雪組青年館公演「SAMOURAI」について。
細かいツッコミは後で書こう、と思っていたのですが……
このままだとすっかり忘れてしまいそうなので、とりあえず書き遺しておきたいと思います。

観劇直後の日記はこちら。
http://80646.diarynote.jp/?day=20120118



本当は、原作を読んでから書くつもりだったのですが、この調子だと読めそうにないので。(←復活でさえ、明日初日だというのにまだ手つかずだし/汗)

なので、本当に覚書です。すみません。基本は登場順、で。


◆アイヌの娘(花瑛ちほ)
可愛かったし、歌声もすごく綺麗で良かったと思います。実力を見せたなあという感じ。
でも、個人的にはこの役より、後半の巴里ジェンヌの恰好良さが好きでした。戦闘的で男前で、そこらの男役よりキレがあったよ(^ ^)。

◆前田光子(麻樹ゆめみ)
前回の日記でも書きましたが、この人(前田正名の息子の妻となった元タカラジェンヌ)を出したばっかりに、正名(音月)とマリー(美海)の純愛が一気に嘘っぽくなってしまうのが残念というか、、、谷さんらしいというか。
ゆめみさん自身は良い芝居をしているだけに、残念感のぬぐえない場面でした。

◆鹿内圭介(彩風咲奈)
彩風さんのこういう役は好きだなあ。明るくて優しい青年。彼女の舞台姿には、天与の明るさがあると思うんですよね。ただ、後半の巴里で出てくるガスパール役も似たようなキャラだったのが残念ではありました。谷さん、同じ役者にわざわざ二役で同じようなキャラクターをやらせるのはやめてあげてください(泣)。
そして、終盤の墓場の場面。かなり真顔でガブローシュかと思いました。(Les Miserables)「チビ犬でも…♪」って歌ってほしい。彩風さんは小さくないから「ちび犬」じゃないけどー(^ ^)。



◆前田正名(音月桂)
いやもう。あの熱量と性急な若々しさは個性だなあとあらためて思いました。
昔から、ついつい巻き込まれてしまう「勢い」のある人だなあとは思っていたのですが、実際にトップとして組の真ん中に立つようになって、その「勢い」がさらに顕著になってきたような気がします。
このハチャメチャな物語がなんとか形になったのは、正名がキムちゃんだったからなんだろうなあ、と。よくわからないけど正名の勢いにみんなが巻き込まれていく……それが納得できたのは、キムちゃんだからですよねえ、やっぱり……。

◆坂本龍馬/フルーランス少尉(緒月遠麻)
いやはや、恰好良かった!龍馬だけでも死ぬほど恰好良いのに、フル―ランスまで持っていくか!
谷さんってそんなにキタロウみたいなタイプ好きだっけ?と不思議に思ったくらい、2役とも良い役でした(*^ ^*)。ここ数年のキタロウの役付きは神だな、と、心底から思います。

後半、フル―ランス少尉として正名と話しているのを観ながら、、、特に、正名が龍馬(坂本先生)の言ったことを思い出している場面などで、「ここで少尉の前世(=龍馬)の記憶が甦ったら面白いのに」、なーんてことを考えていたことは内緒です。

◆武士仲間たち(アルバイト)
上級生から下級生まで、とってもとっても!楽しそうでした(^ ^)。それにしてもせしるは美形だなぁ(しみじみ)。


◆モン・パリ
彩風⇒香稜⇒早霧という歌い継ぎは、なかなか素敵でした。
……チギちゃん、がんばれ!(小声)


◆マリー(舞羽美海)
登場時の紅のドレスは、、、豪華で素敵だけど、普段着にするには派手すぎませんか(@ @)。
それにしても、最初から最後までひたすら可愛かったー!!恋に恋する「思いこみの激しい少女」は、本当にみみちゃんの宛書きだと思いました。
あの「思いこみの激しさ」が可愛くてしかたない!

「喪われた家を再興しなくてはならないのに、私にはできない!」というプレッシャーに負けてしまうみみちゃんが、とても魅力的でした。そこで「誰かに頼ろう!」という方向に行かずに、「私一人だけでも頑張らなくちゃ!」となるところが、とってもみみちゃんらしい。
(「仮面のロマネスク」を観て、ヴァルモンが零落した家を再興した云々という台詞に悶えました……若いころは苦労したんだろうなあ、ヴァルモンも)

◆モンブラン伯爵(飛鳥組長)
曲がりなりにも「親日家」をきどるなら、娘の暴言はもう少し早く止めようよ……。
そういう、優柔不断にさえ見えてしまいかねない「優しさ」(真の優しさ)は、もしかして宛書き?と思いつつ。

◆渡会晴玄(早霧せいな)
美形は得だな、と思いました(真顔)。いや恰好良かったです。
なのに、彼の明言は「ねずみでも出ましたか?」だよね、と。そんなトボけたところが可愛い、というのはチギちゃんの武器ですね。

ところで。彼はマリーに片思いしていた、っていう解釈は正しいのでしょうか……? 最後の最後まで「お嬢さん」と呼ぶ姿勢を崩さなかったけど。



◆ノエル(奏乃はると)
普段はモンブラン家の執事。でも非常時には、フル―ランス少尉の部下に早替り。
いやはや、恰好良かったです!いい役でした。にわさんらしい堅実な芝居が、あの突拍子もない脚本の中で良い意味で目立ってました(^ ^)。


◆レオン(大湖せしる)
丸顔の多い雪組DCメンバーの中で、ほとんど唯一(?)の細面の美形。その美形っぷりを最大限に生かした分かりやすい悪役っぷりで、個人的にはかなりツボでした。
しかし、レオンの考え方って、時代背景考えたら、どれも普通に正しいと思うんですが、どうなんでしょう。どっちかと言うと、正名やフル―ランス少尉が言ってることが無茶だと思うんですよ(^ ^; 
まあ、そういう人たちだからこそドラマになるわけですけどね。でも、ちょっと一部は正名の考えじゃなく谷さんの考えに聞こえてしまって、違和感がありました。

◆チプリアニ(香綾しずる)
可愛かったー!!ちりちりパーマがイケてなくってとっても素敵♪
キャラクターも、いままでがおりちゃんが演じてきた役の中では異色だと思ったけど、考えてみたら「ゾロ」で新公主演したひとなんだった(^ ^)。ナウオンで垣間見えるあの面白さが、前面に出た役だったと思います。
彼のおいたちと純情。切ないくらい可愛い男だな、と。しみじみ、良い役でしたねー。

◆五島市之進(帆風成海)
彼の自刃に至る心理が、全く理解できません……(T T)。
しかも、自刃した直後にはもう生き返ってアルバイトしてるし。苦笑どころか、完全に笑っちゃいました(汗)ごめんなさい。



◆女優(花帆杏奈)
杏奈さんの芝居は癖があって、けっして巧くはないんですけど、、、嵌ると抜けられない魅力があると思います。華やかで無茶苦茶で、しかも色っぽい美人は大好きだ!
後半の戦いっぷりの男前さも素敵(はぁと)

◆マダム(涼花リサ)
正名を庇う場面や、五島の死を悼む場面の芝居がすごく良かった。しみじみと胸に刺さりました。野菜売りとのやりとりも、投げやりなところがなくて、男前で格好よくて、なのに色っぽくて、ホンモノの『佳い女』ってのはこういうもんだ!と思いました。
美しくてたおやかで妖艶な、得難い女役さん。卒業すると発表された今、あらためて思い返しても、この「SAMURAI」で一番好きな役はリサちゃんのマダムだったかも、という程度には本気で好きです。歌さえもう少しなんとかなれば、いくらでも活躍の場はあったと思うんですけどねぇ。リサちゃんの人生だからしかたないけど、本当に残念です(T T)。

◆野菜売り(此花いの莉)
しっとりした佇まいが良かった。新公卒業したらいい役がつきますように。
「OLDIES」の「プレイバック パートII」が印象的な此花さん。響きの柔らかな声で大好きなので、大劇場では影でもいいからソロがあると良いなあ。

◆歌姫(透水さらさ)
いつの間にか、すっかり歌姫で定着しましたね。
杏奈さんが恋人を喪って泣き崩れる後ろで、「さくらんぼ……」と歌いだすのがとても印象的でした。澄みとおった綺麗な声(*^ ^*)。


◆マリーの友達(早花まこ・桃花ひな)
しっかりと小芝居してましたね。ひなちゃんは本当に可愛いなあ。ぱっと見が花夏ゆりんちゃんに似てると思うんですがどうでしょう。さびしげな美貌。きゃびぃと並ぶと、なんかそこだけ可憐な花が咲いてる感じです。

◆スープ売り(天舞音さら)
馬の骨のスープを売ってたのさらちゃんでしたよね?(違ったらすみません)
ちょっと垢抜けない感じに造りこんでいたのが好印象でした。お芝居好きなのかなあ。活き活きしてました。
ところで、馬の骨のスープはあの後どうなったんでしょうか……?温めなおしに行ったまま、帰ってこないうちに戦いが始まってました……よね?

◆モンブラン伯爵家のメイドたち(星乃あんり・妃桜ほのり)
可愛い可愛い可愛い可愛い。


こうして見ると、娘役はみんな良かったなあ(*^ ^*)。雪組の娘役さんたちも、花組とは違う意味ですごく充実しつつあるのを感じました。


◆いろいろ
「冬の寒波がドイツ軍の包囲を緩めるだろう」、っていうのは、、、「北風と太陽」の北風さんの理屈ですよね。ドイツよりフランスの方が南にあるのに、どこからそういう話になるんでしょうね。
そして、クレタ戦争のエピソードもちょっと違うよなあ、と思いました。何を意図しての話なのか、良く判らなかった……パリ市民もがんばっているんだから、お前たちも逃げるなよ、って?いやだから、彼らはエトランゼなんですってば……。

◆パリ開城
貴族たちによる勝手な「パリ開城」を非難するけど、あれって江戸城の無血開城と何が違うんだろう?と思ったりしました。
とっくに戦いは始まっていて、無血じゃない(市民の血が流れてしまった)から?

実際の歴史としては、パリ開城じゃなくてアルザス・ロレーヌの割譲に対して怒った反対運動がレジスタンスの始まりみたいですね。最初から他国相手じゃなくて国内で政府を敵とみなした人たちの戦いだったんですね……。

◆ラストの戦い(墓場)。
刀を抜いて斬りかかる正名の殺陣はとても恰好良いんだけど……。
せっかく忍びよった末の接近戦なんだし、得物も刀なんだから黙って斬ればいいのに……。「ちぇすとぉ!」とか叫んだら、本隊にバレちゃうんじゃないでしょうか。

◆羽織
場面途中で正名が突然袖に引っ込んだ、と思ったら、次の登場では羽織を羽織っていたんですよね。観劇しながら、『その羽織はいったいどうしたの?戦うには邪魔じゃない?動きにくいし、しかも目立つし!』………なんて思っていたのですが。
最後の最後に、渡会に掛けてあげるためだったのね……!!なんて準備周到な(@ @)


しかし。「白旗が……!!」はナシでお願いしたかった……!!
あれは結構、辛かったです(T T)。




中日で「仮面のロマネスク」を観て、あらためて思いだすと、、、
「時代の空気」ってやっぱり大事だなあ、と思います。役者と脚本と演出が、全て噛み合わないと出てこないものなんですよね。雪組さんも、出演者はみんな良かったんだけどなあ……。

次の大劇場作品が、良い作品でありますように。



【7月1日まで、あと143日】