今日は、雪組「カラマーゾフの兄弟」について書こうと思っていたのですが。



衝撃のニュースがあったので、そちらを先に。

2月に公演を予定していた、中川晃教主演の「スーパーモンキー」が、タカコ(和央ようか)さんの体調不良により、公演中止になったそうです(T T)。



タカコさん、体調不良って……何があったのでしょうか。公演中止というリスクを負ってまで降板したってことは、かなり心配な状況ってことなんじゃ……(泣)。ファンの皆様の不安はいかばかりかと……


しかし。
宝塚ファンとして、OGタカコさんの体調も心配だけど、
中川くんの一ファンとして、久しぶりの舞台を凄く楽しみにしていたので………凹みました~~っ!!中川くん自身、すごく楽しみにしていたっぽいのに。歌も多いらしかったのに。
代役が見つからず、と松竹さんのサイトには書いてありましたが、まだ公演まで1ヶ月近くあるんだし、手直しして男優でやるとか、アクションを減らして……とか、何か方法はなかったのでしょうか(T T)。
まぁ、いろいろ検討した挙句の中止決定なんでしょうけど、、、、あああ、残念だ!中川くんの舞台が観たかったよ~!!(号泣)


まぁ、こんな大事件になってしまって、復帰の目処もたたないであろうタカコさんや、そのファンの方のお気持ちを考えると、五体満足、元気で、楽しみにしていた舞台がなくなって残念がってる中川くんのファンの立場では言いにくいんですけど。
でもでも、悲しいです(涙)。
ぜひぜひ仕切りなおして、来年でも再来年でもいいから上演してほしいです!!






それにしても「公演中止」って……。
それも「代役がいないから」って……。

最悪のパターンだなー。

こういうのが個人事務所の弱いところなんでしょうか。大手の芸能事務所なら、自分とこの所属のタレントに何かあっても、事務所内でなんとか調整して代役を出すんでしょうに。
代役って、制作側が探す場合と降板する側が探す場合とありますけど、今回みたいなケースはある程度降板する側が責任持って探さないといけないみたいですね。でも、個人事務所だから他にタレントいないし、OGつながりでお願いしようにも「愛と青春の宝塚」と大浦さんの降板があったので、めぼしいところは仕事入っちゃってるし……。
まさかハナちゃんが出るってわけにもいかなかったんでしょうしね(^ ^;




しかも、「体調不良」としか出ないのが気になります。今後詳しいことが出てくるんでしょうか?最近、主演級の役者の降板劇がいくつかありましたけど、“こういう病気で手術をするので”とか、何か具体的な病名まで発表されていたような気がするのですが。

……なんにしても、心配ですよね(; ;) 。新年早々、辛い思いをしているであろう「スーパーモンキー」に関わった全てのスタッフと役者に、なにか良いことがありますように…。





11人いる!

2009年1月10日 演劇
シアターサンモールにて、ブルーシャトルプロデュース アクサル公演「11人いる!」を観てまいりました。



言わずとしれた萩尾望都の名作SF漫画「11人いる!」を、かなり原作に忠実に舞台化した作品でした。

演出がすごく面白かった。原作読んでいるときは思わなかったんですが、舞台にするといわゆる“ワンシチュエーションもの”になるんですね!!「宇宙船の中」という、完全に閉ざされた空間での物語ですから。
舞台上にセットがわりに置かれた白い布の遣い方が巧くて、現実の風景とタダの幻想(記憶のフラッシュバック)の切り替えが見事でした。記憶のヴェールに隠された真実を、一枚一枚剥がしていくようなイメージがあって、クライマックスの電導ヅタの真実の姿と、それにつながるパニックへの演出が、凄い迫力。

結構歌も多くて、ちょっとミュージカルっぽいつくりだったのにちょっとびっくりしました(^ ^)。
そして、なにより驚いたのが、原作の色をしっかりと残しながら、そこかしこにお笑い要素をいれていたところ(^ ^;ゞ。脚本・演出の吉谷光太郎さんをはじめ、みなさん大阪出身っぽかったですね。真面目さとお笑いの行ったり来たり感が、いかにも大阪チックで斬新でした。吉谷さん(教官役で出演)なんて、登場から大笑いだったもんなあ……。
……まぁ、お笑い系のゲストを出すのは作品のイメージを考えるとちょっとヤリスギかな、とも思いましたが(←私が観たときは、長州小力さんがゲスト。「キレてないっすよ」ネタですっげー盛り上がりました/笑)、力技でしたけれども意外とうまく流れてた、かなー?

あと、原作よりもアマゾンが大きな役になっていて、彼と王様の対立と和解がテーマの一つになっていたのが印象的でした。ちょうど、花組&月組の「王様」たちのことを考えているときだったので、マヤ王バセスカの逡巡と挑戦への気概、そしてアマゾンの「プロレタリアート」の自信と他人への信頼が気持ちよかったです。




「アクサル」という劇団(?)、私は全然知らなかったのですが、劇団ひまわり系列のユニットだそうですね。二枚目の男優ばかりの集団というので、同じく萩尾作品をいくつも舞台化しているスタジオライフと同じようなイメージで観にいったのですが、それよりはずっと堅実な作品作りをする集団、という感じでした。
まぁ、美形度はライフの方が上かな?とは思いましたが(^ ^;ゞ。


それでは、キャストについて一言づつ。

タダトス・レーン(加藤巨樹)=タダ
良くも悪くも「普通の人」という印象でした。タダって「普通の人」だったんだなあ……。クソ面白くない真面目な優等生、って感じ。
多分それを狙って演じていたのだと思うので、もっと弾けた役での彼を観てみたいです。


フロルベリチェリ・フロル(大河元気)=フロル
“美少年”でしたねぇ~!原作ファン的には、やっぱりフロルには巻き毛でいてほしいのですが(笑)、黒髪ストレートも悪くなかった(はぁと)。汚い言葉遣いがちょっと慣れてない感じでしたが、いっそのこと関西弁でやったほうがよかったかもね(笑)。
色気の無さが、逆に萩尾作品のヒロイン(?)っぽくて似合ってました。船内温度があがって服を脱いじゃう場面は、素肌に白い布を巻いた形で肩をむき出しにして登場したんですけど、思わず皆が欲情してしまうのもわかる気が(^ ^)。
姿勢がもう少し良くなると、もっとビジュアル度が増すと思います★がんばれ★


アマゾン・カーナイス(柄谷吾史)=アマゾン
とにかくカッコよかったです。美形だしスタイルいいし、声も素敵♪原作でもおいしい役ですけど、さらに輪をかけてカッコよく描かれてました。王様との対立の場面も凄く良かったし、フロルの裸にドキドキしてるときは可愛かった♪


マヤ王バセスカ(林修司)=王様
複雑なキャラクターで、芝居としては一番難しいところを担当していましたが、さすがに巧かったあ~!ルドビコ★そのものは何回かしか観てないんですが、彼は結構よく外部出演していますよね。さすがな感じです。
しかしカッコよかった。自分自身への迷いとタダへの嫉妬まじりの猜疑心、アマゾンの指摘への反発…いろんな要素をきちんと一人のキャラクターとしてまとめてみせたのがさすが。続編の「東の地平、西の永遠」を彼の王様で観てみたいです♪♪


グレン・グロフ(田中照人)=石頭
まず衣装というか髪型をがんばって「石頭」にしていたことに感動(笑)。かなりお笑い系の芝居でしたが、今までどんな役をやってきた人なのかしら?ラストに、教官に声をかけらたれたときの芝居が面白かったです!!


ソルダム四世ドリカス(古川貴生)=フォース
原作では、育ちが良くて屈託のない、明るい二枚目という感じのキャラクターですが、舞台では王様のキャラに近い、猜疑心の強い根暗な雰囲気になってました。それはそれでありだけど、「東の地平・西の永遠」にはつながらない感じになってしまって残念かも。
コロスとしてタダの周りで踊るときなど、動きがキレイで目につきました。かなり踊れる人なのかな?


ヴィドメニール・ヌーム(松木賢三)=ヌー
鱗をどうするのかなーと思っていましたが、特に何事もせず、髪を僧侶っぽい雰囲気にしただけで演じていましたが、台詞の声に深みがあって良かったです。「すべては宿命」という口癖が自然でした。
……原作ファン的には、酔っ払ってるヌーが最高だったかも(^ ^)


ガニガス・ガグトス(山本建史)=ガンガ
カッコよかったし芝居もさすがでしたけど、なんというか……下腹が出てるガンガって許せない(←言っちゃった…ごめんなさい!)
ううう。ガンガはサイボーグで身体鍛えてる健康体なんだから、マッチョならわかるんだけどなあ…(T T)。
原作以上においしい、良い役でした。でもでも、優しいお父ちゃんみたいなんだよなぁ……(悲)


ドルフ・タスタ(田倉伸紘)=赤鼻
「赤いボタン(スクランブル発生=試験終了)のボタンを押したくなったら、この鼻を押してよ」っていう台詞って原作にありましたっけ…。その台詞にあわせてみんなでバシバシと鼻を叩く場面がメチャメチャ面白かったです。シリアスなのにね。
パンフの写真で観るとかなりの美形なのに、舞台では……(^ ^;ゞ。役者ですねぇ(感心)。


トト・ニ(田渕法明)=トト
トトがすっげー美少年なんでびっくりしました(汗)。植物への愛を歌いあげるナンバーがあったりして、大活躍。原作とは一番かけ離れたキャラで、面白かったです!


チャコ・カカ(八百谷匡洋)=チャコ
原作でもあんまり活躍の場のないキャラですが、舞台でも…って感じ。ただ、お笑い場面では常にリードしていたような?(^ ^;





公演パンフレットは、なんというか、昔の「タナボタ企画」のパンフみたいでした……(お笑い系の企画ものがあるあたりが)
うーん、確かにコアなファンが圧倒的に多そうな感じの客席でしたけど、もう少しどんな活動をしてきた劇団なのか、とか、キャストのプロフィールとかをもう少し書いといてほしかったなあ…。
知らない私がいけないのかもしれないけど。
だって原作の名前だけでふらっと観にいったんだもん、パンフレットに解説があるかなーと思うじゃないですか(汗)。

ま、大きく宣伝している様子もないのにサンモールが1週間埋まるんだから(私が観たときはほぼ満席でした)、ファンがついているってことなんでしょうね。
確かに面白かったし、原作の雰囲気を忠実に守っているわけでもないのにちゃんと世界を創っていたのは凄いなーと思いました。SFなのに、特殊メイクをするでなく自然な感じで。原作の構成の妙があってこそですけれども、舞台化するにあたってはいろんなハードルがあったはずなのに、そういう苦労を感じさせず、さらっとやっていたのが凄いなーと思いました!

次は、春に吉田秋生の「BANANA FISH」を上演するそうです☆ど、ど、どういう感じになるんだろうか……ちょっと興味アリです☆



星組大劇場公演「愛する我が街」の新人公演キャストが発表されました。


ジョイ・ビー(安蘭けい)     真風涼帆
ルイーズ・デュアン(遠野あすか) 蒼乃夕妃

おお~っ、真風くんでしたか!!月組の蘭乃はなちゃんが92期の初ヒロイン(ですよね?)をしたなーと思ったら、その次は真風くんだったかー。楽しみな人だと思っているので嬉しいです(*^ ^*)。歌は未知数だけど、芝居は良いもの持っている人なので。
……チケット手に入るかなあ。

それにしても星組さんは、柚希くん時代を考えると嘘のように多彩なメンバーに新公主演させていますねー。楽しみだなあ。壱城あずささんも美弥るりかさんも、他のメンバーも、良い役がつきますように。



そして、ヒロインは「スカーレットピンパーネル」に続いてまりもちゃん(蒼乃夕妃)。芝居上手なダンサー。かなりお気に入りなので、今度こそヒロイン観られますように。(アンナ・カレーニナ、スカーレットピンパーネルと続けて観られなかったんだもん…)

それにしても、ヒロインの方が学年が上って珍しいですね。同期はよくあるけど。



今年が新公ラストになる89期も人材豊富なので、みんながんばってほしいです☆
私も(チケットゲットを)がんばります!







そして昨日、反応し損ねてしまったのですが、花組の壮一帆さんのバウヒロインが発表されました♪

「小栗判官物語」

常陸小栗  壮一帆
照手姫   野々すみ花

すごーーーーいっ!!「舞姫」「銀ちゃん」と続いた後だし、役も照手姫だし、今回はすみ花ちゃんじゃないだろうと思っていたのですが、意外です。
ま、そりゃあすみ花ちゃんがやってくれたら主演スターのファンとしては安心でしょうけど(^ ^)。
いやー、楽しみですねぇ(*^ ^*)(行く気満々)



これで、すみ花ちゃんは花組の男役、上からほとんどと組むんですね。
「黒蜥蜴」でまとぶん、「舞姫」でみわっち、「引き潮」でまっつ、「銀ちゃんの恋」で祐飛さんとみつる、「太王四神記」でまぁくん、「小栗」で壮ちゃん。めおちゃんもショーの群舞とかでは時々組んで踊ってますよね。でも、そういえば一場面丸々相手役っていうのは無いかな…?




はっ!そ、そ、そんなこと書いてる場合じゃない!!すみ花ちゃんがバウってことは、イコールすみ花ペドロは全国ツアーには居ないってことじゃないか!!
うぇぇん、誰がやるんでしょうねぇ(T T)。

そもそも、壮ちゃんが抜ける以上、みわっちが壮ちゃんポジに入ってシェルを誰か他の人がやる羽目になる(←失礼)可能性が高いんですけど……(^ ^;ゞ
シェルとペドロか~。誰だろう


でも、そういえば「絢爛」も、星組さんでウメちゃんがやった役を月組では月船さららんがやってたことがあったな。…男役と女役、入れ替えも可能か……

ってことは、一花か?一花なのか!?

ダメ!!一花には“かもめ”を踊って貰わなくちゃいけないんだからーーっっっ!!







「RED HOT SEA」、かなり嵌り度の高いキャストが多かったので、役替りが大変そうですね。
とりあえず、まとぶんと祐飛さんが変更ないといいなあ☆

みんなが怪我も病気もなく、初日から千秋楽まで楽しく舞台に立てますように!(祈り)





月の橋姫

2009年1月8日 宝塚(月)
東京宝塚劇場にて、月組公演「夢の浮橋/Apasionado!!」を観劇してまいりました。


年頭の誓い、じゃない、年末の誓い(週に一度はノー残業デー!)を守るべく、平日夜の日比谷に行ってまいりました(^ ^)。
この調子で来週からもがんばるぞ!!(←なにを)




何を隠そう、月組公演を担当している大野さん&藤井さん、あ~んど赤坂の雪組「カラマーゾフ…」の齋藤さん、この3人って、荻田さんが宝塚を卒業した今、「猫が大好きな演出家3人衆」なんですよね(^ ^;ゞ
この3人が東京に揃ったこの1月は、猫にとってもかなり幸せで、しかも忙しい(笑)季節です♪



いやーもう、とりあえず、月組ファン的には心が震えるサイコーのショーでした!
ホント、麻子さんも霧矢さんも素晴らしいショースターですねっっ!!(^ ^)しかも、並み居る月娘たちの男前でカッコイイこと!男役がずらりと並んだ中詰めの花々の場面、女装した男役さんたちがみんな可愛くてうっとりしました。周りを固める月娘たち、かっこよすぎです(←そんな月娘が大好きです)。




しかーし。藤井さんと齋藤さん、仲良すぎじゃない?
藤井さんの齋藤さん大好きっぷりにちょっと受けちゃいました。

もうご存知無い方も多いかもしれませんが、汐美真帆さんと大空祐飛さんがW主演をした齋藤さんの作品は「ライブ・アパシオナード 血と砂」というタイトルでした(爆)。
まさか「Apasionado!!」というタイトルの作品で、「血と砂」が出てこようとは。
フアン・ガルラードとドンニャ・ソルですよあなた。
しかもドンニャはみっぽー(美鳳あや)ちゃんですよっ!!
……牛だったくせにっっっ!!
で、ソロを歌うのがオトキチ(音姫すなお)ですよ!話を紹介するのが(城咲)あいちゃんですよ!
……ルシアだったり「砂」だったりしたくせにっっっ!!



いやーもう、たまらんほど可愛かったです。みっぽードンニャ。そして、残り少ない「血と砂」メンバーが総出で、楽しかったです(はぁと)。
麻子さん、ちゃんと闘牛服に着替えていただきたかったなあ………(←時間ないから無理)



というわけで、一番心に残ったのは、お花さんたちと「血と砂」。
…なんですけど、でも、とにかく全編好きです♪ なんというか、相変わらず藤井作品は「おもちゃ箱をひっくり返したような」という形容詞がよく似合うな、と。ごちゃごちゃしてまとまりがなくて、エネルギッシュでノンストップ!なところが。
あと、月組の今の体制をうまく使ったなーと思いました。ある意味、普通のトップ娘役よりトップスターに近かったあいちゃんの存在が、藤井さんのツボに入ったなーと思いました。


ただ。

藤井さんの創る作品は、突飛な衣装センスまで含めて大好き(真顔)な猫ですけど、それでもちょっとどうなの、と小一時間問い詰めてみたいと思ったのが、ノバ・ボサ・ノバの衣装の多用。
それ、ラテンだけどスパニッシュじゃないから!
…他に衣装無かったんか、と思っちゃいましたね。私にしては珍しく(^ ^)。






そして。
ちょっと順序が逆になりましたが、お芝居は大野さんの「夢の浮橋」。
いかにも大野さんらしい、ちょっと細かい所の詰めが甘いけど、大枠は「花のいそぎ」や「更に狂はじ」を思い出させる作品に仕上がってました(*^ ^*)。
これが大劇場デビューではありますが、一応「飛鳥夕映え」の演出経験があるので、人の動かし方やセットの使い方など、さすがでしたね。「飛鳥…」のときは、ちょっと大劇場の広い空間を使いきれていないなーと思ったのですが、今回は良かったです。



物語は、案の定「宇治十帖」とは何の関係も無かったです。
「宇治十帖」の外伝(スピンオフ)も違うんじゃ?と思ったほどにかけ離れた印象。

でも、「源氏物語」ではありました。だって、匂宮(瀬奈じゅん)が真実に意識しているのは、終始光源氏(萬あきら)なんだもん(- -;

……薫のことも、もうちょっとライバルとして意識してやってくださいよ(汗)。




「罪」をテーマにした宝塚歌劇。

美しくて、罪深いほど美しくて、……罪深さに苦しめば苦しむほど、甘美な毒に囚われていく。
そういう構造に、つい荻田作品を思いだしました。
「螺旋のオルフェ」の、「そして夜が明けたとき、明け方の空を美しいと思った。そして、そう思った自分を許せなかった」とか。
「凍てついた明日」の、「誰でも良かった。…でも、君だったんだ」とか。


暴力にとらわれないところは荻田さんとは違いますが、“「罪」に耐える姿こそが美しい”、という彼のイマジネーションは、「美しさは罪を孕んでいる」という荻田さんの幻想に通じるものがあって、私はものすごく嵌りやすかったりします。
…壊れているなあ、とは思うんですけどねぇ(^ ^;ゞ



特に今回、花組の小池作品と連続して観たので、「王座に座りたくない王」について色々と考えてしまいました。
小池さんの「太王四神記」は、「王座に座りたくない宿命の王」を主役に、「王座に座りたい英雄」を二番手に配し、王座には座らず「王座に座った者を思い通りに操りたいと願う魔術師」を三番手に振っています。
いわゆる「王道」ってやつですね(^ ^)。

それに対して、大野さんの「夢の浮橋」は「王座に座りたくない皇子」を主役に、「皇子の憧憬の対象」を二番手に、「王座に座りたい優等生」を三番手に配しました。
ただ、薫は「皇子の恋敵」であると同時に物語を「紡ぐ手」であり、「罪の子」として物語の根底にあるテーマ「罪」の象徴的な存在でもあります。
薫の渇望が物語世界を造り、匂宮の渇望が物語を動かす。

でも、匂宮が実際に執着を見せるのは、“罪”の象徴である「光る君」であり、「王座に座りたい優等生」である兄・二宮であって、薫ではない。




「太王四神記」と「夢の浮橋」の二人の皇子は、どちらも「自分より王座にふさわしいと思う人物」が身近に居ます。自分の立場と責任を自覚し、王座にふさわしくあらんと努力している人物、が。
でも、それを視て「俺より彼の方が王座にふさわしい」と思うこと自体が、神籍の王たる器なのではないか、というのは昨日も書きました。



一年前の荻田さんの「A-Rex」も「王座に座りたくなかった王」を主役にした作品ですが、あれは「自分より王座にふさわしいと思う人物」がいなかった例なんですよね。だから、あの作品では“A-Rexが真実“王の器”だったのか?”、ということについては触れていません。
ただ、A-Rexは王座に座った。そして旅に出た。それだけ。
あの作品で、瀬奈じゅんを“瀬奈じゅん”のまま舞台に置いた荻田浩一の鬼に思わず目を背けたくなった猫ですが、今回の大野さんは、麻子さんに“匂宮”の仮面をつけさせた上で、芝居をさせないという暴挙に出ていました。
立っているだけで人を魅了する、大輪の華。華はただひたむきに咲いていればいい、というのは“宝塚歌劇”の本質だと思うのですが、最近はそういう作品があまり無かったのでちょっと驚いてしまいました。

……荻田さんと大野さん。お二人の作品を観るたびに、物凄く良く似たところと、全く全然違うところがそれぞれあって、面白いお二人だなあと思います。
荻田さんが卒業されてしまった今、大野さんがその後を追うことのないように、祈るばかりです。






きりやんの薫は、昏い情熱をねつく醸し出していて、すごく怖かったです。あれだけの迫力あるお芝居ができるのはさすが。体調も戻られたみたいで、なによりです!(喜)


(羽桜)しずくちゃんの浮舟は、当たり役。彼女のいいところは、サリーの芝居でも思いましたが「あたしは憐れな女…」という自覚がないところ。常に相手のことだけを考えて、自分を卑下したり自己弁護したりするところが全くないんですよね。しずくちゃんご本人がどうなのかはわかりませんけれども、彼女の芝居は常に「相手の目を見凝めている」ところがすごく好きです。
だからこそ、相手の目を見る役者さんと組ませてあげたいなーと思いってしまいますね。技術的にはアレコレ拙いだけに(汗)。


あいちゃんの小宰相は嵌り役でしたね(*^ ^*)。美しくて華やかで、周囲の“貴族の”女性たちとは全く違う空気を纏った女。
彼女だからこそ、「誰だって自由じゃないのよ」という台詞に重みがあったのだと思いました。匂宮が無闇に憧れる「自由」なんてものは存在しないのだ、と。軽やかな口調で、匂宮の憧憬を切って捨てる、その邪気の無さ。
いい女になったよなあ、本当に……。



あーちゃん(花瀬みずか)の一宮も嵌り役でした♪最近のあーちゃんは良い役に立て続けに当たっていて、芝居がどんどん良くなっているのが嬉しい。ラスト前の匂宮とのやりとりの落ち着きが良かったです。
となみちゃんが卒業したら、「LUNA」のウサギちゃんたちで残るのはあーちゃん一人。学年を重ねても透明感を失わず、「母性」が出てこないのはある意味個性だと思うので、星組の柚美姉さまのような、素敵な女役さんになってくださいね♪




それぞれの子役は、匂宮が咲希あかねちゃん、薫が舞乃ゆかちゃん、女一の宮が花陽みらちゃん。花組の子役たちもみんな良かったけど、こちらもホントに成長後の姿と違和感がなくて、見事な配役でした(はぁと)。





そして。
個人的なこの公演の目玉、みっしょん(美翔かずき)の柏木&(天野)ほたるの女三宮。
予想通り回想シーン5分間のみの出番でしたが、あまりの美しさに衝撃を受けて、どうやら話題のシーンだったらしい“浮舟と匂宮の色事”場面を観おとしてしまいました……(T T)。つ、つ、次こそは。次こそは必ず。

……無理かな……(- -;ゞ





花組大劇場公演「太王四神記」 続き。

昨日から、まとぶんが二幕で歌う「♪愛とは何か間違ってばかり…」「♪命賭けて愛した人は…」っていう(たぶん)歌のメロディがぐるぐる頭の中を回っています。
ああいうメロディライン、凄く好き。コード進行など、どこかで聞いたことがあるような気がしてならないのですが、心当たりのある方はいらっしゃいませんか…?

そして、なぜか「ファントム」のオープニングの音楽(「僕の叫びをきいてくれ」のリプライズ)もぐるぐる回ってる(^ ^;)。「太王四神記」って、なんか音楽の傾向が「ファントム」に似てませんか?……気のせいですかね(^ ^;ゞ




さて。

第二場 チュシンの星~王の誕生

チュシンの星が輝くのを見て、火天(ファチョン)会の大長老をやっていたプルキルは、「チュシンの王の誕生に呼応して輝くはずの神器を探せ」と会士たちに命じ、国中に振り向ける。
とにかく4つの神器を集めたものが勝ち、であるらしい。

この前の神話場面から、すでに火天会士の先頭に立っているサリャンがとっても怪しい(^ ^)。






玄武の神器はコムル村に。

護り手であるヒョンゴ(後のまっつ。子役は梅咲衣舞ちゃん)はまだ少年で、先代村長(悠真倫)の管理下にあり、旅をしながらも火天会の目からは無事隠し通したらしい。

“コムル村”の由来がよくわかりませんが、『火天会に先を越されないよう、ホンモノのチュシンの王のために4つの神器を集めとけ』とかいう言い伝えでもあったんですかね。
神話時代の熊族の末裔だとか、そういう感じなのでしょうか…(←てきとー)

梅咲衣舞ちゃんの子ヒョンゴが、めっちゃ当たり役でした。ちょっと寂しげな細面が、まっつの子供時代にぴったり(^ ^)。大人ヒョンゴと子ヒョンゴが隣(ちょっと離れてますけど)に並んで立っている場面があるんですが、この子がこうなるのね、すごく納得!!って感じでした。
声も可愛いし、無理して作った子供っぽさじゃない自然な“少年っぽさ”があって、とても良かったです♪






朱雀の神器は、東百済のサビ城に。

王の誕生に呼応した神器の輝きを隠し切れず、火天会によって火を放たれた城では、護り手であるキハ(後のあやねちゃん。子役は月野姫花ちゃん♪)はまだ幼く、その母である王妃(天宮菜生)はキハとその妹を逃がして自害。
キハ自身も結局は逃げきれず、抱いていた妹を床下に隠してそのまま火天(ファチョン)会に捕えられる。

ここの王妃様のはるちゃんがそれはそれは美しく、若さに似合わぬ威厳もあって、とても素敵でした。子供たちを見送って、厳しい貌で自害するときの思い切りの良さも好きです。今回は台詞無しだったような気がしますが、本役の近衛隊隊士もシャープで印象的だったし、やっぱ美人は得だなぁ~(*^ ^*)。

姫花ちゃん、スタイルが良すぎて(←頭が小さくて、頭身のバランスが大人っぽい)あまり幼な児には見えないのですが、舌っ足らずな喋り方が可愛くて良かったです。
タムドクとヨン・ホゲはこの日に産まれたわけで、当然キハの方が二人より歳上なんですけど、ここでせいぜい4つか5つの子供に見えないと本編に入ってからちょっとね…って感じになってしまうので、さらに可愛く幼くなってくれるとうれしいです。
それにしても本当に可愛いなぁ……。ピンクの衣装がすごい良く似合ってる。火天会に捕まって、プルキルの烙印を受けるために肩を剥かれるところが凄く萌えです(^ ^;;

火天会が去ったあと、床下に隠された赤児を見つけて抱き上げる子ヒョンゴ。
額の黒朱雀の烙印を見つけて怯える様子が可愛い。そして、「…あ、消えた♪」と嬉しそうに村長(悠真倫)に見せる仕草が、ちゃんと少年っぽいのは凄いなーと思います。不慣れな感じがよく出てる。役者だなあ…。

ちなみに、この赤児がスジニなんだから、スジニの方が何ヶ月かタムドクより歳上です。「これからも兄と妹のように…」は無いんじゃないのか?>小池さん






青龍の神器は、西百済のカンミ城に。

護り手であるチョロ(後のめおちゃん。子役は華耀きらりん♪♪)はまだ少年だが、神器を護ろうとした父によって、心臓の中に神器を隠される(神器は何をしても護り手を殺すことはないらしい)。

カンミ城主は、たぶんプログラムに「城主」としか書いてなかった王子(眉月凰)だと思うのですが…すみません、展開が速すぎて目が泳いでいたのでよくわかりませんでした(涙)。

きらりんは可愛い。本当に可愛い。目の大きな、野兎のように怯えきった美少年が、そっと胸元をあけて神器を受け入れるまでの逡巡が、それはそれはイロっぽくてクラクラしました。はい。萌え。
あの美少年が、長じてめおちゃんになるのか……それも萌え(←意味不明)






白虎の神器は、北方靺鞨(マッカツ)の鍛冶師の村に。

この場合、パソン(桜一花)は護り手ではないので、父親(紫峰七海)か兄(天真みちる)が護り手だったんでしょうか。展開が早すぎて、よく聞き取れなかったのですが。
とにかく、パソンの父は刀の柄から神器を外し、兄に渡して逃がす。鍛冶師なら、うった刀じゃなくて鍛えるための鎚にでも神器がついていそうな気もしますけどねぇ…。神剣なのでしょうかアレは。
兄は妹パソンを背負って逃げるが、すぐに追い詰められ、妹を薦に包んで隠し、自ら火天会に囚われる。(殺されるんでしょうか。それとも、ドラマでは後で出てきたりするのかな…?)

昨日も書きましたが、パソンが滅茶苦茶可愛いくて、見てるだけでドキドキします。はい。

本編に入って、大人パソン(同じく桜一花)の弟子としていつも一緒に居る嶺乃一真くんとは、どんなシチュエーションで出会って弟子になったのかしら、なーんてことが気になったりして。
火天会が去った後、パソンは父も兄も居なくなった村に戻って、鍛冶の修行をしていたと思っていいのかしら、とか…(T T)。






第三場 成長

少年タムドク(野々すみ花)と少年ホゲ(白華れみ)。

ヤン王(星原美沙緒)は皇子タムドクが“チュシンの星が輝く刻”に生まれた子供だということを隠し、「愚かでひ弱な皇子を演じる」ことを命じる。

タムドクに付き従うコ将軍(扇めぐむ)がめっちゃカッコイイです。髭萌え♪


一人で槍の稽古をするタムドクのところに、遊びに来たホゲ。
“チュシンの星が輝く刻に生まれた親王”として知られ、強く賢い有能な王となるべく鍛えられていたホゲは、タムドクに槍を教え、二人は友情を育む。

「君が王なら僕は将軍になる」
「君が王なら僕は……友達になる!」
「もうなってるよっ!」

……無邪気に笑いあう二人。

お約束の場面ではありますが、ラストまで一回観てから再度見ると、しみじみと泣けてきます。
すみ花ちゃんの透明で純粋な、いかにも花娘らしい朗らかな柔らかさと、れみちゃんの硬さ、いかにも元月娘らしい力強さや元気さの対比。さすが小池さん、子役の配役がどれも絶妙です(*^ ^*)。
これだけ子役が出てきていながら、ヒョンゴを筆頭に「なぜこの子が成長してこの人に…?」という疑問が沸くキャストが一人もいないのは快挙!すごいなー、どうやって決めたんでしょうか。この役割は。






子供たちの槍の稽古が一段落ついたところで、大人タムドクが登場。
近衛隊と騎馬隊の争いから、タムドクと騎馬隊長(祐澄しゅん)の立会いになり、そこにヨン・ホゲが登場して水を差す…という流れは、簡潔に人間関係を伝えられる巧い展開だな、と思いました。

近衛隊長は、この作品で卒業する望月理世ちゃん、今回本当に良い!です。ファンの方は男役姿が観たいでしょうけれども、私は今まで観た理世ちゃんの芝居の役の中ではこのカクダンが一番好きです!
そして、近衛隊の美女ぞろいっぷりに震えました。転向組のはるちゃん(天宮菜生)が特別大柄にも男っぽくも見えない、カッコイイ女たち。なのにちゃんと色っぽさもあるのは、さすが花娘ですね(*^ ^*)。
まだ他の3人はいまひとつ見分けられていないのですが、前髪を長めに脇に垂らしている美女に、軽く撃ち抜かれました。あれは誰なんだろう…。動きのしなやかさで目を惹いたのですが。

あんなに美女ぞろいで目の保養なのに、一幕だけな上に理世ちゃん以外は戦闘場面やダンス場面もあまり無いのがとっても残念。

そして、しゅん様(←めちゃくちゃ男前!!今回かなりしゅん様落ちしました)率いる騎馬隊は、輝良まさとくんが居るバージョンと居ないバージョンと両方観たので、ちょっと混乱してます(汗)。
とりあえず日高(大地)くんは鎧がよく似合ってました(^ ^)。

あ、日高くんと言えば、神話時代の黒朱雀が良かったです。抜群のスタイルとなめらかな腕の動きで、あえて日高くんにやらせた小池さんの気持ちがわかったような(^ ^)。



この後の、タムドクとホゲの仲良し場面は、まぁ本当にありがちな場面なんですけど(^ ^)。
ただ、子供時代は「君が王なら僕は将軍になる!」と暢気に歌っていたホゲが、その言葉を言わなかったことと、
タムドクが「君が王なら僕は平民になる。君と争ったり、疑ったり(疑われたり)したくないんだ」とかなり正直なことを言うのが印象的でした。

そんなタムドクに、「俺がお前を疑ったりするはずがない」と、やっぱりコイツ暢気だなと思わせる言葉を吐くホゲが可愛いです(*^ ^*)



血筋でいえば、玉座に近いのは、タムドク。
そして、タムドクは自分がチュシンの王であることを知っている。

ホゲは、「タムドクがチュシンの王なり」という神託を受けていることは知らないけれども、血筋で上位のタムドクが、実は自分と同じ刻(チュシンの星が輝いた時)に生まれたことを知っている。
だから彼は、能力(武芸や軍略)で自らが玉座の器であることを証明しなくてはならない。


タムドクは、そうやって幼い頃から玉座に向けて奮励努力してきたホゲを知っている。
奮励努力しなくてはならなかった友を、一番近くで見守ってきたのは自分なのだから。
だから彼は、自分よりも友の方が玉座にふさわしいと思っている。

玉座は民のためのものであり、であればこそ、その座に相応しい者が埋めるべきだ、と、無意識のうちにそう思っている。
そして多分、その無意識の認識こそ、彼がチュシンの王である証。

だからこそ、ホゲにはチュシンの玉座は埋められない。
彼は人の世の王なのであって、神籍に入って玉座を埋めるべき存在ではないから。
ホゲには、愛する女が黒朱雀と化して世界を焼いても、彼女を射落とすことはできないだろうから……




そして。
危ういバランスで均衡を保っていた二人の間に、傷がつくのは、もうすぐ。
タムドクがホゲ以外の「喪いたくない」存在に出会うのは、もうすぐ。


「喪いたくない」ものを知ったとき、タムドクは生まれてはじめて「望み」を抱く。

そして、いかなるものであれその「望み」を叶えるためには、大切なものを護るためには、権力を握らなくてはならないことに気づいてしまう。



チュシンの王が目覚めるのは、もうすぐ……





花組大劇場公演「太王四神記」より。



まっつ(未涼亜希)=ヒョンゴ 高句麗の隠れ里・コムル村の(新しい)村長

オープニングで上手花道にセリ上がりで登場します!ファンの方はお見逃し無く!!
全体を通して「語り手」という位置づけで、特に一幕前半の怒涛の展開は、滑舌がよくて声の良いまっつがわかりやすく説明してくれるからかろうじてついていける……という感じです。

あまり“説明役”のいる戯曲って好きではないんですけど、今回はどうしても必要だったのがよーくわかりました(T T)。かの「レ・ミゼラブル」以上にプロローグで説明しなくてはならないことが多すぎて、しかも言葉(地名とか)に親和性がなさすぎて耳に残らない(涙)。
まっつほど明瞭で聞き取りやすい語り口でも、一瞬でも気を抜いたらもう何もわかりません……(T T)。

まぁ、まっつの語る物語を「聞く」相手がいれば別に問題無かったのに、と思うんですけどね。ドラマではスジニに話して聞かせてたみたいですし。ただ、みわっちは神話の中でセオをやらないといけないから、ヒョンヤン(望海風斗)に、とか。あるいは誰かに子スジニをやらせるとかでも良かったのになぁ…。



みわっち=セオ/スジニ
かーわーいーいーーーーっ!!
プロローグ(神話時代)のセオの衣装が、シンプルなんですけどすごくよく似合ってて、可愛いです。虎族の女王カジン(桜乃彩音)の衣装がちょっと男っぽい赤みの強いものだったりするせいもあって、みわっちの方が娘役みたいでした(^ ^)。
スジニになてからも、まっつと同じ衣装で銀橋を駆け抜けていっても、肩にもつかないくらいのショートカットに鎧をつけた軍装に乱暴な言葉遣いでも、ちゃ~んと“男の子っぽい女の子”に見えたのが素晴らしいです。本当に性別を超越した人だ…。これでフィナーレは誰よりも男前でカッコイイんだから詐欺だよなー、と思いましたわ(*^ ^*)。

踊りながら歌う場面とかもあるんですけど、すごく聞きやすくてびっくり(←すみません)。音域があっているのか、娘役しているときの方が肩の力が抜けるのか…(^ ^;。小池さんってさすがだなあ、とあらためて思ってしまいました。



みつる(華形ひかる)=サリャン
東宝公演のプログラムでは、写真撮りなおしてあげてください、小池さん……。
とお願いしたくなるくらい、プログラムでは鬘も眉もなにもかもがもうだめ、って感じですが、舞台では普通に銀髪の美形さんでした。火天(ファチョン)会のメンバーで、壮ちゃんに従って2000年生きてきた……のかな?最初の場面にも居るってことは、そういうことでいいんでしょうか。
ちょっとラストに関わるので詳しくは書きませんが、二幕後半の祐飛さんホゲ様との場面は相当おいしいです。銀ちゃんとヤスふたたび(笑)。出番はそんなにありませんが、印象に残る良い役でした☆……だからさ、写真差し替えてあげてくれってばー!



めおちゃん(真野すがた)=青龍/カンミ城主チョロ
プロローグで青龍として踊った後、しばらくお休みのチョロ様。二幕でチョロ様として登場してからは、割と出ずっぱりでまとぶんに付き従いますが、それまでは暇を持て余して(?)いるらしく、町人としてだいぶバイトをされています♪この町人がすごくかっこいいんです♪一幕後半の町の場面では、たしか上手の方で小芝居していたはずなので、観てあげてくださーい(^ ^)。
本来のチョロ役では、登場時の気怠げな王子様っぷりと、仮面が取れて素顔が現れたときの「案外いい男だねぇ」という誰かの溜息がすごく納得できる美形っぷりでポイントGET!って感じでした。橘さんもそうでしたけど、めおちゃんのキャラにあっていてすごく良かったと思います。




桜一花=北の靺鞨(まっかつ)出身の鍛冶職人、パソン
かーわーいーいーーーーっ!!
子役も自分でやってた一花ちゃん。髪を横でひとまとめにした少女パソンが死ぬほど可愛いです。お兄ちゃん(天真みちる)におんぶされたときの小ささとか怯えようとか、もう完璧、って感じ。天真みちるくんも、短い場面ながら妹への愛が感じられていい場面でした。
大人になってからは、弟子(?)の嶺乃一真くんを連れ歩く姐さんですが、とにかく可愛いので何しても許してしまう(笑)。結構いろんなところで本題に絡む重要な役だし、ソロもあって一花らしい活躍ぶりでした。ああ、このところ一花ちゃんは立て続けに美味しい役にあたっていて幸せです。








…この調子で書いていくと全然終わりそうにないので、今日のところは神話の場面に話を絞りたいと思います。
私も3回観てやっと話の流れがわかるようになったので、これからご覧になる皆様に(ほんのちょっとですが)おすそわけというか、お伝えしたいと思います☆



第一場 神話時代

炎を操る虎族の女王カジンと、心優しい熊族の娘セオの対立。
虎族は魔力をもって熊族を支配する。炎を操る女王カジン、強大な魔力を持つ魔術師プルキル。二人の指導者を持つ虎族に、熊族は抗うことができない。

虎族によって弾圧される熊族(=人間)を救うため、“神の子”ファヌン(天を崇める北方民族?)が地上に降り来たりて、女王カジンの炎の魔力を宝玉に篭め、セオに与える。これによって力を喪った虎族は支配者の地位から脱落し、地上に平和が訪れる。
ファヌンとセオは愛し合い、子が生まれる。

しかし、魔力を奪われたカジンもまた、ファヌンに恋をしていた。プルキルに唆されたカジンは、セオの子を奪い、紅の宝玉と引き換えることを要求する。
わが子を救うため、宝玉を渡そうとするセオ。
地上の平和のため、セオを止めようとするファヌン。そのファヌンに、セオは「自分の子供を死なせる平和に意味など無い!」(←台詞はうろ覚えです)と言い放ちつつ、それでも一瞬は戸惑う。

しかしカジンは、宝玉を差し出そうとするセオを待たず(たぶん逡巡しているのを見てムカっときたんだろう)、子供を谷に投げ落とす。
子供を殺された衝撃のあまり、黒朱雀に変化するセオ。
地上を襲う炎を鎮めようと、ファヌンは雲・風・雷(←だったかな?)の3神を率いて雨を呼ぶが、セオの炎に抗しきれず、最後には自らセオを矢で射て落とす。




…ちょっと面白い神話なので、詳しく書いてみましたが。

実際の高句麗建国神話は、天帝の子と河の神の娘が結婚し、その子が長じて初代国王(朱蒙)になるというもの。「太王四神記」で語られる神話は、これより古朝鮮建国神話に良く似ています。こちらは、「天帝の子ファヌンが地上に降りると、熊と虎が「人間になりたい」と近づいてきた。人間に変化するためのルールを両者に伝えたが、そのルールを守れたのは熊だけだったので、ファヌンは熊女を愛し、世界樹の下で子供を作った。この子が長じて初代国王(檀君)になった」、というもの。熊は水に近しく、高句麗神話の河の神と同様、水の神(蛇)を崇める農耕民族のことではないかという説があるようです。

私が読んだ本には、檀君神話で人間になれなかった虎がどうなったのかは書いてなかったのですが、望みをかなえた熊を恨んで何かをしたというエピソードはあっても不思議はないですね(私が読んだのは日本の神話を解釈する目的で周辺国の神話をまとめたものなので、各国の神話の詳しいところはよくわからないのです)。
また、四神思想が入る前は“赤虎は炎、白虎は風”というモティーフもあったようなので、虎族が炎を操ったのも不思議はないのかもしれません。


しかーし、この神話で不思議なのは、最終的に黒朱雀になって地上を滅ぼそうとしたのは熊族のセオ(みわっち)であってカジン(あやね)ではなかったことなんですよね…。それなのに、炎の紅玉(朱雀の神器)の護り手は、セオの転生・スジニ(額に黒朱雀の烙印があった)ではなく、カジンの転生・キハ。なんか理屈に合わない。

そして、ファヌン(まとぶん)が愛したのはセオであって、カジンは一方的な片思いだったこともちょっと不思議。ドラマでは、タムドク(まとぶん)とキハ(あやね)とはいろいろありつつも、最終的にタムドクが選ぶのはスジニ(みわっち)なのでつじつまがあうのですが、小池版ではトップ娘役=キハですから、タムドクの恋人は完全にキハ一人なので…。
そのあたりは、配役的にどうしようもないところではあるのですが、細かい伏線に拘る小池さんらしくない杜撰さだなーと思ってしまいました。

まぁ、観る側が細かいことを気にしなければいのですけどね(苦笑)。




この時の三神(青龍・白虎・玄武)は、めおちゃん・まぁくん・だいもん。銀髪の鬘にそれぞれの色のメッシュを入れて、ビジュアルもがんばってました。
ただ。
いやー、わかるんですけどねぇ、雨・風・雷の“三神”+炎で“四神”、なのかーーーーーっ。

………なんだか素直に納得できない私は、ただの「創竜伝」ファンなのかもしれま(黙)

もとい。
中国系の「四神」思想と、扶余系の「五部族」思想が話の中で(舞台演出としても)混ざっているのが、一番の混乱の元かもしれませんね。






ファヌンは、セオを射ち落としたあと、

♪いつの日かチュシンの星が輝く夜に
♪世界を治める王を遣わす
♪チュシンの王は私に代わり
♪愛に満ちた世界を造る

と予言し、4つの神器を残して天に帰っていった。

虎族の魔術師プルキルは、秘密組織・火天(ファチョン)会を作り、その大長老としてチュシンの王の誕生を待つことにする。


……いいんですけどね、小池さん。
大長老の目的は、「チュシンの王を探し、その手許に自然と集まるはずの4つの神器を奪い、世界を制すること」…ってことでいいんですよね…?
いつの間にプルキルは、「4つの神器をそろえたものが世界を制することができる」ことを知ったんでしょうか。しかも、その4つの神器と護り手の仲を裂くための方法を、どうやって知ることができたのでしょうか……。
虎族の魔術師としてカジン様に仕えていた頃から知っていたのかなあ…?


ま、そんなことはともかくとして。
とにかくプルキルはそういう目的を抱いて、2千年の雌伏の時間を過ごす。

そして、あっという間に2千年後。
チュシンの星(チュシン=朝鮮、でいいんですよね…?“チュシンの星”って、北極星とかそういう意味はないのかな…違うよな、多分)が輝いを強めたとき、高句麗の王妃と王の妹は二人して臨月を迎えた。
余談ですが、占星術で輝く日がわかったようなので、たぶん何か天文学的に意味のある現象だったんでしょうね、「チュシンの星」。

王妃(初姫さあや)の清純で神秘的な美しさと、王妹(花野じゅりあ)の毒々しい野心に満ちた笑顔の落差にヤられました。小池さん、さすがに女役の扱いが秀逸です。美しい二人が美しく両側に並んで「眠れ良い子よ」と歌う場面が、たまらなく好きだったりします。美女二人は母として神々しいほどに美しく、音楽もいい(はぁと)




……というところで、今日のところは終わりにさせていただきます。

ああ、さあやの美しさの1/3(3役なので)だけでも伝えられて良かった……(^ ^)





宝塚花組大劇場公演「太王四神記」を観てまいりました。



綺麗で華やかで、とても楽しかったです(はぁと)。

ドラマは観ていなくて、NHKの特集本をパラパラ読んだくらいでしたが、さすがは“潤色の天才”小池修一郎の面目躍如♪♪ 「宝塚歌劇」として実にうまくまとめてあって、原作ドラマの存在なしでも、十分アジアもののコスチュームプレイとして成立して、普通に人気作になったんじゃないかと思いました。



まとぶん(真飛聖)のタムドクは、いかにも「宝塚」の主役らしくかっこよく、コスチュームの着こなしはさすが星組仕込み。うっとりするほど美しいです。
まだ始まったばかりのせいか、ちょっと物足りないくらいの“好青年”っぷりでしたが、これから色々な感情が出て来たら面白くなりそう!



桜乃彩音ちゃんのキハは、今までに観た彩音ちゃんの中で1番ステキ。後半のしっとりと落ち着いたたたずまいと、大長老(壮ちゃん)に操られているときの奇しい目つきが素晴らしいです。衣装もよく似合ってて、舞もキレイ(はぁと)。歌もよく頑張ってました!o(^-^)o



大空祐飛さんのヨン・ホゲは、前半の明朗快活な好青年から、運命に裏切られ、天に抗しようと神器を探して北国遠征し、民を虐殺してしまう将軍まで、芝居としては「血と砂」のプルミタスみたいな美味しい美味しい役でした(*^ ^*)。
ああいう役は久しぶりでしたが、 これだけのものを見せられる役者になっていたんだなあ、と感慨深く、身震いするほど恰好良かったです。



壮一帆さんの大長老プルキルは、ものすごくおいしい悪役。実に愉しそうに演じていらして、ホント新境地だ!と感心しました。今年は久しぶりのバウ主演も控えて、充実した一年になりそうですね♪



他のメンバーもそれぞれに遣り甲斐のある役を割り振られて、楽しそうでした!
特に、88期あたりまで満遍なく役がついていたのが嬉しかったです。やっぱり座付きはこうでなくっちゃねっ(^ ^)(←「マリポーサの花」も大好きですけど何か?)




ミュージカル仕立てで若手まで役が多く、92期の真瀬(はるか)くんまでソロがあったり、アーサー(煌雅あさひ)が武道大会の進行役で良い声聞かせてくれたり、ホゲ様についた騎馬隊長の(祐澄)しゅん様がめちゃめちゃおいしかったり、(夕霧)らいらいが美中年だったり、なんかいろんな意味でおいしい公演でした!(はぁと)

長くなるので、娘役については遠征から帰ってから書きますf^_^;



3日に観たときは、91期の輝良まさとくんが休演していたらしく、フィナーレの青龍に真瀬くんが入ったりしていましたが、4日には無事復帰されて、元気そうに踊っていたことにホッとしました。
風邪がまた流行りはじめているようですが、みなさまどうぞ、体調を整えて千秋楽まで突っ走ってくださいね!!






そして。
私事ですが、本日(1月4日)は、私が月組1000days劇場公演「黒い瞳」でプガチョフの代役に必死で取り組んでいた祐飛さんに(何度目かに)落ちた日から、ちょうど10年目の記念日でした。

……あれから10年。
今、ああして本役でプガチョフにも匹敵する敵役に(苦しみつつ)取り組む祐飛さんに出会うことのできた自分の幸運を、心から嬉しく思っています。

まとぶんと一緒に回る全国ツアーで「黒い瞳」を!という夢は破れましたが、今、花組でこの作品に出会えた幸運を噛み締めつつ、次回の観劇に向けて頭を整理したいと思います(^ ^)。


.
早く終わらせたいので、さくさく行きます。
花組ドラマシティ/青年館公演「銀ちゃんの恋」について。




とりあえず、どこかで書こうと思っていたんですが、この作品の時間の流れについてここでまとめておきたいと思います(最後まで書けるかわからないので)。


まず。
ヤスのアパートに小夏を連れてきたとき、小夏は『4ヶ月』でした。
で、前にもどこかで書きましたが(いっぱいありすぎて探せない…)、このとき季節は6月か7月頃。雷雨があったってことはたぶん梅雨の終わりがけ、7月頭くらいだったんじゃないかと思います。

4ヶ月ってことは16週。単純計算して、年末くらいが予定日になるのかな?


このあと、ヤスが仕事を探して…それなりに稼いだりアレコレしているうちに1ヶ月くらいは軽く過ぎるでしょう。
で、8月頭くらいにプールサイドテラスの対決があって、その日に帰ってきてプロポーズ。
お盆には人吉に帰る、と。
はるばる九州まで行くんだから、安定期の5ヶ月か6ヶ月くらい。7月頭に4ヶ月だったとしたらだいたい妥当なセンですね。で、そこで挨拶したときはまだお腹はちいさかった訳で。

ところで、
…人吉の盆は旧盆でいいですよね?

#昔住んでいた九州の某地域では、七夕は旧暦(8月7日)にやるけど盆は新暦(7月)だったんですよねー。あれは結構不思議でした。




一幕ラストに撮影所で会ったときは、えらく腹がでかいんですけど、まだ結婚式前。
カレンダーも翌年のミュージカルの計画もだいたい決まって、でもまだ外部への発表前、な感じ。……ってことは、8月末か9月頃?と思ったのですが。衣装的にはあまり残暑厳しい頃っぽくないし、小夏の腹も随分育っているので、10月に入ってすぐくらいかな?と。(適当ですが)
初産であの大きさってことは、8ヶ月くらい…?とか思ってしまいましたが、せいぜい7ヶ月ちょいってとこか。個人差なのかな。


……そういえば、このとき小夏は撮影所に何しに来たんでしょうかねぇ?監督たちに挨拶でもしにきたのか?



腹帯を貰ったのは結婚式の後なんですよね。「結婚式の御礼にご馳走を」みたいなこと言ってたし。
ってことは、結婚式が10月の大安吉日。その翌週か翌々週くらいに挨拶兼ねて差し入れに、って感じ?となると10月後半か11月頭。そのとき小夏は、8ヶ月を過ぎたくらい。
帯祝いは普通5ヶ月目だと思っていたのですが、9ヶ月目って地域もあるみたいだし、いろいろなんでしょうか。小夏はたしか群馬の出身だから……(←わかりません)

同じ頃、ヤスは「階段落ちやります」と言って銀ちゃんと気まずくなってる。

ただし、それを言った時点で、すでにヤスは
「最近、立ち回りの時も全然本気で斬りかかってくれないし」
と拗ねているので、銀ちゃんの態度が変わったのは一幕ラストの小夏とのやり取りから、なのでしょうね。
あの会話で、銀ちゃんは「ヤスに預けておいた」だけのつもりだった小夏が、もう戻ってこないことを知り、そうしてヤスが自分の腕の中から飛び立とうとしていることに気づいてしまった…。
もう、気安く殴ったり蹴ったりしてはいけないのかもしれない、と。ほんのちょびっとだけ、そう思っている。その遠慮(?)を、ヤスは見逃さない。ヤスにはヤスのわだかまりがあって、ある意味銀ちゃんに殴られないと、そのわだかまりが綻びない。ヤスにとっては、銀ちゃんに殴られない=殴られる距離にいられなくなった、ということだから。

そんな微妙なバランスの、細い細いライン上を歩く二人。まるでフィギュアスケートのコンパルソリのように、決められたラインを一ミリでも外れたら失格になると思っているかのように。



そんな、銀ちゃんとヤスの間がこじれて、すれ違っている時間が、1ヵ月半くらい。
ここは、場面的にはまったくの空白です。焼肉屋の時期は、明示されていないけども階段落ち前夜と考えて問題はなさそうだし。

で、階段落ち前夜。コタツも出ているし、あからさまに真冬。テーブルの上の可愛いラスカル(←嫌味ですかソレは)とか、もしかしてクリスマスの翌日とかですか?と思ったりしました。
ヤスが「銀ちゃんに似てるからつい買っちまったんだよ…」とか言って小夏にプレゼントしたのよきっと♪(←無いから)


で、この時はもう「今にも生まれそう」な感じ。
ほぼ予定日っぽいので、小夏がヤスのアパートに連れていかれてから、約5ヵ月半(24週)が過ぎていると思っていて間違いなさそう。
とりあえず、気忙しい年の瀬、なんですよね、多分。

二人が一緒に暮らし始めて、半年弱。

小夏が選んだのは、五年を共に過ごした「スタァ」ではなく、「傍に居てくれる人」だったはずなのに、
ヤスも飛んでいってしまうのだ、と、

……男とは、決していつまでも傍に居てはくれない“いきもの”なのだ、と……。







ってなところで、舞台に戻ります。

第十四場D 生命保険

上下から塀のセットが出てきて、立ち竦むスターを隠す。
と、袖から登場する小夏と、銀ちゃん組の大部屋3人、そして、保険屋(紫陽レネ)。

紫陽さんのお芝居、ドラマシティの最初の頃は空回りしていたりしたところもありましたが、後半から青年館にかけて本当によくなっていったのが印象的でした。
橘のマネージャー、「ししとう」のバーテン、保険屋、池田屋……どれも一人の人が演じているとは思えない多彩な役作りはさすが!!石田さんの信頼篤い名役者、って感じでしたよね♪
特にこの保険屋は、身体能力の高さもしっかりアピールしてくれて(笑)、毎回“今回は何回転するのかなっ!?”と楽しみにしておりました。

マメちゃん・さあやと同期では色んな意味で役を勝ち取るのが大変そうですが、楽しみな役者さんで嬉しかったです。太王四神記では、どんな役どころにいらっしゃるのかなあ~(^ ^)
最後の引っ込みでの「ハンコくだささいぃぃぃ~」という声というか言い方がめちゃめちゃ好きでした☆

もちろん、容赦なく突っ込みまくって足をひっつかんで無碍に引っ張っていくマコトの男らしさも大好きです(^ ^)一期下とは思えない遠慮のなさが、とってもステキ☆





第十五場 回想

「俺と銀ちゃんが出会ったのは、もう10年も前のことだ…」

塀の陰から姿を現したヤスが、野球帽を被りながら語りだす。
帽子を被ると10年前、脱ぐと今、という(一応)設定らしいのですが……うーん、もう少し芝居(声とか仕草とか)で10年前になってほしかったなーと思ったりはしました。
あまり大きな動きがない場面なので、難しいんだろうなと思いますが。

もう“いっぱしのスタァ”だった銀ちゃんと、そのファンの会話、なのかな、あれは。
それとも、ヤス自身何かスタッフとして撮影所の中に入ってたとかなのでしょうか?

「へぇー、おめぇ大学出て舞台やってんのか」
「はい!新劇です。チェーホフとか、赤毛ものを」
「そぉか!だからおめぇ、華がねぇんだよ!」


………(無言)。…ま、わからんでもないですが。

銀ちゃんの言いたいことは、多分「良い映画にはスタァが必要である」ってことなんでしょうね。
映画は映像ですから(もちろん)、観方が限定されます。フレームの中におさまったものしか伝えられないわけですし、もともと2次元で完成された映画は、その製作者が意図した見え方しか、基本的にはできないものです。

だから、“華”のある役者が一人居れば、それだけで画面がキまるわけで。
まずはそれがないと、どんなに脚本がよくても芝居が良くても、「映像」が良くなければ価値がないわけです。だって、その映像しか存在しないんだから。

でも、舞台はそもそもが3次元だから、映像と違い、見え方を製作者(演出家)が完全にコントロールすることは不可能なわけで。逆にいえば、「映像」としての完成度というのは全く要求されないわけです。
しかも、映像の片隅でいくら小芝居しても、フレームを外してしまえば観客に見せないでおく(あるいは撮り直すとか)ことができますが、舞台の片隅の小芝居は、ナマだから止めることもできないし、やりすぎれば舞台全体を壊してしまうことも可能。


でも。
舞台に狎れてしまえば、“映像向き”の華やかさ、目を惹く力といったものが薄れてしまうのは確かなのかもしれません。舞台の空気を動かすことと、映像で目を惹く華は、同じように見えて全く違うものですから。

両方を兼ね備えた稀有なスタァは、確かに存在しますけれども。
それは決して、多数派ではあり得ない。



それに気づいたとき、ヤスは銀ちゃんの歩く道を追いかけてみたい、と思う。
どんな道を往くのか、純粋な好奇心、で。

自分自身の運命の岐路の、一方を選んでしまったのだと、この時は気づかずに。

そして、10年後たっても尚、その選択を悔やむことはなかった……。



ここで。
「大学出のインテリ役者」だったヤスと、すでに「“若手スター”の一人」だった銀ちゃんが、ほぼ同い年なのは、大事なことではないんでしょうね、きっと。

精神的には、どっちも子供だったんですから。




ヤスは、終始この作品の事実上の主役(の片割れ)として舞台に立ちます。
物語は常に小夏とヤスの視点で語られ、結果として銀ちゃんという一つの容を描き出す。
銀ちゃんという「理不尽で酷いモノ」、人外の暴力的な存在を描き出すことで、その“嵐”に依存せずにはいられない弱い人間を描き出す物語だから。

だから。

ヤスという平凡な男、普通に大学を出て、趣味の芝居を楽しみつつサラリーマンをするはずだった男から“平凡な幸せ”を奪い、狂わせたのは、銀ちゃんという悪魔だった、と。
銀ちゃんと出会ったことで、ヤスの人生は“平凡”ではなくなった。
彼の無意味だった人生が、そこではじめて意味を持つのかもしれない。



倉丘銀四郎はナチュラルに悪魔だから、悪意はない。
そう。悪魔に悪意はないのです。
彼はただ、ヤスの幸せを祈っているだけ。
小夏に幸せになってほしいだけ。

それが、二人にとって迷惑以外のなにものでもなかったとしても、
そこにあるのは常に「愛」であり、「祈り」でもあった。
だからこそ銀ちゃんとヤスは、離れられない。

俺のものは銀ちゃんのもの。
両手いっぱいに宝を抱えたままで、天国の門をくぐることはできないから。
その全ての“価値あるもの”を、銀ちゃんに捧げたい。
その、依存。
銀ちゃんに渡したから、もう大丈夫、という依存。執着。

そして。
ヤスのものは俺のもの。
ヤスの全てを捧げられて、その全てを受け取らなくてはならないプレッシャー。
それでも、ヤスが捧げてくれるから自分でいられる、という依存。
ヤスがいなくては、自分の存在を確認できない、執着。


それでもヤスは、一歩を踏み出そうとする。
10年間守られてきた腕を振り払い、新しい一歩を踏み出そうとする。
好奇心に負けた10年前から、一歩も成長しなかった、成長することを拒否していた男が、
久しぶりに一歩を踏み出そうとする。


小夏のため、ではなくて、


……ただ、銀ちゃんのため、
銀ちゃんのためだけ、に……





今年のお正月は、我ながらびっくりするほどの寝正月です(笑)。
元旦の一日、たぶん3時間くらいしか起きてなかった気がする。寝る前に初詣に行って、寝て、起きて餅焼いて喰って、寝て、起きて雑煮作って喰って、寝て、起きたらもう二日でした(^ ^;ゞ。

寝る子は育つ。
…でも、もう私、これ以上育たなくっていいんだけどな……。
(普段から朝食抜きなのに、朝バナナダイエットを始めて太ってしまった)(←当たり前)






というわけで(←だから何が!?)
花組ドラマシティ&青年館公演「銀ちゃんの恋」より

第十四場C すれ違う心

…今頃知ったのですが、「第十四場」って長いんですね。小夏のソロから生命保険までで一場なのか…。
塀の前⇒上手側に座敷(大部屋)のセット⇒下手側に店のセット⇒平場⇒また塀の前、と、セットもコロコロ変わるのに。

銀ちゃんとヤスのラヴシーン(←ラヴ言うな)の印象が強すぎて、そこだけ独立した場だとばかり思っていたのすが、場面の中のワンカットに過ぎなかったのか……愕。





差し入れを持ってきた小夏を置いて、席を立つヤス。
ヤスの背後で、お祝いの腹帯を贈る大部屋の仲間たち。やさしいまなざしで小夏の腹のあたりを見つめるトメさん、ちょっと気恥ずかしげに上目遣いで美しい“元女優”を見るマコト、そして、身体全体から憧れの気持ちダダ漏れでキラキラしているジミー。

幸せな、幸せな、…“擬似家族”の団欒風景。


その全てに背を向けて、ヤスは歩き出す。
流れるBGMが、小夏の幸せのソロのメロディから、なめらかにヤスの「映画の夢」へとつながっていくのが泣けました。

♪そんな夢を今も視るよ
♪幼いあの日の思い出のカケラを

彼の心にこだまする声は、ひとつだけ。
『せめて階段落ちがありゃあ…』

♪破れかけた町のポスターに
♪胸ふくらませた あの頃

ヤスにとっての、“すべて”だった銀ちゃん。
自分の人生を彩るポスターの中で、唯一のフルカラーの存在だった、銀ちゃん。

ヤスのすべては銀ちゃんのもの。
“銀ちゃんのためなら、俺は……”

それは決して犠牲心ではなくて。
犠牲だとは想っていないから、譲れない。絶対に。
銀ちゃんを守るのは、俺だ。その役だけは、絶対に誰にも譲らない。
…譲れ、ない。



小夏はヤスを選んだのに。
泣いて、喚いて、それでもヤスを選んだのに。

なのに、ヤスは小夏を選ばない。


ヤスの銀ちゃんへの“憧れ”、ひたすらに純粋な憧憬だったはずの想いが執着に変わったのは、たぶん、一幕ラストの銀ちゃんと小夏の会話を聞いてしまったとき、だったんだろうな。

憧れの小夏と一緒に暮らせることに有頂天になって。
必死で仕事を探して、傷だらけになってもがんばって。
小夏を愛している。心の底から。

たぶん、全てを懸けてもいいほどに。

なのに、
……銀ちゃんへの想いだけは譲れなかった……。




みつるくんが、花組版「銀ちゃんの恋」のヤスをどういう解釈で演じていらっしゃるのか、真実のところはわかりませんが。
なんとなーく、10年間ずーっと大部屋のつもりだったのかもなぁ、と思いました。主演経験がある、スターだった過去がある、っていう感じがしなかったので(←ごめんねみつる)

彼は、自分が美形でもスターでもないことを、負い目には思っていないような気がしたから。

「お客さん、こんな顔、見たがります?」
という自己突っ込みは、若い頃には色々あったのかもしれませんが、今はもう、それほどこだわっていないんじゃないかな、と。
もちろん、自己の全てを肯定するわけではないんですけれども、それよりも、みつるのヤスが持つ狂気は「銀ちゃんと俺は同じモノを見ているんだ」という確信だったような気がするのです。

“大人”の人間関係を結ぶことを、ハナから放棄していた二人。
思いの丈をぶつけて、殴り、殴られることでお互いの気持ちを確認しあっていた、ふたり。

そこに言葉はいらなかった。
言葉なんてなくても、俺たちは同じ思いを持って、それぞれの立場で戦っているはずだった。


大部屋とスタァ、当たる光の量は違っても、抱く夢が同じなら。
同じだから大丈夫、そう、信じてた-----。





物思いにふけって立ち止まっていたヤスが歩き出すと、
下手側の建物のセットから、監督と助監督が出てくる。

この二人の小芝居、大好きでした(はぁと)。観るたびに違ってて、
監督が助監督を叱りつけながら歩いてきたり、
セットを料亭か何かに見立てたらしく、鈴木が監督に奢ってもらった(多分)お礼を言いながら出てきたり、
監督が手真似で新しい作品のイメージ(多分)を語っていたり…

仲良さそうなお二人が、息ぴったりで楽しそうだったんですよね。
ちあき(白鳥かすが)がホントに楽しそうで、ああいう役が最後にやれて幸せだったろうなと思いました。
今頃ちあきはどうしているのでしょうか…。
近況をご存知の方がいらっしゃいましたら、是非教えてくださいませm(_ _)m。






立ち話している監督と助監督に、近づいていくヤス。

「俺に、階段落ちやらせてください!」

この映画、絶対ヒットさせたいんです!という必死の訴えに驚いて、しばらく固まっている監督。おろおろと二人を見比べる鈴木(助監督)。

「調子に乗るなこの莫迦!ホンモノのスタントマンでもないくせにっ!」

大道寺の罵声が、空間を満たす。

「お前死ぬんだよ!?よくて、半身不随になるんだよっ!!」

なんなら、俺、一筆書きますから、というヤスに、一番驚いたのは、多分鈴木だったと思います。

「本気なんだな!?」
「そんなぁ、監督ぅっ!」

止めようとする鈴木。でも止まらない。
映画に命を懸けているのは、ヤスだけじゃない。大道寺だって、それに多分、鈴木だって、同じ穴の狢だ。だから、止められるハズが、ない。

「よしわかった。撮影当日は、お前が主役だ。橘でも、銀ちゃんでもありゃしねぇ」

殺し文句を吐く監督を、おろおろと、でも諦めの入った眼で鈴木が視る。
人一人殺すのは、この人じゃない。他人事じゃないーーー俺も、殺すんだ、と、
その覚悟が未だ定まらない、気弱な瞳。




舞台に走る緊張を解す、橘一党の登場。
監督と助監督とヤスの、今の会話を聞いていたらしい。

「階段落ちなんて猿芝居で主役を獲られていいのか!?」

坂本竜馬なのに、どーして大部屋に負けるんだ!?という衝撃。スターらしくてかっこいいなあ、めおちゃん。喉を痛めた人の多いなか、めおちゃんの台詞の聞きやすさは快感でもありました(^ ^)。

「天井落ちでも、楽屋落ちでも、駆け落ちでも、なんでもいい!階段落ちより派手な手を考えろ~~!!」

と怒りまくる橘。スターってのはどこも我侭で感情的なものなんだなあ……(汗)

「この際、5人言わんと10人ほどまとめて殺したったらどうです?」

という輝良くんの突っ込みが結構好きでした。で、間髪いれずに応じる橘の

「馬鹿野郎!おめえらが全員死んじまったらいったい俺の面倒は誰が見るんだ~っ!!」

という悲鳴のような訴えと、「もう、ホント莫迦ばっか!!」とぷんぷんしながら袖に消えていく姿に、惚れまくりです(*^ ^*)。

橘を見送って、ちょっと呆然とする一党。嶺乃一真くんの

「殺すって…」

に対して、可愛らしく小首をかしげて応じる初輝よしやくんの

「ワテらのことかいな」

という一言が、とってもとっても好きでした(はぁと)。可愛い声ですよね。かなりのアニメ声だけど、この台詞のトボけた味は、ぴったりでした(^ ^)。
あーあ、ちあきもよしやくんも、もう居ないんだなあ……(しみじみ)








橘一党がハケると、セットの無い平場に銀ちゃんが登場。
追いかけるように、「銀ちゃ~ん!」と叫びながらヤスが登場。

この場面、初演のビデオを観たときはあまり印象に残らなかったのですが、
…再演花組版では、この場面が一番印象的だったかも(滝汗)。


「なんで引き受けた」「…俺のためにか」

地を這うような、銀ちゃんの極低音。
“鳩が豆鉄砲くらったような”ぽかんとした顔で長身の銀ちゃんを見上げるヤスが、無茶苦茶可愛い(はぁと)

「どうしたんです?銀ちゃん、喜んでくれないんですか?」

本気で、“銀ちゃんは喜んでくれる”と思い込んでいる、子供っぽい笑顔。

「…俺を、人殺しにするのか?」

搾り出すような銀ちゃんの声。
喉を痛めてかすれた祐飛さんの声が、このときばかりは“銀ちゃん”の哀しさを溢れさせる。

「お前から救いの手差し伸べられて、この映画がヒットして、」

紡ぐ言葉が、銀ちゃん自身を傷つける。
自傷に奔る銀ちゃんを、留められない、留めるすべを持たないヤスの、切ない瞳。

「…俺のプライドはどうなる?」

この台詞だけは、言いたくなかった。
この台詞だけは、言わせたくなかった。
驚いたように目を見開いて銀ちゃんを見上げて、そして、思わず目を逸らす、ヤス。

「俺が死んだら、銀ちゃんは小夏さんとよりを戻して」
「ばっかやろう!」

視線を合わせないヤスに焦れて、襲い掛かるようにヤスの胸倉を掴み挙げる銀ちゃん。
BGMに流れ出す、「蒲田行進曲」。

「どうしたんです?銀ちゃん。喜んでくれないんですか?」

宥めるような、ヤスの声。
ギリギリと歯を食いしばって、ヤスを絞り上げる腕に力を篭める、銀ちゃん。

「俺はおめぇから憐れみを受けるほど落ちぶれちゃいねぇんだよ!」

一息に吐き出して、拳をあげる。
ヤスの鼻先ギリギリで腕を止めて、やっと自分に戻ってきたヤスの視線の強さに、微かにたじろぐ。

「銀ちゃん。…どうして殴ってくれないんですか。どうしていつものようにぶっ叩いてくれないんですか。どうして…」

壊れたレコードのように「どうして」を繰り返すヤスを、投げ捨てるように手を離して、今度は銀ちゃんが目を逸らす。

「最近、立ち回りの時も全然本気で斬りかかってくれないしっ!?」

捨てられた女のように銀ちゃんをなじる、ヤス。

「ねぇ銀ちゃんっ!!」

責めるように掴みかかってくるヤスを、難なく捕えて身体ごと抱きとめる銀四郎。
ぎゅっ、と、まるで、もう二度と離すまいとするかのように、強く。
抱きとめられたヤスも、さっきまでの興奮が嘘のように、おとなしくその腕の中に囚われて。

凄まじい緊張を秘めたまま、メドゥーサに睨まれた恋人たちの彫像のように、動きを止めた二人。

「おめぇが死んだら」

ふ、と、ヤスの耳元に唇をよせて囁く低い声。
まるで、ハネムーンの甘い睦言のように。

「おめぇが死んだら、俺はいったい、誰をいじめりゃいんだよ…」

殺し文句というのは、人によってイロイロなんだな、と思いました。
こういう台詞が“殺し文句”になる倉丘銀四郎というスター、というか。
こういう台詞を“究極のキメ台詞”として口にできる大空祐飛という役者、というか。
あるいは、こういう台詞でコマされてしまうヤス、というか……

この場面にいたっても、まだ何一つ本音を吐かずに嘘ばかりの銀四郎と、嘘だと知っていてもその嘘に身を委ねてしまうヤスの、
その「本音」と「嘘」のバランスが秀逸すぎて。

祐飛さんなのか銀ちゃんなのか、ヤスなのかみつるくんなのか、わからなくなるほどの、緊迫感。




それにしても。
ドラマシティの最初に観たときは、そんな場面じゃなかったはずなのに、知らないうちに随分解釈が変わっていて、後半に遠征したときには完全に“ラヴシーン”としか言いようの無い場面になっていたことに驚きました(^ ^;ゞ
ナニかあったんですかあの二人。正視に堪えないほど切ない場面(←何か日本語の選択を間違えているような気がします)になっていたんですけど。




作劇上、この二人が本気で言葉を交わすのはココだけなんですよね。
ヤスのアパート(小夏を連れて来たとき)や焼肉屋では、銀ちゃんが一方的にヤスを責めるばかりだし。一幕ラストは会ってないし、回想シーンの銀ちゃんは思いっきりフィルターかかってるし。

銀ちゃんの語る言葉はここでも嘘ばかりなんだけど、あのヤスを抱きしめる腕の強さは嘘じゃない。このまま絡めとって自分の傍においておきたい、と、多分本気で思っている。

「どうして俺の気持ちがわからねぇんだ」
「俺とお前の関係は、そんなんじゃねぇんだよ…」

ほとんど泣き声にしか聴こえないのに、睦言は続く。
ヤスの心をとろかして、自分のところに戻らせようという、甘い罠。
ヤスのものは俺のもの。ヤスが差し出してくれるものなんか、いらない。ヤスが差し出さないものこそが、ほしい。
ヤス自身、自分が持っていることを知らないもの、が。

子供のような独占欲と、上に立つ“スター”としての見識。
ヤスが成長して、どこかへ行ってしまうことが怖い。

ただただ、今の今まで自分の腕の中にあったものを喪うことが怖いだけ。

言葉にすることはなくても、ヤスと同じ夢を追ってきた銀ちゃん。
いつの頃からか、ヤスの夢が自分の夢になっていた。
ヤスの語る自分でいなくてはならない、ヤスの夢見る自分であらねばならないという、重たいプレッシャー。
もちろん、そんなものに負けるつもりは、ない。自分は自分なのだから。

それでも。
ヤスの夢と、自分の夢。
区別がつかない程度には、お互いに依存していた、ふたり。



…そっと、銀ちゃんの暖かな腕から逃れ出るヤス。

「俺、もう後にはひけねぇっす」

俺だって役者ですから、と。
たった一度、観衆の前に立った快感が忘れられない、と。


必死で言い募る。
銀ちゃんが言った。「女も、役も、自分で獲ってこい!」と。
だから。


小夏が銀ちゃんを選ぶなら(←勘違い。小夏はヤスを選んでる)、
銀ちゃんが小夏を選ぶなら(←これは?)。

ならば俺は、銀ちゃんが望む自分になろう。
なってみせる。必ず。

「その日は、銀ちゃんじゃなくて、俺が、主役…です」

その言葉の重みに、銀ちゃんが目を伏せる。

「てめぇ。俺の許可なく、勝手に成長しやがって…」

すれ違う、二人の心。

「消えろ」

触れ合わない心。

「蒲田行進曲」の音楽が止まる。
無音の舞台に、ただひとり立つ、スター。



「おめぇも去っていくのか。ヤス…」



とてつもなく素晴らしい、大馬鹿野郎が、と。



涙も見せず、
泣きもせずに立ち竦む、



彼こそが。
子供で、大人で、たったひとりのスターなのだ、と。


たったひとりで歩かなくてはならない、孤独なスターなのだ、と……






2009年がステキな一年になりますように☆
そんな祈りを篭めて、とりあえず初詣に行って来ました (^ ^)v

ご近所の八幡さまですが、それなりに地域では中心的な社なので思ったより混んでました。
初詣ってあんまり行かない(神社仏閣は好きだけど、人ごみが苦手)のですが、今年はいろいろ思うところもあって、日付が変わると同時に家を出たのですが。

さ、さ、さ、さむい……

お社に着いて、最初にしたことがお参りではなく甘酒購入&一気呑みだったことは、かみさまには内緒にしておいてください(^ ^;ゞ







さて。
2009年にはどんな舞台と出会えるでしょうか?

私の今年の初観劇は、花組「太王四神記」☆
ポスターのおかげで期待値がものすごーーーく高くなってしまっているのですが(はぁと)大丈夫かなー(ちょびっと不安)。


この日記も、相変わらずぐたぐたとまとまらない長文のまま続くかと思いますが。
どうぞ、2009年もどうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m。



今年も残すところあと一日。
本当に早いですねー!年を取ると時間が早く過ぎる、っていうのは本当なんだなあ。
「君を愛してる/ミロワール」&「ホフマン」を観に遠征したのも、ついこの間のような気がするのに。


宝塚作品のベストはこないだ一通りあげたので、年末LASTにはそれ以外で心に残ったものを……と思っていたのですが。
あれこれ思い返してみても、去年の「Confidant -絆-」みたいな、圧倒的にこれ!という作品が思いつかないなあ……。観たかったけど観られなかった作品も多いし。

とりあえず、初演ものでは「ウェディングシンガー」と「きみがいた時間 ぼくのいく時間」…かな?「Duet」も楽しかったけど、あれは作品というよりキャスティングが嬉しかったのが比重高いし。

コンサート形式の作品では、やはり梅田の「ウィーンミュージカルコンサート」と玉野さんの「CLUB SEVEN」。……石井一孝さんのコンサート(ゲスト・樹里)も最高だったし、「SHOWTUNE」も楽しかったけど。でも、やっぱり「ウィーン」と「CLUB SEVEN」は別格です☆

再演ものでは、まずTSの「タン・ビエットの唄」「AKURO」の二作品。後者は自分的には初演ですが、練り直したからこその完成度もあったようなので、あえてこちらに。
あとは「RENT」ですね。今年は忙しくて東宝ミュージカルはほとんど観なかったのですが、これだけは当日券いれて3回観ました。作品の力が素晴らしいのは当然としても、スタッフワークが良かったのが嬉しいです。正直、東宝上演ということであまり期待をしていなかったのですが、自分の思い込みに呆れています。ごめんなさい。



2008年最後の観劇は、銀河劇場の「GIFT」でした。
宝塚オリジナル作品「君を愛してる」&「ホフマン」で始まった2008年。日本のオリジナルミュージカルの佳品で締めくくれて、幸せな一年でした☆










さて。
宝塚の誇る名作「銀ちゃんの恋」花組再演版、まだまだ終わらないのですが(滝汗)。
これだけはなんとか最後まで書きたいなーと思っているので、もう少し(←いや少しじゃねーだろ)おつきあいくださいませ。



二幕冒頭 結婚式
結婚行進曲が高らかに鳴り響く中、ヤスと小夏の結婚式が始まる。

「小階段」を降りてくるヤスと小夏。この作品中、唯一の“格好良い服”、白いタキシードに身を包んだヤス。おずおずとウェディングドレスの小夏の手を握り、ドキドキしながら降りてくるその風情がたまりません。
平場で二人を迎えるのは、ほぼ関係者全員。さすがに朋子さんとか橘とかはいないけど、撮影所のメンバーも人吉の関係者もみんな揃っているので、なかなか華やかです。男泣きに涙をぬぐっているトメさん(日向燦)が素晴らしい。涙をぬぐう合間に振りをこなしてましたね(笑)。そんなトメさんをそっと見守っているっぽかったマコト(夕霧らい)の優しい笑顔が好きです。ヤスを見て、ちょっとハンカチで目元を押さえている専務(眉月凰)もダンディでステキ。そして、若い男を次から次と手玉に取っていた(ように見えた)秘書(初姫さあや)が、もう本当に最高でした。

しかーし。
そんなおままごとのような結婚式も、「誓いのキスを」のあたりで闖入者が登場。
小階段を堂々と降りてくる、銀ちゃん。

音楽が「卒業」のそれに変わるあたりは、石田さん細かいなーと思うのですが。
…でも、場面的にヤスが主役なのに「卒業」なんだ……という違和感もあったりする(^ ^;ゞ

まぁそんなことはどうでもよくて、とにかく、“銀ちゃん”の巨きさと格の違いをものすごく見せ付けた場面でしたね。体格の違いもあるんですけど、それだけじゃない。最初はヤスに助けを求めていた小夏が、あっさり堕ちるのも当然、という迫力。
この“立っているだけで”「周りの小物とは違うんだ」と思わせる迫力がないと、「銀ちゃん」としては失格なんだなーと思うんですよね。
そして、大空祐飛の銀ちゃんは、この作品全体を通じて、一回も周りに同化したことがなかった。
もちろん、衣装のぶっ飛び具合とか、照明とか、そういう演出面のフォローも大きかったですけど(ありがとう石田さん)、大空祐飛自身の醸し出した空気であり、そして、それを受けた野々すみ花&華形ひかるの役者ぶりのバランスが素晴らしかったと思うのです。


そして、ヤス。

この場面は、ヤスの妄想です。途中までは実際の結婚式でもいいのですが、銀ちゃんが降りてくるところからは、全部妄想。
銀ちゃんが降りてきて、招待客たちがハケる。小夏を口説いて連れ去ろうとする銀ちゃん。
最初は抵抗してヤスに助けを求めていたのに、最後には銀ちゃんの口づけを受け入れ、肩を抱かれて去っていく小夏。
小夏にしがみついて引き止めようとしながら、留められないヤスが哀れでした。


「真っ白なウェディングドレスに身を包んだあたしと」

「パリッとタキシードを着た、
                        ……俺が、いるんだ」


それでも。
真実の(今回のすみ花ちゃんの)小夏は、一幕ラストで、ちゃんとヤスを選んだのに、
泣きながら、引き裂かれる痛みを感じながら、それでも確かに、ヤスを選んだのに、

なのに、それを全く信じていない、ヤス。


ドラマシティではまだ迷いがあった小夏も、青年館になると一幕ラストできっぱりとヤスを選ぶようになっていたので。ホント、この場面を観るたび、小夏モードで「なんでわかんないのよヤス!?」と胸倉つかんで揺さぶりたい気持ちになってしまいましたわ私。

「蒲田」的には、それで本当に良かったのかどうか、それはよくわかりませんが。
今回の“再演版”「銀ちゃんの恋」は、根本的にそういう解釈で作品として矛盾なく組みあがっていたので、私的にはなんら疑問はございません(^ ^)。

……ヤスを選んだ(選ばざるをえなかった)小夏の真情を思うと、痛さに涙が出るのですが。






銀ちゃんが登場して、いったんハケた列席者たちは、銀ちゃんと小夏が肩を組んでハケた前後に仮面を被って再登場してきます。
石田作品は、いつもこういうコロスのイメージダンスを巧く使った場面がありますよね。「黎明」の群青とか、「殉情」の夜叉とか、「猛き黄金の国」の三菱ダンサーズとか。私はどれも印象的で好きなのですが、この「銀ちゃん」の結婚式の仮面ダンスもすごく好きです。
(ちなみに、初演では今回みたいな仮面ではなく、ヤスと小夏のお面をつけていたハズ…)

ヤスの“苦悩”のダンスがイロっぽくて好き。そして、ヤスの前をあっさりと通り過ぎる邦さんの“別世界感”がさすがでした。

上手ですごくキレイに踊っていたのは、輝良くんでしょうか?違うかな?
仮面を被っていてもすぐわかる、玉美(月野姫花)の髪型が可愛い(笑)。
なんと言っても笑ったのは、仮面の上から眼鏡をかけていた二人(マコト&秘書)!!ラストのキメで仮面が集まってキメるとき、眼鏡の仮面が二人いたのがめっちゃおかしかったです。はい。




すーっ、と、足音もなくヤスの視界を横切る母親。
反射的に母を追うヤス。
でも、動けない。

足元に絡みつく、「しがらみ」という名のナニカ。
仮面のダンスにあおられるように、十三段階段を登りはじめる。
よろよろと、
…いいえ、フラフラと。




十三段階段の一番上で、ヤスを待つロープ。

首吊りの、輪。




階段の下で、退路をふさぐようにより集まって止まる、仮面たち。
振り返ったヤスの、絶望に満ちた、瞳。

「ぎんちゃん…」と、声にはならないままに唇だけが動いて。








第十四場 塀の前~大部屋の座敷

場面がキまってライトが落ちると、舞台前面にいつもの「撮影所の塀」が出てきて場面転換。
そういえば。この塀に張ってあるポスターや広告が、ひとつづつ取り上げて話題にしたいほど面白かったのですが、その話書きましたっけ…?(←完全に記憶に無い)
一番笑ったのは「ギンチョール」だったんですけど、この場面には貼ってあったっけかなー。



上手の袖から小夏が登場。
大きなお腹を抱えて辛そうに歩きながら、「し・あ・わ・せ~~♪」と歌う、本当に幸せそうな小夏。

とにかく可愛くて、自分の幸せに不安の欠片も無い、小夏。
無理はしてない。心のままに、
「あのひとはかっこよくなーい、ハンサムじゃなーいけーど♪」
と、心の底からの笑顔で歌ってのける、その、幸せのオーラ。

「臨月近い妊婦」としての歩き方、という基本的な技術面の巧さもさすがなのですが、それ以上に、妊婦さんが“辛そうに、だけど幸せそうに”歩き、段を上がり、座る…という一連の動作を、ホンモノにしか見えないくらい雰囲気を出して演じていたのが凄いです。
そう。妊婦さんは、一つ一つの動作が何もかも“大変そう”なのに、その“大変”さがイコール“幸せ”で、花吹雪のように「幸せオーラ」を振り撒くんですよね。
それを舞台の上で再現してみせたすみ花ちゃんは、やっぱり天才なのかなーと思ったりします。



前にも書いたような気がしますが、すみ花ちゃんの小夏の可愛らしさは、まさに“ガラス箱にいれて台の上に飾っておきたいような可愛らしさ”でした♪
現実に存在するとは思えない、ファンタジックな可愛らしさ。

普通の女としての幸せに浸りきった、「元スター」の輝きが見事でした。




ヤスの妄想の中で行われた結婚式の花嫁と違い、この場面で歌っている小夏は、すごくリアルです。

リアルなのに、ファンタジック。
ファンタジーの中にだけ存在し得る、リアル。
これこそが『宝塚のリアル』の真骨頂なんじゃないか、と。
そんなことを大上段に考えてしまったくらい、この場面の小夏は印象的でした。






塀が切れて、撮影所の中に入ろうとするところで、スタッフの徳子(梅咲衣舞)と島子(瞳ゆゆ)に遭遇。
「水原小夏ともあろう女優が、ヤスさんみたいな大部屋と…」
「あんた変わったなあ」
と言われて、幸せそうに微笑む小夏。

本当に変わったよね、1時間前に比べて(^ ^)……と素直に思ってしまいます。


今は大きなお腹を抱えて差し入れを持って来ているけど、
あと3年くらい経ったら、よちよち歩きの子供の手をひいて、また差し入れを持ってくるんだよね、と、
そんな情景が容易に目に浮かぶ。

一幕があいてすぐの場面で、きわどい衣装でお弁当を持って現れる不自然さも見事だったけど、あれはむしろあの衣装が違和感があっただけで、すみ花ちゃんの小夏の中身は、かいがいしくお弁当を作る姿がいかにも似合いそう。


風花舞嬢の小夏は、どこか(私の気のせいかもしれませんが)「このお弁当を作るために徹夜したの。この手弁当で、絶対銀ちゃんの心を取り戻してみせる!」とか言い出しそうな迫力というか、思いつめた感じがありました。
あのショー用の派手な衣装が当たり前で、持っているお弁当の方に違和感があったんですよね。
また、そういう執念じみたものから逃げ出したい久世さんの銀ちゃんが、いかにもいかにも、で…。


すみ花ちゃんの小夏は、お弁当を作るのは習慣で、「今日も作っちゃった……」という諦めにも似た思いがあって。でも作っちゃったから持ってきた、みたいな空気を感じたのですが。
お掃除も洗濯も完璧にこなして、手の込んだ手料理の飾りとして“タコさんウインナ”とか“うさぎさんリンゴ”を笑顔で作って、それ自体が楽しい、タコさんウインナを見て喜ぶであろう銀ちゃんの笑顔を想像するだけで幸せ、という、そんな感じ。
そして、いかにもそういうものを喜びそうな子供っぽい大空銀ちゃん、という組み合わせが秀逸でした。


組み合わせの妙、という言葉は、この作品のためにあるんじゃないか、と思う今日この頃。






撮影所の大部屋で、小夏の持ってくる差し入れを待つヤス一党。

口では「遅かったな」とか、偉そうに亭主関白っぽく“いばりんぼ”しようとしていながら、全身で「大丈夫か?小夏」と叫んでるみたいなヤスがめっちゃ可愛いです。上がり框の段をのぼる小夏から慌てて荷物を受け取り、手を出して手伝ってやり、ほとんど抱えあげて座布団に座らせる(しかも細心の注意を払って)。それも、自分のちょっと後ろに、仲間たちからちょっと隠すような風情で。

銀ちゃんが大事にしまいこんでいた小夏。
大部屋連中には合わせず、世話もさせず。
朋子とは全く違う扱いだった、小夏。

その小夏を見せびらかすように、でも自分の後ろにそっと隠すヤスの微妙な男心が、本当に可愛いです。
それを判っていながら、ヤスの喜びそうなことを言ってあげるトメさんたち一党の、優しさも。

ここで色々暴言を吐くヤスは、「銀ちゃんの居ないところでは銀ちゃんのように振舞う」という本来のキャラが出ているんですよね。元々主演経験もあるくらい、大部屋の中では比較的立場も上ですし、キャリアも長いから、そういう態度も通ってしまう。

銀ちゃんに憧れて、銀ちゃんのようになりたいヤスの、必死で突っ張って銀ちゃんのように振舞おうとする背中の小ささが、とても寂しいです。ヤスの小物感、卑小さ。




小夏の差し入れをひととおり自慢して、“傍若無人”に振舞うことに疲れたヤスは、ふと立ち上がって部屋を出て行く。
「すぐ戻るから、先に喰ってろ」

空気の変わったヤスを、何も言わずに見送る小夏。

幸せそうに。





“あのひとはかっこよくない、ハンサムじゃないけど”

でも、傍に居てくれるひとなの、と、



そう、思ってた……。





日生劇場にて、「ラ・カージュ・オ・フォール」を観劇してまいりました。



塩田明弘さんは、「ラ・カージュ」を振らずしていったいどこにいらっしゃるのでしょうか?

……と思ったら、「エリザベート」を振っていらしたんですね。
名指揮者の、なんて無駄遣い。
軽やかで明快な音を真骨頂にするマエストロに、重厚で野心的なウィーンミュージカル……。
「レ・ミゼラブル」も、短縮版(2003年)から塩田さんが振っていらっしゃいますが、どうも無駄遣いな気がしてならないんですよね。彼に重厚な音楽が作れないとは言いませんが、あの音楽の軽さは本当に編曲が変わったせいだけなのか?と思ってしまうし。なにより、最高にゴキゲンで楽しい音楽を作れる人に、なにもこんな作品をやらせなくても……と思ってしまうのです。
まぁ、東宝的には一番の稼ぎ頭で“大事”な作品をマエストロに任せている、という認識なんでしょうけれども。


ああ、でも、「ラ・カージュ」は、塩田さんの出世作なのに~~~っっ!!まだ市村さんが卒業してもいないのに、指揮者が先に卒業するなんてあり得ない~(涙)。







……のっけから文句言って、すみません。実際に指揮を担当されていた井村誠貴さんには、何の不満もありません。ごめんなさい。





で、「ラ・カージュ・オ・フォール」。

初演からずーっとジョルジュを演じてこられた岡田眞澄さんが亡くなられてから、初めての上演。ダンディでおしゃれでステキなオジサマ、の代名詞のようなジョルジュ役を演じられる役者が他に思いつかなくて、「今度ラ・カージュが上演されるときにはもう市村さんのザザじゃないかも…」と思っていたのですが、まさかの鹿賀丈司さんのジョルジュが実現!!
鹿賀&市村の共演(しかも市村座長)なんて昔は想像も出来なかったのに、世の中っていうのはすごいですね。「ラ・カージュ」は基本的にザザが単独主役の作品なのに、よく鹿賀さんがOKされたな、と思いました。…まぁ、キャスト紹介の並びは一応ジョルジュがトップになっていたのは、東宝側も気をつかったのかな?(^ ^)。

市村ザザの「ファイナル」を飾るに足る、見事な公演でした。満足です。はい。
「もっとマスカラを!」の見事な芸を堪能できて幸せです。さすがの美貌も衰えは隠せませんが、それを気合でカバーしていらっしゃるあたりはザザそのものでした。
もう市村さんの「I AM WHAT I AM」が聴けないのかと思うととても寂しい。また「市村座」やってください!




鹿賀さんのジョルジュは、台詞も歌もあぶなげなく、包容力があってとてもステキでした。「砂の上のラヴレター」はさすが!の歌唱力。岡田さんに比べるともう少し情熱的な、優しいばかりではないジョルジュでかっこよかったです。
…それにしても。「かもめ」で復活を確認していたのでそんなに心配していたわけではないのですが、やはり最初の台詞がキレイに出たときにホッとしてしまうのは否めない。「ジキルとハイド」の時の衝撃はなかなか抜けないものみたいです。やはり、役者はあまりギリギリまで舞台に立つべきではないと思いますね。初めての観客が「おかしいな」と思うような状態で舞台に立ってほしくないです。後々まで不安を引きずってしまいますから。




ダンドン夫妻は、森久美子&今井清隆。無駄に美声のお二人、とても良かったです。
一人息子のジャン・ミッシェルは、山崎育三郎さん。今回の目当ては実は彼だったんですが、あの優しくて無力な感じがとても良かったです。このまま純粋で優しい青年のまま伸びていってほしいなあ…。



ジャン・ミッシェルの恋人・アンヌは島谷ひとみさん。「ガールフレンズ」に出ていらした方ですよね?本当に申し訳ないのですが、私は当たり前のように(ごめんなさい)池田有希子さん版を観にいったので、島谷さんは初めて拝見したのですが……(汗)。
さすが本職の歌手だけあって、キレイな声でした。ただ、踊りはもしかして初めてなのでしょうか?
この役は本来バレリーナの役で、たしかブロードウェイオリジナルはプロのバレリーナだったはず。私が初めて「ラ・カージュ」を見たときも元バレリーナの床嶋佳子さんで、歌はかなり大変なことになっていましたが、ワンシーンとはいえダンスの美しさに「このためのキャスティングだから仕方ないな」と思ったものです。
その前は遥くららさん・毬谷友子さん、そして床嶋さんの次が卒業直後の風花舞嬢と森奈みはるさん(1999年)。踊れないキャストは今回が初めてだったと思います。が……
やっぱりこの役は、踊れることが一番大事!!なんですよね(T T)。

歌もあるので全く歌えないバレエダンサーをキャスティングするのはちょっと疑問ですが、たいした歌があるわけでなし、あえて島谷さんを選んだ意味がよくわかりませんでした。
私は風花嬢のアンヌが一番好きでしたが、宝塚の娘役出身者でダンサーと呼ばれた方なら誰でも似合うでしょうにねぇ…。今だったら舞風りらちゃんとか、踊れるし歌えるし、ぴったりだと思うんですけど。他の仕事が入ってたのかな?




ジャクリーヌは香寿たつき。「ルドルフ」のラリッシュ夫人も良かったですが、今回もはまってました。
シャンタルの新納慎也、ハンナの真島茂樹をはじめとする「Folles」の皆様が、相変わらず最高でした。この作品は、なんたってこのレビューシーンを楽しみに観にいくのが基本です!!(力説)。
振付や衣装は新しくなっていたような気がしますが(すみません、詳細は覚えていません)、いつだって最高の、今となっては宝塚でも滅多にみられないほど完璧な「レビュー」なんですよね(*^ ^*)。また観ることができて、幸せです。




物語としても本当によくできているし、音楽も素晴らしい。いい作品だなあ、としみじみと思います。
本当はもっと毎年のようにやってほしい作品なのですが、なかなか上演されないのが残念。

特に今回は、市村ザザの「ファイナル」という売り文句がはっきりと出てしまった以上、新キャストが出るまでまた数年あいてしまうんだろうなあ……(T T)。


個人的には、次代のザザには、昨年「蜘蛛女のキス」で新境地をひらいた石井一孝さんを期待していたりするのですが。この役を切望していた岡幸二郎さんもいいけど、どうなるかな?(岡さんがザザの悲哀を演じられる役者になってくれるなら、それが一番嬉しいのですが……)



まぁ、先のことを考えても仕方が無いので。
とりあえずは、この貴重な公演を観ることができた自分の幸福に、乾杯♪




宙組さんの千秋楽パレード(←トップさんの退団ではないから、パレードとは言わないのかな?)に行ってきました。



…寒かった…(^ ^;



でも、最後の大階段を無事に降りられたみなさんの、輝くような笑顔に出会えて、その間は寒いのも忘れていました。
その中でもとくに、私にとって長いこと宙組さんを観にいくお目当てであり続けてくれたたっちんときみちゃん。
いままでどうもありがとう!!
そして、これからもよろしくお願いしまーす!(←卒業しても舞台に立ち続けて、あの声を聴かせてくれると信じてます ^ ^)







そして、「銀ちゃんの恋」のつづき。



……もう年末で、次の公演の初日も目の前なので、さくさく進めなくてはならないことは判っているのですが。
ちょっとだけ、関係のない本の話を先にさせていただきます。
浅田次郎の「月のしずく」(←あらためてココに書くと、すごいタイトルだな…)。

不器用な男と突っ張った女の情の流れを丁寧に描いた掌編7編の短編集ですが。
タイトルになった「月のしずく」の主人公が、なんだかものすごーーーくヤスにかぶりました。

まぁ、この作品の主人公は、何十年も埋立地のコンビナートで積み込み作業をやってきたブルーカラーなのであって、夢を抱いて映画界へ飛び込んでいった大学出のインテリ役者とは全然違うのですが。
その不器用な誠実さ。打っても響かない、鈍重なまでの純粋さ。美しい“都会の”女に手も出さない純情さ。なにもかもがヤスにかぶる(汗)。
みつるくんのヤスは美形でかっこいいので、小夏とそこまで距離があるように見えなかったけど、本来はこのくらい距離感がある二人なんだろうなー、と、あらためて思いました。



もう何年も前に読んだ本なのに、今回たまたま読み返すまで、そんなこと全然思いませんでした。この短編集自体は、直木賞を獲った「鉄道員(ぽっぽや)」と同じ時期に書かれた短編を集めたもので、「鉄道員」と良く似た世界観の作品集なのですが、正直、そんなには印象に残っていなかったみたい(^ ^;
なんだか、どれもこれも似たような、出来過ぎなご都合主義パターンだと思っていたんでしょうね。

でも、数年ぶりに読み返してみて、一作ごとに泣いてしまった(汗)。

以前読んだときは、たぶん、女性の側に感情移入して読んでいたんだと思います。まだ若かったんだな私。
でも、今回は完全に、冴えない不器用な中年男の側に立って読んでいたみたいです。なんだかそういう、祈りにも似た純粋な想いは叶ってほしい、と思ったんですよね、心から。
で、最後に叶ってしまって、泣いてしまう、と。

そこで素直に泣ける自分が、ちょっと可愛いな、と思ったりする(←え?)
……つまり、年齢を重ねてオヤジ化したってことなんですけどね……?(T T)。






もとい。
ちょっと気を取り直して。

「銀ちゃんの恋」第11場 人吉の盆踊り

舞台下手の檀の上で、ソロを歌うのは初姫さあや。
この場面だけは、“秘書・中山”ではなく村娘の一人として、明るいチークを丸くいれ、眉も(多分)描き直してして、実に可愛らしい。一幕はもう出番ないもんね♪
本当に可愛いです、さあや。ソロが聴けて嬉しい!!

そして、上手の奥で大きな和太鼓に撥をふるうイナセな男役、輝良まさとくん。
いやー、マジでかっこいいっす。元宙組の暁郷くんが空けてった穴を、ちょっと埋めてくれそうなかっこよさ(笑)。他の場面では“ユミコ(彩吹真央)さんに似てるー”と思っていたのに、ここだけGOくんを思い出しました。ちょうどGOくんの卒業公演で着物姿を観たばかりだったからかな?

手前の平場では、他のメンバーが普通に浴衣着て盆踊りを踊っているわけですが……
ふみか(紫峰七海)、その色気は無駄だから!これ歌垣じゃなくて盆踊りだから!!何か間違ってるよ、その流し目っっっ(逃)

マメ(日向燦)ちゃんは、パンチパーマを隠すためか?豆絞りでしっかり鉢巻していて可愛かったです。ちょっと特徴のある腰の入り方なので目立つ目立つ(^ ^)。だいもん(望海風斗)も鉢巻してたっけか…?ごめんなさい、時間がたったのでだいぶ忘れてますね。いつも(初輝)よしやくんとアーサー(煌雅あさひ)の笑顔に癒されたあたりで終わるんだよね……。結構長いようで短い場面でした。
娘役さんとのカップリングも一通りチェックしていたのになあ……海馬よ戻ってこーい。




全員が前を向いてポーズをきめると、音楽が止まる。
壇上で、一歩下がって軽くお辞儀をして、くるっと振り向いてぱたぱたと降りる、という動作をごくごく自然にやってのけるさあやは、ほんとうに可愛いなあと毎回デレデレしてました(笑)。

太鼓の輝良くんも下手にハケて、次に出てくるときはさあやと手をつないでいます
……ありがとう石田さん。




ヤスの兄嫁、玉美(月野姫花)と、母(邦なつき)が登場。
玉美さんは、ずっと故郷に帰ってもこなかった次男が突然嫁を連れて帰ってきたことに動揺している田舎娘。それでも、“田舎でもミス○○になったとよ!”といばるだけの美貌があって、どちらかといえば素朴でかわいい、そして、小夏に対抗しようと背伸びして買ってきた派手なドレスやバッグが似合わない……というキャラ付けがあればいい役なのですが……
この役だけは、石田さんもうまく演出できなかったんだなーと思ってしまいました。
いくら頬が真っ赤なおてもやんメイクをしても、ドレスが普通に似合ったらつまんないからっっ!!“玉美”=おてもやんに奇抜なドレス、というのは単に初演での脚本解釈の結果なわけで、今回の公演はそこにこだわる必要なかったし。もっと役割を考えてほしかったなあ。
さあやがやるならあれでいいんだけど。姫花ちゃんがやるなら、もっと違うアプローチがあったはず。

姫花ちゃんは、断然「ししとう」のマダムが可愛かったです♪♪大人っぽい役もできそうだし、台詞もだいぶうまくなったし、次の新公が楽しみ~♪♪





壇上に、団長(白鳥かすが)とヤス(華形ひかる)と小夏(野々すみ花)が登場。
ちいさな顔にでっかいモミアゲをつけて、顔半分隠していたちあきも、この後出てくる自治会長(悠真倫)も、私は最初に観たとき、しばらく誰だかわかりませんでした(滝汗)。
いやホントに。

監督と助監督、ホント役者だよこの二人…。




久しぶりに「大勢のファン」の前に立った、“落ち目の女優”小夏。
生まれて初めて「ファン」の前に立った“大部屋”のヤス。
スーツをすっきりと着こなしたハンサムなみつるくんは、ほんのちょっと“ヤスとしてどうなの?”と突っ込みたくなったりもしましたが(^ ^;、小夏と並んだ立ち姿が、本当におままごとか立雛みたいなのがツボでした。もう、これはヤスと小夏をまとめるしかないよねぇ、というか。

“普通に結婚に憧れる、ただの女だったのね…”という小夏の述懐が、表向きじゃない本当の本心だった、というのは「蒲田行進曲」的にはかなり冒険な解釈ですけれども。
これは宝塚的には「当然」の解釈なので、あまり違和感はなかったです(^ ^)。


いやー、二人の挨拶が終わって、ハケていく村人たちのカップリングも楽しかったのに、本当にすっかり忘れてしまったわ……。
とりあえず、さあやと輝良くんはずーっと手をつないでいたのは間違いないけど(はぁと)




小夏と邦さんの場を経て、寝室へ向かう小夏。
姑にも頭を下げた小夏の気持ちは、たぶん、ヤスのプロポーズを受けたときから変わっていない。
ただただ「すまない」と思う気持ち。
このお腹の子は、あなたの孫ではないのに、と。

でも。
それでも諦めることはできないから。
この子は私の子、だから。



姑との手打ちを終えて、夫の許へ向かう小夏。
布団が二つ並べられた客間で、寝たフリをしたヤスが待つ。
小夏が来る前に、むっくりと起き上がって、離れたもう一つの布団を近寄せようとするヤスが可愛かった♪あの布団、公演が日を重ねる毎に離れていくように見えたのは気のせいでしょうか?
装置さんの愛の鞭かと思っていたのですが(^ ^)。

あと、この芝居全体を通して「部屋」のセットは一つしかないので、『ヤスの部屋』に貼ってあった「二十四の瞳」のポスターを暗闇の中ではがしている装置さんが毎回ツボでした(吊りものに貼ってあるので、降りてこないと外せない)。1回か2回、巧く外せなくて焦っていたことがあったので☆



戻ってきた小夏を、狸寝入りで迎えるヤス。
そんなヤスに気づいていて、きちんと正座して床入りのご挨拶をする小夏。

「小夏!」と、初めて呼び捨てに呼ばれる喜び。
それが、小夏の選択。




抱き合う二人を最後にライトが落ちて、暗闇の中で会話が流れる。

「銀ちゃんって、どんな顔してたっけ…?」

ミニスクリーンにフラッシュバックする、回想シーンの映像。
銀ちゃんの、貌。


小夏の中には、まだヤスとの思い出はなにもない。
空っぽな自分。

ひとつひとつ、埋めていこう、と。
そう思いながら、それでもやっぱり、捨てなくてはいけないポートレートにひっそりと涙を流す。

「もう、忘れちゃった……」



その甘い睦言を、あんなにも純真な声で語れる野々すみ花は、やはり天性の女優なのだと思いました。





そして、闇の中を音楽が流れて、
客席にピンスポット。

紫乃シャツにシルバーの柄ベスト、黒の柄々ジャケット、紅いパンツ。
倉丘銀四郎の登場。



ちょっと猫背な後姿。
一人でいるときの銀ちゃんは、それまでの、ヤスや朋子が“視た”銀ちゃんとは違って、ひどく頼りなく、不安げにみえます。
たぶん、それが本当の「倉丘銀四郎」、小夏の前でだけはチラッと見せるかもしれないけれども、橘や、大部屋連中がいるところでは絶対に表に出ることのない、本当の。
人前では「俺が二枚目、俺が看板!」と思っていなければ立っていることもできない、それほどのプレッシャーの中を生きているはずの“スター”が、
このときだけはただ一人、不安に押しつぶされそうになりながら、呟くように歌う。



なにもかもうまくいかない、と。
足元に缶ジュースの空き缶あたり転がってきたら、おもいっきり蹴っ飛ばしそうな風情で。




それでも、なにも諦めたわけじゃない。
また一歩一歩、進んでいけばいいだけだ…と。

気を取り直して、ダンベルを掴もうとする銀ちゃん。

そんな銀ちゃんに、後ろから声をかける小夏。






小夏を見つけて、ふわっと微笑む銀ちゃんが、もう可愛くて可愛くて、
…その時点で、すでに泣きそうでした、私。



朋子の愚痴をこぼして、
撮影中止になった階段落ちの場面をぼやいて、


落ち込んでいる銀ちゃんを慰めようと、話題を変えるために自分の結婚式を持ち出す小夏。
それに乗って、とことん落とす銀ちゃん。
それでも、ささいなからかいに小夏は動じない。もう決めたことだから大丈夫。銀ちゃんが何をいっても、今更、あたしは気にしない。


そんな二人の、あやういけれども楽しげな会話。
ふと通りがかったヤスも、別に何かを邪推したわけでもなんでもなく、“ちょっと話が盛り上がってるみたいだから、一段落ついたら出て行こう”くらいの軽い気持ちで立ち止まる。

なのに。

最初のうちは、何も考えず、二人の会話の面白さにふつーに笑っていたヤスが、
ふ、と表情を硬くする。

「ほんとは、こうなるはずだったのに、ね……」


気負っていた小夏のキレイな唇から、ふ、と零れたひとこと。

それはただの軽口で、すみ花ちゃんの小夏にとっては、“終わったこと”なのに、
それでも、ヤスの口許は引き結ばれ、視線は足元に投げられたままで。




「真っ白なウェディングドレスに身を包んだあたしと」

「パリッとタキシードを着た、

                        ……俺が、いるんだ」




一瞬の、間。


その台詞を物陰で聞いているヤスの、
半瞬、その情景に納得して宙を視る、その不自然なほどの自然さ。





銀ちゃんが、いかにわがままで、自分勝手で、ジコチューで、どうしようもない男であるかを明快にあらわしながら、
だけど、愛さずにいられない存在であることも、如実にわかる、あの一瞬。



「銀ちゃん…あんたあたしに何をしたか、わかってんの!?」

銀ちゃんをなじる小夏。

「俺にはもう、お前しかいないんだ!お前、俺の背中に浮かぶ孤独が見えねぇのかっ!?」

小夏をなじる銀ちゃん。


……物陰で聞いている、ヤス。





3人の姿が同時に視られない自分の眼の構造が、うらめしや(T T)。






ヤスの澄んだ瞳に映る、銀ちゃん。
ヤスの、真っ直ぐな視線を受け止めることができる、銀ちゃん。
そんな、みつるくんの描きだす“銀ちゃん”という夢に、祐飛さんの銀ちゃんが、ぴったりと嵌ってくれたことが嬉しかった。




小夏の名台詞、「だって銀ちゃん!」を、「女は傍に居てくれる人がいいの」を、完全に子供の泣き顔で、泣き声で言ってのけたすみ花ちゃん。

子供がえりした「女優」の泣き顔が、崇高なくらい可愛くて。
もう元には戻れない二人が、ただただ子供のように泣きながらお互いを探しているさまが。
何も見えない闇の中で。
将来も、子供も、未来も、何ひとつ見えない暗闇の中で、ただお互いの手を求めて彷徨っている魂、が。



「莫迦野郎~っ!」

と、高校生の捨て台詞のような台詞を吐いて逃げ出す銀ちゃんが、本当に可哀想でした。

完全に小夏の目線で銀ちゃんを見送っていた自分。追いかけてって抱きしめてあげたい、と、どれほどそう望んでも、それだけはどうしてもできない小夏。
銀ちゃんが可哀想で、でも追いかけられないのは、それが銀ちゃんのためにならないから、で。

銀ちゃんが精神的にあれほど子供でなければ、もう少し違う関係を結べたはずの、二人。
逃げるしかできない銀ちゃんが憐れで、追いかけられない小夏が惨めで。



初演のビデオを観たときは、物陰で見ている幸ちゃんのヤスが切なくてどうしようもないほどだったのに、今回はある意味、観客として『小夏がヤスを選んでいる』ことを知っているから、みつるくんに対しては「そんなに思いつめなくても本当は大丈夫だよ?」とか言いたくなってしまったんですよね(汗)。
そんな単純なものじゃないことは、重々わかってはいるのですが。




「ヤスのものは俺のもの」だと思ってい、銀ちゃん。
「俺のものは全て銀ちゃんのもの」だと思ってい、ヤス。




「……俺、階段落ち、やるよ……」

ぼそりとそう呟くまでの、ヤスの葛藤が。
小夏と銀ちゃんを秤にかけて銀ちゃんを選んだ、ヤスの葛藤が。

……結局は一番、痛々しくて、哀れでした…(T T)。






大空祐飛さん、白華れみちゃん、夢咲ねねちゃん、羽桜しずくちゃん、純矢ちとせさんの組替えが発表されてから、今日でちょうど一年が過ぎました。


……実際に組替えしてから、まだ一年もたってないのか…(感慨)




一年前の日記を読み返してみると、なんだか自分じゃないみたいです。
思い詰めていたんだなあ、あの頃の自分(←他人事)。

リンクをするのは恥ずかしいけど、ちょっと懐かしいので引用してみたりして(^ ^;ゞ
たとえば。


>祐飛さんがいるから月組を愛したわけじゃない。
>月組っ子が月組を愛してるくれるかぎり、愛しているよ。


……とか。
そうなんだよ…やっぱり今でも月組っ子が皆可愛いし、どんな舞台に立つのか気になるし、楽しく舞台に立ってほしいと祈っているんです。いつだって。
もちろん、花組もステキな人だらけだし、雪組さんも星組さんも宙組さんも、どこもみんなそうなんですけど。

だから、
愛することができた自分が、幸せで嬉しい。

祐飛さんのいない月組も、“花組の大空祐飛”さんも、
みんなみんな、大好きだ。



み~んなが幸せになれるといいなあ~♪、なんて、どっかのエンジェルみたいなことを呟いてみたりしつつ、組替えの予感に戦々恐々としていたりするのですが。


今日は、大きな発表はなにもなく、無事に過ぎました。
発表されたのは、花組の7月梅田芸術劇場公演「ME AND MY GIRL」だけ。あれだけ広い劇場を埋めるためには、どうしてもある程度ネームバリューのある海外ミュージカルを持ってくる必要があるわけで。花組でも梅田でも上演していない作品で、集客が見込める作品……去年やったばかりだけど、ミーマイかな?とは思っていたんですよね。
ただ、東宝(井上芳雄&笹本玲奈)で6月の帝劇と7月の中日劇場が発表されているので、本来なら夏か秋には梅田にも行く予定だったと思うのですが……あれぇ?みたいな。

本来、まとぶんと彩音ちゃんのキャラクターを考えたら、「Never Gonna Dance!」みたいなダンス系の作品の方がいいような気がするんですけどねぇ。カレン・ジエンバが演じた女性(日本版は観ていないのですが、多分大浦みずきさん)を、ぜひぜひ一花ちゃんで♪♪あれなら日本版(坂本昌行&紺野まひる)も梅田ではやらなかったみたいだし、ちょうどいいのになーと思っていたのですが。
…なんて、もう発表されたんだから色々考えても仕方ないんですけどね(汗)。

なにはともあれ、彩音ちゃん、歌のレッスンがんばってくださいねっ!!(^ ^;ゞ



うーん、それにしても、ミーマイかー。
役が少ない作品だからなー。博多はちょうど良かったけど、今回の梅田は今のところ他の公演も発表されてないし、多士済々な花組っ子を全員使いきれるとは到底思えないんですが(汗)。

さて、祐飛さんはジョン卿でしょうか、ジャッキーでしょうか(^ ^)
ジョン卿ならマリアは美穂さん希望。ジャッキーならジェラルドは壮ちゃん希望☆

……とか言って、今回もミーマイに縁がなくて、巴里祭とかだったりしたらどうしよう(@ @;




雪組トップ娘役・白羽ゆり嬢が、次回大劇場公演で卒業されることが発表されました。



あすかちゃんととなみちゃん。同じ84期で、あすかちゃんは宙⇒花⇒専科⇒星、となみちゃんは月⇒雪⇒星⇒雪、ともに複数回の組替えを重ねて、12年目の春。
それぞれの個性なりに咲いた“大輪の”華が、ほとんど同時にいなくなってしまうなんて……(; ;)。
もちろん、一つの華が散れば次の花が開くのが宝塚。それはわかっているのですけれども。
でも、本当に寂しいです……。


となみちゃんを最初に“発見”したのは、「から騒ぎ」。
にっこにこのキラキラ笑顔で羽扇を扇いでいた研1のとなみちゃんに、まさに一目惚れでした。可愛かったなぁ…。
その夏に「ブエノスアイレスの風」再演があって、中国公演があって、「プロヴァンスの碧い空」があって……
翌年にはもう「LUNA/Blue Moon Blue」なんですね。あーちゃん(花瀬みずか)、(西條)三恵ちゃん、(叶)千佳ちゃん、そして、となみちゃん。“月組4羽うさぎ”(命名:猫)のデビュー作(←一作かぎりでデビューも何もないけど)。
そして、東京に来ないでベルリン公演に参加し、その夏にはもう、「更に狂はじ」でバウヒロイン。あらためて考えると、あの時となみちゃんはまだ研3だったんですね。
可愛い可愛い、お気に入りの月娘だったとなみちゃんが、祐飛さんの初ディナーショー「SELFISH!」でほとんど相手役のように組んでくれて、猫はすごく幸せだったなぁ……。

「SELFISH!」を最後に雪組に組替えしたとなみちゃん。ヒロイン路線を突っ走り、星組に異動してすぐトップに就任。星組でわたるさんと二作、雪にもどって水さんと4作。宝塚伝統の大役アントワネットでお披露目して、正塚さんから谷さんまでバラエティに富んだ計6作。幸せなトップ生活だったのではないかと思います。

私が一番好きだった役は……「追憶のバルセロナ」のセシリア(フランシスコ/絵麻緒の昔のフィアンセで、アントニオ/成瀬の夫人)かなあ。なんというか、「一人では生きていけない」弱さと脆さが前面に出ていながら、「夫を支えて生きていく」ことはできる強さを持っている矛盾がすごく好きだったんです。「Romanced PARIS」のパトリシアもそんな感じ。だから、正塚さんはとなみちゃんという女優がすごく気に入っていたんだと思う。「Practical JOKE」の時も下級生ながら可愛くて目立っていたし、「愛するには短すぎる」のバーバラも良かったし。まぁ、たしかに「マリポーサの花」のセリアは苦戦してましたけどね…。

そして、天然素材の天使そのものだったシシィも大々大っ好き!でした。あれは「エリザベート」という作品として今までにない新解釈だったし、トートが主役の宝塚版でしかありえないシシィだった。国を滅ぼすほどの純粋さ。大人(フランツ&ゾフィ)と子供(シシィ)の対比。男を滅ぼし、国の命運を傾けてさえ、軽々と天へ舞い上がる白い翼。心の底から、ウィーン版が来日した裏でこういう解釈で舞台を創った小池さんの才能に感服したものです。

あすかちゃんは、理性的で気の強い、自立した、でも内面は可愛らしくてけなげな女性像を得意としていましたが、となみちゃんは、どちらかというと一人では立っていられない、脆くて感情に流されやすく、子供のように純粋で正直なタイプの女性がよく似合う女優。たぐい稀な美貌、ドレス栄えするデコルテ、ファンタジックな存在感。もっと悪女(?)系の役を観てみたかった人なので、「カラマーゾフの兄弟」のグルーシェニカ(アグラフェーナ)をすごく楽しみにしているのですが。
……レディ・ゾロで最後かー。元月娘らしく、男前な新境地をひらいてくれると嬉しいのですが。……谷さんかーー……。

「更に狂はじ」「花供養」「星影の人」と、和物もよく似合うとなみちゃんには、石田さんのショーの方が楽しみかも(^ ^)。っていうか、「カラマーゾフ」追加で探そう…。




となみちゃんがいつかは卒業するのはわかっていたし、星組時代とあわせてトップとして6作目ともなれば「そろそろ…」というのも予想の範疇内ではありましたが。
だからといって寂しさが薄れるものではないんだなー、としみじみ思ったりして。

なにはともあれ、あと2作。
悔いのないよう、チケットをGETしたいと思います。









……すっかりとなみちゃんの発表で忘れられてしまった感がありますが、私にとってはもう一つ、スルーできない重大なクリスマスプレゼントがありました。

■遼河 はるひ ディナーショー(追)<出演者>
(月組)遼河はるひ
(月組)美鳳あや、美翔かずき、沢希理寿、彩星りおん

■霧矢 大夢 ディナーショー(追)<出演者>
(月組)霧矢大夢
(月組)羽咲まな、舞乃ゆか、紗那ゆずは

■遠野あすか ミュージック・サロン <出演者>
(星組)遠野あすか
(星組)彩海早矢、夢乃聖夏、水輝 涼


とりあえず、これから私のことは予言者と呼んでください。
……となみちゃんのミュージックサロンの出演者を予言するのはやめておきます。怖いから。


で、私に破産しろと。そういうことですね?この座組は。
年度末のくそ忙しい3月に、太王四神記、逆転裁判、ミュージックサロンにディナーショー二つ、そして月バウとドラマシティ……(泣)
だって3月だよ?今年の祐飛さんのディナーショーでさえギリギリの無理矢理だったのに。しかもこの時って、藤原竜也くんの「ムサシ」があって、荻田作品があって、……きっと他にもイロイロあるはず(涙)。どーしろと(T T)。

……年が明けたら、ゆっくり考えます……しょぼん。


.
次回星組公演での卒業生と、春の月組の振り分けが発表されました。


……星組さん、10人、ですか……。
しかも上級生と新公主演経験者ばっかり。組ファンのみなさまにとっては、いままで組を支えてくれたメンバーが大量に卒業されてしまうのはさぞ切ないでしょう。
最後の公演を、トウコさん&あすかちゃんと輝いてくださいますように。

朝峰ひかりさん、残り少ない76期がまたひとり…。きんさんは、特に「コレ」という役を思いつけないくらいどの役もどの役も例外なく印象深くて(^ ^)、星組ファンではない私にとっては“星組といえば=きんさん”くらいの迫力を感じていました。
次からは、星組を観にいってもきんさんが居ないのか……。想像できません。

紫蘭ますみさんも、“残り少ない”78期ですね。祐飛さん寂しいだろうな…。
「KEAN」を観るまであまり意識していなかったのですが、あれ以来、最初に必ずチェックする人の一人になりました。……年齢を重ねてこそ味のでる、いい芝居する人だったのに、見納めなんて残念でなりません(涙)。

しいちゃん(立樹遥)………(T T)。
「ヘイズコード」のラルフ・カールトン、「スカーレットピンパーネル」のデュハースト。この二つの役を観ることができて、しいちゃんのラルフに、しいちゃんのデュハースト様に会うことができて、猫はとても幸せでした。
見ているだけで幸せにしてくれる笑顔を、いつもありがとう(^ ^)。大好きです。
しいちゃんの最後の舞台を観るために、絶対絶対!!がんばります!

涼乃かつきさん・星風エレナさんは82期。お二人とも芝居上手で、大好きでした。特に涼乃さんは、イケイケな女役さんが多い星組さんの中で“抑えの切り札”みたいな印象があって、毎回「おお、今回はコレなのか…」と思いながら観ていました(^ ^)。これから、ああいう役どころは誰が担当することになるのでしょうか。
エレナさんは、お芝居もダンスも大好きだけど、なんといってもあのスタイルの良さにいつも釘付けでした!最後のショーでは見せ場を期待しています!>藤井さん

和涼華さんと一輝慎さんは86期。まさか和さんが今卒業するとは思わなかったので、本当にびっくりしました(T T)。アンナ・カレーニナに出なかったのも、そういう予定だったからなのかな?とか思ったり。パッと目を惹く美貌がいなくなってしまうのはとても残念です(泣)。
一輝さんも、私が「KEAN」で注目した組のひとり。感じの良い芝居をする人で、あまり目立つ役どころはやってらっしゃらないと思いますけど結構チェックしてました(^ ^)。
最後の公演で、遣り甲斐のある役に出会えますように。

麻尋しゅんちゃんは88期。「スカーレットピンパーネル」で新公を卒業して、これからだというのに……(T T)。博多座の「楊貴妃」で、いきなりセンター近くで歌いだしたときには「誰アナタっ!?」と思ったものです。あの公演は、色々と音楽的には問題のあるメンバー(汗)だったので、しゅんくんの美声には本当に癒されました。
丸顔で可愛らしくて、もう少し小柄だったら間違いなく素晴らしい娘役トップになっただろうに…と何度も思ってしまったしゅんちゃんも、もう研7。最後の舞台で、その癒しの美声を聴かせてくれることを楽しみにしています。(ね!景子さん!!)



トップコンビを含めて10人、それも組ファンでない私でも知っている人ばかり10人も卒業してしまうなんて、本当に大変なことですよね……。
チケットがとても大変なことになりそうですが、私もなんとかがんばって、なんとか潜り込んでお見送りしたいものだと思っています。

……景子さん、藤井さん、責任重大ですよ!





そして、月組。

ちわわ(涼城まりな)、しの(朝桐紫乃)ちゃんに加え、集合日付けで朝凪麻名ちゃんも卒業されてしまう、いえ、“卒業されてしまった”んですね…。
身体が大きくて、よく響く声の持ち主だった麻名ちゃん。見送る言葉はもう届かないのかもしれませんが……、あなたのこれからに幸いの多きことを祈っています。心から。





そして、振り分け。
今日は、きりやん・あひちゃんのDSメンバーは発表されなかったので、麻子さんのコンサートとバウだけですが……


「サウダージ」出演者:
瀬奈じゅん、越乃リュウ、花瀬みずか、一色瑠加、桐生園加、音姫すなお
青樹泉、憧花ゆりの、麻月れんか、萌花ゆりあ、宇月颯、煌月爽矢、鳳月杏

「二人の貴公子」出演者:
研ルイス、天野ほたる、龍真咲、綾月せり、光月るう、夏月都、
彩央寿音、明日海りお、羽桜しずく、響れおな、玲実くれあ、琴音和葉、
貴千碧、紫門ゆりや、麗百愛、咲希あかね、蘭乃はな、千海華蘭、
真愛涼歌、花陽みら、星輝つばさ、愛風ゆめ、天翔りいら、珠城りょう
専科より萬あきら、磯野千尋


麻子さんのコンサートに管理職を二人とも集めるんですね。珍しい……。研ちゃんは管理職の練習かな?長く居てほしい人なのでちょっと嬉しい☆

「二人の貴公子」。エミリア姫=しずくちゃん(ですよねっ!?)が涙が出るほど嬉しいです!!もうあり得ないかと諦めかけていたので……。
男役も女役も、若手の面白いところを浚ってきましたねー♪ますます楽しみになりましたっ!





それにしても…バウの人数はまぁ通常どおりですが、相変わらず麻子さんの公演は人数少ないですねぇ(涙)。良基天音、美鳳あや、城咲あい、星条海斗……かえちゃんはともかく(←ごめんなさいっ!かえちゃん大好きですっ!!)、このあたりを休ませておくほど余裕のある組だとは思えないのですが……。
そして、こころ、ひまり、とーやん、まなちゃん、あちょうさん、紗蘭さん、鼓さん、みっしょん、理寿ちゃん、五十鈴さん、あんじー、りおん……。どちらにも出ない人のリストを見ていくと、だんだん信じられなくなってきます。DSにいったい何人出るんだよおい。

まだ発表されていないけど、もしかしてもう一本公演あるんじゃないの?とか思いたくなってききませんか。今回のシリーズでは月組は青年館を使わないので、その代わりに青年館だけで三日間、とか。あいあいが主演で、相手役マギー、組長みっぽーで。歌手が多くてなかなか見ごたえのある公演になりそうなんですけど(T T)。

……みっぽーとあいあいとマギーとみっしょんとりおんがあひちゃんのDSに出たりしたら、泣いてやる!!



.
劇団四季劇場「秋」にて、「劇団四季ソング&ダンス 55ステップス」を観劇してまいりました。


ちなみに、 ★☆★ただいまクリスマスカーテンコール中★☆★ でした(^ ^)。
ご興味のある方は、あと数日がチャンス!?(最近どっかの回し者率高いな私)



「ソング&ダンス」シリーズでは、8年前の「Over The Century」にハマって通いつめた過去がある猫。
アレ以来の「ソング&ダンス」でしたが、似ているところもあったし、似ていないところもありましたね。とりあえず、もはや「四季ファン」とは言えない猫にとっては、「あまりよく知らない人ばかりだった」という感じがどうしてもしてしまって……
それにしても、阿久津くんがヴォーカルパートの筆頭メンバーになる日が来ようとは!!

彼らが現実に『今が旬』のスターたちなのであって、『Over The Century』で唄ったり踊ったりしていたメンバーはこの数年で殆どが退団してしまったのだ、と、そんな現実にまだ向かい合えていないようです……。






構成・演出・振り付けは、もちろん加藤敬二。
でも、残念ながら加藤さんが出ている回は観られず、出演者は以下のとおりでした。

ヴォーカルパート:
阿久津陽一郎、高井治、李涛
井上智恵、早水小夜子、花田えりか

ダンスパート:
脇坂真人、岩崎晋也、西尾健治、萩原隆匡、松島勇気
厂原時也、斎藤洋一郎、徳永義満、神谷 凌

坂田加奈子、柴田桃子、高倉恵美、杏奈、泉春花
加藤久美子、須田綾乃、恒川愛、駅田郁美、斉藤美絵子




「アプローズ」で幕をあけ、「アイーダ」「ライオンキング」で、ぐっと観客を引き込み、盛り上げる。続いて「壁抜け男」を挟んで「ノートルダムの鐘」「メアリ・ポピンズ」「マンマ・ミーア」。そして「サウンド・オヴ・ミュージック」で客席を巻き込んで、「リトルマーメイド」でひと息いれて、ラストは「美女と野獣(BE OUR GUEST!)」で盛り上げて、幕。


宝塚の「La Festa!」は、“源流”ともいうべき民謡メドレーで幕をあけましたけれども。
四季は「財産」である作品、率直に言えば“今一番の稼ぎ頭”であるディズニーミュージカルで始まった、というのが面白いなーとあらためて思いました(^ ^)。
“偉大な作曲家を偲んで”というお題目を唱えつつ、自らの原点を大切にしようとする宝塚と、
常に貪欲に新しいものを求めて成長しつづけるパワーを持つ劇団四季。
どちらも、日本の興行界では化け物クラスの動員を誇りながら、かたやオリジナルを大切にし、スター制度に拘って観客の好みの多極化に悩み、かたや「大規模な商業ミュージカルで儲けを出してフランスや日本の良質な現代劇を提供したい」と語り、ファンの反対を押し切ってキャストホンを廃止してのける。

今年55周年を迎えた劇団四季と、
来年95周年を迎える宝塚歌劇団。

どちらも、100年後200年後まで元気に残ってくれますように、祈りつつ。
(…その前に、日本が無くなったりしませんように……)




さて。
それでは、印象に残った場面をいくつか。


「ライオンキング」より「早く王様になりたい」
ボクシングの試合を模した演出が面白かったです。今回は、他の曲がどれも原作のイメージを大切にした演出だったので、これだけすごく違っていて面白かった。




「ノートルダムの鐘」より「トプシー・ターヴィー」(阿久津陽一郎)
あ、あ、阿久津くん、すげーーーーっ!!
色っぽくてワルくて妖しい。凄かったです。それこそ「キャバレー」のMCとかやらせてみたいくらい色っぽかった!!どうにも「アイーダ」のラダメス(=筋肉で考えるタイプ)のイメージが強くて、こういう色悪ができるタイプだと思っていませんでした(^ ^;ゞ
ちょっとユダ(ジーザス・クライスト・スーパースター)とか観てみたい気がしました。

そして、この場面の立役者はもう一人。エスメラルダを踊った加藤久美子さん。
宝塚ファン的には、卒業した舞城のどかちゃん系のゴージャス美女。浅黒く肌を塗って、超オトコマエだった!他の場面でのダンスをみていると、ちょっと男っぽい直線的なダンスを得意とするタイプみたいで、柔らかい女性的なダンスはいまいちなのかな?と思ったのですが、ここのエスメラルダの振り付けは本当に男前で、あれをあれだけ男前に踊りきれるダンサーは少ないだろうなーと思いました。



「マンマ・ミーア」から、「この手をすり抜けて」(早水小夜子)
早水さんのドナは観たことがない(っていうか、保坂知寿さんしか観たことがない)のですが、今の早水さんなら観てみたいかも、と思いました。
しっとりとやわらかく、切なげなのにあたたかみのある声。末次美沙緒さんのような「母」そのものの存在感ではなくて、やっぱりこの人の当たり役はグリザベラ(CATS)なんだなあ、と思ってしまいますが、この曲はすごく良かったです。
ソフィの花田さんは可もなく不可もなく、って感じでした。下手ではないけど、印象に残らない歌を歌われる方ですね。




「美女と野獣」より「BE OUR GUEST!」
李涛さんのルミエールは、カジモド(「僕の願い」)より数段良かったです(*^ ^*)。カジモドはやっぱり、ビデオで吹き替えをした石丸幹二さんとか、Over The Centuryでしばらく担当していた道口瑞之さんとか、ああいう超美声で肺活量が半端なくてロングトーンを支えられるひとで聴きたい曲なのですが、ルミエールは解釈次第でいろんなアプローチがあるので。
李涛さんのルミエールは、ちょっとコミカルなルミエールで、可愛かったです(はぁと)
【注意※申し訳ありません!!コメント欄でご指摘いただきましたが、この曲を歌われたのは李さんではなく、松島勇気さんだそうです。大変失礼いたしましたm(_ _)m。】


群舞は黒燕尾。いや、振り付けはカッコよかったんですけど、、、
すみません、私は宝塚ファンなもんで、どうしてもみなさんの着こなしが許せません………(汗)。黒燕尾のパンツがだぶだぶってどゆことよっっ!?
一番キレイに着てたのは坂田&高倉のOver The Century組(しかも女性)だったのは偶然でしょうか…?黒燕尾ってそれ自体が“芸”なんですねぇ。

ま、文句は言いつつも、やっぱり振付はカッコよかったです。はい。盛り上がりましたよ、さすがに♪




二幕は、前半が劇団四季オリジナルミュージカル(昭和三部作含む)、後半がロイド=ウェッバー特集でした。で、ラスト前に「ヴァリエーションズ」が入って、「スーパースター」で〆、という構成。



「夢から醒めた夢」から「夢を配る」(阿久津陽一郎)
……阿久津配達人、キターーーーっ!!と興奮しました。
寡聞にして知らないんですけど、彼は配達人やったことがあるのでしょうか?ものすごく似合ってましたけどなにか。怪しげで妖しくて。
ちょっと楽しみな人になりましたわ♪



「ユタと不思議な仲間たち」から「夢をつづけて」(井上智恵)
三木たかしの名曲、作品のラストを見送る一曲ですが。
可憐なソプラノではなく、経験豊富な智恵さんの声で聴くと、ますます森新一か森昌子あたりがカバーしていそうなナンバーに聴こえて仕方が無い……(; ;)
公演タイトルが「ソング&ダンス」なんだから、「ユタ」から持ってくるにしても体力づくりにすればいいのにーとちょっと思ってしまいました。




ここから、「異国の丘」「李香蘭」「南十字星」と“昭和3部作”の音楽が流れるのですが……
正直、ショーの構成として、ここの流れの意味がよくわかりませんでした。
作品を象徴するナンバーはほとんど使われていないし、でも全体を通して一つの場面になっているわけでもない。扱いがすごく中途半端でした。もっと、作品を象徴する曲を1~2曲と、ダンスナンバーにできる曲(「ラグタイムバンド」はそのままでいいから、「バリ舞踊」をやめて李香蘭の「五族協和」にするとか…)を入れて構成した方がよかったのでは、と思うんですよね。

「李香蘭」を象徴する曲が「二つの祖国」なのは納得なのですが、「異国の丘」と「南十字星」は違うだろう!!自分とこの劇団が、思いをこめて(ちょっと押し付けがましいけど)メッセージとして発信していこうという作品なのに、この切り口はないんじゃないか、と思いました。




「ジーザス・クライスト・スーパースター」から「ピラトの夢」(高井治)
高井さんのピラトは本当に絶品ですが、この場面(「祖国」の次)にこの曲が流れるとちょっと驚きます。智恵ちゃんの「私は彼がわからない」ではダメだったんでしょうか……(涙)。




「CATS」から「ラム・タム・タガー」(阿久津陽一郎)
いやー、阿久津さんすっかり「ソング&ダンス」の顔ですね!!
たしかにこのメンバーだと阿久津くんしか唄う人居ないけど……びっくりしました。
色っぽくてかっこいいです。ちょっと乱暴だけど、まぁ魅力にマイってもいいかな!?と思いました(*^ ^*)。




「CATS」から「メモリー」(早水小夜子)
十八番、というのはこういうものを言うんですね。
Over The Centuryでも同じ曲を唄っていた早水さん、さすがの貫禄でした。
シラバブは花田さん。彼女はシラバブが一番良かったような気がします。純真無垢でなんの色もないから。

そして!!
月明かりの中、紅いドレスで踊る女(演出としてはOver The Centuryと同じだけど、振付は全然違いました。ダンスの方が前に出てくる感じ)の高倉恵美さんがあまりにも美しくて、本当にステキでした!
相変わらず、白くて滑らかで傷一つない背中が輝くようです。小顔で首が長くて腰が豊かでスタイル抜群!本当に美しかった……うっとり。




「オペラ座の怪人」より「ミュージック・オヴ・ザ・ナイト」(高井治)
これまた十八番とはこのことか、と思いました。はい。実は高井さんのファントムって一回か二回しか観ていないのですが、また観たいなあ~~~!!

クリスティーヌはかなり本格的なバレエで華を添える感じでした。斉藤美絵子さん。最後の方で男性のバレエダンサーも出てくるのですが、こちらは松島勇気さんだったのかな?
今回ダンサーパートは本当に脇坂さんと坂田さんと高倉さんくらいしか知っている人がいなくて、あまりのメンバーの変わりように心底びっくりしました(T T)。

バレエのレベルとかは良くわかりませんが(^ ^;ゞ、斉藤さんの踊りは素晴らしかったです。音もなくふわっと跳んで、ふわっと降りる、その時間の流れが何か不思議なくらいでした。
高井さんの美声に酔い痴れながら、あの踊りを観る幸せ……(*^ ^*)。



「エヴィータ」から「ブエノスアイレス」(井上智恵)
智恵さん本領発揮!これまた十八番!!
このあたりは。本当にベテラン陣が十八番を出しまくりで、本当に「ミュージカルの花束」本領発揮、って感じでした♪演出の流れもよかったし、楽しかった!!




そして。
盛り上がって、盛り上がって、盛り上がったところで!

「ソング・アンド・ダンス」より、「パガニーニのヴァリエーションズ」

もちろん、加藤敬二さんがいないんだからトップダンサーは坂田加奈子。
暗い舞台にピンスポが入った瞬間に、涙が出るほど懐しかった~!(感涙)。

大好きだった「ヴァリエーションズ」。
あの一場面のために通った…とは言えないけれども、あの場面がなかったらあれだけの回数はいかなかったかもしれません。そのくらい、大好きで大好きで、見飽きることのない場面でした。
加奈子ちゃんのヴァリエーションズ。

…加奈子ちゃん、すいぶん痩せました?いや、全体のバランスが女らしくなったせいかな?
8年前は、むくつけき(笑)男たちを従えて誰よりも男前だった加奈子ちゃん。今は、一回りほっそりと(回りが大きいのかな?)小柄になって、屈強な兵士たちに守られる姫君みたいでした。

ただ守られるばかりの花じゃないのはもちろんですけど、でも、“花”だった。
あの、加奈子ちゃんが。

……すごく不思議な光景、でした。



ああああ、こうなってみると、「ヴァリエーションズ」が観たかったのはもちろんだけど、どーして「コンタクト」のイエロードレスがないんだあああああっっっ!!と叫びたい(汗)。
色気のひとかけらも無かった時代でさえ、あんなに魅力的でカリスマに溢れたイエロードレスだった加奈子ちゃん。
今の彼女のイエロードレスは、文句なく最強かもしれないじゃないか!(ラインの補整も詰め物の詰めこみ方も、だーいーぶ巧くなったことだし!)観たい!観たいぞーーーーっ!!





ヴァリエーションズが終わったら、「ジーザス・クライスト・スーパースター」で締め。

そのあとフィナーレ(パレード?)があって、バンドの紹介があって……

いったん幕が降りる。


で。袖から齋藤洋一郎さんが登場。「I GOT RYTHEM」のタップでカーテンコールの始まりです。


曲目リストによると、この後はそれなりに曲を用意していたようですが、とりあえず「クリスマス特別カーテンコール」期間中は、タップが終わったらクリスマスソングメドレーになってました(^ ^)。
みんながサンタ帽かぶってくれて、盛り上がってましたよーーー♪




何度も何度も幕があがって、
何度も何度も感動を伝えることができて、
…とっても楽しかったです。




帰りには、舞台上で俳優さんたちが勢ぞろいして撮った写真をプレゼントしてくれました。
…芝さんがいたり、実際にその日の舞台に立っていた人が映っているわけではないのが残念でしたが(汗)、いい記念になりました。

来年になって、カーテンコールが通常に戻った頃に、もう一度行ってみようかなー、なーんて思ったりしつつ(^ ^)。
でもやっぱり、「Over The Century」は楽しかったなーーーーー(元ファンのぼやき)



.

La Festa!

2008年12月21日 宝塚全体・OG
六本木ヒルズのTOHOシネマにて、『タカラヅカスペシャル2008~La Festa!~』の中継を見てまいりました。



面白かった!

でも、

観たいものはあんまり映ってなかった(T T)

娘役とか、
若手とか、
若手娘役とか、
………とにかく、若手が!!



もちろん、トップさんはじめ、祐飛さん霧矢さんたち二番手陣はしーっかり映していただいてました。特に、祐飛さんに関しては今までこんなに映ったことがないのでちょっと驚いたくらい。
トップさんたちと一緒に勢ぞろい!なところでは端なので映りませんけど、それ以外はカメラがちゃんと回ってくるんですもんね……(感涙)。
だからこそ。
今まで、中継はあまり興味がなくて、大劇場のチケットが手に入らなかったときは潔く諦めていたのに、今年は中継で十分かな、と思ってみたりしたのですが……。

…甘かった!!


自分が、普段いかにいろんなトコに目移りして観劇しているか、心の底から思い知りました。
うん。
祐飛さんの出番なら祐飛さんしか映ってない画面を見凝めながら、チラッと後ろを通り過ぎたあの腕は誰っ!?とか。
そんなんばっかり気になって、

……集中できない(泣)。






まぁ、そんなこんなありましたけれども、総じて楽しい中継でした。
幕開き早々の民謡メドレーで、祐飛さんと霧矢さんが入れ替わるときに二人でくるくる回ったりするサービスが滅茶苦茶嬉しかった(*^ ^*)ありがとう石田さん!!と思いつつ。

他の場面でも終始霧矢さんと祐飛さん、ニコイチで並んでいらっしゃって……感涙でした。
しかも、「鳩間節」でも並んで踊ってるし!!懐かしすぎる!!(; ;)





民謡メドレーの間中、指揮の御崎恵さんが半被姿だったのが最高に嬉しかった。
しかも、民謡メドレーが一段落して幕が降り、轟さんと未沙さんが登場して「今年一年の作品を振り返る」コーナーが始まったとき。
ふたたび幕があがったときには、ちゃんと脱いでいたのがさすが!!
御崎さんのそういうセンスは最高だと思います♪
(一幕では髪を一部結んでいたのに、二幕で紹介されたときには完全に降ろしていて、トウコさんに「オスカル」と紹介されていたのもすごく楽しかった/笑)




「白州次郎」から始まったコントコーナーは、未沙さんの独壇場。
それでも、皆さん衣装もちゃんと着ての主題歌熱唱で、いろいろ思い出して懐かしかったです。
今年も良い作品たくさんありましたね♪

雪組さんは、リナレスとイスマヨールが会話しているところになぜかロジャーが花を届けに来るという設定で、ロ「これ、セリアさんに」イ「セリアは下(ドラマシティ)で農作業の準備をしてるが」という爆笑会話で盛り上がってから、キムちゃんとテルくんで主題歌を歌ってくれました。いやー、水くんたちが出られないから代理とはいえ、おいしいですねぇ二人とも(はぁと)。
しかしテルくんは歌うまくなりましたよね……(キムちゃんは前から巧いので)。

「アラビア」のトマスの衣装を着たまとぶんの男前っぷりにちょっと惚れ直しました。あの衣装、梅田まで運ぶの重かっただろうなあ(笑)。

麻子さんは「街灯に寄りかかって」。そっか、タイトル曲はデュエットですもんね。

トウコさんはもちろん「ひとかけらの勇気」。2008年度のK音楽賞を受賞したことが発表されて、かなり盛り上がっていました。昨日はどんなアドリブだったんでしょうね。
まぁ、賞をとるのも当たり前という気がする名曲で、名歌唱でした♪



一幕ラストは「レインボータカラヅカ」。
夢咲ねねちゃんと祐飛さんが組んでいるのが可愛くて可愛くて(はぁと)
……祐飛さん、ちょっと鼻の下伸びすぎです(^ ^)。




二幕はラテンメドレーが楽しかったのですが、これがもう、本当に!!
後列が映らない(T T)。
動きも早いので、映ってはいても対応しきれなくて流れていたり、とにかく誰が誰か見分けるのがすごーーーく難しかった(涙)。めおちゃんの後ろにみりおくんがいたり、とか、ついつい月組ファンとしては月組関連に反応しがちでしたが(笑)、どの組も結構シャッフルされて踊っていたみたいで、お稽古大変だったろうな~と思ったり。
でもやっぱり、こういう組を超えていろんなメンバーで踊るのがイベントの醍醐味なので、お稽古は大変だと思いますけど(泣)がんばっていただきたいなーと思います。

霧矢さんは風邪をひかれていたみたいでだいぶ苦しそうでしたけれども、最後まで笑顔で乗り切ってらして、終わったときには凄くホッとしました。ソロはどうしようもないけど、轟さんとのクリスマスソングは轟さんが唄ってくれたり、コーラスがフォローしたり、タカラヅカって暖かいなあと思いましたね。
ご本人もお辛かったでしょうけれども、東宝初日までの短い時間、しっかり治して、正月には笑顔を見せてくださいね!待っています!




祐飛さんは、久しぶりの黒髪ストレート。なんだかものすごく可愛かったです。
プログラムを見たとき、クリスマスメドレーで「ママがサンタにキスをした」を歌うというのが結構ショックだったのですが、意外に(失礼)似合ってました。
でも、投げキッスは……演出だったんですけど、ちょっとサムかったかも(^ ^;ゞ
祐飛さんにしてはよくがんばってたと思いますが(汗)。





トップさんたちは、一幕も二幕も皆さんすごいカッコよかったのに、二幕ラストのトークでなにもかもが吹っ飛んでしまいました(笑)。……はい、アフロトークの回を見ましたとも!
DVDに残ると轟さんが仰っていましたが (((^ ^;;;;; マジですか?>劇団
いやーーーー、
轟さんには、ぜひ月組伝統のレインボーアフロを被っていただきたかったわ~!

そして、群舞の二列目ど真ん中で笑い崩れているエリタンが可愛かったーー!
月組っ子(含めおちゃん)は、さすがにみんな平然と踊っていたなあ(←見慣れてますから)。月関係者だけでも、全員MYアフロ被っちゃえば良かったのに(^_^)(白黒二個ずつ持ってるはず)。


……あすかちゃんのピンクアフロが、めっちゃ可愛かったです。ええ。髭萌えにつづき、アフロ萌えか!?>自分






イベントは楽しい。
参加すればもっと楽しい!
…というわけで、来年は絶対、がんばってチケットをGetしてこの目で観るぞ!と決意しました☆
公演の隙間に、そしてお稽古の隙間に練習してこられたみなさま、本当に本当に、ありがとうございましたm(_ _)m。






花組大劇場公演「太王四神記」新人公演キャストが発表されました。



遅いなー遅いなーと思いながら待っていたのですが、もしかして小池さんはいつも遅いんでしょうか?小池作品で、主演以外の新公キャストが粗通しの時にやっと発表になって、それから稽古初日までにナンバーを覚えるのが大変だった、という話を聞いたことがあるのですが。

そういえば今日は梅田のスペシャルですね。お稽古はおやすみなのでしょうか?
下級生はみんな、今日明日でいろいろ覚えるのかしらん。




で。

れみちゃん、スジニ役おめでとう!!

猫の予想(11月25日の日記)はすべて外れてしまいました……。
本役がみわっち(愛音羽麗)だから、“いかにも娘役”らしいタイプのれみちゃんは無いだろうと思っていたのになー(^ ^;ゞ それとも、逆にみわっちが“いかにも娘役”な役に挑戦!するんでしょうか(^ ^)。



上級生の大御所は、ほぼ88期が占める(締める?)んですね。
91期の花峰千春さん(眉月さん)と、90期の芽吹幸奈ちゃん(絵莉さん)くらいじゃないですか。
花野じゅりあちゃんの役がきらりん(華耀きらり)だし、(初姫)さあやの役も、二つとも88期だし…
そう思うと、まぁ(朝夏まなと)くんも大御所チームってことになる……のかな?

花組88期は実力者が多いので、いい舞台になりそうですね。新公演出誰かなあ。ああ、本当に楽しみ!




ドラマを観ていないので、他の役がどんな役かわからないのですが……
卒業が発表されている望月理世ちゃんの“カクダン”が天宮菜生ちゃんってことは……やっぱり理世ちゃんの最後の役は男装してるけど女役は女役ってこと…?うーん、似合うでしょうし私は嬉しいけど、ファンの方は切ないでしょうねぇ。
せめてショーがあればいいのに。よりによってこの公演か……罪な人だ、理世ちゃん。



(桜)一花ちゃんの役が華月由舞ちゃんなのはめっちゃ嬉しいです。ぜーんぜんまーーーーったくキャラが違う一花ちゃんの役、由舞ちゃんがんばれ~!
銀ちゃんチームでは、瞳ゆゆちゃんと月野姫花ちゃんが野々すみ花ちゃんの二役をわけあい、梅咲衣舞ちゃんが“少年ホゲ”(白華れみ)。衣舞ちゃんと姫花ちゃんがタムドクとホゲの子供時代をやるのか~!可愛いなぁ~(*^ ^*)。



芝居上手でお気に入りの真瀬はるかさんは、まっつ(未涼亜希)の四神の一人“ヒョンゴ”。
同じく天真みちるさんが、銀ちゃんチームで一気に注目の的に(猫的に)なった紫陽レネさんの役なのも楽しみです。
しかし、前回真瀬くんと対の役だった日高大地くんは………がんばれ!!(^ ^;ゞ
スタイルとダンスという大きな武器があるんだから、今は焦らないで、お芝居を楽しむことを考えてみてくださいませ☆

銀ちゃんでさあやに遊ばれていた嶺乃一真くんは、みつる(華形ひかる)くんの“サリャン”。結構美味しい役っぽいし、「銀ちゃん」で結構お芝居の面白さを感じてくれたんじゃないかと思うので、がんばってほしいです。

そして!!煌雅あさひ&輝良まさとコンビ(←コンビ扱いしているのは猫だけですか?)は、アーサーがとみぃ(扇めぐむ)、輝良くんがマメ(日向燦)。……もしかして、ものすごーーーく楽しいのではないかしら?どんな役なんだろう……。
わくわくわくわく。


だいもん(望海風斗)の“ヒョンミョン”は、93期の大河凜さん。実は結構お気に入りなので嬉しいです。どんな役かな~♪
まぁ、だいもんは今回初主演だから、本役は軽い役かもしれませんけどね☆


まぁ、作品を観ていないので細かいところはおいといて。
初日まであと10日!本番直前の、お稽古も佳境にはいったところでのスペシャルイベントがあったりして大変でしょうけれども、体調を整えてがんばってほしいです。
上級生も下級生も(^ ^)、花組っ子がんばれ~~~!!


.
先週から、同じタイトルで似たような内容の文章を5000文字くらいずつ3回は書いていたのですが。
……そのたびに、いろんなことが起きて消えてしまって終了しておりました。

他のタイトルのはちゃんと書き込めたのにっっっ!!

何か呪いにでもかかったような気分です。



……でも諦めないもん。




だーいーぶー昔ですが、「銀ちゃんの嘘」Part8はこちらです♪
http://80646.diarynote.jp/200810270313082313/

小夏と朋子のプールサイドテラス対決、までで終わっておりましたので、続きを(^ ^)。


仲良く袖にハケていく銀ちゃんと朋子の後姿を見送って、ちいさく溜息をついた小夏。
「銀ちゃん、さ よ な ら …」

かすかに宙を彷徨って思い出を辿る小夏の瞳が、切ない。





初見(ドラマシティの初日があけてすぐ)の時、すみ花ちゃんは、ここでひどく悲しそうな瞳をしていたような気がしました。
“若い女の子”とイチャイチャしながら去っていく銀ちゃんの後姿を、追いかけて行きたそうに見えたのだと思います。



でも。
ドラマシティの後半に観た時、そして、青年館に来たときには、はっきりと違っていた。

銀ちゃんと朋子を見送って、軽く肩をすくめる小夏。
瞳が宙を泳ぐのは同じなのですが、なんとなく、「さよなら」を言うために銀ちゃんの面影を探しているような、そんな印象がありました。


この場面でのたった一言と、その次のヤスのアパートでの

「料理ながら俺が」
「いいのよ。……あたし、やりたいんだから」

というやりとりの優しさと。


たったこれだけのこと(いや、他にも細々いろいろ違っていたのですが)で、「ヤスを選ぶことに決めた小夏」が描き出されたことに驚いたのです。





歌劇誌だったか何だったかで、「最終的に小夏は、撮影所に戻る」という作者のコメントがありました。
たしかに、「蒲田行進曲」の小夏は、当然のように『銀ちゃんもヤスも捨てて、撮影所を選ぶ』女優です。ヤスのことはなんとも思っていない(いい人だとは思っている)し、銀ちゃんのことさえ、最終的には「これは愛ではないのではないか?」と気づく、そういう関係。

「銀ちゃんの恋」初演の風花舞嬢の小夏は、『銀ちゃんを選んで共に撮影所へ戻る』女だった、と思います。もちろん、ストーリーとしてそこまでは描かれてはいませんし、私はとにかくビデオでしか観ていないので舞台とは印象が違うかもしれませんが、とにかく「ヤスを選ぼうとして、そうすれば小さな幸せを得られるとわかっていたのに、諦められなかった女」に見えたのです。


だけど。


すみ花ちゃんの小夏は、ヤスを選ぶ小夏だった!!


今にして思えば、ドラマシティの初日頃は、まだ迷いがあったのでしょうね。
すみ花ちゃんにも、そして、作者である石田さん自身にも。
原作とも初演とも違うキャラクターで許されるのか、十分な説得力をもって演じ切れるのか、演出に矛盾は無いか、拾いきれていない伏線はないか、と、あれこれ迷い道を辿っている途中だったのではないか。


でも、ドラマシティの後半あたりには、勝負がついていましたね。
もちろん、すみ花ちゃんの勝ち、で。

すみ花ちゃん(と石田さん)が造形した小夏の、あの一分の隙もない説得力。最初からそういう設定だったとしか思えなかった、小夏のキャラクター。
二幕ですみ花ちゃんが歌う「でも、幸せ♪」のソロの説得力といったら!

あの同じ歌を“自分に言い聞かせるように”歌って説得力をもたせていた優子姫の小夏ももちろん素敵だったし、
心の底から幸せいっぱい、みてよあたしのこの笑顔!!という勢いで歌いきったすみ花ちゃんも、本当に素晴らしかった。

二人の小夏を、(片方はビデオだけど)観ることが出来て、良かった。
そして、二人の小夏を演出してのけた石田さんって、意外とすごい人なんじゃない?と思ったりもするのです(^ ^)。





ヤスのアパートで。

プロポーズされた小夏が、
「“じゃあ”って、なによ…」
と突っ込みながら、そのまま手をついて
「お願いします」
と言うとき。


すみ花ちゃんの脳裏には、このとき銀ちゃんはいないんだな、と思いました。

ヤスに、「俺、小夏さんを幸せに…」って言われて、初めて銀ちゃんを思い出す。
優しい小夏。

そうしてはじめて、

「すみません」

と、言葉が形をなす。



あのひとのこと、忘れられるかどうかわからないけど。
あんたと一緒に、「銀ちゃんかっこいいー!」って、言ってても、いい……?





そして。
この純粋で優しい小夏にあまりにもよくお似合いだった、みつるくんのヤス。
ただただ純粋に、小夏という“大女優”に憧れ、その傍にいられるだけで幸せになってしまう、そんな、ヤス。


突然頭を下げるすみ花ちゃんの小夏に慌てて、
「俺、小夏さんを幸せにしますから!」
と言うみつるくんの幸せそうな、照れたような笑顔。


この場面は、ものすごく痛い場面だと思っていたのに、あまりの幸せオーラに思わず焦ってしまうほど、普通の場面になっていたことに驚きました。
それが、新しい「銀ちゃんの恋」。
それが、花組の「銀ちゃんの恋」でした。

祐飛さん、すみ花ちゃん、みつるくん。
3人とも、見事に「自分の役」にしていたな、と、それが何より嬉しかったです(*^ ^*)。






第十場 銀四郎と朋子のデート

朋子(華耀きらり)が本当に本当に本当~~~っっっ!!に可愛いっ!!
ミニスカートからのぞく脚が最高です。長くてまっすぐで細くて、バービー人形みたい。
元水泳部の立派な肩幅と首のラインの美しさ。とにかく今回露出が多い衣装ばかりだったのに、ホントにマネキンが動き出したみたいでいやらしさがないのが最高でした。どんな衣装着ていても清潔感があって可愛い♪♪
あの独特の声も、いちいち不思議感のある仕草のひとつひとつまでしっかり計算されていて、銀ちゃんが振り回されるのも当たり前、って感じだったし。

本当に良かったです。
………謎な人ではありましたが。


プールサイドテラスで小夏と対決したときには、(多分)まだプラトニックだった銀ちゃんと朋子さん。
この場面のラストに「恋はやっぱり、プラトニックの方が夢があるなあ…」と言わしめているということは、当然このデートの前に“プラトニックじゃなくなった”わけですよね?(*^ ^*;)ゞ
#ちなみに、インラインスケートの練習が終わったあとそのままホテルに行ったんだろうと確信していますが何か?(汗)

銀ちゃんは結構あからさまに態度が変わっているのに、朋子さんはなーんにも変わらない。
「女」だなあ、と思いました。
小夏という“元カノ”の登場で、二人の関係を先に進めることを決意した朋子さんは、見た目の人形じみた可愛らしさからは想像もできないほど怖いオンナで、そこまでのキャラクターをきちんと演じられていたきらりんは本当に素晴らしい♪と、きらりんファンの猫は、思っていたりします☆




……大好きなきらりんの出番が終わったところで、今日はおしまいにします。
続きはまた、近いうちに。



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