宝塚大劇場にて、月組「ME AND MY GIRL」を観劇してまいりました。(ネタバレあります)



いやー、すっごい楽しいショーだった!!
生粋のショースター!の麻子さんとかなみちゃん。コンビ最後の作品がショーなしの一本モノだなんて残念だなぁ、と思っていたのですが。

ずーっとコメディのお芝居(テーマは家族)だと思っていた「ME AND MY GIRL」が、いつのまにか楽しいグランド・ショーになっていた!

さすが、ショー作家・三木章雄の面目躍如、ですね♪♪グッジョブです♪
音楽が良くて、脚本がしっかりしていると、普通のミュージカルがこんなに楽しいショーになるんですねぇ。感心…。




えーっと。


私は、宝塚での「ME AND MY GIRL」を観たのは、これが初めてです。以前、帝国劇場で観たときのキャストは以下のとおり。
ビル      井上芳雄
サリー     笹本玲奈
マリア公爵夫人 涼風真世
ジョン卿    村井国夫
ジャッキー   純名りさ
ジェラルド   本間憲一

ちなみに演出=山田和也、指揮=塩田明弘。シンプルな舞台でストレートに芝居を見せるのが得意で、本来は中劇場での喜劇向きの演出家と、こういう“楽しいミュージカル・コメディ”にはぴったりのリズミカルで軽やかな音楽を本領とする指揮者が組んだ、幸せな作品。
実に実に楽しい、明るくて優しい、心温まる“お芝居”でした。

誰が良かったかって、マリア公爵夫人のかなめさんがすっごく良かったんです。感情の動きを悟らせない、冷たい“貴族”の仮面の下で、ほんの些細な考え方の変化を、2時間半のドラマの中でゆっくりと表に出していく、その描写が。




今回、月組版を観て、(良い悪いではなく)一番違うな〜、と思ったのは、やっぱりタキさんのマリア夫人でした。感情豊かで、溢れんばかりに愛情豊かで、ビルのことが愛おしくてならない夫人、だったので。
それはそれでとってもステキな“おばさま”でしたけれども、一番の問題は、それだとビルが「おばさまの愛情もわからない愚か者」に見えてしまうこと。

タキさんは、やっぱりカルロッタとか、ブラックウェル夫人とかの、感情が豊かで表現幅の派手な人が似合うんだなあ…。「ダル・レーク」のインディラおばあさまは良かったけど、今回マリア夫人はちょっと出番や歌などのアクションが大きすぎて、やりすぎてしまっているような気がします。

まぁ、仕方ないんですけどね。マリア夫人が派手に動けば動くだけ、ショーとしては面白くなるんですから(笑)。タキさん卒業公演だし、マリア主役のつもりでガツンとやってもらってもいいのかな。ショーだから華やかなもの勝ちってことで(^ ^)。

とりあえず、エトワールも含めて、タキさんの歌が思いっきり堪能できたことがとても嬉しかったです(*^ ^*)。



そう。
今回、一番「ショーだなあ!」と感銘を受けたのは、実は「ランベス・ウォーク」ではなかったんです。

「Leaning On Lamp Post」。
ランベスにサリーを探しにきたビルが、切なく歌う名場面。

あの場面で、あの歌で、あれだけ華やかなショー場面にしてしまう麻子さんって、すごいなーと思ったのでした。


ただひたすらに、軽やかで、楽しい。
ビルもサリーもそこにはいなくて、ただ、楽しそうなランベスの住人たちと、ショースターがいる。
サリーの下宿の女主人・みっぽー(美鳳あや)の見事な芝居が、いっそ無駄に見えるほどの、完璧なショーシーン。

芝居じゃないんだ、ショーなんだ!!という感銘と驚愕。

…目から鱗。



三木さんが、「ME AND MY GIRL」という作品をショーとして演出し、

麻子さんが、この作品を通し役のあるショーとしてしっかり解釈し、場面ごとに最適な盛り上げ方を追求して、どの場面も見せ場のオンパレード!にしてのけた。

三木さんと麻子さん、「ファンシーダンス」でもあてたゴールデン(?)コンビならでは、の、見事な息の合い方だったと思います。



「芝居の月組」とか「ショーの花組」とか呼ばれていたのは、何年前になるのでしょうか…。
下級生を観ていると、まだまだ「芝居の月組」という意識も「ショーの花組」という意識も強いような気がするのですが(祐飛さんがんばれ〜!)、上層部はとっくに入れ替わっているんですね。


……たった一人、芝居をしようとしては空回っていた未沙さんが、なんだか物凄くもったいないような気がしてしまったのは(伝説の弁護士をこの目で観ることができた幸運は、掛け値なしにただただ嬉しいんですけど)、否定はしません…。



まぁ、本来は些少な感情の変化を二時間半を追いかけていくお芝居なので、全体をショーとして演出しなおしたことでラストシーンが弱くなってしまうのは、これは仕方のないことなんですよね……。
あそこで「馬鹿野郎!」と叫ぶ前にタメが入るのは、芝居だから。2時間半の感情の積み重ねが、あの一言に凝縮されているからです。井上くんのビルは、それはそれは爆発的な叫びでしたとも(すっげー泣けました ^ ^;)。

……でも、今回の月組公演は、ショーだから。そこで変にタメをつけても、間が悪くなるだけ。サラっと流す麻子さんの手法が、正解なんですよね。

どうやっても、全体を通してショーアップされた盛り上がりの最大値は一幕のラスト(The Lambeth Walk)に来てしまうので(だから、休憩時間が凄く楽しく過ごせるんですけど♪)、作品のラストでのカタルシスが弱い。芝居ではないので、全ての伏線がここで結ばれた!という感動が弱いんです。
でも、そこもさすがベテランの三木さん!すぐにフィナーレのショーナンバーに入るので、そっちで感動してちゃんとお釣りがくる(^ ^)v

…銀橋に出てくるみりお(明日海りお)くん、もりえ(青樹泉)ちゃん、まさお(龍真咲)くんの3人が、可愛くて可愛くて可愛くて、一発でノックダウン、でした(幸せ)。



サリーのかなみちゃんは、前夜祭を考えれば見違えるほど芝居がよくなってました♪でも、逆にもう少し麻子さんに合わせて、ショーっぽく演じるのもありだったかも。どのみち、声や口調に特徴がありすぎて、「気風のいい下町娘」にはなれないし、ラストの上流階級言葉も、声は変えられないんだから…。

歌はさすがでした。笹本玲奈ちゃんが本当に素晴らしかったんですけど、かなみちゃんもさすがでした。ただ、音域がちょうどチェンジ領域だったのかな?いつもの伸びやかさがなかったのが残念でした。東宝に期待しています♪



ジョン卿のきりやんは、ただしく“可愛いおじさん”でした(^ ^)。
髭もよく似合うし、なんたって可愛い♪♪お持ち帰りして部屋に飾っておきたいくらいでした♪
ただ、タキさんのマリアが割と感情を大きく出すので、抑えた芝居で愛情を隠したジョンが、ちょっと控えめに見えたのが、ラストでちょっと弱さになってしまったかも。
帝劇公演で観たのが村井さんで、あまりにも嵌り役だったので…比べちゃいけないんですけどね。やっぱりこの役、(年齢の問題ではなく)貫禄のある人、せめてある程度たっぱがある人の方がやりやすいんだろうなぁ、と思いました。

あとは、前にも書きましたがもりえちゃんの髭姿に惚れたくらいかな…。本当に下級生の出番少ないんですね(泣)。まさおくんクラスでも、役らしい役がないなんて。
そんな中、プリンシパルクラスの役であるジェラルドを貰っているあひちゃん……。東宝まで1ヶ月、奮励努力されることを、そしてその努力が実ることを、心から祈っています。

あいあいジャッキーは最高でした!麻子さんとのバランスもよく、しっかり芝居している割にはショーにもきちんと溶け込んでいたし…バランス感覚の良い人だなあ。
相変わらずの美脚、ご馳走様でした☆

みりおくんのジャッキーも楽しみです!早く東宝始まらないかなあ☆そして、新公が無事観られますように!(祈)