宙組新人公演「美しき生涯」について


何の順番に書こうかなと悩んでいたのですが、とりあえずプログラムの登場順に。

◆さぎり(藤咲えり/純矢ちとせ)

可愛かった―(はぁと)。
オープニングと北ノ庄落城直後の宴と、宴席の群舞のセンターを二回とっているさぎりですが、ライトが入る前のシルエットで、思わず「……ちいさっ!」と思った……というのはおいといて。
本公演の女童も可愛いけど、大人っぽい化粧でもやっぱり可愛いなあ、と思います(←贔屓目)。意地っ張りで負けず嫌いで、芯はすごく優しいんだけど、それを覆う鎧は厚く堅固で……そんな印象を受けました。
疾風と闘うために、着物を脱ぎ棄てて本性を現すところとか、表情がその前までと全然違うことに感心しました(^ ^)。ついついあの衣装に食いついてしまうのですが、あそこはもっとちゃんと表情を見ておけばよかったな、と思います。

せーこちゃんみたいなたおやかな色気はないけど、クールでハンサムな本質に反して疾風を愛してしまう矛盾へのアプローチには、きちんと説得力があったと思います。なんといっても、新人公演は本公演よりも疾風がものすごく可愛かった(←誉めてます)ので、上級生であるさぎりが疾風に向ける気持ちも、だいぶ母性に寄っていたような……。

いやあ、りくくんとえりちゃん、良いコンビだったと思います(はぁと)。二人とも、相手の呼吸を受けてお芝居をするタイプなので、やりやすかったんじゃないかなあ(^ ^)。



◆福島正則(澄輝さやと/北翔海莉)

「誰がために鐘は鳴る」のエル・ソルドに続き、難役に挑んだあっきー。
『あんまり頭はよくないかもしれないけど(←自分で言ってる)、精悍で若々しいまっすぐな若者像』みたいな正則で、同じまっすぐでも、愛ちゃん三成の「まっすぐ」と、あっきー正則の「まっすぐ」が違うってことがすごく判りやすくて、興味深いお芝居だなと思いました。
銀橋のソロは、音が飛ぶところでぶつぶつ切れてしまうのが若干気になりましたが、歌に流れてしまわずに台詞らしく気持ちをいれて語っていたのは評価したいなと思いました。

牢獄へ向かうやり取りににじむ困惑と、最後に三成と見凝めあって別れの礼を交わす場面の切なさは、すごく好きでした。
演出的にも結構細かいところが変わっていて、生真面目でちょっと粗野だけど心優しい福島正則、というイメージに、より近い役づくりだったような気がします。



◆豊臣(羽柴)秀吉(松風輝/未沙のえる)

未沙さんの、底しれぬ…というか、底光りするような凄まじい秀吉に比べて、ごくまともな中年男であり、ごくごくまともな老人になっていく秀吉。
非常に有能で人好きのする明朗で率直な一面と、卑屈で疑り深い、猜疑心と悪意に満ちた一面の両つの面を持つ男。
彼が一番、三成の清廉さを憎んでいたのかもしれないな、と、そんな妄想を弄びながらの観劇でした。

三成のキャラも本公演とは全然違うから、結果的にお互いが持っている感情というか、秀吉が三成に与えるプレッシャーの種類が違うように見えるのが面白かったです。同じことやっているのにね(^ ^)。



◆おね(百千糸/美穂圭子)

いやもう、ここは期待値のハードルもすごく高かったんですが、芝居も歌も期待以上でした(^ ^)。素晴らしい!!



◆福島正則の妻(花里まな/鈴奈沙也)

台詞回しの名調子ぶりなど、だいぶ鈴奈さんの影響を色濃く受けているなあと思う部分もありましたが、上級生らしくしっかりと場をまとめていたのはさすがでした。あっきーと同期なだけあって、芝居の息もあっていたし、間で笑いもとれていて、とても良かったと思います。
あと、個人的には関ヶ原前の妻たちのナンバーが好きです。あそこの鈴奈さん好きなんですけど、花里さんもとても良かった(*^ ^*)。


◆加藤清正(風馬翔/悠未ひろ)、妻(七瀬りりこ/風莉じん)

良いコンビでした!りりこちゃん、最後の新公でなかなか面白い思い出を作ってくれて、ありがとう♪
かけるはともちんの役も馴れたものですが、和物も良く似合ってて格好良かったです(*^ ^*)


◆加藤義明(月映樹茉/十輝いりす)、妻(桜音れい/美風舞良)

まー、もう、桜音れいちゃんが可愛くて可愛くて!!(惚)えなちゃんとの並びがお人形さんみたいで、そのままお雛様にして飾っておきたいくらい可愛かったです!!
それにしても、あの大阪城ロックの落ちは、誰が考えたんでしょうねえ。まさか桜音れいちゃん自ら!?いやいや、そんなことないですよね?普通に演出の岡本さんの指示ですよね…?

えなちゃんの芝居は、どちらかというと莫迦に絞った役づくりで、あのメンバーの中で唯一三成の偉大さに最後まで気付かない、という役割をきっちりと演じていたと思います。
……そして、何よりも!衣装がなんとなかなって、本当に良かった!!……宝塚の衣装部さんってすごい。っていうか、日本物の衣装ってすごい~!(感涙)


◆脇坂安治(星吹彩翔/春風弥里)、妻(舞花くるみ/花音舞)

モンチの今回の髪型と化粧は、ちょっと意外な線を狙ってきたな、と思いました。眠狂四郎とか似合いそう、、、かも!?

みーちゃんが、ポップアップ・タイムで「脇坂は三成に対する敵愾心が強い」っていう話をしていましたが、その辺の役づくりはモンチもひっぱったのかな、と思いました。
7人のキャラクターが結構被ってる中で、脇坂はちょっと違う視点で物を見ている人、という感じは伝わってきたので、良かったんだと思います。


◆平野長泰(美月遥/鳳翔大)、妻(綾瀬あきな/愛花ちさき)

ラブラブな新婚夫婦な設定はそのままで、優しい笑顔の美月くんが軽々とえびちゃんを抱き上げていたり、スキンシップの激しい夫婦でした♪
本役の大ちゃんと違い、すこーし斜に構えた感じの平野で、格好良かったです♪


◆糟屋武則(星月梨旺/蓮水ゆうや)、妻(夢莉みこ/花露すみか)

美男美女のカップルで、目の保養でした。いやはや、いいなあ。
星月さんは西軍武将のいでたちがめちゃくちゃ格好よくて、あまりの二枚目っぷりに見惚れてしてしまいました。もっとしっかり恋愛譚のある役で観てみたいです。ビバ日本物!


◆片桐且元(桜木みなと/凪七瑠海)、妻(?/大海亜呼)

ずんちゃんがカチャにそっくりすぎてびっくりした!!
すごい痩せた……のかな?そのせいなのか、化粧のせいなのか。
今までにも何度か新公でカチャの役をやっているけど、似てると思ったのは初めてでした。素顔とかも全然似てないのに……なんでだ。
ラスト、牢獄へ向かう花道での吹っ切れたような芝居がすごく良かったです。片桐は関ヶ原の後、豊臣側に戻って秀頼たちを護ろうとする(そして、大阪の陣の原因を作ってしまう……汗)んですが、その決意がここできちんと見えるような芝居になっていたのが、目から鱗でした。

ところで。
すみません……プログラムには片桐且元の妻が載っていないのですが、ずんちゃんって一人でしたっけ……?ううう、覚えてない!!すみません(T T)覚えていらっしゃる方、教えてくださいm(_ _)m。



◆たつの(伶美うらら/すみれ乃麗)

綺麗な子だなとは前から思っていましたが、本当に綺麗な人ですね。
姉のはずのえりちゃんが小柄なので、さぎりとたつのが二人で並んでいる姿を見るとちょっと笑ってしまうのですが(^ ^)、でも美人姉妹だなあと嬉しくなります!
私の知る限り、新公でもバウなどでも役らしい役はついたことがないと思うのですが、「若様でございます!」という台詞も、ラストに疾風を討ちにくる場面の芝居も、れーれの完コピではありましたが、それなりに破綻なく演じていたので、次の作品でどんな役がつくのか、楽しみになりました♪



◆小姓(花乃まりあ/彩花まり)

本役の彩花まりちゃんがとても可愛くて芝居もいいので、お気に入りの役ですが。
花乃さんも可愛くて良かったと思います。ただ、秀吉と茶々を最初に引き合わせた場面で、茶々や三成が去った後、上座に戻る秀吉についているのは彼女ではなくて侍女の一人(夢莉みこ)だったのがちょっと不思議でした。花乃さんは次の場面の弁財天に出るので、三成を案内してきたらすぐにはけてしまうのですが、、、うーむ、そこまでして弁財天に出すのか……。



◆弁財天のソロ(瀬戸花まり/七瀬りりこ)

綺麗な声で、誰だろう?と思ったら瀬戸花さんでした。良かったです。でも、宙組には歌姫がすごくたくさんいるので、上級生を使ってみても良かったのに……と思ったりもしました。もっと歌姫をつかってやってくれ……。



◆市(すみれ乃麗/妃宮さくら)

良かったです!終始、れーれとは思えないほど低い声で喋ってましたが、あれは演出指導なんでしょうか。落ち着きのある大人の女で、とても良かったです。ああいう役もできるんだ!という驚き。
やっぱり、娘役にとっても場数って大事なんだなあと思いました。

後半は、弁財天とカルマダンサーとおしどり……かな?どれも可愛かったです。カルマダンサーは、後半になるまで気がつかなかったのであまり観られなかった……やっぱり開幕前のプログラムチェックは必須だなあ(T T)(だって、仕事帰りにギリギリで行くんだもん!!無理!!)(T T)。




あれれ?終わらなかった……もう一回続きます。