまいました(ノ><)ノ。


彩羽さんは、ごめんなさいm(__)mわからないのですが…


いづみちゃん。
樹里ちゃんの主演バウ「FREEDOM」で、下級生ながら天羽たまちゃんと美声を響かせていた美少女。

新公ヒロインが決まった時は驚きましたが、最近は芝居でも歌姫としても重宝されて、いい感じだったのに……(泣)



そして、まりえったさん。

温かな声。
風貌。

懐の大きな、保護者的な役割を果たす大人をやらせたら天下一品!
月組から組み替えして行ってしまった時は淋しかったけど、雪組さん(今は宙組ですが)を観にいけばお会いできたのに…(涙)
組長として、波乱の多かった宙組をまとめ、支え、芝居を成立させてきた立役者。正直で優しい、頑固親父なんて、本当に素晴らしかった……(はぁと)

いつか専科に行って、月組にも出演してくださる日が来るものと信じていたのに……。

夢は叶わなかった。
マリエさんは、宙組の大劇場公演に出て、東宝劇場に出て、そうして卒業してしまう……。

悲しくはありません。

でも。

たぶん、他の誰が卒業すると聞いても、こんなにぽっかり淋しくなったりはしないんだろうな……(涙)



マリエさんの、いづみちゃんの、

この公演でのさいわいと、
これからの人生にしあわせを。





集合日に新公配役がでるのも、最近では珍しいですよね?
嬉しかったのは、春風みーちゃんの吉田茂(はぁと)

汝鳥さんの役、っていうことで、ものすごく勉強になるだろうし♪すごーく楽しみです!

マリエさんといづみちゃんの幸せと、

宙組さんのさらなる発展を、

心の底から祈りつつ。



.
今日はバウホール公演「hollywoodLover」の発売日。
私にしては珍しく、かなり本気で取り組んだのですが。

…もちろん玉砕(茫然)。


今回、一般にはいったい何枚出回ったんですかっ!?(泣)。身内で埋まっちゃうんなら公演回数増やしてくれよっ!!(ヤツアタリ)。

……青年館は、頑張ります。ハイ(号泣)。



気を取り直して、本題。

宙組全国ツアー「バレンシアの熱い花/宙ファンタジスタ」を、観て参りました♪


東宝で観て以来、約一ヶ月。

バウ主演コンビのみっちゃん(北翔海莉)とたっちん(和音美桜)、花影アリスちゃんたちが抜けて、下級生が大活躍していました♪

そして
ウメ(陽月華)ちゃん、ホントにホントにホントに素敵だったよ〜!!(はぁと) 



役替わりの1番の目玉=七帆くんのロドリーゴは、期待していたほどサド系ではなく(←ナニを期待してたんだオイ)、生真面目な貴族のボンボン系。
どちらかというと、蘭トムくんよりみっちゃんのロドリーゴに近かったかな?

ただ、この人は案外持ち味が優しいんですね。ネバースリープの時はあんなに鋭利な雰囲気を纏っていたのに、今回は、本来の情の温かさと柔らかな光が滲み出てしまって(そういう役づくりなの?)、情熱ゆえにシルヴィアを追い詰めてしまう愚かさがちょっと足りないような気がしました。
このロドリーゴなら、彼女の過ちも許せてしまうんじゃないか!?という感じ。そこだけが、少し残念でした。



みー(春風弥里)ちゃんのドン・ファン・カルデロ。…あの、声の良さと台詞の巧さ!あれは、本当に新公学年とは思えません(惚)。ラストの、父親(ホルヘ=寿つかさ)とのやりとりも、情があってとても良かったです。

ただ、「気障」は…、そ、そんな要素はかけらも見つけられなかったよ…?(T T)。
お願いだから、技術に見合うだけの外見を、本当に早急に身につけてくださいまし…(さめざめ泣)



娘役二人、マルガリータの天咲千華さんとローラのすみれ乃麗さん。どちらも新公キャストですが、新公の時よりずーっと良かったです。
天咲さんは歌がだいぶ安定したし、すみれ乃さんは芝居に勢いが出てきたな、と。

そして(多分一番大切なこと)、二人とも可愛いですよねえ〜♪♪


 

ともちん(悠未ひろ)は、本当にほんっとーに素晴らしい役者になって(感涙)。ルカノールはホントに素敵です!
しかも、ショーの火星での珠洲さんとのエロエロダンスがグレードアップしちゃってo(><)o。一人でハクハクしちゃって大変でしたわ(苦笑)。

ここ(火星)は、ウメちゃんが最高にかっこ良くて、七帆くんが色っぽくて、すっしいさんや珠洲さんやみーちゃんたちが後ろでガンガン踊っていて、目玉があと10個くらい要るんですけどっ!!
なんであんな、一つの場面になにもかもぶち込むんですか藤井さん…(泣)。もうちょっとバラしてくれてもいいと思うんだけど?



エトワールは、ともちんと大海亜呼ちゃん。
みっちゃん&たっちんの歌神コンビの後なので心配してしまいましたが、全然OKでした♪お二人とも本当に上手いですね!聞き惚れました♪



今日は外からなので、短いですがこの辺で♪♪


この週末は、「専科エンカレッジコンサート」で思いっきりオジサマ落ちしてました…という話はまた後日。まずは、先日書きかけて途中で終わってしまった、宙組公演のお話の続きを。



まずはちょっと、ロドリーゴについて追記をさせてくださいませ。
なんか、ちょっとバウのポスターが出たりして頭がみっちゃんしていたせいで、蘭トムくんのロドリーゴについてはとおりいっぺんのことしか書かなかったような気がするのですが。


シルヴィアさんとの激しいラブシーン、本当に凄かっ、いやえっと、素晴らしかったです(*^ ^*)

いやー、それまでずっとクールに冷めた瞳で、苦しむシルヴィアを無感動に眺めているだけに見えたのに。ふいに燃え上がった激情にかられて、“ぐいっ”と効果音が入りそうな勢いで引き寄せ、力づくで抱き寄せて、くちづける、その激しさといったら!!
…思わず見ていられなくて目を逸らしてしまったくらい、本当にドキっとしてしまいました…。



こういう激しさというか、恋の「抑圧」と激情の「解放」の落差の大きさ、それががロドリーゴのドラマなんですね…。そう、この熱がドラマを動かすのよ。やっぱり、脚本的に準主役になるのはどうしたってロドリーゴなんだな、と実感した瞬間でした。

…この役を、まぁキャラ宛とはいえ、役替わりするとはいえ、スターシステムで動く宝塚において、明らかに組内2番手である蘭トムくんに振らなかったのは……
演出の中村暁さんは、この脚本をどう理解して演出したのか、あらためて話を聞いてみたいわっ!

そういえば。
月組、花組、星組、と、第三回まで連続で宝塚を取り上げてくださった日本演劇協会の演劇フォーラム。
第4回のテーマは、朗読劇「女の一生」だったんですね(涙)。
もう宝塚は取り上げてくれないのかなー。この「バレンシアの熱い花」も、次の月組の「まほろば」も、いろんな切り口で分析できる、しっかりした良い作品だと思うのですが。
……演出家の話を聞く機会って意外とないものなので、楽しみにしていたのに、残念だー。





と、いうわけで、
ともちん(悠未ひろ)のルカノール公爵について(ぽっ)。

…そんなに格好良くてどうするんだ?としか言いようがないくらい、本当にカッコイイんだよ〜〜!!(壊)(←おい)



この「バレンシアの熱い花」には、脚本上、大きな穴がいくつかありますが。

そのうちの一つが、「何故ルカノールはシルヴィアを奪ったのか」だと思うんですよね。
わざわざ自分の後継者として指名した男の恋人を、何故?というのは、この作品を観劇した人なら誰もが抱く疑問だと思う。

ま、穴は他にもたくさんありますけど(苦笑)、
私の個人的な解釈ですが、これについては、一つの怪盗じゃなくて回答が与えられていると思っています。


シルヴィアの気持、という回答が。


…シルヴィアは、ルカノールとの結婚について、「父の命を救うために、嫌だったけど仕方なく」とロドリーゴに語っていますが。


絶対違うと思うのっ!!
シルヴィアは、一瞬かもしれませんが、ルカノールに恋をしたの。ロドリーゴを忘れて。
だから結婚を承諾した。それが、すべての始まり。



ルカノールは、甥の恋人が心変わりして自分を撰んだことを知っていた。
だから、甥の機嫌を取るためにわざわざ後継者に指名したの。自分の甥に叛旗を翻させるために、わざわざその恋人を奪ったのではないし、後継者指名したんでもない。
「今後私とシルヴィアの間に子供が生まれても、シルヴィアを奪った替わりに、私の全ての財産はお前に贈ろう」と。




年甲斐もなく若い娘(シルヴィア)に恋をした中年男(ルカノール)が、娘の方もその気になってくれたことに狂喜し、妻に迎え、…そして。

妻の昔の恋人(自分の甥)の帰還に不安を抱く。

…妻は弱い女だ、と………。



ロドリーゴと再会したシルヴィアは、目を逸らし続けてきた自分の罪と向き合う。
父を庇ってくれたルカノールに対して抱いた思慕が、今の自分を責め苛む。弱い彼女は、それに耐えられない。

だから咄嗟に、嘘を吐く。
「父を救いたいなら妻になれ、と…」

すべては、シルヴィアの、哀しい嘘。
自分の罪を認められない弱さゆえ、に。



だから、シルヴィアは死ななくてはならない。

気の迷いだったにせよ、一度は本気で慕った男を殺して、恋しい男と結ばれる…そこまで悪女になれない。なりきれない。

だから。

夫を殺す手引きをすることで、自分の罪を許してもらおう。
そうして、全てをなかったことにしたい、と。

そう願って、死を撰ぶ。




…「ともちん素敵っ♪♪」と舞い上がった大劇場の時から、漠然と、そんなことを考えていた(らしい)のですが。

確信を抱いたのは。
「甥を後継者に」と宣言したあのパーティーで、ロドリーゴに「美しい奥方をしばしお借りします」と言われ、踊る二人を見守るルカノールの、表情でした。

昏い、顔。
この世の全てを憎んでいるかのような。



ルカノールについては、もっとイロイロ語られているような気がしていたのですが、あらためて観てみると、彼の人格や人生についての説明って全く無いんですね。
っていうか、あれっ?と思ったくらい出番も少なかった(涙)。

セレスティーナを愛していたこと、フェルナンドの父を殺してボナパルトについたこと、パーティはいつも盛会なこと…それくらい?軍人としてはレオン将軍の方が上っぽい(ルカノールの部下は、すっしーさんのバルカはじめ、駄目なのばっかりだから)けど、ナポレオンについたってことはそれなりに政治力はあったんでしょうか…?
ホルヘたちの調査報告に対して「放っておけ」と言い放つ感覚がちょっと謎なのですが。でも、レオン将軍のことは信じている?それとも、老いぼれとみて「何もできるまい」と蔑んでいるのでしょうか?

いや、単に“時代を見る目”が弱かったのかもしれませんね。領民たちの不満にも気づいていないっぽいし。


…まぁ、そういう意味では時代劇にありがちな「悪代官」設定だと思えばいろんなことがすっきりするんですけど。
あえてこの役をともちんに振ってくれたので、イロイロ想像をめぐらせてしまいます(^ ^)。

ともちんの芝居って面白いですよね♪その人の人生をしっかり考えさせてくれます。裏と表があってこその人間、っていう気がするの。私はああいう、深みのある芝居をする人が好きです♪♪(←ファン丸出し)


ルカノールは若い頃、セレスティーナに恋をしていた。
この設定を勝手に拡げると、面白い設定が作れます。

フェルナンドの父親とセレスティーナが、歳の離れた夫婦だったとする。
例えば、デルバレス侯爵35歳、セレスティーナ24歳、とか。
そして、ルカノールはセレスティーナより少し年下。たとえば、20歳。(年齢設定はてきとーです)

これって、そっくりルカノール、シルヴィア、ロドリーゴの年齢として設定可能なんですよね。
少し年上の従姉妹(?)に憧れる若者、って感じになりますが。
実際、美羽あさひちゃんのシルヴィアはちょっと年齢も上めに作っていらっしゃるみたいだし。

ルカノールは、シルヴィアを妻に迎えた時、甥の気持ちを想像して、自分が若い頃の絶望を思い出す。
それでも、今更手放せないくらいにはシルヴィアを愛していた。もしかしたら、彼女にはセレスティーナの面影があったのかもしれない。

そして、前領主の暗殺も、半分はセレスティーナを手に入れるためだったかもしれない(…邦さんじゃそれは無理?←失礼な)。

おお。そう思うと、この作品って元ネタはハムレットなんですね!!

デルバレス侯爵=ハムレット王(王子ハムレットの父王)
ルカノール=クローディアス
セレスティーナ=ガートルード


…ハムレットではガートルード一人だった「女」が、セレスティーナとシルヴィアに分裂しているのは、王子ハムレットがフェルナンドとロドリーゴに分裂しているせいだと思うんですよね。オフィーリアはマルガリータに微かに面影を残すのみ、という感じですが。
そして、なぜそんな風に分裂させることになったか、といえば、やっぱり当時の月組の状況に合わせて役を増やす必要があったから…、ということではないか、と。

それにしても、なんかハムレットネタ多くないですか?最近。月組の「マジシャンの憂鬱」も、墓守だのなんだの、キャラ設定がハムレットのパロディっぽいし…




で。

この「バレンシアの熱い花」という作品が、ハムレットを本歌取りして説明を省略しているのだとすれば。

デルバレス侯爵とルカノールは、兄弟ではないにせよ、兄弟のような関係だったのではないか?
そうなると、年下(と思われる)のルカノールが、デルバレス侯爵を兄と慕い、憧れを抱いていた、という可能性が高い。


そしてある時、
…憧れが殺意に変わった、としたら。


憧れの人を殺した時、彼は平静でいられるだろうか?
この手で死の使者を送った時、彼は自分の心の平安を替りに差し出したのではないか、と。



クローディアスが罪の意識に苛まれ、必死で神に祈っていたように、
ラストシーンでは自らも崩壊してデンマークを滅ぼしてしまったように、

ルカノールもまた、自分の作った「世界」を食い荒らす白蟻たち(レオン将軍とその一味)の存在からあえて目を逸らし、部下たちの諫言に耳を貸さず、「世界」が崩壊するのを待っている。



「黒い天使」なんていう意味のないパフォーマンスが中心になってしまうところが、宝塚らしいショーアップの仕方というか、中村暁さんの勘違いというか…。
その表現の仕方には不満はありますが。

「黒い天使」が現れても、何の手も打たないルカノールには、そういう彼自身の鬱屈があったんじゃないか、と。

憧れの人、尊敬する先輩、いやもしかしたら、“恋しいひと”に暗殺者を差し向けたならば、
そりゃー、壊れちゃうよね、と…




……そういう、腐女子にピンポイントヒットな脚本だ、っていう解釈はいかがなもんでしょうか、柴田さん?
(←腐猫め〜〜っ!!)


そういう妄想をかきたててくれたともちんの芝居は、ホントに面白かったです。っていうか、すいません、一から十まで全部妄想ですってばっ!!赦してっ(涙)



…っていうか、新公の暁郷くんのルカノールは、最初のパーティの時、どんな顔してたんだろうか〜〜(涙)。観てなかった(フェルナンドに一点集中していた)ことが悔やまれます……。





話は変わって。
七帆くんのドン・ファン・カルデロ。

今更ですけど、復帰おめでとうございます。
やっぱり華やかですね、彼は。
CSのインタビューで言っていた「いつも上手から出てくるから、左側の顔しか見せないんですね…」という話から、左側だけイヤリングを着けることにしたのでしょうか?確か大劇場ではしてなかったと思うんだけど。
気障度があがってて、なかなか良かったです(はぁと)。


全国ツアーは、ロドリーゴでしょうか。それとも、ドン・ファンのまま?どちらもありそうですが、どちらにしても楽しみです♪いや、個人的にはサドな七帆くんも好きなので、ルカノールも観てみたいなあ(←眼鏡はかけないと思うけど?)(←要するになんでもいいんだなお前?)




今週はバタバタしていて、蘭トムロドリーゴ版はもう観られなさそうですが。最後にもう一度、みっちゃんのロドリーゴを観たいなー、と思っています。
…ともちんのルカノールは、みっちゃんのロドリーゴにはどんな芝居をするんだろう…(←そこか)



宙組東宝劇場公演「バレンシアの熱い花」を観て参りました。
大劇場公演を観劇した時の日記はこちら。
 http://diarynote.jp/d/80646/20070701.html



まずは、タニ(大和悠河)ちゃんのフェルナンド。

大劇場で1ヶ月半、東宝で半月。
それだけの時間をかけて、タニちゃんの芝居もものすごく変わっていました。
特に、印象的に変わったなーと思ったのは、ラストの決め台詞。

「私のイサベラも、死んだ…」

これを、タニちゃんは、自分に言い聞かせるように言うようになったんですね。



…なるほど。そういう解釈があったのか、と、目から鱗でした。


私が期待していた、というか勝手に想像していたラストは、ちょっと違うものだったのですが(私の想像には、新公の春風弥里さんの役づくりの方がフィットしていました/汗)、

『タニちゃんの』フェルナンドは、確かにここで自分にそう言い聞かせてしまうキャラかもしれません。そういう意味で、一人のキャラクターとして矛盾のない役作りにはなっていたような気がします。



最初の、レオン将軍を訪ねて来た時から、キラキラソラソラどうして…じゃない、キラキラした瞳の「美青年」。
ちょっとヤンチャで、レオン将軍にそそのかされて始めた「黒い天使」ゲームを、すごく楽しんでいる、少年。
そういう役づくりでしたよね?


そして。
イサベラとの恋は、遊びの恋だった。
そのはず、だった。


…タニちゃんのフェルナンドは、自分がイサベラに本気であったことに気づくのは、ラストですよね?

台詞の上では、マルガリータのことを打ち明ける時に「でも、君を本気で愛している」と言いますが…、タニフェルナンドもそのつもりなのかもしれませんが、本当の本気とはちょっと違う。


で。
ラスト、イサベラに別れを告げられた時。

“あれ?なんで俺、こんなに落ち込んでるんだ…?”

っていう顔をしているんですよね、タニちゃん(T T)。


ああ、こういう解釈があったのか…、と。本当に驚いたのです。
なんだか、驚愕のうちに幕が降りた、というかんじで。



「酸いも甘いも知り尽くした大人の恋の物語」が、

…キラキラしたソラの国の王子さまと、リアルに“生活”をしている“夢見がちな”女の、夢の恋物語になっている。



正直なところ。
「若さ」「純粋さ」を最大の魅力としているタニちゃんに、どうして劇団はこんな複雑微妙な大人の役をふったんだろう?という疑問は、どうしても消すことができません。

ドラマシティ公演「A/L」を観た時に抱いた疑問…「本公演のお披露目前に、ココまで宛書の作品をやってしまって、次からいったい何をするんだろう?」が、現実になってしまったような気がして………(涙)。

大劇場で観た時は、まだ始まったばかりで周りも手探りだったこともあって「ま、これからに期待♪」と思っていたのですが。

今回東宝で観て。

…ああ、やっぱりな、と。


あのフェルナンドと、マルガリータの未来が、私には全く想像できないんです。
「私のイサベラも、死んだ」この台詞と共に幕は降り、物語世界は消滅する。
崩壊するんじゃないんです。消滅するんです。
元々そこには、何も無かったかのように。


新公フェルナンドとマルガリータの、おままごとのような、けれども穏やかで暖かな日々は、なんとなく想像が出来たのですが。
物語世界は幕を閉じるだけで、崩壊も消滅もしなかったんですよ、新公では。

でも。
よーく考えてみると、そういう解釈もありなんだな、と思うのです。幕が降りた後のことなど、想像する必要はないのですから。



タニちゃんの個性は、「リアル」を完全に飛び越えたところにあるんですね、今は。

月組時代は、「長い春の果てに」のブリスとか、結構「リアル」な役も多かったし、それが魅力だったと思うのですが…
「今のタニちゃん」は、あんなにキラキラソラソラしているのね!!凄い!!あの輝きで組から浮き上がってしまうのではなく、「宙組」という新しい若い組をさらに輝かせることができれば。

今はまだ、地平線の向こうは見えないけれども、

…次の作品も、とっても楽しみです。




ウメちゃんのイサベラは、大劇場でもとっても良かったのですが、今回はまた、大劇場で足りなかった『大人の』色っぽさがあって、脆さのない、しなやかな強さを得て、さらにさらに、とても良くなっていました。

別れを告げたあと、立ち去りながらフェルナンドの心を表現する音楽に翻弄されるイサベラの、哀しい美しさ。
花道の壁にすがりついて、意地でも振り返るまい、振り返ったらまた駆け寄ってしまう、それは地獄へ堕ちるのと同じこと、と自分に言い聞かせて、でも身体は振り向いてしまう、止められない、留められない………どうすればいいの、どうすれば!?
…万感の思いをこめて一瞬だけ背後に視線を投げて、握っていたショールを抱きしめてまた向き直る。その…長い一瞬。

観ているこっちが胸を締め付けられて苦しくて、切なくて…
本気で泣けました。
台詞なんて一言もないのに、あれだけの表現をしてのける…ダンサー・ウメちゃんの身体表現力というのは凄いなあ、と。

歌さえ………、とは思いますが、でも、イサベラの歌は私はOKでした(^ ^;。ショーは……(無言/怒)って感じでしたけどねっ(苦笑)。




(蘭寿)トムくんのロドリーゴ。

…さすがは“男役の”と枕詞のつく花組で育っただけのことはあるな、と。
衣装の着こなしも、立ち居振舞いも、見事に「貴族」そのもので。

そういえば私、蘭トムくんの「身分の高い」「傲岸な」などの形容詞がつくような役を観るの、初めてかもしれないなー。どちらかというとわんころ系の役しか観てないような…
あ、慶喜があったか!あれもまさに、「身分の高い」「傲岸な」でも「真摯な」キャラクターだったな。そして、私は蘭トムの慶喜がとってもとってもダイスキだったのでした。

大劇場で観た時は、あまりにもラモンが嵌り役で、この人にロドリーゴをやらせるなんてなんて不憫な……と思ったりしたものですが。
なんのこたーない、ロドリーゴも負けず劣らず素敵でした(*^ ^*)♪


そして、前回観た時の「ロドリーゴが2番手の方が、芝居として良いような気がする」という感想が、裏付けられたなー、と。
フェルナンドとロドリーゴは、同格じゃないとやっぱり話が合わないんですよ!フェルナンドとロドリーゴが物語の2本柱で、同格で存在して、そこに物語を掻き回す役としてラモンが絡む。

別に、ロドリーゴが蘭トムになったからと言って台詞が増えたり出番が増えたりしたわけじゃないですし、蘭トムとみっちゃんでそんなに実力的に差があるわけではないのですが、
フェルナンドとロドリーゴが並んだ時、タニちゃんと蘭トムだと「同格」に見えるのに、タニちゃんとみっちゃんだと「弟分」に見えてしまうのは…

…こちらが学年差やら月組時代の関係を知っていて、先入観をもって観ている、のかもしれませんね………。ごめんね、みっちゃん。




という訳で、ラモンはみっちゃん(北翔海莉)。

いやー、良かった。びっくりするほど良かったです!
ラモン役単体で、と思うと微妙ですが、フェルナンド&ロドリーゴ&ラモンという3役のバランスで考えたら、私は蘭トムロドリーゴ、みっちゃんラモンの役替りバージョンの方が好きかも、です。

…歌も多いしな、ラモンは。


いや、本当に良かったです、みっちゃん。
色気はないけど、ラモンって別に色気がなくても大丈夫な役だったんだな、と。
イサベラを想う気持が真っ直ぐで、気恥ずかしいほど本当に真っ直ぐで。ラスト、フェルナンドが「イサベラを頼む」と言った時の反応の初々しさに感動してしまった私。

フェルナンド邸の前でのイサベラとの場面も全然違ってましたね。蘭トムくんは確か、しーっかりと(片手で)イサベラを抱きしめてしまって、イサベラにかなり強く突き放されていたと思うのですが、みっちゃんは抱きしめようとしてなかなかできなくて(←クラリスに抱きつかれてジタバタしているルパン三世みたい)、「よし行くぞ!」と思った瞬間に逃げられる…まさに、腕の間をすり抜けるようにイサベラが離れていく感じ。

しかも、離れたイサベラに向かって腕を伸ばすこともせず、俯いて歩き去るイサベラを背中で送る。拳を握りしめて、

…男泣きに。



いや、本当に(←しつこい)良かったんですよ、みっちゃんラモン。化粧以外は。いや、化粧と衣装以外は、な…

…みっちゃん、何故あなたはみっちゃんなの………(泣)。


どうしてみっちゃんだけ、黒塗りの額がまだらになったり、登場した時はそこそこ白かったハズのシャツの襟が、祭の頃にはまっ茶っ茶になるなんてことが起こり得るんですか?
みっちゃんって、もしかして戸井勝海さんレベルの汗かき(←失礼な。泉見洋平くんレベルと言ってくれ)(←もっと失礼)なの?それとも、肌が弱いとか何かの事情があって、皆が使っている落ちないつかないファンデ(←そんなものあるの?)が使えないとかなの…?

少なくとも、蘭トムのラモンはあんなことにはなっていなかったと思うのですが(泣)。


ああ、どうしてあなたはみっちゃんなのっ!?
そう、襟首掴んで問いつめたい気持でいっぱいです……。



ああ、(毎度のことながら)思いもよらず長くなっちゃった(涙)。
……ルカノール公爵については、次回また(←いつだ)




宙組東宝劇場新人公演「バレンシアの熱い花」を観て参りました。

明日の朝は早いので、
…というか、本公演を観たのが大劇場始まってすぐの時以来。今の、東京に来てからの本公演を観もしないでなんだかんだ語るのはまずいよなー、と思いましたので、

今のところは、特に印象に残ったところだけ簡単に。



新公演出は生田大和さん。
月組「パリの空よりも高く」と同じ演出家ですが、やっぱりこの人の演出は結構心理描写が細かいなーと。
本公演の中村演出が、どうも心理描写をすっ飛ばしているところには疑問を感じていたので、そこをクリアしてもらってだいぶ観やすくなったなぁ、と。

それはやっぱり、彼の功績なのではないかと思います。

……本公演の方も、大劇場公演を丸々終えて、再度お稽古をして東京に来ているのだから、さぞ進化しているんでしょうね(^ ^;。
観てナイのにすみません(汗)。



フェルナンド・デルバレスのみーちゃん(春風弥里)。
…役者は、ましてや柴田役者は声だな、と、心の底から思いました。

見た目(特に化粧は問題ありすぎです/涙)や所作は、これから磨いていただければなんとかなる(かも)(是非!)

でも、あの声は本当に天性のものなんだな、と。

持って生まれた喉の強さ、声が響く咽頭のつくり、そして、(これは訓練かもしれませんが)滑舌のよさ。
台詞が明瞭で、声の響きが深く柔らかで、歌に情がある。

なんだか、ひさびさに「もっと聴いていたい…」と思った声に出会った気がしました。

ダンスは…踊れる人のはずなんですけど、、、、衣装の着こなしが悪いのかな?(本役がタニちゃんだもんな…気の毒な)

なんとなく、ですが、所作の一つ一つ、動きの一つ一つにちょっと重たい印象があったのが残念な感じでした。
もう少し「見られる自分」を意識して、脚をまっすぐにして立つとか、体型の補正に合わせた仕草(肩を補正したなら、その状態で腕を奇麗に動かすにはどうしたらいのか)とか、そういう細かいことに意識を向けてみたらいいんじゃいのかなー、な〜んて思いました。

いや、そんなことよりどんなことより、まずは化粧を………ねぇ(涙)

まぁ、見た目はともかく(え?)(メンクイの猫が言っても説得力ないよ)、声は本当に得難い声だと思いますので。
ぜひ、声に見合った姿を、一刻も早く手に入れていただきたい、と、強く思ったのでした………。



そして、今回の新公、立役者が二人。
セレスティーナの和音美桜と、レオン将軍の八雲美佳。

…生田さんは、専科・組長格の役者の役に思い入れでもあるんでしょうか?「パリの空よりも高く」でも、エレノールの青葉みちるはじめ、専科チームの上級生が皆、本役と全く違う役作りで物凄〜く良かったんですよね。
多分、本人の実力以上に良かった人もいたと思う。

「芝居」を作る上での、「脇筋」の役者の重要性。

それを本当に意識してくださる演出家は、ありがたい存在だなあと思います。それでこそ、彼らのやる気も出るでしょうし、彼らが「面白い」と思って動いてこそ、下級生もついていくものでしょうから。

主演者は、多少拙くても、ある程度までは作品でカバーすることもできますが、「脇筋」がしっかり組み立てられる役者に出会えない作家(演出家)は気の毒ですし、逆にそういう人を育てることこそ、新公演出家の大事な仕事だと思うのです。

…だから私は、生田さんには結構期待している訳なのですが。



というわけで。
侯爵夫人セレスティーナ。

……たっちんは、歌が巧いだけの人じゃないんですね。
声そのものが素晴らしいんです。台詞の声が。

マルガリータは、あの「清純さ」を出すのに若干苦労していらっしゃいましたが、セレスティーナはまさに「貫禄」の巧さでした。
ああいう気品のある役があんなに似合うんだ…と嬉しい驚き。
ドレスも奇麗に着こなして、化粧も美しくて、ルカノールの暁郷(…たっちんより下級生なんですよね…それも驚きだよ…)に
「昔愛した貴女」と言われる存在としての説得力もばっちり。

ただ、物語の終盤、「黒い天使」を追って邸へ踏み込んできたルーカス大佐(蓮水ゆうや)を退けようとするところなどは、もう少し強くてもいいのになーと思いましたが。
下手に強く言うと「きゃんきゃん」と喚くような印象になってしまうのであえて抑えたのでしょうけれども、もう少し凄みがあると良かったのになー、と。
不満はそのくらいです。本当に。

長としての挨拶まで含めて、本当に素晴らしかったです。
ありがとう(はぁと)そして、お疲れさまでしたm(_ _)m。




そして、レオン将軍の八雲美佳。

本役(美郷真也)の巧さに及ばないのはある意味当たり前なんですけど(宝塚ひろしといえども、まりえったさんより芝居の巧いひとなんて何人もいないんですから)、
独自の解釈で、かなり違った「レオン将軍」像をつくられていたことに感心しました。

レオン将軍って、脚本的には、かなり遣り手で、フェルナンドたちの行動もほとんど指先で操っているくらいの存在のハズだと思うのですが。

まりえったさんがやると、どこからどうみても好々爺なんですよね…(汗)。
一番素敵(胸きゅん☆)なのは、邸でセレスティーナとお茶しながら、孫娘(マルガリータ)の心配をしている図……って感じでしたから。


八雲さんは、脚本で描かれている以上に有能で腹黒い、いや黒いは言い過ぎかもしれませんが、裏のある人物に見えました。
そうなると、フェルナンドの若さが生きてくるというか。

他にもいろいろ、ポイントポイントで「なるほど!」と思ったり、本公演で「?」と思ったことがいろいろ解けてくる新公、でした♪(笑)





で。
みーちゃんフェルナンドで面白いな、と思ったのは、最初のレオン将軍に挨拶に来た場面。

まっすぐで生真面目な青年士官、というのがぴったりの形容詞だったんですよね。
マルガリータ(天咲千華)がまた、まさに人形のように可愛らしくて。口を開くたびに大変なことになっていましたが、一心にフェルナンドだけを憧れの眼で見凝めている様がぴったりで。

こんな、生真面目でおかたそうなフェルナンドだったら、よく似合うだろうけど、他の人じゃ無理かも…というくらいの浮世離れした「記号としての少女」そのものでした。



そんな「少女」とお似合いの青年士官が。
レオン将軍の企みに乗り、芝居を始める。

豪放磊落な振りをして、酒場に行って遊んでみたり、女を口説いてみたり、

でも、あくまで芝居なので色気は無い



イサベラとの恋も、最初は芝居のつもりだった。
遊びでさえなく、ただのお芝居。
たとえイサベラが本気になったとしても、それでも。

でも。

「黒い天使」の正体を見破られた時。

フェルナンドの脳裏を、とっさに「口封じ」という3文字がよぎったかもしれない、
その3文字を意識しての、キスだったのかもしれない、

…最初は。



この、燃えるような眼をしたバレンシア娘に、
恋をしてはいけない。
私には帰るところがあるのだから、と…


そう、思って。


それでも。
全てを成し遂げて、凱旋を果たした時に。
イサベラに別れを告げられたフェルナンドは。

ロドリーゴの、血を吐くような叫びを耳にして、思わず呟く。

わたしのイサベラも、しんだ、…と。




…みーちゃん。
私は、あなたの声をいつまでも聴いていたかったです……。







宙組公演の話、お芝居だけ書いてショーをまだ書いていませんでした(^ ^;ゞ。
ちょっと諸々忙しくて(主に仕事が)間があいてしまいましたが、忘れないうちに書いてしまいたいと思います。


…今日の新公はどうだったのかなーーーーーぁっ?CSニュース映像がとっても楽しみです♪♪




「宙 FANTASISTA!」
作・演出 藤井大介、作曲 高橋城。

最初に。私は藤井作品、どれも大好きです。
まぁ、正直なところ、オリジナルの脚本はどうかしらと思うことが多いんですが(苦笑)。ショーにおけるイメージの想起力、舞台の作り方、緩急、ホントに優れたものを持っている人だなあと(勝手に)思っています。

…ま、特異な色彩感覚は大事な個性ってことで。(←いいのかそれで)


残念ながら月組の大劇場作品はご担当いただいたことがないので、私は「藤井作品に本気で通い詰めた」経験は今のところ無いのですが。
今回のショーは、(まぁ好みもありましょうが)宙組にご贔屓さんがいらっしゃる方は楽しく通えるのではないでしょうか?

…通いたいよーーーーーっ。


キラキラしてて、楽しくて、愉快で、可愛い、
そんな、梅雨の晴れ間の青空のような、

ついさっきまで降っていた雨粒が、木立や草の葉の上でキラキラ光っているような、

そんな空間を創り出す、魔法の杖を持ったひとたちと過ごす一時間。





藤井さんのショーを観るたびに、「おもちゃ箱をひっくり返したような」という陳腐な形容句が浮かびます。

子供の絵本に出てくるような、「絵に描いたような」王子さまの誕生。
子供の読本に出てきそうな、夢に見たとおりの A Boy Meets A Girl Story。
子供の頃に絵本で読んだとおりに、次々に起こる事件や襲いかかる苦難に耐えて旅を続ける王子さま。

そして最後に、覚えているとおりのハッピーエンドで華やかに終わる物語。

シンプルで可愛らしい、夢のお話。
そのキラキラ感が、お芝居ではちぐはぐ感のあった宙組の「若さ」とマッチして、楽しい空間をつくっていたのだと思います。



しかーし。

月を皮切りに、
火星(MARS)、
水星(MARCURY)、
木星(JUPITER)、
金星(VENUS)、
土星(SATURN)、

そして、太陽(SUN)、って…


…一週間、なのね?太陽系ではなくて?

この辺が、藤井さんクオリティ、だわ(^ ^)。





一番好きだった場面は、文句なく「MARS」。

「MOON」の、のーてんきで実に楽しそうなバニーボーイたちのダンスがはけて、一息つくかつかないかのうちに出てきたお二人。

フォボスとダイモス、という役名なことは後で知りました。
というか、ともちん(悠未ひろ)と珠洲(春希)さんであることにも、しばらく気が付きませんでした。

とにかく色っぽくて凄かった…。

珠洲さんがダンサーなことは、「ファントム」の従者で「一人しか目に入りません」状態になったときから知っているのですが。
…ともちんって、ダンサーだったんですか…?(←え?いやマジで)

いやあの。
ダンスの技術的なことはよくわかりませんが。
大好きな珠洲さんと大好きなともちんのデュエットダンス♪♪

幸せでした。

プログラムに書いてあります。
火祭りを司るチャネル(北翔海莉)が「神秘的に歌」い、
フォボスとダイモスが「妖しく踊る」、と。

まさに「神秘の歌」と「妖艶なダンス」。
この3人で創りうる世界の広さと深さに、目眩がしそうでした。



そして。

舞台奥に囚われた少女・MARS。


他の星では、星の名前がついているのはすべてタニちゃんなのに、ここだけウメ(陽月華)ちゃんに星の名が捧げられる。

火の星、
怒りの星、
戦いの星・火星。


この場面で。
男たちを従え、羽山紀代美さんの振付で空気を切り裂くウメちゃんを見凝めながら。



いつか。
いつか、萩尾望都の「スターレッド」を宝塚でやる時がきたら。
(←絶対やりません)

是非!ウメちゃんの星(セイ)で。 (←だからやらないって)



あとはどの場面も好きですが。
やっぱり「SATURUN」かな。
タイタンSのすっしー(寿つかさ)さんと、ミマス女Aの大海亜呼ちゃんが凄くて、素晴らしくて、まるっきり別世界みたいで。
かなり集中して観てしまって、疲れました(^^)v




全体的にタニちゃんの「可愛くて王子さま」な魅力がすごく出ていて、さすが宛書の藤井さん、と感心していたのですが。

一つ残念だったのは、荻田さんが星組さんの「ロマンチカ」博多座公演でタニちゃんから引き出した色っぽさ・圧倒的な迫力・「センター」に惹き付ける吸引力といったモノが、まったく出てこなかったこと。

藤井さんは「キラキラ☆可愛い」ばかりではなく、必ず「毒々しく妖艶な」場面を半々くらいでいれてくるのですけれども。
今回、「MARS」はそういう意味で大きなアクセントになりましたが、それに続く「MARCURIUS」がちょっと弱かったかな、と。

…っていうか。


蘭寿とむくんの奮闘努力に期待します…。

とむくん、せっかく水色のストレートロングでキレイに登場しているのに、「めくるめく官能」「妖しい色気」どころか、タニち
ゃんと二人で「元気溌剌ダンスバトル!」なんだもんなぁ……。

だからといって、みっちゃんはもっと苦しいし(涙)。
ともちんはまだ色気がある方だけどタイプ違うし、七帆くん十輝くん以下はまだまだ問題外だし…

どうすれば、あのタニちゃんの色気を引き出すことができるんだろうか。
もう一度荻田さんに登場していただくしかないんだろうか。


それとも。


…単に(湖月)わたるさんが偉大だった、とか…?

あの祐飛さんを華奢な少女に見せることができたわたるさんだからこそ、あのタニちゃんさえ、中性的に、色っぽくなることができたのだろうか…?

そ、そ、そ、そんなぁ(嘆)。





耽美(になるはずだった、いや、いつか耽美になる予定の)水星の後に、神秘あるいは神聖のイメージの場面(木星)がくるあたり、いかにも藤井さんらしい構成だなあと思うのですが。

この場面でホルストの「木星」、いえ、藤井さん的には平原綾香さんの「ジュピター」をイメージしているのかなと思いましたが、この曲を使うとは…

個人的に、ホルストの「木星」という名曲中の名曲は、もう少し敬意をもって扱って欲しかったな…と思ってしまいました。
編曲とか、音質とか。


まぁ、著作権が切れて10年以上がたち、「ジュピター」の大ヒットからでさえ何年もたった今頃になってこんな事を言うのは野暮の極み、と、
頭ではちゃんとわかっているのですけれども。



ちょっと意味は違いますが、次の金星で使われる「Venus」も、元歌のファンの方はちょっと微妙だったんじゃないでしょうか。
私などはあまり気にはなりませんでしたが。

本来、「レビュー」というのは「今年一年のニュースを振り返ってお見せ(レビュー)します」みたいなトコロから始まったそうなので、まさに「今」流行している最先端の音楽を使うのが本来の形なのかもしれませんが。

宝塚レビューは、もう少し古き良きイメージを大事にしてほしいな、と。
せめて「懐メロ」になるまで待ってほしい、と思ってしまうんですよね。



ま、繰り言です、繰り言。
ホルストのメイン旋律を歌うたっちん(和音美桜)は、実に素晴らしかったです、はい。



最後に。

「宙FANTASISTA」のねこ的目玉。

いつどこで何をしていても、常にタニちゃんと二人で「キラキラ」していたチギーシュ(早霧せいな)と、



春風・鳳翔・蓮水の同期トリオのダルマ姿。



鳳翔さん、蓮水さん、お二人ともメチャスタイルいいですねぇ〜♪♪


っていうか、

春風さんの(×)……




……早く新公映像流れないかな〜〜〜♪♪(何を忘れたいんだオイ)




観劇してから間があいてしまったせいか、ちょっとアバウトな感想ですみません(汗)。
役替わりももう始まっているんですよね。ロドリーゴもラモンも全然違うんだろうなーと思うと☆東宝公演が待ち遠しいです。

耽美な蘭トムくんと、色っぽいタニちゃんにお会いできることを祈りつつ。



宙組「バレンシアの熱い花/宙FANTASISTA!」を観てまいりました。

…タニちゃん、ウメちゃん、大劇場お披露目おめでとうございます〜\(^ ^)/
末永く、お二人仲よくがんばってくださいね〜〜♪♪


「バレンシアの熱い花」
1976年に、榛名由梨・瀬戸内美八・順みつきの3人のために描かれた、柴田さんの往年の名作。

19世紀初頭、というか、具体的には1808年のナポレオンのスペイン侵攻から、失脚してエルバ島に配流される1814年までの出来事。
フェルナンドの父親が暗殺されたこと自体が、ナポレオン側についたルカノール公爵の陰謀である、というところから話が始まるので、1811年か12年くらい、という設定なんでしょうか。台詞の中にロシア戦争がどうこうという(=だから今がチャンスだ、みたいな)台詞があったような気がするので、1813年の冬から春の話ってことでいいのかな?衣装もどちらかと言えば寒い季節の服っぽいし。

お祭りの場面があるので、てっきりサンホセの火祭りだとばかり思っていたのですが、プログラムには「花の祭」とありますね…(涙)。いやでも、サンホセの火祭りは確か春分のお祭り(キリスト教圏だからイースターかな)だったと思うので、花の祭でも間違いじゃないかも(←全然違うかな)

しかし柴田さん…祭の歌を追加するのはいいけど、どうしてわざわざ追加した歌をトップ様に歌わせるんですか…(涙)。
(いやタニちゃん好きなんですけど)



拝見しまして。
さすがに脚本が本当によくできているな、というのがよくわかりました。
「星影の人」は、やっぱりかなり時代の違いを感じたというか、「30年前に新撰組を描いたこと自体冒険だったんだろうなぁ…」と思ったのですが、「バレンシアの熱い花」は時代を超えた名作だな、と。
本当に、心の底から、柴田さんご自身の演出で拝見したかったです(涙)。私は残念ながら初演は観ていないのでなんとも言えませんが、中村(暁)さんの演出は、脚本が言いたいテーマと微妙にズレているような気がしてしまいました…。どうだったのでしょうか。初演をご覧になった方のご意見を伺いたいところです。

まず疑問だったのが、ラモンとロドリーゴの重み。このお二人、出番や台詞の量は変わっていないのでしょうか…?今回、役替わりがあるとはいえ、一応蘭寿とむくんが初日と楽に演じるラモン役が2番手ということになって、初演の番手とは逆転していると思うのですが。ラモンの場面が増えたりしているのかなあ?心理的には、ロドリーゴには特に唐突感もなく、むしろラモンの方が「あれ?いつの間に?」的な印象があったのですが。

観ていて思ったのですが、作品としてはやっぱりロドリーゴが2番手の方が、全体をまとめやすいと思うんですよね。フェルナンドとロドリーゴ、二人が同格でいてくれた方がストーリーを盛り上げやすい。
で、ラモンは話を引っかき回す役なので。3番手、というか、“若手スターの儲け役”という感じの方がよかったような気がします。
あと、今回ルカノール公爵がものすごくカッコイイ(*^ ^*)んですけど、あれは元からああいう役なんでしょうか?もっと渋くやる手もあったと思うんですよね。あそこまでルカノールが格好良いと、恋敵のロドリーゴはともかく、政敵の息子であるフェルナンドがちょっとひ弱過ぎるというか。まぁともちんだから仕方ないかなな(笑←カッコイイのがデフォルト)。

逆に、ルカノールがあそこまで格好よくなってしまうとちょっとファンとして欲が出るというか、一言でいいから「ルカノールの正義」を語らせてみたくなるんですけどね。シルヴィアへの切ない恋心を漏らしてもいいし、あるいは「今飛ぶ鳥を落とす勢いのボナパルトにつかないでどうするんだ!彼に逆らえばバレンシアは終わりだ」とかでもいいんですけど。


しかし、実際にキャストを振ってみると、ラモンに蘭トム、ロドリーゴにみっちゃん(北翔海莉)をふりたくなる気持はすんごくよくわかる!!
っていうか、蘭トムくんのラモン、本当に嵌り役でした。Mの犬キャラで妹にメロメロなおにいちゃん、だなんて…ぴったりすぎて笑うしかない。

だから。彼女が若手で3番手の時代に上演してあげれば良かったのになあ、と思ったりしましたね。

以前のコメントでもたくさんいただきましたが。

フェルナンド=かしちゃん
ロドリーゴ=タニちゃん
ラモン=蘭とむ

ではどうして駄目だったのかなあ?

竜馬もとっても良かったけど、どうしても一作しかやらせてあげられないのなら、この作品で観たかった。るいちゃんのイサベラもメチャクチャ嵌るし。かしるいでラストの場面、本当に観たかったなあ……(涙)。





とかなんとか妄想したりもしましたが。

タニちゃんのフェルナンド、衣装がよくお似合いでさすが!という感じでした。
トップに必要な美しさと若さに溢れるフェルナンドでしたね。
ただ、タニちゃんだとどうしても「真っ直な王子さま」に見えてしまって、最後にマルガリータに戻るところがちょっと不思議だったかも。
この物語は、「若い」話ではないので、今の5組の中でも一番「若い」宙組の上演っていうのは微妙だったのかもなぁ、と思いました。



ウメちゃんのイサベラ。
すみません。私ウメちゃんって本当に大好きなんですよ。かなり痛い感じで。
なんで書いちゃいますけど。

ほんっとーに良かったです!

酒場の女としての、ほどよく崩れた美しさ、仇っぽさ。
なのに、ハンサムな青年貴族に本気で恋ができる清潔感も喪わず、
人を見る目があって、大人で、自分の立場がわかっていて、
一人で生きていくことができて、手に職もあって、
…なによりも、「こんな自分」を信じている強さ。

それが一番美しい、女。

ずっと、私の中でウメちゃんのイメージは「少女」でした。
潔癖で、強くて、譲らなくて。アリスのような、この世のものではない、幻想そのものの「少女」。
正月のバウ「Halleruya!」でも、ブレンダはとっても好演だったけどまだまだ少女だったし斎藤さんの「A/L」は萌えの世界に生きる少女以外のなにものでもなかった。
今回も、藤井さんが担当するショーの方では、イーハトーヴに連れて行ってくれそうな「幻想の少女」のままだったので、今でも「ウメちゃん」から受けるインスピレーションは「少女」のままなんだと思うのです。

でも。現実のウメちゃんは、こんなに「女」だったんだ、と。
その成長を目の当たりにして、とても嬉しかったです。

タニちゃんは「真性の王子様」なので。
タニちゃんに王子様以外のキャラクターをやらせるなんて時間の無駄なので。

タニちゃんがトップである間、宙組の芝居作品のバリエーションはウメちゃんが作っていくしかないわけなので。
ウメちゃんの今回の成功というのは、今後の宙組にとってもとっても嬉しいニュースなんじゃないかと思います☆



蘭トムくんのラモン。
いやもう。嵌り役とはこのことか、と。
2週間とはいえ、ロドリーゴをやらなくてはならないのがいっそ不憫なほど、ラモンが似合っていました。

フェルナンドの邸の前で。
フェルナンドが怪我をしたかもしれない、というニュースに慌てて駆けつけてきたイサベラと出会ったラモン。

「あのお嬢さんが、馬車で駆けつけてくるのが見えたから」
そう、寂しげに口角をあげて強がるイサベラを見凝めるラモン。

「でも…」と涙を目に矯めて縋り付いてきたイサベラを、抱こうとしてなかなか抱けない、右腕の葛藤。
長い間をおいた後、ぐっ!と右腕で抱きしめるラモン。
はずみでイサベラの肩から落ちるショール。むき出しの白い肌。
イサベラが縋り付く力をふと緩めてその右腕に身を任せようとして…
はっ、と醒める。
ラモンの肩を突き放すイサベラ、
俯いて肩を落とすラモン。

かなり間の長い場面でしたが、まったく緊張感を切らさない二人の芝居に没頭してしまいました。
その後の歌はちょい苦戦していましたが(‥)、切ない絶唱はとても良かったです。東宝が楽しみです!



ともちん(悠未ひろ)のルカノール公爵
雪組「エリザベート」以来、髭萌えしっぱなしの私。
今回一番素敵だったのは、文句なくルカノール公爵でした♪シルヴィアも、いつまでも裏切ったことに罪の意識を感じていないで、自分に正直にルカノールに惚れちゃえばいいのに(←絶対に違う)、とまで思ってしまった。

いえ、あの、んな訳無いんですけどね。
ただ、彼はシルヴィアを愛していたのかな、それともロドリーゴへの嫌がらせであんなことをしたのかな、と、それだけは気になりました。
まぁ実際の歴史では甥の婚約者をぶんどった話なんていくらでも転がっているので、キレイな若い女が邸を出入りしていて、それで見初めて奪ってしまった、とかそういう話なんだろうと思うんですけどね。

ルカノール公爵の年齢設定はいくつなのかなあ?
セレスティーナに向かって「昔恋した貴女…」みたいな台詞を言っていたってことは、フェルナンドの父親と同世代ですよね。
フェルナンドとロドリーゴが20代前半、その父親は40前半くらいの男盛りってこと?
あ、やっぱ駄目だ。絶対シルヴィアはルカノールに墜ちると思う……(←はいはい)



みっちゃんのロドリーゴ
みっちゃん、やっぱり宙に行ってからの方が当たり役に恵まれているような気がします。今回もすんごい良かったもん、ロドリーゴ。本来は2番手がやる辛抱役をしっかりこなして、芝居をしっかり引っ張ってましたね!
最初に「エル・パティオ」に行った時の超嫌味で失礼な貴族のぼんぼん芝居といい、その後、ラモンの力を認めてからの態度の変え方の嫌味のなさといい、シルヴィアとの恋に悩む苦悩といい…。難しい芝居が多いのに終始大人っぽく落ち着いた役作りで、今回の公演が「成功」と評価されるとしたら、その立役者はみっちゃんなんじゃないか(←思いっきり贔屓目)と思うほど、よくやってた。

ただ、宙組としてはどうなのかなあ。
ロドリーゴって大事な役だから、みっちゃんの堅実で大人な芝居がとても似合っていたけど、なかなか人気は出にくいですよね…。シルヴィアとの恋、っていう華やかなテーマはあるけど、やっぱりラスト、シルヴィアの死を知って嘆く場面がないのは可哀相かも。
あ、いえ、演出的にはあれでいいんですよ?すごくカッコイイと思う。…フェルナンドの「私のイサベラも…」の台詞さえキチっと決まれば、ですが。
ただ、これからファンを増やしていかなくてはいけない若いみっちゃん的には、シルヴィアとの切ないデュエット以外にももう一場面、ファンの心をギュッと切なくさせる場面があれば良かったろうになぁ、とは思うんですよね…。

ま、仕方ない。本来キャラ違いなラモンをどう魅力的に作れるか、そこが勝負なんですよね。
…みっちゃん、笑うと女の子になってしまうからなぁ…。ロドリーゴみたいな笑わない役の方がいいんだけどなぁ………。



七帆くんのドン・ファン・カルデロ
…素敵でした(*^ ^*)。眼鏡こそかけてないけど(←当然)、いじめっ子健在、って感じで。Sな目つきが素敵です♪

なんかこの役って、鈴鹿さん退団でホルヘの設定を追加したためにラストで美味しい儲け役になっていたのですが、初演ではどういう役だったのでしょうか…?ラストで種明かしされるまで、すごく謎な存在だったんですけど。
しかし、「NeverSleep」しか知らないので、あのべったりヘアのイメージが強烈だったんですが、ぽわぽわ髪も似合いますね♪

しっかし、ほんとーーー!に声がいいなあこの人は……♪♪みっちゃん、ともちん、七帆くんの三人で喋る場面とかあったら、ねこは倒れるかもしれません…。



十輝くんのルーカス大佐
軍服がよく映えますねぇ、本当に。
「A/L」の時も思いましたが、声もいいし滑舌も良い、見た目も格好良くて大人の役がよく似合う。それだけ見るとともちんとキャラが被るんですよね…。全ツの役替わりでルカノールに入らないかなあ☆(期待)



まりえ(美郷真也)さんのレオン将軍
告白します。私は、まりえさんはてっきり「黒幕」なんだと思ってました…。結構後半に入るまで、ぜったいまりえさんはフェルナンドを騙して反旗をあげさせ、ルカノールに捕らえさせるつもりなんだろう、と。
…考えすぎ。

義勇軍まで作って「反フランス」に力を注いだ彼のバックボーンが全く語られないのが、残念といえば残念です。


八雲美佳さんのレアンドロ
おお、「NeverSleep」で蘭とむくんを苛めていた元同僚さん発見♪なんでわかったんだろう私…ってのはおいといて、やっぱりお芝居巧いですねぇ〜♪ご活躍が楽しみです♪


美羽あさひちゃんのシルヴィア
「圧倒的に美しい」というタイプではなかったのが残念ですが、大人っぽい嫋やかな美しさでロドリーゴが迷う気持もよくわかりました。

もう少し“人妻”の色っぽさがあると完璧なんだけどな。学年が下のみっちゃんより年上に見えてしまうのは仕方ないのかなあ?それとも、ルカノールに見初められるくらいだから元々ロドリーゴより少し年上だった、って設定でいいのかしら…。
蘭とむくんとは「NeverSleep」でもお似合いだったので心配ないと思うのですが、「貴族」らしく優雅にふるまうのと、年上感が出てしまうのは全く別ものなので、ちょっと映像とかで確認してみてほしいかも。


たっちん(和音美桜)のマルガリータ
可愛い!いやー知らなかった。可愛いじゃん十分に!
清楚で可憐な、ひなげしのような可愛らしさ。声もぶりっこではなく、ちゃんと鈴の音のように可愛らしくて、さすがに歌姫は声のバリエーションが豊富だなあ、と感心しました。フェルナンドが、イサベラと戯れながらも心の中に大事にしまっておくにふさわしい、清楚さと聖性。
正直、たっちんにこんな芝居ができるとは思ってなかったのでびっくりしてしまいました(汗)。
全ツでは役替わりとかあるんでしょうか?みっちゃんバウに出て歌いまくってほしいような気もするし、微妙です…。



春風弥里さん
すみません(汗)。せっかく「A/L」のワトソンくんで落ちた春風さんですが、あんまりよくわかりませんでした(涙)。
とりあえず、エル・パティオのダンサーと、ローラが殺される場面ですっしーさんと一緒にいる士官くらいしか見つけられず。うーん、やっぱり一回しか観ないときは幕前にプログラムチェックしておかないと下級生チェックは無理ですね(涙)。せめて声を出してくれないと見つけられない(T T)。



お芝居はこんなところでしょうか。
またみっちゃんのラモン&蘭とむくんのロドリーゴっていう組み合わせだと全然違う雰囲気になるんだろうなあ、と思いつつ…。
月組の誇るわんころみっちゃんのラモンも、鬼畜で尊大な蘭とむロドリーゴも、どちらもとっても楽しみです♪



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大野拓史作・演出 「Never Sleep」

面白かった!

大野さんは、私にとって、出演者が誰であるかに関わらず「とりあえず観なくちゃ」という気持ちを起こさせる作家の一人。

今回も、大当たりでした。



彼の作品は、前回の「ヘイズ・コード」の時も思いましたが、
ストーリー展開は結構無茶なことをするんですよね(汗)。

あれ?そこでそう来る?みたいな。


でも。
彼の作品には「時代の香り」がある。
そして、「人間」が生きている。

彼の、「人間」とその「世界」に対する、限りない愛がある。



だから、好きです。

暗くて悲惨な、酷くリアルな世界に、一つまみの夢を撒く。
ひとかけらの、ファンタジーを。

振り撒く夢が多すぎれば、ただの夢物語になってしまう。
その、絶妙の匙加減。

観終わった後も、私の両手の中にまだ夢の卵があるような気がして。
転ばないように、失くさないように、そ〜っと持って帰りたくなる…
そんな、ひどく身近な気がする、夢の世界。

楽しかったです。
本当に。

こういう作品、これだけの力のある作品が。
脚本も振り付けもキャスティングも何もかも素晴らしくて、しかもキャスト一人ひとりが、本当に楽しそうに力を出し切れる、
こんな公演が。

それでも平日は売り切れないなんてねぇ……。

みなさま。
大野さんの作品は、ご覧になって絶対損はないですよ!
ぜひぜひ、その目で確認してみてくださいなっ♪♪





久々に、何の予習もせず。
他のブログ様も大型掲示板も意識して見ないようにして、まっさらな気持ちで公演を楽しんてみたのですが。


(蘭寿)とむくん。
さえない探偵社のペーペー。

…なんてかっこいいんだ!!

私の中のとむくんの基本は、「月の燈影」のわんころ。…あ、あれも大野さんだね、そういえば。
クールな兄貴分のユミコさんに、尻尾振ってついていく可愛い弟分。兄ぃが大好きで、くるみちゃんの姐さんが大好きで、メロメロのグタグタで…もう本当に、莫迦で、手がかかって、可愛くてしょうがない、放っておけない男、だった。

本当に本当に大好きだった!

今回は、ピンの主役だし、普通にカッコイイ二枚目なんだろうと油断して観にいったわけですが…

うっそぉ、かっこいいだけじゃなくてめっちゃ可愛いじゃん!(←半壊)


もうね、まず、妹の花影アリスちゃんにメロメロなの。
「おにいちゃん」なの。
マジでシスコン。絶対自分の恋人があんな顔して妹の顔見てたら蹴っ飛ばしてやりたい!ってくらいあからさまにメロメロな貌しちゃって。
また背のつりあいがちょうどよくて、「いい子いい子」して「話は帰ってからな」なんて言うの!ああ、もう駄目。現実にいたら絶対蹴っ飛ばしてるわ、あんな男。

でも、とむくんは、そこがカッコイイ。
青年館を埋める千人を超える観客が、いっせいに突っ込んだだろう。
「このシスコン!」って。
で、その後でくすっと笑う。
「もう本当にしょうがないわね、この男は」
ここですでに罠にかかっている。

ここで笑った人は、“とむくん可愛い病”への下り坂をまっしぐら。

…大野さん。
あなたって男性だよね?
なんでああいう、微妙なところを突いてくるんだろう…。
なんでわかるの?この微妙さが。

あれを、もうちょっとでも“格好よく”やっちゃったら、もう嫌味になっちゃうの。
とむくんが笑み崩れながらやるから、絵になる。
「もう、本当にしょうのないおにいちゃん」っていう、ドロシーの呟きがほんものになる。

それが、大野さんのリアル。
それが、私の好きな大野さんの世界、なんだよね…。



ヒロインは、コットンクラブのダンサー・美羽あさひちゃん。
良かった!
今まであんまり彼女に注目したことがなかったんだけど。
エイジ・オブ・イノセンスのわがままお嬢さんはあまり好きではなかったんだけど。

今回はほんとに良かった!
結構難しい役だったと思いますが、さすがに場数を踏んでるだけあって貫禄十分でしたね。

ポスターとかちょっと年齢が上っぽく写ってて「あれ?」って感じだったけど、舞台は可愛かったです。
横顔とかちょっとした表情が紫城るいちゃんに似ていて、ドキッとしたり。

宙組はトップが若いウメちゃんなので、貫禄ある大人の女がやれればいくらでも役があるしね。歌えるのもありがたい。バレンシアではどの役かなあ?これからの活躍が楽しみです。





七帆ひかるくん。
いやはや、すごいビッグチャンス!を、しっかりモノにしていたなあと思いました。
「竜馬伝」でも目立つ役だったけど、今回は本当に良い役でしたもんねぇ。

個人的には、横顔がノン(久世星香)さんに似ているのと、声が素晴らしいのがツボでした♪
正面の貌は全然似ていないんですが、横顔はそっくりだと思う!なんだか、もっと渋い役をやらせてみたい人ですね。
宙組さんは、上級生は少ないけど結構渋い役をやれる人が多くてうらやましいなあ☆

えーっと。
七帆くんマイルズにとって、相棒=恋人、っていう設定でいいんですよね?>大野さん

そりゃー、とむくんサミュエルみたいな鉄砲玉を恋人にするのは色々躊躇がありますよねぇ…
っていうか、昔の恋人相棒役の真央あきとくんって、最後のジェイムズの息子役もやってますよね?
人懐っこい可愛い笑顔は可愛いし、もう少し痩せれば結構いい線いくと思うのですが、いくらなんでも、今の真央くんでは2番手の昔の恋人役にはちょっとコロコロと健康的すぎたかな、と…

うーん、なんだかとっても残念でした。
七帆くんがせっかくクールビューティーなキャラでがんばっているんだから、もうちょっと目つきの鋭い、まともに台詞が言える人をあててあげてほしかったです。

マイルスの葛藤は、この作品のキモだと思うんですよ。
マイルスの過去が、結局はすべての糸につながっているわけですから。彼がもっと早く決断して、動いていれば、もっと早く解決できたかもしれないのに、彼は過去が蘇るのが怖くて一歩を踏み出せなかった。
この物語は、サミュエルの恋物語であると同時にマイルズが過去と決別する物語なわけですから。
その象徴である恋人元相棒の死は、もっと丁寧に演じられる人にあててほしかったなーと思うのです…。


…個人的には、今回出演のメンバーの中では天羽たまちゃんがお勧めなんですが。(←え?)ギャングのたまちゃんは、忠誠心のすべてをボスのロススタイン(美郷真也)に捧げちゃってるからなぁ…。(←おい)
たまちゃんがあんなに惚れちゃうなんて、まりえったさんのロススタインも、若いころはさぞ良い男だったんでしょうねぇ(←そのへんにしとけ)



とむくんサミュエルの最愛の妹、ドロシーの花影アリスちゃん。
いやぁ可愛い。
おにいちゃんに対する甘ったれた喋り方と、友達のアデリン(愛花ちさき)や素敵なマイルズに対する喋り方が同じだったのは改善の余地あり、かな?声がもう少し落ち着いて、大人っぽい「女」っぽい声が出せるようになれば、即トップでもおかしくないな、という華がありますね。
プロローグとフィナーレのショーシーンでの可愛らしさは格別!でした♪



そして。
どうしてもこの人だけは書きたい!人が一人。

暁郷くん。

あなたの声は本当に宝物ですね。
ガタイを生かした儲け役でしたが、あの五峰お姉さまと対等に芝居できる研5は君だけだろう…。

容姿に似合った声が出せる、というのは素晴らしいことだなあ、と、あらためて実感しました♪
宙組にはタイプ的にかぶる人も多いですけど、でも、GOくんにはGOくんしか出せない色があると思うので。
すげー楽しみにしてます。っつーか、今回本当に良かったです…!



ジャズエイジの時代。
フィッツジェラルドの時代。

その時代の、ハーレムやヘルズ・キッチンを舞台とした物語。
同じ時代だけど、フィッツジェラルドが持て囃されたのとは違う世界の物語。


大野さんの描く「人間」、
大野さんの描く「時代」。

大野さんの創る「世界」に、すっぽりと入り込んで2時間楽しんで。お持ち帰りのお土産は、夢をひとつ。

そんな、小旅行を。

外苑前で、ぜひご体験ください♪




んでもって。

大野さん。

お願いだから、次こそは久しぶりに月組にも書いてくださいねm(_ _)m。
星組ばっかりずるい!と思い続けて、やーっと他の組に書いたかと思えば宙組(涙)。
次は。次こそは、月に〜!!

きり×ゆひの友情ものとか…すげー萌えませんか?…駄目?(←その掛け算はいったい…)


.
宙組公演「A/L」。決して「おてんば天使」というタイトルではないのですが。
私の中ではこのテーマで分類されてしまいましたので。日記の通題はこれでいきたいと思います(笑)。…いえ、続くわけではなく、これで終わる予定なんですが(^ ^;



前回の日記でみっちゃんまでは感想を書いたので、あとはパンフレットに載っている順でいきたいと思います。


ラウール(タニちゃん)の母、アンリエットの光さんが、ベテラン専科の貫禄を見せたのは、ある意味当たり前っちゃ当たり前なのですが。
アンリエットの若いころを演じた鮎瀬美都さんも、落ち着いた美貌としっとりした演技で、ローアン枢機卿が惚れるのもわかる女っぷりでした。
でも斎藤さん、第二幕第一場は、確か二人が別れる場面だったのでは?(違ったらごめんなさい)。それだったら、光さんじゃなくて鮎瀬さんのほうが良かったんじゃないでしょうか…。


ウメちゃんアニェスの母、スーピーズ伯爵夫人は鈴奈沙也さん。若い夏大海さんを旦那に、かなりがんばっていらっしゃいましたが…さすがにちょっと苦しかったな。まぁ、夏さんは婿養子という設定だったので問題はないのですが、なんとなく、若いツバメをとっかえひっかえ夫にしているような印象が…(そんな台詞はまったくないのに/汗)美人で色っぽいので、余計に。
まして、ともちん(悠未ひろ)のレオンとの秘事めいた場面まであるものだから(それはホント)…頼りにならない旦那を見捨てて乗り替えるつもりかっ!?と勘繰ってしまった(^ ^)。

というか。そもそも、レオンの目的(首飾りを手に入れること)を考えれば、自分に見向きもせずに空想小説の主人公に夢中になっているアニェスのことなどとっとと諦めて、スーピーズ伯爵夫人を堕とした方が早くて確実だと思うんですけどね(笑)。旦那は離婚…あれ、このころのフランスはカトリックかな?だったら殺すしかないか。でもそのくらいの事やりそうでしたけどね、ともちんのレオンは。 


いやぁ、何に驚いたって、「温かみがあって包容力のある大人の男」を演じさせたら天下一品、とばかり思っていたともちんに、こんな“クールな”、言ってしまえば“冷酷な”芝居の引き出しがあったことに一番驚いたんですよね。
今回、斎藤さんにしては珍しくシンプルな勧善懲悪モノ(宙組、いえタニちゃんに合わせた?)だったので、ああいう予定調和なラストになりましたが、いつもの斎藤さんならもうひとひねり(そこでやめておけばいいのに、更にもうひとひねりして意味不明にしてしまう可能性も高い)して、それこそ「血と砂」のガラベェトォ級の儲け役にしてしまいそうなノリを感じましたが…。



ヴィクトワールの美風舞良。
美人!上手い!

…すみません、無知で。ホント、贔屓組以外の人ってよっぽど本公演で役がついてる人じゃないとわからないんですよ。…美風さんは十分役がついているのですけれども、ごめんなさい。宙組はホントに観れてなかったんで。これからちゃんと観ます…。
とにかく、こんな上手な美人がいるなんて、嬉しいです♪

ただまぁ、役としては…いい役でしたけど、ちょっと意味不明な役ではありましたね(笑)。
斎藤さんが、作っていくうちに美風さんに触発されてどんどん重要な役にしてしまったような気がする(笑)。




ラウールの父親、ローアン枢機卿は十輝いりすくん。
めちゃくちゃカッコよかった!

「竜馬伝」での芝居も良かったし、彼は意外と大人の男が似合うのかも。やっぱり柄が大きいからやりやすい面もあるのでしょうね。ひげが似合う顔立ちもウラヤマシイ。
以前観たのは「プティ・ジャルダン」の料理長くんで、あの時は正直、芝居はどうか、と思いましたが…(苦笑)、若い芝居が苦手なのかな。

脚本的には鍵を握るはずの人物でありながら、結構早い段階(1幕半ば)でネタばれしてしまうし、どうするのかなー?と思っていたのですが。

ラストでああ出てくる、というのは、その前の場面で予想がついたにもかかわらず、しっかり泣かされてしまいました。
ラウール一人だったらこうはいかなかったよ。ローアンの十輝くんの、万感の想いをこめた背中が泣かせてくれたんだと思います。

これだけの渋い役を若手にふった斎藤さんも英断でしたが、しっかり応えて演じきった十輝くんを称えたい。
なんたって、あの学年で、アンリエットの光さんと並んで格負けしなかったのはすごい!学年もあがって今後は大人の役も増えるでしょうから、もっともっと輝くかも〜♪
これからが楽しみなひとです。



エヴァの和音美桜ちゃん、キュートで可愛くて、マドンナという設定も納得。ただ、ちょっと気になったのは肌を黒くしていたこと。19世紀末のこの時代に、肌の色が違う女の子が、街ならともかく、ソルボンヌ大学でマドンナになるなんてことはありえたんでしょうか?…ソルボンヌってそんなに庶民的な大学だったんだっけ。斎藤さんの指示かどうかはわかりませんが(普通はそうですよね…?)エヴァの背景というか設定については、ちょっと気になりました。
まぁ、和音さんには浅黒い肌の気の強い美女がよく似合っていたので、しつこく追求することではないのかもしれませんが…。



ラウールの仲間、ドニスの早霧せいな&バジルの麻音颯斗。ガニマールの相棒、ジャコの七海ひろき。3人とも、いろんな作品のいろんなレポート等で名前を聞くけど、あまり良く知らない3人でした。

…すげー、面白い!

斎藤さんが本当に上手く役をあててくれたなーと思います。この学年で、この時期に、これだけの宛書された役をやらせてもらって、彼らはラッキーだった。次の段階としては「宛書」でない役をこなす力を得なくてはならないわけですが、とりあえずはこの役で最高に輝くすべを学んでほしいと思いました。
目立つ役だから、というのではなくて、3つとも「キャラ萌えの斎藤」が真剣に作ってくれた「キャラクター」ありきの通し役。それをイチから自分で役として作っていけるのは、役者として一番の幸せだと思います。

アドリブも「早霧せいな」として受けるのではなく「ドニス」として受けてほしい。「ドニス」の部分がすごーく良かっただけに、上級生のアドリブを受けるときだけ「早霧せいな」に戻るちぎちゃんが、可愛かったけどちょっともったいなかったです。
でも、3人ともすごく魅力的だった。笑いもちゃんと取っていたし。
一回しか観ていないのでどれがアドリブでどれが脚本なのかわからない部分もありましたが、きっと毎回、あれこれ考えながら演じていたんでしょうね。そんな「迷い」が、ある意味「若さ」にも見えて、一緒に組んで芝居しているタニちゃんの輝きを増していたような気がします。
いいトリオ(学生たち)で、いいコンビ(刑事)でした!



回想シーンは、子ラウールが美牧冴京、子アニェスが千鈴まゆ。
二人とも「子供っぽい声」を意識しすぎかな?と思いましたが、二人とも可愛かったのでOKです(←おい)。そのまんま人形にして持って帰って、飾っておきたい(笑)。意外と出番も多いし、おいしい役でしたね〜。



レオン公爵の仲間、というか使い魔的な存在のミレディは、花露すみかさん。…88期ですか!びっくり!あの色っぽさ、貫禄。ともちん相手に一歩もひけを取らないどころか、手の上で転がされているように見えて実はしっかり舵を取っているところ…絶対ともちんより学年上だと思ったのに!!

いやはや。女は怖い(←おい)…じゃなくて。いやはや、花露さん、素敵です。あのしなやかさがいい!
贔屓組の娘(?)役さんたちは、揃いも揃って「組で一番男前なのはアタシ」と思っている(いや実際男前度ランキングつけたら、上位は娘役で埋まるだろう…)カッコイイひとたちばかりなので。
…ああいう「隙のない女らしさ」には、すごく憧れちゃいますね(苦笑)。



斎藤作品とは思えない、あ・かるいハッピーエンドの、毒のない斎藤作品。
「A/L」は、宛書も成功して、本当に楽しい作品でした。
でも、前回の日記にも書きましたが、「A/L」には斎藤作品を斎藤作品たらしめていた“マニアックさ”も“毒”もない。

次の「エル・アルコン」では、斎藤さんはまたもとの斎藤路線に戻るのでしょうか…?それとも今回の作風のまま青池保子に取り組むのでしょうか。
斎藤ファン(←え?)的には、とても楽しみな秋になりそうです…(^ ^;ゞ



.
宙組公演「A/L」も、今日で本当の千秋楽。
27名の出演者のみなさま、お疲れ様でした。

そして。

初嶺麿代さま。

私にとっては、かわいい少年役「初嶺まよ」さん。


ご卒業、おめでとうございます。



はっちゃんを最初に覚えたのは、和央ようかさんの「Cross Road」。
もちろん、エリザベートの子ルドルフも観ているのですが…あまり印象には残っていないようです(ごめんなさい)。

CrossRoadでは、たかこさんの仲間のロマの少年。
ちょっと小生意気な役作りで、すごくかわいかった。美少年でしたね。
滑舌が良くて、ダンスがキレてて。

それ以降はずっと注目して探していました。

特に記憶に濃いのは、「ミレニアム・チャレンジャー!」の「辰の刻」のダンス。TRFのSAMが振付けたことで話題になったヒップホップダンスで、それまで宙組で「ダンサー」と呼ばれていた(そして実際すばらしいダンサーだった)上級生がのきなみ「ヒップホップ」に苦戦する中、ものすごくカッコよく踊りこなしていた下級生数人のうちの一人で。
…樹里さんほっぽって、ずーっとはっちゃん観てました。あんまり素敵で、かっこよくて。

たぶん、あれは私が「ひっぷほっぷ(←ひらがな!?)」に初めて出会った瞬間だったんだと思います。
「ダンス」と一口に言っても、実は様々なジャンルがあって、「ダンサー」にも持ち味と技術によって得て不得手がある。…そんな、基本的なことを学んだときでした。



タカコさん時代の後半は、チケットが取り難かったこともあってあまり宙組を観ていなかったので、はっちゃんのことは大好きだったけど、しばらく観ていませんでした。

で。
久々に観た「A/L」のガニマール警部。

…目を、疑いました。

この人、すごくない…?



かっこいい。




しびれました。はい。

私の中では、ずっと「可愛いはっちゃん」で通っていた初嶺まよ。改名なさってからも、正しい文字が出ないからというだけでなく(正しくは「麿代」)、「私が知っているのはまよちゃんだもん!」という気持ちもあって、どうもしっくりこなかったのですが。

ガニマール警部を観て、納得しました。
たしかにこれは、「まよちゃん」じゃない。
かっこいい。
大人のはっちゃん。「麿代さん」なんだ。



…今更なにを言ってるんだこのねこは、っていう感じですが。

酸いも甘いも、っていうオトナの男を、あんなふうに演じられる役者になるとは思っていなかったんです。
はっちゃんはずーっと可愛いはっちゃんのままだと思ってた。
演技力があることも声がいいことも知っていたけど、あの可愛い、少女のようなはにかんだ笑顔があまりにも印象的で。
大人の役をやっても、どこかに少年の面影があったり、社会に適合できない悩みを抱えている役だったりしていた印象が強くて。
思春期の少年のようなイメージがあまりにも強烈で。

あの顔が、オトナの男の、「シニカルでクールな」笑みを浮かべられるとは思わなかったんです。


でも。

ガニマール警部、立派に「大人の男」でしたね。
まぁ、いじられ役であったことは否定しませんが。
タニ(大和悠河)ちゃんより、よっぽど大人。

タニちゃんがソルボンヌ大学の学生で、ガニマール警部はもう立派に部下もいるベテランの警部さん。
そんな年齢差がすごく自然で。
それに一番びっくりしました。



はっちゃん。

あなたが卒業を決めたとき、これは「A/L」観にいかなきゃ、と思いました。
観てみれば、作品も佳作で。出演者が全員キラキラ輝いていて。
とても素敵な時間をすごさせてもらいました。

でも。
その中でも、一番輝いていたのは、あなただったよ。

はっちゃんの、私の記憶の中では唯一の「ホンモノの大人」となったガニマール警部。
カッコよくて、この上もなく気障で、おしゃれで、でもドジで、
たまんなく抜けてて素敵。

千秋楽には、開幕前の漫才にも飛び入り参加されたりしたみたいですね。私が観たときはそれはなかったけど、でも、あのガニマール警部ならそれもありだったでしょう。
舞台の上のあなたは、本当にガニマール警部だった。
笑っても、怒っても、ハプニングに素で笑っているように見えても、初嶺まよじゃなかった。



あの、かわいらしいロマの少年が、こんな風に大人になって、
そして、宝塚を越えていく。

長いこと、楽しませてくれてどうもありがとう。

これからの人生に幸多きことを祈っています。




.
宙組公演「A/L」を観てまいりました。

斎藤さんとは思えないほど(←正直者)、まともな脚本でした!
痛快な娯楽活劇。スケールは小さいとはいえ、きちんとテーマとストーリーがあって、キャラが立っていて、ぴったり宛書。
タカラヅカ、において、一番大切な要素をきちんとクリアしている作品でした。

まぁ、ともちん(悠未ひろ)扮するルイ・アントワーヌ・レオンの動機が全く解らないし行動も意味不明という大穴はあいていますが、そのくらいは(←え?)スルーしてあげられますよねっ!?
あとは、ストーリー展開があらすじとも副題とも全く関係なかったですけれども、…まぁ、そんなことも気にしなければいいんです。
気にしない、気にしない、ひとやすみ、ひとやすみ♪


とにかく。


タニ(大和悠河)ちゃん、ウメ(陽月華)ちゃん、ステキなお披露目、本当におめでとうございますm(_ _)m。

タニちゃんの、一番良いところが出ていたんじゃないでしょうか。
爽やかな好青年で、可愛くて、コスチュームが似合ってて、優しくて、かっこいい。
…完璧!

そして。
斎藤さんが、いかに役者としての陽月華に惚れ込んでいるかがよくわかりました。
全編とおしてウメちゃんアニェスの視点でストーリーが進み、観客の感情もアニェスに沿って動く。
アニェスが笑うと観客も嬉しくなって、アニェスが哀しむとなんとなく切なくなって。

おてんば天使。

こんな称号の似合う娘役は他にいません。
これからも、なかなか出ないでしょうね、きっと。

この二人については。
あまりにも嵌り役すぎて、逆に本公演のお披露目を前にしてココまで宛書の作品をやってしまったら、次からいったい何をするんだろうと心配になってしまったほどです。
これで勢いがついて、本公演もうまくいくことを祈っています!



斎藤吉正。

彼の作品は、90%のキャラ萌えと10%の毒でできている。

ずっと長いこと、そう思っていました。


去年の「Young Bloods」シリーズは残念ながらほとんど観劇できなかったので論評は避けますが、

今回。「A/L」を観て、

私が思っていた斎藤さんと全く作風が違うことにびっくりしました。
むしろ、小池作品みたいじゃありませんでしたか?
大野さんというには底が浅くて、小池さんというにはキャラ萌えが強すぎて、
でも、斎藤作品を斎藤作品たらしめていた、あの甘美な『毒』が全く、ない

これは、良いことなのか悪いことなのか。
今回は成功だったけれども、次はいったいどうなるのか。

一抹の不安は覚えますが。


斎藤さんがウメちゃんに見る夢は、まさしく「おてんば天使」なんでしょうね。
それだけはものすごーくよく解ります(笑)。
ってゆーか、この作品のテーマってそれだけなのかっ!?

斎藤さんの中の「肉」あるいは「毒」の側の代表であった叶千佳ちゃんとWヒロインだった「厳流」のアンナ。

あの救いも何もなく、“萌え”ONLYだったストーリーの中で、まさに「聖」の象徴だったウメちゃん。

今回も「聖きもの」としての扱いを受けていたウメちゃん。


今回、斎藤さんの“萌え”の対象がウメちゃん一人に集中していたことが、結果的に良い方向に転んだような気がします。
あとはまぁ、お披露目にふさわしく楽しく明るく、を意識なさっていたのと、とにかく「タニちゃんの良いところだけを見せよう!」と意識してくださったのではないかと。
思いますが。
(斎藤さんは、もともと役者の抽斗から「一番イイトコロ」を取り出して見せてくれる作家。…ストーリー展開よりも「魅せる」ことを優先してしまうのが痛いところなワケですが)

…斎藤さんってタニちゃんには萌えないんですねぇ。
わかるような気もしますが。
タニちゃんって、そういう対象としては考えにくいですものね。
良い意味で毒がないから。

それが、斎藤さんの「行きすぎ」を抑えて、ちょうど良い位置に引き留めたのだと思います。
本来なら毒がなさすぎてつまらなくなりそうなところを、ウメちゃんの聖性が誤魔化してくれている。


そして、ともちんやみっちゃん(北翔海莉)には、萌えはしないけどすごく信頼しているのを感じました。
この二人なら、なんとかしてくれそうな感じ。


ともちんはとにかくかっこいい!!魅力大爆発!
どんなにキャラが意味不明でもオオマヌケでもいいんです。かっこいいから全て許す。
歌ってよし、喋ってよし、踊ってよし。
こんな男役、他にいませんよ。大事にしてほしいなあ。
なんだったら月組にいらっしゃいませんか?(大歓迎/笑)


みっちゃんはやっぱり巧い!
笑顔のみっちゃんは、実はあまり好きではないのですが。
「『笑顔』と『シリアス』をキチンと使い分けている」みっちゃんは大好きです。
声もいいしね♪かなりコメディタッチなシャーロックホームズでしたが、すんごいぴったりでした。みっちゃんも「一番良いみっちゃん」を出してもらっていたような。

そして。
みっちゃんの相方、ワトソンくんの春風弥里くんっ!!

私は惚れました。
はい。
予感はありましたが。

本当に一撃でした。

いやもう、開幕前の漫才の時点で既に落ちてました。
素晴らしい声、素晴らしいキャラ。
ヤバイくらいステキでした。

ほんとーにほんとーに、大好きになりそうです。
ドキドキ。

しょっちゅういろんな人に落ちててすみません…m(_ _)m。
でも、絶対新公チケット取ろう!と思いました(爆死)。


とにかく、面白かったです!チケット代分、損はしないかと。
タニちゃんも「ぜひ名古屋まで足をお運びください」と仰っていましたので。

ぜひぜひ。

タニちゃんとウメちゃんのプチお披露目公演、観てあげてくださいね♪


最近、一日中「ファンシー・ダンス」の中詰め前のデュエットダンスで歌われる「Speak Low…♪」という歌が頭の中をぐるぐるしています。つい仕事中に口遊んでしまいそうになって焦ること数回(汗)。

なんなんでしょうね。歌としても場面としても、ラスト・ダンスの「フラット気味の〜かすれたハミング〜♪」の方が好きなのになあ…。自分でも不思議。

でも、「Speak Low」の場面もいいですよね。かなみちゃんの衣装は、東京のドレスの方が絶対!いいですし♪
ホントは鬘もゆるく巻いた半分ストレートのが好きなんだけど、最初に観たっきりだなあ…(T T)。








で。今日の宝塚ニュースは。

とむくん(蘭寿とむ)、みっちゃん(北翔海莉)、役替わり大変だけど頑張ってね〜!!


「バレンシアの熱い花」は、残念ながら未見なのですが。
柴田さんの名作として再演希望も多かった作品。
演出が中村Sさんなのがちょっと心配ですが、でもまあ、タニちゃんにとっては良いスタートになりそうだな、と思っていたのですが。

…役替りですか!

とむくんとみっちゃんって、少しキャラクターが被る部分(わんころ系なところ等)もありますが、全然違う部分(エロいかエロくないかの差は大きい)もあるので、役替わりは楽しみ半分、不安半分といったところ。
お二人とも相手役との絡み方が違うと思うので、娘役さんのキャストが楽しみですね。役替りにとっても弱い私なので、多分2回観に行ってしまうことでしょう(^ ^;

東宝でもちゃんと役替りしてね>劇団。



月組ファンなので、みっちゃんには是非がんばって欲しいのですが。
昔から学年相応の若い可愛い(素で出来そうな)役よりも、芝居として作り込みのできる年上の役の方が良かった人ですから、トップをはじめ、全体的に若いイメージのある宙組の方が映えるんじゃないかと期待しています。
みっちゃんの歌は武器だと思うし、シリアスなキャラをキチッと作り込んだ時の巧さも抜群だと思うので、柴田さんにみっちり二役シゴいていただいて、また一つ大きくなってくれるといいな、と思います。

とむくんも、役替わり公演は初めてでしょうか?正二番手としての初めての公演、大変だと思いますががんばってくださいね☆




しかし。

秋のバウがみっちゃん、ってことは、全国ツアー「バレンシア…」にはみっちゃんは出ない…。


ラモンはとむくんだとして(ですよね?初日と楽にラモンをやるってことは)、ロドリーゴは誰がやるんでしょうか!?

…も、も、も、もしかして。
ともちん(悠未ひろ)だったりするかもっ!?




がんばってチケットとるぞ!!(←それが結論なの?ねぇ!?)



大和悠河さま
陽月華さま

宙組新トップコンビのプチお披露公演初日、おめでとうございます。


月から旅立っていった宙の王子さま。
キラキラと、太陽のように眩しい笑顔。
ありえない足の長さ。

そんな、タニちゃん。

思えば、はじめて「タニちゃん」を認識したのは、伝説の「エルドラード」フィナーレの歌手、なんですよね私…。

歌はともかく(!!!)、スタイルの良さを生かしたキレイなダンスは見応えがあって、ショーではいつも釘付けでした。
お芝居では、ビデオしか観ていませんけれども「シンデレラ・ロック」のシドが一番好きかな。
あと「長い春の果てに」のブリスはもうメッチャ大好き!でした♪ラストシーンで祐飛さんのフローレンスに向けるデレデレした顔が嬉しかっただけじゃなくて(笑)、キャラクターにぴったりハマッていてすごく良かったんですよね…。石田さん上手いなあ、と感心したものです。

組替えした後、特出で出た星組博多座公演「ドルチェ・ヴィータ」は、ナイトメアも極楽鳥も素晴らしくて、私はむしろ本公演より好きなくらいでした


そんな、タニちゃん。

輝く時はとめどなく輝いてしまうタニちゃん。

真ん中が似合う人は、さっさと真ん中になるべきなんだな、ということを、サエコさんがトップに就任された時に思いましたので。
2番手のタニちゃんよりも、トップのタニちゃんの方がきっと10000倍くらいステキなんだろうと思うので。

ぜひがんばってほしいです。
ね。



そして、ウメちゃん。

トップ娘役、に、なっちゃいましたね。
いつかはなるだろうと思っていたけれども、ついに。

大変だろうと思います。
苦労してるんだろうな、と。

でも。

お正月の「ハレルヤ!」で、あんなに輝いていた貴女だから。



舞台を楽しんでください。
宙組を楽しんでください。
どうぞ、宝塚の娘役を、満喫してほしい。



シルエットは超お似合いのお二人。
お芝居でどうなのか、デュエットダンスでどうなのか、そのあたりはまだまだ未知数ですけれども。

「寄り添っただけ、見つめ合っただけ」で愛が感じられるコンビになってくれることを祈りつつ。

…デュエットソングは無くてもいいんだけどね…(^ ^;

なにはともあれ。
プチお披露目おめでとうございます!本公演も楽しみにしています♪


…刹那、っていうのは、時間の単位なんですよね。
具体的に何分の何秒か、みたいなのはいろいろあるみたいですが。

とりあえず、「時間を分割する最小の単位」をさす、らしい。




たった、一作品に咲いて散る、潔い花のように、
刹那を駆け抜けたトップコンビ。


これ以上分割することのできない時間。
これ以上、

これ以上濃密な時間は、もう2度とないだろう…。





3連休は、関西の方へ(?)仕事ついでに旅行をしていたのですが。
新幹線を降りて、大荷物を抱えて日比谷へ直行して参りました。

最後の最後に、人波の向こう、頭の間からとぎれとぎれに見える、卒業生たち。

残念ながら、私は宙組ファンではないので、全員はわかりませんでした。
下級生では、かろうじてエンカレで可愛いな、と印象に残っていた(でも舞台ではわからなかった…ごめんなさい)白峰さゆりちゃん、咲花杏ちゃんのお二人。
あと貴羽右京さんと、トップコンビのお二人。
それしかわからない。

でも。


なんとか間に合って、全員のお顔を拝見することができました。

ちょうど私の前に立っていた方が詳しい方で、あれがさゆりちゃん、あれがあいらちゃん、と隣の方に教えてあげていたのをダンボして、顔と名前を一致させることもできました♪

途中、歌劇誌をチェックしながら、
スカステのトークできいた天翔さんのエピソードやなんかを思い出しながら。



みんな、キレイな笑顔でね。
幸せそうでね…。

あんまり幸せそうで、涙がでました。


ひとりひとり。
私は知らない方でも、(当たり前だけど)みんなみんな、誰かに愛されて。
たくさんの人に愛されて。

あなたを愛した人も、きっと幸せだったんだよ、
だって、あなたがそんなに幸せそうなんだもの、
…と。





だから。

るいちゃん。
かしちゃん。

刹那の時間が、あってよかった。

あなたに会えて、良かった。



かしちゃんの笑顔。
かしちゃんの愛。
かしちゃんに向けるファンの笑顔。
かしちゃんが向けるファンへの笑顔。

こんなにも、愛に溢れた人だったんだね。
私は、あなたのこと、何も知らなかった。
舞台はそれなりに観ていたつもりだったけど。
月に特出してくれた時に、すごーく大切な人になった。

だけど。

かしちゃんの愛。
こんなにも、愛する喜びに溢れた人だったんだね…。



るいちゃんの幸せそうな笑顔に泣いて。
かしちゃんの愛の深さに泣いて。


いろんな可能性があったんだろう。
いろんな道があったんだろう。

いろんな思いが、きっとあったんだろう。


でも。
二人のコンビに出会えて良かった。
願わくば、という思いは消せないけれども、
でも。


かしちゃんと、るいちゃん。
大好きなお二人へ。


ご卒業、おめでとうございます…(号泣)。







.
折しも、東京と名古屋では「幕末」を舞台にした物語が二つ、同時に語られているんですね…。


2度目にして最後の、東宝宙組観劇。
…「幕末」という時代の、熱に煽られて帰ってきました。


かし(貴城けい)ちゃん、本当にキレイだった。
先日の日記にも書きましたが。

(紫城)るいちゃんともども、本当に「輝いて」いた。

なんであんなにキレイなんだろう。
なんであんなに、


なんであんなに幸せそうなんだろう………



コトバもなくって。
ただ、泣いてました。客席で。


ぶん(絵麻緒ゆう)ちゃんの時はどうだったっけ。
ぶんちゃんも本当に大好きだったので、苦労してチケット取って、泣きに行ったけど…
あんなふうに「イッちゃってる」ふうな輝き方だったろうか。

…本当に、観れば観るほど、この世のものとは思われないほどキレイ。

退団者、って、キレイなものだけど。
輝くものだけど。

…それにしても、なあ……



タニ(大和悠河)ちゃんは可愛い。
どうにもしどころのない、(キレイで目の保養だけど)居ても居なくても脚本的には何の問題もない役ですが。

もうすぐ、あと1週間もすればあなたがトップになるんだね…。
なんだか想像もつかないような、
月組での厚遇を見守ってきた身には「あれ、まだトップじゃないんだっけ」と言いたいような。

星組博多座「ドルチェ・ヴィータ」でのドウニモナラナイ美しさに心を奪われて以来、あなたの真ん中を楽しみにしていました。

…でも。
かしちゃんとタニちゃん、という、今の宝塚で一番(多分)綺麗な男役トップ&2番手コンビを、もう少し眺めていたかったなあ…。



蘭(蘭寿)とむくん
慶喜、嵌り役でしたね。

慶喜さんって非常に優秀な人なのに、明治政府側視点でも幕府軍視点でも、割と「裏切者」っぽく描かれることが多くて可哀相な人なんですが。
石田さんの解釈はそれ自体納得できて面白かったし、それ以上に、蘭とむくんの的確な役作りで場面を盛り上げてとても良かったと思います。
歌も、ショーの歌はイマイチなのにここの銀橋ソロは良かった、よね…?

「月の燈影」以来、蘭とむくん=わんころ、のイメージが(私の中に)焼き付いていたのですが、「人の上に立ち、人の運命を司る者としての将軍」慶喜をしっかり演じてくれた蘭とむくん、良い役者だなあ〜、と思いました。
あと1週間、かしちゃんとるいちゃんをよろしくお願いします…。



ともちん(悠未ひろ)
同じ石田さんの「猛き黄金の国」では、しい(立樹よう)ちゃんが演じた武市半平太。
出番は少ないけど、「倒幕派」の、ある意味最初の犠牲者として、時代を転がし始める役。

ともちんの持ち味は「おおらかさ」と「茫洋とした優しさ」だと思うので、この役はどうなのかなーとも思っていたのですが、さすがに石田さん、座付きだけのことはありますね。
いい芝居してました!やっぱりともちん、大好きです!



みっちゃん(北翔海莉)。
何を隠そう、みっちゃん大好きな私。(小声)
なんだか、月に居た頃より自然な感じですごーく良くなってたなあ…。月ファンとして嬉しいし誇らしいけど、ちょこっと複雑です。
タニちゃんもそうだけど、宙で修行したら月に帰っておいで、とか思っていたのに予想外に「宙のみちこ」はハマッっていて。
もう宙ッ子なんだなあ、月には帰ってこないんだなあ、と…すごく寂しい気持でいっぱい。

まぁ、元々笑いさえしなければ芝居の巧さで2枚目になれる人なので。
月だと、アダルトな役はどうしても上級生に取られてしまって、似合わない「可愛い系」の役が回ってきがちでしたが(JAZZY…の妖精なんて目を覆いましたさ)、上級生の少ない宙に来て、役に恵まれて、実力に見合う人気が出ることを祈りつつ…

みっちゃんの凄いところは、これっぱかしも「宝塚」に染まる気がないところ。
そして、普通に「宝塚ファン♪」している人を取り込もうという気がないところ。
…あの潔さ。他にはいないよなあ、あんなジェンヌ…。



たま(天羽珠紀)ちゃん
どこで語るか迷ったのですが。
この方とまりえ(美郷真也)&すっしー(寿つかさ)の家政婦教会コンビは、私が宙組を観に行く動機なので。書いちゃおうかな、と。

私にとって、(嘉月)絵理ちゃん二世なたまちゃん。
樹里さんの初バウ「Freedom」で、音乃いづみちゃんと下級生代表でソロを歌ってくれて以来、宙を観る時は最初に探す(まりえさんやすっしーさんは探さなくても見つかるけど、たまちゃんは探さないと無理)、そういう存在でした。

…可愛かったたまちゃんが、ごくごく普通に上級生していてちょっとビビった。ってゆーか、たまちゃんってるいちゃんと同期よね。上級生になったんだなあ…。

…あれ?珠洲春希くんも同期だということを今はじめて知りました!すずちゃんはもっと下級生だと思いこんでた。何故だろう…?



たっちん(和音美桜さん)
可愛いなあ♪(グラフを見てのけぞったことなどすっかり忘れたい)舞台化粧のたっちんは可愛くて大好きです。声も好き。

芝居はまあ、目立つ割にあまりしどころのない役で残念でしたが、今まで観てきて巧者だと思っているのでもう少し「引き」の芝居の面白さがわかってくれるといいのになー、などと高度な要求をしてみたりして。
これからのご活躍を期待しております♪



咲花杏ちゃん
…可愛いよぅ。可愛いよぅ。可愛いよぅ。
辞めないでほしいよぉ………(しょんぼり)





そして、名古屋で上演中の、もう一つの幕末。

今週末は名古屋に行く予定です。
チケットは手配していませんが、なんとかなるよね、ね!?(←楽天的なO型)

こっちの幕末は柴田さん。
ロマンスの王道を往く柴田さんが、どんな風に「幕末」を描くのか、興味津々。

…という訳で。
ちょこっとだけ(←多分無理)「幕末」について語って見たいと思います。


「幕末」。


日本の歴史には、いくつかの転回点があります。
旧くは、「あかねさす…」の舞台となった飛鳥〜大津京時代。
一人の人間の来し方にいくつもの分岐点があるように。「日本」という「国」の歴史にも、いくつかの大きな分岐点があります。

そんな中で。
やっぱり、一番大きな「転回点」は「明治維新」だったんだろうなあ…。

「幕末」の総括、というのは、案外歴史学会でもきちんとなされてはいないような気がします。

日本の政治体制も経済体制も大きく変わり、開国・文明開化を断行。政治の刷新と経済の大改革(産業革命)と情報革命(開国)が同時に降りかかり、それに伴って民衆の生活も大きく替わった、それが日本の「明治維新」。

歴史に「たられば」は野暮。それは判っているのですが。

この明治維新は、調べれば調べるほど「歴史の必然」感が強いんですよね。
ただ、そもそも思想としての「尊皇攘夷」を説く人間がいなかったらどうなっていただろうか、とは思ってしまうのです。

もともと「開国派」=幕府、「攘夷派」=尊皇(=倒幕)、という思想だったはずなのに、実際に幕府を倒した途端、「開国論」に一瞬にして切り替わった倒幕派の切り替えの良さというのは驚くばかりなんですけどね…。

結局、倒幕派はその時点で「武士」ではなかったんだろうな、と。
「武士は喰わねど高楊枝」の武士とは違うイキモノだったのだろう、と。

そんなイキモノに、「武士」であることに自分の存在意義の全てを見ていた幕府側なんぞが勝てる訳がなかったんだろう、と…。



私は福島県内に故郷があるせいか、どうしても奥羽越列藩同盟側、というか、明治政府を樹立した側とは反対の立場に立った見方をしてしまいがちで(滝汗)

だから、青春群像としての新撰組が好きだったりするわけですが(←そ、それは何の関係もないんじゃ…)


彼らはテロ集団ではなかったし、
特高でもなかった。
やり過ぎてしまったことはあったかもしれないけれども、最初の一歩は、ただの「夢」だったのだろうと思うのです。

今の、ささやかな幸せを守りたい、という。


それに対して、倒幕派は必死だった。
幕府を倒さなくては、日本をひっかき回して、民衆の生活も何もかもひっくり返さなくては、生きることが出来なかった…。


幕府中枢は愚かだったかもしれない。
時代遅れだったかもしれない。

だけど、夢はあったはず。
人々が(今までどおり)幸せに生きられるように俺たちが守るんだ、と。


倒幕派にも夢があった。
坂本竜馬が描いた夢が。

「ニッポンの夜明けを見たい」、と。


夢に正邪はない。
彼らは皆、ただ夢を夢見ただけ。

…だから。



坂本竜馬、という、誰よりも大きな夢を描いた人は、「宝塚」という夢の世界に一番ふさわしい主人公なのかもしれません。



夢を見た人々の物語に参加するために。
私は東宝へいき、そして、名古屋にも多分行くでしょう…



.
宙組公演を観てきました。
…ちょっと前ですが。

頭が整理つかなくって。
なかなか書けずにいたのですが。



かし(貴城けい)ちゃんと(紫城)るいちゃんの、あまりにあんまりな幸せオーラにあてられて。
もう、何がどうでも何でもアリ、な気分になりました。



正直にいえば。
作品的には、どうかと思う部分もたくさんありました。
でも、別に駄作とは思いません。面白かったし、正月明けに観に行った姪っ子も、すっかり嵌って帰ってきましたし。
突っ込みどころ満載っぷりでいえば、「パリの空〜」の方がずーーーーーっと上です(自虐)。

でも。

10作の中の1作なら、OKだった。

かしちゃんとるいちゃんの、最初で最後の1作でさえなければ、

それだったら、何ら問題なかったのに。



それが、あまりにも悔しくて。
悲しくて。



かしちゃんは輝いてました。
本当に。
全然ファンじゃなかったのに、
似合う役だなんて全く思えないのに、
名作だなんてこれっぱかしも思わないのに、

ぐいぐいと引き込まれて、しばらく戻ってこられなかった。





私が初めてかしちゃんを初めて観たのは、「春櫻賦」。
たしか、轟さんの弟の役でしたよね。キレイな人だな、と思った記憶があります。
(汐風幸さん目当てで観に行って、汐美真帆さんに墜ちた私に、それ以外の人の記憶なんぞあるわけがない…←ごめんなさい!)

はっきりとした記憶は、「浅茅が宿」のりん弥さま。
硬質と妖艶、まったく違う二つの色が入り交じったキャラクター造形が、強烈に印象に残っています。

その次は「Icarus」東京公演かな?
ノバ・ボサ・ノバのボールソも好きでした。祐飛さんと同じ役を実力者のかしちゃんがやる、というので、ものすごーくドキドキしながら先行の雪組公演を観たんですよね。…月組を観る時はビクビクで(滝汗)…そりゃー雪組が巧いに決まってるじゃん!くらいに開き直って座ってた記憶があります(汗)。
祐飛さんとかしちゃんのボールソ、一緒に動くオーロ役のキャラが違うせいもあってか、同じ役とは思えないほど印象が違うんで面白かったんですよね…。

かしちゃんと祐飛さんが同役をしたのは、「ノバ」ボールソ、「飛鳥夕映え」石川麻呂&鎌足、「ベルばら」オスカル、そして…「エリザベート」ルドルフ(かしちゃんは新公)、くらいかな。同じく同期の麻子さんとは鎌足だけですから、かしちゃんと祐飛さんって縁があったんでしょうね…

私が「タカラヅカファン」になったばかりの頃から、常に変わらず「路線ど真ん中」を歩いてこられたかしちゃん。
今も、この上もなく「大劇場のセンター1番」がお似合いで、
「トップライト」を浴びてキラキラと輝くかしちゃん。

ファンだったことは一度もない。
でも、あなたがもう2,3作トップをしていたら。
…私は、ファンになったかもしれない。

タカラヅカの王道を往く人だった。
今時のスター陣では唯一の、と言っても嘘じゃないくらい、王子さまがよく似合う人だった。

過去形にするには早すぎる。
もっと。
もう少し。

劇団は、この希有な人材を育てきれなかった責任を問われるべきだと思う。

貴城けいは、ちゃんと育ったのに。

使い切れなかった劇団の未来が、心配になる。



そして、るいちゃん。

大事な大事な、愛しいゼルダ。

幸せになってくれると思って送り出したのに。

確かに今のあなたは幸せそうだけれども。

かしちゃんの隣で、かしちゃん以上に輝いているけれども。

…幸せになってくれると、思っていたのに。


泣いちゃいけない。
「るいるいファン」じゃない私には、泣く権利なんか、ない。

でも、寂しい。

月組を観ても、るいちゃんはいない。

そして。

あと13日たったら、宙組を観てもるいちゃんはいないんだ……。


かしちゃんとるいちゃん。
奇跡のようなトップコンビに。

かしちゃんとるいちゃん。
あまりにも眩しく輝いていたお二人に。


公演の感想、なんてすっかり吹っ飛んで。

なぜなんだろう、

なぜこの二人で、

なぜこの作品で、

なぜ、今、なんだろう、と。



かしちゃんと、るいちゃん。


何度書いても、心の整理がつきません。

いつか整理がついたら書こう、と思いつつ、
そんな日が来ないことを知っている私。



ただ。

大好きだよ、と。

楽までどうぞ、悔いのないように、と。


祈りつつ…

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