ガーシュインよ永遠なれ
2013年6月17日 宝塚(花)花組バウホール公演「フォーエバー・ガーシュイン」、千秋楽おめでとうございます!!
まずは、、、もう千秋楽ですが(←すみません!)、キキちゃん(芹香)、初主演おめでとうございます!!
幕開きの燕尾服からびっくりするほど恰好よくて、男前で、なのに可愛いところもあって……才能も色気もたっぷりある、魅力的な男。彼自身が立派なスターだった男。
ガーシュインって本当にこういう人だったのかもな、と思わせる男ぶりで、0番が本当にしっくり馴染んでて、、、これが初主演の研7だなんて、全然思えませんでした。
本当に恰好良かった!佳作での初主演、おめでとうございます。
演出は、こちらもデビューの野口幸作さん。野口さんの新公演出で、私が観たのは……雪組の「ロミオとジュリエット」と星組の「ノバ・ボサ・ノバ」、くらいかな。どちらも、あまり「新公ならでは」の面白みは追求せず、きちんと指導(演出)して舞台を成立させていた印象でした。
まあ、「ロミオとジュリエット」はまさかの仮面舞踏会スタートという荒技に驚かされましたが、月組でもほぼ踏襲されたことを考えると、あれも、演出家としての野口さんの発想というより契約の問題なのかな、と思ったり。
ただ、ちょっと気になったのですが、、、野口さん、キキちゃんとは「ノバ」で一緒にやっているけど、花組では新公演出やってないと思うんですよね。もちろん、演出助手で入ったことはあるはずなので、組子のことを知らないってことはないでしょうけれども。
最近デビューした若手演出家は、直前……一年以内にはその組で新公演出してたのに、珍しいなと。いや、だからどうだということはないんですが(^ ^;ゞ
作品全体の構成は、物語を主筋一本に絞ってシンプルにし、その分、華やかなショーシーンをふんだんに入れて、出演者の出番と見せ場を与える、という方向に特化していました。
本当に驚くほど、ストーリーは一本道でわかりやすくて、、、良く言えば王道、悪く言えばひねりがない、という印象。ジョージの人生自体が非常にドラマティックなので、それを追うだけで十分にドラマが成立するのですが、それだけでは2時間が埋まらない分を、物語(脚本)として枝葉をつけるのではなく、ショーシーンで埋めたのが、、、ああ、なるほどな、という感じでした。
脚本的に物語を面白くするなら、いくつか道はあったと思うんですよね。
たとえば、ケイ(仙名)とジェームズ(瀬戸)の夫婦のすれ違いをもう一本の柱にして丁寧に描く、とか。あるいは、アステア姉弟(華耀&柚香)との交流をもっとしっかり描いて、3人で描いた夢から、その実現、突然の死と追悼コンサート、という流れもありだったかな、と。
でも、野口さんはあえて、「ジョージ・ガーシュイン」だけに焦点を当てて、「ジョージ・ガーシュイン」のことだけを描こうとした。ケイが視たジョージと、“世間”が視たジョージ、その2面を中心に。
結果的には、それは正しい選択だったと思うし、主演者であるキキちゃんもその期待にしっかり応えて、彼女らしい「ガーシュイン」をきちんと成立させていたから、それで良かったのだと思います。
ただ、個人的には、もう少し脚本的な枝葉をつけて、可愛い花組子たちに芝居での見せ場もあげてくれたらな、と思ったことは、正直に書いておきたいと思います。
あと、物語を貫くテーマ、みたいなものがちょっと弱かったなあ、と。
とにかくガーシュインの人生がドラマティックすぎて、それに寄りかかってしまったのも要因の一つかとは思うのですが……宝塚的には、「夢」の扱い方がちょっと半端なんじゃないかな、という気がしました。
アステア姉弟と一緒に視た「夢」が実現したところが一つの大きなクライマックスであるべきなのに、それをショーシーンにしてしまったために、芝居としての重みに欠けていたり。
物語序盤でレミック社長(紫峰)がジョージに言う「生きていくためには夢を諦めるべきだ」という台詞や、「夢をあきらめてジェームズと結婚したケイ」と、「夢をあきらめずに作曲を続けたジョージ」の立ち位置の違いが、物語のクライマックスに向けて、あまり意味を持たなかったこととか。
……なんて、いろいろ書いていますが。全般的には、デビュー作とは思えないほどきれいにまとまった、でも、パワーと流れのある作品で、「やりたいこと(=ショー)がやれる!」という喜びに満ち溢れた、楽しい作品でした。
大劇場のお芝居も興味ありますが、それよりも、野口さんにはショーを創ってみてほしいな、と思います。ちょっとお芝居仕立ての、お洒落なショーを創ってくれそう(*^ ^*)。
これからのご活躍を、楽しみにしています!
それでは、登場人物について……キキちゃんについては書いたので、他のメンバーについて。
■ジェームズ・ワーバーグ(瀬戸)
今回の出演者の「もったいないおばけ」第一号。
いやー、お髭が良く似合って、渋くて落ち着きがあって、めっちゃダンディで素敵でした!!
ただ、いかんせん、芝居のやりようがない(T T)。ジェームズはケイを愛しているけど、ケイは生活の安定を求めて結婚しただけで、“夫を愛したことなどないわ”という状態なのは、、、やっぱりちょっと、ヒロインであるケイのキャラクター設計に問題があるのではないかと思ってしまいます。
だって、あきらが素敵すぎるんだもの!!何が不満なんだ(真顔)
「若くてハンサムで才能に溢れた時代の寵児」に対して、ジェームズが本当のところはどう思っていたのか、それを、夫婦の場面でもう少し描けていたら。そうしたら、ケイももう少し佳い女に見えたかな、という気がします。
2幕後半の追悼コンサートで、ケイの傍に寄り添って立っていたジェームズの、静謐。
ケイと彼が正式に別れたのはいつなんでしょうね。ジョージが死ぬ前なのか、後なのか。……後なのかな、なんて思いながら、あの場面のジェームズを見凝めていました。
■ケイ・スウィフト(仙名)
「ファントム」のカルロッタ以来、エキセントリックなバイプレイヤーとして定評のある仙名さんですが、やっぱりこういう落ち着いた「大人の女」の役は難しいんだな、と。うーん、でもきらりん(華耀)じゃ歌が厳しいしな……と、あれこれ考えあぐねてしまったくらい、難しい役でした。
ジェームズとの場面がもうあと2つくらいあれば、もう少しトータルで「ケイ」という人物が見えてきたと思うのですが、ちょっと作劇上のご都合主義的な人物像になっていたような気がします。
とはいえ、歌はさすがだったし、髪型なども工夫して“落ち着いた人妻らしさ”を出そうとしていたので、良かったと思います。台詞の語尾が少し走りがちなので、もう少し意識すると、年齢幅が広がると思うのですが。
■アイラ・ガーシュイン(天真みちる)
もしかしたら、天真とあきらの役を逆にして、アイラを語り手にした方が、作品としては創りやすかったかしれないな、なんて思ったくらい、ものすごくいい役でした。
また天真が、優しくて温かみのあるとぼけた味わいを見事に体現していて、この人は本当に幅が広いな、と感心しました。素敵だった。。。。!!最初と最後をアイラに持っていかせたのは、さすが野口さん、センスがあるな、と思いました(^ ^)。
他のメンバーもみんな良かったのですが、とりあえず、続きはまた後日。
最後に。
私が観劇したのは、まだ幕が開いて3日目でしたから、今日までの間にずいぶん進化しているんだろうな、と思います。CSでの放送が楽しみです!!(←気が早い)
そして、大事なことはもう一度。
キキちゃん&野口さん、初主演&演出家デビュー、本当に本当に、おめでとうございます!!(*^ ^*)
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まずは、、、もう千秋楽ですが(←すみません!)、キキちゃん(芹香)、初主演おめでとうございます!!
幕開きの燕尾服からびっくりするほど恰好よくて、男前で、なのに可愛いところもあって……才能も色気もたっぷりある、魅力的な男。彼自身が立派なスターだった男。
ガーシュインって本当にこういう人だったのかもな、と思わせる男ぶりで、0番が本当にしっくり馴染んでて、、、これが初主演の研7だなんて、全然思えませんでした。
本当に恰好良かった!佳作での初主演、おめでとうございます。
演出は、こちらもデビューの野口幸作さん。野口さんの新公演出で、私が観たのは……雪組の「ロミオとジュリエット」と星組の「ノバ・ボサ・ノバ」、くらいかな。どちらも、あまり「新公ならでは」の面白みは追求せず、きちんと指導(演出)して舞台を成立させていた印象でした。
まあ、「ロミオとジュリエット」はまさかの仮面舞踏会スタートという荒技に驚かされましたが、月組でもほぼ踏襲されたことを考えると、あれも、演出家としての野口さんの発想というより契約の問題なのかな、と思ったり。
ただ、ちょっと気になったのですが、、、野口さん、キキちゃんとは「ノバ」で一緒にやっているけど、花組では新公演出やってないと思うんですよね。もちろん、演出助手で入ったことはあるはずなので、組子のことを知らないってことはないでしょうけれども。
最近デビューした若手演出家は、直前……一年以内にはその組で新公演出してたのに、珍しいなと。いや、だからどうだということはないんですが(^ ^;ゞ
作品全体の構成は、物語を主筋一本に絞ってシンプルにし、その分、華やかなショーシーンをふんだんに入れて、出演者の出番と見せ場を与える、という方向に特化していました。
本当に驚くほど、ストーリーは一本道でわかりやすくて、、、良く言えば王道、悪く言えばひねりがない、という印象。ジョージの人生自体が非常にドラマティックなので、それを追うだけで十分にドラマが成立するのですが、それだけでは2時間が埋まらない分を、物語(脚本)として枝葉をつけるのではなく、ショーシーンで埋めたのが、、、ああ、なるほどな、という感じでした。
脚本的に物語を面白くするなら、いくつか道はあったと思うんですよね。
たとえば、ケイ(仙名)とジェームズ(瀬戸)の夫婦のすれ違いをもう一本の柱にして丁寧に描く、とか。あるいは、アステア姉弟(華耀&柚香)との交流をもっとしっかり描いて、3人で描いた夢から、その実現、突然の死と追悼コンサート、という流れもありだったかな、と。
でも、野口さんはあえて、「ジョージ・ガーシュイン」だけに焦点を当てて、「ジョージ・ガーシュイン」のことだけを描こうとした。ケイが視たジョージと、“世間”が視たジョージ、その2面を中心に。
結果的には、それは正しい選択だったと思うし、主演者であるキキちゃんもその期待にしっかり応えて、彼女らしい「ガーシュイン」をきちんと成立させていたから、それで良かったのだと思います。
ただ、個人的には、もう少し脚本的な枝葉をつけて、可愛い花組子たちに芝居での見せ場もあげてくれたらな、と思ったことは、正直に書いておきたいと思います。
あと、物語を貫くテーマ、みたいなものがちょっと弱かったなあ、と。
とにかくガーシュインの人生がドラマティックすぎて、それに寄りかかってしまったのも要因の一つかとは思うのですが……宝塚的には、「夢」の扱い方がちょっと半端なんじゃないかな、という気がしました。
アステア姉弟と一緒に視た「夢」が実現したところが一つの大きなクライマックスであるべきなのに、それをショーシーンにしてしまったために、芝居としての重みに欠けていたり。
物語序盤でレミック社長(紫峰)がジョージに言う「生きていくためには夢を諦めるべきだ」という台詞や、「夢をあきらめてジェームズと結婚したケイ」と、「夢をあきらめずに作曲を続けたジョージ」の立ち位置の違いが、物語のクライマックスに向けて、あまり意味を持たなかったこととか。
……なんて、いろいろ書いていますが。全般的には、デビュー作とは思えないほどきれいにまとまった、でも、パワーと流れのある作品で、「やりたいこと(=ショー)がやれる!」という喜びに満ち溢れた、楽しい作品でした。
大劇場のお芝居も興味ありますが、それよりも、野口さんにはショーを創ってみてほしいな、と思います。ちょっとお芝居仕立ての、お洒落なショーを創ってくれそう(*^ ^*)。
これからのご活躍を、楽しみにしています!
それでは、登場人物について……キキちゃんについては書いたので、他のメンバーについて。
■ジェームズ・ワーバーグ(瀬戸)
今回の出演者の「もったいないおばけ」第一号。
いやー、お髭が良く似合って、渋くて落ち着きがあって、めっちゃダンディで素敵でした!!
ただ、いかんせん、芝居のやりようがない(T T)。ジェームズはケイを愛しているけど、ケイは生活の安定を求めて結婚しただけで、“夫を愛したことなどないわ”という状態なのは、、、やっぱりちょっと、ヒロインであるケイのキャラクター設計に問題があるのではないかと思ってしまいます。
だって、あきらが素敵すぎるんだもの!!何が不満なんだ(真顔)
「若くてハンサムで才能に溢れた時代の寵児」に対して、ジェームズが本当のところはどう思っていたのか、それを、夫婦の場面でもう少し描けていたら。そうしたら、ケイももう少し佳い女に見えたかな、という気がします。
2幕後半の追悼コンサートで、ケイの傍に寄り添って立っていたジェームズの、静謐。
ケイと彼が正式に別れたのはいつなんでしょうね。ジョージが死ぬ前なのか、後なのか。……後なのかな、なんて思いながら、あの場面のジェームズを見凝めていました。
■ケイ・スウィフト(仙名)
「ファントム」のカルロッタ以来、エキセントリックなバイプレイヤーとして定評のある仙名さんですが、やっぱりこういう落ち着いた「大人の女」の役は難しいんだな、と。うーん、でもきらりん(華耀)じゃ歌が厳しいしな……と、あれこれ考えあぐねてしまったくらい、難しい役でした。
ジェームズとの場面がもうあと2つくらいあれば、もう少しトータルで「ケイ」という人物が見えてきたと思うのですが、ちょっと作劇上のご都合主義的な人物像になっていたような気がします。
とはいえ、歌はさすがだったし、髪型なども工夫して“落ち着いた人妻らしさ”を出そうとしていたので、良かったと思います。台詞の語尾が少し走りがちなので、もう少し意識すると、年齢幅が広がると思うのですが。
■アイラ・ガーシュイン(天真みちる)
もしかしたら、天真とあきらの役を逆にして、アイラを語り手にした方が、作品としては創りやすかったかしれないな、なんて思ったくらい、ものすごくいい役でした。
また天真が、優しくて温かみのあるとぼけた味わいを見事に体現していて、この人は本当に幅が広いな、と感心しました。素敵だった。。。。!!最初と最後をアイラに持っていかせたのは、さすが野口さん、センスがあるな、と思いました(^ ^)。
他のメンバーもみんな良かったのですが、とりあえず、続きはまた後日。
最後に。
私が観劇したのは、まだ幕が開いて3日目でしたから、今日までの間にずいぶん進化しているんだろうな、と思います。CSでの放送が楽しみです!!(←気が早い)
そして、大事なことはもう一度。
キキちゃん&野口さん、初主演&演出家デビュー、本当に本当に、おめでとうございます!!(*^ ^*)
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