キャラメル箱の梶尾真治
2008年3月1日 演劇 コメント (4)サンシャイン劇場にて、キャラメルボックス「きみがいた時間 ぼくのいく時間」を観てまいりました。
久しぶりのキャラメルボックスでしたが、
いやーーーー、面白かった!です。
小技の効いた演出がキャラメルらしくて、楽しいです。キャストも粒ぞろいで。まー西川浩幸さんが出てくるだけでステキなのは当然として(*^ ^*)、3年ぶりの上川隆也がカッコイイのはもっと当然として(***^ ^***)、
驚いたのは渡邊安理さんの可愛らしさ♪「嵐になるまで待って」のヒロインが決まっているそうですが、さもありなん、という輝きでした…。
物語は、よくあるタイムトラベルもの…と言ってしまっても間違いではないのでしょうけれども。
原作は、梶尾真治の短編連作「クロノス・ジョウンター」シリーズの一編。キャラメルで劇化するのもこれで4作目ですが、以前の作品を観ていなくても多分あんまり関係ないと思います。まぁ、そういうシリーズなんだという知識くらいは、予備知識としてあったほうがいいかもしれませんが。
梶尾真治。
熊本在住のこのSF作家の名前をご存知の方は少ないのかもしれませんが。
…と思っていたけど、そういえば「黄泉がえり」は映画にもなったし、最近ライトノベルの棚に「おもいでエマノン」がシリーズ化して並んでいたりするし、案外メジャーな作家なのでしょうか?
私が一番最初に読んだのは「地球はプレイン・ヨーグルト」だったと思います。ありえないほど物凄いブラックコメディ(?)で、作品の突拍子の無さも印象的だったし、発想力豊かなSF作家として「カジシン」の名前を記憶に刻んでくれた星新一の解説もおもしろかった。
でも、その時点ではそんなに惚れ込むことはなく。しばらく間があいて。次に読んだのはデビュー作の「美亜に贈る真珠」でした。それから、順番に読み始めたんですよね。
一番好きな作品は?と聞かれると悩むんですけれども。父との確執から生まれた「清太郎出初式」も非常に好きな作品ですし。
でも、なんといっても彼の作品に特徴的なのは「愛」の純粋さだと思うのです。それも、やっぱりデビュー作の「美亜に贈る真珠」ですでに痛切に表現された「見守る愛」の美しさが抜群で、切なくて。
彼の作品に繰返しあらわれるテーマは、「時間を超越した愛」。「クロノス・ジョウンター」シリーズ以外にも、タイムマシンものを何本も書いている彼ですが、その作品群のテーマは「マシン」ではなく、常に「愛」なんですよね。「時間を超越した」「見返りを求めずに見守る」愛。その純粋な強さ。
そのあたりの「純粋さ」を、キャラメルボックスの成井豊さんは実にうまく戯曲化しているな、と、カジシンシリーズを観るたびに毎回思います。
特に。タイムマシンの開発秘話を中心に、理論のとっぴさを売りにした「クロノス…」シリーズの中でも、この「きみがいた時間、ぼくのいく時間」は、「人生を懸けた愛」をテーマにしているので。
一方通行の愛。
ただひたすらに、見守るだけの、哀しい愛。
3年ぶりのキャラメル出演となった上川隆也が、愛に人生を懸けた男を切なく演じきってくれました。
美しい男。
かっこいい男。
そんな男が、全てを捨てて一人の女を救うために人生を捨てる。
仕事も、家族も、なにもかも。
もう二度と、自分の腕の中に戻ることはない女のために。
この腕で、守れなかった女のため、に。
何度も舞台で観て、そのたびに「本当にかっこいいな、巧いな」と惚れ惚れし、惚れ直しつづけてきた上川隆也。
今回もまた惚れ直してしまいました。…あーもう、懲りないなー、私ってば。
声がいい、目がいい、手がいい、腕がいい、
ちょっとした仕草がどれも可愛くて、優しくて、ステキで、
「愛」に盲目だった一幕冒頭の彼も、全てを捨てて愛のために生きようと決心した二幕の彼も、どちらも本当にかっこいい。
キャラメルボックスのお芝居って、世界設定を思いきってファンタジー(あるいはSF)に振っておきながら、そこに生きる登場人物たちは物凄く地に足がついたリアルな人物像だったりすることが多いのですが。
その中でも、上川隆也のリアル感、「確かにそこに生きている」という実感の強さというのは別格だなあといつも思います。
どんなに設定がファンタジックに突拍子なくても、彼がいるだけで“現実の物語”として受け入れることができる。
ああ、そういうこと(タイムマシンの開発)をしている会社もあるかもね、と素直に思える、そんな説得力のあるリアル感。
原作者の梶尾真治自身が「これは上川隆也で」と指定したのもわかるなあ、という嵌り役っぷりでした。
観ることができてよかったです!!
あと、印象に残ったのは、大好きな(キャラメルボックスといえばこの人!)西川浩幸さんと、
今回当たり役だった坂口理恵さん。
坂口さん、切ない役でしたが淡々と芝居されていて、それが余計に切なかったです。終盤の、馬車道ホテルのレストランでの場面はぼろ泣きでした私…。“いい女”ではないところがまたポイントが高いです。大好き。
5年間の海外派遣留学を終えて帰国した秋沢里志(上川隆也)。
空港に出迎えるのは、里志の妹・真帆(岡内美喜子)と、
5年前に別れた恋人・梨田紘未(西山繭子)。
真帆にあれこれおせっかいされて、紘未とよりを戻し、結婚を申し込む里志。
「研究が一番で、君は二番目だ」「人間の中ではあたしが一番ってこと?」「…そう」「…それなら、いいわ。夢を追いかけるあなたが、好きだから」
多分、里志が紘未を本気で愛したのは、この瞬間からなんでしょうねぇ…。
帰国した里志を迎えるのは、「クロノス・ジョウンター」を開発したP・フレックの野方耕一(西川浩幸)。そして、「クロノス・スパイラル」を開発中の若月まゆみ(温井摩耶)。
「時の流れは、螺旋を描いて過去へ向かう…螺旋の一巻き前にジャンプするための装置があれば、簡単にタイムトラベルができる」若月の“時間螺旋理論”を許に開発されたクロノス・スパイラルは、あらゆるものを39年前に送ることができる。そのシステムで使うエネルギー装置の開発を任された里志は、同僚の山野辺(阿部丈二)、佐藤(渡邊安理)と共に開発を進めていく。
そんな中、自分の妊娠に気づいた紘未は、仕事を休んで病院にいこうとして、
…途中で、交通事故にあってしまう…。
彼女を喪った里志は、どうするのか。
プロポーズに「研究が1番で、紘未は二番」と言った男が、
彼女のためにした選択は?
…まーそれにしても。
タイムトラベルものの中でも、これはかなりパラドックスが多い話なので…
ぽろぽろ泣きながら、それでも色々と突っ込まずにはいられませんでしたねぇ(汗)。
やっぱり「過去を変える」話は難しいですね。変えちゃった過去はどこへ行くの?と思ってしまうし。変える前のエピソードは、じゃああれは何だったの?ということにもなるし。
でも。
…やっぱり、ちょっと純子さんに対しては残酷だと思うわ、里志……。
あと気になるのは、岡田達也さんが演じた“浩二”さんが、事件の後どうなったか、なんですけど。
うーん、キャラメルだったら梶尾さんが書いてない部分でも、ラストにもう一回浩二を語るエピソードを入れてもいいと思うんだけどな。
などと。
ネタバレを避けているようで、あまり避けていない疑問を提出しつつ、
とにかく上川隆也がステキでした、という結論で終わりたいと思います(*^ ^*)。山内一豊ネタもあったのが流石キャラメル、って感じでしたが(爆)。
ああ、やっぱりキャラメルって観れば絶対面白いんだよねー。
しばらく忙しくて観ていなかったんですが、今年はもう少し優先順位をあげておかなくてはっ♪
久しぶりのキャラメルボックスでしたが、
いやーーーー、面白かった!です。
小技の効いた演出がキャラメルらしくて、楽しいです。キャストも粒ぞろいで。まー西川浩幸さんが出てくるだけでステキなのは当然として(*^ ^*)、3年ぶりの上川隆也がカッコイイのはもっと当然として(***^ ^***)、
驚いたのは渡邊安理さんの可愛らしさ♪「嵐になるまで待って」のヒロインが決まっているそうですが、さもありなん、という輝きでした…。
物語は、よくあるタイムトラベルもの…と言ってしまっても間違いではないのでしょうけれども。
原作は、梶尾真治の短編連作「クロノス・ジョウンター」シリーズの一編。キャラメルで劇化するのもこれで4作目ですが、以前の作品を観ていなくても多分あんまり関係ないと思います。まぁ、そういうシリーズなんだという知識くらいは、予備知識としてあったほうがいいかもしれませんが。
梶尾真治。
熊本在住のこのSF作家の名前をご存知の方は少ないのかもしれませんが。
…と思っていたけど、そういえば「黄泉がえり」は映画にもなったし、最近ライトノベルの棚に「おもいでエマノン」がシリーズ化して並んでいたりするし、案外メジャーな作家なのでしょうか?
私が一番最初に読んだのは「地球はプレイン・ヨーグルト」だったと思います。ありえないほど物凄いブラックコメディ(?)で、作品の突拍子の無さも印象的だったし、発想力豊かなSF作家として「カジシン」の名前を記憶に刻んでくれた星新一の解説もおもしろかった。
でも、その時点ではそんなに惚れ込むことはなく。しばらく間があいて。次に読んだのはデビュー作の「美亜に贈る真珠」でした。それから、順番に読み始めたんですよね。
一番好きな作品は?と聞かれると悩むんですけれども。父との確執から生まれた「清太郎出初式」も非常に好きな作品ですし。
でも、なんといっても彼の作品に特徴的なのは「愛」の純粋さだと思うのです。それも、やっぱりデビュー作の「美亜に贈る真珠」ですでに痛切に表現された「見守る愛」の美しさが抜群で、切なくて。
彼の作品に繰返しあらわれるテーマは、「時間を超越した愛」。「クロノス・ジョウンター」シリーズ以外にも、タイムマシンものを何本も書いている彼ですが、その作品群のテーマは「マシン」ではなく、常に「愛」なんですよね。「時間を超越した」「見返りを求めずに見守る」愛。その純粋な強さ。
そのあたりの「純粋さ」を、キャラメルボックスの成井豊さんは実にうまく戯曲化しているな、と、カジシンシリーズを観るたびに毎回思います。
特に。タイムマシンの開発秘話を中心に、理論のとっぴさを売りにした「クロノス…」シリーズの中でも、この「きみがいた時間、ぼくのいく時間」は、「人生を懸けた愛」をテーマにしているので。
一方通行の愛。
ただひたすらに、見守るだけの、哀しい愛。
3年ぶりのキャラメル出演となった上川隆也が、愛に人生を懸けた男を切なく演じきってくれました。
美しい男。
かっこいい男。
そんな男が、全てを捨てて一人の女を救うために人生を捨てる。
仕事も、家族も、なにもかも。
もう二度と、自分の腕の中に戻ることはない女のために。
この腕で、守れなかった女のため、に。
何度も舞台で観て、そのたびに「本当にかっこいいな、巧いな」と惚れ惚れし、惚れ直しつづけてきた上川隆也。
今回もまた惚れ直してしまいました。…あーもう、懲りないなー、私ってば。
声がいい、目がいい、手がいい、腕がいい、
ちょっとした仕草がどれも可愛くて、優しくて、ステキで、
「愛」に盲目だった一幕冒頭の彼も、全てを捨てて愛のために生きようと決心した二幕の彼も、どちらも本当にかっこいい。
キャラメルボックスのお芝居って、世界設定を思いきってファンタジー(あるいはSF)に振っておきながら、そこに生きる登場人物たちは物凄く地に足がついたリアルな人物像だったりすることが多いのですが。
その中でも、上川隆也のリアル感、「確かにそこに生きている」という実感の強さというのは別格だなあといつも思います。
どんなに設定がファンタジックに突拍子なくても、彼がいるだけで“現実の物語”として受け入れることができる。
ああ、そういうこと(タイムマシンの開発)をしている会社もあるかもね、と素直に思える、そんな説得力のあるリアル感。
原作者の梶尾真治自身が「これは上川隆也で」と指定したのもわかるなあ、という嵌り役っぷりでした。
観ることができてよかったです!!
あと、印象に残ったのは、大好きな(キャラメルボックスといえばこの人!)西川浩幸さんと、
今回当たり役だった坂口理恵さん。
坂口さん、切ない役でしたが淡々と芝居されていて、それが余計に切なかったです。終盤の、馬車道ホテルのレストランでの場面はぼろ泣きでした私…。“いい女”ではないところがまたポイントが高いです。大好き。
5年間の海外派遣留学を終えて帰国した秋沢里志(上川隆也)。
空港に出迎えるのは、里志の妹・真帆(岡内美喜子)と、
5年前に別れた恋人・梨田紘未(西山繭子)。
真帆にあれこれおせっかいされて、紘未とよりを戻し、結婚を申し込む里志。
「研究が一番で、君は二番目だ」「人間の中ではあたしが一番ってこと?」「…そう」「…それなら、いいわ。夢を追いかけるあなたが、好きだから」
多分、里志が紘未を本気で愛したのは、この瞬間からなんでしょうねぇ…。
帰国した里志を迎えるのは、「クロノス・ジョウンター」を開発したP・フレックの野方耕一(西川浩幸)。そして、「クロノス・スパイラル」を開発中の若月まゆみ(温井摩耶)。
「時の流れは、螺旋を描いて過去へ向かう…螺旋の一巻き前にジャンプするための装置があれば、簡単にタイムトラベルができる」若月の“時間螺旋理論”を許に開発されたクロノス・スパイラルは、あらゆるものを39年前に送ることができる。そのシステムで使うエネルギー装置の開発を任された里志は、同僚の山野辺(阿部丈二)、佐藤(渡邊安理)と共に開発を進めていく。
そんな中、自分の妊娠に気づいた紘未は、仕事を休んで病院にいこうとして、
…途中で、交通事故にあってしまう…。
彼女を喪った里志は、どうするのか。
プロポーズに「研究が1番で、紘未は二番」と言った男が、
彼女のためにした選択は?
…まーそれにしても。
タイムトラベルものの中でも、これはかなりパラドックスが多い話なので…
ぽろぽろ泣きながら、それでも色々と突っ込まずにはいられませんでしたねぇ(汗)。
やっぱり「過去を変える」話は難しいですね。変えちゃった過去はどこへ行くの?と思ってしまうし。変える前のエピソードは、じゃああれは何だったの?ということにもなるし。
でも。
…やっぱり、ちょっと純子さんに対しては残酷だと思うわ、里志……。
あと気になるのは、岡田達也さんが演じた“浩二”さんが、事件の後どうなったか、なんですけど。
うーん、キャラメルだったら梶尾さんが書いてない部分でも、ラストにもう一回浩二を語るエピソードを入れてもいいと思うんだけどな。
などと。
ネタバレを避けているようで、あまり避けていない疑問を提出しつつ、
とにかく上川隆也がステキでした、という結論で終わりたいと思います(*^ ^*)。山内一豊ネタもあったのが流石キャラメル、って感じでしたが(爆)。
ああ、やっぱりキャラメルって観れば絶対面白いんだよねー。
しばらく忙しくて観ていなかったんですが、今年はもう少し優先順位をあげておかなくてはっ♪