大空祐飛 お披露目トークライブ
2009年12月1日 宝塚(宙)宝塚ホテルにて、「サンケイリビング新聞社主催 大空祐飛お披露目トークライブ」に参加してまいりました♪
遠征の後、そのまま旅行に行っていたため、だいぶ更新が滞ってしまいました。こんなに間があいたのは結構久しぶりのような気が……。とっくにCSニュースにも流れてしまって今更なのですが、自分のためのメモをアップさせていただきますm(_ _)m。
録音していたわけでは(もちろん)無いので、かぎかっこで括って書いている部分もご本人の言葉では全くなく、かなり意訳されていると思います。私の解釈だと思って読んでいただければ。
……遠からずCSでもフルで放送されるようですから、ファンの方はそれを待たれたほうがいいかもしれません(^ ^)。と、注意書きしつつ。
司会は遥洋子さん。
いやーーーー、面白かったです。トークって司会者次第なんだなあ、と思いましたね。遥さんが、本当にファンと同じ目線で舞台を観てくださって、ファンが誰しも思うことをしっかり突っ込んでくださるので、すごく面白かったです。
このトークショーの模様が載っているわけではないのですが、遥さんのサイトにリンクをさせていただきます。勝手に申し訳ありません。
http://www.haruka-youko.net/index.html
開幕前の音楽は、グノーのアヴェ・マリア。なんとなく、上演中の作品に関係する音楽が流れるものだと思っていたので、あー関係ないんだなー、と印象に残りました。
祐飛さんは、黒のスーツに鮮やかな朱赤のインナーで、これまた「カサブランカ」の世界とはかけ離れた色彩。相変わらず細いけど、顔色も良く、目の下のクマも少しは薄れたかな…?という感じ。
まずは、まあお披露目公演中のトップスターにはとりあえず聞いとけ、的な質問からスタート。
「今のご気分は?」
「いい気分です(^ ^)」
博多の方が『お披露目』感が満載だったそうです。大劇場公演は、とにかくこの「カサブランカ」を形にすることに必死で、『あ、そういえばお披露目だった』という感じだったとか。
そんな話をしながら、にこぉっと微笑む祐飛さん。なんだか花組時代より2,3歳若返ったような気がしました。若いお嬢さん(←すみ花ちゃん)と、いつも一緒に居るせいでしょうかねぇ(^ ^;ゞ
司会の遥さんが、
「観ていて、お披露目とは思えないほど落ち着いているなーと思ったんですが、ご本人的にもそうなんですねー」
というようなことを仰ってましたが、私も同感でした!(^ ^)。すっごく落ち着いて見えるんですよね。
「舞台を観ても、気負いがなくて自然体で。お披露目特有のハラハラ感がなくて、安心して観ていられました」
という遥さんのコメントに、
「そうなんでしょうか。……そうですね、組子の皆がしっかり支えてくれるから、安心してお芝居に取り組めていると思います」
と応じる祐飛さん。そのしみじみした口調に、お稽古は本当に大変だったんだろうなあ、と実感しました。
実際に0番ポジションに立ってみてどうですか?という質問には……
「大劇場のセンターピン(スポット)は、他とは全然違うんです。魔法のライトですね。皆もこんなのを貰っていたのか!と」
観客の立場で言わせて貰うなら、ライトよりトップマイクの魔法の方がずーっと魔力が強い ような気がするんですけど。そのへんはどうお考えなんでしょうか。
……っていうか。宝塚の舞台には魔法が詰まっているんだな。(素直な気持ち)
「この一年間の一番の山場は?」という質問には、
「この一年は、すべてが山でした」と即答。そして、しみじみと「内定をいただいてからは、本当に、なにもかもが変わったな、と」
そして。「1昨年の月⇒花の組替えから始まった山を、一緒に乗り越えてきてくれたファンの皆は、何があっても一緒に来てくれると信じられたから、すごく安心感がありました」(←意訳)というコメントが、すごく胸に響きました。
『山場を超えてきた皆が支えてくれている、自分はただ全力で芝居に取り組めばいいんだ、と』
……祐飛さん、そういうことをサラッと言える役者に、いつの間になったんだろう……。
遥さん曰く、祐飛さんは
「苦悩と葛藤を演じきった」
と評価されているそうなのですが。……そ、そうなのかな。たしかに、ルドルフ、ホゲと大作での役が目立つし、スコット、ステファーノ、茨木と主演作も多いし……そういうイメージは強いでしょうね。
『ネガティヴなパワー』という言葉も使われていたのですが、まさにそのとおりだな、と思います。特に、今の宙組は蘭寿さん筆頭にどちらかといえば『ポジティヴなパワー』をもつ人が多いし、先代のタニちゃんもそちら側の人だったので、祐飛さんが加わったことでガラッと雰囲気が変わったなー、と実感していたところなので。
ただ、祐飛さん的にはそういう評価は微妙に心外だったらしく、
「ホゲ(太王四神記)の時に、小池さんに『待ってました!って感じじゃない?』と言われたんですけど、自分ではどれも全く違う役だと思って創っているので……」
とぶつぶつ言ってました(^ ^)。『ネガティヴになった理由がそれぞれ違う』んだから、と。
「一番自分に近い役は?」という質問には、
「銀ちゃんだと思います」
と(@ @)。「やりやすいというか、生まれ持ったものは銀ちゃんだった、みたいな」と、ちょっと苦笑気味に話す祐飛さん。そういえば、あの公演では喉をつぶしたりしてとても大変そうだったけど、でも、幸せそうだったなあ(*^ ^*)。
遥「ぎ、銀ちゃんなんですか!? 私(遥)は、リックが一番近いんだろうと思ったんですが……違いますか?」
祐「リックの、一山も二山も越えてきたっぽいところは、5年前には演じられなかっただろうな、と。いろいろ乗り越えた今だからこそ出来るし、わかる、というところは確かにありますね」
そんな会話で、ごく自然にリックの役づくりの話へ。こういうところも、遥さんは巧いというか、テンポがよくて楽しかったです。
リックの役作りで苦労した点は?と訊かれて、「とにかくハンフリー・ボガートのイメージが強いので、一度完全に離さないと出来ないなと思いました。“ボギー”を演じるのではなく、リックにならなければ、と。ただ、その時代のその年齢の男性を表現するためには、映画の仕草の一つ一つを拾う必要もあって、、、映画のイメージを壊さないように、でもボギーの猿真似にならないように……というところに一番苦労しました」(←意訳)
ダブルのスーツの着こなしについては、
「もともと欧米の年配の方の体型に合わせた服なので、着こなしが難しい。自分の体型に合わせて、ミリ単位でなおしていただきました」
「それで、あんなに格好良いんですね!(ポン)」
「そうですね、衣装のおかげで」
…その瞬間、会場を吹き抜けた乾いた風を、私は忘れることは無いでしょう…。
リックの役については、
「いじけてるし、うじうじしてるし、後ろ向きだし、男役として演じるのが難しい」
と、いろいろ考えこみつつ熱く語ってくださいました。
CSニュースでも流れていましたが、
「(フラれた女を)朝まで待っていて、夜明け近くなってやっと来てくれたのに、酔っ払ってあんなこと言うからぷいっと怒って帰っちゃって……朝起きてすごく反省したんです。せっかく来てくれたのに、なんであんなこと言っちゃったんだろう、って。二日酔いでガンガンする頭を抱えて。で、次の日にバザールで出会って、一生懸命謝るんですよね。案外素直だし、可愛いし、憎めない男なんです」
とゆー、聞きながらつい爆笑してしまったコメントとか(^ ^;ゞ
ただ、リックという男の大事なところは、平等思想を明解に打ち出す格好良さと、イルザに対してうじうじと未練を残す駄目男の可愛らしさの両面を持っていて、しかもそのギャップがすごく大きいところだと思うんですよね。
「リアルな男ではないだけに、男役として演じるにあたって、男の駄目さを見せるというのは非常に難しい(女っぽくなり易い)のですが、リアルな男性には弱さもあるのが当然なので、中途半端にせずに、弱さは弱さとして曝け出したほうがいいだろう、と思って、思い切ってうじうじしています」
というコメントが、すごく納得でした。そのほうが、ラストの格好良さが映えるんですよね(*^ ^*)。
リックの、店の従業員に対する公平さや正義感などから
「オスカルを連想しました」
と遥さんがコメントしていましたが、たしかに通じるものがあるのかもしれないな、と納得しました。男装した美少女の突っ張ったところが“男役らしさ”であり、リアルな中年男性のしたたかな弱さが“懐の深さ”になっているという違いがありますけれども、根っこのところは同じなんだな、と。
「宙組についての今の印象は?」
という質問に対しては、
「群衆の芝居が凄い」
と即答。よく言われるコーラスの素晴らしさ、ということもあるようですが、
「舞台上にいる全員が、その時代に生きているのが素晴らしい」という言い方をされていたので、小芝居の見事さにも感心されたみたいでした。
このトークショーの時の話ではありませんが、先日行われた祐飛さんのお茶会でも似たような質問がありまして、そのときに
「宙組っ子の芝居の創り方って、私(大空)の創り方とすごく良く似ているんです。皆が“○○という人物を演じよう”とするんじゃなくて、“○○としてその時代を生きよう”としてくれる」
というコメントがあったことに、凄く感動したんですよね。
たしかに、今回の群衆たちの小芝居は、観どころ満載すぎてもうお腹一杯(; ;)って感じになるくらいなんですが。まあ花組も月組も凄いんですけど、宙組の小芝居はまたちょっとタイプが違うな、という気はします。
それにしても、ここで面白かったのは、遥さんの小芝居観察力(^ ^)。
「回想シーンのカフェでも、トイレに行ったり、グラスの汚れを見つけてクレームをつけたり、、、」
と畳み掛けるようにいろんな話をされる遥さんに、祐飛さんも少し気おされたように
「そ、そうなんですよ!!よく観ていらっしゃいますねえ」
と感嘆の声。
「そういえば、おたくのバーテン(サッシャ/春風弥里)、時々客に勧める振りして盗み飲みしてますよ!」
「え”、そうなんですか?こんどちょっと注意しておきます」
というやりとりもあったりして、めっちゃ面白かったです。
#ちなみに、注意したのかしていないのか不明ですが、サッシャの盗み飲みは、今のところエスカレートする一方です(^ ^)。
この後すぐに、すみ花ちゃんが登場するので、いったん切りますね(^ ^)。
続きは、また、いずれ。
.
遠征の後、そのまま旅行に行っていたため、だいぶ更新が滞ってしまいました。こんなに間があいたのは結構久しぶりのような気が……。とっくにCSニュースにも流れてしまって今更なのですが、自分のためのメモをアップさせていただきますm(_ _)m。
録音していたわけでは(もちろん)無いので、かぎかっこで括って書いている部分もご本人の言葉では全くなく、かなり意訳されていると思います。私の解釈だと思って読んでいただければ。
……遠からずCSでもフルで放送されるようですから、ファンの方はそれを待たれたほうがいいかもしれません(^ ^)。と、注意書きしつつ。
司会は遥洋子さん。
いやーーーー、面白かったです。トークって司会者次第なんだなあ、と思いましたね。遥さんが、本当にファンと同じ目線で舞台を観てくださって、ファンが誰しも思うことをしっかり突っ込んでくださるので、すごく面白かったです。
このトークショーの模様が載っているわけではないのですが、遥さんのサイトにリンクをさせていただきます。勝手に申し訳ありません。
http://www.haruka-youko.net/index.html
開幕前の音楽は、グノーのアヴェ・マリア。なんとなく、上演中の作品に関係する音楽が流れるものだと思っていたので、あー関係ないんだなー、と印象に残りました。
祐飛さんは、黒のスーツに鮮やかな朱赤のインナーで、これまた「カサブランカ」の世界とはかけ離れた色彩。相変わらず細いけど、顔色も良く、目の下のクマも少しは薄れたかな…?という感じ。
まずは、まあお披露目公演中のトップスターにはとりあえず聞いとけ、的な質問からスタート。
「今のご気分は?」
「いい気分です(^ ^)」
博多の方が『お披露目』感が満載だったそうです。大劇場公演は、とにかくこの「カサブランカ」を形にすることに必死で、『あ、そういえばお披露目だった』という感じだったとか。
そんな話をしながら、にこぉっと微笑む祐飛さん。なんだか花組時代より2,3歳若返ったような気がしました。若いお嬢さん(←すみ花ちゃん)と、いつも一緒に居るせいでしょうかねぇ(^ ^;ゞ
司会の遥さんが、
「観ていて、お披露目とは思えないほど落ち着いているなーと思ったんですが、ご本人的にもそうなんですねー」
というようなことを仰ってましたが、私も同感でした!(^ ^)。すっごく落ち着いて見えるんですよね。
「舞台を観ても、気負いがなくて自然体で。お披露目特有のハラハラ感がなくて、安心して観ていられました」
という遥さんのコメントに、
「そうなんでしょうか。……そうですね、組子の皆がしっかり支えてくれるから、安心してお芝居に取り組めていると思います」
と応じる祐飛さん。そのしみじみした口調に、お稽古は本当に大変だったんだろうなあ、と実感しました。
実際に0番ポジションに立ってみてどうですか?という質問には……
「大劇場のセンターピン(スポット)は、他とは全然違うんです。魔法のライトですね。皆もこんなのを貰っていたのか!と」
観客の立場で言わせて貰うなら、ライトよりトップマイクの魔法の方がずーっと魔力が強い ような気がするんですけど。そのへんはどうお考えなんでしょうか。
……っていうか。宝塚の舞台には魔法が詰まっているんだな。(素直な気持ち)
「この一年間の一番の山場は?」という質問には、
「この一年は、すべてが山でした」と即答。そして、しみじみと「内定をいただいてからは、本当に、なにもかもが変わったな、と」
そして。「1昨年の月⇒花の組替えから始まった山を、一緒に乗り越えてきてくれたファンの皆は、何があっても一緒に来てくれると信じられたから、すごく安心感がありました」(←意訳)というコメントが、すごく胸に響きました。
『山場を超えてきた皆が支えてくれている、自分はただ全力で芝居に取り組めばいいんだ、と』
……祐飛さん、そういうことをサラッと言える役者に、いつの間になったんだろう……。
遥さん曰く、祐飛さんは
「苦悩と葛藤を演じきった」
と評価されているそうなのですが。……そ、そうなのかな。たしかに、ルドルフ、ホゲと大作での役が目立つし、スコット、ステファーノ、茨木と主演作も多いし……そういうイメージは強いでしょうね。
『ネガティヴなパワー』という言葉も使われていたのですが、まさにそのとおりだな、と思います。特に、今の宙組は蘭寿さん筆頭にどちらかといえば『ポジティヴなパワー』をもつ人が多いし、先代のタニちゃんもそちら側の人だったので、祐飛さんが加わったことでガラッと雰囲気が変わったなー、と実感していたところなので。
ただ、祐飛さん的にはそういう評価は微妙に心外だったらしく、
「ホゲ(太王四神記)の時に、小池さんに『待ってました!って感じじゃない?』と言われたんですけど、自分ではどれも全く違う役だと思って創っているので……」
とぶつぶつ言ってました(^ ^)。『ネガティヴになった理由がそれぞれ違う』んだから、と。
「一番自分に近い役は?」という質問には、
「銀ちゃんだと思います」
と(@ @)。「やりやすいというか、生まれ持ったものは銀ちゃんだった、みたいな」と、ちょっと苦笑気味に話す祐飛さん。そういえば、あの公演では喉をつぶしたりしてとても大変そうだったけど、でも、幸せそうだったなあ(*^ ^*)。
遥「ぎ、銀ちゃんなんですか!? 私(遥)は、リックが一番近いんだろうと思ったんですが……違いますか?」
祐「リックの、一山も二山も越えてきたっぽいところは、5年前には演じられなかっただろうな、と。いろいろ乗り越えた今だからこそ出来るし、わかる、というところは確かにありますね」
そんな会話で、ごく自然にリックの役づくりの話へ。こういうところも、遥さんは巧いというか、テンポがよくて楽しかったです。
リックの役作りで苦労した点は?と訊かれて、「とにかくハンフリー・ボガートのイメージが強いので、一度完全に離さないと出来ないなと思いました。“ボギー”を演じるのではなく、リックにならなければ、と。ただ、その時代のその年齢の男性を表現するためには、映画の仕草の一つ一つを拾う必要もあって、、、映画のイメージを壊さないように、でもボギーの猿真似にならないように……というところに一番苦労しました」(←意訳)
ダブルのスーツの着こなしについては、
「もともと欧米の年配の方の体型に合わせた服なので、着こなしが難しい。自分の体型に合わせて、ミリ単位でなおしていただきました」
「それで、あんなに格好良いんですね!(ポン)」
「そうですね、衣装のおかげで」
…その瞬間、会場を吹き抜けた乾いた風を、私は忘れることは無いでしょう…。
リックの役については、
「いじけてるし、うじうじしてるし、後ろ向きだし、男役として演じるのが難しい」
と、いろいろ考えこみつつ熱く語ってくださいました。
CSニュースでも流れていましたが、
「(フラれた女を)朝まで待っていて、夜明け近くなってやっと来てくれたのに、酔っ払ってあんなこと言うからぷいっと怒って帰っちゃって……朝起きてすごく反省したんです。せっかく来てくれたのに、なんであんなこと言っちゃったんだろう、って。二日酔いでガンガンする頭を抱えて。で、次の日にバザールで出会って、一生懸命謝るんですよね。案外素直だし、可愛いし、憎めない男なんです」
とゆー、聞きながらつい爆笑してしまったコメントとか(^ ^;ゞ
ただ、リックという男の大事なところは、平等思想を明解に打ち出す格好良さと、イルザに対してうじうじと未練を残す駄目男の可愛らしさの両面を持っていて、しかもそのギャップがすごく大きいところだと思うんですよね。
「リアルな男ではないだけに、男役として演じるにあたって、男の駄目さを見せるというのは非常に難しい(女っぽくなり易い)のですが、リアルな男性には弱さもあるのが当然なので、中途半端にせずに、弱さは弱さとして曝け出したほうがいいだろう、と思って、思い切ってうじうじしています」
というコメントが、すごく納得でした。そのほうが、ラストの格好良さが映えるんですよね(*^ ^*)。
リックの、店の従業員に対する公平さや正義感などから
「オスカルを連想しました」
と遥さんがコメントしていましたが、たしかに通じるものがあるのかもしれないな、と納得しました。男装した美少女の突っ張ったところが“男役らしさ”であり、リアルな中年男性のしたたかな弱さが“懐の深さ”になっているという違いがありますけれども、根っこのところは同じなんだな、と。
「宙組についての今の印象は?」
という質問に対しては、
「群衆の芝居が凄い」
と即答。よく言われるコーラスの素晴らしさ、ということもあるようですが、
「舞台上にいる全員が、その時代に生きているのが素晴らしい」という言い方をされていたので、小芝居の見事さにも感心されたみたいでした。
このトークショーの時の話ではありませんが、先日行われた祐飛さんのお茶会でも似たような質問がありまして、そのときに
「宙組っ子の芝居の創り方って、私(大空)の創り方とすごく良く似ているんです。皆が“○○という人物を演じよう”とするんじゃなくて、“○○としてその時代を生きよう”としてくれる」
というコメントがあったことに、凄く感動したんですよね。
たしかに、今回の群衆たちの小芝居は、観どころ満載すぎてもうお腹一杯(; ;)って感じになるくらいなんですが。まあ花組も月組も凄いんですけど、宙組の小芝居はまたちょっとタイプが違うな、という気はします。
それにしても、ここで面白かったのは、遥さんの小芝居観察力(^ ^)。
「回想シーンのカフェでも、トイレに行ったり、グラスの汚れを見つけてクレームをつけたり、、、」
と畳み掛けるようにいろんな話をされる遥さんに、祐飛さんも少し気おされたように
「そ、そうなんですよ!!よく観ていらっしゃいますねえ」
と感嘆の声。
「そういえば、おたくのバーテン(サッシャ/春風弥里)、時々客に勧める振りして盗み飲みしてますよ!」
「え”、そうなんですか?こんどちょっと注意しておきます」
というやりとりもあったりして、めっちゃ面白かったです。
#ちなみに、注意したのかしていないのか不明ですが、サッシャの盗み飲みは、今のところエスカレートする一方です(^ ^)。
この後すぐに、すみ花ちゃんが登場するので、いったん切りますね(^ ^)。
続きは、また、いずれ。
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大空祐飛 お披露目トークライブ【2】
2009年12月2日 宝塚(宙) コメント (2)昨日は、日記を書き上げてそのまま寝てしまったのですが、今日、あらためてニュースのトークライブの模様を視てみました。
……だいぶちがうなーーーーー(^ ^;;;;;ゞ
すっすみませんっ。やっぱり、ファンの方は放送までお待ちいただいたほうがいいかも(汗)。
あ、でも。映像を視ていて思いだしたことが一つ。
「素の自分は銀ちゃんに似てる(と思う)」という話の中で、「あんなに我侭じゃないですよ!?」とご自分にフォローしていらっしゃった祐飛さん。
反射的に、「Exciter!」のインタビュー(?)で、「自分自身に似ていると思うのは、Mr. Yuですね。……いや、あんな風に寝坊はしませんよ?」とフォローされていた真飛さんを凄く思い出しました(^ ^)。
つい1年前には、一緒に小池作品のお稽古をされていたお二人。何か通じるものがあるのかもしれませんね(^ ^)。
なんて戯言はおいておいて、トークライブの続き。
遥さんの
「それでは、一番近くで大空さんを観ていらっしゃるであろう方が駆けつけてくださいましたので、いつも呼んでいる呼び方でお呼びしていただけますか?」
という前振りに、まったく何の気負いも見せずに
「すみかぁー!」
と呼びかける祐飛さん。
…ちょっとだけ、大事な宝物にでも呼びかけるような響きを感じたのは、気のせいってやつでしょうか(^ ^)。
その声に呼ばれて現れたのは、薄紫のレースのワンピースに黒いボレロ、髪はきっちりアップにまとめた野々すみ花ちゃん。上手側の衝立の裏からちょこちょこと出てきて、恥ずかしそうにちょこんとお辞儀をする姿は、いつもどおり可愛らしいのに、なんとなく大人っぽい感じすごく綺麗でした。
遥「それでは、お二人とも、お互いを紹介してください」
祐「野々さんは、皆さんもご存知のとおり、舞台上では迫力のある女優で……でも、普段はね(←この『ね』の言い方が好き。いちいちすみ花ちゃんに笑いかけるところが可愛い)、なんだろうなあ……なんというか、ニョロニョロしてます」
あれっ?なんか、ナウオンで言ってたのと違うぞ?
祐「あれ?本人は思い当たること無いみたいだね(すみ花ちゃんの方をみる)。でも、ニョロニョロしてるんですよ、なんとなく。…ね?(客席の方に向き直る感じで)すみ花は、普段でもすぐ“何か”になるんですけど、それがなんかニョロニョロしてる感じなんです」
……かなり意訳している自覚はありますが、原文も相当イミフでした。日本語かそれ?と思いながら聞いてました。でも、なんだかデレデレした祐飛さんの笑顔を見ていれば、要するに何が言いたいのかは何となくわかる、というか……
いやぁ、すみ花ちゃん本当に可愛いっす(デレデレ)。
野「わたしにとっての祐飛さんは……とても大きな方。神様のような方です」
遥「か、かみさま?それはちょっと言いすぎでは…?(汗)」
祐「ね。極端な人なんですよ本当に。話半分にきいてください」
野「本当なんです。毎日思います」
遥「具体的には?」
野「えっと………」
遥「なければいいんですよ」(←このツッコミが早くて鋭かった)
野「いえ、あります!(←必死)えっとえっと、いつも温かくて、まわりを良くみてくださって……すごく頼りがいのある方です」
祐(照笑)
たぶん、こんな感じの会話だったと思います。概略ですが。
で、そのままキスシーンの話になったと思います。パリの最後に抱きしめてキスする場面について、遥さんがその場面のリックの動きを懇切丁寧に解説した後で(ちょっと照れ笑いな祐飛さんと、「天にも昇る気持ち」と言いながら恥ずかしそうに俯いたすみ花ちゃんが死ぬほど可愛かった!)
「抱きしめるのが得意、とかって自覚はありますか?」
「幅が広いので…」
「肩幅?」
「あ、はい、肩幅が広いので、うまくいくんじゃないかなと」
……記者会見のときの小池さんのコメントといい、祐飛さん、最近ラヴシーンを誉められることが多いですよね。……昔からだっけ?
遥「世界で最後のキスみたいに、と言われた後の場面ですが、前半は普通のキスなのに、後半でどんどん盛り上がっていくのが凄くて、『最後』のキスっぽいですよね。あれは意識してやっているんですか?」
祐「キスシーンが多いので、バリエーションということは考えました。あそこは『世界で最後の』という無茶振りなリクエストなので、それこそ一晩中悩んだ んですけど(笑)、やはり二人の高揚感を表現したいな、と」
この辺りとか、イルザについて「手紙を受け取った衝撃を溜息一つで表現する場面が二回もありますが…」という話のあたりでの遥さんが、それはそれは面白かったです。
「カサブランカ」の台詞や、登場人物の心情やなにかを、すべて関西弁で再現してくださったんです。
曰く。
『うっそー、あの人死んだん!?なんでやねん!?』とか。“手紙を受け取ったイルザの気持ち”を、関西弁でまくしたててくださって。……もう、本当に笑い死ぬかと思いました(- -;ゞ。このまま宴会芸になりそうでしたよ。
遥「『あんたを置いてカサブランカを出るなんて出来ひん』と言った舌の根も乾かんうちに『あんたと別れる力なんて残ってへん』とか、ひどすぎません?」
野「そうやって並べると酷いですね…(←納得するな!)…でも、イルザとしては、一瞬一瞬を全力で生きているんですよ。すべての瞬間がドラマティックなことの連続で」
言葉に詰まりながら、一生懸命説明するすみ花ちゃん。そんな彼女を、横からワクワクしながら眺めている祐飛さんも、心の底から可愛かったです。うん。なんて可愛いコンビなんでしょう(*^ ^*)。
全編こんな調子ではあったのですが、それでも、作品が名作なだけに、いろいろと深い話も盛り込まれていたのも良かったです。遥さんの話の引き出し方が巧かったんだと思いますが、
「最後の歌の歌詞が、『明日からも一人で生きていく』みたいな感じなんですが、お稽古の最初は、寂しい歌だなーと思っていたんです。でも、途中から前向きになりました。リックは、パリでいろいろあって、心の一部をパリに置いてきてしまったわけですが、イルザと再会し、愛を確かめ合ったことで再生するんですよね。完全な自分になる。で、そうなってはじめて、一人で生きて行けるようになったんだな、と」
っていう話が一番心に残りました。
芝居のラストで、舞台奥の闇の中に消えていく背中が寂しげじゃなかったのは、そういう意味だったのかな、と思ったんですよね。「Hollywood Lover」のラストシーンとの違いは、それだったのかな、と。
演出的には非常に良く似た二つのラストシーンが、観客に全く違う印象を与えることができたのは、もちろん両作品が緻密に構成された良作だったことも大きいんですけど、大空祐飛という役者が、ちゃんと役を生きていることの証座だと思うのです、ええ。
(←贔屓目すぎて頭痛がしてきた……痛くてすみません汗)
この後も、あれこれと今回の作品に対する役作りをお二人に聞いた後で。
遥「これからどんなコンビになりたいですか?ではまず、野々さんから」
という前振りで、中締めへ。
野「そうですね……」
遥「なければいいんですよ」(←だから、突っ込みが早すぎるってば!)
野「あります!!(←さっきと同じ展開)……今まで、祐飛さんはいろいろなモノを積み上げてこられて、たくさんのものが詰まっているけど、私はまだまだなので……祐飛さんの一番近くで、同じものをみて、同じことに気づいて、全てをキャッチしていきたいです」
祐「今、素晴らしいことを言われてしまって……どうしようかな(照)。すみ花はアンテナの立っている人なので、お互いにキャッチしあって、お互いが最良のキャッチャーであり、最良のピッチャーであるようなバッテリーでいたいですね」
そんなコメントをラストに、すみ花ちゃんは退場。
下手側においてあって衝立に向かうすみ花ちゃんを、穏やかな笑顔で見送る祐飛さんがとても可愛い。
この後は、会場の人からの質問コーナー……だったと思います(抽選コーナーが先だったかも??)。祐飛さんが客席の通路の台に立たれて、開始前に集められた質問のうち、遥さんが選んだ質問を書いた方のお名前とともに読み上げるという形式。
全部は覚えていないのですが、覚えているものだけ箇条書きで。
●終演後に野々さんと乾杯するとしたら、何に乾杯されますか?
⇒君のおもしろさに、かな。
●サッシャからの『ロシア式の挨拶』の時の気分は?
⇒本読みの段階でも強烈だなと思ったけど、彼女(春風弥里)はキャラも濃いので、物凄く強烈です。
●初日のアナウンスで拍手が起きたときの気持ちは
⇒ありがたいなーと思いました。上手のセリの中にいたので、聞こえましたよ、ちゃんと。
●大空さんがイルザだったら、リックとラズロ、どちらを選びますか?
⇒恋人にするならリック、結婚するならラズロ。でも、私が一番好きなのはルノーなんですけどね(^ ^)
●宙組(宙組子)に対する今の印象は
⇒弱肉強食。皆ほんとうに良く食べるので、自分の食べ物は自分で確保しないといけない。宙に来て最初に学んだことは、食べたいものには名前を書くこと。「私の分は確保してあるよ」と言うと、下級生が嬉しそうに「良かったー、安心して食べよう」と言う(←誰だ!?)
とにかく元気が良くて、明るい。食欲と、それを消費するパワーがある組
あと、確か「私(大空)は、家族の中で一番背が高いんです」という回答があったと思うんですが、その答えがでてきた質問は何だったっけなー……?
……そんなところでしょうか。
最後に、ちらっと春のドラマシティ公演のお話をしてくださいました。
まだ詳細は全然わからないみたいでしたが、テーマは、今まで見た事が大空祐飛だそうです。
えーっと。あの人はキャリアが長いだけあって大概のキャラクターはやったことがあると思うんですが。禁欲的な神父様とか、自堕落な男娼とか、咄嗟にそんなんしか思い浮かばないよー。
小柳さんのイメージする「今まで観たことがない大空祐飛」っていったい……?
衣装については、「アジアンテイストだけど、ちょっとハードな感じ」とゆーことで、なーんとなく山田ミネコの「最終戦争(ハルマゲドン)」シリーズを思い出しました。今回の公演がひたすらオールバックなので、前髪を下ろした長髪鬘とか、期待してみようかな★
もうすぐ撮影なので、と仰っていたので、この公演中に撮るのでしょうか?どんな感じになるのかな。アップされるのがめっちゃ楽しみです!
……「ユーリンタウン」とは全く関係ないみたいですね(^ ^)(←当たり前だ)
とにかく楽しいトークでした。
遥さん、祐飛さん、ありがとうございまーす!!(はぁと)
.
……だいぶちがうなーーーーー(^ ^;;;;;ゞ
すっすみませんっ。やっぱり、ファンの方は放送までお待ちいただいたほうがいいかも(汗)。
あ、でも。映像を視ていて思いだしたことが一つ。
「素の自分は銀ちゃんに似てる(と思う)」という話の中で、「あんなに我侭じゃないですよ!?」とご自分にフォローしていらっしゃった祐飛さん。
反射的に、「Exciter!」のインタビュー(?)で、「自分自身に似ていると思うのは、Mr. Yuですね。……いや、あんな風に寝坊はしませんよ?」とフォローされていた真飛さんを凄く思い出しました(^ ^)。
つい1年前には、一緒に小池作品のお稽古をされていたお二人。何か通じるものがあるのかもしれませんね(^ ^)。
なんて戯言はおいておいて、トークライブの続き。
遥さんの
「それでは、一番近くで大空さんを観ていらっしゃるであろう方が駆けつけてくださいましたので、いつも呼んでいる呼び方でお呼びしていただけますか?」
という前振りに、まったく何の気負いも見せずに
「すみかぁー!」
と呼びかける祐飛さん。
…ちょっとだけ、大事な宝物にでも呼びかけるような響きを感じたのは、気のせいってやつでしょうか(^ ^)。
その声に呼ばれて現れたのは、薄紫のレースのワンピースに黒いボレロ、髪はきっちりアップにまとめた野々すみ花ちゃん。上手側の衝立の裏からちょこちょこと出てきて、恥ずかしそうにちょこんとお辞儀をする姿は、いつもどおり可愛らしいのに、なんとなく大人っぽい感じすごく綺麗でした。
遥「それでは、お二人とも、お互いを紹介してください」
祐「野々さんは、皆さんもご存知のとおり、舞台上では迫力のある女優で……でも、普段はね(←この『ね』の言い方が好き。いちいちすみ花ちゃんに笑いかけるところが可愛い)、なんだろうなあ……なんというか、ニョロニョロしてます」
あれっ?なんか、ナウオンで言ってたのと違うぞ?
祐「あれ?本人は思い当たること無いみたいだね(すみ花ちゃんの方をみる)。でも、ニョロニョロしてるんですよ、なんとなく。…ね?(客席の方に向き直る感じで)すみ花は、普段でもすぐ“何か”になるんですけど、それがなんかニョロニョロしてる感じなんです」
……かなり意訳している自覚はありますが、原文も相当イミフでした。日本語かそれ?と思いながら聞いてました。でも、なんだかデレデレした祐飛さんの笑顔を見ていれば、要するに何が言いたいのかは何となくわかる、というか……
いやぁ、すみ花ちゃん本当に可愛いっす(デレデレ)。
野「わたしにとっての祐飛さんは……とても大きな方。神様のような方です」
遥「か、かみさま?それはちょっと言いすぎでは…?(汗)」
祐「ね。極端な人なんですよ本当に。話半分にきいてください」
野「本当なんです。毎日思います」
遥「具体的には?」
野「えっと………」
遥「なければいいんですよ」(←このツッコミが早くて鋭かった)
野「いえ、あります!(←必死)えっとえっと、いつも温かくて、まわりを良くみてくださって……すごく頼りがいのある方です」
祐(照笑)
たぶん、こんな感じの会話だったと思います。概略ですが。
で、そのままキスシーンの話になったと思います。パリの最後に抱きしめてキスする場面について、遥さんがその場面のリックの動きを懇切丁寧に解説した後で(ちょっと照れ笑いな祐飛さんと、「天にも昇る気持ち」と言いながら恥ずかしそうに俯いたすみ花ちゃんが死ぬほど可愛かった!)
「抱きしめるのが得意、とかって自覚はありますか?」
「幅が広いので…」
「肩幅?」
「あ、はい、肩幅が広いので、うまくいくんじゃないかなと」
……記者会見のときの小池さんのコメントといい、祐飛さん、最近ラヴシーンを誉められることが多いですよね。……昔からだっけ?
遥「世界で最後のキスみたいに、と言われた後の場面ですが、前半は普通のキスなのに、後半でどんどん盛り上がっていくのが凄くて、『最後』のキスっぽいですよね。あれは意識してやっているんですか?」
祐「キスシーンが多いので、バリエーションということは考えました。あそこは『世界で最後の』という無茶振りなリクエストなので、それこそ一晩中悩んだ んですけど(笑)、やはり二人の高揚感を表現したいな、と」
この辺りとか、イルザについて「手紙を受け取った衝撃を溜息一つで表現する場面が二回もありますが…」という話のあたりでの遥さんが、それはそれは面白かったです。
「カサブランカ」の台詞や、登場人物の心情やなにかを、すべて関西弁で再現してくださったんです。
曰く。
『うっそー、あの人死んだん!?なんでやねん!?』とか。“手紙を受け取ったイルザの気持ち”を、関西弁でまくしたててくださって。……もう、本当に笑い死ぬかと思いました(- -;ゞ。このまま宴会芸になりそうでしたよ。
遥「『あんたを置いてカサブランカを出るなんて出来ひん』と言った舌の根も乾かんうちに『あんたと別れる力なんて残ってへん』とか、ひどすぎません?」
野「そうやって並べると酷いですね…(←納得するな!)…でも、イルザとしては、一瞬一瞬を全力で生きているんですよ。すべての瞬間がドラマティックなことの連続で」
言葉に詰まりながら、一生懸命説明するすみ花ちゃん。そんな彼女を、横からワクワクしながら眺めている祐飛さんも、心の底から可愛かったです。うん。なんて可愛いコンビなんでしょう(*^ ^*)。
全編こんな調子ではあったのですが、それでも、作品が名作なだけに、いろいろと深い話も盛り込まれていたのも良かったです。遥さんの話の引き出し方が巧かったんだと思いますが、
「最後の歌の歌詞が、『明日からも一人で生きていく』みたいな感じなんですが、お稽古の最初は、寂しい歌だなーと思っていたんです。でも、途中から前向きになりました。リックは、パリでいろいろあって、心の一部をパリに置いてきてしまったわけですが、イルザと再会し、愛を確かめ合ったことで再生するんですよね。完全な自分になる。で、そうなってはじめて、一人で生きて行けるようになったんだな、と」
っていう話が一番心に残りました。
芝居のラストで、舞台奥の闇の中に消えていく背中が寂しげじゃなかったのは、そういう意味だったのかな、と思ったんですよね。「Hollywood Lover」のラストシーンとの違いは、それだったのかな、と。
演出的には非常に良く似た二つのラストシーンが、観客に全く違う印象を与えることができたのは、もちろん両作品が緻密に構成された良作だったことも大きいんですけど、大空祐飛という役者が、ちゃんと役を生きていることの証座だと思うのです、ええ。
(←贔屓目すぎて頭痛がしてきた……痛くてすみません汗)
この後も、あれこれと今回の作品に対する役作りをお二人に聞いた後で。
遥「これからどんなコンビになりたいですか?ではまず、野々さんから」
という前振りで、中締めへ。
野「そうですね……」
遥「なければいいんですよ」(←だから、突っ込みが早すぎるってば!)
野「あります!!(←さっきと同じ展開)……今まで、祐飛さんはいろいろなモノを積み上げてこられて、たくさんのものが詰まっているけど、私はまだまだなので……祐飛さんの一番近くで、同じものをみて、同じことに気づいて、全てをキャッチしていきたいです」
祐「今、素晴らしいことを言われてしまって……どうしようかな(照)。すみ花はアンテナの立っている人なので、お互いにキャッチしあって、お互いが最良のキャッチャーであり、最良のピッチャーであるようなバッテリーでいたいですね」
そんなコメントをラストに、すみ花ちゃんは退場。
下手側においてあって衝立に向かうすみ花ちゃんを、穏やかな笑顔で見送る祐飛さんがとても可愛い。
この後は、会場の人からの質問コーナー……だったと思います(抽選コーナーが先だったかも??)。祐飛さんが客席の通路の台に立たれて、開始前に集められた質問のうち、遥さんが選んだ質問を書いた方のお名前とともに読み上げるという形式。
全部は覚えていないのですが、覚えているものだけ箇条書きで。
●終演後に野々さんと乾杯するとしたら、何に乾杯されますか?
⇒君のおもしろさに、かな。
●サッシャからの『ロシア式の挨拶』の時の気分は?
⇒本読みの段階でも強烈だなと思ったけど、彼女(春風弥里)はキャラも濃いので、物凄く強烈です。
●初日のアナウンスで拍手が起きたときの気持ちは
⇒ありがたいなーと思いました。上手のセリの中にいたので、聞こえましたよ、ちゃんと。
●大空さんがイルザだったら、リックとラズロ、どちらを選びますか?
⇒恋人にするならリック、結婚するならラズロ。でも、私が一番好きなのはルノーなんですけどね(^ ^)
●宙組(宙組子)に対する今の印象は
⇒弱肉強食。皆ほんとうに良く食べるので、自分の食べ物は自分で確保しないといけない。宙に来て最初に学んだことは、食べたいものには名前を書くこと。「私の分は確保してあるよ」と言うと、下級生が嬉しそうに「良かったー、安心して食べよう」と言う(←誰だ!?)
とにかく元気が良くて、明るい。食欲と、それを消費するパワーがある組
あと、確か「私(大空)は、家族の中で一番背が高いんです」という回答があったと思うんですが、その答えがでてきた質問は何だったっけなー……?
……そんなところでしょうか。
最後に、ちらっと春のドラマシティ公演のお話をしてくださいました。
まだ詳細は全然わからないみたいでしたが、テーマは、今まで見た事が大空祐飛だそうです。
えーっと。あの人はキャリアが長いだけあって大概のキャラクターはやったことがあると思うんですが。禁欲的な神父様とか、自堕落な男娼とか、咄嗟にそんなんしか思い浮かばないよー。
小柳さんのイメージする「今まで観たことがない大空祐飛」っていったい……?
衣装については、「アジアンテイストだけど、ちょっとハードな感じ」とゆーことで、なーんとなく山田ミネコの「最終戦争(ハルマゲドン)」シリーズを思い出しました。今回の公演がひたすらオールバックなので、前髪を下ろした長髪鬘とか、期待してみようかな★
もうすぐ撮影なので、と仰っていたので、この公演中に撮るのでしょうか?どんな感じになるのかな。アップされるのがめっちゃ楽しみです!
……「ユーリンタウン」とは全く関係ないみたいですね(^ ^)(←当たり前だ)
とにかく楽しいトークでした。
遥さん、祐飛さん、ありがとうございまーす!!(はぁと)
.
シアタークリエにて上演中の「グレイ・ガーデンズ」を観てまいりました。(だいぶ前ですが)
先月は、これと宝塚以外に二本のお芝居を観ました。
新国立劇場「ヘンリー六世」三本立てと、
銀河劇場「フロスト/ニクソン」。
どれも非常に面白かったのですが、まずは「グレイ・ガーデンズ」について。この週末が千秋楽なので、その前に書かせていただきます。
あ。でも。その前に一つだけ。
(花影)アリスちゃん、バウヒロイン、おめでとうございます!
歳上女房って珍しいような気がするけど、カチャ(凪七瑠海)とは「カサブランカ」でも夫婦役で組んでいて、な~んか雰囲気が似ているような気がして、よく似合うなぁと思っていたので、納得してしまいました。
それにしても、誰が出るんだろう……。かいちゃんにはドラマシティに来てほしいんだけどなあ(T T)、、、。
というところで、「グレイ・ガーデンズ」。
宮本亜門は、こういう緻密な中小劇場作品は最高だわ!
大劇場が悪いとは言いませんが、大劇場の演出には大劇場にふさわしい才能が必要だと思うんですよ。ある程度アバウトに割り切る才能ね。小池さんとか、小池さんとか、小池さんとか。
亜門さんは、本当にセンスのあるプロデューサーであり演出家なんですけど、大劇場の演出をやらせると演出的なケレンに走りすぎてしまって、芝居としてのドラマが盛り上がらなくなるきらいがあるんですよね(; ;)。
でも、今回は本当に良かったです。クリエという劇場のサイズが合うんじゃないかな。
作品としても面白かったし、キャスティングがまた秀逸でした(^ ^)。大竹しのぶと草笛光子。この大女優二人をそろえることができるなんて!…これは、さすが宮本亜門というべきなんでしょうか……。
実際観てみると、本当にこの役は大竹しのぶしか考えられないし、草笛光子じゃなくちゃ駄目なんだなあ、と。本当に、すごかったです。
この物語は、ドキュメンタリーの映画が原作になっています。
私は全然知らなかったのですが、アメリカでは有名な映画だそうですね。ジャクリーン・ケネディの親戚、上流階級の家庭で育ち、ジョン・F・ケネディの兄と婚約していたこともあるイーディス・ブーヴィエ・ビールと、その母親。かつては豪壮であったブーヴィエ家の邸宅「グレイ・ガーデンズ」で暮らす母娘二人の、ひどく悲惨で切なくて、非現実的で、けれどもきっと、なにか揺るがないものがある生活。
二幕は、このドキュメンタリーが撮られた時代(1970年代)を舞台にしています。荒れ果てたグレイ・ガーデンズ。権高で口喧しい貴族気質の母・イーディス(草笛光子)と、エキセントリックで性格の激しい娘・リトル・イディ(大竹しのぶ)、そして、御用聞きがてら訪ねてくる少年・ジェリー(川久保拓司)の、なんともいえず乾いた、ファンタジックな関係が丹念に描かれていました。
そして一幕は、その30年前。ドキュメンタリーが創られた後、本人や関係者に取材して構成したようです。まだ若く美しいリトル・イディ(彩乃かなみ)と、美しく華やかな母(大竹しのぶ)。リトル・イディの婚約者、ジョセフ・P・ケネディJr.(川久保拓司)と、屋敷の住み込みのピアニスト(吉野圭吾)。そして、イーディスの父親である厳格なブーヴィエ少佐(光枝明彦)。
一幕・二幕を同役で出演するのは、グレイ・ガーデンズの執事(デイビット矢野)のみ。いや、正確には彼も二幕では一幕の役の息子ということになっているんですけどね、まあ、、、気にしない気にしない(^ ^)。
これに、一幕に出てくるブーヴィエ家の二人の子供たち(後にケネディ夫人となるジャクリーンとその妹)を加えた計9人が、出演者の全て。こぢんまりとした舞台なのに、ものすごく濃いお芝居でした。
家柄も良く、美貌と才能に恵まれた母と娘。
写真で見ると、若い頃のイーディスもリトル・イディ(母と同じ名前なので、こう呼ばれたらしい)も物凄い美人で、女優を夢見るのも納得です。それこそ、ジャクリーン・ケネディ夫人よりずーっと綺麗なんですよね。
そんな美貌で、歌の才能も(そこそこは)あって。頭もよくて勝気で、気位が高くてわがままな、そんな女たち。
この物語に、イーディスの夫である弁護士のビール氏は出てきません。
娘の婚約パーティーにも来ようとしない夫。現実を生きる才能に溢れ、現実にしか興味の無い彼は、夢に溺れた妻の気持ちなど全く理解できなかったのでしょうね。
歌を愛し、舞台に立つ自分を夢見たイーディスは、繰り返しレコードに自分の歌を吹き込み、パーティーのたびに歌を披露し……そして、遂には夫から離縁されてしまう。グレイ・ガーデンズひとつを慰謝料に。
目立ちたがり屋で華やかで、自分が場の中心にいないと気がすまない母。
そんな母を愛しながらも、心のどこかで疎ましく思っている娘。海軍大尉ジョセフ(ジョン・F・ケネディの兄)との婚約パーティーでまで歌を披露しようとしている母を止めようとして、母を傷つけてしまう。
そして。
母は敬虔なカトリックだったジョセフに、リトル・イディの「武勇伝」を話してしまう……。
この場面の、大竹しのぶの怖さ!!
イーディスは、自分の無意識の悪意にまったく気がついてない、そのことがすごく怖かった。自分の娘の『幸せ』を引き裂いておきながら、自分ではそれは娘に対する愛情だと信じているのです。結婚は不幸に直結している。今現在不幸な結婚生活を送っているイーディスは、その思い込みから抜け出ることができません。
女性たるものは例外なく「貞淑であるべき」と決め付けられた時代に、他の何よりも「貞淑」を重要視するカトリックの男に向かって、お前の恋人は、お前なんかの手に負える女じゃないんだよ、と言い放つプライド。
それはたぶん、イーディスが自分の夫に、あるいは父親にずっと言いたかった言葉なのだろうに。
その激しい悪意に晒されたジョセフは、怯えて逃げ帰る。後に残されたリトル・イディは、母を責め、そして、涙をこぼしながら家を飛び出していく。
愛する母親を置いて。置き捨てて。
安全な『母親の腕の中』、美しいグレイ・ガーデンズを飛び出して、ニューヨークの雑踏の中へと。
そのまま一幕は終わり、二幕は、30年後の荒れ果てたグレイ・ガーデンズで始まります。
数十匹の猫と数年分のゴミが堆積し、保健所から退去命令がでるほどだったグレイ・ガーデンズ。
そこには、老いて身体の自由もきかなくなりつつあるイーディスと、ニューヨークから戻ってきていたリトル・イディが棲んでいる。
脚本の中では、この間の『空白の30年間』についてハッキリとは語られませんが、リトル・イディは父親を頼ってニューヨークに出て、モデルの仕事をしながら女優になろうとしたようですね。でも、(当たり前だけど)まっっったくの泣かず飛ばずで、経済的に困窮し、精神的にも壊れかけていたらしい。
舞台では、父親(早い段階でイーディスとは離婚し、愛人と暮らしている)とは何度か会ったりもしていたけれども、病院(おそらく精神病院)に放り込まれそうになったところで母に呼び戻されたことになっていたと思います。
経済的にも精神的にも自立できない“お嬢さん”なイディ。安全な母親の腕を振り切って、自立して生きていくほど娘も強くはなかったし、一人で豪壮な屋敷を切り回して生きていくほどには、母も強くはなかった。
結果として、壊れかけていた娘と、彼女を守ろうとした母親は、長い年月を世間から切り離されて過ごすうちにお互いへの依存ばかりが深まっていく。
もはや離れることはできず、けれども、愛することももはや出来ない。ジョセフとの結婚話が壊れたことを怨みつづける娘と、一度は自分を棄てたにも関わらず、自立に失敗して戻ってきた娘をなじる母親。
二人のあまりにもあからさまな悪意の応酬と、その冷たいやり取りの底にながれる遠慮のなさ、気持ちを曝け出せる安心感みたいなものが絶妙で。すごーく怖い場面だったんですけど、なんだか凄く、ラストに向けてグッときました……(^ ^;ゞ
私自身、今ちょっと親との関係が冷えていて、なるべく距離を置くようにしていたりするので、そういうのも影響したのかもしれませんが、結構泣けてしまいました。
かなみちゃんが、幻のリトル・イディ(30年前)として、何度も何度も家を出て行く場面を再現するのが、凄く痛い。
リトル・イディ(大竹しのぶ)の心の中には、あの光景は何度も何度もリピートされていたのだろう。まるで壊れたレコードのように。イーディス(草笛光子)もまた、娘が自分を棄てて出ていった朝の光景を、何度も何度も思い返したのだろう。痛みを持って。
……家庭をもたない娘と母親の関係って、案外難しいものだと思うんですよね。イーディスとリトル・イディは特殊な例なように見えますけれども、案外、娘が何をしてもなんとなく気に入らない親とか、親に何か言われる度に無性に腹が立つ娘っていうのは、居るんじゃないかな、と(←自分がそうだからって、それが普通だと思っちゃ駄目、かな…?)
そういう気持ちがリアルにわかるから、二人のすれ違いの切なさとか、それでも、無理なものは無理と諦めながらも、微かに歩み寄ろうとするラストシーンとか、すごく重たい、痛々しい感動がありました。
キャストの話を少しだけ。
大竹しのぶさんは、昔を思えばずいぶん歌えるようになったなあ、と(^ ^;ゞ
あの役は、歌手である必要は無いと思うし、パーティーの真ん中で歌うだけの華やかさはあったので、よかったと思います。二幕の奇抜なファッションも良く似合っていたし、他にこのファンタジックな役を演じてほしい女優もいないしね(^ ^)。
草笛さんは、、、、えーっと、あの方はたしか1933年生まれなので……76歳!?
十数年前に、何の作品だったかなあ……美しいおみ足を晒して踊る役を演じていらっしゃるのを拝見して、60過ぎても脚が出せるって凄いなーと思ったことも懐かしい。今回は貫禄のある“老夫人”っぷりが美しかった♪ 肺活量がだいぶ落ちているみたいで、往年の歌声がなかったのは残念ですが、芝居はさすが!!怖いほど貫禄に満ちた上流階級の女性。それでいて、茶目っ気や優しさに満ちて、でも娘に対しては辛辣で……。仕草のひとつひとつを吟味して役に入られているのがよくわかりました。女優たるもの、こうでなくっちゃ!
かなみちゃんは、若さに溢れたエネルギッシュな美女で、当たり役だったと思います。現役時代とはだいぶ芝居の創り方も変わってきて、いい芝居にめぐり合ってよかったね!と素直に思いました。
ただ。しのぶさんが細い(というかガリガリ)なので、もう少し絞ってくれるとバランスが良くなるんだけどな……。
川久保さんは、誠実そうな甘いマスクがどちらの役にもぴったり♪ 特に二幕の少年がお気に入りです。
吉野さんは、胡散臭くて腹黒くて、素晴らしかった!「グールド」って呼ばれているからてっきりグレン・グールドの若い頃かと思っていたのですが、全然関係ないみたいですね。
光枝さんは、一幕でイーディスを追い詰める父親役。どうしても光枝さんというとダンディで優しいイメージがあるので、こういう厳格一方の役は珍しいような気がするのですが、すごく良かったです。やはり声がいい役者は得ですね♪
そんなところかな。
とにかく、非常に興味深い作品でした。もう一回観たかった……(過去形)
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先月は、これと宝塚以外に二本のお芝居を観ました。
新国立劇場「ヘンリー六世」三本立てと、
銀河劇場「フロスト/ニクソン」。
どれも非常に面白かったのですが、まずは「グレイ・ガーデンズ」について。この週末が千秋楽なので、その前に書かせていただきます。
あ。でも。その前に一つだけ。
(花影)アリスちゃん、バウヒロイン、おめでとうございます!
歳上女房って珍しいような気がするけど、カチャ(凪七瑠海)とは「カサブランカ」でも夫婦役で組んでいて、な~んか雰囲気が似ているような気がして、よく似合うなぁと思っていたので、納得してしまいました。
それにしても、誰が出るんだろう……。かいちゃんにはドラマシティに来てほしいんだけどなあ(T T)、、、。
というところで、「グレイ・ガーデンズ」。
宮本亜門は、こういう緻密な中小劇場作品は最高だわ!
大劇場が悪いとは言いませんが、大劇場の演出には大劇場にふさわしい才能が必要だと思うんですよ。ある程度アバウトに割り切る才能ね。小池さんとか、小池さんとか、小池さんとか。
亜門さんは、本当にセンスのあるプロデューサーであり演出家なんですけど、大劇場の演出をやらせると演出的なケレンに走りすぎてしまって、芝居としてのドラマが盛り上がらなくなるきらいがあるんですよね(; ;)。
でも、今回は本当に良かったです。クリエという劇場のサイズが合うんじゃないかな。
作品としても面白かったし、キャスティングがまた秀逸でした(^ ^)。大竹しのぶと草笛光子。この大女優二人をそろえることができるなんて!…これは、さすが宮本亜門というべきなんでしょうか……。
実際観てみると、本当にこの役は大竹しのぶしか考えられないし、草笛光子じゃなくちゃ駄目なんだなあ、と。本当に、すごかったです。
この物語は、ドキュメンタリーの映画が原作になっています。
私は全然知らなかったのですが、アメリカでは有名な映画だそうですね。ジャクリーン・ケネディの親戚、上流階級の家庭で育ち、ジョン・F・ケネディの兄と婚約していたこともあるイーディス・ブーヴィエ・ビールと、その母親。かつては豪壮であったブーヴィエ家の邸宅「グレイ・ガーデンズ」で暮らす母娘二人の、ひどく悲惨で切なくて、非現実的で、けれどもきっと、なにか揺るがないものがある生活。
二幕は、このドキュメンタリーが撮られた時代(1970年代)を舞台にしています。荒れ果てたグレイ・ガーデンズ。権高で口喧しい貴族気質の母・イーディス(草笛光子)と、エキセントリックで性格の激しい娘・リトル・イディ(大竹しのぶ)、そして、御用聞きがてら訪ねてくる少年・ジェリー(川久保拓司)の、なんともいえず乾いた、ファンタジックな関係が丹念に描かれていました。
そして一幕は、その30年前。ドキュメンタリーが創られた後、本人や関係者に取材して構成したようです。まだ若く美しいリトル・イディ(彩乃かなみ)と、美しく華やかな母(大竹しのぶ)。リトル・イディの婚約者、ジョセフ・P・ケネディJr.(川久保拓司)と、屋敷の住み込みのピアニスト(吉野圭吾)。そして、イーディスの父親である厳格なブーヴィエ少佐(光枝明彦)。
一幕・二幕を同役で出演するのは、グレイ・ガーデンズの執事(デイビット矢野)のみ。いや、正確には彼も二幕では一幕の役の息子ということになっているんですけどね、まあ、、、気にしない気にしない(^ ^)。
これに、一幕に出てくるブーヴィエ家の二人の子供たち(後にケネディ夫人となるジャクリーンとその妹)を加えた計9人が、出演者の全て。こぢんまりとした舞台なのに、ものすごく濃いお芝居でした。
家柄も良く、美貌と才能に恵まれた母と娘。
写真で見ると、若い頃のイーディスもリトル・イディ(母と同じ名前なので、こう呼ばれたらしい)も物凄い美人で、女優を夢見るのも納得です。それこそ、ジャクリーン・ケネディ夫人よりずーっと綺麗なんですよね。
そんな美貌で、歌の才能も(そこそこは)あって。頭もよくて勝気で、気位が高くてわがままな、そんな女たち。
この物語に、イーディスの夫である弁護士のビール氏は出てきません。
娘の婚約パーティーにも来ようとしない夫。現実を生きる才能に溢れ、現実にしか興味の無い彼は、夢に溺れた妻の気持ちなど全く理解できなかったのでしょうね。
歌を愛し、舞台に立つ自分を夢見たイーディスは、繰り返しレコードに自分の歌を吹き込み、パーティーのたびに歌を披露し……そして、遂には夫から離縁されてしまう。グレイ・ガーデンズひとつを慰謝料に。
目立ちたがり屋で華やかで、自分が場の中心にいないと気がすまない母。
そんな母を愛しながらも、心のどこかで疎ましく思っている娘。海軍大尉ジョセフ(ジョン・F・ケネディの兄)との婚約パーティーでまで歌を披露しようとしている母を止めようとして、母を傷つけてしまう。
そして。
母は敬虔なカトリックだったジョセフに、リトル・イディの「武勇伝」を話してしまう……。
この場面の、大竹しのぶの怖さ!!
イーディスは、自分の無意識の悪意にまったく気がついてない、そのことがすごく怖かった。自分の娘の『幸せ』を引き裂いておきながら、自分ではそれは娘に対する愛情だと信じているのです。結婚は不幸に直結している。今現在不幸な結婚生活を送っているイーディスは、その思い込みから抜け出ることができません。
女性たるものは例外なく「貞淑であるべき」と決め付けられた時代に、他の何よりも「貞淑」を重要視するカトリックの男に向かって、お前の恋人は、お前なんかの手に負える女じゃないんだよ、と言い放つプライド。
それはたぶん、イーディスが自分の夫に、あるいは父親にずっと言いたかった言葉なのだろうに。
その激しい悪意に晒されたジョセフは、怯えて逃げ帰る。後に残されたリトル・イディは、母を責め、そして、涙をこぼしながら家を飛び出していく。
愛する母親を置いて。置き捨てて。
安全な『母親の腕の中』、美しいグレイ・ガーデンズを飛び出して、ニューヨークの雑踏の中へと。
そのまま一幕は終わり、二幕は、30年後の荒れ果てたグレイ・ガーデンズで始まります。
数十匹の猫と数年分のゴミが堆積し、保健所から退去命令がでるほどだったグレイ・ガーデンズ。
そこには、老いて身体の自由もきかなくなりつつあるイーディスと、ニューヨークから戻ってきていたリトル・イディが棲んでいる。
脚本の中では、この間の『空白の30年間』についてハッキリとは語られませんが、リトル・イディは父親を頼ってニューヨークに出て、モデルの仕事をしながら女優になろうとしたようですね。でも、(当たり前だけど)まっっったくの泣かず飛ばずで、経済的に困窮し、精神的にも壊れかけていたらしい。
舞台では、父親(早い段階でイーディスとは離婚し、愛人と暮らしている)とは何度か会ったりもしていたけれども、病院(おそらく精神病院)に放り込まれそうになったところで母に呼び戻されたことになっていたと思います。
経済的にも精神的にも自立できない“お嬢さん”なイディ。安全な母親の腕を振り切って、自立して生きていくほど娘も強くはなかったし、一人で豪壮な屋敷を切り回して生きていくほどには、母も強くはなかった。
結果として、壊れかけていた娘と、彼女を守ろうとした母親は、長い年月を世間から切り離されて過ごすうちにお互いへの依存ばかりが深まっていく。
もはや離れることはできず、けれども、愛することももはや出来ない。ジョセフとの結婚話が壊れたことを怨みつづける娘と、一度は自分を棄てたにも関わらず、自立に失敗して戻ってきた娘をなじる母親。
二人のあまりにもあからさまな悪意の応酬と、その冷たいやり取りの底にながれる遠慮のなさ、気持ちを曝け出せる安心感みたいなものが絶妙で。すごーく怖い場面だったんですけど、なんだか凄く、ラストに向けてグッときました……(^ ^;ゞ
私自身、今ちょっと親との関係が冷えていて、なるべく距離を置くようにしていたりするので、そういうのも影響したのかもしれませんが、結構泣けてしまいました。
かなみちゃんが、幻のリトル・イディ(30年前)として、何度も何度も家を出て行く場面を再現するのが、凄く痛い。
リトル・イディ(大竹しのぶ)の心の中には、あの光景は何度も何度もリピートされていたのだろう。まるで壊れたレコードのように。イーディス(草笛光子)もまた、娘が自分を棄てて出ていった朝の光景を、何度も何度も思い返したのだろう。痛みを持って。
……家庭をもたない娘と母親の関係って、案外難しいものだと思うんですよね。イーディスとリトル・イディは特殊な例なように見えますけれども、案外、娘が何をしてもなんとなく気に入らない親とか、親に何か言われる度に無性に腹が立つ娘っていうのは、居るんじゃないかな、と(←自分がそうだからって、それが普通だと思っちゃ駄目、かな…?)
そういう気持ちがリアルにわかるから、二人のすれ違いの切なさとか、それでも、無理なものは無理と諦めながらも、微かに歩み寄ろうとするラストシーンとか、すごく重たい、痛々しい感動がありました。
キャストの話を少しだけ。
大竹しのぶさんは、昔を思えばずいぶん歌えるようになったなあ、と(^ ^;ゞ
あの役は、歌手である必要は無いと思うし、パーティーの真ん中で歌うだけの華やかさはあったので、よかったと思います。二幕の奇抜なファッションも良く似合っていたし、他にこのファンタジックな役を演じてほしい女優もいないしね(^ ^)。
草笛さんは、、、、えーっと、あの方はたしか1933年生まれなので……76歳!?
十数年前に、何の作品だったかなあ……美しいおみ足を晒して踊る役を演じていらっしゃるのを拝見して、60過ぎても脚が出せるって凄いなーと思ったことも懐かしい。今回は貫禄のある“老夫人”っぷりが美しかった♪ 肺活量がだいぶ落ちているみたいで、往年の歌声がなかったのは残念ですが、芝居はさすが!!怖いほど貫禄に満ちた上流階級の女性。それでいて、茶目っ気や優しさに満ちて、でも娘に対しては辛辣で……。仕草のひとつひとつを吟味して役に入られているのがよくわかりました。女優たるもの、こうでなくっちゃ!
かなみちゃんは、若さに溢れたエネルギッシュな美女で、当たり役だったと思います。現役時代とはだいぶ芝居の創り方も変わってきて、いい芝居にめぐり合ってよかったね!と素直に思いました。
ただ。しのぶさんが細い(というかガリガリ)なので、もう少し絞ってくれるとバランスが良くなるんだけどな……。
川久保さんは、誠実そうな甘いマスクがどちらの役にもぴったり♪ 特に二幕の少年がお気に入りです。
吉野さんは、胡散臭くて腹黒くて、素晴らしかった!「グールド」って呼ばれているからてっきりグレン・グールドの若い頃かと思っていたのですが、全然関係ないみたいですね。
光枝さんは、一幕でイーディスを追い詰める父親役。どうしても光枝さんというとダンディで優しいイメージがあるので、こういう厳格一方の役は珍しいような気がするのですが、すごく良かったです。やはり声がいい役者は得ですね♪
そんなところかな。
とにかく、非常に興味深い作品でした。もう一回観たかった……(過去形)
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東京宝塚劇場にて、月組公演「ラストプレイ/ヒートオンビート」を観劇してまいりました。
が!
何の呪いだか、さっきから何度書いても落ちるばかりで(T_T)。
ついに、さっき2000文字近く書いたところで4回目のダウンを経験し、諦めました。
また遠征から帰ったら書かせていただきます。
あ、でも、一言だけ。
しずくが男前で、ものすごくカッコ良かった〜〜!!
勿論あいあいもカッコいいし、みっぽーはじめ、姐さんたちの男前さは半端ないし、、、、
がんばれがんばれ月男(^_^;)
ついでに少しだけ、CSの話を。
花組のふぇありーず通信、死ぬほど笑いました。前回(髭部が女子部に異動!?など)は驚愕のうちに終わったんですが、今回はマジで笑いましたわ(^_^)
真瀬くんが素敵すぎて、今週(花組担当)は毎日のようにニュースを観てました。桜咲さんもしっかりついていけるようになって、マメちゃんが卒業しても花組は安泰だなあ……(真顔)
宙組新公映像。
エリちゃんがすごく綺麗!プレッシャーだろうに、頑張ったんだなあ(涙)。そして、予想通り、いや、それ以上に良さそうなルノーのいちくん!素敵なオジサマっぷりで最高です(はぁと)
残念ながら、エミールの安里舞生ちゃんも、バザールで髭をつけているという噂のすみ花ちゃんも、ほとんど映らず……ああ、早く東京でもやってくれェ!!
昨夜、ぼーっとCSをつけていたら、突然アパショナードのお花ちゃんたちの歌が、聞き慣れた声で聞こえてきてびっくりしました。月組公演で観たときから、どっかで聞いたことのある曲だなあ、スタンダードなんだろうなと思ってはいたのですが…ゆうひさんのディナーショー「SORA」の、一花ちゃんとのデュエットの曲だったのね〜!!
しかし。最初に思い出したのが大くんの歌だったのは何故だろう…。ゆうひさんと大くん、別に声は似てないですよね?音程のズレ具合は似てるかもですが。
…どっちも「私が好きな声」とゆー共通点はありますが………。
すみません、こんな感じで。
月組の話は、また改めて。
が!
何の呪いだか、さっきから何度書いても落ちるばかりで(T_T)。
ついに、さっき2000文字近く書いたところで4回目のダウンを経験し、諦めました。
また遠征から帰ったら書かせていただきます。
あ、でも、一言だけ。
しずくが男前で、ものすごくカッコ良かった〜〜!!
勿論あいあいもカッコいいし、みっぽーはじめ、姐さんたちの男前さは半端ないし、、、、
がんばれがんばれ月男(^_^;)
ついでに少しだけ、CSの話を。
花組のふぇありーず通信、死ぬほど笑いました。前回(髭部が女子部に異動!?など)は驚愕のうちに終わったんですが、今回はマジで笑いましたわ(^_^)
真瀬くんが素敵すぎて、今週(花組担当)は毎日のようにニュースを観てました。桜咲さんもしっかりついていけるようになって、マメちゃんが卒業しても花組は安泰だなあ……(真顔)
宙組新公映像。
エリちゃんがすごく綺麗!プレッシャーだろうに、頑張ったんだなあ(涙)。そして、予想通り、いや、それ以上に良さそうなルノーのいちくん!素敵なオジサマっぷりで最高です(はぁと)
残念ながら、エミールの安里舞生ちゃんも、バザールで髭をつけているという噂のすみ花ちゃんも、ほとんど映らず……ああ、早く東京でもやってくれェ!!
昨夜、ぼーっとCSをつけていたら、突然アパショナードのお花ちゃんたちの歌が、聞き慣れた声で聞こえてきてびっくりしました。月組公演で観たときから、どっかで聞いたことのある曲だなあ、スタンダードなんだろうなと思ってはいたのですが…ゆうひさんのディナーショー「SORA」の、一花ちゃんとのデュエットの曲だったのね〜!!
しかし。最初に思い出したのが大くんの歌だったのは何故だろう…。ゆうひさんと大くん、別に声は似てないですよね?音程のズレ具合は似てるかもですが。
…どっちも「私が好きな声」とゆー共通点はありますが………。
すみません、こんな感じで。
月組の話は、また改めて。
雪組全国ツアーチーム 浜松アクトシティ公演の客席に、らぎちゃんがいらっしゃったようですね♪
可愛くポンポンを振っていたんだろうなあ………ううう、お会いできた方がうらやましい!!あああ、雪組全ツは何故宙組公演中なんだろうか………(T T)。
そんな暢気な、2009年12月8日。
そして。
68年前の今朝、1941年12月8日午前3時19分(日本時間)。
ハワイの真珠湾上空にて、日本軍空中攻撃隊が突撃命令を受領した日。
1941年12月8日3時19分。
このとき、ニューヨークでは1941年12月7日午後1時19分。
そして。カサブランカでは、1941年12月7日午後6時19分。
ヴィクター・ラズロが、プロペラ機でカサブランカを去ってから、3日半が過ぎていました。
3日の深夜(4日早朝?)にカサブランカを発った飛行機が、リスボンに着くまで数時間(現代のセスナ機で2時間半くらいなので…)。
そこで、「現地の受け入れと」連絡を取って、ニューヨークへ向かう飛行機なり船なりを手配するのにどのくらいかかるのかわかりませんが。
ラズロがこのニュースを聞いたのは、どこだったのか。
アトランティックを渡る船の中だったのか、それとも、ニューヨークの空港だったのか、いまだリスボンで足止めをくらっていたのか。
そんなことは、この「カサブランカ」という物語にとってはどうでもいいこと。
それでも、ふとそんなことを考えてしまうくらい、この作品の中で蘭トムさんが創り上げたラズロという人物には、英雄らしいリアリティがあった、と思います。
……かっこいいなあ(*^ ^*)。
猫には、ヴィクター・ラズロが辛抱役にはどうしたって見えません(きっぱり)。
近年の大劇場作品の二番手役としては、「マリポーサの花」のエスコバル、「太王四神記」のヨン・ホゲ、「スカーレットピンパーネル」のショーヴランに並ぶ『良い役』だと思うんですけど。
いやむしろ、「黒い瞳」のプガチョフを思い出しましたよ?常に物語の中心というか焦点に居て、愛情と使命感に溢れた、偉大な人物。
祐飛さんのラズロが観たいとも思わないけど(←あの人の個性は、本質的にリックかルノーだと思うし)、この作品で一番かっこいい人は、文句なくラズロだと思うんですけど。少数派なんでしょうか。
いや、単純に、蘭トムさんが格好良すぎて目が眩んでいるのかもしれませんが(^^;ゞ。
みっちゃんのルノーは、案外苦戦してましたね……。
私はみっちゃんが新公で演じたネイサン(by ガイズ&ドールズ)が大好きだったので、実を言えば、久しぶりに見る髭のおじさん役、可愛気のある中年男を、非常に楽しみにしていたのでした。
まあ、胴布団まで入れる必要はないだろうと思ったし、観たときも思ったんですけどね。
みっちゃんなりに(あるいは小池さんなりに)、まずは形から、という感じなのでしょうか…?
実際に観てみて思ったことは、みっちゃんは本当に正直で素直で可愛い、良い子なんだな、と(←褒めてます)
「嘘を吐く」芝居、あるいは「本音を見せない」芝居、っていうのは、すごく難しいんですよ。今の宝塚では、それが出来るスターは少数派だし、そもそも「タカラヅカ」な舞台で、スターがそういう芝居を求められること自体が少ない。ベテラン作家では柴田さんと石田さんくらいだと思うんですよね、「嘘」が多いのは。「心にもないこと」を言わせる作家は他にもいますけど。
どうせ舞台の上で喋る台詞は、すべて台詞、つまり、役者にとっては「嘘」です。その中で「嘘」を「嘘」として語るためには、それ以外の部分をどれだけ「本気」で語れるか、ということと、役の人物の「嘘」の言い方を考えないと無理なんですよね。
ルノーはそもそも本音を語らない人なのに、リックに対する時だけはちょっとだけ根っこが透けて見える、そこがポイントだと思うんです。
嘘を吐かなくてはならない自分を、そんなに卑下してはいないと思うんです。彼には彼の使命(モロッコにおけるフランスの利権を守る)があって、それを達成するためにナチスに膝を折ることにそんなに屈辱を感じているタイプではない。
「彼は彼なりに、ドイツと闘って」いるのです。
だから、彼にとって一番大事なことは、シュトラッサーや他の連中に自分の本音がバレないこと。
なのにみっちゃんは、とっても正直に「クチではこんなことを言っているけど、腹の中は違うんだよー!」ということを表情にあらわしてしまうんですよね。普通なら『表現力が豊か』だとか、『台詞に頼らず、心理状態を的確に表現した』とか評価されるべき実力なのに、ルノーという役に関してだけは、それでは駄目なんですよ……(; ;)。
まず、みっちゃんは、観客をもう少し信用してくれても良いんじゃないか、と思うんですよね。
観ていて、そんなに一生懸命「今の気持ち」を説明してくれなくていいんだよ、と思っちゃうんです。大丈夫。私たちはちゃんと観ているから。あなたの芝居をちゃんと受け止められると思うから、と言ってあげたくなる。
歌は勿論のこと、中年男としての仕草だとか、そういうところがしっかり出来ているだけに、がんばれーーーーっ!!と思います。
ともちんのシュトラッサーは、予想以上に格好よくて感動しました。
齋藤さんあたりが出してきそうな「なんちゃってナチ」衣装ではない、ホンモノ感のあるグレーの軍服がものすごく似合っててかっこいい。
髭が似合うのは知ってますけど、それにあの軍服姿の凛々しさは……(*^ ^*)
「故郷ドイツ」と歌う場面が一番の見せ場だとは思うのですが、実は、私が一番好きなのは、その前の国歌合戦に敗れ、屈辱に貌をゆがめてルノーに命令を降しながら「自分で考えろ!!」と言い放つ場面だったりします♪自分の命令がいかに理不尽であるかをよく分かっていながら、それを言う自分に対する嫌悪感を露にしているあたりがツボ。
ラスト、空港に現れるときのロングコートの翻りかたも超ツボです。長身に映える、というのは、こういう人にこういう衣装を着せたときに言ってほしい!
この調子で書いているときりがないので、とりあえず、大劇場の千秋楽の前に今回の公演で卒業されるお二人についてだけは書いておきたいと思います。
萬あきらさんの、サム。
かーわーいーいー!!
リックに対する愛情に溢れた態度がとても好きです♪ピアノを弾いているときも可愛いけど、やっぱりラ・ベル・オーロールで踊っているときがめちゃくちゃキュート。一緒に踊るエツコ姐さんを、めちゃくちゃカワイイオンナにみせるあたりは、さすが年の功!と思います。
あー、でも、フィナーレはパレードだけなんだよねえ。全員リックに出てくれても良かったのにーーー。
サヨナラショーがないのも残念至極ですわ(T T)。
92期の安里舞生さん。
「逆転裁判2」でキレイな人だな、と思ったのが最初の出会いでした。……すみません。
まさかこの公演で卒業してしまわれるとは露ほども思わず、、、本当にショックでした(泣)。
観れば観るほど可愛くて、最近はすっかり「ラ・ベル・オーロール」の真ん中を観なくなってしまった。ごめんなさい祐飛さん(滝汗)。
あああ、どうしてどうして研4で卒業してしまうなんて非道いことができるんだよおおおお。やっと新公でちーちゃんの役がついて、何もかもこれからじゃないかああああ!!(嘆)
なので。
おそらく、「舞生ちゃんって誰?」という方も多いだろうと思いますので、とりあえず出番のレポートを。
本役(?)は一応、警官です。茶色の制服に、側面が白くて天辺だけ臙脂色の円筒形の帽子を被った一隊の一人。
小さな顔を浅黒く塗って、鼻の下だけ髭をつけています。笑顔がとてもやわらかくて可愛らしいのに、目つきがわりとキツいので、髭をたくわえると雰囲気が鋭くなるあたりがツボ。
あとは、パリのラ・ベル・オーロールの客と、パリ市民……くらいかな。意外と警官隊の出動が多いので、あまりアルバイトができないらしい(^ ^)。
最初の裁判所前広場では、レジスタンス(蓮水ゆうや)をつかまえる警官の一人。たしか、撃たれて倒れたちーちゃんの左腕をつかむ人だったと思うのですが、あまり確信はありません。
このメンバーは、男役が二人(松風輝、安里舞生)に娘役が二人(舞花くるみ、彩花まり)の4人なんですけど、、、、顔のサイズだけじゃなくて、全体的に一番小柄なのが舞生ちゃんに見えたのは気のせいでしょうか……。
他の場面では、警官隊が整列するときに、なんとなく客席側の列の真ん中あたりの位置にいることが多いような気がします。
小柄なので、後列とかじゃなくて良かったです。
リックの店を捜索する場面では、上手側のバーに駆け込んでロールペーパー(?)を持ってくる担当でした。上手の手前側でロールを投げるのですが、私がチェックするようになってからは、届かなかったり変なところにいっちゃったり…ということは特になかったような(^^)。
ラ・ベル・オーロールの客は、最初は一番下手側のテーブルで、雅桜歌さんと二人で話をしています。雅さんも大好きなので、なんだか微笑ましい感じでした(^ ^)。
イルザが知らせを受け取って倒れてしまったとき、客が皆立ち上がったアタリで席替えがあるんですが、舞生ちゃんは、手前のテーブルで妃宮さくらちゃんと話していたさっつん(風羽玲亜)を見つけて、大感動して話しかける、という芝居をしていたと思います。さっつんのファンだったのかな?という感じ。(←適当)
さくらちゃんを松風くんに預けて舞生ちゃんと話を始めるさっつんが、男前でカッコいい。大人の男と、ちょっと田舎から出てきた美少年、みたいな、そんな雰囲気のあるテーブルになってました(←どーゆー雰囲気だよ/汗)。
カンカンが始まったときの、舞生ちゃんの大喜びぶりは半端無いです。顔いっぱいに笑顔をうかべて、拍手しながら見てる。たぶん、カンカンどころか、オンナノコがスカート捲って踊るのを観ること自体が初めての体験なんだろうな、という興奮っぷりがツボ。
途中からカンカンの踊り子がテーブルの上に載って踊るので、そのテーブルを支える係もやっているんですけど、一人だけ張り切って、下手端のテーブルにとっとと座って、一人だけ“ガシっ”とテーブルを押さえているのがめっちゃツボ(^ ^)。
踊り子さんたちがハケて、サムの暖かな歌が流れ、“数ヵ月後”になったときには、また席替えがされていて、舞生ちゃんは松風くんと二列目の下手から2つ目(?)くらいのテーブルへ。
さっつんはさくらちゃんとヨリを戻して、雅さんはたしか、真ん中後ろあたりで女性と踊っていた……と思います。たぶん。
みなさん着替えていないのでわかりにくいのですが、この間に季節は6月になっているんですよね。小池さん的には、さりげなく席替えと相手役交換で年月の流れを表現しているつもりなのかなあ…??
「パリにナチスがやって来る!」のナンバー、パリ南駅の場面では、茶色のコート姿が多い中、舞生ちゃんは帽子もコートも黒っぽいので比較的探しやすい、ような気がします。上手側の、銀橋付け根よりちょっと内側に立って、必死で歌っていました。
フィナーレは「ムーア戦士」の一人として、最後列の下手側端で一生懸命踊っています。ときどき袖のカーテンの陰に隠れつつ……(^ ^)。
全員リックには本来は入っていないのですが、天輝トニカさんが休演されていたときは、代役で入られていました。今にして思えば、衣装部さんはがんばってくれたんだなあ……(感嘆)。
そんなところでしょうか。
今から観劇されるみなさま。
萬さんももちろんですけど、ぜひ、舞生ちゃんのことも見送ってあげてくださいね。
千秋楽まで、あと2日、3公演。
卒業する方も、見送る方も、どうぞ最後まで、悔いのない舞台になりますように祈っています。
.
可愛くポンポンを振っていたんだろうなあ………ううう、お会いできた方がうらやましい!!あああ、雪組全ツは何故宙組公演中なんだろうか………(T T)。
そんな暢気な、2009年12月8日。
そして。
68年前の今朝、1941年12月8日午前3時19分(日本時間)。
ハワイの真珠湾上空にて、日本軍空中攻撃隊が突撃命令を受領した日。
1941年12月8日3時19分。
このとき、ニューヨークでは1941年12月7日午後1時19分。
そして。カサブランカでは、1941年12月7日午後6時19分。
ヴィクター・ラズロが、プロペラ機でカサブランカを去ってから、3日半が過ぎていました。
3日の深夜(4日早朝?)にカサブランカを発った飛行機が、リスボンに着くまで数時間(現代のセスナ機で2時間半くらいなので…)。
そこで、「現地の受け入れと」連絡を取って、ニューヨークへ向かう飛行機なり船なりを手配するのにどのくらいかかるのかわかりませんが。
ラズロがこのニュースを聞いたのは、どこだったのか。
アトランティックを渡る船の中だったのか、それとも、ニューヨークの空港だったのか、いまだリスボンで足止めをくらっていたのか。
そんなことは、この「カサブランカ」という物語にとってはどうでもいいこと。
それでも、ふとそんなことを考えてしまうくらい、この作品の中で蘭トムさんが創り上げたラズロという人物には、英雄らしいリアリティがあった、と思います。
……かっこいいなあ(*^ ^*)。
猫には、ヴィクター・ラズロが辛抱役にはどうしたって見えません(きっぱり)。
近年の大劇場作品の二番手役としては、「マリポーサの花」のエスコバル、「太王四神記」のヨン・ホゲ、「スカーレットピンパーネル」のショーヴランに並ぶ『良い役』だと思うんですけど。
いやむしろ、「黒い瞳」のプガチョフを思い出しましたよ?常に物語の中心というか焦点に居て、愛情と使命感に溢れた、偉大な人物。
祐飛さんのラズロが観たいとも思わないけど(←あの人の個性は、本質的にリックかルノーだと思うし)、この作品で一番かっこいい人は、文句なくラズロだと思うんですけど。少数派なんでしょうか。
いや、単純に、蘭トムさんが格好良すぎて目が眩んでいるのかもしれませんが(^^;ゞ。
みっちゃんのルノーは、案外苦戦してましたね……。
私はみっちゃんが新公で演じたネイサン(by ガイズ&ドールズ)が大好きだったので、実を言えば、久しぶりに見る髭のおじさん役、可愛気のある中年男を、非常に楽しみにしていたのでした。
まあ、胴布団まで入れる必要はないだろうと思ったし、観たときも思ったんですけどね。
みっちゃんなりに(あるいは小池さんなりに)、まずは形から、という感じなのでしょうか…?
実際に観てみて思ったことは、みっちゃんは本当に正直で素直で可愛い、良い子なんだな、と(←褒めてます)
「嘘を吐く」芝居、あるいは「本音を見せない」芝居、っていうのは、すごく難しいんですよ。今の宝塚では、それが出来るスターは少数派だし、そもそも「タカラヅカ」な舞台で、スターがそういう芝居を求められること自体が少ない。ベテラン作家では柴田さんと石田さんくらいだと思うんですよね、「嘘」が多いのは。「心にもないこと」を言わせる作家は他にもいますけど。
どうせ舞台の上で喋る台詞は、すべて台詞、つまり、役者にとっては「嘘」です。その中で「嘘」を「嘘」として語るためには、それ以外の部分をどれだけ「本気」で語れるか、ということと、役の人物の「嘘」の言い方を考えないと無理なんですよね。
ルノーはそもそも本音を語らない人なのに、リックに対する時だけはちょっとだけ根っこが透けて見える、そこがポイントだと思うんです。
嘘を吐かなくてはならない自分を、そんなに卑下してはいないと思うんです。彼には彼の使命(モロッコにおけるフランスの利権を守る)があって、それを達成するためにナチスに膝を折ることにそんなに屈辱を感じているタイプではない。
「彼は彼なりに、ドイツと闘って」いるのです。
だから、彼にとって一番大事なことは、シュトラッサーや他の連中に自分の本音がバレないこと。
なのにみっちゃんは、とっても正直に「クチではこんなことを言っているけど、腹の中は違うんだよー!」ということを表情にあらわしてしまうんですよね。普通なら『表現力が豊か』だとか、『台詞に頼らず、心理状態を的確に表現した』とか評価されるべき実力なのに、ルノーという役に関してだけは、それでは駄目なんですよ……(; ;)。
まず、みっちゃんは、観客をもう少し信用してくれても良いんじゃないか、と思うんですよね。
観ていて、そんなに一生懸命「今の気持ち」を説明してくれなくていいんだよ、と思っちゃうんです。大丈夫。私たちはちゃんと観ているから。あなたの芝居をちゃんと受け止められると思うから、と言ってあげたくなる。
歌は勿論のこと、中年男としての仕草だとか、そういうところがしっかり出来ているだけに、がんばれーーーーっ!!と思います。
ともちんのシュトラッサーは、予想以上に格好よくて感動しました。
齋藤さんあたりが出してきそうな「なんちゃってナチ」衣装ではない、ホンモノ感のあるグレーの軍服がものすごく似合っててかっこいい。
髭が似合うのは知ってますけど、それにあの軍服姿の凛々しさは……(*^ ^*)
「故郷ドイツ」と歌う場面が一番の見せ場だとは思うのですが、実は、私が一番好きなのは、その前の国歌合戦に敗れ、屈辱に貌をゆがめてルノーに命令を降しながら「自分で考えろ!!」と言い放つ場面だったりします♪自分の命令がいかに理不尽であるかをよく分かっていながら、それを言う自分に対する嫌悪感を露にしているあたりがツボ。
ラスト、空港に現れるときのロングコートの翻りかたも超ツボです。長身に映える、というのは、こういう人にこういう衣装を着せたときに言ってほしい!
この調子で書いているときりがないので、とりあえず、大劇場の千秋楽の前に今回の公演で卒業されるお二人についてだけは書いておきたいと思います。
萬あきらさんの、サム。
かーわーいーいー!!
リックに対する愛情に溢れた態度がとても好きです♪ピアノを弾いているときも可愛いけど、やっぱりラ・ベル・オーロールで踊っているときがめちゃくちゃキュート。一緒に踊るエツコ姐さんを、めちゃくちゃカワイイオンナにみせるあたりは、さすが年の功!と思います。
あー、でも、フィナーレはパレードだけなんだよねえ。全員リックに出てくれても良かったのにーーー。
サヨナラショーがないのも残念至極ですわ(T T)。
92期の安里舞生さん。
「逆転裁判2」でキレイな人だな、と思ったのが最初の出会いでした。……すみません。
まさかこの公演で卒業してしまわれるとは露ほども思わず、、、本当にショックでした(泣)。
観れば観るほど可愛くて、最近はすっかり「ラ・ベル・オーロール」の真ん中を観なくなってしまった。ごめんなさい祐飛さん(滝汗)。
あああ、どうしてどうして研4で卒業してしまうなんて非道いことができるんだよおおおお。やっと新公でちーちゃんの役がついて、何もかもこれからじゃないかああああ!!(嘆)
なので。
おそらく、「舞生ちゃんって誰?」という方も多いだろうと思いますので、とりあえず出番のレポートを。
本役(?)は一応、警官です。茶色の制服に、側面が白くて天辺だけ臙脂色の円筒形の帽子を被った一隊の一人。
小さな顔を浅黒く塗って、鼻の下だけ髭をつけています。笑顔がとてもやわらかくて可愛らしいのに、目つきがわりとキツいので、髭をたくわえると雰囲気が鋭くなるあたりがツボ。
あとは、パリのラ・ベル・オーロールの客と、パリ市民……くらいかな。意外と警官隊の出動が多いので、あまりアルバイトができないらしい(^ ^)。
最初の裁判所前広場では、レジスタンス(蓮水ゆうや)をつかまえる警官の一人。たしか、撃たれて倒れたちーちゃんの左腕をつかむ人だったと思うのですが、あまり確信はありません。
このメンバーは、男役が二人(松風輝、安里舞生)に娘役が二人(舞花くるみ、彩花まり)の4人なんですけど、、、、顔のサイズだけじゃなくて、全体的に一番小柄なのが舞生ちゃんに見えたのは気のせいでしょうか……。
他の場面では、警官隊が整列するときに、なんとなく客席側の列の真ん中あたりの位置にいることが多いような気がします。
小柄なので、後列とかじゃなくて良かったです。
リックの店を捜索する場面では、上手側のバーに駆け込んでロールペーパー(?)を持ってくる担当でした。上手の手前側でロールを投げるのですが、私がチェックするようになってからは、届かなかったり変なところにいっちゃったり…ということは特になかったような(^^)。
ラ・ベル・オーロールの客は、最初は一番下手側のテーブルで、雅桜歌さんと二人で話をしています。雅さんも大好きなので、なんだか微笑ましい感じでした(^ ^)。
イルザが知らせを受け取って倒れてしまったとき、客が皆立ち上がったアタリで席替えがあるんですが、舞生ちゃんは、手前のテーブルで妃宮さくらちゃんと話していたさっつん(風羽玲亜)を見つけて、大感動して話しかける、という芝居をしていたと思います。さっつんのファンだったのかな?という感じ。(←適当)
さくらちゃんを松風くんに預けて舞生ちゃんと話を始めるさっつんが、男前でカッコいい。大人の男と、ちょっと田舎から出てきた美少年、みたいな、そんな雰囲気のあるテーブルになってました(←どーゆー雰囲気だよ/汗)。
カンカンが始まったときの、舞生ちゃんの大喜びぶりは半端無いです。顔いっぱいに笑顔をうかべて、拍手しながら見てる。たぶん、カンカンどころか、オンナノコがスカート捲って踊るのを観ること自体が初めての体験なんだろうな、という興奮っぷりがツボ。
途中からカンカンの踊り子がテーブルの上に載って踊るので、そのテーブルを支える係もやっているんですけど、一人だけ張り切って、下手端のテーブルにとっとと座って、一人だけ“ガシっ”とテーブルを押さえているのがめっちゃツボ(^ ^)。
踊り子さんたちがハケて、サムの暖かな歌が流れ、“数ヵ月後”になったときには、また席替えがされていて、舞生ちゃんは松風くんと二列目の下手から2つ目(?)くらいのテーブルへ。
さっつんはさくらちゃんとヨリを戻して、雅さんはたしか、真ん中後ろあたりで女性と踊っていた……と思います。たぶん。
みなさん着替えていないのでわかりにくいのですが、この間に季節は6月になっているんですよね。小池さん的には、さりげなく席替えと相手役交換で年月の流れを表現しているつもりなのかなあ…??
「パリにナチスがやって来る!」のナンバー、パリ南駅の場面では、茶色のコート姿が多い中、舞生ちゃんは帽子もコートも黒っぽいので比較的探しやすい、ような気がします。上手側の、銀橋付け根よりちょっと内側に立って、必死で歌っていました。
フィナーレは「ムーア戦士」の一人として、最後列の下手側端で一生懸命踊っています。ときどき袖のカーテンの陰に隠れつつ……(^ ^)。
全員リックには本来は入っていないのですが、天輝トニカさんが休演されていたときは、代役で入られていました。今にして思えば、衣装部さんはがんばってくれたんだなあ……(感嘆)。
そんなところでしょうか。
今から観劇されるみなさま。
萬さんももちろんですけど、ぜひ、舞生ちゃんのことも見送ってあげてくださいね。
千秋楽まで、あと2日、3公演。
卒業する方も、見送る方も、どうぞ最後まで、悔いのない舞台になりますように祈っています。
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日本青年館大ホールにて、雪組青年館公演「雪景色」Bパターンを観てまいりました。
本当はバウホールで観たかったのですが、希望の公演のチケットが手に入らず……、結局一回しか観ることができませんでした。まあ、さすがに4パターン観ることは最初から諦めていたのですが、せめてAパターンとBパターンくらいは両方観たかったのになあ………。CSさん、よろしくお願いしますね(^ ^)。
ちなみに、Bパターンとは……
第一部「愛ふたつ」
小四郎 沙央くらま
三五郎 早霧せいな
第二部「花かんざし」
伊佐次 早霧せいな
吉蔵 沙央くらま
巳之助 彩風咲奈
第三部「夢のなごり」
伊予三郎忠嗣 早霧せいな
伊予四郎信嗣 沙央くらま
伊予八郎直嗣 帆風成海
おゆき 妃桜ほのり
というパターンです。主役でいうならば、一部はコマちゃん、二部と三部はチギちゃん、という組み合わせ。
で。
すみません。私、自分でも気づいてなかったんですけど、どうやらコマちゃんファンだったらしい です。
帰り道で友人にそう言ったら、「アリョーシャ以来だよね?」と言われました。
……言われてみれば、そうなのかな。アリョーシャは大好きだった。たしかに。……そして、マリポーサの「だんなさまぁぁぁぁ」の彼も好きだったわ、そーいえば(^ ^)。
………ああ、どーしてAパターンを観なかったんだよ私ぃぃぃぃぃ!!
Bパターンしか観ていない猫が言っていいのかどうかわかりませんが。
チギちゃんの小四郎&コマちゃんの三五郎は、それはそれで嵌りそうだな、と思います。
コマちゃんの伊左次も、それなりに嵌るんじゃないかと思う。
でも、チギちゃんの吉蔵と四郎、コマちゃんの三郎が想像できない(^ ^;ゞ。
いや、たぶん、観ればきっと納得すると思うんですよ。
どの役も、それぞれに個性が出せる役だし。
ただ、今は想像することができない、というだけのことで。
コマちゃんは、発声が良くなったな、と改めて思いました。
以前は、歌える人だけど台詞の声がこもっているのであまり好きなタイプではなかったんです。きれいな人だな、とは思っていたのですが、それ以上にはなかなか進まなかった。
それが、一年前の「ソロモンの指輪」で、西風の歌声に嵌ったんですよね。おお、こんなに好きな声だったのか!?と思っていたんです。で、「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャで相当ポイントアップ!して。
そうは言っても、第一部はせいぜい、ずいぶん滑舌がよくなったなあ、と思ったくらいでした。
前半の一人芝居も良かったし、昔の鼻声っぽい篭り方がなくなって、聞きやすくて判りやすい、良い声だな、と。まあ、その程度だったのです。
が!
……二部の、吉蔵の深みのある声と貫禄ある口調に、ヤられてしまいました。
まあ、あの貫禄では、岡っ引には見えないんですけどね!
(アップ当初は、この後に「岡っ引きは十手なんて持っていないはずだから、吉蔵は同心なんじゃないかと思います」などと非常に適当なことを書いていたのですが、その認識は間違いだとコメントで教えていただいたので、削除させていただきます。はにはにさま、ありがとうございました!)
しかーし、良い声だなあコマちゃん。あの声でじゅんじゅんと説得されたら、普通に何もかも喋っちまいたくなるんじゃないかと思うんですけど(汗)、それは私だけでしょうか……(←たぶん君だけ)
で。
“コマファンかもしれない自分”を自覚したのは、三部のラストシーンでした。
白い雪の上を、ただ絶望へ向かって歩いていくしかない彼の絶唱を聴きながら。
死出の旅路を往く仲間たちを思いだしながら、置いていかれた子供のように啼く彼を見凝めながら。
……諦めるなよ、と。
そんなことを想いながら、その絶望に囚われて。
チギちゃんとコマちゃん。
同期で、ちょっと小柄だけど美貌の二人。
この二人が並んで笑っているだけで、なんとなく幸せな気がするのは、その空間の美形率が高いから、なんですよねきっと(^ ^)。
ちょっと硬めの、ハスキーで色っぽい、だけどちょっと響きが軽薄気味で、呼吸が浅くて早口なチギちゃん。
チギちゃんは、本当に攻めの人なんだな、と思います。
芝居の創り方が完全に攻めだし、キャラも攻め系。なんたって、「殉情」の佐助を攻め系で演じきったひとだもん。
攻め系だけど愛があるところが魅力なんだと思います。根本のところでポジティブなんですよね。
だから、伊左次も三郎も、とても良く似合ってました。こういう役(←要するに主役)をやらせると、ちゃんと『宝塚らしい芝居』に仕上げてくれる人なんだと思う。
明るくて、真直ぐで、正直で、綺麗。
それはたぶん、宝塚のスターとしての基本要素であり、一番大事なところなんだと思う。
ただ、それだけでは薄っぺらくてツマラナイ役者になってしまうから、それに加えて何を個性にしていくかが重要で。そのプラスアルファが、チギちゃんの場合は「攻め系」だったんだろうな、と。
深みのある柔らかな声だけど、ちょっと早口が苦手っぽいコマちゃん。
彼女は意外に『闇』を見ることができるひとなんだな、と、今回すごく思いました。
でも、思いかえせばアリョーシャのときもちょっと思ったんですよね。見た目が愛くるしいタイプなので、あまりそういう印象がなかったのですが。
なんとなく、チギちゃん同様、明朗で真直ぐな、健康的なタイプだとばかり思っていたんですが。最近のコマちゃんを観ていると、もしかしたら本質は違うのかな?と。
あるいは、チギちゃんが来たことで、無意識に棲み分けしようとしているのかもしれませんが。
ただ、本質的にチギちゃんと違うのは、コマちゃんは受け芝居の人だってことだと思います。相手の出方をみて、それにあわせて返すタイプ。それでいて、案外と荒事が似合うのが面白いところなんですが。(チギちゃんはどちらかというと和事が本領っぽい)
どっちが好きか、というのは好みの問題ですし、まあ大部分の人は『どっちも好き』という答えになると思うのですが。
んー、二人とも可愛かったなあ★(←結局それ?)
谷さんお得意の、落語シリーズ。今回は珍しく三本立てということで、何から書くか迷ったのですが……。
とりあえず、幕ごとに。
第一部「愛ふたつ」
みみちゃんの役は、第一部では流しの小間物屋である小四郎の女房・お咲。小四郎が死んだという報せを受けて自害さえ考えるが、家主(汝鳥玲)に諭されて、小四郎の従兄である三五郎と再婚する。ところが、小四郎は生きていた……!!という、どっかで聞いたことのある話(それも、すごく最近に何回も何回も!)でした。
長屋の若妻が良く似合って、考えなしな若いもんぶりが、悶えるほど可愛かったです♪
お咲ちゃんが好きで好きで大好きで、物凄い歌(←としか説明のしようがない)を歌う三五郎のチギちゃんも可愛い!小四郎が帰ってきたことを知って、怯えて小さくなっているところもいい。なのに、あんなに小さくなっているのに攻め系なところがもっといい(^ ^)。
落語的な長口舌のところは全くダメダメでしたが、あれは勉強と割り切れば、それ以外はよくがんばっていたと思います。
大月さゆちゃんは、小四郎が旅の途中で助けた大店の主人の女房。圧倒的な華と存在感。コマちゃんチギちゃんさえ吹っ飛ばす格がありました。なのに、最後のコマちゃんとの並びが可愛くて、歌の歌詞どおりの「夫婦雛」そのもの(*^ ^*)。可愛いなあ、本当に。
第一部では、他に大凪真生さんの茶屋の婆役が素晴らしかった♪
化粧も芝居も思い切ってやっていて、とても気持ちが良かったと思います。ありがとう!
第二部「花かんざし」
上にも書きましたが、コマちゃんの貫禄の親分ぶり(←違う)が素晴らしかったです。
あの声をもっと聴いていたかった…。
伊左次は無口な職人という設定で、ほとんど台詞はない(というか、吉蔵たちが喋りすぎてて、あれじゃあ返事をする隙がないと思う…)んですよね。最後のほうにちょっと喋るけど。
…チギちゃんの立ち姿がきれいで、うっとりしました。うん。
巳之助の彩風さんは、達者な人なんだけど、そろそろ声を低くする努力をはじめないと…と思いました。声そのものというか、喋り方の問題なのかな?
今、研3ですよね。最初に観たのが「凍てついた明日」なので、あれからもう1年半。見た目も丸っこくて可愛らしくて、台詞も声も女の子らしくて可愛らしくて……のままでは、さすがにそろそろキツくなってきたんじゃないかと思います。華は十分すぎるほどあるひとなので、もう少し、スタイルなり声なり、目標を定めて歩き出してほしいなあ。
ここでもさゆちゃんがめっちゃ別嬪で、元気で、気迫があって見事です。
あああ、さゆちゃんのリンダも似合いそうだなあ……!!
伊左次の妹・お市の透水さらさちゃんは、元々歌が本領の人なんですが、台詞はまだまだだったかな。「ロシアンブルー」の美穂さんの役は良かったんだけどなあ。お化粧も、第一部の幽霊娘の方が可愛かったぞー!!と思ってしまった(T T)のと、チギちゃんの妹というにはすこーし背が高すぎるのが問題、だったような。
で、谷さんに質問。
吉蔵さんは伊左次狙い、という読みは当たっていますか?(←おい………)
チギちゃん&ミミちゃん、コマちゃん&さゆちゃんというコンビは、それぞれに似合いのコンビで、とても良かったと思います。
3話ともこのパターンになっているBパターンしか観ていないからそう思うだけなのかなあ?
第二部までは、さゆちゃんもみみちゃんも今の役がご本人の個性に合っているので、男二人が役替りしてもそのままで良いと思うのですが、第三部だけは、娘役も役替り(三郎がコマちゃんのときは姫はさゆちゃん、チギちゃんのときは美海ちゃん)した方がよかったのでは、と思ったりしました。
第三部「夢のなごり」
平家の落人伝説をヒントに創られた、舞踊劇。
二部が終わって、そのまま緞帳をおろさずに三部をはじめる構成は、なかなか良かったと思います。鎧兜に総髪のがおりちゃん(香稜しずる)が、状況を説明しながらソロで歌って通り過ぎます。目張りのきいたメークが似合って、ホンモノの武者人形みたい。歌も良かった(*^ ^*)。ああ、がおりちゃんが格好良い♪♪幸せだ♪♪
話自体は、ありがちな落人伝説。平家の落胤(姫がみみちゃん、若君が凛城きらさん)を守る小集団が、追い詰められて全滅する話なんですけどね。
壇ノ浦の合戦、今まで共に生きてきた全てが海の底の都に沈んでいったのに、穢れた地上に生き残ってしまった僅かな人間たちの煩悶が、芝居ではなく歌舞が中心なので、ちょっとわかりにくかったような気がします。
エピソードとして挟まれていた、狐たちの恋の逃避行(真那春人・妃桜ほのり)のくだりは、“生きよう”という意思を持ち、未来を望む若者たちと、皆と“海の底の港”へ行き損ねたことを悔やむばかりの彼らの対比という意味で、判りやすくてよかったと思います。
ただ、もう少し喋らせても良かったのになあ、とは思ってしまいます。妃桜さんはわかりませんが、真那くんは喋れる人なのに勿体無い(; ;)。
まあ、それはともかく。
チギちゃんの三郎は、佐助の最後と良く似た解釈だな、と思いました。
自分自身(と恋しい姫)に傷をつけることで、別世界の人だった姫と同じ世界に行こうとする。
攻めの佐助を構築してのけたチギちゃんらしい、攻めの三郎でした。
ラスト、懐剣を胸にあてた姫を抱きしめて、そのまま自らの首に刃を立てる瞬間の、幸せそうな微笑みが、すごく佐助を思い出しました……。ポジティブな自傷。死ぬことで、自分も姫も幸せになれると信じて疑わない、その純粋な盲目ぶり。
でもさー、みみちゃん。
そこで戻ってくるなら、狐たちに倣って「二人で逃げましょう!」、くらいのことを言ってみようよ!貴女がそこで死んだら、身替りになったさゆちゃんが犬死じゃないか!
そして、若君を託された、コマちゃんの四郎。
この人の絶唱は、ちょっと、しばらく忘れられないかもしれないです………
コマちゃんのファンかもしれない自分に気がついた、そんな12月9日の夜。
千秋楽の前日ということで、多くのメンバーが千秋楽を迎えていましたが、皆さんとても爽やかな笑顔でしたね。
な新公を卒業しているのが組長と主演の二人、そして大凪真生さんと専科の汝鳥さんの5人のみ、という若い座組での怒涛の役替り。さぞ大変だったろうなあと思います。
千秋楽の最後の最後まで、どうぞ、気を抜かないでがんばってくださいね。
.
本当はバウホールで観たかったのですが、希望の公演のチケットが手に入らず……、結局一回しか観ることができませんでした。まあ、さすがに4パターン観ることは最初から諦めていたのですが、せめてAパターンとBパターンくらいは両方観たかったのになあ………。CSさん、よろしくお願いしますね(^ ^)。
ちなみに、Bパターンとは……
第一部「愛ふたつ」
小四郎 沙央くらま
三五郎 早霧せいな
第二部「花かんざし」
伊佐次 早霧せいな
吉蔵 沙央くらま
巳之助 彩風咲奈
第三部「夢のなごり」
伊予三郎忠嗣 早霧せいな
伊予四郎信嗣 沙央くらま
伊予八郎直嗣 帆風成海
おゆき 妃桜ほのり
というパターンです。主役でいうならば、一部はコマちゃん、二部と三部はチギちゃん、という組み合わせ。
で。
すみません。私、自分でも気づいてなかったんですけど、どうやらコマちゃんファンだったらしい です。
帰り道で友人にそう言ったら、「アリョーシャ以来だよね?」と言われました。
……言われてみれば、そうなのかな。アリョーシャは大好きだった。たしかに。……そして、マリポーサの「だんなさまぁぁぁぁ」の彼も好きだったわ、そーいえば(^ ^)。
………ああ、どーしてAパターンを観なかったんだよ私ぃぃぃぃぃ!!
Bパターンしか観ていない猫が言っていいのかどうかわかりませんが。
チギちゃんの小四郎&コマちゃんの三五郎は、それはそれで嵌りそうだな、と思います。
コマちゃんの伊左次も、それなりに嵌るんじゃないかと思う。
でも、チギちゃんの吉蔵と四郎、コマちゃんの三郎が想像できない(^ ^;ゞ。
いや、たぶん、観ればきっと納得すると思うんですよ。
どの役も、それぞれに個性が出せる役だし。
ただ、今は想像することができない、というだけのことで。
コマちゃんは、発声が良くなったな、と改めて思いました。
以前は、歌える人だけど台詞の声がこもっているのであまり好きなタイプではなかったんです。きれいな人だな、とは思っていたのですが、それ以上にはなかなか進まなかった。
それが、一年前の「ソロモンの指輪」で、西風の歌声に嵌ったんですよね。おお、こんなに好きな声だったのか!?と思っていたんです。で、「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャで相当ポイントアップ!して。
そうは言っても、第一部はせいぜい、ずいぶん滑舌がよくなったなあ、と思ったくらいでした。
前半の一人芝居も良かったし、昔の鼻声っぽい篭り方がなくなって、聞きやすくて判りやすい、良い声だな、と。まあ、その程度だったのです。
が!
……二部の、吉蔵の深みのある声と貫禄ある口調に、ヤられてしまいました。
まあ、あの貫禄では、岡っ引には見えないんですけどね!
(アップ当初は、この後に「岡っ引きは十手なんて持っていないはずだから、吉蔵は同心なんじゃないかと思います」などと非常に適当なことを書いていたのですが、その認識は間違いだとコメントで教えていただいたので、削除させていただきます。はにはにさま、ありがとうございました!)
しかーし、良い声だなあコマちゃん。あの声でじゅんじゅんと説得されたら、普通に何もかも喋っちまいたくなるんじゃないかと思うんですけど(汗)、それは私だけでしょうか……(←たぶん君だけ)
で。
“コマファンかもしれない自分”を自覚したのは、三部のラストシーンでした。
白い雪の上を、ただ絶望へ向かって歩いていくしかない彼の絶唱を聴きながら。
死出の旅路を往く仲間たちを思いだしながら、置いていかれた子供のように啼く彼を見凝めながら。
……諦めるなよ、と。
そんなことを想いながら、その絶望に囚われて。
チギちゃんとコマちゃん。
同期で、ちょっと小柄だけど美貌の二人。
この二人が並んで笑っているだけで、なんとなく幸せな気がするのは、その空間の美形率が高いから、なんですよねきっと(^ ^)。
ちょっと硬めの、ハスキーで色っぽい、だけどちょっと響きが軽薄気味で、呼吸が浅くて早口なチギちゃん。
チギちゃんは、本当に攻めの人なんだな、と思います。
芝居の創り方が完全に攻めだし、キャラも攻め系。なんたって、「殉情」の佐助を攻め系で演じきったひとだもん。
攻め系だけど愛があるところが魅力なんだと思います。根本のところでポジティブなんですよね。
だから、伊左次も三郎も、とても良く似合ってました。こういう役(←要するに主役)をやらせると、ちゃんと『宝塚らしい芝居』に仕上げてくれる人なんだと思う。
明るくて、真直ぐで、正直で、綺麗。
それはたぶん、宝塚のスターとしての基本要素であり、一番大事なところなんだと思う。
ただ、それだけでは薄っぺらくてツマラナイ役者になってしまうから、それに加えて何を個性にしていくかが重要で。そのプラスアルファが、チギちゃんの場合は「攻め系」だったんだろうな、と。
深みのある柔らかな声だけど、ちょっと早口が苦手っぽいコマちゃん。
彼女は意外に『闇』を見ることができるひとなんだな、と、今回すごく思いました。
でも、思いかえせばアリョーシャのときもちょっと思ったんですよね。見た目が愛くるしいタイプなので、あまりそういう印象がなかったのですが。
なんとなく、チギちゃん同様、明朗で真直ぐな、健康的なタイプだとばかり思っていたんですが。最近のコマちゃんを観ていると、もしかしたら本質は違うのかな?と。
あるいは、チギちゃんが来たことで、無意識に棲み分けしようとしているのかもしれませんが。
ただ、本質的にチギちゃんと違うのは、コマちゃんは受け芝居の人だってことだと思います。相手の出方をみて、それにあわせて返すタイプ。それでいて、案外と荒事が似合うのが面白いところなんですが。(チギちゃんはどちらかというと和事が本領っぽい)
どっちが好きか、というのは好みの問題ですし、まあ大部分の人は『どっちも好き』という答えになると思うのですが。
んー、二人とも可愛かったなあ★(←結局それ?)
谷さんお得意の、落語シリーズ。今回は珍しく三本立てということで、何から書くか迷ったのですが……。
とりあえず、幕ごとに。
第一部「愛ふたつ」
みみちゃんの役は、第一部では流しの小間物屋である小四郎の女房・お咲。小四郎が死んだという報せを受けて自害さえ考えるが、家主(汝鳥玲)に諭されて、小四郎の従兄である三五郎と再婚する。ところが、小四郎は生きていた……!!という、どっかで聞いたことのある話(それも、すごく最近に何回も何回も!)でした。
長屋の若妻が良く似合って、考えなしな若いもんぶりが、悶えるほど可愛かったです♪
お咲ちゃんが好きで好きで大好きで、物凄い歌(←としか説明のしようがない)を歌う三五郎のチギちゃんも可愛い!小四郎が帰ってきたことを知って、怯えて小さくなっているところもいい。なのに、あんなに小さくなっているのに攻め系なところがもっといい(^ ^)。
落語的な長口舌のところは全くダメダメでしたが、あれは勉強と割り切れば、それ以外はよくがんばっていたと思います。
大月さゆちゃんは、小四郎が旅の途中で助けた大店の主人の女房。圧倒的な華と存在感。コマちゃんチギちゃんさえ吹っ飛ばす格がありました。なのに、最後のコマちゃんとの並びが可愛くて、歌の歌詞どおりの「夫婦雛」そのもの(*^ ^*)。可愛いなあ、本当に。
第一部では、他に大凪真生さんの茶屋の婆役が素晴らしかった♪
化粧も芝居も思い切ってやっていて、とても気持ちが良かったと思います。ありがとう!
第二部「花かんざし」
上にも書きましたが、コマちゃんの貫禄の親分ぶり(←違う)が素晴らしかったです。
あの声をもっと聴いていたかった…。
伊左次は無口な職人という設定で、ほとんど台詞はない(というか、吉蔵たちが喋りすぎてて、あれじゃあ返事をする隙がないと思う…)んですよね。最後のほうにちょっと喋るけど。
…チギちゃんの立ち姿がきれいで、うっとりしました。うん。
巳之助の彩風さんは、達者な人なんだけど、そろそろ声を低くする努力をはじめないと…と思いました。声そのものというか、喋り方の問題なのかな?
今、研3ですよね。最初に観たのが「凍てついた明日」なので、あれからもう1年半。見た目も丸っこくて可愛らしくて、台詞も声も女の子らしくて可愛らしくて……のままでは、さすがにそろそろキツくなってきたんじゃないかと思います。華は十分すぎるほどあるひとなので、もう少し、スタイルなり声なり、目標を定めて歩き出してほしいなあ。
ここでもさゆちゃんがめっちゃ別嬪で、元気で、気迫があって見事です。
あああ、さゆちゃんのリンダも似合いそうだなあ……!!
伊左次の妹・お市の透水さらさちゃんは、元々歌が本領の人なんですが、台詞はまだまだだったかな。「ロシアンブルー」の美穂さんの役は良かったんだけどなあ。お化粧も、第一部の幽霊娘の方が可愛かったぞー!!と思ってしまった(T T)のと、チギちゃんの妹というにはすこーし背が高すぎるのが問題、だったような。
で、谷さんに質問。
吉蔵さんは伊左次狙い、という読みは当たっていますか?(←おい………)
チギちゃん&ミミちゃん、コマちゃん&さゆちゃんというコンビは、それぞれに似合いのコンビで、とても良かったと思います。
3話ともこのパターンになっているBパターンしか観ていないからそう思うだけなのかなあ?
第二部までは、さゆちゃんもみみちゃんも今の役がご本人の個性に合っているので、男二人が役替りしてもそのままで良いと思うのですが、第三部だけは、娘役も役替り(三郎がコマちゃんのときは姫はさゆちゃん、チギちゃんのときは美海ちゃん)した方がよかったのでは、と思ったりしました。
第三部「夢のなごり」
平家の落人伝説をヒントに創られた、舞踊劇。
二部が終わって、そのまま緞帳をおろさずに三部をはじめる構成は、なかなか良かったと思います。鎧兜に総髪のがおりちゃん(香稜しずる)が、状況を説明しながらソロで歌って通り過ぎます。目張りのきいたメークが似合って、ホンモノの武者人形みたい。歌も良かった(*^ ^*)。ああ、がおりちゃんが格好良い♪♪幸せだ♪♪
話自体は、ありがちな落人伝説。平家の落胤(姫がみみちゃん、若君が凛城きらさん)を守る小集団が、追い詰められて全滅する話なんですけどね。
壇ノ浦の合戦、今まで共に生きてきた全てが海の底の都に沈んでいったのに、穢れた地上に生き残ってしまった僅かな人間たちの煩悶が、芝居ではなく歌舞が中心なので、ちょっとわかりにくかったような気がします。
エピソードとして挟まれていた、狐たちの恋の逃避行(真那春人・妃桜ほのり)のくだりは、“生きよう”という意思を持ち、未来を望む若者たちと、皆と“海の底の港”へ行き損ねたことを悔やむばかりの彼らの対比という意味で、判りやすくてよかったと思います。
ただ、もう少し喋らせても良かったのになあ、とは思ってしまいます。妃桜さんはわかりませんが、真那くんは喋れる人なのに勿体無い(; ;)。
まあ、それはともかく。
チギちゃんの三郎は、佐助の最後と良く似た解釈だな、と思いました。
自分自身(と恋しい姫)に傷をつけることで、別世界の人だった姫と同じ世界に行こうとする。
攻めの佐助を構築してのけたチギちゃんらしい、攻めの三郎でした。
ラスト、懐剣を胸にあてた姫を抱きしめて、そのまま自らの首に刃を立てる瞬間の、幸せそうな微笑みが、すごく佐助を思い出しました……。ポジティブな自傷。死ぬことで、自分も姫も幸せになれると信じて疑わない、その純粋な盲目ぶり。
でもさー、みみちゃん。
そこで戻ってくるなら、狐たちに倣って「二人で逃げましょう!」、くらいのことを言ってみようよ!貴女がそこで死んだら、身替りになったさゆちゃんが犬死じゃないか!
そして、若君を託された、コマちゃんの四郎。
この人の絶唱は、ちょっと、しばらく忘れられないかもしれないです………
コマちゃんのファンかもしれない自分に気がついた、そんな12月9日の夜。
千秋楽の前日ということで、多くのメンバーが千秋楽を迎えていましたが、皆さんとても爽やかな笑顔でしたね。
な新公を卒業しているのが組長と主演の二人、そして大凪真生さんと専科の汝鳥さんの5人のみ、という若い座組での怒涛の役替り。さぞ大変だったろうなあと思います。
千秋楽の最後の最後まで、どうぞ、気を抜かないでがんばってくださいね。
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若人たちのLAST PLAY
2009年12月10日 宝塚(月) コメント (2)東京宝塚劇場にて、月組新人公演「ラストプレイ」を観劇してまいりました。
先週本公演を観て、いろいろ書こうと思っていたのにまだ果たせていませんが、とりあえず、新人公演の印象を。
あ。すみません、ネタバレしますのでご容赦くださいませ。
前回の「エリザベート」と同様、研7で成績一番のみりおくんしか挨拶しない「明日海りおの新公」。
本公演とはかなり印象の違う舞台でした。
演出は、本公演と同じ正塚晴彦。ずいぶん丁寧に演出されていて、本公演もこのくらい細心の注意を払って演出されていたら、もう少しどうにかなったかもしれないのに……と思ったりしました。
明日海りお(アリステア/瀬奈じゅん)
一人の役者としての能力には十分な定評があったみりおくん。男役らしい優しさにみちた芝居で「アリステア」という人物像を塗り替えてみせたばかりでなく、研2の珠城りょうくんをしっかり支え、実力を発揮させた人間的魅力と役者としての包容力で、最後の新公に課せられた課題を完璧にクリアしてのけたのではないかと思います。
みりおくんのアリステアは、麻子さんのアリステアとはだいぶ違う人物でした。コンクールで失敗したのは、周囲の期待に応えられない恐怖に負けてしまったから。彼は優しくて、やさしすぎて、次々に載せられる“期待”という名の肩の重荷に気づかない振りを続けていた。
最悪の刻が訪れるまで。
でも。
何もかも喪った時、彼ははじめて、解き放たれて自由になる。
はじめて街へ出た彼が歌う『自由の讃歌』の曇りない明朗さが、みりおくんのアリステアの全てだったのだ、と、最後まで観て、あらためて思いました。
正塚さんの作品には、
①主人公が抱く何らかのトラウマを、新しい人間関係の構築(多くは女性との出会い)を通じて乗り越える
②トラウマを乗り越えたことによって、彼は新しい道を歩き出す。
というパターンが多いのですが。
「ラストプレイ」は、
①主人公が抱くトラウマを、新しい人間関係の構築(友人との出会い)を通じて乗り越える
ところまでは同じですが、②が無いんですね。トラウマを乗り越えたところで終わっている。
でも、みりおくんのアリステアは、このままムーアの傍で骨董の勉強をしつつ、「ピアノの生演奏が聴ける骨董店」を運営してい………そうな気がしないでもない(汗)。みりおくんの芝居はいつだって非常にリアルで、現実味があるんですよね。あの状況で、彼がコンサートピアニストに戻るというのはちょっと考え難い。でも、もう二度とピアノから離れることはないだろう……そんな、リアルな現実がみりおくんのアリステアにはあったような気がします。
珠城りょう(ムーア/霧矢大夢)
巧い人だとは思っていたのですが、あんなに押し出しがよくてカッコいいとは思いませんでした。
みりおくんとの並びがすごく良い。ムーアとアリステアの関係として、身長差も含めて実に見事なコンビでした。身体があるのと顔立ちが大人っぽいので、5年も上のみりおくんを相手に、懐の深いムーア役を演じ切って、見事な出来でした。
研2でこれだけできる人がいるのか!!という、純粋で新鮮な驚き。
一番ラスト、アリステアがピアノを弾き始めたときに、目尻から一滴(じゃないかな?)零れた涙が、とても綺麗でした(; ;)。
愛風ゆめ(ヘレナ/羽桜しずく)
これまた研2での大抜擢。台詞もあぶなげなく喋ってはいましたが、緊張が声に出ていて、聞き取りにくかったことは否めません。あと、衣装が(汗)。ヘレナの衣装って本当に難しいですよね!!ゆめちゃんは、本公演のシガレットガールがとても可愛かったので期待していたのですが、お化粧や髪型にもう一工夫あるともっと良いのになあ、と思いました。
美翔かずき(エルネスト/越乃リュウ)
やっぱりみっしょんの髭は最高に素敵だ♪♪
低い声を出すのに苦労していたようですが、非常に良い芝居をしてくれました。あの『がっかり』感と、それを隠そうとする小者っぷりがすごく良い味を出しています。みっしょんがどういう方向に進むのか長らく心配していましたが、なんとなく、もう大丈夫なような気がしました(*^ ^*)。
紫門ゆりや(ジークムント/遼河はるひ)、貴千碧(ヴィクトール/桐生園加)
お二人とも、GJでした!!あああ、新公だけだなんて勿体無い…。
いつまでも可愛いゆりやんと思っていたら、いつの間にかすっかり大人になって、格好よくなっていたことに吃驚しました(*^ ^*)。
まんちゃんとゆりやんのコンビは、同期だけあって息もぴったり、並びもいい感じです。お互い遠慮なく小突きあえているのも良かったし♪ ホッとしましたよーーー!!
ヴィクトールが失言したときのジークムントの突っ込みのタイミングとか、ずいぶん練習したんだろうなあ……と。完璧に自然(←不自然な日本語)でした!!
宇月颯(グラハム/未沙のえる)
はじめての老け役、でしょうか?元々芝居巧者なんですけど、今回はちょっと、いろんな意味で中途半端だったかな?と。もっと思い切って、髭をつけて老け役に徹しても勉強になって良かっただろうに、と思うし、逆に、ああいう役作りでいくなら、もっと細かいところまで「若者」にしてしまったほうがよかったと思います。
他の部分はずいぶん手をいれて辻褄を合わせていたはずの正塚さんが、宇月くんの役づくりにはついてはどういうアドバイスをしたのか、ちょっと知りたいなあと思ったりしました。
蘭乃はな(エスメラルダ/城咲あい)
すごく可愛くてよかったけど、あの役は結構崩れた色気みたいなものが絶対に必要なんですよね……。蘭ちゃんがすごく可愛いのとは別のところで、この役はあいちゃんの、あいちゃんのための役なんだなあ、と思いました。
煌月爽矢(クリストファー/龍真咲)
珠城くんとの並びは、結構良かったと思います。もう少し絞れると良いオトコになるだろうに…相変わらず惜しい人だわ。
まさおほど「ムーア大好き!」オーラを出してはいない役作りでしたが、最後にムーアを追いかけて交渉の場に来るときの必死さは可愛かったです。ただ、人に銃を向けたときの落ち着きというか腰の入り方はまだまだで、案外とまさおは上級生なんだなあ、と感心しました。
しかし、ずいぶん体格が違いそうに見えるのに、良く衣装がそのまま着れたなあ……。いや、まさおは見た目のイメージより背があるのは知っていますが、肩とかあんなにペラペラなのに(汗)。
とりあえず、今夜はこのあたりで。
.
先週本公演を観て、いろいろ書こうと思っていたのにまだ果たせていませんが、とりあえず、新人公演の印象を。
あ。すみません、ネタバレしますのでご容赦くださいませ。
前回の「エリザベート」と同様、研7で成績一番のみりおくんしか挨拶しない「明日海りおの新公」。
本公演とはかなり印象の違う舞台でした。
演出は、本公演と同じ正塚晴彦。ずいぶん丁寧に演出されていて、本公演もこのくらい細心の注意を払って演出されていたら、もう少しどうにかなったかもしれないのに……と思ったりしました。
明日海りお(アリステア/瀬奈じゅん)
一人の役者としての能力には十分な定評があったみりおくん。男役らしい優しさにみちた芝居で「アリステア」という人物像を塗り替えてみせたばかりでなく、研2の珠城りょうくんをしっかり支え、実力を発揮させた人間的魅力と役者としての包容力で、最後の新公に課せられた課題を完璧にクリアしてのけたのではないかと思います。
みりおくんのアリステアは、麻子さんのアリステアとはだいぶ違う人物でした。コンクールで失敗したのは、周囲の期待に応えられない恐怖に負けてしまったから。彼は優しくて、やさしすぎて、次々に載せられる“期待”という名の肩の重荷に気づかない振りを続けていた。
最悪の刻が訪れるまで。
でも。
何もかも喪った時、彼ははじめて、解き放たれて自由になる。
はじめて街へ出た彼が歌う『自由の讃歌』の曇りない明朗さが、みりおくんのアリステアの全てだったのだ、と、最後まで観て、あらためて思いました。
正塚さんの作品には、
①主人公が抱く何らかのトラウマを、新しい人間関係の構築(多くは女性との出会い)を通じて乗り越える
②トラウマを乗り越えたことによって、彼は新しい道を歩き出す。
というパターンが多いのですが。
「ラストプレイ」は、
①主人公が抱くトラウマを、新しい人間関係の構築(友人との出会い)を通じて乗り越える
ところまでは同じですが、②が無いんですね。トラウマを乗り越えたところで終わっている。
でも、みりおくんのアリステアは、このままムーアの傍で骨董の勉強をしつつ、「ピアノの生演奏が聴ける骨董店」を運営してい………そうな気がしないでもない(汗)。みりおくんの芝居はいつだって非常にリアルで、現実味があるんですよね。あの状況で、彼がコンサートピアニストに戻るというのはちょっと考え難い。でも、もう二度とピアノから離れることはないだろう……そんな、リアルな現実がみりおくんのアリステアにはあったような気がします。
珠城りょう(ムーア/霧矢大夢)
巧い人だとは思っていたのですが、あんなに押し出しがよくてカッコいいとは思いませんでした。
みりおくんとの並びがすごく良い。ムーアとアリステアの関係として、身長差も含めて実に見事なコンビでした。身体があるのと顔立ちが大人っぽいので、5年も上のみりおくんを相手に、懐の深いムーア役を演じ切って、見事な出来でした。
研2でこれだけできる人がいるのか!!という、純粋で新鮮な驚き。
一番ラスト、アリステアがピアノを弾き始めたときに、目尻から一滴(じゃないかな?)零れた涙が、とても綺麗でした(; ;)。
愛風ゆめ(ヘレナ/羽桜しずく)
これまた研2での大抜擢。台詞もあぶなげなく喋ってはいましたが、緊張が声に出ていて、聞き取りにくかったことは否めません。あと、衣装が(汗)。ヘレナの衣装って本当に難しいですよね!!ゆめちゃんは、本公演のシガレットガールがとても可愛かったので期待していたのですが、お化粧や髪型にもう一工夫あるともっと良いのになあ、と思いました。
美翔かずき(エルネスト/越乃リュウ)
やっぱりみっしょんの髭は最高に素敵だ♪♪
低い声を出すのに苦労していたようですが、非常に良い芝居をしてくれました。あの『がっかり』感と、それを隠そうとする小者っぷりがすごく良い味を出しています。みっしょんがどういう方向に進むのか長らく心配していましたが、なんとなく、もう大丈夫なような気がしました(*^ ^*)。
紫門ゆりや(ジークムント/遼河はるひ)、貴千碧(ヴィクトール/桐生園加)
お二人とも、GJでした!!あああ、新公だけだなんて勿体無い…。
いつまでも可愛いゆりやんと思っていたら、いつの間にかすっかり大人になって、格好よくなっていたことに吃驚しました(*^ ^*)。
まんちゃんとゆりやんのコンビは、同期だけあって息もぴったり、並びもいい感じです。お互い遠慮なく小突きあえているのも良かったし♪ ホッとしましたよーーー!!
ヴィクトールが失言したときのジークムントの突っ込みのタイミングとか、ずいぶん練習したんだろうなあ……と。完璧に自然(←不自然な日本語)でした!!
宇月颯(グラハム/未沙のえる)
はじめての老け役、でしょうか?元々芝居巧者なんですけど、今回はちょっと、いろんな意味で中途半端だったかな?と。もっと思い切って、髭をつけて老け役に徹しても勉強になって良かっただろうに、と思うし、逆に、ああいう役作りでいくなら、もっと細かいところまで「若者」にしてしまったほうがよかったと思います。
他の部分はずいぶん手をいれて辻褄を合わせていたはずの正塚さんが、宇月くんの役づくりにはついてはどういうアドバイスをしたのか、ちょっと知りたいなあと思ったりしました。
蘭乃はな(エスメラルダ/城咲あい)
すごく可愛くてよかったけど、あの役は結構崩れた色気みたいなものが絶対に必要なんですよね……。蘭ちゃんがすごく可愛いのとは別のところで、この役はあいちゃんの、あいちゃんのための役なんだなあ、と思いました。
煌月爽矢(クリストファー/龍真咲)
珠城くんとの並びは、結構良かったと思います。もう少し絞れると良いオトコになるだろうに…相変わらず惜しい人だわ。
まさおほど「ムーア大好き!」オーラを出してはいない役作りでしたが、最後にムーアを追いかけて交渉の場に来るときの必死さは可愛かったです。ただ、人に銃を向けたときの落ち着きというか腰の入り方はまだまだで、案外とまさおは上級生なんだなあ、と感心しました。
しかし、ずいぶん体格が違いそうに見えるのに、良く衣装がそのまま着れたなあ……。いや、まさおは見た目のイメージより背があるのは知っていますが、肩とかあんなにペラペラなのに(汗)。
とりあえず、今夜はこのあたりで。
.
若人たちのLAST PLAY【2】
2009年12月11日 宝塚(月) コメント (4)宝塚歌劇団宙組のみなさま&萬さん、磯野さん、
「カサブランカ」大劇場千秋楽、おめでとうございます!
そして。
萬あきらさん、安里舞生さん、
大劇場ご卒業おめでとうございますm(_ _)m。
公演が始まって早々に吹き荒れたインフルエンザの嵐も無事収まって、全員で千秋楽を迎えることができたことがとても嬉しいです。
みんな、お疲れさまでした!
タカラヅカスペシャルのみなさまは、明日からまた早速お稽古なんでしょうね。
厳しい季節ですから、どうぞ身体を大切にしてくださいね。
また全員揃って東京へいらしてくださいませ(^ ^)。
東京で、お待ちしています(はぁと)
と、いうわけで。昨日の続きを。
ちなみに、名前の順序はプログラムの登場順です(^ ^)。
琴音和葉(ポーリーン/蘭乃はな)
芝居達者で素敵な月娘の一人ですが、あの衣装を着ると、ちょっとヤバい方向に可愛かったような(^ ^;ゞ。ちょっとムチムチしたところもキュートで可愛かったです。芝居はさすがで、ああいう可愛い役も似合うんだなあ、と感心しました。
星那由貴(ディーラー/華央あみり)
まさか、新公を卒業したあちょうさんがこれだけ!?と愕然とした本公演。
まさかまさか、星那くんがこれだけ!?と、これまた愕然とした新人公演でした。
あちょうさんも星那くんも、姿勢が綺麗で格好良かったと思います。たぶん。
晴音アキ(シガレットガール/愛風ゆめ)
研1の晴音さん。お化粧はちょっと地味めでしたけど、歩き方とか綺麗だったと思います。
ちょっと他のところに気をとられていたので、あまり注目できなかった……ごめんなさい。
羽桜しずく
告白します。
猫にとって、カジノの場面の主役は、しずくちゃんでした。
肩を大きく出した黒のシンプルなドレス。
大人びた硬質な美貌を囲う、しどけないブロンド。
最初、上手のテーブルでちなつちゃん(鳳月杏)たちと喋っているときから目が離せなくて、そのままずっと、私の目はしずくを追いかけていました。
初舞台のときから目立っていた美貌。なぜ、こんな学年になるまで放置するのか?と不思議だった星組時代。この、最後の公演になって初めて惜しみなく晒された、この世のものならぬ美しさと、硝子のような硬質な輝き。「二人の貴公子」のエミーリア姫があまりにも嵌り役だったこの人を、地上に降ろすことは誰にもできなかったんだな、と、今あらためて思います。
もちろん、しずくの出番はここだけではなくて、様々な群衆の場面にはだいたい出ていたと思うのですが、とりあえず、カジノの場面でしずくを見て泣いてしまったという、我ながらちょっと情けない状況だったのでした(^ ^;
響れおな(医者/星条海斗)
この人は本当に温かい、良い芝居をするなあ、と毎回飽きずに感動してしまいます。
患者への思いやりと、彼を心配するムーアに説明する言葉の選び方、言い方。ちょっとしたことなんですけど、この人が言うなら待とうかな、と、素直に納得できる雰囲気があったと思います。
彩星りおん(アイリーン/憧花ゆりの)
本公演を観たときはあまり思わなかったんですが、新公を観て、この役はちゃんと、アリステアの相手役の一人なんだな、と思いました。落ち着いた柔らかな声と、テキパキした職業的な手際、そして、ふと垣間見せる優しさ。
少女の透明感を持っているのに、すごく母性的な包容力もあるところが、りおんの個性になりつつあるな、と思いました。元男役としての包容力を、ゆがめることなく巧いこと女役の包容力に変換できたんじゃないかと思います。
次の公演を、楽しみにしています(はぁと)。
千海華蘭(サナトリウムの医者/明日海りお)
からんちゃんは、相変わらず可愛いかったです(はぁと)。なんとなく、人をリラックスさせる雰囲気のある人なので、こういう役はぴったりだなと思いました。
今回の新公では、この役そのものよりも群衆役のダンスで目を惹きました。なんとなく、華がでてきたような?(←猫に華を語られても困るでしょうが…)
紗那ゆずは(看護婦/花陽みら)
ゆずはちゃん、一応役がついているのがここなのでこの項目で書きますが、正直、一番印象的だったのはカジノのダンサーでした。「エリザベート」新公の娼婦でも思いましたが、この人にああいう衣装を着せるのはいろいろまずいような気がする(- -;ゞ
あのダンサーズは、本公演も新公も『良い子を揃えてみました!』って感じなんですが(汗)。ゆずはちゃん、もちろん看護婦も可愛かったなー(はぁと)。
沢希理寿&海桐望(ピアノ屋/麻月れんか&綾月せり)
新公らしい思い切った芝居で、とても良かったです。理寿ちゃんは、声がいいだけじゃなくて間が良いんだなあ(^ ^)。「エリザベート」で大役を演じる以前とは存在感が違ってきたような気がしますね。
海桐さんも手堅い役者で、お互いにフォローしあう良いコンビぶりでした。良かったですとっても。
妃乃あんじ(ローザ/花瀬みずか)
短い出番ですが、同期のみっしょんとも息があった芝居で、ちょっと類型的に造りこみつつ、ヤリスギの一歩手前で留まっていたところが良かったです。あんじちゃんの芝居、そんなに凄く良いと思ったことはなかったんですが、今回は良かったと思います♪
瑞羽奏都(ベレッタ/一色瑠加)
いやー、面白かったです。こういうアプローチがあったのか!!という驚き。
出てきたときから、なんだか随分イッちゃった化粧をしているなあとは思っていたんですが、あそこまでぶっ飛んだ役作りでくるとは予想外でした。でも、確かにあのくらいぶっ飛んでいる方が、その後の展開を納得しやすいのかも……。
花陽みら(ジンジャー/美鳳あや)
みっぽーの怪しさ(←妖しいではない)は演出指示だったんだなあ、と納得した瞬間(^ ^)。
ただ、みっぽーは根っから怪しいんですけど、みらちゃんはどこかにとぼけた味があって、「後学のために見せてください」と言うところとか、良い感じに笑いを取っていました。あれ、意図してやっているんなら凄いかも★
鳳月杏(ローレンス/青樹泉)
なんだか、すごく良くて吃驚しました。あまり期待はしていなかったのですが(すみません汗)、良かったと思います。とっても。
登場したときも、想像していたより怖さがあるなと思ったし、対決の後半の、いろいろ崩れたあたりでも巧いなあと思いました。
ただ、杖はなくても良かったんじゃないかな、と思いましたがねぇ(^ ^;ゞ
咲希あかね(アヌーク/天野ほたる)
美しいというのは強いな、と思いました。
そして、この役は正塚さんにとって「美女」の役なんだな、と(^ ^)。
比較的最初からコメディタッチだった本公演のもりえちゃんには、ほたるちゃんの、いかにも愛人らしい崩れた色気がよく似合っていたし、前半は怖さを見せたちなつちゃんには、ちゅーちゃんの、秘書役も兼任していそうな理知的な美しさがとても良く似合っていました。さすが正塚さん!!
こんなところでしょうか。
正塚作品だから仕方ないとはいえ、役少ないなあ…(泣)。
何度主演しても、いつもご挨拶はしっかりしていたみりおくん。
今回は、最後ということもあって、ちょっと言葉に詰まる一時もありました。
何から何まで、完全にみりおくんありきの新人公演に見えた、この二作。
どれだけの負荷がかかっていたのか、一観客にはまったくわかりませんが。
お疲れさま、そして、新公卒業おめでとう、と心から思います。
みりお、みっしょん、理寿ちゃん、しずく、あんじちゃん。人材豊富な月組89期も、しずくが宝塚を卒業したら、4人になっちゃうんですね。
……おかっぱ頭でころころ笑っていた89期が、もう研7。時がたつのは早いものです(; ;)。
千秋楽まで、あと、半月。
みんなみんな、悔いのないようにがんばってね(祈)。
.
「カサブランカ」大劇場千秋楽、おめでとうございます!
そして。
萬あきらさん、安里舞生さん、
大劇場ご卒業おめでとうございますm(_ _)m。
公演が始まって早々に吹き荒れたインフルエンザの嵐も無事収まって、全員で千秋楽を迎えることができたことがとても嬉しいです。
みんな、お疲れさまでした!
タカラヅカスペシャルのみなさまは、明日からまた早速お稽古なんでしょうね。
厳しい季節ですから、どうぞ身体を大切にしてくださいね。
また全員揃って東京へいらしてくださいませ(^ ^)。
東京で、お待ちしています(はぁと)
と、いうわけで。昨日の続きを。
ちなみに、名前の順序はプログラムの登場順です(^ ^)。
琴音和葉(ポーリーン/蘭乃はな)
芝居達者で素敵な月娘の一人ですが、あの衣装を着ると、ちょっとヤバい方向に可愛かったような(^ ^;ゞ。ちょっとムチムチしたところもキュートで可愛かったです。芝居はさすがで、ああいう可愛い役も似合うんだなあ、と感心しました。
星那由貴(ディーラー/華央あみり)
まさか、新公を卒業したあちょうさんがこれだけ!?と愕然とした本公演。
まさかまさか、星那くんがこれだけ!?と、これまた愕然とした新人公演でした。
あちょうさんも星那くんも、姿勢が綺麗で格好良かったと思います。たぶん。
晴音アキ(シガレットガール/愛風ゆめ)
研1の晴音さん。お化粧はちょっと地味めでしたけど、歩き方とか綺麗だったと思います。
ちょっと他のところに気をとられていたので、あまり注目できなかった……ごめんなさい。
羽桜しずく
告白します。
猫にとって、カジノの場面の主役は、しずくちゃんでした。
肩を大きく出した黒のシンプルなドレス。
大人びた硬質な美貌を囲う、しどけないブロンド。
最初、上手のテーブルでちなつちゃん(鳳月杏)たちと喋っているときから目が離せなくて、そのままずっと、私の目はしずくを追いかけていました。
初舞台のときから目立っていた美貌。なぜ、こんな学年になるまで放置するのか?と不思議だった星組時代。この、最後の公演になって初めて惜しみなく晒された、この世のものならぬ美しさと、硝子のような硬質な輝き。「二人の貴公子」のエミーリア姫があまりにも嵌り役だったこの人を、地上に降ろすことは誰にもできなかったんだな、と、今あらためて思います。
もちろん、しずくの出番はここだけではなくて、様々な群衆の場面にはだいたい出ていたと思うのですが、とりあえず、カジノの場面でしずくを見て泣いてしまったという、我ながらちょっと情けない状況だったのでした(^ ^;
響れおな(医者/星条海斗)
この人は本当に温かい、良い芝居をするなあ、と毎回飽きずに感動してしまいます。
患者への思いやりと、彼を心配するムーアに説明する言葉の選び方、言い方。ちょっとしたことなんですけど、この人が言うなら待とうかな、と、素直に納得できる雰囲気があったと思います。
彩星りおん(アイリーン/憧花ゆりの)
本公演を観たときはあまり思わなかったんですが、新公を観て、この役はちゃんと、アリステアの相手役の一人なんだな、と思いました。落ち着いた柔らかな声と、テキパキした職業的な手際、そして、ふと垣間見せる優しさ。
少女の透明感を持っているのに、すごく母性的な包容力もあるところが、りおんの個性になりつつあるな、と思いました。元男役としての包容力を、ゆがめることなく巧いこと女役の包容力に変換できたんじゃないかと思います。
次の公演を、楽しみにしています(はぁと)。
千海華蘭(サナトリウムの医者/明日海りお)
からんちゃんは、相変わらず可愛いかったです(はぁと)。なんとなく、人をリラックスさせる雰囲気のある人なので、こういう役はぴったりだなと思いました。
今回の新公では、この役そのものよりも群衆役のダンスで目を惹きました。なんとなく、華がでてきたような?(←猫に華を語られても困るでしょうが…)
紗那ゆずは(看護婦/花陽みら)
ゆずはちゃん、一応役がついているのがここなのでこの項目で書きますが、正直、一番印象的だったのはカジノのダンサーでした。「エリザベート」新公の娼婦でも思いましたが、この人にああいう衣装を着せるのはいろいろまずいような気がする(- -;ゞ
あのダンサーズは、本公演も新公も『良い子を揃えてみました!』って感じなんですが(汗)。ゆずはちゃん、もちろん看護婦も可愛かったなー(はぁと)。
沢希理寿&海桐望(ピアノ屋/麻月れんか&綾月せり)
新公らしい思い切った芝居で、とても良かったです。理寿ちゃんは、声がいいだけじゃなくて間が良いんだなあ(^ ^)。「エリザベート」で大役を演じる以前とは存在感が違ってきたような気がしますね。
海桐さんも手堅い役者で、お互いにフォローしあう良いコンビぶりでした。良かったですとっても。
妃乃あんじ(ローザ/花瀬みずか)
短い出番ですが、同期のみっしょんとも息があった芝居で、ちょっと類型的に造りこみつつ、ヤリスギの一歩手前で留まっていたところが良かったです。あんじちゃんの芝居、そんなに凄く良いと思ったことはなかったんですが、今回は良かったと思います♪
瑞羽奏都(ベレッタ/一色瑠加)
いやー、面白かったです。こういうアプローチがあったのか!!という驚き。
出てきたときから、なんだか随分イッちゃった化粧をしているなあとは思っていたんですが、あそこまでぶっ飛んだ役作りでくるとは予想外でした。でも、確かにあのくらいぶっ飛んでいる方が、その後の展開を納得しやすいのかも……。
花陽みら(ジンジャー/美鳳あや)
みっぽーの怪しさ(←妖しいではない)は演出指示だったんだなあ、と納得した瞬間(^ ^)。
ただ、みっぽーは根っから怪しいんですけど、みらちゃんはどこかにとぼけた味があって、「後学のために見せてください」と言うところとか、良い感じに笑いを取っていました。あれ、意図してやっているんなら凄いかも★
鳳月杏(ローレンス/青樹泉)
なんだか、すごく良くて吃驚しました。あまり期待はしていなかったのですが(すみません汗)、良かったと思います。とっても。
登場したときも、想像していたより怖さがあるなと思ったし、対決の後半の、いろいろ崩れたあたりでも巧いなあと思いました。
ただ、杖はなくても良かったんじゃないかな、と思いましたがねぇ(^ ^;ゞ
咲希あかね(アヌーク/天野ほたる)
美しいというのは強いな、と思いました。
そして、この役は正塚さんにとって「美女」の役なんだな、と(^ ^)。
比較的最初からコメディタッチだった本公演のもりえちゃんには、ほたるちゃんの、いかにも愛人らしい崩れた色気がよく似合っていたし、前半は怖さを見せたちなつちゃんには、ちゅーちゃんの、秘書役も兼任していそうな理知的な美しさがとても良く似合っていました。さすが正塚さん!!
こんなところでしょうか。
正塚作品だから仕方ないとはいえ、役少ないなあ…(泣)。
何度主演しても、いつもご挨拶はしっかりしていたみりおくん。
今回は、最後ということもあって、ちょっと言葉に詰まる一時もありました。
何から何まで、完全にみりおくんありきの新人公演に見えた、この二作。
どれだけの負荷がかかっていたのか、一観客にはまったくわかりませんが。
お疲れさま、そして、新公卒業おめでとう、と心から思います。
みりお、みっしょん、理寿ちゃん、しずく、あんじちゃん。人材豊富な月組89期も、しずくが宝塚を卒業したら、4人になっちゃうんですね。
……おかっぱ頭でころころ笑っていた89期が、もう研7。時がたつのは早いものです(; ;)。
千秋楽まで、あと、半月。
みんなみんな、悔いのないようにがんばってね(祈)。
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独りの男、9人の女。
2009年12月13日 ミュージカル・舞台ル・テアトル銀座にて、ミュージカル「ナイン」を観劇してまいりました。
「PHANTOM」と同じ、コーピット(脚本)&イェストン(作詞作曲)コンビによるブロードウェイミュージカル。
1982年の初演時、トニー賞の作品賞その他の多くの賞を受賞。さらに、2003年のデイヴィッド・ルヴォー演出での再演時には同賞のリバイバル賞を獲得した話題作。
日本初演は2004年のデイヴィッド・ルヴォー版で、このときはルヴォーと何度か組んでいたTPTが主催でした。
アートスフィア(現・銀河劇場)の高い天井を活かした立体的な装置と、本水を舞台に満たした斬新な演出、そして、美しくドラマティックな音楽が強く印象に残っています。
今調べてみると、あのときの翻訳は青井陽治さんだったんですね。なるほど…。
今回公演の演出は、最近ミュージカルでもヒット続きのG2氏。
どうかなあと思っていたのですが、非常に良かったです!
演出はすごくシンプル。前回は演出の斬新さが際立っていたので、そういうところを評価していた人は物足りないかもしれませんが、演出のシンプルさを補ってあまりある、深い芝居を見せていただきました。
端的に言うならば、前回の公演はショーで、今回の公演は芝居だった …と思いました。
同じ作品なのに、どうしてこんなに印象が違うのでしょうか。脚本も、新訳なだけじゃなくて、結構構成自体をいじっているのかしら?(前回のは、あまり詳しいことを覚えていないのですが)
ただの『お芝居』として純粋に面白くて、すごく真剣に見てしまいました。今回のほうが、キャストがみなさん嵌り役だった(*^ ^*)というのもあるかな…?
舞台はシンプル。特に衣装は、非常にシンプルでした。
グィドは、基本的に黒っぽいストライプのスーツ一枚で、後半にカサノヴァとして撮影に臨むときに白い上衣を羽織るくらい。
女性たちは、基本はそれぞれのスタイルに合わせた黒い衣装で、カサノヴァの撮影中は白い上衣を纏ってやっていました。あとは、何度かある幻想的な場面で、上衣を脱ぐとチラシなどに使われている深紅のドレス、という演出がありました。
セットらしいセットの無いシンプルな舞台で、衣装の色で世界を変える。舞台美術の一環としてのドレス使いで、面白い使い方だな、と思いました。
特に、一幕終了直前の紅いドレスには、ちょっと感動しましたわ……。
とりあえず、登場人物のリストをおいておきます。
#()内は、前回公演のキャスト
グィド・コンティーニ 松岡充(別所哲也)
ルイーザ・コンティーニ 新島聖子(髙橋桂)
クラウディア 貴城けい(純名りさ)
カルラ シルヴィア・グラブ(池田有希子)
リリアン・ラ・フルール 紫吹淳(大浦みずき)
サラギーナ 浦嶋りんこ(田中利花)
スパのマドンナ 樹里咲穂(剱持たまき)
グイドの母 今陽子(花山佳子)
ネクロフォラス 寿ひずる(福麻むつ美)
マリア 入絵加奈子(宮菜穂子)
前回公演では、このほかに髙塚いおり・岡田静・江川真理子・山田ぶんぶん・鳥居ひとみ・家塚敦子・井料瑠美の7人が参加しており、全部で17人+子役1人の(今回に比べれば)大所帯でした。
今回は、女性を(タイトルに合わせて?)9人に絞り込んだことで、緊迫感のある作品になっていた面もあると思います。
っていうか。前回みたときは、アンサンブルまで含めた一人づつにそれぞれ見せ場があって、それがちょっと冗長だったような気がするんですよね。今回公演を観てみると、登場している9人の人物以外のエピソードなんて無かったんですが……あれは、全部カットになったのでしょうか?それとも、そもそもそんな場面なんて無くて、私の気のせい?(不明)
ああ、この日記を書き始める前に書いていた観劇記録のデータ、どこへ逃げてしまったのかしらん(T T)。
そして、子役(“9歳の”グィド)の名前をメモってくるのを忘れました(涙)
うーん、とても綺麗で安定したボーイソプラノの子でした。顔だちはちょっと薄め。松岡さんが非常に濃いので、「この子がどう成長したらこうなるんだ…?」と思ってしまった(汗)。
それでは、実際の公演のお話を。
ル・テアトル銀座。
銀座セゾン劇場だった頃から好きな劇場でしたが、見やすいし、椅子の座り心地も良いし、本当に良い劇場ですよねえ♪そういえば、最近あまり宝塚はここを使わなくなったなあ。使用料が高い……のかな?
今回、開幕前のアナウンスが相当面白いです。あまりギリギリに駆け込まず、5分くらい前に席に着くことをお勧めします♪(開演前も、二幕の前も!!)
とくに、リカさんがお茶目です。ぜひお聞き逃しなく!
世界的に有名なイタリアの映画監督、グィド・コンティーニ。
大空祐飛さんのファン的には、ここは笑うところです。
というか。私は、「Hollywood Lover」のあらすじが出たとき、一瞬「まさかナインのパクリか!?」と思ったんですよね(^ ^)(←実際の作品は全然違ってましたが、最初のあらすじは結構それっぽかった)。
過去にいくつものヒット作を生み出し、指折りの有名監督となったグィド。だが、ここ数作失敗が続いていて、ついには脚本が書けない(物語を思いつかない)状態まできてしまった。
そんなさなか、家庭を顧みずに浮気を繰り返す夫に焦れた妻・ルイーザが、離婚を言い出す。
彼女を宥めるために、そして、プロデューサー(リリアン)からの催促から逃れるために、ヴェネツィアのスパ・リゾートに行くことを思いつくグィド。
この、スパ・リゾートに行くと決めた後の、なんというか、「天国へようこそ~」的なスパのマドンナのソロが素晴らしかった(*^ ^*)。樹里ちゃん、最近ますますソプラノに磨きがかかって、ホントに凄いです。ボイトレがんばっているんだろうなあ~~。
前回の公演では超美声の剱持たまきさんが歌っていた曲ですが、ぜんぜんひけをとらなかったです!演出的には、前回ほどの女神様感(衣装や髪型までアテナ女神みたいだった)は無かったものの、前髪パッツンのストレートロングの髪型に相変わらずの無茶苦茶なスタイルを強調する衣装……ホントにギリシア風の彫刻みたいでした(*^ ^*)
スパ・リゾートに到着するなり、記者たち(入絵、寿、今……だったかな?)に取り巻かれるグィドとルイーザ。
次回作の予定は?どんな作品か?などとしつこく問われ、消耗するグィド。
「その女性と一緒にご旅行ということは、奥様はご存知で?」
「……その女性が、妻なんだが」
そんな会話を、固い貌で見守っているルイーザ。
スパ・リゾートの部屋でグィドとルイーザが一休みしていると、電話が鳴る。
愛人のカルラからの、「追いかけてきたわ」という電話に仰天するグィド。
ここのナンバーは、前回公演で一番印象的な場面でした。アートスフィアの高い天井から、舞台まで、太い縄一本に逆さに吊られて降りてきたんですよ、池田有希子さんが。
ブランコとかじゃなくて、身体に縄を巻きつけて、それ以外の支えは無い状態で。しかも、降りてくる途中の空中で姿勢を替え、縄と戯れながら。
……色っぽいというか、倒錯的なパフォーマンスで、物凄かったです……。
それに比べれば、今回のシルヴィアは、袖からソファに下着姿で寝そべって出てくるだけで、演出的には“ごく普通”でした。グィドに絡むダンスは、普通に色っぽくて(*^ ^*)とても良かったけどね。いや、普通に…というか、生々しい色気でしたが(汗)。ドキドキ。
目の前で愛人からの電話に出て、そんな妄想を繰り広げている夫を醒めた目でみているルイーザが怖いです。この場面ではまだ、彼女が気づいているかどうか観客にはわからないハズなのですが、新妻さんはかーなーり怖かったなあ…。
そして。また少したつと、プロデューサーのリリアンからも電話が入る。
「ヴェネツィアで何をしているの?まだ私は脚本を受け取っていないのだけれど?」
焦りのあまり、適当なことを言ってしまうグィド。
「もちろん、もうできています!!ヴェネツィアへ来たのは、撮影準備のためで」
「ヴェネツィアで撮影するのね!?わかったわ、すぐに行くわ。撮影部隊も行かせるわ!」
……身から出たさび。とゆーのはちょっと違うか?
とにかく、一時シノギのでたらめのつもりだった言葉に、さらに追い詰められるグィド。
リリアンが到着するまでに、脚本を仕上げなくてはならない。ほんの数日の間に。
いくら焦っても、スランプ中の彼に、インスピレーションの神様は降りてこない。
過去の体験を基にした作品を得意とする彼は、次第に自分自身の記憶の渦の中に巻き込まれていく。
たくさんの愛人たち。たくさんの女優たち。
9歳の頃、砂浜で『愛』を教えてくれたサラギーナ。
そして、息子を理解できない自分に、いつも傷ついていたママ。
ママを、そして愛人たちを傷つけてきた自分。
長いことグィドのインスピレーションの源だった女優・クラウディアが到着。彼女にすべての希みをかけたグィドに、クラウディアは問いかける。
「あたしの役は、何?」
「立っているだけで雰囲気のある女だ」
「……そういうのは、もうやったわ。何度も、何度も……
「じゃあ……」
「それもやったわ。……言ったでしょう?今までと違う役なら出る、と」
「クラウディア」
「同じ役しかやらせてもらえないなら、このまま帰るわ」
つれなく踵を返そうとするクラウディアに、グィドは縋りつく。
君がいなくては駄目なんだ、と。
でも。男のインスピレーションであることに疲れた女は、寂しげに背を向ける。
「あなたは、いつまでも子供なのね。カサノヴァみたい」
必死すぎて何も見えなくなっていた男にとって、その一言こそがインスピレーションだった。
神の啓示のように、彼の女神のお告げを受け止める男。
「カサノヴァ……そうだ、それだ!!」
ヴェネツィアを舞台にした物語。何もアイディアが浮かばない彼は、卑近な現実に取材した自伝的な脚本を書き始める。
なんの反省も無い、ただ事実を並べただけの、自伝を。
今回、前回と比べて一番印象的だったのは、グィドのキャラクターでした。
松岡さんのグィドは、正しく『間違えた男』だった。
9歳のときにサラギーナの手を取ったのが分かれ道。そこで間違った道を選んでしまった男。
愛することを知らない、愛されることを知らない、男。
……お母さんは、ちゃんと愛していたのにねえ……。
別所さんは、いかにもイタリア男っぽいマッチョさがあって、それは良かったんですが。彼は、どうしたって『気は優しくて力持ち』に見えてしまったんですよね。芸風が誠実すぎて。
それが、このグィドという役には致命的だった。毒のなさ、根っこのところでの真直ぐさが。
松岡さんは、持ち味としてもヒネた役が似合うと思うのですが、その中でも特に ヒネてるけど可愛い男、とゆーのが似合うと思います。
ヒネてるけど可愛くて、女がつい「守ってあげたい」と思ってしまう。愛さずにはいられない、男。しかも、「偉そうに振舞う」ことに慣れていて、舞台の上で嘘が吐ける!
グィドっていうのは、嘘吐きな男なので。彼はすごく嵌り役だったと思います。松岡さんをキャスティングしたG2さんは、神だと思う。
クラウディアのかしげちゃんも当たり役でした。
その美しさと、『立っているだけで雰囲気がある』存在感。どこか寂しげな風情と、やわらかなハスキーな声が、すごく役に合っていたと思います。
最後の方で、グィドに「あなたは一度も聞いてくれなかったけど、あたしにも生活はあるのよ。……女優として生きることを応援してくれる、優しい人が」と告げる場面。
涙をこらえて淡々と語るかしげちゃんの美しさ。切なさ。「愛すること」の難しさ。
……名演技でした(*^ ^*)。G2さん、ありがとう♪
そして、ルイーザ。
新島聖子さんの頑固な強さが、凄く生きた役だったな、と思います。ルイーザも元女優なんですが、グィドと結婚したときに引退するんですよね。宝塚OGの中に入るとちょっと垢抜けない雰囲気があるのが、そういう人生を選んだ人っぽくて、そんなところまで嵌っているなあと思いました。
ルイーザのグィドに対する愛というのは、ほとんど母性愛だと思うんですよね。
離婚を言い出しながらも、行き詰っている彼をサポートするために愛人たちに連絡を取ったり、後始末をしたり……ほとんどマネージャーに近い存在のように見えます。
それでも、彼女は彼女なりに、グィドを愛していた。
これ以上一緒に暮らすことはできなくても、彼の創り出す世界を、愛していた……。
前回の高橋さんはあまり印象に残っていなくて、こんな役だったっけ……?という感じなのですが、新妻さんのルイーザ、私は本当に感動しました。
リリアンはフォーリーズの元スターだったという設定があって、ひとしきりセンターで歌い踊った末に「こういうのを撮って頂戴!」という場面があって、その我侭ぶりにちょっと笑いました。
ドスのきいた低い声はさすが元男役、迫力があってよかったです♪
グィドに絡む9人の女たち、と言いながらも、大きく絡むのは妻のルイーザとクラウディア、カルラ、リリアン、グィドの母、そしてサラギーナの6人。
ネクロフォラスはリリアンが連れてきた評論家で、グィドの最近の作品について辛辣なことを言いますが、それ以上の関係はない。ただ、彼のクリエイティブ(=プライド)に傷をつけるという意味では唯一の存在で、もしかしたら一番影響力が大きいのかもしれませんね。
寿さんの重さのある芝居が非常に良かったです。特に、ラスト前に追い詰められたグィドの前に拳銃をおいていく前の「保険をかけておいて、本当に良かった」という台詞が素晴らしかった!
マリアは映画女優で、グィドが撮影する「カサノヴァ」の映画の中で、カルラに相当する役を演じる。あまりはっきりと説明されるわけではないのですが、現実にもグィドの浮気相手の一人であるらしい。加奈子ちゃんは達者な女優で、アルバイトも含めてどの役もすごく良かったです。
個人的には、プロローグの芝居(「ナイン」という映画を撮る直前の女優たち、という設定でいろいろ楽屋で喋っているっぽいのですが、微妙に物語にリンクしていて、面白いけど混乱する)の嫌味な女優が良かったです♪
グィドの中にあったはずの、『インスピレーション』という名の泉。
今はもう枯れ果ててしまったその泉の跡を覗き込みながら、なんの手もうてず、ただ泣きくれているだけの子供。
彼独りでは、二度とその泉を蘇らせることはできない。
たぶん、『愛』がなければ。
その『愛』を、与えようとしたルイーザ。
自分が与える愛では足りないなら、他の誰かと、と。
カルラでも、クラウディアでも、マリアでも。
あの人のインスピレーションを刺激してくれるなら、誰でも、と。
その『愛』を、ほしがっていたクラウディア。
たった一つ、グィドがあげられないものを、欲しがっていた女優。
彼女にだけは、それを求める権利があった。与えられはしなかったけれども。
その『愛』が、グィドにもあると信じたかったカルラ。
グィドに裏切られた彼女の、悄然とした背中が忘れられません。
激しいナンバーの間中、ぴくりとも動かずに、舞台の隅に佇むカルラ。迦楼羅の名に相応しく、翼をもがれた鳥のような、痛々しい背中でした( ←迦楼羅は、英語ではガルーダのハズだが……)
なんだか、幻想と現実と記憶が入り混じる複雑な構成の物語なので、後から説明しようとすると難しいなあ……。
観ているときは、すべてがわかったような気がしたのに。
とにかく、面白かったです。前回観て、ぴんとこなかった方にもお勧め。
(最近、そういうの多いような気がする。もしかして、許容範囲が広がっただけなんじゃないのか?>自分)(………宝塚作品を基準にしてるから、とか?)
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「PHANTOM」と同じ、コーピット(脚本)&イェストン(作詞作曲)コンビによるブロードウェイミュージカル。
1982年の初演時、トニー賞の作品賞その他の多くの賞を受賞。さらに、2003年のデイヴィッド・ルヴォー演出での再演時には同賞のリバイバル賞を獲得した話題作。
日本初演は2004年のデイヴィッド・ルヴォー版で、このときはルヴォーと何度か組んでいたTPTが主催でした。
アートスフィア(現・銀河劇場)の高い天井を活かした立体的な装置と、本水を舞台に満たした斬新な演出、そして、美しくドラマティックな音楽が強く印象に残っています。
今調べてみると、あのときの翻訳は青井陽治さんだったんですね。なるほど…。
今回公演の演出は、最近ミュージカルでもヒット続きのG2氏。
どうかなあと思っていたのですが、非常に良かったです!
演出はすごくシンプル。前回は演出の斬新さが際立っていたので、そういうところを評価していた人は物足りないかもしれませんが、演出のシンプルさを補ってあまりある、深い芝居を見せていただきました。
端的に言うならば、前回の公演はショーで、今回の公演は芝居だった …と思いました。
同じ作品なのに、どうしてこんなに印象が違うのでしょうか。脚本も、新訳なだけじゃなくて、結構構成自体をいじっているのかしら?(前回のは、あまり詳しいことを覚えていないのですが)
ただの『お芝居』として純粋に面白くて、すごく真剣に見てしまいました。今回のほうが、キャストがみなさん嵌り役だった(*^ ^*)というのもあるかな…?
舞台はシンプル。特に衣装は、非常にシンプルでした。
グィドは、基本的に黒っぽいストライプのスーツ一枚で、後半にカサノヴァとして撮影に臨むときに白い上衣を羽織るくらい。
女性たちは、基本はそれぞれのスタイルに合わせた黒い衣装で、カサノヴァの撮影中は白い上衣を纏ってやっていました。あとは、何度かある幻想的な場面で、上衣を脱ぐとチラシなどに使われている深紅のドレス、という演出がありました。
セットらしいセットの無いシンプルな舞台で、衣装の色で世界を変える。舞台美術の一環としてのドレス使いで、面白い使い方だな、と思いました。
特に、一幕終了直前の紅いドレスには、ちょっと感動しましたわ……。
とりあえず、登場人物のリストをおいておきます。
#()内は、前回公演のキャスト
グィド・コンティーニ 松岡充(別所哲也)
ルイーザ・コンティーニ 新島聖子(髙橋桂)
クラウディア 貴城けい(純名りさ)
カルラ シルヴィア・グラブ(池田有希子)
リリアン・ラ・フルール 紫吹淳(大浦みずき)
サラギーナ 浦嶋りんこ(田中利花)
スパのマドンナ 樹里咲穂(剱持たまき)
グイドの母 今陽子(花山佳子)
ネクロフォラス 寿ひずる(福麻むつ美)
マリア 入絵加奈子(宮菜穂子)
前回公演では、このほかに髙塚いおり・岡田静・江川真理子・山田ぶんぶん・鳥居ひとみ・家塚敦子・井料瑠美の7人が参加しており、全部で17人+子役1人の(今回に比べれば)大所帯でした。
今回は、女性を(タイトルに合わせて?)9人に絞り込んだことで、緊迫感のある作品になっていた面もあると思います。
っていうか。前回みたときは、アンサンブルまで含めた一人づつにそれぞれ見せ場があって、それがちょっと冗長だったような気がするんですよね。今回公演を観てみると、登場している9人の人物以外のエピソードなんて無かったんですが……あれは、全部カットになったのでしょうか?それとも、そもそもそんな場面なんて無くて、私の気のせい?(不明)
ああ、この日記を書き始める前に書いていた観劇記録のデータ、どこへ逃げてしまったのかしらん(T T)。
そして、子役(“9歳の”グィド)の名前をメモってくるのを忘れました(涙)
うーん、とても綺麗で安定したボーイソプラノの子でした。顔だちはちょっと薄め。松岡さんが非常に濃いので、「この子がどう成長したらこうなるんだ…?」と思ってしまった(汗)。
それでは、実際の公演のお話を。
ル・テアトル銀座。
銀座セゾン劇場だった頃から好きな劇場でしたが、見やすいし、椅子の座り心地も良いし、本当に良い劇場ですよねえ♪そういえば、最近あまり宝塚はここを使わなくなったなあ。使用料が高い……のかな?
今回、開幕前のアナウンスが相当面白いです。あまりギリギリに駆け込まず、5分くらい前に席に着くことをお勧めします♪(開演前も、二幕の前も!!)
とくに、リカさんがお茶目です。ぜひお聞き逃しなく!
世界的に有名なイタリアの映画監督、グィド・コンティーニ。
大空祐飛さんのファン的には、ここは笑うところです。
というか。私は、「Hollywood Lover」のあらすじが出たとき、一瞬「まさかナインのパクリか!?」と思ったんですよね(^ ^)(←実際の作品は全然違ってましたが、最初のあらすじは結構それっぽかった)。
過去にいくつものヒット作を生み出し、指折りの有名監督となったグィド。だが、ここ数作失敗が続いていて、ついには脚本が書けない(物語を思いつかない)状態まできてしまった。
そんなさなか、家庭を顧みずに浮気を繰り返す夫に焦れた妻・ルイーザが、離婚を言い出す。
彼女を宥めるために、そして、プロデューサー(リリアン)からの催促から逃れるために、ヴェネツィアのスパ・リゾートに行くことを思いつくグィド。
この、スパ・リゾートに行くと決めた後の、なんというか、「天国へようこそ~」的なスパのマドンナのソロが素晴らしかった(*^ ^*)。樹里ちゃん、最近ますますソプラノに磨きがかかって、ホントに凄いです。ボイトレがんばっているんだろうなあ~~。
前回の公演では超美声の剱持たまきさんが歌っていた曲ですが、ぜんぜんひけをとらなかったです!演出的には、前回ほどの女神様感(衣装や髪型までアテナ女神みたいだった)は無かったものの、前髪パッツンのストレートロングの髪型に相変わらずの無茶苦茶なスタイルを強調する衣装……ホントにギリシア風の彫刻みたいでした(*^ ^*)
スパ・リゾートに到着するなり、記者たち(入絵、寿、今……だったかな?)に取り巻かれるグィドとルイーザ。
次回作の予定は?どんな作品か?などとしつこく問われ、消耗するグィド。
「その女性と一緒にご旅行ということは、奥様はご存知で?」
「……その女性が、妻なんだが」
そんな会話を、固い貌で見守っているルイーザ。
スパ・リゾートの部屋でグィドとルイーザが一休みしていると、電話が鳴る。
愛人のカルラからの、「追いかけてきたわ」という電話に仰天するグィド。
ここのナンバーは、前回公演で一番印象的な場面でした。アートスフィアの高い天井から、舞台まで、太い縄一本に逆さに吊られて降りてきたんですよ、池田有希子さんが。
ブランコとかじゃなくて、身体に縄を巻きつけて、それ以外の支えは無い状態で。しかも、降りてくる途中の空中で姿勢を替え、縄と戯れながら。
……色っぽいというか、倒錯的なパフォーマンスで、物凄かったです……。
それに比べれば、今回のシルヴィアは、袖からソファに下着姿で寝そべって出てくるだけで、演出的には“ごく普通”でした。グィドに絡むダンスは、普通に色っぽくて(*^ ^*)とても良かったけどね。いや、普通に…というか、生々しい色気でしたが(汗)。ドキドキ。
目の前で愛人からの電話に出て、そんな妄想を繰り広げている夫を醒めた目でみているルイーザが怖いです。この場面ではまだ、彼女が気づいているかどうか観客にはわからないハズなのですが、新妻さんはかーなーり怖かったなあ…。
そして。また少したつと、プロデューサーのリリアンからも電話が入る。
「ヴェネツィアで何をしているの?まだ私は脚本を受け取っていないのだけれど?」
焦りのあまり、適当なことを言ってしまうグィド。
「もちろん、もうできています!!ヴェネツィアへ来たのは、撮影準備のためで」
「ヴェネツィアで撮影するのね!?わかったわ、すぐに行くわ。撮影部隊も行かせるわ!」
……身から出たさび。とゆーのはちょっと違うか?
とにかく、一時シノギのでたらめのつもりだった言葉に、さらに追い詰められるグィド。
リリアンが到着するまでに、脚本を仕上げなくてはならない。ほんの数日の間に。
いくら焦っても、スランプ中の彼に、インスピレーションの神様は降りてこない。
過去の体験を基にした作品を得意とする彼は、次第に自分自身の記憶の渦の中に巻き込まれていく。
たくさんの愛人たち。たくさんの女優たち。
9歳の頃、砂浜で『愛』を教えてくれたサラギーナ。
そして、息子を理解できない自分に、いつも傷ついていたママ。
ママを、そして愛人たちを傷つけてきた自分。
長いことグィドのインスピレーションの源だった女優・クラウディアが到着。彼女にすべての希みをかけたグィドに、クラウディアは問いかける。
「あたしの役は、何?」
「立っているだけで雰囲気のある女だ」
「……そういうのは、もうやったわ。何度も、何度も……
「じゃあ……」
「それもやったわ。……言ったでしょう?今までと違う役なら出る、と」
「クラウディア」
「同じ役しかやらせてもらえないなら、このまま帰るわ」
つれなく踵を返そうとするクラウディアに、グィドは縋りつく。
君がいなくては駄目なんだ、と。
でも。男のインスピレーションであることに疲れた女は、寂しげに背を向ける。
「あなたは、いつまでも子供なのね。カサノヴァみたい」
必死すぎて何も見えなくなっていた男にとって、その一言こそがインスピレーションだった。
神の啓示のように、彼の女神のお告げを受け止める男。
「カサノヴァ……そうだ、それだ!!」
ヴェネツィアを舞台にした物語。何もアイディアが浮かばない彼は、卑近な現実に取材した自伝的な脚本を書き始める。
なんの反省も無い、ただ事実を並べただけの、自伝を。
今回、前回と比べて一番印象的だったのは、グィドのキャラクターでした。
松岡さんのグィドは、正しく『間違えた男』だった。
9歳のときにサラギーナの手を取ったのが分かれ道。そこで間違った道を選んでしまった男。
愛することを知らない、愛されることを知らない、男。
……お母さんは、ちゃんと愛していたのにねえ……。
別所さんは、いかにもイタリア男っぽいマッチョさがあって、それは良かったんですが。彼は、どうしたって『気は優しくて力持ち』に見えてしまったんですよね。芸風が誠実すぎて。
それが、このグィドという役には致命的だった。毒のなさ、根っこのところでの真直ぐさが。
松岡さんは、持ち味としてもヒネた役が似合うと思うのですが、その中でも特に ヒネてるけど可愛い男、とゆーのが似合うと思います。
ヒネてるけど可愛くて、女がつい「守ってあげたい」と思ってしまう。愛さずにはいられない、男。しかも、「偉そうに振舞う」ことに慣れていて、舞台の上で嘘が吐ける!
グィドっていうのは、嘘吐きな男なので。彼はすごく嵌り役だったと思います。松岡さんをキャスティングしたG2さんは、神だと思う。
クラウディアのかしげちゃんも当たり役でした。
その美しさと、『立っているだけで雰囲気がある』存在感。どこか寂しげな風情と、やわらかなハスキーな声が、すごく役に合っていたと思います。
最後の方で、グィドに「あなたは一度も聞いてくれなかったけど、あたしにも生活はあるのよ。……女優として生きることを応援してくれる、優しい人が」と告げる場面。
涙をこらえて淡々と語るかしげちゃんの美しさ。切なさ。「愛すること」の難しさ。
……名演技でした(*^ ^*)。G2さん、ありがとう♪
そして、ルイーザ。
新島聖子さんの頑固な強さが、凄く生きた役だったな、と思います。ルイーザも元女優なんですが、グィドと結婚したときに引退するんですよね。宝塚OGの中に入るとちょっと垢抜けない雰囲気があるのが、そういう人生を選んだ人っぽくて、そんなところまで嵌っているなあと思いました。
ルイーザのグィドに対する愛というのは、ほとんど母性愛だと思うんですよね。
離婚を言い出しながらも、行き詰っている彼をサポートするために愛人たちに連絡を取ったり、後始末をしたり……ほとんどマネージャーに近い存在のように見えます。
それでも、彼女は彼女なりに、グィドを愛していた。
これ以上一緒に暮らすことはできなくても、彼の創り出す世界を、愛していた……。
前回の高橋さんはあまり印象に残っていなくて、こんな役だったっけ……?という感じなのですが、新妻さんのルイーザ、私は本当に感動しました。
リリアンはフォーリーズの元スターだったという設定があって、ひとしきりセンターで歌い踊った末に「こういうのを撮って頂戴!」という場面があって、その我侭ぶりにちょっと笑いました。
ドスのきいた低い声はさすが元男役、迫力があってよかったです♪
グィドに絡む9人の女たち、と言いながらも、大きく絡むのは妻のルイーザとクラウディア、カルラ、リリアン、グィドの母、そしてサラギーナの6人。
ネクロフォラスはリリアンが連れてきた評論家で、グィドの最近の作品について辛辣なことを言いますが、それ以上の関係はない。ただ、彼のクリエイティブ(=プライド)に傷をつけるという意味では唯一の存在で、もしかしたら一番影響力が大きいのかもしれませんね。
寿さんの重さのある芝居が非常に良かったです。特に、ラスト前に追い詰められたグィドの前に拳銃をおいていく前の「保険をかけておいて、本当に良かった」という台詞が素晴らしかった!
マリアは映画女優で、グィドが撮影する「カサノヴァ」の映画の中で、カルラに相当する役を演じる。あまりはっきりと説明されるわけではないのですが、現実にもグィドの浮気相手の一人であるらしい。加奈子ちゃんは達者な女優で、アルバイトも含めてどの役もすごく良かったです。
個人的には、プロローグの芝居(「ナイン」という映画を撮る直前の女優たち、という設定でいろいろ楽屋で喋っているっぽいのですが、微妙に物語にリンクしていて、面白いけど混乱する)の嫌味な女優が良かったです♪
グィドの中にあったはずの、『インスピレーション』という名の泉。
今はもう枯れ果ててしまったその泉の跡を覗き込みながら、なんの手もうてず、ただ泣きくれているだけの子供。
彼独りでは、二度とその泉を蘇らせることはできない。
たぶん、『愛』がなければ。
その『愛』を、与えようとしたルイーザ。
自分が与える愛では足りないなら、他の誰かと、と。
カルラでも、クラウディアでも、マリアでも。
あの人のインスピレーションを刺激してくれるなら、誰でも、と。
その『愛』を、ほしがっていたクラウディア。
たった一つ、グィドがあげられないものを、欲しがっていた女優。
彼女にだけは、それを求める権利があった。与えられはしなかったけれども。
その『愛』が、グィドにもあると信じたかったカルラ。
グィドに裏切られた彼女の、悄然とした背中が忘れられません。
激しいナンバーの間中、ぴくりとも動かずに、舞台の隅に佇むカルラ。迦楼羅の名に相応しく、翼をもがれた鳥のような、痛々しい背中でした( ←迦楼羅は、英語ではガルーダのハズだが……)
なんだか、幻想と現実と記憶が入り混じる複雑な構成の物語なので、後から説明しようとすると難しいなあ……。
観ているときは、すべてがわかったような気がしたのに。
とにかく、面白かったです。前回観て、ぴんとこなかった方にもお勧め。
(最近、そういうの多いような気がする。もしかして、許容範囲が広がっただけなんじゃないのか?>自分)(………宝塚作品を基準にしてるから、とか?)
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二つのディベート 「フロスト×ニクソン」と「十二人の怒れる男」
2009年12月14日 演劇先月末から今月にかけて観劇した、二つのストレートプレイをまとめて書かせていただきます。
ひとつは、天王洲の銀河劇場で上演していた「フロスト×ニクソン」。
もうひとつは、シアターコクーンで上演していた「十二人の怒れる男」。
どちらも非常に面白く、興味深い作品でした(^ ^)。
「フロスト×ニクソン」
イギリスのTVジャーナリストであるデヴィッド・フロストが、ウォーターゲート事件で失脚したニクソン元大統領とのインタビューに挑む。
お互いに自分の存在意義を賭けて闘う二人の男(二つのチーム)。二人のインタビューを中心にすえたこの戯曲は、2006年にイギリスで初演され、2007年にブロードウェイへ進出。ニクソン役のフランク・ランジェラがトニー賞(主演男優賞)を獲得。後に映画化もされた名作です。
……そうかー、この話、「主演男優」はニクソンなのか……
幕開きは、ニクソン(北大路欣也)とその腹心であるブレナン大佐(谷田歩)の会話ではじまります。
ウォーターゲート事件で何もかも喪い、健康さえ害した男と、その男に、退陣後もずっと付き従ってきた男。
彼を、もういちど「用のある男」に戻るために、闘いを始める二人。
イギリスやオーストラリア、アメリカの地方などで人気番組を担当するTVタレントのデヴィッド・フロスト(仲村トオル)。
「TVタレント」ではなく「TVジャーナリスト」として認められ、アメリカの放送業界のど真ん中に返り咲こうと画策する彼は、仕事仲間のジョン・バート(中村まこと)に相談をもちかける。
「ニクソンにインタビューを申し込んだんだ。もし受諾されたら、手伝ってくれるかい?」
「ニクソン、って、あのニクソンかい…?」
目を丸くして問い返すバート。
何か大きなことをしなくては、アメリカのセントラルでスターになることは難しい。
難しいけれども、すべてを賭けてやるだけの価値のあることだ、と。
ニクソンは、「自分の話を国民に聞いてもらういいチャンスだ」という判断のもと、
敏腕エージェントのリザール(中山祐一朗)を交渉役に、インタビューの報酬額や条件について詰めはじめる。
フロストも、執拗にニクソンを追う一匹狼のジャーナリスト、ジム・レストン(佐藤アツヒロ)やベテラン記者のボブ・ゼルニック(安原義人)といったメンバーを集め、金を用意し、撮影場所を決めて、インタビューの準備を進めていく。
2時間×12日という長期にわたるインタビューを行い、それを編集した上で90分×4回という放映時間にまとめる。ウォーターゲート事件が片付けられ(関係者によってしまいこまれ)た後に、ニクソンが初めて口を開いた、この「ザ・ニクソン・インタビュー」が、当時のアメリカ国民の関心をどれだけ呼んでいたのか、今となっては想像するのも難しい、という気がします。
とにかく、このインタビューは今でも記録として残っている視聴率を稼ぎだし、フロストは間違いなく『スター』になった。
演出は鈴木勝秀。総勢7人という少数精鋭の舞台ですが、とにかく、ひとりひとりの実力は傑出しているので、全く不安を感じることなく、どっぷりとその世界に浸ることができました。
この作品は、いわゆる『ワンシチュエーションもの』ではないのですが、やはり息詰まるようなインタビューの模様をメインにしているだけに、ワンシチュエーションっぽいイメージがあったと思います。
アツヒロくんのジムが、「フロスト陣営」と「視聴者」の間に入る形で語り手を務めていました。私は、基本的に「説明役」が必要な芝居に否定的なのですが、このジムは「説明役」ではなく、『ドキュメンタリーの語り手』だったと思います。
なんというか。戯曲全体が、このインタビューから数年後に関係者にインタビューして制作したドキュメンタリー、みたいな構造になっていたんですよね。だから、メンバーの中でも一番若くてエネルギッシュで、「ニクソンの真実を暴く」ことに燃えていたブンヤ魂のかたまりみたいなジムに、語り手が回ってくることがとても自然で。違和感なく納得できました。
アツヒロくんの語り口が、ぼそぼそと素朴な感じだったのも良かったと思います。
なんといっても、この作品の主題は、「主演男優」であるニクソン役の北大路欣也でしょうね。
非常に有能で、外交を得意とし、いくつもの功績をもつ「穏やかで紳士な」大統領。
そんな彼がなぜ、あんなことに関係してしまったのか?それは全く語られることはないのですが。
ただ、「(それは間違ったことだが)大統領がするのであれば、それは違法ではない」と、彼は本気で思ってしまっていたのかな、と……
その認識違いが切なくなる、フロストとの闘いっぷりでした。
私は上手側の前方端席で観ていたので、インタビューの場面では、基本的にニクソンの背中を視ていました。
下手側に座ったフロストの顔は、良く見えました。そして、その向こうには、鋭い眼でニクソンの方を睨むように資料と格闘しているジムとボブが居て、フロストやニクソンが一言言うたびにわたわたと動いている。真ん中での会話に対する彼らの反応を見ているだけでも面白かったです。
手前側にはニクソンが座り、その背中を守る形でブレナンが立つ。インタビュー中の皆の立ち位置はほぼ一定で、ずーっとこういう態勢で撮りつづけたのかな、と思いました。
真ん中の二人の会話に対してずっとリアクションしているフロスト陣営と、どんな危機的な状況に陥ったように見えてもピクリとも動かないブレナンの対比。
それなのに、致命的な一言をニクソンが搾り出そうとした瞬間に、ブレナンは走り出そうとするんですよね。
彼は知っていたはず。ずっと傍に居た彼が、知らなかったはずは無い……すべてを。それでも、そこには触れずに通り抜けられると思っていた。運命の瞬間がおとずれるまで。
印象的だったのは、最後のインタビューに到る前夜の、フロストの苦悩でした。
全てを賭けて挑んだインタビューに敗れたならば、彼にはもう後がない。財産のすべてをニクソンやスタッフへの支払いに宛て、他の仕事を全て断ってこのインタビュー対策一本に絞って。
これが失敗したら、もう二度と這い上がることはできないだろう。
文字通り、人生を賭けて挑んだインタビュー。
そして。
ニクソンもまた、このインタビューに復活を賭けている。
このインタビューを乗り切れば、まあ大統領として返り咲くのは無理でも、アドバイザーくらいの地位には入れるはずだ。自分にはまだ価値がある。外交問題において、自分以上に対応できる者など、この国にはいないのだから。
その、強烈な自負と、プライド。過去の実績に裏付けられた、圧倒的な自信。
一回一回が真剣勝負だ、という言葉に、本気で納得しました。
仲村トオルは、いやフロストは、本気でニクソンが何を言うかを探っていた。
すべての瞬間に。真顔で。本気で。心の底から。
真剣に、ニクソンが何を言おうとしているのかを探り、どの応えがきたらどの台詞を返そうか、と考える。
対峙するニクソンもまた、フロストが何を言い出すか、を、全ての瞬間に固唾をのんで待っているのを感じました。
その、お互いに相手が口を開くのを待っている、長く重たい、真剣な一瞬。
そんな一瞬の積み重ねが、あの舞台の重みになっていたのだと思います。
……凄いなあ。
そんなに長い芝居ではないのに、観ているだけでぐったりと消耗しちゃって。演技している本人たちは、大丈夫なんだろうか……と、ふと心配になったりしました(^ ^)。
いやーーー、それにしても、生で観る北大路欣也は巨きいですね!!
「十二人の怒れる男」
こちらは、ワンシチュエーションもの象徴的な戯曲であり、1957年に後悔された映画を元にした作品。
舞台の演出は、大御所・蜷川幸雄。
「フロスト×ニクソン」の、淡々としたクールでクレバーな会話が続く、というものとは違い、時には熱く、時にはクールに、そして時には野次馬が騒ぎながら、12人の陪審員たちが審理をすすめていく……という作品ではあるのですが。
なんとなく、「論争」をテーマにしたストレートプレイ、というくくりがあるような気がしたので、まとめてみました(^ ^)。
しっかし……ここのところ、外部の作品っていうとG2⇒スズカツ⇒蜷川を繰り返し観ているような(汗)……。
ある少年の裁判。
公判を終え、12人の陪審員たちが部屋に入ってくる。
彼らはこれから、全員一致で結論を出さなくてはならない。
少年は殺人罪で死刑の求刑を受けている。
陪審員たちの回答には、3つの可能性がある。
1.全員一致で「有罪」=> 少年は死刑確定
2.全員一致で「無罪」=> 少年は無罪放免
3.「審議不一致」=> 別の陪審員を集めて、もう一度いちから裁判をやり直す。
この作品も、座長的な意味での「主役」はいない構造の戯曲ですが、当然戯曲的に焦点となるべき登場人物がいます。
12人の陪審員たちのうち、11人が「有罪」と判断し、1人だけが「無罪」と判断する。
その、たった一人の「離反者」、陪審員8号の中井貴一。
8号は、決して「少年は何もしていないと思う」と主張していたわけではないんです。
「有罪であるという証拠が不十分である」と主張している。
つまり、「疑わしきは罰せず」というわけです。
彼は訥々と、一つ一つの証拠について疑問点を呈していきます。
加害者とされている少年の心理。被害者である少年の父親の行動の謎。
目撃者の性格と、身体能力(「目撃」することが果たして可能であったのか?)。
ナイフの入手経路。彼自身の行動の謎。証言と現実の食い違い。
なるほど、なるほど……と思いながら観てはいたのですが。
しかし!
これだけ「名作」の誉れ高く、戯曲としての質が高いといわれている作品でさえ、どうかと思う話がたくさんあってびっくりしました(^ ^;ゞ
なんていうのかな。8号が指摘する点の、半分くらいはそんなん、どうして捜査で気づかへんかったん?と思う話だからけだったんです。
とゆーか、私は裁判員制度についてあまり詳しくないんですが、陪審員には、裁判中に質問する権利は無いんでしょうか?もしかしたら、警察とかが居る場で質問していたら、その場で解決したんじゃないか、っていう話も多かったんですが……。
そんないい加減な審理で裁判が進むこと自体が大きな問題なので、8号はぜひ、「全員一致で無罪」なんていう簡単な結論を出すんじゃなくて、「不一致」で提出して、検察側に疑問点を指摘し、裁判を最初からやり直しさせたほうがよかったのでは?と思っちゃいました。
なーんて、どっかの宝塚作品のようなツッコミをいれつつ。
でも。
この作品のテーマは、審理の内容とは全く違うところにあるんです。
複数の人間が存在すれば、かならず生じる価値観の相違による軋轢
それが、作品全体のテーマだったと思います。
スラム出身の青年に扮した筒井道隆の苦悩をはじめ、12人の登場人物それぞれに国籍があり、過去があり、仕事があり、家族がある。映画が原作だけあって、こういうキャラクターのキメの細かさは「カサブランカ」に通じるものがあるなあ、と思いました。
最後の最後で、完全に場を攫ってしまった西岡德馬が、すばらしかったです。
ああいう父親っているよね、と思う。理解、という言葉から遠い所をさまよっている、哀しい男。
8号の中井さんの『幸福』と、3号の西岡さんの『孤独』。
その運命は、彼の責任ではないのにね。ただ、そう生まれてしまった、というだけで。
たったそれだけのことなのに、彼ひとりだけ、幸せから遠ざかっていく。
胸が、キリキリと痛くなりました。
彼は彼なりに、息子を愛していたのだろうに、それを理解されることは、もう二度とないのだ、と。
この作品を観て、三原順の「はみだしっ子~連れて行って」を思い出したのは私くらいのものなんでしょうか。
あの裁判に関連してグレアムが呟くモノローグの数々を、リフレインしながら観てしまったのですが。
ジャックはきっと8号なんだろうな、とか。
ロナルドと3号がちょっと被るな、とか。…いえあの、す、すみません
他の出演者は、辻萬長、田中要次、斎藤洋介、石井愃一、大石継太、柳憂怜、岡田正、新川將人、大門伍朗、品川徹。
中でも、辻萬長のダンディな落ち着きとクールな格好良さは最高でした♪ いやあん、髭萌えっ!!(←そこ?)
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ひとつは、天王洲の銀河劇場で上演していた「フロスト×ニクソン」。
もうひとつは、シアターコクーンで上演していた「十二人の怒れる男」。
どちらも非常に面白く、興味深い作品でした(^ ^)。
「フロスト×ニクソン」
イギリスのTVジャーナリストであるデヴィッド・フロストが、ウォーターゲート事件で失脚したニクソン元大統領とのインタビューに挑む。
お互いに自分の存在意義を賭けて闘う二人の男(二つのチーム)。二人のインタビューを中心にすえたこの戯曲は、2006年にイギリスで初演され、2007年にブロードウェイへ進出。ニクソン役のフランク・ランジェラがトニー賞(主演男優賞)を獲得。後に映画化もされた名作です。
……そうかー、この話、「主演男優」はニクソンなのか……
幕開きは、ニクソン(北大路欣也)とその腹心であるブレナン大佐(谷田歩)の会話ではじまります。
ウォーターゲート事件で何もかも喪い、健康さえ害した男と、その男に、退陣後もずっと付き従ってきた男。
彼を、もういちど「用のある男」に戻るために、闘いを始める二人。
イギリスやオーストラリア、アメリカの地方などで人気番組を担当するTVタレントのデヴィッド・フロスト(仲村トオル)。
「TVタレント」ではなく「TVジャーナリスト」として認められ、アメリカの放送業界のど真ん中に返り咲こうと画策する彼は、仕事仲間のジョン・バート(中村まこと)に相談をもちかける。
「ニクソンにインタビューを申し込んだんだ。もし受諾されたら、手伝ってくれるかい?」
「ニクソン、って、あのニクソンかい…?」
目を丸くして問い返すバート。
何か大きなことをしなくては、アメリカのセントラルでスターになることは難しい。
難しいけれども、すべてを賭けてやるだけの価値のあることだ、と。
ニクソンは、「自分の話を国民に聞いてもらういいチャンスだ」という判断のもと、
敏腕エージェントのリザール(中山祐一朗)を交渉役に、インタビューの報酬額や条件について詰めはじめる。
フロストも、執拗にニクソンを追う一匹狼のジャーナリスト、ジム・レストン(佐藤アツヒロ)やベテラン記者のボブ・ゼルニック(安原義人)といったメンバーを集め、金を用意し、撮影場所を決めて、インタビューの準備を進めていく。
2時間×12日という長期にわたるインタビューを行い、それを編集した上で90分×4回という放映時間にまとめる。ウォーターゲート事件が片付けられ(関係者によってしまいこまれ)た後に、ニクソンが初めて口を開いた、この「ザ・ニクソン・インタビュー」が、当時のアメリカ国民の関心をどれだけ呼んでいたのか、今となっては想像するのも難しい、という気がします。
とにかく、このインタビューは今でも記録として残っている視聴率を稼ぎだし、フロストは間違いなく『スター』になった。
演出は鈴木勝秀。総勢7人という少数精鋭の舞台ですが、とにかく、ひとりひとりの実力は傑出しているので、全く不安を感じることなく、どっぷりとその世界に浸ることができました。
この作品は、いわゆる『ワンシチュエーションもの』ではないのですが、やはり息詰まるようなインタビューの模様をメインにしているだけに、ワンシチュエーションっぽいイメージがあったと思います。
アツヒロくんのジムが、「フロスト陣営」と「視聴者」の間に入る形で語り手を務めていました。私は、基本的に「説明役」が必要な芝居に否定的なのですが、このジムは「説明役」ではなく、『ドキュメンタリーの語り手』だったと思います。
なんというか。戯曲全体が、このインタビューから数年後に関係者にインタビューして制作したドキュメンタリー、みたいな構造になっていたんですよね。だから、メンバーの中でも一番若くてエネルギッシュで、「ニクソンの真実を暴く」ことに燃えていたブンヤ魂のかたまりみたいなジムに、語り手が回ってくることがとても自然で。違和感なく納得できました。
アツヒロくんの語り口が、ぼそぼそと素朴な感じだったのも良かったと思います。
なんといっても、この作品の主題は、「主演男優」であるニクソン役の北大路欣也でしょうね。
非常に有能で、外交を得意とし、いくつもの功績をもつ「穏やかで紳士な」大統領。
そんな彼がなぜ、あんなことに関係してしまったのか?それは全く語られることはないのですが。
ただ、「(それは間違ったことだが)大統領がするのであれば、それは違法ではない」と、彼は本気で思ってしまっていたのかな、と……
その認識違いが切なくなる、フロストとの闘いっぷりでした。
私は上手側の前方端席で観ていたので、インタビューの場面では、基本的にニクソンの背中を視ていました。
下手側に座ったフロストの顔は、良く見えました。そして、その向こうには、鋭い眼でニクソンの方を睨むように資料と格闘しているジムとボブが居て、フロストやニクソンが一言言うたびにわたわたと動いている。真ん中での会話に対する彼らの反応を見ているだけでも面白かったです。
手前側にはニクソンが座り、その背中を守る形でブレナンが立つ。インタビュー中の皆の立ち位置はほぼ一定で、ずーっとこういう態勢で撮りつづけたのかな、と思いました。
真ん中の二人の会話に対してずっとリアクションしているフロスト陣営と、どんな危機的な状況に陥ったように見えてもピクリとも動かないブレナンの対比。
それなのに、致命的な一言をニクソンが搾り出そうとした瞬間に、ブレナンは走り出そうとするんですよね。
彼は知っていたはず。ずっと傍に居た彼が、知らなかったはずは無い……すべてを。それでも、そこには触れずに通り抜けられると思っていた。運命の瞬間がおとずれるまで。
印象的だったのは、最後のインタビューに到る前夜の、フロストの苦悩でした。
全てを賭けて挑んだインタビューに敗れたならば、彼にはもう後がない。財産のすべてをニクソンやスタッフへの支払いに宛て、他の仕事を全て断ってこのインタビュー対策一本に絞って。
これが失敗したら、もう二度と這い上がることはできないだろう。
文字通り、人生を賭けて挑んだインタビュー。
そして。
ニクソンもまた、このインタビューに復活を賭けている。
このインタビューを乗り切れば、まあ大統領として返り咲くのは無理でも、アドバイザーくらいの地位には入れるはずだ。自分にはまだ価値がある。外交問題において、自分以上に対応できる者など、この国にはいないのだから。
その、強烈な自負と、プライド。過去の実績に裏付けられた、圧倒的な自信。
一回一回が真剣勝負だ、という言葉に、本気で納得しました。
仲村トオルは、いやフロストは、本気でニクソンが何を言うかを探っていた。
すべての瞬間に。真顔で。本気で。心の底から。
真剣に、ニクソンが何を言おうとしているのかを探り、どの応えがきたらどの台詞を返そうか、と考える。
対峙するニクソンもまた、フロストが何を言い出すか、を、全ての瞬間に固唾をのんで待っているのを感じました。
その、お互いに相手が口を開くのを待っている、長く重たい、真剣な一瞬。
そんな一瞬の積み重ねが、あの舞台の重みになっていたのだと思います。
……凄いなあ。
そんなに長い芝居ではないのに、観ているだけでぐったりと消耗しちゃって。演技している本人たちは、大丈夫なんだろうか……と、ふと心配になったりしました(^ ^)。
いやーーー、それにしても、生で観る北大路欣也は巨きいですね!!
「十二人の怒れる男」
こちらは、ワンシチュエーションもの象徴的な戯曲であり、1957年に後悔された映画を元にした作品。
舞台の演出は、大御所・蜷川幸雄。
「フロスト×ニクソン」の、淡々としたクールでクレバーな会話が続く、というものとは違い、時には熱く、時にはクールに、そして時には野次馬が騒ぎながら、12人の陪審員たちが審理をすすめていく……という作品ではあるのですが。
なんとなく、「論争」をテーマにしたストレートプレイ、というくくりがあるような気がしたので、まとめてみました(^ ^)。
しっかし……ここのところ、外部の作品っていうとG2⇒スズカツ⇒蜷川を繰り返し観ているような(汗)……。
ある少年の裁判。
公判を終え、12人の陪審員たちが部屋に入ってくる。
彼らはこれから、全員一致で結論を出さなくてはならない。
少年は殺人罪で死刑の求刑を受けている。
陪審員たちの回答には、3つの可能性がある。
1.全員一致で「有罪」=> 少年は死刑確定
2.全員一致で「無罪」=> 少年は無罪放免
3.「審議不一致」=> 別の陪審員を集めて、もう一度いちから裁判をやり直す。
この作品も、座長的な意味での「主役」はいない構造の戯曲ですが、当然戯曲的に焦点となるべき登場人物がいます。
12人の陪審員たちのうち、11人が「有罪」と判断し、1人だけが「無罪」と判断する。
その、たった一人の「離反者」、陪審員8号の中井貴一。
8号は、決して「少年は何もしていないと思う」と主張していたわけではないんです。
「有罪であるという証拠が不十分である」と主張している。
つまり、「疑わしきは罰せず」というわけです。
彼は訥々と、一つ一つの証拠について疑問点を呈していきます。
加害者とされている少年の心理。被害者である少年の父親の行動の謎。
目撃者の性格と、身体能力(「目撃」することが果たして可能であったのか?)。
ナイフの入手経路。彼自身の行動の謎。証言と現実の食い違い。
なるほど、なるほど……と思いながら観てはいたのですが。
しかし!
これだけ「名作」の誉れ高く、戯曲としての質が高いといわれている作品でさえ、どうかと思う話がたくさんあってびっくりしました(^ ^;ゞ
なんていうのかな。8号が指摘する点の、半分くらいはそんなん、どうして捜査で気づかへんかったん?と思う話だからけだったんです。
とゆーか、私は裁判員制度についてあまり詳しくないんですが、陪審員には、裁判中に質問する権利は無いんでしょうか?もしかしたら、警察とかが居る場で質問していたら、その場で解決したんじゃないか、っていう話も多かったんですが……。
そんないい加減な審理で裁判が進むこと自体が大きな問題なので、8号はぜひ、「全員一致で無罪」なんていう簡単な結論を出すんじゃなくて、「不一致」で提出して、検察側に疑問点を指摘し、裁判を最初からやり直しさせたほうがよかったのでは?と思っちゃいました。
なーんて、どっかの宝塚作品のようなツッコミをいれつつ。
でも。
この作品のテーマは、審理の内容とは全く違うところにあるんです。
複数の人間が存在すれば、かならず生じる価値観の相違による軋轢
それが、作品全体のテーマだったと思います。
スラム出身の青年に扮した筒井道隆の苦悩をはじめ、12人の登場人物それぞれに国籍があり、過去があり、仕事があり、家族がある。映画が原作だけあって、こういうキャラクターのキメの細かさは「カサブランカ」に通じるものがあるなあ、と思いました。
最後の最後で、完全に場を攫ってしまった西岡德馬が、すばらしかったです。
ああいう父親っているよね、と思う。理解、という言葉から遠い所をさまよっている、哀しい男。
8号の中井さんの『幸福』と、3号の西岡さんの『孤独』。
その運命は、彼の責任ではないのにね。ただ、そう生まれてしまった、というだけで。
たったそれだけのことなのに、彼ひとりだけ、幸せから遠ざかっていく。
胸が、キリキリと痛くなりました。
彼は彼なりに、息子を愛していたのだろうに、それを理解されることは、もう二度とないのだ、と。
この作品を観て、三原順の「はみだしっ子~連れて行って」を思い出したのは私くらいのものなんでしょうか。
あの裁判に関連してグレアムが呟くモノローグの数々を、リフレインしながら観てしまったのですが。
ジャックはきっと8号なんだろうな、とか。
ロナルドと3号がちょっと被るな、とか。…いえあの、す、すみません
他の出演者は、辻萬長、田中要次、斎藤洋介、石井愃一、大石継太、柳憂怜、岡田正、新川將人、大門伍朗、品川徹。
中でも、辻萬長のダンディな落ち着きとクールな格好良さは最高でした♪ いやあん、髭萌えっ!!(←そこ?)
.
雪組の彩吹真央さんが、次回大劇場公演をもって卒業することが発表されました。
………ことばもありません。
押しも押されもせぬ準トップスターとして、水さんが就任して以来の雪組を支えてきたユミコさん。
この立場の人が卒業する場合には、当然、千秋楽にサヨナラショーがあるはずです。
だから。
……いくらなんでも、友の会の入力が終わる前に発表してくれよ!!(T T) >劇団
本当に、まったく予想していませんでした。
全国ツアー初日の市川で、あの細い身体がどこかに跳んで行ってしまうのではないかと心配になったほど、フルパワーで歌って、踊って、そして、笑っていたユミコさん。
まさか、本当にどこかにいってしまうなんて。
以前から応援してこられたファンの方は、気づいていらっしゃったのでしょうか?
私が、らぎちゃんの発表があったときに、心のどこかで「ああ、やっぱり」と思ったように。
……そんな、簡単なものではないのでしょうけれども。
割り切れない思いは残ります。
ユミコさんのエリックを、聴いてみたかった。
ユミコさんのトニーを、聴いてみたかった。
それでも。
ユミコさんが新しい世界を望むのなら、仕方がない。
稲葉さん、歌って踊れてアドリブも言えるユミコさんを、よろしくお願いします!!
初めてユミコさんに出会ったのは、「心中・恋の大和路」の、可愛い丁稚さんでした。
そして、ビデオでしか聴いたことがない「嵐が丘」のゲイルが、大好きでした。
切なくて愛おしくて、本当に大好きだった「月の燈影」の幸っちゃん(幸蔵)をはじめ、
大好きなユミコさんが、たくさんたくさん私の胸には棲んでいます。
だから。
なんだか。
ここ数公演、個人的に衝撃的な卒業生が多すぎて、だんだん涙が止まらなくなってきたような気がします。
いつかは必ず、すべての人が花園を去っていく。
それは、よーーーーーっく判っていることなのですけれども。
なんだかねぇ。
さすがに、もう、
いのりのことばさえ、でてこない、よぉ………。
.
………ことばもありません。
押しも押されもせぬ準トップスターとして、水さんが就任して以来の雪組を支えてきたユミコさん。
この立場の人が卒業する場合には、当然、千秋楽にサヨナラショーがあるはずです。
だから。
……いくらなんでも、友の会の入力が終わる前に発表してくれよ!!(T T) >劇団
本当に、まったく予想していませんでした。
全国ツアー初日の市川で、あの細い身体がどこかに跳んで行ってしまうのではないかと心配になったほど、フルパワーで歌って、踊って、そして、笑っていたユミコさん。
まさか、本当にどこかにいってしまうなんて。
以前から応援してこられたファンの方は、気づいていらっしゃったのでしょうか?
私が、らぎちゃんの発表があったときに、心のどこかで「ああ、やっぱり」と思ったように。
……そんな、簡単なものではないのでしょうけれども。
割り切れない思いは残ります。
ユミコさんのエリックを、聴いてみたかった。
ユミコさんのトニーを、聴いてみたかった。
それでも。
ユミコさんが新しい世界を望むのなら、仕方がない。
稲葉さん、歌って踊れてアドリブも言えるユミコさんを、よろしくお願いします!!
初めてユミコさんに出会ったのは、「心中・恋の大和路」の、可愛い丁稚さんでした。
そして、ビデオでしか聴いたことがない「嵐が丘」のゲイルが、大好きでした。
切なくて愛おしくて、本当に大好きだった「月の燈影」の幸っちゃん(幸蔵)をはじめ、
大好きなユミコさんが、たくさんたくさん私の胸には棲んでいます。
だから。
なんだか。
ここ数公演、個人的に衝撃的な卒業生が多すぎて、だんだん涙が止まらなくなってきたような気がします。
いつかは必ず、すべての人が花園を去っていく。
それは、よーーーーーっく判っていることなのですけれども。
なんだかねぇ。
さすがに、もう、
いのりのことばさえ、でてこない、よぉ………。
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早いもので、師走も半分を超え、この日記も三周年を迎えました。
ちょっと懐かしくなったので、一番最初の日記にリンクさせていただきます。
http://80646.diarynote.jp/?day=20061217
あはは(^ ^;;;;
この、何事にも根気のない三日坊主な私が、毎日ではないにせよ、三年間も日記を書き続けてきたのは快挙だなあ、と思います。
今まで読んでくださり、コメントをくださった皆様のおかげです。
本当にほんとうに、ありがとうございました。
なんだか。
2009年のうちに「カサブランカ」のレポートを書くつもりだったのに、一昨日の発表以来、なんかヤル気が出なくて、ぼけぼけしてました。
でも、今日で三周年だなーと思って、三年前の日記をざーっと読みなおしてみたら。
……まだ、トウコさんとあすかちゃんがプレお披露目中で。
な、懐かしい(^ ^;ゞ
らぎちゃんのことなんて何とも思ってななかった、あの頃の猫。
祐飛さんはこのままずっと月組で、麻子さんに見送っていただいて卒業するんだろうな、サヨナラショーをつけてもらえたら嬉しいけど、無理なんだろうな……なんて思っていた、あの頃の。
そんな時代もあったんだなあ、と。
カウンターが1000を回るのに、ちょうど1ヶ月かかったあの頃。
初めてコメントというものを戴いたときの嬉しさを思い出します。ああ、読んでくださっている方がいらっしゃるんだ、と、本当に不思議な、でも幸せな気持ちでした。
この日記は公開日記なので、プライベートに関することはなるべく書かないようにはしているのですが。
それでも、やっぱり、当時書いた文を読めば、当時の気持ちが蘇ってきます。
不思議なもので、書いてあること以上に、書かなかったことを強く思い出すんですよね。
人間関係のこととか、仕事のこととか。
そして、漠然と考えていた、いろんな『予想』めいたもの。
そうだよね、三年前、「マジシャンの憂鬱」が発表されたときは、コレでサヨナラなんだろうな、と思ったよね………
まあ、ある意味正解(月組からは卒業)でしたけど。
直近の三年間。
個人的にも仕事上でもいろんなことはあったんですが、
とりあえず、大空祐飛ファンにとって、怒涛と言うよりほかない三年間であった ことだけは間違いありません。
ああ、いや、もちろん。
正確に言うならば、本当の意味で怒涛だったのは直近の二年間ですけどね(汗)。
……良いタイミングで書き始めたんだな、私ってば(←自画自賛)
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ちょっと懐かしくなったので、一番最初の日記にリンクさせていただきます。
http://80646.diarynote.jp/?day=20061217
あはは(^ ^;;;;
この、何事にも根気のない三日坊主な私が、毎日ではないにせよ、三年間も日記を書き続けてきたのは快挙だなあ、と思います。
今まで読んでくださり、コメントをくださった皆様のおかげです。
本当にほんとうに、ありがとうございました。
なんだか。
2009年のうちに「カサブランカ」のレポートを書くつもりだったのに、一昨日の発表以来、なんかヤル気が出なくて、ぼけぼけしてました。
でも、今日で三周年だなーと思って、三年前の日記をざーっと読みなおしてみたら。
……まだ、トウコさんとあすかちゃんがプレお披露目中で。
な、懐かしい(^ ^;ゞ
らぎちゃんのことなんて何とも思ってななかった、あの頃の猫。
祐飛さんはこのままずっと月組で、麻子さんに見送っていただいて卒業するんだろうな、サヨナラショーをつけてもらえたら嬉しいけど、無理なんだろうな……なんて思っていた、あの頃の。
そんな時代もあったんだなあ、と。
カウンターが1000を回るのに、ちょうど1ヶ月かかったあの頃。
初めてコメントというものを戴いたときの嬉しさを思い出します。ああ、読んでくださっている方がいらっしゃるんだ、と、本当に不思議な、でも幸せな気持ちでした。
この日記は公開日記なので、プライベートに関することはなるべく書かないようにはしているのですが。
それでも、やっぱり、当時書いた文を読めば、当時の気持ちが蘇ってきます。
不思議なもので、書いてあること以上に、書かなかったことを強く思い出すんですよね。
人間関係のこととか、仕事のこととか。
そして、漠然と考えていた、いろんな『予想』めいたもの。
そうだよね、三年前、「マジシャンの憂鬱」が発表されたときは、コレでサヨナラなんだろうな、と思ったよね………
まあ、ある意味正解(月組からは卒業)でしたけど。
直近の三年間。
個人的にも仕事上でもいろんなことはあったんですが、
とりあえず、大空祐飛ファンにとって、怒涛と言うよりほかない三年間であった ことだけは間違いありません。
ああ、いや、もちろん。
正確に言うならば、本当の意味で怒涛だったのは直近の二年間ですけどね(汗)。
……良いタイミングで書き始めたんだな、私ってば(←自画自賛)
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タカラヅカ年末スペシャル
2009年12月20日 宝塚全体・OG コメント (2)梅田芸術劇場にて、「タカラヅカスペシャル2009」を観劇してまいりました。
「Way To Glory」と副題がついた95周年記念スペシャル。
第一部は、2009年に上演された作品のパロディを、
第二部は、宝塚歌劇団95周年の間に上演された作品から名曲の数々を、というコンセプトで、全編メドレー形式でした。
東宝公演中の月組が抜けて、花組は「相棒」組が抜けてバウ組の若いもん3人のみ。
5組中三組だけのちょっと寂しい布陣でしたが、とても楽しかったです。
一幕の目玉の公演パロディは、雪組がゾロ+ベルばら(←外伝アンドレ編込み)、星組+花組で「太王四神記」、宙組が「大江山花伝+逆転裁判」。
なんといっても、宙組の藤子殺害容疑で裁判にかけられる茨木童子(大空祐飛)というネタが最高に面白くて、忘れられません。
フェニックス・ライト(蘭寿とむ)、マイルズ・エッジワース(悠未ひろ)にディック・ガムシュー(春風美里)まで登場して、構成・演出ともに素晴らしかったです。個人的には、フランジスカ・ヴォン・カルマ(藤咲えり)が出てなかったことが非常に残念(T T)。中村一徳&木村信司両ベテラン、どちらのアイディアなのか、お二人で考えたのか、それとも組子側が出したネタなのか、そのネタもとが気になります……。
もう一つの目玉は、伝説ともいうべき轟さんの「キッチュ!」。
これは、聴くことができてよかったです。さすが初演のルキーニ、素晴らしかったです。
二部は、短いフレーズのメドレーでめまぐるしくいろんな人が活躍してくれました。
どれも良かった。
詳しくは帰宅してから追記しますが、一番の目玉はフィナーレの「ボレロ」でした。
ユミコさんをセンターに、男役が勢ぞろいしての黒燕尾の群舞。
ほとんど練習の時間なんてなかったでしょうに、きれいに揃っていて凄く良かったです。
ユミコさんの隣で踊る蘭トムさんが、珍しくスタイリッシュにユミコさんのサポートに回っていて、なんだかそういうところにもじんときてしまいました。この二人の並びを、もう一度観てみたかった……。
トップさんの相手役交換コンビは、ゆうひさん&ねねちゃん、ちえちゃん&みなこちゃん、水さん&すみ花ちゃん。三組ともとてもお似合いで、うっとりしました。
特に、ちえちゃんとみなこちゃんのコンビは、エネルギッシュでとても良かったです。たまには入れ替えコンビもいいものですね(はぁと)。久しぶりに祐飛さんと踊るねねちゃんも生き生きと弾けていて、美しかった。すみ花ちゃんは下級生のせいか、ちょっと緊張気味。可愛い可愛いすみ花ちゃん、もっともっと水さんにアピールしても良かったと思うんだけどなー。でも、すっぽりと水さんの腕の中におさまったすみ花ちゃんも、とても可愛かったです(←結局なんでもいいんだなお前)。
とにかく楽しいイベントでした、というところで、とりあえずは(^ ^)。
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「Way To Glory」と副題がついた95周年記念スペシャル。
第一部は、2009年に上演された作品のパロディを、
第二部は、宝塚歌劇団95周年の間に上演された作品から名曲の数々を、というコンセプトで、全編メドレー形式でした。
東宝公演中の月組が抜けて、花組は「相棒」組が抜けてバウ組の若いもん3人のみ。
5組中三組だけのちょっと寂しい布陣でしたが、とても楽しかったです。
一幕の目玉の公演パロディは、雪組がゾロ+ベルばら(←外伝アンドレ編込み)、星組+花組で「太王四神記」、宙組が「大江山花伝+逆転裁判」。
なんといっても、宙組の藤子殺害容疑で裁判にかけられる茨木童子(大空祐飛)というネタが最高に面白くて、忘れられません。
フェニックス・ライト(蘭寿とむ)、マイルズ・エッジワース(悠未ひろ)にディック・ガムシュー(春風美里)まで登場して、構成・演出ともに素晴らしかったです。個人的には、フランジスカ・ヴォン・カルマ(藤咲えり)が出てなかったことが非常に残念(T T)。中村一徳&木村信司両ベテラン、どちらのアイディアなのか、お二人で考えたのか、それとも組子側が出したネタなのか、そのネタもとが気になります……。
もう一つの目玉は、伝説ともいうべき轟さんの「キッチュ!」。
これは、聴くことができてよかったです。さすが初演のルキーニ、素晴らしかったです。
二部は、短いフレーズのメドレーでめまぐるしくいろんな人が活躍してくれました。
どれも良かった。
詳しくは帰宅してから追記しますが、一番の目玉はフィナーレの「ボレロ」でした。
ユミコさんをセンターに、男役が勢ぞろいしての黒燕尾の群舞。
ほとんど練習の時間なんてなかったでしょうに、きれいに揃っていて凄く良かったです。
ユミコさんの隣で踊る蘭トムさんが、珍しくスタイリッシュにユミコさんのサポートに回っていて、なんだかそういうところにもじんときてしまいました。この二人の並びを、もう一度観てみたかった……。
トップさんの相手役交換コンビは、ゆうひさん&ねねちゃん、ちえちゃん&みなこちゃん、水さん&すみ花ちゃん。三組ともとてもお似合いで、うっとりしました。
特に、ちえちゃんとみなこちゃんのコンビは、エネルギッシュでとても良かったです。たまには入れ替えコンビもいいものですね(はぁと)。久しぶりに祐飛さんと踊るねねちゃんも生き生きと弾けていて、美しかった。すみ花ちゃんは下級生のせいか、ちょっと緊張気味。可愛い可愛いすみ花ちゃん、もっともっと水さんにアピールしても良かったと思うんだけどなー。でも、すっぽりと水さんの腕の中におさまったすみ花ちゃんも、とても可愛かったです(←結局なんでもいいんだなお前)。
とにかく楽しいイベントでした、というところで、とりあえずは(^ ^)。
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帝国劇場にて、「パイレート・クイーン」を観劇してまいりました。
16世紀のアイルランドに生きた女海賊グレイス・オマリー(保坂知寿)と、イングランド女王エリザベス一世(涼風真世)。この二人が生涯でただ一度会見し、お互いの祖国の将来について語り合ったというエピソードをもとに、波乱に満ちたグレイスの人生を語ったミュージカル。
プログラムの解説を読むと、細かいエピソードはかなりフィクションだったようですが、ミュージカルとしての見せ場もあり、女たちのキャストも嵌っていて、作品として非常に面白かったです(*^ ^*)。
初演のプロデューサーは、アイリッシュダンスのショーとして日本にも何度か来ている「リバーダンス」のプロデューサーコンビ。谷正純さんの迷作「JAZZYな妖精たち」でいちやくタカラヅカファンにも認識されたアイリッシュダンスですが、今回のカンパニーは、「リバーダンス」でもメインに入っていたキャロル・リーヴァイ・ジョイスが振付を担当。本場のダンサーも男女数人が加わって、かなり高度なダンスを魅せてくれました♪
クリエイティブ・スタッフの中心となったのは、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」を創ったブーブリル&シェーンベルクコンビ。春野寿美礼さんが主演した「マルグリット」も同じコンビですが、あれは音楽はミシェル・ルグランだったのに対し、今回はシェーンベルク本人が作曲。
「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マルタン・ゲール」と、どちらかというと交響楽的な重厚な音楽を得意とした人ですが、今回は、風のように響くケルティックな雰囲気を大事にしようとしたようで、響きの明るい軽やかな音楽をメインにしていました。楽器もケルティック楽器をつかっていたみたいで、珍しい音だったような気がします。
あと、演奏もオケボックスではなく舞台の奥だったのですが、全員が袖のたっぷりした白ブラウスにベストという衣装で楽しそうに弾いていたのが印象的でした。最初メンバーが出てきたときは、役者が座っているのかと思ったくらい(^ ^)。実際、ヴァイオリンと笛(←すみません楽器の名称がわからず)の方は、ダンスナンバーのたびに舞台前面に出てきて楽しそうに演奏していて、とても可愛かったです。
全体に、音楽とダンスの一体感がすごくあって。リバーダンスでもそうですけど、ダンサーの中にも、みなが踊るときにパーカッションをしてくれる人がいたりして、ああ、アイルランドのお祭はこんな風に皆で演奏して、皆で踊るんだろうなあ、なんてことを思いました。
日本版の演出は山田和也。元々、軽やかでショーアップされた小品を得意とする人ですが、小劇場でなくても、コメディではなくても、こういう作品は良いんだな、と感心しました。ドラマとしては結構深刻なテーマを扱った大河ドラマなんですけど、観終わった後の印象がすごく清々しくて「楽しかったなあ~♪」という感じなんですよね。ドラマの部分とショーの部分のつなぎが巧いから、物語がぶつぶつ切れずにちゃんと流れていったのだと思います。こういうのは、舞台転換のおおい小品を上手に仕上げてきた彼の強みなんでしょうね。
作品自体がよくできているのと、キャストが(ティアナン以外は)非常によく嵌っていたのもさすがによく役者を視ているなあ、という気がしました。
しかーし、なぜ山口さんを使ったんだろう……………(疑問)
装置は松井るみ。彼女の装置もいつも好きなんですが、今回のはシンプルでよかったです。盆がそのまま船のセットになっていて、微妙に八百屋になっていたのがカッコいい。
山田さんの演出もそうですが、すごくシンプルで質の高い、帝劇という大きさに負けていない作品に仕上がっていた、と思います。
厳しい気候と複雑な地形に分断され、群雄が割拠していたアイルランド島。
12世紀ごろから名目上はイングランド王がアイルランド王を兼ねるようになっていたようですが、最初の頃は東のダブリン周辺を支配するのみで、アイルランド全体がイングランドの支配下に降るのは17世紀初頭。ということは、エリザベス一世の治世(16世紀後半)には、まだまだ「アイルランド女王」という称号は名目上のものだったんですね。それでも、彼女の父親ヘンリー八世の時代から、少しずつアイルランド支配を実効力のあるものにしようという動きは始まっていたようです。
オマリー一族の族長ドゥブダラ(今井清隆)の娘として生まれたグレイスは、女の身で海を愛し、船に乗ることをを切望していた。ズボンをはいて父の操る船に密航した少女は、イングランド船との戦闘で手柄を挙げたことで認められ、族長の後継者候補となる。
次第に支配力を強めようとするイングランドに危機感を感じたオマリー一族は、“隣の氏族”であるオフラハティ一族と同盟しようとする。和平に応じたオフラハティ族長(中山昇)が出した条件は、グレイスと、自分の息子ドーナル(宮川浩)の結婚。
グレイスは幼馴染の恋人ティアナン(山口祐一郎)と別れて、一族の未来のためにドーナルと結婚する決意をする……。
(ちなみに、この後は最後までストーリーを書いてしまいましたので、ご注意を)
オマリー一族は海戦を得意とする海賊で、オフラハティは陸戦が専門だったらしく、同じゲール系とはいっても全く相容れない存在だった……とゆーことかな、あの対立っぷりは。
まあ、当時はまだイングランドは「遠くの敵」で、隣の氏族の方が恐るべき「近くの敵」だったのでしょうけれども。
いずれにしても、グレイスは一族を離れてオフラハティの土地で暮らすようになります。二度と海へ出ることもないと覚悟して、浮気な夫に癇癪を起こしながらも。
それでも、男勝りのグレイスは、男たちの留守を襲ってきたイングランド兵を女たちだけでやっつけたりして、女たちの人望を集めていく。
そんなとき。ティアナンが「オマリーの族長が怪我をして重篤だ」という報せをもって来る。慌てて帰郷するグレイス。グレイスの夫として、後継者指名を受けたいドーナルも共に行くが、族長が後継者に指名したのは、愛娘のグレイスだった……
族長の葬儀の場面(船に乗せて海へ流す海葬)の演出が非常に美しく、印象に残りました。オマリーの女として葬儀のソロを歌う荒木里佳さんが神秘的でとても良かった。そこからダンスに繋がる流れも自然で、結婚式や洗礼式などのお祭騒ぎとは違う、あくまでも厳粛なショーシーンでした。
二幕は、船の上で息子を産み落とすグレイスの場面から。
船に慣れなくて、へろへろと歩いている宮川さんがうまいなあ、と思いました。船の上がイヤでイヤでたまらない……という空気がちゃんとあって(^ ^)。
そこへ現れるイングランドの軍艦。慌てて降伏しようとするドーナルを怒鳴りつけ、出産直後の身体で船を守り抜くグレイス。夫に剣を向けて追い出すグレイスが、実に美しい。
その頃イングランドでは、女王エリザベス一世のもと、アイルランド併合へ向けて政治が動いていました。
“処女王”エリザベスをモノにすれば、イングランドは俺のもの、とばかりに野心を燃やすビンガム卿(石川禅)。「アイルランド全土を差し出した男となら(結婚を考えるかもね)」と示唆した女王に膝をついて、「必ずや」と誓ってみせる。
そんなビンガム卿に近づく男。オフラハティのドーナル。イングランドと密約を結んで、自分の息子(オーエン)の洗礼式に姿を現す。
「息子の洗礼式に、父の立会いを」と訴える元夫に、
「夫としては許さないが、息子の父親としてなら」と硬い表情で許すグレイス。
しかし。息子を抱く元妻に近づいたドーナルは、剣を抜いてグレイスに突きつける。
同時になだれ込んでくるイングランド兵たち。あっさりと捕えられるグレイス。
目の前でグレイスを奪われたティアナンは、ドーナルを殺してゆりかごの中の子供を連れ、逃げだした。いつかグレイスを取り戻すことを誓いながら。
それから七年。グレイスはダブリンの牢に繋がれたまま。
しかし、グレイス一人を奪っても、アイルランドの抵抗が息まない(←そりゃあそうだ。グレイスはアイルランドの女王でも何でもないんだから)ことに苛立つエリザベス一世は、ビンガム卿に当たり散らしながら日々を送っている。
ついに、アイルランドの主な士族たちがイングランドに降ってくる。一人一人、冠を差し出してイングランドに忠誠を誓う。その中にはオフラハティもいる。
そして。
その長い列の一番最後に、冠を持たない男が、一人。
オマリー一族のティアナン。族長はダブリンの牢にいる。自分はただ、エリザベス一世に頼みがある、と。
「7つになった息子に、母親を返して欲しい」と女王に訴えるティアナン。
「女海賊の心を支えているのは、この男と息子の愛なのか…?」
“処女王”エリザベスは自問し、惑い、そして、頷く。
「お前が彼女のかわりに、ダブリンの牢に入るというなら……」
牢から解放され、息子と抱き合うグレイス。
イングランドに搾取され、海賊行為を禁じられて疲弊した故郷。生来の負けん気で、ロンドンへ乗り込む決心をするグレイス。船に乗ってテムズ川を上り、エリザベス一世に直接の対話を申し入れる。
女王の私室で語り合う二人。二時間もかけて何を話し合ったのか、笑顔で出てきたエリザベス一世は、ティアナンの釈放と、ビンガムの更迭を命じる。
「お前は私の名誉を傷つけました…」
自分を女王として敬い、イングランド臣民としての自覚をもって働くならば、自治を認めようという女王の言葉に、笑顔でうなずく女海賊。おそらくは、他国(特にスペイン)の船を襲うぶんには、海賊行為も遠慮はいらない、というお墨付きも与えたことでしょう。
ティアナンを助け出し、抱きあう二人。未来への明るい希望を感じさせて、幕。
プログラムによると、史実としてエリザベス一世とグレイス・オマリーの会談というのは1593年のことだったようですね。この時エリザベスは60歳、グレイスも同世代だったようです。
でも。この物語では、ラストシーンでもグレイスとドーナルの息子オーエンが7歳。…この頃の結婚は早かったでしょうから、たぶんグレイスが20代後半からせいぜい30歳程度だったと思われます。
ってことは、1563年頃のことだということか。
……アマルダ海戦(1588年)に勝利して大西洋の制海権を握ったイングランドだからこそ、アイルランドをゆっくり制圧できたんだろうに、1563年じゃあちょっと時代的に無理があるんじゃないかと思ったりもするのですが……。
まあ、そんなことはいいのかなあ(^ ^;ゞ
不思議なのは、海賊の話なのにフランシス・ドレークたちイングランド海軍の名物提督が出てこないことなのですが。まあ、1563年頃までの話だとすると、時代的に確かに出てこなくても不思議は無いんですけどね。日本で思っているほど、彼らは有名人じゃないのかなあ。……まあ、イングランドじゃなくてアイルランドが主役の舞台だから、イングランドの有名人はエリザベス一人出てくれば十分なのか?
それにしても。
この話、観ながらずっと思っていたんですが、河惣益巳の「サラディナーサ」に似てるんですよね。
っていうか、河惣益巳はグレイス・オマリーのエピソードを元にして「サラディナーサ」を描いたのでしょうか。物語の骨子は全然違うんですが(あちらはスペインが主舞台で、アイルランドのアの字も出てこない)、軍事に天才的な才能を見せる女海賊だとか、エリザベス一世との会談だとか、細かいところが良く似ていて、面白いなあと思いました。
そういえば、タカラヅカで「サラディナーサ」やればいいのに、と思ったことがあったなー、昔(^ ^)。
知寿さんと涼風さん。最後の最後まで出会わない二人の女傑が主役の物語でしたが、二人とも本当に素晴らしかったです。
エネルギッシュでパワフルで可愛い知寿さん、「クレイジー・フォー・ユー」の元気なポリーが帰ってきたかのような可愛らしさで、本当に懐かしかった!!もうそれなりの歳のはずなんですけど、小柄で細くてスタイルが抜群なので、遠目に観る分には十分若々しくて可愛かったです(*^ ^*)歌はさすが。帝劇を埋める歌を歌える数少ない人の一人だな、と改めて感心しました。
「マンマ・ミーア」も素敵だったけど、やっぱりポリーが最高!と思っている猫にとっては、嬉しいキャスティングでした♪
涼風さんはまた、知寿さんとはうって変わって、つかみどころのないファンタジックな存在感。割とコミカルな演技をしていましたが、わざとらしくない怖さがあって凄く良かったです。ああ、エリザベス一世ってこういう人だったのかもしれないなあ、という底知れなさがありました。
最初の「女王の朝」のナンバーからして、掴みはOK!!という感じでしたね。「ME AND MY GIRL」のマリア侯爵夫人も良かったけど、こういう少女アリス系の怖さを見せるとこの人に勝てる人は少ないだろうな、と思いました。
男性陣は、髭率が高くて嬉しかった!(^ ^)
なんといっても、今井さんの髭姿は美丈夫でしたね。貫禄ありすぎて神様みたいでした。
山口さんは仕草が挙動不審すぎる(^ ^;。っていうか。彼の武器は歌なわけですが、残念ながら今回は、その歌が個人的に駄目だったので……。二幕の歌はまだマシだったんですけど、一幕の歌がね。普通に若くて声の出るテノールが担当するべき歌なのに、いくら音域が広いといっても、ハイバリトンの山口さんに歌わせるのはキツいですよ、あれは。
「ゲッセマネ」の高音部みたいに、感情の昂ぶりの流れがあって出すならあの発声でも良いんですけど、あの歌は普通にテノールの音質で聴きたい(T T)。歌い始めからあの声じゃあ、「変な声」としか認識できないってば。
音質的にはマリウス系で、高音まで滑らかに出る人で、知寿さんとの釣り合いがとれて…と思うと、石丸幹二さんか石井一孝さんか、というあたりだと思うのですが。うーん、難しいなあ。
正直に言えば、知寿さんは若く見えるので、浦井くんでいいじゃん!!(←1月に「蜘蛛女のキス」です)あるいは山崎育三郎くんとか、そのあたりでどうよ。(←さすがに帝劇でそれは…)
宮川さんはちょっと惜しい、って感じだったかなー。彼はあまり、ああいう卑屈なキャラが似合わないんですね。体つきのわりにはインテリっぽい雰囲気のある人だし。今ひとつ闇が足りない、というか。いや、でも、歌は良かったです。ええ。
そして、禅ちゃん!!禅ちゃん、最近観た中でも一番良かったかも!? どうにも遣る瀬無いほどの小者感に溢れていて、とても素敵でした。髭も衣装も、ついでに体格も立派なのに、どうしてあんなに貫禄がないんだろう……フランツと同一人物とはどうしても思えません。「ウーマン・イン・ホワイト」も良かったけど、今回のワルっぷりは最高でしたね♪
作品としてはすごーく面白かったし、女二人のキャスティングやアンサンブルは最高でした。
音楽も良かったし、とにかくアイリッシュダンスは凄い!!です(*^ ^*)。久しぶりの帝劇でしたが、すごく楽しんでしまいました。
舞台装置の模型が「出張中」だったのだけがとっても残念……(^ ^)。
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16世紀のアイルランドに生きた女海賊グレイス・オマリー(保坂知寿)と、イングランド女王エリザベス一世(涼風真世)。この二人が生涯でただ一度会見し、お互いの祖国の将来について語り合ったというエピソードをもとに、波乱に満ちたグレイスの人生を語ったミュージカル。
プログラムの解説を読むと、細かいエピソードはかなりフィクションだったようですが、ミュージカルとしての見せ場もあり、女たちのキャストも嵌っていて、作品として非常に面白かったです(*^ ^*)。
初演のプロデューサーは、アイリッシュダンスのショーとして日本にも何度か来ている「リバーダンス」のプロデューサーコンビ。谷正純さんの迷作「JAZZYな妖精たち」でいちやくタカラヅカファンにも認識されたアイリッシュダンスですが、今回のカンパニーは、「リバーダンス」でもメインに入っていたキャロル・リーヴァイ・ジョイスが振付を担当。本場のダンサーも男女数人が加わって、かなり高度なダンスを魅せてくれました♪
クリエイティブ・スタッフの中心となったのは、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」を創ったブーブリル&シェーンベルクコンビ。春野寿美礼さんが主演した「マルグリット」も同じコンビですが、あれは音楽はミシェル・ルグランだったのに対し、今回はシェーンベルク本人が作曲。
「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マルタン・ゲール」と、どちらかというと交響楽的な重厚な音楽を得意とした人ですが、今回は、風のように響くケルティックな雰囲気を大事にしようとしたようで、響きの明るい軽やかな音楽をメインにしていました。楽器もケルティック楽器をつかっていたみたいで、珍しい音だったような気がします。
あと、演奏もオケボックスではなく舞台の奥だったのですが、全員が袖のたっぷりした白ブラウスにベストという衣装で楽しそうに弾いていたのが印象的でした。最初メンバーが出てきたときは、役者が座っているのかと思ったくらい(^ ^)。実際、ヴァイオリンと笛(←すみません楽器の名称がわからず)の方は、ダンスナンバーのたびに舞台前面に出てきて楽しそうに演奏していて、とても可愛かったです。
全体に、音楽とダンスの一体感がすごくあって。リバーダンスでもそうですけど、ダンサーの中にも、みなが踊るときにパーカッションをしてくれる人がいたりして、ああ、アイルランドのお祭はこんな風に皆で演奏して、皆で踊るんだろうなあ、なんてことを思いました。
日本版の演出は山田和也。元々、軽やかでショーアップされた小品を得意とする人ですが、小劇場でなくても、コメディではなくても、こういう作品は良いんだな、と感心しました。ドラマとしては結構深刻なテーマを扱った大河ドラマなんですけど、観終わった後の印象がすごく清々しくて「楽しかったなあ~♪」という感じなんですよね。ドラマの部分とショーの部分のつなぎが巧いから、物語がぶつぶつ切れずにちゃんと流れていったのだと思います。こういうのは、舞台転換のおおい小品を上手に仕上げてきた彼の強みなんでしょうね。
作品自体がよくできているのと、キャストが(ティアナン以外は)非常によく嵌っていたのもさすがによく役者を視ているなあ、という気がしました。
しかーし、なぜ山口さんを使ったんだろう……………(疑問)
装置は松井るみ。彼女の装置もいつも好きなんですが、今回のはシンプルでよかったです。盆がそのまま船のセットになっていて、微妙に八百屋になっていたのがカッコいい。
山田さんの演出もそうですが、すごくシンプルで質の高い、帝劇という大きさに負けていない作品に仕上がっていた、と思います。
厳しい気候と複雑な地形に分断され、群雄が割拠していたアイルランド島。
12世紀ごろから名目上はイングランド王がアイルランド王を兼ねるようになっていたようですが、最初の頃は東のダブリン周辺を支配するのみで、アイルランド全体がイングランドの支配下に降るのは17世紀初頭。ということは、エリザベス一世の治世(16世紀後半)には、まだまだ「アイルランド女王」という称号は名目上のものだったんですね。それでも、彼女の父親ヘンリー八世の時代から、少しずつアイルランド支配を実効力のあるものにしようという動きは始まっていたようです。
オマリー一族の族長ドゥブダラ(今井清隆)の娘として生まれたグレイスは、女の身で海を愛し、船に乗ることをを切望していた。ズボンをはいて父の操る船に密航した少女は、イングランド船との戦闘で手柄を挙げたことで認められ、族長の後継者候補となる。
次第に支配力を強めようとするイングランドに危機感を感じたオマリー一族は、“隣の氏族”であるオフラハティ一族と同盟しようとする。和平に応じたオフラハティ族長(中山昇)が出した条件は、グレイスと、自分の息子ドーナル(宮川浩)の結婚。
グレイスは幼馴染の恋人ティアナン(山口祐一郎)と別れて、一族の未来のためにドーナルと結婚する決意をする……。
(ちなみに、この後は最後までストーリーを書いてしまいましたので、ご注意を)
オマリー一族は海戦を得意とする海賊で、オフラハティは陸戦が専門だったらしく、同じゲール系とはいっても全く相容れない存在だった……とゆーことかな、あの対立っぷりは。
まあ、当時はまだイングランドは「遠くの敵」で、隣の氏族の方が恐るべき「近くの敵」だったのでしょうけれども。
いずれにしても、グレイスは一族を離れてオフラハティの土地で暮らすようになります。二度と海へ出ることもないと覚悟して、浮気な夫に癇癪を起こしながらも。
それでも、男勝りのグレイスは、男たちの留守を襲ってきたイングランド兵を女たちだけでやっつけたりして、女たちの人望を集めていく。
そんなとき。ティアナンが「オマリーの族長が怪我をして重篤だ」という報せをもって来る。慌てて帰郷するグレイス。グレイスの夫として、後継者指名を受けたいドーナルも共に行くが、族長が後継者に指名したのは、愛娘のグレイスだった……
族長の葬儀の場面(船に乗せて海へ流す海葬)の演出が非常に美しく、印象に残りました。オマリーの女として葬儀のソロを歌う荒木里佳さんが神秘的でとても良かった。そこからダンスに繋がる流れも自然で、結婚式や洗礼式などのお祭騒ぎとは違う、あくまでも厳粛なショーシーンでした。
二幕は、船の上で息子を産み落とすグレイスの場面から。
船に慣れなくて、へろへろと歩いている宮川さんがうまいなあ、と思いました。船の上がイヤでイヤでたまらない……という空気がちゃんとあって(^ ^)。
そこへ現れるイングランドの軍艦。慌てて降伏しようとするドーナルを怒鳴りつけ、出産直後の身体で船を守り抜くグレイス。夫に剣を向けて追い出すグレイスが、実に美しい。
その頃イングランドでは、女王エリザベス一世のもと、アイルランド併合へ向けて政治が動いていました。
“処女王”エリザベスをモノにすれば、イングランドは俺のもの、とばかりに野心を燃やすビンガム卿(石川禅)。「アイルランド全土を差し出した男となら(結婚を考えるかもね)」と示唆した女王に膝をついて、「必ずや」と誓ってみせる。
そんなビンガム卿に近づく男。オフラハティのドーナル。イングランドと密約を結んで、自分の息子(オーエン)の洗礼式に姿を現す。
「息子の洗礼式に、父の立会いを」と訴える元夫に、
「夫としては許さないが、息子の父親としてなら」と硬い表情で許すグレイス。
しかし。息子を抱く元妻に近づいたドーナルは、剣を抜いてグレイスに突きつける。
同時になだれ込んでくるイングランド兵たち。あっさりと捕えられるグレイス。
目の前でグレイスを奪われたティアナンは、ドーナルを殺してゆりかごの中の子供を連れ、逃げだした。いつかグレイスを取り戻すことを誓いながら。
それから七年。グレイスはダブリンの牢に繋がれたまま。
しかし、グレイス一人を奪っても、アイルランドの抵抗が息まない(←そりゃあそうだ。グレイスはアイルランドの女王でも何でもないんだから)ことに苛立つエリザベス一世は、ビンガム卿に当たり散らしながら日々を送っている。
ついに、アイルランドの主な士族たちがイングランドに降ってくる。一人一人、冠を差し出してイングランドに忠誠を誓う。その中にはオフラハティもいる。
そして。
その長い列の一番最後に、冠を持たない男が、一人。
オマリー一族のティアナン。族長はダブリンの牢にいる。自分はただ、エリザベス一世に頼みがある、と。
「7つになった息子に、母親を返して欲しい」と女王に訴えるティアナン。
「女海賊の心を支えているのは、この男と息子の愛なのか…?」
“処女王”エリザベスは自問し、惑い、そして、頷く。
「お前が彼女のかわりに、ダブリンの牢に入るというなら……」
牢から解放され、息子と抱き合うグレイス。
イングランドに搾取され、海賊行為を禁じられて疲弊した故郷。生来の負けん気で、ロンドンへ乗り込む決心をするグレイス。船に乗ってテムズ川を上り、エリザベス一世に直接の対話を申し入れる。
女王の私室で語り合う二人。二時間もかけて何を話し合ったのか、笑顔で出てきたエリザベス一世は、ティアナンの釈放と、ビンガムの更迭を命じる。
「お前は私の名誉を傷つけました…」
自分を女王として敬い、イングランド臣民としての自覚をもって働くならば、自治を認めようという女王の言葉に、笑顔でうなずく女海賊。おそらくは、他国(特にスペイン)の船を襲うぶんには、海賊行為も遠慮はいらない、というお墨付きも与えたことでしょう。
ティアナンを助け出し、抱きあう二人。未来への明るい希望を感じさせて、幕。
プログラムによると、史実としてエリザベス一世とグレイス・オマリーの会談というのは1593年のことだったようですね。この時エリザベスは60歳、グレイスも同世代だったようです。
でも。この物語では、ラストシーンでもグレイスとドーナルの息子オーエンが7歳。…この頃の結婚は早かったでしょうから、たぶんグレイスが20代後半からせいぜい30歳程度だったと思われます。
ってことは、1563年頃のことだということか。
……アマルダ海戦(1588年)に勝利して大西洋の制海権を握ったイングランドだからこそ、アイルランドをゆっくり制圧できたんだろうに、1563年じゃあちょっと時代的に無理があるんじゃないかと思ったりもするのですが……。
まあ、そんなことはいいのかなあ(^ ^;ゞ
不思議なのは、海賊の話なのにフランシス・ドレークたちイングランド海軍の名物提督が出てこないことなのですが。まあ、1563年頃までの話だとすると、時代的に確かに出てこなくても不思議は無いんですけどね。日本で思っているほど、彼らは有名人じゃないのかなあ。……まあ、イングランドじゃなくてアイルランドが主役の舞台だから、イングランドの有名人はエリザベス一人出てくれば十分なのか?
それにしても。
この話、観ながらずっと思っていたんですが、河惣益巳の「サラディナーサ」に似てるんですよね。
っていうか、河惣益巳はグレイス・オマリーのエピソードを元にして「サラディナーサ」を描いたのでしょうか。物語の骨子は全然違うんですが(あちらはスペインが主舞台で、アイルランドのアの字も出てこない)、軍事に天才的な才能を見せる女海賊だとか、エリザベス一世との会談だとか、細かいところが良く似ていて、面白いなあと思いました。
そういえば、タカラヅカで「サラディナーサ」やればいいのに、と思ったことがあったなー、昔(^ ^)。
知寿さんと涼風さん。最後の最後まで出会わない二人の女傑が主役の物語でしたが、二人とも本当に素晴らしかったです。
エネルギッシュでパワフルで可愛い知寿さん、「クレイジー・フォー・ユー」の元気なポリーが帰ってきたかのような可愛らしさで、本当に懐かしかった!!もうそれなりの歳のはずなんですけど、小柄で細くてスタイルが抜群なので、遠目に観る分には十分若々しくて可愛かったです(*^ ^*)歌はさすが。帝劇を埋める歌を歌える数少ない人の一人だな、と改めて感心しました。
「マンマ・ミーア」も素敵だったけど、やっぱりポリーが最高!と思っている猫にとっては、嬉しいキャスティングでした♪
涼風さんはまた、知寿さんとはうって変わって、つかみどころのないファンタジックな存在感。割とコミカルな演技をしていましたが、わざとらしくない怖さがあって凄く良かったです。ああ、エリザベス一世ってこういう人だったのかもしれないなあ、という底知れなさがありました。
最初の「女王の朝」のナンバーからして、掴みはOK!!という感じでしたね。「ME AND MY GIRL」のマリア侯爵夫人も良かったけど、こういう少女アリス系の怖さを見せるとこの人に勝てる人は少ないだろうな、と思いました。
男性陣は、髭率が高くて嬉しかった!(^ ^)
なんといっても、今井さんの髭姿は美丈夫でしたね。貫禄ありすぎて神様みたいでした。
山口さんは仕草が挙動不審すぎる(^ ^;。っていうか。彼の武器は歌なわけですが、残念ながら今回は、その歌が個人的に駄目だったので……。二幕の歌はまだマシだったんですけど、一幕の歌がね。普通に若くて声の出るテノールが担当するべき歌なのに、いくら音域が広いといっても、ハイバリトンの山口さんに歌わせるのはキツいですよ、あれは。
「ゲッセマネ」の高音部みたいに、感情の昂ぶりの流れがあって出すならあの発声でも良いんですけど、あの歌は普通にテノールの音質で聴きたい(T T)。歌い始めからあの声じゃあ、「変な声」としか認識できないってば。
音質的にはマリウス系で、高音まで滑らかに出る人で、知寿さんとの釣り合いがとれて…と思うと、石丸幹二さんか石井一孝さんか、というあたりだと思うのですが。うーん、難しいなあ。
正直に言えば、知寿さんは若く見えるので、浦井くんでいいじゃん!!(←1月に「蜘蛛女のキス」です)あるいは山崎育三郎くんとか、そのあたりでどうよ。(←さすがに帝劇でそれは…)
宮川さんはちょっと惜しい、って感じだったかなー。彼はあまり、ああいう卑屈なキャラが似合わないんですね。体つきのわりにはインテリっぽい雰囲気のある人だし。今ひとつ闇が足りない、というか。いや、でも、歌は良かったです。ええ。
そして、禅ちゃん!!禅ちゃん、最近観た中でも一番良かったかも!? どうにも遣る瀬無いほどの小者感に溢れていて、とても素敵でした。髭も衣装も、ついでに体格も立派なのに、どうしてあんなに貫禄がないんだろう……フランツと同一人物とはどうしても思えません。「ウーマン・イン・ホワイト」も良かったけど、今回のワルっぷりは最高でしたね♪
作品としてはすごーく面白かったし、女二人のキャスティングやアンサンブルは最高でした。
音楽も良かったし、とにかくアイリッシュダンスは凄い!!です(*^ ^*)。久しぶりの帝劇でしたが、すごく楽しんでしまいました。
舞台装置の模型が「出張中」だったのだけがとっても残念……(^ ^)。
.
東京宝塚劇場にて、月組公演「ラストプレイ/Heat On Beat」を観劇してまいりました。
麻子さん、あひちゃん、おときち、あいあい、りこちゃん、しずく、しおりちゃん、もえちゃん。彼女たちがまだ宝塚に居てくれる、さいごのクリスマス。
クリスマスツリーが美しく光るロビーを通って、見送ってまいりました。
お芝居の感想は、新人公演感想の中でもちょいちょい書いたので、もういいかな、と思っているんですが。
ただ。
正塚さんには、次の作品に取り組む前に、胸に手をあててよーーーーく考えてみてほしいな、と思います。
自分は何を語りたいのか、を、もう一度。
彼は、本質的に『自分が語りたいことを語る』タイプの作家だと思うので、そのスタンスは別にいいと思うんです。
ただ。自分が語りたいと思ったことを語る作家、ってことは、語りたいことが見つからないときはクリエイティブできないってことだと思うんですよね。
それでも、座付きだから指名されれば何かを出さなくてはならない、というプレッシャーの中で搾り出された「薔薇に降る雨」、そして「ラスト・プレイ」。
どちらも、脚本的には「外伝・ベルサイユのばら」を呼ぶような意味での「駄作」ではないと思うんですよ。少なくとも「薔薇…」は、ね。(「ラスト・プレイ」はちょっと微妙)
でも。
「駄作じゃなければいい」ってもんじゃないと思うんです。正塚作品の問題は、「駄作じゃない」程度のレベルの作品だと、役が少なすぎて大劇場の空間を埋められないことだと思うんですよね。組子の役が少なくても、組子の出番が少なくても、それだけでイコール駄作とは思いません。だけど、役が少ないなら、組子の出番が少ないなら、ある程度のレベルの作品でないと間がもたない。正塚作品クラスの役・出番なら、「マリポーサの花」クラスでないと絶対に無理、ってことだと思うのです。
そういう作品を創れる自信がなかったら、たとえ指名があっても断る勇気を持ってほしい。
そして、「大劇場作品じゃなくて、若手を育てるためのバウ作品やドラマシティ作品に取り組みたい」と言ってほしい!
もう、随分長いこと中小劇場で新作を出してないですよね…?再演はちょこちょこあるけれども。また「CrossRoad」みたいな、宛書の名作を創ってほしい、と心から願っています。
あ、いかん。書かないといいながら結構語ってしまった(汗)。
今回はショーの方も、出番のない人は本当に出てないので、結構凹んでいます。劇団も、演目決めるときに『芝居が正塚さんだったら、三木さんはまずいかなあ』って気づこうよ(涙目)。
まあ、トップスターのサヨナラ公演なんだから、一番多いトップスターのファンさえ満足すれば、それが正解なんでしょうけれども……(T T)。
なんてことをつらつらと思いつつ、卒業生一人一人のの“見せ場”について。
麻子さん
さすがトップスター様。すべてが“見せ場”なので、特にどこってことは無いのですが……
個人的には、なんだかんだ言ってもフィナーレのパレードで白い総スパンの衣装に羽を背負って降りてこられる姿にじーんときます。ああ、翔びたってしまうんだなあ、と実感する瞬間です(; ;)。
あひちゃん
やっぱりしずくちゃんとの銀橋かなあ。包容力があって空気が優しいんですよね。
歌は……なコンビですが、なかなかお似合いで素敵だなあ♪と思いながら観てます。
おときち
ここはやはり、せっかく三木さんが用意してくれた花道、ということでエトワールでしょうか。
おときちは、歌は巧いんだけどどうもソロはなかなか成功しない……みたいなイメージがあったんですが、今回は普通に良かったのでホッとしました。最後に美声を堪能できて幸せです。
ありがとう三木さん。
あいあい
椅子の場面のイリュジオンの、憂いに満ちた横顔。
フィナーレのヴィオレットの、幸せそうな笑顔。
「Apassionado!!」に続き、男役の美脚祭りな月組ショーの中でも、燦然と輝くあいちゃんの美脚。ど、どこまで脚なの!?と毎回驚くんですよね、飽きもせず(^ ^;ゞ
だけど、今回はやっぱり、事実上のヒロインだったエスメラルダが、とても良かったです。
「もうイヤなのよ!あの人を待つのも、信じるのも」という血を吐くような叫びが印象的で。
甘やかで可愛らしい声と、落ち着いた大人っぽい、翳りのある貌とのギャップが魅力的でもあり、使いにくくもあったであろう女優。宝塚の娘役、というよりも、もっとはっきり「女優」であったあいちゃん。宝塚という枠を離れて、これからの活躍が楽しみです。……舞台、出てね!
りこちゃん
三木さんには気に入られているのか(?)、ほとんど全場面に出ているりこちゃん。
一番印象的だったのは、フィナーレの黒燕尾でしょうか。一瞬誰だかわからなかったほど、大人びた顔で落ち着いて踊っていましたね。以前はついニコニコ笑ってしまっていたのになあ……
しずく
新公のときも書きましたが、今回公演でのしずくの美しさは群を抜いているんですよね。
なにかの箍が外れたかのような美しさ。
ビーティングガール、ラ・ニュイ、ラティーナ、北風、夜会の女、そして、フィナーレの淑女とパレードの歌手。どれも息を呑む美しさで、目が離せませんでした。
一番好きなのは「エル・ビエント」のビエント・ノルテ。毎回涙が出て困っています。観たいのにー!!まるで生粋の月娘みたいな男前っぷりが気持ち良い です。
あの突き抜けた力強さ、カッコよさ。もっと早く月組に来ていたら、あんなに萎縮することもなく伸び伸びとやっていられたのかなあ、と………その美しさを惜しみながら。
羽桜しずくというタカラジェンヌと逢えて、良かった。
7年前、「王家に捧ぐ歌」のコーラス段の下手側天辺で兵士の衣装を着て歌っていたしずく。「龍星」で初めて役らしい役がついて、とても嬉しかったっけ…。一度でいいから声を聴いてみたい、と思いつづけて、初めてまともに声を聴いたのは「シークレット・ハンター」の新人公演。想像していたのとはだいぶ違う声に、ちょっと落ち込んで帰ったのも今では懐かしい思い出です。
キラキラとは光らないけど、ふと見るとそこだけほんのりと明るい、そんな存在感のある人でした。月組に来てくれて、サリーと浮舟とエミーリア姫とシシィに逢わせてくれて、本当にありがとう。しずくちゃん自身は大変だったんだろうけど、私はとても幸せでした。
ずっと見守っていられると思っていた花が予想外の早さで散ってしまう……あまりにも残念でどうしても泣けてしまうのですが。
でも。
………しあわせを、いのっています。
しおりちゃん
今回、東京だけの発表ということもあって、あまり目立つ場面もなかったしおりちゃん。お芝居もショーも、いつもどおりに手堅くしっかりと役割を果たしていた印象です。
一番好きだったのは、お芝居のクラブのダンサーかなあ。色っぽくて綺麗でした。
「Hollywood Lover」でのちょっとしたお芝居が印象的で、いい役者になりそうだな、と楽しみにしていたのになあ……(惜)。
もえちゃん
若人たちの「監獄ロック」でギラギラと踊っているもえちゃん。
一番得意のポアントで、脚をあげまくるもえちゃん。ロック音楽の場面なのに、もえちゃんだけクラシックのリズムなのがなんともいえず微妙でしたが、仕方ないんでしょうね。
「ファンシー・ダンス」以来の好敵手(?)蘭ちゃんと相変わらずダンスバトルしているのが面白い趣向だな、と思いました。
「ホフマン物語」の影法師みたいなダンスをもう一度見てみたかったのに…と残念な気持ちもありますが、卒業後はきっとダンスを専門に勉強されるつもりなんだろう!と信じて、次の活躍を楽しみに待ちたいと思います(*^ ^*)。
なんだか、作品については何も書いていませんが。
クリスマスだし。まあ、いいかなあ。
月組っ子が、みんな幸せでありますように。
イエス様のお誕生日に。
Merry Christmas★
.
麻子さん、あひちゃん、おときち、あいあい、りこちゃん、しずく、しおりちゃん、もえちゃん。彼女たちがまだ宝塚に居てくれる、さいごのクリスマス。
クリスマスツリーが美しく光るロビーを通って、見送ってまいりました。
お芝居の感想は、新人公演感想の中でもちょいちょい書いたので、もういいかな、と思っているんですが。
ただ。
正塚さんには、次の作品に取り組む前に、胸に手をあててよーーーーく考えてみてほしいな、と思います。
自分は何を語りたいのか、を、もう一度。
彼は、本質的に『自分が語りたいことを語る』タイプの作家だと思うので、そのスタンスは別にいいと思うんです。
ただ。自分が語りたいと思ったことを語る作家、ってことは、語りたいことが見つからないときはクリエイティブできないってことだと思うんですよね。
それでも、座付きだから指名されれば何かを出さなくてはならない、というプレッシャーの中で搾り出された「薔薇に降る雨」、そして「ラスト・プレイ」。
どちらも、脚本的には「外伝・ベルサイユのばら」を呼ぶような意味での「駄作」ではないと思うんですよ。少なくとも「薔薇…」は、ね。(「ラスト・プレイ」はちょっと微妙)
でも。
「駄作じゃなければいい」ってもんじゃないと思うんです。正塚作品の問題は、「駄作じゃない」程度のレベルの作品だと、役が少なすぎて大劇場の空間を埋められないことだと思うんですよね。組子の役が少なくても、組子の出番が少なくても、それだけでイコール駄作とは思いません。だけど、役が少ないなら、組子の出番が少ないなら、ある程度のレベルの作品でないと間がもたない。正塚作品クラスの役・出番なら、「マリポーサの花」クラスでないと絶対に無理、ってことだと思うのです。
そういう作品を創れる自信がなかったら、たとえ指名があっても断る勇気を持ってほしい。
そして、「大劇場作品じゃなくて、若手を育てるためのバウ作品やドラマシティ作品に取り組みたい」と言ってほしい!
もう、随分長いこと中小劇場で新作を出してないですよね…?再演はちょこちょこあるけれども。また「CrossRoad」みたいな、宛書の名作を創ってほしい、と心から願っています。
あ、いかん。書かないといいながら結構語ってしまった(汗)。
今回はショーの方も、出番のない人は本当に出てないので、結構凹んでいます。劇団も、演目決めるときに『芝居が正塚さんだったら、三木さんはまずいかなあ』って気づこうよ(涙目)。
まあ、トップスターのサヨナラ公演なんだから、一番多いトップスターのファンさえ満足すれば、それが正解なんでしょうけれども……(T T)。
なんてことをつらつらと思いつつ、卒業生一人一人のの“見せ場”について。
麻子さん
さすがトップスター様。すべてが“見せ場”なので、特にどこってことは無いのですが……
個人的には、なんだかんだ言ってもフィナーレのパレードで白い総スパンの衣装に羽を背負って降りてこられる姿にじーんときます。ああ、翔びたってしまうんだなあ、と実感する瞬間です(; ;)。
あひちゃん
やっぱりしずくちゃんとの銀橋かなあ。包容力があって空気が優しいんですよね。
歌は……なコンビですが、なかなかお似合いで素敵だなあ♪と思いながら観てます。
おときち
ここはやはり、せっかく三木さんが用意してくれた花道、ということでエトワールでしょうか。
おときちは、歌は巧いんだけどどうもソロはなかなか成功しない……みたいなイメージがあったんですが、今回は普通に良かったのでホッとしました。最後に美声を堪能できて幸せです。
ありがとう三木さん。
あいあい
椅子の場面のイリュジオンの、憂いに満ちた横顔。
フィナーレのヴィオレットの、幸せそうな笑顔。
「Apassionado!!」に続き、男役の美脚祭りな月組ショーの中でも、燦然と輝くあいちゃんの美脚。ど、どこまで脚なの!?と毎回驚くんですよね、飽きもせず(^ ^;ゞ
だけど、今回はやっぱり、事実上のヒロインだったエスメラルダが、とても良かったです。
「もうイヤなのよ!あの人を待つのも、信じるのも」という血を吐くような叫びが印象的で。
甘やかで可愛らしい声と、落ち着いた大人っぽい、翳りのある貌とのギャップが魅力的でもあり、使いにくくもあったであろう女優。宝塚の娘役、というよりも、もっとはっきり「女優」であったあいちゃん。宝塚という枠を離れて、これからの活躍が楽しみです。……舞台、出てね!
りこちゃん
三木さんには気に入られているのか(?)、ほとんど全場面に出ているりこちゃん。
一番印象的だったのは、フィナーレの黒燕尾でしょうか。一瞬誰だかわからなかったほど、大人びた顔で落ち着いて踊っていましたね。以前はついニコニコ笑ってしまっていたのになあ……
しずく
新公のときも書きましたが、今回公演でのしずくの美しさは群を抜いているんですよね。
なにかの箍が外れたかのような美しさ。
ビーティングガール、ラ・ニュイ、ラティーナ、北風、夜会の女、そして、フィナーレの淑女とパレードの歌手。どれも息を呑む美しさで、目が離せませんでした。
一番好きなのは「エル・ビエント」のビエント・ノルテ。毎回涙が出て困っています。観たいのにー!!まるで生粋の月娘みたいな男前っぷりが気持ち良い です。
あの突き抜けた力強さ、カッコよさ。もっと早く月組に来ていたら、あんなに萎縮することもなく伸び伸びとやっていられたのかなあ、と………その美しさを惜しみながら。
羽桜しずくというタカラジェンヌと逢えて、良かった。
7年前、「王家に捧ぐ歌」のコーラス段の下手側天辺で兵士の衣装を着て歌っていたしずく。「龍星」で初めて役らしい役がついて、とても嬉しかったっけ…。一度でいいから声を聴いてみたい、と思いつづけて、初めてまともに声を聴いたのは「シークレット・ハンター」の新人公演。想像していたのとはだいぶ違う声に、ちょっと落ち込んで帰ったのも今では懐かしい思い出です。
キラキラとは光らないけど、ふと見るとそこだけほんのりと明るい、そんな存在感のある人でした。月組に来てくれて、サリーと浮舟とエミーリア姫とシシィに逢わせてくれて、本当にありがとう。しずくちゃん自身は大変だったんだろうけど、私はとても幸せでした。
ずっと見守っていられると思っていた花が予想外の早さで散ってしまう……あまりにも残念でどうしても泣けてしまうのですが。
でも。
………しあわせを、いのっています。
しおりちゃん
今回、東京だけの発表ということもあって、あまり目立つ場面もなかったしおりちゃん。お芝居もショーも、いつもどおりに手堅くしっかりと役割を果たしていた印象です。
一番好きだったのは、お芝居のクラブのダンサーかなあ。色っぽくて綺麗でした。
「Hollywood Lover」でのちょっとしたお芝居が印象的で、いい役者になりそうだな、と楽しみにしていたのになあ……(惜)。
もえちゃん
若人たちの「監獄ロック」でギラギラと踊っているもえちゃん。
一番得意のポアントで、脚をあげまくるもえちゃん。ロック音楽の場面なのに、もえちゃんだけクラシックのリズムなのがなんともいえず微妙でしたが、仕方ないんでしょうね。
「ファンシー・ダンス」以来の好敵手(?)蘭ちゃんと相変わらずダンスバトルしているのが面白い趣向だな、と思いました。
「ホフマン物語」の影法師みたいなダンスをもう一度見てみたかったのに…と残念な気持ちもありますが、卒業後はきっとダンスを専門に勉強されるつもりなんだろう!と信じて、次の活躍を楽しみに待ちたいと思います(*^ ^*)。
なんだか、作品については何も書いていませんが。
クリスマスだし。まあ、いいかなあ。
月組っ子が、みんな幸せでありますように。
イエス様のお誕生日に。
Merry Christmas★
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宙組の、春の振り分けが発表されました♪
先日、ドラマシティ公演の一部のキャストだけが発表されたときは、いろいろ書いていたのにアップしそこねたので、今日こそは(^ ^)。
で。
やっと発表されて、最初に思ったことは。
……なんでこんなに引っ張られたんだろう??
別に、特別なキャスティングではないと思うんだけどなあ。
小柳さんと原田さんで「はないちもんめ」していたから……ってことは無いよねぇ?
みーちゃん(春風弥里)、バウ二番手は初めてですよね?おめでとう!!
もしかして、初ポスターになるのでしょうか?(^ ^)だったら嬉しい!タカラヅカスペシャルの時に、大劇場の時と髪型が変わっていたので、あれ?と思ったんですよね。もしかしてポスター撮りとかあったのかしら♪♪♪(←期待しすぎ)
シャルル・トレネって、名前くらいしか知らないのですが、みーちゃん何の役をやるんでしょうね。若い頃にトレネとコンビを組んでいた、ピアニストのジョニー・エス?でも、それは鳳樹いちくんの方が似合うような気がするしなー(←イメージだけですが)。アリスちゃんを挟んで恋敵となる人がいるのでしょうか。あるいは、レジスタンス時代がメインになるのであれば、ナチスの将校とか?(将校は磯野さんがやりそうだから、その部下かな/汗)
何をするにしても、しっかりした舞台を創ってくれる人なのでとても楽しみです。磯野さんや美穂さんとの競演というのがまた嬉しい★
全体を見渡しても、所謂“スター”と呼ばれる人は少ないけど、上級生の芝居巧者がそろった、なかなか興味深いメンバーですね♪ (蒼羽)りくくんは絶対バウだろうと(何故か)思っていたのですが、モンチ(星吹彩翔)だけだったのがちょっとだけ意外。いい役がつくといいなあ。
(月映)樹茉ちゃんは、「カサブランカ」の小芝居が面白くてならないので、バウも楽しみにしています!ね、>原田さん!
れーれ(すみれ乃麗)、瀬音リサちゃん、桜音れいちゃん、と下級生の綺麗どころも揃ってるし、すごい楽しみです。観に行くぞー!!
ドラマシティは、最初に出たメンバーの顔ぶれだけで「えっ!?」というくらいの豪華メンバーでしたが(案の定、友会外れてしまった……ちぇっ)、あらためて発表されたメンバーを見ると……下級生はどちらかというとダンス重視、なのかな?
もっとバウのほうに下級生が偏ると思っていたので、DCに下級生が多いのは意外でした。
どちらにしても、この錚々たるスターの山を、小柳さんがどれだけ使いこなせるかに作品の成否がかかっているわけで。
………よろしくお願いしますよ!?>小柳さん。
話は変わりますが。
先日の月組公演で、猫は宝塚作品の年内の観劇予定を終了いたしました。
と、いうわけで。
毎年恒例(?)のMyベスト作品を書かせていただきます♪
■大劇場(東宝)作品
東宝主体なので、年始は「夢の浮橋/Apassionado!」でスタートして、大劇場公演「カサブランカ」まで。
……うーん、お芝居はやっぱり「カサブランカ」かなあ。贔屓が出ていなかったとしても、作品としての完成度が高いし。贔屓目抜きでも(←たぶん?)、名作だと思います。
二本立てのお芝居に限るならば、「ロシアン・ブルー」……かなあ、やっぱり。
ショーは、どれも良かったので選びにくいなあ。とりあえず、あの惨憺たる芝居を救ってくれた「Exciter!」に一票入れておこうかな(^ ^)。
あ、個人的には、「風の錦絵」も好きです♪美形ぞろいで楽しかった♪
■中劇場(中日・博多・梅田・日生・DC)
「相棒」は赤坂待ち。中日の「外伝・ベルサイユのばら/ダンシング・フォー・ユー」のみ未見。
一本モノなら、赤坂ACTの「カラマーゾフの兄弟」。
二本立てなら、博多座の「大江山花伝/Apassionado!!」。
どっちか一つなら、贔屓目かもしれませんが博多座の方で。お願いします(←なにを)。
■バウ
今年は全作品観ました!!(←快挙)
えーっとえーっと。
今年は中小劇場に名作が多すぎてすごく迷う……
「逆転裁判(1)」と「フィフティ・フィフティ」、どっちにするかすごく迷うのですが。
やっぱりここは、「どうしても観たい!」と思って二度の遠征を決行した「フィフティ・フィフティ」を。
「二人の貴公子」も個人的にはとても良かった!と思ったので。
しずくの美貌に免じて、次点にいれさせてください(^ ^)。
■イベント
今年は、今までになくイベントに行った年でした(^ ^)。
「百年の道」「AQUA5コンサート」「舞踊会」「タカラヅカスペシャル」。
ま、これはダントツで「AQUA5コンサート」ですね。楽しかったー!!
■新人公演
今年は、念願叶って 東宝劇場公演の新人公演はすべて観ることができました!!(花組の「外伝・ベルサイユのばら」だけは、大劇場で観たので東宝では観ませんでしたが)
んーーーー、新人公演の“一番”を選ぶのって難しい…
「もう一回観たい!!」という気持ちの本気度でいうなら、「夢の浮橋」ですね。
単純にみりおくんのファンでしょ!?というご意見ももっともですが(汗)、大野さん的にも「別バージョン」といえるレベルのクオリティに仕上げていたし、本公演とは根本的に違う作品として息づいていたところを評価したいと思います。
そういう観点でいくなら、次点には花組の「太王四神記」を。こちらも、本公演とはパワーバランスが違っていて、非常に面白かったです。だいもんのタムドクとすみ花ちゃんのキハ、二人のバランスが絶妙だった!
あれも、もう一度観てみたい公演です。
……今頃気がつきましたが、二本とも88期ががっちり支えて、89期が主演した新人公演なんですね……。
雪組の「ZORRO」(89期が長で、90期が主演)もすごく良かったし、本当に面白い新公っていうのは主演が長の期じゃない時なのかもしれません。長の期には長の期の“やるべきこと”があるんでしょうし、主演には主演の仕事があるわけですから。
いや、関係ないか。
「外伝ベルサイユのばら」も、脚本のレベルを考えればすごく良かったし。真風くんみたいに、下級生すぎてもいろいろ難しいだろうし。
たまたま、いろんなことがうまく嵌った、てことなんだろうなあ……。
いよいよ、正月の星組公演で89期も卒業。
なんだか、確実に「次」だな、という人がどの組もいないような気がするのですが、いったいどうなるのでしょうか。
雪組さんは、二公演のどちらかだけでいいから、がおりちゃん(香稜しずる)の主演をもう一回観たいです(*^ ^*)。
それと。凛城さんも彩風さんも、主演する前に必ず痩せてくださいね(^ ^;ゞ
他の組は、どこも89期が抜けるとかなり群雄割拠というか。主演経験者は星組の真風くんくらいですよね?どうなるのかなあ……。しばらくは、新公主演の発表のたびにドキドキできそうです。
……あああ、なんでもいいから、早く宙組以降のラインナップを発表してくださいってば!!>歌劇団
.
先日、ドラマシティ公演の一部のキャストだけが発表されたときは、いろいろ書いていたのにアップしそこねたので、今日こそは(^ ^)。
で。
やっと発表されて、最初に思ったことは。
……なんでこんなに引っ張られたんだろう??
別に、特別なキャスティングではないと思うんだけどなあ。
小柳さんと原田さんで「はないちもんめ」していたから……ってことは無いよねぇ?
みーちゃん(春風弥里)、バウ二番手は初めてですよね?おめでとう!!
もしかして、初ポスターになるのでしょうか?(^ ^)だったら嬉しい!タカラヅカスペシャルの時に、大劇場の時と髪型が変わっていたので、あれ?と思ったんですよね。もしかしてポスター撮りとかあったのかしら♪♪♪(←期待しすぎ)
シャルル・トレネって、名前くらいしか知らないのですが、みーちゃん何の役をやるんでしょうね。若い頃にトレネとコンビを組んでいた、ピアニストのジョニー・エス?でも、それは鳳樹いちくんの方が似合うような気がするしなー(←イメージだけですが)。アリスちゃんを挟んで恋敵となる人がいるのでしょうか。あるいは、レジスタンス時代がメインになるのであれば、ナチスの将校とか?(将校は磯野さんがやりそうだから、その部下かな/汗)
何をするにしても、しっかりした舞台を創ってくれる人なのでとても楽しみです。磯野さんや美穂さんとの競演というのがまた嬉しい★
全体を見渡しても、所謂“スター”と呼ばれる人は少ないけど、上級生の芝居巧者がそろった、なかなか興味深いメンバーですね♪ (蒼羽)りくくんは絶対バウだろうと(何故か)思っていたのですが、モンチ(星吹彩翔)だけだったのがちょっとだけ意外。いい役がつくといいなあ。
(月映)樹茉ちゃんは、「カサブランカ」の小芝居が面白くてならないので、バウも楽しみにしています!ね、>原田さん!
れーれ(すみれ乃麗)、瀬音リサちゃん、桜音れいちゃん、と下級生の綺麗どころも揃ってるし、すごい楽しみです。観に行くぞー!!
ドラマシティは、最初に出たメンバーの顔ぶれだけで「えっ!?」というくらいの豪華メンバーでしたが(案の定、友会外れてしまった……ちぇっ)、あらためて発表されたメンバーを見ると……下級生はどちらかというとダンス重視、なのかな?
もっとバウのほうに下級生が偏ると思っていたので、DCに下級生が多いのは意外でした。
どちらにしても、この錚々たるスターの山を、小柳さんがどれだけ使いこなせるかに作品の成否がかかっているわけで。
………よろしくお願いしますよ!?>小柳さん。
話は変わりますが。
先日の月組公演で、猫は宝塚作品の年内の観劇予定を終了いたしました。
と、いうわけで。
毎年恒例(?)のMyベスト作品を書かせていただきます♪
■大劇場(東宝)作品
東宝主体なので、年始は「夢の浮橋/Apassionado!」でスタートして、大劇場公演「カサブランカ」まで。
……うーん、お芝居はやっぱり「カサブランカ」かなあ。贔屓が出ていなかったとしても、作品としての完成度が高いし。贔屓目抜きでも(←たぶん?)、名作だと思います。
二本立てのお芝居に限るならば、「ロシアン・ブルー」……かなあ、やっぱり。
ショーは、どれも良かったので選びにくいなあ。とりあえず、あの惨憺たる芝居を救ってくれた「Exciter!」に一票入れておこうかな(^ ^)。
あ、個人的には、「風の錦絵」も好きです♪美形ぞろいで楽しかった♪
■中劇場(中日・博多・梅田・日生・DC)
「相棒」は赤坂待ち。中日の「外伝・ベルサイユのばら/ダンシング・フォー・ユー」のみ未見。
一本モノなら、赤坂ACTの「カラマーゾフの兄弟」。
二本立てなら、博多座の「大江山花伝/Apassionado!!」。
どっちか一つなら、贔屓目かもしれませんが博多座の方で。お願いします(←なにを)。
■バウ
今年は全作品観ました!!(←快挙)
えーっとえーっと。
今年は中小劇場に名作が多すぎてすごく迷う……
「逆転裁判(1)」と「フィフティ・フィフティ」、どっちにするかすごく迷うのですが。
やっぱりここは、「どうしても観たい!」と思って二度の遠征を決行した「フィフティ・フィフティ」を。
「二人の貴公子」も個人的にはとても良かった!と思ったので。
しずくの美貌に免じて、次点にいれさせてください(^ ^)。
■イベント
今年は、今までになくイベントに行った年でした(^ ^)。
「百年の道」「AQUA5コンサート」「舞踊会」「タカラヅカスペシャル」。
ま、これはダントツで「AQUA5コンサート」ですね。楽しかったー!!
■新人公演
今年は、念願叶って 東宝劇場公演の新人公演はすべて観ることができました!!(花組の「外伝・ベルサイユのばら」だけは、大劇場で観たので東宝では観ませんでしたが)
んーーーー、新人公演の“一番”を選ぶのって難しい…
「もう一回観たい!!」という気持ちの本気度でいうなら、「夢の浮橋」ですね。
単純にみりおくんのファンでしょ!?というご意見ももっともですが(汗)、大野さん的にも「別バージョン」といえるレベルのクオリティに仕上げていたし、本公演とは根本的に違う作品として息づいていたところを評価したいと思います。
そういう観点でいくなら、次点には花組の「太王四神記」を。こちらも、本公演とはパワーバランスが違っていて、非常に面白かったです。だいもんのタムドクとすみ花ちゃんのキハ、二人のバランスが絶妙だった!
あれも、もう一度観てみたい公演です。
……今頃気がつきましたが、二本とも88期ががっちり支えて、89期が主演した新人公演なんですね……。
雪組の「ZORRO」(89期が長で、90期が主演)もすごく良かったし、本当に面白い新公っていうのは主演が長の期じゃない時なのかもしれません。長の期には長の期の“やるべきこと”があるんでしょうし、主演には主演の仕事があるわけですから。
いや、関係ないか。
「外伝ベルサイユのばら」も、脚本のレベルを考えればすごく良かったし。真風くんみたいに、下級生すぎてもいろいろ難しいだろうし。
たまたま、いろんなことがうまく嵌った、てことなんだろうなあ……。
いよいよ、正月の星組公演で89期も卒業。
なんだか、確実に「次」だな、という人がどの組もいないような気がするのですが、いったいどうなるのでしょうか。
雪組さんは、二公演のどちらかだけでいいから、がおりちゃん(香稜しずる)の主演をもう一回観たいです(*^ ^*)。
それと。凛城さんも彩風さんも、主演する前に必ず痩せてくださいね(^ ^;ゞ
他の組は、どこも89期が抜けるとかなり群雄割拠というか。主演経験者は星組の真風くんくらいですよね?どうなるのかなあ……。しばらくは、新公主演の発表のたびにドキドキできそうです。
……あああ、なんでもいいから、早く宙組以降のラインナップを発表してくださいってば!!>歌劇団
.
2007年12月26日。
大空祐飛さんを含む数人の、組替え発表がありました。
あれから、二年。
祐飛さんは再度の組替えを経て宙組のトップスターに就任し、
(夢咲)ねねちゃんは、そのまま星組でトップに。
(羽桜)しずくちゃんは、月組でヒロイン役を歴任するも、この年末に卒業し、
(白華)れみちゃん・せーこちゃん(純矢ちとせ)は、それぞれ異動先の組の娘役スターとして大活躍中。
……光陰矢のごとし、ですね。
そして、今日。
今日は、雪組大劇場公演「ソルフェリーノの夜明け/カルネヴァル」の集合日でした。
先日、異例の集合日前(仮集合日)発表があったユミコさんと卒業同期となる三人と、一人の集合日付の卒業が発表されました。
集合日付けは、94期(研2)の貴穂しゅうさん。きっと、密かに将来を楽しみにしていたファンがいらっしゃるだろうに、集合日退団は辛いですよね(T T)。
そして。
ユミコさんの卒業同期は、ハマコさん(未来優希)、じんじん(神麗華)、(大月)さゆちゃん。
うわああああ、ハマコさんがあ~~っ(T T)。
「心中・恋の大和路」の与平が、一番最初のハマコさんとの出会いでした。
その次は、「凍てついた明日」初演のジョーンズかなあ。すごく鮮明に覚えています。不思議なくらいに。
今でも時折、ハマコさんの新公主演が「バッカスと呼ばれた男」ではなく「ノバ・ボサ・ノバ」だったなら、どうなっていただろうか…と思うことがあります。
別に何も変わらなかったのかもしれないけれども、もしかしたら変わったのかもしれない。
変わったとしたら、どんなふうに今と違うだろうか。
そんな、想像をしてみたりします。
ナウオンなどで話している様子を視ていて、なんとなく教育者方向に進むのかな、と思っていたので、このまま専科に進んで、下級生を教えながら舞台に出る……みたいな方向を想像していたのですが。
卒業するってことは、どうするんだろう。
音楽学校の先生にでもなってしまうんだろうか。
……それとも、舞台に出てくれるの?
あ、そうか。
ハマコさんが卒業するなら、もしかしたら私の夢が叶ってしまうのかもしれないんだわ。
帝国劇場でハマコゾフィーを観る、という夢が。
ハマコさんは卒業しないと思っていたので、見果てぬ夢だったのですが(^ ^)。
タカラヅカであの歌が聴けなくなってしまうのはとても残念ですが。
……新しい道でも、お幸せに。
じんじんが卒業したら、一年とちょっと前まで8人もいた雪組85期も半分になってしまうんですねえ。
群舞の真ん中を占拠していたダンサーのお姉さまたちも、ヒメと杏奈ちゃんを残すのみかぁ。寂しくなりますね。
芝居もできる人なので、娘役にはろくな役がない植田(紳)作品で卒業して欲しくはなかったんですが、、、稲葉さん、よろしくお願いしますね。
杏奈ちゃんが卒業してしまわなくて良かった……(小声)
そして、さゆちゃん。
「雪景色」のさゆちゃんの輝きに目を奪われたとき、何かが腑に落ちたような気がしていました。
そして、先日のタカラヅカスペシャルで、誰よりもキラキラと輝いていたさゆちゃんを観て、何があっても驚くまいと覚悟はしていました。
でも。
可愛いかわいい「JUBILEE-S」のミリーが、こんなに早く卒業してしまうなんて~~(T T)
「堕天使の涙」のイヴェットも可愛かったなあ。ああいう、確かな現実感のある役が得意な人でしたよね。「シルバー・ローズ・クロニクル」みたいな人外の役は勘弁してやってくれ、という感じでしたが。
でも、テルくんとの並びは似合ってて良かったなあ。「堕天使の涙」新人公演リリス、「シルバー・ローズ・クロニクル」の兄妹、そして、「凍てついた明日」のアニスとボニー。
「堕天使の涙」で初ヒロインを演じてから、どこか、自身の芝居に迷っているように見えたさゆちゃん。できることと出来ないことがはっきりしているタイプなだけに、いろんなことに挑戦させてもらって、思うところがあったんじゃないかと思います。
そんな中、「あ、化けたな」と思ったのは、「凍てついた明日」のボニーでした。
前半のアニスは、“今までのさゆちゃん”でやれた役。可愛くてリアルで、突拍子もないことはやりそうにない優等生で。
それが、後半戦のボニーで化けた。正直、前半でボニーを演じたみなこちゃん(愛原実花)が当たり役だっただけに、どうなるかと思っていたのですが、何かが吹っ切れたかのような、気風のいい芝居に吃驚したんですよね。
思い切りのよい、何かを振り捨てたような伸びやかさ。こんなに伸び代のある人だとは正直思っていませんでした。優しくてさみしくて、そして、現実感のあるボニー。あのさゆちゃんを引っ張りだしてくれたのが荻田さんであるならば、荻田さんにはどれほど感謝してもし足りませんわ。
その直後の大劇場公演「マリポーサの花」が、本公演も新人公演もあまりにもしどころのない役だったのは残念ですが、「ZORRO」の新公ではじけていたさゆちゃんは素晴らしかった!その間にあった「ノンノンシュガー」は未見ですが、確かにあの前後でさゆちゃんは変わった、と思います。
そして、記憶にも新しい「ロシアンブルー」のロビンちゃん。水さんとユミコさんが役を離れてアドリブ合戦に汲々としているのを横目に、ロビンとしてナチュラルに受けて、毎回場を浚っていたさゆちゃん。これだけのコメディセンスが今まで眠っていたのか、と、すごく残念な気がしました。
考えてみれば、研1で出演した「JUBILEE-S」で、樹里ちゃんの縦横無尽なアドリブを受けきった人なんですよね、さゆちゃんって。今まで使ってもらえなかっただけで、最初からその才能はあったんだなあ……。
みなこちゃんとは全く個性がかぶらない上に、対で芝居をさせたときに相乗効果でお互いが良く見えるコンビ。このまま二人が揃ったままいつまでもいられるとは思いませんでしたけれども。
でも、もうしばらくは観ていられると思っていました。
「雪景色」での、あたりを払う貫禄と華やかさ、しっとりした情感。
ああ、この人はもう、タカラヅカを超えてしまったんだな、……と。
もう“娘役”の枠の中にはいられない。もっと大きな世界に行ってしまったんだ、と。
過去に、同じようなことを思ったのは、あすかちゃんでした。
それでも、あすかちゃんはトウコさんという海を得て、自由に泳がせてもらいましたけれども。
……さゆちゃんは、ユミコさんという海を選んだんだろうか、と。
「雪景色」のさゆちゃんは本当に素敵でした。
でも。どこかでもう一度「情熱のバルセロナ」を上演する機会があったら、ぜひともさゆちゃんのリンダを観たい!!と思っていたので、その夢が叶わないことだけが残念です。
「ソルフェリーノの夜明け」の役名は、マリアン。……植田さん、お願いですから「パリの空よりも高く」の時のあいちゃんみたいな悲しいことにはしないでくださいね!!
ハマコさんの後任となる副組長は、84期の麻樹ゆめみさん。若い!(@ @)
今回は、美穂さんあたりが組に戻って副組長に…という可能性もあるのかな、と思っていたのですが、無かったですね。麻子さんが卒業して、これでやっと組長よりも上級生が居る組はなくなりますが、副組長がトップスターよりも下級生なのは月と雪の二組になるんですね。劇団的に、副組長はトップより下でも構わない、という感じなのでしょうか。どちらも女役としては組内最上級生だし。
そして、配役。
結構下の方まで発表されましたが、私的なニュースは、なんといっても
真那春人くんに役がついてる!ってことでしょうか。
ほとんど全員に役をつけた大野さんとは違う、植田さんで。しかも、粗筋にまで名前が出るエピソードがある!!(←たぶん、ハーモニカを吹いてるだけだと思うけどね)
ちょっとドキドキしながら初日を待ちたいと思います。
最近集合日にはあまり発表になることの少なかった新人公演は。
彩風咲奈さん、初主演おめでとうございます!
実力的にも、センターに立つ存在感も華も全く問題ないと思うので、なんとか少しでも身体を絞ってがんばってね!
まだ研3だし、もう少し時間的に余裕があると思っていたので、のんびり痩せながら声を造っていけばいいと思っていたのですが、案外早かったので、頑張って欲しいと思います。声は、水さんも高いからなんとかなる……かな?だといいんだけど。
逸材であることは間違いないと思うけど、今のタイミングでの主演はちょっと心配……。
ユミコさんの役は、同じく研3の帆風くん。彩風さんと帆風くんが並ぶ新公、すごく楽しみなんだけど、、、、ぅぅ、ちょっと早すぎる。「雪景色」でアレだったのに、体型を整えるのが間に合うはずがないよねえ(涙)。
……大劇場は無理でも、東宝はなんとかなるといいなあ……。
ヒロインは、連続で二度目の(愛加)あゆちゃん。。みなこちゃんとは個性が全く違うので、宛書の「ロシアンブルー」はだいぶ苦戦していましたが、今回はどうでしょうね。
可愛いし、歌える強みもあるので、がんばってほしいです(*^ ^*)。
キムちゃんの役はがおりちゃん(香稜しずる)。あれ?がおりちゃんってハマコさんの役じゃないんだー、と素直に思ってしまった(^ ^)。「君を愛してる」の新公で、実に軽やかに楽しそうにフィラントを演じていたがおりちゃん。今回も普通に楽しみです(*^ ^*)。
あああ、植田作品でさえなかったら、通いたいのになああああ。
………しょぼん。
.
大空祐飛さんを含む数人の、組替え発表がありました。
あれから、二年。
祐飛さんは再度の組替えを経て宙組のトップスターに就任し、
(夢咲)ねねちゃんは、そのまま星組でトップに。
(羽桜)しずくちゃんは、月組でヒロイン役を歴任するも、この年末に卒業し、
(白華)れみちゃん・せーこちゃん(純矢ちとせ)は、それぞれ異動先の組の娘役スターとして大活躍中。
……光陰矢のごとし、ですね。
そして、今日。
今日は、雪組大劇場公演「ソルフェリーノの夜明け/カルネヴァル」の集合日でした。
先日、異例の集合日前(仮集合日)発表があったユミコさんと卒業同期となる三人と、一人の集合日付の卒業が発表されました。
集合日付けは、94期(研2)の貴穂しゅうさん。きっと、密かに将来を楽しみにしていたファンがいらっしゃるだろうに、集合日退団は辛いですよね(T T)。
そして。
ユミコさんの卒業同期は、ハマコさん(未来優希)、じんじん(神麗華)、(大月)さゆちゃん。
うわああああ、ハマコさんがあ~~っ(T T)。
「心中・恋の大和路」の与平が、一番最初のハマコさんとの出会いでした。
その次は、「凍てついた明日」初演のジョーンズかなあ。すごく鮮明に覚えています。不思議なくらいに。
今でも時折、ハマコさんの新公主演が「バッカスと呼ばれた男」ではなく「ノバ・ボサ・ノバ」だったなら、どうなっていただろうか…と思うことがあります。
別に何も変わらなかったのかもしれないけれども、もしかしたら変わったのかもしれない。
変わったとしたら、どんなふうに今と違うだろうか。
そんな、想像をしてみたりします。
ナウオンなどで話している様子を視ていて、なんとなく教育者方向に進むのかな、と思っていたので、このまま専科に進んで、下級生を教えながら舞台に出る……みたいな方向を想像していたのですが。
卒業するってことは、どうするんだろう。
音楽学校の先生にでもなってしまうんだろうか。
……それとも、舞台に出てくれるの?
あ、そうか。
ハマコさんが卒業するなら、もしかしたら私の夢が叶ってしまうのかもしれないんだわ。
帝国劇場でハマコゾフィーを観る、という夢が。
ハマコさんは卒業しないと思っていたので、見果てぬ夢だったのですが(^ ^)。
タカラヅカであの歌が聴けなくなってしまうのはとても残念ですが。
……新しい道でも、お幸せに。
じんじんが卒業したら、一年とちょっと前まで8人もいた雪組85期も半分になってしまうんですねえ。
群舞の真ん中を占拠していたダンサーのお姉さまたちも、ヒメと杏奈ちゃんを残すのみかぁ。寂しくなりますね。
芝居もできる人なので、娘役にはろくな役がない植田(紳)作品で卒業して欲しくはなかったんですが、、、稲葉さん、よろしくお願いしますね。
杏奈ちゃんが卒業してしまわなくて良かった……(小声)
そして、さゆちゃん。
「雪景色」のさゆちゃんの輝きに目を奪われたとき、何かが腑に落ちたような気がしていました。
そして、先日のタカラヅカスペシャルで、誰よりもキラキラと輝いていたさゆちゃんを観て、何があっても驚くまいと覚悟はしていました。
でも。
可愛いかわいい「JUBILEE-S」のミリーが、こんなに早く卒業してしまうなんて~~(T T)
「堕天使の涙」のイヴェットも可愛かったなあ。ああいう、確かな現実感のある役が得意な人でしたよね。「シルバー・ローズ・クロニクル」みたいな人外の役は勘弁してやってくれ、という感じでしたが。
でも、テルくんとの並びは似合ってて良かったなあ。「堕天使の涙」新人公演リリス、「シルバー・ローズ・クロニクル」の兄妹、そして、「凍てついた明日」のアニスとボニー。
「堕天使の涙」で初ヒロインを演じてから、どこか、自身の芝居に迷っているように見えたさゆちゃん。できることと出来ないことがはっきりしているタイプなだけに、いろんなことに挑戦させてもらって、思うところがあったんじゃないかと思います。
そんな中、「あ、化けたな」と思ったのは、「凍てついた明日」のボニーでした。
前半のアニスは、“今までのさゆちゃん”でやれた役。可愛くてリアルで、突拍子もないことはやりそうにない優等生で。
それが、後半戦のボニーで化けた。正直、前半でボニーを演じたみなこちゃん(愛原実花)が当たり役だっただけに、どうなるかと思っていたのですが、何かが吹っ切れたかのような、気風のいい芝居に吃驚したんですよね。
思い切りのよい、何かを振り捨てたような伸びやかさ。こんなに伸び代のある人だとは正直思っていませんでした。優しくてさみしくて、そして、現実感のあるボニー。あのさゆちゃんを引っ張りだしてくれたのが荻田さんであるならば、荻田さんにはどれほど感謝してもし足りませんわ。
その直後の大劇場公演「マリポーサの花」が、本公演も新人公演もあまりにもしどころのない役だったのは残念ですが、「ZORRO」の新公ではじけていたさゆちゃんは素晴らしかった!その間にあった「ノンノンシュガー」は未見ですが、確かにあの前後でさゆちゃんは変わった、と思います。
そして、記憶にも新しい「ロシアンブルー」のロビンちゃん。水さんとユミコさんが役を離れてアドリブ合戦に汲々としているのを横目に、ロビンとしてナチュラルに受けて、毎回場を浚っていたさゆちゃん。これだけのコメディセンスが今まで眠っていたのか、と、すごく残念な気がしました。
考えてみれば、研1で出演した「JUBILEE-S」で、樹里ちゃんの縦横無尽なアドリブを受けきった人なんですよね、さゆちゃんって。今まで使ってもらえなかっただけで、最初からその才能はあったんだなあ……。
みなこちゃんとは全く個性がかぶらない上に、対で芝居をさせたときに相乗効果でお互いが良く見えるコンビ。このまま二人が揃ったままいつまでもいられるとは思いませんでしたけれども。
でも、もうしばらくは観ていられると思っていました。
「雪景色」での、あたりを払う貫禄と華やかさ、しっとりした情感。
ああ、この人はもう、タカラヅカを超えてしまったんだな、……と。
もう“娘役”の枠の中にはいられない。もっと大きな世界に行ってしまったんだ、と。
過去に、同じようなことを思ったのは、あすかちゃんでした。
それでも、あすかちゃんはトウコさんという海を得て、自由に泳がせてもらいましたけれども。
……さゆちゃんは、ユミコさんという海を選んだんだろうか、と。
「雪景色」のさゆちゃんは本当に素敵でした。
でも。どこかでもう一度「情熱のバルセロナ」を上演する機会があったら、ぜひともさゆちゃんのリンダを観たい!!と思っていたので、その夢が叶わないことだけが残念です。
「ソルフェリーノの夜明け」の役名は、マリアン。……植田さん、お願いですから「パリの空よりも高く」の時のあいちゃんみたいな悲しいことにはしないでくださいね!!
ハマコさんの後任となる副組長は、84期の麻樹ゆめみさん。若い!(@ @)
今回は、美穂さんあたりが組に戻って副組長に…という可能性もあるのかな、と思っていたのですが、無かったですね。麻子さんが卒業して、これでやっと組長よりも上級生が居る組はなくなりますが、副組長がトップスターよりも下級生なのは月と雪の二組になるんですね。劇団的に、副組長はトップより下でも構わない、という感じなのでしょうか。どちらも女役としては組内最上級生だし。
そして、配役。
結構下の方まで発表されましたが、私的なニュースは、なんといっても
真那春人くんに役がついてる!ってことでしょうか。
ほとんど全員に役をつけた大野さんとは違う、植田さんで。しかも、粗筋にまで名前が出るエピソードがある!!(←たぶん、ハーモニカを吹いてるだけだと思うけどね)
ちょっとドキドキしながら初日を待ちたいと思います。
最近集合日にはあまり発表になることの少なかった新人公演は。
彩風咲奈さん、初主演おめでとうございます!
実力的にも、センターに立つ存在感も華も全く問題ないと思うので、なんとか少しでも身体を絞ってがんばってね!
まだ研3だし、もう少し時間的に余裕があると思っていたので、のんびり痩せながら声を造っていけばいいと思っていたのですが、案外早かったので、頑張って欲しいと思います。声は、水さんも高いからなんとかなる……かな?だといいんだけど。
逸材であることは間違いないと思うけど、今のタイミングでの主演はちょっと心配……。
ユミコさんの役は、同じく研3の帆風くん。彩風さんと帆風くんが並ぶ新公、すごく楽しみなんだけど、、、、ぅぅ、ちょっと早すぎる。「雪景色」でアレだったのに、体型を整えるのが間に合うはずがないよねえ(涙)。
……大劇場は無理でも、東宝はなんとかなるといいなあ……。
ヒロインは、連続で二度目の(愛加)あゆちゃん。。みなこちゃんとは個性が全く違うので、宛書の「ロシアンブルー」はだいぶ苦戦していましたが、今回はどうでしょうね。
可愛いし、歌える強みもあるので、がんばってほしいです(*^ ^*)。
キムちゃんの役はがおりちゃん(香稜しずる)。あれ?がおりちゃんってハマコさんの役じゃないんだー、と素直に思ってしまった(^ ^)。「君を愛してる」の新公で、実に軽やかに楽しそうにフィラントを演じていたがおりちゃん。今回も普通に楽しみです(*^ ^*)。
あああ、植田作品でさえなかったら、通いたいのになああああ。
………しょぼん。
.
宝塚歌劇団月組のみなさま、千秋楽おめでとうございます!
そして。
麻子さん、
あひちゃん、
おときち、
あいちゃん、
りこちゃん、
しずく、
しおりちゃん、
もえちゃん、
ご卒業おめでとうございますm(_ _)m.
雨男(?)の麻子さんの千秋楽とは思えない暖かな夜で、いろいろ着こんでいったのは結構無駄な感じでしたが、人波の隙間から、とおく皆さんにお別れしてまいりました。
中継を観るかどうしようか迷ったのですが、パレードを優先して正解だったような気がします。愛おしい月組っ子たちの最後の笑顔を、この目で視ることができて、よかった。
みなさまの今後のお幸せと、そしてご活躍を、心から祈っています。
さて。
日生劇場にて、「シェルブールの雨傘」を観てまいりました。
ジャック・ドゥミ監督の脚本で1963年に公開された名作映画「シェルブールの雨傘」。
私も映画館で観たことはないので、これも「カサブランカ」同様テレビ鑑賞のみだと思うのですが。主題曲の美しいメロディと、カトリーヌ・ドヌーヴの美貌、そしていくつものカラフルな傘を上から撮影したエンドロール(?)の印象が残っているくらいで、ストーリーもなにも、ほとんど覚えていませんでした(^ ^;ゞ
この作品は、もともと映画用に創られたミュージカルであって、先に舞台があったものではないと思うのですが、今回の舞台化の成立の経緯がプログラムにも書いていないのでよくわからない……
普通に、謝珠栄さんによる新演出の初演、と思っていいのかな。以前にも何度か舞台化されているはずですが、それとは関係ないっぽいよね?
なんだかこの映画、主役はジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)だと思っていたのですが、今回の舞台版では、カーテンコールの順序からみてギィ(井上芳雄)が主役だったみたいですね(^ ^)。
たしかに、アルジェリアの戦闘場面とかが入っているので、ギィの印象は映画よりだいぶ強くなっているなと思いましたが。……しかし、あのアルジェリアの場面で使っている音楽は映画にもあった音楽なんでしょうか(映画には戦闘場面は無かったはず)。まさかルグランに新曲を作ってもらったわけじゃないだろうし、別の場面の音楽を使ったとかなのでしょうか。
まずは、スタッフ。
脚本・作詞 ジャック・ドゥミ(映画版監督)
音楽 ミシェル・ルグラン
演出・振付 謝珠栄
翻訳・訳詩 竜真知子
装置 松井るみ
指揮 塩田明宏
ルグランの音楽については、何も言うことはありません。あの緩やかでペシミスティックなメロディラインの美しさは、原作映画の最大の魅力であり、その輝きは舞台になっても変わることはありませんでした。
そして、塩田さんの指揮も繊細でとても良かったと思います。こういう、心の襞をわけいってくるような切ない音楽も良いんですねえ。才能のある人だ。
松井さんの装置は、「パイレート・クイーン」とはちょっと違った面白い雰囲気。映画っぽい感じをよく出したイラスト調の街並みと、ひたすら雨を降らせ続けるバックスクリーンの電光との対比。本水を使うより、ずっと良い表現だったと思います。面白かった。
<この先ネタバレしています。ご注意を>
作品は、なんとなくのイメージとして残っていた以上にシンプルなメロドラマ。
1957年11月
20歳の若者と16歳の少女の熱烈な(だと本人たちは思っている)恋。
でもある日、若者の手許に一通の召集令状(←この時代のフランスでも“赤紙”だったらしい)が届く。二年間の兵役。戦場であるアルジェリアへの、出征命令。
一度きりの『思い出の夜』を過ごして、別れる二人。
1958年3月
ジュヌヴィエーヴは『思い出の夜』で出来た子供と共に不安な日々を過ごす。
ギィからの便りは途絶え、不安に苛まれる彼女に優しく手を差し伸べる宝石商のカサール。
「お腹の子供を二人で育てよう」と言うカサールに、心揺れるジュヌヴィエーヴ。
アルジェリア独立戦争の最前線で闘うギィ。ジュヌヴィエーヴへの手紙を書きかけては、そのたびに夜襲やなにかで中断させられ、手紙を書くことができない。
「それでも愛している。君にもう一度逢う為に、僕は生きる……!」
1959年1月
敵の手榴弾が近くにおちて、脚を怪我したギィは、負傷兵として除隊し、シェルブールに帰ってくる。
しかし、ジュヌヴィエーヴの母親がやっていた雨傘店は、無かった。
家に帰り、伯母からジュヌヴィエーヴが他の男と結婚し、店を閉めてパリへ移ったことを聞かされる。荒れるギィ。復帰した仕事(自動車の修理工)も放り出し、年金を食いつぶしながら街を彷徨う。
彼を心配する伯母と、伯母の世話をしてきたマドレーヌ。
そうこうするうちに、体の弱かった伯母が亡くなり、その遺産で念願だったガソリンスタンドを購入。支えてくれたマドレーヌと結婚して、ささやかながら新しい生活をはじめる。
1963年12月
クリスマスの飾り付けを終えたマドレーヌが、小さな息子と買い物へ行くのを見送るギィ。
そこへあらわれた一台のベンツ。車から降りた美しいマダムの顔をみたギィは、立ち竦む。
ギィの顔をみたジュヌヴィエーヴも、また。
「娘の用事で、近くに来たの。…シェルブールに来たのは、結婚以来初めてよ」
「そう……」
「なのに、こんなところで会うなんて……」
事務所へ招き入れたジュヌヴィエーヴが、奇妙な饒舌さで語る。
「このツリーの飾りは?あなたがしたの?」
「……いや、それは、………妻が、息子と」
ふと零れて落ちる、沈黙。
「………幸せ?」
「ああ、………幸せ、だよ」
万感の思いをこめて、見詰め合う二人。
交わすべき言葉はすべて過去のもので。今となっては、何も語ることなどなくて。
「子供の名前は…?」
「……フランソワーズ、よ」
すべては、もう、終わってしまったこと。
「会っていくでしょう?」
「……いや、いいんだ」
幸せそうに微笑んで、そう告げる男は、もう20歳の青年ではなくて。
それを聞いて、すこし寂しげに微笑む彼女も、もう16歳のマドモアゼルではなくて。
パリへ帰るベンツのテールランプを見送って、彼はもう一度、空を視あげる。
舞い落ちる雪に浸されて、追憶への旅を終えて。
買い物から帰ってきた妻と子を迎えて笑う彼には、もう翳り一つなく。
「幸せ、だよ…」 と。
ギィ(井上芳雄)
この人は、ソロよりもデュエットの方がいいんだなあ、ということを思いました。
これだけ歌えて、これだけ踊れるって凄いコトだなあと感心。
「ミス・サイゴン」のクリスの経験が生きたのか、アルジェリアでの戦闘場面の迫力やその追い詰められたエネルギー、シェルブールへ戻ったときの荒んだ雰囲気など、非常に的確な芝居だったと思います。
最初の能天気な若者から、戦場で疵付いた野良犬、そして、ラストの穏やかな大人の男まで、幅広い演技力を必要とする役でしたが、とても良かったと思います♪♪
ジュヌヴィエーヴ(白羽ゆり)
これが、宝塚卒業後初舞台…ってことでいいのかな?
残念ながら井上くんより4つも歳下の女の子には見えないので、一幕は苦戦していた印象ですが、二幕の心の揺れはさすがでした。天使だからね、となみちゃんは。人間と同じ理屈では動かないので。来ない手紙への不安、自分の中で大きく育っていくモノへの恐怖心。人間としての強靭さを持たない、儚げですぐに折れてしまう天使の心が、とても切なかったです。
私が一番好きだったのは、ラストの再会の場面。
マダムとしてのちょっと色っぽい(?)風情がとても良かったです。ああ、グルーシェニカをもう一度観てみたい…。
歌は現役時代より落ち着いて、良かったと思います。井上くんとはピッチがあうみたいで、デュエットの響きがすごく綺麗でした。
でも、、、体型はタカラジェンヌ時代をキープしてほしいよー(T T)。男役さんは、卒業したらすこしふっくらして丸みがついた方が女優としては良いでしょうけど、娘役さんはそのままキープしてほしいの(; ;)。ジュヌヴィエーヴは踊らないし、あまり身体の線が出ない服なので目立たないんだけど、、、でも、判るもん。ホントのとなみちゃんは、もっとずっと綺麗なんだもん!!(←贔屓目?)
ジュヌヴィエーヴの母(香寿たつき)
華やかな美しさのあるマダムっぷりで、なかなかの嵌り役でした。
なんとなく、カサールを挟んでジュヌヴィエーヴと恋敵みたいになるのかな?とか思ったのですが(←本当に映画を視たのか?)、普通に優しくてしっかり者の母、でした。
娘に対しては高圧的な、しっかりものでクールなビジネスウーマンタイプに見えて、8万フランの請求書が来た途端に崩れてしまって娘へ頼りきりになってしまうところとか、娘が結婚するとあっさり店を手放してパリへ行ってしまうとか、案外弱い女な面もあったり、相当複雑なキャラクターで難しかったと思うのですが、タータンはかなり的確に演じていたと思います。
もともとタータン自身が二面性のある役者なので、ちょうど良かったのかも。
歌はさすがでした。スタイルもますます磨かれて、イイオンナ度がアップ↑↑してました♪
カサール(岸田敏志(智史))
カッコいい!!
最初に出てきたときは、もっと胡散臭いキャラだったのに(ジュヌヴィエーヴが「詐欺だったのでは?」と疑う場面がある)実は物凄く良い人、というおいしい役(^ ^)。となみちゃんという天使を柔らかく包み込む「大人」の存在感がとても良かったと思います。
久しぶりにお姿を拝見して、大好きだった「クリスマス・キャロル」のボブ・クラチットを思い出しました♪素敵だったわ♪♪
ギィの伯母(出雲綾)
足が悪いという設定で、ほぼ座ったきりの役。ギィの唯一の身内という設定で、ジュヌヴィエーヴには見せられない弱さを零させるための存在でした。
やわらかくて温もりのある存在感で、宝塚現役時代の暑苦しい空気が無くなっていたのが不思議です。現役時代にこの空気を醸してくれていたら……と思わずにはいられませんが、彼女にとって「女優」としての成長はこれからなのかもしれませんね。
可愛らしい、愛情に溢れた素敵な伯母さんでした(はぁと)。
マドレーヌ(ANZA)
ギィの伯母さんを献身的に看護する、穏やかで辛抱強い、優しい女性。映画の設定によると、看護学校の生徒(?)のようですね。舞台を観ているときは、又従姉妹とかなんとか、要するに親戚なのかな?と思ったりもしたのですが。
一幕は、ほとんど出番はないものの、ギィに対するほのかな恋心をちゃんと表現していて、二幕の展開に唐突感がなかったのが嬉しかったです。しかし、以前、坂本昌行さんのギィと藤谷美紀さんのジュヌヴィエーヴで上演されたとき、マドレーヌは入絵加奈子ちゃんだったそうなので、エポニーヌ系の役者が配役されているようなのですが、音楽として聴いていると、もう少し柔らかなソプラノの方が音楽には合うような気がしたのですが……。
となみちゃんの声がまろやかな低音だから、そんな気がするだけかしら?
アンサンブル
最後に書いてますけど、この作品の目玉は、井上くんでもとなみちゃんでもなく、アンサンブルのダンスでした。
謝振付のカッコいいところを全部やっていた三組の男女に、乾杯。
とりあえず、久しぶりに思いっきり踊っている滝沢由佳さん(元四季)にお会いできて嬉しいです。こんなところにいらっしゃるとは!!(@ @)いやーーー、加藤敬二さん以外の振付で踊ってる滝沢さん、初めて観た……わけではないはずですが、文句無く素晴らしいダンスでした★ご馳走様★
あと、面白かったのは傘の行方、ですね。
一番最初の、ギィとジュヌヴィエーヴの出会いで、ギィがジュヌヴィエーヴに傘を渡す。これがきっかけに恋が始まるわけです。
で、その後、ジュヌヴィエーヴは、たしか街の乳母車を押した女性に傘を渡していた…ような気がする(←違うかも)。で、その女性からまた別のアンサンブルに渡されて……と、雨が降り出すたびに違う人の手を渡った傘は、最後にもう一度ギィの元に戻り、そして、ラストの別れのシーンで、ギィの手から事務所を出て車に向かうジュヌヴィエーヴに渡される。
特別な模様がついているような傘ではないので確信はありませんが、たぶん、そんな感じに回っていたと思います。
他にもいろいろエピソードがあって。
喧嘩してはまた仲直り、を繰り返すカップルとか、
乳母車を押していた女性が元夫と再会するドラマティックなシーンとか。
その元夫が、花売り娘の現恋人だったような気がするんだけど、あれ?とか。
一回しか観ていないので、すべてはチェックできていないと思うのですが、彼らには彼らの人生があって……というのが、すごく映画っぽいなと思いました。
……映画そのものは、ほとんど覚えていないのに、すみません(汗)。
ごくごくシンプルなメロドラマで、話は単純だし、ジュヌヴィエーヴの天使っぷりもどうかと思う部分はあるのですが。
でも、やっぱりこの物語の中には一つの真実が描かれているんだな、と思います。
切ないまでの、人間の心の真実、が。
弱いことは罪ではない、と。
弱いことが罪なのではなく、弱さ故に不誠実になることが罪なのだ、と。
美しい音楽にのせて綴られた、生粋のフランス映画。
物語の間中降りしきっていた雨が、ラストシーンで雪に変わる、その変化がとても美しいです。
美しいということは強さなのだな、と、そんなことを思ったりもした、日比谷の夜でした。
.
そして。
麻子さん、
あひちゃん、
おときち、
あいちゃん、
りこちゃん、
しずく、
しおりちゃん、
もえちゃん、
ご卒業おめでとうございますm(_ _)m.
雨男(?)の麻子さんの千秋楽とは思えない暖かな夜で、いろいろ着こんでいったのは結構無駄な感じでしたが、人波の隙間から、とおく皆さんにお別れしてまいりました。
中継を観るかどうしようか迷ったのですが、パレードを優先して正解だったような気がします。愛おしい月組っ子たちの最後の笑顔を、この目で視ることができて、よかった。
みなさまの今後のお幸せと、そしてご活躍を、心から祈っています。
さて。
日生劇場にて、「シェルブールの雨傘」を観てまいりました。
ジャック・ドゥミ監督の脚本で1963年に公開された名作映画「シェルブールの雨傘」。
私も映画館で観たことはないので、これも「カサブランカ」同様テレビ鑑賞のみだと思うのですが。主題曲の美しいメロディと、カトリーヌ・ドヌーヴの美貌、そしていくつものカラフルな傘を上から撮影したエンドロール(?)の印象が残っているくらいで、ストーリーもなにも、ほとんど覚えていませんでした(^ ^;ゞ
この作品は、もともと映画用に創られたミュージカルであって、先に舞台があったものではないと思うのですが、今回の舞台化の成立の経緯がプログラムにも書いていないのでよくわからない……
普通に、謝珠栄さんによる新演出の初演、と思っていいのかな。以前にも何度か舞台化されているはずですが、それとは関係ないっぽいよね?
なんだかこの映画、主役はジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)だと思っていたのですが、今回の舞台版では、カーテンコールの順序からみてギィ(井上芳雄)が主役だったみたいですね(^ ^)。
たしかに、アルジェリアの戦闘場面とかが入っているので、ギィの印象は映画よりだいぶ強くなっているなと思いましたが。……しかし、あのアルジェリアの場面で使っている音楽は映画にもあった音楽なんでしょうか(映画には戦闘場面は無かったはず)。まさかルグランに新曲を作ってもらったわけじゃないだろうし、別の場面の音楽を使ったとかなのでしょうか。
まずは、スタッフ。
脚本・作詞 ジャック・ドゥミ(映画版監督)
音楽 ミシェル・ルグラン
演出・振付 謝珠栄
翻訳・訳詩 竜真知子
装置 松井るみ
指揮 塩田明宏
ルグランの音楽については、何も言うことはありません。あの緩やかでペシミスティックなメロディラインの美しさは、原作映画の最大の魅力であり、その輝きは舞台になっても変わることはありませんでした。
そして、塩田さんの指揮も繊細でとても良かったと思います。こういう、心の襞をわけいってくるような切ない音楽も良いんですねえ。才能のある人だ。
松井さんの装置は、「パイレート・クイーン」とはちょっと違った面白い雰囲気。映画っぽい感じをよく出したイラスト調の街並みと、ひたすら雨を降らせ続けるバックスクリーンの電光との対比。本水を使うより、ずっと良い表現だったと思います。面白かった。
<この先ネタバレしています。ご注意を>
作品は、なんとなくのイメージとして残っていた以上にシンプルなメロドラマ。
1957年11月
20歳の若者と16歳の少女の熱烈な(だと本人たちは思っている)恋。
でもある日、若者の手許に一通の召集令状(←この時代のフランスでも“赤紙”だったらしい)が届く。二年間の兵役。戦場であるアルジェリアへの、出征命令。
一度きりの『思い出の夜』を過ごして、別れる二人。
1958年3月
ジュヌヴィエーヴは『思い出の夜』で出来た子供と共に不安な日々を過ごす。
ギィからの便りは途絶え、不安に苛まれる彼女に優しく手を差し伸べる宝石商のカサール。
「お腹の子供を二人で育てよう」と言うカサールに、心揺れるジュヌヴィエーヴ。
アルジェリア独立戦争の最前線で闘うギィ。ジュヌヴィエーヴへの手紙を書きかけては、そのたびに夜襲やなにかで中断させられ、手紙を書くことができない。
「それでも愛している。君にもう一度逢う為に、僕は生きる……!」
1959年1月
敵の手榴弾が近くにおちて、脚を怪我したギィは、負傷兵として除隊し、シェルブールに帰ってくる。
しかし、ジュヌヴィエーヴの母親がやっていた雨傘店は、無かった。
家に帰り、伯母からジュヌヴィエーヴが他の男と結婚し、店を閉めてパリへ移ったことを聞かされる。荒れるギィ。復帰した仕事(自動車の修理工)も放り出し、年金を食いつぶしながら街を彷徨う。
彼を心配する伯母と、伯母の世話をしてきたマドレーヌ。
そうこうするうちに、体の弱かった伯母が亡くなり、その遺産で念願だったガソリンスタンドを購入。支えてくれたマドレーヌと結婚して、ささやかながら新しい生活をはじめる。
1963年12月
クリスマスの飾り付けを終えたマドレーヌが、小さな息子と買い物へ行くのを見送るギィ。
そこへあらわれた一台のベンツ。車から降りた美しいマダムの顔をみたギィは、立ち竦む。
ギィの顔をみたジュヌヴィエーヴも、また。
「娘の用事で、近くに来たの。…シェルブールに来たのは、結婚以来初めてよ」
「そう……」
「なのに、こんなところで会うなんて……」
事務所へ招き入れたジュヌヴィエーヴが、奇妙な饒舌さで語る。
「このツリーの飾りは?あなたがしたの?」
「……いや、それは、………妻が、息子と」
ふと零れて落ちる、沈黙。
「………幸せ?」
「ああ、………幸せ、だよ」
万感の思いをこめて、見詰め合う二人。
交わすべき言葉はすべて過去のもので。今となっては、何も語ることなどなくて。
「子供の名前は…?」
「……フランソワーズ、よ」
すべては、もう、終わってしまったこと。
「会っていくでしょう?」
「……いや、いいんだ」
幸せそうに微笑んで、そう告げる男は、もう20歳の青年ではなくて。
それを聞いて、すこし寂しげに微笑む彼女も、もう16歳のマドモアゼルではなくて。
パリへ帰るベンツのテールランプを見送って、彼はもう一度、空を視あげる。
舞い落ちる雪に浸されて、追憶への旅を終えて。
買い物から帰ってきた妻と子を迎えて笑う彼には、もう翳り一つなく。
「幸せ、だよ…」 と。
ギィ(井上芳雄)
この人は、ソロよりもデュエットの方がいいんだなあ、ということを思いました。
これだけ歌えて、これだけ踊れるって凄いコトだなあと感心。
「ミス・サイゴン」のクリスの経験が生きたのか、アルジェリアでの戦闘場面の迫力やその追い詰められたエネルギー、シェルブールへ戻ったときの荒んだ雰囲気など、非常に的確な芝居だったと思います。
最初の能天気な若者から、戦場で疵付いた野良犬、そして、ラストの穏やかな大人の男まで、幅広い演技力を必要とする役でしたが、とても良かったと思います♪♪
ジュヌヴィエーヴ(白羽ゆり)
これが、宝塚卒業後初舞台…ってことでいいのかな?
残念ながら井上くんより4つも歳下の女の子には見えないので、一幕は苦戦していた印象ですが、二幕の心の揺れはさすがでした。天使だからね、となみちゃんは。人間と同じ理屈では動かないので。来ない手紙への不安、自分の中で大きく育っていくモノへの恐怖心。人間としての強靭さを持たない、儚げですぐに折れてしまう天使の心が、とても切なかったです。
私が一番好きだったのは、ラストの再会の場面。
マダムとしてのちょっと色っぽい(?)風情がとても良かったです。ああ、グルーシェニカをもう一度観てみたい…。
歌は現役時代より落ち着いて、良かったと思います。井上くんとはピッチがあうみたいで、デュエットの響きがすごく綺麗でした。
でも、、、体型はタカラジェンヌ時代をキープしてほしいよー(T T)。男役さんは、卒業したらすこしふっくらして丸みがついた方が女優としては良いでしょうけど、娘役さんはそのままキープしてほしいの(; ;)。ジュヌヴィエーヴは踊らないし、あまり身体の線が出ない服なので目立たないんだけど、、、でも、判るもん。ホントのとなみちゃんは、もっとずっと綺麗なんだもん!!(←贔屓目?)
ジュヌヴィエーヴの母(香寿たつき)
華やかな美しさのあるマダムっぷりで、なかなかの嵌り役でした。
なんとなく、カサールを挟んでジュヌヴィエーヴと恋敵みたいになるのかな?とか思ったのですが(←本当に映画を視たのか?)、普通に優しくてしっかり者の母、でした。
娘に対しては高圧的な、しっかりものでクールなビジネスウーマンタイプに見えて、8万フランの請求書が来た途端に崩れてしまって娘へ頼りきりになってしまうところとか、娘が結婚するとあっさり店を手放してパリへ行ってしまうとか、案外弱い女な面もあったり、相当複雑なキャラクターで難しかったと思うのですが、タータンはかなり的確に演じていたと思います。
もともとタータン自身が二面性のある役者なので、ちょうど良かったのかも。
歌はさすがでした。スタイルもますます磨かれて、イイオンナ度がアップ↑↑してました♪
カサール(岸田敏志(智史))
カッコいい!!
最初に出てきたときは、もっと胡散臭いキャラだったのに(ジュヌヴィエーヴが「詐欺だったのでは?」と疑う場面がある)実は物凄く良い人、というおいしい役(^ ^)。となみちゃんという天使を柔らかく包み込む「大人」の存在感がとても良かったと思います。
久しぶりにお姿を拝見して、大好きだった「クリスマス・キャロル」のボブ・クラチットを思い出しました♪素敵だったわ♪♪
ギィの伯母(出雲綾)
足が悪いという設定で、ほぼ座ったきりの役。ギィの唯一の身内という設定で、ジュヌヴィエーヴには見せられない弱さを零させるための存在でした。
やわらかくて温もりのある存在感で、宝塚現役時代の暑苦しい空気が無くなっていたのが不思議です。現役時代にこの空気を醸してくれていたら……と思わずにはいられませんが、彼女にとって「女優」としての成長はこれからなのかもしれませんね。
可愛らしい、愛情に溢れた素敵な伯母さんでした(はぁと)。
マドレーヌ(ANZA)
ギィの伯母さんを献身的に看護する、穏やかで辛抱強い、優しい女性。映画の設定によると、看護学校の生徒(?)のようですね。舞台を観ているときは、又従姉妹とかなんとか、要するに親戚なのかな?と思ったりもしたのですが。
一幕は、ほとんど出番はないものの、ギィに対するほのかな恋心をちゃんと表現していて、二幕の展開に唐突感がなかったのが嬉しかったです。しかし、以前、坂本昌行さんのギィと藤谷美紀さんのジュヌヴィエーヴで上演されたとき、マドレーヌは入絵加奈子ちゃんだったそうなので、エポニーヌ系の役者が配役されているようなのですが、音楽として聴いていると、もう少し柔らかなソプラノの方が音楽には合うような気がしたのですが……。
となみちゃんの声がまろやかな低音だから、そんな気がするだけかしら?
アンサンブル
最後に書いてますけど、この作品の目玉は、井上くんでもとなみちゃんでもなく、アンサンブルのダンスでした。
謝振付のカッコいいところを全部やっていた三組の男女に、乾杯。
とりあえず、久しぶりに思いっきり踊っている滝沢由佳さん(元四季)にお会いできて嬉しいです。こんなところにいらっしゃるとは!!(@ @)いやーーー、加藤敬二さん以外の振付で踊ってる滝沢さん、初めて観た……わけではないはずですが、文句無く素晴らしいダンスでした★ご馳走様★
あと、面白かったのは傘の行方、ですね。
一番最初の、ギィとジュヌヴィエーヴの出会いで、ギィがジュヌヴィエーヴに傘を渡す。これがきっかけに恋が始まるわけです。
で、その後、ジュヌヴィエーヴは、たしか街の乳母車を押した女性に傘を渡していた…ような気がする(←違うかも)。で、その女性からまた別のアンサンブルに渡されて……と、雨が降り出すたびに違う人の手を渡った傘は、最後にもう一度ギィの元に戻り、そして、ラストの別れのシーンで、ギィの手から事務所を出て車に向かうジュヌヴィエーヴに渡される。
特別な模様がついているような傘ではないので確信はありませんが、たぶん、そんな感じに回っていたと思います。
他にもいろいろエピソードがあって。
喧嘩してはまた仲直り、を繰り返すカップルとか、
乳母車を押していた女性が元夫と再会するドラマティックなシーンとか。
その元夫が、花売り娘の現恋人だったような気がするんだけど、あれ?とか。
一回しか観ていないので、すべてはチェックできていないと思うのですが、彼らには彼らの人生があって……というのが、すごく映画っぽいなと思いました。
……映画そのものは、ほとんど覚えていないのに、すみません(汗)。
ごくごくシンプルなメロドラマで、話は単純だし、ジュヌヴィエーヴの天使っぷりもどうかと思う部分はあるのですが。
でも、やっぱりこの物語の中には一つの真実が描かれているんだな、と思います。
切ないまでの、人間の心の真実、が。
弱いことは罪ではない、と。
弱いことが罪なのではなく、弱さ故に不誠実になることが罪なのだ、と。
美しい音楽にのせて綴られた、生粋のフランス映画。
物語の間中降りしきっていた雨が、ラストシーンで雪に変わる、その変化がとても美しいです。
美しいということは強さなのだな、と、そんなことを思ったりもした、日比谷の夜でした。
.
銀座博品館劇場にて、「シェイクスピアレビュー 笑いすぎたハムレット」を観劇してまいりました。
OGの七帆ひかるさんがお目当てで観にいった公演でしたが、予想外に面白かったです。この年末のクソ忙しいときに、無理して行った甲斐がありました(*^ ^*)。
いや、まあ、玉野和紀さんに土居裕子さんに西村直人さんに、中村龍史さん率いるマッスルミュージカルメンバーに……と、これだけのメンバーが揃ってるんだから、そりゃあ面白いに決まっているんですけどね(^ ^)。
ストーリーは思ったよりも「ハムレット」に忠実に進み---あちこちにいろんなギャグやらゲームやらを挟みながら、ですが---、レアティーズとハムレットの御前試合までは辿りつきます。
で、その後はぐたぐた(汗)。
後半の展開は、「七帆ひかるは『逆転裁判』でミツルギ検事役を演じていた」ことを踏まえて観ると、少しは納得できるかもしれません。(←納得は無理だと思うが?)
……まあ、良いんですそんなことは。どうでも(きっぱり)。
もう、とにかく、
七帆くんがめっちゃ可愛かったです!!
……全ての出演者の中で、一番大きかった と思いますが。
いきなりセパレート(いわゆる“ヘソ出し”)の衣装から始まったので仰天しましたが、一生懸命可愛くなろうと努力しているさまが、とってもキュートでした(*^ ^*)。
それにしても良い声だ!(感動)
音楽は、全編ありものの懐メロを使った『ジュークボックスミュージカル』なのですが、七帆くんは「どうにもとまらない」から「待つわ」(土居さんとデュエット)まで、、、何曲歌ったのかな?
男役声の音域が良いのは当然として、女役としての声もこの短期間によく鍛えられていて驚きました。男役声の豊かな響きを保ったまま、高音部も自然に出てるのがすごい。チェンジボイスがないのか……?いや、そんなはずはないんだけど。音域広いんですねえ。
現役時代から声はすごく好みだったんですけど、こんなにも好きな声だったのか、と、改めて気づいてしまいました。ああ、かえすがえすも卒業が惜しいなあ(T T)。いまさらだけど。
声が良いのは歌だけじゃなくて、芝居もすごく良かったです。
中盤で、人形を相手に男役と娘役を交互にこなす一人芝居(というか、イメージは腹話術に近い)の場面があるのですが、あまりに達者なのでびっくりしました。二役で声も口調も使い分けていて、目を瞑って聴いていると本当に二人で会話しているみたい♪こんな芸当が出来るとは……
案外と奥が深いな、七帆ひかる。
役は、ポローニアスに呼ばれてくる劇団の一員で、名前はジュリエット(^ ^)。あ、ここは笑うところです。ちなみに、誰よりもデカいジュリエットでした。(だから登場人物の中で一番大きいんだってば)
そして、彼らが御前で上演する演目は「シンデレラ」。これも笑うところです。誰よりもデカくて強そう(でも誰より色白)なシンデレラを、姉さんたち(10人以上居たような?)が集団で盛大にイジってました(^ ^)。
その後、オフィーリア(土居裕子)と幼馴染である、という話になって、後半はオフィーリアといろいろ絡むのですが、大きい七帆くんと小さな土居さんのコンビが、とっっっても素敵でした(*^ ^*)。
とにかく可愛くて可愛くてたまらない。軽く頭一つ……半、くらいの背の違いがあるので、もう、二人が立って会話をしているだけで超可愛いんです★背中を合わせてデュエットする場面とか、、もう本当に可愛くて可愛くて(壊)
す、すみません。ちょっと壊れました。
土居さんとデュエットさせていただいている七帆くん。いやー、もちろん歌唱力でも芝居力でも、キャリアも才能もある土居さんに叶うべくもないんですけれども。でも、七帆くんが本来持っている温かみのある癒し系のオーラというものが、こうして本来の性に戻って『女優』として舞台に立つとすごく目にはいってくるものなんだなあ、と思いました。
男役として舞台に立っているときは隙に見えたこともあるその空気感が、「女優」となった彼女にとっては、まるごと魅力になっていたと思います。(真顔)
舞台に立ち続けるにはいろんな問題(相手役の背丈とか相手役身長とか相手役の上背とか)がありそうですが、これからもいろんな舞台に出てみてほしい人です。
玉野さん(ハムレット)、土居さん(オフィーリア)のベテランお二人は、さすがの一言。
玉野さんは、今回はあまり踊ってくださらず……。もっぱら皆をコントロールして芝居をちゃんと回すことを担当していたような気がします。さりげなーく突っ込んだり落としたりしながらも。
開演ギリギリに飛び込んだので、一幕の間は玉野さんが脚本だとばかり思ってました(汗)(実際は、中村龍史さんが脚本・演出・振付。玉野さんは一部の振付のみ)。芝居のテンポが、いつもの玉野作品っぽかったので、つい(汗)。
土居さんはもう。
小さくて可愛くて小さくて美声で。本当に素敵でした(はぁと)。
「聖母たちのララバイ」「シルエットロマンス」の岩崎宏美ナンバーから「千の風になって」まで、実に見事な歌声を披露してくださってもう本当に涙が出るほど素敵だった(泣笑)
コンサートとかでもなかなかこういう懐メロを聴く機会って無いので、嬉しかったです。
作品の立役者はもう一人。ホレーシオ役の西村直人。
「レ・ミゼラブル」でジョリとプルヴェールを演じていた頃からの大ファンですが、いやー、相変わらずキラキラしてるわぁ~(*^ ^*)。
相変わらず玉野さんの信頼篤い感じで、ゲームの司会者から何から、ぜんぶやってましたね。
そして、そういうのを置いといても、ホレーシオとしての芝居はさすがでした♪いやー、いくつになっても格好いいわー!!
マッスルミュージカルを主な活動内容にしている(?)「中村JAPN」主宰の中村龍史さんは、ポローニアス役。さすがに達者な役者で、ああ、こういうやりかたもあるのか、と感心しました。
マッスルミュージカルは2回しか観たことがないのですが、次は是非行こう!と思いました(*^ ^*)。
そして、アンサンブルとして劇団員含め色んな役をやっていた「中村JAPAN」メンバーを中心とする皆様。
一幕で「宮殿へ到着したご挨拶がわりに」気楽なショーをお見せしますよ♪ というショー場面のアクロバットの連続には、チケット代の半分はこれでいいやと思いました(真顔)。
リフトって、ただ持ち上げるだけじゃないんですね……なんてことに今頃気づいてみたり。
女性たちの脚や腕のラインがすごく引き締まって美しくて、鍛え方が違うんだなあと思います。
うん、凄い。「マッスルミュージカル」は一回か二回しか観ていないと思いますが、また次の機会にはぜひ!!と思いました★
チラシで出演者(とか粗筋とか)を見たとき、「よくある他流試合かな?」と思ったのですが。
予想していたより全然面白かったです。
そして。主宰でもないのに、なんとなく作品が「玉野色」になっていたあたり、玉野さんって凄いんだなあと思いました(^ ^)。
またぜひ、七帆くんを呼んであげてくださいませ!!
さて。
「ハムレット」つながりで、本日発表された月組バウホール公演「ハムレット」のキャストについてちょこっとコメントさせてください。
オフィーリアの蘭ちゃん(蘭乃はな)、クローディアス&ガートルードの越乃リュウ&五峰亜季、ハムレット王の亡霊に研ルイス、ポローニアスにふぁーびー(綾月せり)、、、このあたりまでは予想どおり。
個人的には、裏ヒロインのガートルードにすずな(憧花ゆりの)を心の片隅で期待していたんですが……いや、勿論、まゆみさんが居るんだから判ってはいたけどさ(; ;)。まゆみさん、ガートルードは弱い女なんです。「女」なんです。そこんとこ、よろしくお願いいたします(←藤井さんに言いなさい)
ホレーシオの宇月颯くんとレアティーズの珠城りょうさんは、どっちかがどっちかだろうなと思っていたんですが。こうきましたか。
「ハムレット」は、演出によってレアティーズが二番手っぽいときとホレーシオが二番手っぽいときがあるので、藤井さんがこのキャストでどういうふうに作るつもりなのか、すごく興味深いです。
宇月くんのホレーシオは、「ホフマン物語」の二クラウスっぽい感じになるのでしょうか。あの二クラウス、みりおくんとの並びも似合ってて凄く良かったもんなあ。不器用で温かい面と、鋭利で手厳しい面の両面を持っている役者なので、期待しています。
珠城くんの大柄で無骨な感じは、たしかにレアティーズにぴったりかもね♪蘭ちゃんとの兄妹並びが早く観たい!可愛いだろうなあ~~(*^ ^*)。
個人的な予想は、ローゼンクランツ=きっしー(彩央寿音)、ギルデンスターン=沢希理寿、フォーティンブラス=鳳月杏、だったので、きっしー以下はだいぶ外れてしまいました。
で、きっしーの「タッチストン」って、誰?座長?
…ま、今回の公演、キャスティングの目玉はコレですよね、やっぱり。
ローゼンクランツ 憧花ゆりの
ギルデンスターン 鳳月杏
ローゼンクランツとギルデンスターンは、「ハムレット」本編ではそんなに大したことない役なのですが。私は以前、生瀬勝久&古田新太の「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という作品を観たので、それ以来、この二役にはついつい注目してしまうんです。
すずな&ちなつというキャスティングは、どう読めばいいのかよくわからないけど、とにかくいつも一緒に並んで出てくるスタイル抜群のお二人なので、並びを早く見てみたいです。
二人してダルマで出てきてもいいんだけど(←おい)
しかーし、この二人はハムレットの学友なんだが……すずな……?
すずな、男役も似合いそうだもんね(*^ ^*)(←違うと思うけど)
……っていうか。フォーティンブラスは出てこないんですかねぇ……?
彼は「継ぐ者」なので、彼が出てこないとラストが締まらないと思うんだけどなあ。藤井さん、どうするつもりなんだろう……(←妖精が出てきて幕を降ろしちゃうんじゃない?)(・・;)
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OGの七帆ひかるさんがお目当てで観にいった公演でしたが、予想外に面白かったです。この年末のクソ忙しいときに、無理して行った甲斐がありました(*^ ^*)。
いや、まあ、玉野和紀さんに土居裕子さんに西村直人さんに、中村龍史さん率いるマッスルミュージカルメンバーに……と、これだけのメンバーが揃ってるんだから、そりゃあ面白いに決まっているんですけどね(^ ^)。
ストーリーは思ったよりも「ハムレット」に忠実に進み---あちこちにいろんなギャグやらゲームやらを挟みながら、ですが---、レアティーズとハムレットの御前試合までは辿りつきます。
で、その後はぐたぐた(汗)。
後半の展開は、「七帆ひかるは『逆転裁判』でミツルギ検事役を演じていた」ことを踏まえて観ると、少しは納得できるかもしれません。(←納得は無理だと思うが?)
……まあ、良いんですそんなことは。どうでも(きっぱり)。
もう、とにかく、
七帆くんがめっちゃ可愛かったです!!
……全ての出演者の中で、一番大きかった と思いますが。
いきなりセパレート(いわゆる“ヘソ出し”)の衣装から始まったので仰天しましたが、一生懸命可愛くなろうと努力しているさまが、とってもキュートでした(*^ ^*)。
それにしても良い声だ!(感動)
音楽は、全編ありものの懐メロを使った『ジュークボックスミュージカル』なのですが、七帆くんは「どうにもとまらない」から「待つわ」(土居さんとデュエット)まで、、、何曲歌ったのかな?
男役声の音域が良いのは当然として、女役としての声もこの短期間によく鍛えられていて驚きました。男役声の豊かな響きを保ったまま、高音部も自然に出てるのがすごい。チェンジボイスがないのか……?いや、そんなはずはないんだけど。音域広いんですねえ。
現役時代から声はすごく好みだったんですけど、こんなにも好きな声だったのか、と、改めて気づいてしまいました。ああ、かえすがえすも卒業が惜しいなあ(T T)。いまさらだけど。
声が良いのは歌だけじゃなくて、芝居もすごく良かったです。
中盤で、人形を相手に男役と娘役を交互にこなす一人芝居(というか、イメージは腹話術に近い)の場面があるのですが、あまりに達者なのでびっくりしました。二役で声も口調も使い分けていて、目を瞑って聴いていると本当に二人で会話しているみたい♪こんな芸当が出来るとは……
案外と奥が深いな、七帆ひかる。
役は、ポローニアスに呼ばれてくる劇団の一員で、名前はジュリエット(^ ^)。あ、ここは笑うところです。ちなみに、誰よりもデカいジュリエットでした。(だから登場人物の中で一番大きいんだってば)
そして、彼らが御前で上演する演目は「シンデレラ」。これも笑うところです。誰よりもデカくて強そう(でも誰より色白)なシンデレラを、姉さんたち(10人以上居たような?)が集団で盛大にイジってました(^ ^)。
その後、オフィーリア(土居裕子)と幼馴染である、という話になって、後半はオフィーリアといろいろ絡むのですが、大きい七帆くんと小さな土居さんのコンビが、とっっっても素敵でした(*^ ^*)。
とにかく可愛くて可愛くてたまらない。軽く頭一つ……半、くらいの背の違いがあるので、もう、二人が立って会話をしているだけで超可愛いんです★背中を合わせてデュエットする場面とか、、もう本当に可愛くて可愛くて(壊)
す、すみません。ちょっと壊れました。
土居さんとデュエットさせていただいている七帆くん。いやー、もちろん歌唱力でも芝居力でも、キャリアも才能もある土居さんに叶うべくもないんですけれども。でも、七帆くんが本来持っている温かみのある癒し系のオーラというものが、こうして本来の性に戻って『女優』として舞台に立つとすごく目にはいってくるものなんだなあ、と思いました。
男役として舞台に立っているときは隙に見えたこともあるその空気感が、「女優」となった彼女にとっては、まるごと魅力になっていたと思います。(真顔)
舞台に立ち続けるにはいろんな問題(相手役の背丈とか相手役身長とか相手役の上背とか)がありそうですが、これからもいろんな舞台に出てみてほしい人です。
玉野さん(ハムレット)、土居さん(オフィーリア)のベテランお二人は、さすがの一言。
玉野さんは、今回はあまり踊ってくださらず……。もっぱら皆をコントロールして芝居をちゃんと回すことを担当していたような気がします。さりげなーく突っ込んだり落としたりしながらも。
開演ギリギリに飛び込んだので、一幕の間は玉野さんが脚本だとばかり思ってました(汗)(実際は、中村龍史さんが脚本・演出・振付。玉野さんは一部の振付のみ)。芝居のテンポが、いつもの玉野作品っぽかったので、つい(汗)。
土居さんはもう。
小さくて可愛くて小さくて美声で。本当に素敵でした(はぁと)。
「聖母たちのララバイ」「シルエットロマンス」の岩崎宏美ナンバーから「千の風になって」まで、実に見事な歌声を披露してくださってもう本当に涙が出るほど素敵だった(泣笑)
コンサートとかでもなかなかこういう懐メロを聴く機会って無いので、嬉しかったです。
作品の立役者はもう一人。ホレーシオ役の西村直人。
「レ・ミゼラブル」でジョリとプルヴェールを演じていた頃からの大ファンですが、いやー、相変わらずキラキラしてるわぁ~(*^ ^*)。
相変わらず玉野さんの信頼篤い感じで、ゲームの司会者から何から、ぜんぶやってましたね。
そして、そういうのを置いといても、ホレーシオとしての芝居はさすがでした♪いやー、いくつになっても格好いいわー!!
マッスルミュージカルを主な活動内容にしている(?)「中村JAPN」主宰の中村龍史さんは、ポローニアス役。さすがに達者な役者で、ああ、こういうやりかたもあるのか、と感心しました。
マッスルミュージカルは2回しか観たことがないのですが、次は是非行こう!と思いました(*^ ^*)。
そして、アンサンブルとして劇団員含め色んな役をやっていた「中村JAPAN」メンバーを中心とする皆様。
一幕で「宮殿へ到着したご挨拶がわりに」気楽なショーをお見せしますよ♪ というショー場面のアクロバットの連続には、チケット代の半分はこれでいいやと思いました(真顔)。
リフトって、ただ持ち上げるだけじゃないんですね……なんてことに今頃気づいてみたり。
女性たちの脚や腕のラインがすごく引き締まって美しくて、鍛え方が違うんだなあと思います。
うん、凄い。「マッスルミュージカル」は一回か二回しか観ていないと思いますが、また次の機会にはぜひ!!と思いました★
チラシで出演者(とか粗筋とか)を見たとき、「よくある他流試合かな?」と思ったのですが。
予想していたより全然面白かったです。
そして。主宰でもないのに、なんとなく作品が「玉野色」になっていたあたり、玉野さんって凄いんだなあと思いました(^ ^)。
またぜひ、七帆くんを呼んであげてくださいませ!!
さて。
「ハムレット」つながりで、本日発表された月組バウホール公演「ハムレット」のキャストについてちょこっとコメントさせてください。
オフィーリアの蘭ちゃん(蘭乃はな)、クローディアス&ガートルードの越乃リュウ&五峰亜季、ハムレット王の亡霊に研ルイス、ポローニアスにふぁーびー(綾月せり)、、、このあたりまでは予想どおり。
個人的には、裏ヒロインのガートルードにすずな(憧花ゆりの)を心の片隅で期待していたんですが……いや、勿論、まゆみさんが居るんだから判ってはいたけどさ(; ;)。まゆみさん、ガートルードは弱い女なんです。「女」なんです。そこんとこ、よろしくお願いいたします(←藤井さんに言いなさい)
ホレーシオの宇月颯くんとレアティーズの珠城りょうさんは、どっちかがどっちかだろうなと思っていたんですが。こうきましたか。
「ハムレット」は、演出によってレアティーズが二番手っぽいときとホレーシオが二番手っぽいときがあるので、藤井さんがこのキャストでどういうふうに作るつもりなのか、すごく興味深いです。
宇月くんのホレーシオは、「ホフマン物語」の二クラウスっぽい感じになるのでしょうか。あの二クラウス、みりおくんとの並びも似合ってて凄く良かったもんなあ。不器用で温かい面と、鋭利で手厳しい面の両面を持っている役者なので、期待しています。
珠城くんの大柄で無骨な感じは、たしかにレアティーズにぴったりかもね♪蘭ちゃんとの兄妹並びが早く観たい!可愛いだろうなあ~~(*^ ^*)。
個人的な予想は、ローゼンクランツ=きっしー(彩央寿音)、ギルデンスターン=沢希理寿、フォーティンブラス=鳳月杏、だったので、きっしー以下はだいぶ外れてしまいました。
で、きっしーの「タッチストン」って、誰?座長?
…ま、今回の公演、キャスティングの目玉はコレですよね、やっぱり。
ローゼンクランツ 憧花ゆりの
ギルデンスターン 鳳月杏
ローゼンクランツとギルデンスターンは、「ハムレット」本編ではそんなに大したことない役なのですが。私は以前、生瀬勝久&古田新太の「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という作品を観たので、それ以来、この二役にはついつい注目してしまうんです。
すずな&ちなつというキャスティングは、どう読めばいいのかよくわからないけど、とにかくいつも一緒に並んで出てくるスタイル抜群のお二人なので、並びを早く見てみたいです。
二人してダルマで出てきてもいいんだけど(←おい)
しかーし、この二人はハムレットの学友なんだが……すずな……?
すずな、男役も似合いそうだもんね(*^ ^*)(←違うと思うけど)
……っていうか。フォーティンブラスは出てこないんですかねぇ……?
彼は「継ぐ者」なので、彼が出てこないとラストが締まらないと思うんだけどなあ。藤井さん、どうするつもりなんだろう……(←妖精が出てきて幕を降ろしちゃうんじゃない?)(・・;)
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天王洲の銀が劇場にて、「ANJIN - イングリッシュサムライ」を観劇してまいりました。
これが今年の観劇納めになりましたが、非常に完成度の高い、締めくくりに相応しい作品だったと思います(^ ^)。
関が原の合戦が起こる半年ほど前、豊後(大分県)臼杵の海岸に、一隻のオランダ商船が漂着した。
マゼラン海峡を渡ってはるばる太平洋を越えたあげく、嵐に見舞われて沈没寸前だった船の名は、リーフデ号。その航海士であったウィリアム・アダムズ(オーウェン・ティール)が、この作品の一方の主人公。
彼は、辛い航海で身体を傷めた船長の代理として徳川家康(市村正親)に会い、意気投合する。
西洋には未だ知られぬ「新しい」文明国・日本の支配者と、柔軟な思考をする新教徒の技術者と。
「儂はこの国を出たことがない。太閤秀吉の朝鮮征伐も留守番役だったしな。儂はここで、この国を守るのが仕事じゃ。ゆえに、外国の者に来てもらうよりほかはない。……のうアダムズ、儂に教えよ。西洋の技術をな。砲術、造船術、航海術、鉱山術、金属の精錬、、、何でもよい。思想はいらぬ、ただ、事実を語ればよいのじゃ」
アダムズのもたらした最新式の大砲を使った関が原の合戦に勝利した家康は、リーフデ号の修理は許したが、望郷の念やみがたいアダムズの帰国は許さない。三浦半島(横須賀)に領地を与え、旗本に取り立てて三浦按針という名を与え、、、この『青い目のサムライ』を傍に留めおき、友情を育んでいく。
アダムズ。その傍らで友情を育てるイエズス会の司祭ドメニコ(藤原竜也)。泰平の世を祈願した徳川家康。彼らが守ろうとした、時代というもの。
やがて家康は老い、二代将軍秀忠・三大将軍家光と、時代が下るにつれて厳しくなっていく鎖国政策の中、イギリス人として、そして日本人として生きたアダムズ。
日本と西欧の間に架けられたか細い橋は、すぐに消えてしまう運命でしたけれども、あの時に点された灯は、短い時間とはいえ、たしかに明るく輝いていたのでした。
脚本はマイク・ポウルトン。演出はグレゴリー・ドーラン。どちらもイギリス演劇界の重鎮。
ホリプロ50周年の記念作品の一つとして企画された公演で、「身毒丸」ロンドン公演に始まるホリプロの海外との文化交流の結晶というべきものであったようです。
西欧人の役は西欧人(イギリス人)俳優が、日本人の役は日本人俳優が演じ、台詞はほぼバイリンガル(日本語・英語)。
演出は堅実で、たしかに英国演劇っぽい、ちょっとお堅い感じがありました。シンプルな舞台装置や映像の使い方がイマっぽくて面白いのですが、意外と舞台転換が多くて、そのたびに暗転の間が長かったり、ちょっと間の取り方がいまひとつだったりというのはありましたが(特に、ラストシーンの余韻がちょっと短かったのが残念!!)、全体にはよく噛み合った美しい物語でした。
中でも、月明かりの下で家康とアダムズが語り合う場面の美しさが、強く心に残りました(*^ ^*)。
ちなみに、バイリンガルなので、日本語の会話には英語の字幕、英語の台詞には日本語の字幕がついていました。いやーーー、日本語の台詞に対する英語の字幕は、かなり面白かったです。小難しい武士言葉をシンプルに一言で終わらせたり。ああ、たしかに、相当な意訳だけど、ニュアンスは伝わりそう……(感心)、と。
昔、劇団昴が遠藤周作の「沈黙」を上演したときも、あんな感じだったなあ……。あのときは、最初から海外公演を予定していたのですが、この作品は海外公演の予定はないのでしょうか?非常に面白かったので、英国とかでも受けると思うんですけどねえ。……ウィリアム・アダムズという人物は、日本では有名だけど西欧では無名でしょうから難しいのかなあ。
言葉関係でちょっと気になったのは、もっと前から日本にいて、プロテスタントのアダムズと対立することになるイエズス会宣教師の二人(デヴィット・アクトン、ジェイミー・バラード)が片言の日本語で喋っていたこと、ですね。
家康との会話は仕方ないけど、ドメニコとの会話は英語でよかったと思う。そのほうが自然。ドメニコは英語が喋れるんだし。
あと、ドメニコの通訳がかなり適当なこと(^ ^)。忠実に訳していることになっているんだから、そこはある程度字幕にあわせればいいのに。
字幕を見ながら観ているので、なんか違和感がありました。宣教師たちが通辞を勤めるときは、違うことを言っているのが判りやすくていいのですが、ドメニコの通訳は基本的に忠実なはずなのに…と。
同じ内容を二回(アダムズとドメニコと)言うことになると、長くなりすぎるのかな(^ ^;ゞ
ウィリアム・アダムズ(三浦按針)の数奇な運命を主軸に、徳川と豊臣の闘い、家康と秀忠の親子の相克、そして、旧教国スペイン(イエズス会)と新教国イギリスの諍いなどをも絡めた、壮大な大河ドラマ。
この時代は、ちょうどアルマダの海戦でイギリス海軍がスペイン無敵艦隊を破った少し後。先日観劇した「パイレート・クイーン」と同時代の物語です。
イギリス国内では、エリザベス一世が権力をふるってスコットランドを併合し、アイルランドを手中に収めんと画策していた頃。アダムズは、シェイクスピアと同世代です。ドレイク船長に倣って世界の海をめぐり、東の果ての国で陸に上がった男。
この物語のメインとなる三人は、皆何かに引き裂かれた男なんだな、と思いました。
望郷の念やみがたく、イギリスにいる妻と娘を忘れられず、それでも日本で愛した妻(お雪/桜田聖子)と子供たちへの愛着も棄て難く、望郷の念を棄てきれない自分と、日本を離れられない自分に引き裂かれたアダムズ。
太閤の後継者として今の時代をきちんと守って後継者へ引き渡し、日本という国を守るという使命と、海を渡り、知らない土地・知らないモノを見たいと願う少年の憧れに引き裂かれた徳川家康。
そして。
日本人(北条系の武士の家の出)でありながらカトリックを信仰し、洗礼を受けてイエズス会の司祭にまでなったドメニコの葛藤。
司祭でありながら、闘いの昂揚感を棄てきれない若さと、たとえ「イエズス会」を守るためという目的があったとしても不正を見逃すことのできない潔癖すぎる青さ。
司祭である自分と、武士である自分。二つに引き裂かれたドメニコの情熱は、彼自身を燃やし尽くしてしまうほど熱くて、激しいものだったのだと思います。
引き裂かれた男たちは、同じ疵を抱いた仲間を求めあう。
アダムズを手許に置いておくことを希った家康。
死を目前にした家康の見舞に、地球儀を持ってあらわれるアダムズ。
カトリックではアダムズの心をを救えないことに絶望したドメニコ。
鎖国&キリスト教の禁教が国策として動き出した日本で、囚われたドメニコの消息を求めて家光に面会を求めるアダムズ。
彼らの求めるものが、自分の未来ではなく他人の未来であったことが、とても切なかったです。
争いのない平和な国。
平穏で平らかな、幸せな人生。
そんな、決して手の届かぬ夢のような、モノ。
それを、手に入れようとあがくのが人生なのか、と。
……うーん、言葉って難しいなあ。舞台を観て、すごくたくさんのものを受け取ったのに、それを言葉にあらわすのってすごく難しい……(T T)。
「人形の家」ヘルメルでトニー賞を獲たこともある英国俳優・ティール。
最初の登場(漂流していてボロボロ)が、「海賊」と誤解されても仕方ないほど荒れていたのに、次の場面ではしっかり家康に謁見できるだけの貫禄をもっていたのは、さすが。
後半の袴姿がしっくり似合う姿勢のよさ。約三時間の上演時間をかけて、徐々に日本の生活に慣れていくのがとても良かったと思います。前半は正座ができない設定だったのに、後半は日常正座で過ごしているね、という慣れを感じたところとか、そういう細かいところで。
日本語は片言なので抑揚などはわかりませんが、英語での芝居部分の迫力を見ていると凄いなあ、と思います。字幕がなくても何が言いたいのか顔を見てればわかる!!と驚きました。
日本演劇界の重鎮(?)市村正親。
ほどよい軽みと、悪戯っ子めいた雰囲気。観ていて、もしかしたら家康ってこんな人だったのかも?……と思わせる魅力がありました。
この手の、「スクルージ」系の役は本当に素晴らしいですね。大阪夏の陣のあと、息子秀忠と話をした後で、それまでもずっと傍に付き従ってくれていた本多正純(小林勝也)に愚痴ってるときの情けないリアリティとか、死の床で思いの丈をアダムズに伝えるところの迫力など、本当に素晴らしかったです。
その息子、秀忠役は、もと男闘呼組の高橋和也。彼は小早川秀秋もやっているのですが、背が高いので目立っていて、途中で何度か「彼は小早川じゃなくて秀忠」と自分に言い聞かせてました(^ ^)。
淀殿は床嶋佳子、秀頼は鈴木亮平。どちらも過不足無く、良い出来でした。キャラクターとしては割と良くある解釈でしたが、存在感のある芝居で。このあたりのキャスティングも、なかなかに興味深くて面白いな、と思います♪
石田三成と真田幸村の二役を演じた沢田冬樹。同盟軍から全く支持されない三成と、豊臣軍の信頼を一手にうける幸村の二役を同じ役者にふったのは何か不思議な感じでしたが、幸村の死に様が見事で印象に残りました。
……いや、それにしても小林勝也の抜群の間の良さは、さすがだわ(*^ ^*)。本多正純様、素敵(はぁと)
メインキャストの中では唯一の架空の人物、ドメニコの藤原竜也。
鞭のように細い身体を黒い司祭服に包んだ姿は、よく似合っていて可愛かったです。
後半の戦闘服姿もなかなか良かった。彼は動けるので、殺陣も決まってて格好良かったです。
司祭として生きているときの穏やかな笑顔と、それを振り捨てて武士に戻ったときの絶望に満ちた貌。カトリックの教えは棄てられず、けれどもイエズス会という組織には従えない矛盾に苦しむ彼は、宗教に振り回された多くの日本人の象徴のような気がします。
今回の芝居は、アダムズ側(そして徳川側)が主役なだけに、完全にイエズス会を悪役にしていましたが、実際の歴史はそんなものでは無かったんだろうな、と思いました。宗教的情熱に身を焦がして、世界の果てまでやってきた宣教師たち。どんなに自己満足で身勝手な理屈であっても、そこに情熱があったことは間違いないのだと思います。だからこそ、あれだけの追随者が出たのでしょうから。
藤原竜也の二面性、素直な笑顔の可愛らしさと、焼き尽くされるような熱量の激しさが、うまく使われた役だったな、と思います。しかーし竜也くん、髭は生やすか剃るかどちらかにしてくれ!!前半の可愛い司祭さまに、その無精ひげは似合わないよ(涙)。
全体と通して一番印象に残っているのは、家康とアダムズの対話かなー。
上でも書いた月明かりの場面もそうだし、最後の方で、家康の病床にアダムズが訪ねてきたときの場面もすごく感動しました。
アダムズから進呈された地球儀をいとおしそうに撫でながらアダムズと会話を続ける家康が、物凄く良かったです。
国を守る、平和をつくる、という目的意識をはっきりと持って、数十年間を生き抜いてきた男。
太閤秀吉を「友人であり、大切な殿である」、と言い切れる強さ。
歴史というのは誰か一人が目的をもって造るものではなく、
人と人の価値観がぶつかりあい、きしみをあげる中で、偶然できた形状を大切にするもの なのではないか、と。
と、そんなことを思った年の瀬でした。
家康が、最初から「平和」を得るために数十年を待ったのだとは思いません。
それはあくまでも「きれいごと」であり、結果論だと思う。
でも。
いろんな人と価値観がぶつかりあっていく中で、なんとはなく「平和」というものが見えてきたのだろうし、見えてくれば、「これはイイモノ」だ!!という確信も生まれるのでしょう。
そうやって家康は途を択び、戦国の世を終わらせて泰平の世にすることを希う。
アダムズがイギリスへ帰りたいと希う以上に。
ドメニコが正義を貫きたいと希う以上、に。
ちょっと話が飛びますが。
私は、偶然なんですけど、三浦按針の記念地にはだいたい縁があるんですよね。
彼が最初に上陸した大分県臼杵市の海岸にも行ったことがあるし(←びっくりするほど何も無かった)、彼が暮らした日本橋の屋敷跡は、取引先の会社に行く途中なので、何度も通ったことがあるし、イギリス商館のあった長崎県平戸や、彼が家康に命ぜられて船を建造した伊東は、普通に観光で行って、碑文も見ている。
そして、横須賀の按針塚(旗本としての領地)は、童話作家の佐藤さとるが描いた「わんぱく天国」という小説の舞台で、その小説のファンとして(?)遊びに行ったことがあるんです、実は(^ ^)。「わんぱく天国」の中でも按針についてはごく簡単に説明されていて、それが彼を知った最初だったかな?私にとって按針は、“名前くらいは知ってる”というよりも、もう少し身近なイメージの人でした。
こんな形で、彼の人生と、彼が生きた時代を追体験できたことがとても幸せです。
古代高句麗に始まって、江戸時代初頭の日本で終わった2009年。
……さ、大掃除でもしようかな、と(*^ ^*)。
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これが今年の観劇納めになりましたが、非常に完成度の高い、締めくくりに相応しい作品だったと思います(^ ^)。
関が原の合戦が起こる半年ほど前、豊後(大分県)臼杵の海岸に、一隻のオランダ商船が漂着した。
マゼラン海峡を渡ってはるばる太平洋を越えたあげく、嵐に見舞われて沈没寸前だった船の名は、リーフデ号。その航海士であったウィリアム・アダムズ(オーウェン・ティール)が、この作品の一方の主人公。
彼は、辛い航海で身体を傷めた船長の代理として徳川家康(市村正親)に会い、意気投合する。
西洋には未だ知られぬ「新しい」文明国・日本の支配者と、柔軟な思考をする新教徒の技術者と。
「儂はこの国を出たことがない。太閤秀吉の朝鮮征伐も留守番役だったしな。儂はここで、この国を守るのが仕事じゃ。ゆえに、外国の者に来てもらうよりほかはない。……のうアダムズ、儂に教えよ。西洋の技術をな。砲術、造船術、航海術、鉱山術、金属の精錬、、、何でもよい。思想はいらぬ、ただ、事実を語ればよいのじゃ」
アダムズのもたらした最新式の大砲を使った関が原の合戦に勝利した家康は、リーフデ号の修理は許したが、望郷の念やみがたいアダムズの帰国は許さない。三浦半島(横須賀)に領地を与え、旗本に取り立てて三浦按針という名を与え、、、この『青い目のサムライ』を傍に留めおき、友情を育んでいく。
アダムズ。その傍らで友情を育てるイエズス会の司祭ドメニコ(藤原竜也)。泰平の世を祈願した徳川家康。彼らが守ろうとした、時代というもの。
やがて家康は老い、二代将軍秀忠・三大将軍家光と、時代が下るにつれて厳しくなっていく鎖国政策の中、イギリス人として、そして日本人として生きたアダムズ。
日本と西欧の間に架けられたか細い橋は、すぐに消えてしまう運命でしたけれども、あの時に点された灯は、短い時間とはいえ、たしかに明るく輝いていたのでした。
脚本はマイク・ポウルトン。演出はグレゴリー・ドーラン。どちらもイギリス演劇界の重鎮。
ホリプロ50周年の記念作品の一つとして企画された公演で、「身毒丸」ロンドン公演に始まるホリプロの海外との文化交流の結晶というべきものであったようです。
西欧人の役は西欧人(イギリス人)俳優が、日本人の役は日本人俳優が演じ、台詞はほぼバイリンガル(日本語・英語)。
演出は堅実で、たしかに英国演劇っぽい、ちょっとお堅い感じがありました。シンプルな舞台装置や映像の使い方がイマっぽくて面白いのですが、意外と舞台転換が多くて、そのたびに暗転の間が長かったり、ちょっと間の取り方がいまひとつだったりというのはありましたが(特に、ラストシーンの余韻がちょっと短かったのが残念!!)、全体にはよく噛み合った美しい物語でした。
中でも、月明かりの下で家康とアダムズが語り合う場面の美しさが、強く心に残りました(*^ ^*)。
ちなみに、バイリンガルなので、日本語の会話には英語の字幕、英語の台詞には日本語の字幕がついていました。いやーーー、日本語の台詞に対する英語の字幕は、かなり面白かったです。小難しい武士言葉をシンプルに一言で終わらせたり。ああ、たしかに、相当な意訳だけど、ニュアンスは伝わりそう……(感心)、と。
昔、劇団昴が遠藤周作の「沈黙」を上演したときも、あんな感じだったなあ……。あのときは、最初から海外公演を予定していたのですが、この作品は海外公演の予定はないのでしょうか?非常に面白かったので、英国とかでも受けると思うんですけどねえ。……ウィリアム・アダムズという人物は、日本では有名だけど西欧では無名でしょうから難しいのかなあ。
言葉関係でちょっと気になったのは、もっと前から日本にいて、プロテスタントのアダムズと対立することになるイエズス会宣教師の二人(デヴィット・アクトン、ジェイミー・バラード)が片言の日本語で喋っていたこと、ですね。
家康との会話は仕方ないけど、ドメニコとの会話は英語でよかったと思う。そのほうが自然。ドメニコは英語が喋れるんだし。
あと、ドメニコの通訳がかなり適当なこと(^ ^)。忠実に訳していることになっているんだから、そこはある程度字幕にあわせればいいのに。
字幕を見ながら観ているので、なんか違和感がありました。宣教師たちが通辞を勤めるときは、違うことを言っているのが判りやすくていいのですが、ドメニコの通訳は基本的に忠実なはずなのに…と。
同じ内容を二回(アダムズとドメニコと)言うことになると、長くなりすぎるのかな(^ ^;ゞ
ウィリアム・アダムズ(三浦按針)の数奇な運命を主軸に、徳川と豊臣の闘い、家康と秀忠の親子の相克、そして、旧教国スペイン(イエズス会)と新教国イギリスの諍いなどをも絡めた、壮大な大河ドラマ。
この時代は、ちょうどアルマダの海戦でイギリス海軍がスペイン無敵艦隊を破った少し後。先日観劇した「パイレート・クイーン」と同時代の物語です。
イギリス国内では、エリザベス一世が権力をふるってスコットランドを併合し、アイルランドを手中に収めんと画策していた頃。アダムズは、シェイクスピアと同世代です。ドレイク船長に倣って世界の海をめぐり、東の果ての国で陸に上がった男。
この物語のメインとなる三人は、皆何かに引き裂かれた男なんだな、と思いました。
望郷の念やみがたく、イギリスにいる妻と娘を忘れられず、それでも日本で愛した妻(お雪/桜田聖子)と子供たちへの愛着も棄て難く、望郷の念を棄てきれない自分と、日本を離れられない自分に引き裂かれたアダムズ。
太閤の後継者として今の時代をきちんと守って後継者へ引き渡し、日本という国を守るという使命と、海を渡り、知らない土地・知らないモノを見たいと願う少年の憧れに引き裂かれた徳川家康。
そして。
日本人(北条系の武士の家の出)でありながらカトリックを信仰し、洗礼を受けてイエズス会の司祭にまでなったドメニコの葛藤。
司祭でありながら、闘いの昂揚感を棄てきれない若さと、たとえ「イエズス会」を守るためという目的があったとしても不正を見逃すことのできない潔癖すぎる青さ。
司祭である自分と、武士である自分。二つに引き裂かれたドメニコの情熱は、彼自身を燃やし尽くしてしまうほど熱くて、激しいものだったのだと思います。
引き裂かれた男たちは、同じ疵を抱いた仲間を求めあう。
アダムズを手許に置いておくことを希った家康。
死を目前にした家康の見舞に、地球儀を持ってあらわれるアダムズ。
カトリックではアダムズの心をを救えないことに絶望したドメニコ。
鎖国&キリスト教の禁教が国策として動き出した日本で、囚われたドメニコの消息を求めて家光に面会を求めるアダムズ。
彼らの求めるものが、自分の未来ではなく他人の未来であったことが、とても切なかったです。
争いのない平和な国。
平穏で平らかな、幸せな人生。
そんな、決して手の届かぬ夢のような、モノ。
それを、手に入れようとあがくのが人生なのか、と。
……うーん、言葉って難しいなあ。舞台を観て、すごくたくさんのものを受け取ったのに、それを言葉にあらわすのってすごく難しい……(T T)。
「人形の家」ヘルメルでトニー賞を獲たこともある英国俳優・ティール。
最初の登場(漂流していてボロボロ)が、「海賊」と誤解されても仕方ないほど荒れていたのに、次の場面ではしっかり家康に謁見できるだけの貫禄をもっていたのは、さすが。
後半の袴姿がしっくり似合う姿勢のよさ。約三時間の上演時間をかけて、徐々に日本の生活に慣れていくのがとても良かったと思います。前半は正座ができない設定だったのに、後半は日常正座で過ごしているね、という慣れを感じたところとか、そういう細かいところで。
日本語は片言なので抑揚などはわかりませんが、英語での芝居部分の迫力を見ていると凄いなあ、と思います。字幕がなくても何が言いたいのか顔を見てればわかる!!と驚きました。
日本演劇界の重鎮(?)市村正親。
ほどよい軽みと、悪戯っ子めいた雰囲気。観ていて、もしかしたら家康ってこんな人だったのかも?……と思わせる魅力がありました。
この手の、「スクルージ」系の役は本当に素晴らしいですね。大阪夏の陣のあと、息子秀忠と話をした後で、それまでもずっと傍に付き従ってくれていた本多正純(小林勝也)に愚痴ってるときの情けないリアリティとか、死の床で思いの丈をアダムズに伝えるところの迫力など、本当に素晴らしかったです。
その息子、秀忠役は、もと男闘呼組の高橋和也。彼は小早川秀秋もやっているのですが、背が高いので目立っていて、途中で何度か「彼は小早川じゃなくて秀忠」と自分に言い聞かせてました(^ ^)。
淀殿は床嶋佳子、秀頼は鈴木亮平。どちらも過不足無く、良い出来でした。キャラクターとしては割と良くある解釈でしたが、存在感のある芝居で。このあたりのキャスティングも、なかなかに興味深くて面白いな、と思います♪
石田三成と真田幸村の二役を演じた沢田冬樹。同盟軍から全く支持されない三成と、豊臣軍の信頼を一手にうける幸村の二役を同じ役者にふったのは何か不思議な感じでしたが、幸村の死に様が見事で印象に残りました。
……いや、それにしても小林勝也の抜群の間の良さは、さすがだわ(*^ ^*)。本多正純様、素敵(はぁと)
メインキャストの中では唯一の架空の人物、ドメニコの藤原竜也。
鞭のように細い身体を黒い司祭服に包んだ姿は、よく似合っていて可愛かったです。
後半の戦闘服姿もなかなか良かった。彼は動けるので、殺陣も決まってて格好良かったです。
司祭として生きているときの穏やかな笑顔と、それを振り捨てて武士に戻ったときの絶望に満ちた貌。カトリックの教えは棄てられず、けれどもイエズス会という組織には従えない矛盾に苦しむ彼は、宗教に振り回された多くの日本人の象徴のような気がします。
今回の芝居は、アダムズ側(そして徳川側)が主役なだけに、完全にイエズス会を悪役にしていましたが、実際の歴史はそんなものでは無かったんだろうな、と思いました。宗教的情熱に身を焦がして、世界の果てまでやってきた宣教師たち。どんなに自己満足で身勝手な理屈であっても、そこに情熱があったことは間違いないのだと思います。だからこそ、あれだけの追随者が出たのでしょうから。
藤原竜也の二面性、素直な笑顔の可愛らしさと、焼き尽くされるような熱量の激しさが、うまく使われた役だったな、と思います。しかーし竜也くん、髭は生やすか剃るかどちらかにしてくれ!!前半の可愛い司祭さまに、その無精ひげは似合わないよ(涙)。
全体と通して一番印象に残っているのは、家康とアダムズの対話かなー。
上でも書いた月明かりの場面もそうだし、最後の方で、家康の病床にアダムズが訪ねてきたときの場面もすごく感動しました。
アダムズから進呈された地球儀をいとおしそうに撫でながらアダムズと会話を続ける家康が、物凄く良かったです。
国を守る、平和をつくる、という目的意識をはっきりと持って、数十年間を生き抜いてきた男。
太閤秀吉を「友人であり、大切な殿である」、と言い切れる強さ。
歴史というのは誰か一人が目的をもって造るものではなく、
人と人の価値観がぶつかりあい、きしみをあげる中で、偶然できた形状を大切にするもの なのではないか、と。
と、そんなことを思った年の瀬でした。
家康が、最初から「平和」を得るために数十年を待ったのだとは思いません。
それはあくまでも「きれいごと」であり、結果論だと思う。
でも。
いろんな人と価値観がぶつかりあっていく中で、なんとはなく「平和」というものが見えてきたのだろうし、見えてくれば、「これはイイモノ」だ!!という確信も生まれるのでしょう。
そうやって家康は途を択び、戦国の世を終わらせて泰平の世にすることを希う。
アダムズがイギリスへ帰りたいと希う以上に。
ドメニコが正義を貫きたいと希う以上、に。
ちょっと話が飛びますが。
私は、偶然なんですけど、三浦按針の記念地にはだいたい縁があるんですよね。
彼が最初に上陸した大分県臼杵市の海岸にも行ったことがあるし(←びっくりするほど何も無かった)、彼が暮らした日本橋の屋敷跡は、取引先の会社に行く途中なので、何度も通ったことがあるし、イギリス商館のあった長崎県平戸や、彼が家康に命ぜられて船を建造した伊東は、普通に観光で行って、碑文も見ている。
そして、横須賀の按針塚(旗本としての領地)は、童話作家の佐藤さとるが描いた「わんぱく天国」という小説の舞台で、その小説のファンとして(?)遊びに行ったことがあるんです、実は(^ ^)。「わんぱく天国」の中でも按針についてはごく簡単に説明されていて、それが彼を知った最初だったかな?私にとって按針は、“名前くらいは知ってる”というよりも、もう少し身近なイメージの人でした。
こんな形で、彼の人生と、彼が生きた時代を追体験できたことがとても幸せです。
古代高句麗に始まって、江戸時代初頭の日本で終わった2009年。
……さ、大掃除でもしようかな、と(*^ ^*)。
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