銀座博品館劇場にて、「D~永遠という名の神話」を観劇してまいりました。





明日はいよいよ雪組東京公演初日。
みなさん舞台稽古に励んでいらっしゃるころでしょうね。
らぎちゃんも、シナちゃんも、楽しい思い出いっぱい作っているでしょうか……。




そして、雪組で上演する「ソロモンの指輪」に連動するかのように、博品館劇場で上演中の荻田浩一脚本・演出の作品「永遠という名の神話」。


ジェームス・ディーンー生涯にたった三本の名作を鮮やかに人の記憶に刻みつけ、銀幕を駆け抜けていった、若き伝説。
「彼の存在以前には、ナイーヴな子供と分別ある大人しかいなかった」とさえ言われる、「抗う若者」の象徴ともいうべき、ジェームス・ディーン。

宝塚でも何度か取り上げられている人物ですが、私は残念ながら観ていません。また、彼の出演した3本の映画…「エデンの東」「理由無き反抗」「ジャイアンツ」、いずれも全然知りません。
本当に、映像には興味がないんですよ私……(T T)。「蒲田行進曲」も、映画は観たことないし。




荻田組が勢ぞろいしたキャスティング。


ジェームス・ディーン
 東山義久

ジュリー・ハリス、ピア・アンジェリ
 舞風りら

ナタリー・ウッド
 朝澄けい

ポール・ニューマン、サル・ミネオ
 良知真次

マーロン・ブランド、ロック・ハドソン、コリー・アレン
 原知宏

“ディレクター”、エリア・カザン、ニコラス・レイ
 平澤智

ジョージ・スティーブンス、レイモンド・マシー、ジム・バックス
 戸井勝海

エージェント、ミルドレッド、母、先生
 峰さを理

“オーディエンス”
 佐野大樹




ひとことでいうと。
「Alex」「WILDe Beauty」に続く、ひとりの人間を語るシリーズの第三弾、というイメージのお芝居でした。ひとりひとりが、「ディーン」という神話について語っていく。東山くん自身が、“ディーンという役者を演じるディーン”というイメージで役に臨んでいて、その全体の「ディーン」という芝居を演出するのが平澤さんの“ディレクター”という感じ。



……うーん、「WILDe Beauty」の完成度に比べると、今回は全体にかみ合ってなかったような印象がありました。歌もちょっとハズレ気味だったし。ダンサーをそろえているので、ダンス場面はめちゃめちゃカッコいいんですけどね。
若い人たちが中心になって芝居をしなくてはならない作品なだけに、荻田さんの膨大で意味不明な台詞をこなすのに精一杯で、観客を引き込むところまで行けていなかったような気がしました。やはり、浦井くん以外はベテランで固めた「WILDe Beauty」は凄かったんだなぁ、とあらためて思ったり。


ただ、正直私の体調もかなり最悪に悪かったので……あまり偉そうなことは言えないのですが……(^ ^;ゞ




東山くんは役に良く似合っていて、良かったです。正直、もっと普通の「ディーン」をやらせてあげたかったくらい、ジーンズに赤のジャケットという“定番”の格好が死ぬほど似合っていて、ばっさり切った髪が実に男前で、素敵でした。
あれで、もう少し芝居がなんとかなればなあ~。
彼をキャスティングするには、ちょっと公演期間が短いなあというのが正直な感想です。とてもかっこいいけど、役のイメージにはよく似合っているけど、芝居の中で「ディーン」として生きられた時間がすごく短かったのが残念でした。



舞風りらちゃんは、可憐だった!宝塚現役時代は、ダンサーとしての舞風りらは結構好きでしたけど、どうも芝居がぴんとこなくて、どちらかと言えば苦手な娘役さんだったのですが、今回のジュリーとピアはどちらもよく似合ってました。
でもでも、せっかく東山&舞風で組むんだから、がっつり踊ってほしかったです!!
ダンスが少なかったのが残念だ~~!二人とも、典型的なショースターなのに~~(T T)





カヨコちゃんは、相変わらず美しかった。
何度でも書きますが、とにかくあの声が好きです。薄倖の佳人の、声。
あれを聴けるだけで、幸せでした。




良知くんは、観るたびに巧くなってますね!ダンスシーンも、東山くんとはまた違う、基礎のあるダンスで凄くカッコ良いです。原くん共々、荻田作品以外の芝居にもタマには出てほしいんですけどねx……。




今回初めて拝見した、佐野大樹さん。
*pnish*のリーダーさんか~!どっかで聴いたことがある声だと思っていたんですが、そっか(汗)。一回観たことがあるのに気がつきませんでした(汗)。

ものすごく美形で、スタイルが良くて(細身で脚が長くて腰が細くて肩幅がある。めちゃめちゃどっかで観たことがあるバランス)、そして、声が物凄く良い!!
滑舌もしっかりしていて、明瞭で聴きやすい台詞。「オーディエンス」というのは、「凍てついた明日」などで荻田さんがよく使う手、「スターを見守る大衆」の象徴的な役柄ですが。今作品での佐野さんの役どころは、まぁ率直に言ってしまえば「説明役」って感じでしたね…。
もう少し巧い使い方が(脚本的に)あったと思うんだけど~~!?という気もするのですが、あの美声を聴いていると幸せになってしまうので、いっぱい台詞をくれてありがとう、という感じでした。





平澤さんは、ジミーを取り巻く「大人たち」の象徴として、かなり出突っ張りの喋りっぱなしでした。佐野さんと二人(時に峰さんと三人)で説明役を買って出てた印象。
「ジミー」に対して、大衆の見る夢としての「ジェームス・ディーン」を実現するための演出というか、稽古をつけているような立場で物語が進みます。
ところどころで、「エデンの東」を撮ったエリア・カザン、「理由無き反抗」の原作兼監督だったニコラス・レイなど、役を演じる場面もあるのですが、そのときでさえ、キャラクターはあまり変わらず。ただただ、「若者の側に立った大人」を演じていました。




となると、一番“大人”だったのは戸井さんってことになるのかな?ジミーの父親とか、映画で父親役を演じる俳優とか、そのあたりの役をまとめて演じていましたが…
相変わらず巧いんだけど、あの髪型はどうにかならないんでしょうか。…グランテール、マリウスと演じていた頃は、文句無く「美形」だったはずなのになあ(T T)。ここ数作品、毎回髪型で失敗しているような気がします。
父親の三態、じゃないんですけど。毅然とした冷たい父親、気が弱くて現実と向き合えない、不良息子と正面から向き合えない父親、、、いろんな父親を演じていましたが。なかなかの嵌り役だったような気がします♪
荻田さんは、この人を何故使うんだろう……と思っていたのですが。
たぶん、やっぱり、あの声なんだろうなぁ~。(納得)




峰さんは、結構いろんな役をやっていました。ジミーのマネージャー、それもブロードウェイの人とハリウッドに言ってからの人は違うみたいだったし、他にもジミーの母親の幻想とか、いろんな役を演じていましたが……
さすが!でした。落ち着きと気品、そしてキャラクターの幅広さ。
私は、峰さんの舞台って多分OG公演の「心中・恋の大和路」の八右衛門さましか観ていないと思うのですが、さすがに女役の良さは全然違うなーと思いました。歌はもちろんさすがだし、芝居を締めていたと思います。カッコよかった(*^ ^*)







荻田作品は、本当に当たり外れがかなり大きくありますが。
今回の「D~」は、かなり評価が分かれるだろうなあ、と思いました。
私はたぶん、もっと体調の良いときに行ったなら、すごく面白かっただろうと思います。

……教訓。観劇は体調を整えてから行きましょう。ね。




あれだけのダンサーを集めているんだから、もっともっとダンスシーンを増やしてほしかったよ~~~!!
ラストのラスト、証明が落ちる寸前の、東山くんの高々としたジャンプに気圧されました。
奇跡のようにカッコよかった……。
あれを観るためだけでも、7800円の価値がある、……かもしれません(^ ^)。