ルームシェアのススメ
2009年4月12日 ミュージカル・舞台 コメント (2)PARCO劇場にて、「SHOW STAGE NO.1 トライアングル ~ルームシェアのススメ~」を観劇してまいりました。
出演は井上芳雄、新納慎也、彩乃かなみの三人。
言わずとしれたミュージカル界のプリンスと小悪魔、そして宝塚の誇る歌姫、それぞれに肩書き(のようなもの)がくっついている三人。
…ですが、(まぁ小悪魔はともかく)「プリンス」と「歌姫」については、本来のキャラクターを前面に出し切って、伸び伸びと楽しそうに演じていて、とても幸せそうに見えました。
井上くんについては、一年前の「ウェディング・シンガー」以来の当たり役(猫的に)で、「ルドルフ ザ・ラスト・キス」の彷徨いっぷりが嘘のような好演でした。ああ、本当に嫌味で上から目線で思いやりのない嫌な奴なのに、どうしてあんなに可愛いんでしょうかねぇ……(*^ ^*)。
かなみちゃんも、『宝塚のトップ娘役』という檻に閉じ込められ、がんじがらめに縛り付けられた、ただただ可愛らしく在ることだけを要求されていた一年前のサリーよりも、大人っぽくて優しくて、気分屋で弱くて脆い芽衣の方が、何倍も魅力的に見えました。どこか垢抜けない、イケてないメークも髪型も、芽衣の個性と思えば可愛かったです。
ただ、衣装は……有村さん、かなみちゃんの肉体的な欠点なんて知り尽くしているだろうに、どうしてあんなぱつんぱつんのミニタイトとか穿かせるんですか(T T)。……まさか、かなみちゃんの希望ってことないだろうに……。
製作はPARCO劇場、演出は青年座のベテラン・宮田慶子、脚本は劇団「モダイスイマーズ」の蓬莱竜太。日生の「赤い城 黒い砂」の脚本も蓬莱さんなんですね。最近よくお名前を聞く方ですが、舞台を観るのははじめて……かな?等身大の若者言葉での語り口がわかりやすくて、こなれた脚本を作る方だなあ、と。宮田さんは藤原竜也の「エレファント・マン」以来何度も観ていますが、ミュージカル SHOW ACTはもしかしたら初めてかも?センスのいい、シンプルな演出で、とても良かったです。次回作が楽しみ。
音楽は、ほとんど既存曲をもとに、歌詞だけ替えて使用。「ジューク・ボックス・ミュージカル」というよりは、音楽劇とかショーアクトとか言われる形式に近いかなーと思うのですが、どうなのでしょうか。ジューク・ボックス・ミュージカル、っていうと。ある程度なんらかの基準をもって音楽を択んだイメージ(「マンマ・ミーア」みたいに全曲を一人のアーティストから択ぶとか、時代や分野を絞りこむとか)があって、その【音楽を択ぶ基準】そのものに意味があるもののことを言うようなきがするので。
そうでないと、宝塚のショーだってほとんど既存曲を使っているんだから「ジューク・ボックス・ミュージカル」ってことになっちゃいませんか?今回の作品も、新納くんのデビュー曲になる「月に吼える」だけは新曲……ですよねぇ?違うのかな(汗)。
とりあえず、主催者側にお願いがありまして。アンケートにも書いたんですが、既存曲をメインで使うのであれば、プログラムに曲目リストを入れていただけないでしょうか。観終わったあと、「あの曲知ってるメロディなんだけどなんだっけー?」と思ったときに、確認できないとちょっとストレスがたまります(涙)。
私がオリジナルを知っているのはビリー・ジョエルの「MY LIFE」くらいだったんですが(All By Myselfはスタンダードナンバーとして知ってはいたけど)、それ以外の曲も、ほとんどは聞いたことがあるような気がしたで、たぶんCMで使われてたとかそういうのがあるのかなあ、と。曲名やアーティストをご存知の方、ぜひぜひ教えてくださいませm(_ _)m。
ご参考までに。私が覚えているかぎりの、音楽リストを書いておきます。ご存知の曲がある方はコメントいただければ幸いです(_ _)m。
<一幕>
1.オープニング(インストゥルメンタル) 【新曲?】
2.月に吼える(幸三郎) 【新曲?】
3.ナツメのソロ。幸三郎とゴミ捨て場ですれ違った後。【】
4.孝三郎の部屋の前の芽衣のソロ。前奏は聞き覚えあるんだけど…。【】
5.酔っ払って乱入してきた芽衣を加え、三人で歌う“やるせないバラード”。【】
6.「彼女は刺激的すぎる!」と焦るナツメと「やりたいようにやるの!」と言う芽衣。【】
7.会社の愚痴を言いながら歌いだす芽衣のバラード。誰でも知ってる有名曲なんだけど、曲名が思い出せず(T T)。【】
<二幕>
8.“世界が変わった”ナツメのソロ。【】
9.幼稚園児の格好で三人で歌ってた曲。【】
10.その後も何曲かメドレーで歌っていたような…(?)
11.ナツメのソロ。【All BY MYSELF】
12.芽衣の告白を聞いたナツメのソロ。【】
13.もしかしたらね、きっとね。これも絶対知ってる曲の筈。【】
14.最後は明るく!【MY LIFE】
そんなところでしょうか。抜けている曲もあると思いますが。
ぜひぜひ、わかる曲だけでも教えてくださいm(_ _)m。
まだまだ当分公演中なので、内容に踏み込むのは遠慮しておきますが。
一幕は、とにかく爆笑につぐ爆笑で、途中で酸欠で死にそうになりました……。
かなみちゃんが面白すぎです。なんて可愛いんだかなみちゃん。
そして、新納くんがいい味出しすぎだから!あんたが主役だから!わかったから!!
…で、その勢いで二幕もいくのかと思ったのですが、二幕の後半は、かなり心が痛む展開でした。
現代社会って、“アラサー”がまだまだ“モラトリアムな若者”なんですねぇ。
20世紀であれば、大学生とか、せいぜい新社会人あたりがぶち当たっていたはずの壁に、もう7,8年働いているはずのベテランが嵌っていたり、30を目前にして未だに夢をあきらめずにデビューを真剣に目指していたり。
とんでもないきっかけで一緒に暮らし始める、他人同士の三人。
かなみちゃんの芽衣は普通に勤めがある会社員。
(かなり異常な生活を送っていたはずなんだけど、仕事は続けているんですね)
新納くんの幸三郎はデビューを目指してあれこれ活動を続けるミュージシャンの卵。
そして、井上くんの沢渡ナツメは、何年も佳作ばかりでいっこうにデビューできない小説家の卵。
三人ともいろいろ悩みはあるわけですが、中でも、ナツメの悩みが痛々しくて、観ていて辛かった。親が有名な小説家だから、『小説家を目指さなくてはならなかった』…んですよね、彼は。たまたま思い付きで書いた散文が佳作を獲ってしまって、「さすが沢渡孝明(字は適当)の息子!!」と賞賛されてしまい、後にひけなくなったのかもしれない。あるいは、書き始めた時には“書きたい”と思った題材があったのかもしれません。だけど今となっては、『書く』ことが目的化していて、書きたいものを見つけることができない……いや、書きたいものが無いなら、クリエイトすることはできないんだということにさえ気づけない。
彼は、ただとじこもって文字を打ち続ける。
外に出ることも、人と出会うこともせず、世界を閉じた卵のようで。
出かけては帰ってくる幸三郎や芽衣とは違い、ナツメは『自分の城』である家に、ただじっと、膝を抱えて座っている。
そこは、繭。
彼はそこを、出なくてはならない。ヒトとして生きるため、に。
幸三郎がちょっと格好良すぎるきらいはありますが、とにかく面白かったです。
ラストに、全てを曝け出して一言つぶやく芽衣が、最悪のかっこ悪さで、莫迦まるだしで、そして、最高にイイ女でした。
一幕で爆笑しすぎて、二幕があんなにシリアスな展開になるとは思わず、しかも、散々シリアスな展開をどんでん返しつきでやらかしてくれた挙句に、なんの解決も無く終わってしまったのがちょっと不満でしたが(苦笑)、思い返してみれば、あの解決の無さがリアルなんだなあ、と納得しました。
観る人によって評価の分かれる作品かとは思いますが、私には非常に面白かったです。はい。
かなみちゃん可愛かったしー♪(^ ^)、井上くんも、新納くんも、三人ともの更なるご活躍を、心からお祈りしています!!
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出演は井上芳雄、新納慎也、彩乃かなみの三人。
言わずとしれたミュージカル界のプリンスと小悪魔、そして宝塚の誇る歌姫、それぞれに肩書き(のようなもの)がくっついている三人。
…ですが、(まぁ小悪魔はともかく)「プリンス」と「歌姫」については、本来のキャラクターを前面に出し切って、伸び伸びと楽しそうに演じていて、とても幸せそうに見えました。
井上くんについては、一年前の「ウェディング・シンガー」以来の当たり役(猫的に)で、「ルドルフ ザ・ラスト・キス」の彷徨いっぷりが嘘のような好演でした。ああ、本当に嫌味で上から目線で思いやりのない嫌な奴なのに、どうしてあんなに可愛いんでしょうかねぇ……(*^ ^*)。
かなみちゃんも、『宝塚のトップ娘役』という檻に閉じ込められ、がんじがらめに縛り付けられた、ただただ可愛らしく在ることだけを要求されていた一年前のサリーよりも、大人っぽくて優しくて、気分屋で弱くて脆い芽衣の方が、何倍も魅力的に見えました。どこか垢抜けない、イケてないメークも髪型も、芽衣の個性と思えば可愛かったです。
ただ、衣装は……有村さん、かなみちゃんの肉体的な欠点なんて知り尽くしているだろうに、どうしてあんなぱつんぱつんのミニタイトとか穿かせるんですか(T T)。……まさか、かなみちゃんの希望ってことないだろうに……。
製作はPARCO劇場、演出は青年座のベテラン・宮田慶子、脚本は劇団「モダイスイマーズ」の蓬莱竜太。日生の「赤い城 黒い砂」の脚本も蓬莱さんなんですね。最近よくお名前を聞く方ですが、舞台を観るのははじめて……かな?等身大の若者言葉での語り口がわかりやすくて、こなれた脚本を作る方だなあ、と。宮田さんは藤原竜也の「エレファント・マン」以来何度も観ていますが、
音楽は、ほとんど既存曲をもとに、歌詞だけ替えて使用。「ジューク・ボックス・ミュージカル」というよりは、音楽劇とかショーアクトとか言われる形式に近いかなーと思うのですが、どうなのでしょうか。ジューク・ボックス・ミュージカル、っていうと。ある程度なんらかの基準をもって音楽を択んだイメージ(「マンマ・ミーア」みたいに全曲を一人のアーティストから択ぶとか、時代や分野を絞りこむとか)があって、その【音楽を択ぶ基準】そのものに意味があるもののことを言うようなきがするので。
そうでないと、宝塚のショーだってほとんど既存曲を使っているんだから「ジューク・ボックス・ミュージカル」ってことになっちゃいませんか?今回の作品も、新納くんのデビュー曲になる「月に吼える」だけは新曲……ですよねぇ?違うのかな(汗)。
とりあえず、主催者側にお願いがありまして。アンケートにも書いたんですが、既存曲をメインで使うのであれば、プログラムに曲目リストを入れていただけないでしょうか。観終わったあと、「あの曲知ってるメロディなんだけどなんだっけー?」と思ったときに、確認できないとちょっとストレスがたまります(涙)。
私がオリジナルを知っているのはビリー・ジョエルの「MY LIFE」くらいだったんですが(All By Myselfはスタンダードナンバーとして知ってはいたけど)、それ以外の曲も、ほとんどは聞いたことがあるような気がしたで、たぶんCMで使われてたとかそういうのがあるのかなあ、と。曲名やアーティストをご存知の方、ぜひぜひ教えてくださいませm(_ _)m。
ご参考までに。私が覚えているかぎりの、音楽リストを書いておきます。ご存知の曲がある方はコメントいただければ幸いです(_ _)m。
<一幕>
1.オープニング(インストゥルメンタル) 【新曲?】
2.月に吼える(幸三郎) 【新曲?】
3.ナツメのソロ。幸三郎とゴミ捨て場ですれ違った後。【】
4.孝三郎の部屋の前の芽衣のソロ。前奏は聞き覚えあるんだけど…。【】
5.酔っ払って乱入してきた芽衣を加え、三人で歌う“やるせないバラード”。【】
6.「彼女は刺激的すぎる!」と焦るナツメと「やりたいようにやるの!」と言う芽衣。【】
7.会社の愚痴を言いながら歌いだす芽衣のバラード。誰でも知ってる有名曲なんだけど、曲名が思い出せず(T T)。【】
<二幕>
8.“世界が変わった”ナツメのソロ。【】
9.幼稚園児の格好で三人で歌ってた曲。【】
10.その後も何曲かメドレーで歌っていたような…(?)
11.ナツメのソロ。【All BY MYSELF】
12.芽衣の告白を聞いたナツメのソロ。【】
13.もしかしたらね、きっとね。これも絶対知ってる曲の筈。【】
14.最後は明るく!【MY LIFE】
そんなところでしょうか。抜けている曲もあると思いますが。
ぜひぜひ、わかる曲だけでも教えてくださいm(_ _)m。
まだまだ当分公演中なので、内容に踏み込むのは遠慮しておきますが。
一幕は、とにかく爆笑につぐ爆笑で、途中で酸欠で死にそうになりました……。
かなみちゃんが面白すぎです。なんて可愛いんだかなみちゃん。
そして、新納くんがいい味出しすぎだから!あんたが主役だから!わかったから!!
…で、その勢いで二幕もいくのかと思ったのですが、二幕の後半は、かなり心が痛む展開でした。
現代社会って、“アラサー”がまだまだ“モラトリアムな若者”なんですねぇ。
20世紀であれば、大学生とか、せいぜい新社会人あたりがぶち当たっていたはずの壁に、もう7,8年働いているはずのベテランが嵌っていたり、30を目前にして未だに夢をあきらめずにデビューを真剣に目指していたり。
とんでもないきっかけで一緒に暮らし始める、他人同士の三人。
かなみちゃんの芽衣は普通に勤めがある会社員。
(かなり異常な生活を送っていたはずなんだけど、仕事は続けているんですね)
新納くんの幸三郎はデビューを目指してあれこれ活動を続けるミュージシャンの卵。
そして、井上くんの沢渡ナツメは、何年も佳作ばかりでいっこうにデビューできない小説家の卵。
三人ともいろいろ悩みはあるわけですが、中でも、ナツメの悩みが痛々しくて、観ていて辛かった。親が有名な小説家だから、『小説家を目指さなくてはならなかった』…んですよね、彼は。たまたま思い付きで書いた散文が佳作を獲ってしまって、「さすが沢渡孝明(字は適当)の息子!!」と賞賛されてしまい、後にひけなくなったのかもしれない。あるいは、書き始めた時には“書きたい”と思った題材があったのかもしれません。だけど今となっては、『書く』ことが目的化していて、書きたいものを見つけることができない……いや、書きたいものが無いなら、クリエイトすることはできないんだということにさえ気づけない。
彼は、ただとじこもって文字を打ち続ける。
外に出ることも、人と出会うこともせず、世界を閉じた卵のようで。
出かけては帰ってくる幸三郎や芽衣とは違い、ナツメは『自分の城』である家に、ただじっと、膝を抱えて座っている。
そこは、繭。
彼はそこを、出なくてはならない。ヒトとして生きるため、に。
幸三郎がちょっと格好良すぎるきらいはありますが、とにかく面白かったです。
ラストに、全てを曝け出して一言つぶやく芽衣が、最悪のかっこ悪さで、莫迦まるだしで、そして、最高にイイ女でした。
一幕で爆笑しすぎて、二幕があんなにシリアスな展開になるとは思わず、しかも、散々シリアスな展開をどんでん返しつきでやらかしてくれた挙句に、なんの解決も無く終わってしまったのがちょっと不満でしたが(苦笑)、思い返してみれば、あの解決の無さがリアルなんだなあ、と納得しました。
観る人によって評価の分かれる作品かとは思いますが、私には非常に面白かったです。はい。
かなみちゃん可愛かったしー♪(^ ^)、井上くんも、新納くんも、三人ともの更なるご活躍を、心からお祈りしています!!
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