若人たちのトラファルガー【3】
2010年8月2日 宝塚(宙)宙組東宝新人公演「Trafalgar」。
肝心なことを書くのを忘れていましたが、新公演出は本公演の齋藤吉正さんご自身でした。
今回の公演、演出助手が「シャングリラ」の小柳奈穂子さんだったので、てっきり彼女がやると思いこんでおりまして。開幕アナウンスも全然チェックしておらず、小柳さんだと思いこんで観ていて「『シャングリラ』で随分成長したなあ」、「役者のキャラにあわせてちゃんと世界を構築できる、いい演出家になってきたなあ~(^ ^)」などと感心していたら、なんのことはない、新公も齋藤さんだった、というオチでした。
それにしても、齋藤さん(^ ^)。
役者個人に対する萌えよりも役者の成長を優先し、きちんと世界観を伝えた演出だったと思います。数々の伝説(^ ^)のある人ですが、荻田さんが抜けた後、「役者の個性を生かす」とか「役者を育てる」ことができる数少ない演出家の一人になってきたし、ないよりも、いい指導者になりつつあるなあ、と感心しています。
これからも、萌えのある良い役者を育ててあげてくださいね♪
そして、齋藤さんの拘りポイント。
オープニングムービーは、ちゃんと新公キャストで撮りなおして、画像処理のレベルもほとんど遜色ないものを使っていました。
てっきり、新公はこのツーロン攻囲戦は省略して「VICTORY」のセリ上がりから始まるに違いないと思っていたので、オーギュスト(風海恵斗/蒼羽りく)もコーネリアス(輝海せいや/月映樹茉)も、すべて省略無しだったことに驚きました。
本公演でりくちゃんもえなちゃんも苦労しているこの銀橋の説明台詞。
下級生ながら、風海くんも輝海くんも良くやっていたと思います。…っていうか、あれはもしや、役者本人の滑舌の問題ではなく、音響の問題なんだろうか(汗)。本役は二人とも、回を重ねるごとに少しづつ上手くなりつつある、という感じだもんなあ……
では、余談はこのあたりにして、まずはイギリス軍から。
風羽玲亜(フッド提督/寿つかさ)
お髭はなくても、ダンディなおじさまになれる!!いやー、さっつんの美貌は侮れませんな(←当たり前です)
本公演のタレーランみたいな曲者も素晴らしく嵌っていると思いますが、こういう穏やかな包容力のある役が本来のニンなのかも?という気もしました。
シャープな役も出来るし似合うけど、フッド提督はとても魅力的で、思いやりが深くて素敵でした。ノーフォークのネルソン邸を訪ねてきた場面で、ファニーの藤咲えりちゃんがヒステリーを起こした後の「やれやれ……」というところ、ちょっと悄然とした感じがすごく良かったです。
根本的に、人物像が優しいんですよね。声に深みがあるから余計に包容力を感じるのかな、と思います。
……また、あの声にタレーランが嵌るところが、芝居の面白いところだと思います(^ ^)。
アルバイトはパレルモの客と、ロンドンでの「ハミルトン家&ネルソン家 緊迫の食事会」場面での後ろのテーブルの客。「カサブランカ」で散々客の役をやっただけあって(?)、真ん中の芝居を邪魔しない、いい仕事っぷりでした。
澄輝さやと(トマス・ハーディー/悠未ひろ)
あっきーって、ちょっと前からともちんの役がよく回ってきてますよね?
正直、今までは新公を観ると「ああ、ともちんって巧いんだなあ…」と再認識する、みたいなところがあったのですが、今回は随分成長したなあ、と感心しました。
クール&シャープ系よりも、こういう素直で明るい役の方が、本来のキャラにも近くてやりやすいのかな?と思いますが、台詞をきちんと表現できるようになっただけ、格段の進歩だわ(*^ ^*)
なにはともあれ、ひとりの「人間」として、オープニングからエンディングまでキャラクターをコントロールできるようになったのがとても嬉しい。これからのご活躍を、楽しみにしています!!
トマスはかなり出番が多いので、アルバイトはしていなかったと思います。
しっかし、スタイルの良い美形は得だなあ。あのシンプルな軍服が似合うこと似合うこと!(@ @) 本当に格好良かったです!
天輝トニカ(ヘンリー王子/十輝いりす)
ブロンドの髪がよく似合う、美形の王子様でした。
結構難しい台詞が多い役なんですが、滑舌もはっきりしていて、難なくこなしていましたね。
歌もさすがでしたし、王族らしい気品もあって、とても良かったと思います。
しかし!!トニカちゃんとさっつんが並んでいると、どっちがヘンリー王子かわからない(T T)。
演出的に、イギリス海軍がずらっと並んで、その真ん中でヘンリー王子(十輝)とフッド提督(寿)が並んでいる場面が何度も繰り返されるのですが。
……何度言い聞かせても、背の高い方がヘンリー王子だと判断してしまう自分が情けない(T T)。
本公演でソンナコトが刷り込まれていなければ、何の問題もなかったはずなのにーーーー。
アルバイトは、パリの議員とパレルモの客、そしてロンドンの食事会の客、、だけ、かな?すみません。
パリの議員は、下手側(←バラス派)だったような。かなり熱くバラスを擁護していたような気がします(^ ^)
パレルモはいろいろ忙しくてあまり観れてません。ごめんなさい。
月映樹茉(サー・ジャービス/珠洲春希)
美形でした!
えなちゃんって、普段はどちらかというと「可愛い」系で、あまり「一般的な美形」枠には入らないタイプだと思うのですが。
このサー・ジョン・ジャービスは、本当に本当に、びっくりするほど美しかったです。前回公演のサムがあまりにも可愛くて、死ぬほど悶えさせられたのが嘘のよう(溜息)
そういえば、サムの本役の萬さんも、美形悪役をやらせたら右に出るものはいなかったっけ。
……まさか、萬さんの後継候補がこんなところ(研5)に!?(@ @)
声が良いとか何が良いとか、そーゆーのは公演のたびに猫はアレコレ叫んでいますので、ここでは割愛。
とにかく、ストロベリーブロンドの鬘が大変に良く似合う、腹に一物あるクールな美形悪役、そのものになりきっていたえなちゃんに、拍手(^ ^)。
しかも。面白かったのは、えなちゃんのジャービス提督がネルソンに叶わぬ恋をしていたところ。いや、あれは絶対、私の気のせいではない!!
演出的に、ジャービス提督の登場場面って、一通り会話が終わるとネルソン一人残して後は全員紗幕の裏に退避、みたいな展開が多いのですが、その度に、えなちゃんはネルソンの背中を食い入るように見凝めているんですよ(T T)。すごい切ない瞳で。
つい数分前まで、ネルソンに嫌味や皮肉をありったけ叩きつけていたことなど、無かったかのように。
ジャービス提督はあれですな。『好きな子ほど苛めずにはいられない』、ってやつ(^ ^)。
アルバイトは、パリの議員とパレルモの客、かな。こうしてみると、イギリス軍の上位連中はみんな同じですね。タイミング的に、ナポリの市民かパレルモの客か、どちらかになるんだけど、どういう基準で分けているんでしょうねぇ…?
星月梨旺(アルバート/鳳翔大)
春瀬央季(ジュリアン/七海ひろき)
本公演にも負けない、ビジュアル系の自覚をたっぷりと抱いた美形コンビでした。本公演も新公も、イギリス海軍に入るためにはビジュアルの(かなり厳しい)オーディションがあったことは間違いなさそうですね(汗)。
お二人とも美形なんですけど、アルバートの星月さんは、もう少し鬘を考え直してみても良かったかも。頭が小さくてスタイル抜群の大ちゃんだからこそ、あんなに重たい長髪ロン毛が似合うんであって、普通の人はあの髪型したらちょっとウルサイんじゃないかと……いや、余計なお世話ですが。
桜木みなと(トム・アレン/凪七瑠海)
「カサブランカ」の10年前のホテルのボーイさんの頃から、頬はぷくぷくだった桜木くん。
もしかして、トム・アレンを幼く見せるために含み綿しているんじゃないよね?と一瞬真顔で思ってしまったくらい、可愛らしくぷくぷくな幼な顔になってました。……いかがなものか。
しかし良い芝居しますよね!まず、なんといっても声が良い。素直な発声で、今後磨いていくうちに更に良くなるだろうなあ、という気がします。そして、持ち味が明るくて、元気!なんだと思うんですよね。前向きで、ネルソンが大好きで、、、とにかく、すごく良かったです。
うーーん、せっかくいい芝居が出来る人なので、もう少し痩せれば役も広がると思うんだけどなあ~。
七生眞希(ジョサイア/愛月ひかる)
こちらも凄く良かったです。
まず、ちゃんと「少年兵」に見えたので、役としてもすごく得していたと思う。「アイアイサー」のぶっきらぼうな言い方と、最後にネルソンに縋りつく場面の可愛らしさのギャップが面白かった。
台詞もいいし、出番ごとの一つ一つの仕種や表情に役としての感情が籠められていて、まだ下級生なのにいい芝居する子だなあと感心しました♪
ラストに、ファニーやエドマンドと一緒に出てくる場面は、ここはエドマンドがすご~く良かったんですが(; ;)、ジョサイアも、なんとも複雑な、気持ちのこもった表情で敬礼してくれて、良かったですー。
素顔は見たことがないのでよくわかりませんが、舞台化粧をして真面目な顔をすると、雪組のひろみちゃん(彩那音)系の美貌に、心が撃ち抜かれそうになりました(^ ^)。
とりあえず、イギリス軍は以上です♪
.
肝心なことを書くのを忘れていましたが、新公演出は本公演の齋藤吉正さんご自身でした。
今回の公演、演出助手が「シャングリラ」の小柳奈穂子さんだったので、てっきり彼女がやると思いこんでおりまして。開幕アナウンスも全然チェックしておらず、小柳さんだと思いこんで観ていて「『シャングリラ』で随分成長したなあ」、「役者のキャラにあわせてちゃんと世界を構築できる、いい演出家になってきたなあ~(^ ^)」などと感心していたら、なんのことはない、新公も齋藤さんだった、というオチでした。
それにしても、齋藤さん(^ ^)。
役者個人に対する萌えよりも役者の成長を優先し、きちんと世界観を伝えた演出だったと思います。数々の伝説(^ ^)のある人ですが、荻田さんが抜けた後、「役者の個性を生かす」とか「役者を育てる」ことができる数少ない演出家の一人になってきたし、ないよりも、いい指導者になりつつあるなあ、と感心しています。
これからも、萌えのある良い役者を育ててあげてくださいね♪
そして、齋藤さんの拘りポイント。
オープニングムービーは、ちゃんと新公キャストで撮りなおして、画像処理のレベルもほとんど遜色ないものを使っていました。
てっきり、新公はこのツーロン攻囲戦は省略して「VICTORY」のセリ上がりから始まるに違いないと思っていたので、オーギュスト(風海恵斗/蒼羽りく)もコーネリアス(輝海せいや/月映樹茉)も、すべて省略無しだったことに驚きました。
本公演でりくちゃんもえなちゃんも苦労しているこの銀橋の説明台詞。
下級生ながら、風海くんも輝海くんも良くやっていたと思います。…っていうか、あれはもしや、役者本人の滑舌の問題ではなく、音響の問題なんだろうか(汗)。本役は二人とも、回を重ねるごとに少しづつ上手くなりつつある、という感じだもんなあ……
では、余談はこのあたりにして、まずはイギリス軍から。
風羽玲亜(フッド提督/寿つかさ)
お髭はなくても、ダンディなおじさまになれる!!いやー、さっつんの美貌は侮れませんな(←当たり前です)
本公演のタレーランみたいな曲者も素晴らしく嵌っていると思いますが、こういう穏やかな包容力のある役が本来のニンなのかも?という気もしました。
シャープな役も出来るし似合うけど、フッド提督はとても魅力的で、思いやりが深くて素敵でした。ノーフォークのネルソン邸を訪ねてきた場面で、ファニーの藤咲えりちゃんがヒステリーを起こした後の「やれやれ……」というところ、ちょっと悄然とした感じがすごく良かったです。
根本的に、人物像が優しいんですよね。声に深みがあるから余計に包容力を感じるのかな、と思います。
……また、あの声にタレーランが嵌るところが、芝居の面白いところだと思います(^ ^)。
アルバイトはパレルモの客と、ロンドンでの「ハミルトン家&ネルソン家 緊迫の食事会」場面での後ろのテーブルの客。「カサブランカ」で散々客の役をやっただけあって(?)、真ん中の芝居を邪魔しない、いい仕事っぷりでした。
澄輝さやと(トマス・ハーディー/悠未ひろ)
あっきーって、ちょっと前からともちんの役がよく回ってきてますよね?
正直、今までは新公を観ると「ああ、ともちんって巧いんだなあ…」と再認識する、みたいなところがあったのですが、今回は随分成長したなあ、と感心しました。
クール&シャープ系よりも、こういう素直で明るい役の方が、本来のキャラにも近くてやりやすいのかな?と思いますが、台詞をきちんと表現できるようになっただけ、格段の進歩だわ(*^ ^*)
なにはともあれ、ひとりの「人間」として、オープニングからエンディングまでキャラクターをコントロールできるようになったのがとても嬉しい。これからのご活躍を、楽しみにしています!!
トマスはかなり出番が多いので、アルバイトはしていなかったと思います。
しっかし、スタイルの良い美形は得だなあ。あのシンプルな軍服が似合うこと似合うこと!(@ @) 本当に格好良かったです!
天輝トニカ(ヘンリー王子/十輝いりす)
ブロンドの髪がよく似合う、美形の王子様でした。
結構難しい台詞が多い役なんですが、滑舌もはっきりしていて、難なくこなしていましたね。
歌もさすがでしたし、王族らしい気品もあって、とても良かったと思います。
しかし!!トニカちゃんとさっつんが並んでいると、どっちがヘンリー王子かわからない(T T)。
演出的に、イギリス海軍がずらっと並んで、その真ん中でヘンリー王子(十輝)とフッド提督(寿)が並んでいる場面が何度も繰り返されるのですが。
……何度言い聞かせても、背の高い方がヘンリー王子だと判断してしまう自分が情けない(T T)。
本公演でソンナコトが刷り込まれていなければ、何の問題もなかったはずなのにーーーー。
アルバイトは、パリの議員とパレルモの客、そしてロンドンの食事会の客、、だけ、かな?すみません。
パリの議員は、下手側(←バラス派)だったような。かなり熱くバラスを擁護していたような気がします(^ ^)
パレルモはいろいろ忙しくてあまり観れてません。ごめんなさい。
月映樹茉(サー・ジャービス/珠洲春希)
美形でした!
えなちゃんって、普段はどちらかというと「可愛い」系で、あまり「一般的な美形」枠には入らないタイプだと思うのですが。
このサー・ジョン・ジャービスは、本当に本当に、びっくりするほど美しかったです。前回公演のサムがあまりにも可愛くて、死ぬほど悶えさせられたのが嘘のよう(溜息)
そういえば、サムの本役の萬さんも、美形悪役をやらせたら右に出るものはいなかったっけ。
……まさか、萬さんの後継候補がこんなところ(研5)に!?(@ @)
声が良いとか何が良いとか、そーゆーのは公演のたびに猫はアレコレ叫んでいますので、ここでは割愛。
とにかく、ストロベリーブロンドの鬘が大変に良く似合う、腹に一物あるクールな美形悪役、そのものになりきっていたえなちゃんに、拍手(^ ^)。
しかも。面白かったのは、えなちゃんのジャービス提督がネルソンに叶わぬ恋をしていたところ。いや、あれは絶対、私の気のせいではない!!
演出的に、ジャービス提督の登場場面って、一通り会話が終わるとネルソン一人残して後は全員紗幕の裏に退避、みたいな展開が多いのですが、その度に、えなちゃんはネルソンの背中を食い入るように見凝めているんですよ(T T)。すごい切ない瞳で。
つい数分前まで、ネルソンに嫌味や皮肉をありったけ叩きつけていたことなど、無かったかのように。
ジャービス提督はあれですな。『好きな子ほど苛めずにはいられない』、ってやつ(^ ^)。
アルバイトは、パリの議員とパレルモの客、かな。こうしてみると、イギリス軍の上位連中はみんな同じですね。タイミング的に、ナポリの市民かパレルモの客か、どちらかになるんだけど、どういう基準で分けているんでしょうねぇ…?
星月梨旺(アルバート/鳳翔大)
春瀬央季(ジュリアン/七海ひろき)
本公演にも負けない、ビジュアル系の自覚をたっぷりと抱いた美形コンビでした。本公演も新公も、イギリス海軍に入るためにはビジュアルの(かなり厳しい)オーディションがあったことは間違いなさそうですね(汗)。
お二人とも美形なんですけど、アルバートの星月さんは、もう少し鬘を考え直してみても良かったかも。頭が小さくてスタイル抜群の大ちゃんだからこそ、あんなに重たい長髪ロン毛が似合うんであって、普通の人はあの髪型したらちょっとウルサイんじゃないかと……いや、余計なお世話ですが。
桜木みなと(トム・アレン/凪七瑠海)
「カサブランカ」の10年前のホテルのボーイさんの頃から、頬はぷくぷくだった桜木くん。
もしかして、トム・アレンを幼く見せるために含み綿しているんじゃないよね?と一瞬真顔で思ってしまったくらい、可愛らしくぷくぷくな幼な顔になってました。……いかがなものか。
しかし良い芝居しますよね!まず、なんといっても声が良い。素直な発声で、今後磨いていくうちに更に良くなるだろうなあ、という気がします。そして、持ち味が明るくて、元気!なんだと思うんですよね。前向きで、ネルソンが大好きで、、、とにかく、すごく良かったです。
うーーん、せっかくいい芝居が出来る人なので、もう少し痩せれば役も広がると思うんだけどなあ~。
七生眞希(ジョサイア/愛月ひかる)
こちらも凄く良かったです。
まず、ちゃんと「少年兵」に見えたので、役としてもすごく得していたと思う。「アイアイサー」のぶっきらぼうな言い方と、最後にネルソンに縋りつく場面の可愛らしさのギャップが面白かった。
台詞もいいし、出番ごとの一つ一つの仕種や表情に役としての感情が籠められていて、まだ下級生なのにいい芝居する子だなあと感心しました♪
ラストに、ファニーやエドマンドと一緒に出てくる場面は、ここはエドマンドがすご~く良かったんですが(; ;)、ジョサイアも、なんとも複雑な、気持ちのこもった表情で敬礼してくれて、良かったですー。
素顔は見たことがないのでよくわかりませんが、舞台化粧をして真面目な顔をすると、雪組のひろみちゃん(彩那音)系の美貌に、心が撃ち抜かれそうになりました(^ ^)。
とりあえず、イギリス軍は以上です♪
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若人たちのトラファルガー【4】
2010年8月3日 宝塚(宙)宙組東宝新人公演「Trafalgar」。
光海舞人(エドマンド・ネルソン/風莉じん)
穏やかで立派な、尊敬されるべき有能な牧師さん、というイメージそのままの存在感。
本役とは全く違うアプローチに驚きました。
本公演しか観ていなかったので、エドマンド牧師についてはあの可愛らしい、ちょっと惚けかけた“おじいちゃん”のイメージしかなかったのですが、台詞もなにもかも全くそのままで、こんなに別人になってしまうとは!!
「レディ・ハミルトンとは誰だね?」という台詞も、意味がわからずに言っているわけではなく、身体を悪くしてから引き籠り気味だから情報がなくて、純粋に「誰だね?」と思っている感じだし、
ファニーの「あなたの大事なおともだちに是非ご挨拶を」という台詞を受けての
「わしもご挨拶したい!」
という台詞も、子供がえりした男が「僕も僕もー!」と騒いでいるみたいに見えた本公演とは全く違っていて、普通に「(お前が世話になっとる人なら)わしも挨拶せんとな」と言っているかのような……ちょっと緊張感のある親子関係が見えたような気がしました。
なんとなくのイメージなんですが。
本公演のホレイシオとエドマンドは、若いころに家を出て都会へ行ってしまった息子と、田舎で彼を案じているばかりの、優しいけれどもちょっとウザい父親、みたいな関係に見えました。
息子にしてみれば、子供がえりしてしまった父親を見るのはちょっと辛いけど、そんなに深い思い入れがあるわけではない……みたいな。
それに対して、新人公演のホレイシオとエドマンドは、身体を悪くして車椅子生活になってしまったけれども、頭は明晰で優秀で……そして、生真面目な牧師と、その生真面目さを受け継いでいながら、お固い教会生活に我慢しきれず、世界も視野も狭い父親に反発して海軍に入った息子、、、みたいに見えたんですよね。ちょっと妄想入ってますけど、ホレイシオの選択の裏には、つねに父親への憧れと反発があったのではないか、と思ったんですよね。
決して仲が良いわけではない、『緊張感のある』親子関係。
だからこそ、ラストでの「ホレイシオがもうすぐトラファルガーから帰ってくる……!」に、こらえきれない感動があったのだと思います。
子供たちは、いつか必ず、親を超えていくもの。
親を超えてくれなくては、子供をつくる意味がありませんから。
でも。見事に自分を超えて、そして、死んでしまった息子(ホレイシオ)を想うあまり、すっかり弱ってしまったエドマンド。
そして、そんな夫と父親をずっと視てきたファニーの、包み込むようなやわらかい頬笑み。
愛されることよりも『愛する』ことを選びとり、「レディ・ネルソン」として生きるという固い決意に支えられたファニーの凛とした背中に守られ、運ばれていくエドマンドの「小ささ」が、切なくてたまりませんでした。
この新公エドマンドが、大劇場の時はあまり話題にならなかったのが不思議でたまりません。
えりちゃんのファニー、七生くんのジョサイア、そして、こーまいのエドマンド。ネルソン家の三人があまりにも本公演と違っていて、非常に興味深かったです。
風莉さんも、ああいう厳格な雰囲気の役づくりも全然できたと思うんですよね。なのに、本公演では“可愛いおじいちゃん”で作って、新人公演は“厳格な父親”路線でいくことにしたのは何故なんでしょうね。こーまいの希望だったのかなあ……?
アルバイトは、フランス兵にロンドン市民、ナポリの客、、、、本公演なみに入っていたような。でも、エドマンドが強烈すぎて、あまり覚えていませんごめんなさい。
千鈴まゆ(キャドガン夫人/美風舞良)
芝居巧者のちっすーが美風さんの役!配役が出た時から楽しみにしていましたが、期待にたがわぬ活躍ぶりでした(はぁと)。可愛らしい丸顔と芝居の質がちょっと月組の美鳳あやちゃんに似てるなーと思っていたのですが、本当に巧いし、可愛かったです♪いつか宙組で「エリザベート」を上演する日がきたら、ルドヴィカを観てみたいかも(*^ ^*)。
最初の銀橋でのエマとの掛け合いも良かったし、パレルモやロンドンで笑いを取りにくるところなんて、もう文句なしの達者さでしたが、なんと言っても今回良かったのは、「忘れられない人」の前、ホレイシアを抱かせてくれと訴えるホレイシオを退けるところ。
「エマも私も、ハミルトン家に厄介になっている身なのです」
やわらかいけれども有無を言わせぬ力強さは、何が何でも娘と孫を守ろうという母の強さ。
そのピンと伸びた背と、悄然としていながら追いすがることを許さない無言の圧力。りくちゃんには太刀打ちできない貫録がありました(*^ ^*)。
今まで、どちらかというと可愛らしくてコミカルな役の印象が強かった人ですが、このキャドガン夫人は当たり役だったな、と思います。
前回の「カサブランカ」では、すべての場面でアンサンブルトップみたいな感じでしたが、今回はキャドガン夫人という大役がついているせいか、アルバイトは殆ど無し。まさかのフランス兵(トラファルガー海戦)がありましたが、さすがに予想外すぎてチェック漏れでした。残念!
綾瀬あきな(ジゼラ/藤咲えり)
可愛いえりちゃんのジゼラを、これまた可愛いえびちゃんが演じていましたが、、、本当に可愛いなあ(*^ ^*)。齋藤さん、ジゼラは可愛子ちゃんと決めていたんですかね。さすがだわ。
アルバイトは、ナポリの淑女とフランス議員、そしてプラザの客、かな。
ナポリの淑女は、記憶違いでなければ本公演でちっすーがやっているハーディーと一緒に踊る美女ポジだったと思います。全く踊れないハーディーに手取り足とり教えつつ、脚を踏まれつつ……。ともちんとちっすーほどの背丈の差はないので、本公演ほど「手が届かない!」みたいな演技はしてなかったんですが、最後にえびちゃんがあっきーを支えてポーズを決める逆転振付があって、注目していた私は、曲の途中なのに思いっきり吹き出してしまいました(^ ^;ゞ
ドレスは本公演で伶美うららさんが着ている黄色いドレス……だったと思いマス。えっと、サイズを直す時間がどれだけあったのか判らないけど、たぶん! すごいお似合いで、超美少女でした(*^ ^*)。
あと印象的だったのは議員さんかなー。いくらなんでも小さすぎるから!!他に人おらんのかー?(←いないかも)
美影凛(カロリーナ妃/鈴奈沙也)
細面の美貌に豪華な衣装がよく映えて、とてもよかったです。スタイルの良い人は、何を着ても似合うなあ(*^ ^*)
そして。なんと言っても、芝居が良かった!!鈴奈さんとは全く違う声で、やわらかくて包容力があるけど、しっかり者の王妃さまを好演。
銀橋場面の終わりで、「彼女(エマ)は優秀な参謀でしょう?」と悪戯っぽく問いかける場面のコケティッシュさも良かったし、それでも威厳がなくならないところも良かったです。
美人だし、踊れるし、芝居できるし、歌えるし……凄いなあ(惚)。
アルバイト(?)はいろいろしていましたが、目立つところではオープニングの波A(衣装の色が濃い人の一人)を踊っていました。流れるようなラインがキレイで素敵でした♪
天玲美音(フェルディナンド国王/天羽珠紀)
本公演のシェイエスがあまりにも嵌り役すぎて、気弱な国王陛下はなんとなく気恥かしいというか(^ ^;ゞ、無理している感が満載すぎて、ちょっと……と思ってしまいました(汗)。
決して芝居が下手な人ではないと思うんですが、個性が強すぎるというか何というか……
もう少し「引く」芝居ができるようになると鬼に金棒かも、と思いました。んー、でも、引くことを覚えてしまったらもう天玲さんじゃないかもしれない、という不安もあるんですけどね(汗)。
夢莉みこ(ソニア/琴羽桜子)
愛白もあ(マリーア王女/綾瀬あきな)
咲花莉帆(アルベルト王子/涼華まや)
儚げな美貌の夢莉さんのソニア、カロリーナ王妃への尊敬の念などが伝わってきて、良かったと思います。パレルモでのさりげない居方もGOOD。
新公は王子も王女も一人ずつで、エマのスカートをめくり、ハーディーをからかう王子さまがなかなか忙しそうでした(^ ^)。細かい芝居は本公演とはだいぶ違っていましたが、ちゃんと笑いも取れていたので良かったと思います♪
美月遥(バラス/鳳樹いち)
本公演でもソロをもらっている歌手なんですが、最初はちょっと緊張していたのかな?それともマイクの位置がおかしかったとかそういう理由?ちょっと声が弱い印象だったのが残念でした。ホントは良い声なんだけどなあ。
目力のある人ですが、ちょっと鬘が浮いていたかなー(T T)。本公演も新人公演も、なんか素材の良さを生かし切れていないような気がするんですよね。特にビジュアル面についてはなんか歯がゆい(涙)。
風馬翔(リュシアン/春風弥里)
みーちゃんでも若干の無理を感じる“Oui”は、かなり玉砕してたな……。そもそも、誰よりも地に足のついた質実剛健を絵にかいたようなかけるくんに、その役は無理があると思う……(涙)
んー、芝居のできる人だし、本来はハーディーとかジャービスとか、あのあたりの役が似合いそうなものなのに、あえて議員が本役なんですよねえ。齋藤さん的にかけるくんに軍服を着せたなくなかったのか?とか邪推してみたけど、考えてみたら本公演では着ているんだし、関係ないよね。なんでかな。
まあでも、いい勉強にはなったと思います。ええ(真顔)
いつでも全力投球なかけるくん、私は応援しているのでこれからもがんばってね(はぁと)
実羚淳(シェイエス/天玲美音)
天玲さんが大ヒットを飛ばしているシェイエス役。
ナポレオン再度の物語を動かすキーポイントであり、ただでさえ説明台詞(や説明歌詞)が多くて喋りにくいのに、結構難しい音階の歌に合わせて唄んだから、そりゃー研2で多少の無理は仕方ないなあと思っていたのですが。
……「多少の無理」じゃなくて、「いくらなんでも無理」な感じ、だったかも(T T)。
「シャングリラ」の子ヒョウ役では、ちょっと浮いた感じの存在感であまり動きもなく…という感じでしたが、今回はかなり「必死」な感じでしたね。
とりあえず私も
衣装の着こなしから笑いかたから、何もかもが「必死」な感じ(^ ^)
男役って難しいんだなあ、と、あらためて思いました。
天風いぶき(フーシェ/光海舞人)
天風さんもがんばっていたんですが、やっぱり本役のこーまいは巧いんだなあ、と再認識してしまいました。……ごめんなさい、天風さん(汗)。
今日で終わるつもりだったんですが、少し残ってしまった/汗。
続きはまた、早いうちに。
.
光海舞人(エドマンド・ネルソン/風莉じん)
穏やかで立派な、尊敬されるべき有能な牧師さん、というイメージそのままの存在感。
本役とは全く違うアプローチに驚きました。
本公演しか観ていなかったので、エドマンド牧師についてはあの可愛らしい、ちょっと惚けかけた“おじいちゃん”のイメージしかなかったのですが、台詞もなにもかも全くそのままで、こんなに別人になってしまうとは!!
「レディ・ハミルトンとは誰だね?」という台詞も、意味がわからずに言っているわけではなく、身体を悪くしてから引き籠り気味だから情報がなくて、純粋に「誰だね?」と思っている感じだし、
ファニーの「あなたの大事なおともだちに是非ご挨拶を」という台詞を受けての
「わしもご挨拶したい!」
という台詞も、子供がえりした男が「僕も僕もー!」と騒いでいるみたいに見えた本公演とは全く違っていて、普通に「(お前が世話になっとる人なら)わしも挨拶せんとな」と言っているかのような……ちょっと緊張感のある親子関係が見えたような気がしました。
なんとなくのイメージなんですが。
本公演のホレイシオとエドマンドは、若いころに家を出て都会へ行ってしまった息子と、田舎で彼を案じているばかりの、優しいけれどもちょっとウザい父親、みたいな関係に見えました。
息子にしてみれば、子供がえりしてしまった父親を見るのはちょっと辛いけど、そんなに深い思い入れがあるわけではない……みたいな。
それに対して、新人公演のホレイシオとエドマンドは、身体を悪くして車椅子生活になってしまったけれども、頭は明晰で優秀で……そして、生真面目な牧師と、その生真面目さを受け継いでいながら、お固い教会生活に我慢しきれず、世界も視野も狭い父親に反発して海軍に入った息子、、、みたいに見えたんですよね。ちょっと妄想入ってますけど、ホレイシオの選択の裏には、つねに父親への憧れと反発があったのではないか、と思ったんですよね。
決して仲が良いわけではない、『緊張感のある』親子関係。
だからこそ、ラストでの「ホレイシオがもうすぐトラファルガーから帰ってくる……!」に、こらえきれない感動があったのだと思います。
子供たちは、いつか必ず、親を超えていくもの。
親を超えてくれなくては、子供をつくる意味がありませんから。
でも。見事に自分を超えて、そして、死んでしまった息子(ホレイシオ)を想うあまり、すっかり弱ってしまったエドマンド。
そして、そんな夫と父親をずっと視てきたファニーの、包み込むようなやわらかい頬笑み。
愛されることよりも『愛する』ことを選びとり、「レディ・ネルソン」として生きるという固い決意に支えられたファニーの凛とした背中に守られ、運ばれていくエドマンドの「小ささ」が、切なくてたまりませんでした。
この新公エドマンドが、大劇場の時はあまり話題にならなかったのが不思議でたまりません。
えりちゃんのファニー、七生くんのジョサイア、そして、こーまいのエドマンド。ネルソン家の三人があまりにも本公演と違っていて、非常に興味深かったです。
風莉さんも、ああいう厳格な雰囲気の役づくりも全然できたと思うんですよね。なのに、本公演では“可愛いおじいちゃん”で作って、新人公演は“厳格な父親”路線でいくことにしたのは何故なんでしょうね。こーまいの希望だったのかなあ……?
アルバイトは、フランス兵にロンドン市民、ナポリの客、、、、本公演なみに入っていたような。でも、エドマンドが強烈すぎて、あまり覚えていませんごめんなさい。
千鈴まゆ(キャドガン夫人/美風舞良)
芝居巧者のちっすーが美風さんの役!配役が出た時から楽しみにしていましたが、期待にたがわぬ活躍ぶりでした(はぁと)。可愛らしい丸顔と芝居の質がちょっと月組の美鳳あやちゃんに似てるなーと思っていたのですが、本当に巧いし、可愛かったです♪いつか宙組で「エリザベート」を上演する日がきたら、ルドヴィカを観てみたいかも(*^ ^*)。
最初の銀橋でのエマとの掛け合いも良かったし、パレルモやロンドンで笑いを取りにくるところなんて、もう文句なしの達者さでしたが、なんと言っても今回良かったのは、「忘れられない人」の前、ホレイシアを抱かせてくれと訴えるホレイシオを退けるところ。
「エマも私も、ハミルトン家に厄介になっている身なのです」
やわらかいけれども有無を言わせぬ力強さは、何が何でも娘と孫を守ろうという母の強さ。
そのピンと伸びた背と、悄然としていながら追いすがることを許さない無言の圧力。りくちゃんには太刀打ちできない貫録がありました(*^ ^*)。
今まで、どちらかというと可愛らしくてコミカルな役の印象が強かった人ですが、このキャドガン夫人は当たり役だったな、と思います。
前回の「カサブランカ」では、すべての場面でアンサンブルトップみたいな感じでしたが、今回はキャドガン夫人という大役がついているせいか、アルバイトは殆ど無し。まさかのフランス兵(トラファルガー海戦)がありましたが、さすがに予想外すぎてチェック漏れでした。残念!
綾瀬あきな(ジゼラ/藤咲えり)
可愛いえりちゃんのジゼラを、これまた可愛いえびちゃんが演じていましたが、、、本当に可愛いなあ(*^ ^*)。齋藤さん、ジゼラは可愛子ちゃんと決めていたんですかね。さすがだわ。
アルバイトは、ナポリの淑女とフランス議員、そしてプラザの客、かな。
ナポリの淑女は、記憶違いでなければ本公演でちっすーがやっているハーディーと一緒に踊る美女ポジだったと思います。全く踊れないハーディーに手取り足とり教えつつ、脚を踏まれつつ……。ともちんとちっすーほどの背丈の差はないので、本公演ほど「手が届かない!」みたいな演技はしてなかったんですが、最後にえびちゃんがあっきーを支えてポーズを決める逆転振付があって、注目していた私は、曲の途中なのに思いっきり吹き出してしまいました(^ ^;ゞ
ドレスは本公演で伶美うららさんが着ている黄色いドレス……だったと思いマス。えっと、サイズを直す時間がどれだけあったのか判らないけど、たぶん! すごいお似合いで、超美少女でした(*^ ^*)。
あと印象的だったのは議員さんかなー。いくらなんでも小さすぎるから!!他に人おらんのかー?(←いないかも)
美影凛(カロリーナ妃/鈴奈沙也)
細面の美貌に豪華な衣装がよく映えて、とてもよかったです。スタイルの良い人は、何を着ても似合うなあ(*^ ^*)
そして。なんと言っても、芝居が良かった!!鈴奈さんとは全く違う声で、やわらかくて包容力があるけど、しっかり者の王妃さまを好演。
銀橋場面の終わりで、「彼女(エマ)は優秀な参謀でしょう?」と悪戯っぽく問いかける場面のコケティッシュさも良かったし、それでも威厳がなくならないところも良かったです。
美人だし、踊れるし、芝居できるし、歌えるし……凄いなあ(惚)。
アルバイト(?)はいろいろしていましたが、目立つところではオープニングの波A(衣装の色が濃い人の一人)を踊っていました。流れるようなラインがキレイで素敵でした♪
天玲美音(フェルディナンド国王/天羽珠紀)
本公演のシェイエスがあまりにも嵌り役すぎて、気弱な国王陛下はなんとなく気恥かしいというか(^ ^;ゞ、無理している感が満載すぎて、ちょっと……と思ってしまいました(汗)。
決して芝居が下手な人ではないと思うんですが、個性が強すぎるというか何というか……
もう少し「引く」芝居ができるようになると鬼に金棒かも、と思いました。んー、でも、引くことを覚えてしまったらもう天玲さんじゃないかもしれない、という不安もあるんですけどね(汗)。
夢莉みこ(ソニア/琴羽桜子)
愛白もあ(マリーア王女/綾瀬あきな)
咲花莉帆(アルベルト王子/涼華まや)
儚げな美貌の夢莉さんのソニア、カロリーナ王妃への尊敬の念などが伝わってきて、良かったと思います。パレルモでのさりげない居方もGOOD。
新公は王子も王女も一人ずつで、エマのスカートをめくり、ハーディーをからかう王子さまがなかなか忙しそうでした(^ ^)。細かい芝居は本公演とはだいぶ違っていましたが、ちゃんと笑いも取れていたので良かったと思います♪
美月遥(バラス/鳳樹いち)
本公演でもソロをもらっている歌手なんですが、最初はちょっと緊張していたのかな?それともマイクの位置がおかしかったとかそういう理由?ちょっと声が弱い印象だったのが残念でした。ホントは良い声なんだけどなあ。
目力のある人ですが、ちょっと鬘が浮いていたかなー(T T)。本公演も新人公演も、なんか素材の良さを生かし切れていないような気がするんですよね。特にビジュアル面についてはなんか歯がゆい(涙)。
風馬翔(リュシアン/春風弥里)
みーちゃんでも若干の無理を感じる“Oui”は、かなり玉砕してたな……。そもそも、誰よりも地に足のついた質実剛健を絵にかいたようなかけるくんに、その役は無理があると思う……(涙)
んー、芝居のできる人だし、本来はハーディーとかジャービスとか、あのあたりの役が似合いそうなものなのに、あえて議員が本役なんですよねえ。齋藤さん的にかけるくんに軍服を着せたなくなかったのか?とか邪推してみたけど、考えてみたら本公演では着ているんだし、関係ないよね。なんでかな。
まあでも、いい勉強にはなったと思います。ええ(真顔)
いつでも全力投球なかけるくん、私は応援しているのでこれからもがんばってね(はぁと)
実羚淳(シェイエス/天玲美音)
天玲さんが大ヒットを飛ばしているシェイエス役。
ナポレオン再度の物語を動かすキーポイントであり、ただでさえ説明台詞(や説明歌詞)が多くて喋りにくいのに、結構難しい音階の歌に合わせて唄んだから、そりゃー研2で多少の無理は仕方ないなあと思っていたのですが。
……「多少の無理」じゃなくて、「いくらなんでも無理」な感じ、だったかも(T T)。
「シャングリラ」の子ヒョウ役では、ちょっと浮いた感じの存在感であまり動きもなく…という感じでしたが、今回はかなり「必死」な感じでしたね。
とりあえず私も
衣装の着こなしから笑いかたから、何もかもが「必死」な感じ(^ ^)
男役って難しいんだなあ、と、あらためて思いました。
天風いぶき(フーシェ/光海舞人)
天風さんもがんばっていたんですが、やっぱり本役のこーまいは巧いんだなあ、と再認識してしまいました。……ごめんなさい、天風さん(汗)。
今日で終わるつもりだったんですが、少し残ってしまった/汗。
続きはまた、早いうちに。
.
新人公演もまだ終わっていないのですが、今日は日経ホールにて行われたトークショーに参加してまいりましたので、その話を。
このトークショーも、何回目かなあ。ヤクルトホールの時代から断続的に参加していますが、私が今までに参加した中では、今回のが一番トークがまともでした(^ ^)。
メンバーは、蓮水ゆうや、鳳樹いち、百千糸。
ちーちゃん以外は素で喋っている姿なんて観たことのないお二人でしたが、 舞台姿から想像していた以上にしっかりと、要領よく話をまとめて、簡潔に話すことのできるメンバーで、ほんとうに感心しました(@ @)。
まず。服装は、ちーちゃんといちくんはモノトーンで手堅くまとめていて、百千ちゃんは紅い薔薇の模様がついたシンプルなAラインワンピ。なんだか、背丈のバランスとか、いろんな面で並んでいてしっくりくる三人でした。
ちーちゃんと百千ちゃんは、みっちゃん(北翔海莉)のディナーショーに一緒に出演して仲良くなったそうです。ちーちゃんは、小柄な百千ちゃんを「リアルアリエッティ(「借り暮らしのアリエッティ」より)」と呼んでいるそうです(^ ^)可愛い!!
それでは、トーク内容を簡単に。
■お芝居の役について
・ちー(オーレリー) 人を「恨む」には凄いエネルギーが必要で、普段あまり感じることのない感情なので難しかった。
舞台に出る瞬間にパッと切り替えられるタイプなので、袖ではいつもどおり皆(同期とか)と遊んでます。
・いち(バラス) 歌と台詞の応酬で場面が進んでいくので、シェイエスの天玲とタイミング合わせに苦労しました。
・百千(いろいろ) 場面で一番多いのはレインボーカラーの召使い。最初の場面でハープを持っているので、勝手に自分はエマの芸術面の教師役だと思っています。あとは、オペラの場面でコーラスをしているんですが、イタリア語で歌うのが難しい。
■役づくりで苦労した点は
・ちー
あまり当時の政治情勢とかに関係のない役なので、「何かにとらわれて狂ってしまう人」ということで、そういう人を扱った映画を視たり……あと、青池保子氏の「トラファルガー」は読みました。私もマスケティアなので(←でも全然関係ないけどね!)
「愛する者のために戦う」がテーマの作品ですが、オーレリーも最初はそうだったはず。それが、ナポレオンに操られて(?)あんなふうになってしまったのかな、と。(←意訳)
結局、衣装をつけて舞台にあがれば見えてくるものがたくさんあって、なんとかなる。
ラストの死ぬところは、笑顔で飛び降りろ(兄の仇を討って満足して死ぬんだから)と演出指導が入った(@ @)らしいんですが、「怖くて笑えない」そうです。そりゃそうですよね…。
死んでからもしばらくハケられなくて、セットの裏で体育座りしながら場面が終わるのを待って、イギリス兵のみなさんと一緒にハケるのですが、皆がうるうると泣いているので非常にいたたまれない、という話が面白かったです(^ ^)
あと印象的だったのは……
オーレリーがハーディーに撃たれて落ちる場面でプシューっとあがる水煙について。
ちーちゃんはずっと、あれは自分が海に落ちたときの水しぶきだと思っていたんだそうです。なのに、どうして自分が落ちるより早く出ちゃうのかな?舞監さんおかしくない?と疑問に思って、訊きに行ったそうです。そしたら!
あれはちーちゃんの落下とは関係なく、排水管が破裂したことを表しているんだそうで。
へーへーへー………
・いち
ナポレオンより上に立つ人なので、どう重厚感を出せばいいのかと苦しみました。ナポレオンを扱った漫画とかだと、バラスはすごいおじいさんで、白髪で長い髭をはやして……みたいな感じで、でもビジュアルについては「ど金髪で外ハネ」という齋藤さんの指定があったから、歩き方や仕種で貫録を出そうとした。
・百千
ドレスが長くて立派なので、裾まできちんとサバくのに苦労しています。
召使いの衣装は凄く可愛くて、みんなで「負けないようにもっと可愛くなりましょう!」と日々頑張っているそうです。
■新人公演
・いち(ウィリアム)
竹下さんに「ウィリアムは良い人なの?」とふられたいちくん。
「すごく愛していたんですよ」と。
「5000ポンドで買ったときから魅了されていた(魅了されていたから買った)んだけど、それを表現する場がないところがが難しかった」
ちー「パレルモでエマを叩いたあと、その手をじっと見る芝居でぐっときた」
いち「あそこが唯一の表現できる場面ですね」
ちー「あれは演技指導?」
いち「それもありました。でも気持ちを入れるのが難しかった。すごく切ないんだけど、その切なさを見せてはいけないので」
竹下「プライドがあるから?」
いち「そうですね…」
大意はこんな会話だったと思います……が、違ってたらすいません。
そう!!先日の日記にも書きましたが、いちウィリアムの、エマを叩いた手を凝っと視て、そしてまた虚空に彷徨わせる一瞬の表情が絶妙に良いかったですよね!(強制)
シンプルな切なさではなく、もっと複雑な感情。その複雑さをどうすれば客席に伝えられるか、本当にいろんな努力をして作り上げたんだろうなあ……と思いました。
いちくんは本当に、誠実で朴訥な人なんだろうな、と思いました。
うん。いろんな意味で、ですが♪
「誰がために鐘は鳴る」の新人公演、いちくんに主演してほしい……かも(ことだまことだま)(*^ ^*)
・百千(ジュゼッピーナ)
本公演でもコーラスをさせていただいていますが、0番で歌うというのは、他のポジションとは全く違う経験でした。
ジュゼッピーナはただの「スパイ」というのともちょっと違っていて、役づくりの参考にしたのはルパン3世の峰不二子さんです。(@ @)
いち(挨拶)
直前まで何も考えられなくて、エマにネルソンの手紙を渡してハケた後、壁とお友達になって考えました。
客電がついているので、笑顔のお客さまの顔が見えてうれしい。
ちー(感想)
宝塚の時より数段良くなっていて、本当に皆がんばったと思う。
あとちょっとだから頑張ってね。
■ショー
振付で難しかったのは、太陽族の場面。
曲はなんとなく知っている曲も多いので、音を聴くとなんちゃってで踊れるんだけど、正式に振付を受けると「出来ない!」の連続。
振付の先生に、「昔は足腰の強い人が多かったけど、最近の人は足腰が弱いわね」と言われた。
■お気に入りの場面
・ちー 大階段の男役群舞。野郎度高く、けだるい感じでスタンバイするのが格好良い。
あの腕まくりは、人によって色々。フィナーレの最初にでるちーちゃんたちは、最初から腕まくりした状態の衣装があるそうな。
・いち 「プラズマ」という答えを言うまえに、竹下さんみずからプラズマの話になっていました(^ ^)。もしいちくんの答えが「プラズマ」じゃなかったらどうするんだろう(←でもプラズマだよね、きっと笑)
最初の振付が半分くらいまできたところで「嘘、まだ半分!?」と皆倒れそうになった。
・百千 ひまわり。とにかく可愛い。あと、ロケットの発光手袋のところ。あそこになると客席がざわめくのがわかる。
酒場(太陽の戦士)は、「大人っぽく」「あばずれ」に。良い男がいたら自由に寄って行け、と言われた。
舞台に関してはこのあたりだったでしょうか。
あとは、オフの話(ちーちゃんといちくんのラブラブ話だったような……)とか。
そして最後に、
■今「宝塚にいるんだ!」と実感する瞬間は?
・百千 3歳の頃から宝塚を観ていて、合格したときは凄く嬉しかった。毎日パレードで、自分が手にしているシャンシャンに「ももち」って書いてあるのを見るだけで幸せ。
・いち フィナーレで、上手から下手へ(逆だったかも?)ホリゾンとを移動するとき、(鳳翔)大さんとモニターに映るエトワール(花影アリス)を観て、「宝塚だ!宝塚だ!」と大騒ぎをしている(←いみふ)
あと、パレードで銀橋の付け根あたりにいるのですが、ゆうひさんが振り向くときのナイアガラがぶわっと来た時に、ちょっとしみじみと。
・ちー ダンスが好きなので、ショーのときに凄く幸せになる。
本名の自分から「蓮水ゆうや」に切り替わる瞬間がとても好き。
最後にちょっとだけ、蘭トムさんのコンサート「“R”ising」の情報を落として終了しました。
とは言え、本当にちょこっとだけで……
・もうお稽古は徐々に始まっている。すごいハードスケジュール
・藤井さんに訊いたら、「ロックありラテンありJ-POP」ありだそうなので楽しみ!
……そのくらいかなあ(?)っていうか藤井さん、一番当たり障りのないところを言いましたね(^ ^;ゞ
ちーちゃんは二度目のトークショー。竹下さんが「三年まえ、七帆さんと一緒に出てくださったときは、ギンガムチェックのシャツが良く似合って少年のようだったのに………」
……萌えっ!
.
このトークショーも、何回目かなあ。ヤクルトホールの時代から断続的に参加していますが、私が今までに参加した中では、今回のが一番トークがまともでした(^ ^)。
メンバーは、蓮水ゆうや、鳳樹いち、百千糸。
ちーちゃん以外は素で喋っている姿なんて観たことのないお二人でしたが、 舞台姿から想像していた以上にしっかりと、要領よく話をまとめて、簡潔に話すことのできるメンバーで、ほんとうに感心しました(@ @)。
まず。服装は、ちーちゃんといちくんはモノトーンで手堅くまとめていて、百千ちゃんは紅い薔薇の模様がついたシンプルなAラインワンピ。なんだか、背丈のバランスとか、いろんな面で並んでいてしっくりくる三人でした。
ちーちゃんと百千ちゃんは、みっちゃん(北翔海莉)のディナーショーに一緒に出演して仲良くなったそうです。ちーちゃんは、小柄な百千ちゃんを「リアルアリエッティ(「借り暮らしのアリエッティ」より)」と呼んでいるそうです(^ ^)可愛い!!
それでは、トーク内容を簡単に。
■お芝居の役について
・ちー(オーレリー) 人を「恨む」には凄いエネルギーが必要で、普段あまり感じることのない感情なので難しかった。
舞台に出る瞬間にパッと切り替えられるタイプなので、袖ではいつもどおり皆(同期とか)と遊んでます。
・いち(バラス) 歌と台詞の応酬で場面が進んでいくので、シェイエスの天玲とタイミング合わせに苦労しました。
・百千(いろいろ) 場面で一番多いのはレインボーカラーの召使い。最初の場面でハープを持っているので、勝手に自分はエマの芸術面の教師役だと思っています。あとは、オペラの場面でコーラスをしているんですが、イタリア語で歌うのが難しい。
■役づくりで苦労した点は
・ちー
あまり当時の政治情勢とかに関係のない役なので、「何かにとらわれて狂ってしまう人」ということで、そういう人を扱った映画を視たり……あと、青池保子氏の「トラファルガー」は読みました。私もマスケティアなので(←でも全然関係ないけどね!)
「愛する者のために戦う」がテーマの作品ですが、オーレリーも最初はそうだったはず。それが、ナポレオンに操られて(?)あんなふうになってしまったのかな、と。(←意訳)
結局、衣装をつけて舞台にあがれば見えてくるものがたくさんあって、なんとかなる。
ラストの死ぬところは、笑顔で飛び降りろ(兄の仇を討って満足して死ぬんだから)と演出指導が入った(@ @)らしいんですが、「怖くて笑えない」そうです。そりゃそうですよね…。
死んでからもしばらくハケられなくて、セットの裏で体育座りしながら場面が終わるのを待って、イギリス兵のみなさんと一緒にハケるのですが、皆がうるうると泣いているので非常にいたたまれない、という話が面白かったです(^ ^)
あと印象的だったのは……
オーレリーがハーディーに撃たれて落ちる場面でプシューっとあがる水煙について。
ちーちゃんはずっと、あれは自分が海に落ちたときの水しぶきだと思っていたんだそうです。なのに、どうして自分が落ちるより早く出ちゃうのかな?舞監さんおかしくない?と疑問に思って、訊きに行ったそうです。そしたら!
あれはちーちゃんの落下とは関係なく、排水管が破裂したことを表しているんだそうで。
へーへーへー………
・いち
ナポレオンより上に立つ人なので、どう重厚感を出せばいいのかと苦しみました。ナポレオンを扱った漫画とかだと、バラスはすごいおじいさんで、白髪で長い髭をはやして……みたいな感じで、でもビジュアルについては「ど金髪で外ハネ」という齋藤さんの指定があったから、歩き方や仕種で貫録を出そうとした。
・百千
ドレスが長くて立派なので、裾まできちんとサバくのに苦労しています。
召使いの衣装は凄く可愛くて、みんなで「負けないようにもっと可愛くなりましょう!」と日々頑張っているそうです。
■新人公演
・いち(ウィリアム)
竹下さんに「ウィリアムは良い人なの?」とふられたいちくん。
「すごく愛していたんですよ」と。
「5000ポンドで買ったときから魅了されていた(魅了されていたから買った)んだけど、それを表現する場がないところがが難しかった」
ちー「パレルモでエマを叩いたあと、その手をじっと見る芝居でぐっときた」
いち「あそこが唯一の表現できる場面ですね」
ちー「あれは演技指導?」
いち「それもありました。でも気持ちを入れるのが難しかった。すごく切ないんだけど、その切なさを見せてはいけないので」
竹下「プライドがあるから?」
いち「そうですね…」
大意はこんな会話だったと思います……が、違ってたらすいません。
そう!!先日の日記にも書きましたが、いちウィリアムの、エマを叩いた手を凝っと視て、そしてまた虚空に彷徨わせる一瞬の表情が絶妙に良いかったですよね!(強制)
シンプルな切なさではなく、もっと複雑な感情。その複雑さをどうすれば客席に伝えられるか、本当にいろんな努力をして作り上げたんだろうなあ……と思いました。
いちくんは本当に、誠実で朴訥な人なんだろうな、と思いました。
うん。いろんな意味で、ですが♪
「誰がために鐘は鳴る」の新人公演、いちくんに主演してほしい……かも(ことだまことだま)(*^ ^*)
・百千(ジュゼッピーナ)
本公演でもコーラスをさせていただいていますが、0番で歌うというのは、他のポジションとは全く違う経験でした。
ジュゼッピーナはただの「スパイ」というのともちょっと違っていて、役づくりの参考にしたのはルパン3世の峰不二子さんです。(@ @)
いち(挨拶)
直前まで何も考えられなくて、エマにネルソンの手紙を渡してハケた後、壁とお友達になって考えました。
客電がついているので、笑顔のお客さまの顔が見えてうれしい。
ちー(感想)
宝塚の時より数段良くなっていて、本当に皆がんばったと思う。
あとちょっとだから頑張ってね。
■ショー
振付で難しかったのは、太陽族の場面。
曲はなんとなく知っている曲も多いので、音を聴くとなんちゃってで踊れるんだけど、正式に振付を受けると「出来ない!」の連続。
振付の先生に、「昔は足腰の強い人が多かったけど、最近の人は足腰が弱いわね」と言われた。
■お気に入りの場面
・ちー 大階段の男役群舞。野郎度高く、けだるい感じでスタンバイするのが格好良い。
あの腕まくりは、人によって色々。フィナーレの最初にでるちーちゃんたちは、最初から腕まくりした状態の衣装があるそうな。
・いち 「プラズマ」という答えを言うまえに、竹下さんみずからプラズマの話になっていました(^ ^)。もしいちくんの答えが「プラズマ」じゃなかったらどうするんだろう(←でもプラズマだよね、きっと笑)
最初の振付が半分くらいまできたところで「嘘、まだ半分!?」と皆倒れそうになった。
・百千 ひまわり。とにかく可愛い。あと、ロケットの発光手袋のところ。あそこになると客席がざわめくのがわかる。
酒場(太陽の戦士)は、「大人っぽく」「あばずれ」に。良い男がいたら自由に寄って行け、と言われた。
舞台に関してはこのあたりだったでしょうか。
あとは、オフの話(ちーちゃんといちくんのラブラブ話だったような……)とか。
そして最後に、
■今「宝塚にいるんだ!」と実感する瞬間は?
・百千 3歳の頃から宝塚を観ていて、合格したときは凄く嬉しかった。毎日パレードで、自分が手にしているシャンシャンに「ももち」って書いてあるのを見るだけで幸せ。
・いち フィナーレで、上手から下手へ(逆だったかも?)ホリゾンとを移動するとき、(鳳翔)大さんとモニターに映るエトワール(花影アリス)を観て、「宝塚だ!宝塚だ!」と大騒ぎをしている(←いみふ)
あと、パレードで銀橋の付け根あたりにいるのですが、ゆうひさんが振り向くときのナイアガラがぶわっと来た時に、ちょっとしみじみと。
・ちー ダンスが好きなので、ショーのときに凄く幸せになる。
本名の自分から「蓮水ゆうや」に切り替わる瞬間がとても好き。
最後にちょっとだけ、蘭トムさんのコンサート「“R”ising」の情報を落として終了しました。
とは言え、本当にちょこっとだけで……
・もうお稽古は徐々に始まっている。すごいハードスケジュール
・藤井さんに訊いたら、「ロックありラテンありJ-POP」ありだそうなので楽しみ!
……そのくらいかなあ(?)っていうか藤井さん、一番当たり障りのないところを言いましたね(^ ^;ゞ
ちーちゃんは二度目のトークショー。竹下さんが「三年まえ、七帆さんと一緒に出てくださったときは、ギンガムチェックのシャツが良く似合って少年のようだったのに………」
……萌えっ!
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若人たちのトラファルガー【5】
2010年8月5日 宝塚(宙) コメント (2)宙組公演「トラファルガー/ファンキー・サンシャイン」も、残すところあと3日。
今日は久しぶりに一階席の旧A席最前列での観劇だったのですが、やっぱりあの席は観やすいですね♪舞台全体を観ることができて、最後の週末にむけて、気合が入りまくりでした(^ ^)。
エマの芝居が随分変わっていて、とても驚きました。
今まで、エマに関しては「齋藤さんやっちゃったなーーー」くらいに思っていたのですが、こういうアプローチがあったのか!!と目から鱗。
東宝に来てから、ネルソンもエマもいろいろ変ってきてはいたけれども、このタイミングでこう来るか!?と驚きました。
……なんだか、「カサブランカ」のときも同じようなことを書いたような気がしてきた。
宙組って。(←組のせいにしてはいけません)
そうえいば、今日はあひちゃん(遼河はるひ)と七帆ひかるくん、和涼華さんがいらしてて、みんながとても嬉しそうでした。凄いアピールだったなあ。オペラグラスで観ていると、目線のおこぼれがもらえたりして嬉しいんですよね、あれ(^ ^)。
ショーのオープニングの蘭トムさん登場で、逆転裁判の「異議あり!!」ポーズをやってくれたことに感動!!
本日のレポは以上にして、新人公演の続きを。
琴羽桜子(ジョゼフィーヌ&波S/五峰亜季)
プロローグの波Sでの流れるようなダンスがとてもキレイでした。桜子はどちらかというと男前にガツガツ踊る方が得意なタイプかと思っていましたが、ああいう柔らかなダンスもキレイだなあ。細くてしなやかな、なめらかなポージングがさすがでした♪
ジョゼフィーヌとしての最初の出番は、議会で第一執政に選ばれた後。襟ぐりの大きくあいた豪華なドレスに、あの時代らしくキレイに胸の谷間をつくっていて、妖艶な年上の美女、という感じをしっかり見せてくれました。っていうか、そんなものどこにあったの?と思ってしまったんですが(自粛)
「運命の女」「ファム・ファタル」と言うのは簡単なのですが、ナポレオンにとってジョゼフィーヌはそういう存在だったんだろうな、と思います。まゆみさんの存在感というのは、立っているだけで間違いなく「運命」の重みがあって。決して芝居が巧いとは言えないまゆみさんが、これだけ引っ張りだこでいろんな作品に参加しているのは、ああいう格のある女ができる役者が他にいないからだと思うんですよね。
桜子はまだ研7。芝居としては非常に巧くやっていたと思いますし、あの迫力はこれからゆっくり時間をかけて身につけていってくれればいいと思います♪
アルバイトはナポリとパレルモの淑女。それぞれに個性を出して芝居していて、楽しそうでした(*^ ^*)。可愛いなー、可愛いなー、可愛いなー♪
花音舞(ポーリーヌ/大海亜呼)
花里まな(カロリーヌ/愛花ちさき)
なんとなく使われる場所が良く似ているお二人。いかにも「姉妹」という感じで、良かったです。本役のお二人があまりにも嵌り役なのでちょっとアレですが、必要十分な芝居だったと思います。
ただ!リュシアンのかけるくんと三人、ちょっとコロコロしていたのが気になる、かも。ナポレオン一人だけ、ボナパルト家の鬼っ子って感じに見えてしまったもんなー(^ ^;ゞうーむ。
百千糸(ジュゼッピーナ/純矢ちとせ)
昨日、トークショーでいろいろ苦労話をきいたばかりですが……
百千ちゃんくらい歌える子でも、やっぱり「0番」で歌うというのは違うんだ、という話が印象に残ったかな。最初のロンドンでのソロ(せーこちゃんのところ)も、オペラの場面も、どちらも凄く良かっただけに、見えない苦労はきっとたくさんあったんだろうな、と。
せーこちゃんの声も華やかで好きなんですが、百千ちゃんの声もすごくまろやかで良かったです。若いのに凄いなあ☆今回の新人公演は、「威風堂々」の花音舞ちゃんといい、ナポリの彩花まりちゃんといい、みんな凄く良かったなあ。本公演はショーまでいれてもせーこちゃんと七瀬りりこちゃんの独壇場になってしまっているけど、歌える人はもっとたくさんいるのになーと思いました。
星吹彩翔(オーレリー・バイロン/蓮水ゆうや)
役自体がすごく矛盾に満ちた役なので、さすがのモンチもずいぶん苦労していたような気がします。基本的にはちーちゃんの役づくりを踏襲していたのかな?キャラが全然違うので別の役になってましたけど(汗)。
段取りの多い芝居なのに全部きちんとこなしていたのはさすが!っていうか、モンチって芝居巧いですよねぇ~(感心)
星吹彩翔(ナポリの紳士・歌手/天輝トニカ)
瀬音リサ(ナポリの淑女・歌手/妃宮さくら・花里まな)
オーレリーは意外に出番が多い(フランス兵としての群舞もオーレリーにカウント)のですが、ちゃんとアルバイトで歌をもらっていたモンチ。
ナポリの場面、男役はモンチ一人、女役はありさちゃん一人になっていました。すごい、大劇場のときは「スカイフェアリーズコンビ」だったのか!!(思いつかなかった…)
本公演でも(場面は違いますが)歌っているだけあって安定しているし、ありさちゃんとのハーモニーは声質があっているのでとても良かったです。
モンチは連れもなく、前半は一人で踊っていてちょっと寂しげな感じ(^ ^)。後半はどうだったっけな。踊らないで後ろでおしゃべりしていたんだっけ?すみません、忘れちゃいました。どうだったかなあ。
夢涼りあん(ホレイシア/すみれ乃麗)
「シャングリラ」(美雨の子供時代)に続き、すみ花ちゃんの役の……えっと、子供時代じゃなくて今回は本物の子供(娘)だけど(^ ^)。
れーれも長身スタイル良しの子供でしたが、りあんちゃんも相当なものですね。でも可愛かったからヨシとしよう(^ ^)。(ちなみに、おとめによると、野々・すみれ乃・夢涼は三人そろって身長161cm♪)
そういえばシャングリラでも、子供たち(夢涼さん含む)は全員、この後は二人(大空&野々)に育てられるんだろうな、っていうラストでしたねー。
懐かしい……。
結乃かなり(波A/美影凛)
エピローグの場面で、ホレイシアと戯れる波の役で踊っていた結ちゃん。
すんなり伸びた手足がやわらかくて、本当に砂浜に打ち寄せる波のようなつかみどころのなさがありました。
下級生だけど芝居のできる人なので、次はもう少し使ってもらえるといいなあ~。
ダンサーだから、ショーでは良いところにいるんだけど。歌はどうなんでしょうね…?
他の場面もあれこれ出ているんですが、比率的には男役が多かった印象。議員、兵士、、、背も高いので、全く違和感がありませんでした(汗)。
議員役(確かバラス派だったような気が。違ってたらすみません)のときも、回りの小柄な娘役さんたちが、仕種も可愛らしい感じでかなり無理があった中、結ちゃんはすごく自然で、そして格好良かったです(はぁと)
個人的に、ど金髪のショートヘアでフランス兵として踊ったり剣を振り回したり闘ったりしているゆいちゃん、めっちゃ格好良かった!!
あんなに可愛いのに、どーしてあんなに格好良いんだ。一人で二人とか相手しちゃうんだぞ。どんだけ強いんだ。ドキドキ。
.
今日は久しぶりに一階席の旧A席最前列での観劇だったのですが、やっぱりあの席は観やすいですね♪舞台全体を観ることができて、最後の週末にむけて、気合が入りまくりでした(^ ^)。
エマの芝居が随分変わっていて、とても驚きました。
今まで、エマに関しては「齋藤さんやっちゃったなーーー」くらいに思っていたのですが、こういうアプローチがあったのか!!と目から鱗。
東宝に来てから、ネルソンもエマもいろいろ変ってきてはいたけれども、このタイミングでこう来るか!?と驚きました。
……なんだか、「カサブランカ」のときも同じようなことを書いたような気がしてきた。
宙組って。(←組のせいにしてはいけません)
そうえいば、今日はあひちゃん(遼河はるひ)と七帆ひかるくん、和涼華さんがいらしてて、みんながとても嬉しそうでした。凄いアピールだったなあ。オペラグラスで観ていると、目線のおこぼれがもらえたりして嬉しいんですよね、あれ(^ ^)。
ショーのオープニングの蘭トムさん登場で、逆転裁判の「異議あり!!」ポーズをやってくれたことに感動!!
本日のレポは以上にして、新人公演の続きを。
琴羽桜子(ジョゼフィーヌ&波S/五峰亜季)
プロローグの波Sでの流れるようなダンスがとてもキレイでした。桜子はどちらかというと男前にガツガツ踊る方が得意なタイプかと思っていましたが、ああいう柔らかなダンスもキレイだなあ。細くてしなやかな、なめらかなポージングがさすがでした♪
ジョゼフィーヌとしての最初の出番は、議会で第一執政に選ばれた後。襟ぐりの大きくあいた豪華なドレスに、あの時代らしくキレイに胸の谷間をつくっていて、妖艶な年上の美女、という感じをしっかり見せてくれました。
「運命の女」「ファム・ファタル」と言うのは簡単なのですが、ナポレオンにとってジョゼフィーヌはそういう存在だったんだろうな、と思います。まゆみさんの存在感というのは、立っているだけで間違いなく「運命」の重みがあって。決して芝居が巧いとは言えないまゆみさんが、これだけ引っ張りだこでいろんな作品に参加しているのは、ああいう格のある女ができる役者が他にいないからだと思うんですよね。
桜子はまだ研7。芝居としては非常に巧くやっていたと思いますし、あの迫力はこれからゆっくり時間をかけて身につけていってくれればいいと思います♪
アルバイトはナポリとパレルモの淑女。それぞれに個性を出して芝居していて、楽しそうでした(*^ ^*)。可愛いなー、可愛いなー、可愛いなー♪
花音舞(ポーリーヌ/大海亜呼)
花里まな(カロリーヌ/愛花ちさき)
なんとなく使われる場所が良く似ているお二人。いかにも「姉妹」という感じで、良かったです。本役のお二人があまりにも嵌り役なのでちょっとアレですが、必要十分な芝居だったと思います。
ただ!リュシアンのかけるくんと三人、ちょっとコロコロしていたのが気になる、かも。ナポレオン一人だけ、ボナパルト家の鬼っ子って感じに見えてしまったもんなー(^ ^;ゞうーむ。
百千糸(ジュゼッピーナ/純矢ちとせ)
昨日、トークショーでいろいろ苦労話をきいたばかりですが……
百千ちゃんくらい歌える子でも、やっぱり「0番」で歌うというのは違うんだ、という話が印象に残ったかな。最初のロンドンでのソロ(せーこちゃんのところ)も、オペラの場面も、どちらも凄く良かっただけに、見えない苦労はきっとたくさんあったんだろうな、と。
せーこちゃんの声も華やかで好きなんですが、百千ちゃんの声もすごくまろやかで良かったです。若いのに凄いなあ☆今回の新人公演は、「威風堂々」の花音舞ちゃんといい、ナポリの彩花まりちゃんといい、みんな凄く良かったなあ。本公演はショーまでいれてもせーこちゃんと七瀬りりこちゃんの独壇場になってしまっているけど、歌える人はもっとたくさんいるのになーと思いました。
星吹彩翔(オーレリー・バイロン/蓮水ゆうや)
役自体がすごく矛盾に満ちた役なので、さすがのモンチもずいぶん苦労していたような気がします。基本的にはちーちゃんの役づくりを踏襲していたのかな?キャラが全然違うので別の役になってましたけど(汗)。
段取りの多い芝居なのに全部きちんとこなしていたのはさすが!っていうか、モンチって芝居巧いですよねぇ~(感心)
星吹彩翔(ナポリの紳士・歌手/天輝トニカ)
瀬音リサ(ナポリの淑女・歌手/妃宮さくら・花里まな)
オーレリーは意外に出番が多い(フランス兵としての群舞もオーレリーにカウント)のですが、ちゃんとアルバイトで歌をもらっていたモンチ。
ナポリの場面、男役はモンチ一人、女役はありさちゃん一人になっていました。すごい、大劇場のときは「スカイフェアリーズコンビ」だったのか!!(思いつかなかった…)
本公演でも(場面は違いますが)歌っているだけあって安定しているし、ありさちゃんとのハーモニーは声質があっているのでとても良かったです。
モンチは連れもなく、前半は一人で踊っていてちょっと寂しげな感じ(^ ^)。後半はどうだったっけな。踊らないで後ろでおしゃべりしていたんだっけ?すみません、忘れちゃいました。どうだったかなあ。
夢涼りあん(ホレイシア/すみれ乃麗)
「シャングリラ」(美雨の子供時代)に続き、すみ花ちゃんの役の……えっと、子供時代じゃなくて今回は本物の子供(娘)だけど(^ ^)。
れーれも長身スタイル良しの子供でしたが、りあんちゃんも相当なものですね。でも可愛かったからヨシとしよう(^ ^)。(ちなみに、おとめによると、野々・すみれ乃・夢涼は三人そろって身長161cm♪)
そういえばシャングリラでも、子供たち(夢涼さん含む)は全員、この後は二人(大空&野々)に育てられるんだろうな、っていうラストでしたねー。
懐かしい……。
結乃かなり(波A/美影凛)
エピローグの場面で、ホレイシアと戯れる波の役で踊っていた結ちゃん。
すんなり伸びた手足がやわらかくて、本当に砂浜に打ち寄せる波のようなつかみどころのなさがありました。
下級生だけど芝居のできる人なので、次はもう少し使ってもらえるといいなあ~。
ダンサーだから、ショーでは良いところにいるんだけど。歌はどうなんでしょうね…?
他の場面もあれこれ出ているんですが、比率的には男役が多かった印象。議員、兵士、、、背も高いので、全く違和感がありませんでした(汗)。
議員役(確かバラス派だったような気が。違ってたらすみません)のときも、回りの小柄な娘役さんたちが、仕種も可愛らしい感じでかなり無理があった中、結ちゃんはすごく自然で、そして格好良かったです(はぁと)
個人的に、ど金髪のショートヘアでフランス兵として踊ったり剣を振り回したり闘ったりしているゆいちゃん、めっちゃ格好良かった!!
あんなに可愛いのに、どーしてあんなに格好良いんだ。一人で二人とか相手しちゃうんだぞ。どんだけ強いんだ。ドキドキ。
.
トラファルガーの奇跡
2010年8月6日 宝塚(宙) コメント (2)宙組東宝劇場宙組公演「Trafalgar ~ネルソン、その愛と奇跡~」。
なんだか書きたいことはとてもたくさんあるのですが、もうあと何日もない……どうしたものか、と思いつつ、とりあえず続きを書けるところまで進めたいと思います。
前回はこちら⇒ http://80646.diarynote.jp/201007280309047201/
■第6場A ナポリ
1799年1月、ナポリの反乱(たぶん)。
七瀬りりこちゃんの歌い上げる「ナポリ!ナポリ!」という歌と、20人ちょっとの市民たちのダンスの迫力がすごい。さすが宙組のコーラスであり、宙組の群舞だ、と思う。
「古い王制ぶっつぶせ!」というドスの効いた声が好きです。この作品、寺嶋さんの音楽が売りなのですが、結構私の好きな場面はどれも太田さんだったりするんですよね(^ ^;ゞ
イギリス軍一行が、銀橋を国王一家を連れて走ってくる。
これって、状況的にはルイ16世一家のヴァレンヌ逃亡事件と同じですよね。フェルゼンの替りにネルソンが一私人として救出に来たところまで似ている。
もし途中で囚われていたら、彼らと同じ運命だったかもしれないんだなあ……。
上手花道から、ハミルトン卿(北翔海莉)とジゼラ(藤咲えり)、キャドガン夫人(美風舞良)が合流。
「エマが!エマが行方不明に!!」
娘の身を案じる母親。とっさに戻ろうとする夫。彼を押しとどめて港へ向かうよう指示をする提督。
この時点ではなんの問題もない行動なんですけどね、彼らも。
この場面、銀橋には案外長いこと留まるので、みなさんの小芝居が面白いです。
個人的にはトム・アレンのカチャ(凪七瑠海)をあれこれ世話をやいているカイちゃん(七海ひろき)が大好きで、ついついチェックしてしまいます(^ ^)。
「エマ!エマ!どこだ!」
声に出して呼ぶネルソン。えっと、そこは戦場なんでは?……まあ、いいか。
「ここよ!ネルソン!」
……呼び捨てですか、エマ(^ ^;ゞ
救い手の登場に安堵のあまり倒れるエマを庇って「少し休もう」と話しかけるネルソンが、とても優しい。
やっぱり女の扱いには慣れてるじゃないか(^ ^)。
昨日の日記にも書きましたが、エマの芝居が、最初の頃とは随分変わったような気がします。
東宝に来てから一時期ちょっとエスカレート気味だった小悪魔っぽさというか、コケティッシュな毒婦らしさが影をひそめて、普通に「少女」になっていたような気がします。
「何故ナポリへ?」とか「義理がたい人ね」の言い方から、からかうような調子が消えたり、「ごめんなさい」が真剣だったり。
この場面に限らないのですが、全体にすごく幼く、無邪気な少女のようになったな、と。
っていうか、可愛かったー♪
笑顔がすこーし寂しげなのがとてもツボ。ああいう微妙な表情の変化が、技術じゃなしに出来るところがすみ花ちゃんの天才たる所以なんだろうなあ、と思います。
そして、それに合わせたわけではないのだと思いますが、ネルソンはネルソンでずいぶん変わりつつあるような。
「宝塚」の芝居の組み立てを考えると、ネルソンが変ったからエマが変った…の方がありそうなのかな。でも、このコンビの場合はなんでもありだからなー。
とりあえず。ネルソンがエマに向ける笑顔が、微妙に寂しげになったような気がしたんですよね。
その薄墨のようなトーンが「私たちは似ている」の根拠なのかな……?と思ってみたり。
エマが寂しげな笑顔を向けると、ネルソンも寂しげに微笑んでみせる、そんなやりとりが切ない。
そして場面が進み、芝居の後半になって二人の仲が隠れもないものになるにつれて、二人はあまり笑わなくなる。目と目を交わして頬笑み合う、幸せそうな瞬間がなくなってしまう、そのあたりのピースの嵌りように驚きました。……もう少し早くにここまでやれていたなら……
「お話しない?互いのこと」
会話の中で、少しづつ近づいていく二人の心。
「私も行ってみたいわ。海を渡って、色々な国を見てみたい!」
夫の手によって閉ざされた世界。閉ざされた未来。
エマにとって、7つの海をまたにかけて生きてきたネルソンの物語は、純粋な夢物語だったのかもしれません。
そして、ネルソンにとっても、それは運命。
「私の船で出かけよう!いつか、戦いのない平和な時代がきたら」
そう言ってくれる女と、彼は初めて出会ったのかもしれません………。
などといろいろ理屈は考えるのですが。
猫にはやっぱり、ネルソンとエマが互いの何に類似性を見出したのか、どうにも見えていないのですが(T T)
■第6場B パレルモ
銀橋でキスを交わすネルソンとエマが溶暗に消えると、本舞台ではパレルモでのパーティーが始まる。
1799年のうちに、ナポリの反乱(パルテノペア共和国建国)も一段落して国王一家は復帰しているので、王妃さまの「ナポリは内乱も鎮圧されたらしい」という台詞を考えればこれは1799年の夏か秋の頃のはずなのですが。
この場面のラストに「世紀のキス」の名場面があるので、パーティーは1799年12月31日の年忘れパーティー、ということになります。
19世紀の初年は1801年なので1799年は世紀末ではないんですけどね(^ ^;ゞ
ここは小芝居が多くて、いちいち書いているときりがないのですが……
とりあえず、ともちん(悠未ひろ)とアルバート(鳳翔大)・ジュリアン(七海ひろき)三人のあれこれは見逃してはいけないポイントです。下手のチェステーブルに引っ込んで、センター奥の扉からネルソンとエマが登場したときの反応(まずカイちゃんが気がついて、アワアワしながら大くんに声をかけ、ともちんが国王の視線を遮って、、、という芝居が好き)
エマの「私はあなたの大理石の女神像じゃないの!」という台詞の言い方がずいぶん変わったな、と思いました。
その前に、手を振りほどくタイミングも今までと違うような気がしました。前は腕を掴まれた途端に振り払っていたのに、今はなんだか、無意識に振りほどいていた、というように見えたんですよね。腕を取り戻した後で、自分の行動にびっくりしたみたいに一瞬茫然として、少し間があいてから上の台詞だった、ような。
夫への嫌悪感から振り払うのではなく、ネルソンの傍にもっといたい、一緒に居たい、という気持ちが無意識の動作に出てしまった、ように見えました。
……気のせい、あるいは、考えすぎかも。
そういえば。
走り去ったエマをネルソンが追うところで、「エマ!」と叫ぶのはウィリアムですよね…?
みっちゃんは、新公の(鳳樹)いちくんがやっていた右手を凝っと視る、という芝居をせず、その代わりに同じ手を胸にあてて虚空を見上げる芝居をしていました。
解釈としてはどっちもアリですが、私はいちくんのその瞬間の表情が秀逸だと思いました。
イギリスへの帰還命令(本来なら懲罰モノだったはず)を受けたネルソンが
「イギリスに帰りたくない」
というのは判るんですが。
でも、エマはなぜイギリスに帰るんでしょうか?ナポリは「もう落ち着い」て、国王一家も「そろそろナポリに帰ろう」というタイミングなのに。たまたま任期終了のタイミングだったのかなあ?
世紀にわたるキスは、回を重ねるごとにどんどん熱烈度を増してますねぇ。
そして、毎回ついつい鐘の数を数えてしまう私。
結構鳴ってますよね、あれ。やっぱり108回なんじゃないか……?
■第7場 ノーフォ-ク
センター下手よりに立つファニー(花影アリス)、上手のエドマンド(風莉じん)。
そこにミリー(綾音らいら)が入ってきて、ジョサイア(愛月ひかる)の帰宅を告げる。
先日ちらっと書きましたが、「母上は離婚しません」って、女性の話言葉としてちょっとどうかと思うのですが、ここでジョサイアがネルソンを「父上」と呼ぶあたりも詰めがあまい!!と思ってしまいます。このタイミングでの彼の感情でいえば、あくまでも「あの男」呼びでいいと思うんですが。
「あの男は帰ってこないでしょう」
「母上、あの男と縁を切ってください!母上を悲しませるあの男を、私は許せません!」
……の方が、微妙に子供っぽくていいと思うんだけどなー。
でも、この凛としたアリスちゃんが素敵なので、なんでもいいやと許してしまうんですが(汗)。
■第8場 ミラノ ~獅子の時代~
せーこちゃん(純矢ちとせ)の美声が素晴らしいです。イタリア語の発音もキレイですよね(それらしく聴こえます♪)
バレリーナたちでは、、、ま、正直言えば全員お勧めなんですけど、個人的には小柄なえびちゃん(綾瀬あきな)と、長身の結ちゃん(結乃かなり)が並んで踊っているときがとてもたのしい。チュチュを着たバレリーナで身長差萌えしててどうするんだ??という感じですみません。
前場は1799年の初夏頃(?)。
でもここは、バラスの失脚とナポレオンの第一執政就任からもだいぶたっているっぽいので……1800年くらい??コペンハーゲンの戦いが1801年4月なので、、、1800年の終わりくらいかもしれませんね。
オペラの場面が終わると、
そういえば舞姫あゆみちゃんの本公演での台詞って珍しいのかな。あの可愛らしい声は聴いた記憶が無いんですが、どうだったかな。……しっかし、可愛い声ですね(^ ^)。
ジョゼフィーヌと二人の妹の会話の怖いのは、回を重ねてエスカレートしていくかな?と思っていたのですが、それほどでもなかったですね。この調子で毎日毎日嫌味のやり取りをしていたのかしら?と納得できたくらい、なんというか、日常的な空気感でした(^ ^;;;
リュシアン(春風弥里)、タレーラン(風羽玲亜)、フーシェ(光海舞人)が登場して、政治の話が続く。さっつんのタレーラン、最高です!ちょっと気が早くて恐縮ですが、「銀ちゃんの恋」での活躍が楽しみだ!!
ジュゼッピーナを連れて銀橋へ出るナポレオン。
オーレリー(蓮水ゆうや)が登場し、リュシアンに何事か吹きこまれて(?)ちょっとおかしくなる、という芝居は、東宝にきてからはずっとやっていますね。
んー、トークスペシャルでも非常に大雑把な話しか出なかったので、もう少し詳細を聴いてみたいなあ……(←無理)
■第9場 ロンドン ~愛の迷宮~
前半の、ウィリアムとエマの銀橋場面は、結構良い場面になってきたなあと思います。
歌と芝居のタイミングがあってきたし、なんとなく掴みどころのないエマのふわふわした存在感が秀逸で。
エマの衣装が懐かしい(^ ^)
幕があがると、本舞台はネルソンの執務室。
大机に座って書類仕事をしているネルソンと、その脇をうろうろしながら聖書を……あのトム・アレンは何をしているんだ?「綴りを教えてくだせえ」って言ってるってことは、暗唱しながらそれを書いているのか?
あまり聖書をよく知らなので、カチャが毎日読んでいる個所がどんな訓えの中の文章なのかわからないのですが、、、しかし暗唱しているんだとしたら凄いなあ~。
以前はこの場面、トム・アレンが「綴りを教えてくだせえ~」って言ったときからネルソンが凄く不機嫌だったような気がするのですが、昨日は綴りを教えるところまでは普通で(ちょっと頭痛がイタイらしいですが)、トム・アレンが淹れてく入れたお茶のカップを取ろうとして距離感がつかめなかったときに急に機嫌が落ちたのがわかりました。
なんだか、あのギャップがたまりません♪
「キャプテンは変わった」
あたりの会話は、割とありがちな型どおりの台詞、という感じで、トム・アレンが何をそんなに怒っているのか伝わりにくいんですよねー。
「スコッチを」って言われたら、紅茶カップにスコッチをどぼどぼいれて供するとか、芝居として工夫できるところはいくらでもありそうなんですよね(涙)
うーん、難しいのかなあ……。
微妙に場面の途中ですが(汗)、取り急ぎここまでにしておきます。
.
なんだか書きたいことはとてもたくさんあるのですが、もうあと何日もない……どうしたものか、と思いつつ、とりあえず続きを書けるところまで進めたいと思います。
前回はこちら⇒ http://80646.diarynote.jp/201007280309047201/
■第6場A ナポリ
1799年1月、ナポリの反乱(たぶん)。
七瀬りりこちゃんの歌い上げる「ナポリ!ナポリ!」という歌と、20人ちょっとの市民たちのダンスの迫力がすごい。さすが宙組のコーラスであり、宙組の群舞だ、と思う。
「古い王制ぶっつぶせ!」というドスの効いた声が好きです。この作品、寺嶋さんの音楽が売りなのですが、結構私の好きな場面はどれも太田さんだったりするんですよね(^ ^;ゞ
イギリス軍一行が、銀橋を国王一家を連れて走ってくる。
これって、状況的にはルイ16世一家のヴァレンヌ逃亡事件と同じですよね。フェルゼンの替りにネルソンが一私人として救出に来たところまで似ている。
もし途中で囚われていたら、彼らと同じ運命だったかもしれないんだなあ……。
上手花道から、ハミルトン卿(北翔海莉)とジゼラ(藤咲えり)、キャドガン夫人(美風舞良)が合流。
「エマが!エマが行方不明に!!」
娘の身を案じる母親。とっさに戻ろうとする夫。彼を押しとどめて港へ向かうよう指示をする提督。
この時点ではなんの問題もない行動なんですけどね、彼らも。
この場面、銀橋には案外長いこと留まるので、みなさんの小芝居が面白いです。
個人的にはトム・アレンのカチャ(凪七瑠海)をあれこれ世話をやいているカイちゃん(七海ひろき)が大好きで、ついついチェックしてしまいます(^ ^)。
「エマ!エマ!どこだ!」
声に出して呼ぶネルソン。えっと、そこは戦場なんでは?……まあ、いいか。
「ここよ!ネルソン!」
……呼び捨てですか、エマ(^ ^;ゞ
救い手の登場に安堵のあまり倒れるエマを庇って「少し休もう」と話しかけるネルソンが、とても優しい。
やっぱり女の扱いには慣れてるじゃないか(^ ^)。
昨日の日記にも書きましたが、エマの芝居が、最初の頃とは随分変わったような気がします。
東宝に来てから一時期ちょっとエスカレート気味だった小悪魔っぽさというか、コケティッシュな毒婦らしさが影をひそめて、普通に「少女」になっていたような気がします。
「何故ナポリへ?」とか「義理がたい人ね」の言い方から、からかうような調子が消えたり、「ごめんなさい」が真剣だったり。
この場面に限らないのですが、全体にすごく幼く、無邪気な少女のようになったな、と。
っていうか、可愛かったー♪
笑顔がすこーし寂しげなのがとてもツボ。ああいう微妙な表情の変化が、技術じゃなしに出来るところがすみ花ちゃんの天才たる所以なんだろうなあ、と思います。
そして、それに合わせたわけではないのだと思いますが、ネルソンはネルソンでずいぶん変わりつつあるような。
「宝塚」の芝居の組み立てを考えると、ネルソンが変ったからエマが変った…の方がありそうなのかな。でも、このコンビの場合はなんでもありだからなー。
とりあえず。ネルソンがエマに向ける笑顔が、微妙に寂しげになったような気がしたんですよね。
その薄墨のようなトーンが「私たちは似ている」の根拠なのかな……?と思ってみたり。
エマが寂しげな笑顔を向けると、ネルソンも寂しげに微笑んでみせる、そんなやりとりが切ない。
そして場面が進み、芝居の後半になって二人の仲が隠れもないものになるにつれて、二人はあまり笑わなくなる。目と目を交わして頬笑み合う、幸せそうな瞬間がなくなってしまう、そのあたりのピースの嵌りように驚きました。……もう少し早くにここまでやれていたなら……
「お話しない?互いのこと」
会話の中で、少しづつ近づいていく二人の心。
「私も行ってみたいわ。海を渡って、色々な国を見てみたい!」
夫の手によって閉ざされた世界。閉ざされた未来。
エマにとって、7つの海をまたにかけて生きてきたネルソンの物語は、純粋な夢物語だったのかもしれません。
そして、ネルソンにとっても、それは運命。
「私の船で出かけよう!いつか、戦いのない平和な時代がきたら」
そう言ってくれる女と、彼は初めて出会ったのかもしれません………。
などといろいろ理屈は考えるのですが。
猫にはやっぱり、ネルソンとエマが互いの何に類似性を見出したのか、どうにも見えていないのですが(T T)
■第6場B パレルモ
銀橋でキスを交わすネルソンとエマが溶暗に消えると、本舞台ではパレルモでのパーティーが始まる。
1799年のうちに、ナポリの反乱(パルテノペア共和国建国)も一段落して国王一家は復帰しているので、王妃さまの「ナポリは内乱も鎮圧されたらしい」という台詞を考えればこれは1799年の夏か秋の頃のはずなのですが。
この場面のラストに「世紀のキス」の名場面があるので、パーティーは1799年12月31日の年忘れパーティー、ということになります。
19世紀の初年は1801年なので1799年は世紀末ではないんですけどね(^ ^;ゞ
ここは小芝居が多くて、いちいち書いているときりがないのですが……
とりあえず、ともちん(悠未ひろ)とアルバート(鳳翔大)・ジュリアン(七海ひろき)三人のあれこれは見逃してはいけないポイントです。下手のチェステーブルに引っ込んで、センター奥の扉からネルソンとエマが登場したときの反応(まずカイちゃんが気がついて、アワアワしながら大くんに声をかけ、ともちんが国王の視線を遮って、、、という芝居が好き)
エマの「私はあなたの大理石の女神像じゃないの!」という台詞の言い方がずいぶん変わったな、と思いました。
その前に、手を振りほどくタイミングも今までと違うような気がしました。前は腕を掴まれた途端に振り払っていたのに、今はなんだか、無意識に振りほどいていた、というように見えたんですよね。腕を取り戻した後で、自分の行動にびっくりしたみたいに一瞬茫然として、少し間があいてから上の台詞だった、ような。
夫への嫌悪感から振り払うのではなく、ネルソンの傍にもっといたい、一緒に居たい、という気持ちが無意識の動作に出てしまった、ように見えました。
……気のせい、あるいは、考えすぎかも。
そういえば。
走り去ったエマをネルソンが追うところで、「エマ!」と叫ぶのはウィリアムですよね…?
みっちゃんは、新公の(鳳樹)いちくんがやっていた右手を凝っと視る、という芝居をせず、その代わりに同じ手を胸にあてて虚空を見上げる芝居をしていました。
解釈としてはどっちもアリですが、私はいちくんのその瞬間の表情が秀逸だと思いました。
イギリスへの帰還命令(本来なら懲罰モノだったはず)を受けたネルソンが
「イギリスに帰りたくない」
というのは判るんですが。
でも、エマはなぜイギリスに帰るんでしょうか?ナポリは「もう落ち着い」て、国王一家も「そろそろナポリに帰ろう」というタイミングなのに。たまたま任期終了のタイミングだったのかなあ?
世紀にわたるキスは、回を重ねるごとにどんどん熱烈度を増してますねぇ。
そして、毎回ついつい鐘の数を数えてしまう私。
結構鳴ってますよね、あれ。やっぱり108回なんじゃないか……?
■第7場 ノーフォ-ク
センター下手よりに立つファニー(花影アリス)、上手のエドマンド(風莉じん)。
そこにミリー(綾音らいら)が入ってきて、ジョサイア(愛月ひかる)の帰宅を告げる。
先日ちらっと書きましたが、「母上は離婚しません」って、女性の話言葉としてちょっとどうかと思うのですが、ここでジョサイアがネルソンを「父上」と呼ぶあたりも詰めがあまい!!と思ってしまいます。このタイミングでの彼の感情でいえば、あくまでも「あの男」呼びでいいと思うんですが。
「あの男は帰ってこないでしょう」
「母上、あの男と縁を切ってください!母上を悲しませるあの男を、私は許せません!」
……の方が、微妙に子供っぽくていいと思うんだけどなー。
でも、この凛としたアリスちゃんが素敵なので、なんでもいいやと許してしまうんですが(汗)。
■第8場 ミラノ ~獅子の時代~
せーこちゃん(純矢ちとせ)の美声が素晴らしいです。イタリア語の発音もキレイですよね(それらしく聴こえます♪)
バレリーナたちでは、、、ま、正直言えば全員お勧めなんですけど、個人的には小柄なえびちゃん(綾瀬あきな)と、長身の結ちゃん(結乃かなり)が並んで踊っているときがとてもたのしい。チュチュを着たバレリーナで身長差萌えしててどうするんだ??という感じですみません。
前場は1799年の初夏頃(?)。
でもここは、バラスの失脚とナポレオンの第一執政就任からもだいぶたっているっぽいので……1800年くらい??コペンハーゲンの戦いが1801年4月なので、、、1800年の終わりくらいかもしれませんね。
オペラの場面が終わると、
そういえば舞姫あゆみちゃんの本公演での台詞って珍しいのかな。あの可愛らしい声は聴いた記憶が無いんですが、どうだったかな。……しっかし、可愛い声ですね(^ ^)。
ジョゼフィーヌと二人の妹の会話の怖いのは、回を重ねてエスカレートしていくかな?と思っていたのですが、それほどでもなかったですね。この調子で毎日毎日嫌味のやり取りをしていたのかしら?と納得できたくらい、なんというか、日常的な空気感でした(^ ^;;;
リュシアン(春風弥里)、タレーラン(風羽玲亜)、フーシェ(光海舞人)が登場して、政治の話が続く。さっつんのタレーラン、最高です!ちょっと気が早くて恐縮ですが、「銀ちゃんの恋」での活躍が楽しみだ!!
ジュゼッピーナを連れて銀橋へ出るナポレオン。
オーレリー(蓮水ゆうや)が登場し、リュシアンに何事か吹きこまれて(?)ちょっとおかしくなる、という芝居は、東宝にきてからはずっとやっていますね。
んー、トークスペシャルでも非常に大雑把な話しか出なかったので、もう少し詳細を聴いてみたいなあ……(←無理)
■第9場 ロンドン ~愛の迷宮~
前半の、ウィリアムとエマの銀橋場面は、結構良い場面になってきたなあと思います。
歌と芝居のタイミングがあってきたし、なんとなく掴みどころのないエマのふわふわした存在感が秀逸で。
エマの衣装が懐かしい(^ ^)
幕があがると、本舞台はネルソンの執務室。
大机に座って書類仕事をしているネルソンと、その脇をうろうろしながら聖書を……あのトム・アレンは何をしているんだ?「綴りを教えてくだせえ」って言ってるってことは、暗唱しながらそれを書いているのか?
あまり聖書をよく知らなので、カチャが毎日読んでいる個所がどんな訓えの中の文章なのかわからないのですが、、、しかし暗唱しているんだとしたら凄いなあ~。
以前はこの場面、トム・アレンが「綴りを教えてくだせえ~」って言ったときからネルソンが凄く不機嫌だったような気がするのですが、昨日は綴りを教えるところまでは普通で(ちょっと頭痛がイタイらしいですが)、トム・アレンが淹れてく入れたお茶のカップを取ろうとして距離感がつかめなかったときに急に機嫌が落ちたのがわかりました。
なんだか、あのギャップがたまりません♪
「キャプテンは変わった」
あたりの会話は、割とありがちな型どおりの台詞、という感じで、トム・アレンが何をそんなに怒っているのか伝わりにくいんですよねー。
「スコッチを」って言われたら、紅茶カップにスコッチをどぼどぼいれて供するとか、芝居として工夫できるところはいくらでもありそうなんですよね(涙)
うーん、難しいのかなあ……。
微妙に場面の途中ですが(汗)、取り急ぎここまでにしておきます。
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おめでとう、そして、ありがとう。
2010年8月8日 宝塚(宙)花影アリスちゃん、
舞姫あゆみちゃん、
千紗れいなさん、
輝海せいやさん、
ご卒業おめでとうございます。
みなさまの未来に、幸あらむことを。
皆の幸せを祈るのよ、ホレイシア(^ ^)。
お芝居の感想の方はまるっきり途中で止まっておりますが、とりあえず(^ ^)、宙組千秋楽公演を観劇することが出来ましたので、取り急ぎご報告を。
ここ数日で、木曜の夜公演、土曜の16時、日曜の11時半と16時(千秋楽)と、かなり連続で観劇させていただいたのですが。
毎回毎回、舞台のナマモノっぷりに驚くばかりでした。
なんとなく、大劇場ではかなり大きく変化することはあっても、東宝に来てからはある程度一定のラインが出来ているのが当たり前、と思っていました。そのラインの上で多少の色づけが違ったり、間の取り方で印象が変わったり、ということはあっても、観るたびに別人のように違ったりすることはないはず、と。
でも、今回の「トラファルガー」の登場人物たちは、みんな本当に観るたびにまるで別人みたいで。
あれだけ印象が変ると、毎回「な、なにがあったの?」と思ってしまうんですよね。
木曜日の夜公演を観て、エマの変化に愕然とし、
土曜日の夕方の公演でネルソンと彼を囲むイギリスメンバーの変化に驚愕し
楽の日の朝の公演でネルソンの変容ぶりにまたもや愕然として、
……そして千秋楽。
フランス陣営は、議員たちの場面での下級生の小芝居がだいぶ進化していたり、タレーラン(風羽玲亜)の小芝居がエスカレートしたりしていたくらいで、メインどころは安定していたのですが、とにかくイギリス海軍メンバーのぶっ飛び具合が素敵でした。
そして、千秋楽で、いきなり強気な『英雄ネルソン』に戻った祐飛さん。
ここ数日、変り続けていたいろんなピースが、ピタッとあるべきところに嵌った感があって、実にお見事でした。
凄いなあ。
ショーも観るたびにツボに来る場面が違っていて、宙組って自由な組だなあ、と、あらためて実感。
祐飛さんの柔軟さとぴったり合う、破れ鍋に綴じ蓋……いや、なにかもう少し表現があるだろうけど(汗)、なんだかそんな気がしました。
祐飛さんが以前、「すべては今、この宙組に来るためにあった」というようなことを仰っていましたが、私も今、この宙組をファンとして見守ることができて、とても幸せだと思っています。
博多座で幸せなお披露目をさせていただいてから、ちょうど一年。
今、胡蝶(アリス)を見送る祐飛さんの想いは、ただ想像することしかできませんが。
でも!!宙組の他のメンバーと比べたって、積み重ねてきた年月は違っても、濃さでは変らないと思うんですよね。
そのくらい、この一年はきっと、アリスにとっても濃い一年間だったと思う。
すっかり脱皮して「いい女」になったアリスの輝きは、真っ直ぐ視ることさえはばかられるほどに眩しくて。「女」っていうのは魅力的な生き物なんだな、と思いました。
アリスは「花影アリス」をまっとうして、今、宝塚を卒業していく。
それをしっかり見送ることができて、良かったです。
■お芝居のアドリブ
・ナポリ
ネルソンとハミルトンやフェルディナンド4世が会話をしている間、上手に立っている輝海くんのところに、次から次へといろんな人がやってきて激励していました。
なんか、「カサブランカ」のパリのレストランでもやっていたし、ああいう激励の仕方って宙組独特の慣習なのでしょうか…?月組花組ではあまり観なかったパターンだなあ。
・同じくナポリ
千鈴まゆちゃんとハーディー(悠未ひろ)のダンスで何かやらかしてくれるかな?と思ったのですが、そこはいつもどおり(いや、いつもよりちょっと派手だったかも?)で終了。なーんだと思っていたら、ハーディーが王子様たちと可愛い民族舞踊みたいなのを披露してくれました。可愛かったーー!!
・パレルモ
ハーディーの「こちらの若いツバメたちがマダムのお相手を」という台詞に合わせて、その場面に出演している「パレルモの男」たちがほとんど全員集合(^ ^)してポーズをとっていました。……「ツバメたち」って、そゆこと!?
ちなみに、このツバメたちの中には王子様もまざっていて、めっちゃ可愛かったです♪
芝居全体がずいぶん雰囲気が変っていたので、ある意味「全編これアドリブ」みたいな感じでしたけど(^ ^;ゞ、「アドリブ」といえるのはこのくらいかな。もし抜けがあったら教えてくださいm(_ _)m。
個人的には、ラストの前にエマとホレイシアを訪ねてくる場面のファニーが印象的。
エドマンドに
「ホレイシオがもうすぐ帰ってくる!!」
「ノーフォークへ帰ろう、ファニー」
と言われて、ほんの一瞬、今にもわっと泣きだしそうな表情を浮かべてから、そのまま綺麗な笑顔につないで
「ええ」
と答えるまでの表情の変化に、ぐっとこみ上げるものがありました。
ほんとうに、良い芝居をするようになったなあ、アリス(しみじみ)。
■ショーでつけていた花とアドリブ(?) 卒業生中心に。
・プロローグ
上手銀橋の千紗れいなちゃんは、白がメインでちょっと紺色(?)が入った花。
くらっちはピンク、アリスは白。輝海くんは千紗ちゃんのにちょっと似た白と紺のだったと思うのですが、一階席だったのでほとんど見えませんでした(T T)。
・太陽族
蘭トムさんが持っていたのは、一抱えもあるような特大のボードみたいなラヴ・レターに「アリス愛してる!」とキラキラの紙?を貼って大書きしたもの。
着替えるときも無理やり客席に向けて持っていて、すっしーさんがさりげなく持って行ってくれました。
アリスを着替えさせるあゆみさんの手には、白いヴェール。
アリスの頭にしっかりつけてあげて、それから、コートをばたばたと脱がせて去っていきました(^ ^)。
くらっちは白っぽい花を胸につけて可愛い笑顔で登場したのですが、少し踊ったところでふと観たら、瞳に涙をためて、うるうると泣きかけの笑顔でした。くらっちと組んでいたのは、同期の長のカチャ(凪七瑠海)。カチャ、なにかやったの?
そういえば、太陽族ではもう一つ、ツイストのところで、大がいきなり「異議あり!」ポーズをやって、蘭トムさんにポイ捨てされてたな(^ ^)。
……そのくらいかな?
・ひまわり
千紗ちゃんの胸にはミニひまわり。かわいーーーーっ!!
ラストは、いつもすみ花ちゃんに突つかれてばかりの祐飛さんが、すみ花ちゃんを突いてました。あげくに、二人で抱き合って「離さないよ!」だって。
……次は銀ちゃん(「だって銀ちゃん、傍に居てくれないじゃない……!!」)なのに、いいのかな(^ ^)。
・中詰め
くらっちもミニひまわりだったような気がします。
とにかく、くらっちが凄くキレイで、びっくり。
サニーのラストに、蘭トムさんくらっちにキスしてました(^ ^)。蘭トムさん、かっこいーーーーっ!!
アリスの花はオレンジのダリア(?)。華やかで美しい。
アリスと一緒に踊るみーちゃんとちーちゃん。場面がそろそろ終わる、というころにゴソゴソ何かやっているから、何かな?と思ったら、「8」と「8」というキラキラした素材で飾った立体文字が!!!
……88期って。
祐飛さんが出てくる前の掛け声も、すごい迫力で。
………おーい(滝汗)。
・プラズマ
くらっちは、白と黄色の小さな花を集めた、意外と大きめの花をつけていました。
ここの踊りは派手だから、花は無しかなーと思ったのですが(踊りにくそうだから)、そんなことは無いんですね。ダンス自体はあまり気にならなかったかな。ただ、かけるくん(風馬翔)がリフトするときに、支える手の置き場所に花があったみたいで、ちょっと手が泳いでたように見えましたが(^ ^;
珠洲さん、大海亜呼さん、くらっちがソロで踊るときに、一人一人の名前を呼ぶ蘭トムさんのアナウンスが入ったことに感動!!でも、えっちゃんとか、脚をあげた瞬間に名前を呼ばれて、思わず力がぬけたように見えました。要注意(^ ^;。
身体のラインの綺麗なダンスをするくらっちですが、千秋楽のジャンプの高さとポーズの美しさは、まさに「素晴らしい」という感じでした。
すごいなあ(*^ ^*)。
・太陽の戦士
卒業公演の千秋楽だからといって、こんなにあらゆる場面で花をつける組も珍しいと思うのですが、「太陽の戦士」のアリスは花はなし。この場面は「お芝居」カウントなのかな?
男役メンバーがともちんの「ハイエナ」の歌にあわせて踊る場面。
娘役たちは後方で皆、酒とグラスをもちよって、アリスにどんどん注いでいました(^ ^)。
ジョッキをにぎって一息に飲み干すアリスが、男前で格好良いことと言ったら!!
・ロケット
千紗ちゃんも輝海くんも、頭飾りに合わせたようなオレンジの花をつけていました。
可愛い~。
・パレード
プロローグの衣装なので、花もプロローグと同じだったかな。
みんな笑顔がキラキラと輝くようで、最後の公演をしっかりとまっとうしてくれました。
ご挨拶は、みんな良い声で、ハキハキと滑舌良く語ってくれました。
若干とぎれとぎれになったりもしましたが、皆良い挨拶だったと思います。
そんな中でも、アリスの男前な挨拶の最後を締める
「私の愛する、華麗なる88期生を、そして、ステキな祐飛さんが率いる大好きな宙組を、私と一緒に応援してくださいますよう」
という一言に、本当に冗談でも比喩でもなく、涙がぶわっと溢れました。
可愛いアリス。
優しいアリス。
男前な、アリス。
「ファントム」本公演で短いソロを歌っていた美少女に注目したあの夏から、はやいもので、もう6年が過ぎました。
お人形のように可愛いアリスちゃん。上にまちゃみ(美羽あさひ)、たっちん(和音美桜)と実力派の可愛い系娘役がいたせいか、なかなか芝居で重要な役が回ってこなくて、可愛い妹というイメージがつきすぎたのが、今となっては本当にもったいなかったなあ、と思います。
今の情感をもっと早くみせていたら、違う道もあったかもしれないのに。
あの可愛らしさも、男前なキャラクターも、本当に本当に愛おしい。
幸せになってほしい、と、本当に心から祈っています。
今日、宝塚を飛び立っていったみんなの、輝かしい未来に、乾杯!
.
舞姫あゆみちゃん、
千紗れいなさん、
輝海せいやさん、
ご卒業おめでとうございます。
みなさまの未来に、幸あらむことを。
皆の幸せを祈るのよ、ホレイシア(^ ^)。
お芝居の感想の方はまるっきり途中で止まっておりますが、とりあえず(^ ^)、宙組千秋楽公演を観劇することが出来ましたので、取り急ぎご報告を。
ここ数日で、木曜の夜公演、土曜の16時、日曜の11時半と16時(千秋楽)と、かなり連続で観劇させていただいたのですが。
毎回毎回、舞台のナマモノっぷりに驚くばかりでした。
なんとなく、大劇場ではかなり大きく変化することはあっても、東宝に来てからはある程度一定のラインが出来ているのが当たり前、と思っていました。そのラインの上で多少の色づけが違ったり、間の取り方で印象が変わったり、ということはあっても、観るたびに別人のように違ったりすることはないはず、と。
でも、今回の「トラファルガー」の登場人物たちは、みんな本当に観るたびにまるで別人みたいで。
あれだけ印象が変ると、毎回「な、なにがあったの?」と思ってしまうんですよね。
木曜日の夜公演を観て、エマの変化に愕然とし、
土曜日の夕方の公演でネルソンと彼を囲むイギリスメンバーの変化に驚愕し
楽の日の朝の公演でネルソンの変容ぶりにまたもや愕然として、
……そして千秋楽。
フランス陣営は、議員たちの場面での下級生の小芝居がだいぶ進化していたり、タレーラン(風羽玲亜)の小芝居がエスカレートしたりしていたくらいで、メインどころは安定していたのですが、とにかくイギリス海軍メンバーのぶっ飛び具合が素敵でした。
そして、千秋楽で、いきなり強気な『英雄ネルソン』に戻った祐飛さん。
ここ数日、変り続けていたいろんなピースが、ピタッとあるべきところに嵌った感があって、実にお見事でした。
凄いなあ。
ショーも観るたびにツボに来る場面が違っていて、宙組って自由な組だなあ、と、あらためて実感。
祐飛さんの柔軟さとぴったり合う、破れ鍋に綴じ蓋……いや、なにかもう少し表現があるだろうけど(汗)、なんだかそんな気がしました。
祐飛さんが以前、「すべては今、この宙組に来るためにあった」というようなことを仰っていましたが、私も今、この宙組をファンとして見守ることができて、とても幸せだと思っています。
博多座で幸せなお披露目をさせていただいてから、ちょうど一年。
今、胡蝶(アリス)を見送る祐飛さんの想いは、ただ想像することしかできませんが。
でも!!宙組の他のメンバーと比べたって、積み重ねてきた年月は違っても、濃さでは変らないと思うんですよね。
そのくらい、この一年はきっと、アリスにとっても濃い一年間だったと思う。
すっかり脱皮して「いい女」になったアリスの輝きは、真っ直ぐ視ることさえはばかられるほどに眩しくて。「女」っていうのは魅力的な生き物なんだな、と思いました。
アリスは「花影アリス」をまっとうして、今、宝塚を卒業していく。
それをしっかり見送ることができて、良かったです。
■お芝居のアドリブ
・ナポリ
ネルソンとハミルトンやフェルディナンド4世が会話をしている間、上手に立っている輝海くんのところに、次から次へといろんな人がやってきて激励していました。
なんか、「カサブランカ」のパリのレストランでもやっていたし、ああいう激励の仕方って宙組独特の慣習なのでしょうか…?月組花組ではあまり観なかったパターンだなあ。
・同じくナポリ
千鈴まゆちゃんとハーディー(悠未ひろ)のダンスで何かやらかしてくれるかな?と思ったのですが、そこはいつもどおり(いや、いつもよりちょっと派手だったかも?)で終了。なーんだと思っていたら、ハーディーが王子様たちと可愛い民族舞踊みたいなのを披露してくれました。可愛かったーー!!
・パレルモ
ハーディーの「こちらの若いツバメたちがマダムのお相手を」という台詞に合わせて、その場面に出演している「パレルモの男」たちがほとんど全員集合(^ ^)してポーズをとっていました。……「ツバメたち」って、そゆこと!?
ちなみに、このツバメたちの中には王子様もまざっていて、めっちゃ可愛かったです♪
芝居全体がずいぶん雰囲気が変っていたので、ある意味「全編これアドリブ」みたいな感じでしたけど(^ ^;ゞ、「アドリブ」といえるのはこのくらいかな。もし抜けがあったら教えてくださいm(_ _)m。
個人的には、ラストの前にエマとホレイシアを訪ねてくる場面のファニーが印象的。
エドマンドに
「ホレイシオがもうすぐ帰ってくる!!」
「ノーフォークへ帰ろう、ファニー」
と言われて、ほんの一瞬、今にもわっと泣きだしそうな表情を浮かべてから、そのまま綺麗な笑顔につないで
「ええ」
と答えるまでの表情の変化に、ぐっとこみ上げるものがありました。
ほんとうに、良い芝居をするようになったなあ、アリス(しみじみ)。
■ショーでつけていた花とアドリブ(?) 卒業生中心に。
・プロローグ
上手銀橋の千紗れいなちゃんは、白がメインでちょっと紺色(?)が入った花。
くらっちはピンク、アリスは白。輝海くんは千紗ちゃんのにちょっと似た白と紺のだったと思うのですが、一階席だったのでほとんど見えませんでした(T T)。
・太陽族
蘭トムさんが持っていたのは、一抱えもあるような特大のボードみたいなラヴ・レターに「アリス愛してる!」とキラキラの紙?を貼って大書きしたもの。
着替えるときも無理やり客席に向けて持っていて、すっしーさんがさりげなく持って行ってくれました。
アリスを着替えさせるあゆみさんの手には、白いヴェール。
アリスの頭にしっかりつけてあげて、それから、コートをばたばたと脱がせて去っていきました(^ ^)。
くらっちは白っぽい花を胸につけて可愛い笑顔で登場したのですが、少し踊ったところでふと観たら、瞳に涙をためて、うるうると泣きかけの笑顔でした。くらっちと組んでいたのは、同期の長のカチャ(凪七瑠海)。カチャ、なにかやったの?
そういえば、太陽族ではもう一つ、ツイストのところで、大がいきなり「異議あり!」ポーズをやって、蘭トムさんにポイ捨てされてたな(^ ^)。
……そのくらいかな?
・ひまわり
千紗ちゃんの胸にはミニひまわり。かわいーーーーっ!!
ラストは、いつもすみ花ちゃんに突つかれてばかりの祐飛さんが、すみ花ちゃんを突いてました。あげくに、二人で抱き合って「離さないよ!」だって。
……次は銀ちゃん(「だって銀ちゃん、傍に居てくれないじゃない……!!」)なのに、いいのかな(^ ^)。
・中詰め
くらっちもミニひまわりだったような気がします。
とにかく、くらっちが凄くキレイで、びっくり。
サニーのラストに、蘭トムさんくらっちにキスしてました(^ ^)。蘭トムさん、かっこいーーーーっ!!
アリスの花はオレンジのダリア(?)。華やかで美しい。
アリスと一緒に踊るみーちゃんとちーちゃん。場面がそろそろ終わる、というころにゴソゴソ何かやっているから、何かな?と思ったら、「8」と「8」というキラキラした素材で飾った立体文字が!!!
……88期って。
祐飛さんが出てくる前の掛け声も、すごい迫力で。
………おーい(滝汗)。
・プラズマ
くらっちは、白と黄色の小さな花を集めた、意外と大きめの花をつけていました。
ここの踊りは派手だから、花は無しかなーと思ったのですが(踊りにくそうだから)、そんなことは無いんですね。ダンス自体はあまり気にならなかったかな。ただ、かけるくん(風馬翔)がリフトするときに、支える手の置き場所に花があったみたいで、ちょっと手が泳いでたように見えましたが(^ ^;
珠洲さん、大海亜呼さん、くらっちがソロで踊るときに、一人一人の名前を呼ぶ蘭トムさんのアナウンスが入ったことに感動!!でも、えっちゃんとか、脚をあげた瞬間に名前を呼ばれて、思わず力がぬけたように見えました。要注意(^ ^;。
身体のラインの綺麗なダンスをするくらっちですが、千秋楽のジャンプの高さとポーズの美しさは、まさに「素晴らしい」という感じでした。
すごいなあ(*^ ^*)。
・太陽の戦士
卒業公演の千秋楽だからといって、こんなにあらゆる場面で花をつける組も珍しいと思うのですが、「太陽の戦士」のアリスは花はなし。この場面は「お芝居」カウントなのかな?
男役メンバーがともちんの「ハイエナ」の歌にあわせて踊る場面。
娘役たちは後方で皆、酒とグラスをもちよって、アリスにどんどん注いでいました(^ ^)。
ジョッキをにぎって一息に飲み干すアリスが、男前で格好良いことと言ったら!!
・ロケット
千紗ちゃんも輝海くんも、頭飾りに合わせたようなオレンジの花をつけていました。
可愛い~。
・パレード
プロローグの衣装なので、花もプロローグと同じだったかな。
みんな笑顔がキラキラと輝くようで、最後の公演をしっかりとまっとうしてくれました。
ご挨拶は、みんな良い声で、ハキハキと滑舌良く語ってくれました。
若干とぎれとぎれになったりもしましたが、皆良い挨拶だったと思います。
そんな中でも、アリスの男前な挨拶の最後を締める
「私の愛する、華麗なる88期生を、そして、ステキな祐飛さんが率いる大好きな宙組を、私と一緒に応援してくださいますよう」
という一言に、本当に冗談でも比喩でもなく、涙がぶわっと溢れました。
可愛いアリス。
優しいアリス。
男前な、アリス。
「ファントム」本公演で短いソロを歌っていた美少女に注目したあの夏から、はやいもので、もう6年が過ぎました。
お人形のように可愛いアリスちゃん。上にまちゃみ(美羽あさひ)、たっちん(和音美桜)と実力派の可愛い系娘役がいたせいか、なかなか芝居で重要な役が回ってこなくて、可愛い妹というイメージがつきすぎたのが、今となっては本当にもったいなかったなあ、と思います。
今の情感をもっと早くみせていたら、違う道もあったかもしれないのに。
あの可愛らしさも、男前なキャラクターも、本当に本当に愛おしい。
幸せになってほしい、と、本当に心から祈っています。
今日、宝塚を飛び立っていったみんなの、輝かしい未来に、乾杯!
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トラファルガーの奇跡【2】
2010年8月9日 宝塚(宙)残暑お見舞い申し上げます。
梅雨の真っ最中だった7月9日に初日を迎え(初日が終わった後に大雨が降ったな、そういえば)、立秋(8月7日)の翌日に千秋楽を迎えた宙組公演。
いやー、まだ夏が終わったわけではありませんが、それにしても、ほんの数日前の公演中とは雲泥の差がある気候に、ソーラーパワーとゆーか宙組パワーとゆーか……なにか非日常的なパワーを感じます。
さっそく月組の年末~正月のラインナップが発表になったり、宙組の次回大劇場公演「誰がために鐘は鳴る」の制作発表があったり……劇団も宙組っ子も、みんな次の公演に向けて全力投球!なところで、終わってしまった作品を引っ張るのは個人的にあまり好きではないのですが、、、、
あと少しなので書かせていただきたいと思います。
あ、でも、その前に!!
(桐生)園加、バウ主演、おめでとうございます!!
宙組東宝公演真っ最中ですが、あまり気にせず(←おい)楽しみにしたいと思います♪
それにしても。
あああ、こんな楽しそうな公演があるというのに、みっぽー、あなたは何故いってしまうの……(号泣)
それでは、「Trafalgar ~ネルソン、その愛と奇跡~」のつづき。
■第9場B ロンドン ~愛の迷宮~(つづき)
ネルソンに反発して飛び出していったトム・アレン(凪七瑠海)と入れ違いに、ハーディー(悠未ひろ)が部屋にはいってくる。
ハミルトン卿からの手紙を渡して、ネルソンの様子をうかがうときの様子が、まさにおあずけをくらった大型犬みたいで可愛いです♪
海軍内では和平交渉の話も出ている、とほのめかされて、激昂するネルソン。
「仮に条約を締結しても、あのナポレオンがおとなしくしているはずがない!!」
えーっと。
イギリスはこのとき、一連のナポレオン戦争における唯一の勝利者、という立場にあります。
陸での戦いがメインとなる、陸続きの大国(オーストリー、プロイセンなど)は悉く獅子に敗れ、スペインもイタリアも事実上ナポレオンの支配下に降っている。そんな中で、ナポレオンが門外漢である海だけは、イギリスの制海権を許している。そんな状況。
フランス(ナポレオン)にしてみれば、海の上では煩いけれども陸の上での戦いには関係のないイギリスを棚上げにして、とりあえず陸続きの国々を黙らせたいのが本音。ヨーロッパ半島を制圧すれば、さすがのイギリス海軍も補給路(基地)を維持できなくなって戦争が継続できなくなるのですから、当然の発想です。
イギリス側にしてみれば、自分たちが主役でいられる海での戦いで主導権を握り、存在感を示さなくてはならない。その間に他の国々がつぶし合って、共倒れてくれればラッキー(はぁと)だけど、そう巧くはいかないだろう。イギリス一国でヨーロッパ全体と闘う体力が無いことは明らかなのだから、他国が一緒に戦ってくれているうちに、決定的な勝利を掴まなければ、と焦る。
そのへんの心情はなんとなくわかるんです。でも、
「トマス、君は何故戦う?」
「国王陛下のため、そして、愛するものたちを守るため」
「……その通りだ、トマス。それこそが戦いの大義だ!!」
という感動的な会話が、、、構成上、ここにくる理由がよく判らない(涙)。>斎藤さん
何が言いたいかとゆーと、この会話より前に、ネルソンが「戦いの義」に疑念を抱く場面がないと、せっかくの良い場面が勿体無いってことです。
だって、この会話の直前になにをやっていたかというと、トム・アレンとの痴話喧嘩(←違うから)ですよ。ハミルトン夫人との浮気を責められ(←って書くと、トムが正妻みたいだな)、ヒステリーを起こして別れ話になったネルソンとトム(←そもそも付き合ってないってば!)。
パレルモでの「世紀のキス」で暗転して、次の場面でジョサイアに「父上は(愛する女性と一緒だから)この家には帰ってこないでしょう」と言われ、
トム・アレンに「ハミルトン夫人と会えなくなってから、キャプテンは変わった」と言われてしまうホレイシオ。
彼に「戦いの義とは?」と問われても、普通は困るよねえ…とか思ってしまいました。いや、ハーディーは困らなかったようですが(汗)。
この前のナポリ出動は、それこそ「義」のためだけの出陣で、国の命令さえ無視して、尊敬する友人たちへの個人の誠意を示すための戦いでした。
この「義」のための戦いが認められなかったことから来る不満なのであれば、そういう場面を間にはさむべきだと思うんですよね。それがあれば、「せっかく義のために出陣したのに、それは認められないのか……俺は今まで何のために戦ってきたのだ」とかいう独白もできるし、この会話にすんなり続くじゃないですか。
パレルモで「お咎めは避けられないであろう」とハーディーに言わせるくらいなら、実際に咎められる場面を作っちゃえばいいのに。ネルソンとヘンリー王子の関係から考えて、制裁として与えられる命令が「謹慎」であるのはありそうな話だし、ただでさえ嫌いな書類仕事に没頭させられ、しかもそれが自分の信じた「義」を貫いた結果となれば、ネルソンの機嫌が悪いのも当たり前。
なのに、それを「ハミルトン夫人と会えなくなって、キャプテンは変わった」だなんて見当違いなことを言い出す幼いトム・アレンに腹が立つ。「俺が悩んでいるのはそんなことじゃない。もっと高尚なことだ!」
でも、実際には、それも一面の真実だったりするから、咄嗟に振り上げたこぶしの持っていきどころがないままに、トム・アレンを行かせてしまう……そんな感じかなあ。
もしそういう事情であるならば、ジョサイアがネルソンが謹慎をくらったことを知らなくても不思議はない。現ナポリ王を救って貸しを作ったことは事実だから、表向きはお咎めなしになった。でも、実際には海軍省に留め置かれた……そんな感じ。そう考えれば、細かい謎が全部解決する。
でも、今の脚本はそういう組み立てになっていないので、、、なんだかすごく、この感動的な会話に素直に入れない(涙)のが、とても残念です。
そんな会話がひと段落ついたところで、ノックの音が。
アルバート(鳳翔大)が、エドマンド(風莉じん)・ファニー(花影アリス)と侍女(綾音らいら)を案内してくる。
早速始まった『冷めきった夫婦の会話』にオロオロする大くんの肩をさりげなく叩いて、「何をしている、行くぞ」とフォローするともちんがとても格好良かったです♪
音楽に乗せたさりげない会話。
最近多い手法ですが、いろんなトークを聞いていると、拍にあわせて会話をしつつ歌いつつ、という作品の方が、全編歌でつづられる作品よりも「感情を乗せる」という意味では難しいみたいですね。慣れの問題もあるのかもしれませんが、歌と台詞で発声の違う役者も(特に宝塚には)多いので、それを揃えるだけでも一苦労ですよね。しかしアリスは巧いなあ(*^ ^*)。あの嫌味な笑顔が素晴らしい。
この場面とは関係ないんですけど、みっちゃん(北翔海莉)の今回の苦戦はそのせいかな、と思ったり。もともと声が高いのを男役用に矯正したときに、歌用の発声と台詞用の発声が違う響きになってしまっていたので、歌と台詞がなめらかにつながらないんですよね。その点では、新公の(鳳樹)いちくんは巧かったなあ……。
■第9場C ロンドン ~愛の迷宮~
そのまま暗転、盆が回ってプラザのレストランへ。
下手側でコートを脱ぐファニー、コートを受け取って袖へ下がるミリー。
上手から登場するハミルトン、さりげなくテーブルへ案内しながら、笑顔で問いかける。
「そちらは?」
「はじめまして、ネルソンの妻です」
「これはまた、楽しい晩餐になりそうですな!」
ウィリアムさんの、嫌味な笑い声が素敵です。
エマと母親が登場。ネルソンの顔を見つめて、凍りつくエマ。
「ホレイシオ……」
美しい笑顔で立ち上がるファニー。
「ネルソンが大変お世話になっているようで…」
「はじめまして、レディ・ネルソン」
「ファニーって呼んで?」
ファニーの笑顔には隙がない。完全武装の、メタルな輝き。
そして、その輝きをまぶしそうに見つめる仔ウサギの、柔らかな毛並み。怯えたわけではなく、ただ、何が起きたのか理解できていない風情で。
さりげなく空気を読まない美風さんが大好きだ♪
『何故あなたがここに?』
『私はウィリアムに呼び出されただけだ…』
エマとネルソンの、心の会話。
今明かされる真実。「私たちは似ている」って、「二人とも同じ能力(テレパシー)を持った特殊な血族」って意味だったんですかっ!?
←納得すんな!!
作り笑いを浮かべるファニーは、凄艶なまでに美しい。
「パレルモはいかがでしたか?」
これだけの情を持って憎しみを描き出せる女優になったアリスが、宝塚を去った後、どんな活躍をしてくれるのか、とても楽しみです(真剣)。
そしてエマは、この『現実』を生きていない。
彼女にとって、今この場には、ホレイシオと自分しかいない。心のすべてをホレイシオに向けて、脊髄のほんの一部だけで、反射的にファニーの問いかけに答えている。
「革命騒ぎが嘘のような穏やかな日々でした」
うっとりと、夢見るように。
「カジノでカード遊びに興じたり、楽しい年の瀬を過ごされたり?」
妻からの実に的確な攻撃に、耐えかねて逃げ出すネルソン。
後も見ずに、彼を追うエマ。
パレルモの時と同様、咄嗟に追いかけることの出来ないウィリアム、そして、唇を噛んでテーブルを睨みすえるファニー。
テーブルに残された二人のなんとも言い難い表情が、「愛」を説明することの難しさを語っているかのようです。
銀橋でお互いの愛を確かめ合う二人。
英雄ネルソンのスキャンダルを恐れ、離婚を拒否するエマ。(←不倫ならいいのか?)興奮したあげく、貧血で倒れてしまう。妊娠初期の不安定な時期にあんな緊張を強いられたら倒れもしますわね。
銀橋の真中で倒れて、そのままネルソンの肩を借りて苦しげに銀橋を戻るところが、暗転後なのにちゃんと演技していたのが面白かったです。
■第10場 コペンハーゲン
1801年4月2日。当時の海戦がそういうものなのか、ネルソンが特別なのかわかりませんが、どの戦いも一日で終わっているんですね(^ ^)。
この戦いは確かに、あまり義のある戦いとは言い難い経緯で戦争に至っていますが、それなりに対ナポレオン的には必要な戦いではあったんですよね。シビリアンたちの外交的失敗の後始末ではありましたが。
ネルソンにとっては「義のない戦い」に分類されてしまいましたが……。それで利き腕を喪ったんだから、やりきれなかっただろうなあ。
危ないところをネルソンに助けられたジョサイアが、ネルソンの手を拒否するところが結構好きです。あのとき拒否した右手は、二度と差し出されることはないので。
あれで、救われた瞬間に「偉大な英雄」を憧れの眼で見る芝居がもう少し明解に挟まると、もっと良かったかも。(新公の七生くんがそんな感じで凄くよかったので)
そういえば。ネルソンの「愛する者」の中にはジョサイアは入っているんですけれども、ファニーは入っているのでしょうか…?
腕を斬られたネルソンがセリ下がると同時に、上手花道でナポレオン・リュシアン(春風弥里)・タレーラン(風羽玲亜)の会話が始まる。
いやー、ここの会話、大好きだ(はぁと)。腹の探り合いが素晴らしい!!っていうか、さっつん素敵すぎます。いやあ、今後が本当に楽しみ★
■第11場A ロンドン
コペンハーゲンの戦いの前に他国とはほぼ休戦していたフランスは、最後まで残っていた敵国イギリスと和平交渉をし、1802年に条約を結ぶ。その後、後顧の憂いなく内政の充実につとめたナポレオンは、1804年に皇帝として即位する……。
……という歴史の流れはさておいて。
あくまでもフランスとの戦いを主張する海軍側と、国力の疲弊や他国の情勢から、和平を是とする政府側の対立。
これはつまり、戦えば勝利することが分かっている海軍側と、個別の戦いの勝利では、もはや世界情勢が動かせないことがわかっている政府側の対立、という図式。
先日、私はネルソンと「銀河英雄伝説」のミラクル・ヤンことヤン・ウェンリーの類似ということを書きましたが。
好戦的な英雄ネルソンと、厭戦的な英雄ヤン・ウェンリー。二人の考え方の根幹は全く逆なんですよね。まさに、戦えば勝利することが判っているネルソンと、戦って勝利しても、それは局地的な勝利でしかないことが判っているヤンと。
いや、本当のネルソンはそのあたりも判っていたのかもしれませんが、斎藤さんの描くネルソン像を冷静に読むと、そんな感じです。ただ、それに祐飛さんがちゃんと深みをつけて、単純な好戦派の軍人ではない、というのを見せていたのが凄いなあ、と。だからヤン・ウェンリーとの連想も沸いたのかも。
斎藤さんも、ああいう脚本を渡して、そのギャップを埋めるのは役者本人に任せていたのかもしれませんね。さすがだなあ。
……そこが、新公との一番大きな違いだったかもしれません。りくくんのネルソンも、若々しく情熱的な英雄で、とても魅力的ではありましたが(^ ^)、ヤンには見えなかったので(←別に、そう見える必要はないんだけど)
.
梅雨の真っ最中だった7月9日に初日を迎え(初日が終わった後に大雨が降ったな、そういえば)、立秋(8月7日)の翌日に千秋楽を迎えた宙組公演。
いやー、まだ夏が終わったわけではありませんが、それにしても、ほんの数日前の公演中とは雲泥の差がある気候に、ソーラーパワーとゆーか宙組パワーとゆーか……なにか非日常的なパワーを感じます。
さっそく月組の年末~正月のラインナップが発表になったり、宙組の次回大劇場公演「誰がために鐘は鳴る」の制作発表があったり……劇団も宙組っ子も、みんな次の公演に向けて全力投球!なところで、終わってしまった作品を引っ張るのは個人的にあまり好きではないのですが、、、、
あと少しなので書かせていただきたいと思います。
あ、でも、その前に!!
(桐生)園加、バウ主演、おめでとうございます!!
宙組東宝公演真っ最中ですが、あまり気にせず(←おい)楽しみにしたいと思います♪
それにしても。
あああ、こんな楽しそうな公演があるというのに、みっぽー、あなたは何故いってしまうの……(号泣)
それでは、「Trafalgar ~ネルソン、その愛と奇跡~」のつづき。
■第9場B ロンドン ~愛の迷宮~(つづき)
ネルソンに反発して飛び出していったトム・アレン(凪七瑠海)と入れ違いに、ハーディー(悠未ひろ)が部屋にはいってくる。
ハミルトン卿からの手紙を渡して、ネルソンの様子をうかがうときの様子が、まさにおあずけをくらった大型犬みたいで可愛いです♪
海軍内では和平交渉の話も出ている、とほのめかされて、激昂するネルソン。
「仮に条約を締結しても、あのナポレオンがおとなしくしているはずがない!!」
えーっと。
イギリスはこのとき、一連のナポレオン戦争における唯一の勝利者、という立場にあります。
陸での戦いがメインとなる、陸続きの大国(オーストリー、プロイセンなど)は悉く獅子に敗れ、スペインもイタリアも事実上ナポレオンの支配下に降っている。そんな中で、ナポレオンが門外漢である海だけは、イギリスの制海権を許している。そんな状況。
フランス(ナポレオン)にしてみれば、海の上では煩いけれども陸の上での戦いには関係のないイギリスを棚上げにして、とりあえず陸続きの国々を黙らせたいのが本音。ヨーロッパ半島を制圧すれば、さすがのイギリス海軍も補給路(基地)を維持できなくなって戦争が継続できなくなるのですから、当然の発想です。
イギリス側にしてみれば、自分たちが主役でいられる海での戦いで主導権を握り、存在感を示さなくてはならない。その間に他の国々がつぶし合って、共倒れてくれればラッキー(はぁと)だけど、そう巧くはいかないだろう。イギリス一国でヨーロッパ全体と闘う体力が無いことは明らかなのだから、他国が一緒に戦ってくれているうちに、決定的な勝利を掴まなければ、と焦る。
そのへんの心情はなんとなくわかるんです。でも、
「トマス、君は何故戦う?」
「国王陛下のため、そして、愛するものたちを守るため」
「……その通りだ、トマス。それこそが戦いの大義だ!!」
という感動的な会話が、、、構成上、ここにくる理由がよく判らない(涙)。>斎藤さん
何が言いたいかとゆーと、この会話より前に、ネルソンが「戦いの義」に疑念を抱く場面がないと、せっかくの良い場面が勿体無いってことです。
だって、この会話の直前になにをやっていたかというと、トム・アレンとの痴話喧嘩(←違うから)ですよ。ハミルトン夫人との浮気を責められ(←って書くと、トムが正妻みたいだな)、ヒステリーを起こして別れ話になったネルソンとトム(←そもそも付き合ってないってば!)。
パレルモでの「世紀のキス」で暗転して、次の場面でジョサイアに「父上は(愛する女性と一緒だから)この家には帰ってこないでしょう」と言われ、
トム・アレンに「ハミルトン夫人と会えなくなってから、キャプテンは変わった」と言われてしまうホレイシオ。
彼に「戦いの義とは?」と問われても、普通は困るよねえ…とか思ってしまいました。いや、ハーディーは困らなかったようですが(汗)。
この前のナポリ出動は、それこそ「義」のためだけの出陣で、国の命令さえ無視して、尊敬する友人たちへの個人の誠意を示すための戦いでした。
この「義」のための戦いが認められなかったことから来る不満なのであれば、そういう場面を間にはさむべきだと思うんですよね。それがあれば、「せっかく義のために出陣したのに、それは認められないのか……俺は今まで何のために戦ってきたのだ」とかいう独白もできるし、この会話にすんなり続くじゃないですか。
パレルモで「お咎めは避けられないであろう」とハーディーに言わせるくらいなら、実際に咎められる場面を作っちゃえばいいのに。ネルソンとヘンリー王子の関係から考えて、制裁として与えられる命令が「謹慎」であるのはありそうな話だし、ただでさえ嫌いな書類仕事に没頭させられ、しかもそれが自分の信じた「義」を貫いた結果となれば、ネルソンの機嫌が悪いのも当たり前。
なのに、それを「ハミルトン夫人と会えなくなって、キャプテンは変わった」だなんて見当違いなことを言い出す幼いトム・アレンに腹が立つ。「俺が悩んでいるのはそんなことじゃない。もっと高尚なことだ!」
でも、実際には、それも一面の真実だったりするから、咄嗟に振り上げたこぶしの持っていきどころがないままに、トム・アレンを行かせてしまう……そんな感じかなあ。
もしそういう事情であるならば、ジョサイアがネルソンが謹慎をくらったことを知らなくても不思議はない。現ナポリ王を救って貸しを作ったことは事実だから、表向きはお咎めなしになった。でも、実際には海軍省に留め置かれた……そんな感じ。そう考えれば、細かい謎が全部解決する。
でも、今の脚本はそういう組み立てになっていないので、、、なんだかすごく、この感動的な会話に素直に入れない(涙)のが、とても残念です。
そんな会話がひと段落ついたところで、ノックの音が。
アルバート(鳳翔大)が、エドマンド(風莉じん)・ファニー(花影アリス)と侍女(綾音らいら)を案内してくる。
早速始まった『冷めきった夫婦の会話』にオロオロする大くんの肩をさりげなく叩いて、「何をしている、行くぞ」とフォローするともちんがとても格好良かったです♪
音楽に乗せたさりげない会話。
最近多い手法ですが、いろんなトークを聞いていると、拍にあわせて会話をしつつ歌いつつ、という作品の方が、全編歌でつづられる作品よりも「感情を乗せる」という意味では難しいみたいですね。慣れの問題もあるのかもしれませんが、歌と台詞で発声の違う役者も(特に宝塚には)多いので、それを揃えるだけでも一苦労ですよね。しかしアリスは巧いなあ(*^ ^*)。あの嫌味な笑顔が素晴らしい。
この場面とは関係ないんですけど、みっちゃん(北翔海莉)の今回の苦戦はそのせいかな、と思ったり。もともと声が高いのを男役用に矯正したときに、歌用の発声と台詞用の発声が違う響きになってしまっていたので、歌と台詞がなめらかにつながらないんですよね。その点では、新公の(鳳樹)いちくんは巧かったなあ……。
■第9場C ロンドン ~愛の迷宮~
そのまま暗転、盆が回ってプラザのレストランへ。
下手側でコートを脱ぐファニー、コートを受け取って袖へ下がるミリー。
上手から登場するハミルトン、さりげなくテーブルへ案内しながら、笑顔で問いかける。
「そちらは?」
「はじめまして、ネルソンの妻です」
「これはまた、楽しい晩餐になりそうですな!」
ウィリアムさんの、嫌味な笑い声が素敵です。
エマと母親が登場。ネルソンの顔を見つめて、凍りつくエマ。
「ホレイシオ……」
美しい笑顔で立ち上がるファニー。
「ネルソンが大変お世話になっているようで…」
「はじめまして、レディ・ネルソン」
「ファニーって呼んで?」
ファニーの笑顔には隙がない。完全武装の、メタルな輝き。
そして、その輝きをまぶしそうに見つめる仔ウサギの、柔らかな毛並み。怯えたわけではなく、ただ、何が起きたのか理解できていない風情で。
さりげなく空気を読まない美風さんが大好きだ♪
『何故あなたがここに?』
『私はウィリアムに呼び出されただけだ…』
エマとネルソンの、心の会話。
今明かされる真実。「私たちは似ている」って、「二人とも同じ能力(テレパシー)を持った特殊な血族」って意味だったんですかっ!?
←納得すんな!!
作り笑いを浮かべるファニーは、凄艶なまでに美しい。
「パレルモはいかがでしたか?」
これだけの情を持って憎しみを描き出せる女優になったアリスが、宝塚を去った後、どんな活躍をしてくれるのか、とても楽しみです(真剣)。
そしてエマは、この『現実』を生きていない。
彼女にとって、今この場には、ホレイシオと自分しかいない。心のすべてをホレイシオに向けて、脊髄のほんの一部だけで、反射的にファニーの問いかけに答えている。
「革命騒ぎが嘘のような穏やかな日々でした」
うっとりと、夢見るように。
「カジノでカード遊びに興じたり、楽しい年の瀬を過ごされたり?」
妻からの実に的確な攻撃に、耐えかねて逃げ出すネルソン。
後も見ずに、彼を追うエマ。
パレルモの時と同様、咄嗟に追いかけることの出来ないウィリアム、そして、唇を噛んでテーブルを睨みすえるファニー。
テーブルに残された二人のなんとも言い難い表情が、「愛」を説明することの難しさを語っているかのようです。
銀橋でお互いの愛を確かめ合う二人。
英雄ネルソンのスキャンダルを恐れ、離婚を拒否するエマ。(←不倫ならいいのか?)興奮したあげく、貧血で倒れてしまう。妊娠初期の不安定な時期にあんな緊張を強いられたら倒れもしますわね。
銀橋の真中で倒れて、そのままネルソンの肩を借りて苦しげに銀橋を戻るところが、暗転後なのにちゃんと演技していたのが面白かったです。
■第10場 コペンハーゲン
1801年4月2日。当時の海戦がそういうものなのか、ネルソンが特別なのかわかりませんが、どの戦いも一日で終わっているんですね(^ ^)。
この戦いは確かに、あまり義のある戦いとは言い難い経緯で戦争に至っていますが、それなりに対ナポレオン的には必要な戦いではあったんですよね。シビリアンたちの外交的失敗の後始末ではありましたが。
ネルソンにとっては「義のない戦い」に分類されてしまいましたが……。それで利き腕を喪ったんだから、やりきれなかっただろうなあ。
危ないところをネルソンに助けられたジョサイアが、ネルソンの手を拒否するところが結構好きです。あのとき拒否した右手は、二度と差し出されることはないので。
あれで、救われた瞬間に「偉大な英雄」を憧れの眼で見る芝居がもう少し明解に挟まると、もっと良かったかも。(新公の七生くんがそんな感じで凄くよかったので)
そういえば。ネルソンの「愛する者」の中にはジョサイアは入っているんですけれども、ファニーは入っているのでしょうか…?
腕を斬られたネルソンがセリ下がると同時に、上手花道でナポレオン・リュシアン(春風弥里)・タレーラン(風羽玲亜)の会話が始まる。
いやー、ここの会話、大好きだ(はぁと)。腹の探り合いが素晴らしい!!っていうか、さっつん素敵すぎます。いやあ、今後が本当に楽しみ★
■第11場A ロンドン
コペンハーゲンの戦いの前に他国とはほぼ休戦していたフランスは、最後まで残っていた敵国イギリスと和平交渉をし、1802年に条約を結ぶ。その後、後顧の憂いなく内政の充実につとめたナポレオンは、1804年に皇帝として即位する……。
……という歴史の流れはさておいて。
あくまでもフランスとの戦いを主張する海軍側と、国力の疲弊や他国の情勢から、和平を是とする政府側の対立。
これはつまり、戦えば勝利することが分かっている海軍側と、個別の戦いの勝利では、もはや世界情勢が動かせないことがわかっている政府側の対立、という図式。
先日、私はネルソンと「銀河英雄伝説」のミラクル・ヤンことヤン・ウェンリーの類似ということを書きましたが。
好戦的な英雄ネルソンと、厭戦的な英雄ヤン・ウェンリー。二人の考え方の根幹は全く逆なんですよね。まさに、戦えば勝利することが判っているネルソンと、戦って勝利しても、それは局地的な勝利でしかないことが判っているヤンと。
いや、本当のネルソンはそのあたりも判っていたのかもしれませんが、斎藤さんの描くネルソン像を冷静に読むと、そんな感じです。ただ、それに祐飛さんがちゃんと深みをつけて、単純な好戦派の軍人ではない、というのを見せていたのが凄いなあ、と。だからヤン・ウェンリーとの連想も沸いたのかも。
斎藤さんも、ああいう脚本を渡して、そのギャップを埋めるのは役者本人に任せていたのかもしれませんね。さすがだなあ。
……そこが、新公との一番大きな違いだったかもしれません。りくくんのネルソンも、若々しく情熱的な英雄で、とても魅力的ではありましたが(^ ^)、ヤンには見えなかったので(←別に、そう見える必要はないんだけど)
.
トラファルガーの奇跡【3】
2010年8月11日 宝塚(宙)突然ですが。
今CSを観ていたら、星組バウ公演のCMらしきものが流れていました。
……爆笑しました。実際の舞台を観ても笑ってしまいそうです(^ ^)。
CMって、そういえば木村さんの「君を愛してる」では何パターンもやっていましたよね。
コメディじゃないと創りにくいのかな。同じ木村さんでも「誰がために鐘は鳴る」では作ってくれそうにないもんね……。
余談はそんなところにして、宙組東宝劇場公演「トラファルガー」について。
■第11場A ロンドン(つづき)
イギリス海軍の司令室(?)での会話がおわり、幕がおりる。
幕前に取り残されたネルソンのもとに、上手からジョサイア(愛月ひかる)が登場。
この作品における「名場面」のひとつ。
齋藤さんは、男女の愛よりも血のつながった相手に対する愛や憎しみをより深く描きたがる傾向があるのですが、今回も「夫婦の情」より「親子の情」を前面に出して、そして、見事に成功しました。
今まで「提督」とか「キャプテン」としか呼ばなかった息子が、、初めて自分を「父上」と呼んだ瞬間のかすかな喜びの表情がすごく好きでした。
この場面でのジョサイアは、大劇場の前半を思えば別人のように良い芝居をするようになってくれて、とても嬉しかったです。ジョサイアは作品的にもキーパーソンなので、愛月くんが期待に応えてくれたからこそ作品もレベルアップしたと思うし、これからもがんばってほしいなと思います。
■第11場B ロンドン ~賭け~
幕があがると、ハミルトン邸の庭。キャドガン夫人(美風舞良)が赤児を抱いている。
「♪天使の微笑 可愛いホレイシア」
どうか神様、と祈りながら。
眩い光に包まれた「幸い」の場面。
そこに入ることのできないネルソンの孤独が、よけいに沁みました(T T)。
「娘にかたく言われました あなたをホレイシアに逢わせてはいけないと」
孤独な男から目を逸らして、貴婦人が告げる。
「どうかこの手にホレイシアを!」
血を吐くような叫びにも背を向けて。
「エマも私も、ハミルトン家に厄介になっている身なのです」
細い肩を震わせながら、それでも毅然として。
「……許して」
悄然と立ち尽くす英雄の背中に、遠慮がちな声がかかる。
「父上」
たとえ理解しあったばかりの息子に軽蔑されたとしても、それでも知っておいてほしかった、と呟く弱さと、そして、揺らがない強さ。
愛しているものを「愛している」と胸を張って言うことに確信がある、というのが素晴らしいなと思います。
そんなネルソンに声をかけるハミルトン。
「その片腕が激戦の証か」
……先日の「齋藤くんの日本語突っ込みコーナー」には入れませんでしたが、この台詞もなんかおかしいですね、そういえば。「その右腕が」ならわかるんですけど。
「君も人の親だったわけだね」
……会話の流れ的に、ハミルトンのこの台詞はジョサイアのことを言っているような気がするのですが、これに対するネルソンの答えがホレイシアのことを言っているように聞こえるので……毎回「あれっ?」と思っていました。
本当はどういう意味だったんでしょうね(^ ^)。
ハミルトンがここで持ち出す「賭け」。
この人は、ホレイシオの勝利を信じきっていて、ひとかけらの疑いも無いんだな、と思いました。
最初からエマを自由にするつもりで、でも「ただで」譲るのは悔しいから条件をつける……そんな感じ。
彼はもう、エマへの愛情を自覚しているから。
愛していれば、彼女の幸せを希むのが人情というもの。自分の許にいるよりもホレイシオと居る方が幸せなのが明らかならば、まして子供ができた以上は、もう自分ではどうすることもできないのですから。
そもそも、ホレイシオが敗れたらイコール、イギリスはナポレオンのフランスによって蹂躙されることになるわけで。そうなったら、自分自身だってどうなるかわからない。エマどころの騒ぎではないかもしれない。
そうなる前に、ホレイシオを縛ってしまいたい。
エマのために。エマへの愛のために。
……史実では、ハミルトンとエマとホレイシオは三人で暮らしていた時期があるくらい、この三人の関係は複雑なのですが、そのへんはフィクションで処理した齋藤さんのセンスを買いたいと思います♪
■第11場C ロンドン ~忘れられぬ人~
ホレイシオ、ウイリアム、エマ、ファニーの4人で歌われるビッグナンバー。
「♪忘れられないひと」
「♪我が言葉は あなたを苦しめていた……」
すれ違い、行き違う、4人の男女。
「♪懺悔さえ許されることのない罪びとたち」
「♪それでもいい」
「♪あなたに逢いたい」
忘れられない、ひと。
幻想の空間の中で、忘れてしまおうとしたひとに謝罪するネルソン。
「苦しめてきたな…」
幻想の空間の中で、初めて素直になった、ファニー。
「ジョサイアを助けてくれて、ありがとう」
一度はいとおしんだ妻の貌から目を逸らして、不実な夫は告げる。
「こんな私でも、彼の父親だ」
彼の父親で、そして、あなたの夫だった。
こんな私だけれども、それでも。
「……わたしは、レディ・ネルソンになれていたのかしら…」
レディ・ハミルトンの前ではそう名乗ったけれども、貴男の前でそう名乗ることが出来るのかしら。
お互いに目を合わせることなく、すれ違ったままに。
それでも。
出陣していく男を、妻は祈りとともに見送ったのでしょうか。
初めて気付いた、「レディ・ネルソン」の自覚をもって。
■第12場A 前夜(ロンドン)
フランスの宣戦布告を受けて、右往左往する軍人たち。
ホレイシオをアサインするだけで精一杯かよ(汗)と毎回思ってました(すみません)。
■第12場B 前夜(パリ)
このあたりは、トラファルガー海戦の「前夜」だから、1805年の秋なんですよね。
このときナポレオンは36歳。ちなみにリュシアン(春風弥里)が30歳、タレーラン(風羽玲亜)が51歳、フーシェ(光海舞人)が46歳。
もっとちなみに、ネルソンが47歳、バラス(鳳樹いち)50歳、シェイエス(天玲美音)57歳、ですね。ナポレオンって若かったんだなあ。……あまりそういう気がしないけど(^ ^;ゞ
そして、この場面を観ていて思ったこと。
「オーレリー、お前にとっての戦いの義とは何だ」
「それは、愛するものを奪った仇への報復」
「立派な義だ」
この会話をさせるために、オーレリー・バイロンという役はああいう役になったんだろうなあ、と。
何度か書いているような気がしますが、この役は本来ならただの「装填された銃」であるべきだと思うんですよね。
それでも、ネルソンの求める「義」に対するナポレオンの「義」を説明するために、ああいう役にならざるをえなかった……ような気がしました。
うーん、もうちょっと違うアプローチもあったんじゃないかと思うんだけどな……でも、対案がある訳ではないから仕方ないか(T T)。
■第12場C 指令(ロンドン)
このあたり、ロンドンの海軍省からそのまま幕を降ろさず、ちょっと脇にのけるだけでパリの様子を垣間見せ(しかもロンドンのオーレリーと会話までさせちゃう汗)、あげくに、さらに奥からネルソンが登場する……という流れにちょっとびっくりしました。最近の流行だと盆を回しそうなところなのに、それもしないのか!と(^ ^;
「頼もしいぞ!我が愛する友よ!」
と言って、ネルソンの手をぎゅっと握る王子殿下は、何か確信犯のような気がしてなりません……
そして、新人公演ではこの場面で物凄く心配そうにネルソンを見凝めるサー・ジャービス(月映樹茉)の視線に嵌った私でした。……うーん、珠洲さんのクールな視線もそれはそれでいいんだけど、あのえなちゃんの視線はすごく雄弁だった!!(←気のせい)
■第12場D 別れ(ロンドン)
またもや幕前に取り残されるネルソン。
ハミルトン邸の庭(?)にたたずむエマの姿が。
コペンハーゲンの戦い以降で、エマとネルソンが顔を合わせるのはこの場面が初めて。
だからエマは、真っ先にネルソンの腕に反応する。
噂には聞いていても、実際に隻腕となった愛人を観る衝撃は大きかったはず。そんなエマを慰めるように、優しい口調でネルソンが諭す。
「この腕一本が祖国の犠牲になったのであれば悔いなどない」
……えーっと。ここも、変な日本語だと思っていたのにそういえば書き忘れてました。
「この腕一本で祖国をまもれたのであれば」とかになるんじゃないでしょうかね、本来は。
いや、あの、、、、いまさらですが。
二人は心が通じている(テレパシーが通じる)ので、表面にあらわれている会話にはあまり意味はないんですが、
それでも。
「初めてみつけたのだ、戦いの意義を。愛する国を、愛する君を、そして、ホレイシアを護るために」
……ジョサイアは?エドマンドは?そして、、、ファニーは?
■第13場 トラファルガー
東宝に来て、いきなりラ・マルセイエーズから始まるようになったのですが、毎回吃驚してしまいます。
大劇場の時の方が、ラ・マルセイエーズの印象が強かったような気がするんだけどなあ……。何のための変更だったんでしょうね。不思議。
ジョゼフィーヌ(五峰亜季)が口火を切って歌いだす。決して歌手ではないまゆみさんですが、印象的な声の持ち主なのでこの場面は良かったと思います。そして続くナポレオンのまゆさん。「カサブランカ」でも歌っていたし、へたをすると次の「誰がために鐘は鳴る」でも歌いかねん。「ラ・マルセイエーズ」のプロと呼びたい(^ ^)。
っていうか。
たしか「ラ・マルセイエーズ」って、ナポレオンが皇帝になったときに禁止されたんじゃありませんでしたっけ……私の勘違い?
盆が回って、イギリス軍。
このイギリス軍は、盆が回る前から芝居が始まっているので、二階席のときは凄く楽しかったです。
英雄ネルソンに挨拶しにいくる下士官たち、そして、ジョサイアと笑顔を交わすネルソンの楽しそうなこと(^ ^)。
エマといるときの何か苦しげな雰囲気とは全然違う、自分の居場所に居る男の落ち着き。
「海の上で生活している時間の方が遥かに長い」
ホンモノの、「海の男」の貌。
前景で「君たちに捧げよう、真の勝利を!」
と打ち上げて、この出陣の場では
「この勝利を、愛する者たちに捧げようではないか!」
と煽る。ネルソンは、将兵の戦意を昂揚させる方法を知っていたんだなあ、と思います。だからこその英雄で、だからこその「常勝」なんですよね、たぶん。人智を超えた力を引き出せるのは、人智を尽くしたうえでのこと。彼が「常勝」だったのは、誰よりも「勝利の仕方」を知っていたから。
戦争に一人で勝つことは、できないのだから。
ここでの長広舌と、それに続く「Victory」の大合唱。
公演が進むにつれて熱量を増していった場面ですが、千秋楽のこの場面は、ついに涙が止まらなくなってしまいました(T T)。
私、すごく弱いんですよ。ああいう「信じた人々」の場面は、かなりの確率で泣いてしまうんです。
せっかく「トラファルガーの奇跡」とゆータイトルで書いているので、もう一回だけ続きます。
ずるずると、すみません(汗)。
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今CSを観ていたら、星組バウ公演のCMらしきものが流れていました。
……爆笑しました。実際の舞台を観ても笑ってしまいそうです(^ ^)。
CMって、そういえば木村さんの「君を愛してる」では何パターンもやっていましたよね。
コメディじゃないと創りにくいのかな。同じ木村さんでも「誰がために鐘は鳴る」では作ってくれそうにないもんね……。
余談はそんなところにして、宙組東宝劇場公演「トラファルガー」について。
■第11場A ロンドン(つづき)
イギリス海軍の司令室(?)での会話がおわり、幕がおりる。
幕前に取り残されたネルソンのもとに、上手からジョサイア(愛月ひかる)が登場。
この作品における「名場面」のひとつ。
齋藤さんは、男女の愛よりも血のつながった相手に対する愛や憎しみをより深く描きたがる傾向があるのですが、今回も「夫婦の情」より「親子の情」を前面に出して、そして、見事に成功しました。
今まで「提督」とか「キャプテン」としか呼ばなかった息子が、、初めて自分を「父上」と呼んだ瞬間のかすかな喜びの表情がすごく好きでした。
この場面でのジョサイアは、大劇場の前半を思えば別人のように良い芝居をするようになってくれて、とても嬉しかったです。ジョサイアは作品的にもキーパーソンなので、愛月くんが期待に応えてくれたからこそ作品もレベルアップしたと思うし、これからもがんばってほしいなと思います。
■第11場B ロンドン ~賭け~
幕があがると、ハミルトン邸の庭。キャドガン夫人(美風舞良)が赤児を抱いている。
「♪天使の微笑 可愛いホレイシア」
どうか神様、と祈りながら。
眩い光に包まれた「幸い」の場面。
そこに入ることのできないネルソンの孤独が、よけいに沁みました(T T)。
「娘にかたく言われました あなたをホレイシアに逢わせてはいけないと」
孤独な男から目を逸らして、貴婦人が告げる。
「どうかこの手にホレイシアを!」
血を吐くような叫びにも背を向けて。
「エマも私も、ハミルトン家に厄介になっている身なのです」
細い肩を震わせながら、それでも毅然として。
「……許して」
悄然と立ち尽くす英雄の背中に、遠慮がちな声がかかる。
「父上」
たとえ理解しあったばかりの息子に軽蔑されたとしても、それでも知っておいてほしかった、と呟く弱さと、そして、揺らがない強さ。
愛しているものを「愛している」と胸を張って言うことに確信がある、というのが素晴らしいなと思います。
そんなネルソンに声をかけるハミルトン。
「その片腕が激戦の証か」
……先日の「齋藤くんの日本語突っ込みコーナー」には入れませんでしたが、この台詞もなんかおかしいですね、そういえば。「その右腕が」ならわかるんですけど。
「君も人の親だったわけだね」
……会話の流れ的に、ハミルトンのこの台詞はジョサイアのことを言っているような気がするのですが、これに対するネルソンの答えがホレイシアのことを言っているように聞こえるので……毎回「あれっ?」と思っていました。
本当はどういう意味だったんでしょうね(^ ^)。
ハミルトンがここで持ち出す「賭け」。
この人は、ホレイシオの勝利を信じきっていて、ひとかけらの疑いも無いんだな、と思いました。
最初からエマを自由にするつもりで、でも「ただで」譲るのは悔しいから条件をつける……そんな感じ。
彼はもう、エマへの愛情を自覚しているから。
愛していれば、彼女の幸せを希むのが人情というもの。自分の許にいるよりもホレイシオと居る方が幸せなのが明らかならば、まして子供ができた以上は、もう自分ではどうすることもできないのですから。
そもそも、ホレイシオが敗れたらイコール、イギリスはナポレオンのフランスによって蹂躙されることになるわけで。そうなったら、自分自身だってどうなるかわからない。エマどころの騒ぎではないかもしれない。
そうなる前に、ホレイシオを縛ってしまいたい。
エマのために。エマへの愛のために。
……史実では、ハミルトンとエマとホレイシオは三人で暮らしていた時期があるくらい、この三人の関係は複雑なのですが、そのへんはフィクションで処理した齋藤さんのセンスを買いたいと思います♪
■第11場C ロンドン ~忘れられぬ人~
ホレイシオ、ウイリアム、エマ、ファニーの4人で歌われるビッグナンバー。
「♪忘れられないひと」
「♪我が言葉は あなたを苦しめていた……」
すれ違い、行き違う、4人の男女。
「♪懺悔さえ許されることのない罪びとたち」
「♪それでもいい」
「♪あなたに逢いたい」
忘れられない、ひと。
幻想の空間の中で、忘れてしまおうとしたひとに謝罪するネルソン。
「苦しめてきたな…」
幻想の空間の中で、初めて素直になった、ファニー。
「ジョサイアを助けてくれて、ありがとう」
一度はいとおしんだ妻の貌から目を逸らして、不実な夫は告げる。
「こんな私でも、彼の父親だ」
彼の父親で、そして、あなたの夫だった。
こんな私だけれども、それでも。
「……わたしは、レディ・ネルソンになれていたのかしら…」
レディ・ハミルトンの前ではそう名乗ったけれども、貴男の前でそう名乗ることが出来るのかしら。
お互いに目を合わせることなく、すれ違ったままに。
それでも。
出陣していく男を、妻は祈りとともに見送ったのでしょうか。
初めて気付いた、「レディ・ネルソン」の自覚をもって。
■第12場A 前夜(ロンドン)
フランスの宣戦布告を受けて、右往左往する軍人たち。
ホレイシオをアサインするだけで精一杯かよ(汗)と毎回思ってました(すみません)。
■第12場B 前夜(パリ)
このあたりは、トラファルガー海戦の「前夜」だから、1805年の秋なんですよね。
このときナポレオンは36歳。ちなみにリュシアン(春風弥里)が30歳、タレーラン(風羽玲亜)が51歳、フーシェ(光海舞人)が46歳。
もっとちなみに、ネルソンが47歳、バラス(鳳樹いち)50歳、シェイエス(天玲美音)57歳、ですね。ナポレオンって若かったんだなあ。……あまりそういう気がしないけど(^ ^;ゞ
そして、この場面を観ていて思ったこと。
「オーレリー、お前にとっての戦いの義とは何だ」
「それは、愛するものを奪った仇への報復」
「立派な義だ」
この会話をさせるために、オーレリー・バイロンという役はああいう役になったんだろうなあ、と。
何度か書いているような気がしますが、この役は本来ならただの「装填された銃」であるべきだと思うんですよね。
それでも、ネルソンの求める「義」に対するナポレオンの「義」を説明するために、ああいう役にならざるをえなかった……ような気がしました。
うーん、もうちょっと違うアプローチもあったんじゃないかと思うんだけどな……でも、対案がある訳ではないから仕方ないか(T T)。
■第12場C 指令(ロンドン)
このあたり、ロンドンの海軍省からそのまま幕を降ろさず、ちょっと脇にのけるだけでパリの様子を垣間見せ(しかもロンドンのオーレリーと会話までさせちゃう汗)、あげくに、さらに奥からネルソンが登場する……という流れにちょっとびっくりしました。最近の流行だと盆を回しそうなところなのに、それもしないのか!と(^ ^;
「頼もしいぞ!我が愛する友よ!」
と言って、ネルソンの手をぎゅっと握る王子殿下は、何か確信犯のような気がしてなりません……
そして、新人公演ではこの場面で物凄く心配そうにネルソンを見凝めるサー・ジャービス(月映樹茉)の視線に嵌った私でした。……うーん、珠洲さんのクールな視線もそれはそれでいいんだけど、あのえなちゃんの視線はすごく雄弁だった!!(←気のせい)
■第12場D 別れ(ロンドン)
またもや幕前に取り残されるネルソン。
ハミルトン邸の庭(?)にたたずむエマの姿が。
コペンハーゲンの戦い以降で、エマとネルソンが顔を合わせるのはこの場面が初めて。
だからエマは、真っ先にネルソンの腕に反応する。
噂には聞いていても、実際に隻腕となった愛人を観る衝撃は大きかったはず。そんなエマを慰めるように、優しい口調でネルソンが諭す。
「この腕一本が祖国の犠牲になったのであれば悔いなどない」
……えーっと。ここも、変な日本語だと思っていたのにそういえば書き忘れてました。
「この腕一本で祖国をまもれたのであれば」とかになるんじゃないでしょうかね、本来は。
いや、あの、、、、いまさらですが。
二人は心が通じている(テレパシーが通じる)ので、表面にあらわれている会話にはあまり意味はないんですが、
それでも。
「初めてみつけたのだ、戦いの意義を。愛する国を、愛する君を、そして、ホレイシアを護るために」
……ジョサイアは?エドマンドは?そして、、、ファニーは?
■第13場 トラファルガー
東宝に来て、いきなりラ・マルセイエーズから始まるようになったのですが、毎回吃驚してしまいます。
大劇場の時の方が、ラ・マルセイエーズの印象が強かったような気がするんだけどなあ……。何のための変更だったんでしょうね。不思議。
ジョゼフィーヌ(五峰亜季)が口火を切って歌いだす。決して歌手ではないまゆみさんですが、印象的な声の持ち主なのでこの場面は良かったと思います。そして続くナポレオンのまゆさん。「カサブランカ」でも歌っていたし、へたをすると次の「誰がために鐘は鳴る」でも歌いかねん。「ラ・マルセイエーズ」のプロと呼びたい(^ ^)。
っていうか。
たしか「ラ・マルセイエーズ」って、ナポレオンが皇帝になったときに禁止されたんじゃありませんでしたっけ……私の勘違い?
盆が回って、イギリス軍。
このイギリス軍は、盆が回る前から芝居が始まっているので、二階席のときは凄く楽しかったです。
英雄ネルソンに挨拶しにいくる下士官たち、そして、ジョサイアと笑顔を交わすネルソンの楽しそうなこと(^ ^)。
エマといるときの何か苦しげな雰囲気とは全然違う、自分の居場所に居る男の落ち着き。
「海の上で生活している時間の方が遥かに長い」
ホンモノの、「海の男」の貌。
前景で「君たちに捧げよう、真の勝利を!」
と打ち上げて、この出陣の場では
「この勝利を、愛する者たちに捧げようではないか!」
と煽る。ネルソンは、将兵の戦意を昂揚させる方法を知っていたんだなあ、と思います。だからこその英雄で、だからこその「常勝」なんですよね、たぶん。人智を超えた力を引き出せるのは、人智を尽くしたうえでのこと。彼が「常勝」だったのは、誰よりも「勝利の仕方」を知っていたから。
戦争に一人で勝つことは、できないのだから。
ここでの長広舌と、それに続く「Victory」の大合唱。
公演が進むにつれて熱量を増していった場面ですが、千秋楽のこの場面は、ついに涙が止まらなくなってしまいました(T T)。
私、すごく弱いんですよ。ああいう「信じた人々」の場面は、かなりの確率で泣いてしまうんです。
せっかく「トラファルガーの奇跡」とゆータイトルで書いているので、もう一回だけ続きます。
ずるずると、すみません(汗)。
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トラファルガーの奇跡【4】
2010年8月12日 宝塚(宙)東宝劇場の端境期(=宙組と雪組の間)にいろいろ観ておこうと、毎日のようにいろんな劇場で当日券めぐりをしています(^ ^)。
いまのうちにクリアしなくっちゃ、みたいな強迫観念があるんですよね。一ヶ月公演になって、変ったなあ…と思うのは、こういうときでしょうか。以前なら、贔屓組が東宝公演中でもそれなりに合間にほかの舞台を観たりしていたのに。
また詳しいことはあらためて書くつもりですが、今のところ印象に深いのはクリエの「宝塚BOYS」と、紀伊国屋サザンシアターの「黙阿弥オペラ」。
どちらもお勧めです♪♪
というわけで、雪組さんが始まる前に、「トラファルガー」のカタをつけたいと思います(^ ^;
■第13場 トラファルガー(つづき)
今回の作品で、ちょっと残念だったなあ、と思うのは、ネルソンがあまりに偉大すぎて、トラファルガー海戦の「奇跡」性が薄れてしまったことでした。(宙組っ子があまりに素直すぎるせい?)
イギリス軍の軍兵たちが、あまりにも自分たちの勝利を「当然のこと」ととらえているので、フランス軍の圧倒的優位に対して、捨て身の中央突破で活路を開いたイギリスの勝利がどれほどの『奇跡』であったのかが見えにくくなってしまったような気がします。
「敵は我々を上回る30を超える大艦隊」
「我々はそれを下回る27隻」
斎藤さんも、台詞ではちゃんと説明しているんですよね。むしろ、しつこいくらいに(「我々を上回る」と「それを下回る」はどちらかだけで良いと思う…)。
だけど、なんとなく実感としての『恐怖』が感じられない。
「怯むな!我々は必ず勝つ!」
とハーディーが喝をいれる前から、みんなの表情が明るすぎるんじゃないかと。
結果的には彼らは勝利するんだから間違いじゃないんですけど、それは200年間語り継がれるほどの奇跡的な勝利であったわけですよ。
なのに、観ているとなんだかネルソンが勝つのは当然だ的な気分に観客がなってしまうのが問題かな、と。
うーん、でも実際のところ、イギリス海軍の兵士たちには「ネルソン提督がいるんだから絶対に勝つ!」という信念があったんだろうから、ああならざるをえないのかなあ……
もう少し、盆が回ってくる段階では兵士たちに悲壮感があってもいいのかな、と思ったんですよね。それが、ハーディーの一喝なり、ネルソンの長口舌なりをうけて明るくなり、勝利への確信になる。その頂点に「出撃だ!!」が来る。そういう展開だと、さらに盛り上がったんじゃないかなと思います。
……いやあの、今でも十分盛り上がってるんですけどね(^ ^)。
ただ。
出撃前の不安が皆の共通認識としてあれば、トム・アレン(凪七瑠海)の帰還の意義も大きくなるのにな、と。
ハーディーの一喝に対して、ネルソンのもとに戻ってきたトム・アレンが間の手をいれる。
「そうだ!我々は必ず勝つ!」
ネルソンの前から姿を消していたトム・アレン、コペンハーゲンの戦いにはいなかったトム・アレンが、ここでわざわざ再登場してくる意味が、あまりみえない。
悲壮感あふれる出撃前のイギリス軍にひょっこり帰ってきて、
『お前、なんでわざわざこんなときに帰ってきたんだ』
『死にたいのか?』
みたいな会話があるわけでもない。
普通に受け入れられて、歓迎されているだけで、逆に
『提督が出世したら帰ってきやがった』
みたいな感じに(悪意を持ってみれば)見えないこともない。
なんていうか、いかにも若手スターに役をつけるために無理やり創りました的な印象が残ってしまうんですよね……(←いや、実際そうなのかもしれませんが)
トム・アレンって、斎藤さんの中ではいったいどんな存在だったんでしょうか?
本来であれば、「エル・アルコン-鷹-」のティリアンに対するニコラス、デルフィニア王妃グリンダに対するシェラ、そしてヤン・ウェンリーに対するユリアン的なイメージで発想したキャラクターがトム・アレンだったんじゃないかな、と思うんですが。
でも、結果的にそのどれにもならず、意味不明な役のまま終わってしまったのはどうしてなのかな、と。
浅黒い肌。「身寄りのない俺」は、あきらかにアングロ・サクソンではない異文化の申し子。
ネルソンが彼をどういう経緯で拾ったのかについては何も語られませんが、それはまあ、この際どうでもよくて。ただ、エスニックな雰囲気を出そうとしたのか、ニコラスやシェラ、ユリアンたちにあった「主に対する絶対的なリスペクト」とか「頭の回転の良さ」があまり感じられず、ああいう「マスコット」キャラの王道から外れてしまっているんですよね。主のマスコットとして兵士たちには結構可愛がられているあたりは王道どおりなのに、なんか違和感があるんです。
王道どおりならキャラ設定もある程度王道を踏襲してほしいし、それを外すならちゃんと説得力のある場面を作ってあげてほしい。役の(役者の)格としてあれ以上の出番を作るわけにはいかないのであれば、「王道のワンパターン」に沿ったキャラにした方が良かったのでは?と思ったりしたのでした。
……閑話休題。
「出撃だ!」
というネルソンの声とともに、「Victory」のコーラスが始まる。
ここの祐飛さんの声は、明るくて力強いヒーロー声。祐飛さんのこういう声って滅多に聴けないので、とても幸せ♪(今回の公演は、ショーも含めて珍しいくらい明るい声を多用していましたが)
盆が回って、歌い継ぐハーディーの声とのバランスもいい。祐飛さんとともちん、予想以上に合うなあ(はぁと)
下級生もみんながんばっているし、なんだかすごくいとおしい。
回り盆にのった階段のセットを、台詞もなく何度も昇ったり降ったりするナポレオン。豪華な衣装で結構舞台上を歩き回っているので、大変だろうなあ……なんてことを思ってました。
しかし眼が効く人ですね。戦場を俯瞰する獅子の瞳。段上に上がっただけで、何か偉そうな空気が漂うのはさすがです。
上手のセットに駆け上がって「ネルソン!」と叫び、一発で打ち抜くオーレリー(蓮水ゆうや)。
ここの、平場のストップモーションとネルソンの「ああっ」という苦しみ方が、日を追うにつれて派手になっていったのは気のせいでしょうか(汗)。
ネルソンの下手側でフランス兵と斬り結んでいたはずのハーディーが、一瞬のうちに敵をうちたおし、懐から銃を抜く。
「仇はうったよ!」と歓喜した瞬間に、撃たれておちるオーレリー。(ちなみに、ここであがる煙は、排水管が破裂して水が噴き出している表現なんだそうです。……わかんねーよ)
撃たれたネルソンは、大きく頭を振って帽子を落とし(←東宝から。すごく良い変更だった!斎藤さんGJ)、倒れこむ。
駆け寄ろうとするハーディーを「俺にかまうな!」と留め、「撃って、撃って、撃ちまくれ!!」と叱咤する。
……旗艦でさえ小銃で狙撃できる程度にしか敵艦と離れていないような混戦状況の中、当時の大砲の射程距離や精度で撃つのは勇気がいると思うんだが……ぶつぶつ……。
もとい。
大砲をぶちかまして敵艦を沈める(←だったら最初から) Victory号。
とりあえず白兵戦は終わったのでヒラの兵士たちは暇になり、ジョサイアが義父を助け起こそうと手を伸ばす。
その手を拒否して、持ち場へ戻るよう指示するネルソン。そういえば、コペンハーゲンで義父の手を拒んだのはジョサイアの方だったな、なんてことを思いました。
ネルソンに拒否されたジョサイアは、それでも諦めきれずにネルソンが取り落とした帽子を拾い、傍に膝をつく。
そうこうしているうちに勝負はつき、ナポレオンは捨て台詞を残して銀橋から花道へ去る。
ハーディーが持ち場を離れてネルソンの許へ飛んでいく。
……斎藤さん、ともちんと祐飛さんのベルばらごっこ、などという滅多に見られないものを見せていただき、ありがとうございましたm(_ _)m。
ともちんの長い脚と腕に身を預けた祐飛さん、という萌え写真は、どこへ行っても在庫が少なくて(苦笑)、まー、誰しも考えることは同じだなあ、と思いましたわ。
「I have done my......duty」
そう最後に一言残して、息絶えるネルソン。
「ホレイシオーーーーっ!!」
ついさっきまでは「提督!」と呼びかけていたのに、黄泉へ旅立つ魂に向かう、最後の呼びかけは名前なんですね(T T)。
そういえば、たしかハーディーがネルソンを名前で呼ぶのは、ここと、ナポリの騒乱の場面でエマを探しに行くネルソンの背中に呼びかけるときだけなんですね。……必死なときだけ、ってこと?
回りの兵士たちの嘆きようも一人ひとり個性的で面白かったです。
声もなく膝をつくたまちゃん(天羽珠紀)、
長い髪を振り乱して「提督、提督、ていとくううううううーっっっ!!」と豪勢に嘆くアルバート(鳳翔大)、
「提督っ………!!」と、一言に万感の思いを込めたジュリアン(七海ひろき)、
胸に抱いていた帽子を、ギュッと握りしめて俯くジョサイア。若い役者にとって、感情が激したときの手の芝居ってのは難しいものですが、この「帽子を持たせる」っていうのは秀逸なアイディアでしたね。
オーレリー役のちーちゃんが、先日のトークで「最後にハケるとき、イギリス軍と一緒なので居たたまれない」ってな話をしていましたが、たしかにアレは居たたまれないかも……。
■第14場A ロンドン ~手紙~
幕が降りると、幕前にホレイシアと侍女たち。10年たっても変わらない(衣装も同じな)美少女たちが可愛いです。
「天使の微笑み…」
と歌うエマ。柔らかな「母」の貌。
そこに、ハミルトンがジゼラ(藤咲えり)を連れて登場。エマにホレイシオからの手紙を渡して、背を向ける。
賭けは君たちの勝ちだ、「彼は真の勝利者だ」と告げるハミルトンに、ただ涙を堪えてるエマ。
そしてさらに、客人が現れる。ネルソンの妻と、父と、そして、息子と。
この場面のファニーは、最後の一週間くらいはかなり日替りでしたが(←ネルソンとエマが日替りだったので当たり前かも)、私は、なんといっても千秋楽のアリスちゃんの表情にやられました。
いい芝居だった……。
そして、最後に残る母娘を視て、敬礼して去っていくジョサイア。
個人的には、最後に寂しげに微笑んだ新公のジョサイアにすごく泣かされましたが、愛月くんもよくがんばっていたと思います(^ ^)。
「あなたのパパはね、とても素敵な殿方だったのよ……」
すみ花ちゃんの柔らかな声が語るネルソン像は、とても素敵でした。でも、「とても踊りが上手だったんだから!」は、笑うところ?(←こら)
■第14場B ネルソン ~その愛と奇跡~
「祈るのよ、ホレイシア」
その声とともに、流れ出す旋律。この作品全体を通して流れるテーマ曲ともいうべき、エルガーの名曲「威風堂々」。七瀬りりこ嬢の美声が劇場を満たしてくれます。
オープニングと同じ「波」たちのダンス。下手前方で「波」と戯れるホレイシア。「RED HOT SEA」の「かもめ」の場面ほどの完成度ではありませんが、寄せては返す波を表現したダンスとして、なかなかおもしろかったです。
舞台奥のセンターで、セリに寄りかかるような形で倒れていたネルソンが、ゆっくりと起き上がる。
舞台前面は波打際、奥にいくと深海……というイメージなのかな、あの場面は。まあ、理屈を考えるような場面ではないのですが。
その腕に抱くことの無かった娘を抱き、祝福を与え、そして、その母を最期に抱きしめる。
すべての鬱屈に決着をつけ、「愛する者を護る」という使命を果たしたネルソンの、その清しい笑顔。
愛する者たちの幸せと、平和な世界を、海の底で今も願っているのであろう、英雄。
祐飛さんと、英雄。
妻を裏切った不実な夫でありながら、そんなスキャンダルにびくともしない「英雄」でありつづけた人。
強い意志と、信念と、そして、理想。
「カサブランカ」みたいに脚本として完成された作品も面白いけど、こういう隙のある作品も、役者の工夫が随所に感じられて興味深いです。
もう少しこう…と思うところも多かったけど、斎藤さんの視た夢を共に追うことができて、とても楽しい公演でした。
さあ、次は銀ちゃんだ!!これはまた、脚本として完成度が高いうえに役者が遊ぶ隙のある、面白い作品。今までにない大所帯をどうさばくのか、石田さんのお手並みを楽しみにしています(^ ^)。
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いまのうちにクリアしなくっちゃ、みたいな強迫観念があるんですよね。一ヶ月公演になって、変ったなあ…と思うのは、こういうときでしょうか。以前なら、贔屓組が東宝公演中でもそれなりに合間にほかの舞台を観たりしていたのに。
また詳しいことはあらためて書くつもりですが、今のところ印象に深いのはクリエの「宝塚BOYS」と、紀伊国屋サザンシアターの「黙阿弥オペラ」。
どちらもお勧めです♪♪
というわけで、雪組さんが始まる前に、「トラファルガー」のカタをつけたいと思います(^ ^;
■第13場 トラファルガー(つづき)
今回の作品で、ちょっと残念だったなあ、と思うのは、ネルソンがあまりに偉大すぎて、トラファルガー海戦の「奇跡」性が薄れてしまったことでした。(宙組っ子があまりに素直すぎるせい?)
イギリス軍の軍兵たちが、あまりにも自分たちの勝利を「当然のこと」ととらえているので、フランス軍の圧倒的優位に対して、捨て身の中央突破で活路を開いたイギリスの勝利がどれほどの『奇跡』であったのかが見えにくくなってしまったような気がします。
「敵は我々を上回る30を超える大艦隊」
「我々はそれを下回る27隻」
斎藤さんも、台詞ではちゃんと説明しているんですよね。むしろ、しつこいくらいに(「我々を上回る」と「それを下回る」はどちらかだけで良いと思う…)。
だけど、なんとなく実感としての『恐怖』が感じられない。
「怯むな!我々は必ず勝つ!」
とハーディーが喝をいれる前から、みんなの表情が明るすぎるんじゃないかと。
結果的には彼らは勝利するんだから間違いじゃないんですけど、それは200年間語り継がれるほどの奇跡的な勝利であったわけですよ。
なのに、観ているとなんだかネルソンが勝つのは当然だ的な気分に観客がなってしまうのが問題かな、と。
うーん、でも実際のところ、イギリス海軍の兵士たちには「ネルソン提督がいるんだから絶対に勝つ!」という信念があったんだろうから、ああならざるをえないのかなあ……
もう少し、盆が回ってくる段階では兵士たちに悲壮感があってもいいのかな、と思ったんですよね。それが、ハーディーの一喝なり、ネルソンの長口舌なりをうけて明るくなり、勝利への確信になる。その頂点に「出撃だ!!」が来る。そういう展開だと、さらに盛り上がったんじゃないかなと思います。
……いやあの、今でも十分盛り上がってるんですけどね(^ ^)。
ただ。
出撃前の不安が皆の共通認識としてあれば、トム・アレン(凪七瑠海)の帰還の意義も大きくなるのにな、と。
ハーディーの一喝に対して、ネルソンのもとに戻ってきたトム・アレンが間の手をいれる。
「そうだ!我々は必ず勝つ!」
ネルソンの前から姿を消していたトム・アレン、コペンハーゲンの戦いにはいなかったトム・アレンが、ここでわざわざ再登場してくる意味が、あまりみえない。
悲壮感あふれる出撃前のイギリス軍にひょっこり帰ってきて、
『お前、なんでわざわざこんなときに帰ってきたんだ』
『死にたいのか?』
みたいな会話があるわけでもない。
普通に受け入れられて、歓迎されているだけで、逆に
『提督が出世したら帰ってきやがった』
みたいな感じに(悪意を持ってみれば)見えないこともない。
なんていうか、いかにも若手スターに役をつけるために無理やり創りました的な印象が残ってしまうんですよね……(←いや、実際そうなのかもしれませんが)
トム・アレンって、斎藤さんの中ではいったいどんな存在だったんでしょうか?
本来であれば、「エル・アルコン-鷹-」のティリアンに対するニコラス、デルフィニア王妃グリンダに対するシェラ、そしてヤン・ウェンリーに対するユリアン的なイメージで発想したキャラクターがトム・アレンだったんじゃないかな、と思うんですが。
でも、結果的にそのどれにもならず、意味不明な役のまま終わってしまったのはどうしてなのかな、と。
浅黒い肌。「身寄りのない俺」は、あきらかにアングロ・サクソンではない異文化の申し子。
ネルソンが彼をどういう経緯で拾ったのかについては何も語られませんが、それはまあ、この際どうでもよくて。ただ、エスニックな雰囲気を出そうとしたのか、ニコラスやシェラ、ユリアンたちにあった「主に対する絶対的なリスペクト」とか「頭の回転の良さ」があまり感じられず、ああいう「マスコット」キャラの王道から外れてしまっているんですよね。主のマスコットとして兵士たちには結構可愛がられているあたりは王道どおりなのに、なんか違和感があるんです。
王道どおりならキャラ設定もある程度王道を踏襲してほしいし、それを外すならちゃんと説得力のある場面を作ってあげてほしい。役の(役者の)格としてあれ以上の出番を作るわけにはいかないのであれば、「王道のワンパターン」に沿ったキャラにした方が良かったのでは?と思ったりしたのでした。
……閑話休題。
「出撃だ!」
というネルソンの声とともに、「Victory」のコーラスが始まる。
ここの祐飛さんの声は、明るくて力強いヒーロー声。祐飛さんのこういう声って滅多に聴けないので、とても幸せ♪(今回の公演は、ショーも含めて珍しいくらい明るい声を多用していましたが)
盆が回って、歌い継ぐハーディーの声とのバランスもいい。祐飛さんとともちん、予想以上に合うなあ(はぁと)
下級生もみんながんばっているし、なんだかすごくいとおしい。
回り盆にのった階段のセットを、台詞もなく何度も昇ったり降ったりするナポレオン。豪華な衣装で結構舞台上を歩き回っているので、大変だろうなあ……なんてことを思ってました。
しかし眼が効く人ですね。戦場を俯瞰する獅子の瞳。段上に上がっただけで、何か偉そうな空気が漂うのはさすがです。
上手のセットに駆け上がって「ネルソン!」と叫び、一発で打ち抜くオーレリー(蓮水ゆうや)。
ここの、平場のストップモーションとネルソンの「ああっ」という苦しみ方が、日を追うにつれて派手になっていったのは気のせいでしょうか(汗)。
ネルソンの下手側でフランス兵と斬り結んでいたはずのハーディーが、一瞬のうちに敵をうちたおし、懐から銃を抜く。
「仇はうったよ!」と歓喜した瞬間に、撃たれておちるオーレリー。(ちなみに、ここであがる煙は、排水管が破裂して水が噴き出している表現なんだそうです。……わかんねーよ)
撃たれたネルソンは、大きく頭を振って帽子を落とし(←東宝から。すごく良い変更だった!斎藤さんGJ)、倒れこむ。
駆け寄ろうとするハーディーを「俺にかまうな!」と留め、「撃って、撃って、撃ちまくれ!!」と叱咤する。
……旗艦でさえ小銃で狙撃できる程度にしか敵艦と離れていないような混戦状況の中、当時の大砲の射程距離や精度で撃つのは勇気がいると思うんだが……ぶつぶつ……。
もとい。
大砲をぶちかまして敵艦を沈める
とりあえず白兵戦は終わったのでヒラの兵士たちは暇になり、ジョサイアが義父を助け起こそうと手を伸ばす。
その手を拒否して、持ち場へ戻るよう指示するネルソン。そういえば、コペンハーゲンで義父の手を拒んだのはジョサイアの方だったな、なんてことを思いました。
ネルソンに拒否されたジョサイアは、それでも諦めきれずにネルソンが取り落とした帽子を拾い、傍に膝をつく。
そうこうしているうちに勝負はつき、ナポレオンは捨て台詞を残して銀橋から花道へ去る。
ハーディーが持ち場を離れてネルソンの許へ飛んでいく。
……斎藤さん、ともちんと祐飛さんのベルばらごっこ、などという滅多に見られないものを見せていただき、ありがとうございましたm(_ _)m。
ともちんの長い脚と腕に身を預けた祐飛さん、という萌え写真は、どこへ行っても在庫が少なくて(苦笑)、まー、誰しも考えることは同じだなあ、と思いましたわ。
「I have done my......duty」
そう最後に一言残して、息絶えるネルソン。
「ホレイシオーーーーっ!!」
ついさっきまでは「提督!」と呼びかけていたのに、黄泉へ旅立つ魂に向かう、最後の呼びかけは名前なんですね(T T)。
そういえば、たしかハーディーがネルソンを名前で呼ぶのは、ここと、ナポリの騒乱の場面でエマを探しに行くネルソンの背中に呼びかけるときだけなんですね。……必死なときだけ、ってこと?
回りの兵士たちの嘆きようも一人ひとり個性的で面白かったです。
声もなく膝をつくたまちゃん(天羽珠紀)、
長い髪を振り乱して「提督、提督、ていとくううううううーっっっ!!」と豪勢に嘆くアルバート(鳳翔大)、
「提督っ………!!」と、一言に万感の思いを込めたジュリアン(七海ひろき)、
胸に抱いていた帽子を、ギュッと握りしめて俯くジョサイア。若い役者にとって、感情が激したときの手の芝居ってのは難しいものですが、この「帽子を持たせる」っていうのは秀逸なアイディアでしたね。
オーレリー役のちーちゃんが、先日のトークで「最後にハケるとき、イギリス軍と一緒なので居たたまれない」ってな話をしていましたが、たしかにアレは居たたまれないかも……。
■第14場A ロンドン ~手紙~
幕が降りると、幕前にホレイシアと侍女たち。10年たっても変わらない(衣装も同じな)美少女たちが可愛いです。
「天使の微笑み…」
と歌うエマ。柔らかな「母」の貌。
そこに、ハミルトンがジゼラ(藤咲えり)を連れて登場。エマにホレイシオからの手紙を渡して、背を向ける。
賭けは君たちの勝ちだ、「彼は真の勝利者だ」と告げるハミルトンに、ただ涙を堪えてるエマ。
そしてさらに、客人が現れる。ネルソンの妻と、父と、そして、息子と。
この場面のファニーは、最後の一週間くらいはかなり日替りでしたが(←ネルソンとエマが日替りだったので当たり前かも)、私は、なんといっても千秋楽のアリスちゃんの表情にやられました。
いい芝居だった……。
そして、最後に残る母娘を視て、敬礼して去っていくジョサイア。
個人的には、最後に寂しげに微笑んだ新公のジョサイアにすごく泣かされましたが、愛月くんもよくがんばっていたと思います(^ ^)。
「あなたのパパはね、とても素敵な殿方だったのよ……」
すみ花ちゃんの柔らかな声が語るネルソン像は、とても素敵でした。でも、「とても踊りが上手だったんだから!」は、笑うところ?(←こら)
■第14場B ネルソン ~その愛と奇跡~
「祈るのよ、ホレイシア」
その声とともに、流れ出す旋律。この作品全体を通して流れるテーマ曲ともいうべき、エルガーの名曲「威風堂々」。七瀬りりこ嬢の美声が劇場を満たしてくれます。
オープニングと同じ「波」たちのダンス。下手前方で「波」と戯れるホレイシア。「RED HOT SEA」の「かもめ」の場面ほどの完成度ではありませんが、寄せては返す波を表現したダンスとして、なかなかおもしろかったです。
舞台奥のセンターで、セリに寄りかかるような形で倒れていたネルソンが、ゆっくりと起き上がる。
舞台前面は波打際、奥にいくと深海……というイメージなのかな、あの場面は。まあ、理屈を考えるような場面ではないのですが。
その腕に抱くことの無かった娘を抱き、祝福を与え、そして、その母を最期に抱きしめる。
すべての鬱屈に決着をつけ、「愛する者を護る」という使命を果たしたネルソンの、その清しい笑顔。
愛する者たちの幸せと、平和な世界を、海の底で今も願っているのであろう、英雄。
祐飛さんと、英雄。
妻を裏切った不実な夫でありながら、そんなスキャンダルにびくともしない「英雄」でありつづけた人。
強い意志と、信念と、そして、理想。
「カサブランカ」みたいに脚本として完成された作品も面白いけど、こういう隙のある作品も、役者の工夫が随所に感じられて興味深いです。
もう少しこう…と思うところも多かったけど、斎藤さんの視た夢を共に追うことができて、とても楽しい公演でした。
さあ、次は銀ちゃんだ!!これはまた、脚本として完成度が高いうえに役者が遊ぶ隙のある、面白い作品。今までにない大所帯をどうさばくのか、石田さんのお手並みを楽しみにしています(^ ^)。
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東京宝塚劇場雪組公演「ロジェ/ロックオン」初日を観劇してまいりました。
水さん、みなこちゃん(愛原実花)、(真波)そらちゃん、彩夏涼さん、紫友みれいさん、(悠月)れなちゃん、あずりん(梓晴輝)、美乃ほのかさん、花城舞さん、琉動真瑳さん。
東宝で一人ふえて、10人になった卒業生たち。組ファンではない私には判らない方もいらっしゃいますが(すみません)、どうぞ今日から一ヶ月、舞台を楽しんでくださいますように。
そして水さん。東京に秋を連れてきてくださったことには感謝しますが、あまり大雨を降らせないでくださいね(涙)。
正塚晴彦+水夏希、といえば、私の心に燦然と輝く名作「マリポーサの花」がありますが。
今回の「ロジェ」は、「マリポーサの花」とは全く違う方向で水さんの魅力をひきだすべく、正塚さんがんばったな、という印象でした。
まあ、あの、相変わらず下級生の出番は少ないわ、珍しく出てると思ったら帽子を目深に被っていて顔が全然見えないわで、二階席の猫はだいぶ涙目でしたが……。
水くんとキムちゃん(音月桂)、こうやって芝居でちゃんと組んでいる姿を観るのは全国ツアー「星影の人」の総司と土方……以来かな?やっぱりこの二人、意外に似合うんだよなあ、と。
クールでシャープな水さんと、熱血すぎて暑苦しいキムちゃん。正塚さんもそのままなキャラクターを二人に与えていて、役者をよく観ているな、と思いました。
水さんのロジェは、幼いころに理不尽に両親と妹を殺されたトラウマを抱えるインターポールの刑事。キムちゃんのリオンは、捜査に協力するパリ市警の刑事。
舞台となるのは、第二次世界大戦終戦から20数年たっているそうなので、1965年頃のヨーロッパ某国……じゃなくて、パリなのか、パリ市警だから。パリの空気感とか全く感じないけど。
水さんは、心に傷をかかえて生きている男が嵌りますねー。まあ、ちょっとばかり青臭いんですけど(汗)、「マリポーサ」のネロからイメージを離そうとすると若くするしかない。……今回は相棒もキムちゃんなので、あのくらい未熟な感じでちょうどいいのかも。っていうか、あのキャリアであれだけの『未熟さ』を真正面から表現できる水さんって凄いな、と思いました。お披露目の沖田総司を思い出しましたわ。
激しい復讐心に煽られて暴走しようとするロジェを、心配して引きとめようとするリオン。リオンのロジェに対する感情は、すごく素直で可愛いんですよね。ああいう真っ直ぐな愛情表現はキムちゃんの美点だと思うし、これからも大切にしてほしいと思います。
そして、それをそっけなくかわして先を歩いていく水さんの男役としての格好良さというのは、本当に余人をもって替え難いな、と。正塚さんの「マリポーサ」以降の作品の低迷ぶりを考えてみても、もしかしたら水さんが彼の最後のミューズになってしまうのかもしれないな、と思ってしまいました。
水さんと一緒に卒業を決めたみなこちゃんは、ひろみちゃん(彩那音)と一緒に戦犯たちを追うヴィーゼンタール機関の調査員。
もっと制服系というか、タイトスカートのイメージを勝手にもっていたのですが、意外と衣装はバリエーションが豊富で、どれもよく似合ってました♪
途中でロジェに片思いしていることを自覚して一曲歌いますが、残念ながらロジェうには全く相手にされず、「まあ、これからがんばりましょう」みたいな感じで終わってしまったのが若干残念(^ ^)。
……まあ、宙組のコンビがちょっと恋愛体質すぎるだけで、こういうクールなコンビも素敵だな、とは思うんですけどね。物語的に、恋愛の入る余地がない展開だし。
一緒に卒業するそらちゃんは、今回もなかなか絶妙な役♪ 出番は多く、喋りすぎず。本来の役(キムちゃんリオンの部下)でも結構出番が多いのに、さらにブエノスアイレスのタンゴダンサーもやっていて、これがまた超絶格好良い(はぁと)。
スポットの中で踊るタンゴダンサーの、ラインの美しさに惚れぼれしました。
雪組美形軍団の総元締めの卒業は寂しい限りですが、最後にじっくりとタンゴを観ることができて嬉しいです♪
同じく卒業するあずりんは、こまごまと色んなところで出番は多いのですが、残念ながら二階席から顔を観る機会はあんまりない、かも(涙)。
しょぼん。
ただ、後半のタンゴ酒場で、一緒に卒業する同期のれなちゃんと踊っているのが嬉しかったです。舞台前方、上手ががおりちゃん(香稜しずる)&沙月愛奈ちゃんで、下手があずりん&れなちゃん。……かっこいいぞ(ぼそ)(T T)。
役らしい役がついているのは、男役では水さん、未沙さん、キムちゃん、飛鳥組長、にわにわ(奏乃はると)、ひろみちゃん、そらちゃん、キタロウ(緒月遠麻)、チギちゃん(早霧せいな)、コマちゃん(沙央くらま)、(大湖)せしる、彩風咲奈ちゃん、、くらいかな。
娘役でも、物語上意味のある役なのはみなこちゃん、美穂圭子さん、花帆杏奈ちゃん、(涼花)リサちゃん、きゃびぃ(早花まこ)、(舞羽)美海ちゃんくらい。
今名前をあげたメンバー以外にもいくつか目立つ役がありますが(ロジェの家のメイド役の愛加あゆちゃんとか)、物語にはあまり関係ないんですよね。……とはいえ、「マリポーサの花」を考えたらだいぶ役も増えているのかな。正塚さん、がんばった?
とりあえず、猫的には、ラストのタンゴ酒場でのロジェとレアの語らいの場に、下級生が結構たくさん出て小芝居していたのが楽しかったです。雪組さんの小芝居は、よく練られていて興味深いです(^ ^)。
ネタばれというほどのネタでもないので(キタロウと違って)あまり気にせず書きますが、にわにわのゲルハルト氏(資産家で、戦犯の逃亡組織の資金源)が、なかなか面白い役でした。美しい奥様(美穂さん)と可愛いお嬢さん(きゃびぃ)を抱きしめて「お前たちを必ず守る!」(だっけ。違うかも)という場面はぐっときました(^ ^)。
ただ、ちょっと卑小なキャラにつくりすぎているような気もしたんですよね。彼の「真実の姿」を考えれえば、もう少し大物感があってもいいんじゃないかなーーー?、なんて。
チギちゃんのクラウスと対峙するところとか、ちょっと情けなさが先に立つのは、演出指導?(^ ^)。
チギちゃんは、クールでシャープなギャング(←違う)で、新境地、なのかな?
歌もダンスもなく、ただ銀橋を一人で渡っていく演出にちょっとびっくりしました。渡り終わったところでゲルハルトとすれ違って、ワンアクションあって、その後、花道をハケながら天を見上げて嘲うチギちゃんに、いきなり惹きつけられました。
コマちゃんは、役どころはだいぶ違いますが、作品の中の位置としては「マリポーサの花」の馬番と似ていたような。割と深刻な物語の中の、一服の清涼剤のような存在。本当に良い声だなあ(*^ ^*)。でも、そろそろ物語の本筋にかかわるような役をやらせてあげてほしいんですが……
彩風咲奈ちゃんは、ロジェの同居人(?)のヴィンセント。なんだか、「ブエノスアイレスの風に」のマルセーロ(初演は大和悠河、再演は霧矢大夢)のその後(ニコラスに引き取られて一緒に暮らしている設定)、みたいな感じのキャラでした。
ナウオンで自分で言ってましたが、観客に『で、なんで君がここにいるの?』みたいな疑問を抱かせたらおしまいな役なんですが、、、でもよくやっていたかな。小生意気で反抗期だけど、実は優しくてちょっと不器用、なあたり、タニちゃんよりきりやんのマルセーロに近いかな、と思ったり。
顔はまだだいぶ丸いけど、身体はずいぶん絞りましたね。男役らしくシャープになってきたと思います。新公が楽しみ!
ショーは大盛り上がりでした!!
っていうか、初日から客席テンション高すぎ(^ ^)。
とにかく、最初から最後まで盛り上がりまくり。ショースター・水さんの最後のショーは、本当に夢のように楽しいショーでした。
オープニングからいきなり客席降りはあるわ、二階にも下級生が来てくれるわ、楽しいったらないです。っていうか、本公演で客席降りがあるショーって珍しいのに、水さんのショーは客席降り多かった印象………
中詰めの始まりの、杏奈ちゃん・リサちゃんと彩夏涼さん・香音有希さんの場面が意外な配役で面白かったです。こういう場面にも拍手を入れたかったなー。
クールなLady-Killer水さんはめっちゃ格好よく、そしてシルバーのスリットドレスに包まれたみなこちゃんのゴージャスさは群を抜いて華やか。この輝きの頂点で翔びたっていくトップコンビを、ちゃんと見届けなくては、と思いました。
中詰めの後は、日替わりのShow Time。初日はBlues Versionなので、最初にみなこちゃん&チギちゃん&コマちゃんで銀橋をわたり、幕が上がると黒タキシードの水さん・キムちゃん・ひろみちゃん・そらちゃん・キタロウで格好よく踊ってくれました。
あと二回観る予定ですが、Latin Versionも観られますように!!
で。
このショーで一番度肝を抜いたのは、ロケット。
そらちゃん、卒業公演で研11ロケットかよ!!(@ @)
月組も宙組も91期以上はほとんどロケット卒業したのに、なんで雪組だけこんなに上級生が、しかもこんなに人数が少なくて、しかも銀橋で足あげ!!
うっわー、一階席で観てたら、ドキドキものだろうなあ……。
水さん+男役40人の黒燕尾は、キレイに揃っていて実に美しい(T T)。素晴らしい統率力!雪組さんは群舞がいつもキレイだなと思っていましたが、特に今回は人数が多い分、凄い迫力でした!
8人が配属され、10人が去る雪組。
組長さんに「これが最後の、初日のご挨拶」と言われて、ちょっと緊張気味にマイクの前に立った水さん。
あっという間の一ヶ月を楽しみたい、だったか、楽しんでください、だったかという挨拶の後、「たった一つの願いは、キャスト、スタッフ、お客様にいたるまで、全員が心身共に健康で、すがすがしく元気に千秋楽を迎えられること」と、本当にすがすがしく仰っていたのが印象的でした。
二度目のカーテンコールで客席はAll Standing。
笑顔で数歩前にでた水さんは、前方席のお客さんに
「泣いてますね?泣いてちゃだめですよ、笑って免疫力を高めないと」
と突っ込んでいらっしゃいました。……あなたが卒業するから泣いてるんだと思うんだけどな(^ ^;ゞ
その後も数を重ねるカーテンコールに、一回くらい水さん一人で出てきたりするのかなと思ったのですが、5、6回あったカーテンコールはすべて組子全員で。
そういうところ、水さんらしいなと思いました。
「雪組は客席参加型で」だったか
「客席参加型が根付いてきた雪組」だったか
そんなようなコメントで笑いをとりつつ、
「みなさんの拍手で緞帳をあげてください!」と、緞帳を持ち上げるゼスチャー付きで言ってみたい、
「(カーテンコールの回数の)ギネスに挑戦しますか!?」
なんて言ったりしつつ、それでも水さんになだめられて客席の拍手も止まり、、、
トップさんのサヨナラ公演の初日を観たのは初めてだったのですが、なんというか、爽やかなものなのだな、と思いました。
泣いている人もいましたけれども、総じて客席の空気はとにかく「熱」く、そして、矛盾するようですが「爽やか」でした(^ ^)。
あと一ヶ月。
水さんのお言葉どおり、関係者一同(観客含む)が全員、心身ともに健康で、さいごまで10人の卒業生を見送ることができますように(祈)
.
水さん、みなこちゃん(愛原実花)、(真波)そらちゃん、彩夏涼さん、紫友みれいさん、(悠月)れなちゃん、あずりん(梓晴輝)、美乃ほのかさん、花城舞さん、琉動真瑳さん。
東宝で一人ふえて、10人になった卒業生たち。組ファンではない私には判らない方もいらっしゃいますが(すみません)、どうぞ今日から一ヶ月、舞台を楽しんでくださいますように。
そして水さん。東京に秋を連れてきてくださったことには感謝しますが、あまり大雨を降らせないでくださいね(涙)。
正塚晴彦+水夏希、といえば、私の心に燦然と輝く名作「マリポーサの花」がありますが。
今回の「ロジェ」は、「マリポーサの花」とは全く違う方向で水さんの魅力をひきだすべく、正塚さんがんばったな、という印象でした。
まあ、あの、相変わらず下級生の出番は少ないわ、珍しく出てると思ったら帽子を目深に被っていて顔が全然見えないわで、二階席の猫はだいぶ涙目でしたが……。
水くんとキムちゃん(音月桂)、こうやって芝居でちゃんと組んでいる姿を観るのは全国ツアー「星影の人」の総司と土方……以来かな?やっぱりこの二人、意外に似合うんだよなあ、と。
クールでシャープな水さんと、熱血すぎて暑苦しいキムちゃん。正塚さんもそのままなキャラクターを二人に与えていて、役者をよく観ているな、と思いました。
水さんのロジェは、幼いころに理不尽に両親と妹を殺されたトラウマを抱えるインターポールの刑事。キムちゃんのリオンは、捜査に協力するパリ市警の刑事。
舞台となるのは、第二次世界大戦終戦から20数年たっているそうなので、1965年頃のヨーロッパ某国……じゃなくて、パリなのか、パリ市警だから。パリの空気感とか全く感じないけど。
水さんは、心に傷をかかえて生きている男が嵌りますねー。まあ、ちょっとばかり青臭いんですけど(汗)、「マリポーサ」のネロからイメージを離そうとすると若くするしかない。……今回は相棒もキムちゃんなので、あのくらい未熟な感じでちょうどいいのかも。っていうか、あのキャリアであれだけの『未熟さ』を真正面から表現できる水さんって凄いな、と思いました。お披露目の沖田総司を思い出しましたわ。
激しい復讐心に煽られて暴走しようとするロジェを、心配して引きとめようとするリオン。リオンのロジェに対する感情は、すごく素直で可愛いんですよね。ああいう真っ直ぐな愛情表現はキムちゃんの美点だと思うし、これからも大切にしてほしいと思います。
そして、それをそっけなくかわして先を歩いていく水さんの男役としての格好良さというのは、本当に余人をもって替え難いな、と。正塚さんの「マリポーサ」以降の作品の低迷ぶりを考えてみても、もしかしたら水さんが彼の最後のミューズになってしまうのかもしれないな、と思ってしまいました。
水さんと一緒に卒業を決めたみなこちゃんは、ひろみちゃん(彩那音)と一緒に戦犯たちを追うヴィーゼンタール機関の調査員。
もっと制服系というか、タイトスカートのイメージを勝手にもっていたのですが、意外と衣装はバリエーションが豊富で、どれもよく似合ってました♪
途中でロジェに片思いしていることを自覚して一曲歌いますが、残念ながらロジェうには全く相手にされず、「まあ、これからがんばりましょう」みたいな感じで終わってしまったのが若干残念(^ ^)。
……まあ、宙組のコンビがちょっと恋愛体質すぎるだけで、こういうクールなコンビも素敵だな、とは思うんですけどね。物語的に、恋愛の入る余地がない展開だし。
一緒に卒業するそらちゃんは、今回もなかなか絶妙な役♪ 出番は多く、喋りすぎず。本来の役(キムちゃんリオンの部下)でも結構出番が多いのに、さらにブエノスアイレスのタンゴダンサーもやっていて、これがまた超絶格好良い(はぁと)。
スポットの中で踊るタンゴダンサーの、ラインの美しさに惚れぼれしました。
雪組美形軍団の総元締めの卒業は寂しい限りですが、最後にじっくりとタンゴを観ることができて嬉しいです♪
同じく卒業するあずりんは、こまごまと色んなところで出番は多いのですが、残念ながら二階席から顔を観る機会はあんまりない、かも(涙)。
しょぼん。
ただ、後半のタンゴ酒場で、一緒に卒業する同期のれなちゃんと踊っているのが嬉しかったです。舞台前方、上手ががおりちゃん(香稜しずる)&沙月愛奈ちゃんで、下手があずりん&れなちゃん。……かっこいいぞ(ぼそ)(T T)。
役らしい役がついているのは、男役では水さん、未沙さん、キムちゃん、飛鳥組長、にわにわ(奏乃はると)、ひろみちゃん、そらちゃん、キタロウ(緒月遠麻)、チギちゃん(早霧せいな)、コマちゃん(沙央くらま)、(大湖)せしる、彩風咲奈ちゃん、、くらいかな。
娘役でも、物語上意味のある役なのはみなこちゃん、美穂圭子さん、花帆杏奈ちゃん、(涼花)リサちゃん、きゃびぃ(早花まこ)、(舞羽)美海ちゃんくらい。
今名前をあげたメンバー以外にもいくつか目立つ役がありますが(ロジェの家のメイド役の愛加あゆちゃんとか)、物語にはあまり関係ないんですよね。……とはいえ、「マリポーサの花」を考えたらだいぶ役も増えているのかな。正塚さん、がんばった?
とりあえず、猫的には、ラストのタンゴ酒場でのロジェとレアの語らいの場に、下級生が結構たくさん出て小芝居していたのが楽しかったです。雪組さんの小芝居は、よく練られていて興味深いです(^ ^)。
ネタばれというほどのネタでもないので(キタロウと違って)あまり気にせず書きますが、にわにわのゲルハルト氏(資産家で、戦犯の逃亡組織の資金源)が、なかなか面白い役でした。美しい奥様(美穂さん)と可愛いお嬢さん(きゃびぃ)を抱きしめて「お前たちを必ず守る!」(だっけ。違うかも)という場面はぐっときました(^ ^)。
ただ、ちょっと卑小なキャラにつくりすぎているような気もしたんですよね。彼の「真実の姿」を考えれえば、もう少し大物感があってもいいんじゃないかなーーー?、なんて。
チギちゃんのクラウスと対峙するところとか、ちょっと情けなさが先に立つのは、演出指導?(^ ^)。
チギちゃんは、クールでシャープなギャング(←違う)で、新境地、なのかな?
歌もダンスもなく、ただ銀橋を一人で渡っていく演出にちょっとびっくりしました。渡り終わったところでゲルハルトとすれ違って、ワンアクションあって、その後、花道をハケながら天を見上げて嘲うチギちゃんに、いきなり惹きつけられました。
コマちゃんは、役どころはだいぶ違いますが、作品の中の位置としては「マリポーサの花」の馬番と似ていたような。割と深刻な物語の中の、一服の清涼剤のような存在。本当に良い声だなあ(*^ ^*)。でも、そろそろ物語の本筋にかかわるような役をやらせてあげてほしいんですが……
彩風咲奈ちゃんは、ロジェの同居人(?)のヴィンセント。なんだか、「ブエノスアイレスの風に」のマルセーロ(初演は大和悠河、再演は霧矢大夢)のその後(ニコラスに引き取られて一緒に暮らしている設定)、みたいな感じのキャラでした。
ナウオンで自分で言ってましたが、観客に『で、なんで君がここにいるの?』みたいな疑問を抱かせたらおしまいな役なんですが、、、でもよくやっていたかな。小生意気で反抗期だけど、実は優しくてちょっと不器用、なあたり、タニちゃんよりきりやんのマルセーロに近いかな、と思ったり。
顔はまだだいぶ丸いけど、身体はずいぶん絞りましたね。男役らしくシャープになってきたと思います。新公が楽しみ!
ショーは大盛り上がりでした!!
っていうか、初日から客席テンション高すぎ(^ ^)。
とにかく、最初から最後まで盛り上がりまくり。ショースター・水さんの最後のショーは、本当に夢のように楽しいショーでした。
オープニングからいきなり客席降りはあるわ、二階にも下級生が来てくれるわ、楽しいったらないです。っていうか、本公演で客席降りがあるショーって珍しいのに、水さんのショーは客席降り多かった印象………
中詰めの始まりの、杏奈ちゃん・リサちゃんと彩夏涼さん・香音有希さんの場面が意外な配役で面白かったです。こういう場面にも拍手を入れたかったなー。
クールなLady-Killer水さんはめっちゃ格好よく、そしてシルバーのスリットドレスに包まれたみなこちゃんのゴージャスさは群を抜いて華やか。この輝きの頂点で翔びたっていくトップコンビを、ちゃんと見届けなくては、と思いました。
中詰めの後は、日替わりのShow Time。初日はBlues Versionなので、最初にみなこちゃん&チギちゃん&コマちゃんで銀橋をわたり、幕が上がると黒タキシードの水さん・キムちゃん・ひろみちゃん・そらちゃん・キタロウで格好よく踊ってくれました。
あと二回観る予定ですが、Latin Versionも観られますように!!
で。
このショーで一番度肝を抜いたのは、ロケット。
そらちゃん、卒業公演で研11ロケットかよ!!(@ @)
月組も宙組も91期以上はほとんどロケット卒業したのに、なんで雪組だけこんなに上級生が、しかもこんなに人数が少なくて、しかも銀橋で足あげ!!
うっわー、一階席で観てたら、ドキドキものだろうなあ……。
水さん+男役40人の黒燕尾は、キレイに揃っていて実に美しい(T T)。素晴らしい統率力!雪組さんは群舞がいつもキレイだなと思っていましたが、特に今回は人数が多い分、凄い迫力でした!
8人が配属され、10人が去る雪組。
組長さんに「これが最後の、初日のご挨拶」と言われて、ちょっと緊張気味にマイクの前に立った水さん。
あっという間の一ヶ月を楽しみたい、だったか、楽しんでください、だったかという挨拶の後、「たった一つの願いは、キャスト、スタッフ、お客様にいたるまで、全員が心身共に健康で、すがすがしく元気に千秋楽を迎えられること」と、本当にすがすがしく仰っていたのが印象的でした。
二度目のカーテンコールで客席はAll Standing。
笑顔で数歩前にでた水さんは、前方席のお客さんに
「泣いてますね?泣いてちゃだめですよ、笑って免疫力を高めないと」
と突っ込んでいらっしゃいました。……あなたが卒業するから泣いてるんだと思うんだけどな(^ ^;ゞ
その後も数を重ねるカーテンコールに、一回くらい水さん一人で出てきたりするのかなと思ったのですが、5、6回あったカーテンコールはすべて組子全員で。
そういうところ、水さんらしいなと思いました。
「雪組は客席参加型で」だったか
「客席参加型が根付いてきた雪組」だったか
そんなようなコメントで笑いをとりつつ、
「みなさんの拍手で緞帳をあげてください!」と、緞帳を持ち上げるゼスチャー付きで言ってみたい、
「(カーテンコールの回数の)ギネスに挑戦しますか!?」
なんて言ったりしつつ、それでも水さんになだめられて客席の拍手も止まり、、、
トップさんのサヨナラ公演の初日を観たのは初めてだったのですが、なんというか、爽やかなものなのだな、と思いました。
泣いている人もいましたけれども、総じて客席の空気はとにかく「熱」く、そして、矛盾するようですが「爽やか」でした(^ ^)。
あと一ヶ月。
水さんのお言葉どおり、関係者一同(観客含む)が全員、心身ともに健康で、さいごまで10人の卒業生を見送ることができますように(祈)
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シアタークリエにて「宝塚BOYS」を観劇してまいりました。
初演は2007年6月。二週間ほどの公演で、私は面白そうだなーと思いながら仕事をしたり「ダル・レークの恋」全国ツアーで遠征したりしていたらしい。……絶対に観るつもりだった「大阪侍」でさえ観られなかったんだから、手が回らなくても仕方ないかな(^ ^;
再演されたのが翌2008年8月。初演の評判が非常に良かったのですごく観たかったんですが、この年は諸般の事情により(^ ^;、九州でひと夏を過ごしたに近い状態だったので、東京ではほとんど何も観られなかったんですよね。
そんな状況だったので、今回キャストは変ってしまいましたが、無事観ることができて、とてもうれしかったです(^ ^)。東宝さん、再演してくれてありがとう!!
その昔、宝塚歌劇団に「男子部」があった!とという驚愕の歴史的事実をもとに、エピソード自体はフィクションで創られた物語。
初演キャストは観ていないのでどう違うのかは判りませんが、プログラムのベテラン陣(初風諄、山路和弘)のトークによると、今回のメンバーは「草食系というか、デリケートでナイーヴな感じ」(鈴木裕美)らしい。うーん、なんかわかるような気がする(^ ^)。実際、どの役もほとんど若返っているし、舞台経験を積んでいると言えるのは浦井くんと東山くんだけみたいなものだし。
たぶん、初演で狙ったものとは違うものが出てきているんだろうな、と思うんですよね。皆すごく細くてすらっとしてて、徴兵検査なら全員丙種でしょ?って感じだし。芝居の口調とかもどうしても現代っ子っぽい。芝居の質が現代芝居っぽいので、1950年前後の話だというのがピンとこないメンバーもいたんですよね。この辺、初演はどうだったのかな?と思うんですが、少なくとも芝居に関してはもう少し重厚なメンバーっぽかった気がします。(観てないのにすみません)
あと、ラストに華やかな宝塚系フィナーレがつくんですが、ダンスも歌も、ホントにお前たち9年もレッスンしたのか?とゆー出来な人が混ざっていたり、とか。……ああ、いや、研19になったってむにゃむにゃ(黙)
えっと。
でも、なんていうか、観ているかぎりではそんなこと全く気になりませんでした。
この作品は、根本的なところで、あの脚本と、鈴木裕美の演出と、そしてベテラン二人(初風・山路。この二人だけが初演から継続)が揃っていれば、たぶん、BOYSが誰であっても成立すると思うんです。
重厚な芝居の出来るベテランを集めればそのように、
舞台に慣れてはいないけれども、これからも舞台に出たいと思っている若手を集めたならば、そのように。
それぞれのBOYSが、それぞれの9年間を過ごして、それぞれのフィナーレを歌い、踊ってくれるのだと思う。
だから。
これからも、いろんなキャストで上演を繰り返してほしい、と思います。
すくなくとも、宝塚関係者が全員観るまで、は。
どんなに辛くても、苦しくても、宝塚関係者はこの作品を観なくてはいけないと思う。
ある人々にとって、どれほどタカラヅカが夢そのものになりうるのか、それがどれほどに偉大なる夢だったのか、を、忘れないために。
この作品を観て最初に感じたことは、根本的なところで「戦後」の物語なんだな、ということでした。
冒頭の場面は、1945年8月15日、そう、ちょうど55年前の本日に流れた、ラジオ放送から始まります。
大分の回天基地で、来る日も来る日も仲間の兵士たちの特攻出撃を見送ってきた通信兵の上原金蔵(浦井健治)。「次は自分か?」という恐怖が、「早く自分も」という渇望に変るほどの絶望の中を生きていた彼の、過去のすべてを否定してのけた、玉音放送。
このあたりの説明はまったくなく、基地のセットがあるわけでもなく、こぎれいなスーツを着て宝塚歌劇団に面接(?)に来た上原が、待ち時間に過去の追憶に浸った、という感じの場面なのですが……
ピンスポを浴びて闇の中に立ち尽くす上原の、苦悶の表情だけで、まず胸を攫まれました。
彼らがあんなにも純粋に「夢」を追いかけようとしたのは、それが「戦後」だったから、なのでしょうか。
すべての夢を破壊しつくした戦争という悪夢から醒めたとき、人々は夢の見かたを忘れてしまったのではないか。だからこそ彼らは、やっと見出した「夢」に固執した。眩くてただひたすらに美しい、「戦い」でさえ美しい世界に。
そして、自分たちも、その一員になりたい、と切望する。
僅か4ヶ月前まで、彼らの国は戦っていた。
彼らの国土は戦場になる寸前だった。
本土決戦を避けるために、彼らは命を懸けていたつもりだった。それがどんなに局所的な努力であったとしても。
戦争が終わったらどうしよう?なんて、そんなことを考えたことは無かったに違いない彼らが、現実に終戦を迎えた時。
もう自分は、魚雷を抱えて出撃することは無いのだ。
仲間たちの後を追うことは、もう、できない。
ならば、何をすればいいんだろう?
……そう、思った時に。
上原の脳裏に浮かんだのが、煌びやかに光り輝く「宝塚」だったということこそが、まず夢のような気がします。
そして、同じ夢を分かち合った彼らが、9年間も、その夢を持ち続けていけたことが、まさに夢のようです。
そんなことはあり得ない、と言いたくなってしまうほどの、「夢」。
宝塚が、それほどの「夢」であるという、その、衝撃。
宝塚を目指す女性たちは、音楽学校に入りさえすれば、よほどのことがない限り、大劇場に立つことができる。
そこから先は自分次第。すべては、自分の努力次第です。
でも。
男子部のメンバーは、その夢を9年間見続けて、しかも、最後まで叶わなかった……。
9年!
彼らが女性だったなら研9、いや、音楽学校時代をいれれば研7か。いずれにしても、新人公演の長を務める、立派な中堅メンバーです。研7より前に卒業してしまう下級生も少なくない中、舞台に立つチャンスもほとんど無いまま、9年間も続けられた彼らの夢の偉大さに、呆然とするよりほかはありません。
この作品の原作というべき、辻則彦氏著の「男たちの宝塚」によると、彼らも新芸座の舞台に立つチャンスは何度かあったようですね。
ただ、彼らが望んだ「宝塚大劇場の舞台」に「顔を出して」立つ、という夢は、叶う目途もたたなかった。
来る日も来る日も芸事のレッスンをして、ひたすらにレッスンをして、たぶんアルバイトもして、いつかきっと、あの舞台に立って見せると誓い合い、苦しくなると「宝塚わが心のふるさと」を歌いながら。
宝塚以外の舞台をあまりご覧にならないファンの方とお話していると、ああ、仕事が定期的にあるということがどれほどに幸せなコトなのか、宝塚しか観ていなかったらわからないだろうな、と思うことがあります。
以前某役者さんが仰っていましたが、役者は、仕事がないと役者とはいえない のだそうです。同じ自由業でも、作家なら自分が何らかの形で創作をしていれば「自分は作家だ」と名乗れる。だけど、役者は使ってもらわなくては役者ではないんだ、と。
どんなにレッスンしていても、ただの「役者志望」あるいは「役者くずれ」でしかない、と。
それでも、宝塚男子部には、それなりの居心地の良さはあったのでしょう。新芸座への出演の機会、「いつかは大劇場に」という夢を共有し、共にレッスンに励む仲間たち。そう。プロのダンサーからスカウトされた星野(東山義久)にしても、なんだかんだ文句を言いつつ最後まで付き合うのですから。
その仲間たちへのまっすぐなリスペクトと、夢を諦めきれない苦しさ。夢を諦めないのは、必ずしも格好いいことじゃない、という切なさ。
もう駄目なんだろうと判っている。たぶん、無理なんだろう、と。
なのに、細い細い「希望」という名の蜘蛛の糸にしがみついて、離せずにいる自分。
このあたりの心情が、すごく「戦後」なんだな、と思ったのでした。
日本は負けると判っていた。勝てるわけがないと。
人間魚雷。言葉はきれいだけれども、これがいかに無惨な特攻だったか、上原は知っていたはず。そんなことしかできない、この状況で。
それでも、どんなに細く脆い糸でも、一筋の希望の糸は切れない。離せない。
日本は勝つのかもしれない。
もしかしたら。自分のやってきたことに、意味はあったかもしれない。
日本を救うという、大いなる意義が。
宝塚歌劇団に、男子部は必要ではなかった。
それは、観ている観客にとってはすでに歴史的事実です。
男子部があったなら、男子部が舞台に立っていたなら、どうなっていたか。歴史に対してたらればは無用。男子がいたら、宝塚はベルばらブームを作れなかったかもしれない。男子がいたら、宇宙戦艦ヤマトブームがあったかもしれない(←嘘です)
いろいろ想像してみても、いまさら意味はないのです。
日本は太平洋戦争に勝てたかもしれない。もし勝っていたならば。そういった夢想と同じレベルで、意味のない夢想。
『タカラヅカは、男子部を必要としなかった』これが史実。
そして、これからも必要とすることはないだろう、これが、現時点での予測。
それでも、彼らには夢が必要だった。
それは、戦後の苦しい生活の中に点った幽かな燈であり、確かな実感のある夢だった。
タカラヅカ、という夢。
それが夢であった、ということもまた、歴史的事実なのだと思います。
それが夢でありつづけられるかどうか、今はそれを問われている時代。
あれほどの渇望をもって「タカラヅカ」を求めてくれた人は、もういない。
それでも「タカラヅカ」には、それほどのポテンシャルがあるのだ、ということを、今あらためて確認できて、良かったと思います。
余談。
「宝塚BOYS」とは何の関係もない話で恐縮ですが。
ダル湖といえば。芸術劇場にTSミュージカル「タンビエットの唄」を観にいったのですが、あの全ツ「ダル・レークの恋」で卒業した彩橋みゆちゃんが出演されていました♪ 難度の高いTSのダンスをしっかりこなしつつ、キュートな笑顔でとても可愛かったー♪
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初演は2007年6月。二週間ほどの公演で、私は面白そうだなーと思いながら仕事をしたり「ダル・レークの恋」全国ツアーで遠征したりしていたらしい。……絶対に観るつもりだった「大阪侍」でさえ観られなかったんだから、手が回らなくても仕方ないかな(^ ^;
再演されたのが翌2008年8月。初演の評判が非常に良かったのですごく観たかったんですが、この年は諸般の事情により(^ ^;、九州でひと夏を過ごしたに近い状態だったので、東京ではほとんど何も観られなかったんですよね。
そんな状況だったので、今回キャストは変ってしまいましたが、無事観ることができて、とてもうれしかったです(^ ^)。東宝さん、再演してくれてありがとう!!
その昔、宝塚歌劇団に「男子部」があった!とという驚愕の歴史的事実をもとに、エピソード自体はフィクションで創られた物語。
初演キャストは観ていないのでどう違うのかは判りませんが、プログラムのベテラン陣(初風諄、山路和弘)のトークによると、今回のメンバーは「草食系というか、デリケートでナイーヴな感じ」(鈴木裕美)らしい。うーん、なんかわかるような気がする(^ ^)。実際、どの役もほとんど若返っているし、舞台経験を積んでいると言えるのは浦井くんと東山くんだけみたいなものだし。
たぶん、初演で狙ったものとは違うものが出てきているんだろうな、と思うんですよね。皆すごく細くてすらっとしてて、徴兵検査なら全員丙種でしょ?って感じだし。芝居の口調とかもどうしても現代っ子っぽい。芝居の質が現代芝居っぽいので、1950年前後の話だというのがピンとこないメンバーもいたんですよね。この辺、初演はどうだったのかな?と思うんですが、少なくとも芝居に関してはもう少し重厚なメンバーっぽかった気がします。(観てないのにすみません)
あと、ラストに華やかな宝塚系フィナーレがつくんですが、ダンスも歌も、ホントにお前たち9年もレッスンしたのか?とゆー出来な人が混ざっていたり、とか。……ああ、いや、研19になったってむにゃむにゃ(黙)
えっと。
でも、なんていうか、観ているかぎりではそんなこと全く気になりませんでした。
この作品は、根本的なところで、あの脚本と、鈴木裕美の演出と、そしてベテラン二人(初風・山路。この二人だけが初演から継続)が揃っていれば、たぶん、BOYSが誰であっても成立すると思うんです。
重厚な芝居の出来るベテランを集めればそのように、
舞台に慣れてはいないけれども、これからも舞台に出たいと思っている若手を集めたならば、そのように。
それぞれのBOYSが、それぞれの9年間を過ごして、それぞれのフィナーレを歌い、踊ってくれるのだと思う。
だから。
これからも、いろんなキャストで上演を繰り返してほしい、と思います。
すくなくとも、宝塚関係者が全員観るまで、は。
どんなに辛くても、苦しくても、宝塚関係者はこの作品を観なくてはいけないと思う。
ある人々にとって、どれほどタカラヅカが夢そのものになりうるのか、それがどれほどに偉大なる夢だったのか、を、忘れないために。
この作品を観て最初に感じたことは、根本的なところで「戦後」の物語なんだな、ということでした。
冒頭の場面は、1945年8月15日、そう、ちょうど55年前の本日に流れた、ラジオ放送から始まります。
大分の回天基地で、来る日も来る日も仲間の兵士たちの特攻出撃を見送ってきた通信兵の上原金蔵(浦井健治)。「次は自分か?」という恐怖が、「早く自分も」という渇望に変るほどの絶望の中を生きていた彼の、過去のすべてを否定してのけた、玉音放送。
このあたりの説明はまったくなく、基地のセットがあるわけでもなく、こぎれいなスーツを着て宝塚歌劇団に面接(?)に来た上原が、待ち時間に過去の追憶に浸った、という感じの場面なのですが……
ピンスポを浴びて闇の中に立ち尽くす上原の、苦悶の表情だけで、まず胸を攫まれました。
彼らがあんなにも純粋に「夢」を追いかけようとしたのは、それが「戦後」だったから、なのでしょうか。
すべての夢を破壊しつくした戦争という悪夢から醒めたとき、人々は夢の見かたを忘れてしまったのではないか。だからこそ彼らは、やっと見出した「夢」に固執した。眩くてただひたすらに美しい、「戦い」でさえ美しい世界に。
そして、自分たちも、その一員になりたい、と切望する。
僅か4ヶ月前まで、彼らの国は戦っていた。
彼らの国土は戦場になる寸前だった。
本土決戦を避けるために、彼らは命を懸けていたつもりだった。それがどんなに局所的な努力であったとしても。
戦争が終わったらどうしよう?なんて、そんなことを考えたことは無かったに違いない彼らが、現実に終戦を迎えた時。
もう自分は、魚雷を抱えて出撃することは無いのだ。
仲間たちの後を追うことは、もう、できない。
ならば、何をすればいいんだろう?
……そう、思った時に。
上原の脳裏に浮かんだのが、煌びやかに光り輝く「宝塚」だったということこそが、まず夢のような気がします。
そして、同じ夢を分かち合った彼らが、9年間も、その夢を持ち続けていけたことが、まさに夢のようです。
そんなことはあり得ない、と言いたくなってしまうほどの、「夢」。
宝塚が、それほどの「夢」であるという、その、衝撃。
宝塚を目指す女性たちは、音楽学校に入りさえすれば、よほどのことがない限り、大劇場に立つことができる。
そこから先は自分次第。すべては、自分の努力次第です。
でも。
男子部のメンバーは、その夢を9年間見続けて、しかも、最後まで叶わなかった……。
9年!
彼らが女性だったなら研9、いや、音楽学校時代をいれれば研7か。いずれにしても、新人公演の長を務める、立派な中堅メンバーです。研7より前に卒業してしまう下級生も少なくない中、舞台に立つチャンスもほとんど無いまま、9年間も続けられた彼らの夢の偉大さに、呆然とするよりほかはありません。
この作品の原作というべき、辻則彦氏著の「男たちの宝塚」によると、彼らも新芸座の舞台に立つチャンスは何度かあったようですね。
ただ、彼らが望んだ「宝塚大劇場の舞台」に「顔を出して」立つ、という夢は、叶う目途もたたなかった。
来る日も来る日も芸事のレッスンをして、ひたすらにレッスンをして、たぶんアルバイトもして、いつかきっと、あの舞台に立って見せると誓い合い、苦しくなると「宝塚わが心のふるさと」を歌いながら。
宝塚以外の舞台をあまりご覧にならないファンの方とお話していると、ああ、仕事が定期的にあるということがどれほどに幸せなコトなのか、宝塚しか観ていなかったらわからないだろうな、と思うことがあります。
以前某役者さんが仰っていましたが、役者は、仕事がないと役者とはいえない のだそうです。同じ自由業でも、作家なら自分が何らかの形で創作をしていれば「自分は作家だ」と名乗れる。だけど、役者は使ってもらわなくては役者ではないんだ、と。
どんなにレッスンしていても、ただの「役者志望」あるいは「役者くずれ」でしかない、と。
それでも、宝塚男子部には、それなりの居心地の良さはあったのでしょう。新芸座への出演の機会、「いつかは大劇場に」という夢を共有し、共にレッスンに励む仲間たち。そう。プロのダンサーからスカウトされた星野(東山義久)にしても、なんだかんだ文句を言いつつ最後まで付き合うのですから。
その仲間たちへのまっすぐなリスペクトと、夢を諦めきれない苦しさ。夢を諦めないのは、必ずしも格好いいことじゃない、という切なさ。
もう駄目なんだろうと判っている。たぶん、無理なんだろう、と。
なのに、細い細い「希望」という名の蜘蛛の糸にしがみついて、離せずにいる自分。
このあたりの心情が、すごく「戦後」なんだな、と思ったのでした。
日本は負けると判っていた。勝てるわけがないと。
人間魚雷。言葉はきれいだけれども、これがいかに無惨な特攻だったか、上原は知っていたはず。そんなことしかできない、この状況で。
それでも、どんなに細く脆い糸でも、一筋の希望の糸は切れない。離せない。
日本は勝つのかもしれない。
もしかしたら。自分のやってきたことに、意味はあったかもしれない。
日本を救うという、大いなる意義が。
宝塚歌劇団に、男子部は必要ではなかった。
それは、観ている観客にとってはすでに歴史的事実です。
男子部があったなら、男子部が舞台に立っていたなら、どうなっていたか。歴史に対してたらればは無用。男子がいたら、宝塚はベルばらブームを作れなかったかもしれない。男子がいたら、宇宙戦艦ヤマトブームがあったかもしれない(←嘘です)
いろいろ想像してみても、いまさら意味はないのです。
日本は太平洋戦争に勝てたかもしれない。もし勝っていたならば。そういった夢想と同じレベルで、意味のない夢想。
『タカラヅカは、男子部を必要としなかった』これが史実。
そして、これからも必要とすることはないだろう、これが、現時点での予測。
それでも、彼らには夢が必要だった。
それは、戦後の苦しい生活の中に点った幽かな燈であり、確かな実感のある夢だった。
タカラヅカ、という夢。
それが夢であった、ということもまた、歴史的事実なのだと思います。
それが夢でありつづけられるかどうか、今はそれを問われている時代。
あれほどの渇望をもって「タカラヅカ」を求めてくれた人は、もういない。
それでも「タカラヅカ」には、それほどのポテンシャルがあるのだ、ということを、今あらためて確認できて、良かったと思います。
余談。
「宝塚BOYS」とは何の関係もない話で恐縮ですが。
ダル湖といえば。芸術劇場にTSミュージカル「タンビエットの唄」を観にいったのですが、あの全ツ「ダル・レークの恋」で卒業した彩橋みゆちゃんが出演されていました♪ 難度の高いTSのダンスをしっかりこなしつつ、キュートな笑顔でとても可愛かったー♪
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New Generation♪
2010年8月17日 宝塚全体・OG コメント (16)昨夜途中まで書きかけたところで寝てしまったために一日遅れてしまいましたが(^ ^;ゞ、タカラヅカの次世代を担うと期待される新人公演メンバーをクローズアップした若手男役特集本がまた発売されるそうですね♪♪
題して「NEW GENERATION II」(9月27日発売予定)。
掲載メンバーは以下のとおり。
90期
花 彩城レア・煌雅あさひ・瀬戸かずや
月 響れおな・宇月颯
雪 香綾しずる
星 如月蓮・海隼人
宙 鳳樹いち
91期
花 鳳真由・輝良まさと
月 紫門ゆりや・貴千碧
雪 ―
星 天寿光希
宙 澄輝さやと
92期
花 真瀬はるか
月 千海華蘭・煌月爽矢・鳳月杏
雪 彩凪翔・凛城きら・真那春人
星 真風涼帆
宙 月映樹茉
93期
花 真輝いづみ・大河凜
月 ―
雪 彩風咲奈・帆風成海
星 芹香斗亜・夏樹れい・十碧れいや
宙 星吹彩翔・蒼羽りく・愛月ひかる
94期
花 ―
月 珠城りょう
雪 ―
星 麻央侑希
宙 風馬翔
上級生(90期・91期)は役付き+成績の実績優先、下級生は今後の可能性も含めて幅広く、という感じですね。回数を観る組とそんなに観ない組で多少の温度差はありますが、総じて納得の人選、かな。
載らなくて残念なのは宙組90期のさっつん(風羽玲亜)と星組91期のマイケル(大輝真琴)くらい?花組90期のルナちゃん(冴月瑠那)も個人的には入って欲しかったけど、実績面が弱いから仕方ないかな…。
あ!あと、花組92期の天真みちる!前回はマメちゃん(日向燦)が入ってたんだから、今回はタソを入れるべきだったと思う!!(強く主張)
逆に、入ると思わなかったのは、、、よく観ている組だと、宙組最下のかけるくんかな。同期でたまきち・麻央くん・かけるくんと三人だけ並ぶと、ちょっと違和感がある(^ ^;。実力派だし大好きだけど、入るとしたら成績上位の美月遥くんと一緒かなー、と思っていたので。
いずれにしても、私のお気に入りさんは殆ど載せてくれて、凄く嬉しいです。
やっぱり私、最近の劇団首脳部とは意見が合うような気がするわ(^ ^)。……それでいいのか?タカラヅカ(^ ^;ゞと思いつつ、
そして。
こういう本には、今まで洩れなく「トップスターのコメント」があったんですよね。
祐飛さんが、宙組っ子7人にどんなコメントをつけるのか、今からワクワクしています♪
ちなみに。この本は同じコンセプトの二冊目で、一冊目は4年前(2006年)に発売されました。その時の掲載メンバーはこちら。
86期
花 望月理世
月 星条海斗
雪 凰稀かなめ・緒月遠麻
星 彩海早矢
宙 和涼華
87期
花 日向燦・白鳥かすが
月 龍真咲・榎登也
雪 沙央くらま
星 夢乃聖夏
宙 早霧せいな
88期
花 扇めぐむ・祐澄しゅん・朝夏まなと
月 光月るう
雪 大凪真生・大湖せしる
星 麻尋しゅん・水輝涼・紅ゆずる
宙 春風弥里・鳳翔大・蓮水ゆうや
89期
花 望海風斗・天宮菜生
月 明日海りお・流輝一斗・美翔かずき
雪 蓮城まこと
星 壱城あずさ・美弥るりか
宙 凪七瑠海・暁郷・七海ひろき
今みると、はるちゃん(天宮菜生)が入っているのにせーこちゃん(純矢ちとせ)がいないのは意外な気がしますが、当時は疑問には思わなかったなー。
当たり前か(^ ^)。
※せうこ様からコメントをいただいて気が付きました。せーこちゃんは、2006年6月の「やらずの雨」ですでに娘役に転向していたので、こちらに掲載されるはずはありませんでした……(汗)失礼しました!
あと、このときは86期全員のトークと87期の一部(月雪宙)のトークがあったんですよね。88期と89期のトークもあればよかったのに!!と強く思ったことを覚えています。……「II」では、少なくとも93期までは期ごとに全員でトークしてほしいなあ。全員が集まるのが無理なら、交換日記でもいいから(^ ^)。
似たような企画本では「Young STAR GUIDE」というのも何回か出ていますね。
私が知っている限り、最初は1999年。
77期 春野寿美礼(花)・安蘭けい(雪)・成瀬こうき(雪)・朝海ひかる(雪)
78期 瀬奈じゅん(花)・大空祐飛(月)・貴城けい(雪)・音羽椋(星)・夢輝のあ(宙)
79期 水夏希(花)・朝比奈慶(宙)
80期 霧矢大夢(月)・朝澄けい(星)・久遠麻耶(宙)
81期 大和悠河(月)
次が2004年。
79期 立樹遙(星)
80期 彩吹真央(花)
81期 真飛聖(星)
82期 蘭寿とむ(花)・月船さらら(月)・壮一帆(雪)・涼紫央(星)・遼河はるひ(宙)
83期 愛音羽麗(花)・天勢いづる(雪)
84期 北翔海莉(月)・音月桂(雪)
85期 柚希礼音(星)
一番最近が2008年。
83期 悠未ひろ(宙)
84期 未涼亜希(花)・桐生園加(花)
85期 華形ひかる(花)・真野すがた(月)・青樹 泉(月)・彩那 音(月)・十輝いりす(宙)・七帆ひかる(宙)
86期 望月理世(花)・星条海斗(月)・凰稀かなめ(雪)・緒月遠麻(雪)・彩海早矢(星)・和 涼華(宙)
87期 龍 真咲(月)・沙央くらま(雪)・夢乃聖夏(星)・早霧せいな(宙)
88期 朝夏まなと(花)・麻尋しゅん(星)
89期 明日海りお (月)
こうやってまとめてみてわかったことは、きっと2012年には「Young STAR GUIDE 2012」が発売され、おそらく88期~94期の「NEW GENERATION」「〃 II」に掲載されたメンバーの中から20人くらいが選ばれるであろう、という予想でしょうか(^ ^)。
二年後にも私がこの日記を続けていたら、ぜひ検証してみたいと思います♪
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題して「NEW GENERATION II」(9月27日発売予定)。
掲載メンバーは以下のとおり。
90期
花 彩城レア・煌雅あさひ・瀬戸かずや
月 響れおな・宇月颯
雪 香綾しずる
星 如月蓮・海隼人
宙 鳳樹いち
91期
花 鳳真由・輝良まさと
月 紫門ゆりや・貴千碧
雪 ―
星 天寿光希
宙 澄輝さやと
92期
花 真瀬はるか
月 千海華蘭・煌月爽矢・鳳月杏
雪 彩凪翔・凛城きら・真那春人
星 真風涼帆
宙 月映樹茉
93期
花 真輝いづみ・大河凜
月 ―
雪 彩風咲奈・帆風成海
星 芹香斗亜・夏樹れい・十碧れいや
宙 星吹彩翔・蒼羽りく・愛月ひかる
94期
花 ―
月 珠城りょう
雪 ―
星 麻央侑希
宙 風馬翔
上級生(90期・91期)は役付き+成績の実績優先、下級生は今後の可能性も含めて幅広く、という感じですね。回数を観る組とそんなに観ない組で多少の温度差はありますが、総じて納得の人選、かな。
載らなくて残念なのは宙組90期のさっつん(風羽玲亜)と星組91期のマイケル(大輝真琴)くらい?花組90期のルナちゃん(冴月瑠那)も個人的には入って欲しかったけど、実績面が弱いから仕方ないかな…。
あ!あと、花組92期の天真みちる!前回はマメちゃん(日向燦)が入ってたんだから、今回はタソを入れるべきだったと思う!!(強く主張)
逆に、入ると思わなかったのは、、、よく観ている組だと、宙組最下のかけるくんかな。同期でたまきち・麻央くん・かけるくんと三人だけ並ぶと、ちょっと違和感がある(^ ^;。実力派だし大好きだけど、入るとしたら成績上位の美月遥くんと一緒かなー、と思っていたので。
いずれにしても、私のお気に入りさんは殆ど載せてくれて、凄く嬉しいです。
やっぱり私、最近の劇団首脳部とは意見が合うような気がするわ(^ ^)。……それでいいのか?タカラヅカ(^ ^;ゞと思いつつ、
そして。
こういう本には、今まで洩れなく「トップスターのコメント」があったんですよね。
祐飛さんが、宙組っ子7人にどんなコメントをつけるのか、今からワクワクしています♪
ちなみに。この本は同じコンセプトの二冊目で、一冊目は4年前(2006年)に発売されました。その時の掲載メンバーはこちら。
86期
花 望月理世
月 星条海斗
雪 凰稀かなめ・緒月遠麻
星 彩海早矢
宙 和涼華
87期
花 日向燦・白鳥かすが
月 龍真咲・榎登也
雪 沙央くらま
星 夢乃聖夏
宙 早霧せいな
88期
花 扇めぐむ・祐澄しゅん・朝夏まなと
月 光月るう
雪 大凪真生・大湖せしる
星 麻尋しゅん・水輝涼・紅ゆずる
宙 春風弥里・鳳翔大・蓮水ゆうや
89期
花 望海風斗・天宮菜生
月 明日海りお・流輝一斗・美翔かずき
雪 蓮城まこと
星 壱城あずさ・美弥るりか
宙 凪七瑠海・暁郷・七海ひろき
今みると、はるちゃん(天宮菜生)が入っているのにせーこちゃん(純矢ちとせ)がいないのは意外な気がしますが、当時は疑問には思わなかったなー。
当たり前か(^ ^)。
※せうこ様からコメントをいただいて気が付きました。せーこちゃんは、2006年6月の「やらずの雨」ですでに娘役に転向していたので、こちらに掲載されるはずはありませんでした……(汗)失礼しました!
あと、このときは86期全員のトークと87期の一部(月雪宙)のトークがあったんですよね。88期と89期のトークもあればよかったのに!!と強く思ったことを覚えています。……「II」では、少なくとも93期までは期ごとに全員でトークしてほしいなあ。全員が集まるのが無理なら、交換日記でもいいから(^ ^)。
似たような企画本では「Young STAR GUIDE」というのも何回か出ていますね。
私が知っている限り、最初は1999年。
77期 春野寿美礼(花)・安蘭けい(雪)・成瀬こうき(雪)・朝海ひかる(雪)
78期 瀬奈じゅん(花)・大空祐飛(月)・貴城けい(雪)・音羽椋(星)・夢輝のあ(宙)
79期 水夏希(花)・朝比奈慶(宙)
80期 霧矢大夢(月)・朝澄けい(星)・久遠麻耶(宙)
81期 大和悠河(月)
次が2004年。
79期 立樹遙(星)
80期 彩吹真央(花)
81期 真飛聖(星)
82期 蘭寿とむ(花)・月船さらら(月)・壮一帆(雪)・涼紫央(星)・遼河はるひ(宙)
83期 愛音羽麗(花)・天勢いづる(雪)
84期 北翔海莉(月)・音月桂(雪)
85期 柚希礼音(星)
一番最近が2008年。
83期 悠未ひろ(宙)
84期 未涼亜希(花)・桐生園加(花)
85期 華形ひかる(花)・真野すがた(月)・青樹 泉(月)・彩那 音(月)・十輝いりす(宙)・七帆ひかる(宙)
86期 望月理世(花)・星条海斗(月)・凰稀かなめ(雪)・緒月遠麻(雪)・彩海早矢(星)・和 涼華(宙)
87期 龍 真咲(月)・沙央くらま(雪)・夢乃聖夏(星)・早霧せいな(宙)
88期 朝夏まなと(花)・麻尋しゅん(星)
89期 明日海りお (月)
こうやってまとめてみてわかったことは、きっと2012年には「Young STAR GUIDE 2012」が発売され、おそらく88期~94期の「NEW GENERATION」「〃 II」に掲載されたメンバーの中から20人くらいが選ばれるであろう、という予想でしょうか(^ ^)。
二年後にも私がこの日記を続けていたら、ぜひ検証してみたいと思います♪
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紀伊国屋サザンシアターにて、こまつ座&ホリプロ公演「黙阿弥オペラ」を観劇してまいりました。
当初予定していた新作「木の上の軍隊」から演目を変更しての再演。
結局東京裁判三部作を観ることができなかった私にとっては、事実上の“井上ひさし氏追悼公演”であり、かつ、ずっと観たいと思っていた作品の再演でした。
明治から大正にかけてのお江戸を舞台に、狂言作家の河竹黙阿弥を中心に庶民の生活を描いた作品。
セットは、両国橋ちかくの蕎麦屋「仁八そば」の一杯のみ。
時代は1853年から1881年までの28年間。
まず、冒頭の場面は1853年の師走。ペリーの浦賀来航から半年。「幕末」はまだ始まったばかりで、庶民の生活にはまださほどの影響は出ていない頃。
冬の夜更けに、とっくに閉めた「仁八そば」の戸口をどんどんと叩く者がいる。71歳の女主人とら(熊谷真実)はゆるゆると起きてきて、ぶつぶつ文句を言いながら引き戸をあける。
雪の中、転がり込んできたのは38歳の狂言作家・河竹新七(吉田鋼太郎)と28歳のざる売り・五郎蔵(藤原竜也)。
すぐそこの両国橋で、身投げをしようとしたら、目の前で身投げをしようとする奴がいるんでつい助けてしまった、とお互いに言い募る二人。
新七(のちの黙阿弥)は、一座の座付き作家でありながら、新作を書かせてもらえない(旧作の再演や人形浄瑠璃の潤色ばかり……って、どこかの劇団みたいだな)苛立ちが募っての自殺未遂。
そんな彼に、五郎蔵が身の上を語る。女房をなくし、ざるも売れず、幼い娘を食わせてもやれず養女に出すしかなかった、と。
養女に出した幼い娘に陰から逢いにいったら、ただ働きの奴隷同然の扱いを受けていた。憤慨して顔を見せたら、娘に「父ちゃん、もう来てはだめ。お腹がすいたならこのお煎餅をあげる」と煎餅のカケラを渡されて、ふらふらと両国橋まで行ったんだ、と。
新七は自分の甘えに気づいて新作を創ることを誓い、一年後の再会を約して別れる。
一年後。
狂言役者の高島屋(四代目市川小団次)と組んで人気沸騰中の新七。
仁八そばで再会した女将のとらは、店に置き捨てられた赤子(おせん)に困り果てていた。
いろいろ話すうちに、「おせん株」を思いつく女将。養育費用を出資してもらい、いろいろ教育をして美しく育て、玉の輿に乗せて何倍にもして返す。
手放した娘の面影を求めてなけなしの金を出す五郎蔵、豊かな懐から一両だして夢を買う新七。女将を含めて三人の「おせん株仲間」は、毎年の定例会をすることを誓う。
おせんの成長を楽しみに一年一年を過ごすうち、仁八そばのおせん株仲間も増えていった。
噺やの円八(大鷹明良)、チンピラ少年の久次(松田洋治)、浪人の及川孝之進(北村有起哉)。
新七は押しも押されもせぬ人気作家として不動の地位を築いており、
五郎蔵は養女に出した先で娘が事故死したことに抗議して暴れたため、押し込み強盗と間違えられてお縄になり、人足場へ。そこで知り合った久次を仁八そばへ送り込む。
女将のとらは、すこし老けたけれども相変わらず。
成長したおせん(内田慈)が舞台に登場するのは、一幕の終わり近く。
細かいところはもう忘れてしまったのですが、あれはたぶん明治維新(1868年)の前後だったと思うので、物語の開幕からは15年前後の時間が流れています。おせんは18か19?色街で三味線を習い、とらに煮物を習い、着々と玉の輿へ向けての準備を調えている最中(^ ^)。
二幕は、ざんぎり頭になったおせん株仲間たちの「新しい時代」を生き抜くための努力と、おせんの成長ぶりを中心に描き、明治初期という時代の空気をよみがえらせてくれました。
パリの万国博覧会に、「三味線が弾けて、踊れて、客あしらいが出来て、煮物がつくれて、蕎麦がうてる」という条件を満たす唯一の芸妓として、「JAPAN」パビリオンのコンパニオンとして招聘されたおせん。
声の良いのに目を付けたオペラ座の関係者が世話してくれて、一人パリに残ったおせん。オペラの勉強をして、日本にもオペラを広め、いつか舞台に立つことを夢に見ながら、皆より数年遅れて帰国する。
心配して待っていた株仲間の皆は、すっかり垢抜けてドレスを着こなしたおせんに吃驚する。
オペラへの情熱やみがたく、おせんは横浜の外国人居留地のオペラハウスに参加し、歌うようになっていく。そして、新七の名台詞は、オペラの節にとてもよく合うということに気づく。
そんな頃、株仲間たちは、、、
下級士族の救済策の一つとして始まった「国立銀行」制度を利用して、おせん株仲間で資金を出し合い、銚子に国立銀行を設立する。
その「東京支店」として仁八そばの店を銀行にしようとして、とらの跡を継いでいたおみつ(熊谷真実/二役)に相談する。最初は反対していたおみつだが、最終的には協力し、色街のおねえさんを目当てにした東京支店がたちあがる。
新しい文化、新しい制度が次々に導入され、その都度右往左往する“創作者”“表現者”たちと、それらを受け入れて変っていく“庶民”という存在。
そんななかで。
自分の作品の“表現者”であった高島屋を喪って落ち込んでいた新七に、「西欧風の『おぺら』を書くように」という新政府からの命令がくだる……。
……井上戯曲って、あら筋の説明がすごく難しい(涙)。
たくさんのエピソードが並行して動くし、登場人物はわずか数人なのに、全員にありとあらゆるエピソードがあるので、どれが本筋なのかよくわからなくなってくるんですよね。
とりあえず、この作品は、タイトルから言っても黙阿弥(新七)に「おぺらの脚本を書け」という命が降ったことと、それに対する黙阿弥の回答がメインテーマだと思うのですが、、、作品を観終わった後の印象としては、「おせん株仲間」とか、彼らが設立した「国立銀行」の顛末とかがすごく面白い。
でも、その辺は非常に複雑な物語なので、簡単にあらすじで説明しようとすると泥沼にはまる(^ ^;ゞ
舞台を観れば一目瞭然なので、ぜひともその目でご確認くださいませm(_ _)m。
いろいろ印象的な台詞はたくさんありましたが、やはり黙阿弥の
「食べるものさえ始末して貯めた小金を、ぎゅっと握りしめて木戸にやってきてくれた観客たちが、オペラを観て、白浪狂言を観たとき以上に幸せになって帰れるとは思えない」
というのが一番心にささりました。
成果物は、受け取り手(求める人)がいてくれて初めて存在意義があるという、ものすごく当たり前のことを、あらためて思いました。
お客さまが求めているものは何か?
西欧風のオペラをつくり、グラント将軍に見せて「日本の先進性」=「西欧化」というイメージを植え付けたい、というのは、政府都合です。
黙阿弥は反対なんだから創り手都合とは言い難いけど、プロデューサーという意味での「制作側都合」ではあると思う。
でも、それでは駄目なんですよ。
文化の成熟度を計る物差しは、舞台芸術においては常に 優れた見物客がどれだけいるか、です。一人や二人の優れた役者や作家がいるだけでは、社会全体の成熟度の物差しになんてなりません。
グラント将軍だって、そう簡単には騙されないでしょうよ。
江戸時代に結ばれた不平等条約の撤廃は、明治政府の悲願でした。
そのためには、費用を惜しまず何でもやった。意味があるんだかないんだかよくわからない対応を、ものすごくたくさん。
それらが意味があったのかどうか、今となってはよくわからない面もありますが、あの時代のなりふり構わなさというのは凄いものがあります。
それでも、芸術家としての良心に殉じようとした黙阿弥の勇気と潔さ、
そして、それを支えつつ、自分の道を歩きぬこうとしたおせんの凛々しさが、心に強く残りました。
結果的には、こういう人々が明治政府を支え、明治の日本をつくりあげたんだろうなあ、と。
それでは最後に、キャストごとに。
内田慈(おせん)
衣装の着こなしには若干の課題があったような気がしますが、愛され系のファニーフェースと個性的な声が魅力的で、役にぴったりだな、と思いました。
去年、G2演出の「静かじゃない大地」で観て、強く印象に残った彼女。これからはちょっと追いかけてみたい気がします。
オペラ歌手、という設定なので歌はもうちょっと頑張ってほしかったけど、でも、経歴を考えればそこの期待値はあまり高くなかったので(汗)、よく頑張っていたと思います。そして、歌唱力にかかわらず黙阿弥狂言の名台詞を「カルメン」のメロディに載せて歌った場面は、間違いなく名場面でした。
藤原竜也(五郎蔵)
最初の出番での、乞食のようなぼさぼさ頭に汚しメークに吃驚しましたが、悪党になり切れない中途半端さをよく演じていたと思います。
実年齢より若い役で始まって、最期はだいぶ年上までいきますが、意外と老け役も似合うな、というか、年齢を重ねたら良い俳優になるかもしれないな、と思いました。
吉田鋼太郎(河竹新七)
優しい風貌と語り口、それなりの地位にある人気作家という役を嫌味なく演じていて、説得力がありました。キャラクター的にはあの中では普通な人なのに、ちゃんと主役としてしっかり地に足のついた役柄で、とても良かった。
「観客に感動を与えるために」という、ある意味陳腐な台詞に素直に泣けたのは、吉田さんだからこそ、と思いました。
熊谷真実(とら/おみつ)
とら役での最初の出番では、誰だか全然わかりませんでした。
すごい思いきった老けメークで、最後までこのままかと思ってドキドキしたのですが、一幕のラスト以降は可愛いおみつ姐さんでした。
でも、芝居面でもとら役の方が印象的だなあ(^ ^)。
プログラムの素顔での稽古場写真を見ても、どっちの役を演じているのか表情でわかるところが凄いな、と思いました。役者魂、ここにあり!!
大鷹明良(円八)
ちょっと怪しげな噺家。語りはもちろん、風貌や仕草のさりげない巧さに感心しました。さすがだなあ♪
なかなかに興味深い、面白い役だったと思います。スーツ姿も素敵だった♪
北村有起哉(及川孝之進)
出演メンバーの中では頭一つ大きくて、「浪人者」にぴったりな感じ。
あのイケてなさが最高でした。本当に巧いなあ~~~。
松田洋治(久次)
最初に出てきたときの、どこぞの大店の番頭見習いみたいな白塗り化粧の違和感と、三下っぷりを表に出した時の落差が良かったです。面白い役者だな、と思いました。
内田さんのおせんちゃんには全く不満はありませんが、他に誰か……と思ったら、遠野あすかちゃんなら、と思いつきました。
黙阿弥にわたるさん、
五郎蔵にトウコさん、
円八にしいちゃん、
久次にすずみん、
及川に礼音くん、なんてキャスティングはどうかしら(^ ^)。
(井上戯曲と宝塚歌劇………無理だな、当たり前だけど)
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当初予定していた新作「木の上の軍隊」から演目を変更しての再演。
結局東京裁判三部作を観ることができなかった私にとっては、事実上の“井上ひさし氏追悼公演”であり、かつ、ずっと観たいと思っていた作品の再演でした。
明治から大正にかけてのお江戸を舞台に、狂言作家の河竹黙阿弥を中心に庶民の生活を描いた作品。
セットは、両国橋ちかくの蕎麦屋「仁八そば」の一杯のみ。
時代は1853年から1881年までの28年間。
まず、冒頭の場面は1853年の師走。ペリーの浦賀来航から半年。「幕末」はまだ始まったばかりで、庶民の生活にはまださほどの影響は出ていない頃。
冬の夜更けに、とっくに閉めた「仁八そば」の戸口をどんどんと叩く者がいる。71歳の女主人とら(熊谷真実)はゆるゆると起きてきて、ぶつぶつ文句を言いながら引き戸をあける。
雪の中、転がり込んできたのは38歳の狂言作家・河竹新七(吉田鋼太郎)と28歳のざる売り・五郎蔵(藤原竜也)。
すぐそこの両国橋で、身投げをしようとしたら、目の前で身投げをしようとする奴がいるんでつい助けてしまった、とお互いに言い募る二人。
新七(のちの黙阿弥)は、一座の座付き作家でありながら、新作を書かせてもらえない(旧作の再演や人形浄瑠璃の潤色ばかり……って、どこかの劇団みたいだな)苛立ちが募っての自殺未遂。
そんな彼に、五郎蔵が身の上を語る。女房をなくし、ざるも売れず、幼い娘を食わせてもやれず養女に出すしかなかった、と。
養女に出した幼い娘に陰から逢いにいったら、ただ働きの奴隷同然の扱いを受けていた。憤慨して顔を見せたら、娘に「父ちゃん、もう来てはだめ。お腹がすいたならこのお煎餅をあげる」と煎餅のカケラを渡されて、ふらふらと両国橋まで行ったんだ、と。
新七は自分の甘えに気づいて新作を創ることを誓い、一年後の再会を約して別れる。
一年後。
狂言役者の高島屋(四代目市川小団次)と組んで人気沸騰中の新七。
仁八そばで再会した女将のとらは、店に置き捨てられた赤子(おせん)に困り果てていた。
いろいろ話すうちに、「おせん株」を思いつく女将。養育費用を出資してもらい、いろいろ教育をして美しく育て、玉の輿に乗せて何倍にもして返す。
手放した娘の面影を求めてなけなしの金を出す五郎蔵、豊かな懐から一両だして夢を買う新七。女将を含めて三人の「おせん株仲間」は、毎年の定例会をすることを誓う。
おせんの成長を楽しみに一年一年を過ごすうち、仁八そばのおせん株仲間も増えていった。
噺やの円八(大鷹明良)、チンピラ少年の久次(松田洋治)、浪人の及川孝之進(北村有起哉)。
新七は押しも押されもせぬ人気作家として不動の地位を築いており、
五郎蔵は養女に出した先で娘が事故死したことに抗議して暴れたため、押し込み強盗と間違えられてお縄になり、人足場へ。そこで知り合った久次を仁八そばへ送り込む。
女将のとらは、すこし老けたけれども相変わらず。
成長したおせん(内田慈)が舞台に登場するのは、一幕の終わり近く。
細かいところはもう忘れてしまったのですが、あれはたぶん明治維新(1868年)の前後だったと思うので、物語の開幕からは15年前後の時間が流れています。おせんは18か19?色街で三味線を習い、とらに煮物を習い、着々と玉の輿へ向けての準備を調えている最中(^ ^)。
二幕は、ざんぎり頭になったおせん株仲間たちの「新しい時代」を生き抜くための努力と、おせんの成長ぶりを中心に描き、明治初期という時代の空気をよみがえらせてくれました。
パリの万国博覧会に、「三味線が弾けて、踊れて、客あしらいが出来て、煮物がつくれて、蕎麦がうてる」という条件を満たす唯一の芸妓として、「JAPAN」パビリオンのコンパニオンとして招聘されたおせん。
声の良いのに目を付けたオペラ座の関係者が世話してくれて、一人パリに残ったおせん。オペラの勉強をして、日本にもオペラを広め、いつか舞台に立つことを夢に見ながら、皆より数年遅れて帰国する。
心配して待っていた株仲間の皆は、すっかり垢抜けてドレスを着こなしたおせんに吃驚する。
オペラへの情熱やみがたく、おせんは横浜の外国人居留地のオペラハウスに参加し、歌うようになっていく。そして、新七の名台詞は、オペラの節にとてもよく合うということに気づく。
そんな頃、株仲間たちは、、、
下級士族の救済策の一つとして始まった「国立銀行」制度を利用して、おせん株仲間で資金を出し合い、銚子に国立銀行を設立する。
その「東京支店」として仁八そばの店を銀行にしようとして、とらの跡を継いでいたおみつ(熊谷真実/二役)に相談する。最初は反対していたおみつだが、最終的には協力し、色街のおねえさんを目当てにした東京支店がたちあがる。
新しい文化、新しい制度が次々に導入され、その都度右往左往する“創作者”“表現者”たちと、それらを受け入れて変っていく“庶民”という存在。
そんななかで。
自分の作品の“表現者”であった高島屋を喪って落ち込んでいた新七に、「西欧風の『おぺら』を書くように」という新政府からの命令がくだる……。
……井上戯曲って、あら筋の説明がすごく難しい(涙)。
たくさんのエピソードが並行して動くし、登場人物はわずか数人なのに、全員にありとあらゆるエピソードがあるので、どれが本筋なのかよくわからなくなってくるんですよね。
とりあえず、この作品は、タイトルから言っても黙阿弥(新七)に「おぺらの脚本を書け」という命が降ったことと、それに対する黙阿弥の回答がメインテーマだと思うのですが、、、作品を観終わった後の印象としては、「おせん株仲間」とか、彼らが設立した「国立銀行」の顛末とかがすごく面白い。
でも、その辺は非常に複雑な物語なので、簡単にあらすじで説明しようとすると泥沼にはまる(^ ^;ゞ
舞台を観れば一目瞭然なので、ぜひともその目でご確認くださいませm(_ _)m。
いろいろ印象的な台詞はたくさんありましたが、やはり黙阿弥の
「食べるものさえ始末して貯めた小金を、ぎゅっと握りしめて木戸にやってきてくれた観客たちが、オペラを観て、白浪狂言を観たとき以上に幸せになって帰れるとは思えない」
というのが一番心にささりました。
成果物は、受け取り手(求める人)がいてくれて初めて存在意義があるという、ものすごく当たり前のことを、あらためて思いました。
お客さまが求めているものは何か?
西欧風のオペラをつくり、グラント将軍に見せて「日本の先進性」=「西欧化」というイメージを植え付けたい、というのは、政府都合です。
黙阿弥は反対なんだから創り手都合とは言い難いけど、プロデューサーという意味での「制作側都合」ではあると思う。
でも、それでは駄目なんですよ。
文化の成熟度を計る物差しは、舞台芸術においては常に 優れた見物客がどれだけいるか、です。一人や二人の優れた役者や作家がいるだけでは、社会全体の成熟度の物差しになんてなりません。
グラント将軍だって、そう簡単には騙されないでしょうよ。
江戸時代に結ばれた不平等条約の撤廃は、明治政府の悲願でした。
そのためには、費用を惜しまず何でもやった。意味があるんだかないんだかよくわからない対応を、ものすごくたくさん。
それらが意味があったのかどうか、今となってはよくわからない面もありますが、あの時代のなりふり構わなさというのは凄いものがあります。
それでも、芸術家としての良心に殉じようとした黙阿弥の勇気と潔さ、
そして、それを支えつつ、自分の道を歩きぬこうとしたおせんの凛々しさが、心に強く残りました。
結果的には、こういう人々が明治政府を支え、明治の日本をつくりあげたんだろうなあ、と。
それでは最後に、キャストごとに。
内田慈(おせん)
衣装の着こなしには若干の課題があったような気がしますが、愛され系のファニーフェースと個性的な声が魅力的で、役にぴったりだな、と思いました。
去年、G2演出の「静かじゃない大地」で観て、強く印象に残った彼女。これからはちょっと追いかけてみたい気がします。
オペラ歌手、という設定なので歌はもうちょっと頑張ってほしかったけど、でも、経歴を考えればそこの期待値はあまり高くなかったので(汗)、よく頑張っていたと思います。そして、歌唱力にかかわらず黙阿弥狂言の名台詞を「カルメン」のメロディに載せて歌った場面は、間違いなく名場面でした。
藤原竜也(五郎蔵)
最初の出番での、乞食のようなぼさぼさ頭に汚しメークに吃驚しましたが、悪党になり切れない中途半端さをよく演じていたと思います。
実年齢より若い役で始まって、最期はだいぶ年上までいきますが、意外と老け役も似合うな、というか、年齢を重ねたら良い俳優になるかもしれないな、と思いました。
吉田鋼太郎(河竹新七)
優しい風貌と語り口、それなりの地位にある人気作家という役を嫌味なく演じていて、説得力がありました。キャラクター的にはあの中では普通な人なのに、ちゃんと主役としてしっかり地に足のついた役柄で、とても良かった。
「観客に感動を与えるために」という、ある意味陳腐な台詞に素直に泣けたのは、吉田さんだからこそ、と思いました。
熊谷真実(とら/おみつ)
とら役での最初の出番では、誰だか全然わかりませんでした。
すごい思いきった老けメークで、最後までこのままかと思ってドキドキしたのですが、一幕のラスト以降は可愛いおみつ姐さんでした。
でも、芝居面でもとら役の方が印象的だなあ(^ ^)。
プログラムの素顔での稽古場写真を見ても、どっちの役を演じているのか表情でわかるところが凄いな、と思いました。役者魂、ここにあり!!
大鷹明良(円八)
ちょっと怪しげな噺家。語りはもちろん、風貌や仕草のさりげない巧さに感心しました。さすがだなあ♪
なかなかに興味深い、面白い役だったと思います。スーツ姿も素敵だった♪
北村有起哉(及川孝之進)
出演メンバーの中では頭一つ大きくて、「浪人者」にぴったりな感じ。
あのイケてなさが最高でした。本当に巧いなあ~~~。
松田洋治(久次)
最初に出てきたときの、どこぞの大店の番頭見習いみたいな白塗り化粧の違和感と、三下っぷりを表に出した時の落差が良かったです。面白い役者だな、と思いました。
内田さんのおせんちゃんには全く不満はありませんが、他に誰か……と思ったら、遠野あすかちゃんなら、と思いつきました。
黙阿弥にわたるさん、
五郎蔵にトウコさん、
円八にしいちゃん、
久次にすずみん、
及川に礼音くん、なんてキャスティングはどうかしら(^ ^)。
(井上戯曲と宝塚歌劇………無理だな、当たり前だけど)
.
博多座 2010
2010年8月21日
昨年の「大江山花伝/Appasionado!!2」以来、ちょうど一年ぶりで博多に来ています。
博多か……何もかも、みな懐かしいしみじみ)
まだ誰も居ない、開場前の静かなロビーにて。
去年の異様なテンションを思い出すと、なんか不思議な気分です(^_^)。
博多か……何もかも、みな懐かしいしみじみ)
まだ誰も居ない、開場前の静かなロビーにて。
去年の異様なテンションを思い出すと、なんか不思議な気分です(^_^)。
ロミオとジュリエット
2010年8月22日 宝塚(星)博多座にて、星組公演「ロミオとジュリエット」を観劇してまいりました。
いやー、楽しかった!!
オリジナルを観たことはありませんが、ミュージカルファンの間では話題の作品。数年前の「ウィーンミュージカルコンサート」では、ウィーン版オリジナルキャストであるマジャーン・シャキ&ルカス・ペルマンの「Liebe(Aimer)」や「Balcon」を歌ってくれたり、マヤ・ハクフォートの乳母が聴けたりして、とても幸せな時間を過ごしました。極めつけは、ルカス&マテ・カマラス&アンドレ・バウアーの「世界の覇者」!!たった三人で、あの広い梅田芸術劇場大ホールの舞台狭しと走り回ってくれた三人が、とても格好良かった(はぁと)
……と、いうわけで、私は「世界の覇者」をとても楽しみにして、暑い博多に旅立ったのでした(^ ^)。
そして。
結論から言うと、とても楽しかったです(^ ^)。
礼音くんもねねちゃんも役にぴったりで、似合いすぎて吃驚しました。
この二人のロミオとジュリエットを観ることができて、良かった!
長いこと、私にとっての「柚希礼音ベストアクト」は、(古い話で恐縮ですが)「イーハトーブ・夢」のザネリでした。(←何年前だよ)
いかにもその辺にいそうな悪ガキで、ものすごく可愛かった!! んですが。
今回やっと、ベストが上書きされてとても嬉しい。可愛くて、素直で、優しくて、一生懸命な青年。子供だけど、少年じゃなくてちゃんと青年でした♪
やっぱり礼音くんには、「ブエノスアイレスの風」のニコラスや「ハプスブルクの宝剣」のエリヤーフー、あるいは「スカーレット・ピンパーネル」のショーヴランみたいな『過去のある男』よりも、ロミオみたいな過去のない、まっさらでまっすぐな青年が良く似合うな、と思いました。
ああ、似合う役を思いっきり演じているトップスターが発するエネルギーって凄いなあ(^ ^)。
ねねちゃんは本当にジュリエットそのもの!!あの 思いきりの良さ は貴重ですね。さすが「猪突猛進」と言われたお勢ちゃんだけのことはある。バルコニーシーンでの圧倒的な輝き、ロミオを見つけた時、結婚を申し込まれたときの真っ直ぐな喜び、神父に渡された薬を飲むときの確信、そして、ナイフを胸に収めるシーンのためらいのなさ。
あのジュリエットなら、有名な「剣よ、ここがお前の鞘」という台詞はいらないな と納得しました。
マイベストねねちゃんであり、現時点でのマイベストジュリエットです♪
歌も良かったです。ただ、歌詞を台詞として聴かせようとしたときに子供っぽい歌い方(喋り方)になってしまうのが、特に、感情が激する場面(父親と言い争うところとか)で若干気になりました。ミュージカルのジュリエットは13歳(原作)ではなく16歳なので、わざと子供っぽくする必要もないし、台詞は普通なので、歌う時の癖なんじゃないかと思うんですが。あとはピッチが少し高めなので、低めに取りがちな礼音くんと合わないのが残念なくらいかな。
そして、観た人が口をそろえてほめちぎる二人。乳母役の白華れみと、愛役の礼真琴。
れみちゃんは、とにかく良かった!文句なくベストアクト!
決して歌手ではないれみちゃんですが、最近の彼女の歌には、魂が籠っているなと感心します。
「きれいはきたない」の迫力も良かったし、「あの子はあなたを愛している」は本当に素晴らしかった。胴布団を巻いているとはいえ、顔は乳姉妹にしか見えない若さなので、ちょっと危ぶんでいたんですよ。あの歌はやっぱり「乳『母』」じゃないと成立しないから。……でも、心配ご無用でした。「自分が産んだ子じゃない/でも、私の子に違いない」というフレーズに切ないほど実感が籠っていて、本当にびっくりしました。
「生みの親にもわからせたい/あの子が望む生きる道を認めてほしい」という切なる願い。この歌が、二幕のキャピュレット卿(一樹千尋)の歌う「娘よ」と対になっているところがこの作品の一つのポイントだと思っているのですが、ベテランのヒロさんと十分に対抗できるだけの重みをもって歌えていたのが凄い!
同期の大月さゆちゃんは、『宝塚娘役』という壁を壊して、やっと本来の(研1の頃の)輝きと舞台センスを取り戻しましたが、れみちゃんは組替えするたびに「新しい魅力」を手にいれて、そして今やっと、『女役』として完成されたような気がします。同期のねねちゃんが、あの背にも関わらず根っからの「娘役」、「娘役」以外のものにはなれない人だったのに対して、れみちゃんは「娘役」を卒業して、一人前の「女役」になれる人だった……んですね。
本物の「別格」になるには、もう少し歌声のヴァリエーションを手にいれないと難しいんですが、あの華やかさで若いトップ娘役を圧倒する女役トップになってほしいものだ、と心から思いました。
……ああ、柴田さん並みに良い女役を書ける作家がでてきてくれれば、れみちゃんも励みにがんばれるだろうに……
礼さんについては、男役としての彼女を全く認識できていないので何も評価できないのですが、とにかく幕あき冒頭に、たった一人でセンターセリでせり上がってきて、まったく違和感のないオーラと美しさ!仰天しました。ま、まだ研2だよね?
そして、柔らかな腕の動き、空気を動かすようなダンスに瞠目し、口よりもずっと雄弁にいろんなことを語りかける眼の芝居に、完全にもっていかれました
一度声を聴いてみたい!! ので、「愛と青春の旅立ち」の新公配役に期待しています♪
賛否両論あったティボルトのテルくん。私はかなり満足しました。
根本的なところで、私がテルくんに求めているのは「弱さ」と「優しさ」なんですよね。「凍てついた明日」のクライド、「ハプスブルクの宝剣」のフランツ、「リラの壁の囚人たち」のエドワード。本来はそういうキャラではないはずの「太王四神記」のヨン・ホゲも、「ゾロ」のオリバレス総督も、テルくんが演じるとそういう男に見えてくる。あそこまでいくと、「演技の幅が狭い」んじゃなくて、「個性が強い」と言うべきだと思う。
「太王四神記」なんて、演出自体の方向性がそうなっていたくらいで、演出家もテルくんの魅力はそこにあると考えているのではないでしょうか。
で、ティボルト。
私は、「ロミオとジュリエット」という作品は結構いろんなバージョンを観ているつもりなのですが、ティボルト(あるいは彼にあたるキャラ)があんなに心弱いのは初めてでした(汗)。
キャピュレット夫人とデキてる設定はよくあるし(私がその昔に博多座まで観に行った公演もそんな感じだったな/笑)、ジュリエットを愛しているバージョンもたまにあるんですが。ティボルトって相争う二つのグループの一方のリーダーのせいか、たくましい肉体派が演じることが多い気がするんですよね。映像で観ただけですけど、今回の作品のオリジナル版でも、かなり身体の大きな男性が演じていたし。
でも、テルくんのティボルトはそうじゃない。リーダーだけど、あれはたぶん、子分じゃなくてただの取り巻きですよね。男の子のいないキャピュレット卿の甥で、養子に入ることが決まっているティボルト。大貴族の跡継ぎだからこそ皆はちやほやしてくれているわけで、キャピュレット家の七光りがなければ、なにも出来ないタイプ。
「15歳で女を覚えて」てから、数えきれないほどの女たちと遊んだ…という台詞に説得力を持たせるだけの魅力はある。でも、それはただの代償行為なんだと思わせるだけの虚無感も、ある。彼にとって、女たちは「キャピュレット家のもの」であって自分のものではないし、自分のものにしたいと思ったこともない。自分のものにしたいと思った唯一の女がジュリエットで、彼女にだけは手が出せない。たぶん彼は、決して手に入らないからこそ安心して欲しがっているんだと思う。そういうマゾヒスティックな壊れ方が、すごくテルくんらしい、と。
その虚無感というか、「手の中には何も無い」という離人感みたいなものに、「凍てついた明日」のクライドに通じるものを感じます。
でもティボルトは、クライドと違って逃げ出そうとはしない。彼は、彼なりにがんばっているんです。「キャピュレット家の跡継ぎ」として、伯母の話相手も(違う相手も)するし、家をまもろうと努力している。
キャピュレット家の一粒の宝石、ジュリエットを護るために。
「本当の俺じゃない/俺が何をしても大人たちが仕向けたんだ」「子供の頃には戻れない/俺を変えたのは大人たち」という、実に見事な責任転嫁的述懐が、「悪いことはすべて、この街のせい」と、「ダラス」に責任を押し付けていた「凍てついた明日」とすごく被るのが興味深い。荻田さんと小池さん、方向性の全く違う二人の天才の作品に、こういう類似性を見つけると、ちょっと不思議な感じ。
……「本当の俺」はオリジナル版にもあるみたいなので、これは小池さんじゃなく、元々あったテーマなのかな?(^ ^;
歌も良かったですよ(真顔)。私の周りでテルくんの歌について色々語っていた方はみなさん梅田でご覧になっていたので、ここ一カ月のボイトレの成果が出たんだろう、と思いたい(^ ^)(たんに、猫の耳がテルくん仕様になってるのか?)
ベンヴォーリオ(涼紫央)とマキューシオ(紅ゆずる)。
このお二人もすごく良かったけど、残念ながら歌に関しては聞いていたとおりだった……かな(T T)。
というわけで、一番楽しみにしていた「世界の覇者」が……正直、さびしかったです。ソロメンバーの歌唱力だけの問題ではなく(←問題は大きいけど)、コーラスの弱さ(←宙組を聴きなれちゃったからなー)と振付の単調さ。そのために、全体のビート感が弱くなって迫力が感じられない。みんな頑張っているんですけどね。
歌唱力をいきなりアップさせるのは難しいでしょうから、せめて群衆の振付だけでも……と思っちゃいました。
でも、二人とも芝居はすごく良かったです。うん。『キレやすい若者』そのものだったマキューシオ、一歩ひいたところでまぜっかえす、『お調子者』のベンヴォーリオ。いいコンビだったなあ。
特に、ジュリエットの死を知ったベンヴォーリオの慟哭がすごかった!! 歌自体もいい歌ですが、やっぱり芝居として魂が入ると違うなあと思いました。
パリス(天寿光希)
いやー、パリスって本当に演出によっていろんなバージョンがあるんですけど、、、
すっげー可愛かった!!(真顔)
えっと、今回のパリスは「十二夜」のサー・アンドルーみたいな存在でした。
オリヴィアに横恋慕して、サー・トービーに良いように遊ばれる、間抜けな大金持ちですね。今回の場合、トービーに当たるのがキャピュレット卿か。……そういえばあの話、サー・トービーはオリヴィアの叔父だったな、たしか(^ ^)。
予想どおりの出番の少なさ(パリスとしては)でしたが、でも、大きく盛り上げたトサカ頭に、真っ白いキラキラのついた超・豪華な衣装も良く似合っていたし、表情豊かに実に可愛らしく演じていて、とても楽しそうでした♪ねねちゃん、そんなに嫌がらなくても、あんなに可愛いんだから頭くらい撫でてあげたらいいのに(←違う)
ヒロさんとの掛け合いの歌が二回あるんですが、ちゃんと対等に歌えていたと思います♪ 良い声だな、本当に♪
しかーし、ジュリエットの仮死のエピソードがあるのに霊廟での決闘がないなんて(T T)。普通、パリス的には決闘が唯一の見せ場なのにー!……だからこそ、あんな下級生がやらせてもらえたんでしょうケド(涙)。
パリスの出番以外は、「キャピュレットの男」として赤チームの隅っこで踊っているみっきぃさん。金髪の短髪がシャープなお顔によく似合い、男臭くてめっさ格好良い!!あの眼が色っぽいのよー。うん、これはたぶん、贔屓目だけではないはず(はぁと)。
長くなったので、死と愛と大人たち、そして、作品論についてはまた後日♪
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いやー、楽しかった!!
オリジナルを観たことはありませんが、ミュージカルファンの間では話題の作品。数年前の「ウィーンミュージカルコンサート」では、ウィーン版オリジナルキャストであるマジャーン・シャキ&ルカス・ペルマンの「Liebe(Aimer)」や「Balcon」を歌ってくれたり、マヤ・ハクフォートの乳母が聴けたりして、とても幸せな時間を過ごしました。極めつけは、ルカス&マテ・カマラス&アンドレ・バウアーの「世界の覇者」!!たった三人で、あの広い梅田芸術劇場大ホールの舞台狭しと走り回ってくれた三人が、とても格好良かった(はぁと)
……と、いうわけで、私は「世界の覇者」をとても楽しみにして、暑い博多に旅立ったのでした(^ ^)。
そして。
結論から言うと、とても楽しかったです(^ ^)。
礼音くんもねねちゃんも役にぴったりで、似合いすぎて吃驚しました。
この二人のロミオとジュリエットを観ることができて、良かった!
長いこと、私にとっての「柚希礼音ベストアクト」は、(古い話で恐縮ですが)「イーハトーブ・夢」のザネリでした。(←何年前だよ)
いかにもその辺にいそうな悪ガキで、ものすごく可愛かった!! んですが。
今回やっと、ベストが上書きされてとても嬉しい。可愛くて、素直で、優しくて、一生懸命な青年。子供だけど、少年じゃなくてちゃんと青年でした♪
やっぱり礼音くんには、「ブエノスアイレスの風」のニコラスや「ハプスブルクの宝剣」のエリヤーフー、あるいは「スカーレット・ピンパーネル」のショーヴランみたいな『過去のある男』よりも、ロミオみたいな過去のない、まっさらでまっすぐな青年が良く似合うな、と思いました。
ああ、似合う役を思いっきり演じているトップスターが発するエネルギーって凄いなあ(^ ^)。
ねねちゃんは本当にジュリエットそのもの!!あの 思いきりの良さ は貴重ですね。さすが「猪突猛進」と言われたお勢ちゃんだけのことはある。バルコニーシーンでの圧倒的な輝き、ロミオを見つけた時、結婚を申し込まれたときの真っ直ぐな喜び、神父に渡された薬を飲むときの確信、そして、ナイフを胸に収めるシーンのためらいのなさ。
あのジュリエットなら、有名な「剣よ、ここがお前の鞘」という台詞はいらないな と納得しました。
マイベストねねちゃんであり、現時点でのマイベストジュリエットです♪
歌も良かったです。ただ、歌詞を台詞として聴かせようとしたときに子供っぽい歌い方(喋り方)になってしまうのが、特に、感情が激する場面(父親と言い争うところとか)で若干気になりました。ミュージカルのジュリエットは13歳(原作)ではなく16歳なので、わざと子供っぽくする必要もないし、台詞は普通なので、歌う時の癖なんじゃないかと思うんですが。あとはピッチが少し高めなので、低めに取りがちな礼音くんと合わないのが残念なくらいかな。
そして、観た人が口をそろえてほめちぎる二人。乳母役の白華れみと、愛役の礼真琴。
れみちゃんは、とにかく良かった!文句なくベストアクト!
決して歌手ではないれみちゃんですが、最近の彼女の歌には、魂が籠っているなと感心します。
「きれいはきたない」の迫力も良かったし、「あの子はあなたを愛している」は本当に素晴らしかった。胴布団を巻いているとはいえ、顔は乳姉妹にしか見えない若さなので、ちょっと危ぶんでいたんですよ。あの歌はやっぱり「乳『母』」じゃないと成立しないから。……でも、心配ご無用でした。「自分が産んだ子じゃない/でも、私の子に違いない」というフレーズに切ないほど実感が籠っていて、本当にびっくりしました。
「生みの親にもわからせたい/あの子が望む生きる道を認めてほしい」という切なる願い。この歌が、二幕のキャピュレット卿(一樹千尋)の歌う「娘よ」と対になっているところがこの作品の一つのポイントだと思っているのですが、ベテランのヒロさんと十分に対抗できるだけの重みをもって歌えていたのが凄い!
同期の大月さゆちゃんは、『宝塚娘役』という壁を壊して、やっと本来の(研1の頃の)輝きと舞台センスを取り戻しましたが、れみちゃんは組替えするたびに「新しい魅力」を手にいれて、そして今やっと、『女役』として完成されたような気がします。同期のねねちゃんが、あの背にも関わらず根っからの「娘役」、「娘役」以外のものにはなれない人だったのに対して、れみちゃんは「娘役」を卒業して、一人前の「女役」になれる人だった……んですね。
本物の「別格」になるには、もう少し歌声のヴァリエーションを手にいれないと難しいんですが、あの華やかさで若いトップ娘役を圧倒する女役トップになってほしいものだ、と心から思いました。
……ああ、柴田さん並みに良い女役を書ける作家がでてきてくれれば、れみちゃんも励みにがんばれるだろうに……
礼さんについては、男役としての彼女を全く認識できていないので何も評価できないのですが、とにかく幕あき冒頭に、たった一人でセンターセリでせり上がってきて、まったく違和感のないオーラと美しさ!仰天しました。ま、まだ研2だよね?
そして、柔らかな腕の動き、空気を動かすようなダンスに瞠目し、口よりもずっと雄弁にいろんなことを語りかける眼の芝居に、完全にもっていかれました
一度声を聴いてみたい!! ので、「愛と青春の旅立ち」の新公配役に期待しています♪
賛否両論あったティボルトのテルくん。私はかなり満足しました。
根本的なところで、私がテルくんに求めているのは「弱さ」と「優しさ」なんですよね。「凍てついた明日」のクライド、「ハプスブルクの宝剣」のフランツ、「リラの壁の囚人たち」のエドワード。本来はそういうキャラではないはずの「太王四神記」のヨン・ホゲも、「ゾロ」のオリバレス総督も、テルくんが演じるとそういう男に見えてくる。あそこまでいくと、「演技の幅が狭い」んじゃなくて、「個性が強い」と言うべきだと思う。
「太王四神記」なんて、演出自体の方向性がそうなっていたくらいで、演出家もテルくんの魅力はそこにあると考えているのではないでしょうか。
で、ティボルト。
私は、「ロミオとジュリエット」という作品は結構いろんなバージョンを観ているつもりなのですが、ティボルト(あるいは彼にあたるキャラ)があんなに心弱いのは初めてでした(汗)。
キャピュレット夫人とデキてる設定はよくあるし(私がその昔に博多座まで観に行った公演もそんな感じだったな/笑)、ジュリエットを愛しているバージョンもたまにあるんですが。ティボルトって相争う二つのグループの一方のリーダーのせいか、たくましい肉体派が演じることが多い気がするんですよね。映像で観ただけですけど、今回の作品のオリジナル版でも、かなり身体の大きな男性が演じていたし。
でも、テルくんのティボルトはそうじゃない。リーダーだけど、あれはたぶん、子分じゃなくてただの取り巻きですよね。男の子のいないキャピュレット卿の甥で、養子に入ることが決まっているティボルト。大貴族の跡継ぎだからこそ皆はちやほやしてくれているわけで、キャピュレット家の七光りがなければ、なにも出来ないタイプ。
「15歳で女を覚えて」てから、数えきれないほどの女たちと遊んだ…という台詞に説得力を持たせるだけの魅力はある。でも、それはただの代償行為なんだと思わせるだけの虚無感も、ある。彼にとって、女たちは「キャピュレット家のもの」であって自分のものではないし、自分のものにしたいと思ったこともない。自分のものにしたいと思った唯一の女がジュリエットで、彼女にだけは手が出せない。たぶん彼は、決して手に入らないからこそ安心して欲しがっているんだと思う。そういうマゾヒスティックな壊れ方が、すごくテルくんらしい、と。
その虚無感というか、「手の中には何も無い」という離人感みたいなものに、「凍てついた明日」のクライドに通じるものを感じます。
でもティボルトは、クライドと違って逃げ出そうとはしない。彼は、彼なりにがんばっているんです。「キャピュレット家の跡継ぎ」として、伯母の話相手も(違う相手も)するし、家をまもろうと努力している。
キャピュレット家の一粒の宝石、ジュリエットを護るために。
「本当の俺じゃない/俺が何をしても大人たちが仕向けたんだ」「子供の頃には戻れない/俺を変えたのは大人たち」という、実に見事な責任転嫁的述懐が、「悪いことはすべて、この街のせい」と、「ダラス」に責任を押し付けていた「凍てついた明日」とすごく被るのが興味深い。荻田さんと小池さん、方向性の全く違う二人の天才の作品に、こういう類似性を見つけると、ちょっと不思議な感じ。
……「本当の俺」はオリジナル版にもあるみたいなので、これは小池さんじゃなく、元々あったテーマなのかな?(^ ^;
歌も良かったですよ(真顔)。私の周りでテルくんの歌について色々語っていた方はみなさん梅田でご覧になっていたので、ここ一カ月のボイトレの成果が出たんだろう、と思いたい(^ ^)(たんに、猫の耳がテルくん仕様になってるのか?)
ベンヴォーリオ(涼紫央)とマキューシオ(紅ゆずる)。
このお二人もすごく良かったけど、残念ながら歌に関しては聞いていたとおりだった……かな(T T)。
というわけで、一番楽しみにしていた「世界の覇者」が……正直、さびしかったです。ソロメンバーの歌唱力だけの問題ではなく(←問題は大きいけど)、コーラスの弱さ(←宙組を聴きなれちゃったからなー)と振付の単調さ。そのために、全体のビート感が弱くなって迫力が感じられない。みんな頑張っているんですけどね。
歌唱力をいきなりアップさせるのは難しいでしょうから、せめて群衆の振付だけでも……と思っちゃいました。
でも、二人とも芝居はすごく良かったです。うん。『キレやすい若者』そのものだったマキューシオ、一歩ひいたところでまぜっかえす、『お調子者』のベンヴォーリオ。いいコンビだったなあ。
特に、ジュリエットの死を知ったベンヴォーリオの慟哭がすごかった!! 歌自体もいい歌ですが、やっぱり芝居として魂が入ると違うなあと思いました。
パリス(天寿光希)
いやー、パリスって本当に演出によっていろんなバージョンがあるんですけど、、、
すっげー可愛かった!!(真顔)
えっと、今回のパリスは「十二夜」のサー・アンドルーみたいな存在でした。
オリヴィアに横恋慕して、サー・トービーに良いように遊ばれる、間抜けな大金持ちですね。今回の場合、トービーに当たるのがキャピュレット卿か。……そういえばあの話、サー・トービーはオリヴィアの叔父だったな、たしか(^ ^)。
予想どおりの出番の少なさ(パリスとしては)でしたが、でも、大きく盛り上げたトサカ頭に、真っ白いキラキラのついた超・豪華な衣装も良く似合っていたし、表情豊かに実に可愛らしく演じていて、とても楽しそうでした♪ねねちゃん、そんなに嫌がらなくても、あんなに可愛いんだから頭くらい撫でてあげたらいいのに(←違う)
ヒロさんとの掛け合いの歌が二回あるんですが、ちゃんと対等に歌えていたと思います♪ 良い声だな、本当に♪
しかーし、ジュリエットの仮死のエピソードがあるのに霊廟での決闘がないなんて(T T)。普通、パリス的には決闘が唯一の見せ場なのにー!……だからこそ、あんな下級生がやらせてもらえたんでしょうケド(涙)。
パリスの出番以外は、「キャピュレットの男」として赤チームの隅っこで踊っているみっきぃさん。金髪の短髪がシャープなお顔によく似合い、男臭くてめっさ格好良い!!あの眼が色っぽいのよー。うん、これはたぶん、贔屓目だけではないはず(はぁと)。
長くなったので、死と愛と大人たち、そして、作品論についてはまた後日♪
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昨日の続きを書くつもりだったのですが、ちょっとサボって正月の雪組公演での妄想配役を書かせていただきます。
あくまでも猫の希望ですので、おかしなことを書いていてもご容赦ください。
作品的に「この人で観たい」で書いていますので、あまり番手は気にしてません(^ ^;ゞ。だって、どうせ海外ミュージカルなので番手はどうにでもなるはずだし。
専科さんのご出演も、もちろん単なる願望です(^ ^)。
ロミオ(柚希礼音)音月桂
ジュリエット(夢咲ねね)舞羽美海/夢華あみ
とりあえず決定なのはこの二役。
シェイクスピア作品は元々女性の役が少ないので、ジュリエットのお二人の役替りはモンタギューの女かキャピュレットの女、どちらかでお願いしたい!
美海ちゃんはダンサーなので、モンタギューの優香りこさんのところ(冒頭の喧嘩の場面で引き離される恋人の役)か、キャピュレットの稀鳥まりやちゃんのところあたりが良いのでは。
夢華さんはダンスはどうなんでしょうか。成績がいいみたいだから心配いらない、かな?
ベンヴォーリオ(涼紫央)未涼亜希
マキューシオ(紅ゆずる)早霧せいな
ティボルト(凰稀かなめ)沙央くらま
ソロの数を考えると、まっつにィボルトのナンバーを歌ってもらいたいのはやまやまなのですが、役というかキャラとして考えた時に、ベンヴォーリオはまっつで観たい!と思ったのでした。
ジュリエットの死を知ったあとの慟哭を、まっつで観たい、聴きたい!!
チギちゃんは攻めの人なので、あの三人の中の誰かというなら、絶対マキューシオだと思うんですよね。普通の「ロミオとジュリエット」だったらティボルトが似合いそうなんですけど、この作品のティボルトは無力な子供なので、チギちゃんはちょっと違うような気がします。
猫の希望としては、この三人ならティボルトはコマちゃんです。テルくんとはだいぶ違う感じになりそうですが、虚無感を出せる人なので作品的には合うんじゃないかなあ。
いろんな意味でティボルトの出番を減らす必要があるのなら、「ティボルト」を削ればいいのではないでしょうか。いい曲だけど、演出的に若干浮いていたので。その分、ロミオたち三人がラブラブしている場面を増やしていただければ(^ ^)。
ロレンス神父(英真なおき)奏乃はると
髭役続きで恐縮ですが、とりあえずここは譲れません。ものすごく良い役なので、ぜひとも組子で観てみたい!!にわにわ、がんばれ!
キャピュレット卿(一樹千尋)緒月遠麻
キャピュレット夫人(音花ゆり)舞咲りん
実は、大人たちの中で最初にキャストが決まったのはこのお二人でした(^ ^)。
仇っぽくて気の強い(=声も鞭のようにしなやかに強い)夫人に、一癖も二癖もある夫。
キャピュレット夫人は涼花リサちゃんも似合いそうなんですが、最近の彼女がああいう音域で歌えるのかどうかわからなくて……ヒメの方が無難かな、と。リサちゃん、あの見た目や芝居の質に見合う低い音域で色っぽく歌えるようになったら、いくらでも役があると思うんですけどねぇ(T T)。
モンタギュー卿(にしき愛)飛鳥裕
モンタギュー夫人(花愛瑞穂)麻樹ゆめみ
キャピュレット夫妻より一回り上の落ち着いた夫婦。次からの雪組には「大人の男」ができる男役が少なくなってしまうので、配役が難しいですね。
モンタギュー夫人は、霊廟でのソロの歌いだしで泣かせる役なので、責任重大ですが、麻樹さんなら聴きたい!
パリス(天寿光希)蓮城まこと
とにかく可愛くて歌える、というので最初にキングが浮かびました。
ひろみちゃんとせしるは、ヘタにパリスあたりに入るより、モンタギューかキャピュレットの一員の方が出番が多くて良いのではないか、と思いましす。
とくにひろみちゃん。あのくらいの学年になると、パリスに入ってアルバイト無しになるくらいなら、中途半端に役がつかないほうが良いのではないか、と。
役をつけるとしたら、使者(如月蓮)とピーター(美城れん)を二人で分け合う感じかな。うーむ、って感じですが。
死(真風涼帆)香綾しずる
愛(礼真琴)笙乃茅桜
がおりちゃんの「死」は絶対いいと思うんですよ(*^ ^*)。クールで冷たくて残酷で。(←贔屓目?)
「愛」は、たぶん小池さんが私の知らない下級生を抜擢するんだろうと思っているのですが、希望なのでいちおう書いておきます。ただ、茅桜ちゃんは礼さんとはタイプの違うダンサーなので、もっとテクニカルな、彼女の能力を最大限に発揮できる振付をつけてあげてほしいな、と思いますが。
星組版と同じ振付でいくのであれば、むしろ「愛」をひろみちゃんに、という選択肢があるのかもしれません。……美しいぞ。ちょっと毒が強くなりますが、がおりちゃんと相対するなら、あのくらい毒があった方がいいかもしれないし(^ ^)。
ヴェローナ大公(水輝涼)未来優希特出 または ?
水輝くんクラスの歌手でさえ迫力不足といわれる大公。とにかく太くて強い、低音の響きのある声が欲しい!!
……ううむ。となると、専科で来るとしたらヒロさんになるのか?いや、その場合はキャピュレット卿をそのままヒロさんがやって、キタロウが大公、の方があるのかなあ。
組子から出すとしたら、、、にわにわをこっちに回してしまうと、ロレンス神父を専科に頼るしかなくなるのが残念な気が。っていうか、一度でもハマコさんで想像してしまうと、誰が来てもモノ足りない気がするんですが(涙)。
学年は若くても良い(若くして大公位を継ぐ人なんていくらでもいる)ので、小池さんがいい人材を発掘して、抜擢してくれますように。朝風れいさんあたりなら声も良いし、豪華な衣装にも負けないだろうし、シャープな切れ者感も役に似合いそう。あるいは凛城きらさんとか?
あっ、まっつ!!まっつが居た!!
まっつを大公にするとなると、えーっと……ベンヴォーリオにひろみちゃん、という手があるのかなあ?おお、それはそれで、歌はともかく、芝居は観てみたいかも(*^ ^*)。
乳母(白華れみ)美穂圭子 または 晴華みどり
この役は女役としての芝居が重要なので、できれば美穂さんの出演をお願いしたいところです。
組子から出すなら、やっぱりかおりちゃんかなあ。美しいソプラノを武器に、娘役として戦い続けるかおりちゃんにとって、脱皮のチャンスになればいいのですが。
……新公配役の方がおもしろいかも。
以上です。
あくまでも個人的な希望ですので、不愉快に思われる方もいらっしゃるだろう、とは思うのですが、どうぞご容赦くださいませ………m(_ _)m。
それにしても。
この作品って、役は少ないけど、数少ない役はどれも歌が重要なので、組子から探すのも案外大変なものなんですね(涙)。
そして、ここで名前をあげた以外のひとたちは、どうなるんだろう……。モンタギューとキャピュレットの男女をそれぞれ倍に水増しして、あとは舞踏会の客とヴェローナの市民、マントヴァの市民?うっわーーーーー(涙)。
.
あくまでも猫の希望ですので、おかしなことを書いていてもご容赦ください。
作品的に「この人で観たい」で書いていますので、あまり番手は気にしてません(^ ^;ゞ。だって、どうせ海外ミュージカルなので番手はどうにでもなるはずだし。
専科さんのご出演も、もちろん単なる願望です(^ ^)。
ロミオ(柚希礼音)音月桂
ジュリエット(夢咲ねね)舞羽美海/夢華あみ
とりあえず決定なのはこの二役。
シェイクスピア作品は元々女性の役が少ないので、ジュリエットのお二人の役替りはモンタギューの女かキャピュレットの女、どちらかでお願いしたい!
美海ちゃんはダンサーなので、モンタギューの優香りこさんのところ(冒頭の喧嘩の場面で引き離される恋人の役)か、キャピュレットの稀鳥まりやちゃんのところあたりが良いのでは。
夢華さんはダンスはどうなんでしょうか。成績がいいみたいだから心配いらない、かな?
ベンヴォーリオ(涼紫央)未涼亜希
マキューシオ(紅ゆずる)早霧せいな
ティボルト(凰稀かなめ)沙央くらま
ソロの数を考えると、まっつにィボルトのナンバーを歌ってもらいたいのはやまやまなのですが、役というかキャラとして考えた時に、ベンヴォーリオはまっつで観たい!と思ったのでした。
ジュリエットの死を知ったあとの慟哭を、まっつで観たい、聴きたい!!
チギちゃんは攻めの人なので、あの三人の中の誰かというなら、絶対マキューシオだと思うんですよね。普通の「ロミオとジュリエット」だったらティボルトが似合いそうなんですけど、この作品のティボルトは無力な子供なので、チギちゃんはちょっと違うような気がします。
猫の希望としては、この三人ならティボルトはコマちゃんです。テルくんとはだいぶ違う感じになりそうですが、虚無感を出せる人なので作品的には合うんじゃないかなあ。
いろんな意味でティボルトの出番を減らす必要があるのなら、「ティボルト」を削ればいいのではないでしょうか。いい曲だけど、演出的に若干浮いていたので。その分、ロミオたち三人がラブラブしている場面を増やしていただければ(^ ^)。
ロレンス神父(英真なおき)奏乃はると
髭役続きで恐縮ですが、とりあえずここは譲れません。ものすごく良い役なので、ぜひとも組子で観てみたい!!にわにわ、がんばれ!
キャピュレット卿(一樹千尋)緒月遠麻
キャピュレット夫人(音花ゆり)舞咲りん
実は、大人たちの中で最初にキャストが決まったのはこのお二人でした(^ ^)。
仇っぽくて気の強い(=声も鞭のようにしなやかに強い)夫人に、一癖も二癖もある夫。
キャピュレット夫人は涼花リサちゃんも似合いそうなんですが、最近の彼女がああいう音域で歌えるのかどうかわからなくて……ヒメの方が無難かな、と。リサちゃん、あの見た目や芝居の質に見合う低い音域で色っぽく歌えるようになったら、いくらでも役があると思うんですけどねぇ(T T)。
モンタギュー卿(にしき愛)飛鳥裕
モンタギュー夫人(花愛瑞穂)麻樹ゆめみ
キャピュレット夫妻より一回り上の落ち着いた夫婦。次からの雪組には「大人の男」ができる男役が少なくなってしまうので、配役が難しいですね。
モンタギュー夫人は、霊廟でのソロの歌いだしで泣かせる役なので、責任重大ですが、麻樹さんなら聴きたい!
パリス(天寿光希)蓮城まこと
とにかく可愛くて歌える、というので最初にキングが浮かびました。
ひろみちゃんとせしるは、ヘタにパリスあたりに入るより、モンタギューかキャピュレットの一員の方が出番が多くて良いのではないか、と思いましす。
とくにひろみちゃん。あのくらいの学年になると、パリスに入ってアルバイト無しになるくらいなら、中途半端に役がつかないほうが良いのではないか、と。
役をつけるとしたら、使者(如月蓮)とピーター(美城れん)を二人で分け合う感じかな。うーむ、って感じですが。
死(真風涼帆)香綾しずる
愛(礼真琴)笙乃茅桜
がおりちゃんの「死」は絶対いいと思うんですよ(*^ ^*)。クールで冷たくて残酷で。(←贔屓目?)
「愛」は、たぶん小池さんが私の知らない下級生を抜擢するんだろうと思っているのですが、希望なのでいちおう書いておきます。ただ、茅桜ちゃんは礼さんとはタイプの違うダンサーなので、もっとテクニカルな、彼女の能力を最大限に発揮できる振付をつけてあげてほしいな、と思いますが。
星組版と同じ振付でいくのであれば、むしろ「愛」をひろみちゃんに、という選択肢があるのかもしれません。……美しいぞ。ちょっと毒が強くなりますが、がおりちゃんと相対するなら、あのくらい毒があった方がいいかもしれないし(^ ^)。
ヴェローナ大公(水輝涼)未来優希特出 または ?
水輝くんクラスの歌手でさえ迫力不足といわれる大公。とにかく太くて強い、低音の響きのある声が欲しい!!
……ううむ。となると、専科で来るとしたらヒロさんになるのか?いや、その場合はキャピュレット卿をそのままヒロさんがやって、キタロウが大公、の方があるのかなあ。
組子から出すとしたら、、、にわにわをこっちに回してしまうと、ロレンス神父を専科に頼るしかなくなるのが残念な気が。っていうか、一度でもハマコさんで想像してしまうと、誰が来てもモノ足りない気がするんですが(涙)。
学年は若くても良い(若くして大公位を継ぐ人なんていくらでもいる)ので、小池さんがいい人材を発掘して、抜擢してくれますように。朝風れいさんあたりなら声も良いし、豪華な衣装にも負けないだろうし、シャープな切れ者感も役に似合いそう。あるいは凛城きらさんとか?
あっ、まっつ!!まっつが居た!!
まっつを大公にするとなると、えーっと……ベンヴォーリオにひろみちゃん、という手があるのかなあ?おお、それはそれで、歌はともかく、芝居は観てみたいかも(*^ ^*)。
乳母(白華れみ)美穂圭子 または 晴華みどり
この役は女役としての芝居が重要なので、できれば美穂さんの出演をお願いしたいところです。
組子から出すなら、やっぱりかおりちゃんかなあ。美しいソプラノを武器に、娘役として戦い続けるかおりちゃんにとって、脱皮のチャンスになればいいのですが。
……新公配役の方がおもしろいかも。
以上です。
あくまでも個人的な希望ですので、不愉快に思われる方もいらっしゃるだろう、とは思うのですが、どうぞご容赦くださいませ………m(_ _)m。
それにしても。
この作品って、役は少ないけど、数少ない役はどれも歌が重要なので、組子から探すのも案外大変なものなんですね(涙)。
そして、ここで名前をあげた以外のひとたちは、どうなるんだろう……。モンタギューとキャピュレットの男女をそれぞれ倍に水増しして、あとは舞踏会の客とヴェローナの市民、マントヴァの市民?うっわーーーーー(涙)。
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東京宝塚劇場にて、雪組新人公演「ロジェ」を観劇してまいりました。
……新公が始まる前に、ブックマークを求めてキャトルレーヴへ行ってしまいました。発売は明日だっつーの(T T)。
土曜日に行く予定ですが、私の欲しいのが売り切れてませんように。ってゆーか、白華れみちゃんのは出そうよ >劇団
というわけで、「ロジェ」。
新公演出は田渕大輔氏。えーっと、宙組「薔薇に降る雨」以来、かな?そう思うと、田渕さんって正塚さんについてる感じなんですね。
あのときは本公演とはかなり印象が違う役者たちを巧く使っていてとても良かったんですが、今回は割と無難な演出だったような気がしました。
一回しか観ていないので違いがよくわからなかったんですが、それは宙組もそんなにかわら
実はオペラグラスを忘れてしまったので、あまり細かいところが見えませんでした。
「ラストソングの男」のまなはるくん(真那春人)とかも全然見つけられなくて、最後カーテンコールで並んだときに、すみからすみまで探しちゃいました(T T)。もう、そんな下級生じゃないっつーのに。
そもそも役が少ないので、あまり新しい発見がなかったのが残念。
その中で印象に残ったのは、娘役ではモニークの花瑛ちほ、男役ではクラウスの彩凪翔、ヴィンセントの煌羽レオ、そして、シュミットの凛城きら。
とりあず、正月の「ロミオとジュリエット」の大公役は、凛城さんでお願いします(結論)。
もとい。
彩風咲奈(ロジェ/水夏希)
「ソルフェリーノ」の新公を観られなかったので、彼女の主演を観るのは初めてでしたが、予想以上に落ち着いて、センターポジションが良く似合っていました。
一年前に比べて身体もずいぶん絞ったし、声も落ち着いてきましたね。
「ソルフェリーノ」「ロジェ」と水さんにしては精神的に若々しい役が続いているので、彩風さんの若さがよく生きたんじゃないかと思います。
ただ、根本的にものすごく華やかな人なので、こういう抑えた芝居でテンションを保つのが大変そうでしたね。ラスト、シュミットとの対決から銃を降ろすまでの葛藤が、子供がヒステリーを起こしたみたいに見えてしまったのがちょっと残念でしたが、本人的にはすごく成長できたと思います。
元々歌える人ですが、感情を込めた歌での安定感はまだ発展途上かな、と思いました。水さんの作品を二作主演できて、すごく勉強になったと思う。これからの活躍を、とても楽しみにしています!
香稜しずる(リオン/音月桂)
いやー、興味深かった。なんていうか、リオンってこういう役になれるんだな、と思いました。包容力のある、優しい男でしたね。ロジェに興味津々で、いろいろ調べてみたりはするけれども、あまり深入りはしないタイプ。あまり熱い芝居はしていませんでしたが、ロジェを見送る背中の芝居がすごく良かったです。
それにしても格好良い!!冒頭のダンスシーン、ロジェの咲奈ちゃんと並んで踊る場面の男役度の高さにびっくりしました。咲奈ちゃんも十分ダンサーだと思うんですが、魅せ方のレベルが全然違う。さぞ勉強になっただろう……(感心)。
ただ、リオンが本公演より大人っぽいつくりだったので、手錠の場面がちょっと違和感ありましたね。なんていうか、激情にかられて意味のわからないことをする子供(ロジェ)にリオンが付き合ってあげている感があって。それはそれで、話としてはありだと思うんですが、がおりちゃんが一生懸命焦った芝居をしているのが逆に妙な感じでした(^ ^;
最後の挨拶は、長のがおりちゃんも主演の咲奈ちゃんもごく落ち着いていて、しっかりした良い挨拶でした。まあ、無難だったともいうかもですが(汗)。
声が良い人は台詞を喋っても挨拶してもいいものは良いですねー♪
夢華あみ(レア/愛原実花)
猫はミナコちゃんのファンなので、あまり公正に評価できていない……かな、と思うので、多くは語りません。
……っていうか。やっぱり「娘役」って一つの芸なんだなあ、と思っちゃいました。
最近の正塚さんの芝居は比較的リアルな芝居を求められるけど、それでもひとかけらのファンタジーがあってこその「娘役」であり、「ヒロイン」なのではないか、と。
いや、もちろん娘役がリアルでも良いんですよ。ただ、その場合は一緒に芝居をする男役にそれだけの大きさが必要になるんですよね。咲奈ちゃんはまだ若いので、ちょっと厳しかったと思います。もしかしたら、ロジェががおりちゃんだったもうちょっとなんとかなったのかも。
ただ、素直に「若いのに巧いな」と思ったのは事実なので、それは明記しておきます。声もいいし、歌も巧い(^ ^)。カミーラとか、クリスティーヌとか、そういう落ち着いた大人の女役を観てみたかったな、と思いました。
ただ、スタイルが磨かれるまでにだいぶ時間がかかりそうだったんですが、ジュリエットまであと半年もないのが不安だ……衣装、どうするんだろう(^ ^;ゞ
帆風成海(バシュレ/未沙のえる)
「ラスト・プレイ」の宇月くんのときも思いましたが、未沙さんの役ってやりにくいんでしょうか。宇月くんも帆風くんも芝居のできる人なんだけど、老け役という演じ方をしていないんですよね。作品の中での位置づけとしては、脚本が変らない以上、ある程度老け役としての芝居をすることが必要なのに。
二人とも、やろうと思えば老け役も出来そうなタイプだし、そういうのを「やりたくない」と思うようなタイプにも見えないんだけど……演出指示なんでしょうかねぇ。不思議。
その違和感以外は良い出来だったと思います、帆風くん。
あの役なら体型の難も目立たないし、さすが芝居上手は一味違うな、という出来でした♪
煌羽レオ(ヴィンセント/彩風咲奈)
シャープな美貌と、ちょっと甘えたような喋り方が役によく合っていたと思います。咲奈ちゃんとはかなり違う雰囲気でしたが、あれはあれでOK(はぁと)な感じ。帆風くんとの会話での、心配している空気感も良かった♪ 「けど、最近増えているんじゃないのか?」の言い方とか、すごく好きです。
透真かずき(マキシム/沙央くらま)
いやー、この役はコマちゃん宛書きだったんですね(汗)。透真さんもデキるひとなんですけど、あの何とも言えない間は………一回限りの新公では難しいのかもしれません。
天舞音さら(ドミニク/愛加まな)
可愛かったけど、台詞はまだ発展途上な感じでしたね。まあ、本役さんもかなり苦戦しているので、正塚さんの書くああいう役って難しいんでしょうね。
さりげなくウザい感じは役にあってた、かな?
梓晴輝(ヤコブ/彩那音)
あーずーりーんーーーーーっっっ(涙)。これが最後だなんて、あの響きの綺麗な声がもう聴けないなんて、なんて残念なんだっっ。
良い役をおいしく演じてくれてましたが、でもでも、アルバイトもほとんど無いなんて(T T)しょぼーん。
月城かなと(アイザック/大湖せしる)
噂に高い月城さん。今回は歌がなかったので判りませんが、良い声ですね。格好良いし、次が楽しみです。
舞羽美海(カミーラ/花帆杏奈)
うーん、声はずいぶん通るようになりましたよね。滑舌があまりよくないのと、興奮した芝居になると一本調子になるのは残念ですが、貫録のある地方検事さんで良かったと思います。大人っぽい美人だこと♪
悠月れな(ローラ/涼花リサ)
れなちゃんもこれで最後かー。芝居のできる人なのに、正塚作品で卒業してしまうのは非常に残念です。っていうか、こういう持ち味の人が新公学年で卒業してしまうなんてすごく悲しい(T T)。役がつくのはこれからなのにー!!
凰華れの(クロード/真波そら)
クロードってやっぱり美形枠なんだな、と納得した新人公演。
可愛い可愛いと思っていましたが、シャープな格好良さがでてきた気がします。芝居も最近ずいぶん良くなってきたなあ、と♪
真那春人(ゲルハルト/奏乃はると)
ああ、大好きな声でたくさん喋ってくれてとても幸せだ(←単純な真実)。
妻と娘を抱きしめて「必ず守る」と言い聞かせる場面の包容力とか、警察署でリオンと渡り合うときの堂々たる態度とか、さりげなく裏がみえつつも人間的な大きさがあってすごく良かったです(←贔屓目)。
ただ、いかんせん若いんだよなあ……。
24年前に党の幹部だったんだからもういい年の筈なのに、オールバックがまるでとってつけたみたいだし、スタイルの良い人なのにスーツのラインがいまいち合ってない気がする(T T)。
学年が違うとはいえ、にわにわはさすがだなあ、と感心。あの貫録がないと、役としてやっぱり物足りないよーーーー(涙)。
透水さらさ(クリスティーヌ/美穂圭子)
落ち着いた語り口が役にあっていて、今までで一番いい芝居をしてくれたような気がします。
花瑛ちほ(モニーク/早花まこ)
可愛いし、台詞も良かったー♪
声というか喋り方がちょっと叶千佳ちゃんに似ているような気がしたんですが、気のせい?歌は歌えるのかなあ。歌えるんだったら次が楽しみです。
凛城きら(シュミット/緒月遠麻)
いやーーーー、本当に良かったです。
深い声、過去と覚悟のある芝居。なんだか、エスコバルとかを演じて苦戦していた頃が不思議なくらいの落ち着きっぷりでした。
身体も少しは絞れたのかな?
出番が少ないぶん、芝居のキーマンたるべき存在感がしっかりとあったのはさすがでした(*^ ^*)。成長ぶりが気持ちいいです。
彩凪翔(クラウス/早霧せいな)
いやー、美形ですよね。びっくり!!
以前から綺麗な人だとは思っていたんですが、あらためて役がついてみると本当に格好良い。チギちゃんほど沸点の低い感じではなく、いかにも「暗殺者」という感じのシャープさでしたね。台詞は経験の少なさが出たかな、と思いましたが、予想していたよりもずっと良かったです♪♪
愛加あゆ(マリア/舞羽美海)
んー、可愛い。美海ちゃんとは全然違う雰囲気が、シュミットの性格の違いと組み合わせの妙になっていたような気がします。
何もかもを諦めた後ろ向きなキタロウのシュミットには、美海ちゃんの切ないマリアが合っていたし、
自分の罪と真正面から向き合いながら淡々と生きてきた凛城さんのシュミットには、ふんわりと柔らかいあゆちゃんのマリアが合っていたと思います。
千風カレン(ロサナ/麻樹ゆめみ)
此花いの莉(エルヴィラ/舞咲りん)
雛月乙葉(フィオナ/涼花リサ)
ベテラン三人の芝居は、さりげなく笑いをとっていきました(^ ^)。
本役ももちろんベテランなんですけど、余裕で対抗できそうな新公の三人もおみごとでした♪「ロミオとジュリエット」の両家の母は、この中から出るのかなー?
そんなところでしょうか。
それにしても、雪組は植田さんの「ソルフェリーノ」⇒正塚さんの「ロジェ」⇒舶来ミュージカル「ロミオとジュリエット」と、下級生、特に娘役には厳しい作品が続きますね(涙)。
ドラマシティの正塚さん(中劇場サイズなら問題ないはず)とバウの植田さん、良い子はたくさんいますので、どうぞよろしくお願いいたしまーす☆
.
……新公が始まる前に、ブックマークを求めてキャトルレーヴへ行ってしまいました。発売は明日だっつーの(T T)。
土曜日に行く予定ですが、私の欲しいのが売り切れてませんように。ってゆーか、白華れみちゃんのは出そうよ >劇団
というわけで、「ロジェ」。
新公演出は田渕大輔氏。えーっと、宙組「薔薇に降る雨」以来、かな?そう思うと、田渕さんって正塚さんについてる感じなんですね。
あのときは本公演とはかなり印象が違う役者たちを巧く使っていてとても良かったんですが、今回は割と無難な演出だったような気がしました。
一回しか観ていないので違いがよくわからなかったんですが、それは宙組もそんなにかわら
実はオペラグラスを忘れてしまったので、あまり細かいところが見えませんでした。
「ラストソングの男」のまなはるくん(真那春人)とかも全然見つけられなくて、最後カーテンコールで並んだときに、すみからすみまで探しちゃいました(T T)。もう、そんな下級生じゃないっつーのに。
そもそも役が少ないので、あまり新しい発見がなかったのが残念。
その中で印象に残ったのは、娘役ではモニークの花瑛ちほ、男役ではクラウスの彩凪翔、ヴィンセントの煌羽レオ、そして、シュミットの凛城きら。
とりあず、正月の「ロミオとジュリエット」の大公役は、凛城さんでお願いします(結論)。
もとい。
彩風咲奈(ロジェ/水夏希)
「ソルフェリーノ」の新公を観られなかったので、彼女の主演を観るのは初めてでしたが、予想以上に落ち着いて、センターポジションが良く似合っていました。
一年前に比べて身体もずいぶん絞ったし、声も落ち着いてきましたね。
「ソルフェリーノ」「ロジェ」と水さんにしては精神的に若々しい役が続いているので、彩風さんの若さがよく生きたんじゃないかと思います。
ただ、根本的にものすごく華やかな人なので、こういう抑えた芝居でテンションを保つのが大変そうでしたね。ラスト、シュミットとの対決から銃を降ろすまでの葛藤が、子供がヒステリーを起こしたみたいに見えてしまったのがちょっと残念でしたが、本人的にはすごく成長できたと思います。
元々歌える人ですが、感情を込めた歌での安定感はまだ発展途上かな、と思いました。水さんの作品を二作主演できて、すごく勉強になったと思う。これからの活躍を、とても楽しみにしています!
香稜しずる(リオン/音月桂)
いやー、興味深かった。なんていうか、リオンってこういう役になれるんだな、と思いました。包容力のある、優しい男でしたね。ロジェに興味津々で、いろいろ調べてみたりはするけれども、あまり深入りはしないタイプ。あまり熱い芝居はしていませんでしたが、ロジェを見送る背中の芝居がすごく良かったです。
それにしても格好良い!!冒頭のダンスシーン、ロジェの咲奈ちゃんと並んで踊る場面の男役度の高さにびっくりしました。咲奈ちゃんも十分ダンサーだと思うんですが、魅せ方のレベルが全然違う。さぞ勉強になっただろう……(感心)。
ただ、リオンが本公演より大人っぽいつくりだったので、手錠の場面がちょっと違和感ありましたね。なんていうか、激情にかられて意味のわからないことをする子供(ロジェ)にリオンが付き合ってあげている感があって。それはそれで、話としてはありだと思うんですが、がおりちゃんが一生懸命焦った芝居をしているのが逆に妙な感じでした(^ ^;
最後の挨拶は、長のがおりちゃんも主演の咲奈ちゃんもごく落ち着いていて、しっかりした良い挨拶でした。まあ、無難だったともいうかもですが(汗)。
声が良い人は台詞を喋っても挨拶してもいいものは良いですねー♪
夢華あみ(レア/愛原実花)
猫はミナコちゃんのファンなので、あまり公正に評価できていない……かな、と思うので、多くは語りません。
……っていうか。やっぱり「娘役」って一つの芸なんだなあ、と思っちゃいました。
最近の正塚さんの芝居は比較的リアルな芝居を求められるけど、それでもひとかけらのファンタジーがあってこその「娘役」であり、「ヒロイン」なのではないか、と。
いや、もちろん娘役がリアルでも良いんですよ。ただ、その場合は一緒に芝居をする男役にそれだけの大きさが必要になるんですよね。咲奈ちゃんはまだ若いので、ちょっと厳しかったと思います。もしかしたら、ロジェががおりちゃんだったもうちょっとなんとかなったのかも。
ただ、素直に「若いのに巧いな」と思ったのは事実なので、それは明記しておきます。声もいいし、歌も巧い(^ ^)。カミーラとか、クリスティーヌとか、そういう落ち着いた大人の女役を観てみたかったな、と思いました。
ただ、スタイルが磨かれるまでにだいぶ時間がかかりそうだったんですが、ジュリエットまであと半年もないのが不安だ……衣装、どうするんだろう(^ ^;ゞ
帆風成海(バシュレ/未沙のえる)
「ラスト・プレイ」の宇月くんのときも思いましたが、未沙さんの役ってやりにくいんでしょうか。宇月くんも帆風くんも芝居のできる人なんだけど、老け役という演じ方をしていないんですよね。作品の中での位置づけとしては、脚本が変らない以上、ある程度老け役としての芝居をすることが必要なのに。
二人とも、やろうと思えば老け役も出来そうなタイプだし、そういうのを「やりたくない」と思うようなタイプにも見えないんだけど……演出指示なんでしょうかねぇ。不思議。
その違和感以外は良い出来だったと思います、帆風くん。
あの役なら体型の難も目立たないし、さすが芝居上手は一味違うな、という出来でした♪
煌羽レオ(ヴィンセント/彩風咲奈)
シャープな美貌と、ちょっと甘えたような喋り方が役によく合っていたと思います。咲奈ちゃんとはかなり違う雰囲気でしたが、あれはあれでOK(はぁと)な感じ。帆風くんとの会話での、心配している空気感も良かった♪ 「けど、最近増えているんじゃないのか?」の言い方とか、すごく好きです。
透真かずき(マキシム/沙央くらま)
いやー、この役はコマちゃん宛書きだったんですね(汗)。透真さんもデキるひとなんですけど、あの何とも言えない間は………一回限りの新公では難しいのかもしれません。
天舞音さら(ドミニク/愛加まな)
可愛かったけど、台詞はまだ発展途上な感じでしたね。まあ、本役さんもかなり苦戦しているので、正塚さんの書くああいう役って難しいんでしょうね。
さりげなくウザい感じは役にあってた、かな?
梓晴輝(ヤコブ/彩那音)
あーずーりーんーーーーーっっっ(涙)。これが最後だなんて、あの響きの綺麗な声がもう聴けないなんて、なんて残念なんだっっ。
良い役をおいしく演じてくれてましたが、でもでも、アルバイトもほとんど無いなんて(T T)しょぼーん。
月城かなと(アイザック/大湖せしる)
噂に高い月城さん。今回は歌がなかったので判りませんが、良い声ですね。格好良いし、次が楽しみです。
舞羽美海(カミーラ/花帆杏奈)
うーん、声はずいぶん通るようになりましたよね。滑舌があまりよくないのと、興奮した芝居になると一本調子になるのは残念ですが、貫録のある地方検事さんで良かったと思います。大人っぽい美人だこと♪
悠月れな(ローラ/涼花リサ)
れなちゃんもこれで最後かー。芝居のできる人なのに、正塚作品で卒業してしまうのは非常に残念です。っていうか、こういう持ち味の人が新公学年で卒業してしまうなんてすごく悲しい(T T)。役がつくのはこれからなのにー!!
凰華れの(クロード/真波そら)
クロードってやっぱり美形枠なんだな、と納得した新人公演。
可愛い可愛いと思っていましたが、シャープな格好良さがでてきた気がします。芝居も最近ずいぶん良くなってきたなあ、と♪
真那春人(ゲルハルト/奏乃はると)
ああ、大好きな声でたくさん喋ってくれてとても幸せだ(←単純な真実)。
妻と娘を抱きしめて「必ず守る」と言い聞かせる場面の包容力とか、警察署でリオンと渡り合うときの堂々たる態度とか、さりげなく裏がみえつつも人間的な大きさがあってすごく良かったです(←贔屓目)。
ただ、いかんせん若いんだよなあ……。
24年前に党の幹部だったんだからもういい年の筈なのに、オールバックがまるでとってつけたみたいだし、スタイルの良い人なのにスーツのラインがいまいち合ってない気がする(T T)。
学年が違うとはいえ、にわにわはさすがだなあ、と感心。あの貫録がないと、役としてやっぱり物足りないよーーーー(涙)。
透水さらさ(クリスティーヌ/美穂圭子)
落ち着いた語り口が役にあっていて、今までで一番いい芝居をしてくれたような気がします。
花瑛ちほ(モニーク/早花まこ)
可愛いし、台詞も良かったー♪
声というか喋り方がちょっと叶千佳ちゃんに似ているような気がしたんですが、気のせい?歌は歌えるのかなあ。歌えるんだったら次が楽しみです。
凛城きら(シュミット/緒月遠麻)
いやーーーー、本当に良かったです。
深い声、過去と覚悟のある芝居。なんだか、エスコバルとかを演じて苦戦していた頃が不思議なくらいの落ち着きっぷりでした。
身体も少しは絞れたのかな?
出番が少ないぶん、芝居のキーマンたるべき存在感がしっかりとあったのはさすがでした(*^ ^*)。成長ぶりが気持ちいいです。
彩凪翔(クラウス/早霧せいな)
いやー、美形ですよね。びっくり!!
以前から綺麗な人だとは思っていたんですが、あらためて役がついてみると本当に格好良い。チギちゃんほど沸点の低い感じではなく、いかにも「暗殺者」という感じのシャープさでしたね。台詞は経験の少なさが出たかな、と思いましたが、予想していたよりもずっと良かったです♪♪
愛加あゆ(マリア/舞羽美海)
んー、可愛い。美海ちゃんとは全然違う雰囲気が、シュミットの性格の違いと組み合わせの妙になっていたような気がします。
何もかもを諦めた後ろ向きなキタロウのシュミットには、美海ちゃんの切ないマリアが合っていたし、
自分の罪と真正面から向き合いながら淡々と生きてきた凛城さんのシュミットには、ふんわりと柔らかいあゆちゃんのマリアが合っていたと思います。
千風カレン(ロサナ/麻樹ゆめみ)
此花いの莉(エルヴィラ/舞咲りん)
雛月乙葉(フィオナ/涼花リサ)
ベテラン三人の芝居は、さりげなく笑いをとっていきました(^ ^)。
本役ももちろんベテランなんですけど、余裕で対抗できそうな新公の三人もおみごとでした♪「ロミオとジュリエット」の両家の母は、この中から出るのかなー?
そんなところでしょうか。
それにしても、雪組は植田さんの「ソルフェリーノ」⇒正塚さんの「ロジェ」⇒舶来ミュージカル「ロミオとジュリエット」と、下級生、特に娘役には厳しい作品が続きますね(涙)。
ドラマシティの正塚さん(中劇場サイズなら問題ないはず)とバウの植田さん、良い子はたくさんいますので、どうぞよろしくお願いいたしまーす☆
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The Men Who Bombed Hiroshma
2010年8月28日 演劇 コメント (2)シアターコクーンにて、「広島に原爆を落とす日」を観劇してまいりました。
作:つかこうへい、演出は岡村俊一。
出演は筧利夫、仲間リサ、リア・ディゾン、大口兼悟、馬場徹、武田義晴、山本 亨、山口紗弥加、他。
私はこの作品、初演(主演は風間杜夫)は観ていませんが、1997年の演出・いのうえひでのり版(主演は稲垣吾郎)は観ました。
友人が吾郎くんのファンだったのでチケットを取ってくれたのですが、ものすごく感情移入してしまって、挙句にすっかり吾郎くんのファンになったという(^ ^)。
ヒロインを演じていた緒川たまきも、多分このときが初めてだったと思うのですが、美人でスタイルがよくて声が良くて、吃驚した記憶があります。
あのときは、「広島に原爆を落とす」ことを決意した山崎(稲垣)が広島への想いを語る長台詞が心に嵌って、すごい勢いで泣いたものでした。
日本への、そして広島への愛ゆえに、そして、その広島で待つ愛する女のために、すべてを捨ててボタンを押そう、という、前向きな決意。戦争を終わらせ、平和を取り戻す、ただそのためだけに、愛する女のために。
……と感動した割に、記憶力の無い猫はあまり細かい設定を覚えておらず(T T)、あのとき、吾郎くんの山崎少佐はロシア人との混血だった……ような気がするのですが、違ったっけ??
今回の筧さんは韓国系日本軍人で、731部隊を率いて納豆の研究をしていたことになっていました。あれっ?食糧難から子供たちを救うための完全栄養の新型納豆の研究が、中国でやっていたことになってるぞ。たしか、何でもかんでも腐ってしまう南のジャングルの中で研究していた……ような気がするんだけど。
どうでもいいことですが、納豆菌は暑すぎると死んでしまうので、南の島では納豆にはなりにくいと思う(^ ^)いや本当にどうでもいいなそんなこと。
ヒロインの設定も、日本陸軍将校で、ベルリンで活動中というのは何となく記憶にあるけど、特殊能力によって迫害される髪一族なんていう設定、あったっけ……?
いやー、もう、本当に観たのか?何なんだこの記憶力の無さは。
細かいところは全く覚えていないのでとりあえずおいといて、
主筋にかかわる部分については。
今回、山崎の出自が韓国系になったことで、ちょっと話が縒れたような気がしました。この変更は作品にとっても非常に大きな変更だと思うのですが、つかさんご本人はどこまでかかわっていらっしゃったのでしょうか?
そもそもの展開に無理がある物語なので、韓国系日本軍人の山崎に何故アメリカからの指令が届くの?というレベルのことに疑問がわくと、素直に山崎の長広舌に感情移入できないんですよね。バタくさい顔の吾郎くんが「西洋系との混血」の役を演じて、アメリカでスパイをしていたみたいな設定があると、いろいろあってアメリカ軍からの依頼を請ける部分に説得力があるんですが、、、
うーん。
どうして山崎を韓国系にしたんでしょうね。つかこうへい追悼公演だから、つかさんご自身の出自に合わせてそうしたんじゃないの?と勘繰りたくなってしまいます。
そんなことない、何か理由があるんだ、と思いたいけど、プログラムにも何も書いていないし……うーん、わからんなあ。
【さくら貝さまからコメントをいただきました。このあたりの設定は、86年に出版された小説版の設定に合わせてあるそうです。大変失礼いたしました!】
なんだか、元々わかりにくかった物語が、枝葉(要素)が増えて複雑になったことで、余計に判りにくくなってしまったような気がしました。「現在」のストーリーって、こんなに分量ありましたっけ?もっと戦前~戦後の話に集中していたような気がするんだけどな。
特に、ラスト(山崎の決意)に至るまでのカタルシスが無くなってしまったことが気になりました。あそこでガーっとハマったんだけどなあ(T T)
とにかく、理由はわからないけれども、猫自身にとっては、前回は消耗するほど感動したことと、今回は「?」で終わってしまったことは両方とも事実なんです。
……うーん、単なる先入観や吾郎ファンの戯言である可能性もあるなあ~。、、、前回の記憶がもう少し残っていれば比較のしようもあるのですが、これじゃまるで云いがかりみたい(T T)。感想を書くのって難しいですね。
それでも。
つかさんの描きたかった感情は、覚えているような気がするので、その印象を外挿しつつ、観劇を終えました。
つか作品は今まで、「再演」と言っても脚本は大きく変わっていることが当たり前でしたが。これからはどうなるんでしょうね。つかさんご本人は、もう2度と書きなおしてくださることはないのですが、、、
そう思うと、あらためて寂しいな。
今回の私みたいなこともあるけど、きっと、前回は全然ダメだったけど今回で凄く感動した!!と仰るかたも同じくらいいらっしゃるんでしょうに。
なによりも、つか作品は今でも「なまもの」だったんですよね。
それがもう、冷凍になってしまうんだとしたら……仕方のないことですが、残念な気がします。
そして。
13年前、この作品を観劇して、私は初めて「エノラ・ゲイに乗っていた人」のことを考えました。
それまで、一度も考えたことは無かったような気がします。
原爆を落とした日、
原爆が落ちた日、
原爆を落とした男、
……原爆を落とさせた、国。
アメリカは、原子爆弾を人間の上に投下する最初の国になることを恐れました。
アドルフ・ヒトラーは、女のために自分の祖国を犠牲にすることを選び、
そして山崎は、女のために自分の愛する街を犠牲に捧げる。
山崎とヒトラー、ヒトラーと山崎。
どちらがより深く自分の故郷を愛していたのか、
どちらがより深く、同じ女を愛したのか?
40万人を焼き殺すに足る愛。
……40万人の犠牲をさえ踏み越える、強い意思。
日記のタイトルは、プログラムの表紙に書かれたこの公演の英題から。
海外公演の予定があるわけではないようなので、深い意味はないのかもしれませんが、日本語の原題とは全く意味が違うことが若干気になりました。
直訳すると「広島を爆撃した男たち」……になりますよね?Bombedって、違う意味もあるのでしょうか。【←辞書をひいたところ、Bombには「爆弾を投げる/爆撃する」という意味の他に、口語で「みじめな失敗をする/どじを踏む」という意味があるらしいですね。…深いな】
いずれにしても、「Men」なんだな、というところには引っ掛かりました。
「日」でも「男(単数)」でもなく、「Men(男たち)」なのか、と。
戦争にかかわったすべての男たちが、どこかに原爆を落とすことを望んだ。
そのすべてが、この「Men」となる。
女性たちが望んだのは、もっと違うこと。
勝利することでも戦争を終わらせることでもなく、ただ、戦わない自由を。
「彼女」の手に握られた愛は、運命のボタンを押した男に、届いたのかどうか。
ボタンを押した男の愛は、山の上で光明を待っていたはずの女に、届いたのかどうか。
どちらにしても、世界の子供たちに納豆が届く日は来なかった。
腹を減らした子供たちの、「Give Me Natto!!」という切なる叫び声 が聞こえるような気がしたのは、ただの夢だったのか?
いや、たぶん、違う。
女は肉体という名の殻を捨て、
男は正気という名の牢獄を出て、
そして、どこかでたぶん、完全栄養の納豆を創っているのだ。
誰かが視た夢の中で、
世界が終わる日のために。
.
作:つかこうへい、演出は岡村俊一。
出演は筧利夫、仲間リサ、リア・ディゾン、大口兼悟、馬場徹、武田義晴、山本 亨、山口紗弥加、他。
私はこの作品、初演(主演は風間杜夫)は観ていませんが、1997年の演出・いのうえひでのり版(主演は稲垣吾郎)は観ました。
友人が吾郎くんのファンだったのでチケットを取ってくれたのですが、ものすごく感情移入してしまって、挙句にすっかり吾郎くんのファンになったという(^ ^)。
ヒロインを演じていた緒川たまきも、多分このときが初めてだったと思うのですが、美人でスタイルがよくて声が良くて、吃驚した記憶があります。
あのときは、「広島に原爆を落とす」ことを決意した山崎(稲垣)が広島への想いを語る長台詞が心に嵌って、すごい勢いで泣いたものでした。
日本への、そして広島への愛ゆえに、そして、その広島で待つ愛する女のために、すべてを捨ててボタンを押そう、という、前向きな決意。戦争を終わらせ、平和を取り戻す、ただそのためだけに、愛する女のために。
……と感動した割に、記憶力の無い猫はあまり細かい設定を覚えておらず(T T)、あのとき、吾郎くんの山崎少佐はロシア人との混血だった……ような気がするのですが、違ったっけ??
今回の筧さんは韓国系日本軍人で、731部隊を率いて納豆の研究をしていたことになっていました。あれっ?食糧難から子供たちを救うための完全栄養の新型納豆の研究が、中国でやっていたことになってるぞ。たしか、何でもかんでも腐ってしまう南のジャングルの中で研究していた……ような気がするんだけど。
どうでもいいことですが、納豆菌は暑すぎると死んでしまうので、南の島では納豆にはなりにくいと思う(^ ^)いや本当にどうでもいいなそんなこと。
ヒロインの設定も、日本陸軍将校で、ベルリンで活動中というのは何となく記憶にあるけど、特殊能力によって迫害される髪一族なんていう設定、あったっけ……?
いやー、もう、本当に観たのか?何なんだこの記憶力の無さは。
細かいところは全く覚えていないのでとりあえずおいといて、
主筋にかかわる部分については。
今回、山崎の出自が韓国系になったことで、ちょっと話が縒れたような気がしました。この変更は作品にとっても非常に大きな変更だと思うのですが、つかさんご本人はどこまでかかわっていらっしゃったのでしょうか?
そもそもの展開に無理がある物語なので、韓国系日本軍人の山崎に何故アメリカからの指令が届くの?というレベルのことに疑問がわくと、素直に山崎の長広舌に感情移入できないんですよね。バタくさい顔の吾郎くんが「西洋系との混血」の役を演じて、アメリカでスパイをしていたみたいな設定があると、いろいろあってアメリカ軍からの依頼を請ける部分に説得力があるんですが、、、
うーん。
どうして山崎を韓国系にしたんでしょうね。つかこうへい追悼公演だから、つかさんご自身の出自に合わせてそうしたんじゃないの?と勘繰りたくなってしまいます。
そんなことない、何か理由があるんだ、と思いたいけど、プログラムにも何も書いていないし……うーん、わからんなあ。
【さくら貝さまからコメントをいただきました。このあたりの設定は、86年に出版された小説版の設定に合わせてあるそうです。大変失礼いたしました!】
なんだか、元々わかりにくかった物語が、枝葉(要素)が増えて複雑になったことで、余計に判りにくくなってしまったような気がしました。「現在」のストーリーって、こんなに分量ありましたっけ?もっと戦前~戦後の話に集中していたような気がするんだけどな。
特に、ラスト(山崎の決意)に至るまでのカタルシスが無くなってしまったことが気になりました。あそこでガーっとハマったんだけどなあ(T T)
とにかく、理由はわからないけれども、猫自身にとっては、前回は消耗するほど感動したことと、今回は「?」で終わってしまったことは両方とも事実なんです。
……うーん、単なる先入観や吾郎ファンの戯言である可能性もあるなあ~。、、、前回の記憶がもう少し残っていれば比較のしようもあるのですが、これじゃまるで云いがかりみたい(T T)。感想を書くのって難しいですね。
それでも。
つかさんの描きたかった感情は、覚えているような気がするので、その印象を外挿しつつ、観劇を終えました。
つか作品は今まで、「再演」と言っても脚本は大きく変わっていることが当たり前でしたが。これからはどうなるんでしょうね。つかさんご本人は、もう2度と書きなおしてくださることはないのですが、、、
そう思うと、あらためて寂しいな。
今回の私みたいなこともあるけど、きっと、前回は全然ダメだったけど今回で凄く感動した!!と仰るかたも同じくらいいらっしゃるんでしょうに。
なによりも、つか作品は今でも「なまもの」だったんですよね。
それがもう、冷凍になってしまうんだとしたら……仕方のないことですが、残念な気がします。
そして。
13年前、この作品を観劇して、私は初めて「エノラ・ゲイに乗っていた人」のことを考えました。
それまで、一度も考えたことは無かったような気がします。
原爆を落とした日、
原爆が落ちた日、
原爆を落とした男、
……原爆を落とさせた、国。
アメリカは、原子爆弾を人間の上に投下する最初の国になることを恐れました。
アドルフ・ヒトラーは、女のために自分の祖国を犠牲にすることを選び、
そして山崎は、女のために自分の愛する街を犠牲に捧げる。
山崎とヒトラー、ヒトラーと山崎。
どちらがより深く自分の故郷を愛していたのか、
どちらがより深く、同じ女を愛したのか?
40万人を焼き殺すに足る愛。
……40万人の犠牲をさえ踏み越える、強い意思。
日記のタイトルは、プログラムの表紙に書かれたこの公演の英題から。
海外公演の予定があるわけではないようなので、深い意味はないのかもしれませんが、日本語の原題とは全く意味が違うことが若干気になりました。
直訳すると「広島を爆撃した男たち」……になりますよね?Bombedって、違う意味もあるのでしょうか。【←辞書をひいたところ、Bombには「爆弾を投げる/爆撃する」という意味の他に、口語で「みじめな失敗をする/どじを踏む」という意味があるらしいですね。…深いな】
いずれにしても、「Men」なんだな、というところには引っ掛かりました。
「日」でも「男(単数)」でもなく、「Men(男たち)」なのか、と。
戦争にかかわったすべての男たちが、どこかに原爆を落とすことを望んだ。
そのすべてが、この「Men」となる。
女性たちが望んだのは、もっと違うこと。
勝利することでも戦争を終わらせることでもなく、ただ、戦わない自由を。
「彼女」の手に握られた愛は、運命のボタンを押した男に、届いたのかどうか。
ボタンを押した男の愛は、山の上で光明を待っていたはずの女に、届いたのかどうか。
どちらにしても、世界の子供たちに納豆が届く日は来なかった。
腹を減らした子供たちの、「Give Me Natto!!」という切なる叫び声 が聞こえるような気がしたのは、ただの夢だったのか?
いや、たぶん、違う。
女は肉体という名の殻を捨て、
男は正気という名の牢獄を出て、
そして、どこかでたぶん、完全栄養の納豆を創っているのだ。
誰かが視た夢の中で、
世界が終わる日のために。
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ロミオとジュリエット【2】
2010年8月29日 宝塚(星) コメント (2)星組博多座公演「ロミオとジュリエット」。
シェイクスピア作品の中でも短い方に分類される「ロミオとジュリエット」ですが、それでも公演によって省略されるエピソードはいろいろあります。
博多座のミュージカル版では「ロミオの恋」のエピソードが削られていました。ジュリエットと出会う前のロミオには、激しい片思いの対象であるロザラインという女性がいた、というエピソードが。
彼はずっと「ロザライン、ロザライン」と片恋の熱に浮かされて、家族にも仲間にも心配をかけており、キャピュレット家のパーティーに潜り込むのも「憧れのロザラインが出席する」と聞いたから、だったりするんですよね。なのに、そこで出会ったジュリエットといきなり恋に落ちる、という展開には結構無理があるんですよ。
今までに私が観たことがある舞台の中で、そのあたりを脚本どおりに進めていて面白い演出だなあと思ったのは、このエピソードによって「若者の恋の危うさ、不安定さ」を前面に出していたものでした。
「大人」とは違う時間が流れている「若者」にとっての「恋」=「刹那の激情」である、とでも言えばいいのでしょうか。
ロミオの側からすれば、「ジュリエットに向かうこの気持ちを恋と呼ぶなら、今までの恋は恋ではなかった」ってなところだったのに、幼くて純粋なジュリエットにとっては、疑いようもなく、生涯を懸ける価値のある「初めての恋」だった……その温度差が、すなわち「運命の恋」の無慈悲さであり、「大人の事情」の冷酷さでもあるのだな、と。
でも、ミュージカル版では余計なものを削って「純粋で一途な、輝くような運命の恋」が描かれます。
ロミオは、元々の戯曲におけるジュリエットと同じ立ち位置で、「恋に恋し」ており、「たった一人の、一生を捧げられる人」を探している。
そしてさらに、主人公の二人だけが純粋な恋をしていて、他の人々は違う、という設定もある。
マキューシオとティボルトは、タイプは違うようですがどちらも女たらし。
キャピュレット夫人と乳母は、口をそろえて「夫を愛する必要なんてない」と言い切り、キャピュレット卿は女中や他の女に手を出しまくる。
ロミオとジュリエットにとっては、「真実の愛」に身をささげているのはこの街で自分たちだけ……そんなふうに見えていた、はず。
内面的なことをいえば、ティボルトの真実の愛はジュリエットに捧げられているわけですが、その事実は誰も知らない。また、ベンヴォーリオの真実の愛は、もしかしたらロミオに捧げられているかもしれない(←おいこら)けれども、それはベンヴォーリオ自身にさえ自覚されることはない。
彼らは「真実の愛」に身を捧げた「若き恋人たち」にとっては別の生き物なんですよね。決して理解されることはない、理解しあえるとは思えない存在。
だからこそ、ロミオはたった一人の理解者であったジュリエットを喪ったと知って絶望し、死を希う。
自分が「恋」を捧げるのはただひとりだ、という想いがあるから、そこに疑問はないんです。そして彼は、ただ薬を飲むためだけに霊廟へ向かう。彼を妨げるパリスの登場もなく、ただ、彼を誘う「死」の微笑みに惹かれて。
ほかにもいくつかの変更点がありますが、中でも「おお」と思ったのは、ヴェローナの街の人々が二人の秘密結婚を知っている、という設定でした。
これって、実は結構重要で。これがなければ、もしかしたら悲劇は起こらなかったかもしれない。
父親は、パリスが噂を耳にする前にジュリエットと結婚させて持参金を手にしようと焦り、ティボルトの死の翌日(ロミオの追放の朝)にいきなり「明日結婚式を挙げるように」娘に命令する。
それゆえに追いつめられた娘は、神父の無茶な計画に乗らざるをえない。
時間の無い中、同時進行で進めた計画は、使者がロミオを見つけられずに頓挫し、最悪の結果を生む。
戯曲では、父親は秘密結婚の事実は知らず、ただ、ティボルトの死という事実に沈んだ娘を力づけるために結婚の準備を進める、という設定だったはず。でも、実際芝居として観ていると、別にそんなに急ぐ必要はないはずなのに、エピソードを進めるために結婚を急がせているように見えて、違和感を感じることが多かったんですよね。
以前、街の人々が知っているという設定の芝居を観たことがあって(神父がばらす場面まであった)、おお、これってわかりやすいなーと思ったのでした(^ ^)。
「ロミオとジュリエット」からインスパイアされた傑作ミュージカル「ウェストサイド物語」は、子供たちの物語でした。
物語に深くかかわる「大人」は、刑事(←公正に裁かない大公)とドック(←祝福を与えられない神父)の二人だけ。「父」も「母」も「神父」もなく、登場人物のほとんどが「子供」である世界。
「子供」を定義するならば、「責任をとれない存在」ということになると思うんですよね。リフにしてもベルナルドにしても、彼らは「リーダー」であって「指導者」ではない。子供たちの中では強くて頭が良いというだけで、大人ではないんです。
でもトニーは、「Something Comin’」を探すために「仲間」を抜けて、「大人」になろうとしているところでした。
まだ完全な「大人」ではないけれども、もう「子供」では、ない。だからこそ、彼は「マリアのために」喧嘩を止めに行くんです。巻きこまれたのではなく、意思をもって喧嘩をとめるために走り出す。
結果的には、喧嘩の現場にトニー(青年)が現れたことで子供(=ベルナルド)は引くに引けなくなり、すべては悲劇へ向かって転げ落ちることになるのですが。
トニーは、登場の最初から物語のラストまで、「大人」でも「子供」でもない「青年」でありつづけ、
少女であったマリアは、トニーを喪ったときに一足飛びに「大人」になる。そういう物語でした。
……そういえば、トニーも初恋でしたね、マリアが。
スピード感と最後のカタルシスを大切にしようとすると、ロザラインのエピソードは最初に削られるのかなあ(^ ^)。
それに対して、今回博多で上演されていた「ロミオとジュリエット」のロミオは、最初から最後まで「少年」であったような気がします。
彼の変化は、「まだ恋を知らない少年」から、「恋を知った少年」への変化のみ。子供ではないけれども青年にさえなっていない「少年」のまま、ロミオは短い青春を駆け抜ける。
彼らの回りにはたくさんの大人たちがいて、基本的に、若者たちは『大人たち』の支配下にあるんですよね。
「支配下」という云い方が悪ければ、「影響下」でもいい。勝手な理屈でティボルトを抑圧し、勝手に対立してマキューシオを駆り立て、ベンヴォーリオを悩ませる、我儘で身勝手な「大人たち」。
「ロミオとジュリエット」は、そのまま上演すれば普通はジュリエットが主役になるものです。
ロミオは頭が軽くて手の早い、「イマドキの青年」であり、純粋な「真実の愛」の体現者は、幼い少女ジュリエットなのですから。
自ら結婚を言いだし、若いロミオを駆り立てる、美しく残酷な少女。ロミオはむしろ、そんなファム・ファタルの犠牲になったようにさえ見えるかもしれません。
でも、このミュージカル版では、両家の不和に心を痛める優しい少年が、ちゃんと主役に見えました。
そして、彼を愛するジュリエットが「少女」から脱皮するのは、彼への愛ゆえに父親に口ごたえをして、さらには母代りの乳母に嘘を吐いた とき。
プレスギュルヴィック氏のオリジナルがそうなっているのか、宝塚用に小池さんが手を入れた結果なのか、実際のところはわかりませんが、心優しい少年が視る「不安」の象徴としての「死」という設定が、すごく印象的でした。
真風くんが扮する「死」は、ロミオが独りになると近づいてきます。
心優しい少年の裡に潜んでいた闇。それはたぶん、少年にとっては近しい存在だった。
爆発しそうなエネルギーに満ちた「仲間」たちよりも、もっと心の近くに在る存在。
それはたぶん、本来はキャピュレット卿やモンタギュー卿の心にもあったものなのだと思う。ただ、完全な「大人」になった暁には、もうその存在を脅かすことはできない、というだけで。
彼らの前で「死」が容を為すのは、彼らの死の瞬間のみ。そこが、「少年」「青年」と「大人」の違い。
そして「死」は、無邪気で無力な子供の瞳には映らない。
マキューシオやベンヴォーリオ、そしてティボルトには、彼の姿は視えないのです。
非常に面白いと思ったのが、ロミオとジュリエットが寄り沿って眠る霊廟での、「死」と「愛」の動きでした。
ジュリエットが剣で胸を突いた瞬間の、嬉しそうな「死」。
あえて形容するとしたら「残酷な」とつけ加えたい、そんな笑顔で。
倒れ伏した二人を発見した大人たち。
嘆く彼らを、舞台の上手端の壁のセットに寄り掛かってにやにやしながら視ている「死」。
バルコニーの上で、「世界」を心配そうに見おろす「愛」。
モンタギュー夫人(花愛瑞穂)が歌いだす、名曲「罪びと」。
次第に心を一つにして、手を取り合うキャピュレットとモンタギュー。
そんな光景を、嬉しそうに見守る「愛」と、慌てたように姿勢を変える「死」
舞台(世界)の向こう側に立つ「死」をじっと見凝めて、腕をさしのべる「愛」。
「愛」の微笑みを、呆然として受ける「死」。
バルコニーの上の「愛」が纏う光と、上手のセットの陰に隠れてしまいそうな「死」。
それは、どちらの勝利でもどちらの敗北でもなく、ただ、あるべき姿に戻っただけだったのだ、---と。
「死」が少年で、「愛」が子供であったからこそ、表現できた真実。
「愛」というタイトルで想像するような色っぽい女役ダンサーではなく、スタイルはいいけれどもダンスにはあまり色気のない、男役の色も女役の色もついていない下級生に「愛」をやらせたのには、単なる抜擢以上の意味があったのだと思います。
そして「死」についても、こちらはある程度「男役」としての経験を積んだ、でも、まだのびしろのあるダンサーを選んだんだろうな、と。
「愛」に必要なのは柔らかさと中性的な魅力であり、「死」に必要なのは静謐さと残酷なまでの優しさ。
そして、両役に共通して必要なのが、まったき若さ。
小池さんが、雪組版でこの二人に誰を選ぶのか、とても楽しみです。
あとはじゃあ、群衆たちのツボを簡単に。
■キャピュレットの男
・美城れんさんは、目立つ役としては一幕の乳母の従者(ピーター)があります。コミカルな動きと間の良さが印象的でした。あとはやっぱり、眼光鋭くモンタギューを睨みつけるところが迫力だったなあ(はぁと)
・海隼人さんは、最初の「ヴェローナ」の前の喧嘩シーンで、群衆に引き裂かれ、ボコられる恋人……でしたよね?(女性の方は優香さん)
綺麗な人ですが、今回も黒っぽい髪がワイルドで、とても目立っていたと思います。
・みっきぃさん(天寿光希)は………もちろん目立つ役というならパリスなんですが(^ ^;ゞ。
個人的には、「ヴェローナ」の前の喧嘩シーンで、汐月しゅうさんに担ぎあげられていたのに吃驚しました。確かに小柄だし、「リラの壁の…」のときよりさらに痩せたけど、筋肉質であまり軽い方ではないと思うんですけど、どうしてそんなに軽々と(涙)。
あとは……下手の奥で、キトリちゃんとお店をやってるっぽい芝居があったのは、「キレイは汚い」だったかな。星組のMyお気に入りさんが二人、一緒に芝居してくれて、二人ともめっちゃ可愛かったですー♪
そして、二幕の喧嘩(決闘)シーン。
下手側で戦うみっきぃさんをボコるのが、汐月さんとれんた(如月蓮)だったのは、私へのサービスかと思いました。しかも、スローモーションになったところでキトリちゃんがみっきぃさんを助けようと手を伸ばすんだよ!!すごい!!(←何がだ)
えっと。
……キャピュレットサイドは、みっきぃさんとキトリちゃんを観るのに精一杯で、あまり下級生チェックができませんでした。ごめんなさい。
■モンタギューの男
・どいちゃん(鶴美舞夕)の「目立つ場面」は、そりゃー仮面舞踏会のバトントワラーですよね(*^ ^*)あの場面、雪組ではどうするんだろうなあ……。
いつもハンサムなどいちゃんですが、編みこみの髪型もすごい迫力で、大好きでした。そして、あの髪型のおかげで仮面をつけていてもすぐに分かったのはありがたかったです♪
・れんた(如月蓮)は、ロレンス神父がマントヴァに居るロミオに差し向ける使者役が大きいかな。台詞はないけど、いい芝居してたなあ。薬売り(=「死」)に止められてロミオに会えない場面の必死さが良かったです。
モンタギューの男としては、ライオンヘアーが似合っていて格好良かった!
・汐月しゅうさんは、ちょっと私の中でブームが起きています。いやはや、本当に格好良かった!!色の薄いプラチナブロンドを高めのポニーテールにして、鋭角的なダンス。なんだか輝いてました。
……あの髪、鬘じゃないんですね。地毛?エクステ?すごい似合ってたけど、、、でもメチャメチャ驚いたわー。
・芹香斗亜さんは、スカイフェアリーズのほわあんとした可愛らしさとはうってかわって、けっこう激しいツンツン頭にシャープな化粧。長い手足で伸び伸び踊っていて、目を惹きました。……あまり迫力は感じなかったけど、ね。
夏樹れいさんはつんつんのショートへア、漣レイラさんはハニーブロンドを結んでいて、どちらも格好良かった♪
キャピュレットの女
・稀鳥まりやちゃんはとにかく可愛い!背を高く見せるためなのか、頭の上で高々と結んだ髪型がめっちゃ似合う。かと思えば、仮面舞踏会でのソバージュヘアも死ぬほど可愛い。要するに何をしても可愛いんですが。
歌はあまり得意じゃないと思っていたけど、今回程度の分量なら十分聴かせてくれました。ああ、次の公演はもう少し役がつくと良いんだけど。ショーがないと切ない(T T)。
・そこかしこで、あの美人は誰?と思うと、千寿はるさんだった……(@ @)。え、転向したわけじゃないよね?この公演だけ?美人でスタイル良くて、声も良い。ちょっとうっとりしてしまいました。
■モンタギューの女
・特に目立っていたのは、南風里名さんと優香りこさん……かなあ。
二人ともかなり女っぽい、どちらかというと「女役ダンサー」という感じの踊り手ですが、喧嘩の場面とかは迫力もあって、とても素敵でした。
優香さん、「コインブラ物語」の姫君役はあまりピンとこなかったけど、こういう役は格好よくて色気もあって良いですねぇ~~(*^ ^*)。
お芝居のラストシーンで流れる「Aimer」のカゲソロは、水輝涼さんと夢妃杏瑠ちゃんなんだそうですね。透明感のある美しい音色で、とても良かったです♪
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シェイクスピア作品の中でも短い方に分類される「ロミオとジュリエット」ですが、それでも公演によって省略されるエピソードはいろいろあります。
博多座のミュージカル版では「ロミオの恋」のエピソードが削られていました。ジュリエットと出会う前のロミオには、激しい片思いの対象であるロザラインという女性がいた、というエピソードが。
彼はずっと「ロザライン、ロザライン」と片恋の熱に浮かされて、家族にも仲間にも心配をかけており、キャピュレット家のパーティーに潜り込むのも「憧れのロザラインが出席する」と聞いたから、だったりするんですよね。なのに、そこで出会ったジュリエットといきなり恋に落ちる、という展開には結構無理があるんですよ。
今までに私が観たことがある舞台の中で、そのあたりを脚本どおりに進めていて面白い演出だなあと思ったのは、このエピソードによって「若者の恋の危うさ、不安定さ」を前面に出していたものでした。
「大人」とは違う時間が流れている「若者」にとっての「恋」=「刹那の激情」である、とでも言えばいいのでしょうか。
ロミオの側からすれば、「ジュリエットに向かうこの気持ちを恋と呼ぶなら、今までの恋は恋ではなかった」ってなところだったのに、幼くて純粋なジュリエットにとっては、疑いようもなく、生涯を懸ける価値のある「初めての恋」だった……その温度差が、すなわち「運命の恋」の無慈悲さであり、「大人の事情」の冷酷さでもあるのだな、と。
でも、ミュージカル版では余計なものを削って「純粋で一途な、輝くような運命の恋」が描かれます。
ロミオは、元々の戯曲におけるジュリエットと同じ立ち位置で、「恋に恋し」ており、「たった一人の、一生を捧げられる人」を探している。
そしてさらに、主人公の二人だけが純粋な恋をしていて、他の人々は違う、という設定もある。
マキューシオとティボルトは、タイプは違うようですがどちらも女たらし。
キャピュレット夫人と乳母は、口をそろえて「夫を愛する必要なんてない」と言い切り、キャピュレット卿は女中や他の女に手を出しまくる。
ロミオとジュリエットにとっては、「真実の愛」に身をささげているのはこの街で自分たちだけ……そんなふうに見えていた、はず。
内面的なことをいえば、ティボルトの真実の愛はジュリエットに捧げられているわけですが、その事実は誰も知らない。また、ベンヴォーリオの真実の愛は、もしかしたらロミオに捧げられているかもしれない(←おいこら)けれども、それはベンヴォーリオ自身にさえ自覚されることはない。
彼らは「真実の愛」に身を捧げた「若き恋人たち」にとっては別の生き物なんですよね。決して理解されることはない、理解しあえるとは思えない存在。
だからこそ、ロミオはたった一人の理解者であったジュリエットを喪ったと知って絶望し、死を希う。
自分が「恋」を捧げるのはただひとりだ、という想いがあるから、そこに疑問はないんです。そして彼は、ただ薬を飲むためだけに霊廟へ向かう。彼を妨げるパリスの登場もなく、ただ、彼を誘う「死」の微笑みに惹かれて。
ほかにもいくつかの変更点がありますが、中でも「おお」と思ったのは、ヴェローナの街の人々が二人の秘密結婚を知っている、という設定でした。
これって、実は結構重要で。これがなければ、もしかしたら悲劇は起こらなかったかもしれない。
父親は、パリスが噂を耳にする前にジュリエットと結婚させて持参金を手にしようと焦り、ティボルトの死の翌日(ロミオの追放の朝)にいきなり「明日結婚式を挙げるように」娘に命令する。
それゆえに追いつめられた娘は、神父の無茶な計画に乗らざるをえない。
時間の無い中、同時進行で進めた計画は、使者がロミオを見つけられずに頓挫し、最悪の結果を生む。
戯曲では、父親は秘密結婚の事実は知らず、ただ、ティボルトの死という事実に沈んだ娘を力づけるために結婚の準備を進める、という設定だったはず。でも、実際芝居として観ていると、別にそんなに急ぐ必要はないはずなのに、エピソードを進めるために結婚を急がせているように見えて、違和感を感じることが多かったんですよね。
以前、街の人々が知っているという設定の芝居を観たことがあって(神父がばらす場面まであった)、おお、これってわかりやすいなーと思ったのでした(^ ^)。
「ロミオとジュリエット」からインスパイアされた傑作ミュージカル「ウェストサイド物語」は、子供たちの物語でした。
物語に深くかかわる「大人」は、刑事(←公正に裁かない大公)とドック(←祝福を与えられない神父)の二人だけ。「父」も「母」も「神父」もなく、登場人物のほとんどが「子供」である世界。
「子供」を定義するならば、「責任をとれない存在」ということになると思うんですよね。リフにしてもベルナルドにしても、彼らは「リーダー」であって「指導者」ではない。子供たちの中では強くて頭が良いというだけで、大人ではないんです。
でもトニーは、「Something Comin’」を探すために「仲間」を抜けて、「大人」になろうとしているところでした。
まだ完全な「大人」ではないけれども、もう「子供」では、ない。だからこそ、彼は「マリアのために」喧嘩を止めに行くんです。巻きこまれたのではなく、意思をもって喧嘩をとめるために走り出す。
結果的には、喧嘩の現場にトニー(青年)が現れたことで子供(=ベルナルド)は引くに引けなくなり、すべては悲劇へ向かって転げ落ちることになるのですが。
トニーは、登場の最初から物語のラストまで、「大人」でも「子供」でもない「青年」でありつづけ、
少女であったマリアは、トニーを喪ったときに一足飛びに「大人」になる。そういう物語でした。
……そういえば、トニーも初恋でしたね、マリアが。
スピード感と最後のカタルシスを大切にしようとすると、ロザラインのエピソードは最初に削られるのかなあ(^ ^)。
それに対して、今回博多で上演されていた「ロミオとジュリエット」のロミオは、最初から最後まで「少年」であったような気がします。
彼の変化は、「まだ恋を知らない少年」から、「恋を知った少年」への変化のみ。子供ではないけれども青年にさえなっていない「少年」のまま、ロミオは短い青春を駆け抜ける。
彼らの回りにはたくさんの大人たちがいて、基本的に、若者たちは『大人たち』の支配下にあるんですよね。
「支配下」という云い方が悪ければ、「影響下」でもいい。勝手な理屈でティボルトを抑圧し、勝手に対立してマキューシオを駆り立て、ベンヴォーリオを悩ませる、我儘で身勝手な「大人たち」。
「ロミオとジュリエット」は、そのまま上演すれば普通はジュリエットが主役になるものです。
ロミオは頭が軽くて手の早い、「イマドキの青年」であり、純粋な「真実の愛」の体現者は、幼い少女ジュリエットなのですから。
自ら結婚を言いだし、若いロミオを駆り立てる、美しく残酷な少女。ロミオはむしろ、そんなファム・ファタルの犠牲になったようにさえ見えるかもしれません。
でも、このミュージカル版では、両家の不和に心を痛める優しい少年が、ちゃんと主役に見えました。
そして、彼を愛するジュリエットが「少女」から脱皮するのは、彼への愛ゆえに父親に口ごたえをして、さらには母代りの乳母に嘘を吐いた とき。
プレスギュルヴィック氏のオリジナルがそうなっているのか、宝塚用に小池さんが手を入れた結果なのか、実際のところはわかりませんが、心優しい少年が視る「不安」の象徴としての「死」という設定が、すごく印象的でした。
真風くんが扮する「死」は、ロミオが独りになると近づいてきます。
心優しい少年の裡に潜んでいた闇。それはたぶん、少年にとっては近しい存在だった。
爆発しそうなエネルギーに満ちた「仲間」たちよりも、もっと心の近くに在る存在。
それはたぶん、本来はキャピュレット卿やモンタギュー卿の心にもあったものなのだと思う。ただ、完全な「大人」になった暁には、もうその存在を脅かすことはできない、というだけで。
彼らの前で「死」が容を為すのは、彼らの死の瞬間のみ。そこが、「少年」「青年」と「大人」の違い。
そして「死」は、無邪気で無力な子供の瞳には映らない。
マキューシオやベンヴォーリオ、そしてティボルトには、彼の姿は視えないのです。
非常に面白いと思ったのが、ロミオとジュリエットが寄り沿って眠る霊廟での、「死」と「愛」の動きでした。
ジュリエットが剣で胸を突いた瞬間の、嬉しそうな「死」。
あえて形容するとしたら「残酷な」とつけ加えたい、そんな笑顔で。
倒れ伏した二人を発見した大人たち。
嘆く彼らを、舞台の上手端の壁のセットに寄り掛かってにやにやしながら視ている「死」。
バルコニーの上で、「世界」を心配そうに見おろす「愛」。
モンタギュー夫人(花愛瑞穂)が歌いだす、名曲「罪びと」。
次第に心を一つにして、手を取り合うキャピュレットとモンタギュー。
そんな光景を、嬉しそうに見守る「愛」と、慌てたように姿勢を変える「死」
舞台(世界)の向こう側に立つ「死」をじっと見凝めて、腕をさしのべる「愛」。
「愛」の微笑みを、呆然として受ける「死」。
バルコニーの上の「愛」が纏う光と、上手のセットの陰に隠れてしまいそうな「死」。
それは、どちらの勝利でもどちらの敗北でもなく、ただ、あるべき姿に戻っただけだったのだ、---と。
「死」が少年で、「愛」が子供であったからこそ、表現できた真実。
「愛」というタイトルで想像するような色っぽい女役ダンサーではなく、スタイルはいいけれどもダンスにはあまり色気のない、男役の色も女役の色もついていない下級生に「愛」をやらせたのには、単なる抜擢以上の意味があったのだと思います。
そして「死」についても、こちらはある程度「男役」としての経験を積んだ、でも、まだのびしろのあるダンサーを選んだんだろうな、と。
「愛」に必要なのは柔らかさと中性的な魅力であり、「死」に必要なのは静謐さと残酷なまでの優しさ。
そして、両役に共通して必要なのが、まったき若さ。
小池さんが、雪組版でこの二人に誰を選ぶのか、とても楽しみです。
あとはじゃあ、群衆たちのツボを簡単に。
■キャピュレットの男
・美城れんさんは、目立つ役としては一幕の乳母の従者(ピーター)があります。コミカルな動きと間の良さが印象的でした。あとはやっぱり、眼光鋭くモンタギューを睨みつけるところが迫力だったなあ(はぁと)
・海隼人さんは、最初の「ヴェローナ」の前の喧嘩シーンで、群衆に引き裂かれ、ボコられる恋人……でしたよね?(女性の方は優香さん)
綺麗な人ですが、今回も黒っぽい髪がワイルドで、とても目立っていたと思います。
・みっきぃさん(天寿光希)は………もちろん目立つ役というならパリスなんですが(^ ^;ゞ。
個人的には、「ヴェローナ」の前の喧嘩シーンで、汐月しゅうさんに担ぎあげられていたのに吃驚しました。確かに小柄だし、「リラの壁の…」のときよりさらに痩せたけど、筋肉質であまり軽い方ではないと思うんですけど、どうしてそんなに軽々と(涙)。
あとは……下手の奥で、キトリちゃんとお店をやってるっぽい芝居があったのは、「キレイは汚い」だったかな。星組のMyお気に入りさんが二人、一緒に芝居してくれて、二人ともめっちゃ可愛かったですー♪
そして、二幕の喧嘩(決闘)シーン。
下手側で戦うみっきぃさんをボコるのが、汐月さんとれんた(如月蓮)だったのは、私へのサービスかと思いました。しかも、スローモーションになったところでキトリちゃんがみっきぃさんを助けようと手を伸ばすんだよ!!すごい!!(←何がだ)
えっと。
……キャピュレットサイドは、みっきぃさんとキトリちゃんを観るのに精一杯で、あまり下級生チェックができませんでした。ごめんなさい。
■モンタギューの男
・どいちゃん(鶴美舞夕)の「目立つ場面」は、そりゃー仮面舞踏会のバトントワラーですよね(*^ ^*)あの場面、雪組ではどうするんだろうなあ……。
いつもハンサムなどいちゃんですが、編みこみの髪型もすごい迫力で、大好きでした。そして、あの髪型のおかげで仮面をつけていてもすぐに分かったのはありがたかったです♪
・れんた(如月蓮)は、ロレンス神父がマントヴァに居るロミオに差し向ける使者役が大きいかな。台詞はないけど、いい芝居してたなあ。薬売り(=「死」)に止められてロミオに会えない場面の必死さが良かったです。
モンタギューの男としては、ライオンヘアーが似合っていて格好良かった!
・汐月しゅうさんは、ちょっと私の中でブームが起きています。いやはや、本当に格好良かった!!色の薄いプラチナブロンドを高めのポニーテールにして、鋭角的なダンス。なんだか輝いてました。
……あの髪、鬘じゃないんですね。地毛?エクステ?すごい似合ってたけど、、、でもメチャメチャ驚いたわー。
・芹香斗亜さんは、スカイフェアリーズのほわあんとした可愛らしさとはうってかわって、けっこう激しいツンツン頭にシャープな化粧。長い手足で伸び伸び踊っていて、目を惹きました。……あまり迫力は感じなかったけど、ね。
夏樹れいさんはつんつんのショートへア、漣レイラさんはハニーブロンドを結んでいて、どちらも格好良かった♪
キャピュレットの女
・稀鳥まりやちゃんはとにかく可愛い!背を高く見せるためなのか、頭の上で高々と結んだ髪型がめっちゃ似合う。かと思えば、仮面舞踏会でのソバージュヘアも死ぬほど可愛い。要するに何をしても可愛いんですが。
歌はあまり得意じゃないと思っていたけど、今回程度の分量なら十分聴かせてくれました。ああ、次の公演はもう少し役がつくと良いんだけど。ショーがないと切ない(T T)。
・そこかしこで、あの美人は誰?と思うと、千寿はるさんだった……(@ @)。え、転向したわけじゃないよね?この公演だけ?美人でスタイル良くて、声も良い。ちょっとうっとりしてしまいました。
■モンタギューの女
・特に目立っていたのは、南風里名さんと優香りこさん……かなあ。
二人ともかなり女っぽい、どちらかというと「女役ダンサー」という感じの踊り手ですが、喧嘩の場面とかは迫力もあって、とても素敵でした。
優香さん、「コインブラ物語」の姫君役はあまりピンとこなかったけど、こういう役は格好よくて色気もあって良いですねぇ~~(*^ ^*)。
お芝居のラストシーンで流れる「Aimer」のカゲソロは、水輝涼さんと夢妃杏瑠ちゃんなんだそうですね。透明感のある美しい音色で、とても良かったです♪
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