キャピュレット家のジュリエット
2012年8月21日 宝塚(月) コメント (4)ちゃぴ(愛希れいか)、お誕生日おめでとうございます!
お披露目公演中にお誕生日かあ~、組のみなさんにお祝いしてもらったのかな?
アドリブとかが入れにくい一本ものなのが残念だなあ(←どうせ観られやしませんが……しょぼん)
月組の二人のロミオについては先日一通り書かせていただいたので、今日はお誕生日にちなんで(^ ^)ジュリエットと、彼女を取り巻くキャピュレット家について。
いやもう、ちゃぴのジュリエットが可愛くて可愛くて!!!
最初の「いつか」で鳥籠と戯れているところから、霊廟で自分の胸に短剣を突き立てるまで、、、いえ、その後の天国のデュエットダンスも、もう本当に一挙手一投足が可愛い!!
ねねちゃんみみちゃんも可愛かったけど、ちゃぴの可愛さはそれとは種類が違うんですよね。なんていうのか、本能的に可愛いんですよ(^ ^;ゞ
大劇場で観た時に「子供と動物には勝てない」という格言(←違)を述べましたが、観劇を重ねるごとにその気持ちが強くなります。
しかも、ちゃぴはただの子供じゃない。守られる花ではいられなくて、いつも必死で相手役を守ろうとする、愛したがりの子供。どうすれば良いのか、何ひとつわかっていないくせに。
初娘役だった「ジプシー男爵」のヴィオルカ、「アルジェの男」の新人公演サビーヌ、「アリスの恋人」のアリス、、、どれも、あまりにも無垢に人を愛し、彼を守ろうとする子供というイメージを強烈に感じました。
「尽くす女」とはちょっと違う、ウェットさのない「必死さ」が印象的だったんですよね。泣き虫だけどウェットじゃないのは、自分の不幸に気がついていないから。自分自身さえみていない、正面(相手)しか視ていない近視眼さも何もかも、、、「子供だから」。
だから、ちゃぴを観ていると胸が痛むんだと思うんです。子供の頃の失敗、一生懸命やったのにうまくいかなかったこと、認めてほしい人に認めてもらえなかったことが、胸をとんとん叩く気がする。
ちゃぴが必死で腕を拡げて相手役を守ろうとすると、無条件に応援したくなるんです。そうすることで、自分の失敗が取り返せるような気がして。
……いやもう、そんな理屈(言い訳)はどうでもいい!とにかくちゃぴは可愛い。ちゃぴのジュリエットはとても可愛い。それだけです(←投げた)
そんな子供が恋をする。
それはもちろん運命の出会い。でも、「予想外の運命」ではなかった。。。
「なるほど!」と思ったのは、キャピュレット家は家族(家庭)としては最初から崩壊していた、という設定でした。
作品を考えると、すごく今更の感想かもしれませんが、、、今まではキャピュレット卿がヒロさん(一樹)さんだったので、なんとなく誤魔化されていたというか(汗)。
優しくて素敵なパパなんだから、ジュリエットももうちょっと素直になりなよ、とか思っていた部分があったんですよね。
でも、今回の月組版のキャピュレット卿はヒロさんではなく、組長(越乃リュウ)。
この人の真骨頂は「Hollywood Lover」のレイみたいな、無口で若い主の後ろにひっそりと立っている執事のような役。最近は学年的に「父親」役が回ってくることが増えたけど、実はとことん不適任なんですよね。
でも、今回のキャピュレット卿は当たり役でした。
本人は娘を愛しているつもりだけれども、実際には娘の年も覚えていない父親。
ヒロさんだと、「私の年も覚えていないのよ」と言われたら「いや、そんなことないってば…」とフォローしたくなったけど、ナホちゃんだと気持ちよーく「そうね、覚えてないかもね」と納得できちゃうんですよね。
キャピュレット卿自身は娘を深く愛しているつもりだし、理解もしているつもりなんだけど、そのすべてが独りよがり。
そんな父親と、『あの』母親の間で育ったジュリエットは、「親に一度も逆らったことはない」と言う。
それも嘘ではないけれども、真実でもない。ジュリエットは、親に逆らったことはないけれども、最初から親に関心がなかったんだと思う。
両親の不仲に胸を痛めることもないくらい、日常で当たり前だった隙間風。
だから彼女の望みは、早く家を出ることなのだと思いました。
パリスと結婚させられそうになったから焦ったわけじゃない。舞踏会で見つけたいのは恋を見つけたい、というより、この家から連れ出してくれるスーパーマンを見つけたい……いや、もう誰でもいい、舞踏会で出会う男と恋をしようと決めた少女。
あのジュリエットの銀橋を、まだ見ぬ恋にあこがれるのではなく、あんなにキツい「決意」の表情で渡るジュリエットが新鮮でした。
だからこそ。
実際に舞踏会で「運命の相手」にめぐり会ったジュリエットが、バルコニーでロミオに「結婚しよう」と言われた時の、「なんですってぇ!?」という素っ頓狂な驚きようが、、、本当に胸が苦しくなるほど可愛かったです。まさに眼の前で恋人がスーパーマンに変身した瞬間、というか。
口には出せなかった、あるいは忘れかけていたかもしれない願い(家を出たい)を、いきなり叶えてくれたんですもの、まさにスーパーマンなんですよね、ジュリエットにとっては(*^ ^*)。
そしてもう一つ。ジュリエットは、母親に話を聞いてもらえなくても、父親に叩かれても、あまりコタえていないんですよね。
そんな彼女が激昂するのは、唯一、乳母に裏切られた瞬間。
彼女にとっての「親」は、たった一人の乳母だった。。。結婚式のまえ、ロミオの伝言を伝えてくれた乳母に抱きついて「ありがとう」「だって、今日まで育ててくれた」と泣くジュリエットは、本当に乳母を母と慕っているんだな、というのが感じられて、切なくなりました。
崩壊した家庭の中で、、母代りの乳母がいるから真っ直ぐ育った少女。だからこそ、乳母に裏切られればたやすく絶望してしまう。
大人になんてなりたくない。ただ、ロミオと二人で夢の中に逃げ込みたい、と。
ちゃぴのジュリエットは、恋をしても大人にはならないんですよね。乳母に裏切られて、絶望してすべてを諦めてしまう、我慢のきかない、短気な子供。現実としての「ロミオとの新しい生活」に希望を持って薬を呑むのではなく、「あの夜明けにもう一度戻りたい」という一念。現実に絶望して、夢に逃げ込もうとしている。
ロミオの短剣を胸の鞘に納めるまでのためらいのなさも、星・雪組版の晴れやかさとはちょっと違っていて、そんなところもすごく好きだったりします。
それにしても。
モンタギュー家の両親はまともそうなのに、なぜロミオはあんなに、、、子供(まさお)だったり、無駄に老成して(みりお)いたりするんでしょうね……などと思ったりしつつ。
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お披露目公演中にお誕生日かあ~、組のみなさんにお祝いしてもらったのかな?
アドリブとかが入れにくい一本ものなのが残念だなあ(←どうせ観られやしませんが……しょぼん)
月組の二人のロミオについては先日一通り書かせていただいたので、今日はお誕生日にちなんで(^ ^)ジュリエットと、彼女を取り巻くキャピュレット家について。
いやもう、ちゃぴのジュリエットが可愛くて可愛くて!!!
最初の「いつか」で鳥籠と戯れているところから、霊廟で自分の胸に短剣を突き立てるまで、、、いえ、その後の天国のデュエットダンスも、もう本当に一挙手一投足が可愛い!!
ねねちゃんみみちゃんも可愛かったけど、ちゃぴの可愛さはそれとは種類が違うんですよね。なんていうのか、本能的に可愛いんですよ(^ ^;ゞ
大劇場で観た時に「子供と動物には勝てない」という格言(←違)を述べましたが、観劇を重ねるごとにその気持ちが強くなります。
しかも、ちゃぴはただの子供じゃない。守られる花ではいられなくて、いつも必死で相手役を守ろうとする、愛したがりの子供。どうすれば良いのか、何ひとつわかっていないくせに。
初娘役だった「ジプシー男爵」のヴィオルカ、「アルジェの男」の新人公演サビーヌ、「アリスの恋人」のアリス、、、どれも、あまりにも無垢に人を愛し、彼を守ろうとする子供というイメージを強烈に感じました。
「尽くす女」とはちょっと違う、ウェットさのない「必死さ」が印象的だったんですよね。泣き虫だけどウェットじゃないのは、自分の不幸に気がついていないから。自分自身さえみていない、正面(相手)しか視ていない近視眼さも何もかも、、、「子供だから」。
だから、ちゃぴを観ていると胸が痛むんだと思うんです。子供の頃の失敗、一生懸命やったのにうまくいかなかったこと、認めてほしい人に認めてもらえなかったことが、胸をとんとん叩く気がする。
ちゃぴが必死で腕を拡げて相手役を守ろうとすると、無条件に応援したくなるんです。そうすることで、自分の失敗が取り返せるような気がして。
……いやもう、そんな理屈(言い訳)はどうでもいい!とにかくちゃぴは可愛い。ちゃぴのジュリエットはとても可愛い。それだけです(←投げた)
そんな子供が恋をする。
それはもちろん運命の出会い。でも、「予想外の運命」ではなかった。。。
「なるほど!」と思ったのは、キャピュレット家は家族(家庭)としては最初から崩壊していた、という設定でした。
作品を考えると、すごく今更の感想かもしれませんが、、、今まではキャピュレット卿がヒロさん(一樹)さんだったので、なんとなく誤魔化されていたというか(汗)。
優しくて素敵なパパなんだから、ジュリエットももうちょっと素直になりなよ、とか思っていた部分があったんですよね。
でも、今回の月組版のキャピュレット卿はヒロさんではなく、組長(越乃リュウ)。
この人の真骨頂は「Hollywood Lover」のレイみたいな、無口で若い主の後ろにひっそりと立っている執事のような役。最近は学年的に「父親」役が回ってくることが増えたけど、実はとことん不適任なんですよね。
でも、今回のキャピュレット卿は当たり役でした。
本人は娘を愛しているつもりだけれども、実際には娘の年も覚えていない父親。
ヒロさんだと、「私の年も覚えていないのよ」と言われたら「いや、そんなことないってば…」とフォローしたくなったけど、ナホちゃんだと気持ちよーく「そうね、覚えてないかもね」と納得できちゃうんですよね。
キャピュレット卿自身は娘を深く愛しているつもりだし、理解もしているつもりなんだけど、そのすべてが独りよがり。
そんな父親と、『あの』母親の間で育ったジュリエットは、「親に一度も逆らったことはない」と言う。
それも嘘ではないけれども、真実でもない。ジュリエットは、親に逆らったことはないけれども、最初から親に関心がなかったんだと思う。
両親の不仲に胸を痛めることもないくらい、日常で当たり前だった隙間風。
だから彼女の望みは、早く家を出ることなのだと思いました。
パリスと結婚させられそうになったから焦ったわけじゃない。舞踏会で見つけたいのは恋を見つけたい、というより、この家から連れ出してくれるスーパーマンを見つけたい……いや、もう誰でもいい、舞踏会で出会う男と恋をしようと決めた少女。
あのジュリエットの銀橋を、まだ見ぬ恋にあこがれるのではなく、あんなにキツい「決意」の表情で渡るジュリエットが新鮮でした。
だからこそ。
実際に舞踏会で「運命の相手」にめぐり会ったジュリエットが、バルコニーでロミオに「結婚しよう」と言われた時の、「なんですってぇ!?」という素っ頓狂な驚きようが、、、本当に胸が苦しくなるほど可愛かったです。まさに眼の前で恋人がスーパーマンに変身した瞬間、というか。
口には出せなかった、あるいは忘れかけていたかもしれない願い(家を出たい)を、いきなり叶えてくれたんですもの、まさにスーパーマンなんですよね、ジュリエットにとっては(*^ ^*)。
そしてもう一つ。ジュリエットは、母親に話を聞いてもらえなくても、父親に叩かれても、あまりコタえていないんですよね。
そんな彼女が激昂するのは、唯一、乳母に裏切られた瞬間。
彼女にとっての「親」は、たった一人の乳母だった。。。結婚式のまえ、ロミオの伝言を伝えてくれた乳母に抱きついて「ありがとう」「だって、今日まで育ててくれた」と泣くジュリエットは、本当に乳母を母と慕っているんだな、というのが感じられて、切なくなりました。
崩壊した家庭の中で、、母代りの乳母がいるから真っ直ぐ育った少女。だからこそ、乳母に裏切られればたやすく絶望してしまう。
大人になんてなりたくない。ただ、ロミオと二人で夢の中に逃げ込みたい、と。
ちゃぴのジュリエットは、恋をしても大人にはならないんですよね。乳母に裏切られて、絶望してすべてを諦めてしまう、我慢のきかない、短気な子供。現実としての「ロミオとの新しい生活」に希望を持って薬を呑むのではなく、「あの夜明けにもう一度戻りたい」という一念。現実に絶望して、夢に逃げ込もうとしている。
ロミオの短剣を胸の鞘に納めるまでのためらいのなさも、星・雪組版の晴れやかさとはちょっと違っていて、そんなところもすごく好きだったりします。
それにしても。
モンタギュー家の両親はまともそうなのに、なぜロミオはあんなに、、、子供(まさお)だったり、無駄に老成して(みりお)いたりするんでしょうね……などと思ったりしつつ。
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コメント
私もちゃぴちゃんのジュリエットが好きです。まっすぐに自分の求める道に進んでいく感じが良いなぁ。(ちゃぴちゃんは新公サビーヌから注目しています。)
ところで、ロミオママって、星組では母親としての愛を感じられたし、チエちゃんロミオも至ってまともでした。今回は厳しい表情が多くて愛を感じないママだし、パパもおとなしそう。そして、自由奔放なまさおロミオ、マザコン?と思えるみりおロミオ。家族で(役についての)話し合いは無かったのでしょうかね?(笑)
実は両パターンを観ました。そして、みりおロミオに対するマギーベンヴォーリオがとても優しくて包容力を感じました。まさおロミオと全く違った気がします。
コメントありがとうございます!ちゃぴジュリエット、本当に可愛いですよね。「まっすぐに」ってすごくいい表現ですね(^ ^)。
> ところで、ロミオママって、星組では母親としての愛を感じられたし、チエちゃんロミオも至ってまともでした。今回は厳しい表情が多くて愛を感じないママだし、パパもおとなしそう。
たしかに……。星組の花愛ママもにしき愛も、大好きでした!
今回のモンタギュー夫妻は、たしかに「まとも」というか「空気」なのかも……(ごめんなさい)
> 家族で(役についての)話し合いは無かったのでしょうかね?(笑)
あのメンバーだと、話し合いが成立するかどうか微妙な気が、、、(^ ^;;;
> みりおロミオに対するマギーベンヴォーリオがとても優しくて包容力を感じました。
なるほど……マギーもみやるりも、ロミオの中の人によって関係性が全然違いますよね。
マギーは全体的に大劇場の時より優しさを増したな、と思いまいたが、、、そんな感じでしたか?まさおロミオに対するより、みりおロミオに対する方が親しげな感じにみえたのですが……そうなんですね。
もうまさおロミオは観られないので残念(T T)ですが、最後にみりおロミオをもう一回観られるはずなので、しっかり視てみます!
マギーは、まさおロミオとは肩を並べる友達、みりおロミオには優しい兄のような。確かにその距離感が違いますね。
二人のロミオの個性の違いのままなんですよね。マギーさんが意識して変えているのか受身の芝居で変わるのか、は分りませんが。
> 二人のロミオの個性の違いのままなんですよね。マギーさんが意識して変えているのか受身の芝居で変わるのか、は分りませんが。
どうなんでしょうね……ただ、まさおのロミオは観るたびにかなり違うのですが、マギーの芝居はそれに合わせてかわっているような気がしたので、相手の芝居を受けて変わっているのかな、という気もします。
今まで、相手の芝居をちゃんと受けているマギーをあまり観たことがなかったので(ごめんなさい)、
今回のベンヴォーリオ役はマギーのターニングポイントになるんじゃないかと期待しています(^ ^)。