やっと観ることができた、月組東宝劇場公演。
いくつか台詞の変更があったくらいで、演出もほぼそのまま。特にアルマンド&ジョルジュのペテン師二人に関係したところには、ほとんど変更無かったと思います。

変えて欲しかったところもたくさんあったんですけどねぇ?>植田さん



でも。
びっくりするほど変わっていたと思います。
月組ッ子の、お芝居が。



私は、以前の日記でこう書きました。

「芝居」という皿があって、そこにアドリブが載る。
それでこそ、一つの料理になるのです。

「パリの空よりも高く」というお芝居は、まだやっと皿を洗い終わったばかり。
でも、大劇場公演が終わるまでには、きっと盛りつけもだいぶ進むだろう、と。
そう、十分に期待できる出来だったと思います。


…うん。
期待は裏切られませんでしたよ!

正直に言えば。
大劇場の楽を経て、お稽古があって、その上での東宝公演ですから。
…初日から一週間も過ぎた今では、すっかり盛りつけ完了!になっていることを、(心の隅で、少しだけ)期待していたことは否定しませんが…。

まあ、メインの料理がのって、これから付け合わせをどう載せていくか考えているところ、という感じだったかもしれません…


…まだまだ先は長い東宝公演ですからね。
じっくり試行錯誤していただければ、ね。

どうせ何度も観ますから、私は。


たった一度しか観ない方、本当にごめんなさい…m(_ _)m。



台詞の変更点。

いくつかあったのですが、ギスターヴがらみが多かったですね。
街中で出会ったボーイさんたちとの会話が長くなったりとか。
(関係ないですけど植田さん、ホテルに4人しかいないボーイが全員早番って、そんなシフトあんまり考えられませんけど…?あの台詞変更、意味がわかりません!それともあのホテル、ボーイは入れ替え制なんでしょうか…。)

あと、ミミとの会話の場面で、ミミに
「アルマンドさんって本当にステキですよねぇ〜♪」
とか言われて落ち込むお芝居が増えてたりとか。
あのギスターヴ、本当に可愛いですよね♪すっかり見惚れてしまいました。
その後、ついでのように(?)誉められて、
「…本当にそう思ってくれるのかい?」
と、ちょっとだけ自信なさげに問いかけるところがまた母性本能をくすぐります。歌い出すと朗々と素晴らしいところも含めて(^ ^)、本当にステキ。大好きです、ギスターヴさん。


全体的に、台詞変更の多くはギスターヴの“大人の男の可愛らしさ”を増す方向になっていたような。

中でも、嵐の夜にエレノールからアルマンドたちは現場へ行ったんじゃないか、と聞かされて、思わず呟いた風な
「僕も連れて行ってくれればいいのに」(記憶曖昧)
が、あまりにも可愛くてツボりました♪


大劇場で数回観た時、私はギスターヴはアルマンドより1,2歳年上、というイメージだったのですが、この台詞が加わったこともあってか、なんとなく若返った感じ。
東宝のギスターヴは、アルマンドと同い年か、もしかしてちょっと下?という印象でした。


大劇場では、アルマンドがギスターヴに対してはちょっと遠慮がち(?)な芝居をされていたので、余計ギスターヴが年上に見えていたのだと思いますが、東宝ではかなり対等っぽい態度(遣り取り)になっていたので。
…設定自体が変わったのかな、と思ったのですが。
どうなんでしょうね。

アルマンドに対するギスターヴとジョルジュの違いをたてるために、あえて年上/年下という差をつけていたのかと思っていたのですが、全然関係なかったのかなあ…。

アルマンドとギスターヴが一緒に舞台に出ている場面って、すごく短いんですけれども、ちょっとした遣り取りで二人の関係をしっかり見せてくれるので、深読みするのが楽しいです(^ ^)。


あと台詞としては、同じく嵐の場面でパリ全体が水没したらどうなるか、みたいな会話が増えていましたね。
「とにかく、僕の設計に間違いはありませんっ!」
と、自信満々に言い切ったはずのギスターヴさんが、なんだか不安げな顔をなさっていたように見えたのですが…何か台詞を間違えたか飛ばしたかしたのでしょうか?それとも私の見間違い?
またすぐにもう一度観るので、そのへんは確認してみたいと思っています。

他にも細かい手直しはいくつかありましたが、「歯車の掛け違い」とか、はっきりした間違いが修正されなかったことが哀しいです。

宝塚歌劇団制作部には、校正する人はいないのでしょうか…。これだけネットなどに書かれてしまったミスくらいは直してほしかったのですが

タカラヅカって、まだ「正しい日本語」をきちんと習得していない小学生とかが観たりすることも多いのでね…。



芝居。

ジョルジュが、前半に単なる「若さ」だけじゃなくて「幼さ」を出してきたのがすごく良くなったなあと思いました。
未熟な幼さ
それは、アルマンドにもギスターヴにもない、ジョルジュの個性になっていましたから。(ファンの贔屓目ですみません)

未成年で、誰からも「一人前」と認めて貰えないことに対する寂しさ(「俺も親父みたいに…」の言い方とか)は、まだ完全に表現しきれていないような気がしてしまいましたが(あと5週間だ。がんばれ!)、

その、焦り。

アルマンドと肩を並べたい、アルマンドに頼ってもらえるような、一人前のペテン師(え?)に“なりたいのに、どうしたらなれるんだ俺は!?”という焦燥感が、すごく出てきた気がしました。

それを受けて、アルマンドもすごく「大人ぶった」芝居をするようになって(いや、こっちが先か。トップの麻子さんがそういう芝居をされるから祐飛さんが受けているんだと思いますが)、
二人のコンビの色がはっきりしてきたなあと思いました。


祐飛さん。
…ちゃんと18歳に見えましたよ!(痛っ)
ミミより年下にもちゃんと見えたし。(これは大丈夫かな)
「え!?まさか」と言われてしまう存在=弟(明日海りお)と同世代、という難題も、(ファンの贔屓目には)クリアしてくださってありがとうございます。

植田さん、祐飛さんに高いハードルを課してくださってありがとうございます…(^ ^;ゞ



観劇友達に言われて気づいたのですが。

アルマンドはペテン師ですから、あんまり自分の事を人に語る機会がないんですよね。
「他人」に対しては、嘘しか言えない。

だから、彼は、ジョルジュに向かって話すのです。
…自分のアイデンティティの、全てを。


ジョルジュが、「若く」(一人前でない)、「幼い」少年の役のはずでありながら、トップと同期の祐飛さんに回ってきたのは、そのへんの役割もあるのかなあと、今頃になって思いました。
アルマンドの台詞を観客の立場で受けて、アルマンドへ返す、という役割が。

ギスターブとジョルジュのキャストが発表された時、「え”ー、なんでーー!?」と怒りに震えた私ですが。
やっぱりこの役は、どんなに可愛らしくて幼い少年の役でも、やっぱり下級生じゃなくてキリヤンか祐飛さんのどちらかに回ってこなくてはならない役だったんだなあと思いました。


…キリヤンのジョルジュ、観たかったんですけどね。
また全然違う作品になったんでしょうね…。