雪組中日劇場公演「星影の人/Joyfull2」を観てきました。

…感想ですか?

柴田さんのお茶会があったら、必ず参加させていただきます。

参加して、「なぜ新撰組と全く関係ない話なのにこの題材を使ったんですか?」って聞くの。


…答えてくださるでしょうか、柴田さんは。



題材が新撰組ということで、先日まで東宝劇場で上演されていた宙組の「維新回天・竜馬伝」と同じ時代の作品であることは誰でもわかることなのですが。

夜野愉美さまのブログでご指摘いただいて初めて気が付きましたが、今週末から東宝劇場で始まる月組の「パリの空よりも高く」も、同じ時代の作品なんですね。
http://blog.so-net.ne.jp/nights-entertainment_troup-leader/2007-02-08

ちょっと違う形で時代が動いたならば。
彼らはパリ万博に遊びに来ていたかもしれないんだな、と思いながら。



世界の都・パリと、ニッポンの京都。

産業革命前と、後。

舞台装置の質の差は大きいですけど(苦笑)、
乗っ取られてしまう前に、
全てを奪われてしまう前に、
ニッポンは「革命」をしなくてはいけなかったわけだなぁ…(感慨)



「星影の人」

初演は1976年。31年前、なんですね。

…とにかく、ふるい。

今の演出の主流が、幕前・暗転を極力減らして盆やせり、装置の変形・移動を多用する方向になってきている中で、細切れのエピソードを暗転でつなぐ演出が「古さ」を強調しているような気がします。

でも、それはそれ。
演出だけの責任じゃない。やっぱり、脚本自体も古すぎるような気がしてなりません。


31年前。
最初の新撰組ブームはいつだったのでしょう…?
少なくとも、「新撰組マニア」は、今では想像できないくらいアングラだったのではないでしょうか。

ほんの3年前の大河ドラマの時代でも、ネットのあちこちで「あんなテロ集団の話をNHKが取り上げるなんて」という論調が見られたのです。

ましてや、31年前。

31年前に、タカラヅカで新撰組を取り上げた、というのは、もしかしたら凄いことだったのではないんでしょうか…?

…それはさすがに、考えすぎカナ?



この作品は、あくまで「沖田総司の恋物語」であって、「新撰組」の話ではないんですね。
血生臭い「革命」の物語ではなく、「清く、正しく、美しい」恋の物語。

同時期に上演された「竜馬伝」と、どうしても比べたくなってしまうのは悪い癖なのですが…

「竜馬伝」は、「幕末」の話でした。
登場人物が、全員真剣に「これからの日本」を案じ、どうすればいいのか、自分は何をすれば日本のためになるのか、を考えている。
「ニッポンの夜明けが見たいぜよ」というキャッチコピーは、気恥ずかしいけれども見事に作品のホンネを突いていたと思います。

それでいて、きちんと竜馬とおりょうの想いも、心の交流も描いたし、石田さんの、幕末という時代への愛が漏れ漏れで、すごくって。
全体としては、突っ込みどころ満載ながらもそれなりに佳作ではあったと思います。



それに対して、この「星影の人」は。

「幕末」でもなければ「新撰組」でもない。
描きたいのは、「沖田総司」。

それもアリだとは思うのですが。
ちょっと食い足りない感じは否めないんですよね…。

私は、柴田さんの「チェーザレ・ボルジア」で宝塚初見、大劇場作品で好きな作品は?と聞かれたら、5本の指のうちには必ず「黒い瞳」が入る、という、なんちゃって柴田ファンなのですが。

柴田さんの作品の、おそらく一番の特徴というのはあの「ロマンティック」至上主義的な切り口なんだと思うのです。

名作「あかねさす紫の花」にしても、額田を挟んだ三角関係だけで、あの激動の時代の政治の動きを全部説明してしまおうという暴挙に出ていらっしゃったし、
「うたかたの恋」も、原作映画ではあそこまでマリーだけのために何もかも捨てる設定ではなかったですし…

柴田さんの全盛期の作品を、柴田さんご自身で演出した公演を観たことがないのであまり偉そうなことは言えませんが、柴田さんの作品っていうのはもの凄く「ロマンティック」だなあ、といつも思うのです。

「恋のために何もかも捨てる」とか、
「あなたさえいれば何もいらない」とか、
そういうシチュエーションが繰り返し出てきますよね?

それ自体はすごく宝塚的なモチーフですし、私も大好きなので全然構わないのですが。


「沖田総司」は、「友のために恋を捨てる」人なので。

なぜ柴田さんは沖田を取り上げたのかなあ、と思ってしまうのです…。


私が観ていないから知らないだけで、柴田さんってああいう“痩せ我慢(愛しているからこそ身を引く)系”の男が主役の作品もあるのでしょうか…?どちらかと言うと植田(紳)さんの専売特許かと思っていたのですが。



ミズ(水夏希)くんの沖田は、溌剌とした若さと明るさがあって、とても良かったと思います。
声が高いのは男役としては欠点なのですが、今回の役に限っては沖田の若さを強調する効果があって良かったと思います。
ミズくんは、巷で言われているほど「渋い」男よりも少年っぽい役の方が嵌るンじゃないかなー、と思いました。
ロミオもすっごく若いイメージでしたしね☆



ユミコ(彩吹真央)ちゃんの土方は、目ヂカラのある化粧がとても良かったな。声を随分低く創ってきていたので、沖田に対する年上感があってよかったです。
やっぱり日本物のユミコちゃんって大物感があっていいわーーー。
声を創りすぎたのか、得意の筈の歌がちょっと微妙になっちゃったのが残念でしたが、ささやくように歌う「星影の人」はメチャクチャ良くて嵌りました。

あとは、もう少ししっとりとした色気があると良いんだけど。
ちょっと生真面目な剣士っぽさになってしまっていたのが残念。
照葉との場面も、もう少し土方に匂い立つような色気があると、迷う女の意味もわかるのですが…
今回の流れだと、ぶつ切れのエピソードの一つで終わってしまって、作品の中でのこのエピソードの意味がわかりにくい、と思いました。

結局は女関係が派手だった土方のキャラを出すための場面のように思えるのですが、31年前に何かこれに関係する話題でもあったんでしょうかね…?
とりあえず、ガチガチの尊攘派だった十津川郷士田村某、って、新撰組プチマニアのつもりだった私は初めてきいた名前でした…まだまだだな>自分。



となみ(白羽ゆり)ちゃんの玉勇は可愛かったー!
阿呆っぽいのは役作り?素?とても魅力的な芸妓さんでしたが、ちょっとコトバに違和感があったような…?



ひろみ(彩那音)ちゃんの山南は、今回一番の驚き。
あの可愛かったひろみちゃんが、すっごい男前で出てきた!

声をもの凄く低くしていて、ミズくんの沖田より上に見せるために出来ることは全てやりました、感がありあり。
…そんなあからさまに努力の跡を見せちゃだめだけど。
でも、その気持は買いたいです、私は。

「沖田くん」と呼びかけても違和感のない人物に、
…千秋楽までになれますように…。

とりあえず、衣装の着付けはもう一度見直してください。衣装部さんと仲良くなって、いろいろ教えて貰うといいかも。羽織に着られてしまっているのはちょっと切ないです…。



テル(凰稀かなめ)の桂小五郎。
宙組のみっちゃん(北翔海莉)の桂が、歌も芝居も達者ながら「美形じゃないのが残念」と言われていたのに対して。
テルの桂は「そこまでキレイって志士としてヤバくない?」という感じでした。

剣が使えそうに見えなかったのが惜しいのかも。

とにかくキレイでしたが、ひろみちゃん以上に「沖田くん」に無理があったなあ…。
池田屋の後、逃げる途中で沖田を心配する場面なんて、どこの恋人の心配しているのかと思いましたし。

石田さんは、「猛き黄金の国」で沖田と竜馬に相互理解の糸をはりましたが、柴田さんは「星影の人」で、沖田と桂を結びつけるんですね。
三谷幸喜の大河ドラマ「新撰組!」では、竜馬と近藤・土方の間に交流を持たせていましたが…

沖田と桂。
最初は桂の怪我を見て沖田が見逃し(←斬っとけよ…)、
2度目は池田屋から逃げる途中に桂が沖田の病状を訴えて、
3度目にやっと祇園の料亭で対峙し、剣での会話が始まるけれども、またすぐに玉勇に邪魔されて。

桂さん、沖田くんとの心の交流をぶった切られて可哀相…、
とかいう腐女子視点は置いておいて。

桂さんって、剣と剣での会話を望むような単細胞ではないと思うんだけど、というのも置いておいて。

さすがに二人とも身のこなしがキレイで、見応えのある殺陣でした。




それにしても柴田さん。
どうしても「新撰組の沖田総司」でなく「沖田総司の恋」を描きたかったのならば。
そのために、池田屋事件を暗転に声のみで演出する、なんていうジョーカーを出さなくても、素直に「屯所で待っている玉勇」を描けば良かったんじゃないかと思うんですけどねぇ。

事件の現場を描かずに、そのバックヤードを描いて、事件については観客の想像に任せる、というのは、芝居においてはよくある手です。
具体的には、ホテルのロビーから一歩も出ない「パリの空よりも高く」の嵐の場面とか。
あんな感じで、屯所で玉勇がドキドキしながら待っていると、次々にけが人が運ばれてきて、最後に沖田が虫の息で登場、原田くんとか源さんとかが事件の様子を語る…のでも十分だったと思うのです。

それどころか、話自体を池田屋の後から始めたって良い。
どうせプロローグも池田屋から生還した後の場面のリプライズなんですから、話もそこから初めて、途中で回想に入って、また元の時代に戻る。柴田さんのお得意の手法じゃありませんか?

柴田さん的に、そういう手法が確立する前の作品ということになるのかなあ…

エピソードのぶつ切れ感は、脚本だけが悪いのか、演出の問題なのか演者の問題なのか…初演は「名作」と呼ばれたのに、今回こんなに流れが悪く感じられるのは、時代なのかなんなのか。

31年前。
あまりにも遠い昔で、想像することも難しいです…。



「Joyfull II」

私、藤井大介さんのショーって好きなんです★

バウデビューの「Non-Stop」、DCデビューの「Alas」、大劇場デビューの「GLORIOUS」…どれも本当に大好きで。
姿月あさとさんのサヨナラ公演だった「GLORIOUS」を、和央ようかさんのお披露目全ツに持って行くことになった時、いったいあのサヨナラ仕様のショーをどうするんだ!?と思っいたら、見事にお披露目仕様に作り替えていた腕の冴えにすっかり感動して…

Joyfull!本公演を見逃しているので今回の変更点はよくわかりませんが、ネットの感想などを読んでいると随分褒められているので、さすがにあの「宛書」の腕はなまっていないんだなあと嬉しくなりました。

まぁ、あの、斎藤さんともどもショーに専念してほしい作家ではありますが。
タカラヅカの座付きは、宛書してナンボだと思いますので。
がんばっていただきたいです。ショー作家として。


で。

らぎ(柊巴さん)落ちしました。

スタイル良いですよね。頭小さいし。
芝居の「井上先生」が、童顔で可愛らしくてどうしていいのかわからないくらい可愛かったんですが、ショーになったらえらく「キリっ」とした顔で踊られていて。

あれ、らぎ、とっても良いじゃない?と思っていたら。

中詰めの始まりで。

ユミコちゃんセンターの後ろの群舞に、いくら探してもらぎがいない!
谷みずせさんも、真波そらさんも、白帆凛さんも、岬麗さんも、大凪真生さんも…とにかく若手はみんないるのに、組長までいるのに、

らぎがいない。

あれ……?と思って

盆が回ったら

…センターだった。



涼花リサちゃんとデュエットしてるよっ!?

すげーかっこいいいいいい!

ってゆーか、可愛いいいい!

しかも、こんなに歌えるの!?


本当に驚きました。
全く知らなかった。


これから雪組は、ひろみちゃんとらぎとかなめちゃんときたろうと………←多すぎだから。目は2個しかないんだから。

コホン。

とりあえず、エリザベートが楽しみです。
チケットがありますように♪