しらとりはかなしからずや空の蒼うみのあをにも染まずただよふ(和山牧水)


……それがなにか、と問われれば返答に困ってしまうのですが。

大空祐飛さんが、ディナーショーで歌った主題曲「SORA」を聴きながら、なんとなくそんな一文が頭に浮かんでいました。


祐飛さんは、何かを脱いじゃったんだなー、と、
なぜそんなことを思ったのか、自分でもよくわからなかったのですが、

16年間まとい続けてきた“なにか”を脱ぎ捨てて、ホントウのジユウなそらを舞う、白い鵬。
空の蒼にも、海の碧にも、月光にも、花の色にも染められない、真っ白な大翼。南の平野を目指す、図南の翼。


舞台を飾る白い翼の形をしたセットが、ひどく象徴的でした。
「スコットの背には翼があったの…」
ゼルダの細い、怯えたような、声さえ聴こえてくるような気がして。

なのに、そこに立つSORAの、そのリアルな存在感は。
誰かによって奪われた翼さえ、自分の力で修復してのけてしまいそうな力強さは。


…このひとは、もしかしてもしかしたら、ホントウに凄いのかもしれない……、

そんなことは、もしかしたら、ご贔屓さんがピンでやるディナーショーを観たら、誰だって思うことなのかもしれません。
…そう思うことができるからこそ、ファンは痛いものでいられるのだから……、と、
我ながら不思議なくらい、感慨は深くて。







全体に、MCの少ないディナーショーだったと思います。普通、オープニングに2、3曲歌ったら一回MC入れますよねぇ?
でも今回は、全体が芝居仕立てであるせいか、半分すぎるくらいまでMCナシでした。祐飛さんって、お茶会とかのトークはめっちゃ面白いけど、こういうMCはあんまり得意じゃないっぽいから…かな?

唯一のトークのお題は、東京では「あなたにとっての奇跡は?」でした。(宝塚ホテルでは「大空祐飛と“ハジメマシテ”したときの印象は?だったらしい。それも聴きたかったわ…)

「誰にだって、一生に一度“うっおー、これは奇跡だ!!”と思う瞬間がありますよね?…あれ?ない?……ま、いずれありますよ♪」
軽妙な合いの手を入れながらトークを進めていく祐飛さんを見ながら、
『いえあの、あなたに(一方的に)出会って、このディナーショーのチケットを無事ゲットして、この年度末のくそ忙しいど平日に会社をだまくらかしてここに座っている自分が一番の奇跡ですってば!』と思ったひとが、
…とりあえず30人くらいは居たんじゃないかと思いつつ(笑)

(白華)れみちゃんの奇跡は、小さいころに、台風の後でお祖母ちゃんの家に行ったら瓦が落ちてきたのに、額を切っただけですんだこと、だそうです。
祐飛さんが「そのせいでそんなに面白いキャラになったの?」と突っ込んでいらっしゃいました。(ちょっとしつこく)
で、その後「面白いといえば、(初姫)さあやも相当面白いよね?」とさあやちゃんにふって。

ゆ「さあやの奇跡も瓦?」
さ「いえ、違います」
と言って、自分の奇跡を語るさあやちゃん。さあやちゃんの奇跡は、下級生の頃、日本ものの子役をやっていたら、ぽろっと鬘が落ちてしまって、あわてて拾ってぱっと被ったらちゃんとまっすぐになってた!といもの。
ゆ「それは奇跡だねぇ。(皆拍手)あれ?でも、瓦じゃないってことは、じゃあ(←そのじゃあの意味がわかりません)、その面白さは生まれつき?」
さ「…ってことになりますね」
ゆ「それもさあやの奇跡だねっ!!」

…そんな一生懸命な突込みを、暖かく微笑んで見守りつつ、
「そうですね」
と笑ってくれる、包容力のある可愛いさあやが、私はものすごく大好きです。

(桜)一花の奇跡は、UFOを見た事。
い「光るものが、すーっと来て、ここでとまって、次の瞬間ぱっとこっちに異動して、で、ぱっと消えちゃったんです!」
と、一生懸命みぶりてぶりで説明する一花が、また最高に可愛らしい(*^ ^*)。
ゆ「へー。ってことはたぶん、“ここ”から“ここ”に(手振りつき)異動する間に一花はさらわれたんだね」
い「…え?」
ゆ「で、戻ってきたときにはそんなふうに耳が尖がってたんだね」
い「…ああ、それで!」

一花、納得するなよそんなこと。

ゆ「耳といえば、みき(白華れみ)も耳とがってるよね?」
れ「わ、わたしですか!?」
ゆ「みきもUFO?」
れ「いえ、違います。私はさらわれてません(←そんなにきっぱり言わなくても)。でも、耳といえば祐飛さんの耳も動きますよね!」
ゆ「そうなの。あたしもこっちの耳がぱたぱたと…」

祐飛さんがUFOにさらわれた経験がある、っていうのは、いかにもありそうな気がしますね。ファンですけど。

(華耀)きらりちゃんの奇跡は、
き「小学生のころプールっ子だったので、すごく真っ黒に日焼けして、祐飛さんにちょこっと足りないくらい(手で形を描く)、の肩幅があって、すごい逆三角形だったんです。それが、多少は白くなり、(昔に比べれば)多少は華奢と言っていただけるようになったこと」
ゆ「えー!!それは凄い奇跡だ!どうやったらそんなふうに華奢になれるの?ねぇねぇ!!」
き「それは、プールをやめたから」
ゆ「…プール?プール……(小声で)プール、もともとやってないし…」
き「あ、でも、水泳もやっていないのにその肩幅があるってことが祐飛さんの奇跡ですよねっっっ!!」

奇跡のマジシャン、奇跡のプロデューサーの次は奇跡の肩幅ですか……。
「男役・大空祐飛、肩パッドはいらないぜ」
という名言を残した「SPARK II」という名作もありましたねぇ、そういえば(^ ^)。

で、ここから先はこの肩幅の話題でぱーっとみんなで盛り上がってしまいました☆

「カルメン」の場面で、さあやちゃんが祐飛さんの肩に手をのせて寄り添う振りがあるのですが。

さあやちゃんは、実際にお稽古場で実物の“大空祐飛”に出会うまで、「華奢で細い男役さん」だと思い込んでいたんだそうで…。
な、なんでそんなことを思い込むんだっ!?舞台映像とかいっぺんも観たことなかったのか?それとも、舞台姿は巨大な肩パッドだと思っていたの??謎。(さすが、さあや)

まぁ、謎はともかく、そういうわけでさあやちゃんは最初のお稽古場で愕然としたのだそうで。
「肩に手をあてて寄り添おうにも、“顔が遠い!”って怒られて」みたいな話をしていましたね。わ、笑える…。



ちなみに、祐飛さんの肩は『9割自前』なんだそうです。
1割は『自前じゃない』そうですが……

100%天然モノにしか見えないのは気のせいなのか?ホントか?



そういえば、以前ファンだったマミ(真琴つばさ)さんも、藤井さんに「自前の肩幅」って言われてたっけなあ。私は肩幅のある人が好きなんでしょうか?…まぁ、男役のスタイルで一番重要なのは肩と腰、なんですけどね。(娘役は首とデコルテ)

ああ、それにしても、今の宝塚で一番肩幅があるのは誰なんでしょうねぇ?…純粋に“幅”でいったら、やっぱり宙組のともちんとかななほくんとかあのあたりなのかなあ?身体の大きさが違うもんなぁ…。

背が祐飛さんと同じくらいのグループだったら、らぎ(柊巴)ちゃんも良い勝負のような気がします。幅だけならね。厚みはだいぶ違いそうですが(^ ^)。あとは誰かなあ…?





また雑談しているうちに長くなってしまいました(涙)。

とりあえず、トークの内容を先に書いてしまったので、次は場面を追って印象を書きたいと思います。
……たぶん、8割は娘役の話になると思いますが…(滝汗)。




東京會舘にて、大空祐飛ディナーショー「SORA〜空の奇跡」を観てまいりました。

ねこは、大空祐飛さんのお芝居のファンであって、
大空祐飛さんがショースターだと思ったことは、今日この日まで一度もありませんでした(←きっぱり)。

でも。

2008年3月17日。

今日を“ショースター記念日”と呼びたいくらい(←意味わかんねー!)、
ショースター大空祐飛を堪能させていただきました。


……すいません、痛いファンそのものですね私……(滝汗)


いえあの、
約1時間半のショータイムの、たぶん8割くらいは可愛い可愛い花娘さんたちに目を奪われていたねこにそんなこと言われたくねーよ!ときっとご本人は思っていらっしゃることでしょうけれども(((((^ ^;;;;;;



最初に一曲歌って、合間に「こんにちは!花組の大空祐飛です!」と言われただけで。
そんな、アタリマエのことで泣けてしまう自分は、本当に「月組大空祐飛」のファンだったんだなあ、と、今更なことを思ったりもした幕開き。

そこにいたのは、間違いなく「花組の大空祐飛」さんでした。

ショースターで、かっこよくて、濃いめのピンクのスーツがよく似合って、

気障で、粋で、
…でも、いつもよりちょっと可愛くて。

可愛い可愛い、花組ご自慢の花たちに囲まれて、
それはそれは幸せそうで、嬉しそうで、

…なによりも、楽しげな。


組カラーなんてすっかり破壊されてしまった今、僅かに残った天然記念物、「芝居の月組」の最後の一葉だった大空祐飛が、
これだけメンバーが変わっても色濃く「ショーの花組」で居続ける花組へ異動する。
いったいどうなるのか、と不安と期待に胸をえぐられる思いだったこの数ヶ月。


ああ、この人はいつの間にこんなにも“ショースター”になっていたのか、と。
喜びと、
なんだか知らない人を観ているような、不思議な違和感と、

そして、深い安堵と。


今回のディナーショーは、「SORA」というスターがいろいろな作品を演じる、という、大きな枠組のある芝居仕立てのショー。
「SORA」の恋人・桜一花、
「SORA]の有能なマネージャー・初姫さあや、
「SORA]の舞台での相手役・華耀きらり(カルメン)と白華れみ(ミカエラ)…

“芝居仕立て”という、この設定が重要だったと思います。
ショーが不得手な祐飛さんにとっても、やりやすい形式だったでしょうから。

祐飛さんは、MCの場面以外は終始「SORA」として舞台に居ました。
スターである「SORA」として、演じ、歌い、恋を語り、踊り……

……そして、ファンから逃げてった(爆)。

観客席を、ところ狭しと駆け回る、大空祐飛&花娘。

コミカルな場面はコミカルに、
シリアスな場面はシリアスに、
肩の力を抜く場面はゆったりと。

プロの構成だなあ、としみじみと思いました。

中村一徳さんのショーって、いくつも観るとワンパターンなので段々飽きてくることも確かなんですが、ひとつだけを観れば、とにかく王道パターンだし、メリハリがあって華やかで、…結構好きなショー作家の一人なのですが。

彼のショーの一番の魅力は、宝塚の組子6、70人をいっぺんにわーっと出す“人海戦術”なんですよね。だから、ディナーショーはどうなんだろう……と思っていたわけですが。


そんな心配、杞憂でしたね。本当に。

ディナーショーで、お得意の「人海戦術」技をしっかり繰り出す中村一徳、恐るべし!!

祐飛さん+可愛子ちゃん4人。
合計5人全員が揃って舞台にいる時間の長いこと、長いこと。
普通ディナーショーって、祐飛さんがソロで歌ったりMCしたりする時間が一番長いもんだと思うのですが。主役が着替える時間を作るためにちょっと場面を貰ったりするくらいで、あとは“添え物”的な存在であることが多いはずなんですけど。

今回は、そもそも全体の構成が“芝居仕立て”なので、4人とも比較的上級生の、“花も実もある”メンバーなせいもあると思うのですが、それにしてもずーっと出ずっぱりでがんばってくださいました。

単独で目立ったのは、れみちゃんがミカエラのソロを一人で歌ったのと、ラスト前にさあやちゃんのソロに3人のコーラスで一曲あったくらいでしたが、
さあやちゃんは「SORA」のマネージャーとしてかなり長い芝居場面があるし、
一花ちゃんは「SORA」の恋人として丸々一場面祐飛さんと組むし、
きらりちゃんも、カルメンとしてソロと祐飛さんとのダンスがある。

むしろ、4人が着替える時間を作るために祐飛さんがソロを歌っているんじゃないか、ってくらい、4人とも出ずっぱりで大活躍で。
そして祐飛さんご本人は、ちょっとした合間にとっとと着替えて、出てきてくださる。

…両袖は戦場なんだろうなあ、と、
しみじみ感心してしまいました…。

いやー、舞台上(あるいは客席)に人がいっぱいいる図、っていうのは華やかで楽しいですねー♪♪
……やってる方は大変でしょうけれども(^ ^;;;


『祐飛さんと花娘』。
組替えがなければ、(れみちゃん以外)絶対に共演することもなかったであろうメンバー。

誰が選んだのか知りませんが、

4人とも本当に可愛かったぁ〜〜!!(でれでれ)

あの可愛い4人と、こらからもずっと同じ舞台に立てる。
それがとても幸せなことに思えます。

きっと、大劇場でまとぶんたちと組んでお芝居やショーをやっている姿を観たら、またすごく幸せになってしまうんだろうな、私は……(単純)


宝塚はひとつ、と、あなたが言ったから。
だから私は、この世にたったひとつの、あなたの背中を追いかけることができる。

その、9割自前の男役の肩、を。



ありがとう。

ありがとう。

中村一徳さんに、

演奏してくださったSCRATCH!のみなさまに、

一花ちゃん&さあやちゃん&きらりちゃん&れみちゃんに、

音楽の青木朝子さんに、
振付の御織ゆみ乃さんに、
美術の関谷敏昭さんに、
衣装の有村淳さんに、
照明の安藤俊雄さんに、

その他、このショーに関わってくださった全ての方に、


心からの感謝をこめて。


銀座博品館劇場にて、「WILDe Beauty」を観てまいりました。


「サロメ」「ドリアン・グレイの肖像」、童話「幸福の王子」、そして、宝塚ファン的には「Ernest In Love」の原作である「まじめが肝心」の作家、オスカー・ワイルド。
彼の人生を、出獄した晩年の彼と、彼を訪ねてきた女優・メイベルの会話で語らせる………

なーんて説明を信じたら、たぶん全く違う作品をイメージすることになるだろうなあ。私が観劇するまで、まったく違う世界を創造、いえ想像していたように。

…だから、
まずは演出家に倣って、スペックのご説明からはじめましょう。


作・演出は荻田浩一。
音楽は斉藤恒芳。
振付は港ゆりか。

出演は、浦井建治、池田有希子、森新吾(Diamond☆Dogs)、
小野妃香里、良知真次、朝澄けい、上野真未、戸井勝海、宮川浩の9人。
2年前に同じく荻田さんの演出で舞台化された「アルジャーノンに花束を」メンバーが半数以上を占める公演でした。


っていうか、このキャストって、ほぼ外部舞台における「荻田組」ですよね。
浦井くんは「蜘蛛女のキス」。森くんは前にも「Rythm Rythm Rythmに出ていたし、小野さんは「Red Shoes, Black Stokings」以来の常連。カヨコ(朝澄けい)ちゃんは現役時代から「荻田組」だったし、戸井さんも「蝶々さん」があったし。
池田さんはぜったい荻田作品向きで、今まで出ていないことがかえって不思議なくらいの印象。

荻田さんは演じ手に拘る“クリエーター”だから、こういうキャストが一番やりやすいんでしょうねぇ、きっと。
楽しかったんじゃないかと思います。創る過程が。


なんといえばいいのか。
ーマや内容は全く違うのですが、「A-L(R)ex」で出来なかった世界構築を、今回やり遂げたんだ、という感がありました。

…いえ、内容もテーマも全然違うんですけどね、「A-L(R)ex」とは。



でも、表向き“一人の人間の人生を語る”形を取っておいて、実はそんなこと全然気にしていない、という「あれっ?」という感じは同じでしたね。
「A-L(R)ex」はアレクサンダー大王、「WILDe Beauty」はオスカー・ワイルド。どちらも非常に著名な歴史上の人物で、かたや当時知られていた“全世界”を統一し、世界の果てを目指そうとした伝説の主。かたや己の信じる「美」をよりどころに、その価値観で世界を征服しようとした「美の伝道者」。

出生から基本的に時系列にそって回想しつつ、時折時間を超越してみたり、現実に戻ってみたりするところも同じ。しかも、この時間が飛ぶときに演劇のお約束っぽく衣装が変わったり照明が変わったり、しない。
変わるのは音楽。それも、同じ。


前置きも何もなく時間が突然飛びまくるので、観客が一瞬でも気を抜くと置いていかれてしまうわけですが。
こういう構成は嫌いではないので、特に違和感はありませんでした。

とにかく、これだけのキャストが揃えば、これだけ「喋れる」キャストが揃えば、荻田さんのやりたいことは全部実現できるんだな、と、

それに一番感動したかもしれません。



ただひたすらに、印象的な、詩のような言葉をひたすらに紡ぎ続けるだけの2時間半。
言葉遊びの多用、一連の言葉を何人かでわけて繰り返し語らせる話術、一人の役者いろんな役を次々に切り替えて演じていく手法…そのあたりには、色濃く野田秀樹の影響があるような気は今回もします。
でも、「A-L(R)ex」のときのような、「野田作品かと思った」という印象は無かった。声や語り口調のバラエティの広さがすごく良かったと思います。役者個人のバックボーンの違いが、台詞回しのひとつひとつに如実に出ていて、声のコントロール、話す速度のコントロールで、驚くほど舞台に緊張感が生まれる。


「A-L(R)ex」が、あくまでも「宝塚」という世界の中で閉じた作品だったというならば。
「WILDe Beauty」は、「日本の演劇界」に投じる一つに石になりうるのかもしれない。
…ならないかもしれないけれども。



とにかく、面白かったです。
「宝塚での荻田さんは好きだけど、外部作品はどうも…」という方には結構お勧めしたいかも。
今までいくつか観てきた彼の外部作品は、どれもテーマか役者のキャラクターか技量かスタッフ陣か、どこかに根本的なズレがあることが多くて。
どうしても、「演出家がやりたいことをただ垂れ流すだけなら、マスターベーションと同じじゃないか」と辛辣なことを思うことが多かったのですが。


今回は、すべてがぴたっと合った。

そんな気がしました。




…根本的に、言葉遊びが駄目な人、荻田さんの台詞が好きじゃないひとには、まったく無理だと思いますけれども。
だって、あの詩のような言葉の数々には、意味はないんだもん。

ただ“美しい”だけの言葉たち。
空疎な音の羅列。
言葉が空疎であることが、ワイルドの求めた「美」の無意味さをあらわしている。

言葉で「感動」を表現することはできないのだから。
「感動」のないものは「美」ではないのだから。




浦井くんは、本当に荻田役者だなーと思います。
後半に立て続けに歌うソロ二曲、魂を振り絞っての歌でしたが、

素晴らしかった。



宮川さんが「年老いた」オスカー、浦井くんは「若い頃の」オスカーと、オスカーが愛した青年たちの両方を演じる、という形で演じ分けていたのですが、想像していたより浦井くんの声と宮川さんの声の相性が良くて、二人で語り継ぐようなところや、宮川さんの台詞に浦井くんが合いの手を入れるところなど、すごく自然で、まさに「心の声」という感じでした。
あの切り替えが一番面白かった、かも。



池田有希子さん、本当に本当に大好きな人。久しぶりに拝見できただけでも嬉しいのに、あんなに出ずっぱりで歌って踊って芝居して……
子供のような声と、大人っぽい声の使い分け。存在自体が太陽のように陽性の空気を生み出す、その雰囲気。なのに追い詰められた「陰」の芝居もお見事で。「死」に関して語る部分の迫力は、本当に素晴らしかったです。



森くんは、今回は歌って踊っての大活躍。良知くんとほぼ対という感じでしたが、歌うまくなったなーと感心しました。
良知くんは、四季時代は残念ながら観たことがないのですが、あんなハンサムな子がいたら惚れてただろうな、私(^ ^)。



小野さんは言うことなしです。メインはオスカーの母とサラ・ベルナール役。華やかな容姿と、けだるげな声の冷たさ。戸井さんとともに、すこーしコミカル風の大袈裟演技で場を盛り上げたり、大活躍でした。



カヨコちゃんは、出演作を観るたびに思うんですが、本当に滅多にない独特の声ですよね。
あの声が、荻田さんは本当好きなんだろうなあ…。とにかく。印象的な言葉はぜんぶカヨコちゃんが言っていたような気がします。役者たちが順番に一言づつ“印象的な”単語を並べていく、荻田さんお得意の場面でも、カヨコちゃんが喋ると一瞬空気が止まるんですよね。すごく面白い存在感。
そして、なんといってもあのリアル感のなさは凄い!姿も声も、どこか夢の中の人っぽいんです。現実に眼の前に立っている感じがしないひと。不思議なくらいに。



上野真未ちゃんは、まだ17歳の新鋭。9歳で死んだオスカーの妹と、サロメのイメージでしたが。これまた現実感のない可愛らしさで、とても印象的でした。歌はちょこっとでしたがいい声だったので、これからのご活躍が楽しみです♪



戸井さんは、オスカーの最初の先生とプリンス・オブ・ウェールズ。そして、オスカーの最後の恋人の父親。
ちょっとコミカルな役どころも多く、情けない様子やかっこつけた空っぽぶりをがんばっていらっしゃいました。

プリンス・オブ・ウェールズとオスカーの会話は、去年日生でやった「KEAN」でのキーンとプリンスの会話を彷彿とさせて面白かったです。いっそ「KEAN」を来年あたり荻田さんの演出で再演しないかなあ。……ぜひぜひ、今回のメンバーで!浦井くんの「KEAN」は…ちょっと年齢が若すぎるかもしれないけど、意外とやれるような気がします。「舞台に魂を売った」男なので。
(轟さんのを観たとき、外部で上演するなら藤原竜也で! なーんて思ったことは秘密です)







まぁ、最後の最後に、戯言をひとつ。

「せっかくこのメンバーを集めたんだったら、『アルジャーノンに花束を』も再演してほしかったよーーーーーーーーーーっ」

「WILDe Beauty」にも大満足させていただいたことは明記した上で。

やっぱり「アルジャーノンに花束を」再演切望っ!(祈)




舞姫

2008年3月15日 宝塚(花)
日本青年館にて、宝塚花組公演「舞姫」を観劇してまいりました。


6月のバウホールでの公演中は、月組の全国ツアーと被って遠征できず、でもどうしても観たくて、平日に休みを取って交通費○万円かけて行くことを真剣に検討したこの公演。

再演&東上、本当に嬉しいです。関係者各位に、心から御礼と、そしてお祝いを申し上げます★おめでとうございます〜〜〜!!


昨夜、家に帰って「さて」と日記を書こうとしたら、サイトが落ちていてがっくりしたのですが、今はなんとか復活したようなので、

とりあえず叫ばせてください。


すみ花ちゃん、素晴らしかったよ〜っ!!


夢の中で生きている少女。

豊太郎の、夢の中に棲んでいる少女。


彼の夢の中にしか、存在しない、天女。



“現世”を生きていない少女が、本当にいた
その、驚き。


もちろん、みわっちさんもまっつもみつる&由舞ちゃんもふみかちゃんも、他のメンバーも、みんなみんなとっても良かったんだけど。

すみ花ちゃんのエリスを観ることができて、
この作品を観ることができて、

本当に、良かった。



作品について、植田景子さんについて、は書きたいことがたくさんあるので、またゆっくりまとめたいと思います。

とにかく、今は、
…すみ花ちゃんへ、「ありがとう」の一言を…


天王洲の銀河劇場にて、Studio Lifeプロデュースの「カリフォルニア物語」を観劇してまいりました。

…花組さんの「舞姫」が開幕する前に、観たものは書いておかないとねっ!(汗)


えーっと。
吉田秋生さんの名作「カリフォルニア物語」を原作とする、今回の公演。普通のライフ公演ではなく、大勢のゲストを迎えてのプロデュース公演だったんですね。あまりにも知らない人が多くて、凄くびっくりしてしまったのですが(^ ^;;;。

まぁ、たしかに私、ライフの舞台を観るのはずいぶんと久しぶりでした。
初めて観た「訪問者」は、まだ笠原浩夫さんがオスカーをやっていらした頃で、あまりの格好良さに惚れこんでしばらくお手紙書いていたんですが……。公演があるたびに「行きたいなあ」と思いながら、なかなかタイミングが合わず。いつの間にか案内も来なくなっちゃって、気になりながら、年単位で時が過ぎてしまったんですよね…。

別に嫌いになったわけじゃないのに、なんとなく遠ざかってしまったことに気がつく。なんだか凄くさびしいことなのかも(T T)。

だからといって、「これからは心を入れ替えてライフもちゃんと毎公演観にいこう!」と思ったわけではないんですけどね…(ごめん、友よ)。

だって。
…「いいなあ」と思った人は、元々大好きだった及川くん以外、みーんなゲストだったんだもん(涙)。


「カリフォルニア物語」。
(役者名は、私が観た回のキャストです)

“西から来た男”ヒース・スワンソン(林剛史)。
“西に憧れる天使”イーヴ・ルチアーノ(松本慎也)。

この二人の心の交流を丁寧に描いた原作。

すこーし頭が弱いイーヴが、ひたすらに憧れつづける「カリフォルニア」。

この作品のミソは、タイトルが「カリフォルニア物語」なのに、物語の舞台は終始変わらず、ニューヨークであることです。
それはたしか、原作の解説か何かにも書いてあったし、
実際私も、読んでいて一番印象に残ったのはそこでした。

ヒースと父・マイケル(石飛幸治)との確執や、兄・テリー(HILUMA)との微妙な感情の行き違い、義姉スージー(HILUMA)への仄かな思慕なんかは、回想の中の出来事。ヒースにとっては、イーヴがいるニューヨークでの生活が現実で、カリフォルニアはむしろ過去の悪夢なのに、
なのに、イーヴは執拗にカリフォルニアへの憧れを口にする。

東海岸の住人にとっては“夢の国カリフォルニア”でも、そこに生きていたヒースたちにとっては“痛い現実”。
それでも生きていかなくてはならないから。

西海岸では生きていけなかったヒースが、東を目指す。
…すべてを捨てて、夢も捨てて。


ヒースの絶望と、イーヴの「西=幸せ」への渇望。
そのすれ違いがドラマを生むから、
その舞台がニューヨークだから、

だからこそ「カリフォルニア物語」なのに。

…倉田惇さんって、割と私の印象では原作に忠実に、その空気をきちんと描いてくれる演出家だと思っていたのですが。

今回はちょっと期待はずれだったかなー。


まず、カリフォルニアでの回想を表に出しすぎです。
あれはあくまでも『回想』だからこそテーマがなりたつのに、あれじゃ大きな事件が起こらないニューヨークでの物語の方が付け足しみたいじゃないですか。

演出のやりようで、同じ脚本でもカリフォルニアのトーンを減らすことができたと思うんです。
「ヒースがニューヨークで過去を思い出している」らしく演出することは出来たはず。なのに、なぜ真正面からカリフォルニアでのドラマを見せてしまったのか。

ドラマティックなのはカリフォルニアでの事件です。イーヴがニューヨークで巻き込まれる事件より、ヒースがカリフォルニアで巻き込まれた事件の方が衝撃度が大きい。だから、その二つを同じレベルで演出してしまったら、ぜったいにカリフォルニアでの物語の方がメインに見えてしまう。
それじゃあ、どうみてもヒースの心はずっとカリフォルニアにあったのですとしか見えないじゃないですか。

ヒースはカリフォルニアを拒否してニューヨークへ出てきた。
なのに、ラスト近くになって彼は、一度故郷へ帰ることになる。やむをえない事情によって。
そこで彼は、過去を清算し、ひとつ大人の階段をのぼって、

ニューヨークへ『帰って』いく。


幕開きには「西から来た男」だったヒースが、ラストの前に「東へ帰る男」になる。

それが一番のドラマなのに。

あんなにカリフォルニアでの話を中心に進めたんじゃあ、そこがボケちゃうじゃないか!
そこがボケちゃうってことは、本当のラストに起こる事件が軽くなってしまうということ。
ヒースがなんのためにどこへ帰るのか、がぼやけてしまうということ。

…あんな話じゃないはずなんだけどなぁ、「カリフォルニア物語」は……(涙)。


まぁ。
そんな文句も言ってますが。

楽しかったです。
とっても。

ええ。

……林くん、超好みですよ私★


ヒースの傲慢さ、
ヒースの沸点の低さ、

そして、
ヒースのあやうげな色っぽさ。

彼はすごーく難しい役だと思うのですが。
林くん、はまり役だったような気がします。
吉田さん、嬉しかったんじゃないでしょうか。自分の主人公にあんなにぴったりな役者がいて。


イーヴの松本くんは、…悪くはないと思うのですが、イーヴ役としてはいまひとつぴんときませんでした。私は。
イーヴは天使なんだもん。リアルさはなくていいの。もっともっと浮世ばなれした天使でいてほしい。
どんな男に買われても、傷ひとつ、汚れひとつつかない、それがイーヴ。
あれはもう、生まれつきのキャラクターが必要な役なので、合わないとなったらもうどうしようもないんでしょうけれども……。

……とりあえず、ああいう作品づくりをするなら、公演前だけではなくて日常のレッスンでの歌レッスンをがんばってくださいまし。公演前だけの歌唱指導って、カサノボー晃さんはすっげー大変だったと思いマス…


カリフォルニア、って、やっぱり東海岸から見たら“憧れの地”なんでしょうか。
…「十二国記」シリーズで、ひとびとが「蓬莱(=日本)」に憧れるように。

そこで生きている人たちの気持ちなど、おかまいなしに。


それを思うと。
「ハリウッド」もまた、一つの虚構なんですよね。
“全米の憧れ”という名の、虚構。


そう呼ばれることが、必ずしも幸せなわけではないのに、

“王”であることが、必ずしも幸せなわけではないのに、


それでも人々は憧れ続ける。
そのひとにとっての「カリフォルニア」、西海岸の太陽、に。



大空祐飛さま、
ディナーショー初日 おめでとうございます!

ねこは東京でお留守番(涙)ですが、とってもいいショーだった!というお話を伺いましたので(♪_♪)
期待と幸せに、浸っております。


可愛い可愛い可愛い娘役さんたちに囲まれて、幸せなんだろうなあ〜〜、なんて、想像するだけでなんだか嬉しくなってしまいます。いっぱい絡んでいただいているようなので、よかったよかった。
ご贔屓の幸せが、ファンの幸せです。

早く東京でやらないかなあ〜〜(←気が早すぎ)





初日レポートがあるかと思って来てくださった方、本当に申し訳ありませんm(_ _)m。
東京會舘のときは、ちゃんと書かせていただきます!(生きていれば/笑)


いちかちゃん、さあやちゃん、きらりちゃん、れみちゃん、

短い時間ですが、

どうぞよろしくお願いいたします!!



新潮文庫の季刊誌「yom yom」に、作家・小野不由美さんの短編が掲載されています。

http://www.shinchosha.co.jp/yomyom/

2月末には店頭に並んでいたはずの雑誌なのですが、先月からあまり人間的な生活を送っていない猫はずっと本屋にいく暇がなく(T T)。会社の近くのちっぽけな本屋は、ビジネス書ばっかりでyom yom置いてないしさー(溜息)、というわけで、
今日、かーなーり無理矢理買いにいって参りました。


この日記を読んで下さっている方のうち、どのくらいの方が小野さんをご存知なのかわからないので、ちょこっと解説を。

小野不由美。
もともとはホラーとミステリを中心に書いていた作家。その後、ホラー色の強いファンタジーを書くようになって、今、一番有名なのは講談社ホワイトハートのファンタジー「十二国記」シリーズ(数年前にアニメにもなりました)。
もちろん、それ以外にも色々書いていらっしゃいます。1998年に出した「屍鬼」が大ヒットして、いろんな賞の候補になってたけど…何か受賞したんだっけかな、ちょっと忘れてしまいましたが。

ちなみに、プライベートでは推理小説作家・綾辻行人さんの奥様でいらっしゃいます。


まぁ、なんとなくですが、京極夏彦さんあたりと同期っぽい印象をもっています。よく対談とかしてたし、仲良いっぽかったし。
ホラー色の強いミステリやファンタジー、純然たるホラー、などなど……分類しようとすると結構幅広く書いていらっしゃるのですが、


一番の特徴は、世界設定の緻密さと、その緻密な設定をあますところなく伝えきる、卓越した文章力。


ミステリを読めば、その緻密な設定や構成力に感心するばかりですし、
ファンタジーやホラーを読めば、「実在しない存在」「現実ではない世界」の表現のリアルさに圧倒されて、存在しないことが信じられなくなってきます。

それだけの表現力を持った、稀有な作家。


…しかーし。
細かい設定の緻密さが仇となって、「十二国記」シリーズは2001年の「黄昏の岸 暁の天」の後、翌年に短編集が出ただけで、新作は待てど暮らせど出ないままに、丸7年。
「黄昏…」の前も5年ばかりあいたので、待ちぼうけには慣れてますけどねぇ、ファンは。…それでも長かった………。


やっと出た新作は、「丕緒の鳥」。
シリーズの番外編なので、本編を読んだことの無い方にはあまりお勧めできない、のかなあ?単独でも面白いと思うのですが、世界設定の説明があんまり書いていないので、全然意味がわからないかもしれませんね。
うーん、残念。

でも、せっかく新作が出たところなので、これを機会に、ご興味のある方はぜひ「十二国記」本編のほうを読んでみてくださいませ。

“ちょっと怖い話”が嫌いでない方は、新潮文庫に入っている「魔性の子」から読み始めることをお勧めします。
「魔性の子」は「十二国記」シリーズではないのですが、先にこの作品を読んでから、講談社ホワイトハートの「月の影 影の海」上下二巻を読むのが、ねこのお奨めです(はぁと)。

怖い話があまり好きではない方でしたら、ぜひ「月の影 影の海」からお読みくださいませ。
前半は痛くて辛い話ですが、後半はカナリ号泣ポイントがたくさんあります。

今回の新作は、「月の影 影の海」の、ちょっと後…の物語、です。
7年ぶりの「十二国記」。小野さんの文章力には一点の曇りもなく、相変わらず緻密に構築された世界観に圧倒され、結構ぼろ泣きしました。
待っていて良かった……っていうか、これが出たってことは、もう遠からず本編も出るってことですよねっっっ!!!?
……またここから5年、とか言わないよね?(ちょっと弱気)


こうやってプロモーションして、ちょっとづつ小野作品のファンを増やして、少しでも作者に次作へのプレッシャーをかけモチベーションをあげてもらおう、という気持ちをこめて。


ちなみに、私が彼女の作品で一番好きなのは、
なんといっても「東亰異聞」です。

文庫にもなったので(たぶん、新潮文庫)ご興味のある方はぜひ本屋で探してみてくださいませ。お勧めです(そんなに怖くはないです)。

個人的な希望としては、大野さんにうまく脚色していただいて、外部の小劇場作品として上演してくれないかなー、なーんて儚い希望を抱いていたりします。

“人ならぬモノ”が出てくる作品なので、いろいろとタネも仕掛けも必要だし、恋愛が絡まないので現役では無理なのですけれども(涙)。


作品の内容には全くふれていませんが………とりあえず、小野さんという作家をご紹介するという目的は果たされたかな?
…っていうか、こんな内容なら「yom yom」が手に入るまで待たなくても、出てすぐ書けばよかったんじゃないのか…?(T T)。


…というタイトルで文を書き始めたのは、花組中日公演「メランコリック・ジゴロ」を観た直後でした。



正塚晴彦、というクリエーターの苦闘について、
ってなわけではないんですが。




私は、「メランコリック・ジゴロ」の初演は観ていません。

とにかく、正塚作品を初めて観たのは「ブエノスアイレスの風」で、
次が「CrossRoad」で、

……そして、それで終わった、

と言っても過言ではないくらい、「正塚晴彦=ブエノス&デュシャン」だと思っていた人間ですから。



その後「バロンの末裔」とかいくつかの作品をビデオで観たり、劇場で観たりして、「ふぅん」とは思っていましたが、少なくとも私には、「ブエノスアイレスの風」と「CrossRoad」という二作品を超える感動を与えてはくれませんでした。

彼は、アルフォンソ&デュシャンを超えるキャラクターを生み出すことが出来なくなってしまったのではないか、と思っているくらい、「CrossRoas」という作品に(タカコさんのファンでは全然ないのに笑)思い入れているんです、私ってば(汗)。



で。

直近で続いた、月組「マジシャンの憂鬱」と、この「メランコリック・ジゴロ」。

なんていうか。

「LUNA」が、「薔薇の封印」が、他にもいくつもの作品が「蒼いくちづけ」のパロディとして生み出されたように、
「マジシャンの憂鬱」は、「メランコリック・ジゴロ」のパロディだったんだな、と思いました。

っていうか、どうして素直に月組で「メランコリック・ジゴロ」を再演しなかったんでしょうか?
キャストも多いし、矛盾も(あんまり)ないし、きりやんのスタンとか超面白かったと思うし…………(…祐飛さんのフォンダリ想像して壊れました)



具体的にどこが似ているのか、というと、
どこも似てないんですよね、表面的には。

だけど、
心が似ている。

「メランコリック・ジゴロ」は、まぁ初演を観ていないのであまり偉そうなことは言えないんですが、
「今の職業」に疑問(あるいは不満)を持っている誠実な青年が、
友人に唆されて悪事に手を染めて失敗し、
その過程で一人の女との出会いを経て、
「本来の職業」に目覚める話、だと思うんですね。

「マジシャンの憂鬱」は、居候ズが善人っぽく描かれているので(^ ^;ちょっと暈されていますが、
ストーリーとしては同じだと思うんです。
「メランコリック・ジゴロ」のダニエルは、「今の職業」が“ジゴロ(←無能だけど)”で「本来の職業」が“学生”。
「マジシャンの憂鬱」のシャンドールは、「今の職業」が“超能力マジシャン”で「本来の職業」が“テーブルマジシャン”。

実際に観劇すると、二番手役が違うし、「マジシャンの憂鬱」にはフォンダリに当たる人物が出てこない(いや、出てくるけどあまり意味がない)ので、構造的に違うように見えるんですけれども。
冷静に考えてみると、テーマというか、主役の心情の変化が同じだよなー、と思ったのでした。


そして、正塚作品に共通するテーマ、「自分探し」。これが、「メランコリック…」くらい明瞭に出ていると、主人公に共感しやすいんだなー、と思いました。

「マジシャンの憂鬱」くらいになると、正塚さんも大人になったというか(^ ^)、「自分探し」というテーマが少し気恥ずかしくなってしまったのかな、という気がするのですが。
シャンドールは、正塚作品には珍しいくらい「過去のない」男でしたから。

でも、「メランコリック・ジゴロ」のダニエルは、別に脚本の中には何も書かれていないんですけれども、きちんと演出の中で表現されている。真飛聖という役者が演じる男の、おおらかな優しさ、思いやり深い誠実さ、そして、その中に見え隠れする短気な野郎性。…そんなキャラクターの奥に、「生い立ち」が透けて見えるようになっている。フェリシアに対する態度、スタンに対する態度、フォンダリに対する態度…台詞になっていない、細かい仕草の中に、それだけのきめ細かな演出がなされている。

だから、正塚さんは「人間関係を描く」クリエーターだった、と思うのです。
“ダニエル”という人物を描くために他のキャラクターや事件を配置しているんじゃない。ダニエルは特別な存在ではなく、正塚作品によく出てくるタイプの男、というにすぎない。特異なのはフェリシア、あるいはスタンであり、フェリシアとダニエルの関係、そして、スタンとダニエルの関係である、

と。


たぶん、初演を観ていない人間の戯言なんだろうなあ、と思います。
ジゴロじゃなくて“学生バイト”なダニエルと、
ジゴロじゃなくて“ごろつき”寸前の、スタン。

それでも、名古屋のダニエルとスタンは、まとぶんと壮ちゃんは、きちんとお互いの関係を結び合って、一つの作品に仕上げてくれました。
たぶん、初演とは全然違う関係、を。



それが初演を超えるものではなかったとしても、
それでも、きちんと関係を結び合うことのできた正塚作品の登場人物は幸せだ、と思います。


正塚さんの「宛書」は、柴田さんや荻田さんの「宛書」とは違うのかもしれません。柴田さんたちの「宛書」は、あくまでもインスピレーション、役者に萌えるか萌えないか、の問題だけれども、正塚さんがやっているのは、「宛書」ではなく「キャラ宛」なんじゃないでしょうか。……それじゃ齋藤くんと同類になっちゃいますけど、なにか……?



オチがついたところで、このあたりで。


.
雪組さんの「君を愛してる」を観てまいりました♪

大劇場で観たときの感想はこちら。
http://diarynote.jp/d/80646/20080117.html


で、1ヶ月半たって東宝で観たわけですが、
印象はほとんど変わらず、でした。
もっと変わるかなー、と思っていたんですけどね。

相変わらずキムラ語は意味わかんないけど、
どこ見ても美形だらけでワクワクドキドキだし、
他愛ない話だけど理屈を考えなければ十分楽しめるし…。


なんだかね、去年「パリの空よりも高く」に、他の組のファンの友人を連れていったときの反応を思い出してしまいました。
「楽しいねー、皆可愛かったねー、かなみちゃん出番が少なくてちょっとかわいそうだけど、でも麻子ちゃんもきりやんも祐飛ちゃんもホント可愛いし、楽しかったよー」と喜んでくれたんですが……(ちょっとフクザツ)。


あのときの友人たちの気持ちが、今、痛いほどよくわかります。
“いい年をした贔屓役者が18歳の少年を痛々しく演じている”という拷問の苦しさを感じることもなく、
不得手なコメディを痛々し…(以下略)

普通に「カッコイイ男役が、ちょっとヘタレだけどけなげで可愛い役を一生懸命演じていてすごく可愛い!観ているだけで幸せになれるね!」そう、心の底から言いたい気持ち。
贔屓の出番はちょっと少なめだけど、その分他の下級生の出番が(あまり構成上の意味はなくても)多くて、あちこちチラ見しているうちにフィナーレに突入してしまう……そんな感じ。


あ、ちなみに誤解のないよう言い添えますが。私は実際「パリ空」に通った人間ですし、通ううちに愛着もわいて、最終的には“結構好きな作品”になったんですよ(汗)。
そして、逆に「君を愛してる」は、通ううちにキムラ語の意味がわかるようになってしまうだろうから、段々キツくなってくるんじゃないか、っつー気もするんですけどね……。

まあ、そうは言っても、とりあえず一回二回は十分楽しめます♪名作だとは全然思いませんし、とりあえず贔屓組でやってほしいかどうかは微妙、というのが正直なところですが(^ ^)。




誇張され、戯画化されたキャラクターたち。

その中でも、実は一番面白いのはアルガンなんじゃないかと思っています。
アルガンが悪人ではない、いや、アルガンに悪意がない、という事実が、作品を救っている。


サーカスが大好きで、
   でも、“古きよきサーカス”の時代は終わりかけていて、

飛鳥&灯さんが率いるサーカス団が大好きで、
   でも、昔ながらの暢気なサーカス団は立ち退きを迫られる現状で、

自分の力を試してみたくて、
自分の才能を試してみたくて、
自分の「時代を見る目」を信じていて、
   「時代を見る目」を持たない人々を憐れんでいて、

そして、


…マルキーズが、欲しくってたまらなくて。



夜空にかかる星を欲しがるように、
湖に映る月を欲しがるように、
マルキーズが、欲しい。

マルキーズに、そばにいてほしい。

そんな彼が。


「君が僕と結婚してくれるなら」

僕は僕の信念をも破ろう。
サーカスは技能者集団であるべきだ、という信念を。

「若手たちも含めて、団員たちを全員引き取ろう」


……フランツだ〜っ!


愛してはならない天使を愛し、
それゆえに道を誤り、国を滅ぼした皇帝と、同じ道に迷いこんだ男。



アルガンは、ひとりよがりで、想像力に欠けていて、
でも、
心の底からマルキーズの幸せを祈っているんですよね。

で、「自分と結婚すること」が彼女の幸せだと信じて疑わない。



『サーカス魂』のビッグコーラスに圧倒された後。
彼は、マルキーズ一人を外に呼び出す。
切なげな眼をして。


「マルキーズ、外に出ておくれ。君が恋しい。結婚したい」

いつだって問題ばかり。
他のサーカス団との競争。
財政は苦しいのに、客の欲望はふくれあがるばかり。
団員の反発の処理、怪我や病気の多発…


「君の手紙何度も読んだよ。君の愛がぼくには必要。
若手の教育は引き受ける。他の希みも全て叶えよう」

だから、

「結婚してほしい」

と。


彼は、ジョルジュの存在も、彼とサーカス団員との交流も、何もしらない。
彼の中では時間は動いていないのです。
自分がサーカス団を離れたときから、一歩も。





面白いなあ、と思ったのが。
マルキーズの誕生日に、花を持って現れたアルガンに対する、サーカス団員たちの反応でした。

しな(山科愛)ちゃんのリュシールとか、ひろみ(彩那音)ちゃんのシャルルは、あからさまに敵意を見せます。
それは、マルキーズがアルガンに対して思いっきり嫌そうなそぶりを見せるから。

でも。
少なくとも、らぎ(柊巴)ちゃんのレザンさんは、アルガンが登場してなんだかんだマルキーズに話かけている間、なんか嬉しそうにアルガンに微笑みかけていたんですよね(アルガンには思いっきり無視されてましたが)。

で、シナちゃんの「アルガン、帰ってよ!」が出た瞬間に、ちょっと貌をしかめて、眼を伏せたんです。


ああ、レザンにとっては、アルガンはまだ「仲間」なんだな、と思ったのでした。


貸切公演の始まりで、飛鳥組長のアルガンに対する態度も「よく来たね」とかいう台詞だけでなく、“来てくれて嬉しいよ、…いろいろあったがねぇ…”という雰囲気というか、年輪を感じさせてとても好きなんですけど。

らぎちゃんも、見せ場というほどの見せ場ではないんですけど、結構面白い役をもらってるなーと思ってちょっと嬉しかったのでした。



…閑話休題。





と、いうわけで(←無理やりな展開…)、

アルガンは、マルキーズへの愛ゆえに、マルキーズの愛を得るために、
「シルク・ド・メール」が拡大成長するために取っておいた余剰分を、“マルキーズのサーカス団の若手を保護し、育てるために”使おうとします。
それは自分の信念を破るに等しい行為であり、自分自身が指摘した「新しいことへ挑戦する」ためのエネルギーを削ぐことに等しい賭けなのですが。

多分このとき、マルキーズが言われたとおりアルガンと結婚したとしても、おそらく巧くいかなかったと思うんですよね。

だって、根本的な問題は全く解決していないんだもの。

あの、のんびりしたサーカス団の技しか身につかないまま抱え込まれた若手たちは、そのまま不良債権となって「シルク・ド・メール」の採算を悪化させた可能性が高い。
そうなれば、彼らを手放す(解雇、あるいは雑用係として使うだけにして給料を下げる)しかない。

「シルク・ド・メール」がつぶれれば、いずれ彼らも路頭に迷うのだから、それが少し早まるだけのこと。
精進して芸を身に付け、「シルク・ド・メール」の戦力になれば、そんなことにはならないのだから、あとは自己責任だろう、ということになるでしょう。


遠からずその日がくる。
そのとき、マルキーズは自分の選択を是とできるだろうか…?



…でも。
そもそも、実際の「君を愛してる」の結論にしても、この問題には全く答えていないので。
根本的なところが解決していないのは一緒なんですよね。

だって。
親の遺産を受け継いだジョルジュは、事実上サーカス団のスポンサーというよりは、オーナーになるのかもしれませんが。
…あまりビジネスの才能もなさそうなジョルジュが、ブルジョアとして経済的に自立できるとも思いにくいので、基本的には「貴族」として、すでに持っているものの利子とか利用料とか、そういうもので暮らしをたてることになるんですよね…?

サーカス団なんて無限にお金がかかるものですから、独立で採算が取れないかぎり、ジョルジュの身代なんてあっという間に食いつぶしてしまうでしょう。
そうなったら、どうするのでしょうか?マルキーズは、自分の決断を後悔するんじゃないのか?



マルキーズがどちらを択んだとしても、
どちらにも転ぶ可能性がある。



だとしたら、愛を選んどけ。

……そういう話だったんだろうな、と。

そういう納得の仕方をしています、私は。




…意外とマルキーズとアルガンっていうのはお似合いのカップルだったのになぁ、と思っていたりすることはヒミツです。

だってさ、マルキーズも相当周りが見えていないと思うんですよ。
そもそも彼女を“犠牲の羊”にして、シルク・ド・メールの給料を食むことに満足するような人は、本当に「サーカスは家族」ならば、その中にはいないはずなの。

だから、彼女が自分を犠牲にしてアルガンに身を売る必然性は、ない。

マルキーズはただ、悲劇のヒロインである自分に酔っているだけで、全然現実の問題に対処しようとしていない。
必要なのは、“未熟な若手”が生きていけるように芸をつけさせるための方策を練ることであって、身を売って犠牲になって、なんて可哀そうな私、と苦しみに沈むことじゃない。


でも。

仕方ないのよ。
だってマルキーズは天使なんだもん



木村さん恐るべし、と思うのは、こんなときです。
“ヘタレな水くん”という達者なお芝居で楽しませて、
“偉そうに突っ張って上から目線になろうとしている大間抜け”なユミコさんを、残酷なまでに切なくも可愛らしく描き出し、
キムちゃん(リアルにおひさま)、ひろみちゃん(リアルに月)、かなめちゃん(リアルに若手スター)の3人をうまーく使って、

となみちゃんの浮世離れした持ち味で話をまとめあげる。



あれもこれもそれもどれも突っ込みポイントだらけだけれども、
とりあえず私は、あのアルガンの“周りが全く見えていないお莫迦さ”と、マルキーズの天使っぷりにほれ込んでしまいました。

…あらゆる伏線を何一つ解決させようとしない木村さんに、乾杯。(←それを観て幸せになっている自分が、何か悔しい…)



.
雪組東宝劇場公演「君を愛してる/ミロワール」を観てまいりました…が、その話はまた後日。

とりあえず、今年も東宝劇場のおひなさまに挨拶してきたわけですが。
(いやーホント雪組さんは美形が多いですねっ!(幸))



去年のひなまつりは、樹里ちゃんの結婚がオープンになってあらまあびっくり、でしたが。
今年は、個人的な話で恐縮ですが、私の友人に赤ちゃんが生まれた記念日になりました。

3月3日生まれの可愛い女の子。
予定日をだいぶすぎて、ちょっとまんまるなお嬢さんでしたが、
彼女に似たのか、旦那さんに似たのか、今日の段階ではまだまったく見分けはつかず(涙)。

名前はまだ決めていない、というので
「雛子にしなよ!」と薦めてはみましたが……
さて、どうなるかなー。



そして。
今日は月組公演「ME AND MY GIRL」の前夜祭。
せっかくの生中継でしたが、友人の病院に行った後、祝杯をあげてから帰ったので観ることはできず、今ちょうど録画を観終わったところです。
いやー、開幕が楽しみですねぇ>月組ファンの皆様

ウタコ(剣幸)さん、まだまだ若々しくってステキだなあ〜〜♪
わずかな映像でも如実にわかる、初演の「幸せ」っぷり。
麻子さんかなみちゃんのオープニングのお芝居&「ME AND MY GIRL」は、まだちょっとぎこちなかったみたいですけれども(^ ^; まだお稽古始まったばかりですもんね!)、まだまだ時間はあるのでがんばっていただきたいです♪本番のナマ舞台で観られるのが楽しみです♪♪


あー、それにしても!
「Learning On A Lamp」を歌うウタコさんの、愛に溢れてステキなこと!!私は、この曲は井上芳雄くんのしか聞いたことがなかったのですが。こんな良い曲だったのか…と、しみじみ。
「愛する人を待つ幸せ」を歌った歌なんですね、この曲は。
(芳雄くんのビルも、可愛くて元気いっぱいでとっても良かったんですが(^ ^;ゞ )



ランベス・ウォークは、やっぱナマで観たい聴きたい!
この曲、私には岡幸二郎さんがタナボタで歌っていた印象が強すぎるんですけど、さすがに宝塚は人数が多いので迫力も違いますねー!本舞台に残った下級生たちが思いっきり踊っていて気持ちいいです♪かなみちゃんもはじけてて可愛い〜。



…いやはや。
今年のひなまつりも、幸せ感いっぱいで終了いたしました。

そして。
今年こそ、おひなさまもとっとと片付けなくっちゃ!(笑←今からやりなさい!)


.
とっくに終わってしまった公演ですが。

日生劇場にて、ミュージカル「ウェディング・シンガー」を観劇してまいりました。


いやー、サイコーにゴキゲンで楽しいミュージカルでした(はぁと)。
原作は1998年の同名映画。アダム・サンドラーとドリュー・バリモアがコンビで主演した作品だそうです。私は残念ながら観ていませんが、ゴキゲンな映画だったんでしょうね(^ ^)。
ミュージカル版は2006年に開幕。トニー賞も5部門にノミネートされたようですが、「ジャージーボーイズ」と同じ年だったため、全部逃してしまったようです。…まだこの年の作品はほとんど日本に来ていないので、これが嚆矢になるのかな?「ウェディング・シンガー」を抑えてトニー賞を総なめにした「ジャージー・ボーイズ」を観てみたくなったくらい、今回の公演は楽しかったです(^ ^)。



主人公のロビー(井上芳雄)は、結婚式を盛り上げるバンドのボーカル。アメリカではこれが一つの職業として成立しているんでしょうか。ウェディング・シンガー、か…いい肩書きだなあ(笑)。

ヒロインのジュリア(上原多香子)は、ロビーが契約している宴会場のウェイトレス。彼女の恋人・グレン(大澄賢也)は、ウォール街の証券マン…なのかな?とにかく金儲けの巧いエリートの大金持ち、という設定でした。ジュリアとグレンは婚約一歩手前。ジュリアはグレンからのプロポーズを心待ちにしている状態。

ジュリアの従姉妹・ホリー(樹里咲穂)も同じ職場でウェイトレスしていて、ロビーのバンド仲間のサミー(鈴木綜馬)と付き合っていた(る?)。ホリーは「あんな冴えない男はもう嫌」と思っているが、サミーはまだまだ未練たらたら。

ロビーのバンド仲間のもう一人、キーボードのジョージ(新納慎也)は心優しいニューハーフ。これに、ロビーの恋人・リンダ(徳垣友子)、ロビーの祖母・ロージー(初風諄)、ジュリアの母親・アンジー(ちあきしん)が絡んで物語が進みます。



最初の事件は、ロビー本人の結婚式。
愛するリンダは「ロックスターじゃないあなたには興味がなくなった」と手紙を残して結婚式をドタキャン。
衝撃のあまりPTSDに陥ったロビーを心配して、必死に慰めようとするロージー、サミー、ジョージ、そしてジュリア。
心優しく愛に純粋なジュリアに、次第に惹かれていくロビー。

ジュリアはジュリアで、恋人グレンの傍若無人さに傷つき、心優しく夢を大切にしてくれるロビーに惹かれていく…
さて、二人の恋の行方は?


…ってなところでしょうか、あらすじは。



なんといいましょうか。
ストーリーはかなりどうでも良かったです、はい。
とにかくキャラクターが強烈に面白い人ばっかりで、その人たちが織り成すタペストリーがものすごく面白かったです。
演出もべたべたのベタ演出で、ある意味、演出家・山田和也の真骨頂でしたね。そして最高に面白かったのは、やはりキンクリートの飯島早苗の脚本でしょう(*^ ^*)。テンポのよさ、語呂合わせの巧さ、そしてキャラクターにあわせた言葉遣いの隙のなさ。
翻訳ミュージカルが楽しくなるかツマンナイかは、特にコメディの場合は脚本の良し悪しの影響ってものすごーく大きいので、飯島さんで本当に良かったなー、と思いました♪



ホリーもグレンもサミーもリンダもロージーもジョージも、いろんな役をこなすアンサンブルのメンバーもホントに皆芸達者で凄かった!!いやもう、樹里ちゃんまた惚れ直しちまったよ(汗)。素敵すぎます。

だけど。この作品で一番驚いたのは、ロビーを演じる井上くんの成長っぷりでした。
元々私は、「エリザベート」のルドルフより「ファンタスティックス」のマットが好きなのです。声が日本人には珍しいくらい軽やかなテノールなので、あまり重厚な作品よりも「軽さ」や「優しさ」のある役の方が似あうんじゃないかなーと思っていたんですよね。
でも、「ME&MY GIRL」のビリーは、もちろん悪くはなかったけど、そんなに「素晴らしい!!」ってほどでもなかったので。あれ?と思っていたのですが。

この作品のロビーは、本当に素晴らしかったんですーっ!!

まぁ、私が観たのは公演も終盤に入ってからだったので、初日頃はもっとだいぶん堅かったという話も聞きましたが。
…もう、最後の1週間のテンションは凄かったですね。リンダに振られて、ぼろぼろになってベッドに転がっている場面とか鬼気迫るものがありましたし、そんな精神状態で歌う「Somebody Kill Me!」なんてホント絶品でした。

あれだけの壊れっぷりは、なかなかできるものじゃあありません。井上くんも、さぞ楽しかったのではないでしょうか。
元々彼は大のミュージカルファンで、有名作品に出られるのが嬉しくて嬉しくてしょうがない、みたいな可愛いところがありましたけれども、今回の作品との出会い、今回のカンパニーとの出会いは、彼にとってものすごく大きなものだったんじゃないかなー、と思いました(はぁと)。


このウェディング・シンガーに出る直前に出ていた「ロマンス」もとても良かったらしいんですが、

他の作品を見て“井上くんってどこがいいのかワカンナイ”って思っていらした方にこそ、ぜひ観ていただきたかったです!



ジュリアの上原さん。さすがに可愛いし歌も良かったです。他のメンバーが割りと重厚な歌手ぞろいだったので、良い意味で浮世離れした感じがあったのが役にあっていたと思います。ちょっと不思議な存在感の持ち主ですね。個性的な登場人物ばかりの作品の中で、一条の光というか、透明な水のような印象があって、一人だけ別世界を観ている感があったのが印象的でした。

ただまぁ、台詞はね……。舞台に出続ける気があるのなら、台詞の勉強はぜひお願いしたいところです(汗)。




ホリーの樹里ちゃんは、もうホントに言うことなくミュージカル女優でした。いやーホントに、人妻とは思えませんわ!!腹を出しても可愛い、サイコーにイイオンナ。優しくて情に厚くて、ホント樹里ちゃんそのものみたいな役でした♪



グレンの賢也さん、面白すぎ。口調から仕草の細かい一挙手一投足まで完璧に作りこんで、工夫しつくした「変なヤツ」っぷりが!!ツボりまくりでした。こういう人がいるから面白いんですよね、舞台って。



ロビーの祖母、ロージーの初風諄サマ。素敵だったわ……(惚)。
秋に「蜘蛛女のキス」のモリーナの母親役で観たとき、初演で同役を演じた大方斐紗子さんに声や喋り方が良く似ていてびっくりしたのですが、今回も「あれっ?大方さん出てたっけ?」と何度か思ったくらい、よく似ていらっしゃいました。
「エリザベート」のゾフィみたいな役より、こういう役の方が似合うような気がするなぁ…。可愛らしいおばあちゃま、でも時々かっこよく変身!みたいな。…ブロードウェイにはこういうおばあちゃん役者がたくさんいるんでしょうねぇ。日本では他にあまり思いつきませんけれども。
毒も邪気もない、素敵なおばあさまでした。変身してもかっこいいし(*^ ^*)。…当分忘れられそうにありません…。



キーボードのNIROくんは、また極端に色濃い役で出てきましたね(汗)。何作か2枚目で観ていて、すっかりそちらに定着したのかと思っていたのに、まだこんな役もやれたんですか(!)
常に小指をたてて、足には紅いハイヒール(これがまたデカイんですが)。度肝を抜く衣装が妙に似合っているところが最高でした。うん、可愛かったです!けなげで一生懸命で明るくて、ね。いい子なんですよー、ホントに(^ ^)。

一番ツボだったのは、ロージーとのラップデュエット。
サイコーでした。他に言葉が見つかりません…。




リンダの徳垣さん。音楽座でも見ていましたが、印象的だったのはGODSPELL。大好きな女優さんの一人ですが、日生劇場でこれだけの大役は初めてだったのでは?いやー、可愛いくて毒々しくて素敵でした!
結婚式をドタキャンした時の置手紙の歌も最高でしたし、2幕のベッドでのやりとりも素晴らしかった!!
この役を、この作品を足がかりに、また大きく羽ばたいてほしい魅力的な女優さんです☆



いやー、思い出してみても実に実に楽しかった!
2月は本当に忙しくて、一回しか観ることができなかったのがとても残念です。
もう一回観たかったなぁ〜!!

ぜひぜひ再演希望です。それも、絶対にこのキャストで、ね!!



サンシャイン劇場にて、キャラメルボックス「きみがいた時間 ぼくのいく時間」を観てまいりました。


久しぶりのキャラメルボックスでしたが、
いやーーーー、面白かった!です。
小技の効いた演出がキャラメルらしくて、楽しいです。キャストも粒ぞろいで。まー西川浩幸さんが出てくるだけでステキなのは当然として(*^ ^*)、3年ぶりの上川隆也がカッコイイのはもっと当然として(***^ ^***)、
驚いたのは渡邊安理さんの可愛らしさ♪「嵐になるまで待って」のヒロインが決まっているそうですが、さもありなん、という輝きでした…。


物語は、よくあるタイムトラベルもの…と言ってしまっても間違いではないのでしょうけれども。
原作は、梶尾真治の短編連作「クロノス・ジョウンター」シリーズの一編。キャラメルで劇化するのもこれで4作目ですが、以前の作品を観ていなくても多分あんまり関係ないと思います。まぁ、そういうシリーズなんだという知識くらいは、予備知識としてあったほうがいいかもしれませんが。



梶尾真治。
熊本在住のこのSF作家の名前をご存知の方は少ないのかもしれませんが。
…と思っていたけど、そういえば「黄泉がえり」は映画にもなったし、最近ライトノベルの棚に「おもいでエマノン」がシリーズ化して並んでいたりするし、案外メジャーな作家なのでしょうか?

私が一番最初に読んだのは「地球はプレイン・ヨーグルト」だったと思います。ありえないほど物凄いブラックコメディ(?)で、作品の突拍子の無さも印象的だったし、発想力豊かなSF作家として「カジシン」の名前を記憶に刻んでくれた星新一の解説もおもしろかった。

でも、その時点ではそんなに惚れ込むことはなく。しばらく間があいて。次に読んだのはデビュー作の「美亜に贈る真珠」でした。それから、順番に読み始めたんですよね。

一番好きな作品は?と聞かれると悩むんですけれども。父との確執から生まれた「清太郎出初式」も非常に好きな作品ですし。
でも、なんといっても彼の作品に特徴的なのは「愛」の純粋さだと思うのです。それも、やっぱりデビュー作の「美亜に贈る真珠」ですでに痛切に表現された「見守る愛」の美しさが抜群で、切なくて。


彼の作品に繰返しあらわれるテーマは、「時間を超越した愛」。「クロノス・ジョウンター」シリーズ以外にも、タイムマシンものを何本も書いている彼ですが、その作品群のテーマは「マシン」ではなく、常に「愛」なんですよね。「時間を超越した」「見返りを求めずに見守る」愛。その純粋な強さ。

そのあたりの「純粋さ」を、キャラメルボックスの成井豊さんは実にうまく戯曲化しているな、と、カジシンシリーズを観るたびに毎回思います。
特に。タイムマシンの開発秘話を中心に、理論のとっぴさを売りにした「クロノス…」シリーズの中でも、この「きみがいた時間、ぼくのいく時間」は、「人生を懸けた愛」をテーマにしているので。

一方通行の愛。
ただひたすらに、見守るだけの、哀しい愛。





3年ぶりのキャラメル出演となった上川隆也が、愛に人生を懸けた男を切なく演じきってくれました。
美しい男。
かっこいい男。

そんな男が、全てを捨てて一人の女を救うために人生を捨てる。
仕事も、家族も、なにもかも。

もう二度と、自分の腕の中に戻ることはない女のために。


この腕で、守れなかった女のため、に。



何度も舞台で観て、そのたびに「本当にかっこいいな、巧いな」と惚れ惚れし、惚れ直しつづけてきた上川隆也。
今回もまた惚れ直してしまいました。…あーもう、懲りないなー、私ってば。

声がいい、目がいい、手がいい、腕がいい、
ちょっとした仕草がどれも可愛くて、優しくて、ステキで、
「愛」に盲目だった一幕冒頭の彼も、全てを捨てて愛のために生きようと決心した二幕の彼も、どちらも本当にかっこいい。


キャラメルボックスのお芝居って、世界設定を思いきってファンタジー(あるいはSF)に振っておきながら、そこに生きる登場人物たちは物凄く地に足がついたリアルな人物像だったりすることが多いのですが。
その中でも、上川隆也のリアル感、「確かにそこに生きている」という実感の強さというのは別格だなあといつも思います。
どんなに設定がファンタジックに突拍子なくても、彼がいるだけで“現実の物語”として受け入れることができる。
ああ、そういうこと(タイムマシンの開発)をしている会社もあるかもね、と素直に思える、そんな説得力のあるリアル感。

原作者の梶尾真治自身が「これは上川隆也で」と指定したのもわかるなあ、という嵌り役っぷりでした。
観ることができてよかったです!!



あと、印象に残ったのは、大好きな(キャラメルボックスといえばこの人!)西川浩幸さんと、
今回当たり役だった坂口理恵さん。
坂口さん、切ない役でしたが淡々と芝居されていて、それが余計に切なかったです。終盤の、馬車道ホテルのレストランでの場面はぼろ泣きでした私…。“いい女”ではないところがまたポイントが高いです。大好き。



5年間の海外派遣留学を終えて帰国した秋沢里志(上川隆也)。
空港に出迎えるのは、里志の妹・真帆(岡内美喜子)と、
5年前に別れた恋人・梨田紘未(西山繭子)。

真帆にあれこれおせっかいされて、紘未とよりを戻し、結婚を申し込む里志。
「研究が一番で、君は二番目だ」「人間の中ではあたしが一番ってこと?」「…そう」「…それなら、いいわ。夢を追いかけるあなたが、好きだから」
多分、里志が紘未を本気で愛したのは、この瞬間からなんでしょうねぇ…。


帰国した里志を迎えるのは、「クロノス・ジョウンター」を開発したP・フレックの野方耕一(西川浩幸)。そして、「クロノス・スパイラル」を開発中の若月まゆみ(温井摩耶)。

「時の流れは、螺旋を描いて過去へ向かう…螺旋の一巻き前にジャンプするための装置があれば、簡単にタイムトラベルができる」若月の“時間螺旋理論”を許に開発されたクロノス・スパイラルは、あらゆるものを39年前に送ることができる。そのシステムで使うエネルギー装置の開発を任された里志は、同僚の山野辺(阿部丈二)、佐藤(渡邊安理)と共に開発を進めていく。

そんな中、自分の妊娠に気づいた紘未は、仕事を休んで病院にいこうとして、



…途中で、交通事故にあってしまう…。



彼女を喪った里志は、どうするのか。
プロポーズに「研究が1番で、紘未は二番」と言った男が、

彼女のためにした選択は?



…まーそれにしても。
タイムトラベルものの中でも、これはかなりパラドックスが多い話なので…
ぽろぽろ泣きながら、それでも色々と突っ込まずにはいられませんでしたねぇ(汗)。

やっぱり「過去を変える」話は難しいですね。変えちゃった過去はどこへ行くの?と思ってしまうし。変える前のエピソードは、じゃああれは何だったの?ということにもなるし。



でも。
…やっぱり、ちょっと純子さんに対しては残酷だと思うわ、里志……。



あと気になるのは、岡田達也さんが演じた“浩二”さんが、事件の後どうなったか、なんですけど。
うーん、キャラメルだったら梶尾さんが書いてない部分でも、ラストにもう一回浩二を語るエピソードを入れてもいいと思うんだけどな。


などと。
ネタバレを避けているようで、あまり避けていない疑問を提出しつつ、


とにかく上川隆也がステキでした、という結論で終わりたいと思います(*^ ^*)。山内一豊ネタもあったのが流石キャラメル、って感じでしたが(爆)。
ああ、やっぱりキャラメルって観れば絶対面白いんだよねー。

しばらく忙しくて観ていなかったんですが、今年はもう少し優先順位をあげておかなくてはっ♪
いろいろと衝撃的なニュースが届いた一日でした。

大空祐飛さんのディナーショー「SORA」のポスター、
花組の舞音里音ちゃんの卒業発表、
月組「ME&MY GIRL」新公キャスト発表、
大劇場宙組・月組演目発表、
月組次期組長・副組長発表、
雪組全国ツアーとバウワークショップの振り分け、
(今日じゃないのもまざってますが)

そして、花組ドラマシティ公演演目発表。


実は、宝塚と関係ないところでも一件衝撃的なニュースがあったのですが(汗)、

そんななにもかもを、すべて吹っ飛ばして、



祐飛さん、「銀ちゃんの恋」でのドラマシティ&青年館主演、おめでとうございます〜〜〜!!

「銀ちゃんの恋」
上演当時はまだヅカファンではなかった私。ビデオでしか観たことがないのですが、テレビの前で大泣きしたのを鮮明に覚えています。
タオルが絞れるくらいボロボロと、泣けて泣けて、どうしようもなくて。どうしてもナマで観たい!と願い続けてきた作品です。

その再演が叶っただけでも泣けてくるほど嬉しいのに、

ホントウですか?

大空祐飛さんが、ノン(久世星佳)さんの演じた銀四郎を演じる、ってのは、ホントウにホントウの事実なのかしら?
私の妄想ではなくて?


「銀ちゃんの恋」
言わずと知れた、つかこうへいの渾身の名作「蒲田行進曲」の宝塚版。

とりあえず、キャスティングの個人的な希望を(駄目元で♪)書いておきます。

小夏(風花舞)   …野々すみ花
ヤス(汐風幸)   …未涼亜希
橘(樹里咲穂)   …紫峰七海
監督(真山葉瑠)  …高翔みずき
カメラマン(卯城薫)…日向燦か夕霧らい
ヤスの母(邦なつき)…邦なつき
玉美(東京は檀れい)…桜一花または初姫さあや
銀ちゃんの浮気相手 …華月由舞
(まだあまり花組さんに詳しくないので、とんちんかんだったらごめんなさい)

…ヤスは、みわっちかまっつか物凄ーく悩んだのですが(汗)、
たぶん、みわっちは全国ツアーで必要だろうし、
めおちゃんもみつるくんもまぁくんも扇くんもだいもんも全国ツアー組に行ってしまいそうなので………

せめてまっつだけでも!!
ということで。


銀ちゃんとヤス。

この二人を、祐飛さんとまっつが演るのか?(←まだ決まってませんが)

銀ちゃん⇒ヤス、
銀ちゃん⇒小夏、
ヤス⇒小夏、
ヤス⇒銀ちゃん、
小夏⇒銀ちゃん、
小夏⇒ヤス、

この6つの感情が、どれも重たくて、痛くて、切ない、
それがつかこうへいの「蒲田行進曲」。


ノンさん&優子姫&汐風幸ちゃんの、
いや、石田昌也の「銀ちゃんの恋」は、
どちらかといえば銀ちゃんと小夏、ヤスと小夏の関係に重点を置いたお芝居でしたけれども。

舞台をドラマシティに移した再演。
脚本は変わるのでしょうか?

全身全霊を懸けて銀ちゃんに尽くす、どMなヤス。

役者としての鬱憤の全てをヤスに向け、暴虐の限りをつくす、どSな銀ちゃん。

銀ちゃんが愛した女だからこそ、小夏に恋するヤス。

憧れぬいた銀ちゃんの真似をして、小夏に暴力を振るうヤス。

そして、

ヤスがいなくては何もできない銀ちゃん。
ヤスに依存しきって、自分の存在価値の根拠ををヤスの忠誠に置く銀ちゃん。

誰よりもヤスが必要だからこそ、その存在を確認するために、ヤスを苛まずにはいられない銀ちゃん………


この3人、もう本当に、想像するだけで痛すぎるんですけど!!

祐飛さんと、すみ花ちゃんと、まっつ。
この3人がホントに揃ったら、ねこは休暇を申請したいと思います。

まさか植田景子さんの宛書新作の次に「銀ちゃんの恋」が来るとは思わなかった。
本当に夢のようで幸せです。歌劇団&花組プロデューサーに、心から感謝を。がんばって通わせていただきます!


祐飛さん。役者として、今までいろんなことがありましたけれども、とにかく主演作品はすべて名作なんだよなあ…。
結果的には、これが一番幸せな道だったのかもしれませんね(^ ^)。
完璧なまでに『宝塚作品』で、かつ『宝塚ヒーロー』だった「Hollywood Lover」ステファーノの半年後に、完全に宝塚を超えたアンチ・ヒーロー「銀ちゃんの恋」の銀ちゃん。

芯の通った侠気のある男たちを描くをサトクリフ作品をはさんで、まったく真逆の価値観を持つ二つの役。


ご活躍をお祈りしています。


そして。

ウメちゃん、ゆっくり養生してまた元気な笑顔を見せてくださいね。


大野さん、大劇場デビューおめでとうございます!
次はぜひとも花組へ♪♪


ナホ(越乃リュウ)ちゃん、あー(花瀬みずか)ちゃん、月組管理職就任おめでとうございます。
可愛い可愛い月組っ子たちを、どうぞよろしくねっm(_ _)m。


五十鈴ひかりちゃん、みっしょん(美翔かずき)、新公パーチェスター役おめでとう!単純に嬉しいです。役がついたことが。
ソフィア(本役・羽桜しずく)の咲希あかねちゃんも嬉しいなあ〜〜〜!「Hollywood Lover」良かったもんね♪♪♪

そして(彩星)りおんくんのマリア公爵夫人に仰天!確かに、美人さんだし女装も似合うだろうけど。それにしても、マリアか……(@ @;)。


そして。

雪組全ツのキャストの豪華さに眩暈がしました。
まさか85期全員全ツとは………そ、そんなに役があるんですか?ベルばら(しかも一幕もの)に。……不安。

「凍てついた明日」は、小劇場公演にしては印象に残る役の多い作品だったので。もう少し上級生がいても良かったと思うんだけどなぁ。クライドの兄は誰が演るんでしょうか。キタロウ?それとも、ハマコさん?超気になる……


なにはともあれ。

今日はにぎやかにいろんなニュースが出ましたけれども、
なにはともあれ、


祐飛さん、本当に本当に、おめでとうございます!!
あんな作品を任せてもらえる人を応援してきたことは、私の誇りです。

ありがとう。
演目が発表されただけで、こんなに幸せになれる。
ファンはなんて単純なのでしょうか。

…大変でしょうけれども、がんばってね。
プレッシャーに負けないで、ノンさんとは違う、“祐飛さんの銀ちゃん”に会えるのを、

心から楽しみにしています。


.
本日、10万アクセスを突破いたしました(はぁと)

2月は記事数もここまでにわずか9個。我ながらびっくりするほどの少なさでしたが、予想外に大勢の方に読んでいただけていたようでとても嬉しいです。
つたない文章なのに、本当にありがとうございますm(_ _)m。



今、“早く書きたい!”、とゆープレッシャーがかかっているのは…
「Hollywood Lover」は、引っ張りすぎで申し訳ないんですけど、まだリチャードの話をしていないんですよね(涙)。
そして、中日公演「メランコリック・ジゴロ」の話はもう少し書きたいです。主に正塚作品について。

あとは「タン・ビエットの唄」と「ウェディングシンガー」ですね。
観たい作品は他にもたくさんあったのですが、あれこれ忙しくて全然観られませんでした(涙)。雪組もまだだし。
3月は観たいもの全部観られるといいなあ…(希)。



なにはともあれ。
ここにいらしてくださる皆様に、少しでも面白いお話ができるよう、精進して(?)まいりますので。

これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます!



そして、みなさまからのコメントを心よりお待ちしておりますです、はい(^ ^)/



ちょっと間があいてしまいましたが。

花組中日劇場公演「メランコリック・ジゴロ/ラヴ・シンフォニーII」を観劇してまいりました!



あの遠征からこっち、気が狂いそうに忙しかったのでついつい感想を書くのも後回しになってしまい…公演も千秋楽を迎えてしまいましたが(涙)。
なるべく簡単に書かせていただきますね。



まずは。

あらためて、
まとぶん、トップ就任おめでとうございます〜〜〜♪



やはり、「真飛聖」という人はセンターが似合うな、と。
いろいろな意味でまだまだ半人前、という印象も拭えませんでしたが、とにかくセンターに立つことに全く違和感のない人だ、と、あらためて思いました。
良くも悪くも「春野寿美礼オン・ステージ」だったここ数年の花組公演では、どうもしっくりこない、というか…なんとなく居場所を探しているふうに見えてしまっていたまとぶん。
あんなに居場所が見つからないふうだった「ラヴ・シンフォニー」でさえ、どこをどう変えたのか私には解らないくらい構成も演出もそのまんまだったのに(苦笑)、本人が真ん中に立ってみれば、立ち位置が変わっただけでこんなに“まとぶん仕様”になってしまうのか、と感嘆してしまいました(汗)。



ちなみに、私が一番好きなまとぶんは、中詰めで「オラオラ」しながら客席を煽りまくる野郎なまとぶんでした♪♪
ステキだったわ〜〜(*^ ^*)。





中日劇場公演でのプレお披露目、といえば、昨年の雪組もそうでしたね。
水&白羽コンビの「星影の人/Joyfull2」。
私にとっては、新しい出会いのあった思い出の公演ですが(笑)、
あの時も、水くんは昇格、となみちゃんは星組からのスライド就任。
柴田さんの往年の名作の再演と、コムちゃん時代の名作ショーの新バージョンという組み合わせでしたね。

今回は、まとぶんが昇格、彩音ちゃんは残留。
正塚さんの往年の名作の再演と、オサさんのサヨナラ公演のショー新バージョン。
タイミングの問題もあって、中日のお披露目って結構珍しいと思うのですが(水くんの前は……もしかしてノンさんのME&MY GIRLまで遡るのでは?)、たまたま2年続いた中日のお披露目、構成としてはよく似た公演になったのは、偶然なのかなぁ…?



二番手を努める壮(一帆)ちゃんは、
……がんばってたなぁ〜(はぁと)。

スタン、という役は、壮ちゃんが嵌るタイプの役ではありませんでしたし、正塚さんもあえてそこは壮ちゃんに合わせて変更することなく、(多分)そのまんまイタに載せたのだろうと思うので、壮ちゃんもかなり苦労したんじゃないかなー…。

でも、ショーはでずっぱりでがんばってましたね♪
カッコよかったですよ〜。
……本当に、びっくりするほど早替わりだったり、息が弾んでいたり、いろいろと大変そうだったので。どこかひとつくらい、若手で試してみても良かったんじゃないか?とも思いましたけどね>中村(一)さん!
壮ちゃん、あんなに身体細いのに、折れちゃったらどうするんですかっ!(怒)



みわっち(愛音羽麗)は、凄かったーー!!
芝居もショーも、八面六臂の活躍、と言っていいのでは。
それにしても、「アデュー・マルセイユ」の“真珠貝から生まれてきた”ショーガール、「メランコリック・ジゴロ」のヤクザ(?)、そして「舞姫」の豊太郎………

同じ役者が続けて演じるとは思えない幅の広さ。
懐の深い役者ですよね。大好きになりました。
フォンダリあんちゃん、本当にステキでした。しかも、まとぶんに「あんちゃん」と呼ばれることに違和感のない貫禄と年輪、本当に見事でしたよ〜〜(感心)!!

次の「血と砂」でどんな役を演じるのか、谷さんがどんな役を宛てるのか、とても楽しみにしています。
っていうか、この人がちょうど一年前には、あのワケのワカラナイ書生をやっていたのかと思うと、あらためて木村さんへの怒りがふつふつと………(汗)。



まっつ(未涼亜希)も大活躍でしたねっ(嬉)。
この人も、「アデュー」のマフィア、「メランコリック」の暴れ者、そして「舞姫」の優等生……幅の広い人だなあと感心してしまいます。
まったく持ち味に合わないバロットを、よくあそこまで“可愛い男”っぽく創りこんだものです。いや、本当に。……モデルは素の園加なのかな、なーんて感じたことは内緒ですが(^ ^;ゞ





まとぶん、あやねちゃん、壮ちゃん、みわっち、まっつ、めおちゃん、みつるくん、まぁくん…………

この中に、祐飛さんが加わるんですねぇ……。
組替えが発表されてから、早いものでもう2ヶ月。
実際に異動してからでさえ、丸一ヶ月が過ぎたわけですが、未だにまったく想像ができません。

…ディナーショーで可愛子ちゃんに囲まれてウハウハしている祐飛さんは、容易に想像できるんだけどな(汗)。



野郎系のまとぶんと、癒し系の壮ちゃん、
…っていうのは、ただの私のイメージですけれども。

壮ちゃんが太陽で、

祐飛さんが月で、

まとぶんが何でも受け入れてくれる広大な海…


…そんな感じになるんでしょうかねぇ…これからの花組は。




なんにせよ、まずは来月の「舞姫」が楽しみなのですが、
やはり5月の大劇場公演がとても楽しみです。

「主な配役」はそろそろ発表されるのかなー?
祐飛さんはどんな役でしょうか。


花組公演に通う自分、というものが未だに想像できないままに、
日は過ぎていきますが。
新生花組、
そして、花組の祐飛さんを、

こころから応援しています!(^ ^)




花組バウ・ワークショップ「蒼いくちづけ」について。
メイン4人については先日書きましたので、今日は、作品と他のキャストを。



この作品は、一幕も二幕も同じロンドン郊外の邸を舞台にしていますが、時代が違っています。
一幕は「1887年」。「120年前」である19世紀末。
二幕は「2008年」。「現代」つまり、21世紀初頭。
(21年前の初演では、二幕が「1987年」で、100年後という設定だったそうですね。というか、上演年ありきで一幕を1887年にしたんでしょうけれども)


19世紀末には普通に貴族(ウェステンラ家)の別荘であったカーファックス荘。
21世紀には、120年前に吸血鬼がこの邸に現れたという伝説によって「ドラキュラ博物館」になっている、という設定が楽しかったのですが。

この一幕と二幕の「異世界感」が、すごくよく出ていたと思いました。
同じロンドンの、同じ邸を舞台を舞台にしながら、「120年」という時間が流れたことを意味のある舞台装置として使っていたのが、さすがというか。
物語は邸の中だけで進むので、実際に「時代は変わった」ことを示すものは、登場人物の中にしかない。一人ひとりの衣装と、髪と、態度と、言葉遣いと、そして、考え方と。


きらりちゃんの芝居に、この「異世界感」がすごくあって。
それがとっても良かったし、観てて嬉しかったところでした(はぁと)。

ふみかちゃんや扇くんは完全に「二役」で、全く違う人格でしたけど、きらりちゃんだけは「生まれ変わりオチ」でこそないけど、同じ人と恋に落ちるので。
違う人なんだけど、同じ魂を持っている、という存在なんだと思うんですよね。それがすごく良い感じで出ていて、私は好きでした♪

逆に、主人公のめおちゃんだけは、一幕も二幕も全く同じ存在なんですね。だけど、時代が違うから、一幕はただただ「かっこいい!」と思わせる大仰な仕草や時代がかかった言葉遣いを、そのまんま二幕でやるところがすごく笑える。

多分、実際には「全く同じ」ではなく、二幕では意識してすこーし大袈裟にやっているんだろうと思うんですけどね(ウケるように)、ちゃんと「めおちゃんは一幕と同じことやっているのに、なんかオカシイ!」と思わせてくれたのが凄いな、と。
まぁ、これは小池さんの演技指導も良かったんでしょうけれども。



ルーシー(19世紀)はジョナサンと共に“家を守る”ことを選び、ヴィーナス(21世紀)は弟ノエルに全てを託して“恋”を選ぶ。
もちろんヴィーナスとルーシーは別人で、全く別の人生をたどってきたのだからその選択が違うのは当たり前なのですけれども。
でも、その選択にはやっぱり、19世紀末と21世紀、という時代の影響、“家”と“個人”、どちらを取るか、という時代の考え方の違いがあるんですよね。

ルーシーの凜とした美しさと、ヴィーナスのキビキビとした可愛らしさ。
時代が求める美しさと個性、それが、ドラキュラ伯爵が選ぶ『美』と同じものなのだろうと思いました。
何百年も生きていても、彼の感性は古びない。つねに、その時代が求める『美』を、彼は求めるんですね。
だからこそ、彼は常に『美』の象徴でいられるのです。
時代を超えて、求められ続ける『美』そのもの、の。



作品自体は、やっぱり古いなー、とも思いましたが。
21年前の初演の頃は、まだ「ドラキュラもの」がコメディに堕す前だったと思うので(その後、三谷幸喜とかもやっちゃいましたしね…)、観客にとってはものすごく新鮮だっただろうな、と思うんですよね。

でも、「薔薇の封印」などなど、いくつかの“小池さん流コメディ”のオリジナルとしてのこの作品を、21年前に作ったのか、と思うと、彼の才能に感服せずにはいられません。
ある意味、彼はこの頃から「エリザベート」初演直後くらいまでの貯金で現在も食いつないで(脚本のネタとしても、演出のネタとしても)いるんだなあ、と、少しさびしい思いもあります。
でも、元々才能が無いわけではないんですから。
またリフレッシュして、「21世紀の」名作を創ってくださいますように、心の底から祈っております。




……というわけで、以下出演者について(一幕での役を中心に)。

ルーシー(きらり)の両親・ウェステンラ夫妻は、絵莉千晶さんと紫陽レネさん。
お二人とも的確な演技で、物語を締めていました。
絵莉さんは、どちらかというと二幕でのジョニー(扇)の母親役の方が印象的かも(^ ^)。


ルーシーに求婚する金持ちの莫迦息子(?)・アーサー・ゴダルミングは瀬戸かずやさん。すらっとスタイルがよくて、カッコよかったです。はい。
その父親・ゴダルミング卿はかりやん(貴怜良)。これがまた、イケイケダンディなおじさまで惚れそうでした。
カーミラ(花野じゅりあ)との色っぽいダンスがとてもステキ★


カーミラは、ウェステンラ卿の妹(ルーシーの叔母)という設定だったと思います。しっとりとした色っぽい美女で、夫に別れて次の金づるを物色中、みたいな役だったような。
クリス(天宮菜生)とピーター(冴月瑠那)という二人の息子がいるとは思えないほど若くて美しい、でもいかにも“人妻”で“母親”な色気と危うさのある未亡人でしたね(はぁと)。久々の嵌り役だったんじゃないかと思います♪
二幕の、小池さんの作品によく出てくる殺し屋系の3人組の女もカッコよかった〜!あの腰までスリットのタイトスカートが、小池さんごちそうさま、って感じでした(おい)。



あと印象に残ったのは、天宮菜生くんかなー。一幕では、ドラキュラ伯爵に魅了されてしまう美少年クリス(カーミラの息子)。二幕ではヴィーナスの弟・アイドル予備軍のノエル少年。
とにかく『美少年』なんですよね、この子は!なんというかのかな。“耽美”をやらせたら右に出るものはいないんじゃないかと思うほど、そして、“金髪マッシュルームカットがこんなに似合う子がいたのかっ!”と思ってしまうほどの、透明感のある美少年。
前からお気に入りだったのに、普通にリーゼントして群舞で出てくると見つけられなかったりしがちだったのですが(汗)、今回かなり目に焼き付けたので、もう大丈夫かな(^ ^)。
声も良いんですねー。歌えるとは思ってもいなかったので(失礼)とってもびっくりしました。

ぱっと見た感じ、ピーターの冴月くんの方が体格もいいし、顔立ちも男らしくて年上に見えるんですけど(汗)、いちおうクリスがお兄ちゃんっていう設定でいいのかなあ?(よくわからなかった)
しっかし、あんなおにいちゃんがいたら弟は心配だろうなぁ……(←何がだ)



冴月くんは、二幕ではかりやん&じゅりあと一緒に、デイヴ(紫峰七海)の部下のヤバイ系3人組。…しかも、女装(!)。
っていうか、私は冴月くんがわかっていなかったので。
「花組さんカッコイイ女役さんがいるんだなー、じゅりあは色っぽいし、この人は男前だし、人材豊富♪♪」
くらいに思っておりまして。

……プログラム見て仰天しました。

はい、美人でした(*^ ^*)。



あと印象に残ったのは、レンフィールドの真瀬はるかくん。
こんなに巧い子、今までそれなりに新公観てるのにぜんぜん気がつかなかったよ…(↓)と落ち込んでいたのですが。
……研2だったとはっ!!いやー、本当に驚愕でした。

あの巧さで研2…しかも、ただ“巧い”だけじゃなくて、ちゃんと「男役の芝居」が出来ているだなんて。
そんなに身体に恵まれている感じでもないのに、凄いです!

あの学年で、あの声で喋れて、あの音域で歌えて、あの顔(男役の貌)で踊れるなんて!!
一幕のレンフィールドがまぐれじゃなかった証拠に、二幕でもジョニーのバックダンサーメンバーの一人として、しっかり良い位置で踊っていたんですよね。
これから新公楽しみだなあ、と思いました。

いやはや…こないだ落ちたばかりの星組の真風涼帆ちゃんといい、92期おそるべし(^ ^;ゞ



他にも可愛い下級生、巧いなーと思った下級生、いーっぱいいたのですが。
……ごめんなさいm(_ _)m。これからじっくりと勉強させていただきます……(^ ^)。



後半の部は、残念ながら観にいけそうにありませんが。
CSでの放映を、楽しみにしています!!がんばれがんばれ、花組若手♪



花組バウ・ワークショップ「蒼いくちづけ」を観てまいりました。


思っていた以上に花組の下級生を知らないことにちょっと落ち込みつつ、めお(真野すがた)ちゃんを中心に組子のみ30名が、とっても楽しそうに21年前の名作に取り組んでいるのを、ほほえましく観てまいりました。
めおちゃんバージョンは今日で千秋楽だったんですよね…。
3月からはじまる朝夏まなとくんバージョンも観たいけど、、、さすがに無理だろうなあ…(涙)。せめて祐飛さんのディナーショーとかぶっていたら、と思ったのに、ちょうど一日ずれているし(涙)。


えーっと。
私は、小池修一郎作品って、そんなにたくさん観ているわけではないのですが。

とりあえず「薔薇の封印」の原点はコレだったのね、と深く深く納得しました。
いやー、あの時どうして「薔薇の封印」を作っちゃおう!とか思わないで、「蒼いくちづけ」をそのまま一本モノ大劇場作品として上演しなかったんでしょうね。
そのほうがずっ(黙)。



…もとい。

めおちゃんの“ドラキュラ伯爵”は。
………がんばってた!!(←感動)

最初から小池さんがめおちゃんのために新作を書いたとしたら、ドラキュラものは宛てなかっただろうな、と思うのですが。
めおちゃんってあまり「人外」のイメージのない人なので。
でも、めおちゃんの誠実さとか、真面目さとか、そういうところはよく出ていたと思います。

誠実で、真面目で、優しくて、気が弱くて、暖かい。
耽美さとか、迫力とか、人外っぷりとか、そういうものを求めると物足りないけど、一人の「孤独な」男と、「がんばりやの」少女との出会いと恋、と思えば、成立するストーリーだな、と思いました。
今回はワークショップということで、作品ありきの新人公演だったからちょっと残念なところもありましたけれども、歌もよくがんばっていたし(驚きました!!)(←どんだけ…)、今後の活躍が、あらためて楽しみになりました★

…ね、はにはにさま(★o★)




華耀きらりちゃんは、ドラキュラ伯爵が欲する美少女ルーシー/アイドル候補のヴィーナス。
いやぁ、前からお気に入りだった美人さんですが、超!可愛かったです!頭小さくて、首が長くて、ドレスが似合うこと似合うこと。ヴィーナスのアイドル衣装も滅っ茶苦茶似合いすぎる!足の出し方が非常に的確です。小池さんさすが。いや、この場合は衣装の任田さんが的確だったのか?
同じ脚を出すにも、きらりちゃんにはホットパンツで(花野)じゅりあちゃんには腰までスリットのタイトドレスなところが、最高にGOOD JOB。
やっぱり衣装も、その「人」にあるいは「キャラ」に合わせた衣装って大事ですよね★

可愛くて、一所懸命で、がんばりやで、くじけなくて。
ホント可愛い女の子でした。ドラキュラ伯爵みたいな「不思議な人」あるいは「変な人」を、ついつい庇ってしまう正義感とか、
…恋してしまう不器用さ、とか。

うーん可愛い。本当に可愛い(はぁと)(結論はソレですか)

…歌も芝居も、すっごくがんばってました。うん。「がんばってました」としか言えないのはちょっとだけ残念ですが。でもがんばってたもん。良かったもん!……声質が結構好みなので、ちょっと甘めですが(汗)



ふみか(紫峰七海)ちゃんは、一幕がヘルシング教授、2幕がプロデューサー(?)のデイヴ。
いやーカッコイイ。
マジで色っぽい。

ヘルシング教授は老人設定なのですが、嫌味な爺さんで実に実に巧いんですよ、コレが。
で、一幕ですっかり「おお、ふみかちゃん巧いなー、さすがだなー」モードに入っていた私をひっくり返した2幕。
……二番手ですか?ふみかなのに?いったいいつからそんなことに?(←超失礼)

どうみても「LUNA」のリカさんの役なんですけど?
「薔薇の封印」のサエちゃんの役なんですけど?
「シルバー・ローズ・クロニクル」のきたろうの役なんですけどっ!?(←それは小池作品ではありません)

そして、その大抜擢に応えてみせたふみかちゃん。
考えてみれば、「ファントム」新公でキャリエールやった人なんですよね、この人。観ていないので忘れがちですが。
ホント巧いし、かっこいいし、色っぽいし、
樹里ちゃん路線に乗ったら最強なんじゃないかと思うんですが……(←痛すぎ)



扇めぐむくんは、1幕が誠実で気弱な家庭教師ジョナサン。
2幕では大人気!のアイドルでヴィーナスのライバル・ジョニー。

これはまた、別格の格好良さでした(はぁと)。髪型も工夫していたし、スタイルがいいから衣装も似合ってました。
歌もさすがに素晴らしくて♪久しぶりに堪能できて、嬉しかったです♪1幕の気弱っぷりと、2幕のイケイケぶりの対比がおもしろくて、いい芝居するなあと思いました。


この人にかぎらず、この作品で面白かったのは「120年前」の19世紀末ロンドン(郊外だけど)と、「現代」の21世紀ロンドンの『異世界感』でした。


……ってな話は、明日以降に回していいですか(^ ^)。
長くなりそうなので…(滝汗)。



若いメンバーでの公演、エネルギーに満ち溢れていて、とても楽しかったです。
ここで学んだあらゆることを、次の作品でも生かしてくださいますように。
また観にいくのを、楽しみにしています!

なにはともあれ。
めおちゃん、ふみかちゃん、扇くん、きらりちゃん、千秋楽おめでとうございました!
継続出演となる26名&まぁくん、だいもん、鳳くん、姫花ちゃん、お稽古大変でしょうけれどもがんばってくださいね(はぁと)



月組大劇場公演「ME&MY GIRL」の新人公演配役が発表されました。


ウィリアム(ビル) みりお(明日海りお)くん
サリー      (羽桜)しずくちゃん
ジョン卿  一幕 マグ(流輝一斗)ちゃん
      二幕 (光月)るうちゃん
ジェラルド 一幕 (紫門)ゆりやくん
      二幕 宇月颯くん
ジャッキー    蘭乃はなちゃん



おお、みりおくんが通しでビルだったら、という前提での予想が、発表された分は全員当たったわo(^-^)o。書いておけばよかった!
(ちなみに、予想していたのはコレと、みりおくんマリア夫人バージョンと、みりおくん二幕のみビルの2パターン)

個人的には、あとランベスキング=美翔かずき、ときたらほぼ完璧なような…。まあ、宇月くんのキングでみっしょんはジェラルド、ってのも観てみたかったけど…(←私だけ?)

ああ、でも「ハロー!ダンシング」の役付きで考えたら、ランベスキングは貴千碧くんで決まりかしら…。貴千くんはダンスも素晴らしいし、彼女が使われるのは全然不思議じゃないんですが…、
みっしょんも充分に“出来る子”なので、何か役をつけてあげてほしいんです(涙)……ってゆーか、役少なすぎだよミーマイ…(T_T)



ちなみに。
万が一みりおくんが新人公演も女役…だったら、
るうちゃん&マグちゃんがビルだろう、と思ってたんですよね(←有り得なかったですね、やっぱり)
そうなったら、希望キャストは、

ジョン卿をみっしょん(ハリラバのパーティーでのダンディなオジサマが素敵すぎました。髭萌え〜〜!)とあちょうさん(絶対素敵だと思う)。
ジェラルド”は、ゆりやんと(彩星)りおんくん。
で、ランベスキング&クイーンは絶対に宇月&麗百愛ちゃん!!
とか。
勝手に妄想していたんですが……(苦笑)。


それにしても。
みりおくん、昼公演は娘役(ソフィア)、夜はビルか……殺人的なスケジュールですよね(T_T)。喉の調整、万全を期しててほしいです。
劇団も、せつかくの『掌中の珠』なんですから、しっかりケアしてくださいね。




他に気になるキャストは…
まずは、パーチェスターです!!誰かなあ?
月組の88期89期90期あたりは芝居上手が集中していて、役の少ないミーマイなのが勿体ないくらい(涙)。パーチェスター候補もいっぱいいるんですが…最右翼はきっしー(彩央寿音)か、あちょうさん(華央あみり)あたり?歌があるから、五十鈴ひかりさんの可能性も…?


ああ、とにかく楽しみです、新公!!しずくちゃんも組み替え早々の抜擢キャストで不安でしょうけれども、がんばってほしいよ〜〜(泣)。

月組の若人たちのがんばりを、楽しみにしています★




東京芸術劇場にて、TSミュージカル「タン・ビエットの唄」を観てまいりました。


初演は2004年…ってことは、もうすぐ4年になるんですね。
あのときは、愛華みれさんが主役(?)のフェイ。
ティエンの土居裕子さんとトアンの畠中洋さん、ミンの宮川浩さんは今回と同じでした。

ちなみに私の目当ては、初演の時はトアンの畠中さんと、ハインの沢木順さんだったんですよね……懐かしいわーーーー!!
今回、ハインが若くてハンサムな吉野圭吾さん、ってことで、いったいどんな話になるのかと思ったのですが…


す、すみません。
初演はあまり細かいところを覚えていないので、脚本的・演出的な違いはよくわかりませんでした(^ ^;ゞ。
ただ、縄で作った舞台装置(大田創)がすごく印象的だったので、また観ることができてよかったです。うん、やっぱりいいです、あの装置は。虚仮脅しがなくて、大好き。


「タン・ビエット」というのは、「さよなら」という意味のヴェトナム語だそうです。
有名なソンミ村虐殺事件をモデルに、架空の村(ハン・ティン村)で起こった虐殺から逃げ延びて、解放民族戦線の兵士たちに助けられた姉妹(姉ティアン、妹フェイ)と、彼女たちを助けた男たちにとっての「戦争という現実」の物語。

物語の契機となるハン・ティン村虐殺事件を1969年(ホー主席死去の年)において。
1971年に渡英したまま帰らなかった妹・フェイが、“1990年代後半”にヴェトナムに現れ、姉・ティエンを探し始めるところから物語りは始まります。

20年以上前に、ジャングルの中でティエンとフェイの二人を助けた、開放民族戦線の5人の兵士たち。
トアン(畠中)、ミン(宮川)、ビン(駒田はじめ)、ゴク(戸井勝海)、そしてハイン(吉野)。

1975年のサイゴン解放=ヴェトナム戦争終結から20年。
混迷を深めるヴェトナムで、観光客相手のシクロ(人力車)漕ぎで生計をたてるトアンを見つけたフェイは、戦争中に行方不明になったティエンを探す手伝いを頼む…。



初演は、確か「ミス・サイゴン」の再演を夏に控えた春だったと思います。「ミス・サイゴン」は、西欧から眺めたヴェトナム戦争という印象が拭えませんでしたが(←でも好きな作品です)、この「タンビエットの唄」は、アジアから眺めたヴェトナム戦争になるんだろうな、と思って観にいったので。



…痛かった…。



5人の「元兵士」たちの抱えた心の傷が、自分の記憶に灼きついたかのようでした。
痛くて痛くて、泣くのも苦しかった。

トアンが最後の最後に「それが俺の夢だったんだ…」というんですよ(涙)。
そうとしか言いようのない時代だった、と。

「それ」が何なのか書くとネタバレてしまうので遠慮しておきますが、それにしても本当に、痛い物語でした。


「みんな戦争が悪いのよ」なんぞと、木村信司さんみたいなことを絶対に言わせない謝さんは流石だなあ、と思ってしまいました。
戦争を肯定するわけでは勿論ないのですが、「戦争の中でやむをえず犯してしまった罪」と、どうおりあいをつけていくのか。
特に。戦時における最大の罪のひとつである「逃亡」。
逃げることが罪となった時代を、どうやって生き延びたのかをテーマにした作品ですから。「生きること」への限りない肯定と、愛…その深さに、驚くばかりです。
プログラムのコメントもとても素敵です。「母国」と「祖国」と…自分の人生をきちんと見つめている人にしか言えない、深い言葉だな、と思いました。



まだ週末まで一週間弱上演されておりますので。
ぜひ一度、ご覧になってくださいませ。

「良い作品」かどうかはわかりませんが(テーマがテーマなので、駄目な人もたくさんいらっしゃるかと)、
「痛い作品」であることは保障いたします(^ ^;。




月組大劇場公演「ミー&マイガール」集合日。
出雲綾組長と、
組長に次ぐ最上級生の北嶋麻実さんと、
そして、86期の芝居巧者、姿樹えり緒さんの、

卒業が発表されました。


昨日発表された、トップ娘役のかなみちゃんと合わせて、4人。

月組から。
1月15日にれみちゃんが組替えして去り、
1月26日に祐飛さんが組替えして去り、
1月30日にねねちゃんが組替えして去り、

2月12日にしずくちゃんが加入して、

3月21日に初舞台生が加入して、

そして、7月6日に4人が卒業していく…。


有名な名作ミュージカルだし、
かなみちゃんのサヨナラショーがあるし、
もしかしたら複数人卒業してしまうかも?と昨夜は泣きそうに不安だったのですが。

……たきさん、まちおさん、

そして、

えりおっと……(泣)。



えりおっとを最初に覚えたのが何の公演だったのかは覚えていませんが、「長い春の果てに」かそのあたりの、かなり下級生の頃だったと思います。いかにも月組っ子らしい小芝居が楽しくて、名前もわからないのに注目していたのが“姿樹えり緒”だとわかったのは、いつだったかな?

ずっと見守っていたので、「Hollywood Lover」のヘアメークのベンが、一躍(ある意味)スターダムにのったかという勢いでブレイクしたのが凄く嬉しかったのですが。

…みちるに続き、86期の芝居巧者がまた一人……。
そんなもん、引き継がなくていいのにぃ〜〜っっ!!

学年的なこともあるのでしょうけれども、こうもポロポロと小芝居好きが卒業していくのはとてもさびしいです。今の月組は、芝居好きな下級生にとって楽しい組ではなくなってしまったのでしょうか…。それだけショーに重点がおかれているってことなのかなあ?
…芝居とショーと、両輪あってこその宝塚なんですけどねぇ(涙)。

「Hollywood Lover」で、実に実に楽しそうに役を作りこみ、深めていったえりおっと。
ベン以外の役、空港の旅行客だとか新聞記者だとか、その「世界」の空気を作る仕事を、しっかりと引き受けていたえりおっと。

「プロデューサーが、ステファーノ・グランディ監督を起用した理由を」
物慣れて落ち着いた、「仕事中のプロ」の、記者の、声。

「なんて素敵なサイン…♪」
可愛らしくて柔らかで、幸せそうな「オフの」専門家の、声。

「私の個性で輝いてみせる!」

そのとおり、誰よりも輝いていたえりおっと。

あなたは、あなたにしかないスペクトルで輝いて、

卒業しても、人生を実り豊かに楽しんでください(泣)。



まちおさん。

今となっては数少ない、“猫が月組を観始めた頃からいらっしゃる”月組生え抜きの上級生の一人。

いままで観てきたまちおさんで、一番印象に残っているのは「プロバンスの碧い空」のエディット、かなあ。実に見事な嵌り役でした。
あと、「から騒ぎ」のパーティーでのソロもすごく印象に残っています。滅多に聴けなかったけど、いい声なんですよね、本当に!
最後のフィナーレか、あるいはサヨナラショーで、歌が聴けるといいなあ…(←観るつもりか?)

 

タキさん。
多分、一番最初に観たのは「エクスかリバー」の怪しい奥方なんですよね。かなり好きでした(笑)。
それが強烈すぎて、その後は「何をしてもタキさん」に見えてしまって残念なことも多かったのですが。

私が観たなかで一番好きな役は、もう「タキさんにしかできないよねっ!」という大役。
かの、「ファントム」のカルロッタ。
この役だけは、他の人で観たいと思ったことさえなくて。
タキさんが卒業するってことは、「ファントム」も、もう宝塚では再演できないんだねと、かなり本気で思っています(^ ^;)ゞ。

そして、「アーネスト・イン・ラヴ」のブラックネル夫人。
これも他の人で見たいとは思わないなあ、考えてみれば。

「ハーンドバッグは父親ではない父親とはいえな・い・♪」

という早口言葉のような歌を、ぽんぽん飛びまくる音程を正確に当てながら滑舌よく歌ってくれて、本当に気持ちよかった!(^ ^)。

そして、昨年の「ダル・レークの恋」のおばあさま。
貫禄ある美しいおばあさまで、実に見事な存在感でした。
観るたびに見蕩れてた。


歌唱力。
それは、声がいいだけでは駄目で、

一番大切なのは表現力なのだ、と、タキさんの歌を聴くたびに思います。
悲劇であれ、喜劇であれ、タキさんが歌いだすと、その場が『ドラマ』の現場になるんですね。それだけの力を持った、歌。

タキさんの歌をたくさん聴けて、幸せです。かなみちゃんとタキさん、歌姫が二人揃っているなんて、月組ファンの特権だったなあ〜(笑)。


「ミー&マイガール」では、もちろん!マリア侯爵夫人。
東宝再演の涼風マリアしか観ていない私には、タキさんのマリアって本当に想像できないのですが、

あの歌を聴けるのは耳の喜びです。
最後まで月組をよろしくお願いいたします。


それにしても。
…月組、ちょっと管理職変わりすぎじゃないですか?(泣)。
まぁ、今年は雪組の副組長、花組の副組長、宙組の組長が卒業あるいは異動で組を離れるので、月組もおかしくないんでしょうけれども。

でもでも、タキさん月組組長に就任してわずか2作ですよ(涙)。
おかあさん、置いていかないで〜〜〜(T T)。

こんなに短期間に管理職が変わるのって、昔はあったことなのでしょうか?
少なくとも、私が観始めてからはこんなことはなかったと思うのですが。(星と雪なんて、10年間変わってないし)

ゆらさんは比較的長かったけど、うーさんも絵理さんもタキさんも2作かそこらだなんて(涙)。組が落ち着かないじゃないかー!!本当に切ないです…。

…タキさんの後は。誰が仕切ることになるのでしょうね。

個人的に希望を言ってもいいのなら、
昨年からずーっと月組に張り付いてくださっている未沙のえるさん、
あるいは、以前管理職として月組を引っ張ってくださっていた梨花ますみさんと、汝鳥ゆうさん…
この3人のうちのお一人に決まったら、とても幸せです。

…とりあえず、ナホちゃんがいきなり組長に昇格してガチャが副組長、とか…あり得ないよ、ね?
あぁ、いっそのこと、名実ともに頂点に立つ麻子さん、トップでなおかつ最上級生の麻子さんに、組長もやっていただくとか?
(←無理)

誰か、
誰かお願い、私の愛する月組に愛の手を。




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