日本青年館公演にて、宙組公演「翼ある人びと」を観劇いたしました。


素晴らしかった!!上田久美子さんブラボー!!

すっごく正直なことを言えば、デビュー作の「月雲の皇子」はずるいなーと思っていたところもあったんですよね。「芝居の月組」を継承する芝居上手な下級生をほとんど全員集めて、ものすごくレベルが高いところで物語を語っていたので。なんというか、あの出演者なら良いものになって当たり前、というか。
だけど、今回の成功は本物かな、と。まぁくん(朝夏)もゆうりちゃん(伶美)も“芝居巧者”というタイプではないし、芝居のできる下級生も、大半が中日にもっていかれた中で、一人ひとりの個性や癖をしっかり読んで、よくあれだけの作品にまとめあげ、出演している役者たちの格をあげてのけたな、と。
宛書きの強み、劇団に座付き作家がいる意味というものを、すごくひしひしと感じました。


なんてお題目はおいといて。

まずは、なんといってもまぁくん、おめでとう!!と言いたいですね。苦節○年、やっとめぐり会えた佳作。作品がまともなら、まぁくん自身の美貌とスターとしての輝きは隠しようもなく、このもどかしくも美しい物語を見事に表現していたと思います。

そして、ゆうりちゃんの美貌と包容力も素晴らしかった!!
大人っぽい美貌と、落ち着いたまろやかな声。決して器用な役者ではないと思うのですが、居るだけで辺りが明るくなるような華やかさと、佇まいのふんわりとした柔らかさが、とても魅力的でした。シューマンとブラームス、そしてリスト。錚々たるメンバーに愛され、おそらくは神にも愛された美しい人。
ドレスの着こなしや姿勢、立ち姿にはまだまだ改良の余地がありますが、その辺であんなに隙だらけでも、それでも“美しい”という評価に納得せざるを得ないところはさすがだなあ、と思いました。

キタロウ(緒月)の包容力と底なしの優しさは、宙組に来てから神がかってきましたね。彼の優しさと愛がブラームスとクララを追い詰めるのですが、そうやって二人を追い詰めることでシューマン自身が追い詰められていく……という構図が、とても上田さんらしいなと思いました。
彼がクララとブラームスに捧げる愛の深さと執着。そこから自由になった彼が、ブラームスに手渡していく贈り物を、確かに受け止めたブラームスの、ラストシーンの台詞がとても寂しくて、温かくて……それがキタロウのシューマンなんだな、と思いました。

あっきー(澄輝)のヨーゼフ。「The Wild Meets The Wild」のネッドに少し似たところのある自由人で、台詞回しの調子も近い感じでしたが、ネッドより少し大人で、音楽と女を愛する、博愛主義的なバイオリニスト役。
本音と建前の使いわけとか、ルイーゼやロベルトに対するさりげない気づかいとか、そういう言葉に出さない部分の芝居がしっかりと伝わってきて、本当に良い役者になってきたなあ、としみじみ思いました。今回の公演に、あっきーが居てくれて本当に良かった。ラストの老人も素敵でした!

クララの弟子のルイーゼを演じたのはれーれ(すみれ乃)。上流階級の娘で、音楽で身をたてる夢を、家族は応援しているけれども、巧く行かないだろうと思っているんですかね。
3学年も下のクララと並んで、明らかにその庇護下にある美少女に見えるその娘役力に、あらためて感心しました(いまさら)あれこれ悩んで空回ってしまうあたりも、いかにも“思春期”って感じですごく良かったです。

リストの愛ちゃん(愛月)。愛ちゃんの美貌と立ち姿の迫力、そして、独特の個性的な声が活きた、見事な宛書きだったと思います。こういう使い方があったのか!と目から鱗。「BUND NEON」の姫花以来の目から鱗っぷりでした。
一幕の攻撃的なキャラクターと、二幕での“ロベルトの友人”としての二面性がうまく出ていて、あのあたりはホントに久美子さんGJ、なんだろうな、と。

凛きら(凛城)のベートーヴェン?。不思議な役でしたが、やっぱり凜きらは巧いなあ。迫力あってとても良かった。一幕の登場時とか、二幕冒頭とか……ギャグかと思いましたが(^ ^)、そのあたりをひょうひょうとこなしつつ、ちゃんとブラームスを追い詰めていくところはさすがでした。
2幕ラスト、客席の通路でブラームスをすれ違うところは、、、2階からはよく視えないよーーー、と嘆きつつ。



他にも色々印象的な人がたくさんいたのですが、とりあえず、シューマン家の娘を演じた遥羽ららちゃんの可愛らしさよ!!WMWのアンジェラも可愛かったけど、今回も本当に可愛かった……!!



物語を最後まで観て、あらためてチラシ(プログラムの表紙)をみたら、さりげなく手が触れていないことにあらためて気がついたりして。……まさにそういう物語でしたね。
上田さんのセンスと抒情性が結晶化したような台詞と、イメージを的確に伝える演出力。3作目はどんな題材でくるのか、本当に楽しみな人だなあと。
三作目も期待しています!


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コメント

nophoto
mamaty
2014年3月2日12:24

お久しぶりです。
キタロウの「底なしの優しさ」
そういう表現があったのだと目からうろこでした。

確かに底なしです。

あの大組替えは、結果的に
全員が新しい側面を見せてくれて
つくづく良かったな思っています。

今度の娘役さんたちに異動も
良い結果になりますように

みつきねこ
2014年3月3日0:28

mamatyさま、コメントありがとうございます!
キタロウの優しさは本当に底がないな、と視るたびに思うんですよね。深すぎて、相手を追い詰めてしまいかねないところも含めて、大好きなんですが(^ ^)

> あの大組替えは、結果的に
> 全員が新しい側面を見せてくれて
> つくづく良かったな思っています。

本当ですね。まぁくんも宙組にきてはなひらいた部分があると思いますし。
発表されたときは吃驚したけど、やっぱり劇団はよくみてるなーと納得しています。

> 今度の娘役さんたちに異動も
> 良い結果になりますように

娘役さんは良くも悪くも男役さん次第なところはありますが、、、幸せになってほしいですね、本当に。