東京宝塚劇場にて、花組公演「サン=テグジュペリ ~星の王子さまになった飛行士~ /CONGA!!」を観劇いたしました。
私は、この作品が発表された時にも書いたような気がしますが、音楽座(現・Rカンパニー)のミュージカル「星の王子さま」がとても好きです。原作はその前に読んでいたはずなのですが、さっぱり興味がなかったようですっかり忘れていたのに、きつねの場面や、ラストの星空に号泣して、、、あれ以来、たしかに「星空」の意味が変わった気がします。
ミュージカルきっかけで原作のファンになり、それが嵩じて箱根の「星の王子さまミュージアム」にも行ってしまった、そんなヲタクな私ですが(^ ^)、そんな私には、かなりツボにくる公演でした!
……っていうか、単純に「星の王子さま」を朗読されただけで泣ける自信があるわけですけどね(汗)。
ただ。
「銀河英雄伝説」は、原作ファンにも原作を知らないヅカファンにも配慮した(そして配慮しすぎて若干自滅気味な)作品でしたが、「サン=テグジュペリ」は、原作でも何でもない「星の王子さま」を知らないとさっぱりついていけない作品になっていた……ような気がします。だって、内藤濯による岩波版「星の王子さま」の訳文が、作品全体の1/3くらいを占めているんですから。
それも、藤井大介作・演出の「イーハトーヴ・夢」のように、「作者(宮沢賢治/サンテックス)の現実」と「作品(銀河鉄道の夜/星の王子さま)の世界」が交錯するだけではなく、現実のサンテックスとコンスエロの会話の中でえんえんと引用されていたり、他にもいろいろなところで使われていたんですよね。
あそこまでいくと、「参考文献」じゃなくて「引用」だよなあ、と思いました。。。原作でもないのに。
というわけで。
この作品を楽しむためには、「星の王子さま」を読んでおいた方がいいと思います。短い童話だから、本屋さんで立ち読みしても大した時間はかからないし(^ ^)。ただ、あの物語は読む人を選ぶので(←単に私が理解できなかっただけかもしれませんが)、本当は、音楽座ミュージカル「星の王子さま」のDVDか何かを手にいれていただいて、事前に観ていだたくという手もあるかも(←どこの回し者?)
今回、演出的にすごく面白いな、と思ったのは、サンテックスとコンスエロに殆ど会話をさせなかったこと。
この物語のテーマでもある「大切なものは目には見えない」という名言は、「本当に大切なことは言葉では伝わらない」ということでもあるんですよね。
「うわばみの絵」というイマジネーションを共有した二人が恋に落ちる過程をダンスで著したのは、素晴らしい着眼だったと思います。どんな百万言を費やすよりも、ダンサーである二人の肉体の方が表現として適当だし、現実のサンテックスとコンスエロも、どちらかといえば本能的に恋に落ち、本能に敗れた自分を悔やんだコンスエロの抵抗が二人の関係を複雑にしたのですから。
音楽が進むにつれて、官能的に距離を狭める唇、絡みつく手足、蕩けていく男と女。ダンサーコンビの面目躍如たる、まさに名場面、でした。
その後も、サンテックスは飛行士仲間たちとの場面が多く、コンスエロはもっぱら女たちと一緒で、すれ違った二人はなかなか出会わない。そして最後に、軍隊に戻るサンテックスは、愛する妻に「星の王子さま」を捧げる。象を呑みこんだうわばみの絵から始まる物語を。
この場面の二人の会話さえ、半分以上(?)は「星の王子さま」の引用です。4本の小さな棘しか持っていない、我侭な薔薇の物語。薔薇のために星へ帰る王子さまは、無事戦争が終われば自分の薔薇の許に帰ってくるつもりだったのでしょう。この時は本気で、天と地の間に産まれた男が、故郷の空を、女のために捨てようと。この時は。
「会話」と「引用」で声色を変える二人が微笑ましくて、引用しながら妻を抱きしめるサンテックスが優しくて、その腕の中に収まった「小さな火山」の愛が燃え盛るのが見えるようで。出会いのタンゴと別れの抱擁、この2場面だけで十分に「恋」を……長い時間を一緒に過ごすことさえできない激しい炎を表現してのけたお二人に、拍手したい気持ちです。
史実のサンテックスが、飛行士としては旧式だったために何度も事故って除隊させられ、その度に貴族の権威と作家としての広告塔の役割にものをいわせて復隊し、花形だった偵察部隊に無理やり参加していた……ことはあっさり無視して、もしかして「カサブランカ」のラズロのモデルはサンテックスだったのか?と誤解させようとしているかのような(←宝塚的にはまさにラズロ本人ですが)、誠実で情熱的で現実的で生真面目な、蘭トムさんのサンテックス。
行動パターンは支離滅裂で訳がわかりませんが、とにかく魅力的な蘭トムさんでした(*^ ^*)。
ショーは、、、とにかく素晴らしかった!藤井さんブラボー!!
そして、プロローグの総踊りでいきなり泣きました……だって、すみからすみまで、全部観たのに真瀬がいないんだもん(T T)。……いや、いるわけないんですよ。知ってる。そもそも真瀬のことなんて、開演前も、お芝居の間も、休憩時間だって思いだしもしなかったのに。なのに、初っ端からいきなり全力投球な熱い群舞の中を、本当に無意識に探してた。真由ちゃんの並び、いない、ハマさんの並び、いない、2列目にもいない、、、あれ?3列目……途中で、何を探しているんだろう私?、と思ったら、いきなり視界が濁って、そして、真っ白になりました。
……なんだか、すごく不思議な気持ち。そんな人だっけ、私って。宙組を観たって、祐飛さんのこともえりちゃんのことも探したりしなかったのに。……ショーだからかな。大好きな藤井さんのショーだから。この群舞で幸せいっぱいに踊る真瀬を視れないことが切なくて、この楽しいショーに参加できない真瀬が可哀相な気がして。
真瀬は今だって十分に幸せそうで、もうすぐディナーショーでまた出逢うことだってできるのに。でも、何か切ないものが残る。辛くはないけど、切ない想い。あなたにここにいてほしかった。あなたの人生なのだから、あなたが思う通りに歩いてくれればいいのだけれど。でも、やっぱり私は、あなたにここにいてほしかった。これからの貴女も楽しみにしているけれども、でも、やっぱり。
……そんな個人的なハプニングはありましたが(^ ^;ゞ、本当に楽しいショーでした。
海の宝石から海賊への流れも良かったし、中詰めの盛り上がりも藤井さん全開!みつる(華形)・柚香さんの女役もとても魅力的でした(はぁと)。
一番好きな場面は、カッシーニの「アヴェ・マリア」が流れる中で白い衣装の蘭寿さんと蘭ちゃんが踊る「真実の愛」。後から加わるよっち(月央)と女役のルナちゃん(冴月)も素晴らしくて、とにかく良かった!感動しました。カゲソロも綺麗な声だなあと思ったら仙名彩世ちゃんだったんですね。さすがだー!!
とにかく、花組のダンスを堪能した!と思いました。
私はダンスの技術とか全然判らない人なんですが、なんか花組の群舞は他の組と違う…という気がします。トップコンビが揃ってダンサーなこともあるけど、男役も女役も、群舞の振付のレベルが他の組とは違う気がするんです。振り数が多い、というか。……藤井さんだから?それとも、ラテンって元々そういうものなんだっけ……?
元々花組にいる花男たちが恰好良いのは当たり前なんですが、今回瞠目したのは、みーちゃん(春風)の恰好良さでした。宙組で観るまぁくん(朝夏)も、「花男」らしい華やかさとアピール力があって凄いなあと思ったけど、宙組ではそれほど目立たなかったみーちゃんのスタイルの良さと、長い手足を使い切るような伸びやかでリズムのあるダンスは、良い意味で花組の群舞の中で浮いている感じで、ああ、劇団は良く視ているんだなあと思いました。
そして、花娘たちが可愛い。本当に可愛い!上級生は大人可愛く、下級生は無条件に可愛く、清楚に上品でかつ可愛くて個性的、という不思議なバランスを全員が体得していて、本当に凄いな、と思います。可愛いは正義!美しいはもっと正義!各組の娘役は、一度は花組に特出してみるべきだと思いました(真顔)
最後に。
中詰めの「ティグレ(虎)」の壮ちゃんの髪型、めっちゃ可愛いーっ!!その髪型で気障る壮ちゃんが素敵過ぎて、目が離せませんでした……。
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私は、この作品が発表された時にも書いたような気がしますが、音楽座(現・Rカンパニー)のミュージカル「星の王子さま」がとても好きです。原作はその前に読んでいたはずなのですが、さっぱり興味がなかったようですっかり忘れていたのに、きつねの場面や、ラストの星空に号泣して、、、あれ以来、たしかに「星空」の意味が変わった気がします。
ミュージカルきっかけで原作のファンになり、それが嵩じて箱根の「星の王子さまミュージアム」にも行ってしまった、そんなヲタクな私ですが(^ ^)、そんな私には、かなりツボにくる公演でした!
……っていうか、単純に「星の王子さま」を朗読されただけで泣ける自信があるわけですけどね(汗)。
ただ。
「銀河英雄伝説」は、原作ファンにも原作を知らないヅカファンにも配慮した(そして配慮しすぎて若干自滅気味な)作品でしたが、「サン=テグジュペリ」は、原作でも何でもない「星の王子さま」を知らないとさっぱりついていけない作品になっていた……ような気がします。だって、内藤濯による岩波版「星の王子さま」の訳文が、作品全体の1/3くらいを占めているんですから。
それも、藤井大介作・演出の「イーハトーヴ・夢」のように、「作者(宮沢賢治/サンテックス)の現実」と「作品(銀河鉄道の夜/星の王子さま)の世界」が交錯するだけではなく、現実のサンテックスとコンスエロの会話の中でえんえんと引用されていたり、他にもいろいろなところで使われていたんですよね。
あそこまでいくと、「参考文献」じゃなくて「引用」だよなあ、と思いました。。。原作でもないのに。
というわけで。
この作品を楽しむためには、「星の王子さま」を読んでおいた方がいいと思います。短い童話だから、本屋さんで立ち読みしても大した時間はかからないし(^ ^)。ただ、あの物語は読む人を選ぶので(←単に私が理解できなかっただけかもしれませんが)、本当は、音楽座ミュージカル「星の王子さま」のDVDか何かを手にいれていただいて、事前に観ていだたくという手もあるかも(←どこの回し者?)
今回、演出的にすごく面白いな、と思ったのは、サンテックスとコンスエロに殆ど会話をさせなかったこと。
この物語のテーマでもある「大切なものは目には見えない」という名言は、「本当に大切なことは言葉では伝わらない」ということでもあるんですよね。
「うわばみの絵」というイマジネーションを共有した二人が恋に落ちる過程をダンスで著したのは、素晴らしい着眼だったと思います。どんな百万言を費やすよりも、ダンサーである二人の肉体の方が表現として適当だし、現実のサンテックスとコンスエロも、どちらかといえば本能的に恋に落ち、本能に敗れた自分を悔やんだコンスエロの抵抗が二人の関係を複雑にしたのですから。
音楽が進むにつれて、官能的に距離を狭める唇、絡みつく手足、蕩けていく男と女。ダンサーコンビの面目躍如たる、まさに名場面、でした。
その後も、サンテックスは飛行士仲間たちとの場面が多く、コンスエロはもっぱら女たちと一緒で、すれ違った二人はなかなか出会わない。そして最後に、軍隊に戻るサンテックスは、愛する妻に「星の王子さま」を捧げる。象を呑みこんだうわばみの絵から始まる物語を。
この場面の二人の会話さえ、半分以上(?)は「星の王子さま」の引用です。4本の小さな棘しか持っていない、我侭な薔薇の物語。薔薇のために星へ帰る王子さまは、無事戦争が終われば自分の薔薇の許に帰ってくるつもりだったのでしょう。この時は本気で、天と地の間に産まれた男が、故郷の空を、女のために捨てようと。この時は。
「会話」と「引用」で声色を変える二人が微笑ましくて、引用しながら妻を抱きしめるサンテックスが優しくて、その腕の中に収まった「小さな火山」の愛が燃え盛るのが見えるようで。出会いのタンゴと別れの抱擁、この2場面だけで十分に「恋」を……長い時間を一緒に過ごすことさえできない激しい炎を表現してのけたお二人に、拍手したい気持ちです。
史実のサンテックスが、飛行士としては旧式だったために何度も事故って除隊させられ、その度に貴族の権威と作家としての広告塔の役割にものをいわせて復隊し、花形だった偵察部隊に無理やり参加していた……ことはあっさり無視して、もしかして「カサブランカ」のラズロのモデルはサンテックスだったのか?と誤解させようとしているかのような(←宝塚的にはまさにラズロ本人ですが)、誠実で情熱的で現実的で生真面目な、蘭トムさんのサンテックス。
行動パターンは支離滅裂で訳がわかりませんが、とにかく魅力的な蘭トムさんでした(*^ ^*)。
ショーは、、、とにかく素晴らしかった!藤井さんブラボー!!
そして、プロローグの総踊りでいきなり泣きました……だって、すみからすみまで、全部観たのに真瀬がいないんだもん(T T)。……いや、いるわけないんですよ。知ってる。そもそも真瀬のことなんて、開演前も、お芝居の間も、休憩時間だって思いだしもしなかったのに。なのに、初っ端からいきなり全力投球な熱い群舞の中を、本当に無意識に探してた。真由ちゃんの並び、いない、ハマさんの並び、いない、2列目にもいない、、、あれ?3列目……途中で、何を探しているんだろう私?、と思ったら、いきなり視界が濁って、そして、真っ白になりました。
……なんだか、すごく不思議な気持ち。そんな人だっけ、私って。宙組を観たって、祐飛さんのこともえりちゃんのことも探したりしなかったのに。……ショーだからかな。大好きな藤井さんのショーだから。この群舞で幸せいっぱいに踊る真瀬を視れないことが切なくて、この楽しいショーに参加できない真瀬が可哀相な気がして。
真瀬は今だって十分に幸せそうで、もうすぐディナーショーでまた出逢うことだってできるのに。でも、何か切ないものが残る。辛くはないけど、切ない想い。あなたにここにいてほしかった。あなたの人生なのだから、あなたが思う通りに歩いてくれればいいのだけれど。でも、やっぱり私は、あなたにここにいてほしかった。これからの貴女も楽しみにしているけれども、でも、やっぱり。
……そんな個人的なハプニングはありましたが(^ ^;ゞ、本当に楽しいショーでした。
海の宝石から海賊への流れも良かったし、中詰めの盛り上がりも藤井さん全開!みつる(華形)・柚香さんの女役もとても魅力的でした(はぁと)。
一番好きな場面は、カッシーニの「アヴェ・マリア」が流れる中で白い衣装の蘭寿さんと蘭ちゃんが踊る「真実の愛」。後から加わるよっち(月央)と女役のルナちゃん(冴月)も素晴らしくて、とにかく良かった!感動しました。カゲソロも綺麗な声だなあと思ったら仙名彩世ちゃんだったんですね。さすがだー!!
とにかく、花組のダンスを堪能した!と思いました。
私はダンスの技術とか全然判らない人なんですが、なんか花組の群舞は他の組と違う…という気がします。トップコンビが揃ってダンサーなこともあるけど、男役も女役も、群舞の振付のレベルが他の組とは違う気がするんです。振り数が多い、というか。……藤井さんだから?それとも、ラテンって元々そういうものなんだっけ……?
元々花組にいる花男たちが恰好良いのは当たり前なんですが、今回瞠目したのは、みーちゃん(春風)の恰好良さでした。宙組で観るまぁくん(朝夏)も、「花男」らしい華やかさとアピール力があって凄いなあと思ったけど、宙組ではそれほど目立たなかったみーちゃんのスタイルの良さと、長い手足を使い切るような伸びやかでリズムのあるダンスは、良い意味で花組の群舞の中で浮いている感じで、ああ、劇団は良く視ているんだなあと思いました。
そして、花娘たちが可愛い。本当に可愛い!上級生は大人可愛く、下級生は無条件に可愛く、清楚に上品でかつ可愛くて個性的、という不思議なバランスを全員が体得していて、本当に凄いな、と思います。可愛いは正義!美しいはもっと正義!各組の娘役は、一度は花組に特出してみるべきだと思いました(真顔)
最後に。
中詰めの「ティグレ(虎)」の壮ちゃんの髪型、めっちゃ可愛いーっ!!その髪型で気障る壮ちゃんが素敵過ぎて、目が離せませんでした……。
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