今日は、雪組さんの大劇場公演集合日。

専科の磯野さんが、この公演を最後に卒業されることが発表されました。
華やかな99期の初舞台公演で、専科の重鎮がまた一人去っていく。色っぽいダンスともの固い芝居。「血と砂」でのエル・マタドールもとても素敵でした。とても寂しいけれども、はればれと見送ることができるといいな、と思っています。


集合日ですので、詳細な配役も出ました。他の組のトップさんが特出される間、まっつやチギちゃんは何をするのかなー?と思っていたのですが、チギちゃんはベルナール(普段は彩凪翔)、まっつはランベスク公爵(普段は鳳翔大)、だそうですね。
えーっと。ベルナールって、フェルゼン篇ではどういう役割になるんでしょうね?オスカル篇のベルナールは良い役ですが、フェルゼン篇(←わたるさんのしか観たことない)のベルナールって……印象にない……。
そして、ランベスク公爵って誰でしょう。大ちゃんはアルマンもやるみたいだから、まっつがランベスク公爵を演じるときはアルマンだけになるってことですよね?ってことは、王宮の場面にしか出てこないのかな。出番少なそう(T T)。

チギちゃんがベルナールを演じる間、翔くん→アラン(彩風)、彩風→ロセロワ(帆風)、帆風→フランソワ(久城)。ってことは、その間あすくんは民衆を演じるのかな?役替りの中に入ったのはなんとなく嬉しいです!民衆も熱そうだなあ。。。観れないけど。


ロザリーは、まさかの(!)きゃびぃ。……ロザリーかぁ。小柄だけど、持ち味は大人な役者なんですよね彼女は。大好きなんだけど……新人公演で演じる星乃あんりちゃんの方が似合いそうだなあ(涙)。

ジャルジェ夫人はいるけど、ジャルジェ将軍はいないんですね。オスカルの母としてではなくて、アントワネットの侍女として出るのでしょうか?いや、オルタンス(大湖)がいるから、やっぱりオスカルの母として出るのかな。。。


新人公演も、主な役はほとんど出ましたね。早い!!
個人的には、ホタテ(帆風)のアンドレと久城あすくんのジェローデルが楽しみです!!花瑛ちほちゃんのオルタンスも、このタイミングでの発表というのに驚きました。本役もせしるだし、えーちゃんのシャープな強さが生きるカッコイイ系の役だったら嬉しいな。
あと、組回りから美貌で目立っていた研1の星南のぞみちゃんがさっそく新公で役がついてて、これも楽しみです♪




これから始まる公演についてはこのくらいにして、(すっかり間があいてしまいましたが)雪組公演「ブラックジャック~許されざる者への挽歌~」について。


千秋楽は、まっつの声も復調して、全部歌ってくれたそうですね。
私は残念ながらフルバージョンのブラックジャックにはお逢いできませんでしたが、記録として残るモノが本来の形に限りなく近いものになったのならばとても嬉しいです。

早く放映してくださいね、CSさん(はぁと)。




この作品の鍵は、どうしても地味になりがちな「ブラックジャックの日常」を吹っ飛ばすキャラクターとして設定されたバイロン侯爵のともみんと、カトリーヌせしるのハーレクイン・カップル。
彼らの人生の中でも特別にドラマティックな数日(数ヶ月?)間がメインとなっているせいか、凄まじいエネルギーがあるんですよね。普通の人よりも長い人生なんだから、普通の人より低燃費で生きていそうな気がするけど、ともみんは逆に、あのエネルギーで死を遠ざけているんじゃないか、というか、、、なんだか、そんな納得をしたくなる迫力でした(^ ^)。

正塚さんお得意の、心根は熱いのに表面的にはクールな主人公と、彼の恬淡とした日常をぶち壊しに顕れる暑苦しい二番手、という組み合わせが好きだなあ、と、あらためて思いましたなり。

「ブエノスアイレスの風」「クロスロード」「マリポーサの花」そして「メランコリック・ジゴロ」。
……ブラックジャックとバイロン侯爵の間には、特に友情めいたものはありませんでしたけどね(^ ^;ゞ



ブラックジャックとの間に友情が成立しているのは、山野先生(真那)と、トラヴィス(帆風)。

下級生ながら芸達者な二人ですが、二人とも本当に良かった。正塚さんが好きそうな役者だから、きっとおいしいだろうと思っていたけど、予想以上に大事にしてくれたなあと思います。
特に今回、まなはるが久しぶりに本領を発揮していて、とても嬉しかった!8年も学年の違うまっつと「対等」な友人役は難しかったんじゃないかと思いますが、落ち着いて演じていたと思います。とにかく声が好きなのですが、それだけじゃなくて、台詞の間がすごくしっくりくる。顔芸ばかりが言われがちですが、技術というか、そういうセンスのある人なんだと思っています。

山野がストレートにぶつけてくる優しさに、ちょっと捻って甘えるブラックジャックがとても可愛くて、それを笑って受け容れるまなはるくんの温かみが、とても良かったです。久しぶりに役らしい役を貰ったまなはるくんが幸せそうで楽しそうで、大先輩を相手に臆することなく発揮された包容力と、リアルな存在感に、いつの間にこんなに大きくなったのかと感心しました。
「凍てついた明日」のジェレミーから5年。こういう包容力のある役者に育つとは正直思っていなかったので、新鮮な驚きでした。

同時に、下級生に素直に(ではないけど)甘えるまっつの可愛らしさにも感心しましたけどね(^ ^)。


何をやっても危なげなく巧いホタテの使い方がまた、抜群に良かったです。
なんていうか、ブラックジャックがものすごく気に入ってしまうキャラクターの説得力がすごい(^ ^)。

帰国すると宣言したときのひどく寂しげな貌をするブラックジャックと、それに気がついて思わず目を逸らし、“気がついてません”な芝居をするトラヴィスの優しさがとても好きです。全然身辺警護の役は果たせていないけど、でも、その職務に一生懸命なところがブラックジャックの心を射ぬいているんですよね。

そして、ホタテの本当に凄味は、ただ可愛いだけじゃなくて、意外に恰好良いところにあると思います!
まっつがめっちゃ気に入ってて、いじりたくて仕方ないげなところがまた可愛いです(はぁと)。



そしてもう一人、カイト(彩風)。正塚作品によく出てくる“世の中をなめた不良少年”ですが、世を拗ねる理由(脚の怪我)がはっきりしているのと、彩風さんらしい素直さがあいまって、とても爽やかなイメージに仕上がったなと思います。

それにしても痩せましたよね。顔が丸顔だからわかりにくいけど、身体の線が出る衣装を着ると驚きます。年上彼女のエリ(沙月)との並びも良かったし、だいぶ色気が出てきたなあ、と、贔屓目かもしれませんが思うんですよね。
素直な芝居が魅力の人ですが、今回、最後にブラックジャックの家の前にケーキを置いて立ち去るときの晴れ晴れとした笑顔が印象的でした。うん。がんばれがんばれ。




正塚作品は、主人公が誰か(何か)を深く愛していないとつまらないものになりがちなんですが、今回の「ブラックジャック」は、主人公が関わる人々すべてを深く愛しているのがとても良かったな、と。
「許されざる者への挽歌」という副題のついた物語ですが、この物語には、具体的な意味での「許されざるもの」はいないんですよね。ピノコは「本来は存在しないはずの命」ではありましたが、「許されない」者ではない。バイロン侯爵だって、そういう存在であるというだけで、存在自体が罪だという訳ではない。

むしろ、ブラックジャックは、自分自身のことを「許されざる者」だと思っているんじゃないかな、とちょっと思いながら観ていました。実際には許されているんだけれども、家族を喪い、名医の手で縫いとめられた自分の命を、そういうふうに感じていたんじゃないか、と。
それが、ピノコという家族を得て再生する。だから「挽歌」なのかな、と。

「ゆるされざる者」はもういない。でも、「ゆるされざる者」として生きてきた時間は無駄ではなかった。愛を知ったから。山野の友情、患者たちの感謝。そのすべてに感謝をしつつ、「ゆるされざる者」として生きてきた自分の過去に挽歌を捧げる。
「ハッピーバースデイ、ピノコ」と囁く言葉の優しさと、その言葉を離れたところで呟く孤独と、孤独だった過去へ捧げる挽歌が、「変らぬ想い」として溢れだす。愛する世界へ向けて。

ブラックジャックの孤独に気がつかないピノコだからこそ、ただまっすぐに愛することができるし、
ブラックジャックの孤独を知りぬいている山野だからこそ、待っていることができる。
誰よりも優しくて、誰よりも暑苦しい、ブラックジャックのことを。



他にも、きゃびぃの看護師(五條)とか、金髪美女の雛月乙葉さん(クリキントン)とか、なにかと話題の大澄くんとか、バイロン侯爵家の侍女頭の舞園るりちゃんとか、印象的な登場人物がたくさんいて、とても楽しかったです♪


この成功を引っ提げて、月組大劇場公演「アルセーヌ・ルパン」に挑む正塚さん。
しっかりした原作があるわけなので、大劇場でもヒットが出ますように、祈っています。

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