宝塚星組 日本青年館公演「ブエノスアイレスの風」。





さっきまで色々書いていたんですが、すっごい長くなってしまったので、メインキャストについてはまた後日まとめたいと思います。

とりあえず今日は、メインじゃないひとたちを印象に残った順に♪




武器商人のじゅんな(水輝涼)が、最高に素敵でした(*^ ^*)。あの間抜けな役の間抜けな台詞を大真面目に喋って説得力があるって、どんだけ巧いんだこの人(感心)。衣装も似合ってて素敵でした!(←真顔)。

この人って、本当に素敵だと思うんですよね。いつか、しゅんくんなりベニーなりがトップスターと呼ばれる日が来たら、ぜひマリコさん時代のみっき(千秋慎)さんのような存在になってほしい。そして、いつか「Elegy 哀歌」を再演するような日が来るならば、じゅんなのマルク王を観たいと思っていたりします。紅トリスタン、夢咲イゾルデ、みやるりアンドレッド、壱城パラミティーズ、、、、なんてどうでしょうか。「Elegy」が観たいというより、じゅんなのマルク王が観たいだけですけど(^ ^;




ロレンソの美城れんさんも良かった。まりえ(美郷真也)さんが生き返った(←失礼な)かと思いました。


フローラの音花ゆりちゃんも、予想外に良かったです。芝居はさすがに無理があったけど、歌は文句無かった!!幕開きの歌にはびっくりしました(@ @)。
台詞の声(コロコロして可愛い)と歌声(低音の響きがかっこいい)のギャップにちょっと萌え。




バーテンの鶴美舞夕さん、達者な人ですねぇ。こちらは初演で演じたのの(京樹真那)ちゃんが印象的すぎて違和感を拭いきれなかったのですが、カッコよかったです。元々ずば抜けたダンサーなんだし、正塚さんも少しは宛書して修正してあげればいいのに!と思いました。バーテンさんも踊っちゃえよ!!とか(^ ^)。ニコラスとダンス対決してほしかったなー(←それブエノスアイレスの風じゃないから)
それにしても、ダンサーで芝居もできてカッコイイ、しみじみとすごい人だなあ☆。




イサベラの姉の華美ゆうかさん。巧い人なんだけど、怖さがちょっと足りなかったかも。それとも、イサベラのねねちゃんの怯え方が足りないのかな?姉の暴力(言葉や態度という暴力ですが)に、指先まで支配され怯えきった少女が、ダンスに救いを求める物語が作品全体の一方の軸なのに、そこが薄まっていたのが残念でした。
マルセーロみたいなチンピラにまで救いを求めずにはいられない、その恐怖の象徴のような存在であってほしかったので…。

もともと、暖かな包容力のある女性で魅力的なタイプなので、この役自体に無理があったのかな。三杉千佳さんの怖さは天下一品だったもんなぁ…。



涼乃かつきさんは、イサベラの母とアパートの管理人。「龍星」でも良かっただったので楽しみにしていましたが、期待どおりでした。達者な人だなあ。



メルセデスの純花まりぃさん、綺麗だったけど……あれ?こんな役でしたっけ?那津乃咲さんの女主人って、バーテンのののちゃんと並んで凄く印象的な存在だったんですけど……。かなり後半になるまで、役自体がなくなっちゃったんだとばかり思ってました。あれぇ?おかしいな。単に私が那津乃さん好きだったからチェックしていただけなんでしょうか……ホントごめんなさい(汗)。




キトリ(稀鳥まりや)ちゃんが最後まで役名なしだったのが意外。芝居できるのにもったいない……。でも本当に、ホンモノのダンサーというのは立ち姿が違うんだなあ、としみじみ。可愛いしかっこいいし、意外と大人っぽいし…すごく良かったと思います。




美弥るりかさんの声は、相変わらずドキっとするほど色っぽい(*^ ^*)。役での出番は極少ですが、いい芝居してました。眼が効いて美人で色っぽくて…色悪とか似合いそうなんですけどねぇ。万が一本当に「Elegy…」を再演することがあったら、アンドレットをぜひ演じてほしいです。あの長台詞を、あの声で聞いてみたい!




如月蓮さんは、銀行員も良かったけど、「街の男」が面白かったです。なんともいえず味があって。
あと印象的だったのは警察署長の天寿光希さんかな。ベニーの上司にちゃんと見える、落ち着いた芝居でよかったと思います。




マルセーロの真風くんは予想以上に良かったです。もう少しヘタレだともっといいんですけど、あの学年で自然にヘタレ感が出るのは、ホントにヘタレな人だから……そういう要素のない人にはすごく難しい(汗)。
タニちゃんのマルセーロは抜群にヘタレだったし、きりやんのマルセーロはなんとも言えず可愛かったので、真風くんも、何か一つポイントを決めるといいかもしれません。彼のキャラだったら、ひたすらかっこつけてみるのも一つの手だと思うんですよね。回りとのバランスが難しいところですけど。
ただ、リカルドとリリアナがキャラ違いなので、その二人との関わりが多いマルセーロは難しいだろうなあと思いました。特に、ソファでじゃれてる二人に色気がないのは致命的で、それを見て嫉妬しているマルセーロが莫迦にしか見えないのがね…(T T)。あそこは可哀想だと思いました。正塚さんも、もう少し全体のバランスを見てあげればいいのに……。

真風くんがいちばんカッコよかったのは、フィナーレのタンゴ。特に、ねねちゃんとの並びが綺麗でお似合いで、それに一番びっくりしてしまいました☆




バンドネオン弾きは漣レイラさん。初演の研ルイスくんといい、名前で選んだとしか思えん!とか失礼なことを考えてしまいました(汗)。もう少し歩き方や座り方が自然になるといいんだけどなー、と思いつつ、バンドネオンの弾き方とか、お客さんとのやり取りの雰囲気は自然で良かったと思います。でもあんまり注目して観る暇がなくて…ごめんなさい。





最後にもうひとつ。
礼音くんってなんとなーく“若い”イメージがあったんですけど、初演時のリカさんと3学年しか違わないんですね。今は、10年前に比べて全体的に「スターになる年齢」が高くなっているとはいえ、礼音くんは主演公演もこれで4本目なんだし、リカさんだって初演時は二番手になってまだ1年足らず。二番手になって3公演1年半が経っている礼音くんが、経験不足ってことは全くないはずなんだなー、と、あらためて思ったりしました…。







全体に。
ひとりひとりは本当にがんばっているし、作品自体は名作だったはずなのに、アチコチかみ合ってなかったり、なんかバランスが悪かったりしたのは、初日すぐだからだと思います。

初演が名作だったのは宛書がぴったり嵌っていたからで、今回、まったく役者に合わせて手直しされることもなく、「スカーレット・ピンパーネル」の千秋楽から1ヶ月弱で、基本的にはビデオ起こししただけで演出的に細かく修正する時間もなく舞台に乗せざるをえないスケジュールだったのは、本当に気の毒でした。
本来、バウ初日の14日に普通に初日を迎えて、バウで2週間じっくり熟成させてから青年館に持ってくるはずのところを、青年館が押さえられなかったのかなんなのか、バウの前に青年館が入ってしまった。劇団的にも、正塚さん自身も、青年館公演は6日間も公開舞台稽古と割り切っているんだろうなあ。……再演を楽しみに待っていた東京の観客としては、切ない限りです。

「ブエノスアイレスの風」という名作の完成度を上げることに作者自身が興味がないなら、どうしてこのタイミングで、このキャストで、東京先行で再演することになってしまったのか……と、小一時間問い詰めたい気持ち。
特に娘役3役、イサベラのねねちゃん、エヴァのまりも(蒼乃夕妃)ちゃん、リリアナの水瀬(千秋)さん…3人が3人とも、それぞれ単体では解釈もしっかりしているし、その解釈で演じきる力もあるのに、それぞれが絡む相手役とのバランスが悪すぎて違和感があったのが残念でした。そういうギクシャクしたものをフォローするのが演出家の仕事だろう!?と思うんですよね。
がんばっている彼女たちも、生温く見守るしかない私たちも、残念でなりません。





まぁ、こんなことをいくらぼやいても仕方がないので、
まだ若い彼らの可能性と輝きを、愛でたいと思います…。




…もう、いっそのことバウまで行っちゃおうかな……(T T)(←実は真顔)


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宝塚歌劇団星組 トップ娘役遠野あすかが、次回公演で安蘭けいと共に卒業することが発表されました。



あすかちゃんへの私の思いについては、トップお披露目時にすべて書いたので、今回は省略。
http://80646.diarynote.jp/200703252310500000/




覚悟はしていました。
専科から星組へ異動して、トップ娘役になるという発表があったあの日から、あすかちゃんは末永く専科にいてくれるわけじゃなくて、安蘭さんと一緒に卒業するんだろう、と。

だから。




全国ツアーのチケットはまだ持っていませんが、
卒業公演のチケットが手に入るあてもありませんが、

…きっとどこかで、チケットのかみさまが見ていてくださるだろう、と信じています。







二度と戻れない「宝塚」を、あと半年、たっぷりと味わってくださいますように。





そして。

卒業したら、絶対樹里ちゃんとコンサートかディナーショーしてねーーーっっっ!!






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日比谷と青山で、宝塚歌劇「正塚晴彦」の二本立てを観てまいりました。



……もとい。



雪組東宝劇場公演「ソロモンの指輪/マリポーサの花」と、星組日本青年館公演「ブエノスアイレスの風」を、はしごしてまいりました。






いやー、「マリポーサの花/ブエノスアイレスの風」という二本立ては、ものすごく興味深くて、面白くて、そして、

気力を消耗する3幕もの、でした。



……あんまりお勧めはしません(汗)。

遠征中だとか、特別な理由がある場合をのぞき、一日に見るのはどちらか一つにすることをお勧めさせていただきますm(_ _)m。







星組さんの二番手スターであり、トウコさんの卒業が発表された今、半年後にはトップスターになっている可能性が一番高い柚希礼音くんの、これが初めての主演作の東上。
それにしては、いきなり東京スタートという高いハードルも、期待のあらわれかな(^ ^)。


まぁそうはいっても月組の誇る名作の再々演、『今が旬』の若手スターてんこ盛り、と、話題にはことかかない公演でした。

礼音くん、「スカーレット・ピンパーネル」でずいぶん痩せたんでしょうねぇ~!!
本来『女性として』ものすごくスタイルのいい、いわゆる“ボンッ、キュッ、ボーンッッ!”……特に腰の張りがありすぎて、なかなかスーツの補正が難しいタイプ(女として滅茶苦茶羨ましいです)だと思うのですが、ずいぶんスッキリ着こなしてました。…個人的には、あのボーンッッ!!が好きだったのでちょっと残念ですが…(あの腰のボリュームのない礼音くんなんてっ泣)

歌も安定(←ま、初演もリカさんだしね)。ダンスは、いや本来物凄いダンサーなことは良く知ってますけど、ことタンゴについては……あれは経験とスタイルがものを言うんですけど、そういえば礼音くんって踊ったことあったっけ?アルゼンチンタンゴとコンチネンタルタンゴも違うしなー。

芝居は、想像していたよりはずっとニコラスでした。はい。もっとずーーーーっと明るい太陽を想像していたので、びっくりしました。カッコよかった!!ただ、「色っぽい」とか「陰がある」とかいうのとはちょっと違ってたかもしれませんね。
いちばん良かったのは、「革命家くずれ」らしいナイフのような“危険”な空気感があったこと。あの“危険”さが、色気になるといいんですけどねー。なんていうか、まだセントバーナードとかシベリアンハスキー……いや違う(汗)、ドーベルマンとかシェパードの“怖さ”なんですよね、野生の狼ではなくて。

きちんとした、生真面目な怖さ。素朴で気のいい強さ。
それでしかなかったことが、すこーし残念でした。


でも、怖さが出せるようになっただけ進歩だし、まだ初日あいたばかりですからね!!バウの楽までには、きっとホンモノの“危険な香り”が醸し出せるよになるだろう、と、そう…信じて。








で。

他のキャストについて触れるまえに、今日どうしても書きたいと思ったことを呟かせていただきます。






「正塚晴彦」という、卓越した才能を持ったクリエーターにとって、
「過去の名作」って、何だったのでしょうか…?


彼自身が、「ブエノスアイレスの風」という過去の作品、もう終わったハズの作品の再演(正確には再々演)という事実を、どのようにとらえていたのか。



…私にはわかりませんでした。
私は彼じゃないから。彼と直接話す立場にいるものでもないから。




ただ。





…「ブエノスアイレスの風」は、名作でした。
ドラマシティで初演され、神戸と青年館で再演された、10年前には。




でも。




2008年、この夏に正塚晴彦は、「マリポーサの花」を発表してしまった。
これはたぶん、彼が描いてきた一連の“革命物”、「ブエノスアイレスの風」を含む一連の作品の、ある完成形だったのではないか、と、私は思っています。


「革命」に破れ、にもかかわらず「平和」を得た“世界”の中を生き抜こうとした男の物語が「ブエノスアイレスの風」だったとしたら、

「革命」に勝ち、にもかかわらず「安寧」を得られない“世界”の中を生き抜こうとした男の物語が「マリポーサの花」。



だから、この「マリポーサの花」が完成してしまった今、「ブエノスアイレスの風」という作品は、正塚晴彦というクリエーターにとって「完全なる過去」になってしまったのではないか、…と。






最初の再演の時はちがいました。あの時点で、彼はもう次の「CROSSROAD」も発表した後でしたけれども、でも「ブエノスアイレスの風」は、まだ彼の中に生きていた。
一番重要な役だったリカルド役の樹里咲穂を組替えで失ってなお、再演を喜び、作品のレベルをあげて初演を超えるためにあらゆることをした。
事実上の二番手役だったリカルドに信頼篤い嘉月絵理を配し、万全の態勢を整えて、再演に挑んだのです。






今回の再々演のキャストを聞いたとき、
いちばん驚いたのは、リカルドの配役でした。

樹里咲穂。嘉月絵理。正塚晴彦が愛してやまなかった二人の役者に宛てたラヴ・レター。
初演でも再演でも、プログラムの写真の大きさでも最後の挨拶でもビセンテ、マルセーロに次ぐ4番目だったリカルド役。これを、本来あるべき二番手スターの和涼華にあてる。
ある意味、ものすごく“当たり前”の配役だったし、でも物凄い冒険だったと思います。



でも。

配役を見た時点では、私は正塚さんを信じていました。
正塚さん、がんばるツモリなんだな、と思った。


彼は最近、あまりトップスタークラスの立場の役者には演技指導をつけていないように思うのですが(せいぜい「肩の力を抜け」くらいで)、新人公演はずっと直接見てきたんですよね。「マジシャンの憂鬱」も、東京では新公だけは直接見て、あれだけの高いレベルにひきあげてくれていたし。


今回は、もう本公演で二番手格にたつ礼音くんには何も言わないかもしれないけれども、経験の浅い和くん以下のメンバーは徹底的に演技指導して、これからの星組を背負って立つ若手スターを育てるつもりなんだろう、と。
あるいは、星組のプロデューサーさんとしても、礼音くんを真ん中に据えたときの体勢を考えて今回の作品、今回の演出家を選んだ面もあるのだろう、と。





でも。


もしかしたら、そうじゃなかったのかもしれない。
正塚晴彦は、この作品の再演にはあまり意欲的ではなかったのかもしれない。
もともと再演を嫌がっていた人だし。割と似たような展開の物語を、それでも新作として宛書して作ってきた人だし。
礼音くん主演でやるなら、あの陣容で上演なら、もっと宛書した新作をやりたかったのかもしれない……。






若手はみんな、がんばってました。
自分のできる範囲で、精一杯に。
涙がでるほどがんばってた。




でも。




それを形にしてあげるのは、彼らだけじゃ無理だった。
正塚さんが手伝ってあげなくちゃ、まだ、無理。だって、和くんで研9。本公演では少しづつ役が付き始めていますけれども、作品を支えるに不可欠な立場、いわゆる「番手」がつく立場にたつのは、正月のバウに続いて、まだ二回目。しかも、前回は宛書で多少はやりやすかったはず。
ベニーはこないだの新公でデビューしたばかりと言っても過言ではない。
中でいちばん経験値が高いのは研6のねねちゃん、というくらい、“プロ”の少ない陣容。



確かに。
このメンバーをなんとかできるのは、このメンバーを確実に育てることができるのは、今の宝塚には間違いなく正塚さんしかいない。
柴田さんと荻田さんが任を離れた今、こと「役者を育てる」ことに関しては、あまりにも人材不足です。だから、正塚さんへの負荷は大変なことになっているのかもしれない、と思う。

実際、「Young Star Guide」を読んでも、殆どのメンバーが口をそろえて「歌・芝居・ダンスでいちばん勉強したいもの」に芝居をあげている現状、役者側がいちばん痛感しているところなのだと思います。
でも、芝居は「正解」がないぶん、指導者の質がものすごく問われる。本人の努力ではどうにもならないものなのです。だって、「正解」かどうかが本人には絶対にわからないんだから。
そこを的確に抑えて、「男役」をきちんと教えてあげられるのは、今の宝塚には正塚さんしかいないのかもしれません。




なのに。

いえ、だからこそ。





「ブエノスアイレスの風」を観て、最初に思ったことは。

あ、…新人公演なんだな、と。




正塚さんの中で、この公演は『再演』ではなく、新人公演だったのかな、と。
そう、すとんと落ちて。


本公演はやってないけど、
ビデオで勉強することしかできないけど、

その分、何回も何回もやれる、新人公演。






……演出助手は小柳奈穂子さんかぁ……。
「新人公演演出」は小柳さん、ってことはないよね…?





まぁ、でも、それでもいいの、かな。
青年館で観たから違和感を覚えたんですけれども、バウ公演の初日近辺なんて、公開舞台稽古でも仕方ないって言われるくらいだし。
「ブエノスアイレスの風」については、私が初演再演と観ているから色々思うところがあるけれども、初見だったらそうは思わないのかも。
それで、別にふつーに正解、なのかも。



新人公演だって、何回もやるうちには、本公演に化けてくれるはず。
ちゃんと「再演」に、なってくれる、はず。

だって彼らに足りないのは「経験」であって、「実力」じゃないんだから。

…ないはずなんだから。





今回はさすがにバウまでは観にいけないので、残念ながら「本公演」になった「ブエノスアイレスの風」を観るのはCSの放送待ちということになりそうですが。








美貌も、魅力も、実力も、十分に持っている子供たち。
彼らの努力が、涙が、いつか報われる日がくることを祈っています。





ただ。



……この公演のあおりをくらったのが、「マリポーサの花」新人公演メンバーだったのかもしれないなぁ、と思うと……
犠牲は大きい分、礼音くんはじめ、役付きのメンバーにはがんばっていただいて、バウの楽までに結果を出していただきたい……と、

そう、祈っています。

彼ら自身の、ために。



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赤坂REDシアターにて、「傾く首 ~モディリアーニの折れた絵筆~」を観劇してまいりました。




エコール・ド・パリ。
20世紀前半の、猥雑で混乱に満ちた、パリ。モンマルトル、モンパルナス……ボヘミアン的な生活をしていた芸術家たち。
三谷幸喜の「コンフィダント・絆」で描かれた時代よりも、もう少し…そうたぶん、1/4世紀ほど後の物語。



エコール・ド・パリ。
「パリ」という学校に学んだ芸術家たち。
19世紀末から20世紀初頭、「世界の最先端」だったパリ。いやむしろ、「世界のすべて」だったパリ。
「技術だったらイタリアでも学べた!でも、俺はパリで画家になるんだ!」
そう語るモディリアーニを主役に、彼と、彼を取り巻くひとびとを語るものがたり。


「コンフィダント・絆」にあった、救いと絶望。
そういうもののまったくない、完全に突き放された語り口。諦念と無常観。





三谷さんと荻田さん。二人の「天才」が、同じ素材をどう料理するのか?
それは下世話な興味にすぎないんですけれども。
でも、そこには確かに共通するモティーフとテーマがあって、その解釈の仕方が全然違っていて。
両方観ているからこその面白さ、というものが確かにありました。





……ストーリーは説明しにくいので、とりあえずは登場人物の紹介を。

アメディオ・モディリアーニ(吉野圭吾)
1884年、イタリア・トスカーナ生まれのユダヤ人。22歳でパリに出て画家を目指すが、パリの画壇に拒否され、酒と麻薬におぼれる。愛称は「モディ」。


ジャンヌ・エビュテルヌ(内田亜希子)
モディリアーニより15歳(?)年下の、内縁の妻 兼モデル。モディリアーニが肺結核で死んだ後、窓から身を投げて自殺。享年21歳。


レオポルド・ズボロウスキー(戸井勝海)
ポーランド系の画商。モディリアーニの理解者で、援助者だった。詩人を目指してパリに出てきたが、挫折した過去をもつ。
妻は何度かモディリアーニのモデルになっている。愛称は「ズボ」。


ルニア・チェホフスカ(小野妃香里)
モディリアーニの友人 兼モデル。ポーランド出身。ズボロウスキーの紹介でモディと知り合った。名門の出で、モディリアーニをずいぶん援助したらしい。夫は軍人で、第一次大戦に出征。その間のパリ滞在だった。愛称は「カカシュカ」。本人的には、本職は詩人。


モーリス・ユトリロ(岩田翼)
いわずと知れた、20世紀を代表する風景画家の一人。1883年、フランス生まれ。“エコール・ド・パリ”には珍しいフランス人だった。モディリアーニの親友で、のんだくれのアルコール中毒(そもそも、アル中の治療の一環として医者に絵を薦められたことは有名)。愛称は「モモ」。


ハイム・スーチン(溝呂木賢)
1893年、リトアニアに生まれたユダヤ人。20歳でパリに出る。この時代の画家としては、生前にある程度の成功を収めた珍しい人。








「コンフィダント」のプログラムには、ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、シェフネッケルのそれぞれの絵が紹介されていて、彼らの業績が非常にわかりやすかったのですが、今回の「傾く首」のプログラムは、そういう面ではとても不親切。モディリアーニだけは年表もあるけれども、他の3人については解説もないし。
でも、全体の構成はよく似てる。
違う作者による、まったく違うテーマのまったく違う作品なのに、「コンフィダント」と「傾く首」は、とてもよく似ています。


歌も踊りもなく、なんの事件らしい事件も起こらない数日間、の物語。
ただひたすらに、自分の感情を垂れ流すばかりの、会話にならない、言葉の洪水。

己をさらけだし、傷つけあうばかりの“芸術家”たち。
彼らを理解したくて、救いたくて、なのに傍に侍ることさえ拒否される“芸術家くずれ”たち。

芸術に身をささげた、という意味では、画商も芸術家のパトロネスも同じなのに、
それさえも闇雲に否定され、傷つけられる。



「コンフィダント」には、語り手たる娼婦 兼モデルのルイーズがいましたが、「傾く首」には語り手らしい語り手はなく、ただ、案外カカシュカが結構自分語りしていました。
…何の説明もしなかったですけどね。





三谷さんの「痛さ」と、
荻田さんの「痛さ」の違い。

同じような題材で、同じような構造の作品なだけに、その差が強く印象に残りました。
「コンフィダント」の痛さは、ゴーギャンの痛さであり、スーラの、シェフネッケルの痛さだったんですよね。
“ゴッホ”という光に勝てない自分、という痛み。そして、それでもゴッホという光から離れることができない痛み。
そしてもう一つ、そんな彼らを理解できないルイーズの痛み。


でも。
「傾く首」の一番痛いところは、彼らが「パリに見捨てられている」ところなのだと思うのです。
この物語の中で、「コンフィダント」におけるゴッホの位置にいるはずなのは、年若いハイムです。彼は『他の人には見えないものを視る目をもつ男』として描かれている。溝呂木さんの芝居がまた実に見事だったんですが(*^ ^*)、彼は明らかに「他の人」とは違う。

でも。
荻田さんは、そこで満足はしない。彼は、もう一度世界をひっくり返す。
ハイムに視える「世界」に、意味はないのだ、と。
モディリアーニはモデルを通して「世界」を視る画家であり、その視点は世界を超えているのだ、と。

だから、ハイムはモディリアーニのモデルを欲しがる。
ハイムの瞳を欲しがるモディと、モディのモデルを欲しがるハイム。

そして、その二人とは最初から違う世界を生きているユトリロ。




誰ひとり、相手を理解しようとはしない。
彼らにとって世界は大きすぎて、視界いっぱいに拡がる「神の貌」を画布に写すだけで精一杯で、ちっぽけな「人間」を視る余裕などありはしない。

その、彼らの孤独さの切実な痛み。
彼らが「孤独」の痛みに気づいてさえいないことに対する、痛み。





彼らを見守るズボの、カカシュカの、痛み。
物語の後半、冷たい雨に降られるモディとモモを迎えにくるカカシュカの、寂しい横顔。後姿。
「あたしはただのモデル」
そう繰り返し、言い聞かせ、言い聞かせ、……自分自身ん。

「あたしはただのモデル……」




そして、ジャンヌ。
元々は画学生として芸術の道を目指していたはずの、ジャンヌ。

芸術に身をささげるつもりだった彼女は、若い身空で「現人神」に身をささげてしまった。
カトリックの彼女が、ユダヤ人のモディに。
親の大反対で籍も入れられず、精神的には18歳のまま、
もうすぐ2歳になろうとする娘のことも、根本的には意識にない。

「ジャンヌとつけたの。あのひとが。あたしと同じ名前。そして、ジョヴァンナと呼ぶの、イタリア風に」

「ジョヴァンナよ!そう呼んで!あの娘の半分はイタリア人なんだからっ!!」

モディへの、崇拝としか言いようのない恋着。彼女自身が目指した芸術の夢さえも、夫に託して。
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全てを託された「神」の苦悩。
モディの愛と苦悩。








良い役者をそろえられて、荻田さん幸せだったろうなあ、と、ほんの一ヶ月前とは逆のことを思いました。
歌もダンスもないストレートプレイは久しぶりでしたが、やっぱり「芝居ができる」ひとたちが集まっていれば、そして適切なサイズの劇場を択べば(←これは重要)、休憩なしの2時間も全然長くない。
「コンフィダント」のように、痛くて痛くて号泣するような作品ではありませんでしたが、ひそっと胸に刺さった棘が、未だに抜けずに痛みを増しているような、そんな気がします。


モディの吉野さんも良かったですが、今回のVIPは女優二人にあげたい感じ。ジャンヌの内田さんも、カカシュカの小野さんも、素晴らしかった。母性のかけらもない、「少女」のままで時を留めたジャンヌと、隠し切れない母性と女性の狭間を揺れ動くカカシュカ。硬くて響きのない、カツカツした内田さんの声と、まろやかでやわらかい、しっとりと濡れたような小野さんの声と。
ジャンヌは朝澄けいさんでも良かったかなと思いましたが、朝澄さんだともっと抑圧されたキャラクターになってしまうかなーと思いなおしました。内田さんの、追い詰められているのに強気な声が、ジャンヌというキャラクター、逆にモディを追い詰めるキャラクターにぴったりでした。これだけ作品がいいと、常連の朝澄さんがいないのが寂しくなるのですが(^ ^;ゞ、たぶん、荻田さんの中で、朝澄さんはもうちょっと音楽的な作品で使いたい人なんだろうなー。

ハイムの溝呂木さん、初めて拝見しましたが物凄い二枚目ですね(汗)。どきどきしました。
声もいいし、荻田さんの好みな感じ。

「劇団昴」の新鋭・岩田くんはまた巧くなってて、相変わらず可愛いし達者だし、いい子だなあ(*^ ^*)。次は何に出るんだろう…(←とりあえずは昴でしょ?)

戸井さんは、ここ最近の荻田作品にはほとんど呼ばれてますが、どうにも荻田さんは彼の何が欲しくて使い続けているのかなー?と疑問に思う使い方が多かったのですが………
なんだか、わかったような気がする。
不完全な父性。
戸井さんのファンとしては、ちょっと不本意なんですが(汗)、彼に求められているのはそういうものなんだなあ…。

戸井さんは、私生活ではちゃんとパパなんでしょうけど、確かにあまり父性を感じない役者さんではありますね。
小野妃香里さんが、女の本能としての母性は演じられても、実際に誰かの「母親役」をやってたら違和感ありまくりだろうなあ、と思うのと同じで、キャラクターというか、記号としての「父親」は演じられても、「父性」は感じない役者。
それは彼の個性なんですけど、年齢を考えるとちょっと不利な個性だなーと思うんですよね。
でも、荻田さんは、彼のそういうところが気に入っているのかな、と思うと、ありがたい演出家だなあと(^ ^;
今回は、ひさびさにファンとして観ても幸せな役をいただいて、嬉しかったです。
今後も呼んでいただけると良いのですが。……どうなんでしょうねぇ…。








舞台の幕開きは、モディの死の直後。
不安定になったジャンヌを気遣うカカシュカと、ズボ。
酔っ払ったままのモモ。

そして、窓に映るモディの、影。

吉野圭吾、という役者の、圧倒的な存在感。
シルエットの美しさ、腕の筋肉、指の動き。


窓が不規則に灯に照らされて、
うかびでるクロス。
浮かび上がる、影。


「ジャンヌ!窓に近寄らないで!」

カカシュカの悲痛な叫び。





壊れたレコードのように、ジャンヌが繰り返し呟く。
「冗談じゃない」

繰り返し、
繰り返し。

「じょうだんじゃ、ない……」



神を喪ったジャンヌに、生きる意味などない。

……こども?

こどもって、なに…?



それが、愛?
それとも、恋?

いいえ。

それは崇拝。それは執着。
愛はなかった。どちらにも。

だから。



愛は、なかった。
……誰にも。





雪組東宝劇場公演「ソロモンの指輪/マリポーサの花」を観劇してまいりました。





頭が昭和40年代(?)の映画界からなかなか戻ってきていなかったのですが。

……あまりにも世界そのものが美しすぎて、言葉も無く、呆然と劇場を後にしました。





「ソロモンの指輪」の、圧倒的な美しさ。
「マリポーサの花」の、禁欲的で求道者的な美しさ。

オイルショック前の、猥雑で奔放な「映画スタァ」を描いた「銀ちゃんの恋」と、同じ宝塚劇団の演目とは思えません……(笑)。




と、とりあえず、東宝観劇第一回目の感想は、そんな感じです。
水さんも、ユミコちゃんも、となみちゃんも、キムちゃんも、テルくんも、ひろみちゃんも、らぎちゃんも、シナちゃんも、とにかくみんなみんな美しかった。正しく「タカラヅカ」な世界でした。
「銀ちゃんの恋」もずいぶん(初演を思えば)タカラヅカになったものだと思いましたが、やっぱりだいぶ違いますねー(^ ^;ゞ



いろいろあるから、タカラヅカ。
みんなちがって、みんないい。

あらためてそんなことを思った、夜。






怒涛のようだった2008年10月も、今日でおしまい。
明日からは、またいろんな舞台を観て、書いていきたいと思います。

……で、銀ちゃんの続き、あと多分10回くらいで終わると思うんですけど、最後まで書いてもいいですか……?




.
宝塚花組87期の誇る女優・初姫さあやちゃん、
           お誕生日おめでとうございます~~~~!!



さあやの誕生日に「銀ちゃん」の公演があったら、カラオケバー「ししとう」の場面で、嶺乃(一真)くんや初輝(よしや)くんは優しくキスしてくれたかしら、なーんて妄想してみたりして(^ ^;ゞ

祐飛さんが花組に異動してくるより前からさあやのことは気になっていましたけれども、ここまで惚れこんだかどうか……。いやぁ、「オモロー」なさあやはこの3週間で十分堪能させていただきましたので、次回公演「大王四神記」ではぜひ、「カッコイイ」系を目指していただきたい……

と、記者発表の写真を見ながら思ってしまいました(^ ^)。







「大王四神記」の制作発表について、サンケイスポーツさんの記事はこちら。
http://www.sanspo.com/geino/news/081029/gne0810291515000-n1.htm



いやあ~~、、、、、久々に、制作発表の写真で心が震えました(照)。
「スカーレットピンパーネル」も3人ともカッコよかったけど、やっぱり古代アジア系の衣装の清しい色気って格別なものですねぇ♪早く舞台で観たいです!

まとぶん、さすが“コスチュームの星組”育ち。構えがいい!!フランス衛兵隊から高句麗の広開土王へ、時代も場所も随分吹っ飛んでますけれども、いかにも武人らしいたくましい立ち姿が素敵です。
彩音ちゃん、赤い衣装がよく映えて美しい。背が高くてスタイルが良いのは、こういう時に強いですねー。イリュージョン、舞台でもやってほしいなあ。

祐飛さんは、つい一昨日まで銀ちゃんだったのに……というか、銀ちゃんが土方の映画を撮り終わって韓国モノの撮影に入ったとしか思えない(爆)。PCの前で、『やっぱり銀ちゃん、かっこいいいーーーーーっ!』と、お約束どおりなんですけどホントに叫んじゃいました(^ ^;
いやー、黒髪長髪ってすっごく久しぶりのような気がします……とか書いてから思い出した!ほんの一年前の「MAHOROBA」も黒髪長髪でしたね(汗)。前半はみずらだったけど、走水での弟橘姫入水の場面から、奥羽の「鬼」との戦いまでおろして赤い鉢巻(鉢巻いうな)でまとめて…惚れたっけなあ、あれも。

っていうか、神話時代のヤマトと4世紀の高句麗、鎧の形が似ているような気がするのがちょっと面白いですね。前者は宝塚、今回の衣装はドラマのイメージにあわせてあるのでしょうから、あまり関連はないはずなんですけど。
宝塚の衣装的な時代考証って結構信用しているんですけど、どの程度根拠があるんでしょうねぇ…。



ちょっと不安なのは、この発言でしょうか。
>会見では衣装に身を包んだ桜乃が、空中で炎を燃やす“イリュージョン”も披露したが、劇場では安全面を考慮し、スペクタルの部分は映像を駆使することになりそうだという。

小池さんは素晴らしい才能を持っていますけれども、こと映像の扱いに関しては「センスがセンスしちゃってる」からなぁ……。ちょっと心配。
うまく表現してくださることを祈りたいと思います。



「銀ちゃん」メンバーと「ベルばら」メンバーが一つになる前に、みわっちと轟さんのディナーショーがそれぞれありますが、出演者のみなさまは、いまごろ必死でお稽古中、なのでしょうか?
ご本人たちにとっても、ファンにとっても、楽しい時間になりますように。

そして、いろいろな経験をして一歩も二歩も進化した花組生たちが、ふたたび集まって素晴らしい作品に取り組むときを、楽しみに待っています♪





宝塚花組 日本青年館公演「銀ちゃんの恋」が、千秋楽を迎えました。

邦さん&花組「銀ちゃん」チームの皆様、本当にお疲れ様でしたm(_ _)m。
そして、卒業される3人の方々、ご卒業おめでとうございます!!





「花組の大空祐飛です」と名乗ることなく、楽の挨拶を終えた祐飛さん。
「Hollywood Lover」の時もそうでしたが、終始笑顔で、みんなの愛を受けて幸せそうな銀ちゃんでした。泣いている下級生も多い中、銀ちゃんだけがピカーっと光っているかのように幸せオーラ満開で。
ああ、このパワーが劇場を埋めるんだなあ、と実感しました。




公演は端正な出来。
日曜日から劇的に声が出るようになった(←あれでもだいぶマシになったんです…)祐飛さんは、今まで観た中で一番子供っぽくて、かつ一番大人びた銀ちゃんでした。
一幕の可愛らしさ、憎ったらしい悪ガキっぷり。甘えたで我侭で、小夏は自分のいうことならなんでも聞いてくれると信じて疑わない幼さと、
二幕の、ヤスを見守り、深く愛し、彼が自分の脚で立ち上がるのを待っている優しさと。





「依存と束縛」と石田さんはプログラムに書かれていらっしゃいますが。
一番お互いに依存しているのは銀ちゃんとヤスなんですよね。
銀ちゃんかヤスか、ちゃんと選んで決断した小夏と、
ヤスと小夏と、両方いなくてはまっすぐに歩けない銀ちゃん。
そして、

銀ちゃんか小夏か、心の底では答えは出ているのに、
自分の心から、強いて目を背けようとした、ヤス。






メインの3人が、ものすごい自制心でハジけてしまう寸前でたちどまり、その役として生きられる最後の時間を精一杯生きていたことに感動しました。祐飛さんは歳の功(^ ^)としても、まだ若いすみ花ちゃんも、経験としては若いみつるくんが、よく耐えたなと思います。
めおちゃんも余裕が出て、舞台全体を観ながら橘として動けるようになったなー、と。

邦さんと王子は貫禄。
まりんとふみかは余裕。

さあやはハジけすぎ。



小ネタはいろいろありましたが、大きなアドリブは……

・キャバレーセットの橘。クイズ番組ではなく「俺忙しいんだよねー。次は韓国モノが決まってるし…」

・ししとうのさあやのネクタイ(本来は嶺乃くんの)は、銀ちゃんのを借りたのか!?と思うほど派手派手な柄物でした。思わず反射的に銀ちゃんの胸元観ちゃったよ…。

・キス魔・さあや、ついに可愛い部下の唇をGET。嶺乃くんが本気でいやそうに口許をぬぐっていたのがホントにおかしかった(^ ^)。

・最後くらい、初輝くんもさあやの肩くらい抱いてやってください、と思ったのですが、そこはいつもどおりでした。

・「ヤスのスタント」場面、助監督のカチンコには「感謝」と一言。ちあき……(T T)。

・人吉の盆踊り。いつもと逆に、ちあきの団長さんが「万歳、万歳、万歳……」と言い続けて、まりんさんの自治会長に突っ込まれていました。

・焼肉屋では、肉を食べようとして銀ちゃんに邪魔されたお説教されたジミー、しばらく切なげに箸にはさんだ肉を見凝めてから、鉄板に戻してました(^ ^;ゞ。そのあと、おもむろに豆もやしの皿を取って、銀ちゃんの皿にどっさり。

・銀ちゃんは、豆もやしを結構たっぷりと取って口にいれ、「お、この豆もやし結構いけるな」と言いながらもぐもぐもぐもぐ……「グラム○円だからなっ!」とは言えないので、そのまま黙って(ちょっと取りすぎたらしく、なかなか喋れるようにならない銀ちゃんがすごく可愛かった)…………、「で、俺の肉はどーしたっ!?」と突っ込み。
慌てた3人が、ほぼ同時に肉を置きにいくのがタイミングぴったりでした。

まだ豆もやしでもぐもぐしながら肉を食べて、「お、やっぱり肉はうめぇなぁ、グラム千円だけのことはあるよなっ」といつもの台詞につなぎならも、口の中の豆もやしがなかなかなくならないらしく、キレるタイミングになかなか入れない。回りの3人が、必死で空気を読みながら食べているのがおかしくて、おかしくて…

・ヤスへのお小遣いは二千円札。

・スポンサーのカネナリさまとの記念撮影は、言葉では説明できないのでCSニュースに流れることを期待。


フィナーレは、卒業する3人が胸に白い花をつけて登場。予想はしていましたが、やっぱり泣けました。
ちあきはカチンコもちゃんと書き換えてて、芸が細かいなあ(*^ ^*)。「血と砂」の可愛い下級生、ずっと見守ってきただけに、最後がこの作品で、しかも助監督という役を出すぎず、引きすぎず、まりんさんと息もぴったりで見事に絶妙のバランスで、月組育ちらしい卒業だったような気がします。
緞帳が下りるとき、さあやとぴったり寄り添ってちょこんと正座して手を振っていたのが、涙がでるほど可愛かったです。




最後のご挨拶で、王子が「不滅の大スター、大空銀ちゃんが、どこかでまた登場してくれることを祈っています」とコメントしてくれて、まさかと思うけど再演アリですかっっっ!?と、ちょっと夢を見てしまいました(汗)。

卒業生3人へのコメントも暖かく、今までの印象やキャラクターをゆっくりと微笑みとともに語ってくれた王子。「専務」さんそのままの口調で、優しくて暖かな人柄がしのばれます。今回の組長が王子で、本当に良かった。こういう細かいところにまで、祐飛さんはいつも共演者に恵まれて幸せな舞台人生だなあ…(T T)。

「よっ!銀の字!」と呼ばれて出た祐飛さん。

「ドラマシティの初日から今日まで、銀ちゃんと一緒に、昭和の映画界に遊びに行っていたような気がします。今は銀ちゃんとしてこの仲間たちに会えなくなることが、そして、銀ちゃんとして皆様に会えなくなることが、本当に寂しいです」

と、可愛らしく笑顔で。

「銀ちゃんは、毎日『早く俺を出せっ!!』と暴れていました」

という言葉が印象に残っています。そ、そうなのか……(←わかる気がする)


音楽が入ってから幕が降りるまで、上手と下手それぞれで、卒業生を囲んでみんながぐるぐる回っていました。
さあやときらりんが下手で刀を抜いて斬りあいをはじめたのは、このときだったかな、次だったかな……。


カーテンコールは、まずは普通に全員で。終始、さあやが隣のちあきを日の丸扇子でパタパタ扇いでいたのが可愛い(^ ^)。割と早い段階で一階はスタンディングになり、拍手が止まず。
3回目だったかな、祐飛さん+卒業生3人で立っていたのですが、幕があがってもしばらく何も言えない状態でした。

初輝よしやくん、雫花ちなちゃん、ちあきの順で、3人が一言ずつ、「ありがとうございました」と感謝の言葉を言ったあと、ちあきが「宝塚の発展を祈って、万歳三唱したいと思います」と言って、大拍手。
お約束どおり、祐飛さんの「もう3回やったから!!」が入るまで万歳は続きました。

この時は、お辞儀をした後4人で他のメンバーも手振りで呼んだけど、残念ながら誰も出てこず(笑)、4人で可愛く手を振りながら幕がおりて。


もう一度あがると、今度は全員。
祐飛さんが「もう言葉もありません…ありがとうございました!」みたいな簡単な挨拶をしてたと思います。下手でラインダンスが始まったのはこのときかな…?


最後の一回は、銀ちゃん一人。
ええ、「祐飛さん」ではなく、「銀ちゃん」でした。
「最後に銀ちゃんに戻って(←“戻る”という言葉にちょっと涙)、イチ、ニの、サンで、『銀ちゃんかっこいいーっ!』って言えーーーーーっ!!
イチ、ニの、、、、、、、、(沈黙)」


って言いやがりまして。

青年館の席を埋めた千数百人が、(多分)いっせいに思ったこと。

『イチ、ニの、サンで』って言ったんだから、『サン』までちゃんと言わんかいっ!!

ぐでぐでな「……~かっこいい~……」と、そのバラバラさにがっくりと肩を落とす銀ちゃん。

ありがとう。この銀ちゃんがCSで流れるのかと思うと、それだけで愉快な思い出になりそうです。





幸せな記憶。
幸せな時間。

「本日はありがとうございやした!」

……幸せな、音。




祐飛さんがあまりにも当たり前に『銀ちゃん』すぎて、
ふと気がつくと、次の『韓国モノに出演している祐飛さん』じゃなくて、『韓国モノに出演している銀ちゃん』を想像しています。
あのコスチューム、銀ちゃんさぞ似合うだろうな、とか。

階段の上でキメポーズをする場面とかあったら、迷わず“銀ちゃんかっこいいー”ってうっとりしてしまいそうです。




この名作をこのキャストでの再演しよう!と決めた歌劇団の英断に心からの感謝を捧げつつ、

ほんのちょっとだけ、「大空さんのこと、見直してくれたかなー?(朋子に話しかける銀ちゃん口調で)」と思ってみたりしつつ、

とりあえず、次に焼肉を食べるときは塩もんから焼いて、
野菜もバランスよく食べて体力をつけるようにしたいと思います(^ ^)。




宝塚花組 日本青年館公演「銀ちゃんの恋」。

明日はいよいよ、千秋楽。

今日、友人にものすごくシミジミと「ハマってるよねぇ……」と言われてしまいましたが(笑/あなたと同じようにねっ♪)、大好きで、ずっと観たいと思っていた作品を、ご贔屓さん主演で再演していただけて、本当に幸せです。
「Hollywood Lover」狂乱の千秋楽から、わずか9ヶ月。今回は組替えが決まっているわけでもなんでもないし、ただただ、大好きな作品との永のお別れを悔いなくできるように、心して観せていただこう、と思っています。
……そのためには、まずは良く寝て、体力をつけないとイケナイんですけど、ね(^ ^;ゞ




第7場A ヤスのアパート

「風呂付のアパートにかわってやれよなぁ~!」と銀ちゃんに言われたヤスですが、まだ同じアパートみたいですね。下手に布団が敷かれ、そこに寝かされた小夏と、枕元に座る女医(聖花まい)と看護婦(雫花ちな)。現代より往診が盛んだった時代ではありますが、それにしても医者だけでなく看護婦まで来るものなんですねぇ…。いい時代ですね。

「たいしたことはありませんが、念のため今度病院にも来てくださいね」という女医、「赤ちゃんの心音も聴けるし、超音波で動きも見えるのよ!」と嬉しそうに教える看護婦。
それを聞いた小夏は、もの凄く嬉しそうに腹を撫ぜながら挨拶しています。

小夏は、第4場で「営業年齢は25歳だけど、戸籍年齢は目尻のこじわに訊いてくれ」と言われている。すみ花ちゃん本人は若いけど、役の設定としては30目前かもう超えちゃってるか、というところ(初演では「営業年齢は28歳」だったそうです。風花さんもまだ研7、若かったのにね)。

時代考証がいい加減なので謎も嘘(デス・ノートとかクイズ番組とか)も残るのですが、だいたい昭和40年代あたりの話だとすれば、30歳っていうのは出産年齢の限界に近かったわけで。
なんとしても産みたい、という気持ちはあったでしょうし、「でももう無理かもしれない…」という不安も強かったでしょうから、嬉しかったんでしょうねぇ(^ ^)。
すみ花ちゃんの笑顔には、周りを幸せにするチカラがあるなあ、と思います。はい。





聖花まいちゃんは、キャバレーのダンサーでも思いましたが、ちょっとキツめの美人さん。シャープな眼鏡に白衣が似合って、往診に来る産婦人科の医者というより、脳外科あたりの専門医みたいな雰囲気がありました。ヤスのアパートを出るために立ち上がって、さりげなく白衣のポケットに手をいれて肩を振って歩くのをみて、なんとなくですが大病院の廊下を、あんな感じツカツカと歩く姿が似合いそうだな、と思いました。「長い春の果てに」あたりに出てほしい!(^ ^)
喋り方もちょっと理知的できつめな印象。「有能な医者!」って感じです。ふつーの産婦人科医じゃなくて、トラブルがあったときに対応するための要員なんでしょうね。それだけ、倒れたときの小夏の容態は悪かったのかもしれませんね……。

雫花ちなちゃんは、ごめんなさい。今回でやっと顔を覚えたのに……という感じで寂しいのですが、声も喋り方も笑顔も可愛らしくて、なんとなく心和む人ですね。看護婦さん、それも「患者」ではなく「妊婦さん」を担当する産婦人科病棟の看護婦にはぴったり!!と思いました。
薄いピンクのナース服がミニ丈なのは、私へのサービスですか?>石田さん(^ ^)。






医者と看護婦が帰ると入れ違いにヤスが帰ってくる。
このときの、小夏の表情の変化は観ものです。「“幸せそうな”妊婦さん」の顔から、「“嫌いな男が近寄ってきた”ときの美女」の顔へ、劇的な変化を見せる小夏。浮かんでいた笑窪が消え、目つきが鋭くなって眉間に癇症の縦じわが浮かび出る。あがっていた口角が下がって頬骨が平らになり、“無表情気味の冷たい怒り顔”になる。
元々が可愛らしいすみ花ちゃんなのに、ああいう顔をするとめっちゃ怖いです。

あの顔をみたら、ヤスだって絶対怖いと思うのですが……

ヤスは、銀ちゃんの気分やっぷりで馴れているのでしょうか。あっさりと
「あぁ~、顔色、すこしよくなりましたねぇ!!」と手放しで喜んだ顔をして、枕元に座り込みます。

ふ、と顔を背ける小夏。ヤスの持ってきたプリンを投げ捨てて、「いらないって言ってるでしょ!」とぶち切れてみる。でも、その直後にかなり激しく後悔しているのが凄く伝わってきて、やっぱり小夏は本質的に可愛いなぁ、と思います(*^ ^*)。
で、ヤスはどこまでわかっているのかな?と思んですよね。なんか、あんまり気にしていなさそうなんですけどね…。小夏の“素直になれない”ところまで含めて、小夏の全部に惚れているから、という言い方でいいのか、それとも、単に解っていないのか…?とも疑問に思ったりもするのですが。


とりあえず、この場面ではまだ、突っ張る小夏、見ないようにしているヤス、という構図で話は進みます。
「じゃあ俺は、夜の仕事があるのでこれで失礼しまーす」と出ていこうとするヤスに、
「あたしの出産費用を稼ぐタメに、今日は何をしてきたの?」と尋ねる小夏。
そりゃあ、まぁ…黒い上着はあちこち破れて擦り切れだらけ、しかも派手派手しく左腕を吊った姿をみたら、何をしているのかは一目瞭然でしょうけれども。

とりあえず「落ちる」系のスタントで稼いでいることを教えるヤス。
ちょっと黙り込んで、「それっぽっち…?だってあんた、そんなの顔も映らないじゃないの?」と控えめにコメントする小夏。

それに対する、ヤスの応えは。

きっぱりと、かつハッキリと、

「俺たちは、顔映ろうなんて、最初から考えていないっすよ。…映画が良くなりゃ、それでいいんです」




その信念が、この作品のフレームになっているんですね。
人間のドロドロした汚い部分を抉り出した「つか芝居」が、「映画人の映画人による映画人のための映画賛歌」になった映画版。それを、もう一度舞台に戻した「銀ちゃんの恋」。

「映画が良くなりゃ、それでいいんです」
「映画に命かけてるんすよ」
「立ち回りだって本気で斬りかかってくれないし…そんなんじゃ、映画に迫力出ないっすよ!」

そんな数々の台詞を与えられたヤス。
4場で銀ちゃんに
「おめぇが一度でも自分で仕事を取ってきたことがあんのか!?」
「自分の力で勝ち取ってくるもんなんだよ。仕事も、女も!」
と罵られた、ヤス。

彼が初めて「自分の力で」勝ち得た仕事が、この数々のスタントの仕事。
危険で痛くてキツいけど、良い映画が撮れて、しかも小夏の出産費用もつくれるなら一石二鳥なわけで。「映画」に関わる仕事しか考えなかった「映画馬鹿」っぷりが見事です。




そうして、ヤスはほんの半歩だけ、銀ちゃんの「世界」の枠を踏み越えようとしている自分に、
まだ、気づいてはいないのです……。






2人のやりとりの間を割り込むように現れる、銀ちゃん。

「銀ちゃん!」と呼びかける小夏の、幸せそうな、とろけるような笑顔。

あんな酷い捨てられ方をして、名前くらいしか知らない男の部屋に置いていかれて、
それでも銀ちゃんを愛することをやめられない小夏。そんな自分に対して、「なんて莫迦なあたし」的な悪感情さえ抱いていない。
あまりにも純粋すぎる、恋情。

「出産祝いだ」と言いながら当たり前のようにあがってくる銀ちゃん。
場は「ヤスのアパート」であり、それは「銀ちゃんワールド」なわけです。彼はまだ、ヤスが自分の世界を踏み出そうとしていることに気づいていないのだから。

ヤスも小夏も、自分のものだと思っている。
両方とも自分のモノだから、ちょっとよそへ行く間、宝石箱(=ヤスのアパート)にまとめてしまっておこうと思った。
小夏はちょっと我侭だし、今は一人の身体じゃないから一人で置いておくのは心配だけど、ここにしまっておけば、自分がまた戻ってくるまでヤスが面倒を見るだろう、くらいの気持ち。

残酷な子供と、
素直でピュアな子供と、
愛に溢れた“女”。

そんな、トライアングル。




ヤスの部屋で、銀ちゃんはいつもどおり愚痴をこぼしはじめる。
朋子の、愚痴を。

デートは重ねるけれども、
電話はするけれども、
どうも思うように進展しない、朋子との仲。

「『この恋がどうなるのか、怖い』って言って、電話を切っちまうんだよ~(泣)」
“いつもどおりに”ここまで愚痴って、ふ、と小夏の存在に気づく。

長いこと付き合ってきて、
自分のことを知り尽くして、子供まで為した女のこと、を。

「お前、朋子と会って話をしてやってんねぇか?」

「なんであたしがそんなことしなくちゃならないのよっ!?(怒)」

「ばぁ~か。おめぇが俺のこと、一番よく知ってるからじゃねぇか!」


誰よりも、何よりも、残酷で我侭な、考えなしの子供。

ヤスまでが銀ちゃんに同調するのを見て、小夏がキレる。
「あんたに関係ないでしょっ!!」

「関係ありますよ!銀ちゃんが落ち込んじゃって、今度の撮影失敗したらどうするんです?
俺たちは、映画に命、賭けてるんスよ!


そのまま、ヤス一人立ち上がって(ご丁寧に靴まで履いて)「映画人生」のソロ。
この歌、私は「銀ちゃんの恋」に主題歌だと思い込んでいたくらいの名曲ですが。


♪そんな夢をいまもみるよ
♪幼いあの日の憧れのカケラを


汐風幸ちゃんが、何かあるたびに歌っていた歌。
純粋な憧憬があまりにも眩しくて、「いつか叶う」ことを信じて疑わない祈りの強さに涙が出ます。


♪破れかけた街のポスターに 胸ふくらませた あの頃


実際に、古い映画のポスターが貼られた「塀」のセットを前に歌われると、また格段にイメージが膨らむ歌ですね。
何度聴いても、泣けて泣けて。


夢のために「スベテ」を捧げる覚悟のある人だけに、この歌は歌われるべきなのでしょう。
夢だけがほしい、他のものはなにもいらない、そんな人、に。

そして、「夢」と「銀ちゃん」がイコールで結ばれてしまっているヤスにとって、
「映画に命を懸ける」ことと、「銀ちゃんにスベテを捧げる」ことは疑問の余地無くイコールで結ばれていて。
「銀ちゃんの“後顧の憂い”を絶つために、小夏さんを幸せにしてあげたい」という気持ちは、「スベテを捧げる」ことと矛盾してはいなかったんですよね……

……この時点、では。







第8場 プールサイドテラス

夏の日盛りのプールサイドテラス。小夏と朋子が話をしている。

「銀ちゃんはね、子供がそのまんま大きくなったような人なの」

あまりに説明が明快すぎます、小夏姐さん。



小夏のすみ花ちゃんが91期、朋子のきらりんが88期。
3年も下なのに、歴然と「ちょっと年増なイイオンナ」にちゃんと見えるすみ花ちゃんが天才なのか、
3年も上なのに、完璧すぎるほど完璧に「若くてピチピチで育ちはいいけど頭の中身は…」なオンナノコになり切れるきらりんが素晴らしいのか、、、

…たぶん、両方でしょうね。



そして。
きらりんの朋子は、実は物凄く怖い女なのだと思います。
「女の闘い」に負ける気がしないタイプ。

話を聴きながら爪を磨く仕草が、まず、怖すぎます。
そして、「銀ちゃんはね…」と、噛んで含めるように銀ちゃんの喜ぶことを教えようとするウザい元カノの話をぶった切るように、「銀四郎様、今は私の言うままなのよ♪」と、巨大な優越感と共に語り始める。

「ねぇ、小夏お姉さま♪」
ハートマークがついていそうなところが余計に怖い…

「銀四郎さま、最近○○てきたと思わないこと?」

…伏字の中身は、ご覧になって確認してください。書きたくない。

ちなみに、この伏字は初演でも同じネタだったそうで、祐飛さんに対する宛書というわけではないのだそうです(「ばぁーか、顔で踊るんだよ!」とは違うってことですね)。
まるで、12年後に大空祐飛さんで再演することになるのがわかってて書いたかのような名台詞ですよね!

でも……逆に、これは変えてほしかった、かも……(しょぼん)





話が切れたところで、インラインスケートを履いた銀ちゃんが登場。

「お話、はずんでる~?小夏くん、ボクのこといろいろ話してくれたかな?」

いったい、朋子には小夏を何て言って紹介したんですか?

「小夏お姉さまにいろいろ教えていただいて、なんだかちょっと、銀四郎様を誤解していたみたい~~♪」

そう笑顔で答える朋子が、普通に怖かった…。

そして。

「朋子さんが、インラインスケートやりたい!って言ってたから、道具一式そろえたんですよ!あちらへ行って練習しましょう♪」

という銀ちゃんに、

「では、小夏お姉さまもご一緒に!」

という朋子は、もっと怖かった……一瞬後じさった小夏が可愛いです。

「いいのいいのこの人は」

って、それ話がつながってませんよ!>銀ちゃん



この場で、朋子に席を外させ、小夏に

「ありがとよ!俺の部屋のおめぇの荷物、宅急便でヤスの部屋に送っといたからよ!……あ、そうだ。合鍵、返してくれ」

と囁きかける銀ちゃんは、根っからの子供で悪魔なんだな、と思う次第です。



小夏の登場に焦れて、「プラトニック」を卒業しようとする朋子と、子供のまんまな銀ちゃんは、実はいいカップルになれたはずだと思うのですが。

それを本当の意味で邪魔をするのが、ヤスとの関係であるところが、この話の一番痛いところのような気がします……。







宝塚花組 日本青年館公演「銀ちゃんの恋」。
【10/26 色々間違いを見つけたので、だいぶ加筆修正しました】




今日は、初代ヤスの汐風幸(現・片岡サチ)さんがご観劇されていらっしゃいました。
……かーわーいーいーーーーーーっ!!
カーテンコールで祐飛さんがご紹介された後、立ち上がって大きく拍手してくださって。
祐飛さんも、みつるくんも、他のメンバーも、めちゃくちゃアピールしまくってました(笑)。

元はといえば花組配属の幸ちゃん。その頃花組にいたメンバーはこの公演には誰も出演されていないけど、月組時代に可愛がっていただいた祐飛さん、「ノバ・ボサ・ノバ」初舞台の85期(真野すがた、華形ひかる)、、、、めおちゃんとちあき(白鳥かすが)は月組で数作一緒にやっているし、幸ちゃんのサヨナラだった「花の宝塚風土記/シニョール・ドンファン」初舞台の89期(望海風斗、嶺乃一真、初輝よしや)もいるし。案外同じ舞台に立った人は多いんですね。あ、もちろん邦さんのことはよーーーくご存知でしょうし。


祐飛さんが幸ちゃんラヴ(はぁと)なのは有名な話(?)ですが、みつるくんも初舞台の雪組「ノバ・ボサ・ノバ」で、ルーア神父だった幸ちゃんのお手伝いをしていたくらいファンなんだそうですね!!(*^ ^*)。それで今、幸ちゃんの代表作の一つであるヤスを演じているなんて、すごい運命だなー……。
祐飛さんも、憧れのノンさんの銀ちゃんが回ってくるなんてすごい強運の持ち主だと思っていましたが、みつるくんも凄いなあ。
今の花組に、今のメンバーで「銀ちゃんの恋」再演、という大仕事が回ってきたのは、間違いなく正真正銘の奇跡であり、かつ運命でもあったのだ、と、すごく納得してしまったりしました(笑)。


相変わらずおっとりした笑顔で、大きな拍手を送ってくれた幸ちゃん。夏前に観た「道元の冒険」の片岡サチさんは、なんといっても坊主頭でしたから(^ ^;、美しいウェーブのかかった黒髪を軽くまとめて降ろした美女っぷりにうっとりしてしまいました。

祐飛さんもみつるくんも、他のメンバーも、嬉しかったでしょうねぇ~♪♪




さあ!あとは小夏(風花舞)と橘(樹里咲穂)あたりのご来場をお待ちしているのですが………
……忙しいみたいだから、無理かしらん(T T)。









と、いうわけで。
二幕全20場の、やっと4場まで終了した私のレポート。
………公演は、余す所あと2日4公演………


第五場A 専務と橘

専務(眉月凰)、橘(真野すがた)、秘書・中山(初姫さあや)、3人の幕前。
一言で説明するなら、橘が専務に「銀の字がレコードも出てミュージカルも主演って、こりゃちょっとおかしいんじゃないスかぁ?」とクレームをつけて、専務と秘書になだめられつつ、専務の愚痴を聞かされる場面、なのですが。



専務の穏やかな大人っぷり、
橘のさりげないスターっぷりもさることながら、

なんといっても、秘書・さあやのオモシロっぷり!!がはじけまくる場面、でございます。

専務の指示には絶対服従しつつ、橘に対しては言い方はキツいわ、ボードで殴るわ、やりたい放題。
子供の「気になる子ほど苛めたい」ではありませんが、ここはやはり、橘さんと中山秘書の間には『ナニカ』ある、と思いたくなるのも仕方ないです。絶対この二人、デキてるからっ!!
ああ、この二人の場面をもっと観てみたいわ~!


橘さんは、モノクロの柄シャツに白っぽい縦ストライプのシンプルなスーツ。めおちゃんの長身・細身のスタイルに良く似合う、シャープな衣装。
直前まで銀ちゃんの“センスがセンスしちゃってる”ぎんぎらぎんにさりげなくない衣装を散々見せ付けられていたので、橘さんがものすごく格好良くスマートに見えます(^ ^;
かっこいーーーー♪


で。ちょっと考えたこと。
この時、季節はいつなんでしょうね?
専務と秘書は着たきりすずめなので季節がわかりにくいのですが、橘さんの服と「カレンダーの詳細はまだ本決まりではない」という専務の発言から察するに、6月か7月くらい…ってことになるのでしょうか?

そうなると、この前場の「ヤスのアパート」も、同時期かちょっと前くらい。銀ちゃんもヤスも案外厚着なので、まだ5月くらいなのかもしれませんね。(昨日の日記には「暑い夏の夜」とか書いちゃってますけど私/汗)





それから、この場面でのさあやの重大発言。
「専務は、倉丘銀四郎も、橘さん、あなたも東洋映画・同期のサクラのニューフェースとして、どちらも大切に考えていらっしゃるのです」


えーっと。
2幕に出てきますが、銀ちゃんは「いっぱしの(若手)スター」として認識されてから、このときまでに10年以上経っているのですよね(ヤスと出会ってから10年だから)
ちなみに、原作では33歳。ヤスとは同い年か一つ違いくらい、っていう印象。


…デビューして、ある程度名前が売れてから10年以上たつ人を、「ニューフェース」って………
映画界では、初主演=「ニューフェース」ってことになるんでしょうか……?
【注記 夜野愉美さまよりコメントをいただきました。「ニューフェース」は、いわゆる「新人俳優」というのとは意味が違って、映画業界では、普通の会社で『今年度入社』とかというのと同じ意味なんだそうです。役者としてのデビュー年じゃなくて、その映画会社に入った年ってこと…なんでしょうね。ポンっ!】



っていうか。
それ以前の問題として。

銀ちゃんをカレンダーの表紙にし、レコードも出してミュージカルにも主演させようということを決めた『東京本社』で決定権を持つ人は、いったいどういう根拠で銀ちゃんを選んだのでしょうか。
目が高いんだか、低いんだか。(←失礼な。目が高いに決まってんじゃん)

東洋映画が斜陽になってるのは、テレビの隆盛とか関係ないような気がしてきちゃう私は、銀ちゃんの大ファンですけど、なにか?(^ ^;ゞ









第五場B 任侠一代

小夏の“女優として”の絶頂期、銀ちゃんと付き合い始めたばかりの頃の、任侠ものの撮影風景。

第4場(ヤスのアパート)のラストに、「銀ちゃん、あの頃に戻りたいよ…」と呟いて倒れる小夏。それを受けての、これは回想シーンということになるのですが。
…残念ながら、セット準備と着替えの都合で専務と橘と秘書の場面が間に入るので、ちょっとわかりにくかったですね。第一場と同じメンバーが同じ役で出ていたりするし。

もう少しフォローがないと、話が見えなくなる危険があるかも、と心配になったのですが…どうなんでしょうか。普通に初見でわかるものなのでしょうか…?





三味線の音が流れて紗幕があがると、舞台中央に13段階段。(←あれ?この頃からあるのか?美術部さんが「新撰組」のために作ってくれたんじゃなかったの?)


階段上でスポットを浴びる小夏。黒(?)っぽい地に銀文様の着物にピンクの帯、髪もすっきりまとめて粋な美しさです。
でも、「姐さん」に見えるかというと……びみょー。町娘に見えないことも、ない。

紅い唐傘をひろげて、階段を降りはじめる姐さん。両脇を守る「舎弟(煌雅あさひ、輝良まさと)」は、着物の裾を腿までからげた勇ましい姿。むき出しの白い脚が、下級生にしてはしっかりと男役でかっこいいです。(とくに輝良くん)



それを阻むように、平場にわらわらと登場する「刺客(トメ=日向燦、マコト=夕霧らい、嶺乃一真、初輝よしや)」たち。
マコトはまだこの世界に入ったばかりで、これが初舞台というエピソードをCSで話していましたね。初台詞の「姐さん、おいのちを!」という台詞がひっくり返ってしまい、喉元をおさえて首を傾げている仕草が可愛いです(←本番中ですけど……)。

トメさんはもうだいぶベテラン、という設定のようで、「ヨシマサ」という名前もついていて、刺客たちのリーダー格で殺陣も中心になるし、台詞もある。…となると、「ヤスのアパート」で銀ちゃんが「台詞もねぇ役ばっかりで、申し訳ないと思ってるよ…」と言ってたのが気になりませんか?ベテランのトメさんだけでなく、初舞台のマコトにまで台詞あんじゃん!って。

単純に、この程度じゃ台詞アリに数えられない、って話なのか、あるいは、この頃までは銀ちゃんにももう少しチカラがあって、台詞のある役を子分のためにもらってくる(作らせる)ことくらい容易な話だったのか……、

謎だらけ。



嶺乃&初輝は、この頃にはもう橘一党に入っているのかしら…?
橘は最初テレビデビューだったはずなので、まだ誰の下にもついていなかった頃なのかもしれませんね。残念ながら台詞はありませんが、結構良い動きをしていて、将来の斬られ役として有望そう☆

ちなみに、撮影スタッフは、カメラマンが「新撰組」と同じふみか(紫峰七海)。でも、服が違うからもしかしたら別人かも?
下手でカメラのコードを持って動きやすいようフォローしているスタッフの徳子(梅咲衣舞)さんは、本来はヘアメイク(床山?)さんのはず。
今日はじめて気がついたのですが、この場面のカメラマンと徳子さんは恋仲、という裏設定があるらしい(^ ^)。銀ちゃんの“クサくてながーーーーい”芝居の間に、カメラを固定して(←銀ちゃんが動かないから)イチャイチャしているのを目撃してしまいました(*^ ^*)。
ふみか、役得やなあ~!!

撮影が終わった後、小夏に「こなっちゃ~ん!良かったよ~~!!」とわざわざダッシュで言いに来る衣舞ちゃんが可愛い☆と、ほほえましく思っていたのですが。
……芝居なんて観てないじゃん>徳子さん。もしかして、あれはただの褒め殺しだったの?





「姐さん、渡世の義理だ。勘弁しておくんなせぇ」という刺客たちに対して、

「賭場育ちの女を、舐めたらいかんばい!」と啖呵を切る小夏姐さんが、めっちゃカッコイイ!!です。



そこに、大向こう(客席)から声がかかる。


「待てぇい!」



客席の上手通路に、スポット。
銀ちゃんの登場。




数日前の日記で、「流れる動画は、リアルタイムを装っているけど実は録画なんじゃないか」なんぞという疑惑を述べたりもしましたが、青年館で再度観て、確認しました。間違いなくリアルタイムです。
疑ってすみませんm(_ _)m。




目の眩むようなスポットを浴びながら、「スター」銀四郎が舞台に向かう。


「銀次!銀次じゃなかか…?お前、いつ娑婆に?」

銀ちゃん、プログラムには「銀四郎」で載っているだけなので漢字は間違っているかもしれませんが、とりあえず小夏姐さんは「ぎんじ」と呼びかけます。ちょっととまどったような目の動きが色っぽい。

「義兄弟の盃を戴いた先代の法要にも間に合わず、姐さんには渡世の義理を欠いたままで…面目ねぇ」


と一礼して、助太刀を申し出る銀ちゃん。
かっこいい!……とにかくカッコイイです。着流しがあんなに似合う人、めったにいないんじゃ、と思うほどカッコイイ。
この場面、もっと長くてもいいのに…といつも思います(笑)。



で、着流しで剣を振るう銀ちゃんの格好良さは素晴らしいんですが、この殺陣の一番のみどころは、トメさん!
銀ちゃんと対峙したとき、銀ちゃんのアップを邪魔するかたちになったトメ。銀ちゃんに指摘され(邪魔だ、どけ!という手振りまでかっこいい/苦笑)、カメラを振り返って物凄い顔をして避けていく


本当の撮影現場では、あーゆーことがあったら撮り直しなんだろうか。それとも、あのくらいなら編集でどうにかなるものなんでしょうか………?




刺客どもを撃退して、おもむろに“姐さん”を口説き始める銀ちゃん。
…“姐さん”ってことは、“義兄弟の盃を交わした先代”の女、ってことですよね……?
そういう存在に、あんなに露骨に言い寄っていいもんなのか、と思わないでもないのですが。
…まぁ、カッコイイから全て許すけど(笑)。



口説きながら、まっすぐにカメラに向かう銀ちゃんの迷いの無さがとっても素敵。台詞の間も、怪我を手当てされているときも、常にカメラの位置を意識し、カメラ目線で動く銀ちゃん。
すげーーーー、プロだなあ……。

そして、無視される格好になる小夏の、笑いをこらえた笑顔がめっちゃキュートです。



演歌調の歌を一曲歌い、小夏と並んだポーズで決めたところで、撮影終了の声がかかる。
さっき逃げてったトメさんが慌てて戻ってきて、ペコペコと平謝り。
本当に、トメさんの顔芸は、ししとうでもここでも、見逃せません!



スタッフたちもはけて、舞台上に銀ちゃんと子夏だけが残る。

銀ちゃん、ちょっと息を吸って、さりげなーいふうを装いつつ、実は結構緊張した面持ちで、

「小夏ぅ、荷物まとめて、俺のマンションに来い」
「銀ちゃん…?」
「一緒に住まねぇかって言ってるんだよ!」
「銀ちゃん!嬉しい!」


愛を確かめ合い、手をつないではけていく、幸せな二人。
……5年前の、幻…







第6場 ヤスのスタント

小夏の出産費用を稼ぐため、危険なスタントに挑むヤス。
この場面のチェックポイントは、3つ。

・ヤスのダミーを勤める真瀬はるかさんの、ヤスの声(たぶん録音)にあわせた動作の面白さと間の巧さ。
・助監督・ちあきが持つガチンコの文字(作品タイトルを書いているつもりらしいのですが、日替わりで違うので要チェック!)
・ヤスの付き人をしているジミーの、おろおろと心配そうな様子。めっちゃ可愛いです。


飛び降りた(←真瀬くんが)後、助監督とジミーに運ばれてくるヤス@よれよれバージョンの爆発頭が、すごく可愛い(←え?)です。あと、白い粉を大量に吹くのですが、一階席のかーなーり隅々まで漂う龍角散の匂いで咳き込む人多数なのでご注意くださいませ。




取り急ぎはこのあたりで。これでやっと、1幕の半分くらいまで来たでしょうか…?ううう、まだ先はながーーーーいのね(T T)。





宝塚花組日本青年館公演「銀ちゃんの恋」

第三場B 銀四郎のソロ
…っていう場面タイトルだということを、たった今知りました(笑)。




前場ラストで、「やっぱり俺…主役じゃなかったんだな…」という、しょんぼりと肩を落とした銀ちゃんが、そのままの体勢で(ちょっと後ろ向きな感じで)歌いだす。


♪スターになるほど一人ぼっちだと
♪思い知らされて酒を呑む


…その、声が。
かすれきって限界が近い喉が、切なさを煽ってくれるんです……。それは計算なんですか!?と訊きたくなるくらい、色っぽい。


♪夢を売るため嘘をもつくさ


最初の幕が上がって以来、嘘しか喋っていない銀ちゃんに、そんなことを言われても。
…と突っ込んだあたりで、曲想がガラッと変わる。


♪それがスターの生きる道さ


アップテンポのノリのいいメロディラインを、あの切ないかすれ声で聴くのはちょっと辛いです。
声、使い分けるつもりで役作りしていたんだろうに、残念でなりません。…いつか、ディナーショーか何かの機会に思いっきり歌ってほしいです。あの衣装で!!
(←あ。誤解されている方多いと思うんですけど、祐飛さんって音程や滑舌はあやしいけど、声はちゃんと計算して創ってるんですよ!…たぶん)

そして、声が出ないから余計に聞き取りにくくなる歌詞。これが大事なのに!


♪俺が二枚目、俺が看板
♪俺より二枚目出さないでくれ


祐飛さんの銀ちゃんより二枚目な人なんて、どこにもいないから大丈夫だよ!
そう、真顔で声をかけたくなってしまう可愛らしさ。


♪俺が二枚目、俺が看板
♪脇役助演者遠慮してくれ


……本気でこんなことを思っているような役者には、口が裂けても言えない台詞だわカッコイイ、と思うのは、私がファンだから?(*^ ^*)。

実在する大空祐飛が、こういうキャラではないことは、「ししとう」でのさあやとか、この後の幕前でのさあやとか、階段落ち前のさあやとか、、、、じゃなくてっ!!ヤスとか、小夏とか、橘とか、トメさんとか、とにかく出演者全員が楽しそうに、やりたいように、やったもんがちで思いっきりガツガツと芝居を楽しんでいる姿を観ればわかることで。

たぶん銀ちゃんは、じゃない祐飛さんは、「お前らが何をしても、俺がいれば大丈夫なんだからな!」って言ってあげているんだろうな、と、勝手に思っています。
下級生たちがどんなことをやらかしても、祐飛さんには、それを銀ちゃんとして受けられる自信があるんだろうな、と。
気持ちいいくらいキッパリと、「おめーら好きなようにやっていいぞ!」と言ってあげているに違いない!と。
ただし、カメラの前は横切るな、と(^ ^)。


たとえそれが、空元気であったとしても。
たとえそれが、強がりであったとしても。
痩せ我慢であったとしても。


銀ちゃんのそれは、明らかに空元気で、強がりで、痩せ我慢なんですよね。
っていうか、ツッパリきれなくて泣き言言っちゃうし、強がりきれなくて甘えちゃうし、痩せ我慢なんてできなくて皆に八つ当たっちゃうはた迷惑っぷりなんですけど。



でも、大空祐飛さんのそれは、本気っぽいところがすごいなあ、と。
邦さんと眉月さん、まりんさん以外は学年差(=経験値の差)が大きいから余裕が違うのもあるでしょうけれども、そういう格の違いは随所で感じるわけで。
タイトルロール、という尊称には、それだけの意味があるんだなあ、と思うわけです。

そして。
タイトルロールとして、こういう歌を歌って客席を盛り上げつつ、ちゃんとその中で
「うっそーん☆そんなこと考えてねぇよ!だって、俺より二枚目なんてこの世にいねぇし、脇役助演者が遠慮しなくたってどうせ俺しか見えねぇんだろうテメエら?」
という落ちを用意しているところが………


…石田さん。
「銀ちゃんの恋」って、再演なのにどうしてこうも宛書なんですか?
それとも、ノン(久世星佳)さんご自身が、あんなふうに自信過剰のどSだったとでも……?









第4場 ヤスのアパート

ヤスが、みどりいろのジャージに腹巻して、赤い靴下を履いて、自分の部屋にいる。
ヤスの部屋は、たしかどっかで4畳半って言ってた気がするんですが、ドラマシティは広いので8畳くらいある気がします。(4畳半って、成人が三人も入ったら3歩以上歩くの無理だから!)


頭に鍋(?)を被ったヤスが、なんか殺陣の練習っぽいことをしている。
そこに響き渡る銃声。ヤスは丁寧にその音を拾って撃たれた芝居をする。イメージとしては、カチコミに遭ったヤクザ者、って感じ。いきなり撃たれて、腹をおさえて…手についた紅い血をみて「なんじゃこりゃぁ~!」と叫びながら息絶える、という、ありがちな場面。



ヤスが倒れると、下手側の上がり框で、銀ちゃんが小道具の短銃(←まだ持ってたのか!?早く返さんかい!)にふっと息をかける。
もういまさら衣装についてはコメントしませんが、グラサンが渋くてかっこいいです。はい。


ちなみに。
このものすごい衣装は「コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコのデザイナー三姉妹で全身固めてみたんだ」そうです。

が。

……せめて一人にしてください>銀ちゃん。

というか、いいんでしょうかこういう実名の使い方って……。長女のコシノヒロコさんは、「シニョールドンファン」で宝塚と組んだこともある方ですし、事前に了解は取っているんでしょうけれどども…。
いや、あの、その、個人的に「ミチコ」と言われると宙組の某スターさんを思い出して笑ってしまうんですけど…。みっちゃんのデザインかと思うと素直に納得できてしまう私を許してください。





あと、突っ込みどころとしては、ポスターにも登場していたハエタタキ。
ここが唯一の彼(?)の出番なんですよね。ハエタタキの使い方自体は初演と同じなんですけど、ポスターに出た分、インパクトが増したような気がするのは気のせいでしょうか。一回、銀ちゃんが布団を窓から棄てるときに一緒に棄ててしまった回があって(汗)。銀ちゃんは、最初から何もなかったかのように自然に芝居をしていましたが、やっぱりハエタタキがないと物凄く物足りなかったんです(T T)。やっぱポスターに登場するだけのことはあるな、ハエタタキ。






ヤスのアパートに、小夏を連れてきた銀ちゃん。
4畳半のアパートに、真っ赤なドレスにサングラスをかけた小夏がいる、というシュールさ。

赤い座布団を差し出そうとして、つい裏返して、たたいて、ちょっと首をかしげて、一瞬周りを見回してから諦めて差し出すヤスが可愛くて可愛くてなりません。
畳に座る気はねぇよ、とばかりに、ゴミ箱をひっくり返してその上に座る銀ちゃんも。




銀ちゃん自身の衣装自慢の後、ヤスに昔あげた衣装を「着てみんかい」と無理やり着せるくだりは、初演がどうだったかは覚えていないのですが、舞台「蒲田行進曲」では、結構痛い場面だった記憶があります。
銀ちゃんが明らかにヤスを「笑いものにしよう」としていたし、ヤスも明らさまに「あんな変な衣装着たくねぇ…でも、スタァさんの言うことに逆らっちゃいけねぇ」という卑屈な気持ちで着こんでくるんですよね。「冬物ですけど」という台詞も、もっと不満で嫌そうだった記憶があります。



でも。

花組版「銀ちゃんの恋」が「タカラヅカだなあ」と思うのはこういうところなんですが。
なんか、祐飛さんとみつるくんだと、すごくほのぼのと可愛らしいんですよね。

銀ちゃんが心の底から悪戯っ子になりきって(←苛めっ子じゃなくて“悪戯っ子”ね)、「着てみろよ!(わくわく)」という、かっこの中が聞こえてくるくらい悪意なく楽しそうで。
で、ヤスはヤスで、あの服に(ブーツにも)疑問を抱いていないのが凄く可愛い。
銀ちゃんの衣装自慢も、本気で「カッコイイ~!俺もああいう服が着れるようになりたいなぁ…」くらい思っているんじゃないかと不安になるんですが……どうなんでしょうかそのあたりは。

「でもあれ、冬物ですけど」という台詞も、単純に疑問に思ったことを口にしただけで、『着るのが嫌だ』という印象があまりないし。



もともと銀ちゃんは、小夏を笑わせるために(思いつめているのを宥めるために)そんなことを言い出したわけで、ヤスを笑いものにしようという意図に変わりはないはずなんですけれども。
…あの嫌味のなさはいったいなんなんでしょうね。


そして、みつるくんのヤスの、『銀ちゃんと同じ価値観を持った俺』に対するリスペクト。銀ちゃんが言うなら、黒いカラスも白く見える、そんなヤスの、精神のありよう。
この場面のヤスがピュアであればあるほど、この後の悲惨な展開が“タカラヅカ”に近づいていく。




「蒲田行進曲」では、この時点でヤスは微かながらも『自分を抑えて』銀ちゃんに従っていることを自覚していた。
ある意味、銀ちゃんに従う自分に酔っていたといってもいい。

でも、みつるのヤスには、花組版「銀ちゃんの恋」のヤスには、それがない。

ピュアで、素直で、可愛いヤス。彼が銀ちゃんを慕うというのは、この時点ではまだ執着でも依存でもないんですね、今公演では。その思いは、まだ歪んでいない。優しいヤスが、思いやり深くて素直な心根のまま、銀ちゃんという子供みたいにわがままで悪魔だけど一途で可愛いスターに惚れてしまった、ただそれだけのこと、で。


だから。

この瞬間。
小夏、という存在が二人の間に押し込まれてくるこの瞬間まで、銀ちゃんとヤスの間は何の波風もなかったわけです。
ヤスは、十年間、自分を抑えて、何かを我慢して銀ちゃんに従っていたわけじゃない。
銀ちゃんが大好きで、映画が大好きで、『良い映画を創るために精一杯がんばっていたら、10年が過ぎてしまった』といのが、まぎれもない事実。





ちょっと話がずれるんですけれども。
「銀ちゃんの恋」には出てこないエピソードですが、ヤスには確か、主演経験もあったはず(その事実を銀ちゃんが虐めのネタに使ってた記憶があるんですけど)。それなりに実力派のスターだったことがあるわけです。
でも、そういう過去をもった男としてヤスを演じると、銀ちゃんの嫌味の一つ一つが本気で胸に刺さるんですよね。そ、そんなこと真顔で言っちゃうのか、という辛さ。

…人間の汚いところを曝け出して、初めて表現できるモノというのは、確かにあります。
「つかこうへい」という作家の紡ぐ物語は、わりとカウンセリング的な部分があって。
登場人物が、自分の汚いところ、嫌なところを全て観客の前に曝け出して、泣いて喚いてヤツアタリして……そして最後に、もう一度「裸の自分」と向かい合い、嫌っていた自分の嫌な部分ごと、全ての運命を受け止める、という展開が多い(←だから、痛いけど観終わった後はすっきりして、“明日からがんばるぞ!”と思える)のですが。

「蒲田行進曲」という舞台作品の痛さというのは、そういう痛さなんですよね。

そしてたぶん、石田さんが「タカラヅカ」に対するスパイスとして「つか作品」に求めたものも、そういうものなんだろうな、と思うのですが。



でも。
「タカラヅカ」は夢を現実に見せるところだから、どうしても「つか」流の大団円へ行き着くまでの過程に無理があるんですよね。
人間の汚い処から目を背けて生きていきたい人が観るものだから。

だから、「蒲田行進曲」ではなく、「銀ちゃんの恋」なんだと思う。
タイトルのワーディングにはあまり意味はないと思うんですけど(←どうせ石田さんだし)、群像劇(3人が主役)の「蒲田行進曲」から、タイトルロールと彼の物語を語る2人(事実上の主役)という構成の「銀ちゃんの恋」へ、という改変。

「蒲田行進曲」の、あけすけなまでに本音を吐きまくった舞台もホンモノだったし、
それをピュアな光で包んだ「銀ちゃんの恋」も、ホンモノだった。
どちらも、人を癒す力のあるものがたりだった。


祐飛さんが演じる銀ちゃんの、子供っぽい純粋さと、弱みを見せた相手への容赦のなさ。

みつるの演じるヤスのピュアさ、優しさ、素直さ、そして、弱さ。

そして、すみ花ちゃんの演じる小夏の、硬質な純粋さと、芯の強さ。


三人三様に、純粋で一途でまっすぐなんですよね。
それが凄く美しくて、眩しい。
三人三様に狂気を抱えてはいるんですけれども、それ以上にまっすぐなものがある。

だから、三人三様に、運命と闘って、受け入れて、そうして一歩を踏み出していく。







…ともあれ。
まだ話は始まったばかり。

銀ちゃんは、“妊娠4ヶ月の”小夏を、ヤスのアパートに置いて去る。
とある、夏の日。






小夏とヤスの間で、微妙なバランスを保っていた銀ちゃんが、
自分自身を壊しかねない一石を、三人の真ん中に投げた、
……暑い、夜。









宝塚花組日本青年館公演「銀ちゃんの恋」


第二場 キャバレーセット。


羽織っていた楽屋着と、捨てられていた手弁当を付き人(梅咲衣舞)に渡して、小夏が立ち位置に立つ。

ライト。

と同時に、満面の笑みを浮かべて踊りだす小夏。
紗幕があがり、女性ダンサーたちのセクシーなダンスが始まる。バックダンサーは聖花まい、雫花ちな、瞳ゆゆ、鞠花ゆめ。
4人とも、いえ、小夏いれて5人とも超可愛いです。はい。リリアンダルマ…とはいわないのかな、ひらひらした幅広のリボンが足元にゆれる、セクシーなダルマ姿なのに、まっっったく退廃感がないのはすみ花ちゃんの個性なんでしょうか。後ろの4人のほうが、それぞれにコケティッシュな小悪魔感をだそうとがんばってました。
すみ花ちゃん、立場的に必要とされる技術的なものには文句無いんですけど、こういう場面をやらせると、ただ若いだけじゃなくて本当にピュアすぎてしまうんですよね……うーん、ショー場面の一つとしては華やかでいいんですけど、ちょっと“場末のキャバレー”って感じはしなかったかも。
芝居としては十分“落ち目の元スタァ”になれているので、あとはショーでも七変化できるように女を磨いてくだされば、大劇場でも十分真ん中が務まると思うし、めちゃくちゃ楽しみにしています♪♪




音楽が変わって、男性ダンサーが登場。噂の(私の回りだけかも?)お2人です。煌雅あさひ&輝良まさと。この2人って90期と91期だったのか…。若いなあ。私が花組エンカレでアーサーに惚れたとき、研いくつだったんだ?
スパニッシュ系の紅い衣装に身を包んだ2人。まずはアーサーが小夏に絡む。色っぽい振付です…たぶん。うーん、すみ花可愛い………(*^ ^*)輝良くんと絡んでるときよりは、アーサーとの方が少しは色っぽいかな。さすが一学年とはいえ先輩は違いますね。


誘うように下手奥のテーブルへ向かい、そこでまたひとしきり2人に絡む小夏。ここ、初演と振り付け同じなんでしょうか…。なんだか、「あはは、うふふ」っていう声が聞こえてきそうな、なんだか幸せそうな3人に見えるのは気のせいでしょうか(←気のせいです)。ちょっと絡んで、ふいっと離れる間際に見せる微笑が、本当に可愛くって、たまんないんですけど。
アーサーも輝良くんも、真剣に「誘惑されてます僕」的な顔をしているから、楽しそうで幸せそうな小夏との対比で、面白い場面になってました。いっそ、“場末のキャバレー”っていう無理のある場面コンセプトをあっさり捨てて、「仲良し三人組のピクニックダンス」くらいの改変をしてしまえばいいのに!(←落ち目の女優はピクニックにはいかねぇだろ…)




音楽が変り、また女の子たちが戻ってきたあたりで、スターダンサー・光子(小夏)のヒモ(橘)が乱入してくる。
短銃を手に。

光子を銃で脅し、「お前は俺なしじゃ生きていけねぇんだよ(だから戻って来い、と続くのでしょう)…」と言ったあたりで、小夏が具合を悪くして倒れてしまう。

小夏が倒れたとき、とっさにびっくりして腕の中の小夏を支えるめおちゃんの腕の優しさが結構好きです。なのに、言葉ではいじめっ子なところがそそる。

「銀の字にせよ、水原にせよ、京都での仕事はろくなことがねぇなぁ」
という、その独特のリズムに乗った喋り方にかなりはまってます(笑)。





さて。
ちょっと考えてみたこと。場面の場所と、時間経過。

オープニングの「会議」は、まぁなかったことにして。
第一場の「オープンセット」は、太秦の東映映画村(旧撮影所)をイメージしているんでしょうか?あそこって京都駅から案外遠いので、顔も着替えもそのままでタクシーに飛び乗らないと40分後の新幹線は厳しいと思うんだけど…。あのとき、橘の顔はキスマークでいっぱいだったよな……いや、まぁ、そんなことはどうだっていいんですけど。

で、「御開帳」の場面があって、そこに小夏がお弁当を持って現れる。そして、そのままの衣装で撮影に臨む。その中に橘が出演していて、しかも「京都での撮影は…」と言ってるってことは、このドラマの撮影も京都で行われているってこと。

橘が、化粧を替えて、衣装を替えて、坂本竜馬からヒモになって、40分後の新幹線に乗ることは、物理的に不可能。
ってことは、「新撰組」の撮影から「ねぇ監督、この映画の主役は俺なんですかい?」の間に、1日や二日の隙間があるってことなんでしょうかねぇ…?



ちなみに、小夏がこのとき撮っているのはテレビの映像(「ブラウン管の前の視聴者には…」)です。たぶん、ドラマの一場面なんでしょう。
橘には都会的でシャープなイメージがあるので、それなりにテレビでも売れてるんだけど、銀ちゃんはちょっと古臭いタイプのスターで、映画にしか出てない…だから、あんまり一般的な知名度がない、っていうイメージで、合っているんでしょうか…。
銀ちゃんたちは、「映画スター」の最後の世代、ってことになるんでしょうね、多分。それ以降は、渥美清みたいな例外をのぞいて、「テレビに出ない、映画だけのスター」は存在しえなくなっていったはずだから。



…ま、石田作品なので、あんまり厳密な時代考証を考えても意味がないんですけどね。現代ネタもたくさん出てくるし。衣装もかなりてきとー(っていうか強烈)だし。



小夏が倒れて、撮り直しになったところで「俺はもう当分無理だよ~」と、また不思議なリズムに乗って言う橘さん。
橘「東京でクイズ番組のレギュラー回答者に選ばれたんだ~ピンポンピンポ~ン」
身振り手振りつきで。いやー、素敵だわめおちゃん。

スタッフの真瀬はるかさんが、本当にいい声で「撮影放棄でファイナルアンサー?(アドリブあり)」と訊くのにいつもうっとりします。何度でも書きますが、本当に巧いです、この人。
立ち去る橘に「ちょっと待って~~!!」と追いかける様が面白い。




机に突っ伏していた小夏が、ふと顔をあげて、待機している女の子たちに言う。
「ごめんなさいね」
4人はニコニコ笑顔で「いいのよお~」「お大事にね♪」と言いながら。
くるりと背を向けた瞬間に
「水原小夏!どうしちゃったんだろうねぇ」
「噂じゃ男に捨てられて酒びたりらしいわよ」
「一世を風靡した女優も、」
「今じゃ事務所のお・に・も・つ!」
噂、噂、噂…。

ぱちん、と弾けるように笑う女の子たちの残酷さが、「スター」という看板を背負う人の影なんだろうな、と思わせる場面。最後にトドメをさす鞠花ゆめちゃん(?)の、小悪魔的な可愛らしさと鮮やかな台詞回しが印象的です。



女の子たちの陰口を、ひそかに聞いていた小夏。
橘がおいていった小道具の短銃を頭にあてて……




暗転。

そして、銃声。





第三場A カラオケスナック「ししとう」

ここは……えーっと。

まず一つ忠告。初めての観劇の時は、下手奥はなるべく見ないようにして、舞台前面の銀ちゃん一党の芝居に集中してください。
うっかり下手奥を観てしまったら、もうそこしか見えなくて、話がさっぱり見えなくなりますから(T T)

下手奥の謎に挑戦したい方は、2回以上ご観劇くださいね♪





というわけで、下手奥のさあやと嶺乃くんについては、今回は触れません。
ぜひ、その目でじっくりと(二回目以降に)ご覧ください。




舞台前面。
前場からの続きのように、小夏の構えとそっくりそのまま、銀ちゃんが短銃を頭にあてている。
毎回見事な転換だなあ、と感心します。


後ろから短銃を取り上げて、「駄目じゃないですか!小道具からこんなもの持ち出して!」と叱るヤス。

完全に酔っ払いの絡み酒で、「俺、死にてぇよ…」と泣き喚く、銀ちゃん。

そこにかかる、名曲「みちのく一人旅」。『ここで一緒に死ねたらいいと』ってアレです。
「死にてぇよ」と「ここで一緒に死ねたらいい」と。あまりのタイミングの良さに、一瞬呆然とする銀ちゃん一党。でも、ヤスが咄嗟に手拍子をはじめて、盛り上げようとする。

そんな彼らの気持ちもお構いなく、銀ちゃんは嘆く。

「売れてねぇんだよ、俺…売れてねぇんだよ。だってさぁ、さっきからこの店、小一時間もいるのに、だぁ~れもサイン頼みにこないもんねぇ~~↓↓↓」


銀ちゃんのそんな嘆きに、右往左往する子分どもが超可愛いです。
細かくは覚えていないのですが(というか、毎回違うような)、カウンターの方に行ってカウンターの客かママ(月野姫花)に頭下げて頼んでたのはマコト(夕霧らい)かな?ジミー(望海風斗)は、銀ちゃんについていたような…。とりあえず、店の中をみて肩を落とすトメさん(日向燦)がとても好きです。

ちなみに、サインを貰いに来そうにない客は、全部で5人。カウンターにいるのが桜帆ゆかりちゃん、真ん中奥のカップルが初輝よしやくんと菜那くららちゃん、そして下手奥のカラオケ組が、さあやと嶺乃一真くん。
…あ、下手奥を視ちゃった。いけないいけない、舞台中央に戻りましょう。






銀ちゃんが、テーブルのボトルを掴んでラッパ飲みし始めると、いったん解散していたメンバーがよってたかって取り上げる。子分どもは、マコト以外はみんな小さいので、基本的に銀ちゃんが何かしても敵わない(手が届かない/笑)というネタになっているんですが、マコトもあえてここは小さく膝を屈めて、負けてあげているんですよね。可愛いなあみんな。


「てめぇら大部屋に、俺の気持ちがわかってたまるか!」と暴れた銀ちゃん、後ろに回って、下手奥のカラオケ組からマイクを奪い取る。

さあやから解放されてちょっと安心した感じの嶺乃くん(^ ^)。喉元を緩めた、ちょいセクシーな姿。
完全に傍若無人な酔っ払いと化して部下(?)にセクハラしまくりの秘書・さあや(←衣装がそのままだから、秘書のままと思っていいんですよね?)は、トメさんに羽交い絞めにされたまま、暴れまくり。せっかくのタイトスカートが……デキる美女が、台無しですよ中山さん。
ちなみに、さあやが頭に巻いている赤いチェックのネクタイは、本来嶺乃くんがしているはずのネクタイなんですよね…?(さあやがネクタイを持っている理由が無い)その背広にそのネクタイ?銀ちゃんじゃなるまいし、ちょっとセンスを疑うわ>嶺乃くん(←いや、嶺乃くん本人が決めたんじゃないから…)。




って、あぁいかん、だからそこは観ちゃいけないんだってば。
銀ちゃんに戻りましょう、銀ちゃんに。



マイクを奪いとった銀ちゃん、ママに難癖をつけ、真ん中奥のカップルテーブルからボトルを取り上げて撒き散らし……暴れまわった末に、ジミーとヤスに取り押さえられる。
それでも、そんな枷はものともせずに暴れ回り、トメさんを蹴り、ヤスを蹴り、、、興奮しきって、

ぽろっ、と、鼻の血管が切れてしまう…。



トメさん「銀ちゃんの鼻血はいりまーす!」
マコト「はい、よろこんでー!」
というやり取りは、ドラマシティの最初はちょっと外し気味だったのですが、後半嵌ってきてからどっかんと笑いが出るようになりました。ホントおかしいです。抜群の間。

「銀ちゃん、水でも呑んで少しおちついて…」
というマコトに、頭ごなしに
「おめぇ、俺に命令すんのか!?」
と難癖をつける銀ちゃん。

止まらない罵詈雑言の嵐に焦れたヤスが、いきなりカウンターに走る。
ナイフを掴んで、テーブルに突き刺して、場をとめて。

「銀ちゃん、いったい何が気に入らないんですかっ!」

キレた眼、というには、みつるくんのヤスは全体の雰囲気が可愛らしすぎるのですが。
でも、テーブルから抜いたナイフを見る眼つきは、結構イッちゃってて怖さがあったと思います。

「俺、銀ちゃんのためだったら……」

その思いに凝り固まって、他のものは何もいらない、と、思いつめた瞳。


ナイフを振り回すヤスを、心配そうに追いかけるメンバーたち。特に、奥のテーブル席のカップルを守ろうと、必死で手を広げて眼をつぶるジミーがめちゃめちゃ可愛いです。

そこに聴こえてくる音。銀ちゃんの高鼾。
一気に空気が弛緩する。

っていうかさ、ヤスもみんなも、酔っ払いの戯言に真面目に対応しすぎなんではないでしょうか…。





愛くるしいキュートな若いチーママが、「あんたたちの映画のことが出てるよ!」と新聞を渡す。
そこに載っているのは、監督の談話。
「滅びゆく新撰組の、集団のエネルギーを表現したい」、と。





ヤスに庇われて、安心して寝ていたはずの銀ちゃんなのに、なぜかそういう嫌な話は耳に入る。

「俺のアップ撮ってる振りして、群集撮ってやがったのか…やっぱり俺、主役じゃなかったんだ
な…」

切ない呟き。


今の、声がかすれまくっている祐飛さんの「切ない呟き」は、なんというか、最終兵器って感じに色っぽいです。思わず駆け寄って、抱きしめてあげたいって感じ。「大丈夫よ、ちゃんとあなたが主役よ」って、言ってあげたい気がするんです。
…たとえ、それが嘘だとわかっていても、そう言ってしまうのが女だと思う…。







さて。
公演をご覧になったみなさま。

この「ししとう」の場面、わずかに5分弱だって知ってましたか!?

この間にも、さあやと嶺乃くんが汽車ポッポをしていたり、カップルの片割れだったハズの菜那くららちゃんが、さあやの紹介で嶺乃くんといい雰囲気になって、肩を抱かれて出て行ったり、くららちゃんの代わりに初輝くんの隣にちゃっかり座り込んださあやが、今度は初輝くんにセクハラしようとしていたり、上手のカウンターの方はあまりちゃんと見る暇がないほど忙しい、密度の濃い5分間。


いやー、何度も書きますが、とにかく下手を観るのは、二回目以降まで待ってくださいね。
銀ちゃんチームもがんばってますので、一回くらい観てあげてください…。





ってなとこで。
次回は、銀ちゃんの『最高の』テーマソングからの予定☆




宝塚花組 日本青年館公演「銀ちゃんの恋」。早いもので、もう3日が過ぎました。



ドラマシティ公演と比べて変わったなーと思うのは、銀ちゃんとヤスの関係でしょうか。
どこかどう、と説明するのは難しいのですが、ドラマシティの時以上に、濃~いものが流れ始めたような気がします。ドラマシティの最初の週末あたりでは、お互いに一方通行で完全には伝わっていない感じだったのに、2週目にはそのあたりが解決したなーと思って……
で、青年館では、ちょっとイッちゃった感じに濃ゆいものが漂ってます(汗)。


祐飛さんも、みつるくんも、普段からあまり「女性」らしさを感じさせない人たちなので、なんか凄くナチュラルに「男同士の濃い友情」を表現しちゃってて、こわいくらいです。この二人、次の作品でちゃんと“男役”に戻れるのかしら(^ ^;ゞ

で。
お二人の喉は、一進一退、って感じですね…。
ある意味、長いことあの喉とつきあってきて、付き合い方がわかってきたんじゃないかと思う場面もありましたが。特にヤスは、かすれ声が色っぽくていい味になってますし。
ただ、銀ちゃんの一幕のソロが苦しそうなのがかわいそうで……ホント、万全な状態で公演させてあげたかったなあ……(←何者だよ)

そして、橘さんがちょっとヤバくなってきた感じ。小夏もそろそろ限界かも。
演出の根幹が怒鳴り芝居なので(つか作品はどれもそうですが)、キツいんでしょうねぇ…
なんとか最後までもたせてくれることを祈るばかりです。




まだ、全20場の第一場さえ終わっていない私のレポート。
今日は少し進めるつもりなのですが、その前に一つ、青年館で初めて気づいた下級生の小芝居チェックを。

第一場Bのオープンセット。銀ちゃん土方の出番が終わり、橘の坂本竜馬がジミーの沖田総司に迫りまくる場面。

その後ろで、並んで新撰組しているアーサー(煌雅あさひ)と輝良まさと。
「キッスさせろ!」と竜馬が騒ぎだしたあたりで、輝良くんがアーサーに投げキスしてるっ!?しかも、アーサーは笑顔で受けて、ちょっと照れてるっ!?

……私もそこを注目したのは初めてだったのですが、ドラマシティでもやっていたのでしょうか…?それなりに観ていたつもりっだったんだけどなぁ。
いやー、びっくりしました。そんなところをお見逃しないように、是非是非、2回3回とご覧になることをお勧めいたします(^ ^)。

ちなみにこの後、銀ちゃんの子分連中が橘に襲い掛かって動きをとめる場面でも、初輝くんや嶺乃くんは必死で橘を助けようとしてトメやヤスに蹴られているんですけど、アーサーと輝良くんの二人は、ほけっと様子を眺めているんですよね。やる気ねー感じで可愛いです。その癖、橘が解放されると慌てて寄ってって太刀を受け取ったりするのが素敵(^ ^)。
名前もない役ではありますけど、一人ひとり、キャラ立ってるなーと思う場面ではあります。




あと、小ネタとは違うんですけど、青年館公演の印象をひとつ。
とにかく、笑いが大きくて公演が盛り上がりますね。ネタの一つ一つが丁寧に拾われて、ちゃんと“爆笑”になるんですよ。
なんでだろう?よく「東京と関西では笑いのツボが違う」と言われますけど、つか芝居は東京の笑いなんでしょうかねぇ?ドラマシティでもそれなりに受けてたけど、青年館みたいに、なんかやるたびに爆笑の渦、って感じではなかったので…
それだけ、芝居がこなれて間が良くなったってことでしょうかねぇ。間が良くなったことは間違いないし、そう思っていいんなら安心なんですけど。

この作品は「笑って泣いて」が基本なので、笑うときは遠慮なく笑い、泣くときも遠慮なく泣いていいんだと思います。大丈夫!舞台を楽しんでくださいね♪






さて。
それでは、こないだの続きを。


「銀四郎さまぁ~♪」

黄色い声とともに、ミニスカートの『若い娘』が駆け込んでくる。
もう、その完璧なまでの『若い娘』っぷりときたら!!!

つい一瞬前まで子分どもを殴り倒していた銀ちゃんが、その声を聞いた瞬間に、人が変わる。

「と・も・こ・さぁ~~~ん(はぁと)」
満面の笑顔で、軽やかにステップを踏んで、朋子(華耀きらり)のところへ跳んでいく、銀ちゃん。その変わり身の早さに、客席は大爆笑。
子分たちはちょっとホッとしたような生ぬる~い笑顔で、そんな銀ちゃんを見守っている。

終始“黄色い声”で喋り続ける朋子。
頭は空っぽっぽいけど、上流階級のお嬢さんらしく品のある美形。っていうかもう、とにかくきらりんの朋子は最高に最高すぎて、コメントのしようがありません。立ち姿も衣装も髪型も化粧も声も喋りかたも脚も手も、なにもかもが完璧な朋子。完璧すぎて、一幕後半でちょっと違和感があるんですけど、でも、そんな違和感も何もかも吹っ飛ばして素敵なお嬢さん。
この後出てくる小夏との対比が見事でした。よくぞこんなキャラクターを考えてくれました。
ありがとう石田さん。




銀ちゃんの、子分たちへの
「てめぇら、いつまで朋子さんを待たせておくんだ。喫茶室でコーヒーでもお世話せんかい!」
という台詞と、朋子さんへの
「僕、メークを落としたらすぐ行きますから、喫茶室、こいつらと先に行っててくださーい♪」
という台詞の、声色から口調から、なにもかも違う役者っぷりが凄いなあ、と。別人格のように見えて、きっちりとコレも銀ちゃんの一面、とわかるところが凄い。久世さんの変わり身もすごいと思いましたが、祐飛さんもどうしてどうしてなかなかです。




朋子さんの細っこい後姿が上手袖に消えると、銀ちゃんは「こりゃ脈アリだ!!」と喜んで、スキップして舞台奥へはけていく
祐飛さんのスキップ、スキップと呼ぶには歩幅が大きすぎて、3歩くらいで奥についてしまうのがすごいです……。





一人舞台上に残るヤス。階段をためつすがめつチェックしながら上まであがって、振り返っておびえたりしています。いちおう、この時からヤスの頭には「銀ちゃんのために階段落ちを…」っていうのは、のどにひっかかった小骨のようにあったんでしょうね。言い出すきっかけが見つからなかっただけで。






そこに、下手から小夏が登場。華やかなステージ衣装に、楽屋着がわりのガウンを羽織って。

「小夏さん…?」
「…あんた、銀ちゃんについてる人ね」

ひくい、落ち着いた声。野々すみ花という女優が高く評価されるのは、この声のバリエーションだと思います。耳に優しい、幅のある声。エリスのような細く頼りない声でも喋れれば、こんな「落ち目の女優」の声も出せる、その見事さ。
ドラマシティでは、すみ花ちゃんのもつ純粋で一途な透明感と、“小夏”という濁りのある女優役の間で戦っていた感もありましたが、青年館ではすっかり落ち着いて、ひとりの「小夏」がいるという印象になっていたのはさすがだなあと思いました。


それにしても、この台詞。
「あんた、銀ちゃんについてる人ね」
…ってことは、小夏はヤスのことをほとんど知らないんですね。あんなにも、銀ちゃんの近くにいる二人なのに。名前も知らない。正式に紹介されたことがあるかどうか、ってくらいなんでしょう。
まぁ、朋子さんも銀ちゃんの子分たちを一人ひとり見分けているかどうかは疑問なので、あんな感じで「たくさんいる子分の一人」くらいに思っている可能性もあるかもしれませんが。

でも。

「……売れなくなった女優に付きまとわれて困ってるって、銀ちゃんから聞いてるでしょ」

こういう台詞が出るってことは、小夏自身は、ヤスたちは自分を知らない(ただ、スター女優としての“小夏”を知っているだけ)と思っているんですよね?


あんなにも、銀ちゃんの魂の近くにいる二人のはず、なのに。


しかもこのとき、小夏と銀ちゃんは5年(?)越しで同棲していたはず。つまり、ヤスは銀ちゃんの家に行ったこともないってことですよね?
銀ちゃんにとって、「映画界」という世界の中では、相方はヤスだった。小夏は「映画に命懸けてる」という銀ちゃんとヤスの共通の思いさえわかっていない。「映画」という世界の中で、銀ちゃんとヤスはいつも一緒で、同じ方向を見て、「良い映画」の為に全てを賭ける覚悟もあって。
なんていうか、精神的には、同棲しているようなものだったはずなんですけれども。

でも。
「現実」の世界では、銀ちゃんにとってヤスは部外者だった。「現実」の恋人は小夏で、家にあげて私生活の面倒を見させるのは小夏だけ。
ヤスの4畳半に行くことはあっても、ヤスが銀ちゃんの家に踏み込むことはない。そういう、一方的な関係だった二人。


魂を分け合って、でも現実には距離をおいて生きている二人の男の間に、割り込んできた一人の女。
彼女自身が割り込もうとしたわけではないけれども、結果的には彼女の存在が二人の関係をゆがめることになった。

彼女の希みとは、無関係なところで。








小夏は、好きな男に手弁当を作った自分を嘲いながら、ヤスに弁当包みを渡す。
もう、男の心が離れているのは気づいている。でも、どうしようもない。
手弁当を作ったからって、どうなるというものでも、ない。
でも、作ってしまった。
あたしって、莫迦……。




そんな気持ちを、受け取るつもりも、その器もない男。
ヤスから渡された「小夏の弁当」を、「モテる男は辛いねぇ」かなんか言いながらアッサリ受け取って、でも、朋子に見咎められるとためらいもなく棄てる、そんな、最低の男。

「銀ちゃん…女って、馬鹿ないきものよね…」

小夏の呟きが耳に沁みる。


上手から登場して、傷ついた小夏を慰める専務が、とても素敵です。役得。
渋くて優しい、素敵なオジサマ。とても、あの銀ちゃんと同期とは思えな…あ、いえ(汗)。

「私も女優です。キャメラの前では、涙は見せません」

そう宣言して、その言葉通り、ライトが入った瞬間に笑顔を浮かべる小夏………。






や、やっと第一場が終わった……
スピードアップするつもりだったのになあ(涙)。





雪組東宝劇場新人公演「マリポーサの花」を観劇してまいりました。





む、む、むずかしい。
大好きな作品だけに、こ、こんなに難しい芝居だったのか!!と思ってしまいました。
うーん、(大湖)せしるも、(舞羽)美海ちゃんも、よくやっていたのになあ。
凜城きらさんもがんばってたのになぁ。
……むずかしいものなんだなあ……。


新公演出は稲葉大地。
彼自身の作品を演出する場合はまた違うのでしょうけれども、今回の新公演出は、「シークレットハンター」の新公でぼんやりと思った印象が、今回も残りました。役者が違うのに、本役と同じ芝居を演出しようとする…という印象が。

「シークレットハンター」の新公の感想を書いたときに、私は『本役の芝居解釈力というか、咀嚼力というか、その咀嚼した者を観客に伝えきれる表現力の豊富さというか、そういうところばかりが印象に残った』ということを書いているのですが、今回もそんな感じだったんですよね。
新人公演って本当に一期一会なものなので、作品とか、本役とか、新公演出とか、いろんなことで運があって、タイミングがあって、、、、、つい最近まで私の中で同じグループ(ビジュアル系ヘタレ組)だった、同じ88期の二人(星組の紅くんとせしる)の明暗、というのは……


なにもかもが運命なのだ、と言ってしまえばそれまでなのですが。




ま、これ一つで全てが決まるわけじゃない。
新人公演自体が成功するかしないかは、役者としての評価にはあまり関係がなくて。
大切なのは、この新人公演で何を学んで次の公演に生かすか、あるいはあさってからの公演に生かすかだと思うので。

せしるくんには、今まで以上に踏ん張ってほしいなあと思っています。





せしるは、本当にカッコよかった。本公演ではアフロヘアに髭をつけてチャモロをやっていますが、ネロさんはすっきりと髪をまとめて、シャープですごく素敵でした!
ただ、ちょっと小柄なので、エスコバルの凜城さんもリナレスの彩風咲奈ちゃんもサルディバルのキング(蓮城まこと)も、回り中みーんな大柄なのに囲まれて、にもかかわらず『誰よりも格上で強い男』でなくてはならない、というそもそもの設定に、かなり問題があるような気がしてしまいました。
たとえば「君を愛してる」みたいな作品だったらあんまり気にならなかったんだろうに、と思うと、作品との相性も本当に大事なんだなあと思うんですよね…。

せしる好きなんだけどなー。芝居もいいもの持っていると思うし。ただ、ヘタレだから台詞の声が安定しないのがちょっと惜しいですね。ネロは特に、脅しつけるような台詞が結構あるので。
……歌の声が安定すればもっといいです。はい。(←深い意味はありません)





「凍てついた明日」のメアリーで感銘をうけた、美海ちゃんのセリア。
白羽ゆりちゃんがちょっと苦戦している難しい役を、よくがんばったと思います。
キレイでスタイルも良くて、すごい華やかなひとなんだけど、芝居はまだお人形さんでしたねぇ(T T)。メアリー良かったのになー。本公演のブランカとあまり変わらなくて、ちょっと心配な感じでした。
しかし眼を惹くことは間違いない。しかも踊れる(ショーシーンの華やかなこと!!)
歌は声量がなくて不安定でしたが、それもメアリーの時はそこそこ出来てたんですよね。なんだろう、荻田マジックだったのかしら?(不思議)





凜城さんのエスコバルは、ちょっと消化不良な感じ。っていうか、エスコバルって本当に難しいんだなー。なんだか、凜城さんには、なぜ自分がネロの後をくっついて回っているのか解っていないような気がしました。ただ、そういう役だから(ユミコさんがそうしてるから)そうしてる。そんな風に見えてしまったのが、一番残念でした。
良い役なんだけどなーーーーっ!難しい…。

ちょっとふっくら系なのも、「エスコバル」という禁欲的な役を演じる上ではマイナスだったし、顔立ちもキレイなんだけど、まだ柔らかくて可愛らしい感じだし…外見から入るのも難しかったんだろうな、と。まだ下級生なんだし、歌えて踊れる実力派なんだし(ですよね?)、今回無理してこんな難しい役をやらせなくても次回まで待てばよかったのに、と、個人的には思いました。





スター誕生だ!と思ったのは、彩風咲奈さんのリナレス。
「Savola Me」の艶やかな声、伸びやかなダンス、華やかな笑顔。
メークは駄目駄目でしたが、それ以外は本当に、今すぐにでも大役を任せられる華やかさと安定感がありました。研2だなんて信じられない!!まだ声が高いから少年役以外は難しいと思いますが、それでも「女の子の声」じゃなくて「少年の声」だったのが印象的。
本役のキムちゃんよりは随分若い役作りで、大学入ったばかりでしょアンタ、って感じでしたけど(キムちゃんは4年生か5年生かOBか、って感じ)、元々ネロやエスコバルに対して若さゆえの性急さや誇り高さや我慢のなさが大事な役なので、すごく似合っていたと思います。
芝居も良かった。嵌り役でしたね。

まぁ、ここから脱皮して、痩せて、声をひくくして……大人の男がやれる男役になるまでには、まだまだハードルがたくさんありますけれども。将来有望な逸材が出るのを観たぞ!という感激がありました(*^ ^*)。






ロジャーのがおり(香稜しずる)くんは、本当に美しい人(*^ ^*)。
本公演の印象より、ずいぶんと冷ややかなロジャーでした。美しくて、冷ややかで、でも裡に持っている熱量は大きい、みたいな。
ラスト、銃を持って闘いに参加することに納得できる「CIA」でした。




ラファエルは、「凍てついた明日」Bチームのジェレミーで落ちた真那春人くん。
やっぱジェレミーはもう喉つぶしてたんですねぇ。実に実に良い声でした。素敵だ。滑舌もいいし、とにかく熱がこもった芝居をする人なので、何をしていても観ていて楽しいです。
……個人的にでは、お店でのショーシーンで笙乃茅桜ちゃんと組んで踊っていた時の笑顔がとても好きです。(←あまり笑顔の似合わない顔だと思っていたので…ごめんなさい)






あと印象に残ったのは、アリシアのミナコ(愛原実花)ちゃん。
いづるんとは全然違うキャラクターで、本当に素敵でした。ああ、ユミコさんのエスコバルとサシで勝負させてあげたかった!(←勝負じゃないから!)



他にも印象に残ったひとはたくさんいるので、ちょっと箇条書きで。

・船長の香音有希さんが貫禄あって素敵でした♪学生にも入っているんですが、ちょっとおっさんっぽいところがかえってリアル感(^ ^)。

・お医者様の帆風成海さんが滅茶苦茶いい声でびっくり!あんなお医者さまにかかってみたい!

・イスマヨールの紫友みれいさん、飄々とした専科さんの役をがんばってました。いい味出てましたよー。

・シーナのさゆちゃん、滅茶苦茶可愛いっ!

・フェルッティの子分、梓晴輝さんと朝風れいさんって滅茶苦茶おいしい。大凪真生さんのフェルッティは、部下を顔で選んだんじゃないか…?(疑惑)

・コロスの振り付けって本公演と一緒ですか?ダンサーばっかりだからレベルを上げたとか…ないですよね?(←レベルを下げる最大の原因のファンをしていると、つい不安に…)

・警備兵の電話をかける方はどなたでしょうか?

・ベルレディの花夏ゆりんちゃん、「セリア様と仰る方から…」の言い方がすごく好き。

・闘いへ向かう前のナンバーは、人数が足りないのでリナレス以外は全員女の子。でも、結構迫力あってよかったです。コーラスは軍隊も警察隊も陰で入ってたのかな…?




…そんなところでしょうか。

全体に、難しいストレートプレイに全力で挑みかかる子供たち、という印象もありましたが、必死さが良い方向に出た人もいて、観終わった後の印象は、本公演より爽やかなくらいでした。
一生懸命、「今の思い」を伝えようとする、きゃびぃやせしるの挨拶も、良かったと思います。

雪組88期、お疲れさまでした!明後日からの本公演も、どうぞよろしくね♪






宝塚花組 日本青年館公演「銀ちゃんの恋」、初日おめでとうございます!



銀ちゃん(祐飛さん)もヤス(みつるくん)も、なんとか声は出たようで、なによりでございます。声が出ないと始まらない台詞劇ですからねぇ(^ ^;ゞ
重畳重畳。

でも、小夏(すみ花ちゃん)と橘(めおちゃん)がちょっとヤバそうな感じだったのは少し心配。特に小夏は泣きの芝居が重要なので、気をつけてコントロールしてほしいなーと思います。
泣いたり笑ったりの1週間、最後までどうぞよろしくお願いいたします!




初代銀ちゃんの久世星佳さんもいらしてくださったそうで、さぞ祐飛さんも嬉しかったことでしょうね(*^ ^*)。久世さんも、可愛い愛弟子が自分の当たり役を再演してくれて、感慨深いだろうなぁ……。
初演とはずいぶん雰囲気の違う、花組版の「銀ちゃん」ですが、楽しんでくださったなら幸せです♪
風花舞さんとか汐風幸ちゃんとかはいついらしてくださるのかな☆(←来るものと思い込んでる)







さて。それでは、こないだの続きを少し。


橘が去った後(そして助監督の鈴木が追いかけていった後)、残った監督に、銀ちゃんが抗議をします。

「この映画は、この倉丘銀四郎が主役なんですか?それとも橘なんですかぃ?」

銀ちゃんは、要するに『土方歳三が主役なら、土方の見せ場である池田屋が最高のクライマックスであるべきである。そのためには、演出として一番盛り上がる(話題になる?)“階段落ち”は欠かせない』
ということが言いたいらしい。

ヤスたち銀ちゃん一家の子分たちも、ヤンヤヤンヤと囃し立てる。
「階段落ちのねぇ新撰組なんて、なぁ!」

…初演の頃なら「クリープを入れないコーヒーみたいだ」とゆー感じなんでしょうかねぇ(^ ^)。





で、ちょっと重たい音楽が入って、紗幕があがる。

第一場D 『御開帳』

プログラム読んで、このシーンタイトルには物凄くウケました(笑)。そっかー、「御開帳」なのか!!

ちなみに、ここでお披露目されるのは、階段です。
…13段の、木組みの階段。



ま、大劇場の26段(でしたっけ?)の大階段を見慣れている宝塚ファンにしてみれば、まぁ可愛らしい中階段(♪)って気がどうしてもしてしまうんですけど(滝汗)、そこはホラ、ココロのキレイなヒトにしか見えない、巨大な階段があるんですよたぶん(^ ^;ゞ





「東京から呼んだスタントマンが、この階段見て、ビビッてけぇっちまったんだよ」
大道寺監督(悠真倫)が、吐き捨てるように言う。

大道寺監督は、いい大学を出て東洋映画に就職し、スター監督として名を馳せている人なわけですが。
ある意味、銀ちゃんやヤスにも負けないほどの、ものすごい映画馬鹿なんですよね。ずいぶん無茶なこともやってきた。そのたびに、助監督の鈴木くん(白鳥かすが)みたいな人が苦労してフォローして、今までやってきたんでしょうね。

「俺だってやりてぇんだよ…」

無念をこめてそう呟いて、

「誰が死んでくれるワケ!?」

…で、大部屋連中にヤツアタリ。


さっきまで「階段落ちのない新撰組なんて!」と囃していた大部屋俳優たちが、階段の下でお互いに押し付けあいのおしくらまんじゅう。一番弱いジミーが最初にドツかれ、次にトメが蹴り飛ばされ、ヤスが投げ捨てられて

「美術部さんがせっかく作ってくれた階段だけど!!1/3にぶった切ってセコい階段落ちでもやりますか!?」

マコト(夕霧らい)の刀を奪い取って振り回す監督が、コワいです…。




けっ、と思いっきり吐き棄てて下手へ立ち去る監督。いやー、ドツき方も堂に入ったもんです。
…斬られ役、ってのはあるけど、ドツかれ役ってのもあるんでしょうかねぇ、技術として。銀ちゃんが乱暴をはたらくときの受け身の巧さは、上級生になるほど巧いなあと思うんですよね。やはり経験がものをいうのかな、こういうのも。

いや、それにしても、ヤスの受けの巧さは絶品です!身体柔らかいんですねぇ~(*^ ^*)。
猫は、長年祐飛さんのヤスを観てみたい!と切望していたんですけど、あらためて舞台で観てしまうと無理があるなー、と。身体の硬い祐飛さんがあんな役をやったら、初日の翌日から代役が立つんじゃないでしょうか。身体中あざだらけで、打ち身捻挫で朝起きたら動けなくなってそう……。
やはり銀ちゃんで正解だったのかも(ちょっと寂)。




監督が去った後、ちょっと俯いていた銀ちゃんが、顔をあげておもいっきりキレる。

「このぉ、根性なしがああああああ~~~っ!!」

子分たちを一人ひとり殴りつける銀ちゃん。
さすが銀ちゃん、監督のドツきとは格が違います。……やっぱり祐飛さん、宛書だよなぁ……。





殴りつける効果音にかぶさるように軽やかな音楽が入り、

「ぎんしろうさまぁ~~♪」という黄色い声が入ってからのことは、また、後日。




花組公演「銀ちゃんの恋」第一場B オープンセット/時代劇



軽快な音楽(ちゃんかちゃんか、って感じの/笑)に合わせて、立ち回りの撮影風景。
センターに土方歳三役の銀ちゃん(大空祐飛)、その後ろに沖田総司役のジミー(望海風斗)、マコト(夕霧らい)、煌雅あさひ、輝良まさと。
舞台前面には、こちらに背を向けて新撰組に対峙する、浪人役のヤス(華形ひかる)、トメ(日向燦)、嶺乃一真、初輝よしや。

見得をきって敵を睨みすえる銀ちゃん土方の、“上段の構え”を越えて頭の真上に剣を構える構えって…ああいうものなのでしょうか?土方の構えは。あれじゃあ力が入らないし、大振りになるだけだと思うんだけどなぁ。まぁ、土方の剣の腕はたいしたことない(“壬生の狼”と恐れられていたのは土方じゃない)っていう説もあるみたいなので、どうでもいいことかもしれませんが。

殺陣の斬られ役っていうのは、経験がものを言うので、下級生ばかりの今回の殺陣はちょっと厳しかったような気がします。殺陣師も映画界の殺陣師さんなので、普段の宝塚らしい殺陣とはちょっと違いましたしね。
花組さんって、殺陣のあるような江戸ものは…轟さんが特出した「野風の笛」以来?……いや、さすがにそんなことないだろう、きっと。月組も大劇場こそ覚えがないけど、中小劇場ではちょこちょこやっているし。苦しいなりに、みんな工夫してがんばってましたね。「キン、キン、ズサッ」ってう刃の音にちゃんと合わせていたところとか、みんなすごいなーと思いました。






下手にスタッフ陣登場。大道寺監督(悠真倫)、助監督の鈴木(白鳥かすが)、カメラマン(紫峰七海)。
ちょっと派手目な銀ちゃんの立ち回りを、追いかけるカメラ。フィルムが見るからに紙製なのがちょっと笑えますが、意外とカメラ本体のつくりは本格的です。
監督はゆったりとディレクターズチェアに座り(10ヶ月前には祐飛さんが座っていたアレですね)、回りをちあきがぱたぱたと飛び回る。きっと本当にあんな感じなんだろうなあ、監督と助監督の関係って。




銀ちゃんが何回目かのポーズを(カメラに向かって)キメたところで、その前をすーーーっと横切るヤス。同時に銃声が何発か響き、上手から派手な着物で芸者(菜那くらら、桜帆ゆかり)を両脇に抱えた坂本竜馬の橘(真野すがた)が上手から登場。




「ばっかやろう!てめえ今、キャメラの前を横切りやがったな!今のは俺のアップだぞ!」
ヤスの胸倉を掴み挙げて怒鳴りつける銀ちゃんは、そのまま下手の花道、いえ花道ではないんですけど、下手の舞台へりへ。
椅子に座らせ、鬢のあたりを直し、化粧も軽く直してかいがいしく世話するトメさん。
必死にうちわでパタパタ扇いでいるマコト。
一番下手で(…あれ?何をしてるんだ?何か世話をしてたと思うんだけど。銀ちゃんの刀の手入れかな?)しゃがんでいる、ヤス。


……まだ撮影は続いていて、新撰組はみんな出てるのに、マコト、あんただけそこに居ていいんかい?と思うんですが…




舞台中央では、短銃を構えた坂本竜馬が、刀を構えた沖田総司に気づく。
ぽいっ、という感じで芸者二人を投げ捨てて(←酷い)、

「会いたかったぜよ総司!」
「あんまりつれなくするもんじゃないぜよ。わっしの心は、でりけーとにできとるんじゃき!」

…ようするに幕末純情伝ネタなんですね、はいはい。
ここで、坂本に口説かれておろおろしているだいもんの総司が、死ぬほど可愛いです。あんなに可愛く嫌がったら、逆に燃え上がるにきまってるだろう。…確信犯としか思えん…。
それにしても、土方歳三主演の新撰組もので、大部屋役者が沖田総司を演じるなんてあり得ないと思うんですが。どうなんでしょうか。やらせてみたい気持ちはわかりますが。




長い長い、坂本竜馬と沖田総司のキスシーンの間に、本舞台は暗転。下手花道にライト。

「なぁヤス、橘のカット、これで何カット目だ?」

えーっと、と指折り数えて答えるヤス。15カットだそうです(Culさまご教示ありがとうございます)。そして、このときちょっとあらぬ方に視線を泳がせるトメさんは、とても芸が細かいと思いました。そして、な~んにも気づいてないらしいマコトが可愛い。

「…んで、俺は」

「3カット」

即答。だって、……数える必要、ないもんねー。

間髪いれずに、マコトを蹴り上げる銀ちゃん。涙目なマコト。
思わず目を背け、腰がひけてるトメさん。

「この映画は俺の主演映画だよっ!?」

嘆きながら向き直ってヤスを蹴り上げ、後ろのトメにエルボーを食らわす。

「今だってさぁ、俺の台詞なんてどんどんカットされて、橘と俺と、どっちが主役かわかんねぇよお~~~っっっ」

いいながら、椅子の上で身悶える銀ちゃん。…それがあまりに激しくて、椅子ごとどんどん進んでしまうのがメチャメチャおかしいです。ノンさんも同じようにやっていたと思っていたんですが、“椅子ごと進む”のはなかったらしい。……祐飛さんの駄々が最強ってことか?

「そりゃあもちろん、銀ちゃん主役っすよ!」

殴られても蹴られても、ヤスはそう答えるしかない。だって、ヤスの世界には銀ちゃんしかいないんだから。
今は、まだ。

何事か思いついた銀ちゃんは、手下どもを集めて何事か耳打ち。渋る彼らを団扇でペシペシはたきながら、撮影に戻る。




本舞台にライトが入って。
対峙する土方と竜馬。

橘「おんし、誰じゃい!」
銀「わーぁーーーたーぁーーーしーぃーーーはーーーぁー………」




くぅっ、と、椅子の上でずっこける監督。
思いっきり助監督をドつきながら、二人で腕をぐるぐる回す(←巻いて巻いて!の合図)。

もちろん、銀ちゃんは見やしない。
無視して、カメラに向かってたーーーーっぷりと百面相、いや、キメ顔を撮らせている。





今回の、演出的ハイライト、切り札を早速使う石田さん。
暗転中だったか、光が戻ったときだったかに、天からミニのスクリーンが降りてくるんですが。
そこに、この銀ちゃんの百面相、違う「キメ顔連写」をしっかり映してくれるんですよ。
これは、「Hollywood Lover」のオープニングに引き続き、舞台における映像の使い方としてベストなやり方だったと思います。


で。
何回か回を重ねてみるうちに、ふみかちゃん撮り方うまくなったなーーーーっ(^ ^)とか勝手に思っていたのですが。

……もしかして、録画なのかな、あれは?
カメラも本格的だし、袖まで続く尻尾(コード)をひきずってるし、しかも、私が観た回で一回、動画が出なくて静止画で誤魔化した回があったので、絶対ナマだ!とずーっと思っていたのですが……どうなんでしょうか。ナマであんなに見事に毎回構図ばっちりの絶妙なアングルで撮れるんだったら、ふみかはプロになった方がいいんじゃない?(んで、宝塚作品のビデオ撮りを全部任せたい!)って感じだしなー。

どうしたって映像より舞台のナマの役者を見るのがメインだから、映像はちらちらっとしか見て
いなかったのですが。
一度、じっくり観てみたいと思います。っつーか、DVDの特典映像に入れてほしい!お願いします!>TCA様






坂本竜馬と斬りあっていても、お互いカメラに映ろうと必死で、あるいは相手のアップを邪魔するのに必死で、まるでダンスでも踊っているかのような銀ちゃんと橘。
このときの橘さんの必死さがすごく好きです。銀ちゃんが必死なのは当たり前だけど、橘も負けないくらい必死なの。めおちゃんって割とクールというか冷めたキャラクターが多かったけど、こういうアツさも持っているんだなーと思いましたね。
しつこく銀ちゃんとカメラの間に割り込もうときょろきょろしているのが、すごく素敵。


そんな二人の争いの中で。
『銀ちゃんはいつも言ってた。スターは、芝居の呼吸とか、そんなこと考えちゃいけねぇんだ、って。主役はふんぞりかえってりゃあ、芝居は回りの芸達者がしてくれるもんだ、って!』
ヤスのモノローグ(録音)。内容はどうかと思うけど、一面の真実なんですよね。お能なんていうのはその最たるもので、「シテ」と「ワキ」は、そもそも家系が違うわけです。ワキにはワキの大事な仕事があって、シテの片手間にはやれない。専門職なんですね。
しかーし、あえて大空祐飛がやっている役についてそうコメントされると……ちょっとフクザツ。祐飛さんは決して「ふんぞりかえってる」主役型の役者ではないので。かといって「周りの芸達者」になれる人でもないしなぁ………(^ ^;ゞゞゞ



で。
そんな小難しいことはどうでもいいくらい、上手で腕を組んで(←だから殺陣の最中だっての)(←どうせ銀ちゃんと橘のアップだから大部屋は映らないもーん)、うんうんうなずいているヤスが、滅茶苦茶可愛いです。はい。







「銀のアップ、撮ってやれ。そしたら台詞言うから」

すっかり悟りきってカメラマンに指示する監督(←その間にも、助監督に八つ当たりしまくり)




そして、


…橘の隙を探している、銀ちゃんの手下たち。





そうそう。
このあたりは舞台と映像を観るのに必死で、あんまり両脇を見ている余裕がないのですが。この辺で、橘のマネージャー(紫陽レネ)が上手に登場してますよね?確か、芸者さんたち二人と上手の花道もどきのところに固まっていて、彼の持っている音の出るおもちゃ(京都土産か何かか?)の音が出てしまって大慌て、という一幕があるんですが。
…紫陽さんのファンの方、あそこで何が起こっているのか教えてください……(お願い)



たしか、銀ちゃんが完全にカメラを独り占めして百面相やっているのに焦れた橘が短銃の引き金を引くんだけど、弾がねい!ねぇ~!」叫ぶ、という場面の前後だったと思うんですが<マネージャー






…そのあたりできっかけを掴んだ銀ちゃんの部下たちが、思いっきり橘を取り押さえてしまい、思う存分銀ちゃんに場面を与えます。
橘を助けようと襲い掛かってくる“橘の部下”たち。新撰組同士で取っ組み合っているのがめちゃめちゃおかしい(笑)

で、張り切った銀ちゃんが「わたくしがぁ、ぁひぃ~じぃ~かぁ~たぁ~」ってやりはじめたあたりで、



フィルム切れで撮影終了。


監督は、鈴木にトドメをさしてましたね…。




橘さんは(銀ちゃんと違って)売れっ子なので、この後すぐに別の撮影があるから「すぐに京都行きに乗らなくちゃ」いけなくて、「もう無理だよ~♪」と言い置いて去っていきます。このときの、めおちゃん独特のリズムに乗った喋り方が最高に楽しい。
撮り直しが決まって、慌てて橘を追いかける鈴木。あの情けない走りっぷりが、ちあきの可愛いところです。




あらためてプログラムをみると、作曲・編曲は高橋城/甲斐正人なんですねぇ…。初演が久世星佳、風花舞、汐風幸。再演が大空祐飛、野々すみ花、華形ひかる。なんというか、腕の揮い甲斐があるような(いかにボロを出させないかが腕のみせどころ、って意味で)ないようなキャストだったんですねぇ。……いや、そもそもテーマ曲が既存の名曲「蒲田行進曲」なんだもんな。やぱり腕の揮い甲斐は無いほうかな。
でも、BGMの音楽はどれも最高なんですよ。場面に見事に色がつく。リズムが楽しくて、BGMになりきらない、主張のあるBGMなんですよね。ああいうのを存分に生かせるところは、石田演出のいいところなのかもしれません。






この後は、「階段落ち」の中止に異を唱える銀ちゃん一家(←土方歳三の名場面だもんね)と監督の言い争いがあって、「階段」のご開帳、となりますが。



この調子で書いていったら楽が終わっても終わらないことに気がついたので、次からは少しスピードアップしたいと思います。がんばります。………無理かもしれませんが。





花組全国ツアー公演のみなさま、千秋楽おめでとうございます!
最後も盛り上がったみたいですね♪CSニュースの放送は週明けかな?楽しみ♪




さて。
「銀ちゃんの恋」青年館が始まったら、たぶんあっという間に終わってしまうだろうと思われるので、今から少しづつ書き始めたいと思います。
間違いや見落としなどありましたら、都度ご指摘くださいませ。







まずは、一ベル(開演五分前)が鳴ってから少しして流れ出す、客いれの音楽。花組生のコーラスによる「蒲田行進曲」を、お聞き逃しなく!

途中で、銀ちゃんのアナウンスが入ります。「本日はようこそおいでくださいやした!倉丘銀四郎です」だったかな。アクセントの微妙なべらんめえ調の響きが銀ちゃんらしくて、かっこいいです。っていうか、こういう喋り方をすると絶妙に汐風幸ちゃんに似てる……ような気がする。もともとの声質が似てるのでしょうか。それとも、アクセントを似せているのかな?






プロローグ(企画会議)

白い垂れ幕の幕前で、専務(眉月凰)と秘書・中山(初姫さあや)が会議中。
ちなみに、初演ではもっと人数も多くちゃんと会議らしい感じで、大空さんも重役の一人だったみたいですね。すいません、ビデオ一回観たっきりのねこは何も覚えてないらしい……。


さあや「そのノートに名前を書かれると、その人は必ず…」
専務「死ぬ、だろう?DEA○H NO○Eの二番煎じかね!?」
さあや「いいえ。太ってしまいます」
専務「太るぅっ!?」
さあや「タイトルは『デブ・ノート』。他に、『萌えよ!ドラゴン』…じゃなくて『燃やせ!体脂肪』『ウェストサイズ・ストーリー』と、メタボ三部作」
専務「メタボ三本立てだとぉ~~!?」


…今ちょっと、書いていて自分に驚いてしまいました。完璧に覚えてないかおい?(違うかも)


ただ。
月組ファンとして、一つだけ突っ込みたい!
ただしくは、『ウェストサイズ・トーリー』ですからっっっっ!!>石田さん
(中村一徳さんの「プレスティージュ」ネタですね)




ここは、最初に観たときに、いずれもっとアドリブだらけになるのかしらと思ったのですが、私が観た範囲ではアドリブはなかったですね。専務の反応が、その日によってすごく激しいときと、ちょっと小馬鹿にしたような感じの時とありましたけれども。

専務は落ち着いたグレーのスーツに半白の髪。渋くて素敵なオジサマでした。
さあやは肩までのボブに臙脂色(?)のタイトなスーツ。スカートから覗く脚がきれい。サディスティックなピンヒールに細縁のめがねがキリリと似合って、かっこいいキャリアウーマン…に、一瞬、見えます。
……一瞬だけど(^ ^;ゞ。





専務のメタボ三本立てだとぉ~!?」あたりで効果音が入って、白い幕にシルエットが映る。

「ご両人!お静まりなされよ!」

幕の向こうで見得を切る、銀ちゃんのシルエット。堂々たる姿。

さあや「あ、あなたはだぁれ?」
専務「か、会議中だぞぅぉ~!」(歌舞伎の悪役が見得を切るような感じ)


銀「ふっふっふ。問われて名乗るもおこがましいが、姓は倉丘、名は銀四郎~!」

口上と同時に“どんがらがっしゃん”、と効果音が入り、眩しいフラッシュが瞬く中、白い幕が切って落とされる。
フラッシュに照らされて、コマ撮り画像のようにパタパタとひらめいて落ちていく、布。


そして、



その後ろに立ちはだかる、白黒の新撰組羽織。




デカいなあ、と思いました。
舞台での大きさ、居方の雄大さ、そういうものとは縁がないひとだと(失礼ながら)思っていたので。
ドラマシティの舞台いっぱいに、銀四郎の姿が拡がったように見えたのが、とても新鮮でした。

イブラヒム兄上の巨きさは、衣装のおかげだけではなかったんだな、と。
花組に来て、一回りも二回りも大きくなった祐飛さん。研17にもなって未だにのびしろがあるってどうよ、と思わないでもないんですけど(汗)、…しみじみと“凄い人なんだなあ”と思います(*^ ^*)。





銀「黙って聞いてりゃ好き勝手なことをほざきやがって!てめぇらみたいな野郎は、ぁこの土方歳三が、ぁ天誅をぉくだすぅ!」

なりきってキメポーズを崩さない祐飛さんが、かなりチャーミング。
そして、この前後で両袖からするするっと出てくるセットに密かに乗っている勤皇の志士たち(上手がヤス/華形ひかる、下手がトメ/日向燦)が結構ツボです。




「ちょこざいな田舎侍が!」

と、こちらもキメポーズをばっちり決める専務もとっても素敵なんですけれども。

でも、ここはなんといっても、手を挙げて合図をしながら、あごをあげて

「ものども!やっちまいな!」

と低く怒鳴り、音楽が入ったところでくるっと踵を返しがてら軽くウィンクしてハケていくさあやが、それはそれは最高に素晴らしいです。……最初、何回か観るまで「やっておしまい!(byドロンジョ様)」と言っているようにしか聞こえなくて、3回目か4回目かに「……あ、違った」と思ったことが懐かしいです。

でも、今でも「やっておしまい!」と言ってほしくてたまらない(汗)。





ここからはスムーズに、映画「新撰組」の撮影風景に入るのですが、
……長くなるのが目に見えているので、ここで切ります。

それにしても、ここまで台詞を覚えている自分に感動してしまいそう…(間違いもたくさんあるような気もするので、ご指摘をお待ちしております!)。
……この貴重な記憶力、仕事で発揮できたならどんなにか………(寂)

ねぇ、上司?(^ ^;ゞ。




銀ちゃんにかまけている間に、その前から怒涛のようだった仕事がまったく終わらず、たまりにたまって…………

こぼれてしまった。



こぼれたミルクは元には戻らない!!

……と、いうわけで、今週はとにかく必死で拭き掃除しておりましたため、、、


先日の衝撃的なニュースもスルーしてしまっておりました…(T T)。






星組主演男役、安蘭けい。
2009年4月26日をもって卒業。



記者会見のもようが公式サイトにもアップされましたが、すがすがしい笑顔ですねぇ。
「スカーレット・ピンパーネル」の成功を背に、さらに広い空に飛び立つトウコさん。
すごく粋で、かっこいいな、と思います。

こんなことになってしまうと、全国ツアー公演「ベルサイユのばら」なんて、いまさら手には入らないんだろうなあ(涙)。「ネオ・ダンディズム」、観たかった……。
いや、それどころか、来年から一ヶ月公演になるタイミングでの人気トップの卒業公演。東宝はなんだか無理そう…。植田景子さんと藤井さんが、トウコさんのラストにどんな宛書を持ってくるか、すごく興味津々なのに、観られないなんてあり得ない(涙)。
誰か私に合いの手…じゃなくて愛の手を!




あすかちゃんがどんな進路を選ぶのか、今日のところはまだわかりませんでしたが。
外部に出て、樹里ちゃんと共演してくれたら泣くほど嬉しいし、
もちろんトウコさんと共演する機会もあるだろうし…
逆に、専科に戻ってくれてもいいんだけどなあ(*^ ^*)。

どんな道を選んでも、私は応援していますから。望む道を、まっすぐに歩いてほしいと切に思います。




そして、礼音くん!責任重大だぞ!!がんばれ~~~っ!!
「ブエノスアイレスの風に」、観にいくからねっ(はぁと)がんばれよっ!!









今日は、雪組東宝劇場公演も観てまいりました。
いやー、盛り上がってますね♪どんなに疲れていても、頭がへんへろりんしていても、この作品では寝ないんだなあ私、と、ちょっと感心しました(^ ^)。「銀ちゃん」でさえ、ちょっと意識が飛んだりしたのに(←一日二回「銀ちゃん」はキツいです…)。

いろいろ、振り付けが変わっていたり、ちょっと立ち位置が変わっていたり、微妙に変化していましたが、大きな変更はなかったかな?相変わらずショーも芝居も“名作”でした♪




らぎちゃん・シナちゃんは、大劇場の倍くらいキラキラしているような気がします。
もう東宝で、これが本当に最後の公演なんだー…と思うから、余計なのかもしれません。

あと一ヶ月。本当にあと一ヶ月で卒業してしまうんだなあ……(寂)
でも、幸せなんですよね。だって、ご本人があんなに幸せそうなんだもの。



前向きで、天然で、可愛くて、真摯で、優しい、キレイな85期の天使たち。
あと一ヶ月。幸せな思い出を、たくさんつくってください。






卒業を見据えたタカラジェンヌの、なんと美しいことか。
なんと圧倒的なオーラを見せてくれることか。

「スカーレットピンパーネル」での、トウコさんの吹っ切れよう。あれは、卒業を決意していたからこそ、なのかもしれませんね。
トウコさんのラストが、素敵な作品であることを、心から祈っています。

そして、私が無事チケットをGETして、観にいけることをも(^ ^)v






明日は花組全国ツアー公演の千秋楽。
トンデモ芝居+名作ショーで、プラマイゼロ、って感じの公演でしたけど、9月に観てからずいぶん進化したんでしょうねぇ。もう一回くらい観たかったなあ~(←ショーを)

全ツ組メンバーは、終わってもまたすぐに映画祭だDSだとお忙しそうですが。
……銀ちゃんも、一回くらい観にきてくれますように……



宝塚花組ドラマシティ公演「銀ちゃんの恋」。

約一週間ぶりの観劇でしたが、いろんなピースがひとつづつ填まっていく様子をつぶさに観せていただいたような気がします。銀ちゃん、小夏、ヤス、橘……花組27名+邦さんの総勢28名が、一人ひとりキャラクターを成立させて、世界を作るためのピースになりつつ、なおかつ自分を輝かせていく姿、を。




中でも、小夏とヤス、という、事実上の主役コンビが、それぞれに、「野々すみ花」VS.「小夏」、「華形ひかる」VS.「ヤス」という闘いに、徐々に決着をつけつつあったのが爽快でした。

純粋で、ピュアで、「結婚に憧れるただの女」であった「元女優」と、
純粋で、ピュアで、「映画に命をかけた男」というより「決して手に入らない夢に心を奪われて」いる「ひとりの男」。
初演では、もっと生々しく毒のある『迷いを捨てられない一人の人間』として表現されていた二人が、あまりにもピュアな存在としてそこに在るので。
それゆえに、彼らによって描き出される「銀ちゃん」という存在もまた、あまりにもピュアで純粋な、「孤独な子供」としての表現形を与えられてその世界を生きることになった。

背中に「孤」の字を背負った、幼子のように。







小夏自身が朋子に語るとおり、「子供のまま(身体だけ)大きくなった」銀ちゃん。

“子供”という存在の、どんなにも純粋で、ピュアで、残酷で、他人の弱味を見逃してあげられなくて、自分に甘くて、そして嘘つきでいられるところが物凄く強く出た、タイトルロール。



祐飛さんの銀ちゃんは、あまりにも孤独で、言葉として表現する台詞はすべてが嘘で、なにひとつ本当にことを言おうとしないのに、
自分が「大人」だと思っている大人は、絶対に共感することのできない存在なのに、

なのに真っ直ぐに、世間の向かい風に正面から立ち塞がって、後からついてくる心弱い人々を守ってあげられる巨きさがあった。

子供のくせに。

「君を愛せもしない俺が、君に愛されたいと思う」

そんな本音を呟いてしまうくらい子供なくせに。


人を愛することを知らない子供が、
まだ愛されることしか知らない子供が、

「笑いあえば笑いあうほど離れていく…そんな気が、する」

微笑みあい、挨拶することでは、決して構築できない人間関係。
もっと生々しく、熱く、拳で殴りあい、刃で傷つけあって、はじめて理解できる、魂の形。
それは「子供たち」の人間関係。言葉では説明できない感情をぶつけあって、共感しあう子供たち。
『言葉』という武器を持つ大人たちには、決して理解できない人間関係。



この世で一番、タチの悪い子供のくせに、
誰よりも優しくて思いやりがあって、
誰よりも一番、世界を愛している、それが銀ちゃん。

そんな、ピュアな子供の『銀ちゃん』を描き出す、小夏とヤスの、穢れを知らない純粋さ。








先週末に観てから、一週間。今回の遠征で、総勢27人(+1)のタカラジェンヌたちが、表現者としての階段を一段上がる瞬間を目撃できたような気がします。
苦しんで、悩んで、人間の嫌な部分・黒い部分を見据えて登った一段は、技術をいくら訓練しても決して昇ることのできない一段で。外側をどれほど磨いても登りきれない一段で。時分ちょうどの作品と出会い、指導者に出会い、そして、正面から闘える共演者たちに出会って、初めて昇ることができるものなのでしょうけれども。

初演で銀ちゃんを演じた久世星佳さんが、CSの番組「華麗なる卒業生たち」で「銀ちゃんに出会って、卒業を意識した」という意のことを仰しゃっていらっしゃいましたが、やはり「銀ちゃんの恋」いえ「蒲田行進曲」という作品世界は、タカラヅカ的に異色であるばかりでなく、役者を『今まで居た場所』から一段押し上げてしまうパワーがあるのだろう、と思うのです。





ドラマシティの千秋楽まで、あと2日。
そして、来週には青年館公演が始まって、またあっという間に終わってしまう。
演じる皆様は、精神的には苦しくて辛くて、肉体的にはキツくて痛くて、大変な作品だと思いますけれども。
観ているだけでも、胸が痛くて切なくて、感情のアップダウンが激しすぎて、集中しすぎて観終わった後でぐったり疲れてしまう作品なのですけれども。


それでも。


短い時間ですけれども、この作品に出会えた幸運に感謝をして、悔いのないように楽しんでほしいと思います。
……ファンのみなさまも、ね!









ところで。
帰ってきて、録画していたCSのナウオンステージを観たのですが。


祐飛さん。あなたはドラマシティは「ブエノスアイレスの風」以来ではありませんよっ!!
……ま、ファン的には忘れたい作品の一つだし、ご本人がなかったことにしたい気持ちも、わからないでもありませんけどね……(^ ^;ゞ




銀座博品館劇場にて、「D~永遠という名の神話」を観劇してまいりました。





明日はいよいよ雪組東京公演初日。
みなさん舞台稽古に励んでいらっしゃるころでしょうね。
らぎちゃんも、シナちゃんも、楽しい思い出いっぱい作っているでしょうか……。




そして、雪組で上演する「ソロモンの指輪」に連動するかのように、博品館劇場で上演中の荻田浩一脚本・演出の作品「永遠という名の神話」。


ジェームス・ディーンー生涯にたった三本の名作を鮮やかに人の記憶に刻みつけ、銀幕を駆け抜けていった、若き伝説。
「彼の存在以前には、ナイーヴな子供と分別ある大人しかいなかった」とさえ言われる、「抗う若者」の象徴ともいうべき、ジェームス・ディーン。

宝塚でも何度か取り上げられている人物ですが、私は残念ながら観ていません。また、彼の出演した3本の映画…「エデンの東」「理由無き反抗」「ジャイアンツ」、いずれも全然知りません。
本当に、映像には興味がないんですよ私……(T T)。「蒲田行進曲」も、映画は観たことないし。




荻田組が勢ぞろいしたキャスティング。


ジェームス・ディーン
 東山義久

ジュリー・ハリス、ピア・アンジェリ
 舞風りら

ナタリー・ウッド
 朝澄けい

ポール・ニューマン、サル・ミネオ
 良知真次

マーロン・ブランド、ロック・ハドソン、コリー・アレン
 原知宏

“ディレクター”、エリア・カザン、ニコラス・レイ
 平澤智

ジョージ・スティーブンス、レイモンド・マシー、ジム・バックス
 戸井勝海

エージェント、ミルドレッド、母、先生
 峰さを理

“オーディエンス”
 佐野大樹




ひとことでいうと。
「Alex」「WILDe Beauty」に続く、ひとりの人間を語るシリーズの第三弾、というイメージのお芝居でした。ひとりひとりが、「ディーン」という神話について語っていく。東山くん自身が、“ディーンという役者を演じるディーン”というイメージで役に臨んでいて、その全体の「ディーン」という芝居を演出するのが平澤さんの“ディレクター”という感じ。



……うーん、「WILDe Beauty」の完成度に比べると、今回は全体にかみ合ってなかったような印象がありました。歌もちょっとハズレ気味だったし。ダンサーをそろえているので、ダンス場面はめちゃめちゃカッコいいんですけどね。
若い人たちが中心になって芝居をしなくてはならない作品なだけに、荻田さんの膨大で意味不明な台詞をこなすのに精一杯で、観客を引き込むところまで行けていなかったような気がしました。やはり、浦井くん以外はベテランで固めた「WILDe Beauty」は凄かったんだなぁ、とあらためて思ったり。


ただ、正直私の体調もかなり最悪に悪かったので……あまり偉そうなことは言えないのですが……(^ ^;ゞ




東山くんは役に良く似合っていて、良かったです。正直、もっと普通の「ディーン」をやらせてあげたかったくらい、ジーンズに赤のジャケットという“定番”の格好が死ぬほど似合っていて、ばっさり切った髪が実に男前で、素敵でした。
あれで、もう少し芝居がなんとかなればなあ~。
彼をキャスティングするには、ちょっと公演期間が短いなあというのが正直な感想です。とてもかっこいいけど、役のイメージにはよく似合っているけど、芝居の中で「ディーン」として生きられた時間がすごく短かったのが残念でした。



舞風りらちゃんは、可憐だった!宝塚現役時代は、ダンサーとしての舞風りらは結構好きでしたけど、どうも芝居がぴんとこなくて、どちらかと言えば苦手な娘役さんだったのですが、今回のジュリーとピアはどちらもよく似合ってました。
でもでも、せっかく東山&舞風で組むんだから、がっつり踊ってほしかったです!!
ダンスが少なかったのが残念だ~~!二人とも、典型的なショースターなのに~~(T T)





カヨコちゃんは、相変わらず美しかった。
何度でも書きますが、とにかくあの声が好きです。薄倖の佳人の、声。
あれを聴けるだけで、幸せでした。




良知くんは、観るたびに巧くなってますね!ダンスシーンも、東山くんとはまた違う、基礎のあるダンスで凄くカッコ良いです。原くん共々、荻田作品以外の芝居にもタマには出てほしいんですけどねx……。




今回初めて拝見した、佐野大樹さん。
*pnish*のリーダーさんか~!どっかで聴いたことがある声だと思っていたんですが、そっか(汗)。一回観たことがあるのに気がつきませんでした(汗)。

ものすごく美形で、スタイルが良くて(細身で脚が長くて腰が細くて肩幅がある。めちゃめちゃどっかで観たことがあるバランス)、そして、声が物凄く良い!!
滑舌もしっかりしていて、明瞭で聴きやすい台詞。「オーディエンス」というのは、「凍てついた明日」などで荻田さんがよく使う手、「スターを見守る大衆」の象徴的な役柄ですが。今作品での佐野さんの役どころは、まぁ率直に言ってしまえば「説明役」って感じでしたね…。
もう少し巧い使い方が(脚本的に)あったと思うんだけど~~!?という気もするのですが、あの美声を聴いていると幸せになってしまうので、いっぱい台詞をくれてありがとう、という感じでした。





平澤さんは、ジミーを取り巻く「大人たち」の象徴として、かなり出突っ張りの喋りっぱなしでした。佐野さんと二人(時に峰さんと三人)で説明役を買って出てた印象。
「ジミー」に対して、大衆の見る夢としての「ジェームス・ディーン」を実現するための演出というか、稽古をつけているような立場で物語が進みます。
ところどころで、「エデンの東」を撮ったエリア・カザン、「理由無き反抗」の原作兼監督だったニコラス・レイなど、役を演じる場面もあるのですが、そのときでさえ、キャラクターはあまり変わらず。ただただ、「若者の側に立った大人」を演じていました。




となると、一番“大人”だったのは戸井さんってことになるのかな?ジミーの父親とか、映画で父親役を演じる俳優とか、そのあたりの役をまとめて演じていましたが…
相変わらず巧いんだけど、あの髪型はどうにかならないんでしょうか。…グランテール、マリウスと演じていた頃は、文句無く「美形」だったはずなのになあ(T T)。ここ数作品、毎回髪型で失敗しているような気がします。
父親の三態、じゃないんですけど。毅然とした冷たい父親、気が弱くて現実と向き合えない、不良息子と正面から向き合えない父親、、、いろんな父親を演じていましたが。なかなかの嵌り役だったような気がします♪
荻田さんは、この人を何故使うんだろう……と思っていたのですが。
たぶん、やっぱり、あの声なんだろうなぁ~。(納得)




峰さんは、結構いろんな役をやっていました。ジミーのマネージャー、それもブロードウェイの人とハリウッドに言ってからの人は違うみたいだったし、他にもジミーの母親の幻想とか、いろんな役を演じていましたが……
さすが!でした。落ち着きと気品、そしてキャラクターの幅広さ。
私は、峰さんの舞台って多分OG公演の「心中・恋の大和路」の八右衛門さましか観ていないと思うのですが、さすがに女役の良さは全然違うなーと思いました。歌はもちろんさすがだし、芝居を締めていたと思います。カッコよかった(*^ ^*)







荻田作品は、本当に当たり外れがかなり大きくありますが。
今回の「D~」は、かなり評価が分かれるだろうなあ、と思いました。
私はたぶん、もっと体調の良いときに行ったなら、すごく面白かっただろうと思います。

……教訓。観劇は体調を整えてから行きましょう。ね。




あれだけのダンサーを集めているんだから、もっともっとダンスシーンを増やしてほしかったよ~~~!!
ラストのラスト、証明が落ちる寸前の、東山くんの高々としたジャンプに気圧されました。
奇跡のようにカッコよかった……。
あれを観るためだけでも、7800円の価値がある、……かもしれません(^ ^)。




ドラマシティ公演「銀ちゃんの恋」。




…個人的なことですが。
「ねこの手も借りたい」ということわざどおり、借りられっぱなしの猫は、会社から“直行直帰”のドラマシティ遠征でございました。夜行バスで戻ってそのまま出社して、銀ちゃんに貰ったパワーで完徹の夜をなんとか乗り切り、昨日久しぶりに家に帰ったのですが。


おそろしいことに、
……窓が開けっ放しでした(汗)。


いやー、仕事が忙しいときって何をするかわかりませんねー。
あまりに忙しくてろくに掃除もしていないため、何か無くなったものがあるのかどうかさえわからない(爆)という、悲惨な状況で。ぼろ雑巾のように疲れ切って、やっとの思いで帰ったというのに、家に着いたら余計に疲れてしまった、というエピソードでした。

世の中は期初。忙しい方は他にも多いかと思いますが、書きたいことが多すぎて頭が沸騰しそうな「銀ちゃんの恋」の更新がこんなに遅れたのは、そういう切羽詰った状況だったからなのです…と、自分に言い訳してみたりして(汗)。






さて。
「銀ちゃんの恋」。

ずっとずっと、再演を待っていました。
ビデオでしか観たことがないのですが、(汐風)幸ちゃんのヤスが好きで、好きで、大好きすぎて、どれだけ「ナマで観たかった!」と悔やんだことか。
卒業してもいいじゃないか!「心中・恋の大和路」みたいにOG公演してくれ!と、どれほど祈ったことか。




まさか。

まさか、祐飛さんの銀ちゃんなんて、想像したこともなかったけれども。





でも。

再演のくせに、宛書としか思えない祐飛さんの銀ちゃん

ご本人はどう思っているんだろう?と勘繰りたくなるほどの、“いくらなんでもそれはあんまりじゃないの?”的な宛書っぷり。「あれって祐飛さんへの宛書っつーか嫌味だよね?石田さんって…」と思った台詞のアレもコレも、みーんな初演から変わってなかったと解ったときの、衝撃。







最近、一部で流行っている言葉を使わせていただくならば。

再演は再演であって、初演の再現なんて出来るわけがない。

なのに。

再演のくせに、祐飛さんの銀ちゃんは、ふつーに宛書だった……






初演の「銀ちゃんの恋」は、『異色作』でした。
まず、時代が違います。12年前、「デイジーはタカラヅカのヒロインらしくない」という理由で「華麗なるギャツビー」が却下され続けた時代から、それほどたっていない頃。
「蒲田行進曲をタカラヅカで?気でも違ったのか?」と言われたことでしょう、きっと。

「愛」を根本テーマとするタカラヅカと、対極にある世界観。
メインとなる3人が、許しあい、認め合うことのない世界。

小夏の愛に依存して生きてきた銀ちゃんは、小夏が自分の人生を歩き始めることを許さない。
ヤスの憧憬に依存して“スターとしての自分”を創りあげた銀ちゃんは、ヤスが成長して「親離れ」していくことに耐えられずに、壊れてしまう。
銀ちゃんという“突出した存在”に依存していた小夏とヤスは、銀ちゃんを喪ったお互いの心の隙間を、闇を、舐めあうことはできても埋めることができない。


だけど。


石田さんは、「タカラヅカ」で「つか」をやりたかった。
そこに久世がいたから、
汐風がいたから、
風花がいたから。



…私は、意外と石田ファンの自覚があるんですけれども。
彼には狂気があると思うんですよね。「これをやらずにはいられない!」という、宛書の欲に勝てない狂気が。

そこに絵麻緒がいたから、「谷崎」をやらずにはいられなかったように。

谷崎の「春琴抄(殉情)」は、まだ比較的『「愛」に近い「執着」』をテーマにしているから入りやすかったはずですが、それでも、石田さんは彼らの「愛」を説明する“先生”を出す、という卑怯な技を駆使して、かろうじて「タカラヅカ」の中に片足残して作品を構築していました。


なのに。
つかの「蒲田行進曲」は、そもそもテーマが「依存」です。
「執着」でさえない。
ヤスが「銀ちゃんが殴ってくれない」ことを哀しむのは、彼が痛みに快感を感じるからではない。なのにそれを、「なぜ殴ってくれないんですか」という言い方しかできないところに、銀ちゃんとヤスの関係の歪み、依存による関係のひずみがあるわけです。
それが「執着」だったら、それを銀ちゃんに言うことも出来ないはずなのだから。

それだけ、銀ちゃんには自分の思い通りになる「ヤス」という存在が必要であり、ヤスには「銀ちゃんに必要とされている」という実感が必要なのだ、と。

それは、タカラヅカでは絶対にあり得ない関係だし、そもそも、誰の心にも「愛」の無い人間関係を、なぜタカラヅカでやらなくてはならないのか、というのは自然な疑問だと思うのです。



それでも石田さんは、久世と汐風と風花が揃った月組で、「つか」をやらずにはいられなかった。
……「タカラヅカ」なのに。



だからそれは、完全に「タカラヅカ」の枠を外れた『異色作』にならざるをえなかった。
石田さんは、結構根本的なところに手をいれていて、銀ちゃんが最後には役者としてのヤスを認め、彼の成長を見届ける方向に変わっていたり、小夏の気持ちをかなり“愛”に近いものに変えていましたけれども。
それが“愛”だと割り切ってしまったら、「つかこうへい」をやる意味がないわけで。

難しいバランスを、よく守りきったと思います。石田さんも、当時の月組メンバーも。





なのに。

12年たって、今度は「そこに大空祐飛と華形ひかると野々すみ花が揃った」から、「銀ちゃんの恋」を再演する、と決めたとき。





「銀ちゃんの恋」は、「タカラヅカ」になっていた!!




台詞は同じです。
場面もほとんど同じ。
なのに。
銀ちゃんが、ヤスの成長を許している。自分を超えていくことを望んでいる。

銀ちゃんが、ヤスを愛している。



むしろ、ヤスの銀ちゃんへ向かう気持ちが薄れたような気が、しました。
初演はビデオでしか観ていないので、そのせいかもしれませんし、
ヤスと銀ちゃんが、ひたすら互いだけを見詰め合うのはではなく、二人が同じ方向=“いい映画”を夢見ているのだ、ということが、初演以上に強く感じられたせいかもしれません。


あと、印象として強いのが、
ヤスが初演より可愛くなって、でも、「その気になれば、それなりのところに就職だって出来たんだ」という台詞が、負け惜しみではなく事実として納得できる現実感があったこと。
その扉を、「映画で夢を創ることを選んだんだ」と、誇らしげに言うヤスが、すごく格好かった!
幸ちゃんは役者馬鹿すぎて、そんな風には見えなかったのに…(同じ台詞があったかどうかは覚えていないのですが)






……「異色作」だから、「タカラヅカ」だから、どっちが上だ下だどうだと言うつもりはありません。
初演は、「タカラヅカでよくこれを上演した」という衝撃があったのでしょうし、
再演は、「よくこれをタカラヅカにした!」という驚愕がありました。


というか。
初演が「タカラヅカが恋をした蒲田行進曲」の話だとしたら、
再演は「蒲田行進曲を愛したタカラヅカ」の物語だった。
そういう、違う物語だったから。



共通しているのは、「夢」かな。
ヤスの観る夢は、銀ちゃん。
銀ちゃんが主役で格好良くキメてくれる映画を、彼は作りたいのだ。
それを観れば、すべてのひとが幸せになれると信じているのだ。
銀ちゃんにはそれだけのパワーがある、と、信じきって、疑わない。


それだけのプレッシャーを、その広い(ちっちゃくない)肩に載せて。
銀ちゃんは今日も行く。


心のあらゆるところに傷を受け、どくどくと血を流しながらも、
ただただ、世界のすべてを愛している。


それがスターというもので、
銀幕のスターも、タカラヅカのスターも、ファンの夢を背負っていることは同じなのだ、と、


……そういう話だったのか、と。





ヤスが、自分を超えていく。
やれるもんならやってみろ、という敵愾心と、
今まで自分を無条件に認めてくれた唯一の瞳を、喪う恐怖と、

そして、大事な身近な人の成長と成功を喜ぶ、素直な気持ち。


銀ちゃんの中の、そういった感情が渦を巻く、二幕。
二幕はもともとヤスが主役の物語なのですが、それでも、ヤスの視線の先にある「銀ちゃん」という存在は常に舞台の上にあって。
「銀ちゃん」から目を逸らそうとするヤス。
それを許さない、小夏の存在と、

ヤスが逃げても、背を向けても、ただ愛してあげられる、銀ちゃん。



銀ちゃんがヤスに向ける感情が、愛なのだと。
彼の成長を喜ぶ気持ち、それが、無償の愛なのだ、と。

それが、「蒲田行進曲」が「タカラヅカ」になった証なのだ、と。










めお(真野すがた)ちゃんの橘が、ものすごく格好良くて“いい男”だった!
銀ちゃんに対抗できる、たった一人のスター!!という存在感が、いかにもそれらしくて、本当にこの人も宛書みたいにぴったりはまっていました。素晴らしかったです。

この役は、数年前のつか演出の舞台版では「中村屋」という“伝統ある梨園の御曹司”というスターとして描かれていた役で、彼が下積みから這い上がってきた“成り上がり”のスター・銀ちゃんを馬鹿にする、という設定まで追加されていて、すごくいい役だったのですが、
今回の橘は、「銀ちゃんと同期のライバル」で、性格の悪さはたいして変わらない(^ ^)ながら、ちょっと泥臭い熱さ・激しさを売りにする銀ちゃんに対して、『スマートな格好良さ』を売りにしているという設定が、なんだか本当にリアルな感じで。
みつるくんのヤス、めおちゃんの橘というのは、観る前からそれしかないだろう!と思ってはいましたが、やっぱりそれしかなかったか!という感じでした(はぁと)





きらりん(華耀きらり)の朋子は、もうコレ以上のものは無いと思ったほど可愛かった!

……あのぉ。背負っているリュックが、猿のバージョンと熊のバージョンがあったんですけど、あれは衣装なんでしょうか。それとも私物なんでしょうか。私の箪笥で眠っている白兎のリュックとか、三毛猫のリュックとかを差し入れしたら、使っていただけるのでしょうか……(夢)







そして、(初姫)さあや。
最初から最後まで、さあやが出てくるたびにそっちを観てしまって、困りまくりました。
もう本当に、なんとかしてほしいほど素敵でした。銀ちゃんさえ目に入らないほど、さあやに釘付け。カラオケバー「ししとう」は本当に何をするかわからなくて目が離せません。
今回の公演は、「美少女」モードの場面はほとんどなくて、終始「美人秘書」モード全開で、大変なことになってました。いやもう、ちょっと長めのボブが死ぬほど似合う。美人すぎるくらい美人なのに、リアルで違和感がない。
そしてとどめが、一幕後半の人吉での盆踊りの歌手でしょうね。ここだけ美少女バージョンですが、おぼこい田舎娘のナチュラルな魅力全開で、真顔で見惚れてました…。下ではみんな色っぽく踊っているのになーーーーーっ(T T)。






そして、通し役のついていない下級生たちの中で、今回ちょっと目を惹いたのがアーサー(煌雅あさひ)と輝良まさとくんのコンビ。背も持ち味も雰囲気も、そんなに合っているとは思えない二人ですが、コレだけコンビ扱いされてずーっと二人で並んでいるのを観ていると、だんだんお似合いに見えてくるから怖いです。
二人とも以前から気になる下級生ではあったのですが、輝良くんは美貌に磨きがかかったような気がしました。すましていると、月組の遼河はるひさんにちょっと似てる?…見た目だけですけどね。中身は濃いです。花組男役ですから。
アーサーは声が好きなので、歌がなかったのが残念なのですが、なんだか今回めちゃくちゃ素敵でした。一番印象的だったのは、小夏と銀ちゃんの出会いを描いた「任侠一代」の場面の、“舎弟”役かな。時代物でよく見かける衣装ですが、よく似合っていて、一癖も二癖もあるヤクザものの色気がありました。……「白い朝」とか、いつか見てみたいかも。

紫陽レネさんは、橘のマネージャーがとっても素敵でした。保険屋も良かったけど(^ ^;)。

真瀬(はるか)くんは本当に芝居が巧いなぁ…。ラストの殺陣師なんて、どこの上級生かと思いましたよ!!こういう人に、ちゃんとした役がつく宝塚であってほしいと思います。





通し役がついている上級生たちも、本当に良くがんばってました。
銀ちゃんの子分たちも、橘の子分たちも、スタッフ陣も、女の子たちも、みんなみんな。
まだ初日があけたばかりで、周りを見れていない人もたくさん居ましたけれども、一人ひとりが「今の自分」の精一杯を出して、出し切って、緊張感とプレッシャーを楽しんでいたのが印象的です。

一回一回、公演のたびに。
観ている私にも、(たぶん)演じている彼らにも、新しい発見があり、新鮮な驚きがあった公演。
初日からもうすぐ一週間。ちょうど公演も中日を迎えようという今、芝居がどれだけ進化しているか、気になって気になってなりません。




異色作だけど、タカラヅカ。
タカラヅカの枠の中にしっかりと納まった、異色作。



“タカラヅカ”の懐の広さ、
“タカラヅカが描く世界”の、奥行きの深さ。

「ソロモンの指輪」から「銀ちゃんの恋」まで、
私は、すべてのタカラヅカを愛している。


「銀ちゃんの恋」がスタンダードになることはないだろうし、
そもそも、そんな「タカラヅカ」に興味は無いけれども、

いつまでも、「銀ちゃんの恋」を受け止められる「タカラヅカ」であってほしい、と、
切に、そう祈っています。






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