シアターサンモールにて、スタジオライフ公演「少年十字軍」Navisチームを観劇いたしました。
原作は、皆川博子の「少年十字軍」。残念ながら未読ですが、この少年十字軍の十年前に行われた第4次十字軍(1202年)については、塩野七生氏の本で読んでいたので、世界観含めて、だいたいついていけた……かな?
ヨーロッパの片田舎で、羊飼いの少年エティエンヌが大天使ガブリエルに抱かれ、「エルサレムへ行け」との神の声を聴く。それを聴いた子供たちは「エティエンヌが居るから大丈夫!」と聖地への長く危険な旅に同道することを望み、大人たちは、「純粋な子供たちによる十字軍」という夢に酔い、贖罪のための寄付を差し出す。。。
当時は、まだ第4次農業革命前の、三圃制が主流の時代ですよね。牧草栽培や舎飼い技術も確立されておらず、冬には大量の家畜を屠殺していた頃。この物語の主人公エティエンヌは、流れの羊飼いである伯父と共に村から村へ旅をしている、という設定のようなので、農業に従事する農民とは別の、牧畜の専門家がいたということなのでしょうか。農民たちが三圃のうち二圃の世話をしている間に、休閑地で放牧される家畜の世話をする人々(家畜の持ち主は農民)。
流れの専門家は、土地に縛られた農民にとって「マレビト」であり、何らかの特殊能力や特異な道具を持っていると考えられる。エティエンヌも、聖遺物が仕込まれた杖を持ち、それを媒介に天からエネルギーを得て、人や動物の怪我や病気を治すことができる「神に選ばれた無垢なマレビト」として舞台に登場する。
彼は鏡となって人々の心根を映しだし、その醜さを、その美しさを、分け隔てなく受け容れる。
神に選ばれた器。繰り返される「エティエンヌがいるから大丈夫!」という率直な憧憬に、眉ひとつ動かさずに歩き続ける……未来へ向かって。関わるすべての人への愛を持ちつづけて。そんな、「天使」の存在感が、とても見事でした。
それでは、出演者について簡単に。
・エティエンヌ(久保優二)
プラチナブロンドが白い肌に自然に映えて、まさに天使のようでした。つい見惚れてしまった。。。顔だちが幼いのもあるので、ぜひエーリク(「トーマの心臓」)を観てみたいなあ、と思いました。
割と無口なキャラなので、芝居の巧拙はよくわかりませんでしたが、声自体は聴きやすくて良かったし、これからの活躍を楽しみにしています。
・ガブリエル(松本慎也)
私はやっぱり、松本くんは男役のほうが似合うと思う。。。顔だちが男っぽいんですよね。今回は役柄的なものもあってキツめのメークでしたが、シャープな貌によく映えて、素敵でした。
記憶を喪って僧院の庭に倒れていたガブリエル。2幕の終盤で明らかになる彼の過去が、演出的にちょっと唐突だったのが残念でしたが、松本くん自身はすごく良かったです!
・サルガタナス(山本芳樹)
吃驚しました!ものすごくぴったりだったと思います。山本さんが演じる異常さというか、特異な雰囲気は抜群で、Fluctosで同じ役を演じる松本くんのイメージがまったくわかないくらいでした。
……逆に、Fluctusで山本くんが演じるガブリエルも、あまりにも想像力の外すぎて……観てみたいような、怖いような(←いや、観る予定は残念ながらないのですが)。
・アンヌ(宇佐見輝)
エティエンヌと親しい農民の少女。親によって人買いに売られそうになり、家を逃げ出してエティエンヌの十字軍に参加する。
見た目も可愛らしく、芯の強さのある可愛い女の子で、とても良かったと思います。この人も「トーマの心臓」で何か役がつくといいなあ。もっともっとお芝居を観てみたいです。
・ル―(千葉健玖)
「森」で生きていた青年。たぶんに妖精的な、エティエンヌを慕う子供たちの中でも特別な存在でしたが、ちょっと野生的な雰囲気といい、本能的な優しさといい、存在感があってとても良かったです。
とても役の多い作品でしたが、どれも適役で、皆さんとても良かったと思います。
笠原さんが、すべての場面で違う役、みたいな感じに修道院長やら領主やら、偉そうな役を次からつぎと演じた上で、最後に悪役までやってしまうあたり、その芝居の幅広さを見せてもらって、とても素敵でした(^ ^)。また外部出演しないかなあ。。。
倉田さんの演出は、相変わらず暗転+音楽⇒次景、の繰り返しで、そろそろ違う手法も試してみたほうがいいのではないかと思ったりもしました。客席の使い方とかはだいぶ良くなったなあと思うのですが。。。十回以上はありそうな場面展開をすべて同じパターンでやられると、どうしても「またか」と思ってしまうんですよね。
一度、盆のある劇場(載せ盆でもいいいけど)で公演してみたらどうだろう、と思ったりしました。
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原作は、皆川博子の「少年十字軍」。残念ながら未読ですが、この少年十字軍の十年前に行われた第4次十字軍(1202年)については、塩野七生氏の本で読んでいたので、世界観含めて、だいたいついていけた……かな?
ヨーロッパの片田舎で、羊飼いの少年エティエンヌが大天使ガブリエルに抱かれ、「エルサレムへ行け」との神の声を聴く。それを聴いた子供たちは「エティエンヌが居るから大丈夫!」と聖地への長く危険な旅に同道することを望み、大人たちは、「純粋な子供たちによる十字軍」という夢に酔い、贖罪のための寄付を差し出す。。。
当時は、まだ第4次農業革命前の、三圃制が主流の時代ですよね。牧草栽培や舎飼い技術も確立されておらず、冬には大量の家畜を屠殺していた頃。この物語の主人公エティエンヌは、流れの羊飼いである伯父と共に村から村へ旅をしている、という設定のようなので、農業に従事する農民とは別の、牧畜の専門家がいたということなのでしょうか。農民たちが三圃のうち二圃の世話をしている間に、休閑地で放牧される家畜の世話をする人々(家畜の持ち主は農民)。
流れの専門家は、土地に縛られた農民にとって「マレビト」であり、何らかの特殊能力や特異な道具を持っていると考えられる。エティエンヌも、聖遺物が仕込まれた杖を持ち、それを媒介に天からエネルギーを得て、人や動物の怪我や病気を治すことができる「神に選ばれた無垢なマレビト」として舞台に登場する。
彼は鏡となって人々の心根を映しだし、その醜さを、その美しさを、分け隔てなく受け容れる。
神に選ばれた器。繰り返される「エティエンヌがいるから大丈夫!」という率直な憧憬に、眉ひとつ動かさずに歩き続ける……未来へ向かって。関わるすべての人への愛を持ちつづけて。そんな、「天使」の存在感が、とても見事でした。
それでは、出演者について簡単に。
・エティエンヌ(久保優二)
プラチナブロンドが白い肌に自然に映えて、まさに天使のようでした。つい見惚れてしまった。。。顔だちが幼いのもあるので、ぜひエーリク(「トーマの心臓」)を観てみたいなあ、と思いました。
割と無口なキャラなので、芝居の巧拙はよくわかりませんでしたが、声自体は聴きやすくて良かったし、これからの活躍を楽しみにしています。
・ガブリエル(松本慎也)
私はやっぱり、松本くんは男役のほうが似合うと思う。。。顔だちが男っぽいんですよね。今回は役柄的なものもあってキツめのメークでしたが、シャープな貌によく映えて、素敵でした。
記憶を喪って僧院の庭に倒れていたガブリエル。2幕の終盤で明らかになる彼の過去が、演出的にちょっと唐突だったのが残念でしたが、松本くん自身はすごく良かったです!
・サルガタナス(山本芳樹)
吃驚しました!ものすごくぴったりだったと思います。山本さんが演じる異常さというか、特異な雰囲気は抜群で、Fluctosで同じ役を演じる松本くんのイメージがまったくわかないくらいでした。
……逆に、Fluctusで山本くんが演じるガブリエルも、あまりにも想像力の外すぎて……観てみたいような、怖いような(←いや、観る予定は残念ながらないのですが)。
・アンヌ(宇佐見輝)
エティエンヌと親しい農民の少女。親によって人買いに売られそうになり、家を逃げ出してエティエンヌの十字軍に参加する。
見た目も可愛らしく、芯の強さのある可愛い女の子で、とても良かったと思います。この人も「トーマの心臓」で何か役がつくといいなあ。もっともっとお芝居を観てみたいです。
・ル―(千葉健玖)
「森」で生きていた青年。たぶんに妖精的な、エティエンヌを慕う子供たちの中でも特別な存在でしたが、ちょっと野生的な雰囲気といい、本能的な優しさといい、存在感があってとても良かったです。
とても役の多い作品でしたが、どれも適役で、皆さんとても良かったと思います。
笠原さんが、すべての場面で違う役、みたいな感じに修道院長やら領主やら、偉そうな役を次からつぎと演じた上で、最後に悪役までやってしまうあたり、その芝居の幅広さを見せてもらって、とても素敵でした(^ ^)。また外部出演しないかなあ。。。
倉田さんの演出は、相変わらず暗転+音楽⇒次景、の繰り返しで、そろそろ違う手法も試してみたほうがいいのではないかと思ったりもしました。客席の使い方とかはだいぶ良くなったなあと思うのですが。。。十回以上はありそうな場面展開をすべて同じパターンでやられると、どうしても「またか」と思ってしまうんですよね。
一度、盆のある劇場(載せ盆でもいいいけど)で公演してみたらどうだろう、と思ったりしました。
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