ランスロットとアーサー王【2】
2011年9月1日 宝塚(星)星組バウホール公演「ランスロット」。
CSの突撃レポートが流れましたが。いやー、可愛いなあみんな(まとめ)。
「初日どうでしたか?」というみきちぐの質問に
「気がついたら終わってました」と言ってへにゃっと笑う真風(涼帆)くんがすごい可愛い。
やっぱりこの人はヘタレでほんわかで……そんなところが本当に可愛いです。
そして。みっきぃさん(天寿光希)が「すごく緊張したけど、ゆりか(真風)が落ち着いてたから、、、」と言いながら真風くんと顔を見合わせて喋っている図を三回巻き戻しました。ああ、ビデオプリンターがほしい(真顔)。……どんだけこの二人の並びが好きなんだ私。
上級生とはいえ、これだけの大役に挑むのは全く初めてのみっきぃさんと、新公主演を何度もやって、本公演で役替りとはいえ二番手役までやっている真風くんでは、経験値がお話にならないほど違うんですけど(^ ^)、、、それにしても、真風くんの貫録はすごいなあ~!本当に、良い意味で研6には見えませんわ♪
まっすぐに背を伸ばし、真風くんを見上げて、「真風さんに何があってもついていこう、と」と告げるわかばちゃんも、とっても可愛い。舞台で芝居をしているのを観ていると「人形のように可愛い」という表現が浮かぶ人ですが、そのひたむきさが舞台でも出るようになったら良くなりそう♪
キキちゃん(芹香斗亜)は、美しいなあ(*^ ^*)。この、毒のある美しさと安定感は、今の星組若手ではピカ一だと思っています(贔屓目?)。みっきぃさんは、巧いけど持ち味自体が「不安定」で「脆い」、なんというか、非常に「あやうい」タイプなので、キキちゃんの毒と安定感がすごく印象に残りました。
キキちゃん、ここんとこ本当に良い仕事してるなあ。歌も良かったし、この作品が成功したのは、もしかしたらキキちゃんの功績かも、と思ったりします。
すごくどうでもいいことなんですが、「ランスロット」って、「ラ」にアクセントがあるんですね(@ @)。
観るまではずっと「ロ」にアクセントをおいて考えていたので、最初はすごく違和感がありました。「ヴァレンチノ」も「レ」にアクセントがあるのかと思っていたら平坦だったので驚きましたが、こういうのって多いのかなあ?それとも、「ランスロット」の「ロ」にアクセントがあると思っていたの私だけ?たしかに、言われてみればスロットマシーンか何かみたいかもしれないけど<「ロ」にアクセント。
なんだか、前回舞い上がりすぎたので、今度こそ少しはまとめようと思ったのですが、、、突撃レポートがあまりにも可愛いんで、またちょっと壊れてしまいました(^ ^;ゞ
なので、今日もたぶんまとまりません(宣言。ごめんなさい。
この作品に登場する、「人ならざる者」たち。
聖杯の守護者ヨセフ(美稀千種)、湖の魔女ヴィヴィアン(美穂圭子)、森の魔女モルゴース(花愛瑞穂)、魔法使いマーリン(如月蓮)、そして、モルゴースによって造られた、ホムンクルスたち。
彼らがどのような存在で、どのような能力があって、普段はどのような生き方をしているのか、、、そのあたり、はっきりとした説明はないのですが、彼らの存在感が非常にうまく処理されているのが生田さんの手腕なんだろうな、と思いました。
「人間たちの世界」から浮き上がった存在。
アーサーが治める「ブリテン」-“剣の世界”と、その裏側にある“魔法の世界”。
マーリンはそこから出てきてアーサーを補佐し、モルゴースは「ブリテン」を我がものとするために先王と契る。
ヴィヴィアンとヨセフは、人間界には興味がないのに、ランスロットには関わろうとする。彼を護り、導き、真実に気づかせよう、と。おそらく、彼らにとってランスロットは「光」みたいなものなのでしょう。眩しくて直接は手が出せず、回りをぐるぐる回って暖をとるくらいしかできないのに、離れることもできなくて。
「剣と魔法」……なんていうと、勧善懲悪を基本とする「ヒロイックファンタジーを思い浮かべてしまいますが、生田さんが紡ごうとした物語は、「勧善懲悪」とは全く違う方向を向いているんですよね。
善も悪もない、もっと混沌とした世界。「悪」は自分自身の中にあり、それを切り捨てれば、余計に大きな影となって歩く道の前に立ちふさがる。安易な手段(「強い力」)に頼ろうとする弱い心と、理想を信じて一歩ずつ歩んでいこうとする辛抱強さの相克。そして、「世界」を見守る「眼」の存在。
……そうやって考えると、宮部みゆき氏の「ブレイブ・ストーリー」と非常に良く似た展開なんだなあ、この話って。
本題とは関係ないんですが、「ブレイブ・ストーリー」を読んで、一番心に残った(ぶっちゃけ、泣いた)祈りの詞を書いてもいいですか?
『小さき子よ。地上の子よ。神の御意志に背いたことを悔いているか』
『時に争い、時に諍い、虚偽に躍り、愚蒙に走り、ヒトの子の罪を重ねたことを悔いているか』
『時に偽り、己の欲に従い、神の与え賜いしヒトの子の栄光に顔を背けたことを悔いているか』
今際の際に3つの問いかけをして、そのすべてに「はい」と答えた人は救われる……そんな、とてもシンプルな信仰。
『……ここに深く悔い改め、地上のあなたの罪は赦された。安らぎなさい、ヒトの子よ。召されていくあなたを永遠の光と平穏が包むだろう』
この、宮部氏の名調子の素晴らしいことといったら!
話しがだいぶ飛ぶんですけど、生田さん、「ブレイブ・ストーリー」を舞台化してくれないかなあ。現時点でのイメージでいうと、ワタル=キキちゃん、ミツル=みっきぃさん、ですかね。
と、ここまで書いて、私の中で、みっきぃさんは常に崩壊する側だという事実に驚く……。
もとい。
みきちぐのヨセフの、あの安定した緊張感がすごく好きです。
「剣の世界」を外側から眺めて、一人の男を選び出す、その気まぐれさと存在の重さ。
そして、物語のキーを握るみきちぐを観ながら、思ったこと。
アーサーを選んだエクスカリバーの守護者は、どんな存在なんでしょうね。……ああいう、脆くて不安定で危なっかしくて、しかも責任感の強すぎる生真面目な人を王に選ぼうと思ったのは。
そして、湖の魔女ヴィヴィアンの クールな上から目線っぷり の素晴らしさ!
美穂さん、8月7日まで宙組東宝に出ていて、10月7日からまた宙組大劇場(ショーのみ)に出てくださるんですよね。その間、わずか2カ月。今夏は「ヴァレンチノ」再演が入ったから宙っ子も半数は仕事してたけど、普通はお休みですよ!!すごい無理して「ランスロット」に出てくださったんだなあ。きっと生田さんが切望したんでしょうけれども(←憶測)、本当に本当に、出てくださってありがとう!!
いやはや、花愛さん(モルゴース)も良かったけど、、、やっぱり美穂さんが素晴らしかったんですよ(感涙)。寧々も良かったけど、ヴィヴィアンは本当に素晴らしい。
歌える子はいても、あの絶妙の存在感が出せる人はあまりいないと思うんですよね。まさに「この世のものならぬ」存在の重み。ランスロットの運命にあれだけ関与していながら、「人の世の運命にに関与はならぬ」とか平気で言いそうな、人間味のなさ。
いやーーーー。美穂さんってすごいなあ……。
モルゴースとモルガンについては前回もちょっと書きましたが。
「ル・フェイ(妖精)」の血統でヴィヴィアンの弟子……なんですよね、モルゴースは。
「魔力」を引き継いだんだか与えたんだかっていう台詞のやりとりもありましたが、この二人(美穂×花愛)のガチンコ勝負を観ながら、この二人の「若い」時代も観てみたいな、と思ったりしました(^ ^)。
そして、マーリン。
冒頭プロローグの、アーサー王との掛け合いにまず持っていかれたのですが。
芝居が始まって少し経ってから、「お妃さまがやってくる♪(意訳)」と歌いながらみんなで踊る場面のセンターで踊っている白髭の魔法使いが、まさかれんただとは露思わず。
……あの独特のちょっと甲高い声を聴くまで、気がつきませんでした(滝汗)。かわいい!かわいいぞれんた!!大好き!
面白いなあと思ったのは、マーリンは“剣の世界”に違和感なく混ざっていたこと。
むしろ、純粋に人間であるはずのアーサーの方が、よっぽど違和感があった。
本来、此処にいるべき存在じゃない、というか。
無理して「王」を演じている、というのとはちょっと違う。無理して「王で在ろうとしている」というのが近いのかも。聖剣エクスカリバーによって否応なく選ばれてしまった、哀れな王。
……やっぱり、前回も書きましたが、小野不由美氏の「十二国記」がかぶってみえる。“麒麟”という人智の外の存在によって選ばれ、不老不死の王(=神)となり、「神の国」へ迎えられる、という設定が。
アーサーの宮殿は「剣の世界」の中にあるんだけど、アーサーはもはやそこにふさわしい存在ではなくなっている。彼は「王」という名の「人ならざるもの」になっている………そんな浮きっぷりが、とても不思議な感覚でした。
シドといい、アーサーといい、みっきぃさんって、ちょっと回りから浮きあがった存在感のある芝居をよくやっていますが、そういうところが生田さんに愛されているのかも…?
マーリンはアーサーに助言(予言)を与える立場。マーリンとアーサー、二人で並ぶと、浮いているのがアーサーなのが面白いな、と。
二幕の後半で、「人の子の運命」と「自分が視る世界」の乖離を説明する台詞がありますが、、、結局、彼(魔法使い)の視る世界を超えていくのは、人ならざる者に選ばれた二人(ランスロットとアーサー)なんだな、と思いました。
ランスロットはあくまでも“剣の世界”にとどまるのに、なぜアーサーはとどまれなかったのか。……それは、彼が「王」という役割を持つ者として選ばれたから、なんでしょうね。アーサー自身はそんなこと全然望んでいないのに。
持たされた(与えられた)責任の重さゆえに、人の世からはみ出してしまったアーサー。
だから、グウィネヴィアは彼に対して「尊敬」以上の関心を抱けなかった。
夫とは棲む世界が違うゆえに、愛することも憎むこともできず、ただランスロットを求めてしまう女心。
アーサーはあんなに素直に恋をしたのに。ランスロットに恋をする、一人の少女に。
いっそ、王妃がアーサーを憎んでいたならば、また話は違っていたんだろうな、なんてことも考えました。アーサーとランスロットがもっと素直に敵になれたら、と。
モルドレッドにつけこまれるのではなく、二人が二人の意志によって対立していたならば。
……いや、生田さんが語りたかった話はそういう話じゃないから、仕方ないんでしょうね……。
アーサーが治める「世界」の中で、グウィネヴィアを抱きしめて生きていたかったランスロット。
自分自身をはじき出した「世界」を治めながら、自分が自分でいられる時間を希求するアーサー。たぶん、グウィネヴィアの傍でならそう在れると思ったんでしょうね。街で見かけたグウィネヴィアが、とても素直で、自然だったから。
でも。彼女を得られるのは自分が「王」だから。
一介の騎士には、彼女は与えられない。
ランスロットを得られたのは、自分が「王」で、「王妃」がグウィネヴィアだから。
一介の王には、彼は得られない。
王妃とランスロット、二人を共に得ることは叶わないと知りながら、アーサーはマーリンの予言に飛びつく。
「聖杯を探す」
それがどんな結果に終わるのか、マーリンに視えぬ未来が、このときアーサーにも視えていたはずなのに。モルドレットという悪意に、つけこまれるまでもなく。
.
CSの突撃レポートが流れましたが。いやー、可愛いなあみんな(まとめ)。
「初日どうでしたか?」というみきちぐの質問に
「気がついたら終わってました」と言ってへにゃっと笑う真風(涼帆)くんがすごい可愛い。
やっぱりこの人はヘタレでほんわかで……そんなところが本当に可愛いです。
そして。みっきぃさん(天寿光希)が「すごく緊張したけど、ゆりか(真風)が落ち着いてたから、、、」と言いながら真風くんと顔を見合わせて喋っている図を三回巻き戻しました。ああ、ビデオプリンターがほしい(真顔)。……どんだけこの二人の並びが好きなんだ私。
上級生とはいえ、これだけの大役に挑むのは全く初めてのみっきぃさんと、新公主演を何度もやって、本公演で役替りとはいえ二番手役までやっている真風くんでは、経験値がお話にならないほど違うんですけど(^ ^)、、、それにしても、真風くんの貫録はすごいなあ~!本当に、良い意味で研6には見えませんわ♪
まっすぐに背を伸ばし、真風くんを見上げて、「真風さんに何があってもついていこう、と」と告げるわかばちゃんも、とっても可愛い。舞台で芝居をしているのを観ていると「人形のように可愛い」という表現が浮かぶ人ですが、そのひたむきさが舞台でも出るようになったら良くなりそう♪
キキちゃん(芹香斗亜)は、美しいなあ(*^ ^*)。この、毒のある美しさと安定感は、今の星組若手ではピカ一だと思っています(贔屓目?)。みっきぃさんは、巧いけど持ち味自体が「不安定」で「脆い」、なんというか、非常に「あやうい」タイプなので、キキちゃんの毒と安定感がすごく印象に残りました。
キキちゃん、ここんとこ本当に良い仕事してるなあ。歌も良かったし、この作品が成功したのは、もしかしたらキキちゃんの功績かも、と思ったりします。
すごくどうでもいいことなんですが、「ランスロット」って、「ラ」にアクセントがあるんですね(@ @)。
観るまではずっと「ロ」にアクセントをおいて考えていたので、最初はすごく違和感がありました。「ヴァレンチノ」も「レ」にアクセントがあるのかと思っていたら平坦だったので驚きましたが、こういうのって多いのかなあ?それとも、「ランスロット」の「ロ」にアクセントがあると思っていたの私だけ?たしかに、言われてみればスロットマシーンか何かみたいかもしれないけど<「ロ」にアクセント。
なんだか、前回舞い上がりすぎたので、今度こそ少しはまとめようと思ったのですが、、、突撃レポートがあまりにも可愛いんで、またちょっと壊れてしまいました(^ ^;ゞ
なので、今日もたぶんまとまりません(宣言。ごめんなさい。
この作品に登場する、「人ならざる者」たち。
聖杯の守護者ヨセフ(美稀千種)、湖の魔女ヴィヴィアン(美穂圭子)、森の魔女モルゴース(花愛瑞穂)、魔法使いマーリン(如月蓮)、そして、モルゴースによって造られた、ホムンクルスたち。
彼らがどのような存在で、どのような能力があって、普段はどのような生き方をしているのか、、、そのあたり、はっきりとした説明はないのですが、彼らの存在感が非常にうまく処理されているのが生田さんの手腕なんだろうな、と思いました。
「人間たちの世界」から浮き上がった存在。
アーサーが治める「ブリテン」-“剣の世界”と、その裏側にある“魔法の世界”。
マーリンはそこから出てきてアーサーを補佐し、モルゴースは「ブリテン」を我がものとするために先王と契る。
ヴィヴィアンとヨセフは、人間界には興味がないのに、ランスロットには関わろうとする。彼を護り、導き、真実に気づかせよう、と。おそらく、彼らにとってランスロットは「光」みたいなものなのでしょう。眩しくて直接は手が出せず、回りをぐるぐる回って暖をとるくらいしかできないのに、離れることもできなくて。
「剣と魔法」……なんていうと、勧善懲悪を基本とする「ヒロイックファンタジーを思い浮かべてしまいますが、生田さんが紡ごうとした物語は、「勧善懲悪」とは全く違う方向を向いているんですよね。
善も悪もない、もっと混沌とした世界。「悪」は自分自身の中にあり、それを切り捨てれば、余計に大きな影となって歩く道の前に立ちふさがる。安易な手段(「強い力」)に頼ろうとする弱い心と、理想を信じて一歩ずつ歩んでいこうとする辛抱強さの相克。そして、「世界」を見守る「眼」の存在。
……そうやって考えると、宮部みゆき氏の「ブレイブ・ストーリー」と非常に良く似た展開なんだなあ、この話って。
本題とは関係ないんですが、「ブレイブ・ストーリー」を読んで、一番心に残った(ぶっちゃけ、泣いた)祈りの詞を書いてもいいですか?
『小さき子よ。地上の子よ。神の御意志に背いたことを悔いているか』
『時に争い、時に諍い、虚偽に躍り、愚蒙に走り、ヒトの子の罪を重ねたことを悔いているか』
『時に偽り、己の欲に従い、神の与え賜いしヒトの子の栄光に顔を背けたことを悔いているか』
今際の際に3つの問いかけをして、そのすべてに「はい」と答えた人は救われる……そんな、とてもシンプルな信仰。
『……ここに深く悔い改め、地上のあなたの罪は赦された。安らぎなさい、ヒトの子よ。召されていくあなたを永遠の光と平穏が包むだろう』
この、宮部氏の名調子の素晴らしいことといったら!
話しがだいぶ飛ぶんですけど、生田さん、「ブレイブ・ストーリー」を舞台化してくれないかなあ。現時点でのイメージでいうと、ワタル=キキちゃん、ミツル=みっきぃさん、ですかね。
と、ここまで書いて、私の中で、みっきぃさんは常に崩壊する側だという事実に驚く……。
もとい。
みきちぐのヨセフの、あの安定した緊張感がすごく好きです。
「剣の世界」を外側から眺めて、一人の男を選び出す、その気まぐれさと存在の重さ。
そして、物語のキーを握るみきちぐを観ながら、思ったこと。
アーサーを選んだエクスカリバーの守護者は、どんな存在なんでしょうね。……ああいう、脆くて不安定で危なっかしくて、しかも責任感の強すぎる生真面目な人を王に選ぼうと思ったのは。
そして、湖の魔女ヴィヴィアンの クールな上から目線っぷり の素晴らしさ!
美穂さん、8月7日まで宙組東宝に出ていて、10月7日からまた宙組大劇場(ショーのみ)に出てくださるんですよね。その間、わずか2カ月。今夏は「ヴァレンチノ」再演が入ったから宙っ子も半数は仕事してたけど、普通はお休みですよ!!すごい無理して「ランスロット」に出てくださったんだなあ。きっと生田さんが切望したんでしょうけれども(←憶測)、本当に本当に、出てくださってありがとう!!
いやはや、花愛さん(モルゴース)も良かったけど、、、やっぱり美穂さんが素晴らしかったんですよ(感涙)。寧々も良かったけど、ヴィヴィアンは本当に素晴らしい。
歌える子はいても、あの絶妙の存在感が出せる人はあまりいないと思うんですよね。まさに「この世のものならぬ」存在の重み。ランスロットの運命にあれだけ関与していながら、「人の世の運命にに関与はならぬ」とか平気で言いそうな、人間味のなさ。
いやーーーー。美穂さんってすごいなあ……。
モルゴースとモルガンについては前回もちょっと書きましたが。
「ル・フェイ(妖精)」の血統でヴィヴィアンの弟子……なんですよね、モルゴースは。
「魔力」を引き継いだんだか与えたんだかっていう台詞のやりとりもありましたが、この二人(美穂×花愛)のガチンコ勝負を観ながら、この二人の「若い」時代も観てみたいな、と思ったりしました(^ ^)。
そして、マーリン。
冒頭プロローグの、アーサー王との掛け合いにまず持っていかれたのですが。
芝居が始まって少し経ってから、「お妃さまがやってくる♪(意訳)」と歌いながらみんなで踊る場面のセンターで踊っている白髭の魔法使いが、まさかれんただとは露思わず。
……あの独特のちょっと甲高い声を聴くまで、気がつきませんでした(滝汗)。かわいい!かわいいぞれんた!!大好き!
面白いなあと思ったのは、マーリンは“剣の世界”に違和感なく混ざっていたこと。
むしろ、純粋に人間であるはずのアーサーの方が、よっぽど違和感があった。
本来、此処にいるべき存在じゃない、というか。
無理して「王」を演じている、というのとはちょっと違う。無理して「王で在ろうとしている」というのが近いのかも。聖剣エクスカリバーによって否応なく選ばれてしまった、哀れな王。
……やっぱり、前回も書きましたが、小野不由美氏の「十二国記」がかぶってみえる。“麒麟”という人智の外の存在によって選ばれ、不老不死の王(=神)となり、「神の国」へ迎えられる、という設定が。
アーサーの宮殿は「剣の世界」の中にあるんだけど、アーサーはもはやそこにふさわしい存在ではなくなっている。彼は「王」という名の「人ならざるもの」になっている………そんな浮きっぷりが、とても不思議な感覚でした。
シドといい、アーサーといい、みっきぃさんって、ちょっと回りから浮きあがった存在感のある芝居をよくやっていますが、そういうところが生田さんに愛されているのかも…?
マーリンはアーサーに助言(予言)を与える立場。マーリンとアーサー、二人で並ぶと、浮いているのがアーサーなのが面白いな、と。
二幕の後半で、「人の子の運命」と「自分が視る世界」の乖離を説明する台詞がありますが、、、結局、彼(魔法使い)の視る世界を超えていくのは、人ならざる者に選ばれた二人(ランスロットとアーサー)なんだな、と思いました。
ランスロットはあくまでも“剣の世界”にとどまるのに、なぜアーサーはとどまれなかったのか。……それは、彼が「王」という役割を持つ者として選ばれたから、なんでしょうね。アーサー自身はそんなこと全然望んでいないのに。
持たされた(与えられた)責任の重さゆえに、人の世からはみ出してしまったアーサー。
だから、グウィネヴィアは彼に対して「尊敬」以上の関心を抱けなかった。
夫とは棲む世界が違うゆえに、愛することも憎むこともできず、ただランスロットを求めてしまう女心。
アーサーはあんなに素直に恋をしたのに。ランスロットに恋をする、一人の少女に。
いっそ、王妃がアーサーを憎んでいたならば、また話は違っていたんだろうな、なんてことも考えました。アーサーとランスロットがもっと素直に敵になれたら、と。
モルドレッドにつけこまれるのではなく、二人が二人の意志によって対立していたならば。
……いや、生田さんが語りたかった話はそういう話じゃないから、仕方ないんでしょうね……。
アーサーが治める「世界」の中で、グウィネヴィアを抱きしめて生きていたかったランスロット。
自分自身をはじき出した「世界」を治めながら、自分が自分でいられる時間を希求するアーサー。たぶん、グウィネヴィアの傍でならそう在れると思ったんでしょうね。街で見かけたグウィネヴィアが、とても素直で、自然だったから。
でも。彼女を得られるのは自分が「王」だから。
一介の騎士には、彼女は与えられない。
ランスロットを得られたのは、自分が「王」で、「王妃」がグウィネヴィアだから。
一介の王には、彼は得られない。
王妃とランスロット、二人を共に得ることは叶わないと知りながら、アーサーはマーリンの予言に飛びつく。
「聖杯を探す」
それがどんな結果に終わるのか、マーリンに視えぬ未来が、このときアーサーにも視えていたはずなのに。モルドレットという悪意に、つけこまれるまでもなく。
.
花組トークスペシャル
2011年9月2日 宝塚(花)まず、最初に。
あっきー(澄輝さやと)、新公初主演おめでとう!!
いやぁ、良かったですホントに。これで91期の主演は3人目。研7の長の期で、最後の新人公演。『満を持して』という表現を使うことができて、良かったね、と心から思います。
おめでとう。楽しみにしています!
これにあやかって、91期は最後にもう一人主演が出ますように……と祈っておきます。
ヒロインは95期の伶美うららちゃん。綺麗な人なのは間違いないので、あとは真ん中に立って見てどうか、ですね。あっきーとの並びは眼福だろうなあ(*^ ^*)。
そして。
雪組公演、大劇場の初日、おめでとうございます!
まさかキムちゃんも雨女だったとは(@ @)という感じですが、まあ、劇場の外は嵐でも、齋藤さんのショーは盛り上がったみたいで、観劇日が楽しみです♪
それでは、本題
日経ホールにて、「トークスペシャル in 東京 花組」に参加してまいりました。
メンバーは、望海風斗(89期)、春花きらら(91期)、真輝いづみ(93期)の3人。
久しぶりの日経ホールでしたが、台風の影響もなく、蒸し暑い夜でした。
服の色を黒で揃えた三人は、シックでなかなか良い感じでした。
しかし!!
マキシムが面白すぎる!
緊張しすぎてとっちらかってるのもあったかと思いますが、本質的なところで言葉の選び方と話の展開の仕方に独特のものがあって、ホントに面白すぎでした(^ ^)。
メインのだいもんは、しっかりと下級生にツッコミ入れつつ(^ ^)笑顔でトークして、とても格好良かったです。さすがに喋り慣れてるなあと感心しました。
そういえば。5年前の「ファントム」の時に、まっつ(未涼亜希)と二人でトークに参加をしたそうですが、、、
「開始15分間、『はい』しか言えなくて」
と笑いながら話してくれました。
「(私に)ふらないで!と思ってました。未涼さんにも『はいしか言ってないけど大丈夫?』と言われて、それにも『はい』と」
「悔しい思い出です」
……そんなことがあったとはとても思えない、達者なトークぶりでしたよ(^ ^)。
春花きららちゃんは、かーわーいーいー!!
眼が大きくてまるっとした美貌の、長身の娘役さん。シンプルな黒いドレスにシルバーの靴がスタイルのよさを引き立てて、とても綺麗でした。
緊張はしていたようですが、隣がマキシムだったし(苦笑)、しっかり話していて、すごく好感度は高かったと思います。
司会の竹下さんに何か聞かれるたびに、「○○○○○です。……ね?」と隣のマキシムに優しくふろうとする姿が、すごくお姉さんな感じでステキだったー(^ ^)。
印象に残った話は、、、、いろいろあったんですが。
公演については、「再演なので、イチから作るよりも、わかっててさらに良くしようという意識があって、すごくがんばれた」みたいな話が印象に残りましたね。
あと、花組は指揮の塩田(明弘)さんが今回が初めてということで、
「コーラスまでしっかり見て、毎日駄目だししてくれる」と。
あとは、従者がイケメンだという話で盛り上がっていた記憶が……?
マキシムが最後に「もっとイケメンになれるようにがんばります」みたいなことを、すごく必死で話していたのがが印象的。
それと、きららちゃんが
「前回の公演で、カルロッタを脅かす役をしていた望海さんをずーっと観ててー!」とファンモードで話すのに、だいもんが
「……従者は見えちゃいけないんだけど」と笑顔で突っ込んでたのが面白かった。
言われたきららちゃんがキョドっていたのも可愛かったです!
新公の話は、、、
おお、と思ったのは、ヴァレリウス(春花)とカルロッタはソウルメイトだと言われた、という話。
一歩控えて仕える、みたいな感じではないんですねー。
「何があってもカルロッタが大好きで、尊敬して」と話すきららちゃんが、名前のとおりとってもキラキラしてました(^ ^)。
マキシムはこの時もとっちらかって何を話しているのか判らなくなってたような。
「(お芝居が大好きなので)いろんな人のお芝居を観て学んだ」というのがマキシムらしかった。
そんないっぱいいっぱいな下級生たちを見守るだいもんは、
「自分も昔はやってたはずなんですけど、そんなことはすっかり忘れて、若いってすごいなー!、と」
なーんて呑気に話してました。
あと、今回は役替りのお稽古もあって新公のお稽古が少なかったので、「皆の顔に『時間がない』と書いてあった」というコメントが面白かったです。
他に印象に残ったのは……
<東京>
竹下さんに「三人とも関東出身ですが、東京公演はどうですか?」と訊かれて、だいもんが
「下級生の頃は、『東京に帰る』と思っていたけど、今はすっかり『公演しに行く』という感じになった」
あと、誰だったかな。「東京タワーを見ると『東京だ!』と思う」という発言があって、竹下さんに「これからはスカイツリーですよ(だったかな?)」と突っ込まれてたな。
<休演日の楽しみは>
マキシムの「たくさん寝て、スッキリして買い物にでかける」というコメントにウケすぎて、他のお二人は何を言ってたか忘れてしまいました。
<宝塚との出会い>
きららちゃん「小さい時に観て、『結婚するならタカラヅカの人!』と思った」と。
お母様に諭されて、“結婚はできないけど、もしかして私も入れる!?”と思ったのが小学校6年くらいだったとか。
だいもんも小学校6年生くらいで「入りたい!」と思ったそうです。でも、しばらくしたらちょっと熱が冷めて(?)、高校生活を満喫していたら、月組の「LUNA/Blue Moon Bue」を観て。
「なぜ私はあそこにいないんだろう。どうしてももっと早く受験しなかったんだろう?」と強く思った……らしい(^ ^)。
その時すでに新公も卒業したスターの一人だった大空さん………。
<音楽学校の思い出>
これはもう、マキシムの独壇場でした(^ ^)。
マキシムは三味線選択で、「大好きだったけど成績は良くなかった。『真輝の三味線スポット』みたいなものがあって、そこで毎日練習してたのに………」だそうです。
で、だいもんは「私も三味線で、悪いけど、一番だった……ごめんね」とさらっと言ってのけました。
もう、客席は大爆笑。
爆笑の渦のなか、だいもんは「でもお稽古場ではいつも寝てしまって……ある日、ふと目をあけたら目の前に先生がいて、
『あなた、そんな調子じゃ抜かれちゃうわよ』と言われたんです」、というネタを披露してくれました。
そしたら!!
マキシムが、「私もです!」と話しはじめまして。
「三味線の音って、眠気を誘うんですよね。二小節も弾くと、眠くなってしまうんです。だから……最初の二小節は、完璧なんですが。」
……マキシム、、可愛いけどそれは成績あがらんだろう……。
あまりに客席が盛り上がってしまって、残念ながらきららちゃんまで話がいきませんでした。
あ、ちなみに、きららちゃんはピアノ選択だったそうです(^ ^)。
<舞台に対する思い、やりたい役>
だいもん 「以前は“こうありたい”みたいなイメージがしっかりとあったけど、今は“未知の自分を出したい”と思うようになった」
きららちゃん 「悪役をやってみたい」
だいもんがすかさず「似合いそう!」と茶々をいれていましたが、私もきららちゃんの悪役、観てみたいなあ。星バウ「ランスロット」で夢妃杏瑠ちゃんが演じているモルガンとか、きららちゃんにも似合いそう(*^ ^*)。
マキシム 「芝居が大好きなので、芝居心のある役をやってみたいです」
そんなことを言っておいて、「…芝居心のない役なんてないですよね…」みたいなことを自分で突っ込んでいたのは素晴らしかった(^ ^)
そんなところでしょうか。
トークも、締めのご挨拶も、三人三様、個性があって楽しかったです。
そして、三人とも美男美女でした!公演終了後のお疲れのところをありがとうございます(^ ^)。また次回のトークも行けたら行きたいな~~。
.
あっきー(澄輝さやと)、新公初主演おめでとう!!
いやぁ、良かったですホントに。これで91期の主演は3人目。研7の長の期で、最後の新人公演。『満を持して』という表現を使うことができて、良かったね、と心から思います。
おめでとう。楽しみにしています!
これにあやかって、91期は最後にもう一人主演が出ますように……と祈っておきます。
ヒロインは95期の伶美うららちゃん。綺麗な人なのは間違いないので、あとは真ん中に立って見てどうか、ですね。あっきーとの並びは眼福だろうなあ(*^ ^*)。
そして。
雪組公演、大劇場の初日、おめでとうございます!
まさかキムちゃんも雨女だったとは(@ @)という感じですが、まあ、劇場の外は嵐でも、齋藤さんのショーは盛り上がったみたいで、観劇日が楽しみです♪
それでは、本題
日経ホールにて、「トークスペシャル in 東京 花組」に参加してまいりました。
メンバーは、望海風斗(89期)、春花きらら(91期)、真輝いづみ(93期)の3人。
久しぶりの日経ホールでしたが、台風の影響もなく、蒸し暑い夜でした。
服の色を黒で揃えた三人は、シックでなかなか良い感じでした。
しかし!!
マキシムが面白すぎる!
緊張しすぎてとっちらかってるのもあったかと思いますが、本質的なところで言葉の選び方と話の展開の仕方に独特のものがあって、ホントに面白すぎでした(^ ^)。
メインのだいもんは、しっかりと下級生にツッコミ入れつつ(^ ^)笑顔でトークして、とても格好良かったです。さすがに喋り慣れてるなあと感心しました。
そういえば。5年前の「ファントム」の時に、まっつ(未涼亜希)と二人でトークに参加をしたそうですが、、、
「開始15分間、『はい』しか言えなくて」
と笑いながら話してくれました。
「(私に)ふらないで!と思ってました。未涼さんにも『はいしか言ってないけど大丈夫?』と言われて、それにも『はい』と」
「悔しい思い出です」
……そんなことがあったとはとても思えない、達者なトークぶりでしたよ(^ ^)。
春花きららちゃんは、かーわーいーいー!!
眼が大きくてまるっとした美貌の、長身の娘役さん。シンプルな黒いドレスにシルバーの靴がスタイルのよさを引き立てて、とても綺麗でした。
緊張はしていたようですが、隣がマキシムだったし(苦笑)、しっかり話していて、すごく好感度は高かったと思います。
司会の竹下さんに何か聞かれるたびに、「○○○○○です。……ね?」と隣のマキシムに優しくふろうとする姿が、すごくお姉さんな感じでステキだったー(^ ^)。
印象に残った話は、、、、いろいろあったんですが。
公演については、「再演なので、イチから作るよりも、わかっててさらに良くしようという意識があって、すごくがんばれた」みたいな話が印象に残りましたね。
あと、花組は指揮の塩田(明弘)さんが今回が初めてということで、
「コーラスまでしっかり見て、毎日駄目だししてくれる」と。
あとは、従者がイケメンだという話で盛り上がっていた記憶が……?
マキシムが最後に「もっとイケメンになれるようにがんばります」みたいなことを、すごく必死で話していたのがが印象的。
それと、きららちゃんが
「前回の公演で、カルロッタを脅かす役をしていた望海さんをずーっと観ててー!」とファンモードで話すのに、だいもんが
「……従者は見えちゃいけないんだけど」と笑顔で突っ込んでたのが面白かった。
言われたきららちゃんがキョドっていたのも可愛かったです!
新公の話は、、、
おお、と思ったのは、ヴァレリウス(春花)とカルロッタはソウルメイトだと言われた、という話。
一歩控えて仕える、みたいな感じではないんですねー。
「何があってもカルロッタが大好きで、尊敬して」と話すきららちゃんが、名前のとおりとってもキラキラしてました(^ ^)。
マキシムはこの時もとっちらかって何を話しているのか判らなくなってたような。
「(お芝居が大好きなので)いろんな人のお芝居を観て学んだ」というのがマキシムらしかった。
そんないっぱいいっぱいな下級生たちを見守るだいもんは、
「自分も昔はやってたはずなんですけど、そんなことはすっかり忘れて、若いってすごいなー!、と」
なーんて呑気に話してました。
あと、今回は役替りのお稽古もあって新公のお稽古が少なかったので、「皆の顔に『時間がない』と書いてあった」というコメントが面白かったです。
他に印象に残ったのは……
<東京>
竹下さんに「三人とも関東出身ですが、東京公演はどうですか?」と訊かれて、だいもんが
「下級生の頃は、『東京に帰る』と思っていたけど、今はすっかり『公演しに行く』という感じになった」
あと、誰だったかな。「東京タワーを見ると『東京だ!』と思う」という発言があって、竹下さんに「これからはスカイツリーですよ(だったかな?)」と突っ込まれてたな。
<休演日の楽しみは>
マキシムの「たくさん寝て、スッキリして買い物にでかける」というコメントにウケすぎて、他のお二人は何を言ってたか忘れてしまいました。
<宝塚との出会い>
きららちゃん「小さい時に観て、『結婚するならタカラヅカの人!』と思った」と。
お母様に諭されて、“結婚はできないけど、もしかして私も入れる!?”と思ったのが小学校6年くらいだったとか。
だいもんも小学校6年生くらいで「入りたい!」と思ったそうです。でも、しばらくしたらちょっと熱が冷めて(?)、高校生活を満喫していたら、月組の「LUNA/Blue Moon Bue」を観て。
「なぜ私はあそこにいないんだろう。どうしてももっと早く受験しなかったんだろう?」と強く思った……らしい(^ ^)。
その時すでに新公も卒業したスターの一人だった大空さん………。
<音楽学校の思い出>
これはもう、マキシムの独壇場でした(^ ^)。
マキシムは三味線選択で、「大好きだったけど成績は良くなかった。『真輝の三味線スポット』みたいなものがあって、そこで毎日練習してたのに………」だそうです。
で、だいもんは「私も三味線で、悪いけど、一番だった……ごめんね」とさらっと言ってのけました。
もう、客席は大爆笑。
爆笑の渦のなか、だいもんは「でもお稽古場ではいつも寝てしまって……ある日、ふと目をあけたら目の前に先生がいて、
『あなた、そんな調子じゃ抜かれちゃうわよ』と言われたんです」、というネタを披露してくれました。
そしたら!!
マキシムが、「私もです!」と話しはじめまして。
「三味線の音って、眠気を誘うんですよね。二小節も弾くと、眠くなってしまうんです。だから……最初の二小節は、完璧なんですが。」
……マキシム、、可愛いけどそれは成績あがらんだろう……。
あまりに客席が盛り上がってしまって、残念ながらきららちゃんまで話がいきませんでした。
あ、ちなみに、きららちゃんはピアノ選択だったそうです(^ ^)。
<舞台に対する思い、やりたい役>
だいもん 「以前は“こうありたい”みたいなイメージがしっかりとあったけど、今は“未知の自分を出したい”と思うようになった」
きららちゃん 「悪役をやってみたい」
だいもんがすかさず「似合いそう!」と茶々をいれていましたが、私もきららちゃんの悪役、観てみたいなあ。星バウ「ランスロット」で夢妃杏瑠ちゃんが演じているモルガンとか、きららちゃんにも似合いそう(*^ ^*)。
マキシム 「芝居が大好きなので、芝居心のある役をやってみたいです」
そんなことを言っておいて、「…芝居心のない役なんてないですよね…」みたいなことを自分で突っ込んでいたのは素晴らしかった(^ ^)
そんなところでしょうか。
トークも、締めのご挨拶も、三人三様、個性があって楽しかったです。
そして、三人とも美男美女でした!公演終了後のお疲れのところをありがとうございます(^ ^)。また次回のトークも行けたら行きたいな~~。
.
ランスロットとアーサー王と、騎士たち
2011年9月3日 宝塚(星)星組バウホール公演「ランスロット」。
噂によると、プログラムが売り切れたそうですね!?
どゆこと。観てないのにプログラムだけ買ったひとがたくさん居た、ってことですか?
たしかに、表紙めくった見開きの真風くんと、「Stargazer」の歌詞が載ってるページの彼の全身像(っつか、衣装)は、一見の価値があるけど!
……と、いうわけで。
「プログラムを見ないとわからないこと」を、この機会に簡単にご紹介させていただきます(^ ^)。
■第2場A・キャメロット・城外
この場面、アーサー(天寿)とケイ(千寿)はプログラムでは「村の男」なんですね(@ @)。
えっ?それって誰のこだわり?二人の芝居は、、、というか、脚本的にも完全に「お忍び中の王様と側近」なのに、あえて「村の男」なのは何故なんだ。不思議。
グウィネヴィアが「村の男(←実はアーサーとケイ)」に
「アーサー王さまはどんな方?」
と尋ねる場面。
「熊みたいな男さ」
と笑い含みで答えるアーサーの後ろを、すーーーーっと何ごともなかったかのように通り過ぎて行く熊(芹香)。
ナウオンで話していたので、何だろう?と思いながら観に行ったのですが。まさかホンモノの着ぐるみ(←なにか言葉がおかしいのは気のせい?着ぐるみの本物って…)で出てくるとは!!(@ @)。
全身の完全な着ぐるみなので、顔どころか指の先さえ見えませんが、ちょっとした仕草に愛敬があるのはさすがだと思いました。……などと、いろいろ詰め込み過ぎで忙しいですってば >生田さん。
■第4場・森
ル・フェイ(妖精)の血統であるモルゴース(花愛)と、その娘モルガン(夢妃)が、自分たちの怒りと恨みを語る。
モルゴースの怒りの化身、みたいに見えたホムンクルスたちは、瀬稀、芹香、漣、ひろ香、瀬央、紫藤。顔は全く見えないのですが、かなり踊っていたような。髪の毛もほとんど見えない状態なので全く区別がつかないのですが、あの中にキキちゃんも居たのか……気がつかなかった。というか、見つけるのは不可能だなあ……さすがに。
■第5場・キャメロット・五月祭
平和なキャメロットの祭り。白を基調にしたセットと皆の衣装がすごく可愛い。
全員がプログラムでは「五月祭の男/女(名前)」みたに表記してあるので、基本的には王宮内のメンバーが揃って祭りに来ている(ボールスは警備中)という設定なんですよね。
ああ、もっと全員が感嘆に見分けられたらなあ……と思ったくらい、みんな楽しそうに小芝居していました。
【この日記をアップした当初は、場面ごとに細かい話も載せていたのですが、内容がかなり中途半端な上に場面を飛ばしながら書いていたので、のちほど書き直して全場面アップしたいと思っています。申し訳ございません。ここまで読んでくださってありがとうございました。】
.
噂によると、プログラムが売り切れたそうですね!?
どゆこと。観てないのにプログラムだけ買ったひとがたくさん居た、ってことですか?
たしかに、表紙めくった見開きの真風くんと、「Stargazer」の歌詞が載ってるページの彼の全身像(っつか、衣装)は、一見の価値があるけど!
……と、いうわけで。
「プログラムを見ないとわからないこと」を、この機会に簡単にご紹介させていただきます(^ ^)。
■第2場A・キャメロット・城外
この場面、アーサー(天寿)とケイ(千寿)はプログラムでは「村の男」なんですね(@ @)。
えっ?それって誰のこだわり?二人の芝居は、、、というか、脚本的にも完全に「お忍び中の王様と側近」なのに、あえて「村の男」なのは何故なんだ。不思議。
グウィネヴィアが「村の男(←実はアーサーとケイ)」に
「アーサー王さまはどんな方?」
と尋ねる場面。
「熊みたいな男さ」
と笑い含みで答えるアーサーの後ろを、すーーーーっと何ごともなかったかのように通り過ぎて行く熊(芹香)。
ナウオンで話していたので、何だろう?と思いながら観に行ったのですが。まさかホンモノの着ぐるみ(←なにか言葉がおかしいのは気のせい?着ぐるみの本物って…)で出てくるとは!!(@ @)。
全身の完全な着ぐるみなので、顔どころか指の先さえ見えませんが、ちょっとした仕草に愛敬があるのはさすがだと思いました。……などと、いろいろ詰め込み過ぎで忙しいですってば >生田さん。
■第4場・森
ル・フェイ(妖精)の血統であるモルゴース(花愛)と、その娘モルガン(夢妃)が、自分たちの怒りと恨みを語る。
モルゴースの怒りの化身、みたいに見えたホムンクルスたちは、瀬稀、芹香、漣、ひろ香、瀬央、紫藤。顔は全く見えないのですが、かなり踊っていたような。髪の毛もほとんど見えない状態なので全く区別がつかないのですが、あの中にキキちゃんも居たのか……気がつかなかった。というか、見つけるのは不可能だなあ……さすがに。
■第5場・キャメロット・五月祭
平和なキャメロットの祭り。白を基調にしたセットと皆の衣装がすごく可愛い。
全員がプログラムでは「五月祭の男/女(名前)」みたに表記してあるので、基本的には王宮内のメンバーが揃って祭りに来ている(ボールスは警備中)という設定なんですよね。
ああ、もっと全員が感嘆に見分けられたらなあ……と思ったくらい、みんな楽しそうに小芝居していました。
【この日記をアップした当初は、場面ごとに細かい話も載せていたのですが、内容がかなり中途半端な上に場面を飛ばしながら書いていたので、のちほど書き直して全場面アップしたいと思っています。申し訳ございません。ここまで読んでくださってありがとうございました。】
.
ランスロットの見た夢
2011年9月5日 宝塚(星) コメント (2)星組バウホール公演「ランスロット」、千秋楽おめでとうございます!
真風くん、佳作での初主演、本当におめでとう(^ ^)。
そして生田さん、今の星組新公メンバーにこの作品を宛書きしてくださって、本当にありがとうございました!!
次回はぜひ、東上作品をお願いします。自分がもっと回数観たいっていうのもあるけど、それ以上に、もっとたくさんの人に生田さんの作品を観せてあげたいんです。ファンは勿論だけど、東宝公演中のジェンヌさんたちにも(^ ^)。
などと思いながら。
やっと心おきなくネタばれできる!!
というわけで(^ ^)。
一昨日アップした日記の大半を削除させていただいて、あらためて最初から通して書かせていただきたいと思っております。【一昨日読んでくださった方、すみませんm(_ _)m。】
■第1場A ある荒野
真ん中に少し角度のある白い円形のセット。
走りこんできて、母親を呼ぶ幼い少年(妃海風)。
「ランスロ」と優しく呼びかける母親(妃白ゆあ)。幼いころの、幸せな情景。
寂しげな音と、風のような乾いた歌声。
♪願ったようには動かせぬ世界
♪望んだようにはならない運命(さだめ)
白髪に髭、白い長衣をまとった聖杯の守護者ヨセフ(美稀千種)。
♪誰のため生きるのか 誰のことを愛するのか
♪誰しもが見失い 本を閉じた……
荒涼たる曠野に降り立った彼が、かつてこの地を血に染めた戦いを回想する。
音楽が力強いものに代わり、甲冑を身にまとった騎士たちが戦いを始める。
ヨセフの心に灼きついた光景が繰り返される。
「これは、誰が書いた物語なのか?」
持つ者に永久の平穏をもたらすといわれる聖杯の守護者の心に、平穏は訪れない。
「そして、誰も生き残りなどしなかった……」
戦いの果てに倒れ、相討ちで砂に沈む戦士たち。
「愚かなる迷い子たち。お前たちはこの世界に何を望んだ?」
その問いをうけるかのように、下手から魔法使いマーリン(如月蓮)、上手からアーサー王(天寿光希)が現れる。
「人で在る前に王であれ」
「愛する心を持たぬ王にはなりたくない」
8月28日の日記にも書いたとおり、この会話が作品全体における「アーサー」のポジションをあらわしているのですが。
この続きもかなり痛々しいんですよね……。
♪たとえ我が身を滅ぼす運命でも
♪真(まこと)の王なら打ち勝てるだろう
れんたの癖の強い硬い声と、みっきぃさんの豊かで力強い声が絡み合って、絶妙のハーモニーだなと思います。このへんは太田さんの作曲なのかな?とても好きなフレーズです。
エクスカリバーが選んだものが『真の王』だというのなら。
それであれば、選ばれた自分が選ぶ道が正義になるはずではないか、と。
そうではなかった。そこにあるのは「運命」であって、「正義」などではなかった。
でも、それが判った時には、彼はヒトであることを辞めなくてはならない。
理想を高く掲げ、それに向かって進もうとする意志を持つもの。それこそが「王」だから。
「運命」に従い、流される者に、王冠を与えることはできないのだから……。
だから彼は、「運命」に逆らわざるをえない。
愛する者を護るために。そのために彼は、「人」にとどまったのだから。
中央の白いセットがわかれ、上手と下手に二組の親子が登場する。
上手に、カメラードのレオデグランス王(碧海りま)とその娘グウィネヴィア(早乙女わかば)。
下手には森の魔女モルゴース(花愛瑞穂)とその娘モルガン(夢妃杏瑠)。
「娘よ」
王と魔女が同時に娘に話しかける。
その後はそれぞれの話をしているのでステレオ放送は聴きとれないのですが、これは後で別々に会話として出てくるのであまり気にせず。
娘たちの「はい、おかあさま」と「はい、おとうさま」が重なったところで、再び時間が止まる。
王家に嫁ぐことが運命づけられた姫が呟く。
♪幼き日の戒めを忘れたことなどなかった
王家への恨みを植え付けられた娘が嘆く。
♪幼き日の呪縛が私を締めつけてきた
逃げようと思ったこともある。でも運命からは逃れられない。
だから諦めた。戦いを。闘うことを。
……そして私は、何を願ったのかしら……?
アーサーたちも揃って叫ぶ。心から。
♪願ったようには動かせぬ世界
♪望んだようにはならない人生
♪誰のため生きるのか 誰のことを愛するのか
♪私は見失い 本を閉じた
聖杯の守護者が寂しげに目を伏せる……。
わかばちゃんの寂しげな硬い声と、癖は強いけれども柔らかいあんるちゃんの声。
「声」の持つ色を生かしたコーラス(歌い継ぎ)だな、と思いました。
シンプルなセットと青みの強い照明。独特な異空間が、聖杯の守護者ヨセフの心象風景を示していたのかなと思います。
この大コーラスが一段落すると、ちょっと曲想がかわり、物語がリアルに動き出します。
幼いランスロットを見守る湖の魔女ヴィヴィアン(美穂圭子)のソロ。
魔女狩りにあって囚われる少年の母親。彼女を捕える冥騎士の二人(ひろ香、瀬央)が結構思い切って腕を掴んでいて、ちょっと痛そうだったのがリアルでした。
十字架に架けられ、処刑される母。
ただそれを眺め、泣き叫ぶことしかできない、無力な少年。
泣き疲れ、力尽きて倒れた人の子に望みを尋ね、剣を渡す湖の魔女。
人の世のゆくえを見守る彼女の、口元にうっすらと刷かれた微笑み。寂しげな瞳。
「僕は強くなりたい。……強い力が欲しい!」
たとえその望みが間違いであっても。
それがわかっていても、彼が望むなら与えてしまう。それが人ならざる眷族の、愛の形。
人の子は、いつか気がつくかもしれないから。
自分たちに比べたらひと夏の思い出のような短い生の中で、いつか。
■第1場B Stargazer
幼ランスロットがヴィヴィアンに与えられた剣を引き抜くと、その後ろで同じポーズを取った青年ランスロット(真風涼帆)にスポット。
第1場Aで、この作品全体のモチーフのすべてとテーマを簡単に語って、Bでやっと、待ちに待った主役の登場!Sound HorizonのRevoさん提供のテーマソング開陳!!
と、いうわけで。プログラムのラストページに歌詞が載っている名曲を真風くんが歌ってくれます。良い曲だなー♪
というか、予想外に違和感なく「宝塚」に嵌っていたのは、生田さんの演出なのか、音楽の太田さんの手腕なのか?
♪いつか夢見た僕らの物語
♪「取り戻そう」とキミは駈け出した
という歌詞と共に少年ランスロットが走りだす演出がすごく好きです。
未来へ向かって。(←まあ、具体的には下手に向かうわけですが)
ここで取り戻そうとする「物語」とは、『振り向かないオルフェの物語』ってことでいいのかな…?
死に絶えた騎士たちも、星屑となって蘇った……のかな?(←プログラムの役名が「星屑」になってる)
皆、甲冑をつけて結構しっかり踊っているんですが、ここのポイントは、両腕のモルドレッド(芹香斗亜)がいることです。紅いロングのマントはモルドレッドとライオネル(漣レイラ)だけなので、えらく目立ちます(^ ^)。まして髪も赤金まじりのソバージュだしねー。化粧はまだ普通だったと思うんですけど、どうだったかなあ(1幕は、彼の顔が見える場面がここしかない)
ワンコーラス歌ったところで騎士たちがはけ、舞台奥にレオデグランス王と幼グウィネヴィア(綺咲愛里)が登場。
ヴィヴィアンに連れられた少年ランスロットが、王に挨拶をする。
「私はグウィネヴィア。あなたは今日から、私の騎士よ」
綺咲さん、テルくん(凰稀かなめ)のPersonal Bookで人形を作る少女に扮した彼女ですよね?メイキング番組で観た時も可愛い子だなーと思っていましたが、いよいよ出てきましたね。
声も可愛らしいし、生意気で高慢な笑顔がキュートで、役にぴったりあっていたと思います。顔立ちが幼いので美女役をやるにはもう少し……ですが、小顔で首が長くてスタイルが良くて、ドレス映えは素晴らしいです。うん。これからが楽しみ。
でももう、何よりも妃海風ちゃんが可愛くて可愛くて、もう私はメロメロでした(^ ^)。
この場面でも、グウィネヴィアの手にキスしようとして振り払われ、転ぶ……みたいな動きが(しかもスローモーションで)あるんですが、すごい身体能力だと思いました。
声もやわらかくて良い声だし、かーわーいーいー!!
■第2場A キャメロット城外
ヨセフが簡単に状況を語る。
「ガリアの白薔薇」グウィネヴィア姫がブリテンのアーサー王に嫁ぐ祭りが始まる。人々の喜びのナンバーで、本格的に物語が動き出す。
♪おお、キャメロット 幸せの地
♪白き薔薇咲きほこる
♪この佳き日 春の空澄みわたる
村人の汐月しゅうくんはじめ、みなさんこの場面は別人設定なのかな?プログラムには「村の男」「村の女」しか書いてないし。いや、それを言ったら、先日書いたとおり、アーサーもケイ(千寿はる)も「村の男」1、2なんですけどね。
いちおう、みなさん布を巻いたりいろいろして髪を隠しているので、たぶん別人……なんだろうなあ。
「男たちは狩へ」「女たちは花を摘み」という歌詞があるので、みんな獲物を抱えたり花束を持ったり、いろいろです。……その鴨はもしや?なんて思ったりしつつ。
ちなみに。
村の男女の中に、キキちゃんはいないけど(クマだから)、あんるちゃんはいます。……目元がギラギラで怖いです(←ごめんよモルガン)
クマは、最初の群舞からいたっけ?途中で荷車に乗って出てきたような気がするんだけどどうだったかな?
いやあの、すみません(素直に謝罪)だって、舞台奥をアーサー王とケイがめっちゃ笑顔でうろうろしているんだもん!!クマさんをチェックしているほど気持ちに余裕がなかったんですぅ……(^ ^;ゞ
歌い踊る村人たちの間に、旅の途中のランスロットとグウィネヴィアが紛れ込む。
わがままを言ってランスロットを振り回すグウィネヴィアが可愛いです。でも、わかばちゃんはもっともっと元気にやってもいいと思う。おっとりした、穏やかで優しい真風くんとの対比は強い方がいいですよ!勿体無い。
姫に反抗されて、「こんのぉ~!」と言うランスロットもとても可愛いです(*^ ^*)。
二人が舞台センターで芝居をしている間、上手のセットの陰でいちゃついている(←違う)アーサーとケイが、とても可愛いです。アーサーが屈託なく笑う場面はすごく少ないので、貴重な場面でした。ありがとう生田さん。
ランスロットと追いかけっこをした末に、おしのび中のアーサーにぶつかるグウィネヴィア。
咄嗟に「お怪我は!?」と同時に叫ぶランスロットとケイ。
ランスロットは「ん?」と思ったくらいだけど、ケイとアーサーはすぐに気がついて「おめ、でぇじょぶかあ?」と田舎言葉で言いなおす。……千寿さん、千葉県出身だそうだけど巧いなー(^ ^)。
たまたまぶつかった村人(に変装したアーサー)に、キング・アーサーがどんな人かを尋ねるグウィネヴィア。
つい「姫」と呼びかけてしまうランスロット。……正体ばればれだよ君たち。
くすっ、と笑って、「熊みたいな男だ」と教えるアーサー。
アーサー王の紋章は熊(大熊座)だから熊なんだろうなあと思いつつ、その茶目っ気たっぷりの笑顔に見惚れてしまった私は、たぶんホントにファンなんだと思います(←いまさら)
いろいろなやり取りをしつつ、最後、わがままを言う姫を軽々とお姫さま抱っこして上手にはけていく真風くんがめっちゃかっこいい!やっぱり、騎士はそうでなくっちゃ!!(←なんのことですか)
それを見送って、「なんと愛らしい姫だ……!!」と嬉しそうな貌をするアーサー。初見のときはなんとも思いませんでしたが、2回目は、すでにこの場面で涙が出て止まりませんでした(^ ^;
王者の恋が禁じられた世界で、自分の妻に恋をした男。……彼があんなに生真面目でなければ、もう少しだけ無責任だったなら、あんなことにはならなかったかもしれないのに。
キラキラとした笑顔で「さあ、我らも戻らねば!」と言って走りだす若き国王と、そんな彼をやれやれと追いかける側近。幼馴染みの気安い二人の距離感がすごく良かったです。
ってか、もう、とにかくアーサーが可愛いっ!!(^ ^)
プログラム的にはここから「第2場A キャメロット・城内」という場面になるのですが、音楽的にはそのまま続いているので、あんまり切れてる感じがしません。
たぶん、村人たちが役(騎士たちと侍女たち)に戻って出てくるので、表記の関係でわけたのかな?
しっかし、こうやってあらためて書いてみると、濃いなあ全てが。
小芝居に追われているわけでもないのに、どうしてこんなに書くことがあるんだろう(滝汗)。
.
真風くん、佳作での初主演、本当におめでとう(^ ^)。
そして生田さん、今の星組新公メンバーにこの作品を宛書きしてくださって、本当にありがとうございました!!
次回はぜひ、東上作品をお願いします。自分がもっと回数観たいっていうのもあるけど、それ以上に、もっとたくさんの人に生田さんの作品を観せてあげたいんです。ファンは勿論だけど、東宝公演中のジェンヌさんたちにも(^ ^)。
などと思いながら。
やっと心おきなくネタばれできる!!
というわけで(^ ^)。
一昨日アップした日記の大半を削除させていただいて、あらためて最初から通して書かせていただきたいと思っております。【一昨日読んでくださった方、すみませんm(_ _)m。】
■第1場A ある荒野
真ん中に少し角度のある白い円形のセット。
走りこんできて、母親を呼ぶ幼い少年(妃海風)。
「ランスロ」と優しく呼びかける母親(妃白ゆあ)。幼いころの、幸せな情景。
寂しげな音と、風のような乾いた歌声。
♪願ったようには動かせぬ世界
♪望んだようにはならない運命(さだめ)
白髪に髭、白い長衣をまとった聖杯の守護者ヨセフ(美稀千種)。
♪誰のため生きるのか 誰のことを愛するのか
♪誰しもが見失い 本を閉じた……
荒涼たる曠野に降り立った彼が、かつてこの地を血に染めた戦いを回想する。
音楽が力強いものに代わり、甲冑を身にまとった騎士たちが戦いを始める。
ヨセフの心に灼きついた光景が繰り返される。
「これは、誰が書いた物語なのか?」
持つ者に永久の平穏をもたらすといわれる聖杯の守護者の心に、平穏は訪れない。
「そして、誰も生き残りなどしなかった……」
戦いの果てに倒れ、相討ちで砂に沈む戦士たち。
「愚かなる迷い子たち。お前たちはこの世界に何を望んだ?」
その問いをうけるかのように、下手から魔法使いマーリン(如月蓮)、上手からアーサー王(天寿光希)が現れる。
「人で在る前に王であれ」
「愛する心を持たぬ王にはなりたくない」
8月28日の日記にも書いたとおり、この会話が作品全体における「アーサー」のポジションをあらわしているのですが。
この続きもかなり痛々しいんですよね……。
♪たとえ我が身を滅ぼす運命でも
♪真(まこと)の王なら打ち勝てるだろう
れんたの癖の強い硬い声と、みっきぃさんの豊かで力強い声が絡み合って、絶妙のハーモニーだなと思います。このへんは太田さんの作曲なのかな?とても好きなフレーズです。
エクスカリバーが選んだものが『真の王』だというのなら。
それであれば、選ばれた自分が選ぶ道が正義になるはずではないか、と。
そうではなかった。そこにあるのは「運命」であって、「正義」などではなかった。
でも、それが判った時には、彼はヒトであることを辞めなくてはならない。
理想を高く掲げ、それに向かって進もうとする意志を持つもの。それこそが「王」だから。
「運命」に従い、流される者に、王冠を与えることはできないのだから……。
だから彼は、「運命」に逆らわざるをえない。
愛する者を護るために。そのために彼は、「人」にとどまったのだから。
中央の白いセットがわかれ、上手と下手に二組の親子が登場する。
上手に、カメラードのレオデグランス王(碧海りま)とその娘グウィネヴィア(早乙女わかば)。
下手には森の魔女モルゴース(花愛瑞穂)とその娘モルガン(夢妃杏瑠)。
「娘よ」
王と魔女が同時に娘に話しかける。
その後はそれぞれの話をしているのでステレオ放送は聴きとれないのですが、これは後で別々に会話として出てくるのであまり気にせず。
娘たちの「はい、おかあさま」と「はい、おとうさま」が重なったところで、再び時間が止まる。
王家に嫁ぐことが運命づけられた姫が呟く。
♪幼き日の戒めを忘れたことなどなかった
王家への恨みを植え付けられた娘が嘆く。
♪幼き日の呪縛が私を締めつけてきた
逃げようと思ったこともある。でも運命からは逃れられない。
だから諦めた。戦いを。闘うことを。
……そして私は、何を願ったのかしら……?
アーサーたちも揃って叫ぶ。心から。
♪願ったようには動かせぬ世界
♪望んだようにはならない人生
♪誰のため生きるのか 誰のことを愛するのか
♪私は見失い 本を閉じた
聖杯の守護者が寂しげに目を伏せる……。
わかばちゃんの寂しげな硬い声と、癖は強いけれども柔らかいあんるちゃんの声。
「声」の持つ色を生かしたコーラス(歌い継ぎ)だな、と思いました。
シンプルなセットと青みの強い照明。独特な異空間が、聖杯の守護者ヨセフの心象風景を示していたのかなと思います。
この大コーラスが一段落すると、ちょっと曲想がかわり、物語がリアルに動き出します。
幼いランスロットを見守る湖の魔女ヴィヴィアン(美穂圭子)のソロ。
魔女狩りにあって囚われる少年の母親。彼女を捕える冥騎士の二人(ひろ香、瀬央)が結構思い切って腕を掴んでいて、ちょっと痛そうだったのがリアルでした。
十字架に架けられ、処刑される母。
ただそれを眺め、泣き叫ぶことしかできない、無力な少年。
泣き疲れ、力尽きて倒れた人の子に望みを尋ね、剣を渡す湖の魔女。
人の世のゆくえを見守る彼女の、口元にうっすらと刷かれた微笑み。寂しげな瞳。
「僕は強くなりたい。……強い力が欲しい!」
たとえその望みが間違いであっても。
それがわかっていても、彼が望むなら与えてしまう。それが人ならざる眷族の、愛の形。
人の子は、いつか気がつくかもしれないから。
自分たちに比べたらひと夏の思い出のような短い生の中で、いつか。
■第1場B Stargazer
幼ランスロットがヴィヴィアンに与えられた剣を引き抜くと、その後ろで同じポーズを取った青年ランスロット(真風涼帆)にスポット。
第1場Aで、この作品全体のモチーフのすべてとテーマを簡単に語って、Bでやっと、待ちに待った主役の登場!Sound HorizonのRevoさん提供のテーマソング開陳!!
と、いうわけで。プログラムのラストページに歌詞が載っている名曲を真風くんが歌ってくれます。良い曲だなー♪
というか、予想外に違和感なく「宝塚」に嵌っていたのは、生田さんの演出なのか、音楽の太田さんの手腕なのか?
♪いつか夢見た僕らの物語
♪「取り戻そう」とキミは駈け出した
という歌詞と共に少年ランスロットが走りだす演出がすごく好きです。
未来へ向かって。(←まあ、具体的には下手に向かうわけですが)
ここで取り戻そうとする「物語」とは、『振り向かないオルフェの物語』ってことでいいのかな…?
死に絶えた騎士たちも、星屑となって蘇った……のかな?(←プログラムの役名が「星屑」になってる)
皆、甲冑をつけて結構しっかり踊っているんですが、ここのポイントは、両腕のモルドレッド(芹香斗亜)がいることです。紅いロングのマントはモルドレッドとライオネル(漣レイラ)だけなので、えらく目立ちます(^ ^)。まして髪も赤金まじりのソバージュだしねー。化粧はまだ普通だったと思うんですけど、どうだったかなあ(1幕は、彼の顔が見える場面がここしかない)
ワンコーラス歌ったところで騎士たちがはけ、舞台奥にレオデグランス王と幼グウィネヴィア(綺咲愛里)が登場。
ヴィヴィアンに連れられた少年ランスロットが、王に挨拶をする。
「私はグウィネヴィア。あなたは今日から、私の騎士よ」
綺咲さん、テルくん(凰稀かなめ)のPersonal Bookで人形を作る少女に扮した彼女ですよね?メイキング番組で観た時も可愛い子だなーと思っていましたが、いよいよ出てきましたね。
声も可愛らしいし、生意気で高慢な笑顔がキュートで、役にぴったりあっていたと思います。顔立ちが幼いので美女役をやるにはもう少し……ですが、小顔で首が長くてスタイルが良くて、ドレス映えは素晴らしいです。うん。これからが楽しみ。
でももう、何よりも妃海風ちゃんが可愛くて可愛くて、もう私はメロメロでした(^ ^)。
この場面でも、グウィネヴィアの手にキスしようとして振り払われ、転ぶ……みたいな動きが(しかもスローモーションで)あるんですが、すごい身体能力だと思いました。
声もやわらかくて良い声だし、かーわーいーいー!!
■第2場A キャメロット城外
ヨセフが簡単に状況を語る。
「ガリアの白薔薇」グウィネヴィア姫がブリテンのアーサー王に嫁ぐ祭りが始まる。人々の喜びのナンバーで、本格的に物語が動き出す。
♪おお、キャメロット 幸せの地
♪白き薔薇咲きほこる
♪この佳き日 春の空澄みわたる
村人の汐月しゅうくんはじめ、みなさんこの場面は別人設定なのかな?プログラムには「村の男」「村の女」しか書いてないし。いや、それを言ったら、先日書いたとおり、アーサーもケイ(千寿はる)も「村の男」1、2なんですけどね。
いちおう、みなさん布を巻いたりいろいろして髪を隠しているので、たぶん別人……なんだろうなあ。
「男たちは狩へ」「女たちは花を摘み」という歌詞があるので、みんな獲物を抱えたり花束を持ったり、いろいろです。……その鴨はもしや?なんて思ったりしつつ。
ちなみに。
村の男女の中に、キキちゃんはいないけど(クマだから)、あんるちゃんはいます。……目元がギラギラで怖いです(←ごめんよモルガン)
クマは、最初の群舞からいたっけ?途中で荷車に乗って出てきたような気がするんだけどどうだったかな?
いやあの、すみません(素直に謝罪)だって、舞台奥をアーサー王とケイがめっちゃ笑顔でうろうろしているんだもん!!クマさんをチェックしているほど気持ちに余裕がなかったんですぅ……(^ ^;ゞ
歌い踊る村人たちの間に、旅の途中のランスロットとグウィネヴィアが紛れ込む。
わがままを言ってランスロットを振り回すグウィネヴィアが可愛いです。でも、わかばちゃんはもっともっと元気にやってもいいと思う。おっとりした、穏やかで優しい真風くんとの対比は強い方がいいですよ!勿体無い。
姫に反抗されて、「こんのぉ~!」と言うランスロットもとても可愛いです(*^ ^*)。
二人が舞台センターで芝居をしている間、上手のセットの陰でいちゃついている(←違う)アーサーとケイが、とても可愛いです。アーサーが屈託なく笑う場面はすごく少ないので、貴重な場面でした。ありがとう生田さん。
ランスロットと追いかけっこをした末に、おしのび中のアーサーにぶつかるグウィネヴィア。
咄嗟に「お怪我は!?」と同時に叫ぶランスロットとケイ。
ランスロットは「ん?」と思ったくらいだけど、ケイとアーサーはすぐに気がついて「おめ、でぇじょぶかあ?」と田舎言葉で言いなおす。……千寿さん、千葉県出身だそうだけど巧いなー(^ ^)。
たまたまぶつかった村人(に変装したアーサー)に、キング・アーサーがどんな人かを尋ねるグウィネヴィア。
つい「姫」と呼びかけてしまうランスロット。……正体ばればれだよ君たち。
くすっ、と笑って、「熊みたいな男だ」と教えるアーサー。
アーサー王の紋章は熊(大熊座)だから熊なんだろうなあと思いつつ、その茶目っ気たっぷりの笑顔に見惚れてしまった私は、たぶんホントにファンなんだと思います(←いまさら)
いろいろなやり取りをしつつ、最後、わがままを言う姫を軽々とお姫さま抱っこして上手にはけていく真風くんがめっちゃかっこいい!やっぱり、騎士はそうでなくっちゃ!!(←なんのことですか)
それを見送って、「なんと愛らしい姫だ……!!」と嬉しそうな貌をするアーサー。初見のときはなんとも思いませんでしたが、2回目は、すでにこの場面で涙が出て止まりませんでした(^ ^;
王者の恋が禁じられた世界で、自分の妻に恋をした男。……彼があんなに生真面目でなければ、もう少しだけ無責任だったなら、あんなことにはならなかったかもしれないのに。
キラキラとした笑顔で「さあ、我らも戻らねば!」と言って走りだす若き国王と、そんな彼をやれやれと追いかける側近。幼馴染みの気安い二人の距離感がすごく良かったです。
ってか、もう、とにかくアーサーが可愛いっ!!(^ ^)
プログラム的にはここから「第2場A キャメロット・城内」という場面になるのですが、音楽的にはそのまま続いているので、あんまり切れてる感じがしません。
たぶん、村人たちが役(騎士たちと侍女たち)に戻って出てくるので、表記の関係でわけたのかな?
しっかし、こうやってあらためて書いてみると、濃いなあ全てが。
小芝居に追われているわけでもないのに、どうしてこんなに書くことがあるんだろう(滝汗)。
.
ランスロットの見た夢【2】
2011年9月6日 宝塚(星) コメント (2)星組バウホール公演「ランスロット」。
■第2場B キャメロット王宮内
マーリンを中心に、並んで王を待つ騎士たち・侍女たち。前場でお触れ役として登場していたパラミデュース(夏樹れい)、アグラヴェイン(翔馬樹音)、ペリノア(ひろ香祐)以外の騎士たちはかなりの早替りだと思うんですが、さすがに落ち着いてます。
そういえば、前場で書き忘れましたが、お触れ役はとても良い声でした。みんな下級生なのに、すごいなあ~。
彼らの前にあらわれるアーサー王と、太刀持ちのケイ。おしのびから戻って、正装しているんですが、微妙に息がはずんでいるように見えたのは気のせいか?
グウィネヴィアとランスロットの名を呼んだのは誰だったかな。ケイ?
一つの疑問。グウィネヴィアのことを皆が「カメラードこくひ」と呼んでるように聞えるのですが、「国姫」という言葉があるの?そして、それって普通に読んだら「こくき」じゃないのかなあ?
呼ばれて、ちょっと緊張して入ってくるグウィネヴィアの輝きは、さすがです。
わかばちゃん、クラシックな衣装や髪型がすごく良く似合ってる。「めぐりあいは再び」のコレットもそうだったけど、本当に現実離れした、お人形みたいな美しさですよね。
ランスロットとアーサー、二人が恋してしまうのもわかるなあ~と思います。
「さあ、顔をあげて」というアーサーの声がすごく優しい。そして、「……私は熊に見えますか?」と問いかける茶目っ気。このあたりの屈託のなさが、何度も観るうちに胸に刺さって辛くなってくるのが、生田作品の面白いところかも。(←何度も観るの前提ですか)
ランスロットの真風くんは、この場面はおっとりした感じ。それこそ、昼寝中の熊みたい。
でも、「王妃の護衛を引き継ぐ」と言うガウェイン(麻央侑希)との殺陣はかなり切れ味があって格好良いです。殺陣は経験がものを言ううえに斬られ役の技量が非常に大切なのですが、、、経験不足な麻央くんをよくフォローして、見栄え良くまとめていたと思います。
真風くん、そういえばしょっちゅう殺陣をやってるよね(^ ^)。経験値は十分なのか?
殺陣の指導は栗原直樹氏。あれ?みつるくん(華形)がCSのBrilliantで殺陣を習いに行ったのって栗原さんだっけ…?あれは「太王四神記」の時ですよね?
ランスロットが登場するまで、円卓の騎士団で『最高の騎士』だったガウェイン。
大柄でたくましい身体を甲冑で覆った麻央くんは、本当にカッコいい。手足の長い恵まれたスタイルで、剣を振り回すと、「ぶんっ」という音がしそうな力強さがすごいと思う。
「男役」としては、もっと絞ればもっと格好よくなるのに……と思うんですが、全身を甲冑で覆うと、無条件で「強そう」に見えるし、めっちゃ格好よくなるのは魔法ですよね(^ ^)。
本来なら、この役は騎士たちの中でもモルドレッド(芹香)と並ぶ大役のはずで、もっとフィーチャーしてもいいのでは、と思うのですが、あえてこれを「若手のオイシイ役」にまとめたのは、生田さんの手柄だと思います。
剣の腕は良いけど人間的にはまだ幼い……御前仕合であっさり自分を負かしたランスロットを素直に尊敬し、憧れるというキャラが、人物相応という感じで良かったです。
若くて素直で伸び盛りの剣士。そんな感じ。
なのに、2幕になって突然ランスロットを訴追するのが展開として不思議なんですけどね。どちらかというとガウェインのジャイアンぶりが目立って、『1幕では素直な良い子だったのに!?』と思ってしまうし。
まあ、素直すぎて魔女の術中にはまってしまった、、、ってことなのかなあ……
って、これはまだ先の話ですが。
御前仕合を留めようとするマーリン。
ランスロットの太刀筋を見たくてわくわくしているアーサー。
ちょっとした会話に意味があるところが生田作品だなあ、と。
そういえば。
騎士団の中には兄弟が結構多いんですが、ガウェインとアグラヴェイン(翔馬)・ガレス(瀬央)・ガヘリス(蓮珠)は、あまり兄弟っぽいやりとりは無かったような気がします。
本によって、モルドレッド(芹香)とも兄弟説があるようですが、この作品ではまったく無視されていますよね。あ、でも、グウィネヴィアの火刑の護衛をガレス・ガヘリスに頼むあたり、やっぱり何らかの関係はあるのかな?
ボールス(汐月しゅう)とライオネル(漣レイラ)は、えっらい仲の良いカップル 仲間だなと思ってたら兄弟だった(^ ^)。スタイル完璧な汐月くんと、がっしり体型なライオネルの並びは、非常に萌です(*^ ^*)。
他の騎士たちもそれぞれに個性的でした(*^ ^*)。それぞれ目立つところで書きますが、すみません、正直、回数を観ていないのと星組さんの下級生はあまり良く知らないので、あまりチェックできていないんです(T T)(先に謝る)。
「異国の踊り子」たちは、夢妃杏瑠・妃海風・綺咲愛里の三人。三人ともめっちゃ可愛いです!
色っぽいのはやっぱりあんるちゃんがダントツかなあ。目元の化粧もすごいけど(^ ^)。
彼女たちが出てきて、途端に目の色が変わる騎士たち(の一部)と、それにヤキモキしている侍女たちが可愛いったらありません。
■第3場・キャメロット宮廷の一角
準備のために別室に下がる王妃グウィネヴィア。
見送って溜息をつくランスロット、優しく声をかける王。
「たとえ命を投げ出しても、グウィネヴィアさまをお護りする。それが私の、生きる意味です」
もう何も喪いたくない……だから。
「命を投げ出しても?」
この優しげな騎士に、そんな風に言ってほしくない。そんな気持ちを隠そうともせず。
「はい。王妃さま、そして今日からは陛下のために」
それでも、一度は彼の願いを受け容れて、返そうとする、王。
「……だが私は、素晴らしい騎士たちが戦いのさなか死んでいくことに、もはや耐えられぬ」
それは。
本当は、王者が口にしてはいけないこと。
『正しき道』を歩いてきたアーサーの、それが、罪。
「強い力、その力で得られる世界の向こうには何があるんだ?」
王者の視界をもたぬ身には、もの思わぬ剣であらんとする騎士には、想像することさえできない世界観。
「争いは新たな争いを招き、憎しみはより大きな憎しみに呑みこまれる」
『王家に捧ぐ歌』で木村さんが唱えたお題目が、こんな風に戻ってくることにいっそ感動を覚えました。
剣として生きるのではなく、人として生きるのだ、ということを、こういう言葉で表現するのか、と。
王であることと人であることを両立させるために。
騎士である前に、人間であるために。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
姫を護る剣として、装填された銃として使い手を欲していたランスロットに、思いもかけない世界を聴かせるアーサー。
♪それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
♪そんな奇跡の夢 みつめていきたい
……みっきぃさんの歌には、抗えないものがある、と思います。
もちろんそれは、役の上でのことなんですけど。でも、じっさいあの圧倒的なパワーのある声で間近で歌われたら、どんなに理解の外にある話でも信じてしまうような気がします。
アーサー王にそれだけのパワーがあったことが、この突拍子もない物語の根幹を支えたんだな、と。
そんなふうに納得しつつ。
「人は法のもとに平等となり、誰もが自分の意志を持つ」
そこには本当の自由がある。力によって護られるものではなく、本当の自由が。
『ランスロット、あなたの希みは?』
『もう誰も、喪いたくない』
「ランスロット。そんな世界のために、きみの力を遣いたくないか?」
『ランスロット、ほしいものはなに?』
『強い力がほしい……!』
「……すべて、陛下の仰せのままに」
ランスロットのいらえに、破顔一笑して首を振るアーサー。
「違う違う」
笑い含みに言い聴かせる声が、回を重ねるごとに優しくなっていったのが印象的でした。
「自分の意志で決めるんだ。私と共に物語を描くんだ」
従うのではなく、
闘うのでもなく、
ただ、
物語を描くのだ、と。
舞台奥から他の11人の騎士たちが登場し、王を中心に踊りだす。
「Noblesse Obligeと共に!」
場面が極まると、マーリンがマントを脱ぎ棄てて訓練ソングを歌いだす。
♪訓練修練鍛練つんで 予習復習反復横とび
♪休まずたゆまずたまには休んであわてずひるまず反復横とび!
れんた、最高!!
白髪に白いひげ、ねじくれた杖を持った魔法使いが、若い騎士たちのだれよりも華麗に鋭く反復横とびを跳ぶ不条理さ。
いやあの、マーリンは別に剣を持って闘うわけじゃないよね?いや、あの、訓練計画を立てる人が自分でオリンピックに出なくていいんだってば!
踊るために脱ぎ捨てたマーリンのマントを、苦笑しながら拾い上げて丁寧に畳むアーサーがすごくツボです。ええ。ツボというのはこういうことか、と、目から鱗なくらいツボでした。
アーサーが、そして、皆が口をそろえて謡う、言葉。
それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
これも、この作品のテーマの一つだと思います。
『人ならざる者』に与えられる奇跡ではなく、人が人のまま、意志をもって希うこと。
それが叶うなら、それは奇跡なのか。
人が人のまま意志をもって希ったことならば、それは奇跡ではなく必然ではないのか?
それが奇跡にすぎぬというならば、人ならざるモノが闊歩する世界で、人が人として生きる意味はあるのか?……と。
皆が下がった後、もう一度ランスロットとアーサーが会話をする。
熱に浮かされたように、共感を確かめ合う二人。
「……王妃様のご準備が整いましてございます」
そこに割ってはいる、侍女の声。
あれはノーマ(愛水せれ奈)でしたよね?グウィネヴィアについていた方がセリア(妃白ゆあ)でしたよね……すみません、あまりちゃんと認識できず。
ちょっと硬いけれども、滑舌のよい明朗な声で、この場面に割って入るのにぴったりの声だなあと思いました。
夫が妻の手を握り締める。
「手が震えてる……」
残酷なほど優しい声で囁きながら、そっと引き寄せて。
「何も心配することはない。私は必ず、貴女を幸せにしてみせる」
……壊れ物を抱くように、そっと抱きしめるアーサーの腕も震えていることに、グウィネヴィアは気づかない。
この場面でグウィネヴィアに語るアーサーの台詞が、二幕のラストシーンでちょっと違う台詞になってリフレインされるんですが……
ああいうところ、生田さんはずるいと思う(^ ^)。
いずれにしても。
この後のランスロットのソロの歌がとても好きです。心情のこもった、いい歌だと思う。……真風くん、がんばれ!!
アーサーの力強い声で繰り返され、刷り込まれたフレーズ。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
それを、今は、ランスロットの優しい、ちょっと自信なさげな声でリフレインする。
♪剣を置き、………、
「……私は、強く在りたいのです……!」
一瞬前まで、アーサーと同じ思いを分け合ったはずなのに。
独りになって、気持ちを言葉に置き換えたときに、また間違えてしまう、騎士。
理想はすれ違い、二人の夢もすれ違う。
ランスロットは、そのズレに気づかない。気づかない(わからない)ことが、彼の罪。
アーサーは、わかっていても気づかないふりをした。
ランスロットを気に入ったから。
グウィネヴィアに恋をしたから。
真実から目を背けた……それが彼の、罪。
.
■第2場B キャメロット王宮内
マーリンを中心に、並んで王を待つ騎士たち・侍女たち。前場でお触れ役として登場していたパラミデュース(夏樹れい)、アグラヴェイン(翔馬樹音)、ペリノア(ひろ香祐)以外の騎士たちはかなりの早替りだと思うんですが、さすがに落ち着いてます。
そういえば、前場で書き忘れましたが、お触れ役はとても良い声でした。みんな下級生なのに、すごいなあ~。
彼らの前にあらわれるアーサー王と、太刀持ちのケイ。おしのびから戻って、正装しているんですが、微妙に息がはずんでいるように見えたのは気のせいか?
グウィネヴィアとランスロットの名を呼んだのは誰だったかな。ケイ?
一つの疑問。グウィネヴィアのことを皆が「カメラードこくひ」と呼んでるように聞えるのですが、「国姫」という言葉があるの?そして、それって普通に読んだら「こくき」じゃないのかなあ?
呼ばれて、ちょっと緊張して入ってくるグウィネヴィアの輝きは、さすがです。
わかばちゃん、クラシックな衣装や髪型がすごく良く似合ってる。「めぐりあいは再び」のコレットもそうだったけど、本当に現実離れした、お人形みたいな美しさですよね。
ランスロットとアーサー、二人が恋してしまうのもわかるなあ~と思います。
「さあ、顔をあげて」というアーサーの声がすごく優しい。そして、「……私は熊に見えますか?」と問いかける茶目っ気。このあたりの屈託のなさが、何度も観るうちに胸に刺さって辛くなってくるのが、生田作品の面白いところかも。(←何度も観るの前提ですか)
ランスロットの真風くんは、この場面はおっとりした感じ。それこそ、昼寝中の熊みたい。
でも、「王妃の護衛を引き継ぐ」と言うガウェイン(麻央侑希)との殺陣はかなり切れ味があって格好良いです。殺陣は経験がものを言ううえに斬られ役の技量が非常に大切なのですが、、、経験不足な麻央くんをよくフォローして、見栄え良くまとめていたと思います。
真風くん、そういえばしょっちゅう殺陣をやってるよね(^ ^)。経験値は十分なのか?
殺陣の指導は栗原直樹氏。あれ?みつるくん(華形)がCSのBrilliantで殺陣を習いに行ったのって栗原さんだっけ…?あれは「太王四神記」の時ですよね?
ランスロットが登場するまで、円卓の騎士団で『最高の騎士』だったガウェイン。
大柄でたくましい身体を甲冑で覆った麻央くんは、本当にカッコいい。手足の長い恵まれたスタイルで、剣を振り回すと、「ぶんっ」という音がしそうな力強さがすごいと思う。
「男役」としては、もっと絞ればもっと格好よくなるのに……と思うんですが、全身を甲冑で覆うと、無条件で「強そう」に見えるし、めっちゃ格好よくなるのは魔法ですよね(^ ^)。
本来なら、この役は騎士たちの中でもモルドレッド(芹香)と並ぶ大役のはずで、もっとフィーチャーしてもいいのでは、と思うのですが、あえてこれを「若手のオイシイ役」にまとめたのは、生田さんの手柄だと思います。
剣の腕は良いけど人間的にはまだ幼い……御前仕合であっさり自分を負かしたランスロットを素直に尊敬し、憧れるというキャラが、人物相応という感じで良かったです。
若くて素直で伸び盛りの剣士。そんな感じ。
なのに、2幕になって突然ランスロットを訴追するのが展開として不思議なんですけどね。どちらかというとガウェインのジャイアンぶりが目立って、『1幕では素直な良い子だったのに!?』と思ってしまうし。
まあ、素直すぎて魔女の術中にはまってしまった、、、ってことなのかなあ……
って、これはまだ先の話ですが。
御前仕合を留めようとするマーリン。
ランスロットの太刀筋を見たくてわくわくしているアーサー。
ちょっとした会話に意味があるところが生田作品だなあ、と。
そういえば。
騎士団の中には兄弟が結構多いんですが、ガウェインとアグラヴェイン(翔馬)・ガレス(瀬央)・ガヘリス(蓮珠)は、あまり兄弟っぽいやりとりは無かったような気がします。
本によって、モルドレッド(芹香)とも兄弟説があるようですが、この作品ではまったく無視されていますよね。あ、でも、グウィネヴィアの火刑の護衛をガレス・ガヘリスに頼むあたり、やっぱり何らかの関係はあるのかな?
ボールス(汐月しゅう)とライオネル(漣レイラ)は、えっらい仲の良い
他の騎士たちもそれぞれに個性的でした(*^ ^*)。それぞれ目立つところで書きますが、すみません、正直、回数を観ていないのと星組さんの下級生はあまり良く知らないので、あまりチェックできていないんです(T T)(先に謝る)。
「異国の踊り子」たちは、夢妃杏瑠・妃海風・綺咲愛里の三人。三人ともめっちゃ可愛いです!
色っぽいのはやっぱりあんるちゃんがダントツかなあ。目元の化粧もすごいけど(^ ^)。
彼女たちが出てきて、途端に目の色が変わる騎士たち(の一部)と、それにヤキモキしている侍女たちが可愛いったらありません。
■第3場・キャメロット宮廷の一角
準備のために別室に下がる王妃グウィネヴィア。
見送って溜息をつくランスロット、優しく声をかける王。
「たとえ命を投げ出しても、グウィネヴィアさまをお護りする。それが私の、生きる意味です」
もう何も喪いたくない……だから。
「命を投げ出しても?」
この優しげな騎士に、そんな風に言ってほしくない。そんな気持ちを隠そうともせず。
「はい。王妃さま、そして今日からは陛下のために」
それでも、一度は彼の願いを受け容れて、返そうとする、王。
「……だが私は、素晴らしい騎士たちが戦いのさなか死んでいくことに、もはや耐えられぬ」
それは。
本当は、王者が口にしてはいけないこと。
『正しき道』を歩いてきたアーサーの、それが、罪。
「強い力、その力で得られる世界の向こうには何があるんだ?」
王者の視界をもたぬ身には、もの思わぬ剣であらんとする騎士には、想像することさえできない世界観。
「争いは新たな争いを招き、憎しみはより大きな憎しみに呑みこまれる」
『王家に捧ぐ歌』で木村さんが唱えたお題目が、こんな風に戻ってくることにいっそ感動を覚えました。
剣として生きるのではなく、人として生きるのだ、ということを、こういう言葉で表現するのか、と。
王であることと人であることを両立させるために。
騎士である前に、人間であるために。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
姫を護る剣として、装填された銃として使い手を欲していたランスロットに、思いもかけない世界を聴かせるアーサー。
♪それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
♪そんな奇跡の夢 みつめていきたい
……みっきぃさんの歌には、抗えないものがある、と思います。
もちろんそれは、役の上でのことなんですけど。でも、じっさいあの圧倒的なパワーのある声で間近で歌われたら、どんなに理解の外にある話でも信じてしまうような気がします。
アーサー王にそれだけのパワーがあったことが、この突拍子もない物語の根幹を支えたんだな、と。
そんなふうに納得しつつ。
「人は法のもとに平等となり、誰もが自分の意志を持つ」
そこには本当の自由がある。力によって護られるものではなく、本当の自由が。
『ランスロット、あなたの希みは?』
『もう誰も、喪いたくない』
「ランスロット。そんな世界のために、きみの力を遣いたくないか?」
『ランスロット、ほしいものはなに?』
『強い力がほしい……!』
「……すべて、陛下の仰せのままに」
ランスロットのいらえに、破顔一笑して首を振るアーサー。
「違う違う」
笑い含みに言い聴かせる声が、回を重ねるごとに優しくなっていったのが印象的でした。
「自分の意志で決めるんだ。私と共に物語を描くんだ」
従うのではなく、
闘うのでもなく、
ただ、
物語を描くのだ、と。
舞台奥から他の11人の騎士たちが登場し、王を中心に踊りだす。
「Noblesse Obligeと共に!」
場面が極まると、マーリンがマントを脱ぎ棄てて訓練ソングを歌いだす。
♪訓練修練鍛練つんで 予習復習反復横とび
♪休まずたゆまずたまには休んであわてずひるまず反復横とび!
れんた、最高!!
白髪に白いひげ、ねじくれた杖を持った魔法使いが、若い騎士たちのだれよりも華麗に鋭く反復横とびを跳ぶ不条理さ。
いやあの、マーリンは別に剣を持って闘うわけじゃないよね?いや、あの、訓練計画を立てる人が自分でオリンピックに出なくていいんだってば!
踊るために脱ぎ捨てたマーリンのマントを、苦笑しながら拾い上げて丁寧に畳むアーサーがすごくツボです。ええ。ツボというのはこういうことか、と、目から鱗なくらいツボでした。
アーサーが、そして、皆が口をそろえて謡う、言葉。
それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
これも、この作品のテーマの一つだと思います。
『人ならざる者』に与えられる奇跡ではなく、人が人のまま、意志をもって希うこと。
それが叶うなら、それは奇跡なのか。
人が人のまま意志をもって希ったことならば、それは奇跡ではなく必然ではないのか?
それが奇跡にすぎぬというならば、人ならざるモノが闊歩する世界で、人が人として生きる意味はあるのか?……と。
皆が下がった後、もう一度ランスロットとアーサーが会話をする。
熱に浮かされたように、共感を確かめ合う二人。
「……王妃様のご準備が整いましてございます」
そこに割ってはいる、侍女の声。
あれはノーマ(愛水せれ奈)でしたよね?グウィネヴィアについていた方がセリア(妃白ゆあ)でしたよね……すみません、あまりちゃんと認識できず。
ちょっと硬いけれども、滑舌のよい明朗な声で、この場面に割って入るのにぴったりの声だなあと思いました。
夫が妻の手を握り締める。
「手が震えてる……」
残酷なほど優しい声で囁きながら、そっと引き寄せて。
「何も心配することはない。私は必ず、貴女を幸せにしてみせる」
……壊れ物を抱くように、そっと抱きしめるアーサーの腕も震えていることに、グウィネヴィアは気づかない。
この場面でグウィネヴィアに語るアーサーの台詞が、二幕のラストシーンでちょっと違う台詞になってリフレインされるんですが……
ああいうところ、生田さんはずるいと思う(^ ^)。
いずれにしても。
この後のランスロットのソロの歌がとても好きです。心情のこもった、いい歌だと思う。……真風くん、がんばれ!!
アーサーの力強い声で繰り返され、刷り込まれたフレーズ。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
それを、今は、ランスロットの優しい、ちょっと自信なさげな声でリフレインする。
♪剣を置き、………、
「……私は、強く在りたいのです……!」
一瞬前まで、アーサーと同じ思いを分け合ったはずなのに。
独りになって、気持ちを言葉に置き換えたときに、また間違えてしまう、騎士。
理想はすれ違い、二人の夢もすれ違う。
ランスロットは、そのズレに気づかない。気づかない(わからない)ことが、彼の罪。
アーサーは、わかっていても気づかないふりをした。
ランスロットを気に入ったから。
グウィネヴィアに恋をしたから。
真実から目を背けた……それが彼の、罪。
.
CSニュースで、星組バウホール公演「ランスロット」千秋楽映像が流れました(^ ^)。
初日映像ではほぼ全面的に飛ばされた(ネタばれなので)キキちゃんのモルドレッドががっつりと(最初から最後まで)流れて、嬉しかったです。ただ、誕生の場面で、モルゴースに命ぜられて「はぁっ!」と答えるまで、あと2秒くらい流してほしかったなあ。
ラストまでちゃんと流れているのをみると、ああ、もうこの作品が上演されることはないんだなあ……と、胸が痛い。
しかし、アーサーとランスロットの逢引(←違う)はどーして駄目なんだ!?……すみれコードってやつですか?(←たぶん違)
数少ないランスロットとグウィネヴィアとのシーンがちゃんと抜かれているあたり、「宝塚歌劇団」としては、あくまでもあれをラブストーリーとして見せたいのでしょうかねえ。(←そんなことを生田さんに求めても無駄)
舞台ではあんなに堂々と歌い、踊っているのに、挨拶になると途端にいっぱいいっぱいになる真風くんが、とても可愛い(*^ ^*)。ごくごく平凡な挨拶の言葉も、思い溢れて詰まりながら、、涙でアイラインを流しながらの語りでひどく感動的な言葉にきこえてきます。
その後ろで表情豊かに(←ちょっと豊かすぎ)見守るみっきぃさんも可愛いなあ~(←お前、なんでもいいんだな) なんか違和感あるなーと思ったら、みんな、衣装は役のだけど、化粧はフィナーレ仕様で少し派手目だからなんですね。
「ほんとうに、最高の夏の思い出ができました。ありがとうございました!」
そんな言葉で締めくくろうとした真風くん。
うん、私こそ、最高の思い出になりました。ありがとう、心から。
CSつながりで。
というか。コレ↓を視て、すっかり真顔でランスロット感想を書く気力が萎えたので、今日はCSの話で終わることにしたんですが。
紅5nextを、やっと視ました。えっと、正式な番組名は「Brilliant Dreams +NEXT#2」か。
……いや、でもあれはやっぱり「紅5next」でしょう(^ ^)。
前回撮影したオープニングでちゃんと始まったことにちょっと感動しました。すごいなあ、CS。
今月のテーマは、リーダー(紅)のお誕生日を祝う!という企画。
しーらんとれんた、みやるりとみっきーが、ベニーの希望の料理(ポトフ)を作って御馳走する、という……なんというか、刺激的な30分でした。
この企画、誰が考えたんでしょうね。
番組自体が自分たちの企画のような気もするんだけど、、、あの料理の実力を見ていると、そもそも思いつかないような気がするんです。うーん、誰の発案なのかな知りたいなあ……。
あのメンバーで唯一、人に食べさせることができる料理を作ることができるのがベニーである、という奇跡。
いや、あの。
「さゆみさんが食べたいものを」と言われて、
「リクエストしていいの?言っちゃっても大丈夫?」と問うベニー。
「見のがしてほしくないポイントはな、コンソメ」
かなり不安げにメンバーを見ながら、そう確認するベニー。
買い物している間も、作ってる間も、面白いというかありえんというかなんというか。
連続して30分も視ていられなくて、何度も途中で止めて、息を吐きながらの鑑賞となりました。
独りで視る映像じゃないよ、あれは!誰かと一緒に、突っ込みながら視たかった!!
2組がそれぞれに作った料理をおいしそうに食べて、
「選べへん!」
というベニー。
……いやぁ(^ ^;ゞ、、、、ベニーが好きになったかも(告白)。
みやるり(美弥)としーらん(壱城)、同期二人で眼鏡対決とか、どんだけ私得?
しかし、この二人のできない度はかなり本物っぽかったなあ。
しかーし、しらたきだ春雨だと言っていたのは、冗談だと思っていいんだよね?
そうだと言って。お願い。
れんた(如月)は、あんなこと言ってるけど意外と料理できるんじゃないかと思いました。
一人ならポトフぐらいちゃんと作ったんじゃないだろうか、と思いました。……そんなことないのかなあ。
そして。
最初の時も、NEXTの1回目も、いつもおとなしくニコニコと笑って上級生の話を聞いていただけのみっきぃ(天寿)の尻尾が、だいぶ見えてしまった30分でもありましたね。
……いやー、紅5に入るべくして入った人だったんだな、最下で。すごく納得。
.
初日映像ではほぼ全面的に飛ばされた(ネタばれなので)キキちゃんのモルドレッドががっつりと(最初から最後まで)流れて、嬉しかったです。ただ、誕生の場面で、モルゴースに命ぜられて「はぁっ!」と答えるまで、あと2秒くらい流してほしかったなあ。
ラストまでちゃんと流れているのをみると、ああ、もうこの作品が上演されることはないんだなあ……と、胸が痛い。
しかし、アーサーとランスロットの逢引(←違う)はどーして駄目なんだ!?……すみれコードってやつですか?(←たぶん違)
数少ないランスロットとグウィネヴィアとのシーンがちゃんと抜かれているあたり、「宝塚歌劇団」としては、あくまでもあれをラブストーリーとして見せたいのでしょうかねえ。(←そんなことを生田さんに求めても無駄)
舞台ではあんなに堂々と歌い、踊っているのに、挨拶になると途端にいっぱいいっぱいになる真風くんが、とても可愛い(*^ ^*)。ごくごく平凡な挨拶の言葉も、思い溢れて詰まりながら、、涙でアイラインを流しながらの語りでひどく感動的な言葉にきこえてきます。
その後ろで表情豊かに(←ちょっと豊かすぎ)見守るみっきぃさんも可愛いなあ~(←お前、なんでもいいんだな) なんか違和感あるなーと思ったら、みんな、衣装は役のだけど、化粧はフィナーレ仕様で少し派手目だからなんですね。
「ほんとうに、最高の夏の思い出ができました。ありがとうございました!」
そんな言葉で締めくくろうとした真風くん。
うん、私こそ、最高の思い出になりました。ありがとう、心から。
CSつながりで。
というか。コレ↓を視て、すっかり真顔でランスロット感想を書く気力が萎えたので、今日はCSの話で終わることにしたんですが。
紅5nextを、やっと視ました。えっと、正式な番組名は「Brilliant Dreams +NEXT#2」か。
……いや、でもあれはやっぱり「紅5next」でしょう(^ ^)。
前回撮影したオープニングでちゃんと始まったことにちょっと感動しました。すごいなあ、CS。
今月のテーマは、リーダー(紅)のお誕生日を祝う!という企画。
しーらんとれんた、みやるりとみっきーが、ベニーの希望の料理(ポトフ)を作って御馳走する、という……なんというか、刺激的な30分でした。
この企画、誰が考えたんでしょうね。
番組自体が自分たちの企画のような気もするんだけど、、、あの料理の実力を見ていると、そもそも思いつかないような気がするんです。うーん、誰の発案なのかな知りたいなあ……。
あのメンバーで唯一、人に食べさせることができる料理を作ることができるのがベニーである、という奇跡。
いや、あの。
「さゆみさんが食べたいものを」と言われて、
「リクエストしていいの?言っちゃっても大丈夫?」と問うベニー。
「見のがしてほしくないポイントはな、コンソメ」
かなり不安げにメンバーを見ながら、そう確認するベニー。
買い物している間も、作ってる間も、面白いというかありえんというかなんというか。
連続して30分も視ていられなくて、何度も途中で止めて、息を吐きながらの鑑賞となりました。
独りで視る映像じゃないよ、あれは!誰かと一緒に、突っ込みながら視たかった!!
2組がそれぞれに作った料理をおいしそうに食べて、
「選べへん!」
というベニー。
……いやぁ(^ ^;ゞ、、、、ベニーが好きになったかも(告白)。
みやるり(美弥)としーらん(壱城)、同期二人で眼鏡対決とか、どんだけ私得?
しかし、この二人のできない度はかなり本物っぽかったなあ。
しかーし、しらたきだ春雨だと言っていたのは、冗談だと思っていいんだよね?
そうだと言って。お願い。
れんた(如月)は、あんなこと言ってるけど意外と料理できるんじゃないかと思いました。
一人ならポトフぐらいちゃんと作ったんじゃないだろうか、と思いました。……そんなことないのかなあ。
そして。
最初の時も、NEXTの1回目も、いつもおとなしくニコニコと笑って上級生の話を聞いていただけのみっきぃ(天寿)の尻尾が、だいぶ見えてしまった30分でもありましたね。
……いやー、紅5に入るべくして入った人だったんだな、最下で。すごく納得。
.
ランスロットの見た夢【3】
2011年9月8日 宝塚(星)星組バウホール公演「ランスロット」。
■第4場 魔女の森~ル・フェイの血統~
ル・フェイ(妖精)の血統であるモルゴース(花愛瑞穂)が、その娘モルガン(夢妃杏瑠)に自分たちの怒りと恨みを語る。
ブリテンの先王ユーサーは、モルゴースと約束をした。魔力を与える代わりに、その娘を王宮にむかえよう、と。
そうして生まれたモルガン。
しかしユーサーは約束を護らず、モルゴースと娘は森に棄て置かれた。
「人間界」に対する憧憬と恨み。人ならざる者たちは常に素直で真っ直ぐで、愛も恨みも率直。モルゴースの恨みは約束が守られなかった恨み。その恨みは容を得て、闇の騎士マリアガンス(碧海)となる……。
碧海りまさんのプログラムの写真は、グウィネヴィアの父王レオデグランスなのですが、作品を観たあとで印象に残ったのはこのマリアガンスの方でした。
短い髪、頬に残る刻印。ホムンクルスらしい無機質な芝居と、ちょっと違和感のあるカクカクした動きがとても印象に残っています。
モルゴースが操るホムンクルス(この言葉も、「鋼の錬金術師」以後、ふつうに使われるようになりましたねー)は、最後の最後に漣レイラさんを見つけてちょっと満足。マントの陰からすこしだけ髪が見えたの。他の方もちょっとだけ髪が見えるので、ファンの方ならわかるんだろうなあ。
そして、場面の最初から舞台奥に2体いるんですが、あれは誰なんでしょう。初見のときはすっかりオブジェだと思い込んでいたので、動き出したときはすごく吃驚しました。結構な時間だと思うのに、ぜんぜん動いてなかった!すごーい!でも誰だかわからない……。
マリアガンスが生まれる前のモルゴースの歌の歌詞が面白くて好きです。
「つみかさねた(積み重ねた)恨み、つみをかさねた(罪を重ねた)報い」「災厄をもってこたえよう/最悪の時を与えよう」とか、「守るべき契約、守らぬは軽薄」とか。
生田さんって、こういう言葉遊びっぽいものも好きなのでしょうか。
場面の最後、マリアガンスに「王妃をさらってくるように」と命じて高笑いするモルゴースを窘める湖の魔女。どうやら、ヴィヴィアンの方が上級生で(事実だな)(←違う)、モルゴースに魔力を与えたのも湖の魔女であるらしい(←なんでそんなことしたんですか)
「人でありながら魔族の加護のあるランスロットは、人の王と手を結び、この世界に秩序をもたらすでしょう」
そう宣言するヴィヴィアン。自信たっぷりに、上から目線で。さらに
「ランスロットは、強い」
と言いきってくれる美穂おねえさまが大好きです。生田さんが、この厳しいスケジュールでも美穂さんに出演要請をした理由がよくわかる。美穂さんって、本当に女神の役が似合う役者ですよね~!
モルゴースとモルガンは、赤を基調にした服と髪。彼女は「森の魔女」なので、最初のうちはどうして緑じゃないんだろう?と思っていたのですが、、、炎のような怒りと恨みを抱くモルゴースは、やっぱり紅蓮の赤がふさわしいですね。
湖の魔女ヴィヴィアンに護られたランスロットが蒼、エクスカリバーに選ばれたアーサーが金と白。そんな世界に対して、異世界としての森の魔女モルゴースとその娘、そしてモルドレッドの、赤。
有村さんの衣装、今回は本当に素晴らしいです!
■第5場 キャメロット~五月祭~
華やかな五月祭。グウィネヴィアの輿入れが4月だから、半月くらい過ぎたところ、なのかな。
舞台中央にポールをたてて、一番上からリボンを曳いて皆で踊る……なんかこういうの他でも見たことがあるんですけど、ブリテン(イギリス)の風習なんでしょうか?
騎士たちも、ホムンクルスメンバー(瀬稀・芹香・漣・ひろ香・瀬央・紫藤)以外は国人としてダンスに参加しています。さりげなく皆カップルで幸せそうなんだけど、いかんせん星組さんは娘役さんが全然わからないのが残念。
ボールス(汐月しゅう)だけは警備兵としての参加(←ただ一人の警備兵)、なのですが、幕開きすぐはちょっとだけ恋人セリア(妃白)といちゃいちゃしてました(^ ^)。警備に戻るためにすぐ離れるんですが、ちょうど恋人ノーマ(愛水)の肩を抱いて通りがかったガウェイン(麻央)にからかわれて、ムッとしているのも素敵です。いいなー、しゅうくん、本当に二枚目だよなー(*^ ^*)。台詞の声も好きなので、もうちょっと喋ってほしいのに、どちらかというと「無口な兄」なのが残念……。
喧騒の中に紛れこもうとする王妃グウィネヴィアと、護衛の騎士ランスロット。
「いいなー、ランスロットさま」
ノーマの呟きに、ちょっとムッとするガウェイン。
そんな二人をからかうボールス。いやー、ちょっとしたやり取りなんですけど、さりげなくて良いですよね♪
「王妃!」
幼馴染の姫に、そう呼びかける騎士。
「そのかしこまった話し方、なんとかならないかしら……昔みたいに!」
昔と今は違うのに、そんな可愛らしい我侭で騎士を困らせる姫。
その姿は、アーサーが恋をした『明るくて可愛らしいお嬢さん』そのもので。
そんな二人を遠くから眺める、王妃の夫。
このまま何事もなければ、アーサーとグウィネヴィアがもっと親密になれるチャンスがあったかもしれないのに……と思ってしまいます。
その方が、ランスロットも幸せだったはずなのに……。
「来たばかりの頃は寂しげだったが、ランスロットのおかげで楽しそうだな」
恋の前に不器用な王者を、ちょっと心配そうに見上げる魔法使い。
「どうした?」
「空が曇ってまいりました。雨になるかと」
「なに、めぐみの雨となろう!」
どんなことでも前向きに、ポジティヴにとらえて、前を向いて進む。
それが王者の歩くべき道だから。
そんなアーサーだからこそエクスカリバーが選び、そんな王だからこそ騎士たちも従う。
けれども、そんな王にはわからないものがある。ひとを恨む気持ち、妬み心……そういった後ろ向きな想いは、彼が視る世界にはないものだから。
だから。彼が魔法使いの不吉な予言を笑い飛ばした時にこそ、明るい五月の空は曇り、楽しげな祭りの音楽の中に妖しい布教和音が混ざりこむ。
黒いマントに身を包んだモルガン。
甲冑のマリアガンスと、ホムンクルスたち。
妖しげで美しいモルガンの声が切り裂く、平穏で明るい五月祭。その対比が非常に鮮やかで、演出として非常に見事だったと思います。
ランスロットと鬼ごっこの末に、一瞬はぐれた隙にさらわれる王妃グウィネヴィア。
グウィネヴィアの名を呼びながら、祭りの喧騒の中心に走りこむランスロット。
人々の拒否。否定。無視。……ひそやかな悪意。
「何があった!?」
走りこんでくる王。そこに倒れこんでくるボールス。正体の知れぬ妖しい騎士と戦い、怪我をした騎士。
「王妃さまが……!」
苦しそうに呻くボールスを見下ろして、ランスロットが出陣を宣言する。
「どこまでも追いかけて、必ず王妃さまを取り戻す!そして、お前の仇もうってやる!」と。
……えーっと、グウィネヴィアが輿入れして半月。ってことは、ランスロットとボールスが出会ってからも半月ですよね……?男同士ってお手軽だわー(←違)
こういうやり取りがあって、2幕でボールスがランスロットにつく理由を作っているんですよね。
まあ、ここで「俺も行く!」と言うガウェインもなかなか良い子なんだけどなあ。どうして変ってしまうのでしょうか……。
■第6場A 魔女のチェス盤
聖杯の守護者ヨセフが語る。
この探索は、魔女のチェス盤だと。
先手は森の魔女モルゴース、後手は湖の魔女ヴィヴィアン。
花愛さんと美穂さんの歌合戦、本当に素晴らしかった!!(興奮)
舞台の両端で、チェス盤を手にたたみかけるように唄う魔女たち。
舞台を縦横に走り回り、ひたすら闘うランスロットと魔女の手駒たち。割と早い段階で置いていかれているガウェインがちょっとだけ気の毒な気がするくらい、迫力のある場面でした。
「勝負」の意味はよくわからなかったけど、要は、人ならざる者が運命の糸を弾いても、それはきっかけにすぎず、意志を持つ人の子の動きをすべて規定することにはならない、ということなんですよね、きっと。
それがこの作品を貫くテーマだから。
ヴィヴィアンもモルゴースも、それぞれに手駒を操って自分の望む方向に物語を進めようとするけれども、最終的な局面でランスロットがマリアガンスを倒さないことには、魔女たちの戦いも終わらない。結局のところ、血を流すのは意志を持つであって、魔女たち自身は、直接世界に関与することはできない、と。
■第6場B 対峙・対決・救出
大樹に守られた魔女の棲家。
マリアガンスを斬り棄てたランスロットの前に立ちふさがるモルガン。
「殺せ!」
母の宿願は叶わなかった。私は母の願いを叶えられなかった……母はもう私を必要としないだろう。
幼いころから母の宿願に縛られてきた彼女には、そこから解放されて自由となっても、何をしたらいいのかわからない。もはや運命の輪は閉じた。そう思った方が、気持ちは楽になる。
なのに。
「ここで斬られることがお前の運命だというのなら、私がそれに逆らってやろう」
そう告げて、剣を納める騎士。
「母に必要とされない自分」というイメージを抱けない娘にとっては、むしろ残酷な宣告でさえあるだろうに。
でも、彼女は運命と闘うために立ち上がる。捨て台詞を残し、母の道具ではない自分を探して。
十字を切って、母に祈るランスロット。
やっと追いつくガウェイン。
怯えきった王妃を救いだし、ガウェインを先に戻らせるランスロット。
たった一夜、二人きりに戻った夜。
「死ぬかもしれないと思ったときに、私が求めたのはあなただったの……!」
当たり前のように傍にいてくれた騎士にしがみつき、離さないでとねだる少女。
騎士として、溢れそうになる気持ちを必死で繋ぎとめようとするランスロット。
「わたし、あなたを愛している!!」
グウィネヴィアの心の叫びに触発されて、ランスロットの胸中を昔の二人が走り抜ける。
『あーあ、』という溜息に似た気持ちが、ついに心の縁を超えて溢れだす。
長いことずっと、輿入れが決まる前からずっと、気持ちを抑えて生きてきたのに。
恋しい少女の一番傍にいられることに満足して、彼女の隣に立つ権利がないことを諦めてきたのに。
ランスロットの無骨な手が、グウィネヴィアの細い肩を引き寄せる。
もう仕方がない。想いは溢れてしまった。愛は零れてしまった。
もう戻れない。戻らない。こぼれたミルクは戻らない。溢れた愛は戻せない。どんな顔をして王に逢えばいいのか、そんなことも考えられない。ただ、今腕の中にあるこの細い身体を抱きしめて。
……生田さんが恋愛をテーマに作品つくるつもりがないんだなーというのは、こういう場面を観てしみじみと思うことです。
この二人が恋をするのは必然であり運命であって、どうしようもないことだ、という大前提があるんですよね、彼の中に。だから、今まで抑えてきたものが溢れてしまう場面に、実際にはなっていない。
真風くんがヘタレすぎたり、わかばちゃんがお人形すぎたりするのも原因の一つなのですが、そもそも、そのヘタレ感とか人形っぽさというのは生田さんが主演コンビに求めた芸質だと思うしね。
見た目だけならこんなに恋を語るにふさわしい二人もいないってくらい、美男美女でお似合いなのに、なんか恋愛してる感がないのが、、、残念というか、生田さんらしいというか。
いや、私は好きですけどね、こういう作風は(^ ^)。
■第7場 Starry Sky
静かに始まるラヴソング。これもRevoさん作曲なのでしょうか?良い曲でした。
♪手を離せば消えてしまう白い幻
♪喪いたくない 誰にも渡せない
子供時代のグウィネヴィア(綺咲)が、ランスロット(妃海)にオルフェとエウリディーチェの物語を語る。
冥界を出る直前に振り返ってしまい、一度は取り戻した妻を、再び喪うオルフェ。
「どうしてオルフェは振り返ってしまったの?」
「うーん、なんだったかしら」
「僕だったら振り返ったりしないのに!」
「それだったら、振り返らなかったオルフェの話を、二人で考えましょうよ!」
「うん、その方が、きっと素敵な話になるね!」
自分たちだけの物語を紡ごう、と誓った幼い日。
もう忘れてしまった遠い約束。
♪いつか描いた僕らの物語
♪取り戻すため 僕は駈け出す
♪光に満ちたあの地平の彼方へ
オープニングに歌ったテーマ曲「Stargazer」をリフレインして、星の海に沈む二人。
王妃と騎士にとって、二人きりの時間はごく短い。
「二人なら乗り越えていける。そして、いつかきっと……」
キャメロットでは、王が待っている。
どんな顔で王に逢うのか、いや、王がどんな顔で自分たちを迎えるのか、そんなことさえ考えられないままに、ふたりで。
「いつか、きっと?」
王妃の疑問形で場面を締める生田さんって、正直すぎるよなあ……と思ったりします。
いや、私は好きなんですよ、あの『恋愛感情なんざメインテーマに関係ない!』という割り切りようは(^ ^)。
実際、あの作風でちゃんと2幕二時間にまとめるには、そういう割り切りって絶対必要だと思うし。
いやー、ほんっとに面白いクリエイターですよね、生田さん。あなたが宝塚を選んでくれて、よかったです!!(真顔)
.
■第4場 魔女の森~ル・フェイの血統~
ル・フェイ(妖精)の血統であるモルゴース(花愛瑞穂)が、その娘モルガン(夢妃杏瑠)に自分たちの怒りと恨みを語る。
ブリテンの先王ユーサーは、モルゴースと約束をした。魔力を与える代わりに、その娘を王宮にむかえよう、と。
そうして生まれたモルガン。
しかしユーサーは約束を護らず、モルゴースと娘は森に棄て置かれた。
「人間界」に対する憧憬と恨み。人ならざる者たちは常に素直で真っ直ぐで、愛も恨みも率直。モルゴースの恨みは約束が守られなかった恨み。その恨みは容を得て、闇の騎士マリアガンス(碧海)となる……。
碧海りまさんのプログラムの写真は、グウィネヴィアの父王レオデグランスなのですが、作品を観たあとで印象に残ったのはこのマリアガンスの方でした。
短い髪、頬に残る刻印。ホムンクルスらしい無機質な芝居と、ちょっと違和感のあるカクカクした動きがとても印象に残っています。
モルゴースが操るホムンクルス(この言葉も、「鋼の錬金術師」以後、ふつうに使われるようになりましたねー)は、最後の最後に漣レイラさんを見つけてちょっと満足。マントの陰からすこしだけ髪が見えたの。他の方もちょっとだけ髪が見えるので、ファンの方ならわかるんだろうなあ。
そして、場面の最初から舞台奥に2体いるんですが、あれは誰なんでしょう。初見のときはすっかりオブジェだと思い込んでいたので、動き出したときはすごく吃驚しました。結構な時間だと思うのに、ぜんぜん動いてなかった!すごーい!でも誰だかわからない……。
マリアガンスが生まれる前のモルゴースの歌の歌詞が面白くて好きです。
「つみかさねた(積み重ねた)恨み、つみをかさねた(罪を重ねた)報い」「災厄をもってこたえよう/最悪の時を与えよう」とか、「守るべき契約、守らぬは軽薄」とか。
生田さんって、こういう言葉遊びっぽいものも好きなのでしょうか。
場面の最後、マリアガンスに「王妃をさらってくるように」と命じて高笑いするモルゴースを窘める湖の魔女。どうやら、ヴィヴィアンの方が上級生で(事実だな)(←違う)、モルゴースに魔力を与えたのも湖の魔女であるらしい(←なんでそんなことしたんですか)
「人でありながら魔族の加護のあるランスロットは、人の王と手を結び、この世界に秩序をもたらすでしょう」
そう宣言するヴィヴィアン。自信たっぷりに、上から目線で。さらに
「ランスロットは、強い」
と言いきってくれる美穂おねえさまが大好きです。生田さんが、この厳しいスケジュールでも美穂さんに出演要請をした理由がよくわかる。美穂さんって、本当に女神の役が似合う役者ですよね~!
モルゴースとモルガンは、赤を基調にした服と髪。彼女は「森の魔女」なので、最初のうちはどうして緑じゃないんだろう?と思っていたのですが、、、炎のような怒りと恨みを抱くモルゴースは、やっぱり紅蓮の赤がふさわしいですね。
湖の魔女ヴィヴィアンに護られたランスロットが蒼、エクスカリバーに選ばれたアーサーが金と白。そんな世界に対して、異世界としての森の魔女モルゴースとその娘、そしてモルドレッドの、赤。
有村さんの衣装、今回は本当に素晴らしいです!
■第5場 キャメロット~五月祭~
華やかな五月祭。グウィネヴィアの輿入れが4月だから、半月くらい過ぎたところ、なのかな。
舞台中央にポールをたてて、一番上からリボンを曳いて皆で踊る……なんかこういうの他でも見たことがあるんですけど、ブリテン(イギリス)の風習なんでしょうか?
騎士たちも、ホムンクルスメンバー(瀬稀・芹香・漣・ひろ香・瀬央・紫藤)以外は国人としてダンスに参加しています。さりげなく皆カップルで幸せそうなんだけど、いかんせん星組さんは娘役さんが全然わからないのが残念。
ボールス(汐月しゅう)だけは警備兵としての参加(←ただ一人の警備兵)、なのですが、幕開きすぐはちょっとだけ恋人セリア(妃白)といちゃいちゃしてました(^ ^)。警備に戻るためにすぐ離れるんですが、ちょうど恋人ノーマ(愛水)の肩を抱いて通りがかったガウェイン(麻央)にからかわれて、ムッとしているのも素敵です。いいなー、しゅうくん、本当に二枚目だよなー(*^ ^*)。台詞の声も好きなので、もうちょっと喋ってほしいのに、どちらかというと「無口な兄」なのが残念……。
喧騒の中に紛れこもうとする王妃グウィネヴィアと、護衛の騎士ランスロット。
「いいなー、ランスロットさま」
ノーマの呟きに、ちょっとムッとするガウェイン。
そんな二人をからかうボールス。いやー、ちょっとしたやり取りなんですけど、さりげなくて良いですよね♪
「王妃!」
幼馴染の姫に、そう呼びかける騎士。
「そのかしこまった話し方、なんとかならないかしら……昔みたいに!」
昔と今は違うのに、そんな可愛らしい我侭で騎士を困らせる姫。
その姿は、アーサーが恋をした『明るくて可愛らしいお嬢さん』そのもので。
そんな二人を遠くから眺める、王妃の夫。
このまま何事もなければ、アーサーとグウィネヴィアがもっと親密になれるチャンスがあったかもしれないのに……と思ってしまいます。
その方が、ランスロットも幸せだったはずなのに……。
「来たばかりの頃は寂しげだったが、ランスロットのおかげで楽しそうだな」
恋の前に不器用な王者を、ちょっと心配そうに見上げる魔法使い。
「どうした?」
「空が曇ってまいりました。雨になるかと」
「なに、めぐみの雨となろう!」
どんなことでも前向きに、ポジティヴにとらえて、前を向いて進む。
それが王者の歩くべき道だから。
そんなアーサーだからこそエクスカリバーが選び、そんな王だからこそ騎士たちも従う。
けれども、そんな王にはわからないものがある。ひとを恨む気持ち、妬み心……そういった後ろ向きな想いは、彼が視る世界にはないものだから。
だから。彼が魔法使いの不吉な予言を笑い飛ばした時にこそ、明るい五月の空は曇り、楽しげな祭りの音楽の中に妖しい布教和音が混ざりこむ。
黒いマントに身を包んだモルガン。
甲冑のマリアガンスと、ホムンクルスたち。
妖しげで美しいモルガンの声が切り裂く、平穏で明るい五月祭。その対比が非常に鮮やかで、演出として非常に見事だったと思います。
ランスロットと鬼ごっこの末に、一瞬はぐれた隙にさらわれる王妃グウィネヴィア。
グウィネヴィアの名を呼びながら、祭りの喧騒の中心に走りこむランスロット。
人々の拒否。否定。無視。……ひそやかな悪意。
「何があった!?」
走りこんでくる王。そこに倒れこんでくるボールス。正体の知れぬ妖しい騎士と戦い、怪我をした騎士。
「王妃さまが……!」
苦しそうに呻くボールスを見下ろして、ランスロットが出陣を宣言する。
「どこまでも追いかけて、必ず王妃さまを取り戻す!そして、お前の仇もうってやる!」と。
……えーっと、グウィネヴィアが輿入れして半月。ってことは、ランスロットとボールスが出会ってからも半月ですよね……?男同士ってお手軽だわー(←違)
こういうやり取りがあって、2幕でボールスがランスロットにつく理由を作っているんですよね。
まあ、ここで「俺も行く!」と言うガウェインもなかなか良い子なんだけどなあ。どうして変ってしまうのでしょうか……。
■第6場A 魔女のチェス盤
聖杯の守護者ヨセフが語る。
この探索は、魔女のチェス盤だと。
先手は森の魔女モルゴース、後手は湖の魔女ヴィヴィアン。
花愛さんと美穂さんの歌合戦、本当に素晴らしかった!!(興奮)
舞台の両端で、チェス盤を手にたたみかけるように唄う魔女たち。
舞台を縦横に走り回り、ひたすら闘うランスロットと魔女の手駒たち。割と早い段階で置いていかれているガウェインがちょっとだけ気の毒な気がするくらい、迫力のある場面でした。
「勝負」の意味はよくわからなかったけど、要は、人ならざる者が運命の糸を弾いても、それはきっかけにすぎず、意志を持つ人の子の動きをすべて規定することにはならない、ということなんですよね、きっと。
それがこの作品を貫くテーマだから。
ヴィヴィアンもモルゴースも、それぞれに手駒を操って自分の望む方向に物語を進めようとするけれども、最終的な局面でランスロットがマリアガンスを倒さないことには、魔女たちの戦いも終わらない。結局のところ、血を流すのは意志を持つであって、魔女たち自身は、直接世界に関与することはできない、と。
■第6場B 対峙・対決・救出
大樹に守られた魔女の棲家。
マリアガンスを斬り棄てたランスロットの前に立ちふさがるモルガン。
「殺せ!」
母の宿願は叶わなかった。私は母の願いを叶えられなかった……母はもう私を必要としないだろう。
幼いころから母の宿願に縛られてきた彼女には、そこから解放されて自由となっても、何をしたらいいのかわからない。もはや運命の輪は閉じた。そう思った方が、気持ちは楽になる。
なのに。
「ここで斬られることがお前の運命だというのなら、私がそれに逆らってやろう」
そう告げて、剣を納める騎士。
「母に必要とされない自分」というイメージを抱けない娘にとっては、むしろ残酷な宣告でさえあるだろうに。
でも、彼女は運命と闘うために立ち上がる。捨て台詞を残し、母の道具ではない自分を探して。
十字を切って、母に祈るランスロット。
やっと追いつくガウェイン。
怯えきった王妃を救いだし、ガウェインを先に戻らせるランスロット。
たった一夜、二人きりに戻った夜。
「死ぬかもしれないと思ったときに、私が求めたのはあなただったの……!」
当たり前のように傍にいてくれた騎士にしがみつき、離さないでとねだる少女。
騎士として、溢れそうになる気持ちを必死で繋ぎとめようとするランスロット。
「わたし、あなたを愛している!!」
グウィネヴィアの心の叫びに触発されて、ランスロットの胸中を昔の二人が走り抜ける。
『あーあ、』という溜息に似た気持ちが、ついに心の縁を超えて溢れだす。
長いことずっと、輿入れが決まる前からずっと、気持ちを抑えて生きてきたのに。
恋しい少女の一番傍にいられることに満足して、彼女の隣に立つ権利がないことを諦めてきたのに。
ランスロットの無骨な手が、グウィネヴィアの細い肩を引き寄せる。
もう仕方がない。想いは溢れてしまった。愛は零れてしまった。
もう戻れない。戻らない。こぼれたミルクは戻らない。溢れた愛は戻せない。どんな顔をして王に逢えばいいのか、そんなことも考えられない。ただ、今腕の中にあるこの細い身体を抱きしめて。
……生田さんが恋愛をテーマに作品つくるつもりがないんだなーというのは、こういう場面を観てしみじみと思うことです。
この二人が恋をするのは必然であり運命であって、どうしようもないことだ、という大前提があるんですよね、彼の中に。だから、今まで抑えてきたものが溢れてしまう場面に、実際にはなっていない。
真風くんがヘタレすぎたり、わかばちゃんがお人形すぎたりするのも原因の一つなのですが、そもそも、そのヘタレ感とか人形っぽさというのは生田さんが主演コンビに求めた芸質だと思うしね。
見た目だけならこんなに恋を語るにふさわしい二人もいないってくらい、美男美女でお似合いなのに、なんか恋愛してる感がないのが、、、残念というか、生田さんらしいというか。
いや、私は好きですけどね、こういう作風は(^ ^)。
■第7場 Starry Sky
静かに始まるラヴソング。これもRevoさん作曲なのでしょうか?良い曲でした。
♪手を離せば消えてしまう白い幻
♪喪いたくない 誰にも渡せない
子供時代のグウィネヴィア(綺咲)が、ランスロット(妃海)にオルフェとエウリディーチェの物語を語る。
冥界を出る直前に振り返ってしまい、一度は取り戻した妻を、再び喪うオルフェ。
「どうしてオルフェは振り返ってしまったの?」
「うーん、なんだったかしら」
「僕だったら振り返ったりしないのに!」
「それだったら、振り返らなかったオルフェの話を、二人で考えましょうよ!」
「うん、その方が、きっと素敵な話になるね!」
自分たちだけの物語を紡ごう、と誓った幼い日。
もう忘れてしまった遠い約束。
♪いつか描いた僕らの物語
♪取り戻すため 僕は駈け出す
♪光に満ちたあの地平の彼方へ
オープニングに歌ったテーマ曲「Stargazer」をリフレインして、星の海に沈む二人。
王妃と騎士にとって、二人きりの時間はごく短い。
「二人なら乗り越えていける。そして、いつかきっと……」
キャメロットでは、王が待っている。
どんな顔で王に逢うのか、いや、王がどんな顔で自分たちを迎えるのか、そんなことさえ考えられないままに、ふたりで。
「いつか、きっと?」
王妃の疑問形で場面を締める生田さんって、正直すぎるよなあ……と思ったりします。
いや、私は好きなんですよ、あの『恋愛感情なんざメインテーマに関係ない!』という割り切りようは(^ ^)。
実際、あの作風でちゃんと2幕二時間にまとめるには、そういう割り切りって絶対必要だと思うし。
いやー、ほんっとに面白いクリエイターですよね、生田さん。あなたが宝塚を選んでくれて、よかったです!!(真顔)
.
9月10日のつぶやき
2011年9月10日 呟き・ご挨拶・他天寿光希さま、
お誕生日おめでとうございます(^ ^)。
「ランスロット」の舞台写真が出たと聞いたのでキャトルへ出掛けてみましたが、アーサー王の写真は一枚しか無かった↓↓単独の写真が3枚出たと聞いたんだけど、、、しょぼん。
また入荷するかなあ。注文したほうがいいのかなあ…。
まあ、でも、写真が複数出ただけで、すごく嬉しいです!ありがとう!!(←誰に)
・
お誕生日おめでとうございます(^ ^)。
「ランスロット」の舞台写真が出たと聞いたのでキャトルへ出掛けてみましたが、アーサー王の写真は一枚しか無かった↓↓単独の写真が3枚出たと聞いたんだけど、、、しょぼん。
また入荷するかなあ。注文したほうがいいのかなあ…。
まあ、でも、写真が複数出ただけで、すごく嬉しいです!ありがとう!!(←誰に)
・
9月11日のつぶやき
2011年9月11日 呟き・ご挨拶・他あの日から10年。
そして、あの日から半年。
未曾有の人災と、1000年に一度の天災と。
比べるべきものではありませんが、偶然って怖ろしいなと思います。
2000年9月にNYに遊びに行き、CATSの千秋楽は観れなかったけど、9月11日のタイムズスクウェアでのイベントに参加したりしてとってもとっても楽しかったという思い出を抱いていた私。
2001年9月は、NYで働いていた友人の無事を祈り、また、一年前にすれ違った人々の笑顔を思いだして、祈るばかりでした。
半年前のことは、当日の日記にも書いていますが。
今読み返すと、当時の私は呑気だなーというか、事態の大きさが全然わかっていなかったな、と思います。渦中、しかも、渦のど真ん中じゃなくてその隅っこくらいにいると、イメージ以上に全体像って見えないものなのんだなあ、と。
あれから、半年。
季節は春と夏をすぎて、いまも残暑厳しいとはいえ、もうすっかり秋。「実りの秋」には程遠いかもしれませんが、なんとか雪が降る前に少しでも落ち着きますようにと祈るばかりです。
そんな状況の中、本日は花組東宝劇場公演「ファントム」が千秋楽を迎えました。
最後の公演は観られなかったけど、今日の11時公演を観てまいりました。
あらためて、蘭寿さん花組トップお披露目、おめでとうございます!
大劇場の初日から東宝の千秋楽まで約3ヶ月、ものすごい勢いで進化していった花組っ子たちに、いまはただ、「おめでとう」と「お疲れさまでした」の二言を捧げます。
プロローグで、白鳥として登場する(華月)由舞ちゃんとかなこちゃん(初花美咲)を観ただけで(千秋楽でもないのに)泣けてしまった私。
黒鳥に変身して力強く踊る由舞ちゃんの腕の美しさ、かなこちゃんの強気な瞳の煌めきに、あらためて見惚れました。
パリの街でお芝居をする夏城らんかさんと花輝真帆さん。
最後だからとずっと二人を追い掛けていたのですが、やっぱり良い芝居するんだよね……。勿体無いなあ、二人とも。
2幕の「エリック・ストーリー」。
ベラドーヴァに薬草を売る薬草売りの美しさが、また一段と突出して迫力がでてきたような気がしました。
視線が惹きつけられて、離せない。出番は一瞬なのに、強烈に印象に残る闇色の輝きが、もう二度と逢えない輝きであることがとても残念。
もう随分と前からその美貌をひっそりと愛でてきたかなこちゃん。それでも、たくさん踊ってくれて、たくさん小芝居してくれて、嬉しかったです。ふんわりした笑顔も、挑みかかるようなキツい貌も、どんな表情も大好きでした。
若いキャリエールにまとわりつくように踊る由舞ちゃんがとても好きです。ショーのない作品で卒業するダンサー由舞ちゃんに、この表現力を発揮できる一瞬のソロダンスがあって嬉しかった。ありがとう中村さん。
新公を卒業してから芝居でも力を発揮できるようになった、美女。「舞姫」「BUND NEON-上海-」と小劇場ではいくつもヒットを飛ばしている彼女には、大劇場でも一度くらい大役をやってから卒業してほしかったけど。
でも、今日の由舞ちゃんに逢えたから、良かったんだと思う。可愛かったー!!
卒業された4人の方にとって、今日が素敵な日であったなら良いのですが。
みなさまがこれから歩いていかれる道が、幸いなものでありますように。
そして。
被災されたみなさま、復興にむけて努力されているみなさまにも、幸いがありますように。
.
天使のファントム【2】
2011年9月14日 宝塚(花) コメント (6)公演は終わってしまいましたが、花組公演「ファントム」について、もうちょっとだけ語らせてください。
今夏に上演された「ファントム」花組再演版。
私、実は、今回で初めて「ファントムという作品」に嵌りました(^ ^)。
元々音楽は本当に大好きでした。
「パリのメロディ」「Home」「You Are Music」「My True Love」……クリスティーヌのナンバーは全曲カラオケにいれてほしいと願うくらい、初演から大のお気に入りの曲ばかり。
でも、作品としては、どうもぴんとこなかった、、、というのが正直なところ。
今回こんなに嵌ったのは、もちろん「今の花組が好き」だから必然的に何度も観ることになり、「繰り返し観るうちに色々気づいて、良さが判ってきた」っていうのもあるのかもしれませんが、、、根本的なところで、本公演と新人公演の演出の違いに嵌ったんだと思っています。
同じ芝居なのに、ぜんぜん違う印象を与えられた二つの公演。これを交互に観たことで、その二つを比較して何が違うのかを考えるようになって、、、で、嵌っちゃった(^ ^;、と。
思えば、月組「スカーレット・ピンパーネル」もこれに近い嵌り方をしたんですよねー。
新人公演を大劇場と東京と二回観るのは、危険なのかもしれないな……。
もとい。
前置きが長くなりました(いつもすみません)、そんなわけで、観ていて思った「違い」を(適当に)あげてみます。うまくまとめられなかったので読みにくいと思いますが、どうぞご容赦ください(^ ^;)。
■エリックの印象
先日も書いたのですが。
本公演の従者たちは非常に存在感があって小芝居もいちいち熱い!(←彼らのそういう処が好き)だから、どうしても蘭トムさんのエリックは「独りじゃない」、という気がしました。
壮ちゃんのキャリエールは、頑固なところもあってあまり甘えさせてくれる感じではありませんが(基本いじめっ子だなーと思う)(← それは壮ちゃんの個性であってキャリエールとは関係ないのでは?)、エリックを“息子として”愛していることはだだ漏れだし(^ ^)。
だから。
本公演のエリックは「オペラ座の地下で生活」をしていて、「味方がたくさん」いる……んだよね?という印象がありました(^ ^)。
新人公演は、どうしたって従者たちの存在感が薄い(人数も少ないし、下級生だし…)のと、キャリエール(真瀬)との間にすごく距離を感じたんですよね。
だから、、、なのかなあ。
新人公演のエリックは、「オペラ座の闇の中」で、ひたすら「孤独」に生きていた……という印象を強くうけました。
■キャリエールの立ち位置
「キャリエールがエリックを愛している」、というのは、この「Phantom」という物語の根幹であって、どのバージョンでもそこだけは変らないと思うのですが。
本公演の壮ちゃんと、新人公演の真瀬くんには決定的な違いがあった、、、と思います。
それは、エリックに愛されているかいないか、
あるいは、拒まれているかいないか、という違い。
「You Are My Own」の前。怪我をしたエリックを助けて銀橋で連れ出すキャリエール。
本公演のキャリエールは、しっかりとエリックの肩を抱いて一緒に歩き、銀橋の付け根でちょっと手を離して来た方を見張りながら先へ行かせる……という芝居をしていました。
新人公演では、一連の動きがだいぶ省略されていましたが、それでも、あえて手を出さずにエリックを独りで歩かせてましたよね。大劇場で観た時、「苦しそうだけどいいの?」と思いましたから。
「お前は愛する息子だ」と告げて、高まる音楽の中で歩み寄り、その背中を抱きしめるその瞬間まで、二人が触れ合うことはない。
それも、キャリエールが触れないんじゃなくて、エリックが拒んでいるんだな、と私は感じました。
エリックが拒むから、キャリエールが避ける。
本公演のキャリエールにとって、エリックはあくまでも「自分の息子」なんですけど、
新人公演のキャリエールにとって、彼は「自分の罪の証」であり、「弾劾者」であり、、、同時に裁きの神に対する「家の中の子供(From「訪問者」By 萩尾望都)」でもあるのかな、と思いました。
触れることさえ許されない神聖なもの。彼を護るために自分は生かされている……、そんな存在。
キャリエールにとって、エリックが「すべて」であったことに違いはないけど、その意味性はだいぶ違っていたような気がしました。
■キャリエールとベラドーヴァ
ビストロでクリスティーヌの歌を聴き、ベラドーヴァの声を思いだすキャリエール。
本公演の壮ちゃんは、その声を聴きながら、とても幸せそうに見えました。
そうか、彼にとってベラドーヴァとの思い出は幸せな記憶なのか!と思いました。
新人公演の真瀬くんは、微笑んではいたけれども、ひどく痛そうに見えました。
あの声を、あの頃を思いだすことは、彼にとっては酷い苦痛を伴う至福なんだな、と思ったのでした……。
キャリエールとベラドーヴァの関係は、本公演では「夫婦」だったと思います。裏切りや狂気の果てにボロボロになってしまったけれども、そこには普通に「男」と「女」の愛情があって、いろいろあったけれども、今は懐かしく、美しい思い出。……そんな感じ。
けれども。新人公演では、その関係はもっとずっと歪んだものに見えました。女神と神官、あるいは教祖と信者、、、そんな、ひどくいびつな関係に。
彼にとって、ベラドーヴァとの思い出は甘美な悪夢だったのかな、と。愛し合った男女から、裏切り者と断罪者の関係へ。それはそのまま、彼とエリックの関係の中に映し出される。許さない者と許されない者へ、と。
■エリックとキャリエール
上でも書きましたが、本公演の二人は「息子と父親」に違和感なく(もちろん、ラストを知っているからこそですが)見えたんですよね。
「エリックストーリー」で、エリックが無邪気に笑いながらキャリエールに懐き、キャリエールも「高い高い」してあげているのも不思議じゃなくて。いろいろあっても、やっぱり仲の良い父子。
その場所がオペラ座の地下だというだけで、息子の顔にちょっと目立つ瑕があるだけで、そこにいるのは、ごくごく当たり前の、幸せな父と子でした。
そんな日々があったからこそ、「You Are My Own」での二人の幸せそうな様子が目に眩しいんですよね。
愛する息子に「愛する息子よ」と呼びかけ、「愛」を教える父親の、至福の一瞬。最期になってしまった抱擁。
そして、今また「お父さん」と呼びかけることができる幸せを全身であらわした蘭トムさんの、「紅顔の美少年」っぷり(真顔)。
幸せな父子の日々があったからこその、「You Are My Own」だったと思います。
でも、新人公演の二人は、全然違ってました。
まずはエリック。新人公演のエリックは、幸せだった幼い頃の記憶がないんだな、と思いました。
だから、キャリエールと自分の関係にうすうす気づきながら、関係を修復するすべが探せない。キャリエールはエリックに服従し、エリックはオペラ座の支配者として君臨する。愛はすれ違うばかり。
■エリック
これはちょっと乱暴な憶測だと思いますが。
新人公演のエリックは、物語が始まる前に、何らかの事件を起こしたことがあるんだと思います。
誰かの命に関わるような事件。事故かもしれなけれども、過失によって誰かを傷つけたとか、そんな感じの。
そういう決定的な何かがあって、キャリエールとすれ違ったんじゃないかな、と。
本公演のエリックは、ぜんぜんそんな感じじゃないんですけどね。
蘭トムさんのエリックは、ピュアで無垢で、とってもポジティヴだから。そんなふうに思ったのは新人公演だけでした。
初演の宙組公演ではブケーの死に責任があったエリックですが。
再演の花組から、ブケーはエリックに出会って勝手に死んだだけで、彼が殺したわけではなくなりましたよね。
エリックの起こした初めての「ほんとうの」事件はカルロッタの殺害であって、それまではちょっとした悪戯をしていただけだった……とうのが、再演以降の本公演の構造だったと思います。
でも。
キャリエール(父親)は、エリックがクリスティーヌを傷つけ、オペラ座に火を放つかもしれない(放つだろう)と、そう本気で考えるんですよね。
そう思うと、あんなにピュアで可愛い、天使のような蘭寿エリックがそんなことをするはずがない、と、どうして思わないのかなあ?と不思議に思うのです。
……それでも、理解できないのかな。エリックが天使で、キャリエールは人間だから。
心の闇を知らないエリックと、息子に対する恐怖を知らないキャリエール。
本公演の二人はそんな感じで。状況はとっても異常なのに、「普通の父子」であろうとする二人が、、、なんだろうなあ、とっても幸せそうに見えたんだと思います
■エリックの統べるオペラ座
この物語は、19世紀末に書かれました。
「ファントム」という悪夢を信じるひとびとと、「ばからしい」ととりあわずに「犯人」を捕まえようとする人々との争い。
この物語は、中世から近代へ移りゆく狭間の物語なんですよね。
エリックが死んで、オペラ座は夢から醒める。
幽霊や悪魔が跋扈する、中世の悪夢から醒めて、「近代」がはじまる。
夢から醒めたオペラ座の人々は、すぐに幽霊を忘れるでしょう。彼らはいまを生きているのだから。
そして、キャリエールは取り残される。
彼だけが「過去」を生きているから。
悪夢の祓われたオペラ座で、彼はどんな夢を視るのでしょうか。
親子3人で、いつまでも幸せに暮らしました……という、夢?
公演が終わって、二度と彼らに逢えないいまになって、、ふとそんなことを考えたりします。
ありがとう、中村さん、生田さん、田渕さん、他のスタッフのみなさま、出演者のみなさま。
この公演に出会えて、楽しかったです。
.
今夏に上演された「ファントム」花組再演版。
私、実は、今回で初めて「ファントムという作品」に嵌りました(^ ^)。
元々音楽は本当に大好きでした。
「パリのメロディ」「Home」「You Are Music」「My True Love」……クリスティーヌのナンバーは全曲カラオケにいれてほしいと願うくらい、初演から大のお気に入りの曲ばかり。
でも、作品としては、どうもぴんとこなかった、、、というのが正直なところ。
今回こんなに嵌ったのは、もちろん「今の花組が好き」だから必然的に何度も観ることになり、「繰り返し観るうちに色々気づいて、良さが判ってきた」っていうのもあるのかもしれませんが、、、根本的なところで、本公演と新人公演の演出の違いに嵌ったんだと思っています。
同じ芝居なのに、ぜんぜん違う印象を与えられた二つの公演。これを交互に観たことで、その二つを比較して何が違うのかを考えるようになって、、、で、嵌っちゃった(^ ^;、と。
思えば、月組「スカーレット・ピンパーネル」もこれに近い嵌り方をしたんですよねー。
新人公演を大劇場と東京と二回観るのは、危険なのかもしれないな……。
もとい。
前置きが長くなりました(いつもすみません)、そんなわけで、観ていて思った「違い」を(適当に)あげてみます。うまくまとめられなかったので読みにくいと思いますが、どうぞご容赦ください(^ ^;)。
■エリックの印象
先日も書いたのですが。
本公演の従者たちは非常に存在感があって小芝居もいちいち熱い!(←彼らのそういう処が好き)だから、どうしても蘭トムさんのエリックは「独りじゃない」、という気がしました。
壮ちゃんのキャリエールは、頑固なところもあってあまり甘えさせてくれる感じではありませんが(基本いじめっ子だなーと思う)(← それは壮ちゃんの個性であってキャリエールとは関係ないのでは?)、エリックを“息子として”愛していることはだだ漏れだし(^ ^)。
だから。
本公演のエリックは「オペラ座の地下で生活」をしていて、「味方がたくさん」いる……んだよね?という印象がありました(^ ^)。
新人公演は、どうしたって従者たちの存在感が薄い(人数も少ないし、下級生だし…)のと、キャリエール(真瀬)との間にすごく距離を感じたんですよね。
だから、、、なのかなあ。
新人公演のエリックは、「オペラ座の闇の中」で、ひたすら「孤独」に生きていた……という印象を強くうけました。
■キャリエールの立ち位置
「キャリエールがエリックを愛している」、というのは、この「Phantom」という物語の根幹であって、どのバージョンでもそこだけは変らないと思うのですが。
本公演の壮ちゃんと、新人公演の真瀬くんには決定的な違いがあった、、、と思います。
それは、エリックに愛されているかいないか、
あるいは、拒まれているかいないか、という違い。
「You Are My Own」の前。怪我をしたエリックを助けて銀橋で連れ出すキャリエール。
本公演のキャリエールは、しっかりとエリックの肩を抱いて一緒に歩き、銀橋の付け根でちょっと手を離して来た方を見張りながら先へ行かせる……という芝居をしていました。
新人公演では、一連の動きがだいぶ省略されていましたが、それでも、あえて手を出さずにエリックを独りで歩かせてましたよね。大劇場で観た時、「苦しそうだけどいいの?」と思いましたから。
「お前は愛する息子だ」と告げて、高まる音楽の中で歩み寄り、その背中を抱きしめるその瞬間まで、二人が触れ合うことはない。
それも、キャリエールが触れないんじゃなくて、エリックが拒んでいるんだな、と私は感じました。
エリックが拒むから、キャリエールが避ける。
本公演のキャリエールにとって、エリックはあくまでも「自分の息子」なんですけど、
新人公演のキャリエールにとって、彼は「自分の罪の証」であり、「弾劾者」であり、、、同時に裁きの神に対する「家の中の子供(From「訪問者」By 萩尾望都)」でもあるのかな、と思いました。
触れることさえ許されない神聖なもの。彼を護るために自分は生かされている……、そんな存在。
キャリエールにとって、エリックが「すべて」であったことに違いはないけど、その意味性はだいぶ違っていたような気がしました。
■キャリエールとベラドーヴァ
ビストロでクリスティーヌの歌を聴き、ベラドーヴァの声を思いだすキャリエール。
本公演の壮ちゃんは、その声を聴きながら、とても幸せそうに見えました。
そうか、彼にとってベラドーヴァとの思い出は幸せな記憶なのか!と思いました。
新人公演の真瀬くんは、微笑んではいたけれども、ひどく痛そうに見えました。
あの声を、あの頃を思いだすことは、彼にとっては酷い苦痛を伴う至福なんだな、と思ったのでした……。
キャリエールとベラドーヴァの関係は、本公演では「夫婦」だったと思います。裏切りや狂気の果てにボロボロになってしまったけれども、そこには普通に「男」と「女」の愛情があって、いろいろあったけれども、今は懐かしく、美しい思い出。……そんな感じ。
けれども。新人公演では、その関係はもっとずっと歪んだものに見えました。女神と神官、あるいは教祖と信者、、、そんな、ひどくいびつな関係に。
彼にとって、ベラドーヴァとの思い出は甘美な悪夢だったのかな、と。愛し合った男女から、裏切り者と断罪者の関係へ。それはそのまま、彼とエリックの関係の中に映し出される。許さない者と許されない者へ、と。
■エリックとキャリエール
上でも書きましたが、本公演の二人は「息子と父親」に違和感なく(もちろん、ラストを知っているからこそですが)見えたんですよね。
「エリックストーリー」で、エリックが無邪気に笑いながらキャリエールに懐き、キャリエールも「高い高い」してあげているのも不思議じゃなくて。いろいろあっても、やっぱり仲の良い父子。
その場所がオペラ座の地下だというだけで、息子の顔にちょっと目立つ瑕があるだけで、そこにいるのは、ごくごく当たり前の、幸せな父と子でした。
そんな日々があったからこそ、「You Are My Own」での二人の幸せそうな様子が目に眩しいんですよね。
愛する息子に「愛する息子よ」と呼びかけ、「愛」を教える父親の、至福の一瞬。最期になってしまった抱擁。
そして、今また「お父さん」と呼びかけることができる幸せを全身であらわした蘭トムさんの、「紅顔の美少年」っぷり(真顔)。
幸せな父子の日々があったからこその、「You Are My Own」だったと思います。
でも、新人公演の二人は、全然違ってました。
まずはエリック。新人公演のエリックは、幸せだった幼い頃の記憶がないんだな、と思いました。
だから、キャリエールと自分の関係にうすうす気づきながら、関係を修復するすべが探せない。キャリエールはエリックに服従し、エリックはオペラ座の支配者として君臨する。愛はすれ違うばかり。
■エリック
これはちょっと乱暴な憶測だと思いますが。
新人公演のエリックは、物語が始まる前に、何らかの事件を起こしたことがあるんだと思います。
誰かの命に関わるような事件。事故かもしれなけれども、過失によって誰かを傷つけたとか、そんな感じの。
そういう決定的な何かがあって、キャリエールとすれ違ったんじゃないかな、と。
本公演のエリックは、ぜんぜんそんな感じじゃないんですけどね。
蘭トムさんのエリックは、ピュアで無垢で、とってもポジティヴだから。そんなふうに思ったのは新人公演だけでした。
初演の宙組公演ではブケーの死に責任があったエリックですが。
再演の花組から、ブケーはエリックに出会って勝手に死んだだけで、彼が殺したわけではなくなりましたよね。
エリックの起こした初めての「ほんとうの」事件はカルロッタの殺害であって、それまではちょっとした悪戯をしていただけだった……とうのが、再演以降の本公演の構造だったと思います。
でも。
キャリエール(父親)は、エリックがクリスティーヌを傷つけ、オペラ座に火を放つかもしれない(放つだろう)と、そう本気で考えるんですよね。
そう思うと、あんなにピュアで可愛い、天使のような蘭寿エリックがそんなことをするはずがない、と、どうして思わないのかなあ?と不思議に思うのです。
……それでも、理解できないのかな。エリックが天使で、キャリエールは人間だから。
心の闇を知らないエリックと、息子に対する恐怖を知らないキャリエール。
本公演の二人はそんな感じで。状況はとっても異常なのに、「普通の父子」であろうとする二人が、、、なんだろうなあ、とっても幸せそうに見えたんだと思います
■エリックの統べるオペラ座
この物語は、19世紀末に書かれました。
「ファントム」という悪夢を信じるひとびとと、「ばからしい」ととりあわずに「犯人」を捕まえようとする人々との争い。
この物語は、中世から近代へ移りゆく狭間の物語なんですよね。
エリックが死んで、オペラ座は夢から醒める。
幽霊や悪魔が跋扈する、中世の悪夢から醒めて、「近代」がはじまる。
夢から醒めたオペラ座の人々は、すぐに幽霊を忘れるでしょう。彼らはいまを生きているのだから。
そして、キャリエールは取り残される。
彼だけが「過去」を生きているから。
悪夢の祓われたオペラ座で、彼はどんな夢を視るのでしょうか。
親子3人で、いつまでも幸せに暮らしました……という、夢?
公演が終わって、二度と彼らに逢えないいまになって、、ふとそんなことを考えたりします。
ありがとう、中村さん、生田さん、田渕さん、他のスタッフのみなさま、出演者のみなさま。
この公演に出会えて、楽しかったです。
.
宝塚バウホールにで、専科+星組公演「おかしな2人」を観劇いたしました。
……あー、ランスロット書き終わらなかったな〜〜〜。
まあ、あれはまた落ち着いたら続きを書かせていただきますが。
とりあえず、「おかしな2人」。
遠征中なので、簡単に速報を。
とにかく、おっかしかった〜〜〜!!
ニール・サイモンの、あの独特のテンポというか……ちょっと突き放したようなクールな展開がそのまま生きていて、とても楽しかったです!!
轟さん、未沙さんがさすがなのは今更ですが、石田さんもさすがだなあ、と。
あと、音楽の青木朝子さんが良い仕事してました。全部ありものの音楽なんですが、ニューヨークの匂いをちゃんと演出してくれて、とっても良かったです♪
物語はごくごくシンプルで、チラシのあらすじとたいした違いはないのですが……
ラストの展開はさすがニール・サイモン!という感じで、未沙さんが本当に素晴らしかったです。
3幕通してセットは一つ、登場人物は8人。上演時間の8割は轟さんと未沙さんの二人芝居。でも、間を埋める星組っ子の6人(美稀、碧海、如月、天寿、妃白、夢妃)は、出番こそ限られてますが、みんないい芝居してました(はぁと)。
全員通し役だし、設定がしっかりあって個性的で、すごくやりがいがあるんじゃないかと思います。
それにしても、みんな本当に上手かった!
彼らが出来なかったら本当に間がもたないので、「ランスロット」で大変な中、出演してくれてありがとう!と思います(はぁと)
選ばれてしまって大変だったかもしれないけど、きっとこれからの糧になると思うから。
これからのご活躍を祈りつつ、次の観劇日を楽しみにしています!
詳しい感想は、また帰宅後に書きますね(^_^)
とりあえず、ひとつだけ。
みっきぃさんは、本当に本当に、良い声だなあ(*^o^*)。
・
……あー、ランスロット書き終わらなかったな〜〜〜。
まあ、あれはまた落ち着いたら続きを書かせていただきますが。
とりあえず、「おかしな2人」。
遠征中なので、簡単に速報を。
とにかく、おっかしかった〜〜〜!!
ニール・サイモンの、あの独特のテンポというか……ちょっと突き放したようなクールな展開がそのまま生きていて、とても楽しかったです!!
轟さん、未沙さんがさすがなのは今更ですが、石田さんもさすがだなあ、と。
あと、音楽の青木朝子さんが良い仕事してました。全部ありものの音楽なんですが、ニューヨークの匂いをちゃんと演出してくれて、とっても良かったです♪
物語はごくごくシンプルで、チラシのあらすじとたいした違いはないのですが……
ラストの展開はさすがニール・サイモン!という感じで、未沙さんが本当に素晴らしかったです。
3幕通してセットは一つ、登場人物は8人。上演時間の8割は轟さんと未沙さんの二人芝居。でも、間を埋める星組っ子の6人(美稀、碧海、如月、天寿、妃白、夢妃)は、出番こそ限られてますが、みんないい芝居してました(はぁと)。
全員通し役だし、設定がしっかりあって個性的で、すごくやりがいがあるんじゃないかと思います。
それにしても、みんな本当に上手かった!
彼らが出来なかったら本当に間がもたないので、「ランスロット」で大変な中、出演してくれてありがとう!と思います(はぁと)
選ばれてしまって大変だったかもしれないけど、きっとこれからの糧になると思うから。
これからのご活躍を祈りつつ、次の観劇日を楽しみにしています!
詳しい感想は、また帰宅後に書きますね(^_^)
とりあえず、ひとつだけ。
みっきぃさんは、本当に本当に、良い声だなあ(*^o^*)。
・
カルナバル in 名古屋
2011年9月19日 宝塚(星)中日劇場にて、星組公演「ノバ・ボサノバ/めぐり会いは再び」を観劇してまいりました!
いやー、楽しかった!やっぱり「ノバ・ボサ・ノバ」は名作ですね!!
再演を繰り返す価値のあるショーってなかなかないと思うのですが、この作品は本当に例外だなと思いました。
「めぐりあい」も相変わらずほっこりできて楽しくて、「ノバ」との相性もよくて……小柳さん、ホントに良い形で大劇場デビューできたよね!!!と心から思いました(^ ^)。次作も楽しみにしています♪
では、まずは簡単に、役替りの方々を中心に感想を。
<ノバ・ボサ・ノバ>
■マール 壱城あずさ
素晴らしかった!
今回の星組公演で私が観た5人(夢乃、紅、壱城、真風、芹香)のマールのうち、一番好きなのは誰?と訊かれたとしたら。
……すごく悩みそうですが、でもたぶん、最終的にはれみちゃんのブリーザとしーらんのマール、というコンビを選ぶような気がします。いや、他の組み合わせも好きなんですけど!!でもやっぱり、すっごく良かったんです、この二人が作りだす空間、が。
まず、れみちゃんのブリーザが東宝とは別人のように「女」だったことに驚きました。
お稽古と博多座の間にれみちゃんの役づくりが進化したのか、それとも、しーらんのマールに合わせて変わったのか、、、どっちなんでしょうね。
「あら、ちょっと良い男」くらいの軽い気持ちでオーロ(紅)についていったブリーザが、必死で自分を探していたマールと出会った瞬間に見せる『罪悪感』が、すごく「女」で。
「ごめんね!本気じゃないのよ!」
そんな感じに縋りつくブリーザを冷たく払いのけるマール。
そんな意地っ張りな男を嘲りつつ、女があまりにもあっさりと離れたことに苛立ちを隠せないオーロ。
野生の豹が銃の前に怯えるように、「敵」をロックオンした二人の男の間で、恋しいマールから吹き出す怒りのオーラに怯えるブリーザ。マールって「熱量」だけじゃなく、ブリーザが怯えて一歩下がってしまうような「怖さ」がないと成り立たない役なんだな、と思いました。うん。
しーらんはダンスと芝居の人、というのが私の印象だったのですが、「マール」という役はまさに「ダンス」と「芝居」を高度なところで結び付ける『何か』が必要な役なんだな、と思いました。
物語のラスト、手錠を外された瞬間のしーらんの表情とダンス。あの場面で泣いたのは初めての経験でした。中日の役替りはどっちでもいいや、と思っていたのですが、しーらんのマールを視ることができて良かったです(真顔)。
本当に、はるばる観に来て良かったです!!
■ラービオス 稀鳥まりや
いや、もう、もう、もう、可愛いすぎますからっっ!!
後半、オーロ(紅)に肩を抱かれて歩く時の、リアル男女な身長差が素晴らしかったです。
ダンスは言わずもがなですが、歌もずいぶん成長したなあ、と感心しました。ちょっと音程があやしいところもありましたが、よく歌えていたと思います。
それにしても、ホントにホントに可愛いよー(*^ ^*)(でれでれ)
■ピエロ 真月咲
ダンスも芝居も、きっちりできていたと思います。全然違和感なかったし。
真月さんがどうこう、というより、メンバーが変わったせいなのか時間が経過したせいなのか、ピエロ3人が揃った時の雰囲気が、すごく可愛らしくなっていたような気がしました。
中詰めからフィナーレにいくつなぎの場面の芝居とか、可愛かったなあ~。
■ドアボーイ 十碧れいや
立っているだけでパッとした華のある人だなあと感心しました。本当にスタイル良いわー。
礼音くんのソールとの眼と眼の会話も、表情を含めたやり取りも、最後の紐掛けダンス(?)も、とっても良かったです!
■紫の蝶 海隼人
綺麗な人だなーとずっと思っていましたが、娘役(?)の化粧と髪型はもう一工夫……かな。私の期待値が高すぎただけかもしれませんが。……だって、しーらんがあまりにも美しすぎたんだもんっ!(汗)。
笑顔が綺麗で優しい女性……という感じで、柚姐(万里)に愛されそうな迫力は足りなかったかなと思いましたが、でも十分綺麗でした。人数が少なくて着替えの時間も少なそうなのに、がんばりましたね。
■ポリス 美城れん、朝都まお
ちょっとしたやり取りの間を外すわけにはいかないし、といって目立ちすぎてもまずいし、、、という難しい役ですが、さすがベテラン!!でした。東宝とは全然違いましたが、これはこれでアリ、という印象。
役替りはそんなところかな?(抜けがあったらごめんなさい)
中詰めのショーは、上級生が早替りでアンサンブルに出まくりだったのが面白かったです。一回しか観ない方は、事前にプログラムをチェックしておかれることを強くおすすめします!!
あ。そういえば、オープニングとフィナーレ前のアカペラの女性(本公演は夢妃杏瑠ちゃん)は誰だったけ……?プログラム買い忘れたのは失敗だったーーー。
演出で大きく違っていたのは、銀橋がないので「くず拾い」が客席登場になり、通路を歩いている間にプレゼントを貰いまくっていたことくらいでしょうか。
博多からのようなので今更なんですが、私は初だったので吃驚しました。
正直に言えば、ああいうのって二階席は完全に置いていかれてしまうので、あまり長々とやられると辛いんですが……。客席後方のドアから入って舞台に上がるまで、とかなら全然構わないんですが、一番前まで行ってからまた違う通路を戻って、また……みたいなのをずーっとやってるんだもんなーーーー。
……ま、二階席しか取れなかった貧乏人のひがみです、ひがみ(^ ^;ゞ
「めぐり会い」の方の客席降りは全然気にならなかったんだけどなあ。しょぼん。
一番びっくりしたのは、プロローグの総踊りの時に、すでにくっきりと胸に(マダムX用の)影を描いていた柚姐……でしょうか。こういう細かい気配りと努力の末に、あの美しいボディラインがあるんだな、と感服いたしました。
そしてもう一つ、れみちゃん(白華)の髪型!!
ブリーザでは前頭部が綺麗なコーン・ローになっていたのに、リゼットは普通の髪型で半鬘だったんですが……あれ、二回公演の日は(私が観た日は一回公演)、小休憩でほどいて大休憩でまた編むんでしょうか……?化粧替えもあるのに!?信じられない!!
たしかに、野生の豹のようなれみちゃんのブリーザには、ああいう髪型がシャープで似合うけど!だったら、リゼットを全鬘にすればいいのに。れみちゃん大変だ~~っ。
でも、ホントに似合ってました。ブリーザもリゼットも、どっちも両方!!れみちゃん凄い!!
<めぐり会いは再び>
■アルビレオ 音花ゆり
「何もないところで転ぶようなドジっ娘」……って、難しいんだな、とあらためて思いました。
せあらちゃんも苦戦していたけど、コロちゃんも苦労していたなあ……でも可愛かったです。うん(^ ^)。
■エルモクラート 壱城あずさ
いやー、マールを熱く語った後でエルモクラートまで熱く語るとか、単なるファン馬鹿なんですけど。
でも、本当に良かったんだもん!(←自棄)
真風くんのエルモクラートは、『田舎育ちの気の優しい“坊や”』って感じで、ちょっとボーっとした感じが可愛かったのですが。
しーらんのエルモクラートは、学校(?)で絶対『「陰険」なマリオと「親友」の真似ごとをしていた』に違いない!という感じ(←わかりにくいよ)
真風くんのエルモクラートは、純粋に「物語を語りたい」ひと。それで食っていけたらいいなー、でも無理そうだから、金持ちと結婚して趣味で書いてればいいかー、、、とか思っていそうな感じ。
おっとりとして包容力があって、何でも受けとめてくれそうな、でもヘタレはヘタレ……みたいな印象。
これがしーらんになると、具体的に「作家としての名声」とか「地位」とか「自分の才能にふさわしい報酬」とかを欲しがっていて、それが叶わないなら別の方法で「名声」「地位」「報酬」を受け取ってやろうという気持ちが漲っている……ような気がしました。表に出す貌はクールでシャープなんだけど、ふとした時に見せる笑顔(怯えるレオニードに対して、とか)が息をのむほど綺麗で、ほわんと柔らかかったのが衝撃でした。
脚本も演出もほとんど変わらないのに、これだけ印象の違う役に仕上げられるってすごいなあ、と感心しました。
いやー、真風くんのおっとりした作家先生も大好きだったんですが、しーらんの、クールでシャープで上から目線な(^ ^)エルモクラート、本当にステキでした!!
■ユリウス 大輝真琴
みっきぃさん(天寿)とは全然違う役づくりで、すごく面白かったです。そっか、こういうアプローチがあるんだなーと感心しました。さすがだなあ。
ちょっと癖のある役も得意な芝居巧者ですが、最初の登場時から表情豊かで、感情を惜しげなく見せながら素直に生きていて、、、、後半でスキップして出てくるあたりも、違和感なく流れていけたのはさすがでしたね。かっわいかったよー!!
■コレット 華雅りりか
お人形のような、どちらかと言えばクールな印象だったわかばちゃんとは全然違う、エネルギッシュな少女でした。吃驚するほど一生懸命で、良くいえば「けなげ」、悪くいけば「うざい」……その微妙なバランスを守り抜いて、最後までちゃんと「けなげ」で通したそのバランス感覚は、さすがですよね。
声が柔らかくて聴きやすいのは大きな長所だな、と。あとはメークをもっともっと頑張ってほしいのと、体型の管理かなあ……すごく可愛い人だと思うので、期待しています!
旅芸人たちは人数も減り、台詞の分担もだいぶ変わっていたような気がします(←自信なし)。
でも、基本的にちーくん(美稀)のところには美城さんが入ってたのかな?(←どうだったっけ?)
碧海さんのところ(?)に入ってた真月咲さんは、めっちゃめちゃ可愛くてお人形さんみたいで、最初娘役さんかと思ってしまいました(^ ^)。マンドリンはちゃんと弾いていたのでしょうか?私の席からは手元がよく見えなかったのですが(T T)。……いやー、可愛い人だなあ(感心)。
そんなところでしょうか。
ちょっと前まで、チケットが高騰して大変でしたが、行ってみたら当日券もさばきもちらほらあったので、ふらっと行っても案外なんとかなるのかも。、、、いや、保証はしませんけど。
なんとかしてみやるりのマールも観たい……とは思うんですけどねえ。さすがに無理だろうなあ………しょぼん。
.
いやー、楽しかった!やっぱり「ノバ・ボサ・ノバ」は名作ですね!!
再演を繰り返す価値のあるショーってなかなかないと思うのですが、この作品は本当に例外だなと思いました。
「めぐりあい」も相変わらずほっこりできて楽しくて、「ノバ」との相性もよくて……小柳さん、ホントに良い形で大劇場デビューできたよね!!!と心から思いました(^ ^)。次作も楽しみにしています♪
では、まずは簡単に、役替りの方々を中心に感想を。
<ノバ・ボサ・ノバ>
■マール 壱城あずさ
素晴らしかった!
今回の星組公演で私が観た5人(夢乃、紅、壱城、真風、芹香)のマールのうち、一番好きなのは誰?と訊かれたとしたら。
……すごく悩みそうですが、でもたぶん、最終的にはれみちゃんのブリーザとしーらんのマール、というコンビを選ぶような気がします。いや、他の組み合わせも好きなんですけど!!でもやっぱり、すっごく良かったんです、この二人が作りだす空間、が。
まず、れみちゃんのブリーザが東宝とは別人のように「女」だったことに驚きました。
お稽古と博多座の間にれみちゃんの役づくりが進化したのか、それとも、しーらんのマールに合わせて変わったのか、、、どっちなんでしょうね。
「あら、ちょっと良い男」くらいの軽い気持ちでオーロ(紅)についていったブリーザが、必死で自分を探していたマールと出会った瞬間に見せる『罪悪感』が、すごく「女」で。
「ごめんね!本気じゃないのよ!」
そんな感じに縋りつくブリーザを冷たく払いのけるマール。
そんな意地っ張りな男を嘲りつつ、女があまりにもあっさりと離れたことに苛立ちを隠せないオーロ。
野生の豹が銃の前に怯えるように、「敵」をロックオンした二人の男の間で、恋しいマールから吹き出す怒りのオーラに怯えるブリーザ。マールって「熱量」だけじゃなく、ブリーザが怯えて一歩下がってしまうような「怖さ」がないと成り立たない役なんだな、と思いました。うん。
しーらんはダンスと芝居の人、というのが私の印象だったのですが、「マール」という役はまさに「ダンス」と「芝居」を高度なところで結び付ける『何か』が必要な役なんだな、と思いました。
物語のラスト、手錠を外された瞬間のしーらんの表情とダンス。あの場面で泣いたのは初めての経験でした。中日の役替りはどっちでもいいや、と思っていたのですが、しーらんのマールを視ることができて良かったです(真顔)。
本当に、はるばる観に来て良かったです!!
■ラービオス 稀鳥まりや
いや、もう、もう、もう、可愛いすぎますからっっ!!
後半、オーロ(紅)に肩を抱かれて歩く時の、リアル男女な身長差が素晴らしかったです。
ダンスは言わずもがなですが、歌もずいぶん成長したなあ、と感心しました。ちょっと音程があやしいところもありましたが、よく歌えていたと思います。
それにしても、ホントにホントに可愛いよー(*^ ^*)(でれでれ)
■ピエロ 真月咲
ダンスも芝居も、きっちりできていたと思います。全然違和感なかったし。
真月さんがどうこう、というより、メンバーが変わったせいなのか時間が経過したせいなのか、ピエロ3人が揃った時の雰囲気が、すごく可愛らしくなっていたような気がしました。
中詰めからフィナーレにいくつなぎの場面の芝居とか、可愛かったなあ~。
■ドアボーイ 十碧れいや
立っているだけでパッとした華のある人だなあと感心しました。本当にスタイル良いわー。
礼音くんのソールとの眼と眼の会話も、表情を含めたやり取りも、最後の紐掛けダンス(?)も、とっても良かったです!
■紫の蝶 海隼人
綺麗な人だなーとずっと思っていましたが、娘役(?)の化粧と髪型はもう一工夫……かな。私の期待値が高すぎただけかもしれませんが。……だって、しーらんがあまりにも美しすぎたんだもんっ!(汗)。
笑顔が綺麗で優しい女性……という感じで、柚姐(万里)に愛されそうな迫力は足りなかったかなと思いましたが、でも十分綺麗でした。人数が少なくて着替えの時間も少なそうなのに、がんばりましたね。
■ポリス 美城れん、朝都まお
ちょっとしたやり取りの間を外すわけにはいかないし、といって目立ちすぎてもまずいし、、、という難しい役ですが、さすがベテラン!!でした。東宝とは全然違いましたが、これはこれでアリ、という印象。
役替りはそんなところかな?(抜けがあったらごめんなさい)
中詰めのショーは、上級生が早替りでアンサンブルに出まくりだったのが面白かったです。一回しか観ない方は、事前にプログラムをチェックしておかれることを強くおすすめします!!
あ。そういえば、オープニングとフィナーレ前のアカペラの女性(本公演は夢妃杏瑠ちゃん)は誰だったけ……?プログラム買い忘れたのは失敗だったーーー。
演出で大きく違っていたのは、銀橋がないので「くず拾い」が客席登場になり、通路を歩いている間にプレゼントを貰いまくっていたことくらいでしょうか。
博多からのようなので今更なんですが、私は初だったので吃驚しました。
正直に言えば、ああいうのって二階席は完全に置いていかれてしまうので、あまり長々とやられると辛いんですが……。客席後方のドアから入って舞台に上がるまで、とかなら全然構わないんですが、一番前まで行ってからまた違う通路を戻って、また……みたいなのをずーっとやってるんだもんなーーーー。
……ま、二階席しか取れなかった貧乏人のひがみです、ひがみ(^ ^;ゞ
「めぐり会い」の方の客席降りは全然気にならなかったんだけどなあ。しょぼん。
一番びっくりしたのは、プロローグの総踊りの時に、すでにくっきりと胸に(マダムX用の)影を描いていた柚姐……でしょうか。こういう細かい気配りと努力の末に、あの美しいボディラインがあるんだな、と感服いたしました。
そしてもう一つ、れみちゃん(白華)の髪型!!
ブリーザでは前頭部が綺麗なコーン・ローになっていたのに、リゼットは普通の髪型で半鬘だったんですが……あれ、二回公演の日は(私が観た日は一回公演)、小休憩でほどいて大休憩でまた編むんでしょうか……?化粧替えもあるのに!?信じられない!!
たしかに、野生の豹のようなれみちゃんのブリーザには、ああいう髪型がシャープで似合うけど!だったら、リゼットを全鬘にすればいいのに。れみちゃん大変だ~~っ。
でも、ホントに似合ってました。ブリーザもリゼットも、どっちも両方!!れみちゃん凄い!!
<めぐり会いは再び>
■アルビレオ 音花ゆり
「何もないところで転ぶようなドジっ娘」……って、難しいんだな、とあらためて思いました。
せあらちゃんも苦戦していたけど、コロちゃんも苦労していたなあ……でも可愛かったです。うん(^ ^)。
■エルモクラート 壱城あずさ
いやー、マールを熱く語った後でエルモクラートまで熱く語るとか、単なるファン馬鹿なんですけど。
でも、本当に良かったんだもん!(←自棄)
真風くんのエルモクラートは、『田舎育ちの気の優しい“坊や”』って感じで、ちょっとボーっとした感じが可愛かったのですが。
しーらんのエルモクラートは、学校(?)で絶対『「陰険」なマリオと「親友」の真似ごとをしていた』に違いない!という感じ(←わかりにくいよ)
真風くんのエルモクラートは、純粋に「物語を語りたい」ひと。それで食っていけたらいいなー、でも無理そうだから、金持ちと結婚して趣味で書いてればいいかー、、、とか思っていそうな感じ。
おっとりとして包容力があって、何でも受けとめてくれそうな、でもヘタレはヘタレ……みたいな印象。
これがしーらんになると、具体的に「作家としての名声」とか「地位」とか「自分の才能にふさわしい報酬」とかを欲しがっていて、それが叶わないなら別の方法で「名声」「地位」「報酬」を受け取ってやろうという気持ちが漲っている……ような気がしました。表に出す貌はクールでシャープなんだけど、ふとした時に見せる笑顔(怯えるレオニードに対して、とか)が息をのむほど綺麗で、ほわんと柔らかかったのが衝撃でした。
脚本も演出もほとんど変わらないのに、これだけ印象の違う役に仕上げられるってすごいなあ、と感心しました。
いやー、真風くんのおっとりした作家先生も大好きだったんですが、しーらんの、クールでシャープで上から目線な(^ ^)エルモクラート、本当にステキでした!!
■ユリウス 大輝真琴
みっきぃさん(天寿)とは全然違う役づくりで、すごく面白かったです。そっか、こういうアプローチがあるんだなーと感心しました。さすがだなあ。
ちょっと癖のある役も得意な芝居巧者ですが、最初の登場時から表情豊かで、感情を惜しげなく見せながら素直に生きていて、、、、後半でスキップして出てくるあたりも、違和感なく流れていけたのはさすがでしたね。かっわいかったよー!!
■コレット 華雅りりか
お人形のような、どちらかと言えばクールな印象だったわかばちゃんとは全然違う、エネルギッシュな少女でした。吃驚するほど一生懸命で、良くいえば「けなげ」、悪くいけば「うざい」……その微妙なバランスを守り抜いて、最後までちゃんと「けなげ」で通したそのバランス感覚は、さすがですよね。
声が柔らかくて聴きやすいのは大きな長所だな、と。あとはメークをもっともっと頑張ってほしいのと、体型の管理かなあ……すごく可愛い人だと思うので、期待しています!
旅芸人たちは人数も減り、台詞の分担もだいぶ変わっていたような気がします(←自信なし)。
でも、基本的にちーくん(美稀)のところには美城さんが入ってたのかな?(←どうだったっけ?)
碧海さんのところ(?)に入ってた真月咲さんは、めっちゃめちゃ可愛くてお人形さんみたいで、最初娘役さんかと思ってしまいました(^ ^)。マンドリンはちゃんと弾いていたのでしょうか?私の席からは手元がよく見えなかったのですが(T T)。……いやー、可愛い人だなあ(感心)。
そんなところでしょうか。
ちょっと前まで、チケットが高騰して大変でしたが、行ってみたら当日券もさばきもちらほらあったので、ふらっと行っても案外なんとかなるのかも。、、、いや、保証はしませんけど。
なんとかしてみやるりのマールも観たい……とは思うんですけどねえ。さすがに無理だろうなあ………しょぼん。
.
9月21日のつぶやき
2011年9月21日 呟き・ご挨拶・他今年の台風は、数は少ないけど規模が大きい……ような気がします。
先日も大きな被害が出たし、今回も……昨日の名古屋のニュースも凄かったし、本日午後から夜にかけての東京の交通網もひどいものでした。
この十数年、東京でこれだけの風が吹いたことはなかったような気がします。いつも東京に来るころには風は収まって、雨台風になっていることが多かったので。
雨にはだいぶ強くなってきた東京の交通網も、あの風には一網打尽でしたね。
とりあえず東京は暴風域からは脱したようですが、みなさまちゃんと家に帰れましたでしょうか…?
店にも入れず、駅地下の通路に点々と座り込むひとびとの群れ。
ドアがあいたらこぼれてしまうほど詰め込まれた電車、改札前の広い広場を埋め尽くす人、人、人。
半年前の光景が思い出されて、胸が痛くなりました。
今日は朝から嫌なことがたくさんあって、自分もあれこれ失敗が多くて、すごく気持ちが落ちていたのですが。
それでも、連休の旅行で観てきた楽しい舞台を思い出してがんばっていたつもりだったのですが。
「自然」の前に自分がどれほど無力であるかを思いだして、、、なんだか、逆に浮上したかもしれません。
明日は良いことがありますように。
.
青山劇場にて、劇団☆新感線の「髑髏城の七人」を観劇いたしました。
2004年の「アカドクロ」「アオドクロ」共演のときはチケットが取れず観られなかったこの作品。
なので、このタイトルの作品を観るのは初めてだったわけですが。
面白かった!
のも事実なんですが、それ以上に、痛い……とも思いました。
『神』を喪った三人の若者の、「その後」の物語。
全てを捨て、『神』を忘れて生きようとする者、偽の『神』になろうとする者、そして、生き残った罪を贖うために、新たな「護るべきもの」を造りだした者……
彼らが皆若いからこそ、『神』への憧憬と喪失の慟哭がストレートで純粋で。
その純粋さと、若いからこそ簡単に「絶望」に浸ることもできず、なんとか生きる道(理由)を探そうとあがく姿が、とても痛々しかった。
「髑髏城」という物語は、大人の物語ではなく若者の物語なんだな、と、
初めてみた「髑髏城」が“ワカドクロ”であった私には思えてなりませんでした(^ ^)。
話は相当に無茶苦茶で、特に2幕中盤あたりはかなり支離滅裂なんですが、なんていうか、理屈を吹き飛ばすようなパワーのある作品だな、と思いました。
小栗旬をはじめとする、若い役者たちの熱いエネルギー。そのパワーのほとばしりが、いろんな支離滅裂をフォローして、「まあ、そんなこともある……のかな?」という作品にしていたのはすごいなあと思います。
何度か再演されている作品ですので、ここから先はネタばれでいきます。
まあ、大したネタばれではありませんが、未見の方はご注意を。
脚本の中島かずきがプログラムに書いていますが、この作品、前回の上演までは捨之介(小栗旬)と天魔王(森山未來)が一人二役で演じられていたそうですね。
戦国乱世の「第六天魔王」を名乗っていた織田信長の影武者たちだから、同じ貌をしている、という設定だったそうで。
今回、天魔王と森蘭丸(早乙女太一)が信長の小姓、捨之介が草として人々の間で暮らす情報屋だった、という設定にしたことで、三人のキャラクターを若く(信長と同年代ではなく、青春真っ只中の若者に)設定することができて、荒唐無稽な物語に説得力を持たせることができたんだと思います。
役者も若いし、その方がいいと思う。捨之介と天魔王を裏表にすることで物語が深まる部分もあるけど、蘭丸を加えた三人が顔を合わせて会話することで、初めて見えてくるものもあるはずだから。
ただ、結構根本的な修正なので、最終的に物語が支離滅裂になったのはこの変更のせい、というのは言えるかもしれませんが。
……ラストに将監(栗根まこと)が捨之介を天魔王の身代わりとして告発する、っていうエピソードなんて、今回公演だけを観ていると意味不明だしなー。どうしてその二人の間で身代わりだなんだっていう話がでるの?って感じだった。
あと、蘭丸のキャラ設定にもだいぶ無理を感じたんですが、これは最初からあったキャラなんでしょうか…?(←すみません)「天(信長)地(捨之介)人(天魔王)」っていう言葉が象徴的に何度も出てくるんですが、これだと蘭丸の入る余地がないんですよね。なので、蘭丸は当初はいないキャラだったのかな…?と思ったりもして。
結構、これに付随する疑問点はいろいろあるので、「主人公」を二つにわける、という根本的な変更をした割には詰めが甘いなーという気はします。でもまあ、新感線だから(^ ^)細かいところは気にしない精神で観るのが正しいんだろうな、と思いつつ。
卑怯な裏切りによって「織田信長」という『神』を喪った三人の若者。
『神』と直接話す立場でもなく、草の者として、耳として、市井に混ざって暮らしていた若者は、『神』を喪ってすべてを捨てる。
浮世の義理もなにもかも全て捨て去って、「捨之介」と名乗り、諸国を流れて……そして、東の地へたどり着く。『神』の復活を望むつもりはない。ただ、『神』のいない世界はちょっとつまらない、くらいは思っている。『神』はエネルギーの源泉であり、破壊と創造、そして、進化のきっかけそのものだから。
でも、新しい『神』を欲するつもりは、ない。自分が『神』になるつもりも、ない。
自分にとっての『神』は信長公ただ一人で、誰も彼の替りにはならないのだから。
『神』に傍近く仕えてきた小姓頭(?)は喪神の事実に耐えられず、東の地で髑髏の城を築く。怨敵(浅井・朝倉)の髑髏を杯にした神にならい、神の髑髏を仮面と化して自らを神の偽姿と為し、神の骨から造った杯で酒を飲む。
我は『神』を喪ってなどおらぬ。ほれ見よ、此処に『神』は在る。この髑髏の仮面を着けた我は、信長公と同一化し、乱世を支配する破壊神、第六天魔王となるのだ……。
信長と共に本能寺にありながら、主を護れず、生き延びてしまった森蘭丸。
雑賀衆の生き残りと出会うことで新しい人生に出会った彼は、無界屋蘭兵衛と名乗り、『無界』を護ることに生きる意味を見出そうとする。そんな彼が、『神』の似姿に出会ってしまったならばどうなるか。
一幕はかなり、私的に蘭兵衛(蘭丸)主演、って感じで観てました(^ ^)。『神』を護れなかった痛手に耐えて、新しい「護るべきもの」を得た男の一時的な充足と、永遠に埋まらない空洞の相克。「護るべき者」を護るために、護れなかった『神』と闘うために、自分自身に賭ける彼の涼しげな背中がとても印象的です。
結局彼はその賭けに敗れ、二幕ではこの作品の「支離滅裂」っぷりを天魔王と二人で分け合うことになるわけですが(^ ^;ゞ、そこまでの展開に説得力があったので、まあ良いかな、という感じ。
個人的には、森山×早乙女のキスシーンは元々あったものなのか、誰かの希望で今回入ったのか、そのへんはっきりしてほしい!という気持ちでいっぱいです(←そこ?)
時代的には(パラレルワールドだけど)本能寺の変から8年後、秀吉による小田原攻めが始まる頃。
旧都鎌倉のさらに東、大きな湾の奥の荒地の片隅に、見事な城が築かれた。
天魔王を名乗る男がうちたてた、それこそが髑髏城。
南蛮渡来の鉄甲冑に身を固めた「鉄機兵」たちの集合隊「関東髑髏党」の首領として、人々に暴虐の限りをつくす天魔王。
ある日、髑髏党の面々がある村を襲う。村人は皆殺しにされ、最後に可愛い娘たちが殺されそうになったところに割って入る荒武者たち。。若さにまかせてエネルギーをぶちまけるだけの彼らが、訓練された軍隊に太刀打ちできるはずもなく、あっという間に追い詰められ、首領の兵庫(勝池涼)も殺されそうになる。
そんな場面で、颯爽と登場して良いところを全部持っていく捨之介。
小栗旬の魅力が、半端ない勢いで輝いていて、びっくりしました。
美形で動けて(殺陣がとっても格好良い!さすが!)、ちゃんと強そうに見えるところが素敵。そして、強いからこそすごく優しい、そういうところも真っ直ぐに表現されていて。
さぎり(仲里依紗)を心配する気持ちもすごく伝わってきたし、不器用な優しさには最初から最後まできゅんきゅんし通しでした(^ ^)。ホントにかっこいいなー、小栗くん。
兵庫の勝地さんも、美形で扮装が良く似合ってて、とても素敵でした。
物語的には主人公といっても良い役(本格的に髑髏城に向かうときの真ん中は彼だから)なのですが、ものすごく良かったです。
2幕の後半の立ち回りで、兄さの磯平(磯野信吾)と二人、背中あわせに鎌で闘う殺陣がめっちゃ格好良かった!!彼の部下たちの最期もとても切なくて、彼らにこれだけ慕われた兵庫は、やっぱりそういう星のもとに生きてきたんだろうな、と思いました。
一休みするために、関東一の色街・無界を訪れる一行。
無界の主人、蘭兵衛。いやー、早乙女太一くん、台詞が喋れるようになったねえ~!(感涙) 表情のあまり動かない、声にもあまり感情を出さない役なのですが、台詞が普通に聞けるようになったので、その裏の激しい感情が透けて見えるようでした。髑髏城に向かいながら笛を吹く場面の凛とした涼しげな佇まいと、髑髏城で天魔王と対決する場面の激しさ。あの美しい佇まいを観たら、思わず汚してしまいたくなる天魔王の気持ちもわかる……みたいな、なにか邪なものを呼び覚ましてしまうような存在感は、、、さすがだな、と。
そして、相変わらず流れるような美しい殺陣に見惚れました。いつまでも観ていたかった……(真顔)
後半の、薬酒に理性を奪われてしまってからの芝居はまだまだ(←でも、あれは脚本にも問題があると思うけど)でしたが、足許があやうくなって、殺陣の動きもそれまでと全然違うふうになる……のが凄いなあ、と思いました。身体で芝居するひとなんだな、やっぱり。
無界でトップを張る極楽太夫(小池栄子)。
佳い女でした! 美しくて色っぽくて強くてキツい、最高の女。
新感線には、よくこういう佳人が出てくるけど、本当に素敵でした(*^ ^*)。なんだろう。ちょっと元星組の水輝くん系の顔立ちでしたが、声も気風の良い声で。うん、本当に、気風のいい女って感じでしたね。良い役だったな~!
無界で女を買うやせ浪人、狸穴二郎衛門(千葉哲也)。いやー、渋くて裏表があってどっしりしていてとても良かったです。彼の正体は、まあそうだろうなと思って観ていたのでどちらかというと「案の定」って感じだったのですが、裏表のどっち側も良い男だなあと感心しました(*^ ^*)。
物語的な弱みは、上でも書いた「捨之介と天魔王が一人二役」という設定をやめたときの積み残しが結構あるのと、秀吉の関東攻めの話と天魔王の関東搾取の設定がごっちゃになって、捨之介にせよ、蘭兵衛にせよ、天魔王の敵ではあるけども、秀吉に味方するいわれがない……というあたりかな、と思いました。
まあ、これも一人二役をやめたことによる弊害なのかもしれませんが、わざわざ秀吉の関東侵攻寸前に、髑髏城を攻めようとすることになるのが理解に苦しむんですよね(T T)。
まあ、新感線ですから。
これぞ冒険活劇!!という明るさと、昏い闇が混在しているところがとても楽しかったです。
以前、「SAMURAI7」を観劇した時にも思いましたが……
巨匠・黒澤監督の「七人の侍」、観るべきだなあ。
そして。
殺陣がホントに見ごたえあって素晴らしかった!
というのを最後に叫んで終わりたいと思います(^ ^)。
.
2004年の「アカドクロ」「アオドクロ」共演のときはチケットが取れず観られなかったこの作品。
なので、このタイトルの作品を観るのは初めてだったわけですが。
面白かった!
のも事実なんですが、それ以上に、痛い……とも思いました。
『神』を喪った三人の若者の、「その後」の物語。
全てを捨て、『神』を忘れて生きようとする者、偽の『神』になろうとする者、そして、生き残った罪を贖うために、新たな「護るべきもの」を造りだした者……
彼らが皆若いからこそ、『神』への憧憬と喪失の慟哭がストレートで純粋で。
その純粋さと、若いからこそ簡単に「絶望」に浸ることもできず、なんとか生きる道(理由)を探そうとあがく姿が、とても痛々しかった。
「髑髏城」という物語は、大人の物語ではなく若者の物語なんだな、と、
初めてみた「髑髏城」が“ワカドクロ”であった私には思えてなりませんでした(^ ^)。
話は相当に無茶苦茶で、特に2幕中盤あたりはかなり支離滅裂なんですが、なんていうか、理屈を吹き飛ばすようなパワーのある作品だな、と思いました。
小栗旬をはじめとする、若い役者たちの熱いエネルギー。そのパワーのほとばしりが、いろんな支離滅裂をフォローして、「まあ、そんなこともある……のかな?」という作品にしていたのはすごいなあと思います。
何度か再演されている作品ですので、ここから先はネタばれでいきます。
まあ、大したネタばれではありませんが、未見の方はご注意を。
脚本の中島かずきがプログラムに書いていますが、この作品、前回の上演までは捨之介(小栗旬)と天魔王(森山未來)が一人二役で演じられていたそうですね。
戦国乱世の「第六天魔王」を名乗っていた織田信長の影武者たちだから、同じ貌をしている、という設定だったそうで。
今回、天魔王と森蘭丸(早乙女太一)が信長の小姓、捨之介が草として人々の間で暮らす情報屋だった、という設定にしたことで、三人のキャラクターを若く(信長と同年代ではなく、青春真っ只中の若者に)設定することができて、荒唐無稽な物語に説得力を持たせることができたんだと思います。
役者も若いし、その方がいいと思う。捨之介と天魔王を裏表にすることで物語が深まる部分もあるけど、蘭丸を加えた三人が顔を合わせて会話することで、初めて見えてくるものもあるはずだから。
ただ、結構根本的な修正なので、最終的に物語が支離滅裂になったのはこの変更のせい、というのは言えるかもしれませんが。
……ラストに将監(栗根まこと)が捨之介を天魔王の身代わりとして告発する、っていうエピソードなんて、今回公演だけを観ていると意味不明だしなー。どうしてその二人の間で身代わりだなんだっていう話がでるの?って感じだった。
あと、蘭丸のキャラ設定にもだいぶ無理を感じたんですが、これは最初からあったキャラなんでしょうか…?(←すみません)「天(信長)地(捨之介)人(天魔王)」っていう言葉が象徴的に何度も出てくるんですが、これだと蘭丸の入る余地がないんですよね。なので、蘭丸は当初はいないキャラだったのかな…?と思ったりもして。
結構、これに付随する疑問点はいろいろあるので、「主人公」を二つにわける、という根本的な変更をした割には詰めが甘いなーという気はします。でもまあ、新感線だから(^ ^)細かいところは気にしない精神で観るのが正しいんだろうな、と思いつつ。
卑怯な裏切りによって「織田信長」という『神』を喪った三人の若者。
『神』と直接話す立場でもなく、草の者として、耳として、市井に混ざって暮らしていた若者は、『神』を喪ってすべてを捨てる。
浮世の義理もなにもかも全て捨て去って、「捨之介」と名乗り、諸国を流れて……そして、東の地へたどり着く。『神』の復活を望むつもりはない。ただ、『神』のいない世界はちょっとつまらない、くらいは思っている。『神』はエネルギーの源泉であり、破壊と創造、そして、進化のきっかけそのものだから。
でも、新しい『神』を欲するつもりは、ない。自分が『神』になるつもりも、ない。
自分にとっての『神』は信長公ただ一人で、誰も彼の替りにはならないのだから。
『神』に傍近く仕えてきた小姓頭(?)は喪神の事実に耐えられず、東の地で髑髏の城を築く。怨敵(浅井・朝倉)の髑髏を杯にした神にならい、神の髑髏を仮面と化して自らを神の偽姿と為し、神の骨から造った杯で酒を飲む。
我は『神』を喪ってなどおらぬ。ほれ見よ、此処に『神』は在る。この髑髏の仮面を着けた我は、信長公と同一化し、乱世を支配する破壊神、第六天魔王となるのだ……。
信長と共に本能寺にありながら、主を護れず、生き延びてしまった森蘭丸。
雑賀衆の生き残りと出会うことで新しい人生に出会った彼は、無界屋蘭兵衛と名乗り、『無界』を護ることに生きる意味を見出そうとする。そんな彼が、『神』の似姿に出会ってしまったならばどうなるか。
一幕はかなり、私的に蘭兵衛(蘭丸)主演、って感じで観てました(^ ^)。『神』を護れなかった痛手に耐えて、新しい「護るべきもの」を得た男の一時的な充足と、永遠に埋まらない空洞の相克。「護るべき者」を護るために、護れなかった『神』と闘うために、自分自身に賭ける彼の涼しげな背中がとても印象的です。
結局彼はその賭けに敗れ、二幕ではこの作品の「支離滅裂」っぷりを天魔王と二人で分け合うことになるわけですが(^ ^;ゞ、そこまでの展開に説得力があったので、まあ良いかな、という感じ。
個人的には、森山×早乙女のキスシーンは元々あったものなのか、誰かの希望で今回入ったのか、そのへんはっきりしてほしい!という気持ちでいっぱいです(←そこ?)
時代的には(パラレルワールドだけど)本能寺の変から8年後、秀吉による小田原攻めが始まる頃。
旧都鎌倉のさらに東、大きな湾の奥の荒地の片隅に、見事な城が築かれた。
天魔王を名乗る男がうちたてた、それこそが髑髏城。
南蛮渡来の鉄甲冑に身を固めた「鉄機兵」たちの集合隊「関東髑髏党」の首領として、人々に暴虐の限りをつくす天魔王。
ある日、髑髏党の面々がある村を襲う。村人は皆殺しにされ、最後に可愛い娘たちが殺されそうになったところに割って入る荒武者たち。。若さにまかせてエネルギーをぶちまけるだけの彼らが、訓練された軍隊に太刀打ちできるはずもなく、あっという間に追い詰められ、首領の兵庫(勝池涼)も殺されそうになる。
そんな場面で、颯爽と登場して良いところを全部持っていく捨之介。
小栗旬の魅力が、半端ない勢いで輝いていて、びっくりしました。
美形で動けて(殺陣がとっても格好良い!さすが!)、ちゃんと強そうに見えるところが素敵。そして、強いからこそすごく優しい、そういうところも真っ直ぐに表現されていて。
さぎり(仲里依紗)を心配する気持ちもすごく伝わってきたし、不器用な優しさには最初から最後まできゅんきゅんし通しでした(^ ^)。ホントにかっこいいなー、小栗くん。
兵庫の勝地さんも、美形で扮装が良く似合ってて、とても素敵でした。
物語的には主人公といっても良い役(本格的に髑髏城に向かうときの真ん中は彼だから)なのですが、ものすごく良かったです。
2幕の後半の立ち回りで、兄さの磯平(磯野信吾)と二人、背中あわせに鎌で闘う殺陣がめっちゃ格好良かった!!彼の部下たちの最期もとても切なくて、彼らにこれだけ慕われた兵庫は、やっぱりそういう星のもとに生きてきたんだろうな、と思いました。
一休みするために、関東一の色街・無界を訪れる一行。
無界の主人、蘭兵衛。いやー、早乙女太一くん、台詞が喋れるようになったねえ~!(感涙) 表情のあまり動かない、声にもあまり感情を出さない役なのですが、台詞が普通に聞けるようになったので、その裏の激しい感情が透けて見えるようでした。髑髏城に向かいながら笛を吹く場面の凛とした涼しげな佇まいと、髑髏城で天魔王と対決する場面の激しさ。あの美しい佇まいを観たら、思わず汚してしまいたくなる天魔王の気持ちもわかる……みたいな、なにか邪なものを呼び覚ましてしまうような存在感は、、、さすがだな、と。
そして、相変わらず流れるような美しい殺陣に見惚れました。いつまでも観ていたかった……(真顔)
後半の、薬酒に理性を奪われてしまってからの芝居はまだまだ(←でも、あれは脚本にも問題があると思うけど)でしたが、足許があやうくなって、殺陣の動きもそれまでと全然違うふうになる……のが凄いなあ、と思いました。身体で芝居するひとなんだな、やっぱり。
無界でトップを張る極楽太夫(小池栄子)。
佳い女でした! 美しくて色っぽくて強くてキツい、最高の女。
新感線には、よくこういう佳人が出てくるけど、本当に素敵でした(*^ ^*)。なんだろう。ちょっと元星組の水輝くん系の顔立ちでしたが、声も気風の良い声で。うん、本当に、気風のいい女って感じでしたね。良い役だったな~!
無界で女を買うやせ浪人、狸穴二郎衛門(千葉哲也)。いやー、渋くて裏表があってどっしりしていてとても良かったです。彼の正体は、まあそうだろうなと思って観ていたのでどちらかというと「案の定」って感じだったのですが、裏表のどっち側も良い男だなあと感心しました(*^ ^*)。
物語的な弱みは、上でも書いた「捨之介と天魔王が一人二役」という設定をやめたときの積み残しが結構あるのと、秀吉の関東攻めの話と天魔王の関東搾取の設定がごっちゃになって、捨之介にせよ、蘭兵衛にせよ、天魔王の敵ではあるけども、秀吉に味方するいわれがない……というあたりかな、と思いました。
まあ、これも一人二役をやめたことによる弊害なのかもしれませんが、わざわざ秀吉の関東侵攻寸前に、髑髏城を攻めようとすることになるのが理解に苦しむんですよね(T T)。
まあ、新感線ですから。
これぞ冒険活劇!!という明るさと、昏い闇が混在しているところがとても楽しかったです。
以前、「SAMURAI7」を観劇した時にも思いましたが……
巨匠・黒澤監督の「七人の侍」、観るべきだなあ。
そして。
殺陣がホントに見ごたえあって素晴らしかった!
というのを最後に叫んで終わりたいと思います(^ ^)。
.
おかしなふたり【2】
2011年9月23日 宝塚(星)私の星組強化月間もあとわずかとなってまいりました。
……いや、今週は遠征しません。行きたいのはやまやまだけど、中日もバウもチケット無いし。
行きたいけど!みやるりのマールも、しーらんのボールソも観たいけど!おかしな8人にも逢いたいけど!でもチケット無いし!!
というわけで、星組バウホール公演「おかしな二人」。
私は、間を2日あけて合計3回観たのですが。
わずか3日でも、皆さんの間が全然違っていて、格段に面白くなっていたのが印象的でした。
あーあ、、、今週はまた別物になってるんだろうなあ……。今週ご覧になる方が羨ましいです。
こういう作品こそ、博品館か芸術劇場小ホールあたりで上演してほしいですね~。
本当に勉強になると思うし、映像としては残せないようなので、ぜひ東上してほしいです。
まずはあのメンバーで、それから、その後で良かったら別の組でも。
詳しい感想をまだ書いてないなーと思ったのですが、ここでストーリーやネタを語っても仕方ない……というか、あれは本当にその空間にいないと面白さがわからないと思うので、キャストについて簡単に。
オスカー(轟)とフィリックス(未沙)の大御所二人については、百万言を費やしても素晴らしさは伝えられないと思うので諦めて、星組っ子6人についてだけ(^ ^;ゞ
幕開き、未沙さんも轟さんもいない舞台に星組男役4人(美稀、碧海、如月、天寿)。
下手に置かれたテーブルでカードゲームを……しようとしている。
カードを配るのは制服姿のマレー警部(美稀千種)。
ト書きに「カードさばきが遅い」と書かれているとおりに、わざとゆっくり配るんですけど……うーん違和感。一枚ずつうまく取れなくて、左手に持った束をイチイチつついて一枚取る……っていうのを繰り返すんですが、ちょっと細かくてわかりにくい(T T)。
ちなみに、以前違う舞台で観た時は、たしか配っている途中で左手の束を取り落として配りなおす、というのを繰り返して、そのうちスピードがキレる……という芝居をしていたような気がします。
キャラとしては、しっかりしてるけどあまり頼りにはならない……という感じでしょうか。
「恐妻家」と明記されているのはヴィニーだけだけど、マレーも似たような台詞(○○しないと女房がアメリカ全土に指名手配をかけちまう)を言っていたし。いろいろ細かいところで、頼りになるようでならない、絶妙なキャラがとても素敵でした。
いやー、それにしてもみきちぐ格好良いわー!!なんて制服が似合うんでしょう。そして、このメンバーだと小柄なのが目立たない……あはは(乾笑)
なかなかカードが配られないのに苛々して、怒りだすスピード(碧海りま)。
いやー、「ランスロット」ではグウィネヴィアの父とグウィネヴィアを攫うマリアガンスの二役を演じていた碧海さん。初見のときは、こういうぽんぽん言いあうような芝居は苦手なのかな?と思ったのですが、3日後に観た時に一番変化を感じたのは彼女でした。経験ってすごいなー。
ト書きにあるキャラ設定は「愚痴っぽくて短気」という、なんともはや……な感じですが、髪型も工夫して、ちょっと「イマドキのキレやすい若者」っぽく見せていたのは巧いなーと思いました。うん。いろいろ大事な仕事がある人ですが、一番好きな台詞は「俺たちはともだちだ!」……かな(^ ^)。
「12時には帰るよ。遅くなったら女房に撃ち殺されちまう」と訴えるヴィニー(如月蓮)。
いやもう、可愛くて可愛くて可愛くて(×100回)、マーリンも可愛かったけど、ヴィニーも可愛いいいいいいぃぃ!
(そんだけ?)(そんだけ!)
好きな台詞は「私だって時間は守りたーい!」でしょうか(^ ^)。ヴィニーのキャラで、一人称が「私」であるということがとってもツボです。
あと、2幕で「最近はみんなポーカーに興味無くなっちまったんだよ」という台詞の優しい言い方がすごく好きでした。相手を突き放しながら、さりげなく慰撫する口調。れんたは本当に優しい人なんだろうな、と思いました。
「勝ち逃げは敵前逃亡とみなし銃殺だ!」とヴィニーを責めるロイ(天寿光希)。
声の良さと態度の大きさ&気障さがあいまって、優秀だけど傲慢で尊大で上から目線な“嫌な奴”、というのがしっかり見えたのが良かったと思います。……ご本人は「自分はロイに近い」って仰ってましたけどね、、、いいのかそれで(^ ^;;;。
でも結局、ポーカー仲間として長く付き合ってられるってことは、たぶん根は良い奴なんですよね(^ ^)。そんな雰囲気もちゃんとあったので嬉しかったです。いやー、良いキャラでした(*^ ^*)。
ロイの台詞で好きな台詞は「そゆこと」かな。オスカーが金持ちになれないのはギャンブルに弱いからだ、と全員で突っ込んだ後でぽそっと言うのが可愛かった♪
あと、フィリックスが「12年間生活を共にしてきたんだ」と嘆く場面で、「……ああ、知ってるとも」と、ちょっと切なげに呟くのが好き。尊大で傲慢なロイが垣間見せる優しさ、みたいなのが。
この短い場面で4人の性格と名前と4人の中での立場(力関係)を見事に描写してのけるニール・サイモンはすごいなあと思います。ホント、練られているというか、無駄がないというか。素晴らしいです(はぁと)。
2幕冒頭で、フィリックスにナプキンを渡された時の皆の態度とか、本当に見事に性格を表現していて、ここは台詞ないんですけど、石田さんが本当に良い仕事をしているなあ、と思いました。
それにしても、君たちポーカーしてないよね!?
冒頭の場面は専科さんたちが出ていないので、4人だけをじーっくりと観るチャンスなのですが、みんな、山札から一枚とって一枚捨てる(それも表を見せて)って作業を繰り返してるんですが。
それはゲームの名前でいうとラミー(ジン・ラミーとかセブンブリッジとか)じゃないか?
「台詞が飛ぶので、カードはみてません」と出演者は仰ってましたが、ポーカーは捨てるのが先で、何を捨てたか見せないし、しかも一枚とは限らず、全部替えたりするんだけど。チップのやり取りもないし。
ちゃんとカードを見てゲームをする必要はありませんが、基本の動作はポーカーらしくした方がいいと思うんだけどなー。まあ、どうでもいいことですが。
妃白ゆあちゃんと夢妃杏瑠ちゃんは、オスカーの部屋より2フロア上に住むイギリス人の姉妹、グウェンドレン・ピジョンと、セシリィ・ピジョン。姉は未亡人、妹はバツイチの、かなりあやしげなオシゴトについているらしい、セクシーレディたち。
可愛らしくて大人しい女性を装っているけど、根は相当にイケイケで野心家の女性であることが非常によくわかる猫の被り方で、とってもとっても素晴らしかったです。っていうか、このあたりは石田さんの得意分野でしたね(^ ^)。
フィリックスがフランシスをほめたたえている間、彼の息子の写真を見て「父親にそっくりよ!!」と笑い転げ、莫迦にしきった様子でフィリックスの話など全く聞いていなかった彼女たちが、フィリックスの話に泣き崩れるまでの展開はかなり強引なのですが(^ ^)。でも、そのギャップがとても面白かったです。いやー、このピジョン姉妹、根本的に柄違いだと思うんですけど、それでも凄く魅力的で、そして、本当に可愛かったです。
この物語は、本来はもっと「中年」たちの物語なんですよね。
オスカーがフィリックスに「(俺たちも)中年男だ。贅沢は言えないよ」というところとか。
フランシスの写真を視た鳩姉妹が「まあ、きれいな方!コラーゲン(注射)もヒアルロン酸も必要ない!って感じ!」と叫ぶところとか。
未沙さんはともかく、轟さんはまだまだ二枚目の格好良さで「中年男の情けなさ」なんて欠片もなかったし、ゆあちゃんもあんるちゃんも若くて肌もつるっつるで、それこそコラーゲンもヒアルロン酸もいらなそうだから違和感はあるんですよね。だって二人とも、「セクシー」なんじゃなくて「可愛い」んだもん。
……いや、そこが良いんですが。
ただ、別の組で上演するとしたら、鳩姉妹をもっとベテランにしても面白いんじゃないかと思いました。
花組 初姫さあや&華耀きらり
月組 花瀬みずか、妃鳳こころ
雪組 花帆杏奈、涼花リサ
宙組 美風舞良、大海亜呼
……とか、ね。
花組の二人は可愛いすぎて、ゆあちゃん・あんるちゃんとそんなにイメージが違わないかもですが(^ ^)。
あと、星組はどうせなら柚姐と五峰さんとか、そんな感じでも観てみたいかもー。
男役も考えたんですが、これはもう好みになってしまうので、、、(^ ^;ゞ
とりあえず、花組で上演することがあったら(←ないよ)、まりんさんと92期3人(真瀬、天真、銀華)とか。いやもういっそのこと、娘役も鞠華ゆめちゃんと月野姫花ちゃんでやりますか!?だったら男役も……あぅ、男役5人なのね、今の花組92期って。無念(T T)
.
……いや、今週は遠征しません。行きたいのはやまやまだけど、中日もバウもチケット無いし。
行きたいけど!みやるりのマールも、しーらんのボールソも観たいけど!おかしな8人にも逢いたいけど!でもチケット無いし!!
というわけで、星組バウホール公演「おかしな二人」。
私は、間を2日あけて合計3回観たのですが。
わずか3日でも、皆さんの間が全然違っていて、格段に面白くなっていたのが印象的でした。
あーあ、、、今週はまた別物になってるんだろうなあ……。今週ご覧になる方が羨ましいです。
こういう作品こそ、博品館か芸術劇場小ホールあたりで上演してほしいですね~。
本当に勉強になると思うし、映像としては残せないようなので、ぜひ東上してほしいです。
まずはあのメンバーで、それから、その後で良かったら別の組でも。
詳しい感想をまだ書いてないなーと思ったのですが、ここでストーリーやネタを語っても仕方ない……というか、あれは本当にその空間にいないと面白さがわからないと思うので、キャストについて簡単に。
オスカー(轟)とフィリックス(未沙)の大御所二人については、百万言を費やしても素晴らしさは伝えられないと思うので諦めて、星組っ子6人についてだけ(^ ^;ゞ
幕開き、未沙さんも轟さんもいない舞台に星組男役4人(美稀、碧海、如月、天寿)。
下手に置かれたテーブルでカードゲームを……しようとしている。
カードを配るのは制服姿のマレー警部(美稀千種)。
ト書きに「カードさばきが遅い」と書かれているとおりに、わざとゆっくり配るんですけど……うーん違和感。一枚ずつうまく取れなくて、左手に持った束をイチイチつついて一枚取る……っていうのを繰り返すんですが、ちょっと細かくてわかりにくい(T T)。
ちなみに、以前違う舞台で観た時は、たしか配っている途中で左手の束を取り落として配りなおす、というのを繰り返して、そのうちスピードがキレる……という芝居をしていたような気がします。
キャラとしては、しっかりしてるけどあまり頼りにはならない……という感じでしょうか。
「恐妻家」と明記されているのはヴィニーだけだけど、マレーも似たような台詞(○○しないと女房がアメリカ全土に指名手配をかけちまう)を言っていたし。いろいろ細かいところで、頼りになるようでならない、絶妙なキャラがとても素敵でした。
いやー、それにしてもみきちぐ格好良いわー!!なんて制服が似合うんでしょう。そして、このメンバーだと小柄なのが目立たない……あはは(乾笑)
なかなかカードが配られないのに苛々して、怒りだすスピード(碧海りま)。
いやー、「ランスロット」ではグウィネヴィアの父とグウィネヴィアを攫うマリアガンスの二役を演じていた碧海さん。初見のときは、こういうぽんぽん言いあうような芝居は苦手なのかな?と思ったのですが、3日後に観た時に一番変化を感じたのは彼女でした。経験ってすごいなー。
ト書きにあるキャラ設定は「愚痴っぽくて短気」という、なんともはや……な感じですが、髪型も工夫して、ちょっと「イマドキのキレやすい若者」っぽく見せていたのは巧いなーと思いました。うん。いろいろ大事な仕事がある人ですが、一番好きな台詞は「俺たちはともだちだ!」……かな(^ ^)。
「12時には帰るよ。遅くなったら女房に撃ち殺されちまう」と訴えるヴィニー(如月蓮)。
いやもう、可愛くて可愛くて可愛くて(×100回)、マーリンも可愛かったけど、ヴィニーも可愛いいいいいいぃぃ!
(そんだけ?)(そんだけ!)
好きな台詞は「私だって時間は守りたーい!」でしょうか(^ ^)。ヴィニーのキャラで、一人称が「私」であるということがとってもツボです。
あと、2幕で「最近はみんなポーカーに興味無くなっちまったんだよ」という台詞の優しい言い方がすごく好きでした。相手を突き放しながら、さりげなく慰撫する口調。れんたは本当に優しい人なんだろうな、と思いました。
「勝ち逃げは敵前逃亡とみなし銃殺だ!」とヴィニーを責めるロイ(天寿光希)。
声の良さと態度の大きさ&気障さがあいまって、優秀だけど傲慢で尊大で上から目線な“嫌な奴”、というのがしっかり見えたのが良かったと思います。……ご本人は「自分はロイに近い」って仰ってましたけどね、、、いいのかそれで(^ ^;;;。
でも結局、ポーカー仲間として長く付き合ってられるってことは、たぶん根は良い奴なんですよね(^ ^)。そんな雰囲気もちゃんとあったので嬉しかったです。いやー、良いキャラでした(*^ ^*)。
ロイの台詞で好きな台詞は「そゆこと」かな。オスカーが金持ちになれないのはギャンブルに弱いからだ、と全員で突っ込んだ後でぽそっと言うのが可愛かった♪
あと、フィリックスが「12年間生活を共にしてきたんだ」と嘆く場面で、「……ああ、知ってるとも」と、ちょっと切なげに呟くのが好き。尊大で傲慢なロイが垣間見せる優しさ、みたいなのが。
この短い場面で4人の性格と名前と4人の中での立場(力関係)を見事に描写してのけるニール・サイモンはすごいなあと思います。ホント、練られているというか、無駄がないというか。素晴らしいです(はぁと)。
2幕冒頭で、フィリックスにナプキンを渡された時の皆の態度とか、本当に見事に性格を表現していて、ここは台詞ないんですけど、石田さんが本当に良い仕事をしているなあ、と思いました。
それにしても、君たちポーカーしてないよね!?
冒頭の場面は専科さんたちが出ていないので、4人だけをじーっくりと観るチャンスなのですが、みんな、山札から一枚とって一枚捨てる(それも表を見せて)って作業を繰り返してるんですが。
それはゲームの名前でいうとラミー(ジン・ラミーとかセブンブリッジとか)じゃないか?
「台詞が飛ぶので、カードはみてません」と出演者は仰ってましたが、ポーカーは捨てるのが先で、何を捨てたか見せないし、しかも一枚とは限らず、全部替えたりするんだけど。チップのやり取りもないし。
ちゃんとカードを見てゲームをする必要はありませんが、基本の動作はポーカーらしくした方がいいと思うんだけどなー。まあ、どうでもいいことですが。
妃白ゆあちゃんと夢妃杏瑠ちゃんは、オスカーの部屋より2フロア上に住むイギリス人の姉妹、グウェンドレン・ピジョンと、セシリィ・ピジョン。姉は未亡人、妹はバツイチの、かなりあやしげなオシゴトについているらしい、セクシーレディたち。
可愛らしくて大人しい女性を装っているけど、根は相当にイケイケで野心家の女性であることが非常によくわかる猫の被り方で、とってもとっても素晴らしかったです。っていうか、このあたりは石田さんの得意分野でしたね(^ ^)。
フィリックスがフランシスをほめたたえている間、彼の息子の写真を見て「父親にそっくりよ!!」と笑い転げ、莫迦にしきった様子でフィリックスの話など全く聞いていなかった彼女たちが、フィリックスの話に泣き崩れるまでの展開はかなり強引なのですが(^ ^)。でも、そのギャップがとても面白かったです。いやー、このピジョン姉妹、根本的に柄違いだと思うんですけど、それでも凄く魅力的で、そして、本当に可愛かったです。
この物語は、本来はもっと「中年」たちの物語なんですよね。
オスカーがフィリックスに「(俺たちも)中年男だ。贅沢は言えないよ」というところとか。
フランシスの写真を視た鳩姉妹が「まあ、きれいな方!コラーゲン(注射)もヒアルロン酸も必要ない!って感じ!」と叫ぶところとか。
未沙さんはともかく、轟さんはまだまだ二枚目の格好良さで「中年男の情けなさ」なんて欠片もなかったし、ゆあちゃんもあんるちゃんも若くて肌もつるっつるで、それこそコラーゲンもヒアルロン酸もいらなそうだから違和感はあるんですよね。だって二人とも、「セクシー」なんじゃなくて「可愛い」んだもん。
……いや、そこが良いんですが。
ただ、別の組で上演するとしたら、鳩姉妹をもっとベテランにしても面白いんじゃないかと思いました。
花組 初姫さあや&華耀きらり
月組 花瀬みずか、妃鳳こころ
雪組 花帆杏奈、涼花リサ
宙組 美風舞良、大海亜呼
……とか、ね。
花組の二人は可愛いすぎて、ゆあちゃん・あんるちゃんとそんなにイメージが違わないかもですが(^ ^)。
あと、星組はどうせなら柚姐と五峰さんとか、そんな感じでも観てみたいかもー。
男役も考えたんですが、これはもう好みになってしまうので、、、(^ ^;ゞ
とりあえず、花組で上演することがあったら(←ないよ)、まりんさんと92期3人(真瀬、天真、銀華)とか。いやもういっそのこと、娘役も鞠華ゆめちゃんと月野姫花ちゃんでやりますか!?だったら男役も……あぅ、男役5人なのね、今の花組92期って。無念(T T)
.
アルジェのロマネスク
2011年9月24日 宝塚(月) コメント (6)東京宝塚劇場にて、月組公演「アルジェの男/ダンス・ロマネスク」を観劇してまいりました。
お芝居は、しみじみと良い作品ですよね。柴田さんの作品の中でも名作の部類なんだろうな、と素直に納得できました。
ただ、キャストが非常に嵌っていたかというと「?」というところが多くて、ちょっと微妙……と思ってしまったことは否定できませんが。
そもそも、霧矢さんからして「野心的」はともかくとしても「色悪」からは程遠いタイプなのに、どうしてこの作品を今の月組で上演したんだろう?というのが率直な感想。
きりやんは、どうしても“生真面目で融通がきかない”という印象が抜けないし、まさおは根本的に愛されタイプで、ああいう執着が過ぎる役は向いてないし。もちろん、柄違いの割にはさすがなのが霧矢さんなんですけど、同じ柴田作品でも「バレンシアの熱い花」とかの方が今の月組には向いていたんじゃないかと思うんですけどねーーー。
うーむ。
もし、本当に大野さんが「この作品をぜひ霧矢さんに!」と思って選んだんだとしたら、ちょっと恋は盲目が過ぎると思うよ……?
ただ。
パリの「マルトの店」でのまりもちゃんのダンスは本当に本当に素晴らしかったです!!
あの場面のためだけに通ってもいいとさえ思いました(^ ^)。
あと、まあ、としちゃん(宇月颯)のファンとしては、ラストのカゲソロはちょっと感動的でした。衝撃的な声だった……イメージしていたよりだいぶ短かったけど(^ ^;ゞ
根本的に作品がいいので、なにかしらツボがあれば、通いがいはあるんですよね。プロローグのダンスも格好良い♪し、歌も良いし、、、木村作品とはわけが違う(^ ^)。
ショーは文句なく素晴らしかった!
中村Sさんのショーは、「ミロワール」以降しか観ていませんが、どれも好きなんですよねー。うん。この「ダンス・ロマネスク」もホントに良かったし、外れないなあ~!
総踊りも多くて華やかだし、衣装もどれも素敵でした。
一番好きな場面は……どれかなあ。ノートルダムでしょうか。
霧矢さんのカジモドも素敵だったし、まりもちゃんのエスメラルダも、マギーのフェビウスも
、そしてエスメラルダと組んで踊るとしちゃんも、、、皆すっごい格好良かったです!
(彩星)りおんの歌に合わせて踊るジプシーダンサーたちから、目が離せなかった(^ ^)。
カモメの場面も良かったです。あれは本当に、2階席で観たい!と思いました。
ただ、個人的に「カモメ」というと「Red Hot Sea」の「カモメ」を思い出すので、、、あの場面本当に大好きだったので(汗)、あまり正当に評価できていないかも。すみません(^ ^;ゞ
話題の月色男子は、まー、みんな可愛いこと(^ ^)。
ガツガツ客席を釣りに来る彼らを視ると、月組ではこういう場面久しぶりだなあ、としみじみ思いますね。
そして。一年前の「ラプソディック・ムーン」の時はウィンクするたびに照れていたとしちゃんが、堂々と飛ばしまくっているのを見ると、スターになったんだなあと心が温かくなります(*^ ^*)。新公を卒業して一年、組の中での立場も変わってきたのをしみじみと感じますね。責任も重くなってきてるんだろうなあ……がんばってくださいね。
今回のショーでも、まりもちゃんは大活躍!それと、ロケットで転向したばかりのちゃぴ(愛希れいか)が笑顔を振りまいていて、めっちゃキュートでした。新人公演が楽しみ♪
あとは、タリスマンでまさおの相手役をしていた咲妃みゆちゃんが大抜擢でしたが、可愛かったです。
他は、特に娘役で目立つ役は無かったような。語り部チーム(越乃、一色、花瀬、妃鳳)がちょっとだけでてきますが、「タリスマン」だけだしなあ。
下級生の抜擢では、あと「カモメ」の隼海・風凜コンビもびっくりしました。銀橋わたっちゃうんだもんなあ(@ @)。伸びやかなダンスがとてもきれい。
隼海さんは月色男子にも入っているし、期待の若手なのかな?(93期以下で入っているのは、94期の隼海・天翔・珠城トリオのみ)風凜さんもダンサーですけど、目立つところに入ったのは初めてですよね?今までなら紗那ゆずはちゃんとか晴音アキちゃんあたりに回りそうな役どころなのに、珍しいなと思いました。
一つだけ残念だったのは、フィナーレの黒燕尾が人数が少なかったこと。
今回、ロケットがフィナーレ前ではなく中詰めでやってしまう形式なので、下級生はフィナーレに出番がないんですよね……しょぼーん。
中村一徳さんだったらロケット二本立ての技を使うところなのに、残念だわーーー。
.
お芝居は、しみじみと良い作品ですよね。柴田さんの作品の中でも名作の部類なんだろうな、と素直に納得できました。
ただ、キャストが非常に嵌っていたかというと「?」というところが多くて、ちょっと微妙……と思ってしまったことは否定できませんが。
そもそも、霧矢さんからして「野心的」はともかくとしても「色悪」からは程遠いタイプなのに、どうしてこの作品を今の月組で上演したんだろう?というのが率直な感想。
きりやんは、どうしても“生真面目で融通がきかない”という印象が抜けないし、まさおは根本的に愛されタイプで、ああいう執着が過ぎる役は向いてないし。もちろん、柄違いの割にはさすがなのが霧矢さんなんですけど、同じ柴田作品でも「バレンシアの熱い花」とかの方が今の月組には向いていたんじゃないかと思うんですけどねーーー。
うーむ。
もし、本当に大野さんが「この作品をぜひ霧矢さんに!」と思って選んだんだとしたら、ちょっと恋は盲目が過ぎると思うよ……?
ただ。
パリの「マルトの店」でのまりもちゃんのダンスは本当に本当に素晴らしかったです!!
あの場面のためだけに通ってもいいとさえ思いました(^ ^)。
あと、まあ、としちゃん(宇月颯)のファンとしては、ラストのカゲソロはちょっと感動的でした。衝撃的な声だった……イメージしていたよりだいぶ短かったけど(^ ^;ゞ
根本的に作品がいいので、なにかしらツボがあれば、通いがいはあるんですよね。プロローグのダンスも格好良い♪し、歌も良いし、、、木村作品とはわけが違う(^ ^)。
ショーは文句なく素晴らしかった!
中村Sさんのショーは、「ミロワール」以降しか観ていませんが、どれも好きなんですよねー。うん。この「ダンス・ロマネスク」もホントに良かったし、外れないなあ~!
総踊りも多くて華やかだし、衣装もどれも素敵でした。
一番好きな場面は……どれかなあ。ノートルダムでしょうか。
霧矢さんのカジモドも素敵だったし、まりもちゃんのエスメラルダも、マギーのフェビウスも
、そしてエスメラルダと組んで踊るとしちゃんも、、、皆すっごい格好良かったです!
(彩星)りおんの歌に合わせて踊るジプシーダンサーたちから、目が離せなかった(^ ^)。
カモメの場面も良かったです。あれは本当に、2階席で観たい!と思いました。
ただ、個人的に「カモメ」というと「Red Hot Sea」の「カモメ」を思い出すので、、、あの場面本当に大好きだったので(汗)、あまり正当に評価できていないかも。すみません(^ ^;ゞ
話題の月色男子は、まー、みんな可愛いこと(^ ^)。
ガツガツ客席を釣りに来る彼らを視ると、月組ではこういう場面久しぶりだなあ、としみじみ思いますね。
そして。一年前の「ラプソディック・ムーン」の時はウィンクするたびに照れていたとしちゃんが、堂々と飛ばしまくっているのを見ると、スターになったんだなあと心が温かくなります(*^ ^*)。新公を卒業して一年、組の中での立場も変わってきたのをしみじみと感じますね。責任も重くなってきてるんだろうなあ……がんばってくださいね。
今回のショーでも、まりもちゃんは大活躍!それと、ロケットで転向したばかりのちゃぴ(愛希れいか)が笑顔を振りまいていて、めっちゃキュートでした。新人公演が楽しみ♪
あとは、タリスマンでまさおの相手役をしていた咲妃みゆちゃんが大抜擢でしたが、可愛かったです。
他は、特に娘役で目立つ役は無かったような。語り部チーム(越乃、一色、花瀬、妃鳳)がちょっとだけでてきますが、「タリスマン」だけだしなあ。
下級生の抜擢では、あと「カモメ」の隼海・風凜コンビもびっくりしました。銀橋わたっちゃうんだもんなあ(@ @)。伸びやかなダンスがとてもきれい。
隼海さんは月色男子にも入っているし、期待の若手なのかな?(93期以下で入っているのは、94期の隼海・天翔・珠城トリオのみ)風凜さんもダンサーですけど、目立つところに入ったのは初めてですよね?今までなら紗那ゆずはちゃんとか晴音アキちゃんあたりに回りそうな役どころなのに、珍しいなと思いました。
一つだけ残念だったのは、フィナーレの黒燕尾が人数が少なかったこと。
今回、ロケットがフィナーレ前ではなく中詰めでやってしまう形式なので、下級生はフィナーレに出番がないんですよね……しょぼーん。
中村一徳さんだったらロケット二本立ての技を使うところなのに、残念だわーーー。
.
ランスロットの見た夢【4】
2011年9月25日 宝塚(星)星組「ノバ・ボサ・ノバ/めぐり会いは再び」、千秋楽おめでとうございます。
明日にはバウホール公演「おかしな二人」も千秋楽を迎えて、私の星組強化月間も終わりになりますね。わずか一ヶ月の間に3回も遠征した(←作品も違いますが)身としては、次の大劇場公演も楽しみでなりません(^ ^)。
というわけで、宙組強化月間が始まる前に(汗)「ランスロット」について書かせていただきたいと思います(^ ^)。
第8場A 恋人たち
王宮ではたらく女性たちの場面。
ボールス(汐月)の恋人・セリア(妃白)、ガウェイン(麻央)の恋人・ノーマ(愛水)をはじめとする6人の侍女たちと、侍女頭のアガサ(優香りこ)。
「無駄口たたかず静かにね!」と申し送りをするアガサと、それが終わるのを待ちかねて、お互いのコイバナに盛り上がる娘たち。
「王妃さまどうなさったのかしら…」と心配しながら、そのままランスロットと王妃の噂を語りあい、「陛下だってステキよ!」「二人に思われるなんて羨ましいー」と言いあう、無責任な小雀たち。
♪今の生活に不満はないけれど
♪夢を描いてみたくはなる
♪それが生きる楽しみ!
可愛らしくコメディタッチな場面としてきちんと仕上げつつ、必要な説明はしっかり伝えているあたり、娘役さんたちも生田さんもよくがんばったなあと思います(^ ^)。
優香さん、こういう役は嵌りますね。最初に認識したのが「コインブラ物語」の姫君だったのであまり良い印象を持っていなかった(ごめんなさい)のですが、歌も芝居もハイレベルで、ダンサーだけあって身のこなしが綺麗。大人っぽい、デキる女イメージの役がとてもよく似合います(いや、アガサが「デキる女」かというとちょっと微妙ですが)
他のメンバーもみんな可愛くて、、、星娘さんたち、これからがんばって覚えなくては。とりあえずライオネルの恋人は誰?可愛かったんだけど誰だかわからず……みんな名札つけてください!(涙)
第8場B グウィネヴィアの部屋
恋人(ランスロット)との短い逢瀬の後。
口づけを交わして出て行く恋人を見送って、ベッドの上に座り込むグウィネヴィア。
♪幼き日の戒めを忘れた日などなかった
♪その日が来ることは逃れられぬ運命
プロローグの歌をリフレインして、罪の重さに怯え、懺悔の言葉を紡ぐ。
「……主よ、どうか私たちをお許しください」
ドアの外では、王が懺悔の終わりを待っている。
捨てられた子供のような悲しげな瞳を、彼女が視ていたなら……と思わずにはいられません。
懺悔が終わったところで、そっとノックをしてドアをあける夫。
「気分はどうだい……?」
逡巡の末、何事もなかったかのように優しく問いかける王。
優しすぎて、その想いは王妃には届かない。
「無理して何か言ってくれとはいわない。無理強いはしない」
でも、
「……聞いてほしい」
♪王である前に人として生きたい
♪愛する人を護り、慰め、笑いあい、
こちらもプロローグのリフレイン。これだけの内容をあの時間に詰め込んだ、プロローグの密度の濃さをいまさらに思います。
♪いかなる障壁立ちふさがろうとも
♪まことの愛なら乗り越えられる
伝わってほしい、という彼の気持ちの高ぶりと共に上昇音階に転ずるあたりで、グウィネヴィアの表情が微かに変わるあたりがとても悲しい。
「王と王妃である前に、私は夫で、君は妻なんだ」
最初の週末に観た時は、言い聞かせるように語っていたはずなのに、千秋楽あたりではすっかりぶっ飛んで、激情を抑えつけて爆発寸前のようだったみっきぃさん。
「話せるときがきたら頼ってほしい。いつでもいい、」
細い肩を震わせる妻の背中に手を差し伸べて、
「……いつまでも待っている」
それでも、振り向こうとしない妻に触れることもできず。
沈黙に耐えられなくて、泣き笑いを浮かべたピエロは、円卓会議に行ってくる、と言い置いて部屋を出る。
反射的に振り向いて泣き崩れる、妻。
「……ごめんなさい」
アーサーがもっと嫌な男だったら、
グウィネヴィアが夫を憎むことができていたなら、その方が話はずっと簡単だったろうに。
♪私の身体に灼きついたグリフ
ランスロットによって刻みつけられた刻印を掻き抱いて、耳に残る父王レオデグランスの教えを聞く。
忘れたことのない、幼い日の戒めを。
♪左手を締めつける糸を断てず
♪右手の愛 こぼれおちてゆく
心の中にしまいこんだ幼い少女が、無邪気に問いかける。
「私はグウィネヴィア。あなたは、誰?」
「わたしは」
♪片手には重すぎる罪は
♪いずれ私の身体を引き裂くだろう
「……わたしは、王妃。」
不安げな声で、それでも彼女は、選ぶ。
グウィネヴィアとして、一人の少女として生きることを諦めた「王妃」は、仮面を被る。
父王の戒め通り、彼女の人生は彼女自身のものではないのだから。
肩を落として、幼いグウィネヴィアに手を引かれて舞台奥へ進む王妃。
彼女は、このときにやっと自分の道を選び取った。
もっと早く、その覚悟があったならば。マリアガンスに攫われる前に。
……今はもう、遅い。
第9場 キャメロット・王宮内
グウィネヴィアの決意とは無関係に、奇妙に明るい、乾いた音楽が流れる、円卓の広間。
「聖杯があらわれた」というマーリンの報告を聞く、円卓会議の面々。
♪聖杯は持つ者を選び
♪とこしえの平和と秩序をもたらすという
聖杯の守護者ヨセフが欲するのは、純潔な魂と高潔な精神。この騎士団のメンバーは、全員が条件を満たすはず。
「聖杯を授かるにふさわしい騎士は、必ずやこの円卓の中にいると私は信じる」
確信に満ちたアーサーの明るい声に、うなずく騎士たち。
けれども、不安を感じる騎士もいる。
「西方のカルボネック(?)には、異教の国々を通らねば辿り付けぬ」
と不安を述べるボールス(汐月しゅう)、
「異教の野蛮人の間をわけいってまでも手に入れる価値があるのか?」
と疑問を呈するライオネル(漣レイラ)。
「異教徒、異教徒と、キリスト教徒は臆病者ばかりか!」
浅黒い肌のパラミデュース(夏樹れい)が莫迦にすると、騎士たちはみな興奮して叫びだす。
「そもそも、どこを探せばいいのか!?」
「わからぬ」
マーリンの言葉にみなが戸惑う中で、ふいに照明が変わり、聖なるカレー鍋 聖杯が顕現する。
王も騎士たちもストップモーションになる中、ただ一人、聖杯の守護者ヨセフ(美稀)と相対するランスロット。
「聖杯は手に入れるものにあらず。聖杯が選ぶのだ。聖杯と至福の秘密を共有するにふさわしい人物を」
ランスロットの問いに答えようとはせず、消失する空間。
再び流れはじめた時間の中で、取り残されたランスロットは叫ぶ。
「私は行く!」
決議を取ろうとしていたメンバーが振り向く。
「危険、闘い、それが何だ。その先に得られる物の大きさに比べれば!私は一人でも行く!」
驚いて反応が遅れる騎士たち。そんな中で、すぐに賛同したのは二人(ボールスとパラミデュース)……だったかな?。
それまで何か雑然としていた空気が、一つにまとまる。
「何を臆することがある!我らは最強の、円卓の騎士団だ!」
♪遥か冒険の旅に出よう
♪Nobless Oblegeを胸に!
微笑みを浮かべたアーサー王が、「聖杯探索」にむけて心を一つにしたメンバーを祝福する。
ホッとしたように。
この先のことは考えない、と決めたかのように。
「ランスロット」
会議をまとめてくれた騎士に、王が礼を言う。
「運命とは己の力で切り開くもの。心得ております」
待っていても与えられない、欲しいものは探しに行かねば、と。
彼の気迫に気圧されたように、王が軽く目を見開く。
「……聖杯も大事だが、君たちの命も私には等しく、いや、それ以上に大切なものだ」
気をつけて行くように、と、酷く優しい声を零す王に、騎士がよびかける。
「陛下」
「……どうした?」
この会話のアーサーの声が、優しすぎてとても怖いです。
大きな声を出したら壊れてしまいそうな脆いものを、両腕いっぱいに抱え込んでいるかのような、そんな緊張感。
決して壊したくないものなのに、それを抱えていることに倦んでしまったかのような。
大きな声を出しただけで壊せるのなら、いっそ、という気持ちが抑えきれずに、ことさらに優しい声を出す。その優しさと怖さ。
そんな緊張感で何年も王座を埋めてきた王の、恐怖。
そんな怖さには全く気付かず、無邪気に問いかけるランスロット。
「理想の世界とは何なのでしょう?」
一瞬押し黙って、それでも王は、笑い声を聞かせる。
「私にとっては、ここが理想だ。王妃が平和に暮らし、そして……君がいる」
愛する騎士に、愚かな子供に、言い聞かせるように。
「皆が幸せに暮らせる世界……」
「そうだ。まさにこの、キャメロットだ」
目を伏せてその声を聴くランスロット。
切なげに彼を見つめるアーサー。
失礼します、と言って立ち去るランスロットを見送るアーサーは、ホントに泣きそうだったんですよね。
あれがすごく印象的でした。
壊れていく絆を、切れるそばから繕いながら、もう間に合わない!と泣きだす寸前のような。
愛する者を護るためにうったつもり手が正しいのかどうか、確信が得られなくて、不安で。
様子を視ていたマーリンが、影のように現れる。
「ランスロットを行かせるのは、危険です」
「何が言いたい」
マーリンに対しては、ちょっと甘えがあるんですよね。我侭な少年のような拗ねた声を出すアーサーが可愛いです。
「ランスロットが求めているものは、もはやキャメロットの安寧ではない!」
強く諌める魔法使いの言葉を、真っ向から受け止めるアーサー。
「グウィネヴィアは彼を愛している」
目を逸らすつもりはない、と、愛を知らない魔法使いに教えようとする。
「そして。彼女が愛しているからこそ、私も彼を愛しているんだ」
ランスロットを大義なく追い出せば、グウィネヴィアが悲しむ。
彼女を愛しているから、彼女が悲しむことはしたくない。
……それがどんなに、自分の心を乱すとしても。
自分の心が乱れることが、すなわち国の乱れになることを、知らぬわけもないのに。
「わかっている。わかっているんだ。だが、わかっていたとて何ができる?」
血を吐くように本心を曝け出して。
「そなたの予言がまことに神の描いた筋書きだとしても、」
他の者には見せられぬ、王の弱さ。
「……それに打ち勝つことの方が、まことに正しいことのように、私には思えるんだ!」
♪たとえ我が身を滅ぼす運命でも
♪真(まこと)の王なら打ち勝てるだろう
実際には流れないリフレインが聴こえるような気がしました。
自分がまことの王であるならば、打ち勝てるに違いない、という強い想い。
グウィネヴィアとランスロット、愛する二人を二人とも傍に置くことが叶うはずだ、と。
エクスカリバーが選んだ自分が、真の王であるならば。
裏を返せば。
この苦境を乗り越えられないならば、自分は「真の王」ではないということ。
だとしたら、「世界」という重荷を、投げ出してもいいはず。
背負いきれない荷物を捨てて、「人」として生きることを選んでもいはずだ、と。
そんな闇の希望に囚われて、ランスロットを手放そうとするアーサー。
彼らはきっと、聖杯を持ち帰るだろう……そんな夢を、誰よりも自分自身に言い聞かせて。
もう何も言いますまい。ただ、覚えていてほしい、と呟くマーリン。
自分は間違っているのかもしれない、という恐怖におびえながら、それでも虚勢を張って、自分を、そして騎士たちを信じようとするアーサー。
……王妃の決意を、騎士の絶望を、王はまだ知らない。
第10場 王宮のテラス
王妃に聖杯探索の旅に出ることを報告するランスロット。
「持つ者に平和と秩序と、あらゆる至福をもたらす聖杯を探しに行く」
「Stargazer」のメロディが流れる中、王妃の言葉さえ遮って、学校から帰った子供が今日の出来事を母親に報告するかのように、息せききって。
「聖杯を手に入れたら、僕は君を連れて行くよ」
ひさしぶりに聴かせる、明るい声。姫に対するのではなく、「恋人」に聴かせる、優しくて甘い声。
得た者に至福をもたらす聖杯。自分の至福はグウィネヴィア。だから、聖杯を得ればグウィネヴィアを得られるはず。王を悲しませることなく。……そんな妄想に興奮した彼に、王妃が冷たく告げる。
「私、もう、あなたには逢えないわ」
王が待っていると言ったから。
「いまでも貴方を愛してる。でも、私はキャメロットの王妃、アーサーの妻なの!」
「それは……!」
そんなこと、最初から判ってた。
輿入れが決まった時に、いや、もっと前から、最初から諦めて想いを起こしたのは、グウィネヴィアなのに。
「我侭だって判ってる」
今更だということも。
「でも、私を愛しているなら、、最期の我侭を許して」
このままでは私、あなたも、あの人も……この世界そのものを滅ぼしてしてしまう。
「しかたないの。運命なの……」
腕の間からすり抜けて行ったグウィネヴィアに、ランスロットが叫ぶ。
「待ってくれグウィネヴィア!僕は必ず聖杯を手に入れる!そして……!!」
『聖杯は手に入れるものにあらず』
ヨセフの言葉は、今の彼には、届かない。
.
明日にはバウホール公演「おかしな二人」も千秋楽を迎えて、私の星組強化月間も終わりになりますね。わずか一ヶ月の間に3回も遠征した(←作品も違いますが)身としては、次の大劇場公演も楽しみでなりません(^ ^)。
というわけで、宙組強化月間が始まる前に(汗)「ランスロット」について書かせていただきたいと思います(^ ^)。
第8場A 恋人たち
王宮ではたらく女性たちの場面。
ボールス(汐月)の恋人・セリア(妃白)、ガウェイン(麻央)の恋人・ノーマ(愛水)をはじめとする6人の侍女たちと、侍女頭のアガサ(優香りこ)。
「無駄口たたかず静かにね!」と申し送りをするアガサと、それが終わるのを待ちかねて、お互いのコイバナに盛り上がる娘たち。
「王妃さまどうなさったのかしら…」と心配しながら、そのままランスロットと王妃の噂を語りあい、「陛下だってステキよ!」「二人に思われるなんて羨ましいー」と言いあう、無責任な小雀たち。
♪今の生活に不満はないけれど
♪夢を描いてみたくはなる
♪それが生きる楽しみ!
可愛らしくコメディタッチな場面としてきちんと仕上げつつ、必要な説明はしっかり伝えているあたり、娘役さんたちも生田さんもよくがんばったなあと思います(^ ^)。
優香さん、こういう役は嵌りますね。最初に認識したのが「コインブラ物語」の姫君だったのであまり良い印象を持っていなかった(ごめんなさい)のですが、歌も芝居もハイレベルで、ダンサーだけあって身のこなしが綺麗。大人っぽい、デキる女イメージの役がとてもよく似合います(いや、アガサが「デキる女」かというとちょっと微妙ですが)
他のメンバーもみんな可愛くて、、、星娘さんたち、これからがんばって覚えなくては。とりあえずライオネルの恋人は誰?可愛かったんだけど誰だかわからず……みんな名札つけてください!(涙)
第8場B グウィネヴィアの部屋
恋人(ランスロット)との短い逢瀬の後。
口づけを交わして出て行く恋人を見送って、ベッドの上に座り込むグウィネヴィア。
♪幼き日の戒めを忘れた日などなかった
♪その日が来ることは逃れられぬ運命
プロローグの歌をリフレインして、罪の重さに怯え、懺悔の言葉を紡ぐ。
「……主よ、どうか私たちをお許しください」
ドアの外では、王が懺悔の終わりを待っている。
捨てられた子供のような悲しげな瞳を、彼女が視ていたなら……と思わずにはいられません。
懺悔が終わったところで、そっとノックをしてドアをあける夫。
「気分はどうだい……?」
逡巡の末、何事もなかったかのように優しく問いかける王。
優しすぎて、その想いは王妃には届かない。
「無理して何か言ってくれとはいわない。無理強いはしない」
でも、
「……聞いてほしい」
♪王である前に人として生きたい
♪愛する人を護り、慰め、笑いあい、
こちらもプロローグのリフレイン。これだけの内容をあの時間に詰め込んだ、プロローグの密度の濃さをいまさらに思います。
♪いかなる障壁立ちふさがろうとも
♪まことの愛なら乗り越えられる
伝わってほしい、という彼の気持ちの高ぶりと共に上昇音階に転ずるあたりで、グウィネヴィアの表情が微かに変わるあたりがとても悲しい。
「王と王妃である前に、私は夫で、君は妻なんだ」
最初の週末に観た時は、言い聞かせるように語っていたはずなのに、千秋楽あたりではすっかりぶっ飛んで、激情を抑えつけて爆発寸前のようだったみっきぃさん。
「話せるときがきたら頼ってほしい。いつでもいい、」
細い肩を震わせる妻の背中に手を差し伸べて、
「……いつまでも待っている」
それでも、振り向こうとしない妻に触れることもできず。
沈黙に耐えられなくて、泣き笑いを浮かべたピエロは、円卓会議に行ってくる、と言い置いて部屋を出る。
反射的に振り向いて泣き崩れる、妻。
「……ごめんなさい」
アーサーがもっと嫌な男だったら、
グウィネヴィアが夫を憎むことができていたなら、その方が話はずっと簡単だったろうに。
♪私の身体に灼きついたグリフ
ランスロットによって刻みつけられた刻印を掻き抱いて、耳に残る父王レオデグランスの教えを聞く。
忘れたことのない、幼い日の戒めを。
♪左手を締めつける糸を断てず
♪右手の愛 こぼれおちてゆく
心の中にしまいこんだ幼い少女が、無邪気に問いかける。
「私はグウィネヴィア。あなたは、誰?」
「わたしは」
♪片手には重すぎる罪は
♪いずれ私の身体を引き裂くだろう
「……わたしは、王妃。」
不安げな声で、それでも彼女は、選ぶ。
グウィネヴィアとして、一人の少女として生きることを諦めた「王妃」は、仮面を被る。
父王の戒め通り、彼女の人生は彼女自身のものではないのだから。
肩を落として、幼いグウィネヴィアに手を引かれて舞台奥へ進む王妃。
彼女は、このときにやっと自分の道を選び取った。
もっと早く、その覚悟があったならば。マリアガンスに攫われる前に。
……今はもう、遅い。
第9場 キャメロット・王宮内
グウィネヴィアの決意とは無関係に、奇妙に明るい、乾いた音楽が流れる、円卓の広間。
「聖杯があらわれた」というマーリンの報告を聞く、円卓会議の面々。
♪聖杯は持つ者を選び
♪とこしえの平和と秩序をもたらすという
聖杯の守護者ヨセフが欲するのは、純潔な魂と高潔な精神。この騎士団のメンバーは、全員が条件を満たすはず。
「聖杯を授かるにふさわしい騎士は、必ずやこの円卓の中にいると私は信じる」
確信に満ちたアーサーの明るい声に、うなずく騎士たち。
けれども、不安を感じる騎士もいる。
「西方のカルボネック(?)には、異教の国々を通らねば辿り付けぬ」
と不安を述べるボールス(汐月しゅう)、
「異教の野蛮人の間をわけいってまでも手に入れる価値があるのか?」
と疑問を呈するライオネル(漣レイラ)。
「異教徒、異教徒と、キリスト教徒は臆病者ばかりか!」
浅黒い肌のパラミデュース(夏樹れい)が莫迦にすると、騎士たちはみな興奮して叫びだす。
「そもそも、どこを探せばいいのか!?」
「わからぬ」
マーリンの言葉にみなが戸惑う中で、ふいに照明が変わり、
王も騎士たちもストップモーションになる中、ただ一人、聖杯の守護者ヨセフ(美稀)と相対するランスロット。
「聖杯は手に入れるものにあらず。聖杯が選ぶのだ。聖杯と至福の秘密を共有するにふさわしい人物を」
ランスロットの問いに答えようとはせず、消失する空間。
再び流れはじめた時間の中で、取り残されたランスロットは叫ぶ。
「私は行く!」
決議を取ろうとしていたメンバーが振り向く。
「危険、闘い、それが何だ。その先に得られる物の大きさに比べれば!私は一人でも行く!」
驚いて反応が遅れる騎士たち。そんな中で、すぐに賛同したのは二人(ボールスとパラミデュース)……だったかな?。
それまで何か雑然としていた空気が、一つにまとまる。
「何を臆することがある!我らは最強の、円卓の騎士団だ!」
♪遥か冒険の旅に出よう
♪Nobless Oblegeを胸に!
微笑みを浮かべたアーサー王が、「聖杯探索」にむけて心を一つにしたメンバーを祝福する。
ホッとしたように。
この先のことは考えない、と決めたかのように。
「ランスロット」
会議をまとめてくれた騎士に、王が礼を言う。
「運命とは己の力で切り開くもの。心得ております」
待っていても与えられない、欲しいものは探しに行かねば、と。
彼の気迫に気圧されたように、王が軽く目を見開く。
「……聖杯も大事だが、君たちの命も私には等しく、いや、それ以上に大切なものだ」
気をつけて行くように、と、酷く優しい声を零す王に、騎士がよびかける。
「陛下」
「……どうした?」
この会話のアーサーの声が、優しすぎてとても怖いです。
大きな声を出したら壊れてしまいそうな脆いものを、両腕いっぱいに抱え込んでいるかのような、そんな緊張感。
決して壊したくないものなのに、それを抱えていることに倦んでしまったかのような。
大きな声を出しただけで壊せるのなら、いっそ、という気持ちが抑えきれずに、ことさらに優しい声を出す。その優しさと怖さ。
そんな緊張感で何年も王座を埋めてきた王の、恐怖。
そんな怖さには全く気付かず、無邪気に問いかけるランスロット。
「理想の世界とは何なのでしょう?」
一瞬押し黙って、それでも王は、笑い声を聞かせる。
「私にとっては、ここが理想だ。王妃が平和に暮らし、そして……君がいる」
愛する騎士に、愚かな子供に、言い聞かせるように。
「皆が幸せに暮らせる世界……」
「そうだ。まさにこの、キャメロットだ」
目を伏せてその声を聴くランスロット。
切なげに彼を見つめるアーサー。
失礼します、と言って立ち去るランスロットを見送るアーサーは、ホントに泣きそうだったんですよね。
あれがすごく印象的でした。
壊れていく絆を、切れるそばから繕いながら、もう間に合わない!と泣きだす寸前のような。
愛する者を護るためにうったつもり手が正しいのかどうか、確信が得られなくて、不安で。
様子を視ていたマーリンが、影のように現れる。
「ランスロットを行かせるのは、危険です」
「何が言いたい」
マーリンに対しては、ちょっと甘えがあるんですよね。我侭な少年のような拗ねた声を出すアーサーが可愛いです。
「ランスロットが求めているものは、もはやキャメロットの安寧ではない!」
強く諌める魔法使いの言葉を、真っ向から受け止めるアーサー。
「グウィネヴィアは彼を愛している」
目を逸らすつもりはない、と、愛を知らない魔法使いに教えようとする。
「そして。彼女が愛しているからこそ、私も彼を愛しているんだ」
ランスロットを大義なく追い出せば、グウィネヴィアが悲しむ。
彼女を愛しているから、彼女が悲しむことはしたくない。
……それがどんなに、自分の心を乱すとしても。
自分の心が乱れることが、すなわち国の乱れになることを、知らぬわけもないのに。
「わかっている。わかっているんだ。だが、わかっていたとて何ができる?」
血を吐くように本心を曝け出して。
「そなたの予言がまことに神の描いた筋書きだとしても、」
他の者には見せられぬ、王の弱さ。
「……それに打ち勝つことの方が、まことに正しいことのように、私には思えるんだ!」
♪たとえ我が身を滅ぼす運命でも
♪真(まこと)の王なら打ち勝てるだろう
実際には流れないリフレインが聴こえるような気がしました。
自分がまことの王であるならば、打ち勝てるに違いない、という強い想い。
グウィネヴィアとランスロット、愛する二人を二人とも傍に置くことが叶うはずだ、と。
エクスカリバーが選んだ自分が、真の王であるならば。
裏を返せば。
この苦境を乗り越えられないならば、自分は「真の王」ではないということ。
だとしたら、「世界」という重荷を、投げ出してもいいはず。
背負いきれない荷物を捨てて、「人」として生きることを選んでもいはずだ、と。
そんな闇の希望に囚われて、ランスロットを手放そうとするアーサー。
彼らはきっと、聖杯を持ち帰るだろう……そんな夢を、誰よりも自分自身に言い聞かせて。
もう何も言いますまい。ただ、覚えていてほしい、と呟くマーリン。
自分は間違っているのかもしれない、という恐怖におびえながら、それでも虚勢を張って、自分を、そして騎士たちを信じようとするアーサー。
……王妃の決意を、騎士の絶望を、王はまだ知らない。
第10場 王宮のテラス
王妃に聖杯探索の旅に出ることを報告するランスロット。
「持つ者に平和と秩序と、あらゆる至福をもたらす聖杯を探しに行く」
「Stargazer」のメロディが流れる中、王妃の言葉さえ遮って、学校から帰った子供が今日の出来事を母親に報告するかのように、息せききって。
「聖杯を手に入れたら、僕は君を連れて行くよ」
ひさしぶりに聴かせる、明るい声。姫に対するのではなく、「恋人」に聴かせる、優しくて甘い声。
得た者に至福をもたらす聖杯。自分の至福はグウィネヴィア。だから、聖杯を得ればグウィネヴィアを得られるはず。王を悲しませることなく。……そんな妄想に興奮した彼に、王妃が冷たく告げる。
「私、もう、あなたには逢えないわ」
王が待っていると言ったから。
「いまでも貴方を愛してる。でも、私はキャメロットの王妃、アーサーの妻なの!」
「それは……!」
そんなこと、最初から判ってた。
輿入れが決まった時に、いや、もっと前から、最初から諦めて想いを起こしたのは、グウィネヴィアなのに。
「我侭だって判ってる」
今更だということも。
「でも、私を愛しているなら、、最期の我侭を許して」
このままでは私、あなたも、あの人も……この世界そのものを滅ぼしてしてしまう。
「しかたないの。運命なの……」
腕の間からすり抜けて行ったグウィネヴィアに、ランスロットが叫ぶ。
「待ってくれグウィネヴィア!僕は必ず聖杯を手に入れる!そして……!!」
『聖杯は手に入れるものにあらず』
ヨセフの言葉は、今の彼には、届かない。
.
ランスロットの見た夢【5】
2011年9月26日 宝塚(星)星組バウホール公演「おかしな二人」、千秋楽おめでとうございます!
あーあ、もう一回観たかった……。轟さんと未沙さんのかけあいも楽しかったし、若い連中(^ ^)も楽しそうで、いい公演だったなあ(^ ^)。
フィナーレについては何もレポートしませんでしたが、娘役二人の歌も、轟さんの歌も、男役4人が加わってのダンスも、どれも楽しくて、可愛くて、格好良くて、大好きです。
でも、一番印象に残ったのは、マヤさんの「My Way」。本当に心に沁みました。「♪私には愛する舞台があるから」……と歌うマヤさんの横顔に、涙が溢れたのも懐かしい思い出になりつつあります。
あの舞台を生で観ることのできた幸運に感謝しつつ。
というところで、遡って「ランスロット」2幕から。
第1場 聖杯探求
聖杯の守護者ヨセフの重々しい語り。
『聖杯探求』の旅は、実際にはそれだけではなく、『円卓思想の流布』をも目的としていた、と。
長引く聖杯探求の旅に倦み、性急に成果を求める騎士たち。
自分たちに敬意を表しない民に怒り、聖杯の情報を与えない民に襲いかかる。
「これは、誰が臨んだ物語なのか」
……ヨセフの呟きを聴く者は、いない。
「ランスロットに続けー!」
騎士団長に従う、という名目で、暴力を正当化する騎士たち。
最初から『聖地奪還』を目標とし、敵地征服を目論んだ十字軍よりはマシであるにせよ、結局彼らは「キリスト教徒」であり、主君の目指した理想に関わらず、同じ行動するものなのでしょうか。
彼らの中には、異教徒(パラミデュース)もいるというのに。
めまぐるしい襲撃の場面のBGMとして流れる、単調なリズムの呪詛のような声が、とても不気味でした。
アーサー王、グウィネヴィア、モルドレッドそしてモルゴース以外は、全員がずっと走り回っていて歌う余裕はほとんどなかったと思うので、録音に効果を当てていたのかな?不思議な音でした。
襲撃を受ける村人が、男はレオデグランス(碧海りま)とマーリン(如月蓮)のみなあたり、総出でやってるな、という印象が強いですね。あとは全員騎士団員だもんなー。
碧海さんはこの後あまり出番がないのでちょっと寂しい……あとは廷吏だけですもんね。
れんたは、お髭無しの場面がここ(とフィナーレ)だけなので、かなり気合が入っていたような(^ ^)。幕間をはさんでいるせいか、しっかり化粧を直されていたような気がします。でもまたすぐにマーリンになって出てくるんですけどね!(^ ^)。
娘役も総出演……っていうか、モルガン(夢妃杏瑠)もいたのか!!(@ @)。それは気がつかなかった……(しょぼん)
上手から、下手から、村人たちを追って斬り捨てる騎士たち。
血に飢えた、いや、血に酔った、強引な行軍。
正義とは思えない行動に、「ブリテン」そのものへの不信の雲が湧き上がる。
そんな中を逃げまどう子供たち。
蒼い服を着た少年ランスロット(妃海)と、黄色いドレス姿の少女グウイネヴィア(綺咲)。
少女の右手と少年の左手はしっかりと握りあわされ、お互いを庇い合って騎士たちの足許を駆け抜けようと走り続ける。
円卓の騎士団長は、ひたすら「敵」を屠り続ける。
もはやそれが本当に「敵」なのか、無力な「民」なのかを判断することもできず、視界の隅を走り抜けるものを逃さずに刃にかけて。
不信と猜疑の雲が、彼を捕える。
血に酔った彼にはもはや目の前の子どもが何者であるのかわからない。
「ランスロット!」
涼やかな声を振りきるように、彼は自分の中の影を切り捨てる。
自分とグウィネヴィアを繋いでいた腕。細くかよわい左腕を、根元からばっさりと。
♪左手を締めつける糸を断てず
♪右手の愛 こぼれおちてゆく
グウィネヴィアの右手の愛はこぼれおち、ランスロットの左手は身体から切り離されて地に墜ちる。
血に塗れたその腕は、ランスロットの罪のあかし。グウィネヴィアの笑顔のためにしてやれることを見失った短慮が、彼をこんなところまで連れてきた。
敬愛する王と、愛する王妃。そのどちらをも護れなかった……彼には。
第2場 森の中
暗転した舞台に灯が入ると、舞台奥にモルゴース(花愛)が立ちふさがる。
手前に倒れこんだ少年には、左腕がない。
「魔女さん、、、僕、死ぬのかな」
「そう。……だが、私にはお前を生かすことができる」
「本当に、救けてくれるの…?」
魔女が嗤いを浮かべて深くうなずく。
少年は気づかない。魔女は彼を救いはしない。生かすだけ。それも、魂と引き換えに。
「………たましい…?」
「そう。……お前はその腕を斬り落とした騎士が憎くはないか?復讐したいとは思わぬのか?」
たたみかけるように問う魔女に、少年は駆り立てられる。
「僕は生きたい……強い力が、ほしい!」
ランスロットはここでも間違える。
同じ問いに、同じ答えを返す。それが間違っていることに、まだ彼は気づかない。
「よろしい。されば我が寿命から、そなたに10年を分け与えよう!」
モルゴースが宣言し、そこに新たな闇の器が生まれる。
意志と決意と、そしてランスロットと同等の力を持った強い騎士。
「そなたの名は、モルドレッド」
金褐色の巻き毛に紅い光を浴びて、残忍な笑顔を浮かべる魔女の騎士。
「必ずや、円卓を崩壊へと向かわせるのだ」
「はぁっ!」
もはや少年ランスロットの面影はなく……
そうして彼は、立ち上がる。
ブリテンの王を、その騎士団長を、滅ぼすために。
ほんの5分足らずの間にこれだけの物語を詰め込んで、
舞台は再び、ブリテンの円卓の間に戻る。
騎士たちの無事と聖杯と。両方を望んだ王は、この結末をどう切り抜けるのか。
血に狂わされた彼らの気持ちを、再びまとめあげることはできるのか?
Noblesse Oblige の名のもとに。
.
あーあ、もう一回観たかった……。轟さんと未沙さんのかけあいも楽しかったし、若い連中(^ ^)も楽しそうで、いい公演だったなあ(^ ^)。
フィナーレについては何もレポートしませんでしたが、娘役二人の歌も、轟さんの歌も、男役4人が加わってのダンスも、どれも楽しくて、可愛くて、格好良くて、大好きです。
でも、一番印象に残ったのは、マヤさんの「My Way」。本当に心に沁みました。「♪私には愛する舞台があるから」……と歌うマヤさんの横顔に、涙が溢れたのも懐かしい思い出になりつつあります。
あの舞台を生で観ることのできた幸運に感謝しつつ。
というところで、遡って「ランスロット」2幕から。
第1場 聖杯探求
聖杯の守護者ヨセフの重々しい語り。
『聖杯探求』の旅は、実際にはそれだけではなく、『円卓思想の流布』をも目的としていた、と。
長引く聖杯探求の旅に倦み、性急に成果を求める騎士たち。
自分たちに敬意を表しない民に怒り、聖杯の情報を与えない民に襲いかかる。
「これは、誰が臨んだ物語なのか」
……ヨセフの呟きを聴く者は、いない。
「ランスロットに続けー!」
騎士団長に従う、という名目で、暴力を正当化する騎士たち。
最初から『聖地奪還』を目標とし、敵地征服を目論んだ十字軍よりはマシであるにせよ、結局彼らは「キリスト教徒」であり、主君の目指した理想に関わらず、同じ行動するものなのでしょうか。
彼らの中には、異教徒(パラミデュース)もいるというのに。
めまぐるしい襲撃の場面のBGMとして流れる、単調なリズムの呪詛のような声が、とても不気味でした。
アーサー王、グウィネヴィア、モルドレッドそしてモルゴース以外は、全員がずっと走り回っていて歌う余裕はほとんどなかったと思うので、録音に効果を当てていたのかな?不思議な音でした。
襲撃を受ける村人が、男はレオデグランス(碧海りま)とマーリン(如月蓮)のみなあたり、総出でやってるな、という印象が強いですね。あとは全員騎士団員だもんなー。
碧海さんはこの後あまり出番がないのでちょっと寂しい……あとは廷吏だけですもんね。
れんたは、お髭無しの場面がここ(とフィナーレ)だけなので、かなり気合が入っていたような(^ ^)。幕間をはさんでいるせいか、しっかり化粧を直されていたような気がします。でもまたすぐにマーリンになって出てくるんですけどね!(^ ^)。
娘役も総出演……っていうか、モルガン(夢妃杏瑠)もいたのか!!(@ @)。それは気がつかなかった……(しょぼん)
上手から、下手から、村人たちを追って斬り捨てる騎士たち。
血に飢えた、いや、血に酔った、強引な行軍。
正義とは思えない行動に、「ブリテン」そのものへの不信の雲が湧き上がる。
そんな中を逃げまどう子供たち。
蒼い服を着た少年ランスロット(妃海)と、黄色いドレス姿の少女グウイネヴィア(綺咲)。
少女の右手と少年の左手はしっかりと握りあわされ、お互いを庇い合って騎士たちの足許を駆け抜けようと走り続ける。
円卓の騎士団長は、ひたすら「敵」を屠り続ける。
もはやそれが本当に「敵」なのか、無力な「民」なのかを判断することもできず、視界の隅を走り抜けるものを逃さずに刃にかけて。
不信と猜疑の雲が、彼を捕える。
血に酔った彼にはもはや目の前の子どもが何者であるのかわからない。
「ランスロット!」
涼やかな声を振りきるように、彼は自分の中の影を切り捨てる。
自分とグウィネヴィアを繋いでいた腕。細くかよわい左腕を、根元からばっさりと。
♪左手を締めつける糸を断てず
♪右手の愛 こぼれおちてゆく
グウィネヴィアの右手の愛はこぼれおち、ランスロットの左手は身体から切り離されて地に墜ちる。
血に塗れたその腕は、ランスロットの罪のあかし。グウィネヴィアの笑顔のためにしてやれることを見失った短慮が、彼をこんなところまで連れてきた。
敬愛する王と、愛する王妃。そのどちらをも護れなかった……彼には。
第2場 森の中
暗転した舞台に灯が入ると、舞台奥にモルゴース(花愛)が立ちふさがる。
手前に倒れこんだ少年には、左腕がない。
「魔女さん、、、僕、死ぬのかな」
「そう。……だが、私にはお前を生かすことができる」
「本当に、救けてくれるの…?」
魔女が嗤いを浮かべて深くうなずく。
少年は気づかない。魔女は彼を救いはしない。生かすだけ。それも、魂と引き換えに。
「………たましい…?」
「そう。……お前はその腕を斬り落とした騎士が憎くはないか?復讐したいとは思わぬのか?」
たたみかけるように問う魔女に、少年は駆り立てられる。
「僕は生きたい……強い力が、ほしい!」
ランスロットはここでも間違える。
同じ問いに、同じ答えを返す。それが間違っていることに、まだ彼は気づかない。
「よろしい。されば我が寿命から、そなたに10年を分け与えよう!」
モルゴースが宣言し、そこに新たな闇の器が生まれる。
意志と決意と、そしてランスロットと同等の力を持った強い騎士。
「そなたの名は、モルドレッド」
金褐色の巻き毛に紅い光を浴びて、残忍な笑顔を浮かべる魔女の騎士。
「必ずや、円卓を崩壊へと向かわせるのだ」
「はぁっ!」
もはや少年ランスロットの面影はなく……
そうして彼は、立ち上がる。
ブリテンの王を、その騎士団長を、滅ぼすために。
ほんの5分足らずの間にこれだけの物語を詰め込んで、
舞台は再び、ブリテンの円卓の間に戻る。
騎士たちの無事と聖杯と。両方を望んだ王は、この結末をどう切り抜けるのか。
血に狂わされた彼らの気持ちを、再びまとめあげることはできるのか?
Noblesse Oblige の名のもとに。
.
「ランスロット」の小ネタ
2011年9月27日 宝塚(星) コメント (4)星組バウホール公演「ランスロット」。
昨日の続きを書くつもりだったのですが、ちょっとCSの「太王四神記(星組版)」に嵌ってしまって頭がまとまらないので(←いや、いつもはまとまっているのかと訊かれると弱いんですけど)、閑話休題で、いくつか小ネタを。
まずは、「アーサー王伝説」にはいくつも種本があり、「原作」と言えるようなものはないのですが、その中でみかけた面白設定などなど、です。
◆マーリン(如月蓮)とヴィヴィアン(美穂圭子)
魔法使いマーリンと湖の魔女ヴィヴィアンが恋仲であるという設定があるらしい(^ ^)。
しかも、どうやらヴィヴィアンがマーリンの弟子であるということは定説のようなので、ヴィヴィアンの魔力はマーリンから分け与えられたもののようなんですよね(モルゴースの魔力がヴィヴィアンから分け与えられたように)。
へーーー、れんたと美穂さんがねえ………(←違う)
◆モルゴース(花愛瑞穂)とモルガン(夢妃杏瑠)
私が見た本では、どちらも「アーサー(天寿光希)の異父姉」となっていたんですが、なんとなく混同されている気配もあったので、この二人の間に母子関係を設定してエピソードを整理したのは正解だったと思います。
モルゴースについては、「モルゴースとアーサーの間に産まれたのがモルドレッド(芹香斗亜)」という設定を読んで(@ @)となっていたのですが、
生田さんの脚本では、モルドレッドを誕生させるところだけ残して、アーサーとの血縁関係は無視してましたね。みっきぃさんとキキちゃんの父子関係がなくなったのはとても残念だけど、まあしかたないかな……、生田さんは、アーサー王をあくまでも『清廉潔白』にしたかったみたいだから。
ちなみに、モルゴースはガウェイン(麻央侑希)とアグラヴェイン(翔馬樹音)、ガレス(瀬稀ゆりと)、ガヘリス(蓮珠こうき)たち兄弟の母親でもあります。
本によっていろいろあるみたいですが、結構血縁関係入り組んでるんですよね……。
◆ケイ(千寿はる)
アーサーの育ての親・エクトルの息子。乳兄弟(ケイが兄)として育ち、非常に仲がいい。……生田さんは、みっきぃさんの同期の千寿さんにどうしてもケイをやってほしいと仰ったそうで、そういうリアルな仲の良さというか、信頼感がすごく感じられました。
本によっては相当な毒舌家だったりペシミストだったりする人ですが、「ランスロット」のケイは、ひたすらおとなしくて、優しくて、そして可愛かったです(はぁと)。
◆ブロスリアンドの森
フランス北西部のブルターニュにある深い森。……のことらしい。
古くから聖なる森として知られ、魔女モルガンの棲家でもあり、ランスロットを育てたヴィヴィアンの湖をも擁して、魔術師マーリンの墓もある(マーリンとヴィヴィアンが幸せに暮らした終の棲家であったらしい)、という、生田さんの脚本なみに詰め込み過ぎな森です(^ ^)。
さらに。「ランスロット」の2幕の後半、グウィネヴィアを救ったランスロットがアーサーと逢う場面のタイトルが「ブロスリアンド」なんですが……生田さん、まだ彼らは海を渡っていないはずなんだけど、いいんですかそれは?
まあ、アーサー王とランスロットの戦いは、王妃の祖国のある大陸側(フランス)への遠征になるわけで、間違ってはいないんですけどね。だったら船を探して云々って台詞をなくせばいいと思うんだけど。
それとも、「ブロスリアンド」っていうのは「聖なる森」みたいなイメージの普通名詞(?)で、あちこちにあったのでしょうか。……その方がありそうかな。エピソードも詰め込みすぎだし。
◆カムラン
2幕後半の場面タイトルは、第7場「ブロスリアンド」⇒第8場「カムランの戦い」→第9場「アヴァロン」と地名が続くのですが。
地名が出てくれば場所を特定したくなるのがオタクの性というもの(←え?)
アーサー王の最期の戦いであった「カムランの戦い」のカムランは、イングランド南西部、ブリストル湾のつけねあたりという説が有力なようです。
舞台の流れ的にはランスロットを追ったアーサーにモルドレッドは従軍しており、アーサーとランスロットの一騎討ちに横槍をいれる形になるので、やっぱりランスロットたちはブリテン島を出ていない方が自然なんですよねーーーー。
そうなると、ランスロットたちが最初に逃げ込む「ブロスリアンド」は、ブルターニュの聖なる森とは関係の無い(名前だけが共通の)、ハンプシャーあたりの広大な森をイメージしているのかもしれないなーと思ったりします。
エセックスあたりからフランスへ逃げるために海(南)へ向かう。でもドーヴァーは警備が厳しくて近づけず、海沿いの森の中を西へ向かう…のは、わかるような気がします。グウィネヴィアの祖国がヴィヴィアンの湖があるブルターニュ近辺なら、南西のプリマスなりフェイマスから船を出した方が効率的だし、キャメロットから遠いぶん、逃げ切れる確率も高いだろうし。
……結局のところ、逃げ切れなかったわけですが。
◆グウィネヴィア
この名前(Guinevere)の語源は、ウェールズ語のGwenhwyfar(グエンフイヴァル)。
ケルト語で「白い妖精」を意味するこの言葉を、生田さんはテーマ曲「Stargazer」の中で使っているんですね。
プログラムの最終頁にある歌詞を読んだときは、あまり深く考えずに流していた単語ですが……
♪遥か地平を染めるGwenhwyfar
♪キミという標を喪った僕は
♪どこへと向かえばいいのか
遥か地平を染める白い幻が「キミ=グウィネヴィア」で、それはもう喪われたものであるというイマジネーションは、とても寂しくて切ないなあ、と、あらためて思ったのでした。
◆舞台写真
今回、アーサー王の舞台写真は、なんと一人写りで三種類も出ています!
それはとってもとっても嬉しいし、心の底から「ありがとうございます!」と思っているのです。
が!!
……どーして三種類とも甲冑姿なのぉ?(T T)
私の知る限り、みっきぃさんは舞台写真が複数枚出ること自体が初めてだと思うし(←違っていたらすみません)、本当に本当に、発売されただけで夢のように嬉しいし幸せなんです!幸せなんだけど!でもどうして!?と思ってしまった。
たしかに、公演時間の大半をあの甲冑で過ごしていらっしゃいましたが、一幕最初の村人の格好でもいいし(←プログラムの稽古場写真には入ったのに……)、一幕後半から2幕の円卓会議までずっと着ている黒金の普段着もとっても似合ってたのにー。
あるいは、フィナーレ。っていうか、衣装がどうこうでなく、単純に格好良いから、フィナーレの写真がほしかったよぉーーーー(泣)。
ま、与えられれば与えられるだけ贅沢になる、って例の典型ですね。
申し訳ございません……m(_ _)m。でもでも、もう二度とないかもしれないのになぁ~(泣)。
.
昨日の続きを書くつもりだったのですが、ちょっとCSの「太王四神記(星組版)」に嵌ってしまって頭がまとまらないので(←いや、いつもはまとまっているのかと訊かれると弱いんですけど)、閑話休題で、いくつか小ネタを。
まずは、「アーサー王伝説」にはいくつも種本があり、「原作」と言えるようなものはないのですが、その中でみかけた面白設定などなど、です。
◆マーリン(如月蓮)とヴィヴィアン(美穂圭子)
魔法使いマーリンと湖の魔女ヴィヴィアンが恋仲であるという設定があるらしい(^ ^)。
しかも、どうやらヴィヴィアンがマーリンの弟子であるということは定説のようなので、ヴィヴィアンの魔力はマーリンから分け与えられたもののようなんですよね(モルゴースの魔力がヴィヴィアンから分け与えられたように)。
へーーー、れんたと美穂さんがねえ………(←違う)
◆モルゴース(花愛瑞穂)とモルガン(夢妃杏瑠)
私が見た本では、どちらも「アーサー(天寿光希)の異父姉」となっていたんですが、なんとなく混同されている気配もあったので、この二人の間に母子関係を設定してエピソードを整理したのは正解だったと思います。
モルゴースについては、「モルゴースとアーサーの間に産まれたのがモルドレッド(芹香斗亜)」という設定を読んで(@ @)となっていたのですが、
生田さんの脚本では、モルドレッドを誕生させるところだけ残して、アーサーとの血縁関係は無視してましたね。みっきぃさんとキキちゃんの父子関係がなくなったのはとても残念だけど、まあしかたないかな……、生田さんは、アーサー王をあくまでも『清廉潔白』にしたかったみたいだから。
ちなみに、モルゴースはガウェイン(麻央侑希)とアグラヴェイン(翔馬樹音)、ガレス(瀬稀ゆりと)、ガヘリス(蓮珠こうき)たち兄弟の母親でもあります。
本によっていろいろあるみたいですが、結構血縁関係入り組んでるんですよね……。
◆ケイ(千寿はる)
アーサーの育ての親・エクトルの息子。乳兄弟(ケイが兄)として育ち、非常に仲がいい。……生田さんは、みっきぃさんの同期の千寿さんにどうしてもケイをやってほしいと仰ったそうで、そういうリアルな仲の良さというか、信頼感がすごく感じられました。
本によっては相当な毒舌家だったりペシミストだったりする人ですが、「ランスロット」のケイは、ひたすらおとなしくて、優しくて、そして可愛かったです(はぁと)。
◆ブロスリアンドの森
フランス北西部のブルターニュにある深い森。……のことらしい。
古くから聖なる森として知られ、魔女モルガンの棲家でもあり、ランスロットを育てたヴィヴィアンの湖をも擁して、魔術師マーリンの墓もある(マーリンとヴィヴィアンが幸せに暮らした終の棲家であったらしい)、という、生田さんの脚本なみに詰め込み過ぎな森です(^ ^)。
さらに。「ランスロット」の2幕の後半、グウィネヴィアを救ったランスロットがアーサーと逢う場面のタイトルが「ブロスリアンド」なんですが……生田さん、まだ彼らは海を渡っていないはずなんだけど、いいんですかそれは?
まあ、アーサー王とランスロットの戦いは、王妃の祖国のある大陸側(フランス)への遠征になるわけで、間違ってはいないんですけどね。だったら船を探して云々って台詞をなくせばいいと思うんだけど。
それとも、「ブロスリアンド」っていうのは「聖なる森」みたいなイメージの普通名詞(?)で、あちこちにあったのでしょうか。……その方がありそうかな。エピソードも詰め込みすぎだし。
◆カムラン
2幕後半の場面タイトルは、第7場「ブロスリアンド」⇒第8場「カムランの戦い」→第9場「アヴァロン」と地名が続くのですが。
地名が出てくれば場所を特定したくなるのがオタクの性というもの(←え?)
アーサー王の最期の戦いであった「カムランの戦い」のカムランは、イングランド南西部、ブリストル湾のつけねあたりという説が有力なようです。
舞台の流れ的にはランスロットを追ったアーサーにモルドレッドは従軍しており、アーサーとランスロットの一騎討ちに横槍をいれる形になるので、やっぱりランスロットたちはブリテン島を出ていない方が自然なんですよねーーーー。
そうなると、ランスロットたちが最初に逃げ込む「ブロスリアンド」は、ブルターニュの聖なる森とは関係の無い(名前だけが共通の)、ハンプシャーあたりの広大な森をイメージしているのかもしれないなーと思ったりします。
エセックスあたりからフランスへ逃げるために海(南)へ向かう。でもドーヴァーは警備が厳しくて近づけず、海沿いの森の中を西へ向かう…のは、わかるような気がします。グウィネヴィアの祖国がヴィヴィアンの湖があるブルターニュ近辺なら、南西のプリマスなりフェイマスから船を出した方が効率的だし、キャメロットから遠いぶん、逃げ切れる確率も高いだろうし。
……結局のところ、逃げ切れなかったわけですが。
◆グウィネヴィア
この名前(Guinevere)の語源は、ウェールズ語のGwenhwyfar(グエンフイヴァル)。
ケルト語で「白い妖精」を意味するこの言葉を、生田さんはテーマ曲「Stargazer」の中で使っているんですね。
プログラムの最終頁にある歌詞を読んだときは、あまり深く考えずに流していた単語ですが……
♪遥か地平を染めるGwenhwyfar
♪キミという標を喪った僕は
♪どこへと向かえばいいのか
遥か地平を染める白い幻が「キミ=グウィネヴィア」で、それはもう喪われたものであるというイマジネーションは、とても寂しくて切ないなあ、と、あらためて思ったのでした。
◆舞台写真
今回、アーサー王の舞台写真は、なんと一人写りで三種類も出ています!
それはとってもとっても嬉しいし、心の底から「ありがとうございます!」と思っているのです。
が!!
……どーして三種類とも甲冑姿なのぉ?(T T)
私の知る限り、みっきぃさんは舞台写真が複数枚出ること自体が初めてだと思うし(←違っていたらすみません)、本当に本当に、発売されただけで夢のように嬉しいし幸せなんです!幸せなんだけど!でもどうして!?と思ってしまった。
たしかに、公演時間の大半をあの甲冑で過ごしていらっしゃいましたが、一幕最初の村人の格好でもいいし(←プログラムの稽古場写真には入ったのに……)、一幕後半から2幕の円卓会議までずっと着ている黒金の普段着もとっても似合ってたのにー。
あるいは、フィナーレ。っていうか、衣装がどうこうでなく、単純に格好良いから、フィナーレの写真がほしかったよぉーーーー(泣)。
ま、与えられれば与えられるだけ贅沢になる、って例の典型ですね。
申し訳ございません……m(_ _)m。でもでも、もう二度とないかもしれないのになぁ~(泣)。
.
東京宝塚劇場にて、月組新人公演「アルジェの男」を観劇してまいりました。
とってもとっても良かったです(^ ^)。
本来、このくらいの学年のトップで上演されるべき作品なんだな、とすごく納得しました。
演出は、本公演と同じ大野拓史。
元々、しっかりと役者に合わせて演出してくれる人ですが、やっぱり今回も面白かった……。うん、やっぱり大野さんはイイなあ(^ ^)。
長の期で初主演のゆりやん(紫門ゆりや)。
ことあるごとに「音楽学校の授業で演じたことのある役で……」という話をしていましたが、たしかに、「ジュリアン」という役に対する自分なりのアプローチがちゃんとあったことに感心しました。
霧矢さんとは全く違う、若くて必死で、ちょっと空回りだったり回りが見えてなかったりするけど、根っこのところでひどく優しい、未完成で幼いジュリアン。
「エリザベート(咲希あかね)を必ずひざまづかせる」と誓う彼の煌めきや、実際にエリザベートが手の中に落ちてきたときのガッツポーズ寸前の笑顔……そういう「ヤル気満々!」な素直さと、ボランジュ氏(有瀬そう)やシャルドンヌ夫人(白雪さち花)の前にいるときの未熟さ。そのすべてがあってこその「若さ」なんですよね。
「未熟」だからこそ未来があって、「未来」があるからこそ、まっしぐらにそれを目指すことができる。そのエネルギーというか、回りが見えていない感じが、すごく役に似合っていたと思います。
声とか、歌とか、技術的に不安定な部分もありましたが、とにかく「ジュリアン」という役の核をちゃんと掴んで演じていたので、あまり気になりませんでした。
そして、ジャックのちなつ(鳳月杏)ちゃん!!
すっごい良かった!ジャックの在り方はジュリアン次第でいろんな設定が可能だと思うのですが、ゆりやんのジュリアンにはちなつちゃんのジャックがベストだったと思います。
迫力のある美貌とすらっとしたスタイル、安定した声。この1年くらいで急激に垢抜けて格好よくなってきていますが、今回は本当に「色悪」という言葉が似合うというか(*^ ^*)、娘役さんに対する接し方とか、崩れた色っぽさとか、堂に入ってて素敵でした♪
そして、ゆりやんとの並びというか、芝居の相性の良さに感心(^ ^)。ジュリアンがどちらかというと空回りタイプなので、ジャックは地に足がついた色悪で、という役割分担がうまくできていて、二人の心理的な距離が判りやすかったと思います。
あと、ジャックのジュリアンという存在に対する拘りがすごく鮮やかでした。ちなつちゃんの芝居は、べたべたしたところがないのが良いと思うんですよね。今回はああいう役なので「爽やか」というわけにはいかないんですが、執着も湿っぽくなく鮮やかに魅せるところが好きです。あと、華やかになってきたなーと思いました。うん。次はぜひ、正統派の役も観てみたいなーと思います(*^ ^*)。
アルジェの仲間たちと、運転手姿のジュリアンをいたぶる場面。
「まず100」を受け取って「さらに100だ」と言った後、サビーヌが差し出す金をつまらなそうに受け取っておきながら、ジュリアンが差し出す時計を「けっ」という感じに受け取るところがすごく好き。
後半、ジュリアンを追い詰める銀橋ソロで、その時計を大事そうになでながらジュリアンを地獄に落とす画策をしているところが、ちなつちゃんに宛てた大野さんらしい変更だなあと思いました。……5年間も後生大事に抱えてたんかい!!と思いつつ(それとも、再会したときに出してきたのかな?それも萌えですね)
サビーヌのちゃぴ(愛希れいか)。
いやはや、可愛い!
「ジプシー男爵」のヴィオルカもそうでしたけど、ホントに可愛い……というか、一途でけなげでキュート、ですよね。あんな娘だったら絶対に一緒に逃げる!!と思いました(*^ ^*)。
放っておけない、守ってあげたいと思うのに、ちゃぴが演じる娘役はいつだって恋人を護ってあげたいと思っているんですよね。恋人を守るためになんでもする。そういう幼い一途さが、サビーヌという役を膨らませていたと思います。ホントに魅力的でした。
転向したてでいろんな仕草はまだまだだったし、歌は、特に高音部は不安定でしたけど、なんとか枠内に入っていたと思います。上に元々ダンサーなので、『マルトの店』でのダンスはさすが!迫力あって、伸びやかで素晴らしかったです。
小顔で首が長くて肩幅があって腰が高い、抜群のスタイルが目を惹く人ですね。ゆりやんとの並びもちなつちゃんとの並びも良くて、ホントに魅力的でした(*^ ^*)。
ちゅーちゃんのエリザベートもたまきちのアンリもゆめちゃんのアナベルも皆良かったし、ミッシェル(煌月)もボランジュ夫妻(有瀬・舞乃)も良かったし……とにかくみんな、この難しい作品を良く理解して演じていたと思います。
大野さん、万歳♪
.
とってもとっても良かったです(^ ^)。
本来、このくらいの学年のトップで上演されるべき作品なんだな、とすごく納得しました。
演出は、本公演と同じ大野拓史。
元々、しっかりと役者に合わせて演出してくれる人ですが、やっぱり今回も面白かった……。うん、やっぱり大野さんはイイなあ(^ ^)。
長の期で初主演のゆりやん(紫門ゆりや)。
ことあるごとに「音楽学校の授業で演じたことのある役で……」という話をしていましたが、たしかに、「ジュリアン」という役に対する自分なりのアプローチがちゃんとあったことに感心しました。
霧矢さんとは全く違う、若くて必死で、ちょっと空回りだったり回りが見えてなかったりするけど、根っこのところでひどく優しい、未完成で幼いジュリアン。
「エリザベート(咲希あかね)を必ずひざまづかせる」と誓う彼の煌めきや、実際にエリザベートが手の中に落ちてきたときのガッツポーズ寸前の笑顔……そういう「ヤル気満々!」な素直さと、ボランジュ氏(有瀬そう)やシャルドンヌ夫人(白雪さち花)の前にいるときの未熟さ。そのすべてがあってこその「若さ」なんですよね。
「未熟」だからこそ未来があって、「未来」があるからこそ、まっしぐらにそれを目指すことができる。そのエネルギーというか、回りが見えていない感じが、すごく役に似合っていたと思います。
声とか、歌とか、技術的に不安定な部分もありましたが、とにかく「ジュリアン」という役の核をちゃんと掴んで演じていたので、あまり気になりませんでした。
そして、ジャックのちなつ(鳳月杏)ちゃん!!
すっごい良かった!ジャックの在り方はジュリアン次第でいろんな設定が可能だと思うのですが、ゆりやんのジュリアンにはちなつちゃんのジャックがベストだったと思います。
迫力のある美貌とすらっとしたスタイル、安定した声。この1年くらいで急激に垢抜けて格好よくなってきていますが、今回は本当に「色悪」という言葉が似合うというか(*^ ^*)、娘役さんに対する接し方とか、崩れた色っぽさとか、堂に入ってて素敵でした♪
そして、ゆりやんとの並びというか、芝居の相性の良さに感心(^ ^)。ジュリアンがどちらかというと空回りタイプなので、ジャックは地に足がついた色悪で、という役割分担がうまくできていて、二人の心理的な距離が判りやすかったと思います。
あと、ジャックのジュリアンという存在に対する拘りがすごく鮮やかでした。ちなつちゃんの芝居は、べたべたしたところがないのが良いと思うんですよね。今回はああいう役なので「爽やか」というわけにはいかないんですが、執着も湿っぽくなく鮮やかに魅せるところが好きです。あと、華やかになってきたなーと思いました。うん。次はぜひ、正統派の役も観てみたいなーと思います(*^ ^*)。
アルジェの仲間たちと、運転手姿のジュリアンをいたぶる場面。
「まず100」を受け取って「さらに100だ」と言った後、サビーヌが差し出す金をつまらなそうに受け取っておきながら、ジュリアンが差し出す時計を「けっ」という感じに受け取るところがすごく好き。
後半、ジュリアンを追い詰める銀橋ソロで、その時計を大事そうになでながらジュリアンを地獄に落とす画策をしているところが、ちなつちゃんに宛てた大野さんらしい変更だなあと思いました。……5年間も後生大事に抱えてたんかい!!と思いつつ(それとも、再会したときに出してきたのかな?それも萌えですね)
サビーヌのちゃぴ(愛希れいか)。
いやはや、可愛い!
「ジプシー男爵」のヴィオルカもそうでしたけど、ホントに可愛い……というか、一途でけなげでキュート、ですよね。あんな娘だったら絶対に一緒に逃げる!!と思いました(*^ ^*)。
放っておけない、守ってあげたいと思うのに、ちゃぴが演じる娘役はいつだって恋人を護ってあげたいと思っているんですよね。恋人を守るためになんでもする。そういう幼い一途さが、サビーヌという役を膨らませていたと思います。ホントに魅力的でした。
転向したてでいろんな仕草はまだまだだったし、歌は、特に高音部は不安定でしたけど、なんとか枠内に入っていたと思います。上に元々ダンサーなので、『マルトの店』でのダンスはさすが!迫力あって、伸びやかで素晴らしかったです。
小顔で首が長くて肩幅があって腰が高い、抜群のスタイルが目を惹く人ですね。ゆりやんとの並びもちなつちゃんとの並びも良くて、ホントに魅力的でした(*^ ^*)。
ちゅーちゃんのエリザベートもたまきちのアンリもゆめちゃんのアナベルも皆良かったし、ミッシェル(煌月)もボランジュ夫妻(有瀬・舞乃)も良かったし……とにかくみんな、この難しい作品を良く理解して演じていたと思います。
大野さん、万歳♪
.