シアタークリエにて、「スーザンを探して」を観劇してまいりました。

……だいぶ前、ですが。カラマーゾフと同じ頃ですから(汗)。
私が観たときの「スーザン」役は、真琴つばささん。
今はもう香寿たつきさんに替わられてしまいました。タータンさんのスーザンも観たいと思っているんですけど、予想外に二月は忙しくて、ちょっと無理かも(T T)。




さて。
パンクロックバンド「ブロンディ」の音楽を使った、いわゆる「ジュークボックス・ミュージカル」。2007年ロンドン初演。当時もウェスト・エンドミュージカルとしてそれなりに話題になっていましたが、こんなに早く、ブロードウェイより先に日本公演が行われるような作品だとは思いませんでした。

私はあまり(というか全然)ロックに詳しくないのでデボラ・ハリーの名前くらいしか知らなくて、曲は一つも知らなかったのですが(T T)、、、無知すぎ?
「ジュークボックス・ミュージカル」隆盛のはしりというべき「マンマ・ミーア」のABBAは知っていたんだけどなぁ……。「マンマ・ミーア」や「Movin’ OUT」(ビリー・ジョエル)を観て超感動し、「We Will Rock You」(クイーン)、「Our House」(マッドネス)あたりを観て、“………(T T;)”と思った私。やっぱり、「ジュークボックス・ミュージカル」は、元歌を知っているかどうかで感動が全然違う!と思っています。

まぁ、「マンマ・ミーア」はストーリー自体もよく出来ていたので、もしかしたらABBAの元歌なんて知らなくても感動したかもしれないな、と思いましたけれども。




で、話を戻しまして、「スーザンを探して」。
ストーリーの原案は、1985年の映画「マドンナのスーザンを探して」。猫は、こちらも全く知りませんでしたが…(^ ^;ゞ
オリジナル台本はウェストエンドの俳優、ピーター・マイケル・マリーノ。翻訳・演出はG2。
…なんだか最近G2づいてるなあ、私。

ストーリーは結構複雑で波乱万丈。
ブロンディの音楽を知らないので、作品の本質的な評価はできませんけれども、ラストのロバータの結論にはすごくうなずけるものがありました。説得力のある作品になっていたと思います。
スーザン側の登場人物の心理はかなりぶっ飛んでいてリアルじゃないんですが、ロバータ側の人物が皆ものすごく地に足がついている感じで、その落差も面白かったです。
良く出来た作品だな、と。原案になっている映画も、どこかのビデオ屋にあったらちょっと観てみたいなーと思いました。





ヒロイン・ロバータは保坂知寿。

幻のような女・“スーザン”に憧れる、抑圧された主婦。難しい役をよくこなしていました。スタイル抜群で立っているだけで華やかな人ですが、尊大な夫に支配される無気力な主婦の寂しさをよく出していたと思います。
劇団四季を退団して、二作目。次も大作が待っているし、これからも活躍が楽しみです♪



そして、相方(?)のスーザンは、OGの真琴つばさ。

私は本当にマミさんの大ファンだったのですけれども、現役当時も卒業後になっても、歌が巧いと思ったことが一度も無い(T T)。いや、声は好きなんですよ。だからファンになったわけで。
でも、こういう本格的なロックが歌えるような人だとはあまり……。
でもでも。
マミさんのスーザン、よかったです。蓮っ葉で、奔放で、気紛れで、自堕落で、いつだってその場しのぎで生きてきた女、しかも決して若くはない、、、というのがピンとくる。嵌り役でした。ああいうバランス感覚とセンスは、天性のものなんでしょうね。
タータンさんの歌も聴いてみたかったですが、とりあえずマミさんのスーザンが観れて幸せでした。


ただ。
この話、奔放な幻の女・スーザンに憧れる平凡な主婦・ロバータが、ひょんなことからスーザンの上衣を手にいれて、それを着て歩いていたらスーザンに間違われて……というのがドラマのきっかけになっているのですが。
…マミさんと知寿さん、肩幅が違いすぎて、同じ服を着ていても同一人物には見えない…というか、そもそも模様と背中の面積の比率が全く違うので、同じ服にも見えないんですけど。どうしたら。



スーザンの恋人・ジェイは、吉野圭吾。

まー文句なくせくしーでカッコよかったです!割としようもない役なんですけど(苦笑)、吉野君の魅力は満開でしたね。
……それにしても、マミさん若いなあ。ちゃんと、吉野くんと同い年くらいには見えたよ…?



ジェイの友人・デズは、加藤久仁彦。

いやー、素敵でした。「狩人」のお兄さんですよね。
舞台は馴れてない感じが漂ってはいますけれども、ちょっと気弱で、優しくて、優柔で、柔らかくて、でも頑固。っていうキャラクターにはぴったりはまってました。
そして、なんといっても、良い声だったなーーーーっ!



ロバータの義妹・レスリーは、杜けあき。

急遽の休演となった大浦みずきさんの代役として舞台に立ったはず…なのですが。
全然まったく違和感なく、っていうか、この役をなんのためにナツメさんがやる予定だったのかよくわかりませんでした(汗)。ダンスもないし、すごい普通の主婦の役でしたよ?
G2さんが、この役をわざわざ大浦さんにあててどんな演出をしようとしていたのか、ちょっと観てみたかったなーと思います。

でも、この“普通”さが結構難しい。そういう役でした。杜さん、適役だったと思います!
ちょっと仇っぽい、髪は隙なく結い上げて、ちょっとセクシーな香水をつけているような…絶妙なアンバランスさがとても魅力的でした。
こういうキャラクター芝居がきっちりできるところが、芝居のできる人の強みですねぇ。久しぶりの杜さんでしたが、やっぱりこの人の芝居は温かくて素敵です。



ロバータの夫・ゲリーは、山路和弘

この人の、なんというか“悪意の見える薄っぺらさ”みたいな芝居は怖いんですよね。けっこう、外面の尊大さに比べて情けない役だと思うんですけど、さすがに良い味出してました。
ラストの態度もポイント高いです。ホントにかっこいいなあ、この人は(*^ ^*)。





いかにも“薀蓄を語りたい人”がいっぱいいそうな作品らしく、プログラムは充実していてなかなか面白かったです。作品の舞台となった「1979年」という時代について語る対談が一番面白かった。読み応えありましたよ♪

で。
観終わった帰り道、プログラムを読んでいたら「マジック指導・駒田一」と書いてあって、すっごいウケてしまった!!!……なのに、どの場面にマジックがあったのか、思い出せない……(T T)