MIWA!!

2013年11月29日 演劇 コメント (2)
東京芸術劇場プレイハウス(旧:中ホール)にて、NODA・MAP 第18回公演「MIWA」を観劇いたしました。


当年とって78歳の美輪明宏(78才)をモデルに、「アンドロギュヌス」というフリークス(古田新太)に憑かれた美青年の半生を宮沢りえが演じきり、「昭和」の空気を見事に再生した舞台でした。
私は美輪さんの舞台は観たことが……もしかしたら無いのかしら?チラシを観るたびに観たいとおもっていたけど……結局、観ていないような気がします。

そんな私ですが、とても面白かったです。

主演の宮沢りえさんが瑞々しく美しく、そんなに似ているわけではないのでしょうけれども、こういう魅力のある人だったんだろうなあ、と、素直に納得できる気がしました。愛する人にすべてを否定され、あらゆる辛酸を舐めたひとが、ラストに辿りついた澄明な笑顔の美しさ。彼「女」の人生のすべてを観て、呑みこんできた「楽屋の鏡」ごしにみるその輝きに圧倒されて、茫然と見送ることしかできませんでした。

お目当てだった浦井健治さんは、銀巴里時代の歌手仲間。同性愛者であることを母親に否定されて死を選ぶ若い美青年の役で、「StarS」武道館コンサートで見せていたボケボケなイメージからは想像もつかない感じでした(←いまさら)。そして、タイツ姿で何度も脚線美を披露してくださいましたが、さすがでした。。。(なにが)

池田成志さんの七変化っぷりというか、たくさんの役の演じ分けもすごかったけど、それをあっさりネタにして「僕がここにいるから、オーナーは帰って来られないんだよ」とか言わせちゃう野田さんってやっぱり神だなあ、と思うのです。。。


古田さんの「アンドロギュヌス」の存在感はさすがすぎて、なんというか、飛び道具でしたね。野田作品では定番ともいえる、「いつも傍にいる」と約束してくれたフリークス。
決して美しくはない「化けもの」なのに、ぶっきらぼうに丸山少年を慰め、彼に生きる力を与えていたアンドロギュヌス。長じて自分の脚で歩きだし、銀巴里に居場所を見つけた彼がアンドロギュヌスを必要としなくなるとあっさり離れ、またっさりと戻ってくるあたりの展開もさすが。アンドロギュヌスが去った後、無意識にあたりを探る丸山青年の視線が寂しかったし、戻って来た時の感動的な演出のいっさいないさりげなさがとても好きでした。
野田さんがこの作品を思いついた次点で、すでに古田さんの登場は決定だったのだろうな、と思いました。



演出的に秀逸だったのは、原爆後の光景でしょうか。「世界」を覆う黒い薄布の下、苦しみもがく芝居にみせて、こっそり黒服に着替えていた「死体」たち。2階席の最後方センターの立ち見席から見下ろしたその光景は、巨大な光と熱量によって一瞬に焼けただれ炭になった人々の表現として、実にリアルでうつくしくて、凄惨で。
……そして、その「世界」を踏みつけて歩く「美少年」の輝かしさが眩しかった。踏みつけて、踏みしめて、彼は歩む。凄惨な世界の中を、諦めることなく、飽きることもなく、ただ、まっすぐに、「美」をもとめて。



それにしても!!
プログラムにある高校生時代の美輪さんの美しさには思わず息をのみました……まさに「奇跡の美貌」。あれはもはや、平凡な幸せなど望んでも得られないだろうから、ああやって燃え上がるしかなかったのだろう、と、、、すごくいろんなことがすとんと落ちた、そんな気がしました。




舞台とは全く関係ありませんが。
芸劇に行ったのは久しぶりだったのですが、建物の中の吹き抜けの空間に、正面から見ると羊の頭で、裏から見るとなんだかよくわからない容をした、不思議なバルーンオブジェ(?)があったのですが、、、あれはいったい何なのでしょうか?
昔読んだ童話「はなはなみんみ物語」に出てくる“おそろしい羊びと”を思い出したのは私だけ? 山を囲む雲が凝って生まれた化物、という設定にぴったりの姿だったんですが……(怖)


コメント

nophoto
通りすがりのまっつファンです。
2013年12月1日14:52

いつも楽しみにして拝見しています。書くことの大変さを感じつつ。読める楽しみをここで謳歌しています。芸劇の羊オブジェ。あれは12月8日までやっているフェスティバル・トーキョーの流れであちらに展示されているようです。シアターイーストでも劇場の外でも短いスパンで色々な演目、フラッシュモブなど行われていました。アートフェスティバルの一つの作品という感じだと思います。

みつきねこ
2013年12月3日1:06

通りすがりのまっつファンです。さま
コメントありがとうございます!そうだったんですね。。。なるほど!いろいろ見ると何かが見えてくるという感じなのでしょうか。とりあえず、はなはなみんみ物語は関係ないんですね(^ ^)