宝塚宙組新人公演「黎明の風」の続き。

白州正子の(花影)アリスちゃん。
さすがに外部でもヒロイン経験のある実力派、無難にこなしてました。ただ、全体に無難すぎたのと、たっちん(和音美桜)と一学年違いとは思えない子供っぽさだったのがちょっと残念だったかな。
声がちょっと鼻にかかった…というか、ちょっと上擦ったような発声だからでしょうか?カチャ(凪七瑠海)もそうなんですよねー。台詞声がすごーくよく似てる。二人とも、歌声は普通にキレイで巧いんだけど…。

ファントムでしたっけ?いきなり抜擢された頃は、花組の彩音ちゃんと前後してトップになるのかと思ったものですが…
声が変わらないと、本公演では妹以外の役を得るのが案外難しいかもしれませんねぇ…。

本質的に、本来ウメ(陽月華)ちゃんのキャラクターに宛てて書かれた役(最後の銀橋での「かっこいいぞ!」なんて、ウメちゃんにしかできない名場面でした…ウメちゃんで観たかった!)を、たっちんが演技力でカバーして作り上げた役。
今となっては、ウメちゃんが今更復帰しても出来ないくらい完成度の高い役になってしまって、なのに、たっちんがどんなに見事にこなしても(実際見事でした)「ウメちゃんだったら…」と思われてしまう難しい役。

アリスちゃん自身が、ウメちゃんとたっちん、二人の影に惑わされて、「花影アリスの白州正子」を見失っているんじゃないか、と、ちょっとだけ思ってしまいました。
せっかく実力のある人なのに、何か迷いがあるように見えて。

こういう時こそ、うまく「花影アリスらしい白州正子」に引っ張っていってあげるのが、演出家の仕事だと思うんですけ(以下略)

あと、アリスちゃんは微妙に和服が似合わないような気が(涙)。

彼女については、新公の芝居よりも、むしろ挨拶の流暢さとしっかりした内容に感動しました(笑)。
次は「雨に唄えば」のキャシーですね。がんばってね!



辰美英次の、カチャ(凪七瑠海)。
初舞台の「花の宝塚風土記/シニョールドンファン」のときから凄く目立つ役を与えられていた優等生。
芝居も、先日も書きましたが広島の話をされたときの反応とか、熱すぎず控えすぎず、ちょうどいいところに立つバランス感覚が素晴らしいし、ちょっと細すぎるけどスタイルも良くて、歌もダンスも○、と目立つ欠点の少ない人です。

初舞台の勢いでいったら研2,3で抜擢されるかと思っていたのに、それほど大きな役がつくこともなく、観るたびに順調に実力をつけてきているなあ、と思います。うまく育てられてますよねー♪台詞の声がすこーし鼻にかかるのが気になりますが、段々良くなってきていると思うし、これからが楽しみです♪



まりえ(美郷真也)さんの役を演じた七海ひろきさん。
あの貫禄のなさが見事でしたねぇ。
空港の場面って、冗長になりがちな難しい場面だと思うのですが、七海さんはさすがにしっかり会話ができていて、さすがでした。ただ、もう少しだけ「仕事はキッチリできる」感を醸し出しておけるともっと良かったと思います。気は弱くても、国際会議の場みたいなところに出ると気後れしちゃうけど、「仕事はミスなく出来る」ことが特徴の人なんですから。
終始おどおどと自信なさげなのは、いいのかなあ…?という感じでした。


ジーン(美羽あさひ)のすみれ乃麗ちゃん。
なんだかすごーく見覚えがある、と思ったら、月組の蘭乃はなちゃんの姉妹なんですね!すげー美人姉妹…。
可愛くて元気で弾けていた「バレンシア…」のローラから、美しく貞淑な軍人の妻への変貌ぶり。しっとりと落ち着きがあってキレイでした。蓮水くんとの相性も良かったし♪

そういえば、次も蓮水くんと組むんですね。こいさんかぁ……。
……がんばれ(こっそり)

東京ローズ(音乃いづみ)の藤咲えりさん。
美人だった!歌も芝居も良かった!!
本役(代役)の吉田和子は、なんだかすごーく無難なつくりで(苦笑)残念なところもありましたが、東京ローズはなんていうか、全力投球でしたね。
バレンシア新公のシルヴィアでも思いましたが、芝居勘のいい人ですよね。相手の呼吸が読める人は貴重です♪チャイナドレスもよく似合ってました(はぁと)。

次はお蘭かぁ。難しい役が続きますねぇ…(でも楽しみ♪)。


ブギの女(音乃いづみ)の妃宮さくらちゃん。
可愛らしいばかりの「桜娘」が、知らないうちに迫力の歌手になっていて吃驚しました(汗)。すごーいっ!!
パンチの効いた、いい声ですねぇ。歌えるってことさえ知らなかったよ…ごめんなさい。化粧も可愛かったし、とっても良かったです!


ポーラ(花影ありす)ちゃんの天咲千華さん。
「バレンシア…」では全く台詞声が作れず、大苦戦(苦笑)していた少女が、いい声で喋ってました♪♪
清純でただただ可愛らしいだけだったマルガリータから、わずか半年で「しっかり者のキャリアウーマン」らしくなり、藤咲さんとも対等に芝居できる人になってるなんて
若い人の成長振りっていうのは、目を瞠るほどのものがありますね。もう一人前の姫役者に見えましたよ♪


今頃になって、「バレンシアの熱い花」の新公感想を、みーちゃんとたっちん、きみちゃんの分しか書いていないことに気がつきました(汗)。
あの新公は、生田さんが演出。演者一人ひとりに合わせてしっかり指導してくれて、あれで成長した人も多かったと思います。

本公演も生田さんが演出してくれよ…とどれほど思ったことか。

今回はいろいろ残念なところも(主に演出面で)ありましたが、それでも、若い子たちはそんなことお構いなしに輝いてくれました♪

戦前戦後、という、日本が一番暗くて苦しかった時代。
それでも、夢も希望も自尊心も、忘れなかったひとたちの物語を。
それでも、日本を信じて見守ってくれた人の物語を。

若い人たちが、少しでも表現しようとあがいてくれたことが嬉しいです。
「殉情」も「雨に唄えば」も、観には行けないと思う(多分)けど、成功を心から祈っています。