だいぶ前に終わってしまった公演ですが。
日生劇場で「ジェーン・エア」を観劇いたしましたので、いまさらですが落ち穂を拾わせていただきます。


「ジェーン・エア」。
原作は、イギリスの小説家シャーロット・ブロンテが書いた同題の小説。私がシャーロットの名前を知ったのは、永井路子の「歴史を騒がせた女たち(外国篇)」だったかな?海外の歴史上著名な女性について語った本でした。妹・エミリーの「嵐が丘」は、かの有名な「ガラスの仮面」で興味を持って読んでいたので、なんとなく家にあった世界名作文学全集みたいなのを読み始めたのですが、あまりにも分厚いし訳は古臭いしで途中で飽きてしまって、最後まで読んだかどうかすら曖昧でした(汗)。

今回観劇して、非常に興味を持ちましたので、今度こそ(違う訳で)もう一度読み直したいと思います(反省)。




2000年にブロードウェイで初演。トニー賞に作品や主演女優賞などでノミネートされたけど、「プロデューサーズ」に負けて無冠で終わった作品なんですよね、たしか。私も観たことはないのですが、作品としてはすごく話題になっていた記憶があり、日本初演を楽しみにしていました。

演出は大御所ジョン・ケアード、手堅くてリアルな作風が特徴の人ですが、今回も何から何までピタッと嵌る、見事な演出でした。
作曲はポール・ゴードン。名前は時々聞く人ですが、日本にきたのは初めてかな…?音楽も聴きやすくてすごく良かったです。

しかし。
演出も音楽も出演者も間違いなく良かったんですけど、それ以上にストーリーが興味深かったですね。あんなに面白い話だったとは……(反省)全然違いますけども、でもちょっとだけ「レベッカ」とか「ウーマン・イン・ホワイト」を彷彿とさせる部分があるような気がしました。
あれが「イギリス文学の薫り」というものなのでしょうか…?



タイトルロールのジェーンは松たか子。ロチェスターに橋本さとし。
とにかく、この二人の魅力で全てを引っ張っていましたねぇ。松さんは、今まで観たなかで私は一番好きかも。歌もすごく良かったです。得意な音域だったのかしら。
橋本さんは、「ミス・サイゴン」のエンジニアも素晴らしかったけど、ロチェスターも本当に素晴らしい。こういう、裏街道を歩いている二枚目をやらせたら、右にでるものはいないんじゃないでしょうか。生きることに貪欲で、一生懸命で、しかも、自分では器用に生きていると思っているのに傍から見ているともの凄く不器用、、、そんな可愛らしさがありました。
松さんが、雰囲気は柔らかいけど、実は芯が強くて絶対に折れない柳のような人だとしたら、橋本さんは水面にゆらゆらと漂い、茎を折ろうと思えばポキンと折れてしまう睡蓮のようなイメージ。
ちょうど、凸と凹がかみ合っている名コンビ、という印象でした。




ロチェスターに仕える女官頭?(むしろ乳母みたいな感じ/汗)のフェアファックス夫人に、寿ひずる。
元々巧い人ですが、いや、本当にさすがでしたね。大好きです。落ち着きと格の高さ、そしておおらかな包容力。愛情をきちんと見せつつべたべたしない在り方が、作品の格をあげていたと思います(*^ ^*)。いやー、素敵でした♪

ジェーンの伯母(養母)のリード夫人に、伊東弘美。
物語の、というか、ジェーンの人生にとってのキーとなる人物ですが、昔はファンテーヌ(レ・ミゼラブル)をやっていた方とは思えないような嫌味っぷりで、惚れ惚れしました。テナルディエ夫人の経験の方がありそう(←無いよ!!)
この人がリアルで存在感があったからこそ、ラストで泣けたのだと思います//松さんとの呼吸も良かったし、さすがだなあ…。

孤児院の先生、謎の女、デント夫人の三役を演じた旺なつき。
美しい人なんですけど、あまり顔をさらす役がなかったのがちょっと残念。
三役とも全く雰囲気が違っていて、観ているときは同一人物であることを全然意識していませんでした。姿も違えば声も違う。役者だなあ……。

孤児院でのジェーンの親友、ヘレン・バーンズのさとう未知子。
松さんがかなり若く見えるので、ちょっと歳上気味に見えてしまったのが残念でしたが、落ち着きのある柔らかな雰囲気が役に合っていて、ジェーンとの友情に説得力があったと思います。
声も綺麗。ミュージカルは初出演とのことでしたが、これからは色々出て欲しいような気がします!

ロチェスターの友人・リチャードの福井貴一。
全然予習していなかったので、いきなり福井さんが出てきたときは凄く吃驚しました。
やー、いつ観てもカッコいいなあ(*^ ^*)。役割としては「…で?」って感じがしないでもないんですが、出てきただけで場をさらって空気を変える力が必要な役なので、福井さんで正解だったな、と思います。っつか、かっこい~!

そういえば、この人は「レ・ミゼラブル」初演のアンジョルラスでしたね。ジョン・ケアードが演出しているだけあって、レ・ミ経験者が多いんだなあ…(羨)。


あとは、牧師だのなんだの、いろんな役を演じてくれた壌晴彦。いやはや、立っているだけで怪しくて妖しくて、凄くいいです。こういう、ホラーというほどではないけどミステリーというにはゴシックロマン風味、みたいな作品の場合、立っているだけで妖しくて怪しい人が一人いれば、それだけですごく面白くなるんですよね♪



貴族のお嬢さんでロチェスターに恋をしているブランチ・イングラムに、オペラ歌手の幸田浩子。
ブランチのナンバーは割に有名で、コンサートとかで1,2度聴いたことがあるのですが。さすが現役のプリマドンナ(?)、見事なソプラノで、本気で聞き惚れました(*^ ^*)
芝居というほどの芝居ではないので、これは歌重視のキャスティング(というかゲストに近い?)なんだな、と思いました。もっとブランチとジェーンのやり取りを掘り下げても面白そうなんですけどね。なかなかそうもいかない、かな?



芝居としては、とにかくジェーンとロチェスターの関係、二人のお互いに向ける心情の変化が丁寧に描かれていたのがすごく良かったです。
なんたってロチェスターが素敵!すぎて、かなりクラクラしました。橋本さん、ああいう色っぽい役やると凶器になるんですねぇ(*^ ^*)。エンジニアでさえ色っぽくて思わず目を逸らしてしまう感じだったのに、こんな全開な……ドキドキ。

松さんとの並びが、ちゃんと「歳の離れた二人」なのに「好き同士」というふうにちゃんと見えたのが、何より良かった、と思います。はい。








「ジェーン・エア」については、そんなところでしょうか。
やっぱり、観たらすぐ書かないといけないですねぇ、感想って。時間がたってまとまることもあるけど、下書きはしておかないと忘れてしまう(涙)



あと落ち穂で残っているのは……
G2演出の「静かじゃない大地」、途中で止まってしまっている「二人の貴公子」と「フィフティ・フィフティ」、というところでしょうか。いや、遡れば色々あるのですが(^ ^;ゞ





雪組公演「ロシアンブルー/RIO de Bravo!」も、あと2日で千秋楽ですね。

良い作品だったので、もっと観たかったなあ……と思いつつ、18日の予定(なんのことはない、休日出勤の予定だったのですが)があいたので、駄目モトでサバキ待ちに行ってみよう!と思っています♪ もう一回観れたらいいなあ~☆