東京宝塚劇場にて、星組公演「眠らない男」を観劇いたしました!


まず、大劇場公演との変更点。いや、ちょっとした歌詞とか、掛け合いのタイミングとか、小さな変更は山ほどあったような気がするのですが、大劇場公演の間にも日々変わっていたようなので、そのあたりはちょっと置いといて、大きな変更点だけ。

戴冠式で、ナポレオンが銀橋に出るようになりました!

大劇場では、下手花道から登場してそのまま本舞台の上手奥、ローマ法王(瀬稀)が待つ壇にあがり、そこで「私に冠を授けるのは、法王ではなく民衆だ」という歌を歌って自分で戴冠し、ローマ法王が「神をも恐れぬ…」と歌い、、、あれこれあって、そのままジョゼフィーヌと共に上手花道からはけていってたのですが。

東宝では、まず上手花道からナポレオンだけが登場して銀橋に出て、銀橋中央で、観客に向かって「私に冠を授けるのは、法王ではなく民衆だ」と歌うようになりました。
大劇場で観た時も、せっかくの超豪華衣装(←本当に凄い!)なのに銀橋に出てこないなんて勿体無いなと思っていたし、実際銀橋に出てくると、自分自身が彼を皇帝に選んだ「民衆」の一人になったような気がして、すごく世界に入りやすくなったので、良い演出変更だと思います。

ただ、音楽の流れは変わらないため、法王の「神をも恐れぬ…」の歌が戴冠の前になってしまうんですよね。あと、ナポレオンのそのソロから、本舞台に戻って奥の壇まで行って戴冠式の画を作るまでにだいぶ間があくので、そのあたりは、大劇場での流れを知らないと「ん?」って感じかもなー、と思ったりしました。
うーん、小池さんもここは迷ったところなのかもしれませんね。。。




変更点はそんな感じかな。


そして、大劇場公演の初日を観劇したときの日記はこちらです。
http://80646.diarynote.jp/?day=20140101

あらためて読み返すと、ああ、そうだったなあ、と思いだしますね……(^ ^)。いや、いまはもう、段取りを考えているっぽく見える人はいないと思います。いまはもう、というか、、、大劇場公演の後半に観た時に、既にそう思ったのですが。
ただ、今日の時点では、大劇場とは違う音響にちょっととまどい気味かな?という気がしました。っていうか、東宝の1階席ってすごく音響が悪いから、それだけのことだったのかもしれませんが。2階席のほうが音響良いんですよね、東宝は。特に、コーラスの厚みにはだいぶ差があるなといつも思うので、この公演は、1階席だとちょっと不利かも(^ ^)。




「今後に期待」と書いたマルモン(紅)は、期待以上の進化をしていると思います。まだ途上だとは思いますが、初日のどうしようもなさを思えば、別人のよう(^ ^)。老マルモン(英真)の諦念や包容力にはまだ直接つながってはいませんが……でも、「大勢を守るためです!」と、言い訳ではなく、ちゃんと前を視て、ナポレオンを視て言えた彼が、銀橋を歩くナポレオンを見送った後、どんな人生を送ってじゅんこさんになったのか……それを想像したくなるマルモンにはなっていたなと思います。(←じゅんこさんになるわけではなく、グランマルモンになるんですが!でも!!あれはじゅんこさんだもん!)

ただ。演出的に、戴冠式の場面からマルモンのソロにつながるところが完全な暗転になってしまったのが、“戴冠式の中で疎外感を感じているマルモン”がわかりにくくなってしまって、勿体無いなーと思いました。あそこは演出的に暗転しないといけない場面ではない(マルモンにピンスポを当てつつ暗幕を下ろす大劇場と同じでいい)と思うのですが……なんで暗転になっちゃったのかな。。。




ブリュメール18日のクーデター後の行動(ナポレオン憲法の発布)や、そのあたりの歌を聴いていると、要するに小池さんの考える「ナポレオン」は、「革命の理想」という正義をスピーディーに実現するために独裁を選んだ……というイメージなのでしょうか。
「理想」というのは厄介なもので、ひとりひとり、それぞれの人生に応じて違う「理想」を持っているもの。それをすり合わせて共通項を見出して行くことが本来の「民主主義」の手続きなわけですが、その「すり合わせ」にかける時間が、彼には勿体無かったんだろうか、と。

そんなことを考えながらこの作品を観ていると、もしかして、小池さんは「銀河英雄伝説」のラインハルトからナポレオンを創ったんじゃないか、とさえ思ってしまいます。もちろん、ナポレオンは田中芳樹の描いたラインハルトのモデルの一人ではあったでしょうし、その連想に違和感はないのですが……ただ、ちょっと単純すぎるような気もします。


それと、ちょっと思ったのは……「即断即行が彼のモットー」だ、というのが、台詞でしか説明されていないんですよね。恋愛に関しての即断即行ぶりは芝居として提示されているけれども、それ以外の部分は、単なる我侭にしか見えなくなっている……このあたり、礼音くんだからこそこのキャラクターに説得力があるけれども、演じる人が変わったときにちゃんと伝わるのかな?というのが気になりました。
とりあえず、新人公演で違う人が演じるナポレオンを観るわけですが……不器用でぶっきらぼうで即断即行で人の意見を聞かない、という、ある意味素の「柚希礼音」そのものにしか見えないあのキャラクターを、礼くんがどう見せるのか……月末の新人公演が、とても楽しみです!




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