中日劇場にて、星組公演「愛するには短すぎる/ル・ポワゾン」を観劇いたしました(^ ^)。


私は結構マメな宝塚ファンなので、毎年2月には一回くらい(?)中日に来ていると思うんですが……
初めての雪、でした。東京もちらほら降ってはいましたが、名古屋駅降りたら雪が積もってて、びっくり(@ @)新幹線遅れなくてよかったぁーーーーっ(感涙)

そんな雪も公演が終了した14時過ぎにはすっかり止んでいて、「2月も半ばだというのに、雪よ!」だけでなく、「おい、雪が止んだぜぇ!」でも遊ぶことができました(^ ^)。……回りは星組ファンばかりなので、たぶん誰も判らなかっただろうけど(^ ^)。
#「誰がために鐘は鳴る」東宝千秋楽の時は、みなさんノリが良かったのになー。




というわけ(←何が)で。
貴重なチケットを握りしめて、雪を払いながら中日の二階席に座ったわけですが。

楽しかったああああ!!



お芝居は「愛するには短すぎる」。

小林公平原案、正塚晴彦脚本・演出。
言わずと知れた湖月わたるさんのサヨナラ作品ですが、私、この作品かなり好きだったんですよねー♪
贔屓組でもなんんでもなかったので一回しか観てないと思うのですが、良い作品だなあ……と心に刻んだ公演でした。
わたるさんのおおらかで不器用な優しさと、となみちゃんの危っかしい包容力がうまく噛み合っていて、そこに加わるトウコさんのあざとさが、スパイシーで。
一つの旅が終わり、三人ともがそれぞれに違う途を歩きだす、というテーマもうまく現実にリンクしていて、巧い構成だなー!と感心したことを覚えています。最近失敗作続きの正塚さんですが、これは好きだった(^ ^)(この後の「マリポーサの花」も名作だと思ってるけど。そこまでかな)



今回の再演は、メインキャストがわたるさん⇒礼音くん、となみちゃん⇒ねねちゃん、トウコさん⇒テルくんというメンバー。
こういうことを言うと怒られるかもしれませんが、「ザ・星組」なわたるさん⇒礼音くん、月組芝居の色を濃く残すとなみちゃん⇒ねねちゃん、雪組色を脱しつつあったトウコさん⇒テルくん、という気がしました。
一人ひとりはそんなに「似てる」気はしないんですが、バックグラウンドが似ているせいか、組み合わせてみたら案外色合いは似てるんだね、という印象。組み合わせの妙、というか。


そんな中で、今回の再演のポイントは「若さ」なんだな、と思いました。
現実世界における実年齢とか、研いくつという学年とかとは関係のない、個性としての若さというべきもの。礼音くんとテルくんの、それは共通点なのかもしれません……あくまでも個性として、存在としての「若さ」あるいは「青さ」ですから。必ずしも技術的な未熟さとイコールでもないと思います。
いやあの、お二人に技術的な未熟さがないと言ってるわけでもないんですが(アセアセ)。



そう思ったのは何故か、というと。
「若さ」っていうのは、つまり「未来がある」ってことなので、ストレートにラストが納得できたんですよね。
分かれ道を歩きだす三人の前にあるのは、まったき「未来」なのだ、と。
萩尾望都の「11人いる!」のラストシーンのように。

この作品、初演はわたるさんのサヨナラ公演。つまり、本来は「旅の終わり」の話でした。未来は世界(=宝塚)の外にあったわけです。
旅を綺麗に終わらせることが重要で、その後の道は、とにかく歩いてみなくちゃわからないわよ、的な。

でも、今回は、正しい(自分が選んだ)途をもう一度歩きだすために、すべての想いに決着をつける。……そういう話だったのか、と思ったのでした。


そのへんの印象の違いは、「若さ」もそうなんですけど、テルくんのアンソニーがすごく優しかったのもポイントかもしれません。
トウコさんのアンソニーは、もっとフレッドとバーバラの間に入ろうとしていたイメージがあったのですが、テルくんは口ではいろいろ言いますけど、全然そんな気が感じられない(^ ^)。バーバラに興味がないわけではないと思うんですよ。でも、フレッドの邪魔はしない。フレッドが踏み出せない一歩(小切手)はとっとと蹴り飛ばすけど、それ以外のことは手も口もはさまない。
テルくんは、こういうシレッとしたツンデレをやらせたら天下一品なんじゃないかと思う。基本スタンスが傍観者なんだと思うんですよ。傍観者的な優しさ、当事者じゃないからこそ見える世界、そんな感じ。第三者の目線で、面白そうなところだけ突いてる。でも、優しいから結局は巻き込まれて、事件解決に一肌脱いじゃったりするんですけど(^ ^)。

初演が、わたるさんの「やさしさ」とトウコさんの「突っ込み」そしてとなみちゃんの「一途さ」だとしたら。
再演は、ちえちゃんの「若さ」とテルくんの「優しさ」、そして、ねねちゃんの「頑固」……かな。

とにかく!ねねちゃんの青臭い頑なさは、これまた一つの個性だな、と思いました。
いやはや、本当に可愛い。そして、口先だけの台詞と心の中のギャップをちゃんと表現する芝居は、さすが正塚作品のヒロインを歴任しているだけあるなあ、と感心。「マジシャンの憂鬱」「ブエノスアイレスの風に」そしてこの「愛するには短すぎる」。宛書きのヒロインこそ無いけど、今の在団者の中ではぴか一のキャリアなのではないでしょうか。


この作品は近年の大劇場作品には珍しいほどトリオが濃密に絡むので、この三人が嵌っているだけでも十分に見ごたえがありました(はぁと)。




他のメンバーも、それぞれに良かったです♪

初演と同じ役なのは、正塚さんのインスピレーションの女神(?)未沙のえるさんと、組長・副組長……だけ、かな?
あとは全部入れ替わっていたような。
すずみん(涼紫央)のお金持ちぼんぼんがどいちゃん(鶴美舞夕)、礼音くんが演じたフランクをともみん(夢乃聖夏)。
どいちゃんは……あれ?すずみんの出番ってこんなものだっけ?と思いました。ワンシーンくらい削られているのかなあ。
見せ場である船室のドアの前でのドリーとのやり取りが、なんか情けなさを増してとっても可愛かったです♪
ともみんは、他のことはともかくとして、ねねちゃんとのダンスシーンが格好良かった!!芝居は頑張ってたなーという感じでしたが、歌が良くなってたのに吃驚しました(@ @)。バウ効果ですよね、きっと。「愛と青春の旅立ち」では気がつかなかったけど……ソロ歌ってましたっけ?なんか手に汗握る気満々だったんですが、全然問題なかったです(^ ^)。

あとは、しいちゃん(立樹遥)の演じていた船長が十碧れいやさん、和涼華さんのデイヴが麻央侑希さん、という若手に回っていたのが印象的でした。若手といえば、ウメちゃん(陽月華)が演じていたナンシーとドリーも、まとめて早乙女わかばちゃんがやっていたなあ。
十碧さんは、スタイル抜群で制服がものすごーく良く似合っていました♪笑顔が明るくて魅力的で、良い子だなあ、と。ただ、可愛すぎちゃって「船長」という貫録が皆無だったのと、声が不安定で、芝居はまだまだ……と思ってしまいました。
まあ、初演のしいちゃんも巧い人ではないので、比べてどうこうというのは無いのですが(汗)。

デイブは……いやー、あの役って、初演もすっごく思ったんですけど、本来はめちゃめちゃ美味しい、良い役だと思うんですよ(涙)男役の懐の大きさと切なさ、クレバーな優しさ。上演当時、この作品をもし月組でやるとしたら、祐飛さんにやってほしい役はデイヴだなーと思った記憶があります。祐飛さんのデイヴと城咲あいちゃんのドリー!って。
そのくらい良い役なのに、どーして正塚さんは、初演に続きこういうキャスティングをするんでしょうねぇ……(すみません/溜息)。

早乙女わかばちゃんは、可も無く不可もなく……という感じ。ウメちゃんは二役ともすごく印象的だったのですが、やっぱり場面が減ってるのでしょうか。スタイルが良くて、衣装がよく似合ってたなー。肩幅がないと着こなせない衣装なので、わかばちゃんで良かったな、と。あ、でも、もう少し腰に詰め物をした方がバランスがいいかもしれません。ウメちゃんくらいスレンダーだと、それはそれでOKという気がしましたが、胸に詰めるなら(←自前でも)腰にも詰めましょう!(^ ^)



ちーくん(美稀千種)と毬乃ゆいさんのカラマンディス夫妻は、なんか記憶よりもあっさりだったようなー(←多分気のせい)
キャサリン(組長の愛人)は、初演は誰がやってたっけ。……今回は花愛さんでしたが、水商売らしさが良く出てて、良かったと思います。礼音くんにしなだれかかるあたりの色気の無さが面白かった(^ ^)。

ダンサーチームはみんな良かった!結構さりげなく難しい振りをしてますよね(^ ^)。(妃咲)せあらちゃんとキトリちゃん(稀鳥まりや)の並びがめちゃめちゃ可愛くて、きゃいきゃいとガールズトークしている姿が目に浮かびました(^ ^)。
みっきぃさん(天寿光希)は下手が多かったかな?ダンスもキビキビ踊ってたけど、合間合間の小芝居が好きだ。星組は娘役さんがあんまり判らなくて残念。
マイケル(大輝真琴)は、みっきぃさんと対な感じの立ち位置が多かったような。二人とも金髪なので、一瞬どっちだ!?とまごつくことが何度かありました(^ ^)。体型がだいぶ違うので、落ち着いて観ればわかるはずなんだけど。あ、でも、最近みっきぃさんは本当に痩せたので、昔ほどの差ではないのかも……?まー、お二人とも水兵服が似合いすぎでクラクラしたわよっ!!



それにしても、小林公平氏の「原案」ってのは、どこまで書きこまれたものだったんでしょうね。
コインブラ物語」のお見事な失敗ぶりを見ると、「大西洋を渡る船で再会し、恋に落ちる幼馴染二人。船が目的地に着いて、それぞれの歩むべき道を歩き出す」程度の、ごくごくシンプルなプロットのみだったんじゃないか、と思ったりするんですが。
メインのストーリーは、ありきたりの「旅先の恋」なんですよねー。それをいかにさりげなく、そして嫌味のない説得力をもって気持ちを動かしていくか?難しいのはそこだと思うんですよ。それを、、非常にさりげない日常的な台詞の積み重ねで最後の夜まで盛り上げて行った正塚さんの手腕は大したものだと思います(*^ ^*)。

でも、いくらなんでもそれだけでは1時間半も持たないので、軽い事件を起こす必要がある。さて、どんな事件を……?そのあたりは全部正塚さんに丸投げだったのか、それとも公平氏の中にある程度の構想があったのか、そのへんはどうなんでしょうねえ……。





初見の感想は、そんなところでしょうか。

ショーは「ル・ポワゾン」。
こちらも、さすが名作の誉れ高いショー♪ 主題歌は聞いたことがあっても、観るのは初めてでしたが、とてもよかった……と思います。
が。ちょっと個人的に非常にショッキングなことがありまして、頭の中が真っ白になってしまったので、今日のところはパスさせていただきます。
すみません。

どうぞ明日は、なにごともなく幕があがりますように……。
この願いが叶うなら、むこう一年ことだましません(誓)。

だから、一年分のことだま、ってことで、

……どうぞ、かみさま(祈)