青山劇場にて、ブロードウェイミュージカル「パル・ジョーイ」を観劇してまいりました。
主要人物は以下のとおり。
ジョーイ 坂本昌行
ヴェラ 高畑淳子
グラディス 彩吹真央
リンダ 桜乃彩音
マイク 青山明
アンサンブルは、ほぼ全員が名前もついている通し役で、歌も歌える個性的なダンサーぞろいでした。宝塚ファンとして、山田裕美子さんが出ていらっしゃたことを書いておこう。他にも、元四季の方とか、他の舞台で拝見したことがある方が何人かいましたが、よく知っているというほどの人はいなかった、かな。
メインキャストもアンサンブルも、歌も踊りも両方高水準な人が揃っていて、主催・東京グローブ座にふさわしい、なかなか手堅い座組だったと思います。
作曲はリチャード・ロジャース、作詞はローレンツ・ハート。ハマースタインと組む前のロジャースの名作のひとつで、私も何曲かCDなどで聴いたことがありましたが、「よく知っている」という感じではないかなあ。
今回の翻訳・訳詞・演出は吉川徹さん。座組の印象以上に手堅い演出だったような気がします。
なんていうか、全体的に「手堅い」というか……歌う人も踊る人もみんな巧いんだけど、ぶっちゃけ華が足りない、っていうのが感想かな。
作品としての「古さ」とか、「時代に合わない」みたいなのはありませんでした。ショーシーンがふんだんにあって、なかなかに色っぽい、面白い作品だったと思います。。
1930年代。
流れ者のクラブシンガー、ジョーイは、いつか自分の店を持ち、自分にしかできない夢のショーを創る、という野望を抱いて、アメリカ東部をうろうろしている。
そんな彼がやってきたのは、シカゴのチープなナイトクラブ「サウスサイド」。残念ながらシンガーもダンサーも足りていると言われた彼は、MCの職を得る。
その店には、昔の恋人・グラディスがスター歌手として働いていた……。
女の子とみれば手当たり次第なジョーイは、店の女の子たちとよろしくやりつつ、街のコーヒーショップですれ違った女の子(リンダ)をナンパしたりして、グラディスをイラつかせる。そんなとき、ふと気まぐれで「サウスサイド」に現れた大富豪夫人のヴェラを口説いてモノにしたジョーイは、ヴェラに「サウスサイド」を買い取らせ、「シェ・ジョーイ」と店名も変えさせて、自分の思う通りの斬新なショーを上演する……。
基本的にこの物語は、「蒲田行進曲」と同様、主役はジョーイではなく、彼を取り巻く三人の女性たちなのだ、と思いました。
だから、「蒲田」の銀ちゃんが強烈な個性で作品の象徴たることができたように、タイトルロールであるジョーイも、強烈な何か(魅力)を見せてくれないことには、作品がなりたたないんですよね。
とにかく、どんなにひどいことをされてもジョーイが好きと思う女が三人も出てくるわけなので、それに説得力がないと観ていて入り込めない。
そして。
非常に残念なことに、坂本昌行さんっていうのはそういう役者じゃないんだなーと思ってしまいました(T T)。
姿も良いし歌えるし踊れるし、ジャニーズ事務所とは思えない(失礼)実力派の俳優だと思うのですが、どうもピンと来ないんですよね。なんだろう。どうにもこういう、、、破滅型というか、妄想型の役は似合わないタイプ。
彼の主演作も何作か観ているはずなんですが、あまり印象に残らないんですよ、いつも。なんていうのかな、ハチャメチャさが足りない、とかが近いのかな?
逆に、正直者でまっすぐな青年役みたいなのを観たことがないんですよね。そういうのの方が嵌りそうな気がする。「クレイジーフォーユー」のボビーみたいな、明るいハッピーミュージカルの青年役。。
作品内容もなにもかも全然違うんですけど、「パル・ジョーイ」を観ながら、昔観た東宝の「ハウトゥサクシード」を思い出しました。宝塚で真矢みきさんがやったやつでも、最近の西川貴教さんのでもなく、高島政伸さんのフィンチ&高嶺ふぶきさんのローズマリー版なんですが。
フィンチとジョーイ、全然違う役なんですけど、ちょっとした共通点があると思うんですよね。つまり、どちらも女性視点で冷静にみると非常に「嫌な奴」である、ということ。
でも、そういう「最低の男」を魅力的に見せるのがスターの仕事 で、そういう仕事ができる「スター」は とりあえず宝塚にはたくさんいるけど、外部にはあまりいない んですよ、多分。
「ハウトゥサクシード」を観た時、「どうしてこんなサイテー男が主人公の話が宝塚で受けたんだろう?」と思ったのですが、まあいろいろ変更もされているんでしょうけれども、たぶん、主人公自身がもつ魅力というか輝きが段違いなんだろうな、と思ったんですね。真矢みきだから許された。私は観たことはないのですが、たぶん、そんな感じなんだろうな、と。
「蒲田行進曲」もそうですよね。銀ちゃんも相当なサイテー男です。でも、彼が愛されることに違和感は感じない。それは、銀ちゃんが魅力的だからだと思うんですよ。
フィンチも本来はそうなんだろうし、ジョーイもそうでなくてはいけない。春に観た「The Music Man」の西川貴教さんも、ケチな詐欺師のくせにめちゃめちゃ可愛くて魅力的でした。自分の夢のために手段を選ばない男は、嫌な男だけど魅力的なんですよね。それも、女を食い物にするタイプの「サイテー男」には、女たちが次々に彼に惚れてしまうだけの魅力が必要です。
たぶん、そういうのをひっくるめて「セックスアピール」っていうんだろうなあ……。うーん、坂本くんのファンの方は、彼にセックスアピールを感じるのかしら。そのあたりが微妙に謎だな。
せめて、作品がコメディだったらなあ、だいぶ印象が違うんだけど。作品自体には多少のコメディ要素があったけど、演出がすごくシリアスだったからなあ……。
そんなわけで。
登場人物はみんな魅力的で楽しかったし、みどころの多い作品でしたが、坂本くんのファンではない私には、ラストシーンが余計だとしか思えませんでした。
(以下、ネタばれしています。注意)
ヴェラに捨てられ、シカゴを出ていくジョーイ。最後に人手に渡った「シェ・ジョーイ」に来てぼーっとしていると、グラディスが現れる。
「これからどうすんの?」
「ニューヨークに戻るよ。もう一度(ショースターとして)がんばってみる」
「そう。あんたは飽きっぽいけど、今度こそ最後まで、くじけないでね。……あたしはここ(シカゴ)でもう少しがんばってみるわ」
「そうか」
「近くへ来たら寄って頂戴」
「もちろん」
みたいな、そんなありきたりな会話をして、別れていく二人。
……いらん。絶対いらん。
この会話の内容とか、、オリジナル通りなんだろうか。ここまでをあれだけ皮肉な肉付けをしてきたのに、ここでひっくり返すとかアリ!?
こんなシーンで終わるくらいだったら、もっと宝塚っぽく、「シェ・ジョーイ」で過去を振り返り、もう一度原点に戻ることを決意したジョーイがソロ歌でも一曲歌って終わらせ、最後にフィナーレをつけたほうが何十倍もいいと思う。
宝塚って偉大だなあ。偉大なるワンパターンって偉大だなあ……。
■ヴェラ(高畑淳子)
大富豪夫人。ある夜、気まぐれに安酒場「サウスサイド」に足を踏み入れて、ジョーイと出会う。
素晴らしかった!
おっとりとした大富豪夫人の貫録と、豊満なカラダ。大富豪の夫は事業に忙しくて家にはほとんどいない。その寂しさを慰める若いツバメがたくさん居ても、何か満たされない、怯えた少女のような一面が隠しきれない。
彼女を見ていると、そんな貴婦人がジョーイに惹かれた過程がよくわかります。言いなりのイエスマンしかいなかった女性が、初めてであった反骨精神、若さ故のクリエイティブなエネルギーに灼かれてしまったのだ、と。
ただ、彼女に対抗するには坂本くんのジョーイはあまりにも小粒だった、という気がしますけどね。
初めて愛し合った翌朝に歌うソロ「Bewitched」の感動と、二人の別れの場面でのリプライズ。
涙をいっぱいに溜めた目で、じっと恋しい男を見凝めながら、「もう終わりよ」と告げる、貴婦人のプライドが素晴らしい。本当に素晴らしかった!!
最後にリンダに会いに来るところも凄く好きです。
皮肉な結末だけど、彼女の人生はたぶん豊かになったと思う。ジョーイに出会う前よりも。そう、感じさせてくれた女優に、乾杯。
■グラディス(彩吹真央)
ジョーイの昔の恋人。「サウスサイド」のスターシンガー。
卒業後、初のミュージカルにして、2時間半の上演時間のほとんどを、ダルマで過ごしてくれたユミコさん。
あの美脚を出しっぱなしにしてくれた衣装の小林巨和さんに感謝!一幕の途中の、レーシーな細身のシースルードレスをダルマの上に着ていた衣装が一番好きです。
髪形も衣装(←ダルマに限らず!)も、とても似合っていて素敵でした♪。パンフレットの写真とは雲泥の差(*^ ^*)。
ただ。色気なんて全く期待してなかったけど、それにしても、あの役で脚を全開にするような振付とかもあるのに、ひとかけらの色気も無いのはすごい(感心)。美脚すぎるのも考えものかも。あまりにも細すぎ&長すぎで、色気が感じられない。胸元はがんばって造ってたのになあ。特に今回、アンサンブルの女性陣がみなさん脚はムチムチ系の色気で勝負!タイプが多かったので、ユミコさんの美脚が浮いてましたね(涙)。
それにしても、本当にスタイルが良い!!それだけでも十分、「スター」でした。
歌もさすが。ただ、ユミコさんの声はどちらかというと癒し系なので、グラディスのナンバーはもう少しパンチのある声で聴いてみたいな、と思ったところもありましたが……。
■リンダ(桜乃彩音)
田舎からシカゴに出てきたばかりの純真な少女。コーヒーショップでジョーイにナンパされ、恋心を抱く。
彩音ちゃんは、、、変わらないなあ、と思いました。宝塚時代と同じ芝居をしている感じ。
でも、その空気を読まない感じが、今回の役にすごく似合っていて、はまり役でした。
ジョーイに片思いして右往左往するところとか、とにかく可愛い!って感じでした♪
歌も真飛さんと組んだころからどんどん安定してきてましたが、今回あらためて聴いて、リンダの音域はOKなんだな、と思いました。
ジョーイとのデュエットも、ヴェラとのデュエットも、どちらもとてもよかったです!
■マイク(青山明)
「サウスサイド」のマネージャー。故郷の田舎に帰って小さな店を持つのが夢の小心者。
はまり役すぎて笑っちゃいました(^ ^)一曲だけ、ショーシーンで歌ってくれたのが嬉しかったなあ。
いやー、相変わらずいい声でした♪
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主要人物は以下のとおり。
ジョーイ 坂本昌行
ヴェラ 高畑淳子
グラディス 彩吹真央
リンダ 桜乃彩音
マイク 青山明
アンサンブルは、ほぼ全員が名前もついている通し役で、歌も歌える個性的なダンサーぞろいでした。宝塚ファンとして、山田裕美子さんが出ていらっしゃたことを書いておこう。他にも、元四季の方とか、他の舞台で拝見したことがある方が何人かいましたが、よく知っているというほどの人はいなかった、かな。
メインキャストもアンサンブルも、歌も踊りも両方高水準な人が揃っていて、主催・東京グローブ座にふさわしい、なかなか手堅い座組だったと思います。
作曲はリチャード・ロジャース、作詞はローレンツ・ハート。ハマースタインと組む前のロジャースの名作のひとつで、私も何曲かCDなどで聴いたことがありましたが、「よく知っている」という感じではないかなあ。
今回の翻訳・訳詞・演出は吉川徹さん。座組の印象以上に手堅い演出だったような気がします。
なんていうか、全体的に「手堅い」というか……歌う人も踊る人もみんな巧いんだけど、ぶっちゃけ華が足りない、っていうのが感想かな。
作品としての「古さ」とか、「時代に合わない」みたいなのはありませんでした。ショーシーンがふんだんにあって、なかなかに色っぽい、面白い作品だったと思います。。
1930年代。
流れ者のクラブシンガー、ジョーイは、いつか自分の店を持ち、自分にしかできない夢のショーを創る、という野望を抱いて、アメリカ東部をうろうろしている。
そんな彼がやってきたのは、シカゴのチープなナイトクラブ「サウスサイド」。残念ながらシンガーもダンサーも足りていると言われた彼は、MCの職を得る。
その店には、昔の恋人・グラディスがスター歌手として働いていた……。
女の子とみれば手当たり次第なジョーイは、店の女の子たちとよろしくやりつつ、街のコーヒーショップですれ違った女の子(リンダ)をナンパしたりして、グラディスをイラつかせる。そんなとき、ふと気まぐれで「サウスサイド」に現れた大富豪夫人のヴェラを口説いてモノにしたジョーイは、ヴェラに「サウスサイド」を買い取らせ、「シェ・ジョーイ」と店名も変えさせて、自分の思う通りの斬新なショーを上演する……。
基本的にこの物語は、「蒲田行進曲」と同様、主役はジョーイではなく、彼を取り巻く三人の女性たちなのだ、と思いました。
だから、「蒲田」の銀ちゃんが強烈な個性で作品の象徴たることができたように、タイトルロールであるジョーイも、強烈な何か(魅力)を見せてくれないことには、作品がなりたたないんですよね。
とにかく、どんなにひどいことをされてもジョーイが好きと思う女が三人も出てくるわけなので、それに説得力がないと観ていて入り込めない。
そして。
非常に残念なことに、坂本昌行さんっていうのはそういう役者じゃないんだなーと思ってしまいました(T T)。
姿も良いし歌えるし踊れるし、ジャニーズ事務所とは思えない(失礼)実力派の俳優だと思うのですが、どうもピンと来ないんですよね。なんだろう。どうにもこういう、、、破滅型というか、妄想型の役は似合わないタイプ。
彼の主演作も何作か観ているはずなんですが、あまり印象に残らないんですよ、いつも。なんていうのかな、ハチャメチャさが足りない、とかが近いのかな?
逆に、正直者でまっすぐな青年役みたいなのを観たことがないんですよね。そういうのの方が嵌りそうな気がする。「クレイジーフォーユー」のボビーみたいな、明るいハッピーミュージカルの青年役。。
作品内容もなにもかも全然違うんですけど、「パル・ジョーイ」を観ながら、昔観た東宝の「ハウトゥサクシード」を思い出しました。宝塚で真矢みきさんがやったやつでも、最近の西川貴教さんのでもなく、高島政伸さんのフィンチ&高嶺ふぶきさんのローズマリー版なんですが。
フィンチとジョーイ、全然違う役なんですけど、ちょっとした共通点があると思うんですよね。つまり、どちらも女性視点で冷静にみると非常に「嫌な奴」である、ということ。
でも、そういう「最低の男」を魅力的に見せるのがスターの仕事 で、そういう仕事ができる「スター」は とりあえず宝塚にはたくさんいるけど、外部にはあまりいない んですよ、多分。
「ハウトゥサクシード」を観た時、「どうしてこんなサイテー男が主人公の話が宝塚で受けたんだろう?」と思ったのですが、まあいろいろ変更もされているんでしょうけれども、たぶん、主人公自身がもつ魅力というか輝きが段違いなんだろうな、と思ったんですね。真矢みきだから許された。私は観たことはないのですが、たぶん、そんな感じなんだろうな、と。
「蒲田行進曲」もそうですよね。銀ちゃんも相当なサイテー男です。でも、彼が愛されることに違和感は感じない。それは、銀ちゃんが魅力的だからだと思うんですよ。
フィンチも本来はそうなんだろうし、ジョーイもそうでなくてはいけない。春に観た「The Music Man」の西川貴教さんも、ケチな詐欺師のくせにめちゃめちゃ可愛くて魅力的でした。自分の夢のために手段を選ばない男は、嫌な男だけど魅力的なんですよね。それも、女を食い物にするタイプの「サイテー男」には、女たちが次々に彼に惚れてしまうだけの魅力が必要です。
たぶん、そういうのをひっくるめて「セックスアピール」っていうんだろうなあ……。うーん、坂本くんのファンの方は、彼にセックスアピールを感じるのかしら。そのあたりが微妙に謎だな。
せめて、作品がコメディだったらなあ、だいぶ印象が違うんだけど。作品自体には多少のコメディ要素があったけど、演出がすごくシリアスだったからなあ……。
そんなわけで。
登場人物はみんな魅力的で楽しかったし、みどころの多い作品でしたが、坂本くんのファンではない私には、ラストシーンが余計だとしか思えませんでした。
(以下、ネタばれしています。注意)
ヴェラに捨てられ、シカゴを出ていくジョーイ。最後に人手に渡った「シェ・ジョーイ」に来てぼーっとしていると、グラディスが現れる。
「これからどうすんの?」
「ニューヨークに戻るよ。もう一度(ショースターとして)がんばってみる」
「そう。あんたは飽きっぽいけど、今度こそ最後まで、くじけないでね。……あたしはここ(シカゴ)でもう少しがんばってみるわ」
「そうか」
「近くへ来たら寄って頂戴」
「もちろん」
みたいな、そんなありきたりな会話をして、別れていく二人。
……いらん。絶対いらん。
この会話の内容とか、、オリジナル通りなんだろうか。ここまでをあれだけ皮肉な肉付けをしてきたのに、ここでひっくり返すとかアリ!?
こんなシーンで終わるくらいだったら、もっと宝塚っぽく、「シェ・ジョーイ」で過去を振り返り、もう一度原点に戻ることを決意したジョーイがソロ歌でも一曲歌って終わらせ、最後にフィナーレをつけたほうが何十倍もいいと思う。
宝塚って偉大だなあ。偉大なるワンパターンって偉大だなあ……。
■ヴェラ(高畑淳子)
大富豪夫人。ある夜、気まぐれに安酒場「サウスサイド」に足を踏み入れて、ジョーイと出会う。
素晴らしかった!
おっとりとした大富豪夫人の貫録と、豊満なカラダ。大富豪の夫は事業に忙しくて家にはほとんどいない。その寂しさを慰める若いツバメがたくさん居ても、何か満たされない、怯えた少女のような一面が隠しきれない。
彼女を見ていると、そんな貴婦人がジョーイに惹かれた過程がよくわかります。言いなりのイエスマンしかいなかった女性が、初めてであった反骨精神、若さ故のクリエイティブなエネルギーに灼かれてしまったのだ、と。
ただ、彼女に対抗するには坂本くんのジョーイはあまりにも小粒だった、という気がしますけどね。
初めて愛し合った翌朝に歌うソロ「Bewitched」の感動と、二人の別れの場面でのリプライズ。
涙をいっぱいに溜めた目で、じっと恋しい男を見凝めながら、「もう終わりよ」と告げる、貴婦人のプライドが素晴らしい。本当に素晴らしかった!!
最後にリンダに会いに来るところも凄く好きです。
皮肉な結末だけど、彼女の人生はたぶん豊かになったと思う。ジョーイに出会う前よりも。そう、感じさせてくれた女優に、乾杯。
■グラディス(彩吹真央)
ジョーイの昔の恋人。「サウスサイド」のスターシンガー。
卒業後、初のミュージカルにして、2時間半の上演時間のほとんどを、ダルマで過ごしてくれたユミコさん。
あの美脚を出しっぱなしにしてくれた衣装の小林巨和さんに感謝!一幕の途中の、レーシーな細身のシースルードレスをダルマの上に着ていた衣装が一番好きです。
髪形も衣装(←ダルマに限らず!)も、とても似合っていて素敵でした♪。パンフレットの写真とは雲泥の差(*^ ^*)。
ただ。色気なんて全く期待してなかったけど、それにしても、あの役で脚を全開にするような振付とかもあるのに、ひとかけらの色気も無いのはすごい(感心)。美脚すぎるのも考えものかも。あまりにも細すぎ&長すぎで、色気が感じられない。胸元はがんばって造ってたのになあ。特に今回、アンサンブルの女性陣がみなさん脚はムチムチ系の色気で勝負!タイプが多かったので、ユミコさんの美脚が浮いてましたね(涙)。
それにしても、本当にスタイルが良い!!それだけでも十分、「スター」でした。
歌もさすが。ただ、ユミコさんの声はどちらかというと癒し系なので、グラディスのナンバーはもう少しパンチのある声で聴いてみたいな、と思ったところもありましたが……。
■リンダ(桜乃彩音)
田舎からシカゴに出てきたばかりの純真な少女。コーヒーショップでジョーイにナンパされ、恋心を抱く。
彩音ちゃんは、、、変わらないなあ、と思いました。宝塚時代と同じ芝居をしている感じ。
でも、その空気を読まない感じが、今回の役にすごく似合っていて、はまり役でした。
ジョーイに片思いして右往左往するところとか、とにかく可愛い!って感じでした♪
歌も真飛さんと組んだころからどんどん安定してきてましたが、今回あらためて聴いて、リンダの音域はOKなんだな、と思いました。
ジョーイとのデュエットも、ヴェラとのデュエットも、どちらもとてもよかったです!
■マイク(青山明)
「サウスサイド」のマネージャー。故郷の田舎に帰って小さな店を持つのが夢の小心者。
はまり役すぎて笑っちゃいました(^ ^)一曲だけ、ショーシーンで歌ってくれたのが嬉しかったなあ。
いやー、相変わらずいい声でした♪
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