シアタークリエにて、ミュージカル「Duet」を観劇してまいりました。


元・劇団季の看板女優・保坂知寿の、退団後第一作、しかも石井一孝さんとの初共演!!ってことで話題を集めた作品。

ものすごく楽しかったです。はい。
まだ遅くない!ご興味のあったみなさま、明日にでもぜひクリエにGO!!(^ ^)v



脚本は、「おかしな二人」のニール・サイモン。
キャロル・ベイヤー・セイガーが詞をつけて、マービン・ハムリッシュ(コーラスライン)が作曲した佳作。



有名作曲家ヴァーノン(石井一孝)の元に、売れない作詞家(ヒット曲はたった一曲)のソニア(保坂知寿)が訪ねてくる。
エージェントに言われて、『良い仕事』をするために。



演出(と上演台本)は、最近私の中でブームになっている鈴木勝秀。

本当に良く出来た作品だったのですが、一番印象的だったのは、装置でした。(美術:松井るみ)
舞台いっぱいいっぱいに、(溢れんばかりに)大きな白いピアノのセットが一つ。“舞台装置”と言えるものは、これ一つ。

蓋があくと、中に部屋のセット。盆が回って、反対側に椅子を並べるとレストラン。尻尾の丸みの在る部分にライトをつけて自動車に。鍵盤側ではヴァーノンが作曲しているし、若干ですがソニアのダンスシーンもあったりする。
一つの装置が、盆の上でくるくる回りながら全ての場面のセットの元になることで、小さな舞台が大きく使えて、転換もスムーズ。スピード感があって巧い演出だなあ、と感心しました。
見立てが巧いのもスズカツ演出の特徴の一つですが、ホントしみじみと面白いこと考えてくれますよねぇ(*^ ^*)。

 

メインで芝居をするのは二人だけですが、作品としては男三人、女三人のコーラスメンバーがいます。
(あたしの中のソニアたち、あなたの中のヴァーノンたち)

GIRLS:久保田陽子、白神直子、中山眞美
BOYS:大嶋吾郎、KOHJIRO、結樺健
※私が観たときはこのメンバーでしたが、今は結樺健さんが体調不良で降板されていて、足立夏海さんが出演されているそうです。

スタジオを中心に活躍されている久保田陽子さん・大嶋吾郎さんは初めてでしたが、白神直子さんは何度か舞台で拝見しているはず。中山眞美ちゃんはGODSPELLのメインメンバーでしたね。(そういえば、GODSPELL最近上演していないような気が…。またやってください!> 青井陽治サマ)

KOHJIROさんと結樺(ゆから)健さんはRENT初演メンバー。(健さんはGODSPELL等、他にも何本か舞台に出ていますが)。っていか、まさかこんなところで伝説の(?)初演エンジェルとお会いでききるとは……。物凄くびっくりしました!相変わらずキレイな人だなあ(*^ ^*)。舞台復帰されていたんなら、今度のRENT再演も出てほしかったよー(オーディションは受けてくださったのかしら/涙)



そして。

純粋に実力で選ばれたシンガーたち(スズカツさんの人脈の広さには驚かされます)を従えて歌い踊る、日本ミュージカル界の誇るスター二人の、その圧倒的な存在感と芝居、そして実力と輝ける魅力。

ただもう、その輝きにうっとりと見惚れて、浸りきって、
良く出来た「ウェルメイド」な物語を愉しんで。




細かいことにうるさくて、あれこれと考えすぎなヴァーノン。
売れっ子作曲家だけど、その「幸運」がいつまで続くか不安で、心を支えきれずにカウンセラーに頼りながら。
それでも、心の泉から湧き出る“うつくしいもの”に容を与えるために必死で。しがみつくように曲を創って。

なけなしの「売れっ子」としてのプライドをソニアにコテンパンにヤられながら、それでもソニアを愛し、彼女を求めて、待ち続ける懐の大きさ。
石井さんの大きさ、情熱、そしてヴァルジャンを経て身についた包容力。
素の石井さんは、むしろソニアっぽいというか(笑)、語り始めると止まらないし、時間にてきとーで情熱の赴くままに本能で生きてるっぽいところがあるんですけれども、、、実際に作曲をなさっていらっしゃるだけに、創造にかける情熱やその苦しみを、とても良く知っている人なんだと思います。

自分を捨てて、格好悪い“莫迦で可愛い男”に成りきることができる、その思い切りの良さも素敵。歌唱力や芝居の巧さを語る以前に、「ヴァーノン」になれる素質っていうのは役者として大切な要素なんですよね。こういう役を演じるには技術も必要だけど、まず本人に魅力がないと、ただの“格好悪い男”になってしまうから。

…他に、この役をやれそうなスター俳優って思いつかないくらい、石井さんはハマり役でした。



そして、ソニア。

知寿さんの素晴らしささ、というのは、私が観始めてからだけでも
「永遠の処女テッサ」タイトルロールや水の妖精オンディーヌの透明感、
「李香蘭」川島芳子のシャープな格好良さ、
「クレイジー フォー ユー」ポリーの切なくて可憐な可愛らしさ、
「アスペクツ オブ ラヴ」ローズの愚かしい我侭さと美しさ、
そして何より、大評判を取った「マンマ・ミーア」ドナの、あの圧倒的な存在感と包容力……

こうして書き出してみると、役柄の幅の広さと華やかさには本当に驚かされるのですが。


スタイルが最高に良くて、歌えて踊れて芝居ができて華やかで。
知寿さんの魅力を語り始めたら絶対に5000文字突破してしまうんで自粛しますが、彼女の魅力が客席の一つ一つを直撃して観客を強制的に幸せにしてしまった、みたいな、そんな感動がありました。
なんなんでしょうね、あの逃れようのない魅力は。

あれが“華”とか“オーラ”とかいうものなのでしょうか…。



ストーリーをネタバレしないで語るのは結構難しいので、とりあえず割愛します。
とにかく、「売れっ子作曲家」と「売れない作詞家」が、互いを探りあい、共鳴しあいながら「新しい歌」をクリエートしていく、その過程が秀逸でした。

お互いに、相手の行動が想像を絶する奇矯な行動、としか思えなくて、どうしても理解しあえない二人。
それでも、お互いがクリエートする音楽と詞に惚れこんで、ぶつかりあいつつも仕事自体は実にスムーズに進む。

それが恋に変わり、さらに愛に落ち着くまでには、まだまだいろんなハードルがあって、ゴールはまるっきり見えないのだけれど。



良くある、「障害はたくさんあったけれども、二人で乗り越えられてよかったね」という“ウェルメイド”ではないところが、とても好きです。
いい作品だなあ、としみじみと思います。本当に面白かった!!


そして、もし万が一、この作品を宝塚で上演することになったならば、

……水&あすかでどうでしょうかねぇ。
(←それコンビじゃないし無理だから!)
(あ、でも、なんか水&となみも意外と似合うかも、という気がしてきた…)

OGまぜてもよければ、絶対絶対!!樹里&あすかなんですけどねっ!!
あるいは、コンビになる可能性が0じゃない二人で考えるなら、きりやん&たっちんとか案外嵌るかも?

なーんて、いろいろ妄想してみたくなるほど、楽しかったです(*~ ~*)v
あああ、花組と被ってさえいなければ、絶対もう一回観たのになぁ………(T T)。