宝塚大劇場月組公演「ロミオとジュリエット」と、梅田芸術劇場雪組公演「フットルース」、千秋楽おめでとうございます!

先週観てまいりましたが、どちらもとっても良かったです。
なんだか、来週までやっているような気がしていたのですが、もう千秋楽なんですよね……早いなあ(T T)。感想もまだ全然書けていなくてすみません。本当に良かったのにぃ(凹)。



それぞれについての詳しい感想はまた後日あらためて。ということにして、まずはざっくりと、二つの公演を連続で観ての印象を。



一番思ったのは、どちらも「子供たちの物語」であると同時に、そのドラマの根幹には「大人たちの物語」があるんだな、ということでした。

「ロミオとジュリエット」からインスパイアされた名作ミュージカル「WEST SIDE STORY」が、完全な「子供たちだけの物語」であるのに対して、シェイクスピアの原作は「大人たちの物語」がもう一つの主軸になっている……という話は、今までにも何度か書いたような気がします。

「フットルース」は、原作をよく知らなかった(音楽だけは知っている程度)ので、あらすじから勝手に「大人と子供の対立」がメインだと想像していたのですが……実際に観てみたら、予想以上に「大人の物語」がメインだったんですよね。
「大人と子供」は、実はあまり対立していなくて、子供たちは、大人たちの哀しみを慮って黙って我慢しているだけだし。

対立軸として一番目立つのは「よそ者」との関係であり、その次に目立つのが「悲しみに浸ったままでいたい者」と「乗り越えようとする者」の相克である、というのが、なんか切ないなあ、と。

そういう物語の中で、キムちゃん(音月)の持つエネルギーっていうのは、本当に天をも動かすものなんだな、と、キムちゃんの舞台を観るたびに想うことを、今回も感じました。
厚みのある歌声の持つパワーはもちろんなんですが、今回一番ヒットだったのは、2幕にまっつ(未涼)と語らう場面。もちろんまっつも素晴らしかったんですが、キムちゃんの芝居のもつパワーにも、あらためて感心したのでした。

そして。まっつときゃびぃ(早花)の夫婦がこの物語の裏主役であることがとてもすんなり納得できて、なるほどなあ、と思いました!(~ ~)。
いやもう、きゃびぃ素晴らしかった!!この愛称がついたときから大事に見守ってきた身としては、お願いだから大事にしてあげてください雪組さん、という気持ちでいっぱいです。



「フットルース」の対立には明解な理由があったから、その理由を解決すれば解けるんですよね。
でも、「ロミオとジュリエット」の対立は、「理由のない争い」でした。
遠い過去には理由(きっかけ)があったのかもしれないけれども、今となっては全ては忘れ去られて、ただ、生まれた時から争っていたから自分たちも争うべきだと思い込んでいるだけのひとびと。争いがあるからこそ生まれてしまう、憎しみ

この物語の舞台は「ヴェローナ」という一つの街なんですけど、観ていてふと、「地球」という大きな街の中で、理由なく争っている私たちの物語、というふう考えもありかもしれない、と思いました。あまり時代性を感じさせないファンタジックな衣装やセットが、余計にその連想を助長するんですよね。

激しく相争う子供たちと、口ではあれこれ言いつつ、彼らの憎しみを煽りたてるばかりの大人たち。
高貴な犠牲を捧げて、それでやっと目が醒めた大人たちが和解した時、子供たちもやっと抱きあうことができる。子供たちがどれほど個々に出会って許し合ったとしても、「大人たち」が互いに和解しないかぎり、「集団同士の平和」は訪れない……。

もちろん、「ロミオとジュリエット」は、そんな裏読みしなくても十分に面白い作品なのですが、今回の公演は、そんなことを考えてしまうくらい生々しい生命力があった……ということかな?と思っています。また東京で観て、考えてみたいテーマです。



今回の月組公演「ロミオとジュリエット」は目玉は、ロミオとティボルトの役替り。
いちおう両方観たのですが、まさお(龍)単体でみると、白いロミオよりティボルトの方が面白かったり、みりお(明日海)単体だと、ティボルトよりロミオの方が魅力的だったりといったことはあったような気がします。
それでも。
……私の印象をあえて書くならば、ロミオ=龍バージョンの方が、公演全体のバランスとしては良かった……ような気がします。
なんていうべきなのかな。本当にバランスの問題なんですけどね。ちゃぴ(愛希)との並びや、星条・美弥との並び、あるいは大人たちとの並び……などなど、いろいろな組み合わせの総合として、ですが(^ ^)

特に、ロミオとその親友二人の関係性が興味深かったです。
月組のベンヴォーリオとマキューシオは、どちらかといえば、クレバーな天才肌だけどキレやすい美弥マキューシオと、どちらかといえば腕っ節自慢のマギーベンヴォーリオ、というコンビに対して、『本能で生きている前向きな龍ロミオ』の方が、『思慮深くて、大人の顔色をみながら生きてきた若干後ろ向きの明日海ロミオ』よりもまとまりが良いかな、という気がしたんですよね。
いや、もちろん、どちらも良いんですが!!(←重要)、明日海ロミオはしっかりしすぎていて、生き残ったベンヴォーリオが「どうやって伝えよう」と惑う理由がわからん(早く伝えて対応させろよ、的な意味で)、……なんて思ってしまったもので……。



いやーーー、それにしても。
ちゃぴのジュリエットが可愛くて可愛くて、本当に可愛かった!!(壊)

「アリスの恋人」も良かったけど、ジュリエットもすごく可愛かった!
ああいう「一直線さ」って、宝塚ヒロインの王道の一つなのかもしれませんね。ちゃぴの、とにかくまっすぐで猪突猛進で頑なで、好きな人の幸せしか頭になくて、自分のことなんて目にも耳にも全く入らない!という傍迷惑な個性は、本当に魅力的なヒロインになるんだな、と思いました。

結論。
子供と動物には勝てません(白旗)。


ま、それはおいといて。
「フットルース」も「ロミオとジュリエット」も、どちらも本当に良い公演でした(^ ^)。
東京にいらっしゃる方、博多でご覧になる方、それぞれお楽しみに!