月組新人公演「アルジェの男」つづき。


メインの3人については書かせていただきましたので、他のメンバーについて。

◆アンリ(珠城りょう/明日海りお)
元々の持ち味の素朴さとガタイの良さ。それがあいまった「朴訥さ」がいかにも軍人らしくて、「不器用な男」という感じがとても嵌っていたと思います。
秘めた恋、というのとはちょっと違う感じでしたが(アナ・ベルとどうこうなりたいようには見えなかったので)、彼女を守ることで満足していた男が、守るべきものを喪った時に抱く絶望がしみじみと心に沁みました。何のために生きているのか、という絶望……なんでしょうか、あれは。

ラストシーン、銃の構え方がキマっていて格好良かった!ピタリと構えたその姿勢が、殺人機械として軍隊にいた時間を思わせて、アナ・ベルの傍にひっそりと立っていた彼とは全くの別人のようで。……痛々しい立ち姿だな、と。
その後のハケが花道を戻る形に変更されていましたが(本公演のアンリは、そのまま空港の門をくぐっていく)、あの役づくりだったらその場で自分の頭を撃った方が自然かも、と思いました。



◆エリザベート(咲希あかね/彩星りおん)
いや、もう、可愛くて可愛くて!!
本役のりおんが「プライドの高さ」を表に出した「可愛げのない女」(しかも、本人もそれを自覚している)という印象だったのに対して、ちゅーちゃんは「意地っ張りな少女」で押し通していた気がします。
ボランジュ邸での最初の出会いでの興味の持ち方も、りおんは「お父様がまた酔狂なことを」くらいな感じなのに、ちゅーちゃんは「あら、この生き物はなぁに?」みたいな、そんな目線を感じました。
美人だし、しっかりしているし、幼い感じは全然しないんだけど、「少女」でいられる人なんですよね、ちゅーちゃんは。エリザベートという役は、あくまでも「娘役」の大役であって、元々の持ち味が「女役」のりおんには案外ハードルの高い役だったんだな、と改めて思いました。

いやもう、ちゅーちゃん、本当に可愛かった!!(*^ ^*)。歌も良かったし、衣装もどれもすごく似合ってて、何よりゆりやんとの並びがゴージャスで♪
新公卒業してからも、ますますの活躍を期待しています!!



◆アナ・ベル(愛風ゆめ/花陽みら)
私、ゆめちゃんの声が大好きなんです。台詞の声も歌声も、すごく好き。ずっと聴いていたいと思う。
……でも、今回も化粧がとっても残念でした(T T)。元は美人だと思うんだけどなあ、、、どうしてああなっちゃうんだろう(泣)。
ちょっと華やかすぎるというか、ぶっちゃけケバいと思うんです。アナ・ベルという役に合ってない。もっと清楚な、おとなしくてピュアで、浮世離れしたお嬢さんに見えてほしい。
声だけ聴いているぶんには十分そういう雰囲気があるし、「目が見えない」芝居とか、ピアノとか、技術的に難しいこともちゃんとクリアできていると思うんですが、顔を見るとちょっと違う……という気がしてなりませんでした。
……せっかくの美人なのにーーーー!(惜しい)



◆ボランジュ総督(有瀬そう/越乃リュウ)
落ち着きと貫録があって、いかにも「偉い人」らしい総督っぷりでした!最初にジュリアンを連れて帰ってきた晩、彼を放置して書類を読んでいる姿とか、すごく良かったです。落ち着きのないゆりやんと威厳のある総督の対比が見事。
有瀬くん、下級生だと思っていたのに、いつの間にか新公の長なんですよねぇ。下級生の頃から篁くんと並んで印象的だった彼女も、これから本公演で使われるようになるといいなあ。



◆ボランジュ夫人(舞乃ゆか/花瀬みずか)
この公演で卒業するゆかちゃん。美人で芝居がうまくて、大好きだったのでとても残念ですが、最後に美しくてコケティッシュな大人の女性を好演してくれて、とても嬉しかったです。

ボランジュ氏が愛し、ジュリアンが大切に思う、浮世離れした女性。
「あれの良さは、君にはわかるまいな」
という総督の独白がしみじみと心に沁みる、素敵なルイーズでした(^ ^)。



◆シャルドンヌ夫人(白雪さち花/邦なつき)
◆ミシュリュー内相(貴千碧/星条海斗)
美しくて、華やかで、そして色っぽい、完璧なポーラ(*^ ^*)と、色っぽくてワルい内相。
お二人の並びもお似合いで、すごく良かったと思います。なんか、今更ですけど月組91期の人材豊富さって凄いなあ……(感心)。

それにしても、さち花ちゃんには本当にやられました。一癖も二癖もある貴婦人の貫録、内相を掌で転がしている感じがとても魅力的!新公ご卒業おめでとうございます♪



◆マダム・マルト(真愛涼歌/妃鳳こころ)
やっぱり涼歌ちゃんお芝居巧いな~(←大好き!)。課題はお化粧はと体型のキープですね。。。特にお化粧は、今回の役柄だったらもう少し地色が濃い方がいいかも……とか思ったりしました。



◆レイモン(篁祐希/一色瑠加)
◆ルーシー(晴音アキ/琴音和葉)
シャルドンヌ邸のパーティーの頭にソロで歌う二人。晴音アキちゃん、可愛くなったなあ(*^ ^*)。
篁くん、去年くらいに突然格好よくなっちゃって、一瞬見つけられなくなったりしていたのですが、久しぶりに歌が聴けて幸せ♪ ただ、せっかくお芝居好きそうな人なのに、がっつり芝居をする役を一度くらい観てみたかったなあ……いや、今後に期待、ですけどね!(^ ^)。



◆ミッシェル(煌月爽矢/青樹泉)
ジュリアンの秘書仲間の中でもリーダー格のミッシェル。
本役のもりえちゃんは、ひたすら優しくて気持ちの真っ直ぐな青年という感じで、生真面目で熱血そうな霧矢さんのジュリアンとも“良い仲間”という感じでしたが、新公のゆうきはちょっと違う印象を受けました。
なんというか、さりげなく上から目線というか、若干嫌味まじりなところが非常に面白かった!
親切そうにしながら内心では「お前なんか住む世界が違うんだ」という気持ちを腹に抱えているあたりとか、ジュリアンの立ち位置の微妙さ、危うさが判り易いな、と。

新公では、ボランジュ氏も下心なくジュリアンの能力に期待している感じだったので、ミッシェルの気持ちの微妙さも「嫉妬」というほど判りやすいものではないんですよね。「キミが好きだ」という気持ちも嘘じゃないけど、だからといってジュリアンが何か問題を起こした時に庇ってくれるとは思えない、という距離感が絶妙で、ジュリアンがジャックに脅された時に、咄嗟に銃をにぎる気持ちが自然で、判りやすかったような気がします。

役者一人の善し悪しとは別に、芝居全体を見通した時に、こういう役割を期待されている役だったのかな、と思いました。



◆秘書仲間たち
(千海華蘭、輝城みつる、天翔りいら、輝月ゆうま、朝美絢/光月るう、美翔かずき、宇月颯、紫門ゆりや、珠城りょう)

いやー、みんな可愛かったなー♪
銀橋で一生懸命客席を釣っている下級生さんたちが可愛くて可愛くて、デレデレしてしまいました。あはは(^ ^)。


◆ブランシュ頭取(翔我つばき/有瀬そう)
◆ブランシュ夫人(華那みかり/萌花ゆりあ)
翔我さんのお髭、似合ってた~♪華那さんも美しい上流婦人で素敵でした♪



あと印象的だったのは、最初のアルジェの場面でジャックに絡むイヴ(紗那ゆずは/憧花ゆりの)の圧倒的な美貌と、マチルド(都月みあ/咲希あかね)のパッと目を惹く可愛らしさ。
男役ではピエール(隼海惺/千海華蘭)の可愛らしさとクリスチャン(星那由貴/響れおな)の「イテテテテ…」かな(^^)。

本公演でヒロインの一角を占める花陽みらちゃんは、花売り娘が一番メインでしたが、あちこちで踊っててすごく可愛かった!



そして、なんと言ってもラストのカゲソロ(輝月ゆうま/宇月颯)!衝撃的な、素晴らしい声でした。いやー、もっと長く歌ってほしいなあ~~~。