サンシャイン劇場にて、ミュージカル「薄桜鬼 ~斎藤一 篇~」を観劇いたしました。


「薄桜鬼」は、たぶん原作はゲームってことになるんですよね?
私は二宮サチさんが描いた漫画しか知りませんが、アニメにもなっているのかな。

脚本・演出・作詞は毛利亘宏、音楽は佐藤俊彦。制作の中心は30-DELUX、だそうです。
初めて作品に触れましたが、面白かったです。まあ、無理してミュージカルにせんでも……とは思いましたが、キャラクターの再現率といい、ストーリーの構成力といい、なかなかのレベルだったと思います。
特に原作ファンというわけではありませんが、新撰組という題材自体が面白いこともあって、楽しめました。なんたって、殺陣が本当に恰好良い!! 殺陣は斬られ役のレベルが重要なので、そこに巧い人が揃っている団体が主催している公演は良いんですよね。
またチャンバラものを上演してほしいです(期待)。


物語は、幕末の池田屋~会津戦争までを、「新撰組」の視点で描く本筋と、「薩長と手を組んだ鬼たち」と「人間を怪物化する薬」というエンタメでよくある設定を組み合わせた、ファンタジックなストーリー。
前半は「変若水(おちみず)」という薬をめぐる謎を追っているのに、1幕の半ばくらいでその謎はあっさり解けて、あとは「薬を飲むか飲まないか」の葛藤が人間側の中心テーマになっていくのがちょっと面白いというか、頭の切り替えが必要な感じでした。

現実の史実とは微妙に重なっているんですが、新撰組としてはマイナーな池田屋以降の活動がメインになっている上に、近藤局長や山南さん、伊東甲子太郎たちが誰も出てこないので、基本的にはオリジナルストーリーだと思って観た方がいいような気がします。
でも、戊辰戦争で敗北して事実上解散し、近藤を喪い、、、「甲陽鎮撫隊」と名前を変えても「新撰組」の精神を持ち続けた土方とその仲間たち という図がとても切なくて……物語の裏に流れる歴史を知っていて観ると、2幕後半は涙なくしては観られない感じでした。
別れてしまった仲間たちが戻ってくるラストは、大人のファンタジーなんだな、と。
そういう意味で、この物語全体が明治まで生き残った斎藤の夢として語られること自体が、衝撃的なのかも、と思いました。


それでは、キャストごとに簡単に。

■松田凌(斎藤一)
斎藤篇、ということで、彼の「変らなさ」がテーマになった構成の作品。
キャラクターの再現率、というか、芝居的にはとても良かったし、殺陣も斎藤のイメージにあっていて悪くなかったと思います。彼が「新撰組」の精神をちゃんと引き継いだからこそ、土方は笑って蝦夷地へ向かえたのだから、と。

ただ……うーん、ミュージカル作品で主演するには、歌がきつかったなあ……。
音楽的にも歌唱による表現力を必要とする作品ではなかったし、客層的にも作品的にも音響的にも、全編録音で良かったのでは、、、と思いました。すごい派手な殺陣をしながら歌っているところはどのみち録音なんだろうし(←違ってたらすみません)、普通のところも全部録音で音楽の質を高めた方が楽しめたと思うんですが。
……肉体的な面での表現力は十分ある人だと思うので、無理して歌わせなくてもいいのにな、と。
それがちょっと残念でした。


■廣瀬大介(沖田総司)
美形だなーとしみじみと。殺陣がもうちょっとシャープだと文句なかったんですが、、、キャラクターはすごく伝わってきたし、良かったと思います。
私にとって「沖田」はやんちゃ坊主なので、ああいう設定なのは嬉しかったな。
最初の登場のときから「星組の真風くんに似てるなー」と思っていたのですが、最後まで観て、真風くんの沖田が観たくなりました。秋のベニー主演のバウが新撰組ものじゃないのが、とても残念です(真顔)。


■矢崎広(土方歳三)
さすがにミュージカルの大舞台を踏んでいる人だけあって、歌い継ぎで土方さんが歌いだすとホッとする……の連続でした。
それにしても恰好良かった!!役も良かったけど、矢崎くん自身がすごく良かったです。手放しで絶賛(^ ^)。一幕の紫の着物も良かったけど、二幕の洋装は鼻血ものでしたわよ!(そこかよ)


■池田純矢(藤堂平助)
身体能力も、いろんな表現力も、なんだか凄かった。たまたま私が観た回は最後の挨拶で彼がコメントを述べてくれたんですが、その内容が本当に素晴らしくて、だいぶ惚れました。司会(?)の清水さんが「あれで19歳ですよ」と言っていたのがすごく印象的。
舞台歴は短いようですが、これからの活躍に期待いたします。

※ちなみに、途中で薬を飲んで羅刹になって大暴れする場面って、スタントですよね?あれは誰だったんだろう……。


■小野健斗(原田左之助)
長身スタイル抜群。赤毛もよく似合ってて、長槍を振りまわす原田役にぴったり!目が離せないくらい恰好良かったです。
豪放磊落な、兄貴分的な雰囲気があるのも良かったなあ。良い役でした(はぁと)。


■宮崎秋人(永倉新八)
原田といつも一緒にいる役。小柄で丸顔で可愛らしい雰囲気で、今までの永倉のイメージ(気は優しくて力持ち的な)とはだいぶ違ってましたが、長身でシャープな小野さんとの並びはとても良かったです。


■天野博一(山崎蒸)
山崎としては身軽で短刀を使った殺陣の見事さに見惚れました。監察らしい、一歩下がった雰囲気も良かったです。
30-DELUXのメンバーとして、清水さんと二人で開幕前のMCを担当されてましたが、さすがの呼吸でした。


■森大(井上源三郎)
ちょっと外した感じの存在感が凄く面白かった。元々私は源さんが大好きなのですが、この源さんも素敵だなあ、と。若いキャストがみんな生真面目にキャラクターを演じている中で、飄々と生きているおっさん(^ ^)が、とても魅力的でした。


■鈴木勝吾(風間千景)
「鬼」の首領として薩長と手を組み、「人間」たちの皆殺しを計画している……のかな?途中から目的がすり替わってる気もしましたが、いいのかな(^ ^)。
立っているだけで「空気が違う」のってすごく難しいんだな、と思いました。音楽とか照明とかでフォローしてくれているんですけどね。
でも、殺陣の動きの独特さはさすがでした。人間の動きとは違う、っていう感じがよく出てたと思います。


■清水順二(天霧九寿)
「鬼」の一員だけれども、「平穏に暮らす」ことが希望なだけで、人をどうにかしようとは思っていない。むしろ人に交じって生きて行きたいんだろうな、という感じ。そういう優しさと、でも人間とは少し思考回路が違う感じがちゃんと両立できていて、面白かったです。
殺陣はすごい!!「鬼」の(っていうか、素手の)殺陣だけじゃなくて、普通の人間としての(刀を持った)殺陣も観てみたかった(涙)。


■柏木佑介(不知火匡)
「鬼」の一員で、わがままな暴走坊や。
ありがちなキャラクターですが、なんだかすごく良かったです!身体能力の素晴らしさに唖然。歌も良かったし芝居も良かった!!……と思っていたら、結構ミュージカルにも出演経験があるみたいですね。今後の活躍が楽しみ!


■吉田仁美(雪村千鶴)
うたのおねえさんだったという経歴を見て納得の美声でした。役柄的にはもう少しシャープに動けると良かったのに、と思うのですが、、、まあ仕方ないかな。可愛かったです。小柄な斎藤ともお似合いでした(^ ^)。



【7月1日まで、あと56日】

コメント

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安曇野姫
2012年5月7日20:02

はじめまして!薄桜鬼と宝塚が好きな安曇野姫と申します!
(このブログは前から時々見させて頂いていますが、コメントするのは初です。)

私はアニメと原作のゲーム(のネタバレw)を見て薄桜鬼が好きになりました。
舞台化は前から知っていたのですが、大阪在住の高校生のため、遠征もできず・・・(泣)

舞台の様子がよく分かる感想でキャーキャー言いながら読ませていただきましたw
レポありがとうございます!!

みつきねこ
2012年5月8日0:44

安曇野姫さま、コメントありがとうございます!
お読みいただけてとっても嬉しいです♪

安曇野姫さまはアニメとゲーム、私は漫画と舞台……二人合わせると一通り制覇できますね(^ ^)。
舞台良かったですよー。美形ぞろいだし、なかなか面白かったので、東京でしかやらないのは
勿体無いですよね!ぜひ主催者にお手紙書いてあげてください。
私もアンケートに書けば良かったなあ。

でも、喜んでいただけて嬉しいです。役者さんたちをあまり知らないので、失礼があったらすみません。
コメント、本当にありがとうございました!