座・高円寺にて、ミュージカル「ユーリンタウン」を観劇してまいりました。



世界的な大干ばつに襲われた世界で、水資源をどのように護るか、という物語……なんていう言い方をしたら、全然イメージ違うんですよねぇ……実際、そういう話なんですが(汗)。


2001年にオフ・ブロードウェイで開幕。2002年のトニー賞で、作品賞を含む10部門にノミネートされ、3部門(演出・脚本・楽曲)を獲得した作品。
日本初演は2004年。演出は宮本亜門、劇場は日生劇場でした。
「有料公衆トイレの話」としかあらすじには出てなくて、いったいどんな話なんだろう??とハテナをいっぱい飛ばしながら観にいって、興行側のあまりの作品軽視にあきれ果てて帰った記憶があります。
100歩譲って、宮本亜門はいい。彼は本来、もっとテーマがシンプルで具体的な作品をわかりやすく華やかに演出することが得意な人で、ああいうひねりにひねって最後にとんぼを切って逃げちゃうみたいな作品はいまひとつなことが多いのですが、まぁ、演出の名前で客が呼べる数少ない人の一人だし。
でも、大劇場の真ん中に慣れた、メインキャストの面々。この人たちが日生に集ってトイレの話とか、ありえないから。演出・脚本・楽曲三賞を獲っておきながら、作品賞を逃したのは何故だと思っているんだ(汗)。



なので。
今回の公演は、上演を知ったときからメチャクチャ楽しみにしていました。
元々歌や踊りのある演劇をやっていた流山児★事務所が「ユーリンタウン」に目をつけてくれたか!!と。

いや~、期待以上のできでした♪♪ そうよ、これが私の観たかった、むこうでの劇評を読んで楽しみにしていた「ユーリンタウン」ですよ!!




コメディ仕立てではあるけれども、実際はもの凄く悲惨な話なんですよ。
世界的な大干ばつで、水資源が枯渇しつつある、近未来の地球。
すべての水資源を一括で管理し、使用量を抑えるために、自宅用のトイレを禁止し、すべての用足しは有料の公衆トイレを使わなくてはならなくなっている。
正規の場所以外のところで用足ししたら、“ユーリンタウン(小便街)”へ追放=死刑。


トイレの規制とか、そういうシモの規制っていうのは人間の尊厳に関わる話だから、本来なら規制するとしても最後の最後のはずなんですよね。だけど、たとえばトイレの水は簡単に処理して、何度でもトイレを流すためだけに使う、ってなことを考えるなら、汚物処理装置つきのトイレを少数設定するのが一番効率的。同じ水を繰り返し使うんだから、一日に何回使われても必要な水の量は変わらないし。


そういうことを考えると、割と早い段階でトイレを規制するっていうのはあり得ない話じゃない。
まして、そこに巨大な利権が絡むとなれば。


ただ、市民たちにはあまり詳しい情報を与えていないから、彼らは状況がそこまで深刻であることを知らない。
だから当然、強い反発が生まれる。きっかけ一つで、抑圧された人民はすぐに立ち上がってしまう。


そして。
一度立ち上がってしまえば、そうそう簡単に座りなおすことはできない。





もう公演も終わったから、ネタバレしてしまいますが。





革命のリーダーとなった青年(遠山悠介)が、トイレ(=水資源)を管理するUCC(ウッシッシ)のクラッドウェル社長(塩野谷正幸)の罠にはまって殺された後。
彼の恋人にしてクラッドウェルの娘・ホッピー(関谷春子)は、彼の遺志を継いで革命を続行。自分のIDで平民たちを連れてUCCビルに侵入し、父親を倒します。
こうして革命は成功。彼らは『入りたいときに入りたいだけトイレに入る権利』を得て、じゃんじゃん水を流しまくります。



その結果、どうなるか。
当然、残り僅かだった水資源を僅かな時間で使い切り、彼らは皆、ばたばたと斃れていく……という、ラスト。

「じゃあ、どうすれば良かったのかねぇ?」と、皮肉な口調で尋ねられたような後味。




物語としての結論がないところが、私はとても納得できます。
だって、この物語ってびっくりするほどリアルな問題を扱っているから。ここで、すっきり納得できるような結論があったら、しのごの言わずにそれを今すぐやれっ!!っていう話になるだろうし。

小野不由美さん著「華胥の幽夢」に収録された中篇「華胥」で語られる、「責難は成事にあらず」という言葉を、あらためて思い出しました。
今現在権力を持って事を成そうとしている人(UCC)を非難することはたやすい。だって、現実に今、目の前に困っている人がいるんだもの。
でも、それはただ、彼らが事を成すことを邪魔しているだけで、何一つ解決しない。

ただ、UCCが成した事(トイレの規制)を非難するだけで、否定するだけで、彼らが何故、なんのためにそれを成したのかを理解しようとしない。トイレの規制をすることが何故悪で、それを撤廃したらどういう問題が起こって、その問題を解決するのに「トイレの規制」以外にどんな方法があるのか、そこまで事前に検討してから撤廃しなくてはいけないのに。

クラッドウェルの娘でありながら、ホッピーは全く父親のやっていたことを知らなかった。
利権を独占していたことも知らなかったし、水資源を護っていたことも知らなかった。
……知っていなくてはいけなかったのに。






「水」という限られた資源に対する計画経済社会において、自由主義者たちが反乱を起こしたようにも解釈できるし、
横暴な資本家に対して、労働者が革命を起こしたようにも見える。

いずれにしても、『革命』を起こす当事者たちは、いつだって真剣で、生真面目で、理想に燃えている んですよね。
旧ロシアのボルシェビキたちもそうだっただろうし、
全共闘の闘士たちもそうだったんだろう。
……たぶん。


そして、この「ユーリンタウン」の瀬戸際な労働者たちの希望も、実に生理的に切実でリアルなだけに、外から見ていると非常に滑稽なんですけれども。
でも、彼らが本当に真剣に、生真面目に、理想に燃えて、必死で立ち上がろうとする姿は、ひどく痛々しく響いてくるんですよね。

………でも。
だけど、この革命はうまくいかないだろう、と。……それが、話の途中でも、あからさまにわかってしまうことが、一番の喜劇であり、かつ悲劇でもある。


ラストの皮肉の切れ味が、さすが百戦錬磨な流山児★事務所、見事なものでした。流山児祥さんの手腕は素晴らしい!大劇場では表現の難しい脚本的な難所、皮肉・嫌味・回りくどい説明・ちょっとハズした会話………細かいネタを落とさずにちゃんと拾って組み立ててくれたのが、とても嬉しかった!




なんだか長くなってしまった……。
くだくだと書いてしまいましたが、結論としては「私は今回の公演、すごく面白かった!!再演希望!」ってことで。




最後に、キャストについて、一言ずつ。
名前は、ブロードウェイ版の名前をちょっとずつ変えた名前をつけていたので、そちらで書きます。()の中は、日生劇場版キャスト(わかる人のみ)。


巡査部長ロクスッポ(南原清隆)千葉哲也
すごく良かったです。エリザベートで言えばルキーニみたいな存在(←ちょっと違う)で語り手なんですけど、とにかく存在感があって。彼が居るだけで、あやしげでヤバげな空気が漂うのが素敵だな、と。
最初の語りだし(歌いだし)も彼だし、ラストのオチを語るのも彼だし……。面白い役者でした。


巡査バレバレ()曾我泰久
ロクスッポの部下。ロクスッポと会話しながらいろいろ観客に説明してくれる人。
歌はあまり無かったですが、なかなか良いキャラでした。曾我さんは巧いねー!


ちびサリ(高泉淳子)坂井香奈美 ホームレスの少女
「30歳すぎて九州から出てきて子役だなんてっ!」と自分で言ってらっしゃいましたが(笑)、
自然に子供に見えて、可愛かったですよ?(真顔)。
ちょっと「レ・ミゼラブル」のガブローシュみたいな存在(途中では死なないけど)なんですよね。ロクスッポと会話したり、あちこちで独り言言ったりして(^ ^)いろいろ説明してくれる。
この芝居って、とにかく話が複雑なせいか、ロクスッポ・バレバレ・ちびサリと説明役が3人もいるんだな…(今頃気づいたか)


クラッドウェル社長(藤木孝)塩野谷正幸
いやー、藤木さんの社長がかなり好きだったので微妙かな~?と思っていたのですが、すごく良かったです!チョビ髭が笑えた(^ ^)。ちょっとヒトラーを意識しているようにも見えましたが、どうなんでしょうか。
彼が単純な悪ではなかったことが、今回の公演の成功の要因だったんではないか、と思います。


ホッピー(鈴木蘭々)関谷春子 クラッドウェルの娘。
東宝ミュージカルアカデミー出身なんですね(^ ^)。華やかな美貌、伸びやかな歌声、上流階級の娘にちゃんと見える確かな芝居。ヒロインとしてきちんと立った存在感が見事でした。ビンボーとの会話のトンデモさとか、いろんな意味ですごく良かった。彼女の明るさに救われた面は大きいと思います。


ペニペニ(マルシア)伊藤弘子 “街で一番汚い公衆便所”の管理人。
素晴らしかった!歌も芝居も、本当に良かった(^ ^)
ふてぶてしいのに痛々しくて、クライマックスの、革命軍(?)に告白する場面の迫力とか、クラッドウェルに裏切られたときの反応とか、本当に凄いって感じでした。
日生劇場公演はマルシアだったのか……全然印象に残ってない(^ ^;ゞ


ビンボー・スットボケ(別所哲也)遠山悠介 ペニペニの助手。
世間知らずの女の子が「あらちょっと素敵」と思う程度の見掛けで、しかも優しくて誠実。偶然出会ったホッピーと、恋に落ちるのも当然のキャラ。
だけど、彼は主役じゃないんです。ヒロインが恋をする相手だけど、物語的には主役じゃない。彼が主役だと、ラストの衝撃が意味を為さないから。
そういう劇構造を考えても、日生劇場版は、この役を別所さんにふったのがそもそもの間違いだったな……歌は素晴らしかったんですけどね(T T)。
遠山さんは、芝居は悪くないけど歌は……がんばれ(励)。


ヒップご意見番()三ツ矢雄二
こんなところでお会いできるとは(汗)。いやー、三ツ矢さんの七変化、って感じでとても面白かったです。歌もさすが。以前舞台でお見かけしたとき、今後はもっとミュージカルにも挑戦したいとか仰ってたけど、、、お忙しいのかしら。


マッキッキ()栗原茂 クラッドウェル社長の秘書、なのかな…?
ラストシーンの直前、革命が成功してホープの下に降った後。
「ホープ様、社長は水不足を解消するために今までコレだけの研究を重ねてまいりました……」
と訴えるシーンが凄く好き。
そして、その必死の訴えをあっさりと退けて、
「私たちは、父のやり方ではなく、私たちのやり方で幸せを手に入れるのです!」
と宣言するホープの、何もわかってない純真っぷりに対する、彼の絶望が身に沁みました。



クラッドウェルの秘書&警官をやっていた、元月組OGの青葉みちる嬢は、それはそれは美しく、スタイルも抜群でロケットの脚もきれいにあがって、とにかく華やかで素敵でした(はぁと)。
次は是非、芝居をしているみちるに逢いたいです………(祈)。




青山劇場にて、「女信長」を観劇いたしました。



他に、先月観て、まだ日記に書いてないものを、忘れないようにメモさせてください(^ ^;ゞ
①音楽座ミュージカル「シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ」(赤坂ACT)
②「桜姫」(シアターコクーン)

観たいなあと思ったものすべては観られませんでしたが、5月に続き、なかなかに実りの多い一ヶ月でした。うん。ミーマイも観たかったんですが。。。残念。





普通の歴史オタクとして、当然あの時代には詳しいんですが……佐藤賢一の原作は読んでおりません。
ただ、“織田信長は女性だった”というネタで、黒木メイサさんが信長を演じるってことと、中川晃教くんが明智光秀を演じるってことだけで観にいったのですが、大正解でした♪ 実に面白かったです!


プログラムの冒頭で、佐藤賢一氏が書いています。
「織田信長という人間は、『女信長』でしか描ききれない」
と。
言われてみれば、織田信長という日本史上最大の謎に対する回答として、「実は女だった」というのは、、、、ある意味、すごく納得できるのかも。

実際、織田軍というのは軍隊としてもの凄く弱いんですね。局地戦において、戦術的に勝利したことはほとんどない。情報戦の挙句、奇襲で勝利を収めた今川攻め(桶狭間)くらいなんですよね。
あとはすべて、装備と情報による勝利。金にモノを言わせて鉄砲を集め、事前の懐柔策で圧倒的な兵力を集めてからじゃないと闘いをはじめなかった。桶狭間だって、実際には戦う前に勝利は決まっていたわけで、情報戦の勝利だったという考え方もあるくらい、軍隊、あるいは軍人としては弱っちい集団だった。
騎馬兵による槍や刀の一騎討ちがまだまだ基本だった戦いを、歩兵による鉄砲戦にした。それは、日本史における大きな事件でした。

刀より鉄砲、腕力より情報。英雄より人数。土地より金。名より実。
そういう行動原理を、佐藤氏は「女ならではの考え方」だ、と言う。
“力弱い”ことが罪にならない女性でないと、思いつかないだろう、と。


そして、信長が最終的な目標にしたものが、『泰平の世』であった、という事実。
言われてみれば。
泰平の世を希むのは、次代を産み育てる女性だけなのかもしれません。男性が『泰平の世』を本気で目指すことなどないのかもしれない。『自分が頂点に立つ』こと、そうなることで結果的に戦いが無くなることを希むことはあっても、戦いの無い世の中、それ自体を目指すというのは考えにくい。

……なるほどね、と。
そういう考え方もあるかも、と思ってしまうくらい、信長というのは巨大な謎なんだなあ、ということをすごくヒシヒシと感じたのでした……。



黒木メイサの、圧倒的な迫力と美貌、そして身体能力の素晴らしさに、惚れ惚れしました。
伸びやかな肢体をいっぱいに伸ばしての、迫力満点の殺陣。斬られ役のうまさも今の宝塚の比ではありませんが、それにしても格好良かった(*^ ^*)。刀を振るった後の、止めの美しさとか、鞘に納めるときの鮮やかさとか。

台詞量も圧倒的で、私が観たとき(楽の直前)にはもうだいぶ喉をやられていた感じでしたが、男として信長として語るときと、女として御長(おちょう)として、愛する男に囁きかけるときとで、がんばって声色を変えようとしていたのが可愛かったです。
万全の時に観て(聞いて)みたかったなあ…。




明智光秀の中川晃教。
「スーパーモンキー」の上演中止でちょっとオアズケになっていた中川君の美声を、思ったよりたっぷりと聴くことができて幸せでした(*^ ^*)。せいぜい一曲かと思っていたのに、三曲はあった!!(幸)。
流浪の将軍・足利義昭の使いとして、織田に上洛の供を依頼しにくる男。
共に『泰平の世』を目指そう、と言ってくれる、底知れないけれども有能な男。この男を、自分が使いきれるのか、いや、使いきらねばならぬ!と決意する信長の気概が、とても良いです。
この頃が、いろんな意味で“織田信長”の絶頂期だったのだなあ、としみじみ思うので。

後半、“女”でありながら“ただの女”で居られない自分に壊れていく信長を、痛々しく見守る光秀が、凄く優しくてびっくりしました。中川くん、いつの間にか大人になったんだなあ……
この数年、いろんな活動をしてみて、また一つ階段を上がられたような気がしました。
ちゃんと“愛”があって、すごくカッコよかった~♪




徳川家康の山崎銀之丞
いやはや。相変わらずカッコいいなあ~!(惚)
物語の冒頭が、大阪夏の陣を終えて、“信長様、あなたの目指した泰平の世が、やっと今…”、と述懐する場面なので、ホント違和感無くて、カッコよかったです。
ただ。本題に入って今川軍の一員として出てきたときに、“……あれっ?”と(^ ^;ゞ
家康って信長より若造のはずなんだけどなあ……。ま、素敵だから良いんですけど。

終始、密かに信長(お長)を愛し、忠誠を誓った家康。
彼は実際、愚直なまでに信長に忠義を尽くすんですよね。織田軍の中で、唯一の強兵が三河兵、って感じだったから、あらゆる戦いに連れて行かれていたし。
とにかく、ちょっと貫禄ありすぎだけど格好良かったです(*^ ^*)。お元気そうで嬉しかった★



斉藤道三の石田純一
これがまた、嵌り役でした。信長(お長)が初めて愛した男。
彼女の才能を、能力を初めて認め、その理想の実現に手を貸してくれた男。女であるお長の、はじめての男。
色っぽくて男前で、なのにどうしようもないほど優しくて。
お長は、彼に愛されて幸せだったんでしょうね。でも、彼はあっという間に息子に裏切られ、死んでしまう。空っぽなお長に、その正室となったお濃(有森也実)を遺して。

後半、自分の中の女を持て余して苦しむ信長が、繰り返し見る幻が、蝮だったのがとても面白いと思いました。彼女が望んでいたのは、いわゆる“男”ではなく、自分を疎んだ信秀とは違う“父親”だったのかもしれない、と。
石田さんの器の大きさが、実によく生きた役だったと思います。




浅井長政の河井龍之介
お長の恋人。ラブラブで色好みのベタ甘で、……そして、とんだ野心家。
信長の彼に向ける絶対的な信頼と、それに対するシニカルな笑い、
「最初から、お長を愛してなどいなかった」と言ってのける、非情さ。

あそこまでしてやられたら、そりゃあ彼の髑髏を盃にするくらいのことやりたくもなるだろうなあ……。そういう感情の積み重ねに無理がなくて、すんなりと納得できたのは、やっぱりこの「信長は女だった」という設定に納得してしまっているからでしょうか?(^ ^)。


お市(松山メアリ)のキャラもなかなか良かったです。激しくて可愛かった!
有名な小豆の差し入れのエピソードが、「お兄様、そこは危険です!」という伝言ではなく、「ほほほ、うちの旦那はあたしを選んだの。もう姉さまは袋のネズミよ!」という妹からの勝利宣言であるという解釈が実に新鮮でした。
あの解釈のお市で、本能寺後の彼女の苦闘を観てみたくなりました♪



羽柴秀吉(Bugs Under GrooveのTETSU)も、なかなかに一癖あるキャラで面白かったです。
二幕後半の、信長を襲う気満々の野心溢れる様子が新鮮でした。あんまりそういう風に描かれることないですもんね。(信長に心酔している設定が多い)
でも、実行に移す前に明智光秀に先を越されて…というのが、本能寺の変の後の彼の対応の早さにつながっているのが構成として巧いなあと思いました。実際、早すぎるんですよね、彼の動きは…。



信長を救うために、余人の手にかけさせないために、兵を挙げる明智光秀。
ある意味、これが二人の愛の成就だった、というトンデモな展開に、まったく違和感を感じさせない展開が見事でした。
中川くんの独特のキャラクターと歌声が、ファンタジー性を加えていたのが成功の要因だったと思います。

ただ、男性側の登場人物はみな興味深かったし、信長や光秀の実像に新しい光を当てたような気もするのですが、お市とお長の言い争いに見られる女性に対する侮蔑的な考え方はちょっといただけないなーと思いました。……いいトシをした女として、「女は若いことだけが価値なのよ」という台詞がとっても痛かったりとか、いろいろ(汗)
展開やキャラクターは、原作どおりなんでしょうか。どうしようかな、読んでみようかな…。
女という性に対する差別意識の強さは気になりますが、舞台だからこそ前面に出てしまっているのか、もともとそういう考え方なのか……「傭兵ピエール」の時は原作を読みたいとか全然思わなかったのですが(すみません)、今回はちょっと興味を持ちました(^ ^;ゞ



演出的には、割とショーっぽい構成も多く、目に楽しい舞台でした。たまたまスピーカーのすぐ傍の席だったので、耳はちょっと辛かったけど(涙)。
とにかく黒木さんが格好良かった!!もっといろんな役を観てみたいなあ、と思いました(はぁと)。



宝塚月組の三人による、マグノリアホール コンサートの実施が発表されました。



■日時 8月16日(日)16:00、8月17日(月)13:00の二回。
■出演(月組)羽咲まな、沢希理寿、響れおな


マグノリアホールでのタカラジェンヌによるコンサートは、これが2回目。
1回目は雪組さんで、(大月)さゆちゃん、がおりちゃん(香稜しずる)、透水さらさちゃんの三人でした。
発表された後しばらく、コンサートの週に遠征するか、それとも宙組の前楽狙いで行くかを散々迷ったんですよね……最終的には前楽を取ったんですけれども。



まなちゃん、りずちゃん、響くん。
……月ファンとして、っつーか単純に猫として、見逃せないメンバーだなあ。
コーラスメンバー目当てで某スターさんのディナーショーに潜り込んだこともある猫としては、普通の時なら間違いなく遠征しているはずの、メンバー。

が。

とっくに博多の飛行機もチケットも取っちゃったよ!!


歌劇団のばかばかばかぁ~~~!!
どうして!?あとせめて1ヶ月早く発表してほしかった(涙)。飛行機っていうのはどこの航空会社も2ヶ月前に発売をはじめるんですよ!
どんな公演であれ、3ヶ月からせめて2ヶ月半は余裕見て発表してくれぇ~~~っ!!

しょぼん↓



……1ヶ月早く発表してくれてたら、なんとしても行ったのになあ。
宝塚は東京と博多の間にあるんだから。飛行機じゃ途中下車するワケにいかないけど、他の方法はいくらもあるし。
実際私は、大劇場に寄ってみなこちゃんのお披露目をお祝いする、っていうプランも真剣に検討していたんですよね。結局は東京でも観られるんだから…と思って我慢したけど、こんな面白そうなコンサートがあるとなれば、絶対行ったのに~~~(繰り言)



すみません、愚痴っぽくて。

まなちゃんやりずちゃんの歌は、もともと高く評価されているからある意味いつでも聴けるけど(二人とも本公演でソロもらってるし)、響くんは、声も良いし歌も巧いのに歌う機会が全然ないひとだから。
こういう機会が与えられただけでも、本当に凄く嬉しいんです。
ええ、本当に。歌劇団ありがとう~!!(←さっきと言ってること違いすぎ)

しかーし、ああいうマイクなしのコンサートとなると場数がものを言う部分もあるから、厳しいだろうなあ…。せっかくのチャンスなので、響くんには頑張ってほしいです。っていうか、がんばれ!!
もちろん、まなちゃん・りずちゃんも、ね!

大好きな歌を、たくさんのお客さまに聴いてもらえるといいですね。
そして、聴いたみなさんがいっぱいネットに感想をアップしてくださいますように(祈)。




……ふぇえええん、私もナマで聴きたかったよおおおおぉ(泣)。




あ。

念のため、“ことだま”しておきます。

このごにおよんで、9月に突然大空祐飛さんのコンサートが決まったりとか、そーゆーのは無しでお願いしますよっ!?



銀座博品館劇場にて、瀬戸内美八さん主演「近松幻想」を観劇してまいりました。



『松風村雨束帯鑑』『女殺油地獄』『心中天網島』。
瀬戸内美八のために、近松門左衛門の名作を三作並べた、ひとり芝居。
出演は瀬戸内美八。コーラスとして、宝城さゆり/加茂千条/雅景の三人が参加。三人は黒子だけかと思っていたのですが、実際には結構顔出しもあったし、舞台に出てきてのソロ歌も一曲ありました。


「心中・恋の大和路」の菅沼潤が構成・演出を勤め、谷正純演出・吉崎憲治作曲という、どっかで見たことがあるスタッフが揃った。しかも、初演は5年前。ってことは…もしかして、菅沼氏の最後の数作の一つですよね?
宝塚時代の代表作『亀屋忠兵衛』は卒業してからも再演の声がかかり、遂には“男役”での新作まで創ってもらえる。
しかも、そんな舞台を観に来るファンが、まだまだ博品館の狭いロビーに溢れんばかりに集う。
……瀬戸内さんって、本当に幸せなスターさんだなあ、と、しみじみと思いました。

ロビーの雰囲気は、なんだかすごく不思議な感じ。同窓会めいた、あるいは、子供たちのバイオリンかバレエの発表会めいた、独特の熱気が充満していました。こっち側には「先生が……」と瀬戸内さんを語る人がいて、反対側には「ルミちゃんがね、」と同じ人を語る人がいる。
ちょっとだけ“部外者”の疎外感を覚えつつ、席につきました(^ ^)。




幕があがると、上手端の文机に座って書き物をしている男。これがどうやら、近松門左衛門らしい。
「あーあ、もう疲れちゃった」みたいな(←えらいアバウトだなオイ)口上をひとくさりやって、「どうじゃどうじゃ」と盛り上げの曲を踊りながら歌い上げて、第一場に。


第一場『松風村雨』

都落ちして須磨にやってきた貴公子・在原行平。彼が愛する現地の娘・村雨と、その姉・松風。
一人の貴公子と、彼に恋をする二人の娘の、三角関係の悲劇。

この場は芝居ではなく、舞のみでの表現。最初は瀬戸内さんが行平、黒子が須磨の姉妹だったのが、すぐに着物を変えて瀬戸内さんが松風、行平と村雨が黒子になるという入れ替わりが成る程、という感じ。ただ、やはり歌舞伎とかの早替りはそれ自体が見世物になっていて見事なものですが、今回はちょっとちゃちかったかな……すごく時間が短いので、松風の着物を着せ切れなくて、ちょっと片袖引きつったまま舞っていらしたのもちょっと気になった。明日は巧くいきますように。
嫉妬の舞を舞う松風。哀しみに満ちたエネルギーの高まり。
行平に寄り添う村雨の景をみて、逆上した松風は、夜叉になってしまう……ここの着替えもちょっと寂しかった。やっぱり「引き抜き」とかされると「おおっ!!」となりますもんね。
いや、それが眼目の作品じゃないことはわかっているのですが……(すみません)

日本舞踊を見る目のない私には、良し悪しはよくわかりませんでしたが、近松門左衛門がこういう話も書いていたのか……と、それが面白かったです。


それから。
舞台後ろのホリゾントいっぱいにひろがる背景が、「心中・恋の大和路」の背景に良く似た墨流しのデザインだったのがとても印象的でした。
……ああ、私って本当に「心中・恋の大和路」が好きなんだなあ……。




第二場 女殺油地獄

放蕩者の河内屋与兵衛というドラ息子について、その実母であるお澤の視点で語る、物語。

元の物語を全く知らなかったので、あやうかったです。プログラム読んでおいて本当に良かった!!(涙)
元の物語を知っている前提で、事件が起こる直前の、母の嘆きと憂いをしみじみと見せる。
いやー、事件後の母の嘆きではなく、事件の前の不安を中心に描いた所が、菅沼さんの凄いところだな、と思いました。
瀬戸内さんのマダム・テナルディエが大好きだった猫としては、また全然違う“母親”像のリアルさに感動してしまいました。すごいなあ……。
でもって、瀬戸内さんの放蕩息子も観てみたいな、とも思いました(^ ^)。

……でも。
お澤さん、あんたの息子があんな愚連隊になったのは、あんたの責任も小さくないと思うよ…?




いったん幕がおりて、休憩を挟んで二幕は、また近松の賑やかしから。
なんだか、あの切ない親心をたっぷりと魅せたお澤さんと同一人物に見えなくて、おもわず目をぱちくりしてしまいます(^ ^)


第三場 心中天網島

紙屋治兵衛は、二児をもうけた古女房・おさんを省みずに悪処に通うようになって、もう二年。
思いあまったおさんは、治兵衛の馴染み・小春に手紙を書く。「私を女に、女房に戻しておくれ」と。
おさんの真情にうたれた小春は一人で死ぬ覚悟で、伊丹の太兵衛に身請けされる。
小春に振られたと思いこんだ治兵衛は怒り狂い、この上は忍び込んで小春を殺して、と思いつめるが、そんな彼に、おさんは衝撃の告白をする。
小春が身請け話を受けたのは、私の手紙のせい。落籍いた先で小春は死ぬ覚悟に違いない、と。

おさんが何もかも処分して小春の身請け金を作ろうとするが、話をきいたおさんの父親がそれを許さず、金を持って実家へ連れ帰る(そりゃー父親としては当然か…)切羽詰った治兵衛は小春を連れ出し、網島大長寺への道行きを辿る…。

「女殺油地獄」もそうですが、これも実際に起こった事件をもとにした作品なんですね。
『3日でホンをあげて2日で振り、5日後には幕があく』…みたいな歌を近松門左衛門が歌っていましたが(日数は嘘かも)、まさしくワイドショーというか、そんな感じだったんでしょうねぇ、当時の浄瑠璃って。(ニュース速報は号外って感じ?)
『年の初めに心中がありゃ、年の瀬まで大入り満員♪』みたいなことも歌ってたなあ。なんだか納得。

最初は治兵衛として、小春の心変わりを呪う歌を歌う瀬戸内さん。青天がよく似合って、すっきりとした二枚目ぶり。小春からの手紙に見立てた巻物を破り捨て、『今までに貰った手紙』を『これも、これも、これも!』とはらはらと捨てていく手の優しさがキレイ。
最後に、刀を取って帯に挟もうとしてうまくいかず…みたいなところがありましした。違和感は感じなかったのですが、あれは町人だからさしかたが判らない、みたいな演出だったのか、それとも単純にハプニングだったのか…?

そのまま、衣装は変えず、仕草と声だけ女になっておさんの告白の場。しなしなと泣き伏しながらの告白に、うろたえる男が見えるようでした(^ ^)。
屏風の後ろで黒い着物に着替えての道行きは、伸ばした手の先に小春が見える、いい場面でした。

瀬戸内さんって、歌も芝居もそんなに飛びぬけた方という訳ではないと思うんですけれども、なんていうか、役に入ったときのパワーがすごいなあと思います。そして、優しい。なんというか、気弱だったり無駄に優しすぎたりして、世間様の役に立ちそうにもないような駄目男の切なさというか、「どうして俺は巧くいかないんだろう…」といじけてるような風情がすごく似合うような気がする。そういう意味では、お澤もダメな母親だったし、菅沼さんは瀬戸内さんの中にそういうモノを視ていたのかな、と思いました。

この作品も、フルで観てみたかったなあ……。卒業後の上演歴の中に「心中天網島」というタイトルがありますが、菅沼作品だったのでしょうか。再演してほしい……。


……ああ、でもその前に、やっぱり忠兵衛をもう一回観てみたいよーーーー!!
できれば、汐風幸ちゃんと2バージョンで!なんだったら、片岡仁左衛門パパと三人でどうだ!!(←大物すぎ)




もとい。

最後に、お祭(天神祭?)をイメージした賑やかな舞で締めで、公演は終了。

瀬戸内さんの挨拶がものすごく面白くて、そんなに長い話じゃないのに爆笑の連続でした。
「この年で男役をやらせてもらえるなんて、代表作が麗しい貴公子とかじゃなくて、忠兵衛でよかった!!」とか。(……あの、忠兵衛って何歳の設定なんですか…?)
あと、治兵衛についても、「伊丹の太兵衛は若くてハンサムな独り身の二枚目。それに対して、治兵衛は妻も子もある三十路ですよ、み・そ・じ。……小春は治兵衛のどこが良かったんでしょうねえ?」と語ってました。……そうだったのかポン。


話をいったん切って、カーテンコール(?)みたいな感じで二曲。
一曲目はアップテンポの元気が出る曲(ごめんなさい、曲名仰ってたのに忘れてしまった…なんだっけ汗)。二曲目はもちろん、「この世にただひとり」
もう、私はこの曲トラウマなんで。前奏流れた時点ですでに涙タンクフル稼働!みたいなモードに入っちゃうんですけど。
瀬戸内さんも、歌い終わった後「ごめんなさいねぇ、この歌歌うと反射的にこみあげてくるんですよ」と仰ってました。後半はだいぶ声が震えていたのは、そういうことか……
私も反射的に涙出てきます!と、手をあげて言いたくなりました(^ ^)。



ひとり芝居、というよりは、なんだか瀬戸内さんのディナーショー(ディナー抜)でも観たような気になりましたが、作品としても『近松名場面集』っぽい構成で、面白かったです。
最初の松風村雨をもう少し巧く演出していたらなー、と思いつつ、メインの二つがとても良かったので、大満足で帰りました♪

「心中・恋の大和路」、再演希望!と、強く強くコトダマしつつ。




タニちゃん、
ウメちゃん、
ゆっち、
まちゃみ、
七帆くん、
華凜もゆるさん、
美牧冴京さん、
香翔なおとさん、
萌野りりあちゃん、
咲真たかねさん、

ご卒業おめでとうございますm(_ _)m。





所用があって途中からになってしまいましたが、パレードだけ(一部)参加してまいりましたが、


皆があまりにもキラキラと眩しくて、
幸せそうで。


(でも、、、もうちょっと間隔あけてゆっくり出てきてくれても良かったのにな……)






千秋楽のたびに思うのですが。

なぜ卒業していくひとたちは皆、あんなに幸せそうに、キラキラしているんでしょうね。
きっと、哀しいことも、悔しいことも、たくさんあったのだろうに。

でも、彼らは皆、苦しんだことなど一度も無かったかのように、ただ輝くような笑顔で歩いていく。

行く手に光輝を視ている人の笑顔で。





おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。

そして、

今まで宝塚に居てくれて、ありがとう。




月組時代から見守ってきた、シューマッハの末っ子。
星組時代から見守ってきた、可愛いアメユキ。
やさしい大人の女性を得意としたゆっち。
おきゃんな少女のようだったまちゃみ。
一発で落ちたマイルズ。(「Never Sleep」/逆転裁判のマイルズ・エッジワースも好きだけど、そんときにはもう落ちてた)
ずっと宙組でがんばってきた、下級生たち。




今まで、素敵な舞台をありがとう。
あんなにキラキラソラソラした宙組を観ることができて、楽しかったです。






皆、今後はどのような人生を歩まれるのでしょうか。
ご自身で選び取った人生を、精一杯に楽しんでくださいますように。

んで、舞台に出るときは、早めに教えてくださいね♪





大空祐飛さま、

野々すみ花さま、

宙組トップスター就任、おめでとうござます。





宝塚歌劇団 公式サイトのスターファイル。
ああ、昨日ウメちゃんの画像落としておいて良かった……と思いつつ(^ ^)「宙組」をクリックしました。
昨日までのタニちゃんとウメちゃんのキラキラソラソラコンビから、
祐飛さんとすみ花ちゃんのコンビへ。


薄紫の背景に、二人とも白い服に黒い髪。
タニちゃん・ウメちゃんとは全然違うけど、同じくらい可愛くてお似合いの二人だな、と、
……これは、ファンの贔屓目入ってるかな(汗)。



ちゃっかりとディスクに保存して、一つ前のページへ戻る。
…あ。
そっか、ここも代わるんだ……。


5人並んだ「トップスター」の、右端。
「太王四神記」フィナーレの玄武の衣装でポーズを取った、祐飛さん。


そっか。この場面を使うのか、と思いました。
もちろん、トップとしての写真があるわけないんですが、それでも「主役」公演の写真を使うものかと思っていたのですが。
あくまでもこれは、大劇場の写真なんですね。

っつか、まぁ、確かに、ここに銀ちゃんが並んだらすごい違和感ですけどね(汗)。




宙組での写真に差し替わるのは、年末の「カサブランカ」待ち?
それとも、先にいったん博多座の写真に替わったりするのでしょうか?まとぶんの時はどうだったっけなあ………(記憶力無いにも程がある>自分)












そして。

奇しくも、この日。

瀬奈じゅんさんと彩乃かなみちゃんのコンビお披露目となった梅田芸術劇場公演「Ernest in Love」の初日から、ほぼ、丸4年が過ぎた、この日。

彩乃かなみちゃんが宝塚を卒業してからちょうど一年目の、この日。

大空祐飛さんが宙組トップスターに正式に就任した、この日。





月組トップスター・瀬奈じゅんさんの卒業が、発表されました。






2005年7月9日から2009年12月27日まで……いや、違うか。トップ就任は前任者の卒業の翌日からだから、2005年5月23日から、2009年12月27日まで、4年と7ヶ月。
大劇場は8作。かなみちゃん、きりやんと実力派に支えられ、文句なしのトップ生活だったのではないでしょうか。



歌も踊りも平均以上で、ぱっと目を惹く、今の宝塚で随一の輝きを誇るショースター。
「ミー&マイガール」や「エリザベート」さえ、いかにも宝塚らしい夢のあるショーに仕上げてのけた力には、いつも感心していました。
特に三木さんに愛されていたのが印象として強いのですが、最後のショーが三木さんなのは、やっぱりご本人の希望なのでしょうか…?
なによりの選択で、本当に良かった!と思います。

ファンの皆様も、通い甲斐がありそうですよね(*^ ^*)。



これまでこなしてきた作品数や、次の大劇場作品が既に組んだことのある正塚さん&三木さんというゴールデンコンビであることから、もしかして、ということを全く考えていなかったわけではありません。

でも。
実際に発表されてみると、「ああ、やっぱりね」という思いと共に、「ついに」という感慨が沸き起こります。

大好きな月組のトップスターが、遂に卒業してしまう。
皆、寂しいだろうなあ……。


でも!!皆ついていったりしないでね!(涙)。
お願いだから、しっかり麻子さんを見送ってあげてくださいっ(泣)>月組子




そういえば。
今年のTCA(タカラヅカスペシャル)は、まだ発表されていませんが、去年と同じ時期にやるのでしょうか…?
となると、残念ながら月組は東宝公演中で欠席なんですね(涙)。
縁の深い“親友”同士だった同期の二人が、トップスターとしてイベントで並ぶ姿を見ることは、できないのかな……(しょぼん)。




なにはともあれ。

麻子さん、まずは目の前に迫った東京宝塚劇場公演を、楽しみにお待ちしておりますので。
どうぞ、吹っ切れたトートを、魅せつけてくださいね。

最後まで、悔いのないように、はっちゃけてください!




正塚さんと三木さんが、麻子さんのために素敵な作品を書いてくださいますように。
そして。
12月27日まで、麻子さんと、月組の組子全員に、たくさんの倖が与えられますように!




柊巴さま

お誕生日おめでとうございます★


あなたが宝塚を卒業してから、もうすぐ8ヶ月。
たくさんあったのであろう“やってみたかったコト"に、らぎちゃんらしいペースで、ひとつづつ挑戦していらっしゃるのでしょうね。
ドラマとか。ドラマとか。ドラマとか………(^ ^;ゞ


まがりなりにも芸能活動をされていることがわかったので、
………これからも、年に一回くらい会えたらいいなあ……、
なーんて思いつつ。



あなたの健康と幸せを、いつだって祈っています。


.

ホテルグランドパレスにて、未涼亜希を中心にした宝塚花組メンバーによる「宝塚巴里祭2009」を観てまいりました。



出演は、84期の未涼亜希、86期の花野じゅりあ、88期の扇めぐむと愛純もえり、90期の冴月瑠那と遼かぐら、93期の大河凜と花奈澪、94期の仙名彩世・和海しょう・羽立光来という11人。
人数の多いディナーショー的なイメージで行ったのですが、さすがにあれだけ人がいるとショーシーンがとても華やかですね(はぁと)。全員が客席に降りるとすごく賑やかだし(^ ^)。
それぞれソロ(下級生は歌い継ぎ)があったし、誰のファンでも楽しかったんじゃないかと思います。

ちなみに、客席で遠野あすかちゃんをお見かけしました。すっごい可愛かった!!(*^ ^*)



それにしても。
今更ですけど、まっつの歌は本当に素晴らしい!!
声の良い人は違いますねぇ。本当に聴いているだけで幸せで幸せで。初日だったせいか、下級生はだいぶガチガチな人が多かったのに、まっつだけがプロだった。 いや、あれでも多分、かなり緊張していらしたと思うんですけどね。さすがに大劇場でさんざん歌っている人はレベルが違うんだなあ、と、あらためて思いました。

客席降りでの煽り方とかは、あまり経験がないせいかちょっと恥ずかしそうでしたけど(笑)、でも、本当に“スター”でした。いやあ~、惚れ惚れ(*^ ^*)。




会場は思いのほか広い(←どんだけ小さい会場を予想していたんだよ)うえに、びっくりするほどギチギチにテーブルが詰めてあって、会場に入った瞬間、ちょっとビビりました(汗)。…もっとずっと小さくてこじんまりとした空間を想像してたのになー。オペラグラスを忘れたのは大失敗だった…。

会場の後方にお立ち台があって、まっつが二回来てくれました。最初の時は舞台から客席に降りてそこまで行って、また舞台に帰る、って感じ。もう一回はラスト近くで、後方から登場して、いきなりお立ち台にスポット!
暗い中をコソコソと来るまっつが可愛かったです♪♪


テーブルが詰まっているせいか、まっつは結構客席を歩いてくれたんですけど毎回同じようなコースで、私のテーブルの傍には全然来てくれませんでした(涙)残念!
下級生もあんまり来なかったんですが(涙)、遼かぐらちゃんだけは来てくれました♪ 辿り着くのに苦労した感じでしたが、めっちゃキュートな笑顔で、本当に可愛かった♪♪

ちょっと緊張気味に客席を煽るまっつに比べて、ひたすら笑顔を振り撒いている下級生たちは皆、めっちゃ元気でパワフルでした♪









以下、曲目などネタバレがありますのでご注意を。
というか、ネタバレ以上に間違いが心配……(- -;)。かなりまっつに嵌っていて細かいところを覚えていないため、嘘が混ざっている可能性が限りなく高いです。なにかお気づきのことがありましたら、細かいことでもご指摘いただければ幸いです。





幕開きは「セ・シ・ボン」。まっつはポスターの衣装(だったと思う。たぶん)。
たて続けに4曲歌って、ご挨拶。ごく短く簡単に自己紹介して、すぐに次のコーナー(タンゴ)へ。

まっつはいったんハケて、下級生だけで「Black Coffee」。
紅い衣装に着替えたまっつが客席から登場して「ラスト・タンゴ・イン・パリ」。黒いドレスのじゅりあと色っぽいタンゴを踊ります。

その後、下級生も紅い衣装に着替えて登場して、スパニッシュ~ラテンコーナー。
……巴里祭なのに、スパニッシュもやるのか……とちょっと不思議に思いつつ(^ ^)、
ああ、みんなかっこいいなあ~~~♪

途中までは、じゅりあだけが黒い衣装で、ちょっと別格な感じの扱い。
じゅりあの白い肌に黒い衣装が映えて、なんだかすごく色っぽい。まっつが大きく、そして格好良く見えました♪

スパニッシュコーナーのラストは「サン・トワ・マミー」。あらためて聴くと、いい歌ですよねぇ…。





ちょっとトークを挟んで、次は「宝塚巴里祭」コーナーへ。


ちなみに、トークは「パリといえば?」というお題で、みんな一言ずつ!と言っていたはずなのですが。
……まっつの上手側に並んだ人だけで終わってしまった……時間切れ?それとも、今日は上手側で明日は下手側、とか、そういう“絶対二回とも観ろ”的な切ない話?

えーっと、で、皆さんのコメントは何だったかなあ。
とみぃが「ベルばら」、もえりちゃんが「マカロン」、凛ちゃんが「エッフェル塔」、澪ちゃんが「腕に抱えた紙袋から覗いてるフランスパン」、羽立くんが「石畳」……だったかな?
違ってたらすみません。出てきたアイテムは間違いないと思うんですが、言った人が違うかも(汗)。

私的には、凛ちゃんの「エッフェル塔」にウケました。舞台セットのど真ん中に電飾付きのエッフェル塔があったんですが、それをかえりみてしみじみと「ですねぇ…」と言ったまっつも面白かったし。
うん、私も巴里といえば、嵐の中で鉄骨を支えた某……いやいや、なんでもないです。



で、「宝塚巴里祭」コーナー。

最初にまっつがソロで「ミロール」を歌い、
次がとみぃで「ブルージーンと革ジャンパー」、
もえりちゃんで「聞かせてよ愛の言葉を」、
ルナちゃんセンターにかぐらちゃん、凛ちゃんで「ろくでなし」。
で、最下の4人で「パリ野郎」、
じゅりあがソロで「ラ・メール」。

ラストは勿論まっつで、「夜霧のモンマルトル」。

………だった、と、思います。たぶん!(違ってたらすみません)



ちなみに、この中で一番ヤバかったのは間違いなく「ろくでなし」だった……(泣)
メンバー三人が三人とも大好きで、揃って出てきた瞬間にテンションがMAXまで振り切った私は、ちょっと期待値が高すぎたみたいです。っていうか、難しいんですよね、あの歌。私はすごく好きなんですけど。
ルナちゃんはそこそこ歌えるはずなのに、緊張しすぎてぶっ飛んだのかなあ。…もしかしてマイクが入っていなかったんじゃないかとも思ったのですが。オープニングの歌い継ぎも全然聴こえなかったし。
かぐらちゃんはキレイな声だけど、緊張してるせいで変なところに力が入って不安定な感じ。三人の中では凛ちゃんが一番しっかりしてたかな。でも笑顔が硬くてちょっと怖かった(汗)

その次の下級生4人の方が、かえって落ち着いていて巧かったです。和海しょうさんは相当歌えるのかな?羽立さんもいい声でしたし、娘役二人も巧かった♪下級生4人は歌で択ばれたみたいでしたね。

とみぃも、巧いのに意外とソロでの魅せ方が弱いんですよねー。声はいいのに勿体無いなあ。

まっつの「夜霧のー」は、素晴らしかったです。はい。文句なし。





で、次がボレロアレンジの「黒い鷲」。
この曲、最近誰のディナーショーに行っても歌われている印象があるのですが。
……しみじみと名曲だなあ、と。

まっつの伸びやかな声によく似合う、いい歌唱でした。
間奏部分で、まっつセンター、上手にとみぃ、下手にルナちゃんで黒燕尾で踊る場面があったのですが、これって、以前大劇場公演でやったのと同じ振付だったりするのでしょうか?(どんな振付だったか全く覚えていない……)
全然違うのかもしれませんが、とにかく格好良かったです。

もっと聴いていたかったし、観ていたかった……。CS放送が楽しみです♪



ラストはぱぁっと明るく、「Laissez-moi danser」「ラビアンローズ」で締め。

アンコールはまっつのソロで、「愛の讃歌」。
あんな名曲を、アンコールにとっておくなんてずるいなあ~~!!なんて思いつつ、まんまと戦略にやられてしまいました。……まっつ超かっこい~~~!!







おまけ。
そういえば、巴里祭なって革命記念日なのに「ラ・マルセイエーズ」は関係ないの?……なーんて無知なことを考えていたのですが。「ラ・マルセイエーズ」はフランス国歌だけど、最初の革命とは関係ないんですね。その後の、対外戦争を闘う中で出てきた歌なのか。なるほど。

と、本題とは全然関係ないマメ知識を得て、ちょっと嬉しかったりする猫でした。




シアタークリエにて、「異人たちとの夏」を観劇してまいりました。



原作は山田太一氏の小説。演出は最近ひっぱりだこの鈴木勝秀。いやー、私は彼の演出好きなんですけど、それにしても多いなあ。演出ってこんなに次から次と手がけられるものなのか、と驚くほどです。

登場人物は7人。
主人公のドラマ作家(椎名桔平)、同じビルに暮らす女(内田有紀)、主人公の父親(甲本雅裕)と母親(池脇千鶴)、主人公に仕事を依頼するプロデューサー(羽場裕一)、主人公の元妻と、すき焼きやの仲居(二役で白神直子)。




緊張感のある、いい舞台でした。
椎名さんもよかったけど、なんといっても、とうに亡くなったはずの主人公の両親が素晴らしかったです。亡くなった当時の姿のまま、自分が死んだことを知らないかのように、あたりまえに浅草の片隅に暮らしている二人。

ただただ仲が良くて、幸せそうで、愛に溢れた、温かな空間。
そんなものを、何のセットもはったりがましい演出もなく、ただ台詞と表情と仕草の間だけで表現してくれました。
主人公が、自分の不調を自覚し、その原因(←異界との交流)にもうすうす気づいていたにも関わらず、逢いにいかずにはいられないほどの、温かさ。


人間というのは、親というのは、ここまで盲目に子供を愛することができるのだ、と。
なんのみかえりも求めることなく、ただただ、無尽蔵に愛を与えることができるいきものなのか、と。

主人公が後半に呟く、「彼らが生きていたなら、こんなに大切に思ったかどうかわからない」という台詞が、あまりにも真実で。
いつかきっと、今の自分の親に対する気持ちを悔やむんだろうなあ、と、そんなことを考えながら。
(とりあえず、家に帰って電話してみたりしましたけど/苦笑)





原作では、『浅草』という猥雑で生暖かい空間のイメージを媒介に使って、異界につながるドアの雰囲気を出していたのですが。
舞台では浅草のイメージはあまり使わず、むしろ、そこにあるのは「昭和」っぽさ、だったような気がします。ちゃぶ台に座布団とか、メニューの択び方とか。団扇の使い方とか、「ご馳走といえばすき焼き」なところとか。

そして。
愛に満ちた『異界』とは完全に対照的な、主人公が普段暮らす建物の、無機質な冷たさ。
オフィスビルっぽい生活感のなさが、同じ建物に住まうヒロインの寂しげな佇まいやファンタジックな存在感とともに、コントラストとして強く印象的でした。




ヒロイン格の内田有紀の美しさと不安定さも良かったし、羽場裕一や白鳥直子の確実な現実感も良いバランスでした。いい脚本とスタッフをそろえて、キャラのあった良い役者をそろえて、しっかり仕上げた佳作だったと思います。

唯一不満を言うなら、「胸元のひどい火傷の痕」をトラウマにしているはずのヒロインの衣装が、すべて大きく胸元のあいた衣装だったことでしょうか。疵痕の位置にもよりますが、トラウマになって「絶対に視ないで」と言うほどだったら、屈んだら丸見えになっちゃいそうなあんな服、着ないとおもうんだけどなあ……。
……まぁ確かに、隠したら勿体無いようなラインではありましたが(眼福、眼福♪)。



映画は観ていないので、そちらを先に観ていたときにどう思うかはわかりませんが。
作品として良く出来た、おもしろい舞台だったと思います。役者としての椎名さんも、さすがの貫禄で素晴らしかったです♪



宝塚バウホールにて、花組公演「フィフティ・フィフティ」を観劇して参りました。



すっご〜〜〜く楽しかった!!!



遠征中なので、手短かつネタばれのないよう注意して叫ばせていただきますが。



とりあえず。




石田さん、ありがとう( ^^)Y☆Y(^^ )



みつるくん(華形ひかる)は、とにかく可愛い。ちょっとシニカルにやろうとして、なりきれていないところが目茶苦茶魅力的。
この絶妙なバランスを意識してやっているならホントに凄いよな、と思いながらみてました。



めおちゃん(真野すがた)は、みつるくんとはまた違うかわいらしさ…というのかな。
なんというか、アテガキされた役者の強さを存分に見せて貰ったような気がします。みつるくんも間違いなく宛書なんだけど、めおちゃんのハマりっぷり、当たり役っぷりは凄いな、と。
キャラがどんぴしゃでハマると、ここまで観ていて愉しいひとに化けるのか、という、驚き。


じゃあ、みつるくんは何かというと、この人はとことん芝居が好きなんだな、と。
一人の人間としての、ジョナサンの厚み。彼が感じてきた、痛み。そして、クララ(白華れみ)を思いやる優しさ。そういうものを過不足なく表現しているのはさすが、と感心しましたね。

二人とも、痛々しいトラウマを抱えて、世を拗ねて生きて来たコンビなわけですが。
ベンソン村という別天地に来た二人の変化が、石田さんらしい、ベタだけど解りやすく表現されていたのが、さすがだ(^ ^;




そしてもうひとつ。
この二人の、役者としての距離感が凄くいいな、と強く思いました。
大事なところは完璧に解りあえていて、なのに馴れ馴れしさのない、緊張感のある関係。

私生活で仲の良すぎる二人が舞台で仲良しコンビを演じた時に陥りがちな、“馴れ合い”感がなかったことが、ファンとしてとても嬉しかったんですよね。
なのに、お互いの呼吸は完璧に読めていて、お互いフォローしながら作品を二人でコントロールしているのが凄いな、と。




主役以外のメンバー、
二人のヒロイン・きらりんもれみちゃんも、
“都会”側のヒロイン格・天咲千華ちゃんも、
眉月村長も、
紫陽助役も、
村長の次男坊のだいもんも、
長男のらいらいも、
ほとんど主役のようだったまりんさんも、
ネコちゃんも、アーサーも、花峰さんも、銀華さんも、
……、
牛さんを演じていた最下の二人に至るまで、
全員の想いがキレイに揃った、気持ちのイイ舞台でした。


とにかく楽しかった!
それだけです。



うー、東京にも来てくれえええ(祈)

.
梅田芸術劇場にて、「ME AND MY GIRL」を観劇してまいりました。




いやーーーー、花組バウホール公演「フィフティ・フィフティ」の続きを書くつもりだったのですが、
なんだかもう、面白すぎて、書いても書いても終わらないので。

先にこちらの話をさせてくださいませ。





去年の博多でも思いましたが。
役者が違えば、別の作品になるんですね……

去年の大劇場~東宝バージョンとも、博多座バージョンとも、また全然違う作品、に仕上がってました。
おそらく、初演も再演も再々演も中日も、どれも全部が違っていて、そして、どれもみんな“素敵”だったんだろうなあ、と、そんなことを思った花組版。

これも一つの、まさしく『花の』「ME AND MY GIRL」なんだなあ、としみじみと思いながら。





まとぶんのビルを、一言で表すのはとても難しいです。
ちょっとヤリスギなところは確かにあると思う。
もうちょっと抑えたほうが、たぶん『宝塚らしい』ミーマイになっただろうな、と思わないでもありません。

でも。

……私は、結構好きかも、です(^ ^)。





ちょっとヤリスギてしまって白痴っぽく見えてしまう場面があるのは事実なので、そのアタリは観客側でせっせとフォローしないといけなかったりはするのですが。
でも、ふとした瞬間に見せる「優しさ」が、結構ツボにくるビルでした。
すごく一生懸命に、「受け入れてほしい」とメッセージを発し続けるビル。
マリアに、ジョンに、ヘザーセットに、召使たちに、
そしてもちろん、サリーに。

僕を受け入れて。
僕を受け止めて。
……だいすきだよ。

それが一方通行の空回りになってしまうのは、ビルが「受け入れられている」ことを受け取れないからなんですよね。それが切ない。空回っているビルも切ないし、どうすれば伝わるのかと途方にくれるマリアやジョンも、ひどく切ない。

ラストシーンの直前、マリアに向かって
「あなたの甥にキスしなさい」
と言い放つビルの、不貞腐れた“男”の貌が印象的でした。

そして、そんな彼に軽く溜息をついてキスをするマリア(京三沙)の、博多のときとは全く違う「教師」の貌。ビルの悪戯に本気で怒る、生真面目な役作りが面白かったです。
同じ役を同じ役者が演じているのに、相手(ビル)が替わると、こんなにも全然違う役になってしまうのか、と。



まぁ、正直、賛否両論の出るビルだなーというのはすごく思いました。
もう少し抑えるところと飛ばすところのメリハリがあったほうが観やすくなるのになあ、とも。
ダメな人は徹底的にダメなんでしょうね、きっと。ただ、三木さんが完全にこのビルを中心にして芝居を組み立ててくれたので、全体のバランスは悪くなかったと思います。





私が観たのはみわっち(愛音羽麗)ジョン卿、壮さんジャッキー、まぁくん(朝夏まなと)ジェラルドのバージョンのみ、なのですが。

みわっちのジョン卿、素晴らしかったです~~~♪
いやあん、ダンディだわ素敵だわエゲレス紳士だわっ(はぁと)(はぁと)(はぁと)♪
壮さんバージョンは観ていないのでコメントできませんが、……なんていうのかな、村井国夫さん系統のジョン卿だったと思います(*^ ^*)。いやあ、本当に素敵でした。


壮さんのジャッキーは、迫力美人。
声がもの凄くハスキーで、どっからどう見てもニューハーフにしか見えなかったのはご愛嬌(汗)ですが、それにしても美人でスタイル良くて脚がきれいで(*^ ^*)、どSな女王様でした。
“貴族らしさ”を感じなかったのがちょっと残念でしたけど、“女王様らしさ”は十分すぎるほどありましたね(←おい)。

あ、でも歌は良かったです。びっくりするほどなめらかな、キレイなソプラノ。台詞の声のハスキーさとのギャップが激しくて、びっくり(@ @)。


まぁくんのジェラルドは、可愛かった!
ごく普通の“好青年”って感じ。6年も学年差があるにも関わらず、懼れていたほど「弟」感はなく、意外と持ち味は青年っぽいんだなあと感心しました。
あまりにも普通に好青年しすぎてて、あのジャッキーの、いったいどこがいいのか膝詰めで談判したくなりましたが……(汗)。





壮ちゃんジョン卿バージョンも観てみたかったけど、さすがに無理でした……
CS放送に期待♪




彩音ちゃんのサリーは、予想よりずっと良かったです。歌も健闘していたし、台詞の言い方もなんとなく可愛らしくてOKな感じ。


バターズビー夫妻(初姫さあや、日向燦)は、さあやの女王様っぷりにうっとりしました。キツいわ怖いわ美しいわ……しかも、マメにベタ惚れ(汗)。なんて可愛いんだ!!バターズビー夫人がこんなに面白いキャラだなんて思っていませんでした!何が違うわけでもないのに、ごめんなさい>すずな、あーちゃん。
マメも、結構思い切った酔っ払いメークで、可愛かったです。妻にベタ惚れ(これは皆さん同じかな)


ジャスパー卿のふみか(紫峰七海)は、デカいけど可愛いおじいちゃんでした。
ビヤ樽みたいな腹をぽんぽんさすりながら歩いている姿が、リアルに欧米のおじいちゃんっぽくて感動!歩き方とか、研究したんでしょうねぇ……凄い。
そして、その腹を脱ぎ捨て、髭を取って踊りまくるフィナーレの色気といったら!!
僅か数分のダンスに、二時間分のフェロモンを濃縮して踊るふみか。一瞬たりとも目を離せない、色気ばら撒き状態でした……。


ヘザーセット(夏美よう)は、慇懃無礼でいかにも“厳格な執事”って感じ。ジョン卿とのさりげない会話に味があって、やっぱりこの役は、あんまりビルに近すぎない立場の人がやったほうがいいんだろうなあ、と思いました。
パーチェスターの未沙さんは、もう最初から完璧なので何も言うことはございません(^ ^)。


ボブのよっち(月央和沙)は、思ったより普通だったなあ……。オグリ!のおじいちゃんの可愛らしさは、おじいちゃんだったからなのか?(^ ^)サリーとの会話にちょっと距離があったのが残念。
でも、仲買人はめっちゃ格好良かったです!(惚)




チーム仲買人は、(祐澄)しゅん様、よっち、瀬戸かずやさん、鳳真由ちゃん、真瀬(はるか)くん。
このメンバーが、テニスプレーヤー、ランベスの男、幻想の男とアンサンブルダンサーの中核になるんですよね。あと嶺乃一真くんとか日高大地くんとかが場面によって入ったりしながら。
いやー、ランベスキングのしゅん様筆頭に、みんなそれぞれに個性的で素敵でした(^ ^)。

瀬戸くんはなにげにパブのピアニストもやっていたりして、目立ってました。わざわざ公式サイトの配役表に名前が出ただけのことはある、かも(^ ^)。




調理場の場面は、花組ッ子たちの顔芸にツボをつかれまくりでした(^ ^;ゞ。なかでも、ずーっとおすましさんで立っていたチーフメイドのくみちゃん(芽吹幸奈)が、ビルに「どてかぼちゃ!」って言われて驚く場面の顔の崩し方は……せっかくの美人なのに手加減なしかよ!!と(汗)。いやあ、くみちゃんのそういう手抜きナシな潔さがとても好きです。
コック帽を被って頬杖をついたたしゅん様と瀬戸くんが、超ツボでした(*^ ^*)。


パブの客たちは、ただおとなしく飲んでいるだけで、月組みたいな小芝居はあまりしていませんでした。ビルとサリーの会話がすごく自然で、銃を振り回してしまうところがわざとらしくなかったので、客たちの反応も自然な感じ。


先祖たちは、博多座同様娘役がたくさん混ざっていて、皆可愛かったです♪
最後に宝冠をビルにかぶせる役は、鳳真由ちゃん。
最後の最後に宝冠を奪い取る役は誰だったっけなあ?
博多で都月みあちゃんがやっていた役を月野姫花ちゃんがやっていて、すごーーーーく可愛かった!!


アナスタシア・ブラウン(絵莉千晶)は、、、去年の大劇~博多までやっていたみっぽーがあまりにも可愛らしくて不思議ちゃんだったのに比べると、ごく普通の、“世話好きな下町のおばさん”って感じでした。
ちなみに、みわっちジョン卿がひらひら(ぱりぱり?)させている5ポンド紙幣に、あっさりと手が届いたところは笑いどころで良いんでしょうか(みっぽーは、ぴょんぴょん飛び上がっても届かない、という芝居でしたが…)。



幻想のダンス。可愛い子ぞろいの花娘たちの中でも、選りすぐりのメンバーでした(^ ^;
(桜)一花、(華月)由舞ちゃん、瞳ゆゆちゃん、月野姫花ちゃんという豪華メンバーに混ざって、凪咲星南さんと、先日から可愛くてお気に入りの初花美咲ちゃんが一生懸命踊っていて嬉しかったです。がんばれ~っ♪



フィナーレは、博多とほぼ同じ……かな?
最初は、嶺乃くん、真由ちゃん、冴華りおなさんの三人で「太陽がシャッポー」。
冴華さん、下級生なのにすごい抜擢ですが、ビジュアルは良いし歌もそこそこで、これから使われるんだろうなあ、、、と納得しました。スタイル良いですよね♪

ロケットは、意外と上級生が入っていてびっくり。はるちゃん(天宮菜生)は本当に美人だなー♪
個人的には、姫花ちゃんはまだロケットで良かったのでは……と思うのですが(; ;)。ううう、博多の蘭ちゃんも苦戦していたし、割と若い娘役には難しい音域なんですよね、あの歌……(涙)。


で、紗幕が上がると、ジョン卿とジャッキーのデュエット。ひっそりと小さくなって寄り添う壮ちゃんが、もの凄く女王様なのに可愛くてドキドキしました。
あと、ふみかが色気をバラ撒いていたのはここです(^ ^)。他のメンバーも皆カッコいいので、あまり釘付けにならないようにご注意を♪ ……いやー、しゅん様格好良すぎ……


ラストはビルとサリーのデュエットダンス。振付はそんなに替わっていなかったような気がしますが、衣装が変わっていてびっくりしました。二人ともお似合いでキレイ。


パレードは月組とほぼ同じ。
紅い衣装で髪をアップにしたさあやの美しさに見惚れているうちに、終わってしまった……ような気が。
あ、壮ちゃんのウェディングドレスは堪能しました。最後の最後まで迫力美人で、素晴らしかった★ジェラルドのまぁくんとの並びも、お似合い(?)でした …((((((^ ^;




今までに観た「ME AND MY GIRL」とは一味も二味も違う、興味深い公演でした。

そして。
「ME AND MY GIRL」っていうのは、本当に幸せなハッピーミュージカルなんだな、と、しみじみと思った3時間でした(*^ ^*)。舞台の上で楽しそうに小芝居している花組ッ子たちが、可愛くて可愛くて。
もっと役がたくさんあれば、とは思わずにいられませんが、それでも、作品そのものが幸せだから。楽しそうで幸せそうな彼らを観ることができて、良かった!と思いました♪


.
宝塚大劇場にて、星組公演「太王四神記II」を観劇してまいりました。




あらためて。

柚希礼音くん、夢咲ねねちゃん、コンビお披露目おめでとうございます!

そして、

凰稀かなめさん、星組デビュー、おめでとうございますm(_ _)m。





無事、テルくんのホゲ様を観ることができて、安心しました。
こうなると、ちょっとともみんのホゲも観てみたくなりますが(^ ^)。





「新たなる王の旅立ち」という副題がついた、「太王四神記II」。
花組ファンとして、あれだけ通い詰めた、大好きな作品。
演じる役者は替わっても、やっぱり楽しかったです♪

花組版で「それはどうよ…?」と思ったところはほとんど改善されて、びっくりするほど流れが自然になっていました。役者個人のキャラクターに合わせた部分も勿論あるんですけど、それ以上に、脚本自体がかなり洗練されてわかりやすくなって、こっちが完成版という感じでしたね。


なによりも、最初の神話を丸々カットしたのは、大英断だったと思います。
これは、花の新人公演版のカットが成功したから…なのでしょうか?確かに、この物語は、どこかで語らなくてはならないけれども、何も一番最初にやらなくても良かったんですよね。
そして、その代わりに入ったのが、タムドクとキハの子供時代の出会いだというのが、本当に納得。そう、花組版は、これがないから話がおかしかったので。


ヤン王とその妹セーム(ホゲの母)の対立を、事前に先王の場面できちんと語っておいたり、
細かいことですが、タルビがパソンの妹になっていて割と早いタイミングから登場していたり、
最初のポンファ通りで、街人に絡まれそうになったキハを庇って、サリャンが「その方は天地神堂の巫女だから、普通の人と触れあってはいけない」とかわしたり……
いくつもある改変点が、どれも的確で感心しました。



中でも、冒頭からとっぱらった神話の物語を二幕冒頭のコムル村に持って来て、祭の余興として使ったのは秀逸なアイディアでした。
チュシンの王として覚醒し、コムル村にまで来ているのにも関わらず「今は女のことしか考えられない」などとホザく馬鹿者ではなく、神劇を観ながらキハのことを思い出し、「少し独りにしてくれ」という、まともな男。
ああ、礼音くん良かったねぇ(^ ^;ゞ

……小池さん、やればできるんだから、花組も、せめて東宝だけでも………




ただ、セームがプルキルに「もっと強い薬を」とねだる場面は、すぐ次の場面でタムドクが薬を持ってきてしまうので、ちょっと時間軸的におかしかったりとか、そういうのもあるんですけどね(^ ^)。でもまあ、全般的にはよくできた改変だったと思います。ええ。
もう一歩踏み込んで、プルキルがキハの記憶を取り戻そうとする場面は無くしても良かったと思いますけど。




タムドクとホゲについては、どうしたってあれだけ通い詰めた花組版のイメージが強すぎて違和感は拭えませんでしたけれども、どちらも格好よくて、予想よりずっと良かったと思います。
コスチュームがよく似合って、ビジュアルだけでも十分に愉しめる、いい舞台でした。
まだ大劇場だし、これからどんどん良くなっていくんじゃないかと思います。

で、テルくんの足は、もうすっかり良いのでしょうか。武道大会で銀橋を走って渡るところもちゃんと走っていたし……。殺陣はちょっとおっかなびっくりでしたけどね(^ ^;。たしかに、あれならパソン特製の槍が必要かも(^ ^)。



ねねちゃんのキハは、とにかく衣装がよく似合ってて可愛い♪
彩音ちゃんとは全く違う役作りで、多感な少女らしい、タムドクを深く愛しているキハでした。
繊細な役作りの中にも、生来の明るさというかおきゃんな空気が漏れてしまうのはご愛嬌ですね。経験を積んでいけば隙のない芝居もできるようになると思うんですけどね、と、ねねちゃんには甘い猫です(汗)。



フィナーレの構成は、花組版とほぼ同じ。
ただ、最初のテルくんの銀橋わたりの衣装が普通のショーっぽい衣装に変わっていて、あれ?という感じ。祐飛さんのは、なんだかちょっと不可思議な甲冑だったのに(↓)。


玄武には、本来はテルくんもいるはずなんですが、私が観たときはまだ参加していませんでした。東宝では本来の形に戻りますように。
星組版の玄武は、礼音くんが最後まで残って群舞を率いていました。で、玄武が終わるとすぐにねねちゃんが降りてきて、涼さんたちと少しつないでから、袖から礼音くんが着替えて登場、白虎のデュエットダンスが始まる、という構成になっていたんですが……
これは、テルくんが出ていないせいなんでしょうか。それとも、もともと星組版はこういう形になる予定だったんでしょうか?花組版では、真飛さんが先に着替えのためにハケて、祐飛さんが最後まで残っていたんですが…。
あの、ねねちゃんと男三人の場面が格好良くて好きなので、なくならないでほしいなあ。



礼音くんとねねちゃん、テルくん。
長身ぞろいでビジュアル抜群、なかなか個性的で面白いトリオですね♪
「太王四神記」もいい作品なので楽しいんですが、早くショーが観たい、と思いました。
まずは全ツ、そして次の本公演こそ、派手目のショーがありますように★



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バンダイから発売されている歩数計、
「宇宙戦艦ヤマト ~歩いてイスカンダルへ~」を買ってしまいました。
http://sss.channel.or.jp/sss/yuuho/yamato/




優柔不断なO型の典型である猫が、この数ヶ月、ずーーーーっと悩んでいた買い物だったのですが。
悔い無し!!



かの有名なTVアニメ「宇宙戦艦ヤマト」(原作:松本零士)のネタをまるごと使った歩数形計。同じシリーズに「母を訪ねて三千里歩こう」というのもあって、実に実にマニア好みな面白さに満ちています。



まずは、ストーリーだけでもご紹介を(すみません、転載させていただいております)


西暦20XX年。地球(あなたの体)は謎の異星人・ガミラス帝国の遊星爆弾(という名の自分自身の不摂生、暴飲、暴食、運動不足)による攻撃を受け、滅亡の危機に瀕していた。

そんな中、14万8千光年の彼方にあるイスカンダル星より、「放射能除去装置コスモクリーナーD」と、「内臓脂肪除去装置メタボクリーナーD」の情報がもたらされる。宇宙戦艦ヤマトはそれらを受け取るため、イスカンダルへと旅立つ。




見た目はごくごく普通の歩数計。
一日のノルマを自分で決めて、その歩数を歩くと自分で決めたキャラクター(私はもちろん、古代君♪)が「よくやったな!」と誉めてくれたり、ある一定の歩数を歩くとイベントが発生して、テレビシリーズを一話ずつ進んでいくような気分になれたり、、、、
とにかく楽しいです。毎日が刺激的です(^ ^)。



まだ旅は始まったばかり。がんばって、14万8千光年の彼方・マゼラン雲へ、辿りつきたいと思います。





運動嫌いで朝に弱くて、しかも夜が遅い仕事をしているもんで、最近ぶくぶくと体重が増加しておりまして。それこそモノレール猫(塀のうえに座っていると、塀の両側に肉が垂れてモノレールみたいになっている猫)みたいになりつつあるので(; ;)、古代くんに励まされつつがんばりたいと思います。
……あーあ、富山敬さんの声で励ましてくれたら、もっと頑張れるのになあ(←おい)


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花組バウホール公演「フィフティ・フィフティ」。



録画していたCSの「Now On Stage」を、やっと見ました。
なんだかもう、ピンク地に白い水玉のみつるくん(華形ひかる)と、白地にピンクの水玉のめおちゃん(真野すがた)が並んで喋っているのを眺めているだけで、なんだかいろいろ思い出して幸せです(^ ^)。
ああ~、もう一回観たいけどチケットがない~~~(T T)(←かなり本気で探している)






とりあえず、ナウオンに出ている人たちの話でもさせていただこうかな(^ ^)。


王子(眉月凰)
ベンソン村の村長で、らいらい(夕霧らい)とだいもん(望海風斗)のパパ。
役者としての舞台上の王子も最近すごく好きなんですけど、このナウオンのお姉さんな王子が素敵だなあ、と、あらためて思いました。「銀ちゃんの恋」のナウオンでも思ったんですけど、口調がやわらかくて、言葉遣いが優しいので、言っていることがすっと入ってくる感じがあるんですよね。この人に見守られている下級生が、すくすくと育っていくのも当然かも、という気がしています(^ ^)。

舞台上でも、決して器用な方ではないと思うのですが、誠実な役者だなあと思います。
今回も、悩める村長さんのパブリックな面と、悩める父親としてのプライベートの面がいいバランスで、とっても良かったです♪



みつる
石田さんの語るみつるくんのジョナサン像が、すごく真実を突いているような気がします。
馬鹿正直でまっすぐで熱血だったヤスとは、また全然違う役で、本当に役者だなあと感心しました。こっちの方が、みつるくん本人には近いのかな……?石田さんは本当に良く見ているなと思います。
れみちゃんともお似合いで、芝居のテンションがあっているのがとても気持ちよかったです。



めおちゃん
……「哀しみのコルドバ」のナウオンで、最下で皆にイジられまくっていためおちゃんが、えらくお姉さんっぽいのがすごくおもしろいです(^ ^)。

石田さん、よっぽど舞台上のめおちゃんが気に入ったんだなあ……と(^ ^)。本質的には「銀ちゃんの恋」の橘にかなり近いキャラクターでしたが、細かいところが随分違っていて、案外と芸の細かいタイプなんですね。
「蒼いくちづけ」で組んだきらりんとのコンビは、さすが。芝居の間も良いし、姿もつりあっていて、魅力的なコンビだなあ、と、あらためて思います。
ヒットマンを撃ってしまって呆然としているジョナサンをとっさに庇って一緒に逃げ出す優しさが好きかも。ジョナサンを護っているつもりで、実は護られているあたりの力関係(?)も好きだなあ(*^ ^*)。



きらりん(華耀きらり)
ベンソン村で酒場を経営しながら幼い妹レベッカ(菜那くらら)を育てているパメラ。
ラストのクライマックスを作る立役者になりますが、ヴィクターとの恋模様がさりげなくて自然で、すごく良かったです。愛情の濃やかな、しっかりと地に足のついたイイオンナでした(*^ ^*)。
朋子、セーム、メリッサと、どちらかといえばコワイ系の(いや、メリッサは別に怖くないよ)(←とどめはさしたかもしれないけどね)女性の役が続いていたきらりんですが、こういう色っぽい系のイイオンナって、もしかして初めてですか…?もう少し色っぽさというか、嫋やかさがあってもいいような気がするのですが、相手役がめおちゃんなので、ああいう伸びやかで真っ直ぐな少女っぽさがあった方が、しっとりと色っぽくいくより似合うような気もするし…。

ラストの彼女の行動が、意外ではあるけれども唐突に見えないのが、その前のシーンからの積み重ねを感じて、すごくいいなあと思います。本当に、愛情深い女性なんだな、と納得できる。
かなり難しい役だと思うのですが、ホントによくやっていたと思います(←ただのファン)。



れみちゃん(白華れみ)
ジョナサンの幼馴染で、両親を事故で亡くし、ベンソン村のヘレン婆さん(邦なつき)に育てられた少女。都会に出て結婚詐欺師(NOT ヴィクター)に騙され、傷ついて帰ってきたところ。
今回のメインのメンバーの中で、「銀ちゃんの恋」に出ていなかった唯一の人物なんですよね、れみちゃん。あ、天咲千華ちゃんも出てないけど、彼女は「殉情」に出てたし。れみちゃんと石田さんって、ほとんど接点が無いような気がするんですが、どうなんでしょう。「長い春の果てに」のときはまだ入団していないし、「大阪侍」は出てないし。

ちょっと「Young Bloods!」とかの、元気で猪突猛進なれみちゃんが久しぶりに観れて、楽しかったです。思いのほか、めおちゃんともみつるくんと似合っていたのが嬉しかったなあ。
ちょっと齋藤作品っぽい「あなたを護ってあげたい!」系の女の子がすごく似合うんですね。ラストの少し前の廃墟のシーンで、自分のトラウマを曝け出し、うずくまって頭を抱えるジョナサンをそっと抱きしめるクララの包容力に、すごく感動しました。



天咲千華
「銀ちゃんの恋」には出てないけど、「殉情」では、カチャ(凪七瑠海)の相手役として物語の本筋からは離れた現代人の役で、今回の役ともちょっと被る部分もありましたね。あれもすごく良かったので、今回の役もすごく納得です。
「殉情」と違うのは、今回は、千華ちゃんとまりんさん(悠真倫)の二人の会話も、ある意味すごく本筋だ、というところでしょうね。石田さんがこの物語の中で語りたかったことの、すごく大きな部分を、実はこの二人がになっているんですよね……。
ものすごい学年差があるまりんさんに、一歩もひかずに丁々発止とやっている千華ちゃんが、めっちゃ可愛いです♪「バレンシアの熱い花」の新公を見ているので、もの凄く感慨深いです(^ ^)。



銀華水さんのヒットマンとか、その場にいない下級生たちについて語り合うメンバーが、めっちゃ楽しそう(^ ^)。
お稽古映像は、あんまり大事な(?)ところは映らなかったのが残念だ……。ホワイトさんとブラウンさんとか、牛さんたちとか、素顔の彼らをちゃんと観てみたいのに(; ;)

……いや、それよりも舞台がもう一度観たいです……(T T)。



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新橋演舞場にて「ガブリエル・シャネル」を、そして
ル・テアトル銀座にて、ミュージカル「COCO」を観劇して参りました♪


ガブリエル・ココ・シャネル。シャネルの創始者にして、モードの女王の人生を描いた二つの舞台が、ほぼ同時に、しかもどちらも宝塚OGをタイトルロールに迎えて上演される。これって、ただの偶然なんでしょうか?それとも何か仕掛け人がいたんでしょうか。
巴里のカンボン通りに最初の帽子店「シャネル・モード」を開店したのが1909年。今年は「シャネル」ブランドの誕生百周年だということで、彼女に関するいろんな企画が出るのは当然かもしれませんが、それにしても、日本だけでも舞台が二つに映画が三つ!!すごいなあ……。




新橋演舞場の「ガブリエル・シャネル」は、タイトルロールを大地真央、相手役として若くして亡くなった恋人アーサー・カペル(今井翼)を設定して、彼女の一生(20代から70代にしてモード界に復活する直前まで)を回想録の形で上演。制作は松竹。

ル・テアトルの「COCO」は、タイトルロールを鳳蘭、相手役は特におかず、70代でモード界への復活を目指すところから始まって、アメリカで受け入れられるまでのごく短い期間を濃密な人間関係と共に描き出す。
アンドレ・プレヴィン作曲、アラン・ジェイ・ラーナー(「マイ・フェア・レイディ」)脚本、主演キャサリン・ヘップバーンで、1969年に初演されたブロードウェイミュージカル「COCO」。
今回の翻訳・演出は、G2。




「ガブリエル・シャネル」が、若い頃から70代までの彼女の外面を割と淡々と描き出すのに対して、「COCO」は、「ガブリエル・シャネル」のラストにあたる、復活コレクションの準備から始まって、時折思い出話をはさみつつ、若いモデル(湖月わたる)との心の交流を中心に描かれていて、内面に踏み込んだ面白いテーマだったと思います。
私は先に「ガブリエル…」を見て、彼女の生涯のだいたいを頭にいれてから「COCO」を観たので、すごく面白かったです。彼女の生涯についてはほとんど知識が無かった(ココ・シャネルとガブリエル・シャネルは別人だと思ってたよ……恥)ので、この順番がとっても正解でした(^ ^)。「COCO」を先にご覧になる方は、もしかしたらあらかじめプログラムを読んでおいたほうがいいかもしれません。



どちらも興味深い作品でしたが、個人的には「COCO」が非常に印象的で、面白かったです。
まだご本人が生きている時代(1969年)に、これだけの作品を創ったブロードウェイってすごいなあ、と思いました(^ ^)。





それでは、簡単に、出演者について。まずは、新橋演舞場「ガブリエル・シャネル」


■大地真央(ガブリエル・シャネル)
いやーーーー、若い!!
1973年初舞台の59期。えーっと、えーっと、祐飛さんが78期だから、、、、
いえあの、タカラジェンヌはフェアリーだなあ、と、とっくに卒業された真央さんを見るたびに思います。どうして年をとらないんだろう……(謎)

最初が70代、そこから20代に戻って、さらにいったん少女時代まで戻ってから、30歳でドーヴィルに新しい店を開いたところまで飛んで、一幕が終了。
二幕はほぼ時系列に沿って、第一次世界大戦終結とアーサー・カペルの死 ⇒ 30代から40代の女盛りでの、芸術家たちのサロンでの華やかな活躍ぶり ⇒ お針子たちのストライキで店をたたんだ50代 ⇒ 冒頭のスイスの別荘に戻り、モード界への復活を力強く誓う70代のココを描いて、幕。

この華やかな人生の中で、もしかしたら一番似合っていたのは、一番最初の20代のときかもしれない……妖怪め(^ ^; 
とにかく、「70代」が似合わないことにもびっくりしました。この人は、本当に60歳70歳になってもまだハタチの小娘ができてしまいそうな怖さがありますね(汗)。
美しさ華やかさは文句無く、二幕の芸術家たちのサロンでの美しさは圧倒的でした♪


■今井翼(アーサー・カペル)
舞台の彼は、「SHOCK!」くらいしか観たことなかったのですが、思っていたよりずっと包容力があって、紳士的で魅力的な男でした。うん、すごく良かったです。私生児だという事実をきちんと受け入れて、それでも諦めずに、夢をかなえるために正面から闘っていく強さをもった男。ガブリエルの強さは、彼から受け継いだものもあったんだろうなあ、と思わせてくれる“ボーイ”でした(^ ^)。
それにしても、この人と並んで恋を語っても違和感の無い真央さんは、やっぱり妖怪なんじゃないか?と思う……。


■高橋恵子(ガブリエルの親友ミシア/20代のガブリエルが働くカフェのマダム)
美しく年を重ねた女優、そのものでしたね。美しいわ華やかだわ、素晴らしかったです。「自分では何も創らずに、才能のある人を見出して引き合わせては、そこで何かが生まれるのを愉しんでいるような人」とご自身がプログラムでミシア役について語っていらっしゃいますが、舞台上のミシアの、掴みどころの無いふわふわした存在感が面白かったです。根っからの貴族で、芸術の庇護者にして導き手、という、本来の意味での“パトロン気質”を持った美女でした。
実在のミシアとガブリエルの年齢関係はどうだったんでしょうか。真央さんと高橋さんだと、……親友、というより、養母と養女みたいな印象もありましたが……(^ ^;ゞ。



■彩輝なお(ガブリエルの年下の叔母、アドリエンヌ)
美しい!!そして歌も良かった!!
サエコさんは、女優の音域ならそこそこ歌えるんだなあと思いました♪男役時代から声は好きだったんですよね♪
しっかし、美女だなあ……。最初の登場が、20代でカフェの女給なんですけれども、あの時代のパリの服装、マキシ丈のスカートにフリルのブラウスみたいな格好が異常に似合う。しかも、お下げですよアナタ!!
可愛かったーーーー(壊)。
ガブリエルと常に行動を共にし、店が大きくなってからは事務方の長みたいな立場であれこれを取り仕切っている姿もカッコよかったんですが、なんたって私が感動したのは、2幕ラスト近くで、ガブリエルを訪ねてくる場面。
ほとんど外見年齢の変わらないガブリエルに対して、思い切った老けメイクと仕草で、可愛らしいおばあちゃんを演じていたのですが。すごい、本当に可愛いんですよ~っ! 声もきちんと芝居を作っていて、実にいい芝居をしていました。……ガブリエルよりいつのまに歳上になったの?っつー気はしましたが(苦笑)。

卒業してからのサエコさんは、観るたびにいい仕事をしていて感心します。美人だし芝居できるし、歌もなんとかなりそうだし、これからのご活躍を楽しみにしています!!


■葛山信吾(スイスの山荘で、70代のガブリエルの回想を聞いている作家)
語り手というか説明役として、ちょこちょこと舞台に出てくるのですが、語り口調といい声といい、ホントに素敵でした(*^ ^*)。


■升毅(ガブリエルの最初の恋人、エティエンヌ・バルサン)
典型的なルネッサンスの男……ってことになるんでしょうか。女が外に出て自己表現することをよしとせず、自分の隣で「自慢の美人」として微笑んでいてほしいと願うタイプ。
尊大だけれども嫌味のない、率直な、でも“時代遅れの”男でしたね。真央さんとの丁々発止ぶりは、さすがの迫力でした。翼くんには、真央さんの恋人はできても、対向者を演じるのはちょっと無理だよなあ、、、と、“役者の格”みたいなものについて考えさせられましたね。
ドーヴィルに最初の店を出したのはエティエンヌの援助だったわけで、彼は非協力的だったわけではないんですよね。ただ、彼が許したラインが、ガブリエルにとっては物足りなかっただけで。
そういう意味で、分不相応な恋人を持ってしまって可哀相な男だなあと思いました(汗)。

……調香師のポーが升さんなことは、プログラムを見て初めて知りました。全然気がつかなかったよーーー(↓)


■華城季帆(ガブリエルの妹、アントワネット/シャネルの店の店員)
ちゃきちゃきした勢いの良さが、役によくあっていたと思います。それにしても、大地・彩輝とひけを取らないスタイルの良さはさすがですね♪
「タイタニック」でも思いましたが、こういう癖の有る女役だと、こんなに良い芝居をする人だったんですねぇ……。“娘役芝居”っていうのは難しいものなんだなあ、と、なるちゃんを観ているとしみじみと思います(^ ^)。





なんだかだいぶ長くなってきましたが(汗)、続けて「COCO」です。


■鳳蘭(ココ・シャネル)
そんなに長い期間の物語ではないので、年齢は変わらず。こちらは1964年初舞台の50期。真央さんとは9年違うんですね。70代には勿論全然見えませんが、よくも悪くも、現実社会の中で遣り手のビジネスウーマンとしてやってきた誇りと自信を感じさせる、貫禄と現実感のあるココでした。
スケールの大きさや迫力、目力の強さが、「ココ・シャネル」という、時代を変えた、いえ、時代を超えた天才的な美女にマッチしていて、アタリ役だったと思います。うん。すごく格好良い女で、素敵だったなあ~!


■湖月わたる(モデル志望の女の子、ノエル)
登場時の垢抜けない田舎娘から、後半の、ココによって洗練されたショートボブの現代的美女までの変化感がすごく良かったです。ココに憧れ、ココの生き方に憧れて、でも自分はそんなふうには生きられない……という切なさがもう少しあると、良かったのになあと思ったのですが、逆に、ノエルが能天気だからこそ、ココの切なさが生きるのかもしれない、と思ったりもしました。

この二人のドラマのラストは、ネタバレになるので伏せておきますが、個人的にはすごく感動しました(*^ ^*)。鳳さんが本当に素晴らしかった!!


■鈴木綜馬(シャネルの会計士、グレフ)
カッコイイです(←当たり前です)
“マドモアゼル”ココを、あるいは「シャネル」ブランドを守ろうと、あれこれ手を尽くすグレフ。彼は彼なりにココを愛しているんだろうなあ、と思わせてくれたのが面白かったです。愛人の話を語り、妻へのプレゼントを抱えたままココの話を聞く、彼。年齢的にはココよりだいぶ(?)若い設定だったかと思うのですが、いかにもフランス男らしい伊達っぷりが素晴らしかったです。
ああ、この人は本当に、なにをしても素敵なんだなあ……(*^ ^*)

個人的に、わたるさんが現役時代に外部出演した「フォーチュン・クッキー」がすごく楽しくて大好きだったので、わたるさんと総馬さんの絡みが少なかったのが残念でした。そういえば、あの時のわたるさんの、「元気でめげない」キャラクターは、今回のノエルともかなり近いかも(^ ^)。


■今陽子(シャネルの事務方の長)
「ガブリエル・シャネル」ではサエコさんが後半やっていた役…のような気がします。全然違いましたけどね。長年ココのそばで働いてきた彼女は、ココが沈黙を守った15年間、何をしていたんでしょうね。家庭に戻って娘を育てていたのかな?(^ ^)
歌が凄いのはもちろん良く存じ上げていましたが、芝居もさすがですね。老女の役でしたが、実に自然に、「数十年間働き続けてきた」女性で、すごく良かったです。
綜馬さんともども、歌が少なかったのがちょっと残念(↓)


■岡幸二郎(シャネルの店に雇われた若いデザイナー、セバスチャン)
相変わらずぶっ飛んでて素敵でした(^ ^)。服も、髪も。
二幕の冒頭に丸々一曲ソロがあるのですが、もう私は、この人の歌を聴けるだけで幸せなので(笑)。どんなにぶっ飛んだ役でもOKです♪っていうか、ご本人がすっげ幸せそうでした(*^ ^*)
実際、作品にとって必要な役割はしっかり果たしてくれたと思います。さすがだ…。


■大澄賢也(ノエルの恋人、新聞記者のジョルジュ)
「ガブリエル・シャネル」のエティエンヌと同じタイプの男。ココの恋人ではなくノエルの恋人ですが、そもそもこの話はココとノエルが同じような境遇で、ココはノエルを“昔の自分を見ているような”気分で眺めているという設定なので、これはたぶん、ココにとってのエティエンヌなんだろうと思うんですよね。
で、そういう目で観ると、大澄さんっていうキャスティングは、ちょっと微妙だったのかなあ、と。大澄さんって、不思議とまともな男には見えないタイプなので……。
役者としての大澄さんは素晴らしいですし、この役も実に彼らしく演じていて面白かったんですが、彼を愛していることでノエルの格も下がってしまうように見えるのがちょっとマイナスかな、と。……なら誰が良いんだ?と言われると困ってしまうんですけどね(^ ^;ゞ


■小野妃香里(シャネルの店のモデル/ココの秘書、ドゥガトン)
長身美形で踊れるアンサンブルスターといえばピカリさん。声が個性的なので、一言喋るとすぐ判るんですが、ドゥガトンは咳払いしかしないんだもんなあ……(; ;)


■初嶺麿世(シャネルの店のモデル)
アンサンブルのモデル役の一人で、特に目立つ場面とかは無かったのですが、とにかく可愛かった!「A/L」で卒業されたときは「かっこいい男役になって…」と思ったものですが、やっぱり可愛いなあ(*^ ^*)。
モデルが皆長身ぞろいだったので、まよちゃんはやっぱり小柄でした(苦笑)。そんなところも可愛い♪



単品でも面白かったんですが、二本とも観ると、その視点の違いように驚きます。
ガブリエル・ココ・シャネル。毀誉褒貶の中を敢然と泳ぎきった、エネルギッシュでパワフルな女性。今自分たちが着ている服も、基本を作ったのはシャネルだと言っても間違いではないんすよね。素材的にも、デザイン的にも。

一人の女性について、これだけ違うテーマでドラマが作れる。
まずそれが、凄いことなんだと思いました。ココ・シャネル、万歳★


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東京芸術劇場にて、「TEACHERS ~職員室より愛をこめて~」を観劇してまいりました。



“東京郊外の、どこにでもある普通の中学校”である楓中学校の、職員室を舞台にしたワンシチュエーションもの。
作・演出は吉村ゆう、制作は東映と梅田芸術劇場。2007年に初演されたようですが、キャストはかなり変わったようですね。初演のキャストが知りたいなあ。北岡ひろしさんの役とか、樹里ちゃんの役とか(^ ^)。

私の目当ては、宝塚OGの樹里咲穂さんと星奈優里さん。同期のお二人ですが、不思議と卒業後の方が縁が深くて、同じ作品に出ることが多いんですよね。なんとなく“お似合い”の二人なので、毎回嬉しく観ています♪



ちょっとネタバレが混ざっているかもしれませんが、ご容赦くださいませ。


物語の中心は、冴えない中年の国語の先生(高梨/モト冬樹)。
10年前に教え子を自殺で喪ってから、すっかり教育への情熱(自信?)を喪って、「いるのかいないのかわからない空気のような」先生、と言われている男。
10年前からこの学校にいるのは、この高梨と、学年主任の森田(夏樹陽子)の二人だけ。森田は高梨に、10年前の情熱を取り戻して欲しいと願っている。

そして10年前に自殺した少女は、“あの世”の「門番」(北岡ひろし)に許されて、2時間だけ、という約束で、楓中学校の職員室に戻ってくる。
誰の目にも見えない、天使として。




天使の羽をつけて、あちこち走り回り、飛び回っている高井空(尾崎由衣)のキュートな可愛らしさが、とても印象的でした。
この天使と、「門番」としてふらふらと歩き回る北岡ひろしの独特の存在感が、確かに“いかにも”この世のものではない、という感じで、すごく面白かった。この二人が居る所だけ、ちゃんと隔り世に見えるんですよね……不思議なものです。なまじ、セットや何かがすごく現実味のある“職員室”という空間なので、余計この二人が浮き上がって見えました。





天使の眼に映る職員室。
大好きだった(でも、最後に残念な行き違いがあった)高梨先生は、自分の死をきっかけに心を閉ざし、若い先生の無意識の暴力を受け流しながら、ただ日が過ぎていくのを待っている。

あたしが悪いの。あたしが考えなしだったから。
ごめんなさい、先生。あたし、……本当に後悔してるの。
大好きよ、先生。だから、許して。

その一言(いや、三行か)を伝えたくて。二時間という制限時間の中、天使は必死で高梨の周りを駆け回る。
無力な自分をかみ締めながら。




その職員室にいる、魑魅魍魎たち。

無気力で無責任な副校長(宮内洋)。
無駄に熱血で相手の話を聞かない体育教師、山崎(曽世海司)。
美人でおとなしくて優しい、英語教師の中村(星奈優里)。
クールで冷たい、権力志向の数学教師、永山(樹里咲穂)。
チャラくてKYな社会科教師、風間(齋藤ヤスカ)。
常識的で信頼感のある理科教師の嶋野(盛岡豊)。
イマドキの女の子みたいなイケイケな服装で皆を当惑させる、英語教師の下山(真由子)。
そして、厳しくて硬い学年主任の森田。



高梨先生みたいに、中学生の気持ちをリアルに聞こうとしてくれる人は、他にいないの。
だから先生?前みたいに、笑って?
……あたしを、許して?





そんなときに、事件が起こる。

「今日、合唱コンクールが始まる3時までに、大空へ向かって飛び立つ」

自殺することをほのめかす、怪メールが届く。



校長は出張で飛行機の中。
教育委員会に連絡するかどうか、校長になんとか連絡を取れないか、と悩む副校長と永山。
それに対して、森田は敢然と「そんなことより、生徒の所在確認を!」と主張する森田。

果たして、この怪メールは悪戯なのか?誰かの心の悲鳴なのか?





事件を解決しようと大人たちが右往左往する中、ついに高梨が心を開き、ふたたび教師として子供たちの前に立つことを決心する……
と、丸めちゃっていいのかな?
舞台のメインは、右往左往する“大人たち”の面白さなんですが。

中学校をメインにしながら、子供たちが一切出てこない(天使が一人と、あと、回想の中で作文を読む生徒が一人出てくるだけ)。そう、学校っていうのは子供たちだけのものじゃないんです。職員室っていうのは、子供が主役であるはずの学校の中で唯一の大人の牙城で、子供たちは原則立ち入り禁止。一朝コトあれば、大人たちが立て篭もる要塞にもなる空間。
ここを舞台に“学校”を描こう、というのは面白い試みだったなと思います。ちょっと説教節くさいところはありましたが、よくできた脚本だったと思います。



キャスティングについては……
モト冬樹さんは、そもそものキャスティングだったんでしょうし、イメージぴったりで当たり前なのですが……
贅沢を言うなら、途中で目覚めた高梨がキレて怒鳴り散らすところ、声がもう少し強いと格好良く決まるのになあ、と思いました。ちょっとひっくり返り気味だったのが残念。やっぱり、怒鳴り声っていうのは低音が響いてないと効かないんですよ。ええ。甲高い叱り声は、耳に痛いだけで心には響かないので。


森田先生の夏樹陽子さんは素晴らしかった。こういう先生居たなあ、と、懐かしく思いました。
厳しいばかりに見えて、意外と熱血で優しいっていうギャップが良かったです。


その森田先生と対等に戦わなくてはならない樹里ちゃん(永山)……私は樹里ファンなのでとても残念なのですが、ミスキャストなんじゃないかなあ、と思ってしまいました(T T)。声が軽いのが、こういうときは不利だなあ、と。夏樹さんが、いかにも年配の教師らしいハスキーな声なので、勝負にならない感じでしたね。……いっそ男役声でやったら良かったんじゃないかしらん?
薄いグレーのスーツがよく似合って、クールでシャープな感じはよく出ていたんですが、何というか、根本的なところでキャラ違い柄違いなんですよねえ。
……その割には、よくやっていたと思うんですけどぉ(凹)。


樹里ちゃんとは対照的なくらい、優里ちゃんの中村センセは素晴らしかったです。優里ちゃん、こういう役(ぶっ飛んだ少女みたいな大人の女性)多いなあ……そして、似合うなあ(^ ^)。
嶋野先生(盛岡豊)とのやり取りも、とても自然でした。さすが元トップ娘役、恋愛を語るのは慣れているんだなあ(^ ^)。


生活指導の山崎役の曽世さんは、STUDIO LIFEの重鎮。いやー、カッコいいです(惚)。素晴らしいKYっぷりにうっとりしてしまいました(←誉めてます)
あまりにも類型化されすぎているきらいはありますが、キャラ立ちがはっきりしているので観ていて解りやすかったですね。頭が悪い 思い込みが激しくて人(生徒)の気持ちを聴く気がないところが欠点なのだ、ということを、ちゃんと言葉で説明されてしまったところが切ない。
彼自身がどこまでわかったことになっているのか、この作品を観に来た山崎タイプの人がどこまで自覚しているのかはわかりませんが、現代社会で一番困りものなのは、こういう「わかったつもりでいる熱血漢」なんですよね……。そこに一本釘を刺したのは、ご両親が教師だったという作・演出の吉井さんの意思なんだろうな、と思いました。


チャラ男な風間先生は、「テニスの王子様」で人気の(らしい)齋藤ヤスカさん。
いやー、最近イケメンだなあと思う若い役者さんがほぼ100%「テニスの王子様」出身なので、一度観てみたほうがいいのかなあ、と思ってみたりしてしまいますね(^ ^;ゞ
彼だけは、“先生”というより、ありがちなオフィスものドラマの生意気な新入社員っぽいキャラづくりでしたが、、あれはあれで良いのかなあ。どちらにしても、「イマドキの先生ってこんななん?」と観客を不安にさせる役だと思うので、ちゃんと役割は果たしていたのかな。
ラストの成長がもう少しわかりやすく表現されていると良かったのにな、と思いました。本来はすごく良い役だと思うんですけど、ちょっと物足りなかったかなー。




なんとなく、展開としてもっと大勢が自分の傷を曝け出しあって、解決に向かうのかな、思っていたのですが、あまりそんなことはなく、過去の傷を掘り返したのは高梨先生と中村先生だけ。
あ、あとは副校長と下山先生か。傷じゃないけど、自分の過ちを認める発言をしてましたね。
永山先生と山崎先生、そして風間先生に、そういう場面が無かったのはちょっと残念です。休憩なしの2時間で、そんなに全員の回想やら告白やらをさせていたらとても時間が足りなかっただろうというのは解るんですが。
…まあ、今回のテーマは教師たちの成長物語ではなく、高梨と天使の心の交流だから、脇筋は抑えておいて正解だったのかな(^ ^)。





ところで。
一番最後に、メインテーマを歌いに出てこられたコーラス隊の皆様はどなただったのでしょうか?
プログラムにも何も書かれておらず……あれえ??



今回は、18日も19日も所用があってトークショー付きの公演にいけず、大変残念です。
樹里ちゃん、舞台でお堅い感じ(?)だった分を取り戻すかのように吹っ飛んでいたらしいんですが。観たかった……。



梅田芸術劇場公演「ME AND MY GIRL」、そして宝塚バウホール公演「フィフティ・フィフティ」、千秋楽おめでとうございます!



花組は「太王四神記」が終わってから長らくバラけていましたが、どれもこれも(哀しみのコルドバ/RED HOT SEA2、オグリ!、ME AND MY GIRL、巴里祭、フィフティ・フィフティ)本当に良い作品に恵まれて、花組ファンとして、とっても幸せな数ヶ月でした(^ ^)。……財布はだいぶ薄くなりましたが(T T)。
次の「外伝ベルサイユのばら」にはあんまり期待しないようにしてはいますが(涙)、藤井さんの新作ショーにすべての期待をかけて(^ ^)楽しみにしています!

楽からほんの数日で、イギリスだのアメリカだのから“おフランス”へ(←そういう意味では、巴里祭組が一番楽なのかな?)(いや、そういう問題じゃないだろう)モードを切り替えなくてはならない花組生の、ご健康とご活躍を、心の底から祈りつつ。






と、ゆーわけで、「フィフティ・フィフティ」ネタバレありで感想を書かせていただきたいと思います。
楽も終わったのに引っ張るのは個人的に抵抗があるんですが、どうかご容赦をm(_ _)m。





開幕前

のどかなカントリーウェスタン調の音楽が流れる中、二人の開演アナウンスが入ります。
みつるくんとめおちゃんって、意外と声質が似てますよね。トーンがだいぶ違うので、ナマ声は全然違うんですけど、録音のアナウンスだと意外とわかりにくい…。




第一場A(都会の孤独)

モノトーンでまとめた、ショーの一場面っぽい抽象的なセットに、シャープなゲーム系の音楽。
さっきまでののんびりムードは冗談だったのか、と思うほど、全然雰囲気の違う舞台美術と音楽に、ちょっとびっくり。

モノトーンの逆パターンの衣装でまとめた二人が、めちゃくちゃカッコいいです。
ダンスのテクニックでみつる、スタイルでめおちゃん、それぞれ目を惹くコンビ。今まで、同期のわりに本公演でもあまり並んでいるのを観たことがなかった二人ですが。持ち味が全然違うせいか、お互いがお互いをを引き立てる良いコンビだなあ、と思います。きちんと自立していて、依存がないところが凄く好き(*^ ^*)。
そして。小柄なみつるの方が男っぽくて、長身でスタイルのいいめおちゃんは繊細で柔らかい雰囲気、というギャップが、なんかツボ(^ ^)。この二人だと、敵対する関係ってあまり想像できないなあ……。漫画「時の地平線」(諏訪緑著)の孔明と士元とか、そういう関係の作品を観てみたい気がします(だから誰にもわからない話をするなっつーの)。


で。
この場面の主役は、もちろん85期のお二人なんですが、猫的には後ろのメンバーが非常にツボでした。
「ゲームの青年」夕霧らい、「ヘッドホンの少年」煌雅あさひ、「メールの少女」梅咲衣舞。抽象的なセットに嵌めこまれた、マネキンのような現実味のない三人。
そして、ATMか何かの機械に、「暗証番号を入れてください」と言われてパニックしている「老女」邦なつき。

機械が使えない「老女」が、そこらを通りがかる若い連中に尋ねる。
「飛行機のチケットが取りたいんだけんどぉ……」
機械に仕えている若い男(煌雅あさひ)は、冷たく言い放つ。
「飛行機なら、携帯でもパソコンでも、コンビニの機械でも簡単に取れるぜ!」
便利な世の中になったよなあ、と、自分の主を褒め称えながら。
自分の主が、全ての人の主だと信じて疑わず、に。


……ここの邦さんは、何か用事があって都会に出てきたヘレン婆さんなんでしょうか…?
髪が銀髪だったから(ヘレン婆さんは白髪まじりの金髪)違うんだよね?それにしちゃ、方言が同じだったんだが……深い意味はないのかな?(悩)

らいらいも、ビリーが都会で銀行に勤めている間の自宅での姿に見えるんですが、どうなんでしょうか。いちおう別人設定なのかなあ。真っ白な肌にサラサラストレートの金髪、なんだか物凄い美少年なんですけどどうしたら(動揺)。役名に「少年」とついているアーサーより、「青年」と書かれたらいらいの方が美少年に見えるのは何故だ……どっかのギムナジウムもの、花組に来ないかなあ(←娘役の出番がないっつーの)

いやー、それにしてもカッコいいです、この場面。大好き(*^ ^*)




第一場B(ファーマーズ・フェスティバルの稽古)

暗転すると、客席通路にカウガールっぽい衣装の美女二人にスポット。
上手に(白華)れみちゃん、下手にきらりん(華耀きらり)。
真剣に聞くと結構色っぽい歌詞なんですけど(男に抱かれると自分が女と気づく…とか)、この二人が踊りながら歌うと、ただただひたすらに可愛いです(*^ ^*)。ああもう、この目に録画機能がついていればいいのに!!

二人が舞台にあがって、ベンソン村メンバー全員による群舞に。「抱いてよ 骨がきしむほど」と歌う二人がとにかく可愛いです。でも、一生懸命に二人の間に入ろうとしては蹴りだされていただいもん(望海風斗)は、もっと可愛かった、かも(はぁと)。
ああ、どうして石田作品に出る人はみんな可愛くなってしまうんでしょうか……。



村長(眉月凰)と、その次男・だいもんの言い争いから、ベンソン村の現状を説明するナンバーに。
「村には産業がない」
「村には財源がない」
「村には若者がいない」
マイナー調の曲に合わせて、寂しい言葉が続いたところで。

「いるのは牛と豚だけ(T T)」

という歌にあわせて、舞台中央でポーズを取る、ブルくん(朝陽みらい)とカウちゃん(紗愛せいら)。
この、着ぐるみに着られた二人が死ぬほど可愛い です。
まさか石田さんが、こういう秘密兵器を出してくるとは思いませんでした。初見で死ぬかと思った……。笑いをこらえきれなくて、窒息しそうでした。ええ。
またこの着ぐるみが可愛いんです。おしりが大きくて、手も足もちゃんと偶蹄類なの。すごーくホンモノっぽいの!!手と足だけは!!!
その手で、バスケット持ったりマイクを持ったり、結構片付け要員なんですよね……大変だったろうなあ……。

っていうか、あの衣装でちゃんと踊ってたのが真面目に凄い!と思いました。ダブルターンとか、ちゃんとやっていたような気がする……あの大きなおしりはかなり空気抵抗ありそうだし、バランスがいつもと全然違うだろうに。しかも!!あの足(靴)でターンしたりジャンプしたり……凄すぎる(@ @)。靴が大きすぎるので怪我が心配だよー。あんな激しい踊りがなくても、居るだけで十分可愛いのに。
ダンスナンバーが終わって芝居になると、二人で遊びはじめるんですけど。だるまさんころんだ(たぶん)したり、かくれんぼ(たぶん)したり……後方なので、バウの前方席だと見え難いんですが、とにかく可愛いです。ううう、DVDの特典映像に、牛さん視点がほしい(^ ^;(←そもそもDVDは出るんでしょうか…?)

あ、それから。
あの着ぐるみ、みつるくんが着たがってましたんで、ぜひとも組本でお願いします!




えーっと。どこまで書いたっけ。…あ、ベンソン村の現状を語る歌の途中までか。

牛さんたちがポーズを取ってキメると、同じメロディだけどコードがメジャーに変わって、ヘレン婆さんが歌いだす。
「ベンソン村には自然がある。人情がある。泥棒もいない……」

邦さんのソプラノは、味があって良いですね(^ ^)
しかし。「泥棒がいない」=「何も取るものがない」という現実が…

「後継者がいない」「市町村合併」「このままではベンソン村はなくなる!」
というコーラスで、ナンバーは終了。


……えーっと。
後継者になりそうな若者は、そこでいっぱい歌い踊ってますけど? …なんて突っ込んじゃいけないんですよね?
あの美少女の群れも、美青年たちの群れも、気のせいなのよねっ!!

そう思うと、髭もじゃの男にして仕草とかも工夫していた天真みちるくんは、実に実に正しい。私が彼女を好きなのは、顔芸も凄いけど、そういう“やるべきこと”にも手抜きがないところ。やっぱり、宝塚を観に来ているんだから、本当に“後継者のいない”、爺さん婆さんばっかりの群舞を見せられても困るというのが正直な処ではあるんですが、天真くんを見ると、なんだか安心するんですよね(^ ^;ゞ。私にとっての良心、って感じなのかな……?



村人たちは、ほぼ全員登場。
センター脇は、さっきとはまた雰囲気を変えて登場するアーサーと、キラキラした笑顔で踊っているネコちゃん(彩城レア)。その後ろに、個人的にお気に入りの花峰千春さん、おっさんづくりの天真みちるくん、ちょっと崩したリーゼントみたいな髪形がなかなか良く似合っていた銀華水くん、いつもキビキビ踊っている神房佳希さんくらいまでが並んでて、最後列が、もうちょっと痩せればかなり好みのタイプなのにと観るたびに思う鳳龍あやさん、小顔でスタイル抜群の舞月なぎささん……だったかな?
「どうしたら村が救えるか」みたいな議論をするところでは皆一言づつ台詞があるんですが、方言のせいか、下級生はちょっと苦戦気味。何を言っているのかわからなかったり、タイミングが合わなくて会話になってなかったり。一言台詞って意外と難しいものなんだなあ、と思いました。


「移住者をよそ者扱いするのもよくない」
と指摘するヘレン婆さんたちに、
「そもそも、都会を捨ててこんな田舎で暮らしたい若者なんているもんか」
と言い放つパメラ(華耀きらり)。
「じゃあ、せっかく都会で働いてたお前はどうして帰ってきたんだ?男に騙されたのか?」
と突っ込んで、力いっぱい締め上げられているネコちゃんが可愛い。
「クララの前でなんてことを…」
窘めるカークは、優しい男なんだと思う。

パメラとクララ、二人のヒロインの過去を語って、場面は終了。




ところで。
この場面のだいもんの台詞で、「ファーマーズ・フェスティバルまであと一ヶ月」とゆーのがあったんですが。
物語のラストの前の場面がまさにそのフェスティバル(収穫祭)の予定日なんですよね。ってことは、この作品って、基本の部分は約一ヶ月間の物語なのか…(ラストシーンはもっとずっと後ですが)

たった一ヶ月。ジョナサンとヴィクターのそれまでの苦しみを思うと、その短さに唖然としてしまいます。
でも、そんなものなのかもしれませんね。何年もかかって溜めたダムだって、決壊するときは一瞬なんですから。人生なんて、たった一晩で何もかもが変わってしまうこともある。運命に出会う、というのは、そういうことだから。




最後に。
場面のラストで、クララの過去について話す、カークとヘレン婆さんの会話。

「都会で結婚詐欺師に騙されるなんて…」
「結婚詐欺師か……ひでえ男がいるもんだっぺ!」

…というヒキで暗転したので、絶対次はめおちゃんにスポットが来るに違いない!と思ったのに、明かりがついたらキャシー(天咲千華)とみつるだった(^ ^;ゞ 残念!!




まさか、第一場でこんなに長くなると思わなかった……(反省)14場まであるんだよ?大丈夫か?>自分

とりあえず、今夜はここまで(^ ^)



花組バウホール公演「フィフティ・フィフティ」ネタバレ感想。




第二場A(ジョナサンとヴィクター)
暗転して紗幕があがると、ジョナサン(華形ひかる)の事務所。
「これって詐欺じゃないの!?」
というキャシー(天咲千華)の叫びに、ジョナサンが
「冗談言っちゃいけない」
と窘めながら、“不動産ブローカー”の仕事を説明してくれる。

ホワイト夫人(鳳龍あや)に向かって、
「ブラウン夫人が、自分の土地を20万ドルで売りたいと言ってます」
と言って20万ドル貰い、もともと
「10万ドルであなたの土地を売ってほしい人がいるんですが」
と話していたブラウン夫人(銀華水)に10万ドル渡す、差額の10万ドルは俺のもの、というコミカルな歌を元気に歌うみつる。……歌うまくなったなあ(感涙)。

まー、ここは、揉み手して擦り寄るジョナサンよりも、それを大きな目を零れ落ちそうに見開いて見ているキャシーよりも、長い金髪の鬘を被ってキラキラしている銀華くんと鳳龍さんが、とってもキュートで素敵。ちょっと微妙な感じにくねくね(?)している二人が、もう、可愛くて可愛くて(^ ^)。お二人ともちょっとふっくら系なので、ぴっちぴちのタイトなミニワンピ姿がまた、……たまりません(^ ^;ゞ
お稽古場では爆笑していたであろうみつるくんが、上級生らしく真面目くさって歌い踊っているのもツボでした★

ナンバーが終わったあたりで、ひっそりと舞台奥のドアをあけて入ってきていたヴィクター(真野すがた)。場が落ち着いたところで、キャシーに声をかける。
「キャシー♪」
小さな花束を渡して、
「君は脚がキレイだから、ミニスカートがよく似合うねえ(はぁと)」
……天咲さんの脚は、どちらかとゆーと観賞用ではなく実用性重視の脚だと思うんだけど……と思った私は、ただのダルマ好きです。すみません。
「ヴィクター?そういう台詞は」
と可愛く笑顔で距離を詰めて、、、
「セクハラよ!」
一瞬にしてがらっと表情を変え、ドスのきいた響く声で言い放つキャシー。

天咲さん、本当に芝居巧くなったなあ~~!!(感心)本当に可愛いし、なんといっても声が良い。低いところを響かせてドスをきかせることもできるし、清純そうな裏声でもきちんと感情をのせて喋れる。「バレンシア」の新公ではあまりの棒読みにぶっ飛んだけど、ほんの数ヵ月後の全ツで吃驚するほど成長していたのは、偶然じゃなかったんですね(*^ ^*)。
あああ、残念だ……宙組で祐飛さんと芝居してほしかった……(T T)

「……嫌な世の中だな。女性の長所を誉めただけでそんなことを言われるようじゃあ、」
「結婚詐欺師は廃業か?」
「人聞きの悪いこと言うなよ。ジゴロって言ってくれ」

……詐欺師は犯罪者だけど、ジゴロ(=ヒモ)は寂しい女に夢を売る商売だ、っていう理屈ですかねぇ?
なにはともあれ。ちょっと唇を尖らせて「ジゴロって言ってくれよぉ~」と拗ねたように言うめおちゃんが可愛くて、何を言ってもあまり突っ込まずに放置しておいてあげよう、と思ってしまいましたが、あれは狙いなのか?(^ ^)。
石田さんにとって、めおちゃんってそういうキャラなんだろうなあ……(←すごく共感してます)。

ここで出てくる「女なんてなぁ」という石田さんの持論は、わざわざ公言しないで胸の底に隠しとけばいいのになあ、と思いました。本筋に関係ないしね。
石田さんも、こういうのが無ければ評価もかなり違うと思うんだけど……(←ファンなので、残念なのです)。あなたがその台詞を与えている言わせている二人も、実は女性なんだってこと、忘れないでほしい。(でも、こういうことを言わせちゃうところが石田さんらしい…ダメじゃん↓↓)


そこに登場する、モーリス(悠真倫)。
えらくチャラくて可愛い彼は、「ギャングの息がかかったフロント会社の、下請けの、そのまた孫請けの、トンネル会社の社員だぞー」と段々小さな声になるけど、いちおうギャングに分類される立場ではあるらしい。ジョナサンとヴィクター(っていうか、たぶん、主にジョナサン)が気に入っているらしく、自分の子分にならないかと誘ったりしている。

黒社会っていうのは、身分が定まった階層固定社会における、はみ出し者の受け皿でした。社会に適応できない若者を引き取り、家族として愛して兵隊に育てる。社会にとって必要な存在であったわけです。
でも、「行動の自由」を保障された自由社会においては、はみ出している人間にも“生きる権利”があるわけで。あえて制約の多い黒社会に所属して、苦労する必要が無いから、「グレているけど上下関係がめんどくさいから黒社会には入らない」連中が出てくる。
だから、「イマドキの若いもんは根性なくてよぉ~」という、モーリスの嘆きが出てくる。

そんなモーリスに、ギャングの“制服”について突っ込みを入れるジョナサン。
黒に白の縦ストライプのスーツは、ギャングの服装としてはそれほど派手なわけではないような気もしますが、まぁ、そのあたりはどうでもいいんだろうな(^ ^;

なにはともあれ、音楽と同時に黒服の男たち(彩城レア、煌雅あさひ、花峰千春)が登場して、ギャングのナンバーへ。……と思いきや、前奏でポーズ決めたところで終了(笑)。
いやー、ここのギャング三人が超かっこいいです(^ ^)。ちょっと「銀ちゃんの恋」の小夏のショーシーンを思い出しました。アーサー、めちゃくちゃスタイルがよくてカッコいい!!(壊)ネコちゃんも、スーツの補正がきれいにきまってて男前度アップ。花峰さんも、可愛らしい笑顔を帽子で隠すとえらくかっこいいのね。三人並ぶとアーサーが一回り大きくて、ネコちゃんと花峰さんはなんとなく似たようなスタイルなんですが、場面が終わってもヤル気満々なまりんさんに突っ込んでたのは、ネコちゃんでした。そういう役割分担か(^ ^)。

ちなみにこの場面、千秋楽のまりんさんは、音が止まってからも、てきとーな歌詞にてきとーなメロディでいつまでも歌い続けて、三回くらい拍手を貰ってました(^ ^)。あげくに「千秋楽くらいいいじゃねえか!」と自虐。ちょっと歌が長すぎたけど、気持ち良さそうだったからヨシとしましょう(←偉そう)

で、やりたい放題やったあげくに「今度新しく出来る銀行の業務妨害をしてくれ」という依頼をかるがる~しく伝えて、地図を渡してあっさり出て行く。このあたりの呼吸というか、間の良さには心底感心しました。「銀ちゃん」の監督も良かったし、まりんさんと石田さんって本当に相性がいいんだろうなあ…。



事務所に残されたジョナサンとヴィクターは、「しょうがねえなあ」と引き受ける羽目に。
“冷静で頭のいい”ジョナサンは、キャシーに『紙幣を(一部)燃やす』ことと、『紙幣を破る』ことを依頼し、ヴィクターには、女友達を集めるよう指示する。
「それで…?」
問うヴィクターに、軽く口の端に笑みを浮かべて
「銀行に両替させるのさ」
と言うジョナサンが、……ステキです(はぁと)。

袖からぞろぞろと出てきて、ヴィクターを取り巻く“レディ”たち。
その中には、……あれ?ホワイト夫人も、ブラウン夫人もいるんだけど、いいの?この二人はジョナサンの客であってヴィクターの客じゃないし、そんな悪事(いちおう合法的だそうだが)の片棒を担がせていいのか…?
……まぁ、楽しそうにやっているから、いいのか(^ ^)。

「破れた紙幣を交換して」「口座を開いて5ドルだけ貯金したいの」「私は1ドルだけ」「紙幣が燃えちゃったの」……窓口に長い行列を作って、口々に儲けにならいことを訴える“レディ”たち。
ちょっとあやしげな“美女”が何人か混ざった集団の中、ひときわ目につく長身美形のスタイルのいい美女は誰?と思ったら、舞月なぎささんでした。美人やなあ(*^ ^*)……などと女装メンバーを点呼するのに精一杯だったので、本当の美女たちをあまりちゃんと観られませんでした。残念。

彼女たちが札をもって並ぶ窓口には、銀行員のらいらい(夕霧らい)と天真みちるくん。
最初のうちは笑顔で応対しているのに、だんだん「?」と不安げな顔になって、おろおろしはじめて、、、「うわぁん、もう駄目だ~~!」となるまでの表情の変化が素晴らしい。天真くんの顔芸は言うに及ばずなんですけど、らいらいも、木漏れ日のような柔らかな笑顔が段々悲しげに歪んでいくところがすごく良かった。
ついついレディたちの面白さに目を奪われがちなシーンですが、銀行員たちに注目すると、ジョナサンたちは、凄く酷いことをしているんだなあ、と思わされます(- -;

ついに、対応をあきらめて窓口を閉め、「本日のところは、どうかこれで…」と、ジョナサンに頭を下げるらいらい。場面の最初の笑顔は跡形もなく、がっくりと背中を丸めて、札束の入ったアタッシュケースを重そうに抱えて。
「もう、クビだあ~」「待って~、ビリーさぁ~ん!」と叫びながら上手に駆け去っていく二人。二回目に観たときは、すごく遣る瀬無い感じがしました。この後の展開が、分かっていたから。



手伝ってくれた“レディ”たちに礼を配るジョナサンとヴィクター。
で、暗転すると、いきなり言い争ってる二人。シノギの金の分配でもめているらしい。
「アイディアを出したのは俺だぞ!」
「女たちを集めたのは俺だ!」
譲らない二人が取り合う札束を、横からかっさらうモーリス。
「そもそも話を持ってきたのは俺だよ~ん」
トボケた口調が緊迫感を切ってくれます。

そこに聞こえてくる、赤ん坊の泣き声。
いつの間にやら出かけていたらしいキャシーが、なぜか赤ん坊を抱いて帰ってきている。
……どこに捨てられていたのか知らないけど、なぜ拾ったんだキャシー。(←そうしないと話が始まらないからです)



慣れた手つきで子供をあやすヴィクター。…孤児院育ちだから、シスターの手伝いとかマメにしていたのかもね。

「しっかし子供を捨てるなんてなあ…。いっそ貧乏人は子供を作っちゃならなねぇって法律でも作りゃいいのに」
ぼやくモーリスに、真っ白い空気がアタリを包む。

「……モーリスさんの言うとおりだな」
ヴィクターの、低い、少しかすれた、声。

「そうしたら、俺たちみたいな不幸な子供が世に出ることもなかったかもしんねぇな」
しらけた空気を切ろうとするかのように、無理したように明るい、ジョナサンの、声。

この台詞。
初見のときはさらっと流してしまったのですが、二回目にかなりぐっときました。
『俺たちみたいな不幸な子供』と括っているけれども、ジョナサンとヴィクターの過去の傷が、実は全く違うものであることに、ジョナサン自身は全く気づいていないこと、に。

「俺たちみたいな不幸な子供」という言葉に、うなずきながらも昏い色を浮かべるヴィクターの瞳が、酷く痛々しくて。
幸せは同じ色をしているけれども、不幸の形は一人ひとり皆違う。何かで読んだそんな言葉を、思い出していました。




第二場B(回想)
暗い舞台中央に光がはいる。床にはいつくばって、絵を描いていた(?)少年時代のジョナサン(彩城レア)。
気配を感じて顔をあげる。輝くような、笑顔。
「おかあさん、お帰りなさい!」
転がるように母親(梅咲衣舞)に抱きつく少年。細い声が本当に怯えた幼い少年みたいで、感心しました。
母親の肩を抱く男(煌雅あさひ)に邪険に突き飛ばされて、訴えるように母親に縋りつく。
「ジョナサンか…あっちいってな」
ドスのきいた衣舞ちゃんの低い声が、もの凄く怖くて素敵です。しどけなく男にもたれて、巻いた赤毛をかきあげながら、縋りついてくる子供を振り払って、
「これでなんか買って食べな。しばらく帰ってくるんじゃないよ」
……美人で可愛いのに、ホントにいい役者だなあ、衣舞ちゃん。

泣き出したジョナサンに、黒い服を着た少女(花蝶しほ)が赤い傘を差しかける。
「クララ…」
「男の子は、泣いちゃだめ」
二人とも、小さな子供の口調が巧くて、臨場感がありましたね。
クララの両親が事故で死に、クララは今から遠い親戚の家に引っ越すという状況を簡単に説明して、
「ジョナサン、あたしのこと、忘れないでね」
という、幼いけれども神聖な誓い。

泣きそうな顔に微笑みを浮かべて、ジョナサンの手に傘を握らせ、迎えに来た男(花峰千春)のところに走っていくしほちゃんが、本当に可愛かったです。髪型も大人の二人(みつるくんとれみちゃん)に合わせていて、自然にこの二人の子供時代だと納得できる、いい芝居を見せてもらった気がします。



「……その後すぐに、母親は酒の飲みすぎで死んで、俺は孤児院に入れられた」
「その孤児院で、俺たちは出会った、ってワケ」

なんでもないことのように、軽い口調で語る二人の、お互い目をあわせない距離感が、とても印象的でした。

「俺たちは、ずっと探し続けていたんだ。俺たちの…」

なにを?とキャシーに問われて、ふと我に返る二人。
やっと目を合わせて、

「居場所、さ」


口の端だけ笑みをうかべて、二人交互に語る歌は、二幕でリフレインされるので、コメントはそのときに。
この場面では、割とよくあるパターンの歌だな、と思ったくらいでしたが、二回目からは泣けたなあ……。(涙もろくてすみません)



作品全体を通して、回想シーンはここだけなんですよね。
個人的には、孤児院でのヴィクターとジョナサンのシーンが無かったのがとても残念です。ヴィクターの心の傷の真実を、ビリーの部屋での言い争いまでとっておくためには、ヴィクターの子供時代をあまり詳しく描くわけにはいかないという事情はわかるのですが……観たかった(涙)。
出会ったばかりの頃は仲が悪かったに違いないのに(←なぜか確信している)、今みたいに仲良く一緒に行動するようになったのは、どんなきっかけがあったのかしら、とか、勝手にサイドストーリーを考えたくなったくらい、久々にツボなコンビでございました(^ ^)。




華耀きらり様、お誕生日おめでとうございます★
パメラ、大好きでした(*^ ^*)次公演も、素敵なきらりんにお会いできますように(はぁと)

何十年に一度の日食(しかも雨降り)の日にお誕生日だなんて(^ ^)。……きらりん、日食見たかなあ?(猫は全然ダメでした/涙)






というわけで、「フィフティ・フィフティ」の続き。


第三場(カークの決心)
ベンソン村の景。前髪をちょっと立てているだけの、ふんわりした髪型のカーク(望海風斗)と、父親のコールマン村長(眉月凰)が、親子喧嘩の真っ最中。

「おらは警察の試験に合格したんだ。街に出て警官になる!」
「村を捨てるのか!?」
「違う!」

……内容は結構深刻なのに、方言が不自然なので、言い争いに迫力がないのが残念(; ;)。
今作で、“ベンソン村”の方言として喋らせているのは、どのあたりの言葉なんでしょう。台詞の多いメンバーのほとんど(主演二人、ヒロイン二人、モーリス、キャシー、ビリー)は都会に出た経験があるってことで標準語で喋っているんですけど、コールマン村長とカークの二人は……台詞は多いわ演説はあるわ喧嘩はするわ、で大変そうでした。

「親父は勝手だ!最初は長男が家を継ぐもんだから次男は都会に出て一人立ちしろって言って、兄貴が都会に出ると次男は残れって……!」

親のエゴだなあ、良くも悪くも。兄貴には選択の権利が与えられ、弟には兄の択ばなかった道を進む義務が生じる。まあ、兄弟なんてそんなものです。兄は幼い頃から親からの干渉とプレッシャーに抗いつづけ、弟は弟で、親の無関心に傷ついて。姉妹だって同じ。どこも同じなんですよね、たぶん。

聞いていたヘレン婆さんが間に入って、親子喧嘩はひとまず中断…するんですが。
…これに続く一連の会話は、正直、もうちょっとコンパクトにまとめられたんじゃないか?と思いました。良い台詞も有るんですけど、でも、本筋とはあまり関係ないので。

石田さんの一番最初の構想では、「老人ばかりの村」というところにもっと深い意味があったんじゃないか?と思うんですよね。ヘレン婆さんがこの場面の最後に語る、「“別れ”の訓練をする村」というアイディアが、そもそもの設定だったんじゃないか、と。
実際の舞台脚本では、ベンソン村が救われるのは全然違うアイディアなので、この場面での会話は、ほとんど意味がなくなっているんですが。

…いや、結構良い話をしているんですよ?カークの「自分が幸せにならねば人を幸せにはしてあげられねぇ!」とか。「老い先短い老人が犬を飼うのは、(犬の将来なんぞクソクラエっていう)老人のエゴだ」っていうヘレン婆さんの名言も、ラストへの伏線になる大事な台詞だし。
でも、やっぱり、中途半端な感じがあるのは否めないかな、と。
突然奥から飛び出してきて、「村を捨てるのか!?」「裏切り者!」と口々にカークを責める“村人たち”(神房、鳳龍、花輝、桜帆)とかもそうなんですけど、なんか唐突なんですよね、なにもかもが。
それよりも、ジョナサンとヴィクターの出会いの場面を作ってほしかったなぁ~、なんて思ったり(^ ^;ゞ。


あ、でも。
“幸せな人”とは、夜寝る前に、次の朝起きるのを楽しみにできる人、っていうヘレン婆さんの台詞は、とても納得できました。
ジョナサンやヴィクターが、「明日の朝」を楽しみにしてベッドに入るとは思えないから。

「新しい自分との出会い」だとか、村長の「子育ても人生も、計画どおりにはいかないもんだ」とか、後に何度も繰り返されるテーマが、だいたいここで揃うんですよね。
そういう意味では大事な場面なんですけど、逆に、“テーマを全部並べるための場面”になってしまっていたのが勿体無いとゆーか、ちょっと残念な気がしました。



ところで。
下手側のベンチで、なんだかんだ作業をしながら仲良く話したり、男たちの会話に口を挟んだりするパメラとクララが、めっちゃキュートで女らしくて、可愛いです(*^ ^*)。



第四場(事件)
舞台の下手端の女三人の会話で暗転、舞台は都会に戻って、上手よりのベンチでファストフードにかぶりつくジョナサンとヴィクターにスポット。
そこに、奥からモーリスが登場。

「おお!俺のぶち込まれてた刑務所が見えるじゃねえか!」
「ちったあ反省しましたか」
「ばーか、誰が反省なんかするかよ!そんなんで反省するくらいなら、ハナっからヤクザなんかやってねえよ」

……もしもし?モーリス、あんたギャングじゃなかったの?それとも、“ギャング”の日本語訳って“ヤクザ”なのか……?

ムショ暮らしもそう悪いもんじゃない、冷暖房完備で三食つき、薬もタダなんだぜ♪と嘯くモーリスに、
「そんな連中のために、俺たちの貴重な税金が使われてるなんてねえ」
と、どう考えても税金を払ったことのなさそうな結婚詐欺師が突っ込むなよ。

でも。インチキブローカーったって、いちおう不動産を動かしているからには何らかの資格をとって事務所を登記しているはず。ヴィクターはともかく、ジョナサンは一応、税金も払っているんじゃないのか…?



「こないだの業務妨害の件で、お前たちの命を狙っている組織があるらしいから、気をつけろ」

と、物語を進めるために必要な情報を落としていくモーリス。っていうか、このために二人を探してたんだよね、この人。優しいヤクザ ギャングだなあ。

そんな場の、後ろのほうにひっそりと登場して、ドラマティックに泣き崩れる芝居をしているキャシーがめっちゃ可愛いです。
オーディションにまた落ちて、傷心のあまり泣き叫ぶ……お芝居をするキャシー。たしかに巧い。ジョナサンが
「キャシー、君は完璧すぎたんじゃないかなあ?」
と言うのも、わかるような気がします。っていうか、天咲さんって本当に空気を動かせる人なんだなあ…。


そんなキャシーを、モーリスが宥めながら連れ去った後。

「き・み・た・ち、こないだは銀行で、えらく派手にやってくれたそうじゃありませんか?」

ちょっと高めの甘ったるい声で呼びかけられる。
拳銃を構えて威嚇してくる、変な人。銀華水くん、渾身の一場面。 なかなか思うように怯えてくれない二人に焦れて地団駄を踏みながら拳銃を振り回すあたり、本当に芸が細かいっていうか、なんていうか……。

いやー、本当に面白いんですけどこの人。大好きだ☆

「俺は百発百中だぞ!」と自慢しておいてあっさり外した上に、跳弾で自分の足を傷つけるヒットマン。
痛みにのたうちまわる彼が、本当に面白いんですけど。どうしたら。

彼が落とした銃を拾おうとして、もみ合いになるジョナサン。音楽も変わり、さっきまでの爆笑モードとは掌をかえしたような緊迫感の中、はずみで引き金をひいてしまう……
ばさりと倒れるヒットマン。


銃を握ったまま、呆然と立ちすくむジョナサン。さっきまでの自信家で尊大な仮面が壊れて、怯えた子供の貌がのぞく。俺は今、何をした?夢でも見ているのか…?と。
細かく震える肩をちからづくで抱き寄せて、上手袖へ走り抜けるヴィクターが、とても男前(*^ ^*)。でも、めおちゃん、撃った直後の「ジョナ…サン…?」の呼びかけで笑いをとっちゃいかんだろ。せっかくみつるがいい芝居をしているので、客席の緊張が切れないよう、もうちょっと工夫がほしかったです。(石田さんの指示なのかな?)



第五場A(二人の女)
緊迫した場面をぶった切るように、客席登場のパメラとクララ。
タイトルテーマ「フィフティ・フィフティ」を踊りながら歌ってっくれます。残念ながら通路際の席は取れなかったのですが、とにかく二人とも可愛くてもうもう(壊)。

舞台にあがると、ネコちゃんとアーサー、花峰さん、天真くんの4人が出迎えて、紗幕前で6人のミニショー。場面転換のための単なるつなぎなんですけど、とにかく6人とも可愛くて可愛くて、石田さんありがとう!!な場面でした(単純)。あー、花峰さんの控えめな笑顔に癒される…。



第五場A(逃亡者)
紗幕があがると、舞台中央に車のセット。運転席にジョナサン、助手席にヴィクター。

「疲れただろう?運転、交代しようか?」
と話しかけるヴィクターの口調が、ものすごく優しくて、ちょっとくらっときて、
「いや、いい。何かしていたほうが気がまぎれる」
と応じるジョナサンのクールな男前っぷりに、惚れました。

ナビが壊れて地図もない。それでも、ひたすらに、どこか、へ。

「ま、いいか。どうせ計画なんぞない、成り行き任せの人生なんだから」
「人生の面白さは、計画外のところにあるのかもしれないな…」

そこに、後ろから追いすがってくる白バイ。
「前の車、止まれ~~!」
と言われ、諦めて停車するジョナサン。
「こんな夜中に、二人でドライブか」
と問われ、慌ててカップルの振りをする二人

どうやら、私が最初に観たのが、二人の初キスの回だったようなのですが。
その後はもう、回を重ねるごとにエスカレートする一方だったみたいですね……(@ @)。

……いや、いいんですけど、私は楽しかったし。
でも、別に、そこ、カップルの振りをする必要も意味もないよね?ふつーに友達同士だってドライブくらいするだろうし、普通カップルの振りしてキスシーンで誤魔化すのは、一方だけが顔が割れていて、その顔を隠すため、だから。
ってことは、あれは純然たるファンサービスってことですよね…?いや、たしかに楽しかったですけど(^ ^;ゞ

しかし、当然のように男役がみつるで女役がめおちゃんなのが、めっちゃ納得できてしまった(^ ^;ゞ。実際、車を降りて普通に立った状態(=明らさまにめおちゃんの方が長身)でさえ、みつるが腕を回す側で違和感なかったもんなあ…。不思議だ。
いや、でも、逆でも普通に嵌ったと思うんですけどね。一回くらい、逆パターンやってくれたりしなかったのかなあ…?(真顔)(みつるの女役に無理があるんじゃないかと思います先生)



免許証を確認して、本部に報告しようとするカーク。
いつのまに造ったのか、ものすごいリーゼントから目が離せません。よく、あのヘルメットの中に入ったもんだ(感心)。

二人の名前を報告する前に、指名手配されている二人の名前を聞き、免許証の名前と一致していることに気づく。
……そして、

逃げられない二人をベンソン村に連れて行けば、強制移住者二人、出来上がりだ!
これで村は救われる!!かも??と思いついた……らしい。

……え?本当に……?



余談ですが。
車から降りた後、罪悪感と、将来への不安のストレスで胃が痛くなるジョナサンに、
「大丈夫!医療費は、タダだ(はぁと)」
とのーてんきに言うヴィクターが大好きです。



舞台は暗転、下手端に電話のセットとキャシーとモーリスが登場。

受話器を奪い合い、電話コードに絡まりながら、「心配していたのよ」と労わり、「ヒットマンは生きている」と伝えて。
「でも、当分は帰ってくるな。指名手配されているから」
「…え?帰れない?なんで。……拉致されて、監禁されてるですってぇ~~っ!」
ベタな感じで状況を伝え合って、暗転(^ ^)。




第六場(再会)
高らかなファンファーレで始まる、ベンソン村の会合。
若者 村人たちが、腰まわりに馬の着ぐるみ(?)を着て、歌い、踊る。ネコちゃんの溌剌とした笑顔、花峰さんの花のような笑顔。馬を着ていないメンバーも実に楽しそうで、大好きです。はい。
ばっちりリーゼントのだいもんが真ん中で踊り、その隣でソロをとるのはアーサー。いやーーー、相変わらずいい声だわ(はぁと)ああ、格好良いったら☆

一曲終わると、村長だったかトレバー助役だったかが、「定住を考えてくれている若者を二人、紹介します」と、ジョナサンとヴィクターを皆に紹介します。
ここで、前に出てきて、ヴィクターを口説いている花蝶しほちゃんがめっちゃ可愛いです。もう一人は誰だったかな…(ごめんなさい)二人とも可愛かったです♪

僧服をまとったヴィクターがまずご挨拶。その間に、下手奥から登場したパメラとレベッカ(菜那くらら)が、舞台奥の壇上からクララを探しつつ、ふと前に立つヴィクターに目を留める。
分かりやすい“一目惚れ”の演出は特にありませんでしたが、ちゃんと、『あ、惚れたな…』とわかる芝居でした。可愛い(はぁと)

自治体の職員を名乗るジョナサンが挨拶を始めようとしたところで、クララが上手から登場。壇上からパメラが呼びかけると、ふと顔をあげたクララと、ジョナサンの視線が絡み合う。

「……知り合い、なのか…?」

不安げなヴィクターの声で、幕。



やっと一幕終了(*^ ^*)。

構成的に、一幕は設定を説明するための短い場面の連続で、めまぐるしく話が飛ぶので混乱気味。好きな人がたくさん居すぎて、ぐったり疲れました……。

二幕は、また後日アップさせていただきますね。ちょっと先になるかもしれませんが(^ ^)。



花組の、次回公演での卒業生が、とても寂しいです。
4人とも可愛い花っ子で、銀ちゃんチームで、大事な大事なひとたちだった。


マメちゃん(日向燦)、(紫陽)レネちゃん。
……87期は、何か「同期数人で仲良く卒業する」誓いでもたてているんでしょうか?
(初姫)さあやが可哀相だと思わないのかっっっっ!!
せめて、さあやはいつまでも居てね。お願いね。(切祈)


まさかマメちゃんレネちゃんが卒業してしまうと思わなくて、本当に油断してました。
ああ、「ME AND MY GIRL」観に行ってよかった。「フィフティ・フィフティ」、いっぱい観ておいて、本当に良かった!!

祐飛ファン的には、トメさんとイルスのマメちゃんは、もう本当に特別なひとで。このひとが居ない花組って想像できない、ってくらい、本当に寂しい。
そしてレネちゃん、本当にお芝居好きなんだよね。トレバーさん、本当に良かったよ。お髭も似合うし、芝居できるし、これからやっと仕事をさせてもらえるようになると思っていたのに……
寂しいよ。本当に寂しい。


そして、9人の大所帯だった88期の一人、聖花まいちゃん。可愛い子ぞろいの花娘の中でも、結構目立つ位置で芝居している人ですが、「哀しみのコルドバ」のリサがすごく良かったから、このタイミングでの卒業はとても残念(T T)。もう少しがんばって、大人の女役で魅せてほしかったのになあ…。
嶺乃一真くんは、ラスト新公で、準主役級の役をやるのに何故(T T)…とても悔しいです。


でも。
ご自身の決められたことなら、悔やむことなく真っ直ぐに、幸せに向かってがんばってほしいと思います。藤井さんのショーが大好きなので、たぶん結構通っちゃうんじゃないかな(笑)。しっかり魅せていただきたいと思っています!
卒業されるみなさまの、ご活躍をお祈りしつつ。
(「外伝ベルサイユのばら」が一時間で、ショーが一時間半だったらいいのに…)






さて。
本日は、月組新人公演「エリザベート」を観てまいりました。

みりお(明日海りお)くんと(羽桜)しずくちゃんは、本当に相性が良いですね。
何もしなくても美しい二人なんですが、芝居の方向性がぴったりと噛み合って、きちんと心の交流が見えるところが本当に素晴らしい。
同期だから遠慮がない面はもちろんあるでしょうけれども、同期ならなんでもいいというものではもちろん無いわけで。やっぱり、この二人の相性が良いというのはあるんだろうと思います。
立場上、トップコンビとして組むことはあり得ない二人なのが、とても残念なくらい、本当によく似合う二人でした。


月組再演版の本公演は、「人間トート」という面白い試みをやっていたので、新人公演もそれを踏襲するのかな?と思っていたのですが、新人公演はごくオーソドックスな演出でした。
演出は小柳奈穂子。みりお、しずく、(紫門)ゆりやと今回と同じトリオがメインキャストを張った「二人の貴公子」を経ているだけに、主演コンビ二人の芝居の力量にすべてを任せて、下級生の育成と脇筋の芝居に力を入れたっぽい印象。「エリザベート」という作品としてはオーソドックスながら、本公演とは全くちがう演出をよくまとめきったな、と感心しました。
……そういえば、彼女の新公演出を観るのは初めてなのかな?あまり記憶にないけど…。


最初から最後まで緊張感を切らさない、“異世界感”の消えないトート。
エリザベートという一人の少女を深く愛し、誰よりも理解していながら、手の届かない闇の向こうで彼女の孤独な闘いを見守りつづける、寂しげなトート。
みりおくんのトートは、見た目はちょっと幼いので、まさに森川久美さんが描いた“少年”トートのようで。エリザベート自身が選ぶまで待っているのは、彼の希みが彼女の幸せだからなのだ、と素直に思えました。彼女を手に入れることではなく、彼女が幸せであることが彼の希み。だから、宮廷で孤独な闘いをしている彼女に怒りを隠せない。「それで君は幸せになれるのか?」と問わずにいられない。
子供だから、彼女を奪ったハプスブルクのことは憎んでいるかもしれない(←ミルク、闇が拡がる)。でも、ルドルフのことは愛している。トートは、ルドルフの不幸を望んだわけじゃない。シシィ同様、ハプスブルクの宮廷ではルドルフが幸せになれないことがわかっていたから、彼をそこから解放してあげたかったのだろうな、と、そんなことを思いました。



最初から最後まで頑なで一途で、諦めの悪いエリザベート。
本公演の少年ルドルフの歌がとても良かったので、エリザベートも大丈夫かな、と思ったのですが………甘かった(涙)。やっぱり、レベルが違いすぎたか…(T T)。特に、本公演のカチャも苦戦している「パパみたいに」と「私だけに」はかなり悲惨でした。
でも、彼女の芝居は、本当に素晴らしかった!

シシィってこういう人だったのか!!と目から鱗がたくさん落ちました。頑なで、一途で、諦めが悪くて、ひたむきで、真っ直ぐで。ルドルフを拒絶するところにも、「夜のボート」にも、きちんと一人の“大人の女性”として一本筋を通してくれたのが、素晴らしかったです。

長いこと私のマイ・ベスト・(宝塚版)シシィは麻子さんだったのですが(コンサートで観たマヤ・ハクフォートは、作品が違うので別カウント)、麻子さんのシシィの芝居のキーワードは「子供」だったと今でも思います。「子供に子供は育てられない」という侍女たちのナンバーが全てを物語っている、というか。
でも。しずくちゃんのシシィは、少女だったけど、子供じゃなかった。彼女の個性は“少女”なんですよね。子供じゃなくて、ファンタジーのある少女性。あの硬質な美貌は、それだけで価値があるのではなく、魔法のある存在感と、リアルで頑固な一途さがあって初めて、強烈に人を惹きつける。愛さずにはいられない存在感。なのに、こんなにも愛されキャラなのに、一度誰かを愛したら、簡単に自分を捨ててしまえる一途さも持っていて、しかも未練がない。揺らぐことのない、明解な価値観と意志。

「エリザベート」という作品は、音楽で全てが語られるオペラ形式の作品だから、メインキャストでありながら歌えないということは、どうしたって許されない罪です。いくら初舞台からのファン(?)な私でも、その点で彼女を擁護することはできません。実際一幕は全く歌えていなかったし、かろうじて歌えた曲(二幕のナンバー)であっても、作曲者が意図するところの半分も表現できていなかったと思う。
やっぱり、今でも(彩星)りおんのシシィは観てみたかったし、聴いてみたかったし、今回実現しなかったことがとても残念でもあります。他にも、花陽みらちゃんとか、シシィのナンバーを聴いてみたい娘役さんはたくさん居るし。

でも。
すべてを超えて、しずくちゃんのシシィが大好きだ!(断言)

たった一回の新人公演だからこそ出来たことだし、許されることでもあるんですけれど、ね。



みりおくんのトートは、いつかトップになったら、本公演でもやってほしいと思う。
りおんのシシィも、残念ながら新公はダメだったけど、もし万が一彼女がトップ娘役になることがあったりなんかしちゃったら、ぜひ、素敵なトート役者と組んで「エリザベート」を上演してほしい、という夢をみることもできる。

でも、しずくちゃんのシシィは、本公演では絶対にありえない。それだけは勘弁してくれ、と、誰よりも私が思う。

……とかいいながらも、考えずにはいられない、コト。
病院の場面があったらどう演じてくれたのか、観てみたかったナ……(; ;)。




異世界の少年としての、みりおくんのトート、

ファンタジーの塊のような、しずくちゃんのシシィ。

オーソドックスな演出と共に、得難い二人の役者によって描き出された「エリザベート」という痛々しい物語が、とても気持ちよく心に入ってきました。
耳に多少痛くてもいい。たった一回に全てを賭けた役者の気迫が、東宝劇場の空間を埋め尽くし、サラサラと音をたてて降り積もる。

一ヶ月という長期間にわたってテンションを保たなくてはならない本公演では、紡げない物語があるんだな、と、しみじみと思った2時間でした。




……ファンって、痛いな……。




他のメンバーも皆良かったのですが、とりあえず、今夜はこの二人のことだけ、で。


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