年度替りで怒涛の一週間が終わり、死んでいます。いやー、キツかった。
昨日は完徹で朝帰り。もう若くないので徹夜は厳しい(T T)。
でもまぁ、なんとか一山超えまして、来週は少しは人間らしく……無理かな(泣)



そんなわけで、今日は9時に寝て4時に起きました。……あれっ!?もう薄暗いよっ!?
ああ、17時開演のさいたま「ムサシ」のチケットを、昨日のうちに埼玉県民に押し付けたのは正解でした…。でもいつ行けるんだろう。しょぼん。




何が何でも今日は花見に行かなくては!!とゆう使命感に燃えていたので、とりあえず適当に着替えて外出。遠出できるような時間でも体調でもなかったので、近所の川沿いを3キロ歩いて満足しました(^ ^)v
3分咲くらいの頃に降ったきり、寒は戻ったけど雨が降ることなく4月を迎え、ほぼ満開で土日。しかもその週末がからっと晴れて青空が見える、なんて、何年ぶりの快挙でしょうか(^ ^)。ああ、幸せだ。
今夜は雨と予報で言ってたけど、まだ降っていないですよね?明日までこの天気が保ってくれればなあ……。

いやー、満開の桜の美しいこと。桜色の雲が薄蒼い空に溶けるように馴染んで、白い光を発しているかのようです。川に向かって枝を伸ばす、樹齢の揃ったソメイヨシノは、ここ数年美しさを増して、女盛りの柔らかさ。
ところどころにひっそりと混ざるオオシマザクラ(?)の白い花と薄緑の葉っぱのコントラストが目に優しい。桜色のぽわぽわとした雲とは樹形が違うので、そこだけぽっかりと異空間。雲の上を舞う、白い服を着た天人みたいだなー。

街中の桜並木なので背景が無粋なのが残念ですが、本当にいい樹が並んでいるので幸せです♪
近所の有名な公園の桜はそろそろ“枯れた味わい”になりつつあるので、ここもあと何年…と想いながらも、一番綺麗なときを満喫しておきたいな、と思います☆




普段はそれなりに季節ごとにいろんな花が咲いている遊歩道なのに、この季節だけは本当に桜しか植わっていないみたいで。桜吹雪はやっぱり異界に通じる門だよなあ、なーんてことを考えながら歩いていたのですが。

……桜の季節って、やっぱり人は狂うものなのでしょうか。

何が驚いたって、私が花見をしたのは、川沿いの普通の遊歩道なんですよ。なのに、そこかしこに敷物敷いて酒盛りしているグループが……。テーブルと椅子(とターフ)まで持ち込んで、どこかのバーベキュー広場と勘違いしているグループまでいるし。

ここって公道だよね?そういうことしていい場なのか……?いや、いけないとは書いてないけどさ。普通はしないだろうに。
っていうか、毎年必ず歩くけど、あんな光景初めてですよ。…土日の夕方だから?さすがに、泥酔して通りすがりの女の子に絡むような頭のおかしな人はいませんでしたが、何かあってからじゃ遅いし、取り締まった方がいいと思うんだけどなあ。



異界に通じる門の前に茣蓙を広げて、酒を呑んでる異形のものたち。
……門から出てきた化けものに喰われてしまえっ!!と思ったことは内緒です(^ ^;ゞ




天王洲アイルの銀河劇場にて、ミュージカル「回転木馬」を観劇してまいりました。



日本初演は、1969年の宝塚雪組。1993年にブロードウェイでリバイバルされ、トニー賞を獲ったのをきっかけに東宝で上演(1995年帝国劇場)。
その昔、某作品について「宝塚で上演されても日本初演には数えられない(だから自分のところが日本初演だ)」などと失礼なことをヌかした某劇団関係者がいましたが、実際雪組さんの「回転木馬」はどういう構成だったんでしょうかね…?
そのままでは、あまり宝塚らしい世界観の作品ではないと思うのですが。

ロジャース&ハマースタインIIの名曲が詰まった作品。音楽は大好きでCDは何度も聴いているのですが、正直、帝劇公演はあまりぴんとこなくて(汗)、今回の上演も「…まぁ、一回くらい観ておくか…」くらいの気持ちで出かけたのですが。


……まんまと泣いてしまいました(^ ^; 涙腺弱すぎ>自分。




嫌な話だと思うんですよね。
物語の始まりは、「カルメン」に似てるなぁと思います。ミセス・マリン(風花舞)にクビを言い渡され、自棄になったビリー(浦井健治)と、雇い主のバスコム氏に「寮母さんに言い訳してあげるから、一緒においで」と言われても、たった今、自分のために仕事を喪ったばかりの男の傍から離れられないジュリー(笹本玲奈)が、リーリャス・パスティアの酒場で帰隊ラッパを聴いたホセにかぶる。

恋に落ちたばっかりに、仕事もプライドも喪った男。
彼は、自分が愛する女を守れない、食わせてやれない無一文であることに深く傷つき、しまいには自分を惹きつけた女に仕事が見つからないヤツアタリをするようになる。


でも。
「愛する女を殴るなんて!」と責める人々に、「たった一度だ!」と叫ばずにいられない彼の若さ、いえ、幼さがいとおしいんですよ。その不器用さ、いじらしくさえあるその幼さが、彼の魅力で、ジュリーもミセス・マリンも、それゆえに彼を諦められないのだと納得できてしまう。
だから、こんな悲惨な、救いのない物語なのに、ラストに何かが昇華されてしまうのでしょう……。




そしてジュリーが、ただの純粋な少女じゃなく、ちゃんと“女”だったのが凄く良かったです。
母性の塊のような、不器用でやんちゃな子供みたいなビリーを愛し、包んであげられるだけの器もった大人の女性。
ぱっと見の美人さ、顔立ちの華やかさは、キャリーのはいだしょうこ(千琴ひめか)の方が上なのに、玲奈ちゃんのたたずまいにはしっとりと落ち着いた柔らかさがあって、いかにも“永遠の少年”が恋をしそうな女性に見えました。
ビリーの持つ少年性と、ジュリーのもつ母性が惹き合った結果が、あの恋だったのだ、と。



玲奈ちゃんって、ただの可愛い少女もできるけど、年齢の割にしっかりした大人の女性が似合う人なんだなあ、とあらためて感嘆しました。「白衣の女」のヒロインも良かったもんね。
顔立ちは幼いのに、背が高くて(安奈淳さんより大きかったのに驚き!)スタイルが良いのでこの時代のドレスがよく似合います。特に、髪をアップにすると途端に大人びて美人になって、二幕後半の艶やかさは半端じゃなかった。

男と恋をしている真っ最中よりも、彼を喪って思い出に生きているときの方が美しい、そんなひと。



ラスト前に、天から戻ってきたビリーが見守る中、ベンチに放置された“星”を拾い上げて、呆然と座り込む場面の二人に泣かされてしまったことは、……別に内緒にはしてません(^ ^;ゞ






演出はロバート・マックィーン。
舞台の上半分に「天上」のセット(煌く星が飾られたオルゴールメリーみたいな……)。
その回りには回廊があって、「星の番人」(安原義人)と天使(西本健太郎/岡亮)がいる。地上を見守る存在、いわゆる「常に見ている存在」が具体的に居るんですね。

ビリーも、そういう存在を意識していたら、悪いことなんて出来なかったろうに、と思いながら。


「星の番人」たちは2幕でビリーが死ぬまで台詞はありません。たしか、帝劇版では前半は全く登場せず、最後になって突然出てきたんで「誰あんたたち」って思った……ような気がする(違うかも)。
今回は、オープニングでまず紗幕の向こうにきらめく星と番人たちをうっすらと見せる、という手法で“見守っている存在”を象徴的に表現していましたのが、メッセージとして解り易くて良かったです。

帝劇版で印象的に使われていた大きな回転木馬のセットみたいなものは最後まで登場せず、天上の星の下、人間界には大きなセットは登場せず、以前は「スフィア」と呼ばれていた円形の舞台を、円いままに使ったシンプルな舞台でした。



ちなみに、演奏も生オケ。天上のセットの奥にオケを入れて、プロローグの間は客席にも見せておき、そこだけ幕を降ろして本編が始まる、という見せ方がプロでした。
…一幕終わってふと振り向いたら、役者に指揮者が見えるよう設置された結構大きなスクリーンに、指揮の塩田明弘さんが大写しになっていたので笑ってしまいました(^ ^)。客席のど真ん中に、あんなに大きなスクリーンを置いて使う劇場も珍しい(笑)。




演出的に印象的だったのは、オープニング。一言の台詞もないけど、立派に芝居のシーンになっていたので。
オープニングの音楽が流れ、工場の男たち・女たちが踊りだし、舞台面が華やいだところで、遊園地のメンバーが登場。アクロバティックな踊りを披露するダンサー(中川賢、三木雄馬)たちが凄かった!他にも手品をしてる人とか、いろいろ。うわーかっこいいーーーーっ♪と思っていると、白いカウボーイ服で登場するビリー。チケット売り場(?)に座る経営者のミセス・マリンの手にキスをして、さて、と客引きを開始する。

きゃあきゃあ騒ぐ女の子たち。
その中でも、ひときわ熱っぽい目で彼を見つめるジュリーに、ちょっかいをかけるピエロ(?)。嫌がるジュリーを見て、そいつを殴り倒し、ジュリーの手をとって誘うビリー。
チケット売り場から出て、二人を引き離そうとするミセス・マリン。
明るく軽やかなカルーセル・ワルツに乗って、その後の悲劇につながる全ての種が蒔かれていく。



ミセス・マリンに嫌味を言われて(?)、駆け去るジュリー。追いかけるキャリーと、そして、ビリー。
音楽は鳴りつづける。回転木馬は回り続ける。ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、と…。





この場面に限ったことではないのですが。
セットに頼らず、役者一人ひとりの感情の持っていき方をきちんと指導してこそ、初めてこういう難しい作品が成立するんだなあ、と、感心しました。
帝劇公演をご覧になって、「音楽は良いんだけど、うーん…」と思われた方は、ぜひご覧になってみてくださいませ(^ ^)。






それでは、キャストについて。

ビリーとジュリーについてはだいたい書いた…かな?
ビリーは、移動遊園地の回転木馬の客引き。
ジュリーは土地(アメリカ北東部の海辺の町)の娘。バスコム氏の紡績工場で働いている、おとなしいけれども芯の強い娘。
どちらも本当に当たり役でした。玲奈ちゃんはその包容力(母性)が、浦井くんはとにかくその後ろ向きな意地っ張り加減と精神的な脆さが、物語を動かす原動力になっていたと思います。
彼らでなかったら、この悲惨なストーリーにこんなふうに共感することは出来なかったと思う。
ありがとう(*^ ^*)。




ミセス・マリン(風花舞)は、回転木馬の所有者で、ビリーの雇い主。
ビリーへの執着は半端ないんですけど(ビリーが女の子とイチャついたくらいでクビにしちゃうくらいだから)、実際この二人は寝てた仲なのかなぁ…?などとちょっと下世話な興味を抱いてしまいました。
美しい、まだまだ女ざかりの色っぽい女。ミセスと名乗りながら旦那がいる気配がないってことは、死に別れたのか逃げられたのか?しっとりとした“大人の女”の色気と、ねつい口調の怖ろしさがとても良かったです。
優子姫って、いつの間にこんなに怖い女が演じられる女優になっていたんだろうか、と。

散々やりあった挙句、死んだビリーにそっとキスをする、その、愛。彼女なりに真剣な恋だったのだ、と、そう思わせて。
固唾を呑んで見守る連中(=観客)に、乱れたショールを巻きなおして対峙し、背筋をピンと伸ばして舞台の奥へ消えていく後姿。赤いショールに包まれた、その、虚勢を張った細い背中に、
……ああ、「ウェストサイド物語」のマリアがここに、と。




キャリー(はいだしょうこ)は、ジュリーの友達。
口調の可愛らしさと罪の無さ。本当に“小鳥のよう”な存在感で、実に実に素晴らしかった!(*^ ^*)。
二幕のジガーとのひと幕にも全く罪はなく、“人間界の善悪”に染まったスノウが、とても惨めに見えたほど。
普段からあんな喋り方なんでしょうかねぇ…。いやー、本当に可愛かった!!

スノウ(坂元健児)は、生真面目な漁師で、キャリーの恋人。
この役は、帝劇で演じた林アキラさんの印象が強すぎて最初は違和感あったのですが。キャリーとデレデレ恋を語っているばかりではない、生真面目な堅物、自分の理想にこだわりすぎてありのままのキャリーを全然見ていない器の小ささは、サカケンの方が合っていたような気がします。とにかくアキラさんは優しすぎ・器がゆるすぎて、二幕のジガーとじゃれているキャリーに対する怒りさえ“な、何を言い出すの?”という感じだったので。

突然怒り出す(いや、怒るのが当然なんですけどね!)スノウに吃驚して、しょぼんと背中を丸めるキャリーが可愛くて可愛くて、たまりませんでした。いやー、本当に天然だ…(っていうか、気づきなさい)




ジガー(川崎麻世)は、いわゆる「悪漢」。
ジュリーと結婚したものの、稼ぎも無くイラついているビリーにまとわりつく“前科モノ”。ビリーを唆して強盗をしようとするけれども、一度は断られ、それでも彼の傍を離れない。

これまた帝劇で演じていた市村正親さんの印象が強いのですが、川崎さんはまた全然違っていましたね市村さんは結構観客を笑わせながらいろいろやっていたんですが、川崎さんはひたすら“怖”かった。
ハンサムなのは当たり前ですが、ああやって無精ひげに髪ぼさぼさでも、それだけで男前度が下がるものではないんですね。苦みばしったいい男っぷりで、スノウが咄嗟に嫉妬するのもよくわかる、と思いました。

この男前なハンサムが、執拗にビリーを誘う。
その、ゆがんだ愛情が怖かった。むしろ恋なんじゃないかと思うほど、ビリーの家庭生活を心配するような素振りで、実際には二人の間に溝を作っているのは他ならぬジガーなわけで。
ビリーは気づいていないけど、ジガーには当然わかっているはず。

それでも、ジガーはビリーを諦めない。ビリーの青さ、脆さ、弱さ……ちょっと突けば掌に落ちてくるはずの青年が、なかなか堕ちてこないことに苛つきながら、それでも周到に網を張って待っている。まるで、蜘蛛のように。
そういう周到さ、執念にも似たビリーへ向かう想いのようなものは、帝劇版では感じなかったと思います。

演出なのか役者の個性なのかわかりませんが、川崎麻世さんの当たり役って、私の中ではずっとジャベールだったんですが、今回のジガーはジャベールを越えたなあ、と。それが、彼に関する感想のすべてかも。




ジュリーとビリーの娘・ルイーズ(玉城晴香)と、彼女と踊るカーニバルボーイ(西島千博)。
西島さんのバレエはさすがでした(*^ ^*)。時間は短いけど、彼のダンスを観るだけでも元がとれるかも、と一瞬思ったくらい凄かった!
ルイーズの玉城さんも素晴らしかったけど、残念ながらスタイルはいまいちだったなあ。同じ場面にカーニバルの女王として登場する優子姫の、惜しげもなくさらされた脚線美をみてしまうと……(^ ^;ゞ。ルイーズ、という清純な乙女の役であの振り付けを踊るには、ちょっと生々しい筋肉質な脚だったのが残念な感じ。
技術的な難しいことはよくわからないので、素人の意見ですけどね。っていうか、単に全盛期の優子姫であのヴァリエーションを観てみたいなあ、と思っているだけですが。

カーニバルボーイは本当にそこしか出ないのですが、ルイーズは結構しっかりと芝居がありまして、割と良かったと思います。気の強い、でも子供っぽいところが表に出ていて、一途で可愛かった♪
スノウ・ジュニア(俵和也)のぼけーっとしたぼんぼんぶりとも良い対比で、可愛いカップルだな、と思いました。

…つい今しがたまで、情熱的に踊っていたカーニバルボーイはどうするの?とも思いましたが。
もちろん、最終的に択ぶのはルイーズなんですけど。どうするんでしょうね?実際には。




ドクター・シェルドン(安原義人)は、“星の番人”と同じキャストを使うだけあって、ちょっと哲学的な台詞を述べる役どころ。
ラストのルイーズの卒業式で祝辞を述べる医者、という役なのですが、完全にルイーズに向けて語り聞かせる台詞が、すごくいい。
「父母の成功を忘れなさい。それは父母の成功である」「父母の失敗を忘れなさい…」
…父親がどんな人間でも、娘を愛していたことは間違いのない事実で。

それを否定してはいけない。お前は、愛されてこの世に生まれてきたのだから。



「聴くんだ!ルイーズ、彼の話を!」と脇で囁きながら。
その言葉を、自分で娘に言ってやれないビリーの悔しさと、そして透明な諦念。
もういいんだ、と。
自分がいなくても、この言葉を彼女に言ってくれる大人がちゃんと居るんだから、と。

ビリーが地上に一日だけ戻る権利があるのは、それだけ彼が地上で嘘をついていたから。
彼は一度も本当のことを言わなかった。
ジュリーに、愛している、という一言を。
ルイーズに、愛している、という一言を。
だから、その一言が言えなかった彼には、一日だけ戻る権利が与えられる。
その一言を言えなかった自分に気づき、反省させるために。

言えなかった自分に、「次があれば、必ず言うよ…」と言わせるために。


だから。
ビリーが地上に戻るのは、ルイーズを救うためじゃない。
ジュリーを救うためでもない。
ルイーズを、ジュリーを救うのは、地上の人がしてくれるだろう。

ビリーは、自分自身を救わなくてはならない。
自分自身を、掬い上げなくてはならないのだ。深くて暗い、後悔という名の海の底から。

もう一度、光になるために。
それこそが、神の慈悲なのだから。




次回月組大劇場公演「エリザベート」について、詳細の配役と、千秋楽付けでの卒業生が発表になりました。


卒業生は、三人。
82期のかえちゃん(良基天音)。
87期のとーやん(榎登也)。
89期の王様(五十鈴ひかり)。

東宝劇場公演千秋楽(8月9日)をもって、ご卒業。

三人とも、考えてみるまでもなく、名前を見ただけで思い出すことはたくさんあって。
「血と砂」の千秋楽のアルフォンソに泣かされたこととか。
「SPARKII」で散々笑わせてくれた“オークル系の美形”とか。
初めてエーアンの歌を聴いて、慌てて学年を調べてぶったまげた(研2の終わりだった)こととか。

悲しいけど、残念だけど、寂しいけど。
でも、あなたたちが択んだ道を祝福できる自分でありたいから。
だから。

……ありがとう、今まで。そして、8月9日まで、よろしくお願いしますm(_ _)m。
最後まで、舞台を楽しんでくださいますように。




そして、配役。

ある意味、今回の月組エリザベートはそもそもが冗談みたいな話だったので、何があっても驚かないぞ!と思ってはいたのですが。

そうは言っても、やっぱりまんまと驚いてしまいました(汗)。うーん、劇団ずるいなあ。


とりあえず、キャストごとの配役の変遷はわりといろんな方が書いていらっしゃるようなので、ちょっとひねくれて(^ ^)、私は役者ごとに演じた役をまとめてみました☆

#Diarynoteで表組みにするやり方がわからないので、見難くてすみませんm(_ _)m。



        2005本公    2005新公    2009本公    2009新公
瀬奈じゅん   シシィ     -       トート     -
越乃リュウ   ツェップス   -       マックス    -
霧矢大夢    ルキーニ    -       フランツ    -
花瀬みずか   ヘレネ     -       スターレイ   -
一色瑠加    黒天使     -       ツェップス   -
遼河はるひ   -       -       ルド/エル   -
良基天音    市長      -       病院長     -
研ルイス    黒天使     -       グリュンネ   -
桐生園加    (黒天使)   (ルキーニ)  黒天使     -
美鳳あや    女官      ルドヴィカ   ルドヴィカ   -
音姫すなお   美容師     リヒテンシ   家庭教師    -
青樹泉     黒天使     トート     三役      -
天野ほたる   女官      ヘレネ     -       -
城咲あい    黒天使(マ)   ゾフィー    ゾフィー    -
星条海斗    黒天使     エルマー    将軍      -
憧花ゆりの   家庭教師    マダムW    リヒテン    -
妃鳳こころ   -       女官      死刑囚の母   -
龍真咲     黒天使     ルドルフ    ルキーニ    -
麻月れんか   -       黒天使     市長      -
美夢ひまり   -       女官      女官      -
萌花ゆりあ   -       女官      ヘレネ     -
榎登也     -       ヒューブナ   -       -  
綾月せり    侍従      マックス    ラウシャー   -
羽咲まな    侍女      女官      女官      -
光月るう    黒天使     ジュラ     ジュラ     -
夏月都     -       侍女      ヴィン嬢    -
彩央寿音    -       ツェップス   ヒューブナ   -
華央あみり   -       シュヴァル   ケンペン    -
鼓英夏     -       ケンペン    -       -
明日海りお   侍従      子ルドルフ   ルド/シュ   トート
美翔かずき   -       黒天使     -       グリュンネ
沢希理寿    -       黒天使     マダムW    -
五十鈴ひかり  エーアン    -       -       マックス
羽桜しずく   -       -       子ルド     エリザベート
妃乃あんじ   -       姪       -       スターレイ
響れおな    -       黒天使     黒天使     ツェップス
彩星りおん   -       カフェの男   女官      マダム・ヴォルフ
宇月颯     -       黒天使     黒天使     ルイジ・ルキーニ
琴音和葉    -       -       女官      ルドヴィカ
玲実くれあ   -       黒天使     女官      ゾフィー
夏鳳しおり   -       美容師     女官      リヒテンシュタイン
瑞羽奏都    黒天使     -       -       ヒューブナー
海桐望     -       -       -       ケンペン
貴千碧     -       -       黒天使     黒天使
紫門ゆりや   -       -       黒天使     フランツ・ヨーゼフ
白雪さち花   -       -       美容師     家庭教師
麗百愛     -       -       黒天使     黒天使(マデレーネ)
咲希あかね   -       -       -       黒天使
有瀬そう    -       -       -       シュヴァルツェンベルク
華那みかり   -       -       -       女官
蘭乃はな    -       -       黒天使(マ)  ヘレネ
千海華蘭    -       -       -       ルドルフ(少年)
舞乃ゆか    -       -       -       女官
煌月爽矢    -       -       黒天使     ルドルフ
貴澄隼人    -       -       -       黒天使
鳳月杏     -       -       黒天使     エルマー
真愛涼歌    -       -       -       死刑囚の母
風凛水花    -       -       -       女官
愛那結梨    -       -       -       女官
輝城みつる   -       -       エーアン    ラウシャー
花陽みら    -       -       -       美容師
星輝つばさ   -       -       黒天使     シュテファン
真凜カンナ   -       -       -       女官
紗那ゆずは   -       -       -       黒天使
翔我つばき   -       -       -       黒天使
隼海惺     -       -       -       黒天使
天翔りいら   -       -       -       黒天使
珠城りょう   -       -       -       ジュラ
香咲蘭     -       -       -       女官



前回公演と「同役」なのは、黒天使の園加くらい?(園加は花組だからもっと昔ですが)
あとは、新公と同役なのが、「女官」とかを除いて、二人の母親みっぽー(ルドヴィカ)とあいあい(ゾフィー)。
……バイエルン王家の血って、どういう風に流れているんでしょうねぇ。みっぽーの旦那がナホちゃんで、娘がカチャと萌花ゆりあちゃん、姉があいあいで甥がきりやん、とか思うとすごく笑えます。



専科さんの出演が無いので、マックス=ナホちゃん、グリュンネ=研ちゃんは予想どおり。
まいちゃんのツェップスも予想通りといえば予想通りかな。グリュンネと逆かな、とも思っていたのですが。

マギーのシュヴァルツェンベルク将軍は、(たぶん)ぴったり!!でしょうねぇ。思いっきりやっちゃってホシイ(^ ^)。
その周りを囲む「密告者たち」が、きっしーとあちょうさんなのが素晴らしい!!
……ラウシャーのふぁーびーも、「二人の貴公子」のお医者さん役を観ると案外ラウシャーは似合いそうだし、なかなか楽しみな面子ですね♪
雪組さんの重臣ズが、どうみてもハマコさんのハーレムにしか見えなかったのとはうってかわって、重厚な重臣たちで嬉しいです。いや、雪組の美形軍団も大好きでしたけど(^ ^;ゞ。



今回、私の予想(というか希望)はほとんど当たらなかったんですよねぇ(↓)。当たったのは新公フランツのゆりやんとルキーニの宇月くらい。
特に女性陣が丸っと外れました。中でもあーちゃんのスターレイは意外。ほたるの役名無しも意外。
すずなのリヒテンシュタインは納得かな。ゆりあちゃんのヘレネは意外だったけど納得。
こころの死刑囚の母は……歌唱力と芝居と両方を持っていないとウザいだけの役になりがちなので、こころというのは良い配役だとは思うんですけどね。でも、マダム・ヴォルフ観たかったなあ(涙)。いや、理寿ちゃんのヴォルフもすごく楽しみなんですけど(美人だしスタイル良いし歌えるし!)、でも、こころで観たかったよ……(←まさおとこころのキスシーンに勝手に萌えていた猫)
なっつのヴィンディッシュ嬢もちょっと意外でしたが、これまた「二人の貴公子」の王妃役の出来を考えると納得かも。ヴィンディッシュは物語の鍵になる役なので、カチャと二人、探り合ってしっかり役作りができるよう、祈っています。



そして。ルドルフ/エルマー/シュテファンで役替りがある今回の公演。
ジュラ役のるうちゃん(とツェップスのまいちゃん)ががんばらないと、ハンガリーチームまとめようがなくて大変そうですよね。……がんばれ~~~!
あ、そういえば、るうちゃんも前回新公と同じ役なんですね、ジュラ。じゃあ、いちおう一歩リードはしているんですね。がんばってね!



とーやんと鼓さんの役名なしはとても残念。まぁ、鼓さんは役がなくても勝手に芝居をしてくれるので構わないかもしれませんが、とーやんはラストなのに(T T)。たぶん親戚とかカフェの男とか、出番はたくさんあるんでしょうけれども、なんとなく寂しい……。






前回の月組「エリザベート」公演は、2005年。
あのときって91期生(貴千碧ちゃん以下)は初舞台なので出てなかったんですね。
最下で90期のみづきちゃん(瑞羽奏都)が黒天使に入ってたのをよく覚えています。美人でスタイルよくて、吃驚しました。……なのに今回は役なしだなんて(泣)。もう一回黒天使って訳にはいかないんでしょうし、親戚とかカフェの男とか、そのあたりに入ったりもするんでしょうけれども。



今回の最下は研3の輝城みつるくんと星輝つばさくん。残念ながら研2は本公演役無しでしたね。カフェでソロを歌いそうな子とかは居るのかな。
新公は、星輝くんがシュテファン、輝城くんはラウシャー。凄いなあ。小池さんの信頼篤いんですねぇ!

新公ジュラは、研2の珠城りょうさん。「二人の貴公子」でなかなか落ち着いた良い芝居をしていたので(台詞は少なかったけど)、ちょっと期待。
個人的に「二人の貴公子」でかなりお気に入りになった天翔りいらさんは、新公黒天使。うーん、可愛かったんだけど、チェックできるでしょうか……(自信なし)

花陽みらちゃんの美容師は楽しみ!
紗那ゆずはちゃんの黒天使もめっちゃツボです。あの美少女が、どんなメークで黒天使やるんだろう。…前回の新公で黒天使に入っていた白華れみちゃんみたいな感じかな?
翔我つばきくん、隼海惺くんもがんばってくださいね!楽しみにしています♪


博多座以来のお気に入り・真愛涼歌ちゃん(「二人の貴公子」でずっとエミーリアの傍についている方の女官)。あんなに声も芝居も可愛いのに、死刑囚の母かよ!!でも歌と芝居が両立できる人なのでちょっと期待してしまいます。

新公ルドルフは煌月爽矢くん、エルマーは鳳月杏ちゃん。子ルドルフは千海華蘭ちゃん。
おお、このあたりの役が92期に降りてくるのか…。そっか、もう研4ですもんね。星組さんでは真風くんが主演しているくらいだし、この辺りでもっともっとがんばってもらわないといけないんですねぇ……がんばれ!!


蘭乃はなちゃんは、新公ヘレネで本役がマデレーネ。……小池さんGJ。技術的なことはよくわかりませんが、霧やんを誘惑する蘭ちゃん!!と思っただけで、個人的にかなり盛り上がりました(^ ^;。
新公マデレーネは百愛ちゃん。これまた楽しみなダンサー対決ですね。いつも群舞で闘っていた二人、同じ役で勝負するのは初めて……かな?二人とも力を尽くしてがんばってほしいです☆

その百愛ちゃんは、本役も黒天使。「ホフマン物語」の影がものすごく素敵だったので、めっちゃ楽しみです!今回の黒天使キャストで一番の期待株かもしれません(^ ^;ゞ。



まんちゃんは本公演も新公も黒天使。…芝居もできる人なので、新公は重臣ズに入ってくれると思ったのになあ…。まぁ、園加ポジションのようなので、出番とかも違うのでしょうけれども。でも惜しい。


90期女傑三人(←私が勝手に呼んでいるだけ)の琴音和葉・玲実くれあ・夏鳳しおりは、それぞれ新公でルドヴィカ・ゾフィー・リヒテンシュタインの女傑をしっかりGET。さすがです!
本公演は三人とも女官なんですよね。なんだか今回の女官さんたちは、皆さん月娘の中でも特に強い人が集まっている……ような気がします…(←皆大好きですが何か?)。


りおんの新公マダム・ヴォルフにちょっと愕然。そりゃー似合うよ……決まってるじゃないか!!(感動)
響くんのツェップスは、ひたすら優しいツェップスになりそうだなあ。わくわく。ダンスも好きなので、本役黒天使もとても嬉しい♪



みっしょんは相変わらず本公演役無し(T T)。うーん、本当に役がつかない人だなあ…。でも新公はグリュンネ\(^ ^)/……素敵なおじさまバージョンのみっしょんに会えるのが嬉しいです♪好きなんですよグリュンネ(*^ ^*)。





新人公演でのエリザベート役は、何度も書きましたが私は彩星りおんちゃんのシシィがすごーく観たかったので、しずくちゃんは大好きだけど、ちょっとがっくり(涙)。
でも、そうは言ってもしずくちゃんは大好きなのでとても楽しみです。どんな切り口で演じるのか、どうくるのか。みりおくんとは相性もいいし、本公演とは全く違う作品になりそうで、とても楽しみです!
っていうか、新公演出が気になる……。誰なんでしょうねぇ。
とりあえず、「エリザベート」新人公演で一番大変なのはルキーニなので、宇月くんにはがんばっていただきたいなと思います(^ ^)。




ゾフィーの恋

2009年4月7日 読書
ゾフィーの恋
コバルト文庫「帝冠の恋」(須賀しのぶ著)


…diarynoteには、本にレビューをつける機能もあるらしいのですが、なぜか機能していないらしい……。なんだかなあ、もう。




えーっと。愚痴はおいといて。
この作品は、ミュージカル「エリザベート」の影の主役・ゾフィー大公妃の、若き日の恋物語を描いた作品です。

舞台は19世紀、ウィーン。

ハプスブルク家に嫁いだ美しく聡明なバイエルンの王女ゾフィーと、ナポレオンの血をひく美青年フランツとの禁断の恋模様。




著者は須賀しのぶ。コバルト文庫の「キル・ゾーン」シリーズが好きでずっと読んでいたのですが、これはちょっと毛色が変わっていて、「こんなものも書くのかー!」と感心した作品。

発売されたのは2008年の4月。私が買ったのは、たぶん夏ごろ…だと思うのですが。
読み終わってからほどなくして月組「エリザベート」の発表があったので、「エリザベート」のゾフィー役の配役が発表されたら書こう!」と楽しみに取っておいたネタでした(^ ^)。



……まさか、あいあい(城咲あい)のゾフィーが観られるとは、露ほども思っていなかったのですが!





話としても大変面白い作品ですが、この美しく聡明でやんちゃなゾフィーが、長じてあのゾフィー大公妃になるのか、と思いながら読むと、余計楽しいです。
そして。クンツェ&リーヴァイが残酷なまでにリアルに描いた、人生の終わりに近づきつつある厳格なゾフィー大公妃を観ながら、彼女の若かりし日々を思い描くであろう自分が、その時にいったい何を思うのか、興味津々です。





全てを賭けてフランツ青年を愛し、求めたバイエルンの王女ゾフィー。
バイエルン王家の血を色濃く継いだ、早熟の天才であったゾフィー。


一皮剥いてしまえば、ゾフィーもエリザベートも、結局のところは“バイエルンの天使”たち。案外と近しい生き物だったんでしょうね。
ハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフとは、別種の生き物。近くに寄り添っているようで、まるっきり重なり合うところのない親子。


ただ、ゾフィーは恋よりも国を選んだ「王者」の血筋であり、シシィは最後まで「国」を理解できなかった「子供(瀬奈)」または「天使(白羽)」だった、という違いはありましたけれども。
…あ、いえ、あいあいやカチャ(凪七瑠海)がどういう役作りをするかわからないので、そのあたりの解釈も違うかもしれませんね。お二人の解釈がどんな方向に落ちるのか、幕が開くのを楽しみに待っています(^ ^)。





…個人的には、バウあたりで上演しても面白いんじゃないか、と思ったりするんですけどね。
具体的にキャストとかを考えているわけではありませんが。っていうか、主役のフランツがちょっとヘタレなので、脚色が難しそうですけれども。(ゾフィーの方が何倍も格好良い)
「エリザベート」の番外編、ってことで、小池さんが創ってくれたらいいのになー。…無理か(^ ^;。






「帝冠の恋」は、ミュージカル「エリザベート」とは全く関係のないところで、ひとつの歴史小説として普通に読んでも面白いと思います。
私が須賀作品を好きなのは、リズムのある読みやすくて明朗な文体とか、事物の描写のわかりやすい的確さとか、キャラクターの個性が豊かで意外性に富んでいるところとか、ストーリーの突拍子のない面白さとか……いろいろあるのですが。
この作品は彼女の良いところが前面に出つつ、キャラクターにはきちんと時代性に合わせた思考をさせていて、安心して読めたと思います。扱う時代も興味深いし、せっかく文章力・構成力のある人なので、もっと歴史物を書いてほしいなあ、と思ったりします(^ ^)。



……とりあえず、あいちゃんのゾフィーを観る前に、ゾフィーという一人の女傑の、ミュージカルでは語られていない一面を知るともっと面白いかもね、ということでご紹介させていただきました☆




星組東宝劇場新人公演「My Dear NewOrleans」を観劇してまいりました。



なのですが。
実は、まだ本公演を観ていないのです……(^ ^;ゞ
なので、作品についてはとりあえずコメントしません。純粋に、印象に残ったキャストだけ、簡単にメモを残させていただきます。




ジョイ・ビー (安蘭 けい) 真風 涼帆
がんばってました。いや本当に。

トウコさんのを観ていないので、歌はあまり気にならず。元々台詞の声が好みなので、それだけで100点満点の20点くらい下駄をはかせてしまう(汗)し、さらにその抜群のスタイル(ビジュアル)でさらに20点プラス、みたいな感じなのですが(^ ^;ゞ、
とにかく“真ん中に立つ華”として育てたいと劇団が思うのも当然だな、というのはすごく納得しました。


ただ。
作品が難しかったね!!

作品にはコメントしないと書きましたが、やっぱりちょっとだけ書いちゃいます。
これって景子さんお得意のメロドラマですよね?ラストシーンなんてもろ「Hollywood Lover」だし。
特に大きな矛盾もなく、人間心理として間違ったこともやってない。ただ、ちょっと展開とか性格とか事件に対する反応が類型的にすぎるだけ。これって、宝塚一般でいえば、十分“中の上”以上の作品だと思うんですよね。類型的だからこそ解りやすいし、一般受けもしやすいわけで。

だけど、こういう作品が“佳作”になるか“凡作”になるか、それはけっこう演出次第だし、また役者次第でもあるんだろうなあ、と思ったのでした。


「ハロー!ダンシング」ですでに目立っていた真風くんは、十分に逸材だと思うし、本当によくがんばっていたと思います。あえてトウコさんの役をやらせることで勉強させたかった劇団側の気持ちもわかる。真風くん自身の成長のためには、今回主演することも大切だったのでしょう。それは、なんとなくわかるような気がします。
でも、残念ながら、今回の新人公演は、完全に“勉強の場”でした。“勉強中”という札を下げていたような印象。真面目な貌は男らしくて結構かっこいいのに(言われるほど水くんに似てるとは私は思わないのですが)、笑うと途端に可愛らしくなってしまう若者には、ジョイはまだ随分と遠い役だったと思います。

「スカーレットピンパーネル」の群衆の隅っこで、長い手足をいっぱいに伸ばして伸び伸びと踊っていた彼女が大好きで、今回の主演もかなり期待して楽しみにしていただけに、ちょっと残念だな、というのが感想でした。


次はぜひ、プルキルあたりで新境地をひらいてほしい!(^ ^)




ルル (遠野 あすか) 蒼乃 夕妃
芝居上手でスタイルが良くて、大好きなまりもちゃん。もともとあまり華やかな顔立ちの人ではありませんが、豪華な衣装と黒塗りがきれいに似合って、『ニューオーリンズ一美しいクレオール』と呼ばれるのも違和感なく、存在感がありました。

ヤクザな弟レニーと、恋しい男ジョイとの間で揺れる女心が哀しくて、「キーン」のわがまま娘が本当にいい女になったなあ、と感心。あの柔らかさと包容力が、彼女の魅力ですね。
ただ、ところどころ、あすかちゃんの台詞回しなんだろうなあと思わせる癖があったのが気になりました。まぁ、とは言ってもあすかちゃんのルルを観たわけではないので、気のせいだと良いのですが。




シスター・サラ (美穂 圭子) 夢咲 ねね
かーわーいーいーーーーーっ!!
美穂さんがこの役をやっている姿が全く想像できません。とにかく可愛い。優しくて思いやり深く可愛らしいシスターでした。声がとにかく可愛い。あんなシスターがいたら毎日教会に通っちゃうぞ私(←なにか違う)。聖歌隊の面々が羨ましいぞ。

芝居としては特に何か特筆することもないのですが、10年という歳月が過ぎたことを全く感じさせなかったのは、いいのかな。他のメンバーもあまり感じさせなかったから(衣装も同じだし)そういう演出なのでしょうか。

歌は一瞬なんですね。あれは、新公演出の上田久美子さんの愛?それとも、せっかく美穂さんが出演なさっているのに元々あれしか歌わないのでしょうか…?




ポン引きのボブ (美稀 千種) 本城 くれは
友人に、「ニューオーリンズの街で、派手な上衣を着ている男は誰?」と訊ねたら、それはみきちぐの役だと教えていただきました。ってことは、本城さんだったってことですよね…?あまりの色っぽさ(?)に惚れまして、後半ずーっと追いかけてしまいました(汗)。カッコよかったです。とっても。
しかし、あの衣装をみきちぐが着るの?想像できない……。




ジュール・アンダーソン (立樹 遥) 十碧 れいや
いやー、一目観た瞬間に“これはしいちゃんの役にちがいない!”と思いました(^ ^)。
93期の「とあれいや」さん。すごい大抜擢だったんですね。ルル、ジョイ、ネティと4人で歌うナンバーが見せ場になると思うんですけど、下級生のわりにはよくがんばっていたと思います。
主役の真風くんと並んで、「がんばってます!」という札が出てる感じでしたけど(^ ^;




アルバート・ジョーダン (涼 紫央) 天寿 光希
こちらも、幕開き早々に登場した瞬間、絶対すずみんの役だ!と思いました(^ ^)。
美しい人だな、と観るたびに思います。最初の場面での、ジョイとの程よい距離感。芝居の声色や間の取り方で、ちゃんとそういう立ち位置を明確にみせてくれるあたりが好きです。
そして圧巻だったのは、物語の中盤、1917年のニューオーリンズに登場したときの、その「異世界」感。南部に登場した「ニューヨークの薫り」を、まだ若いのによく表現してのけたなあ、と、もちろん肌があまりにも真っ白だったり意味もなくど金髪だったりすることで外見から違いを出しているのもあるんですけど、それにしてもあの浮き上がりっぷりは見事でした。
これからが本当に楽しみな人です(*^ ^*)。




レニー (柚希 礼音) 美弥 るりか
カッコよかった!声が好きな人なので、あんなに出番も台詞もいっぱいある役だとそれだけで幸せです。
ただ、あまりにも二枚目すぎて、ちょっと脚本の“レニー”のイメージから逸脱してしまったような気がしました。レニーは本来、もう少し頭が悪いチンピラの役なんじゃないのかなあ?

みやるりは、見た目も声もものすごくシャープで、“切れ者”感があるんですよね。そういう人が、あんなに格好良く、というか“ハンサム”かつ“スマート”に作ってしまうと、物語自体が崩壊してしまう。
彼が愚かだから「ねえちゃんとしあわせになるために」無茶な仕事なんぞに手をだそうとするわけで。シスコンでジコチュウだから姉さんに泣きついてくるわけで。
そういう、「しようのない男」であることが彼の魅力なのだから。

みやるりのレニーだったら、そんな無茶してドジを踏むはずもないし、ドジを踏んだからと言ってパニクった挙句姉さんのところに泣きついてきたりもしなさそう。姉さんの気持ちにも、もっと早くちゃんと気づいてあげられた、んじゃないのかなあ。
とにかく、一人の役者としてのみやるりを高く評価している私ですけど、今回の作品の「レニー」役はちょっと無理があったな、というのが正直な感想でした。

……あああ、みやるりのジョイ、観てみたかったなあ………。




ゲイブ (夢乃 聖夏) 壱城 あずさ
暑苦しいほど熱くて、激しいゲイブ。愛にも憎しみにも正直で真っ直ぐな、愛されるべき人。
っていうか、この役良い役ですよねぇ……。しーらんも本当に体当たりで演じていましたが、とても良かったと思います。メイともお似合い(はぁと)。

っていうか、みやるりのジョイにしーらんのレニーではいけなかったんだろうか、と……。
いや、真風くんも好きなんですけど。作品として、というか、芝居として、そんなキャストも観てみたかった…。




バディ (和 涼華) 大輝 真琴
オリヴァー (彩海 早矢) 如月 蓮
二人とも可愛かった!なんだか、星組子役専科の二人がずーっと並んで芝居しているのを観ているだけで楽しかったです。
大輝くんは水色のスーツが良く似合って、やんちゃな感じがぴったりでした。
れんたくんはアフロヘアでがんばってましたが、ちょっとデカい子供、って感じで可愛かったです。

しかし。どうでもいいっちゃどうでもいいんですが、バディが突然「俺ももうすぐこの街を出て行くんだ」って言い出したときは唐突さに驚きました…。景子さん、内輪受けを狙うにしても、もう少し伏線をひいてあげてもいいのでは?あまりの唐突さに、きっとこの役は和くんか麻尋くんかどちらかだろうな、と思ったら、案の定和くんでした(苦笑)。




ネティ (夢咲 ねね) 稀鳥 まりや
あらためて名前を見ると、極端なキャスティングですよねぇ。衣装はいったいどうしたんだろうか……(^ ^;ゞ。
ねねちゃんのは観ていませんが、キトリちゃんはキトリちゃんらしく、元気いっぱいなネティでした。溢れるエネルギーを、うまくコントロールしきれない少女。
91期だから真風くんより一期上なのに、どう見ても“幼馴染”には見えなかったのはご愛嬌、なのかな…。「ブエノスアイレスの風」のバックで踊っているところとかは十分に大人っぽかったので、大人の女ができない訳ではないはずなんですけど、どうも役作りをして演じると幼くなってしまう傾向がありますね。小柄なせいもあるのかなあ。個性といえば個性なんでしょうけれども。
芝居心のある人なので、もう少し役柄の幅が拡がると鬼に金棒なのになあ、と思います♪




メイ (蒼乃 夕妃) 音波 みのり
こんなところにも美人さんが!とびっくりしました。目が大きくて黒塗り化粧がよく映える。
ゲイブ(しーらん)との並びもお似合いで、いい雰囲気でした。91期なんですね。これからの活躍に期待。




ビッグ・ノーズ・ジョー (如月 蓮) 妃白 ゆあ
ジョー・コールマン (真風 涼帆) 麻央 侑希
ジョー・コールマンが、ビッグ・ノーズ・ジョーの成長後、で合ってますよね…?ビッグ・ノーズ・ジョーの妃白ゆあちゃんは可愛かったけど、成長して麻央さんになると、ずいぶん顔の感じが変わるんだなあ、と思ってしまいました(^ ^)。
せっかく聖歌隊なんだから、ちょっとソロを披露してくれればいいのに、と思いつつ。


印象に残った人はそんなところでしょうか。
新公演出は上田久美子さん。「Paradise Prince」の新公演出をされて、続けて今回…ということは、植田景子さんと組んで学んでいるところ、という感じなのでしょうか。
本公演を観ていないので演出面についてのコメントはできないのですが、キャストの芝居の組み立て方、特に元々力のある人(みやるりとか)を全くコントロールできず、芝居力の弱い人を引揚げることもできなかったことで全体のバランスを欠いた点は、「Paradise Prince」の新公のときから成長してないな、と思ってしまいました。
景子さんはそのあたりプロだと思うので、一刻も早くその技術を学んで、一人前の「座付き演出家」になってほしい、と、心の底から祈っています。



東京宝塚劇場にて、星組公演「My Dear NewOrleans/A bientot」を観劇してまいりました。



お芝居の話はあらためてさせていただくとして。
とりあえず、藤井さん渾身の「60分間のサヨナラショー」から。




思えば。
藤井さんの大劇場デビューは、ずんこさん(姿月あさと)のサヨナラ公演、「Glorius」でした。

あれ以来、というか、その前に観たドラマシティの「Alas」以来、私は藤井ショーのファンのまま今に至るわけですが。
……本当に、この人の造る「サヨナラ公演」って凶器なんだな、と。



噂には聞いていましたが、本当に「60分間のサヨナラショー」そのものだったことに改めて驚きました。特に、後半の怒涛のようなサヨナラ場面のてんこもりっぷりには。
溢れる涙は、止まる暇もなくて。

ラストの大階段でのソロの「時間を止めて」は、久々の凶器でした。


っていうか、星組さんのファンは大変だなあ…と思ったのは、幕が降りてからの送り出しの音楽としてトウコさんの「さよならみなさま」が流れてくること(T T)。
い、痛いよあれは……。あやうく、立てないかと思いました(泣)。







全体の構成は「Non-Stop」そのもの。
古びたレビュー小屋の妖精たちだけが知っている、夢のレビュー。




ショーの終盤、楽屋で物思いに沈むアランが立ち上がると、ふいにセットがハケて後ろの組子たちの笑顔が見えた瞬間の感動は、言葉では表せません。
そこからもう、パレードのラストまで涙が止まらなくて。いやー、藤井さんのサヨナラショーを甘く見てタオルを用意していなかった私の大失敗でした。

そして、そこから続く、あすか以外の組子ほとんど全員とトウコさんが絡む場面は、音楽こそ違いますけど全体の動きはほぼ「Glorious」と同じ。ずんこさんがサヨナラ公演で希望を訊かれて、「組子全員と絡みたい」と言った、というエピソードに沿った名場面を再び観ることができて幸せです。
組子たちに愛されて、組子を愛して、、、本当に、長くはないけれども幸せなトップ生活だったんじゃないかと思います。若い頃の抜擢ぶりを考えれば異例な遅さでの就任で、もしかしたらご本人には焦りもあったのかもしれないけれども、終わりよければ全て良し!なのではないでしょうか。


宝塚という枠を離れて、さらに自由になるために、今は精一杯、この大きな舞台と、大勢の仲間たちと、大編成のオーケストラと、眩いライトと、華やかな衣装と、、、そんなさまざまな“美しいもの”たちを、満喫してくださいね。






そして、あすかちゃん。

ああ。トップスターのサヨナラ公演というのは、あくまでも「トップスターのサヨナラ公演」なんだなあ、と思いました。
トップコンビのサヨナラ公演ではなく、あくまでもトップスターのサヨナラ公演。
藤井さん入魂の“60分間のサヨナラショー”は、あくまでも10人のサヨナラショーではなく、「安蘭けいのサヨナラショー」。

当たり前のことです。
宝塚なんだから、そんなの、当たり前。


だけど。
トップスターと次期トップのデュエットダンスはとても良い企画だと思うけど、なにもその二人で銀橋にまで出てこなくたっていいんじゃないのっ!?

トップコンビのデュエットダンス、とっても素敵だったのに、ちょっと短くない!?
あすかちゃんにも銀橋に出てほしかったよーーーーー。銀橋に出て、二人でポーズ決めて、それからあすかちゃんだけはけてトウコさんのソロ、でもいいじゃないかーーーーー(T T)。

あすかちゃんはあすかちゃんで、センターでの見せ場もたくさんもらって、贅沢すぎるって言われてしまいそうなんですけど。
“大女優エトワルアムール”のあまりの可愛らしさも、その美しさも、ジザベルの完璧なスタイルも、カンカンの圧倒的な華やかさも、エトワールのそれはそれは絶品の素晴らしさも、間違いなく素晴らしいプレゼントだったんですけど。

でも、コンビでの場面も、もっともっとほしかったなあ(T T)。
…すみません、欲深なファンでm(_ _)m。



それにしても、短いとはいえデュエットダンスの音楽が「愛の讃歌」というのは、拷問……と思う…(T T)。






しいちゃん。
ソロでの見せ場を貰うよりも(もちろん中詰めではソロありですが)、トウコさんとあすかちゃんの三人での場面を選んだんでしょうか。しいちゃんらしい?良い場面でした。あすかちゃんはあの素晴らしいスタイルを存分に見せ付けて美しかったし、しいちゃんはなんていうか、凄絶な迫力だった。
私にとって、しいちゃんのベストアクトは1に「ヘイズ・コード」、2に「スカーレット・ピンパーネル」だったので、ああいう優しいけどちょっと鈍感な紳士が最後に観られなかったことは残念でしたが、本当に美しい人だと改めて思いました(*^ ^*)。
あと2週間、かぁ。寂しくなるなあ…。




和くんは、(夢咲)ねねちゃんと一場面。ちょっとコミカルな場面でしたが、スターになって激しく踊る場面も伸び伸びしていて、幸せそうだったのが嬉しい。
キンさん(朝峰ひかり)、紫蘭ますみさん、涼乃かつきちゃん、星風エレナちゃん、一輝慎さん……皆、輝くような笑顔で踊ってましたね(; ;)。麻尋くんも、特別場面があったりとかはしなかったけど、なんていうか、不思議と目を惹く「卒業生オーラ」がありました。
……思う存分お見送りするのは大変そうですが、ファンの方、しっかりと見守ってあげてくださいませ(T T)。






歌劇誌の大劇場千秋楽の写真とか見ても、10人って多いんだなあ、と、しみじみ思います。
組ファンの皆様の心中を思うと、切ないです。
しかも、このチケットの無さがまた(涙)。通いたいのに通えない人、多そうだもんなあ…。観たい方々全てに、チケットがゆきわたりますように。(でも、私ももう一回観たいよ~~~!!)





そして、送り出す側に立った礼音くん。
プログラムの写真を一目見て、「ザ、ザネリ…」と思ったことは、正直に告白しておきます。
そういえば、あれも藤井さんでしたね。「イーハトーブ・夢」。ものすごく好きなバウ作品の一つですが。

…いやー、踊れるっていいですね。今回は、妖精役のせいか、割とバレエチックな振り付けが多かったので、本来の礼音くんの魅力がいつもより出ていたような気がします。
脚を上げるにしても、腕を挙げるにしても、やわらかく上がって高い位置で留まる、あの雰囲気がすごく好きなんですよ、私。肩や腰がぶれることなく、脚なら脚だけがすっと軽く上がるところも好き。どんだけ筋力があるんだ!といつも感動します(^ ^)。
だけど、男役として踊っているときはどうしてもビシっと上げてビシっと止まることを要求されがちなんですよねー。もちろん礼音くんはそういう踊り方もできるけど、やっぱり本来の踊りじゃないんだなー、と思うことがあるので。


メインで踊る鏡の場面は、振り付けが平澤さんなのでかなりテクニカル(?)なんですけど、すごく気に入りました。藤井さんお得意の(そしてよくキャスティングで失敗している)耽美系の場面ですが、今回は平澤さんの振り付けとあかし(彩海早矢)の色気に助けられた…かな?(^ ^;。
藤井さんって、主演にあわせて宛書するのは天才的なのに、二番手さんのキャラクターを間違えていることが多いので、博多座がちょっとだけ不安です。お願いだから、みっちゃんにドラキュラとかさせないでね(涙)。


そして、この場面を名場面にした(と私は思う)、じゅんな(水輝涼)のカゲソロに泣きました。美声だとは思っていた(というか知ってた)けど、ああいう柔らかい声も出せたんだ……。硬軟自在じゃないか。しかもあのラストの高音!!あれ難しいんだよ(@ @)。うわあ、こんな歌を聴いてしまうとまた欲が出るじゃないか(泣)。
ところで、あの歌って既存曲…なのでしょうか?ご存知の方、曲名とか教えてください(泣)。もし新曲だったら、じゅんなに合わせて音楽の手島恭子さんが書いてくださったってこと?……すげーーー。(←かなり考えにくいけど汗)

キトリ(稀鳥まりや)の“カゲ台詞”が段々低くなっていって、じゅんな(水輝涼)のソロにつながっていくところが凄く好きです。じゅんなも新公を卒業して、だいぶ上級生枠に入ってきましたが、これからも末永く活躍してください!!(切に祈る)。




すずみんは、最初の銀橋での“ご婦人”の口真似も可愛かったけど、やっぱり中詰めの最初の歌が好きです。エレナ様との絡みも、色っぽくて好き。




ねねちゃんは、和くんの場面んの相手役と、中詰めの「フル・フル」がメイン…かな。
なかなか踊れない(?)和くんを慰めて励ますねねちゃんがとてもけなげで可愛いです。「エリザベート」で大抜擢された昔から「純粋な少女の包容力」を持っていた人ですが、心配そうに相手役を見つめながら踊る後姿に、胸を掴まれました。

そして、「フル・フル」。「絢爛II」の隅っこで踊っていた頃から嫌味のないコケティッシュさで目を惹いていたねねちゃん。少し大人になって『舞台の怖さ』を知った今、「フル・フル」のコケティッシュさは痛々しいほどで。
あれはあれで大好きなんですけど、ね。一階席で観てみたかった…(*^ ^*)。

でも、いつの日か、そんな怖さも不安も乗り越えて、もう一度あの輝く笑顔で魅せてくれることを祈っています。




ともみん(夢乃聖夏)のダンスはやっぱり好きだなあ。彼女のスタイルの素晴らしさは、すでに財産だと思う。藤井さん、ダルマを用意してくださってありがとうございます。

そして。どうやら私は、先日の新公で天寿光希さんに落ちたらしく、気がつくと彼女を追いかけていました。……いやあ、本当に綺麗な人ですよねっ!(←誤魔化すな)

オープニングのカゲソロが素晴らしい!と思っていたら、音花ゆりちゃんだったんですね。誰だろうと思ったのですが。「ブエノスアイレスの風」のフローラ以来、すっかり歌姫に定着ですね(^ ^)。

中詰めのピエロ(ピトル)の大輝真琴ちゃんがめっちゃ可愛い。





…他にもいろいろ書きたいことはあるのですが、あまりにも長くなるのもどうかと思うので、このあたりで。




あ。
とか言いつつ、質問を二つばかり。

中詰めのオレンジのダルマさんたちが一列に並ぶところ(しいちゃんとコトコトの場面の本舞台)で、センター二人の上手側の方はどなたでしょうか??スタイルの良さに釘付けだったのですが、顔がわからず(涙)。

カンカンで(違うかも?)見事な側転を披露していたのは、どなたでだったのでしょうか…?
【リリー様から情報をいただきました。本城くれはさんと麻央侑希さんだそうです。リリー様、ありがとうございました!】





あああ、最初で最後のお別れをしっかり言うために行ったはずなのに、やっぱりもう一回観たいよお~(泣)。



PARCO劇場にて、「SHOW STAGE NO.1 トライアングル ~ルームシェアのススメ~」を観劇してまいりました。



出演は井上芳雄、新納慎也、彩乃かなみの三人。
言わずとしれたミュージカル界のプリンスと小悪魔、そして宝塚の誇る歌姫、それぞれに肩書き(のようなもの)がくっついている三人。
…ですが、(まぁ小悪魔はともかく)「プリンス」と「歌姫」については、本来のキャラクターを前面に出し切って、伸び伸びと楽しそうに演じていて、とても幸せそうに見えました。

井上くんについては、一年前の「ウェディング・シンガー」以来の当たり役(猫的に)で、「ルドルフ ザ・ラスト・キス」の彷徨いっぷりが嘘のような好演でした。ああ、本当に嫌味で上から目線で思いやりのない嫌な奴なのに、どうしてあんなに可愛いんでしょうかねぇ……(*^ ^*)。
かなみちゃんも、『宝塚のトップ娘役』という檻に閉じ込められ、がんじがらめに縛り付けられた、ただただ可愛らしく在ることだけを要求されていた一年前のサリーよりも、大人っぽくて優しくて、気分屋で弱くて脆い芽衣の方が、何倍も魅力的に見えました。どこか垢抜けない、イケてないメークも髪型も、芽衣の個性と思えば可愛かったです。
ただ、衣装は……有村さん、かなみちゃんの肉体的な欠点なんて知り尽くしているだろうに、どうしてあんなぱつんぱつんのミニタイトとか穿かせるんですか(T T)。……まさか、かなみちゃんの希望ってことないだろうに……。





製作はPARCO劇場、演出は青年座のベテラン・宮田慶子、脚本は劇団「モダイスイマーズ」の蓬莱竜太。日生の「赤い城 黒い砂」の脚本も蓬莱さんなんですね。最近よくお名前を聞く方ですが、舞台を観るのははじめて……かな?等身大の若者言葉での語り口がわかりやすくて、こなれた脚本を作る方だなあ、と。宮田さんは藤原竜也の「エレファント・マン」以来何度も観ていますが、ミュージカル SHOW ACTはもしかしたら初めてかも?センスのいい、シンプルな演出で、とても良かったです。次回作が楽しみ。





音楽は、ほとんど既存曲をもとに、歌詞だけ替えて使用。「ジューク・ボックス・ミュージカル」というよりは、音楽劇とかショーアクトとか言われる形式に近いかなーと思うのですが、どうなのでしょうか。ジューク・ボックス・ミュージカル、っていうと。ある程度なんらかの基準をもって音楽を択んだイメージ(「マンマ・ミーア」みたいに全曲を一人のアーティストから択ぶとか、時代や分野を絞りこむとか)があって、その【音楽を択ぶ基準】そのものに意味があるもののことを言うようなきがするので。
そうでないと、宝塚のショーだってほとんど既存曲を使っているんだから「ジューク・ボックス・ミュージカル」ってことになっちゃいませんか?今回の作品も、新納くんのデビュー曲になる「月に吼える」だけは新曲……ですよねぇ?違うのかな(汗)。

とりあえず、主催者側にお願いがありまして。アンケートにも書いたんですが、既存曲をメインで使うのであれば、プログラムに曲目リストを入れていただけないでしょうか。観終わったあと、「あの曲知ってるメロディなんだけどなんだっけー?」と思ったときに、確認できないとちょっとストレスがたまります(涙)。
私がオリジナルを知っているのはビリー・ジョエルの「MY LIFE」くらいだったんですが(All By Myselfはスタンダードナンバーとして知ってはいたけど)、それ以外の曲も、ほとんどは聞いたことがあるような気がしたで、たぶんCMで使われてたとかそういうのがあるのかなあ、と。曲名やアーティストをご存知の方、ぜひぜひ教えてくださいませm(_ _)m。


ご参考までに。私が覚えているかぎりの、音楽リストを書いておきます。ご存知の曲がある方はコメントいただければ幸いです(_ _)m。

<一幕>
1.オープニング(インストゥルメンタル) 【新曲?】
2.月に吼える(幸三郎) 【新曲?】
3.ナツメのソロ。幸三郎とゴミ捨て場ですれ違った後。【】
4.孝三郎の部屋の前の芽衣のソロ。前奏は聞き覚えあるんだけど…。【】
5.酔っ払って乱入してきた芽衣を加え、三人で歌う“やるせないバラード”。【】
6.「彼女は刺激的すぎる!」と焦るナツメと「やりたいようにやるの!」と言う芽衣。【】
7.会社の愚痴を言いながら歌いだす芽衣のバラード。誰でも知ってる有名曲なんだけど、曲名が思い出せず(T T)。【】

<二幕>
8.“世界が変わった”ナツメのソロ。【】
9.幼稚園児の格好で三人で歌ってた曲。【】
10.その後も何曲かメドレーで歌っていたような…(?)
11.ナツメのソロ。【All BY MYSELF】
12.芽衣の告白を聞いたナツメのソロ。【】
13.もしかしたらね、きっとね。これも絶対知ってる曲の筈。【】
14.最後は明るく!【MY LIFE】

そんなところでしょうか。抜けている曲もあると思いますが。
ぜひぜひ、わかる曲だけでも教えてくださいm(_ _)m。






まだまだ当分公演中なので、内容に踏み込むのは遠慮しておきますが。

一幕は、とにかく爆笑につぐ爆笑で、途中で酸欠で死にそうになりました……。
かなみちゃんが面白すぎです。なんて可愛いんだかなみちゃん。
そして、新納くんがいい味出しすぎだから!あんたが主役だから!わかったから!!

…で、その勢いで二幕もいくのかと思ったのですが、二幕の後半は、かなり心が痛む展開でした。

現代社会って、“アラサー”がまだまだ“モラトリアムな若者”なんですねぇ。
20世紀であれば、大学生とか、せいぜい新社会人あたりがぶち当たっていたはずの壁に、もう7,8年働いているはずのベテランが嵌っていたり、30を目前にして未だに夢をあきらめずにデビューを真剣に目指していたり。



とんでもないきっかけで一緒に暮らし始める、他人同士の三人。

かなみちゃんの芽衣は普通に勤めがある会社員。
(かなり異常な生活を送っていたはずなんだけど、仕事は続けているんですね)
新納くんの幸三郎はデビューを目指してあれこれ活動を続けるミュージシャンの卵。
そして、井上くんの沢渡ナツメは、何年も佳作ばかりでいっこうにデビューできない小説家の卵。


三人ともいろいろ悩みはあるわけですが、中でも、ナツメの悩みが痛々しくて、観ていて辛かった。親が有名な小説家だから、『小説家を目指さなくてはならなかった』…んですよね、彼は。たまたま思い付きで書いた散文が佳作を獲ってしまって、「さすが沢渡孝明(字は適当)の息子!!」と賞賛されてしまい、後にひけなくなったのかもしれない。あるいは、書き始めた時には“書きたい”と思った題材があったのかもしれません。だけど今となっては、『書く』ことが目的化していて、書きたいものを見つけることができない……いや、書きたいものが無いなら、クリエイトすることはできないんだということにさえ気づけない

彼は、ただとじこもって文字を打ち続ける。
外に出ることも、人と出会うこともせず、世界を閉じた卵のようで。
出かけては帰ってくる幸三郎や芽衣とは違い、ナツメは『自分の城』である家に、ただじっと、膝を抱えて座っている。


そこは、繭。
彼はそこを、出なくてはならない。ヒトとして生きるため、に。




幸三郎がちょっと格好良すぎるきらいはありますが、とにかく面白かったです。
ラストに、全てを曝け出して一言つぶやく芽衣が、最悪のかっこ悪さで、莫迦まるだしで、そして、最高にイイ女でした。


一幕で爆笑しすぎて、二幕があんなにシリアスな展開になるとは思わず、しかも、散々シリアスな展開をどんでん返しつきでやらかしてくれた挙句に、なんの解決も無く終わってしまったのがちょっと不満でしたが(苦笑)、思い返してみれば、あの解決の無さがリアルなんだなあ、と納得しました。
観る人によって評価の分かれる作品かとは思いますが、私には非常に面白かったです。はい。
かなみちゃん可愛かったしー♪(^ ^)、井上くんも、新納くんも、三人ともの更なるご活躍を、心からお祈りしています!!





ウメちゃん(宝塚宙組トップ娘役・陽月華)のミュージックサロンのポスター画像がアップされていました♪(*^ ^*)♪

おお~、かっこいい~~!!

“宝塚の娘役”ばなれした雰囲気ですけど、ウメちゃんのシャープな美貌にはよく似合ってて素敵です。「ハレルヤ GO!GO!」でウメちゃんの魅力をあますところなく引き出した稲葉さんが、どんな一時間にしてくれるのか、、、、、、ぅぅぅう、観たいよぉ~~~(しょぼん)。

どうしてどうして?どうして東京ではやってくれないの?(T T)。どうして宝塚ホテルだけで、しかも木曜日だなんて極悪な……せめて金曜日だったら(涙)。エリザベートかオグリか、せめてどちらかだけでもやっていたならば(泣)。
ああ、ぜひともこの眼で観たい。ウメちゃんの歌は、CSとかの映像で聴いても幸せになれないし……あああ、私に力があったなら……(←無理)。




せめて、ウメちゃんの写真集(←出ますよねっ!?)(信じる者は救われる。たぶん)には、今回のポスターみたいに、いわゆる“宝塚娘役”のイメージとは違う“カッコイイ”系の写真が一杯あるといいなあ…。
今をときめく檀ちゃんも、比較的、“宝塚の娘役”のイメージを超えた、ダークな雰囲気の写真をよく撮られていましたっけ。ウメちゃんは、明るくてお茶目な笑顔も素敵だけど、こういうダークでシャープな雰囲気もよく似合うところが大先輩と共通してるなーとおもいます(*^ ^*)
彼女は、先年出たトップ娘役三人(かなみちゃん、となみちゃん、あすかちゃん)の写真集に入っていなかったので、今回の写真集は彼女たちのより厚くてもいいんじゃーん?とか思ったのですが、無理かなあ(涙)。





ポスターといえば。
花組バウ「フィフティ・フィフティ」の画像が、宝塚公式サイトにアップされていましたね☆
色違いの大きなドット柄が良く似合ってて、可愛い~~っ!!お似合いの二人だわ

本ポスターにはヒロインも載るのでしょうか。なんだか、可愛いひとがいっぱい!なポスターになりそうで、楽しみです。ほほほ。





そういえば。
先日、となみちゃんの写真集を買いました。あすかちゃんのもすごく素敵で満足したけど、となみちゃんのは、なんだかとってもお得な感じ。撮りおろしの写真の枚数は同じくらいだと思うんですけど、あすかちゃんが文字(エッセイ)で埋めていたページを、となみちゃんはプライベート写真(仲間うちのカットも沢山!)を大量にいれてくれていて♪
ああ、こういうのってやっぱり嬉しいですよねぇ。となみちゃんもリラックスして映ってるし(^ ^)。
月組時代の写真が少なかったのが唯一残念ですが、ひろみちゃんとはあの頃から仲良しさんだったのね、とか、そういう発見もあってとても感慨深かったです♪



そんなとなみちゃんも、年末の日生劇場「シェルブールの雨傘」ジュヌヴィエーヴ役が発表になりましたね。すごーい!一回だけ観たことがありますが、音楽がとても美しい作品なので、とても楽しみになりました。井上くんとの並びは、さぞ美しいことでしょうね(*^ ^*)。声の相性はどうでしょうねぇ……想像できないなあ(汗)。




そして、「シェルブールの雨傘」の情報を探して、数ヶ月ぶりに東宝のサイトに行った私。
……吃驚の三乗!(^ ^;ゞ

「ブラッド・ブラザーズ」再演、
「偉人たちの夏」の舞台化、
そして、「グレイ・ガーデンズ」の宮本亜門演出!大竹しのぶ&草笛光子!!

自分があまりにも情報から疎くなっている事実に気づいて、本当に驚きました。
全然知らなかったー!!

特に「ブラッド・ブラザーズ」の再演には驚いちゃいました。ほぉー、あれをやるのか(- -; ……キャストもスタッフも、今回はよく練ってるみたいですね(^ ^)。難しい作品だけに、このキャストならちょっと観てみたい(^ ^)、と思いました。岡田浩暉さんのエディ、めっちゃ楽しみかもっ!武田真治ミッキーとの組み合わせ、っていうのがまた興味深い♪しかーし、この二人が出てくれるのは8月だけなんだな……。博多遠征の隙間で、はたして日生を観にいく時間は作れるのだろうか…?(不安)

若いコンビの田代万里生&藤岡正明コンビも、なんとなくキャラには合っていそう……なんですけどねぇ。とりあえず、岡田さんのエディが観たいんです~!(「マルグリット」の田代さんは、歌は良かったけどやっぱり芝居はちょっと違う感じだったので)
……くすん。

「異人たちの夏」も、まさか舞台化するとは思わなかったのでかなり吃驚(汗)。
「グレイ・ガーデンズ」の豪華キャストも面白そう。
ちょっと離れつつあった東宝ですが、今年は東宝作品も「観たい!」と思わせるものが並んでますね。良い事だ(^ ^)。



彩の国 さいたま芸術劇場にて、「ムサシ」を観てまいりました。



藤原竜也の宮本武蔵、小栗旬の佐々木小次郎。
キャストが出たときから、こりゃー観なきゃ!!と思った作品。

脚本は井上ひさし、演出蜷川幸雄。
プログラムを読んで驚愕したのですが。井上ひさしとホリプロが組んで「宮本武蔵」を、というのは、20数年前にブロードウェイでの上演を目指して企画されたものだったのだそうですね。
1985年ごろ。昭和60年代。まだソビエト連邦があった、あのころ。バブルが最初のピークを迎えたこの時代に「ブロードウェイ」を目指したホリプロって、凄かったんだなあ。しかも、武蔵を題材にして!凄いなあ……。



冷静な戦略家でありながら本質は荒々しく野生的で、そして、野生的であるが故に、誰よりも仏の道に近かった、宮本武蔵。
子供の頃から剣の天才としてもてはやされ、20代の若さで大藩細川家の剣術指南に採用された、佐々木小次郎。

吉川英治の「宮本武蔵」のラストシーンを冒頭にもってきて始まったこの物語。「厳流以後の二人」を描いた後日譚でありながら、吉川が描いた武蔵や小次郎とはちょっと違うキャラクターに仕上がってはいましたが、竜也と小栗くんのキャラクターにぴったり合っていて、違和感なく二人の剣豪を演じていました。
二人の芝居力もすごいし、それ以上に井上さんの「役者を見抜く目」もすごいんだなあ。

6歳違い(小次郎が歳下)という設定も、なるほどなーと思いました。設定では小栗くんが本編で29歳=実年齢より微妙に上(?)で、竜也が35歳だったようですが、実際には二人とももう少し若く見えました。竜也が30前後、小栗くんが20代前半って感じ。
ってことは、舟島の決闘のとき、小次郎はまだ20歳前だったってこと……?ぅ、うぅーむ。

この二人ってホントは同い年なんだけど、姿の違いと声の違いでうまく年齢差を出していたと想います。
ああ、それにしても、竜也がもう20代後半だなんて……時がたつのは早いなあ(; ;)。「身毒丸はまだ16歳~♪」と歌われた当時、まだ15歳だった竜也なのに……。(溜息)




…しかーし。
当初の構想は、おそらく、正面から「武蔵」という剣豪を描こうとしていたんだろうと思うんですよね。プログラムでの、堀社長と井上さんの対談を読んでいても、そんな感じだし。

でも。
できあがった作品は、実際には「ムサシ」でもなければ、もちろん「コジロウ」でもなかった……。
いや、この二人はどちらかといえばW主演的な扱いだったんですけど、むしろ、物語の主筋は辻萬長の沢庵禅師か、吉田綱太郎の柳生宗矩あたりが語っていたような(^ ^;

そんなところ、ヅカファン的には、ちょっと大野作品を思い出しました(^ ^;ゞ。年上の“デキるひとたち”がぜーんぶ持っていってしまうあたりが。…いや、今回の場合、竜也や小栗くんが実力として見劣りするってことは無かったんですけどね。それなのに、なぜか世界の真ん中にいるのは明らかに辻さんで、若い二人はその掌の上を一生懸命走っている孫悟空たち、ってかんじ。
いや、本当に二人ともよかったんだけどなあ(^ ^;。



そしてもう一つ。
とても面白かったんですけど、私の心の中で“いわゆる『剣豪物語』”を期待していた部分は、かなりな肩透かしをくらって、一本背負いで投げられちゃった感じでした。
武蔵と小次郎だけじゃなく、柳生宗矩(しかも吉田さん!)まで出てきちゃうなんて、どんだけ『剣の道とは』みたいな話になるんだよ!?と、ワクワクしていたわけなんですけど、そういう部分がまるっと「……あれっ?」みたいな。
わけがわかんないうちに背中が畳についてました、まいった!みたいな。そんな印象。

とりあえず、吉川英治の「宮本武蔵」を読んで、「あれっ?小次郎を生き永らえさせて、この後どうするんだ?続編でも書くつもりだったのか…?」と思った私にとっては、イイかんじで後日譚を知ることができてよかった良かった、みたいな感じでした。



舟島の一騎打ちから6年後。
鎌倉の片隅にあった廃寺を再建した平心和尚の口上で始まる本筋は、再建なった宝蓮寺の寺開きの参籠禅が執り行われる。
京の都は大徳寺の長老・沢庵禅師を導師に迎え、沢庵禅師と親しい柳生宗矩や、寺の大檀那である木屋まい(白石加代子)、筆屋乙女(鈴木杏)らが参加。そして、寺の作事(設計&工事取締り、ってところかな?)を勤めたのは、沢庵禅師に師事する宮本武蔵。

そこに、一騎打ちの怪我が快復して以来、武蔵を探し続けていた小次郎が現れる。
「今は参籠禅の最中ぞ」という沢庵禅師の言葉に納得し、「ならば、それが明ける三日後の朝に」と再度の決闘を約した小次郎は、そのまま武蔵野行動を見張るために三日間の参籠禅に参加することになる。


じっさい、宮本武蔵は舟島(厳流島)の後も天下の剣豪として幕府に任官したとかそういうこともなく、晩年(?)にいくつかの書画の傑作を残して表舞台からは姿を消すわけで、もしかしたら鎌倉の片隅で寺を作って座禅にいそしんでいたりとか、そういう人生を送っていたりしたのかもしれないなー、とか、結構納得してみてました。
竜也の芝居も、なにか悟りを求めてあがいている感じがでていたし、小次郎のある意味での“迷いの無さ”との対比が、勝った者(=目標を見失った者)と負けた者(=超えるべき目標がある者)を彷彿とさせて、興味深いな、と。
そんな二人に対する、沢庵師の「勝とうが負けようが、剣で闘うなぞ、愚かで莫迦で阿呆の証拠じゃ」みたいな罵倒がとても気持ちよく嵌っていて、そのへんの展開はさすがだなあ、と思いました。


しかーし、しかーし……
井上ひさしが、一筋縄で終わる脚本を書くはずもなく。


関東公演は明日で終わりですが、まだ大阪公演があるようなので、ネタバレのないように気をつけ……ると、何も書けないので、ばらしちゃいます(汗)。
ですので、井上ひさし作品をいくつも観ていて、慣れていると自信のある方以外で、これからこの作品をご覧になろうと思っていらっしゃる方は、この先は絶対にお読みにならないでくださいm(_ _)m。





------------------------------------
 ここからネタバレ
------------------------------------





興味深くて面白い作品だったんですけどね。
沢庵の重みも、柳生の軽みも、若い二人の必死さも。


でも。
井上さんお得意の幽霊落ちだったのだよ…………(T T)。

結構早い段階から伏線はってあったので、“も、もしかして…?”とは思っていたのですが。
……やっぱりか。



おかげで、せっかくそれまで積み上げてきた『太平の世で、生き残ってしまった剣豪はどう生きるべきか』というテーマが、すっかりぼやけてしまいました(涙)。
せっかく「活人剣」だのなんだの、と、太平の世を生き抜いた剣豪・柳生を出してきていろいろ語らせたのが、なんとなーく“無駄になった”気分よ(T T)。




鎌倉周辺で、いろんな理由で自ら命を棄てた者たちが、徒らに命をやりとりすることで“何か”を得ようとする剣客二人の決闘を留めようとする。
それはそれは、あらゆる手を尽くして。
情に訴え、理屈に訴え、柳生の理念で訴え、禅師の説法で訴え、……そして、最後にはもう一度、親子の情に訴えて。


それでも、冷静な武蔵は彼らのいろんな“手”を一つ一つ見破って潰していくのですが。
最終的には、丑三つ時に無理矢理決闘を始めようとする二人を、幽霊たちが白装束で囲み、口々に訴える。

「争いごとなどやめて、命を大事にしてくださいまし」
「我らは命を粗末にした罰で、仏に成ることもできませぬ」
「でも、他の誰かが命を粗末にすることを留められれば、成仏できまする」
「どうぞ我らを助けると思って、果し合いはおやめください」
「「「「どうぞ我らを、哀れと思って……」」」」

あの手この手と企むよりも、まっすぐに全てを明かして訴えたほうが、翻意しやすいんですよね、人間って。
「武士に二言はない」を座右の銘にしていそうな二人も、魂たちの訴えにはうなずいた。
何かを断ち切るように、刀を鞘に納める二人。
満月の夜、冴え冴えとした月の光が映ったような、凍りついたような瞳で。

自らを否定する行動に、震えが止まらない手で。指で。




翌朝の、ただ黙って目を見交わし、上衣を羽織り、脚絆を巻いて旅支度を整える二人の静かな空気が、切なかった。
彼らは自分自身で、『剣豪』であった己を否定してしまった。
斬り捨てたのだ。あの剣を、鞘におさめるときに。

自分自身の心が納得しての行動ではなかっただけに、苦しい夜明けだった。
まだ整理はついていない。
でも、もう剣で身をたてることはできないだろう。
人の情に流されて、棄ててしまった剣の道なのだから。



たぶん、この物語のラストが私の中にすとんと落ちてこなかったのは、「彼ら二人が、心の底から納得して棄てた剣ではない」ところだと思うのです。
行動としては、わかんです。納得できる。
二人があそこで、幽霊たちの頼みをきいてあげるのは。
その結果として、今までのように剣の道に突き進めなくなるのも。
だから、特に矛盾は感じません。ああなるしかなかった、それは納得しています。

でも、もっとすんなりと説得されたかった。
二人が、涙を呑む形で剣を棄てるのではなく、「活人剣」の摂理に納得して棄てるところまでの説得力を持たせてあげてほしかった。

自分が剣の道をひたすらに突き進んできた目的が、いかに邪なものであるかに気づいて棄てる、そんな説得力を。
あれじゃあ二人が可哀想すぎるじゃないですか。今まで、ただ一心に剣の道を貫いてきた二人なのに。
どんなに動機が不純であっても、それでも、その一心ぶりは、十分仏の道にもつながっていただろうに。




そして、思ったんですよね。
この強引な展開、もしも、たとえば宝塚で、たとえば植田(紳)さんや谷さんがやらかしたら、観客の非難轟々ですごいことになっただろうなあ、と。

やっぱり「井上ひさし」の名前には、こういう無茶な展開にも説得力を持たせるだけの力がある…ってことなんじゃないでしょうか。
もちろん、名前の力だけじゃありません。登場人物の心理の動きに矛盾が無いから、たしかな説得力があるんです。
そういう説得力は、植田(紳)さんや谷さんや児玉さんには無いもの。

ラスト、旅立つ二人が本物の沢庵たちとすれ違う場面の静かな感慨は、決してネームバリューで手に入るものじゃない。

でも、おそらく、この物語をそのまま植田さんの演出でやったとしても、観客の緊張が最後まで持たないとおもうんですよね。観客(私)が最後まで緊張感を喪わず、どんな展開になるかを読みながら作品に取り組んだ、まさにそれが、作家のネームバリューの力なのではないだろうか、と、

……ある意味、寂しい結論だなあ……。





------------------------------------
 ココまでネタバレ
------------------------------------
東京會舘にて、白羽ゆりミュージックサロン「SWAN」を観ることができました♪




出演は、雪組84期の三人。白羽ゆり・音月桂・麻樹ゆめみ。
となみちゃんとキムちゃんは、舞台でも絡むことが多いんですけど、ゆめみちゃんはあんまり絡まないので、「あ、そういえばこの三人で同期なんだなー」と思ったのですが……




先月観たあすかちゃんの「Postlude」は、普通のディナーショーにかなり近い形式でしたが、となみちゃんは完全に 入団してからの10年間(音楽学校時代も含めて12年間?)を振り返る という形式でした。
最初に初舞台公演の「未来へ」と「シトラスの風」で始まって、カラマーゾフの「心の中の神」で終わる、その構成も実に見事でした。構成・演出は、ベテランの三木さん。となみちゃんをセンターに立たせつつ、キムちゃんの見せ場もきちんと作って、ゆめみさんの場面もつくって……それでいて寄せ集め感のない、流れるような“ベテラン”らしい味のある構成でした。



初舞台の二曲が終わって、ちょっとトークをはさんで「下級生時代の曲をお聞きください」と始まったのが、BLUE MOON BLUEより、「二人だけのデート」。
可愛い曲でしたが、あのローズルーム一杯に詰め込まれた観客の、いったい何割が当時のとなみちゃんを知っているんだろう? な~んてことを思いました。
本公演はもちろん、当時はまだ新人公演とかでも大した役はついてなかったんですよね。まぁ、「BLUE MOON BLUE」は、ウサギちゃんという大役がついていたので映像で観てもすぐわかりますけど。本当に可愛かったなぁ……(*^ ^*)。となみちゃんが卒業したら、ウサギちゃんたちもあーちゃん(花瀬みずか)を残すのみ、になるんですね。博多ウサギもとっくに卒業してしまったし。“この中から何人トップが出るだろう?”とワクワクしていたのに、結局となみちゃんだけ。……皆可愛かったのになあ(T T)。

続いて、キムちゃんとのデュエットで「逃れえぬ想い(更に狂わじ)」。……いやぁ、これタニちゃん(それも9年前の!)とのデュエットだったんだよね。……ありがとうキムちゃん。あらためて聴くと、いい歌だわ本当に。
となみちゃんも本当に歌が巧くなったなあ、としみじみ懐かしいです。

「更に狂わじ」。…書いてる途中で根本ストーリーが大きく変わったのが丸見えな作品で、いろいろ惜しいところはありましたが、今につながる大野さんの香気が色濃く漂っていた作品。また何かの機会に再演してほしいなあと思っています。……動員に苦戦しがちな日本物で、しかも主演(きりやん)が娘役とは恋愛しない作品なので、難しいとは思いますけれども。


キムちゃんが引っ込んでとなみちゃんだけが残り、ゆめみさんが出てきて、二人で「あなたと私は裏表」。いやー、可愛い。眼福、眼福。
私はこの作品(日生劇場「風と共に去りぬ」)でとなみちゃん落ちしたので、とても懐かしかったです。スカーレットIIがめっちゃ可愛かったんだもん(*^ ^*)。今回、この曲が選ばれて、ああ、となみちゃんにとってもあの役は大事な役だったんだな、と思って、とても嬉しかったです。

続いてキムちゃんと「モヤモヤモヤ(恋天狗)」のデュエット。途中まで、なんだっけ……「キエレメ・ムーチョ」だっけ?ノバ・ボサ・ノバの曲のどれかにすごく似ていたので、ノバの曲だとばかり思っていましたが。恋天狗だったのか。……そういえば見てないんですよね、あのシリーズは。月組でさえ、何か忙しい時期だったか何かでどうしても行けなくて、すごく悔しい思いをした記憶が……。観たかったなあ(T T)。

で、「タカラヅカ・グローリー」で締めて、もう一度トークに。
「同期でラブソングをデュエットするのは、恥ずかしいけど、嬉しいです……」とか言っていたのはこのときかな?
たぶん、音楽学校時代の思い出を話したのもこのときだと思うんだけど。もしかしたら最初のトークだったかな?(すみません覚えてません)
となみちゃんの方言が凄かったっていう話と、とにかく凄く一生懸命だった…という話くらいで、特に「ココだけの話!」みたいなのは無かったような。とにかく三人仲良いんだな、と微笑ましくなるようなトークでした。



で、となみちゃんが着替えに引っ込んで、キムちゃんとゆめみさんで「そうして彼女は、84期初のトップ娘役になりました!」みたいな前フリをしてから、二人で「ごらんなさい」を歌い始めました。
白スパンの衣装にキメキメの男役メイクで、必死に可愛らしく小公子を演じようとするキムちゃんと、イイ女メイクのままこれまた可愛らしい小公女になりきろうとしているゆめみさんが、それはそれはとても素敵で、眼が離せませんでした。
長いナンバーをフルコーラス歌って、ポーズまで決めたところで、アントワネットのとなみちゃんが登場。
ここはやっぱり、ホンモノの女王様衣装+女王様鬘を期待してしまったのですが、出てきたとなみちゃんは予想外にシンプルな衣装と鬘で。黄色でまとめた髪飾りも、すべてがとても美しく似合っていたんですけど、いかんせん暗転の中で想像していた姿とは全然違っていたので、反射的に「…あれっ?」と思ってしまいました……(^ ^;ゞ
これからご覧になる皆様。残念ながらアントワネット様は登場されませんので、いらん期待をなさいませんように!

歌は「青きドナウの岸辺に」と「ばらのスーベニール」二曲続けて。とても良かったです。衣装のショックから抜けた後は、素直に感動しました。うん、貫禄ついたなあ、、、と。

二曲歌うと、この衣装はそれでおしまいらしく、軽やかに舞台袖へ引っ込みます。そして、ラテンな衣装に着替えたキムちゃんとゆめみさんの「コパカバーナ」。すごく良かったです!やっぱりキムちゃんにはラテンが似合う。(ゆめみさんには何でも似合います♪)
途中から、紅の衣装に着替えたとなみちゃんも加わって、三人で「コパカバーナ」を熱唱。

そして、すぐに続けて「来てよ男」ですよあなた(!)。
となみちゃんの「来てよ男」、ものすご~~~く好きだったので、めっちゃ嬉しかったです。ああ、ピアノのセットが欲しかったよっ!(涙)。キムちゃんの合いの手もタイミングよく入って、お稽古期間なんてほとんど無いのに、同期ってすごいなあ、と感心しました。
それにしても、となみちゃんの低音の響きの豊かさにはうっとりします。弦楽器みたいな声ですよね。ちゃんと身体が鳴ってるの。チェンジボイスの訓練をして、もう少し低音の響きを残してソプラノが歌えるようになったら、ミュージカル女優としては一流になるのになあ。とりあえず、ミシェル・ルグランの曲を歌うことは決定しているので、がんばってほしいなあと思います☆


ここでまたちょっとトークをはさんだと思うんですが。キムちゃんが着替えに抜けたはずなので、ゆめみさんと二人でつないだはずなんだけど、、、あれっ?すみません、内容覚えてないぞ。何をだっけなー。
とりあえず、「今までは私の出た作品から選ばせていただいたのですが、次はちょっと雰囲気を変えて、大好きな街・NYの歌を聴いてください」というような前フリがあって、客電が落ちると、客席後方からキムちゃんが登場!でした。

そういえば。今回の「SWAN」では、客席登場はほとんどなかったんですよね。となみちゃんは、客席降りは何度かあったけど客席登場は無し。キムちゃんはココと、あとゆめみさんと二人で後方から登場したことが一回あったはず……なんのときだっけ?(私の可愛い海馬よ…)

宝塚のショーで「NY」の場面によく出てくる、太い縦ストライプのジャケットのキムちゃんは、客席を回りながらのNYメドレー。客席いじりも慣れたものです。全ツとかでの客席降り、多いですもんねぇ。
三曲くらいは歌ったのかな?かなりがっつりと「キムちゃん」を堪能できた場面でした。舞台にあがってからも色っぽく歌いつづけて、ちょっとドキドキするくらい格好良かったです。この人がまだディナーショーをやったことがない、ってことが信じられない。好きそうなのに。

しばらーくキムちゃんが歌って、また綺麗に着替えて化粧もちょっと直したとなみちゃんが登場。黒のシンプルなスパンコールドレス。デコルテの美しさと腰まわりの細さ。本当に、こういうシンプルなドレスがよく映えるスタイルだなあ、と感心しながら。
で、二人で「初めての恋(ガイズ&ドールズ)」。月組で「ガイズ」を上演したときは、となみちゃんはもう組替え後だったんですよね。…残念だなあ。となみちゃんのサラ、当たり役になったんじゃないかと思うのに…。ぱっと眼を惹く美しさと気の強さ、そして酔っ払ったときのコケティッシュさ。うーん、ぴったりだと思うんだけど(*^ ^*)。



ここでもう一度トークをはさみます。とりあえず、着替えるために袖に入ったキムちゃんの話で盛り上がっていたのはココかな?「頼りになるね」っていう話から、「あんなに可愛かったのに…」みたいな話になって。「いや、今でも可愛いよ」「いや、頼りになりますよ」と焦ったように持ち上げる二人が、なんだかお姉さんでした(^ ^)。
着替えたキムちゃんが、袖から顔だけ出して「なになに?今なんて言った?」と突っ込むと、「いや、キムは可愛いねって」と、フォローできてないことを言うゆめみさん。でも、満面の笑顔で「えっ?そうなの?もっと言って!」と促すキムちゃん、あなたはちょっと男役の自覚が足りないんではないかい?男役10年だっつーのに…。


で、「せっかく同期三人揃ったので(←おそらく、“歌える同期が”と言いたかったのではないかと思われます)ちょっと難しい歌も歌ってみよう、ということで、、、Let’s JAZZ!」とう前フリで、流れた曲が「IN THE MOOD」。
三人のコーラスが絶妙で、これは吉田優子さんの編曲の勝利かな?となみちゃんは低音が魅力だし、ゆめみさんは上から下まで全部出る歌姫だし、キムちゃんも男役としては音域広くて高いところも安定して歌えるし…というわけで、三人のパートが入り乱れて上を歌ったり下を歌ったりするかなり難しい編曲でしたが、見事に歌いこなして、ばっちりでした♪息もあってて、さすが同期!という感じ。

そのまま三人で「ムーンライトセレナーデ」につないで、となみちゃんが着替える間に二人で「Unforgetable」。この辺までが、スタンダードナンバーコーナー。
でも、ほとんどは何かのショーで使ったことがある曲なんじゃないか…?と思ったりしつつ。




着替えて戻ってきたとなみちゃんは、ロングのストレートな鬘に変えて、神々しいほど美しくて。
「伝わりますか(ジェローデル編)」と「心の中の神(カラマーゾフの兄弟)」を続けて歌って、締めました。
オリジナル曲は無かったけど、「心の中の神」は、となみちゃんのための名曲だったんだな、と。となみちゃんの音域にあわせて、声質にあわせて、となみちゃんのタメに、齋藤さんが用意してくれたオリジナル曲だったんだ、と思いました。
祐飛さんの一番最初のディナーショー「Selfish!」で、ほぼ相手役待遇だったとなみちゃん。
あのときの可愛いサリーが、こうして大輪の華を咲かせて花園を去ろうとするときに、最後の締めの音楽を提供したのが齋藤さんだったことは、単なる偶然ですけれども。なんだか、嬉しかったのは事実です。





止まらない拍手。
止まらないアプローズ。

アプローズに応えて、鳴り出した音楽は……


前奏を聴いて、会場中の人が息を呑みましたね。

こういうコンサートでは、版権の問題か何かで歌えないのかと思っていたのに。
軽やかな音の羅列は、あきらかに、

「エリザベート」より、「私だけに」。


となみちゃんの、“天使のような”シシィが、私は本当に大好きでした。
国を治めることなど全く不可能な、天然100%の無垢なシシィが、繋がれた鎖をただ否定するためだけに歌われた、名曲「私だけに」。

でも。
この「SWAN」の「私だけに」は、凄まじい光と開放感に溢れかえって、ものすごいパワーのあるHappy Songでした。
聴いている観客を、無理矢理に“幸せ”にしてしまうパワーを持った、歌。


「エリザベート」という作品とは無関係なところで、「音楽」の、この歌の持つ力に圧倒されて。卒業を前にしたとなみちゃんの、その「前へ」飛び出していこうとするパワーに、打ち倒されて。



自分の来し方を振り返って、通ってきた道を辿りなおして、そして、その先へ続く道を歩き続けよう、と。
となみちゃんの、そういう明解な意思とパワーを、強く感じたコンサートでした。



涙をこらえながら「本当に楽しくて…幸せです。」と、小さな声で挨拶していたとなみちゃん。
研1の「から騒ぎ」の時から、ずっと見てきたとなみちゃん。


10年間、夢を見せてくれてありがとう。
視ていた私も、幸せだったよ。




世田谷パブリックシアターにて、「キサラギ」を観劇してまいりました。



映画版についての感想はこちら。
http://80646.diarynote.jp/200708152235160000/


B級アイドル・如月ミキが火事で亡くなって、ちょうど一年。
ミキのファンサイトの、最初(で多分最後)のオフ会が開かれるところから、物語は始まります。
オフ会の会場は、ミキの、生前の唯一のコンサート(イベント?)の会場だった、取り壊し寸前の市民ホール(?)。


……。

いやーーーー、良かったです。
ストーリーは全部わかっているのに、まんまと泣いてしまいました(- -;ゞ。落ちが完全に見えているんだから、今回は絶対泣かないと思っていたのになー。

映画の4人も嵌っていたけど、舞台の4人も実に嵌り役でした。映画とほとんど同じ台詞を同じように喋っているのに、宛書としか思えないほどに。
これだけ脚本に力があると、いろんな役者で観てみたくなります。うん。いろいろ妄想配役してしまいました(汗)。




とりあえず。
…ネタバレしていいものなのかどうかわからないので、とりあえず、キャストについて書きます。と言いながら、実は若干のネタバレになるようなことも書いちゃってますが……ご容赦くださいませ。




オダ・ユージ(今村ねずみ)
映画ではユースケサンタマリアが演じた、物語の鍵を握る人物。
5人のキャストの中で一番の年配で、あきらかに“人種が違う”感が漂っていて、常に舞台の「真中心」に立っている……いや、彼の居るところが舞台の中心になっている、そんな印象。
いやあ、映画を観たときは、もうこの役はユースケサンタマリアしか考えられない!舞台版の上演があっても、このキャストだけは譲れない!と思っていたんですが。「今村ねずみ」というキャスティングを聞いて拍手、実際に舞台を観て、深くうなずいてあらためて拍手喝采!!という感じでした。
ええ。もう、素晴らしかった。

まず、あのスタイルがいかにも“それっぽい”んですよねぇ(感心)。もともと、ムチのようにしなやかなスタイルの人ですが、すこーしごつごつした感じに調えていたのと、ちょっと顔色を悪めにメークして、“ストレスで激痩せした”っぽい雰囲気を自然に出していたのはさすがでした。

最初の登場からの、さっそくの嫌味な口調。さりげなく逃げ場を奪って追い込んでいくやり方。怪しい人物を追及するときの口調の激しさ、行動の極端さ。そして、罪を自覚したときの感情の振り幅。どれも、脚本にきちんと描かれた人物像を過不足なく的確に表現していて。
最近、CONVOY SHOW以外でお眼にかかることが少なかったのですが、かっこよかったです。久しぶりにねずみさんの格好良さにふれて、とても幸せでした。




家元(松岡充)
映画では小栗旬が演じた役。今回は前日に観たばかりの「ムサシ」での小栗くんの残像が残っていて(汗)、松岡さんで嵌れるかなあ?とか余計な心配をしていたのですが。
…全然問題なかったです♪(当然?)

「タイタニック」のアンドリュースも良かったけど、歌を封じた家元も、とっても素晴らしかった!(*^ ^*)。彼は、公務員として働くかたわら、アイドルのファンサイトを作って運営管理し、しかも(映画には無かった設定ですが)歌まで奉げてしまう、という、ちょっとキャラクターとして無理がある人物像なんですけど(汗)、、、松岡さんは『公務員としてありえねー』茶髪に、大きな眼をくりくりさせて、じつに生真面目に可愛らしく(?)演じていらっしゃいました。……いやー、童顔ですよねぇ、彼。実年齢は小栗くんとは随分違うと思うのですが……

「家元」という役は、設定としては何歳なんでしょうね。途中で関係部門にいきなり電話で問い合わせをする場面があったりするので、そんなに若いわけではなく、それなりに人脈も築いた30代前半くらい……、でいいのかな?
映画の小栗くんは20代前半くらいに見えて、いろいろ問い合わせたりする様子を見ながら「若造がちょろっと電話したくらいで調べてくれるのか?」とか思わないでもなかったのですが(汗)、松岡さんは、『若く見えるけど実は結構ベテランかも?』というギャップがあるのがちょうど良い感じでした。
まぁ、映画にも「家元=警視総監の息子」という設定はあった…ような気がするので、そういう七光りで調べさせるんだろうな、と納得した……ような気もしますけどね。




スネーク(今井ゆうぞう)
映画では小出恵介が演じた人物。誰か(主にオダ・ユージ)が何かしら意見を言うと、なんでもかんでも「そうだよなっ!!」と賛同してしまうタイプの青年。
設定的に如月ミキ(『遅れてきた清純派』アイドル)と同世代でないとおかしいのですが、今井さんって何歳くらいなんでしょうか。笑顔が明るくて可愛くて、ちょっと小柄なのもあって、若く見えました。うん。映画みたいに、如月ミキちゃんと並んだ映像を観てみたかったかも。

プログラムを読むと、全然まったく性格が違うみたいですが、、、実によく嵌ってました。映画の小出さんは本当にウザくて素晴らしかったんですが、今井さんはもっとアクが弱くて、ふわっとした感じ。物語世界の中で、違和感なく「そうだよなっ!!」をやっているのがとても可愛かったです(はぁと)。




安男(佐藤智仁)
プログラムで本人が書いてますが、心の底から「えっ?この人が安男?」と思いました。
映画では塚地武雅が演じた役。いやー、やっていることは同じなのに、随分印象が違いました。でも、やっぱりやっていることは同じなんだなーとも思いましたけど。

声が珍しい感じにかすれていて、上擦ったようにも緊張して奮えているようにも聞こえるのが、朴訥な感じで役に合っていたような気がします。訛がちょっと違っていたのは気になりましたが、まぁ一般的にはわからないだろうし。
後半の、正体がバレて二枚目っぽくなってからの芝居が、映画の塚地さんとはだいぶ違っていて面白かったです。優しいんだけど押し付けがましい感じがでていて、恋人が本当の気持ちを言えずに「だってあの人が勝手に…」みたいに言い訳してしまったのも納得できる!と思いました。
そこの心理が、映画をみた時にちょっと謎として残っていたので、解決してもらって嬉しかったです。

うん。やっぱり、映像的にいろんな工夫ができる映画と違い、その人物が等身大で他のメンバーと並んでいるのが丸見え名舞台では、安男という役にはどうしても「実はカッコイイんだ!」という衝撃というかギャップが必要なので、今回の配役は大正解だったんじゃないかと思います。


……ところで。
今気づいたんですけど、この公演、福島に行くんですね。……会津じゃなくて福島だから良いのか……? 浜通り出身の私でさえ、ちょっとひっかかったんだけど……。





イチゴ娘(中山祐一朗)
映画では香川照之が演じた役。謎解きを考えれば、そのくらいの年齢の人がやるべき役だと思うのですが。でも、あまり違和感はなかったです。うん。男としての弱さ、力が足りなかったことに対する悔いがよく見えて、実は結構、彼に泣かされた面がありました(T T)。






映画との一番の違いは、「謎解き」を映像で見せられないこと。
5人がそれぞれに、「その日」について知っていることを語り合うことで話が進んでいくわけですが、映画では「語られている情景」が流れている時間に、舞台では「語っている人」と「聞いている人々」を観ることになる。
スキップなしのワンシチュエーションドラマでは、他に観るものが無いので当たり前なのですが、映画を観ていなくて舞台だけを観る方は、かなり集中して一つ一つの台詞を聞き取り、正確に脳内でイメージを再現しないと、話がよくわからないんじゃないかと思うんですよね。
ちょっと気が緩んだだけで、あるいは、ちょっと隅っこで拗ねている家元に見惚れただけでも、話が見えなくなってしまう危険がある。

この作品は、元々は舞台脚本(古沢良太)のはずなんですけど、今回の上演台本はどうやら映画版からさらにリメイクした(三枝玄樹)らしく、観た感じ映画版と台詞の情報量があまり違わない気がするんですよね。ってコトは、映像がない分、説明理解のハードルは高いわけで。

私は、一回映画を観ていて謎解きの大筋は頭に入っているので、その点については楽でしたが、舞台を先にご覧になった方はどうだったのかなー?と思いました。「家中に油が撒かれていた」ことを理由づけるスネークの説明とか、ミキの家の構造(最後の謎の意味)とか、大事なところなんですけど、言葉だけだとかなりわかりにくいんじゃないのかなあ……。




でも、そうやって解りにくい部分もあるかわりに、映像に誤魔化されないぶん、謎解きに気をとられずに一つ一つの台詞や仕草に集中できたのが面白いところなわけで。
やっぱり、映画版のリメイクじゃなくて、本来の舞台用の脚本で上演してほしいなあ、と思うんですけどねぇ……。相当違うんでしょうかねぇ。



もちろん、映像が無いことによって、「アイドル・如月ミキ」も出てこないんですが、これは、あくまでも「心のアイドル」としてイメージを固定させない効果はあったと思います。
ただ、そういう狙いなら、後姿とはいえプログラムに写真を載せるのはやめておいてほしかったような。載せるんだったら、モデルも明記してほしかったです。あれはいったい、誰なんでしょうか……(謎)。
途中で流れる歌も、誰かが歌っているはずですよね?まさか松岡さんや今井さんがソプラノで歌ってる筈ないだろうし、「音楽」スタッフの押谷沙樹さんがやってるとかも考えにくい…。
誰なんでしょうねぇ、あれは。




あ。そうだ。舞台版での変更点で気になったのは、ミキちゃんにファンが全部で何人いたか、の議論でした。あれはいらないと思うんですけどねぇ…。
生きて元気に活動していた時代は“それなりの人数”のファンが居た、ってことでいいじゃないですか。サイン会だかなんだかで、やり過ぎたらマネージャーに突き飛ばされるくらいの人数は居たわけでしょう?音痴だろうがなんだろうが、好きな人のCDなら皆ちゃんと買いますから。
……いくらなんでも、ファンが一人とかあり得ないからやめてください(T T)。




日曜日でSPT公演は千秋楽。次の公演は、22日の福岡市民会館なんですね。遠いっ!そこからは鹿児島→岡山→新潟→仙台→福島→札幌→金沢→名古屋→大阪(ドラマシティ)と全国を回って、最後に東京(5/16)で大楽。ううう、大楽観たいなあ。16日、微妙に用事があるんだけど……(T T)。


とりあえずは、また近いうちに同じキャストで、いいえ、キャストは違っても面白そうなので、とにかく再演されることを祈りつつ。



だいぶ前になりますが、日生劇場にて、ミュージカル「マルグリット」を観劇いたしました。



ブーブリル&シェーンベルク、といえば、もちろん「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」を生み出した名コンビ。ただし、「マルグリット」の音楽はシェーンベルクではなく、「シェルブールの雨傘」などのミシェル・ルグランが担当。「そもそも、ルグランから持ちかけられた企画」だった、とプログラムに述べられているとおり、シェーンベルクの重厚でテーマ性のある音楽ではなく、ルグランの叙情的でメロディアスな音楽を生かすためにも、「椿姫」というドラマティックなメロドラマを題材として選んだのは正解だったと思います。

なのに、彼らが自分たちの得意分野である「社会派」の色づけをちょっと濃くしすぎてしまったのがちょっともったいなかった…かも(^ ^;。



ブーブリル&シェーンベルク。彼らの『歴史』に対する鋭い着眼点と、「優雅な貴族たち」にも「がむしゃらに生きている庶民」にも平等に注がれる温かな目。「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」の成功は、その目線をストレートに打ち出したことと、その社会派な切り口に、シェーンベルクの重厚な音楽が良く似合ったことによってもたらされたもの。
ミュージカル「マルグリット」は、小デュマの筆によるメロドラマの名作「椿姫」を『第二次世界大戦中のパリ』、あるいは『ナチスによる占領下にある“花の都”パリ』に舞台を移して構成された作品。さすがに世界的な巨匠、しかも地元フランスで活動しているお二人は、「花咲く港」を「パリの空よりも高く」にするような愚を冒すこともなく、細かい伏線もきちんと拾って矛盾なく翻案してのけました。
それこそ、「ロミオとジュリエット」→「ウェストサイド物語」なみの見事な翻案だったと思います。


でも。

貴族たちが雅を競った19世紀の社交界の徒花を、20世紀の大戦中、占領下で「新しい支配者」に愛された“愛人”の物語に移し変えたとき、求められる音楽も、繊細かつ華麗なルグランではなく、やはりシェーンベルクの重厚な社会派の音になっていたのかもしれないな、、、と。



音楽的な構造は、いかにもシェーンベルクらしい、同じメロディに違う意味を持たせてリプライズすることで、全体に深みをもたせる構成。
一回しか観ていないので全部はわかっていないと思いますが、一番印象的だったのは、アルマン(オペラのアルフレード)の姉・アネットが恋人と手を繋いでパリの街を歩きながら昔を懐かしむ「あの頃は」と、群衆(対独協力者)たちの大コーラス「デイ・バイ・デイ」。この、まったく違うシチュエーションで歌われる音楽が、非常によく似たメロディであったことは、大きなポイントだったと思います。

この二曲の類似には、いろいろ考えさせられちゃいました。
対独協力者たちにも、パリの街への愛はあったんだろうか、とか。
……あったんだろうな、とか。
作品上、彼らの真情はまったく語られることはないのですが、それでもこの曲が一曲あるだけで、行動とは裏腹な気持ちを憶測したくなるんですよね。音楽、という、言葉では表せないものを提示するモノを上手に使った、見事な構成だなあ、と感心しました。





第二次世界大戦中、ナチスの占領下におかれた、かつての“花の都”パリ。
かつてこの“花の都”でコンサートホールをわかせた歌姫・マルグリット(春野寿美礼)は、今はナチス将校・オットー(寺脇康文)の愛人として、対独協力者たちの中心的存在となっている。

この、“対独協力者たち”の変節ぶりが、この作品の中で大きなウェイトを占めるのですが。
上にも書いたとおり、彼らのコーラスナンバーである「デイ・バイ・デイ」のイマジネーションは、彼らが「希んでそういう存在であるわけではない」ことを示しているのかなー?と思いました。
「レ・ミゼラブル」に出てくるテナルディエ夫妻のように、「“宴会乞食”でいる自分を志向している」わけではなく、時代に翻弄されて“仕方なく”そうなってしまった。

だから彼らは、同じことをしていながら“清い存在”で在ろうとするマルグリットを羨み、憎まずにはいられない。

その心理が。
理解はできるけれども、納得はしたくなくて。
彼らがマルグリットを蔑む心根の底に、見え隠れする怯えと不満。その卑しさが、理解できてしまう自分がいやで。

最終的には、幕が降りた後まで後味の悪さが残ってしまった……というのが、正直な感想ではありました。
救いのなさ、というよりも、「救われたい」と思わない人々の物語だったなんだな、というところが。



もちろん、物語の主役はあくまでもマルグリットですし、彼女の悩みや苦しみがテーマの中心に常にあるのですけれども。
私には、この「対独協力者たち」=アンサンブルのドラマが、一番ドラマティックに感じられました。二つの世界大戦を乗り切るために、“名も無き人々”はいったい何をしたのか、してしまったのか、と。

…彼らにとっての“敵”とは、いったい何であったのか、と…。





マルグリット(歌姫/春野寿美礼)
原作からの改変点として、マルグリットが「高級娼婦」ではない、というのがあげられると思います。彼女はあくまでも『歌手くずれの愛人』であって、職業としての『高級娼婦』ではありませんから。

やっていることは似ているようで、心構えが全く違うと思うんですよね。
その道(男を魅了し、気持ちよく過ごさせる)のプロフェッショナルであるべき『高級娼婦』と、本来的な意味での“プロフェッショナル”である『歌手』と。どちらも“気持ちよく過ごしてもらう”ために何かを提供する、という意味では同じですし、『高級娼婦』は、もしかしたら歌えるかもしれないし、『歌手』も、もしかしたら男を魅了するかもしれません。でも、彼女たちはどちらも、それが目的ではないのです。“歌ってさえいれば幸せ”だったはずのマルグリットは、今は歌も(基本的に)やめて、ひたすらサロンを盛り上げようと恐々としている。
ただ、オットーのため、だけに。


これが宝塚歌劇団卒業後、初舞台となったオサさん。磨き上げられた艶のある美声が、ルグランの音楽によく合っていたと思います。現役時代の強い癖もきれいに矯正されて、もともとの声質の良さをそのまま響かせ、ソプラノから低音へのチェンジボイスもきれい。「あの人宝塚のOGなのよ!」とちょっと自慢したくなる美声でした。
これからミュージカルへの出演依頼も増えそうで、ファンの皆様も一安心、というところではないでしょうか。

ただ、ビジュアルはまだまだ工夫の余地あり、という感じでしたね。マルグリットの40歳の誕生日パーティーで始まる作品なので、ミュージカルのヒロインには珍しく、実年齢よりちょっと上の役。その年齢をちょっと意識しすぎじゃないかな、と思いました。
化粧もそうだし、中でも鬘が残念だったなあ(T T)。顔というか頭の形は理想的ではないかもしれませんが、鬘でどうにでもフォローできると思うんですよね…。うーん、特に今回は、オットーが惚れ込んで傍から離さない“自慢の愛人”なわけで。もう少しビジュアルの造りこみが必要だったんじゃないかなあ、と思いますね。

決して“美人”ではないあすかちゃんが、あれだけ創りこんで「南部一美しいクレアトール」という称号にふさわしい美女として舞台に立っているのだから、オサさんだって絶対できるはず。
椿姫は美人じゃないと話が始まらないので(テレサ・ストラータスのヴィオレッタは美しかった…)もし再演されることがあるならば、オサさんにはがんばってほしいなあと思います♪


オットー(ナチス将校/寺脇康文)
マルグリットへの恋心があまりにも表に出ていて、なぜマルグリットが気づかない(無視できる)のか不思議でなりませんでした。……もしかしたら、もう少しくらいは隠しておいたほうが効果的だったのかもしれません(^ ^;ゞ
ホームである地球ゴージャスでも良く歌っている寺脇さんですが、これだけのパワーを必要とする難曲を歌いこなせるほどの歌い手であることは、お恥ずかしながら初めて気づきました。
全然本業じゃないのに、凄いなあ。

恋する中年男の悲哀、というか、その痛々しいほど熱い恋情。
その裏側には、支配者としての強い自尊心と、“花の都パリ”への切ないほどの憧れ、劣等感があるんですね。こういう、闇に向かう感情さえもきちんと表現できる役者がオットーを演じてしまうと、ある意味、救いようがないほど暗いドラマになってしまうんだなあ、と思いました。
……素晴らしかったけど、観るのが辛くて、何度も観るのは苦しいです…。


アルマン(スウィング・バンドのピアノ弾き/田代万里生)
さすがにプロのオペラ歌手、歌は見事でした。ただ、デュエットはやっぱりミュージカルのルールに馴れてないなあ、という感じはしてしまいましたが。
見た目もハンサムで、スタイルも悪くないし、これからがとても楽しみな人です。本格的なオペラも一度聴いてみたいなあ。
芝居はまだ不慣れな初心者マークがついてましたが、少しづつでも経験を積んで、寺脇さんみたいな“ホンモノの良い男”になってくれますように。



アネット(アルマンの姉/飯野めぐみ)
これだけの大役に取り組むのは初めてのことだと思うのですが、とても良かったと思います。声が綺麗で素直な歌声が、アネットのキャラクターによくマッチしていました。「あの頃は」のデュエットがとても素敵。
芝居としてはとても難しい役でしたが、すごく良かったです。次に繋がる、良い仕事ぶりだったと思います!ご活躍、期待しています。



ルシアン(スウィング・バンドのベース。ユダヤ系。アネットの恋人/tekkan)
「レ・ミゼラブル」のクールフェラックで出会ってから、早いもので、もうすぐ12年。
いやあ、予想外にクールフェラックと似たような熱血革命家の役だったんで吃驚(^ ^)。カーンと響く強い声は相変わらずで、求められている声なんだなあと思いました。
もういい年だろうに、よく鍛えられた二枚目で、とても格好良かったです♪



ピエロ(スウィング・バンドのメンバー/山崎祐太)
ちょっとコミカルというか、息抜き的な部分を担当。演出的には微妙に中途半端だったのが残念ではありましたが、彼自身は自信を持って演じていて、良かったです。経歴を見ると、本格的なミュージカルは初めて……なのかな?でも、いい芝居をしていたし、歌も良かったです。



ジョルジュ(マルグリットのマネージャー/横内正)
………渋くて素敵でした。二幕の後半、戦争が終わった後で頼ってきたマルグリットを拒否する場面のさりげない芝居が、最高にイケズで、凄い迫力!!
「決してヒロイックな役ではない」どころか、ナチスに迎合して安楽に暮らし、戦争が終わったとみるやマルグリットひとりを犠牲に捧げて石を投げる、その冷酷なギャップが素晴らしかった、です…っ…。





若いアルマンに恋をしつつ、彼の身を案じて身を引こうとするマルグリット。
鏡に怯え、アルマンの愛が冷めることにおびえるマルグリット。
マルグリットに恋をして、彼女の気持ちが全く理解できないアルマン。
ユダヤ系であるがゆえに、ナチスに怯えるルシアン。
ルシアンを愛しながらも、アルマンを案じずにいられないアネット。

複数のテーマが絡み合い、影響しあいながら「時代」に色をつけていく、ブーブリル&シェーンベルクのいつもの手法は、さすがに見事でした。
ただ、セットや衣装にもう少し気を配ってもばちは当たらないだろうに……と思ったところも多く、細かいところで“ちょっと残念”が積み重なった作品でした。


キャスティングも含め、全体をもう少し練り直して再演されることを期待しています。



星組さんの東京宝塚劇場公演も、千秋楽まであと二日を残すのみですね。
なんとかもう一度観たいなあと思っていたけど、どうやら無理そう……(T T)。
あのショーを、もう一度観たかった!!

最後の二日間を、関係者全員が悔いなく過ごすことができますように。





さて。
話は全く変わりますが、

映画「マンマ・ミーア」を観てきました。

サイコーのハッピーミュージカル映画!!でした(^ ^)。なんたってソフィが可愛すぎです!
いやー、この作品、主役はもちろんドナなんですけど、“Happy”度合いを決める一番の鍵は、ソフィの愛嬌なんですよねぇ……だって、彼女のワガママが物語を動かすんですから。
映画のソフィは、本当に本当に本当~~!!に、びっくりするほど可愛くて愛嬌たっぷりで、しかも清々しいほどグラマーだった!!(←関係あるのか?)(あるに決まってますから!


本当に本当に、楽しかったです。
舞台では3割くらいしか伝わってきていなかった『ギリシアの小島』という舞台が眼前に広がって、圧倒的な迫力で迫ってくる。崖の小径、屋根の傾斜、窓に溢れる花々。海風。

この美しい世界で育ったソフィの、誰もが聞き入れるしかない天使のわがままが美しい。
夫への愛、母への愛、新しい世界への不安、恐れ、そして、期待。
超えていくべき母を、超えたくなくて、でも超えなくてはならなくて。
物語を造りだす、若く輝かしいエネルギーと、ギリシアの海に降り注ぐ太陽のエネルギー。

「I Have a Dream ………」
呟くような、静かなハミングで幕を閉じる、世界。


ほぼ舞台に忠実な展開で、歌唱力も皆素晴らしかった。もちろん、録音時にはいろいろ編集もされているんでしょうけれども、普段舞台になんて立たない彼らが、当たり前のように一定水準をはるかに超える歌唱力を持っていることに驚きます。そりゃ層の厚さが違うよね、日本とは(汗)。
『ミュージカル』というジャンルそのものの地位も、日本とは比べ物にならないほど高いんでしょうけれども、それにしても、ねぇ。



で。
劇団四季の若いお嬢さんたちも皆可愛いけど、あの圧倒的な愛嬌というかコケティッシュな魅力はなかったなあ……。あの劇団で一番コケティッシュなのは長いこと知寿さんだったしね(^ ^;ゞ、難しいんでしょうね。

あの作品を宝塚でやるってことは絶対にありえないんだけど、それでもつい、考えてしまった妄想配役を書かせていただきます。

ドナ     遠野あすか(または美穂圭子)
ターニャ   城咲あい
ロージー   初姫さあや

サム     彩吹真央
ビル     霧矢大夢
ハリー    未涼亜希

ソフィ    沙央くらま(または華月由舞)
スカイ    七帆ひかる

いちおう、ある程度歌える人でそろえてみた、つもり。
…祐飛さんのサムとか、絶対似合うだろうし凄ーく観たいんですけど!!…(自粛)

コマちゃんは、娘役を観たことはないんですが、「ソロモン」のダルマが美人さんだったのと、アリョーシャがめちゃくちゃ可愛かったので。
ホントは由舞ちゃんを本命にしたいんだけど、、、いや、由舞ちゃんも歌は本当に巧くなったと思うんですけどねぇ(汗)。








最後に。
映画つながり(?)で、「キサラギ」妄想配役を少し書かせていただいても良いですか? m(_ _)m

<花組・1>
家元…まとぶん
オダ・ユージ…祐飛さん
スネーク…えりたん
安男…みわっち
いちご娘…まっつ

…順当(たぶん)。個人的にはまっつのいちご娘がヒットなんですけど、ダメでしょうか……。



<花組・2>
家元…えりたん
スネーク…まとぶん
オダ・ユージ…みわっち
安男…まっつ
いちご娘…まりんさん
如月ミキ…祐飛さん

誰よりもでかいミキちゃんがツボ。
「歌も踊りもダメなんだぞっ!!」…顔で踊ってくれれば、それでいいです。



<花組・88期>
家元…朝夏まなと
スネーク…月央和沙
オダ・ユージ…扇めぐむ
安男…夕霧らい
いちご娘…祐澄しゅん
如月ミキ…華耀きらり

一番最初に考えた妄想キャスト。きらりんのミキちゃん(←朋子系)ありきだったんですけど、配役してみたら、男役5人のあまりの嵌りように、ちょっと眩暈がしました(^ ^;ゞ。
あ。…と、とみぃは髭つきでお願いします!



おまけ。

<花組・90期>
家元…冴月瑠那
オダ・ユージ…煌雅あさひ
スネーク…夏城らんか
安男…瀬戸かずや
いちご娘…彩城レア

……あんまり深い意味はありません。アーサーのオダ・ユージが観てみたいだけ。
ミキちゃんは、やっぱりゆゆちゃんかなあ…?




数日前、赤坂ACTシアターにて「MISSING BOYS ~僕が僕であるために~」を観劇いたしました。


尾崎豊の音楽を使った、ジュークボックス・ミュージカル。
尾崎の伝記でこそないけれども、“彼”をイメージした、新しい物語。



尾崎豊。
彼の生前、私は決してファンではありませんでした。たぶん、「卒業」と「I LOVE YOU」と「シェリー」くらいしか知らなかったと思う。この三曲は、当時からカラオケで歌ってたくらい好きでしたけど。
でも、大人に(何歳だよ)なってから、彼のファンだった友人の影響で、あのかすれたハスキーヴォイスの魅力にあらためて嵌り、ベストアルバムを買ったりしました。
彼の思想や生き方にカリスマとしての魅力を感じてはいませんが、アーティストとしての彼は好きです。音楽も歌詞も、そして、何よりも声が。なので、今はそれなりにファンなんだろうと思います。信者じゃないけど。


というわけで、本当は命日である今日の公演を観たいような気もしたのですが、それはたぶん熱心なファンの方だけが行くべきだろう、と思いなおして、先週行ってまいりました。
今日の盛り上がりはどうだったのかなー。それとも、実際の観客は尾崎のファンではなくて出演者のファンだから、命日とか関係なかったりするのでしょうか…?
出演者やスタッフ側のほうが盛り上がってたりするのかな、この場合は。






1992年4月25日。
ちょうど17年前の昨日、彼は死んだ。
早朝に泥酔状態で発見され、一度は回復するが、容態が急変。死因は「肺水腫」。享年26歳。
GWまっただなかの護国寺での追悼式に集まったファンは、4万人とも5万人とも言われる。

当時、たまたま護国寺のすぐ近くに毎日通っていた私は、黒い服を着て、色とりどりの傘をさした人々の長い長い列を、おぼろげに覚えています。
喪服は着ても、さすがにこのためだけに黒い傘を買ったりはしないもんなんだなあ、なんてことを考えながら。(←ファンの方ごめんなさい)




『そして彼は伝説になった』という陳腐な表現が陳腐にならない、それが彼の人生だった。
彼の音楽が死後になって認められたのは、それが伝説だったからじゃない。
“オトナたち”が眉をひそめた“不良少年たちのカリスマ”は、落ち着いて歌詞を読んでみれば非常に普遍的なことを平易な言葉で書いていて、ああ、本当に頭のいい、感性の鋭い人だったんだなあ、と思います。
こういう、彼の作品の歌詞をそのまま使ったジュークボックス・ミュージカルに触れると、余計に。


彼は“伝説”になった人だから、彼の伝記的なミュージカルを創るという発想は、遅かれ早かれ出てきただろうと思います。17年目の今年はちょうど良い機会だったし、今回がなくても、たぶん20年目(2012年)には誰かがやっただろう。あるいは、遅くとも生誕50年(2015年)には、きっと。
死後17年たっても、忘れられるどころか新しいファンを増やしているアーティスト。しかも、今ちょうど創り手としてもあぶらが乗りつつある人々の、痛痒い青春時代を象徴する人だもの。

でも、今回の企画は、彼の伝記ではありません。
おそらくは今後も、彼の伝記ミュージカルは創られないでしょう。
それは、尾崎のプロデューサーだった須藤晃氏のコメントにもはっきりとあります。ありていに言えば、尾崎の人生は伝説になりすぎてしまった、ってことなんでしょうね。その“伝説”に自分の人生を投影している人が多いから、あらためて「これが尾崎だ!」っていうものを提供しても、受け入れられない。

だから。

今回の企画は、尾崎豊という存在を「見守る存在」という象徴的な幻想にはめ込んで、彼と同じように悩み苦しむ若いアーティストたちと、もうそんな悩みを忘れてしまった大人たちを群像で描きだす、という手法をとっています。
尾崎の音楽は、「マンマ・ミーア」のように脚本と一体化することなく、ただ登場人物の心の昂ぶりを表現するためだけに歌われる。前後につながる会話とは、あまり関係ないままに。


若い彼らの“エネルギー”を表現するために使われているのは、尾崎の音楽だけではありません。
熊谷和徳のタップダンス、そして、Song Ridersというグループのストリートバスケ

この作品が、新生なった赤坂ACTシアターの一周年記念公演だという事実を、観るまで私はまったく気にしていなかったのですが。あのタップダンスやらバスケやらごちゃまぜに放り込んだ「ごった煮」感は、テレビという懐の広いメディアで王座を競うTBSでなくては表現できないものだったんだな、とあらためて気づきました。
映像メディアの雄が、『映像ではできないもの』に殴りこみを賭ける場として創った劇場だったのかもしれない、と。
……だったら、もう少し金をかけて音響設備をなんとかしろよ、と思わないでもないですが(汗)。



プロデューサーは熊谷信也&白石久美(TBS所属)。白石さんは「CHICAGO」を始め、ブロードウェイミュージカルの日本上演をいくつか手がけてきた人。そもそもこの企画の発案は彼女だったようですね。実際にいろいろ動いたのは熊谷さんっぽい感じですが…(プログラムを読んだだけだからよくわからず)
脚本・演出は鈴木勝秀。いかにも彼らしい、なんというか、よくも悪くもぶっ飛んだ物語でしたが。
面白かったです。物語のキーとなる大人二人のキャラクターが実に魅力的でした。やべきょうすけと中村あゆみというキャスティングを決めたのはプロデューサーかもしれませんが、彼が「尾崎」を裏テーマにした作品を作るにあたって、ヨーコとユカワというキャラクターを創ったのが凄いな、と。







ストーリーはごくシンプル。
有名な音楽プロデューサーのユカワ(やべきょうすけ)。
彼が最近目をつけているのは、生まれた街(かなり都会)でロックバンドのヴォーカルをしているコウヘイ(早乙女太一)。ユカワは、コウヘイの歌には次代のスターの輝きがあると考えている。
「MISSING BOYs」の活動拠点となっているライブハウスのオーナー、ヨーコ(中村あゆみ)は、昔のユカワのバンド仲間(たぶん、元恋人)。夢を追って仲間を棄てたユカワ、街に残って若者たちを見守るヨーコ。別れた道は二度と交わることはなく、ユカワの勧誘に心揺れるコウヘイを、ヨーコは必死で諭す。
「あんな男についていって、あんたのやりたいことができると本気で思っているの?」
それでも、コウヘイはユカワを択ぶ。
「俺は、俺の音楽をもっとたくさんの人に聞いてほしい」

そんなコウヘイに与えられたのは、ユカワによって書き換えられた歌詞と、スタジオミュージシャンたちによる丁寧だがパワーのない演奏だった……。






MISSING BOY(藤本涼)
プログラムではトップクレジットですが、舞台のカーテンコールでは結構前のほうで出てきたような…。
今作がデビューのようですが、一幕ラストの長台詞(朗読?)もいい声で滑舌もよく、普通の芝居で観てみたいなあと思いました。透明な存在感があるのが、生来なのか演技なのかわかりませんが、雰囲気をかわれての出演だったんだろうな、と思います。

役どころは、ユカワの幻想……なんだろうな、たぶん。
振り向けばいつもそこに居て、何かを責めるような瞳で見つめている青年。何も言わない、白い服の幻影。
ただ見守ることしかできない、彼。

ユカワが自分の所業を“後ろめたい”と思えばこそ、幻影が彼を責めるわけです。彼自身が“これで良いのか?俺は?”と思っているからこそ、「そんなことしてちゃ駄目だよ!」と言いたげな青年の幻影を見る。

そんな彼は、ユカワにとってだけではなく、もう子供ではなくなってしまったクリエーターたち全てにとっての「尾崎豊」なんだろうな、と想いました。
もう死んでしまったカリスマ。
現実には居ないから、「それでいいんだよ」とうなづいてくれることは決して無い。
彼らが尾崎を思うのは、いつだって迷っているときで。
「これでいいのか?」と思っているとき。

だから、いつだって彼らの見る幻影のカリスマは、どこか悲しそうな、困ったような貌をしている。

プログラムのトップクレジットが彼だということは、この物語の視点は彼である、ということなのでしょう。
すべてを俯瞰した「神の視点」。登場人物の誰の視点でもなく、MBの視点でつづられる物語。
だからこそ、物語的にもテーマ的にもコウヘイが主役になるはずのストーリーが、MBが見守り続けるユカワを主人公に勘案された。それは、彼らが語りたかったのが「尾崎」ではなく、「尾崎を喪った俺たち」だからなのだと想いました。
その象徴が、役者として何の色もついていない、初舞台の藤本さんという配役だったんだろう、と。

藤本さんがこれからどんな道を歩まれるのか判りませんが。
この作品でデビューしたということが、良い方向に転ぶことを祈っています。




コウヘイ(早乙女太一)
ロックバンド「MISSING BOYs」のヴォーカル。ユカワという、多少腹黒いけれども目端のきく(だからこそ、今までいくつもヒットを出してきた)プロデューサーに惚れ込まれて、「お前の歌はやっぱりいいな」とか言われちゃう青年。
………いやー、、、すみません、ありえません。
私は彼のファンだと思うんですけど。それでもなお、ちょっと無理な感じでした……歌も、芝居も(T T)。
「15の夜」も「17歳の地図」も、めちゃくちゃ好きな曲なのにぃ。

……ごめんなさいm(_ _)m。いろいろ書くと悲しくなるので、書きません。才能のある人だし、朱雀座の仕事でお稽古に参加したのも最後のほうだけらしいので、一回一回、舞台を重ねるごとにどんどん良くなっていくだろう、と……信じて(泣)。




ユカワ(やべきょうすけ)
尾崎が歌った“腹黒いオトナ”を、こんなに見事に演技で表現できる人がいたとは(汗)。
「自分のやりたいこと」を、したたかに実現していく、それが大人というものの定義なわけで。

『僕が僕であるために』勝ち続けなきゃならない、という、名曲「僕が僕であるために」の歌詞をテーマにした作品ですが。
ユカワはまさに「俺が俺であるために」他を蹴落として「勝ち続けて」きた男なわけです。
そして、その結果として何一つ確かなものは手に入れられなかった。
何もかも喪ったときに、還るべき故郷さえとっくの昔に手放したつもりだった。

そのときになって初めて気づく。自分が「勝ち続けて」きたのは、「俺が俺であるため」ではなかった、ことに。
ただ自分は、「勝つために」己を棄ててしまったのだ、と。

彼がためらいもなく棄てた「己」が、MBとなって自分を見守っている。
責めているのか?俺を。お前を棄てた、おキレイな部分を棄ててしたたかに生きようとした、俺を。
……そんなことはないのに。彼は勝手に自分を追い詰めていく。もう還るところはないのだ、と思い込んで。

大丈夫。まだ還れる。
今振り返れば、まだちゃんと、手に届くところに「あなた」がいるから。
捕まえて。

あなたがあなたで居るため、に




ヨーコ(中村あゆみ)
ライブハウスのオーナー。
この人がもう40過ぎですか……(@ @)。
マジで信じられない。今でも「Seventeen 初めての朝」とか歌っていそうなイメージなのに。

尾崎とはソウルメイトだという言葉どおり、素晴らしい歌でした。彼女の歌う尾崎を聴くだけで、チケットの元は取れた感じ。尾崎の歌をなぞるのではなく、きちんと自分の歌にして歌いこなしたのはさすがプロの歌手だと感心しました。ここまで来ると、彼女自身の歌も1,2曲入っていてもよかったのになあ、と思わずにはいられません。

歌だけでなく、芝居も良かったです。演技らしい演技をするのは今回が初めてなはずだけど、本質的にああいうキャラクターなんでしょうかねぇ。本当に凄く良かった!温かみがあって頼りになる、優しい姐御。心弱い人のことはちゃんと支配(コントロール)してあげて、硬い人にはそっと寄り添ってあげるやわらかさもある。
いつでも真剣に「自分」と向き合ってきた人の、「自分」を棄てたことの無い人の、たわまない美しさがありました。
今後はまた、歌だけに絞るのかな……。ちょっと舞台も面白いな、と思ってもらえたら嬉しいんだけど。




Song Riders
ストリートバスケットボールチーム「大阪籠球会」で活動していたメンバーで、今は音楽活動をしているグループ。
面白い来歴ですが、舞台での居方もすごく興味深かった。

こういう、何か発散しきれないエネルギーを抱えた若者たちを表現するのに、バスケットっていうのは良い素材なんだなあ、と感心しました。ぶつかりあい、一つのボールを獲りあう中で生まれる感情。パワー。プロなみの技術を持つ彼らの動きは、平凡な振付で踊る並みのダンサーなんかよりもずっと流麗で美しく、軽やかで人間ばなれしています。その裏づけにあるのが、確かな技術と競技に賭ける想いの強さのパワーであることが、とても気持ちよくて。
今まで考えたこともなかったけど(^ ^;ゞ、案外と舞台パフォーマンス向きな競技なんですね、バスケって。
手具の扱い(ボールさばき)の技術が重要になるので、あんまり宝塚とかで安易に使ってもらいたくはないけど。

バスケばかりではなく、歌もなかなかでした。尾崎の歌をラップにアレンジしていたのには吃驚しましたが、「今」を尾崎が生きていたら、もしかしたらラップをやっていたかもね、と思ったりして、感慨深かったです。もともとは編曲のために呼ばれたというのもわかる感じ。
芝居はまぁ…別に芝居らしい芝居をしたわけではなく、ただ彼ららしく立っているだけだったのですが。
それでも、物語の最後にコウヘイを導き、ユカワを連れ戻すのは彼らなわけで。面白い素材をきちんと使って、良い料理を創ったな、と思いました。
この作品をきっかけに、いろいろ変わっていくこともあるでしょうけれども、今後のご活躍を楽しみにしています。




キジマ(コング桑田)
ヨーコの店に入り浸る、酔っ払いの「元アーティスト」。
ユカワの言動に批判的で、怪しげな人物。なんとなく、最後になって彼がなんらかの教えみたいなのを言うのかなーと思っていたのですが、特にそういうこともなく、若い連中の間で話が解決したのがちょっと拍子抜けでした。

彼だけじゃなくて、あとユカワにプロデュースしてほしい新人歌手(デレアヌ悟仁)とその社長とか、SongRidersのメンバーの恋人とか、脇筋のキャラクターがあまり魅力も見せ場もなくてちょっと残念でした。なんだか無駄なエピソードに見えてしまって。
デレアヌは「卒業」をワンコーラス歌うんですけど、これがまた、オペラチックな美声で朗々と歌う「卒業」のつまらないこと!せめて、それが詰まらない、ということに意味があればまだしも、なんだか名曲も歌い手も無駄遣いされた気がして、ちょっと嫌な気持ちになりました。



タップダンサー(熊谷和徳)
いやもう。説明は何もないです。
タップって、ただのダンスじゃないんですね。楽器としてのタップ、「音楽」としての美しさに感動しました。
素晴らしかった!!



尾崎豊の伝記ではないけれども、尾崎をイメージした幻影のキャラを前面に出した作品。
いろいろ乱暴な部分はありましたけれども、
キャスティングも一部疑問はありますけれども、
バスケやタップとのコラボレーションとか、いろんな意味で面白い試みがたくさんあって、意欲作だったと思います。
造り手側の思い入れが強すぎるほど強いのに、かろうじて声高な主張になる寸前で留めていたのはさすがでした。楽にむけて、作品としてもどんどん磨かれていくであろうことを期待しています。


いろいろ書きたいことが溜まっているのですが、ちょっと仕事が忙しくてまったくPCに向かう暇がないうちに日がすぎてしまいました……。
くすん。

とりあえず、だいぶ出遅れてしまいましたが、先日発表された宝塚歌劇団秋のラインナップについて、反応させてください。




花組
宝塚大劇場(9/4~10/5), 東京宝塚劇場(10/23~11/22)
『外伝ベルサイユのばら -アンドレ編-』
『EXCITER!!』作・演出/藤井大介

これは……中日公演で宙組さんがやっていらしたのと基本は同じ?なのかな?
中日は観ていないのですが、オスカルはチギちゃんとカチャの役替りでしたよね。花組では誰がやるのかしら?

とりあえず、祐飛さんが組替えしてくれていて良かったよぉ~~~~っ!(感涙)(ごめんなさい花組ファンの皆様)
……藤井さんのショーは羨ましいけど(^ ^;




星組
全国ツアー(10/7~11/5)
『再会』作・演出/石田昌也
『ソウル・オブ・シバ!!』作・演出/藤井大介

なんだか、今年は随分と演出家が偏ってませんか?
既に小池さんが大劇場3作(太王四神記、エリザベート、太王四神記II)というので驚きましたけど、藤井さんも宙組博多(8月)・花組大劇場(9月)・星組全ツ(10月)と三ヶ月連続で違う作品!……博多と全ツは再演とはいえ、キャストが違えば全部見直して構成しなおしてくれる藤井さん。新作作るよりは楽だとしても、三ヶ月連続は大変そうなんですが。
大丈夫かしら。

まぁ、なんちゃって藤井ファンな私には、夢のように嬉しいラインナップ(^ ^)なんですけどね。
大変だろうとは思いますが、どうぞ手抜きはナシで、ジェンヌさんたちへの愛を忘れない藤井さんのままでいてくださいねっ。

石田さんも、雪組さんのショーとあわせて二作。うーん……石田作品はなんだかんだ言いつつも好きだし、期待もしている猫なんですが。
でもでも、「再会」は相当に微妙だった気が……
まぁ、でも、楽しみです。ええ。とりあえず、「ソウル・オブ・シバ」の為に絶対に観に行きますので(苦笑)、石田さんには、こんな私を是非見返していただきたいと思います!




月組
宝塚大劇場(10/9)~11/9), 東京宝塚劇場(11/27~12/27)
『ラスト プレイ』作・演出/正塚晴彦
『Heat on Beat!(ヒート オン ビート)』作・演出/三木章雄

宙組さんに引き続き、二作目の正塚さん。
しかも、ショーは麻子さん大好きな三木さん。

……チケットが取れるといいなあ、と、
一番最初に思ったのは、そんなことでした……(^ ^;




星組(主演:轟悠)
シアター・ドラマシティ(10/13日~10/25), 日本青年館(10/30~11/5)
『コインブラ物語』作/小林公平、監修・演出/酒井澄夫

轟さんの出演、今年は雪組さんだけかと思っていたんですが、甘かったですね。
コインブラの「ペドロとイネス」の物語は、“まだ宝塚で上演されたことなかったのか”と思ったほど宝塚向きのドラマティックな話なので、面白そうだと思うのですが……。
うーん、轟さんのペドロかぁ~(悩)。

青池保子の「アル・カサル-王城-」と、ほぼ同時代の物語。
ポルトガル王ペドロ一世(「アル・カサル」の主人公・カスティリア王ペドロ一世の叔父)の、許されなかった恋。

うーん、イメージだけでいうなら、まさお(龍真咲)と(羽桜)しずくちゃんとか、チギちゃん(早霧せいな)と誰かとか、そのあたりの方がイメージに合うんだけどなぁ。
で、父親のアフォンソ王が轟さんって感じ。
まぁ、でも、時代をだいぶ後世(大航海時代)に移すみたいなので、全然違う話になるんでしょうね。酒井さんなので轟さんを魅力的に使ってくれることでしょうし。
とりあえずは、イネス役が誰になるのかが楽しみです♪




雪組
全国ツアー(11/14~12/13)
『情熱のバルセロナ』 脚本/柴田侑宏、演出/中村一徳
『RIO DE BRAVO!!(リオ デ ブラボー)』作・演出/齋藤吉正

咄嗟に、「追憶のバルセロナ」かと思ったのですが(汗)、大地真央さんの時代の作品なんですね。
化粧替えできない全国ツアーなので、ショーが黒塗りだから、芝居も黒塗りのものを、ってコトなんでしょうか。花組の「哀しみのコルドバ/RED HOT SEA2」もそんな感じですものね。
だから大野さんのロシアものを持って行くわけにはいかなかった、ってこと?(苦笑)。

「情熱のバルセロナ」って観たことがないのでどんな話だかわからないのですが、柴田作品の再演で、中村暁さんじゃなく一徳さんの演出って珍しいですよね。相性はどうなんでしょうか。中村一徳さんのショーは好きなんですが、お芝居の演出は……(ちょっと疑問)(汗)。




雪組(主演:早霧せいな/沙央くらま 役替り)
バウホール(11/19~11/29), 日本青年館(12/4~12/10)
『雪景色』作・演出/谷正純

「やらずの雨」に続く、谷さんの雪組バウ。解説を読むと三幕もののようですが、、、宝塚では珍しいですね。それとも、『愛ふたつ』が一幕、『花かんざし』と『夢のなごり』を続けて二幕、とか、そういう構成なんでしょうか。
組替え早々のチギちゃんとコマちゃんが役替り、と書いてありますが、「ホフマン物語」みたいに入れ替わって演じるのかな?それとも、「殉情」みたいにチギちゃんチームとコマちゃんチームみたいになるんでしょうか。
せっかく同期なので、お互いに入れ替わって演じてみてほしいような気がしますが、、、

ワークショップでは、細かい役替りで下級生を育てようとした谷さん。この演目とメンバーで、青年館に来てくれるのはすごくありがたいです♪雪組下級生、がんばれ~~♪♪




これで、2009年のラインナップ、残すところは宙組の大劇場公演と花組のドラマシティ公演のみ。
今回の発表に名前がない演出家のうち、既に大劇場作品が三作決まっている小池さんと、今現在宙組さんを担当している岡田さんと、トウコさんの女優デビュー作「アイーダ」を担当する木村さんをのぞくと、あとは……
草野さん、中村暁さん、植田景子さん、大野さん、児玉さん、、、ってところ?


この中で、博多座を演出する中村暁さんと、去年の年末宙組を担当したばかりの景子さんは、やるとしても花組ですよね?
ってことは…………



……せっかくなので、とりあえず願望を太文字で叫んでおきます☆


藤井さんが再演含めて年に4本担当するんだから。
大野さんが3本くらい担当したって、いいじゃないか!!


それが駄目なら、柴田さんの新作を、児玉さんの演出で、な~んてどうでしょう。





とにかく。
せっかく祐飛さん&すみ花ちゃんという、滅多に無いコンビ(苦笑)が誕生するんだから、脚本のしっかりした作品を観たいんです……(泣)。
どうぞどうぞ、心の底から、お願いしますm(_ _)m >歌劇団様


あああ、でもショー作家があいてないのね…。
一本ものってことになって、コワイモノが来るのも嫌だし(泣)、
「RED HOT SEA」のことは気にしないで、草野さんに来ていただけるのが一番嬉しいかしら。


あるいは、お芝居がホントに大野さんか、あるいは(星全ツと微妙にかぶるけど)石田さんあたりが来てくださるんでしたら、児玉さんのショーならちょっと興味があります

ええ。児玉さんのお芝居にくらべたら、100倍くらい観てみたい!



……とにかく、何でもいいので。
お願いですから、あの二人にお芝居をさせてあげてくださいませ……(切祈)。




花組のドラマシティは、(宙組を担当することも無いだろうから)植田景子さんだったら嬉しいですね。
「舞姫」良かったし、景子さんは二幕ものの方が得意なので、ドラマシティとかをもっと担当してほしいです(*^ ^*)。出演者も喜びそうだし(*^ ^*)。



なにはともあれ。
今年後半も、やっぱり猫は忙しいらしい、っていうのは決まったようですね(汗)。




WHOが警戒水準をフェーズ5へひきあげた、とのニュースが流れています。

関係者各位の努力に心から感謝するとともに、現在闘病中の方々の、一日も早い快復をお祈り申し上げます。




私の勤めている会社では、これから始まるゴールデンウィークでのプライベートでの海外旅行は自粛するように、という指示も出ました。

そして、さっき友人から届いたメール。

>(帰りに)ドラッグ(ストアに)よったけど、マスク品切れだったよ(泣)


……情報化社会ですねぇ。

フェーズ5という指針が出れば、すべてのメディアがそれを伝えて、一般庶民にきちんとその情報が届く。
昔のように回覧板とかで何日もかけて回すんじゃなくて、いろんなルートでダイレクトに情報が拡がっていく。

単なる群体的な多細胞生物ではなく、中枢とコントロール器官をそなえた高等動物のような、進化した社会。
日本だけではなく、国際社会全体が情報を交換しあって生存の道を探っている。



しっかし、4月も終わりになってマスクが品切れする事態とは。
高度に情報化されればされるほど、パニックにもなりやすい、というのは定説ではありますが。
メディアを介した先鋭的なニュースに流されることなく、大元の情報を自分で取りにいける(この場合ならWHOのサイトを見るとか)ことが、情報化社会の強みなんですよねぇ。

…めんどうだから、ついYAHOOニュースとかチェックしてすませてしまいがちですけれども(^ ^;ゞ




まぁ、私はゴールデンウィークに遠出する予定を何一つ入れていない負け組なので(汗)、
とりあえず、冬の間に買い貯めたマスク(←単に、風邪をひくたびに前回の残りを探すのが面倒で新しい6枚いりのマスクを買っていただけ)を大事にしつつ、今を乗り切りたいと思います。




公演も中盤に向かう、宙組大劇場公演。
明日、初日の幕をあげる、雪組東宝劇場公演。
2日に初日を迎える、花組全国ツアー公演。
そして、8日に初日を迎える、花組バウホール公演。

それぞれに、
卒業を迎える人がいたり、
組替えしてきて初めてその組の舞台にたつ人がいたり、
この公演を最後に組替えする人がいたり……

誰かにとって、そして、出演するすべてのひとにとって、いいえ、観る人すべてにとっても、一期一会の大切な舞台。



この騒ぎが大事にならず、舞台を最後までまっとうできますことを祈りつつ。





5月2日は、さっそく市川の人ごみに紛れる予定の私ですが。
……マスクはしていきましょうね、みなさん(- -)。