日本青年館「赤と黒」の、つづき。


といいつつ、違う話からはじめさせていただきます。

最近面白いなーと思うこと。
宝塚のスターには、どうがんばっても「敵役」には向いてない人、っていうのがいるんですね。

私の中では、星組のしいちゃん、花組の壮(一帆)ちゃんがそういうタイプ。

「ヘイズ・コード」で大ヒットを飛ばしたしいちゃん、
「黒蜥蜴」の浪越くんがヒットだった壮ちゃん。

お二人の共通点は、笑顔が明るくて天真爛漫で太陽みたいなことと、真剣な顔をしていてもどこか口角があがってみえること。
そして、声が高めなこと、……かな?



宝塚作品における「二番手役」というのは、主役(トップスター)の敵(恋敵、親の仇、自由の侵害者、目的の妨害者、など)であるか、または友人(弟分だったりもする)であることがほとんどです。
たまに語り手(狂言回し)だったりすることもありますが、基本的には主人公と関係の深い役が二番手役になることが多い。



「赤と黒」の一幕については、敵役=レナール氏(しいちゃん)、友人=フーケ(礼音くん)、という二人の役があるわけですが。
……もしかしてこの二人、逆の方が良かったのでは…?役者のキャラクターに嵌るのは、逆パターンだと思うんですよね…。

あああ、「ヘイズ・コード」であんなに格好良くてステキだったしいちゃんが、「シークレットハンター」「エル・アルコン」「赤と黒」と、3作続けてコケているのを観るのが辛い(涙)。



…礼音くんのレナール氏……どうだろうなあ(T T)。やっぱり無理かしら?作品として面白くなりそうなのは、ホントはしいちゃんフーケ、すずみん(涼紫央)レナール氏のような気もします。
(すずみんのノルベールはとっても良かったけどね)
あるいは、専科さんにレナール氏をやっていただいて、フーケをしいちゃんがやるとか。

こうやって考えていくと、スターの数に対して役が足りないから仕方ない、ってことになるのか。本末転倒………な気が(^ ^;ゞ



そして。
フーケは本来もっと良い役だったはず、と思ったのですがどうなんでしょうか。いかにも柴田さんの好きそうな役ですよねぇ?
常識人であるフーケの存在が、ジュリアンの無謀さを引き立てるわけで。思わず「ねぇフーケ、ジュリアンのどこがいいの?」と尋きたくなってしまいます。

いくらフーケが“常識”をたてに熱心に誘っても、ジュリアンは“常識”ではあり得ないことをしようとしているわけだから、絶対にうべなうことはあり得ない。その無謀さ、彼の抱いた夢の虚しさが、フーケの常識人っぷりを強調することで浮き彫りになる。

でも、礼音くんとトウコさんに対等の友人役は難しいだろう⇒一歩下がったフーケにしとけ、みたいな展開で今に至ったのだとしたら、もったいない話だなー、と。
そう考えると、「シークレットハンター」でトウコさんのダゴベールよりもうわての役を礼音くんにフッた児玉明子さんは、キャストの本質を見抜く目はあったんだなあ、と感心します。
ダゴベールとセルジオが出来た二人なんだから、もっと対等なジュリアンとフーケ、ってのもありだったと思うんですけどねぇ…。もう少し、ジュリアンへの愛があると良かったのになぁ、礼音くん(*^ ^*)。





二幕は、とにかくジュリアンとマチルドの二人の物語なので、二番手役らしい役は、ないんですよね。むしろ萬さんのラ・モール侯(マチルドのパパ)が、らしいっちゃらしいような気がする(^ ^;。

あとは、二幕を彩る“若手貴族たち”の中でも、すずみんのノルベール伯がめっちゃステキだった!!優しそうで、でもデキる軍人、って感じで。ダンスシーンも多いのですが、ラインがすごくキレイ。すずみんも、声がもう少し低ければなあ……。

礼音くんのコラゾフ公も良い役でしたね。歌もだいぶ安定してきたなあ〜♪声が私好みではないので(ごめんなさい)大好き!とは言えないのですが、がんばってくれているのは嬉しいです。

しかし!!スカーレット・ピンパーネルのショーヴランは………素晴らしい名曲を歌いあげなくてはならない、むしろトウコさんで聴きたい役なので。これを礼音くんに、っていうのはほとんど劇団の苛めだと思うんですけど(汗)、あと3ヶ月、ありますから。がんばってほしいと思っています、真実に。

…10年前になりますが。あのダンサー・風花舞嬢でさえ、「WEST SIDE STORY」の1000days公演ではかなりの美声を披露してくれたのですから。
礼音くんも、やればできる!絶対できる!……たぶん、きっと、ね(祈)。




若手貴族たち、残る二人はクロワズノワ侯爵(和涼華)とラ・ジュマート男爵(彩海早矢)。

演出は古臭くて、カーテン前がたくさんあった「赤と黒」。
二幕のカーテン前は、ほとんどこの4人で繋いでくれるんですが……。

すずみんと礼音くんは、いいんです。

でも、
…和くんと、あかし…、

カーテン前って、難しいんでしょうねぇ(疲)



お二人とも、貴族の衣装がすっごくお似合いで、しかも品のある顔立ちも仕草もとっても優雅で、パーティーなんかで歓談している場面なんかは◎だったのですが。

カーテン前やつなぎの場面で喋っているときの間のもたなさときたら(滝汗)。

なんだか、初めてシェイクスピアの芝居に取り組むアイドル、みたいな感じでした。(←すっげーわかりにくいです)
ちょっと前まではあんまり目立たなかったけど、ここ2年くらいは本公演でもバウでも役がついて、芝居が面白くなってくる時期だと思いますので。
今日できなくても、また次の日。
明日だめでも、また次の日。

楽しみに見守りたいと思います。
……がんばってくださいませ…m(_ _)m。



あと印象に残ったのは、ナピエ大司教の紫蘭ますみさん、フリレール副司教のみきちぐ(美稀千種)。
「キーン」で印象に残ったますみさん、あらためて観ても巧い人だなあ、と感心しました
みきちぐは言うことない。悪者らしい悪者が、怖いくらいステキ。



それから、ずっと芝居ができない人だと思い込んでいたコトコト(琴まりえ)を、心の底から見直しました。今まで舐めていてごめんなさい。
そういえば、「ヘイズ・コード」や「エル・アルコン」の思い込み激しいお嬢さんも良かったし、「シークレットハンター」のたおやかな王女殿下もお見事だったのに、どうにもこうにも「花のいそぎ」時代の棒読みっぷりが頭から離れなくて…。
ホントにごめんなさい!!
今回のデルヴィール夫人は本当に目から鱗でした!
たおやかで美しく、やわらかい。こういう色を出せる役者に、いつの間にかなっていたんですねぇ……。


うん、和くんも、あかしも、まだまだチャンスはある!がんばれ!せっかく見た目は完璧なんだし、あかしはダンス、和くんは歌と武器もあるんだから、もったいないですぅ、、二人とも(涙)。




下級生では、エリザの稀鳥まりやちゃんが可愛かった!
やっぱり私、キトリちゃんはダンスだけじゃなく芝居も好きみたいです。技術面はまだまだだけど、とにかくけなげで可愛いのがGOOD♪

ジュリアンが大好き!ジュリアンは私のもの!という思い込みの強さ。古典には割とよく出てくるキャラクターですが、しっかり役に入ってましたね。
マチルドとは少しタイプが違いますけど、行動は似たようなコトをしているんですよね、この二人。遺産が入るからって、女の子のほうから結婚を申し込むっていうのも凄い(相手は神学校へ行こうって人なのに!)。
ジュリアンと同じ階級だったばっかりに相手してもらえず、逆恨みしておじさんたちに利用されてしまう憐れな少女ですが。
……本当に可愛かったです。今後のご活躍を期待しています。



そして、エリザのカレシ(物語が始まったとたんに振られちゃうけど)、サンジャンの水輝涼くん。…やっぱりカッコよかった!(←それただのファンだから)

しかし出番少ないなー。まさか二幕にほとんど出ないとは思いもよらず。
ちょこちょこっと喋ってくれて、大好きなあの声も聴けたけど、

たまには水輝くんの歌が聴きたいよーーーーーーーっ(T T)。



演出については、もう少し書きたいような気もするのですが。
とりあえず、ひとつだけ。

紗幕の向こうでジュリアンとルイーズが抱き合う場面。

2階のてっぺんの端で観ていた私には、ちょうどカウチに座ったお二人の色っぽいラヴラヴ場面が、見事に紗幕を縦に走る柱(?)に阻まれて、全く見えませんでした…(泣)。

ジーザス・クライスト・スーパースターのラストシーン(四季劇場「秋」の2階S席からは、十字架に磔になった主役ジーザスが全く観えなかった事件)じゃあるまいし、どうしても紗幕を降ろしたいなら、あんな飾りがいっぱいついた紗幕じゃなくてもっとシンプルなのを使ってください。お願い…。