新年のご挨拶&「カサブランカ」
2010年1月1日 宝塚(宙)新年明けまして、おめでとうございます。
とりあえず、すいているうちに、と思って、夜明け前にお参りにいってきました(^ ^)
寒かったーーーーっ!!
いつのまにか「安産の神社」になってしまっていたので、病魔退散のお札はもらえませんでしたが、かなり真剣に「誰も休演しませんように」と祈ってきました。
たくさんの人からお祈りされて、かみさまもお忙しいかと思いますが、どうぞ、このお願いだけは聞き届けてね(強制)。
去年も大概激動でしたが。
今年もきっと、いろんなことがあることでしょうね。
それでも、なお。
思い出深い、素敵な一年になりますように。
さて。
猫の今年の観劇計画は、1月3日の「カサブランカ」初日に始まります。
大劇場で観劇しても、いろんなことがあって“きちんと”は書けていないなと思うので。東宝初日にむけて、今日からさっそく書き始めたいと思います(^ ^)。
どこまで進むかわかりませんが、どうぞお付き合いくださいませ。
■プロローグ ~1940年11月~
カサブランカへやってきた男、リック(大空祐飛)。
裏の顔役でもあるイタリア人のフェラーリに紹介されて、カサブランカの立派な屋敷を一つ買い取る。
新しいカフェを経営するために。
銀橋を渡りながら歌う歌が、思ったより良くてホッとしました(^ ^;ゞ
初見のときは『トップマイク』というものの偉大さに目を瞠ったりもしたんですけど……、まあ、あの、びょうびょうたる風のような歌声は、歌の内容にもぴったり合っているのかなあ、と。
♪パリに残したはずの苦い愛を棄てきれずに地中海を渡った
♪目の前に広がる大西洋(アトランティック)
♪二度と還れぬアメリカに繋がる
♪行方を失くしたこの俺の最後の港か カサブランカ
リックが還りたいのはアメリカなのか、パリなのか。
そのあたりを曖昧にしたまま、リックは銀橋を渡り、砂と海に囲まれた白い舘に辿りつく……。
この場面で使われる映像は、本当に映画のタイトルバックみたいで印象的です。
カサブランカを見下ろす鳥瞰景から、街の中へ舞い降りていく感じがすごくいい。1941年のカサブランカ、という謎の街へ入っていく導入部として、これ以上のものはないのでは、と思ったくらいでした。
■第1場 裁判所前広場 ~1941年12月1日昼間~
背景の映像と共に街の中へと分け入っていくと、両袖から人々が登場してきて、裁判所広場へ。
ヴィザを求める亡命者たちの大ナンバー、「ヴィザを!ヴィザを!」。
まー、とにかくこの場面では、宙組のコーラスの凄さに度肝を抜かれてください(^ ^)。
10年前の組発足当初から凄かった宙組のコーラスが、これだけ人が入れ替わった今になっても未だ健在なのが、なにか嬉しい♪ ここ数年、この武器を思う存分発揮できるような演目が回ってきていなかったので、良かったねーと思います(^ ^)
様々な立場の人々が交錯する広場。
ヴィザを求める亡命者たち。
兵士に呼ばれて一列に並んだ彼らの中で、一人(七海ひろき)だけがヴィザを手にして出てくる。
連れの女(綾音らいら)と抱き合って喜ぶ二人。その手から、ヴィザを奪い取ろうと(?)する男(光海舞人)。万感の思いを籠めて、手の中の紙を、神の啓示を凝っと見つめて。
その手から全ての希望を奪い返し、女と二人、自由へ向かって駆け出していく、かいちゃんの光。
でも。
そんな程度のドラマなら、日常茶飯事。
あらゆることが時を選ばずに起こる、それがカサブランカ。
警官たちに追われるレジスタンス(蓮水ゆうや)。
彼らの銃声に驚き、怯えるアメリカからの観光客(カーティス夫妻/美風&十輝)。
観光客の(=観客の)暢気な疑問に一つ一つ答えつつ、懐の隙を狙うスリ(ジャン/珠洲春希)。
彼の語る「昨日、ドイツの外交官が殺されて……」という話を聞きながら、そっと胸(懐の書類)を押さえつつ、逃げるように上手にハケていくウガーテ(天羽珠紀)。
何も知らない観光客、という存在をうまいことつかって、さりげなく時代背景や状況を説明してしまう流れはさすがだな、と思います。
親独政権の象徴・ヴィシー政権の立役者・ペタン元帥の肖像画を殴りつける亡命者(蒼羽りく)。
それを一生懸命宥めつつ引き剥していた、藤咲えりちゃん。
裁判所広場から空港は近いらしく、すぐ頭上を飛行機が翔んでいく。
「リスボンまで乗せてくれーーーーっ!!」
悲痛な声で叫ぶ亡命者(星吹彩翔)。
絶望に泣き崩れる女(花露すみか)。
彼女を慰める、ブルガリアからの亡命者の青年ヤン(凪七瑠海)。
「いつか貴女も、あの飛行機に乗れますよ」
そんな御伽噺をそっと囁く、少し鼻にかかった声。青臭くて一生懸命で、なかなか良いです。
そんな夫を見守る歳上の妻・アニーナ(花影アリス)の表情が切なげで。
現実の見えていない、御伽噺を信じている青年と、その青年の瞳の光を守りたいと思っている、女の対比。
実際の歳の差は僅かでも、女の方が現実を見ているんでしょうね。何があっても、あたしはこの男を見捨てはしない。あたしが必ず、この男の夢を叶えてみせる、、、と。
初見ではあまり何とも思わずに、コーラスの迫力に気圧されているばかり、だったのですが。
何度か観ていくうちに、アルバイト中の亡命者チェックが面白くなってきます。
「太王四神記」の人使いのあらっぽさも凄いなと思いましたが、小池さん、今回も相当です(^ ^;
まず、しょっぱなからリックの店のウェイター(?)ビゴー(かいちゃん)が目立つ役をやっているんだけど、いいのか?みたいな。ビゴーがここでヴィザを手に入れちゃって出国しちゃったら、リックも新しい黒服が見つかるまで困るだろうに、、、みたいな。
他にも、リックの店で亡命希望者を苛めている天玲美音・天輝トニカのお二人がいたり(^ ^)。
さらに不思議なのは、すぐ次の場面で兵士として出てくる皆様。ドイツ兵の雅桜歌・春瀬央季・実羚淳・朝央れん、カッセル中尉役の澄輝さやと、トネリ大尉の月映樹茉、イタリア兵の瑠美絢。物凄く忙しいと思うんですよね、このメンバーは。まあ、亡命者たちの二曲目(「銀色の翼」)がまるっとあるので、そんなに物凄い早替りではないんですが、、、でも、それなりに大変なんじゃないのかなあ。
何も彼らを出さなくても、組子が80人近くもいるんだから他にいるだろうに…と思ったんですけど、プログラムを見て納得。肌を黒くしちゃってる人は『亡命者』にはなれないし、それ以外の男役は最下まで全員出てる(^ ^)。アルバイトに頼るしかないわけだ。
さすがに88期は出さなかっただけ、小池さん的には配慮したうちに入るのでしょうか。「太王四神記」も娘役が兵士に入りまくって大変なことになってましたが、今回もやっぱり人海戦術なんだなあ(^ ^)。
アルバイトの人たちが抜けた後は娘役で埋めて、次の場面へ。ドイツ軍の飛行機に怯える亡命者たちは、女性が増えているだけに切迫感があります。小池さんって、そこまで計算して人を動かしているんだろうか……。
■第二場 裁判所前広場~空港
裁判所前広場の喧騒の中に、警視総監のルノー大尉(北翔海莉)が部下たちを引き連れて登場。
挨拶をして話しかけてくるジャンを軽くかわして、シュトラッサー少佐(悠未ひろ)の出迎えに空港へ向かう。
映像のプロペラ機の小さなドアから、身を屈めて出てくるのは、大きなともちん。
花組の「外伝・ベルばら」のフェルゼン様(真野すがた)登場と良く似たシチュエーションなのに、こっちはごくシリアスな場面として成立していたのは何故だろう……やはり、演出の勝利なのかしらん?
この場面にしても、ラストシーンも、映像の飛行機の扉のラインと実際の開口部の位置なんて全然合ってないのに、なんとなく納得してしまうんですよね。人間って不思議だなあ。
ナチス軍服を隙なく着込んだともちんの格好良さは、群を抜いています。いやー、本当に格好良い!!ナウオンなどで素で喋っている姿はめちゃめちゃ乙女なのに(^ ^)。ともちんに軍服(ロングコート付!!)を着せた時点で、小池さんの勝利は目前、って感じです。
まずシュトラッサーは、前日に起こった外交官殺害事件について質問する。
ルノーは彼に「犯人のめぼしはついている。彼は必ず、リックの店に現れるだろう」と報告し、車で去る彼を見送って幕前で呟く。
♪晴れの日もあれば、雨の日もある
♪人生にも波があり、国にも浮き沈みがある
嫌なことは見過ごして、陽が射すのを黙って待っているのさ、と嘯く彼は、もしかしたら誰よりも祖国を愛しているのかもしれない、と思います。
のんびり生きていてもなんとかなる、それはフランスが豊かな農業国だから言えること。
気候の厳しいドイツでは、人々はもっとガツガツしています。だって、頑張らなくちゃ食べていけない国なんですから。そんな連中に、豊かな祖国を食い荒らされるのが悔しくてしょうがない。
だけど、国力の差と兵力の差は比例しません。今闘いを挑んでも、勝てるはずが無い。いつか、無理を続けているドイツも疲れるときが来る、その時まで……
♪微笑みで苦さ隠して 見過ごして 生き残る
まずは時が来るまで生き残らなくては、どうすることもできないのだから。
とりあえず、この場面の見所は、シュトラッサーに挨拶しようとしてカッセル中尉に止められるイタリアのトネリ大尉(月映)。
いやー、所属する国が違うとはいえ、大尉であるトネリにカッセルは随分乱暴な物言い(手を掴んだりとか、行為としてもカナリ乱暴)だな、と思ったりもするんですけど、そんなものなのでしょうか。当時のフランスとイタリアは決して仲良くないはずなのですが、ヴィシー政権下だからイタリアとは同盟国ってことになるのかな?(←無知)
あと、シュトラッサーを迎えに現れるナチス車の運転手(蓮水ゆうや)のクールな横顔がとても素敵♪ 大劇場公演前半の休演騒ぎの最中に観たときは、カーティス(夫)を演じたあと、そのまま髭を取る暇もなく出てきたちーちゃんの、髭+ナチス軍服というクールな姿に完全に撃ち抜かれた猫だったのですが……あああ、素敵だったなあちーちゃん………(*^ ^*)。
まさこちゃんが復帰してからは、運転手さんは髭無しです。しょぼん。……いや、もちろん、髭はなくてもちーちゃんは素敵です(^ ^;ゞ。
■第3場 リックの店 ~1941年12月1日夜~
ルノー大尉の「会いたい人がいるなら、リックの店に行くといい」という、どこのポスターのコピーかと思うような宣伝文句と同時に、流れてくる陽気な音楽。
リックの店の専属ピアニスト・サム(萬あきら)の軽快なピアノと、歌声。
幕が上がると、リックのカフェ・アメリカンの見事なセットが登場。人々の笑い声が溢れた、陽気なカフェ。
最初に見えるのは、店の玄関。ちょうど開店時間なのか、ちょっとあくびをしながら出てくるムーア人の少年(風馬翔)が可愛いです。ドアを開いて、お客様を出迎える。
上手から回り続ける盆は、店の中に入っていく。この作品がすごく映画的だ、と思うのはこんなときです。セットが盆に載って水平に動いていく様子が、滑らかにパンしていくカメラみたいで、視点の流れがすごく新鮮。
こう見てほしい、という演出家の意思がはっきりと伝わる演出だと思うんですよね。特に一階席だとその印象が顕著。二階席だと、演出家の意思に反したところ(セットの裏とか)がすごく面白くて目が離せないんですけど(^ ^)。
そうして、店の中でカメラ(盆)が止まる。
中央にピアノとサム。下手側のドアからは次々に客が現れ、上手側のカジノに流れていく人もいる(出てくる人も居る)。上手側手前にバーカウンターが出てきて、陽気なバーテンのサッシャ(春風美里)が鼻歌を歌いながらグラスを磨いている……。
……ここから先は長いので、いったん切らせていただきます。
年始早々、進みが遅くってすみません(^ ^;ゞ
.
とりあえず、すいているうちに、と思って、夜明け前にお参りにいってきました(^ ^)
寒かったーーーーっ!!
いつのまにか「安産の神社」になってしまっていたので、病魔退散のお札はもらえませんでしたが、かなり真剣に「誰も休演しませんように」と祈ってきました。
たくさんの人からお祈りされて、かみさまもお忙しいかと思いますが、どうぞ、このお願いだけは聞き届けてね(強制)。
去年も大概激動でしたが。
今年もきっと、いろんなことがあることでしょうね。
それでも、なお。
思い出深い、素敵な一年になりますように。
さて。
猫の今年の観劇計画は、1月3日の「カサブランカ」初日に始まります。
大劇場で観劇しても、いろんなことがあって“きちんと”は書けていないなと思うので。東宝初日にむけて、今日からさっそく書き始めたいと思います(^ ^)。
どこまで進むかわかりませんが、どうぞお付き合いくださいませ。
■プロローグ ~1940年11月~
カサブランカへやってきた男、リック(大空祐飛)。
裏の顔役でもあるイタリア人のフェラーリに紹介されて、カサブランカの立派な屋敷を一つ買い取る。
新しいカフェを経営するために。
銀橋を渡りながら歌う歌が、思ったより良くてホッとしました(^ ^;ゞ
初見のときは『トップマイク』というものの偉大さに目を瞠ったりもしたんですけど……、まあ、あの、びょうびょうたる風のような歌声は、歌の内容にもぴったり合っているのかなあ、と。
♪パリに残したはずの苦い愛を棄てきれずに地中海を渡った
♪目の前に広がる大西洋(アトランティック)
♪二度と還れぬアメリカに繋がる
♪行方を失くしたこの俺の最後の港か カサブランカ
リックが還りたいのはアメリカなのか、パリなのか。
そのあたりを曖昧にしたまま、リックは銀橋を渡り、砂と海に囲まれた白い舘に辿りつく……。
この場面で使われる映像は、本当に映画のタイトルバックみたいで印象的です。
カサブランカを見下ろす鳥瞰景から、街の中へ舞い降りていく感じがすごくいい。1941年のカサブランカ、という謎の街へ入っていく導入部として、これ以上のものはないのでは、と思ったくらいでした。
■第1場 裁判所前広場 ~1941年12月1日昼間~
背景の映像と共に街の中へと分け入っていくと、両袖から人々が登場してきて、裁判所広場へ。
ヴィザを求める亡命者たちの大ナンバー、「ヴィザを!ヴィザを!」。
まー、とにかくこの場面では、宙組のコーラスの凄さに度肝を抜かれてください(^ ^)。
10年前の組発足当初から凄かった宙組のコーラスが、これだけ人が入れ替わった今になっても未だ健在なのが、なにか嬉しい♪ ここ数年、この武器を思う存分発揮できるような演目が回ってきていなかったので、良かったねーと思います(^ ^)
様々な立場の人々が交錯する広場。
ヴィザを求める亡命者たち。
兵士に呼ばれて一列に並んだ彼らの中で、一人(七海ひろき)だけがヴィザを手にして出てくる。
連れの女(綾音らいら)と抱き合って喜ぶ二人。その手から、ヴィザを奪い取ろうと(?)する男(光海舞人)。万感の思いを籠めて、手の中の紙を、神の啓示を凝っと見つめて。
その手から全ての希望を奪い返し、女と二人、自由へ向かって駆け出していく、かいちゃんの光。
でも。
そんな程度のドラマなら、日常茶飯事。
あらゆることが時を選ばずに起こる、それがカサブランカ。
警官たちに追われるレジスタンス(蓮水ゆうや)。
彼らの銃声に驚き、怯えるアメリカからの観光客(カーティス夫妻/美風&十輝)。
観光客の(=観客の)暢気な疑問に一つ一つ答えつつ、懐の隙を狙うスリ(ジャン/珠洲春希)。
彼の語る「昨日、ドイツの外交官が殺されて……」という話を聞きながら、そっと胸(懐の書類)を押さえつつ、逃げるように上手にハケていくウガーテ(天羽珠紀)。
何も知らない観光客、という存在をうまいことつかって、さりげなく時代背景や状況を説明してしまう流れはさすがだな、と思います。
親独政権の象徴・ヴィシー政権の立役者・ペタン元帥の肖像画を殴りつける亡命者(蒼羽りく)。
それを一生懸命宥めつつ引き剥していた、藤咲えりちゃん。
裁判所広場から空港は近いらしく、すぐ頭上を飛行機が翔んでいく。
「リスボンまで乗せてくれーーーーっ!!」
悲痛な声で叫ぶ亡命者(星吹彩翔)。
絶望に泣き崩れる女(花露すみか)。
彼女を慰める、ブルガリアからの亡命者の青年ヤン(凪七瑠海)。
「いつか貴女も、あの飛行機に乗れますよ」
そんな御伽噺をそっと囁く、少し鼻にかかった声。青臭くて一生懸命で、なかなか良いです。
そんな夫を見守る歳上の妻・アニーナ(花影アリス)の表情が切なげで。
現実の見えていない、御伽噺を信じている青年と、その青年の瞳の光を守りたいと思っている、女の対比。
実際の歳の差は僅かでも、女の方が現実を見ているんでしょうね。何があっても、あたしはこの男を見捨てはしない。あたしが必ず、この男の夢を叶えてみせる、、、と。
初見ではあまり何とも思わずに、コーラスの迫力に気圧されているばかり、だったのですが。
何度か観ていくうちに、アルバイト中の亡命者チェックが面白くなってきます。
「太王四神記」の人使いのあらっぽさも凄いなと思いましたが、小池さん、今回も相当です(^ ^;
まず、しょっぱなからリックの店のウェイター(?)ビゴー(かいちゃん)が目立つ役をやっているんだけど、いいのか?みたいな。ビゴーがここでヴィザを手に入れちゃって出国しちゃったら、リックも新しい黒服が見つかるまで困るだろうに、、、みたいな。
他にも、リックの店で亡命希望者を苛めている天玲美音・天輝トニカのお二人がいたり(^ ^)。
さらに不思議なのは、すぐ次の場面で兵士として出てくる皆様。ドイツ兵の雅桜歌・春瀬央季・実羚淳・朝央れん、カッセル中尉役の澄輝さやと、トネリ大尉の月映樹茉、イタリア兵の瑠美絢。物凄く忙しいと思うんですよね、このメンバーは。まあ、亡命者たちの二曲目(「銀色の翼」)がまるっとあるので、そんなに物凄い早替りではないんですが、、、でも、それなりに大変なんじゃないのかなあ。
何も彼らを出さなくても、組子が80人近くもいるんだから他にいるだろうに…と思ったんですけど、プログラムを見て納得。肌を黒くしちゃってる人は『亡命者』にはなれないし、それ以外の男役は最下まで全員出てる(^ ^)。アルバイトに頼るしかないわけだ。
さすがに88期は出さなかっただけ、小池さん的には配慮したうちに入るのでしょうか。「太王四神記」も娘役が兵士に入りまくって大変なことになってましたが、今回もやっぱり人海戦術なんだなあ(^ ^)。
アルバイトの人たちが抜けた後は娘役で埋めて、次の場面へ。ドイツ軍の飛行機に怯える亡命者たちは、女性が増えているだけに切迫感があります。小池さんって、そこまで計算して人を動かしているんだろうか……。
■第二場 裁判所前広場~空港
裁判所前広場の喧騒の中に、警視総監のルノー大尉(北翔海莉)が部下たちを引き連れて登場。
挨拶をして話しかけてくるジャンを軽くかわして、シュトラッサー少佐(悠未ひろ)の出迎えに空港へ向かう。
映像のプロペラ機の小さなドアから、身を屈めて出てくるのは、大きなともちん。
花組の「外伝・ベルばら」のフェルゼン様(真野すがた)登場と良く似たシチュエーションなのに、こっちはごくシリアスな場面として成立していたのは何故だろう……やはり、演出の勝利なのかしらん?
この場面にしても、ラストシーンも、映像の飛行機の扉のラインと実際の開口部の位置なんて全然合ってないのに、なんとなく納得してしまうんですよね。人間って不思議だなあ。
ナチス軍服を隙なく着込んだともちんの格好良さは、群を抜いています。いやー、本当に格好良い!!ナウオンなどで素で喋っている姿はめちゃめちゃ乙女なのに(^ ^)。ともちんに軍服(ロングコート付!!)を着せた時点で、小池さんの勝利は目前、って感じです。
まずシュトラッサーは、前日に起こった外交官殺害事件について質問する。
ルノーは彼に「犯人のめぼしはついている。彼は必ず、リックの店に現れるだろう」と報告し、車で去る彼を見送って幕前で呟く。
♪晴れの日もあれば、雨の日もある
♪人生にも波があり、国にも浮き沈みがある
嫌なことは見過ごして、陽が射すのを黙って待っているのさ、と嘯く彼は、もしかしたら誰よりも祖国を愛しているのかもしれない、と思います。
のんびり生きていてもなんとかなる、それはフランスが豊かな農業国だから言えること。
気候の厳しいドイツでは、人々はもっとガツガツしています。だって、頑張らなくちゃ食べていけない国なんですから。そんな連中に、豊かな祖国を食い荒らされるのが悔しくてしょうがない。
だけど、国力の差と兵力の差は比例しません。今闘いを挑んでも、勝てるはずが無い。いつか、無理を続けているドイツも疲れるときが来る、その時まで……
♪微笑みで苦さ隠して 見過ごして 生き残る
まずは時が来るまで生き残らなくては、どうすることもできないのだから。
とりあえず、この場面の見所は、シュトラッサーに挨拶しようとしてカッセル中尉に止められるイタリアのトネリ大尉(月映)。
いやー、所属する国が違うとはいえ、大尉であるトネリにカッセルは随分乱暴な物言い(手を掴んだりとか、行為としてもカナリ乱暴)だな、と思ったりもするんですけど、そんなものなのでしょうか。当時のフランスとイタリアは決して仲良くないはずなのですが、ヴィシー政権下だからイタリアとは同盟国ってことになるのかな?(←無知)
あと、シュトラッサーを迎えに現れるナチス車の運転手(蓮水ゆうや)のクールな横顔がとても素敵♪ 大劇場公演前半の休演騒ぎの最中に観たときは、カーティス(夫)を演じたあと、そのまま髭を取る暇もなく出てきたちーちゃんの、髭+ナチス軍服というクールな姿に完全に撃ち抜かれた猫だったのですが……あああ、素敵だったなあちーちゃん………(*^ ^*)。
まさこちゃんが復帰してからは、運転手さんは髭無しです。しょぼん。……いや、もちろん、髭はなくてもちーちゃんは素敵です(^ ^;ゞ。
■第3場 リックの店 ~1941年12月1日夜~
ルノー大尉の「会いたい人がいるなら、リックの店に行くといい」という、どこのポスターのコピーかと思うような宣伝文句と同時に、流れてくる陽気な音楽。
リックの店の専属ピアニスト・サム(萬あきら)の軽快なピアノと、歌声。
幕が上がると、リックのカフェ・アメリカンの見事なセットが登場。人々の笑い声が溢れた、陽気なカフェ。
最初に見えるのは、店の玄関。ちょうど開店時間なのか、ちょっとあくびをしながら出てくるムーア人の少年(風馬翔)が可愛いです。ドアを開いて、お客様を出迎える。
上手から回り続ける盆は、店の中に入っていく。この作品がすごく映画的だ、と思うのはこんなときです。セットが盆に載って水平に動いていく様子が、滑らかにパンしていくカメラみたいで、視点の流れがすごく新鮮。
こう見てほしい、という演出家の意思がはっきりと伝わる演出だと思うんですよね。特に一階席だとその印象が顕著。二階席だと、演出家の意思に反したところ(セットの裏とか)がすごく面白くて目が離せないんですけど(^ ^)。
そうして、店の中でカメラ(盆)が止まる。
中央にピアノとサム。下手側のドアからは次々に客が現れ、上手側のカジノに流れていく人もいる(出てくる人も居る)。上手側手前にバーカウンターが出てきて、陽気なバーテンのサッシャ(春風美里)が鼻歌を歌いながらグラスを磨いている……。
……ここから先は長いので、いったん切らせていただきます。
年始早々、進みが遅くってすみません(^ ^;ゞ
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「カサブランカ」【2】
2010年1月2日 宝塚(宙)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
■第3~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)
ここからしばらくは、リックの店の中をいったりきたりしつつ、会話だけで物語が進んでいきます。
まず最初は、オーナーのリックが不在の店内。
いつもどおりに、賑やかで陽気で。だけどちょっとだけ、そこかしこに漂う不穏な空気。
人生の酸いも甘いも知り尽くしたサム(萬あきら)の、穏やかな歌声。
それを切り裂くような亡命者(星吹彩翔)の心の叫び。「カサブランカは俺の墓場だ!」机に突っ伏す、彼の熱情。
上手側のテーブルでは、女性(花露すみか)が宝石商(天輝トニカ)に宝石を売っている。
「皆さんダイヤをお売りになるので値崩れして…」
「そんな!」
こんな金額ではヴィザは手に入らない。再び絶望に染まっていく頬。
その隣のテーブルでは、レジスタンス(鳳翔大・愛月ひかる)が活動を報告しあっている。
「トラックの手配はできた」
「じゃあ、、、」
フランス娘(琴羽桜子)の肩を抱いたドイツ兵(春瀬央季)が、彼らの後ろを通り過ぎる。敬礼して話しかけてくるドイツ人のヘルム(雅桜歌)。慌てて話を切って、当たり障りの無い話を始めるレジスタンス。
「…あの女はやめておけ」
ビールを注ぎながら話しはじめる愛月くんが、回を重ねるごとにどんどん巧くなっていくのを凄いなあと思いながらみてました♪
さらにその隣(下手側)では、密航による出国の相談。
「1万5千、キャッシュで」
冷酷に告げる天玲美音くんの、反論を許さない明確な声と、凄み。底冷えのする凄艶な笑みが怖ろしい。そして、音が飛び飛びで難しいナンバーをピタッとはめる歌唱力。さすが歌手だなあ、と思いました。
「足りなければ舟は出ない。それだけだ」
亡命者役の美月遥くんの、喜びから絶望へ一瞬にして転げ落ちていく芝居がすごく良いです。ここは必見。っていうか、天玲くん、死の大天使と呼んであげたいくらい素敵です(^ ^)。
……えーっと、このあたりで一段落ついて、視点がバーカウンターに回る……んだったかな?
もしかして、順番とかが違っていたらご指摘くださいませ。
あちこち注文を聞いてカウンターに回ったカール(寿つかさ)に、バーテンのサッシャ(春風美里)が話しかける。
「どうだい、景気は?」
「上々さ」
気心の知れた店員どうしのさりげないやり取りにも、『リックの店』らしさがあるんだなあ、と思うのはこんなところですね。
店の中をうろうろしたあげくに、バーカウンターに近づいてくるアメリカ人観光客のカーティス夫妻(美風舞良・十輝いりす)。
妻「みんな愉しそうねえ」
サ「お客さん、アメリカから?」
妻「どうしてわかるの?」
サ「そりゃ…(逡巡)、垢抜けてるから!」(←絶対、「お気楽だから」って言いたかったに違いない)
このあたりでサムの歌が止まり、少し雰囲気が変わります。
たぶん、時間が流れた、ってことを表現しているんだと思うのですが。
その間に、女の子の肩を抱いたドイツ兵をはじめ、大半の客は店から出て行き、また新しい客が入って来る。
店の奥に腰を据えたヘルムは、最奥のドア(実はカジノへの入り口)に関心を持ち、そのあたりをうろうろし始める。
ジャン(珠洲春希)は、テーブルからテーブルへ渡り歩きながら「カジノに行かない?」と誘いをかける(←賭け金をねだろうとしているのか?)
さっきまで不穏な会話をしていた前方テーブルの客たちは後方へ異動し、空いた一番真ん中の席に、さっきまでドア近くの席にいた美女二人(妃宮さくら・愛花ちさき)が移動してくる。
「リックはどこ?彼と話がしたいの。彼を呼んで?」
驕慢な態度でカールに言いつける二人。
「恐れ入りますが、オーナーは不在ですし、居たとしてもお客様のテーブルにはつきませんので」
「いいから呼んで頂戴!」
自分の身分をひけらかし、ヒステリックに言い募る上流階級の女性たちを、飄々とした態度で受け流すカール。
「私でよろしければ……」
そんな会話をしている後ろで、ヘルムが勝手にカジノに入ろうとして、アブドゥル(鳳樹いち)に止められるという騒ぎが起こる。
「こちらは特別室でございまして」
掴みかかられながら、二階に目をやるアブドゥル。
二階のカーテンの陰から、手の先だけで「NO」という仕草を見せるオーナー。
「オーナーの許可の無い方は、お通しできません」
「俺たちドイツ人は世界一優秀な民族なんだ。お前たちごときに!」
激昂して言い募るヘルム。
「私の店では、万人は皆、平等です」
涼やかな声が入って、二階との境のカーテンがあがる。
白いダブルのスーツを着込んだリック(大空祐飛)の登場。
初見での素朴な疑問として、“万人が平等”であるのならば、カジノに入れるか入れないかの基準はなんなんだろうな、と思いました。
だって、モロッコに来たばかりで、この店に来たのも初めてのはずのカーティス夫妻は、あっさり入れてるわけじゃないですか。タイミング的に、リックと会った気配もないし。ってことは、「一見さんお断り」ってわけじゃないんですよね?
いや、もちろん、ヘルムがあの差別的な言動から言って絶対駄目なんでしょうけど(汗)、カーティス夫妻がOK、という判断は何処でくだしたの?なんてことが気になったりします。
「私がこの目で判断する」と言っているけど、君はいつカーティスに会ったのかな?と。
……なんて、屁理屈はおいといて。
雅さん、「大江山花伝説」は三田も藤原保昌もすごく良かったのに、ヘルムは何かがおかしいような気がする(T T)なのに、「何」がおかしいのかが判らない(←ファンだから?)。うーん、スーツの着こなしというか、スーツを着たうえでの仕草のひとつひとつに何か違和感があるんですが、根本的に何がいけないんだろう。和物は似合っていたし、動きも良かったと思うのですが……(泣)。
えーっと。
話が逸れました。階段を降りてくるリックに注目。
美女たちの溜息が色っぽい♪
さすがに『ミリ単位で調整してもらった』だけあって、白いダブルのスーツもよく似合っています。良かった良かった……。
“これでもか”というほどの演出をしてもらっているとはいえ、ちゃんと、役者本人にも舞台全体を覆いつくすだけのオーラがあったことが、単純に嬉しくて、思わず拍手してしまいます♪(←ファンだなあ)
ヘルムが差し出す名刺を、ろくに見もしないで破り捨てる仕草が、何故だか格好良い。
舌打ちして店の奥に向かうヘルムの背に「一杯呑んでいってください。サービスします」と、笑い含みに投げつける嫌味が、すごく好き(*^ ^*)。ここは、雅さんにも、もう少し屈辱に震えてほしいところです(^ ^)。
そんな二人を見守っていた野次馬の輪の中からコソっと出てきて、
「カジノに入ってもいい?」
と甘えたように訊くウガーテ(天羽珠紀)も、タイミングが良くて巧いなあと思います。たまちゃん、今回も良い仕事しているよなあ♪ そして、そんなウガーテにOKを出すリックを見てキレるヘルムが、なんとなく可哀相な気もする。
そのまま、カジノへ向かうリック。盆が回り、ドアを自然に越えて入っていく。右方向へ水平にパンしていく視点。
中央にルーレット台のある、そんなに広くない部屋。西欧人のほとんどはルーレット台の回りに集まっていて、隅っこの方では、宝石商が売り物を見せていたり、ムーア人の客たちがのんびりとさんざめいていたり。
ドア近くのキャッシャーに並びながら、話しかけてくる客(光海舞人)。皆の呼びかけが「よう、リック」なのが、すごく良いなあと思います。客のテーブルにはつかない。個人的な話はいっさいしない。でも、店をうろうろしているときに掴まえれば、気の利いた会話の一つや二つはできる……そんな存在。
「やあ、リック」
「やあ、○○」
そんな、気の置けない挨拶が気持ちいいんだろうなあ。……こんな、地の果てでは。
貌に似合わない高い声で、リックに話しかけるウガーテ。
「さっきのドイツ野郎との喧嘩、格好良かったな」(←相当意訳してます)
「……」
「君が僕を軽蔑しているのは知ってる。僕が闇ヴィザを売っているからなんだろう?」
「それも、とんでもない高値でな」
「でも、あの悪徳警視総監よりは安いんだぜ」
「……」
「まあ、そんな闇稼業も今日で終わりだ。今夜、コレと引き換えに大金を手に入れて、僕はこの国を出て行く」
「それは?」
「外交官特権つきの通行証。どこにでも行ける魔法のヴィザさ。だからリック、僕が小一時間ルーレットで遊んでいる間、これを預かってくれないかい?」
「……何故俺に?」
それまで顔を伏せ気味にして、目を見ようとしなかった男が、ふと顔をあげる。
「あんたは、俺からモノを奪うような奴じゃない」
まっすぐな声で。
少し高めのたまちゃんの声には僅かに甘えたような響きがあって、ウガーテは見た目より若い男として造っているのかな、という印象をうけました。向こう見ずで無鉄砲で、ワルいけれども案外と筋の通った若者。
「ウガーテ。昨日殺されたドイツの外交官は、大事な書類を盗られたと聞いたが?」
「そうなのかい?」
書類をリックに預けて、肩の荷を下ろしたようにすっきりした顔で立ち上がりかけながら、生返事を返すウガーテ。
「ウガーテ、……君を見直したよ」
リックの台詞に、思わず振り返って破顔一笑するウガーテ。
……よっぽど、リックに認められたことが嬉しかったんだろうなあ、と、素直に思えた二人の絶妙の距離感が、さすがだと思いました。
そのまま、はずむ足取りでルーレット台に向かうウガーテを見送って、預った書類を懐にしまいつつ、思案顔でカフェに戻るリック。
おりしも店内は、サムの歌で大盛り上がりの真っ最中。
「(不幸の数だけ)テーブルを叩こう!」という陽気な歌に、客は皆、ノリノリで踊り、歌っている。
そんなサムを羨ましそうに見ているフェラーリ(磯野千尋)。
「リック、この店を俺に譲らないか?」
……いや、一年前にこの屋敷を紹介したのは貴方でしょうに。
フェラーリと話をしながら、サムのピアノの中にこっそり懐の書類を隠すリック。
そんなリックを見つけて、バーカウンターから立ち上がるイヴォンヌ(純矢ちとせ)。
「リック、昨夜はどこにいたの?」
「そんな昔のことは覚えてないな」
「じゃあ、今夜この後会える?」
「そんな先の計画は、……たてたことが、ない」
この会話は、本当に名台詞ですよね。
リックに振られて、荒れるイヴォンヌ。自分に惚れているサッシャに、「もう一杯」とねだる女心。
「サッシャ、もう十分だ。……タクシーを」
リックのクールな声が、頭を抱えていたサッシャを動かす。
弾かれたようにイヴォンヌの鞄を取ってくるサッシャ。…は、良いんですけど、どーして返事が「合点!」なんだろう……キミハイッタイドコノヒト(; ;)
さりげなくコートをもって来るカール。(←さすが年の功)
嫌がるイヴォンヌを店の外に連れ出し、タクシーに乗せるリックとサッシャ。
「サッシャ、家まで送れ。……すぐに戻って来るんだぞ」
一瞬喜びに輝いて、でもまたしょぼんとする大型犬が可愛いです。
タクシーのテールランプを見送るリックに、さりげなく話しかけてくるルノー。
プログラムを見ると、ここはオープンカフェになっているようですね。どうみても、待合のための椅子がある店先、程度にしか見えないんですが(T T)。
リックとルノーが喋っている脇を、なにやら言い争いしながら通り過ぎていくカッセル(澄輝さやと)とトネリ(月映樹茉)。
この二人、この場面では何とも思わないんですけど、後から考えると不思議な取り合わせですよね。カッセルは重大任務のために(ルノーの指示で)来たはずなのに、なんで単身で、ただカフェに遊びに来ただけの(?)トネリと一緒に入っていくんだろう……?
……たぶん、部下の掌握と管理はさっつん(風羽玲亜)に任されているんだろうな、と勝手に解釈してみた(^ ^)。
と、いうところで。
本当は、初日前にラズロとイルザの登場まで進んでおきたかったのですが。
あえなく終了……(T T)。
.
■第3~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)
ここからしばらくは、リックの店の中をいったりきたりしつつ、会話だけで物語が進んでいきます。
まず最初は、オーナーのリックが不在の店内。
いつもどおりに、賑やかで陽気で。だけどちょっとだけ、そこかしこに漂う不穏な空気。
人生の酸いも甘いも知り尽くしたサム(萬あきら)の、穏やかな歌声。
それを切り裂くような亡命者(星吹彩翔)の心の叫び。「カサブランカは俺の墓場だ!」机に突っ伏す、彼の熱情。
上手側のテーブルでは、女性(花露すみか)が宝石商(天輝トニカ)に宝石を売っている。
「皆さんダイヤをお売りになるので値崩れして…」
「そんな!」
こんな金額ではヴィザは手に入らない。再び絶望に染まっていく頬。
その隣のテーブルでは、レジスタンス(鳳翔大・愛月ひかる)が活動を報告しあっている。
「トラックの手配はできた」
「じゃあ、、、」
フランス娘(琴羽桜子)の肩を抱いたドイツ兵(春瀬央季)が、彼らの後ろを通り過ぎる。敬礼して話しかけてくるドイツ人のヘルム(雅桜歌)。慌てて話を切って、当たり障りの無い話を始めるレジスタンス。
「…あの女はやめておけ」
ビールを注ぎながら話しはじめる愛月くんが、回を重ねるごとにどんどん巧くなっていくのを凄いなあと思いながらみてました♪
さらにその隣(下手側)では、密航による出国の相談。
「1万5千、キャッシュで」
冷酷に告げる天玲美音くんの、反論を許さない明確な声と、凄み。底冷えのする凄艶な笑みが怖ろしい。そして、音が飛び飛びで難しいナンバーをピタッとはめる歌唱力。さすが歌手だなあ、と思いました。
「足りなければ舟は出ない。それだけだ」
亡命者役の美月遥くんの、喜びから絶望へ一瞬にして転げ落ちていく芝居がすごく良いです。ここは必見。っていうか、天玲くん、死の大天使と呼んであげたいくらい素敵です(^ ^)。
……えーっと、このあたりで一段落ついて、視点がバーカウンターに回る……んだったかな?
もしかして、順番とかが違っていたらご指摘くださいませ。
あちこち注文を聞いてカウンターに回ったカール(寿つかさ)に、バーテンのサッシャ(春風美里)が話しかける。
「どうだい、景気は?」
「上々さ」
気心の知れた店員どうしのさりげないやり取りにも、『リックの店』らしさがあるんだなあ、と思うのはこんなところですね。
店の中をうろうろしたあげくに、バーカウンターに近づいてくるアメリカ人観光客のカーティス夫妻(美風舞良・十輝いりす)。
妻「みんな愉しそうねえ」
サ「お客さん、アメリカから?」
妻「どうしてわかるの?」
サ「そりゃ…(逡巡)、垢抜けてるから!」(←絶対、「お気楽だから」って言いたかったに違いない)
このあたりでサムの歌が止まり、少し雰囲気が変わります。
たぶん、時間が流れた、ってことを表現しているんだと思うのですが。
その間に、女の子の肩を抱いたドイツ兵をはじめ、大半の客は店から出て行き、また新しい客が入って来る。
店の奥に腰を据えたヘルムは、最奥のドア(実はカジノへの入り口)に関心を持ち、そのあたりをうろうろし始める。
ジャン(珠洲春希)は、テーブルからテーブルへ渡り歩きながら「カジノに行かない?」と誘いをかける(←賭け金をねだろうとしているのか?)
さっきまで不穏な会話をしていた前方テーブルの客たちは後方へ異動し、空いた一番真ん中の席に、さっきまでドア近くの席にいた美女二人(妃宮さくら・愛花ちさき)が移動してくる。
「リックはどこ?彼と話がしたいの。彼を呼んで?」
驕慢な態度でカールに言いつける二人。
「恐れ入りますが、オーナーは不在ですし、居たとしてもお客様のテーブルにはつきませんので」
「いいから呼んで頂戴!」
自分の身分をひけらかし、ヒステリックに言い募る上流階級の女性たちを、飄々とした態度で受け流すカール。
「私でよろしければ……」
そんな会話をしている後ろで、ヘルムが勝手にカジノに入ろうとして、アブドゥル(鳳樹いち)に止められるという騒ぎが起こる。
「こちらは特別室でございまして」
掴みかかられながら、二階に目をやるアブドゥル。
二階のカーテンの陰から、手の先だけで「NO」という仕草を見せるオーナー。
「オーナーの許可の無い方は、お通しできません」
「俺たちドイツ人は世界一優秀な民族なんだ。お前たちごときに!」
激昂して言い募るヘルム。
「私の店では、万人は皆、平等です」
涼やかな声が入って、二階との境のカーテンがあがる。
白いダブルのスーツを着込んだリック(大空祐飛)の登場。
初見での素朴な疑問として、“万人が平等”であるのならば、カジノに入れるか入れないかの基準はなんなんだろうな、と思いました。
だって、モロッコに来たばかりで、この店に来たのも初めてのはずのカーティス夫妻は、あっさり入れてるわけじゃないですか。タイミング的に、リックと会った気配もないし。ってことは、「一見さんお断り」ってわけじゃないんですよね?
いや、もちろん、ヘルムがあの差別的な言動から言って絶対駄目なんでしょうけど(汗)、カーティス夫妻がOK、という判断は何処でくだしたの?なんてことが気になったりします。
「私がこの目で判断する」と言っているけど、君はいつカーティスに会ったのかな?と。
……なんて、屁理屈はおいといて。
雅さん、「大江山花伝説」は三田も藤原保昌もすごく良かったのに、ヘルムは何かがおかしいような気がする(T T)なのに、「何」がおかしいのかが判らない(←ファンだから?)。うーん、スーツの着こなしというか、スーツを着たうえでの仕草のひとつひとつに何か違和感があるんですが、根本的に何がいけないんだろう。和物は似合っていたし、動きも良かったと思うのですが……(泣)。
えーっと。
話が逸れました。階段を降りてくるリックに注目。
美女たちの溜息が色っぽい♪
さすがに『ミリ単位で調整してもらった』だけあって、白いダブルのスーツもよく似合っています。良かった良かった……。
“これでもか”というほどの演出をしてもらっているとはいえ、ちゃんと、役者本人にも舞台全体を覆いつくすだけのオーラがあったことが、単純に嬉しくて、思わず拍手してしまいます♪(←ファンだなあ)
ヘルムが差し出す名刺を、ろくに見もしないで破り捨てる仕草が、何故だか格好良い。
舌打ちして店の奥に向かうヘルムの背に「一杯呑んでいってください。サービスします」と、笑い含みに投げつける嫌味が、すごく好き(*^ ^*)。ここは、雅さんにも、もう少し屈辱に震えてほしいところです(^ ^)。
そんな二人を見守っていた野次馬の輪の中からコソっと出てきて、
「カジノに入ってもいい?」
と甘えたように訊くウガーテ(天羽珠紀)も、タイミングが良くて巧いなあと思います。たまちゃん、今回も良い仕事しているよなあ♪ そして、そんなウガーテにOKを出すリックを見てキレるヘルムが、なんとなく可哀相な気もする。
そのまま、カジノへ向かうリック。盆が回り、ドアを自然に越えて入っていく。右方向へ水平にパンしていく視点。
中央にルーレット台のある、そんなに広くない部屋。西欧人のほとんどはルーレット台の回りに集まっていて、隅っこの方では、宝石商が売り物を見せていたり、ムーア人の客たちがのんびりとさんざめいていたり。
ドア近くのキャッシャーに並びながら、話しかけてくる客(光海舞人)。皆の呼びかけが「よう、リック」なのが、すごく良いなあと思います。客のテーブルにはつかない。個人的な話はいっさいしない。でも、店をうろうろしているときに掴まえれば、気の利いた会話の一つや二つはできる……そんな存在。
「やあ、リック」
「やあ、○○」
そんな、気の置けない挨拶が気持ちいいんだろうなあ。……こんな、地の果てでは。
貌に似合わない高い声で、リックに話しかけるウガーテ。
「さっきのドイツ野郎との喧嘩、格好良かったな」(←相当意訳してます)
「……」
「君が僕を軽蔑しているのは知ってる。僕が闇ヴィザを売っているからなんだろう?」
「それも、とんでもない高値でな」
「でも、あの悪徳警視総監よりは安いんだぜ」
「……」
「まあ、そんな闇稼業も今日で終わりだ。今夜、コレと引き換えに大金を手に入れて、僕はこの国を出て行く」
「それは?」
「外交官特権つきの通行証。どこにでも行ける魔法のヴィザさ。だからリック、僕が小一時間ルーレットで遊んでいる間、これを預かってくれないかい?」
「……何故俺に?」
それまで顔を伏せ気味にして、目を見ようとしなかった男が、ふと顔をあげる。
「あんたは、俺からモノを奪うような奴じゃない」
まっすぐな声で。
少し高めのたまちゃんの声には僅かに甘えたような響きがあって、ウガーテは見た目より若い男として造っているのかな、という印象をうけました。向こう見ずで無鉄砲で、ワルいけれども案外と筋の通った若者。
「ウガーテ。昨日殺されたドイツの外交官は、大事な書類を盗られたと聞いたが?」
「そうなのかい?」
書類をリックに預けて、肩の荷を下ろしたようにすっきりした顔で立ち上がりかけながら、生返事を返すウガーテ。
「ウガーテ、……君を見直したよ」
リックの台詞に、思わず振り返って破顔一笑するウガーテ。
……よっぽど、リックに認められたことが嬉しかったんだろうなあ、と、素直に思えた二人の絶妙の距離感が、さすがだと思いました。
そのまま、はずむ足取りでルーレット台に向かうウガーテを見送って、預った書類を懐にしまいつつ、思案顔でカフェに戻るリック。
おりしも店内は、サムの歌で大盛り上がりの真っ最中。
「(不幸の数だけ)テーブルを叩こう!」という陽気な歌に、客は皆、ノリノリで踊り、歌っている。
そんなサムを羨ましそうに見ているフェラーリ(磯野千尋)。
「リック、この店を俺に譲らないか?」
……いや、一年前にこの屋敷を紹介したのは貴方でしょうに。
フェラーリと話をしながら、サムのピアノの中にこっそり懐の書類を隠すリック。
そんなリックを見つけて、バーカウンターから立ち上がるイヴォンヌ(純矢ちとせ)。
「リック、昨夜はどこにいたの?」
「そんな昔のことは覚えてないな」
「じゃあ、今夜この後会える?」
「そんな先の計画は、……たてたことが、ない」
この会話は、本当に名台詞ですよね。
リックに振られて、荒れるイヴォンヌ。自分に惚れているサッシャに、「もう一杯」とねだる女心。
「サッシャ、もう十分だ。……タクシーを」
リックのクールな声が、頭を抱えていたサッシャを動かす。
弾かれたようにイヴォンヌの鞄を取ってくるサッシャ。…は、良いんですけど、どーして返事が「合点!」なんだろう……キミハイッタイドコノヒト(; ;)
さりげなくコートをもって来るカール。(←さすが年の功)
嫌がるイヴォンヌを店の外に連れ出し、タクシーに乗せるリックとサッシャ。
「サッシャ、家まで送れ。……すぐに戻って来るんだぞ」
一瞬喜びに輝いて、でもまたしょぼんとする大型犬が可愛いです。
タクシーのテールランプを見送るリックに、さりげなく話しかけてくるルノー。
プログラムを見ると、ここはオープンカフェになっているようですね。どうみても、待合のための椅子がある店先、程度にしか見えないんですが(T T)。
リックとルノーが喋っている脇を、なにやら言い争いしながら通り過ぎていくカッセル(澄輝さやと)とトネリ(月映樹茉)。
この二人、この場面では何とも思わないんですけど、後から考えると不思議な取り合わせですよね。カッセルは重大任務のために(ルノーの指示で)来たはずなのに、なんで単身で、ただカフェに遊びに来ただけの(?)トネリと一緒に入っていくんだろう……?
……たぶん、部下の掌握と管理はさっつん(風羽玲亜)に任されているんだろうな、と勝手に解釈してみた(^ ^)。
と、いうところで。
本当は、初日前にラズロとイルザの登場まで進んでおきたかったのですが。
あえなく終了……(T T)。
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「カサブランカ」東宝初日
2010年1月3日 宝塚(宙)東京宝塚劇場にて、宙組公演「カサブランカ」初日を観劇してまいりました!
演出的な変更点は………大きなものは無かったと思います。
ただ、全体の雰囲気はずいぶん変わったな、と思いました。なんだろう。一つ一つの色合いがクリアになった、というか。
みんなのテンションがものすごく高くて、なのにぶっ飛んだところがなくて、良いバランスだなあと思いました。みんながお互いの空気を読みあいながら小芝居しているのが楽しいし、愉しそうです(はぁと)。
大劇場で最後に観てから、ちょうど4週間。一番変わったと思ったのは、イルザでしょうか。
前に観たときよりさらに美しくなったし、なんていうか、複雑な女心に、すみ花ちゃんなりの筋が通ってきたような気がしました。
大劇場では、恋しいのがリックで愛しているのが夫でもあるラズロなのかな、と思っていたのですが、今日の初日を観て、逆なのかもしれない、と思いました。リックへの想いの方が「愛」に近くて、ラズロへ向かう気持ちが「恋」だったのではないか、と。
いずれにしてもイルザは、リックの傍に残っても、ラズロについていっても、完全に満たされることはないんですよね。
リックもラズロも、イルザが完全に満たされるのは他方の傍だと思いこんでいて、だからこそ他方と一緒に行かせようとするわけですけれども。
イルザ自身は、どちらと一緒に行ってももう一人を求めてしまうであろう自分、自分を喪って苦しむであろう“もう一人の男”を想ってしまうであろう自分を知っているから、決断できない。
でも、映画のイルザと違って、すみ花ちゃんの(小池さんの)イルザは、その判断を完全にリックに預けることはしません。彼女なりに『一晩中考えて』、ラズロをアメリカに行かせることを優先する、と『決心』をするのです。
そこには、リックを愛しているからリックを択ぶ、という気持ちのほかに、リックの持っているヴィザをラズロに渡してもらう替わりに自分が残る、という『犠牲的精神』が、割合は僅かかもしれないけれども、間違いなく混ざりこんでいることに、リックは敏感に気づいてしまう。だからこそ、リックは言う。「今は後悔しないかもしれない。……でも」と。
時は過ぎていくものだから。後悔はさせたくないから、と。
リック、イルザ、ラズロ。ルノー、シュトレッサー、カフェのスタッフたち、客たち、亡命者たち、各国の兵士たち。大劇場での一ヶ月を経て、短いお稽古を通してもう一度最初から造りなおしてきた出演者のみなさんが、とても輝いてみえました。
すっしーさんや祐飛さんのご挨拶は、「新年明けましておめでとうございます♪」から始まって、名作「カサブランカ」に取り組む意気込みを語ってくださいました。
初日おめでとうございます。
どうぞ全員が、休演することなく千秋楽まで舞台を楽しむことができますように。
観劇後、家に帰って、ナウオンステージを視ました。
……久々に爆笑しました(^O^)。
っていうか、60分間笑い続けて腹筋が痛くなりました(^ ^;ゞ
いや、結構真面目な話もしていたと思うんですけど、なんであんなに笑えたんでしょうか。っていうか、いくらなんでも盛り上がりすぎだろう君たち……。
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演出的な変更点は………大きなものは無かったと思います。
ただ、全体の雰囲気はずいぶん変わったな、と思いました。なんだろう。一つ一つの色合いがクリアになった、というか。
みんなのテンションがものすごく高くて、なのにぶっ飛んだところがなくて、良いバランスだなあと思いました。みんながお互いの空気を読みあいながら小芝居しているのが楽しいし、愉しそうです(はぁと)。
大劇場で最後に観てから、ちょうど4週間。一番変わったと思ったのは、イルザでしょうか。
前に観たときよりさらに美しくなったし、なんていうか、複雑な女心に、すみ花ちゃんなりの筋が通ってきたような気がしました。
大劇場では、恋しいのがリックで愛しているのが夫でもあるラズロなのかな、と思っていたのですが、今日の初日を観て、逆なのかもしれない、と思いました。リックへの想いの方が「愛」に近くて、ラズロへ向かう気持ちが「恋」だったのではないか、と。
いずれにしてもイルザは、リックの傍に残っても、ラズロについていっても、完全に満たされることはないんですよね。
リックもラズロも、イルザが完全に満たされるのは他方の傍だと思いこんでいて、だからこそ他方と一緒に行かせようとするわけですけれども。
イルザ自身は、どちらと一緒に行ってももう一人を求めてしまうであろう自分、自分を喪って苦しむであろう“もう一人の男”を想ってしまうであろう自分を知っているから、決断できない。
でも、映画のイルザと違って、すみ花ちゃんの(小池さんの)イルザは、その判断を完全にリックに預けることはしません。彼女なりに『一晩中考えて』、ラズロをアメリカに行かせることを優先する、と『決心』をするのです。
そこには、リックを愛しているからリックを択ぶ、という気持ちのほかに、リックの持っているヴィザをラズロに渡してもらう替わりに自分が残る、という『犠牲的精神』が、割合は僅かかもしれないけれども、間違いなく混ざりこんでいることに、リックは敏感に気づいてしまう。だからこそ、リックは言う。「今は後悔しないかもしれない。……でも」と。
時は過ぎていくものだから。後悔はさせたくないから、と。
リック、イルザ、ラズロ。ルノー、シュトレッサー、カフェのスタッフたち、客たち、亡命者たち、各国の兵士たち。大劇場での一ヶ月を経て、短いお稽古を通してもう一度最初から造りなおしてきた出演者のみなさんが、とても輝いてみえました。
すっしーさんや祐飛さんのご挨拶は、「新年明けましておめでとうございます♪」から始まって、名作「カサブランカ」に取り組む意気込みを語ってくださいました。
初日おめでとうございます。
どうぞ全員が、休演することなく千秋楽まで舞台を楽しむことができますように。
観劇後、家に帰って、ナウオンステージを視ました。
……久々に爆笑しました(^O^)。
っていうか、60分間笑い続けて腹筋が痛くなりました(^ ^;ゞ
いや、結構真面目な話もしていたと思うんですけど、なんであんなに笑えたんでしょうか。っていうか、いくらなんでも盛り上がりすぎだろう君たち……。
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東京宝塚劇場 宙組公演デザート
2010年1月5日 宝塚(宙)
東京宝塚劇場にて、宙組公演デザート「As Time Goes By」を食べてみました(^ ^)。
美味しかった!
ふつーのパンナコッタなんですが、予想よりモッチリしていて食べ応えがありました。
甘酸っぱいブルーベリーソースと甘いアングレーズソース(ゆるいカスタードクリーム)が両側からかかっていて、最後まで飽きずに美味しくいただきました♪
足つきの、グラス型の透明容器に入っているので、連れの方と 「君の瞳に乾杯」ごっこ をするにも最適です(^ ^)(私の連れは相手にしてくれませんでしたが…↓ )
パンナコッタは、生クリームを煮詰めてゼラチンで固めたイタリアのお菓子。
公式サイトに、恋愛のように焦がさず、じっくりと時の過ぎ行くままにと書いてあったので、非常に興味を持ちまして(^ ^)、さっそく食べてみたんですが、これは結構当たりでした♪私はなんだかんだ言いつつも『限定品』の響きに弱いタイプなので、公演デザートは割りとマメに食べているのですが、日記に書こう!と思ったのは割と珍しかったりします。
ま、個人的に気に入っただけなので、お気に召さなくても責任はとりませんが(^ ^)、幕間で「ちょっと甘いものがほしいなー」なんて思われた日には、試してみてくださいな♪
今日から仕事初めの方も多かったですよね、きっと。
私も今日は疲れたので早く寝ますz(- -)zzZ。 デザートじゃなくて、公演の話の続きは、また後日(^ ^)。
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美味しかった!
ふつーのパンナコッタなんですが、予想よりモッチリしていて食べ応えがありました。
甘酸っぱいブルーベリーソースと甘いアングレーズソース(ゆるいカスタードクリーム)が両側からかかっていて、最後まで飽きずに美味しくいただきました♪
足つきの、グラス型の透明容器に入っているので、連れの方と 「君の瞳に乾杯」ごっこ をするにも最適です(^ ^)(私の連れは相手にしてくれませんでしたが…↓ )
パンナコッタは、生クリームを煮詰めてゼラチンで固めたイタリアのお菓子。
公式サイトに、恋愛のように焦がさず、じっくりと時の過ぎ行くままにと書いてあったので、非常に興味を持ちまして(^ ^)、さっそく食べてみたんですが、これは結構当たりでした♪私はなんだかんだ言いつつも『限定品』の響きに弱いタイプなので、公演デザートは割りとマメに食べているのですが、日記に書こう!と思ったのは割と珍しかったりします。
ま、個人的に気に入っただけなので、お気に召さなくても責任はとりませんが(^ ^)、幕間で「ちょっと甘いものがほしいなー」なんて思われた日には、試してみてくださいな♪
今日から仕事初めの方も多かったですよね、きっと。
私も今日は疲れたので早く寝ますz(- -)zzZ。 デザートじゃなくて、公演の話の続きは、また後日(^ ^)。
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「カサブランカ」【3】
2010年1月6日 宝塚(宙)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
先日書いたときは、第6場の途中で終わったので、その続きを…と思ったのですが。
まずは、その前の部分について、若干の追記をさせてくださいませ。
■裁判所前広場
初めて観劇したとき、「ヴィザを!ヴィザを!」という大ナンバーを聴いて、ミュージカル「サンセット・ブールバード」(A・L・ウェッバー)の主題歌を思い出しました。
変拍子なのと、全体的なコード進行が似ているんだと思うんですが。……昔から、ああいうコード進行の曲が非常に好きなので、いきなり掴まれてしまいました(^ ^)。
その後の、カチャ(凪七瑠海)が花露すみかちゃんを慰めて歌いだすナンバーも凄く好きです。
カチャの、ちょっと鼻にかかった個性的な声はあまり好きではないのですが、公演も回数を重ねるにつれて、
「あなたもきっと、あの飛行機に乗れますよ…」
という台詞の誠実さとか、青臭さ(若さ)とか、そういうモノが凄く出てきているなあと思います。
若くて、一生懸命で、でもちょっと空回りしがちな青年。愛する妻の前で、ちょっと正義漢ぶってエエ格好をしたい気持ち。そんな夫をうまいこと立ててあげられる、歳上の妻。
アリスちゃんとカチャ、次のバウでも組むことが決定している二人ですが、予想以上に良いコンビになりそうだな、と思いました♪
(蒼羽)りくちゃんと(藤咲)えりちゃんは、この場面では終始カップルで行動してるんですね。お似合いの二人で、紺のスーツに寂しげな美貌のえりちゃんが、若い恋人の無謀な行動(看板を殴ったりとか)を心配している様子がとても可愛いです。
あと目についたのは、美月遥くんと七瀬りりこちゃん。フィナーレのエトワールで話題をさらったりりこちゃんですが、ブロンドの巻き毛が良く似合う、豊満な美人さんですね♪
愛月ひかるくんと瀬音リサちゃんも何回か抱き合っていたけど、カップルなのかなあ?このあたりは、なんとなく日替わりっぽい感じなので、あまり確信がありません。
リックのカフェで度肝を抜くほど美人だった妃宮さくらちゃん、裁判所前広場の亡命者は、地味なスーツに髪もアップにしていて、まるっきり別人です。最初全然気がつかなくて、さくらちゃんは出てないと思ってました(汗)。役者だなあ……(感心)。
初めて大劇場で観たとき、そういえばえつこ(大海亜呼)があまり出てないなあ~?と思ったのですが。プログラムを見たら、ほとんどの場面に出てるんですね(汗)。主に、ムーア人の男で。
口ひげにあごひげで完全に顔を隠して、バザールで物を売ったり、リックのカフェでルーレットをしていたり。こういうアンサンブルのムーア人たちは、実は大半が娘役だったりします。下っ端の警官も半分は娘役だし。
娘役の男装があちこちで観られるのは、「太王四神記」と同じ。それだけ、人海戦術を重視した作品だ、ってことなんでしょうね。
また、リックのカフェではボーイ役をしているえびちゃん(綾瀬あきな)、(千鈴)まゆちゃんの二人は、他の場面でもほとんど男の子の役。しかも、どの場面もめっちゃ可愛い!(汗)。パリ南駅の群衆でも男の子だった二人に、乾杯。
■第6~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)
ルノー大尉(北翔海莉)の前を敬礼して通り過ぎるカッセル中尉(澄輝さやと)を、慌てて追いかけるトネリ大尉(月映樹茉)。「Un moment, per favore!」って、要するに「Just a moment, please!」みたいな言葉なんでしょうか。トネリの盛大な巻き舌、面白すぎるんですけど(^ ^)。
店に入っていく二人を無言で見送るリックとルノー。
二人の間に流れる空気が、なんとなく緊張感があるんですよね。リックは比較的自然体で立っているのに、ルノーはすごくリックを気にしてる。リックは気にされていることに気づいていて、でも放置している。人と深く関わるのは二度とごめんだ、と思っているから。
そんな二人の間を切り裂くように、飛行機のプロペラ音が聞こえてくる。
「リスボンへの夜間便だ。…乗りたくないか?」
穏やかに問いかけるルノー。そっけなく応えるリック。
謎めいたリックという男を見抜こうと、あれこれ話しかけるルノーと、さりげなくかわそうとするリック。敵なのか味方なのかはっきりさせないままに続く2人の会話は、大劇場の後半から、少しづつ緊張感が出てきたと思います。
しかし、みっちゃん。……貴女は本当に、素直で可愛い女の子なんだなあ……(; ;)。
店の玄関を開けて、クルービエ(ルーレットの“親”)のエミール(蓮水ゆうや)が出てくる。
「すみません。強いお客様がいらして、2万フラン足りないんです」
なぜ彼が、わざわざカフェを突っ切って表のドアから出てくるのかが素朴に疑問なんですが。
舞台上では下手に回ればすぐカジノだし、リックも「裏から行くぞ」って言ってるのに。
ま、そんなことはどうでもいいんですが。
失敗して落ち込んでいる『プロの技術者』という難しい仕事を、きちんと見せるちーちゃん。巧いなあと思いました(*^ ^*)。ただ失敗してがっくりしているんじゃなくて、プライドが傷ついた感じが伝わってきます。そして、それを軽い調子で慰めるリックがとても優しい。
さっきまでの、あれこれ追求してくるルノーをさりげなくかわしていたつかみどころの無い男とは別人のように、実在感のある温み。『クール』と評されることの多い祐飛さんのお芝居ですが、意外と温かいんだよね、と思うのはこんなときです(*^ ^*)。
『裏から』回って金庫室へ向かう三人。
下手花道のセリから、せりあがってくる金庫。前方下手席に座る方、ぜひご注目ください♪
金庫から金を出して、軽い雰囲気でエミールに渡すリック。
そのままエミールは一礼してカジノに戻り、リックとルノーは銀橋に出る。
エミールが戻るのを、三々五々喋りながら待っているカジノの客たちが、なんというか、ナチュラルでいいです。面白いなあ、宙組っ子たち。
ベンチに座ってのんびりお喋りしている人たち。ルーレット台の回りで待機して、ちょっとむくれているカーティス妻(美風舞良)たち。そして、苛々した様子で椅子に座りこみ、気もそぞろで目の前のチェス盤をいじりはじめるウガーテ。
それにしても。エミールを困らせた『強いお客様』って、誰のことだったんだろう……?
銀橋に出たリックとルノーは、お互いの腹を探りあいながらのんびりと歩く。
「実は今夜、第三帝国のシュトラッサー少佐がこの店に来る。そこで軽く、捕り物をやりたいんだ」
「またか。……少佐は何故カサブランカに?」
「昨日カサブランカに着いた男がいる。ナチスの敵、ヴィクター・ラズロだ」
「ヴィクター・ラズロ!?」
普段からあまり反応を見せないリックが、その名前に強く反応する。
珍しいリックの様子に、面白がるルノー。ラズロの脱出に1万フラン賭けながら、ラズロが女連れであることを勿体つけて教える。
「置いて行くかもしれない」
「ここまで連れて来たんだ。置き去りにはするまい」
「君ほどもロマンチストなら、な」
「ロマンチストなのはお前さんだ。調べさせてもらったよ……1935年、エチオピア戦争に武器を密輸。その翌年には、スペイン内戦で革命政府側に加担して参戦」
「どちらも十分儲けたさ」
「勝った側についていれば、もっと儲かっただろうに」
「……とにかく、今の君はゲシュタポの仲間だというわけだ」
……この銀橋の会話は、考えてみるとすごく大事で中身が濃い会話なんですよね。
リックとルノー、主要人物でありながら本音を見せない二人が本音と過去を語る、殆ど唯一の場面。
これを聞き流していると、後半の展開が理解できないかもしれないな、と思いました。
そのへんは役者も自覚しているようで、元々滑舌のいいみっちゃんはもちろん、せりふが篭りがちな祐飛さんも、客席にきちんと伝わるように意識して喋っているのが嬉しいです♪
銀橋から本舞台のカジノに戻った彼らのところに、カッセルが来る。
「少佐がお見えになりました」
「よし。作戦開始!
……ルノーとの連絡役をするのはカッセルだけど、実際に部下を率いてウガーテの逮捕に向かうのはさっつん(風羽玲亜)なんですね。この人の声がとても好きなので、さりげなく台詞が多くてとても嬉しい♪
カフェでは、シュトラッサーを出迎えたルノーがニヤニヤしながら席へ案内します。
カジノとの境のドアを開けて、飛び出してくるウガーテ。カフェ側で待機していた警官が取り押さえる。発砲音に驚く客たち。
「リック、リック!助けてくれ!!」
悲痛な声でリックを呼ぶウガーテ。
「……俺を巻き込むな」
冷静に~、冷酷に~♪(BY ゾフィー皇太后)
「以上が、少佐歓迎のアトラクションです(はぁと)」
……いや、ルノーの台詞にハートマークはついてません。ニヤニヤはしてますが(^ ^)。
客たちを宥めてカジノへ戻らせようとするリック。ナウオンでちーちゃんが言ってましたが、たしかにこの場面の客たちはちーちゃんにも詰め寄ってますね(汗)。彼に訊いてもわからんだろうに。
「冷たいな。俺の時は助けろよ?」
こっそりとリックに囁くジャン(珠洲春希)。……そりゃー無理だろうよ。日ごろの自分の行いを振り返ってから言いなよ……(諦)。
ルノーに呼ばれて、シュトラッサーのテーブルにつくリック。
すごく嫌そうなのが、子供みたいで可愛いです(^ ^)。
シュトラッサーの質問をいちいち違う方向に打ち返しながら泰然としている彼に、ルノーの方が心配してフォローしまくっているつもりで、かなり墓穴を掘っているあたりが、なんとなく実生活を彷彿とさせてくれて、面白いです。
「あなたがたの仕事は、ヴィクター・ラズロをカサブランカから出さないこと。私の仕事はこのカフェの経営!」
きっぱりとそう言い切って立ち上がるリックは、そのままカフェをぐるっと回って二階へ。
……あれ?「カフェの経営」って二階でするもんなのかよ……?
というわけではないのでしょうが、微妙に含みのある視線でその背を追うシュトラッサー。
BGMが「聞かせてよ愛の言葉を」に替わる。
と同時に、入り口付近にスポット。ドアが開いて、入ってくる二人の男女。
「テーブルを予約してある。ヴィクター・ラズロだ」
……亡命途中の政治犯が、本名でテーブルを予約すんなよ!!と、咄嗟に思ったのは私だけですか?そのまま受ける店も店だが。……それだけ、いろんなヤバイ活動の拠点となっている店だってコトなんだろうか…。
あと、ラズロが入ってくるのと同時にジャンとファティマ(花売り/すみれ乃麗)が反応するのが面白い。ファティマは咄嗟に話しかけようとしたけど、イルザにやんわりと拒否されてバーガーを呼びに行き、ジャンはルノーに報せにいく。目立たないのに、真剣さが伝わるれーれの仕草。さりげなくテーブルの間を縫って、何の目的も無さげにルノーに近づいて、さりげなく耳打ちするジャン。どちらもさすが、です。
ファティマに呼ばれたバーガー(鳳翔大)が、上手袖から出てくる。ちょっと身だしなみを調えて(ホントに気障だなあ)、用意していたペンダントをラズロに見せる。
「モロッコのアクセサリーですよ」
「……フランス解放同盟?」
ロケットにでもなっているんでしょうね、あのペンダント。
バーガーをチェックしていたルノーが、さりげなく近づいてくる。それをイルザに教えられたラズロは、慌ててバーガーを去らせる。ちょっと後ろ髪惹かれる様子で上手のバーに向かうバーガー。
バーには先客(トネリ)が居るんですが、彼は店に入ってからずっとバーに居るんですよね。……結局、カッセルと二人で現れたのは近くで偶然会ってしまったから、とか、そんな感じなんでしょうか。喧嘩するほど仲が良い、ふうにも見えるんですけど、そんな筈はないよねえ…(汗)。
挨拶がてら、軽くラズロに探りをいれるルノー。
「独立フランス」という誇りをくすぐりながら、さりげなくかわすラズロ。
ハインツ(風莉じん)の咳払いで、シュトラッサーが来たことに気づくルノー。慌てて立ち上がって、二人に紹介する。
「マドモアゼル・ランド、ムッシュ・ラズロ、シュトラッサー少佐をご紹介しましょう」
チェコスロバキア人の自分は、ドイツ帝国の臣民ではない、と、召還を断固拒否するラズロ。
フランスの警視総監として、オフィスへの訪問を要請するルノー。
イルザと共に行くことを肯って、満足げに立ち去る軍人たちを見送るラズロ。
全然進んだ気がしませんが、とりあえず今夜はこのあたりで。
.
先日書いたときは、第6場の途中で終わったので、その続きを…と思ったのですが。
まずは、その前の部分について、若干の追記をさせてくださいませ。
■裁判所前広場
初めて観劇したとき、「ヴィザを!ヴィザを!」という大ナンバーを聴いて、ミュージカル「サンセット・ブールバード」(A・L・ウェッバー)の主題歌を思い出しました。
変拍子なのと、全体的なコード進行が似ているんだと思うんですが。……昔から、ああいうコード進行の曲が非常に好きなので、いきなり掴まれてしまいました(^ ^)。
その後の、カチャ(凪七瑠海)が花露すみかちゃんを慰めて歌いだすナンバーも凄く好きです。
カチャの、ちょっと鼻にかかった個性的な声はあまり好きではないのですが、公演も回数を重ねるにつれて、
「あなたもきっと、あの飛行機に乗れますよ…」
という台詞の誠実さとか、青臭さ(若さ)とか、そういうモノが凄く出てきているなあと思います。
若くて、一生懸命で、でもちょっと空回りしがちな青年。愛する妻の前で、ちょっと正義漢ぶってエエ格好をしたい気持ち。そんな夫をうまいこと立ててあげられる、歳上の妻。
アリスちゃんとカチャ、次のバウでも組むことが決定している二人ですが、予想以上に良いコンビになりそうだな、と思いました♪
(蒼羽)りくちゃんと(藤咲)えりちゃんは、この場面では終始カップルで行動してるんですね。お似合いの二人で、紺のスーツに寂しげな美貌のえりちゃんが、若い恋人の無謀な行動(看板を殴ったりとか)を心配している様子がとても可愛いです。
あと目についたのは、美月遥くんと七瀬りりこちゃん。フィナーレのエトワールで話題をさらったりりこちゃんですが、ブロンドの巻き毛が良く似合う、豊満な美人さんですね♪
愛月ひかるくんと瀬音リサちゃんも何回か抱き合っていたけど、カップルなのかなあ?このあたりは、なんとなく日替わりっぽい感じなので、あまり確信がありません。
リックのカフェで度肝を抜くほど美人だった妃宮さくらちゃん、裁判所前広場の亡命者は、地味なスーツに髪もアップにしていて、まるっきり別人です。最初全然気がつかなくて、さくらちゃんは出てないと思ってました(汗)。役者だなあ……(感心)。
初めて大劇場で観たとき、そういえばえつこ(大海亜呼)があまり出てないなあ~?と思ったのですが。プログラムを見たら、ほとんどの場面に出てるんですね(汗)。主に、ムーア人の男で。
口ひげにあごひげで完全に顔を隠して、バザールで物を売ったり、リックのカフェでルーレットをしていたり。こういうアンサンブルのムーア人たちは、実は大半が娘役だったりします。下っ端の警官も半分は娘役だし。
娘役の男装があちこちで観られるのは、「太王四神記」と同じ。それだけ、人海戦術を重視した作品だ、ってことなんでしょうね。
また、リックのカフェではボーイ役をしているえびちゃん(綾瀬あきな)、(千鈴)まゆちゃんの二人は、他の場面でもほとんど男の子の役。しかも、どの場面もめっちゃ可愛い!(汗)。パリ南駅の群衆でも男の子だった二人に、乾杯。
■第6~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)
ルノー大尉(北翔海莉)の前を敬礼して通り過ぎるカッセル中尉(澄輝さやと)を、慌てて追いかけるトネリ大尉(月映樹茉)。「Un moment, per favore!」って、要するに「Just a moment, please!」みたいな言葉なんでしょうか。トネリの盛大な巻き舌、面白すぎるんですけど(^ ^)。
店に入っていく二人を無言で見送るリックとルノー。
二人の間に流れる空気が、なんとなく緊張感があるんですよね。リックは比較的自然体で立っているのに、ルノーはすごくリックを気にしてる。リックは気にされていることに気づいていて、でも放置している。人と深く関わるのは二度とごめんだ、と思っているから。
そんな二人の間を切り裂くように、飛行機のプロペラ音が聞こえてくる。
「リスボンへの夜間便だ。…乗りたくないか?」
穏やかに問いかけるルノー。そっけなく応えるリック。
謎めいたリックという男を見抜こうと、あれこれ話しかけるルノーと、さりげなくかわそうとするリック。敵なのか味方なのかはっきりさせないままに続く2人の会話は、大劇場の後半から、少しづつ緊張感が出てきたと思います。
しかし、みっちゃん。……貴女は本当に、素直で可愛い女の子なんだなあ……(; ;)。
店の玄関を開けて、クルービエ(ルーレットの“親”)のエミール(蓮水ゆうや)が出てくる。
「すみません。強いお客様がいらして、2万フラン足りないんです」
なぜ彼が、わざわざカフェを突っ切って表のドアから出てくるのかが素朴に疑問なんですが。
舞台上では下手に回ればすぐカジノだし、リックも「裏から行くぞ」って言ってるのに。
ま、そんなことはどうでもいいんですが。
失敗して落ち込んでいる『プロの技術者』という難しい仕事を、きちんと見せるちーちゃん。巧いなあと思いました(*^ ^*)。ただ失敗してがっくりしているんじゃなくて、プライドが傷ついた感じが伝わってきます。そして、それを軽い調子で慰めるリックがとても優しい。
さっきまでの、あれこれ追求してくるルノーをさりげなくかわしていたつかみどころの無い男とは別人のように、実在感のある温み。『クール』と評されることの多い祐飛さんのお芝居ですが、意外と温かいんだよね、と思うのはこんなときです(*^ ^*)。
『裏から』回って金庫室へ向かう三人。
下手花道のセリから、せりあがってくる金庫。前方下手席に座る方、ぜひご注目ください♪
金庫から金を出して、軽い雰囲気でエミールに渡すリック。
そのままエミールは一礼してカジノに戻り、リックとルノーは銀橋に出る。
エミールが戻るのを、三々五々喋りながら待っているカジノの客たちが、なんというか、ナチュラルでいいです。面白いなあ、宙組っ子たち。
ベンチに座ってのんびりお喋りしている人たち。ルーレット台の回りで待機して、ちょっとむくれているカーティス妻(美風舞良)たち。そして、苛々した様子で椅子に座りこみ、気もそぞろで目の前のチェス盤をいじりはじめるウガーテ。
それにしても。エミールを困らせた『強いお客様』って、誰のことだったんだろう……?
銀橋に出たリックとルノーは、お互いの腹を探りあいながらのんびりと歩く。
「実は今夜、第三帝国のシュトラッサー少佐がこの店に来る。そこで軽く、捕り物をやりたいんだ」
「またか。……少佐は何故カサブランカに?」
「昨日カサブランカに着いた男がいる。ナチスの敵、ヴィクター・ラズロだ」
「ヴィクター・ラズロ!?」
普段からあまり反応を見せないリックが、その名前に強く反応する。
珍しいリックの様子に、面白がるルノー。ラズロの脱出に1万フラン賭けながら、ラズロが女連れであることを勿体つけて教える。
「置いて行くかもしれない」
「ここまで連れて来たんだ。置き去りにはするまい」
「君ほどもロマンチストなら、な」
「ロマンチストなのはお前さんだ。調べさせてもらったよ……1935年、エチオピア戦争に武器を密輸。その翌年には、スペイン内戦で革命政府側に加担して参戦」
「どちらも十分儲けたさ」
「勝った側についていれば、もっと儲かっただろうに」
「……とにかく、今の君はゲシュタポの仲間だというわけだ」
……この銀橋の会話は、考えてみるとすごく大事で中身が濃い会話なんですよね。
リックとルノー、主要人物でありながら本音を見せない二人が本音と過去を語る、殆ど唯一の場面。
これを聞き流していると、後半の展開が理解できないかもしれないな、と思いました。
そのへんは役者も自覚しているようで、元々滑舌のいいみっちゃんはもちろん、せりふが篭りがちな祐飛さんも、客席にきちんと伝わるように意識して喋っているのが嬉しいです♪
銀橋から本舞台のカジノに戻った彼らのところに、カッセルが来る。
「少佐がお見えになりました」
「よし。作戦開始!
……ルノーとの連絡役をするのはカッセルだけど、実際に部下を率いてウガーテの逮捕に向かうのはさっつん(風羽玲亜)なんですね。この人の声がとても好きなので、さりげなく台詞が多くてとても嬉しい♪
カフェでは、シュトラッサーを出迎えたルノーがニヤニヤしながら席へ案内します。
カジノとの境のドアを開けて、飛び出してくるウガーテ。カフェ側で待機していた警官が取り押さえる。発砲音に驚く客たち。
「リック、リック!助けてくれ!!」
悲痛な声でリックを呼ぶウガーテ。
「……俺を巻き込むな」
冷静に~、冷酷に~♪(BY ゾフィー皇太后)
「以上が、少佐歓迎のアトラクションです(はぁと)」
……いや、ルノーの台詞にハートマークはついてません。ニヤニヤはしてますが(^ ^)。
客たちを宥めてカジノへ戻らせようとするリック。ナウオンでちーちゃんが言ってましたが、たしかにこの場面の客たちはちーちゃんにも詰め寄ってますね(汗)。彼に訊いてもわからんだろうに。
「冷たいな。俺の時は助けろよ?」
こっそりとリックに囁くジャン(珠洲春希)。……そりゃー無理だろうよ。日ごろの自分の行いを振り返ってから言いなよ……(諦)。
ルノーに呼ばれて、シュトラッサーのテーブルにつくリック。
すごく嫌そうなのが、子供みたいで可愛いです(^ ^)。
シュトラッサーの質問をいちいち違う方向に打ち返しながら泰然としている彼に、ルノーの方が心配してフォローしまくっているつもりで、かなり墓穴を掘っているあたりが、なんとなく実生活を彷彿とさせてくれて、面白いです。
「あなたがたの仕事は、ヴィクター・ラズロをカサブランカから出さないこと。私の仕事はこのカフェの経営!」
きっぱりとそう言い切って立ち上がるリックは、そのままカフェをぐるっと回って二階へ。
……あれ?「カフェの経営」って二階でするもんなのかよ……?
というわけではないのでしょうが、微妙に含みのある視線でその背を追うシュトラッサー。
BGMが「聞かせてよ愛の言葉を」に替わる。
と同時に、入り口付近にスポット。ドアが開いて、入ってくる二人の男女。
「テーブルを予約してある。ヴィクター・ラズロだ」
……亡命途中の政治犯が、本名でテーブルを予約すんなよ!!と、咄嗟に思ったのは私だけですか?そのまま受ける店も店だが。……それだけ、いろんなヤバイ活動の拠点となっている店だってコトなんだろうか…。
あと、ラズロが入ってくるのと同時にジャンとファティマ(花売り/すみれ乃麗)が反応するのが面白い。ファティマは咄嗟に話しかけようとしたけど、イルザにやんわりと拒否されてバーガーを呼びに行き、ジャンはルノーに報せにいく。目立たないのに、真剣さが伝わるれーれの仕草。さりげなくテーブルの間を縫って、何の目的も無さげにルノーに近づいて、さりげなく耳打ちするジャン。どちらもさすが、です。
ファティマに呼ばれたバーガー(鳳翔大)が、上手袖から出てくる。ちょっと身だしなみを調えて(ホントに気障だなあ)、用意していたペンダントをラズロに見せる。
「モロッコのアクセサリーですよ」
「……フランス解放同盟?」
ロケットにでもなっているんでしょうね、あのペンダント。
バーガーをチェックしていたルノーが、さりげなく近づいてくる。それをイルザに教えられたラズロは、慌ててバーガーを去らせる。ちょっと後ろ髪惹かれる様子で上手のバーに向かうバーガー。
バーには先客(トネリ)が居るんですが、彼は店に入ってからずっとバーに居るんですよね。……結局、カッセルと二人で現れたのは近くで偶然会ってしまったから、とか、そんな感じなんでしょうか。喧嘩するほど仲が良い、ふうにも見えるんですけど、そんな筈はないよねえ…(汗)。
挨拶がてら、軽くラズロに探りをいれるルノー。
「独立フランス」という誇りをくすぐりながら、さりげなくかわすラズロ。
ハインツ(風莉じん)の咳払いで、シュトラッサーが来たことに気づくルノー。慌てて立ち上がって、二人に紹介する。
「マドモアゼル・ランド、ムッシュ・ラズロ、シュトラッサー少佐をご紹介しましょう」
チェコスロバキア人の自分は、ドイツ帝国の臣民ではない、と、召還を断固拒否するラズロ。
フランスの警視総監として、オフィスへの訪問を要請するルノー。
イルザと共に行くことを肯って、満足げに立ち去る軍人たちを見送るラズロ。
全然進んだ気がしませんが、とりあえず今夜はこのあたりで。
.
年末のことですが。
東京芸術劇場中ホールにて、音楽座ミュージカル「泣かないで」を観劇いたしました。
原作は、1963年に発表された遠藤周作の小説「わたしが・棄てた・女」。
音楽座がミュージカル化したのが1994年。音楽座が解散する二年前。
解散後も1997年に再演されていますが、なかなかスケジュールが合わなくて、私には今回が初見になりました。
遠藤周作ファンなので、やっと観ることができて、なんだか安心したような(^ ^)。
音楽座作品(プロデュース作品を含む)は、タカラヅカとは対極(?)にあるような、非常にリアルな作風。特に、原作自体が相当に悲惨で読むのも苦しいような作品であり、それをかなり忠実に、生真面目にミュージカル化しているものだから、『夢』も『希望』も無い、辛い作品になってしまっていたことは否定できないと思います。
でも、そんな悲惨な状況の中でも、ただただ真直ぐに不器用に生きて、誰よりも愛されたヒロインの森田ミツ(高野菜々)。彼女が最後に遺す言の葉は、彼女の性格どおりにとても優しくて、痛々しいほど真っ直ぐで。
♪たとえどんなに小さなことでも
♪心に傷を残して過ぎてゆく
出会ったことにも、棄てたことにも、そして棄てられたことにも、意味はあるのだ。たぶん。
♪この胸の奥で、誰かがささやく声がする
……泣かないで、
泣かないで……
いつもあなたを視ているから、と。
富士山の麓にある癩(ハンセン)病患者の保護施設「復活病院」を舞台にしたこの作品。
ヒロイン・森田ミツには、一人の実在のモデルがいたそうです。
裕福な家に生まれ、幸せな縁談さえ決まっていながら「癩(ハンセン)病」と診断された、22歳のうら若い美女。隔離政策のため、御殿場にあった「神山復生病院」に入院させられて数年。再検査で誤診であったことが判明し、家に戻るよう言われるが、そのまま病院に残って看護婦として一生を捧げた、井深八重。
森田ミツは、モデルとなった井深八重とは違い、貧乏な田舎育ちで、垢抜けない芋娘。
雑誌の文通欄で若い学生(吉岡努/藤岡正明)と知り合い、デートすることになるが、男の方はただ「ヤル」ことしか頭に無かった……
戦後の混乱期の東京で、ただ一度出会い、そのまま棄てられた娘。男と付き合ったこともなく、初めて出会った大学生にのぼせあがって、何もかもあげてしまったのに。
彼との二度目のデートを夢見て、綺麗なカーディガンを買うお金を貯めようと決意するナンバーは、明るくて軽やかで可愛らしいのに、観客は吉岡の本音を知っている。……観ていて一番辛い所でした。
そんなこんなしているうちに、ミツは手首のあざを診た医者に「ハンセン病かもしれない」と診断され、「復活病院」に行くよう指示される……。
ミツ側の物語は、ごくシンプルです。
苦しい生活 ⇒ 初めてのデートで有頂天 ⇒ その後、なかなか会えなくて切ない ⇒
⇒ 病院での診断に衝撃を受ける ⇒ 悲壮な決意で病院に向かう ⇒
⇒ 不安に怯える入院生活 ⇒ 誤診だった!という歓喜 ⇒
⇒ 後ろ髪ひかれる想い ⇒ 病院に戻り、彼らと共に生きることを決意 ⇒ 心の平安
それに対して、縒り縄のように絡みつく吉岡の物語も、ある意味物凄くシンプル。
苦しい学生生活 ⇒ 欲望のはけ口としての女(森田ミツ) ⇒
⇒ ミツを棄てて大学を卒業し、就職する ⇒ 学歴の低い先輩たちに苛められる ⇒
⇒ 社長の姪である美人(三浦マリ子/井田安寿)と親しくなり、口説く ⇒
⇒ マリ子と結婚(逆玉?)し、幸せな家庭を築く
けれども、彼の人生は、そこかしこの場面でミツとの思い出がフラッシュバックする。
卒業するとき。就職先で。マリ子との会話の中で。
そのたびにかれは、街のどこかにいるミツを求めて彷徨う。蜜を求めて飛び回る蜜蜂のように。
おそらく、彼にとってミツは「天使」だったんだろうな、と思いました。
「眼には見えないけれども、いつも自分を見ていてくれる」存在。
いつか彼女が、自分の罪を暴きに来るだろう、と。
現世でか、隔り世でか、それはわからないけれども、いつの日か白い翼を拡げて、彼女が自分を迎えに来るのだろう、と。
それはいわば『心の中の神』です。ミツは、棄てられることで吉岡にとってのそういう存在になった。あるいは、吉岡はミツを棄てることで、「いつも誰かが視ている」という観念から逃れられなくなった。それは、「常に神は視ておられる」という観念にとても近い。
クリスチャンである遠藤周作らしい、見事なレトリック。
別に、吉岡はこの物語の中でなんら罰を受けないんですよね。天に召されるのはミツだし、吉岡はマリ子と幸せな結婚生活を送り、長生きする。でも、その人生が幸せなものだったのか?ということなんだと思います。
幸せなのかもしれない。それは、吉岡自身にしかわからない、決められないことなのだと思う。
そして、藤岡さんの吉岡務は、その人生を「幸せだった」と言い切れるだけの強さがあるように見えました。
自分が選んだ人生なのだから、と。ミツを棄てたことも、それによって背負ったものの重さも受け入れて、彼は彼の人生を一歩ずつ歩いていく。
ミツがミツの人生を、ゆっくりと歩いていったように。
森田ミツ(高野菜々)
可愛らしくて一生懸命で、役によく合っていたと思います。歌声も素直で聴きやすかった♪
吉岡努(藤岡正明)
「レ・ミゼラブル」のマリウスだの「ミス・サイゴン」のクリスだの、立て続けにメジャー作品の二枚目役を演じた藤岡さん。吉岡は非常にイヤな奴なのでやりにくかったのではないかと思うのですが、なかなか良かったと思います。「悪い奴」なのではなく、単に「嫌な奴」というか(^ ^;ゞ、彼なりに一生懸命生きたら、回りの反感を買っちゃった……みたいな、なんともいえずKYな感じがすごく良かったです(←誉めてるんですってば!)。
歌は流石の一言。Rカンパニーメンバーとはランクが違う感じがしました(^ ^)。
三浦マリ子(井田安寿)
元四季の井田さん。可愛いダンサーという認識だったのですが(←だって「コンタクト」のピンクが一番印象的だったし……)、芝居も歌も良かったです。さりげない存在感と、美人すぎない上品さが魅力的でした♪
こないだの「メトロに乗って」再演では、お時(初演は福麻むつ美)を演じられたんですね。こんなに素敵な女優さんになっているんなら、観れば良かったなあ……。
スール・山形(秋本みな子)
こちらも元四季。劇団四季も、数年前に中堅がごそっと辞めましたが、Rカンパニーに入った人は案外と多いんですね。四季時代から、『何をやらせても安心な人』という評価は確立していたと思いますが、「復活病院」のシスター役、という難しい役を自然体でやれるところは本当に凄いな、と思いました。
病院に戻ってきたミツが「あたしも病院で働きたい」と言うのに、「あなたは私たちとは違う(だから無理よ)」みたいなことを言って東京に帰そうとする場面がすごく良かったです。ああ、秋本さんの「メトロに乗って」みち子(初演は毬谷友子)を観たかったなあ(; ;)。そんなキャストだったなんて知らなかったよ(↓)。
他のRカンパニーメンバーも皆さんがんばってました。
で、「タカラジェンヌのスタイルって異常なんだな」と改めて認識したりもしました(^ ^)。
……以下、つぶやきです(^ ^)v
タカラヅカファンかつ宙組ファンの猫にとって、この作品で一番面白かったのは、
吉岡とマリ子が映画を観る場面でした。
その映画館でやっていたのは「カサブランカ」だったの!!
ロビーでの二人の芝居がメインなので映像は出ないんですが、音だけは、いかにもドア越しに微かに聴こえてくるっぽくぼかされた、何を言ってるんだかさっぱり判らない音が流れていて。
すっごいソレらしい!!とテンション上がりました(^ ^)。
そして、その後の場面では、トレンチコートを着た男と女のデュエットダンスがちょっと(場つなぎみたいな感じですが)あって、これは空港の場面をイメージしているのかな?と思いながら見入ってしまいました。
いやーーーーーー、
それにしても、祐飛さんのトレンチコートの着こなしがいかに素晴らしいか、を思い知らされてみました(←いまさら?)
宙組ファン&映画「カサブランカ」ファンのみなさま、
これから、相模大野と大阪で公演をするみたいなので、もし暇で暇でしょーがないようでしたらご覧になると面白いかもしれませんよ★保証はいたしかねますけど、ねっ★
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東京芸術劇場中ホールにて、音楽座ミュージカル「泣かないで」を観劇いたしました。
原作は、1963年に発表された遠藤周作の小説「わたしが・棄てた・女」。
音楽座がミュージカル化したのが1994年。音楽座が解散する二年前。
解散後も1997年に再演されていますが、なかなかスケジュールが合わなくて、私には今回が初見になりました。
遠藤周作ファンなので、やっと観ることができて、なんだか安心したような(^ ^)。
音楽座作品(プロデュース作品を含む)は、タカラヅカとは対極(?)にあるような、非常にリアルな作風。特に、原作自体が相当に悲惨で読むのも苦しいような作品であり、それをかなり忠実に、生真面目にミュージカル化しているものだから、『夢』も『希望』も無い、辛い作品になってしまっていたことは否定できないと思います。
でも、そんな悲惨な状況の中でも、ただただ真直ぐに不器用に生きて、誰よりも愛されたヒロインの森田ミツ(高野菜々)。彼女が最後に遺す言の葉は、彼女の性格どおりにとても優しくて、痛々しいほど真っ直ぐで。
♪たとえどんなに小さなことでも
♪心に傷を残して過ぎてゆく
出会ったことにも、棄てたことにも、そして棄てられたことにも、意味はあるのだ。たぶん。
♪この胸の奥で、誰かがささやく声がする
……泣かないで、
泣かないで……
いつもあなたを視ているから、と。
富士山の麓にある癩(ハンセン)病患者の保護施設「復活病院」を舞台にしたこの作品。
ヒロイン・森田ミツには、一人の実在のモデルがいたそうです。
裕福な家に生まれ、幸せな縁談さえ決まっていながら「癩(ハンセン)病」と診断された、22歳のうら若い美女。隔離政策のため、御殿場にあった「神山復生病院」に入院させられて数年。再検査で誤診であったことが判明し、家に戻るよう言われるが、そのまま病院に残って看護婦として一生を捧げた、井深八重。
森田ミツは、モデルとなった井深八重とは違い、貧乏な田舎育ちで、垢抜けない芋娘。
雑誌の文通欄で若い学生(吉岡努/藤岡正明)と知り合い、デートすることになるが、男の方はただ「ヤル」ことしか頭に無かった……
戦後の混乱期の東京で、ただ一度出会い、そのまま棄てられた娘。男と付き合ったこともなく、初めて出会った大学生にのぼせあがって、何もかもあげてしまったのに。
彼との二度目のデートを夢見て、綺麗なカーディガンを買うお金を貯めようと決意するナンバーは、明るくて軽やかで可愛らしいのに、観客は吉岡の本音を知っている。……観ていて一番辛い所でした。
そんなこんなしているうちに、ミツは手首のあざを診た医者に「ハンセン病かもしれない」と診断され、「復活病院」に行くよう指示される……。
ミツ側の物語は、ごくシンプルです。
苦しい生活 ⇒ 初めてのデートで有頂天 ⇒ その後、なかなか会えなくて切ない ⇒
⇒ 病院での診断に衝撃を受ける ⇒ 悲壮な決意で病院に向かう ⇒
⇒ 不安に怯える入院生活 ⇒ 誤診だった!という歓喜 ⇒
⇒ 後ろ髪ひかれる想い ⇒ 病院に戻り、彼らと共に生きることを決意 ⇒ 心の平安
それに対して、縒り縄のように絡みつく吉岡の物語も、ある意味物凄くシンプル。
苦しい学生生活 ⇒ 欲望のはけ口としての女(森田ミツ) ⇒
⇒ ミツを棄てて大学を卒業し、就職する ⇒ 学歴の低い先輩たちに苛められる ⇒
⇒ 社長の姪である美人(三浦マリ子/井田安寿)と親しくなり、口説く ⇒
⇒ マリ子と結婚(逆玉?)し、幸せな家庭を築く
けれども、彼の人生は、そこかしこの場面でミツとの思い出がフラッシュバックする。
卒業するとき。就職先で。マリ子との会話の中で。
そのたびにかれは、街のどこかにいるミツを求めて彷徨う。蜜を求めて飛び回る蜜蜂のように。
おそらく、彼にとってミツは「天使」だったんだろうな、と思いました。
「眼には見えないけれども、いつも自分を見ていてくれる」存在。
いつか彼女が、自分の罪を暴きに来るだろう、と。
現世でか、隔り世でか、それはわからないけれども、いつの日か白い翼を拡げて、彼女が自分を迎えに来るのだろう、と。
それはいわば『心の中の神』です。ミツは、棄てられることで吉岡にとってのそういう存在になった。あるいは、吉岡はミツを棄てることで、「いつも誰かが視ている」という観念から逃れられなくなった。それは、「常に神は視ておられる」という観念にとても近い。
クリスチャンである遠藤周作らしい、見事なレトリック。
別に、吉岡はこの物語の中でなんら罰を受けないんですよね。天に召されるのはミツだし、吉岡はマリ子と幸せな結婚生活を送り、長生きする。でも、その人生が幸せなものだったのか?ということなんだと思います。
幸せなのかもしれない。それは、吉岡自身にしかわからない、決められないことなのだと思う。
そして、藤岡さんの吉岡務は、その人生を「幸せだった」と言い切れるだけの強さがあるように見えました。
自分が選んだ人生なのだから、と。ミツを棄てたことも、それによって背負ったものの重さも受け入れて、彼は彼の人生を一歩ずつ歩いていく。
ミツがミツの人生を、ゆっくりと歩いていったように。
森田ミツ(高野菜々)
可愛らしくて一生懸命で、役によく合っていたと思います。歌声も素直で聴きやすかった♪
吉岡努(藤岡正明)
「レ・ミゼラブル」のマリウスだの「ミス・サイゴン」のクリスだの、立て続けにメジャー作品の二枚目役を演じた藤岡さん。吉岡は非常にイヤな奴なのでやりにくかったのではないかと思うのですが、なかなか良かったと思います。「悪い奴」なのではなく、単に「嫌な奴」というか(^ ^;ゞ、彼なりに一生懸命生きたら、回りの反感を買っちゃった……みたいな、なんともいえずKYな感じがすごく良かったです(←誉めてるんですってば!)。
歌は流石の一言。Rカンパニーメンバーとはランクが違う感じがしました(^ ^)。
三浦マリ子(井田安寿)
元四季の井田さん。可愛いダンサーという認識だったのですが(←だって「コンタクト」のピンクが一番印象的だったし……)、芝居も歌も良かったです。さりげない存在感と、美人すぎない上品さが魅力的でした♪
こないだの「メトロに乗って」再演では、お時(初演は福麻むつ美)を演じられたんですね。こんなに素敵な女優さんになっているんなら、観れば良かったなあ……。
スール・山形(秋本みな子)
こちらも元四季。劇団四季も、数年前に中堅がごそっと辞めましたが、Rカンパニーに入った人は案外と多いんですね。四季時代から、『何をやらせても安心な人』という評価は確立していたと思いますが、「復活病院」のシスター役、という難しい役を自然体でやれるところは本当に凄いな、と思いました。
病院に戻ってきたミツが「あたしも病院で働きたい」と言うのに、「あなたは私たちとは違う(だから無理よ)」みたいなことを言って東京に帰そうとする場面がすごく良かったです。ああ、秋本さんの「メトロに乗って」みち子(初演は毬谷友子)を観たかったなあ(; ;)。そんなキャストだったなんて知らなかったよ(↓)。
他のRカンパニーメンバーも皆さんがんばってました。
で、「タカラジェンヌのスタイルって異常なんだな」と改めて認識したりもしました(^ ^)。
……以下、つぶやきです(^ ^)v
タカラヅカファンかつ宙組ファンの猫にとって、この作品で一番面白かったのは、
吉岡とマリ子が映画を観る場面でした。
その映画館でやっていたのは「カサブランカ」だったの!!
ロビーでの二人の芝居がメインなので映像は出ないんですが、音だけは、いかにもドア越しに微かに聴こえてくるっぽくぼかされた、何を言ってるんだかさっぱり判らない音が流れていて。
すっごいソレらしい!!とテンション上がりました(^ ^)。
そして、その後の場面では、トレンチコートを着た男と女のデュエットダンスがちょっと(場つなぎみたいな感じですが)あって、これは空港の場面をイメージしているのかな?と思いながら見入ってしまいました。
いやーーーーーー、
それにしても、祐飛さんのトレンチコートの着こなしがいかに素晴らしいか、を思い知らされてみました(←いまさら?)
宙組ファン&映画「カサブランカ」ファンのみなさま、
これから、相模大野と大阪で公演をするみたいなので、もし暇で暇でしょーがないようでしたらご覧になると面白いかもしれませんよ★保証はいたしかねますけど、ねっ★
.
「カサブランカ」【4】
2010年1月8日 宝塚(宙)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
■第9~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)
前回の日記ではちょっと飛ばしてしまいましたが、ヴィクター・ラズロとシュトラッサー、ルノー三者の会談が、実はかなり好きです。っていうか、たぶん、単にラズロが好きなんだと思うんですが(^ ^)。「今ここでは無理でしょう」の肩のすくめかたとか。「ルノー大尉。これはあなたの要請ですか?」とか、慇懃無礼で嫌味たっぷりで、なのに、どこか軍人たちの嗜虐性に火を点ける、そんな部分があると思うんです。
元来、相手の出方をみてそれを受けるという芝居は不得手な人だった印象をもっていたのですが、「薔薇に降る雨」の男爵もすごく良かったし、最近はそういう役が多くなってきているんですね。
映画のヴィクター・ラズロは、リックよりだいぶ年配の、理論家というか学究肌の紳士だった印象がありました。この舞台でも、回想シーンでのリックとセザールの会話の中で「(ラズロは)平和主義者だろう?俺には関係ない」という台詞があったりするんですが。
……蘭トムさんのラズロは、実戦派ですよねえ(*^ ^*)。武闘派というほどではないかもしれませんが、実際に銃を持って戦って、兵士たちの士気を挙げる英雄タイプ。
あああ、本当にカッコイイわぁ~(*^ ^*)。
カフェの専属歌手、コリーナ・ムラ(鈴奈沙也)のショータイム。
サム(萬あきら)は休憩のためピアノの前を離れて上手へ向かい、カフェの中央階段でコリーナがアダルトに歌いだす。
ラズロを召還できたことに満足して、悠然と店を出て行くシュトラッサー。見送りに出るルノー。
カールから伝票を受け取って、すごくイヤそうな顔をしながらサインをするハインツ(風莉じん)がすごくツボです。
彼らがいなくなって、一気に店内の空気が緩む。
ココで見逃せないのは、それまで上手のバーカウンターでサッシャ(春風弥里)やバーガー(鳳翔大)と喋っていたトネリ中尉(月映樹茉)です♪
元々熱心なコリーナのファンだった、という設定なのか、この晩に初めて歌姫に出会って、一目惚れしたのか?どちらにしても、彼は猛烈な勢いでコリーナにアタックしています。テーブルの間を歌いながら練り歩く歌姫のあとをついて歩き、そこらのテーブルの花を勝手に取って渡そうとしたりしているし(汗)。ラズロやシュトラッサーたちの、面子から生命から、あらゆるものを賭けた闘いをよそに、手の届かない恋しい歌姫をひたすら追いかけている彼は、とても幸せそうに見えました。
……92期って、本当に人材豊富なんだな………。
一息ついて、バーガーの居るバーカウンターへ向かうラズロ。
シュトラッサーを見送って戻ってきたルノーは、下手のテーブルで美女と歓談中。そちらにチラリと眼をやりつつ、落ち着いた足取りで。
憧れの英雄と話す喜びに興奮気味のバーガー。
ウガーテが逮捕されたと聞いてがっかりするラズロ。
「あなたには我々がついています!」と一生懸命慰めるバーガー。トラックの手配はできているけど人手が足りない彼らは、ラズロのために何をしてあげられるかなあ(^ ^;
“今夜の集会”に出席を依頼したあたりで、注文の「シャンパン・カクテル」を作っていたサッシャが割り込んでくる。彼は、バーガーとラズロが話している間中、カクテルをつくりながら周りを見ているんですよねー。彼なりに、バーガーたちを守ろうとしているのが可愛いです♪
しかーし、割り込み方がわざとらしくて暑苦しいのが、みーちゃんらしさなのかしらん(^ ^;ゞ
下手から、ちょっとニヤニヤしながらバーカウンターに近づいてくるルノー。わざとらしくバーガーに声をかけて追い払い、席に戻ろうとするラズロを引き止めて話を始める。
ルノーは完全にバーガーの裏を知っていて、泳がせているんですよね?で、バーガーはルノーにバレてることを判っている、のかなぁ?大ちゃんの芝居は非常に素直で可愛いので、もしかして何も判ってないんじゃ?と心配になるんですが。
それにしても。
ちょっと話が戻りますが、ルノーは何故、ラズロとウガーテの取引場所がリックの店だと予想しなかったんでしょうね。ウガーテがここに居ることは知っていたのに。『誰かに会いたければ、リックの店に行くといい』……ラズロはウガーテに会いたかった。だから、リックの店に来ると思わなかったのでしょうか?
ラズロとウガーテが書類を受け渡している現場を押さえることさえできれば、二人まとめて逮捕できたのに、先にウガーテを(手際よく)掴まえてしまったばっかりに、本命のラズロを逃がしてしまうんですよね。シュトラッサーも機嫌よく帰って行ったけど、そこはルノーのミスじゃないのか?
この時点では、魔法のヴィザはウガーテが持っていると思っていたから、安心していたということ?あるいは、ルノーは、本心ではラズロに渡米して欲しいと思っているから、なるべくラズロを捕まえずにシュトラッサーに指示された任務を最小限にして果たすことを考えているという解釈もあるのかなあ…?
テーブルに残ったイルザは、ウェイターのビゴー(七海ひろき)にピアニストを連れてくるように頼む。
現れたサムに、懐かしそうに話しかけるイルザ。
美しい過去の思い出に浸りこもうとするイルザと、目の前で血を流し続ける傷口をじっと見守って来たサム。
「リックはどこ?」
「ブルーパレットって店に女が出来ちまってね……」
「サム、あなた、昔はもっと嘘を吐くのが上手だったわ」
彼女にとっては。懐かしい過去の思い出であっても、
リックにとっては、決して癒えることのない傷。
「弾いて頂戴、サム。……“As Time Goes By”」
ハミングで歌いだすイルザ。楽しかったパリの思い出。愛する男と、愛した男。
でも、一人の男にとっては、それは未だに現在進行形の愛だから。
「その曲は二度と弾くなと……っ!」
階段を駆け下りて叫ぶリック。
“取り乱すリック”なんていう珍しいものを初めて観た客たちの、純粋な驚きの表情。
困ったように眉だけ動かして、イルザを示すサム。
「………」
時間が止まる。
空気が凍る。
心配げに立ち上がって、イルザのもとに向かうラズロ。
それをちょっと抑えて、声をかけるルノー。
「マドモアゼル、彼が先ほどお尋ねのリックです。リック、こちらは」
「………イルザ」
ルノーの言葉と共に動き出した時間も空気も、リックの周りだけ、まだ止まったままで。
食い入るように、イルザだけを見凝めるリック。
その視線に耐えられず、視線を逸らすイルザ。その蒼褪めた頬に、先刻までの穏やかで懐かしげな笑みはなく。頬に、髪に、絡みつくようなリックの視線に晒されて、それでも気丈に胸を張って立っている少女。
ラズロに請われるままに、テーブルにつくリック。さりげなくテーブルを調えるカールとビゴーが、とっても有能。
ここから先は、ちょっと眼を伏せつつも凝っとイルザから視線を離さなかった日もあるし、逆に、まったくイルザを見なかった日もある……と思うんですよね。私自身も、他のテーブルに気をとられていることも多くて(ごめんなさい)あまり観ていないときもあったりするのですが(^ ^;ゞ、真っ直ぐに正面から視る、というのは、大劇場で初めて観たとき以来あまりやっていないような気がします。
ちょっと顔を背けて、でも眼の端で追っている、みたいな感じ。
なんとなくおかしな空気には気づきながらも、あたりさわりのない会話を続けるラズロ。
イルザと最後に会ったのは、パリにドイツ軍がやってきた日だった、というリックの言葉に
「忘れられない日だね」
と、ひどく懐かしげに呟くのが印象的です。……あれっ?その日って、ラズロにとってはどういう日なんだろう……?もうパリに入っていたのでしょうか。そのアタリは、最後まで観てもよくわからないんですよね、ラズロの回想シーンが無いので。
夜間外出禁止時間が近づき、ラズロとイルザも席を立つ。
さりげなく護衛(尾行)をつけることを宣言しつつ、爽やかに送り出すルノー。
挨拶もそこそこに、逃げるように店の中へ戻っていくリック。
イルザだけが、そんなリックを視ている。
ルノーが店内に戻るのを確認して、下手花道へ向かうラズロとイルザ。
バーガーに連れられて、ラズロと同じスーツを着たアンリ(愛月ひかる)が現れ、帽子を交換して歩き出す。アンリはイルザを連れてホテルへ、ラズロはバーガーと共に地下水道へ。
そういう役は、もう少し身長や体格の似通った人でやったほうがいいんじゃないでしょうか>小池さん
盆がまたくるりと回って、店の中へパン。
閉店時間を過ぎて従業員も帰った店の中で、酔いつぶれているリック。
ありがとう小池さん。
思えば、酔っ払った祐飛さんには数々の名シーンがありますが。
この場面は本当に名場面だよなあ、と。
なんだか、結構時間が気になるこの芝居。
このとき、カサブランカは何時なんでしょうね。このあと、回想シーンが終わったあとで、酔いつぶれて寝てしまったリックにサムが「夜が明けちまいますよ」と言うので、おそらくは3時か4時か……早くてもせいぜい2時くらいだと思うのですが。
問題は、「夜間外出禁止時間」が何時からなのか、だと思うんですが、いくら調べても、当時のモロッコの戒厳令の詳細がわからない(T T)。
映画を見れば、時計が映っていたりするのでしょうか……?
おそらく、「夜間外出禁止時間」=閉店時間でしょうから、たとえばそれが夜の12時なら、そこから従業員が片付けるのを見ながら飲み始めて、1時間くらいで酔っ払ってサムに絡み始め……ぐでんぐでんに酔っ払ってダウンするまで3時間くらい?
そんな細かいチェックをしたくなるのが、小池作品の深いところです。
『As Time Goes By』を弾いてくれ、とねだるリック。
「思い出は、古傷に滲みるかもしれませんよ」
「……彼女が耐えた痛みなら、俺も耐えられる」
たぶん、「As Time Goes By」を頼んだ時点でのイルザの古傷は、せいぜいむず痒さを感じる程度のもの。
今リックが耐えようとしている激痛とは全く違うものだったのだろうけれども。
……そんなこと、知らない。
俺がこれだけ痛むのだから、彼女も同じだけの痛みを背負っているはずだ。
たとえ、彼女自身は忘れてしまっているのだとしても、俺が愛した1年前の彼女は。
♪恋人たち 交わすI Love You
♪本気になる……
次第に、闇の中に沈んでいくサム。
バックスクリーンに浮かび上がる石造りの街なみ。窓々から零れる灯火。ライトアップされた繁華街のネオンサイン。数々の看板。
夢のように。走馬灯のように。
あるいは、回転木馬のように。
一つ回ると年を取る。逆に回ると若返る。レイ・ブラッドベリの「何かが道をやってくる」を思い出させる、見事な演出です。
リックの記憶が投影されたバックスクリーンに向かって、彼は自らの脚で階段を昇り、そしてまた降りていく。
記憶の街の中へ、と。
♪明日さえ見えない As Time Goes By
今、彼の視界に広がっているのは、春の出会いと初夏の別れ。
秋の孤独と冬の超然は消え去った。どこかに置いてきた。
「世界中の酒場の中で、なぜこの店に来た……!」
リックの虚無が、あの広い大劇場全体を包み込んだ瞬間。
銀ちゃんとは全く違うけれども、リックも銀ちゃんなみに感情のUP-DOWNが激しいタイプだったんだな、と思いました。
役者って、すごいなあ……(いまさら?)
.
■第9~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)
前回の日記ではちょっと飛ばしてしまいましたが、ヴィクター・ラズロとシュトラッサー、ルノー三者の会談が、実はかなり好きです。っていうか、たぶん、単にラズロが好きなんだと思うんですが(^ ^)。「今ここでは無理でしょう」の肩のすくめかたとか。「ルノー大尉。これはあなたの要請ですか?」とか、慇懃無礼で嫌味たっぷりで、なのに、どこか軍人たちの嗜虐性に火を点ける、そんな部分があると思うんです。
元来、相手の出方をみてそれを受けるという芝居は不得手な人だった印象をもっていたのですが、「薔薇に降る雨」の男爵もすごく良かったし、最近はそういう役が多くなってきているんですね。
映画のヴィクター・ラズロは、リックよりだいぶ年配の、理論家というか学究肌の紳士だった印象がありました。この舞台でも、回想シーンでのリックとセザールの会話の中で「(ラズロは)平和主義者だろう?俺には関係ない」という台詞があったりするんですが。
……蘭トムさんのラズロは、実戦派ですよねえ(*^ ^*)。武闘派というほどではないかもしれませんが、実際に銃を持って戦って、兵士たちの士気を挙げる英雄タイプ。
あああ、本当にカッコイイわぁ~(*^ ^*)。
カフェの専属歌手、コリーナ・ムラ(鈴奈沙也)のショータイム。
サム(萬あきら)は休憩のためピアノの前を離れて上手へ向かい、カフェの中央階段でコリーナがアダルトに歌いだす。
ラズロを召還できたことに満足して、悠然と店を出て行くシュトラッサー。見送りに出るルノー。
カールから伝票を受け取って、すごくイヤそうな顔をしながらサインをするハインツ(風莉じん)がすごくツボです。
彼らがいなくなって、一気に店内の空気が緩む。
ココで見逃せないのは、それまで上手のバーカウンターでサッシャ(春風弥里)やバーガー(鳳翔大)と喋っていたトネリ中尉(月映樹茉)です♪
元々熱心なコリーナのファンだった、という設定なのか、この晩に初めて歌姫に出会って、一目惚れしたのか?どちらにしても、彼は猛烈な勢いでコリーナにアタックしています。テーブルの間を歌いながら練り歩く歌姫のあとをついて歩き、そこらのテーブルの花を勝手に取って渡そうとしたりしているし(汗)。ラズロやシュトラッサーたちの、面子から生命から、あらゆるものを賭けた闘いをよそに、手の届かない恋しい歌姫をひたすら追いかけている彼は、とても幸せそうに見えました。
……92期って、本当に人材豊富なんだな………。
一息ついて、バーガーの居るバーカウンターへ向かうラズロ。
シュトラッサーを見送って戻ってきたルノーは、下手のテーブルで美女と歓談中。そちらにチラリと眼をやりつつ、落ち着いた足取りで。
憧れの英雄と話す喜びに興奮気味のバーガー。
ウガーテが逮捕されたと聞いてがっかりするラズロ。
「あなたには我々がついています!」と一生懸命慰めるバーガー。トラックの手配はできているけど人手が足りない彼らは、ラズロのために何をしてあげられるかなあ(^ ^;
“今夜の集会”に出席を依頼したあたりで、注文の「シャンパン・カクテル」を作っていたサッシャが割り込んでくる。彼は、バーガーとラズロが話している間中、カクテルをつくりながら周りを見ているんですよねー。彼なりに、バーガーたちを守ろうとしているのが可愛いです♪
しかーし、割り込み方がわざとらしくて暑苦しいのが、みーちゃんらしさなのかしらん(^ ^;ゞ
下手から、ちょっとニヤニヤしながらバーカウンターに近づいてくるルノー。わざとらしくバーガーに声をかけて追い払い、席に戻ろうとするラズロを引き止めて話を始める。
ルノーは完全にバーガーの裏を知っていて、泳がせているんですよね?で、バーガーはルノーにバレてることを判っている、のかなぁ?大ちゃんの芝居は非常に素直で可愛いので、もしかして何も判ってないんじゃ?と心配になるんですが。
それにしても。
ちょっと話が戻りますが、ルノーは何故、ラズロとウガーテの取引場所がリックの店だと予想しなかったんでしょうね。ウガーテがここに居ることは知っていたのに。『誰かに会いたければ、リックの店に行くといい』……ラズロはウガーテに会いたかった。だから、リックの店に来ると思わなかったのでしょうか?
ラズロとウガーテが書類を受け渡している現場を押さえることさえできれば、二人まとめて逮捕できたのに、先にウガーテを(手際よく)掴まえてしまったばっかりに、本命のラズロを逃がしてしまうんですよね。シュトラッサーも機嫌よく帰って行ったけど、そこはルノーのミスじゃないのか?
この時点では、魔法のヴィザはウガーテが持っていると思っていたから、安心していたということ?あるいは、ルノーは、本心ではラズロに渡米して欲しいと思っているから、なるべくラズロを捕まえずにシュトラッサーに指示された任務を最小限にして果たすことを考えているという解釈もあるのかなあ…?
テーブルに残ったイルザは、ウェイターのビゴー(七海ひろき)にピアニストを連れてくるように頼む。
現れたサムに、懐かしそうに話しかけるイルザ。
美しい過去の思い出に浸りこもうとするイルザと、目の前で血を流し続ける傷口をじっと見守って来たサム。
「リックはどこ?」
「ブルーパレットって店に女が出来ちまってね……」
「サム、あなた、昔はもっと嘘を吐くのが上手だったわ」
彼女にとっては。懐かしい過去の思い出であっても、
リックにとっては、決して癒えることのない傷。
「弾いて頂戴、サム。……“As Time Goes By”」
ハミングで歌いだすイルザ。楽しかったパリの思い出。愛する男と、愛した男。
でも、一人の男にとっては、それは未だに現在進行形の愛だから。
「その曲は二度と弾くなと……っ!」
階段を駆け下りて叫ぶリック。
“取り乱すリック”なんていう珍しいものを初めて観た客たちの、純粋な驚きの表情。
困ったように眉だけ動かして、イルザを示すサム。
「………」
時間が止まる。
空気が凍る。
心配げに立ち上がって、イルザのもとに向かうラズロ。
それをちょっと抑えて、声をかけるルノー。
「マドモアゼル、彼が先ほどお尋ねのリックです。リック、こちらは」
「………イルザ」
ルノーの言葉と共に動き出した時間も空気も、リックの周りだけ、まだ止まったままで。
食い入るように、イルザだけを見凝めるリック。
その視線に耐えられず、視線を逸らすイルザ。その蒼褪めた頬に、先刻までの穏やかで懐かしげな笑みはなく。頬に、髪に、絡みつくようなリックの視線に晒されて、それでも気丈に胸を張って立っている少女。
ラズロに請われるままに、テーブルにつくリック。さりげなくテーブルを調えるカールとビゴーが、とっても有能。
ここから先は、ちょっと眼を伏せつつも凝っとイルザから視線を離さなかった日もあるし、逆に、まったくイルザを見なかった日もある……と思うんですよね。私自身も、他のテーブルに気をとられていることも多くて(ごめんなさい)あまり観ていないときもあったりするのですが(^ ^;ゞ、真っ直ぐに正面から視る、というのは、大劇場で初めて観たとき以来あまりやっていないような気がします。
ちょっと顔を背けて、でも眼の端で追っている、みたいな感じ。
なんとなくおかしな空気には気づきながらも、あたりさわりのない会話を続けるラズロ。
イルザと最後に会ったのは、パリにドイツ軍がやってきた日だった、というリックの言葉に
「忘れられない日だね」
と、ひどく懐かしげに呟くのが印象的です。……あれっ?その日って、ラズロにとってはどういう日なんだろう……?もうパリに入っていたのでしょうか。そのアタリは、最後まで観てもよくわからないんですよね、ラズロの回想シーンが無いので。
夜間外出禁止時間が近づき、ラズロとイルザも席を立つ。
さりげなく護衛(尾行)をつけることを宣言しつつ、爽やかに送り出すルノー。
挨拶もそこそこに、逃げるように店の中へ戻っていくリック。
イルザだけが、そんなリックを視ている。
ルノーが店内に戻るのを確認して、下手花道へ向かうラズロとイルザ。
バーガーに連れられて、ラズロと同じスーツを着たアンリ(愛月ひかる)が現れ、帽子を交換して歩き出す。アンリはイルザを連れてホテルへ、ラズロはバーガーと共に地下水道へ。
そういう役は、もう少し身長や体格の似通った人でやったほうがいいんじゃないでしょうか>小池さん
盆がまたくるりと回って、店の中へパン。
閉店時間を過ぎて従業員も帰った店の中で、酔いつぶれているリック。
ありがとう小池さん。
思えば、酔っ払った祐飛さんには数々の名シーンがありますが。
この場面は本当に名場面だよなあ、と。
なんだか、結構時間が気になるこの芝居。
このとき、カサブランカは何時なんでしょうね。このあと、回想シーンが終わったあとで、酔いつぶれて寝てしまったリックにサムが「夜が明けちまいますよ」と言うので、おそらくは3時か4時か……早くてもせいぜい2時くらいだと思うのですが。
問題は、「夜間外出禁止時間」が何時からなのか、だと思うんですが、いくら調べても、当時のモロッコの戒厳令の詳細がわからない(T T)。
映画を見れば、時計が映っていたりするのでしょうか……?
おそらく、「夜間外出禁止時間」=閉店時間でしょうから、たとえばそれが夜の12時なら、そこから従業員が片付けるのを見ながら飲み始めて、1時間くらいで酔っ払ってサムに絡み始め……ぐでんぐでんに酔っ払ってダウンするまで3時間くらい?
そんな細かいチェックをしたくなるのが、小池作品の深いところです。
『As Time Goes By』を弾いてくれ、とねだるリック。
「思い出は、古傷に滲みるかもしれませんよ」
「……彼女が耐えた痛みなら、俺も耐えられる」
たぶん、「As Time Goes By」を頼んだ時点でのイルザの古傷は、せいぜいむず痒さを感じる程度のもの。
今リックが耐えようとしている激痛とは全く違うものだったのだろうけれども。
……そんなこと、知らない。
俺がこれだけ痛むのだから、彼女も同じだけの痛みを背負っているはずだ。
たとえ、彼女自身は忘れてしまっているのだとしても、俺が愛した1年前の彼女は。
♪恋人たち 交わすI Love You
♪本気になる……
次第に、闇の中に沈んでいくサム。
バックスクリーンに浮かび上がる石造りの街なみ。窓々から零れる灯火。ライトアップされた繁華街のネオンサイン。数々の看板。
夢のように。走馬灯のように。
あるいは、回転木馬のように。
一つ回ると年を取る。逆に回ると若返る。レイ・ブラッドベリの「何かが道をやってくる」を思い出させる、見事な演出です。
リックの記憶が投影されたバックスクリーンに向かって、彼は自らの脚で階段を昇り、そしてまた降りていく。
記憶の街の中へ、と。
♪明日さえ見えない As Time Goes By
今、彼の視界に広がっているのは、春の出会いと初夏の別れ。
秋の孤独と冬の超然は消え去った。どこかに置いてきた。
「世界中の酒場の中で、なぜこの店に来た……!」
リックの虚無が、あの広い大劇場全体を包み込んだ瞬間。
銀ちゃんとは全く違うけれども、リックも銀ちゃんなみに感情のUP-DOWNが激しいタイプだったんだな、と思いました。
役者って、すごいなあ……(いまさら?)
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「カサブランカ」【5】
2010年1月9日 宝塚(宙)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
■第12場 ラ・ベル・オーロール ~1940年4月~
回転木馬ならぬ盆が一回りして、カフェのセットが紗幕の向こうに消え失せて、紅いグランドピアノ出てくる。
リックの後姿がバックスクリーンの映像の中に消えると、舞台全面にピンクの羽扇を持ったダンサーたちが登場し、音楽も変わって華やかなショーナンバー「ラ・ベル・オーロール」に。
メインダンサーのマドレーヌ(大海亜呼)が、黒い肌に白のダルマ姿で登場。第一声の「ラ・ベル・オーロール!」でいきなり持って行かれます(^ ^)。えっちゃんったら、素敵★
レトロで正統派の、華やかなショータイム。
派手派手な縦縞の衣装を着こんだサム(萬あきら)の“ショーピアニスト”っぷりが半端なく格好良い!ピアノに向かっているときの派手なパフォーマンス、ピアノの前を離れてえっちゃんと並んで踊る場面の強烈なスターオーラ。宙組の超絶スタイルな下級生たちの間に入っても見劣りしない、いぶし銀の輝きはさすがです。
ショーの途中からまた盆が回り始めて、ラ・ベル・オーロールのセットが登場。
リックのカフェとの違いは、テーブルクロスが紅くなっただけ……ように見えるんですけど、気のせい?(^ ^)
下手端奥のテーブルには、雅桜歌&安里舞生。
舞台前面下手のテーブルには、さっつん(風羽玲亜)&妃宮さくら。
その隣は、最初えなちゃん(月映樹茉)が一人で座っているけど、ショーが終わった後、ちょっと一杯飲んですぐに出て行ったはず。
その上手隣(センター)は空席になっていて、次は天玲美音さんが一人で座り、隣に珠洲春希&花露すみか。で、上手端(奥)のテーブルには、蒼羽りくちゃんが一人で座っていました。
舞台奥は、上手から順に蒼羽、天輝トニカ&桜音れい、階段を挟んで天風いぶき、松風輝&七瀬りりこ、で、下手端が雅&安里でした。
下手花道にリックが登場。
黒い細身のタキシードに柄もののベスト。白いYシャツと黒の蝶ネクタイ、ズボンは『現在』のカフェでの服と同じに見えるけど、どうなんでしょう。髪はちょっと緩めてあるのかな?わずか一年前とは思えないほど、若々しくて軽やかなイメージになっていて、別人ぶりにちょっとだけ驚きます。
花道近くのピアノから、サムが声をかける。
「よう旦那、そろそろ彼女は出来たかい?」
「パリにきてそろそろ一年だが、まだ駄目だね」
軽く挨拶をして、楽しそうにテーブルを探しているところで、黒づくめの隻眼の男に出会う。
「リック。久しぶりだな」
「………セザール!?」
亡霊でも見たかのように立ち竦むリック。
なんですかその驚きようは。昔のオトコでもあるまいに。
よれよれの革の上衣に、黒い眼帯。荒くれた雰囲気を漂わせるセザール(十輝いりす)は、確かに華やかなパリのミュージックホールには場違いな感じがします。まさこちゃん、あまりカミソリのような“鋭く張り詰めた”雰囲気のあるタイプではなく、どちらかというと無骨な、戦車のようなタイプなんですが。……それにしても、暢気なアメリカ人観光客とはえらい違いだわ(*^ ^*)。
二人で、空席になっていたセンター手前のテーブルに座って話を始める。
「仕事の話だ」
「俺は武器商人からは足を洗った。知っているだろう?」
「ああ。…だが、今こそお前の力が必要なんだ」
だが、リックはもう戦場に戻るつもりはない。
「スペインを出るときに誓ったんだ。たとえファシズムを倒すためでも、二度と武器は扱わない、と」
戦いが嫌いな、平和主義者の武器商人。
この一連の場面は回想シーンなんですが、難しいのは、リックの過去はさらに二重・三重に過去があるところだと思うのです。映画では、この辺はばっさりカットして、時折挟む短い回想場面の積み重ねと実際の台詞でなんとなく過去を想像させるだけでしたが、今回の小池さんの潤色では、このパリ時代を結構踏み込んで描いているので……
だからこそ、難しい。
もともと小池さんは潤色の天才なのであって、オリジナルはあまり天才的ではないので(←ごめんなさい)、冷静に考えると突っ込みどころがたくさんあって、楽しいです(←あれっ?)。
というか。
ここまで詳しくパリ時代を描いてしまうと、本編と整合性が取れないんですよね。あちこちに小さな矛盾があって。
でもまあ、とりあえず、その矛盾については、矛盾が出てきたところで語ることにして。
とりあえずは、ここでちょっと年表の復習を。
1934年 エチオピア戦争勃発
1935年 リック、エチオピアに武器を密輸(ルノーの台詞より)
1936年 スペイン内戦勃発。リック参戦。
1939年 スペイン内戦終結。
リックは「二度と武器は扱わない」と決心してスペインを離れ、パリに入ってサムと知り合う。
アメリカ再入国禁止をくらったのは、どのタイミングなんでしょうね?なんとなく、エチオピア戦争まではアメリカを拠点にして武器を扱っていたんじゃないのかな、と思うのですが。
軍の武器の横流しに手を出して、とっ捕まった、とか、、、そういうことなのかなあ?と(想像)
どちらにしても、スペイン内戦はリックが語るようなお綺麗な反ファシスト戦争ではなく、勃発当時は与党側だった人民政府側の急進派が、野党である右派勢力の勢力を削ごうと暗殺事件を起こしたのがきっかけだし、泥沼化してからは、人民政府側の主力はソ連に近づいていき、後半は事実上の共産党軍となりつつあったはず。
ただ、国際的に「反ファシスト」という動きが活発になるのはこの時代で、それは主に、スペイン内戦を取材したアーネスト・ヘミングウェイを含む従軍記者・作家たちの文筆活動によるものであったことは事実。
だから、リックの「この戦争に勝てば、スペインを救った勇敢なアメリカ人として世界のヒーローになれる」という台詞も、あながち間違いではなかったのでしょうね。最初のきっかけや実態がどうであれ、「これは尊い反ファシズムの戦いである」と喧伝されれば、そういう思想に共感する人が集まってくるものだから。
セザール(英語読みでシーザー)は、名前からしてフランス人だと思うんですが、当時フランスは不干渉策をとっていたはずなので、この戦争には個人として参加していたはず。スペイン内戦には、「反ファシズム」の旗印のもと、他国からの参戦者も多かったようなので、そのうちの一人だったのでしょう。
おそらくはリックも同様に。
泥沼化していく戦争の中で、理想を抱いて戦場に飛び込んだ彼らは、さぞ苦しんだのだろうと思います。人の死は理想では説明できない。それは現実ですから。
セザールはその悲惨さに目を瞑ることを覚えて一人前の戦士となり、リックは悲惨さから目を離すことができず、動けない。
逃げ出したリックは、パリの明るい灯に救われる。石造りの街。上流階級のあつまる、明るいミュージックホール。人の心を浮き立たせるショーピアニスト、そして、笑顔でさんざめく人々。
その明るさにあっという間に馴染んだリックに、違和感を感じるセザールが、凄く良いです。
ただ、言うことをきかないリックに苛立っているだけじゃなくて、すごく違和感を感じているのがわかる。「こいつは、本当に俺の知っている男なのか…?」といぶかしんでいるんですよね、たぶん。
その直感力が、彼の力なんだと思います。あれこれ考えすぎてしまいがちなリックには無い、力。リックは彼のそんなところに惹かれて共に戦い、彼のそんなところに反発を覚えて道を違える。「俺はもう、戦わない」……と。
セザールが立ち去った後、軽く溜息をついてボーイに注文するところの憂いが好きです。
自ら切り捨てた過去なのに、切られたような気がしたのか。
困っていた友人を手助けできなかったことに、自己嫌悪しているのか。
自分でもわからない落ち込みに、なんとなくイラつきながら。
そんなリックのテーブルの隣に、垢抜けない服装のイルザが案内されてくるのは、セザールが立ち去るちょっと前、ですよね。イルザを見つけて立ち上がる蒼羽りくちゃんが、上手へ向かうセザールとぶつかりそうになる演出があるので。
セザールもりくくんも、どちらも行き先(セザールは出口、りくはイルザ)だけを見ていて近くを見ていないのがよく判る、さりげない演出だなあと毎回思います。
イルザのテーブルにたどり着いたりくくん、懐から手紙を出して、さりげなくイルザのテーブルに置く……つもりだと思うんですけど、あんまりさりげなくない(T T)。それでも、客たちもボーイたちも話に夢中で全然気がつかないけどさー、りくのその怪しげな動きでは、本来はバレバレだと思うぞ(汗)。
手紙を手に取って、衝撃のあまり失神するイルザ。
咄嗟に抱きとめるリック。
すばやく、しかも相変わらずさりげある感じで、床に落ちた手紙を拾い上げて懐にしまい、とっとと出て行くりくくん。
すぐに気がついたイルザに、優しく問いかけるリック。
「大丈夫か?」
客たちの視線に気づいたイルザ、慌てたように
「…なんでもありませんわ。……お酒を」
安心したように、三々五々散っていく客たち。
このタイミングでだいぶ席替えをします。さっつん&舞生ちゃん、松風&さくらちゃんとか。
りくが座っていたテーブルに、あっきーと桜音れいちゃんが座ったり。
リックがイルザの為に頼んだナポレオンが届く。おおぶりのグラスをそっと持つイルザ。
「何があったのか知らないが、俺は自分の過去は話さないし、君の過去も聞かないよ。安心して。……さ、乾杯しよう」
「……(T T)」
「……君の涙に?」
「……ごめんなさい」
「君の健康に?」
目を伏せるイルザ。
あの手紙に書いてあったことを考えれば、その言葉だけは聴きたくなかっただろうに。
「おい。俺はずっと君を見つめているんだぜ、お嬢ちゃん?」
かの、ハンフリーボガートが口にした名台詞。
やっと自分の方を振り向いたイルザの、潤んだ瞳をじっと見凝めて。
「君の瞳に、乾杯」
……字幕にしか存在しなかったはずの、名台詞。
こうして台詞として音で聞くと、本当に気障な台詞だなあ、と思うんです。
でも、実際に舞台で、すみ花ちゃんの大きな瞳がうるうるしているのを見ると……
本当に乾杯したくなる気持ち、すごくよくわかります。
B席で観ても、オペラグラスを使えばちゃんとそこは伝わってくるんだな、と、感心しましたし。この場面のすみ花ちゃんの瞳のパワーは、本当に凄いです♪
そこに、良いタイミングで入る支配人(光海舞人)の声。
「マダム エ ムシュー、さあ、カンカンが始まります!」
飛び込んでくるカンカンガールたち。ショータイムのはじまり。
一瞬の暗転を見逃さずに、舞台からはけるリックとイルザ。
立ち上がって拍手をする客たち。何度見ても、舞生ちゃんの喜びようが可愛くてたまりません(*^ ^*)。
■第13場 ラ・ベル・オーロール ~1940年6月13日~
カンカンガールたちのショーが終わって、そのまま次の場面へ。
客たちはそのまま出ているし、着替えたのもリックとイルザだけなので、あまり変わった気がしませんが、その間にも時は流れ、今はもう6月。
客たちの人間関係もだいぶ変わってきた……かな?(^ ^)。
ああ、パリは一回では終わらなかったか……。
これでも、だいぶ端折ったつもりだったのになあ(汗)。
.
■第12場 ラ・ベル・オーロール ~1940年4月~
回転木馬ならぬ盆が一回りして、カフェのセットが紗幕の向こうに消え失せて、紅いグランドピアノ出てくる。
リックの後姿がバックスクリーンの映像の中に消えると、舞台全面にピンクの羽扇を持ったダンサーたちが登場し、音楽も変わって華やかなショーナンバー「ラ・ベル・オーロール」に。
メインダンサーのマドレーヌ(大海亜呼)が、黒い肌に白のダルマ姿で登場。第一声の「ラ・ベル・オーロール!」でいきなり持って行かれます(^ ^)。えっちゃんったら、素敵★
レトロで正統派の、華やかなショータイム。
派手派手な縦縞の衣装を着こんだサム(萬あきら)の“ショーピアニスト”っぷりが半端なく格好良い!ピアノに向かっているときの派手なパフォーマンス、ピアノの前を離れてえっちゃんと並んで踊る場面の強烈なスターオーラ。宙組の超絶スタイルな下級生たちの間に入っても見劣りしない、いぶし銀の輝きはさすがです。
ショーの途中からまた盆が回り始めて、ラ・ベル・オーロールのセットが登場。
リックのカフェとの違いは、テーブルクロスが紅くなっただけ……ように見えるんですけど、気のせい?(^ ^)
下手端奥のテーブルには、雅桜歌&安里舞生。
舞台前面下手のテーブルには、さっつん(風羽玲亜)&妃宮さくら。
その隣は、最初えなちゃん(月映樹茉)が一人で座っているけど、ショーが終わった後、ちょっと一杯飲んですぐに出て行ったはず。
その上手隣(センター)は空席になっていて、次は天玲美音さんが一人で座り、隣に珠洲春希&花露すみか。で、上手端(奥)のテーブルには、蒼羽りくちゃんが一人で座っていました。
舞台奥は、上手から順に蒼羽、天輝トニカ&桜音れい、階段を挟んで天風いぶき、松風輝&七瀬りりこ、で、下手端が雅&安里でした。
下手花道にリックが登場。
黒い細身のタキシードに柄もののベスト。白いYシャツと黒の蝶ネクタイ、ズボンは『現在』のカフェでの服と同じに見えるけど、どうなんでしょう。髪はちょっと緩めてあるのかな?わずか一年前とは思えないほど、若々しくて軽やかなイメージになっていて、別人ぶりにちょっとだけ驚きます。
花道近くのピアノから、サムが声をかける。
「よう旦那、そろそろ彼女は出来たかい?」
「パリにきてそろそろ一年だが、まだ駄目だね」
軽く挨拶をして、楽しそうにテーブルを探しているところで、黒づくめの隻眼の男に出会う。
「リック。久しぶりだな」
「………セザール!?」
亡霊でも見たかのように立ち竦むリック。
なんですかその驚きようは。昔のオトコでもあるまいに。
よれよれの革の上衣に、黒い眼帯。荒くれた雰囲気を漂わせるセザール(十輝いりす)は、確かに華やかなパリのミュージックホールには場違いな感じがします。まさこちゃん、あまりカミソリのような“鋭く張り詰めた”雰囲気のあるタイプではなく、どちらかというと無骨な、戦車のようなタイプなんですが。……それにしても、暢気なアメリカ人観光客とはえらい違いだわ(*^ ^*)。
二人で、空席になっていたセンター手前のテーブルに座って話を始める。
「仕事の話だ」
「俺は武器商人からは足を洗った。知っているだろう?」
「ああ。…だが、今こそお前の力が必要なんだ」
だが、リックはもう戦場に戻るつもりはない。
「スペインを出るときに誓ったんだ。たとえファシズムを倒すためでも、二度と武器は扱わない、と」
戦いが嫌いな、平和主義者の武器商人。
この一連の場面は回想シーンなんですが、難しいのは、リックの過去はさらに二重・三重に過去があるところだと思うのです。映画では、この辺はばっさりカットして、時折挟む短い回想場面の積み重ねと実際の台詞でなんとなく過去を想像させるだけでしたが、今回の小池さんの潤色では、このパリ時代を結構踏み込んで描いているので……
だからこそ、難しい。
もともと小池さんは潤色の天才なのであって、オリジナルはあまり天才的ではないので(←ごめんなさい)、冷静に考えると突っ込みどころがたくさんあって、楽しいです(←あれっ?)。
というか。
ここまで詳しくパリ時代を描いてしまうと、本編と整合性が取れないんですよね。あちこちに小さな矛盾があって。
でもまあ、とりあえず、その矛盾については、矛盾が出てきたところで語ることにして。
とりあえずは、ここでちょっと年表の復習を。
1934年 エチオピア戦争勃発
1935年 リック、エチオピアに武器を密輸(ルノーの台詞より)
1936年 スペイン内戦勃発。リック参戦。
1939年 スペイン内戦終結。
リックは「二度と武器は扱わない」と決心してスペインを離れ、パリに入ってサムと知り合う。
アメリカ再入国禁止をくらったのは、どのタイミングなんでしょうね?なんとなく、エチオピア戦争まではアメリカを拠点にして武器を扱っていたんじゃないのかな、と思うのですが。
軍の武器の横流しに手を出して、とっ捕まった、とか、、、そういうことなのかなあ?と(想像)
どちらにしても、スペイン内戦はリックが語るようなお綺麗な反ファシスト戦争ではなく、勃発当時は与党側だった人民政府側の急進派が、野党である右派勢力の勢力を削ごうと暗殺事件を起こしたのがきっかけだし、泥沼化してからは、人民政府側の主力はソ連に近づいていき、後半は事実上の共産党軍となりつつあったはず。
ただ、国際的に「反ファシスト」という動きが活発になるのはこの時代で、それは主に、スペイン内戦を取材したアーネスト・ヘミングウェイを含む従軍記者・作家たちの文筆活動によるものであったことは事実。
だから、リックの「この戦争に勝てば、スペインを救った勇敢なアメリカ人として世界のヒーローになれる」という台詞も、あながち間違いではなかったのでしょうね。最初のきっかけや実態がどうであれ、「これは尊い反ファシズムの戦いである」と喧伝されれば、そういう思想に共感する人が集まってくるものだから。
セザール(英語読みでシーザー)は、名前からしてフランス人だと思うんですが、当時フランスは不干渉策をとっていたはずなので、この戦争には個人として参加していたはず。スペイン内戦には、「反ファシズム」の旗印のもと、他国からの参戦者も多かったようなので、そのうちの一人だったのでしょう。
おそらくはリックも同様に。
泥沼化していく戦争の中で、理想を抱いて戦場に飛び込んだ彼らは、さぞ苦しんだのだろうと思います。人の死は理想では説明できない。それは現実ですから。
セザールはその悲惨さに目を瞑ることを覚えて一人前の戦士となり、リックは悲惨さから目を離すことができず、動けない。
逃げ出したリックは、パリの明るい灯に救われる。石造りの街。上流階級のあつまる、明るいミュージックホール。人の心を浮き立たせるショーピアニスト、そして、笑顔でさんざめく人々。
その明るさにあっという間に馴染んだリックに、違和感を感じるセザールが、凄く良いです。
ただ、言うことをきかないリックに苛立っているだけじゃなくて、すごく違和感を感じているのがわかる。「こいつは、本当に俺の知っている男なのか…?」といぶかしんでいるんですよね、たぶん。
その直感力が、彼の力なんだと思います。あれこれ考えすぎてしまいがちなリックには無い、力。リックは彼のそんなところに惹かれて共に戦い、彼のそんなところに反発を覚えて道を違える。「俺はもう、戦わない」……と。
セザールが立ち去った後、軽く溜息をついてボーイに注文するところの憂いが好きです。
自ら切り捨てた過去なのに、切られたような気がしたのか。
困っていた友人を手助けできなかったことに、自己嫌悪しているのか。
自分でもわからない落ち込みに、なんとなくイラつきながら。
そんなリックのテーブルの隣に、垢抜けない服装のイルザが案内されてくるのは、セザールが立ち去るちょっと前、ですよね。イルザを見つけて立ち上がる蒼羽りくちゃんが、上手へ向かうセザールとぶつかりそうになる演出があるので。
セザールもりくくんも、どちらも行き先(セザールは出口、りくはイルザ)だけを見ていて近くを見ていないのがよく判る、さりげない演出だなあと毎回思います。
イルザのテーブルにたどり着いたりくくん、懐から手紙を出して、さりげなくイルザのテーブルに置く……つもりだと思うんですけど、あんまりさりげなくない(T T)。それでも、客たちもボーイたちも話に夢中で全然気がつかないけどさー、りくのその怪しげな動きでは、本来はバレバレだと思うぞ(汗)。
手紙を手に取って、衝撃のあまり失神するイルザ。
咄嗟に抱きとめるリック。
すばやく、しかも相変わらずさりげある感じで、床に落ちた手紙を拾い上げて懐にしまい、とっとと出て行くりくくん。
すぐに気がついたイルザに、優しく問いかけるリック。
「大丈夫か?」
客たちの視線に気づいたイルザ、慌てたように
「…なんでもありませんわ。……お酒を」
安心したように、三々五々散っていく客たち。
このタイミングでだいぶ席替えをします。さっつん&舞生ちゃん、松風&さくらちゃんとか。
りくが座っていたテーブルに、あっきーと桜音れいちゃんが座ったり。
リックがイルザの為に頼んだナポレオンが届く。おおぶりのグラスをそっと持つイルザ。
「何があったのか知らないが、俺は自分の過去は話さないし、君の過去も聞かないよ。安心して。……さ、乾杯しよう」
「……(T T)」
「……君の涙に?」
「……ごめんなさい」
「君の健康に?」
目を伏せるイルザ。
あの手紙に書いてあったことを考えれば、その言葉だけは聴きたくなかっただろうに。
「おい。俺はずっと君を見つめているんだぜ、お嬢ちゃん?」
かの、ハンフリーボガートが口にした名台詞。
やっと自分の方を振り向いたイルザの、潤んだ瞳をじっと見凝めて。
「君の瞳に、乾杯」
……字幕にしか存在しなかったはずの、名台詞。
こうして台詞として音で聞くと、本当に気障な台詞だなあ、と思うんです。
でも、実際に舞台で、すみ花ちゃんの大きな瞳がうるうるしているのを見ると……
本当に乾杯したくなる気持ち、すごくよくわかります。
B席で観ても、オペラグラスを使えばちゃんとそこは伝わってくるんだな、と、感心しましたし。この場面のすみ花ちゃんの瞳のパワーは、本当に凄いです♪
そこに、良いタイミングで入る支配人(光海舞人)の声。
「マダム エ ムシュー、さあ、カンカンが始まります!」
飛び込んでくるカンカンガールたち。ショータイムのはじまり。
一瞬の暗転を見逃さずに、舞台からはけるリックとイルザ。
立ち上がって拍手をする客たち。何度見ても、舞生ちゃんの喜びようが可愛くてたまりません(*^ ^*)。
■第13場 ラ・ベル・オーロール ~1940年6月13日~
カンカンガールたちのショーが終わって、そのまま次の場面へ。
客たちはそのまま出ているし、着替えたのもリックとイルザだけなので、あまり変わった気がしませんが、その間にも時は流れ、今はもう6月。
客たちの人間関係もだいぶ変わってきた……かな?(^ ^)。
ああ、パリは一回では終わらなかったか……。
これでも、だいぶ端折ったつもりだったのになあ(汗)。
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「カサブランカ」【6】
2010年1月10日 宝塚(宙)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
■第13場 ラ・ベル・オーロール ~1940年6月13日~
カンカン・ガールたちがポーズを極めてはけていくと、音楽が甘いメロディに変わって、店の雰囲気ががらっと変わる。
テーブルの客たちもだいぶ入れ替わっていて、舞台奥は下手端から雅桜歌&七瀬りりこちゃん、妃宮さくら&松風輝くん、天風いぶき&月映樹茉ちゃん、(階段)、天輝トニカさん一人、花露すみか&澄輝さやと。舞台手前は、風羽玲亜&安里舞生ちゃん、天玲美音&千沙れいなさん、珠洲春希&桜音れいちゃん。皆さん思い思いに談笑したり、踊ったり。
紅いイヴニングに着替えたイルザと、細いストライプのスーツに着替えたリックがセンターに登場。
♪月夜のラヴ・ソング 酔いしれて
アンニュイなサムの歌声。寄り添って踊る二人。しっとりとした空気。
『As Time Goes By』の流れる中、言葉を交わすリックとイルザ。
「嘆きの天使は、いったい宇宙のどこから現れたんだい?」
軽い調子で問いかけるリック。
「…私に恋人がいたか、聞きたい?」
「……」
「いました。一人だけ。……でも、もう死んでしまった…」
「すまない。過去は聞かないと約束したのに」
♪君について知りたいことは限りなくある
♪でも君が望まないなら 俺は訊かない
イルザに優しく微笑みかけるリック。眉間の皺ものびて、なんだか凄く幸せそう。
この作品の中で、ほとんど唯一と言っていい幸せな場面なので、甘く甘く……という感じですね(*^ ^*)。
♪君と生きる 今 この時だけが
♪愛の証を刻んでいく
♪失くした時は取り戻せない
♪だから後ろは振り返らない
二人で手をつないで銀橋に出る。
まっすぐにリックを見凝めるイルザの、頼り切った瞳が美しいです。「君の瞳に乾杯」と、何度でも言いたくなっちゃいます。
♪過去は訊かない 訊く意味がない
銀橋の真ん中で、抱き合って口づけを交わす二人。
しっとりと湿った、やわらかな空気。出会ってから僅か三ヶ月とは思えないような、深い信頼と甘え。イルザの頼り切った表情が甘やかで美しい。
本舞台には、さんざめく客たち。
下手手前で踊っているのは風羽玲亜&妃宮さくらちゃん、真ん中奥に雅桜歌&花露すみかちゃん、上手手前に珠洲春希&美風舞良さん……だったかな?ちょっと暗いので、全員はわからないのですが(汗)。たしか、下級生は天玲美音&七瀬りりこさん、天風いぶき&千紗れいなさん、澄輝さやと&桜音れいちゃんという組み合わせで踊っていたはず。
下手端のピアノでは、サムとマドレーヌ(大海亜呼)がこちらもしっぽりと話をしています。このお二人の空気もいい感じ。いい場面だなあ、と思うんですよね。
そんな穏やかな空気を切り裂く、鋭い声。
「皆さん、大変なことになりました!」
店内の階段に立って、支配人(光海舞人)が叫ぶ。
「フランス軍が撤退し、パリはドイツ軍の侵攻を待つばかりとなりました!!」
騒然とする店内。サムの手を引いて、舞台中央に向かって数歩駆け寄るマドレーヌ。彼女は店の中でも世話役らしく、すぐにサムの手を離して、怯えている女性たちを宥めはじめる。
カンカンガールから早替りした女性たちが左右から登場して、気がつくとものすごい人数が舞台上に。そんな中、ピアノの傍で呆然としていたサムが、慌てて戻ってくるリックたちに声をかける。
「リック、どうする?」
「とにかく、ホテルに帰りましょう!」
下手袖にはけていく三人。
本舞台では、紗幕が降りて、舞台前面でパリ市民たちのコーラスが始まる。
♪残るべきか 逃げ出すべきか
♪どこに行けばいいのか 行く先はあるのか?
怯え、惑う、市民たち。
♪パリにナチスがやってくる!
■第14場 パリの街角 ~1940年6月(悪夢)~
この場面は、最初から幻想だと思って観ていたのですが。
プログラムでは「パリの街角」となっているので、小池さんの当初の発想としては、ホテルに向かう途中、待っていたセザールに呼び止められたリックが、二人を先に行かせてセザールと対決するという場面だったのかな?と思いました。
まだこの段階ではドイツ軍は入ってきていないので、パリの街そのものはそこまで混乱してないはず。ホテルに着くなり寝込んでしまうほど疲れるような道中ではないだろうし、この緊迫した状況でうたた寝もないだろうし。その辺が、夢オチで片付けてしまうとどうにも理解しがたい、という気はします。
しかーし。
フランス人のレジスタンスならともかく、エチオピア兵とスペイン兵が「銃を我らに!」と叫ぶ、というのは、この時点では幻想でしかあり得ないので、やっぱり、場面としては悪夢の夢オチのつもりで造られているんですよね。
ううむ。この場面、場面自体は好きなんですが、理屈をつけようとすると迷路に入る場面ではあります。
しかも、この場面にエチオピア兵がいるのも不思議。
エチオピア戦争には、リックは直接関わってはいないですよね。武器を流しただけで、直接参戦はしていない。なのになぜ、エチオピア兵の叫ぶこの言葉が、そんなにリックに響くのか。
それとも、あのクーフィーヤ(頭布)にイカール(紐)を巻いたメンバーは、エチオピア兵じゃなくスペイン南部のイスラム兵だとでも言うんでしょうか……??(←いや、プログラムにはっきり「エチオピア兵」と書いてあるから!)
ま、そんな屁理屈は置いといて(毎回コレ書いているような気がする…)。
スペイン兵のすっしーさん(寿つかさ)とこっしー(珠洲春希)が死ぬほど格好良いです!
特に、すっしーさんは、この場面とフィナーレ以外はずーーーーーっと肉布団着用でロマンスグレイの髭に眼鏡なので、すべての色気をこの場面にぶつけている気がする。本当に目が吸い寄せられてしまって、なかなか祐飛さんを持ち上げている88期とか、キラキラ踊っているエチオピア兵の下級生とか、ゆっくり観ている余裕がありません(涙)。
「カサブランカ」本編は、カフェやバザールの芝居がほとんどで、激しいダンスシーンは最初の裁判所前広場とカンカンとココと、あとは地下水道の集会くらいしかないのですが、一幕はどれも桜木涼介さんの振付。彼の振付はシンプルでフォーメーション重視なので、宙組のきっちりしたダンスが映えるな、と思いました。
それにしても祐飛さん、リフトされまくり。ほとんど地に足がついてないよ……。
「時代に押し流された」感を出したツモリなのでしょうか(^ ^)。
まあ、振付家としては、どっかに浮かしておきたい素材かもしれませんが。
武器を求める兵士たち。
武器を得るすべを知っていながら、与えてくれないリックを責める。
「だが、皆観たはずだろう?悲惨な戦場を!」
リックが叫んでも、闘いに酔った彼らの耳には届かない。
♪だから早まるな
♪開けるな、パンドラの匣
舞台中央に残された階段の上に、ヴィクター・ラズロが登場する。
高みに立って手を拡げるラズロ。光を背負ったその姿に、炎に惹かれる蛾のように集まっていく兵士たち。
この場面、祐飛さんがナウオンで「洗脳」という言葉を使っていますが、たしかにそんな感じです。ラズロの弁舌は、兵士たちを歓喜させる何かに溢れていたんでしょうね、きっと。
それでも。その高揚よりも悲惨の回避を希むリックは、武器の詰まった匣を開けさせるまいと、『パンドラの匣』に見立てたセットの上に立つ。
そんな彼を、力づくで引き摺り下ろすセザール。兵士たちの間を、風に舞い散らされる木の葉のように翻弄されるリック。
歓喜して銃を受け取る兵士たち。
壇上から降りて、先頭に立って踊りだすラズロ。……だから、ラズロは平和主義だとさっきリックが(黙)
いや、もう。
ラズロさん、格好良い~~~っ!!(*^ ^*)です。ええ。
リックをどけて、やっと武器を手にする兵士たちの歓喜。
「セザール……!!」
仲間を呼ぶリックの切ない叫びは、もう彼には届かない。
ラズロを中心にした戦場のダンス。闘いの高揚。血に酔った兵士たち。
そんな彼らに襲い掛かる、ハーゲンクロイツの群れ。映像による、ナチスの大軍団。
……エチオピア戦争での“敵”はイタリアだし、スペイン内戦での“敵”はフランコ率いる反乱軍であって、どっちもナチスじゃないんだけどなあ……(; ;)
すみません、せっかくの名シーンにケチをつけたりしてm(_ _)m。いやぁ、この場面はやっぱり中途半端に「戦場の記憶」と「現在(1940年6月)の状況」をリンクさせるんじゃなくて、もっと具体的にどちらかに集中した方がよかったんじゃないか、と思うんですよね。
今の構成は、全く「戦場の記憶」じゃないので。「戦場の記憶」と題するならスペイン内戦の戦場の悲惨さ(セザールの負傷)に絞るべきだし、今の内容なら、出てくるメンバーを全員フランス人レジスタンスにして、ただの「幻想」というタイトルでいいと思うのです。
どちらにしても夢オチの不自然さは残るけど、まだそのほうがいいような。
リックのトラウマは二つあって、一つはパリ時代の最後の手酷い失恋、そしてもう一つが戦場の記憶。映画でも比較的丁寧に回想場面が入っていたイルザとの恋と別れはしっかり実在感があるのに、もう一つの重大なトラウマである戦場の記憶がすごく適当なのが、すごく残念です。
……小池さん、オリジナルの部分もがんばってください……(^ ^;ゞ
■第15場 イルザのホテル ~1940年6月13日~
映像のナチス軍に包囲され、ばたばたと斃れていく仲間たち。
その悲惨さから目を背けて、逃げようとして……うなされて、イルザの腕の中で目を醒ますリック。
一息つく暇もなく、窓の外にドイツ軍の街宣車があらわれる。
「パリ市民に告ぐ。我らはまもなく、パリに到着する……」
この街宣車の声はさっつんだと思うんですが、違いますでしょうか…?
なんだか最近、さっつんの声が好きすぎて、何を聞いてもさっつんの声に聴こえるんですが……(汗)
「パリを出よう」
ふと思いついたように、逃げることを提案するリック。
「三人で一緒に。マルセイユへ。そして、結婚しよう……イルザ」
こんな緊迫した場面とは思えないほど暢気に、そして幸せそうに提案してみせる。
嬉しそうに微笑むイルザ。
「でも私たち、春に出会ったばかりよ…」
春に夫を亡くしたばかりなのに、私ったら…という言葉は呑みこんで、何も知らない新しい恋人に微笑みかける。
自分と同じ目線でものを見て、同じ高さに居てくれる人。一緒に居て安心できて、温かい気持ちになれる。優しくて、明るくて、好奇心旺盛の子供みたいな人。
前の人とは全く違う、(彼よりは随分)若い、ひと。
「信じられない。私たち、世界が崩壊するかもしれないのに、恋に落ちるなんて」
この人になら、過去を話せるようになるかもしれない。
今はまだ駄目だけど、でも、いつかきっと。
とても素敵なひとだったのよ。……あなたには負けるかしらね、と、そう、微笑んで。
ファシズムが滅んで、世界が平和になったら、たぶん。
イルザの心の裡になど、全く気がついていないリック。
「ああ。だが、そのことを悔いてはいない…」
彼は彼で、自分が武器商人であったことを彼女に話そうと思っていたのではないでしょうか。
あるいは過去の恋物語も。
マルセイユに着いたら、きっと。
そんな、お互いに何も気づかないままに甘やかな幻想に浸っていた恋人たちを引き裂く、一通のメッセージ。
ボーイ(桜木みなと)が持ってきたカードを読んで、小さく悲鳴をあげるイルザ。
喪ったと思ったものが戻ってきた。……もう遅いのに。遅すぎるのに。
時は流れてしまったのに。さらさらと音を立てて、指の間をすり抜けてしまったのに。
有頂天のまま出て行こうとするリックを、咄嗟に、何を告げるあてもなく呼び止めるイルザ。
「こんな狂った時代にも、たった一つの真実がある。それは、私が本当にあなたを愛しているってことよ」
そう、それは真実。今、この瞬間だけは。
次の瞬間には裏切ることが判っていても、この一瞬に言わずにいられない、女心。
あなたを愛してる。それは真実。
でもそれは、あなたと一緒に行くことと同義じゃない……。
掴んでいた上着をソファに戻し、熱の篭った瞳でイルザを見凝めるリック。
「もう一つ、真実がある。…俺も本当に、君を愛している」
リックは本当に気づいていないのでしょうか。メッセージを受け取る前と後の、イルザの変化に。
……気づいていないのかもしれません。イルザは、この瞬間にはまだリックを愛しているから。
リックがホテルを出て行くまでは。
「キスして。この世で最後のキスみたいに」
リアルにしているとしか思えない、熱烈なキスに、ドキドキ。小池さんが祐飛さんのラヴシーンを絶賛する気持ち、わかるわ……。
リックを見送って、ディヴァンに崩れ落ちるイルザ。
溜めていたものがあふれ出すように、顔も覆わずに。
まだ若い(おそらくは20代半ば?)の彼女が、ただの少女として泣けるのは、今だけだから。
このホテルを出るときには、ヴィクター・ラズロの妻として出なくてはならない。それが判っていてもなお、子供のように泣き続ける彼女が、愛おしくてなりません。リックにも、あの泣き顔を見せてあげたくなります……(T T)。
■第16場 パリ南駅 ~1940年6月13日~
すっしーさん筆頭に、ほぼ組子全員が銀橋に勢ぞろい。基本的に香盤順?なのかな?みんな微妙に色や形の違うトレンチコートにソフト帽で、「パリにナチスが」と迫力で歌う。
それぞれ一人一人にドラマがあるのは判るんですが、丁寧に見るほど余裕がなくて残念(T T)。
とりあえず、歌劇誌に書いてあった「春風&蓮水の兄弟設定」はしっかりチェックしたいと思います♪
駅員さんたちは、びっくりするほどステレオタイプの制服。彼らの筆頭としてほとんど一人で喋っているモンチ(星吹彩翔)が可愛いです(壊)。彼の「申し訳ございません、もうこれ以上は…」という言い方が、切なくてとても好き(*^ ^*)。
人で溢れかえる駅の大時計の下で、イルザを探すリック。
少し遅れてサムが登場。
「すまない、アパートを出る直前に、イルザさんから手紙が届いたんだ」
「イルザから…?」
いぶかしげに手紙を開いたリックの、時が止まる。
その手から零れ落ちる手紙。
「……事情ができて、一緒に行けなくなりました……!?」
慌てて読んだサムが、蒼褪めたリックの顔を振り仰ぐ。
動けないリック。
「とにかく行こう。列車が出ちまう!」
その手を無理矢理引っ張って、人ごみを掻き分け、ホームへ潜り込むサム。
♪どうしようもない
♪逃げるしかない
引っ張られるままに、人形のように連れて行かれるリック。
最終列車に乗り切れず、駅から溢れる市民たち。
♪急げ!マルセイユへ
♪パリにナチスがやってくる……!!
■第17場 リックのカフェ ~1941年12月1日深夜~
列車に乗れなかった人々が、歌いながら舞台前面に戻って焦りを歌い上げる中、暗転。
回転木馬が逆方向に一回りして、“現在”に戻ってくる。
さっきの姿勢のまま、酔いつぶれているリック。
壊れたレコードのように繰り返し、その時間だけを生きていたい、と希いながら。
この硬いテーブルに突っ伏して、何も見ないで、繰り返し、繰り返し。
そんなリックを見守るサムの、優しい瞳に毎回癒されます(*^ ^*)
ありがとう、萬さん♪♪
.
■第13場 ラ・ベル・オーロール ~1940年6月13日~
カンカン・ガールたちがポーズを極めてはけていくと、音楽が甘いメロディに変わって、店の雰囲気ががらっと変わる。
テーブルの客たちもだいぶ入れ替わっていて、舞台奥は下手端から雅桜歌&七瀬りりこちゃん、妃宮さくら&松風輝くん、天風いぶき&月映樹茉ちゃん、(階段)、天輝トニカさん一人、花露すみか&澄輝さやと。舞台手前は、風羽玲亜&安里舞生ちゃん、天玲美音&千沙れいなさん、珠洲春希&桜音れいちゃん。皆さん思い思いに談笑したり、踊ったり。
紅いイヴニングに着替えたイルザと、細いストライプのスーツに着替えたリックがセンターに登場。
♪月夜のラヴ・ソング 酔いしれて
アンニュイなサムの歌声。寄り添って踊る二人。しっとりとした空気。
『As Time Goes By』の流れる中、言葉を交わすリックとイルザ。
「嘆きの天使は、いったい宇宙のどこから現れたんだい?」
軽い調子で問いかけるリック。
「…私に恋人がいたか、聞きたい?」
「……」
「いました。一人だけ。……でも、もう死んでしまった…」
「すまない。過去は聞かないと約束したのに」
♪君について知りたいことは限りなくある
♪でも君が望まないなら 俺は訊かない
イルザに優しく微笑みかけるリック。眉間の皺ものびて、なんだか凄く幸せそう。
この作品の中で、ほとんど唯一と言っていい幸せな場面なので、甘く甘く……という感じですね(*^ ^*)。
♪君と生きる 今 この時だけが
♪愛の証を刻んでいく
♪失くした時は取り戻せない
♪だから後ろは振り返らない
二人で手をつないで銀橋に出る。
まっすぐにリックを見凝めるイルザの、頼り切った瞳が美しいです。「君の瞳に乾杯」と、何度でも言いたくなっちゃいます。
♪過去は訊かない 訊く意味がない
銀橋の真ん中で、抱き合って口づけを交わす二人。
しっとりと湿った、やわらかな空気。出会ってから僅か三ヶ月とは思えないような、深い信頼と甘え。イルザの頼り切った表情が甘やかで美しい。
本舞台には、さんざめく客たち。
下手手前で踊っているのは風羽玲亜&妃宮さくらちゃん、真ん中奥に雅桜歌&花露すみかちゃん、上手手前に珠洲春希&美風舞良さん……だったかな?ちょっと暗いので、全員はわからないのですが(汗)。たしか、下級生は天玲美音&七瀬りりこさん、天風いぶき&千紗れいなさん、澄輝さやと&桜音れいちゃんという組み合わせで踊っていたはず。
下手端のピアノでは、サムとマドレーヌ(大海亜呼)がこちらもしっぽりと話をしています。このお二人の空気もいい感じ。いい場面だなあ、と思うんですよね。
そんな穏やかな空気を切り裂く、鋭い声。
「皆さん、大変なことになりました!」
店内の階段に立って、支配人(光海舞人)が叫ぶ。
「フランス軍が撤退し、パリはドイツ軍の侵攻を待つばかりとなりました!!」
騒然とする店内。サムの手を引いて、舞台中央に向かって数歩駆け寄るマドレーヌ。彼女は店の中でも世話役らしく、すぐにサムの手を離して、怯えている女性たちを宥めはじめる。
カンカンガールから早替りした女性たちが左右から登場して、気がつくとものすごい人数が舞台上に。そんな中、ピアノの傍で呆然としていたサムが、慌てて戻ってくるリックたちに声をかける。
「リック、どうする?」
「とにかく、ホテルに帰りましょう!」
下手袖にはけていく三人。
本舞台では、紗幕が降りて、舞台前面でパリ市民たちのコーラスが始まる。
♪残るべきか 逃げ出すべきか
♪どこに行けばいいのか 行く先はあるのか?
怯え、惑う、市民たち。
♪パリにナチスがやってくる!
■第14場 パリの街角 ~1940年6月(悪夢)~
この場面は、最初から幻想だと思って観ていたのですが。
プログラムでは「パリの街角」となっているので、小池さんの当初の発想としては、ホテルに向かう途中、待っていたセザールに呼び止められたリックが、二人を先に行かせてセザールと対決するという場面だったのかな?と思いました。
まだこの段階ではドイツ軍は入ってきていないので、パリの街そのものはそこまで混乱してないはず。ホテルに着くなり寝込んでしまうほど疲れるような道中ではないだろうし、この緊迫した状況でうたた寝もないだろうし。その辺が、夢オチで片付けてしまうとどうにも理解しがたい、という気はします。
【追記★この場面について、ご指摘をいただきました。リックが目覚めるホテルの場面でイルザがガウンに着替えているので、ラ・ベル・オーロールを出てからホテルで目覚めるまでに一晩が過ぎている可能性が高いだろう、と。……なるほど。となると、うたたねして悪夢を見ても不思議はないし、「サムが来てくれたわ」という台詞も、昨夜いったん別れて自分のホテルに戻っていたサムが、今後のことを相談しに(?)翌日あらためてホテルに来てくれた、ってことになるんですね……】【一歩踏み込んで、この日初めて二人は結ばれた、という可能性も無いことは無い、のかも?】
しかーし。
フランス人のレジスタンスならともかく、エチオピア兵とスペイン兵が「銃を我らに!」と叫ぶ、というのは、この時点では幻想でしかあり得ないので、やっぱり、場面としては悪夢の夢オチのつもりで造られているんですよね。
ううむ。この場面、場面自体は好きなんですが、理屈をつけようとすると迷路に入る場面ではあります。
しかも、この場面にエチオピア兵がいるのも不思議。
エチオピア戦争には、リックは直接関わってはいないですよね。武器を流しただけで、直接参戦はしていない。なのになぜ、エチオピア兵の叫ぶこの言葉が、そんなにリックに響くのか。
それとも、あのクーフィーヤ(頭布)にイカール(紐)を巻いたメンバーは、エチオピア兵じゃなくスペイン南部のイスラム兵だとでも言うんでしょうか……??(←いや、プログラムにはっきり「エチオピア兵」と書いてあるから!)
ま、そんな屁理屈は置いといて(毎回コレ書いているような気がする…)。
スペイン兵のすっしーさん(寿つかさ)とこっしー(珠洲春希)が死ぬほど格好良いです!
特に、すっしーさんは、この場面とフィナーレ以外はずーーーーーっと肉布団着用でロマンスグレイの髭に眼鏡なので、すべての色気をこの場面にぶつけている気がする。本当に目が吸い寄せられてしまって、なかなか祐飛さんを持ち上げている88期とか、キラキラ踊っているエチオピア兵の下級生とか、ゆっくり観ている余裕がありません(涙)。
「カサブランカ」本編は、カフェやバザールの芝居がほとんどで、激しいダンスシーンは最初の裁判所前広場とカンカンとココと、あとは地下水道の集会くらいしかないのですが、一幕はどれも桜木涼介さんの振付。彼の振付はシンプルでフォーメーション重視なので、宙組のきっちりしたダンスが映えるな、と思いました。
それにしても祐飛さん、リフトされまくり。ほとんど地に足がついてないよ……。
「時代に押し流された」感を出したツモリなのでしょうか(^ ^)。
まあ、振付家としては、どっかに浮かしておきたい素材かもしれませんが。
武器を求める兵士たち。
武器を得るすべを知っていながら、与えてくれないリックを責める。
「だが、皆観たはずだろう?悲惨な戦場を!」
リックが叫んでも、闘いに酔った彼らの耳には届かない。
♪だから早まるな
♪開けるな、パンドラの匣
舞台中央に残された階段の上に、ヴィクター・ラズロが登場する。
高みに立って手を拡げるラズロ。光を背負ったその姿に、炎に惹かれる蛾のように集まっていく兵士たち。
この場面、祐飛さんがナウオンで「洗脳」という言葉を使っていますが、たしかにそんな感じです。ラズロの弁舌は、兵士たちを歓喜させる何かに溢れていたんでしょうね、きっと。
それでも。その高揚よりも悲惨の回避を希むリックは、武器の詰まった匣を開けさせるまいと、『パンドラの匣』に見立てたセットの上に立つ。
そんな彼を、力づくで引き摺り下ろすセザール。兵士たちの間を、風に舞い散らされる木の葉のように翻弄されるリック。
歓喜して銃を受け取る兵士たち。
壇上から降りて、先頭に立って踊りだすラズロ。……だから、ラズロは平和主義だとさっきリックが(黙)
いや、もう。
ラズロさん、格好良い~~~っ!!(*^ ^*)です。ええ。
リックをどけて、やっと武器を手にする兵士たちの歓喜。
「セザール……!!」
仲間を呼ぶリックの切ない叫びは、もう彼には届かない。
ラズロを中心にした戦場のダンス。闘いの高揚。血に酔った兵士たち。
そんな彼らに襲い掛かる、ハーゲンクロイツの群れ。映像による、ナチスの大軍団。
……エチオピア戦争での“敵”はイタリアだし、スペイン内戦での“敵”はフランコ率いる反乱軍であって、どっちもナチスじゃないんだけどなあ……(; ;)
すみません、せっかくの名シーンにケチをつけたりしてm(_ _)m。いやぁ、この場面はやっぱり中途半端に「戦場の記憶」と「現在(1940年6月)の状況」をリンクさせるんじゃなくて、もっと具体的にどちらかに集中した方がよかったんじゃないか、と思うんですよね。
今の構成は、全く「戦場の記憶」じゃないので。「戦場の記憶」と題するならスペイン内戦の戦場の悲惨さ(セザールの負傷)に絞るべきだし、今の内容なら、出てくるメンバーを全員フランス人レジスタンスにして、ただの「幻想」というタイトルでいいと思うのです。
どちらにしても夢オチの不自然さは残るけど、まだそのほうがいいような。
リックのトラウマは二つあって、一つはパリ時代の最後の手酷い失恋、そしてもう一つが戦場の記憶。映画でも比較的丁寧に回想場面が入っていたイルザとの恋と別れはしっかり実在感があるのに、もう一つの重大なトラウマである戦場の記憶がすごく適当なのが、すごく残念です。
……小池さん、オリジナルの部分もがんばってください……(^ ^;ゞ
■第15場 イルザのホテル ~1940年6月13日~
映像のナチス軍に包囲され、ばたばたと斃れていく仲間たち。
その悲惨さから目を背けて、逃げようとして……うなされて、イルザの腕の中で目を醒ますリック。
一息つく暇もなく、窓の外にドイツ軍の街宣車があらわれる。
「パリ市民に告ぐ。我らはまもなく、パリに到着する……」
この街宣車の声はさっつんだと思うんですが、違いますでしょうか…?
なんだか最近、さっつんの声が好きすぎて、何を聞いてもさっつんの声に聴こえるんですが……(汗)
【追記★2月号の歌劇誌に回答が載っていました。この声は、風莉じんさんだそうです。そう思って聴くと、風莉さんの声に聞こえてくるのが不思議……。風莉さんにもさっつんにも、大変失礼いたしましたm(_ _)m 】【っつか、カゲ台詞もカゲソロも、ちゃんとプログラムに書いといてください!>劇団】
「パリを出よう」
ふと思いついたように、逃げることを提案するリック。
「三人で一緒に。マルセイユへ。そして、結婚しよう……イルザ」
こんな緊迫した場面とは思えないほど暢気に、そして幸せそうに提案してみせる。
嬉しそうに微笑むイルザ。
「でも私たち、春に出会ったばかりよ…」
春に夫を亡くしたばかりなのに、私ったら…という言葉は呑みこんで、何も知らない新しい恋人に微笑みかける。
自分と同じ目線でものを見て、同じ高さに居てくれる人。一緒に居て安心できて、温かい気持ちになれる。優しくて、明るくて、好奇心旺盛の子供みたいな人。
前の人とは全く違う、(彼よりは随分)若い、ひと。
「信じられない。私たち、世界が崩壊するかもしれないのに、恋に落ちるなんて」
この人になら、過去を話せるようになるかもしれない。
今はまだ駄目だけど、でも、いつかきっと。
とても素敵なひとだったのよ。……あなたには負けるかしらね、と、そう、微笑んで。
ファシズムが滅んで、世界が平和になったら、たぶん。
イルザの心の裡になど、全く気がついていないリック。
「ああ。だが、そのことを悔いてはいない…」
彼は彼で、自分が武器商人であったことを彼女に話そうと思っていたのではないでしょうか。
あるいは過去の恋物語も。
マルセイユに着いたら、きっと。
そんな、お互いに何も気づかないままに甘やかな幻想に浸っていた恋人たちを引き裂く、一通のメッセージ。
ボーイ(桜木みなと)が持ってきたカードを読んで、小さく悲鳴をあげるイルザ。
喪ったと思ったものが戻ってきた。……もう遅いのに。遅すぎるのに。
時は流れてしまったのに。さらさらと音を立てて、指の間をすり抜けてしまったのに。
有頂天のまま出て行こうとするリックを、咄嗟に、何を告げるあてもなく呼び止めるイルザ。
「こんな狂った時代にも、たった一つの真実がある。それは、私が本当にあなたを愛しているってことよ」
そう、それは真実。今、この瞬間だけは。
次の瞬間には裏切ることが判っていても、この一瞬に言わずにいられない、女心。
あなたを愛してる。それは真実。
でもそれは、あなたと一緒に行くことと同義じゃない……。
掴んでいた上着をソファに戻し、熱の篭った瞳でイルザを見凝めるリック。
「もう一つ、真実がある。…俺も本当に、君を愛している」
リックは本当に気づいていないのでしょうか。メッセージを受け取る前と後の、イルザの変化に。
……気づいていないのかもしれません。イルザは、この瞬間にはまだリックを愛しているから。
リックがホテルを出て行くまでは。
「キスして。この世で最後のキスみたいに」
リアルにしているとしか思えない、熱烈なキスに、ドキドキ。小池さんが祐飛さんのラヴシーンを絶賛する気持ち、わかるわ……。
リックを見送って、ディヴァンに崩れ落ちるイルザ。
溜めていたものがあふれ出すように、顔も覆わずに。
まだ若い(おそらくは20代半ば?)の彼女が、ただの少女として泣けるのは、今だけだから。
このホテルを出るときには、ヴィクター・ラズロの妻として出なくてはならない。それが判っていてもなお、子供のように泣き続ける彼女が、愛おしくてなりません。リックにも、あの泣き顔を見せてあげたくなります……(T T)。
■第16場 パリ南駅 ~1940年6月13日~
すっしーさん筆頭に、ほぼ組子全員が銀橋に勢ぞろい。基本的に香盤順?なのかな?みんな微妙に色や形の違うトレンチコートにソフト帽で、「パリにナチスが」と迫力で歌う。
それぞれ一人一人にドラマがあるのは判るんですが、丁寧に見るほど余裕がなくて残念(T T)。
とりあえず、歌劇誌に書いてあった「春風&蓮水の兄弟設定」はしっかりチェックしたいと思います♪
駅員さんたちは、びっくりするほどステレオタイプの制服。彼らの筆頭としてほとんど一人で喋っているモンチ(星吹彩翔)が可愛いです(壊)。彼の「申し訳ございません、もうこれ以上は…」という言い方が、切なくてとても好き(*^ ^*)。
人で溢れかえる駅の大時計の下で、イルザを探すリック。
少し遅れてサムが登場。
「すまない、アパートを出る直前に、イルザさんから手紙が届いたんだ」
「イルザから…?」
いぶかしげに手紙を開いたリックの、時が止まる。
その手から零れ落ちる手紙。
「……事情ができて、一緒に行けなくなりました……!?」
慌てて読んだサムが、蒼褪めたリックの顔を振り仰ぐ。
動けないリック。
「とにかく行こう。列車が出ちまう!」
その手を無理矢理引っ張って、人ごみを掻き分け、ホームへ潜り込むサム。
♪どうしようもない
♪逃げるしかない
引っ張られるままに、人形のように連れて行かれるリック。
最終列車に乗り切れず、駅から溢れる市民たち。
♪急げ!マルセイユへ
♪パリにナチスがやってくる……!!
■第17場 リックのカフェ ~1941年12月1日深夜~
列車に乗れなかった人々が、歌いながら舞台前面に戻って焦りを歌い上げる中、暗転。
回転木馬が逆方向に一回りして、“現在”に戻ってくる。
さっきの姿勢のまま、酔いつぶれているリック。
壊れたレコードのように繰り返し、その時間だけを生きていたい、と希いながら。
この硬いテーブルに突っ伏して、何も見ないで、繰り返し、繰り返し。
そんなリックを見守るサムの、優しい瞳に毎回癒されます(*^ ^*)
ありがとう、萬さん♪♪
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This Is It
2010年1月11日 映画 コメント (2)リアルでのお友達や、よく伺うブログさんで散々絶賛の評を聞かされていた映画「This Is It」を、観てまいりました。
最初の上映も4週間限り。アンコール上映も4週間限り。
この「カサブランカ」上演中のクソ忙しい年始に観れるかどうか、かなり危惧していたのですが、ちょうどよく時間があいて、無事観ることができました。
凄かった。
皆さんの評を聞かされながら、いまひとつ「何が凄いのか」が良く判らなかった作品。
たしかに、この凄さは説明できない。
いくら説明してもわからない。ただ、体験するしかないモノが、この世にはある。
それを、凄く実感しました。
正直、私はマイケル・ジャクソンのファンでもなんでもなく、コンサートに行ったこともなければ、彼に関する映像を真剣に観たこと自体がほぼ初めて、という状態だし、知っている曲もほとんど無いんです、実は(ごめんなさい)。
……それでも。
これは本当に、観てよかった。
たぶん、マイケルが未だ健在で、コンサートの本番までが入った最終形の映像が映画化されたとしても、私は観なかったと思います。
実際、この形の「This Is It」が最初に上演されたときも、全然興味はありませんでした。
自分には関係の無いものだと思っていたので。
でも。
あまりにもご覧になった方が皆さん口を揃えて絶賛されるので、だったら観てみようかな…と軽い気持ちで行った日劇ピカデリー。
圧倒されました。
彼の、エンターテイメントにかける熱意と、「自分のイメージ」を実現するために払う努力。
「僕がキューを出すから、勝手に始めないで」
「(後ろ向きでも)映像が変わる瞬間くらい、わかるよ」
自分の持つイメージそのものを実現することに対する執着。
それを着実に実現してくれるスタッフたちへの信頼。
そして、それが真実に実現されているのかどうかを見極める、センス。
どの一つが欠けても、あの膨大な作業は成り立たない。
あの膨大な作業の結果が、わずか数時間のステージに詰め込まれたとき、どれほどのエネルギーを発するものなのか、と思いました。
彼が発するその巨大なエネルギーを受け止める、観客の熱気を想像すると、怖いくらいです。
ありがとうマイケル。
あなたは、ほんものの天才で、本当のスーパースターだった。
生前のあなたの実像をほとんど知らない私にも、あなたの凄さだけは伝わりましたよ。
ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
ちなみに。
「カサブランカ」ファン的には、使用予定の映像に映りこんだハンフリー・ボガートのチェックが非常に愉しかったです(*^ ^*)。さあ、何カット見つけられるでしょうか?(^ ^)
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最初の上映も4週間限り。アンコール上映も4週間限り。
この「カサブランカ」上演中のクソ忙しい年始に観れるかどうか、かなり危惧していたのですが、ちょうどよく時間があいて、無事観ることができました。
凄かった。
皆さんの評を聞かされながら、いまひとつ「何が凄いのか」が良く判らなかった作品。
たしかに、この凄さは説明できない。
いくら説明してもわからない。ただ、体験するしかないモノが、この世にはある。
それを、凄く実感しました。
正直、私はマイケル・ジャクソンのファンでもなんでもなく、コンサートに行ったこともなければ、彼に関する映像を真剣に観たこと自体がほぼ初めて、という状態だし、知っている曲もほとんど無いんです、実は(ごめんなさい)。
……それでも。
これは本当に、観てよかった。
たぶん、マイケルが未だ健在で、コンサートの本番までが入った最終形の映像が映画化されたとしても、私は観なかったと思います。
実際、この形の「This Is It」が最初に上演されたときも、全然興味はありませんでした。
自分には関係の無いものだと思っていたので。
でも。
あまりにもご覧になった方が皆さん口を揃えて絶賛されるので、だったら観てみようかな…と軽い気持ちで行った日劇ピカデリー。
圧倒されました。
彼の、エンターテイメントにかける熱意と、「自分のイメージ」を実現するために払う努力。
「僕がキューを出すから、勝手に始めないで」
「(後ろ向きでも)映像が変わる瞬間くらい、わかるよ」
自分の持つイメージそのものを実現することに対する執着。
それを着実に実現してくれるスタッフたちへの信頼。
そして、それが真実に実現されているのかどうかを見極める、センス。
どの一つが欠けても、あの膨大な作業は成り立たない。
あの膨大な作業の結果が、わずか数時間のステージに詰め込まれたとき、どれほどのエネルギーを発するものなのか、と思いました。
彼が発するその巨大なエネルギーを受け止める、観客の熱気を想像すると、怖いくらいです。
ありがとうマイケル。
あなたは、ほんものの天才で、本当のスーパースターだった。
生前のあなたの実像をほとんど知らない私にも、あなたの凄さだけは伝わりましたよ。
ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
ちなみに。
「カサブランカ」ファン的には、使用予定の映像に映りこんだハンフリー・ボガートのチェックが非常に愉しかったです(*^ ^*)。さあ、何カット見つけられるでしょうか?(^ ^)
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「カサブランカ」【7】
2010年1月12日 宝塚(宙) コメント (2)本題に入るまえに、本日発表されたニュースについて、ちょこっと。
月組の次回大劇場公演「スカーレット・ピンパーネル」での、役替りが発表されました。
初演の星組で、柚希礼音(当時研究科10年)が演じたショーヴラン、和涼華(当時研9)が演じたアルマンの二役を、上演時点で研10になったばかりのまさお(龍真咲)と研8のみりお(明日海りお)の二人で役替り。それも、「エリザベート」なみの日替わりスケジュール。
二人とも、体力的にもプレッシャーも相当なものでしょうけれども、なんとか踏ん張って、がんばってほしいです!!
若手の中では歌える方だし、ここ2年くらいでの進境著しいみりおは勿論、ちょっと伸び悩んでいたまさおも「ラストプレイ」で良い芝居をしていたので、ショーヴランもアルマンも、どちらもとっても楽しみです(*^ ^*)絶対両方観たいです!(チケットがあれば)
元々歌は巧いけど、声質が軽いせいかルキーニは苦戦していたまさお。
まさおよりは太いけれども、もともと声が甘くて柔らかいみりお。
ショーヴランのナンバーは『強靭な声』が要求されるので、二人とも大変だろうなあ……。ボイトレをがんばって、二人とも結果を出してほしい、と心から祈っています。
それにしても。
星組に続いて、月組でも研10以下の若手がショーヴランを演じるんですねぇ……。
小池さん的解釈では、ショーヴランは若手の役なんでしょうか? 初演を観たときの印象では、したたかで百戦錬磨のベテラン・パーシーと、若さにまかせて突き進んだ挙句に、あちこちで躓いてる若いもん、とゆー感じで、ショーヴランが敵役としてはちょっと小者過ぎるのでは?と思ったのですが。
彼は運命にもてあそばれた革命の闘士であって、生真面目すぎる生き方が滑稽ではあっても、決して愚者では無いはずなんだけどなあ(T T)。月組版では、そのあたりの解釈は変わらないんでしょうか(- -;
さて。
「スカーレットピンパーネル」の話はこのあたりにして、宙組「カサブランカ」の続きを。
こちらも、「スカーレットピンパーネル」に勝るとも劣らない、小池さんの名作です(*^ ^*)。
■第17場 リックのカフェ ~1941年12月1日深夜(2日早朝?)~
「ボス。……夜が明けちまいますぜ」
いたわってくれるサムの、優しい声。
聞こえているのかいないのか、起きる気配も無いリック。
カチャリ、と音がして、店の玄関扉が開く。
音が聞こえたのか。流れ込んできた夜の匂いを嗅いだのか。つぶれていた筈のリックがふと頭をあげて、焦点の定まらない瞳をドアに向ける。
身体の線に沿ったシングルのコート、水色の大判ストールからのぞく、柔らかなプラチナブロンド。すぐ傍にランプがあるかのように、そこだけがぽっかりと明るい。(←いや、普通にスポットが当たってますから)
「あなたに、聞いていただきたいことがあって」
やっと焦点のあったリックの眼が、射抜くようにイルザを凝視する。
たじろくイルザ。
「……一杯、飲めよ」
ふぃっと視線をずらして、どうでもいいかのようにグラスを差し出すリック。
「今夜は駄目よ」
軽く息を吐いて、たしなめるように言うイルザ。
「何故カサブランカに来たんだ?」
「あなたがいると判っていれば、来なかったわ」
でも、イルザはいずれにしても来たことでしょう。リックが居ようと居るまいと。
ヴィクターには、このルートしか無かったのだから。
それでも、もしかしたら。
リックがこんなにも傷ついていると知っていたら、イルザは来なかったのかもしれません。
彼女は知らなかった。こんなにも自分が愛されていたことを。
唇を噛んで、リックの瞳の強さに負けるまいと顎をそらす。
あなたは私より、ずっと大人だったから。だからもう、私のことなんて忘れたと思っていた。
……私は、忘れられなかったわ。だから、思い出にしたの。パリのすべてを、夢のような出来事だった、と。
「君の声、変わらないな……『私たち、世界が崩壊するかもしれないのに、恋に落ちるなんて』」
そうよ。恋に落ちたの。夢の中で。夢のパリで。
でも、夢は醒めたわ。あのパリはもう、どこにもない。
「……崩壊したのは、俺たちの仲、だ」
「やめて」
すべては終わってしまった。確かめ合ったはずの恋も、確かだと思っていた愛さえも。
「俺たちが何日一緒にいたか知ってるか?…俺は数えた。一日残らず」
『春』から『6月』まで、わずか2~3ヶ月。デートの回数を数えるのは容易なことだったでしょうね。もしかしたら、ほんの数回なのかもしれないし。
それでも、イルザは『数えたこと、ないわ』と応える(T T)。
……まあ、イメージとしては、一回一回デートのたびに「○○回目のデートだ(はぁと)」などと数えているリック、というのも想像しにくいので(^ ^)、パリからマルセイユへ向かう汽車の中で思い出を反芻し、何故振られたのかを思い悩んだりしながら数えたのかな、とか、勝手に考えているのですけれども(可哀相に)。
イルザは、パリを離れてからは怒涛の忙しさで、とてもそんな時間は無かったでしょうし、ね。
ちなみに、映画では二人の出会いのシーンが描かれていないので、何ヶ月(あるいは何年)付き合ったのかは判らないようですね。
うーん、そろそろ映画を観ないと、公演が終わっちゃうなあ…(T T)。
リックの、というか、祐飛さんの酔っ払い芝居は、経験豊富なだけあって本当に巧いな、と思います。散々やっているもんね(^ ^)たぶん、宝塚ひろしといえども、これだけいろんなパターンでの酔っ払いを演じたことがある役者はいないんじゃないか、と(惚)
で。
この場面を観るたびに、酔っ払いにはなりたくないなあ、と思います(^ ^)。
人の話を全然聞いてないし、思ったことを脊髄反射で口に出してしまうし。ああはなりたくない、理性は飛ばしちゃいかん!!と思うんですよ(^ ^)
しかも。リックはお酒に強いので、このときも表向きはいつもとあまり違わないのに、実は、理性が完全にぶっ飛んでいる(!)そーゆーのが一番怖いからっ!
11月末の「お披露目トークライブ」でもその話が出ましたが、確かに祐飛さんのリックは、翌朝本気で後悔していそうなんですよね。
「なんであんなこと言っちゃったんだろう、せっかく来てくれたのになぁーっ!!」
って。
特に、東宝に来てからはその印象が顕著ですね(^ ^)。祐飛さん、いったいどこまで行ってしまうんだろう……。
普段のクールで人を寄せ付けない仮面を突き破って、繊細で皮肉屋な内面がむき出しになったリック。
「俺を棄てたのはラズロのためか?」
あまりにも率直で、ストレートな問いかけ。もちろん、イルザは応えられない。
「それとも、まだ他に誰かいたのか」
「……リック!」
「それだけは言いたくない、か?」
自分の話を聞こうとしない、勝手に結論を出そうとするリックにキレて、店を出て行くイルザ。
玄関扉に相対する椅子に座って、頭を抱え込むリック。
♪夜霧の窓に君を想い
♪夜明けの窓に 想いを消した
この場面。
たぶん、東宝劇場にいる2500人余で私一人だと思うんですが。
私はこの場面を観るたびに、「レ・ミゼラブル」の「空のテーブル、空の椅子」を思い出します。特に、
♪窓に映る影 床にも姿が♪
のあたりを。
名曲ぞろいの「レ・ミゼラブル」の中でも、コンサートなどで歌われることの多い名曲ですが、この「カサブランカの夜霧に」という歌も、素晴らしい名曲だと思います(*^ ^*)
ま、歌いながら帰るにはちょっとメロディラインが凝ってますけど。
♪サヨナラも言わずに二人は別れた
♪愛し合っていると信じ込んでいた
呟きながら、少しふらつく足取りで本舞台を横切り、下手から銀橋に入る。
♪6月のあの日あの口づけが最後
ゆっくりと銀橋を進むリック。溶暗していた本舞台に少しづつ光が戻り、リックの店の従業員たちがテーブルのセッティングに動く。
すごーくどうでもいいことですが。このときまで、イルザが出入りするとき動きやすいよう、玄関前までの通路をあけてあるんです。それを、場面ラストに降りてくる幕の邪魔にならないよう、さりげなく片付ける店員たちが可愛いんですよ(はぁと)
♪それなのに何故 世界中にたった一つしか街がないかのように
♪やって来たんだ このカサブランカに
玄関扉が開いて、客たちが流れ込む。
亡命者たち、ムーア人たち、商売人たち、レジスタンスたち、軍人たち、、、、
そして、ラズロとイルザ。
♪燃え上がるこの想い 消してしまいたい
♪カサブランカの夜霧に
切れ切れのストップモーション、そして、幕。
この幕切れの演出、素直にすごい、と思いました。
本舞台メンバーのストップモーションも止まり方がさりげなくて巧いし、なんといっても、音楽と場面の有機的なかかわり方がいい(@ @)。派手な演出ではないのですが、ここで一通り過去を回想した後でイルザとの最初の対決場面を置き、再会の場面をリフレインする、という流れがすごく自然で、リックの気持ちがすごく伝わってきます。
思いもよらぬ再会で、燃え上がったこの想い。痛み。でも、燃え上がった俺だけで、彼女の心には、もう火が点かない。……ならば、もう、俺のこの心ごと、何もかも凍らせてしまいたい……そんな、絶望。
♪これからの日々をどう生きていくのか
♪蘇るこの愛の行く先は見えない
何もかも嘘だったのか。
何もかも全部、最初から。
リックの動揺と絶望、そして、ほんの微かな“再会の喜び”……そんなもので満たされた劇場の客席に光が入る。
……やっと一幕が終わったか……(^ ^;;;)
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月組の次回大劇場公演「スカーレット・ピンパーネル」での、役替りが発表されました。
初演の星組で、柚希礼音(当時研究科10年)が演じたショーヴラン、和涼華(当時研9)が演じたアルマンの二役を、上演時点で研10になったばかりのまさお(龍真咲)と研8のみりお(明日海りお)の二人で役替り。それも、「エリザベート」なみの日替わりスケジュール。
二人とも、体力的にもプレッシャーも相当なものでしょうけれども、なんとか踏ん張って、がんばってほしいです!!
若手の中では歌える方だし、ここ2年くらいでの進境著しいみりおは勿論、ちょっと伸び悩んでいたまさおも「ラストプレイ」で良い芝居をしていたので、ショーヴランもアルマンも、どちらもとっても楽しみです(*^ ^*)絶対両方観たいです!(チケットがあれば)
元々歌は巧いけど、声質が軽いせいかルキーニは苦戦していたまさお。
まさおよりは太いけれども、もともと声が甘くて柔らかいみりお。
ショーヴランのナンバーは『強靭な声』が要求されるので、二人とも大変だろうなあ……。ボイトレをがんばって、二人とも結果を出してほしい、と心から祈っています。
それにしても。
星組に続いて、月組でも研10以下の若手がショーヴランを演じるんですねぇ……。
小池さん的解釈では、ショーヴランは若手の役なんでしょうか? 初演を観たときの印象では、したたかで百戦錬磨のベテラン・パーシーと、若さにまかせて突き進んだ挙句に、あちこちで躓いてる若いもん、とゆー感じで、ショーヴランが敵役としてはちょっと小者過ぎるのでは?と思ったのですが。
彼は運命にもてあそばれた革命の闘士であって、生真面目すぎる生き方が滑稽ではあっても、決して愚者では無いはずなんだけどなあ(T T)。月組版では、そのあたりの解釈は変わらないんでしょうか(- -;
さて。
「スカーレットピンパーネル」の話はこのあたりにして、宙組「カサブランカ」の続きを。
こちらも、「スカーレットピンパーネル」に勝るとも劣らない、小池さんの名作です(*^ ^*)。
■第17場 リックのカフェ ~1941年12月1日深夜(2日早朝?)~
「ボス。……夜が明けちまいますぜ」
いたわってくれるサムの、優しい声。
聞こえているのかいないのか、起きる気配も無いリック。
カチャリ、と音がして、店の玄関扉が開く。
音が聞こえたのか。流れ込んできた夜の匂いを嗅いだのか。つぶれていた筈のリックがふと頭をあげて、焦点の定まらない瞳をドアに向ける。
身体の線に沿ったシングルのコート、水色の大判ストールからのぞく、柔らかなプラチナブロンド。すぐ傍にランプがあるかのように、そこだけがぽっかりと明るい。(←いや、普通にスポットが当たってますから)
「あなたに、聞いていただきたいことがあって」
やっと焦点のあったリックの眼が、射抜くようにイルザを凝視する。
たじろくイルザ。
「……一杯、飲めよ」
ふぃっと視線をずらして、どうでもいいかのようにグラスを差し出すリック。
「今夜は駄目よ」
軽く息を吐いて、たしなめるように言うイルザ。
「何故カサブランカに来たんだ?」
「あなたがいると判っていれば、来なかったわ」
でも、イルザはいずれにしても来たことでしょう。リックが居ようと居るまいと。
ヴィクターには、このルートしか無かったのだから。
それでも、もしかしたら。
リックがこんなにも傷ついていると知っていたら、イルザは来なかったのかもしれません。
彼女は知らなかった。こんなにも自分が愛されていたことを。
唇を噛んで、リックの瞳の強さに負けるまいと顎をそらす。
あなたは私より、ずっと大人だったから。だからもう、私のことなんて忘れたと思っていた。
……私は、忘れられなかったわ。だから、思い出にしたの。パリのすべてを、夢のような出来事だった、と。
「君の声、変わらないな……『私たち、世界が崩壊するかもしれないのに、恋に落ちるなんて』」
そうよ。恋に落ちたの。夢の中で。夢のパリで。
でも、夢は醒めたわ。あのパリはもう、どこにもない。
「……崩壊したのは、俺たちの仲、だ」
「やめて」
すべては終わってしまった。確かめ合ったはずの恋も、確かだと思っていた愛さえも。
「俺たちが何日一緒にいたか知ってるか?…俺は数えた。一日残らず」
『春』から『6月』まで、わずか2~3ヶ月。デートの回数を数えるのは容易なことだったでしょうね。もしかしたら、ほんの数回なのかもしれないし。
それでも、イルザは『数えたこと、ないわ』と応える(T T)。
……まあ、イメージとしては、一回一回デートのたびに「○○回目のデートだ(はぁと)」などと数えているリック、というのも想像しにくいので(^ ^)、パリからマルセイユへ向かう汽車の中で思い出を反芻し、何故振られたのかを思い悩んだりしながら数えたのかな、とか、勝手に考えているのですけれども(可哀相に)。
イルザは、パリを離れてからは怒涛の忙しさで、とてもそんな時間は無かったでしょうし、ね。
ちなみに、映画では二人の出会いのシーンが描かれていないので、何ヶ月(あるいは何年)付き合ったのかは判らないようですね。
うーん、そろそろ映画を観ないと、公演が終わっちゃうなあ…(T T)。
リックの、というか、祐飛さんの酔っ払い芝居は、経験豊富なだけあって本当に巧いな、と思います。散々やっているもんね(^ ^)たぶん、宝塚ひろしといえども、これだけいろんなパターンでの酔っ払いを演じたことがある役者はいないんじゃないか、と(惚)
で。
この場面を観るたびに、酔っ払いにはなりたくないなあ、と思います(^ ^)。
人の話を全然聞いてないし、思ったことを脊髄反射で口に出してしまうし。ああはなりたくない、理性は飛ばしちゃいかん!!と思うんですよ(^ ^)
しかも。リックはお酒に強いので、このときも表向きはいつもとあまり違わないのに、実は、理性が完全にぶっ飛んでいる(!)そーゆーのが一番怖いからっ!
11月末の「お披露目トークライブ」でもその話が出ましたが、確かに祐飛さんのリックは、翌朝本気で後悔していそうなんですよね。
「なんであんなこと言っちゃったんだろう、せっかく来てくれたのになぁーっ!!」
って。
特に、東宝に来てからはその印象が顕著ですね(^ ^)。祐飛さん、いったいどこまで行ってしまうんだろう……。
普段のクールで人を寄せ付けない仮面を突き破って、繊細で皮肉屋な内面がむき出しになったリック。
「俺を棄てたのはラズロのためか?」
あまりにも率直で、ストレートな問いかけ。もちろん、イルザは応えられない。
「それとも、まだ他に誰かいたのか」
「……リック!」
「それだけは言いたくない、か?」
自分の話を聞こうとしない、勝手に結論を出そうとするリックにキレて、店を出て行くイルザ。
玄関扉に相対する椅子に座って、頭を抱え込むリック。
♪夜霧の窓に君を想い
♪夜明けの窓に 想いを消した
この場面。
たぶん、東宝劇場にいる2500人余で私一人だと思うんですが。
私はこの場面を観るたびに、「レ・ミゼラブル」の「空のテーブル、空の椅子」を思い出します。特に、
♪窓に映る影 床にも姿が♪
のあたりを。
名曲ぞろいの「レ・ミゼラブル」の中でも、コンサートなどで歌われることの多い名曲ですが、この「カサブランカの夜霧に」という歌も、素晴らしい名曲だと思います(*^ ^*)
ま、歌いながら帰るにはちょっとメロディラインが凝ってますけど。
♪サヨナラも言わずに二人は別れた
♪愛し合っていると信じ込んでいた
呟きながら、少しふらつく足取りで本舞台を横切り、下手から銀橋に入る。
♪6月のあの日あの口づけが最後
ゆっくりと銀橋を進むリック。溶暗していた本舞台に少しづつ光が戻り、リックの店の従業員たちがテーブルのセッティングに動く。
すごーくどうでもいいことですが。このときまで、イルザが出入りするとき動きやすいよう、玄関前までの通路をあけてあるんです。それを、場面ラストに降りてくる幕の邪魔にならないよう、さりげなく片付ける店員たちが可愛いんですよ(はぁと)
♪それなのに何故 世界中にたった一つしか街がないかのように
♪やって来たんだ このカサブランカに
玄関扉が開いて、客たちが流れ込む。
亡命者たち、ムーア人たち、商売人たち、レジスタンスたち、軍人たち、、、、
そして、ラズロとイルザ。
♪燃え上がるこの想い 消してしまいたい
♪カサブランカの夜霧に
切れ切れのストップモーション、そして、幕。
この幕切れの演出、素直にすごい、と思いました。
本舞台メンバーのストップモーションも止まり方がさりげなくて巧いし、なんといっても、音楽と場面の有機的なかかわり方がいい(@ @)。派手な演出ではないのですが、ここで一通り過去を回想した後でイルザとの最初の対決場面を置き、再会の場面をリフレインする、という流れがすごく自然で、リックの気持ちがすごく伝わってきます。
思いもよらぬ再会で、燃え上がったこの想い。痛み。でも、燃え上がった俺だけで、彼女の心には、もう火が点かない。……ならば、もう、俺のこの心ごと、何もかも凍らせてしまいたい……そんな、絶望。
♪これからの日々をどう生きていくのか
♪蘇るこの愛の行く先は見えない
何もかも嘘だったのか。
何もかも全部、最初から。
リックの動揺と絶望、そして、ほんの微かな“再会の喜び”……そんなもので満たされた劇場の客席に光が入る。
……やっと一幕が終わったか……(^ ^;;;)
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「カサブランカ」【8】
2010年1月13日 宝塚(宙) コメント (6)東宝宝塚劇場にて、宙組公演「カサブランカ」を観てまいりました。
なんだろう。
前回(週末だよ)観てから、そんなに時間は経っていないはずなのですが。
……いろんなことが、ぜんぜん違っていたような気がしました!(@ @)。
一番、違うと感じたのは、一幕ラストのカフェ。リックとイルザの、最初の対決。
うーん、何が違ったんだろう?家に帰るまでずーっと考えていたのですが、どうも言葉にまとまらない。
とりあえず、イルザに「あなたに聞いていただきたいことがあるの」と言われてから「まあ、一杯飲めよ」までの間が、すごく長かった……ような気がするんですよね。本当に、真顔で『くいいるように』イルザを凝視するリックが、すごく怖かった。
それと、イルザが過去を語る話を途中で遮るときの「もういい!」が、すごく強かった。と思うのです(←あまり確信ないらしい)。で、その声に自分自身がびっくりしたように「……もう、いい」と呟くのが、ものすごく切なくて。
東宝に来てから、少し抑え気味だった感情の露出が、また激しくなってきたような気がします。
イルザをはじめ、他のメンバーがどんどん前に前に出してきているので、新しいバランスを探り始めているのかな、という感じ。
また面白くなってきたなあ~~(*^ ^*)ああ、観れば観るほど、本当に面白い作品で、素直に嬉しいです♪
音響のバランスもずいぶん良くなってました。もしかして、昨日の休演日は一日音響調整してたのか?>スタッフの皆様 という感じ。久しぶりのB席だったせいもあるかもしれませんが、音質がクリアになって、芝居の細かいニュアンスが二階席の天辺までちゃんと届くようになったな、と思いました。
早いもので、東宝公演ももうすぐ1/3が過ぎます。こんな調子で、あっという間に中日をすぎ、新公を過ぎ、千秋楽になってしまうんでしょうねえ……。
がんばれがんばれ、宙組! ここまで一人の休演者も出ていないことが素直に嬉しいです。最後までこの調子で行ってくれ~!!(祈)
さて。
二幕の話を始めるまえに、リックのカフェでの突っ込みポイントをいくつか。
・花露すみかちゃんが宝石商(天輝トニカ)にダイヤを買い叩かれた後、ヤン(凪七瑠海)とアニーナ(花影アリス)がやってきて、大切そうに腕輪を出すんですね。思いっきり買い叩かれたみたいでしたけど(T T)。
腕輪を握りしめて溜息をつくアニーナの、細い肩が切ない。
それにしても、リックのカフェのごった煮なこと。
ファティマ(すみれ乃麗)も従業員じゃなくて、勝手に商売(花売り)をしてるっぽいし。
バーガー(鳳翔大)のペンダント売り(実はレジスタンスの勧誘?)も黙認だし。
あ。もしかして、こういう人たちに場所を提供して、ショバ代を取っていたりするのかな……?
・ジャン(珠洲春希)がスリだったりスパイだったりすることは、他の皆は知らない……ことになっているんでしょうか?
・レジスタンスの二人(鳳翔大・愛月ひかる)は、「人手が揃ったら」何を実行するつもりなのでしょうか? トラックではジブラルタル海峡は渡れないんだけど、大丈夫かなあ(心配)
とりあえず、ウガーテ(天羽珠紀)が逮捕されたことを知って落ち込むラズロ(蘭寿とむ)に
「あなたには我々がついています!」
とか自信満々に言っちゃう根拠が知りたい(^ ^)
・ヤン、初心者のくせにいきなりルーレットで一目賭けするのはやめた方が…(- -;
というか、あのカジノ、一目賭けの人が多すぎると思うんですけど、カジノってああいうものなの? 家でゲームとして遊んだときは、1/2で当たるもの(赤/黒とか、前半/後半とか、奇数/偶数とか)ばっかり賭けてたんだけどなあ。
エミール(蓮水ゆうや)の持っていき方(?)が巧いのでしょうか。
・トネリ(月映樹茉)は、憧れのコリーナ・ムラ(鈴奈沙也)が控え室に引っ込んだ後、今度はボーイ(千鈴まゆ)を口説いているように見えたんですが……。いったい何をしているんだ君は。
・天玲美音くんに密航の相談をしていた亡命者(美月遥)と、「待って待って待ち続けて」とソロを歌うモンチ(星吹彩翔)、そして、最初にフランス兵に肩を抱かれてカフェに現れる女性(琴羽桜子)が、カフェの場面の後半から三人でいつも一緒にいるのが、なんとなく不可思議(^ ^)。どういう関係なんだろう、あの三人。
・ボーイ二人(千鈴まゆ、綾瀬あきな)は、あまり働いている気配がないんですけど、あれは良いんでしょうか。あれこれ持ってフロアを歩いているのは、カール(寿つかさ)とビゴー(七海かい)だけに見えるんですが……
他にもいろいろあるけど、とりあえずそんな感じでしょうか。
とりあえず、先に進みます。
■第2幕 第1場 地下水道での集会① ~1941年12月1日深夜(2日早朝?)~
閉店間際のリックのカフェを出て、集会へ向かうバーガーとラズロ。
「夜間外出禁止時間」のカサブランカでは、サーチライトで監視されていたのでしょうか。
……今ひとつ意味不明な演出でしたが、それ以上に、あのサーチライトを避けることに命を賭けている(by ナウオンステージ)らしい大ちゃんが、大変可愛いと思うんですけどどうでしょう。
小池さん、宙組88期を、どうぞよろしくお願いいたします!(今更)
下手から上手へ走りぬける二人を、上手の銀橋付け根あたりでファティマが迎えて、集会場へ。
ファティマはそのまま、見張りに立つらしく引っ込んで、上手からも下手からも、わらわらと懐中電灯の光が集まってくる。
ラズロの顔に、まっすぐ懐中電灯の光をあてて「やあ!」と元気に挨拶するサッシャ(春風弥里)。……だから誰か、宙組88期を……。
「ナチスの収容所から奇跡の生還を果たした、ヴィクター・ラズロ氏です」
皆に紹介するバーガー。
リックの店の従業員が勢ぞろいしているのが凄く不思議。良いんでしょうかアレは。
たった一人参加していない、キャッシャーの天風いぶきさんは、後ほどフランス兵として登場するし(^ ^;。
そして。(千鈴)まゆちゃんとえびちゃん(綾瀬あきな)は、リックの店の「ボーイ」として参加しているんでしょうか。違うんでしょうか。(プログラムには「集会男の子」とあるのみ)
「何故あなたがここに?」シリーズ。
ここで目立つのは、元ヘルム(&ドイツ兵)の雅桜歌さん、元トネリのえなちゃん(月映)、元ドイツ兵の春瀬央季さん、かな。
それでもえなちゃんや春瀬さんは、軍服を脱ぐと結構感じが変わるので、そんなには目立たない…のですが(多分)。ヘルムさんは服装も髪型もそんなに大きくは変わらないので、目立ちまくりです(^ ^;ゞ。一幕オープニングの裁判所前広場に続き、本当に目立つなあこの人は。(←単に、ファンだとゆーだけではないのでしょうか)
トネリ大尉があまりにも面白かったえなちゃんは、ここでは普通の好青年です。仕草や歩き方も、軍服と普通のスーツでは必然的に違うものなのかもしれませんが、彼女は意識して変えているんじゃないかな?と思わせるものがありますね。
とりあえず、面白いばかりじゃない普通の人も出来るらしい、というのは、役者としての幅になるので、嬉しいことです。
ヨーロッパ各地でファシズムと闘っている同志たちに黙祷することから、演説を始めるラズロ。
♪我々は生きている
♪決して屈しない
♪命ある限り 闘い続ける
この作品一番の名曲は、この曲だと思いますね。
集会参加者たちのフォーメーションが美しくて、この場面だけは二階席がいいなあと思いました。
一幕はちょっと出番少な目のラズロさん。
待ちに待ったこの場面に、集中的にぶつけてくるエネルギーが凄いです。すごくテンションがあがる。
一幕のオープニングが「ヴィザを!ヴィザを!」で、
二幕のオープニングが「我々は生きている」。……小池マジックだなあ、と思います。最初にテンションをMAXまで上げさせて、そのまま最後まで引っ張る構成が、すごい。
盛り上がりが佳境に入ったあたりで、下手奥の階段を駆け下りてくるファティマ。
「手入れだ!」
…すみません(先に謝る)。この台詞が、何度聞いても「デイリだ!」と聞こえてしまうのは、私だけでしょうか。最近は「てやんでえ!」とも聞こえるようになってきて、余計に困っているのですが(真顔)
ファティマの一生懸命さがツボです。可愛いー。
一瞬のうちにバラけて逃亡するレジスタンスたち。(「蜘蛛の子を散らすように」とは、まさに…な表現です)
警官たちのリーダーとして、密告者のジャンに文句をつけるさっつん(風羽玲亜)がすごく素敵です。
その隣で、大人しく控えている天風いぶきさんが、なんとなく微笑ましい(^ ^)。
「ハズレか……賞金がふいだな」
やさぐれて呟くジャンの物語を、考えてみたくなりました……。
■第2場A 警視総監のオフィス(外) ~1941年12月2日朝~
朝早くから並んで、ヴィザ申請の順番を待っている亡命者たち。
だいぶ、女の子たちの区別もつくようになってきたので、もうちょっと頑張りたいと思います。
カッセル中尉(澄輝さやと)の
「残念ながら、ルノー大尉はご来客中でして」
という台詞が、大劇場の後半からぐっと良くなってきていたのですが、東宝ではまた少し自然になったなーと思いました。
あともう一息だ!がんばれ!(^ ^)。
「何とか予約を入れさせてください!」
食い下がるアニーナを、面倒そうに腕を振って建物の中に入っていくあっきー。ヘタレでも格好良いんですよね、本当に(*^ ^*)。あああ、台詞術さえなんとかなればなあ、、、
■第2場B 警視総監のオフィス(中) ~1941年12月2日朝~
窓脇のテーブルの時計は、10時半(?)を指しています。
ラズロが昨夜、ルノーに約束したのは「朝10時」。……集会のあとの鬼ごっこで時間をとられ、ホテルに帰ったのは夜明けだった………なので、ちょっと寝坊しちゃった、とか、そーゆー解釈でいいのかな?なんて考えたりするのですが、どうなんでしょうね。
ラズロが現れたとき、ルノーは「定刻どおりに」と言っているので、あの時計を私が見間違えた可能性の方が高いのかな……?
ちなみに。ラズロがホテルの部屋に戻ってきたとき、イルザは普通に部屋に戻って眠っていたはず、ですよね。イルザにはイルザで、活動に関係する“やるべきこと”があった……ってことは無い、よね?
ということは。
イルザは、ラズロがいつ戻ってくるかとドキドキしながらリックの店に行ったんですね。……長居をする気は無かったにせよ、「私がせっかく危険をおかして話をしに来たのに、どうして聞かないんだ貴様ぁ!!」って、リックの首根っこを掴んで、がしがし責めてやりたい気持ち……が、あったのかもしれませんね……。
なんだか切ないなあ、二人とも。
あと三回くらいで終わるかなあ。
……無理かしら(T T)。
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なんだろう。
前回(週末だよ)観てから、そんなに時間は経っていないはずなのですが。
……いろんなことが、ぜんぜん違っていたような気がしました!(@ @)。
一番、違うと感じたのは、一幕ラストのカフェ。リックとイルザの、最初の対決。
うーん、何が違ったんだろう?家に帰るまでずーっと考えていたのですが、どうも言葉にまとまらない。
とりあえず、イルザに「あなたに聞いていただきたいことがあるの」と言われてから「まあ、一杯飲めよ」までの間が、すごく長かった……ような気がするんですよね。本当に、真顔で『くいいるように』イルザを凝視するリックが、すごく怖かった。
それと、イルザが過去を語る話を途中で遮るときの「もういい!」が、すごく強かった。と思うのです(←あまり確信ないらしい)。で、その声に自分自身がびっくりしたように「……もう、いい」と呟くのが、ものすごく切なくて。
東宝に来てから、少し抑え気味だった感情の露出が、また激しくなってきたような気がします。
イルザをはじめ、他のメンバーがどんどん前に前に出してきているので、新しいバランスを探り始めているのかな、という感じ。
また面白くなってきたなあ~~(*^ ^*)ああ、観れば観るほど、本当に面白い作品で、素直に嬉しいです♪
音響のバランスもずいぶん良くなってました。もしかして、昨日の休演日は一日音響調整してたのか?>スタッフの皆様 という感じ。久しぶりのB席だったせいもあるかもしれませんが、音質がクリアになって、芝居の細かいニュアンスが二階席の天辺までちゃんと届くようになったな、と思いました。
早いもので、東宝公演ももうすぐ1/3が過ぎます。こんな調子で、あっという間に中日をすぎ、新公を過ぎ、千秋楽になってしまうんでしょうねえ……。
がんばれがんばれ、宙組! ここまで一人の休演者も出ていないことが素直に嬉しいです。最後までこの調子で行ってくれ~!!(祈)
さて。
二幕の話を始めるまえに、リックのカフェでの突っ込みポイントをいくつか。
・花露すみかちゃんが宝石商(天輝トニカ)にダイヤを買い叩かれた後、ヤン(凪七瑠海)とアニーナ(花影アリス)がやってきて、大切そうに腕輪を出すんですね。思いっきり買い叩かれたみたいでしたけど(T T)。
腕輪を握りしめて溜息をつくアニーナの、細い肩が切ない。
それにしても、リックのカフェのごった煮なこと。
ファティマ(すみれ乃麗)も従業員じゃなくて、勝手に商売(花売り)をしてるっぽいし。
バーガー(鳳翔大)のペンダント売り(実はレジスタンスの勧誘?)も黙認だし。
あ。もしかして、こういう人たちに場所を提供して、ショバ代を取っていたりするのかな……?
・ジャン(珠洲春希)がスリだったりスパイだったりすることは、他の皆は知らない……ことになっているんでしょうか?
・レジスタンスの二人(鳳翔大・愛月ひかる)は、「人手が揃ったら」何を実行するつもりなのでしょうか? トラックではジブラルタル海峡は渡れないんだけど、大丈夫かなあ(心配)
とりあえず、ウガーテ(天羽珠紀)が逮捕されたことを知って落ち込むラズロ(蘭寿とむ)に
「あなたには我々がついています!」
とか自信満々に言っちゃう根拠が知りたい(^ ^)
・ヤン、初心者のくせにいきなりルーレットで一目賭けするのはやめた方が…(- -;
というか、あのカジノ、一目賭けの人が多すぎると思うんですけど、カジノってああいうものなの? 家でゲームとして遊んだときは、1/2で当たるもの(赤/黒とか、前半/後半とか、奇数/偶数とか)ばっかり賭けてたんだけどなあ。
エミール(蓮水ゆうや)の持っていき方(?)が巧いのでしょうか。
・トネリ(月映樹茉)は、憧れのコリーナ・ムラ(鈴奈沙也)が控え室に引っ込んだ後、今度はボーイ(千鈴まゆ)を口説いているように見えたんですが……。いったい何をしているんだ君は。
・天玲美音くんに密航の相談をしていた亡命者(美月遥)と、「待って待って待ち続けて」とソロを歌うモンチ(星吹彩翔)、そして、最初にフランス兵に肩を抱かれてカフェに現れる女性(琴羽桜子)が、カフェの場面の後半から三人でいつも一緒にいるのが、なんとなく不可思議(^ ^)。どういう関係なんだろう、あの三人。
・ボーイ二人(千鈴まゆ、綾瀬あきな)は、あまり働いている気配がないんですけど、あれは良いんでしょうか。あれこれ持ってフロアを歩いているのは、カール(寿つかさ)とビゴー(七海かい)だけに見えるんですが……
他にもいろいろあるけど、とりあえずそんな感じでしょうか。
とりあえず、先に進みます。
■第2幕 第1場 地下水道での集会① ~1941年12月1日深夜(2日早朝?)~
閉店間際のリックのカフェを出て、集会へ向かうバーガーとラズロ。
「夜間外出禁止時間」のカサブランカでは、サーチライトで監視されていたのでしょうか。
……今ひとつ意味不明な演出でしたが、それ以上に、あのサーチライトを避けることに命を賭けている(by ナウオンステージ)らしい大ちゃんが、大変可愛いと思うんですけどどうでしょう。
小池さん、宙組88期を、どうぞよろしくお願いいたします!(今更)
下手から上手へ走りぬける二人を、上手の銀橋付け根あたりでファティマが迎えて、集会場へ。
ファティマはそのまま、見張りに立つらしく引っ込んで、上手からも下手からも、わらわらと懐中電灯の光が集まってくる。
ラズロの顔に、まっすぐ懐中電灯の光をあてて「やあ!」と元気に挨拶するサッシャ(春風弥里)。……だから誰か、宙組88期を……。
「ナチスの収容所から奇跡の生還を果たした、ヴィクター・ラズロ氏です」
皆に紹介するバーガー。
リックの店の従業員が勢ぞろいしているのが凄く不思議。良いんでしょうかアレは。
たった一人参加していない、キャッシャーの天風いぶきさんは、後ほどフランス兵として登場するし(^ ^;。
そして。(千鈴)まゆちゃんとえびちゃん(綾瀬あきな)は、リックの店の「ボーイ」として参加しているんでしょうか。違うんでしょうか。(プログラムには「集会男の子」とあるのみ)
「何故あなたがここに?」シリーズ。
ここで目立つのは、元ヘルム(&ドイツ兵)の雅桜歌さん、元トネリのえなちゃん(月映)、元ドイツ兵の春瀬央季さん、かな。
それでもえなちゃんや春瀬さんは、軍服を脱ぐと結構感じが変わるので、そんなには目立たない…のですが(多分)。ヘルムさんは服装も髪型もそんなに大きくは変わらないので、目立ちまくりです(^ ^;ゞ。一幕オープニングの裁判所前広場に続き、本当に目立つなあこの人は。(←単に、ファンだとゆーだけではないのでしょうか)
トネリ大尉があまりにも面白かったえなちゃんは、ここでは普通の好青年です。仕草や歩き方も、軍服と普通のスーツでは必然的に違うものなのかもしれませんが、彼女は意識して変えているんじゃないかな?と思わせるものがありますね。
とりあえず、面白いばかりじゃない普通の人も出来るらしい、というのは、役者としての幅になるので、嬉しいことです。
ヨーロッパ各地でファシズムと闘っている同志たちに黙祷することから、演説を始めるラズロ。
♪我々は生きている
♪決して屈しない
♪命ある限り 闘い続ける
この作品一番の名曲は、この曲だと思いますね。
集会参加者たちのフォーメーションが美しくて、この場面だけは二階席がいいなあと思いました。
一幕はちょっと出番少な目のラズロさん。
待ちに待ったこの場面に、集中的にぶつけてくるエネルギーが凄いです。すごくテンションがあがる。
一幕のオープニングが「ヴィザを!ヴィザを!」で、
二幕のオープニングが「我々は生きている」。……小池マジックだなあ、と思います。最初にテンションをMAXまで上げさせて、そのまま最後まで引っ張る構成が、すごい。
盛り上がりが佳境に入ったあたりで、下手奥の階段を駆け下りてくるファティマ。
「手入れだ!」
…すみません(先に謝る)。この台詞が、何度聞いても「デイリだ!」と聞こえてしまうのは、私だけでしょうか。最近は「てやんでえ!」とも聞こえるようになってきて、余計に困っているのですが(真顔)
ファティマの一生懸命さがツボです。可愛いー。
一瞬のうちにバラけて逃亡するレジスタンスたち。(「蜘蛛の子を散らすように」とは、まさに…な表現です)
警官たちのリーダーとして、密告者のジャンに文句をつけるさっつん(風羽玲亜)がすごく素敵です。
その隣で、大人しく控えている天風いぶきさんが、なんとなく微笑ましい(^ ^)。
「ハズレか……賞金がふいだな」
やさぐれて呟くジャンの物語を、考えてみたくなりました……。
■第2場A 警視総監のオフィス(外) ~1941年12月2日朝~
朝早くから並んで、ヴィザ申請の順番を待っている亡命者たち。
だいぶ、女の子たちの区別もつくようになってきたので、もうちょっと頑張りたいと思います。
カッセル中尉(澄輝さやと)の
「残念ながら、ルノー大尉はご来客中でして」
という台詞が、大劇場の後半からぐっと良くなってきていたのですが、東宝ではまた少し自然になったなーと思いました。
あともう一息だ!がんばれ!(^ ^)。
「何とか予約を入れさせてください!」
食い下がるアニーナを、面倒そうに腕を振って建物の中に入っていくあっきー。ヘタレでも格好良いんですよね、本当に(*^ ^*)。あああ、台詞術さえなんとかなればなあ、、、
■第2場B 警視総監のオフィス(中) ~1941年12月2日朝~
窓脇のテーブルの時計は、10時半(?)を指しています。
ラズロが昨夜、ルノーに約束したのは「朝10時」。……集会のあとの鬼ごっこで時間をとられ、ホテルに帰ったのは夜明けだった………なので、ちょっと寝坊しちゃった、とか、そーゆー解釈でいいのかな?なんて考えたりするのですが、どうなんでしょうね。
ラズロが現れたとき、ルノーは「定刻どおりに」と言っているので、あの時計を私が見間違えた可能性の方が高いのかな……?
ちなみに。ラズロがホテルの部屋に戻ってきたとき、イルザは普通に部屋に戻って眠っていたはず、ですよね。イルザにはイルザで、活動に関係する“やるべきこと”があった……ってことは無い、よね?
ということは。
イルザは、ラズロがいつ戻ってくるかとドキドキしながらリックの店に行ったんですね。……長居をする気は無かったにせよ、「私がせっかく危険をおかして話をしに来たのに、どうして聞かないんだ貴様ぁ!!」って、リックの首根っこを掴んで、がしがし責めてやりたい気持ち……が、あったのかもしれませんね……。
なんだか切ないなあ、二人とも。
あと三回くらいで終わるかなあ。
……無理かしら(T T)。
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「カサブランカ」【9】
2010年1月14日 宝塚(宙) コメント (2)雪組トップスターの水夏希さんが、次々回大劇場公演(9/12千秋楽)で卒業されることが発表されました。
漠然とした予感が、全く無かったとは言いません。
トップスターになれば、いやならなくたって、タカラジェンヌはすべて、いつかは去っていくのだから。
でも、少なくとも今発表されるとは全く考えていなかったよ……(呆然)。
1月に発表で、9月に卒業。8ヶ月か~。最近は5~6ヶ月前に発表、というのが多かったので、すごく早く感じます。
昔、マミさん(真琴つばさ)が9月に発表して7月卒業だったので、それよりは少し短いんですけどね。
でもね。少なくとも、私がファンになってからは「演目未定」での退団発表は初めてだと思うんです。いったい、何が起こっているんだ劇団では。
水さん。
花組時代・宙組時代は、それほど興味のあるスターさんではなかったんですが。(嫌いではなかった)(ちなみに月組時代は猫が宝塚ファンになりたての頃で、トップ以外は個別認識できてませんでした)
最初に「おっ?」と思ったのは、たぶん、雪組に来てからの全国ツアー「銀の狼」のレイだった、と思います。優しくて愛のある芝居が素敵だなあ、と。
そして。中日でのプレお披露目「星影の人」以来、今夏まで、長いこと水さんは、私にとって「五組中で一番好きなトップさん」でした(*^ ^*)。
「マリポーサの花」のネロ。「カラマーゾフの兄弟」の長男。
ハードボイルドな男の中の男でありながら、ぬくもりを感じさせる優しい芝居。人を愛し、世界を愛し、生きることを愛し、そして、相手役を愛することができるひと。
ナウオンステージで、その場にいない下級生や上級生を語る口調のやわらかさ。卒業していく組子たちに向けた、不器用だけれども真摯な「送る言葉」。
役者としては勿論、組の真ん中に立つ存在としても、すごく尊敬できる人なんだろうな、と、ずっと思っていました。
期限は切られてしまったけれども、しかも、そのうちの半分は植田(紳)作品ですけれども(泣)
その次の(最後の)作品がいいものでありますように(切祈)。
大好きなトップさんなんだから、しっかりお見送りしたいんだよ誰だって!!頼むよ劇団……。
次回宙組大劇場公演と雪組大劇場公演、そして星組の梅田と博多。この辺りの作品が、とっとと発表されますことを(そして、どれも良い作品であることを)、心から祈っています。
と、いうわけで、「カサブランカ」の続きです♪
■第2幕 第2場B 警視総監のオフィス(中) ~1941年12月2日朝~(つづき)
朝10時半。
ラズロとイルザが現れるのを、ルノー(北翔海莉)のオフィスでジリジリと待つシュトラッサー(悠未ひろ)。
「ラズロは本当に来ると思うか?」
「先ほどホテルを出たと監視から報告が」
ルノーの返事に、尊大な感じで「よろしい!」というともちんが、子供みたいで凄く好きです。
しかも、唐突に
「私は、ウガーテは通行証をリチャード・ブレインに預けたと推理する」
とか言い出すあたりも、なんとなく好き。なんでだか、ともちんのシュトラッサーが凄く好きです。不思議なくらいに。
……何故なのでしょうねぇ。
ラズロとイルザが登場。
「おお、定刻どおりに!」
というルノーの台詞は、嫌味なのかな?と思っていたのですが。さくら貝さまから違う解釈をご提示いただきましたので、よろしければ昨日の記事のコメントをご覧くださいませ♪
単刀直入に、ラズロを脅すシュトラッサー。
「私の任務は、君をカサブランカに拘留することだ」
尊大なドイツ将校に、軽く笑んでラズロがかわす。
「……カサブランカの暮らしに、慣れなくてはいけませんね」
この台詞が、ものすごく好きだったりします。なんの気負いもなさげな、軽い口調の嫌味っぷりが嗜虐心をそそる(^ ^;
「だが、明日リスボンに発つことも可能だ」
そんな夢物語に、つい身を乗り出すラズロ。ウガーテを喪って、よほど追い詰められているんでしょうか。シュトラッサーが、受け容れられる条件をだす筈がないのに。
「君は地下組織の指導者たちと親しいはずだ。…彼らの居所を教えれば、ヴィザを出そう」
「収容所に一年以上も居て、どんな拷問にも耐え抜いた私が、口を割ると思いますか?」
恬淡とした口調の凄みが、さすがです(*^ ^*)。
さて。
ここでまた一つ、突っ込みを。
一幕で、初めて“憧れの”ラズロに出会ったバーガー(鳳翔大)が口走ります。
「あなたが逮捕されたというニュースを、5回も読んだ」と。
ちなみに、映画では「あなたの死亡記事」になっているそうですが。(言われてみると、うっすら記憶がある)
まあ、それはどちらでもいいのですが。
なので私は漠然と、ラズロは5回も逮捕されたんだと思って、納得していました。
しかーし。
プログラムによると、どうやらそれは誤解だったらしい……。
ラズロはどうやら一回しか逮捕されていないようなので。
・「『一度は』ナチスによって収容所に収監されたものの」(プログラム第2幕第1場)
・「収容所から脱出したときの傷に比べれば……」(byラズロ)(収容所からの脱出劇を複数回やっているようには聞こえない)
・「世界をあっ!と言わせた男だ」(byリック)(「あっ!」を言わせるには、一度で十分)
……ってことは、4回は虚報だったのか?
それとも。バーガーは、一つの記事を5回読み返したって言いたかっただけなんでしょうか……???
……だれか、宙88期の首に鈴をつけてあげ(黙)
これだけではなんなので、ラズロの収容所収監期間について。
ラズロ自身は、「収容所に一年以上居て」と語り、
シュトラッサーは、ラズロについて「プラハからパリに逃れ、地下新聞を出し続けた」と評しており、
1940年の春には、セザールが「プラハの地下組織は、リーダーのラズロが捕まって焦っているんだ」という発言をしています。
イルザの「プラハで捕まり…」という台詞もあるので、年表の形でまとめるとこんな感じでしょうか。
・1938年のナチスによるプラハ占領~1939年5月以前のいつか
ラズロがプラハで逮捕され、プラハの収容所に収監される
・1940年春
ラズロ脱走。国境を突破してパリを目指す。
・1940年6月
やっとパリ近郊まで辿りついて、イルザにメッセージを送る。
その後、イルザと合流して身体を治しつつ、亡命の準備が整うまでパリ(近郊?)に滞在
地下新聞を出し続ける。
・1941年
アメリカ亡命のため、マルセイユ経由でカサブランカへ。
イルザだけは、占領前にパリへ逃がした、という感じなのでしょうか。それとも、ラズロの逮捕後に自力で逃げたのかしら?意外にメッセージはきちんと届いているので、プラハの抵抗組織自体は機能しているんですよね(パリの組織とも、多少は連携できているようだし)。
この作品(映画も、舞台も)が最終的なところで理解し難くなっているのは、イルザは『活動』の中で何をしているのか?が解らないから なのではないか、と思ったりもします。
ラズロの公的生活におけるイルザの価値がわからないから、ラストシーンのリックの「ヴィクター・ラズロを支えているのは君だ」という台詞が納得し難くなってしまうのが残念だと思うのです。
表面的には、彼女は何も知らないし、何もしないんですよね。
ラズロが死を偽って脱走したことも知らないし、そもそも、捕えられたラズロの救出のために動いていた気配さえ、ない。
イングリッド・バーグマンくらい美人だったら、「ああいう美人が傍にいるだけで、さぞラズロは力づけられただろうね」という方向で納得できるかもしれませんが、すみ花ちゃんは可愛いけどそこまでの存在じゃないので。
せっかく回想シーンを創作するなら、ただうっとりと恋に溺れる女の子じゃなくて、反ファシズムの闘士としてのイルザを描いて欲しかった。
すみ花ちゃんなら、可愛いばかりじゃない、アグレッシヴな活動家にだってなれたと思うんですけどね。
……あんまり遣りすぎて、ラズロより偉大な存在になってしまったりしたら「カサブランカ」じゃなくなってしまうので、そこはバランスが大事、ではあるのですが……。
突っ込みが無駄に長くなりました。すみません。
シュトラッサーの提案をあっさり蹴ったラズロは、最後まで隙を見せることなく、ルノーのオフィスを後にする。
後には、ウガーテの死亡調書を作成するルノーと、苦虫を噛んだままのシュトラッサー。
ウガーテの死を教えられて、
「拷問による死亡?」
と指摘したラズロに、ニヤニヤと嗤いながら
「その前に死んでしまいましたよ」
と嫌味っぽく教えるルノーが、イヤラシクて素敵です(はぁと)。単刀直入で紳士的なシュトラッサー、ちょっと回りくどくて嫌味なルノー。ドイツ人とフランス人の違い、ってことになるのでしょうか?なんだか、京の都に乗り込んでいった東国武士団の勇者たち(義仲とか義経とか)を思い出すなあ…。
ラズロたちが去り、シュトラッサーも去ったオフィス。
やれやれと溜息をついて、肩の関節を回すおっさんなルノー。
カッセル(澄輝さやと)が入ってきて報告。
「例のブルガリア人が」
「……女の方だけ、通せ」
ニヤリと片頬で嗤って、どっしりと席に座るルノー。キョロキョロしながら入ってきて、所在投げに客用椅子に座り込むアニーナ(花影アリス)。
……恰幅のいい肉布団のルノーと、元から細すぎるアリスちゃんの対比。ヤン(凪七瑠海)と一緒の時は姉さん女房なアリスちゃんが、ここでは怯えた子ネズミみたいで可愛いです。
■第3場 バザール(ブルー・パレット) ~1941年12月2日~
ルノーのオフィスを出たラズロを待っていた、花売りのファティマ(すみれ乃麗)。
「闇取引なら、フェラーリに頼むしかないよ」
と、バザールの奥のフェラーリの店への案内を申しでる。
おりしも日は中天。バザールは活気に溢れている。
下手から登場するターバンの男(天羽珠紀)と女二人(花音舞、百千糸)の歌が、怪しげでとてもいいです。ウガーテとしての台詞の声は軽めにつくっているたまちゃんですが、ここはずいぶん重たい声での歌唱で、すごく嬉しい★花音さん、ももちの歌も、女のいやらしさがあって良い声だなあ(^ ^)。
そこらへんで、いろんなものを売っているひとたち。
とりあえず、えっちゃん(大海亜呼)とえびちゃん(綾瀬あきな)がセットで動いているのがかわいい~♪大きなえっちゃんと小さなえびちゃん、どっちも「ムーア人の男」くくりですけど、ちょっと真ん中で目立つダンス(?)があったりして、案外おいしいです。
いつか、ムーア人の女性たちが見分けられるようになれるかしら……ちょっと無理そう(涙)。
いろんなところでいろんなものを、見たり買ったりしているひとたち。
皆さん、前夜のカフェの場面から、誰一人着替えてないんですけど。
ファン的には、一人一人見分けやすくて助かるんですけどね(汗)。でも、それってどうなの(^ ^;ゞ
皆もう、あらゆる意味で、楽しそうにもほどがあります(^ ^;ゞ
とりあえず。西欧人のカップルで、わかったのは以下のとおり。
・美月遥&藤咲えり あれっ?えりちゃん、(蒼羽)りくちゃんはどうしたの…?
・蒼羽りく&愛花ちさき りくったら、こんな処でお金持ちの奥様とご一緒でしたか。
・天玲美音と妃宮さくら 密航業者と我侭でお金持ちのお姉さま。
・星吹彩翔&琴羽桜子 前夜のカフェと同じカップルなのは、この二人だけだったような気がします。
そもそも。細かいツッコミをするなら、美月くんは天玲くんに「明日午前1時に、現金1万5千フラン持って港に来い」と言われていたんですが。……こんなところで人妻相手に油売ってていいのか……?
.
漠然とした予感が、全く無かったとは言いません。
トップスターになれば、いやならなくたって、タカラジェンヌはすべて、いつかは去っていくのだから。
でも、少なくとも今発表されるとは全く考えていなかったよ……(呆然)。
1月に発表で、9月に卒業。8ヶ月か~。最近は5~6ヶ月前に発表、というのが多かったので、すごく早く感じます。
昔、マミさん(真琴つばさ)が9月に発表して7月卒業だったので、それよりは少し短いんですけどね。
でもね。少なくとも、私がファンになってからは「演目未定」での退団発表は初めてだと思うんです。いったい、何が起こっているんだ劇団では。
水さん。
花組時代・宙組時代は、それほど興味のあるスターさんではなかったんですが。(嫌いではなかった)(ちなみに月組時代は猫が宝塚ファンになりたての頃で、トップ以外は個別認識できてませんでした)
最初に「おっ?」と思ったのは、たぶん、雪組に来てからの全国ツアー「銀の狼」のレイだった、と思います。優しくて愛のある芝居が素敵だなあ、と。
そして。中日でのプレお披露目「星影の人」以来、今夏まで、長いこと水さんは、私にとって「五組中で一番好きなトップさん」でした(*^ ^*)。
「マリポーサの花」のネロ。「カラマーゾフの兄弟」の長男。
ハードボイルドな男の中の男でありながら、ぬくもりを感じさせる優しい芝居。人を愛し、世界を愛し、生きることを愛し、そして、相手役を愛することができるひと。
ナウオンステージで、その場にいない下級生や上級生を語る口調のやわらかさ。卒業していく組子たちに向けた、不器用だけれども真摯な「送る言葉」。
役者としては勿論、組の真ん中に立つ存在としても、すごく尊敬できる人なんだろうな、と、ずっと思っていました。
期限は切られてしまったけれども、しかも、そのうちの半分は植田(紳)作品ですけれども(泣)
その次の(最後の)作品がいいものでありますように(切祈)。
大好きなトップさんなんだから、しっかりお見送りしたいんだよ誰だって!!頼むよ劇団……。
次回宙組大劇場公演と雪組大劇場公演、そして星組の梅田と博多。この辺りの作品が、とっとと発表されますことを(そして、どれも良い作品であることを)、心から祈っています。
と、いうわけで、「カサブランカ」の続きです♪
■第2幕 第2場B 警視総監のオフィス(中) ~1941年12月2日朝~(つづき)
朝10時半。
ラズロとイルザが現れるのを、ルノー(北翔海莉)のオフィスでジリジリと待つシュトラッサー(悠未ひろ)。
「ラズロは本当に来ると思うか?」
「先ほどホテルを出たと監視から報告が」
ルノーの返事に、尊大な感じで「よろしい!」というともちんが、子供みたいで凄く好きです。
しかも、唐突に
「私は、ウガーテは通行証をリチャード・ブレインに預けたと推理する」
とか言い出すあたりも、なんとなく好き。なんでだか、ともちんのシュトラッサーが凄く好きです。不思議なくらいに。
……何故なのでしょうねぇ。
ラズロとイルザが登場。
「おお、定刻どおりに!」
というルノーの台詞は、嫌味なのかな?と思っていたのですが。さくら貝さまから違う解釈をご提示いただきましたので、よろしければ昨日の記事のコメントをご覧くださいませ♪
単刀直入に、ラズロを脅すシュトラッサー。
「私の任務は、君をカサブランカに拘留することだ」
尊大なドイツ将校に、軽く笑んでラズロがかわす。
「……カサブランカの暮らしに、慣れなくてはいけませんね」
この台詞が、ものすごく好きだったりします。なんの気負いもなさげな、軽い口調の嫌味っぷりが嗜虐心をそそる(^ ^;
「だが、明日リスボンに発つことも可能だ」
そんな夢物語に、つい身を乗り出すラズロ。ウガーテを喪って、よほど追い詰められているんでしょうか。シュトラッサーが、受け容れられる条件をだす筈がないのに。
「君は地下組織の指導者たちと親しいはずだ。…彼らの居所を教えれば、ヴィザを出そう」
「収容所に一年以上も居て、どんな拷問にも耐え抜いた私が、口を割ると思いますか?」
恬淡とした口調の凄みが、さすがです(*^ ^*)。
さて。
ここでまた一つ、突っ込みを。
一幕で、初めて“憧れの”ラズロに出会ったバーガー(鳳翔大)が口走ります。
「あなたが逮捕されたというニュースを、5回も読んだ」と。
ちなみに、映画では「あなたの死亡記事」になっているそうですが。(言われてみると、うっすら記憶がある)
まあ、それはどちらでもいいのですが。
なので私は漠然と、ラズロは5回も逮捕されたんだと思って、納得していました。
しかーし。
プログラムによると、どうやらそれは誤解だったらしい……。
ラズロはどうやら一回しか逮捕されていないようなので。
・「『一度は』ナチスによって収容所に収監されたものの」(プログラム第2幕第1場)
・「収容所から脱出したときの傷に比べれば……」(byラズロ)(収容所からの脱出劇を複数回やっているようには聞こえない)
・「世界をあっ!と言わせた男だ」(byリック)(「あっ!」を言わせるには、一度で十分)
……ってことは、4回は虚報だったのか?
それとも。バーガーは、一つの記事を5回読み返したって言いたかっただけなんでしょうか……???
……だれか、宙88期の首に鈴をつけてあげ(黙)
この部分の突っ込みは、ジュンタ様の記事に心の底から同意して書いておりますので、勝手ながらリンクをさせていただきます。
http://juntan.diarynote.jp/201001070208356426/
(こちらの記事を拝見するまで、その可能性には全く気がつきませんでした……。新鮮な解釈、ありがとうございます! トラックバックの仕方がわからないので、リンクだけさせていただきます)
これだけではなんなので、ラズロの収容所収監期間について。
ラズロ自身は、「収容所に一年以上居て」と語り、
シュトラッサーは、ラズロについて「プラハからパリに逃れ、地下新聞を出し続けた」と評しており、
1940年の春には、セザールが「プラハの地下組織は、リーダーのラズロが捕まって焦っているんだ」という発言をしています。
イルザの「プラハで捕まり…」という台詞もあるので、年表の形でまとめるとこんな感じでしょうか。
・1938年のナチスによるプラハ占領~1939年5月以前のいつか
ラズロがプラハで逮捕され、プラハの収容所に収監される
・1940年春
ラズロ脱走。国境を突破してパリを目指す。
・1940年6月
やっとパリ近郊まで辿りついて、イルザにメッセージを送る。
その後、イルザと合流して身体を治しつつ、亡命の準備が整うまでパリ(近郊?)に滞在
地下新聞を出し続ける。
・1941年
アメリカ亡命のため、マルセイユ経由でカサブランカへ。
イルザだけは、占領前にパリへ逃がした、という感じなのでしょうか。それとも、ラズロの逮捕後に自力で逃げたのかしら?意外にメッセージはきちんと届いているので、プラハの抵抗組織自体は機能しているんですよね(パリの組織とも、多少は連携できているようだし)。
この作品(映画も、舞台も)が最終的なところで理解し難くなっているのは、イルザは『活動』の中で何をしているのか?が解らないから なのではないか、と思ったりもします。
ラズロの公的生活におけるイルザの価値がわからないから、ラストシーンのリックの「ヴィクター・ラズロを支えているのは君だ」という台詞が納得し難くなってしまうのが残念だと思うのです。
表面的には、彼女は何も知らないし、何もしないんですよね。
ラズロが死を偽って脱走したことも知らないし、そもそも、捕えられたラズロの救出のために動いていた気配さえ、ない。
イングリッド・バーグマンくらい美人だったら、「ああいう美人が傍にいるだけで、さぞラズロは力づけられただろうね」という方向で納得できるかもしれませんが、すみ花ちゃんは可愛いけどそこまでの存在じゃないので。
せっかく回想シーンを創作するなら、ただうっとりと恋に溺れる女の子じゃなくて、反ファシズムの闘士としてのイルザを描いて欲しかった。
すみ花ちゃんなら、可愛いばかりじゃない、アグレッシヴな活動家にだってなれたと思うんですけどね。
……あんまり遣りすぎて、ラズロより偉大な存在になってしまったりしたら「カサブランカ」じゃなくなってしまうので、そこはバランスが大事、ではあるのですが……。
突っ込みが無駄に長くなりました。すみません。
シュトラッサーの提案をあっさり蹴ったラズロは、最後まで隙を見せることなく、ルノーのオフィスを後にする。
後には、ウガーテの死亡調書を作成するルノーと、苦虫を噛んだままのシュトラッサー。
ウガーテの死を教えられて、
「拷問による死亡?」
と指摘したラズロに、ニヤニヤと嗤いながら
「その前に死んでしまいましたよ」
と嫌味っぽく教えるルノーが、イヤラシクて素敵です(はぁと)。単刀直入で紳士的なシュトラッサー、ちょっと回りくどくて嫌味なルノー。ドイツ人とフランス人の違い、ってことになるのでしょうか?なんだか、京の都に乗り込んでいった東国武士団の勇者たち(義仲とか義経とか)を思い出すなあ…。
ラズロたちが去り、シュトラッサーも去ったオフィス。
やれやれと溜息をついて、肩の関節を回すおっさんなルノー。
カッセル(澄輝さやと)が入ってきて報告。
「例のブルガリア人が」
「……女の方だけ、通せ」
ニヤリと片頬で嗤って、どっしりと席に座るルノー。キョロキョロしながら入ってきて、所在投げに客用椅子に座り込むアニーナ(花影アリス)。
……恰幅のいい肉布団のルノーと、元から細すぎるアリスちゃんの対比。ヤン(凪七瑠海)と一緒の時は姉さん女房なアリスちゃんが、ここでは怯えた子ネズミみたいで可愛いです。
■第3場 バザール(ブルー・パレット) ~1941年12月2日~
ルノーのオフィスを出たラズロを待っていた、花売りのファティマ(すみれ乃麗)。
「闇取引なら、フェラーリに頼むしかないよ」
と、バザールの奥のフェラーリの店への案内を申しでる。
おりしも日は中天。バザールは活気に溢れている。
下手から登場するターバンの男(天羽珠紀)と女二人(花音舞、百千糸)の歌が、怪しげでとてもいいです。ウガーテとしての台詞の声は軽めにつくっているたまちゃんですが、ここはずいぶん重たい声での歌唱で、すごく嬉しい★花音さん、ももちの歌も、女のいやらしさがあって良い声だなあ(^ ^)。
そこらへんで、いろんなものを売っているひとたち。
とりあえず、えっちゃん(大海亜呼)とえびちゃん(綾瀬あきな)がセットで動いているのがかわいい~♪大きなえっちゃんと小さなえびちゃん、どっちも「ムーア人の男」くくりですけど、ちょっと真ん中で目立つダンス(?)があったりして、案外おいしいです。
いつか、ムーア人の女性たちが見分けられるようになれるかしら……ちょっと無理そう(涙)。
いろんなところでいろんなものを、見たり買ったりしているひとたち。
皆さん、前夜のカフェの場面から、誰一人着替えてないんですけど。
ファン的には、一人一人見分けやすくて助かるんですけどね(汗)。でも、それってどうなの(^ ^;ゞ
皆もう、あらゆる意味で、楽しそうにもほどがあります(^ ^;ゞ
とりあえず。西欧人のカップルで、わかったのは以下のとおり。
・美月遥&藤咲えり あれっ?えりちゃん、(蒼羽)りくちゃんはどうしたの…?
・蒼羽りく&愛花ちさき りくったら、こんな処でお金持ちの奥様とご一緒でしたか。
・天玲美音と妃宮さくら 密航業者と我侭でお金持ちのお姉さま。
・星吹彩翔&琴羽桜子 前夜のカフェと同じカップルなのは、この二人だけだったような気がします。
そもそも。細かいツッコミをするなら、美月くんは天玲くんに「明日午前1時に、現金1万5千フラン持って港に来い」と言われていたんですが。……こんなところで人妻相手に油売ってていいのか……?
.
「カサブランカ」【10】
2010年1月15日 宝塚(宙) コメント (4)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
まずは。初見の時から突っ込んでいたのに、書くのを忘れていた突込みを。
どうしてパリ市民は、全員トレンチコートにマフラーをつけ、帽子まで被って汽車を待つのでしょうか?
6月のパリって、そんなに寒くないですよね……?
(いや、着替える時間がないから、という理由は判っているのですが(^ ^;ゞ
■第3場 バザール(ブルー・パレット) ~1941年12月2日(昼前)~
人々で溢れかえるバザールの裏には、フェラーリ(磯野千尋)の店「ブルー・パレット」がある。
なんちゃってイスラム風(?)の内装に、ちょっと豪華めなソファ。いかにも胡散臭げな感じがいいです。リックのカフェが「アメリカン」なら、こちらは「ムスリム」な感じ、でしょうか(^ ^)。
ルノーのオフィスで「7時から並んでいた」のにヴィザを出してもらえなかったヤン(凪七瑠海)が、フェラーリのところに闇ヴィザの交渉に来ている。
「2万フランじゃ二人分は難しい」
それなりに同情の貌は見せつつも、あっさりと断るフェラーリ。彼はルノーの性癖を知っていて、「奥さんが交渉しているなら、なんとかなるかもしれない」と呟く。含み笑いで。
頭のてっぺんから「ハテナ?」を飛ばしながら、不安げに去っていくカチャが、なんかすごく可愛いときがあります。
フェラーリとヤンの話が終わるのを待っているリック。
時間的にはラズロたちがルノーのオフィスを出る頃でしょうから、11時頃、かな??
「一杯どうだ?」
「いや、午前中は飲まない」(←だって二日酔いなんだもん(by お披露目トークライヴ))
「中身はバーボンだ」(←意味不明。…と思ったら)
「俺の店には、ホンモノのバーボンを入れてくれよ?」(←バーボンにも色々あるのね)
「大丈夫、荷抜きなんかしてない」
「最近は、な」
ここの会話が結構好きなんですよね。なんていうか、間が良いと思う。(時々すっ飛ぶけど)
しかし、フェラーリはバーボンの瓶に何を詰めて売っているんでしょうかね……?
「昨夜、ウガーテが拘置所で死んだ」
「今朝聞いたよ」
話題を核心にもってくるフェラーリ。それにしても、リックは「今朝」、誰に聞いたんでしょうか。ルノーのオフィスになんて行ってないだろうし(←二日酔いだから)、店員は皆レジスタンスだからそんなところには近づかないだろうし。
あ、フランス兵のアルバイトをしているキャッシャーの天風いぶきさんがいたか!…というのは冗談ですが、まあ、風羽玲亜さんあたりが伝えに来た可能性はあるのかな…?
「あの通行証の持ち主に提案したいんだ。俺に捌かせろ、と」
「誰に?」
「お前に」
「……俺?」
何もかもわかっていながら、何もわからないフリをする、ベテラン二人。磯野さんも決して台詞術に長けた人ではないのですが、キャラになりきっているのがすごいなあと思います。
「(あんたがそう思うってことは)…ルノーもそう勘繰っているんだろうな。店が手入れにあうのは時間の問題か」
「だから、その前に話を付けたくて、朝っぱらから頼んでいるわけだ」
もう昼近いはずだけど、「朝っぱら」なんですね……(^ ^)。さすがモロッコ。
軽く手を振って、立ち上がるリック。お前に渡すツモリはないゾ、と言外に匂わせながら、飄々と下手へ向かう。
そこに、ファティマに案内されてきたヴィクターが鉢合わせする。苦笑いで挨拶を交わす二人。
嬉しそうにラズロを迎えるフェラーリ、表情を隠して上手袖へはけていくリック。
ふたたび盆が回り、バザールへ。
ウガーテの通行証の話を散々した末に、当のウガーテ(天羽珠紀)が元気にたのしそうに髭面で歌っているのを視るのは、とっても愉しいです(^ ^)
♪迷路の奥では何でも手に入る
ヴィザでも、女でも、何だって思いのままだ。
引き換えるものさえあれば。
ベリーダンサーの舞姫あゆみちゃんが、バザールの片隅で色っぽく踊る。
煽情的な褐色の肌が美しい。元花組の舞城のどかちゃん系の美女なんですよね。素敵だなあ(*^ ^*)。
その手をさりげなく取るジャン(珠洲春希)、のほほんと受けるカーティス(十輝いりす)。
鼻の下をぎゅーーーんと延ばして美人と踊る旦那をじぃっと睨みながら、その周りをぐるぐる回るカーティス妻(美風舞良)が素晴らしいです♪ 可愛いよ~~っ!!精力的に店を見て回り、ああだこうだと手に取ったりしている彼女と、そのエネルギーについていけなくてボーッと立っていたところに、ダンサーが来てくれたのでラッキー♪ とか思っていそうな旦那さん。
あれで案外、惚れあっている感じなのが愛おしい★
♪ただ一つ見つからない
♪愛だけは売ってない
“ムーア人の男”に唯一のホンモノの男役(風馬翔)がいることに、つい最近気がつきました。
てっきり、全員娘役さんだと思っていたのよー(汗)。ごめんね、かけるくん。
ああ、ポンファ通り(←太王四神記)といい、このバザールといい、忙しいったら……
あまりにも皆がいろんなことをしているので、詳細は「観てください」ってことで、省略(^ ^)。
ラズロを待ちがてら、露天をひやかしているイルザが、生地屋の女(千鈴まゆ)にレースを売りつけられている。
「千フランを、700でいいよ!」
……あ。まゆちゃん、ここは女役なんですね。もしかして、フィナーレ以外で唯一の女役ですか?(←他は全部、男の子役)それにしても、お芝居巧いなあ~!ちょっと真ん丸いけど可愛いんだし、この調子で役がついていくと良いのですが(^ ^)。
「200で十分だ」
イルザを見つけたリックが近づいてきて、さりげなく女を追い払う。
ちょっとだけ悔しそうなまゆちゃんが可愛い。でも、またすぐに次の客を捕まえて同じようなことを言っているような気がする……。
「昨夜は呑みすぎて、ひどい状態だった。……すまない」
率直に謝るリック。
ちょっと戸惑うイルザ。
「……もう、いいわ」
もう、すべては終わったコトなのだから。
イルザにとっては。
「昔のあなたになら、話が通じたと思う。でも、昨夜のあの男には何を話しても無駄ね……」
イルザは、何も知らない自分に、まだ気づいていない。
昔のリックがどんな男だったのか。今のリックがどんな男なのか。そんなことさえ、なにひとつ。
「あんな憎悪のまなざしで、私を視るなんて」
そう言いながら、『憎悪のまなざしで』リックを視るイルザ。
「昨夜会わなかったことにすれば、パリの思い出を傷つけずにとっておけるわ」
思い出は、古傷に沁みるものだから。
傷みを感じることもないほど遠くなっていた『思い出』が、リックの視線の強さに血を流し始める。だから、必死で眼を逸らして。パリは思い出。もう戻らない日々。戻らないからこそ美しく見えるのよ、それだけのことよ……
「もう二度と会うことはないわ。じきにここを発つから」
離れてしまえば、この傷ももう一度癒せるわ、きっと。
ラズロの傍で、まぁるくなって。そうすれば、すぐに。
「君はいつか、階段を昇って訪ねてくるだろう。俺はそれを待っているんだ」
「ありえないわ。……リック、昨夜私が言いたかったことはね、ラズロが私の夫だということよ…」
胸の奥に凝っていた秘密を打ち明けて、かえって重たいものを抱えてしまったような貌をするイルザ。
衝撃のあまり、凍りつくリック。
「過去は聞かない、という言葉に溺れてしまったのね、私……」
正直に全て話すべきだった、ごめんなさい、という言葉を残して走り去るイルザ。
追いかけることも出来ずに、天を仰ぐリック。
♪それなのに何故、
♪世界中にたった一つしか街が無いかのようにやって来たのか……
何故、と問いかける。
何故?と。
他にどこに行けばいいというのか。
ここはカサブランカ。地の果ての白い街。国を喪くした者の吹き溜まり。
自由の国アメリカへ逃げるための、『たった一つの』中継地なのに……。
リックの前から逃げ出したイルザは、ブルー・パレットでラズロと合流する。
イルザの分のヴィザなら用意できるが、さすがにラズロの分は難しい、と告げるフェラーリ。
一つ、素朴な疑問なのですが。
ラズロはどうして、偽名を使うということを考えないのでしょうか?
闇ヴィザと偽造ヴィザの違いも今ひとつよく判らないのですが(汗)、リックのカフェの予約にしてもそうなんですけど、偽名を使うとか、変装するとか、そういう発想はないのかなあ…?
……『世界が注目する男』だから、そんなことしても無駄なのでしょうか……?
いつ、ドイツが態度を豹変させて、カサブランカを「占領」扱いにしないとも限らない。
シュトラッサーに居場所も目的も知られている以上、カサブランカはラズロにとって非常に危険な土地になってしまっている。
だから、ラズロはイルザを先に脱出させておきたいんですよね。ラズロ一人なら、伝手もあるし、体力もあるから、どうにでもなる。
でも、イルザはそうはいきません。妻だと公表もできないイルザのために、どれだけの協力が得られるかもわからないし。
あるいは、女連れでは使えないルート、というものもあるかもしれないですし、ね。
しかも、イルザがずっとカサブランカに居た場合、万が一シュトラッサーが痺れを切らしてイルザを抑える挙に出たら、もうどうしようもなくなる。
なんとかイルザを先に行かせたい。それはラズロの本音であり、本気だと思うんですよね。
でも、イルザは頷かない。
リックと再会して不安なイルザは、ラズロと離れることに本能的に不安を感じるのでしょうか。
「マルセイユで私のヴィザが発行されなかったとき、待っていてくれたのは何故?」
「それは、君を愛しているから」
「……ならば、私も先には行けない」
イルザが先に行かないのと、ラズロがイルザを待っているのとでは意味が違うとは思うのですが。
それでもラズロは、妻の固い気持ちに折れてあげることにする。
「決めました。ヴィザが二枚手に入るまで、探し続けますよ」
「ならば、一つ情報を提供しましょうか」
ファシズムに賛成できない自由主義者は、『世界をあっと言わせた男』に教える。
クロード・ウガーテが盗み出してあなたに売るはずだった通行証は、今はリックが持っているかもしれない、と。
このときの、フェラーリのリック評が面白いな、と思います。
『予測のつかない男なんですよ。とてつもないことをしでかすような、それでいて何もしないような』
なんだか……祐飛さんご本人の評価を聞いているみたい、と思ったのは私だけでしょうか(^ ^)
フェラーリは、リックの過去を知っているのかなあ?
地下組織の連中が知っているくらいだから、その筋では有名な話なのかもしれませんね。ワクワク。
■第4場 リックのカフェ(開店前) ~1941年12月2日(午後)~
店の前に整列した警官たち。カッセル中尉の
「これより、リックのカフェの家宅捜索を開始する!」
という指示で、突入(?)する警官たち。
開店準備で忙しいスタッフたちが、びっくりして顔をあげる。
サッシャ(春風弥里)の
♪いったい何をしに来たんだ?
から、全員の
♪他人の事情に巻き込まれるな
♪この世はすべて情け無用
まで、一列に並んで、一言づつ歌っては列の後ろにつくスタッフたちの動きが面白すぎです♪
「問答無用!捜索開始!」
カッセル中尉の号令で、動き出す警官たち。応戦するスタッフたち。
テーブルクロスを、闘牛士の使うカポーテみたいに使ったり、ディズニーミュージカル「美女と野獣」の戦闘シーンみたいな演出がすごく楽しいです。照明もストロボっぽくして、まるでスラップスティック系のコメディ映画みたい。
最終的には、警官たちがトイレットペーパー(←プログラムにはそう書いてあります。観ていたときは、ロールタオルかな?と思っていたのですが)でスタッフを一つに括り上げて捜索を続行する。
しかし、いくら探しても何も見つからず、手ぶらで引揚げていく。
そこへ。
「おっはようございま~す♪」
と明るい声で挨拶しながら、黄色く塗られたアップライトピアノを押しながら現れるサム(萬あきら)。
……そりゃー、見つからんわ。
通行証をピアノの中に隠したリックは、この事態を予測していたのか?(違うと思うけど)
……ちなみに、天風いぶきさんは、キャッシャーとしてもフランス兵としてもこの場面には居ません。次の場面には居るのになあ(^ ^;
.
まずは。初見の時から突っ込んでいたのに、書くのを忘れていた突込みを。
どうしてパリ市民は、全員トレンチコートにマフラーをつけ、帽子まで被って汽車を待つのでしょうか?
6月のパリって、そんなに寒くないですよね……?
(いや、着替える時間がないから、という理由は判っているのですが(^ ^;ゞ
■第3場 バザール(ブルー・パレット) ~1941年12月2日(昼前)~
人々で溢れかえるバザールの裏には、フェラーリ(磯野千尋)の店「ブルー・パレット」がある。
なんちゃってイスラム風(?)の内装に、ちょっと豪華めなソファ。いかにも胡散臭げな感じがいいです。リックのカフェが「アメリカン」なら、こちらは「ムスリム」な感じ、でしょうか(^ ^)。
ルノーのオフィスで「7時から並んでいた」のにヴィザを出してもらえなかったヤン(凪七瑠海)が、フェラーリのところに闇ヴィザの交渉に来ている。
「2万フランじゃ二人分は難しい」
それなりに同情の貌は見せつつも、あっさりと断るフェラーリ。彼はルノーの性癖を知っていて、「奥さんが交渉しているなら、なんとかなるかもしれない」と呟く。含み笑いで。
頭のてっぺんから「ハテナ?」を飛ばしながら、不安げに去っていくカチャが、なんかすごく可愛いときがあります。
フェラーリとヤンの話が終わるのを待っているリック。
時間的にはラズロたちがルノーのオフィスを出る頃でしょうから、11時頃、かな??
「一杯どうだ?」
「いや、午前中は飲まない」(←だって二日酔いなんだもん(by お披露目トークライヴ))
「中身はバーボンだ」(←意味不明。…と思ったら)
「俺の店には、ホンモノのバーボンを入れてくれよ?」(←バーボンにも色々あるのね)
「大丈夫、荷抜きなんかしてない」
「最近は、な」
ここの会話が結構好きなんですよね。なんていうか、間が良いと思う。(時々すっ飛ぶけど)
しかし、フェラーリはバーボンの瓶に何を詰めて売っているんでしょうかね……?
「昨夜、ウガーテが拘置所で死んだ」
「今朝聞いたよ」
話題を核心にもってくるフェラーリ。それにしても、リックは「今朝」、誰に聞いたんでしょうか。ルノーのオフィスになんて行ってないだろうし(←二日酔いだから)、店員は皆レジスタンスだからそんなところには近づかないだろうし。
あ、フランス兵のアルバイトをしているキャッシャーの天風いぶきさんがいたか!…というのは冗談ですが、まあ、風羽玲亜さんあたりが伝えに来た可能性はあるのかな…?
「あの通行証の持ち主に提案したいんだ。俺に捌かせろ、と」
「誰に?」
「お前に」
「……俺?」
何もかもわかっていながら、何もわからないフリをする、ベテラン二人。磯野さんも決して台詞術に長けた人ではないのですが、キャラになりきっているのがすごいなあと思います。
「(あんたがそう思うってことは)…ルノーもそう勘繰っているんだろうな。店が手入れにあうのは時間の問題か」
「だから、その前に話を付けたくて、朝っぱらから頼んでいるわけだ」
もう昼近いはずだけど、「朝っぱら」なんですね……(^ ^)。さすがモロッコ。
軽く手を振って、立ち上がるリック。お前に渡すツモリはないゾ、と言外に匂わせながら、飄々と下手へ向かう。
そこに、ファティマに案内されてきたヴィクターが鉢合わせする。苦笑いで挨拶を交わす二人。
嬉しそうにラズロを迎えるフェラーリ、表情を隠して上手袖へはけていくリック。
ふたたび盆が回り、バザールへ。
ウガーテの通行証の話を散々した末に、当のウガーテ(天羽珠紀)が元気にたのしそうに髭面で歌っているのを視るのは、とっても愉しいです(^ ^)
♪迷路の奥では何でも手に入る
ヴィザでも、女でも、何だって思いのままだ。
引き換えるものさえあれば。
ベリーダンサーの舞姫あゆみちゃんが、バザールの片隅で色っぽく踊る。
煽情的な褐色の肌が美しい。元花組の舞城のどかちゃん系の美女なんですよね。素敵だなあ(*^ ^*)。
その手をさりげなく取るジャン(珠洲春希)、のほほんと受けるカーティス(十輝いりす)。
鼻の下をぎゅーーーんと延ばして美人と踊る旦那をじぃっと睨みながら、その周りをぐるぐる回るカーティス妻(美風舞良)が素晴らしいです♪ 可愛いよ~~っ!!精力的に店を見て回り、ああだこうだと手に取ったりしている彼女と、そのエネルギーについていけなくてボーッと立っていたところに、ダンサーが来てくれたのでラッキー♪ とか思っていそうな旦那さん。
あれで案外、惚れあっている感じなのが愛おしい★
♪ただ一つ見つからない
♪愛だけは売ってない
“ムーア人の男”に唯一のホンモノの男役(風馬翔)がいることに、つい最近気がつきました。
てっきり、全員娘役さんだと思っていたのよー(汗)。ごめんね、かけるくん。
ああ、ポンファ通り(←太王四神記)といい、このバザールといい、忙しいったら……
あまりにも皆がいろんなことをしているので、詳細は「観てください」ってことで、省略(^ ^)。
ラズロを待ちがてら、露天をひやかしているイルザが、生地屋の女(千鈴まゆ)にレースを売りつけられている。
「千フランを、700でいいよ!」
……あ。まゆちゃん、ここは女役なんですね。もしかして、フィナーレ以外で唯一の女役ですか?(←他は全部、男の子役)それにしても、お芝居巧いなあ~!ちょっと真ん丸いけど可愛いんだし、この調子で役がついていくと良いのですが(^ ^)。
「200で十分だ」
イルザを見つけたリックが近づいてきて、さりげなく女を追い払う。
ちょっとだけ悔しそうなまゆちゃんが可愛い。でも、またすぐに次の客を捕まえて同じようなことを言っているような気がする……。
「昨夜は呑みすぎて、ひどい状態だった。……すまない」
率直に謝るリック。
ちょっと戸惑うイルザ。
「……もう、いいわ」
もう、すべては終わったコトなのだから。
イルザにとっては。
「昔のあなたになら、話が通じたと思う。でも、昨夜のあの男には何を話しても無駄ね……」
イルザは、何も知らない自分に、まだ気づいていない。
昔のリックがどんな男だったのか。今のリックがどんな男なのか。そんなことさえ、なにひとつ。
「あんな憎悪のまなざしで、私を視るなんて」
そう言いながら、『憎悪のまなざしで』リックを視るイルザ。
「昨夜会わなかったことにすれば、パリの思い出を傷つけずにとっておけるわ」
思い出は、古傷に沁みるものだから。
傷みを感じることもないほど遠くなっていた『思い出』が、リックの視線の強さに血を流し始める。だから、必死で眼を逸らして。パリは思い出。もう戻らない日々。戻らないからこそ美しく見えるのよ、それだけのことよ……
「もう二度と会うことはないわ。じきにここを発つから」
離れてしまえば、この傷ももう一度癒せるわ、きっと。
ラズロの傍で、まぁるくなって。そうすれば、すぐに。
「君はいつか、階段を昇って訪ねてくるだろう。俺はそれを待っているんだ」
「ありえないわ。……リック、昨夜私が言いたかったことはね、ラズロが私の夫だということよ…」
胸の奥に凝っていた秘密を打ち明けて、かえって重たいものを抱えてしまったような貌をするイルザ。
衝撃のあまり、凍りつくリック。
「過去は聞かない、という言葉に溺れてしまったのね、私……」
正直に全て話すべきだった、ごめんなさい、という言葉を残して走り去るイルザ。
追いかけることも出来ずに、天を仰ぐリック。
♪それなのに何故、
♪世界中にたった一つしか街が無いかのようにやって来たのか……
何故、と問いかける。
何故?と。
他にどこに行けばいいというのか。
ここはカサブランカ。地の果ての白い街。国を喪くした者の吹き溜まり。
自由の国アメリカへ逃げるための、『たった一つの』中継地なのに……。
リックの前から逃げ出したイルザは、ブルー・パレットでラズロと合流する。
イルザの分のヴィザなら用意できるが、さすがにラズロの分は難しい、と告げるフェラーリ。
一つ、素朴な疑問なのですが。
ラズロはどうして、偽名を使うということを考えないのでしょうか?
闇ヴィザと偽造ヴィザの違いも今ひとつよく判らないのですが(汗)、リックのカフェの予約にしてもそうなんですけど、偽名を使うとか、変装するとか、そういう発想はないのかなあ…?
……『世界が注目する男』だから、そんなことしても無駄なのでしょうか……?
いつ、ドイツが態度を豹変させて、カサブランカを「占領」扱いにしないとも限らない。
シュトラッサーに居場所も目的も知られている以上、カサブランカはラズロにとって非常に危険な土地になってしまっている。
だから、ラズロはイルザを先に脱出させておきたいんですよね。ラズロ一人なら、伝手もあるし、体力もあるから、どうにでもなる。
でも、イルザはそうはいきません。妻だと公表もできないイルザのために、どれだけの協力が得られるかもわからないし。
あるいは、女連れでは使えないルート、というものもあるかもしれないですし、ね。
しかも、イルザがずっとカサブランカに居た場合、万が一シュトラッサーが痺れを切らしてイルザを抑える挙に出たら、もうどうしようもなくなる。
なんとかイルザを先に行かせたい。それはラズロの本音であり、本気だと思うんですよね。
でも、イルザは頷かない。
リックと再会して不安なイルザは、ラズロと離れることに本能的に不安を感じるのでしょうか。
「マルセイユで私のヴィザが発行されなかったとき、待っていてくれたのは何故?」
「それは、君を愛しているから」
「……ならば、私も先には行けない」
イルザが先に行かないのと、ラズロがイルザを待っているのとでは意味が違うとは思うのですが。
それでもラズロは、妻の固い気持ちに折れてあげることにする。
「決めました。ヴィザが二枚手に入るまで、探し続けますよ」
「ならば、一つ情報を提供しましょうか」
ファシズムに賛成できない自由主義者は、『世界をあっと言わせた男』に教える。
クロード・ウガーテが盗み出してあなたに売るはずだった通行証は、今はリックが持っているかもしれない、と。
このときの、フェラーリのリック評が面白いな、と思います。
『予測のつかない男なんですよ。とてつもないことをしでかすような、それでいて何もしないような』
なんだか……祐飛さんご本人の評価を聞いているみたい、と思ったのは私だけでしょうか(^ ^)
フェラーリは、リックの過去を知っているのかなあ?
地下組織の連中が知っているくらいだから、その筋では有名な話なのかもしれませんね。ワクワク。
■第4場 リックのカフェ(開店前) ~1941年12月2日(午後)~
店の前に整列した警官たち。カッセル中尉の
「これより、リックのカフェの家宅捜索を開始する!」
という指示で、突入(?)する警官たち。
開店準備で忙しいスタッフたちが、びっくりして顔をあげる。
サッシャ(春風弥里)の
♪いったい何をしに来たんだ?
から、全員の
♪他人の事情に巻き込まれるな
♪この世はすべて情け無用
まで、一列に並んで、一言づつ歌っては列の後ろにつくスタッフたちの動きが面白すぎです♪
「問答無用!捜索開始!」
カッセル中尉の号令で、動き出す警官たち。応戦するスタッフたち。
テーブルクロスを、闘牛士の使うカポーテみたいに使ったり、ディズニーミュージカル「美女と野獣」の戦闘シーンみたいな演出がすごく楽しいです。照明もストロボっぽくして、まるでスラップスティック系のコメディ映画みたい。
最終的には、警官たちがトイレットペーパー(←プログラムにはそう書いてあります。観ていたときは、ロールタオルかな?と思っていたのですが)でスタッフを一つに括り上げて捜索を続行する。
しかし、いくら探しても何も見つからず、手ぶらで引揚げていく。
そこへ。
「おっはようございま~す♪」
と明るい声で挨拶しながら、黄色く塗られたアップライトピアノを押しながら現れるサム(萬あきら)。
……そりゃー、見つからんわ。
通行証をピアノの中に隠したリックは、この事態を予測していたのか?(違うと思うけど)
……ちなみに、天風いぶきさんは、キャッシャーとしてもフランス兵としてもこの場面には居ません。次の場面には居るのになあ(^ ^;
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二組の相棒 ~「相棒」と「BUND/NEON」
2010年1月16日 宝塚(花) コメント (2)花組日本青年館公演「相棒」と、花組バウホール公演「BUND/NEON 上海」を観劇してまいりました。
……1日でハシゴしたわけではありませんが(^ ^)、どちらも大変面白かったし、ネタバレ厳禁な気がしたので、簡単に見所などを書いておきたいと思います。
まずは、「相棒」。
ドラマを観ていない私ですが、キャラクターの面白さを別にしても、純粋に物語として案外面白かったので嬉しかったです。
「逆転裁判」を観たときのような気持ち。隣の席の方が、音楽がかかるだけで大喜びして、連れの方と手を取り合ってじたばたしていたり、誰かが出てくるたびにガッツポーズしていたりするのを見るのが嬉しいです。
とりあえず、見所はきらりん(華耀きらり)のミニスカポリス 、かな(*^ ^*)。
次に、バウ。
生田大和さん、演出家デビューおめでとうございます!
そして、まぁくん(朝夏まなと)、初主演おめでとうございます!!
過去、いくつかの新人公演を拝見しているうちに「期待したい演出家」として名前を覚えた生田大和さんの、初の独り立ち作品。しかもメンバーは、新人公演でヒットを出している花組下級生たち。
時期が時期(宙組東宝公演中)なのですごく迷ったのですが、これはもう観るしかないでしょう!ということで、日帰りで遠征して参りました。
悔い無し!
花組バウホール公演「BUND/NEON 上海」。
座組は、主演=まぁくん、ヒロイン=(白華)れみちゃん、二番手=だいもん(望海風斗)と発表されていましたが、実際に観劇してみての印象は、主役が三人、という感じでした。
まぁくんを主役にした物語(一年前に殺された恋人・シンシアの死の真相を探るサスペンス)と、
だいもんを主役にした物語(過去のトラウマから、虫も殺せぬ男になってしまった極道者の苦しみがテーマ)、そして
れみちゃんを主役にした物語(政略結婚で、愛情のもてない夫との生活に疲れた人妻の物語)。
この3つが平行して動いていて、それぞれのエピソードが次から次と出てくる怒涛の一幕。ビジュアルの造りこみ、キャラクターの立て方、なにもかももろ好みでした。
これで、もう少し3つの物語相互の関連性が緊密だったら、名作になりえたんじゃないかなあ、と思っています。
ただ。
………一幕が終わって時計を見た瞬間に、あ、これは駄目だな、と思いました(^ ^)。
一幕75分、休憩25分、二幕50分。
この、バウ公演としてはかなり異例の75分という時間を使った一幕の密度の濃さ。エピソードというか伏線の多さ。
と、いうことは。
これは絶対、通常のバウより短い、50分しかない二幕で拾いきることは出来ないだろうな、と。
そのことが非常に残念で、「せっかく面白いんだけどなあ……」と、思いっきり愉しかった一幕を思い返しながら、生田さんの本来の脚本での二幕の展開を、あれこれ想像してみたりしました。
でも。
脚本的な破綻(特に、カット位置の選定ミス)があったとしても、それだけで、その作品が駄作になるわけではありません。
役者が「やれる」モノを、作者がうまく引き出して、自分の「やりたい」モノに持ってくることができさえすれば、若手のバウなんて勢いでなんとかなるものなんだな、と感心しました。
ただ、3つのドラマがそれぞれ単独に動いてしまって、相互の関連が弱かったのが、一つの公演としては残念だったかな……。
まぁくんとれみちゃんの間に恋愛感情が全く無かったこと、そして、クリストファーと劉の間のエピソードがちょっと弱かったことが残念でした。そのあたりは、観客の頭の中で補完する必要がありますので、これからご覧になることは頭をやわらか~くしてご覧くださいませ(^ ^)。
ちょっと、今この時に頭の大部分を占めているのが名作「カサブランカ」なので、作品の評価という点では割を食った、かも(^ ^)
生田さん、今回の作品は今回の作品で、役者たちの実力と華に支えられて十分にチケット代の分は愉しませていただきましたので、次の作品では、ぜひ原作ものに取り組んでいただきたいな、と思います。
作家としての方向性に、齋藤さんと同じ匂いを感じるので、できれば文芸大作……シェークスピアとか、ヘミングウェイとか、太宰治とか、そのあたりはいかがでしょうか?(^ ^)。
(生田ファンなので、次が観たくてしょうがないらしい)
そういえば、齋藤さんの「血と砂」も、バウの初日はたしか20分以上(?)も時間オーバーして、二日目からあっさりカットされた場面が数知れず……だったっけなー、なんてことを懐かしく思い返したりして。
生田さんの「BUND NEON」は、カットされたわけではないみたいなので、舞台稽古で時間調整したのでしょうか。まー、大事なキーが何一つ解決されないラストでしたが、あれはあれで、私は好きなんで(きっぱり)。
見所は、まあくんの真っ白な王子様オーラと、黒髪だいもんの眉間の皺と、れみちゃんのしっとりした人妻の色気と、ウェディングドレスで振り向いてくれた姫花ちゃんと、鞭を持ったじゅりあと、、、、そして、いろんな意味で、出てくるたびに場をさらってくれた真瀬くんのコミカルな可愛らしさ、でしょうか。
あ、「ワル」オーラ前回のふみかと、髭をつけてれみちゃんの相手役を務めていたよっちも、とても素敵でした♪しゅん様は、芝居としては大した出番はありませんでしたが、珍しく歌ってくれたのが嬉しかったなあ。
ストーリーに踏み込むと、ネタバレしないのが難しいので、キャストについて簡単に。
■まぁくん主役の物語の登場人物
・主役:クリストファー・ブレナン(朝夏まなと)
スコットランドヤードの俊英。
清やかな真っ白い存在感と、バウホールからはみ出そうな華やかさに圧倒されました!
いつの間にか、歌も巧くなりましたよねー!もう、この人は真ん中に置いておくしかないんだな、と、今回の主演に納得して、白いスーツの似合いようにうっとりしてみました(*^ ^*)。
・準ヒロイン:ミシェル・トラヴァース8白華れみ)
ミシェル自身が主役となる物語が同時進行で動いていはいるのですが、まぁくん主役の物語では準ヒロインって感じかなあ。この二人の間には恋愛感情がまったく無いから、主演とヒロインという感じがしないのです(T T)。
個人的には、ミシェルとクリストファーの過去に恋愛感情があったことにしてしまえば、いろんな問題が一気に片付いて、まぁくん主役の物語は完結できそうなんだけどなあ……。
ミシェルは政略結婚のために恋人と引き離されてトラヴァース家に嫁ぎ、残されたクリストファーは、慰めてくれた優しいシンシアと恋をする……でもミシェルのことは忘れられなかった……みたいな流れでしょうか?(^ ^)
背中から腰にかけてのラインが抜群の美しさで、登場時の黒いマーメイドドレスや他の場面の衣装もどれもよく似合っていました。人妻らしい落ち着きと色気、そして華やかのある美女。
芝居はいつもより少し“大人びた”感を重視したらしく、少し年齢が上めに見えてしまいましたが、まぁくんと並んで違和感があるほどではなくて、すごく良かったです。ああいう、落ち着いた大人の女を演っているれみちゃんを初めてみたのですが、魅力的でした(*^ ^*)。
・ヒロイン:シンシア・フレミング(月野姫花)
ミシェルの妹。クリストファーの恋人。彼女の死の真相を解明するために、クリストファーは上海にやってくる。
一年前に鬼籍に入っているので、出てくるのは回想場面のみ。しかも、台詞らしい台詞は、ほんの二言・三言。
なんて正解なんだ生田大和!かつて、月野姫花をこんなに正しく扱った演出家がいただろうか。いや、いない!!
ウェディングドレスを着た姫花は、最強。あればっかりは、誰も勝てないと思う。人形のような美貌、透明感のある輝き、軽やかな存在感。宝塚のヒロインとして、今の現役では誰も持っていないモノを有り余るほど持っているんだよなあ、彼女は。
彼女が2行以上もあるような台詞を喋れるようになる日が来ることを、心の底から祈っています。
・敵役:劉衛強(望海風斗)
生田さんは、この物語を、W主演のつもりで構成を考えたんじゃないか、と思いました。
「光」と「闇」が対等に相手に影響を与え合い、惹かれあう……そんな物語を。
濡れたような黒い髪にチャイナ服のだいもんが、眉間に皺をよせて苦しそうに誰かを視るたびに、ギリギリと胸が締め付けられるような気持ちになりました。役に入り込むときの集中度が半端ない人なので、こういう、内面のトラウマを凝っと見つづけているような役柄の大役を演じさせて、プライベートは大丈夫なんだろうか……などと、いらぬ心配をしてしまいました。
まぁくんは大人なので、そういう心配はしなくてすんでいいなあ……。
生田さんの「やりたい」ものが、だいもんと姫花に集中しすぎて、他、というか、まぁくん主演の物語の方の辻褄が、全部吹っ飛んでしまったような気がするんです。
W主演だったら、逆に、あそこまでだいもんに集中できなかったと思うんだけど(^ ^;ゞ
・二番手(W):森下和雄(鳳真由)と胡烔華(真瀬はるか)
いや、この二人、マジで二番手役だったんですってば。まぁくんの物語では。
だいもんの扱いがちょっと異例なので、こういうことになてしまうんですが…。
真由ちゃんは、日本の特務機関(?)に属する日本人。難しい役なんですが、なかなかいい芝居をしていました。
真瀬くんは、上海共同租界の下っ端警官で、クリストファーの案内係(?)。まぁくんの行くところにはどこにでもついてきて、あれこれ世話を焼いてくれます♪
皆様、どうか、バウホールに真瀬くんを観に行ってあげてください!スカイステージの映像では、まぁくんやだいもんは映っても、真瀬くんは映らないんじゃないか、と不安でならない。もう、とんでもなく可愛くて目が離せない人なので、ぜひ。
トラヴァース家のパーティーに、ぶかぶかの燕尾服を着てあらわれた真瀬くん、ホントに、黙ってはいられないほど素晴らしい(真顔)です♪。
■だいもん主役の物語の登場人物
・敵役:杜月笙(紫峰七海)
生き生きと敵役を演じるふみかが、とても幸せそうでした。ふみかが幸せそうだったので、もうそれでいいです。チャイナ服があんなに素敵だとわ(惚)。
だいもんを「俺のもの」だと認識していて、いろんな人、、、しまいには、浮気した自分の妻(愛純もえり)にさえ、「俺のもの(=だいもん)に手を出す奴は許さない」と宣言して罰を与えたりするし!!…ね、ふみか。もえりちゃんの浮気をとがめるんじゃないのね?だいもんに手を出したことを怒ったのね……?(惚)
・ヒロイン:孫香雪(華月由舞)
もう、これは文句なしでヒロイン由舞ちゃんでした。同期でコンビで、超お似合い!!この二人で新公観たかったなあ(T T)。
由舞ちゃんは、ふみかが経営するダンスホール(?)「大世界」のダンサー。だいもんと同じ田舎の貧しい家に生まれ、幼い頃に青幇に売られてきた、幼馴染という設定だったと思います。
だいもんは、香雪のために「何があっても生きる」ことを選択して、心の傷に眼を瞑って悪事に手を染めてきた。多分ふみかは、そうやって心に傷を負い、心を闇に沈めていくだいもんを視ているのが愉しかったんだと思う。その愉楽に浸り、時々背中を押してやる、その快感に嵌っていたんだと思います。
新人公演で散々観ていて、どちらかといえば明るいヒーロータイプと認識していただいもん。彼女があんなに被虐的で昏い道が似合うタイプだとは思っていませんでした。……生田さん、ありがとう★
・準ヒロイン:シンシア・フレミング(月野姫花)
シンシアは劉の物語でも準ヒロイン格の重要な存在です。
おっと。バウばっかり長くなってしまいました(汗)
すみません。「相棒」の詳細は、たぶんドラマファンの方が書かれた方が、面白くてわかりやすいだろうな、と思うんですよね。
警官はイケメンぞろいだし、婦警は美女だらけだし、、、現実では無いことはわかっていても、ちょっと、帰り道に交通整理をしている人の貌を視てしまいそうです(汗)。
それにしても。
花娘たちは、皆さん本当に、例外なく可愛いなあ(*^ ^*)
・
……1日でハシゴしたわけではありませんが(^ ^)、どちらも大変面白かったし、ネタバレ厳禁な気がしたので、簡単に見所などを書いておきたいと思います。
まずは、「相棒」。
ドラマを観ていない私ですが、キャラクターの面白さを別にしても、純粋に物語として案外面白かったので嬉しかったです。
「逆転裁判」を観たときのような気持ち。隣の席の方が、音楽がかかるだけで大喜びして、連れの方と手を取り合ってじたばたしていたり、誰かが出てくるたびにガッツポーズしていたりするのを見るのが嬉しいです。
とりあえず、見所はきらりん(華耀きらり)のミニスカポリス 、かな(*^ ^*)。
次に、バウ。
生田大和さん、演出家デビューおめでとうございます!
そして、まぁくん(朝夏まなと)、初主演おめでとうございます!!
過去、いくつかの新人公演を拝見しているうちに「期待したい演出家」として名前を覚えた生田大和さんの、初の独り立ち作品。しかもメンバーは、新人公演でヒットを出している花組下級生たち。
時期が時期(宙組東宝公演中)なのですごく迷ったのですが、これはもう観るしかないでしょう!ということで、日帰りで遠征して参りました。
悔い無し!
花組バウホール公演「BUND/NEON 上海」。
座組は、主演=まぁくん、ヒロイン=(白華)れみちゃん、二番手=だいもん(望海風斗)と発表されていましたが、実際に観劇してみての印象は、主役が三人、という感じでした。
まぁくんを主役にした物語(一年前に殺された恋人・シンシアの死の真相を探るサスペンス)と、
だいもんを主役にした物語(過去のトラウマから、虫も殺せぬ男になってしまった極道者の苦しみがテーマ)、そして
れみちゃんを主役にした物語(政略結婚で、愛情のもてない夫との生活に疲れた人妻の物語)。
この3つが平行して動いていて、それぞれのエピソードが次から次と出てくる怒涛の一幕。ビジュアルの造りこみ、キャラクターの立て方、なにもかももろ好みでした。
これで、もう少し3つの物語相互の関連性が緊密だったら、名作になりえたんじゃないかなあ、と思っています。
ただ。
………一幕が終わって時計を見た瞬間に、あ、これは駄目だな、と思いました(^ ^)。
一幕75分、休憩25分、二幕50分。
この、バウ公演としてはかなり異例の75分という時間を使った一幕の密度の濃さ。エピソードというか伏線の多さ。
と、いうことは。
これは絶対、通常のバウより短い、50分しかない二幕で拾いきることは出来ないだろうな、と。
そのことが非常に残念で、「せっかく面白いんだけどなあ……」と、思いっきり愉しかった一幕を思い返しながら、生田さんの本来の脚本での二幕の展開を、あれこれ想像してみたりしました。
でも。
脚本的な破綻(特に、カット位置の選定ミス)があったとしても、それだけで、その作品が駄作になるわけではありません。
役者が「やれる」モノを、作者がうまく引き出して、自分の「やりたい」モノに持ってくることができさえすれば、若手のバウなんて勢いでなんとかなるものなんだな、と感心しました。
ただ、3つのドラマがそれぞれ単独に動いてしまって、相互の関連が弱かったのが、一つの公演としては残念だったかな……。
まぁくんとれみちゃんの間に恋愛感情が全く無かったこと、そして、クリストファーと劉の間のエピソードがちょっと弱かったことが残念でした。そのあたりは、観客の頭の中で補完する必要がありますので、これからご覧になることは頭をやわらか~くしてご覧くださいませ(^ ^)。
ちょっと、今この時に頭の大部分を占めているのが名作「カサブランカ」なので、作品の評価という点では割を食った、かも(^ ^)
生田さん、今回の作品は今回の作品で、役者たちの実力と華に支えられて十分にチケット代の分は愉しませていただきましたので、次の作品では、ぜひ原作ものに取り組んでいただきたいな、と思います。
作家としての方向性に、齋藤さんと同じ匂いを感じるので、できれば文芸大作……シェークスピアとか、ヘミングウェイとか、太宰治とか、そのあたりはいかがでしょうか?(^ ^)。
(生田ファンなので、次が観たくてしょうがないらしい)
そういえば、齋藤さんの「血と砂」も、バウの初日はたしか20分以上(?)も時間オーバーして、二日目からあっさりカットされた場面が数知れず……だったっけなー、なんてことを懐かしく思い返したりして。
生田さんの「BUND NEON」は、カットされたわけではないみたいなので、舞台稽古で時間調整したのでしょうか。まー、大事なキーが何一つ解決されないラストでしたが、あれはあれで、私は好きなんで(きっぱり)。
見所は、まあくんの真っ白な王子様オーラと、黒髪だいもんの眉間の皺と、れみちゃんのしっとりした人妻の色気と、ウェディングドレスで振り向いてくれた姫花ちゃんと、鞭を持ったじゅりあと、、、、そして、いろんな意味で、出てくるたびに場をさらってくれた真瀬くんのコミカルな可愛らしさ、でしょうか。
あ、「ワル」オーラ前回のふみかと、髭をつけてれみちゃんの相手役を務めていたよっちも、とても素敵でした♪しゅん様は、芝居としては大した出番はありませんでしたが、珍しく歌ってくれたのが嬉しかったなあ。
ストーリーに踏み込むと、ネタバレしないのが難しいので、キャストについて簡単に。
■まぁくん主役の物語の登場人物
・主役:クリストファー・ブレナン(朝夏まなと)
スコットランドヤードの俊英。
清やかな真っ白い存在感と、バウホールからはみ出そうな華やかさに圧倒されました!
いつの間にか、歌も巧くなりましたよねー!もう、この人は真ん中に置いておくしかないんだな、と、今回の主演に納得して、白いスーツの似合いようにうっとりしてみました(*^ ^*)。
・準ヒロイン:ミシェル・トラヴァース8白華れみ)
ミシェル自身が主役となる物語が同時進行で動いていはいるのですが、まぁくん主役の物語では準ヒロインって感じかなあ。この二人の間には恋愛感情がまったく無いから、主演とヒロインという感じがしないのです(T T)。
個人的には、ミシェルとクリストファーの過去に恋愛感情があったことにしてしまえば、いろんな問題が一気に片付いて、まぁくん主役の物語は完結できそうなんだけどなあ……。
ミシェルは政略結婚のために恋人と引き離されてトラヴァース家に嫁ぎ、残されたクリストファーは、慰めてくれた優しいシンシアと恋をする……でもミシェルのことは忘れられなかった……みたいな流れでしょうか?(^ ^)
背中から腰にかけてのラインが抜群の美しさで、登場時の黒いマーメイドドレスや他の場面の衣装もどれもよく似合っていました。人妻らしい落ち着きと色気、そして華やかのある美女。
芝居はいつもより少し“大人びた”感を重視したらしく、少し年齢が上めに見えてしまいましたが、まぁくんと並んで違和感があるほどではなくて、すごく良かったです。ああいう、落ち着いた大人の女を演っているれみちゃんを初めてみたのですが、魅力的でした(*^ ^*)。
・ヒロイン:シンシア・フレミング(月野姫花)
ミシェルの妹。クリストファーの恋人。彼女の死の真相を解明するために、クリストファーは上海にやってくる。
一年前に鬼籍に入っているので、出てくるのは回想場面のみ。しかも、台詞らしい台詞は、ほんの二言・三言。
なんて正解なんだ生田大和!かつて、月野姫花をこんなに正しく扱った演出家がいただろうか。いや、いない!!
ウェディングドレスを着た姫花は、最強。あればっかりは、誰も勝てないと思う。人形のような美貌、透明感のある輝き、軽やかな存在感。宝塚のヒロインとして、今の現役では誰も持っていないモノを有り余るほど持っているんだよなあ、彼女は。
彼女が2行以上もあるような台詞を喋れるようになる日が来ることを、心の底から祈っています。
・敵役:劉衛強(望海風斗)
生田さんは、この物語を、W主演のつもりで構成を考えたんじゃないか、と思いました。
「光」と「闇」が対等に相手に影響を与え合い、惹かれあう……そんな物語を。
濡れたような黒い髪にチャイナ服のだいもんが、眉間に皺をよせて苦しそうに誰かを視るたびに、ギリギリと胸が締め付けられるような気持ちになりました。役に入り込むときの集中度が半端ない人なので、こういう、内面のトラウマを凝っと見つづけているような役柄の大役を演じさせて、プライベートは大丈夫なんだろうか……などと、いらぬ心配をしてしまいました。
まぁくんは大人なので、そういう心配はしなくてすんでいいなあ……。
生田さんの「やりたい」ものが、だいもんと姫花に集中しすぎて、他、というか、まぁくん主演の物語の方の辻褄が、全部吹っ飛んでしまったような気がするんです。
W主演だったら、逆に、あそこまでだいもんに集中できなかったと思うんだけど(^ ^;ゞ
・二番手(W):森下和雄(鳳真由)と胡烔華(真瀬はるか)
いや、この二人、マジで二番手役だったんですってば。まぁくんの物語では。
だいもんの扱いがちょっと異例なので、こういうことになてしまうんですが…。
真由ちゃんは、日本の特務機関(?)に属する日本人。難しい役なんですが、なかなかいい芝居をしていました。
真瀬くんは、上海共同租界の下っ端警官で、クリストファーの案内係(?)。まぁくんの行くところにはどこにでもついてきて、あれこれ世話を焼いてくれます♪
皆様、どうか、バウホールに真瀬くんを観に行ってあげてください!スカイステージの映像では、まぁくんやだいもんは映っても、真瀬くんは映らないんじゃないか、と不安でならない。もう、とんでもなく可愛くて目が離せない人なので、ぜひ。
トラヴァース家のパーティーに、ぶかぶかの燕尾服を着てあらわれた真瀬くん、ホントに、黙ってはいられないほど素晴らしい(真顔)です♪。
■だいもん主役の物語の登場人物
・敵役:杜月笙(紫峰七海)
生き生きと敵役を演じるふみかが、とても幸せそうでした。ふみかが幸せそうだったので、もうそれでいいです。チャイナ服があんなに素敵だとわ(惚)。
だいもんを「俺のもの」だと認識していて、いろんな人、、、しまいには、浮気した自分の妻(愛純もえり)にさえ、「俺のもの(=だいもん)に手を出す奴は許さない」と宣言して罰を与えたりするし!!…ね、ふみか。もえりちゃんの浮気をとがめるんじゃないのね?だいもんに手を出したことを怒ったのね……?(惚)
・ヒロイン:孫香雪(華月由舞)
もう、これは文句なしでヒロイン由舞ちゃんでした。同期でコンビで、超お似合い!!この二人で新公観たかったなあ(T T)。
由舞ちゃんは、ふみかが経営するダンスホール(?)「大世界」のダンサー。だいもんと同じ田舎の貧しい家に生まれ、幼い頃に青幇に売られてきた、幼馴染という設定だったと思います。
だいもんは、香雪のために「何があっても生きる」ことを選択して、心の傷に眼を瞑って悪事に手を染めてきた。多分ふみかは、そうやって心に傷を負い、心を闇に沈めていくだいもんを視ているのが愉しかったんだと思う。その愉楽に浸り、時々背中を押してやる、その快感に嵌っていたんだと思います。
新人公演で散々観ていて、どちらかといえば明るいヒーロータイプと認識していただいもん。彼女があんなに被虐的で昏い道が似合うタイプだとは思っていませんでした。……生田さん、ありがとう★
・準ヒロイン:シンシア・フレミング(月野姫花)
シンシアは劉の物語でも準ヒロイン格の重要な存在です。
おっと。バウばっかり長くなってしまいました(汗)
すみません。「相棒」の詳細は、たぶんドラマファンの方が書かれた方が、面白くてわかりやすいだろうな、と思うんですよね。
警官はイケメンぞろいだし、婦警は美女だらけだし、、、現実では無いことはわかっていても、ちょっと、帰り道に交通整理をしている人の貌を視てしまいそうです(汗)。
それにしても。
花娘たちは、皆さん本当に、例外なく可愛いなあ(*^ ^*)
・
「カサブランカ」【11】
2010年1月18日 宝塚(宙) コメント (2)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
■第5~9場 リックのカフェ ~1941年12月2日(夜)~
ピアノを運んできたサム(萬あきら)が、縛り上げられているスタッフ一同を解いたところで、暗転。
盆が回って、カフェの外に立って身だしなみを調えるルノー(北翔海莉)にスポット。
そんなルノーに気づかぬていで、店のドアを出たとたんに溜息をついて煙草を出すリックが格好良いです(*^ ^*)。
少しルノーと話をするリック。それにしてもルノー、というか小池さん、捜索を「壊滅的に」やる、っていうのは、日本語として正しいんでしょうか…?
そこにやってくるイヴォンヌ(純矢ちとせ)。
ドイツ領事ハインツ(風莉じん)と共に現れた彼女は、リックを見てふぃっと肩をそびやかし、「Guten Abend!」と声をかける。
ちょっと低めのせーこちゃんの声が、色っぽくて良いです。『権力者におもねっている』ように見える彼女の行動を軽く揶揄するリック。
「いや、彼女は自己流でドイツと渡り合っているのさ」
自分のようにね、と、軽くウィンクしながらフォローして、ルノーは店内に戻っていく。
それを見送るでもなく見送って、煙草を消して、リックは下手からカジノの方へ戻っていく。
賑やかにざわめくカジノの空気。
その中心で、さりげなく場をコントロールするエミール(蓮水ゆうや)。
ルーレット台の反対側には、真剣な顔でルーレット台を睨みつける、青いスーツの若い男(凪七瑠海)。その背に漂う、絶望の影。
彼の傍に立っていた女性(花影アリス)が、リックに気づいてそっと近づいてくる。
チェス台の乗ったテーブルに座って、リックに相談を持ちかけるアニーナ。
「ルノー大尉は、信用できる方ですか…?」
「何故俺に?」
「大尉ご自身が、あなたに訊いてみるように、と」
「あいつ…」
苦虫を噛み潰しながら、リックはアニーナに視線を送る。
平静を装って喋るアリスちゃんの、怯えた小動物みたいな、落ち着かない視線。ひっきりなしに動く指。
「ヴィザを二枚お願いしたんです。……でも、お金が全然足りなくて」
祖国ブルガリアがナチスに降るまえに、国を出たヤンとアニーナ。ブルガリアは、早い段階でナチスに与したことで後々国際社会で苦労することになりますが、この時点では、攻撃を受けたわけでもなく、一般民衆が慌てて逃げるような事態ではなかったはず、と思っていたのですが……もしかして、どっちかがユダヤ系だったりするのでしょうか…?(T T)
「もしここに、あなたを真剣に愛する女性がいたとして」
何かを振り切るように、言葉を紡ぐアニーナ。
「あなたの幸せを願って、そのために罪を犯してしまったら、あなたはその人を赦せますか…?」
ルノーが信用できるかどうか訊ねるだけのつもりだったのに、何故そんなことを言い出したのか、彼女自身にもわからないのかもしれません。
少なくとも、目の前のリックがルノーと同じことを言い出す可能性だけはなさそうだ、と、そこは信用したんでしょうけれども。
「でも、彼がそれを知らず、女の方も黙ってさえいれば」
彼が知ることさえなければ。そして、私が黙りとおすことさえできれば。
「……大丈夫ですよね?」
この問いかけに、「俺をそこまで愛してくれたひとは、いない」と応えるリックは、やっぱり相当ひどく傷ついていたんだなあ、と思います。
それでも。
「あなたが彼の勝ちを必死に祈れば、問題は解決するかもしれませんよ?」
軽い口調でそう告げたところで、ビゴーがオーナーを呼びに来る。
「失礼」と一言で終わらせて立ち上がるリック、縋るような瞳で手をのばすアニーナ、妻が他の男と話しているのにも気づかぬていで、ルーレットにのめりこんでいくヤン……。
カフェ側への扉をくぐると、ちょうどイヴォンヌが啖呵を切ったところ。
「誰と呑もうとあたしの勝手だろう!?」
だいぶ荒れた、やさぐれた口調。フランス人(蒼羽りく)につけつけと言い返す様子は相当な迫力で、本質的に「少女」の役者であるせーこちゃんがこういう役をすると、案外と似合うのでとまどってしまいます………「スケバン刑事」とか似合いそうだなあ(*^ ^*)、とか、そういう妄想が走ってしまいます(^ ^;ゞ
……ちなみに、あのイヴォンヌの服は、本来はお腹が見えてる……感じなのでしょうか。それとも、見えているとおり肌色のインナーを着ているのかしら?
りくちゃんは、今回も本当に良いお芝居をしています♪
「こんなドイツ野郎と……!!」
この台詞の切実さ、籠められた怒りの大きさに感動しちゃうんですよね。
そして、そんな挑発に乗って、掴みかかってくるハインツ。
「このカサブランカがドイツ領になるのは時間の問題だ!」
それまでは飄々としていたのに、このときばかりは……という感じ。
「俺の店は中立だ!政治の話なら、外でやってくれ!」
宣言したリックは、いきり立つ客たちを宥めながらカジノに戻る。
なんというか、素敵ですよね、このひと(*^ ^*)。なんか、サラッとそんなことを言ってしまうあたりとか。
ちなみに。
この場面の見所は、ハインツに殴りかかろうとするりくちゃんを押し止めるフランス兵二人(澄輝さやと、風羽玲亜)。とっても格好良いんですよ♪♪ ひと段落ついて、席に戻った後、りくちゃんを手荒に歓迎している様子が面白いです。なんていうのかな、「男の友情」って感じです。
あと、喧嘩を見て怯えるボーイ二人(千鈴まゆ・綾瀬あきな)も超ツボ(^ ^ かーわーいーいいーーー!!
ついでに、リックを怒らせたことに落ち込んでいる(?)イヴォンヌを、大事そうに抱えてバーに連れて行くサッシャ(春風弥里)も、なかなかいい味を出しています(*^ ^*)。後ろからイヴォンヌを抱きしめるサッシャを、振り払おうとして、でも振り払いきれないイヴォンヌが可愛い♪
上手端のテーブルに固まっていたドイツ兵たち。ジョッキを持って、リーダー格(?)の雅桜歌さん中心に、苛々しているシュトラッサーに挨拶しに近づいてくる。
「少佐、我々と乾杯していただけますか!?」
「……Prost!」
すみません。田中芳樹さんの「銀河英雄伝説」ファンの猫にとって、何に驚いたかって独逸語の「乾杯」が「プロージット!」じゃなかったことですわ(滝汗)。
Prost!とProsit!、辞書を見るとどちらも使うようですが。意味とかは何か違うのでしょうか…?
再び盆が回り、舞台正面はカジノへ。
ルーレット台にさっきと同じ姿勢で座り、残り僅かになったコインを握り締めるヤン。
その傍らでじっと唇を噛むアニーナ。
「マダム エ ムシュー、どうぞ」
穏やかなエミールの声。僅かなコインを握り締めて、逡巡していいるヤンに、
「どうなさいます?」
「……止めておくよ」
何かを振り切るように、立ち上がって台を離れようとするヤン。
つ、とその傍に寄り添って、囁きかけるリック。
「今夜、22を試してみましたか?」
エミールに軽く合図をしながら、22を奨めて。逡巡しながらも、持っているコインを22に置くヤン。
「締め切りました……さぁ、」
……このカジノは、賭け終わってからルーレットを回す方式(胴元側に有利)なんですね(^ ^;。
「22!黒、偶数、後半、22です」
無表情なのに、口許だけ微かに綻ばせたちーちゃんが、クールで素敵です。
でも、結構大量に賭けられているのにレイク(熊手みたいなやつ)を使わないで手でコインを回収しているのはなんで?(^ ^)
信じられないことを聞いたかのように呆然とするカチャとアリスが、すごくリアル。
おたおたして、「ど、どうしよう……」という声が聞こえてきそうなカチャの肩をそっと押さえて、「そのまま、動かさないで」というリックが、物凄く大人で、格好良い!(*^ ^*)
もう一度ルーレットを回して、エミールが宣言する。
「22!黒、偶数、後半、22です。……おめでとうございます」
最後の一言は、にっこりとヤンに微笑みかけながら。
あの場面のやり取り、全部好きです。遠くからリックの動向を見逃すまいと、チラチラとリックとアイコンタクトしているちーちゃんも素敵だし、「どうしようどうしよう - -;;;」とおたおたしている若夫婦もメッチャ可愛い。いい場面だなあ……。
さりげなく様子を視ていて、タイミング良くリックに小切手を渡すかいちゃん。
小切手にサインをして、喜んでいるヤンにすっと差し出すリック。
「すぐに現金に換えるんだ。…二度と来るんじゃない」
大喜びの若夫婦と、穏やかに微笑むオーナーを、ワクワクしながら見守っているスタッフたちがめっちゃ可愛い!
話を聞いて、カフェとの間をつなぐドアから飛び込んでくる連中。どこからどう話が回ったのか、玄関をほっぽって来たドアマンのかけるくん(風馬翔)とか、キャッシャーを閉めてまで外に出てきた天風いぶきさんとか、良いのか君たちそれで。短時間とはいえ、スタッフが全員カジノに集まったってことは、カフェは今、無法地帯ってことですよね。皆、リックのファンにもほどがある(涙)。
サッシャの音頭で歌いだすメンバー。
♪われらが誇るべきボス リック!
大好きなリックが、珍しく“イイコト”をしたんだから、そりゃー皆も嬉しいですよねえ(*^ ^*)。思いっきり“ロシア式のお祝い”で祝福するサッシャ。咄嗟に後ろからチェス台を押さえるエミールのタイミングは、結構いつも微妙な気がする。っていうか、東宝に来てからサッシャの強引さが増しているような気がします。熱烈すぎ(^ ^)。
サッシャの“祝福”をやっと振り払ったリックは、ちょうどカジノに入ってきたラズロと眼が合う。口許をぬぐいながら、なんとか間をおくリック。
「盛り上がってますね」
蘭トムさんの静かな口調が、笑いのツボを直撃してくれます(^ ^)。
「……従業員の慰安だ」
咄嗟に誤魔化してスタッフたちを散らせ、2階のオフィスへ客人を連れて行く。
ルーレット台の周りで大人しくエミールを待っている客たちが、なんとなく微笑ましいです。
カーティス夫妻はかーなーり怪しんでますね。まさこちゃんの「あやしい…」が超ツボ。
キャッシャーのボックス(檻?)は非常に軽い素材で出来ていて、天風さんが出入りするときにかなり動きます(^ ^)。こないだ観たときは、壁にぴったりくっついてしまって入れなくて、天風さんが片手で(!)キャッシャーを前に出して、中に入ってから、自分で少し押して箱ごと移動していました(^ ^;;;。金が入っている設定なんだろうに、あのボックスはいったい……。
フェラーリに教えられたとおり、リックから通行証を買い取ろうとするラズロ。
地下組織の連中から教えられた、リックの過去。反ファシズムの闘士であった彼の、正義感に賭けて。
「あなたには、私がアメリカに亡命して活動することの重要性がおわかりのはずだ!」
「……なんて綺麗事なんだろうな。昔の俺だったら、感動しただろうに」
この場面での、リックのヤル気のなさ、醒めた空気がとても好きです。
「いい商売だが乗らないねぇ」
という口調が、すごく厭らしくていい。そして、そんな嫌味な言い方をされても全くこたえていないラズロも、いい。
自分とイルザが事実上夫婦であることを、確信をもって知っているリック。
誰から聞いたのか?……イルザしか、いない。どこで?いつのまに?そんな疑問をきっと抱いただろうに、いっさい表には出さないラズロが、格好いいなあと思うのです。
ただ。小池さん、
「君の妻に聞いてみろ、と」
って……せめて「君の奥方に」とか、何か言い方あるでしょうに。なぜ「妻」なんだココで。
カフェから大きな物音が聞こえてくる。
話を切って、降りていく二人。
ドイツ人たちが「ラインの守り」を歌い上げている。
店の中を傍若無人に歩き回り、気炎をあげる彼らを、嫌そうに睨みつける、ドイツ人以外のひとたち。
さっきの喧嘩の昂奮がおさまっていないりくちゃんを必死で押し留める、さっつんとあっきー。
階段を降りてきたラズロが、ピアノに座って手持ち無沙汰にしていたサムに言う。
「ラ・マルセイエーズを!」
昂然と弾き始めるサム、よく通る高い声で朗々と歌いだすヴィクター・ラズロ。
一瞬びくりとして、そして、力強く唱和しはじめる、反独抵抗者たち。
ラズロはチェコ人だし、バーガーはノルウェー人だし、リックの店のスタッフたちも殆どはフランス人ではありません。客たちも、多分。でもこの当時、「ラ・マルセイエーズ」は汎ヨーロッパ的に反ナチ歌だったんですよね……。その歌を歌うフランス人、そしてフランス以外の出身の人たちの気持ちを思うと、なんだか涙が出てきます。
この場面で、何も歌っていないのは、リック、イルザ、ルノー、そしてカーティス夫妻。
それ以外は全員どちらかの陣営に与している、と思います。たぶん。
リックは二階との境の階段の上で煙草の煙に本心を隠して、
ルノーは伏し目がちに、酒のグラスに本心を隠して、
カーティス夫妻は、好奇心に溢れたキラキラした様子で両陣営を見比べて、
……そしてイルザは、ただひたすら心配そうに、明朗なオーラで店内の客たちの心を掴んだカリスマを凝視している。
「ラ・マルセイエーズ」が「ラインの守り」を最初に凌駕したとき、ドイツ人たちは慌てて一箇所に集まって態勢を整え、もう一度主導権を取り戻します。けれども、小さくまとまったことで彼らは、なんというか、「ラ・マルセイエーズ」チームとの陣取り合戦に敗れたかたちになった。
店の敷地のほとんどを「ラ・マルセイエーズ」が占めて、残りのほんの僅かなところに固まっている自分たち。その図は、まさにヨーロッパの北方に閉じ込められた自分たちと、温暖で豊かな平地を持つ豊かな国々との縮図に見えたのではないでしょうか。
音楽のラストに、
「フランス万歳!」
というせーこちゃんの迫力が、観るたびに増していくのに感心します。
どこまで行くんだろう、この人は、と。
そして、効果音で入るシャンパンの栓を飛ばす音。タイミングよく出してくるサッシャの空気の読みようも凄いですよね。みーちゃん本人もあのくらい……むにゃむにゃむにゃ
だれかれ構わずシャンパンを注いで回るサッシャ。あれはリックの許可が出てるんだろうか…などと素朴に疑問に想いつつ。
そして、その効果音の数々を背にうけて、嫣然と笑むラズロが素晴らしい。絶賛(^ ^)。
どうしよう。ラズロさんが凄く素敵だ……。光を浴びて、光を発して、皆からの乾杯を受けて。
この小さな店は、たった今ラズロの牙城になった……そんな空気。
リックはただ、無表情に店の中を視ている。興奮して口々に乾杯を叫ぶ客たち。一緒になって盛り上がっている従業員たち。
……そして、大きな瞳をみひらいて、ただ夫の姿を追う、小さなイルザ。
怒りに我を忘れたシュトラッサーが、ルノーにカフェの閉鎖を命じる。
「しかし、理由がありません」
「自分で見つけろ!」
……無茶苦茶な(- -;
それでも、命令が降った以上は従わねばならないのが軍人です。
ルノーはサッシャからもう一杯シャンパンを貰って一気飲みし、呼ぶ子を取り出す。
ざわめきに水をさす、鋭い音。
客たちと一緒に盛り上がっていた警官たちが、慌てて整列する。
「全員、ただちに退出せよ!おって通達があるまで、このカフェは閉鎖する!」
これだけ胡散臭い店だから、何かあったときには強権発動できるよう準備されていてもおかしくないですからね。まあ、ある程度の腹積もりはあったと思ったほうが正解でしょう。
よく訓練された警官たちは、理不尽な命令にも素直に従って、客たちを追い出しにかかります。さすがに、抵抗らしい抵抗はせずに出て行く客たち。
………あの人たち、店の支払いはいつするんだろう……?(今ひとつ店のシステムが解っていないらしい)
店の隅で不安な予感を押し殺しているイルザに、脅しをかけてから出て行くシュトラッサー。
巨大なともちんが小さなすみ花ちゃんに話しかけている時点で怖いですから(T T)。
警官たちの指示を受けたラズロが、イルザを迎えに来る。
とにかく、店の外へ。今のラズロの立場では、退去命令の出たカフェに居座っているだけで逮捕されかねないから。
シュトラッサーの言葉に怯えて、この街が紛れも無く敵地である事実を、あらためて噛み締めるイルザ。
早く。
早くこの人を、この街から出さなくては。
なるべく早く、いいえ、今すぐにでも、アメリカへ。
この人は、世界にとって必要な人だから。
偽名を使うつもりも、変装する気も無いこの人を、あたしが守ってみせる。
世界のために。
未来のために。
そして、、、、
誰のために、というところを自分自身に誤魔化しながら、オスロの少女は、一つの決心をするーーーーー。
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■第5~9場 リックのカフェ ~1941年12月2日(夜)~
ピアノを運んできたサム(萬あきら)が、縛り上げられているスタッフ一同を解いたところで、暗転。
盆が回って、カフェの外に立って身だしなみを調えるルノー(北翔海莉)にスポット。
そんなルノーに気づかぬていで、店のドアを出たとたんに溜息をついて煙草を出すリックが格好良いです(*^ ^*)。
少しルノーと話をするリック。それにしてもルノー、というか小池さん、捜索を「壊滅的に」やる、っていうのは、日本語として正しいんでしょうか…?
そこにやってくるイヴォンヌ(純矢ちとせ)。
ドイツ領事ハインツ(風莉じん)と共に現れた彼女は、リックを見てふぃっと肩をそびやかし、「Guten Abend!」と声をかける。
ちょっと低めのせーこちゃんの声が、色っぽくて良いです。『権力者におもねっている』ように見える彼女の行動を軽く揶揄するリック。
「いや、彼女は自己流でドイツと渡り合っているのさ」
自分のようにね、と、軽くウィンクしながらフォローして、ルノーは店内に戻っていく。
それを見送るでもなく見送って、煙草を消して、リックは下手からカジノの方へ戻っていく。
賑やかにざわめくカジノの空気。
その中心で、さりげなく場をコントロールするエミール(蓮水ゆうや)。
ルーレット台の反対側には、真剣な顔でルーレット台を睨みつける、青いスーツの若い男(凪七瑠海)。その背に漂う、絶望の影。
彼の傍に立っていた女性(花影アリス)が、リックに気づいてそっと近づいてくる。
チェス台の乗ったテーブルに座って、リックに相談を持ちかけるアニーナ。
「ルノー大尉は、信用できる方ですか…?」
「何故俺に?」
「大尉ご自身が、あなたに訊いてみるように、と」
「あいつ…」
苦虫を噛み潰しながら、リックはアニーナに視線を送る。
平静を装って喋るアリスちゃんの、怯えた小動物みたいな、落ち着かない視線。ひっきりなしに動く指。
「ヴィザを二枚お願いしたんです。……でも、お金が全然足りなくて」
祖国ブルガリアがナチスに降るまえに、国を出たヤンとアニーナ。ブルガリアは、早い段階でナチスに与したことで後々国際社会で苦労することになりますが、この時点では、攻撃を受けたわけでもなく、一般民衆が慌てて逃げるような事態ではなかったはず、と思っていたのですが……もしかして、どっちかがユダヤ系だったりするのでしょうか…?(T T)
「もしここに、あなたを真剣に愛する女性がいたとして」
何かを振り切るように、言葉を紡ぐアニーナ。
「あなたの幸せを願って、そのために罪を犯してしまったら、あなたはその人を赦せますか…?」
ルノーが信用できるかどうか訊ねるだけのつもりだったのに、何故そんなことを言い出したのか、彼女自身にもわからないのかもしれません。
少なくとも、目の前のリックがルノーと同じことを言い出す可能性だけはなさそうだ、と、そこは信用したんでしょうけれども。
「でも、彼がそれを知らず、女の方も黙ってさえいれば」
彼が知ることさえなければ。そして、私が黙りとおすことさえできれば。
「……大丈夫ですよね?」
この問いかけに、「俺をそこまで愛してくれたひとは、いない」と応えるリックは、やっぱり相当ひどく傷ついていたんだなあ、と思います。
それでも。
「あなたが彼の勝ちを必死に祈れば、問題は解決するかもしれませんよ?」
軽い口調でそう告げたところで、ビゴーがオーナーを呼びに来る。
「失礼」と一言で終わらせて立ち上がるリック、縋るような瞳で手をのばすアニーナ、妻が他の男と話しているのにも気づかぬていで、ルーレットにのめりこんでいくヤン……。
カフェ側への扉をくぐると、ちょうどイヴォンヌが啖呵を切ったところ。
「誰と呑もうとあたしの勝手だろう!?」
だいぶ荒れた、やさぐれた口調。フランス人(蒼羽りく)につけつけと言い返す様子は相当な迫力で、本質的に「少女」の役者であるせーこちゃんがこういう役をすると、案外と似合うのでとまどってしまいます………「スケバン刑事」とか似合いそうだなあ(*^ ^*)、とか、そういう妄想が走ってしまいます(^ ^;ゞ
……ちなみに、あのイヴォンヌの服は、本来はお腹が見えてる……感じなのでしょうか。それとも、見えているとおり肌色のインナーを着ているのかしら?
りくちゃんは、今回も本当に良いお芝居をしています♪
「こんなドイツ野郎と……!!」
この台詞の切実さ、籠められた怒りの大きさに感動しちゃうんですよね。
そして、そんな挑発に乗って、掴みかかってくるハインツ。
「このカサブランカがドイツ領になるのは時間の問題だ!」
それまでは飄々としていたのに、このときばかりは……という感じ。
「俺の店は中立だ!政治の話なら、外でやってくれ!」
宣言したリックは、いきり立つ客たちを宥めながらカジノに戻る。
なんというか、素敵ですよね、このひと(*^ ^*)。なんか、サラッとそんなことを言ってしまうあたりとか。
ちなみに。
この場面の見所は、ハインツに殴りかかろうとするりくちゃんを押し止めるフランス兵二人(澄輝さやと、風羽玲亜)。とっても格好良いんですよ♪♪ ひと段落ついて、席に戻った後、りくちゃんを手荒に歓迎している様子が面白いです。なんていうのかな、「男の友情」って感じです。
あと、喧嘩を見て怯えるボーイ二人(千鈴まゆ・綾瀬あきな)も超ツボ(^ ^ かーわーいーいいーーー!!
ついでに、リックを怒らせたことに落ち込んでいる(?)イヴォンヌを、大事そうに抱えてバーに連れて行くサッシャ(春風弥里)も、なかなかいい味を出しています(*^ ^*)。後ろからイヴォンヌを抱きしめるサッシャを、振り払おうとして、でも振り払いきれないイヴォンヌが可愛い♪
上手端のテーブルに固まっていたドイツ兵たち。ジョッキを持って、リーダー格(?)の雅桜歌さん中心に、苛々しているシュトラッサーに挨拶しに近づいてくる。
「少佐、我々と乾杯していただけますか!?」
「……Prost!」
すみません。田中芳樹さんの「銀河英雄伝説」ファンの猫にとって、何に驚いたかって独逸語の「乾杯」が「プロージット!」じゃなかったことですわ(滝汗)。
Prost!とProsit!、辞書を見るとどちらも使うようですが。意味とかは何か違うのでしょうか…?
再び盆が回り、舞台正面はカジノへ。
ルーレット台にさっきと同じ姿勢で座り、残り僅かになったコインを握り締めるヤン。
その傍らでじっと唇を噛むアニーナ。
「マダム エ ムシュー、どうぞ」
穏やかなエミールの声。僅かなコインを握り締めて、逡巡していいるヤンに、
「どうなさいます?」
「……止めておくよ」
何かを振り切るように、立ち上がって台を離れようとするヤン。
つ、とその傍に寄り添って、囁きかけるリック。
「今夜、22を試してみましたか?」
エミールに軽く合図をしながら、22を奨めて。逡巡しながらも、持っているコインを22に置くヤン。
「締め切りました……さぁ、」
……このカジノは、賭け終わってからルーレットを回す方式(胴元側に有利)なんですね(^ ^;。
「22!黒、偶数、後半、22です」
無表情なのに、口許だけ微かに綻ばせたちーちゃんが、クールで素敵です。
でも、結構大量に賭けられているのにレイク(熊手みたいなやつ)を使わないで手でコインを回収しているのはなんで?(^ ^)
信じられないことを聞いたかのように呆然とするカチャとアリスが、すごくリアル。
おたおたして、「ど、どうしよう……」という声が聞こえてきそうなカチャの肩をそっと押さえて、「そのまま、動かさないで」というリックが、物凄く大人で、格好良い!(*^ ^*)
もう一度ルーレットを回して、エミールが宣言する。
「22!黒、偶数、後半、22です。……おめでとうございます」
最後の一言は、にっこりとヤンに微笑みかけながら。
あの場面のやり取り、全部好きです。遠くからリックの動向を見逃すまいと、チラチラとリックとアイコンタクトしているちーちゃんも素敵だし、「どうしようどうしよう - -;;;」とおたおたしている若夫婦もメッチャ可愛い。いい場面だなあ……。
さりげなく様子を視ていて、タイミング良くリックに小切手を渡すかいちゃん。
小切手にサインをして、喜んでいるヤンにすっと差し出すリック。
「すぐに現金に換えるんだ。…二度と来るんじゃない」
大喜びの若夫婦と、穏やかに微笑むオーナーを、ワクワクしながら見守っているスタッフたちがめっちゃ可愛い!
話を聞いて、カフェとの間をつなぐドアから飛び込んでくる連中。どこからどう話が回ったのか、玄関をほっぽって来たドアマンのかけるくん(風馬翔)とか、キャッシャーを閉めてまで外に出てきた天風いぶきさんとか、良いのか君たちそれで。短時間とはいえ、スタッフが全員カジノに集まったってことは、カフェは今、無法地帯ってことですよね。皆、リックのファンにもほどがある(涙)。
サッシャの音頭で歌いだすメンバー。
♪われらが誇るべきボス リック!
大好きなリックが、珍しく“イイコト”をしたんだから、そりゃー皆も嬉しいですよねえ(*^ ^*)。思いっきり“ロシア式のお祝い”で祝福するサッシャ。咄嗟に後ろからチェス台を押さえるエミールのタイミングは、結構いつも微妙な気がする。っていうか、東宝に来てからサッシャの強引さが増しているような気がします。熱烈すぎ(^ ^)。
サッシャの“祝福”をやっと振り払ったリックは、ちょうどカジノに入ってきたラズロと眼が合う。口許をぬぐいながら、なんとか間をおくリック。
「盛り上がってますね」
蘭トムさんの静かな口調が、笑いのツボを直撃してくれます(^ ^)。
「……従業員の慰安だ」
咄嗟に誤魔化してスタッフたちを散らせ、2階のオフィスへ客人を連れて行く。
ルーレット台の周りで大人しくエミールを待っている客たちが、なんとなく微笑ましいです。
カーティス夫妻はかーなーり怪しんでますね。まさこちゃんの「あやしい…」が超ツボ。
キャッシャーのボックス(檻?)は非常に軽い素材で出来ていて、天風さんが出入りするときにかなり動きます(^ ^)。こないだ観たときは、壁にぴったりくっついてしまって入れなくて、天風さんが片手で(!)キャッシャーを前に出して、中に入ってから、自分で少し押して箱ごと移動していました(^ ^;;;。金が入っている設定なんだろうに、あのボックスはいったい……。
フェラーリに教えられたとおり、リックから通行証を買い取ろうとするラズロ。
地下組織の連中から教えられた、リックの過去。反ファシズムの闘士であった彼の、正義感に賭けて。
「あなたには、私がアメリカに亡命して活動することの重要性がおわかりのはずだ!」
「……なんて綺麗事なんだろうな。昔の俺だったら、感動しただろうに」
この場面での、リックのヤル気のなさ、醒めた空気がとても好きです。
「いい商売だが乗らないねぇ」
という口調が、すごく厭らしくていい。そして、そんな嫌味な言い方をされても全くこたえていないラズロも、いい。
自分とイルザが事実上夫婦であることを、確信をもって知っているリック。
誰から聞いたのか?……イルザしか、いない。どこで?いつのまに?そんな疑問をきっと抱いただろうに、いっさい表には出さないラズロが、格好いいなあと思うのです。
ただ。小池さん、
「君の妻に聞いてみろ、と」
って……せめて「君の奥方に」とか、何か言い方あるでしょうに。なぜ「妻」なんだココで。
カフェから大きな物音が聞こえてくる。
話を切って、降りていく二人。
ドイツ人たちが「ラインの守り」を歌い上げている。
店の中を傍若無人に歩き回り、気炎をあげる彼らを、嫌そうに睨みつける、ドイツ人以外のひとたち。
さっきの喧嘩の昂奮がおさまっていないりくちゃんを必死で押し留める、さっつんとあっきー。
階段を降りてきたラズロが、ピアノに座って手持ち無沙汰にしていたサムに言う。
「ラ・マルセイエーズを!」
昂然と弾き始めるサム、よく通る高い声で朗々と歌いだすヴィクター・ラズロ。
一瞬びくりとして、そして、力強く唱和しはじめる、反独抵抗者たち。
ラズロはチェコ人だし、バーガーはノルウェー人だし、リックの店のスタッフたちも殆どはフランス人ではありません。客たちも、多分。でもこの当時、「ラ・マルセイエーズ」は汎ヨーロッパ的に反ナチ歌だったんですよね……。その歌を歌うフランス人、そしてフランス以外の出身の人たちの気持ちを思うと、なんだか涙が出てきます。
この場面で、何も歌っていないのは、リック、イルザ、ルノー、そしてカーティス夫妻。
それ以外は全員どちらかの陣営に与している、と思います。たぶん。
リックは二階との境の階段の上で煙草の煙に本心を隠して、
ルノーは伏し目がちに、酒のグラスに本心を隠して、
カーティス夫妻は、好奇心に溢れたキラキラした様子で両陣営を見比べて、
……そしてイルザは、ただひたすら心配そうに、明朗なオーラで店内の客たちの心を掴んだカリスマを凝視している。
「ラ・マルセイエーズ」が「ラインの守り」を最初に凌駕したとき、ドイツ人たちは慌てて一箇所に集まって態勢を整え、もう一度主導権を取り戻します。けれども、小さくまとまったことで彼らは、なんというか、「ラ・マルセイエーズ」チームとの陣取り合戦に敗れたかたちになった。
店の敷地のほとんどを「ラ・マルセイエーズ」が占めて、残りのほんの僅かなところに固まっている自分たち。その図は、まさにヨーロッパの北方に閉じ込められた自分たちと、温暖で豊かな平地を持つ豊かな国々との縮図に見えたのではないでしょうか。
音楽のラストに、
「フランス万歳!」
というせーこちゃんの迫力が、観るたびに増していくのに感心します。
どこまで行くんだろう、この人は、と。
そして、効果音で入るシャンパンの栓を飛ばす音。タイミングよく出してくるサッシャの空気の読みようも凄いですよね。みーちゃん本人もあのくらい……むにゃむにゃむにゃ
だれかれ構わずシャンパンを注いで回るサッシャ。あれはリックの許可が出てるんだろうか…などと素朴に疑問に想いつつ。
そして、その効果音の数々を背にうけて、嫣然と笑むラズロが素晴らしい。絶賛(^ ^)。
どうしよう。ラズロさんが凄く素敵だ……。光を浴びて、光を発して、皆からの乾杯を受けて。
この小さな店は、たった今ラズロの牙城になった……そんな空気。
リックはただ、無表情に店の中を視ている。興奮して口々に乾杯を叫ぶ客たち。一緒になって盛り上がっている従業員たち。
……そして、大きな瞳をみひらいて、ただ夫の姿を追う、小さなイルザ。
怒りに我を忘れたシュトラッサーが、ルノーにカフェの閉鎖を命じる。
「しかし、理由がありません」
「自分で見つけろ!」
……無茶苦茶な(- -;
それでも、命令が降った以上は従わねばならないのが軍人です。
ルノーはサッシャからもう一杯シャンパンを貰って一気飲みし、呼ぶ子を取り出す。
ざわめきに水をさす、鋭い音。
客たちと一緒に盛り上がっていた警官たちが、慌てて整列する。
「全員、ただちに退出せよ!おって通達があるまで、このカフェは閉鎖する!」
これだけ胡散臭い店だから、何かあったときには強権発動できるよう準備されていてもおかしくないですからね。まあ、ある程度の腹積もりはあったと思ったほうが正解でしょう。
よく訓練された警官たちは、理不尽な命令にも素直に従って、客たちを追い出しにかかります。さすがに、抵抗らしい抵抗はせずに出て行く客たち。
………あの人たち、店の支払いはいつするんだろう……?(今ひとつ店のシステムが解っていないらしい)
店の隅で不安な予感を押し殺しているイルザに、脅しをかけてから出て行くシュトラッサー。
巨大なともちんが小さなすみ花ちゃんに話しかけている時点で怖いですから(T T)。
警官たちの指示を受けたラズロが、イルザを迎えに来る。
とにかく、店の外へ。今のラズロの立場では、退去命令の出たカフェに居座っているだけで逮捕されかねないから。
シュトラッサーの言葉に怯えて、この街が紛れも無く敵地である事実を、あらためて噛み締めるイルザ。
早く。
早くこの人を、この街から出さなくては。
なるべく早く、いいえ、今すぐにでも、アメリカへ。
この人は、世界にとって必要な人だから。
偽名を使うつもりも、変装する気も無いこの人を、あたしが守ってみせる。
世界のために。
未来のために。
そして、、、、
誰のために、というところを自分自身に誤魔化しながら、オスロの少女は、一つの決心をするーーーーー。
.
宙組と雪組の、次回(雪は次々回か)大劇場公演作品が、やっと発表されました!
宙組は、齋藤さんのグラン・ステージ『TRAFALGAR(トラファルガー)-ネルソン、その愛と奇跡-』と、石田さんのグランド・ショー『ファンキー・サンシャイン』。
齋藤さんで「トラファルガー」とゆーんで、てっきり「エル・アルコン」と同じ青池保子さんの漫画「トラファルガー」だと思いこんでいたのですが……違うんですね。主役はネルソン提督かあ~。
青池さんがOKを出さなかったんで発表が遅れた、とか、、、、ないか(^ ^)。
ネルソン提督は、典型的な「戦莫迦」で、ただひたすらに闘いを、勝利を求め、片目も片腕も喪って、それでも戦いをやめることができなかった男。齋藤さんがどんな解釈で彼を描くつもりなのかわかりませんが、久しぶりに齋藤さんとタッグを組む祐飛さん、めちゃめちゃ楽しみです~!
いや、遅かれ早かれ齋藤さんは来てくれると確信してはいましたが、予想外に早かったね(@ @)。まあ、そうそう何作も出来る訳ではないので、絶対に組みたい場合は早いほうがいいのかなあ(^ ^;ゞ。
石田さんの洋物のショーって、何があったっけ…?「風の錦絵」は好きだったんですが、洋物はあまり記憶に無いなあ……。うーん、石田さんには、本当は祐飛さんとすみ花ちゃんに宛書のオリジナルを書いて欲しかったので、、ショーになっちゃったのはちょっとだけ残念です。でもまあ、石田さんなら、祐飛さんやすみ花ちゃんとはもちろん、宙組っ子とは縁があるから、みんなの良いところを思いっきり引き出してくれることを期待しています!
石田&齋藤。……すみません、少数派かもしれませんが、今めっちゃ幸せです(*^ ^*)。
雪組は、正塚さんのミュージカル『ロジェ(仮題)』と、三木さんのショー『ロック・オン!』
正塚さん……。「マリポーサの花」で力尽きたように見えたのは気のせいですよね?水さんのラスト、というプレッシャーは相当なものだと思いますが、どうぞ新鮮な気持ちで作品を磨いてあげてください。……小さくてもいいから真那春人くんに役がつくといいなあ(^ ^)。
三木さんのショーは、普通に楽しみです。ただ、あまりにも特定のダンサーに出番が集中しすぎるきらいがあるので、もう少し『人海戦術』という宝塚特有の武器を活用してほしいなあ、と思いますが。……水さんは、そういえばトップになってから初の三木さんですか?麻子さんはひたすら三木さんだった印象がある(←「ME AND MY GIRL」も三木さんだし)し、案外、演出家って偏るものなのかもしれませんね。
なにはともあれ。
2010年の宝塚も、だいぶ盛り上がってまいりましたね(^ ^)。
充実した、素敵な一年間になりますように。
.
宙組は、齋藤さんのグラン・ステージ『TRAFALGAR(トラファルガー)-ネルソン、その愛と奇跡-』と、石田さんのグランド・ショー『ファンキー・サンシャイン』。
齋藤さんで「トラファルガー」とゆーんで、てっきり「エル・アルコン」と同じ青池保子さんの漫画「トラファルガー」だと思いこんでいたのですが……違うんですね。主役はネルソン提督かあ~。
青池さんがOKを出さなかったんで発表が遅れた、とか、、、、ないか(^ ^)。
ネルソン提督は、典型的な「戦莫迦」で、ただひたすらに闘いを、勝利を求め、片目も片腕も喪って、それでも戦いをやめることができなかった男。齋藤さんがどんな解釈で彼を描くつもりなのかわかりませんが、久しぶりに齋藤さんとタッグを組む祐飛さん、めちゃめちゃ楽しみです~!
いや、遅かれ早かれ齋藤さんは来てくれると確信してはいましたが、予想外に早かったね(@ @)。まあ、そうそう何作も出来る訳ではないので、絶対に組みたい場合は早いほうがいいのかなあ(^ ^;ゞ。
石田さんの洋物のショーって、何があったっけ…?「風の錦絵」は好きだったんですが、洋物はあまり記憶に無いなあ……。うーん、石田さんには、本当は祐飛さんとすみ花ちゃんに宛書のオリジナルを書いて欲しかったので、、ショーになっちゃったのはちょっとだけ残念です。でもまあ、石田さんなら、祐飛さんやすみ花ちゃんとはもちろん、宙組っ子とは縁があるから、みんなの良いところを思いっきり引き出してくれることを期待しています!
石田&齋藤。……すみません、少数派かもしれませんが、今めっちゃ幸せです(*^ ^*)。
雪組は、正塚さんのミュージカル『ロジェ(仮題)』と、三木さんのショー『ロック・オン!』
正塚さん……。「マリポーサの花」で力尽きたように見えたのは気のせいですよね?水さんのラスト、というプレッシャーは相当なものだと思いますが、どうぞ新鮮な気持ちで作品を磨いてあげてください。……小さくてもいいから真那春人くんに役がつくといいなあ(^ ^)。
三木さんのショーは、普通に楽しみです。ただ、あまりにも特定のダンサーに出番が集中しすぎるきらいがあるので、もう少し『人海戦術』という宝塚特有の武器を活用してほしいなあ、と思いますが。……水さんは、そういえばトップになってから初の三木さんですか?麻子さんはひたすら三木さんだった印象がある(←「ME AND MY GIRL」も三木さんだし)し、案外、演出家って偏るものなのかもしれませんね。
なにはともあれ。
2010年の宝塚も、だいぶ盛り上がってまいりましたね(^ ^)。
充実した、素敵な一年間になりますように。
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「カサブランカ」【12】
2010年1月20日 宝塚(宙) コメント (2)宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。
宝塚Graph 2月号の、宙組トップ3のトークを読んで、……そっかー、と思いました。
舞台を観て感じていたことは、そんなに間違って(かけ離れて)はいなかったんだな、というか、
この後、書こうと思っていたことを、本人に言われちゃった(; ;)というか。
……良い作品になるためには、良い役者たちが揃わないと駄目なんだな、なんてことを思ったりしました(^ ^)。
■第10場 シュトラッサーの屈辱 ~1941年12月2日(夜)~
この場面だけ、場面タイトルが場所の名前じゃないんですね。
ここまでは全部「空港」だの「カジノ」だの、場所の名前だったのに。
……あ、「集会」ってのがあったか。
そんなことはともかく。
この場面のともちん(悠未ひろ)は、本当に格好良いです。
以前にも書きましたが、彼らが守ろうとするのは「我らがドイツ」なんです。
気候が厳しく生産力の低い北方に生まれた彼らが、どれほどに豊かな農業国フランスを羨んだことでしょう。
彼ら(ナチス)がやったことが「正義」だとは全く思いませんが、少なくとも、その構成員一人一人は、それが自分の「正義」だと思ってやっていたんだと思うんですよね。
そういう、曇りない信念の強さがあるから、あの場面がすごく好きなんです。
シュトラッサーは、国歌対決で敗北するその瞬間まで、完全な紳士でした。
それが、ここで敗北して初めて、リックのカフェの閉鎖を命じます。「(理由は)自分で考えろ!」という無茶なやり方で。
ただ、それでも彼は、ヴィクター・ラズロを「その場で逮捕」はしなかった。そこまでするには、プライドが許さなかったんでしょうね。
ラズロを捕えるなら、公明正大に捕えなくてはいけないと思っていたから。
それでも、敗北による苛々は募る。だから、その高揚を天にぶつけて、落ち着こうとする。
♪私は守る 守り抜く ああ
♪我が栄光のドイツ帝国
彼らは、負ければ後がないんですよ。元々が貧しい国なんだから。
貧しい人々が、持てるすべてを投げ出して闘いに打って出たのですから。
彼らを守るために、軍人たちは絶対に負けるわけにはいかない。誰に聞かせて脅すつもりもない、そういう、自分自身の決意の歌なんだと思って聴いています(^ ^)。
役を離れて歌そのものについて書きますと、大劇場では声も朗々と劇場中に響いて、本当に素晴らしかったです!(*^ ^*)
東宝では、喉の調子が良くないのか、音響が馴染まないのか、どこか探り探りやっている気がしてもどかしかったんですが、先週くらいからぐっと良くなってきましたね。本調子になってきたのかな?
■第11場 街路 ~1941年12月2日(夜)~
本舞台のシュトラッサー&ドイツ兵がはけると、下手から銀橋にラズロとイルザが登場。
リックの店を出て、ぐるぐる歩いて尾行を撒いたところ。
『カサブランカでは、人の命は大変安く取引されているらしい……』
リックの店からの去り際に聞かされたシュトラッサーの脅迫が、どうしても耳から離れないイルザが、縋るように言う。
「お願いよ、今日は集会には行かないで!」
わかっているのに。無駄だということは。
夫の性格を知っている彼女には、イヤというほど。
「シュトラッサーの脅迫が怖いの…」
怯えた仔兎のような妻を視て、ふとヴィクターの顔が綻ぶ。
「……じゃあ、ホテルの部屋でジッとしていようか……?」
そんな男がいいの?君の愛する男は、そんな男なの?
そう揶揄するように、なのに、他のどの時よりも甘い口調で。甘い微笑みを浮かべて。
ある意味酷い男だなあ、と思います。女が諦めざるを得ないポイントをちゃんと解っていて、そこを正確に突いて来る。お見事(はぁと)
「……あなたにできるはずが、ない……」
諦めをにじませて微笑むイルザが、すごく儚げでキレイ。一瞬だけで、すぐ立ち直るんですけどね。その一瞬の表情の深さに、さすがすみ花ちゃん、と毎回思うのです(*^ ^*)。
このときにイルザが考えているのは、ラズロを助けなければ、ということなんですよね、たぶん。この後の展開を考えると。
「……それで、リックはなんて言ったの?」
顔をあげて問いかける彼女の貌は、もう、レジスタンスの闘士のそれで。
「持っていることは否定しなかった。だが、……売らないそうだ」
穏やかに応えるラズロ。
「君に聞け、と言われたよ」
そう言われたときの複雑な胸の裡を見せることなく、ひどく柔らかな声で語り続けるラズロ。
彼は、いつ「イルザがリックに惹かれた理由」に気づいたんでしょうね。
二人が(自分の居ない)パリで付き合っていたことは、最初の夜に気がついたのでしょうけれども、付き合い始めたのが自分が死んだというニュースを聞いた後だという確信はどこから来たのかなあ。
……単純に、イルザのことを信じているからそれ以外の可能性が浮かばなかった、とか?(^ ^)
「何も言わなくていい。僕は、いつも君を愛しているよ」
『僕』なんですよねえ、イルザに対するときだけは。
リックとか、他の人に対しては『私』なのに。
「私もよ、ヴィクター」
美しい貌を伏せて肯いて。
それから、決心して貌をあげる。
「私がこれから何をしたとしても、あなたを愛していることに変わりないわ」
あたしが貴方を守る。必ず。
貴方をこんな地の果てで死なせたりしない。絶対に。
その決意の瞳を、しばし見凝めるラズロ。
長い間。
それから、ゆっくりと長い腕をあげて、大切なものを包み込むように、イルザを抱きしめる。
棒のように固くなったまま抱き寄せられながら、ふ、と力が抜けるイルザ。
大劇場で最初に観た頃は、単に段取りでやっているようにも見えてしまった抱擁シーンですが。
大劇場の後半から、恐る恐る手を延ばす蘭トムさんの、敬虔なといいたいほどの表情にやられてしまいました。
大切なもの……宝物とかのレベルではなく、ラズロにとってのイルザが宗教的な象徴でさえあるかのように見えたんですよね。喪いえないもの。喪ったら自分も壊れてしまうような。
いわゆる「愛」とはどこか違うもの。……畏れさえ含んだ、手に取ることも憚られるような「神聖な」存在。
自分が支えていなければ脆く崩れてしまいそうなあやうさもあるのに、手の届かないところで輝いている星のような存在でもある。ラズロにとっての、護るべき『うつくしきもの』。
生身の人間であることを棄てて、禁欲的な「ヒーロー」で在ろうとしてきたラズロという存在にとって、愛するものもまた、人間であることを超越した存在であってほしいんだろうな、と。
そんなラズロの『理想』であることが、イルザにとっての喜びであり、また同時に、苦しみでもあったのだろう、と。
それが『苦しみ』であることに、イルザ自身は気づいていなかったとしても。
『私が何をしたとしても』
この台詞を発したとき、すでにイルザは、この後どこへ行くか決めているんですよね。
どこへ行って、何をするのか。
『あなたを愛していることに、変わりないわ』
すべてはあなたへの愛ゆえ。
そう、自分自身に言い訳をして。
『あなたを愛している』
ラズロが自分に向ける想いと、同じモノなのかどうかは、解らないけれど……。
ラズロはこのとき、どこまで気づいているのかな?と思うんですが。
それについては、Graphでも何も言ってませんよね。
『私が何をしたとしても』とまで言われて、スルーできるほど鈍い男じゃないと思うんですよ。
普通に「何するつもりだお前」って思うよね?
空港では全て気がついていたわけだし(by Graph)。
でも、イルザを置いて集会へ向かう。
リックが「君の奥方に聞いてみろ」なんて言ったのは、その言葉をラズロからイルザに伝えさせたかった(そう言えば直談判しに来るだろうと思った)からでしょうし、
その意図は十分ラズロにも伝わっていると思うんですよね。
なのにそれを、あっさりとイルザに伝えて、しかも街路に置いていく。
『行ってきてくれ。頼む』
と言っているのも同然じゃないですか?
……“いっそのこと、よりを戻して二人で行ってくれ”と思っているのも掛け値なしの真情なんでしょうから、全体としては矛盾はないんですけどね。イルザを喪っても、自分が行かせたのだと思えば慰められるでしょうし。
あるいは、世界平和を取り戻したら迎えに行こう、くらいのことは考えている…のかもしれない。
ただ、この場面の前にはあまりラズロの気持ちが見える場面が無いので、ラズロが何を考えてこういう行動を取ったのかがわかりにくいな……とは思います。二番手役の不利なところなのかもしれません。
■第12場 リックの店(閉店後) ~1941年12月2日(夜)~
カール(寿つかさ)と、営業停止中の給与の配分について相談しているリック。
二人とも、店に出るときの制服(白いダブルのスーツ)は脱いで、着替えています。
そういえば。ここでリックが着ているグレイのスーツ、幕開きの銀橋で、トレンチの下に着ているスーツに凄くよく似ていると思うのですが、違うものなのでしょうか……?
(有村さん拘りのピンホールピン、とやらは、幕開きしかつけてないようですが)
「実は今夜、大切な集会がありまして。そろそろ失礼をさせていただきたいのですが」
この先の見通しを確認しあって話が切れたところで、カールが切り出す。
この「集会」は、前夜と同じく、レジスタンスの地下集会なわけですが。
リックは彼らのやっていることについて、どこまで知っているんですかねぇ。解っているけど眼を瞑っている(だから「俺には言うな」と)のは解るんですけど。それにしても、花売りのファティマとか、アクセサリー売りのバーガーとか、表に立って活動している人たちが入り浸っているわ、スタッフ全員が集会に参加しているわ(しかも結構センターで踊ってる)(←いや、それは関係ないから)、こんな状況であることを把握できているのかなあ……?
カールを見送ったリックが、軽く溜息をついて二階への階段を昇り始めたところで、境に降りているカーテンをかき分けて、イルザが姿を現す。
留まる、時間。
「……どこから入ったんだ?」
驚きを隠して、平静な声で。
いや、ラズロにああいう伝言を預けた以上、予想をしていなかったはずは無いのですが。
「通用口が開いていたわ。どうしてもあなたにお願いしたいことがあって」
「まさか、例の通行証には関係ないんだろうな?」
あれのおかげで、俺はとんだ人気者だ、と揶揄する口調で言いながら、階段を降りて店の奥(下手)へ向かうリック。追うイルザ。
「言い値で買うわ。お願いだから、私に譲って」
冷静に、冷静に。自分自身にそう言い聞かせるイルザの心の声が、聞こえてくるようです。
「あの人が背負う使命を、理解してほしいの」
あたしが守ってみせる。あの英雄を、必ず。
だから今、あたしは目の前のこの男に勝たなくてはいけない。
かつて愛した、この男に。
「他人の使命なんて、俺には関係ない」
逃げるリック。
追うイルザ。
「あなただって、ファシズムと闘ったんでしょう?……お願いよリチャード、パリのあなたに戻って!」
……イルザは、パリ時代のリックについて何を知っているんでしょうか。
回想のパリ時代を思うと、イルザの知っている『パリのリック』は、既に戦場でのトラウマを抱えた平和主義者になりきった後だと思うのですが。
彼がかつてファシズムと闘った英雄だった、という事実は、バーガーたちの口を通じてラズロに伝わっているわけだから、そこからさらにイルザにも伝わっていても不思議は無いんですけれども。
なんだか、その話を聞いたイルザが、自分が付き合っていた頃のリックのことだと思い込んで、『だから私は彼を愛してしまったんだわ!』などと短絡的に納得してしまった、とか……などと考えていたら、ちょっと哀しくなってきました……
やっぱり、深読みしすぎは良くないですね(^ ^;ゞ
「……俺はもう、自分のため以外には闘わないことにしたんだ」
そう、呟くように教えながら、肩を丸める仕草が、酷く切ないです。
リックの言葉は、イルザには届かない。
リックはただ、イルザの気持ちを確かめたいだけなのに。
「あなたが助けてくれなければ、ヴィクター・ラズロはカサブランカで死んでしまう!」
激昂するイルザに、ゆっくりと間をとって、リックは呟く。
「俺もカサブランカで死ぬだろう」
なぜラズロだけが特別なんだ。
お前が愛したのは、あいつ一人じゃないはずなのに。
「……死ぬには良いところだ」
何かを諦めたように、イルザに背を向けて煙草を出すリック。
……そういう一つ一つの仕草が、本当に格好良いなあ、と観るたびに感心します。っていうか、すみません、痛いファンで……。下級生たちがわらわら居るときはあまり真ん中に集中できないので、こういうところでは頑張って観ています(^ ^)。
震える手で、クラッチバッグから小振りの銃を取り出すイルザ。
ゆっくりと銃口を向けて、引き金に指をかけるときには、震えもおさまって。
振り向いたリックの、眉をひそめた表情。
「……さあ。通行証を頂戴」
感情を押し殺した、低い声。
「……嫌だね」
こちらはむしろ、平静な声で。
「もう一度言うわ。通行証を頂戴!!」
感情を昂ぶらせて叫ぶイルザに、落ち着き払った様子でリックが教える。
この店で再会してから初めて、自分自身の本心を。
「……君はラズロのためだったらなんだってするんだろう?」
公演の回数を重ねるごとに、このあたりの会話の間が、どんどん長くなっているような気がします。
お互いに逡巡しあい、「こんなことを言っていいのか?」と思いながら本音をぶつけあう二人。
「それならば、俺を撃て」
ラズロのために何でもするというのなら、撃つがいい。
「その方が、俺も楽になる。……さぁ、撃て、」
諦められる。すべてを。
「…撃つんだ!」
ここまでのリックの口調からは想像もできないほどの、勁い声。
イルザの瞳から眼を離さずに、胸をそらせて腕を広げたリックが、物凄く大きく見える。
たぶん。
戦場を駆けていた頃のリックは、こういう声で話していたんだろうな、と、そんなことを思います。戦場の悲惨さの中で、掲げていた理想を見失ったときに、彼は、こういう声をも喪失してしまった。
戦場を逃げ出して、一年間のパリ生活、そして、半年の逃避行、また一年間のカサブランカでの生活。
長いリハビリに少しづつ癒されていた、彼の心を取り戻すきっかけになったのは、イルザとの再会でした。彼が一番『落ちて』いたときにであったファム・ファタル。
イルザとの再会で、留まっていた時計が動き出す。サラサラ、サラサラ、と音を立てて。
イルザとの再会、ラズロとの出会い。
これを運命と呼ぶのなら、神様はとても残酷で、でも、乗り越えられない試練は与えない方なのだ、と。
「あなたを忘れようと努力したわ……!!」
姿勢を保ちきれずに、泣き崩れるイルザ。
腕を広げたまま、無言で見下ろすリック。
「でも、出来なかった。あなたがパリを去ったあと、どんな思いをしたか」
「あなたを愛してた、……そして、今でも!」
自分の口から出た言葉に、驚くイルザ。
焼けぼっくいに火が点いた瞬間、というものを、現実で見ることがあるとは想いませんでした。
……そのくらいリアルに、「思い出した」瞬間を見せ付けてくれた野々すみ花の天才。
イルザは本当に忘れていたんだと想うのです。
パリでの恋は、あの時点では真実だったのだ、と。
いみじくも、別れ際に自分自身が言ったとおりに。
リックは、信じたかったんだと思う。
あのときのイルザは、嘘じゃなかった、と。
あのときは、それが真実だった、と。
リックにとっては、それがすべて。そこに真実があったなら、それでいい。
あの時間が嘘でないなら、彼はもう一度、闘うことができる。
ラズロと対等な男であるために。
泣き崩れたイルザをひたむきに見凝めながら、リックは一歩踏み出す。
重たい一歩。そして、もう一歩。煙草は指に挟んだままに。
そして。
そして、ふいに滑らかに動き出す。
二歩、三歩、あっという間に間合いを詰めて、銃を手放したイルザの右ひじを掴み、煙草を持ったままの右手をすっと背中に回す。
抱き寄せて。抱きしめて。骨も折れんばかりに。
『私が何をしたとしても、あなたを愛していることに変わりないわ』
そんなリフレインが耳の奥で鳴っている。
それでも。
「過去」に引き戻されたイルザの耳には、もう、その言葉は届かない……。
あああ、やっぱり終わらなかった……。
新公までに、ラストの空港まで書いておきたかったんですが。
明日は新公なので、しばらく新公の話になると思います。すみません。
カチャ、エリちゃん、かいちゃん、がんばれーーーーーーっ!!
.
宝塚Graph 2月号の、宙組トップ3のトークを読んで、……そっかー、と思いました。
舞台を観て感じていたことは、そんなに間違って(かけ離れて)はいなかったんだな、というか、
この後、書こうと思っていたことを、本人に言われちゃった(; ;)というか。
……良い作品になるためには、良い役者たちが揃わないと駄目なんだな、なんてことを思ったりしました(^ ^)。
■第10場 シュトラッサーの屈辱 ~1941年12月2日(夜)~
この場面だけ、場面タイトルが場所の名前じゃないんですね。
ここまでは全部「空港」だの「カジノ」だの、場所の名前だったのに。
……あ、「集会」ってのがあったか。
そんなことはともかく。
この場面のともちん(悠未ひろ)は、本当に格好良いです。
以前にも書きましたが、彼らが守ろうとするのは「我らがドイツ」なんです。
気候が厳しく生産力の低い北方に生まれた彼らが、どれほどに豊かな農業国フランスを羨んだことでしょう。
彼ら(ナチス)がやったことが「正義」だとは全く思いませんが、少なくとも、その構成員一人一人は、それが自分の「正義」だと思ってやっていたんだと思うんですよね。
そういう、曇りない信念の強さがあるから、あの場面がすごく好きなんです。
シュトラッサーは、国歌対決で敗北するその瞬間まで、完全な紳士でした。
それが、ここで敗北して初めて、リックのカフェの閉鎖を命じます。「(理由は)自分で考えろ!」という無茶なやり方で。
ただ、それでも彼は、ヴィクター・ラズロを「その場で逮捕」はしなかった。そこまでするには、プライドが許さなかったんでしょうね。
ラズロを捕えるなら、公明正大に捕えなくてはいけないと思っていたから。
それでも、敗北による苛々は募る。だから、その高揚を天にぶつけて、落ち着こうとする。
♪私は守る 守り抜く ああ
♪我が栄光のドイツ帝国
彼らは、負ければ後がないんですよ。元々が貧しい国なんだから。
貧しい人々が、持てるすべてを投げ出して闘いに打って出たのですから。
彼らを守るために、軍人たちは絶対に負けるわけにはいかない。誰に聞かせて脅すつもりもない、そういう、自分自身の決意の歌なんだと思って聴いています(^ ^)。
役を離れて歌そのものについて書きますと、大劇場では声も朗々と劇場中に響いて、本当に素晴らしかったです!(*^ ^*)
東宝では、喉の調子が良くないのか、音響が馴染まないのか、どこか探り探りやっている気がしてもどかしかったんですが、先週くらいからぐっと良くなってきましたね。本調子になってきたのかな?
■第11場 街路 ~1941年12月2日(夜)~
本舞台のシュトラッサー&ドイツ兵がはけると、下手から銀橋にラズロとイルザが登場。
リックの店を出て、ぐるぐる歩いて尾行を撒いたところ。
『カサブランカでは、人の命は大変安く取引されているらしい……』
リックの店からの去り際に聞かされたシュトラッサーの脅迫が、どうしても耳から離れないイルザが、縋るように言う。
「お願いよ、今日は集会には行かないで!」
わかっているのに。無駄だということは。
夫の性格を知っている彼女には、イヤというほど。
「シュトラッサーの脅迫が怖いの…」
怯えた仔兎のような妻を視て、ふとヴィクターの顔が綻ぶ。
「……じゃあ、ホテルの部屋でジッとしていようか……?」
そんな男がいいの?君の愛する男は、そんな男なの?
そう揶揄するように、なのに、他のどの時よりも甘い口調で。甘い微笑みを浮かべて。
ある意味酷い男だなあ、と思います。女が諦めざるを得ないポイントをちゃんと解っていて、そこを正確に突いて来る。お見事(はぁと)
「……あなたにできるはずが、ない……」
諦めをにじませて微笑むイルザが、すごく儚げでキレイ。一瞬だけで、すぐ立ち直るんですけどね。その一瞬の表情の深さに、さすがすみ花ちゃん、と毎回思うのです(*^ ^*)。
このときにイルザが考えているのは、ラズロを助けなければ、ということなんですよね、たぶん。この後の展開を考えると。
「……それで、リックはなんて言ったの?」
顔をあげて問いかける彼女の貌は、もう、レジスタンスの闘士のそれで。
「持っていることは否定しなかった。だが、……売らないそうだ」
穏やかに応えるラズロ。
「君に聞け、と言われたよ」
そう言われたときの複雑な胸の裡を見せることなく、ひどく柔らかな声で語り続けるラズロ。
彼は、いつ「イルザがリックに惹かれた理由」に気づいたんでしょうね。
二人が(自分の居ない)パリで付き合っていたことは、最初の夜に気がついたのでしょうけれども、付き合い始めたのが自分が死んだというニュースを聞いた後だという確信はどこから来たのかなあ。
……単純に、イルザのことを信じているからそれ以外の可能性が浮かばなかった、とか?(^ ^)
「何も言わなくていい。僕は、いつも君を愛しているよ」
『僕』なんですよねえ、イルザに対するときだけは。
リックとか、他の人に対しては『私』なのに。
「私もよ、ヴィクター」
美しい貌を伏せて肯いて。
それから、決心して貌をあげる。
「私がこれから何をしたとしても、あなたを愛していることに変わりないわ」
あたしが貴方を守る。必ず。
貴方をこんな地の果てで死なせたりしない。絶対に。
その決意の瞳を、しばし見凝めるラズロ。
長い間。
それから、ゆっくりと長い腕をあげて、大切なものを包み込むように、イルザを抱きしめる。
棒のように固くなったまま抱き寄せられながら、ふ、と力が抜けるイルザ。
大劇場で最初に観た頃は、単に段取りでやっているようにも見えてしまった抱擁シーンですが。
大劇場の後半から、恐る恐る手を延ばす蘭トムさんの、敬虔なといいたいほどの表情にやられてしまいました。
大切なもの……宝物とかのレベルではなく、ラズロにとってのイルザが宗教的な象徴でさえあるかのように見えたんですよね。喪いえないもの。喪ったら自分も壊れてしまうような。
いわゆる「愛」とはどこか違うもの。……畏れさえ含んだ、手に取ることも憚られるような「神聖な」存在。
自分が支えていなければ脆く崩れてしまいそうなあやうさもあるのに、手の届かないところで輝いている星のような存在でもある。ラズロにとっての、護るべき『うつくしきもの』。
生身の人間であることを棄てて、禁欲的な「ヒーロー」で在ろうとしてきたラズロという存在にとって、愛するものもまた、人間であることを超越した存在であってほしいんだろうな、と。
そんなラズロの『理想』であることが、イルザにとっての喜びであり、また同時に、苦しみでもあったのだろう、と。
それが『苦しみ』であることに、イルザ自身は気づいていなかったとしても。
『私が何をしたとしても』
この台詞を発したとき、すでにイルザは、この後どこへ行くか決めているんですよね。
どこへ行って、何をするのか。
『あなたを愛していることに、変わりないわ』
すべてはあなたへの愛ゆえ。
そう、自分自身に言い訳をして。
『あなたを愛している』
ラズロが自分に向ける想いと、同じモノなのかどうかは、解らないけれど……。
ラズロはこのとき、どこまで気づいているのかな?と思うんですが。
それについては、Graphでも何も言ってませんよね。
『私が何をしたとしても』とまで言われて、スルーできるほど鈍い男じゃないと思うんですよ。
普通に「何するつもりだお前」って思うよね?
空港では全て気がついていたわけだし(by Graph)。
でも、イルザを置いて集会へ向かう。
リックが「君の奥方に聞いてみろ」なんて言ったのは、その言葉をラズロからイルザに伝えさせたかった(そう言えば直談判しに来るだろうと思った)からでしょうし、
その意図は十分ラズロにも伝わっていると思うんですよね。
なのにそれを、あっさりとイルザに伝えて、しかも街路に置いていく。
『行ってきてくれ。頼む』
と言っているのも同然じゃないですか?
……“いっそのこと、よりを戻して二人で行ってくれ”と思っているのも掛け値なしの真情なんでしょうから、全体としては矛盾はないんですけどね。イルザを喪っても、自分が行かせたのだと思えば慰められるでしょうし。
あるいは、世界平和を取り戻したら迎えに行こう、くらいのことは考えている…のかもしれない。
ただ、この場面の前にはあまりラズロの気持ちが見える場面が無いので、ラズロが何を考えてこういう行動を取ったのかがわかりにくいな……とは思います。二番手役の不利なところなのかもしれません。
■第12場 リックの店(閉店後) ~1941年12月2日(夜)~
カール(寿つかさ)と、営業停止中の給与の配分について相談しているリック。
二人とも、店に出るときの制服(白いダブルのスーツ)は脱いで、着替えています。
そういえば。ここでリックが着ているグレイのスーツ、幕開きの銀橋で、トレンチの下に着ているスーツに凄くよく似ていると思うのですが、違うものなのでしょうか……?
(有村さん拘りのピンホールピン、とやらは、幕開きしかつけてないようですが)
「実は今夜、大切な集会がありまして。そろそろ失礼をさせていただきたいのですが」
この先の見通しを確認しあって話が切れたところで、カールが切り出す。
この「集会」は、前夜と同じく、レジスタンスの地下集会なわけですが。
リックは彼らのやっていることについて、どこまで知っているんですかねぇ。解っているけど眼を瞑っている(だから「俺には言うな」と)のは解るんですけど。それにしても、花売りのファティマとか、アクセサリー売りのバーガーとか、表に立って活動している人たちが入り浸っているわ、スタッフ全員が集会に参加しているわ(しかも結構センターで踊ってる)(←いや、それは関係ないから)、こんな状況であることを把握できているのかなあ……?
カールを見送ったリックが、軽く溜息をついて二階への階段を昇り始めたところで、境に降りているカーテンをかき分けて、イルザが姿を現す。
留まる、時間。
「……どこから入ったんだ?」
驚きを隠して、平静な声で。
いや、ラズロにああいう伝言を預けた以上、予想をしていなかったはずは無いのですが。
「通用口が開いていたわ。どうしてもあなたにお願いしたいことがあって」
「まさか、例の通行証には関係ないんだろうな?」
あれのおかげで、俺はとんだ人気者だ、と揶揄する口調で言いながら、階段を降りて店の奥(下手)へ向かうリック。追うイルザ。
「言い値で買うわ。お願いだから、私に譲って」
冷静に、冷静に。自分自身にそう言い聞かせるイルザの心の声が、聞こえてくるようです。
「あの人が背負う使命を、理解してほしいの」
あたしが守ってみせる。あの英雄を、必ず。
だから今、あたしは目の前のこの男に勝たなくてはいけない。
かつて愛した、この男に。
「他人の使命なんて、俺には関係ない」
逃げるリック。
追うイルザ。
「あなただって、ファシズムと闘ったんでしょう?……お願いよリチャード、パリのあなたに戻って!」
……イルザは、パリ時代のリックについて何を知っているんでしょうか。
回想のパリ時代を思うと、イルザの知っている『パリのリック』は、既に戦場でのトラウマを抱えた平和主義者になりきった後だと思うのですが。
彼がかつてファシズムと闘った英雄だった、という事実は、バーガーたちの口を通じてラズロに伝わっているわけだから、そこからさらにイルザにも伝わっていても不思議は無いんですけれども。
なんだか、その話を聞いたイルザが、自分が付き合っていた頃のリックのことだと思い込んで、『だから私は彼を愛してしまったんだわ!』などと短絡的に納得してしまった、とか……などと考えていたら、ちょっと哀しくなってきました……
やっぱり、深読みしすぎは良くないですね(^ ^;ゞ
「……俺はもう、自分のため以外には闘わないことにしたんだ」
そう、呟くように教えながら、肩を丸める仕草が、酷く切ないです。
リックの言葉は、イルザには届かない。
リックはただ、イルザの気持ちを確かめたいだけなのに。
「あなたが助けてくれなければ、ヴィクター・ラズロはカサブランカで死んでしまう!」
激昂するイルザに、ゆっくりと間をとって、リックは呟く。
「俺もカサブランカで死ぬだろう」
なぜラズロだけが特別なんだ。
お前が愛したのは、あいつ一人じゃないはずなのに。
「……死ぬには良いところだ」
何かを諦めたように、イルザに背を向けて煙草を出すリック。
……そういう一つ一つの仕草が、本当に格好良いなあ、と観るたびに感心します。っていうか、すみません、痛いファンで……。下級生たちがわらわら居るときはあまり真ん中に集中できないので、こういうところでは頑張って観ています(^ ^)。
震える手で、クラッチバッグから小振りの銃を取り出すイルザ。
ゆっくりと銃口を向けて、引き金に指をかけるときには、震えもおさまって。
振り向いたリックの、眉をひそめた表情。
「……さあ。通行証を頂戴」
感情を押し殺した、低い声。
「……嫌だね」
こちらはむしろ、平静な声で。
「もう一度言うわ。通行証を頂戴!!」
感情を昂ぶらせて叫ぶイルザに、落ち着き払った様子でリックが教える。
この店で再会してから初めて、自分自身の本心を。
「……君はラズロのためだったらなんだってするんだろう?」
公演の回数を重ねるごとに、このあたりの会話の間が、どんどん長くなっているような気がします。
お互いに逡巡しあい、「こんなことを言っていいのか?」と思いながら本音をぶつけあう二人。
「それならば、俺を撃て」
ラズロのために何でもするというのなら、撃つがいい。
「その方が、俺も楽になる。……さぁ、撃て、」
諦められる。すべてを。
「…撃つんだ!」
ここまでのリックの口調からは想像もできないほどの、勁い声。
イルザの瞳から眼を離さずに、胸をそらせて腕を広げたリックが、物凄く大きく見える。
たぶん。
戦場を駆けていた頃のリックは、こういう声で話していたんだろうな、と、そんなことを思います。戦場の悲惨さの中で、掲げていた理想を見失ったときに、彼は、こういう声をも喪失してしまった。
戦場を逃げ出して、一年間のパリ生活、そして、半年の逃避行、また一年間のカサブランカでの生活。
長いリハビリに少しづつ癒されていた、彼の心を取り戻すきっかけになったのは、イルザとの再会でした。彼が一番『落ちて』いたときにであったファム・ファタル。
イルザとの再会で、留まっていた時計が動き出す。サラサラ、サラサラ、と音を立てて。
イルザとの再会、ラズロとの出会い。
これを運命と呼ぶのなら、神様はとても残酷で、でも、乗り越えられない試練は与えない方なのだ、と。
「あなたを忘れようと努力したわ……!!」
姿勢を保ちきれずに、泣き崩れるイルザ。
腕を広げたまま、無言で見下ろすリック。
「でも、出来なかった。あなたがパリを去ったあと、どんな思いをしたか」
「あなたを愛してた、……そして、今でも!」
自分の口から出た言葉に、驚くイルザ。
焼けぼっくいに火が点いた瞬間、というものを、現実で見ることがあるとは想いませんでした。
……そのくらいリアルに、「思い出した」瞬間を見せ付けてくれた野々すみ花の天才。
イルザは本当に忘れていたんだと想うのです。
パリでの恋は、あの時点では真実だったのだ、と。
いみじくも、別れ際に自分自身が言ったとおりに。
リックは、信じたかったんだと思う。
あのときのイルザは、嘘じゃなかった、と。
あのときは、それが真実だった、と。
リックにとっては、それがすべて。そこに真実があったなら、それでいい。
あの時間が嘘でないなら、彼はもう一度、闘うことができる。
ラズロと対等な男であるために。
泣き崩れたイルザをひたむきに見凝めながら、リックは一歩踏み出す。
重たい一歩。そして、もう一歩。煙草は指に挟んだままに。
そして。
そして、ふいに滑らかに動き出す。
二歩、三歩、あっという間に間合いを詰めて、銃を手放したイルザの右ひじを掴み、煙草を持ったままの右手をすっと背中に回す。
抱き寄せて。抱きしめて。骨も折れんばかりに。
『私が何をしたとしても、あなたを愛していることに変わりないわ』
そんなリフレインが耳の奥で鳴っている。
それでも。
「過去」に引き戻されたイルザの耳には、もう、その言葉は届かない……。
あああ、やっぱり終わらなかった……。
新公までに、ラストの空港まで書いておきたかったんですが。
明日は新公なので、しばらく新公の話になると思います。すみません。
カチャ、エリちゃん、かいちゃん、がんばれーーーーーーっ!!
.
若人たちの「カサブランカ」
2010年1月21日 宝塚(宙) コメント (2)東宝劇場にて、宙組新人公演「カサブランカ」を観劇してまいりました。
新公演出は小柳奈穂子。一本ものなのでどうするのかなあ?と思っていたら、パリの場面と、群衆の場面(「ヴィザを!ヴィザを!」と「リックの店の捜索」)をマルッとカットしていました。
オープニング、リックが銀橋を渡りきったら、もうそこが空港だったことに吃驚(@ @)。
下級生ファン的には見せ場が削られていてとても残念でしたけれども、物語の筋立てを考えたら、カット場面の選定は間違ってないと思います。
ただ、そのカットに合わせて台詞を変えたりといったことは全くしていなかったので、新人公演を独立した作品としてみると、だいぶ意味不明なところが多かったとは思います。
フルバージョンの本公演の流れのままに、ところどころを飛ばしている、という感じなので。
「カサブランカ」は、前の場面での会話で使った台詞をを次の場面でも引っ張っていたり、そういうお洒落な展開が多いので、本公演をある程度の回数観てから新公を観る組ファン的には全っく問題無いんですけど、本公演を1,2回で新公、という観客には不親切な演出だな、と思いました。
同じ小池さんの一本モノでも、「太王四神記」(花組版/生田大和)は、非常に細かくカットした上に、カットした場面に関係する台詞は全部手直しされていて、一つの作品としての完成度が高かったのですが。
……まあ、新人公演なので、その辺はどちらでもいいのかもしれませんが。
出演者たちは、本公演をやっているつもりでお稽古すればいいわけだし。
さっきまでいろいろ書いていたんですが、またもや全部消えてしまったので(←どうして懲りるってことを知らないんだ私)、今日のところは、簡単に。
リック(凪七瑠海)
新人公演で主演をはるだけの力も魅力もある人だと思うんですよ、本当はね。芝居だって、良い物もっているんだから。
でも、この作品はちょっと難しすぎたね……(T T)という感じです。
あれだけのガタイと経験がある祐飛さんでさえ散々苦労して、制作発表時には全然ダメだった、ダブルのスーツの着こなし。そんなん、背だけはあっても細くて薄いカチャに、なんとかしろと言っても無理でしょう。
他の組を見渡しても、新公学年でリックをやらせたいジェンヌが、全く思い浮かびませんもの(T T)。
ただ、声はもう少しなんとか出来たんじゃないのかな、と残念に思います。
研2や3の抜擢組じゃないんだし、春にはバウ主演も控えているんだから、がんばってほしい!という思いをこめて、ちょっと辛口かもしれませんが。
昔から声が課題だった人ですが、シシィ役で女役の声を作り直して以来、男役としての声を見失っているような気がする。昔はもう少し出ていたと思うんだけどなあ……
とにかく、呼吸が浅い。と思うんですけよね。浅く吸って、喉で喋ってる。歌ってる。腹で支えてないから、良いところで響かせられなくて、なんだか鼻声に聞こえるんです(T T)。
カチャの方が祐飛さんより(声は悪くても)歌は巧いだろうと思っていたので、ちょっと驚きました。思っていた以上に、音域が狭かったしな……(@ @)。
そういう、演じる上で根本的なところ(ヴィジュアルと声)がダメすぎて、それ以外の部分を評価することが出来ません。ごめんなさい。
でもね、良いんですよ。これは新公なんですから。失敗を恐れて小さくまとまるより、がつんとコケた方が今後のためです。この失敗をうけて何をするか、どう挽回するか。カチャの場合は、そのチャンスがバウという形で既に与えられているわけですし、どうかどうか、がんばってほしいなと思います。必ず観にいきますので(^ ^)。
イルザ(藤咲えり)
可愛かった!!
本役と同期なだけあって、全然違う役づくりでしっかり造りこんでいて、さすがでした。
すみ花ちゃんのイルザよりは、ちょっとだけ歳上っぽい?かな?
清楚で慎ましやかで美しくて、儚げな女性像でした。革命の闘士でもなんでもなく、ただ、ラズロの理想に憧れて、憧れて、それが自分の生き方だと信じ込んだ少女。
ゲームのキャラクターにも生かされていた(^ ^)うるうるとした大きな瞳が魅力的で、これこそまさに「君の瞳に乾杯」したくなる瞳だな、と思いました。
一番印象として違ったのは、リックのカフェに最初に行ったとき、サムが歌う「As Time Goes By」を聴きながら、何というか……殉教者かなにかのような辛そうな表情をしていたことでしょうか。
今にも泣き出しそうに唇を噛み締めて、大きな瞳をうるうるさせて聴いていました。
キレイだった……。
すみ花ちゃんのイルザは、結構ギリギリ最後の最後まで、自分がリックを愛していることに気づいてない気がするのですが、エリちゃんのイルザは、この「As Time Goes By」を聴いている時点で、自分が彼を完全には忘れていないことも、手紙一つであの状況から姿を消した自分に、リックが深く傷ついたであろうことも、ちゃんと自覚していたような気がします。
彼を傷つけた自分を罰するための「思い出」。それが「As Time Goes By」だった……。
先日CSで流れていたエスプリトークで、エリちゃんが「ラズロと一緒に居るんだから逢うわけにはいかないのに、何がどうなってもいいから逢いたい、と思う」というようなことをお話されていましたが。
……すみ花ちゃんのイルザは、あまりそういう感じはしないのですが、エリちゃんのイルザは、本当にそう思っているんだな、と納得しました。そして、何のために逢いたいのかといえば、彼女は多分、謝りたい(あるいは、赦されたい)んだろうな、……と。
エリちゃんのイルザで、他に印象的だったのは、国歌対決でしょうか。
真ん中に立って「ラ・マルセイエーズ」を歌うラズロを、終始心配そうに見凝めるすみ花イルザと違い、エリちゃんのイルザは、シュトラッサーに脅されるまではちょっと自慢げに微笑んでいたのにちょっと驚いたので。
コリーナ(純矢ちとせ)が差し出すグラスを優雅に受け取り、礼をする様子は、ごくごく普通のマダムのようで。ちょっとだけ、エリちゃんのアニーナが観てみたいな、と思いました。
ラズロ(七海ひろき)
カッコよかった!!
いやー、期待以上に素敵でした。しかも、若い!!37歳には全く見えないリックより、更に若々しい印象で、ヘタをしたらイルザより若いんじゃないか、なんて(滝汗)。
とにかく、三人とも同世代くらいに見えましたね。
……っと。
今気づいたんですが。この三人って、一年前にアンソニー・ブラックとその愛人たちをやっていた三人ですよね!?すげーーーー。全然違う……。
歌やダンスはともかくとして(とりあえず、かいちゃんも祐飛さんのファンに言われたくないだろう)、かいちゃんの芝居は、愛が見えるところがとても好きです。
一つ一つの声にも、仕草にも、すごく愛が籠められているところが。「薔薇に降る雨」でも思いましたけれども、なんというか、相手を視て反応している、というのがわかるんですよね。うん。良い役者だなあと思います。
一番好きなのは、やっぱり深夜のカフェかなあ。
リックに
「それほどまでにイルザが好きか?」
と問われて、即答で「YES」と言うかいちゃんが、凄く好き。
で、そう応えた自分にちょっと吃驚して、でも、あらためて確信を持ってもう一度繰り返す。
「好きです。自分の命に代えても!」
……ちょっと照れたように言うんだよね、この台詞を。胸キュンですわ、まさに(*^ ^*)。
本役さんの、どこか非現実的なヒーロー像とはかなり違う、地に足のついた活動家っぷりで、とても良かったです。
愛があるから、世界を救いたいと思うんだな、と。そこはすごく素直に納得しました(^ ^)。
サム(月映樹茉)
リック、イルザ、ラズロ、ときて、次はサムです。すみません。
えなちゃんのサムが、あまりにも天使のように可愛くて、私はすっかり落ちてしまいました(^ ^;ゞ
ピアノを弾く姿が実に実に楽しそうで。
歌う姿はもっと楽しそうで。
踊る姿も、ものすごく幸せそうで。
あの学年で、ベテラン中のベテランが魂を籠めて造っている役をもらったのに、萬さんの真似をしようとは一切考えずに全く独自の道を歩こうとするそのキャラクターが、心の底から愛おしいです。
実は私、カフェでイルザに「As Time Goes By」を聴かせる彼を観ながら、泣いてしまったんですよね。
黒人の扮装がよく似合ってて、大きな瞳が硝子玉みたいにきれいで。
あのキレイな硝子の瞳には、今まで何を映してきたんだろうか、と。そんなことを考えているうちに。
彼は、リックの傷が開くことを懼れているんですよね。
リックが苦しむ姿を、もう視たくない、と。リックが苦しめば、自分も辛いから。そんな、エンパシーが強すぎるタイプなのかな、と思いました。
リックにとって、イルザが「嘆きの天使」なら、サムは「喜びの天使」なんでしょうね。いつでも自分の傍にいてくれて、見守っていてくれて、必要なときにはいつだって笑顔をくれる、年齢不詳の天使。
新人公演においてパリ時代が丸ごとカットされるのは、もう、仕方のないことなのですが。
新公メンバーで、あのパリのホテルの場面を観てみたい!です。えなちゃん、どんな芝居をしてくれただろうか。あの場面があったなら。
新公にハプニングはツキモノですが、今日の最大のハプニングは、カチャの台詞飛びでしょうか。
「本当の俺」の途中、ルノー(鳳樹いち)と話しているところで台詞が飛んでしまって、しばらくリカバリできなかったんですが。それでも、言葉を止めずにずーっと喋りつづけて、ルノーにも振って、、、流石の舞台度胸だな、と感心しました(^ ^)。よく頑張った!!しばらくしてから、お客さんからフォローが入って無事リカバリできたのですが……あれは、本人も辛かったでしょうけれども、一番辛かったのはルノーと、あと、客席にいた上級生たちでしょうねえ(T T)。
そういえば、途中で上級生たちが固まっているあたりから何か声が飛んでましたけれども、、、(^ ^)。
……私がもっと良い席だったら、すぐに教えてあげたのになあ(涙)。あの場面なら、全部台詞入ってる のにっ!(いばりんぼ)
まあ、台詞は飛ばないに超したことはないのですが、こういうことがあったときの対応とその後の場面の出来で役者のポテンシャルが見えるなあ、と改めて思いました。
崩れなかったカチャ。そんなことがあっても、ちゃんと最後までリックを遣りとおしたカチャは、やっぱり、舞台度胸のある、いいものを持っている人なんですよね。役者としての、大きな可能性を持っている人だと思う。
……ただ、今のままでは、その可能性も生かせるかどうか?と、それが、観ていて切ないです。
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新公演出は小柳奈穂子。一本ものなのでどうするのかなあ?と思っていたら、パリの場面と、群衆の場面(「ヴィザを!ヴィザを!」と「リックの店の捜索」)をマルッとカットしていました。
オープニング、リックが銀橋を渡りきったら、もうそこが空港だったことに吃驚(@ @)。
下級生ファン的には見せ場が削られていてとても残念でしたけれども、物語の筋立てを考えたら、カット場面の選定は間違ってないと思います。
ただ、そのカットに合わせて台詞を変えたりといったことは全くしていなかったので、新人公演を独立した作品としてみると、だいぶ意味不明なところが多かったとは思います。
フルバージョンの本公演の流れのままに、ところどころを飛ばしている、という感じなので。
「カサブランカ」は、前の場面での会話で使った台詞をを次の場面でも引っ張っていたり、そういうお洒落な展開が多いので、本公演をある程度の回数観てから新公を観る組ファン的には全っく問題無いんですけど、本公演を1,2回で新公、という観客には不親切な演出だな、と思いました。
同じ小池さんの一本モノでも、「太王四神記」(花組版/生田大和)は、非常に細かくカットした上に、カットした場面に関係する台詞は全部手直しされていて、一つの作品としての完成度が高かったのですが。
……まあ、新人公演なので、その辺はどちらでもいいのかもしれませんが。
出演者たちは、本公演をやっているつもりでお稽古すればいいわけだし。
さっきまでいろいろ書いていたんですが、またもや全部消えてしまったので(←どうして懲りるってことを知らないんだ私)、今日のところは、簡単に。
リック(凪七瑠海)
新人公演で主演をはるだけの力も魅力もある人だと思うんですよ、本当はね。芝居だって、良い物もっているんだから。
でも、この作品はちょっと難しすぎたね……(T T)という感じです。
あれだけのガタイと経験がある祐飛さんでさえ散々苦労して、制作発表時には全然ダメだった、ダブルのスーツの着こなし。そんなん、背だけはあっても細くて薄いカチャに、なんとかしろと言っても無理でしょう。
他の組を見渡しても、新公学年でリックをやらせたいジェンヌが、全く思い浮かびませんもの(T T)。
ただ、声はもう少しなんとか出来たんじゃないのかな、と残念に思います。
研2や3の抜擢組じゃないんだし、春にはバウ主演も控えているんだから、がんばってほしい!という思いをこめて、ちょっと辛口かもしれませんが。
昔から声が課題だった人ですが、シシィ役で女役の声を作り直して以来、男役としての声を見失っているような気がする。昔はもう少し出ていたと思うんだけどなあ……
とにかく、呼吸が浅い。と思うんですけよね。浅く吸って、喉で喋ってる。歌ってる。腹で支えてないから、良いところで響かせられなくて、なんだか鼻声に聞こえるんです(T T)。
カチャの方が祐飛さんより(声は悪くても)歌は巧いだろうと思っていたので、ちょっと驚きました。思っていた以上に、音域が狭かったしな……(@ @)。
そういう、演じる上で根本的なところ(ヴィジュアルと声)がダメすぎて、それ以外の部分を評価することが出来ません。ごめんなさい。
でもね、良いんですよ。これは新公なんですから。失敗を恐れて小さくまとまるより、がつんとコケた方が今後のためです。この失敗をうけて何をするか、どう挽回するか。カチャの場合は、そのチャンスがバウという形で既に与えられているわけですし、どうかどうか、がんばってほしいなと思います。必ず観にいきますので(^ ^)。
イルザ(藤咲えり)
可愛かった!!
本役と同期なだけあって、全然違う役づくりでしっかり造りこんでいて、さすがでした。
すみ花ちゃんのイルザよりは、ちょっとだけ歳上っぽい?かな?
清楚で慎ましやかで美しくて、儚げな女性像でした。革命の闘士でもなんでもなく、ただ、ラズロの理想に憧れて、憧れて、それが自分の生き方だと信じ込んだ少女。
ゲームのキャラクターにも生かされていた(^ ^)うるうるとした大きな瞳が魅力的で、これこそまさに「君の瞳に乾杯」したくなる瞳だな、と思いました。
一番印象として違ったのは、リックのカフェに最初に行ったとき、サムが歌う「As Time Goes By」を聴きながら、何というか……殉教者かなにかのような辛そうな表情をしていたことでしょうか。
今にも泣き出しそうに唇を噛み締めて、大きな瞳をうるうるさせて聴いていました。
キレイだった……。
すみ花ちゃんのイルザは、結構ギリギリ最後の最後まで、自分がリックを愛していることに気づいてない気がするのですが、エリちゃんのイルザは、この「As Time Goes By」を聴いている時点で、自分が彼を完全には忘れていないことも、手紙一つであの状況から姿を消した自分に、リックが深く傷ついたであろうことも、ちゃんと自覚していたような気がします。
彼を傷つけた自分を罰するための「思い出」。それが「As Time Goes By」だった……。
先日CSで流れていたエスプリトークで、エリちゃんが「ラズロと一緒に居るんだから逢うわけにはいかないのに、何がどうなってもいいから逢いたい、と思う」というようなことをお話されていましたが。
……すみ花ちゃんのイルザは、あまりそういう感じはしないのですが、エリちゃんのイルザは、本当にそう思っているんだな、と納得しました。そして、何のために逢いたいのかといえば、彼女は多分、謝りたい(あるいは、赦されたい)んだろうな、……と。
エリちゃんのイルザで、他に印象的だったのは、国歌対決でしょうか。
真ん中に立って「ラ・マルセイエーズ」を歌うラズロを、終始心配そうに見凝めるすみ花イルザと違い、エリちゃんのイルザは、シュトラッサーに脅されるまではちょっと自慢げに微笑んでいたのにちょっと驚いたので。
コリーナ(純矢ちとせ)が差し出すグラスを優雅に受け取り、礼をする様子は、ごくごく普通のマダムのようで。ちょっとだけ、エリちゃんのアニーナが観てみたいな、と思いました。
ラズロ(七海ひろき)
カッコよかった!!
いやー、期待以上に素敵でした。しかも、若い!!37歳には全く見えないリックより、更に若々しい印象で、ヘタをしたらイルザより若いんじゃないか、なんて(滝汗)。
とにかく、三人とも同世代くらいに見えましたね。
……っと。
今気づいたんですが。この三人って、一年前にアンソニー・ブラックとその愛人たちをやっていた三人ですよね!?すげーーーー。全然違う……。
歌やダンスはともかくとして(とりあえず、かいちゃんも祐飛さんのファンに言われたくないだろう)、かいちゃんの芝居は、愛が見えるところがとても好きです。
一つ一つの声にも、仕草にも、すごく愛が籠められているところが。「薔薇に降る雨」でも思いましたけれども、なんというか、相手を視て反応している、というのがわかるんですよね。うん。良い役者だなあと思います。
一番好きなのは、やっぱり深夜のカフェかなあ。
リックに
「それほどまでにイルザが好きか?」
と問われて、即答で「YES」と言うかいちゃんが、凄く好き。
で、そう応えた自分にちょっと吃驚して、でも、あらためて確信を持ってもう一度繰り返す。
「好きです。自分の命に代えても!」
……ちょっと照れたように言うんだよね、この台詞を。胸キュンですわ、まさに(*^ ^*)。
本役さんの、どこか非現実的なヒーロー像とはかなり違う、地に足のついた活動家っぷりで、とても良かったです。
愛があるから、世界を救いたいと思うんだな、と。そこはすごく素直に納得しました(^ ^)。
サム(月映樹茉)
リック、イルザ、ラズロ、ときて、次はサムです。すみません。
えなちゃんのサムが、あまりにも天使のように可愛くて、私はすっかり落ちてしまいました(^ ^;ゞ
ピアノを弾く姿が実に実に楽しそうで。
歌う姿はもっと楽しそうで。
踊る姿も、ものすごく幸せそうで。
あの学年で、ベテラン中のベテランが魂を籠めて造っている役をもらったのに、萬さんの真似をしようとは一切考えずに全く独自の道を歩こうとするそのキャラクターが、心の底から愛おしいです。
実は私、カフェでイルザに「As Time Goes By」を聴かせる彼を観ながら、泣いてしまったんですよね。
黒人の扮装がよく似合ってて、大きな瞳が硝子玉みたいにきれいで。
あのキレイな硝子の瞳には、今まで何を映してきたんだろうか、と。そんなことを考えているうちに。
彼は、リックの傷が開くことを懼れているんですよね。
リックが苦しむ姿を、もう視たくない、と。リックが苦しめば、自分も辛いから。そんな、エンパシーが強すぎるタイプなのかな、と思いました。
リックにとって、イルザが「嘆きの天使」なら、サムは「喜びの天使」なんでしょうね。いつでも自分の傍にいてくれて、見守っていてくれて、必要なときにはいつだって笑顔をくれる、年齢不詳の天使。
新人公演においてパリ時代が丸ごとカットされるのは、もう、仕方のないことなのですが。
新公メンバーで、あのパリのホテルの場面を観てみたい!です。えなちゃん、どんな芝居をしてくれただろうか。あの場面があったなら。
新公にハプニングはツキモノですが、今日の最大のハプニングは、カチャの台詞飛びでしょうか。
「本当の俺」の途中、ルノー(鳳樹いち)と話しているところで台詞が飛んでしまって、しばらくリカバリできなかったんですが。それでも、言葉を止めずにずーっと喋りつづけて、ルノーにも振って、、、流石の舞台度胸だな、と感心しました(^ ^)。よく頑張った!!しばらくしてから、お客さんからフォローが入って無事リカバリできたのですが……あれは、本人も辛かったでしょうけれども、一番辛かったのはルノーと、あと、客席にいた上級生たちでしょうねえ(T T)。
そういえば、途中で上級生たちが固まっているあたりから何か声が飛んでましたけれども、、、(^ ^)。
……私がもっと良い席だったら、すぐに教えてあげたのになあ(涙)。あの場面なら、全部台詞入ってる のにっ!(いばりんぼ)
まあ、台詞は飛ばないに超したことはないのですが、こういうことがあったときの対応とその後の場面の出来で役者のポテンシャルが見えるなあ、と改めて思いました。
崩れなかったカチャ。そんなことがあっても、ちゃんと最後までリックを遣りとおしたカチャは、やっぱり、舞台度胸のある、いいものを持っている人なんですよね。役者としての、大きな可能性を持っている人だと思う。
……ただ、今のままでは、その可能性も生かせるかどうか?と、それが、観ていて切ないです。
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みなこちゃん、だいすき。
2010年1月22日 宝塚(雪)宝塚歌劇団雪組のトップ娘役、愛原実花さんが、水さんと同じく次々回大劇場・東宝劇場公演の千秋楽で卒業することが発表されました。
去年の2月12日に発表されてから今日まで、1年弱。
内定時の日記は、こちら。 http://80646.diarynote.jp/200902130057037803/
覚悟はしていました。水さんの卒業が発表されたときに。
発表がいつになるかはわからないけれども、みなこちゃんも一緒に翔び立ってしまうのだろうな、と。
いや、内定発表があったときから覚悟していた、というべきかもしれません。
トップ娘役としていつまでも居てくれる人じゃないことは判っていたから。
今の立場になることがなければ、もしかしたら長く在団してくれたのかもしれません。でも、いったんトップ娘役になってしまった以上、2、3作で卒業して女優になるしか選択肢は無くなってしまったんだろうな、と、
予想していた、つもりでした。
でも、寂しい(; ;)。
去年の5月31日にとなみちゃんが卒業し、6月1日に就任してから、翌年の9月12日まで、わずかに1年と3ヶ月。大劇場三作+全ツ一作。
……いいえ、そんな期間よりも。
わずか、研7。新公学年ですよ、まだ。
まだまだ、宝塚で観ていたかったのに、なあ……。
ドレス映えするスタイル、華のあるダンス力、個性的でファンタジックな、声。
人間の心の光も闇も表現できた芝居力。
素敵な役者でした。
私にとっては、とても魅力的なひとでした。
たぶん。
卒業したらしたで、素敵な女優になってくれるだろう、と、信じています。
もちろん「蒲田行進曲」には絶対に出て欲しいし、お父様の作品だけじゃなくて、たとえばテネシー・ウィリアムズなんかも似合いそうだし、いろんな舞台に挑戦してほしいです。
……ただし、ミュージカルは十分ボイトレしてからにしてね(^ ^)。
あと9ヶ月のご活躍を、そして、その後の飛翔を、楽しみにしています。
最後まで、悔いのないよう、水さんと二人で駆け抜けてください(; ;)。
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去年の2月12日に発表されてから今日まで、1年弱。
内定時の日記は、こちら。 http://80646.diarynote.jp/200902130057037803/
覚悟はしていました。水さんの卒業が発表されたときに。
発表がいつになるかはわからないけれども、みなこちゃんも一緒に翔び立ってしまうのだろうな、と。
いや、内定発表があったときから覚悟していた、というべきかもしれません。
トップ娘役としていつまでも居てくれる人じゃないことは判っていたから。
今の立場になることがなければ、もしかしたら長く在団してくれたのかもしれません。でも、いったんトップ娘役になってしまった以上、2、3作で卒業して女優になるしか選択肢は無くなってしまったんだろうな、と、
予想していた、つもりでした。
でも、寂しい(; ;)。
去年の5月31日にとなみちゃんが卒業し、6月1日に就任してから、翌年の9月12日まで、わずかに1年と3ヶ月。大劇場三作+全ツ一作。
……いいえ、そんな期間よりも。
わずか、研7。新公学年ですよ、まだ。
まだまだ、宝塚で観ていたかったのに、なあ……。
ドレス映えするスタイル、華のあるダンス力、個性的でファンタジックな、声。
人間の心の光も闇も表現できた芝居力。
素敵な役者でした。
私にとっては、とても魅力的なひとでした。
たぶん。
卒業したらしたで、素敵な女優になってくれるだろう、と、信じています。
もちろん「蒲田行進曲」には絶対に出て欲しいし、お父様の作品だけじゃなくて、たとえばテネシー・ウィリアムズなんかも似合いそうだし、いろんな舞台に挑戦してほしいです。
……ただし、ミュージカルは十分ボイトレしてからにしてね(^ ^)。
あと9ヶ月のご活躍を、そして、その後の飛翔を、楽しみにしています。
最後まで、悔いのないよう、水さんと二人で駆け抜けてください(; ;)。
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