東京宝塚劇場にて、月組新人公演「アルジェの男」を観劇してまいりました。


とってもとっても良かったです(^ ^)。
本来、このくらいの学年のトップで上演されるべき作品なんだな、とすごく納得しました。



演出は、本公演と同じ大野拓史。
元々、しっかりと役者に合わせて演出してくれる人ですが、やっぱり今回も面白かった……。うん、やっぱり大野さんはイイなあ(^ ^)。


長の期で初主演のゆりやん(紫門ゆりや)。
ことあるごとに「音楽学校の授業で演じたことのある役で……」という話をしていましたが、たしかに、「ジュリアン」という役に対する自分なりのアプローチがちゃんとあったことに感心しました。
霧矢さんとは全く違う、若くて必死で、ちょっと空回りだったり回りが見えてなかったりするけど、根っこのところでひどく優しい、未完成で幼いジュリアン。
「エリザベート(咲希あかね)を必ずひざまづかせる」と誓う彼の煌めきや、実際にエリザベートが手の中に落ちてきたときのガッツポーズ寸前の笑顔……そういう「ヤル気満々!」な素直さと、ボランジュ氏(有瀬そう)やシャルドンヌ夫人(白雪さち花)の前にいるときの未熟さ。そのすべてがあってこその「若さ」なんですよね。
「未熟」だからこそ未来があって、「未来」があるからこそ、まっしぐらにそれを目指すことができる。そのエネルギーというか、回りが見えていない感じが、すごく役に似合っていたと思います。
声とか、歌とか、技術的に不安定な部分もありましたが、とにかく「ジュリアン」という役の核をちゃんと掴んで演じていたので、あまり気になりませんでした。



そして、ジャックのちなつ(鳳月杏)ちゃん!!
すっごい良かった!ジャックの在り方はジュリアン次第でいろんな設定が可能だと思うのですが、ゆりやんのジュリアンにはちなつちゃんのジャックがベストだったと思います。
迫力のある美貌とすらっとしたスタイル、安定した声。この1年くらいで急激に垢抜けて格好よくなってきていますが、今回は本当に「色悪」という言葉が似合うというか(*^ ^*)、娘役さんに対する接し方とか、崩れた色っぽさとか、堂に入ってて素敵でした♪

そして、ゆりやんとの並びというか、芝居の相性の良さに感心(^ ^)。ジュリアンがどちらかというと空回りタイプなので、ジャックは地に足がついた色悪で、という役割分担がうまくできていて、二人の心理的な距離が判りやすかったと思います。
あと、ジャックのジュリアンという存在に対する拘りがすごく鮮やかでした。ちなつちゃんの芝居は、べたべたしたところがないのが良いと思うんですよね。今回はああいう役なので「爽やか」というわけにはいかないんですが、執着も湿っぽくなく鮮やかに魅せるところが好きです。あと、華やかになってきたなーと思いました。うん。次はぜひ、正統派の役も観てみたいなーと思います(*^ ^*)。

アルジェの仲間たちと、運転手姿のジュリアンをいたぶる場面。
「まず100」を受け取って「さらに100だ」と言った後、サビーヌが差し出す金をつまらなそうに受け取っておきながら、ジュリアンが差し出す時計を「けっ」という感じに受け取るところがすごく好き。
後半、ジュリアンを追い詰める銀橋ソロで、その時計を大事そうになでながらジュリアンを地獄に落とす画策をしているところが、ちなつちゃんに宛てた大野さんらしい変更だなあと思いました。……5年間も後生大事に抱えてたんかい!!と思いつつ(それとも、再会したときに出してきたのかな?それも萌えですね)



サビーヌのちゃぴ(愛希れいか)。
いやはや、可愛い!
「ジプシー男爵」のヴィオルカもそうでしたけど、ホントに可愛い……というか、一途でけなげでキュート、ですよね。あんな娘だったら絶対に一緒に逃げる!!と思いました(*^ ^*)。
放っておけない、守ってあげたいと思うのに、ちゃぴが演じる娘役はいつだって恋人を護ってあげたいと思っているんですよね。恋人を守るためになんでもする。そういう幼い一途さが、サビーヌという役を膨らませていたと思います。ホントに魅力的でした。

転向したてでいろんな仕草はまだまだだったし、歌は、特に高音部は不安定でしたけど、なんとか枠内に入っていたと思います。上に元々ダンサーなので、『マルトの店』でのダンスはさすが!迫力あって、伸びやかで素晴らしかったです。
小顔で首が長くて肩幅があって腰が高い、抜群のスタイルが目を惹く人ですね。ゆりやんとの並びもちなつちゃんとの並びも良くて、ホントに魅力的でした(*^ ^*)。



ちゅーちゃんのエリザベートもたまきちのアンリもゆめちゃんのアナベルも皆良かったし、ミッシェル(煌月)もボランジュ夫妻(有瀬・舞乃)も良かったし……とにかくみんな、この難しい作品を良く理解して演じていたと思います。
大野さん、万歳♪