月組バウホール公演「月雲の皇子」を観劇してまいりました
たまきち(珠城)、バウホール公演初主演おめでとうございます!
そして、同時に、
上田久美子さん、初演出でこの出来、素晴らしいです!
いやはや、興味深い作品でした。
古事記に描かれたロマンティックな恋物語をベースにしつつ、斬新な新解釈による「ヤマトの国づくり」がリアリティをもって語られている。その国産みの辛さが痛々しくて、胸にずしんと響きました。
背景に描かれた大きな墨絵の月を生かした、シンプルな舞台装置。人間の肉体を絵筆にした謝珠栄の振付と、鮮やかな殺陣。それらを照らしだす美しい照明。舞台面の美しさも印象的でしたが、それ以上に印象に残ったのは、モノローグのないシンプルで明解な脚本でした。繰り返される「歌を詠む者と言葉を弄するもの」という台詞。故郷を喪った渡来人たちの思惑と、故郷を護ろうとする強い意志の相克。語るべき物語を見失った兄と、語られるべき物語を創ろうとした弟。
衣装やキャラクター設定に「あかねさす紫の花」や「太王四神記」などとの共通点が多く、場面場面で懐かしく思いだしたりもしたのですが、それらの名作の“焼き直し”とは違う、上田さんならではの豊かなイマジネーションに満ち溢れた、美しい舞台でした。
まだ開幕したばかりですのでネタバレは避けたいと思いますが、とにかく出演者も全員素晴らしくて、月組芝居の真髄を堪能できる2時間でした。
心情説明というものの全くないシンプルな脚本の行間を、流さずにしっかり表現してくれた役者たちに、ただただ拍手を贈ることしかできません。
88期のなっつ(夏月)、90期のちびあず(琴音)、91期のさち花(白雪)・ちゅーちゃん(咲希)という(比較的)上級生女役が特に素晴らしく、実力派ぞろいの若い座組みをしっかりとまとめていたのがまず高得点(^ ^)。中でも、ちびあずの威厳ある愛情深さと、ちゅーちゃんの凛々しさは、それだけでチケット代のもとがとれたと思うほどの素晴らしさでした!!
主演のたまきち、2番手のちなつちゃん(鳳月)は、、、実力的にもビジュアル面も不足はないうえに、涼やかな立ち姿が実に実にお似合いで!! いやあ、月組新公をずっと観てきて、芝居巧者な二人のことは以前から好きなのですが、二人が組んで芝居しているところはあまり観たことがなく……こうしてがっつり組んで芝居をしているのを観ると、絵としてもよく映えるし、何より芝居の相性がよくて、お互いの良さを引き立てあえる二人だな、と思いました。
穏やかで優しい兄・たまきちと、俯瞰した視野をもつ苛烈な弟・ちなつちゃん。どちらも同じように愛情深くて、それぞれ違う方向に優秀で、、、優秀すぎた二人の互いへの愛が、ひどく哀しくて痛々しいんですよね。二人を繋ぐ妹・衣通媛(咲妃)の澄明な存在感が眩しく感じられるほどの、二人を包む闇の深さが印象的でした。
そして、そうやってすれ違って行く兄二人を、痛みをもって見守るしかない哀れな末弟・大長谷(朝美)が、後に雄略帝として日の本を統べるのだと思い至って、遣る瀬ない想いが溢れだす……そんな観劇後でした。
下級生では、ハッチさん(夏美)と対等に渡り合うまゆぽん(輝月)の渋さと、晴音アキちゃんの身のこなしのキレの良さが印象的。他にも、からんちゃん(千海)の巧さや、有瀬・貴澄の達者さ、1幕のあーさ(朝美)のやんちゃな笑顔など、挙げ始めたらきりがないくらいに皆良かった!
詳しくはまた、帰宅したらゆっくり書きたいと思います(^ ^)。
なにはともあれ、美しい物語が好きな方は、是非ご覧くださいませ♪
.
たまきち(珠城)、バウホール公演初主演おめでとうございます!
そして、同時に、
上田久美子さん、初演出でこの出来、素晴らしいです!
いやはや、興味深い作品でした。
古事記に描かれたロマンティックな恋物語をベースにしつつ、斬新な新解釈による「ヤマトの国づくり」がリアリティをもって語られている。その国産みの辛さが痛々しくて、胸にずしんと響きました。
背景に描かれた大きな墨絵の月を生かした、シンプルな舞台装置。人間の肉体を絵筆にした謝珠栄の振付と、鮮やかな殺陣。それらを照らしだす美しい照明。舞台面の美しさも印象的でしたが、それ以上に印象に残ったのは、モノローグのないシンプルで明解な脚本でした。繰り返される「歌を詠む者と言葉を弄するもの」という台詞。故郷を喪った渡来人たちの思惑と、故郷を護ろうとする強い意志の相克。語るべき物語を見失った兄と、語られるべき物語を創ろうとした弟。
衣装やキャラクター設定に「あかねさす紫の花」や「太王四神記」などとの共通点が多く、場面場面で懐かしく思いだしたりもしたのですが、それらの名作の“焼き直し”とは違う、上田さんならではの豊かなイマジネーションに満ち溢れた、美しい舞台でした。
まだ開幕したばかりですのでネタバレは避けたいと思いますが、とにかく出演者も全員素晴らしくて、月組芝居の真髄を堪能できる2時間でした。
心情説明というものの全くないシンプルな脚本の行間を、流さずにしっかり表現してくれた役者たちに、ただただ拍手を贈ることしかできません。
88期のなっつ(夏月)、90期のちびあず(琴音)、91期のさち花(白雪)・ちゅーちゃん(咲希)という(比較的)上級生女役が特に素晴らしく、実力派ぞろいの若い座組みをしっかりとまとめていたのがまず高得点(^ ^)。中でも、ちびあずの威厳ある愛情深さと、ちゅーちゃんの凛々しさは、それだけでチケット代のもとがとれたと思うほどの素晴らしさでした!!
主演のたまきち、2番手のちなつちゃん(鳳月)は、、、実力的にもビジュアル面も不足はないうえに、涼やかな立ち姿が実に実にお似合いで!! いやあ、月組新公をずっと観てきて、芝居巧者な二人のことは以前から好きなのですが、二人が組んで芝居しているところはあまり観たことがなく……こうしてがっつり組んで芝居をしているのを観ると、絵としてもよく映えるし、何より芝居の相性がよくて、お互いの良さを引き立てあえる二人だな、と思いました。
穏やかで優しい兄・たまきちと、俯瞰した視野をもつ苛烈な弟・ちなつちゃん。どちらも同じように愛情深くて、それぞれ違う方向に優秀で、、、優秀すぎた二人の互いへの愛が、ひどく哀しくて痛々しいんですよね。二人を繋ぐ妹・衣通媛(咲妃)の澄明な存在感が眩しく感じられるほどの、二人を包む闇の深さが印象的でした。
そして、そうやってすれ違って行く兄二人を、痛みをもって見守るしかない哀れな末弟・大長谷(朝美)が、後に雄略帝として日の本を統べるのだと思い至って、遣る瀬ない想いが溢れだす……そんな観劇後でした。
下級生では、ハッチさん(夏美)と対等に渡り合うまゆぽん(輝月)の渋さと、晴音アキちゃんの身のこなしのキレの良さが印象的。他にも、からんちゃん(千海)の巧さや、有瀬・貴澄の達者さ、1幕のあーさ(朝美)のやんちゃな笑顔など、挙げ始めたらきりがないくらいに皆良かった!
詳しくはまた、帰宅したらゆっくり書きたいと思います(^ ^)。
なにはともあれ、美しい物語が好きな方は、是非ご覧くださいませ♪
.
コメント
それだけを頼りに、週末の移動を頑張るぞ
バウは松葉杖とか預かるのかな?というかトイレも全て階段上がりでヤバそうだわ〜
ちなつちゃんもあーさもまゆぽんも楽しみです(*^^*)
謝先生も久しぶりだし…♪
良かったですよ~~~!!<月バウ。出演者全員良かった!!ので、ご安心を(^ ^)。
> バウは松葉杖とか預かるのかな?
以前、大きな荷物を預かってくれた(←というか邪魔だから預かりますと言われた)ことがあるので
大丈夫なんじゃないでしょうか
お手洗いはたしかに厳しいかも、ですね(T T)。でも、昔に比べればエレベーターがある分、だいぶマシですよね。。。気をつけていらしてください!
バウ公演行ってきました。
辛さ、切なさ、哀れさ、本当に泣けました。ただただ悲劇に突き進んでいく。それが見えてくるから、感じさせてくれるから、悲しくて哀しくて。
メンバー全員がひとつになって真ん中を盛り立て、誰一人欠けても成立しない。
そして、これがバウホールだからこそのこの結束感と芝居の月組のこのメンバーならではの演技、歌、ダンス。そして、力の入った装置や音楽や振付。
沢山の人に観てもらいたい作品でした。上田先生のビューは大成功ですね。
ちなつちゃん贔屓としては、まるで五月人形のような凛々しさと逞しさと麗しさ。「馬引けいー!」など耳に残る声。全力投球のかなり直球の演技。でも、その表情からは苦しさが伝わる。
こんなに素晴らしい舞台を観る事ができて良かったです。(語彙能力が無いのでこんな書き方しかできません。涙)
上から7行目の「上田先生のビュー」→デビューです。
ひとつだけ疑問が。
木梨軽皇子が伊予に流されたあと、全く人が変わってしまったのは、「ある時から変わった」と言わせていただけで、その後押し流されるように場面が進んでいくのでその変化を理解するまで至らずでした。もしかしたらその場面はあったのかもしれませんね。
> 沢山の人に観てもらいたい作品でした。上田先生のデビューは大成功ですね。
ですよね!本当にそう思います。
ちなつちゃんもホントに良かった(泣)ビジュアルも芝居も殺陣もよかったし、仰る通り、独特の声が印象的で、台詞を生かしていたと思います。いやー、本当にレベルの高い作品でした!
> 木梨軽皇子が伊予に流されたあと、全く人が変わってしまったのは、
> 「ある時から変わった」と言わせていただけで、
そうですね。いちおう「衣通媛が穴穂の妃に!」というニュースを知って壊れたらしいことは提示されていましたが、、、明解には語られないですものね。
> もしかしたらその場面はあったのかもしれませんね。
一幕ラストの構成的に、2幕のファーストシーンではもう「別人」にする予定だったと思いますが、もしかしたら回想みたいな形で場面としてあったのかもしれませんね。というか、視てみたいですよね!(^ ^)