今日は、二度目の雪組(本公演)観劇でした。

2016年のオリンピックがリオに決まった、とゆーことで、一日遅れだけど何かアドリブあるかなー?と楽しみにしていたのですが、特に何も無かったです。
ちなみに、今日(WOWOW貸切)の呪文は、ピンクレディーの「UFO」。さゆちゃんは「ペッパー警部」の方が好きなんだそうです。……せっかくなので、歌ってほしかったなー。などと、ついつい雪組さんのファンブログのように呪文報告をしてみたりして(^ ^;ゞ
そういえば、ヘンリーさんが眼鏡をかけていたのは、もしかして貸切サービスなんでしょうか(*^ ^*)。前回はかけていなかったような。細い銀縁の眼鏡のおかげでS度がアップして、めっちゃ可愛かったです。(←もしもし?矛盾してませんか?)

稽古場での、スターリンを囲むミュージカルシーンでのユーリ先輩は、確かにちょこっとピエロと絡んでるんですけど、煩そうに手を振ったりして、一緒にラインダンスに参加したりはしていませんでした。……あずりん……。
キングを観るたびに、うんうん、やっぱり君にはそれ(ロバート)が似合うよ、と思ったり。
あゆちゃんタチヤーナの「みんなに夫を紹介したいし!」の落ち着きっぷりに見惚れたり。
改めて、心の底から楽しかったです(*^ ^*)。





雪組さんについては、このあたりで終わりにして、今日は、すごく今更で申し訳ないみたいですが、花組「外伝・ベルサイユのばら」についての続きを。まだ衛兵隊以下を書いてないんですよね。すみません。だいぶ記憶が薄れつつありますが…がんばります。
他にもいろいろ書いてない公演が溜まってきているので、しばらく落穂ひろいが続くかもしれません。9月末がちょっと忙しすぎましたね(反省)。


とりあえず、衛兵隊の登場から。

マリーズ(桜乃彩音)がシモーヌ(夏美よう)に連れられてブイエ将軍(星原美沙緒)の邸に行く場面(←遣り手婆、いや美人局?が身請けされた妓を届けにくるところですな)が終わって幕が降りると、今までとは趣の違った音楽が流れ出します。

袖から幕前に登場して、おもむろに歌いだす衛兵隊員たち。
さ、最初に歌いだすのはみつるくんであってますか?その前の場面があまりにも怖かったので、明るい音楽にびっくりしてしまってよく覚えてないんです(汗)。歌も巧かったし(←だからみつるくんだと思わなかった…なんて言ってません)

■アルマン(華形ひかる/瀬戸かずや)
■ロセロワ(日向燦/真輝いづみ)
■ドランド(扇めぐむ/天真みちる)
■ドレッセ(夕霧らい/航琉ひびき)
■ブルゼ(祐澄しゅん/冴華りおな)
■シャロン(朝夏まなと/彩城レア)
■ラサール(月央和沙/水美舞斗)
■ヴェール(望海風斗/日高大地)
■アルベール(嶺乃一真/夏城らんか)
■ジャン(彩城レア/輝良まさと)
■ミッシェル(煌雅あさひ/花峰千春)

……花も実もあるメンバーをこれだけ集めて、アレ、ですか。
雪組さんのメイエルホリド劇団メンバーなんて、大湖せしる(88期)の次は朝風れい(90期)なんだぞー!!出番も台詞の量も、大して変わらないような気がするのにさっ。
いやもちろん、作品における存在意義は衛兵隊の方がずっと高いんですけど(衛兵隊がいなかったらリピートは無理)、そりゃーこのメンバーが突っ込まれてるから結果的にそうなっているだけで、普通にネコちゃんやアーサー以下だけのメンバーでも芝居的には全然問題ないだろうに……。

などなど文句は言いつつも、マメちゃんが二枚目キャラだったので全てを許そう、と思いました。これで卒業のマメちゃん、すっげー二枚目で、めちゃめちゃ格好良かったです。
新公の真輝いづみちゃんも口跡よくて素敵だったし、良い役だなあ……。ちなみに、この役は2006年の雪組オスカル編にはいなかったんですよね。マメちゃんのためのオリジナル役なんでしょうか?(^ ^)(多分違うと思うけど)

アランの下のリーダー格はみつるくんですが、登場からめちゃめちゃ目を惹きました。残念ながら、一回しか観ていないのでどの台詞が誰のか今ひとつわかっていないのですが(T T)、だいたいキメ台詞はアルマンだったような。新公の瀬戸くんもメチャメチャ格好よくて、私の廻りは彼が登場した瞬間、ザッと音がしそうな勢いでオペラグラスが上がってましたよ(^ ^)。ブレイクの予感、というか、ブレイクしたなーという実感がありました(*^ ^*)。

まぁくんのシャロンはちょっとヒョロヒョロした感じで、結構目立つように演出されていたような。とみぃ、らいらい、しゅん様、よっちと、合わせて5人の88期が全員揃ってうろうろ(?)していて、なんだか可愛かったです。
シャロンの新公のネコちゃんも声が良いので随分目だってました。髪はどんなだったっけなああ…。すごく格好良くて、しばらく誰だかわからなかったです(←ごめんなさい)。

ヴェールのだいもんは、衛兵隊の制服だと普通にカッコ良かったです。やっぱり問題は、最後の微調整をする時間があるかないか、なのかな…。
結構台詞があったので、新公のプログラムを観て、「え?あのだいもんの役を日高くんがやるの?」と不安になったのですが(汗)、日高くん、普通に喋れてました!!ああ、良かった、本当に(*^ ^*)。これからがまた楽しみになってきました♪

ミッシェルのアーサーが不思議と目立つような気がして、いよいよ私はアーサーのファンになったのか(←今までは違ったとでも?)と思ったのですが、、、もしかして、華が出てきたのかなー?と嬉しかったです。新公の迫力も凄かったし。ただ、ミッシェルについては、新公の花峰千春ちゃんもめちゃめちゃ目につきました。…花峰さんも大好きなので、単純にそういうことなのかなーとも思ったりしますが。



■名前の無い衛兵隊員:
瀬戸かずや、冴月瑠那、鳳真由、輝良まさと、真瀬はるか、日高大地、大河凜、真輝いづみ、航琉ひびき、羽立光来、冴華りおな、水美舞斗、柚香光

このあたりのメンバーをしっかり観るなら、二階席がお勧めです。瀬戸くんや輝良くん・日高くんあたりの長身メンバーは問題ないけど、ルナちゃんとか凛ちゃんとかをしっかり観ようとすると結構辛い…。結構うろうろ動き回るので、すぐ見失うし(T T)。
まーとにかく瀬戸くんの気合の入った美形っぷりと、ルナちゃんのこれまた気合が入りすぎなライオンヘアーと、真瀬くんのさりげない二枚目ぶりに惚れました(*^ ^*)。なんだか真瀬くんがふつーにカッコいいんですけどーーーーっ!(オロオロ)。アンドレに「右」「左」とかって方向を教えるところで、途中で天を仰いだんですよあの人。………綺麗だ、と初めて思いました(*^ ^*)。

そして、奥の方に見え隠れしていた細面の美貌は、たぶん、95期の柚香光さん、ですよね…?(自信無し)もうちょっと前に来ないかなーっ。



■同・新人公演:
銀華水、神房佳希、鳳龍あや、和海しょう、羽立光来、舞月なぎさ、朝陽みらい、柚香光、愛羽ふぶき

銀華さんがこんなに下級生だってことをすっかり忘れてました。どうして台詞がないのか不思議でたまらない(汗)。50/50で覚えた鳳龍あやさんもとても素敵です。お願いだからもう少し絞って!!(切実)
個人的にお気に入りの舞月さんが、意外と骨太な感じで立っていて、良かったと思います。
本公演で『ん?』と思った柚香さんは、新公でも同じような位置(下手奥)に立っていて、それじゃあ新公の意味がないだろう!!と思いました。確かに、飾っておくには得難い美形なんですけどね。それだけじゃ勿体無い……。



■カトリーヌ(桜一花/月野姫花)
■ジョアンナ(初姫さあや/瞳ゆゆ)
■イヴォンヌ(華耀きらり/白姫あかり)
■イザベラ(白華れみ/実咲凜音)
■イレーネ(天宮菜生/菜那くらら)
■メリー(華月由舞/真鳳つぐみ)

こちらも、本当に華も実もあるメンバーなのになあ……。
いや、まあ、意外と良かったですけどね。思ったよりは出番もあったし。(一場面かと思っていました)

一花ちゃんは、小柄だけどちゃんと『お姉さん』な感じが出ていて良かったです。いつのまにか、大人の女ができるようになっていたんですね。カワイイのに、素敵だなあ。
さあやは今回は完全な美少女モード全開で、なんだか回りのヒロイン経験者がかすんでしまいそうなほど美少女オーラが出てました。働き者で器用そうで、良い養女になりそうなんですが。どうでしょうブイエ将軍。

きらりんは可愛い。イヴォンヌも可愛いし、マリーズやシモーヌとの絡みもさすがに達者なんですが、今回の公演での一番のヒットは、革命の場面での赤茶の衣装の娘。 大きな目を見開いて、反抗的な瞳でガツガツ踊って、その勢いのままクルクル回りながら前に出てくるんですよ!!撃たれるのかっ!?と思ったのですが、そのあたりはなんだか誤魔化して終わってましたが。
いやーーーー、可愛いよ~(*^ ^*)。

れみちゃん、はるちゃん、由舞ちゃんの89期トリオは、もう誰を観たらいいのやら、という感じ。三人並ぶと、本当に、どっかに飾っておきたいほど可愛いです。ああ、誰を養女にしようか……(←違うから)



■名前のない酒場の女:
聖花まい、梅咲衣舞、遼かぐら、月野姫花

聖花まいちゃん、最後なんだから名前くらい……とも思いましたが(T T)。なんだかなあ。
芝居のできる人なのに全然機会も与えられず、残念です。でも可愛かった(*^ ^*)。
衣舞ちゃん、かぐらちゃんもちょこまかとよく働いてました。姫花ちゃんは可愛い。喋らないと本当に可愛いのになあ……(溜息)。



■同・新人公演:
花蝶しほ、初花美咲、桜帆ゆかり、仙名彩世

花蝶しほちゃん、なんだかもの凄く一生懸命な子、って感じでした。衣装も良く似合ってて可愛い。初花美咲ちゃんは本当に美少女ですねぇ。ブイエ将軍、この子も良い子ですよ♪(真瀬くんのブイエはそんな邪なことは考えてないってば!!)
桜帆ゆかりちゃんも可愛いけど、仙名さんもメッチャ可愛いですね(*^ ^*)。もうちょっと目立つ役をつけても良い子なんじゃないかな、と思いました。



■村人1(紫峰七海/天真みちる)
■村人2(紫陽レネ/真輝いづみ)
■村人3(浦輝ひろと/花峰千春)
■村人4(夏城らんか/鳳龍あや)

ふみかクラスでこんな役かよ、とか、レネちゃん最後なのに、とか、思うことはたくさんありますが。まあ、そんなことを言ってもはじまらない……ですよね(T T)。
皆が皆、勝手にわらわらしていて妙な団結力がないところは良かったと思います。ついやりすぎちゃって衛兵隊みたいになってしまうと駄目なので。ふみかちゃんが良くまとめた、って感じなんでしょうか……。

新公も、4人ともちゃんと喋れる人なので普通にテンポよく進んでいたと思います。短い場面ですが、いろいろ小芝居もしつつがんばってました(主に、台詞のないルナちゃんとか輝良くんとかそのあたりの上級生たちが)。下級生も、もう少し遊べると舞台が面白くなってくるんだけどなあ……


そんなところでしょうか。
引っ張ったわりに、記憶力の問題もあって、あまり内容がなくて申し訳ありません。
公演もいよいよ明日で千秋楽ですね。マメちゃん、レネちゃん、まいちゃん、嶺乃くん、最後まで悔いなく演じきられるよう、祈っています。
そして、東京でお待ちしていま~す!!(^o^)


雪組新人公演「ロシアンブルー 〜魔女への鉄槌〜」つづき。
とりあえず、プログラムの役柄紹介のページに載っている順で。




スターリンのそっくりさん、ミハイル・ゲロヴァニ(汝鳥伶)役の凛城きら
今回は、スターリンの肖像画が全部本公演のと同じだったのが残念…。新公用に作り直してあることもあるのになあ。ゆうちゃんさんがホンモノのスターリンに似すぎているから?(^ ^)

92期の超実力派・凛城くん、今回は随分ぶっ飛んだ役でしたが、楽しそうに演じていて、とても良かったです♪歌も芝居も、本当に安定した人だなあ(感心)。温かみと茶目っ気を感じました。
マリポーサ、ゾロと二作続けて準主役格の役を演じていたときは、ちょっと相手との呼吸や間の取り方、芝居の受け方に課題を感じていたのですが、今回はちょっと引いた位置での芝居がすごく良くて、回りがみえてきたのかな?と嬉しくなりました。体型も誤魔化せる役だったし(^ ^;)、良い経験になったんじゃないかな♪ 次が楽しみですね♪



イリーナの先輩、カテリーナ(五峰亜季)の此花いの莉
少し硬質な低い声、きっぱりとした堅い台詞回し。憲兵隊の隊長だったという前身も納得できる、強烈な強さを感じる女性官僚っぷりで、とても良かったです。甘さのない歌声もとても格好良い。当たり役だなあと思いました。



アメリカ民主党の委員、レベッカ(美穂桂子)の透水さらさ
美しいソプラノの歌声に定評のある人ですが、台詞の声はちょっと高すぎて、『お姉さま』らしい威厳が足りなかったかなー。台詞回しも個性的で、慣れるまでは少し違和感がありました。
あと、髪型がみなこちゃんのイリーナにそっくりで、もともとの顔の輪郭もよく似ているので、一瞬見間違えてしまった(笑)。もっと違う鬘の方が似合いそうなのにな。



日本人留学生、佐野碩(彩那音)の愛輝ゆま
本役のひろみちゃんより、どっしり感のある役作りだったような気がします。いろいろ忙しかったんであまり注目することができなかったのですが(ごめんなさい)、こういうちょっと浮いた役って案外難しいのかな。歴史的な背景を知らないと、ただの『謎の日本人』になってしまいがちな役どころですが、一生懸命『人物』を語ろうとがんばっていたのが印象深いです。
良い役者になりそうなのに、卒業は残念……。



アメリカレビュー団の若手スター、女たらしのダーリーン・ロス(彩凪翔/早霧せいな)と、カメラ小僧で演劇おたくのロジャー・ドリトル(久城あす/沙央くらま)
久城さんの美形っぷりにあらためて驚きました。前回のリトル・クロウも相当にヒットだったのですが、今回はもう……。なんだか、宙組のちーちゃん(蓮水ゆうや)に似てるような気がしたんですけど、気のせいでしょうか(惚)。コマちゃんのロジャーもオタクっぷりが可愛くてめちゃめちゃ好きなんですけど、久城さんも自然な芝居でキャラ立ちがはっきりしていて、すごく素敵でした♪

真波そらちゃん似の(←まだ言うか)彩凪さんも、相当に私のストライクなんですが。ダーリーンは、ちょっとあざとい感じに役作りしていたせいか、前回ほどは嵌りませんでした(^ ^)。とは言っても、やっぱり素敵なんですけどね。個人的に、プロローグの一番最初に、緑の衣装を着た魔法使いとして女の子たちと踊っているときの彩凪くんがお気に入りです。……相手役も可愛かったんだけど、誰だったんだろう……(謎)。



メイエルホリド劇団の看板女優・ジナイーダ(麻樹ゆめみ)の千風カレン
前回に引き続き、麻樹さんの役なんですね。歌も芝居も達者な人同士、何か通じるものがあるのでしょうか。
プロローグの魔女・ユリアといい、ジナイーダといい、実に見事な女丈夫っぷりで、素敵でした。千風さんといえば、「凍てついた明日」のブランチの名演が忘れられないのですが、ちょっとコメディ色のある、歳上の女性が実に似合う女優ですね。
次はぜひ、色気のある役を観てみたいです。レベッカとか、似合いそうだったのになあ…。



ソヴィエトの誇る演出家エイゼンシュテイン(奏乃はると)の、朝風れい
なんだか、思ったより出番は少ないんだなあ、と思ってしまいました(ごめんなさい)。本役さんとは居方が違う感じで、あんまり『大物』感がなかったかなー、と。回りががちゃがちゃやっていたから、その演出の違いでしょうか?落ち着いた大人の雰囲気は良く出ていて、良かったと思います。
ああ……本役がにわにわで新公が朝風さんってことは、絶対ソロがあるに違いない!!と期待したのにぃ(↓)。



ユーリ・メドベージェフの元同僚・エフゲニー(涼瀬みうと/真波そら)と、後輩・マクシム(透真かずき/彩夏涼)
最初の登場場面で、いきなりアドリブというかギャグを飛ばしながら出てきたことに驚いたのですが……。あ、あれは大野さんの脚本変更なんですかっ!?全然キャラが違うじゃないか〜〜〜っ。
ぜえぜえ。いやホントに吃驚したんですけど。エフゲニーは美形枠だと思っていたのに、いつからギャグ枠に?(いや、涼瀬くんも十分美形軍団の一員の資格があるはずなんですが……)

あずりんのユーリと共に、本公演とのキャラの違いが大きかった三人でしたが、それなりに、作品の中で違和感なく存在していたので、良かったんじゃないかと思います。エフゲニーの強さとか、マクシムの明るさ・可愛らしさとか、本役とは違う役柄になっていて、同じ脚本でも、言い方とか目線とかで印象って変わるものですね。芝居心のあるひとたちなので、面白い経験になったと思います。
ユーリとエフゲニーの関係はが『ごく普通の友人同士』って感じで、それ以上の感情はなさそうに見えたのは、個人的にはちょっとだけ残念でした。……ちょっとだけ、ね(^ ^;ゞ



エジェフの金魚のフン、バーベル(冴輝ちはや/大凪真生)とイワン(寿々音綾/香綾しずる)
……あらためてキャストを書いてみて、初めて気がつきました。このお二人、卒業生コンビなんですね(T T)。芝居も達者で安心して観ていられるお二人で、観劇中は全然そういうことは考えなかったのですが。
がおりちゃんが写真を破り捨てる場面(人型に切り抜き線が入ってました!)の慌てっぷりとか、すごく達者で面白かったです。ラストに戻ってきたときの冴輝くんの「ニヤリ」笑いがなかなかワルくて、一瞬なんですけど見惚れちゃいました(^ ^;。
最後にもう一度、冴輝くんの歌が聴きたかったなあ……。



メイエルホリド劇団の看板俳優(?)イーゴリ(大湖せしる)の、凰華れの
雪組の誇る美形軍団の一人、れのちゃん。イーゴリは美形枠なんだなあ、としみじみ納得。
グループのセンターで歌うせしるにドキドキした本公演、グループのセンターで歌い踊るれのちゃんにドキドキした新人公演。……どっちも楽しかったです、はい。



ゲロヴァニの付き人・パヴェル・ウソツキー(紫友みれい)の、月城かなと
も、もしかして……まだ研1の95期?すげーーー。普通に男役として立っていて、何の違和感も無く観ていました。確かに台詞とかは少ないし、ちょっとオネエ言葉だから粗が目立たないんだけど、それにしても達者な人だなあ(感心)。



ウィスラー家のメイドで、ヘンリーの妹・ロビン(大月さゆ)は、舞羽美海
可愛いぞ!みみちゃん、もう少し声のトーンが落ち着くとすごく良いと思います。さゆちゃんとはまた違った可愛らしさのある役作りで、とにかく可愛かった(^ ^)。



ペトルーシュカトリオ(笙乃茅桜/沙月愛奈、詩風翠/愛輝ゆま、央雅光希/香音有希)
ひーこちゃん(笙乃茅桜)、すごい!!
轟さんのコンサートで組んでいる姿を観てから、結構ずっとチェックしてきたダンサーなんですけど、今回は本当に凄かった。バレリーナとしての技術も凄い(多分)んですけど、それ以上に、仕草のひとつひとつになんともいえない愛嬌というか可愛らしさがあって、素晴らしかったです。ふいっと目が留まるというか。目が離せないというか。
ペトルーシュカの詩風さんも、ゾロの新公でさゆちゃんの旦那役でオロオロしていた印象しかなかったのに(←すみません)、こんなに踊れるとは(@ @)。芝居ッ気のあるダンサーじゃないと勤まらない役なんですけど、とても良かったです。
央雅さんにいたっては、名前も知らなかったのですが、軽やかなバレエダンサーですね。本役の香音さんが、いかにもムーア人という力強さがあるのに対して、「ペトルーシュカ」という作品はあまり考えず、コメディとしての軽やかな面白さで勝負していた印象でした。黒ピエロっぽいメークも、細かい仕草も、とにかく『可愛い』ムーア人でした。



デボラの鞄持ち(涼瀬みうと)の大澄れい
思い切った髪型と思い切った転がりようで、もの凄く印象に残りました。本人を知る前にウメちゃんの「えと文」で売り込まれた(?)大澄さん。今回の役で、やっと「えと文」のイメージを超えてくれたような気がします。……さて、本公演の群衆の中から見つけられるかしら?(不安)



アメリカ共和党の下院議員、ロバート(蓮城まこと)の帆風成海
ヘタレでボンボンな、アルバートの「自称」ライバル(^ ^)。
帆風くんは達者な人ですが、今回すこーし痩せましたよね?まだまだ努力は必要ですが、二枚目役を演じるための努力は買いたいです。
アルバートのキングがちょっとヘタレ気味なので、ロバートをどこまでヘタレるか迷いどころだったと思うのですが、「ただのヘタレ」ではなく、コメディ色を強めてしっかりと笑いを取っていたのは流石、と思いました。実力派は良いですね(^ ^)。これからがますます楽しみです!



ソヴィエト演劇学校の衣装係(悠月れな)の美乃ほのか
れなちゃんが達者に自然に演じていた衣装係、同期の美乃さんはちょっと手強そうな感じで創っていました。それはそれで面白かったけど、回りとのちょっとしたやり取りとか、芝居を切って割って入るところとか、やっぱりれなちゃんは巧いんだなーと思いましたね。勿論、本公演の回数を重ねた強みもあると思いますが。



ジナイーダの娘、メイエルホリドの義娘、タチヤーナ(愛加あゆ)の、天舞音さら
可愛かったけど、やっぱりあゆちゃんは華やかで可愛いんだなーと実感しました。女優なんだから、もう少し強気な感じが見えてもいいと思うんですよね。いや、本当に可愛かったんですけど。
最後の「夫を紹介したいし」という台詞は、さりげなさが命なので…あまり気負わずに言ってほしかった、かも(^ ^;


ネコタナ一族も、メイエルホリド劇団の○○スキーさんたちも、それぞれに個性的で面白かったけど、特別気になった誰か、というのは無かったかなあ。
ライサ(舞咲りん)の沙月愛奈ちゃんが強くて素敵だったこととか、眼鏡っ子の花夏ゆりん(森咲かぐや)ちゃんがメチャメチャ可愛かったとか、アンナ(花帆杏奈)の悠月れなちゃんがさりげなく達者な切れ者だったこととか、、、、、きゃびいの役に入った(?)雛月乙葉ちゃんが、凄く可愛いのに猫の鳴き声(ロビンが蛇を探している場面の)が物凄いドラ猫声だったこととか、……ツボはいろいろあったのですが。

アメリカレビュー団のフォーリーズの中では、一人、お人形のような美少女が気になりました。最後の挨拶の立ち位置から見て、たぶん最下だと思うのですが、妃桜ほのりさんであっているのかしら…。顔立ちの美しさ以上に、笑顔や仕草の「リカちゃん人形」っぽさが印象的でした。
本公演のショーで大抜擢されている花瑛ちほちゃんは、残念ながらよく判りませんでした(↓)フォーリーズの可愛い子ちゃんのどれかなのはわかるんだけどなあ…。



東京宝塚劇場にて、雪組新人公演「ロシアンブルー」を観劇してまいりました。



本題の前に、少しだけ。
宙組・安里舞生ちゃん、なぜ卒業してしまうの(涙)。「逆転裁判2」で綺麗だなーと思ったばかりなのに(↓)「逆転裁判」で綺麗だなーと思ったら翌日卒業されてしまった颯舞音桜さんよりは、まるっと一公演応援できるだけマシだけど(T T)。

萬さんの卒業はわかっていたことなので、寂しいけど……最後まできちんとお見送りできることが、今は何より嬉しいです。
配役も一部ですが発表されて、いよいよ始まるんですねぇ。
皆様お身体を大切に、お稽古がんばってくださいね。休演などのないように、祈っています。




さて、雪組新人公演。
新人公演らしい、清々しい風が吹くような、新鮮で楽しい新人公演でした。
本公演が清々しくないという意味ではなくて(^ ^;、なんというか、同じ作品なのに流れる空気がこんなに違うものなのか、と。


新公演出は、本公演と同じ大野拓史。
去年の「夢の浮橋」もそうでしたけど、大野さんは本当に宛書の人なんだなあ。役者が変われば空気が変わる、違う風が吹く、、、それが当たり前だと思っていらっしゃる。
本公演を一回しか観ていない私には、「どこが違う」といちいち指摘できないほどに、とにかく空気が違うなあと思いました。台詞は(アドリブ以外)ほとんど同じだと思うんですけど、役の人物と役の人物の間にある関係や、流れる感情の色が全然違う。


今回の新人公演は、「夢の浮橋」や「太王四神記(Ver.1)」、「外伝・ベルサイユのばら」の時のように、「もう一つの本公演」と思えるほどの完成度ではありませんでしたが、これはこれで、ただのお勉強の場ではなく、本公演とは別バージョンの演出が楽しい、素敵な新人公演だったと思います。




しかし、一番面白かったのは、実力と華やかさで文句なく準主役格の美形敵役に化けていたエジェフ(未来優希)役のがおりちゃん(香稜しずる)と、その相手役のデボラ(天勢いづる)役・大月さゆちゃんの二人…かな?

もともと、新人公演主演経験もあり、実力抜群のハマコさんの役はいつも面白いし、やりようによってはこれが二番手になるよなー、と思うことも多いのですが。
がおりちゃんのヘンリーもすごく観てみたかったけど、いやー、エジェフ、素晴らしかったです。はい。怖いし強いしクールだし、、、ときて、最後に、魔法にかけられてイリーナのあゆちゃんに縋りつくようにするダンスナンバーとか、めちゃくちゃヘタレで可愛かった(*^ ^*)。
この二面性を惜しげもなくさらけだして、しかも二枚目を捨ててない、それは凄いことだと思うんですよね。
がおりちゃん、最近本公演でも凄く使われているし、タカラヅカスペシャルにも出演するし、なんだかすごくいい感じですよね(はぁと)。大好きなのでなんだか嬉しいです♪

さゆちゃんは、持ち味的にもこういうリアルな「女」が本当に良く似合う。ロビンとデボラ、共通点はリアリストなこと。さゆちゃんの美貌と個性は、こういう役でこそ輝くんだなあと思います。
やわらかな声もよく似合って、可愛らしさとしっかり者らしさが同居していて、決して魔性ではないところまで含めて、とても魅力的。やっぱり可愛いなぁ~~~(*^ ^*)。




ちょっと順番が前後してしまいましたが。アルバート(水夏希)役のキング(蓮城まこと)と、イリーナ(愛原実花)役のあゆちゃん(愛加あゆ)は、結構苦戦していたような。
…宛書の大野さんにも、譲れないものはあったのか、と思いました。

ちょっとヘタレだけど、はにかんだような明るい笑顔が魅力のキングには、水くんのような効果音つきの「気持ちの篭っていない笑顔」は無理だと思うんですよ……。
そして、同じように。同じ丸顔でも、キュートな笑顔が魅力の童顔なあゆちゃんには、「鉄の女」のクールな無表情も、頑固さも、無理に低くした声も、何もかも似合わない(T T)。

二人とも綺麗で可愛くて、並びも似合っていたし、実力派でお芝居の間もよくて、とても良くやっていただけに。いつもの大野さんなら、もっと役者に宛ててキャラを変えてくれただろうに、今回ばかりは本公演の役者先行で緻密な脚本を起こしてしまっただけに、主役二人については、もうどうしようもなかったんだろうなあ……と思いました。

なんというのか、水くんは「一族のために」大統領を目指していて、そのために犠牲にしたものもあったんだろうなあ、という真摯さが前面に出ていて。それが逆に、目的のためには手段を選ばないという凄みになっていたと思うのですが。
キングは、もうちょっと甘ちゃんな感じで、優しくて気の良い青年だけど、そこまで考えてはいないような気がしました。その代わり、恋をしたら一直線!な思いの強さと真直ぐさが眩しくて、イリーナのために走り出す場面がすごく自然でした。
前半の頑なな面よりも、後半の恋に溺れたところの方が似合っていて、とても良かったです。

イリーナは本当にみなこちゃんに宛書の役で、あゆちゃんには試練だったろうな、と思います。上にも書きましたが「鉄の女」の硬さがないと、後半のデレっぷりが弱くなってしまうので…。
あゆちゃんは、ごく普通の女の子なんだけど、カテリーナ先輩の手前、『必死で取り繕っている』感じに創っていたと思います。何か処理しきれないような事件が起こると、すぐキレてしまうタイプ(汗)。恋に落ちて、だんだん本来の性格が出てくる、というふうに作っていて、キング同様、後半になるにつれて良くなっていったのが印象的です。

なんだかんだ言っても、やっぱり作品が良いし、二人ともすごくがんばっていて、特に後半の芝居はとても良かったと思います。別れの場面の切なさは、二人の情の深さがよく出ているなあと思いました。
キングは、もっとずっと歌えるはずなのに、元々の声が軽いせいか重厚な歌はちょっと不安定なところがあったりして苦戦していましたけど、あゆちゃんはさすが(*^ ^*)。みなこちゃんも、お芝居の歌はそんなに悪くないんですけど、やっぱり歌手が歌うと違うなあ、と感心しました(^ ^;ゞ





ヘンリー(彩吹真央)さんは、彩風咲奈ちゃん。
作品的に、二番手格はエジェフのがおりちゃんに持って行かれてしまったのと、キングとの学年差が大きいせいか、どうしても同級生には見えず、せいぜい弟分にしか見えないので相対的に一歩下がった感じではありましたが。
でも、やっぱりこの人には圧倒的なナニカがあるんだな、とも思いました。
タップ対決のところの伸びやかなダンス、華が咲いたような笑顔。残念ながら、グリゴリーの台詞が負け惜しみにしか聞こえませんでしたよ……↓

ただ、本公演に比べると物足りなかったのは否めないかなー。ユミコさんのヘンリーで一番好きなところは、なにげに彼がアルバートに対してS…というか、いじめっこなところ(^ ^)なので。

彩風さんは、骨格的なスタイルといい、声の良さといい、歌の実力、ダンスの華やかさ、スターとして必要なものはほとんど持っていると思うので、なんとか早いうちに身体を絞って、「ニヒルに笑う」ことができるようになると良いと思うんですけどねぇ……。





個人的なお目当ての一人目、グリゴリー・アレクサンドロフ(音月桂)の真那春人くん。
いやーーー、やっぱり好きです、この子。廻りを巻き込み、舞台の空気を動かす力がある、と、思う。前回のキタロウの役も良かったんですけど、今回の役はとにかく楽しそうで、幸せそうで、目が自然に追いかけてしまうんですよね。
実在の人物ですが、彼自身のドラマはこの作品の中では語られないので、単なる賑やかしの役の一人なんですけれども。
それでも、彼には自分と、自分たちがつくるもの、そして、ひいては祖国に対する絶対的な愛と自信があるんですね。当たりは柔らかくみえて、そう簡単には譲らない頑固さがある。
タップ対決の場面での、「取り返してみますか?」という自信に満ちた声が、すごく好きです。
そして、その前の稽古場での「僕を知らないの?(乾いた笑い)…ひどいよキミたち…」という切ない呟きは、もっと好きです(*^ ^*)(それただのファンだから)

「凍てついた明日」Bチームのジェレミーの時も思いましたが、やっぱり喉が少し弱いのかなあ…?グリゴリーは確かに台詞も多いんですけど、後半の怒鳴り芝居でちょっとかすれていたのが気になります。感情を載せるのにちょっと喉を使いすぎているような気がするので、もう少し台詞の発声法を見直したほうがいいかもしれません。いや、今の色気のある声が好きなので、そのままでいてほしいのが本音ではあるのですが(汗)。





そして、お目当てその2、ユーリ先輩(緒月遠麻)のあずりん(梓晴輝)。
本役とは全く違う意味で、もの凄く素敵なキャラでした。いやー、真剣な顔してギャグのネタを考えていそう、というか。生真面目に見えて、あちこちに綻びがあるところが素晴らしいです。

本役は「ああ、さぞや暗い過去が…」「エフゲニー(真波そら)と何があったんだ!?」みたいな感じに見えていたのですが。新公ユーリは、エジェフが二枚目になったぶん、ちょっと三枚目な部分が見え隠れして、本役とは違う意味で、何があってこうなったのか に、すごく興味が湧きました。面白い役作りだったと思います。

で、すみません、質問です。本公演は一回しか観ていないので、見落としたみたいで。
本公演のユーリ先輩は、最初に稽古場にスターリン閣下が登場して騒ぎになったとき、後ろでピエロたちと混ざって踊っていましたか…?そ、そんなことしそうに見えなかったんですが…。

他にもいろいろ、ユーリ先輩がらみは新公ONLYの演出が多かったような気がします。
大野さん、こだわりの配役なのかしら(^ ^)。





それにしても。
ミナコちゃん(愛原実花)は、全部でいったい何役やっていたんでしょうか。……もの凄く目立ってましたけど、良いんですかあれは。最初の魔女、受勲式の薄紫のイスラム系(?)美女、レビュー団、ネコタナ一族、屋台の妻、、、他にもナニカやっていたような気がする(汗)。
メインは屋台の妻になるんでしょうか。ご主人の香音有希さんとの並びもお似合いで、芝居の呼吸も良くて、本当に目が離せないご夫婦で(^ ^)。一挙手一投足が面白すぎて目が離せず、キングとあゆちゃんを観るのが、とても大変でした(汗)。





最後に、(わかる範囲で)アドリブのレポートを。

●ネコタナ一族に横抱きに運ばれる場面で、「どうだ、男前を運んでいる気分は」
●呪文「Yes、フォーリンラブ」 
   ヘンリーからアルバートへの恋文、という設定。…色気のない二人なのであまり妖しくなかったのが残念(^ ^)。
●せり下がり「蛇がいない!」「あんな手紙を書いているから逃げたんだ」
      「アルバート様への気持ちをこめたんです!」「……篭めるな(呟)」
      ちなみに、ロビンちゃんは何も言ってなかったと思います。
●屋台の場面の後、ユーリの元同僚の二人(真波そら/涼瀬みうと、彩夏涼/透真かずき)が登場するとき。
 ロシアンブルーを探して走りこんできて、だるまさんが転んだみたいになっていました(汗)。



今週のCSニュースの総集編は非常に面白かったです(はぁと)。
雪組初日、花組新公、轟さんと萬さんのディナーショー、鳳翔大くんのオルゴールミュージアム一日館長、雪組新公トーク(真那・舞羽・帆風)、花組衛兵隊(華形・日向・朝夏)のキラキラ★トーク、彩風咲奈インタビュー。
なんだか、私のために編集してくれた?(←違う)みたいな一時間でした。

いやー、その中でも、新公トークの三人のセンターで、一生懸命二人に話を振りながらたくさん喋ってくれたまなはるくんと、花組キラキラ★トークのセンターで、これまた三人のセンターで、こちらはいかにも上級生らしく、ちょっと偉そうに喋っているみつるくんが超ヒット(*^ ^*)。
思えば、前回の星組の新公トークも天寿くんが出ていたし、最近私の意見が通っているみたいで嬉しいです(真顔)SKY STAGEさんありがとう!(^ ^)。






と、いうところで、花組「外伝・ベルサイユのばら」の、続き。


まずは。前回、新公の子役お二人について書いていなかったので、一言だけ。
子アンドレの桜咲彩花ちゃん、全ツで可愛いなあと思った美少女ですが、男の子メークに黒い髪、シャープな美貌で、ちょっとウメちゃん(陽月華)の子アンドレを思い出してしまいました。(遠い昔の話ですみません)
歌の歌いだしも透明感のある綺麗な声で、巧いなあと思いました。娘役さんなので普通の少女の声だったのは残念ですが、次は娘役として歌が聴いてみたいです。
子マリーズのこと華千乃さんは、あまり印象に残らなかったかな。歌が得意な方なんでしょうか?




■オスカル(愛音羽麗/大河凜)

去年、辛かったアラン編を救ってくれたみわっちのオスカル。
あの凛々しくて美しいオスカルにもう一度会えるのか、と、実はとても楽しみにしていました。
……が。
みわっちのオスカルは、全然変わってない。今もやっぱり、素敵なんです(はぁと)。しかし!!オスカルの見せ場が何一つなーいっ!!(溜息)。

衛兵隊のメンバーが、あれこれと「鬼隊長」に対するリスペクトを口にするのに、その場にオスカルがいない。だから、それとは別に出てくる金髪巻き毛の美人が、普通の“美人”に見える。
さっき噂されていた「鬼隊長」と同一人物だというのがピンとこない。
せっかく、珍しくブイエ将軍までもが認めてくれたオスカルの「指導力」「軍人としての立派さ」が、全然伝わってこないんですよ……(T T)。

それでもまだ、本公演のみわっちは、女役の印象も強いけどそれなりに上級生だし、男役としての完成度も高い『名役者』。しかも去年、同じ外伝シリーズで、少しは凛々しい場面もあったオスカルを演じてもいる。
だから、今回は場面はなくても、「ホントは凛々しいのに勿体無いな」と思えるのですが、
……新公の凛ちゃんは、すっかり『可愛い女の子』だったんですよね。
致し方ないんだろうな、とは思うのですが。

凛ちゃんは、学年の割に声もちゃんと男役していて、前回のヒョンミョンも良かったし、私の中では実力派の範疇に入っている男役なんですけど(^ ^;ゞ、今回はオスカル=「女役」を意識しすぎたのか、演出指示なのか、、、声もいつもより高く、喋り方も可愛らしく、仕草も表情も、完全に普通の『女の子』でした。
でもたしかに、あの出番だったら『女の子』の部分しか見せないので、先入観も原作もナシで、あの脚本だけを相手に役作りしたら、そうなるよね……と納得する部分もあって。
あの作品で評価される人は可哀相だな、と、改めて思ったのでした。

細面のすっきり系の美貌に金髪の巻き毛はよく似合っていたし、お化粧も綺麗で、外見的には十分オスカルとして通用してたと思います。しかし、可愛い(^ ^)。美少女だったなー。酒場で喧嘩する場面とか、いやどーみても美少女だから!!早くアンドレ来ないとヤバイぞ!!みたいな危機感がありましたね(^ ^)
どこかの場面で、なんだか凄く少女っぽくあれこれ喋った後で、「誰だ!?」か何か叫ぶ場面があったのですが、その怒鳴り声がもの凄く男前で。全編あれでやったら格好良かっただろうなあ…と思ってしまいました(T T)。





■ベルナール(未涼亜希/煌雅あさひ)

まっつ格好良い!!と悶えた本公演。
いや、何が格好良いって、あのマスクを外してぽいっと投げ捨てる手が格好良いんですよ(*^ ^*)。素晴らしい。台詞らしい台詞が一言もなくても(「引けーっ!」という合図は台詞とは言わない)、出番が5分でも(時計を見ていたわけではないので、もっと短くても驚きません)(一応、革命の場面もベルナールとして出てるんだってば!!)、素敵なものは素敵なので。
植田さんありがとう。と、一応言っておきます。
……よかった、ジェローデルじゃな(黙)


そして!!
きゃーーーーーっ、アーサー素敵っ!!とハート眼になった新人公演。
アーサーなら、剣じゃなくて原作どおり鞭をもっていて欲しかった!

…もとい。
何が違うというわけでもありませんが。あのマスクを外した瞬間の、冷徹な眼つきにちょっとヤられました。いやー、あのアンドレを見下しきっている感じがたまりません。
でも君、ワルすぎて新聞記者には見えないよ…?いや、革命家気取りの新聞記者なんて、闇の情報屋と五十歩百歩なのかもしれませんが(^ ^;ゞ




■フェルゼン(真野すがた/鳳真由)

原作では、フェルゼンって超二枚目の格好良い役のはずなのに、私は、初めて観たタカラヅカの『ベルサイユのばら』(星組・稔幸さんのオスカル編)以来、フェルゼンを良い役だと思ったことが一度もありません(告白)。演じている役者さんは皆さん素敵だし好きな人ばかりなんですけど……。
そもそも、オスカルとの会話や、オスカルについてアンドレと語るときの台詞が嫌なんですよね。なんだか、恋に狂って国を滅ぼそうという愚か者が、偉そうに説教垂れるんじゃない!とか、女のことなんて何も知らないくせに、勝手に女性論なんぞ語るな!!とか、そんな感じで痒くなってしまうんです(T T)。

今回も、めおちゃんの抜群のスタイルに衣装が良く似合って、貴族的な美貌も、立ち居振る舞いも、どれもとても素敵だったのに。……台詞が痒いんだよー(泣)。しかも、どうしてそんな、突然変な扉(^ ^)から出てきたりするんだー!?フェルゼンが笑いを取ってどうするんだーーーーっ!!
新公の真由ちゃんも、とっても良かったのになあ……ぶつぶつ。




■シモーヌ(夏美よう/芽吹幸奈)

髭部から女子部へ異動(?)した人の一人。マリーズを拾う酒場の女主人で、ブイエ将軍とも同郷のよしみで親しい、人脈のある女丈夫。貫禄のあるいい女っぷりで、若い頃はブイエ将軍の女だったのかな?なんてちょっと思ったくらい、美人でした。

新公のくまちゃんは、さすが実力派の華やかな美人で、まだまだ売れっ妓な感じ。ただ、ブイエ将軍の真瀬くんが枯れているので、その二人の間には清く正しい『同郷』の風が吹いている感じでしたが(^ ^)。

お二人とも、それぞれにマリーズに対する濃やかな心遣いが優しくて、素敵な役でしたね。
本公演は、マリーズが大人っぽいせいか美人局っぽく見えた部分もありますが(汗)。




■貴婦人方(高翔みず希/白華れみ、絵莉千晶/花奈澪、悠真倫/天宮菜生、花野じゅりあ/梅咲衣舞、愛純もえり/遼かぐら、芽吹幸奈/春花きらら)

髭部から女子部へ異動(?)されたお二人を含む、5人の貴婦人方。
ゴージャスな輪っかのドレスで、「ベルサイユのばら」の豪奢な部分を担当していらっしゃいました。舞踏会の場面はなく、王妃様も登場されないので、幕前を二回通り過ぎるだけ、なのがとても残念。やっぱり、本舞台での綺羅綺羅しい場面で、オスカルが啖呵を切るところをやって欲しかったなあ…。

まぁ、このアタリまでくるともう演出はどうでも良いです。
とりあえず、さお太さんの美しさに瞠目しました。あんなにドレスが似合うなんて!!ああ、同期の樹里ちゃんの反応が聞きたいー!!(GOGO5だから、今日あたり観ていらっしゃるはず…)
声も柔らかいアルトで、女役として違和感なく、王妃様のお世話をする女官たちの長としての立場を心得た美しい存在っぷりで。こんなに綺麗だと思ってもいなかったので、本当に驚きました。
絵莉さんはちょっと真面目な副官という感じ。そして、まりんさんは自由な人だった(苦笑)。さお太さんの言葉にいちいち突っ込みながら、陽気に盛り上げているのは偉いなあと思いました。しかし、オスカルが出てこないので『オスカル様〜!』の失神系の芝居がなかったのがとても嬉しい。ああ、良かった…。ただ、それがないとなかなかギャグに落とせなくて、(そちら担当らしい)まりんさんはちょっと苦しんでいらっしゃったようですが(^ ^;ゞ
じゅりあちゃん・もえりちゃん・くみちゃんは、割と大人しかったかな。ドレスは皆豪華で、アクセサリーとかもっとじっくり見たいです。東京が楽しみ☆

新公のれみちゃんは、まあ女役として普通の貫禄で、違和感もなく、インパクトもなく、という感じ。落ち着いた貴婦人ぶりで、皆を抑える貫禄もあり、良かったです。
花奈さんは落ち着いていて、はるちゃんが突っ込み担当、というのは本公演と同じ配役。はるちゃんの華やかな笑顔がおひさまのようで、なかなかの嵌り役でした。美人は特だなあ(^ ^)。




あとは、役でいうなら酒場の女と村人と衛兵隊と侍女しかいないんですけど(涙)。
人数が多いので、また後日書きますね。いや〜、個人的に、瀬戸かずやくんブレイクの予感(^ ^)。



すみだトリフォニーホールの「ベスト・ミュージカル 〜新日本フィルハーモニー交響楽団とともに〜」に行ってまいりました。



ミュージカル界からの出演は、石井一孝・岡幸二郎・鈴木綜馬・伊東恵里・和音美桜の5人。
石井さんが地元出身だと仰っていたので、そのご縁でしょうか。

二年前、文京シビックセンターでやった「タナボタ企画★スペシャル」みたいなものを想像していたのですが、今回はごくごくごくごく真面目な、『ミュージカルWithオーケストラのコンサート』、でした。



まずは曲目を。
最初に、プログラムを見た瞬間に予想したキャストと実際のキャストの両方を書いています(予想キャストが違っていた場合は、  線で消去。正解はそのまま)


ACT1
●シーズンズ・オヴ・ラヴ(RENT) 全員
●愛せぬならば(美女と野獣) 鈴木綜馬
●アイ・フィール・プリティ(WEST SIDE STORY) 和音美桜
●サンセット・ブールバード(サンセット・ブールバード) 石井一孝
●愛した日々に悔いはない(コーラスライン) 伊東恵里
●シーイング・イズ・ビリーヴィング(アスペクツ・オヴ・ラヴ) 岡幸二郎&和音美桜
●ラック・ビー・ア・レイディ(ガイズ&ドールズ) 鈴木綜馬
●私はイエスがわからない(ジーザス・クライスト・スーパースター) 伊東恵里
●ゲッセマネ(ジーザス・クライスト・スーパースター) 石井一孝
●明日への階段(ルドルフ) 岡幸二郎

ACT2
●ブイ・ドイ(ミス・サイゴン)岡幸二郎 コーラスのみ
●ホワイ・ゴッド・ホワイ(ミス・サイゴン) 石井一孝
●すべての山に登れ(サウンド・オヴ・ミュージック)伊東恵里 岡幸二郎
●アイ・アム・ザ・スターライト(スターライトエクスプレス) 鈴木綜馬&伊東恵里 海宝直人
●オール・アイ・アスク・オヴ・ユー(オペラ座の怪人) 和音美桜&岡幸二郎 石井一孝
●ソー・イン・ラヴ(キス・ミー・ケイト) 鈴木綜馬
●メイク・アワ・ガーデン・グロウ(キャンディード)石井一孝 岡幸二郎
●私だけに(エリザベート)岡幸二郎 伊東恵里
●闇が広がる(エリザベート) 鈴木綜馬&石井一孝

アンコールは、全員で「エニイ・ドリーム・ウィル・ドゥ」 (ヨセフと不思議なテクニカラーのドリームコート)でした。


一幕は全問正解だけど、二幕は全滅に近い(^ ^;ゞ。受け狙いで「私だけに」を岡さんに振ったのが敗因か(↓)。



オープニングの衣装は、男性陣は黒タキ(?)、女性陣は、恵里ちゃんが青のドレス、たっちん(和音美桜)が白を基調のドレス。恵里ちゃんはエレガントに美しく、たっちんは膨らんだスカートで娘役っぽく可愛くまとめていました。



一幕の前半は、オーケストラ独特のテンポ感にちょっと乗り切れていない印象があったかも。
多分ほとんど合わせていないんでしょうね。ぶっつけ感ありありで、「Seasons Of Love」のハーモニーもちょっと微妙だったし。
「愛せぬならば」「I Feel Pretty」はどちらも持ち歌なのでとても良かったんですが、石井さんの「サンセット・ブールバード」はだいぶ苦戦していたような気が。指揮者も後ろにいるからお互い見れないし、ああいう変拍子の曲は難いのかな。
畳み掛けるような5拍子のリズムが忙しなく歌い手も聞き手も追い詰めていく曲なのに、オーケストラらしい(?)ちょっとゆっくり目のテンポで、微妙に5拍子のラスト一拍を長めに取るので“畳み掛ける”印象が弱い。あまり「交響楽団」向きの曲ではないのかもしれません。日本では上演されていない作品なのでなかなか聴けない名曲。せっかく石井さんが歌ってくれたのに、残念でした。
これで動揺したのか、私の期待度が高すぎたのか(ごめんなさい)、「ゲッセマネ」も思ったより伝わってくるものがなくて「……」と思ってしまいまった。ごめんなさい石井さん。




あと、「Seasons Of Love」の後に石井さん中心に少しトークがあったんですが、残念ながらちょっと滑りまくり(T T)。テンション上がりすぎて空回りしちゃってた感じ。気心しれたメンバーだけなら盛り上れたんでしょうけど、いつもとは空間も違うし、たっちんがちょっと異分子な感じで、どうにも石井さんのテンションについていけてなかった(T T)。
たっちんもそんなにお嬢さん気質じゃないし、ディナーショーのトークとか聞いてても結構スパスパ言うタイプみたいなので、恵里ちゃんとはキャラが合いそうなんだけどなあ…。


恵里ちゃんは、ディアナもマリアもとても良かったです。さすがベテラン、高値安定。
どちらの曲も、舞台の中で歌われるのとは結構違うアレンジをしていて、それが凄く格好良かったです。こんなに格好良い曲なのか!と吃驚しました。


岡さんとたっちんのアレックス&ローズもすごく良かった。岡さんの声は相変わらず若いなあ。17歳と言われても「まあ、そういうこともあるかな」って感じ(*^ ^*)。
そして、たっちんは、ほんの十数分前にはマリアだったことなど微塵も感じさせない『大人の女』っぷりが凄い。化けたなあ〜〜!!
衣装も当たり前のように着替えて、正面から見るとほっそりとシンプルで、裾を後ろに長く曳いた白のドレス。かなり高い靴を履いたみたいで、長身の岡さんと並んでもしっくりきました。マリアの声とは違う、やわらかな含みのある低音。岡さんのピッチは少し高めなんですが、綺麗にあわせてハモッていたのはさすがでした。
素晴らしかったなあ。



一幕の締めは、ワイルドホーンの「ルドルフ」より、「明日への階段」。二幕で、ルドルフが市民に向かって演説をする場面の曲。革命を前にした市民の高揚を描いた曲で、場面としては結構心配げに見守るグループがいたり、トリックスター(昨年の帝劇公演では浦井くんが演じた)が最後に悲しげな振りをしたりするので印象としてはもっと暗いイメージがあったのですが、こうしてこの曲だけを聴いてみると、いかにもワイルドホーンらしい盛り上がりっぷりで、コンサートの中詰めにちょうどいい感じ。

それにしても、岡さんの声は本当に金管楽器の音色ですねえ。本格的な交響楽団をバックにして、4、5本のトロンボーンによるファンファーレに負けない音圧で鳴り響く声。岡さんの声はシャワーなんだな、と、何度も思うことを今回も思いました(*^ ^*)。




休憩を挟んで、二幕のオープニングはオーケストレーションによる「ブイ・ドイ」から。
コーラスメンバーは海宝直人・川口竜也・二宮優樹・菅谷真理恵・中川菜緒子・三木麻衣子の6名。ほとんどはいろんな舞台で名前を聞いているメンバーでしたが、実に力強い声の方々で。
「I Feel Pretty」の女たちから、「おお!」と思っていたんですが、「ブイ・ドイ」の、メインのメロディはオケで鳴らしてコーラスだけ入る、という構成は、鳥肌が立つほどステキでした。


一幕はちょっとへろへろしていた(ように見えた)石井さんも、持ち歌でもある「神よなぜ」からは落ち着いて、ラウルもとても良かったです。
たっちんのクリスティーヌは実に美しく、綺麗なソプラノ、そのもので。できれば綜馬さんのファントムと「The Phantom Of The Opera」を聴いてみたかったです。っていうか、次回に期待(*~ ~*)。



「全ての山に登れ」は、ぜったい恵里ちゃんだと思っていたので、男性が出てきたときには吃驚してしまいました。衣装が普通だったので、最初は岡さんだとは思わなかったよ しかし!!素晴らしかった………(惚)。聞きほれるとはこのことでしたね。金管楽器の音色で「全ての山に登れ」。凄い迫力でした♪
この後に歌ったキャンディードも素晴らしかった。なんだか、久しぶりに岡さんの声に浸った公演でした。



スターライトエクスプレスは、鈴木さんの声が素晴らしくて、うっとり聴いていました。
相手役(?)が誰だろう?と思っていたら、コーラスの海宝さんでした。元チップなんですね(^ ^)。お名前だけは記憶にあって、チップだったか、シンバだったか…と思っていたのですが、紹介してくれてありがとう>岡さん。綜馬さんの野獣と共演したこともあるそうで、たぶん私も一回くらい観ているんじゃないかと思います(^ ^)v。綜馬さんに「…20年ぶり、くらいかな?」と言われて、すかさず「今21歳なので、そんなはずは…」と突っ込んでいたのがおかしかったです。
残念ながら、一番の高音でひっくり返ってしまいましたが、難しいフレーズをよくがんばっていたと思います!

綜馬さんは、「So In Love」もそりゃー素晴らしくて。もう、綜馬さんで上演されたら絶対観にいくのになあ(涙)。
岡さんの声が金管楽器なら、綜馬さんは弦楽器だな、と。深く響く柔らかな低音。ヴィオラかチェロの、豊かな響き。




恵里ちゃんの「私だけに」は、今までに聴いたことがないような解釈のシシィでした。
歌いだしの凛とした雰囲気。中盤から後半にかけての声の明るさ、力強さ。
宮廷に閉じ込められた哀れな小鳥ではなく、堂々と正面玄関を突破して出て行く戦士のような、力強い「私だけに」。公演の中で、シシィという役として歌うのではなく、この曲一曲をただ聴かせるために歌う歌手の、素晴らしい芝居っぷり。そうか、表現者はここまでやって良いんだな、と感心。
もっと聴きたかったよー。



「私だけに」が恵里ちゃんだったので、次の「闇が広がる」は、伝説の岡&石井か!?と期待したりしてみましたが、綜馬さん&石井さんでした。
いや、全然まったく不満は無いですが。いやはや、綜馬さんのトートも、実際の公演ではありえない配役なんですよね(T_T)。あ、でも、代役には入っているのかな?おお〜、代役公演を観てみたいぞ!
石井さんのルドルフも、とても良かったです。やっぱり石井さんのテノールは、二枚目の青年役なら全て似合う声なんだなあ(しみじみ)。

……アンコール前のトークで、「ずいぶん年取ったルドルフ」だの「今まで組んだ中で一番濃い」だの「彼だったら生き残りそう」だの言われてましたが(^ ^)、まあ、芝居で通してやるわけじゃないんで(^ ^)。この曲一曲を聴くなら、こんな素晴らしいドリームキャストも無いかも、というキャストでした。





実力派のミュージカル俳優5人をそろえ、交響楽団を丸ごとバックにしたコンサート。
練習期間も取れなかったり、いろいろ大変でしょうけれども、こういう催しも定期的にやってほしいなあ、と心から思います。歌唱力と芝居心を兼ね備えたメンバーで、ミュージカルを愛している人々に、いろんな組み合わせで色んな歌を歌って欲しい。それこそ、ワイルドホーンが一曲だけだったのはとても残念だし、フランスミュージカル「ロミオとジュリエット」あたりも聴いてみたい。
スケジュールを合わせるのも大変そうですが、デュエットももっといろんな曲が聴きたかったなあ。恵里ちゃんとたっちんで「あんな男に/私は愛してる」(WSS)とか「In His Eyes」(ジキル&ハイド)とか。岡&石井で「彼のためなら」(蜘蛛女のキス)とか。
今回のメンバーがすごくバランスがいいので、つい色々と考えてしまいます。


またこういう催しがありますように!と祈りつつ。



宝塚大劇場花組公演「外伝・ベルサイユのばら」。


期末でばたばたしておりまして、なかなか更新できずすみません(涙)(誰も待ってないかな…)
本公演と新人公演をいっぺんに観ましたので、キャストごとの感想も本公演と新人公演、まとめて書かせていただきます。ちなみに、ネタバレしてます(^ ^)のでご注意を(今更)。




■アンドレ(真飛聖/望海風斗)
「外伝」シリーズの中でも底辺を争うアラン編とアンドレ編に主演したまとぶん。そのがんばりに涙が出ました(涙)。
アランとアンドレの違いがいまひとつよく判らなかったりしたのも、あの脚本じゃしょうがない……(涙)。
それにしても、まとぶんの黒髪は似合いますね♪美形は何を着ても美形だけど、やっぱりコスチューム映えするのは強みだわ。
でも、その台詞。…言いたくないのはわからないでもないのですが、語尾を斬り捨てる癖は、やっぱり直したほうがいいと思う……。

だいもんは、「太王四神記」に引き続き、新公とは思えない出来でのクリーンヒット。歌がうまいのは勿論なんですが、温かみがあって真摯な芝居がとても好きです。がむしゃらで一生懸命で、しかも茶目っ気もある、素敵な役者だとあらためて思いました。新公を卒業してからの活躍が、今から楽しみです。
ただ……これから活躍の場も増えるだろうと思うからこそあえて書きますが、姿勢だけは早急になんとかした方が良いのでは。歌も芝居もダンスも美貌もハイレベルなだいもんの、唯一の欠点なんじゃないかと思うんですが(; ;)、「太王四神記」の甲冑や今回の軍服など、首の詰まった衣装を着たときに首が前に出てしまう癖を、なんとか矯正できないものでしょうか…。
「ベルばら」の世界でも、室内着っぽいブラウスとか、アジール酒場での衣装なんかだったら全然違和感なくてかっこいいのになあ。

身体はすごく細い人なので、ああいう大きな衣装を着るときにはあちこち詰めたり補正したりしているんでしょうけれども、その補正後の衣装に合わせて、姿勢も変えないと。特に、首回りはちょっとしたことで変に見えるので、時間をかけてしっかり調整してほしいです。
せっかくの端正な美貌を、存分に生かさなくっちゃ勿体無い!!



■マリーズ(桜乃彩音/天咲千華)
マリーズについては、先日だいぶ書いたので省略。
演出の差もあり(どこが違うのかいちいち指摘はできませんが、なんだか全然違って見えました)、私は天咲さんの方が好きでした。だいもんとの並びがうっとりするほど可愛かった(^ ^)。
歌は、「バレンシアの熱い花」のマルガリータを思えば夢のように上達しましたね(; ;)。
まだまだなところもあるけど、気持ちの入った、良い芝居歌でした。



■アラン(壮一帆/嶺乃一真)
壮ちゃん、カッコいい(*^ ^*)。
「宝塚的主役」は「こう」あるべきだ、という制約が(植田さん的に)あるらしく、アラン編のアランとアンドレ編のアンドレを演じたまとぶんは、あまり二人の性格の違いを出せなかったのですが。
壮ちゃんのアランは、全ツのアンドレとは全く違うキャラクターで、面白かったです。
あんなアラン、初めて観ました。
怜悧で鋭利で、やさぐれてて、ペシミスティックで、しかも、どS。すげー、ワイルドなクールビューティ(反語)でした。たぶん、あのアランには、怖ろしい幽霊の妹がとり憑いたりはしとないんだろう…(黙)

もとい。
芝居も半ばを過ぎるまで登場してこないアランですが(←ま、そゆこともある。「ダル・レークの恋」のペペルよりはマシかも?)、出てきたときのテンションがきちんと周りにあっているのはさすがだな、と思いました。
アンドレの目が見えないことがわかったときの演技など、いちいちアクションが大きすぎて無駄に笑いをとってしまうのはわざとなのかな?と疑問も抱きつつ、アンドレの目が見えないことをバラす場面では、その大仰さ、というか、アランが上から目線でアンドレを見下ろしている感覚の大切さを感じました。

新公は、この公演で卒業する嶺乃くん。結構大役をやってきた人ですが、アランの役作りは“ひたすら真面目”というように見えました。それはそれでアリだけど、もうちょっと、アランというキャラの前向きなタフさ、ガツガツした空気が欲しかったような気がします。
髪形や化粧はがんばっていたんだけどな。スタイル良いし。大役に畏縮しているように見えたのが残念。



■マロングラッセ(邦なつき/華月由舞)
新公の由舞ちゃんがすごく良かったです。可愛くて優しいおばあちゃんで。
邦さんはさすがの貫禄で、ご本人は普通に演じていらっしゃったのですが、「銀ちゃんの恋」のヤスの母くらいの出番で十分な印象を残す濃い目の芝居のまま、1時間半、誰よりも出番の多い役(T T)を演じきられてしまうと、ちょっと他の現役が負けてしまう、というか…
問題は脚本、なんですよね。邦さんほどのベテランにあの役をふるなら、もう少し出番を減らすか演出面で調整するべき。あるいは、逆にしっかり『語り手』としての地位を与えて、もっと色々と、必要な説明をさせればいいのに。

由舞ちゃんはその点、最上級生としてなかなか良いバランスで演じていたと思います。まろやかな低い声が特徴の人なので、べらべら喋っても喧しくないし、アンドレを叱りつけるところもすごく情感が篭ってました。
とくに、ラストのマリーズと二人の場面が秀逸。

ただ、せっかくの美貌が年配メークで隠されていたのがとても残念……。でも、他に美人娘役に是非やってほしいような役も無いしなあ……(T T)。



■子マリーズ(天咲千華/こと華千乃)
■子アンドレ(大河凛/桜咲彩花)

本役の二人の透明感と声の良さに、CSニュースで映像が流れた瞬間からずっと楽しみにしていた場面。プロローグもなく、突然マロン・グラッセの登場で始まるのに吃驚しましたが、凛ちゃん、繊細な少年役がぴったりはまっていてとても良かったです。
巴里祭でも歌が巧いのに驚いたんですが、透明感のある良い声ですね。ちょっと男役としては高くて細い声ですが、これからが楽しみです。
天咲さんは、中日では子アンドレだったみたいですね。マリーズもすごく可愛くてよかったけど、子アンドレもちょっと観てみたかった(^ ^)。



■ブイエ(星原美沙緒/真瀬はるか)
今まで、宝塚のベルばらでは、ブイエ将軍は常に悪役だったんですよね。ジャルジェ家と対立する人物だから。
今回は、珍しくブイエ将軍側に立ったエピソードが多く、アンドレ編というより、むしろブイエ編だった印象。こんな機会は滅多に無いので、ジャルジェパパとの確執を突っ込んで描いて欲しかったなあ…(←アンドレ編じゃなくなっちゃうよ汗)

で。
新公真瀬くんの恰好良さに惚れました。いやマジで。髭萌え(はぁと)。
優しくて好々爺で、美形だけど高潔で。愛人をかこう色気はなく、可愛いマリーズを猫みたいに可愛がってる様子が想像できる。マリーズという娘を得て、彼はとても幸せなんだな、と、嫌味なく納得するんです。
そして、新公のマリーズは、ブイエ家で幸福なのだと思いました。だからこそ、アンドレの前で我が儘に振る舞っても、執念を感じないから怖くない
そして、幸せだからこそ、アンドレを死地に追いやった罪悪感に苦しむ。

…やっぱり、鈴木さん、本公演も演出しようよ…(泣)



■副官エーベル(眉月凰/冴月瑠那)
ブイエ将軍に付き従う副官役、ということで、小芝居を封じられたルナちゃんが、普通に二枚目で立っているのが面白かったです。演出によってはわいわい騒ぐ賑やかしのたいこもちみたいな役になってることもあるんですが、今回はブイエ将軍が良い人なので、副官も真面目な二枚目に。
いや〜、ルナちゃんってやっぱり美形なんだなあ(贔屓目)。軍服の着こなしもすっきりして、カッコよかった(はぁと)。
そして、村人の弾けようが楽しかったです。目の保養、目の保養♪



■ジャルジェ(箙かおる/浦輝ひろと)
配役を見たとき、ブイエの星原先輩と逆なんじゃ!?と思いましたが、脚本的にキャラが逆なのね、と納得しました。
マロングラッセとの会話は、もう少し感情の動きがあっても良いのに、と思いましたが…。
新公浦輝くんは、優しくて朴訥な、苦悩のパパでした。長身に正装がよく似合い、幅のある強い声が将軍らしい。当たり役だったと思います!


続く

宝塚大劇場にて、花組公演「EXCITER!!」と、新人公演「外伝・ベルサイユのばら」を観てまいりました。



「EXCITER!!」、凄く良かったです。
文句無く盛り上がれる。いやー、やっぱり藤井さんのショーって大好き(*^ ^*)♪ 新公も良かったし、月組っ子が揃って観に来てくれてたし……日帰りで身体はキツかったけど、とっても幸せな遠征でした♪♪
早く東京に来ないかな~(^ ^)。通うぞ~!!




…いえ、もちろん本公演の「外伝・ベルサイユのばら」も観ましたよ、ちゃんと。寝ることもなく、最後までばっちりと。
花組ッ子のがんばりに、涙が出ましたが。

舞台面は綺麗で、しかも男役も娘役も、子役も、今回特別配属の『女子部』のお姐さま方も皆本当に美形ぞろいで美しくて、台詞も巧いしダンスも揃っているし……
………「外伝ベルサイユのばら」というタイトルのショーだと思って、脚本をカットして観ると、とても楽しめるんじゃないかと思います(; ;)





それにしても、花組ってベルばら運が無いんだなあ。
去年全ツで「ホラー アラン編」をやって、今回本公演で「アンドレ編」って。
雪組のジェローデル編も大概だったけど、アラン編は本当に凄かったんだぞ!(怒)


そして、アンドレ編も、アラン編に負けず劣らずホラー風味……
ヒロインが幽霊でさえなければ、何がきても大丈夫!と思っていたのですが、幽霊よりも何よりも、生きている人間が一番怖い!!上には上があるんですね。……この感想、アラン編を観たときにも書いたな。花組っ子が本当に不憫だ(T T)。




ある意味、マリーズ(桜乃彩音)って幽霊より怖いんですよ(泣)。

プログラムに明記されているんですが、最初のプロヴァンスでのアンドレとの別れが1763年、なんですよね。で、パリ進駐の前日にアンドレと再会したのが、1789年ですよ?その間、26年。
26年間探し続けて、やっとめぐり合った男に、当たり前のように26年前の約束の履行を求める女。

……現代劇に良くあるじゃないですか。そういう、“怖い話”が。
アンドレが去った後、ブイエ将軍(星原美沙緒)とマリーズとの会話が、怖くて怖くて、震えました。






と、本公演を観たときは思ったのですが。(すみません、この後は若干ネタバレがあります)


新人公演は、ホラーじゃなかった!!


……何が違うのか良く判らないのですが、天咲千華ちゃんのマリーズは、怖くなかったんです(^ ^)。
シャープな美貌の彩音ちゃんと違って、幼げで砂糖菓子みたいな可愛らしさが個性の人だから、でしょうか。ラストに、ブイエ将軍(真瀬はるか)と会話しながら泣き崩れる風情が本当に子供みたいで。可愛くて。
「Non…」と答える声の震えとか、唇を噛み締めて宙を仰ぐ横顔とか、まるで殉教者のように綺麗でした。愛する男を死地に追いやると同時に、自分も現世での幸せは諦めてしまった貌。


革命の後にもう一度出てくるんですが、この時の衣装が修道服でないのを不思議に思ったくらい、憂き世離れした少女で。ああ、この子には現実を見つめて生きていくのは難しかったんだろうな、と納得させられました。
アンドレを探している間は、“アンドレと逢いさえすれば全てがうまくいく”と信じていられた間は、活気に溢れて明るく元気だけれども。
その夢が潰えてしまったら、針を刺した風船と同じ。裡に詰まっていたはずの活気も明るさも元気さも、ぱぁん、と音をたててはじけてしまう……倒れ伏した天咲さんの表情には、そんな説得力がありました。



なんというか、年齢設定が全然違って見えたんですよね。

原作では、アンドレが両親を亡くして祖母に引き取られたのは8歳の時。ちなみに、革命は1789年だから、34歳。

で。本公演のアンドレとマリーズは、同い年か、へたしたらマリーズの方が歳上?くらいに見えたんですよね。プロヴァンスでの別れから26年過ぎていることも考えれば、最低でもラストシーンのマリーズは33~4歳。
実際、彩音ちゃんは大人っぽい人なので、ちゃんとそのくらいに見えていたと思います。
ピンクの輪っかのドレスが、似合わないわけではないけど、ちょっと気恥ずかしい、くらいには。


で。

マリーズがパリに出てきてから、「アジール」の店で一年ほど働いて、それからブイエ将軍(星原先輩)の養女になって2年、ですよね。ってことは、パリに出てきた時点で、最低でも30歳。当時の常識でいえば、完全な“嫁きおくれ”ですよね…?

「おじさんやおばさんに可愛がってもらうんだよ」という子アンドレ(大河凛)の台詞のように、両親を亡くして親戚の家で育てられたマリーズ。その歳まで縁談の一つもなく…ってことはないでしょうから、「私には思う人があるので」とか言って断り続けていたのでしょうか。でも、さすがに断りきれなくなって、むりやりパリに出てきた、と。

酒場で働くうちに、女主人のシモーヌ(夏美よう)から養女の話が持ちかけられる。
「最近奥様を亡くされてね…」と。
15,6の子供じゃあるまいし、それって普通に後添えっつか愛人だろう!?
身分の差があるから妻にはできず、名目は養女に、ってのもよくある話…ですけど、アンドレを探すためとか言いつつ、それで良いのかマリーズ!?


そういう、手段を選ばないところがホラーに見えるの…とっても。





だけど。

新公のマリーズ(天咲千華)は、アンドレ(望海風斗)より、だいぶ幼い印象でした。
プログラムの年代は「本公演用」として無視するとして。
もうこの際なので、原作の設定を完全に無視して、オスカルとアンドレが出会った年齢は13歳、1789年にはオスカルもマリーもフェルセンもアンドレも、まとめて23歳だった、ってことにする!(←そんな無茶な)(でも実際、大河凛ちゃんのオスカルも鳳真由ちゃんのフェルセンも、20代前半に見えたんだよ…)

と、言う訳で、プロヴァンスでの別れのシーンからバスティーユまで、10年。しかも、この時マリーズはまだ七つ(!)
小二のおしゃまなお嬢ちゃんが、近所のお兄ちゃんに恋をする。なのに、お兄ちゃんは中学生になったばかりで引っ越してしまう……そんな設定でどうでしょう。
これだったら、マリーズがパリに出てきたのは、まだ花の17歳。なんとかギリギリ、ブイエ将軍の「養女に」っていう申し出も信じられる、かも?(←新公ブイエ将軍の真瀬くんの好々爺っぷりから信じられるかも)




大好きな近所のお兄ちゃんとの思い出を後生大事に抱えていた少女と、可愛い少女のことは“幼い頃の思い出”のアルバムの中にごっちゃに放り込んで、普段は思い出すこともない、青年。

少女は、お兄ちゃんと再会するまで大人になることを放棄して、“少女”のままで居続けようとする。最初の縁談を断ったことで養家にいられなくなり、パリに出ても、酒場で働いても、その純粋さを喪うことなく、少女のまま。
そして、青年にとって、少女から貰ったリボンは、「母の形見」の代わりとして表層意識に刻まれて。彼は後生大事にそれを持っているけれども、少女の記憶とは直接繋がらない。

そんな二人が、出会ったとしたら。
全ての決着がつこうとしている、その、運命の夜に。






…まとまらなくてすみません。
いろいろ書いてますけど、本公演も新人公演も、本当におもしろかった、です。花っ子たちも専科のお三方も、あの脚本で可能な限りの力を尽くされている、というのがひしひしと感じられて。ホント、泣けてきました。
本公演には本公演なりのよさがあり、新人公演には新人公演なりのよさがあった。


でも。



なぜ、これが外伝でなければならないのか、が判らない。

外伝、ということは、本編では語れないことを描くためのもの、ですよね?
でも、この作品で描かれているのは、アンドレに幼馴染がいた、という事実だけ。あとは全て、本伝で語られていることばかりです。
昨年全ツで三組にわたって上演された「三部作」は、一応、オスカルが死んだあと革命の推移を語りたい、という気持ちで書かれたものだと思うんですよね。
実際の脚本をいくら読んでも、そんなこと伝わってきませんでしたけど。

それでも、外伝でなくては語れなかったことが、膨大な説明台詞の片隅に潜んでいました。


なのに、「アンドレ編」には何一つ目新しいことがなかった。
マリーズという登場人物は新しいけど、彼女によってもたらされる新情報がなかったんです。


たとえば。
アジール酒場でのアンドレとマリーズのニアミスのときに、警察を呼んできたマリーズのプロヴァンス訛を耳にしたアンドレが、懐かしい故郷の思い出を語る場面を入れる、とかね。そんな程度でも良いんですよ。

本編のアンドレは、最初から、「オスカルと出会ったときに人生が始まった」キャラクターです。それより過去は、存在しない。
だけど、この物語で初めて、プロヴァンスという故郷があったのか、と気づいたんです。だから、そこでの生活をもう少し語ってほしかった。アンドレの母がどんな人で、邸のオークの木にどんな秘密があったのか、そんなことを、少しでもいいから、アンドレの言葉で。



あるいは。
アジール酒場でのアンドレとベルナールを逢わせちゃう、とか。
アンドレは偽名を使っているからマリーズは気づかない、ってことにして、平民たちの中で暢気にやっているアンドレの様子を描くだけでも良い。どうせアジールがアンドレの行きつけの店だっていう設定なんだし、オスカルの居ないところでのアンドレの様子がわかるだけでも面白い。



あるいは、せっかく、マリーズの庇護者をブイエ将軍にして、彼の良心的なところを描いているんだから、ブイエ将軍とジャルジェ准将の対立の原因をもう少し突っ込んで描いてもいい。(←それじゃアンドレ編じゃなくてブイエ編になっちゃいますが)
なんでもいいから、「外伝」で、マリーズを出さないと語れないような、本編の裏エピソードがないと、「外伝」の意味が無いと思うんです。


だったらせめて、本編にして欲しかった!!
あのまんまマリーズを外して、バスティーユにオスカルを入れれば本編になるし。

正直に言えば、本編だろうが外伝だろうが植田大先生の「ベルサイユのばら」なんて観たくないけど(T T)、それでも、ホラーなベルばらより、だいぶマシだわ。



新人公演の演出は鈴木圭さんだったんですが。鈴木さん、本公演も見てあげてほしかったよ……大劇場公演は「逆転裁判」があったから仕方なかったのかもしれませんが、東宝公演は本公演もしっかり見てあげてください(切望)





なんだか、話があっちこっち飛んでしまってすみません。あまりにも衝撃的な作品だったもんで。
キャストの感想は、また後日。



宝塚GRAPHを買ってきました。
……表紙の祐飛さんがあまりにもらしくて、ちょっと感動してしまいました。
笑ってない表紙って珍しいですよね。私の中ではマミさんと檀ちゃん以来なのですが(←さすがにそんなことは無いと思うが)、いやー、フォトジェニックなひとだなあ……大好きです(*^ ^*)(今更かよ)。

しかーし。中を見たら「Fairy Style」の羽桜しずく嬢の写真にもすっかり撃ち抜かれまして、9月号のプレゼントの応募、表紙としずくちゃんとどっちにしようか真剣に悩んでおります(^ ^;ゞ
……とっとともう一冊買ってきなさい>自分。

っていうか。はみだしショットの『男前しずく』のカラー写真が欲しいですっっっ!!>編集部様
お願いですから、しずくちゃんとあいあいは、退団号の全員プレゼントに(トップ娘役待遇で)入れてくださいねっ!そしたら二冊買いますから!!(真顔)





で。
タイトルに戻りまして、雪組東宝劇場「RIO de Bravo!」について。
Graphに舞台写真が載っていたので、家に帰ってからも一人で大盛り上がりしてしまいました(*^ ^*)。いやー、皆可愛いくて、そして男前ですね(はぁと)。


黒塗りでノリノリのラテンショー、というと、つい先月博多座で上演されていた「Apassionado!!2」に通いつめていた猫ですが、この「RIO…」は、また全然違う楽しさがありました。
「Apassionado!」が藤井さん、「RIO de Bravo!」が齋藤さん。なんとなくチームっぽいイメージのあるお二人ですが、今回の二作は、なんだか お二人が作風を入れ替えたかのような印象 でした。
マイナーコードがメインとなる音楽を多用し、熱い血の騒ぐような、「光」と「闇」と「血」、赤と黒と金で構成された「Apassionado!」。根っから明るくて軽やかな音楽、元気いっぱいのカラフルな舞台面に生き生きとした生命力が溢れていた「RIO…」。

ただ、藤井さん独特のファンタジックな味付けはやはり「Apassionado!」のサパテアードのリズムの中にひっそりと隠れていたし、齋藤さん独特の、オムニバスな芝居をつないだようなショー構成は藤井さんにはないもので。プロの個性は、絵の具の色遣いではなく、画面構成やタッチに出るモノなんだな、と思いました。





観るまでは、タイトルから『リオのカーニバル』をメインにした構成を想像していたのですが、実際に見てみると、むしろテーマは『ブラジル』だったような気がします。
それも、多分、現代のブラジルが描きたかったのかな、と。
誰か一人の視点に固定されるお芝居と違って、多様な視点で一つの物語を綴ることのできるショーという形式は、一つの「国」を描きだすには良い手法なのかも、と思いました。

プロローグの空港、
オープニングを染めるカナリアイエロー、
イパネマ海岸の恋のさやあてと恋泥棒、
そして、リオのカーニバルを中詰において、
裏通りの少年たち(早霧・沙央・愛加・舞羽)、
19世紀の悲恋を描いた「愛の逃亡者」ときて、フィナーレへ。
ここでデュエットダンス前に歌われる歌もブラジル音楽に傾倒した宮沢和志(The BOOM)作の「風になりたい」だし(彼はブラジル移民百周年を記念した「足跡のない道」という曲も書いている)、ショー全体をとおして、「ブラジル」という広大で猥雑な、エネルギーに満ち溢れた邦を描き出そうとしているのかな、と。

もっと萌えを前面に打ち出してくれるかと期待していたんですが、予想よりだいぶ真面目な内容で(^ ^)まともなショーでした。
齋藤さんって、萌えばかりが取り沙汰されがちな作家ではありますが、案外物事の本質を鋭く掴むタイプの人だと思うんですよね。っていうか、ちゃんと見て本質を掴んでくれるからこそ、比較的正しい萌えキャラがが出てくるんですけど(苦笑)、今回はあまり暴走しないですんで、雪組さんらしい、はっちゃけているけど根は真面目、な作品に仕上がっていたと思います。



っていうか。
せっかくみなこちゃんがトップ娘役なのに、どうしてダルマに、いいえ、極楽鳥にしなかったのよ~っ!?
と、齋藤さんを、体育館裏に呼び出して1時間くらいシメあげたい……
中詰めで、白い総スパンの脚見せスカート(後ろがひだをたっぷりとったロングで、前はミニ)で出てきたみなこちゃんを観て、がっかりしたのは私だけなんでしょうか(T T)。そこはダルマだろう~~!!すっごい楽しみにしていたのに~~~っ!!

……全ツでは善処をお願いします>齋藤さん (←無理だよ)





水さんで一番好きな場面は。
どれも好きなんですけど、猫はやっぱり、恋泥棒が好きかなあ。相手役のクララ(彩那音)がまたメッチャ可愛くて、銀橋でのやりとりから目が離せませんでした。いやあ~、ひろみちゃんは絶対男役の方がいいと思うんですけれども、ショーでの女役は、毎回一場面はサービスでお願いしたいかも(^ ^)。

あと、中詰めの途中でシンプルなブラウス+細身のパンツでユミコさんと踊るところが凄いカッコいい。ダンサーっていいなあ、と思いますね(*^ ^*)。いやー、あの場面ちょっと短すぎです!もっと長くていいのに。美穂さんの歌ももっと聴きたいし♪ただ、ここに出ているばっかりにカーニバルのカリオカたちの盛り上がりに水さんもユミコさんも居ないのが、ちょっとだけ寂しいんですけどね(^ ^)。



みなこちゃんで好きな場面は…
うーん。CSの大劇場初日映像だったか稽古場だったかで流れていた「Honey,Honey」(ABBA)があまりにも物凄い音程だったので、すっごく不安だったんですが、思いのほかちゃんと歌えていたので、すごくホッとしました(^ ^; (←それは「好きな場面」じゃないだろう)

うーん、パピヨンも好きなんですけど、ここはやっぱりデュエットダンスかなあ……。
動きが柔らかくてエレガントで、すごく好きです。水さんとの並びもキレイだし♪嬉しいです♪



ユミコさんで好きな場面は…
中詰めの途中で水さんと踊るところと、後半の「愛の逃亡者」で、水さんを追うラ・プラタ連合州の士官役、かなあ。あの士官のソロが凄く好きです。格好良い。ユミコさんって、名歌手だけどどちらかと言うと癒し系の声質で、ああいう強い感情を爆発させるような歌は得意じゃない印象があったのですが、今回はすごく良かったです。切迫感があって、逃亡する恋人たちの追い詰められた感がすごく伝わってきました。
デュエットダンスの歌も良かったなあ(*^ ^*)こちらは本来の声でしたね。あの広い劇場の空間を、客席の天上まで暖かくて優しいもので埋めてしまう声。声というのは天与のものなので、ああいう才能を持った人は、大事にしてほしいな、と思います。
ありがとう。ユミコさんの歌を聴けて、幸せです。



キムちゃんで好きな場面は……
実は、パピヨンの出だしかもしれません、私(^ ^;。
い、いや、そんなことはないかな…?オープニングやエピローグのキャプテンも、いかにもキムちゃんらしくて賑やかでかわいくて、みみちゃんともお似合いで好きです。あ、あと、中詰めはやっぱりいいですね。暑苦しいほど熱量のあるキムちゃんに、カーニバルはぴったり!!かわいこちゃんたちを引き連れての盛り上がりは、さすがです。



ひろみちゃんで好きな場面は、やっぱりクララってことになっちゃうかなあ…。
にわにわ(奏乃はると)は、普通にカリオカでがんがん踊っている姿も好きですが、やっぱりスーパーマーケットの店長が好きだ(^ ^)小芝居がすごく楽しそうでした。
キタロウは出る場面出る場面、それも主役みたいに目立ってて素敵です(きっぱり)。
(真波)そらちゃんは、、、なんだか美形度がアップしていて、なんてことない場面でもやたらに目について困りました。昔から綺麗な人でしたけど、最近ちょっと綺麗すぎてドキドキします(汗)。

お芝居で目についた涼瀬みうとくんが、意外と目立つところに居たりして嬉しかったです。あと、あずりん(梓晴輝)もだいぶ前列に出てくるようになったんですね。後ろの方ばかり探していたので、意外と見つけにくかった(汗)。

真那春人くんはロケットに居ると信じきっていて、すごく真剣に探してしまいました。
次の男役群舞にいれてあげられないんなら、ロケットに出しといて欲しかった。せっかく数少ないスタイル良しなのに……(; ;)(←その前のパピヨンに出てるから、間に合わないと思う…)。



ピラニアの四人娘も可愛いんですけど、下級生すぎてちょっと残念。「Blue Moon Blue」の時の四羽のウサギちゃんは、最下でまだ研2あたりだったとなみちゃん(白羽ゆり)以外は三人とも新公ヒロインやバウヒロインを経験ずみで、本公演でも役がついていたメンバー。齋藤さんの萌えは、ピラニアの四人より、スーパーマーケットの可愛い店員さん(花瑛ちほ)にあるのかな?と思ったりしました。


なにはともあれ。
芝居もショーも、『目が離せない』がキーワードの雪組公演。
大野さんと齋藤さんの息の合ったタッグも楽しくて、観ると幸せな気分になれて、元気がでる公演でした v(^ ^)。今までとはガラッと雰囲気の変わった雪組さん、新しい雪組さんも、素敵でしたよ(*^ ^*)。




東京宝塚劇場にて、雪組公演「ロシアンブルー/RIO de Bravo!」を観劇してまいりました。




みなこちゃん(愛原実花)、トップ娘役お披露目、おめでとうございます!

いやあ、もう、とにかく可愛かったです(*^ ^*)。大野さん、ありがとう♪♪渾身の宛書でした。
お堅くて、意地っ張りで、素直じゃなくて、気弱で、自信がなくて、寂しがりやで眼つきが悪くて。

うーん、ある意味ロシアンブルー=みなこちゃんなんだなあ、と、タイトルの意味に納得してみたりして(^ ^;ゞ





新しい相手役を迎えた水さんがまた、男前で包容力があってカッコよかったです。
“優しくて愛がある”という水さんの芝居のイイトコロはそのままに、甘やかさと包容力が加わって。相手役がテンパってカラカラと空回りしているのを、良い意味で面白がりながら、温かく見守っている雰囲気なのが凄く良いです。
芝居の呼吸は、初めて組んだとは思えないほど良く合っているから、安心して面白がれるんだろうなあ、と。となみちゃんとのお披露目だった「星影の人」の時は、同じように“初めて組んだとは思えないなあ…”と感心しましたが、水さんの側にあまり余裕がなかったので、そういう微笑ましさというか、甘やかさ(?)は感じなかったんですよね。うん、新しい魅力が出ていた、というのが、一番近いかな(*^ ^*)。
そういえば、檀ちゃんと組んでからのマミさん(真琴つばさ)も、ちょっとそんな感じのところがありましたね。





ヘンリー(彩吹真央)とロビン(大月さゆ)の執事&メイドの兄妹は、これがまた、めっちゃ良かったです♪
生真面目な、というより慇懃無礼な調子でご主人さま(アルバート/水)に話しかけるユミコさんに萌え、振り回されてアワアワしている水さんに萌え、、、いやー、いいコンビですね、このお二人は。
息もぴったりだし、なによりも深い信頼感があって。
そして、引っかき回し役で、なおかつ語り手でもあるロビンちゃんが、めっさ可愛いです♪ちょっと、前回公演(「ZORRO」)のメイド役と被るキャラクターではあるのですが、まぁこういう“隣の女の子”なのにぶっ飛んでる、みたいなキャラは彼女の強みだなあ、と思います。きゃあきゃあ騒いでいるようで、それほど耳に障らない声質も貴重ですね。とにかく、さゆちゃんが「おにいさま〜!」と呼びかけるたびにきゅんっとします(^ ^)。




キムちゃん(音月桂)は、実在のソヴィエトの演出家(のちに映画監督)、グレゴリー・アレクサンドロフ。
この人は、大御所のエイゼンシュテイン(奏乃はると)と共に、麻樹ゆめみさんたちが率いるメイエルホリド劇団に協力している、という設定なのですが。このメイエルホリド劇団という存在やエピソードを私が全然知らなかった(←無知?)ので、ちょっと解り難いなーと思いました。
知らない劇団名がなんの説明もなく(プログラムのキャスト説明を読めば書いてあるのですが)出てきて、こ、この劇団がこれからどう物語に絡むんだろう……?とか思っていたら、結局のところ、本筋とは全然関係なかった。
そういう意味で「あれっ!?」と思ってしまったんですよね。

まあ、創り手側にしてみれば『本筋と関係ないからいちいち説明してない』だけのことなのかもしれないんですけどね。でも逆に、説明ナシに突然出てくるから、『そのうち説明されるに違いない!』とか、『大野さんが無駄なエピソードを積むはずがないから、この劇団の謎が展開に関わってくるに違いないわ!』とか、勝手なことを考えてしまうんですよね(汗)。(←考えすぎ)



大野さんの大劇場デビューだった「夢の浮橋」に比べると、ストーリー自体は入り組んでいるけれども、本筋がはっきりしていて、心理の動きもごくシンプルでわかりやすい話だったと思うのですが。この「メイエルホリド劇団」という実在のソヴィエトの劇団の存在が、話を意味もなく複雑に見せていた、ような気がしました。

いや、だから何、って感じなんですが(汗)。

たとえば、留学生(佐野碩)の存在意義が曖昧だ(というか、無い)と思うんですよね。確かにこの時期、日本からソ連への留学生は多かったはずなんですが、それって常識……なんでしょうか?(←急に自信がなくなる)
観客としてぼーっと観ていても、『なんで日本人がいるんだろ?』としか思わないような気がするんですよ。いや、ちゃんと台詞では、留学生だとは言ってるんですよ?そういう基本的なところはちゃんと押さえてあるんです。ただ……なんというか、何故彼らが留学してくるのか、当時のソヴィエトの演劇界の先進性を語る場面が無いから、直感的に伝わり難いんじゃないか、と思うのです。

やっぱり、そのへんの芸術論とか文化政策論みたいな部分は、時間の関係でばっさりカットされちゃっのかな…?(というか、当初の企画では芸術論だけで一時間半かかってた、みたいな)なーんて思ったり。





ま、それはともかく、
……キムちゃんグレゴリーの話。


メイエルホリド劇団を救え!というエピソードが本筋に全く絡んでこないので、キムちゃんの役の意義が薄れたのかな、という印象は若干ありました。
もしかしたら、大野さんの最初の構想ではもっとメイエルホリド劇団のエピソードが主軸に来ていたんじゃないかなあ、と思ったんですよね。ネコタナ一族が、その特殊能力を生かして劇団を運営していた、とか、そういう設定で。
実際メイエルホリド劇団もネコタナ一族同様、政治的な圧力を受けていたわけですから、それを膨らませるつもりだったのかな、と。

でも、やはり実在の劇団(それも結構悲惨な運命を辿っている)をモデルに話を組み立てるとコメディにならないので、全然違う話に組み立てなおして……そして、キムちゃんがそっち側のエピソードを一人で支える羽目になった、みたいな。そんな気がしました。



でも!キムちゃんの芝居は熱量があって人を巻き込む力があるので、今回みたいなポジションの(ソヴィエトとアメリカの架け橋になる)役は、嵌っていたと思います。口にする台詞の一言一言に、説得力があるんですよね。それでいて可愛くて、つい話を聞いてしまう、という裏技つきで(^ ^)。
グレゴリー的な見せ場は、タップ対決ということになるのでしょうか?でも私は、劇団の稽古場であれこれ喋っているときの芝居が好きでした。人の輪の中を泳ぎながら、好奇心にみちたキラキラした笑顔で新しい人々と接し、いろんなアイディアを温めていそうな雰囲気が。

……これを、新公では真那春人くんがやるのか……ドキドキ(*^ ^*)。




専科のお姉さまがた(汝鳥伶、五峰亜季、美穂圭子)と、悪役専科になりつつあるハマコさん(未来優希)、最後の舞台となるいづるん(天勢いづる)…皆、遣り甲斐のある『いい役』だなあ、と感心します。それぞれに性格があって、過去があって、未来があるから、今の台詞がある。脚本的にきちっと裏づけがあるから、安心して芝居ができるんでしょうね。
みなさんノリノリで楽しそうで、観ていて幸せでした。


そして、ユーリ先輩(緒月遠麻)。
噂には散々聞いていましたが。本当に格好良いです〜〜!!
役自体もいい役だし、これは新公のあずりん(梓晴輝)、楽しみだなあ♪
一緒に芝居をする真波そらちゃん・彩夏涼さんとかもいい感じで、ラストをさらっとまとめてくれたなあ、と思います。
いやー、テルくんと離れた途端のこの役で、キタロウのファンがまた増えそうですね〜(*^ ^*)。大野さんの好きそうな役者ですもんねぇ♪




うーん、なんだかいろいろ、語りたいことがたくさんあるなあ(*^ ^*)。
ネコタナ一族全員の愛おしさとか。
エイゼンシュテイン(にわにわ)とジナイーダ(麻樹ゆめみ)さんが妙にラブラブだったこととか(^ ^;
キング(蓮城まこと)のロバート役が大当たりだったこととか。
バレエ・リュス(ペトルーシュカ)チーム(沙月愛奈、愛輝ゆま、香音有希)の可愛らしさと、もっと踊って欲しかったこととか。
ボルシェヴィキだの官憲だのの下級生が駆け込んでくるとき、真那春人くんが必ず一番前で、舞台をぐるっと回って上手奥へ行ってしまい、下手に座っていた私には全然見えなかったこととか。
メイエルホリドの衣装係(悠月れな)ちゃんが達者で面白かったこととか。


……あ!デボラさん(天勢いづる)のかばん持ちをやっていた涼瀬みうとくんの、さりげない存在感も良かったです。キレイな人なのに、あまりにも面白くて、しばらく誰だかわかりませんでした(汗)。




それにしても。この作品、私は最初から最後まですごーーーくすごーーーーく愉しかったんですが。一点だけ、大野さんに考えてほしいのは……グループ芝居の演出方法、ですね。
今回、アメリカのレビュー団メンバーと、メイエルホリド劇団のメンバーが混ざって芝居をしている場面がすごく多いのですが、そういうときに、誰がどっちのチームか、ぱっと見てもよくわからないことが多くて(T T)。
衣装を変えるとか、立ち位置を工夫するとか、もうちょっとなんらか工夫の余地があったんじゃないかなあ、と。

ソヴィエトとアメリカとはいえ、同じ人間なので(^ ^)ネコタナチームほど特化していなくてもいいんですが、もう少しチーム所属がわかりやすいように演出してくれると、初めて宝塚を観る人でもわかりやすいんじゃないかなあ、と思いました。




うん。
でも、大好きです。この作品。
全編に大野さんの愛が溢れていて。

ラストの、アルバートさんの「リオにでも行くか!」という台詞に、思わず声を出して笑ってしまった(^ ^)。


予想以上にいいコンビになりそうな、水さんとみなこちゃん。コンビを語る上で、「芝居の相性がいい」は最高の誉め言葉ですよね!これからも、ご活躍を心から期待しています★



ザ・ダイバー

2009年9月20日 演劇
東京芸術劇場小ホールにて、「ザ・ダイバー」を観劇してまいりました。


野田秀樹が官営劇場である東京芸術劇場の芸術監督に就任した記念プログラムのひとつとして上演された作品。昨夏ロンドンで初演(ロンドンキャスト)され、その後日本でも上演されましたが、そのときはチケットが手に入らず観られなかった作品。
今回は日本キャストということで、大竹しのぶ・渡辺いっけい・北村有起哉+初演から引き続き野田自身、という超豪華キャスト。



放火殺人(子供二人)の容疑で拘束され、尋問を受けている一人の女(大竹しのぶ)。
恐ろしい鬼警部(渡辺いっけい)と、ちょっとチャラ男っぽいが陰湿な雰囲気のある検察官・北村有起哉)の取調べが連日繰り返されている。しかし、女には犯罪を犯した自覚がなく、多重人格(?)の疑いがあるということで、精神科医(野田秀樹)が呼ばれる。
精神科医は彼女の心の奥に潜り、彼女の真実を見つけ出そうとするー。



ヒトの心を「海」と呼ぶ人は多いですが、この物語は、まさに「心の海に潜る」ダイバーの物語、という表向きの設定と、「海女」という謡曲の裏設定の二重構造になっています。
私は「海女」のことは全然知らなかったのですが、パンフレットによると、藤原不比等の物語だそうですね。州崎の沖の龍に宝物(“面向不背の玉”)を奪われた不比等が、州崎の海女と結婚し、三年間共に暮らして子供をそだてる。その上で、彼は海女に「宝物を奪い取ってきてくれないか」と頼む。龍の宝に手を出せば死は免れないと知りながら、海女は夫に問いかける。「身分卑しい自分の息子でも、あなたは藤原家の嫡男として扱ってくれますか?」と。
不比等は肯い、約束を交わして潜る妻を見送る。数日後、海女の死体が揚がり、胸を切り裂いた傷の中から、面向不背の玉が出てくる……。


そして、もう一つ、全体を通したモチーフになっている「源氏物語」。「女」は、会社の同僚(?)の「男」(北村)と恋に落ちる。……彼に家庭があるということを、最初は知らずに。
そんな恋を、彼女は「源氏物語」の中のいろんな女性たちのエピソードとして記憶している。時に夕顔、時に明石、そして、時に六条御息所になりきって語る彼女に、精神科医は溜息をこぼす…。




女を自分の思い通りにしようとする男=源氏(北村)に翻弄され、壊れていく「女」。男に言われるままに子供を堕ろし、その罪悪感に押しつぶされて。
「男」の「妻」(野田秀樹)の罵りの言葉に破壊された「女」は、「男」と「妻」が住まうアパート=「家庭」に火をかける。それはたぶん、彼女にとっては悪魔を滅ぼす浄化の炎、葵の上に取り憑いた悪霊を滅ぼそうとする火。彼女自身が既に生霊になっていることに気づきもせずに。
護摩に焚かれた芥子の香りがしみついた身体を引きずって、否定しようとして。彼女は、次々に源氏物語の女性を名乗ってみせる。

それでも、完全に忘れられたわけではなかった。
「四人、死んだわ…」
そんな呟きに、本名の「女」が覗く。けれども、そんな「女」は、あっという間に精神の海の底に沈んでいくーーーー。





終盤、自分の身体に染み付いた芥子の香りに気づいた「女」と問答に持ち込み、“自分が誰なのか”を思い出させようとする精神科医が、「女」の精神の海の深みに共に潜っていく場面。
それまで血のような朱を基調にしていた照明が、ふいに冷たく澄んだアイスブルーに変わり、すべての音源が消えて。二人は共に、ゆっくりと泳ぐ振り付けでスローモーションで動き……

そして。


探していたものを見つけた女が、それを精神科医に差し出す。
それはたぶん、「海女」が探していた“龍玉”。自分の子供の出世を約するもの。だからこそ、あんなにも大切そうに取り出して、自分の全てと共に、差し出して見せる。
自分の精神の、海の底から。


龍玉を受け取った精神科医は、水面を目指して泳ぎーーーそして、産声をあげる。
生まれなかった「女」の、子供たちの替わりに。

出世の約定を握りしめた、運命の子供の産声が響く。
この世には生まれることのできなかった子供の、産声が。







大竹しのぶ。
声色ひとつ、姿勢ひとつで一瞬にして別人になりきれる彼女にとって、この役はまさに嵌り役。ロンドンキャストの素晴らしさも噂では聞いていますが、大竹さんの「女」を観ることができて、本当によかったです。
「本能的な役者」ってよく言われている人ですが、久々に、“本当に計算してないなー”としみじみ思ってしまう役でした。



渡辺いっけい
鬼警部からバラエティ番組の司会者(頭の中将)役まで、ホント幅広い人だなあ(^ ^)。
いや~素晴らしかったです。警部として「女」を脅しつける迫力も凄かったし、軽妙な場面はとことん軽妙で。舞台で拝見するのは久しぶりだったのですが、さすがだーと感心しきりでした。



北村有起哉
細面に髭がよく似合って、「源氏の君」と呼ばれることに違和感がなかった。素敵でした!
全てはお前が悪いんだよ!という気もするんですけど、男と女ってそう単純なものじゃないからねぇ、とも思うし。「女」がそこまで嵌りこむ魅力がちゃんとあったから、物語に説得力があったと思います。
まあ、傍から見ていたら、本当にしょうのない男って感じですけどね(苦笑)気障でナルで、しかもヘタレなんだもん(- -;



野田秀樹
舞台に立っている姿を拝見するのは久しぶりでしたが、さすがでしたね。物語の主役はもちろん「女」だし大竹さんなんですけど、「ザ・ダイバー」というタイトルのタイトルロールは精神科医だったのかな、と、ラストを視て思いました。産まれなおすのは彼だから。


演出的な面では…、
舞台セットは、ソファと椅子がいくつかあるだけのシンプルなものでした。衣装もほとんど着替えはなく、ただ、現代の普通の服の上に軽いショールみたいなものを巻いたり、オーガンジーの被衣みたいなものを羽織ったり…という程度。印象的だったのは、「女」が堕した子供の象徴(そのときに流した血の象徴)である紅い布、でしょうか。
そして、面白かったのは、ただの回想ではなくて象徴的な意味のある場面になると、登場人物たちがフェースカバーみたいなメッシュの袋を被って演じていたこと。すり替えもすごく巧くて、ちょっとソファの後ろに倒れこんでみて、起きて来たらもう鬼女の面が描かれたフェースカバーを被っている、みたいなのが凄く印象的にでした。
紅い布をはおり、鬼女の面をつけた大竹さんの、崇高なまでの美しさ。このあたりの小物使いは、野田さんらしいなーと思いましたね。

音楽は、謡曲「海女」と「六条」をモチーフにしているだけあって、音楽はお囃子の生演奏。腹に響く鼓の音と空気を切り裂く笛が、物語を進めてくれた印象があります。このほかにも、録音でいろんな音源も使っていましたが、やっぱり生演奏の迫力はいいなあと思いました。




公演の話とは関係ないのですが、野田さん、芸術監督就任、おめでとうございます♪
「天翔かける風に」も野田さんの芸術監督就任記念プログラムの一環だったんですけど、なんか全然そういう意識はなかったんですよね。
でも今回は、なんだかすごく「ああ、野田さんがここのトップ(?)になったんだなあ」と感慨深くて。野田さんみたいなアンダーグラウンド(←定義としては間違っているような気がしますが…)出身の人が、都とはいえ官営の劇場で芸術監督に就任する時代がきたことに、驚きつつもやっぱり嬉しい、と感じました。

また今後も、刺激的な、面白い作品をたくさん上演してほしいです。

ただ、ミュージカルファン的には、ここ数年続いていたミュージカル月間(2月)はどうなるのかなー?と不安だったりするんですけどね(汗)。野田さん、ミュージカルもよろしくお願いしますねー(^ ^;ゞ



宙組博多座公演「大江山花伝」。



■第十二場a 茨木の告白 続き(岩屋に近い路)

千年杉に率いられた都の姫たちが下手袖に入ろうとすると、上手側から坂田公時(鳳翔大)が登場。彼に気づいた花園衛門(愛花ちさき)が、前を行く紅少将(花里まな)を呼び止め、公時を示す。
「まあ、公時さま。お一人かしら?」
様子を伺いながら当たり前のように花園衛門の持っていた桶を受け取る紅少将は、当然、花園と公時の関係を知っているんですよね…?落ち着きのある大人の女、という風情があって、下級生とは思えないほど良かったです。


「公時どの」と呼びかけて駆け寄る花園、
「何も仰いますな」と語りかける公時。

「黎明の風」の頃から変わらない、大くんの美声。いやー、普通に喋っているときの大くんは、本当にいい声だし、巧いなあと思うんですよね。……ちょっとでも見得をきろうとすると、その瞬間にコントロールを失ってしまうのが残念でなりません。あれはいったい、何がいけないんでしょう…。
そんなに引っ込み思案なタイプには全然見えないんだけど。芝居心もあるしね。「やりたいこと」「みせたいもの」はしっかり作ってきているのに、実際に表現しようとすると気合が空回りしてしまう。あああ、勿体無い(T T)。

ある程度役がついてくれば、必ず『気合の入った台詞』というものが必要になってくるものなので。今回の公時も、頼光邸での会話とかは本当にヤバかったし。どうぞ、もっともっと自分の芝居に自信をもって、せっかくの格好良さと美声を生かしてほしい!と、切に祈ります。

……歌のことは、今は言うまい……。




恋しい女を「必ずお救い申し上げます」と力づけ、「しばらくのお別れです」と言い聞かせて立ち去る公時。

二人が別れて下手に消えると、入れ違うように、あるいは追いかけるように上手の袖から茨木童子が登場する。

「ああ……」

溜息のような、かすれ声。

「…あれは幻か?……昨日もあの二人を見た……あれは…」

うわごとのように、苦しげに呟く茨木。ふらふらと歩いて、くずれるように岩に座り込む。

岩の陰から現れる藤の葉。座っている茨木童子に駆け寄って、苦しそうな鬼を気遣う。

「お気分がお悪いのですか…?」

懐から布をだして、額あたりを拭う藤の葉。
されるままだった茨木がふと視線をあげる。心配げな藤の葉の視線と絡み合う、一瞬の間。
火傷でもしたかのように、手を離す藤の葉。

「嗤うがいい。鬼のこの身が、幻に悩まされている」

少し落ち着き、力を取り戻した声で、藤の葉に語りかける。

「…三年前に視た、幻…」

なのに、話の途中から、また彷徨いだす心。

「いや、あれは……幻ではなかった……?」

唐突に三年前のことを語りだす茨木を、ただ、心配げに見守るしかできない藤の葉の、寂しげな後姿。何ひとつしてあげられない無力さがひしひしと痛くて、ひどく哀れに見えました。
そんな少女の様子に気づきもせずに、自身の裡の闇に囚われて言葉を紡ぐ茨木も、また。

「恋しい姫と引き離されてこの山に連れてこられて……都恋しく何度も逃げ出したが、そのたびに連れ戻され……」

それでもなお、傷が癒えればまた逃げ出した、と語る茨木。
舞台奥から現れた胡蝶が、切なげに目を伏せて、そっと呟く。

「三年前のあの時は…旅が長かったわ…」

そして、あのとき初めて、自分から山へ帰ってきた……、と。

胡蝶が問うても口を噤んだままの茨木が、藤の葉の問いには言葉を零す。

「どうして…?」

それがどんなに切なくても、それでも、訊かずにはいられない女心。
胡蝶が哀れで、タマラナイ気持ちになりました。



「不思議なことがあるものよ」

夢を見ているような口調で、謡うように茨木が教える。

「そっくりな、あの、ふたり……」

花園と、公時。

……萱野と、そして……、と



■第十二場b 茨木の告白(ある荘園)

萱野(愛花ちさき)とこぞ丸(結乃かなり)。
三年前、旅に出た茨木が迷い込んだ荘園で、下働きをしていた二人。

あまりにも辛い生活の中、それでも手を繋ぎあい、笑顔でがんばっていた二人。二人の明るいまなざしに救われた茨木は、三人で逃げることを考えはじめる……。



二人と茨木との交流については、原作では本編と同じ長さの外伝になっていて、かなり深く描かれているのですが、舞台ではほんの一瞬の回想場面なので、全然わからないんですよね(涙)。
ただ、紀国守の邸で人として育てられた茨木には、独りでは生きていられぬヒトの子の温かさが格別に懐かしく、愛おしいものであったことは想像できるでしょうし……あんな程度でも、伝えるべきことはきちんと伝えているからいいのかな、と思いました。

ただ。ちょっと気になったのは、「三年前」というキーワードですね。
芝居の流れ的に、“都を襲った大火事”で藤子を見失った茨木が、衝撃のあまり(あるいは、藤子を探して?)彷徨ううちに“ある荘園”に紛れ込み…という展開に見えるのですが、原作では、この物語は火事より前だとも後だとも明言されてはいません。
ただ、なんとなく火事よりも前のような気がする。その時点では、まだ、懐かしい紀国守の邸に行けば、幸せそうな藤子に会えることがわかっていて、でも、自分はもう鬼になってしまったから行かない(行けない)、という絶望感があったので。

“会えない”のと、“会わない”。
“見つからない”のと、“会いにいけない”。
茨木の絶望の深さと投げやり感は、後者の方が鮮明な気がします。



けれども。

運命はかく扉を叩く。

身を寄せ合って逃げる算段をする三人の前に、一人の盗賊(鳳翔大)が投げ込まれるーーーー。

「六郎太っ!?」

萱野の悲鳴。

「萱野!ここに居たのか!」

縛られ、連行されている盗賊の、悲痛な叫び。

「知り人か?」
「昔の私の恋人。私のために、盗賊の仲間に…」

と、なれば、

「…三人で逃げる話は…?」

問いかける茨木を、キュッと唇を噛んで、萱野が振り仰ぐ。

「あの人は、私のためにあんな姿に……」

手を握りあい、身を寄せ合って生きていた三人。
なのに今の萱野は、別の人間の手を求めている。

「わかって、茨木。……私は、行けない……!!」

茨木の手を振り払い、六郎太を追って走り去る萱野、
力なく伸ばした指の先には何も触れず、呆然と立ち竦む茨木。

「……萱野……」



萱野は六郎太を連れて逃げた。
後に残された茨木は、絶望の中に取り残されて不幸に浸りこむ。

凝っと何かに耐えるかのように肩を丸め、客席に背を向けて立ち竦む茨木。

「なぜ…私だけ…?」



独りじゃないのに、と思うんですよね。
声をかけることもできない こぞ丸の幼さが、切ない。ここで一言声をかけてあげていれば、茨木も目が醒めたかもしれない、のに。



ふいに音楽が変わり、照明が変わる。
紅く燃えるようなスポットライトの中、あらためて鬼として目覚めた茨木の哂い顔が、酷く痛い。痛いのに、凝っと視ずにはいられない。古傷をかきむしるみたいな、後ろ向きの快感。

「追わなくていいのか?たった今萱野は逃げたぞ!」

鬼に変じた茨木の表情の激しさは、大空祐飛という役者の真骨頂だったような気がします。
世界さえも支配する、彼の、絶望。

「……盗賊の六郎太と!!」

追っ手が放たれ、逃げ切れなかった二人は、お互いを庇いあって死んだ。
姉とも慕った萱野に縋って泣くこぞ丸に、正気を取り戻した茨木が、すいっと白い手を差し出す。

その手を振り払って、少年は叫ぶ。

「人でなしの、鬼!」

愛した人は死んでしまった。
鬼が、殺した。目の前に立つ、この、美しい鬼が。



指をさされてよろめく茨木の弱さが、哀しいです。弱いことは罪なんだな、と思う。
彼にもう少し強さがあれば、たぶん、萱野を追い詰めずにすんだと思う。六郎太と行かせてやるだけの器があれば。
でも、彼はあまりにも子供だった。妖力はあっても、精神的にはまるっきりの子供。
思うようにならない世界に苛立って、すべてを酒呑童子のせいに、して。

変わってしまった自分を藤子に見せる勇気もなく、
ただ、絶望に浸っているばかりの子供だったから……。




■第十二場c 茨木の告白(岩屋に近い路)

「何故あんなことをしたのか、自分でもよくわからない」

そう、茨木は告白する。大江山の途の上で。

「……知らぬ間に、鬼になっていた!」

激昂して取り乱す茨木を、必死に宥めようとする胡蝶。

「可哀相な茨木…」

ふと呟く藤の葉を、蔑むように唇を吊り上げて嗤う鬼。

「可哀相?」

冷たい瞳で、

「…俺は人間ではなかった。俺の中に、鬼が眠っていたのだから」

藤の葉だけを見据えて。

「俺はもう、ヒトとは暮らせぬ。女が欲しければ、攫って来て抱くだけだ!」

目を逸らす胡蝶。目を潤ませて、凝っと見凝める藤の葉。

「これが俺の、真の姿だ。わかったら都に帰れ!気紛れで拾った藤の葉にはもう飽きた!」

藤の葉にだけ語りかける茨木から、目を逸らす、胡蝶ーーーー。

「思い出くらいは作ってやろうか…?」

甘さのひとかけらもない囁きと共に、藤の葉を抱き寄せ、口づけを落とす、鬼。

茨木を突き飛ばして、泣きながら走り去る、藤の葉。




「いいの?…あれで」

堪らないげな胡蝶の問いかけに、止まっていた時間が動き出す。
いいんだ、と肯く茨木に、そっと誘いをかける。

「呑もうか…?二人で」

…ああ、お前と二人で呑むのも、悪くはないな……
どうせ残り、一日かせいぜい二日の平穏。頼光軍が来れば、この山は戦場になる。
だから、……それまでは全ての憂さを忘れて……


忘れられるはずがないことなど、百も承知で。

「そうだな。…すぐに行くから、先に行っていてくれ…」

瞳に絶望を浮かべながら、それでも気丈に「うん」と応じる胡蝶は、やっぱり野生の強さを持った鬼娘なんだな、と思います。




♪ひとでなしのあけくれに

鬼として生きる、ということは。

♪夢のむかしを拾いあつめて、温めて

ヒトであった“あの頃”の記憶のカケラを拾い集めては、飽かず眺める日々が続くということなのか。

♪…ひとときのまどろみのため、に…


それでも、思い出があるから生きていける。
水鏡に映すべき、思い出があるから。



萱野の微笑み、
こぞ丸の怒り、

そして、

藤子の泣き顔……





過去へと戻るタイムマシン(思い出)を持っている茨木は、たぶん、“今”に戻ってきたくないのでしょうね。
変わってしまった自分を見たくない。
幸せだった夢の中に、逃げ込んでしまいたい。

そんな風に後ろ向きに歩くことなど、できはしないのに。




博多座公演「大江山花伝」 続きです。…まだ先は長いなあ…すみません。



■第十場B 綱、頑張る(岩屋の裏庭)

紗幕があがって、“雨ざらしの杭”(←どう見ても岩ですが…)につながれている綱(北翔海莉)にスポット。
……おかしいなあ。どうして萌えがないんだろう。長髪の美形が身動きできないよう縛られてるっていうのに(←何を期待しているんだお前)


この場面は、前場の胡蝶の台詞(「降ってきたねェ…」)を受けているんですよね。ちょうど雨が降り出したところ。ですが、場面転換の前に公時(鳳翔大)と広次(風馬翔)の会話が挟まるので、ちょっと解りにくくなってます。初演もこういう演出だったのでしょうか。
まだ姫たちが居る間に、舞台の反対側で公時と広次の会話を入れて、で、全員はけてから胡蝶の台詞で暗転して雨の音が大きくなり、それがすっと引いてライトイン、の方が、すんなり入れると思うのですが。




岩につながれたまま、降り出した雨を気にする綱。
そこに、蓑と食べものを持って、藤の葉(野々すみ花)が走りこんでくる。いきなり「遅くなりました!」と言うのでちょっと吃驚してしまいます(^ ^)。確かに、雨が降り出してからちょっと間があるんですけどね。

茨木童子の身の回りの世話をさせられている彼女は、結構自由もあれば時間の余裕もあるのでしょう。自分が無理矢理ついてきたばかりに、綱さままで鬼たちに見つかってしまった、と恐縮している藤の葉は、共に暮らすうちに解ってきた鬼たちの弱点を語りきかせます。
「鬼たちは、みんなが皆お酒を呑みます。だから、酔いつぶしてしまえれば…」
必ずお救いしますから、時をお待ちくださいませ、と。



全般的にキリッとした二枚目に役作りしているみっちゃんですが、ここでの藤の葉との会話は、間のとりかたも声の調子も、二枚目半から三枚目すれすれといった感じ。確かに、原作でも綱はちょっとコミカルな部分を担当してはいるんですけどね。でも、綱という男は、本人が面白いんじゃなく、あくまでも生真面目で実直で“真っ直ぐ前にしか進めない”猪タイプ、なんですよね。そこが、猫のように回りくどくて後ろ向きな茨木にとっては、すごく微笑ましいというか可笑しい、という存在なので。もっともっと、まっすぐにひたすら愚直にやっても良いのになあ、と思ってしまいました。
前半の活躍場面では、すごく硬軟自在で有能な武人に見えるのに、ここだけコミカルな感じになるのがちょっと勿体無かったのかも?いや、でも、切り替えの早さはさすがだなと思うんですけどね(*^ ^*)。

とにかく、鬼チームのチームワークが良すぎるので、このあたりの綱は、たった一人、敵陣で孤軍奮闘!という感じなんですけど(^ ^;、がんばっていただかないとラストシーンにつながらないので。笑顔ひとつで茨木を惚れさせてほしいな、と(←おい)


…などと呟きつつ、

「綱さまが掴まったのも、元はといえば私が無理についてきたから…」
としおらしくうなだれる藤の葉に、
「いや、そなたのせいではない。たかをくくって一人で乗り込んできた自分が間違っていたのだ」
と雄々しく言う綱は、ホントに格好良い、です(*^ ^*)。





藤の葉と綱が語らう場に、ふと現れる茨木童子。
「酒呑童子に見つかると面倒だぞ」
さりげなく、藤の葉を差し向けたのは自分であることを匂わせつつ、危険を知らせる。察しよく持って来た蓑笠や食べ物を持って立ち去る藤の葉。ちょっとだけ残念そうに、藤の葉を見送る綱が可愛い(^ ^)。


茨木が通りすがりに物陰から眺めていた胡蝶を呼んだところに、仏(蓮水ゆうや)と佐渡(天玲美音)が、都の姫たちを連れて通りがかる。
二人は、ここに綱が捕らわれていることを忘れていたんでしょうかねぇ?姫たちを連れてどこかへいく途中っぽかったけど、わざわざここを通ったのは何故なのかしら。

「茨木童子、この野郎(綱)を、いつ叩っ斬りますか?」
佐渡に問われた茨木は、微かに笑んで、
「…俺がその気になったときに」
その台詞を聞いて、ふと顔をしかめる話題の主、綱。



このあたりの場面で、綱を探しにきた公時がセットの奥に登場して、綱を見つけて喜び、声をかけようとして、茨木がいることに気づき…という細かい芝居をしているのですが。
…なんだか、出早をしてしまったように見えて仕方がなかった…(ごめんね、大ちゃん)
しかも。
初日はそれだけの場面だったと思うんですけれども(多分)。二週目に観たときには、仏に追い立てられて上手袖にはけようとする花園衛門(愛花ちさき)を見つけた公時が、これまた声をかけようとする、という芝居が加わり、さらに、花園衛門も公時に気がついて、お互い言葉は交わさないまでもお辞儀をしてハケる、という、長い芝居になっていたんですよね。
これは、中村さんの演出?正直、花園衛門と公時の場面は後にあるので、ここはスルーした方がキレイだったのに、、と思ったのですが……。




姫たちを追って仏たちが立ち去ると、茨木は胡蝶も追い払う。
…茨木に「あっちへ行ってろ」と言われて、「んっ…」と不満げにしなをつくる胡蝶も、めっちゃ可愛いです(*^ ^*)。

胡蝶を見送る背中に、綱が声を掛ける。
「…あのとき、なぜ俺を助けた?」
面倒くさそうに応じる鬼。
「言ったろう。退屈しのぎだと」
「お前ほどのものが、何故あんな非道いことを?」
真顔で問う綱に、ちょっとおどけたような口調で、
「嫌といえば親父様が怖いし」
そのまま、ふと貌を曇らせて。
「……自ら狂うて、忘れたいことも、ある」


茨木の心の闇は、綱には想像もつかないんでしょうね。
ふと自嘲の笑みを唇に刻みつつ、綱の顔を見て
「それに忘れるな。俺も茨木童子。大江山の鬼だ」
と強い声で告げる茨木の、生温くて昏い、深い闇なんて。

そんなものと縁のない綱だからこそ、茨木も愛おしく思うのでしょうけれども。




それでも、何かを感じたらしく、無意識に話題を変えようとする綱。
「藤の葉を知っていたのか?」
…恐る恐る尋ねる綱の、不安げな貌が実に可愛いです(^ ^)。藤の葉への想いを告白する綱と、それを軽く受け流す茨木。それでも、人の外面ではなく本質を見ようとする綱の真直ぐな視線が、茨木にとっては、痛くもあり、甘くもあり、、、という感じなのでしょうね。


綱との会話に興じて、明るい笑い声さえあげる茨木。
そこにやってきた(通りがかった?)酒呑童子。愉しげな茨木の様子に、苛立ちを見せる。

…パパ?
あのぉ。それって、なんだか……綱に嫉妬しているようにしか見えませんってば………(汗)。



先ほど茨木童子に投げたのと同じ質問(何故都を襲うのか?)を、鬼の長にも率直に投げる綱。

そもそも、先に手を出したのは都人のほう、
我らの所業はただの復讐、
そんな説明を、素直に受け入れる綱。やっぱり、この素直さが『渡辺綱』という人物の魅力なんでしょうね。でも、それで納得したからといって、黙りはしないんですけど。
「都の人々すべてに罪があるわけではない!」
そんな正論に、反論できない酒呑童子。

激昂して綱に詰め寄る父を、咄嗟に止める茨木。
「父上!このものは私に任せると言われたはず!」
縛られて身動き取れない綱との間に立ちはだかる息子を見て、踵をかえす父親。

「お前に教えることがある。来いっ!」





茨木に付き従っていたはずの春風(蒼羽りく)と秋風(星吹彩翔)が、この場面では最初から酒呑童子と共に現れ、どちらかといえば茨木を追い詰める側に立つのが、不思議といえば不思議でした。
あの二人、もしかして、茨木が勝手なふるまいをしないように、酒呑童子がつけた監視役なんじゃないのか……?




■第十一場 父子の童子 

ここは、祐飛さん自身が「芝居とショーを通じて、一番きつい場面」だと仰っていた場面。
たしかに、あの大きな衣装で飛ぶわ回るわ、いつか怪我をするんじゃないかと心配でした(汗)。千秋楽が無事に終わって、良かったよ。


歌詞の内容は、結構深刻なんですよね。
人として生きるもならず、
父の息子として跡を継ぐだけの決心もつかない、

そんな茨木の、血を吐くような叫びに浸る場面、の、はず、なのですが……





…………この場面って、原作では、綱(と藤の葉)を庇う茨木に怒った酒呑童子が、息子を鞭で折檻する場面なんです(滝汗)。
あれええ?とがっかりしてしまった私は……なんか、この格調高い作品を鑑賞する資格に、だいぶ欠けているような気がします……(T T)(←自覚はあるのか)。






■第十二場a 茨木の告白

茨木と酒呑童子の連舞がキまって暗転、場面はまたもや、岩屋に近い路に。
転換の都合で暗転の時間が長めなのですが、暗転してすぐから、鬼たちの賑やかな歌声(主に五蔵?)が暗闇の中から聴こえてきます。

照明が点くと、すぐに「かかれーっ!」の号令が入り、下手側にたむろっている鬼たち(三田〜九呂)が上手袖から出てきた姫たちに襲い掛かるのですが。
姫たちの列の中ほどにいる千年杉(萬あきら)に、「コラァっ!!」と一喝されて、そのまま素通りして逃げていくのが、ホントに先生に見つかった中一男子そのもの(涙)で、めっちゃおかしい。
一緒に混ざっていた四面(花露すみか)だけ、逃げそびれてうろうろしているところを見つかって、
「女だてらに、お前まで!」
と叱られ、セットの裏に逃げていくんですけど、その途でさりげなく待っている九呂(風馬翔)の心配そうな顔が、ツボでした。楽の直前くらいに気がついたのですが、もう少し早くから観ておけばよかったなあ…。



鬼たちに襲われる心配もなくなった姫たちは、愉しげに水汲みの途を辿ります。
「酷い地獄が待っていると想っていたけど、あんたのような穏やかな鬼もいるのねぇ…」
落ち着いた様子で千年杉に話しかける伊勢式部(鈴奈沙也)。身の危険がないとなれば、人間の、いや、女の順応性というのは、もしかしたら鬼よりずっと上なのかもしれません。
落ち着いた声音で、回りの女たちも鎮めてしまう鈴奈さんの柔らかさは、さすがだなあと感心します。


ただ。

作品全体として考えると、ここで「鬼たちは必ずしも敵じゃない」ということを示してしまうので、頼光たち武将側の考えと、ギャップが生じてしまうんですよね……。
「そこまでしなくても良いじゃん!」と思ってしまうんです(- -;ゞ

まあ、原作と違って鬼たちを完全に滅ぼすわけではないので、そこはちゃんと解決されているんですけどね。人里はなれた山奥で、ヒトと鬼の共存を目指す、という物語になっているので。


……そうして、人との関わりを捨てられない茨木だけが、大江山に残る。
残る理由を、彼だけが抱いていたから……。




蒼乃夕妃ちゃん、月組娘役トップスター内定、おめでとうございます(はぁと)。



日生劇場「キーン」から、二年。名前を覚えたのはその前の「Hallelujah Go! Go!」ですが、やっぱり私にとってのまりもちゃんとの出会いは、「キーン」のアンナ役でした。

見事なスタイルと、舞台の上での見事な存在感。まろやかなのに強さのある声、舞台上なのに表情が伝わってくる、明解で印象的な芝居。
霧矢さんの相手役として考えると、ちょっと背が高すぎる…というか、全体的に大柄すぎる気がするのですが、そこはまあ、劇団もプロなので。たぶん、大丈夫だと踏んでの結論なのでしょう。
実力派同士、がっつり組んでいただいて。ぜひぜひ、ミュージカル作品をたくさん上演してほしいです。伝説の「ハウ・トゥ・サクシード」とか、「メリー・ポピンズ」とか、、、「Crazy For You」や「I Wonna Dance!」みたいなゴキゲンなラブコメディも、きりやんには絶対似合うでしょうし♪♪

まあ、でも「スカーレット・ピンパーネル」は、いかにもやりそうですねぇ。それはそれで楽しみですが、私は、きりやんには是非ショーヴランを歌って欲しかったんだけどなあ……(複雑)。


なにはともあれ。
……まずは、「ラスト・プレイ」をきちんと見送ってから、ですね。

月組っ子たちが、みんな、みんな、幸せでありますように。




まりもちゃんの異動が12月21日付、ということは、、、もう年内は他の異動は無いってことでいいんでしょうか?あひちゃんが卒業したら、そのあたりの期が誰か動くかな?と思っていたのですが……無いのかな?

ってことは。
ってことは、もしかして。
もしかして、ひょっとして、
2月以降に誰かが異動して来る可能性はあるとしても、中日公演の風吹役はもりえちゃんって思ってもいいんでしょうか……?(*^ ^*;;;;









…タイトルと関係ない話ですみません。

赤坂ACTシアター「逆転裁判2」、千秋楽おめでとうございます♪そして、紗羽優那ちゃん、ご卒業おめでとうございます。最後の最後に、陪審席の座席位置がわかってよかった(^ ^)。可愛かったです。これからもがんばってね。

と、いうわけで、私はもちろん千秋楽ではなく、最後の週末に再び観てまいりました。



っていうか。
コミックス「逆転裁判」の三巻を買っちゃいました!!
だってだって、冥ちゃん(=舞台ではフランジスカ・ヴォン・カルマ)が、本当に可愛いんですもん(*^ ^*)。

冥ちゃん 藤咲えりちゃん、「バレンシア」の新公のときからホントに綺麗だと思ってましたけど、いやーーーー、いい役者になりましたよねえ(*^ ^*)。可愛いし、歌えるし、芝居できるし、大人っぽいし、、、ぜひ「カサブランカ」新人公演でイルザをやってみてほしい(ことだま、ことだま)。すみ花ちゃんとは全然違うイルザになりそう☆
でもって、ラズロはぜひともかいちゃん(七海ひろき)で!!

……鳳樹いちくんのルノー警部、月映樹茉さんのシュトレッサー、風羽玲亜さんのサム、、、、、
し、しまった、駄目だわ、これじゃ役が足り無すぎる(泣)。
小池さん、宙組はタレントが多いので、役はたくさん作ってあげてくださいねっ(切望)。




っていうか、また話がそれているからっ!!>自分

いやー、何度観ても蘭トムさんのフェニックス・ライトは素敵だなあ(*^ ^*)。優しくて、可愛くて。ともちんのエッジワースは、大仰な仕草の間が少し変わって、笑いが出やすくなったような気がします。…私が笑いすぎなのかな??ホント、ゲームのファンの方には、どちらがイメージ近いのかぜひぜひ訊いてみたいです。
…なんだか、前回とあまり変わり映えのしない感想ですみません。だって、本当にそう思ったんですもん。


みーちゃんのディック刑事は……なんか、先週観たときよりも、動きが細かくなっていたような気がします。運動量、倍くらいに増えてると思う!捜査中もせかせかとあっち行ったりこっち行ったりしてるし、ソロの間も、歌いながら滅茶苦茶動き回ってるし、、、証人として証人台にいるときも、なーんかそわそわそわそわしてるし。
何より、二幕の終わりにマヤちゃんたちと一緒に出てきたときの怪我が。あれは多分、倍くらいに増えていたと思います
少なくとも、あの首の包帯は前回はしてなかったぞーー!!

そんな、常にやりすぎなみーちゃんが、本当に本当に大好きです。
今回はお化粧もキレイだった!!(←贔屓目?)その調子でがんばれ!!




…で。
作品そのものについて、ちょっと語ってみます。
【ネタバレしてます。ご注意を】



二度目の観劇だったので、脚本的な覚悟もできていたらしく、今回はかなり素直に物語を受け入れることができました。うん。
まぁ、あの、ニックはちょっと優し過ぎるし、いくらなんでもそれはタラシだろうとも思ったけど(^ ^;、まぁ、でも、わかるような気はしたし。

カッコイイから許しちゃおう(*^ ^*)って感じ。




でも。
ルーチェ(純矢ちとせ)の電波少女っぷりは、自分ではどうにも説明がつかないんですよね…
せーこちゃん好きなので、なんとか彼女の心理を説明できないか、と色々考えてみたのですが。


もしかしてこの話、ローランド(かいちゃん)のキャラクターを、もっと『裏社会に生きるやさぐれた大人の男』に設定して、ルーチェはローランドに対して『お金持ちで、自分と母親を助けてくれる優しい人』という以上の感情を持っていなかった、という前提にしたら、すんなり納得できるんじゃないかなー?と思いました。

ローランドは、最初から真剣にルーチェに恋をしているんだけど、ルーチェは子供(少女)すぎて彼の気持ちに全然気がついていない。年齢さもそれなりにある。
でも、ローランドは、“いつかルーチェも大人になって、俺の気持ちもわかってくれるだろう”と思って待っていた。

そんな状況の中で、事件が起こる。


ローランドの生い立ちとか、事件のあらましは、あのままで良いんです。
なお。
そもそも、ローランドは殺し屋に冥の狙撃を依頼するんじゃなくて、「確かに俺は、毒薬を持って教会へ行った(殺意があった)が、話をしているうちに奴が心臓発作で倒れたんだ。実際には何もしていない!」と訴えるべきだった、とか、そういう理屈は、作品として面白くないので却下させていただきます(^ ^;ゞ




ニックは、ローランドが嫌な奴だと思っているので、ルーチェを彼から引き離そうとする。
「君は真実をちゃんと見極めなくちゃ」
僕が見せてあげる、と高らかに(?)歌い上げるニックに、ルーチェは恋をする。それが、彼女の初恋。

だから。
裁判が終わった後に、彼女はニックに尋ねる。
「あたし、レオナさんになれますか…?」

ルーチェを好ましく思いつつも、裁判でのローランドの答弁を聞いて、彼を誤解していたことを知ったニックは、ルーチェを諭す。全ては誤解だった。彼は君を愛している。君は彼を支えてあげなくては。
僕には、……レオナがいるから。(←痩せ我慢)




……こういう展開じゃ駄目なんですかねぇ?一応、心理としては説明がつくような気がするんですけど。




しかーし。
実際の脚本も演出も、全然こんなふうではない。
ルーチェは、ローランドという恋人がいながらニックに魅かれ、
ニックは、あんなに夜の浜辺でルーチェを口説いておきながら、告白されるとあっさりと「駄目だ」と拒否する。
……どっちも結構酷いと思う……


でも、鈴木さんの脚本も演出も、そうなっているんですよね。

まず、ローランドが若くて可愛い。
明るい色のスーツを着せて若さを強調し、裁判長にわざわざ
「あなたを見ているだけで、笑みが零れますよ」
みたいなことを言わせて可愛らしさを強調して。
オープニングムービーでのルーチェとローランドが、お人形さんみたいにほのぼのとラブラブで可愛くて、紗幕があがっても、そのまま“可愛い二人”だったりとか。


せめてもう少し、ローランドのスーツの色をダークにするとか、最初の登場場面ではサングラスをかけさせるとか、、、そういう小道具部分ででもローランドの『裏の貌』、あるいは『裏社会とのつながり』をもう少し感じさせておけば、二幕の殺し屋さんの登場も唐突感が無かったと思うんですよね。
あまりにも、最初から好青年で良い子でルーチェと同世代でラブラブの仲良しで…に見えてしまうと、その後の展開がどうしても納得できない(涙)。


念のため明言しておきますが、かいちゃんやせーこちゃんの芝居に問題がある、とは全然思っていないんですよ。
問題は制作側にあるわけで。こういう展開にするのなら、キャラクターの設定や演出、そして一つ一つの台詞を、鈴木さんがちゃんと吟味しないといけないんじゃないか、という話です。



かいちゃんは、ただの好青年しかできないタイプじゃない、もっと幅広い役を実在感をもって演じられる人だと思うし、せーこちゃんは元々繊細で揺らぎやすい少女系の芝居が得意な人。
十分に複雑な芝居に対応できる二人をそろえておきながら、その展開は無いだろう…と思うんですよ。二幕終盤のかいちゃんの答弁が凄ければ凄いほど、“勿体ない……”と思ってしまったのが凄く悔しい。
せっかくの良い場面なのにさ。「親父の……形見だったんだ」っていう声のトーンとか、本当に良くやっていたと思うんですよ。
でも、あの芝居で、観ている観客の心はすごく動くんですけど、ルーチェの心には全然響いてないんですよね、あの脚本では。だって、ルーチェはニックのことで頭がいっぱいなんだもん。

ローランドが一番訴えたかったのは、ルーチェに、だと思うのに。



そんな。
鈴木さん、頼むよーーーーっ!!と思ってしまったのでした…。
パート1は面白かったのになあ。パート2って、難しいものなんでしょうねぇ…。




と、いうわけで。

ぜひ。

鈴木さんにはもうしばらく精進していただいて、

で。

ぜひぜひ、数年後には「逆転検事」を上演してほしい!!
かいちゃんのエッジワース&エリちゃんの冥で。
(←そっちか!)(@ @)



……えっと。
か、かいちゃんって、クールな役もできるのかしら……?(←観たことない)




東京宝塚劇場にて、星組公演「太王四神記II」を観劇してまいりました。

#昨夜アップする予定だったのですが、途中で寝てしまったために一日遅くなってしまいました。すみません(汗)





8月、9月は何かと忙しく、なかなか観にいけなかったのですが、なんとか最後の週末に潜り込むことができました。
華美ゆうかちゃんと純花まりぃちゃんを、私なりにですがちゃんと見送ることができて、ホッとしています。
まりぃちゃん、本当に綺麗…。せっかく歌える美人なのに、結局ソロを歌うような役を観るることができず残念ですが、最後は本当に大輪の花の美しさでした。そしてセーム様、大劇場で観たときとは随分変わっていましたが、もの凄く良かったです!卒業は残念ですが、最後にいい役で、物語をしっかり締めてくれたことが嬉しいです。



華美さんのセーム様は、ものすごく息子への依存度の高い母親、でした。大劇場ではそんなに思わなかったのになあ…。息子を溺愛して、すさまじく甘やかしていそうな感じ。
ヨン・ガリョが割と“強い父親”像だったので、そこでバランスを取っている気がしました。

で。
母親に溺愛され、甘やかされて育った星組版のホゲ。ところどころで“ちょ、ちょっとテルくん、大丈夫?”と思ってしまったくらい、母と子の愛は濃くて深くて、深すぎな気がしました(- -;。
母子が同期で仲がよいから、とかだけじゃないと思うんですよね、アレは。芝居自体が、あるいは演出自体がそういうものになっていた、と思う。そして、華美さんのしっとりとした美しさと熱量のある演技は、その演出意図にしっかり応えていたんだろうな、と。



で。溺愛されたホゲ様につて(^ ^)。

先日、CSで流れていた大劇場のアフタートークを見ていたら、「ラストシーンのゴンドラに乗るとしたら、誰と乗りたいですか?」という質問がありまして。これに、質問者のコメントとして、「…ホゲ様は、やっぱりお母様とでしょうか?」というのがついていたんですよね。
そのときは「おいおい、んなわけないじゃん!」と思ったのですが。
舞台を観て、もの凄く納得してしまいました(^ ^;ゞ。確かに、テルくんのホゲは、ちょっとそんな雰囲気があったと思います。いわゆる“マザコン”的な、共依存の関係が。




…花組版は残念ながらそういう機会がありませんでしたが、もし花組版でもアフタートークがあって、同じ質問が出たとしても、コメントは違っていたんじゃないかな、と思うんですよね。むしろ、「チョク・ファンですか、それともイルスですか?」みたいな(滝汗)、そっちに流れたんじゃないかな、と(←単に私が気になってるだけですが)


うん。
花組版のホゲは、どちらかというと男同士の関係が強く印象に残り、
星組版のホゲは、どちらかというと女性との関係が印象としては残りやすかった、ような気がします。
小池さんの意図としては、タムドクとホゲの関係をシンプルにしよう、というのがあったんじゃないかな、と。セームとホゲの関係を強調し、ホゲのキハに対する想いを“純愛”側にふったことで、ホゲとタムドクとの関係は、シンプルな恋敵になりますから。




そう。「キスが巧い」という理由で「愛のない結婚」の場面でキハとキスすることになった大空ホゲ(「カサブランカ」制作発表での小池さんの発言より)と、本来の小池脚本どおり、キスはせず、「指一本ふれていない」という台詞も残った凰稀ホゲ。


なんだか今更書くと後出しジャンケンみたいなんですけど(^ ^;、私は、大劇場で星組版を観たときに、そうだよね、このホゲはキスしないよね、と思ったクチなんです。まさか、こちらが元々のカタチだとは思わなかったのですが、『こういうホゲもありだよなあ』、と。



私は、花組版のホゲは、キハ自身を愛してはいない、と解釈していたりするんです。
彼が愛したのは、「俺を王だと言った巫女」であって、「キハ」じゃない。
だけど、「愛のない結婚」の場面で彼の隣に立つ女は、「神懸って託宣を宣べる巫女」じゃなくて、正気の「キハ」、ただの女なのです。だから彼は、その“生身の女”にキスをすることで、「巫女」を縛ろうとする。自分の傍に。

祐飛さんのホゲは、キスをすることで自分の闇を再確認していたわけで、そこに愛はなかった。キスをする対象は、彼にとっての愛の対象ではなかったのだから。



でも、星組版のホゲは、キハの美しさに目が眩んで(?)、女としてのキハに恋をしているんですよね。もちろん「俺を王だと言った巫女」だからこそ、の恋なんですけど、でも、キハ自身に惚れていることも間違いない。
だから、彼は、恋しい女に“指一本触れられない”。彼女が愛しているのが誰なのか、わかってしまったから。



「俺が愛したのは炎の巫女」「お前が/私が愛したのは真の王」という歌が、星組と花組で全然違う意味に聞こえてきたのが面白いなあ、と。
花組版では、「俺が愛したのは炎の巫女」=「お前(キハ)じゃない」と聞こえ、「私が愛したのは真の王」=「あの人こそが真の王だから、私はあの人を愛した」「だが、今お前の隣にいるのは俺だ」と。
星組版では、「俺が愛したのは炎の巫女」=「お前こそが(俺の)炎の巫女」と聞こえ、「私が愛したのは真の王」=「私が愛したから、彼は(私にとっての)真の王になった」「ならば、俺もお前に愛されれば王になれる」、と。

そうと知ってもお前を/私を抱く
いつわりの愛に、この身をやつして……


……あれ?でも、ホゲはキハを抱かないよね……?(今頃気づいた)(あれ?星組版は歌詞変わってましたっけ?)(おろおろ)



考えてみれば、普通に男女三人の三角関係になっていた星組版の方が本来の形だ、というのは、宝塚なんだから当然なことで。花組版の、タムドクとホゲがお互いに依存しあって、それにキハが絡むという歪つな関係の方が、宝塚的には特殊なんですよね(^ ^;ゞ。
私みたいな深読み好きなファン(←少数派?)には、その歪さこそが興味深かったのですが(T T)。…まぁ、若い礼音くんを中心とする星組のトップコンビお披露目公演なんだから、シンプルで解りやすい三角関係が正解だし、キャストも皆さんも良く嵌っていたと思います(^ ^)。









話は変わるのですが。

大劇場では、ばたばたしてプログラムを買いそこね、下級生を全くチェックできなかったので、今回は事前チェックをがんばりました♪

そして。
最初の凱旋の場面で、黄色の親子(長が水輝涼、息子が天寿光希)が乾杯して仲良く喋っているのをみて、なんだかそれだけで幸せで。他のことはかなりどうでもよくなってしまった(^ ^)。
いやぁん、水輝くんも天寿くんも大好きだ☆

で。この親子、並んでみるとなんとなーく、あご周りの輪郭が似ている……ような気がするんですけど、気のせいでしょうか(汗)。



天寿くんといえば。最初のポンファ通での鴨のソロ(花組では真瀬くんが歌っていたところ)が天寿くんであることに、全然気づいていなかった……遅いっ(汗)。場面が始まったとき、どこに居るんだろう?と思って端から探していたんですよね。ああ、良かった気がついて!!いい声だなあ(*^ ^*)。
だいぶ本格的に嵌りつつあるみたいで、武道大会とかめっちゃ黄色チームばかり視てしまいました(滝汗)。身のこなしが軽くて可愛いなあ(←贔屓目?)。

あと、黒チームは面帽を降ろしているので、どれがセドル(壱城あずさ)だか判らず、すごく必死で探してしまいました。長の息子は腰帯が紅いことに気づいたのは、既に大会も終盤(涙)。ああ、もう少し早く気づきたかった……(←花組では気づかなかったんかい!!)(だって花組では探さなくても判ったからーーー)


新公でひっかかった本城くれはさんも気になるし、観客席のキトリちゃんは表情豊かでめっちゃ可愛いし、やっぱり武道大会は忙しい(T T)。一度や二度ではとても全部は見切れません(涙)。っていうか、やっぱり天寿くんに気をとられすぎ!玄武なんて、上手側の天寿くんしか視えてませんでしたよ……(溜息)





それにしても。
あらためて、最初の凱旋の場面で、ホゲと4部族の息子たちが揃って登場し、笑顔で会話をしてお互いに讃えあっているのを視ると、プルキルの提案した策略って、本当に悲惨な、酷い話なんだな、と実感しますね。
確かに、あの場面があるからこそ、花組版では無理のあった策略が、星組版ではちゃんと策略として成り立っていたんですけれども。

同じ釜の飯を喰い、共に闘った仲間であるはずの息子たちを虐殺する、そんな非道なことを、ヨン・ホゲがするはずが無い!と、誰もが思う。
だからこそ、その罪を、共に戦場に出ていないタムドクにかぶせることが可能になる。



……そうか、そういう策略だったんですね、あれは。

ただ。そこまで非道なことをやってのけてしまえるほどには、ホゲ自身が壊れていなかったのが問題だった、かな…。




すみません、だんだんホゲ様の話が止まらなくなってきましたが……そんなにテルくんのファンだったっけ私?(←いや、それは違うんじゃあ…)。





大劇場では全く思わなかったのですが。
今回、あらためて観劇して。

未来が見えなくなった(たぶん、4部族の息子たちを裏切った時?)あたりから、台詞の無いところでは常に薄嗤いを浮かべるようになるテルくんのホゲ………を、観て。


一年半前に嵌りこんだ、「凍てついた明日」のクライドを思い出しました。



この日記でもずいぶん熱く語ったテルくんのクライドですが。
具体的にどこがどう、ということではないんですが、シリアスな場面で浮かべるうす嗤いとか、そういうものに、クライドの深い絶望と諦念と同じものを感じたんですよね。
行ってはいけないと判っているのに、行き着くところまで行かないと止まれない。それはやっぱり、若さゆえの弱さなのかな、と。

クライドという役が、本質的なところでタータンよりもテルくんのための役になっていたように、ホゲもまた、テルくんの未完成さ、役者としての未熟さ・ヘタレさが、ちゃんとホゲの弱さとして表現されていた。そして、その“テルくんらしい”小器用な弱さが、礼音くんの荒っぽさとちょうどかみ合っていたんですよね。
「凍てついた明日」を2パターン演出した荻田さんも凄かったですが、今回の小池さんのテルくんの使い方も、さすが!と思いました(^ ^)。まあ、礼音くんと相性が良かった、ということなんでしょうけれども。
ますます、今後の星組が楽しみです。




……なんだか、ホゲ様と天寿くんのことしか書いてないような気がする(汗)。
タムドク様は普通に格好良くて、キハ様は普通に可愛くて、プルキル様はどうしたらいいのか解らないほど素敵でした(*^ ^*)。




何はともあれ、お披露目公演、千秋楽おめでとうございましたm(_ _)m。
全国ツアー組も、DC組も、スケジュール厳しそうですけど、がんばってくださいね(^ ^)。
楽しみにしています♪



紀伊国屋サザンシアターにて、キャラメルボックス オータムツアー「さよならノーチラス号」を観劇してまいりました。



大丈夫。この世に、取り返しのつかないことなんか一つもない。



明解なテーマと、リアルでシンプルなストーリー。キャラメルボックスの芝居はいつだってまっすぐなのですが。
この作品は、さすがに脚本の成井豊が「私の家族の物語」「私戯曲」と言うだけあって、他の作品に輪をかけて、ものすごくシンプルで、そして、“真っ直ぐ”でした。


デビューしたての新進作家と、小学校六年生の過去の自分を行ったり来たりする主人公・タケシに、多田直人。いやー、30歳(だったかな?)の若者と、小学校六年生。なんのきっかけもなく、着替えもせずにそのまま舞台の上で切り替えるのはさぞ難しかっただろうと思うのですが、すごく自然でリアルで、良かったです(ちょっとデカかったけどね)。気弱で優しい少年だと思わせておいて、実は意外な闇を抱いている役でしたが、すんなり納得させてくれました。



小学校六年生の夏休み。
終業式が終わると、タケシはリュックを一つ背負って、所沢から電車に乗った。
夜逃げした家族が待っている、府中の町工場の二階へ。

夏休みが終わったら、また自分ひとり、所沢に戻らなくてはならない。
そのプレッシャーの中で、それでも夏休みの一日、一日を、宝物のように抱きしめて過ごす少年。その切なさと不安と、そして、新しい出会いへの好奇心。その輝きを、ちょっと寂しげな笑顔の多田くんが、過不足なく存在していました。

タケシが欲しかったもの、なのに、欲しがることさえできなかったもの。それはたぶん、家族が揃った普通の日常というものだったんでしょうね。
小学校六年生の子供には、どんなにがんばっても自分の力で手に入れることはできないもの。
……だから彼は、自分の力で手に入るものを、手にいれようとした。
広い海を自由に泳ぎまわる、ノーチラス号を。

ジュール・ヴェルヌの「海底二万マイル」が好きだった彼は、家族が住んでいる部屋の下にある自動車工場の主・根本勇也(岡田達也)に密か「ネモ船長」というあだ名をつけた。
勇也には勇也で、兄(森下亮)との確執とか、色々悩みはあるのですが、とりあえずこの物語の中では、彼はタケシを世の荒波から守る立場にあります。
勇也自身が闘っている、“世間”という名の不条理から。

岡田さんは、「容疑者X…」のガリレオ探偵とはちょっと違うキャラクターでしたが、これもよく似合っていました。ちょっと斜に構えた役が似合いますね。彼自身の物語があまり語られないので、どうしてそこまで兄に対して下手に出なくてはならないのかがよく判らないのですが、でも、一つ一つの行動に説得力があって素敵でした。二枚目だなあ(^ ^)。

子供は天使じゃないし、“天使のような子供”なんてものは、現実にはいない。
勇也にはそれが解っているんですよね。彼自身が、子供だったときの自分を覚えているから。子供にとっての“世界”が、どれほど理不尽で不条理なものに満ちているか、を。

だから彼は、大人の都合に振り回されたタケシに、ノーチラス号を作ってあげたいと思うのでしょう。
自ら閉じこもった檻から、自由になるための翼をあげたい、と。




物語のキーパーソン、いや、キードッグ(?)となるゴールデンレトリーバーのサブリナ(勇也の飼い犬)は、初演と同じ坂口理恵。
いやー、、、、メークも衣装もなんてことないのに、ちゃんと犬に見えるのは何故なんでしょう(汗)。たしかに、ゴールデンレトリーバーって割と人間臭い仕草や顔だとは思うけど、それにしたって。尻尾がついているわけでもなんでもない茶色のつなぎの衣装を着て、普通に立って歩いているのに、ちゃんとサブリナに見える。坂口さん、ブラボー(^ ^)。




タケシを取り巻く家族は、父親(久保貫太郎)、母親(真柴あずき)、兄(筒井俊作)。いろいろ微妙だけど、いい家族だなあと思います。愛情深くて、希望を捨ててなくて、と。

ただ。歳の離れた末っ子っていうのは、親からみると“ただただ可愛い”存在なんですよね。まあ、愛されることが当たり前すぎて、その有難みがわからないんだと言われればその通りなんですけど……いや、私がそうなんですけどね。でも、末っ子の立場から言わせて貰えば、それは結局、愛玩動物に対する可愛がりかたなんですよ。で、愛されているのは解ってるから反抗するきっかけが掴めなくて、いい大人になってから反抗期がきたりする訳なんですが(苦笑)。

ただ。
愛玩動物としてひたすら愛されていると、逆に、家族が大変なときっていうのは、すごく寂しい思いをするんですね。そういう存在に対して、現実の苦労の話をすることって無いじゃないですか。思い出したくないから。
だけど、子供は一応人間なので、何が起こっているのかわからないけど、何か問題が起こっていることはちゃんと知ってて、不安が募っちゃうものなんですよ。このまま家族がバラバラになってしまうんじゃないか、そのうち自分は置いていかれてしまうんじゃないか、、、と。

ちょっと時間がたてば、そんなことあり得ないってわかるんですけどねぇ。
正体がわからない不安だから、渦中にいると自力で払拭できないんでしょうね。



タケシの不安は、そういう不安だと思うんです。
家族は夜逃げした。兄は連れて行ったけど、自分は置いていかれた。根本的には、それが怖くて、そして哀しい。

もちろん、子供といっても六年生なんだから、理屈はわかってます。自分は義務教育で、学校を辞めてしまうことはできない。でも、転校するためには住民票を移さなくてはならない。夜逃げするのに住民票を移すとか、あり得ない。わかってる、ちゃんと。
でも。理屈はわかっても、気持ちは静まらない。だって、事実はたった一つです。お兄ちゃんは父さんたちと一緒なのに、僕は置いていかれた。

子供だから、何もできないから、父さんたちの役に立たないから、いらないから、……邪魔、だから。

夏休みの間は、一緒にいられる。家族でいられる。
でも、夏休みが終わったら?二学期は長い。子供にとっては、気が遠くなるほど長い時間を、自分ひとりで過ごすのです。親戚と言う名の他人の家で。そして、それで全てが解決できるわけじゃない。また冬休みが終われば同じこと。いつになったら終わるの?何週間?何ヶ月?それとも、まだこれから、何年も?


無神経な父親、優しいけれども忙しすぎる母親、そして、独りよがりで短気な兄。
愛情は深いけれども、皆が末っ子を心から愛しているのは間違いないけれども、でも、タケシにとってはどこか遠い存在だった家族。

だからタケシは、自分だけのノーチラス号を探し求める。置いていかれる不安と闘いながら。





勇也が巻き込まれる事件や、怪我をした少女(美香)の物語は、作品全体からみれば、最後の河原の場面にもっていくためのネタにすぎません。美香役の稲野杏那の透明感と明るさ、可愛らしさはすごく貴重な存在感でしたけど、物語のテーマには全然関係なかった(^ ^;
すべてのエピソードが、タケシと勇也を多摩川の河原に連れて行く。


ノーチラス号が欲しかった。

大人になりかけた子供が、世界を否定しようとする叫びの純粋さ。

自由に世界を泳ぎ回るために、僕だけのノーチラス号が。


子供だった自分を忘れられない勇也には、タケシに何も言ってやれない。
ただ、無責任な慰めを繰り返すだけで。

大丈夫。この世に、取り返しのつかないことなんか一つもない。


……だいじょうぶ、
そんな単純な言葉で、それでも慰められてしまうのが子供というものなのでしょう。
だいじょうぶ、と、そう大人に言ってもらうだけで、納得してしまうところが。




多田さんの笑顔は、とても優しい。
優しくて、柔らかくて、そして、すごく寂しい。


坂口さんがゴールデンレトリーバーなら、多田さんは柴犬だな、と、


……すべての犬種の中で、柴犬が一番好きな私は、思ったりしました(^ ^)。






17日(木)からは、シアタードラマシティで上演されます。
数あるキャラメルボックス作品の中でも、成井さん自身が色濃く映し出されたこの作品、
ぜひぜひ観てあげてください(はぁと)

と、カーテンコールで岡田さんに言われたとおりにお伝えする、子供のように素直な私でした(^ ^)。




宝塚宙組博多座公演「大江山花伝」より。




■第九場 幼き誓い

皆がはけて、舞台上に残る茨木(大空祐飛)と藤の葉(野々すみ花)。

「大江山へ何をしにきた」
茨木の静かな問いに、微かに笑みさえ浮かべて
「死にに」
と言い切る藤子。


幼い日の遠い記憶に圧されて、娘の腕を取る、鬼。
見覚えのない大きな火傷の痕に、驚いて手を放す。

「三年前の大火事で…」

“藤子。やはりお前は藤子か”
“あたしの茨木”

確信は胸の裡で呟かれるのみ。
二人はただ、言葉もなく見つめあい、どちらからともなく、吹き寄せられるように寄り添って舞い始める。

♪とけてはかなき うすむらさきの…

澄み切ってやわらかな、カゲソロの響き。
この静かな声は、どなただったのでしょうか。……花音舞ちゃん?違うかな。


「藤子」
「…誰のこと?」

笑顔さえ浮かべて否定してみせる、少女。

♪茨木と藤子は筒井筒……

風にのって届く、語り部の歌。
同時に、舞台奥には幼い茨木(綾瀬あきな)と藤子(百千糸)が現れる。

「他の女の子と遊んでは嫌!」
幼い少女のわがままに、少年は頬笑んで頷く。
「好きなのは藤子だけじゃ」
「本当?」
嬉しそうに手放しで笑う少女に、少年の笑みはさらに深く。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
と言って袖に消えていく藤子も超可愛いんですけど、それを待つ茨木の、なんだかとろけてしまいそうな笑顔がまた、幸せそうで良かったです♪♪

袖から戻った藤子が抱えている箱をみた茨木が、不思議そうに問い掛ける。
「なにこれ?」
「藤子の宝物につける焼印よ」
「焼印!?……でも、熱いだろう?」
素朴な疑問と僅かな恐れを、迷わずに口にする。
「そりゃ熱いわよ。焼き鏝だもの…」
憮然として応える藤子の、その愛おしさといったら(*^ ^*)。

藤子の強さ。頑固なまでの意思の固さ。思い込んだら絶対に譲らないところ。そういうところは、この幼い時代から全然変わっていないのだ、と、微笑ましく思います。
大江山に茨木が居ると知れば、綱に拒否されても無理矢理についてくるその行動力、も。

えびちゃん(綾瀬)の少年茨木は、娘役としては少し低めの声といい、少し固めの台詞の言い方といい、実に実に少年として違和感が無く、とても良かったです。衣装も似合ってたし、本当にいい子だなあ♪
焼き鏝を当てて倒れた藤子を抱き上げて頬ずりする時の笑顔には、どこか切なげで、苦しげで。でも嬉しそう、という微妙な翳りがあって、大人になった茨木の哀しい運命を想像させてくれたし。

それにしても、焼き鏝を捺して倒れた二人に「二人はとても幸せでした」というナレーションって……どうよ。




そんな、幸せな日々がずっと続くと信じていた、幼い日々。
15になったある日、茨木の姿が急に見えなくなった。

神隠しにあったのか、鬼にさらわれたのか、
……行方は杳としてわからぬまま



必死に探して回る藤子。
“茨木、どこ?あたしの茨木”
宝物を失くした少女の深い嘆き。藤の花に守られた館の奥で、嘆きながら寂しさに身をやいて。
茨木の父の呟きなど、聴こえぬふりで。
「生まれたばかりの赤子であったあの子を拾ったとき、…その白い額には、ありありと……」
なにかを削り落とした痕があった、と、そんな呟きは。

♪とけてはかなき うすむらさきの

幼い日の思い出。
茨木と藤子。大江山の藤波の中で、それぞれの胸に湧きあがる記憶。



そんな幼い日々の藤紫の記憶を焼き尽くすような、炎の記憶。
藤子の身の裡を今も灼く、三年前の、炎。

父も、母も、身よりも、屋敷も、一族郎党すべてを奪った、三年前の“大火事”。
それに巻き込まれた藤子の、過酷な運命……。





すみません、ここでちょっと突っ込んでもいいですか?

ここで、カゲコーラスは綱と藤子の出会いについて、「(火事に巻き込まれて倒れているところを)市中見回りの綱に拾われ、身分を隠して召し仕え…♪」と歌っていますが。

だったら、綱が藤子の顔の火傷を知らないって、おかしくないか?

それに。芝居の冒頭、一条戻り橋で、春風は確かに「近頃屋敷に召抱えた者」と言い方をしているんですけど。
三年前が“近頃”って、いくら「この間の戦争」が応仁の乱だと言われる(←本当か?)京の都でも、ちょっと時代錯誤じゃないでしょうか。


ちなみに、原作では藤の葉は本当に「最近雇い入れたばかり」です。綱は最初、名前もあやふやで、親しげな様子は全く見せません。あくまでも「下働きの娘」という位置。
藤子の、火事から綱の屋敷に入るまでについては原作でも特に説言及されていませんが、「都を荒らす鬼」の風評を知って、頼光の四天王である綱の屋敷にもぐりこんで大江山に来る機会を狙っていたのだ、ということは最後の方で語られます
そのあたり、舞台でははっきりとは語られないのが残念です。




「そして藤子は視たのだな……綱の舘で、この花びら文様のあざを」

追憶から醒めて、茨木がつぶやく。

綱が斬った大江山の鬼の腕に、ついていた文様。それを視て、少女は心を決めたのだ。
「……この、茨木のいる大江山で死ぬのだと」
藤子の想いに引きずられるように、ゆっくりと、自らをかき抱くように抱きしめて、
「あさましの姿や、この身」
細い指が、まるで掻き毟るように爪を立てる。

「あさましや……」

茨木の嘆きを慰めるように、男役声で繰り返される主題歌が、心に沁みてきます。



この場面は、短い時間で茨木と藤の葉の因縁を説明し、しかも二人の現在の心情まで全部伝えきろうという、かなり意欲的な場面になっています。
カゲコーラスのナレーションと、子役の芝居、そして、断片的な片言台詞。なかなかそれだけでイメージを伝えるのは難しいと思うのですが、コーラスのメンバーも、子役のメンバーも、茨木と藤子も、実にうまくかみ合っていたと思います。“伝えたいこと”のイメージがはっきりしていれば、ちゃんと伝わるものなんだなあ、と思いました。



そうそう。もう一つ突っ込みネタがあった(^ ^)。
この場面、終わったらすぐに五蔵(風羽玲亜)が登場するんですけど、ここのカゲソロは何処で歌っていらっしゃるのでしょうか?場面全体で男役のカゲソロは最後だけなのに、さっつんはどう考えても無理ですよねぇ…?(天玲美音さんは余裕)
普通に袖で歌ったら、いらん雑音を拾っちゃうから無理だと思うんですけど、そうでもないのかな。それとも、博多座のカゲボックスは、下手の袖に入ってのすぐのところにある、とかですか?…謎。




■第十場A 綱、頑張る(岩屋に近い路)

場面タイトルはこうですが、綱は出てもきません(^ ^)。

攫われた姫たちが水汲み(?)に行く途中。(たぶん。荷物が軽そうなので、まだ汲んでいないと思われる)

そこに、鬼たち(三田~八飛)が「地獄の一丁目」を歌いながら登場。号令一下、姫たちに 襲い掛かる じゃれつく鬼たち。
とりあえず、手近なところで花園衛門(愛花ちさき)に三田(雅桜歌)、橘少納言(大海亜呼)に八飛(美月遥)、紅少将(花里まな)に六歩と七曲……が行ってた、かなあ?(違うかも)
四面(花露すみか)は、センターか下手あたりをうろうろしていたような気がする。「WEST SIDE STORY」のエニボディズみたいに、アニタをレイプする仲間たちに怯えて泣き出すことはなく、むしろ、男の子たちと一緒になって姫たちをからかっていたような?

センター付近で花園衛門にじゃれつく三田。その腕を、傍に居た伊勢式部(鈴奈沙也)がいきなり取って、思いっきり噛み付いて、
「お前があたしを攫ってきたんだから、責任を取っておくれよ」と責める
責められたあげくに、怯えて(?)逃げ出す三田は、どう見ても中学生男子か、へたすると小学生なんですけど、あれで良いんでしょうか。…可愛くてたまりませんが、なにか。



他の男の子たちも、本当に中学生男子の集団下校、って感じで、不思議なくらい“怖さ”が無いんですよね。身体もまだまだ成長途中の、小六か中一くらいの子供たちが、下校の途中で通りがかる美人OLに声をかけてる図、みたいな感じ。
なんとなく、五蔵がガキ大将で六歩が参謀、七曲は心優しい力持ち系で、八飛は生意気盛りの年少組(←さ、三田の立場は…?)という感じがします。

そんな、日が暮れるまで外遊びするのが当たり前だった時代の子供たちなら、自然と身についていたはずの役割分担を、さりげなく体現している彼ら。このくらいの子供にとっては、戦も遊びも大した違いはないんだろうな、と、切なくなりました…。



三田が伊勢式部に追われてハケた後、花園衛門には五蔵が行った……かな?なんだか、五蔵と六歩でそのあたりは順繰りに手を出していたような気がします(- -;ゞ
そして、ついにキレた橘少納言が「滝壷に身を投げて死んでやる!!」と騒ぎ出しても、誰も気にとめない。「お前なら飛び込んだって良いんだぜ!」って、酷いよ五蔵(T T)。

そこに、下手花道から胡蝶姐さん(花影アリス)一行が登場。
「お前たち、東の溜まりだろう?酒ぁくらって持ち場を離れて、どういうつもりだい」
ピシッと叱る胡蝶姐さんがカッコいい(はぁと)。

「胡蝶姐さん、相変わらず威勢がよござんすねえ」
軽くいなそうとする六歩。慌てて頭をはたく五蔵の状況判断は確かだな。
で、薊姐さん(綾音らいら)が一歩前に出て喋りだした途端、舞台の上手端に逃げていく五蔵。『頭のあがらない姉さんに悪戯を見つかった弟』にしか見えません。でも、そんな状況にも関わらず、姫君に声をかけるのを止めない五蔵は、ただの負けず嫌いなのかも。
五月雨(琴羽桜子)が「しおらしい女なんて古いんだよっ!!」と怒るのに、あえて七曲が「へへーん」みたいな態度を取って、余計怒らせているのがいかにも中学生男子らしい(^ ^;。ぶち切れた五月雨が、吹っ飛んでいって「七曲の莫迦ぁ~~~っ!!」と掴みかかったのが可愛かった★
その合間にも、鬼灯(妃宮さくら)ちゃんはつかつかと花園衛門にしつこく絡む八飛のところに行って、「あたしとゆーものがありながらっ!!」と怒っているし、薊姐さんは、何も言わずに五蔵の背後を取って、「五蔵っ!」と叱りつけてるし……
いやはや。人間関係 鬼関係が入り組んでいて面白いです(^ ^)。
怒られる前にとっとと謝ったらしく、最後は腕を組んで仲良くはけていく六歩と蛍火(舞姫あゆみ)とか、ちぃちゃくなってこそこそと逃げていく四面とか、そこにはいろいろなドラマがあったのでした…。




子供たちが片付いた後、溜息をついて見送りながら、「花園さん」と声をかける胡蝶。
「はい?」
「…これからは、千年杉のおじさんにでも、ついてきてもらうんだね」

「そうですね、……そうします」
礼は、言わない。頭も下げない。

鬼に囚われた自分を、哀れむことに忙しくて。




……花園衛門って、良い役ですよねぇ。誇り高く、凛とした、なのに脆い部分のある、美しい女性。
愛花ちさきちゃんは確かに可愛いんですけど、そういう権高さや強さ、プライドが高いゆえの冷静さみたいなものはあまり感じられなくて、ちょっと残念な気がしました。結構キーパーソンだと想うんだけど。




姫たちを見送った胡蝶が、ふと空を見上げたあたりで、上手花道に樵に扮した坂田公時(鳳翔大)と、綱の部下・広次(風馬翔)が登場。
「ああ、やっぱり降ってきたねぇ……」との呟きを遺して去る胡蝶。

胡蝶がハケるのを待って本舞台に駆け込み、「やはり花園衛門だ!」と歓喜の声をあげる公時。
スタイルの良い大くん、何を着ても似合うなあ(^ ^)。樵も格好良いです。いや、むしろ、武家らしく鎧などなど…をつけているときより、こっちの方が数段似合ってる(^ ^;
口調も自然で、いちいちキメようとしてはひっくり返っていた頼光館での台詞回しより、ずっと良いです(*^ ^*)。

「公時さま、ご無理をなさらぬよう」
そう、心配げに声をかける広次。いかにも真情の篭った声で、よかったです。風馬くんも美月くんも、学年の割に芝居心があっていいなあ、と感心します。これからの宙組は……安泰!?かもね(^ ^;ゞ




赤坂ACTシアターにて、宙組公演「逆転裁判2」を観劇してまいりました。



フェニックス・ライト(蘭寿とむ)、ロッタ・ハート(美風舞良)、裁判長(風莉じん)、ディック・ガムシュー(春風弥里)、マヤ・フェイ(すみれ乃麗)の5人は、パート1から同役で続演。
せーこちゃん(純矢ちとせ)は、前回も出ていたけど役が全然違ってて、あと出ていたのは、光海舞人、天輝トニカ、紗羽優那、千紗れいな、七瀬りりこ…の、5人だけ?(抜けている方がいらっしゃったらごめんなさい!)

美羽あさひちゃんや七帆ひかるくんたち、卒業されてしまった方も多いんですけど(T T)、改めて思い出してみると、すっしーさん(寿つかさ)をはじめ、博多座組に回った人が多かったんですよねぇ。「逆転裁判」で覚えたのに、「薔薇に降る雨」では見つけきらなかった可愛い下級生たちが、博多座ではすごく目について幸せでした(^ ^)。





ゲーム「逆転裁判」と宝塚とのコラボ作品、第二弾。
正直、柳の下に二匹目のどじょうはいるのか?と思いながら観にいったのですが。




蘭トムのフェニックス・ライトは、やっぱり優しくて可愛くて、魅力的でした(*^ ^*) 今はもう居ないレオナに捕らわれすぎていて、ライトの一番いいところを封じられたまま、どうやって生きていくか…みたいなテーマがちょっと微妙でしたけど、でも、やっぱり可愛い♪また逢えて、良かったです♪

いやー、もしパート3が実現したら、祐飛さんも犯人役か何かで出演しないかな(^ ^)。「古畑任三郎」みたいに、特別ゲスト待遇でどうでしょう。結構嵌ると思うんだけどなー。




ともちん(悠未ひろ)のエッジワースは、予想外に外見も嵌っていたし、良かったと思うんですよね。ちょっと色気が洩れすぎてて、あまりクールなキャラではなくなってましたけど(^ ^)。私はゲームを知らないのですが、原作ファン的にはどちらがイメージ近いのかなあ。

ただ。今回のエッジワースは、あまりにもパート1とキャラクターが違いすぎていて、違和感はかなり強かったですね。役者が違うのもあるんですけど、それ以前に、脚本的に根幹が別人になっていたので。
まぁ、さりげなくライトが「あいつ、よく喋るようになったな」などと突っ込んだりしてくれるので、全く繋がらないということはないのですが。「あの事件(レオナ公判)で人生が変わったんだ」みたいなことも本人がちゃんと説明してくれるんですけど、『人が変わった』という芝居を、実際に違う人がやるのは難しいよなあ……というのをしみじみと思いました。




せーこちゃんは、前回はレオナの妹で、事件全体のキーになる人物でしたが、
今回は、最初の公判の被告人・アレイア先生(光あけみ)の娘ルーチェという、まったくの新キャラ。弁護士志望で、ライトに憧れていて、でも、恋人(七海ひろき)もいて、、、という、割とありがちなキャラでした。
母親を救うためにライトの依頼人となり、母親は無事嫌疑が晴れたものの……という、脚本的には物語りの真ん中に常に絡んではいるのですが、あまり“ヒロイン”という感じではなかったですね。恋愛も絡まないし、ライトと出会ったことで人生が変わるわけでもないし。
どうせなら、モニカ(レオナの妹)のままでよかったんじゃないか、という気がします。レオナを喪った彼女を救えるのは、ライトだけだろうと思うし。モニカなら、アレイア先生を知っていてもおかしくないし……。
せーこちゃん自身は、美人だし歌も芝居もできる素敵な娘役さんなのに、いくらなんでもルーチェじゃどうにもやりようがない(T T)。本人の能力でカバーできる範囲を超えていると思いますね。もう少しなんとかしてあげて欲しかったなあ……>鈴木さん


ルーチェがあんな役なら、藤咲えりちゃんのフランジスカ・ヴォン・カルマの方が、よっぽど『女主人公』としてのヒロイン役に相応しい役だったような気がします。
主人公(ライト)が今でも一途にレオナを愛し続けているという設定自体がかなり宝塚ばなれしているわけで。だったら、いかにも宝塚作品のヒロインっぽいルーチェというキャラを出してくるよりも、全く宝塚ヒロインらしくない冥ちゃんを作品の女主人公に据えて、恋愛を絡ませずに裁判での闘いを中心に描いた方が面白かったのでは、と思うのですが……。

その、フランジスカ・ヴォン・カルマの藤咲えり。わたしはゲームも漫画も読んではいませんが、キャトルレーヴに売っていた漫画の表紙だけは見たんですね。表紙に出ている冥ちゃん(三巻だったかな…?)のイラストを見て、思わずふきだしました。えりちゃん、GJ!!すげーそっくりです。何がって、美しいボディラインと脚線美が。
金髪ボブの鬘も良く似合うし、大人っぽい美人で、あの衣装が良く似合って、、、いやー、ホント素敵でした。(はぁと)(熱弁)




美風さん・風莉さん・みーちゃん(春風弥里)・れーれ(すみれ乃麗)の続演軍団は、さすがの余裕、という感じでした。それぞれに皆パワーアップして、みーちゃんはセンターで一曲あったり、美風さんはいろいろバイトしていたり、同じ役とはいえ、ちゃんと工夫されていたと思います。
しかし。
ふとした疑問なんですが。みーちゃんの刑事がカリフォルニアに居るのは「人事異動で」ってちゃんと本人が説明していたけど、裁判長閣下はどーしてこちらに……?




かいちゃん(七海ひろき)は、ルーチェの恋人・ローランド・スミス。いやー、格好良かったです。前から気になってた人だし、「薔薇に降る雨」の新人公演でかなり惚れてた自覚はありましたが……落ちましたね。ええ。
いろんな矛盾のある役なんですけど、その矛盾を吹き飛ばしてしまうだけのパワーを見せてくれたのが嬉しかったです。なんというか。小さくまとまらないで、大きく掴みに来たことを評価したいな、と思います。…ちょっとキャラが複雑(?)すぎて、場面ごとに別人になってしまったきらいはありましたが、大事なところはちゃんと抑えてくれたので、気持ちよく感情移入できました。
…でも、髪は、プログラムくらいの方が似合うと思うなー。…あんまり長いと、それだけで胡散臭くなっちゃうし、ね(^ ^;ゞ





それ以外では、メアリー・ウェーバー(最初の事件の被害者の秘書)役の美影凛さんと、殺し屋役の光海舞人さんくらいしか本当に役がなくて、あとは皆、「陪審員」とか「若者」とか、そんなんばっかり。まぁ、陪審員たちはとにかくずっと舞台上にいるので、贔屓組だったら十分な出番なんですけどねぇ。まだ下級生覚えていない猫には、哀しい感じでした。
二幕の裁判で、下手の陪審席の一番下手にいる可愛い娘役さんはどなただったんでしょうか…。
過去のライトの愛月ひかるさんは、顔がみえなくて残念なんですけど、後姿でスタイルの良い人だなあと思いました。でも、手下役とかで見つけきれなかった(T T)。あと、若者で目についたのは安里舞生さんかな。あまり確信はありませんが、多分。スタイル良くてびっくりしました。






…と、ゆー感じで。

キャストはそれぞれ、続演の人もはじめての人も、みなさん良くやっていて、とても良かったのですが。
今回のパート2は、残念ながら、脚本的にはパート1とは大きな差があって、ちょっと残念な出来だったな、と、思いました。これが、見終わった後の正直な感想、です。

パート1は、なんだかんだ言っても、レオナ(美羽あさひ)との愛や、エッジワース(七帆ひかる)との友情など、テーマになる“想い”がはっきりしていたんですよね。で、なによりも、ライトの“信じる”想い、レオナを、エッジワースを、とことんまで信じる気持ちの強さが全編を貫いていて。
だから、いろんなお遊びや細かいギャグも、その太い幹があればこそ、きちんと枝葉として働いていたのですが。

そう。パート1が面白かったのは、もちろんゲームの設定をうまく舞台に取り込めたことや、キャラクターが嵌っていたことなど、いろんな条件がうまく噛み合っていたからこそなのですが。でも、やはり脚本自体が舞台作品として良くできていたことが大きいと思うんですよね。あちこち綻びはありつつも、そこには圧倒されるほどの純粋な「愛」があり、「信じる」心があったから。ライトが“信じた”からこそ、レオナもエッジワースも、喪ったと思い込んでいたモノを取り戻し、新しい一歩を踏み出すことができたのだ、という展開が。

そして、彼らが新しい一歩を踏み出したからこそ『真実』も『蘇った』のだし、ひいては『事件』も『解決』したのだ、というところまで、綺麗につながっていたから、ラストに物凄いカタルシスがあったんですよね。


でも。

パート2で一番残念だったのは、フェニックス・ライトの一番のパワーの源である“信じる”という能力について、その対象となるべき人物がいなかったこと、でした。

ライト自身は変わっていないのに、優しさも可愛らしさも何も喪っていないのに、“信じる”対象を見失ったことで、自分の一番の能力の発揮のしようがなくなってしまう。
最初の被告人となるアレイア先生のことは信じているんですけど、それは別段、何の障害もなく普通に信用しているだけで、特に語るようなことでもないし。
二幕で弁護を担当する人のことは、そもそも全く信じていない。むしろ、有罪にしてやりたいくらいの勢いです。

“信じる”ものを喪ったとき。“何があっても信じ抜く”という能力を封じられたとき、ライトの切り札となるものは何なのか。
それは本来、宝塚なんだから、『愛』であったり、そういう“何か”であってほしいんですよね。でも、ライトは『愛』もレオナに捧げてしまって残っていない。そういうときに、彼は何をもって闘うのか?


それはエッジワースも同じなわけで。彼は、レオナ公判まで自分のテーマソングだったはずの「私が決めたルール」という主題歌を喪っている。どういう基準(ルール)で判断したらいいのか、根本的なところが揺らいでしまっているんですよね。
そういうときに、何をもって闘うか。ライトとエッジワースの、悩みの根幹は同じなわけです。
だから二人はもう一度闘う。法廷という戦場で。

でも。
……二つの裁判を経ても、結局答えは出ていない、と思うんですよ。
なんとなく終わった感が強くて。二人の悩みは、全然解決してないじゃん!!と思う。
エッジワースは、自分の悩みは放置したまま、冥ちゃんの悩みだけ解決してあげようとするし。
ライトもまた、しかり。



なんとなく闘って、なんとなく裁判が終わって、なんとなく、“ま、これからもがんばろうね”的な、生温いラストシーンになだれ込む。
お約束っちゃお約束なんですけど、そういう安易なラストに持ち込むんだったら、最初からそんなテーマを堕さなければいいのに、と思いました。
エッジワースを出さないで、レオナの名前も、回想シーンだけにして。
レオナとの恋はきちんと終わらせて。連作ものの探偵小説は、作品ごとにヒロインが違うのが当たり前なんですから、割り切ってそうすればいいと思うんですよね。
エッジワースを出さなくても、冥が居れば話は進められるんですから。


ライトの一番の力は、“信じる”力。
だから、どうか。どうか、信じさせてあげてほしい。

あの、優しくて不器用で一生懸命で、誰よりも可愛らしい、あの男に。



宙組博多座公演「大江山花伝」。




やっと物語の本筋が動き始めたところですが、ちょっと原作との違いとかを語ってみたくなっております。
……原作・舞台共にネタバレしておりますので、どうぞご注意くださいませ。




■第八場 綱と藤の葉、捕わる

月光の中、主題歌「うす紫の恋」を口ずさみながら、山道(客席)を歩く茨木。
この作品において、通奏低音のようにずっと心の中に流れている主題歌。何度も何度も、繰り返しいろんな人が歌う。茨木が歌い、藤の葉が歌い、また茨木が歌い、、、、

♪とけてはかなきうす紫の
♪夢の狭間にたゆたいて
♪あとに残るは風ばかり 風ばかり

……そういう物語なんですよね、真実に。





原作は中篇で、基本的に綱(=倭人)側の視点で描かれています。
そんなに長い話じゃないので、鬼たちの生活なんて全く描かれていません。ところどころに茨木と藤子の追憶と幻想が混ざるくらいで、それ以外は、ほぼ語り手は綱。徹頭徹尾、鬼は人間の敵として描かれるのです。

鬼側のキャラクターは、悪役カウントの酒呑童子と、それに付き従う鬼丸くらい。
胡蝶もいないし、千年杉もいない。可愛い子鬼たちも、暴れん坊の少年たちも、誰もいない。

そして。
当たり前のように、茨木以外の鬼と人間とのエピソードは全くありません。
京の女たちと鬼たちのエピソードも一切なく、酒呑童子は、茨木の母について「お前が生まれてから……時どきはわしにも笑いかけてくれるようになっていたのに」と語る。
そのくらい、隔絶された人間関係。とてもとても、「わしはお前の母をこよなく愛おしんだ。二人は幸せであった」どころの騒ぎじゃない。いや、酒呑童子が茨木の母をこよなく愛したことは事実だったのでしょう。でも、『二人が幸せであった』かどうかは、今となっては誰にもわからない。

鬼側の理屈(自分たちはヴァイキングの末裔で、黄色い髪や白い肌を懼れた倭人たちに山奥へ追われ、悲惨な生活のうちに姿が変わっていった云々)は述べられますが、要するに「鬼にとっては人間(倭人)は敵」で、「人間(倭人)にとって鬼どもは敵」でしかないのですから。
彼らがどう望もうと、あくまでも。



その間を繋ぐものとして、鬼と人間の混血である茨木というキャラクターを設定したのが、木原さんの慧眼であったとするならば。

大空祐飛は、この、鬼と人間が完全に敵対する世界の中で、そのどちらにも属さない茨木というキャラクターを、生きられる稀有な人だった、と、思っていたのです。
だから。
……そんな茨木を観ることができなかったのは、彼女が属する世界は宝塚歌劇なんだから絶対に無理だと判った上で、でも、やっぱり残念だった、と思ってしまいます。


もしも、柴田さんのお目がまだ無事でいらっしゃったなら。
彼は、祐飛さんにどんな茨木を創ってくれたのだろうか。
実際にイタに載ったものと、そんなに大きく変わらない……の、かなあ…?





二十数年前。

柴田さんは、宝塚作品としてこの物語を換骨奪胎する中で、「愛するべき鬼たち」という新たな設定を作り上げました。

乱暴ものだけれども、身勝手でわがままだけれども、でも、愛されるべき子供たち。
そう、柴田作品となった「大江山花伝」の中で、鬼たちはほぼ全員、『子供たち』になっていた。
乱暴もので、短気で、身勝手で、欲しいと思ったら攫ってきてしまう、抑えのきかない子供たち。
子供でないのは、長である酒呑童子と、千年杉の二人くらいで。胡蝶と茨木は、混血ゆえに子供で居続けることもできず、大人になってしまった孤独な二人…なのだ、と。




二十数年前に、自ら酒呑童子を殺し、鬼族を滅ぼして自らも滅ぶ茨木童子の話など、宝塚で受け入れられたとは考えられません。

だから、柴田さんの改変は、正しい方向でした。いえ、今だってそんなのは難しいだろうと思います。第一、鬼たちのエピソードを全部削ることになるから、全然役がなくなってしまうし。




でも。


……「どうして山攻めなんてするんだよ!?」「彼らは子供だってだけで、姫君も殺してないし、悪いことしてないじゃん!」と頼光四天王たちを恨んでしまう私の心は、どうしたらいいんだよーーーーー。
(←千秋楽を過ぎた今でも、この切なさは鮮明に胸に残っていたりします)






…余談が長くなりました。

夜歩きの果てに朝を迎えた茨木は、“岩屋御殿”の前で胡蝶に出会います。っていうか、胡蝶は帰ってこない茨木(「後でな」って言ってたのにー!)を待って、あの扉を出たり入ったりしてたんだろうな……。まんじりともせずに。
哀れな娘心。そうとしか表現のしようもない思いの深さに、絶望的な気分になります。


「また、森の泉に行ってきたの…?」
そっと尋ねる胡蝶。

これ、なんの説明もなく尋ねられ、茨木も何のフォローもせずに無視してのける、あまり意味があるとも思えぬ会話なのですが。
……“鬼の泉”のことを言ってるんですよね?
到底忘れられるはずもない記憶、どんなに辛くても忘れたくはない記憶を映しだす、凍らぬ泉の水鏡。

♪ひとでなしの明け暮れに 指の間からこぼれて散った
♪夢のむかしを拾い集めて 温めて
♪ひそかにそっと 水に映し 飽きもせず見つめる

この歌を歌うのは、この場からずいぶん先の話ですし、そのときには、直前のドラマティックな場面に心を奪われて、このささやかな会話は忘れられているのですけれども。
取り戻せない過去の罪を、自分自身の過ちを、それであってさえも懐かしく、慕わしく、何度でも繰り返し視ずにはおれぬ、茨木の絶望の深さ。その真実の痛みを知ることも許されずに、ただ茨木の纏う月光の眩さに手を触れることもできずにいる胡蝶が。

『三年前』の事件について、何も知らないはずの胡蝶。宴での歌といい、この意味深な台詞といい、知らずに言っているのだとしたら随分と残酷なことよ、と思います。…いや、たぶん、泉のほとりで何時間でも過ごす茨木のことを、今で言うひきこもりくらいに思っているのかな(汗)。そして、宴での歌は、へたをすれば茨木自身が歌って聞かせたのかも、とも思う。
それは、彼の絶望を呼び出す召還の呪文、だから。

くらき瞳の君知るや そも、悪しかり鬼とは茨の木よ、と






茨木を心配する胡蝶は、子鬼たちを呼び寄せて、上衣と履物、そして薬湯を持ってこさせます。
まぁ過保護な姐さんですな(^ ^)。
無邪気なひなげしの、「まだ残ってるわ!お薬は残しちゃ駄目よ!」という台詞に、ちょっと目を白黒させて、仕方なさそうに苦そうな薬湯を飲み干す茨木が、なんとも言えず可愛らしいです。
ひなげしの「はい、おりこうさん♪」という台詞がすごい好き。茨木がさっきまで纏っていた月光の鎧が、子鬼たちのキラキラに射込まれて、すっかり外れてしまった感じ。胡蝶の口許もすっかり綻んで、朝が来たんだなあ、という気がするのが不思議です。

「幼いものは可愛いな。鬼とはいえぬ」

そんな、すっかり寛いだ雰囲気の中、ふと茨木の口からもれた呟き。
ここぞ、とばかりに三年前のことを聞き出そうとする胡蝶の必死さが、すごく可愛い。ここで黙って、そのままの茨木を丸ごと受け入れてあげるだけの懐があれば、茨木も胡蝶を愛したかもしれないのに。
なのに、胡蝶は尋ねてしまう。三年前のこと、を。

……なぜ鬼になったのか、を。





そんな危なっかしい会話をしているところに、春風が駆け込んでくる。
「見張りが、人間を二人、捕まえました」と。

興味なさげに立ち去る茨木。
春風・秋風に指示を与えて、皆を連れてくるように言う千年杉。千年杉に「春風は長の童子に、秋は四天王の誰かに知らせてこい」と指示されるのを、姿勢を小さくして見上げながら聞いているりくちゃんとモンチがかなりツボでした(*^ ^*)。


五蔵を先頭に、山伏の格好をした綱(北翔海莉)と、侍女姿のままの藤の葉(野々すみ花)を連れて現れる、三田から九呂までの面々。三田と六歩と八飛が綱を抑えて、七曲と九呂が藤の葉を連れて……いたような(?)。
普通にじさまに報告する五蔵の美声が毎回ツボでした。そして、「人間にしちゃ滅法つえぇ野郎だぁ〜!」という、六歩の特徴のある喋り方が、巧いなあ、と、これまた毎回感心していました(^ ^)。

上手から登場した羽黒が綱に質問をしているうちに、いったん引っ込んだ茨木が再び音も無く出てきます。……あの引っ込みは、どうやら衣装を調えていただけだったらしく、肩からひっかけただけだった上衣が、ちゃんと帯に入ってる(^ ^)。
で、山伏に変装していても、茨木童子には綱だとわかるらしい。綱の方は、行者に変装した茨木に全く気がつかなかったのに!(←字の大きさに、たいした意味はありません)

あっさりと綱の正体をバラし、窮地に陥れておきながら。
藤の葉の懇願で、一瞬の躊躇を見せつつも豹変する茨木を、冷たい目で見ている父上が、結構怖い……と思うんですけど。まさこちゃんだからあんまり思わないけど(^ ^;ゞ、あそこは結構、父子的には怖い場面ですよねえ?
原作では、この時はたまたま酒呑童子が留守だったから、茨木の好きなように差配できた、ということになっているんですよね。舞台も、四天王の羽黒や天竜が来ているんだし、ここであえて酒呑童子まで出さなくても良いような気がするんだけどな。

……ここであっさり「父上」と呼ばれて丸め込まれている酒呑童子を見ていると、ついつい、息子にベタ甘なただのダメ父に見えてくるんですが……(涙)、私だけ?



うー、一日一場でやっていたら、マジで終わらないのでは(溜息)。



相変わらず終わりの見えない感想文です。
宙組博多座公演「大江山花伝」。


鬼たちの宴からなんですけど、鬼たちの一人一人については以前も書いたので、いちおうリンクしておきます。
http://80646.diarynote.jp/200908120316522855/
これもまだ、何回かしか観ていない頃の感想なので、今はちょっとイメージが違っていたりもしますが…。



■第七場 鬼たち、集う

どんなに疲れ切っているときでも、この場面にくると、もの凄い勢いでテンションがあがっていた私。場面が終わるまでオペラグラスが一瞬も降りることがない、と、隣に座っていた友人に指摘されたりしました(汗)。どうりで観終わったあと肩が凝るわけだ。……ってゆーか、宴が終わるとオペラグラスが降りるっていうのは、祐飛さんのファンとしてどうなんだろう…。



「大江山にお連れください!」「ならぬ!」という、綱と藤の葉の幕前のやり取りのあと、紗幕の向こうに光がはいり、舞台は鬼たちの棲家、大江山へ。




少し間をあけて、ちょっとおどろおどろしいファンファーレ(?)のあとに続く軽やかな前奏。紗幕があがって、鬼たちが舞台前へ出てくる。
センターに羽黒(天羽珠紀)。踊りながら「地獄の一丁目」を歌う、楽しそうな鬼たち。四天王と四面、五蔵、六歩、七曲、八飛、九呂。全員が大きな朱塗りの盃を持って、実にイキイキと、個性的で、とにかく楽しそう(^ ^)。
個人的には“首塚”という歌詞にあわせて盃を首の高さにあげ、その上で頭をふりふりするところが好きでした。あと、「青鬼、赤鬼」と言われて、あの鬼メークでニコっと笑う珠洲さんとちーちゃんが好きだ。いや、普通に全部好きなんですが。


「地獄の一丁目」が終わると、千年杉(萬あきら)がセンターに出てきて、「鬼も十八、番茶も出花♪」と言いながら、鬼娘たちのナンバーに。
薊姐さん(綾音らいら)、鬼灯(妃宮さくら)、蛍火(舞姫あゆみ)、五月雨(琴羽桜子)が可愛らしく「ちょいな♪」と歌い踊るのに無理やり混ざって踊ろうとするけど、さっぱり振りがわかっていない四面(花露すみか)。以前も書きましたが、結局四面の謎は解けないまま千秋楽を迎えてしまいました(T T)。とりあえず、最初はからかうように声をかけただけですぐに引っ込んだ仏(蓮水ゆうや)が、二度目は結構ちからづくで後ろにどかしていたのが興味深かったです。たしかあれは、天竜か誰かに言われたっぽい感じだったんですよね…。下手の岩の前にしゃがみこんで抗議の声をあげる四面に、七曲(松風輝)が盃をあたえて宥めていたのが面白かったんですが、最後の週末はやってなかったような気がする。あの、盃を二つ持って、シンバルみたいに打ち合わせて楽しそうに笑っていた四面が可愛かったんですけど。

この場面は、日替わりでいろんな人がいろんなことをしていたので、かなり混乱しています…。
基本的に春風(蒼羽りく)と秋風(星吹彩翔)は下手奥のセットに腰を掛けて、千年杉がナンバーを終えて帰ってくると、ずっと三人で呑んでいた気がします。秋風は比較的クールに手酌で呑んでて、春風は笑顔で子供たちの相手をしたり、いろいろしていたような。
その隣では、佐渡(天玲美音)が手酌で呑んでいて。空になった徳利(?)を二、三回振って、怒って投げ捨てる、みたいなことをやってたりしました。そのあと、いつもはその辺を探して、“どこにもねぇ~~~!!”みたいになってから前に出て、「酒もってこ~い!!」の芝居になるのですが。何回か、そこらを探しているうちに秋風か誰かが使っていた徳利を見つけて振ってみて、“やっぱりねぇぞ!”みたいな時があったのですが…………実はその後、場面が落ち着いてから、同じ徳利で穏やかに酒を注いでいる秋風がいたりした日もありました(笑)。

女性陣は、ただ「都の女」と表記されたえびちゃん(綾瀬あきな)と百千糸さんがセットの下手側(舞台としては真ん中あたり?)でおとなしく座り、その上手側の花園衛門(愛花ちさき)と紅少将(花里まな)が基本的に酒呑童子(十輝いりす)に酌をして、檀の下に伊勢式部(鈴奈沙也)と橘少納言(大海亜呼)、そして上手端には桂尚待(花音舞)と堀河の姫(千鈴まゆ)ちゃんがいた…と、思います。たぶん。
ちなみに、佐渡に「酒をもってこい!」と責められて、最初に「申し訳ございません~」と前に出るのが千鈴まゆちゃん、後から出るのが花音舞ちゃんであってます…か?(ドキドキ)


男鬼どもは、自分らのナンバーが終わると思い思いの場所に散るのですが…えーっと。六歩(月映樹茉)と九呂(風馬翔)が下手手前のあたり、七曲がその奥、佐渡がセットの真ん中あたりに腰掛ける感じで、羽黒は上手手前に座り込み、酒呑童子の前あたりに他のメンバー(天竜、仏、五蔵、八飛)が溜まっていたような…(曖昧)。で、千年杉のナンバーが終わって佐渡が騒ぎ出す前に、保昌から着替えて出てきた三田(雅桜歌)が下手から飛び込んできて、六歩たちのグループに参加、という感じだったと思います。
鬼娘たちがナンバーを終えてはけると、蛍火は迷わず六歩のところへ。薊姐さんは下手の、胡蝶(花影アリス)がいるあたりへ。鬼灯と五月雨は舞台奥のグループに参加する感じでした。

酒呑童子が「都の女たちの歌を聴かせてもらおう!」と声をかけると、男鬼たちが姫君たちを舞台前に追います。ここで、伊勢式部が「もうお許しください~」と泣き崩れるのを、花園衛門が宥めて、歌いだす、と芝居は流れていくのですが。
この会話の間、鬼灯と八飛が並んで仲良く立っていたのに気がついたのは、千秋楽の直前でした(汗)。あらあら。この後の、胡蝶のナンバーの後ろでは、鬼灯はどう見ても仏狙いだったので、いつのまに八飛とくっついたのかしら?と思っていたのに…(考えすぎ)(^ ^;

都の女たちの真ん中で歌いだす花園衛門。その美しい衣装にじゃれつくようにちょっかいを出しながら、合いの手をいれる三田。たぶん、三田は伊勢式部も、顔じゃなくて衣装が気に入って攫ってきたんだろうな……。
蛍火に言われて、三田を片付けにくる六歩が、なんだか凄く大人びていて格好良いです。名前から見ても、この後の場面の行動からみても、一応三田が年長という設定なんだと思うんですけど、とてもそうは見えません(きっぱり)。



泣き崩れて歌えなくなった姫君たちに、怒りをぶつける五蔵。若いのに怒鳴り声が効いていて、格好良かったです。姫君たちに関しては五蔵が一番の苛めっ子という設定なんですよね。…良く見ると美形なのにね。(←関係ない)

四天王も加わっての怒鳴り声に姫君たちがますます怯えるのを見かねて、胡蝶が凛と声をかける。
「お待ち。」
す、と音もなく立ち上がって、
「あたしが替わるよ、そこをどきな」
いやー、ここの胡蝶さんは本当に格好良いです。勿論、ナウオンでも話題になった「なんだい羽黒、あたしじゃ不足かい?」は最高です(*^ ^*)。いやー、イイオンナだわ♪

胡蝶に呼ばれて「あいあいーっ♪」と可愛く返事をする子鬼たち、りんどう(舞花くるみ)、われもこう(瀬音リサ)、ひなげし(愛咲まりあ)が、ものすごくかわいい。中でも、われもこうの瀬音リサちゃんがめっちゃ可愛くて、すっかりお気に入りになりました。
それにしても。この三人、髪に飾る花は自分の名前とは全然関係ないんですね。りんどうとひなげしがピンク、われもこうが黄色だったもんなあ。りんどうは青紫、われもこうは濃紫……じゃないのか?ひなげしは色んな色があるから、ピンクでも間違ってないけど。三人ともものすごく可愛いし、色が役名とあっていれば、もっと覚えやすかったのになあ…。

「♪山陰の泉に映る 昏き瞳の君や知る…」

胡蝶の歌は、茨木を呼び出す呪文のようです。原作の外伝である「鬼の泉」を想起させる歌詞は、たぶん、確信犯なんでしょう…。
呪文によって召還された茨木は、さりげなく段差につまずいたりしながら(^ ^)胡蝶に手を引かれて舞い始めます。それまで千年杉と呑んでいた春風・秋風がさりげなく後ろについて舞ってくれるのも見処。彼ら二人は散々飲んでいたハズなんですけど、全然酔ったようには見えない……一番足許があやういのは、今まで宴には参加していなかったはずの茨木だよねぇ?

舞うメンバーが多くなったので、彼らが舞台前に一列に並ぶとほとんど舞台全面をつかってしまい、下手で呑んでいた六歩たちのグループが慌てて避けてたり、意外と細かいところが面白い(^ ^)です。
ここはなんというか、鬼たちの宴の一番の盛り上がり、という空気がちゃんとあったのが、すごく良かったと思います。回りで呑んでいる連中も、真ん中を注目してヤンヤヤンヤと盛り上げながら自分たちも愉しむ、という感じがちゃんとでていたし。いかにも仲が良さそうで、すごく楽しい宴でした。……都の姫君たちを別にすれば、ですが(^ ^;ゞ




舞い終えた茨木は、一方的に宴の終了を宣言します。
えーっと、酒呑童子の許可も得ずに、「俺の命令がきけんのか」とか言っちゃって大丈夫なんだろうか…とか思いつつ。いやー、酒呑童子は息子にぞっこん(←なにか意味が違う)だから、息子の言うことはなんでもきいちゃうんだろうけど。
「せっかく盛り上がってきたのに!」と反論する天竜を抑えて、「天竜、行くぞ」と声をかけるのは、四天王の中では一番下かと思っていた佐渡なんですよね。実は、初日の頃は誰が喋っているのかよくわかっていなくて、この台詞は羽黒が言っているんだと思っていたんですよね。…まさか、佐渡だったとは。ちょっと酔いが醒めたかのように、低い声で少し早口に「行くぞ」と言う佐渡は、えらく二枚目な感じで。それまでのワガママな末っ子っぽいイメージから、随分イメージが変わったのでした。

そして。
せっかく、“茨木童子も出てきたし、さあこれから盛り上がるぞっ!!”と思っていたのに、あっさり振られて悄然と立ち竦む天竜が、なんだか可哀相でした(T T)。
茨木が胡蝶に呼ばれて御簾の影から登場したとき、その一番近くにいるのは天竜なんですよね。楽しそうに飲んでいた天竜が、胡蝶の仕草に誘われるようにふと横を見て、思わず歓喜の笑みを(メークでよくわかりませんが)浮かべるところがすごく好きでした。言葉は荒いけど、本当は優しい鬼なんだと思うんですよね。それは羽黒もそうなんですけど。


茨木の(酒呑童子の?)意を受けた千年杉が、皆を送り出す。
…しかーし。「見張りの交代の時間だろう!」って言って追い出してるけど、ここにいるメンバー以外にいったい誰が居るとゆーんだろう……





茨木の身体をいたわりつつ、「長に逆らってはダメ」と諭して去っていく胡蝶。いい感じに包容力をみせて、美しく余韻を残してました。「後でね」という柔らかなクドキがすごく好き。「…あぁ」という茨木の応えも、さりげなくていい感じです。
…すぐに忘れられちゃうんですけどね、そんな約束(T T)。

茨木と二人になった酒呑童子は、まず、「酒呑童子」と呼びかけられたことに苛立ちをみせる。
「何故、父と呼ばぬ?」
公演の半ばから、無理して威厳を出そうとするのをやめて、ごく素直にムッとしたように言い返すようになったまさこちゃんの芝居は、(酒呑童子としてはどうかと思わないでもないのですが)場面としては間違ってないのかも、と思いました。
年齢としては父親である酒呑童子の方が上なんですけど、もともと妖力のある二人はきっと歳のとりかたも違うんだろうし、前向きでパワフルで体育会系の父親の方が、後ろ向きで理屈っぽい息子より子供っぽいことなんて、そんな事例、いくらでもあるだろう、と。


京の都への襲撃の激しさを諌める茨木。あまりにやりすぎて彼らを本気にさせては、個々の戦闘能力では勝っても、数に劣る自分たちに勝ち目はない、と。
それはすごく当たり前の理屈なんですが、残念ながら酒呑童子には伝わらない。
自分たちの来し方を語り、お前ももっと、鬼らしくもっと猛々しくあれ、と言い捨てて去る酒呑童子。この、去り際に着物を翻すところがとても格好よくて、毎回見惚れてました(*^ ^*)。


一人取り残されて、紀の国守の屋敷で育った15年間を思い出す茨木。
月の光に照らされて、屋敷に溢れていた美しい藤の花と、藤の花のように美しい姫を思い出しながら……。

夢見るように空に視線を泳がせて、ゆっくりと舞台を降りる茨木の、その不思議な存在感。
残念ながら、下手の最前列とか、前方通路席とか、そんな素晴らしい席に座ることはなかったので、あまり真近で観ることはなかったのですが。…ああいう客席降りは、あんまり近くないほうが楽しいような気がします、なんて、ちょっとすっぱい葡萄みたいなことを言ってみたりする(^ ^;ゞ

どうでもいいことかもしれませんが。あの場面、大劇場公演だったら銀橋なんだろうなあ……(しみじみ)。それはちょっと観てみたいような気がします(^ ^)。




無事、CSニュースに流れた「カサブランカ」の制作発表を見ることができました。
そっちを録画したらハードディスクが足りなくなって、「派遣のオスカル」は途中で終わってしまい、「GOGO5」の録画には失敗しましたが……まぁ、そういうこともあるさ。

いやー、テンション上がりました。
すみません、実際に舞台で観るのが、もんっのすっごく楽しみです(^ ^)。「時のすぎゆくままに」、本当に名曲だなあ。……舞台でもリックは歌うんでしょうか。ドキドキ。


しかし。
……小池さん、祐飛さんをメーク“アップ”できるヘアメークさんは相当にレアな存在なので、制作発表だろうとポスター撮影だろうと、本人にやらせたほうが良いと思いますよ……(泣)。
祐飛さんもすみ花ちゃんも、終了後の二人のトークの時の方がぜったい美形だ(↓)

…まぁ、舞台は心配いらないでしょうけれども…。











そして。月組の新人公演キャストが発表されましたね♪

アリステア   瀬奈 じゅん 明日海 りお
ムーア     霧矢 大夢  珠城 りょう
グラハム    未沙 のえる 宇月 颯
ジークムント  遼河 はるひ 紫門 ゆりや
ヴィクトール  桐生 園加  貴千 碧
ローレンス   青樹 泉   鳳月 杏
クリストファー 龍 真咲   煌月 爽矢

エスメラルダ  城咲 あい  蘭乃 はな
アイリーン   憧花 ゆりの 彩星 りおん
ヘレナ     羽桜 しずく 愛風 ゆめ
ポーリーン   蘭乃 はな  琴音 和葉

たくさん発表されたんでちと驚きました(汗)
みりおくん、今回は花組のまぁくん(朝夏まなと)みたいに敵役に回るのかなーと思いましたが、瀬奈さんの役でしたね。7年間の総仕上げ、悔いのないように楽しんでほしいです。
霧矢さんの役は、94期の珠城さん(@ @)。大抜擢ですが、ジュラも違和感なくやっていたから、そこそこ歌えるみたいだし、「二人の貴公子」でも良い芝居をしていたような気がするので、結構期待しています。
芝居巧者の未沙さんの役に宇月くん、あひちゃんの役にゆりやん、園加の役は当たり前のようにまんちゃん、もりえちゃんの役に杏ちゃん、というのは、ものすごく正しい配役のような気がします(^ ^)。そして、まさおの役をやる煌月さん、全然キャラが違うような気がするんですけど、デキる人なだけに、どんなふうに料理されるのか楽しみです(*^ ^*)。

娘役はちょっと意外?前回あいちゃんの役だった咲希あかねちゃんは、あーちゃん(花瀬みずか)の役あたりでしょうか。りおんが、先に名前が出るような役だったことがめちゃくちゃ嬉しいです。
愛風ゆめちゃん、「エリザベート」の侍女で一際目についた美少女ですが、ちゃんと芝居をするのを観るのが初めてなのでちょっとドキドキ(^ ^)。蘭ちゃんは、「浮橋」でしずくちゃんの役、今回であいちゃんの役と、トップ娘役空位の月組でヒロイン格の役を歴任していますね。その蘭ちゃんの役には、二学年上の実力派、琴音さん。これは結構、蘭ちゃんにプレッシャーかも。

作品が全然見えてこないのですが、新公のキャストを観ただけでちょっとテンションがあがりました(*^ ^*)。








余談はこのくらいにして(?)、博多座公演「大江山花伝」。
ちょっと昨夜中途半端なところで終わってしまったので、まずはその続きから。




「その唐櫃、開けてはなりませぬ」

という声と共に、上手花道に登場するのは、行者・左近少輔の先触れ二人(蒼羽りく・星吹彩翔)。
二人が花道で座し、一行を出迎えに出ていた綱の部下(美月遥)が舞台に戻ったところで、濃い色の着物をまとった左近(大空)が登場。髪は後ろで束ねて、いかにもな行者装束。……しかーし、水色の袴の裾からは、黒地に金の文様がちらっと覗いてますが……良いのか?それは(^ ^;ゞ。
ここでは、綱の部下たちも正体には気がつかないんですね。流れる水がないと無理なのでしょうか?



りくちゃんの捧げる三方に載っていた鈴をさりげなく取って、櫃のある方へ向かう。
すり足で進みながら、りん、と鈴を鳴らしながら。


鈴が一色鳴るごとに、人々は眠りに落ちていく。
皆最初から膝をついている状態だから、寝るのも早い早い。意外にあっさりと眠りはじめる頼光さまがチャーミングです。四天王でいきなり寝るのは(鳳樹)いちくんの卜部だったかな?保昌は、主君(頼光)を守ろうという気概があるらしく、意外としぶといんですけど、でも、一顧だにされないままにいつの間にか眠ってしまうのがちょっと可哀相(汗)。
左近さんにとっては、持ちこたえていたのは綱だけなんでしょうね。必死で抵抗して、無理矢理立ち上がる綱に向かって、鈴を一振り。りん、と音が響いて、綱ががっくりと膝をつく。ここの、言葉も何もない“闘い”が、実は結構好きでした。

左近がそうやって綱を相手にしている間に、榊の枝を持って周りをぐるぐる回っていたりくちゃんとモンチが、他のメンバーに とどめをさす 最後の眠りを与えて回ります。
あやしげな笑みを口許に刷いて、すーっと歩き回る二人。初日頃は結構バタバタしていた印象もあったのですが、慣れというか、若い人は成長が早いというか。後半は気配も音もなく風のように動き回ってて凄かったなあ。


綱以下の全員がとりあえず倒れこんで起き上がれなくなると、三人は唐櫃の回りに集まって。
左近が春風に鈴を投げ、秋風が蓋を開けてくれた櫃の中から奪われた左手を取り出し、ナウオンでちーちゃん(蓮水ゆうや)がやってみせたポーズをとって、暗転。
あの場面、ちーちゃんが誉めていたとおり、効果音の入り方といい、暗転の前に一瞬赤いライトになるところとか、いかにも歌舞伎めいたキメ場面になっていて、迫力がありました。
演出として新味のあるものではありませんが、宝塚だと意外と珍しいかも。

左近さんはそのまま舞台奥のセット裏にはけて早替り。起き上がった綱たちが右往左往するのを、セットの上から見下ろして、勝利宣言をしてはけていく。
「GOGO5」で、樹里ちゃんが「一番好きな衣装(場面?)」と言っていた、黒地に金のおどろ紋(?)の着物。いかにも“ワルい”感じの企み笑顔といい、この翳の濃い作品の中で、ここだけ別人のようにイキイキとした茨木さんでした。




■第六場 綱、出立

下手に消えていった茨木を睨むように、空を睨んで「おのれ!」と独白する綱。
そのまま定位置に戻ると、場は頼光の館に戻ります。
四人の役割分担を決めて、命をくだす頼光さんが超絶格好良い♪

ここの4人の会話とか、最後にはけるときの小芝居でのいちくんについては以前書いたので……
えーっと。こんなところでしょうか。
なんだか今日は、余談の方が長かったような気がする(^ ^;;;ゞ





< 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 >