月組のミー&マイガール
2013年5月26日 宝塚(月) コメント (2)梅田芸術劇場メインホールにて、月組公演「ME AND MY GIRL」を観劇してまいりました。
再演を繰り返してきた月組の財産。
数年前の梅田芸術劇場公演(花組)のチケットがかなり余裕な感じだったので、今回も余裕だろうとばかり思っていたのですが、、まさかの土日完売には驚きました! やっぱり、この作品は「月組の財産」なんだなあ、と感慨深く思いつつの観劇になりました(^ ^)。
で!
ちゃぴのサリーが可愛すぎました!!
発表されたときから似合うだろうと予想し、私なりに精一杯ハードルを挙げて観に行ったわけですが、どんなハードルも軽々と越えていく透明な翼。ちゃぴの背中の翼は、彼女の涙でできているんだな、と思いました。
最初にヘアフォード邸にあらわれた時の蓮っ葉だけど可愛い「俺の女の子」っぷりから、早くもときめきが止まらない(汗)。まさおくんのビルが、驚くほどガキ(←子供じゃなくてガキ)っぽい役づくりだったので、サリーが、年齢は下なんだけど、その細い腕で精一杯ビルを包んで守ってきたのがわかるような気がしました。
大きなお邸にびっくりして目を瞠っていたサリー。降って湧いたチャンスに浮かれていた少女の、その澄んだ聡明な瞳に、邸の人々の様子がだんだんと見えてくる。「あたしが来ると、侯爵夫人はイヤな貌をするんだ」……貴婦人中の貴婦人であるマリア侯爵夫人が、そんな露骨に“嫌な貌”などするはずはないのですが、サリーの瞳には人の気持ちが映るんでしょうね。つくろった笑顔の裏の気持ち。でも、「悪意」がないこともわかっている。マリアにはマリアのやり方がある、ただそれだけ。
「侯爵夫人にはわかっているんだ……あの方が勝つのさ」
ビルの幸せのために必要なものは、自分ではなくマリアなのだと。自分が傍にいたのでは、ビルは「伯爵」にはなれない……それは、生まれついての彼の権利で、その場所に戻ることが彼のしあわせなのだから、と。
そのために何を喪うのか。サリーにはその覚悟があった。すべてを喪うことになっても、ビルのためなら、ビルの幸せのためなら怖くは無いと。
どんな運命も「あごで受け止めて」、、、「あたしは笑っているのさ」、と。
「あごで受け止めて」一曲で、あんなに泣いたのは初めてでした。
あの曲を、あんなに泣きながら歌うサリーも初めてみたような気がします。今にも“わっ”と泣きだしそうになって、その一歩手前で立ち止まって笑顔を浮かべるサリー。「笑ってんのさ」、と嘯きながら。
一生懸命で、けなげで、子供で、自分のことが見えてなくて、いつも必死な、守りたがりのちゃぴ。
本当に可愛くて、なんとしても幸せになってほしいと願わずにはいられないサリーでした。
ちゃぴのサリーを観ることができただけで、幸せです。ありがとう歌劇団。
私が観たのはBパターンなので、パーチェスターはコマちゃん(沙央)、ヘザーセットはマギー(星条)、ジャッキーがみやるり(美弥)でジェラルドがカチャ(凪七)でした。
コマちゃんとカチャは初月組子作品でしたが、まあ、、、特別公演でしたし、こういう作品ですのであまり違和感もなく(^ ^)普通に馴染んでいたと思います。まあ、大劇場で全員揃った時にどう見えるのかな、というのは気にはなりますが(^ ^)。
パーチェスターは、「貴族」でも「平民」でもない「ブルジョワ」階級(?)の人間として、この作品の中では特異な位置にいるんですが、そういう独特の立ち位置を、コマちゃんはちょっとイヤらしい感じに表現していて、面白いなと思いました。
ビルが「平民でも貴族でもない」サンドイッチのハムだとしたら、手に職のあるパーチェスターは、そもそも皿が違うサラダみたいな感じなんですよね、たぶん。そういう空気をあっさり醸し出せるあたり、さすがコマちゃんだなあ、と思いました。
ただ、「パーチェスター」という役に対して期待される“軽やかさ”みたいなものがちょっと足りなかったかも、とは思いました。地に足のついた実直さがコマちゃんの良いところだと思うし、組替えしたばかりで緊張していたのもあったのかもしれませんが。。。そう考えると、組替えしていきなりではなく、もう少し「月組」に馴染んでからこの役に取り組んでほしかったような気もしました。でも、逆に、その“浮いた”感じが役にあっていたのかもしれませんね。
みやるりのジャッキーは、歌の高音部はかなり苦しそうでしたが、見た目や芝居はとても良かったと思います。カチャのジェラルドの素直な感じも良かったし、軽やかで、やっぱりそういう役の方が似合うな、と思いました。
マリア侯爵夫人のすーちゃんは、期待以上に美しく貫録のある侯爵夫人ぶりでしたが、「30年以上も愛し合ってきた」と言われるのには少し若すぎたかも、、、という気もしました。やっぱり、京さんのマリアはキュートで可愛くて素敵だったなあ(^ ^)。
ジョン卿のナホちゃんは、可もなく不可もなく、という感じでしょうか。個人的にはコマちゃんのジョン卿が観てみたかったです。
としちゃんのボブ。
私は、ミーマイではいつもボブがすごく気になって、大好きなんですよね。すごく月組らしい役だと思うのです。いや、もちろん、花組で上演されたときもボブは良かったんですが、なんていうか、こういう役に命をかけるところが月組らしくてすごく好き。
サリーとの会話の一言一言、そして、閉じたドアに向かって軽く溜息をついて零す「幸運を祈っているよ、サリー」という祈りの言葉が、とても優しくて。ライトひとつあたらない舞台の隅でもずーーーーっと果物をいじったり乞食と小芝居しているのも、めっちゃ可愛かった!
ランベスに生きる人々の代表として、リアルな存在感のある役だと思うんですよね。ビルもまた、確かにここに生きていた、という片方の現実。そして、今となってはもう、ビルはランベスには戻れない、という現実もまた、ボブを見ているとわかってしまう。もう違う世界の住人なのだ、と。
そんな、ビルにとっては喪われた故郷ともいうべき「ランベス」を象徴する存在。
前回の博多座でボブを演じたのはひびきち(響)でしたが、あれからもうすぐ5年が経とうという今、ボブを演じるのは同期のとしちゃん(宇月)。いや、すごくいい役なので不満はないんですが、、、ミーマイって本当に役がないんだなあ(しみじみ)
るうちゃんのブラウン夫人。
目端がきいて儲け話は見逃さないけれども、約束はきちんと守る律義な人。生き馬の眼を抜くランベスで生き抜くすべと、その中で生きる仲間を見守る「大いなる母」の目線、両方を兼ね備えた人。るうちゃん(光月)の女役は初めて観たような気がしますが、思いの外自然だったし、おおらかな包容力があって、良かったと思います。
星組の美城さんみたいな、素敵な役者さんになってくれますように。
ゆりやんのサー・バターズビー。
姐さん女房(萌花)の尻に敷かれっぱなしの気弱なボンボン貴族。ゆりやんって、ああいう役にかけては天才的ですよね。なんともいえず間が良くて、大好きです。
……いや、「アルジェの男」のジュリアンもすごく良かったですよ!(←フォロー?)
特に印象に残ったのはそのあたりでしょうか。
「ミー&マイガール」、良い作品なのですが、いかんせん役がないので、裏が下級生バウだけだと辛いですね(涙)。でも、ちゃぴのサリーを観ることができて良かった!!(大事なことなのでもう一度)あの「あごで受け止めて」だけでもいいから、もう一回観たい………です。(←無理)
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再演を繰り返してきた月組の財産。
数年前の梅田芸術劇場公演(花組)のチケットがかなり余裕な感じだったので、今回も余裕だろうとばかり思っていたのですが、、まさかの土日完売には驚きました! やっぱり、この作品は「月組の財産」なんだなあ、と感慨深く思いつつの観劇になりました(^ ^)。
で!
ちゃぴのサリーが可愛すぎました!!
発表されたときから似合うだろうと予想し、私なりに精一杯ハードルを挙げて観に行ったわけですが、どんなハードルも軽々と越えていく透明な翼。ちゃぴの背中の翼は、彼女の涙でできているんだな、と思いました。
最初にヘアフォード邸にあらわれた時の蓮っ葉だけど可愛い「俺の女の子」っぷりから、早くもときめきが止まらない(汗)。まさおくんのビルが、驚くほどガキ(←子供じゃなくてガキ)っぽい役づくりだったので、サリーが、年齢は下なんだけど、その細い腕で精一杯ビルを包んで守ってきたのがわかるような気がしました。
大きなお邸にびっくりして目を瞠っていたサリー。降って湧いたチャンスに浮かれていた少女の、その澄んだ聡明な瞳に、邸の人々の様子がだんだんと見えてくる。「あたしが来ると、侯爵夫人はイヤな貌をするんだ」……貴婦人中の貴婦人であるマリア侯爵夫人が、そんな露骨に“嫌な貌”などするはずはないのですが、サリーの瞳には人の気持ちが映るんでしょうね。つくろった笑顔の裏の気持ち。でも、「悪意」がないこともわかっている。マリアにはマリアのやり方がある、ただそれだけ。
「侯爵夫人にはわかっているんだ……あの方が勝つのさ」
ビルの幸せのために必要なものは、自分ではなくマリアなのだと。自分が傍にいたのでは、ビルは「伯爵」にはなれない……それは、生まれついての彼の権利で、その場所に戻ることが彼のしあわせなのだから、と。
そのために何を喪うのか。サリーにはその覚悟があった。すべてを喪うことになっても、ビルのためなら、ビルの幸せのためなら怖くは無いと。
どんな運命も「あごで受け止めて」、、、「あたしは笑っているのさ」、と。
「あごで受け止めて」一曲で、あんなに泣いたのは初めてでした。
あの曲を、あんなに泣きながら歌うサリーも初めてみたような気がします。今にも“わっ”と泣きだしそうになって、その一歩手前で立ち止まって笑顔を浮かべるサリー。「笑ってんのさ」、と嘯きながら。
一生懸命で、けなげで、子供で、自分のことが見えてなくて、いつも必死な、守りたがりのちゃぴ。
本当に可愛くて、なんとしても幸せになってほしいと願わずにはいられないサリーでした。
ちゃぴのサリーを観ることができただけで、幸せです。ありがとう歌劇団。
私が観たのはBパターンなので、パーチェスターはコマちゃん(沙央)、ヘザーセットはマギー(星条)、ジャッキーがみやるり(美弥)でジェラルドがカチャ(凪七)でした。
コマちゃんとカチャは初月組子作品でしたが、まあ、、、特別公演でしたし、こういう作品ですのであまり違和感もなく(^ ^)普通に馴染んでいたと思います。まあ、大劇場で全員揃った時にどう見えるのかな、というのは気にはなりますが(^ ^)。
パーチェスターは、「貴族」でも「平民」でもない「ブルジョワ」階級(?)の人間として、この作品の中では特異な位置にいるんですが、そういう独特の立ち位置を、コマちゃんはちょっとイヤらしい感じに表現していて、面白いなと思いました。
ビルが「平民でも貴族でもない」サンドイッチのハムだとしたら、手に職のあるパーチェスターは、そもそも皿が違うサラダみたいな感じなんですよね、たぶん。そういう空気をあっさり醸し出せるあたり、さすがコマちゃんだなあ、と思いました。
ただ、「パーチェスター」という役に対して期待される“軽やかさ”みたいなものがちょっと足りなかったかも、とは思いました。地に足のついた実直さがコマちゃんの良いところだと思うし、組替えしたばかりで緊張していたのもあったのかもしれませんが。。。そう考えると、組替えしていきなりではなく、もう少し「月組」に馴染んでからこの役に取り組んでほしかったような気もしました。でも、逆に、その“浮いた”感じが役にあっていたのかもしれませんね。
みやるりのジャッキーは、歌の高音部はかなり苦しそうでしたが、見た目や芝居はとても良かったと思います。カチャのジェラルドの素直な感じも良かったし、軽やかで、やっぱりそういう役の方が似合うな、と思いました。
マリア侯爵夫人のすーちゃんは、期待以上に美しく貫録のある侯爵夫人ぶりでしたが、「30年以上も愛し合ってきた」と言われるのには少し若すぎたかも、、、という気もしました。やっぱり、京さんのマリアはキュートで可愛くて素敵だったなあ(^ ^)。
ジョン卿のナホちゃんは、可もなく不可もなく、という感じでしょうか。個人的にはコマちゃんのジョン卿が観てみたかったです。
としちゃんのボブ。
私は、ミーマイではいつもボブがすごく気になって、大好きなんですよね。すごく月組らしい役だと思うのです。いや、もちろん、花組で上演されたときもボブは良かったんですが、なんていうか、こういう役に命をかけるところが月組らしくてすごく好き。
サリーとの会話の一言一言、そして、閉じたドアに向かって軽く溜息をついて零す「幸運を祈っているよ、サリー」という祈りの言葉が、とても優しくて。ライトひとつあたらない舞台の隅でもずーーーーっと果物をいじったり乞食と小芝居しているのも、めっちゃ可愛かった!
ランベスに生きる人々の代表として、リアルな存在感のある役だと思うんですよね。ビルもまた、確かにここに生きていた、という片方の現実。そして、今となってはもう、ビルはランベスには戻れない、という現実もまた、ボブを見ているとわかってしまう。もう違う世界の住人なのだ、と。
そんな、ビルにとっては喪われた故郷ともいうべき「ランベス」を象徴する存在。
前回の博多座でボブを演じたのはひびきち(響)でしたが、あれからもうすぐ5年が経とうという今、ボブを演じるのは同期のとしちゃん(宇月)。いや、すごくいい役なので不満はないんですが、、、ミーマイって本当に役がないんだなあ(しみじみ)
るうちゃんのブラウン夫人。
目端がきいて儲け話は見逃さないけれども、約束はきちんと守る律義な人。生き馬の眼を抜くランベスで生き抜くすべと、その中で生きる仲間を見守る「大いなる母」の目線、両方を兼ね備えた人。るうちゃん(光月)の女役は初めて観たような気がしますが、思いの外自然だったし、おおらかな包容力があって、良かったと思います。
星組の美城さんみたいな、素敵な役者さんになってくれますように。
ゆりやんのサー・バターズビー。
姐さん女房(萌花)の尻に敷かれっぱなしの気弱なボンボン貴族。ゆりやんって、ああいう役にかけては天才的ですよね。なんともいえず間が良くて、大好きです。
……いや、「アルジェの男」のジュリアンもすごく良かったですよ!(←フォロー?)
特に印象に残ったのはそのあたりでしょうか。
「ミー&マイガール」、良い作品なのですが、いかんせん役がないので、裏が下級生バウだけだと辛いですね(涙)。でも、ちゃぴのサリーを観ることができて良かった!!(大事なことなのでもう一度)あの「あごで受け止めて」だけでもいいから、もう一回観たい………です。(←無理)
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コメント
ちゃぴのサリーも良かったです。
毎回本当にぐんぐん成長していて、すごいです、もっともっとたくさん観たい。
全国ツアーが『仁』ですが、咲さんはちゃぴにも似合いそうですね…
役も多いし、結構楽しみになっています。
そしてるうちゃんのブラウン夫人が本当に良かったです。
たまにはお芝居で女役もしてくれていいよと思ったくらいです。
すーちゃんの声が耳触りな時があるので、だれかすっきりした声の持ち主が
欲しいなと思う時が。
すーちゃんマリア夫人も素敵でしたね。
どんな感じかなぁとちょっと個性的だしと心配があったのですが、
いままでのすーちゃんが一番好きかも(笑)
「ミーマイ」はしばらく公演しなくてもいいのになぁと。
あとやはり月組だけで公演していて欲しいとか勝手に思ってます。
初演をご覧になった方が羨ましいです~~~~!!ウタコさんのビルもこだまさんのサリーも、
映像で観ただけでもうっ、とくるから、生で観たらさぞや……と思うんですよね。
いまさら言ってもせんないことではありますが。
> 毎回本当にぐんぐん成長していて、すごいです、もっともっとたくさん観たい。
わーい!!そう仰っていただけると嬉しいです~~~!
> 全国ツアーが『仁』ですが、咲さんはちゃぴにも似合いそうですね…
ね、似合いそうですよね!間のあかない再演で、評価は割れるだろうなと思いますが、
良い作品だからこそ再演されるわけで、私はやっぱり楽しみです(^ ^)。
るうちゃんのブラウン夫人も、すーちゃんのマリアも、とても良かった!
すーちゃんは、「個性」の出し入れが自在になってきたなあ、と思いました(^ ^)。
> あとやはり月組だけで公演していて欲しいとか勝手に思ってます。
そうなんですよね。。。いい作品なんですけど、やっぱり「月組の財産」なんだなあ、と思いました。
まあ、またしばらく封印してくれることを祈っています。名作は出し惜しみしないとね!