花組青年館劇場公演「舞姫」。

この作品の主題歌を聴くたびに。
「マイネ・リーベ(我が恋人)」と「マイヒメ」の韻の踏み方に、植田景子さんのこだわりを感じていました。


細かい伏線のひきかた、拾い方にも同じように。
1幕が終わったときは、どうしてわざわざ豊太郎を法科に替えたんだろう?と思ったのですが、「日本を西欧列強に認めさせるための第一歩として」日本国憲法を制定する、というテーマを与えることで「日本のために」という豊太郎の動機をわかりやすく強化したりとか。
さすが景子さん、と思った部分はとても多かったです。


森林太郎の経歴をみると。、
1884年(明治17年)8月、独逸へむけて出航。目的は陸軍衛星制度および衛生学の研究。
ミュンヘンで“近代衛生学の父”ペッテンコーフェルに学び、ベルリンへ移ってコッホに師事。
1888年(明治21年)9月、日本へ帰国。27歳。
1889年(明治22年)2月11日、大日本帝国憲法公布。
1890年(明治23年)11月29日、憲法施行。第一回帝国議会開催。

#舞台では出国も帰国も3月になってましたが、これは何か理由があったのでしょうか…?



ちなみに、この「1989年」は、昨年散々愉しませていただいた「第三回パリ万博」の開催された年。

つい最近観た「WILDe Beauty」のオスカー・ワイルドに関していえば、ちょうど「幸福な王子」や「ドリアン・グレイの肖像」を書いた頃。たぶん、彼の作家としての最初の絶頂期だったはず。
他にも「蒼いくちづけ」の元ネタになったブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」が書かれたのが1897年、など、西欧において、さまざまな「世紀末文学」が生まれた時代。

…去年も書きましたけど、19世紀末ってよっぽど面白い時代だったんでしょうねぇ…。




なーんて感慨にふけりつつ。
とりあえずは、他の登場人物について印象などを。


 
■ドクトル・ヴィーゼ:ふみか(紫峰七海)

この人は本当に声がいい!

みわっち、まっつ、みつると声の良い人が揃った公演でしたが、その中でも突出して良い声なんですよね。深みがあって、柔らかくて(*^ ^*)。
「蒼いくちづけ」のデイヴもステキでしたけど、このダンディなドクトルの素敵さは、また格別♪でした。素顔のお稽古写真とか見ると、丸顔で結構童顔だと思うのに、どうしてあんなにお髭が似合うんでしょうか!?ヒューブナーさん以来の髭萌えモードがおさまる気配もないねこには、たいそうな凶器でございました。

そして、個人的に最高だったのは「明治天皇の声」♪♪いやぁん、幕開きからいきなり美声だったのでうっとりしちゃいましたぁ(壊)♪


 
■豊太郎の母と妹:梨花ますみ、舞城のどか

みとさんはさすがの貫禄でした。厳しい母、という役はホントぴったりですね…。懐剣を掲げてあとずさる足どりがスムーズで、美しかったです。

みほちゃんの朗読も、自然でよかったです。ただ、清さんはなにもみほちゃんがやらなくても、と思ったのは事実かな…。もっと何もわからないような下級生がやったほうが自然だったと思うのですが。…若い子だとあれだけの台詞が言える子がいないのかな?

みほちゃんには、ぜひベルリンのショーで踊ってほしかった!(涙)。


あと、作品の構造的なところからみても、なぜこの妹を追加したのか理解に苦しむところではあります。
説明役が必要なら、父親の妹あたりでも良かったのでは?

原作では確か、母親が亡くなったことで“日本に帰る理由が無くな”り、エリスと暮らし始める、という展開だったはず。

だって。
…残された妹がいたら、もうちょっと真剣に帰ろうとするんじゃないのか豊太郎?兄の庇護がなければ、か弱い女の身、下手すれば悪い親戚に女郎屋に売られかねないのに(←まさかそんなことはないか?)
妹がいるにもかかわらず、国に帰るための努力をまったくしない豊太郎ってどうなの?という気がしてならなかったのですが。そのあたり、景子さんはどういう考えでこの役を設定したんでしょうか…。


 
■エリスの母:光あけみ
良い役でしたね。1幕のキツくて冷たい母親から、2幕ラストへの変化が自然で、“一人の人間”に見えたことに感心しました。
エリスの母らしいエキセントリックさ、娘の中にある狂気への恐怖…それは、自分の中にもあるものだからこそ余計怖いのだ、というところがちゃんと押さえられていたところがさすがだと思いました。
エリスの透明感を強調するために、いっそ不愉快なほど“人間”らしい芝居ができる人が必要だったのだと思います。あまり舞台に立たない方ですが、専科さんも人数へってしまったし、もっといろんな舞台に立っていただきたいです。


 
■マチルダ・フォン・ヴィーゼ:舞名里音
今さらですが。ご卒業おめでとうございますm(_ _)m。
美人さんで声も悪くないし、もうすこし台詞術が備わっていればいろんな役が出来ただろうに…ともったいない感じがしました。
でも、最後が良い役でよかったですね!

さすがにふみかちゃんの娘にはさすがに見えませんでしたけど(^ ^)、ふみかちゃんは本当に「可愛い娘」にメロメロなパパ、って感じで可愛かったなあ〜(*^ ^*)

 
 
■岩井:マメ(日向燦)
モデルは作者である森林太郎なのか、それとも同門(コッホの衛生試験所)の北里柴三郎なのか…。最終的には脚気問題で対立する東大学派(森)と北里ですが、どうなんでしょうねぇ。

ま、それはともかく。
マメちゃん、さすがでした。ちょっとやりすぎ、って思ったところもありましたが、ああいう役を中途半端にやるとかえって見苦しいし。あの自然さはさすがでしたね。
ただ、私はどちらかというと岩井くんに近い(人の意見に逆らわない)タイプなので、なんだかすごく感情移入してしまって、結構苦しかったです。…マメちゃんはああいうタイプではないのかな。実際にああいう性格だったら、あの役やるのはかなり辛かったんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうね。


 
■黒沢中尉:ちあき(白鳥かすが)
■丹波と大河内:夕霧らい、祐澄しゅん

大柄な二人にはさまれた小柄なちあき。あまりにも可愛らしくて、ケースに入れて飾っておきたいくらい気に入りました。
月組時代から、それこそ「血と砂」に最下で出ていたときからずーっと見守っていた人なので、花組さんであっちにぶつかりこっちで転んでいるのを見る度に涙がでるほど愛おしくなります。
がんばれちあき。

大きな二人は、揃って素晴らしい声してますねぇ(うっとり)。エンカレで美声を堪能させていただいたらいらいはもちろん、しゅんさんも巧い!台詞も明瞭だし、歌もいい。ちゃんといじわるそうな声になっていたところが素敵でした。
姿もいいし、立役としては得がたいお二人ですね♪


 
■フラウ・シュミット:愛純もえり
たいした出番があるわけではありませんが、印象的な声でした。
もっと上級生だとばかり思っていたのに、若いんですね!巧いなあ…。

 
■ホットワイン売り/青木英嗣:彩城レア
エンカレで気になった人の一人。今までも何かと使われてはいましたが、今回ひさしぶりにゆっくりソロが聞けて嬉しかったです。笑顔が可愛い♪
青木くん役は、ちょっとがんばりすぎちゃったかな?という気もしましたが、良かったと思います。もっと小柄なイメージでしたが、案外スタイル良いいんですね。制服が似合ってカッコよかったです。


 
■踊り子さん:瞳ゆゆ、白姫あかり
かわいい………かわいい………かわいい!!
それにしても、ヴィクトリア座の演目のあまりのロリータぶりに驚きを隠せません。もう少し大人っぽい演目にしたほうが良かったんじゃないかと思うんですが……>景子さん


 
初輝よしや
…やっと見覚えることができて嬉しいです。次の大劇場でも見分けられますように!(ターバンに髭つけられたら絶対わからないだろうな…涙)

輝良まさと
いろんな役で出ていましたが、常に目立ってましたね。かっこよかった!台詞はまだちょっと棒でしたけど、これからが楽しみです。


 

花組さんの下級生もだいぶ覚えたし、大劇場公演にむけて準備はばっちり!!…かな?

この作品については、まだまだ書きたいことがあるので、たぶんまた書くと思いますが。とりあえず、キャストについてはこのあたりで。


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