日本青年館にて、雪組公演「心中・恋の大和路」を観劇してまいりました。



泣いた………(T T)

……散々言いつくされていることですが、この作品を観るときは、タオルをお忘れなく!!





私は汐風幸さんが大好きだったので、17年前の再々演もバウホールまで観に行ったわけですが、、、、
あの時も「目がとけるほど泣く」という慣用句の意味を理解できそうなほど泣きました。泣きながらサバキ待ちして、何人かの方をギョッとさせたのも懐かしい思い出です(^ ^)

宝塚にもこんな完璧な「芝居」があるのか、と感銘をうけ、本格的に宝塚に嵌った、思い出の作品。

バウのみの予定だったのに、千秋楽に青年館東上が発表されて、嬉しかったなあ。八右衛門はケロさん(汐美真帆)からコムさん(朝海ひかる)に交替して、だいぶ雰囲気の違う作品になっていましたが、やっぱり泣くだけ泣いたなあ……。その後、OG公演として上演された瀬戸内美八さん、若葉ひろみさん、峰さを理さん版も観て(当たり前に号泣)、百周年の今年は、ドラマシティ&青年館で、壮ちゃん、あゆっち、まっつという雪組シルバートリオでの上演。

今でも、「宝塚作品で一番好きな作品は何か」と問われたら、「心中・恋の大和路」と答えるかもしれない程度には、本気でこの作品は宝塚の代表作の一つだと思っているわけですが、、、



それほどの名作を、この百周年の年に任された、我らが壮一帆!
壮ちゃんの忠兵衛の、一本筋の通った前向きな愚かしさが、すごく壮ちゃんらしくて新鮮でした。

幸ちゃんの忠兵衛から感じた“弱さ”とは違う、“愚かな強さ”とでも言うべきもの。
大和へ「逃げる」幸ちゃんと、新口村に「向かう」壮ちゃん。恋にも人生にも前のめりな、おそらくは商売にも前のめりだった時期があったのだろう忠兵衛像が、とても新鮮で、そして、それゆえに哀しかった。壮ちゃんって、若者を演じても中年のサラリーマンを演じても、どこかに「若さゆえの愚かしさ」を隠し持てる役者なんだな、と思いました。
もはや叶わ夢だけど、壮ちゃんのロミオが観たかったな、と。プレスギュルヴィック氏の、という意味ではなくて、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を、壮ちゃんとあゆっちで観てみたかった。そんなこと、今まで思ったこともなかったのに。どちらかと言えば、壮あゆで観たい作品はマクベスだったはずなのに……。



あゆっちの梅川。衣装が違うせいか、そこは技術なのか(?)、貴咲美里ちゃんが苦戦していた裳裾の処理がきれいで、女郎としての立ち居振舞いもちゃんとできていたと思います。
忠兵衛の愛想づかしと、それに対する懐剣での自死のほのめかし。女郎とその客の駆け引きめいたやり取りの中に真を見出す忠兵衛と、そんな忠兵衛に運命を預ける梅川。その一連の芝居が自然で、翌朝の忠兵衛の「わたしはあんなに、梅川をいとしいと思たことがない」という台詞に説得力がありました。

あーーーー、それにしても、若葉ひろみさんの梅川は、根っからの純粋培養な「お女郎」感が素晴らしすぎた。。。。あゆっち、がんばれ。



まっつの八右衛門。ケロさんのいかにも「遊び人の旦那」ぶりとも、コムさんの「忠兵衛の遊び仲間」っぽさとも違う、飛脚宿の主と米問屋の主の、商売を超えた友情が、胸に沁みました。
お、と思ったのは、与平(月城)をかもん太夫(大湖)に引き逢わせた翌朝、「昨夜は場所柄控えたが」と番頭たちに告げるときの重みです。あの重み、「お金のことはキチッとしたい」という台詞を、真面目そうにではなく、商売人ゆえの真剣さとちゃんと伝えてくれる芝居力はさすが、、、とあらためて思いました。

新口村での忠兵衛とのやりとり、そこからの「この世にただ一つ」の絶唱は、まさにこの世にただ一つのものでした。。。。(号泣)幸ちゃんの時は与平役のハマコさん(未来優希)が歌ったのですが、歌としては本当に素晴らしかったけど、、、、やっぱり八右衛門が歌ったほうがこの作品は嵌るな、と思いました。




名作の中の名曲、「この世にただひとつ」。
一幕でこの曲が歌われるのは、廓の中で、忠兵衛と梅川が気持ちを確かめあう場面ですが。
あの場面の暗転前のポーズが、2幕ラストの雪山での最期のポーズと全く同じであることに、愚かな私は今日気が付きました。
……あの時にはもう、すべては決まっていたこと、と。そういう意味なのでしょうか。。。。震撼。



横堀川で、三百両を懐に立ち竦む忠兵衛。
「三百両や、石ころや、だが三百両や、石ころや………!!」という絶叫が、まだ耳に残る気がします。
壮ちゃんの忠兵衛を観ていると、あの金を懐にして新町に向かうのは、その金をおかみに渡すためなんだな、と、そう素直に感じられました。
幸ちゃんの忠兵衛は、迷ってしまって決心がつかず、とりあえず先延ばしして梅川に逢いにいっただけのようにも見えたのですが、壮ちゃんは違うなと。店に渡すつもりで新町に向かい、店に入る前に我に返って思いとどまる……それまで毎日そうしていたように、そうなるはずだった。八右衛門が、余計なことをしてさえいなければ。

いや、もちろん、八右衛門が間違っていたわけでもない。すべては運命だった。間が悪かった……それだけのこと。
「間ぁが悪かったですみますかっ!!」と叱りつける藤屋さん(香稜)の迫力は、さすがでした。。。。ごめんですめば警察はいらない。間が悪かったですめば罪人もない……残念なことに、世の中はそれでは回らないのだから。




最後に、もう一つだけ。
そういえば、私はこの作品の嶋屋(飴売り)で、蒼海拓さんのファンになったんだった……!!と鮮明に思いだしたくらい、久城あすくんの嶋屋さんが素敵すぎて、もう、最初から最後まで釘づけでした(T T)(泣くな)。
青天姿の麗しさ、憎々しい台詞の口跡のよさ、そして歌の素晴らしさ!! やばい、本格的に嵌る予感。。。


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コメント

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もも
2014年4月20日9:08

こんにちは。
蒼海拓さんの飴屋さん…私も とてもとても印象に残っていて、あすくんの飴屋さんを観ながら思い出していました。
同じ!とうれしくなったので、久しぶりに書きこんでみました(笑)

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カナリヤ
2014年4月20日11:28

私も先日観劇してきました。
アホやなぁ~と思いながらも引き込まれ気がつくと涙していました。
さて、私もあす君の歌声、歌に惚れ惚れしていました。ソロが長かったですよね。とても印象的。
以前のこの舞台はどれも拝見していませんが、名作と言われるのがよく分かりました。それに、雪組さんは和物のお芝居が上手いですね。観られて良かったです。(^O^)

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カスターニャ
2014年4月20日14:06

私も先日観劇してまいりまして~泣きました!!
というわけで、あれこれもう大きくうなずきながら読ませていただきました。
飴屋のあすくん、よかったですね~楽しみな存在です。
そしてまっつのお芝居、歌に打たれました。雪組の宝、いや宝塚の宝だと思いました。と、うれしくなって、ついコメントさせていただきました。

みつきねこ
2014年4月21日1:30

ももさま
コメントありがとうございました!!蒼海さんの飴屋、本当に大好きだったんです!わーい、覚えていらっしゃってとても嬉しいです(^ ^)
あすくんの飴屋はあれとはまた全然違ったけど、でも、素敵でした!(惚)

みつきねこ
2014年4月21日1:31

カナリヤさま、コメントありがとうございます!
この作品は本当に宝塚の財産だと思っているので、観ていただけて良かったです!!本当に!!
あすくん、上手でしたよね!良かった、贔屓目だけじゃない(^ ^)

みつきねこ
2014年4月21日1:37

カスターニャさま、コメントありがとうございました!
泣きましたよね……!!まっつも本当に素晴らしかった(T T)。あらためて、まっつの芝居が好きだなあと思いました

上から下まで、いまの雪組男役の人材豊富さには、ただただ驚くばかりです。大劇場公演が始まってしまうのはとても寂しいけれども、でも、とてもとても(!)楽しみでもあります……。

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ゆか
2014年4月24日17:50

みつきねこさん、おひさしぶりです。
私も青年館公演観劇してきました。
私は今回が映像を含めて、この作品の初見だったのですが
さすが名作と言われるだけのことはあるなと…。
下級生に至るまで挙げきれないほど上手い子が多くて、壮さん,あゆちゃんの退団は
残念ではあるけれど雪組の未来は明るいと思える出来だったと思います。

壮さんの忠兵衛、「前向きな愚かしさ」ってわかる気がします。
先の見えない逃避行のはずなのに、父親に会うまでは驚くほど悲壮感が
なかったですよね。
壮さんのキャラクター故なのかな?
でも、あの宝塚的に決してかっこいいとは言えない役を
かっこよく見せてしまう壮さんはさすがでした!

それにしても、この作品で改めて実力を見せつけてくれた
まっつさんとさらちゃんの退団発表が本当に悲しくて(涙)。
特にまっつさん、あのお金を催促する場面は秀逸でしたよね。
あの台詞だけで八右衛門と忠兵衛の決定的な違い、遊びを遊びとして
わきまえられる根っからの商人らしさを感じさせたのはすごいとしか
言いようがないです。
あのメンバー全員揃っての公演が次回作で終わりと思うと、本当に
残念で仕方ありません。

みつきねこ
2014年4月27日2:46

ゆかさま、コメントありがとうございます!嬉しいです(^ ^)

> 壮さん,あゆちゃんの退団は
> 残念ではあるけれど雪組の未来は明るいと思える出来だったと思います。

本当にそうですよね……(泣)。雪組の未来は本当に明るいです。壮ちゃんが卒業しても、あゆっちが卒業しても、そしてまっつが卒業しても、、、それでもやっぱり、雪組の未来は明るいと思う。
そう思うことができて、嬉しいです。

> 遊びを遊びとしてわきまえられる根っからの商人らしさを感じさせた

そう。まっつの八右衛門、最期の絶唱ばかりが語られがちですが、私はあの場面がすごくまっつらしいなと思って、やっぱりまっつのお芝居好きーーーーっ!!と思ったのでした。。。

卒業は本当に残念ですが、あの作品を観ることができて、あの八さまに逢うことができて、その幸運に、感謝しています。