宝塚歌劇団月組のみなさま、東宝劇場初日おめでとうございます。
多少は台詞などの変更もあったみたいで、アルマンド=サイボーグ説の反証なるか?My観劇日を楽しみにしたいと思います(^ ^)。


で。

かく言う私は、今日は東宝劇場ではなく、天王洲へロックミュージカル・ガラを体験しに行って参りました。

予想以上に良い作品なのに、あまりに宣伝不足で誰も知らない公演なのが悲しい(T T)ので。
もしかして、万が一、ココを読んで興味を持ってくださる人がいらっしゃいましたら、明日(18日13時開演)の千秋楽をぜひぜひ観てあげてほしい、と思い、急いで書いてみました。

…でも誰も読まないよねきっと(涙)。



旧アートスフィア、知らないうちに名前が(主催も)替わっていて吃驚したのですが、今は「天王洲 銀河劇場」と言うのだそうですね。相変わらず観やすくて、座席も良くて、音響も良くて、いい劇場なんですが…いかんせんアクセスが良くないのと、どうも使用料が高いらしくてチケット代が高めなんですよね、いつも(涙)。どの作品も集客には苦労していた記憶があります。
でも、「蜘蛛女のキス」を観たのもここでしたし「I Love You 〜愛の果ては?」とか「香港ラプソディ」とか、良い作品やっているんですよね…。銀河劇場に生まれ変わっても、がんばってほしいです。

さて。
今回のガラ「GENERATIONS」は、宝塚ファン的にはどっかの若手本のタイトルみたいで笑えるんですが(^ ^;、「RENT」日本公演でコリンズを演じ、(私的に)大評判をとった石原慎一さんが中心になって構成されたもののようです。


70年代に次々と発表・制作され、一世を風靡した「ロックミュージカル」。

1967年に初演された「HAIR」を皮切りに「FAME」、71年の「GODSPELL」と「Jesus Christ SuperStar」…そして、1996年の「RENT」までの約30年間。

時代は動き、人は変わる。
それでも、決して変わらないものがそこにあるから。

だからこそ、人は生きる。

今日という日は、二度とない。
そして No Day But Today、今日でない日はないのだから、と。

昨日もない
明日もない
ただ、今日を生きるだけ


作品的には「GODSPELL」がメインの扱いでしたが(もともと昨年「GODPELL」が再演される予定があったのに中止になったので、その代わりに、という感じの企画だったらしい)、内容的には石原さんがメインだったこともあって、前半の山に「RENT」を持ってきていました。
ちょうど、2008年秋に「RENT」再演の予定があるようですし、昨年の映画もヒットしていたのでちょうどタイムリーな感じ。
もっと宣伝したらこの公演ももっとお客さま入ったでしょうに、もったいない…。

(全然関係ないのですが、なぜRENT再演は東宝なんでしょうか。あれは東宝がやる作品じゃないでしょうに!?不安…/涙)



日本版コリンズの「I’ll Cover You〜リプライズ」を、時を経て再び拝聴でき、とてもとっても!幸せでした。
客席でいろいろ思い出してしまって、滂沱の涙…。

私は本当に「RENT」という作品が好きなんだなあ、と(^ ^;ゞ。

来日公演も観に行きましたし、ブロードウェイでも観ているのですが。
私は実は、日本初演版が一番好きです。
なんといってもエンジェル(KOJIRO)とコリンズ(石原慎一)が秀逸だった。今のところ、あれを超えるコンビは観ていません。
そしてモーリーン&ジョアンナの森川美穂& 坪倉唯子もサイコー!日本にもあんなソウルフルな人がいるのか!?と目から鱗でした。

もちろん、マークの山本耕史も素晴らしかった。再演には、彼は絶対はずせません!山本耕史抜きで日本版RENTはあり得ない。そのくらい、彼のマークは「RENT」の世界そのものだったのです。

アンサンブルも、知らない人ばかりでしたが全員歌もダンスも素晴らしく、本当にすみずみまで充実した公演でした。

「RENTが好き」
スタッフのその一念が、キャスティングから訳詞から、なにからなにまでを覆い尽くしていました。


日本でも、凄いものが作れるんだ、と。
日本にもこれだけの役者がいるんだ、と、ミュージカルファンとして誇らしい公演でした。
(と言いつつ、ロジャーミュージカル界から出せなかったのは残念でしたが… ^ ^;ゞ)

同じように「熱狂的なファンのいる、オン・ブロードウェイのアングラ作品」とくくられがちな「Jekyl&Hyde」日本公演(東宝)の企画の杜撰さ、作品への愛の無さに比べて、なんという違いなのか、と。
それこそ、作曲家としてのワイルドホーンの熱狂的なファンとしては、どれほどに悲しかったことか…(涙)。
(RENT東宝再演…すっごく不安です…祈)



ま、そんな話はおいておいて。
Generationsの話。


幕開きは「ヘアー」より「Aquarious 〜Let The Sunshine In」。
あまりに有名な曲ですが、あらためて舞台で聴く機会というのは案外ないもの。
やはり名曲は名曲です。ぜひ聴いてみてください!


次は、高橋洋子さんで「Out Here On My Own」(FAME)。
高橋さんは、スタジオボーカリストとしてご活躍されている方で、『新世紀エヴァンゲリオン』の「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」などを歌われている方。CMソングも多くレコーディングされているようで、トークの中ではミツカンのCMソングを口ずさんでくださいました(笑)。
1991年の「P.S. I miss you」で日本レコード大賞新人賞を取られた歌手だそうです。

私は全然存じ上げなかった(エヴァンゲリオンは勿論見てますが)のですが、本当に素晴らしい声の持ち主でした。歌唱力・表現力ともに抜きん出て、「さすが、『歌だけ』で勝負してきた(←そして勝ってきた)プロは違う!」という感じでした。
ただ、ステージで歌われることにはあまり慣れていらっしゃらないようで、手の動きなどはちょっと気になった処もありましたが…(^ ^;ヾ



一曲一曲の詳細は、今回パンフレットが無かったので覚えていない部分も多く、語るとボロが出そうなので割愛しますが、「ロック・ミュージカル」の魂を伝えたい、という制作側の気持はすごく伝わりました!

HAIR。
FAME。
LITTLE Shop Of Horrors。
Jesus Christ Superstar。
天使にラブソングを。

そして、RENTとGODSPELL。

形式にとらわれずに。

昨日と違う今日、
今日と違う明日、
たった一度の“今日”を、精一杯生きてみようよ!
生きなくちゃいけないよ!

という、魂の根幹からのメッセージ。

それを、あらためて私に教えてくれたコンサートでした…




キャストは、豪華!
本当に豪華でした♪

宝塚OGは真織由季さん一人でしたが、ミュージカル界やポップス、シャンソンまで錚々たるメンバー。
いちおう、一通りご紹介してみますね。

ご本人の自己紹介は当然それぞれにおありですが、ここでは私の中での分類で書かせていただきます♪(敬称略)

■宝塚OG
 真織由季

■「レ・ミゼラブル」組
 鈴木ほのか、戸井勝海、宮川浩、山形ユキオ

■クンツェ・リーバイ組
 新納慎也(=初演トートダンサーのNIROくん)と野沢聡

■「RENT」チーム
 石原慎一、結樺健(山本耕史さんとユニットを組んだアルバム絶賛発売中)、Tina(ボーカリストと言った方がいいかも?)

■シャンソニエ
 花木佐千子(元劇団四季→天狼プロ【中島梓=栗本薫主催のミュージカル制作事務所。石原慎一さんもよく出ていらっしゃいました】)

■「GODSPELL」組
 中山眞美(MAMI)。
 この公演では、宮川・真織・戸井・新納・野沢・結樺がGODSPELL組という扱いでした。


前半はいかにもガラコンサートっぽく、一作品2曲くらいずつ。
そして後半は、「GODSPELL」の大半の曲を使った「GODSPELL GALA」。

「GODSPELL」って、ご覧になっていない方も多いかもしれませんが、タイトル(「神の詞」)どおり、「マタイの福音書」の物語を音楽と寸劇でつづった作品です。

ジーザス(初演は山本耕史、再演再々演は新納慎也)とユダ(再演は戸井勝海、初演と再々演が大沢樹生)のみ固定で、あとのメンバーは「十二使徒」ということで、特に役柄を固定することなく、ジーザスの「ファン」あるいは「おっかけ」として存在し続けます。
「マタイによる福音書」の内容に沿って寸劇を繰り返し、「マグダラのマリア」になったり、「出奔した息子とその父」になったり、「羊と山羊」になったり…。
そして、最終的には「愛するゆえに」ジーザスとユダを追いつめ、ゲッセマネへとなだれ込むのですが…。

「宗教」に対する思い入れ・思いこみの強い方にはあまり向かない作品ですが、よく言われているような「洗脳系」の作品では全く(!)なくて、ごく普通に「標は自分で探さなくてはいけない(与えられてはいけない)」ということを教えてくれる作品でした。

最初と最後に歌われる「Prepare Ye」も「道 整え 迎えよう 主を」という歌詞のとおり、最初に「道を整える」のは自分自身、なのです。
決して「神に祈れば道を造ってくれる」とか、ましてや「皆で神に祈って道を造ってもらおうよ!」という話ではなくて、ね。

私はキリスト教徒では決してありませんので、この欧米における「常識」=「聖書」をどこまで理解しているのか、全然自信がありません。
なので、これ以上語るのは遠慮しておきます。

ただ、「GODSPELL」を観もしないで、「聖書物語そのものの説教ミュージカル」と呼ぶのはどうぞやめてくださいm(_ _)m。


今回のコンサートでは、途中でトークを挟みながら、基本的には公演でやった役に合わせて次々と歌ってくださいました。
でも結構違ってた歌も多かったかな…。
ユダ役だった戸井さんが「Turn Back,O Man」の中盤のジーザスのソロを歌ってたり(前半のユダの部分は花木さん)。あと、名曲「Day By Day」を高橋さんで、など、初めて歌う方も多かったですしね。


うーん、このパンフレットというか無料配布の紙、歌う人の名前もないし掲載順と歌った順番も違うから全然わかんないよーーーーっ。
ちゃんとしたパンフレット売って欲しかったなあ(涙)。


装置はシンプルだけど階段形式になっていて、そこにバンドを配し、キャストがその間を縦横無尽に動き回る、という、ちょっと凝った創りになっていました。

衣装は。
なんと!女性陣の服は真織さん、男性陣は新納(NIRO)くんが揃えてくれたようです。鈴木ほのかさんが、トークで「上から下までぜ〜んぶ真織さんの私物です」と仰ってました(^O^)。
ちなみに、誰か(石原さんかな?)に「さすが元宝塚、あり得ないような服をお持ちですよね」とコメントされていました(爆)。

ミュージカル俳優の岡幸二郎さんも、コンサートとかは良く衣装担当をしていましたが、新納くんもそういうのが好きなんでしょうかねぇ。
真織さんほどぶっ飛んだ衣装は用意されていませんでしたが…。

でもでも、一つだけ尋きたい。
新納くん、あなたにとって、戸井さんのイメージはそれ(ピンク)なんですか…(哀)。


ココまで読んでくださった奇特な貴女。
ぜひぜひ、18日の13時に、銀河劇場でお会いしましょう♪


麻子さんのディナーショー、かなみちゃん出ないんですね。ちょっと意外でした。私だけ?

園加ちゃんは出るんですね。当たり前か。そして、すずな(憧花ゆりの)とゆりあ(萌花ゆりあ)、みりお(明日海りお)か〜。
豪華メンバーだなあ。DSじゃなくてコンサートならなぁ……。

スパニッシュな麻子ちゃん、かっこいいでしょうね。
CSに期待して待ってます(T T)。






昨夜アップした「星影の人」観劇日記に、はにはにさまが素晴らしいコメントをくださいました。

このままコメントにしておくのはあまりにももったいないので、
ご本人の了解も得ず大変申し訳ありませんが、本文に転載させていただきます…m(_ _)m。


はにはに様 WROTE:
こんにちは
31年前に観劇した私が、簡単に背景をご紹介しておきますね。それにしてもそんなに年月が経っていたとは・・・なんだかすごい長老って感じがしますよねぇ・・・とほほ
先ず、調べてみたところ1968年にNHKで大河ドラマ「竜馬がゆく」1970年にTV朝日で「燃えよ剣」が放映されて第一次新撰組ブームになったと思います。
当時は何しろ家族全員で紅白を見ていた時代ですから、子供も大人も幕末とか新撰組とかに妙に詳しくなったと思ってくださいませ。ですから沖田総司といわれたら、大人も子供もあんな感じだなぁという程度には一般常識?としてイメージがあったかと。
同様に土方さんはカッコよくて女性にもてるっていうイメージがありましたね(笑)
雪組公演は1976年ですから時代背景がお判りいただけるかと。

ああ、そうなんですね!「燃えよ剣」は6年も前だったのか…。
ってことは、まぁ「新撰組って何?」という人は少数派だけど、多摩時代(試衛館時代)を知っている人は殆どいない、そんな時代ということですね…。

で、戦後「忠臣蔵」とかが上映禁止になったように新撰組とかも余り表だって取り上げるのは憚られたのかもしれません。だからご推察のとおりアングラだったかなと。
で、もう幕末も新撰組も知ってるという前提で、宝塚としては沖田総司を、その悲恋の主人公として取り上げたのは画期的だったように思います。
「星影の人」ってそうなんですよ、多分。「竜馬伝」と比較するのは、基本の土俵が違うのでちょっとなぁなんて感じました。

同時期に上演されていたのでつい比較してしまいましたが(^ ^;、お気を悪くなさらないでくださいませm(_ _)m。

あと、柴田先生がなんで沖田を取り上げたのかとか、「やせ我慢」系の男を取り上げたのかという疑問ですが、これは公演をした雪組の特異性と関係していると思います。
当時のトップ汀夏子さんは小柄でわりと可愛いというか弟キャラだったのです。
でもすごーーーくクサい宝塚チックな人でして、熱いファンが多かったの。
雪ファンというと、当時は公演を毎日観るのが普通と言われていましたよ、わはは
ま、チケット代金が安くて、東宝のA席(今のSS&Sね)が2500円、D席(一番安い席)が300円だったか350円?そんな金額だったので、中学生、高校生でも学校の帰りに公演を見に行かれたし。で、2番手が麻実れいさんでして、ターコさんは若いのに大人っぽくて色気があったので、ファンは女ったらしのターコさんが見たかったということでしょう。
私も着流しで「総司・・・」とニヤっとしながら話すターコさんにクラクラきていました(笑)

なるほどー。
私も、友人に「汀さんはとっても小柄で弟キャラで、沖田が本当にぴったりだったのよ!」と言われ、なるほどなぁと思っていたのですが…。
柴田さんは宛書の名手だった、ということなんでしょうね、きっと。

で、当時トップさんと2番手は学年差があり、今ならオサがトップだったら2番手はまっつ?!
という感じかな? 間には新公主演経験者とか、別格ダンサーとか別格歌手がいたりして層の厚さが違ったような気がします。だからこそ、下級生でも汀さんを子供扱いしても不自然じゃないような空気がありました。
クールな大人な魅力をもった常花代さんとか、厚く渋く踊る尚すみれさんとかいて、柴田先生はうまくあてがきしたと思っていました。そうそう、桂さんもかなり若かったけど、貫禄あったなぁ(笑)かなめちゃんよりもオヅキのほうがバランスよかったかもね♪

に、にばんてがまっつ…(想像がつかなくて頭が真っ白)

…コホン。(ねこは悶死したようです)

確かに、声の高さ以外はどう見ても水しぇんが一番年上ですからねぇ…。ユミコさんはちゃんと「酸いも甘いも」の大人の男に見えますが、桂と山南は…(滝汗)。
観る前に予想していたよりは、お二人ともずっと良かったですけれども☆

それを今の上級生の少ない雪に当てはめるのはちょっと辛いだろうとは想像できますが・・・
ちなみにターコさんは研6くらいから、いつもお兄さん役だったので持ち味が大人だったってことでしょう。
娘役も高宮さんが一応トップでしたが、持ち味が色っぽいお姉さんだったので、それを考えて配役すると玉勇さんは年上のお姐さんというわけですね。ちなみに玉勇さんは仇っぽくはあったけど阿呆っぽくはなかったので、これはとなみちゃんの個性ですね、きっと。
娘役さんたちもとてもうまく宛書されていると当時は思いました。
なんか昔のほうが生徒さんの個性が強かったかもしれません。子供なりに生徒さんの好き嫌いとか結構あったように思いますし。今はそんなに苦手な人っていなくなったような気がします。

となみちゃんの玉勇は、アダっぽいというよりは…うーん(笑)。でもすごいキレイでしたし、水しぇんとの並びもお似合いでした。これからの雪組、楽しみです。

娘役陣は、おみよのしな(山科愛)ちゃんが達者でした。愛らしくて、でもしっかりしていて、沖田はんが大好きで。
早苗のかおり(晴華みどり)ちゃんは、キリッとしたまなざしと声が印象的。私は、かおりちゃんとの最初の出会いは樹里さんのコンサート「Jubelee-s」なので、格好いい役が大好きなのです♪最近可愛らしい役が多かったので、医者の卵はとても似合っていて嬉しいです♪
染香姐さん、幾松、明里…さらに加代、安紀。こんなに女役の役が多い作品は滅多にない、ってくらいの作品ですよね。演じている娘役陣も幸せそうで。柴田さんの作品は魅力的な女役が多くていいですよね♪みなさん座付きなんだから、こうあってほしいものです♪

あとね、池田屋騒動を声だけでってのも違和感があまりなかったのです。
というのも、昔ってラジオドラマが今よりももっと普通で、あと深夜放送とかでラジオを聞くのが流行ってたりしたせいか、ドラマの作り方が今とは違うような気がします。
それに宝塚がマスコミに登場するのも、私もラジオが多かったですね、関西がメインのラジオ放送を東京で一生懸命にダイヤルをぐるぐるして聞いた覚えがあります。おまけにビデオとかなかったから公演は全てレコードだったんですわ。ビジュアルに全く訴える手段が無くて耳が頼りとなるとやはりラジオドラマの手法として声だけになるんじゃないかな?
NHKのTV中継もカセットで録音してましたし・・・(ベルバラとかカセットで残ってますよ!)
ビデオとかTV中継が増えてきて柴田先生も作劇を変えたかなと思いました。
ま、当時を知る友人たちに聞いてみたら「星影の人」のLPレコードをカセットに録音して100回聞いたなんて言ってるから多分それでよかったんでしょう。

なるほど…
時代、というのかなんというのか、テクノロジーは演出手法も変えていくのかもしれませんね。
とっても納得しました♪

ただ中日で再演するにあたっては、みつきねこさまがおっしゃるような演出に変更したほうがずっと良かったですよね。「その通り!」なんてご意見拝見しながら言ってました。

(^o^)。   

流れの悪さとかは、私が中日をまだ観てないので何ともいえませんが、テンポが遅いのが今に会わないんだと思います。
それこそ20年くらい前に「南の哀愁」とか「ジャワの踊り子」とか再演したときに
「名作なのよぉ〜」と感動する母に「え〜っ!かったるいだけだよ」などと文句を言った覚えがありますもの。歴史は繰り返してますね、わはは

流れが悪い、というか、エピソードの接ぎ穂が切れている印象を受けました。もしかしたら、キャラクターの嵌り度合いの問題かもしれませんね。

…ジャワの踊り子…。祐飛さんのタムロンに感動して大ハマりしたもの、作品自体はやっぱり古い印象がぬぐえなかったんですよね…。
うーん。歴史は繰り返すのかなあ。

現在名作と呼ばれている、たとえば「愛するには短すぎる(すみません、私的2006年の大劇場芝居作品BEST1なので)」も、30年後に再演したら「なんじゃこれ」って言われるのでしょうか…。

でもでも、たとえば「心中・恋の大和路」なんかは今観ても全く古さを感じさせないし、100年たっても絶対大丈夫!と思うんですけどねっ!

長くなりまして済みません。バウとかで再演だったら
らぎか ひろみ:沖田
オヅキ    :土方
かなめ    :桂
にわにわ   :山崎
なんて配役で観たいですね。 (2月15日18時40分 はにはに様)

その配役、通います。
通い詰めて壊れるかも。

きたろうの土方がめちゃくちゃツボです!男の色気のある人だから、すごーく似合いそう♪
でも、かなめの土方にきたろうの近藤、らぎの桂も観てみたいかも☆
 
 
 
 
 
 
…はにはにさま、本当にありがとうございました。

実際に舞台をご覧になった方のコメントは、やはり重みがありますね。
行けるものならもう一度遠征して、いろいろと確認してみたい気がします。ちょっと無理そうですが。

はにはに様は今週末おいでになると仰ってましたね。
よろしければ是非、感想をお聞かせくださいませm(_ _)m。



芝居は時代を映す鏡。
それでも、時代を超える力のある作品は必ずあります。

「星影の人」は、そうなれるのか。
それとも、なれないのか。
それはまだ、わかりません。

だから。

千秋楽まで成長を続けるであろう雪組ッ子たちに、心からのエールを贈りつつ…。

.
雪組中日劇場公演「星影の人/Joyfull2」を観てきました。

…感想ですか?

柴田さんのお茶会があったら、必ず参加させていただきます。

参加して、「なぜ新撰組と全く関係ない話なのにこの題材を使ったんですか?」って聞くの。


…答えてくださるでしょうか、柴田さんは。



題材が新撰組ということで、先日まで東宝劇場で上演されていた宙組の「維新回天・竜馬伝」と同じ時代の作品であることは誰でもわかることなのですが。

夜野愉美さまのブログでご指摘いただいて初めて気が付きましたが、今週末から東宝劇場で始まる月組の「パリの空よりも高く」も、同じ時代の作品なんですね。
http://blog.so-net.ne.jp/nights-entertainment_troup-leader/2007-02-08

ちょっと違う形で時代が動いたならば。
彼らはパリ万博に遊びに来ていたかもしれないんだな、と思いながら。



世界の都・パリと、ニッポンの京都。

産業革命前と、後。

舞台装置の質の差は大きいですけど(苦笑)、
乗っ取られてしまう前に、
全てを奪われてしまう前に、
ニッポンは「革命」をしなくてはいけなかったわけだなぁ…(感慨)



「星影の人」

初演は1976年。31年前、なんですね。

…とにかく、ふるい。

今の演出の主流が、幕前・暗転を極力減らして盆やせり、装置の変形・移動を多用する方向になってきている中で、細切れのエピソードを暗転でつなぐ演出が「古さ」を強調しているような気がします。

でも、それはそれ。
演出だけの責任じゃない。やっぱり、脚本自体も古すぎるような気がしてなりません。


31年前。
最初の新撰組ブームはいつだったのでしょう…?
少なくとも、「新撰組マニア」は、今では想像できないくらいアングラだったのではないでしょうか。

ほんの3年前の大河ドラマの時代でも、ネットのあちこちで「あんなテロ集団の話をNHKが取り上げるなんて」という論調が見られたのです。

ましてや、31年前。

31年前に、タカラヅカで新撰組を取り上げた、というのは、もしかしたら凄いことだったのではないんでしょうか…?

…それはさすがに、考えすぎカナ?



この作品は、あくまで「沖田総司の恋物語」であって、「新撰組」の話ではないんですね。
血生臭い「革命」の物語ではなく、「清く、正しく、美しい」恋の物語。

同時期に上演された「竜馬伝」と、どうしても比べたくなってしまうのは悪い癖なのですが…

「竜馬伝」は、「幕末」の話でした。
登場人物が、全員真剣に「これからの日本」を案じ、どうすればいいのか、自分は何をすれば日本のためになるのか、を考えている。
「ニッポンの夜明けが見たいぜよ」というキャッチコピーは、気恥ずかしいけれども見事に作品のホンネを突いていたと思います。

それでいて、きちんと竜馬とおりょうの想いも、心の交流も描いたし、石田さんの、幕末という時代への愛が漏れ漏れで、すごくって。
全体としては、突っ込みどころ満載ながらもそれなりに佳作ではあったと思います。



それに対して、この「星影の人」は。

「幕末」でもなければ「新撰組」でもない。
描きたいのは、「沖田総司」。

それもアリだとは思うのですが。
ちょっと食い足りない感じは否めないんですよね…。

私は、柴田さんの「チェーザレ・ボルジア」で宝塚初見、大劇場作品で好きな作品は?と聞かれたら、5本の指のうちには必ず「黒い瞳」が入る、という、なんちゃって柴田ファンなのですが。

柴田さんの作品の、おそらく一番の特徴というのはあの「ロマンティック」至上主義的な切り口なんだと思うのです。

名作「あかねさす紫の花」にしても、額田を挟んだ三角関係だけで、あの激動の時代の政治の動きを全部説明してしまおうという暴挙に出ていらっしゃったし、
「うたかたの恋」も、原作映画ではあそこまでマリーだけのために何もかも捨てる設定ではなかったですし…

柴田さんの全盛期の作品を、柴田さんご自身で演出した公演を観たことがないのであまり偉そうなことは言えませんが、柴田さんの作品っていうのはもの凄く「ロマンティック」だなあ、といつも思うのです。

「恋のために何もかも捨てる」とか、
「あなたさえいれば何もいらない」とか、
そういうシチュエーションが繰り返し出てきますよね?

それ自体はすごく宝塚的なモチーフですし、私も大好きなので全然構わないのですが。


「沖田総司」は、「友のために恋を捨てる」人なので。

なぜ柴田さんは沖田を取り上げたのかなあ、と思ってしまうのです…。


私が観ていないから知らないだけで、柴田さんってああいう“痩せ我慢(愛しているからこそ身を引く)系”の男が主役の作品もあるのでしょうか…?どちらかと言うと植田(紳)さんの専売特許かと思っていたのですが。



ミズ(水夏希)くんの沖田は、溌剌とした若さと明るさがあって、とても良かったと思います。
声が高いのは男役としては欠点なのですが、今回の役に限っては沖田の若さを強調する効果があって良かったと思います。
ミズくんは、巷で言われているほど「渋い」男よりも少年っぽい役の方が嵌るンじゃないかなー、と思いました。
ロミオもすっごく若いイメージでしたしね☆



ユミコ(彩吹真央)ちゃんの土方は、目ヂカラのある化粧がとても良かったな。声を随分低く創ってきていたので、沖田に対する年上感があってよかったです。
やっぱり日本物のユミコちゃんって大物感があっていいわーーー。
声を創りすぎたのか、得意の筈の歌がちょっと微妙になっちゃったのが残念でしたが、ささやくように歌う「星影の人」はメチャクチャ良くて嵌りました。

あとは、もう少ししっとりとした色気があると良いんだけど。
ちょっと生真面目な剣士っぽさになってしまっていたのが残念。
照葉との場面も、もう少し土方に匂い立つような色気があると、迷う女の意味もわかるのですが…
今回の流れだと、ぶつ切れのエピソードの一つで終わってしまって、作品の中でのこのエピソードの意味がわかりにくい、と思いました。

結局は女関係が派手だった土方のキャラを出すための場面のように思えるのですが、31年前に何かこれに関係する話題でもあったんでしょうかね…?
とりあえず、ガチガチの尊攘派だった十津川郷士田村某、って、新撰組プチマニアのつもりだった私は初めてきいた名前でした…まだまだだな>自分。



となみ(白羽ゆり)ちゃんの玉勇は可愛かったー!
阿呆っぽいのは役作り?素?とても魅力的な芸妓さんでしたが、ちょっとコトバに違和感があったような…?



ひろみ(彩那音)ちゃんの山南は、今回一番の驚き。
あの可愛かったひろみちゃんが、すっごい男前で出てきた!

声をもの凄く低くしていて、ミズくんの沖田より上に見せるために出来ることは全てやりました、感がありあり。
…そんなあからさまに努力の跡を見せちゃだめだけど。
でも、その気持は買いたいです、私は。

「沖田くん」と呼びかけても違和感のない人物に、
…千秋楽までになれますように…。

とりあえず、衣装の着付けはもう一度見直してください。衣装部さんと仲良くなって、いろいろ教えて貰うといいかも。羽織に着られてしまっているのはちょっと切ないです…。



テル(凰稀かなめ)の桂小五郎。
宙組のみっちゃん(北翔海莉)の桂が、歌も芝居も達者ながら「美形じゃないのが残念」と言われていたのに対して。
テルの桂は「そこまでキレイって志士としてヤバくない?」という感じでした。

剣が使えそうに見えなかったのが惜しいのかも。

とにかくキレイでしたが、ひろみちゃん以上に「沖田くん」に無理があったなあ…。
池田屋の後、逃げる途中で沖田を心配する場面なんて、どこの恋人の心配しているのかと思いましたし。

石田さんは、「猛き黄金の国」で沖田と竜馬に相互理解の糸をはりましたが、柴田さんは「星影の人」で、沖田と桂を結びつけるんですね。
三谷幸喜の大河ドラマ「新撰組!」では、竜馬と近藤・土方の間に交流を持たせていましたが…

沖田と桂。
最初は桂の怪我を見て沖田が見逃し(←斬っとけよ…)、
2度目は池田屋から逃げる途中に桂が沖田の病状を訴えて、
3度目にやっと祇園の料亭で対峙し、剣での会話が始まるけれども、またすぐに玉勇に邪魔されて。

桂さん、沖田くんとの心の交流をぶった切られて可哀相…、
とかいう腐女子視点は置いておいて。

桂さんって、剣と剣での会話を望むような単細胞ではないと思うんだけど、というのも置いておいて。

さすがに二人とも身のこなしがキレイで、見応えのある殺陣でした。




それにしても柴田さん。
どうしても「新撰組の沖田総司」でなく「沖田総司の恋」を描きたかったのならば。
そのために、池田屋事件を暗転に声のみで演出する、なんていうジョーカーを出さなくても、素直に「屯所で待っている玉勇」を描けば良かったんじゃないかと思うんですけどねぇ。

事件の現場を描かずに、そのバックヤードを描いて、事件については観客の想像に任せる、というのは、芝居においてはよくある手です。
具体的には、ホテルのロビーから一歩も出ない「パリの空よりも高く」の嵐の場面とか。
あんな感じで、屯所で玉勇がドキドキしながら待っていると、次々にけが人が運ばれてきて、最後に沖田が虫の息で登場、原田くんとか源さんとかが事件の様子を語る…のでも十分だったと思うのです。

それどころか、話自体を池田屋の後から始めたって良い。
どうせプロローグも池田屋から生還した後の場面のリプライズなんですから、話もそこから初めて、途中で回想に入って、また元の時代に戻る。柴田さんのお得意の手法じゃありませんか?

柴田さん的に、そういう手法が確立する前の作品ということになるのかなあ…

エピソードのぶつ切れ感は、脚本だけが悪いのか、演出の問題なのか演者の問題なのか…初演は「名作」と呼ばれたのに、今回こんなに流れが悪く感じられるのは、時代なのかなんなのか。

31年前。
あまりにも遠い昔で、想像することも難しいです…。



「Joyfull II」

私、藤井大介さんのショーって好きなんです★

バウデビューの「Non-Stop」、DCデビューの「Alas」、大劇場デビューの「GLORIOUS」…どれも本当に大好きで。
姿月あさとさんのサヨナラ公演だった「GLORIOUS」を、和央ようかさんのお披露目全ツに持って行くことになった時、いったいあのサヨナラ仕様のショーをどうするんだ!?と思っいたら、見事にお披露目仕様に作り替えていた腕の冴えにすっかり感動して…

Joyfull!本公演を見逃しているので今回の変更点はよくわかりませんが、ネットの感想などを読んでいると随分褒められているので、さすがにあの「宛書」の腕はなまっていないんだなあと嬉しくなりました。

まぁ、あの、斎藤さんともどもショーに専念してほしい作家ではありますが。
タカラヅカの座付きは、宛書してナンボだと思いますので。
がんばっていただきたいです。ショー作家として。


で。

らぎ(柊巴さん)落ちしました。

スタイル良いですよね。頭小さいし。
芝居の「井上先生」が、童顔で可愛らしくてどうしていいのかわからないくらい可愛かったんですが、ショーになったらえらく「キリっ」とした顔で踊られていて。

あれ、らぎ、とっても良いじゃない?と思っていたら。

中詰めの始まりで。

ユミコちゃんセンターの後ろの群舞に、いくら探してもらぎがいない!
谷みずせさんも、真波そらさんも、白帆凛さんも、岬麗さんも、大凪真生さんも…とにかく若手はみんないるのに、組長までいるのに、

らぎがいない。

あれ……?と思って

盆が回ったら

…センターだった。



涼花リサちゃんとデュエットしてるよっ!?

すげーかっこいいいいいい!

ってゆーか、可愛いいいい!

しかも、こんなに歌えるの!?


本当に驚きました。
全く知らなかった。


これから雪組は、ひろみちゃんとらぎとかなめちゃんときたろうと………←多すぎだから。目は2個しかないんだから。

コホン。

とりあえず、エリザベートが楽しみです。
チケットがありますように♪



花組の大劇場公演「明智小五郎の事件簿〜黒蜥蜴/タキシード・ジャズ」を観てきました。


…感想ですか?


木村さんのお茶会があったら、私は必ず参加させていただきます。

参加して、「なぜ原作と全く関係ない話にこのタイトルをつけたんですか?」って聞くの。
応えるまで返さないもんっ。


答えは分かってるつもりなんですけどね。
「その方が興味を惹くと思ったから」でしょ?どうせ。
違いますか?



そういうのを換骨奪胎、いやこれは違うか、木村さんは新しいものなんて何も詰めてないもんね。皮をはいで木枠に貼っただけ。…こういうのはなんて言えばいいんでしょう…虎の威をかる狐とか?(←違うだろソレ)

「黒蜥蜴」ってゆー美々しい看板をかかげた、中身は空っぽの蜥蜴。そんな感じデシタ。



なんにしろ。

プログラムで木村さんはえんえんと乱歩を褒め称えていらっしゃいますが…

10年越し?20年越しの思い、だとぉ?意味がわからん。
乱歩を評価しているなら、なぜ大正浪漫にしないんだ。
なぜ孤児なんだ。
なぜ戦後なんだよーーーーーっ!!?


自分のやりたいテーマが決まっていて、それに合わせて話を作るなら、「原作」のネームバリューを悪用するのはやめていただきたい。
原作を愛し、原作を尊重する気持がないのにその名前だけ利用するのは卑怯者のすることです。

原作や、そこから生まれたものを愛する気持を踏みにじり、切ない思いをさせる。それは、そこに愛がないから。
たとえどんな駄作でも、そこに愛があれば癒される、
それが宝塚ファンというものなのに。


私は、木村さんの作品に「愛」を感じたことがありません。

「舞台」として見せるにあたって、「ほら、これ、どう?可愛いでしょ?僕の宝物なんだよ!」というドキドキ感。
観客は、創り手の宝物をこっそり見せてもらっている高揚感に背中を押されて、その作品世界への最初の一歩を踏み出すのです。

木村さんの創る作品には、その含羞がない。

だから私は、なかなか木村さんの作品に感動できないのだと思います…(悲)。




といいつつ、実は二つほど好きな作品があったりする(^ ^;。
花組DC「不滅の棘」と、月組バウ「十二夜」。

「十二夜」は、かなり原作に忠実なつくり。
演出も手堅くて、キャストも充実していて普通に面白かった。

「不滅の棘」は…原作は読んでいませんが、キャストの個性を生かして、不可思議な作品世界がしっかり作り込まれていたんですよね。
原作ファンの方が身近にいないので何とも言えませんが、原作を知らない身には普通に面白かったですし、今でも印象深く記憶に残っています。



なので。

今回の芝居も、もしかしたら「黒蜥蜴」を知らなければすごく面白かったんじゃないか、と思ってしまうのです。
「黒蜥蜴」が原作だ、と宣伝されてさえいなければ、芝居作品として正当な評価を得られたのではないか、と。

少なくとも「なんで戦後なんだ!」に引っかかる人はいなかったでしょうし、
「なんで少女なんだよ!」とか叫ぶ人もいなかったはず。

そういう、作品の根幹に関わるけど「原作」との乖離がなければ全く問題なかったはずの部分にいちいちクレームをつけたくなるのは、木村さん自身にとっても気の毒なことだし、

何よりも、演じている花組生が可哀相だと思うのです…。


黒蜥蜴、という作品は、それ自体が名作。
キャラクター造形からストーリー展開まで非常に印象に残る、クリエーターなら映像化してみたくなる作品なのだそうです。
映画にもなりましたし、舞台も有名で、観ている方も多いでしょう。
特に今回は、タイミングも合っていたから麻実れいさんの舞台を観に行った組子も多かったはず。

そういう勉強が、まるまる無駄になったし、おそらくお稽古も、そういった「思いこみ」の「先入観」を払拭するところから始めなくてはならなかったことでしょう。

木村さん、莫迦だったと思います。
最初から「黒蜥蜴」だ、なんて言わなければよかったのに。
「明智小次郎の事件簿」とでも題して、プログラムに「乱歩へのオマージュ」と書くくらいにしておけば良かった。

もともと「黒蜥蜴」という作品自体、宝塚向きでもなければ彩音ちゃんがトップ娘役をしている花組向きでもなかったのですから、
最初から「少女怪盗参上!」とでもしておけば良かったのに!
(←イヤ、そのタイトルは勘弁してくれよ…)



芝居作品としての突っ込みどころも沢山あります。
それこそ、「パリの空よりも高く」とタメをはれるくらいに。

なんといっても、木村さんは日本語が母国語だとはとても思えない語彙量をお持ちなんですから!

でも。

発想自体は悪くない。
今回に限っては、真面目にそう思っているのです。
私は、この作品世界、決して嫌いではありません。
むしろ、非常に面白い世界設定、人物設定だと思っています。

潔癖性で、思いこみが激しくて現実世界になじめない、元戦争孤児の大富豪の養女。

そんな少女が閉じこもろうとする「夢」の世界と、
「現実」で彼女を待つ王子さま。

あちこちが痒くなりそうなほど、あまりにも少女漫画そのものの設定ですけれども…
その設定が面白いからこそ、「黒蜥蜴」という、全く関係のない作品と関連づけられた作品が、可哀相に思えてならないのです。


彩音ちゃんは、「潔癖性の子供」を巧く表現していました。
彼女のお芝居はダメダメ、と思っていましたが、クリスティーヌあたりからずいぶん良くなりましたよね。声が一種類しかないので台詞がどれも一本調子ですが、役の核は掴めていたように思います。

「大人の世界」を拒否して、自分のルールで全てを動かそうとする子供。
世界が自分のルールで動くと思っている子供。
その浮き上がり方はかなりイイ!好き!です♪

木村さんの脚本も、子供の「理屈のない残酷さ」を見事に表現していました。
明智の入ったソファを海に投げ込ませておいて、明智を喪った自分を憐れんで号泣する、精神的にはまだ幼い『少女』。

大人は、「子供は純粋で素直で愛らしい」と思いこみたがって、そういった「純粋故の残酷さ」や「愚かな痛さ」を認めたがりませんけれども。
子供、というのは本来残酷で愚かな存在ですし、やることなすこと「大人」にとっては困ることばかりにきまっている。

だって、「大人」のルールに従わないのが「子供」なのですから…。

そんな「少女」を、明智は「大人」として見守ります。
彼女の痛みを受け入れて、癒そうとする。
そうすることによって彼女を救いたいと願う、それが既に「愛」なのだと木村さんは言うわけです。

彼女をただ盲目的に愛し、その意に従おうとする雨宮(真飛聖)ではなく、彼女を教え諭し、正道へ導こうとする明智を、少女も愛するはずだ、と。

…それはちょっと短絡的なんじゃないかと私は思いますがね…。
まぁ、木村さんは、今までの作品を観るかぎり、異常なまでの権力志向をお持ちのようなので、そういった支配的な愛し方を高みに置かれるんでしょうね。

カエサルに恋をする愛人ズのように、少女も英雄に恋をするはずだ、と。

そんなことないと思うけどね。
少女は強引に奪われない限り、雨宮を虐めながらも手放さないと思いますよ…。




まぁ、そんなことはどうでもいいのです。

名作だ、とは全く思いませんが。

「黒蜥蜴」という原作さえ利用しようとしなければ、結構悪くない作品だったと思います。

…後味が良いとは言えないストーリーですし、「残酷で愚かな少女」をトップ娘役が演じることに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょうから、『宝塚ファン受け』や『一見の団体客受け』するかどうか、というのは全く別の問題になりますけれども。

一つの舞台作品として、「子供の感じる痛み」をきちんと表現できる作品、というのは少ないですし、面白い試みではあったと思います。

まぁ正直、DCあたりで観たかったような気もしますけれども。
これはこれで、タイトルさえ違えば佳作くらいにはなったかもしえれないな、と思います。

タイトルは今更変えられないので、評価が良くなることは考えにくいのですが…。
ああ、花組生可哀相だ…。



…ここまで真面目に語ってきて、
ここに書いたことに一欠片の嘘もないのですけれども。

書いていないことも、それはたくさんあります。

観劇しながら都合5回は倒れそうになったこととかね…。


倒れたきっかけは、それぞれ歌だったり舞台装置だったり台詞だったり人の動きだったり…いろいろですが。



「黒蜥蜴」という原作のことはキレイサッパリ忘れて。

台詞はすべて、頭の中で吹き替える覚悟で。

歌詞はいっさい聴き取らないよう、あれはスワヒリ語だと自分に言い聞かせて。

途中でツボって吹き出してしまっても大丈夫なようタオルを持って。

…ぜひ、ショタコンで嗜虐趣味の明智先生と、

レスボス島の女王を気取るこちらもいぢめっこな少女怪盗の、

妄想と幻想の狭間を体感しに、劇場へ行ってみてください……。







長くなってしまったのでショーについては後日に回しますが。
一言だけ。

「TUXEDO JAZZ」は名作です。

荻田作品は何もかもみな素晴らしい、
あの素晴らしさがわからないのは観る側のレベルが低いから…
という最近の風潮にはついていけないのですが。

「TUXEDO JAZZ」は、私にとっては「パッサージュ」以来のヒットでした♪

まっつ(未涼亜希さん)を使ってくださってありがとう、荻田さん(感涙)


…刹那、っていうのは、時間の単位なんですよね。
具体的に何分の何秒か、みたいなのはいろいろあるみたいですが。

とりあえず、「時間を分割する最小の単位」をさす、らしい。




たった、一作品に咲いて散る、潔い花のように、
刹那を駆け抜けたトップコンビ。


これ以上分割することのできない時間。
これ以上、

これ以上濃密な時間は、もう2度とないだろう…。





3連休は、関西の方へ(?)仕事ついでに旅行をしていたのですが。
新幹線を降りて、大荷物を抱えて日比谷へ直行して参りました。

最後の最後に、人波の向こう、頭の間からとぎれとぎれに見える、卒業生たち。

残念ながら、私は宙組ファンではないので、全員はわかりませんでした。
下級生では、かろうじてエンカレで可愛いな、と印象に残っていた(でも舞台ではわからなかった…ごめんなさい)白峰さゆりちゃん、咲花杏ちゃんのお二人。
あと貴羽右京さんと、トップコンビのお二人。
それしかわからない。

でも。


なんとか間に合って、全員のお顔を拝見することができました。

ちょうど私の前に立っていた方が詳しい方で、あれがさゆりちゃん、あれがあいらちゃん、と隣の方に教えてあげていたのをダンボして、顔と名前を一致させることもできました♪

途中、歌劇誌をチェックしながら、
スカステのトークできいた天翔さんのエピソードやなんかを思い出しながら。



みんな、キレイな笑顔でね。
幸せそうでね…。

あんまり幸せそうで、涙がでました。


ひとりひとり。
私は知らない方でも、(当たり前だけど)みんなみんな、誰かに愛されて。
たくさんの人に愛されて。

あなたを愛した人も、きっと幸せだったんだよ、
だって、あなたがそんなに幸せそうなんだもの、
…と。





だから。

るいちゃん。
かしちゃん。

刹那の時間が、あってよかった。

あなたに会えて、良かった。



かしちゃんの笑顔。
かしちゃんの愛。
かしちゃんに向けるファンの笑顔。
かしちゃんが向けるファンへの笑顔。

こんなにも、愛に溢れた人だったんだね。
私は、あなたのこと、何も知らなかった。
舞台はそれなりに観ていたつもりだったけど。
月に特出してくれた時に、すごーく大切な人になった。

だけど。

かしちゃんの愛。
こんなにも、愛する喜びに溢れた人だったんだね…。



るいちゃんの幸せそうな笑顔に泣いて。
かしちゃんの愛の深さに泣いて。


いろんな可能性があったんだろう。
いろんな道があったんだろう。

いろんな思いが、きっとあったんだろう。


でも。
二人のコンビに出会えて良かった。
願わくば、という思いは消せないけれども、
でも。


かしちゃんと、るいちゃん。
大好きなお二人へ。


ご卒業、おめでとうございます…(号泣)。







.
折しも、東京と名古屋では「幕末」を舞台にした物語が二つ、同時に語られているんですね…。


2度目にして最後の、東宝宙組観劇。
…「幕末」という時代の、熱に煽られて帰ってきました。


かし(貴城けい)ちゃん、本当にキレイだった。
先日の日記にも書きましたが。

(紫城)るいちゃんともども、本当に「輝いて」いた。

なんであんなにキレイなんだろう。
なんであんなに、


なんであんなに幸せそうなんだろう………



コトバもなくって。
ただ、泣いてました。客席で。


ぶん(絵麻緒ゆう)ちゃんの時はどうだったっけ。
ぶんちゃんも本当に大好きだったので、苦労してチケット取って、泣きに行ったけど…
あんなふうに「イッちゃってる」ふうな輝き方だったろうか。

…本当に、観れば観るほど、この世のものとは思われないほどキレイ。

退団者、って、キレイなものだけど。
輝くものだけど。

…それにしても、なあ……



タニ(大和悠河)ちゃんは可愛い。
どうにもしどころのない、(キレイで目の保養だけど)居ても居なくても脚本的には何の問題もない役ですが。

もうすぐ、あと1週間もすればあなたがトップになるんだね…。
なんだか想像もつかないような、
月組での厚遇を見守ってきた身には「あれ、まだトップじゃないんだっけ」と言いたいような。

星組博多座「ドルチェ・ヴィータ」でのドウニモナラナイ美しさに心を奪われて以来、あなたの真ん中を楽しみにしていました。

…でも。
かしちゃんとタニちゃん、という、今の宝塚で一番(多分)綺麗な男役トップ&2番手コンビを、もう少し眺めていたかったなあ…。



蘭(蘭寿)とむくん
慶喜、嵌り役でしたね。

慶喜さんって非常に優秀な人なのに、明治政府側視点でも幕府軍視点でも、割と「裏切者」っぽく描かれることが多くて可哀相な人なんですが。
石田さんの解釈はそれ自体納得できて面白かったし、それ以上に、蘭とむくんの的確な役作りで場面を盛り上げてとても良かったと思います。
歌も、ショーの歌はイマイチなのにここの銀橋ソロは良かった、よね…?

「月の燈影」以来、蘭とむくん=わんころ、のイメージが(私の中に)焼き付いていたのですが、「人の上に立ち、人の運命を司る者としての将軍」慶喜をしっかり演じてくれた蘭とむくん、良い役者だなあ〜、と思いました。
あと1週間、かしちゃんとるいちゃんをよろしくお願いします…。



ともちん(悠未ひろ)
同じ石田さんの「猛き黄金の国」では、しい(立樹よう)ちゃんが演じた武市半平太。
出番は少ないけど、「倒幕派」の、ある意味最初の犠牲者として、時代を転がし始める役。

ともちんの持ち味は「おおらかさ」と「茫洋とした優しさ」だと思うので、この役はどうなのかなーとも思っていたのですが、さすがに石田さん、座付きだけのことはありますね。
いい芝居してました!やっぱりともちん、大好きです!



みっちゃん(北翔海莉)。
何を隠そう、みっちゃん大好きな私。(小声)
なんだか、月に居た頃より自然な感じですごーく良くなってたなあ…。月ファンとして嬉しいし誇らしいけど、ちょこっと複雑です。
タニちゃんもそうだけど、宙で修行したら月に帰っておいで、とか思っていたのに予想外に「宙のみちこ」はハマッっていて。
もう宙ッ子なんだなあ、月には帰ってこないんだなあ、と…すごく寂しい気持でいっぱい。

まぁ、元々笑いさえしなければ芝居の巧さで2枚目になれる人なので。
月だと、アダルトな役はどうしても上級生に取られてしまって、似合わない「可愛い系」の役が回ってきがちでしたが(JAZZY…の妖精なんて目を覆いましたさ)、上級生の少ない宙に来て、役に恵まれて、実力に見合う人気が出ることを祈りつつ…

みっちゃんの凄いところは、これっぱかしも「宝塚」に染まる気がないところ。
そして、普通に「宝塚ファン♪」している人を取り込もうという気がないところ。
…あの潔さ。他にはいないよなあ、あんなジェンヌ…。



たま(天羽珠紀)ちゃん
どこで語るか迷ったのですが。
この方とまりえ(美郷真也)&すっしー(寿つかさ)の家政婦教会コンビは、私が宙組を観に行く動機なので。書いちゃおうかな、と。

私にとって、(嘉月)絵理ちゃん二世なたまちゃん。
樹里さんの初バウ「Freedom」で、音乃いづみちゃんと下級生代表でソロを歌ってくれて以来、宙を観る時は最初に探す(まりえさんやすっしーさんは探さなくても見つかるけど、たまちゃんは探さないと無理)、そういう存在でした。

…可愛かったたまちゃんが、ごくごく普通に上級生していてちょっとビビった。ってゆーか、たまちゃんってるいちゃんと同期よね。上級生になったんだなあ…。

…あれ?珠洲春希くんも同期だということを今はじめて知りました!すずちゃんはもっと下級生だと思いこんでた。何故だろう…?



たっちん(和音美桜さん)
可愛いなあ♪(グラフを見てのけぞったことなどすっかり忘れたい)舞台化粧のたっちんは可愛くて大好きです。声も好き。

芝居はまあ、目立つ割にあまりしどころのない役で残念でしたが、今まで観てきて巧者だと思っているのでもう少し「引き」の芝居の面白さがわかってくれるといいのになー、などと高度な要求をしてみたりして。
これからのご活躍を期待しております♪



咲花杏ちゃん
…可愛いよぅ。可愛いよぅ。可愛いよぅ。
辞めないでほしいよぉ………(しょんぼり)





そして、名古屋で上演中の、もう一つの幕末。

今週末は名古屋に行く予定です。
チケットは手配していませんが、なんとかなるよね、ね!?(←楽天的なO型)

こっちの幕末は柴田さん。
ロマンスの王道を往く柴田さんが、どんな風に「幕末」を描くのか、興味津々。

…という訳で。
ちょこっとだけ(←多分無理)「幕末」について語って見たいと思います。


「幕末」。


日本の歴史には、いくつかの転回点があります。
旧くは、「あかねさす…」の舞台となった飛鳥〜大津京時代。
一人の人間の来し方にいくつもの分岐点があるように。「日本」という「国」の歴史にも、いくつかの大きな分岐点があります。

そんな中で。
やっぱり、一番大きな「転回点」は「明治維新」だったんだろうなあ…。

「幕末」の総括、というのは、案外歴史学会でもきちんとなされてはいないような気がします。

日本の政治体制も経済体制も大きく変わり、開国・文明開化を断行。政治の刷新と経済の大改革(産業革命)と情報革命(開国)が同時に降りかかり、それに伴って民衆の生活も大きく替わった、それが日本の「明治維新」。

歴史に「たられば」は野暮。それは判っているのですが。

この明治維新は、調べれば調べるほど「歴史の必然」感が強いんですよね。
ただ、そもそも思想としての「尊皇攘夷」を説く人間がいなかったらどうなっていただろうか、とは思ってしまうのです。

もともと「開国派」=幕府、「攘夷派」=尊皇(=倒幕)、という思想だったはずなのに、実際に幕府を倒した途端、「開国論」に一瞬にして切り替わった倒幕派の切り替えの良さというのは驚くばかりなんですけどね…。

結局、倒幕派はその時点で「武士」ではなかったんだろうな、と。
「武士は喰わねど高楊枝」の武士とは違うイキモノだったのだろう、と。

そんなイキモノに、「武士」であることに自分の存在意義の全てを見ていた幕府側なんぞが勝てる訳がなかったんだろう、と…。



私は福島県内に故郷があるせいか、どうしても奥羽越列藩同盟側、というか、明治政府を樹立した側とは反対の立場に立った見方をしてしまいがちで(滝汗)

だから、青春群像としての新撰組が好きだったりするわけですが(←そ、それは何の関係もないんじゃ…)


彼らはテロ集団ではなかったし、
特高でもなかった。
やり過ぎてしまったことはあったかもしれないけれども、最初の一歩は、ただの「夢」だったのだろうと思うのです。

今の、ささやかな幸せを守りたい、という。


それに対して、倒幕派は必死だった。
幕府を倒さなくては、日本をひっかき回して、民衆の生活も何もかもひっくり返さなくては、生きることが出来なかった…。


幕府中枢は愚かだったかもしれない。
時代遅れだったかもしれない。

だけど、夢はあったはず。
人々が(今までどおり)幸せに生きられるように俺たちが守るんだ、と。


倒幕派にも夢があった。
坂本竜馬が描いた夢が。

「ニッポンの夜明けを見たい」、と。


夢に正邪はない。
彼らは皆、ただ夢を夢見ただけ。

…だから。



坂本竜馬、という、誰よりも大きな夢を描いた人は、「宝塚」という夢の世界に一番ふさわしい主人公なのかもしれません。



夢を見た人々の物語に参加するために。
私は東宝へいき、そして、名古屋にも多分行くでしょう…



.
一年前の2月5日。
私は、飛行機に乗って伊丹空港へ向かっていました。

たった一日きりの、「ベルサイユのばら」観劇のために。



あれから一年たった今日。
大劇場の舞台にオスカル様とアンドレが登場したと聞いて。

ウケてしまって仕事になりませんでした……(反省っ)



一年前の今日。
私にとって2人目のオスカル様を観劇。

最初に観たオスカル様は、星組「オスカル編」の稔幸さん。
丸顔ですが(笑)スタイルが良いので軍服がキレイに映えて、ほんのりと漂う色気が滑らかで、とても好きなオスカルでした。
原作ファンなので脚本には突っ込みまくり、というか、「何も考えたくない…」域にまで達してしまいましたけどねっ。

原作のイメージ(=格好良くない、お間抜けキャラ)に一番近い(←失礼)樹里さんのアンドレにすっかりハマって、トップコンビサヨナラ楽を含むGW近辺のチケット探しに奔走したことを、今でも時々思い出します。


そして時は流れて。

宙組の「ベルばら」は観る機会がなく、去年観たのが初めての「フェルゼン編」だったのですが。

オスカル編でさえ突っ込みまくりだった私。
…フェルゼン編って凄い脚本ですよね………?
ってゆーか、ただの名場面集だからソレ。一本の脚本じゃないじゃん。
原作を知らない人は、あの話で意味判るんでしょうかねぇ…。

などという今更な話はおいておいて。



大空祐飛さんのオスカルは、私の目に、ひどく純粋で、まっすぐで、…そして潔癖な、精神的に幼い「子供」に映りました。

ひどく残酷で、矛盾に満ちていて、でも彼女の中にはどんなに不可思議なものでも一本筋が通っていて、「信念」に裏打ちされている自信がある。

アンドレの気持に気づきながらキレイに無視できる残酷さと、
貴族でありながら貴族のありかたに不満を抱く潔癖さ、そして
王家への忠誠を疑わない矛盾。



植田紳さんのフェルゼン編自体、フィクションの存在であるオスカルの存在意義がない脚本なので非常に観ていて痒い部分も多かったのですが。
それでも、祐飛さんの作った「オスカル」という人間像は、とてもリアルで、魅力的でした。
安蘭アンドレより縦にも横にも大きくて、肩も抱いて貰えなかった唯一のオスカルでしたけどね……。

祐飛さんが演じると、どうしても宝塚的ヒーローにはならないケースが多いので、たとえばオスカル編のオスカル役を祐飛さんで観たい!!とかは(ファンだけど)あまり思わないのですが。
あんな下らない「名場面集」ではなく、ちゃんとした「ベルサイユのばら」の祐飛オスカルは、ぜひ観てみたいです(^ ^;ゞ



…すみません、ファン莫迦です。





そして今日。
パリの空の下、モンマルトルの丘の上で。

アルマンドが銃を構える。

パン、パン、パンッ!

破裂音。


ジョルジュが。

…片眼をおさえて、右手を遠くへ伸ばす…



「見えていないのか!?」

アルマンドの絶叫。

「なぜついてきたーーーっ!!!」


………。


いやはや。

友人からメールを貰って、本当に会社で倒れるかと思いましたよ。

ま、実際には祐飛さんが星組でオスカル、麻子さんは雪組でアンドレだったわけですが。

やっぱり、この二人で組むなら逆ですよねぇ?


ああ、この瞬間を客席で迎えたかったなあ。

一瞬呆然として、それから爆笑。

ああ、同じ呆然と同じ爆笑を、皆で共有したかった。
楽を観劇なさったみなさまが羨ましい。


でも。

東宝でもあれこれ思い切って遊んでほしい気持が半分、
(だって何度も観るんですもの…)

作品としての芝居を壊すアドリブは勘弁してほしい気持が半分。
(一般人を誘いにくくなるので)


麻子さん率いる月組は、どんな戦略で攻めてくれるのか。
…とても楽しみです。ホントです。はい。




そして。
退団者4人へのコメントを書くつもりだったのですが。
…東宝楽まで待ってください。
思い入れが深すぎて。

ひらさん、ふーがくん、ふじこちゃん、さらちゃん。
大事な大事な、月組の仲間たち。

書くべきことなんて、とてもまとめられないから…



4月1日まで、あと2ヶ月弱。

どうぞ悔いのないように、
一日一日を
タカラジェンヌとして
最高に楽しく、最高に充実して過ごしてください。

悔いのない2ヶ月になりますよう、心より祈っています…。


心中・恋の大和路。
菅沼 潤、という、私みたいな新参のファンは名前しか知らない演出家の作品。
彼の現役時代の他の作品に、どんなものがあるのかも知りませんが。

私が「宝塚歌劇団の作品で一番好きなものは?」という質問をされたとしたら。

もちろん、すごーくすごーく悩んでしまうでしょうけれども、
「公演」でなく「作品」ならば、この作品をあげる可能性は結構高い、かもしれません。

そのくらい、大好きな作品です。

正直、レ・ミゼラブルマニアだった私にとって、この作品以前に観た宝塚の作品ってどれも「脚本」が物足りないものばかりだったんですよね…。
この作品に出会わなかったら、今でも「宝塚は面白いしキレイだしエンタメとして大好きだけど、“芸術”(←何をエラそーに)としてはちょっとね」とか(ごめんなさい!)思っていたかもしれません……。

だから。
再演すると聞いて、とても嬉しいです。

「宝塚」にはこんなに素敵な作品があるってことを、宝塚「喰わず嫌い」の方に教えてあげたいですo(^ ^)o



私は、この作品、都合3公演観ています。

最初が、汐風幸さんで再演されたバウホール公演。
(忠兵衛 汐風幸、梅川 貴咲美里、八右衛門 汐美真帆)
汐風さんも汐美さんも大好きだったので、生まれて初めて「バウのためだけに」遠征して。
終演後、客席で号泣して立てませんでした。

ハマコ(未来優希)さんの歌。
布を使っただけのシンプルきわまりない、壮絶な装置。
白一色の、凛然とした世界に、ひっそりと嵌る透明な二人。

あ、梅川が逝ったな、と思った瞬間の幸さんの動き。
ふわっ、と手が動いて、そして、ふ、と顔をあげる幽かな動き。
…ああ、忠兵衛も逝くんだな、と。

鳴り響くドラム。
泣き叫ぶベース。


運命はかく扉を叩き、
この汚れた世界から透明な二人を運び去る…



二人を死の道へ送り込むのが、二人をずっと見守ってきた「保護者」八右衛門であり、
死の道へ向かう二人を見取るのが、花魁に叶わぬ恋をした与平(未来優希)であり、

どちらも二人を愛しているからこそ、「世知辛い世間」から解き放ってやりたいと思ったのかもしれない、と。

そのくらい、あの白い世界で抱き合う二人は、ある意味、幸せそうで。
自分たちを受け入れない“世界”を、拒否してのける程の、恋だったのだ、と。
この究極の恋を成就させるためには、あの世界に閉じこもるしかなかったのだ、と。

愛の大和路、ではなく、「恋」の大和路。
それが、すとんと落ちてきて。

涙で前が見えません…(←そこでギャグを飛ばしてどーするんだ私)



文楽や歌舞伎の「冥途の飛脚」は、私が知る限り全幕での上演はされていないと思うので、名場面としての道行きと封印切りくらいしか観ていないのですが。
「心中・恋の大和路」と「冥途の飛脚」は、違う話と言ってもいいくらい違う印象でした…。

まぁ、全幕観れば違うのかもしれませんね。

歌舞伎も、名場面集ばかりじゃつまらないから、たまには全幕ものをやってほしいなあと思うのですけれどもね(やっているのかしら?歌舞伎座の演目はチェックしているつもりなのですが…涙)



次に観たのは、ものすごーくものすごーーーく楽しみに待っていた日本青年館公演。
(忠兵衛 汐風幸、梅川 貴咲美里、八右衛門 朝海ひかる)

前半のコメディ部分の流れが良くなっていたことで、ラストへの展開の怒濤感が増し、感動がいや増したんじゃないかなと思いました。

忠兵衛が朝帰りした時の愛さんとの遣り取りとか、婆さまを誤魔化すために八右衛門に協力を頼むところとかのテンポが良くなって。この大悲劇の中で、笑わせるところはしっかりと笑わせ、泣かせるところはしっかりと泣かせるメリハリの良さ。

劇場自体が広かったり、生演奏じゃなかったり(バウはナマ)、客席もちょっと寒かったり(…涙)、マイナスポイントは多かった筈ですが、役者の集中力があがっていて、公演時間がさらに短くなったような気がしたものです。


個人的には、八右衛門のケロ(汐美真帆)さんがあまりにもあまりにも素敵だったので、コム(朝海ひかる)さんはかなり大変だったろうな、というか、正直可哀相だったんじゃないかと思うのですが。

でも、私はコムさんの八右衛門もとても良かったと思います。
幸さんが半年ですごーく良くなっていたので(笑)、その相乗効果があったかな、という気もしますが。

なんというか。
ケロさんの八右衛門さまは、あまりにも格好良かったんですよね。
見た目も落ち着いているので(…ごめんなさい。ケロさん大好きです)、幸さんの忠兵衛と随分年が離れているように見えました。だから、「近所のもの慣れた兄貴分」が、可愛い弟分を「色街に連れて行って、作法のイチから教えてやった」みたいに見えたんですよね。

それが、コムさんは見た目も可愛らしいので(←ケロさんと同期であることさえ知りませんでした)、忠兵衛と同年に見えるようになって。「一緒に色街で遊んでいる対等な兄弟分」、に見えるようになったのです。

だから。

八右衛門の名場面、後を追うことを決めたときの台詞にも、

ケロさんはどこかに保護するべきものを「守りきれなかった痛み」があり、ほんのかすかに「手のうちから逃げてしまったことへの怒り」さえほのめかして(←考えすぎ?)いらっしゃったような気がするのです。

それに比べて、コムさんは、ただひたすら「自分の余計な一言で傷つけてしまった」「親友」を心配し、無事を祈っていた、ような気がしました。


観ていても、全然違うお二人のキャラに合わせて違う解釈をされていて、どちらもとても好きでした。

そして、受ける幸さんも、お二人に対する態度は全然違ってい
たんですよね。特に大和で追いつかれた時の反応の違いは大きくて。
八右衛門のキャラで、全体の印象がここまで変わるのか、と、ちょっと驚きました…。


あと、個人的にですが、愛耀子さんの子役が憧れている丁稚役のユミコ(彩吹真央)さん→蘭香レアちゃんの役替わりが印象的でした♪どっちも可愛かったです♪
しかし、あの頃から疑問に思っていたことが。

ユミコさんはあの時点で与平の代役だったんじゃないかと思いますが(エンカレで歌われた主題歌は素晴らしかったです!!公演でも聞きたかった!)、レアちゃんはどうだったんでしょうね。歌は決して得意ではない彼女ですが…。代役は違う人だったのかなあ……。


その後上演された、池袋芸術劇場でのOG公演も勿論観ました!
(忠兵衛 瀬戸内美八、梅川 若葉ひろみ、八右衛門 峰さを理)
瀬戸内さん、初めて観ましたが滅茶苦茶大人の色気があって、ぞっとするほど「色男」でしたねぇ…。なのに可愛らしくて、そりゃあ、女なら誰だってあの世までついて行きますわ、あれは。

アレを観てしまうと、幸さんは生真面目な旦那だったなあ、と思いますねぇ。まぁ、生真面目な人が燃え上がった時の方が怖い、という意味では、説得力ありましたけど。
誰にもわからないレミゼ話で恐縮ですが、「石川禅さんのマリウス=30過ぎて初恋に狂った男は怖い」っていうのと同じレベルで、汐風さんの忠兵衛も、女は「溜息ついてついて行くしかない」妙な迫力、がありましたね……

OG公演は、あまりにも瀬戸内さんの印象が強くて、峰さんはラストの道行きの歌の素晴らしさで号泣ましたが、芝居としてはちょっと弱かったのかな?瀬戸内さんよりかなり若く見えてしまうのに、キャラとして忠兵衛より「上」に立たなくてはいけないのが辛そうでした。峰さん自身は素晴らしかったと思いますが、「忠兵衛より若い八右衛門」で全然構わないから、そういう形で演出してあげればいいのになあ、と思いました。

今回の再演では、そのあたりに期待しています♪>谷さん


……長くなってしまった…(いつもか)
すいません。とにかく、大好きな作品なので。
がんばってチケットGETして、観に行きたいと思います!





そして。

もし、万が一将来現役での再演があり得るのであれば。

ぜひ、まっつ(未涼亜希)さんの忠兵衛でお願いいたします〜!!

八右衛門は、花組あまりよく知らないのでアレですが…ふみか(紫峰七海)さんあたりでいかがなものでしょうか。あるいは他組ですけどキタロウ(緒月遠麻さん)とか…全然違うかな!?
とにかく、まっつと同世代に見えて、愛情に溢れたお芝居ができて、でもちょっと裏があるっぽい深みのある大人がやれる人がで観てみたい…さらに歌えればベスト。そんな感じで(どんな感じだ)お願いします!


…ま、キャストに関係なく。
名作なので、再演は常に切望してます。はい。


谷演出は、今回のOG公演を最後にして、次回からは大野演出でやってみてくれないかなあ…。

そんなことしたら、梅川ほっぽって八右衛門×忠兵衛で心中しちゃいそうだからダメなのかしらん(…キコエナイフリ)


.
星組バウホール公演「Hallelujah Go!Go!」。
とっくのとぉに公演は終了してしまいましたが…

何について語るのがいいのか、悩んでいるうちに日がすぎてしまいました。



楽しかった。
輝いてた。
みんなぴったりハマリ役で、
舞台のそこかしこに若さが溢れていて、

…本当に、楽しかった。

感想、って言われても、ソレしかないんですもんっ!!



新鋭・稲葉さんの第2作目(ですよね?春の花DCでデビューして、次がこれですよね…?)。残念ながら日程が合わなくてアパルトマン・シネマは観られなかったのですが。
友人の話などから、とりあえず宛書は巧みらしい、というくらいの印象で今回の客席に座りました。


すげー、ぴったり…。


以上。

そんな感じでした(←どんな感じや!)。



レオン(柚希礼音)くんは、主役でした。
堂々たる主役。

この作品、「物語」の主筋が二つあるので、普通に演じたらレオンくんより和(涼華)くんが主役に見えても全然おかしくないんです。
だって、「デニスの物語」は一幕の後半、ブレンダを見つけたところで終了してしまうんですもの。

それに対して、和くん演じる「ブライアンの物語」は、2幕が本番。デニスは、2幕ではブライアンを助けるために動くだけで、物語の主筋は動かさない。

だけど。

普通だったら、終演後は2幕の主役の方が印象に残るはずなのに。

1幕2幕通して、主役はレオンくんだった。
力づくで、レオンが主役になっていた。


伊達や酔狂で何作もワークショップ主演をしていたワケじゃないんだなあ、と。そのセンターの似合いっぷりに感動しつつ思いました…。



ウメ(陽月華)ちゃんは、ヒロイン。

私がウメちゃんを初めて認識したのは、夢輝のあさんの「イーハトーブ・夢」。白い鬘に真っ白な小顔、身体にぴったりした衣装で目の下に星をつけた彼女は、まさしく夢のように可愛くて。

藤井さんの紡ぐ、どこかリアルでどこか嘘っぽい「夢」の世界にぴったりの存在でした。

オスカルの子供時代の男前さも大好きだったし
「ヴィンターガルテン」の少年も可愛かったなあ。
そういえば、あの頃のウメちゃんは男の子役が続いていて、それがまたどれもこれも良くて、「初の男役転向者になるんじゃないか」と期待(?)したりしたものですが。

転機は「雨に唄えば」のキャシーだったでしょうか。
スカートさばきに苦労しながら、幸せそうにタップを踏む姿をみて。
ああ、可愛いな、と。
娘役として生きていく、決心というか覚悟ができたのかな、と。
…勝手に思ったものです。

そして、「王家に捧ぐ歌」の次が「巌流」のアンナ。
大変に不可思議な役ではありましたが(さすがサイトーくん)、これはウメちゃんにとって一つのエポックだったのではないかと、これまた勝手に思っています。

「立っているだけ」で「なにか」を感じさせる存在感。
立ち姿の美しさ、
台詞の抑揚や滑舌などの技術的なモノはともかく、あの嫋かな凛々しさと持って生まれた雰囲気、それだけで「真ん中」をはれる印象の強さ。
ああ、この人はいずれトップになるのかもしれないな、と思ったのもこのときです。

そして、ブレンダ。

本公演でも良く組んでいたレオンくんですが、芝居でここまでがっぷり組んだのは「龍星」くらい?(そうでもないかな…?)
スタイルも持っている雰囲気もよくお似合いの格好いいコンビで、これが最後になってしまうのは残念ですが。

でも。

最後がこの作品で良かったよね…
稲葉さん、ありがとう!と言いたいです。

「謎の女」をやっているときの目を奪う輝きと、
「ブレンダ」として舞台に立った時の淑やかな美しさ。

ウメちゃんはさらっと演じていたけど、ブレンダは案外難役だと思うのです。
教会のコーラスで並んでいる時の、観客の視線がすーっとコーラス隊の面々をなでて、通り過ぎて…そして、ふっと戻る。“…あれ、ウメちゃん?”
その瞬間の、新鮮な驚き。
あれは、なかなかやれません。最初から目立ってしまうか、通り過ぎてそのまま気づかれずに終わるかどちらか。

スポットが当たっているわけでもなく、衣装が特に華美なわけでもないのに、なぜか「ふっ」と視線が止まるのは、空気感が違うから。
ああ、この人は本物のスターなんだ、と感じるのはこんな時です。

それにしても。
ウメちゃんに「お嬢さん」ができるとは思っていませんでした。
ごめんなさい、ウメちゃんを甘くみてたよ。
稲葉さん、勇気あるよなあ……。



和くん。

お芝居、がんばれ〜!!

「愛するには短すぎる」のデイブは、滅多にないくらい美味しい役でしたね。上手くやればレオンくんのフランクより印象に残りやすい役だったはず。
なのに。

正塚さんでも育てきれなかったか…というのがちょっと衝撃。
ううう、がんばれ。

まず、もう少し表情を研究した方が良いと思います。
なんとなく、真面目な顔をしているつもりなんだろうけど「半笑い」みたいに見える瞬間があって、それがすごくもったいない。
かっこいいのに。
声もいいのに。
歌えるのに。

ダンスも決して悪くないのに。

役づくりに照れがあるのでしょうか。なかなか芝居に入りこめないタイプ?

デニスへ向ける友情、
妹へ向ける愛情、
モニカへ向ける恋情、
ガイへ向ける複雑な気持ち…

その全てを、あるがままに受け入れて「ブライアン」になってほしかった。頭で考えて表情を作ったつもりでも、ブライアンにはなれないから。
顔も声も大好きなので、ぜひぜひ、がんばって私を見返していただきたいです…。



蒼乃夕妃ちゃん。
本当にスタイルいいですねぇ〜!思い切った衣装がどれもよくお似合い。ウメちゃんと並んで見劣りしないってのが凄い。
デニスからブライアンに乗り換える、へたすると嫌な女になってしまう役なのに、すごく魅力的に演じてらして感心しました。稲葉さんも蒼乃さんをよく見てるなあ…。

ウメちゃんが組替えして、蒼乃さんが出てくるんでしょうか。
次の本公演、楽しみです。


ゆかり(綺華れい)ちゃん。

…キレイだった…。

この人に躍らせたり歌わせたり喋らせたり、稲葉さんって本当に勇気あるよな……。


でも、どんなに妙な役でも、どんなに歌がダメダメでも、どんなに………どんなに×がたくさんあっても。

それでもいいの。私はゆかりちゃん、大好きです。
観ているだけで幸せ。
あんなにいっぱい喋ってくれて、唇の端をぐいっとあげる嫌味な笑い方いっぱいしてくれて、めちゃくちゃ楽しかったです。
どんなにキャラが大馬鹿でもいいの。ゆかりちゃんは素敵だから。(←頭わる…)



みきちぐ(美稀千種)
すいません。みきちぐファンなので語らずにはいられません。
ねぇねぇ稲葉さん、なぜみきちぐにあんな衣装を着せるの?
……似合いすぎて笑いが止まらなかったよ…。苦しくて死ぬかと思ったじゃないか!なぜなんだ〜!!

物語の主筋には絡まないのに、劇場を後にするとみきちぐのことしか覚えていない。いつだってそんな存在。
またこの人は上手いんだよね、そういうのが…。
本当に楽しんで舞台に立っているから回りも楽しいし、観客席までそのオーラが押し寄せてくるから観客も楽しくて仕方なくなってしまう。

それにしても。今回の笑いのツボは、何よりもやっぱり衣装、だったな……。



千雅てる子
フィナーレのスパニッシュも素敵でしたが。
やはり、あの年輪を感じさせる声と仕草が。最高でした。
シスター・フィオナ。
デニスとブレンダを見守る天使さま。
絶対あのシスターの衣装を脱ぐと、背中に羽が生えてるんだよ。
小さな声で、そう教えてあげたい感じでした。

長いことお疲れさまでした。
どうぞこれからも、お元気で…。



ミックの如月蓮さんはじめ、いろいろ目についた下級生もたくさんいたのに、間が開いてしまったので何を語るつもりだったのかわからなくなってしまった…反省っ。やっぱりすぐ書かないといけませんね(汗)。


とにかく楽しい公演でした!
ね。

文句を言うとしたら、ラストの「ジュニア」が意味わからん、というくらいで。
正月早々、幸せな気分にしてくださってありがとう!

一回しか観られなかったので、CS放送を楽しみに待っています♪

 

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おかげさまで、今日中に2000アクセスをいただけそうです♪
私がよくお伺いするブログ様は、どこも○万ヒットだ○十万ヒットだと仰せなのに恥ずかしいかぎりですが(^ ^)。
1000アクセスに一ヶ月、次の1000が2週間弱、そのうち1万アクセスとかになったりする日がくるのでしょうか…。
そもそも、こんな呟きを読んでくださっている方がおられること自体、信じられない気もしつつ、これからも色々呟いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしまーす!
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ヘイズ・コードの話の続きにしようか、先にHalleruja Go!Go!の話をさせていただこうか、と結構迷ったのですが。

まずはトウコさんとも関わりの深い玉野さんを中心に「ヘイズ・コード」と、彼が主催した「Club 7」のお話を。


トウコ(安蘭けい)さんのファンの方なら、お名前くらいはご存知かと思いますが。
日生劇場「雨に唄えば」、そして今回のDC「ヘイズ・コード」の振付を担当された、世界に誇るタップ・キング玉野和紀。

元々ミュージカルオタクな私にとっては、ヘイズのプログラム見て「え”、玉野さんが振付に入ってる〜!!すげ〜〜〜、さすがトウコさん!!」って友人にメールしてしまったくらいの有名人(苦笑)、なワケですが。

さすがに振付の腕は見事なもので、パーティーでの華やかなタップシーンはもちろん最高に華やかにカッコよく。そして、女の子たちがリヴィあすかをからかう場面や、悪漢とカールトンしい(立樹よう)さま&ジョニー水輝くんの対決などなど、「ダンス」で芝居をする場面をきっちり作り、しっかりキャストを動かして見せる腕の冴えが。
さすが、です♪

国産ミュージカルは大好きなので色々観ているつもりですが、あんな風に タップで物語を紡げるのは、玉野さんだけだと思うんですよね…。
“タップの名手”、“名ダンサー”、そして“名振付家”は他にもたくさんいらっしゃいますが。

玉野さんって人は、やっぱり偉大、なんです。

たとえば、今月組で公演中のショー「ファンシー・ダンス」も、錚々たる顔ぶれの振付家を集めて構成されたショーですけれども。
「ダンスシーン」としては素晴らしくても、「芝居」として見たらまるっきりつまらない。

だって。

ペトルーシュカもオルフェも「ただの三角関係」になりさがり、糸が切れたら(=恋が成就すれば)死ぬしかないペトルーシュカの悲哀も、自分のミスでエウリディーチェをを失うオルフェの慟哭も関係ないし、シェヘラザードは「出てきただけで王様の心をとかしてしまう美女」だし…。

それは、勿論 振付家の責任ではなく、場面構成を考えて指示した三木氏の責任なわけですが。
でもまあ、やっぱり「ヘイズ・コード」のあの成功には、大野さんの依頼どおりに、いえ、多分想像以上の名場面にしてくれた玉野さんの功績も大きいよね、と思ってしまうわけです。

だって、玉野作品に出る役者は皆幸せそうなんだもん!

だって、星組ッ子たち、本当に本当に楽しそうで、幸せそうで、見ているこっちまで夢見心地だったんですもん♪

踊れる人には、(泣きたいほど大変だけど)幸せな場面を。
そして、踊れない人には笑いをとれる場面を…
 (私が応援している役者さんは、玉野作品では常にお笑い担当です。なぜだ)

どんな作品でどんな役でも、その人に合った見せ場を必ず用意してくれる、そんな振付家で、演出家で、作家、それが玉野和紀。

そして、たぶん、大野さんもそうなんじゃないでしょうか。
大野さんは、玉野さんにもない「脚本力」という力もあるので。
ぜひ、これからも良いものを作ってください。
とりあえず、大野作品は万難払って観にいきますので。


玉野さんの作品は、96年(多分)の「UP★RUSH!」が初めてだったと思います。
大爆笑のショー(?)作品でしたが、これですっかりファンになって。その後は、欠かさず、とは言いませんけど大概のものは観ているはず。

CLUB SEVENは、そんな彼が品川プリンスホテルと組んで(多分)、3年くらい前からやり続けている「クラブのショータイム形式のショー」。
品川プリンスホテルの「クラブeX」を舞台に繰り広げられる、ディナーショーのディナー無し(←意味わからん)みたいなモノ、です。

珍しく真面目に、出演者紹介なんてものをしてみましょうか。

玉野さん中心に、宝塚OGがガイチ(初風緑)さん、優子(風花舞)姫、(蘭香)レアちゃん。ミュージカル界から吉野圭吾さん、西村直人さん、原知宏さん、桜木涼介さんの8人(あれ?Club7じゃないじゃん…?)
吉野さんは言わずとしれた、唄って踊れるミュージカルスター。
西村さんは、レ・ミゼラブルでアンサンブルをしていた実力派。面白い舞台には大概出ていらっしゃいます。玉野さんの舞台は8割くらいの確率で出ているんじゃないかな?脇を締めるというタイプではないけれど、ダンサーで歌も巧くて笑いもとれる…歌も芝居も巧い園加ちゃん、みたいな存在でしょうか(←多分全然違う)。
原くんは元四季だったかな。背の高いハンサムくん。
桜木くんは、去年樹里さんたちとも共演した実力派ダンサーです。

宝塚OGは、多分ガイチさんは初めてだと思います。優子(風花)さんと蘭香レアちゃんは2回目かな?前回は思ったほど出番がなくてとても残念だったのですが。(ところでレアちゃんって芸名を宝塚時代に戻したのでしょうか?退団直後は本名、その次は「三咲レア」で活動されていて…探すの大変だから決めてほしいなあ…)

上でいろいろ(振付を)褒めた後で言うのもなんですが、玉野さんの「脚本力」とゆーのは、まぁ、宝塚でいえば斎藤さんや藤井さんのレベルなので。(あの二人もショーは良い物作るし、レベルはかなり近いかも)。

なので、「芝居仕立て」のショーはいいけど、「ショー仕立てのお芝居」は…激つまらん、のも事実ではあるのですが。

でもでも、楽しかったもん!
なんたって本物のダンサーが揃ってますから。
ダンスシーンはどこも手抜き無しで、まばたきする暇もなく。
音楽が止まると、ぐったり疲れます。
すごい集中して観ているから。

オープニングの総踊りがあまりにかっこよくて、ついつい燃え尽きた…優子姫、健在!でした。

あっというまに時間が過ぎて。

…個人的に、優子姫の藪かゆみ(ヤブ蚊)が再見できると思ってなかったのでとても幸せ(^ ^;ゞ。

レアちゃんは相変わらず最高にキレイ。透明で硬質で、なのに時々、ほろっと蕩けてしまう色っぽさもあって。
なのに、玉野作品に出演するのに必要不可欠なお笑い感性は、本当に!!凄いんです…(疲)。あの数々のネタはいったいどこから出てくるんでしょうか。宝塚時代にあの片鱗を見せていたら、大人気スターになっていたかもしれないと思うのですが…。(でも私は、そんな生真面目なレアちゃんが大好きでした。ポ)

ガイチさんは可愛い。
3人の中で、一番可愛い「女の子」だったかもしれません。
少なくとも、一番「乙女」だったのは間違いないような気がする…。

あの、エネルギッシュで濃密な時間を、どう表現すればいいのか悩みつつ。

それ以上に、

ああ、このとりとめのない文章を、どのカテゴリーに入れればいいんだろうなあ……悩む……。

.
宙組公演を観てきました。
…ちょっと前ですが。

頭が整理つかなくって。
なかなか書けずにいたのですが。



かし(貴城けい)ちゃんと(紫城)るいちゃんの、あまりにあんまりな幸せオーラにあてられて。
もう、何がどうでも何でもアリ、な気分になりました。



正直にいえば。
作品的には、どうかと思う部分もたくさんありました。
でも、別に駄作とは思いません。面白かったし、正月明けに観に行った姪っ子も、すっかり嵌って帰ってきましたし。
突っ込みどころ満載っぷりでいえば、「パリの空〜」の方がずーーーーーっと上です(自虐)。

でも。

10作の中の1作なら、OKだった。

かしちゃんとるいちゃんの、最初で最後の1作でさえなければ、

それだったら、何ら問題なかったのに。



それが、あまりにも悔しくて。
悲しくて。



かしちゃんは輝いてました。
本当に。
全然ファンじゃなかったのに、
似合う役だなんて全く思えないのに、
名作だなんてこれっぱかしも思わないのに、

ぐいぐいと引き込まれて、しばらく戻ってこられなかった。





私が初めてかしちゃんを初めて観たのは、「春櫻賦」。
たしか、轟さんの弟の役でしたよね。キレイな人だな、と思った記憶があります。
(汐風幸さん目当てで観に行って、汐美真帆さんに墜ちた私に、それ以外の人の記憶なんぞあるわけがない…←ごめんなさい!)

はっきりとした記憶は、「浅茅が宿」のりん弥さま。
硬質と妖艶、まったく違う二つの色が入り交じったキャラクター造形が、強烈に印象に残っています。

その次は「Icarus」東京公演かな?
ノバ・ボサ・ノバのボールソも好きでした。祐飛さんと同じ役を実力者のかしちゃんがやる、というので、ものすごーくドキドキしながら先行の雪組公演を観たんですよね。…月組を観る時はビクビクで(滝汗)…そりゃー雪組が巧いに決まってるじゃん!くらいに開き直って座ってた記憶があります(汗)。
祐飛さんとかしちゃんのボールソ、一緒に動くオーロ役のキャラが違うせいもあってか、同じ役とは思えないほど印象が違うんで面白かったんですよね…。

かしちゃんと祐飛さんが同役をしたのは、「ノバ」ボールソ、「飛鳥夕映え」石川麻呂&鎌足、「ベルばら」オスカル、そして…「エリザベート」ルドルフ(かしちゃんは新公)、くらいかな。同じく同期の麻子さんとは鎌足だけですから、かしちゃんと祐飛さんって縁があったんでしょうね…

私が「タカラヅカファン」になったばかりの頃から、常に変わらず「路線ど真ん中」を歩いてこられたかしちゃん。
今も、この上もなく「大劇場のセンター1番」がお似合いで、
「トップライト」を浴びてキラキラと輝くかしちゃん。

ファンだったことは一度もない。
でも、あなたがもう2,3作トップをしていたら。
…私は、ファンになったかもしれない。

タカラヅカの王道を往く人だった。
今時のスター陣では唯一の、と言っても嘘じゃないくらい、王子さまがよく似合う人だった。

過去形にするには早すぎる。
もっと。
もう少し。

劇団は、この希有な人材を育てきれなかった責任を問われるべきだと思う。

貴城けいは、ちゃんと育ったのに。

使い切れなかった劇団の未来が、心配になる。



そして、るいちゃん。

大事な大事な、愛しいゼルダ。

幸せになってくれると思って送り出したのに。

確かに今のあなたは幸せそうだけれども。

かしちゃんの隣で、かしちゃん以上に輝いているけれども。

…幸せになってくれると、思っていたのに。


泣いちゃいけない。
「るいるいファン」じゃない私には、泣く権利なんか、ない。

でも、寂しい。

月組を観ても、るいちゃんはいない。

そして。

あと13日たったら、宙組を観てもるいちゃんはいないんだ……。


かしちゃんとるいちゃん。
奇跡のようなトップコンビに。

かしちゃんとるいちゃん。
あまりにも眩しく輝いていたお二人に。


公演の感想、なんてすっかり吹っ飛んで。

なぜなんだろう、

なぜこの二人で、

なぜこの作品で、

なぜ、今、なんだろう、と。



かしちゃんと、るいちゃん。


何度書いても、心の整理がつきません。

いつか整理がついたら書こう、と思いつつ、
そんな日が来ないことを知っている私。



ただ。

大好きだよ、と。

楽までどうぞ、悔いのないように、と。


祈りつつ…
この書き込みは、以前某E社のマスカラ トラックバックキャンペーンに参加した時のものです。キャンペーン終了後、一部削除・訂正して残していますm(_ _)m。


ブログを始めた時から、一度参加してみたいと思っていた「トラックバックキャンペーン」。
丁度、会社でもらったシティリビングでキャンペーンを見つけたので、ちょこっと参加してみたいと思います。

「あなたがマスカラに求める機能は?」についてブログで語って、元記事にトラックバックをすれば良いらしいのですが。

私がマスからに求める機能…それはやっぱり、メヂカラUP↑です(←突然常識的なことを書いたので自分でも驚いている)。

正直、長いのがいいのか、ボリュームが出るのがいいのか…個々の機能を言われても、どれを使えば目ヂカラがアップするのかよく分からないのですが…(汗)
簡単にキレイにつけられて、乾きが早くて、目ヂカラがアップするマスカラがほしいです。>メーカーさま

機能を「一つだけ」択べ、ってことなら、乾きの早さかなあ私の場合は。
私のまつげって無駄に長いらしくて、すぐ下瞼にマスカラがついちゃうんです。あれって最悪〜!!だから、そういうことがないのがあったら嬉しいなあ。

…という愚痴をこぼしたら、会社の先輩にちゃんとビューラー使ってる?と言われてしまいました。
使ってるけど!…よく瞼を挟んで痛い思いをしてしまうのは、やっぱり不器用だから…?不器用な人にマスカラは無理ってことですかセンパイ……?(T T)

ビューラーといえば。

今日の朝日新聞に、ビューラー作ってる会社の記事が載っていましたね(関東だけかな?)。先輩が「ビューラーは資生堂のが一番よ!」と、まるでどっかの回し者のように言ってましたが(私もか)、あの記事も資生堂でしたねぇ。やっぱり大手のを使った方がいいの?100円ショップじゃダメなんでしょうか…。

と、そんなところでしょうか。キャンペーンのお題は。
シティリビングさん、よろしくお願いしまーす。

話はちょっと違いますが…
目ヂカラ、といえば、思い出す我がご贔屓。

普段、化粧品とかにそれほど興味のない友人が、ご贔屓さんのお茶会の時だけ可愛くお化粧して、マスカラまでつけていたりするのを見るたびに、なんだか微笑ましい気持がします。

ご贔屓はそれなりにスターさんなので、可愛くしたからどうってことは(多分)ないと思うんだけど。

でも、それって多分「気持」なんですよね。
ハレの日だ、という気合い。
今日はご贔屓の話がゆっくり聞ける、嬉しい!という気持。

そういう「気持」が、友人をより可愛く見せている。
化粧をしたから可愛い、んじゃない。
化粧をしたい!と思う、その気持が可愛いんだと思います。
そして、そういうファンの側の「気持」が、お茶会とかの場には絶対必要なのだと思うわけです。
(宝塚ファンは、観劇するだけだとあんまりハレじゃないんだよね…日常だから/笑)

そして。
タイトルにもしてみましたが、「舞台人」はやっぱり「目」が命だと思うわけです。

だって、「舞台人」は。
いくら贔屓が大口あけて笑ってくれたとしても、大劇場のB席から歯が見えるわけもない!

ファンはオペラグラスを常用しますから、まぁ歯ももちろん大事なんですけどね…

でも。こと大空祐飛、という舞台人に関しては。

絶対、「命」なのは、目だよなあ、と。

この世のモノではないものを見ている目、

私がそもそも大空さんのファンになった理由は、まさにそこにあるわけなので。

目ヂカラ、というもの。
それは、マスカラでもなく、アイシャドーでもなく、
ただ、その人の「気合い」なんだ、と。

マスカラもアイメークも、すべては
その人の「気合い」を具現化するために存在するものなのだ、と。

そんなことを、タカラヅカの舞台を観るたびに思うのです。

でも、簡単・お手軽に目ヂカラがアップできるアイテムがあるんなら、ほしいよーーーー。

それが、「素人」の素直な願い。



さてさて、こんな内容でいいのかどうかよく判りませんが、
とりあえずやってみよう!トラックバックキャンペーン。
でっきるっかなでっきるっかな、さてさてふぉふぉ〜♪(←こら)


ちなみに。
セパレートタイプのマスカラ現品をプレゼント!というキャンペーンだったのですが、残念ながら落選いたしました(T T)
諦めて買いましたが…。乾きも早いし、なかなかイイですよ♪


.
まず一言。
…迷ったけど、行ってよかったです。


正直、今回の公演は最初の三連休で大劇場は終了するつもりでした。

植田さんだし。
どうせ東宝で何回も観なくちゃいけない(←なぜだ)んだし。

交通費かけて遙々行くのは、一回でいいや。十分だわ、と。


ごめんね、月組。
反省しました。

やっぱり私は、月組が好なんですね…。



どんなにヘイズ・コードが、作品的にもキャスト面でも素晴らしいものであったとしても。
(イヤ、本当に素晴らしかった)

どんなにハレルヤGOGO!が、作品的にもキャスト面でも充実していたとしても。
(実際すごく良かった)

どんなに、どんなにハロ!ーダンシングに感動したとしても。
(泣きました…)

どんなに私が「星組ずるい!!」と叫んでいても(実際かなり叫んでましたが)。
「月組のチケットなんてサバいてやる!」と叫んでいても(叫んだけどちゃんと観た)。

やっぱり私は、月組が好きなんです。


行ってよかった。

観て、良かった。

月組の全員が、一つにまとまって作品に取り組んでいた。
それが嬉しい。

月組の全員が、楽しそうに公演の時間を過ごしていた。
それが、何より嬉しい。

幸せな時間をいただきました。
未沙さん&月組のみんな、本当にありがとうございます。

次回はぜひ、大劇初日からこのレベルで!!
と、はかない希みを抱いてみたりして。…ダメか…。




【パリの空よりも高く】

お正月明けの3連休で観劇した時。最終日の3時公演を観劇して
「あ、やっと初日があいたな」と思ったものですが。

ハロー!ダンシングの感想にも書いてますが、今回の遠征では、やっと台詞も振りも“本当の意味で”身体に染みこんだんだな、という実感がありました。


元劇団四季の俳優・沢木順さんが、コンサートのトークなどでよくお話しされていたことに
「台詞は全部覚えて、そして、舞台に立つ前に全て忘れなくてはいけない」
というのがありました。

そして、
「台詞を本当に忘れることが出来た時、その舞台は本物になる」
とも。

正塚さんなんかも、それに類似することをよく仰っておられたようですが。
これはやっぱり、お芝居というものの本質なんだと思います。


月組メンバーが、今回でその域まで達していたとは、残念ながら思えません。

でも、やっぱり最初の一週間は「考えながら」「思い出しながら」喋っていたことが、合間をあけて、改めて観劇するとよくわかります。

今回も、いろいろな人がいろいろな箇所で台詞を噛みまくっていました。でも、それは「台詞を喋ろう」として「間違えて」噛んだのではなく、あくまでも「役の気持で語ろうと」していて、でも、「微妙に舌が回らなかった」という感じでした。
だから、芝居全体の流れが自然になっていたのだと思います。

コメディは、まず芝居全体が流れないと始まらないものですから。

「芝居」という皿があって、そこにアドリブが載る。
それでこそ、一つの料理になるのです。

「パリの空よりも高く」というお芝居は、まだやっと皿を洗い終わったばかり。
でも、大劇場公演が終わるまでには、きっと盛りつけもだいぶ進むだろう、と。
そう、十分に期待できる出来だったと思います。



しかし。
役者はがんばっても、脚本は公演中には変わらない…。



これまでの感想にも散々書きましたが、このお芝居にはいくつかの致命的な欠陥があります。

ざっとあげてみると…

1.舞台を都会にしたこと。
2.ペテン師の出自を田舎(パリに比べればどこでも田舎、という意味)にしたこと
3.創るものをエッフェル塔にしたこと
4.ジョルジュに「ジュリアンの息子」という設定を付け加えたこと
5.ミミが変な人になっていること
6.ミミとアルマンドの出会いの場面(恋に落ちる場面でも、恋を育てる場面でもなんでもいい)がないこと
7.エレノール以外の「大人たち」に活躍の場がない(だから、最初の説明場面が無駄になっている)こと

こ、こんなにあったのか。

あともう一つ、年齢問題がありますね。
ル・サンクには、確かに【アルマンド(登場時)=35歳】とあるので…ってことは、最後のモンマルトルの丘では、

 アルマンド=38歳
 ジョルジュ=21歳前後

…ってことでFA?


そんな年齢差の二人が、ミミの歌を聴きながら、目と目だけであんな対話をするもんかよっ!!変だよそれっっっ!!

やっぱり、25歳と18歳→28歳と21歳、という、舞台を観て抱いたイメージの方がふさわしいと思うんですけど、どうでしょうか。…やっぱダメなんでしょうねぇ……。
でも、38歳か………うう、無理だ……。



やっぱり、年を取らないことも含めて、アルマンドは実はサイボーグだった説が正解のような気がしきちゃいました…。

アルマンドは実は、ジュリアン・ジャッケが創ったサイボーグで、

ジュリアンの遺児ジョルジュを守りつつ、ジュリアンの功績を追って旅をしているの。

だから、ミミの気持には応えられない。

約束は一つ。
「20年後」のパリ万博に、ジョルジュを連れて行くこと。

20歳を超えて、一人前になったジョルジュには、もう保護者は必要ない。
だから、このパリへの旅は、アルマンドとジョルジュの、最後の旅。

だから、でっかい記念碑を建ててやりたかった。
これからも生き続けなくてはならない、ジョルジュのために。

パリの空よりも高い、鉄の塔を。



おお!この設定一つで、「欠点」の1〜4と6は解決するんでわっ!?


7は、多分宝塚においては「仕方のないこと」なんですよね。
でも、だったら最初の説明場面も削ってしまえばいいのに、と思ってしまいますが…


5は……
ミミもサイボーグだったとか…?(滝汗)

ジュリアンが万博の手配に奔走している傍ら、アルマンドの妹分として作り上げたサイボーグなの。
万博後に発覚したという「使途不明金」も、ミミの制作費なのよ。

で、「使途不明金」が発覚したジュリアンは、ミミを捨てて逃げてしまった。記憶巣を破壊され、パリの街をさまようミミを拾ってくれたのが、貧しいけれども明るくてお人好しな、ジャンの両親。


そんな設定でどうでしょうか?

すげー!植田紳、初めてのSF大作に挑戦!!

そんな意欲作だったとは…ついぞ気づかなかったよ欝…。




もう大分前のニュースなのに今更、という感じですが。

1996年に日本初演され、1998年に「日本最終公演」が行われた、ある意味伝説のミュージカル「蜘蛛女のキス」が

…ついに再演されるんですね。

私はこれ、ハロルド・プリンス演出の初演をアートスフィア(知らないうちに名前が変わってた!ホリプロ運営になっていたなんて…吃驚!!)で観て、衝撃のあまり寝込んだ記憶があります(苦笑)。

その後、二人芝居版も観て、原作(の翻訳)も読みましたが。

…やっぱり、今でもミュージカルを観た時の衝撃が忘れられません。



最初は小説として書かれ、映画と舞台になって、ミュージカルにもなった物語。

それぞれのメディア特性に合わせて様々な改変がなされていますが、どのメディアも成功している、というのは非常に珍しいケースなんじゃないかと思います。
それだけこの原作の力が大きかった、ということなのでしょうね。

…それとも、最初に出会ったのが小説だったとしたら、やっぱり映画も舞台もましてやミュージカルなんて、「あり得ない!」モノだったのかしら…。
もし「蜘蛛女のキス」を、先に小説を読んでから舞台(または映画)を観たよ、という方がいらっしゃいましたら、こっそり感想を教えてくださいましm(_ _)m




監獄の二人部屋に閉じこめられた二人の男、モリーナとヴァレンティン。
原作にも、お芝居にも、「オーロラ」というキャストは出てきません。(映画には出ているのかな…?)オーロラが『主役』として扱われるミュージカルでさえ、物語の主筋は、現実と非現実の境界線上に佇む二人の男、なのです。

ゲイである自分を認めて貰えず、映画の世界、美しい夢の中に逃避し、閉じこもろうとするモリーナ。
自分が存在する現実を現実として認められず、より良い時代、という夢に逃げ込んで、“革命”という大義名分のもと、暴力を駆使するヴァレンティン。

二人の男は、「監獄」という名の閉鎖空間に、閉じ込められていると同時に『閉じこもって』いるのです。

そしてモリーナは、ヴァレンティンに「夢」を語り続ける。
語っている間は、その「夢」に浸っていられるから。

そしてヴァレンティンは、モリーナの話を聞きたがる。
その世界の中になら自分の居場所があるのかもしれない、と思うから。



そうして彼らは、自己紹介ではなく、映画の話をし、その話を聞く中でお互いのことを知り、

そうやって、知らなかった自分の真実をも知り始める。



私は映画を見ていないので語れませんが、この、同じ作品を原作とした芝居とミュージカル、二つの作品において、ストーリーの骨格はさほど変わりません。
お芝居は二人の対話で進められ、ミュージカルは音楽で進められていくところが最大の違いかと思います。
もちろん、『オーロラ』という存在をキャストとしておくことで「幻想」と「現実」の境界を溶かしてしまったミュージカルと、あくまでも「二人の男」の物語として組み立てたお芝居とでは話法もかなり違いますが。

でも。
やっぱり、音楽の力というのは凄いものだ、と感心してしまいます。


遠くにある愛する人を想う「Dear One」の美しさ、革命歌というべき「Day After That」のもつ純粋で強烈な熱、テーマ曲「Kiss of the Spider Woman」の強烈な存在感(…コムさん、がんばれ…)、

そして、モリーナとヴァレンティンが終盤に来て歌う「Anything for Him」。

「(奴は)何でもするさ、俺のためなら」
「(あたしは)何でもするわ、彼のためなら」

そう呟く二人は、このとき初めて対等になってお互いを見詰めるのです。お互いがお互いを裏切ることを決めた、この時に。

この「Anything for Him」のメロディが。
甘い甘いラブソングにしか聞こえないところが。

この作品の、一番の痛いポイントだと思うのです…。



自分がなじめない「現実」を否定して、現実逃避の結果としてのテロを『革命』と名付け、その罪を自覚しながら他人を利用し、傷つけることを厭わないヴァレンティン。

「現実」になじめない自分を否定すしつつ、優しさと弱さの区別もつかない、ただただ他人に与えることしか知らないモリーナ。

二人の選ぶ結末は、あっさり消化できないからこそ、いつまでも棘のように心に残る。
単純に愛したのでもないし、単純に裏切ったのでもない。
二人とも、お互いに、それしか選べなかった。

それだけのこと。

だから、辛い。
だから、痛い。



荻田さんがこの作品を演出する。
この痛い作品を、荻田さんが!?
…いったいどうなるんだろう。
また私、寝込むんじゃなかろうか…。

世界に冠たるハロルド・プリンスの、虚仮威しに近い装置(でも、あの閉塞感を出すには必要なセットだったのかも)や、刻々と移り行く不安定な照明による昏いエネルギーに満ち溢れた演出とは、多分まったく違う世界観になるのでしょうね。

荻田さんって、外部のオリジナル作品では、登場人物の内面に入り込みすぎて観客を置いていってしまうことがあるのですが、このミュージカルは、内面描写を他人(オーロラ)を介して表現し、観客をその狂気に巻き込んでいくところが眼目なので。
その構造を生かして、観客に伝えたいこと…いえ、観客に『読み取らせたいコト』を整理して演出してくれたらいいなあ、と思っています(エラそうですみません!)



ミュージカルでない、二人芝居の方は、村井(国夫)さんと岡本(健一)さん再演と、山本(亨)さんと高橋(和也・元男闘呼組)さんの2回観ているのですが。

細かいところはあまり覚えていませんが、ミュージカル以上に濃くて胸が痛む展開に、「宝塚でやるなら(←やらないから)、絶対ケロ(汐美真帆)さんのモリーナにユウヒ(大空祐飛)さんのヴァレンティンだな、と思ったことだけは覚えています。
(もう少しまともなコトを覚えましょう)



…「日本最終公演」からももうすぐ10年。実際に公演をご覧になっていない方も多いと思います。
ですので、あえてキャストの話は、今はしません。

ただ、マルタ(ヴァレンティンが愛する女)について少しだけ。
あれって案外難しい役なんですよ。非常に複雑な人物なのに出番が少ないという難役。
初演の大浦みずきさん、再演の麻生かほ里さんはいずれもダンサーで、「マルタ」というより「オーロラの代役」という感じがしてしまって…重要な役だけに、唯一不満が残ったキャスティングだったのでした。

なので、今回カヨコ(朝澄けい)さんがキャスティングされていると聞いて、とても楽しみです。2006年3月の「アルジャーノンに花束を」で久々に拝見した彼女ですが、あの透明感と立ち姿の綺麗さ、存在感のある声があれば、幻想と現実の両方に存在する「マルタ」という女性がちゃんと立ち上がるかもしれない、と期待しています。

まぁ、逆にカヨコさんにオーロラ役をやれって言っても無理なので(苦笑)。たとえカヨコさんの「マルタ」が大浦さんのより良かったとしても、それは役者としての価値の話ではなく、合う役合う役者がいるってことですので、どうぞ誤解のなきようm(_ _)m。

大浦さんは、マルタよりやっぱりオーロラを観たかった!!いえ、過去形ではなくて今も観たいです、真剣に。いつか演じてくれるといいなあ。

勿論、コム(朝海ひかる)さんも楽しみですよ♪
ただ、人間外の役を得意とするコムさんですが、オーロラって本来はモリーナが語る映画のヒロインで、「実はそれが蜘蛛女」っていう…最初から人間外じゃないんですよね、あれは。
どうなるんでしょうね、いったい(笑)。正直、見当もつきません。

とりあえずは、観にいくしかないよなあ、コレ…。チケットあるんだろうか…。
星組「ハロー!ダンシング」。
感動しました。本当に素晴らしかった!!

2週間ぶりの月組もすごく良くなっていて、ああ、やっと台詞も振りも身体に染みたんだな、と思いましたし、これならなんとか東京も通えるかも、とホッとしたりもしたのですが。

でもでも!ごめんね月組! 15時の大劇場チケットなんてさっさとサバいて、バウをもう一回観たい!!と真剣に思ってしまったのも事実です……(^ ^; 懺悔っ。


まぁ、一日にバウと大劇場をハシゴした最終的な感想は。
「若いっていいな」&「上級生はさすがだな」の二つでしたので。
本公演には本公演の良さがあり、
新人公演には新人公演の輝きがある、
宝塚ってそういうものなんだなー、と。

あらためてそう思い、宝塚ってやっぱり良いなと思ったわけなのですが。


んで本題、星組「ハロー・ダンシング」。
さすがに草野さんは藤井・斎藤コンビとは格が違うね、というのが一番の感想です。

私は、藤井さんも斎藤さんも実は結構好きだったりします。
藤井さんの「イーハトーブ・夢」「Glorious」、斎藤さんの「BlueMoonBlue」、非常に微妙だけど「血と砂」、と、二人ともいくつか名作を出しているので、大劇場公演などを彼らが担当する、と聞けば、ほんの少し期待してみたりするのですが。

去年のYoungBloodsシリーズは。

そりゃーないだろアンタ、と(涙)。

出演者が可哀相だと思わんのか、と。

小一時間、体育館裏に呼び出して懇々と説教したい気分にかられたものです。



まぁ、彼らが悪いと言うよりは(悪いけど)、そもそもの劇団の企画に問題があったんでしょうけれども、ね。

「YoungBloods」が若手の役者(あるいはショースター)を育てるための企画であるならば、もっと経験豊富で指導力のある教師をあてるべきだった。

若手の作家・演出家を育てるための企画だと言うのならば、もっと経験豊富で作家に意見が言える、アドバイスが言える格、ってことは、本公演2・3番手あるいは別格クラスの役者にやらせなくてはならかった。

どちらもいっぺんに育てなくちゃダメなら、せめて経験豊富で若手の指導も若手作家へのアドバイスも、どちらもやれる組長・副組長クラスを2,3人出さなくては……。

なのに。

まだ感性だけで勝負している若手作家に作らせて、新公での主演もしたことがないような役者に演じさせ、しかも公演委員長はせいぜい新公の長か卒業直後くらい…

それで何をしたかったんだ?
何をさせたかったんだ!? と。

舞台いっぱいに原石の輝きをまき散らすコトしかできない若者たちを見凝めながら。
もう少し。
ほんの少しでも、「宝塚のショー」の見せ方、その秘密を教えてくれる人が指導層にいれば、と。

次代を担う若者たちに、まだ見たこともない新しい扉を開いてあげるための企画だったはずなのに。
あんな、滅多にないせっかくのチャンスに、ただただ「自分が持っている精一杯」を出し切ることしかできなかった彼らが憐れでならなかったのです。私は。

もちろん、去年のYBだって、楽しかった。
ものすごく楽しくて、本当にみんな輝いていて。
一人残らず、本当に全員、とても良かったんですよ。
何度でも観たいとあの時も思ったし、全組観たい、とも思っていました。

でも。

そうだよ。
YBはこういう企画であるべきだった。

きちんと指導することのできる作家が作った名作ショーをやってみる。
宛書のオリジナルである必要なんてない。
まだ若いんだから、まずは再演でいいじゃない。
お手本を見て、それを自分のものにすることからはじめればいい。

いつか。
いつか自分の色を見つけるために、
今はいろんな色に染まってみればいい。

エンカレとも違うんです。
あれはやっぱり「お稽古の発表会」の延長だった。
今年の「ハロー・ダンシング」
これはまさに、「ショーの新人公演」という感じ。

素晴らしい企画でした。本当に。
ありがとう劇団、と、今年初めて感謝しました…

絶対5組全部観たいぞ!(←物理的に無理そうですが)
…少なくとも月組は観るぞ!!



素晴らしい公演でした。
センター、という設定ではなかったけれども、終始あかし(彩海早矢)くんがセンターを取ってダイナミックに踊りまくりの出ずっぱりで。

…う、歌える園加だ!!(←褒めてます)
園加ったら、こんなところにも(←だから違うって)

そして、今回私の心を一番捉えたのは、(多分)夢乃聖夏さん。
何がどう良い、とコトバでは言えませんが、スタイルの良さと、ダンスの善し悪しはよくわからない(なんたって贔屓が…)私にもわかる、のびやかな踊りっぷりがものすごく印象的でした。

それと、あれがキトリちゃんっていうのかしら?稀鳥まりやちゃん。パパラギのデュエットを鶴美舞夕さんとなさってたんですが、それはそれは伸びやかで、軽やかで。
普段、力強くて男前な月娘ズのダンスを見慣れている目には、あまりにも儚げで、でも限りなく美しい、吸い込まれるようなダンスでした。

もちろん、受ける鶴美さんも素晴らしかったです♪表情豊かで、身体のラインのキレイな方ですよね。
あかしくんセンターに両側が夢乃さん・鶴美さん、という場面が多かったような気がするのですが、すごーく息が合ってる感じで、かっこよかったです。

…あ、今知った。夢乃さんって、「ともみん」さんなのか!
時々星組の公演感想で見かけるお名前ですが、誰だか判っていなかった(苦笑)。ごめんなさい…>星ファンの方。

「龍星」ですごーく良いお芝居をしていてお気に入りだった涼乃かつきさんが、凄いダンサーだったことも初めて知りました(ゴメンナサイ)月組でいえば、末子姐(滝川末子さん)みたいな存在なのでしょうか?本当に贔屓組じゃない組のことって知らないなあ…(汗)。

エンカレで名前を覚えた音花ゆりさん、パパラギの影ソロも素晴らしかったしフィナーレのソロも(こっちはチェンジボイスにちょっと苦戦しつつ)良かったのですが、予想以上にダンスもキレがあって格好いい。スタイルもいいんですね。将来が楽しみです!(覚えたし!)

あと印象に残ったのは汐月しゅうさん、美春あやかさん、真風涼帆さん…かな?(多分。プログラムの写真と見比べつつ)。
汐月さんはキチっと止まった時のポーズの綺麗さと表情の豊かさに。美春さんは首から背中にかけてのラインの綺麗さとこちらも表情の豊かさに。真風さんはあまりの手足の長さと優雅な踊り方に(まだちょっと男役じゃなくて女性ダンサーに見えちゃうこともありましたが)。

一回しか観られなかったので、全員は判りませんでしたけれども。
とにかく、名前が判らなかった人も含めて、全員が嬉しそうで、楽しそうで、輝いていて。

一生懸命で、
必死で、
真剣で、

そして

…幸せそうでした。

観ている私も、本当に幸せでした。
もう一回観たい…観たい…みたいよお(涙)。誰か交通費ください(T T)。

あと何公演あるんだろう?

宝石のような時間を、たっぷりと味わってほしいものです。

彼らの未来が、輝かしいものでありますように。


というワケで、月組「ファンシー・ダンス」。


<プロローグ>高橋城&羽山紀代美
いきなりトップのソロダンスから。今日もかっこいいねぇ、うちのトップは♪とるんるんしてしまいます。

下手から、きりやん、祐飛さん、あひちゃん、園加が登場。

…そもそも、園加って花組時代はココに入るひとじゃなかったですよねっ?花組ならここの4人はユミコ、真飛、蘭トム、さお太(え?)…でしょう?今はユミコ・蘭トムが抜けて、壮&みわっち。たぶんまっつは入りません。なのに…

いやホントに、4人の中に園加を発見した時はビビりましたよ私は。


ここの男役群舞の振り付けはかなり好きです。揃わないけど(涙)。
揃えないのが月組クオリティ。
…ホントは揃えてほしいんだよ………ダンスが苦手ゆえについていけない人はともかく、上手いのに周りに合わせる気が無い人(しかも上級生)が多すぎる(涙。でもそんなバラバラな月組ダンサーズが大好き)。

女役さんたちの衣装は、どこで使った衣装なのでしょうか。色も形もすごくキレイ。スカートの翻り方も、さりげなく深いスリットも、いちいち色っぽくていいです。ニコニコ。

スカートの裏地?2枚重ね?の色が、スカートが翻るたびに華やかに舞いあがります。一人だけ濃色のあいあいは、きりやんとお揃いの色。本来は祐飛さんとペアになる色の衣装もあるはずなのに、いなくて寂しいです。東宝では誰か着てくれないかなあ…。


<アイ・ワナ・ダンス>鞍富真一&名倉加代子
いきなりライトが当たると。
園加が登場。

だからその登場、ありえないってば!
……いったい園加に何があったんだ…。


祐飛さんと下級生たち登場。みりお(明日海りお)、みっしょん(美翔かずき)、宇月颯、彩星りおん。
お気に入りのみっしょんだけでなく、ひそかにチェックしていた彩星くんまで一緒に出てくれて嬉しい!けど。…私の目は2個しかないっつーのに、どこ観ればいいんだ一体。

ここのストーリー。プログラムを読んだ時は祐飛さんに対するイジメかと思いましたが(苦笑)、実際は意外と良かったです。

キレイどころの4人は、祐飛さんよりずっと(←ヲイっ)巧いダンスを披露。
受けて立つ祐飛さんは、その独特の「個性」と、決めポーズの美しさ、ラインのキレイさで勝負。
見比べる園加の、ちょっと皮肉な、人を見下したような笑みが、またニヒルでいい!

そして園加は心を決める。宙に舞った紅い上着は、祐飛さんのもとへ(えーっ!? ←ヲイ)。

暗転してダンサーが登場、ショーが始まる。
心浮きたつリズム。
音楽にあわせ、時々刻々とフォーメーションが変化して、舞台の上に大きな花を創出していく。

もりえ、マギー、まさお、るう、まぐ、りこ。
…これから月組のショーを盛り上げるのは、このメンバーなんでしょうねぇ〜。つい感慨にふけってしまいます。
だってこのメンバーって、りこ(麻月れんか)ちゃん以外は全員次の「ペトルーシュカ」にも出てるんですよ!?しかも、マギーとまさおくんは早替りで人形役。チャレンジャーメンバーからも宇月くんが出るし。

さらに次の「ラスト・ダンス」にもまぐ(流輝一斗)以外、全員出てる。(チャレンジャーメンバーからはみりおが参加)
シェヘラザードはりこちゃんとまぐが抜けて宇月くんと紫門ゆりや。最後のフィナーレ群舞はもちろん全員…。

本当に「出ずっぱり」のメンバーたち。

でも。
キレイなんだよ、みんな。

若いっていいよね。
のびのびと、
身体をいっぱいに伸ばして、
縮めて、
矯めて、そして、ジャンプ!


そうしてショーが終われば。また次のショーのためのオーディションが待っている。

この、2度目のオーディションで。

今度は選ぶ側に立った祐飛さんの、暖かなほほえみが嬉しかったのです。
ああ、こういう顔ができる人になったんだな、と。

「父性」っていうのとも違うのかもしれませんが、マミさんが時々みせていた顔を思い出してしまいました。
組子を、限りない愛情と誇りをもって見守る瞳。

ああいう色が出せるようになったんだ、という感慨。
お芝居の一場面のような場面をくれた三木さんの愛情に深く深く、感謝します。

…と言いながら、一つだけ突っ込みたい…。
どうしてあの場面、最後に勝つのも園加なのぉ?
そこはもう若い4人だけにしておいて、日替わりでその日の気分で「次代のチャンプを選ぶ」でも良かったと思うのですが。

どうしても園加でなくてはならないのであれば(それも判るんです。園加のダンスは「圧倒的」ですから)、せめて鬘を変えてほしいな。
はっきりと、「さっきの白い上着の人とは別人」って判るように。でないと話が判らなくなるんで(苦笑)。


<ペトルーシュカ>吉田優子&ダレン・リー
文句なしの名場面。

なにやら怪しげな絵理さんの「人形遣い」も、
それに見入っている「子供たち」も、
人形たちのかわいらしい「人形振り」も、

センターで繰り広げられる切ない恋物語も、周りのダンサーズの濃ゆい濃ゆ〜いダンスも、

すべてが「カチリ」と音がするほどうまく噛み合って…

ええ、もう。言葉もありません。
語る必要を感じない、名場面、です。

不満は最後の「ご挨拶」だけよ…(あれはイラナイ)。


<ラスト・ダンス>高橋城&KAZUMI-BOY
「アイ・ワナ・ダンス」「ペトルーシュカ」と二場面続けて麻子さんは休憩。たっぷり休んで余裕十分、この場面では銀橋から輝きまくりです。
でも、この後はほとんど出ずっぱりなのよね。麻子さん、ずいぶん痩せたような気がするので、本当に身体に気をつけてほしいです。きりやん、祐飛さんは比較的出番をばらしてあるけど、麻子さんは最後までノンストップ。キツそうですよね、やっぱり。何よりも怪我が心配です…。

しかし麻子さんいい声だなあ。「フラット〜ぎみ〜の〜、か〜すれたハーミング〜」っていう歌が切なくてとても好きです。
本舞台で一人踊るかなみちゃんも、色っぽくていい。かなみちゃん、笑わない場面は本当にカッコいいんですよね…。麻カナには、「ほのぼの」よりああいう場面(攻めのかなみちゃん、その上手をいく麻子さん、みたいなの)が一番似合うと(勝手に)思っているので、この場面はとってもツボ。
それにKAZUMI-BOYさんの振り付け大好き!個性的で身体の使い方が独特で、祐飛さんにも出て欲しかったのに残念です!でも、あひちゃんもカッコよかったですね。身体の大きさが映えて、麻子さんの切なさが倍増。いい場面でした。

ラストの麻子さんのソロダンス、3連休の間にみるみる良くなってきていて、東宝がとても楽しみ。ずっと、麻子さんは、ソロで踊っている時より群舞センターやデュエットの方がかっこいいと思っていたのですが、このソロはいい!(というか、良くなりそう!)何度でも観たいです。

…というわけで。
とても好きな場面でした。でも、なにがどうオルフェなのかは謎のまま終わってしまったカモ…。


<ダンス・ウィズ・ミー>高橋城&ダレン・リー
幕開きはコミカルに。こういうところ、タキさんとかなみちゃんのコンビって最強ですね!
末子姐を中心とした「オールドファン」組も、それはそれはイケてます。…ってゆーか、85期はもうこっちの役なのね…。ほたるちゃんやさらちゃんは「可愛子ちゃんチーム」なのに、なぜなの…?

背景のポスターが「ヘイズ・コード」みたい、というより、ヘイズ・コードが「あの時代」の映画ポスターをもじっているんでしょうが…ちょっとだけナンダカナ。
でも、憂いを帯びたまなざしで相手役をみつめる麻子さんはステキでした。ぜひ、舞台写真として発売してほしいです!

暗転して、左右から傘が、いえ、パラソルもった可愛子ちゃんたちが登場。
ほんとーに、ほんとーに、めっちゃくちゃ可愛いです。ここの6人。
ほたるちゃん筆頭に、それはもう可愛らしさ満載。
月娘、万歳!(苦笑)

セットが飛んで、「クラブ・フルムーン」。
…月組の群舞に何を言っても無駄なことは(ファンなので)わかっているつもりですが。

でも。お願い、もう少し…ほんの少しでいいから、フォーメーションのラインをまっすぐにしよう、とか思ってくれないかなあ…。
結構複雑なフォーメーションが、揃い、乱れ、また別の形を現して…そうやってずーっと動き続ける、という、上手く揃えればすごくかっこいいはずの振付なのに、ぜんぜん生かされていないのが残念でなりません。

自分の語彙の少なさに眩暈がしてきますが…。
うーん、とにかく、月組の組子には「振付の意図を実現するべく」がんばってほしいです。…ねっ。

麻かなのデュエットダンス。
盆回しでセットがくるくる回る中を、駆け回って(?)踊る。
楽しそうで、幸せそうで、…涙が出ました。素敵なデュエットダンスでしたね。

中詰めの銀橋については最初の日記で語ったので省略。
あそこがもう少し盛り上がれば、もっと素直に「良いショーだった!」って言えるのになあ…。


<シェヘラザード>吉田優子&羽山紀代美
園加とみっぽーのビジュアルとダンスがあまりにも凄くて、私のハートはもう打ち抜かれてなにも残ってません、てな状態でした。

でも。何回目の観劇だったかな。
ふ、と、
下手端をみたら。

麗百愛ちゃんが。

なんだか、すごいポーズをしているのが目に入った…。

…反省。

次回はちゃんと、全組観るよう努力します!
(園加があんまりカッコいいからいけないんだよ…)


麻子さんの王様。
…やさしいよね。残酷だけど。
でもね、仕方ないの。彼は寂しいから。
だから、彼女たちが去ってしまう恐怖に耐えられなくて、殺してしまうの。
去られることには我慢ができないから。耐えられないから。

でも、自ら縊るなら。
自分で捨てることなら、できる。
ならば、手に入れたらすぐに、
去られる前に、殺してしまおう、と。

そんな、身勝手な思い込みに翻弄されるレミちゃんが、ねねちゃんが、あいあいが。
…あまりにキレイで可愛くて、もうどうしたらいいの状態なんですけど!?

いいなあ、麻子さんの王様は。あんなキレイで可愛くて尽くしてくれそうな花嫁さんが3人もいて。(←もしもし?)


麻子さんの衣を脱がせたねねちゃんが、そっとその服に頬をすりよせて「うっとり」しているのが一番のツボです。
そこを後ろから麻子さんに抱かれて「うふっ」っていう顔をして、…そのまま縊られてしまうのが哀れで…でも可愛い…。

かなみちゃん、ここは場面のイメージから言っても役の意味から言っても白い衣装の方がいいんじゃないかと思うんですが、真紅の衣装もかなりよく似合ってますね。
やっぱり肩のラインが少しすっきりしたんじゃないかしら。背中は相変わらず丸いけど、背中だけなら…「まろやかな女らしい背中」って言ってあげられるから(汗)。いいの別に。だってやっぱり、自組のトップさんには他組のトップさんの誰よりも「キレイ」で「カッコよく」あってほしいものですから。
ね、麻子さん、かなみちゃん♪

かなみちゃんの最大の武器は、歌。
それが、この場面では最大限発揮されていました。
全体に歌の少ないショーですが、ここの歌はポイント高いです!
音楽に合わせて飛ぶ紗幕、変わる装置…雰囲気もとても良かったし、麻カナならでは、の息の合い方でした♪


<フィナーレ>鞍富真一&名倉智代
出番の少ない上級生女役たちが、ものすごーーーーーーーーく嬉しそうに踊ってます。
それはそれは幸せそうに。

「音と戯れる」という表現に、これほどマッチした場面って、あんまりないかも。
末子姐はじめ、全員キラキラしていて最高です。かわいいぞ、月娘(←娘?)。

続く男役群舞。
だからさあ、揃えようよもう少し。ホント少しでいいから。
せっかく振りがかっこいいんだからさ……。


ロケット。
ふじこカッコいい〜〜〜!!
そのふくらはぎのムキムキ感、最高です。しびれます。
「これでもか」と回るふじこが、すごく可愛い。
「これでもか」と足をあげるロケットふじこ。
ギラギラと輝きながら、「これでもか」と踊るフジコを見ていたら、あまりの眩しさに涙が出そうでした…。


3組デュエット。
「3組デュエット」と言えば、かの名場面「シャレード」が浮かぶ私。

…時間、短くないですか?今回。
女役が板ツキじゃないせい?(男役3人だけで踊る時間が意外と長い)。
大階段でのデュエットじゃないせい?(女役が出てくるのは本舞台に降りてから)

ものすごぉーーーーーーっく楽しみにしていただけに、ちょっと食い足りない印象の3組デュエットでした…(涙)


エトワール
音キチ(音姫すなお)&すずな(憧花ゆりの)&(白華)レミちゃん。すずなもレミちゃんも大好きだけど、ことエトワールに関しては「音キチ一人でもいいのに…」と思ってしまいました。
ごめんなさい。懺悔。

だって。エトワール、って他の歌とは違うじゃありませんか。

…エトワールは、エトワールの声を持った人にやってほしかったんです。音キチはエトワールらしい声出せるけど、すずなとレミは違うでしょ?
そういうことです。
3人とも、「役者」としても「歌手」としても大好きなんですけどね…。


総体としては十分に楽しめるし私は大好きなショーですが、「ダンスが大得意!」以外の下級生ファンの方は相当悲しいでしょうね…特に今回、お芝居もアレなので。使われていない人は本当に…出番が少ない、でしょうから……。
特に歌好き、歌手好きには少々キツいかも。歌がメインの場面はほぼ無いですものね…。
もう少し全体の構成にメリハリがあれば、言うことないのですがね。>三木さん

でも、全編通して「月組がんばってるーっ!」感が満ちあふれていて、私はやっぱり大好きなのです(^ ^)。月組、がんばれーっ!!



今日(正確には17日なので昨日ですが)カウンターが1000を回りました。
ブログを始めてちょうど一ヶ月。コメントを初めていただいたりして、とても幸せです。本当にありがとうございます。

なんとなく、ふと思ったことを呟いているだけの、あまりに長すぎるこの駄文を読んで下さる方が。
…私以外にも、一人以上はいることが判って嬉しいです♪

今、そこにいてくださるあなたに、

心よりの感謝を捧げつつ。


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初めて携帯で自分のブログにアクセスしてみました。

…携帯では、私の超長文は全部表示されないんじゃん(涙)。
最大1万字、って書いてあるのに、携帯では2,3千文字しか表示されてないぞ。…これって常識…?

少し落ち着いたら、携帯用の文字数に整理して掲載したいと思います。と、とりあえず宣言ダケはしてみたりして。


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今日のタイトルは、もちろん「RENT」のパクリ。

過ぎ去った時間は、あなたにとっては長かったですか?それとも?

…私にとっては。

この一ヶ月は仕事がものすごーーーーく忙しくて、一瞬のうちに過ぎてしまったような気がする…。年を取るのも早くなるわけだ
なあ…(涙)。

.
このタイトルは、麻城ゆうさんの「天界樹夢語り」から取りました。内容は全く関係ないのですが、なんとなく。
今の月組で妄想するなら、月光界よりジョーカー・シリーズですかねぇ。ジョーカー=麻子さん。…いけるかも。

ってなことはおいといて、前回あり得ない長さに自分でも読み返す気が失せてしまった日記の続きです。
完全に舞台の上のキャラを無視した妄想に走っているうえに、…またもや長っっ(滝汗)。



この文章は、もはや実際の大劇場の舞台とは、何の関係もない…かもしれない…。



<パリの街角〜嵐の前〜>
月組の誇る美少女5人衆の登場に、息もできないほど集中してしまいました。あ、あ、あまりに可愛い。
あいあい(城咲あい)センターに、ちわわ(涼城まりな)、すずな(憧花ゆりの)、(白華)レミちゃん、(夢咲)ねねちゃん。
5人ともスタイル良くて可愛すぎっ!

声が一番好きなのはあいあい。白いフリフリドレスもよくお似合いです(いや、全員似合ってるんですけど)。
すずなの声は相変わらず特徴的でわかりやすい。あのキャラは貴重ですね〜。
ちわわとレミちゃんは、もう少し落ち着いて喋ると良いんじゃないだろうか。声は好きなんですが、ちょっと早口なのかな?
ねねちゃんは、エリザベートの頃と比べるとちょっと声が変わりましたよね?前の方が好きだったなあ。コケティッシュで可愛い声だったのに、なんだかワザとらしい声になっちゃったみたいで残念です。考えすぎてしまっているのでしょうか?もっと素直に声を出せばいいと思うんだけどなあ。



ミミとジョルジュ登場。
思い詰めたようなジョルジュ。…そうだよね、その夜のうちにもパリを発つ予定なんだから、「今、言わなきゃ」と必死なんだよね。

一人で生き抜けるくらいまでは父親に育てられたけど(その父親も裏社会系の人だったと私は思うんですが)、その父親に捨てられて(←いつ決まったんだその設定)、ストリートチルドレン(フランスだっての)として生きるうちに、ワルになりきれない優しいアルマンドに拾われた彼は(←だからその設定…)

パリの下町で、生まれてはじめて「守りたい」と思う少女に出会う。

だけど、自分達は根無し草で。
パリに腰を落ち着けることは、やっぱりできなくて。

自分にとっては「すべて」でさえあるアルマンドよりも、ミミを撰びとることもできなくて……


でも、言わずにはいられない。
それは自分の「真実」だから。

だから、ここに来た。
迎えに、来た。

彼にも本当は判っている。ミミが好きなのは自分じゃない。
ミミの目に、自分は入ってない。

でも認めたくない。認められない、そんな事実。

“兄貴ィ。いいだろ?俺がこのままパリに残ったってさ?”

そんなことが出来ないことは、自分が一番よく知っている。
拾ってくれたアルマンドを、自分から捨てるなんてできやしない。

でも、いつか。
いつかきっとアルマンドは俺をおいていくだろう。
親父が俺を置いてったように。
アルマンドだって、いつまでも俺を連れ歩いてくれるワケがない。俺だってもう一人前にならなきゃいけないんだ…

それが、判っているから。
…だからこそ、今は。



ジョルジュさん、ここは良かったと思います。もう少し無理して、若作りじゃない、「背伸び感」を出してほしかったかな、とは思いますが。
恋愛らしい恋愛のある役って、本当に「The Last Party」くらいしか経験がないのに、ミミを見送る切なさをよく出していたんじゃないか、と。

…ファンの身びいきですみません。

ただ。
祐飛さんの芝居って、結構「観てないとわからない」「注目している人にしかわからない」ところがあって……(涙)。
うーん。ここはどうだったんでしょうねぇ…(不安)。


それにしてもミミのスルーっぷりはお見事!の一言。

ミミは絶対「重度のファザコン」なんだと思います。
幼い頃にパパに死に別れて、親戚の間を転々として育ったの。だから、年上の、「尊敬できる」男にしか興味を持てない。同い年や一つ二つ上くらいじゃあ「男」として見られないんですよ。(←いいのかその脳内決定!)

ミミにとって、ジャンとジョルジュは「同列」の、「可愛い坊や」でしかないの。

「愛されたことがなかった」から、憧れと恋の区別もつかない。
だから、愛されていることを信じることもできなくて。

ジョルジュの言葉を信じることもできっこない。



…ってゆーかその前にさ、弟の、あんなにあからさまな愛が届いてないなんて…可哀相すぎるよ、ジャン(涙)。
わかってやってくれよ、姉さん…。



ミミを見送ったジョルジュに優しく声をかけるアルマンド登場。
ほえー、大人だーーーーっ!と、見惚れてしまうアサカナなファン、いや違う、アサハカなファン。
こーゆー美味しいところをさらっていってこそトップスター様ですわっ。

「俺たちがいつまでパリにいると思っているんだ」

突っ込むのもそこからですか。…確かに今夜出て行く(予定な)んだけどさ。
それにしてもキツイ一言です。ジョルジュさん、返す言葉もありません。



それにしても。
アルマンドのホンネでは、ミミをどうしたいんでしょうねぇ?


アルマンドの過去、ってついつい考えてしまうのです。
前にも書きましたが、アルマンドって実は良い家の坊ちゃんだったんじゃないかな、と思うんですよ、私は。

名前はアルマンドのはずがない(ジュリアンの息子アルマンドは祐飛さんの役だから。麻子さんの役の本名は多分ジョルジュだと思うんですけどね…でないと最初の遣り取りの辻褄が合わない)し、どこか田舎の、土地持ちの家の次男とかなんじゃなかろうか。

…ジョルジュ・ドゥ・シャンドン、とか?(←絶対違うから)

まぁ、そんな小ネタはおいといて。
(以後、この日記では「麻子さんの役=アルマンド」で統一します。でうせこの名前の入れ替えトリック自体、作者の頭には残ってないと思うし…悔)

とにかく、生家は結構上流階級で、当たり前に「上流階級」の言葉遣いや仕草、マナーをしっかり叩き込まれた人なんじゃないかと想像するわけです。
そうでなきゃ、あんなにすんなり信用されないでしょう?あの胡散臭いパーティーメンバーに(←胡散臭いの意味が違う…)

でも、何かがあった。

「ペテン師」という職業にこだわりを持っている様子を見ると、親がペテンに騙されて没落してしまった(←完全にクロサギじゃん)、とか
領主に何か理不尽な、あるいは無体な(…そりゃー美青年ですからねぇアルマンドは…コホン)要求をされて、それを蹴ったばかりに故郷にいられなくなった、とか
何かそんなような、「もの凄く理不尽な」目にあって、すっかり世の中に絶望してしまった青年、

なんじゃないかなー、と。

そうやって、世の中を拗ねて旅するうちに。
思いつきでちょっと甘い言葉をささやいてみたら、どこかの奥方はコロっと騙されて金をくれた。
どこかの実業家もころっと騙されて出資してくれた。

大きな仕事はしたことがないけど、プロのペテン師というよりは寸借詐欺とどう違うの?、くらいのセコい稼ぎで渡り歩いて。

ノルマンディーの港町(←どっから出てきたんだその設定)で、ストリートチルドレン(←だからここはフランス)のリーダーをしていたジョルジュ(←本名アルマンド。でもこの日記ではジョルジュで統一)と出会う。


ジョルジュの語る昔話。
「俺の親父はね…」

長いこと父親へ向けてきた限りない憧憬を、その父親自身に否定された少年ジョルジュ。(←妄想癖が…)
でも、やっと出会えた「もう一人の父親」アルマンドには、その傷を露わに語ることができない。
だから、するのはいつも、自慢話。

「俺の親父は、偉かったんだよ」

その話にうなずいてくれるアルマンドがいるから。
たまに、父親の機嫌が良い時に繰り返し話してくれた、パリでの話を思い出しては語る。
自分の父親は偉かったんだ、と。飲んだくれだった父親を忘れて、綺麗な色紙で飾り付けた父親像に酔ってみる。

だから、その時だけは忘れていられる。その「偉い父親」に、自分が捨てられたことを。


そんなジョルジュの傷に、アルマンドは気づかない。
ただ、折角舞い込んできた「偉かった男」のネタを、何かに使えないかと模索して…


そうやって乗り込んできたパリで、
彼は一人の少女と出会う。


何とも思ってなかったんだよね、最初は。

でも。あの、最初に逃げようとした夜のロビーで出会った時に。

絶望にまみれ、夢を見失っていた彼は。
久しく縁のなかった、まっすぐな「夢」と出会う。

ジョルジュの夢は、アルマンドに対しては力をもたなかった。
彼の夢は、「無い物」への憧れだから。
傷を癒すための嘘だから。

でも、ミミの夢は違う。ミミの夢は「アルマンドの微笑み」。
それは、そこに存在する「事実」だもの。
そして彼女は、手に入れた。しっかりと。

そんな、他人の見凝める夢に、酔う。
夢を叶えた人のもつ輝き、に。

感受性が強くて、優しいアルマンドだからこそ、いったん掴まったらもう逃げられない。


この時アルマンドは、恐怖を覚えていたんじゃないかと思う。
自分の足元が崩れていく恐怖。家を出てから、それなりに(ペテン師として)築いてきた地盤を揺るがされる恐怖。

ミミ、という、
ブラックホールのように、ただひたすらに「夢」だけを希求し、求める存在が。
アルマンドを引きずっていく。
パリの街に縫い止めて、逃がすまいとする。

家を出て以来、「自由」に生きてきたアルマンド。
自分の歩く道は自分で決めてきた。
だからミミ。お前にひきずられて、パリの街に縫い止められる俺は、俺じゃない。
そして、俺と一緒についてこられるお前でもない。

だからミミ。
…ギスターヴと、幸せに…。



いや、あの。

…申し訳ありませんm(_ _)m。すっかり暴走してしまいました。



話を戻しますが。
個人的に、ここのジョルジュは、もう少しアルマンドに甘える、あるいは頼るふうに解釈してくれると嬉しいんですよね…。
まあ、こういう(↑)訳のわからない妄想設定の上での解釈だから、植田(紳)さんのやらせたい演出とは全然違うのでしょうけれども、

ミミが恋しているアルマンドに嫉妬しているのか、アルマンドの心を捉えたミミに嫉妬しているのか、どちらなのかジョルジュ自身にもよくわからない、みたいな感じでお願いします。


…だから、そういう萌え方をするなってゆーのに。



<嵐の夜のロビー>
緑のコートにくるまれたきりやんが可愛い。
あの「必死!」さ、「一生懸命」さが人の心を動かすんですよ。
それは、舞台の上でも、下(素)でも同じなんでしょうね、きっと…。

きりやんギスターヴのためになら、私も嵐の現場に駆けつけるわよっ!!と、そう思った私は、サテ誰のファンでしょう…(←月ファンです)。



ペテン師コンビ帰還
どうでもいいことですが、このホテルには正面玄関しか出入り口がないのっ!?とゆー設定がカナリ笑えました。
でもまぁ、セットの問題があるから仕方ないか。裏口とか作ったらまた費用がかかりそうだもんね。

で、さっそくケンカを始めるお二人。いやさ、仲良きことは美しいから別に構わないんですけどぉ。 …なにもロビーで喧嘩始めなくてもいいんではない?さっさと部屋に戻ろうよ。 …ホラ、言ってるそばからマヤさんが来ちゃったじゃないか。
(実際、観劇しながらこのとおりのことを考えてました)

んでもって。
マヤさんの巧さに、脱帽しますた。

台詞といい、仕草といい、間といい、文句なし。
芝居ってのはこうでなくっちゃ。コメディってのはこうでなくっちゃ。

…いっそのことペテン師コンビを麻マヤで…(祐飛さんじゃなければ誰でもいいんか涙)。


いい経験しているじゃありませんか。がんばれ、月組ッ子。



ミミ登場。
そんな大嵐(どんなや)なのに、何故あなたはそんなに軽装で、髪にも一筋の乱れもなく…。
その押しつけがましさはどこからきたの、ねぇ。

でもアルマンドは行ってしまう。
さりげなく、当たり前のようにミミの肩を抱いて。
この時の、ミミの肩を抱くアルマンドの瞳が、ものすごーく強くて、思わず惚れてしまいそうでした。


そして。
残されたジョルジュの、あまりにも、あまりにも情けない「兄貴ィ…」が。


…寒くて、痛いよ……



<祝賀パーティー>
幕が降りて、上手から下手へ「パリ市民」が本舞台と銀橋を渡っていきます。下級生の唯一の見せ場!でもあまりに早すぎてチェックしきれません。
それにしても、89期のみっしょん(美翔)とか88期のなっつ(夏月都)、(麻華)りんかちゃんあたりが、プロローグのショー場面の次はここ(でそれでお芝居終了)、ってのはどうかと思います。ねぇ植田さん?

役がないなら無いなりに、全員をずーっと舞台の上に置いておいてくれた木村さん、その点だけは評価したい。



幕があがると、オテル・ド・サンミッシェルは祝賀パーティの真っ最中。

きりやんギスターヴの呼び出しをかけるマッチ先輩。
…この時すでに、彼は二人組の失踪を知ってるんだよね…?袖から登場した時から固い顔をしているもんね…?
なんで、マダムに耳打ちするとか何か、事前に入れておかないんだろう。
あれじゃーせっかくのパーティが台無しじゃありませんか。

何もあんなところで手紙を読み上げなくたっていいんだし。
警察に届けるのか、政府に報告するのか、他にもいろいろあるけどどうするのか、上司(マダム)の判断を仰ぐのが当たり前じゃないの?

被害額だってたかが60フラン=2万円?5万円?その程度でしょう?(どんな片田舎から来たのか知りませんが、片道の交通費より安いんだもん)

ずーっと「あの二人は怪しい」と疑ってた、とか、そういう伏線もないのに突然そんなことをされても、どう反応していいのかワカリマセン!



でもって。
「僕の恩人を…」
と叫び出すきりやんのギスターヴが。

この上もなく輝いていて。
素敵でした。

そもそも、登場の時からスポットを独り占めにして、ぴしっと正装して髪もととのえたきりやんは、それはそれはとてもステキなワケですが。
これがまた、「夢を叶えた人」の輝き、と言うのでしょうか。
美しい人、を体現していて、素晴らしかったんです。

そして。二人組の正体をバラされて騒然とした人々の真ん中で。
ちょっと口ごもりながら、でも、彼にできるかぎりの思いをこめて

「彼らは僕の恩人なんです」

その一言で、また空気が変わる。

「空気」を変える役者。
出てくるだけで、とは言いませんが、きりやんには「そういう」力があるんだなあと改めて思いました。
劇場中を巻き込むパワーというのでしょうか。

きりやんギスターヴに、ここまで信じてもらえたアルマンドとジョルジュは多分、幸せだったんだろう、と。
そう思える輝き。

歌はもちろん、さすがです。この声が好き。柔らかく劇場中を包む美声。…うっとり〜♪


でも、ファン的には、ギスターヴだけは真相を知っていて欲しかったんですよねー。
そんでもって、ミミを連れてモンマルトルの丘に行くの。
2番手なんだし、大人なんだし、そのくらいの役得があっても良かったと思うんだけどなあ…。

とにかく、ラストシーンにギスターヴも居てほしかったんです。
だって、アルマンドは「ギスターヴと、幸せに…」って思いながらミミを置いていくわけでしょう?

そこにギスターヴがいないのがなんとも残念…です。



<モンマルトルの丘>
カーテン前の二人組。音程のピッチが微妙に合わないのは、がんばって合わせていただきたい。
でも、お互いなだめるように微笑みあって歩いてくる姿は、結構ツボです。
やっぱりこのお二人、立って並ぶと豪華というか。ブルータス&カシウスの時も思ったけど、スタイルが釣り合っていて本当にお似合いなんですよね。

…だからと言って、組ませときゃいいだろ的な扱いはどうかと思いますが…。


幕があがると、そこはもうモンマルトルの丘。
遠景にエッフェル塔。
おもちゃのように、小さく見えます。

私も一度モンマルトルの丘に登ったことがあるのですが。
どうだったかなー。全然覚えてない(汗)。どちらにしても回りの建物が全く違うので、風景としては全く違うんでしょうけど。それにしても覚えてないな…。

でも。

二人の3年間の集大成が、あのおもちゃのような塔かと思うと、もうちっと良いセットにしてやってくれ、と泣きたくなりましたが。

この場面のお二人の芝居は、とっても好きです。

…演出的にどうでもいいピストルが出てきた時点で、かなり萎えてしまいましたが(涙)。

あ、でも、一つだけ突っ込みたい。
ジョルジュの、「もう2度としないよぉ」という台詞。
あの台詞を、あんなに甘ったるく言っていいのか、という技巧上の問題もあるんですけど、その前に。

何を「もう2度としない」の?ジョルジュ?
女の子のボタンを盗むことを?
それとも。

女の子に心を揺らすこと、を?

…それを禁じたとしたら。それは怖いぞ、アルマンド…。



下手から「アルマンドさ〜ん!」と声がかかって、ミミとジャンが登場。

この後のね、アルマンドとジョルジュの、目と目の会話が非常に好きなのです。
脚本のない場面だから、ある程度演者の裁量に任されている場面なんじゃないかと思うんですけど…

ここまでの、年の離れた(アルマンドが「可愛い可愛い」を連発する対象の)ガキのジョルジュと、
今、アルマンドを抑えてミミのもとに戻らせる、大人の男の瞳をしたジョルジュとが、

2重人格にしか思えない、のは置いておいて。(←いいのかそれで?)

その日の気分で、いろんな会話をしていそうに見えるんですよね、あの目。
二人の絆。時間をかけてはぐくまれた、そんな、脆いけれども大切なモノ。

それがあるからこそ、アルマンドをミミの元に戻らせることができるジョルジュ。
それがあるからこそ、ジョルジュと共に歩いていこうとするアルマンド。

そんなものを、しっかりと観せてくれる二人は、さすが年の功、ってところかな…。(←ただの深読みだから、ソレ)



デュエットが終わって、銀橋へ進むアルマンドへ、手を差し伸べるミミ。
ジャンが、不安げに駆け寄って、斜め後ろから姉を見守る。

今までずっと、その小さな手で守り続けてきた(つもり)の姉を、喪うかもしれない、と思った恐怖。
それが、それこそ父も母も知らないのであろうジャンの心をえぐったのでしょうか。

姉ちゃん…?
行かないよね。俺を置いて、行っちゃったりしないよね…?


そこまでは良いのですが。
その後、姉さんの後ろから腰に抱きついて引き留める姿は、ちょっとだけ「え?」でした。

…ジャンは、そこまで、必死に姉にすがりつくようなキャラじゃなかったはずなのになあ(汗)。
ラストでああ来るんなら。
だったらもっと途中、ジョルジュの邪魔をしている場面とかでも、「俺の姉ちゃんを連れて行く悪い奴」扱いでキレる演出にした方がよかったと思うのです。

場面場面では、今くらい可愛らしく邪魔してみせた方がウケるんですけど、ラストを考えると、もっと神経質っぽい子供に作った方がいいと思うんですよね。
さっきまではあんなに大人びた美少年だったのにさ…。

唐突すぎてついていけなかったよ…。

でも、文句は言ってもみりお(明日海りおちゃん)は可愛いです。可愛すぎて辛抱たまらん…。




ラスト前。
アルマンドが銀橋で思い出にふけっている時。

ジョルジュは下手花道で、
そんなアルマンドを暖かく見守って。

そして、ふ、と顔をエッフェル塔に向けて。

軽く、うなずく。


うん。
俺たち、いいことしたな。
俺たちがいなくなっても、パリの空の下には、地表と天上を結ぶ鉄の塔があるんだ。

空よりも高い、塔が。

…俺たちがいなくなっても、いつまでも。


それはお伽噺のラストのような。

いつまでも、いつまでも、
彼らは幸せに暮らしました、と。


一瞬泣きそうな瞳で、でも晴れ晴れと微笑んで。
そうして「少年」はパリに背を向ける。

もう彼は、アルマンドが来るのかどうか、不安に思うことはない。
一人でも生きていけるから。
そして、アルマンドとの絆を信じているから。

不安はない。
ただ、夢から醒めてしまった寂しさがあるだけ。


一つ大人になって。
ジョルジュは歩き出す。



そんなジョルジュを追うでなく、
アルマンドもまた、パリを去る。


ミミは、来ない。
そんなこと、わかってる。
俺も、留まることはできない。

だから、パリよ。
パリの女神よ。

…ギスターヴと、幸せに。


銀橋で遠くを見凝める麻子さんは、めちゃくちゃかっこよかったです…。

マミさんの「ゼンダ城の虜」のラストを思い出してしまった場面でした。



でも植田(紳)さん。
観客がココまで妄想してもまだ話がつながらないような穴だらけな脚本、二度と書くなよ。




ああ、やっとお芝居が終わった…(疲)。
まだショーが今から始まるんだよ。気が遠くなりそうだわ我ながら…。
とりあえず、作品については語りたいことは大体書いたような気がするので、公演の時間軸に沿って、思い出せることを一つづつ、書いてみたいと思います。

メモみたいなものですし、ネタバレ配慮もしておりませんのでご注意ください。
もの凄〜い長さになると思いますが、どうぞよしなに。



【パリの空よりも高く】
<プロローグ>
ごくありきたりの、レビューシーン。
「JAZZYな妖精たち」が、100分間の中でプロローグのほんの十数分だけは許せたように、観客の救いになる場面かと思っていましたが…
もちろん嫌悪感はないけど、JAZZYのアイリッシュタップは凄かったものなあ。あの感動と比べてしまうとちょっと物足りないかも。

麻子さんとかなみちゃんのデュエットダンスはやっぱりキレイ。そんなにテクニック的にものすごい訳ではない(多分。私にはよくわかりませんが)のに、なんでだろう。醸し出す雰囲気がいいからかなあ…。
かなみちゃん、すこーし首回りがすっきりしてキレイになったような?気のせい?



<オテル・ド・サンミッシェル>
ミミとジャンの姉弟が可愛い。タキ(出雲綾)さんのマダムが、ミミに対する時とジャンに話しかける時で声色が違うのがツボ。
怖いよタキさん…。タキさんのことは好きなんですけど、正直言って、ちょっと…キツイ、です。
なんて言うんだろ。カルロッタそのものなんですよね。一流ホテルのオーナーが、そんなやり手婆に見えてどうするんだ!前の日記にも書きましたが、もろ「宿屋の女将」って感じなんですよ。タキさん、グゥェンドレンの母親は結構上品な(でも怖い)おばさんで良かったのに。…まぁ、別に作品的にはやり手のマダムでもいい筈なんですけど、脚本的にはもうちょっと違う感じなんで…芝居と脚本(台詞)にズレがあるのでとっても微妙(涙)。

初見の時はここの会話を結構真剣に聞いていたんで余計そう思いました(2回目からは寝た。これからご覧になるみなさん、アルマンドが出てくるまでは寝てていいですよー)。
なんていうか、あの場面って、古臭い手法だけど「お芝居」になくてはならない場面なんですよね。過去の経緯を説明しているだけのようで、実際には登場人物たちの「キャラクター」を見せるための場面だから。…さすがに未沙のえるさんとエリ(嘉月絵理)さんは達者なんですけどね。やっぱり作品の意図(原作)と実際のキャラ(演出)がまるっきりずれているのでねぇ(涙)。

一番出番も見せ場も台詞も多いのはタキさんのマダム、ていう作品でしたが、あれを演者のキャラに合わせてもっとはっちゃけたばりばりのオバハンにしてたら、作品自体がもっと面白くなったのではないかしら、と思うと残念。宝塚なんだから、重要キャラは演者に宛書するのが当然で、演者が脚本のキャラになれないのは大目に見たいんですけどねぇ…。

この場面の見所は4人のボーイたち。ちょこちょこと働いてるんですけど、それぞれに個性があって観ていて飽きません。舞台上での目立とう精神ではなく、しっかり役とキャラを作り込んで、キチンと小芝居するのが月組若手の伝統。上級生が随分減って、そのあたりの伝統がどうなるか心配してましたけど、皆、今まで以上に楽しそうに芝居していて嬉しかったです。

学年関係なく、舞台上での見かけでいうとマギー(星条海斗)が一番先輩に見える(笑)。なんとなくですけど、テキパキしてて、しっかり先を読んで動いている感じ。
もりえ(青樹泉)はごく素直に、着実に仕事をこなしてる感じかな?ちょっとまだキャラが立ってないみたいなんで、下級生に負けないように頑張って欲しいな。
まさお(龍真咲)くんはちゃきちゃき。なんだか、しっかり者に見えて結構トボけているところとか、慌て者なところとか、竜堂4兄弟の終くんみたい(爆)。あのギラギラ感がたまりません。それにしてもまさおは本当に良い声だわ。これで芝居に心が入ったら鬼に金棒なんだけど…。あと、ふとした仕草とか横顔のシルエットとかがガイチ(初風緑)さんに似ている時があって、びっくりします。顔のほそさとか頬骨のラインとか、微妙に似ているような気が…私だけ?
(綾月)せりちゃんはごく普通の男の子、って感じ。竜堂4兄弟なら余くんかな♪4人共結構仲良くて、なんだかホントに兄弟みたいでほほえましいです。
そしてマッチ先輩の支配人が挙動不審で面白すぎる…。



ナホ(越乃リュウ)ちゃんとあひ(遼河はるひ)ちゃんが登場。
ナホちゃん、それじゃー銀行頭取には見えないよ…商売っ気ありすぎですから!個人的にはエリさんとナホちゃんは逆の方がよかったのではないかと思いますた。エリさんはさすがに巧いなあ。引くトコ引いて、なのにしっかり印象に残る。こういう役者は得難いです。
あひちゃん。あの仕草は…オカマちっくにしたいのか?ちょい内股で、ハンケチを振りながら腰振って歩いて。甲高い声で笑いを取って。出てくるだけで面白かったんですけど、路線として、組の3,4番手ポジションとして、どうなんでしょうかソレは……私は、好きですけど(笑)。



アルマンド登場。
麻子さんかっこいいー!さすが!テンションが高くていい感じです。「騙してやろう」感がありありで胡散臭さ倍増。ただ、彼が皆を騙そうと、ハイテンションで機関銃のように喋りまくる姿が…私にはちょっと痛かったです。なんだろう。彼は一人前のペテン師じゃないのかもしれない。初仕事で失敗して、次こそは、と、身内のジョルジュのネタを横取りしてきた…そんな感じ。

アルマンドは、「ペテン師である」ことを除けば、ものすごーーーく「普通」の人ですよね。ごくごく真面目で優しい好青年。実は良い家で育ったお坊ちゃんなんじゃないの?(苦笑)。ネットとかで「ペテン師に見えない」っていう感想を見かけますが、そうかなあ。私には十分ペテン師に見えましたよ。というか「ペテン師になりたい男」だなあと…。
……っていうか未だにこの人の「ペテン」の内容がよくわからない私。クロサギ読んで勉強(?)したのに、どーもこの時アルマンドが何を考えていたのかよくわからない。「ジュリアン・ジャッケの息子を騙って金を巻き上げてやろう」なんだろうけど…。植田(紳)なんだから考えるだけ無駄なんでしょうけどね。消化不良。



ジョルジュ登場
ドアマンのまぐ(流輝一斗)ちゃんがとってもステキ。重たげなロングのコートがよくお似合いです。ジョルジュが「アルマンド・ジャッケです!」って言ったときの、びっくりして口をあけた顔がとってもツボでした。可愛いわ。

そして祐飛さんはもっと(…)可愛い。がんばって若作りしてるなーと思う。…「がんばってるな」と思ってしまう時点で負けているわけですが。でも可愛いからいいの。
観るまでは「麻子さんの弟分?楽勝ー!さぞ可愛かろう♪」くらいに思っていた腐れファンの私ですが…。「血と砂」の頃は何の違和感もなく弟キャラだったのに、いつの間にこんなにおっさん臭くなったものか。私の中で、彼の時間は止まっていたみたいです。
でもあのヘタレっぷりがたまりません。もっと崩しちゃってもいいのにな。



<客室>
この場面転換は結構好き。シンプルで。どうにも全体に演出が古臭くて暗転+カーテン前(または銀橋)が多い中、このセットがあるだけホテル内が中心の作品でよかったなと思います。

麻子さんと祐飛さん、同期コンビの息はぴったり。でもそれは、「作品」が求めている息の合い方じゃないんですよね。仲良し同期の、馴れ合いとまでは思わないけど、素でお似合いだから舞台上でもお似合い、それ以上でもそれ以下でもない。かろうじて祐飛さんが弟分には見えてるけど、作品的に求められている関係ではない…。
タキさんのところにも書きましたけど、宝塚なんだからメインキャストについては宛書するのが当然なんじゃないの?この二人のコンビでコメディするなら、どうしたって素が見えちゃう(観客もそれを求めてしまう)んだから、素に合わせた設定にするべきだったと思います。…ってゆーか、素直にきりやんで良いじゃんかよ…(涙)。


ギスターブ登場
きりやん可愛い!ここ数作、渋くてかっこいい役が続いていたので、久々の可愛いきりやんにメロメロです。
どもりがちなおどおどキャラと、夢を語る時に突然饒舌になって滔々と語り出す時の目の輝き。2重人格かと思うような変貌っぷりがすごいです。大好き!
ボンボン歌いながら銀橋を渡る時のかわいらしさがまたたまらん。ここの3人は滅茶苦茶可愛くって最高です。毎回もだえてます。



<パリの街角〜噂〜>
わーい園加だー♪、と思いつつ、笑っている園加にはあまり興味がないので(←ひどい)、隣のみっぽー(美鳳あや)ちゃんに釘付けでした。いつも可愛いなあ。
ルミ姐(宝生ルミ)、音キチ(音姫すなお)、(天野)ほたる、(葉月)さらちゃん、と、ローマの愛人ズでも注目株の年上美人4人が勢揃いで眼福、眼福。
男役も研(ルイス)ちゃん、ふーが(風雅湊)くん、とーやん(榎橙也)、(光月)るうちゃんと美男揃い。

でも。わざとかと思うほどこの男役5人衆、みんな……声が高すぎですっ!(←あ、言っちゃった)。そんな中でも、女役を入れても一番声の高い園加ちゃん。その顔でその声はどうなの(←…ヲイ)。
女役より声の高い男役ってやっぱり許せん。ってゆーか、月組の女役が声低すぎなのでしょうか…。落ち着いた深みのある声が大好きな私としては、新加入のあひちゃん・園加ちゃんには真剣にがんばっていただきたいです(涙)。
どっちも顔に見合った声をだしてくれればいいから!(←たいがい失礼だな私)



アルマンド一行とミミたち登場。
この場面と直接関係ないですけど、ミミとアルマンドの出会いは、きちんと書くべきだったと思います。たとえば、ボンボン歌って銀橋渡ったところで本舞台でミミと出会う場面にするとか。そんなんでいいから。

ア「ジョルジュ、紙とペンを調達してきてくれ。俺たちはあっちを見てくるから」
ジ「わかったよ。早く帰ってこいよ!じゃあな!」
 とか言って下手花道にはける。同時に上手からミミたち登場。
ミ「ギスターヴさん!こんばんは!」
ギ「ミミミミミミ、ミミ!聞いてくれよ、この人が僕の夢に賛成してくれたんだよっ!」
ミ「まあ、良かったですねぇ!」
ギ「こちらアルマンドさんだ」
ア「(にっこり微笑んで)はじめまして、ミミ?」
ミ「…(見惚れて)あ、は、はじめまして、アルマンドさん。
 ギスターヴさんの夢を信じてくださってありがとうございます」
ア「…(にっこり)何を言っているんだい。君みたいな可愛い子が応援して
 くれるんなら、僕もがんばらないとな」
ミ「(ポっと俯いて)まぁ…」
 ギスターヴ、二人の間に流れる甘いムードに全く気づかず、ひたすら嬉しそうに
 ミミを見つめる。ここまでカーテン前。

んで、園加たちパリ市民の場面をはさんで、今度はジョルジュも加えた5人で登場。
前場があれば、そんなに脚本的には変更なくても大丈夫かな?誰かに「もう半年たったんですねぇ」とか言わせるくらいで。

あ、それから、もうちょっと季節感のある服装をしていただきたいんですが。パリの街の背景も使い回しすぎ。手前に木か何かをおいて、それの葉っぱが増えたり減ったりするだけでいいんですけど。3年間という長い時間経過があるのに、それが全く感じられないのがなんとも…。

ううう、苦しい。
…このへんで、私は脚本の意図を理解しようという努力を放棄します。今後はただただ、可愛い月組ッ子とマヤさんを愛でたいと思います。



<タワー建設準備会パーティー>
月組ッ子、濃すぎだろそれ。末子姐、あー(花瀬みずか)さま、ガチャ(一色瑠加)あたりの、イロイロ期待されているメンバーはともかく(←え?)、役名もなくただ「紳士」「貴婦人」と書かれただけの若手の楽しそうな様子ってば…。

でも、それぞれに役をちゃんと創った上で遊んでいるのが嬉しい。まだまだ固いけど、この先どんどんこなれてきそうなのが嬉しい。遊びを先に、じゃなくて、役を創るのが先。その基本がちゃんと身体に入ってる。
ああ、月組を観てるんだなあ、と嬉しくなります。
だからって初日は舞台稽古でいい、って訳じゃあないんですが(汗)。

でも、作品の創り方がそうだから、仕方ないのかな、と思える部分はある。贔屓だから甘くてごめんなさい、ですが。

退団、組替えでどんどんメンバーも入れ替わって、雰囲気がどんどん変わっていく。
でも、月組は月組なんだね。
たとえ主要メンバーがこんなに大きく変わってしまっても。
やっぱり月組は、私の大好きな月組なんだ。

それが、お芝居のそこかしこに出ている。
それが一番、うれしかった。



ギスターヴ登場。
きりやんステキです。きりやんかっこいいです。
「地上と天上を結ぶ橋を架けたいのです」…植田さん、たまには良い台詞を書くじゃないか!
この名台詞を発する時の、きりやんのキラキラぶりがツボ。かっこいいぞ!

それに引き込まれて、ふと表情が変わる上級生達。こういう呼吸で空気が変わるのっていいなあ。芝居の醍醐味だわ。
ローマの「アントニウスの演説」の場面でも、もちろんきりやんの歌の説得力が凄いんだけど、それ以上に反応する組子たちの空気感が好きでした。あの熱さには、観客もつい流されちゃう。客席の気持ちまで持って行ってしまうんですよね。
「愚かな民衆」をテーマにしたあの場面は、観ていて痛すぎて辛かったけど、「月組の群衆芝居」はやっぱすごいや、と思ったものです。

このパーティーの場面も、きりやんの台詞をきっかけに、それまでてんでんばらばらな方向を見ていた「群衆」が、ふと「同じ方向」を向く。
その「エントロピー最小」の状態を出現させるために必要なエネルギーが、「群衆」の意志、という形できっちり表現できているから、客席の私は「まあ、いっか」と思ってしまうのです。
…こういうのを「脚本の不備を役者がフォローする舞台」というのよ。



アルマンドたちの部屋。
アルマンドやっぱり格好いいです。たまらん。パーティーで演説するアルマンドの胡散臭さといい、ツボりまくりです。
ジョルジュとの遣り取りもここはかなりテンポ良く進んでいたような。ファンの贔屓目かしら?麻子さんのアルマンドは割と自己完結しちゃいがちなキャラなので、ジョルジュはそれをひたすら受けているんですよね。もう少し突っ込んでもいいんじゃないかな。さらに、もう少し立場の違い(年齢差?)が出せれば、面白くなると思います。期待。

でも、良い感じに流れているこの場面をみて、普通に「ここは原作どおりなんだな」と思ってしまう自分が悲しい…。劇団よ、お芝居大好きな組子が多いんだから、たまには良いお芝居くれよ…。



<パリの街角>
ボーイたちが歌い踊るおいしい場面。ここはショー場面、と心得てか、バリバリと目線飛ばしまくりなまさおが可愛いです。いつだってやりすぎだから、キミ。でも芝居が始まるといちおう役に戻るんだよね、嫌そうに(笑)。
もりえとマギーはツインタワーでかっこいい。そしてせりちゃんは可愛い。この子は将来、絵理さんのようになるんでしょうか。声の高さと舌ったらずさにちょっと将来を危ぶみつつ、血と砂メンバーは可愛いんでつい見守ってしまいます。



ミミ・ギスターヴ・ジョルジュ登場。
ミミに話しかけるたびにどもってしまうギスターヴが最高可愛い。そして、明らかに「分かってるのに」とぼけて見せるミミはもっと可愛い(爆)。嫌な女ですけど、そういう役だから仕方ない。かなみちゃんが悪いわけではないので許したい……(汗)。

きりやんとかなみちゃんって、そういえばあんまり組んだことないですよね?
スタイル的にも歌の実力的にも、それに持ち味も、すごーく合いそうなお二人なのに。
(…あ。額田と中大兄があるか。ごめんなさい、中日は行ってないのでわからないや)
珍しいお二人のデュエット。良い声だなあ、と。うっとり♪
…直後に同じメロディを、しかも一人で歌わされるジョルジュが哀れでなりません…。

ミミの、ギスターヴにはそれなりに好意を持っているけど「そのお気持ちにはお応えできませんわ。それでもいいんですよね?」という確信犯的な微笑みと。
ギスターヴのわかってない(ミミがそれなりの好意を抱いている事自体わかってない)っぷりが凄まじく痛いです。

なんだかなあ。ついつい、色々考えてしまうんですが。
ミミは、真面目に花を売ってるんでしょうか?
それとも、花だけじゃなくて「春」も売っているの?

…ねぇ?


ギスターヴとの出会いも、「春」のお客さんともめているところを通りすがったギスターヴに助けられた、とか、そんな…
いや、考えすぎなのは判ってます。ホテルに3ヶ月も逗留していたギスターヴと、毎朝花を届けに来るミミが出会ったのは、ホテル。それで何の疑問もありません。

でも。

そんなんツマラナイじゃないかーーーーっ!
(植田紳脚本に萌えを求めるんじゃありません)



ギスターヴは何も気づかずに、ただ絡まれてる女の子を助けたつもりでいたら、ホテルでよく出会う可愛子ちゃんだった。家まで送る途中で自分の夢の話をしたら、目を輝かせてうなずいてくれた。
…なんて良い子なんだ→こんな子がいつも傍にいてくれたらいいのに→「ミミミミミミ、ミミ、すすすすすす、す………」(結局言えないまま月日は流れる)

ミミの方も、優しげでステキなお兄さんに助けられて、感謝と憧憬の念を抱く。
でも、彼は自分の商売を知っていると(その上で黙ってくれているんだと)思いこんで悩み、さらに彼の子供っぽさを知るにつけて純粋な「憧れ」が、次第に変質してしまう。
いわく「この人なら、私の言うことはなんでも聞いてくれるはず」。
…打ち出の小槌を手に入れた子供のように。

そこに現れた王子さま。
ギスターヴより上の立場で、彼の夢を認め、その手助けをしてくれる人。動き出す空気。パリが動くんだもの、すごいことですよね。
今まで、口では「すごいですねー!」と言っていても、全くそんな夢も希望も本気にはしていなかったミミ。彼女にとっては衝撃的な状況。

『もしかして、あたしってばすごい現場に立ち会ってるんじゃないの?』

そんな。夢のようなコトを起こしてくれた王子さま。

あの人、またあたしを見てる。あたしがギスターヴさんの夢を最初に認めた人だと思って。
……どうしよう。あたし、何もしてないのに。ギスターヴさんの話はよく分からなかったけど、うん、うん、って頷いてあげると喜んだから。だから、うん、って言ってただけなのに。アルマンドさんは、口ばっかりで何もしないあたしを見て、どう思っているんだろう……。

そして。
塔の建設がだいぶ進んだある日。久しぶりにギスターヴ(とジョルジュ)に出会ったミミは、夕方、金持ちそうな男に声をかけられる。

パンはもう底をついた。この荷車の花も、明日が限界。明日売れなかったら、もう仕入れに行く金もない。…そうは言っても、ここにあるのは良い花ばかり(ジャンはああ見えて目利きという設定)だし、マダムエレノールのオテルは最近景気がいいから、頼めばきっと買いあげてくれるだろう。無理をしなくてもなんとかなる。

…だけど。

“ここで、まとまったお金が貰えたら”

「ジャン、先に帰ってて頂戴。あたしはご飯食べて帰るから、昨日の残り、あんたが全部食べて良いわよ。…そうね、遅くなるかもしれないけど、心配しないで。ちゃんと帰るから」

“半分くらいなら、……あのひとのところに持って行けるかもしれない…。”


…この時点で、すでにミミの頭の中にギスターヴは(もちろんジョルジュも)居ないんだろうなあ。いや、ジャンの心配そうな顔さえ目に入ってないかもしれない。哀れなり。

とゆーか、植田脚本でも妄想できる自分にちょっと感動…。



<深夜のロビー>
ペテン師二人が金庫を持って登場。
ジョルジュが金庫を開けると、いきなりなり出すベル。…こういう仕掛けって、こんな頃からあったんでしょうかねぇ…。
ちなみに、私が観た回のうち一回は、ジリジリ鳴っている間に金庫の蓋が「ぱたん」と閉じてしまいました。思わず息を飲んだよ。お二人は、何事もなかったようにそのままお芝居を続けていましたが。さすが年の功。

あの音量に驚いて起きてくるのがマダム一人、ってのもどうかと思うんですけど。
まちおさんとかボーイとか、どうしてるわけ?ああ、そういえば4人揃って遊びに出てましたね、さっき。もしかして通いなのか全員?

タキさん、やっぱり芝居は「それなりに」上手なんですよね。滑舌いいし抑揚もある。でも、「一流オテルのオーナー」には…見えない。きっぱり。
下町の、人情に厚い下宿屋の女将。やっぱりそれが一番似合います。

アルマンドに父親ジュリアンの話をするエレノール。だからソレはアルマンドの父親じゃないっての。っつーかジョルジュに聞かせてやってよ。呼んでやってよアルマンド。頼むから。ジョルジュの父親の話じゃんか…。
やっぱり「ジョルジュの父親がジュリアン」っていう設定は、この時点で作者の頭に残っていないものと思われます。


この後の、「俺たちが消えたら、おばさんは悲しむだろうな…」というアルマンドの独白はかなり胸を撞きました。もう少し溜息まじりでもいいとは思うけど。
複雑な胸中がかいま見えて、好きな場面です。

でも、「ほだされ」てしまうには、あまりにも弱いエピソードだと思うんですけどねえ…。
(ごめんなさい。もう脚本についてはコメントしないと誓ったのに)



そして。


金持ち男から貰った(ソレって確定?)お金を握りしめて、ミミ登場。
匂い立つ色気(ヤッてきたばかりだもんな…←だからソレって)と必死な目の色が眩しい。

つい昨日まで、「可愛いけどごく普通の、そのへんにいっぱいいる可愛子ちゃん」だったミミが、ファム・ファタルに変わる瞬間。
それは、夢に懸ける思いの強さと、犠牲の大きさ。

アルマンドは、ミミが懸ける「夢」=塔の建設、だと思った。
だから彼は、出されるがままに金を受け取る。

でもミミの「夢」は、本当はただ、アルマンドの微笑み。
たったそれだけ。

持ち物の少ないペテン師には、差し出せない犠牲を、そのために捧げたミミ。
それでも、「夢」のためならそれは、決して汚らわしいものではないのだから。

なのにアルマンドには判らない。
だって彼には、「夢」がないから。

だからこそ彼は、「彼らの」夢を実現することにこだわり始める。
いい加減金が集まってきたところで逃げ出そうよ、と、五月蠅くまとわりつくジョルジュを無視して。


 奴らの夢を実現してやれるのは俺たちだけなんだから。
 いいじゃないか、どうせ俺たちを疑うような知恵の働く奴なんかいやしない。
 慌てる乞食はもらいが少ない。金のがちょうはたっぷりと餌をやって朝を待て。
 ゆっくり時間をかけて、たーっぷりと搾り取ろうぜ、な?ジョルジュ。

 だって兄貴。こんなに長く一つ処にいるの、始めてじゃないか。
 俺、なんだか怖いんだよ。あまりにも話がうまくいきすぎてる。
 塔が建っちまったら、もう逃げられないんだぜ…?
 何考えてるんだよ、兄貴ィ!

 ジョルジュ。いいから俺に任せておけ。お前は心配しなくていいんだ。
 本当に…可愛いな、お前は。でも、あんまりウルサいと捨てていくぞ。

 !!冗談でもやめてくれよ!俺はもう、一人はイヤだからなーっ!!



…あの作品で、妄想できるのって私くらいなんじゃないだろうか。不安。

いくらなんでも長いので、いったん切ります。(一万字超えそうだ)
続きはいずれ。

.
園加にはまりました。


以上。


で終わってもいいくらい、桐生園加さんが輝いていたショーでした。



えーーっと。

三木さん作・演出のショー「ファンシー・ダンス」。

「踊れる人」だけが、
「素晴らしい振付」を得て、
ひたすら踊りつづける。


そういう、素晴らしいショー作品。

まだ振付が身体に入っていない人も多く、こなすのに精一杯でまとまりがなかったのが残念ですが。
東宝ではこのショー目当てに通う予定でーす!


とにかく、振付がかっこいい。
中でもきりやんが凄い。
ペトルーシュカのきりやんの超絶ダンス!すげーーーーーっ!
もの凄いことになってます。

あそこ、ムーア人役があひちゃんじゃなくてマギー(星条海斗さん)とかだったら、もう本当にどこ観ればいいのかわからないですよ!

そして、私の大好きなKAZUMI-BOY振付の「ラスト・ダンス」。
これこそ、どこ観ていていいのかわからなくて目がうろうろしてます(←挙動不審)。全員かっこよすぎで巧すぎです。

ただ。
個々の場面の完成度はものすごいレベルになりつつあるのですが。
一つの「ショー」として全体を通してみると、いくつか大きな欠点があったことも事実、かな。


最大の欠点は中詰めの盛り上がらなさ。

場面のストーリー自体は面白いし、出演者も良くやっているんですけど。
せっかく麻子さんとかなみちゃんのデュエットダンスで最大限に盛り上がったのを、ナホ(越乃リュウ)ちゃんの「撮影終了!」で切ってしまうので、そこで観客の気持ちもいったん切れてしまうんですよね……。

それをもう一度、みんなが出てきて盛り上げるんですけど。
そこから銀橋に行くまでが短すぎて、テンションがあがりきる前に終わってしまう感じなのが……
残念で残念で。

宝塚のショーの中詰めって、若手からだんだんスター格が出てきて、「次はこの人か、お、次はこの人か、さあ次はトップだぞ来るぞ来るぞ、うおおおお出てきた!わーーーーーっ!!」 っていうのがあって、総踊りで更に盛り上げて、最高潮に達したところで銀橋に出る、っていうのが…
…なんというか、「お・約・束」って感じじゃないですか。

この「さあ来るぞ来るぞ、うおおおおキターーーーっ!」っていうのが、どこにもないんですよね、あのショー。

盛り上がらないままにとりあえず銀橋に出てきちゃっても、銀橋で盛り上げれば別にそれはそれでいいんですけど。
そこも時間的に短くてちょこっとポーズとってすぐ終わってしまうなんて…

もったいない。

麻子さんの「ワンモアタイム!」が空しく響きます。
寂しいです(涙)。

他にも、なんでせっかくの名場面「ペトルーシュカ」のラストに
「ご挨拶」を入れなくちゃいけないんだよ!?とか、いくつか構成上の不満はあります。


それにね。
なんていうか、そうそうたる顔ぶれの振付陣を見たときから懸念していたのですけれども。

気を抜く場面がないんですよね。
どの場面も、いい振付だらけ見所だらけで。

……集中して(しかもあちこちを)観なくてはならないので、かなり疲れるショーではあります。


わぁお、我ながら贅沢な悩みだなあ。
お芝居なんて、どこで起きようかな、って感じなのに(ヲイ)。


あと、ちょっと小さな声で言いたいんですけど。
いくらなんでも同じ人使いすぎなんじゃ。
(↑太字かよ)

麻子さん〜あひちゃんまでのスタークラスはそれぞれ場面をわけあっていますけど、それ以下は。

出ている人は全ての場面に出ているし、
出てない人は総踊りしか出番がない。

残酷なほどにはっきりと、線がひかれている。
あの「ライン」。

私の贔屓は、「ダンサー」ではまったくないので。
ああいうのは観ていて辛くなるところも多々あります。はい。
そんなこと言ってちゃいけないんですけどね。もちろんわかっているんです。
でもこれは、ホントウのホンネの根っこの滴。

本人がんばっているし、何より嬉しそうにやっているので、いつだって楽しいんですけどね。

ダンサーさんたちの見事なダンスに惚れ惚れと、その世界に浸り込みながら。

ほんの少し、胸の片隅がちりちりする、…そんなショーです。


…ああ、どうして私はあの人のファンになってしまったんだろう…(苦笑)。


いや、あの、その、そんなことはおいといて。

園加、マギー、まさお(龍真咲)、みりお(明日海りお)をはじめとするアイワナダンスメンバーは、本当にすべての場面に出ているような気がします。立ち位置もえらい位置にいて、びっくりすることしばしば。
まぐ(流輝一斗)、みっしょん(美翔かずき)、りこ(麻月れんか)ちゃんあたりもそうかな。とくにりこちゃんは、今まであんまり使われていなかったのに、オクラホマあたりから突然いいところに来るようになって、毎回驚いてしまいます(笑)。せっかく良い位置にいるので、ダンスがんばってね(^ ^)。

娘役ではあいあい(城咲あい)、みっぽー(美鳳あや)、ねね(夢咲ねね)ちゃん、れみ(白華れみ)ちゃん。とくにあいあいは、ペトルーシュカの黒いドレスが終わったと思ったらまたすぐに出てきたので驚きました。しかもあの短時間にちゃんとメークも変えてる。プロだ。

みっぽーは常に舞台の上にいます。今回はふじこ(紫水梗華)ちゃんが退団だし、麗百愛ちゃんも出てきているから出番も分け合うのかと思っていましたが…ぜーんぶみっぽーでしたね。驚愕。
(私はみっぽーのダンスが一番好きなので、嬉しいかぎりではありますが/汗)

まぁ、みっぽーは芝居巧者で、ダンサーとしても色んな色を出せる(清純派もいけるし色っぽくもコケティッシュにもかっこよくもなれる)希有な人なので、使い易いんでしょうけれども…。


でも、どうしても。
いくら巧い人たちでも。

同じ人が出れば、どうしたって色が似てしまいます。

振付も美術も衣装も何もかも違うけど、
でもやっぱり、「ああまた同じメンバーだ」と思ってしまう。
そんな人間心理。

やっぱちょっと、もったいない、かも。


…などと、構成上の問題はいろいろありますが。

もう少し全員振りが身体に入って、
回りを見る余裕ができてくれば。

フォーメーションを揃えよう、という気になってくれさえすれば。

そして、フィナーレ前の黒エンビだけでもいいから、振りを揃えよう!という意識をもってくれさえすれば!!(←月ッ子には無理だろーなー…涙)

そうなれば、私は東宝で、ものスゴーく通い詰めることになるでしょう…。




最後に、ちょっとだけ(本当か?)園加を語りたい。

園加ちゃんが凄いダンサーなことは知ってました。
花組のショーではいつも、さお太(高翔みずき)さんと園加に釘付けでしたから。

切れのいい、直線的で漢っぽい、野郎系のダンス。ジャンプ力というか上下の動きがすごく切れてて、滞空時間が長くて、3次元空間で踊る人だなあという印象を持っていました。
あと、スタイル自体はそんなに良い訳じゃないのに、決めポーズのラインをきっちり作ってトメるからすごいキレイで。

動いてよし、止まってよし。

そんな素材。ショー作家はさぞ使いたいでしょうね。
実際使われていましたし。…今回は桁の違う使われ方でしたけど(^ ^;)

でも。
はっきり言って、ビジュアルは(スタイルも)いけてない。
そう思っていた私。

園加って、ビジュアルもいけてたんだ………!(驚愕)

そんなことを、はじめて知った「シェヘラザード」でした。

私が「桐生園加」というジェンヌをはじめて覚えたのは、樹里さんのディナーショーでの強烈な女装(←そこかよ/涙)でした。
バストラインがどうみても作りモノじゃなくて。(←しかも、観てるのはそこか)
なのに、誰がどうみてもオカマで。(←なんでだ…号泣)

以来、カレはイロモノ、と思っていたフシがありまして。

いやはや。

ダンスよりも。

組んで踊っているみっぽーちゃんの軟体動物ぶり(関節いくつあるんだあの身体)よりも

…園加の美貌に釘付けだったなんて、とても口には出せない…。
(だからって文字にするか)


あの眼がいいんです。
危険をはらんだ、三白眼が。
前髪の隙間から、ちらっと見えるあのキツい眼。

…前髪なくっちゃダメよ園加。あの眼を晒しちゃいかん。ちょっと髪で隠れるくらいの方がいいの。リーゼントより絶対前髪があった方が好きです。
…はい、そのへんにしときます。やっぱり止まらなかったな園加語り…。


今日はまっつが月組を観にきていたそうですね。
うおおおおお、園加嬉しかったでしょうねぇ〜!
観たかったよーーー。

いや、すいません、もちろんまっつだけじゃなくて、花組の皆さまがいらしてくださったんだし(汗)、園加に会いに来たわけではなくて麻子さんもいるし、きりやんもいるし、普通に月組を観にきてくれたんですけど!

…単に私は腐女子なもんですからっっ(滝汗)

いやー、
…嬉しそうに花組メンバーにアピールしまくって、なのになんとなく照れ照れになってる園加…

いかん。つい想像してしまった。かわいーーーーっ。


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