東京宝塚劇場にて、月組新人公演「ルパン」を観劇してまいりました。
新人公演演出は、谷貴矢さん。本公演を一回しか観ていないので演出上の違いとかはよくわかりませんが、概ね違和感なくまとまっていたと思います。
ただ、群衆芝居のまとめ方がちょっと弱い気がして、、、この1年、月組は大劇場では一本ものが続いて、緻密な芝居を一度もやったことがない下級生が多いんだから、もう少し演出家が指導してあげたらもっと全体に良くなったんじゃないかな、と思ったところもありました。
……月組なので、群衆芝居は出来て当たり前だと思っていたんだな、私。すみません、勝手にハードルを上げていたのは私です多分。
では、メインキャストについて一言ずつ。
■アルセーヌ・ラウール・ルパン(珠城)
たまきちの包容力と優しさが活きた、とても「大人」なルパンだったと思いました。
さまざまな過去の経験、完全に癒えることはないたくさんの傷を背負ったまま、それでも、ためらわずに前を向いて歩いていこうとする強さと、人を愛することに憶病な弱さをあわせもつ、寂しい男。
カーラへの深い愛情は確かにそこにあるのに、それを“カーラのために”必死でおさえつけようとする優しさ。たまきちの芝居は、いつだって本当に優しくて、情が深くて、、、抑えた感じが大人だなあ、と思うんですよね。どちらかと言えば受け身の芝居を得意とするタイプだと思いますが、ルパンもとても素敵でした♪
喉の調子があまりよくなかったようで、いつも滑舌がよくて柔らかな台詞回しが何度もひっかかったり、歌も若干苦戦気味だったのが残念ですが、芝居は本当に良かったです(*^ ^*)。
■カーラ・ド・レルヌ(咲妃)
「ロミオとジュリエット」「月雲の皇子」と、たまきちとの相性の良さは証明済みのみゆちゃん。
どちらかといえば浮世離れした役が似合う姫役者ですが、カーラの「お嬢さん」なところがとても魅力的になっていて、納得の芝居でした。
本役のちゃぴ(愛希)が、かなり気が強くて一途でなイメージに創っていたのに対して、ヘアフォール伯爵が用意してくれた館で何年でも大人しく待っていそうな、そんな頑固さと絶妙な儚さのある芝居は、みゆちゃんの個性だなあ、と。特に、ラストでたまきちに手をひかれて一緒に銀橋を渡る場面の可愛らしさが印象に残りました。
歌も芝居も標準以上の研4.いつまでも月組にいてくださいますように。
■モーリス・ルブラン(輝月)
今回の新人公演の敢闘賞を差し上げたい。
髭が似合うのも歌えるのも芝居ができるのも知っていましたが、それにしても良かった!!
ルブランがルパンの熱烈なファンであることが、こんなにこの芝居をわかりやすいものにするのか!と目から鱗でした。大好きなスターの前で興奮してキャッキャしているルブランが可愛くて、可愛すぎて、うるさいお喋りもKYな行動も全然気にならなかったよ!!
まゆぽんの落ち着いた声と柔らかな台詞回しで、膨大な台詞もすんなり入ってきたし、なにより、たまきちとの会話のテンポのよさはさすがでした。プライベートの仲がどうなのかは知りませんが、バウでもずっと一緒だし、新人公演でもお互い大役で絡みの多い役をいろいろやっているから、気心知れた仲であることは間違いないでしょうし、ね。
■トニー・カーベット(輝城)
みくちゃん(花陽)と二人、新人公演離れした実力を見せつけた、長の期のジョーくん。
ちょっと投げやりな感じもあった本役のコマちゃん(沙央)とはあえて役づくりを変えて、真面目な色悪に挑戦していましたが、これはこれですごく良かったと思います。
いい芝居する人なんですよね、本当に。新人公演を卒業したら、本公演でもちゃんと役がつきますように(祈)。
■ヘアフォール伯爵(朝美)
カーラと二人だけで会話をする、かなり長い場面がある役ですが、途中でダレることもなく、説明台詞(歌)をきちんと聴かせていて、さすがでした。元々しっかりした人で、落ち着きのある大人っぽい役は得意分野なのだと思いますが、それにしても歌も芝居も良かったし、優しさもあって、とても素敵でした(*^ ^*)
あえて難をいうなら、衣装の着こなしはもう一工夫できたかな……本公演のコロスやショーでの着こなしは良いのに、どうもお芝居でスーツを着ると着られてしまいがちなのは何故だろう(涙)。スタイル抜群というタイプではないけど、補正でどうにでもなる範囲だとおもうのですが。
それと、こういう役では難しいのかもしれませんが、もう少し「あーさならでは」のものがあると良いのにな、と思いました。いや、別に何が足りないということもないのですが。。。なんだろうなあ、ちょっと理性が勝った役づくりだったからかな。
一年前のマーキューシオはとても良かったので、あのくらい没頭できる役にまた出会えるといいな、と思いつつ。
■ドナルド・ドースン(蓮)
すっきりした二枚目に気障な眼鏡。実に見事な二枚目っぷりで、眼を惹きました。
役らしい役がつくのも今回が初めて……ですよね、まだ研3ですものね。その経験値であの難役をよくやりきったな、と素直に誉めたい出来ではありました。声も良かったし、台詞も自然で聴きやすくて。
しかし、そもそも本役のカチャ(凪七)が東宝に来た今でも大苦戦している印象のぬぐえない役を、経験値0に近い蓮くんにあてるからには、試されているのは演出家の力量(指導力)だと思うんですよね。。。
ううむ、お芝居って難しいな。
蓮くん自身はとても良かった、と思います。彼女なりに人事を尽くして舞台に立っているのがわかる出来でした。これからのご活躍を楽しみにしています。
あと印象的だったのは、コロスの娘役二人(紗那ゆずは、晴音アキ)でしょうか。
手足をまっすぐ伸ばして踊る姿はとても美しくて、男役4人の誰よりも恰好良かった!!
.
新人公演演出は、谷貴矢さん。本公演を一回しか観ていないので演出上の違いとかはよくわかりませんが、概ね違和感なくまとまっていたと思います。
ただ、群衆芝居のまとめ方がちょっと弱い気がして、、、この1年、月組は大劇場では一本ものが続いて、緻密な芝居を一度もやったことがない下級生が多いんだから、もう少し演出家が指導してあげたらもっと全体に良くなったんじゃないかな、と思ったところもありました。
……月組なので、群衆芝居は出来て当たり前だと思っていたんだな、私。すみません、勝手にハードルを上げていたのは私です多分。
では、メインキャストについて一言ずつ。
■アルセーヌ・ラウール・ルパン(珠城)
たまきちの包容力と優しさが活きた、とても「大人」なルパンだったと思いました。
さまざまな過去の経験、完全に癒えることはないたくさんの傷を背負ったまま、それでも、ためらわずに前を向いて歩いていこうとする強さと、人を愛することに憶病な弱さをあわせもつ、寂しい男。
カーラへの深い愛情は確かにそこにあるのに、それを“カーラのために”必死でおさえつけようとする優しさ。たまきちの芝居は、いつだって本当に優しくて、情が深くて、、、抑えた感じが大人だなあ、と思うんですよね。どちらかと言えば受け身の芝居を得意とするタイプだと思いますが、ルパンもとても素敵でした♪
喉の調子があまりよくなかったようで、いつも滑舌がよくて柔らかな台詞回しが何度もひっかかったり、歌も若干苦戦気味だったのが残念ですが、芝居は本当に良かったです(*^ ^*)。
■カーラ・ド・レルヌ(咲妃)
「ロミオとジュリエット」「月雲の皇子」と、たまきちとの相性の良さは証明済みのみゆちゃん。
どちらかといえば浮世離れした役が似合う姫役者ですが、カーラの「お嬢さん」なところがとても魅力的になっていて、納得の芝居でした。
本役のちゃぴ(愛希)が、かなり気が強くて一途でなイメージに創っていたのに対して、ヘアフォール伯爵が用意してくれた館で何年でも大人しく待っていそうな、そんな頑固さと絶妙な儚さのある芝居は、みゆちゃんの個性だなあ、と。特に、ラストでたまきちに手をひかれて一緒に銀橋を渡る場面の可愛らしさが印象に残りました。
歌も芝居も標準以上の研4.いつまでも月組にいてくださいますように。
■モーリス・ルブラン(輝月)
今回の新人公演の敢闘賞を差し上げたい。
髭が似合うのも歌えるのも芝居ができるのも知っていましたが、それにしても良かった!!
ルブランがルパンの熱烈なファンであることが、こんなにこの芝居をわかりやすいものにするのか!と目から鱗でした。大好きなスターの前で興奮してキャッキャしているルブランが可愛くて、可愛すぎて、うるさいお喋りもKYな行動も全然気にならなかったよ!!
まゆぽんの落ち着いた声と柔らかな台詞回しで、膨大な台詞もすんなり入ってきたし、なにより、たまきちとの会話のテンポのよさはさすがでした。プライベートの仲がどうなのかは知りませんが、バウでもずっと一緒だし、新人公演でもお互い大役で絡みの多い役をいろいろやっているから、気心知れた仲であることは間違いないでしょうし、ね。
■トニー・カーベット(輝城)
みくちゃん(花陽)と二人、新人公演離れした実力を見せつけた、長の期のジョーくん。
ちょっと投げやりな感じもあった本役のコマちゃん(沙央)とはあえて役づくりを変えて、真面目な色悪に挑戦していましたが、これはこれですごく良かったと思います。
いい芝居する人なんですよね、本当に。新人公演を卒業したら、本公演でもちゃんと役がつきますように(祈)。
■ヘアフォール伯爵(朝美)
カーラと二人だけで会話をする、かなり長い場面がある役ですが、途中でダレることもなく、説明台詞(歌)をきちんと聴かせていて、さすがでした。元々しっかりした人で、落ち着きのある大人っぽい役は得意分野なのだと思いますが、それにしても歌も芝居も良かったし、優しさもあって、とても素敵でした(*^ ^*)
あえて難をいうなら、衣装の着こなしはもう一工夫できたかな……本公演のコロスやショーでの着こなしは良いのに、どうもお芝居でスーツを着ると着られてしまいがちなのは何故だろう(涙)。スタイル抜群というタイプではないけど、補正でどうにでもなる範囲だとおもうのですが。
それと、こういう役では難しいのかもしれませんが、もう少し「あーさならでは」のものがあると良いのにな、と思いました。いや、別に何が足りないということもないのですが。。。なんだろうなあ、ちょっと理性が勝った役づくりだったからかな。
一年前のマーキューシオはとても良かったので、あのくらい没頭できる役にまた出会えるといいな、と思いつつ。
■ドナルド・ドースン(蓮)
すっきりした二枚目に気障な眼鏡。実に見事な二枚目っぷりで、眼を惹きました。
役らしい役がつくのも今回が初めて……ですよね、まだ研3ですものね。その経験値であの難役をよくやりきったな、と素直に誉めたい出来ではありました。声も良かったし、台詞も自然で聴きやすくて。
しかし、そもそも本役のカチャ(凪七)が東宝に来た今でも大苦戦している印象のぬぐえない役を、経験値0に近い蓮くんにあてるからには、試されているのは演出家の力量(指導力)だと思うんですよね。。。
ううむ、お芝居って難しいな。
蓮くん自身はとても良かった、と思います。彼女なりに人事を尽くして舞台に立っているのがわかる出来でした。これからのご活躍を楽しみにしています。
あと印象的だったのは、コロスの娘役二人(紗那ゆずは、晴音アキ)でしょうか。
手足をまっすぐ伸ばして踊る姿はとても美しくて、男役4人の誰よりも恰好良かった!!
.
コメント