星のヴェローナ【4】
2013年8月3日 宝塚(星)東京宝塚劇場にて、星組公演「ロミオとジュリエット」Bパターンを観劇してまいりました。
大劇場で観たものからまたさらに進化して、とても良くなっていました。
一人ひとりがすごい集中しているのがわかる。私は、この作品で一番好きなのは両家のダンサーたちの群舞なのですが、広いはずの舞台が狭く思えるくらい、みんなが必死で踊っていて、とても良かったと思います♪
■ロミオ(柚希)
大劇場のイメージ以上に、「少年(子供)」っぽさを前面に出して来たな、という印象でした。
良くも悪くも「モンタギューの一員」感は少なめで、その中でちょっと浮いた存在感が興味深かった。みそっかすな御曹司を、一族のみんなが大事に立てているような、その独特の空気感。……いや、もちろん柚希さんが「みそっかす」な訳ではないので、あくまでもイメージなのですが、良くも悪くも「同質な仲間」には見えないんですよね。でも、「大事な仲間」ではある、という感じ。
「West Side Story」のトニーは、「もうジェット団は卒業した」というのがポイントだったけど、ロミオは、「同じところに立ったことがない」感じ。まあ、身分制があるのが当たり前な時代なのでしょうから、そういうものなのかもしれません。御曹司なことは間違いないもんね。
■ジュリエット(夢咲)
麗しきファム・ファタル。
なんというか、年齢とは無関係なところで、「何も知らない」純粋な箱入り娘にちゃんと見えたところが凄いな、と思いました。
箱入りのピュアな生娘なのに、「琥珀色の雨に濡れて」のシャロン以上のファム・ファタルでありえたところが。
そして、雪組の美海ちゃん(舞羽)や月組のちゃぴ(愛希)と一番違うのは、もし神父の計画どおり二人で霊廟を脱出できたとしても、生活水準の違うところで生きていけるとは思えないところでしょうか……それも、たぶん、二人ともに。
だからこそ、ベンヴォーリオとマーキューシオはあんなにも必死になって止めるんだな、と納得したりしたのでした……。
銀橋で「約束の人に出会えますよう」と祈るジュリエットの、すごく子供っぽいんだけどすごく真剣な表情。幸せな結婚の夢をみていた美海ちゃんとも、崩壊した家庭で追い詰められていたちゃぴとも、どちらとも全然違う、ひどく生真面目そうな子供の真剣さがすごく好きでした。
あれこそが真骨頂なんだと思うし、ジュリエットはやっぱり、ねねちゃんがオリジナルなんだな、とも思いました。
■キャピュレット夫妻(一樹/音花)
今までに観てきた中で、一番お互いへの愛のあるキャピュレット夫妻だった……ような気がしました。月組版の家庭崩壊ぶりがあまりにも明らかだったので、その反動なのかもしれませんが(^ ^;ゞ
それでも、悲劇は起こる。長年連れ添った倦怠期の夫婦の、戯言に近い「夫を愛したことなどないわ」という言葉を真に受けて、「そんな風になりたくない!」と思いこむ、純粋な箱入り娘。
教訓。夫婦喧嘩は犬も喰わない。特に、娘の前ではやってはいけません!
それにしても。ジュリエットの思いこみの強さと頑固さは、確かにキャピュレット卿に似たのかもしれませんね。……娘のことをちゃんと理解しているのに、自分の考えを譲らない父親と、娘の頑固さを理解しようとしない母親。なんていうか、、、哀れだなあ。
■モンタギュー夫妻(美稀/花愛)
どちらも目立つソロ曲はないけど、すごく大事な存在である夫婦。今回、この役がお二人で良かったなあ、としみじみ思います。
初演の時から大好きだった、花愛さんのモンタギュー夫人。霊廟で、息子を見つけて駆け寄る時の必死さと、夫の慰めを受け容れずに拒否する誇り高さ、そして、罪の赦しのきっかけとなる想いの強さ。あらためて、やっぱりすごく好き!と思いました
みきちぐのモンタギュー卿も、ずいぶん喧嘩っぱやくなって、若いころはぶいぶい言わせていたんだろうな(←古い)、と改めて思ったし、なんていうのか……キャピュレット卿のちょっとお茶目というか可愛らしいところと、モンタギュー卿のちょっとお固くて体育会系なイメージと、、、「代々争ってきた」だけではなくて、この二人も本当に噛み合わなかったんだろうな……と思いました。
そして。
今日観ていて、「おお」と思ったことが一つ。
いまさらかもしれませんが、彼らにとってマーキューシオが死んだことはそれほど悲しくないんだな、と。
彼の死は、あくまでもロミオの罪につながったからこそショックなのであって……もちろん、血縁ではあるのでしょうから(大公の弟とモンタギュー卿の妹との間の子、とか、そんな感じでしょうか?)悲しくないわけではないにせよ、それよりも息子の身のうえが心配な両親。
ある意味当たり前なことだけど、なんとなくマーキューシオ目線で観ていたので「……あぁ」と思ってしまいました。
ティボルトの死については、キャピュレット夫人が深く嘆き悲しんでくれるけど、マーキューシオの死を悲しむのは、仲間たちだけなんだな、と……いや、違う。大公がかなり真顔で悲しそうでした(T T)ね。
■神父(英真)
ロレンス神父って難しい役ですよね。私もロミジュリはかなりいろんなバージョンを観ている方だと思うのですが、どの公演でも「ロレンス神父」に当たる存在はいて、そして、どれもこれも全然違っていたような気がします。
「神父」なんだからカソリックですよね。だから、一度結婚させたら離婚はできない。娘の結婚は親が決める時代に、娘の意思だけで勝手にした結婚だとはいえ、神の前に誓いをたててしまった以上、取り消しはできない。
だからこそ、ジュリエットを仮死状態にしてでもロミオに連れて行ってもらわなくてはならない。
……気持ちはすごく良く判るのですが!
でも。ロミオとジュリエットが家を出て二人で、乳母も誰もいなくて生きていけるかどうか、ちょっとは考えようよ……。
■乳母(美城)
さやかさんは星組の宝で、この作品の神です(*^ ^*)。
結婚式の直前、「さあ、準備を」と言ってジュリエットの背中を押そうとして……ためらう場面がすごく好きです。溢れる想いが、物理的な粘度と色をもって目に映る、そんな気がしました。
そして、「娘よ」の直前、ジュリエットが逃げ込んだドアの前で振り向いた瞬間に、凝っと娘を叩いた掌を見凝めるキャピュレット卿の背中を視て、何事かを決意してドアの中に入るさやかさんが、本当に好きです。
あの場面で乳母がジュリエットを裏切る理由、破滅への最後のボタンを押した理由が、ジュリエットとその父親への情だったことが、とても切ない。。。とにかく、これだけは言えます。さやかさんは神。
■大公(十輝)
恰好良い!
出番は少ないけど、貫録十分ですごくカッコいい上に、自分が守るべき「ヴェローナ」とその民たちに向ける愛情が深くて……愚かな民でごめんね、と、ついつい思ってしまいます。
マーキューシオとか、人の話は聞いてないし頭下げないし「けっ」って思ってるし……(←Bパターンに限る)、あんなに素敵な大公様が“伯父上”なのに、何の不満があるんだ!!
(たぶん、何もかも不満だらけなのだろうなと)(←真顔)
■ピーター(真月)
可愛い~~~~!!なんだか今回大好きすぎて、もうこれが最後だなんて信じたくないです……。
っていうか、初演ではさやかさんがピーターだったんだよね……時の流れって凄い!
役替りメンバーについてはまた別途書かせていただければと思います。
すごくどうでもいいことですが、ロレンス神父の項目を書いていて、一つ書きたかったことを思い出したので、メモっておきます。
宙バウ公演の夏美さんは、「神父」なんだから、妻も子もいないはず……だよね?
ロミジュリを観る前に、宙バウの続きを書くつもりだったのにー、生田さんが脚本変えたりするからすっかり予定が狂った……マジで5日に休み取って観に行きたい(涙)(チケットがないですよ)(←律速はそっちか…!)
来年の花組大劇場は、悔いのないよう考えたいと思います(^ ^)。
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大劇場で観たものからまたさらに進化して、とても良くなっていました。
一人ひとりがすごい集中しているのがわかる。私は、この作品で一番好きなのは両家のダンサーたちの群舞なのですが、広いはずの舞台が狭く思えるくらい、みんなが必死で踊っていて、とても良かったと思います♪
■ロミオ(柚希)
大劇場のイメージ以上に、「少年(子供)」っぽさを前面に出して来たな、という印象でした。
良くも悪くも「モンタギューの一員」感は少なめで、その中でちょっと浮いた存在感が興味深かった。みそっかすな御曹司を、一族のみんなが大事に立てているような、その独特の空気感。……いや、もちろん柚希さんが「みそっかす」な訳ではないので、あくまでもイメージなのですが、良くも悪くも「同質な仲間」には見えないんですよね。でも、「大事な仲間」ではある、という感じ。
「West Side Story」のトニーは、「もうジェット団は卒業した」というのがポイントだったけど、ロミオは、「同じところに立ったことがない」感じ。まあ、身分制があるのが当たり前な時代なのでしょうから、そういうものなのかもしれません。御曹司なことは間違いないもんね。
■ジュリエット(夢咲)
麗しきファム・ファタル。
なんというか、年齢とは無関係なところで、「何も知らない」純粋な箱入り娘にちゃんと見えたところが凄いな、と思いました。
箱入りのピュアな生娘なのに、「琥珀色の雨に濡れて」のシャロン以上のファム・ファタルでありえたところが。
そして、雪組の美海ちゃん(舞羽)や月組のちゃぴ(愛希)と一番違うのは、もし神父の計画どおり二人で霊廟を脱出できたとしても、生活水準の違うところで生きていけるとは思えないところでしょうか……それも、たぶん、二人ともに。
だからこそ、ベンヴォーリオとマーキューシオはあんなにも必死になって止めるんだな、と納得したりしたのでした……。
銀橋で「約束の人に出会えますよう」と祈るジュリエットの、すごく子供っぽいんだけどすごく真剣な表情。幸せな結婚の夢をみていた美海ちゃんとも、崩壊した家庭で追い詰められていたちゃぴとも、どちらとも全然違う、ひどく生真面目そうな子供の真剣さがすごく好きでした。
あれこそが真骨頂なんだと思うし、ジュリエットはやっぱり、ねねちゃんがオリジナルなんだな、とも思いました。
■キャピュレット夫妻(一樹/音花)
今までに観てきた中で、一番お互いへの愛のあるキャピュレット夫妻だった……ような気がしました。月組版の家庭崩壊ぶりがあまりにも明らかだったので、その反動なのかもしれませんが(^ ^;ゞ
それでも、悲劇は起こる。長年連れ添った倦怠期の夫婦の、戯言に近い「夫を愛したことなどないわ」という言葉を真に受けて、「そんな風になりたくない!」と思いこむ、純粋な箱入り娘。
教訓。夫婦喧嘩は犬も喰わない。特に、娘の前ではやってはいけません!
それにしても。ジュリエットの思いこみの強さと頑固さは、確かにキャピュレット卿に似たのかもしれませんね。……娘のことをちゃんと理解しているのに、自分の考えを譲らない父親と、娘の頑固さを理解しようとしない母親。なんていうか、、、哀れだなあ。
■モンタギュー夫妻(美稀/花愛)
どちらも目立つソロ曲はないけど、すごく大事な存在である夫婦。今回、この役がお二人で良かったなあ、としみじみ思います。
初演の時から大好きだった、花愛さんのモンタギュー夫人。霊廟で、息子を見つけて駆け寄る時の必死さと、夫の慰めを受け容れずに拒否する誇り高さ、そして、罪の赦しのきっかけとなる想いの強さ。あらためて、やっぱりすごく好き!と思いました
みきちぐのモンタギュー卿も、ずいぶん喧嘩っぱやくなって、若いころはぶいぶい言わせていたんだろうな(←古い)、と改めて思ったし、なんていうのか……キャピュレット卿のちょっとお茶目というか可愛らしいところと、モンタギュー卿のちょっとお固くて体育会系なイメージと、、、「代々争ってきた」だけではなくて、この二人も本当に噛み合わなかったんだろうな……と思いました。
そして。
今日観ていて、「おお」と思ったことが一つ。
いまさらかもしれませんが、彼らにとってマーキューシオが死んだことはそれほど悲しくないんだな、と。
彼の死は、あくまでもロミオの罪につながったからこそショックなのであって……もちろん、血縁ではあるのでしょうから(大公の弟とモンタギュー卿の妹との間の子、とか、そんな感じでしょうか?)悲しくないわけではないにせよ、それよりも息子の身のうえが心配な両親。
ある意味当たり前なことだけど、なんとなくマーキューシオ目線で観ていたので「……あぁ」と思ってしまいました。
ティボルトの死については、キャピュレット夫人が深く嘆き悲しんでくれるけど、マーキューシオの死を悲しむのは、仲間たちだけなんだな、と……いや、違う。大公がかなり真顔で悲しそうでした(T T)ね。
■神父(英真)
ロレンス神父って難しい役ですよね。私もロミジュリはかなりいろんなバージョンを観ている方だと思うのですが、どの公演でも「ロレンス神父」に当たる存在はいて、そして、どれもこれも全然違っていたような気がします。
「神父」なんだからカソリックですよね。だから、一度結婚させたら離婚はできない。娘の結婚は親が決める時代に、娘の意思だけで勝手にした結婚だとはいえ、神の前に誓いをたててしまった以上、取り消しはできない。
だからこそ、ジュリエットを仮死状態にしてでもロミオに連れて行ってもらわなくてはならない。
……気持ちはすごく良く判るのですが!
でも。ロミオとジュリエットが家を出て二人で、乳母も誰もいなくて生きていけるかどうか、ちょっとは考えようよ……。
■乳母(美城)
さやかさんは星組の宝で、この作品の神です(*^ ^*)。
結婚式の直前、「さあ、準備を」と言ってジュリエットの背中を押そうとして……ためらう場面がすごく好きです。溢れる想いが、物理的な粘度と色をもって目に映る、そんな気がしました。
そして、「娘よ」の直前、ジュリエットが逃げ込んだドアの前で振り向いた瞬間に、凝っと娘を叩いた掌を見凝めるキャピュレット卿の背中を視て、何事かを決意してドアの中に入るさやかさんが、本当に好きです。
あの場面で乳母がジュリエットを裏切る理由、破滅への最後のボタンを押した理由が、ジュリエットとその父親への情だったことが、とても切ない。。。とにかく、これだけは言えます。さやかさんは神。
■大公(十輝)
恰好良い!
出番は少ないけど、貫録十分ですごくカッコいい上に、自分が守るべき「ヴェローナ」とその民たちに向ける愛情が深くて……愚かな民でごめんね、と、ついつい思ってしまいます。
マーキューシオとか、人の話は聞いてないし頭下げないし「けっ」って思ってるし……(←Bパターンに限る)、あんなに素敵な大公様が“伯父上”なのに、何の不満があるんだ!!
(たぶん、何もかも不満だらけなのだろうなと)(←真顔)
■ピーター(真月)
可愛い~~~~!!なんだか今回大好きすぎて、もうこれが最後だなんて信じたくないです……。
っていうか、初演ではさやかさんがピーターだったんだよね……時の流れって凄い!
役替りメンバーについてはまた別途書かせていただければと思います。
すごくどうでもいいことですが、ロレンス神父の項目を書いていて、一つ書きたかったことを思い出したので、メモっておきます。
宙バウ公演の夏美さんは、「神父」なんだから、妻も子もいないはず……だよね?
ロミジュリを観る前に、宙バウの続きを書くつもりだったのにー、生田さんが脚本変えたりするからすっかり予定が狂った……マジで5日に休み取って観に行きたい(涙)(チケットがないですよ)(←律速はそっちか…!)
来年の花組大劇場は、悔いのないよう考えたいと思います(^ ^)。
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